(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-08
(54)【発明の名称】外反母趾矯正システム及び方法
(51)【国際特許分類】
A61B 17/72 20060101AFI20240201BHJP
A61B 17/86 20060101ALI20240201BHJP
【FI】
A61B17/72
A61B17/86
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023548281
(86)(22)【出願日】2022-02-09
(85)【翻訳文提出日】2023-09-28
(86)【国際出願番号】 US2022015787
(87)【国際公開番号】W WO2022173806
(87)【国際公開日】2022-08-18
(32)【優先日】2021-02-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516183819
【氏名又は名称】クロスローズ エクストリミティ システムズ リミテッド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】ホリス・マイケル・チャド
(72)【発明者】
【氏名】セイガー・ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】ボマー・ブラッドリー
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160LL21
4C160LL44
4C160LL53
4C160LL58
(57)【要約】
外反母趾を矯正する低侵襲方法は、中足骨を第1及び第2の部分に分割するために切除術を行うことと、釘を第2の部分に埋め込むことと、釘ヘッドにおける開口を通して挿入された、kワイヤ及びカニューレ状ねじを使用して、釘を第1の部分に固定することと、を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
中足骨と母趾との間の関節に形成された外反母趾を矯正するためのキットであって、
釘であって、
アンカー部分と、
雌ねじ山を含む第1の開口部を含むヘッド部分と、を備える、釘と、
カニューレ状骨ねじであって、
ヘッドと、
ねじ山付きシャフトと、を備える、カニューレ状骨ねじと、
インサータであって、
ハンドルと、
前記第1の開口部の前記雌ねじ山とねじ係合するように構成されたねじ山付き端部と、を備える、インサータと、
第1のkワイヤと、を備え、
前記アンカー部分が、第1の骨片に挿入されるように構成されており、前記ヘッド部分が、第2の骨片と整列させられるように構成されており、前記第1のkワイヤが、前記第1の開口部を通して前記第2の骨片へ挿入されるように構成されており、前記カニューレ状骨ねじが、前記第2の骨片を前記釘に固定するために、前記第1のkワイヤ上に挿入され、前記第2の骨片内へ前進させられるように構成されている、キット。
【請求項2】
前記第2の骨片に挿入されるように構成された第2のkワイヤを更に備える、請求項1に記載のキット。
【請求項3】
前記ヘッド部分における第2の開口部を通して前記第2の骨片へ挿入されるように構成された第2の締結具を更に備える、請求項1に記載のキット。
【請求項4】
前記カニューレ状骨ねじを受容するために前記第2の骨片にポケットを形成するために前記第1のkワイヤ上に挿入されるように構成されたカニューレ状器具を更に備える、請求項1に記載のキット。
【請求項5】
前記釘の前記ヘッド部分が、ショルダを備える、請求項1に記載のキット。
【請求項6】
前記釘が、前記ヘッド部分と前記アンカー部分との間にネック部分を備え、前記ネック部分が、前記第1の骨片と整列させられるように構成された第2の開口部を備える、請求項1に記載のキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、足の変形の外科的治療に関する。より具体的には、本発明は、低侵襲外反母趾矯正のためのインプラント、器具、及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
外反母趾は、典型的には、母趾が傾くことから始まる進行性障害であり、骨の角度を徐々に変化させ、中足骨と基節骨との関節付近の中足骨の内側に特徴部的な瘤を生じさせることがある。具体的には、外反母趾は、骨質からなる隆起であり、時には炎症した滑液包である。外反母趾は、母趾が正常な位置から第2趾の方向にずれている状態である。
【0003】
外反母趾の矯正又は修復は、一般的な外科手術であり、米国で年間に10万件の外科手術が行われている。外反母趾修復のための多くの外科的処置は、侵襲的であり、かつ痛みを伴い、数インチの切開を必要とし、最長10~12週間の長期の回復期を必要とする。低侵襲外科手術は、数十年にわたって整形外科において行われてきた。しかしながら、骨切断部の形成は、小さな切開部を通して盲目的に挿入されたバー及びドリルビットを用いて行われてきた。この外科手術の方法は、潜在的な隣接する軟組織の損傷及び患者ごとに再現性のない結果をもたらす。本明細書に含まれる開示は、単純なインプラント挿入技術とともに、再現性を提供し、組織への損傷を制限するための機器を備えた技術及びガイドを提供することによって、この問題を改善しようとするものである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本明細書に開示されるのは、低侵襲手技として実施することができ、したがって、より侵襲的な外反母趾矯正手技と比較して、不快感、瘢痕化、及び回復時間を低減する、外反母趾修復のためのインプラント及び方法である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の様々なシステム及び方法は、現在の技術水準に応じて、特に、現在の利用可能な技術によって完全には解決されていない当技術分野の問題及び必要性に応じて開発されている。本発明のシステム及び方法は、合理化された処置、より速い回復、瘢痕化の低減、及び治癒中の不快感の低減をもたらす、外反母趾矯正のための技法を提供することができる。
【0006】
上記を達成するために、本明細書で具体化され広く説明される本発明によれば、本開示の一態様は、中足骨と母趾との間の関節に形成された外反母趾を矯正するための第1の方法である。切開は、中足骨の側部に沿って行われる。標的位置は、中足骨上で選択される。中足骨は、標的位置において、第1の中足骨部分及び別個の第2の中足骨部分に切除される。第1の中足骨部分は、切除によって形成された遠位に面する表面を有する。ポケット器具は、遠位に面する表面において第1の中足骨部分に挿入され、遠位に面する表面において第1の中足骨部分にポケットを形成する。インプラントは、切開部を通して第1の中足骨部分のポケット内に挿入され、インプラントは、ヘッド及びアンカーを有するモノリシック本体を有する。
【0007】
第1の方法の別の態様では、ポケットは、遠位に面する表面を通って、第1の中足骨部分の髄内腔内に延在する。
【0008】
第1の方法の別の態様では、少なくとも1つのkワイヤが、遠位に面する表面を通って第1の中足骨部分に挿入される。第1のkワイヤは、第1の器具を第1の中足骨部分内に誘導して、ポケットを形成する。
【0009】
第1の方法の別の態様では、第1のポケット器具は、ブローチである。
【0010】
第1の方法の別の態様では、ブローチは、第1の軸に沿って整列されたハンドルと、第2の軸に沿って整列された複数の歯を有する挿入部分と、第1の軸が第2の軸に対して角度をなすようにハンドルと挿入部分との間のオフセット部分と、を含む。
【0011】
第1の方法の別の態様では、インプラントヘッドは、第1の中足骨部分に取り付けられる。
【0012】
第1の方法の別の態様では、第1の中足骨部分に取り付けられたインプラントヘッドは、インプラントヘッドの開口を通して第1の中足骨部分にねじを挿入することを含む。
【0013】
第1の方法の別の態様では、インプラントヘッドは第2の中足骨部分に取り付けられる。
【0014】
第1の方法の別の態様では、ある長さの縫合糸が母趾に固定され、縫合糸に張力をかけて母趾を第1の中足骨部分に対して再整列させ、ある長さの縫合糸をインプラントヘッドに取り付ける。
【0015】
第1の方法の別の態様では、第2の中足骨部分は、第1の中足骨部分上の遠位に面する表面を露出させるように並進する。
【0016】
本開示の別の態様は、外反母趾を矯正するための第2の方法である。切開は、中足骨の側部に沿って行われる。標的位置は、中足骨上で選択される。中足骨は、第1の中足骨部分及び別個の第2の中足骨部分に切除され、第1の中足骨部分は、切除によって形成された遠位に面する表面を有する。インプラントは、切開部を通して第1の中足骨部分に埋め込まれる。インプラントは、ヘッド及びアンカーを有するモノリシック本体を有し、アンカーはインプラント軸に沿って延在する。インプラントヘッドは、最初に、遠位に面する表面において第1の中足骨部分に取り付けられ、次に、インプラントヘッドは、第2の中足骨部分に取り付けられる。
【0017】
第2の方法の別の態様では、インプラントヘッドは、第1の中足骨部分に取り付けられ、インプラントヘッドの第1の開口を通して第1の中足骨部分の遠位に面する表面に第1のねじを挿入することを含む。
【0018】
第2の方法の別の態様では、第1の開口は、インプラント軸に対して第1の角度で第1の軸に沿って整列される。
【0019】
第2の方法の別の態様では、第1の角度はおよそ45°未満である。
【0020】
第2の方法の別の態様では、インプラントヘッドを第2の中足骨部分に取り付けることは、第2のねじをインプラントヘッドの第2の開口を通して第2の中足骨部分に挿入することを含む。
【0021】
第2の方法の別の態様では、第2の開口は、インプラント軸に対して第2の角度で第2の軸に沿って整列され、第2の角度は第1の角度よりも大きい。
【0022】
第2の方法の別の態様では、第2の角度は60°よりも大きい。
【0023】
第2の方法の別の態様において、第2の中足骨部分は、第1の中足骨部分上の遠位に面する表面を露出させるように並進する。ポケットは、遠位に面する表面において第1の中足骨部に形成され、ポケットは、遠位に面する表面を通って第1の中足骨部の髄内腔内に延在する。
【0024】
第2の方法の別の態様では、ポケット器具が挿入され、少なくとも1つのkワイヤによって遠位に面する表面において第1の中足骨部分内に誘導されて、ポケットを形成する。
【0025】
第2の方法の別の態様では、ある長さの縫合糸が母趾に固定され、縫合糸に張力をかけて母趾を第1の中足骨部分に対して再整列させ、ある長さの縫合糸をインプラントに取り付ける。
【0026】
本開示の別の態様は、外反母趾を矯正するための第3の方法である。中足骨の側部に沿って切開を行う。第1のkワイヤが、切開を通して、選択された標的位置において中足骨の中に導入される。中足骨は、選択された標的位置において、第1の中足骨部分及び別個の第2の中足骨部分に切除される。第1の中足骨部分は、切除によって形成された遠位に面する表面を有する。第2のkワイヤは、遠位に面する表面において第1の中足骨部分に挿入される。ポケット器具は、第2のkワイヤによって誘導されて遠位に面する表面において第1の中足骨部分に挿入され、遠位に面する表面で第1の中足骨部分にポケットを形成する。インプラントは、切開部を通して第1の中足骨部分に挿入され、インプラントは、ヘッド及びアンカーを有するモノリシック本体を有し、アンカーは、インプラント軸に沿って延在する。インプラントヘッドは、遠位に面する表面において第1の中足骨部分に取り付けられ、インプラントヘッドを第2の中足骨部分に取り付ける。
【0027】
第3の方法の別の態様では、インプラントヘッドを第1の中足骨部分に取り付けることは、第1のねじをインプラントヘッドの第1の開口を通じて第1の中足骨部分の遠位に面する表面に第1のねじを挿入することを含み、インプラントヘッドを第2の中足骨部分に取り付けることは、インプラントヘッドの第2の開口を通して第2の中足骨部分に第2のねじを挿入することを含む。
【0028】
第3の方法の別の態様では、第2の中足骨部分は、第1の中足骨部分上の遠位に面する表面を露出させるように並進し、遠位に面する表面において第1の中足骨部分内にポケットが形成され、ポケットは、遠位に面する表面を通って第1の中足骨部分の髄内腔内に延在する。
【0029】
本発明のこれら及び他の特徴及び利点は、以下の説明及び添付の特許請求の範囲からより完全に明らかとなるか、又は、以下に記載される発明の実践によって習得され得る。
【図面の簡単な説明】
【0030】
本発明の例示的な実施形態は、添付の図面と併せて、以下の説明及び添付の特許請求の範囲からより完全に明らかになるであろう。これらの図面は、例示的な実施形態のみを描写しており、したがって、本発明の範囲を限定するものと見なされるべきではないことを理解した上で、本発明の例示的な実施形態は、添付の図面の使用を通じて、更なる特異性及び詳細とともに説明される。
【
図1A】本発明の一実施形態による、釘及び締結具を備える、外反母趾矯正インプラントの斜視図である。
【
図2】
図1Aのインプラントが第1の中足骨に埋め込まれた状態の足の部分骨格の斜視図である。
【
図4】中足骨に挿入されたkワイヤと、kワイヤ上に装着された第1のガイドと、を有する、足骨格の斜視図であり、第1のガイドは、複数のガイド穴を有する。
【
図5】
図4の足骨格、kワイヤ、及びガイドの斜視図であり、追加のkワイヤが中足骨に挿入されている。
【
図6】
図5の足骨格、kワイヤ、及び第1のガイドの斜視図であり、中足骨に穴を形成するために、トロカールがガイド穴のうちの1つを通して延在する。
【
図7】
図5の足骨格及びkワイヤの斜視図であり、第2のガイドがkワイヤ上に装着されている。
【
図8】
図7の足骨格、kワイヤ、及び第2のガイドの斜視図であり、中足骨に骨切り術を行い、中足骨を近位中足骨部分と遠位中足骨部分とに分離するために、ブローチがガイドスロットを通って延在する。
【
図9】
図8の足骨格の斜視図であり、遠位中足骨部分が近位中足骨部分に対して横方向にシフトされている。
【
図10】
図9の足骨格の斜視図であり、
図1A~
図1Bの釘は、インプラントインサータに装着され、近位中足骨部分に埋め込まれている。
【
図11A】
図1A~
図1Bの釘が近位中足骨部分に埋め込まれ、針及び縫合糸がインプラントの部位において切開部を通って足内へ挿入されかつ基節骨において母趾上の第1の位置において出ている、脚の内側図である。
【
図11B】
図11Aの足の内側の図であり、第1のステッチが母趾上の第1の位置に形成されている。
【
図11D】
図11Cの足の内側の図であり、第2のステッチが母趾上の第2の位置に形成されている。
【
図11E】
図11Dの足の内側の図であり、縫合糸がインプラントボアを通されており、針及び縫合糸が切開部を通して現れ、縫合糸の経路を示す。
【
図12】
図10の足骨格の斜視図であり、釘の開口部に向けられた縫合糸及び締結具を示す。
【
図13E】中足骨の遠位端部と、第1のガイドと、別のガイド穴を通って延在する
図6のトロカールと、の遠位図であり、点線は、複数のガイド穴の軌跡を示している。
【
図14E】第2のガイドの別の実施形態の内側の図である。
【
図17】
図9の足骨格の斜視図であり、近位中足骨部分へのkワイヤの挿入を示している。
【
図18】
図17の足骨格の斜視図であり、ポケットを形成するためのポケット器具が、kワイヤによってガイドされて近位中足骨に挿入されていることを示している。
【
図21】別の外反母趾矯正インプラントの斜視図である。
【
図26】別のインプラントシステムの釘の内側図である。
【
図30】近位の切除された中足骨部分への骨整列矯正インプラントの挿入を示す足骨格の斜視図である。
【
図31】遠位切除中足骨部分へのkワイヤの挿入を示す。
【
図32】カニューレ状器具を使用した遠位切除中足骨部分内の物質の除去を示す。
【
図33】インプラントを固定するための遠位の切除された中足骨部分へのカニューレ挿入されたねじの挿入を示す。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本発明の例示的な実施形態は、図面を参照することによって最良に理解されるであろう。図面において、同様の部分は、全体を通して同様の番号によって指定される。本発明の構成要素は、本明細書で概して説明され、図に例解されるように、多種多様な異なる構成で配設及び設計され得ることが容易に理解されるであろう。したがって、
図1A~
図25に表されるような装置、システム、及び方法の実施形態の以下のより詳細な説明は、特許請求の範囲に記載された本発明の範囲を限定することを意図するものではなく、本発明の例示的な実施形態の代表例にすぎない。
【0032】
「に接続される」、「に結合される」、及び「と連通する」という句は、機械的、電気的、磁気的、電磁的、流体的、及び熱的相互作用を含む、2つ又はそれ以上の実体間の任意の形態の相互作用を指す。2つの構成要素は、それらが互いに直接接触していなくても、互いに機能的に結合され得る。「当接する」という用語は、互いに直接物理的に接触しているアイテムを指すが、アイテムは必ずしも互いに取り付けられていない場合がある。「流体連通」という句は、一方の特徴部内の流体が他方の特徴部内に入ることができるように接続された2つの特徴部を指す。
【0033】
限定されないが、左、右、上、下、上部、底部、垂直、水平、内側、及び外側などの方向及び/又は関係用語は、互いに相対的であり、適用可能な要素又は物品の特定の配向に依存し、したがって、本明細書及び添付の特許請求の範囲における種々の実施形態の説明を補助するために使用され、必ずしも限定するものとして解釈されることを意図しない。標準的な医学用語は、人間の解剖学的構造、又は人間の解剖学的構造に対する物体の関係を説明するために使用され得る。例えば、近位は、身体の中心により近い物体又は解剖学的要素を指し、遠位は、身体の中心からより離れた物体又は解剖学的要素を指す。
【0034】
「例示的な」という語は、本明細書では、「実例、事例、又は例解としての役割を果たす」ことを意味する。本明細書で「例示的な」として記載される任意の実施形態は、必ずしも他の実施形態よりも好ましい又は有利であると解釈されるべきではない。実施形態の様々な態様が図面に提示されるが、図面は、特に示されない限り、必ずしも一定の縮尺で描かれているわけではない。
【0035】
図1Aを参照すると、本発明の1つの実施形態による外反母趾矯正インプラントシステム100は、釘102及び締結具104を含む。
図2に見られるように、釘102は、切除された中足骨2の近位部分2a内へ長手方向に延在するように埋め込まれ得、締結具104は釘の一部を通って挿入され、釘を中足骨2の遠位部分2bに固定する。外反母趾矯正インプラントシステム100は、縫合糸を更に含み得、縫合糸は、中足趾節(metatarsophalangeal、MTP)関節の内側嚢を通して送られ、母趾の軟組織に固定され、中足骨に対する基節骨4の位置を再整列させるように引っ張られ、釘に固定され得る。
【0036】
図1A~
図1B及び
図3A~
図3Cを参照すると、インプラント釘102は、遠位端部であり得る第1の端部106から、近位端部であり得る第2の端部108まで延在するモノリシック本体である。釘102は、断面が略矩形であり得、外側であり得る内側110と、内側であり得る外側112と、上側114と、下側116と、を有する。釘102は、ヘッド120と、アンカー122と、ヘッド120とアンカー122との間に延在するネック124と、を含む。
【0037】
特に
図3B及び
図3Cを参照すると、釘アンカー122及びネック124は、長手方向軸105に沿って延在し、釘ヘッド120は、所定の角度でネック124から遠位に延在する。釘ヘッドは、ヘッド第1の軸107に沿ってヘッド第1の端部126とヘッド第2の端部128との間に延在する。描写される実施形態では、ヘッド第1の軸107と長手方向軸105との間の角度αは、15°であり、ネック外側表面とヘッド外側表面との間の角度βは、165°である。本発明の他の実施形態では、角度αは、0°~25°の範囲内であり得る。少なくとも描写される実施形態では、釘102及び組み立てられたインプラント100は、長手方向軸105に対して及びヘッド第1の軸107に対して左右対称である。
【0038】
釘ヘッド120は、ヘッド第1の軸107に対して垂直なヘッド第2の軸109に中心を有する開口部130を含む。ヘッド第2の軸は、埋め込み時に略内側-外側(medially-laterally、ML)に延在し得る。描写される実施形態では、開口部130は、ヘッド外側115とヘッド内側113との間に延在し、締結具104と係合するためのねじ山132を含むが、追加的な実施形態は、ねじ山を有しない場合がある。凹状リップ134が開口部130を取り囲んでいる。ヘッド第2の端部128は、上下寸法に関してネック124よりも幅広であり、第1のショルダ140及び第2のショルダ142を含み、ショルダ140、142はそれぞれ、ネックとヘッドとの交差部においてネック124から離れるように上方及び下方へ突出している。第1のショルダ140は、第1の近位ショルダ表面141を含み、第2のショルダ142は、第2の近位ショルダ表面143を含む。近位ショルダ表面141、143は、ヘッド120から離れるように近位に面しており、ネックの上下の側114、116に対して直角である。ヘッド120は、ヘッド第1の軸107及びヘッド第2の軸109に対して垂直なヘッド第3の軸111に沿って延在する横方向ボア148を更に含み得る。ヘッド第3の軸111は、埋め込み時に略上側-下側(superiorly-inferiorly、SI)に延在し得る。描写される実施形態では、内側113と外側115との間のヘッド120の厚さは、ヘッド第1の端部126とヘッド第2の端部128との間で増大しており、これにより、ヘッドの最も厚い部分はショルダ140、142にある。
【0039】
ネック124は、ヘッド120とアンカー122との間に延在し、ヘッド120をアンカー122に接続している。内側110と外側112との間のネック124の厚さは、中足骨のシフトの所望の程度に応じて変化することができる。少なくとも描写される実施形態では、ネックの厚さは、ヘッド120とアンカー122との間でテーパ状になっている。上側114と下側116との間のネック124の幅も変化し得る。第1及び第2の端部106、108の間の釘の長さは、ヘッド、ネック及び/又はアンカー部分の相対的長さのように、変化することができる。アンカー122は、ネック124と同軸であり、ネックから釘の第2の端部108まで延在する。内側110と外側112との間のアンカーの厚さ、及び上側114と下側116との間のアンカーの幅の両方は、釘の第2の端部に向かってテーパ状であり得、釘の骨への容易な挿入を促進する。アンカーの第2の端部は、
図1A及び
図1Bに描写される実施形態のように丸みを帯び得る。他の実施形態では、それは、尖った形状、平坦な形状、鋸歯状の形状、又は別の形状であり得る。アンカー122は、複数の骨係合特徴部144を含み、これらは、骨内での係合を促進するために、歯、スカロップ、鋸歯、又は他の形状として成形され得る。例えば、描写される実施形態におけるスカロップ146は、釘の後退に抵抗する表面不規則性を提供する。図示の実施形態では、ネック及びアンカーには開口部がない。他の実施形態は、補助的な固定又は器具接続のための開口部を含むことができる。
【0040】
締結具104は、締結具ヘッド150、締結具シャフト152、及び先端154を含む。ヘッド150は、釘ヘッド120におけるねじ山132とのロッキング係合のためのねじ山156を含む。他の実施形態は、ねじ山156を有しない場合がある。シャフト152は、骨における係合のためのねじ山158を含む。ヘッド150は、ドライバとの係合のための駆動特徴部157を含み得る。描写される実施形態では、締結具104は、ロッキングねじタイプの締結具である。他の実施形態では、締結具は、ロッキング又は非ロッキングであり得、多軸調節可能又は非多軸調節可能であり得る。
【0041】
釘102及び締結具104は、チタン、ステンレス鋼、ポリエーテルエーテルケトン(polyether ether ketone、PEEK)、ニチノール、及び/又は他の剛性生体適合性材料、又はそれらの組み合わせを備え得る。縫合糸は非吸収性縫合糸であるが、他の実施形態は吸収性縫合糸を含み得る。
【0042】
図4~
図16を参照すると、外反母趾を矯正するための方法は、以下のステップのうちの1つ又は2つ以上を含む。ステップはある順序で説明されるが、本方法の他の実施形態では、ステップのうちの1つ又は2つ以上は、繰り返され、省略され、又は異なる順序で行われ得る。
【0043】
外反母趾の内側において、罹患した中足骨に小さな切開を行う。好ましくは、切開部は0.5インチ以下の長さである。
図4を参照すると、第1のkワイヤ159は、切開部を通して中足骨内の選択された標的位置に導入される。第1のガイドブロック164は、kワイヤ159に装着され、中足骨2に向かって付勢される。
図5を参照すると、第2及び第3のkワイヤ160、162は、ガイドブロック164を通して中足骨内に、選択された標的位置のいずれかの側で導入される。第2のkワイヤ160は、近位中足骨部分2aに位置し、第3のkワイヤ162は、遠位中足骨部分2bに導入される。第1のkワイヤ159は、中足骨から除去される。
【0044】
図13A~
図13Eに示されるように、第1のガイドブロック164は、第1の側又は外側166と、第2の側又は内側168との間に延在する。第1及び第2のガイド部分170、172は、それぞれ上方及び下方へ突出している。一連のガイド穴174はガイドブロックを通って延在し、それぞれが、
図13Eに見られるように共通の点に集束する軌道175を画定している。ガイド穴174及びそれらの軌道175は同一平面上にあり、第1のガイドブロック164がkワイヤ160、162上に装着されるときに切断面を画定する。一対の装着穴176、178は、kワイヤ上を摺動するようにサイズ決めされている。第1及び第2の装着支持体180、182は、ガイドブロック164から内側に延在し、ギャップ184によって分離されている。装着支持体180、182は、kワイヤを誘導及び支持するためのスロット186、188を含み、装着されるとガイドブロック164の回転を防止する。ガイドブロック164の内側168は、図示されるように凸状に湾曲し得る。
【0045】
図6及び
図13Eを参照すると、第1のガイドブロック164がkワイヤに装着され、中足骨2に当接した後、トロカール192、リーマ又は他の器具が、ガイド穴174のうちの1つを通じて導入され、中足骨2に挿入され、ガイド穴の軌道に沿って中足骨2に穴を形成する。トロカール192は、次いで、より多くのガイド穴174を通してかつ中足骨を通して挿入され得る。このステップは、標的位置で骨を貫通する直線状の一連の開口部を形成し、中足骨頭に対する後続の骨切り術に備えて、その位置で骨を弱化させる。所望の数の開口部が形成された後、第1のガイドブロック164は、kワイヤから引き抜かれる。
【0046】
図7を参照すると、第2のガイドブロック200がkワイヤ160、162に導入される。
図14A~
図14Dに示されるように、第2のガイドブロック200は、第1の側又は外側202と第2の側又は内側204との間に延在する。第1及び第2のガイド部分206、208は、それぞれ上方及び下方に突出している。切断スロット210はガイドブロック200を通って延在し、外側及び内側202、204において開口しており、装着穴212、214は、ブロックをkワイヤに装着するために内側と外側との間に延在する。ガイドブロック200は、図示されるように湾曲し得、ガイドブロック200の内側204は、凸状に湾曲しており、外側202は、凹状である。少なくとも凹状外側表面は、ガイドが標的位置に対して密接して嵌合することを可能にし得る。第2のガイドブロック200がkワイヤ160、162に装着されると、切断スロット210によって画定された開口部の中央平面は、第1のガイドブロックガイド穴174及び起動175によって画定された切断平面と同一平面であるか又は少なくとも平行であり、前のステップにおいて一連の開口部が骨に形成されている。
【0047】
図14Eは、以下に述べる相違点を有する、第2のガイドブロック200と類似の第2のガイドブロック200aの代替的な実施形態を示す。第2のガイドブロック200aは、第1の側又は内側(204a)と外側(図示せず)との間に延在することができる。外側は凹状であることができ、内側204aは凹状であることができる。切断スロット210aは、ガイドブロック200aを通って延在する。切断スロット210aは、切断スロット210aの第1の側における第1の凹状チャネル210b及び/又は切断スロット210aの第2の側における第2の凹状チャネル210cを含むことができる。チャネル210b、210cは、kワイヤ(例えば、第1のkワイヤ159)を受容するための開口を形成することができる。第1及び第2のガイド部分206a、208aは、切断スロット210aから上方及び下方に突出している。取り付け穴212a、214aは、内側と外側との間に延在する。第2のガイドブロック200aは、チャネル210b、210cを通って、まずkワイヤに装着され、中足骨2に向かって付勢することができる(
図4参照)。第2及び第3のkワイヤ160、162は、次いで、装着穴212a、214aを通って中足骨2内へ導入されることができる。第1のkワイヤ159は、次いで、中足骨2から除去することができる。
【0048】
図8及び
図15を参照すると、中足骨2に骨切り術を行うためにブローチ220が使用され、中足骨2を第1の又は近位中足骨部分2aと第2の又は遠位中足骨部分2bとに切除する。ブローチ220は、ハンドル部分222と、シャフト部分224と、切断先端228及び切断エッジ230、232を備える挿入部分226と、を含む。切断エッジ及び先端は、斜角を付けられ、鋭利にされ、鋸歯状にされ、及び/又は別様に骨を切断するように構成され得る。ブローチ挿入部226は、骨切り術を行うために切断スロット210を通って横方向に骨内へ付勢される。シャフト部分224は、切断スロットを通した挿入部分の側方挿入を制限するためのストッパとして作用し得る。本方法の他の実施形態では、ブローチ220の代わりに、又はブローチ220と組み合わせて、鋸、刃、のみ、骨刀、掻爬器、ピック、やすり、又は他の器具、又はそれらの組み合わせが、骨切り術を行うために使用され得る。骨切り術ステップが完了すると、第2のガイドブロック200はkワイヤから除去される。同様に、上に列挙したような切断器具を、骨切り術を行うために、骨内に、第2のガイドブロック200aの切断スロット210aを通って、横方向に付勢することができる。
【0049】
図9を参照すると、新たな別個の遠位中足骨部分2bが、近位中足骨部分2aに対して横方向に並進させられる。近位中足骨部分2aにおける略平坦な遠位に面する表面2cは露出させられ、釘102が埋め込まれるのはこの表面内である。近位中足骨部分2aの遠位に面する表面2cと、遠位中足骨部分2bの内側に面する表面2dとは、当接表面と称され得る。遠位中足骨部分のオフセットの程度は変化し得るが、遠位に面する表面2cへの釘102の埋め込みを可能にするのに十分であり、これにより、釘ヘッド120は、埋め込み後、近位中足骨部分2aの内側外部表面を超えて内側へ突出しない。kワイヤ160、162は、近位中足骨部分に対する遠位中足骨部分のシフトの前又は後に除去され得る。
【0050】
図10及び
図16を参照すると、釘102は、切開部を通って挿入され、準備された近位中足骨部分2aに固定される。埋め込みの前に、縫合糸250は、横方向ボア148を通って延在するように導入され得る。インサータ240などのインプラントインサータが、釘102を骨に埋め込むために使用され得る。インサータ240は、ハンドル部分242と、シャフト部分244と、インプラント係合端部246と、を備える。ねじ山248が、インプラント係合端部246に形成されており、このねじ山248は、釘102をインサータ240に取外し可能に取り付けるために釘ねじ山132と協働し得る。アンカー122及びネック124を遠位に面する表面2c及び中足側の髄内腔内へ挿入するために、インサータ240が移動させられ、近位中足骨部分2aの遠位にヘッド120を残す。必要に応じて、釘102を近位中足骨部分2a内の所定の位置に駆動するために、インサータ240は叩かれ得る。釘102は、ショルダ140、142の近位表面141、143が中足骨の準備された遠位に面する表面2cに当接し、釘ヘッド外側115が遠位中足骨部分2bの内側表面2dにすぐ隣接するように、位置決めされる。釘102が所望の位置に適切に着座されると、インサータ240は、埋め込まれた釘102からそれを係合解除するために回転させられ得る。
【0051】
図11A~
図11F及び
図12を参照すると、縫合糸250は、インプラント100と係合させられ、母趾6の軟組織に固定され得、中足骨2及び矯正する外反母趾に対する趾骨4の整列を変化させる。
図11Aに示されるように、縫合糸250を有する針260は、切開部5を通って導入され、内側被膜に進入し、母趾の表皮上の第1の位置6aにおいて出現する。縫合糸は、第1の端部252及び第2の端部254を含む。
図11Bに示されるように、針は位置6aにおいて皮膚に再進入し、趾骨4を包囲する軟組織における第1のステッチ256を形成する。
図11Cに続くと、針260及び縫合糸250は、母趾の表皮上の第2の位置6bに出現する。
図11Dを参照すると、針260及び縫合糸250は、位置6bにおいて母趾に再進入し、母趾6の軟組織において第2のステッチ258を形成する。
図11Eに示されるように、針及び縫合糸第2の端部252は、切開部5を通って出現する。縫合糸250は、中足骨2に対する趾骨4の整列を変化させるために緊張させられ、趾骨の内側に沿って張力を提供し、外反母趾を矯正する。近位中足骨部分2aに当接する釘ショルダ140、142は、張力及び整列矯正を支持するためのバットレスとして働く。緊張させられた縫合糸250は釘102に取り付けられ、第1及び第2の端部252、254のうちの一方又は両方は横方向ボア148を通過する。縫合糸第1の端部252は、横方向ボア148を通って釘102の下側116から上側114へ通過し得、ボア148の上側において結び目が結ばれ得、縫合糸張力及び矯正を維持する。結び目は、結び目がボアを通過できないように、横方向ボア148の直径よりも広くあり得る。結んだ後、残りの縫合糸自由端部252、254は、切除され得る。
図11E及び
図12に見られるように、縫合糸250は、インプラント100から母趾における第1及び第2のステッチへ、再びインプラント100へ、3面経路を辿り得る。
【0052】
図12及び
図2を参照すると、釘ヘッド120を遠位中足骨部分2bに固定するために、ねじ先端154及びシャフト152が釘開口部130を通って挿入される。シャフトねじ山158が骨に係合すると、釘ヘッド120の外側115が、遠位中足骨部分2bの内側表面2dへ付勢される。ねじ104を釘102にロックするために、ねじヘッドねじ山156は釘開口部ねじ山132と係合する。切開部5が閉じられる。切開部の閉鎖の後、縫合糸250は、母趾に固定され、インプラント100に取り付けられたままである。
【0053】
図17~
図18は、
図1~
図16及び添付の文書に示されかつ説明された、患者の足への外反母趾矯正インプラントシステム100のための挿入プロセスにおける任意選択的な追加的ステップを示す。
図17は、近位中足骨部分2aへの釘102の挿入前の別個の遠位中足骨部分2b及び近位中足骨部分2aを示す。遠位中足骨部分2bは、内側に面する表面2dを含むことができる。近位中足骨部分2aは、遠位に面する表面2cを含むことができる。kワイヤ360を近位中足骨部分2aに挿入することができる。遠位に面する表面2cを通ってkワイヤ360を挿入することができる。kワイヤ360は端部362を含むことができる。端部362は、鋭い先端を含むことができる。端部362を中足骨2の髄内部分に挿入することができる。(例えば、遠位に面する表面2cを露出させるために)遠位中足骨部分2bが近位中足骨部分2aに対してシフトさせられた後、kワイヤ360を近位中足骨部分2aに挿入することができる。
【0054】
近位中足骨部分2a内でのインプラント100の所望の位置決めに対応する角度でkワイヤ360を挿入することができる。遠位に面する表面2cへのkワイヤ360の進入箇所及び/又は進入角度は、遠位中足骨部分2bと近位中足骨部分2aとの間のオフセットの量を決定することができる。したがって、遠位中足骨部分2b及び近位中足骨部分2aの最終的な位置決めを推定するためにkワイヤ360を使用することができる。kワイヤ360が望ましくない位置において挿入された場合、kワイヤを容易に除去し、近位中足骨部分2a内に再位置決めすることができる。ポケット器具320のためのガイドとしてkワイヤ360を使用することができる。
図18に示されるように、ポケット器具320は、釘102のためのポケット380を形成するために近位中足骨部分2aから骨材料を除去するために使用することができる。
図10及び添付の文書において上記で説明されたステップ及び/又はツールを使用して、インプラント100の釘102を近位中足骨部分2a(例えば、ポケット380)内へ挿入することができる。釘ヘッド120は、遠位中足骨部分2bの内側に面する表面2dと整列させられ、取り付けられることができる。
【0055】
図19~
図20に更に示されるように、ポケット器具320はハンドル322を含むことができる。ポケット器具320は挿入部分326を含むことができる。ハンドル322は、第1の軸323に沿って略整列させられることができる。挿入部分326は、第2の軸327に沿って略整列させられることができる。一実装形態では、第1及び第2の軸323、327は平行であるが、これは必須ではない。挿入部分326は、オフセットネック324によってハンドル322に接続することができる。オフセットネック324は、ハンドル部分322を挿入部分326から離隔させることができる。
【0056】
挿入部分326は、ブローチ、パンチ、又は非回転切断器具であることができる。挿入部分326は、1つ又は2つ以上の切断エッジ330を含むことができる。ポケット380を形成するために近位中足骨部分2aから材料を除去するために切断エッジ330を使用することができる。代替的に、挿入部分326は、平滑であることができる。挿入部分326は、先端328を含むことができる。挿入部分326は、平滑であるか又は切断エッジ330を含むかにかかわらず、釘102のためのトライアルポケットを形成するために使用することができる。ポケット380の形状は、インプラント100(例えば、挿入部分326)の釘102の形状に対応していることができる。挿入部分326は、外側312及び内側310を含むことができる。挿入部分326は、上側314及び下側316を含むことができる。挿入部分326は、非円筒形の断面形状(例えば、示されるように矩形)であることができる。断面形状が非円筒形であることは、ポケット380内での釘102の安定性を高めることができる。ポケット380(及び/又は挿入部分326)は、1つ又は2つ以上の寸法において及び/又は1つ又は2つ以上の側に沿って、釘102よりも小さいことができる。釘102は、挿入後、ポケット380内でプレスばめ状態にある(例えば、ポケット380の1つ又は2つ以上の対抗する側と係合させられる)ことができる。いくつかの実装形態では、開口380及び挿入部分326は、釘102の寸法に合わせてサイズ決めされることができる。
【0057】
挿入部分326はチャネル340を含むことができる。チャネル340は、挿入部分326の第2の軸327に沿って延在することができる。チャネル340は、近位開口部342及び遠位開口部344を含むことができる。近位開口部342は、オフセットネック部分324に隣接することができる。遠位開口部344は、先端328に隣接することができる。
【0058】
ポケット380を形成するための使用において、ポケット器具320の挿入部分326を、kワイヤ360に沿って近位中足骨部分2a内へ誘導することができる。オフセットネック324は、ポケット器具320のエルゴノミクスを改善するためにkワイヤ360からハンドル部分322を離隔させることができる。kワイヤ360は、チャネル340内に収容することができる。ポケット器具320は、kワイヤ360の長さに沿って近位中足骨部分2a内へ滑り込むことができる。ポケット器具320は、ポケット380を形成するために1つ又は2つ以上のソーイングストローク又はインパクト(例えば、ポケット器具320を叩くハンマからの)において、移動させることができる。ポケット380を形成した後、kワイヤ360及び挿入部分326を、近位中足骨部分2aから除去することができる。上で説明されるように、インプラントシステム100をポケット380内に設置することができる。
【0059】
図21~
図25を参照すると、発明の別の実施形態による外反母趾矯正インプラントシステム400は、釘402と、第1の締結具404aと、第2の締結具404bと、を含む。釘402は、切除された中足骨2の近位中足骨部分2a内へ長手方向に延在するように埋め込まれ得る。第1の締結具404aは、釘402の第1の部分を通して挿入され、これを中足骨2の遠位中足骨部分2bに固定することができる。第2の締結具404bは、釘402の第2の部分を通して挿入され、これを中足骨2の近位中足骨部分2aに固定することができる。
図1~
図20及び添付の説明に関して上で説明されるように、インプラントシステム400は、縫合糸を更に含み得、縫合糸は、MTP関節の内側被膜を通され、母趾の軟組織において固定され、中足骨に対する基節骨4の位置を再整列させるように緊張させられ、かつ/又は釘に固定され得る。
【0060】
インプラント釘402は、遠位端部であり得る第1の端部406から近位端部であり得る第2の端部408まで延在するモノリシック本体であることができる。釘402は、断面が略矩形であり得る。釘402は、外側であり得る内側410、内側であり得る外側412、上側414及び/又は下側416を有することができる。釘402は、ヘッド420を含むことができる。ヘッド420は、1つ第1の端部406にあることができる。釘402は、アンカー422を含むことができる。アンカー422は、第2の端部408にあることができる。釘402は、ネック424を含むことができる。ネック424は、ヘッド420とアンカー422との間に延在することができる。
【0061】
釘アンカー422及びネック424は、インプラント軸405に沿って延在することができる。釘ヘッド420は、ネック424から角度αで遠位に延在することができる。釘ヘッド420は、ヘッド第1の軸407に沿ってヘッド第1の端部426とヘッド第2の端部428との間に延在することができる。ネック外側表面とヘッド外側表面との間の角度αは、およそ25°であることができる。本発明の他の実装形態では、角度αは、0°~90°の範囲であり得る。望ましくは、角度αは、0°~60°の範囲であり得る。望ましくは、角度αは、15°~60°の範囲であり得る。少なくとも描写される実施形態では、釘402及び組み立てられたインプラント400は、インプラント軸405に対して、かつヘッド第1の軸407に対して左右対称である。
【0062】
釘ヘッド420は、第1の開口部430aを含む。第1の開口部430aは釘ヘッド420に中心を有することができる。第1の開口部430aは、ヘッド第2の軸410aに沿って延在することができる。ヘッド第2の軸410aは、インプラント軸405に対して角度A1であることができる。角度A1は、およそ0°~135°であることができる。望ましくは、角度A1は、30°~60°の範囲であり得る。ヘッド第2の軸410aは、埋め込み時に略内側-外側(ML)に延在し得る。第1の開口部430は、ヘッド外側415とヘッド内側413との間に延在することができる。第1の開口部430は、第1の締結具404aと係合するためのねじ山432aを含むことができる。他の実装形態は、ねじ山を有しない場合がある。凹状リップ434aは、第1の開口部430を取り囲むことができる。ヘッド第2の軸410aは、ヘッド第1の軸407に対して角度γであることができる。角度γは、およそ90°であることができる。望ましくは、角度γは、45°~135°の範囲であり得る。
【0063】
釘402は、第2の開口部430bを含むことができる。第2の開口部430bは、釘ヘッド420及び/又はネック424上にあることができる。第2の開口部430bは、ヘッド第3の軸410bに中心を有することができる。第2の開口部430bは、ヘッド外側415とヘッド内側413との間に延在することができる。ヘッド第3の軸410bは、インプラント軸405に対して角度A2であることができる。角度A2は、およそ45°未満であることができる。望ましくは、角度A2は、0°~90°の範囲であり得る。望ましくは、角度A2は、30°~60°の範囲であり得る。第2の開口部430bは、凹状リップ434bを含むことができる。いくつかの実装形態では、第2の開口部430bは、第2の締結具404bと係合するためのねじ山(図示せず)を含むことができる。
【0064】
ヘッド第2の端部428は、上下寸法に関してネック424よりも広くすることができる。ヘッド第2の端部428は、第1のショルダ440及び第2のショルダ442を含むことができる。ショルダ440、442は、ネック424とヘッド420との交差部においてネック424からそれぞれ上方及び下方へ突出することができる。第1のショルダ440は、第1の近位ショルダ表面441を含むことができる。第2のショルダ442は、第2の近位ショルダ表面443を含むことができる。近位ショルダ表面441、443は、ヘッド420から離れるように近位に面することができる。近位ショルダ表面441、443は、ネック上側及び下側414、416に対して直角であることができる。
【0065】
ヘッド420は、横方向ボア448を含むことができる。横方向ボア448は、ヘッド第1の軸407及びヘッド第2の軸410aに対して垂直なヘッド第4の軸411に沿って延在することができる。ヘッド第4の軸411は、埋め込み時に略上側-下側に(SI)延在することができる。内側413と外側415との間のヘッド420の厚さは、ヘッド第1の端部426とヘッド第2の端部428との間で増大することができ、これにより、ヘッド420の最も厚い部分はショルダ440、442にある。内側413と外側415との間のヘッド420のより大きな厚さは、近位中足骨部分2aの内側軸に対してヘッド420を更に外方へシフトさせることができる。横方向ボア448は、ヘッド420の最も厚い部分を通って延在することができる。
【0066】
ネック424は、ヘッド420とアンカー422との間に延在することができ、ヘッド420をアンカー422に接続することができる。内側及び外側410、412の間のネック424の厚さは、中足骨のシフトの所望の程度に応じて変化することができる。ネックの厚さは、ヘッド420とアンカー422との間でテーパしていることができる。上側414と下側416との間のネック424の幅もまた、変化し得る。第1及び第2の端部406、408の間の釘402の長さは、ヘッド、ネック及び/又はアンカー部分の相対長さのように、変化することができる。アンカー422は、ネック424と同軸であることができる。アンカー422は、ネック424から釘402の第2の端部408まで延在することができる。内側及び外側410、412の間のアンカー422の厚さ、並びに上側414と下側416との間のアンカー422の幅の両方は、釘第2の端部408に向かってテーパしていることができる。これは、中足骨2内への釘402の容易な挿入を促進することができる。
【0067】
第2の端部408におけるアンカー422は、丸み付けられている、尖っている、平坦である、鋸歯状である、又は別の形状であることができる。アンカー422は、複数の骨係合特徴部444を含むことができ、これらは、骨内での係合を促進するために、歯、スカロップ、鋸歯、又は他の形状として成形され得る。ネック424及びアンカー422は、補助的な固定又は器具接続のための開口部がない場合があるか、又は開口部を含み得る。
【0068】
締結具404aは、締結具ヘッド450a、駆動特徴459a、締結具シャフト452a、先端454a、釘ヘッド420におけるねじ山とロッキング係合するためのねじ山456a(例えば、開口部430a)、及び/又は骨に係合するためのねじ山458aを含むことができる。締結具404bは、締結具ヘッド450b、駆動特徴459b、締結具シャフト452b、先端454b、及び/又は骨に係合するためのねじ山458bを含むことができる。締結具404a/404bは、ロッキングねじタイプ締結具であることができる。他の実装形態では、締結具404a/404bは、ロッキング又は非ロッキングであることができ、多軸調節可能又は非多軸調節可能であり得る。釘402及び締結具404a/404bは、チタン、ステンレス鋼、PEEK、ニチノール、及び/若しくは他の剛性生体適合性材料、又はそれらの組み合わせを備え得る。
【0069】
インプラントシステム400は、
図1~
図20及び添付の文書に図示及び説明されるように患者の足への挿入プロセスにおいてインプラントシステム100の代わりに使用することができる。インプラントシステム400は、準備された近位中足骨部分2aの中へ釘402を固定するために以下の更なるステップを必要とすることができる。
【0070】
インサータ240のようなインプラントインサータは、近位中足骨部2aへ釘402を埋め込むために使用され得る。インプラント係合端部246は、開口部430a及び/又は430b又はさもなければ釘402と協働することができる。インプラント係合端部246は、釘402をインサータ240に取外し可能に取り付けるために釘ねじ山432a(又は第2の開口部430bにおける釘ねじ山)と係合することができるねじ山248を含むことができる。インサータ240は、アンカー422及びネック424を近位に、遠位に面する表面2c及び中足骨2の髄内腔内へ挿入するために移動させられる。望ましくは、係合端部246は開口部430bと協働することができ、これは、インサータ240をアンカー422及びネック424とより密接して整列させることができる。したがって、インサータ240は、アンカー422及びネックが挿入されるときに近位中足骨部分2aへより直接的に力を加えるために使用することができる。
【0071】
ヘッド420は、近位中足骨部分2aの遠位に残されることができる。必要に応じて、インサータ240は、釘402を近位中足骨部分2aにおける所定の位置へ駆動するために叩かれ得る。釘402は、ショルダ440、442の近位表面441、443が中足骨の遠位に面する表面2cに当接するように位置決めすることができる。釘ヘッド外側415は、遠位中足骨部分2bの内側表面2dにすぐ隣接していることができる。釘402が所望の位置に着座させられると、埋め込まれた釘402からインサータ240を取り外すために、インサータ240を回転させることができる。
【0072】
締結具404bは、釘402を近位中足骨部分2aに固定することができる。締結具404bを埋め込むためにドライバ(例えば、ねじ回し)を使用することができる。ドライバは、駆動特徴459bと結合することができる。先端454b及びシャフト452bは、第2の開口部430bに挿入することができる。締結具404bは、ねじ山458bを近位中足骨部分2aと係合させるために回転させることができる。締結具404bの設置は、有利には、中足骨2に対する釘402の位置を固定することができる。したがって、
図11A~
図12に示されかつ添付の説明において説明された縫合ステップ及び釘402に対する遠位中足骨部分2bの整列を、より正確に行うことができる。
【0073】
図26~
図29を参照すると、本発明の別の実施形態による外反母趾矯正インプラントシステム500は、釘502を含む。インプラントシステム500は、上で図示及び説明されるように患者の足への挿入プロセスにおいて、インプラントシステム400の代わりに使用することができる。釘502は、切除された中足骨2の近位中足骨部分2a内へ長手方向に延在するように埋め込まれ得る。釘502は、上で説明される締結具404a、404bと類似の形式で締結具によって固定することができる。
【0074】
インプラント釘502は、遠位端部であり得る第1の端部506から近位端部であり得る第2の端部508まで延在するモノリシック本体であることができる。釘502は、外側であり得る内側510、内側であり得る外側512、上側514及び/又は下側516を有することができる。釘502は、ヘッド520を含むことができる。ヘッド520は、1つ第1の端部506にあることができる。釘502は、アンカー522を含むことができる。アンカー522は、第2の端部508にあることができる。釘502は、ネック524を含むことができる。ネック524は、ヘッド520とアンカー522との間に延在することができる。
【0075】
釘アンカー522及びネック524は、インプラント軸505に沿って延在することができる。釘ヘッド520は、ヘッド軸507に沿って角度α1でネック524から離れるように遠位に延在することができる。(軸505に沿った)ネック外側表面と(ヘッド軸507に沿った)ヘッド外側表面との間の角度α1は、およそ25°であることができる。本発明の他の実装形態では、角度α1は、0°~90°の範囲であり得る。望ましくは、角度α1は、0°~60°の範囲であり得る。望ましくは、角度α1は、15°~60°の範囲であり得る。少なくとも描写される実施形態では、釘502及び組み立てられたインプラント500は、インプラント軸505に対して左右対称である。
【0076】
釘ヘッド520は、第1の開口部530a及び第2の開口部530bを含む。第1及び第2のヘッド開口部530a、530bは、それぞれの第1及び第2の軸510a、510bに沿って延在することができる。第1の軸510aは、インプラント軸505に対して角度B1であることができる。第2の軸510bは、インプラント軸505に対して角度B2であることができる。角度B1及びB2は等しくあり得るが、これは、必須ではない。角度B1、B2は、およそ0°~135°であることができる。望ましくは、角度B1、B2は、30°~90°の範囲であり得る。軸510a、501bは、埋め込み時に略内側-外側(ML)に延在し得る。第1及び第2の開口部530a、530bは、ヘッド外側とヘッド内側との間に延在することができる。第1及び第2の開口部530a、530bは、締結具と係合するためのねじ山532a、532bを含むことができる。他の実装形態は、ねじ山を有しない場合がある。凹状リップは、それぞれの第1及び第2の開口部530a、530bを取り囲むことができる。第1及び/又は第2の軸510a、510bは、軸507に対して垂直であることができる。
【0077】
釘502は、第3の開口部530cを含むことができる。第3の開口部530cは、釘ヘッド520及び/又はネック522上にあることができる。第3の開口部530cは、第3の軸510cに中心を有することができる。第3の開口部530cは、ヘッド外側とヘッド内側との間に延在することができる。ヘッド第3の軸510cは、インプラント軸505に対して角度B3であることができる。角度B3は、およそ45°未満であることができる。望ましくは、角度B3は、0°~90°の範囲であり得る。望ましくは、角度B3は、30°~60°の範囲であり得る。第3の開口部530cは、凹状又は先細のリップを含むことができる。いくつかの実装形態では、第3の開口部530cは、締結具と係合するためのねじ山(図示せず)を含むことができる。
【0078】
ネック524は、ヘッド520とアンカー522との間に延在することができ、ヘッド520をアンカー522に接続することができる。ネック524及び/又はアンカー522は、断面が略矩形であり得る。アンカー522は、ネック524から釘502の第2の端部508まで延在することができる。内側及び外側510、512の間のアンカー522の厚さ、並びに上側514と下側516との間のアンカー522の幅の両方は、釘第2の端部508に向かってテーパしていることができる。これは、中足骨2内への釘502の容易な挿入を促進することができる。ヘッド520は、横方向ボア548を含むことができる。横方向ボア548は、埋め込み時に略上側-下側に(SI)延在することができる。
【0079】
第2の端部508におけるアンカー522は、丸み付けられている、尖っている、平坦である、鋸歯状である、又は別の形状であることができる。アンカー522は、複数の骨係合特徴部544を含むことができ、これらは、骨内での係合を促進するために、歯、スカロップ、鋸歯、又は他の形状として成形され得る。ネック524及びアンカー522は、補助的な固定又は器具接続のための開口部がない場合があるか、又は開口部を含み得る。
【0080】
図30~
図33は、(例えば、中足骨2と基節骨4との間に形成された外反母趾を矯正するために)一対の骨の間の整列を調整するための釘402を含む外反母趾矯正インプラントシステム400のための設置方法の別の態様を示す。(例えば、
図4~
図8に示される方法に関連して上で説明されるように)切除切断によって中足骨2を、近位部分2a及び遠位部分2bに分割することができる。切除切断は、近位部分2a上に遠位に面する表面2cを形成することができる。釘402のアンカー部分422を中足骨2の近位部分2aの髄内腔へ挿入することができ、ヘッド420を遠位に面する表面2cの遠位に残す。ヘッド420が遠位に面する表面2cに接触するように、アンカー部分422を挿入することができる。ヘッド420は、遠位部分2bと整列することができる。任意選択的に、アンカー部分422の挿入を補助するためにポケット器具320を使用して近位部分2aの髄内腔内にポケットを形成することができる。
【0081】
任意選択的に、インサータ240を釘402のヘッド420に取り付けることができる。インサータ240は、近位部分2a内でのアンカー部分422の位置決めを補助することができる。インサータ240は、第1の開口部430aのねじ山と係合するねじ山を含むことができる。釘402が所望の位置に適切に着座されると、インサータ240は、埋め込まれた釘402からそれを係合解除するために回転させられ得る(例えば、ねじ山との係合解除)。埋め込まれると、釘402を近位部分2a内に固定するために1つ又は2つ以上の締結具(例えば、締結具404a)を釘402に挿入することができる。代替的に、
図30~
図33に関連して図示及び説明されるステップは、本明細書に説明されるインプラントシステム及び挿入ステップのいずれかとともに利用することができる。
【0082】
一対の骨(例えば、基節骨4及び中足骨2)の間の整列は、遠位部分2bの整列と近位部分2aとの間の調整によって完全に又は部分的に矯正することができる。遠位部分2bは、骨の矯正された位置を固定するために釘402のヘッド420と接続することができる。一般に、締結具619は、ヘッド420の第1の開口部430aを通って遠位部分2bに挿入することができる。
【0083】
しかしながら、本開示の一態様は、遠位部分2b及び基節骨4が正しい調整された位置にある状態で、釘402を通って、かつ遠位部分2b内へ、締結具を着座させる困難なステップの認識である。正しい調整された位置を達成することを補助するために、
図31に示されるように、下側又は内側などにおいて、kワイヤ614を遠位部分2に挿入することができる。遠位部分2bは、釘ヘッド420に対する遠位部分2bの位置決めの間に、遠位部分2bの回転(前頭面)移動を制御することができる。釘402及び近位部分2aに対して、遠位部分2bを矯正された構成に整列させるために、kワイヤ614を使用することができる。正しい調整された位置において、開口部430aに中心を有する遠位部分上の位置を識別及び/又はマークすることができる。第1の開口部430aを通って遠位部分2b内へkワイヤ618を挿入することができる。正しい調整された位置において開口部430aの中心においてkワイヤ618を遠位部分2bへ挿入することができる。代替的に、近位部分2aと遠位部分2bとの間の整列が正しい調整された位置に調整される前に、kワイヤ618を遠位部分2bへ挿入することができる。望ましくは、kワイヤ614及び/又は618は、遠位部分2bを釘ヘッド420及び近位部分2aと整列させるために使用することができる。kワイヤ618は、矯正された構成において、第1の開口部430a内で中心合わせされることができる。
【0084】
図32に示されるように、締結具619(骨ねじなど)を受容するために遠位部分2b内に空洞を事前穿孔するために、
図32に示されるようなドリル若しくはリーマなどのカニューレ状器具615、又は従来のドリルを使用することができる。カニューレ状器具615は、kワイヤ618上を摺動することによって、遠位部分2bと整列させることができる。kワイヤ614及び/又は618は、正しく整列したポケットを形成するためにカニューレ状器具615の使用中に遠位部分2bと近位部分2aとの間の矯正されて整列した状態を外科医が保持することを補助することができる。kワイヤ618を使用することによって、正しく整列したポケットは、誤差(例えば、遠位部分2bの望ましくない移動に起因するをほとんど又は全く有しないことができる。
【0085】
締結具619は、カニューレ状とすることができる。締結具619は、(例えば、カニューレ状ドライバなどを使用して)kワイヤ618上を摺動することによって挿入することができる。締結具619は、カニューレ状ドライバ620を使用して挿入することができる。kワイヤ614、618は、矯正されて整列した状態を固定するために締結具619の挿入中に遠位部分2bと近位部分2aとの間の矯正されて整列した状態を外科医が保持することを補助することができる。kワイヤ618を使用することによって、締結具619の挿入は、ほとんど又は全く誤差なしで行うことができる。
【0086】
締結具619の挿入後、締結具619を所定の位置に残してkワイヤ618を除去することができる。第2の締結具は、釘402を通して近位部分2b内へ第2の開口部430bを通して挿入することができる。任意選択的に、整列の最終調整は、上で説明されるように、インプラントボア448を通して縫合糸を使用して行うことができる。
【0087】
中足骨と母趾との間の関節に形成された外反母趾を矯正するためのキットであって、キットは、以下の特徴を含むことができる:釘402、kワイヤ614、618、インサータ240、カニューレ状器具615、及び釘を骨部分に固定するための1つ又は2つ以上の締結具。釘102、402、502のうちのいずれかを使用することができる。釘は、アンカー部分及びヘッド部分を含むことができる。ヘッド部分は、雌ねじ山を含む第1の開口部及び/又は第2の開口部(例えば、530a、530b)を含むことができる。ヘッド部分とアンカー部分との間のネック部分は、第3の開口部(例えば、530c、430b)を含むことができる。カニューレ状骨ねじ619は、ヘッド及びねじ山付きシャフトを含むことができる。インサータ240は、ハンドル242と、第1の開口部430aの雌ねじ山とねじ係合するように構成された係合端部246と、を含むことができる。アンカー部分は、第1の骨片に挿入されるように構成されており、ヘッド部分は、第2の骨片と整列させられるように構成されており、第1のkワイヤは、第1の開口部を通して第2の骨片へ挿入されるように構成されており、カニューレ状骨ねじは、第2の骨片を釘に固定するために、第1のkワイヤ上に挿入され、第2の骨片内へ前進させられるように構成されている。第2のkワイヤは、第2の骨片に挿入されるように構成されている。第2の締結具は、ヘッド部分釘の第2の開口部を通して第2の骨片に挿入されるように構成されている。カニューレ状リーマは、第1のkワイヤ上に挿入されて、カニューレ状骨ねじを受容するためのポケットを第2の骨片に形成するように構成されている。釘のヘッド部分は、ショルダを含むことができる。釘は、ヘッド部分とアンカー部分との間にネック部分を含むことができる。ネック部分は、第1の骨片と整列させられるように構成された第3の開口部を含むことができる。
【0088】
本明細書に開示されるいかなる方法も、説明される方法を実行するための1つ又は2つ以上のステップ又は行為を含む。方法ステップ及び/又は行為は、互いに交換され得る。言い換えれば、実施形態の適切な動作のために具体的な順序のステップ又は行為が必要とされない限り、具体的なステップ及び/又は行為の順序及び/又は使用は、修正され得る。
【0089】
本明細書全体を通して「一実施形態」又は「実施形態」への言及は、その実施形態に関連して説明された特定の特徴、構造、又は特性が、少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、本明細書を通して列挙される引用された句又はその変形は、必ずしも全てが同じ実施形態を参照しているわけではない。
【0090】
同様に、実施形態の上記の説明では、様々な特徴が、時として、本開示を合理化する目的で、単一の実施形態、図、又はその説明において、ともにグループ化されることを理解されたい。しかしながら、本開示の方法は、いかなる請求項も、その請求項に明示的に記載されているものよりも多くの特徴を必要とするという意図を反映すると解釈されるべきではない。むしろ、以下の特許請求の範囲が反映するように、本発明の態様は、任意の単一の前述の開示された実施形態の全ての特徴よりも少ない特徴の組み合わせにある。したがって、この詳細な説明に続く特許請求の範囲は、この詳細な説明に明示的に組み込まれ、各請求項は、別個の実施形態として独立している。本開示は、独立請求項とそれらの従属請求項との全ての置換を含む。
【0091】
特徴又は要素に関する「第1の」という用語の特許請求の範囲における記載は、第2の又は追加のそのような特徴又は要素の存在を必ずしも意味しない。ミーンズ・プラス・ファンクション形式で列挙される要素は、合衆国法典第35巻112条第6段落に従って解釈されることが意図されている。本発明の基本原理から逸脱することなく、上で説明される実施形態の詳細に変更が加えられ得ることは、当業者には明らかであろう。
【0092】
本発明の特定の実施形態及び用途が例解及び説明されているが、本発明は、本明細書に開示された正確な構成及び構成要素に限定されないことを理解されたい。本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、本明細書に開示された本発明の方法及びシステムの配設、動作、及び詳細において、当業者に明らかとなる様々な修正、変形、及び変更がなされ得る。
【0093】
本明細書で使用するとき、「およそ」、「約」、及び「実質的に」という用語は、依然として所望の機能を実施するか、又は所望の結果を達成する、記載された量に近い量を表す。例えば、いくつかの実施形態では、文脈が示し得る際、「およそ」、「約」、及び「実質的に」という用語は、記載された量の10%以下の範囲内にある量を指し得る。本明細書で使用される「略」という用語は、ある値、量、若しくは特性を主に含む、又は特定の値、量、若しくは特性に向かう傾向がある値、量、若しくは特性を表す。一例として、特定の実施形態では、文脈が示し得る際、「略平行」という用語は、正確に平行から20度以下離れるものを指すことができる。全ての範囲は、端点を含む。
【0094】
〔実施の態様〕
(1) 中足骨と母趾との間の関節に形成された外反母趾を矯正するための方法であって、
前記中足骨の側部に沿って切開部を形成することと、
前記中足骨を第1の中足骨部分及び別個の第2の中足骨部分に切除することであって、前記第1の中足骨部分が、前記切除によって形成された遠位に面する表面を有する、切除することと、
前記切開部を通して前記第1の中足骨部分の前記遠位に面する表面にインプラントを埋め込むことであって、前記インプラントが、ヘッド及びアンカーを有するモノリシック本体を備える、埋め込むことと、
前記第1の中足骨部分と前記第2の中足骨部分との間の整列を調整することと、
前記インプラントの前記ヘッドの第1の開口を前記第2の中足骨部分と整列させることと、
前記第1の開口を通して前記第2の中足骨部分にkワイヤを挿入することと、を含む、方法。
(2) 前記kワイヤ上にカニューレ状ねじを摺動させ、前記第1の開口を通して前記第2の中足骨部分へ前記カニューレ状ねじを挿入することを更に含む、実施態様1に記載の方法。
(3) 前記第2の中足骨部分に空洞を事前穿孔することを更に含み、前記空洞が、前記カニューレ状ねじを受容するように構成されている、実施態様2に記載の方法。
(4) 前記空洞が、前記kワイヤに沿って整列させられたカニューレ状器具を使用して形成される、実施態様3に記載の方法。
(5) 前記第1の中足骨部分に前記インプラントヘッドを取り付けることが、前記インプラントヘッドの第2の開口を通して前記第1の中足骨部分へ第2のねじを挿入することを含む、実施態様1に記載の方法。
【0095】
(6) ある長さの縫合糸を前記母趾に固定し、前記第1の中足骨部分に対して前記母趾を再整列させるために前記縫合糸を緊張させ、前記ある長さの縫合糸を前記インプラントヘッドに取り付けることを更に含む、実施態様1に記載の方法。
(7) 前記第1の中足骨部分上の前記遠位に面する表面を露出させるために前記第2の中足骨部分を並進させることを更に含む、実施態様1に記載の方法。
(8) 前記第2の中足骨部分に前記kワイヤを挿入することが、前記関節が矯正されて整列した状態で行われる、実施態様1に記載の方法。
(9) 前記kワイヤが、前記開口に対して中心合わせされた位置において挿入される、実施態様8に記載の方法。
(10) 前記kワイヤが、前頭面において前記第2の中足骨部分の移動を制御するように構成されている、実施態様1に記載の方法。
【0096】
(11) 中足骨と母趾との間の関節に形成された外反母趾を矯正するためのキットであって、
釘であって、
アンカー部分と、
雌ねじ山を含む第1の開口部を含むヘッド部分と、を備える、釘と、
カニューレ状骨ねじであって、
ヘッドと、
ねじ山付きシャフトと、を備える、カニューレ状骨ねじと、
インサータであって、
ハンドルと、
前記第1の開口部の前記雌ねじ山とねじ係合するように構成されたねじ山付き端部と、を備える、インサータと、
第1のkワイヤと、を備え、
前記アンカー部分が、第1の骨片に挿入されるように構成されており、前記ヘッド部分が、第2の骨片と整列させられるように構成されており、前記第1のkワイヤが、前記第1の開口部を通して前記第2の骨片へ挿入されるように構成されており、前記カニューレ状骨ねじが、前記第2の骨片を前記釘に固定するために、前記第1のkワイヤ上に挿入され、前記第2の骨片内へ前進させられるように構成されている、キット。
(12) 前記第2の骨片に挿入されるように構成された第2のkワイヤを更に備える、実施態様11に記載のキット。
(13) 前記ヘッド部分における第2の開口部を通して前記第2の骨片へ挿入されるように構成された第2の締結具を更に備える、実施態様11に記載のキット。
(14) 前記カニューレ状骨ねじを受容するために前記第2の骨片にポケットを形成するために前記第1のkワイヤ上に挿入されるように構成されたカニューレ状器具を更に備える、実施態様11に記載のキット。
(15) 前記釘の前記ヘッド部分が、ショルダを備える、実施態様11に記載のキット。
【0097】
(16) 前記釘が、前記ヘッド部分と前記アンカー部分との間にネック部分を備え、前記ネック部分が、前記第1の骨片と整列させられるように構成された第2の開口部を備える、実施態様11に記載のキット。
【国際調査報告】