(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-08
(54)【発明の名称】膜コンタクタベース空調装置
(51)【国際特許分類】
F24F 1/0007 20190101AFI20240201BHJP
【FI】
F24F1/0007 331
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023548250
(86)(22)【出願日】2022-02-09
(85)【翻訳文提出日】2023-09-08
(86)【国際出願番号】 IB2022051179
(87)【国際公開番号】W WO2022172180
(87)【国際公開日】2022-08-18
(32)【優先日】2021-02-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-09-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516188157
【氏名又は名称】タイコ・ファイアー・アンド・セキュリティー・ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100163061
【氏名又は名称】山田 祐樹
(72)【発明者】
【氏名】スウィーニー,マイケル・ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】フェッチ,ライアン
(72)【発明者】
【氏名】セルムサー,デヴィッド・パトリック
(72)【発明者】
【氏名】チャン,アンドリュー・キム・リアン
(72)【発明者】
【氏名】タイ,フィリップ
(72)【発明者】
【氏名】ラボンテ,ニコラス
【テーマコード(参考)】
3L050
【Fターム(参考)】
3L050BA05
3L050BB04
3L050BB07
(57)【要約】
空調装置(400)は、空気流(115、105)をある方向に導くように構成された空気流路(408)を含む。空調装置(400)はまた、空気流路(408)内に配置され、その方向に対して斜めの角度(409)で配置された面(113)を含む蒸発冷却膜パネル(100)を含む。面(113)は、蒸発冷却膜パネル(100)の微多孔繊維(104)によって画定される。各微多孔繊維(104)は、微多孔繊維(104)上の空気流(115、105)が蒸気(114)を生成するように、微多孔繊維(104)の流体流路(112)内に液体(107)を受け入れるように構成される。各微多孔繊維(104)はまた、微多孔繊維(104)の細孔(111)を介して空気流(115、105)内に蒸気(114)を放出するように構成される。
【選択図】
図13
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空調装置であって、
空気流をある方向に導くように構成された空気流路と、
前記空気流路内に配置され、前記方向に対して斜めの角度で配置された面を含む蒸発冷却膜パネルと、を備え、
前記面は、複数の微多孔繊維によって画定され、
前記複数の微多孔繊維の各微多孔繊維は、液体を、当該各微多孔繊維の上の前記空気流が蒸気を生成するように、当該各微多孔繊維の流体流路内に受け入れるように構成され、且つ、当該各微多孔繊維の細孔を介して、前記蒸気を前記空気流中に放出するように構成される、空調装置。
【請求項2】
前記複数の微多孔繊維の各微多孔繊維の前記流体流路は、当該流体流路を通って前記液体を導くように構成され、
前記複数の微多孔繊維の各微多孔繊維の前記細孔は、当該細孔を通る前記液体の通過を遮断するが、当該細孔を通る前記蒸気の通過を可能にするように構成される、請求項1に記載の空調装置。
【請求項3】
前記空気流路内に配置され、追加の複数の微多孔繊維によって画定される追加の面を含む追加の蒸発冷却膜パネルを備え、
前記追加の複数の微多孔繊維の各追加の微多孔繊維は、前記液体を、前記追加の微多孔繊維の上の前記空気流が追加の蒸気を生成するように、前記追加の微多孔繊維の追加の流体流路内に受け入れるように構成され、且つ、前記追加の微多孔繊維の追加の細孔を介して、前記追加の蒸気を前記空気流中に放出するように構成される、請求項1に記載の空調装置。
【請求項4】
前記追加の面は、前記方向に対して追加の斜めの角度で配置される、請求項3に記載の空調装置。
【請求項5】
前記蒸発冷却膜パネルは、前記液体の流れに対して前記追加の蒸発冷却膜パネルと直列に配置され、その結果、前記蒸発冷却膜パネルは、
入口で前記液体を受け取り、
追加の蒸発冷却膜パネルと通信可能に結合された出口を介して前記液体を排出するように構成される、請求項3に記載の空調装置。
【請求項6】
前記蒸発冷却膜パネルは、前記液体の流れに対して前記追加の蒸発冷却膜パネルと平行に配置され、その結果、
前記蒸発冷却膜パネルは、前記液体の第1の部分を受け入れるように構成され、
前記追加の蒸発冷却膜パネルは、前記液体の前記第1の部分とは異なる前記液体の第2の部分を受け入れるように構成される、請求項3に記載の空調装置。
【請求項7】
前記蒸発冷却膜パネルの前記面は、前記追加の蒸発冷却膜パネルの前記追加の面に対してある角度で配置される、請求項3に記載の空調装置。
【請求項8】
前記蒸発冷却膜パネルの前記面は、前記追加の蒸発冷却膜パネルの前記追加の面と平行である、請求項3に記載の空調装置。
【請求項9】
第1の弁であって、前記第1の弁が前記蒸発冷却膜パネルへの前記液体の第1の流れを可能にする第1の開位置に作動されるように構成され、前記第1の弁が前記蒸発冷却膜パネルへの前記液体の前記第1の流れを遮断する第1の閉位置に作動されるように構成される、第1の弁と、
第2の弁であって、前記第2の弁が前記追加の蒸発冷却膜パネルへの前記液体の第2の流れを可能にする第2の開位置に作動されるように構成され、前記第2の弁が前記追加の蒸発冷却膜パネルへの前記液体の前記第2の流れを遮断する第2の閉位置に作動されるように構成される、第2の弁と、を備える、請求項3に記載の空調装置。
【請求項10】
コントローラを備え、
前記コントローラは、
第1の動作構成で、前記第1の弁を前記第1の開位置に作動させ、前記第2の弁を前記第2の閉位置に作動させるように構成され、
第2の動作構成で、前記第1の弁を前記第1の閉位置に作動させ、前記第2の弁を前記第2の開位置に作動させるように構成され、
第3の動作構成で、前記第1の弁を前記第1の開位置に作動させ、前記第2の弁を前記第2の開位置に作動させるように構成され、
第4の動作構成で、前記第1の弁を前記第1の閉位置に作動させ、前記第2の弁を前記第2の閉位置に作動させるように構成される、請求項9に記載の空調装置。
【請求項11】
コントローラを備え、
前記コントローラは、前記空気流路内に隙間が形成される開放構成を生じさせるように、前記蒸発冷却膜パネルの動きを制御するように構成され、当該隙間は、前記空気流の一部が前記蒸発冷却膜パネルを迂回するように前記空気流の前記一部を受け入れるように構成され、且つ、
前記コントローラは、前記隙間が除去される閉鎖構成を生じさせるように、前記蒸発冷却膜パネルの動きを制御するように構成される、請求項1に記載の空調装置。
【請求項12】
前記空気流路内に配置されたバイパスダンパを備え、
前記バイパスダンパは、前記空気流が前記バイパスダンパを通過することを阻止される閉位置と、前記空気流の一部が前記バイパスダンパを通って導かれ、その結果、前記空気流の前記一部が前記蒸発冷却膜パネルを迂回する開位置と、の間で作動されるように構成される、請求項1に記載の空調装置。
【請求項13】
液体タンクを備え、
前記液体タンクは、
前記液体を前記蒸発冷却膜パネルに向けて導くように構成された第1の出口と、
前記液体が前記蒸発冷却膜パネルの前記複数の微多孔繊維を通過した後に前記液体を受け入れるように構成された第1の入口と、
前記液体の一部を前記蒸発冷却膜パネルから離れて排出するように構成された第2の出口と、
交換液体を受け入れるように構成された第2の入口と、を有する、請求項1に記載の空調装置。
【請求項14】
前記空調装置は、ミスト除去器を備えない、請求項1に記載の空調装置。
【請求項15】
前記蒸発冷却膜パネルのスクリーンを備え、前記スクリーンは、前記空気流の前記方向に対して前記蒸発冷却膜パネルの前記面の上流に配置される、請求項1に記載の空調装置。
【請求項16】
空調装置であって、
空気流をある方向に導くように構成された空気流路と、
前記空気流路内に配置された蒸発冷却パネルと、
前記蒸発冷却パネルの膜であって、前記膜は、複数の微多孔繊維によって画定され、前記複数の微多孔繊維の各微多孔繊維は、流体経路であって、それを通して流体を導くように構成された流体流路と、細孔であって、液体形態の前記流体が前記細孔を通過することを阻止するが、蒸気形態の前記流体が前記細孔を通過することを可能にするように構成された細孔と、を含む、膜と、
前記方向に対して斜めの角度で配置され、前記複数の微多孔繊維の上の前記空気流の通過、前記流体と前記空気流との間の熱交換に基づく前記微多孔繊維内の液体からの蒸気の生成、及び前記細孔を介した前記空気流への蒸気の放出を促進するように構成された前記膜の面と、を備える、空調装置。
【請求項17】
前記空気流路内に配置された追加の蒸発冷却パネルと、
前記方向に対して追加の斜めの角度で配置された前記追加の蒸発冷却パネルの追加の面と、を備える、請求項16に記載の空調装置。
【請求項18】
前記蒸発冷却パネル及び前記追加の蒸発冷却パネルは、前記追加の蒸発冷却パネルが前記蒸発冷却パネルから前記流体を受け取るように、前記流体の流れに対して直列に配置される、請求項17に記載の空調装置。
【請求項19】
前記蒸発冷却パネル及び前記追加の蒸発冷却パネルは、前記蒸発冷却パネルが前記流体の第1の部分を受け入れ、前記追加の蒸発冷却パネルが前記第1の部分とは異なる前記流体の第2の部分を受け入れるように、前記流体の流れに対して平行に配置される、請求項17に記載の空調装置。
【請求項20】
コントローラを備え、
前記コントローラは、前記蒸発冷却パネルと前記追加の蒸発冷却パネルとの間に隙間が形成される開放構成を生じさせるように、前記蒸発冷却パネル、前記追加の蒸発冷却パネル、又は両方の回転運動又は並進運動を制御するように構成され、当該隙間は、前記空気流の一部が前記蒸発冷却パネル及び前記追加の蒸発冷却パネルを迂回するように前記空気流の前記一部を受け入れるように構成され、且つ、
前記コントローラは、前記隙間が除去される閉鎖構成を生じさせるように、前記蒸発冷却パネル、前記追加の蒸発冷却パネル、又は両方の回転運動又は並進運動を制御するように構成される、請求項17に記載の空調装置。
【請求項21】
空調装置であって、
中を通して空気流を受け入れるように構成された空気流チャネルに配置された第1の蒸発冷却膜パネルと、
前記空気流チャネルに配置された第2の蒸発冷却膜パネルと、
コントローラと、を備え、
前記コントローラは、前記空気流チャネルに隙間が形成される開放構成を生じさせるように、前記第1の蒸発冷却膜パネル、前記第2の蒸発冷却膜パネル、又は両方の動きを制御するように構成され、当該隙間は、前記空気流の一部が前記第1の蒸発冷却膜パネル及び前記第2の蒸発冷却膜パネルを迂回するように前記空気流の前記一部を受け入れるように構成され、且つ、
前記コントローラは、前記隙間が除去される閉鎖構成を生じさせるように、前記第1の蒸発冷却膜パネル、前記第2の蒸発冷却膜パネル、又は両方の動きを制御するように構成される、空調装置。
【請求項22】
前記コントローラは、前記隙間が前記第1の蒸発冷却膜パネルと前記第2の蒸発冷却膜パネルとの間の前記空気流チャネル内に形成される、前記開放構成を生じさせるように、前記第1の蒸発冷却膜パネル、前記第2の蒸発冷却膜パネル、又は両方の動きを制御するように構成される、請求項21に記載の空調装置。
【請求項23】
前記コントローラは、軸を中心とした前記第1の蒸発冷却膜パネルの回転を制御することによって、前記第1の蒸発冷却膜パネルの動きを制御するように構成される、請求項21に記載の空調装置。
【請求項24】
前記コントローラは、前記第2の蒸発冷却膜パネルに対する前記第1の蒸発冷却膜パネルの並進を制御することによって、前記第1の蒸発冷却膜パネルの動きを制御するように構成される、請求項21に記載の空調装置。
【請求項25】
制御信号を前記コントローラから受信するように構成されたモータを備え、
前記モータは、前記制御信号に応答して前記第1の蒸発冷却膜パネルを移動させるように構成される、請求項21に記載の空調装置。
【請求項26】
前記第1の蒸発冷却膜パネルは、複数の微多孔繊維を含み、前記複数の微多孔繊維の各微多孔繊維は、流体経路であって、それを通して流体を導くように構成された流体流路と、細孔であって、液体形態の前記流体が前記細孔を通過することを阻止するが、蒸気形態の前記流体が前記細孔を通過することを可能にするように構成された細孔と、を含む、請求項21に記載の空調装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2021年2月9日に出願された「MEMBRANE-CONTACTOR-BASED AIR CONDITIONER」と題された米国仮出願第63/147,420号の優先権及び利益を主張し、これは、あらゆる目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
本項は、以下に記載される本開示の様々な態様に関連し得る、当該技術の様々な態様を読者に紹介することを意図する。本考察は、本開示の様々な態様のより良い理解を容易にするために、読者に背景情報を提供するのに役立つと考えられる。したがって、これらの記載は、この観点から読むべきものであって、先行技術を承認するものとして読むべきものではないと、理解すべきである。
【0003】
エアハンドリングユニット、局所空気冷却器、ファンウォール、及び建物システムなどのHVAC機器及び独立した冷却装置は、開発中に多くの設計上の制約に直面している。このような機器を通じて供給される空気は、厳格な設計仕様に適合する必要があり、設置面積を最小限に抑えて現場のスペースを節約し、全体的なエネルギー消費量を最適化する必要がある。その結果、設計者はこれら及び他の制約を満たすように、機器内部のいかなる構成要素も慎重に選択する必要がある。
【0004】
したがって、他の冷却方法と比較してエネルギー消費量が少ないため、近年、蒸発冷却技術の利用が増加している。蒸発冷却器は、水粒子の導入及びその後の蒸発によって空気流の温度を低下させる。これらの構成要素は、入口空気条件が乾燥して暖かい場合に特に有用であることが示されている。従来の蒸発冷却器は、一般に、蒸発媒体、媒体を所定の位置に保持するためのアセンブリ、供給水リザーバ、及び水分配システムからなる。水はリザーバから蒸発媒体の上部に配管され、水が重力で下方に排出されると、一部の水が蒸発媒体に吸収され、残りは供給水リザーバに戻る。空気がこの濡れた媒体を通過すると、水が空気流に蒸発し、空気を断熱的に冷却するのはこのプロセスである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の蒸発冷却器にはいくつかの欠点がある。例えば、従来の蒸発冷却器は、水のキャリーオーバの影響を受けやすい。水のキャリーオーバは、蒸発媒体を通過する空気が余分な水滴を空気中に引き出し、下流領域に意図しない水の蓄積をもたらすプロセスである。高い空気速度では、このプロセスがより顕著になる。更に、従来の蒸発冷却器の蒸発媒体は、媒体を横切る圧力及び速度プロファイルが実質的に均一になるように、蒸発媒体を通過する空気流に対して概ね垂直に配向されてもよい。この向きは、水のキャリーオーバを減らすことができるが、従来の蒸発冷却器のサイズを増加させる。従来の蒸発冷却器の比較的大きなサイズは、水が下向きに重力供給されると水を集める封じ込め装置を蒸発媒体の下に含めることによって、及び蒸発媒体の下流に空気を通って運ばれる水を吸収するように構成されたミスト除去器を使用することによって、一層増長される可能性がある。ミスト除去器はまた、従来の蒸発冷却器の電力要件の増加及びそれに対応する全体的な効率の低下を引き起こす圧力降下を発生させる。
【0006】
更に、従来の蒸発冷却器は、一般に「スケール」蓄積として知られている鉱物堆積物を減少させるために、比較的きれいな水の使用が必要になる場合がある。従来の蒸発冷却器は鉱物堆積物に対する影響を受けやすいため、時間のかかるメンテナンス技術及び/又は過剰な水の交換が必要になる場合がある。更に、従来の蒸発冷却器は、供給空気の温度及び湿度を正確に制御する能力に限界がある。一般に、排出空気は、温度又は湿度の要件に応じて、従来の蒸発冷却器をオン又はオフにすることによって制御することができる。すなわち、蒸発媒体への水の配送は、従来の蒸発冷却器がオンになっている場合に有効にすることができ、蒸発冷却器がオフになっている場合に無効にすることができる。しかしながら、蒸発媒体は、従来の蒸発冷却器がオフに切り替えられた後も、一定期間にわたって濡れたままであり、追加の冷却及び加湿を発生させ得、これは、従来の蒸発冷却器の待ち時間の制御に寄与する。更に、媒体が濡れると、空気流に蒸発する水の量は、流入する空気条件に完全に依存している。前述の理由により、とりわけ、改善された蒸発冷却システム及び方法が望ましいことがここで認識される。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本明細書に開示される特定の実施形態の概要が、以下に記載されている。これらの態様は、これらの特定の実施の形態の簡単な概要を読者に提供するためにのみ提示され、これらの態様は本開示の範囲を限定することを意図していないことを理解しておく必要がある。実際、本開示は、以下に記載されない可能性のある様々な態様を包含し得る。
【0008】
一実施形態では、空調装置は、空気流をある方向(in a direction)に導くように構成された空気流路を含む。空調装置はまた、空気流路内に配置され、その方向に対して斜めの角度で配置された面を含む蒸発冷却膜パネルを含む。面は、蒸発冷却膜パネルの微多孔繊維によって画定される。各微多孔繊維は、微多孔繊維上の空気流が蒸気を生成するように、微多孔繊維の流体流路内の液体を受け入れるように構成されている。各微多孔繊維はまた、微多孔繊維の細孔を介して空気流に蒸気を放出するように構成されている。
【0009】
別の実施形態では、空調装置は、空気流をある方向に導くように構成された空気流路と、空気流路内に配置された蒸発冷却パネルと、を含む。蒸発冷却パネルの膜は、微多孔繊維によって画定され、各微多孔繊維は、そこに流体を通過させるように構成された流体流路と、液体形態の流体が細孔を通過するのを阻止するが、蒸気形態の流体が細孔を通過することを可能にするように構成された細孔と、を含む。膜の面は、その方向に対して斜めの角度で配置される。面は、微多孔繊維上の空気流の通過、流体と空気流との間の熱交換に基づく微多孔繊維内の液体からの蒸気の生成、及び細孔を介した空気流への蒸気の放出を促進にするように構成されている。
【0010】
別の実施形態では、空調装置は、中を通して空気流を受け入れるように構成された空気流チャネルに配置された第1の蒸発冷却膜パネルと、空気流チャネルに配置された第2の蒸発冷却膜パネルと、コントローラと、を含む。コントローラは、第1の蒸発冷却膜パネル、第2の蒸発冷却膜パネル、又は両方の動きを制御して、空気流チャネルに隙間が形成された開放構成を生じさせるように構成されている。隙間は、空気流の一部が第1の蒸発冷却膜パネル及び第2の蒸発冷却膜パネルを迂回するように、空気流の一部を受け入れるように構成される。コントローラはまた、隙間が除去される閉鎖構成を生じさせるように、第1の蒸発冷却膜パネル、第2の蒸発冷却膜パネル、又は両方の動きを制御するように構成されている。
【図面の簡単な説明】
【0011】
本開示の様々な態様は、以下の詳細な説明を読み、図面を参照することによってより良く理解され得る。
【0012】
【
図1】本開示の一態様による、パネルフレーム、複数の中空繊維、及び水入口ポート及び水出口ポートのための1つの可能な構成を含む、個々の膜コンタクタパネルの下流側の等角図である。
【
図2】本開示の一態様による、パネルフレーム、複数の中空繊維、及び水入口ポート及び水出口ポートのための1つの可能な構成を含む、
図1の個々の膜コンタクタパネルの上流側の等角図である。
【
図3】本開示の一態様による、個々の膜コンタクタパネル内に存在する微多孔質中空繊維の水及び空気膜界面を示す拡大図である。
【
図4】本開示の一態様による、膜コンタクタパネルのマトリックス、パネルをフレーム化及び支持するためのハウジング、及び各パネルに対して接続された配水配管のための1つの可能な構成を組み込んだ、膜コンタクタベース空調装置の等角図である。
【
図5】本開示の一態様による、膜コンタクタベース空調装置の底部に取り付けられた任意の貯水タンクを有し、水の全体的な使用量を低減する目的で膜コンタクタパネルに水を再循環させる手段を提供する、膜コンタクタベース空調装置の等角図である。
【
図6】本開示の一態様による、水の使用量を低減し、膜コンタクタベース空調装置の全体的なサイズを最小限に抑えるように、膜コンタクタパネルに水を再循環させる二重の目的のために、遠隔(すなわち、外部)の場所に配置された任意の貯水タンクを有する、膜コンタクタベース空調装置の等角図である。
【
図7】本開示の一態様による、膜コンタクタパネルのマトリックスが垂直面にバンクされて、全体的なハウジング内の膜コンタクタパネルの利用可能な表面積を増加させる、膜コンタクタベース空調装置の等角図である。
【
図8】本開示の一態様による、全体のハウジング内の膜コンタクタパネルの利用可能な表面積を増加させるために水平面にバンクされた膜コンタクタパネルのマトリックスを有する、
図4に示される膜コンタクタベース空調装置の等角図である。
【
図9】本開示の一態様による、水平バイパスダンパの使用を組み込んで、膜コンタクタベース空調装置を通過する空気流の向上した制御を提供する、膜コンタクタベース空調装置の等角図である。
【
図10】本開示の一態様による、垂直バイパスダンパの使用を組み込んで、膜コンタクタベース空調装置を通過する空気流の向上した制御を提供する、膜コンタクタベース空調装置の等角図である。
【
図11】本開示の一態様による、膜コンタクタベース空調装置がダクトシステムに組み込まれる、膜コンタクタベース空調装置の等角図である。
【
図12】本開示の一態様による、膜コンタクタベース空調装置がエアハンドリングユニット(AHU)内に組み込まれる、膜コンタクタベース空調装置の図である。
【
図13】本開示の一態様による、膜コンタクタベース空調装置がエアハンドリングユニット(AHU)内のVバンクアレイに配向されている、膜コンタクタベース空調装置の図である。
【
図14】本開示の一態様による、膜コンタクタベース空調装置がエアハンドリングユニット(AHU)内の複数のVバンクアレイに配向されている、膜コンタクタベース空調装置の図である。
【
図15】本開示の一態様による、膜コンタクタパネルを通る空気流の方向が、任意の方向に配向される膜コンタクタベース空調装置の能力を強調する重力方向に平行になるように、膜コンタクタベース空調装置がエアハンドリングユニット(AHU)に組み込まれる、膜コンタクタベース空調装置の図である。
【
図16】本開示の一態様による、単一の供給水ライン及び単一の戻り水ラインが、それぞれ、個々の膜コンタクタパネルに対してルーティングされる図である、個々の膜コンタクタパネルの可能な配管スキームの図である。
【
図17】本開示の一態様による、単一の供給水ライン及び単一の戻り水ラインが、それぞれ、膜コンタクタパネルに対して送受信される、直列にルーティングされた複数の膜コンタクタパネルの可能な配管スキームの図である。
【
図18】本開示の一態様による、供給分配マニホールドが複数の膜コンタクタパネルに水を配送し、戻り水マニホールドが再循環及び/又は排水のために複数の膜コンタクタパネルから水を排出し、可能な配管スキームが、膜コンタクタパネルの各個々のグループが選択的に作動及び非作動化されることを可能にする、直列及び並列の両方でルーティングされた複数の膜コンタクタパネルの可能な配管スキームの図である。
【
図19】本開示の一態様による、共通の供給分配マニホールドが、水を複数の供給水分岐配管に配送し、次に、水を複数の膜コンタクタパネルに配送し、複数の戻り水分岐配管が、複数の膜コンタクタパネルから戻り水を受け取り、最終的な再循環及び/又は排水のために共通の戻り水マニホールドにそれを排出し、可能な配管スキームが、膜コンタクタパネルの各個々のグループが選択的に作動及び非作動化されることを可能にする、並列にルーティングされた複数の膜コンタクタパネルの可能な配管スキームの図である。
【
図20】本開示の一態様による、独立した給水源及び可能な独立した排水源に個別にルーティングされた複数の膜コンタクタパネルの可能な配管スキームであって、各個々の膜コンタクタパネルが選択的に作動及び非作動されることを可能にする可能な配管スキームの図である。
【
図21】本開示の一態様による、補給水ラインが給水を貯蔵タンクに接続し、給水ラインがタンクから膜コンタクタパネルに水を分配し、戻りラインが当該膜コンタクタパネルから水を貯蔵タンクに戻し、排水ラインが貯水タンクの排水を可能にする、任意の貯水タンクの配管スキームである。
【
図22】本開示の一態様による、特定の膜コンタクタパネルが空気を調節するために選択的に作動される、膜コンタクタパネルのマトリックスを示す概略図である。
【
図23】本開示の一態様による、膜コンタクタパネルの2つ以上の物理的に異なるマトリックスが共通の界面で交わり、それらのそれぞれが、作動装置の使用によって当該軸の周りの回転を可能にする軸にヒンジされている、膜コンタクタベース空調装置の可能な特徴の図である。
【
図24】本開示の一態様による、膜コンタクタパネルの2つ以上の物理的に異なるマトリックスが共通の界面で交わり、それらのそれぞれが、作動装置の使用によって当該軸に沿って並進することを可能にする軸に接続される、膜コンタクタベース空調装置の可能な特徴の図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本開示の1つ以上の特定の実施形態について以下で説明する。説明するこれらの実施形態は、本開示の技術の例にすぎない。加えて、これらの実施形態の簡潔な説明を提供するために、実際の実装態様の全ての特徴が本明細書で説明されていない場合がある。任意のそのような実際の実装態様の開発においては、あらゆる任意の工学又は設計プロジェクトと同様に、開発者固有の目標を達成するためには、システム関連及び業界関連の制約への準拠など、実装態様ごとに異なる可能性がある多くの実装態様固有の決定を行う必要があることを理解されたい。更に、そのような開発努力は、複雑かつ時間がかかるものであり得るが、それにもかかわらず、本開示の恩恵を受ける当業者にとっては、設計、製作、及び製造の決まりきった仕事となることを理解されたい。
【0014】
本開示の様々な実施形態の要素を導入するとき、冠詞「a」、「an」、及び「the」は、要素のうちの1つ以上が存在することを意味することが意図される。「備える(comprising)」、「含む(including)」、及び「有する(having)」という用語は、包括的であることが意図され、列挙された要素以外の追加の要素が存在し得ることを意味する。加えて、本開示の「一実施形態(one embodiment)」又は「一実施形態(an embodiment)」への言及は、列挙された特徴を同様に組み込む追加の実施形態の存在を除外するものとして解釈されることを意図するものではないことを理解されたい。
【0015】
本開示は、HVAC機器で使用するため、又は独立した冷却及び/又は加湿装置として使用するためのモジュール式膜コンタクタベース空調装置に関する。特に、本開示は、建物の部屋、データセンタのサーバルーム、農業施設、及び産業プロセスを含むがこれらに限定されない用途で使用するために調節された空気を供給する蒸発冷却、加湿、及び他のそのようなプロセスに関する。
【0016】
蒸発冷却技術は、他の冷却方法に比べてエネルギー消費量が少ないため、近年利用が増加している。蒸発冷却器は、水粒子の導入及びその後の蒸発によって空気流の温度を低下させる。これらの構成要素は、入口空気条件が乾燥して暖かい場合に特に有用であることが示されている。従来の蒸発冷却器は、一般に、蒸発媒体、媒体を所定の位置に保持するためのアセンブリ、供給水リザーバ、及び水分配システムからなる。水はリザーバから蒸発媒体の上部に配管され、水が重力で下方に排出されると、一部の水が蒸発媒体に吸収され、残りは供給水リザーバに戻る。空気がこの濡れた媒体を通過すると、水が空気流中に蒸発し、空気を断熱的に冷却するのはこのプロセスである。
【0017】
従来の蒸発冷却システムの1つの欠点は、そのサイズである。蒸発媒体の下に排水される水を集めるための封じ込め装置が必要になることは、これらの装置が、冷水コイルなどの他の標準的な冷却方法よりも多くのスペースを占有する傾向があることを意味する。このサイズ問題を更に悪化させているのは、従来の蒸発媒体が高い面速度の「水のキャリーオーバ」を受けやすいという事実である。水のキャリーオーバは、蒸発媒体を通過する空気が余分な水滴を空気中に引き出し、下流領域に意図せずに水が蓄積するプロセスである。高い空気速度では、このプロセスがより顕著になる。結果として、従来の蒸発冷却器の面領域は、面速度を低下させるように大きくなる傾向があり、それによって全体的な設置面積が更に増加する。空気によって運ばれるいかなる水も吸収する「ミスト除去器」の使用など、特定の既存の解決策により、水のキャリーオーバを解決することができる。しかしながら、空気経路内のこの余分な材料により、冷却装置の電力要件が増加し、それによって全体的な効率が低下する。
【0018】
更に、従来の蒸発媒体を適切に機能させるには、比較的きれいな水とともに使用する必要がある。水が空気流中に蒸発すると、一般的に「スケール」蓄積として知られている鉱物の堆積物が後に残る。水が媒体上を連続的に流れると、これらの鉱物はシステムの水に再溶解される。溶解した鉱物の濃度が高すぎると、スケール形成及び腐食の速度が増加し、媒体及びシステム全体の寿命が低下する。このような問題を回避するために、従来の蒸発冷却器は定期的に給水の一部を抜き取り、清潔で新鮮な水に交換する。高い水質を維持するために定期的に水を「抜く」必要があるということは、従来の蒸発冷却器が寿命を通して大量の水を浪費し、動作効率及び環境効率の低下につながることを意味する。
【0019】
従来の蒸発冷却器の別の欠点は、適切に機能させるためにその媒体を慎重に取り付けて維持する必要があることである。媒体が不適切に取り付けられている場合、水のキャリーオーバが発生する可能性がある。これが発生するのは、媒体内に何らか隙間があると高速の空気が生成され、これにより大量の水が下流領域に引き出されるためである。また、媒体の不適切な設置により、蒸発冷却器の性能が低下する可能性がある。媒体は、設計条件を満たすために一定量の断熱冷却を提供するように設計されているため、媒体が適切に設置されていないと、設計よりも低い冷却能力が提供される。更に、従来の蒸発媒体は、生物学的増殖などのメンテナンス上の問題を受けやすい。蒸発媒体の文脈における生物学的増殖には、湿った環境、並びにミネラル及び栄養素の利用可能性といういくつかの要素が生じることが必要である。従来の媒体は、溶解したミネラルを含む水で継続的に湿らされているため、長期間未処理のままにしておくと、生物学的増殖が容易に起こり得る。これを回避するには、厳格なメンテナンス手順に従う必要がある。例えば、一部のメーカは、媒体を定期的に乾燥させることを提案しているが、これにより、空気流を冷却及び加湿するのに貴重な時間が奪われる。洗浄剤の使用を提案する人もいるが、化学的に改質された水は使用後に排水する必要があり、更なる水の浪費及び他の潜在的な環境への影響につながるため、これも不完全である。
【0020】
加えて、従来の蒸発冷却器は、限られた数の向きでしか存在できず、これらの全ての向きで水を媒体の上部に噴霧し、その下の供給リザーバに滴下する必要がある。
【0021】
更に、従来の蒸発冷却器は、供給空気の温度及び湿度を正確に制御する能力に限界がある。簡単に言えば、温度又は湿度要件に応じて、蒸発冷却器全体をオン又はオフにすることによって排出空気を制御することができる。供給空気温度がしきい値を超えるか、又は湿度が限界を下回ると、蒸発冷却器がオンに切り替わる。逆に、温度がしきい値を下回るか、又は湿度が限界を上回ると、蒸発冷却器はオフに切り替わる。しかしながら、蒸発冷却器をオフにしても媒体がまだ濡れているため、この設定は完全には機能しない。媒体を乾燥させるのにかなりの時間がかかるため、空気は、蒸発冷却器がオフになった後も長く必要とされる量を超えて冷却及び/又は加湿されるため、これらの従来の蒸発冷却システムに関連する高程度の制御待ち時間が存在する。この問題を解決するために、バイパスダンパを追加することができる。これらにより、一部の空気が蒸発冷却器を完全に「迂回」することができるようになり、供給空気条件に対するより詳細な制御を提供することができるようになる。しかしながら、バイパスダンパは、システム内の追加のスペースを占有し、設計の設置面積を更に拡大させる。流出空気条件を制御する別の方法は、蒸発冷却器内に「多段化」を提供することである。多段化は、蒸発冷却器が、媒体の任意の他のセクションから独立して、その媒体の特定のセクションを活性化/湿潤することができる設計上の特徴である。各独立した媒体セクションは、「段」として知られている。これにより、制御システムは、段階的にオンにすることができ、これによって、単段冷却装置と比較して、冷却能力及び水消費量に対して詳細な制御を提供することができる。しかしながら、従来の蒸発冷却器での多段化は、蒸発冷却器段がオフになると前述の制御待ち時間の問題が生じるため、不完全である。更に、水は重力で下方に排出される必要があるため、媒体は垂直方向にしか分割できない。これにより、冷却段構成の数、及び実際に構築できる構成ごとの段の総数が大幅に制限される。最後に、従来の蒸発冷却器は、蒸発速度を制御する方法を提供しない。媒体が濡れると、空気流中に蒸発する水の量は、流入する空気の状態に完全に依存する。
【0022】
複数の微多孔質中空繊維からなる膜コンタクタパネルは、当技術分野で知られている(例えば、CELGARD(登録商標)微多孔質中空繊維を利用する3M(登録商標)媒体)。そのような膜コンタクタパネルは、水が流れることができる内部空洞を有する。微多孔質中空繊維の壁は、蒸気形態の水に対してのみ透過性であり、液体の水は微多孔質中空繊維の壁から出て周囲のガス流と直接混合することは不可能である。水蒸気が壁の細孔を介して微多孔質中空繊維の壁から出ると、ガス流と直接接触し、質量及びエネルギーの伝達をもたらすことになる。これは、媒体の表面を濡らす液体の水が周囲のガス流に直接蒸発する従来の蒸発媒体とは対照的である。
【0023】
本開示の目的は、膜コンタクタ技術を、HVAC機器で、又は独立した冷却及び/又は加湿装置として利用することができる膜コンタクタベース空調システムに統合することである。
【0024】
本開示は、垂直又は水平バンク構成及び配向の任意の組み合わせにカスタムで組み立てることができ、多数の用途に適合させることができる膜コンタクタベース空調装置の異なる実施形態を可能にする、独立したモジュール式膜コンタクタパネルの統合を対象とする。現在開示されているシステムは、所与のシステム寸法設置面積のための空気流と接触する露出した表面積の最大化、必ずしも水平面と整列していない又は平行ではない空気流方向の角度における多数の空気流パターンの許容、任意の膜コンタクタパネルのサイズ及び量を受け入れるための装置の無限の拡張性、並びに構成要素の規模の経済性を促進し、設計の多様性を増加させ、組み立ての容易さを向上させる標準化された独立した構成要素の使用を可能にする。
【0025】
更に、ここで開示されているシステムは、水滴のキャリーオーバのリスクを回避し、システム全体の電力消費を増加させる「ミスト除去器」の必要性を排除する。現在開示されているシステムは、モジュール式膜コンタクタパネルの精密制御によって水の使用量を最小限に抑えることによって冷却効率を向上させる。膜コンタクタパネルのセクション又は膜コンタクタパネルのマトリックスは、作動装置の使用によって選択的に作動及び非作動させて、空気流の中及び外に移動させることができ、変動する用途の冷却需要と低減された制御待ち時間とをより良好に一致させる無限の冷却能力制御を提供する。更に、本開示のモジュール設計は、モジュール式膜コンタクタパネル間の互換性を促進し、アセンブリ内の構成要素間の相互依存性を低減し、個々のモジュールは、容易に全体的なアセンブリから切り離すことができる。これにより、当該膜コンタクタパネルの保守、メンテナンス、又は交換を構成要素ごとに行うことができ、膜コンタクタベース空調装置の全体的なシステムライフサイクルサービスコスト及びサービス時間を削減することができる。
【0026】
一般に、本開示は、空調システム内で膜コンタクタ媒体を採用することによって、従来の蒸発冷却器に関連する問題を解決する。例えば、微多孔質中空繊維を利用する媒体を使用することにより、水が微多孔質中空繊維壁から当該繊維上を流れるガス流に気化するときの質量及びエネルギーの移動が可能になる。更に、水蒸気のみが微多孔質中空繊維を出るため、液体の水がキャリーオーバしてガス流に存在するリスクは限られている。
【0027】
本開示に使用するのに適した個々の膜コンタクタパネル100を
図1に示す。
図1は、膜コンタクタパネル100の下流側(例えば、空気流の方向に対して)を示す。膜コンタクタパネル100は、フレーム101、水出口ポート102、水入口ポート103、及び布地織物又は他の手段によって支持される複数の微多孔質中空繊維104を備える。空気流105は、膜コンタクタパネル100から出る調節された排出空気を示す。水は、水入口ポート103を介して膜コンタクタパネルに入り、各個々の微多孔質中空繊維104の空洞に分配され、水出口ポート102を介してまとめて排出される。106は、流水入口流を表し、107は、複数の微多孔質中空繊維104を通って流れる水を表し、108は、排水出口流を表す。
図1は、水入口ポート103が膜コンタクタパネルの底部に配置され、水出口ポート102が膜コンタクタパネルの上部に配置される1つの可能な構成を示すが、水入口ポート103及び水出口ポート102の位置は、膜コンタクタパネルフレーム101上の他の相対的な向き又は位置に配置され得ることに留意されたい。複数の微多孔質中空繊維を通る水流107の方向は、水入口及び水出口の位置、並びに微多孔質中空繊維の向きに依存している。
【0028】
例示される実施形態では、膜コンタクタパネル100は、排出(又は調節された)空気流105が通過する下流面109を含む。下流面109は、微多孔質中空繊維104を支持するために利用される複数の微多孔質中空繊維104及び織物(又は他の手段)によって形成されてもよい。下流面109は、概して平面に沿って延びるが、下流面109は、完璧な平面を形成しない場合があることを理解されたい(例えば、各微多孔質中空繊維104、生地の波(又は他の手段)などの曲率に起因する)。更に、膜コンタクタパネル100のスクリーン、メッシュ、又は他の構成要素は、下流面109の下流に配置され得ることを理解されたい。例えば、フレーム101は、下流面109の微多孔質中空繊維104よりも更に下流に延在してもよい。後の図面及び対応する説明を鑑みて理解されるように、本開示に従って、下流面109は、膜コンタクタパネル100を通る空気の流れ方向に対して斜めの角度で配向され得る。
【0029】
図2は、膜コンタクタパネル100の上流側(例えば、空気流の方向に対して)を示す。例示される実施形態では、膜コンタクタパネル100は、流入する(又は調節されていない)空気流115を受け入れるように構成された上流面113を含む。上流面113は、微多孔質中空繊維104を支持するために利用される複数の微多孔質中空繊維104及び織物(又は他の手段)によって形成されてもよい。上流面113は、概して平面に沿って延びるが、上流面113は、完璧な平面を形成しない場合があることを理解されたい(例えば、各微多孔質中空繊維104の曲率、生地の波(又は他の手段)などに起因する)。 更に、膜コンタクタパネル100のスクリーン、メッシュ、又は他の構成要素は、上流面113の下流に配置され得ることを理解されたい。例えば、フレーム101は、上流面113の微多孔質中空繊維104よりも更に下流に延在してもよい。後の図面及び対応する説明を鑑みて理解されるように、本開示に従って、上流面113は、膜コンタクタパネル100を通る空気の流れ方向に対して斜めの角度で配向され得る。
【0030】
単一の微多孔質中空繊維104の拡大断面を
図3に示す。(液相中の)水流107は、微多孔質中空繊維空洞112を通って移動し、微多孔質中空繊維壁110によって囲まれる体積内に含まれる。調節されていない(又は吸気)空気流115は、微多孔質中空繊維104に導かれる。周囲条件が許せば、液体の水は、相変化を受けることによって空気流(微多孔質中空繊維壁110の外側)中に蒸発する。水蒸気114は、複数の細孔111を介して微多孔質中空繊維空洞112から出て、周囲の空気と直接接触する。水蒸気は周囲の空気と混合し、空気流を断熱的に冷却及び/又は加湿する。これにより、排出された空気流105が、膜コンタクタパネル100の表面から調節されることになる。
【0031】
本開示の膜コンタクタベース空調装置200を
図4に示す。膜コンタクタベース空調装置200は、膜コンタクタパネル205のマトリックス、ハウジング構造206、供給水分配マニホールド204に取り付けた水入口ポート202、及び戻り水収集マニホールド203に接続する水出口ポート201を含む。この実施形態では、膜コンタクタパネル205のマトリックスは、構造化されたマトリックス内の平らなバンク構成で設置されるが、本開示の個々の膜コンタクタパネルは、後続の図に概説されるように、様々な向き及び構成に変更することができる。水入口202は、供給水分配マニホールド204を介して膜コンタクタパネル205のマトリックスに水を供給し、逆に、戻り水収集マニホールド203は、膜コンタクタパネル205のマトリックスから流出する水を収集し、水出口ポート201を介してそれを排出する。
図4は、水入口ポート202が膜コンタクタベース空調装置の底部に配置され、水出口ポート201が膜コンタクタベース空調装置の上部に配置される1つの可能な構成を示すが、水入口ポート202及び水出口ポート201の位置は、膜コンタクタベース空調装置ハウジング構造206上の他の相対的な向き又は位置に配置されてもよいことに留意されたい。更に、水は、膜コンタクタベース空調装置200の外部にある流体移動装置(例えば、ポンプ)を使用して、各膜コンタクタパネル205内の中空繊維を通って流れる。空気が膜コンタクタパネル205のマトリックスを通って流れると、空気は繊維の外面に接触し、その後、必要な供給空気条件まで冷却及び/又は加湿される。中空膜繊維を通って流れる水量の一部は、水蒸気の形態で、繊維壁の細孔を通って空気流中に蒸発する。空気流105は、調節された排出空気を示す。膜コンタクタベース空調装置200は、様々な向きでエアハンドリングシステム又は他の蒸発冷却及び/又は加湿用途に組み込まれ得る自己完結型及び自己支持型ユニットである。
【0032】
膜コンタクタベース空調装置ハウジング構造206のベースに貯水タンク210が取り付けられている膜コンタクタベース空調装置200の別の実施形態を
図5に示す。貯水タンク210は、膜コンタクタパネル205のマトリックスから排出される水を収集し、それを膜コンタクタパネル205に再循環させる手段を提供する。そのために、水は、流体移動装置(例えば、ポンプ)212の作用により、水貯蔵タンク210から供給水分配マニホールド204まで流れる。供給水分配マニホールド204に入ると、水は膜コンタクタパネル205に分配され、膜コンタクタパネル205の中空繊維内を循環する。水は、その後、膜コンタクタパネル205から戻り水収集マニホールド203に排出される。水は、戻り水収集マニホールドから貯水タンク210内に戻る。水がこの循環パターンに従うにつれて、空気流105は膜コンタクタパネルを通って移動し、プロセスにおいて調節される。更に、図示されるように、
図5は、貯水タンク210の上部に配置される取り外し可能なカバー211を示すことに留意されたい。一実施形態では、カバー211は、水源をいかなる汚染物質からも保護できるように付けたままにしてもよい。しかしながら、別の実施形態では、カバー211は、水を環境に対して開いたままにするように取り外されてもよい。必要に応じて、水は、出口213を介して貯水タンクから外部の現場の排水システムに排出することができ、蒸発プロセス及び排水を通して出て行く水を補うために、新鮮な補給水を供給源入口214から入れることができる。この貯水タンクの配管部品に関する追加の詳細を
図21に示す。
【0033】
遠隔貯水タンク220が膜コンタクタベース空調装置200に接続されている膜コンタクタベース空調装置200の別の実施形態を
図6に示す。この実施形態は、貯蔵タンクが離れた場所にあるのではなく、むしろ膜コンタクタベース空調装置ハウジング構造体206の直下に取り付けられている、
図5に示す実施形態とは対照的である。
図5と同様に、この実施形態では、接続された遠隔貯水タンク220は、潜在的な再循環のために膜コンタクタパネル205のマトリックスから排出される水を収集する手段を提供する。しかしながら、
図6に示される設計は、追加の利点を提供し、同一の全体サイズの膜コンタクタベース空調装置の場合、遠隔貯水タンク220が物理的に異なる位置にあるため、
図5と比較して、
図6の膜コンタクタパネル205のマトリックスに利用可能な表面積がより多くなる。更に、この実施形態では、水は、水入口ポート202を介して遠隔貯水タンク220から供給水分配マニホールド204内に流出する。次いで、水は、膜コンタクタパネル205のマトリックスに分配され、その後、戻り水収集マニホールド203に排出される。そこから、水は、排水口ポート201を通って移動し、遠隔貯水タンク220内に戻る。必要に応じて、水は、遠隔貯水タンク220からタンク水出口222を介して外部の現場の排水システムに排出され得る。次いで、新鮮な補給水がタンク水入口221を通って入り、失われた水を補うことができる。この遠隔貯蔵タンクの配管部品に関する追加の詳細を
図21に示す。
【0034】
膜コンタクタパネル205が垂直面内にV字状にバンクされたマトリックス内に配向されている膜コンタクタベース空調装置200の別の実施形態を
図7に示す。膜コンタクタベース空調装置200は、膜コンタクタパネル205を収容及び支持するように作用する表面230、231、232、及び233によって境界されるハウジングを備える。更に、膜コンタクタベース空調装置230の上面から膜コンタクタベース空調装置232の底面まで延びる追加の垂直支持体234がある。これらの支持体は、膜コンタクタパネルに更なる揺れ止めを提供し、更に、2つの膜コンタクタパネルがある角度で接触する界面を密封する。そうすることで、空気流105が、接続界面でそれらの周りを回るのではなく、膜コンタクタパネルを確実に通過するようにする。一実施形態では、水は、水入口ポート202で膜コンタクタベース空調200に入り、(後続の図に詳述されるように)複数の方法で膜コンタクタパネルに分配され、次いで、水出口ポート201で膜コンタクタベース空調装置200を離れる。別の実施形態では、水入口ポート202及び水出口ポート201は、任意の可能な構成で逆にするか、又は相対して配向され得る。
【0035】
図8は、膜コンタクタベース空調装置200の別の実施形態を示しており、詳細は、膜コンタクタパネル205が水平面内にV字状にバンクされていることを除いて、
図7と同じである。この実施形態では、支持体240は、2つの膜コンタクタパネルがある角度で接触する界面に沿って、左側231から右側233までのユニットを横切って幅方向に走っている。別の可能な実施形態では、水入口及び水出口ポートは逆になっている。
【0036】
空気バイパスダンパ250が膜コンタクタベース空調装置のハウジング206に組み込まれている膜コンタクタベース空調装置200の別の実施形態を
図9に示す。空気流が膜コンタクタベース空調装置200に近づくにつれて、装置はここで、潜在的に通過することができる2つの経路を有する。空気バイパスダンパ250が完全に閉じられると、空気流105は、以前と同様に、膜コンタクタパネル205のマトリックスを厳密に通って移動する。しかしながら、空気バイパスダンパ250が開かれると、バイパス空気252は、空気バイパスダンパ250を通過して、膜コンタクタベース空調装置200から調節されないで排出され、空気105の残りの部分は、膜コンタクタパネル205を通って移動することになる。ダンパが完全に開いている場合、最大量のバイパス空気252(設計サイズにより)が空気バイパスダンパ250を通過し、減少した空気流105が膜コンタクタパネル205を通過することになる。
図9のコントローラ254は、メモリ256及びプロセッサ258を含む。メモリ256は、プロセッサ258によって実行されると、プロセッサ258に様々な機能を実行させる、その上に記憶された命令を含む。コントローラ254は、例えば、バイパスダンパ250を開閉するために利用されてもよい。いくつかの実施形態では、コントローラ254は、空調装置200の1つ以上の動作状態を検出するように構成されたセンサ259と通信可能に結合されてもよい。例えば、センサ259は、空気流温度、空気流速度、空気流圧力、空気流湿度、空調装置200の消費電力、空調装置200の運転効率、空調装置200の音などを検出してもよい。コントローラ254は、空調装置200の1つ以上の動作条件を示すデータを受信し、センサデータに基づいてバイパスダンパ250の位置を決定してもよい。
【0037】
一実施形態では、水は、水入口ポート202を通って、供給水分配マニホールド204内に入る。次いで、水は、膜コンタクタパネルを通って循環し、戻り水収集マニホールド203内に出て行く。最後に、水は、排水口ポート201を通って出る。別の可能な実施形態では、水入口及び水出口ポートは逆になっている。空気バイパスダンパ260がここで垂直に配置されていることを除いて詳細が
図9と同じである、膜コンタクタベース空調装置200の別の実施形態を
図10に示す。
【0038】
図4~
図10に示される実施形態は、別個の設計としてではなく、むしろ、
図4に示される実施形態のベース設計を構築する、明示的に図示されていない、複数の可能な特徴のサブセットとしてみなされるべきである。
【0039】
上記の図に示される任意の1つの特徴を任意の他の特徴と組み合わせて、所望の用途のために他に類を見ないカスタマイズされた膜コンタクタベース空調装置を製造することができる。例えば、膜コンタクタベース空調装置は、取り付けられた貯蔵タンク、垂直面内のvバンク膜コンタクタパネル、及び垂直バイパスダンパ、又はそれらの任意の組み合わせを有することができる。
【0040】
本開示による、ダクトシステム301内の膜コンタクタベース空調装置300の更なる実施形態及び可能な適用を
図11に示す。膜コンタクタベース空調装置300は、Vバンク構成に配向された膜コンタクタパネル303及び305を含むダクトハウジング302を備える。空気流105は、ダクトシステム301を通って移動し、次いで、膜コンタクタパネル303及び305を通って移動する。空気流105がこれらの膜コンタクタパネルを通過すると、空気は、膜コンタクタパネル内で移動する流体との相互作用によって同時に冷却及び加湿される。一実施形態では、流体は、水入口ポート307を介して膜コンタクタパネル(303及び305)に入り、膜コンタクタパネル内を循環し、次いで、水出口ポート308を介して出て行く。別の実施形態では、流体は、代わりに、308で入り、307を通って出て行くことができる。更に、
図11に示される実施形態では、膜コンタクタパネルは、水平支持部材304によって支持することができ、この部材は、冷却膜コンタクタパネルを支え、それらを所定の位置に保持するのに役立つ。更に、水平支持部材304は、それ自体が、構成に剛性を提供する任意の垂直支持部材306によって支えられている。この実施形態は、長方形のダクトシステム301内の膜コンタクタベース空調装置300を示すが、それは長方形のダクトシステムのみに限定されるべきではなく、むしろ、膜コンタクタベース空調装置300は、任意の形状、材料、向き、又は説明の任意のダクトシステム内に適用され得る。
【0041】
膜コンタクタベース空調装置404がエアハンドリングユニット(AHU)400内に組み込まれている、本開示の膜コンタクタベース空調装置の更なる実施形態及び可能な適用を
図12に示す。この実施形態では、エアハンドリングユニットは、その外側ケーシング402によって画定される。調節されていない空気流115は、開口部401を通って入り、フィルタ403のセットを通って移動し、次いで、膜コンタクタベース空調装置404に入る。空気が膜コンタクタベース空調装置404を通過すると、空気は冷却及び/又は加湿され、調節された空気105として膜コンタクタベース空調装置から出て行く。次に、調節された空気は、空気移動装置(例えば、ファン)405に引き込まれ、次いで、開口部406を通ってAHU400から出て行く。AHU400の側面から側面に延びる1つの膜コンタクタベース空調装置404のみがここに示されているが、他の構成も可能である。これらには、直線的な並列配置の2つの膜コンタクタベース空調装置、直線的な並列配置の3つの膜コンタクタベース空調装置などが含まれるが、これらに限定されない。更に、複数の膜コンタクタベース空調装置を、空気の流れ方向に対して直列に設置することができる。
【0042】
図12と同様に、膜コンタクタベース空調装置404がエアハンドリングユニット(AHU)400に組み込まれている、本開示の膜コンタクタベース空調装置の更なる実施形態及び可能な適用を
図13に示す。
図13に示される実施形態と
図12に示される実施形態との違いは、
図13に示される実施形態の膜コンタクタベース空調装置404が角度を付けてバンクされ、共通の界面で交わることである。
【0043】
例えば、
図13の各膜コンタクタベース空調装置404は、1つ以上の膜コンタクタパネル100(例えば、
図1及び2に詳細に示される)を含んでもよい。図示されるように、流入する(又は調節されていない)空気流115は、AHU400の外側ケーシング402(又はエンクロージャ)によって画定される流路407を通って空気流方向407に導かれる。空気流方向407は、流路408を通る平均的又は一般的な空気流方向に対応し得るもので、空気流115の特定の個々の粒子の移動は異なる場合があることに留意されたい。図示されるように、各膜コンタクタパネル100は、空気流方向407に対して斜めの角度409で配向されてもよい。例えば、膜コンタクタパネル100の上流面113は、空気流方向407に対して斜めの角度409で配向されてもよい。例示される実施形態では、膜コンタクタパネル100の下流面109も、空気流方向407に対して斜めの角度409に配向されている。空気流方向407に対する斜めの角度409の(又はVバンクされた)膜コンタクタパネル100の向きも、本開示の少なくとも
図7、
図8、
図11、及び
図14に示される。
図13の現在開示されているAHU400の例は非限定的であり、すなわち、空気流方向407に対して斜めの角度409で膜コンタクタパネル100を向けることは、拡散器、誘導変位ユニット、端末ユニット、局所化された空気冷却器、ファンウォール、データセンタ用システム、及び建物システムを含むが、これらに限定されない他の空調装置の文脈において適用可能であることを理解されたい。
【0044】
2つのバンクされた膜コンタクタベース空調装置404をAHU400内に(例えば、斜めの角度409に)配置することの利点は、膜コンタクタパネル100の表面積の増加を可能にすることである。
図12に示される実施形態と同様に、調節されていない空気流115は、膜コンタクタベース空調装置400に入り、フィルタ403のセットを通過する。フィルタ403は、ミスト除去器を含まない場合があることに留意されたい。すなわち、図示されている実施形態は、本開示に従って、ミスト除去器を除外してもよい。ミスト除去器は、関連する水のキャリーオーバのために従来の蒸発冷却システムで利用され得るが、当該ミスト除去器は、従来のシステムの圧力降下を増加させ(それによって、電力消費を増加させ、効率を低下させ)得る。開示されたシステムは、水のキャリーオーバの影響を受けにくく、したがって、ミスト除去器を必要としない。
【0045】
空気流115が膜コンタクタベース空調装置404及びフィルタ403を通過した後、空気流115は次いで分割され、空気の一部は、一方のバンクされた膜コンタクタベース空調装置を通過し、残りの空気は、他方を通過する。膜コンタクタベース空調装置404を出た後、ここで調節された空気流105は、空気移動装置405に引き込まれ、次いで、開口部406を介してAHU400から排出される。
【0046】
図14には、エアハンドリングユニット(AHU)400内に配置されている膜コンタクタベース空調装置404の更なる実施形態及び可能な適用が示されている。
図14に示される実施形態と
図13に示される実施形態との違いは、
図14に示される実施形態が、エアハンドリングユニット400内に配置された複数のVバンクされた膜コンタクタベース空調装置404を含むことである。
【0047】
エアハンドリングユニット(AHU)400内に配置される膜コンタクタベース空調装置404の更なる実施形態及び可能な適用を
図15に示す。この実施形態では、AHU400は、AHU400の基部410が地面/基部411上に座っている状態で垂直配向にある。更に、膜コンタクタベース空調装置404に導き入れる調節されていない空気流115は、重力方向に平行である。調節された空気流105は、重力方向に平行に膜コンタクタベース空調装置404から出て、次に、空気移動装置(例えば、ファン)405によって右方向に引っ張られ、開口部406を通って排出される。AHU400のこの垂直配向は、膜コンタクタベース空調装置が、その面領域が重力方向に直交するように配向され得ることを示している。
【0048】
膜コンタクタベース空調装置404がエアハンドリングユニット(AHU)内に組み込まれている本開示の実施形態は、
図12~
図15に示されるそれらの設計に限定されない。むしろ、これらの図は、可能な適用を示しており、その全てを無限に拡張し、構築することができる。更に、これらの図は、膜コンタクタベース空調装置が、その面領域が重力方向に平行である場合、重力方向に直交する場合、又はそれらの間の任意の向きにある場合を含む、任意の向きで動作することができることを示している。
【0049】
個々の膜コンタクタパネル504の配管システム500を
図16に示す。個々の膜コンタクタパネル504は、本開示の前述の実施形態のいずれかに設置されてもよい。配管システムは、個々の膜コンタクタパネル504の水入口ポート503にルーティングされた給水ライン501と、個々の膜コンタクタパネル504の水出口ポート505からルーティングされた水戻りライン506と、制御弁502と、を備える。給水ライン501は、上流の給水源(
図16には示されていない)から個々の膜コンタクタパネル504にポンプで送られる水を分配する。水は、膜コンタクタパネル内に存在する中空膜を通って(水入口ポート503から始まり水出口ポート505に至る一般的な方向に)流れ、膜コンタクタパネルの面を通って導かれる乾燥した暖かいプロセス空気115と接触する。吸入空気115は、膜コンタクタパネル504の面を通って流れ、その後、冷却及び/又は加湿される。水戻りライン506は、再循環及び/又は排水のために、蒸発していない残留量の水を、任意の一体型又は外部貯蔵タンクに排出する。制御弁502は、配管回路の流体流量を調節し、給水ライン501(
図18に示される)又は水戻りライン506に設置されてもよい。コントローラ254は、弁502の位置(例えば、開位置、部分的開位置、閉位置)を制御するように動作し得る。水ろ過装置、水道メータ、水ハンマーアレスタ、逆流防止装置、並びに計測装置を含むがこれらに限定されない、配管システム500に付属する他の付属品は、特定の用途要件を満たすようにシステムに含まれ得る。
【0050】
複数の個々の膜コンタクタパネル504のための可能な配管スキームを
図17に示す。この実施形態では、膜コンタクタパネル504は、1つの膜コンタクタパネルの水出口ポート505から排出された残留水量が、中間配管510を使用して後続の膜コンタクタパネルの水入口ポート503に入るように直列に配管される。制御弁502は、一連の膜コンタクタパネル全体への流体の流れを調節し、給水ライン501(
図16に示される)又は水戻りライン502のいずれかに配置されてもよい。前述のように、コントローラ254は、流体の流れを調節するために制御弁502を制御してもよい。吸入空気115は、各膜コンタクタパネル504の面を通って流れ、その後、冷却及び/又は加湿される。
【0051】
複数の個々の膜コンタクタパネル504のための更なる可能な配管スキームを
図18に示す。この実施形態では、膜コンタクタパネル504は、多数の制御弁502がマトリックス内の膜コンタクタパネルの異なるグループへの流れを調節するように、直列(
図17に示す)及び平行の両方に配管される。コントローラ254は、まとめて又は独立して、多数の制御弁502を制御し得る。膜コンタクタパネルの各グループは、冷却ニーズを提供するために選択的に作動させることができる。給水ライン501は、各グループの膜コンタクタパネルの水入口ポート503に水を導く給水分配マニホールド520に接続されている。膜コンタクタパネルの各グループ内で、1つの膜コンタクタパネルの水出口ポート505から排出された水は、中間配管510を使用して、直列内の後続の膜コンタクタパネルの水入口ポート503に入る。戻り水収集マニホールド521は、最終的な再循環及び/又は排水のために、膜コンタクタパネルの各グループから水戻りライン506に残留水量を導く。制御弁502は、供給水分配マニホールド520の出口接続部、又は戻り水収集マニホールド521の入口接続部に配置されてもよい。遮断弁522は、流れ論理を提供し、特定の膜コンタクタパネル群への逆流を防止するために含まれ得る。吸入空気115は、各膜コンタクタパネル504の面を通って流れ、その後、冷却及び/又は加湿される。
【0052】
複数の個々の膜コンタクタパネル504のための更なる可能な配管スキームを
図19に示す。この実施形態では、膜コンタクタパネル504は、多数の制御弁502(及び多数の制御弁502を制御するように構成されたコントローラ254)が、マトリックス内の膜コンタクタパネルの異なるグループへの流れを調節するように、平行に配管される。
図18に示される前述の供給水分配マニホールド520及び戻り水収集マニホールド521に加えて、
図19は、それぞれ、各膜コンタクタパネル群との間で水を導くための分岐配管(530及び531)の使用を示す。分岐配管530は、指定されたグループ内の各膜コンタクタパネル504の水入口ポート503に供給水分配マニホールド520からルーティングされる。分岐配管531は、指定されたグループ内の各膜コンタクタパネル504の水出口ポート505から戻り水収集マニホールド521にルーティングされる。この配管スキームは、システムフロー全体が、膜コンタクタパネル504を通過するほぼ等しい流れに分割される、逆戻り配管の使用を表す。制御弁502は、供給水分配マニホールド520の出口接続部、又は戻り水収集マニホールド521の入口接続部に配置されてもよい。任意のバランス弁を、必要に応じて流量を微調整するためにシステム内で使用することができる。遮断弁522は、流れ論理を提供し、特定の膜コンタクタパネル群への逆流を防止するために含まれ得る。吸入空気115は、各膜コンタクタパネル504の面を通って流れ、その後、冷却及び/又は加湿される。
【0053】
複数の個々の膜コンタクタパネル504のための更なる可能な配管スキームを
図20に示す。この実施形態において、各膜コンタクタパネル504は、それ自体の給水源に配管される。別個の供給ライン(540、542、544)は、別個の水供給源から各膜コンタクタパネル504に水を導き、別個の戻りライン(541、543、545)は、膜コンタクタパネル504から、再循環及び/又は排水のための個々の又は共通のリザーバに残留水量を導く。多数の独立した制御弁502は、各膜コンタクタパネル504の水流を調節し、用途固有の冷却ニーズのために各膜コンタクタパネル504を選択的に作動させることを可能にする。吸入空気115は、各膜コンタクタパネル504の面を通って流れ、その後、冷却及び/又は加湿される。例えば、膜コンタクタパネル504のうちの2つ、したがって2つの弁502を有する実施形態では、両方の弁502は、コントローラ254によって開位置に制御されてもよく、両方の弁502は、コントローラ254によって閉位置に制御されてもよく、一方の弁502は、コントローラ254によって開位置に制御されてもよく、他方の弁502は、コントローラ254によって閉位置に制御されてもよい。前述のように、コントローラ254は、センサ259からのデータフィードバックに基づいて弁502を作動させてもよい。追加的又は代替的に、コントローラ254は、入力を(例えば、オペレータから)受信し、入力に基づいて弁502を制御し得る。
【0054】
本明細書に記載される全ての配管スキームは、システム内の膜コンタクタパネルの総量に一致するように無限に拡張することができる。膜コンタクタパネルの追加又は取り外し、及び配管スキームの組み合わせ及び/又は交換を柔軟かつ容易に行えるため、自律的な無限の容量及び正確な需要マッチング制御戦略が可能になる。
【0055】
膜コンタクタベース空調装置(
図5に示す)に統合されても、又は離れた場所(
図6に示す)に配置されていてもよい任意の貯水タンク559を
図21に示す。供給水源550は、補給水ライン551によって貯蔵タンク559の入口552に供給される。補給水ライン551は、貯水タンク559が必要でない場合、膜コンタクタ供給ライン501に直接接続されてもよい。補給水は、連続的な蒸発冷却プロセスを維持するために、上記の全ての配管スキームに必要とされる。冷却が必要な場合、流体移動装置(例えば、サンプポンプ又はインラインポンプ554)が(例えば、コントローラ254によって)オンにされ、貯蔵タンク559からの水が出口553を通って出て、供給ライン501を通って下流の膜コンタクタパネルに流れることを可能にする。任意のストレーナ555又は他の水ろ過及び/又は処理構成要素が、膜コンタクタパネルに供給される水の質を改善するために設置されてもよい。再循環システムでは、戻りライン506は、再利用又は補給水と混合するために、膜コンタクタパネルから排出された残留水量を貯水タンク559に戻す。貯水タンクは、排水制御弁557を開くことによって(例えば、コントローラ254を介して)、排水出口556を通って排水ライン558に排水することができる。タンク排水を必要とする状況の例としては、配管システムに蓄積された溶解固形物の濃度を低減する必要がある場合が挙げられる。
【0056】
複数の個々の膜コンタクタパネル504の制御スキームを
図22に示す。冷却システム600について、各膜コンタクタパネル504は、
図20に示される実施形態と同様に、それ自体の供給ライン601、戻りライン602、及び制御弁502に個別に配管される。制御弁502は互いに独立して配線することができ、各膜コンタクタパネル504はそれ自体の給水にルーティングされるため、選択的膜コンタクタパネル504は、(例えば、コントローラ254によって)作動又は非作動させることができる。
図22は、活性化された膜コンタクタパネル603と無効化された膜コンタクタパネル604との両方を示す。例えば、2つの膜コンタクタパネル603を有する実施形態では、コントローラ254は、両方の膜コンタクタパネル603を作動構成(例えば、
図20の弁502などの弁を介して)、両方の膜コンタクタパネル603を非作動構成(例えば、
図20の弁502などの弁を介して)、及び1つの膜コンタクタパネル603を作動構成に、他方の膜コンタクタパネル603を非作動構成(例えば、
図20の弁502などの弁を介して)に制御してもよい。更に、作動シーケンス制御スキームは、膜コンタクタパネル504が、所定の制御システム遅延又は設定値構成に応じて、同期又は非同期のいずれかの方法で作動することができるように自動化することができる。膜コンタクタパネルは、囲まれた空間又は体積内の異なるゾーンに設置して、エリアに焦点を当てた空調を提供することもできる。
【0057】
膜コンタクタパネル701の2つの物理的に異なるマトリックス(704及び705)が回転軸703にヒンジされた膜コンタクタベース空調装置700の潜在的な特徴を
図23に示す。任意の潜在的な作動装置(例えば、コントローラ254によって制御されるモータ706など)の使用を通じて、マトリックス(704及び705)は、軸703を中心に回転702させることができる。この特徴は、膜コンタクタベース空調装置700全体内に異なる空気経路が存在することを可能にする。マトリックス(704及び705)がそれらの共通の界面で接触するように回転されると、
図23に示される隙間が閉じられ、全ての空気が膜コンタクタパネル701を通過し、調節された空気流105を直接作り出すことになる。逆に、マトリックス(704及び705)が共通の界面でもはや接触していないように回転される場合、図に示されるように隙間が存在する。この例では、一部の空気105は、膜コンタクタパネル701を通過し続け、調節されるが、一部の空気252は、膜コンタクタパネル701を迂回し、調節されないで膜コンタクタベース空調装置700を出て行く。コントローラ254は、センサ259からのセンサフィードバック又はコントローラ254に入力された入力(例えば、オペレータを介して)に基づいてモータ706を制御し得る。
【0058】
膜コンタクタベース空調装置700の更なる潜在的特徴を
図24に示す。この図では、膜コンタクタパネル701の2つの物理的に異なるマトリックス(712及び713)は、任意の潜在的な作動装置を使用して空気流(105及び252)の方向に垂直な並進710を可能にする軸711に接続される。膜コンタクタパネル701の並進710は、コントローラ254によって(例えば、センサ259からのセンサデータ又はオペレータからコントローラ254によって受信された入力に基づいて)制御されるモータ715などの作動機構によって引き起こされてもよい。この特徴は、膜コンタクタベース空調装置700全体内に異なる空気経路を形成することを可能にする。1つの例では、マトリックス(712及び713)が共通の界面で接触している場合、図に示されるような隙間は存在しない。このように、全ての空気105は、膜コンタクタパネル701を通過し、膜コンタクタベース空調装置を出るときに調節される。逆に、マトリックス(712及び713)が離れて(方向710に)並進する場合、マトリックス(712及び713)の間に隙間が形成される。これにより、一部の空気105を、膜コンタクタパネルを通って移動するときに調節することができるようになり、同時に一部の空気252は膜コンタクタパネル701を完全に迂回し、膜コンタクタベース空調装置700を調節されないまま出て行く。
【0059】
本開示は、本明細書に記載される具体的な実施形態によって範囲が限定されるものではない。実際、本明細書に記載されるものに加えて、本開示の様々な修正が前述の説明から当業者には明白であろう。そのような変更は、添付の特許請求の範囲内に含まれることが意図されている。
【0060】
ある特定の特徴及び実施形態のみを図示及び説明してきたが、当業者であれば、特許請求の範囲に列挙された主題の新規の教示及び利点から実質的に逸脱することなく、様々な要素のサイズ、寸法、構造、形状、及び割合、温度及び圧力を含むパラメータの値、装着の配置、材料の使用、色、向きなどにおける変形形態などの多くの修正及び変更を想到し得る。任意のプロセス又は方法ステップの順番又はシーケンスは、代替実施形態に従って、変更又は再順序付けされ得る。したがって、添付の特許請求の範囲は、本開示の真の趣旨に収まる全てのそのような修正及び変更を包含することが意図されていることを理解すべきである。更に、例示的な実施形態の簡潔な説明を提供するために、実際の実装態様の全ての特徴が説明されていない場合がある(例えば、本開示を実施するための熟考された現在の最良モードとは無関係のもの、又は特許請求された開示を可能にすることとは無関係なものなど)。任意のエンジニアリング又は設計プロジェクトにおけるように、任意のそのような実際の実装態様の開発では、多くの実装態様固有の決定がなされ得ることを理解されたい。そのような開発努力は、複雑かつ時間がかかるものであり得るが、それにもかかわらず、過度の実験をすることなく、本開示の恩恵を受ける当業者にとっては、設計、製作、及び製造の決まりきった仕事となる。
【0061】
本明細書に提示及び特許請求される技術は、本技術分野を明らかに改善する実用的な性質の材料物体及び具体的な例に参照及び適用され、よって、抽象的、無形的、又は純粋に理論的ではない。更に、本明細書の最後に添付されたいずれかの請求項が、「[機能]を[実行]するための手段...」、又は「[機能]を[実行]するためのステップ...」として指定された1つ以上の要素を含む場合、そのような要素は、米国特許法第112条(f)の下で解釈されることを意図している。但し、他の方法で指定された要素を含む請求項については、そのような要素が米国特許法第112条(f)の下で解釈されないことを意図している。
【0062】
本明細書に引用される全ての特許、出願、刊行物、試験方法、文献、及び他の材料は、参照により本明細書に組み込まれる。
【国際調査報告】