IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ テクノロギアン トゥトキムスケスクス ヴェーテーテー オイの特許一覧

特表2024-506110少なくとも1つの量子コンポーネントをシールドするためのデバイス
<>
  • 特表-少なくとも1つの量子コンポーネントをシールドするためのデバイス 図1
  • 特表-少なくとも1つの量子コンポーネントをシールドするためのデバイス 図2
  • 特表-少なくとも1つの量子コンポーネントをシールドするためのデバイス 図3
  • 特表-少なくとも1つの量子コンポーネントをシールドするためのデバイス 図4
  • 特表-少なくとも1つの量子コンポーネントをシールドするためのデバイス 図5A
  • 特表-少なくとも1つの量子コンポーネントをシールドするためのデバイス 図5B
  • 特表-少なくとも1つの量子コンポーネントをシールドするためのデバイス 図5C
  • 特表-少なくとも1つの量子コンポーネントをシールドするためのデバイス 図5D
  • 特表-少なくとも1つの量子コンポーネントをシールドするためのデバイス 図5E
  • 特表-少なくとも1つの量子コンポーネントをシールドするためのデバイス 図6
  • 特表-少なくとも1つの量子コンポーネントをシールドするためのデバイス 図7
  • 特表-少なくとも1つの量子コンポーネントをシールドするためのデバイス 図8
  • 特表-少なくとも1つの量子コンポーネントをシールドするためのデバイス 図9
  • 特表-少なくとも1つの量子コンポーネントをシールドするためのデバイス 図10
  • 特表-少なくとも1つの量子コンポーネントをシールドするためのデバイス 図11
  • 特表-少なくとも1つの量子コンポーネントをシールドするためのデバイス 図12
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-08
(54)【発明の名称】少なくとも1つの量子コンポーネントをシールドするためのデバイス
(51)【国際特許分類】
   H01L 23/02 20060101AFI20240201BHJP
   H10N 60/80 20230101ALI20240201BHJP
   H01L 25/04 20230101ALI20240201BHJP
【FI】
H01L23/02 A
H10N60/80 A
H01L25/04 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023550706
(86)(22)【出願日】2022-02-17
(85)【翻訳文提出日】2023-10-04
(86)【国際出願番号】 FI2022050102
(87)【国際公開番号】W WO2022180301
(87)【国際公開日】2022-09-01
(31)【優先権主張番号】20215203
(32)【優先日】2021-02-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FI
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】512068592
【氏名又は名称】テクノロギアン トゥトキムスケスクス ヴェーテーテー オイ
【氏名又は名称原語表記】TEKNOLOGIAN TUTKIMUSKESKUS VTT OY
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(72)【発明者】
【氏名】レフティネン ヤンネ
(72)【発明者】
【氏名】ケンッピネン アンッティ
(72)【発明者】
【氏名】ミッカネン エマ
(72)【発明者】
【氏名】プルンニラ ミカ
(72)【発明者】
【氏名】ロンザニ アルベルト
【テーマコード(参考)】
4M114
【Fターム(参考)】
4M114BB05
4M114DA17
(57)【要約】
熱放射線から少なくとも1つのコンポーネントをシールドするためのデバイス(100)であって、このデバイスは、少なくとも、第1の表面(104)及び第2の表面(106)を有する第1の基板(102)と、第1の表面(110)及び第2の表面(112)を有する第2の基板(108)とを備え、第2の基板の第1の表面は、第1の基板の第2の表面に少なくとも部分的に対面するように配置されている、デバイス(100)。このデバイスは、第2の基板の第1の表面、又は第1の基板の第2の表面上に配置された少なくとも第1のコンポーネント(114)と、導電性材料を含む複数のシールド素子(116、118、120)を含むシールド構成であって、そのシールド素子は、少なくとも第1のコンポーネントを本質的に取り囲み、第1のコンポーネントが位置するシールド領域を提供するように構成されている、シールド構成と、を追加的に備え、選択された第1の波長よりも長い波長を有する電磁放射線は、シールド領域に到達することを本質的に防止される。
【選択図】図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱放射線から少なくとも1つのコンポーネントをシールドするためのデバイス(100)であって、前記デバイスは、
-第1の表面(104)と第2の表面(106)とを有する第1の基板(102)と、
-第1の表面(110)と第2の表面(112)とを有する第2の基板(108)であって、前記第2の基板の前記第1の表面が、前記第1の基板の前記第2の表面に少なくとも部分的に対面するように配置されている、第2の基板(108)と、
-前記第2の基板の前記第1の表面、又は前記第1の基板の前記第2の表面上に配置された少なくとも第1のコンポーネント(114)と、
-導電性材料を含む複数のシールド素子(116、118、120)を備えるシールド構成であって、前記シールド素子は、少なくとも前記第1のコンポーネントを本質的に囲んで、中に前記第1のコンポーネントが位置するシールド領域を提供するように構成されている、シールド構成と、を少なくとも備え、
選択された第1の波長よりも長い波長を有する電磁放射線が前記シールド領域に到達することを本質的に防止する、デバイス(100)。
【請求項2】
前記シールド素子が、少なくとも3つのシールド素子を含み、上部シールド素子(116)が、前記第1の基板と関連付けられており、下部シールド素子(118)が、前記第2の基板と関連付けられており、少なくとも1つの結合シールド素子(120)が、前記第1の基板と前記第2の基板との間に配設されて、前記上部シールド素子及び前記下部シールド素子を結合し、前記結合シールド素子が、前記少なくとも1つの第1のコンポーネントを実質的に取り囲む、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記シールド素子のうちの1つ以上が、開口部を備え、前記開口部の最大寸法(d)が、選択された閾値を下回る、請求項1又は2に記載のデバイス。
【請求項4】
前記デバイスが、前記第2の基板の前記第1の表面、又は前記第1の基板の前記第2の表面上に配置された少なくとも第2のコンポーネントを備え、前記結合シールド素子が、前記第1のコンポーネント及び前記第2のコンポーネントを別々に取り囲むように構成されている、請求項2又は3に記載のデバイス。
【請求項5】
前記シールド構成が、前記第1のコンポーネント及び前記結合シールド素子を取り囲むように構成されている外側結合シールド素子を追加的に備え、更に、前記デバイスが、前記第2の基板の前記第1の表面、又は前記第1の基板の前記第2の表面上に配置された少なくとも更なるコンポーネントを追加的に任意選択的に備え、前記更なるコンポーネントが、前記シールド領域の外側に位置し、かつ前記外側結合シールド素子によって取り囲まれている、請求項2又は3に記載のデバイス。
【請求項6】
前記デバイスが、少なくとも前記第1のコンポーネントを冷却するための冷却装置を備え、任意選択的に、前記冷却装置は、前記第2の基板が熱電冷却素子である熱電冷却装置である、請求項1~5のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項7】
前記デバイスが、第1の表面と第2の表面とを有する少なくとも第3の基板を追加的に備え、前記第3の基板の前記第1の表面が、前記第2の基板の前記第2の表面に少なくとも部分的に対面するように配置されており、任意選択的に、前記デバイスは、各々がそれぞれの第1の表面及び第2の表面を有する複数の後続の基板を追加的に備え、前記後続の基板の前記第1の表面が、形成された基板のスタック内の先の基板の前記第2の表面に少なくとも部分的に対面するように配置されている、請求項1~6のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項8】
前記基板の少なくとも一部分が、少なくとも前記第1のコンポーネントを冷却するためのカスケード冷凍システムを提供するように配置されており、少なくとも前記第1の基板の温度が、前記第2の基板及び/又は前記スタック内の1つ以上の更なる基板の前記温度よりも低い温度まで冷却され、かつ、前記第2の基板の前記温度が、前記スタック内の少なくとも1つの更なる基板の前記温度よりも低い温度まで冷却され、前記更なる基板のうちの少なくとも1つが、任意選択的に、熱電冷却素子である、請求項7に記載のデバイス。
【請求項9】
前記デバイスが、前記第2の基板若しくは前記後続の基板の前記第1の表面、又は前記第2の基板若しくは前記後続の基板の前記第2の表面上に配置された少なくとも予備のコンポーネントを追加的に備え、前記シールド構成は、前記第1のコンポーネント及び前記予備のコンポーネントを本質的に別々に囲んで、任意選択的に、選択された予備の波長よりも長い波長を有する電磁放射線が前記予備のコンポーネントに到達することを本質的に防止するように構成されており、更に、前記シールド構成が、好ましくは、少なくとも5つのシールド素子を備え、前記少なくとも5つのシールド素子のうちの少なくとも3つは、前記第1のコンポーネント及び前記予備のコンポーネントの各々が上部シールド素子を有する隣接する基板、及び下部シールド素子を有する更なる隣接する基板を有するように、1つ以上の基板と関連付けられており、前記シールド構成は、前記結合シールド素子が上部シールド素子及び下部シールド素子を結合するように、2つの基板の間に配設された少なくとも2つの結合シールド素子を追加的に備え、前記結合シールド素子が、前記第1のコンポーネント又は前記予備のコンポーネントを実質的に各々取り囲む、請求項7又は8に記載のデバイス。
【請求項10】
前記デバイスが、冷却装置を備え、任意選択的に、前記デバイスが、外部予冷装置に結合されており、前記第1の基板の前記温度が、前記少なくとも第2の基板の温度よりも低い目標温度まで冷却され、好ましくは、前記目標温度が、1K未満であり、より好ましくは500mK未満であり、最も好ましくは100mK未満である、請求項1~9のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項11】
前記少なくとも第1のコンポーネントが、量子コンポーネント又は低温コンポーネントである、請求項1~10のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項12】
前記デバイスが、前記シールド領域に位置決めされた吸収素子を追加的に備え、前記吸収素子が、選択された波長を有する電磁放射線を吸収することができる材料を含み、前記選択された波長が、好ましくは、前記第1の波長未満である、請求項1~11のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項13】
熱放射線から少なくとも1つのコンポーネントをシールドするためのデバイスを製造する方法であって、前記方法は、
-第1の表面と第2の表面とを有する第1の基板を提供すること(202)と、
-第1の表面と第2の表面とを有する第2の基板を提供すること(204)と、
-前記第2の基板の前記第1の表面上、又は前記第1の基板の前記第2の表面上に、少なくとも第1のコンポーネントを配置すること(206)と、
-前記第2の基板の前記第1の表面を、前記第1の基板の前記第2の表面に少なくとも部分的に対面するように配置すること(208)と、
-導電性材料を含む複数のシールド素子を備えるシールド構成を提供することと、
-少なくとも前記第1のコンポーネントを本質的に囲んで、シールド領域を提供し、選択された第1の波長よりも長い波長を有する電磁放射線が前記シールド領域に到達することを本質的に防止するように、前記シールド素子を構成することと、を少なくとも含む、方法。
【請求項14】
前記シールド構成を前記提供することが、少なくとも3つのシールド素子を提供することを含み、前記少なくとも3つのシールド素子を前記提供することが、前記第1の基板と関連付けられている上部シールド素子を提供すること(210)と、前記第2の基板と関連付けられている下部シールド素子を提供すること(212)と、前記第1の基板と前記第2の基板との間に配設されて、前記上部シールド素子及び前記下部シールド素子を結合する少なくとも1つの結合シールド素子を提供すること(214)と、を含み、前記結合シールド素子が、前記少なくとも1つの第1のコンポーネントを実質的に取り囲む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記結合シールド素子を提供することが、フリップチップ、ウエハレベルパッケージング、又は、前記基板の間に前記結合シールド素子を提供して機械的力及び/若しくは熱を加えることの群から選択される方法を通じて実行される、請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、電子デバイスに関する。より具体的には、本発明は、少なくとも1つのコンポーネントをシールドするためのシールド構成を備えるデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
多くの電子コンポーネントは、電磁放射線に敏感である。例えば、特に、量子コンポーネントは、熱放射線に非常に影響されやすい。量子エレクトロニクスの基本的な特性は、エネルギーギャップの存在であり、これは、典型的には、約5GHzの光子周波数で励起され得る。電磁雑音はまた、超伝導体中に準粒子を生成し得、基板及び他の絶縁層などの、量子コンポーネントの受動部品内に二準位系を励起し得る。したがって、量子電子コンポーネントは、それらの全パワーが非常に小さい場合でも、高周波光子には極めて敏感である。
【0003】
したがって、量子エレクトロニクスは、通常、極低温度を有する容積内に設置される。また、極低温エレクトロニクスを冷凍機内に設置することも、通常、十分ではない。極低温の量子電子コンポーネントの物理的な容積が小さいため、それらの電子及びフォノン系は、異なる温度とすることができる。極低温において、電子とフォノンとの間の結合は弱く、チップスケールの量子及び古典的なエレクトロニクスの容積が小さいことに起因して、電子温度は、冷凍機によって提供されるフォノン温度を超えて容易に上昇し得る。
【0004】
しかしながら、熱背景光子スペクトルなどの電磁雑音は、量子又は他の極低温コンポーネントが設置される極低温容積内で、依然として問題である。量子コンポーネントを含む量子デバイスにおける光子雑音スペクトルは、デバイス/コンポーネント動作にとって有害である高周波(マイクロ波からテラヘルツ波まで)コンポーネントを含み得る。
【0005】
熱放射線からコンポーネントをシールドするための既存の対策には、重大な弱点がある。例えば、異なるクライオスタットは、異なるサンプルステージ及び配線対策を有しており、したがって、極低温及び量子エレクトロニクスの性能は、クライオスタット間で異なり得る。更に、極低温空間は、常に貴重であり、多くの既存のサンプルステージ対策は、かさばり過ぎる。
【0006】
熱雑音は、熱放出カットオフ周波数fc=k*T/hを超えると指数関数的に消失し、式中、kは、ボルツマン定数であり、Tは、温度であり、hは、プランク定数である。例えば、1GHzを上回る雑音は、約50mKの温度で理想的には消失する。したがって、ミリケルビン冷凍機は、ギガヘルツ範囲において、理想的には実用上、雑音のない状態とすることができる。残念なことに、放射線シールドを貫通するマイクロ波雑音バックグラウンドが存在するため、これは、通常、そのようなケースではない。
【0007】
高周波(小波長)放射線は、サンプルステージの微小ホールでさえも貫通し得る。サンプルを変更するためには、サンプルステージを開けることができなければならず、実際には、いずれの接合部も、放射線漏れを受けやすい。複数の入れ子式シールド及び真空気密シールドは、この問題に役立ち得るが、それらは、実用的な目的には、容易に大き過ぎて持ち運びにくい可能性がある。ミリケルビン温度まで冷凍された容積は、常に、非常に高価であり、小型軽量化は、量子技術においては、これまでになくより重要な問題である。更に、量子技術は、独自のサンプルステージ及び配線対策を有し得る様々な低温保持装置と互換性であるべきである。
【0008】
いずれの極低温技術にも共通する重要な問題は、従来のミリケルビン冷凍機の価格及びサイズである。そのような温度は、例えば、希釈冷凍機を用いて達成することができるが、その希釈冷凍機は、通常、数ケルビンの温度を提供するパルスチューブステージと、数ケルビンから開始するミリケルビン温度を達成することができる高価な希釈ステージとからなる。希釈冷凍機は、依然として、大型であり、複雑であり、かつ高価である。
【発明の概要】
【0009】
本発明の目的は、先行技術における問題の少なくともいくつかを軽減することである。本発明の一態様によれば、熱放射線から少なくとも1つのコンポーネントをシールドするためのデバイスが提供され、そのデバイスは、少なくとも、第1の表面及び第2の表面を有する第1の基板と、第1の表面及び第2の表面を有する第2の基板であって、第2の基板の第1の表面は、第1の基板の第2の表面に少なくとも部分的に対面するように配置されている、第2の基板と、を備える。このデバイスは、第2の基板の第1の表面、又は第1の基板の第2の表面上に配置された少なくとも第1のコンポーネントと、導電性材料を含む複数のシールド素子を含むシールド構成と、を追加的に備える。シールド素子は、少なくとも第1のコンポーネントを本質的に取り囲み、第1のコンポーネントが位置するシールド領域を提供するように構成されており、選択された第1の波長よりも長い波長を有する電磁放射線は、シールド領域に到達することを本質的に防止される。
【0010】
熱放射線から少なくとも1つのコンポーネントをシールドするためのデバイスを製造するための方法もまた提供され、この方法は、少なくとも、第1の表面及び第2の表面を有する第1の基板を提供することと、第1の表面及び第2の表面を有する第2の基板を提供することと、第2の基板の第1の表面を、第1の基板の第2の表面に少なくとも部分的に対面するように配置することと、を含む。この方法はまた、第2の基板の第1の表面上、又は第1の基板の第2の表面上に、少なくとも第1のコンポーネントを配置することと、導電性材料を含む複数のシールド素子を含むシールド構成を提供することと、を含む。この方法は、少なくとも第1のコンポーネントを本質的に取り囲み、シールド領域を提供して、選択された第1の波長よりも長い波長を有する電磁放射線がシールド領域に到達することを本質的に防止するように、シールド素子を構成することと、を更に含む。
【0011】
本発明は、少なくとも1つのコンポーネントが例えば、熱放射線からシールドされ得るオンチップ放射線シールドを有するデバイスを提供する。コンポーネントはまた、シールド領域の外側にあるデバイスの一部分からの、デバイス自体から発生する放射線からもシールドされ得る。コンポーネントは、シールドがデバイスの任意の動作中に開放又は分解される必要がない様式で、小型のデバイス内において高温又は雑音環境からシールドされ得る。
【0012】
本発明のチップスケールの放射線シールドは、多くのタイプの冷凍機と互換性のある極低温及び量子エレクトロニクスを開発することに役立ち得る。本発明は、先行技術、例えば、金属サンプルホルダーよりも小型の対策を提供することができ、したがって、量子技術を小型軽量化することに役立ち得、これは、量子技術を発展させ、かつ運用コストを最小限に抑えるために、極めて重要である。本発明は、熱放射線が、冷却された能動量子コンポーネントに到達するのを防止又は少なくとも低減することによって、電気冷凍機を用いた量子技術の使用を可能にすることができる。
【0013】
一実施形態では、シールド素子は、少なくとも3つのシールド素子を含み得、上部シールド素子は、第1の基板と関連付けられ、下部シールド素子は、第2の基板と関連付けられ、結合シールド素子は、第1の基板と第2の基板との間に配設されて、上部シールド素子及び下部シールド素子を結合し、結合シールド素子は、少なくとも1つの第1のコンポーネントを実質的に取り囲む。
【0014】
シールド素子は、あるタイプのファラデーケージをシールド領域内の少なくとも1つのコンポーネントに提供するように構成され得、筐体又は空洞(シールド領域)の外側からの電磁放射線又は雑音が、例えば、空洞内の量子コンポーネントに到達するのを防止する。空洞はまた、有利なことに、とても小さいため、非常に高い周波数の放射線のみが、その空洞内に共振モードを有することができる。
【0015】
空洞内に共振モードを有することができる放射線の最小周波数は、空洞の最大寸法、すなわち、長さ、幅、又は高さによって決定される。例えば、長さ1mm、幅1mm、及び高さ1mmを有する空洞の場合、最小共振周波数は、150GHzとなり、一方、長さ0.1mm、幅0.1mm、及び高さ0.1mmを有する空洞の場合、最小共振周波数は、1.5THzとなる。
【0016】
更に、例えば、第1の(量子)コンポーネント自体がRF信号を必要とする場合、ファラデーケージ/導電性表面はまた、第1の基板と第2の基板との間の真空内にRF電界の大部分を配置し直すこともでき、基板内の二準位系への結合を回避し、これは、真空がこれらを含まないため、RF信号の二準位系への結合を低減又は防止することによって、エネルギー損失を低減することができる。
【0017】
一実施形態では、デバイスのシールド素子のうちの1つ以上は、開口部を含み得、開口部の最大寸法は、選択された閾値未満である。
【0018】
いくつかの実施形態では、結合シールド素子は、複数の結合シールド素子を含み得、隣接する結合シールド素子間の距離は、選択された閾値距離未満である。
【0019】
隣接する結合素子間の選択された閾値距離、又は開口部の最大寸法についての選択された閾値は、第1の波長を介して選択/決定され得、その結果、閾値距離又は値は、第1の波長よりも長い波長を有する電磁放射線のみが、異なるシールド素子間に形成された開口部を通過することを可能にするものである。
【0020】
一実施形態では、結合シールド素子は、フリップチップ、ウエハレベルパッケージング、又は、基板間に結合シールド素子を提供して機械的力及び/若しくは熱を加えることの群から選択された方法を通じて提供され得る。
【0021】
上部及び/又は下部シールド素子の提供は、例えば、メタライゼーションによって、又は基板材料内に半導体をドープすることによって、第1の基板及び/若しくは第2の基板の上に導電性材料を設けるためのよく知られた方法によって実行され得る。本発明のいくつかの実施形態では、結合シールド素子の提供は、3D統合法によって実行され得る。デバイスの製造は、高速であり得、実装するのに容易であり得、かつ/又は経済的であり得る。また、本方法を用いると、デバイスの大規模な製造もまた、便宜的な様式で実現可能であり得、一方、最終製品としてのデバイスの品質は、高レベルに維持され得る。
【0022】
一実施形態では、デバイスは、第2の基板の第1の表面、又は第1の基板の第2の表面上に配置された少なくとも第2のコンポーネントを備え得、結合シールド素子は、第1のコンポーネント及び第2のコンポーネントを別々に取り囲むように構成される。
【0023】
したがって、本発明は、複数のコンポーネントが別個のシールド領域内に提供され得るデバイスを提供するために利用され得る。1つ以上のコンポーネントは、第1のシールド領域内に提供され得、一方、1つ以上のコンポーネントは、例えば、第2の可能性のある後続のシールド領域内に提供され得る。第1のシールド領域及び後続のシールド領域は、本質的に類似するように構成され得るか、又は、異なるシールド領域は、互いに異なるように構成され得る。例えば、第1のシールド領域は、その中に位置する1つ以上のコンポーネントを、第1の波長よりも長い波長を有する電磁放射線からシールドするように構成され得、一方、第2のシールド領域は、第2のシールド領域内に位置する1つ以上のコンポーネントを、選択された第2の波長よりも長い波長を有する電磁放射線からシールドするように構成され得る。
【0024】
一実施形態では、シールド構成は、第1のコンポーネント及び結合シールド素子を取り囲むように構成されている外側結合シールド素子を追加的に備え得る。次いで、デバイスは、第2の基板の第1の表面、又は第1の基板の第2の表面上に配置された少なくとも更なるコンポーネントを追加的に任意選択的に含み得、更なるコンポーネントは、シールド領域の外側に位置し、かつ外側の結合シールド素子によって取り囲まれる。したがって、デバイスは、第1のコンポーネントが2つの入れ子式空洞(少なくとも上部シールド素子、下部シールド素子、及び内側結合シールド素子を通って提供される内側空洞、並びに、少なくとも上部シールド素子、下部シールド素子、及び外側結合シールド素子を通って提供される外側空洞又は外側シールド領域)内に本質的に密閉されている入れ子式シールド領域を提供することができ、少なくとも第1のコンポーネントのために強化されたシールドを提供し、また、外側空洞又は外側シールド領域内に位置する更なるコンポーネントのためのシールドを任意選択的に提供する。
【0025】
デバイスの一実施形態は、少なくとも第1のコンポーネントを冷却するための冷却装置を備え得るか、又はその冷却装置に結合され得る。冷却装置は、第2の基板が熱電冷却素子である熱電冷却装置であってもよい。
【0026】
本発明によれば、デバイス、又はその少なくとも一部分は、冷却デバイスを利用することによって、選択された温度まで冷却され得る。本発明は、デバイス及びコンポーネントを動作させる方式を提供することができ、この場合、コンポーネントは、所望の温度に保持され得、同時に、デバイスが小型で自己完結型である場合に放射線からシールドされ得る。
【0027】
デバイスの異なる部分は、異なる温度まで冷却され得る。
【0028】
デバイスの実施形態は、第3の基板又は後続の基板を備え得る。デバイスは、第1の表面及び第2の表面を有する少なくとも第3の基板を追加的に備えることができ、第3の基板の第1の表面は、第2の基板の第2の表面に少なくとも部分的に対面するように配置される。デバイスは、各々がそれぞれの第1の表面及び第2の表面を有する複数の後続の基板を追加的に備えることができ、後続の基板の第1の表面は、先の基板の第2の表面に少なくとも部分的に対面するように配置される。
【0029】
後続の基板の少なくとも一部分は、少なくとも第1のコンポーネントを冷却するためのカスケード冷却システムを設けるように配置され得、少なくとも第1の基板の温度は、1つ以上の更なる基板の温度よりも低い温度まで冷却され、更なる基板のうちの少なくとも1つは、熱電冷却素子である。
【0030】
デバイスは、第3の基板若しくは後続の基板の第1の表面、又は、第2の基板若しくは後続の基板の第2の表面上に配置された少なくとも予備のコンポーネントを追加的に備えることができ、シールド構成は、第1のコンポーネント及び予備のコンポーネントを本質的に別々に取り囲み、任意選択的に、選択された予備の波長よりも長い波長を有する電磁放射線が第2のコンポーネントに到達することを本質的に防止するように構成されており、更に、シールド構成は、好ましくは、少なくとも5つのシールド素子を含み、それらのシールド素子のうちの少なくとも3つは、第1のコンポーネント及び予備のコンポーネントの各々が上部シールド素子を有する隣接する基板、及び下部シールド素子を有する更なる隣接する基板を有するように、1つ以上の基板と関連付けられており、シールド構成は、結合シールド素子が上部シールド素子及び下部シールド素子を結合するように、2つの基板の間に配設された少なくとも2つの結合シールド素子を追加的に含み、結合シールド素子は、第1のコンポーネント又は予備のコンポーネントを実質的に各々取り囲む。
【0031】
したがって、デバイスは、全てが異なる温度にあり得るか、又はこれらのうちのいくつかが同じ温度にあり得るかのいずれかである、(スタックとして提供されるか、又は互いに順次対面するものとして配設される)複数の基板を備えることができる。シールド構成は、複数のコンポーネントをシールドするように構成され得、そのうちのいくつかのコンポーネントは、それらのコンポーネントが別々にシールドされ得るように異なる基板上に配設され、任意選択的に、少なくとも2つのコンポーネントは、異なる温度にある基板上に提供されるか、又は、少なくともコンポーネントは、異なる温度まで冷却される。シールド構成は、異なるコンポーネントを、異なる波長の放射線からシールドするように構成され得る。例えば、第1のコンポーネントは、放射線に対してより敏感であり得るため、第1の波長より長い放射線からシールドされ得、これに対して、第2のコンポーネントは、より長い波長を有する放射線に対してより少なく敏感であり得るため、第2のコンポーネントは、予備の波長よりも長い波長を有する放射線からシールドされ得、その場合、予備の波長は、第1の波長よりも長い。
【0032】
デバイスは、冷却装置を備えることができ、任意選択的に、デバイスはまた、外部予冷装置に結合され得る。第1の基板の温度は、少なくとも第2の基板の温度よりも低い目標温度まで冷却され得、好ましくは、目標温度は、1K未満であり、より好ましくは、500mK未満であり、最も好ましくは、100mK未満である。
【0033】
少なくとも第1のコンポーネントは、量子コンポーネント、又は低温若しくは極低温コンポーネントであってもよく、それらは、例えば、超伝導、単一電荷、単一スピン、単一光子、単一磁束量子、又は、類似の小エネルギー量子依存回路若しくは伝統的な回路であり、それらの性能は、SFQ(単一磁束量子)ロジック又は極低温CMOS回路などの低温関連低雑音レベルによって強化される。したがって、コンポーネントという用語はまた、本明細書では、複数のコンポーネントを備えるとみなされ得る電子システム又はデバイスそれ自体を指す場合もある。
【0034】
少なくとも第1のコンポーネントは、任意のコンポーネント/デバイスであってもよく、その動作は、コンポーネントが動作されている容積内の熱放射線量子のカットオフエネルギーよりも高いエネルギーを有する量子力学的エネルギー間隙に依存する。デバイスの実現可能なより高い温度の部分によって放出される熱放射線量子は、例えば、量子コンポーネントのエネルギー間隙のオーダー又はそれを超えるエネルギーを有し得、それによって、本発明によって提供される放射線シールドがない場合、その動作を悪化させる。
【0035】
デバイスの実施形態は、シールド領域に位置決めされた1つ以上の吸収素子を追加的に備えることができ、その吸収素子は、選択された波長を有する電磁放射線を吸収することができる材料を含み得、当該選択された波長は、好ましくは、第1の波長未満(又は、シールド領域がシールドされている波長未満である波長)であり得る。
【0036】
吸収素子は、シールド領域に入ることができる放射線の少なくとも一部を吸収することができる。シールド構成を貫通することができる一部の電磁放射線、具体的には、少なくとも、選択された第1の波長よりも短い波長を有する放射線が存在し得る。例えば、第1のコンポーネントと相互作用し得ることとは対照的に、そのような貫通する放射線が、重要でない素子(吸収素子)中に吸収して、熱エネルギーに変換することを可能にすることは、有利であり得る。吸収素子を用いて(空洞とみなすことができる)シールド領域のQ値を変更して、貫通する放射線がシールド領域内で共振することを防止又は少なくとも制限することが望ましくあり得る。
【0037】
吸収素子は、入れ子式シールド領域の場合に、特に有利であり得る。次いで、貫通する放射線が外側空洞内で共振して、内側空洞を貫通する複数の可能性を有することが阻止され得る。
【0038】
本発明の特徴とみなされる新規の特徴は、特に添付の特許請求の範囲に記載されている。しかしながら、本発明自体は、その構造及びその動作方法の両方に関して、その追加の目的及び利点とともに、添付の図面に関連して読まれるときに、特定の例示的な実施形態の以下の記載から最もよく理解されるであろう。
【0039】
当業者によって理解されるように、本デバイスの様々な実施形態に関して提示された考慮事項は、変更すべきところは変更して、デバイスの製造方法の実施形態に柔軟に適用され得、逆も同様である。
【0040】
次に、本発明を、添付の図面による例示的な実施形態を参照してより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0041】
図1】本発明の一実施形態による1つの典型的なデバイスの側面図を示す。
図2】本発明を用いて利用される可能性のある基板タイプの例を示す。
図3】本発明の異なる実施形態によるデバイスの少なくとも部分の例を示す。
図4】本発明の一実施形態によるデバイスの製造の2つの段階における典型的なデバイスの少なくとも一部分を描写する。
図5】本発明の実施形態によるデバイスの部分の上面図を示す。
図6】本発明の一実施形態による典型的なデバイスを示す。
図7】本発明の一実施形態による典型的なデバイスを示す。
図8】本発明の一実施形態による典型的なデバイスを示す。
図9】本発明の一実施形態による典型的なデバイスを示す。
図10】本発明の一実施形態による典型的なデバイスを示す。
図11】本発明の一実施形態による典型的なデバイスを示す。
図12】本発明の一実施形態によるデバイスを製造する方法のフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0042】
図1は、本発明の一実施形態による1つの典型的なデバイス100の側面図を示している。デバイス100は、第1の表面104及び第2の表面106を有する少なくとも第1の基板102を備える。デバイスは、第1の表面110及び第2の表面112を有する第2の基板108を追加的に備える。第2の基板108の第1の表面110は、第1の基板102の第2の表面106に少なくとも部分的に対面するように配置されている。
【0043】
デバイスの基板のいずれも、例えば、誘電性、導電性、又はそれらの組み合わせである材料を含み得る。基板材料の例としては、縮退的にドープされたSi、及び高抵抗Siであってもよい。基板はまた、例えば、SiO、SiN、及び/又はAlを含んでもよい。
【0044】
デバイスは、第2の基板108の第1の表面110上に配置されている第1のコンポーネント114を備える。この第1のコンポーネント114は、量子コンポーネントであってもよい。
【0045】
デバイスは、導電性材料からなる複数のシールド素子を含むシールド構成を備える。このシールド素子は、少なくとも第1のコンポーネントを本質的に取り囲んで、第1のコンポーネントが位置するシールド領域を提供するように構成されている。選択された第1の波長よりも長い波長を有する電磁放射線は、シールド領域に到達することを本質的に防止され得る。
【0046】
シールド構成を提供する多数の方式が存在し、シールド構成は、異なる数のシールド素子を有し得る。異なるシールド構成における共通要因は、ケージタイプの筐体又は空洞(シールド領域)が、選択されたサイズを下回る導電性材料のホール又はギャップが存在するコンポーネント114に対して提供されるような方式で、少なくとも第1のコンポーネント114が、導電性材料によって取り囲まれ、その結果、選択された第1の波長よりも長い波長を有する電磁放射線がシールド領域に到達することを本質的に防止することができることである。一実施形態では、筐体(本質的に連続的な構造のためのシールド素子)内に本質的にホールが存在しない場合があり、このため、第1の波長は、本質的にゼロであり、電磁放射線は、第1のコンポーネント114に到達することから、実質的に少なくともほとんど排除される。
【0047】
図1の例では、シールド素子は、第1の基板102と関連付けられている上部シールド素子116、及び、第2の基板108と関連付けられている下部シールド素子118を含む。上部シールド素子116及び下部シールド素子118は、例えば、基板102、108上又は中に配置された導体又は導電性材料の層であってもよい。第1の基板及び/又は第2の基板も、それ自体、その基板が導電性材料を含むか、又は第1の基板及び/若しくは第2の基板が上部シールド素子116又は下部シールド素子118を含むとみなすことができる場合に、上部シールド素子116若しくは下部シールド素子118であるか、又はそれらのシールド素子を形成するとみなすことができる。
【0048】
図1の実施形態のシールド素子はまた、上部シールド素子116及び下部シールド素子118を結合する、第1の基板102と第2の基板108との間に配設されている少なくとも1つの結合シールド素子120を含むこともでき、この結合シールド素子は、少なくとも1つの第1のコンポーネント114を実質的に取り囲んでいる。図1の実施形態では、この例におけるシールド素子は、結合シールド素子120を上部シールド素子116及び下部シールド素子118に接続する、配線素子122を含む。この配線素子122はまた、上部シールド素子116及び下部シールド素子118の一部を形成するとみなすこともできる。
【0049】
シールド素子は、異なる名称で呼ばれ得、異なるシールド素子はまた、本実施形態による同じシールド素子内に含まれるとみなされることもできる。当業者が容易に理解することができるように、シールド素子は、少なくとも第1の基板102及び第2の基板108、並びに少なくとも第1のコンポーネント114を基準にして配置された導電性材料の素子であり、このため、少なくとも第1のコンポーネント114が内部に配置されているシールド領域が提供される。したがって、少なくとも第1のコンポーネント114は、シールド素子によって取り囲まれ、その結果、シールド筐体が提供されている。例えば、配線素子122は、上部シールド素子116及び/又は下部シールド素子118の一部であるとみなされ得、それによって、基板間に設けられる素子120は、結合シールド素子である。
【0050】
図2は、本発明において利用され得る異なる可能性のあるタイプの基板102、108を示している。基板は、平面(図2A)若しくは溝付き(2B)であってもよく、又はそれらは、例えば、1つの第1の基板102が、2つの積層された平面基板の組み合わせであるように、複数の基板(2C、2D、2E)の組み合わせであってもよい。第1の基板102及び/又は第2の基板(及び/又は任意の後続の基板)は、例えば、100μm~2mmの厚さであってもよい。基板の幅及び/又は長さ若しくは直径は、例えば、1mm~300mmであってもよく、又は産業用ウエハサイズまでであってもよい。基板タイプの異なる組み合わせは、1つのデバイス100内で使用されてもよい。
【0051】
図3は、本発明の実施形態によるデバイス100の少なくとも部分の例を示している。本発明の異なる実施形態では、例えば、図3の例は、1つのデバイス100内に組み合わせることができる。図3は、第2の基板108の第1の表面110の上配置されている第1のコンポーネント114を示している。当然のことながら、異なる実施形態では、第1のコンポーネント114(又は追加のコンポーネント)は、第1の基板102の第2の表面106上に配置することができる。図3Aは、図1に対応する。ここで、結合シールド素子120は、導電性バンプ又は軟質金属を含み、一方、配線素子122は、上部シールド素子116及び下部シールド素子118を中間の結合シールド素子120に接続する導電性バイアである。この例では、上部シールド素子116及び下部シールド素子118は、第1の基板102及び第2の基板108の内部に設けられている。配線素子122はまた、上部シールド素子116及び下部シールド素子118から、デバイス100の外側にまで、又は、少なくとも、提供されたシールド領域の外部にある基板の側面、すなわち、デバイス100に電気的な接続を提供するための、第1の基板の第1の側面104、及び第2の基板108の第2の側面にまで延在する。導電性材料(シールド素子のいずれも)は、高周波、すなわち、容量性的に又は直流的に、低インピーダンスで接地に接続することができる。
【0052】
図3Bは、デバイス100を導入しおり、そこでは、上部シールド素子116及び下部シールド素子118は、基板の外面上に設けられ、すなわち、上部シールド素子118は、第1の基板の第1の表面104上に配設されているのに対し、下部シールド素子118は、第2の基板108の第2の表面112上に配設されている。また、ここでは、配線素子122は、結合シールド素子120を上部シールド素子116及び下部シールド素子118に接続している。
【0053】
図3Cでは、上部シールド素子116及び下部シールド素子118は、基板の内面上に設けられ、すなわち、上部シールド素子118は、第1の基板の第2の表面106上に配設されているのに対し、下部シールド素子118は、第2の基板108の第1の表面110上に配設されている。配線素子122は、デバイス100を外部環境に電気的に接続するために基板の端に設けられてもよい。少なくとも、このタイプの実施形態では、配線素子122は、シールド構成の一部を形成するとはみなされない場合があり、シールド素子としては必要とされない。
【0054】
図3Dは、デバイス100の更にもう1つの例を提示しており、そこでは、上部シールド素子118は、第1の基板の第2の表面106上に配設され、一方、下部シールド素子118は、第2の基板108の第1の表面110上に配設され、配線素子122は、上部シールド素子118及び下部シールド素子118への接続を提供するためのバイアとして基板内部に設けられている。第1のコンポーネント114が第2の基板108の第1の表面110上に配置されている代替的な実施形態では、第1の基板102上に配線素子122を必要としない場合がある。
【0055】
電気的な接続を提供するための配線素子122はまた、第2の基板108が第1の基板102を越えて延在する場合(例えば、第2の基板108が第1の基板102よりも長いか又は広い場合)、例えば、側面方向からも実現することができ、その結果、例えば、ボンディングパッドを、第1の基板102に対面していない第2の基板108上のある場所に設けることができる。
【0056】
一実施形態では、デバイス100は、フリップチップボンディング法を使用して、製造することができる。ここで、結合シールド素子120は、フリップチップバンプを含むことができる。
【0057】
他の一実施形態では、デバイス100は、第1の基板102と第2の基板108との間に導電性材料を含む結合シールド素子120を設け、次いで、結合シールド素子120が基板間で加圧及び/又は溶融されるように、基板表面に圧力及び/又は熱を加えることを通じて製造することができる。ここで、結合シールド素子120の材料は、インジウム、インジウム合金、金、金合金、銅、若しくは錫を含む金属、又は前述の合金などの軟質金属であることが好ましい。
【0058】
図4は、デバイス100の少なくとも一部分を示しており、そこでは、図4Aは、ボンディング工程前のデバイス100を描写し、図4Bは、ボンディング工程後のデバイス100を示している。このボンディング工程には、例えば、上述したフリップチップボンディング(溶融及び/又は加圧を用いてはんだ接合部を提供する)、圧力及び/若しくは熱の印加、並びに軟質金属を使用するボンディング、又は、例えば、選択ドープされたSi-Siウエハ間若しくは部分的にメタライズされた表面間の直接ボンディングが含まれ得る。
【0059】
結合シールド素子120は、図4に示されているように、複数のバンプ又は断片が互いに接触するときに、ボンディング工程後に接合される複数の、例えば、フリップチップバンプ又は別個の金属片を含むことができる。デバイスはまた、少なくとも第1のコンポーネント114が設けられている誘電体材料を含む誘電体素子124を含むこともできる。ここで、信号経路選択、すなわち、コンポーネント114への電気接続は、デバイスの側面から提供することができる。
【0060】
図5は、典型的なデバイス100の部分の上面図を示している。図5では、結合シールド素子120を有する第2の基板108のみが示されている。図5Aは、結合シールド素子が導電性材料の単一の連続した部分を含む実施形態を描写している。
【0061】
図5Bは、結合シールド素子120が少なくとも更なる結合シールド素子を含む実施形態を描写している。ここで、少なくとも内側結合シールド素子120Aは、少なくとも1つの外側結合シールド素子120Bによって取り囲まれている。内側結合素子120A及び外側結合素子120Bは、上部シールド素子116及び下部シールド素子118に結合して、内側シールド領域及び外側シールド領域を形成するように構成されている。
【0062】
したがって、図5Bの実施形態は、内側結合シールド素子120Aの外周部の内側に設けられている第1のコンポーネントが、2つの入れ子式空洞(少なくとも上部シールド素子、下部シールド素子、及び内側結合シールド素子を通って設けられた内側空洞、並びに、少なくとも上部シールド素子、下部シールド素子、及び外側結合シールド素子を通って設けられた外側空洞又は外側シールド領域)内に本質的に密閉され得る2つの入れ子式シールド領域を提供する。この実施形態では、上部シールド素子116及び下部シールド素子118を、導電性材料の基本的な連続体として提供し、それによって、これらの場所において実質的に完全な放射線シールドを提供することが有利であり得る。次いで、内側結合シールド素子120A及び外側結合シールド素子120Bによって形成された、空洞の側壁における入れ子式シールドは、空洞の側壁の場所における放射線シールドを強化するために十分であり得る。
【0063】
他の実施形態では、特に、上部シールド素子116及び/又は下部シールド素子118が、(例えば、導電性材料にホールを有しない)導電性材料の連続体を形成しない場合には、内側及び外側の上部及び/又は下部シールド素子もまた利用して、入れ子式空洞に内側シールド領域及び外側シールド領域を提供することができる。
【0064】
図5Bはまた、デバイスの任意のシールド領域、ここでは外側シールド領域に設置することができる任意選択可能な吸収素子126も描写している。吸収素子126は、例えば、マイクロ波又はミリメートル波長の周波数を有する放射線を吸収する材料を含むことができる。吸収素子126はまた、例えば、銅又は青銅粉末を利用し、そのような粉末を用いてシールド領域の壁の内側部分の少なくとも一部をコーティングすることを通じて提供することもできる。
【0065】
図5Cは、結合シールド素子120が、距離dで分離されている複数の隣接する結合シールド素子120a、120b、120c、120d、120e、120fを含む、実施形態を示している。この距離dは、異なる隣接する結合シールド素子120a、120b、120c、120d、120e、120fの間で変化し得る。距離dは、有利なことに、選択された閾値距離を下回る。選択された閾値距離は、シールド領域に到着することを防止するべき放射線の波長に基づいて選択することができる。
【0066】
シールド領域を形成する筐体の「壁」には、ギャップ又は何もない空間が形成され得る。そのようなギャップは、異なる形状のものであり得、ここでは、距離dが、どの波長の放射線がギャップを貫通することを可能にすることができるかを決定する、ギャップの最大寸法であるため、その距離dは、形成されたギャップ内の任意の導電性材料間の最大距離であるとみなすことができる。
【0067】
図5Dは、配線素子のための1つ以上のバイアがシールド素子内に形成され得る例を示している。ここでは、第1のコンポーネント114もまた、第2の基板108の表面上に示されている。結合シールド素子120は、この場合、第1のコンポーネント114をシールド領域の外側に接続する配線素子122を導入するために使用され得るバイアを含む。
【0068】
図5Dはまた、第2の基板108内に形成されたバイアを通って延在する配線素子122も示している。このバイアはまた、下部シールド素子118内に形成されているバイアでもあり得る。
【0069】
いくつかの実施形態では、電磁放射線は、配線素子122のために形成されたバイアを通ってシールド素子を貫通することが可能であり得る。バイア及び配線素子122は、同軸ケーブル又は電気的導波管の構造に類似してもよい。更に、バイア内に位置決めされた配線素子は、例えば、配線素子122が高い抵抗を有する場合に貫通することができる放射線を減衰させ、高周波波長がバイアを貫通するのを防止することができる。配線素子122が、シールド素子の電位に本質的に対応する電位に対して低いインピーダンスで接地される場合、任意の放射線は、バイアを通ってシールド領域に到達することを本質的に防止され得る。
【0070】
図5Eは、入れ子式シールド領域が提供されている実施形態のもう1つの例を示しており、そこでは、結合シールド素子は、外側結合シールド素子120Bによって取り囲まれている内側結合シールド素子120Aを含む。この結合シールド素子120は、この例では、複数の、例えば、フリップチップバンプ又は別個の金属片によって形成することができる。内側結合シールド素子120A及び/又は外側結合シールド素子120Bは、(図5Eに描写されているように)2つの横列フリップチップバンプを各々含むことができ、そこでは、外側横列のフリップチップバンプは、外側横列のバンプが2つの内側横列のバンプ間の接合部に位置するように、当該バンプを位置させることができる。フリップチップバンプ又は、例えば、金属材料の断片の任意の数の横列を利用することができる。同じことは、1つの結合シールド素子120のみが提供される実施形態にも当てはまる。更に、複数の、例えば、フリップチップバンプは、文字通りの意味で「横列」に位置決めされる必要はなく、それらはまた、少なくとも1つの更なるバンプが接合部間の別の平面内、又は2つの隣接するバンプ間のギャップ内に位置決めされる何らかの他の構成に配置することもできる。
【0071】
図5Eは、ボンディング工程前の状況を描写し得る。ボンディング工程後に、同じ横列の隣接するバンプのうちのいくつか又は全ては、互いに接触して、連続した実在物を形成することができる。また、異なる「横列」におけるバンプのうちのいくつか若しくは全て、又はより大きな意味で、(内側結合シールド素子又は外側結合シールド素子120Bなどの)1つの結合シールド素子120内に含まれるとみなされるバンプのうちのいくつか又は全ては、互いに物理的に接触することができる。更に、結合シールド素子は、依然として、例えば、図5Cにおけるような隣接する結合シールド素子であり得る複数の結合シールド素子を含むことができる。
【0072】
結合シールド素子120の幅w(又は隣接する若しくは内側/外側の結合シールド素子のうちの1つ以上)などのシールド素子の幅はまた、シールド領域に到達することが可能であり得る放射線の量又はタイプにも影響を及ぼし得る。例えば、図5Cの例では、幅w(より厚いシールド素子)のより大きい値は、wのより小さい値、すなわち、より薄いシールド素子よりも効率的に(距離dによって定義された)ギャップを通過することができる放射線を減衰させることができる。
【0073】
シールド領域に到達することができる放射線の周波数はまた、シールド素子の材料にも依存し得る。例えば、超伝導エネルギーギャップを下回る光子エネルギー量子を有する周波数について、超伝導材料を含むシールド素子は、比較的薄い、例えば、結合シールド素子(シールド素子のために金属材料を用いて利用される必要があり得るシールド素子の幅と比較して薄い)を用いて本質的に完全なシールド品質を提供することができる。例えば、超伝導エネルギーギャップ1.55meVを有するニオブは、低温において、約36nmのロンドン貫通深度を有する。金属シールドの典型的な表皮深さ、例えば、10GHzの場合の低温(T<4K)における銅は、約100nmであるが、チタン(非超伝導の場合)などの低コンダクタンスを有する金属の場合の表皮深さは、数μmであり得る。原則として、高いシールドレベル(すなわち、放射線が高い程度でシールド領域に到達することを防止することを意味する高品質シールド)を提供するために、シールド素子材料の幅wは、いくらかの表皮深さの厚さとするべきである。シールド領域に到達することを防止され得る電磁放射線の周波数が高いほど、シールド素子は、より薄くなり得る。
【0074】
当然のことながら、理論的には、筐体内のギャップがシールド領域への特定の放射線を可能にするべきではなく、同様に、例えば、第1の波長よりも短い波長を有する一部の放射線がシールド領域に到達することを防止することができる場合であっても、シールド領域に到達する放射線は、完全には防止することができない可能性がある。したがって、放射線をシールド領域に到達することができるように、及びシールド領域に到達することができないように分割する正確なカットオフ波長が存在する可能性はないが、例えば、第1の選択された波長の領域の周りに、貫通可能放射線から非貫通可能放射線へのより漸進的な遷移が存在する可能性がある。
【0075】
図6~11は、典型的なデバイス100を概略的に示しており、ただし、デバイスの全ての構成要素が必ずしも描写されているわけではない。例えば、シールド素子は、示されていない場合があるか、又はデバイスは、図3~5に関連して説明されるものなどの異なるタイプのシールド構成/シールド素子を含む場合がある。
【0076】
図6のデバイス100は、少なくとも第1のコンポーネント114を冷却するための冷却装置を備える。図6は、第1の基板102、第2の基板108、及びシールド素子(上部シールド素子116、下部シールド素子118、及び結合シールド素子120)、並びにシールド領域128を概略的に描写している。
【0077】
図6のデバイスの冷却装置は、第2の基板108であってもよい。第1の基板は、目標温度Tまで冷却することができる。目標温度Tは、第2の基板108の温度Tよりも低い。
【0078】
基板が冷却装置として利用されるとき、これは、冷却装置基板、例えば、第2の基板108と、その上にある冷却されるべき基板、例えば、第1の基板102との間に設けられている1つ以上の熱イオン障壁/接合を指す場合がある。次いで、冷却/熱イオン接合は、冷却装置として使用される基板内に含まれるとみなすことができる。
【0079】
デバイスは、外部予冷装置に結合することができる。外部予冷装置は、いくつかの例を挙げると、パルスチューブ冷凍機、He冷凍機、希釈冷凍機、放熱磁化冷却を利用する冷却装置、又はより高温のソリッドステート冷却器であってもよい。典型的な使用ケースのシナリオでは、外部予冷装置を利用することができるが、例えば、スペースアプリケーションでは、外部予冷装置は、必要とされない場合がある。
【0080】
デバイスは、少なくとも、第1の表面及び第2の表面を有する第3の基板を備えることができる。第3の基板の第1の表面は、第2の基板の第2の表面に少なくとも部分的に対面するように配置することができる。デバイスはまた、各々がそれぞれの第1の表面及び第2の表面を有する1つ以上の後続の基板を追加的に備えることができ、後続の基板の第1の表面は、先の基板の第2の表面に少なくとも部分的に対面するように配置されている。
【0081】
図7は、シールド領域128を構成している第1の基板102及び第2の基板108、並びにシールド素子116、118、120を有するデバイス100を描写している。デバイスは、第1の表面132及び第2の表面134を有する第3の基板130を追加的に備える。したがって、デバイスは、重ねて配置された基板を有する積層化又は多層化された構造を形成することができる。更に、各々の基板の間、又は少なくとも基板の一部分の間に空間が存在し得る。
【0082】
図7のデバイス100では、第3の基板130は、温度Tを有する、熱電冷却素子などの冷却素子であってもよく、一方、第3の基板130は、少なくとも第2の基板108及び(第2の基板108と熱的に接続した状態にある)第1の基板102を、Tよりも低い温度である目標温度Tまで冷却するように構成されている。目標温度Tは、少なくとも第1の基板102用の目標温度、及び/又は少なくとも1つのコンポーネント114用の目標温度とすることができる。
【0083】
デバイスが第3の後続の基板又は複数の後続の基板を有する場合、基板の少なくとも一部分は、少なくとも第1のコンポーネント114を冷却するためのカスケード冷凍システムを提供するように配置することができ、この場合、少なくとも第1の基板102の温度は、1つ以上の更なる基板の温度よりも低い目標温度Tまで冷却される。更なる基板のうちの少なくとも1つは、熱電冷却素子とすることができる。
【0084】
図8は、前述したように、第1の基板102及び第2の基板108、並びに提供されたシールド領域128を備えるデバイスを示しており、追加の第3の基板130、第4の基板136、及び最終基板138までの後続の基板を備える。後続の基板のうちの少なくともいくつかは、第1のコンポーネント114を冷却するためのカスケード冷却/冷凍システムを提供するための冷却素子であってもよい。目標温度Tは、この例では、第2の基板108の温度でもあり、これは、第3の基板130及び第4の基板136の温度Tよりも低い。ここで、温度Tは、最終(冷却)基板138の温度Tよりも低い。
【0085】
典型的なデバイスでは、図8の138として描写されているような最終基板は、環境温度Tenvに十分熱的に固定され得、その環境温度を上回る基板が、第1の冷却ステージ/基板であってもよい。ここで、Tは、Tenvと同等か又は近い場合がある(ただし、実際には、TTenvであり、その理由は、冷却効率が、高くない可能性があり、熱が、Tenvに低下した熱である可能性があり、更にはTとTenvとの間の差が、ほんのわずかである可能性があるためである)。次いで、最終基板138の上方に設けられた基板は、T/Tenvよりも低い温度を提供する冷却素子とすることができる。
【0086】
好適な冷却素子を用いると、例えば、冷却基板(例えば、図8の130)と、その上に設けられた基板(例えば、図8の第2の基板108)との間に設けられたNIS(普通の金属-絶縁体-超伝導体)トンネリング接合を用いると、フォノン温度Tph、すなわち、例えば、電子温度Tに相当する、第2の基板108の原子格子の温度を達成することができる。
【0087】
図9は、デバイス100を(概略的に)例示しており、そこでは、また、第1の基板102及び第2の基板108、並びに設けられたシールド領域128は、前述した通りであり得、追加の第3の基板130、第4の基板136、及び最終基板138までの後続の基板を有する。冷却基板及び温度は、例えば、図8について上述したようなものとすることができる。また、例えば、第4の基板136が最終基板であるように、例えば、他の数の基板も可能であり得る。
【0088】
図9の例では、デバイスは、第4の基板136の第1の表面上に配置されている予備のコンポーネント140を追加的に備える。第3の基板は、上部シールド素子116を含むか又はそれと関連付けられているのに対して、第4の基板136は、下部シールド素子118を含むか又はそれと関連付けられており、結合シールド素子120は、これらを結合して、予備のコンポーネント140が位置する予備のシールド領域128aを形成する。次いで、シールド構成は、少なくとも6つのシールド素子を含むとみなすことができ、そこでは、結合シールド素子120は、第1のコンポーネント114及び予備のコンポーネント140を別々に取り囲む。
【0089】
シールド領域128及び予備のシールド領域128aと関連付けられたシールド素子は、本質的に等価であってもよく、又は、それらは、互いに異なってもよい。シールド領域128、128aに到達することを防止される選択された放射線の波長は、本質的に等価であってもよく、又はそれらは、異なってもよい。シールド素子は、それに応じて選択され得る。
【0090】
図9のデバイスなどの場合、異なるタイプの量子コンポーネント/デバイスなどの異なるコンポーネントは、それらの可能な動作温度/放散熱負荷等に応じて、異なる温度段階に設置することができる。デバイス100の他の実施形態は、更に、例えば、第4の基板と第5の基板との間、又は、例えば、第5の基板と第6の基板との間に配置された更なる予備のコンポーネントを有することができる。
【0091】
図10のデバイス100は、第1の基板102及び第2の基板108、並びに、少なくとも追加の第3の基板130を有する、第1のコンポーネント114のために設けられたシールド領域128を有し、そこでは、少なくとも第3の基板130は、前述のように、冷却素子であってもよい。シールド素子を含むシールド構成は、第2の基板108の第1の表面上に設けられた第2のコンポーネント142が結合シールド素子120によって第1のコンポーネント114から別々に取り囲まれるように構成することができ、その結果、第2のシールド領域128bが設けられて、その内部に、第2のコンポーネント142が位置している。結合シールド素子120はまた、ここでは、複数の隣接する結合シールド素子120a、120b、120c、120d、120e、120f(図10には図示せず)を含むこともできる。シールド構成は、選択された第1の波長よりも長い波長を有する放射線が第1のコンポーネント114/シールド領域128に到達することを防止し、選択された第2の波長よりも長い波長を有する放射線が第2のコンポーネント142/第2のシールド領域128bに到達することを防止するように構成することができる(第1の波長及び第2の波長もまた等価であってもよい)。
【0092】
上部シールド素子116は、1つのシールド素子として提供することができるか、又は複数の素子を含むことができ、下部シールド素子118もまた、1つのシールド素子として提供することができるか、又は複数の素子を含むことができる。
【0093】
図11は、第1の基板102及び第2の基板108、並びに、第1のコンポーネント114のために提供されたシールド領域128を有するデバイス100を再度描写しており、少なくとも追加の第3の基板130を有し、少なくとも追加の第3の基板130は、冷却素子であってもよい。シールド構成は、少なくとも1つの上部シールド素子116、少なくとも1つの下部シールド素子118、少なくとも1つの内側結合シールド素子120A、及び少なくとも1つの外側結合シールド素子120Bを含み、その結果、その内部に内側シールド領域128を入れ子にするか、又はその内側シールド領域を含む外側シールド領域128cが設けられている。更なるコンポーネント144を、外側シールド領域128c内に設けることができる。シールド構成は、選択された第1の波長よりも長い波長を有する放射線がシールド領域128に達成することを防止し、かつ、選択された更なる波長よりも長い波長を有する放射線が外側シールド領域128cに到達することを防止するように構成することができる。第1の波長及び更なる波長もまた、本質的に同等であってもよい。
【0094】
(内側)シールド領域128を構成する、図11のデバイス100のシールド素子は、選択された第1の波長よりも長い波長を有する放射線から第1のコンポーネント114をシールドするように構成することができる。更に、外側シールド領域128cを構成するシールド素子は、追加のシールドを提供することができ、この追加のシールドは、不完全なシールド素子である可能性があるか、又は、選択された第1の波長よりも長い波長を有する放射線から第1のコンポーネント114を完全にはシールドするようには機能しないものである可能性がある、例えば、内側結合シールド素子120Aの効果を補償することができる。これは、望ましくない開口部が、例えば、結合シールド素子120内に存在する場合に、引き起こされ得る。
【0095】
外側シールド領域128cは、温度Tから生じる熱光子よりも高いエネルギーを有する光子を含み得る。外側シールド領域128cの光子スペクトルは、Tよりも高い温度を有する熱スペクトルに対応することができるが、このスペクトルはまた、任意の温度に対応しなくてもよい。更に、内側シールド領域128内の光子スペクトルは、外側シールド領域128cの補償効果に起因して、目標温度Tの熱スペクトルに本質的に対応することができる。
【0096】
内側シールド領域128及び外側シールド領域128cの場合、シールド素子は、相関性を有することなく、本質的に放射線のシールド又は減衰を提供することができる。これは、特に、例えば、外側シールド領域128cが吸収素子126(図11には描写されていない)を含む場合、及び/又は、内側結合素子120A及び外側結合素子120B内の開口部が整列されていない可能性がある場合のケースに当てはめることができる。例えば、特定の波長に対する放射線の減衰が内側シールド領域128に対して33dBであり、かつ、特定の波長を有するそのような放射線の減衰が外側シールド領域128cに対して29dBである場合、それらは、ともに62dBの減衰を提供することができる。
【0097】
図12は、本発明の1つの有利な実施形態による、デバイス100を製造する方法のフローチャートを示している。少なくとも第1の基板102は、202において提供され、第1の基板は、第1の表面及び第2の表面を有する。少なくとも第2の基板108は、204において提供され、第2の基板は、第1の表面及び第2の表面を有する。少なくとも1つの第1のコンポーネント114は、第1の基板又は第2の基板上に配置される206。
【0098】
第1の基板と関連付けられた上部シールド素子を設けることができ208、第2の基板と関連付けられた下部シールド素子を設けることができる210。工程208及び210は、例えば、基板上又は中に導電性材料を設けることを含むことができる。
【0099】
第2の基板の第1の表面は、第1の基板の第2の表面に対面するように配置される212。
【0100】
最後に、1つ以上の結合シールド素子120を設けることができ214、そこでは、結合シールド素子は、上部シールド素子及び下部シールド素子を結合し、結合シールド素子は、第1のコンポーネント114を本質的に取り囲むことができる。
【0101】
例えば、図12の工程のうちのいくつかはまた、異なる順番で行うこともできる。例えば、製造方法に応じて、結合シールド素子120の提供は、そのような素子を第1の基板又は第2の基板上に設け、その後、第1の基板102及び第2の基板108を互いに対面するように配置することを含むことができる。
【0102】
一実施形態では、結合シールド素子120の提供は、フリップチップ法を通じて実行することができる。したがって、結合シールド素子は、溶融及び/又は加圧して上部シールド素子116及び下部シールド素子118を結合する結合シールド素子120を形成するためのフリップチップバンプとすることができる。
【0103】
フリップチップ接合では、金属製フリップチップバンプ120は、互いに比較的近くに設置することができ、その結果、2つのバンプ間の距離は、(図4Aにも描写される)バンプの直径とほぼ同じである。基板が加圧されると、バンプ120は広がり、その結果、それらのバンプは、(図4Bに見られるように)互いに接触することができ、所望の幅を有する結合シールド素子120を提供することが可能である。バンプ120は、2つのバンプ間の距離がデバイス100の上面図からの隣接するバンプ間のバンプの直径ともほぼ同じであるように設置することができ、開口部のない結合シールド素子120を連続した実在物として作成する。
【0104】
一実施形態では、ウエハレベルのパッケージング法を利用することができ、それによって、デバイスは、有利なことに、コスト効率がよく大規模に製造することができる。これは、例えば、熱圧縮、金属合金、又は、縮退的にドープされた半導体及び/若しくは金属領域を利用してシールド素子を形成する溶融ボンディングを用いて、達成することができる。例えば、これらの技法により、複数のデバイスをウエハスケールで一度に事前パッケージングすることが可能になる。
【0105】
ウエハレベルの熱圧縮ボンディング又は(低温)金属合金ボンディングは、ウエハレベル上での金属間の気密接触を行うことを可能にすることができる。更にまた、他の方法も使用して、デバイスの異なる部分をボンディングすることもできる。例えば、溶融ボンディングは、例えば、CMOSコンポーネントに対して好適であり得る。
【0106】
デバイスの少なくとも一部分を製造する典型的な方法は、溶融ボンディングに関与するウエハレベルのパッケージングの場合、例えば、
-1つのウエハ上に空洞をエッチングすることと、
-別の平面ウエハ上にコンポーネントを作製することと、
-ウエハバイアを貫通製造して、コンポーネントの下方からの電気的アクセスを提供することと、
-接触領域(非空洞領域)を縮退的にドーピングすることと、
-ウエハを互いにボンディングすることと、を含む。
【0107】
溶融ボンディングは、高温及び非常にきれいな表面を必要とする場合がある。縮退的にドープされたシリコンを金に変更し、かつ熱圧縮ボンディングを使用することによって、より低い温度でほぼ同様のプロセスを行うことができる。
【0108】
更にもう1つの実施形態では、結合シールド素子120の提供は、第1の基板102と第2の基板108との間に軟質金属材料を提供することと、それらを互いに対面するように配置することと、機械的力及び/又は熱を加えて結合シールド素子を形成することと、を含むことができる。
【0109】
本発明は、前述の実施形態を参照して上で説明されており、本発明のいくつかの利点が実証されている。本発明は、これらの実施形態に限定されるだけでなく、本発明の見解及び以下の特許請求の範囲の趣旨及び範囲内の全ての可能な実施形態も含むことが明らかである。
【0110】
従属請求項に列挙されている特徴は、特に明示的に記載されない限り、相互に自由に組み合わせることができる。
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図5D
図5E
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
【手続補正書】
【提出日】2023-10-04
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱放射線から少なくとも1つのコンポーネントをシールドするためのデバイス(100)であって、前記デバイスは、
-第1の表面(104)と第2の表面(106)とを有する第1の基板(102)と、
-第1の表面(110)と第2の表面(112)とを有する第2の基板(108)であって、前記第2の基板の前記第1の表面が、前記第1の基板の前記第2の表面に少なくとも部分的に対面するように配置されている、第2の基板(108)と、
-前記第2の基板の前記第1の表面、又は前記第1の基板の前記第2の表面上に配置された少なくとも第1のコンポーネント(114)と、
-導電性材料を含む複数のシールド素子(116、118、120)を備えるシールド構成であって、前記シールド素子は、少なくとも前記第1のコンポーネントを本質的に囲んで、中に前記第1のコンポーネントが位置するシールド領域を提供するように構成されている、シールド構成と、を少なくとも備え、
選択された第1の波長よりも長い波長を有する電磁放射線が前記シールド領域に到達することを本質的に防止し、
-前記デバイスが、第1の表面と第2の表面とを有する少なくとも1つの更なる基板を追加的に備え、前記少なくとも1つの更なる基板の前記第1の表面が、前記第2の基板の前記第2の表面、又は、形成されたスタック内の先の更なる基板の前記第2の表面に、少なくとも部分的に対面するように配置されており、前記基板の少なくとも一部分が、少なくとも前記第1のコンポーネントを冷却するためのカスケード冷凍システムを提供するように配置されており、少なくとも前記第1の基板の温度が、前記第2の基板、及び/又は前記スタック内の1つ以上の更なる基板の前記温度よりも低い温度まで冷却され、前記第2の基板の前記温度が、前記スタック内の少なくとも1つの更なる基板の前記温度よりも低い温度まで冷却され、かつ/又は、少なくとも1つの更なる基板の前記温度が、前記スタック内の少なくとも1つの後続の更なる基板の前記温度よりも低い温度まで冷却される、デバイス(100)。
【請求項2】
前記シールド素子が、少なくとも3つのシールド素子を含み、上部シールド素子(116)が、前記第1の基板と関連付けられており、下部シールド素子(118)が、前記第2の基板と関連付けられており、少なくとも1つの結合シールド素子(120)が、前記第1の基板と前記第2の基板との間に配設されて、前記上部シールド素子及び前記下部シールド素子を結合し、前記結合シールド素子が、少なくとも1つの第1のコンポーネントを実質的に取り囲む、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記シールド素子のうちの1つ以上が、開口部を備え、前記開口部の最大寸法(d)が、選択された閾値を下回る、請求項1又は2に記載のデバイス。
【請求項4】
前記デバイスが、前記第2の基板の前記第1の表面、又は前記第1の基板の前記第2の表面上に配置された少なくとも第2のコンポーネントを備え、結合シールド素子が、前記第1のコンポーネント及び前記第2のコンポーネントを別々に取り囲むように構成されている、請求項2又は3に記載のデバイス。
【請求項5】
前記シールド構成が、前記第1のコンポーネント及び結合シールド素子を取り囲むように構成されている外側結合シールド素子を追加的に備え、更に、前記デバイスが、前記第2の基板の前記第1の表面、又は前記第1の基板の前記第2の表面上に配置された少なくとも更なるコンポーネントを追加的に任意選択的に備え、前記更なるコンポーネントが、前記シールド領域の外側に位置し、かつ前記外側結合シールド素子によって取り囲まれている、請求項2又は3に記載のデバイス。
【請求項6】
前記デバイスが、少なくとも前記第1のコンポーネントを冷却するための冷却装置を備え、任意選択的に、前記冷却装置は、前記第2の基板が熱電冷却素子である熱電冷却装置である、請求項1~5のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項7】
記デバイスは、各々がそれぞれの第1の表面及び第2の表面を有する複数の後続の更なる基板を備え、前記後続の基板の前記第1の表面が、前記形成された基板のスタック内の先の基板の前記第2の表面に少なくとも部分的に対面するように配置されている、請求項1~6のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項8】
記更なる基板のうちの少なくとも1つが、任意選択的に、熱電冷却素子である、請求項1~7のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項9】
前記デバイスが、前記第2の基板若しくは前記後続の基板の前記第1の表面、又は前記第2の基板若しくは前記後続の基板の前記第2の表面上に配置された少なくとも予備のコンポーネントを追加的に備え、前記シールド構成は、前記第1のコンポーネント及び前記予備のコンポーネントを本質的に別々に囲んで、任意選択的に、選択された予備の波長よりも長い波長を有する電磁放射線が前記予備のコンポーネントに到達することを本質的に防止するように構成されており、更に、前記シールド構成が、好ましくは、少なくとも5つのシールド素子を備え、前記少なくとも5つのシールド素子のうちの少なくとも3つは、前記第1のコンポーネント及び前記予備のコンポーネントの各々が上部シールド素子を有する隣接する基板、及び下部シールド素子を有する更なる隣接する基板を有するように、1つ以上の基板と関連付けられており、前記シールド構成は、結合シールド素子が上部シールド素子及び下部シールド素子を結合するように、2つの基板の間に配設された少なくとも2つの結合シールド素子を追加的に備え、前記結合シールド素子が、前記第1のコンポーネント又は前記予備のコンポーネントを実質的に各々取り囲む、請求項1~8のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項10】
前記デバイスが、冷却装置を備え、任意選択的に、前記デバイスが、外部予冷装置に結合されており、前記第1の基板の前記温度が、前記少なくとも第2の基板の温度よりも低い目標温度まで冷却され、好ましくは、前記目標温度が、1K未満であり、より好ましくは500mK未満であり、最も好ましくは100mK未満である、請求項1~9のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項11】
前記少なくとも第1のコンポーネントが、量子コンポーネント又は低温コンポーネントである、請求項1~10のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項12】
前記デバイスが、前記シールド領域に位置決めされた吸収素子を追加的に備え、前記吸収素子が、選択された波長を有する電磁放射線を吸収することができる材料を含み、前記選択された波長が、好ましくは、前記第1の波長未満である、請求項1~11のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項13】
熱放射線から少なくとも1つのコンポーネントをシールドするためのデバイスを製造する方法であって、前記方法は、
-第1の表面と第2の表面とを有する第1の基板を提供すること(202)と、
-第1の表面と第2の表面とを有する第2の基板を提供すること(204)と、
-前記第2の基板の前記第1の表面上、又は前記第1の基板の前記第2の表面上に、少なくとも第1のコンポーネントを配置すること(206)と、
-前記第2の基板の前記第1の表面を、前記第1の基板の前記第2の表面に少なくとも部分的に対面するように配置すること(208)と、
-導電性材料を含む複数のシールド素子を備えるシールド構成を提供することと、
-少なくとも前記第1のコンポーネントを本質的に囲んで、シールド領域を提供し、選択された第1の波長よりも長い波長を有する電磁放射線が前記シールド領域に到達することを本質的に防止するように、前記シールド素子を構成することと、
-第1の表面と第2の表面とを有する少なくとも1つの更なる基板を提供することと、
-前記少なくとも1つの更なる基板の前記第1の表面が、前記第2の基板の前記第2の表面又は形成されたスタック内の先の更なる基板の前記第2の表面に少なくとも部分的に対面するように、前記基板を前記スタックとして配置することと、
-少なくとも前記第1の基板の温度を、前記第2の基板及び/若しくは前記スタック内の1つ以上の更なる基板の前記温度よりも低い温度まで冷却すること、及び前記第2の基板の前記温度を、前記スタック内の少なくとも1つの更なる基板の前記温度よりも低い温度まで冷却すること、及び/又は少なくとも1つの更なる基板の前記温度を、前記スタック内の少なくとも1つの後続の更なる基板の前記温度よりも低い温度まで冷却することによって、少なくとも前記第1のコンポーネントを冷却するためのカスケード冷凍システムを提供することと、を少なくとも含む、方法。
【請求項14】
前記シールド構成を前記提供することが、少なくとも3つのシールド素子を提供することを含み、前記少なくとも3つのシールド素子を前記提供することが、前記第1の基板と関連付けられている上部シールド素子を提供すること(210)と、前記第2の基板と関連付けられている下部シールド素子を提供すること(212)と、前記第1の基板と前記第2の基板との間に配設されて、前記上部シールド素子及び前記下部シールド素子を結合する少なくとも1つの結合シールド素子を提供すること(214)と、を含み、前記結合シールド素子が、前記少なくとも1つの第1のコンポーネントを実質的に取り囲む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記結合シールド素子を提供することが、フリップチップ、ウエハレベルパッケージング、又は、前記基板の間に前記結合シールド素子を提供して機械的力及び/若しくは熱を加えることの群から選択される方法を通じて実行される、請求項14に記載の方法。
【国際調査報告】