(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-08
(54)【発明の名称】高圧処理を含むソーセージ練肉被覆用ゲルの調製方法
(51)【国際特許分類】
A23L 5/00 20160101AFI20240201BHJP
A23L 13/60 20160101ALI20240201BHJP
A23L 29/238 20160101ALI20240201BHJP
A23L 29/269 20160101ALI20240201BHJP
A23L 29/262 20160101ALI20240201BHJP
A23L 29/256 20160101ALI20240201BHJP
【FI】
A23L5/00 F
A23L13/60 A
A23L29/238
A23L29/269
A23L29/262
A23L29/256
A23L5/00 B
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023548203
(86)(22)【出願日】2022-01-11
(85)【翻訳文提出日】2023-09-07
(86)【国際出願番号】 EP2022050462
(87)【国際公開番号】W WO2022171372
(87)【国際公開日】2022-08-18
(32)【優先日】2021-02-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523299831
【氏名又は名称】ソンジャル
【氏名又は名称原語表記】SONJAL
(74)【代理人】
【識別番号】100080447
【氏名又は名称】太田 恵一
(72)【発明者】
【氏名】タンギー,アラン
【テーマコード(参考)】
4B035
4B041
4B042
【Fターム(参考)】
4B035LC16
4B035LG21
4B035LG23
4B035LG25
4B035LG27
4B035LP32
4B035LP55
4B035LP59
4B041LC10
4B041LD10
4B041LH02
4B041LH07
4B041LH10
4B041LH11
4B041LH16
4B041LK36
4B041LP25
4B042AD03
4B042AK01
4B042AK09
4B042AP19
4B042AP30
(57)【要約】
本発明は、食品調製物の周りに同時押出しによって適用され、塩化カルシウムなどのゲル化剤と接触させて前記食品調製物の周りに外被を形成することを目的とする被覆用水性組成物の調製方法に関する。本発明によると、組成物の少なくとも水とアルギン酸塩の混合後、前記混合物は少なくとも0.1秒間、少なくとも1400バール、好ましくは少なくとも1800バールの高圧に曝露される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
食品調製物の周りに同時押出しにより適用され、塩化カルシウムなどのゲル化剤と接触させて前記食品調製物の周りに外被を形成することを目的とする被覆用水性組成物の調製方法において、前記組成物が、本質的に水と2~10湿重量%のアルギン酸塩とを含み、組成物の少なくとも水とアルギン酸塩の混合後、前記混合物が少なくとも0.1秒間、少なくとも1400バール、好ましくは少なくとも1800バールの高圧に曝露されることを特徴とする方法。
【請求項2】
前記高圧曝露ステップの際に、前記組成物が少なくとも0.1秒間、少なくとも4200バールの圧力に曝露されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記高圧曝露ステップの際に、前記組成物が少なくとも5秒間、少なくとも1400バールの圧力に曝露されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記高圧曝露ステップの際に、前記組成物が少なくとも3秒間、少なくとも2000バールの圧力に曝露されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記混合ステップの前または間に、前記組成物に対し、水およびアルギン酸塩と共に少なくとも1つの多糖を組込み、前記多糖が、少なくとも、
- デンプン、
- グアーガム、
- ローカストビーンガム、
- キサンタンガム、
- セルロース誘導体
を含む群に属していることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一つに記載の方法。
【請求項6】
前記多糖がグアーガムであること、および前記混合物が、2~7湿重量%のアルギン酸ナトリウム、好ましくは4~5湿重量%のアルギン酸ナトリウムと、0.5~6湿重量%、好ましくは1.4~1.8湿重量%のグアーガムとを含んでいることを特徴とする、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記アルギン酸塩が、1.3以下のグルロン酸に対するマンヌロン酸の比率を有していることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一つに記載の方法。
【請求項8】
前記混合物が、前記高圧曝露後に3.8~4.2のpHを有することを特徴とする、請求項1から7のいずれか一つに記載の方法。
【請求項9】
食品調製物の周りに本質的に水と2~10湿重量%のアルギン酸塩とを含む水性組成物を同時押出しにより適用して、前記食品調製物を被覆するステップと、被覆された前記食品調製物を塩化カルシウムなどのゲル化剤と接触させて、前記食品調製物の周りに前記水性組成物から形成された外被を固定するステップとを含む、ソーセージ製造方法において、前記組成物が、前記同時押出しによる適用ステップの前に少なくとも0.1秒間、少なくとも1400バール、好ましくは少なくとも1800バールの高圧に曝露されることを特徴とする方法。
【請求項10】
ペネトロメーターを用いて被覆用外被内に3.5mm/sの速度で10mm移動体を進入させるために加えるべき力が、少なくとも205g/cm
2であり、前記移動体が直径25mmおよび長さ35mmを有し、前記外被が前記組成物を展延させて厚み0.15mmの実質的に均質な層を形成し、次に前記層上にゲル化剤を噴霧することによって得られることを特徴とする、請求項1に記載の水性組成物の調製方法によって得られる水性組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品加工分野、そしてとりわけ豚肉加工食品の形態への食肉の加工に関する。
【0002】
より詳細には、本発明は、食品調製物の周りに同時押出しにより適用されるための被覆用水性組成物の調製方法、対応する水性組成物およびソーセージ製造方法に関する。
【0003】
本発明は、特に、生、調理用またはボイル用のソーセージ、およびドライソーセージの製造のために利用される。
【背景技術】
【0004】
数年来、技術上、衛生上および/または宗教上の理由から動物由来のソーセージケーシングを、植物性材料をベースとしたケーシングで置換することが探求されてきた。
【0005】
例えば仏国特許発明第2973988号明細書、欧州特許第1311165号明細書または国際公開第99/55165号から、水、アルギン酸塩および他の多糖、例えばデンプン、CMC(カルボキシメチルセルロースの頭字語)、グアーガムまたはセルロース誘導体をベースとするソーセージ用植物性ケーシングが知られている。これらのケーシングを形成するためには、食肉練肉の周りにゲルの形態をした水性組成物が適用され、これがゲルのゲル化後に練肉の周りに強度のある外被を形成する。
【0006】
異なる化合物を単に混合することで得られるこれらの水性ゲルは、いくつかの同時押出し機で作業するのが困難であることが明らかになっている。したがって、例えば、互いに連続して生産されるソーセージの端部を確実に閉鎖するために外被を撚合しようとする際に、外被が引裂する。
【0007】
既知のゲルを使用する上でのもう一つの欠点は、ゲル化の後に得られる外被が、練肉と外被の間の接着力の欠如のため、食肉練肉から剥離する傾向を有するという点にある。ソーセージの変形、さらには外被の引裂を伴うこの剥離は、ソーセージの加熱調理時に一層明白になり、このことが一部の消費者に嫌悪感を催させる可能性がある。
【0008】
その上、今日では、保存料を含まないソーセージに対する需要が増大し続けている。
【0009】
しかしながら、既知の水性ゲル組成中に保存剤を使用しないと、細菌そしてより一般的には微生物叢が数日で極めて急速に発生し、ゲル内部で増殖し、これがゲルの保存能力、ひいては工業的使用の枠内でのそれらの利点を極めて大幅に制限する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】仏国特許発明第2973988号明細書
【特許文献2】欧州特許第1311165号明細書
【特許文献3】国際公開第99/55165号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
したがって、本発明の目的は、特に上記した現状技術の欠点を改善することにある。
【0012】
より厳密には、本発明の目的は、ゲル化の後、外被の引裂の危険性なく撚合させかつ/または懸架することができかつ食品調製物に対し適切に接着する、より強度の高い外被を得ることを可能にする、食品調製物の周りに同時押出しにより適用されることを目的とする被覆用水性組成物の調製技術を提供することにある。
【0013】
本発明の目的は、保存料を使わずに水性組成物を数週間さらには数ヵ月間にわたり安定化させることができるこのような技術を提供することにもある。
【0014】
本発明の別の目的は、使用が簡単なこのような技術を提供することにある。
【0015】
本発明の目的は、原価が経済的に許容できるものであるこのような技術を提案することにもある。
【0016】
さらに本発明の目的は、ソーセージの官能特性にも色にも影響を及ぼさないこのような技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
これらの目的ならびに以下で明らかになる他の目的は、食品調製物の周りに同時押出しにより適用され、塩化カルシウムなどのゲル化剤と接触させて前記食品調製物の周りに外被を形成することを目的とする被覆用水性組成物の調製方法において、前記組成物が、本質的に水と2~10湿重量%のアルギン酸塩を含む方法を用いて達成される。
【0018】
本発明において、食品調製物は例えば食肉調製物、ベジタリアンの食習慣に適合する調製物またはチーズ調製物などであり得る。その上、これは、ヒトまたは動物の食品用調製物であってよい。
【0019】
さらに、本発明においては、アルギン酸塩は、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸カリウム、アルギン酸アンモニウム、アルギン酸カルシウムまたはアルギン酸プロパン-1,2-ジオールであり得ることに留意すべきである。
【0020】
最後に、本発明の範囲から逸脱することなく、組成物の水は、飲料水網の水または脱塩水または軟水であり得る。
【0021】
本発明によると、組成物の少なくとも水とアルギン酸塩の混合後、前記混合物は少なくとも0.1秒間、少なくとも1400バール、好ましくは少なくとも1800バールの高圧に曝露される。
【0022】
したがって、本発明は、水性組成物のゲル化の後に得られた外被の特性を改善する目的で、アルギン酸塩ベースの水性組成物を高圧に曝露すること、より厳密には水性組成物を少なくとも1400バールの圧力に曝露することを提案する。
【0023】
発明者らは、実際、予期せぬことにそして意外にも、1400バール超の高圧に水性組成物を曝露することによって、外被の機械的強度、特にねじれ、引張りおよび進入に対する抵抗力が改善され、その上、周りに同時押出しにより外被が適用される食品調製物と外被との間の接着力の改善が見られることを確認した。
【0024】
発明者らによると、この現象の説明となり得る仮説は、高圧がアルギン酸塩を構成する高分子の配向を修正しかつ/またはアルギン酸塩のカチオンとカルシウムイオンの間の交換の反応速度特性に影響を及ぼし、これがアルギン酸塩とカルシウムイオンの親和性、換言するとカルシウムイオンを捕捉するアルギン酸塩の能力を増大させることになると考えられる、というものである。
【0025】
有利にも、高圧に曝露させるためには前記混合物を柔軟なケース内に入れなければならないため、概して、その後組成物を別の容器内にリパッケージする必要が無い、ということも留意される。
【0026】
本発明の特定の一実施形態において、前記高圧曝露ステップの際に、前記組成物は少なくとも0.1秒間、少なくとも2000バールの圧力に曝露される。
【0027】
本発明の特定の一実施形態において、前記高圧曝露ステップの際に、前記組成物は少なくとも5秒間、少なくとも1400バールの圧力に曝露される。
【0028】
本発明の特定の一実施形態において、前記高圧曝露ステップの際に、前記組成物が少なくとも3秒間、少なくとも1800バールの圧力に曝露される。
【0029】
本発明の特定の一実施形態において、前記高圧曝露ステップの際に、前記組成物は少なくとも5秒間、少なくとも1800バールの圧力に曝露される。
【0030】
本発明の極めて有利な一実施形態において、前記高圧曝露ステップの際に、前記組成物は少なくとも0.1秒間、少なくとも4200バールの圧力に曝露される。
【0031】
こうしてさらに、水性組成物中に存在する細菌個体群が少なくとも部分的に不活性化され、これにより、1ヵ月または数ヵ月にわたり水性組成物を安定化させることが可能となる。したがって、こうして、有利には、ソーセージまたは他の食品の工業的製造ライン上で保存料を含まない水性組成物を使用することが可能になる。
【0032】
本発明の特定の一実施形態においては、前記混合ステップの前または間に、前記組成物に対し、水およびアルギン酸塩と共に少なくとも1つの多糖を組込み、前記多糖は、少なくとも:
- 加工デンプン;
- グアーガム;
- ローカストビーンガム;
- キサンタンガム;
- セルロース誘導体
を含む群に属している。
【0033】
本発明の特に有利な一実施形態において、前記多糖はグアーガムであり、および前記混合物は、2~7湿重量%のアルギン酸ナトリウム、好ましくは4~5湿重量%のアルギン酸ナトリウムと、0.5~6湿重量%、好ましくは1.4~1.8湿重量%のグアーガムとを含んでいる。
【0034】
有利には、前記アルギン酸塩は、1.3以下のグルロン酸に対するマンヌロン酸の比率を有している。
【0035】
本発明の好ましい実施形態によると、前記混合物は、前記高圧曝露後に3.8~4.2のpHを有する。
【0036】
本発明は、食品調製物の周りに本質的に水と2~10湿重量%のアルギン酸塩とを含む水性組成物を同時押出しにより適用して、前記食品調製物を被覆するステップと、被覆された前記食品調製物を塩化カルシウムなどのゲル化剤と接触させて、前記食品調製物の周りに前記水性組成物から形成された外被を固定するステップとを含む、ソーセージ製造方法において、前記組成物が、前記同時押出しによる適用ステップの前に少なくとも0.1秒間、少なくとも1400バール、好ましくは少なくとも1800バールの高圧に曝露されることを特徴とする方法にも関する。
【0037】
本発明においては、前記組成物は、同時押出しによるソーセージの製造サイトに納入されることになるバケットまたは柔軟なケース内にパッケージされるために、組成物の化合物の混合から数時間あるいは数日間高圧に曝露され得るが、さらにパッケージされた後でも、組成物が同時押出し機内に注入される直前に、同時押出し機などのソーセージ生産サイト上で、高圧曝露を行なうことも可能である、ということに留意すべきである。
【0038】
本発明はさらに、ペネトロメーターを用いて被覆用外被内に3.5mm/sの速度で10mm移動体を進入させるために加えるべき力が、少なくとも205g/cm2であり、前記移動体が直径25mmおよび長さ35mmを有し、前記外被が前記組成物を展延させて厚み0.15mmのほぼ均質な層を形成し、次に前記層上にゲル化剤を噴霧することによって得られるような、上述の水性組成物の調製方法によって得られる水性組成物にも関する。
【0039】
本発明の他の特徴および利点は、非限定的な単なる例示的実施例として示されている、本発明の複数の実施形態についての以下の説明および添付図面を読了した時点で、より明確に分かるものである。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【
図1】本発明に係る水性組成物の調製方法の一実施形態の各ステップを概略的に示す。
【
図2】
図1を参照して提示された方法の各ステップにしたがって調製された水性組成物から本発明に係るソーセージを製造する方法の一実施例の各ステップをブロック図の形で表現している。
【発明を実施するための形態】
【0041】
図1では、ブロック図の形で、本発明に係る水性組成物の調製方法の実施形態の一実施例の各ステップを例示した。
【0042】
第1のステップ10では、4.5kgのアルギン酸ナトリウムを、0.4kgの乳酸、600cpsの粘度を有する0.14kgのグアーガム、および93.5リットルの軟水の割合で、約5分間ミキサー内で混合する。以下の説明では、この水性組成物を「組成物1」と呼ぶ。この水性組成物は有利にも保存料を全く含有していない、ということに留意すべきである。
【0043】
この混合物を気密な袋の中にパッケージし(ステップ20)、これを、ステップ30に際して、例えばNc Hiperbaric社(登録商標)によって市販されている高静水圧の加圧加工ユニットのチャンバ内に入れる。
【0044】
ステップ40では、チャンバ内の圧力を2000バールまで上昇させ、チャンバ内の圧力を5秒間4200バールに維持する。
【0045】
その後、チャンバを減圧させて、チャンバから袋を取り出す。このとき、高圧処理された組成物1を格納するこれらの袋は、ソーセージ生産サイトにいつでも納入できる状態となっている。
【0046】
ソーセージ同時押出しライン、例えばハントマン社により市販されている同時押出しラインConPro(登録商標)またはフェマーク社により市販されているCC215またはマレル社のCoeXSkin(登録商標)上で高圧に曝露されているかまたはされていない組成物1の使用比較試験によって、強度、特にねじれに対する抵抗力および引張りに対する抵抗力が、ステップ40で得られた、高圧処理された組成物1の場合に改善される、ということが示された。
【0047】
これらの試験のためには、充填機を用いて同時押出機に向かって押される食肉の練肉の周りで、高圧に曝露されたまたはされていない組成物1で構成された被覆層の同時押出しを、ステップ101に際して行なった。
【0048】
同時押出しダイスの出口で、退出する連続チューブ状のソーセージ上にステップ102で塩化カルシウムベースのゲル化溶液を噴霧して、食肉調製物の周りに適用された水性組成物を定着させ、それから食肉の周りに外被を形成する。
【0049】
連続チューブ状のソーセージは次に、ハントマン社のConProLink(登録商標)ユニット内に導入され(ステップ103)、このユニットは、規則的間隔で管を撚合させながら一定の長さのソーセージの形状でこのチューブを小分けすると同時に、圧着により各ソーセージの端部を閉じることを確実に行う。
【0050】
特に、高圧曝露された組成物1を使用することにより、連続チューブ状のソーセージをより容易に撚合させることができること、そして、高圧曝露されなかった組成物1を使用した場合に発生し得るものとは異なり、数珠繋ぎになった10本程度のソーセージのケーシングがそれらの重量下で引裂しないこと、が確認された。
【0051】
その上、Brookfield CT3-V2(登録商標)ペネトロメーターを用いて、ステップ40で得た高圧処理された組成物1の厚み0.15mmのほぼ均質なゲル化層の進入抵抗が、直径25mm長さ35mmの移動体を3.5mm/sの速度で層内に10mm進入させた場合に6回の測定の平均で236+/-10g/cm2であったのに対し、高圧に曝露されなかった組成物1の厚み0.15mmのゲル化層に対して同じ測定プロトコルを適用する場合には、163+/-10g/cm2にすぎない、という測定を得た。厚み0.15mmの層を得るためには、食品添加物コードE460iiとしても知られているセルロース繊維VITACEL(登録商標)グレードL600-10を18kgと、2.7kgのグアーガムおよび7.93リットルの水と混合することによって得た「中性」ペーストの周りにステップ40で得た組成物1を同時押出ししたということが留意される。その後、水性ゲルのゲル化を得るためにペーストの被覆層上に塩化カルシウムを噴霧し、次に外被をペーストから分離した。
【0052】
その上、組成物1から得たゲル化した外被と食肉調製物との接着力は、組成物1が事前に5秒間4200バールの圧力に曝露されていた場合に、かなり改善したということが確認された。
【0053】
以下に、比率的に組成物1と同じ化合物で形成され、3秒~3分間2000~6000バールの圧力に水性組成物を曝露させた本発明に係るさまざまな調製方法にしたがって調製された水性組成物を、塩化カルシウムを用いてゲル化することによって得られた厚み0.15mmのゲル化層上で、直径25mm長さ35mmの移動体ならびにペネトロメーターBrookfield CT3-V2を用いて実施された、速度3.5mm/sでの10mmにわたる進入測定の要約表を提示する。
【0054】
これらの層は、18kgのセルロース繊維E460iiを、2.7kgのグアーガムおよび79.3リットルの水と混合することによって得られた「中性」ペーストの周りで高圧に曝露された水性組成物を同時押出しし、次にペーストの被覆層上に塩化カルシウムを噴霧し、最後にゲル化した外被をペーストから分離することによって得られた。
【0055】
【0056】
この表から、圧力を2000~6000バールで変動させた場合、または曝露持続時間を3秒~3分の間で変動させた場合に、測定不確実性の範囲内で、測定された進入抵抗はほとんど変動しないということが確認された。
【0057】
以下の説明では、下表の中で、比率的に組成物1と同じ化合物で形成された水性組成物の厚み0.15mmのゲル化層上で、および6kgのアルギン酸ナトリウムを0.4kgの乳酸および93.6リットルの脱塩水の割合で混合することによって調製された以下「組成物2」と呼ぶ本発明に係る第2の水性組成物の厚み0.15mmのゲル化層上で、直径25mm長さ35mmの移動体およびペネトロメーターBrookfield CT3-V2を用いて実施された、速度4.5mm/sで10mmにわたる進入測定結果を提示する。
【0058】
これらの試験用として、これら2つの組成物の2つのバージョン、すなわち、6000バールの圧力に3分間曝露されたものと、曝露されていないもの、を調製した。
【0059】
【0060】
この表から、進入力の値が、高圧に曝露された2つの水性組成物についてほぼ同一であることが確認され、このことは、高圧が主としてアルギン酸塩の特性に対し作用することを表示していると思われる(実際、これら2つの水性組成物の調合を区別しているのは、調合中にグアーガムが存在するか否かということである)。
【国際調査報告】