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特表2024-506074軌道使用保守機械および該機械を運転する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-08
(54)【発明の名称】軌道使用保守機械および該機械を運転する方法
(51)【国際特許分類】
   E01B 29/00 20060101AFI20240201BHJP
【FI】
E01B29/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023548267
(86)(22)【出願日】2022-01-19
(85)【翻訳文提出日】2023-08-09
(86)【国際出願番号】 EP2022051117
(87)【国際公開番号】W WO2022171410
(87)【国際公開日】2022-08-18
(31)【優先権主張番号】A50081/2021
(32)【優先日】2021-02-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514318345
【氏名又は名称】プラッサー ウント トイラー エクスポート フォン バーンバウマシーネン ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Plasser & Theurer, Export von Bahnbaumaschinen, Gesellschaft m.b.H.
【住所又は居所原語表記】Johannesgasse 3, A-1010 Wien, Austria
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ヨハネス マクス-トイラー
(72)【発明者】
【氏名】フローリアン アウアー
(72)【発明者】
【氏名】ミヒャエル クレメント
【テーマコード(参考)】
2D057
【Fターム(参考)】
2D057AB22
2D057BA32
(57)【要約】
道床(6)に敷設された、まくらぎ(8)と、まくらぎ(8)上に取り付けられたレール(9)とから成る軌きょう(7)を備えた上部構造を保守するための軌道使用保守機械(1)であって、軌道こう上/整正用のこう上/整正ユニット(4)と、軌道突固め用の突固めユニット(5)とを有している。この場合、機械フレーム(10)に、レール(9)を連続的に再削正するための少なくとも1つのレール加工ユニット(11)が配置されている。レール損傷の除去は、補正された軌道位置のより高い耐久性に寄与する。なぜならば、加工した軌道区間の解放後には、支障のないレール(9)の走行が達成されるからである。さらに、この機械を運転する方法も存在する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
道床(6)に敷設された、まくらぎ(8)と該まくらぎ(8)上に取り付けられたレール(9)とから成る軌きょう(7)を備えた上部構造を保守するための軌道使用保守機械(1)であって、軌道こう上/整正用のこう上/整正ユニット(4)と、軌道突固め用の突固めユニット(5)とを有する、保守機械(1)において、
機械フレーム(10)に、前記レール(9)を連続的に再削正するための少なくとも1つのレール加工ユニット(11)が配置されていることを特徴とする、保守機械(1)。
【請求項2】
前記レール加工ユニット(11)は、作業方向(12)において前記こう上/整正ユニット(4)および前記突固めユニット(5)の後方に配置されている、請求項1記載の保守機械(1)。
【請求項3】
前記レール加工ユニット(11)はフライス工具(30)を有しており、該フライス工具(30)は、特に機械長手方向(33)に対して横方向に向いた回転軸線(34)を有するフライスカッタヘッド(32)を有している、請求項1または2記載の保守機械(1)。
【請求項4】
前記レール加工ユニット(11)は、相前後して配置された複数のフライス工具(30)を有しており、特に、前方のフライス工具(30)が粗削りフライスとして形成されており、後方のフライス工具(30)が仕上げフライスとして形成されている、請求項3記載の保守機械(1)。
【請求項5】
前記レール加工ユニット(11)は平削り工具(30)を有しており、該平削り工具(30)は、特に基体に対して可動に形成された切断体を有している、請求項1から4までのいずれか1項記載の保守機械(1)。
【請求項6】
作業方向(12)において前記レール加工ユニット(11)の後方に、平滑化装置(40)、特に削正工具(41,42)が配置されている、請求項1から5までのいずれか1項記載の保守機械(1)。
【請求項7】
前記こう上/整正ユニット(4)と前記突固めユニット(5)とは、別個の機械フレーム(14)に配置されており、特に、該機械フレーム(10,14)のうちの少なくとも1つはサテライトフレームとして、サテライト駆動装置により主フレーム(13)に対して機械長手方向(33)に移動可能に形成されている、請求項1から6までのいずれか1項記載の保守機械(1)。
【請求項8】
作業方向(12)において前記突固めユニット(5)の後方に、安定化ユニット(44)が配置されている、請求項1から7までのいずれか1項記載の保守機械(1)。
【請求項9】
第1の機械部分(27)に、前記こう上/整正ユニット(4)および前記突固めユニット(5)が含まれており、前記第1の機械部分(27)に連結された第2の機械部分(28)に、前記レール(9)を再削正するための前記レール加工ユニット(11)が含まれている、請求項1から8までのいずれか1項記載の保守機械(1)。
【請求項10】
一方の前記機械部分(27,28,43)にエネルギ供給装置(25)が設けられており、他方の前記機械部分(27,28)は、供給ライン(29)を介して前記エネルギ供給装置(25)に接続されている、請求項9記載の保守機械(1)。
【請求項11】
前記機械部分(27,28,43)間の前記供給ライン(29)は取外し可能な接続部を有しており、前記第2の機械部分(28)はエネルギ蓄え器(48)を備えており、該エネルギ蓄え器(48)には前記供給ライン(29)を介して充電可能である、請求項10記載の保守機械(1)。
【請求項12】
請求項1から11までのいずれか1項記載の保守機械(1)を運転する方法において、
所定の軌道区間において前記軌きょう(7)を前記こう上/整正ユニット(4)によりこう上して整正し、前記軌きょう(7)の前記まくらぎ(8)の下を前記突固めユニット(5)により突き固め、前記軌きょう(7)の前記レール(9)を前記レール加工ユニット(11)により再削正することを特徴とする、方法。
【請求項13】
前記こう上/整正ユニット(4)と前記突固めユニット(5)とを、連続する作業サイクルの最中に作業方向(12)に前進させ、前記レール(9)の再削正用の前記レール加工ユニット(11)を、前記作業サイクルの継続時間に適合させた速度で連続的に作業方向(12)に移動させる、請求項12記載の方法。
【請求項14】
前記こう上/整正ユニット(4)と、前記突固めユニット(5)と、前記レール(9)の再削正用の前記レール加工ユニット(11)と、機械走行用駆動装置(20)と、場合によりサテライト駆動装置とを、1つの中央制御装置(21)を介して互いに合わせて制御する、請求項12または13記載の方法。
【請求項15】
前記レール(9)の再削正用の前記レール加工ユニット(11)を備えた一方の機械部分(28)を、作業従事中、前記こう上/整正ユニット(4)と前記突固めユニット(5)とを備えた他方の機械部分(27)から解結し、専用の走行用駆動装置(20)により駆動する、請求項12から14までのいずれか1項記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、道床に敷設された、まくらぎと、まくらぎ上に取り付けられたレールとから成る軌きょうを備えた上部構造を保守するための軌道使用保守機械であって、軌道こう上/整正用のこう上/整正ユニットと、軌道突固め用の突固めユニットとを有する、保守機械に関する。さらに本発明は、この機械を運転する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
路盤の上部構造は、使用や天候の影響により継続的に摩耗にさらされ、これにより、定期的な保守作業が必要になる。バラスト軌道の場合には、特に道床、レールとまくらぎとから成る軌きょう、ならびに分岐器およびクロッシングを保守する必要がある。このために、個々の軌道対象物の状態と、道床における軌きょうの位置とが所定の間隔で検査される。このための基礎を形成するのは、様々な周知の測定方法および測定装置により求められる軌道の実際データである。路盤での作業は、通常、軌道使用保守機械により行われる。このような機械は、軌道工事機械または鉄道工事機械とも呼ばれる。
【0003】
オーストリア国特許出願公開第518692号明細書には、軌道対象物を検出する方法および保守システムが開示されている。この保守システムは、例えば軌道位置測定、軌道こう上/整正および軌道突固め、トロリ線延び測定またはレール断面形状測定に用いられる。最初に、検出された実際状態と設定された目標状態との差を評価し、補正データを提供する。さらに、これらのデータを用いて軌道使用保守機械の保守ユニット、例えばこう上/整正ユニットおよび突固めユニットの駆動制御を行う。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の根底を成す課題は、冒頭で述べた形式の軌道使用保守機械を改良して、所定の軌道区間の保守を、短い線路保守間合で高品質に実施できるようにすることにある。特に、実施すべき各作業の行程が、互いに最適に重なり合うことが望ましい。さらに、本発明の課題は、対応する方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に基づき、この課題は独立請求項1および12記載の特徴によって解決される。本発明の有利な構成は、従属請求項に記載されている。
【0006】
この場合、軌道使用保守機械の機械フレームには、レールを連続的に再削正するための少なくとも1つのレール加工ユニットが配置されている。このようにして機械は、作業走行中に軌道位置の補正と、機械統合式のレールの再削正の両方を可能にする。レール損傷、特に既存の転がり接触疲労損傷の除去は、補正された軌道位置のより高い耐久性に寄与する。なぜならば、加工した軌道区間の解放後には、支障のないレール走行が達成されるからである。この処置なしにレール損傷が残留している場合には、走行時に短時間で軌道位置を再び悪化させる恐れがある振動や衝撃を引き起こすことがある。
【0007】
別の利点は、1つの共通の保守機械における軌道こう上/整正、軌道突固めおよびレール再削正の組合せから生じる最適な作業速度である。レール再削正用の工具の送り速度は、軌道突固め機械に関して典型的な速度範囲内である。通常の値は、1000m/h~2000m/hである。高性能突固め機械は、最高3000m/hの作業速度を達成する。これにより、各保守ユニットの作業性能の損失を甘受することなしに、全ての作業動作を同じ前進速度で進めることができる。
【0008】
有利な改良では、レール加工ユニットは、一方の作業方向においてこう上/整正ユニットおよび突固めユニットの後方に配置されている。これにより、レールを再削正するために、軌きょうが均一な支持を有していることが保証されている。軌道位置補正およびまくらぎの下方突固めによって、場合により中空位置が除去される。その結果、均一に分散された道床支持力が、再削正中のレールの鉛直方向荷重に抗して作用することになる。
【0009】
有利には、レール加工ユニットはフライス工具を有しており、フライス工具は、特に機械長手方向に対して横方向に向いた回転軸線を有するフライスカッタヘッドを有している。フライス工具により、1回の作業工程で十分に多量の材料除去を達成することができ、これにより、顕著なレール損傷も除去されることになる。この場合、その直前に実施されるまくらぎの下方突固めが特に有利である。なぜならば、フライス工具と、支持している滑りシューとが上から、対応して配置されたレールに押し付けられるからである。軌きょうが均一に支持されることにより、鉛直方向において安定した軌道抵抗に基づき、高品質のフライス結果がもたらされる。
【0010】
この改良の1つの改善は、レール加工ユニットが、相前後して配置された複数のフライス工具を有しており、特に、前方のフライス工具が粗削りフライスとして形成されており後方のフライス工具が仕上げフライスとして形成されていることを想定している。このユニットは、多量の材料除去と、レール表面の十分な平滑化とを組み合わせたものである。特別な変化態様では、相前後して配置された複数のフライス工具が、レール頭部断面形状のそれぞれ異なる区分に対応して配置されている。このことは、分岐器の連続的な加工を容易にする。なぜならば、分岐器のクロッシングおよびガイドレールの領域において制限された自由空間を考慮して、フライス工具を選択的に使用することができるからである。
【0011】
本発明の別の構成では、レール加工ユニットは平削り工具を有しており、平削り工具は、特に基体に対して可動に形成された切断体を有している。平削り工具の正の刃の幾何学形状に基づき、レールに上方からの力が作用することはない。可動の切断体はさらに、レール頭部表面に沿った刃のリンク状の案内を可能にする。このような加工の結果は、ほぼ均一に平滑な加工表面である。
【0012】
加工されるレール頭部表面の品質をさらに改良するために、作業方向においてレール加工ユニットの後方に、平滑化装置、特に削正工具が配置されている。このような平滑化装置によって、場合により、再削正工具の係合痕(カッタすじ)が除去される。
【0013】
機械の別の有利な改良では、こう上/整正ユニットと突固めユニットとは、別個の機械フレームに配置されており、この場合、特に、機械フレームのうちの少なくとも1つはサテライトフレームとして、サテライト駆動装置により主フレームに対して機械長手方向に移動可能に形成されている。この場合、有意には、各機械フレームは、少なくとも1つのレール走行装置に支持されている。このようにして、最適化された荷重分配が保証されている。さらに、構造的な切離しにより、各ユニットの送り速度を、互いにより良好に合わせることができる。
【0014】
機械により実施可能な保守対策は、作業方向において突固めユニットの後方に少なくとも1つの安定化ユニットが配置されていると、さらに改善される。軌道の沈下を予め見越すことで、安定化ユニットにより、回復させた軌道位置を持続的に安定化させる。機械統合式のレール再削正により、全体として、上部構造の特に持続的な加工が得られる。
【0015】
機械構造の1つの改良は、第1の機械部分に、こう上/整正ユニットおよび突固めユニットが含まれており、第1の機械部分に連結された第2の機械部分に、レールを再削正するためのレール加工ユニットが含まれていることを想定している。このようにして、突固め機械部分の様々な構成と、レール再削正用の機械部分の様々な構成とが組合せ可能なモジュールシステムを実現することができる。
【0016】
この変化態様の有利な改良では、一方の機械部分にエネルギ供給装置が設けられており、この場合、他方の機械部分は、供給ラインを介してエネルギ供給装置に接続されている。さらに、一方の機械部分の別のシステムコンポーネントを、他方の機械部分において併用することができる。例えば、突固め機械部分内に設けられた支援システムのデータは、レール再削正用の機械部分でも使用される。共通して使用される支援システムは、全てのユニットの自動化または半自動化された制御に用いられる。
【0017】
本発明のこの構成は、機械部分間の供給ラインが取外し可能な接続部を有しており、この場合、第2の機械部分はエネルギ蓄え器を備えており、エネルギ蓄え器には供給ラインを介して充電可能であることにより、さらに改良される。このようにして、レール再削正用の第2の機械部分を、一時的に第1の機械部分から解放して運転することができる。レール加工ユニットの所要エネルギは、突固め機械部分の所要エネルギよりも大幅に少ない。したがって、少なくとも1回の作業従事継続時間の間、エネルギ蓄え器からエネルギ供給することは、問題なく可能である。
【0018】
保守機械を運転する本発明による方法では、所定の軌道区間において軌きょうをこう上/整正ユニットによりこう上して整正し、軌きょうのまくらぎの下を突固めユニットにより突き固め、軌きょうのレールをレール加工ユニットにより再削正する。この統合された作業方法により初めて、1回の作業工程で軌道位置の補正と、損傷なしのレール頭部表面の回復とが達成される。
【0019】
方法の有利な改良では、こう上/整正ユニットと突固めユニットとを、連続する作業サイクルの最中に作業方向に前進させ、このときレールの再削正用のレール加工ユニットを、作業サイクルの継続時間に適合させた速度で連続的に作業方向に移動させる。このようにして、連続的なレール加工と、まくらぎの周期的な下方突固めとの最適化された調整が行われる。
【0020】
方法の別の改良では、こう上/整正ユニットと、突固めユニットと、レールの再削正用のレール加工ユニットと、機械走行用駆動装置と、場合によりサテライト駆動装置とを、1つの中央制御装置を介して互いに合わせて制御する。中央制御装置は、保守機械の自動化または半自動化された運転を可能にする。この場合、突固めサイクルおよびレール加工の中断または変更も考慮される。1つのユニットが通常運転から外れると直ちに、相応に適合された、1つまたは複数の別のユニットの駆動制御が行われる。
【0021】
方法の有利な変化態様では、レールの再削正用のレール加工ユニットを備えた一方の機械部分を、作業従事中、こう上/整正ユニットと突固めユニットとを備えた他方の機械部分から解結し、専用の走行用駆動装置により駆動する。この場合、レール再削正用の機械部分は、一時的にドローンとして機能する。この解放された作業段階の間、ドローンは引き続き、突固め機械部分の制御データを使用する。場合により、エネルギ蓄え器の必要性をなくすために、ドローンはフレキシブルな供給ラインを介して突固め機械部分に接続されたままである。
【0022】
以下に、添付の図面を参照して本発明を例示的に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】軌道のこう上、整正および突固め用ならびにレール再削正用の保守機械を示す概略図である。
図2】複数のフライス工具を備えた保守機械を示す概略図である。
図3】軌道のこう上、整正、突固めおよび安定化用ならびにレール再削正用の保守機械を示す概略図である。
図4】レール再削正用の解結可能な機械部分を備えた保守機械を示す概略図である。
図5図4に示した機械を解結状態で示す概略図である。
図6】サテライトフレームにレール再削正用のレール加工ユニットを備えた保守機械を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1図6に示す各保守機械1は、レール走行装置2で軌道3上を移動可能であり、軌道こう上・整正用のこう上/整正ユニット4と、軌道突固め用の突固めユニット5とを有している。軌道3の上部構造には、道床6に敷設された、まくらぎ8に取り付けられたレール9を備えた軌きょう7が含まれる。機械フレーム10には、走行軌道3のレール9を連続的に再削正するレール加工ユニット11が配置されている。機械フレーム10は、最も簡単なケースでは端部側においてレール走行装置2に支持された長手方向支持体である。本発明の意味での機械フレーム10は、場合により自立型の車体も意味する。
【0025】
図1図5には、それぞれ作業従事中に連続して作業方向12に前進する保守機械1が示されている。この場合、こう上/整正ユニット4および突固めユニット5は、機械長手方向33において主フレーム13に対して移動可能に配置されている。例えば、別個の機械フレーム14は、いわゆるサテライトのフレームとして形成されている。このサテライトフレームは、後端部において専用のレール走行装置2に支持されておりかつ前端部において主フレーム13に沿って移動可能に支持されている。サテライト駆動装置により、サテライトはこう上/整正ユニット4および突固めユニット5と共に、主フレーム13に対して相対移動する。
【0026】
作業従事中、突固めユニット5により、周期的な突固め動作が実施される。このとき軌きょう7は、こう上/整正ユニット4により拘束され、アクチュエータを介して、設定された軌道位置にもたらされる。この位置の固定は突固めユニット5により行われ、この場合、振動させられた突固めピッケルが、まくらぎ8の間で道床6内に侵入し、互いに締め込まれる。このようにして、バラスト粒を動かしてまくらぎ8の下に押し込む。
【0027】
突固めサイクル中、サテライトは突固めユニット5と共に、目下下側を突き固められているまくらぎ8の上に位置決めされたままになる。サテライトを支持する主機械はその間、連続的に作業方向12に前進する。突固め動作が終了すると直ちに、サテライトが主機械を追い越し、次に下側を突き固めようとするまくらぎ8の上で止まる。このようにして、レール再削正用のレール加工ユニット11と共に、保守機械1の連続的な前進移動が行われる。
【0028】
図示の態様は、複数の部分から成る機械フレーム10,13,14を有している。より簡単な態様(図示せず)では、レール加工ユニット11が取り付けられた機械フレーム10が、保守機械1の主フレーム13を形成している。
【0029】
有利には、保守機械1は、オーストリア国特許出願公開第519739号明細書に開示された支援システムを有している。この場合、作業方向12に見て保守機械1の前端面にはセンサ装置15が配置されている。このセンサ装置15は、例えばレーザ回転スキャナ16と、カラーカメラ17と、複数のレーザラインスキャナ18とを有している。レーザ回転スキャナ16は、前進走行中に周辺環境を含む軌道3の三次元散布図を供給する。レーザラインスキャナ18は、レール9に向けられている。カラーカメラ17により、軌道3の写真が連続して検出される。
【0030】
センサ装置15により検出されたデータは、計算ユニット19で処理され、適切な記憶ユニットに記憶される。最初に、散布図とカラー図とから、周辺環境を含む軌道3の3次元モデルが算出される。前掲のオーストリア国特許出願第518692号明細書に開示された対象物識別手段により、このモデルにおいてまくらぎ8と、まくらぎ間隔と、レール9とが、レール損傷と障害物と共に識別される。
【0031】
典型的には、レール9の走行は、時間の経過と共に、きしみ割れ(ヘッドチェック)、シェリング(スクアット)、すじきずもしくは空転きずまたは波状摩耗をもたらす。カメラ撮影により、このようなレール9の転がり接触疲労損傷が識別される。場合により、様々なレール損傷の検出のために、渦電流法、超音波法または磁気共鳴法も、それぞれのセンサシステムと共に使用される。この場合、検出された損傷の程度が、レール加工ユニット11による所要の材料除去量を決定する。
【0032】
次に、作業過程を実施すべき各軌道箇所について、ユニット4,5,11の適用性を検査する。例えば突固めユニット5については、アプローチ可能なまくらぎ間隔を求める。こう上/整正ユニット4については、可能な限り最良のレール把持位置の決定を行う。レール加工ユニット11については、識別されたレール損傷に基づき、使用する切削工具の係合深さを決定する。認識された障害物との衝突を回避するために、場合により、各ユニット4,5,11の作業位置を自動的に変更する。例えば、レール加工ユニット11の個々の工具を、係合勾配を形成しながら持ち上げ、障害物の後で再び、対応するレール9に係合させる。
【0033】
機械走行用駆動装置20、サテライト駆動装置、ならびにユニット4,5,11の様々な作業用駆動装置を制御するために、有利には、中央制御装置21が配置されている。中央制御装置21は、計算ユニット19のデータを継続的に受信し、ユニット4,5,11の制御ならびに主機械およびサテライトの走行速度を、軌道3の状況に適合させる。1つのユニット4,5,11において作業中断が必要になると直ちに中央制御装置21を介して、予め設定された制御シナリオに相応して、他のユニット4,5,11の制御フローに介入する。
【0034】
有利には、それぞれの駆動制御装置22が、中央制御装置21の設定を、作業用駆動装置を作動させるための具体的な制御信号に変換する。ユニット4,5,11の遠隔制御および監視用に、有利には追加的なカメラ17が配置されている。
【0035】
軌道位置の補正は、いわゆるマスタコンピュータ23により行われる。軌道位置補正中に、軌道狂いが、機械1に配置された、測定弦および/または光学式の測定装置を備えた測定システム24により連続的に測定される。所望の軌道位置を得るために、マスタコンピュータ23は、事前に求められた目標値を設定する。こう上/整正ユニット4の作業用駆動装置は、測定された軌道狂いを所望の軌道位置に適合させるように、相応に制御される。
【0036】
さらに保守機械1は、エネルギ供給装置25を有している。1つの簡単な態様では、ディーゼル機関が、発電機および/またはポンプ分配伝動装置を介して、ユニット4,5,11の走行用駆動装置20および作業用駆動装置に必要なエネルギを供給する。有利には、電気エネルギを供給する架線がない場合にのみ内燃機関が使用される、ハイブリッド構成が設けられている。作動している架線が存在する場合には、集電器26、高電圧モジュール、変圧器および整流器を介して電動モータへの供給が行われる。ポンプ分配伝動装置は、内燃機関と電動モータの両方に連結されている。接続された液圧ポンプは、流体静力学的な走行用駆動装置20および液圧式の作業用駆動装置への供給用の液圧系のコンポーネントである。
【0037】
本発明は、特に効率的なエネルギ管理を可能にする。なぜならば、組み合わせられた複数の軌道保守作業のために、1つのエネルギ供給装置25だけが必要とされているからである。この場合、保守機械1におけるエネルギ供給装置25の位置は、個々のユニット4,5,11の具体的な構成に適合させることができる。
【0038】
図1および図2に示す機械1では、エネルギ供給装置25は第1の機械部分27内に配置されている。この前側の機械部分27は、こう上/整正ユニット4と突固めユニット5とを備えており、ひいては突固め機械部分を形成している。突固め機械部分には、第2の機械部分28が連結されている。第2の機械部分28は、レール加工ユニット11を備えており、供給ライン29を介してエネルギ供給装置25に接続されている。最も簡単なケースでは、レール加工ユニット11は、好適には相前後して配置された複数の削正体を備えた削正ユニットである。ただし、このような複数の削正体は、1回の作業工程で十分な材料除去を保証するために必要である。
【0039】
図1では、第2の機械部分28に設けられたレール加工ユニット11は、外周フライス加工または外周平削り用の工具30を有している。外周フライス加工の場合、レール頭部表面が、工具30の外周側で作業する刃によって加工される。工具外周が、表面を決定する。本発明には、正面フライス加工または輪郭フライス加工用のレール加工ユニット11も含まれる。正面フライス切削の場合、レール頭部表面が、工具の正面側に配置された刃によって加工される。輪郭フライス加工は、外周フライス加工と正面フライス加工との組合せである。この場合、外周刃から正面刃への移行部は滑らかである。正面フライス加工および輪郭フライス加工は、特に外周フライス加工後のレール表面の平滑化に適している。
【0040】
各工具30は、交換可能な複数の刃が取り付けられた基体を有している。有利には、基体は周面に、別個に取外し可能な複数のセクタを有している。組込み状態において、これらのセクタは正確なセンタリングを介して基部に結合されている。このようにして、取り外した状態の追加的なセクタに、新規のまたは旋削された切削インサートを装備することができるようになっている。工具30に設けられた刃が摩耗すると直ちに、単にセクタ全体が交換装置31において交換されるだけである。このことは、切削インサートを工具30において直接交換する必要がないため、所要時間を大幅に削減する。
【0041】
レール表面は、通常、負の切削角度を有する刃によってフライス加工される。外周フライス加工または輪郭フライス加工の場合、有利にはセンタリングされた切断面を備えたジョイント式の工具が使用される。いわゆるジョイントが、外周側に配置された全ての刃の均一な突出を可能にする。同心性誤差は取り除かれる。これにより、特に均一な加工表面を達成することができる。
【0042】
図1に示す例では、各レール9に対応して、例えば約1500mmの外径を有する大型のフライス工具30が配置されている。これにより、極めて平らな係合痕が得られるため、場合により、後続の平滑化が行われないこともある。各フライス工具30は、機械長手方向33に対して横方向に向いた回転軸線34を有するフライスカッタヘッド32を有している。フライスカッタヘッド32のハウジングは、回転軸線34に対して平行に向いた旋回軸線35を中心として旋回可能に機械フレーム10に支持されている。この旋回軸線35を中心として、ハウジングはフライスカッタヘッド32と共にアクチュエータ36を介して、対応配置されたレール9に対して旋回可能である。レール9を加工するために、各フライスカッタヘッド32は下方旋回により、対応するレール9に向かって下降させられる。
【0043】
レール9に対する各フライスカッタヘッド32の送りは、滑りシュー37により行われる。滑りシュー37は、作業方向12においてフライスカッタヘッド32の前後に配置されており、ハウジングをフライスカッタヘッド32と共に、対応するレール9上で支持している。別のアクチュエータ38を介して、フライスカッタヘッド32は滑りシュー37に対して相対的に変位可能であり、これにより、所望の係合深さを調節することができる。
【0044】
逆方向に加工する場合、前側の滑りシュー37は材料チップを受容するために中空に形成されている。滑りシュー37に接続された吸引装置を介して、材料チップは捕集容器39内に送られる。捕集容器39は、有利には第2の機械部分28に配置されている。捕集容器39は、作業従事終了後に側方の開口を介して空にされる。
【0045】
外周フライス加工に際して生じる係合痕を除去するために、作業方向12においてレール加工ユニット11の後方に、平滑化装置40が配置されている。これは例えば、レール長手方向に周期的に往復運動させられる滑子41を備えた削正工具である。これに対して代替的または補足的に、別の削正工具、例えばベルトサンダ42を使用することもできる。平滑化装置40は、外周削正、輪郭削正または正面削正用の削正体を有していてもよい。別の代替手段は、正面フライス加工または輪郭フライス加工用のユニットである。相応するフライス加工技術は、支障をきたす係合痕を残さない。
【0046】
同じユニットが、外周平削りにも使用される。この場合、カッタヘッド32に、正の切削角度を有する複数の刃が装備されている。好適な構成では、刃は、基体に半径方向移動可能に支持されたプランジャに取り付けられている。平削り動作中、係合状態にある刃先が、カッタヘッド32の内部に配置されたリンク制御装置により、ほぼレール長手方向に案内される。このように変更された外周平削り工具により、係合痕が十分に回避される。
【0047】
突固め機械部分27の作業中断が必要な場合には、中央制御装置21が、フライス工具30の制御に介入する。同じことは、例えばバラストの最適な締固めが達成されるまで1本のまくらぎ8の下を複数回突き固める必要があるときに、予め設定された突固めサイクル時間を上回った場合にも当てはまる。有利には、オーストリア国特許出願公開第520056号明細書に記載の、バラスト締固めを自動的に検査する方法が使用される。これにより、より長い突固めサイクルを自動的に予測することが可能である。その結果、適合されたレール加工の送り速度でもって適時に反応することができる。
【0048】
突固め動作の比較的長い中断または遅延時には、フライス工具30は係合外に移動され、このとき、正確な作業中断箇所が記憶される。この場合、フライス工具30を材料係合部から所定の勾配に沿って案内するために、主機械に対してサテライトを相対移動させるための安全緩衝器が利用される。次いで、サテライトまたは場合により機械1全体を後退させ、記憶された箇所でレール加工を、所定の係合勾配でもって継続する。
【0049】
図2に示す機械1は、図1に示した機械1にほぼ相当し、レール再削正用の別のレール加工ユニット11を備えている。大型のフライス工具または平削り工具30の代わりに、ここではレール9毎に、例えば約600mmの外径を有する、外周フライス加工用の3つのより小さなフライス工具30が配置されている。それぞれ異なる変化態様において、種々様々なフライス工具30が互いに組合せ可能である。第1の変化態様では、1つのレール9に対応して配置された全てのフライス工具30が、レール頭部断面形状の加工すべき断面形状区分をカバーしている。この場合、一番前のフライスカッタヘッド32は、粗削りフライスとして形成されており、後続の2つのフライスカッタヘッド32は、仕上げフライスとして形成されている。この組合せにより、1回の作業工程において特に多量の材料除去が可能である。
【0050】
代替的な変化態様では、相前後して配置された複数のフライスカッタヘッド32が、加工すべきレール頭部断面形状のそれぞれ異なる断面形状区分に対応して配置されている。この組合せは、全てのまたは1つだけのフライスカッタヘッド32を対応して配置されたレール9に係合させることにより、種々様々な加工動作を可能にする。これにより、例えば様々なレール断面形状への迅速な適合が可能である。分岐器領域またはクロッシング領域では、分岐器のクロッシングまたは交差するレール9との衝突を回避するために、個々のフライスカッタヘッド32を持ち上げることができる。
【0051】
機械フレーム10における個々のフライス工具30の懸架は、実質的に、図1に示した大型のフライス工具30の場合の構成に相応する。レール加工ユニット11の後方には、同様に平滑化装置40が配置されている。刃が摩耗したフライス工具30を交換するために、別の交換装置31が設けられている。ここではフライスカッタヘッド32全体が交換され、新規のまたは裏返された切削インサートが装着される。より小さなサイズに基づき、この場合は複数の代替フライスカッタヘッド32を一緒に携行することもできる。これにより、様々なレール頭部断面形状に適合させるための迅速な工具交換も実施可能である。
【0052】
図3に示す保守機械1は、軌道を安定化するための拡張部を有している。このために、軌道こう上/整正ならびに軌道突固め用の第1の機械部分27と、レール再削正用の第2の機械部分28との間に、第3の機械部分43が配置されている。第3の機械部分43は、枢着継手を介して第1の機械部分27に結合されていて、エネルギ供給装置25を備えている。対応して配置された機械フレーム10には、2つの安定化ユニット44が取り付けられている。これらの安定化ユニット44は、作業従事時にはレール9上に下降させられる。拡開されたフランジ付きホイールおよびレールキャッチを介して、軌きょう7への振動伝達が行われ、これにより、軌道突固め後の軌きょう7を、道床6において安定化させる。
【0053】
安定化ユニット44により、バラストはさらに密な構造に変化させられる。この安定化動作は、さもなければ後のレール通行により制御されずに発生する恐れがある軌きょう7の沈下を予め見越したものである。このことは、レール再削正の最適な前提条件を提供する。軌きょう7の安定化された支持は、レールフライス加工の際、完全に均一な逆圧をもたらす。これにより、フライス加工時に作業結果の質を低下させることなしに、レール9に対して相応に高められた圧力により、大きな係合深さを生ぜしめることもできる。
【0054】
有利な改良では、安定化ユニット44は、加工される軌道区間のレール締結装置を検査するために利用される。この場合、各ユニット44内の変更された拡開用駆動装置が使用される。具体的には、各拡開用駆動装置は、レール9に変更された拡開力を加えるように構成されている。したがって、拡開用駆動装置は、各レール頭部の内面にフランジ付き車輪を遊びなしに圧着するためだけに用いられるものではない。むしろ、その後に測定された軌間または軌間差に関して設定される可変の拡開力が予め設定される。軌間または軌間差は、適切な測定装置により測定され、この測定装置は、例えば拡開軸に結合された電子機械的な距離センサを備えている。拡開力の変化によって惹起される軌間の変化は、その後、各レール締結装置の状態に関する情報を与える。これにより、緩いレール締結装置が適時に識別されるため、レール加工の質が高まる。場合により、フライス工具30の送り速度は、レール区間の低下した締結安定性に適合される。
【0055】
図3に示す、レール加工ユニット11を備えた第2の機械部分28は、実質的に、図1に示した第2の機械部分28に相応する。レール9毎に1つの大型のフライス工具30が配置されている。最後の平滑化装置40として、ここではベルトサンダ42が使用される。
【0056】
図4および図5にも同様に、安定化ユニット44を備えた保守機械1が示されている。図示の実施形態では、第2の機械部分28は、第3の機械部分43から一時的に解結可能である。作業従事中、第2の機械部分28はドローンとして働く。このために第2の機械部分28は、専用の走行用駆動装置20と、専用の制御装置45とを有している。ドローンのエネルギ供給は、エネルギ供給装置25により供給ライン29を介して行われる。
【0057】
一変化態様では、ドローンは作業従事中、供給ライン29を介して他の機械部分27,43に接続されたままである。この場合、供給ライン29は、例えばケーブルドラム46内に引出し可能に配置されている。制御データは、有利には無線モジュール47により、エアインタフェースを介して伝送される。ドローンには、中央制御装置21を介して制御データ、特に速度設定ならびにレール損傷および軌道3内の障害物に関するデータが伝送される。
【0058】
別のドローン変化態様には、エネルギ供給装置25により供給ライン29を介して充電可能な電気エネルギ蓄え器48が含まれる。作業従事中、供給ライン29は差込み装置を介して一時的に取り外され、ドローンにはエネルギ蓄え器48から供給される。この場合、エネルギ蓄え器48の容量は、線路保守間合の最中に一貫したレール再削正を実施することができるように設計されている。
【0059】
運転中、供給ライン29の差込み装置も、連結装置49も、自動的に分離されかつ接続される。このようにしてドローンの解結または連結を実施するために、軌道3における作業員は不要である。解結状態では、ドローンの周囲の危険領域がカメラ17により監視される。追加的にドローン上には、光学式および音響式の警告装置50が配置されている。
【0060】
図6には、保守機械1の別の変化態様が示されている。この車両複合体は、作業従事中、周期的に作業方向12に前進する。突固めサイクル中、機械1は突固め動作を継続するために停止する。この場合、第1の機械部分27は、こう上/整正ユニット4に加えて、補助こう上ユニット51を備えている。これにより、分岐器領域において分岐するレール9が把持され、共に持ち上げられる。突固めユニット5は、分岐器突固め用に、旋回可能な突固めピッケルを備えている。
【0061】
第2の機械部分28には、エネルギ供給装置25と、レール再削正用のレール加工ユニット11とが配置されている。エネルギ供給装置25により、突固め機械部分27にも供給される。レール加工ユニット11はレール9毎に、外周フライス加工または輪郭フライス加工用の大きな外径(約1500mm)を有する、相前後して配置された2つのフライス工具30を有している。好適には、前方のフライス工具30は、粗削りフライスとして形成されている。後方のフライス工具30は、小さな係合深さで作業する仕上げフライスである。これにより、無視し得る加工痕を伴う高い表面品質が達成される。専用の平滑化装置40による平滑化は省くことができる。
【0062】
機械1の周期的な前進にもかかわらずレール9の連続的な加工を可能にするために、レール加工ユニット11は、専用の機械フレーム10に取り付けられている。このユニットは、後方ではレール走行装置2に支持されかつ前方では主フレーム13に移動可能に支持されていて、サテライトを形成している。作業従事中、このサテライトは、専用の駆動装置20により一定の送り速度で軌道3に沿って連続的に移動させられる。主機械とサテライトとの間の送り速度、それぞれの突固めサイクル継続時間および相対移動は、中央制御装置21によって互いに合わせられる。
【0063】
レール加工中は、レール走行装置2の支持手段が作動している。このとき、レール用車輪と走行装置フレームとの間ならびにレール走行装置2と機械フレーム10,13,14との間のばねたわみが遮断されている。例えば支持部材として、各走行装置フレームには車輪懸架部毎に1つの液圧シリンダが配置されており、対応して配置されたばね受けまたは軸箱には、1つの別の液圧シリンダが配置されている。液圧の流れを遮断することにより支持手段が作動し、これにより、加工工具30がレール9に対して一義的に位置決めされた状態になる。
【0064】
局所的に対応して配置するために、保守機械1には、有利には位置検出システムが設置されている。この位置検出システムには、例えばオーストリア国特許出願公開第518579号明細書に開示された定点検出装置が含まれる。これにより、絶対軌道位置の特定を実施することができる。位置検出システムの別のコンポーネントは、例えば走行距離計、慣性計測ユニット(IMU)およびGNSS受信器52である。保守機械1の正確な局所的かつ空間的な検出により、事前に集められた軌道データとの比較、ならびに場所に関連した作業結果の記録が可能になる。
【0065】
図示の全ての保守機械1は、個々のシステムコンポーネントまたは機械部分27,28,43の例示的な組合せである。本発明には、別の組合せも含まれる。特に、図示のユニット4,5,11,40,44,51は、異なる順序、構成および組合せで配置されていてよい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【国際調査報告】