(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-09
(54)【発明の名称】抗インフルエンザウイルス化合物の結晶形及びその製造方法と用途
(51)【国際特許分類】
C07D 413/14 20060101AFI20240202BHJP
A61K 31/4545 20060101ALI20240202BHJP
A61P 31/16 20060101ALI20240202BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20240202BHJP
【FI】
C07D413/14 CSP
A61K31/4545
A61P31/16
A61K45/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023544353
(86)(22)【出願日】2022-01-20
(85)【翻訳文提出日】2023-08-09
(86)【国際出願番号】 CN2022072933
(87)【国際公開番号】W WO2022156737
(87)【国際公開日】2022-07-28
(31)【優先権主張番号】202110088776.3
(32)【優先日】2021-01-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524010996
【氏名又は名称】西藏海思科制藥有限公司
【氏名又は名称原語表記】XIZANG HAISCO PHARMACEUTICAL CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】XINGFU JIAYUAN ECONOMIC DEVELOPMENT ZONE, JIEBA TOWN, NAIDONG DISTRICT, LHOKA, TIBET, 856099, CHINA
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】李 瑶
(72)【発明者】
【氏名】張 国彪
(72)【発明者】
【氏名】張 暁波
【テーマコード(参考)】
4C063
4C084
4C086
【Fターム(参考)】
4C063AA05
4C063BB01
4C063CC52
4C063DD12
4C063EE01
4C084AA19
4C084NA05
4C084ZB331
4C084ZB332
4C084ZC202
4C084ZC412
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086AA04
4C086BC70
4C086GA07
4C086GA08
4C086GA09
4C086GA15
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA03
4C086NA14
4C086ZB33
(57)【要約】
式(A)の構造を有する化合物(1S,2S)-2-フルオロ-N-(2-(2-(4-((R)-(5-メチル-2H-テトラゾール-2-イル)(フェニル)メチル)ピペリジン-1-ホルミル)ピリジン-4-イル)ベンゾ[d]オキサゾール-5-イル)シクロプロパン-1-カルボキサミドの結晶形、及び結晶形の製造方法とインフルエンザを治療/予防する薬物の製造における用途を開示した。
【化1】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(A)に示す化合物の結晶形Iであって、Cu-Kα線を使用し、そのX-線粉末回折パターンは、4.1±0.2°、10.1±0.2°、14.8±0.2°、17.5±0.2°、20.4±0.2°、21.2±0.2°と23.7±0.2°の2θ位置に特徴的な回折ピークを有する、
【化1】
ことを特徴とする結晶形I。
【請求項2】
そのX-線粉末回折パターンは、さらに19.5±0.2°、22.7±0.2°、24.4±0.2°、25.6±0.2°、26.9±0.2°と28.7±0.2°の2θ位置に特徴的な回折ピークを有する、ことを特徴とする請求項1に記載の結晶形I。
【請求項3】
そのX-線粉末回折パターンは、さらに14.2±0.2°、16.3±0.2°、18.3±0.2°、18.6±0.2°と24.0±0.2°の2θ位置に特徴的な回折ピークを有する、ことを特徴とする請求項2に記載の結晶形I。
【請求項4】
そのX-線粉末回折パターンは、次の表の2θ位置に特徴的な回折ピークを有する、請求項1に記載の結晶形I。
【表1】
【請求項5】
そのX-線粉末回折パターンは、基本的に
図1-1に示される、ことを特徴とする請求項1に記載の結晶形I。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一項に記載の結晶形Iを製造する方法であって、
1)4~40℃で、式(A)の化合物粗製物と溶媒とを混合し、懸濁液を得、攪拌し、分離し、結晶形Iを得ること、又は、
2)式(A)の化合物粗製物と溶媒1とを混合溶解し、そして溶媒2の溶媒雰囲気に静置し、固体を析出させ、遠心分離し、乾燥し、結晶形Iを得ることを含む、結晶形Iを製造する方法。
【請求項7】
1)における前記溶媒は、単溶媒系又は二溶媒混合系であり、単溶媒系は、イソプロピルエーテルと、メチルtert-ブチルエーテルとのうちの1つから選ばれ、二溶媒混合系は、第1の溶媒と第2の溶媒とから構成され、第1の溶媒は、メタノールと、エタノールと、アセトニトリルと、トルエンと、酢酸イソプロピルとのうちの1つから選ばれ、第2の溶媒は、水と、n-ヘプタンと、酢酸n-ブチルエーテルと、メチルtert-ブチルエーテルとのうちの1つから選ばれ、好ましく前記二溶媒混合系は、メタノール-水混合液、エタノール-n-ヘプタン混合液、アセトニトリル-水混合液、トルエン-酢酸n-ブチルエーテル混合液、酢酸イソプロピル-メチルtert-ブチルエーテル混合液又はトルエン-メチルtert-ブチルエーテル混合液である、ことを特徴とする請求項6に記載の製造方法。
【請求項8】
2)における前記溶媒1は、エステル系溶媒であり、好ましくは、酢酸n-ブチルエーテルであり、前記溶媒2は、エーテル系溶媒であり、好ましくは、イソプロピルエーテルである、ことを特徴とする請求項6に記載の製造方法。
【請求項9】
式(A)に示す化合物の結晶形IIであって、Cu-Kα線を使用し、そのX-線粉末回折パターンは、3.9±0.2°、7.7±0.2°、8.1±0.2°、10.4±0.2°、14.3±0.2°、15.3±0.2°、17.7±0.2°、18.3±0.2°、18.6±0.2°、21.0±0.2°、21.4±0.2°、23.4±0.2°、24.7±0.2°、26.1±0.2°と27.6±0.2°の2θ位置に特徴的な回折ピークを有する、結晶形II。
【請求項10】
そのX-線粉末回折パターンは、さらに11.5±0.2°、16.9±0.2°、17.1±0.2°、20.0±0.2°、21.7±0.2°、22.2±0.2°、22.4±0.2°、25.1±0.2°と30.8±0.2°の2θ位置に特徴的な回折ピークを有する、ことを特徴とする請求項9に記載の結晶形II。
【請求項11】
そのX-線粉末回折パターンは、さらに9.1±0.2°、14.7±0.2°、19.1±0.2°、19.6±0.2°、24.4±0.2°、26.4±0.2°、26.7±0.2°、27.1±0.2°、30.1±0.2°と30.3±0.2°の2θ位置に特徴的な回折ピークを有する、ことを特徴とする請求項10に記載の結晶形II。
【請求項12】
そのX-線粉末回折パターンは、次の表の2θ位置に特徴的な回折ピークを有する、ことを特徴とする請求項9に記載の結晶形II。
【表2】
【請求項13】
そのX-線粉末回折パターンは、基本的に
図2-1に示される、ことを特徴とする請求項9に記載の結晶形II。
【請求項14】
請求項9から13のいずれか一項に記載の結晶形IIを製造する方法であって、
a)室温で、式(A)の化合物粗製物と溶媒とを混合し、懸濁液を得、攪拌し、分離し、結晶形IIを得ること、又は、
b)式(A)の化合物粗製物を溶媒雰囲気に静置し、結晶形IIを得ることを含む、結晶形IIを製造する方法。
【請求項15】
a)における前記溶媒は、エステル系溶媒とエーテルとの混合溶媒であり、好ましくは、エステル系溶媒は、酢酸イソプロピルであり、b)における前記溶媒は、エーテルである、ことを特徴とする請求項14に記載の製造方法。
【請求項16】
薬物組成物であって、治療有効量の請求項1から5のいずれか一項に記載の結晶形I又は請求項9から13のいずれか一項に記載の結晶形II、及び薬学的に許容されるベクター及び/又は賦形剤を含む、薬物組成物。
【請求項17】
抗インフルエンザウイルス作用を有する1つ又は複数の第2の治療剤をさらに含み、好ましくは、第2の治療剤は、ノイラミニダーゼ阻害剤又はM2イオンチャネル遮断剤である、ことを特徴とする請求項16に記載の薬物組成物。
【請求項18】
請求項1から5のいずれか一項に記載の結晶形I、又は請求項9から13のいずれか一項に記載の結晶形II、又は請求項16又は17に記載の組成物の、インフルエンザを治療及び/又は予防する薬物の製造における用途。
【請求項19】
インフルエンザを治療及び/又は予防するためのものである、請求項1から5のいずれか一項に記載の結晶形I、又は請求項9から13のいずれか一項に記載の結晶形II、又は請求項16又は17に記載の組成物。
【請求項20】
インフルエンザを治療及び/又は予防する方法であって、必要のある被験者に治療有効量の請求項1から5のいずれか一項に記載の結晶形I、又は請求項9から13のいずれか一項に記載の結晶形II、又は請求項16又は17に記載の組成物を投与することを含む、インフルエンザを治療及び/又は予防する方法。
【請求項21】
インフルエンザを治療及び/又は予防するための組成物であって、請求項1から5のいずれか一項に記載の結晶形I、又は請求項9から13のいずれか一項に記載の結晶形IIを含む、組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、CN出願番号が202110088776.3であり、出願日が2021年1月22日である出願を基礎とし、その優先権を主張し、該CN出願的開示内容は、ここで全体として本出願に組み込まれる。
【0002】
本出願は、化合物(1S,2S)-2-フルオロ-N-(2-(2-(4-((R)-(5-メチル-2H-テトラゾール-2-イル)(フェニル)メチル)ピペリジン-1-ホルミル)ピリジン-4-イル)ベンゾ[d]オキサゾール-5-イル)シクロプロパン-1-カルボキサミドの結晶形及びその製造方法と医薬用途に関する。
【背景技術】
【0003】
インフルエンザは、インフルエンザウイルスによる急性呼吸器感染症であり、感染力が強く、伝播速度が速い病気でもある。現在、抗インフルエンザウイルス薬物的作用標的は、主にウイルスエンベロープに対するヘマグルチニン受容体、ノイラミニダーゼと基質タンパク質である。PCT/CN2020/110764は、一連のピリジン誘導体を報道しており、ヘマグルチニン(HA)保存領域と結合することにより、インフルエンザを予防して治療する作用を発揮し、ここで、(1S,2S)-2-フルオロ-N-(2-(2-(4-((R)-(5-メチル-2H-テトラゾール-2-イル)(フェニル)メチル)ピペリジン-1-ホルミル)ピリジン-4-イル)ベンゾ[d]オキサゾール-5-イル)シクロプロパン-1-カルボキサミド、即ち式(A)の化合物は、良好な抗インフルエンザウイルス活性を示し、インフルエンザを予防及び/又は治療する可能性を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際出願番号 PCT/CN2020/110764
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
薬用活性成分としての結晶形構造は、該薬物の化学的安定性、製造の難易度、純度、さらに生物利用度に影響を与えることが多い。結晶条件及び保管条件によって化合物の結晶形構造が変更する可能性があり、それに伴って別の形態の結晶形が生じることもある。一般的には、非晶質の薬物製品は、規則的な結晶形構造がなく、他の欠陥、例えば産物の安定差が悪く、晶析が細く、濾過が困難で、固結しやすく、流動性が悪いなどを有することが多い。薬物の多結晶形は、製品の保管、生産及び増幅に対して異なる要求がある。そのため、式(A)の化合物の結晶形(PCT/CN2020/110764に記載されているのは、化合物(A)の非晶質物である)及び関連製造方法を深く研究し、式(A)に示す化合物の多面的な性質を改善する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本出願は、式(A)に示す化合物の結晶形、結晶形の製造方法、組成物及びそのインフルエンザを予防/治療する薬物の製造における用途を提供する。本出願による結晶形は、純度が高く、生物利用度が高く、圧力安定性が良く、薬剤の製造に有利であり、特に結晶形Iは、非晶質形式と比べて、優れた安定性、高い生物利用度と著しく低い吸湿性を有する。
【化1】
【0007】
本出願は、まず式(A)に示す化合物の結晶形Iを提供し、Cu-Kα線を使用し、そのX-線粉末回折パターンは、4.1±0.2°、10.1±0.2°、14.8±0.2°、17.5±0.2°、20.4±0.2°、21.2±0.2°と23.7±0.2°の2θ位置に特徴的な回折ピークを有する。
【0008】
さらに、式(A)に示す化合物の結晶形Iは、そのX-線粉末回折パターンが、さらに19.5±0.2°、22.7±0.2°、24.4±0.2°、25.6±0.2°、26.9±0.2°と28.7±0.2°の2θ位置に特徴的な回折ピークを有する。
【0009】
さらに、式(A)に示す化合物の結晶形Iは、そのX-線粉末回折パターンが、さらに14.2±0.2°、16.3±0.2°、18.3±0.2°、18.6±0.2°と24.0±0.2°の2θ位置に特徴的な回折ピークを有する。
【0010】
さらに、式(A)に示す化合物の結晶形Iは、そのX-線粉末回折パターンが、次の表の2θ位置に特徴的な回折ピークを有する。
【0011】
【0012】
さらに、式(A)に示す化合物の結晶形Iは、そのX-線粉末回折パターンが、基本的に
図1-1に示される。
【0013】
さらに、式(A)に示す化合物の結晶形Iは、その融点が、216±3℃であり、分解温度が、246±3℃である。
【0014】
さらに、式(A)に示す化合物の結晶形Iは、そのTGAが、150℃までに2.6%±0.3%の遅い減量があり、無水物又はトンネル水合物であることを示す。
【0015】
さらに、式(A)に示す化合物の結晶形Iは、そのTGA曲線が、基本的に
図1-2に示される。
【0016】
さらに、式(A)に示す化合物の結晶形Iは、そのDSC図が、基本的に
図1-3に示される。
【0017】
さらに、式(A)に示す化合物の結晶形Iは、そのTGA曲線が、基本的に
図1-2に示され、そのDSC図が、基本的に
図1-3に示される。
【0018】
本出願は、式(A)に示す化合物の結晶形をさらに提供し、単結晶構造情報を採用して表す場合、以下の単位セルパラメータを有する。
【0019】
結晶系:単斜結晶系、
空間群:C2、
セルパラメータ:a=46.5183(13)Å、b=6.6246(3)Å、c=20.2880(5)Å、α=γ=90°、β=109.7650(10)°、
結晶軸比:a/b=7.0221 b/c=0.3265 c/a=0.4361、
Z:8、
セル体積:5883.7(3)Å3、
理論密度:1.311g/cm3。
【0020】
本出願は、式(A)に示す化合物の結晶形Iの製造方法をさらに提供し、
1)スラリー結晶化法:4~40℃で、式(A)の化合物粗製物を溶媒に加えて懸濁液を得、攪拌し、分離し、結晶形Iを得ること、又は、
2)拡散結晶化法:式(A)の化合物粗製物を取って遠心分離管に置き、溶媒1を加えて溶解し、そして溶媒2の溶媒雰囲気に置いて一定時間静置し、固体を析出させた後、遠心分離し、乾燥し、結晶形Iを得ることを含む。
【0021】
本出願は、式(A)に示す化合物の結晶形Iの製造方法をさらに提供し、
1)スラリー結晶化法:4~40℃で、式(A)の化合物粗製物を溶媒に加えて懸濁液を得、攪拌し、分離し、結晶形Iを得ること、又は、
2)拡散結晶化法:式(A)の化合物粗製物を取って遠心分離管に置き、溶媒1を加えて溶解し、そして溶媒2の溶媒雰囲気に静置し、固体を析出させた後、遠心分離し、乾燥し、結晶形Iを得ることを含む。
【0022】
本出願は、式(A)に示す化合物の結晶形Iの製造方法をさらに提供し、
1)4~40℃で、式(A)の化合物粗製物と溶媒とを混合し、懸濁液を得、攪拌し、分離し、結晶形Iを得ること、又は、
2)式(A)の化合物粗製物と溶媒1とを混合溶解し、そして溶媒2の溶媒雰囲気に静置し、固体を析出させ、遠心分離し、乾燥し、結晶形Iを得ることを含む。
【0023】
いくつかの実施形態において、上記結晶形Iの製造方法では、1)における前記溶媒は、単溶媒系又は二溶媒混合系であり、単溶媒系は、イソプロピルエーテルと、メチルtert-ブチルエーテルとのうちの1つから選ばれ、二溶媒混合系は、第1の溶媒と第2の溶媒とから構成され、第1の溶媒は、メタノールと、エタノールと、アセトニトリルと、トルエンと、酢酸イソプロピルとのうちの1つから選ばれ、第2の溶媒は、水と、n-ヘプタンと、酢酸n-ブチルエーテルと、メチルtert-ブチルエーテルとのうちの1つから選ばれる。
【0024】
いくつかの実施形態において、上記結晶形Iの製造方法では、1)における前記二溶媒混合系における第1の溶媒と第2の溶媒との体積比は、6:1-1:5である。
【0025】
いくつかの実施形態において、上記結晶形Iの製造方法では、1)における前記二溶媒混合系は、メタノール-水混合液、エタノール-n-ヘプタン混合液、アセトニトリル-水混合液、トルエン-酢酸n-ブチルエーテル混合液、酢酸イソプロピル-メチルtert-ブチルエーテル混合液又はトルエン-メチルtert-ブチルエーテル混合液である。
【0026】
いくつかの具体的な実施例において、上記結晶形Iの製造方法では、1)には、式(A)の化合物粗製物を取ってメタノール/水系に加え、室温でスラリーを13日攪拌し、遠心分離し、乾燥し、結晶形Iを得、又は、式(A)の化合物粗製物を取ってメチルtert-ブチルエーテルに加え、40℃水浴でスラリーを3日攪拌し、遠心分離し、乾燥し、結晶形Iを得ることが含まれる。
【0027】
いくつかの実施形態において、上記結晶形Iの製造方法では、2)における前記溶媒1は、エステル系溶媒であり、好ましく酢酸n-ブチルエーテルであり、前記溶媒2は、エーテル系溶媒であり、好ましくイソプロピルエーテルである。
【0028】
本出願は、式(A)に示す化合物の結晶形IIをさらに提供し、Cu-Kα線を使用し、そのX-線粉末回折パターンは、3.9±0.2°、7.7±0.2°、8.1±0.2°、10.4±0.2°、14.3±0.2°、15.3±0.2°、17.7±0.2°、18.3±0.2°、18.6±0.2°、21.0±0.2°、21.4±0.2°、23.4±0.2°、24.7±0.2°、26.1±0.2°と27.6±0.2°の2θ位置に特徴的な回折ピークを有する。
【0029】
さらに、式(A)に示す化合物の結晶形IIは、そのX-線粉末回折パターンが、さらに11.5±0.2°、16.9±0.2°、17.1±0.2°、20.0±0.2°、21.7±0.2°、22.2±0.2°、22.4±0.2°、25.1±0.2°と30.8±0.2°の2θ位置に特徴的な回折ピークを有する。
【0030】
さらに、式(A)に示す化合物の結晶形IIは、そのX-線粉末回折パターンが、さらに9.1±0.2°、14.7±0.2°、19.1±0.2°、19.6±0.2°、24.4±0.2°、26.4±0.2°、26.7±0.2°、27.1±0.2°、30.1±0.2°と30.3±0.2°の2θ位置に特徴的な回折ピークを有する。
【0031】
さらに、式(A)に示す化合物の結晶形IIは、そのX-線粉末回折パターンが、次の表の2θ位置に特徴的な回折ピークを有する。
【0032】
【0033】
さらに、式(A)に示す化合物の結晶形IIは、そのX-線粉末回折パターンが、基本的に
図2-1に示される。
【0034】
さらに、式(A)に示す化合物の結晶形IIは、エーテル溶媒化物であり、その分解温度は、246±3℃である。
【0035】
さらに、式(A)に示す化合物の結晶形IIは、130℃-170℃の間には、溶融を伴う脱溶媒ピークを有する。
【0036】
さらに、式(A)に示す化合物の結晶形IIは、そのTGA曲線が、基本的に
図2-2に示され、そのDSC図が、基本的に
図2-3に示される。
【0037】
本出願は、式(A)に示す化合物の結晶形IIの製造方法をさらに提供し、
a)スラリー結晶化法:室温で、式(A)の化合物粗製物を溶媒に加えて懸濁液を得、攪拌し、分離し、結晶形IIを得ること、又は、
b)拡散結晶化法:式(A)の化合物粗製物を取って遠心分離管に置き、そして溶媒雰囲気に置いて一定時間静置し、結晶形IIを得ることを含む。
【0038】
本出願は、式(A)に示す化合物の結晶形IIの製造方法をさらに提供し、
a)スラリー結晶化法:室温で、式(A)の化合物粗製物を溶媒に加えて懸濁液を得、攪拌し、分離し、結晶形IIを得ること、又は、
b)拡散結晶化法:式(A)の化合物粗製物を取って遠心分離管に置き、そして溶媒雰囲気に静置し、結晶形IIを得ることを含む。
【0039】
本出願は、式(A)に示す化合物の結晶形IIの製造方法をさらに提供し、
a)室温で、式(A)の化合物粗製物と溶媒とを混合し、懸濁液を得、攪拌し、分離し、結晶形IIを得ること、又は、
b)式(A)の化合物粗製物を溶媒雰囲気に静置し、結晶形IIを得ることを含む。
【0040】
いくつかの実施形態において、上記式(A)に示す化合物の結晶形IIの製造方法では、a)における前記溶媒は、エステル系とエーテルとの混合溶媒から選ばれ、好ましくエステル系は、酢酸イソプロピルである。
【0041】
いくつかの実施形態において、上記式(A)に示す化合物の結晶形IIの製造方法では、a)における前記酢酸イソプロピルとエーテルとの体積比は、1:2-1:4であり、好ましく1.5:5である。
【0042】
いくつかの実施形態において、上記式(A)に示す化合物の結晶形IIの製造方法では、b)における前記溶媒は、エーテルから選ばれる。
【0043】
本出願は、薬物組成物をさらに提供し、治療有効量の前述式(A)に示す化合物の結晶形I又は結晶形II、及び薬学的に許容されるベクター及び/又は賦形剤を含む。
【0044】
さらに、上記薬物組成物は、抗インフルエンザウイルス作用を有する1つ又は複数の第2の治療剤をさらに含む。
【0045】
好ましく前記抗インフルエンザウイルス作用を有する1つ又は複数の第2の治療剤は、ノイラミニダーゼ阻害剤又はM2イオンチャネル遮断剤である。
【0046】
本出願は、前述式(A)に示す化合物の結晶形I又は結晶形II、又は前述組成物のインフルエンザを治療/予防する薬物の製造における用途をさらに提供する。
【0047】
本出願は、前述式(A)に示す化合物の結晶形I又は結晶形II、又は前述組成物をさらに提供し、そは、インフルエンザを治療及び/又は予防するためのものである。
【0048】
本出願は、インフルエンザを治療及び/又は予防する方法をさらに提供し、必要のある被験者に治療有効量の前述式(A)に示す化合物の結晶形I又は結晶形II、又は前述組成物を投与することを含む。
【0049】
本出願は、インフルエンザを治療及び/又は予防するための組成物をさらに提供し、前述式(A)に示す化合物の結晶形I又は結晶形II、又は前述組成物を含む。
【0050】
本出願の結晶形I又は結晶形IIは、生薬の約5重量%~約100重量%で存在する。
【0051】
いくつかの実施形態において、本出願の結晶形I又は結晶形IIは、生薬の約10重量%~約100重量%で存在する。
【0052】
いくつかの実施形態において、本出願の結晶形I又は結晶形IIは、生薬の約15重量%~約100重量%で存在する。
【0053】
いくつかの実施形態において、本出願の結晶形I又は結晶形IIは、生薬の約20重量%~約100重量%で存在する。
【0054】
いくつかの実施形態において、本出願の結晶形I又は結晶形IIは、生薬の約25重量%~約100重量%で存在する。
【0055】
いくつかの実施形態において、本出願の結晶形I又は結晶形IIは、生薬の約30重量%~約100重量%で存在する。
【0056】
いくつかの実施形態において、本出願の結晶形I又は結晶形IIは、生薬の約35重量%~約100重量%で存在する。
【0057】
いくつかの実施形態において、本出願の結晶形I又は結晶形IIは、生薬の約40重量%~約100重量%で存在する。
【0058】
いくつかの実施形態において、本出願の結晶形I又は結晶形IIは、生薬の約45重量%~約100重量%で存在する。
【0059】
いくつかの実施形態において、本出願の結晶形I又は結晶形IIは、生薬の約50重量%~約100重量%で存在する。
【0060】
いくつかの実施形態において、本出願の結晶形I又は結晶形IIは、生薬の約55重量%~約100重量%で存在する。
【0061】
いくつかの実施形態において、本出願の結晶形I又は結晶形IIは、生薬の約60重量%~約100重量%で存在する。
【0062】
いくつかの実施形態において、本出願の結晶形I又は結晶形IIは、生薬の約65重量%~約100重量%で存在する。
【0063】
いくつかの実施形態において、本出願の結晶形I又は結晶形IIは、生薬の約70重量%~約100重量%で存在する。
【0064】
いくつかの実施形態において、本出願の結晶形I又は結晶形IIは、生薬の約75重量%~約100重量%で存在する。
【0065】
いくつかの実施形態において、本出願の結晶形I又は結晶形IIは、生薬の約80重量%~約100重量%で存在する。
【0066】
いくつかの実施形態において、本出願の結晶形I又は結晶形IIは、生薬の約85重量%~約100重量%で存在する。
【0067】
いくつかの実施形態において、本出願の結晶形I又は結晶形IIは、生薬の約90重量%~約100重量%で存在する。
【0068】
いくつかの実施形態において、本出願の結晶形I又は結晶形IIは、生薬の約95重量%~約100重量%で存在する。
【0069】
いくつかの実施形態において、本出願の結晶形I又は結晶形IIは、生薬の約98重量%~約100重量%で存在する。
【0070】
いくつかの実施形態において、本出願の結晶形I又は結晶形IIは、生薬の約99重量%~約100重量%で存在する。
【0071】
いくつかの実施形態において、基本的にすべての生薬は、本出願の結晶形I又は結晶形IIであり、即ち生薬は、基本的に相純結晶体である。
【0072】
理解できるように、熱重量分析(TGA)と示差走査熱量測定(DSC)は、当分野で良く知られており、TGA曲線とDSC曲線の溶融ピークの高さは、サンプル製造と装置の幾何に関連する多くの要因に依存し、ピーク位置は、実験の詳細に敏感ではない。そのため、いくつかの実施形態において、本出願の結晶性化合物は、特徴的なピーク位置のTGA図とDSC図を有し、本出願の図面によるTGA図とDSC図と実質的に同じ特性を有し、測定値誤差許容範囲は±5℃以内であり、一般的に±3℃以内であることが要求される。
【0073】
理解できるように、本出願で記述されて保護される数値は、近似値である。数値内の変化は、機器の校正、機器の誤差、結晶の純度、結晶の大きさ、検体の大きさ及びその他の要因に起因する可能性がある。
【0074】
理解できるように、本出願の結晶形は、本出願の開示した図面に記載された特性スペクトルと全く同じである特性スペクトル、例えばXRD、DSC、TGA、DVS、等温吸着曲線図に限定されず、図面に記載されたスペクトルと基本的に同じ又は本質的に同じである特性スペクトルを有する任意の結晶形は、いずれも本出願の範囲内に含まれる。
【0075】
「治療有効量」とは、組織、系統又は被験者の生理的又は医学的反応を引き起こす化合物の量であり、この量は、求められたものであり、被治療者に投与される時に、治療された疾患又は病症の1つ又は複数の症状の発生を予防し又はある程度まで軽減するのに十分な化合物の量を含む。
【0076】
「室温」:10℃-30℃、好ましく湿度>30%RHである。
【0077】
本出願において使用されるように、図を限定するための用語である「基本的に図……に示される」、「基本的に同じである」又は「実質的に同じである」は、同じ意味を有し、当業者に許容される逸脱を考慮して、当業者が、前記図が参照図と同じであると考えていることを示すことを目指す。このような逸脱は、機器、操作条件、人為的要因等に関連して当分野で知られている要因に起因する可能性がある。例えば、当業者は、示差走査熱量測定法(DSC)によって測定される吸熱開始温度とピーク温度が、実験によって大きく変化し得ることを理解することができる。いくつかの実施形態において、2つの図の特徴ピークの位置の変化が±5%、±4%、±3%、±2%又は±1%を超えない場合、この2つの図は、基本的に同じであると考えられる。例えば、当業者は、2つのX線回折チャートまたは2つのDSCチャートが実質的に同じであるか否かを容易に識別することができる。いくつかの実施形態において、2つのX線回折チャートの特徴ピークの2θ角度変化が±0.3°、±0.2°又は±0.1°を超えない場合、前記X線回折チャートが基本的に同じであると考えられる。
【0078】
本出願において使用されるように、用語「約」は、当分野の通常の公差範囲内であると理解されるべきであり、例えば「約」は、前記値の±10%、±9%、±8%、±7%、±6%、±5%、±4%、±3%、±2%、±1%、±0.5%、±0.1%、±0.05%又は±0.01%以内であると理解されることができる。文脈から別途明らかでない限り、本出願によるすべての数値は、用語「約」によって修飾される。
【0079】
本出願の前記式(A)に示す化合物の結晶形I又は結晶形IIは、異なる患者に対する特定の用量および使用方法が、多くの要因によって決定され、患者の年齢、体重、性別、自然健康状態、栄養状態、化合物の活性度、服用期間、代謝速度、重症度、診療医の主観的判断を含む。ここで、用量は、0.01-1000mg/kg体重/日であることが好ましい。
【0080】
本出願の開示による結晶形は、以下の有益な効果を有する。
1. 結晶形Iと結晶形IIは、製造しやすく、純度が高く、生物利用度が高く、圧力安定性が良く、流動性が良く、優れた溶解度を有し、特に各種の薬物剤形の製造に適していて、そして工業化の増幅生産に適している。
2. 結晶形Iは、非晶質形式と比べて、特に安定性が良く、生物利用度が高く、吸湿性が低いという顕著な利点をさらに有する。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【
図1-1】化合物Aの結晶形がICu-Kα線を使用するX-線粉末回折パターンである。
【
図1-2】化合物Aの結晶形Iの熱重量分析(TGA)曲線である。
【
図1-3】化合物Aの結晶形Iの示差走査熱量測定法(DSC)曲線である。
【
図1-4】化合物Aの結晶形Iの動的水分吸着(DVS)曲線である。
【
図1-5】化合物Aの結晶形Iの等温吸着曲線である。
【
図1-6】単結晶X-線分析に基づく化合物Aの配置図である。
【
図2-1】化合物Aの結晶形IIがCu-Kα線を使用するX-線粉末回折パターンである。
【
図2-2】化合物Aの結晶形IIの熱重量分析(TGA)曲線である。
【
図2-3】化合物Aの結晶形IIの示差走査熱量測定法(DSC)曲線である。
【
図3-1】化合物Aの非晶質物のX-線粉末回折パターンである。
【
図3-2】化合物Aの非晶質物の動的水分吸着(DVS)曲線である。
【
図3-3】化合物Aの非晶質物の等温吸着曲線である。
【発明を実施するための形態】
【0082】
以下では、実施例によって本出願の内容を詳細に記述する。実施例に具体的な条件が明記されていない場合、通常の条件の実験方法に従って行う。例示された実施例は、本出願の内容をより良く説明するためのものであるが、本出願の内容が例示されたものに限定されるものであるとは理解されない。当業者が上記出願内容に基づいて実施形態に対して行った本質的でない改良と調整は、依然として本出願の保護範囲に属する。
【0083】
略語と定義
DDQ:2,3-ジクロロ-5,6-ジシアノ-1,4-ベンゾキノン
EA:酢酸エチル
PE:石油エーテル
THF:テトラヒドロフラン
DEAD:アゾジカルボン酸ジエチル
DMF:N,N-二メチルカルボキサミド
HATU:2-(7-オキソベンゾトリアゾール)-N,N,N’,N’-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート
DIEA:N,N-ジイソプロピルエチルアミン
【0084】
検出方法
【0085】
化合物の構造は、核磁気共鳴(NMR)又は(及び)質量分析(MS)によって確定される。NMRシフト(δ)は、10-6(ppm)の単位で与えられる。NMRの測定は、(Bruker Avance III 400とBruker Avance 300)核磁気計を用い、測定溶媒は、重水素化ジメチルスルホキシド(DMSO-d6)、重水素化クロロホルム(CDCl3)、重水素化メタノール(CD3OD)であり、内部標準は、テトラメチルシラン(TMS)であり、
MSの測定は、(Agilent 6120B(ESI) とAgilent 6120B(APCI))を用い、
HPLCの測定は、Agilent 1260DAD高圧液体クロマトグラフ(Zorbax SB-C18 100×4.6mm、3.5μM)を用い、
薄層クロマトグラフィーシリカゲルプレートは、煙台黄海HSGF254又は青島GF254シリカゲルプレートを用いて、薄層クロマトグラフィー(TLC)に使用されるシリカゲルプレートは、0.15mm~0.20mmの仕様を採用し、薄層クロマトグラフィーで分離して精製製品は、0.4mm~0.5mmの仕様を採用し、
カラムクロマトグラフィーは、一般的にベクターとして煙台黄海シリカゲル200~300メッシュのシリカゲルを用いる。
【0086】
【実施例1】
【0087】
実施例1化合物Aの製造
中間体1:4-(5-((tert-ブチルオキシカルボニル)アミノ)ベンゾ[d]オキサゾール-2-イル)ピリジンカルボン酸メチル(中間体1)
【化2】
【0088】
ステップ1:tert-ブチル-(4-ヒドロキシ-3-ニトロフェニル)カルバメート(1b)の製造
既知の化合物1a(5.0g、32.5mmol)にテトラヒドロフラン(50mL)、ジ-t-ブチルジカーボネート(10.6g、48.7mmol)を順次加え、加え完了後に70℃まで昇温して16h反応させ、減圧してテトラヒドロフランを濃縮し、石油エーテル(100mL)を1時間スラリーした後に濾過し、濾過ケーキを収集し、乾燥して化合物1b(6.1g、74%)を得た。
1H NMR(400MHz,CD3OD)δ 8.25(d,1H),7.56(d,1H),7.06(d,1H),1.52(s,9H)。
LC-MS(ESI):m/z=255.1[M+H]+。
【0089】
ステップ2:tert-ブチル-(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)カルバメート(1c)の製造
室温で、化合物1b(6.1g、24.0mmol)を無水メタノール(60mL)に溶解し、Pd/C(2.1g、Pd含有量10%、水分50%)を加え、水素ガスを導入し、45℃まで昇温して5h反応させた。濾過し、濾液を濃縮して化合物1c(4.3g、80%)を得た。
LC-MS(ESI):m/z=225.1[M+H]+。
【0090】
ステップ3:tert-ブチル(2-(2-ブロモピリジン-4-イル)-2,3-ジヒドロベンゾ[d]オキサゾール-5-イル)アミノカルボン酸メチル(1d)の製造
化合物1c(4.3g、19.2mmol)をメタノール(50mL)に溶解し、2-ブロモピリジン-4ホルムアルデヒド(3.6g、19.2mmol)を加え、70℃まで昇温して15h攪拌した。反応液を室温まで冷却し、減圧濃縮してメタノールを除去した後、残留物にジクロロメタン(200mL)、DDQ(5.3g、23.0mmol)を順次加え、加え完了後に室温で2h攪拌し、飽和炭酸ナトリウム水溶液(100mL)を加え、10min攪拌して濾過し、濾液をジクロロメタン(200mL×2)で抽出し、合わせた有機相を水(100mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、濾液を減圧濃縮した後に残留物をカラムクロマトグラフィー(溶離剤比EA/PE=10%~50%)で分離精製して1d(4.1g、54%)を得た。
LC-MS(ESI):m/z=392.1[M+H]+。
【0091】
ステップ4:4-(5-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)ベンゾ[d]オキサゾール-2-イル)ピリジンカルボン酸メチル(中間体1)の製造
化合物1d(4.1g、10.5mmol)にメタノール(25mL)、ジクロロメタン(25mL)、Pd(dppf)Cl2(804.0mg、1.1mmol)、トリエチルアミン(4.24g、42.0mmol)を順次加え、一酸化炭素を導入した後、反応液を120℃まで昇温して14h攪拌した。反応液を室温まで冷却した後、濾過し、濾液を減圧濃縮した後に残留物をカラムクロマトグラフィー(溶離剤比EA/PE=10%~50%)で分離精製して中間体1(3.5g、90%)を得た。
1H NMR(400MHz,CDCl3)δ 8.95(d,1H),8.89(d,1H),8.26(d,1H),7.86(s,1H),7.54-7.47(m,2H),6.67(s,1H),4.08(s,3H),1.55(s,9H)。
LC-MS(ESI):m/z=370.1[M+H]+。
【0092】
中間体2:(R)-4-((5-メチル-2H-テトラゾール-2-イル)(フェニル)メチル)ピペリジントリフルオロ酢酸塩(中間体2)
【化3】
【0093】
ステップ1:4-((5-メチル-2H-テトラゾール-2-イル)(フェニル)メチル)ピペリジン-1-ギ酸tert-ブチル(2b)の製造
室温で2a(580mg、2.0mmol)、5-メチルテトラゾール(185mg、2.2mmol)とトリフェニルホスフィン(787mg、3.0mmol)を乾燥したTHF(20mL)に溶解し、窒素ガス保護で0oCまで冷却し、そしてDEAD(520mg、3.0mmol)を滴下し、自然に室温まで上昇して一晩反応させ、反応液を減圧濃縮してカラムクロマトグラフィーにより2b(440mg、61.0%)を得た。
LC-MS(ESI):m/z=358.3[M+H]+。
【0094】
ステップ2:(R)-4-((5-メチル-2H-テトラゾール-2-イル)(フェニル)メチル)ピペリジン-1-ギ酸tert-ブチル(2c)の製造
化合物2bをキラルHPLC分割し、化合物2c(tR=1.78min、200mg、45.5%)を得た。
分割条件は次のとおりである。
計器:MG II preparative SFC(SFC-1)、カラムの種類:ChiralCel OJ,250×30mm I.D.,5μm、移動相:Aは、CO2であり、Bは、エタノールであり、勾配:B 15%、流速:60mL/min、背圧:100bar、カラム温度:38℃、カラム長さ:220nm、期間:~5min、サンプル製造:0.44g化合物2bを4mLジクロロとメタノールとの混合溶媒に溶解し、サンプル取り込み:2mL/回。
【0095】
ステップ3:(R)-4-((5-メチル-2H-テトラゾール-2-イル)(フェニル)メチル)ピペリジントリフルオロ酢酸塩(中間体2)の製造
室温で2c(200mg、0.55mmol)をジクロロメタン(10mL)に溶解し、トリフルオロ酢酸(2.5mL)を滴下し、2時間攪拌を続け、反応液をスピンドライした後に中間体2の粗製物(300mg)を得、精製することなく、そのまま次の反応に投入された。
LC-MS(ESI):m/z=258.2[M+H]+。
【0096】
化合物A:(1S,2S)-2-フルオロ-N-(2-(2-(4-((R)-(5-メチル-2H-テトラゾール-2-イル)(フェニル)メチル)ピペリジン-1-ホルミル)ピリジン-4-イル)ベンゾ[d]オキサゾール-5-イル)シクロプロパン-1-カルボキサミド
【化4】
【0097】
ステップ1:4-(5-アミノベンゾ[d]オキサゾール-2-イル)ピリジンカルボン酸メチル(3a)の製造
中間体1(600.0mg、1.62mmol)をジクロロメタン(5mL)に溶解し、トリフルオロ酢酸(2mL)を加え、加え完了後に室温で2時間攪拌した後、飽和炭酸ナトリウム水溶液でpHを8-9に調整し、ジクロロメタン(50mL×2)で抽出し、有機相を合わせ、乾燥し、濾過し、濾液を濃縮して化合物3a(396.0mg、90%)を得た。
LC-MS(ESI):m/z=270.1[M+H]+。
【0098】
ステップ2:4-(5-((1S,2S)-2-フルオロシクロプロパン-1-カルボキサミド)ベンゾ[d]オキサゾール-2-イル)ピリジンカルボン酸メチル(3b)の製造
化合物3a(1.0g、3.71mmol)にDMF(50mL)、(1S、2S)-2-フルオロシクロプロパンカルボン酸(425mg、4.1mmol)、HATU(2.1g、5.58mmol)とDIEA(1.44g、11.16mmol)を順次加え、室温で5h攪拌した。水を加えてクエンチし、酢酸エチルで3回抽出し、飽和食塩水で2回洗浄し、乾燥して有機相を濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離剤:EA/PE=1/2(v/v))で分離精製して3b(1.1g、83.4%)を得た。
LC-MS(ESI):m/z=356.3[M+H]+。
【0099】
ステップ3:4-(5-((1S,2S)-2-フルオロシクロプロパン-1-カルボキサミド)ベンゾオキサゾール-2-イル)ピリジンカルボン酸(3c)の製造
室温で、化合物3b(1g、3.1mmol)をメタノール(15mL)に溶解し、水酸化リチウム(700mg)を20mLの純水に溶解し、さらに水酸化リチウムの水溶液を反応液に加え、40℃で0.5時間攪拌し、そして2N塩酸でpH=6~7に調整し、固体を多量に析出させ、抽出濾過し、水洗(10mL×3)し、濾過ケーキを50℃で乾燥した後に3c(1.0g、94.6%)を得た。
LC-MS(ESI):m/z=342.1[M+H]+。
【0100】
ステップ3:(1S,2S)-2-フルオロ-N-(2-(2-(4-((R)-(5-メチル-2H-テトラゾール-2-イル)(フェニル)メチル)ピペリジン-1-ホルミル)ピリジン-4-イル)ベンゾ[d]オキサゾール-5-イル)シクロプロパン-1-カルボキサミド(化合物A)の製造
室温で3c(170mg、0.5mmol)とDIPEA(130mg、1.0mmol)をDMF(5mL)に溶解し、そしてHATU(230mg、0.6mmol)を加え、3分間攪拌した後に中間体2(300mg、約0.55mmol)を加え、室温で30分間反応を続けた。30mLの水を加え、酢酸エチル(30mL×3)で抽出し、有機相を合わせ、飽和塩化ナトリウム(30mL×1)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧濃縮した後にカラムクロマトグラフィー(DCM:MeOH=30:1-15:1(v/v))により化合物A(130mg、44.8%)を得た。
PCT/CN2020/110764に記載された化合物120と上記の製造により得られた化合物Aは、XRPDにより表され、非晶質物であり、XRPD図は、
図3-1に示す。
LC-MS(ESI):m/z=581.3[M+H]+。
1H NMR(400MHz,CDCl3)δ 8.74-8.71(m,1H),8.31(s,1H),8.12-8.10(m,1H),8.01(s,1H),7.90-7.87(m,1H),7.56-7.51(m,4H),7.41-7.31(m,3H),5.55-5.52(m,1H),4.93-4.75(m,2H),3.91-3.88(m,1H),3.20-3.11(m,1H),2.91-2.80(m,2H),2.56-2.50(m,3H),1.94-1.84(m,2H),1.61-1.23(m,5H)。
【0101】
試験例
【0102】
試験方法:細胞変性(CPE)法を用いて化合物Aのインフルエンザウイルスに対する抗ウイルス活性を試験するとともに、MDCK細胞毒性を測定した。8つの濃度、二重孔を試験した。CCK-8試薬を用いて細胞活力を検出した。MDCK細胞を、一定の密度でマイクロプレート内に接種し、37℃、5% CO2で一晩培養した。翌日に化合物とウイルスを加えた。細胞(化合物処理又はウイルス感染なし)とウイルス感染(細胞感染ウイルス、化合物処理なし)の対照を設定した。細胞培養液におけるDMSOの最終濃度は、0.5%となった。細胞を37℃、5% CO2で5日間、ウイルス対照孔細胞変性率が80-95%に達するまで培養した。CCK-8試薬を用いて細胞活力を検出し、生データは、化合物抗ウイルス活性の計算に用いられた。GraphPad Prismソフトウェアを用いて化合物用量反応曲線を分析してEC50値を計算した。
【0103】
化合物AのIFVA/Mal/302/54とIFVA/Weiss/43ウイルスに対する抗増殖活性の結果
【表4】
【0104】
化合物AのIFV A/PR/8/34ウイルスに対する抗増殖活性の結果
【表5】
【0105】
結論:化合物Aは、IFVA/Mal/302/54、IFVA/Weiss/43とIFV A/PR/8/34ウイルスに対して優れた抗増殖活性を示した。
【実施例2】
【0106】
実施例2化合物Aの結晶形Iの製造
方法1:式(A)の化合物粗製物を50mg溶媒に加えて懸濁液を得、該当する温度で一定時間攪拌し、遠心分離し、室温で真空乾燥して一晩反応させ、固体を得、XRPDにより表され、得られた固体は、結晶形I(Form 1)である。具体的な試験条件は以下の通りである。
【0107】
【0108】
方法2:非晶質化合物Aの粗製物を15mg取り、遠心分離管に置き、該当する溶媒1を加えて溶解し、そして溶媒2の溶媒雰囲気に静置し、固体を析出させた後、遠心分離し、室温で真空乾燥して一晩反応させ、乾燥した固体を得、XRPDにより表され、結晶形I(Form 1)であることを確認し、XRPDにより表された。試験条件は以下のとおりである。
【0109】
【表7】
XRPD鑑定を経て、方法1と方法2で製造して得られた固体は、いずれも結晶形Iであり、XRPDピークリストは、表1に示し、XRPDスペクトル図は、
図1-1に示し、TGA図は、
図1-2に示し、150℃までに約2.6%の遅い減量があり、無水物(又はトンネル水合物)であり、該サンプルの分解温度が約246℃であることを示し、DSC図は、
図1-3に示し、融点は、約216℃である。
【0110】
化合物A単結晶の製造
Form 1サンプルを約10mg取り、ガラスバイアルに置き、0.6mLメタノールで溶解した後、イソプロピルエーテル雰囲気に置いて室温で小孔を拡散し、塊状結晶を得た。単結晶構造情報表は、表2に示し、単結晶配置は、
図1-6に示し、単結晶構造解析データは、表3に示す。
【0111】
【0112】
【0113】
【実施例3】
【0114】
実施例3化合物Aの結晶形IIの製造
方法1:非晶質化合物Aを150mg取り、1.5mLのエーテルと0.45mLの酢酸イソプロピルを加え、室温でスラリーを3日攪拌し、遠心分離し、室温で真空乾燥して一晩反応させ、結晶形IIを得た。
【0115】
方法2:非晶質化合物Aを約20mg取り、遠心分離管に置き、そしてエーテル雰囲気に静置し、結晶形IIを得た。
【0116】
上記結晶形は、XRPD鑑定を経て、有結晶形であり、結晶形II(Form 2)と命名された。結晶形IIのXRPDピークリストは、表4に示し、XRPDスペクトル図は、
図2-1に示し、TGA図は、
図2-2に示し、150℃までに約4.4%の段階的減量、約3分の1のエーテル分子(理論的に3分の1のエーテル分子の割合は、約4.1%である)があり、分解温度が約246℃であることを示し、DSC図は、
図2-3に示し、130℃-170℃の間には、溶融を伴う脱溶媒ピークを有する。
【0117】
【実施例4】
【0118】
実施例4化合物Aの結晶形Iの結晶形変換実験
水における結晶形変換実験、実験方案と結果は、表5に示す。
【0119】
【実施例5】
【0120】
実施例5化合物Aの結晶形Iの安定性実験
安定性実験方案と結果は、表6に示す。
【0121】
【表13】
試験結論:化合物Aの結晶形Iは、優れた安定性を有した。
【実施例6】
【0122】
実施例6化合物Aの結晶形Iの吸湿性実験
【0123】
【0124】
DVS図は、
図1-4に示し、等温吸着曲線図は、
図1-5に示す。結果によると、結晶形Iは、0%RH~80%RHの範囲で重量変化が約0.3%であり、化合物Aの非晶質物は、0%RH~80%RHの範囲で重量変化が約3.8%(
図3-2、
図3-3)であり、結晶形Iは、非晶質と比べて、吸湿性が著しく低下した。
【誤訳訂正書】
【提出日】2023-11-14
【誤訳訂正1】
【訂正対象書類名】特許請求の範囲
【訂正対象項目名】全文
【訂正方法】変更
【訂正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(A)に示す化合物の結晶形Iであって、Cu-Kα線を使用し、その
粉末X線回折パターンは、4.1±0.2°、10.1±0.2°、14.8±0.2°、17.5±0.2°、20.4±0.2°、21.2±0.2°と23.7±0.2°の2θ位置に特徴的な回折ピークを有する、
【化1】
ことを特徴とする結晶形I。
【請求項2】
前記粉末X線回折パターンは、さらに19.5±0.2°、22.7±0.2°、24.4±0.2°、25.6±0.2°、26.9±0.2°と28.7±0.2°の2θ位置に特徴的な回折ピークを有する、ことを特徴とする請求項1に記載の結晶形I。
【請求項3】
前記粉末X線回折パターンは、さらに14.2±0.2°、16.3±0.2°、18.3±0.2°、18.6±0.2°と24.0±0.2°の2θ位置に特徴的な回折ピークを有する、ことを特徴とする請求項2に記載の結晶形I。
【請求項4】
前記粉末X線回折パターンは、次の表の2θ位置に特徴的な回折ピークを有する、請求項1に記載の結晶形I。
【表1】
【請求項5】
前記粉末X線回折パターンは、基本的に
図1-1に示される、ことを特徴とする請求項1に記載の結晶形I。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一項に記載の結晶形Iを製造する方法であって、
1)4~40℃で、式(A)の化合物粗製物と溶媒とを混合し、懸濁液を得、攪拌し、分離し、結晶形Iを得ること、又は、
2)式(A)の化合物粗製物と溶媒1とを混合溶解し、そして溶媒2の溶媒雰囲気に静置し、固体を析出させ、遠心分離し、乾燥し、結晶形Iを得ることを含むみ、
前記1)における前記溶媒は、単溶媒系又は二溶媒混合系であり、単溶媒系は、イソプロピルエーテルと、メチルtert-ブチルエーテルとのうちの1つから選ばれ、二溶媒混合系は、第1の溶媒と第2の溶媒とから構成され、第1の溶媒は、メタノールと、エタノールと、アセトニトリルと、トルエンと、酢酸イソプロピルとのうちの1つから選ばれ、第2の溶媒は、水と、n-ヘプタンと、酢酸n-ブチルと、メチルtert-ブチルエーテルとのうちの1つから選ばれ、
前記2)における前記溶媒1は、エステル系溶媒であり、前記2)における前記溶媒2は、エーテル系溶媒である、
ことを特徴とする、結晶形Iを製造する方法。
【請求項7】
前記二溶媒混合系は、メタノール-水混合液、エタノール-n-ヘプタン混合液、アセトニトリル-水混合液、トルエン-酢酸n-ブチ
ル混合液、酢酸イソプロピル-メチルtert-ブチルエーテル混合液又はトルエン-メチルtert-ブチルエーテル混合液であ
り、
前記2)における、前記溶媒1は酢酸n-ブチルであり、前記溶媒2はイソプロピルエーテルである、ことを特徴とする請求項6に記載の製造方法。
【請求項8】
式(A)に示す化合物の結晶形IIであって、Cu-Kα線を使用し、その
粉末X線回折パターンは、3.9±0.2°、7.7±0.2°、8.1±0.2°、10.4±0.2°、14.3±0.2°、15.3±0.2°、17.7±0.2°、18.3±0.2°、18.6±0.2°、21.0±0.2°、21.4±0.2°、23.4±0.2°、24.7±0.2°、26.1±0.2°と27.6±0.2°の2θ位置に特徴的な回折ピークを有する、結晶形II。
【請求項9】
前記粉末X線回折パターンは、さらに11.5±0.2°、16.9±0.2°、17.1±0.2°、20.0±0.2°、21.7±0.2°、22.2±0.2°、22.4±0.2°、25.1±0.2°と30.8±0.2°の2θ位置に特徴的な回折ピークを有する、ことを特徴とする請求項
8に記載の結晶形II。
【請求項10】
前記粉末X線回折パターンは、さらに9.1±0.2°、14.7±0.2°、19.1±0.2°、19.6±0.2°、24.4±0.2°、26.4±0.2°、26.7±0.2°、27.1±0.2°、30.1±0.2°と30.3±0.2°の2θ位置に特徴的な回折ピークを有する、ことを特徴とする請求項
9に記載の結晶形II。
【請求項11】
前記粉末X線回折パターンは、次の表の2θ位置に特徴的な回折ピークを有する、ことを特徴とする請求項
8に記載の結晶形II。
【表2】
【請求項12】
前記粉末X線回折パターンは、基本的に
図2-1に示される、ことを特徴とする請求項
8に記載の結晶形II。
【請求項13】
請求項
8から
12のいずれか一項に記載の結晶形IIを製造する方法であって、
a)室温で、式(A)の化合物粗製物と溶媒とを混合し、懸濁液を得、攪拌し、分離し、結晶形IIを得ること、又は、
b)式(A)の化合物粗製物を溶媒雰囲気に静置し、結晶形IIを得ることを含
み、
前記a)における前記溶媒は、エステル系溶媒とエチルエーテルとの混合溶媒であり、前記b)における前記溶媒は、エチルエーテルである、
ことを特徴とする、結晶形IIを製造する方法。
【請求項14】
前記エステル系溶媒は、酢酸イソプロピルである、ことを特徴とする請求項
13に記載の製造方法。
【請求項15】
薬物組成物であって、治療有効量の請求項1から5のいずれか一項に記載の結晶形I又は請求項
8から
12のいずれか一項に記載の結晶形II、及び薬学的に許容
可能な担体及び/又は賦形剤を含む、薬物組成物。
【請求項16】
抗インフルエンザウイルス作用を有する1つ又は複数の第2の治療剤をさらに含
む、ことを特徴とする請求項
15に記載の薬物組成物。
【請求項17】
前記第2の治療剤は、ノイラミニダーゼ阻害剤又はM2イオンチャネル遮断剤である、ことを特徴とする請求項16に記載の薬物組成物。
【請求項18】
インフルエンザを治療及び/又は予防するための組成物であって、請求項1から5のいずれか一項に記載の結晶形I、又は請求項8から12のいずれか一項に記載の結晶形IIを含む、組成物。
【誤訳訂正2】
【訂正対象書類名】明細書
【訂正対象項目名】全文
【訂正方法】変更
【訂正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、CN出願番号が202110088776.3であり、出願日が2021年1月22日である出願を基礎とし、その優先権を主張し、該CN出願的開示内容は、ここで全体として本出願に組み込まれる。
【0002】
本出願は、化合物(1S,2S)-2-フルオロ-N-(2-(2-(4-((R)-(5-メチル-2H-テトラゾール-2-イル)(フェニル)メチル)ピペリジン-1-ホルミル)ピリジン-4-イル)ベンゾ[d]オキサゾール-5-イル)シクロプロパン-1-カルボキサミドの結晶形及びその製造方法と医薬用途に関する。
【背景技術】
【0003】
インフルエンザは、インフルエンザウイルスによる急性呼吸器感染症であり、感染力が強く、伝播速度が速い病気でもある。現在、抗インフルエンザウイルス薬物的作用標的は、主にウイルスエンベロープに対するヘマグルチニン受容体、ノイラミニダーゼと基質タンパク質である。PCT/CN2020/110764は、一連のピリジン誘導体を報道しており、ヘマグルチニン(HA)保存領域と結合することにより、インフルエンザを予防して治療する作用を発揮し、ここで、(1S,2S)-2-フルオロ-N-(2-(2-(4-((R)-(5-メチル-2H-テトラゾール-2-イル)(フェニル)メチル)ピペリジン-1-ホルミル)ピリジン-4-イル)ベンゾ[d]オキサゾール-5-イル)シクロプロパン-1-カルボキサミド、即ち式(A)の化合物は、良好な抗インフルエンザウイルス活性を示し、インフルエンザを予防及び/又は治療する可能性を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際出願番号 PCT/CN2020/110764
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
薬用活性成分としての結晶形構造は、該薬物の化学的安定性、製造の難易度、純度、さらに生物利用度に影響を与えることが多い。結晶条件及び保管条件によって化合物の結晶形構造が変更する可能性があり、それに伴って別の形態の結晶形が生じることもある。一般的には、非晶質の薬物製品は、規則的な結晶形構造がなく、他の欠陥、例えば産物の安定差が悪く、晶析が細く、濾過が困難で、固結しやすく、流動性が悪いなどを有することが多い。薬物の多結晶形は、製品の保管、生産及び増幅に対して異なる要求がある。そのため、式(A)の化合物の結晶形(PCT/CN2020/110764に記載されているのは、化合物(A)の非晶質物である)及び関連製造方法を深く研究し、式(A)に示す化合物の多面的な性質を改善する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本出願は、式(A)に示す化合物の結晶形、結晶形の製造方法、組成物及びそのインフルエンザを予防/治療する薬物の製造における用途を提供する。本出願による結晶形は、純度が高く、生物利用度が高く、圧力安定性が良く、薬剤の製造に有利であり、特に結晶形Iは、非晶質形式と比べて、優れた安定性、高い生物利用度と著しく低い吸湿性を有する。
【化1】
【0007】
本出願は、まず式(A)に示す化合物の結晶形Iを提供し、Cu-Kα線を使用し、その粉末X線回折パターンは、4.1±0.2°、10.1±0.2°、14.8±0.2°、17.5±0.2°、20.4±0.2°、21.2±0.2°と23.7±0.2°の2θ位置に特徴的な回折ピークを有する。
【0008】
さらに、式(A)に示す化合物の結晶形Iは、その粉末X線回折パターンが、さらに19.5±0.2°、22.7±0.2°、24.4±0.2°、25.6±0.2°、26.9±0.2°と28.7±0.2°の2θ位置に特徴的な回折ピークを有する。
【0009】
さらに、式(A)に示す化合物の結晶形Iは、その粉末X線回折パターンが、さらに14.2±0.2°、16.3±0.2°、18.3±0.2°、18.6±0.2°と24.0±0.2°の2θ位置に特徴的な回折ピークを有する。
【0010】
さらに、式(A)に示す化合物の結晶形Iは、その粉末X線回折パターンが、次の表の2θ位置に特徴的な回折ピークを有する。
【0011】
【0012】
さらに、式(A)に示す化合物の結晶形Iは、その
粉末X線回折パターンが、基本的に
図1-1に示される。
【0013】
さらに、式(A)に示す化合物の結晶形Iは、その融点が、216±3℃であり、分解温度が、246±3℃である。
【0014】
さらに、式(A)に示す化合物の結晶形Iは、そのTGAが、150℃までに2.6%±0.3%の遅い減量があり、無水物又はトンネル水合物であることを示す。
【0015】
さらに、式(A)に示す化合物の結晶形Iは、そのTGA曲線が、基本的に
図1-2に示される。
【0016】
さらに、式(A)に示す化合物の結晶形Iは、そのDSC図が、基本的に
図1-3に示される。
【0017】
さらに、式(A)に示す化合物の結晶形Iは、そのTGA曲線が、基本的に
図1-2に示され、そのDSC図が、基本的に
図1-3に示される。
【0018】
本出願は、式(A)に示す化合物の結晶形をさらに提供し、単結晶構造情報を採用して表す場合、以下の単位セルパラメータを有する。
【0019】
結晶系:単斜結晶系、
空間群:C2、
セルパラメータ:a=46.5183(13)Å、b=6.6246(3)Å、c=20.2880(5)Å、α=γ=90°、β=109.7650(10)°、
結晶軸比:a/b=7.0221 b/c=0.3265 c/a=0.4361、
Z:8、
セル体積:5883.7(3)Å3、
理論密度:1.311g/cm3。
【0020】
本出願は、式(A)に示す化合物の結晶形Iの製造方法をさらに提供し、
1)スラリー結晶化法:4~40℃で、式(A)の化合物粗製物を溶媒に加えて懸濁液を得、攪拌し、分離し、結晶形Iを得ること、又は、
2)拡散結晶化法:式(A)の化合物粗製物を取って遠心分離管に置き、溶媒1を加えて溶解し、そして溶媒2の溶媒雰囲気に置いて一定時間静置し、固体を析出させた後、遠心分離し、乾燥し、結晶形Iを得ることを含む。
【0021】
本出願は、式(A)に示す化合物の結晶形Iの製造方法をさらに提供し、
1)スラリー結晶化法:4~40℃で、式(A)の化合物粗製物を溶媒に加えて懸濁液を得、攪拌し、分離し、結晶形Iを得ること、又は、
2)拡散結晶化法:式(A)の化合物粗製物を取って遠心分離管に置き、溶媒1を加えて溶解し、そして溶媒2の溶媒雰囲気に静置し、固体を析出させた後、遠心分離し、乾燥し、結晶形Iを得ることを含む。
【0022】
本出願は、式(A)に示す化合物の結晶形Iの製造方法をさらに提供し、
1)4~40℃で、式(A)の化合物粗製物と溶媒とを混合し、懸濁液を得、攪拌し、分離し、結晶形Iを得ること、又は、
2)式(A)の化合物粗製物と溶媒1とを混合溶解し、そして溶媒2の溶媒雰囲気に静置し、固体を析出させ、遠心分離し、乾燥し、結晶形Iを得ることを含む。
【0023】
いくつかの実施形態において、上記結晶形Iの製造方法では、1)における前記溶媒は、単溶媒系又は二溶媒混合系であり、単溶媒系は、イソプロピルエーテルと、メチルtert-ブチルエーテルとのうちの1つから選ばれ、二溶媒混合系は、第1の溶媒と第2の溶媒とから構成され、第1の溶媒は、メタノールと、エタノールと、アセトニトリルと、トルエンと、酢酸イソプロピルとのうちの1つから選ばれ、第2の溶媒は、水と、n-ヘプタンと、酢酸n-ブチルと、メチルtert-ブチルエーテルとのうちの1つから選ばれる。
【0024】
いくつかの実施形態において、上記結晶形Iの製造方法では、1)における前記二溶媒混合系における第1の溶媒と第2の溶媒との体積比は、6:1-1:5である。
【0025】
いくつかの実施形態において、上記結晶形Iの製造方法では、1)における前記二溶媒混合系は、メタノール-水混合液、エタノール-n-ヘプタン混合液、アセトニトリル-水混合液、トルエン-酢酸n-ブチル混合液、酢酸イソプロピル-メチルtert-ブチルエーテル混合液又はトルエン-メチルtert-ブチルエーテル混合液である。
【0026】
いくつかの具体的な実施例において、上記結晶形Iの製造方法では、1)には、式(A)の化合物粗製物を取ってメタノール/水系に加え、室温でスラリーを13日攪拌し、遠心分離し、乾燥し、結晶形Iを得、又は、式(A)の化合物粗製物を取ってメチルtert-ブチルエーテルに加え、40℃水浴でスラリーを3日攪拌し、遠心分離し、乾燥し、結晶形Iを得ることが含まれる。
【0027】
いくつかの実施形態において、上記結晶形Iの製造方法では、2)における前記溶媒1は、エステル系溶媒であり、好ましく酢酸n-ブチルであり、前記溶媒2は、エーテル系溶媒であり、好ましくイソプロピルエーテルである。
【0028】
本出願は、式(A)に示す化合物の結晶形IIをさらに提供し、Cu-Kα線を使用し、その粉末X線回折パターンは、3.9±0.2°、7.7±0.2°、8.1±0.2°、10.4±0.2°、14.3±0.2°、15.3±0.2°、17.7±0.2°、18.3±0.2°、18.6±0.2°、21.0±0.2°、21.4±0.2°、23.4±0.2°、24.7±0.2°、26.1±0.2°と27.6±0.2°の2θ位置に特徴的な回折ピークを有する。
【0029】
さらに、式(A)に示す化合物の結晶形IIは、その粉末X線回折パターンが、さらに11.5±0.2°、16.9±0.2°、17.1±0.2°、20.0±0.2°、21.7±0.2°、22.2±0.2°、22.4±0.2°、25.1±0.2°と30.8±0.2°の2θ位置に特徴的な回折ピークを有する。
【0030】
さらに、式(A)に示す化合物の結晶形IIは、その粉末X線回折パターンが、さらに9.1±0.2°、14.7±0.2°、19.1±0.2°、19.6±0.2°、24.4±0.2°、26.4±0.2°、26.7±0.2°、27.1±0.2°、30.1±0.2°と30.3±0.2°の2θ位置に特徴的な回折ピークを有する。
【0031】
さらに、式(A)に示す化合物の結晶形IIは、その粉末X線回折パターンが、次の表の2θ位置に特徴的な回折ピークを有する。
【0032】
【0033】
さらに、式(A)に示す化合物の結晶形IIは、その
粉末X線回折パターンが、基本的に
図2-1に示される。
【0034】
さらに、式(A)に示す化合物の結晶形IIは、エチルエーテル溶媒化物であり、その分解温度は、246±3℃である。
【0035】
さらに、式(A)に示す化合物の結晶形IIは、130℃-170℃の間には、溶融を伴う脱溶媒ピークを有する。
【0036】
さらに、式(A)に示す化合物の結晶形IIは、そのTGA曲線が、基本的に
図2-2に示され、そのDSC図が、基本的に
図2-3に示される。
【0037】
本出願は、式(A)に示す化合物の結晶形IIの製造方法をさらに提供し、
a)スラリー結晶化法:室温で、式(A)の化合物粗製物を溶媒に加えて懸濁液を得、攪拌し、分離し、結晶形IIを得ること、又は、
b)拡散結晶化法:式(A)の化合物粗製物を取って遠心分離管に置き、そして溶媒雰囲気に置いて一定時間静置し、結晶形IIを得ることを含む。
【0038】
本出願は、式(A)に示す化合物の結晶形IIの製造方法をさらに提供し、
a)スラリー結晶化法:室温で、式(A)の化合物粗製物を溶媒に加えて懸濁液を得、攪拌し、分離し、結晶形IIを得ること、又は、
b)拡散結晶化法:式(A)の化合物粗製物を取って遠心分離管に置き、そして溶媒雰囲気に静置し、結晶形IIを得ることを含む。
【0039】
本出願は、式(A)に示す化合物の結晶形IIの製造方法をさらに提供し、
a)室温で、式(A)の化合物粗製物と溶媒とを混合し、懸濁液を得、攪拌し、分離し、結晶形IIを得ること、又は、
b)式(A)の化合物粗製物を溶媒雰囲気に静置し、結晶形IIを得ることを含む。
【0040】
いくつかの実施形態において、上記式(A)に示す化合物の結晶形IIの製造方法では、a)における前記溶媒は、エステル系とエチルエーテルとの混合溶媒から選ばれ、好ましくエステル系は、酢酸イソプロピルである。
【0041】
いくつかの実施形態において、上記式(A)に示す化合物の結晶形IIの製造方法では、a)における前記酢酸イソプロピルとエチルエーテルとの体積比は、1:2-1:4であり、好ましく1.5:5である。
【0042】
いくつかの実施形態において、上記式(A)に示す化合物の結晶形IIの製造方法では、b)における前記溶媒は、エチルエーテルから選ばれる。
【0043】
本出願は、薬物組成物をさらに提供し、治療有効量の前述式(A)に示す化合物の結晶形I又は結晶形II、及び薬学的に許容可能な担体及び/又は賦形剤を含む。
【0044】
さらに、上記薬物組成物は、抗インフルエンザウイルス作用を有する1つ又は複数の第2の治療剤をさらに含む。
【0045】
好ましく前記抗インフルエンザウイルス作用を有する1つ又は複数の第2の治療剤は、ノイラミニダーゼ阻害剤又はM2イオンチャネル遮断剤である。
【0046】
本出願は、前述式(A)に示す化合物の結晶形I又は結晶形II、又は前述組成物のインフルエンザを治療/予防する薬物の製造における用途をさらに提供する。
【0047】
本出願は、前述式(A)に示す化合物の結晶形I又は結晶形II、又は前述組成物をさらに提供し、そは、インフルエンザを治療及び/又は予防するためのものである。
【0048】
本出願は、インフルエンザを治療及び/又は予防する方法をさらに提供し、必要のある被験者に治療有効量の前述式(A)に示す化合物の結晶形I又は結晶形II、又は前述組成物を投与することを含む。
【0049】
本出願は、インフルエンザを治療及び/又は予防するための組成物をさらに提供し、前述式(A)に示す化合物の結晶形I又は結晶形II、又は前述組成物を含む。
【0050】
本出願の結晶形I又は結晶形IIは、生薬の約5重量%~約100重量%で存在する。
【0051】
いくつかの実施形態において、本出願の結晶形I又は結晶形IIは、生薬の約10重量%~約100重量%で存在する。
【0052】
いくつかの実施形態において、本出願の結晶形I又は結晶形IIは、生薬の約15重量%~約100重量%で存在する。
【0053】
いくつかの実施形態において、本出願の結晶形I又は結晶形IIは、生薬の約20重量%~約100重量%で存在する。
【0054】
いくつかの実施形態において、本出願の結晶形I又は結晶形IIは、生薬の約25重量%~約100重量%で存在する。
【0055】
いくつかの実施形態において、本出願の結晶形I又は結晶形IIは、生薬の約30重量%~約100重量%で存在する。
【0056】
いくつかの実施形態において、本出願の結晶形I又は結晶形IIは、生薬の約35重量%~約100重量%で存在する。
【0057】
いくつかの実施形態において、本出願の結晶形I又は結晶形IIは、生薬の約40重量%~約100重量%で存在する。
【0058】
いくつかの実施形態において、本出願の結晶形I又は結晶形IIは、生薬の約45重量%~約100重量%で存在する。
【0059】
いくつかの実施形態において、本出願の結晶形I又は結晶形IIは、生薬の約50重量%~約100重量%で存在する。
【0060】
いくつかの実施形態において、本出願の結晶形I又は結晶形IIは、生薬の約55重量%~約100重量%で存在する。
【0061】
いくつかの実施形態において、本出願の結晶形I又は結晶形IIは、生薬の約60重量%~約100重量%で存在する。
【0062】
いくつかの実施形態において、本出願の結晶形I又は結晶形IIは、生薬の約65重量%~約100重量%で存在する。
【0063】
いくつかの実施形態において、本出願の結晶形I又は結晶形IIは、生薬の約70重量%~約100重量%で存在する。
【0064】
いくつかの実施形態において、本出願の結晶形I又は結晶形IIは、生薬の約75重量%~約100重量%で存在する。
【0065】
いくつかの実施形態において、本出願の結晶形I又は結晶形IIは、生薬の約80重量%~約100重量%で存在する。
【0066】
いくつかの実施形態において、本出願の結晶形I又は結晶形IIは、生薬の約85重量%~約100重量%で存在する。
【0067】
いくつかの実施形態において、本出願の結晶形I又は結晶形IIは、生薬の約90重量%~約100重量%で存在する。
【0068】
いくつかの実施形態において、本出願の結晶形I又は結晶形IIは、生薬の約95重量%~約100重量%で存在する。
【0069】
いくつかの実施形態において、本出願の結晶形I又は結晶形IIは、生薬の約98重量%~約100重量%で存在する。
【0070】
いくつかの実施形態において、本出願の結晶形I又は結晶形IIは、生薬の約99重量%~約100重量%で存在する。
【0071】
いくつかの実施形態において、基本的にすべての生薬は、本出願の結晶形I又は結晶形IIであり、即ち生薬は、基本的に相純結晶体である。
【0072】
理解できるように、熱重量分析(TGA)と示差走査熱量測定(DSC)は、当分野で良く知られており、TGA曲線とDSC曲線の溶融ピークの高さは、サンプル製造と装置の幾何に関連する多くの要因に依存し、ピーク位置は、実験の詳細に敏感ではない。そのため、いくつかの実施形態において、本出願の結晶性化合物は、特徴的なピーク位置のTGA図とDSC図を有し、本出願の図面によるTGA図とDSC図と実質的に同じ特性を有し、測定値誤差許容範囲は±5℃以内であり、一般的に±3℃以内であることが要求される。
【0073】
理解できるように、本出願で記述されて保護される数値は、近似値である。数値内の変化は、機器の校正、機器の誤差、結晶の純度、結晶の大きさ、検体の大きさ及びその他の要因に起因する可能性がある。
【0074】
理解できるように、本出願の結晶形は、本出願の開示した図面に記載された特性スペクトルと全く同じである特性スペクトル、例えばXRD、DSC、TGA、DVS、等温吸着曲線図に限定されず、図面に記載されたスペクトルと基本的に同じ又は本質的に同じである特性スペクトルを有する任意の結晶形は、いずれも本出願の範囲内に含まれる。
【0075】
「治療有効量」とは、組織、系統又は被験者の生理的又は医学的反応を引き起こす化合物の量であり、この量は、求められたものであり、被治療者に投与される時に、治療された疾患又は病症の1つ又は複数の症状の発生を予防し又はある程度まで軽減するのに十分な化合物の量を含む。
【0076】
「室温」:10℃-30℃、好ましく湿度>30%RHである。
【0077】
本出願において使用されるように、図を限定するための用語である「基本的に図……に示される」、「基本的に同じである」又は「実質的に同じである」は、同じ意味を有し、当業者に許容される逸脱を考慮して、当業者が、前記図が参照図と同じであると考えていることを示すことを目指す。このような逸脱は、機器、操作条件、人為的要因等に関連して当分野で知られている要因に起因する可能性がある。例えば、当業者は、示差走査熱量測定法(DSC)によって測定される吸熱開始温度とピーク温度が、実験によって大きく変化し得ることを理解することができる。いくつかの実施形態において、2つの図の特徴ピークの位置の変化が±5%、±4%、±3%、±2%又は±1%を超えない場合、この2つの図は、基本的に同じであると考えられる。例えば、当業者は、2つのX線回折チャートまたは2つのDSCチャートが実質的に同じであるか否かを容易に識別することができる。いくつかの実施形態において、2つのX線回折チャートの特徴ピークの2θ角度変化が±0.3°、±0.2°又は±0.1°を超えない場合、前記X線回折チャートが基本的に同じであると考えられる。
【0078】
本出願において使用されるように、用語「約」は、当分野の通常の公差範囲内であると理解されるべきであり、例えば「約」は、前記値の±10%、±9%、±8%、±7%、±6%、±5%、±4%、±3%、±2%、±1%、±0.5%、±0.1%、±0.05%又は±0.01%以内であると理解されることができる。文脈から別途明らかでない限り、本出願によるすべての数値は、用語「約」によって修飾される。
【0079】
本出願の前記式(A)に示す化合物の結晶形I又は結晶形IIは、異なる患者に対する特定の用量および使用方法が、多くの要因によって決定され、患者の年齢、体重、性別、自然健康状態、栄養状態、化合物の活性度、服用期間、代謝速度、重症度、診療医の主観的判断を含む。ここで、用量は、0.01-1000mg/kg体重/日であることが好ましい。
【0080】
本出願の開示による結晶形は、以下の有益な効果を有する。
1. 結晶形Iと結晶形IIは、製造しやすく、純度が高く、生物利用度が高く、圧力安定性が良く、流動性が良く、優れた溶解度を有し、特に各種の薬物剤形の製造に適していて、そして工業化の増幅生産に適している。
2. 結晶形Iは、非晶質形式と比べて、特に安定性が良く、生物利用度が高く、吸湿性が低いという顕著な利点をさらに有する。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【
図1-1】化合物Aの結晶形がICu-Kα線を使用する
粉末X線回折パターンである。
【
図1-2】化合物Aの結晶形Iの熱重量分析(TGA)曲線である。
【
図1-3】化合物Aの結晶形Iの示差走査熱量測定法(DSC)曲線である。
【
図1-4】化合物Aの結晶形Iの動的水分吸着(DVS)曲線である。
【
図1-5】化合物Aの結晶形Iの等温吸着曲線である。
【
図1-6】単結晶X-線分析に基づく化合物Aの配置図である。
【
図2-1】化合物Aの結晶形IIがCu-Kα線を使用する
粉末X線回折パターンである。
【
図2-2】化合物Aの結晶形IIの熱重量分析(TGA)曲線である。
【
図2-3】化合物Aの結晶形IIの示差走査熱量測定法(DSC)曲線である。
【
図3-1】化合物Aの非晶質物の
粉末X線回折パターンである。
【
図3-2】化合物Aの非晶質物の動的水分吸着(DVS)曲線である。
【
図3-3】化合物Aの非晶質物の等温吸着曲線である。
【発明を実施するための形態】
【0082】
以下では、実施例によって本出願の内容を詳細に記述する。実施例に具体的な条件が明記されていない場合、通常の条件の実験方法に従って行う。例示された実施例は、本出願の内容をより良く説明するためのものであるが、本出願の内容が例示されたものに限定されるものであるとは理解されない。当業者が上記出願内容に基づいて実施形態に対して行った本質的でない改良と調整は、依然として本出願の保護範囲に属する。
【0083】
略語と定義
DDQ:2,3-ジクロロ-5,6-ジシアノ-1,4-ベンゾキノン
EA:酢酸エチル
PE:石油エーテル
THF:テトラヒドロフラン
DEAD:アゾジカルボン酸ジエチル
DMF:N,N-二メチルカルボキサミド
HATU:2-(7-オキソベンゾトリアゾール)-N,N,N’,N’-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート
DIEA:N,N-ジイソプロピルエチルアミン
【0084】
検出方法
【0085】
化合物の構造は、核磁気共鳴(NMR)又は(及び)質量分析(MS)によって確定される。NMRシフト(δ)は、10-6(ppm)の単位で与えられる。NMRの測定は、(Bruker Avance III 400とBruker Avance 300)核磁気計を用い、測定溶媒は、重水素化ジメチルスルホキシド(DMSO-d6)、重水素化クロロホルム(CDCl3)、重水素化メタノール(CD3OD)であり、内部標準は、テトラメチルシラン(TMS)であり、
MSの測定は、(Agilent 6120B(ESI) とAgilent 6120B(APCI))を用い、
HPLCの測定は、Agilent 1260DAD高圧液体クロマトグラフ(Zorbax SB-C18 100×4.6mm、3.5μM)を用い、
薄層クロマトグラフィーシリカゲルプレートは、煙台黄海HSGF254又は青島GF254シリカゲルプレートを用いて、薄層クロマトグラフィー(TLC)に使用されるシリカゲルプレートは、0.15mm~0.20mmの仕様を採用し、薄層クロマトグラフィーで分離して精製製品は、0.4mm~0.5mmの仕様を採用し、
カラムクロマトグラフィーは、一般的にベクターとして煙台黄海シリカゲル200~300メッシュのシリカゲルを用いる。
【0086】
【実施例1】
【0087】
実施例1化合物Aの製造
中間体1:4-(5-((tert-ブチルオキシカルボニル)アミノ)ベンゾ[d]オキサゾール-2-イル)ピリジンカルボン酸メチル(中間体1)
【化2】
【0088】
ステップ1:tert-ブチル-(4-ヒドロキシ-3-ニトロフェニル)カルバメート(1b)の製造
既知の化合物1a(5.0g、32.5mmol)にテトラヒドロフラン(50mL)、ジ-t-ブチルジカーボネート(10.6g、48.7mmol)を順次加え、加え完了後に70℃まで昇温して16h反応させ、減圧してテトラヒドロフランを濃縮し、石油エーテル(100mL)を1時間スラリーした後に濾過し、濾過ケーキを収集し、乾燥して化合物1b(6.1g、74%)を得た。
1H NMR(400MHz,CD3OD)δ 8.25(d,1H),7.56(d,1H),7.06(d,1H),1.52(s,9H)。
LC-MS(ESI):m/z=255.1[M+H]+。
【0089】
ステップ2:tert-ブチル-(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)カルバメート(1c)の製造
室温で、化合物1b(6.1g、24.0mmol)を無水メタノール(60mL)に溶解し、Pd/C(2.1g、Pd含有量10%、水分50%)を加え、水素ガスを導入し、45℃まで昇温して5h反応させた。濾過し、濾液を濃縮して化合物1c(4.3g、80%)を得た。
LC-MS(ESI):m/z=225.1[M+H]+。
【0090】
ステップ3:tert-ブチル(2-(2-ブロモピリジン-4-イル)-2,3-ジヒドロベンゾ[d]オキサゾール-5-イル)アミノカルボン酸メチル(1d)の製造
化合物1c(4.3g、19.2mmol)をメタノール(50mL)に溶解し、2-ブロモピリジン-4ホルムアルデヒド(3.6g、19.2mmol)を加え、70℃まで昇温して15h攪拌した。反応液を室温まで冷却し、減圧濃縮してメタノールを除去した後、残留物にジクロロメタン(200mL)、DDQ(5.3g、23.0mmol)を順次加え、加え完了後に室温で2h攪拌し、飽和炭酸ナトリウム水溶液(100mL)を加え、10min攪拌して濾過し、濾液をジクロロメタン(200mL×2)で抽出し、合わせた有機相を水(100mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、濾液を減圧濃縮した後に残留物をカラムクロマトグラフィー(溶離剤比EA/PE=10%~50%)で分離精製して1d(4.1g、54%)を得た。
LC-MS(ESI):m/z=392.1[M+H]+。
【0091】
ステップ4:4-(5-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)ベンゾ[d]オキサゾール-2-イル)ピリジンカルボン酸メチル(中間体1)の製造
化合物1d(4.1g、10.5mmol)にメタノール(25mL)、ジクロロメタン(25mL)、Pd(dppf)Cl2(804.0mg、1.1mmol)、トリエチルアミン(4.24g、42.0mmol)を順次加え、一酸化炭素を導入した後、反応液を120℃まで昇温して14h攪拌した。反応液を室温まで冷却した後、濾過し、濾液を減圧濃縮した後に残留物をカラムクロマトグラフィー(溶離剤比EA/PE=10%~50%)で分離精製して中間体1(3.5g、90%)を得た。
1H NMR(400MHz,CDCl3)δ 8.95(d,1H),8.89(d,1H),8.26(d,1H),7.86(s,1H),7.54-7.47(m,2H),6.67(s,1H),4.08(s,3H),1.55(s,9H)。
LC-MS(ESI):m/z=370.1[M+H]+。
【0092】
中間体2:(R)-4-((5-メチル-2H-テトラゾール-2-イル)(フェニル)メチル)ピペリジントリフルオロ酢酸塩(中間体2)
【化3】
【0093】
ステップ1:4-((5-メチル-2H-テトラゾール-2-イル)(フェニル)メチル)ピペリジン-1-ギ酸tert-ブチル(2b)の製造
室温で2a(580mg、2.0mmol)、5-メチルテトラゾール(185mg、2.2mmol)とトリフェニルホスフィン(787mg、3.0mmol)を乾燥したTHF(20mL)に溶解し、窒素ガス保護で0oCまで冷却し、そしてDEAD(520mg、3.0mmol)を滴下し、自然に室温まで上昇して一晩反応させ、反応液を減圧濃縮してカラムクロマトグラフィーにより2b(440mg、61.0%)を得た。
LC-MS(ESI):m/z=358.3[M+H]+。
【0094】
ステップ2:(R)-4-((5-メチル-2H-テトラゾール-2-イル)(フェニル)メチル)ピペリジン-1-ギ酸tert-ブチル(2c)の製造
化合物2bをキラルHPLC分割し、化合物2c(tR=1.78min、200mg、45.5%)を得た。
分割条件は次のとおりである。
計器:MG II preparative SFC(SFC-1)、カラムの種類:ChiralCel OJ,250×30mm I.D.,5μm、移動相:Aは、CO2であり、Bは、エタノールであり、勾配:B 15%、流速:60mL/min、背圧:100bar、カラム温度:38℃、カラム長さ:220nm、期間:~5min、サンプル製造:0.44g化合物2bを4mLジクロロとメタノールとの混合溶媒に溶解し、サンプル取り込み:2mL/回。
【0095】
ステップ3:(R)-4-((5-メチル-2H-テトラゾール-2-イル)(フェニル)メチル)ピペリジントリフルオロ酢酸塩(中間体2)の製造
室温で2c(200mg、0.55mmol)をジクロロメタン(10mL)に溶解し、トリフルオロ酢酸(2.5mL)を滴下し、2時間攪拌を続け、反応液をスピンドライした後に中間体2の粗製物(300mg)を得、精製することなく、そのまま次の反応に投入された。
LC-MS(ESI):m/z=258.2[M+H]+。
【0096】
化合物A:(1S,2S)-2-フルオロ-N-(2-(2-(4-((R)-(5-メチル-2H-テトラゾール-2-イル)(フェニル)メチル)ピペリジン-1-ホルミル)ピリジン-4-イル)ベンゾ[d]オキサゾール-5-イル)シクロプロパン-1-カルボキサミド
【化4】
【0097】
ステップ1:4-(5-アミノベンゾ[d]オキサゾール-2-イル)ピリジンカルボン酸メチル(3a)の製造
中間体1(600.0mg、1.62mmol)をジクロロメタン(5mL)に溶解し、トリフルオロ酢酸(2mL)を加え、加え完了後に室温で2時間攪拌した後、飽和炭酸ナトリウム水溶液でpHを8-9に調整し、ジクロロメタン(50mL×2)で抽出し、有機相を合わせ、乾燥し、濾過し、濾液を濃縮して化合物3a(396.0mg、90%)を得た。
LC-MS(ESI):m/z=270.1[M+H]+。
【0098】
ステップ2:4-(5-((1S,2S)-2-フルオロシクロプロパン-1-カルボキサミド)ベンゾ[d]オキサゾール-2-イル)ピリジンカルボン酸メチル(3b)の製造
化合物3a(1.0g、3.71mmol)にDMF(50mL)、(1S、2S)-2-フルオロシクロプロパンカルボン酸(425mg、4.1mmol)、HATU(2.1g、5.58mmol)とDIEA(1.44g、11.16mmol)を順次加え、室温で5h攪拌した。水を加えてクエンチし、酢酸エチルで3回抽出し、飽和食塩水で2回洗浄し、乾燥して有機相を濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離剤:EA/PE=1/2(v/v))で分離精製して3b(1.1g、83.4%)を得た。
LC-MS(ESI):m/z=356.3[M+H]+。
【0099】
ステップ3:4-(5-((1S,2S)-2-フルオロシクロプロパン-1-カルボキサミド)ベンゾオキサゾール-2-イル)ピリジンカルボン酸(3c)の製造
室温で、化合物3b(1g、3.1mmol)をメタノール(15mL)に溶解し、水酸化リチウム(700mg)を20mLの純水に溶解し、さらに水酸化リチウムの水溶液を反応液に加え、40℃で0.5時間攪拌し、そして2N塩酸でpH=6~7に調整し、固体を多量に析出させ、抽出濾過し、水洗(10mL×3)し、濾過ケーキを50℃で乾燥した後に3c(1.0g、94.6%)を得た。
LC-MS(ESI):m/z=342.1[M+H]+。
【0100】
ステップ3:(1S,2S)-2-フルオロ-N-(2-(2-(4-((R)-(5-メチル-2H-テトラゾール-2-イル)(フェニル)メチル)ピペリジン-1-ホルミル)ピリジン-4-イル)ベンゾ[d]オキサゾール-5-イル)シクロプロパン-1-カルボキサミド(化合物A)の製造
室温で3c(170mg、0.5mmol)とDIPEA(130mg、1.0mmol)をDMF(5mL)に溶解し、そしてHATU(230mg、0.6mmol)を加え、3分間攪拌した後に中間体2(300mg、約0.55mmol)を加え、室温で30分間反応を続けた。30mLの水を加え、酢酸エチル(30mL×3)で抽出し、有機相を合わせ、飽和塩化ナトリウム(30mL×1)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧濃縮した後にカラムクロマトグラフィー(DCM:MeOH=30:1-15:1(v/v))により化合物A(130mg、44.8%)を得た。
PCT/CN2020/110764に記載された化合物120と上記の製造により得られた化合物Aは、XRPDにより表され、非晶質物であり、XRPD図は、
図3-1に示す。
LC-MS(ESI):m/z=581.3[M+H]
+。
1H NMR(400MHz,CDCl
3)δ 8.74-8.71(m,1H),8.31(s,1H),8.12-8.10(m,1H),8.01(s,1H),7.90-7.87(m,1H),7.56-7.51(m,4H),7.41-7.31(m,3H),5.55-5.52(m,1H),4.93-4.75(m,2H),3.91-3.88(m,1H),3.20-3.11(m,1H),2.91-2.80(m,2H),2.56-2.50(m,3H),1.94-1.84(m,2H),1.61-1.23(m,5H)。
【0101】
試験例
【0102】
試験方法:細胞変性(CPE)法を用いて化合物Aのインフルエンザウイルスに対する抗ウイルス活性を試験するとともに、MDCK細胞毒性を測定した。8つの濃度、二重孔を試験した。CCK-8試薬を用いて細胞活力を検出した。MDCK細胞を、一定の密度でマイクロプレート内に接種し、37℃、5% CO2で一晩培養した。翌日に化合物とウイルスを加えた。細胞(化合物処理又はウイルス感染なし)とウイルス感染(細胞感染ウイルス、化合物処理なし)の対照を設定した。細胞培養液におけるDMSOの最終濃度は、0.5%となった。細胞を37℃、5% CO2で5日間、ウイルス対照孔細胞変性率が80-95%に達するまで培養した。CCK-8試薬を用いて細胞活力を検出し、生データは、化合物抗ウイルス活性の計算に用いられた。GraphPad Prismソフトウェアを用いて化合物用量反応曲線を分析してEC50値を計算した。
【0103】
化合物AのIFVA/Mal/302/54とIFVA/Weiss/43ウイルスに対する抗増殖活性の結果
【表4】
【0104】
化合物AのIFV A/PR/8/34ウイルスに対する抗増殖活性の結果
【表5】
【0105】
結論:化合物Aは、IFVA/Mal/302/54、IFVA/Weiss/43とIFV A/PR/8/34ウイルスに対して優れた抗増殖活性を示した。
【実施例2】
【0106】
実施例2化合物Aの結晶形Iの製造
方法1:式(A)の化合物粗製物を50mg溶媒に加えて懸濁液を得、該当する温度で一定時間攪拌し、遠心分離し、室温で真空乾燥して一晩反応させ、固体を得、XRPDにより表され、得られた固体は、結晶形I(Form 1)である。具体的な試験条件は以下の通りである。
【0107】
【0108】
方法2:非晶質化合物Aの粗製物を15mg取り、遠心分離管に置き、該当する溶媒1を加えて溶解し、そして溶媒2の溶媒雰囲気に静置し、固体を析出させた後、遠心分離し、室温で真空乾燥して一晩反応させ、乾燥した固体を得、XRPDにより表され、結晶形I(Form 1)であることを確認し、XRPDにより表された。試験条件は以下のとおりである。
【0109】
【表7】
XRPD鑑定を経て、方法1と方法2で製造して得られた固体は、いずれも結晶形Iであり、XRPDピークリストは、表1に示し、XRPDスペクトル図は、
図1-1に示し、TGA図は、
図1-2に示し、150℃までに約2.6%の遅い減量があり、無水物(又はトンネル水合物)であり、該サンプルの分解温度が約246℃であることを示し、DSC図は、
図1-3に示し、融点は、約216℃である。
【0110】
化合物A単結晶の製造
Form 1サンプルを約10mg取り、ガラスバイアルに置き、0.6mLメタノールで溶解した後、イソプロピルエーテル雰囲気に置いて室温で小孔を拡散し、塊状結晶を得た。単結晶構造情報表は、表2に示し、単結晶配置は、
図1-6に示し、単結晶構造解析データは、表3に示す。
【0111】
【0112】
【0113】
【実施例3】
【0114】
実施例3化合物Aの結晶形IIの製造
方法1:非晶質化合物Aを150mg取り、1.5mLのエチルエーテルと0.45mLの酢酸イソプロピルを加え、室温でスラリーを3日攪拌し、遠心分離し、室温で真空乾燥して一晩反応させ、結晶形IIを得た。
【0115】
方法2:非晶質化合物Aを約20mg取り、遠心分離管に置き、そしてエチルエーテル雰囲気に静置し、結晶形IIを得た。
【0116】
上記結晶形は、XRPD鑑定を経て、有結晶形であり、結晶形II(Form 2)と命名された。結晶形IIのXRPDピークリストは、表4に示し、XRPDスペクトル図は、
図2-1に示し、TGA図は、
図2-2に示し、150℃までに約4.4%の段階的減量、約3分の1の
エチルエーテル分子(理論的に3分の1の
エチルエーテル分子の割合は、約4.1%である)があり、分解温度が約246℃であることを示し、DSC図は、
図2-3に示し、130℃-170℃の間には、溶融を伴う脱溶媒ピークを有する。
【0117】
【実施例4】
【0118】
実施例4化合物Aの結晶形Iの結晶形変換実験
水における結晶形変換実験、実験方案と結果は、表5に示す。
【0119】
【実施例5】
【0120】
実施例5化合物Aの結晶形Iの安定性実験
安定性実験方案と結果は、表6に示す。
【0121】
【表13】
試験結論:化合物Aの結晶形Iは、優れた安定性を有した。
【実施例6】
【0122】
実施例6化合物Aの結晶形Iの吸湿性実験
【0123】
【0124】
DVS図は、
図1-4に示し、等温吸着曲線図は、
図1-5に示す。結果によると、結晶形Iは、0%RH~80%RHの範囲で重量変化が約0.3%であり、化合物Aの非晶質物は、0%RH~80%RHの範囲で重量変化が約3.8%(
図3-2、
図3-3)であり、結晶形Iは、非晶質と比べて、吸湿性が著しく低下した。
【国際調査報告】