(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-09
(54)【発明の名称】セルフロック式ベルトリトラクタのための車両感知センサ
(51)【国際特許分類】
B60R 22/40 20060101AFI20240202BHJP
【FI】
B60R22/40
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023538881
(86)(22)【出願日】2022-01-10
(85)【翻訳文提出日】2023-07-12
(86)【国際出願番号】 EP2022050338
(87)【国際公開番号】W WO2022148863
(87)【国際公開日】2022-07-14
(31)【優先権主張番号】102021100322.9
(32)【優先日】2021-01-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】503358097
【氏名又は名称】オートリブ ディベロップメント エービー
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100098143
【氏名又は名称】飯塚 雄二
(72)【発明者】
【氏名】シュワルツ,マーカス
(72)【発明者】
【氏名】フーグ,マークス
【テーマコード(参考)】
3D018
【Fターム(参考)】
3D018HA02
3D018HB04
3D018HD02
3D018HE01
(57)【要約】
【解決手段】
本発明は、セルフロック式ベルトリトラクタのための車両感知センサであって、
支持部分(1)と、
支持部分(1)の接触面(1.1)上に垂直に配設されており、かつ支持部分(1)に対して傾斜することができる、センサ質量(2)と、
センサ質量(2)に結合されており、かつ係合先端部(3.1)を有する、ロックレバー(3)であって、ロックレバー(2)が、ロックレバー(3)の回転軸を形成するための少なくとも2つの回転要素(3.2a、3.2b)を有する、ロックレバー(3)と、を備え、
各回転要素(3.2a、3.2b)が、支持部分(4)の関連付けられた接触点(1.2a、1.2b)上に載置されている、センサに関する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
セルフロック式ベルトリトラクタのための車両感知センサであって、
支持部分(1)と、
前記支持部分(1)の接触面(1.1)上に垂直に配設されており、かつ前記支持部分(1)に対して傾斜することができる、センサ質量(2)と、
前記センサ質量(2)に結合されており、かつ係合先端部(3.1)を有する、ロックレバー(3)であって、前記ロックレバー(2)が、前記ロックレバー(3)の回転軸を形成するための少なくとも2つの回転要素(3.2a、3.2b)を有する、ロックレバー(3)と、を備え、
各回転要素(3.2a、3.2b)が、前記支持部分(4)の関連付けられた接触点(1.2a、1.2b)上に載置され、
前記支持部分(1)が、各回転要素(3.2a、3.2b)のための凹部(1.3a、1.3b)を有し、前記凹部(1.3a)の基部(1.3a.i)が、接触点(1.2a)を形成し、前記基部(1.3a.i)が、それぞれの前記凹部(1.3a)のカバー(1.3a.ii)によって覆われている、センサ。
【請求項2】
各凹部(1.3a、1.3b)が、特に、前方開口部(1.3a.iii)であり、それによって、回転要素(3.2a)を前記凹部(1.3a)内に導入することができる、請求項1に記載のセンサ。
【請求項3】
前記凹部(1.3a)の前記カバー(1.3a.ii)が、前記回転要素(3.2a)の回転運動を制限する下方に突出する突出部(1.3a.iv)を有する、請求項1又は2に記載のセンサ。
【請求項4】
前記開口部(1.3a.iii)が、前記凹部(1.3a)の前記基部(1.3a.i)に向かって狭くなっている、請求項1~3のいずれか一項に記載のセンサ。
【請求項5】
前記凹部(1.3a)の前記テーパ状開口部(1.3a.ii)から前記底部(1.3a.i)への移行部が、前記回転要素(3.2a)の導入方向において前記突出部(1.3a.iv)の後方に配設されている、請求項4に記載のセンサ。
【請求項6】
前方に突出する停止要素(1.4a、1.4b)が、前記ロックレバー(3)の回転運動を制限する各凹部(1.3a、1.3b)に割り当てられる、請求項1~5のいずれか一項に記載のセンサ。
【請求項7】
前記ロックレバー(3)が、前記回転要素と前記係合先端部(3.1)との間の接続セクションにおいて、前記停止要素(1.4a、1.4b)に割り当てられる突起(3.3a、3.3b)を有する、請求項6に記載のセンサ。
【請求項8】
各回転要素(3.2a、3.2b)が、通常位置によって画定される最小値から始まる、その下面上の非対称曲率を有する、請求項1~7のいずれか一項に記載のセンサ。
【請求項9】
前記回転要素(3.2a、3.2b)が、深さよりも高く、かつ楕円形の外周形状を有する、請求項1~8のいずれか一項に記載のセンサ。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか一項に記載のセンサを有する、ベルトリトラクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セルフロック式ベルトリトラクタのための車両感知センサであって、支持部分と、支持部分の接触面上に垂直に配設されており、かつ支持部分に対して傾斜することができる、センサ質量と、センサ質量に結合されており、かつ係合先端部を有する、ロックレバーであって、ロックレバーが、ロックレバーの回転軸を形成するための少なくとも2つの回転要素を有する、ロックレバーと、を備え、各回転要素が、支持部分の関連付けられた接触点上に載置されている、センサに関する。本発明はまた、車両感知センサを備えたセルフロック式ベルトリトラクタに関する。
【0002】
上述の特徴を有するセンサは、例えば欧州特許第3459797(B1)号から公知である。このようなセンサは、ベルト巻取りシャフトのためのロックシステムにおいて使用され、トリガされると、車両感知センサ質量は、制御ディスクの歯と係合するように、その係合先端部を有するロックレバーを移動させ、その結果、制御ディスクは、ベルト巻取りシャフトと共有されたその回転運動において停止され、それによって、ブロックシステムを作動させる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
既知の対策にもかかわらず、ロックレバーは、衝撃状況においてそのホルダから解放され、回転運動を可能にすることが分かった。特に高温では、ロックレバーがその予期された位置から解放され、かつ/又はその回転運動が阻止され、その結果、ブロックシステムの作動が保証されないことが観察された。
【0004】
本発明の目的は、先行技術を参照して説明された欠点を少なくとも部分的に解決することであり、特に、誤動作に対する堅牢性が増加された車両感知センサを特定することである。
【0005】
この1つの目的に対する可能な解決策は、独立請求項1の特徴を有する車両感知センサによって示される。センサの可能な更なる解決策及び有利な更なる発展形態は、従属請求項及び説明に示されており、従属請求項及び説明からの個々の特徴は、技術的に意味のある方法で互いに組み合わせることができる。
【0006】
車両感知センサは、特に、支持部分と、センサ質量と、ロックレバーと、を備える。
【0007】
通常状態では、意図したように設置された場合、センサ質量は、特に、支持部分の接触面上に垂直に配設され、支持部分に対して傾斜することができる。
【0008】
ロックレバーは、特に、1部品、2部品又は複数部品のセンサ質量を貫通するロックレバーによってセンサ質量に結合され、センサ質量を貫通するロックレバーのセクションとセンサ質量との間の接触点は、好ましくは、少なくとも1つの隆起部によって実現される。
【0009】
ロックレバーはまた、係合先端部を有し、係合先端部は、特に、センサ質量が通過するセクションの反対側にある。ロックレバー、及び場合によっては、センサ質量は、特に、接触領域において、センサ質量の傾倒運動時にロックレバーが回転運動を行うように設計することができる。しかしながら、回転運動に加えて、回転運動によって画定された回転軸を直線的に変位させることもできる。
【0010】
回転軸を形成するために、ロックレバーは、少なくとも2つ、好ましくは正確に2つの回転要素を有することができる。回転要素は、特に、ロックレバーの2つの側端部に形成される。
【0011】
意図したように設置された通常状態では、回転要素は各々、支持部分によって形成された接触点上に位置する。好ましくは、回転要素は、それらの下側に丸みを帯びた外周設計を有し、ロックレバーは、傾斜センサ質量によってトリガされた回転運動中に、その上を接触点から転動する。
【0012】
一実施形態では、支持部分が、各回転要素のための凹部を有し、凹部の基部が、回転要素のための接触点を形成することが提案される。基部は、少なくとも部分的に、好ましくは完全に、それぞれの凹部のカバーによって覆われ、したがって、組み立てられた通常状態において、少なくとも回転要素も、少なくとも部分的に、好ましくは完全に、それぞれの凹部のカバーによって覆われることが更に提案される。これにより、衝突状況においても、回転要素が画定されていない距離だけ基部から持ち上げられないことが保証される。その代わりに、回転要素は、基部からの持ち上げ運動中に凹部のカバーに当接し、したがってその意図された場所に留まることが保証される。
【0013】
好ましくは、ロックレバーのちょうど2つの回転要素のために、ちょうど2つの凹部が支持部分の側方領域に形成される。したがって、回転要素を収容する各凹部は、基部及び少なくとも回転要素の領域においてこの基部を覆うカバーを有する。
【0014】
凹部は、それぞれの回転要素を凹部に挿入/押し込むことができる開口部を有することもできる。このような開口部は、特に、支持部分の前側、すなわち、接触面及びセンサ質量とは反対側に配設されている。したがって、組み立て中に、ロックレバーは、一方では、その対応するセクションをセンサ質量に挿入することができ、その際に、回転要素を、開口部を通して、凹部に挿入することができる。
【0015】
センサの対応する配向の間にロックレバーが開口部を通って凹部から落下することを防止するために、凹部のカバーは、下方に突出する突出部を有することができる。突出部は、特に、断面が特に非円形である回転要素が、任意の所望の配向で開口部を通って凹部に挿入され得ないように設計され得る。
【0016】
代替的に、回転要素を備えたロックレバーが特定の圧力でのみ開口部を通って凹部内に挿入され得るように、突出部及び回転要素が互いに適合されることが提供され得、その結果、回転要素は、凹部から簡単に落下し得ない。挿入中、突出部/支持部分は、例えば、弾性的に変形することができる。
【0017】
しかしながら、突出部は、追加的に又は代替的に、更なる機能を有することもできる。したがって、突出部は、回転要素の(回転)運動が、センサ質量によってトリガされたその運動中に回転要素が突出部と接触することによって制限されるように設計及び配設することができる。しかしながら、それに応じて、ロックレバーの係合先端部の最大偏向角度も、突出部によって事前定義される。
【0018】
支持部分へのロックレバーの挿入を簡単にするために、開口部が凹部の底部に向かってテーパ状になることが提供され得る。これにより、本来の通常状態では、凹部の底部が水平になっているのに対して、開口部は、基部の端部から前方に向かって下降している。
【0019】
凹部のカバー上の突出部と組み合わせて、テーパ状開口部から凹部の底部への移行部が、回転要素の導入方向において突出部の後ろに配設されることが提供され得る。特に、回転要素が非円形の外周設計を有する場合、これは、回転要素が、組み立て配向において開口部を通して凹部に挿入され、凹部内で回転することによって意図された通常状態にされることを可能にし、突出部は、直線運動によって回転要素が凹部から出ることを防止し、突出部は、同時にロックレバーの回転運動を制限することができる。センサ質量との結合はまた、ロックレバーが組み立て配向位置に戻ることを防止することができ、したがって、回転要素が意図せずに凹部から出ることを防止することができる。
【0020】
追加的又は代替的に、ロックレバーの回転運動を制限するために、前方に突出する停止要素が、各凹部に割り当てられることが提供され得る。停止要素は、いずれの場合も、キャリア要素の前側に形成される(したがって、ロックレバーの係合先端部の方向に延在する)。特に、この停止要素は、凹部に対して内方にオフセットして配設されている。停止要素は、テーパ状開口部の直下に配設することもできる。
【0021】
これに関連して、ロックレバーは、好ましくは、回転要素と係合先端部との間の領域において下方に突出し、各々停止要素に割り当てられる突起を有することが提供され得る。したがって、センサ質量の傾斜運動によってトリガされたロックレバーの回転運動の間、したがって、ロックレバー上の突起は、支持部分上の停止要素と接触する。突起は、特に、内側に配設され、係合先端部に面し、これは、ロックレバーの外側に配設された回転要素から始まる。
【0022】
非円形の外周設計を形成するために、回転要素の外周設計は、楕円形とすることができる。したがって、回転要素は、上側及び下側の両方において意図されるような通常の配向において凸状に形成された曲率を有し、一方で、それらの間の側縁部は、直線で垂直に延びる。
【0023】
ロックレバーの回転運動中の転動のために、回転要素は、その下側に対称的な(特に部分的に円形の)曲率設計を有することができる。しかしながら、好ましい実施形態では、回転要素がその下側に非対称の曲率を有することが提供され得る。この場合、通常位置における接触点から始まる曲率は、前方の方向において、したがって、通常位置からのロックレバーの回転運動の方向において、後方の方向における曲率とは異なる。このような異なる曲率はまた、回転要素が組み立て配向にあるロックレバーを、開口部を通して、凹部内に挿入し、そこでロックレバーを通常位置に枢動させるように構成することができ、それによって、ロックレバーは、意図しない落下に対して固定される。
【図面の簡単な説明】
【0024】
本発明及び技術的環境について、図を参照して例として以下に説明する。以下が概略的に図示されている。
【
図4】
図4は、センサのロックレバーの側面図である。
【
図5】
図5は、通常位置にあるセンサの側面図である。
【
図6】
図6は、回転されたロックレバーを示す側面図である。
【
図7】
図7は、回転された状態の支持部分及びロックレバーの断面図である。
【
図9】
図9は、通常位置にあるセンサの側面図の詳細図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図に示す車両感知センサは、支持部分1と、センサ質量2と、ロックレバー3と、を備える。
【0026】
支持部分1は、接触面1.1(
図2参照)を備え、その上にセンサ質量2が位置し、センサ質量2が傾斜するように配置される。
【0027】
ロックレバー3は、係合先端部3.1と、係合先端部3.1の反対側にあるセクションと、を備え、このセクションは、組み立てられた状態においてセンサ質量2(
図1参照)を通って延在する。ロックレバー3は、その側縁部に回転要素3.2a及び3.2bを備える。加えて、ロックレバーは、回転要素3.2a及び3.2bに隣接するその下側に突起3.3a及び3.3bを備える。
【0028】
支持部分1は、その側方領域に凹部1.3a及び1.3bを有し、その各々は、ロックレバー3の回転要素3.2a及び3.2bのためのそれらの基部との接触点1.2a及び1.2bを形成する。特に、
図3から分かるように、凹部1.3aは、基部1.3a.iに加えて、基部1.3a.iを覆うカバー1.3a.iiを有する。凹部1.3aはまた、その前側に開口部1.3a.iiiを有する。開口部1.3a.iiiは、前側から凹部1.3aに向かってテーパ状になるように設計されている。加えて、凹部1.3aは、そのカバー1.3a.ii上に下方に突出する突出部1.3a.ivを有する。
【0029】
2つの停止要素1.4a及び1.4bもまた、支持部分1の前側に配設され、凹部1.3a及び1.3bに対して内方にオフセットされた前側に配設される。
【0030】
開口部1.3a.iii及び突出部1.3a.ivは、ロックレバー3の関連付けられた回転要素3.2aが特定の配向でのみ凹部1.3に挿入され得るように設計される。次に、ロックレバー3は、
図5に示す通常位置に位置するように配向される。また、
図5から、ロックレバー3は、突出部1.3aに当接するので、前側への(すなわち、
図5の右側への)単純な直線運動によって凹部1.3aから出ることができないことが分かる。
【0031】
通常位置は、
図9にも詳細に示されている。ここでは、凹部1.3aの基部1.3a.iがカバー1.3a.iiによって覆われていること、及び突出部1.3a.ivが、その外周設計において円形ではない回転要素3.2aと重なり合うのに十分に下方に突出していることが分かる。
【0032】
図6及び
図10は、回転位置にあるロックレバー3を示す。回転要素3.2aが上部セクションで突出部1.3a.ivと接触し、それによってロックレバー3の回転運動が制限されることが分かる。また、
図9及び
図10では、回転要素3.2aが基部1.3a.i上に載置される回転要素3.2aの下部セクションの曲率が、接触点に対して非対称であることが分かる。
【0033】
また、
図7及び
図8に示す断面図から明らかなように、ロックレバー3の回転位置において、ロックレバー3は、突起3.3bによって、支持部分1に形成された停止要素1.4bに当接し、その結果、ロックレバー3の回転運動も同様に制限される。
【符号の説明】
【0034】
1 支持部分
1.1 接触面
1.2a 支持点
1.2b 支持点
1.3a 凹部
1.3b 凹部
1.3a.i 基部
1.3a.ii カバー
1.3a.iii 開口部
1.3a.iv 突出部
1.4a 停止要素
1.4b 停止要素
2 センサ質量
3 ロックレバー
3.1 係合先端部
3.2a 回転要素
3.2b 回転要素
3.3a 突起
3.3b 突起
【国際調査報告】