IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ セコ ツールズ アクティエボラーグの特許一覧

特表2024-506141切削インサートを工具本体に自動的に着脱するシステムおよび方法
<>
  • 特表-切削インサートを工具本体に自動的に着脱するシステムおよび方法 図1
  • 特表-切削インサートを工具本体に自動的に着脱するシステムおよび方法 図2
  • 特表-切削インサートを工具本体に自動的に着脱するシステムおよび方法 図3
  • 特表-切削インサートを工具本体に自動的に着脱するシステムおよび方法 図4
  • 特表-切削インサートを工具本体に自動的に着脱するシステムおよび方法 図5
  • 特表-切削インサートを工具本体に自動的に着脱するシステムおよび方法 図6A
  • 特表-切削インサートを工具本体に自動的に着脱するシステムおよび方法 図6B
  • 特表-切削インサートを工具本体に自動的に着脱するシステムおよび方法 図7
  • 特表-切削インサートを工具本体に自動的に着脱するシステムおよび方法 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-09
(54)【発明の名称】切削インサートを工具本体に自動的に着脱するシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   B23Q 3/155 20060101AFI20240202BHJP
   B23C 9/00 20060101ALI20240202BHJP
   B23P 19/06 20060101ALI20240202BHJP
【FI】
B23Q3/155 B
B23C9/00 Z
B23P19/06
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023544490
(86)(22)【出願日】2022-01-12
(85)【翻訳文提出日】2023-09-15
(86)【国際出願番号】 EP2022050475
(87)【国際公開番号】W WO2022161763
(87)【国際公開日】2022-08-04
(31)【優先権主張番号】21153451.6
(32)【優先日】2021-01-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591106875
【氏名又は名称】セコ ツールズ アクティエボラーグ
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】オルソン, マッツ
【テーマコード(参考)】
3C002
3C022
【Fターム(参考)】
3C002KK05
3C002LL05
3C022QQ00
(57)【要約】
本発明は、少なくとも1つの切削インサート(4)を、ねじ回し工具(14)によって工具本体(10)に自動的に着脱するシステムに関する。システムは、 - シフト(56)および頭部(16)を有する少なくとも1つの固定スクリュー(8)であって、シャフト(56)が、頭部(16)とは反対側に端点(50)を有する、少なくとも1つの固定スクリュー(8)と、 - 上面(26)、底面(44)、および上面(26)と底面(44)とを連結する外周側面(62)を備える少なくとも1つの切削インサート(4)であって、上面(26)から底面(44)まで延在して固定スクリュー(8)のシャフト(56)を受け入れ、長手方向軸(A)を有する貫通孔(6)をさらに備える、少なくとも1つの切削インサート(4)と、 - 固定スクリュー(8)が挿入された少なくとも1つの切削インサート(4)を取り上げ、取り放すことができる担持装置(2)であって、前面(32)、後面(24)、および前面(32)と後面(24)とを連結する外周側面(58)を有する本体を備える、担持装置(2)とを備えるシステムであって、担持装置(2)が、前面(32)の前端部開口(54)から後面(24)の後端部開口(52)まで延在し、長手方向軸(B)を有し、長さLを有するチャネル(12)を備える、システムである。本発明は、また、固定スクリュー(8)によって、少なくとも1つの切削インサート(4)を工具本体(10)に自動的に装着する方法に関する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの切削インサート(4)を、ねじ回し工具(14)によって工具本体(10)に自動的に着脱するシステムであって、
- シャフト(56)および頭部(16)を有する少なくとも1つの固定スクリュー(8)であって、前記シャフト(56)が、前記頭部(16)とは反対側に端点(50)を有する、少なくとも1つの固定スクリュー(8)と、
- 上面(26)、底面(44)、および前記上面(26)と前記底面(44)とを連結する外周側面(62)を備える少なくとも1つの切削インサート(4)であって、前記上面(26)から前記底面(44)まで延在して前記固定スクリュー(8)の前記シャフト(56)を受け入れ、長手方向軸(A)を有する貫通孔(6)をさらに備える、少なくとも1つの切削インサート(4)と、
- 前記固定スクリュー(8)が挿入された前記少なくとも1つの切削インサート(4)を取り上げ、取り放すことができる担持装置(2)であって、前面(32)、後面(24)、および前記前面(32)と前記後面(24)とを連結する外周側面(58)を有する本体を備える、担持装置(2)と
を備えるシステムにおいて、
前記担持装置(2)が、前記前面(32)の前端部開口(54)から前記後面(24)の後端部開口(52)まで延在し、長手方向軸(B)を有し、長さLを有するチャネル(12)を備えることを特徴とする、
少なくとも1つの切削インサート(4)を、ねじ回し工具(14)によって工具本体(10)に自動的に着脱するシステム。
【請求項2】
前記チャネル(12)が、前記前端部開口(54)から前記チャネル(12)内へ距離Lだけ延在するスクリュー入口部分(18)を備え、L≧L/4であり、前記スクリュー入口部分(18)の断面が、前記固定スクリュー(8)の前記頭部(16)の断面より大きい、請求項1に記載の、少なくとも1つの切削インサート(4)を、ねじ回し工具(14)によって工具本体(10)に自動的に着脱するシステム。
【請求項3】
前記チャネル(12)が、前記前端部開口(54)から距離Lに位置する肩部分(76)を備え、前記肩部分(76)が、前記固定スクリュー(8)の前記頭部の断面より小さい断面を有する、請求項2に記載の、少なくとも1つの切削インサート(4)を、ねじ回し工具(14)によって工具本体(10)に自動的に着脱するシステム。
【請求項4】
前記チャネル(10)が、前記前端部開口(54)と前記後端部開口(82)との間に位置するばね(90)を備える、請求項1から3のいずれか一項に記載の、少なくとも1つの切削インサート(4)を、ねじ回し工具(14)によって工具本体(10)に自動的に着脱するシステム。
【請求項5】
前記チャネル(12)が、前記後端部開口(52)から前記チャネル(12)内に距離Lだけ延在する工具入口部分(22)を備え、L≧L/4であり、前記工具入口部分(22)の断面が、前記後端部開口(52)に向かって拡張する、請求項1から4のいずれか一項に記載の、少なくとも1つの切削インサート(4)を、ねじ回し工具(14)によって工具本体(10)に自動的に着脱するシステム。
【請求項6】
前記工具入口部分(22)が、半円錐台形を有する、請求項5に記載の、少なくとも1つの切削インサート(4)を、ねじ回し工具(14)によって工具本体(10)に自動的に着脱するシステム。
【請求項7】
前記担持装置(2)が、前記切削インサート(4)を取り上げるための少なくとも1つの磁石(28)を備える、請求項1から6のいずれか一項に記載の、少なくとも1つの切削インサート(4)を、ねじ回し工具(14)によって工具本体(10)に自動的に着脱するシステム。
【請求項8】
前記前面(32)が、底面(92)を有する受口(60)を備え、前記底面(92)が、前記切削インサート(4)の前記上面(26)に対応する形状を有し、前記底面(92)の中点が、前記チャネル(12)の前記長手方向軸(B)と一致するように配置される、請求項1から7のいずれか一項に記載の、少なくとも1つの切削インサート(4)を、ねじ回し工具(14)によって工具本体(10)に自動的に着脱するシステム。
【請求項9】
前記切削インサート(4)と前記固定スクリュー(8)とを事前に組み立てるための組立トレイユニット(42)をさらに備え、前記組立トレイユニット(42)が、前記貫通孔(6)に収容された前記固定スクリュー(8)の前記シャフト(56)を受け入れるための、長手方向軸(D)を有する貫通孔(66)を備える、請求項1から8のいずれか一項に記載の、少なくとも1つの切削インサート(4)を、ねじ回し工具(14)によって工具本体(10)に自動的に着脱するシステム。
【請求項10】
前記組立トレイユニット(42)が、底面(88)を有する受口(64)をさらに備え、前記底面(88)が、前記切削インサート(4)の前記底面(44)に対応する形状を有し、前記底面(88)の中点が、前記貫通孔(66)の前記長手方向軸(D)と一致するように配置される、請求項9に記載の、少なくとも1つの切削インサート(4)を、ねじ回し工具(14)によって工具本体(10)に自動的に着脱するシステム。
【請求項11】
前記固定スクリュー(8)の前記シャフト(56)の一部分を把持するための把持工具(74)をさらに備え、前記一部分が、前記組立トレイユニット(42)に受け入れられたとき、前記貫通孔(66)から突出する、請求項9または10に記載の、少なくとも1つの切削インサート(4)を、ねじ回し工具(14)によって工具本体(10)に自動的に着脱するシステム。
【請求項12】
前記担持装置(2)が、捕捉装置(84)に装着される、請求項1から11のいずれか一項に記載の、少なくとも1つの切削インサート(4)を、ねじ回し工具(14)によって工具本体(10)に自動的に着脱するシステム。
【請求項13】
- 長手方向軸(C)を有し、前記少なくとも1つの切削インサート(4)を受け入れるために、前記長手方向軸(C)から距離dに配置された少なくとも1つの装着受口(46)を備える工具本体(10)であって、前記少なくとも1つの装着受口(46)が、前記固定スクリュー(8)を受け入れる孔(48)を備える、工具本体(10)
をさらに備える、請求項1から12のいずれか一項に記載の、少なくとも1つの切削インサート(4)を、ねじ回し工具(14)によって工具本体(10)に自動的に着脱するシステム。
【請求項14】
前記工具本体(10)が、回転式支持ユニット(36)に装着される、請求項13に記載の、少なくとも1つの切削インサート(4)を、ねじ回し工具(14)によって工具本体(10)に自動的に着脱するシステム。
【請求項15】
- ねじ回し工具(14)
をさらに備える、請求項1から14のいずれか一項に記載の、少なくとも1つの切削インサート(4)を、ねじ回し工具(14)によって工具本体(10)に自動的に着脱するシステム。
【請求項16】
前記担持装置(2)の前記本体が、前記外周側面(58)から突出する突出部(78)を備え、前記突出部(78)が、前記少なくとも1つの切削インサート(4)の着脱中に前記工具本体(10)と接触する支持面(80)を備える、請求項1から15のいずれか一項に記載の、少なくとも1つの切削インサート(4)を、ねじ回し工具(14)によって工具本体(10)に自動的に着脱するシステム。
【請求項17】
前記支持面(80)が、前記工具本体(10)の上向き軸方向支持面(30)と接触する下向き軸方向支持面として構成され、前記少なくとも1つの切削インサート(4)の着脱に際し、前記装着受口(46)内での前記切削インサート(4)の軸方向位置合わせを行い、前記上向き軸方向支持面(30)が、前記工具本体(10)の端面(34)に設けられ、前記長手方向軸(C)から距離dに位置し、d<dである、請求項16に記載の、少なくとも1つの切削インサート(4)を、ねじ回し工具(14)によって工具本体(10)に自動的に着脱するシステム。
【請求項18】
担持装置(2)によって、少なくとも1つの切削インサート(4)を、固定スクリュー(8)を用いて工具本体(10)に自動的に装着する方法であって、前記固定スクリュー(8)が、シャフト(56)および頭部(16)を有し、前記シャフト(56)が、前記頭部(16)とは反対側に端点(50)を有し、前記切削インサート(4)が、上面(26)、底面(44)、および前記上面(26)と前記底面(44)とを連結する外周側面(62)を有し、前記切削インサート(4)が、前記上面(26)から前記底面(44)まで延在して前記固定スクリュー(8)の前記シャフト(56)を受け入れ、長手方向軸(A)を有する貫通孔(6)をさらに備え、前記担持装置(2)が、前面(32)、後面(24)、および前記前面(32)と前記後面(24)とを連結する外周側面(58)を有する本体を備え、前記担持装置(2)が、前記前面(32)の前端部開口(54)から前記後面(24)の後端部開口(52)まで延在し、長手方向軸(B)を有するチャネル(12)を備え、前記チャネル(12)が長さLを有する、方法において、
- 前記固定スクリュー(8)の前記シャフト(56)を、前記切削インサート(4)の前記上面(26)から前記貫通孔(6)に挿入するステップ(S1)と、
- 前記チャネル(12)の前記長手方向軸(B)が前記貫通孔(6)の前記長手方向軸(A)と一致するように、前記担持装置(2)の前記前面(32)を前記切削インサート(4)の前記上面(26)の上に配置するステップ(S2)と、
- 前記担持装置(2)を前記切削インサート(4)に取り付けるステップ(S3)と、
- 前記担持装置(2)を使用して、前記切削インサート(4)を、前記切削インサートの中に配置された前記固定スクリュー(8)と共に取り上げるステップ(S4)と、
- 前記担持装置を前記工具本体(10)に対して移動させることによって、前記切削インサート(4)の前記底面(44)を、前記工具本体(10)の装着受口(46)内に配置するステップ(S5)と、
- ねじ回し工具(14)を前記工具本体(10)に対して移動させることによって、前記ねじ回し工具(14)を、前記後端部開口(52)から前記チャネル(12)を通して前記固定スクリュー(8)の前記頭部(16)へ挿入するステップ(S6)と、
- 前記ねじ回し工具(14)を回転させることによって、前記切削インサート(4)を前記工具本体(10)に固定するステップ(S7)と
を含むことを特徴とする、担持装置(2)によって、少なくとも1つの切削インサート(4)を、固定スクリュー(8)を用いて工具本体(10)に自動的に装着する方法。
【請求項19】
- ステップ(S1)の前に、前記固定スクリュー(8)の前記シャフト(56)を受け入れるために、前記切削インサート(4)を、長手方向軸(D)を有する貫通孔(66)を有する組立トレイユニット(42)上に配置するステップ(S8)
をさらに含む、請求項18に記載の、担持装置(2)によって、少なくとも1つの切削インサート(4)を、固定スクリュー(8)を用いて工具本体(10)に自動的に装着する方法。
【請求項20】
- ステップ(S1)と(S2)との間に、前記固定スクリュー(8)に把持工具(74)を適用することによって、前記固定スクリュー(8)を把持するステップ(S9)と、
- ステップ(S3)と(S4)との間に、前記把持工具(74)を前記固定スクリュー(8)から取り外すことによって、前記固定スクリュー(8)を解放するステップ(S10)と
をさらに含む、請求項18または19に記載の、担持装置(2)によって、少なくとも1つの切削インサート(4)を、固定スクリュー(8)を用いて工具本体(10)に自動的に装着する方法。
【請求項21】
- ステップ(S4)と(S5)との間に、前記固定スクリュー(8)の前記端点(50)を、前記切削インサート(4)の前記底面(44)に揃えるステップ(S11)
をさらに含む、請求項18から20のいずれか一項に記載の、担持装置(2)によって、少なくとも1つの切削インサート(4)を、固定スクリュー(8)を用いて工具本体(10)に自動的に装着する方法。
【請求項22】
前記工具本体(10)が、少なくとも2つの装着受口(46)を備え、
- ステップ(S5)の前に、前記工具本体(10)を回転式支持ユニット(36)に装着するステップ(S12)と、
- ステップ(S7)の後に、前記ねじ回し工具(14)を前記チャネル(12)から引き抜くステップ(S13)と、
- ステップ(S13)の後に、前記担持装置(2)を、装着済みの前記切削インサート(4)から取り外すステップ(S14)と、
- ステップ(S14)の後に、前記工具本体(10)の隣接する2つの装着受口(46)間の円周距離に対応する距離だけ前記回転式支持ユニット(36)を回転させるステップ(S15)と
をさらに含む、請求項18から21のいずれか一項に記載の、担持装置(2)によって、少なくとも1つの切削インサート(4)を、固定スクリュー(8)を用いて工具本体(10)に自動的に装着する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、少なくとも1つの切削インサートを工具本体に自動的に着脱するシステム、および少なくとも1つの切削インサートを固定スクリューによって工具本体に自動的に装着する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、少なくとも1つの交換可能な切削インサートが装着された工具本体を備える切削工具が、極めて一般的に切削工程において使用されている。工具本体は、たとえば、フライスカッタまたは旋削工具ホルダであり得る。切削インサートを工具本体に装着する最も一般的な方法は、固定スクリューを使用することである。
【0003】
切削インサートは、通常、工具本体の狭い装着受口に装着され、それによって、受口の壁が、1つだけのスクリューによって工具本体に装着された場合の切削インサートの回転を防止する。
【0004】
現在、切削インサートの工具本体への着脱は、手によって行われることが多い。作業状態および生産性を向上させるために、着脱工程を自動化するいくつかのシステムが開発されてきた。
【0005】
米国特許第10,035,201(B2)号は、工具の機械加工インサートを交換するための交換装置を開示する。
【0006】
しかしながら、それらシステムに伴う問題は、それらシステムが、非常に嵩張り、工具本体の狭い装着受口に使用するのが容易でないことである。
【発明の概要】
【0007】
本発明の目的は、少なくとも1つの切削インサートを工具本体に自動的に着脱するシステムと、少なくとも1つの切削インサートを、固定スクリューによって工具本体に自動的に装着する方法と、その方法を実行するコンピュータプログラム製品とを導入することによって、上記問題を克服、または少なくとも部分的克服することである。
【0008】
本発明の目的は、少なくとも1つの切削インサートを、ねじ回し工具によって工具本体に自動的に着脱するシステムであって、
- シャフトおよび頭部を有する少なくとも1つの固定スクリューであって、シャフトが、頭部とは反対側に端点を有する、少なくとも1つの固定スクリューと、
- 上面、底面、および上面と底面とを連結する外周側面を備える少なくとも1つの切削インサートであって、上面から底面まで延在して固定スクリューのシャフトを受け入れ、長手方向軸を有する貫通孔をさらに備える、少なくとも1つの切削インサートと、
- 固定スクリューが挿入された少なくとも1つの切削インサートを取り上げ、取り放すことができる担持装置であって、前面、後面、および前面と後面とを連結する外周側面を有する本体を備える、担持装置と
を備えるシステムにおいて、
担持装置が、前面の前端部開口から後面の後端部開口まで延在し、長手方向軸を有し、長さLを有するチャネルを備えることを特徴とする、システムを用いることによって達成される。前面は、担持装置によって取り上げられたときの切削インサートに接触する面である。
【0009】
このシステムによる利点は、担持装置を切削インサートから取り外すことなく、ねじ回し工具が、チャネルを通して、固定スクリューの頭部にアクセスすることができることである。したがって、本システムは、従来の把持具およびスクリュードライバ工具を使用することができない、工具本体の狭い装着受口に切削インサートを着脱するために使用することができる。したがって、切削インサートを工具本体に着脱する工程が簡略化される。
【0010】
本発明の実施形態によれば、チャネルは、前端部開口からチャネル内へ距離Lだけ延在するスクリュー入口部分を備え、L≧L/4であり、スクリュー入口部分の断面が、固定スクリューの頭部の断面より大きい。
【0011】
この実施形態による利点は、固定スクリューがチャネルに入り込むことが可能であり、したがって、固定スクリューの頭部が切削インサートの上面の外側に突出している場合に、担持装置が切削インサートの上面に達するのを固定スクリューの頭部が妨げないので、切削インサートを、担持装置が取り上げることができることである。
【0012】
本発明の実施形態によれば、チャネルが、前端部開口から距離Lに位置する肩部分を備え、肩部分は、固定スクリューの頭部の断面より小さい断面を有する。
【0013】
この実施形態による利点は、取り上げた切削インサートおよび固定スクリューを伴って担持装置が移動する際に、固定スクリューが、チャネルから脱落するのが防止されることである。
【0014】
本発明の実施形態によれば、チャネルは、前端部開口と後端部開口との間に配置されたばねを備える。
【0015】
この実施形態による利点は、ばねは、固定スクリューがチャネルの中に配置されるとき圧縮され、したがって、ばねは、固定スクリューを押圧し、それによって、固定スクリューをチャネル内に係止することである。したがって、取り上げた切削インサートおよび固定スクリューを伴って担持装置が移動する際に、固定スクリューが、チャネルから脱落するのが防止される。
【0016】
本発明の実施形態によれば、チャネルが、後端部開口からチャネル内に距離Lだけ延在する工具入口部分を備え、L≧L/4であり、工具入口部分の断面が、後端部開口に向かって拡張する。
【0017】
この実施形態による利点は、チャネルが、固定スクリューの頭部と芯が合うようにねじ回し工具を案内するのに役立つことができることである。
【0018】
本発明の実施形態によれば、工具入口部分は、半円錐台形を有する。すなわち、チャネルの側壁の一部分が取り除かれている。
【0019】
この実施形態による利点は、担持装置を工具本体のより近くに配置することができることである。したがって、担持装置を、従来の把持具およびスクリュードライバ工具を使用することができない狭い装着受口に使用することができることである。
【0020】
本発明の実施形態によれば、担持装置は、切削インサートを取り上げるための少なくとも1つの磁石を備える。磁石は、永久磁石または電磁石でよい。永久磁石が使用された場合、切削インサートを固定スクリューによって工具本体に固定した後の切削インサートの取り放しは、担持装置を工具本体から引き離すことによって実行される。あるいは、担持装置が、切削インサートを取り上げるために真空手段を備える。
【0021】
この実施形態による利点は、切削インサートの他の全ての面がアクセスするのに困難なとき、上面によって切削インサートを取り上げることができることである。
【0022】
本発明の実施形態によれば、前面が、底面を有する受口を備える。底面は、切削インサートの上面に対応する形状を有し、底面の中点が、チャネルの長手方向軸と一致するように配置される。
【0023】
この実施形態による利点は、担持装置の前面の形状が、取り上げ、取り放される切削インサートの実際の形状に適合していることである。これは、切削インサートを担持装置内により安定的に配置し、切削インサートを工具本体に着脱する際に切削インサートを脱落させる危険性を低減する結果になる。
【0024】
本発明の実施形態によれば、システムは、切削インサートと固定スクリューとを事前に組み立てるための組立トレイユニットをさらに備え、組立トレイユニットは、貫通孔に収容された固定スクリューのシャフトを受け入れるための、長手方向軸を有する貫通孔を備える。
【0025】
この実施形態による利点は、切削インサートと固定スクリューとを、工具本体に装着する前に事前に組み立てることができることである。その場合、切削インサートと固定スクリューとは、担持装置によって同時に取り上げることができる。組立トレイユニットの貫通孔によって、固定スクリューを、組立トレイユニット上で安定的に装着することができる。
【0026】
本発明の実施形態によれば、組立トレイユニットが、底面を有する受口をさらに備え、底面は、切削インサートの底面に対応する形状を有し、底面の中点が、組立トレイユニットの貫通孔の長手方向軸と一致するように配置されている。
【0027】
この実施形態による利点は、組立トレイユニットへの切削インサートのより安定的な配置が達成されることである。
【0028】
本発明の実施形態によれば、組立トレイユニットは、担持装置の前面に対応した形状を有する受口を備える。
【0029】
この実施形態による利点は、切削インサートを組立トレイユニット内により深く配置することができ、なおかつ担持装置が切削インサートに達することができるので、組立トレイユニットへの切削インサートのより安定的な配置を達成することができることである。
【0030】
本発明によれば、システムは、固定スクリューのシャフトの一部分を把持するための把持工具をさらに備え、その一部分は、組立トレイユニットに受け入れられたとき、貫通孔から突出する。把持工具は、把持ユニットに設けることができる。
【0031】
この実施形態による利点は、担持装置が切削インサートの上に正確に配置される前に、固定スクリューが、外されるのを防止することができることである。
【0032】
本発明の実施形態によれば、担持装置は、捕捉装置に装着される。捕捉装置は、たとえばロボットアームでもよい。
【0033】
この実施形態による利点は、担持装置の移動を自動的に制御することができることである。
【0034】
本発明の実施形態によれば、システムは、長手方向軸を有する工具本体をさらに備える。工具本体は、少なくとも1つの切削インサートを受け入れるために、長手方向軸から距離dに配置された少なくとも1つの装着受口を備える。少なくとも1つの装着受口は、固定スクリューを受け入れる孔を備える。
【0035】
この実施形態による利点は、工具本体に装着された切削インサートの安定性を向上させることができ、作動中に切削インサートが回転する危険性が低減されることである。
【0036】
本発明の実施形態によれば、工具本体は、回転式支持ユニットに装着される。
【0037】
この実施形態による利点は、切削インサートの着脱に際し、装着受口の位置を容易に調節することができることである。
【0038】
本発明の実施形態によれば、システムは、ねじ回し工具をさらに備える。ねじ回し工具は、ねじ回しユニットに設けることができる。
【0039】
この実施形態による利点は、工具本体における固定スクリューの締め付け、緩めを自動的に行うことができ、それによって、切削インサートを工具本体に着脱する工程が簡略化されることである。
【0040】
本発明の実施形態によれば、担持装置の本体が、外周側面から突出する突出部を備え、その突出部は、少なくとも1つの切削インサートの着脱中に工具本体と接触する支持面を備える。
【0041】
この実施形態による利点は、切削インサートを着脱するとき、担持装置を、工具本体と安定的に接触させることができ、その結果、切削インサートを工具本体に誤って位置決めする危険性が低減されることである。
【0042】
本発明の実施形態によれば、その支持面は、工具本体の上向き軸方向支持面と接触する下向き軸方向支持面として構成され、少なくとも1つの切削インサートの着脱に際し、装着受口内での切削インサートの軸方向位置合わせを行い、上向き軸方向支持面は、工具本体の端面に設けられ、工具本体の長手方向軸から距離dに位置し、d<dである。
【0043】
この実施形態による利点は、切削インサートを、その切削インサートの着脱に際し、着脱受口内で軸方向に位置合わせすることができ、その結果、切削インサートを装着受口内に誤って位置決めする危険性が低減されることである。
【0044】
本発明の実施形態によれば、システムは、切削インサートを工具本体に着脱する工程を制御する処理回路を有する制御ユニットをさらに備える。制御ユニットは、たとえばコンピュータまたはスマートフォンでもよい。
【0045】
本発明の目的は、担持装置によって、少なくとも1つの切削インサートを、固定スクリューを用いて工具本体に自動的に装着する方法であって、固定スクリューが、シャフトおよび頭部を有し、シャフトが、頭部とは反対側に端点を有し、切削インサートが、上面、底面、および上面と底面とを連結する外周側面を有し、切削インサートが、上面から底面まで延在して固定スクリューのシャフトを受け入れ、長手方向軸を有する貫通孔をさらに備え、担持装置が、前面、後面、および前面と後面とを連結する外周側面を有する本体を備え、担持装置が、前面の前端部開口から後面の後端部開口まで延在し、長手方向軸を有するチャネルを備え、チャネルが長さLを有する、方法において、
- 固定スクリューのシャフトを、切削インサートの上面から貫通孔に挿入するステップと、
- チャネルの長手方向軸が貫通孔の長手方向軸と一致するように、担持装置の前面を切削インサートの上面の上に配置するステップと、
- 担持装置を切削インサートに取り付けるステップと、
- 担持装置を使用して、切削インサートを、その切削インサートの中に配置された固定スクリューと共に取り上げるステップと、
- 担持装置を工具本体に対して移動させることによって、切削インサートの底面を、工具本体の装着受口内に配置するステップと、
- ねじ回し工具を工具本体に対して移動させることによって、ねじ回し工具を、後端部開口からチャネルを通して固定スクリューの頭部へ挿入するステップと、
- ねじ回し工具を回転させることによって、切削インサートを工具本体に固定するステップと
を含むことを特徴とする方法を用いてさらに達成される。
【0046】
この方法による利点は、固定スクリューの頭部に、ねじ回し工具が、担持装置を切削インサートから取り外すことなく、チャネルを通してアクセスすることができることである。したがって、本方法は、従来の把持具およびスクリュードライバ工具を使用することができない、工具本体の狭い装着受口に切削インサートを装着するために使用することができる。したがって、切削インサートを工具本体に装着する工程が簡略化される。
【0047】
本発明の実施形態によれば、方法は、
- 固定スクリューのシャフトを、切削インサートの上面から貫通孔に挿入するステップの前に、固定スクリューのシャフトを受け入れるために、切削インサートを、長手方向軸を有する貫通孔を有する組立トレイユニット上に配置するステップ
をさらに含む。
【0048】
この実施形態による利点は、切削インサートと固定スクリューとを、工具本体に装着する前に安定的に事前に組み立てることができることである。
【0049】
本発明の実施形態によれば、方法は、
- 固定スクリューのシャフトを、切削インサートの上面から貫通孔に挿入するステップとチャネルの長手方向軸が貫通孔の長手方向軸と一致するように、担持装置の前面を切削インサートの上面の上に配置するステップとの間に、固定スクリューに把持工具を適用することによって、固定スクリューを把持するステップと、
- 担持装置を切削インサートに取り付けるステップと担持装置を使用して、切削インサートをその切削インサートの中に配置された固定スクリューと共に取り上げるステップとの間に、把持工具を固定スクリューから取り外すことによって、固定スクリューを解放するステップと
をさらに含む。
【0050】
この方法による利点は、担持装置が切削インサートの上に正確に配置される前に、固定スクリューが、外されるのを防止することができることである。
【0051】
本発明の実施形態によれば、方法は、
- 担持装置を使用して、切削インサートを、その切削インサートの中に配置された固定スクリューと共に取り上げるステップと担持装置を工具本体に対して移動させることによって、切削インサートの底面を、工具本体の装着受口内に配置するステップとの間に、固定スクリューの端点を、切削インサートの底面に揃えるステップ
をさらに含む。
【0052】
固定スクリューの端点を切削インサートの底面に揃えるのは、切削インサートの底面をある面に押し当て、それによって、固定スクリューを貫通孔内に押し上げることによって行うことができる。
【0053】
この実施形態による利点は、切削インサートを工具本体に当てて配置するとき、固定スクリューが、切削インサートの底面から外側に突出せず、それによって、工具本体への切削インサートの位置決めが簡単になることである。
【0054】
工具本体が少なくとも2つの装着受口を備える本発明の実施形態によれば、方法は、
- 担持装置を工具本体に対して移動させることによって、切削インサートの底面を、工具本体の装着受口内に配置するステップの前に、工具本体を回転式支持ユニットに装着するステップと、
- ねじ回し工具を回転させることによって、切削インサートを工具本体に固定するステップの後に、ねじ回し工具をチャネルから引き抜くステップと、
- ねじ回し工具をチャネルから引き抜くステップの後に、担持装置を、装着済みの切削インサートから取り外すステップと、
- 担持装置を、装着済みの切削インサートから取り外すステップの後に、工具本体の隣接する2つの装着受口間の円周距離に対応する距離だけ回転式支持ユニットを回転させるステップと
をさらに含む。
【0055】
この実施形態による利点は、複数の切削インサートを工具本体に装着することができることである。
【0056】
本発明の目的は、担持装置によって、少なくとも1つの切削インサートを、固定スクリューを用いて工具本体に自動的に装着する代替方法であって、固定スクリューが、シャフトおよび頭部を有し、シャフトが、頭部とは反対側に端点を有し、切削インサートが、上面、底面、および上面と底面とを連結する外周側面を有し、切削インサートが、上面から底面まで延在して固定スクリューのシャフトを受け入れ、長手方向軸を有する貫通孔をさらに備え、担持装置が、前面、後面、および前面と後面とを連結する外周側面を有する本体を備え、担持装置が、前面の前端部開口から後面の後端部開口まで延在し、長手方向軸を有するチャネルを備え、チャネルが長さLを有する、方法において、
- チャネルの長手方向軸が貫通孔の長手方向軸と一致するように、担持装置の前面を切削インサートの上面の上に配置するステップと、
- 固定スクリューのシャフトを、担持装置のチャネルを通して、切削インサートの上面から貫通孔に挿入するステップと、
- 担持装置を使用して、切削インサートを、その切削インサートの中に配置された固定スクリューと共に取り上げるステップと、
- 担持装置を工具本体に対して移動させることによって、切削インサートの底面を、工具本体の装着受口内に配置するステップと、
- ねじ回し工具を工具本体に対して移動させることによって、ねじ回し工具を、後端部開口からチャネルを通して固定スクリューの頭部へ挿入するステップと、
- ねじ回し工具を回転させることによって、切削インサートを工具本体に固定するステップと
を含むことを特徴とする方法を用いてさらに達成される。
【0057】
この方法による利点は、担持装置を切削インサートから取り外すことなく、固定スクリューの頭部に、ねじ回し工具が、チャネルを通してアクセスすることができることである。したがって、本方法は、従来の把持具およびスクリュードライバ工具を使用することができない、工具本体の狭い装着受口に切削インサートを装着するために使用することができる。したがって、切削インサートを工具本体に装着する工程が簡略化される。
【0058】
本発明の実施形態によれば、代替方法は、
- 担持装置を使用して、切削インサートを、その切削インサートの中に配置された固定スクリューと共に取り上げるステップと担持装置を工具本体に対して移動させることによって、切削インサートの底面を、工具本体の装着受口内に配置するステップとの間に、固定スクリューの端点を切削インサートの底面に揃えるステップ
をさらに含む。
【0059】
固定スクリューの端点を切削インサートの底面に揃えるのは、切削インサートの底面をある面に押し当て、それによって、固定スクリューを貫通孔内に押し上げることによって行うことができる。
【0060】
この実施形態による利点は、切削インサートを工具本体に当てて配置するとき、固定スクリューが、切削インサートの底面から外側に突出せず、それによって、工具本体への切削インサートの位置決めが簡単になることである。
【0061】
工具本体が少なくとも2つの装着受口を備える場合の本発明の実施形態によれば、
代替方法は、
- 担持装置を工具本体に対して移動させることによって、切削インサートの底面を、工具本体の装着受口内に配置するステップの前に、工具本体を回転式支持ユニットに装着するステップと、
- ねじ回し工具を回転させることによって、切削インサートを工具本体に固定するステップの後に、ねじ回し工具をチャネルから引き抜くステップと、
- ねじ回し工具をチャネルから引き抜くステップの後に、担持装置を、装着済みの切削インサートから取り外すステップと、
- 担持装置を、装着済みの切削インサートから取り外すステップの後に、工具本体の隣接する2つの装着受口間の円周距離に対応する距離だけ回転式支持ユニットを回転させるステップと
をさらに含む。
【0062】
この実施形態による利点は、複数の切削インサートを工具本体に装着することができることである。
【図面の簡単な説明】
【0063】
図1】固定スクリューがその中に配置された貫通孔を有する切削インサートの概略図である。
図2】装着受口がその中に装着された切削インサートを有する、工具本体の概略底面図である。
図3】本発明の実施形態による担持装置の概略断面図である。
図4】本発明の実施形態による担持装置の概略図である。
図5】本発明の実施形態によるシステムの概略図である。
図6A】本発明の実施形態による組立トレイユニットの概略図である。
図6B】切削インサートおよび固定スクリューが配置された、本発明の実施形態による組立トレイユニットの概略図である。
図7】本発明の実施形態による事前組立台の概略底面図である。
図8】本発明の実施形態による例示的方法のステップの概略流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0064】
次いで、開示された実施形態が、本発明のいくつかの実施形態が示される添付図面を参照して、さらに十分に以下に説明される。しかしながら、本発明は、多くの様々な形態で実現することができ、本明細書で言及される実施形態に限定されると理解すべきではなく、それら実施形態は、本開示が十分かつ完全であり、当業者に本発明の範囲を十分に伝えるように、例として示される。全体を通して、同じ参照番号は、同じ要素を示す。図面に示される要素は、必ずしも一定の縮尺ではない。いくつかの要素は、それら要素を明瞭に示すために拡大されていることがある。
【0065】
図1は、上面(26)、底面(44)、および上面(26)と底面(44)とを連結する外周側面(62)を有する切削インサート(4)を概略的に示す。切削インサート(4)は、上面(26)から底面(44)まで延在し、長手方向軸(A)を有する貫通孔(6)をさらに備える。固定スクリュー(8)が、貫通孔(6)内に配置される。固定スクリュー(8)は、頭部(16)を有する。
【0066】
図2は、長手方向軸(C)を有する端面(34)を有する工具本体(10)の底面図を概略的に示す。工具本体(10)は、長手方向軸(C)から距離dに位置し、切削インサート(4)がその中に装着される、外周に分布された複数の装着受口(46)を備える。工具本体(10)は、長手方向軸(C)から距離dに位置する端面(34)に、上向き軸方向支持面(30)をさらに備える。図2では、工具本体は、フライスカッタの形で示されている。
【0067】
図3は、担持装置(2)の断面図を概略的に示す。担持装置(2)は、切削インサート(4)の上面(26)によって、図1に示すように固定スクリュー(8)がその中に受け入れられた貫通孔(6)を有する切削インサート(4)を取り上げ、取り放すように構成される。固定スクリューは、シャフト(56)および頭部(16)を有する。シャフト(56)は、頭部(16)とは反対側に端点(50)をさらに有する。担持装置(2)は、前面(32)、後面(24)、および前面(32)と後面(24)とを連結する外周側面(58)を有する本体を備える。担持装置(2)は、前面(32)の前端部開口(54)から後面(24)の後端部開口(52)まで延在し、長手方向軸(B)を有するチャネル(12)をさらに備える。チャネル(12)は、長さLを有する。前面(32)は、切削インサート(4)が担持装置(2)によって取り上げられたとき、切削インサートと接触する面である。
【0068】
図3は、チャネル(12)が、前端部開口(54)からチャネル(12)内へ距離Lだけ延在するスクリュー入口部分(18)を備えることをさらに示す。スクリュー入口部分(18)は、固定スクリュー(8)の頭部(16)の断面より大きい断面を有し、それによって、固定スクリュー(8)がチャネル(12)に入り込むことが可能になる。
【0069】
図3は、チャネル(12)が、前端部開口(54)から距離Lに位置する肩部分(76)を備えることをさらに示す。肩部分(76)は、固定スクリュー(8)の頭部(16)の断面より小さい断面を有し、それによって、担持装置(2)の移動中に固定スクリュー(8)がチャネル(12)から脱落するのを防止する。
【0070】
図3は、チャネル(12)が、後端部開口(52)からチャネル(12)内に距離Lだけ延在する工具入口部分(22)を備えることをさらに示す。工具本体部分(22)は、後端部開口(52)に向かって拡張する断面を有する。
【0071】
図3は、固定スクリュー(8)の端点(50)が、切削インサート(4)の底面(44)から突出することをさらに示す。
【0072】
図4は、前面(32)が、底面(92)を有する受口(60)を備える担持装置を概略的に示す。底面(92)は、取り上げ、取り放される切削インサート(4)の上面(26)に対応する形状を有する。底面(92)の中点は、チャネル(12)の長手方向軸(B)と一致するように配置される。担持装置には、磁石(28)がさらに備え付けられる。図4は、工具入口部分(22)が、半円錐台形を有することをさらに示す。
【0073】
図4は、また、担持装置(2)の本体が、外周側面(58)から突出する突出部(78)を備えることを示す。突出部(78)は、少なくとも1つの切削インサート(4)の着脱中に工具本体(10)と接触する支持面(80)を備える。支持面(80)は、軸方向支持面として構成される。図4は、担持装置(2)の本体が、少なくとも1つの切削インサート(4)の着脱中に工具本体(10)と接触する支持面(82)を備えることをさらに示す。支持面(82)は、半径方向支持面として構成される。支持面(82)は、外周側面(58)の一部分である。
【0074】
図5は、少なくとも1つの切削インサート(4)を工具本体(10)に自動的に着脱するシステムを概略的に示す。図示のシステムは、複数の切削インサート(4)が、固定スクリュー(8)を使用することによって、外周に分布された複数の装着受口(46)に装着された工具本体(10)を備える。工具本体(10)は、端面(34)を上に向けて、回転式支持装置(36)に装着されている。回転式支持装置(36)は、工具本体(10)を回転させることによって、工具本体(10)の装着受口(46)の位置を変えることができる。上記の担持装置(2)が、貫通孔(6)内に固定スクリュー(8)が配置された切削インサート(4)を工具本体(10)の装着受口(46)内に配置し、ねじ回しユニット(38)に装着されたねじ回し工具(14)が、後端部開口(52)を通してチャネル(12)に挿入される。担持装置(2)は、捕捉装置(84)に装着されている。図5では、捕捉装置(84)は、ロボットアームとして示されている。ねじ回し工具(14)を、固定スクリュー(8)の頭部(16)に配置し、ねじ回し工具(14)を回転させ、それによって固定スクリュー(8)を固定することによって、切削インサート(4)を工具本体(10)に固定する。システムは、切削インサート(4)を工具本体(10)に着脱する工程を制御する処理回路(86)を有する制御ユニット(40)をさらに備える。図5では、制御ユニット(40)は、コンピュータとして示されている。
【0075】
図6Aは、切削インサート(4)と固定スクリュー(8)とを事前組立するための組立トレイユニット(42)を概略的に示す。組立トレイユニット(42)は、固定スクリュー(8)のシャフト(56)を受け入れるための、長手方向軸(D)を有する貫通孔(66)を備える。組立トレイユニット(42)は、底面(88)を有する受口(64)をさらに備える。底面(88)は、切削インサート(4)の底面(44)に対応する形状を有する。底面(88)の中点は、貫通孔(66)の長手方向軸(D)と一致するように配置される。
【0076】
図6Bは、切削インサート(4)および固定スクリュー(8)が配置された組立トレイユニット(42)を概略的に示す。
【0077】
図7は、事前組立台(68)の底面図を概略的に示す。事前組立台(68)は、2つの支持要素(70)上に装着された上記の組立トレイユニット(42)を備える。事前組立台(68)は、把持ユニット(72)に設けられた把持工具(74)をさらに備える。把持工具(74)は、固定スクリュー(8)のシャフト(56)の一部分を把持するように構成され、その部分は、組立トレイユニット(42)に受け入れられたとき貫通孔(66)から突出する。図7では、把持工具(74)は、一対の把持爪として示されている。
【0078】
図8は、本発明の実施形態による例示的方法のステップの流れ図を示す。
【0079】
担持装置(2)によって、少なくとも1つの切削インサート(4)を、固定スクリュー(8)を用いて工具本体(10)に自動的に装着する方法であって、固定スクリュー(8)が、シャフト(56)および頭部(16)を有し、シャフト(56)が、頭部(16)とは反対側に端点(50)を有し、切削インサート(4)が、上面(26)、底面(44)、および上面(26)と底面(44)とを連結する外周側面(62)を有し、切削インサート(4)が、上面(26)から底面(44)まで延在して固定スクリュー(8)のシャフト(56)を受け入れ、長手方向軸(A)を有する貫通孔(6)をさらに備え、担持装置(2)が、前面(32)、後面(24)、および前面(32)と後面(24)とを連結する外周側面(58)を有する本体を備え、担持装置(2)が、前面(32)の前端部開口(54)から後面(24)の後端部開口(52)まで延在し、長手方向軸(B)を有するチャネル(12)を備え、チャネル(12)が、長さLを有する、方法が、
- 固定スクリュー(8)のシャフト(56)を、切削インサート(4)の上面(26)から貫通孔(6)に挿入するステップ(S1)と、
- チャネルの長手方向軸(B)が貫通孔(6)の長手方向軸(A)と一致するように、担持装置(2)の前面(32)を切削インサート(4)の上面(26)の上に配置するステップ(S2)と、
- 担持装置(2)を切削インサート(4)に取り付けるステップ(S3)と、
- 担持装置(2)を使用して、切削インサート(4)を、その中に配置された固定スクリュー(8)と共に取り上げるステップ(S4)と、
- 担持装置を工具本体(10)に対して移動させることによって、切削インサート(4)の底面(44)を、工具本体(10)の装着受口(46)内に配置するステップ(S5)と、
- ねじ回し工具(14)を工具本体(10)に対して移動させることによって、ねじ回し工具(14)を、後端部開口(52)からチャネル(12)を通して固定スクリュー(8)の頭部(16)へ挿入するステップ(S6)と、
- ねじ回し工具(14)を回転させることによって、切削インサート(4)を工具本体(10)に固定するステップ(S7)と
を含む。
【0080】
任意選択で、本方法は、
- ステップ(S1)の前に、固定スクリュー(8)のシャフト(56)を受け入れるために、切削インサート(4)を、長手方向軸(D)を有する貫通孔(66)を有する組立トレイユニット(42)上に配置するステップ(S8)
をさらに含む。
【0081】
任意選択で、本方法は、
- ステップ(S1)と(S2)との間に、固定スクリュー(8)に把持工具(74)を適用することによって、固定スクリュー(8)を把持するステップ(S9)と、
- ステップ(S3)と(S4)との間に、把持工具(74)を固定スクリュー(8)から取り外すことによって、固定スクリュー(8)を解放するステップ(S10)と
をさらに含む。
【0082】
任意選択で、本方法は、
- ステップ(S4)と(S5)との間に、固定スクリュー(8)の端点(50)を、切削インサート(4)の底面(44)に揃えるステップ(S11)
をさらに含む。
【0083】
任意選択で、工具本体(10)が、少なくとも2つの装着受口(46)を備える場合、本方法は、
- ステップ(S5)の前に、工具本体(10)を回転式支持ユニット(36)に装着するステップ(S12)と、
- ステップ(S7)の後に、ねじ回し工具(14)をチャネル(12)から引き抜くステップ(S13)と、
- ステップ(S13)の後に、担持装置(2)を、装着済みの切削インサート(4)から取り外すステップ(S14)と、
- ステップ(S14)の後に、工具本体(10)の隣接する2つの装着受口(46)間の円周距離に対応する距離だけ回転式支持ユニット(36)を回転させるステップ(S15)と
をさらに含む。
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7
図8
【国際調査報告】