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特表2024-506062光学メタ表面フィルムを有するセンサアセンブリ
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  • 特表-光学メタ表面フィルムを有するセンサアセンブリ 図1A
  • 特表-光学メタ表面フィルムを有するセンサアセンブリ 図1B
  • 特表-光学メタ表面フィルムを有するセンサアセンブリ 図1C
  • 特表-光学メタ表面フィルムを有するセンサアセンブリ 図1D
  • 特表-光学メタ表面フィルムを有するセンサアセンブリ 図2
  • 特表-光学メタ表面フィルムを有するセンサアセンブリ 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-08
(54)【発明の名称】光学メタ表面フィルムを有するセンサアセンブリ
(51)【国際特許分類】
   G02B 5/00 20060101AFI20240201BHJP
   H01L 27/146 20060101ALI20240201BHJP
【FI】
G02B5/00 Z
H01L27/146 D
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023548187
(86)(22)【出願日】2022-01-17
(85)【翻訳文提出日】2023-08-09
(86)【国際出願番号】 IB2022050351
(87)【国際公開番号】W WO2022172098
(87)【国際公開日】2022-08-18
(31)【優先権主張番号】63/147,892
(32)【優先日】2021-02-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505005049
【氏名又は名称】スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100130339
【弁理士】
【氏名又は名称】藤井 憲
(74)【代理人】
【識別番号】100135909
【弁理士】
【氏名又は名称】野村 和歌子
(74)【代理人】
【識別番号】100133042
【弁理士】
【氏名又は名称】佃 誠玄
(74)【代理人】
【識別番号】100171701
【弁理士】
【氏名又は名称】浅村 敬一
(72)【発明者】
【氏名】ウォルク,マーティン ビー.
(72)【発明者】
【氏名】シャルト,クレイグ アール.
(72)【発明者】
【氏名】ウィートリー,ジョン エー.
(72)【発明者】
【氏名】シェーヴァー,ジョナー
(72)【発明者】
【氏名】ブロット,ロバート エル.
【テーマコード(参考)】
2H042
4M118
【Fターム(参考)】
2H042AA03
2H042AA06
2H042AA20
2H042AA21
2H042AA22
4M118AA06
4M118AA07
4M118AB10
4M118BA09
4M118BA14
4M118CA02
4M118FA33
4M118GC11
4M118GD03
4M118HA25
(57)【要約】
メタ表面アレイを使用する指紋センサアセンブリ。センサアセンブリは、センサ画素アレイを有する画像センサと、センサ画素アレイ上のメタ表面アレイとを含む。IRカットフィルタ又はノッチフィルタなどの光学フィルタを、メタ表面アレイ上に配置することができる。アセンブリはまた、センサ画素アレイとメタ表面アレイとの間に、基材、光学スペーサ、又は光学的に透明な接着剤も含み得る。指紋センサアセンブリは、モバイルデバイス内に組み込むことができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
センサ画素アレイと、
前記センサ画素アレイ上の透明基材と、
前記基材の、前記センサ画素アレイとは反対側上のメタ表面アレイと、
前記メタ表面アレイの、前記基材とは反対側上のIRカットフィルタと、
を備える、センサアセンブリ。
【請求項2】
前記メタ表面アレイが、対応する前記センサ画素アレイのサイズ及びピッチと同程度のサイズ及びピッチを有する、メタレンズを含む、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項3】
前記メタ表面アレイがメタレンズを含み、前記メタレンズのそれぞれが前記センサ画素アレイ内の複数の画素をカバーする、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項4】
前記メタ表面アレイが複数のメタレンズを含み、前記複数のメタレンズが前記センサ画素アレイ内の個別の画素をカバーする、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項5】
前記基材がガラスを含む、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項6】
前記基材が可撓性である、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項7】
センサ画素アレイと、
前記センサ画素アレイ上の光学スペーサと、
前記光学スペーサの、前記センサ画素アレイとは反対側上のメタ表面アレイと、
前記メタ表面アレイの、前記光学スペーサとは反対側上のIRカットフィルタと、
を備える、センサアセンブリ。
【請求項8】
前記メタ表面アレイが、対応する前記センサ画素アレイのサイズ及びピッチと同程度のサイズ及びピッチを有する、メタレンズを含む、請求項7に記載のアセンブリ。
【請求項9】
前記メタ表面アレイがメタレンズを含み、前記メタレンズのそれぞれが前記センサ画素アレイ内の複数の画素をカバーする、請求項7に記載のアセンブリ。
【請求項10】
前記メタ表面アレイが複数のメタレンズを含み、前記複数のメタレンズが前記センサ画素アレイ内の個別の画素をカバーする、請求項7に記載のアセンブリ。
【請求項11】
センサ画素アレイと、
前記センサ画素アレイ上のメタ表面アレイと、
前記メタ表面アレイの、前記センサ画素アレイとは反対側上のIRカットフィルタと、
を備える、センサアセンブリ。
【請求項12】
前記メタ表面アレイが、対応する前記センサ画素アレイのサイズ及びピッチと同程度のサイズ及びピッチを有する、メタレンズを含む、請求項11に記載のアセンブリ。
【請求項13】
前記メタ表面アレイがメタレンズを含み、前記メタレンズのそれぞれが前記センサ画素アレイ内の複数の画素をカバーする、請求項11に記載のアセンブリ。
【請求項14】
センサ画素アレイと、
前記センサ画素アレイ上の透明基材と、
前記基材の、前記センサ画素アレイとは反対側上のメタ表面アレイと、
前記メタ表面アレイの、前記基材とは反対側上のノッチフィルタと、
を備える、センサアセンブリ。
【請求項15】
前記メタ表面アレイが、対応する前記センサ画素アレイのサイズ及びピッチと同程度のサイズ及びピッチを有する、メタレンズを含む、請求項14に記載のアセンブリ。
【請求項16】
前記メタ表面アレイがメタレンズを含み、前記メタレンズのそれぞれが前記センサ画素アレイ内の複数の画素をカバーする、請求項14に記載のアセンブリ。
【請求項17】
前記メタ表面アレイが複数のメタレンズを含み、前記複数のメタレンズが前記センサ画素アレイ内の個別の画素をカバーする、請求項14に記載のアセンブリ。
【請求項18】
前記メタ表面アレイが、少なくとも2つの波長及び少なくとも2つの焦点距離に調整されている、請求項14に記載のアセンブリ。
【請求項19】
偏光レンズを更に備える、請求項14に記載のアセンブリ。
【請求項20】
前記ノッチフィルタが偏光選択性である、請求項14に記載のアセンブリ。
【請求項21】
前記メタ表面アレイが偏光選択性である、請求項14に記載のアセンブリ。
【請求項22】
センサ画素アレイと、
前記センサ画素アレイ上の光学的に透明な接着剤と、
前記光学的に透明な接着剤の、前記センサ画素アレイとは反対側上のピンホールアレイと、
前記ピンホールアレイの、前記光学的に透明な接着剤とは反対側上の透明基材と、
前記基材の、前記ピンホールアレイとは反対側上のメタ表面アレイと、
を備える、センサアセンブリ。
【請求項23】
前記メタ表面アレイが、対応する前記センサ画素アレイのサイズ及びピッチと同程度のサイズ及びピッチを有する、メタレンズを含む、請求項22に記載のアセンブリ。
【請求項24】
前記メタ表面アレイがメタレンズを含み、前記メタレンズのそれぞれが前記センサ画素アレイ内の複数の画素をカバーする、請求項22に記載のアセンブリ。
【請求項25】
前記メタ表面アレイが複数のメタレンズを含み、前記複数のメタレンズが前記センサ画素アレイ内の個別の画素をカバーする、請求項22に記載のアセンブリ。
【請求項26】
前記ピンホールアレイが光学吸収性材料を含む、請求項22に記載のアセンブリ。
【請求項27】
前記基材上又は前記光学的に透明な接着剤上に、染料若しくは顔料を更に備える、請求項22に記載のアセンブリ。
【請求項28】
空間的又は角度的フィルタリング機能を更に有する、請求項22に記載のアセンブリ。
【請求項29】
請求項1~28に記載のセンサアセンブリのうちのいずれかを備える、モバイルデバイスであって、前記デバイスに近接して配置されたユーザの身体部分を撮像するための、撮像センサを有する、モバイルデバイス。
【請求項30】
前記ユーザの身体部分が、前記ユーザの指を含む、請求項29に記載のモバイルデバイス。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
光学メタ表面(optical metasurface;OMS)は、可視光用途のための、数十ナノメートル又は数百ナノメートル程度の寸法を有する、メタ原子と呼ばれるサブ波長要素のアレイを含む、合成複合材料である。光学メタ表面は、光の振幅、位相、又は偏光に局所的に作用するものであり、表面上の位置の関数として変化する、光の位相シフトを付与する。メタ表面は、従来の材料及び技術を使用しては容易に得ることができない特性を示すように、設計することができる。
【0002】
ナノスケールの表面特徴部を有するメタ表面は、近年、光学系、バイオセンシング、半導体、及び他の電子デバイスにおける用途を見出している。具体的な例としては、自動車用途向けの小型近赤外(near infrared;NIR)カメラ、内視鏡カメラ光学系、偏光撮像システム、並びに、光検出及び測距(light detection and ranging;LIDAR)用の動的ビームステアリング光学系が挙げられる。
【0003】
従来の光学要素(例えば、屈折レンズに基づく複合レンズ)とOMSとで構成されているシステム又はアセンブリは、全体的な光学性能を改善するように設計することができる。これらのシステムにおいては、従来の要素が、光学機能の大半を提供し、OMSは、異常、収差、若しくは非点収差に関して、システムを修正又は補正する。
【発明の概要】
【0004】
本発明の実施形態は、光学メタ表面のアレイ又は要素を有し、指紋センサとして有用であり得る、センサアセンブリを含む。
【図面の簡単な説明】
【0005】
図1A】マイクロレンズアレイ/センサのアセンブリの側面図である。
図1B】ガラス上メタ表面アレイ/センサのアセンブリの側面図である。
図1C】センサ上メタ表面アレイ/フィルムのアセンブリの側面図である。
図1D】フィルム上メタ表面アレイ/センサのアセンブリの側面図である。
図2】画像キャプチャ及び生体検知を可能にするようにセンサアセンブリ内で使用されている、多波長、多焦点のOMSアレイの側面図である。
図3】センサ上メタ表面アレイのアセンブリの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
本明細書では、可視及び近赤外光を検出するための、強化されたセンサアセンブリが説明される。それらのアセンブリは、画素化センサ又はセンサ画素アレイと、光学フィルムと、少なくとも1つの光学メタ表面アレイとを備える。これらの3つの要素の組み合わせにより、可視及び近赤外及び紫外(ultraviolet;UV)撮像に関する、強化された機能及び性能が提供されることが期待される。強化される可能性があるものとしては、向上した信号対雑音比(signal-to-noise ratio;S/N)、ハイパースペクトル撮像能力、偏光撮像、生体検知、及び、より小さい物理的プロファイルが挙げられる。これらが強化されているセンサは、例えば、家庭用電子デバイスにおいて有用である。
【0007】
本明細書で説明される物品は、限定するものではないが、画像及び紋様の場所若しくは向きの双方を感知することが可能な、指紋又は静脈紋センサ、並びに、限定するものではないが400~600nm及び850~940nmを含む、可視及び近赤外光源用の、指紋又は静脈紋センサアセンブリを含めた、数多くの用途において有用であり得る。特に、本明細書で説明される物品及びアセンブリは、可視域に関する400nm~700nm、NIRに関する700nm~2000nm、及びUVに関する100nm~400nmの波長範囲において使用することができる。
【0008】
センサアセンブリ1~3
これらのアセンブリは、携帯電話又は他のデバイス内で使用するための、パネル下の指紋センサ(fingerprint sensor;FPS)の一部としての、センサ強化フィルム用に設計及び製作されている。このフィルムは、光学要素を使用しており、屈折マイクロレンズアレイと、赤外(IR)カットオフフィルタと、角度フィルタとしての開口アレイとを備える。全体として、このフィルムは、光をコリメート及びフィルタリングすることにより、センサのS/N性能を改善するために役立つ(図1A)。図1Aのアセンブリは、図示のように配置されている以下の要素、すなわち、マイクロレンズアレイ10と、IRカットフィルタ12と、ピンホールアレイ14と、画素化センサアレイ16を有する画像センサ18とを含む。
【0009】
3つの他のアセンブリ(図1B図1C図1D)は、センサ(CMOS、TFT、又は有機光検出器(organic photo detector;OPD))、メタ表面アレイ、及び光学フィルムを備える。いずれの場合にも、メタ表面アレイは、対応するセンサ画素のサイズ及びピッチと同程度のサイズ及びピッチを有する、個別のメタレンズの規則的な配置である。メタ表面アレイは、センサの表面に隣接して配置されている単一の大面積メタレンズとは別個であり、異なるものである。アレイ内の各メタレンズは、(例えば、撮像センサの場合)同一の場合もあれば、又は、空間的に分布されている一連の(例えば、異なる焦点距離、異なるスペクトル範囲の)メタレンズのタイプが存在する場合もある。メタレンズアレイは、下に存在しているセンサ画素と、画素ベースで位置合わせされる場合もあれば、又は位置合わせされない場合もある。メタレンズアレイは、光学樹脂又は他の材料などの、別の材料内に埋め込むことができる。メタレンズは、画素のサイズ程度のものとすることができ、あるいは、多くの画素をカバーする、より大きいものとするか、又は画素の一部をカバーする、より小さいものとすることも可能である。メタレンズ要素の機能は、光を集束させること、光の角度を変化させること、光を偏光させること、光を拡散させること、又は光をフィルタリングすることであり得る。フィルタリング機能は、スペクトル、偏光ベースのもの、角度的なもの、又は空間的なものであり得る。これらの機能は、エミッタ(又は、エミッタアレイ)、検出器(又は、検出器アレイ)、又はその双方に適用することができる。機能は、撮像用途又は非撮像用途に関するものとすることができる。
【0010】
図1Bは、光学フィルムがノッチフィルタであり、剛性の透明基材上にメタ表面が配置されている、センサアセンブリの一実施形態を示す。図1Bのアセンブリは、図示のように配置されている以下の要素、すなわち、光学フィルム20と、メタ表面アレイ22と、剛性の透明基材24と、センサ画素アレイ26を有する画像センサ28とを含む。
【0011】
図1Cは、メタ表面アレイが、介在する光学スペーサ層を有してセンサ上に配置されている、第2の実施形態を示す。図1Cのアセンブリは、図示のように配置されている以下の要素、すなわち、光学フィルム30と、メタ表面アレイ32と、光学スペーサ34と、センサ画素アレイ36を有する画像センサ38とを含む。
【0012】
図1Dは、メタ表面が光学フィルム上に配置されている、第3の実施形態を示す。図1Dのアセンブリは、図示のように配置されている以下の要素、すなわち、光学フィルム40と、メタ表面アレイ42と、センサ画素アレイ44を有する画像センサ46とを含む。
【0013】
図1B図1C、及び図1Dの実施形態では、センサアレイとメタレンズアレイとを位置合わせすることも可能である。
【0014】
センサアセンブリ4
別のセンサアセンブリの実施形態は、指紋認証プロセス中に、セキュリティと健康感知又は生体感知との双方を同時に可能にするための、光電式容積脈波記録法(photoplethysmography;PPG)が可能である(図2)。図2のアセンブリは、指48を感知するために図示のように配置されている以下の要素、すなわち、MOFノッチフィルタ50と、メタ表面アレイ52と、剛性の透明基材54と、センサ画素アレイ56を有する画像センサ58とを含む。
【0015】
本システムは、多波長、多焦点距離のOMSレンズアレイと、画像センサと、ノッチフィルタフィルムとを備える。OMSアレイは、少なくとも2つの波長及び2つの焦点距離、すなわち、指表面上に集束される(DOF)、指紋表面を撮像するために好適な波長λと、生組織の最初の数ミクロン内に集束される(DOF)、静脈撮像のための最適波長(λ、例えば850nm)とに調整されている。OMSは、空間的フィルタリング機能を実行するものであり、すなわち、一方のメタ表面画素が、λ1をf1において集束させ、λ2を除去し、他方のメタ表面画素が、λ2をf2において集束させ、λ1を除去する。また、多層光学フィルム(multi-layer optical film;MOF)は、λ1及びλ2の双方が通過することを可能にする。
【0016】
任意選択的に、本システムは、偏光レンズと、皮下散乱を低減する種々の偏光状態の偏光源とを備えることにより、赤色又はNIRスペクトル領域における静脈撮像の資格が可能となり得る。
【0017】
センサアセンブリ5
メタ表面が、図1B図1C、及び図1Dで示された別個の光学フィルムを伴わずに使用されている、センサアセンブリの別の実施形態が図3に示される。この実施形態は、第1の波長の焦点距離が、ピンホール形成に関して最適化され、第2の波長の焦点距離が、光学機能に関して最適化されている、二波長メタレンズを任意選択的に使用することができる。図3のアセンブリは、図示のように配置されている以下の要素、すなわち、メタ表面アレイ60と、透明基材62と、ピンホールアレイ64と、光学的に透明な接着剤(optically clear adhesive;OCA)66と、センサ画素アレイ68を有する画像センサ70とを含む。
【0018】
この実施形態(図3)では、メタ表面レンズアレイは、透明基材の一方の表面上に配置されており、この透明基材は、その第1の表面に概して平行であり、かつ第1の表面から均一な距離dで離れている、第2の表面を有する。好ましい実施形態では、基材の厚さdは、メタ表面レンズアレイに垂直入射してコリメートされる光が、基材の第2の表面において集束されるように選択されている。垂直入射光がレンズアレイによって集束される場所を除く、透明基材の第2の表面の大部分を、光学的に不透明なコーティングが覆っている。このコーティング層は、ピンホールアレイと称される場合もある。これらの開口部により、狭い範囲の角度、例えば法線を中心とする±4°から、レンズアレイに入射する光は、検出器に向けてピンホールアレイを通過することが可能となる一方で、他の角度からメタ表面に入射する光は遮断される。ピンホールアレイ上のコーティングは、好ましくは、フィルム内部での光の散乱を最小限に抑えるための、光学吸収性材料である。好適なコーティングの例としては、カーボンブラック、あるいは、粗面化金属及び/又は黒化金属が挙げられる。
【0019】
好ましい実施形態では、メタ表面レンズアレイは、400nm~600nmの光、又は800nm~1000nmの光などの、狭い波長範囲の光のみを集束させてピンホールアレイを通過させるように、高い波長分散特性を有して設計されている。この範囲外の波長を有する光は、全く集束されないか、又は、ピンホールアレイ以外のいずれかの場所に集束されることにより、ピンホールアレイを通って検出器へと効率的に透過されない。
【0020】
このフィルムは、光学的に透明な接着剤などの接着剤によって、検出器アレイに接合することができる。このフィルムはまた、光学的に透明な接着剤によって、ディスプレイモジュールの背面に接合することもできる。検出器アレイ又はディスプレイモジュールは、平面状の基材、又は湾曲状の基材を備え得る。マイクロレンズアレイに勝る、メタ表面アレイの手法の1つの利点は、直接的な光学接合に適している平坦な上面を有する、メタ表面アレイを作製することができる点である。
【0021】
本明細書で説明されているものなどの、メタ表面要素は、大面積指紋センサ用の角度フィルタ及びスペクトルフィルタの双方として役立つ。スペクトルフィルタリングは、望ましくない波長の光を吸収する染料若しくは顔料を、透明基材に添加することによって、並びに/あるいは、検出器及び/又はディスプレイモジュールに透明基材を接合するために使用される接着剤層に、そのような染料若しくは顔料を添加することによって、更に向上させることができる。
【0022】
本明細書で説明されるアセンブリは、画像センサとは反対側の、アセンブリの最上部の構成要素上に直接(物理的に接触して)指が配置されるか、又は十分に近接して配置される場合に、指紋センサとして使用することができる。
図1A
図1B
図1C
図1D
図2
図3
【国際調査報告】