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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-09
(54)【発明の名称】履物製品のソール構造
(51)【国際特許分類】
   A43B 13/18 20060101AFI20240202BHJP
   A43B 13/20 20060101ALI20240202BHJP
【FI】
A43B13/18
A43B13/20 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023547644
(86)(22)【出願日】2022-02-08
(85)【翻訳文提出日】2023-08-07
(86)【国際出願番号】 US2022015617
(87)【国際公開番号】W WO2022170245
(87)【国際公開日】2022-08-11
(31)【優先権主張番号】63/146,953
(32)【優先日】2021-02-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/666,337
(32)【優先日】2022-02-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514144250
【氏名又は名称】ナイキ イノベイト シーブイ
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】チャン,レオ エス.
(72)【発明者】
【氏名】ダ コスタ ペレイラ マチャド,ファブリシオ
【テーマコード(参考)】
4F050
【Fターム(参考)】
4F050AA01
4F050BA02
4F050BA08
4F050BA39
4F050EA11
4F050HA56
4F050HA60
4F050HA70
4F050LA01
(57)【要約】
履物製品用のソール構造は、第1の端部から第2の端部まで延びる上部クッションと、第1の端部に隣接して上部クッションに取り付けられた第1のセグメントを有し、上部クッションの第2の端部に向かって延びるトレイを含む下部クッションと、下部クッションのトレイと上部クッションとの間に配置される少なくとも1つのブラダーと、を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
履物製品用のソール構造であって、
第1の端部から第2の端部まで延びる上部クッションと、
前記第1の端部に隣接して前記上部クッションに取り付けられた第1のセグメントを有し、前記上部クッションの前記第2の端部に向かって延びるトレイを含む下部クッションと、
前記下部クッションの前記トレイと前記上部クッションとの間に配置される少なくとも1つのブラダーと、を含む、ソール構造。
【請求項2】
前記少なくとも1つのブラダーと前記上部クッションとの間に配置されたプレートをさらに含む、請求項1に記載のソール構造。
【請求項3】
前記少なくとも1つのブラダーの第1の側が前記トレイに取り付けられ、前記少なくとも1つのブラダーの反対側の第2の側が前記プレートに取り付けられる、請求項2に記載のソール構造。
【請求項4】
前記下部クッションは、前記上部クッションに取り付けられた支持部分を含み、前記トレイは、前記支持部分から片持ち梁状に支持される、請求項1に記載のソール構造。
【請求項5】
前記少なくとも1つのブラダーは、前記ソール構造の内側に配置された第1のブラダーと、前記ソール構造の外側に配置された第2のブラダーとを含む、請求項1に記載のソール構造。
【請求項6】
前記トレイは、前記第1のブラダーを収容する第1のソケットと、前記第2のブラダーを収容する第2のソケットとを含む、請求項5に記載のソール構造。
【請求項7】
前記上部クッション及び前記下部クッションのうちの少なくとも一方が、複数のディンプルを有する外周側を含む、請求項1に記載のソール構造。
【請求項8】
前記複数のディンプルは複数の行及び列に配置される、請求項7に記載のソール構造。
【請求項9】
前記下部クッションの前記少なくとも1つのブラダーとは反対側に配置されるアウトソールをさらに含む、請求項1に記載のソール構造。
【請求項10】
前記下部クッションの前記トレイが発泡材料を含む、請求項1に記載のソール構造。
【請求項11】
履物製品用のソール構造であって、
i、頂面と、前記頂面とは反対側に形成された下面とを含む上部クッションと、
ii、底面と、前記底面とは反対側に形成され前記上部クッションの前記下面に対向する上面とを含む下部クッションと、
iii、前記上部クッションの前記下面と前記下部クッションの前記上面との間に形成されたソケットとを含むクッション配置と、
前記上部クッションと前記下部クッションとの間の前記ソケット内に配置される少なくとも1つのブラダーとを含む、ソール構造。
【請求項12】
前記少なくとも1つのブラダーと前記上部クッションとの間に配置されたプレートをさらに含む、請求項11に記載のソール構造。
【請求項13】
前記少なくとも1つのブラダーの第1の側が前記下部クッションに取り付けられ、前記少なくとも1つのブラダーの反対側の第2の側が前記プレートに取り付けられる、請求項12に記載のソール構造。
【請求項14】
前記下部クッションは、前記上部クッションに取り付けられた支持部分と、前記支持部分から片持ち梁状に支持され前記ソケットの下部を画定するトレイとを含む、請求項11に記載のソール構造。
【請求項15】
前記少なくとも1つのブラダーは、前記ソール構造の内側に配置された第1のブラダーと、前記ソール構造の外側に配置された第2のブラダーとを含む、請求項11に記載のソール構造。
【請求項16】
前記下部クッションの前記上面は、前記第1のブラダーを収容する第1のソケットと、前記第2のブラダーを収容する第2のソケットとを含む、請求項15に記載のソール構造。
【請求項17】
前記上部クッション及び前記下部クッションのうちの少なくとも一方が、複数のディンプルを有する外周側を含む、請求項11に記載のソール構造。
【請求項18】
前記複数のディンプルは複数の行及び列に配置される、請求項17に記載のソール構造。
【請求項19】
前記下部クッションの前記底面に隣接して配置されたアウトソールをさらに含む、請求項11に記載のソール構造。
【請求項20】
前記上部クッション及び前記下部クッションのうちの少なくとも一方が発泡材料を含む、請求項11に記載のソール構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
「関連出願の相互参照」
このPCT国際出願は、米国特許法第35章第119条(e)に基づいて2021年2月8日に出願された米国仮特許出願第63/146,953号の優先権を主張する、2022年2月7日に提出された米国特許出願第17/666,337号の優先権を主張し、その開示全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、一般的に履物製品に関し、具体的には履物製品のソール構造に関する。
【背景技術】
【0003】
このセクションは、本開示に関連する背景情報を提供するものであり、必ずしも先行技術ではない。
【0004】
従来、履物製品にはアッパーとソール構造が含まれる。アッパーは、足をソール構造上に収容し、固定し、支持するために、任意の適切な材料(複数可)から形成され得る。アッパーは、靴紐、ストラップ、又は他の留め具と協働して、足の周りのアッパーのフィット感を調整することができる。足の底面に近いアッパーの底部は、ソール構造に取り付けられる。
【0005】
ソール構造は、一般に、地面とアッパーとの間に延びる層状の配置を含む。例えば、ソール構造は、ミッドソールとアウトソールを含み得る。ミッドソールは、一般的に、アウトソールとアッパーの間に配置され、足に緩衝作用を提供する。ミッドソールは、加えられた荷重の下で弾性的に圧縮されて床反力を減衰させることによって足を緩衝する、加圧流体充填チャンバーを含み得る。アウトソールは、耐摩耗性及び地面とのトラクションを提供し、耐久性及び耐摩耗性を付与するだけでなく、地面とのトラクションを向上するゴム又は他の材料で形成され得る。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】本開示によるソール構造の一例を含む履物製品の側面図である。
図2図1の履物製品の内側側面図である。
図3図1のソール構造の上部側面の分解斜視図である。
図4図1のソール構造の底部内側の分解斜視図である。
図5図1のソール構造の底面図である。
図6図1のソール構造の、図5の6-6線による断面図である。
図7図1のソール構造の、図5の7-7線による断面図である。
図8図1のソール構造の、図5の8-8線による断面図である。
図9図1のソール構造の、図5の9-9線による断面図である。
図10図1のソール構造のクッション要素の上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、例示的な構成について、添付の図面を参照してより詳細に説明する。例示的な構成は、本開示が徹底され、当業者に本開示の範囲が十分に伝わるように提供される。本開示の構成の完全な理解を提供するために、特定のコンポーネント、デバイス、及び方法の例などの特定の詳細が記載される。当業者であれば、特定の詳細を採用する必要はなく、例示的な構成が多くの異なる形態で具体化することができ、特定の詳細及び例示的な構成が本発明の範囲を限定するものと解釈されるべきではないことは明らかであろう。
【0008】
本明細書で使用される用語は、特定の例示的な構成を説明するためのものに過ぎず、限定的なものではない。本明細書で使用される単数形の冠詞「a」、「an」、及び「the」は、文脈上明らかに別段の指示がない限り、複数形も含むことが意図され得る。「含む」、「含んでいる」、「備える」、及び「有する」という用語は、包括的であり、したがって、機能、ステップ、操作、要素、及び/又はコンポーネントの存在を指定するが、1以上の他の機能、ステップ、操作、要素、コンポーネント、及び/又はそれらのグループの存在又は追加を排除するものではない。本明細書に記載された方法のステップ、プロセス及び操作は、実行の順序として明示的に特定されない限り、説明又は図示される特定の順序で実行されることを必ずしも必要とすると解釈されるべきではない。追加又は代替ステップを使用してもよい。
【0009】
要素或いは層が別の要素或いは層の「上」にあるか、別の要素或いは層に「係合」、「連結」、「貼り付け」又は「結合」されると言われる場合、直接別の要素或いは層の上にある、別の要素或いは層に直接係合、連結、貼り付け又は結合されてもよいし、介在する要素或いは層が存在してもよい。逆に、要素が別の要素或いは層の「上に直接ある」、別の要素或いは層に「直接係合」「直接連結」「直接貼り付け」又は「直接結合」されると言われる場合、介在する要素又は層は存在しなくてもよい。要素間の関係を説明するために使用される他の単語は、同様に解釈されるべきである(即ち、「の間」対「直接…の間」、「隣接」対「直接隣接」など)。本明細書で使用されるように、「及び/又は」という用語は、1つ以上の関連する列挙項目の任意及び全ての組み合わせを含む。
【0010】
第1、第2、第3などの用語は、様々な要素、コンポーネント、領域、層、及び/又はセクションを説明するために使用され得る。これらの要素、コンポーネント、領域、層及び/又はセクションは、これらの用語によって限定されるべきではない。これらの用語は、要素、コンポーネント、領域、層又はセクションは、他の領域、層又はセクションから区別するためにのみ使用され得る。「第1」、「第2」及びその他の数字用語のような用語は、文脈上に明確に示されない限り、シーケンス又は順序を暗示しない。したがって、以下で説明する第1の要素、コンポーネント、領域、層又はセクションは、例示的な構成の教示から逸脱することなく、第2のコンポーネント、領域、層又はセクションと呼ばれ得る。
【0011】
一構成では、履物製品用のソール構造が提供され、第1の端部から第2の端部まで延びる上部クッションと、第1の端部に隣接して上部クッションに取り付けられた第1のセグメントを有し、上部クッションの第2の端部に向かって延びるトレイを含む下部クッションと、下部クッションのトレイと上部クッションとの間に配置される少なくとも1つのブラダーと、を含む。
【0012】
本開示のこの態様の実施形態には、以下の選択機能の1つ以上が含まれ得る。プレートは、少なくとも1つのブラダーと上部クッションとの間に配置され得る。少なくとも1つのブラダーの第1の側がトレイに取り付けられ、少なくとも1つのブラダーの反対側の第2の側がプレートに取り付けられ得る。
【0013】
一構成では、下部クッションは上部クッションに取り付けられた支持部分を含み得る。この構成では、トレイは支持部分から片持ち梁状に支持され得る。
【0014】
少なくとも1つのブラダーは、ソール構造の内側に配置された第1のブラダーと、ソール構造の外側に配置された第2のブラダーとを含み得る。トレイは、第1のブラダーを収容する第1のソケットと、第2のブラダーを収容する第2のソケットとを含み得る。追加的に又は代替的に、上部クッション及び下部クッションのうちの少なくとも一方は、複数のディンプルを有する外周側を含み得る。ディンプルは複数の行及び列に配置され得る。
【0015】
アウトソールは、下部クッションの少なくとも1つのブラダーとは反対側に配置され得る。追加的に又は代替的に、下部クッションのトレイは発泡材料を含み得る。
【0016】
別の構成では、履物製品のソール構造は提供され、(i)頂面と、頂面とは反対側に形成された下面とを含む上部クッションと、(ii)底面と、底面とは反対側に形成され上部クッションの下面に対向する上面とを含む下部クッションと、(iii)上部クッションの下面と下部クッションの上面との間に形成されたソケットと、を含むクッション配置を含む。少なくとも1つのブラダーが、上部クッションと下部クッションとの間のソケット内に配置される。
【0017】
本開示のこの態様の実施形態には、以下の選択機能の1つ以上が含まれ得る。プレートは、少なくとも1つのブラダーと上部クッションとの間に配置され得る。少なくとも1つのブラダーの第1の側が下部クッションに取り付けられ、少なくとも1つのブラダーの反対側の第2の側がプレートに取り付けられ得る。
【0018】
1つの構成では、下部クッションは、上部クッションに取り付けられた支持部分と、支持部分から片持ち梁状に支持されるトレイとを含み得る。トレイはソケットの下部を画定し得る。
【0019】
少なくとも1つのブラダーは、ソール構造の内側に配置された第1のブラダーと、ソール構造の外側に配置された第2のブラダーとを含み得る。下部クッションの上面は、第1のブラダーを収容する第1のソケットと、第2のブラダーを収容する第2のソケットとを含み得る。追加的に又は代替的に、上部クッション及び下部クッションのうちの少なくとも一方は、複数のディンプルを有する周縁面を含み得る。複数のディンプルのうちのディンプルは、複数の行及び列に配置され得る。
【0020】
アウトソールは、下部クッションの底面に隣接して配置され得る。追加的に又は代替的に、上部クッション及び下部クッションの少なくとも一方は発泡材料を含み得る。
【0021】
本開示の1つ以上の実施形態の詳細は、添付の図面及び以下の説明に記載される。他の態様、特徴、及び利点は、明細書、図面、及び特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【0022】
図1に示すように、履物製品10は、ソール構造100と、ソール構造100に取り付けられたアッパー200とを含む。履物10は、履物10の最前点に関連付けられた前端12と、履物10の最後点に対応する後端14とをさらに含み得る。図5に示すように、履物10の長手方向軸A10は、地面と平行に前端12から後端14まで履物10の長さに沿って延び、一般に履物10を内側16と外側18に分割する。したがって、内側16及び外側18は、それぞれ、履物10の反対側に対応し、前端12から後端14まで延びる。本明細書で使用される長手方向は、前端12から後端14に延びる方向を指すが、横方向は、長手方向とは逆の方向を指し、内側16から外側18まで延びる。
【0023】
履物製品10は、1つ以上の領域に分割され得る。これらの領域は、足前部領域20、足中部領域22、及びヒール領域24を含み得る。足前部領域20は、趾骨に対応するつま先部分20と、足の中足骨に対応する母指球部分20とに細分され得る。足中部領域22は、足のアーチ領域に対応し得、ヒール領域24は、踵骨を含む足の後部に対応し得る。
【0024】
ソール構造100は、クッション性及びサポートを提供するように構成されたミッドソール102と、ソール構造100の地面係合面(すなわち、歩行周期の立脚相中に地面に接触するもの)を画定するアウトソール104とを含む。一体構造のミッドソール及びアウトソールを含む従来のソール構造とは異なり、本開示のソール構造100は、互いに接合された複数のコンポーネントを含む複合構造として構成される。例えば、ミッドソール102は、弾性クッション要素又はクッション構成106、1つ又は複数のブラダー108、及びプレート110を含む。アウトソール104はまた、帯状のトラクション及び耐摩耗性を提供するために、ミッドソール102に取り付けられた複数のアウトソールフラグメントを含み得る。
【0025】
図1及び図2に示すように、ミッドソール102のクッション要素106は、履物10の前端12の第1の端部112から履物の後端14の第2の端部114まで延びる。ここで、第2の端部114は、後端14でアッパー200を越えて延びる突出部116を画定し得る。クッション要素106は、さらに、アッパー200に面し、ソール構造100のフットベッドの輪郭を画定する頂側118と、クッション要素106の頂側118とは反対側に形成され、ソール構造100の接地面の輪郭を画定する底側120と、頂側118から底側120まで延びてソール構造100の外周輪郭を画定する外周側122とを含む。
【0026】
任意選択で、クッション要素106の外周側122は、ヒール領域24に沿って頂側118と底側120との間に配置された複数のディンプル124を含み得る。図示の例では、ディンプル124は、ディンプル124の複数の行及び列を含むアレイとして配置される。ディンプル124が含まれる場合、ディンプル124は、履物製品10が歩行周期の遊脚期を通じて移動するときの抗力を最小限に抑えるために、外周側122に沿って空気流を乱すことによってソール構造の空気力学を改善する。
【0027】
以下、より詳細に説明するように、クッション要素106は、足前部領域20の頂側118と底側120との間のクッション要素106内に形成されたレセプタクル126を含む。レセプタクル126は、クッション要素106内に1つ又は複数のブラダー108を収容して支持するように構成される。換言すれば、クッション要素106は、ブラダー108の上(すなわち、ブラダー108とアッパー200との間)及びブラダー108の下(すなわち、ブラダー108とアウトソール104との間)に延びる。
【0028】
クッション要素106は、均質なエラストマー材料を含む一体構造として形成され得るが、本例のクッション要素106は、複数の部分又はサブコンポーネントに関して定義され得る。例えば、クッション要素106は、アッパー200に隣接して配置された上部クッション部材又はクッション130と、アウトソール104に隣接して配置された下部クッション部材又はクッション132とを含む。上部クッション部材130は、クッション要素106の第1の端部112からクッション要素106の第2の端部114まで連続的に延びる。逆に、下部クッション部材132は断片化されてもよく、クッション要素106の第1の端部112に配置される前セグメント134と、クッション要素106の第2の端部114に配置される後セグメント136とを含む。以下により詳細に説明するように、前セグメント134は、足中部領域22において内側16から外側18まで延びる間隙138によって後セグメントから離間されてもよい。
【0029】
図3図9に示すように、上部クッション部材130は、クッション要素106の第1の端部112からクッション要素106の第2の端部114まで連続的に延びる。上部クッション部材130は、クッション要素106の頂側118と、上部クッション部材130の頂側118とは反対側に形成された下側140とを含む。外周側122の上部は、頂側118を下側140に接続する。図3に示されるように、上部クッション部材130の頂側118は、ソール構造100のフットベッド142を画定する。図4に示すように、上部クッション部材130の下面は、ソール構造100が組み立てられたときにプレート110の上部を収容するように構成された上部ポケット144を含む。
【0030】
上部クッション部材130は、後突出部116の上部116aも画定する。図示のように、上部116aは、頂側118及び外周側122が第2の端部114でフットベッド142を越えて延びる場所に形成される。ここで、内側16上の外周側122の一部と外側18上の外周側122の一部との距離は、フットベッド142から第2の端部114への方向に沿って先細になる突出部116の幅を画定する。同様に、上部クッション部材130の頂側118と下側140は互いに近づいて集中し、フットベッド142から第2の端部114への方向に沿って先細りの厚さを有する突出部116を提供する。
【0031】
また、図3~9を参照すると、下部クッション部材132及びそのセグメント134、136は、クッション要素106の底側120を含むものとして説明され得る。さらに、セグメント134、136は協働して、下部クッション部材132の底側120とは反対側に形成された下部クッション部材132の上側150を画定し得る。外周側122の下部は、セグメント134、136のそれぞれに沿って底側120と上側150を接続する。ソール構造100が組み立てられると、下部クッション部材132の上側150が上部クッション部材130の下側140に取り付けられて、クッション要素106を形成する。
【0032】
下部クッション部材132の上側150は、ソール構造100が組み立てられたときにプレート110の下部を収容するように構成された下部ポケット152を含む。下部クッション部材132は、間隙138によって互いに離隔された前セグメント134と後セグメント136とを含む断片構造として形成され得るため、下部ポケット152の第1の部分は、前セグメント134の上面150に形成され得、下部ポケット152の第2の部分は、後セグメント136の上面に形成され得る。
【0033】
下部クッション部材132の前セグメント134は、クッション要素106の第1の端部112に隣接して配置される。前セグメント134は、第1の端部112から足前部領域20を通って、足中部領域22に隣接してそれに面する終端154まで延びる。前セグメント134は、第1の端部112からつま先部分20を通って延びる支持部分156と、母指球部分20を通って支持部分156から終端154まで延びるトレイ158とを含む。一般に、支持部分156の厚さは、支持部分156がつま先部分20を通じて緩衝作用とサポートを提供するように、上側150から底側120まで延びる。逆に、トレイ158は、支持部分156に比べて厚みが小さい前セグメント134の一部によって形成される。トレイ158は、支持部分156の後壁から前セグメント134の自由吊り下げ遠位端154まで延びる。したがって、トレイ158は、支持部分156の後壁から片持ち梁状に支持されると説明され得る。
【0034】
トレイ158は、クッション要素106の上側150に形成された1つ以上の凹んだソケット160を含む。1つ又は複数のソケット160のそれぞれは、前セグメント134内の1つ又は複数のブラダー108のうちの対応する1つを収容するように構成される。したがって、ソケット160は、前述したように、プレート110及び/又は上部クッション部材130と協働して、クッション要素106のレセプタクル126を画定する。図示の例では、トレイ158は、ソール構造100が組み立てられたときにブラダー108が下部クッション部材132の上側150と面一に位置するように、上側150から凹んだ一対のソケット160を含む。ここで、第1のソケット160は、母指球部分20内のソール構造100の内側16に隣接して配置され、第2のソケット160は、母指球部分20内のソール構造100の外側18に隣接して配置される。図示されるように、ソケット160は、外及び内周側122に沿って終端154で露出し、それにより、ソール構造100が組み立てられたときに、ブラダー108が終端154及び内外側16、18に沿って表示され、収縮しない。
【0035】
任意選択で、ソケット160は、支持部分156の後側壁内に少なくとも部分的に延びて、内側と外側のソケット160との間に少なくとも部分的に延びる支持部分156の後側壁に半島状領域162を画定することができる。ここで、半島領域162は、上側150から底側120まで前セグメント134の厚さを通って延びる開口部164を含み得る。終端154はまた、トレイ158を挟んで半島領域162に対向し、ソケット160間に延びるテーパ付きノッチ166を含み得る。ここで、ノッチ166と中空半島領域162は協働して、トレイ158にねじり荷重が加わったとき(すなわち、回転又は切断動作中)、トレイ158のソケット160が相互に移動できるようにする。
【0036】
図3図9を参照し続けると、下部クッション部材130の後セグメント136は、クッション要素106の第2の端部114からヒール領域24を通って、足中部領域22の前セグメント134に面する終端168まで延びる。後セグメント136によって形成される下部クッション部材132の上側150の一部は、足中部領域22及びヒール領域24における下部ポケット152の一部を画定する。後セグメント136の底側120は、第2の端部114から終端168まで連続した曲率を有する凸面を形成する。したがって、後セグメント136は、歩行周期の着地期に回転し、継続的に接触するように構成される。ここで、後セグメント136は、クッション要素106の第2の端部114で突出部116の下部116bを形成する。図1及び図2に示すように、図1及び図2に示されるように、下部クッション部材132の湾曲した底側120は、上部クッション部材130の傾斜した頂側118に近づいて集中し、フットベッド142から第2の端部114への方向に沿って先細りの厚さT116を有する突出部116を提供する。
【0037】
後セグメント136は、底側120に形成され、後セグメント136の終端168からヒール領域24内に延びる細長いチャネル170を含む。チャネル170は、底側120から、底側120と上面150との間の頂点まで延びるテーパ状又は三角形の断面を有する。チャネル170は、上面150から底面まで終端168を通って延びるノッチ172を画定するように、後セグメント136の終端168を通って形成される。チャネル170及びノッチ172は協働して、後セグメント136の長さに沿って延びる関節運動可能な内側葉及び外側葉174を形成する。
【0038】
上述のように、クッション要素106のコンポーネント132、134、136は、着用者の足に緩衝性、応答性、及びエネルギー分散の特性を与えるために、フォーム又はゴムなどの弾性ポリマー材料で形成される。図示の例では、上部クッション部材130は第1の発泡材料を含み、下部クッション部材132の前セグメント134は第2の発泡材料を含み、下部クッション部材132の後セグメント136は第3の発泡材料を含む。例えば、上部クッション部材130及び前セグメント134は、より大きな緩衝作用と衝撃分散を提供する第1の発泡材料を含み得、一方、後セグメント136は、ソール構造100のヒール領域24の安定性を高めるために、より大きな剛性を有する発泡材料を含む。
【0039】
クッション要素106用の弾性ポリマー材料の例としては、1つ以上のエラストマー(例えば、熱可塑性エラストマー(TPE))などの1つ以上のポリマーの発泡又は成形に基づくものが挙げられる。1つ以上のポリマーは、脂肪族ポリマー、芳香族ポリマー、又は両方の混合物を含み得、ホモポリマー、コポリマー(ターポリマーを含む)、又は両方の混合物を含み得る。
【0040】
いくつかの態様では、1つ以上のポリマーは、オレフィン系ホモポリマー、オレフィン系コポリマー、又はそれらのブレンドを含み得る。オレフィン系ポリマーの例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、及びそれらの組み合わせが挙げられる。他の態様では、1つ以上のポリマーは、1つ以上のエチレンコポリマー、例えば、エチレン酢酸ビニル(EVA)コポリマー、EVOHコポリマー、エチレンエチルアクリレートコポリマー、エチレン-モノ不飽和脂肪酸コポリマー、及びそれらの組み合わせを含み得る。
【0041】
さらなる態様では、1つ又は複数のポリマーには、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸のエステル、ポリアクリロニトリル、ポリアクリル酸アセテート、ポリアクリル酸メチル、ポリアクリル酸エチル、ポリアクリル酸ブチル、ポリメタクリル酸メチル、及びポリ酢酸ビニルなどの1つ又は複数のポリアクリレート;これらの誘導体、それらのコポリマー、及びそれらの任意の組み合わせが含まれ得る。
【0042】
なおさらなる態様では、1つ又は複数のポリマーは、1つ又は複数のアイオノマーポリマーを含み得る。これらの態様では、アイオノマーポリマーには、カルボン酸官能基、スルホン酸官能基、それらの塩(例えば、ナトリウム、マグネシウム、カリウムなど)、及び/又はそれらの無水物を有するポリマーが含まれ得る。例えば、アイオノマーポリマー(複数可)には、1つ以上の脂肪酸変性アイオノマーポリマー、ポリスチレンスルホン酸、エチレン-メタクリル酸コポリマー、及びそれらの組み合わせが含まれ得る。
【0043】
さらなる態様では、1つ以上のポリマーは、アクリロニトリルブタジエンスチレンブロックコポリマー、スチレンアクリロニトリルブロックコポリマー、スチレンエチレンブチレンスチレンブロックコポリマー、スチレンエチレンブタジエンスチレンブロックコポリマー、スチレンエチレンプロピレンスチレンブロックコポリマー、スチレンブタジエンスチレンブロックコポリマー、及びそれらの組み合わせなどの1つ以上のスチレンブロックコポリマーを含み得る。
【0044】
さらなる態様では、1つ以上のポリマーは、1つ以上のポリアミドコポリマー(例えば、ポリアミド-ポリエーテルコポリマー)及び/又は1つ以上のポリウレタン(例えば、架橋ポリウレタン及び/又は熱可塑性ポリウレタン)を含み得る。あるいは、1つ以上のポリマーは、ブタジエン及びイソプレンなどの1つ以上の天然ゴム及び/又は合成ゴムを含み得る。
【0045】
弾性ポリマー材料が発泡ポリマー材料である場合、発泡材料は、温度及び/又は圧力の変化に基づいて気体に相転移する物理発泡剤、又は活性化温度以上に加熱されると気体を形成する化学発泡剤を使用して発泡させることができる。例えば、化学発泡剤は、アゾジカルボンアミド、重炭酸ナトリウム、及び/又はイソシアネートなどのアゾ化合物であってもよい。
【0046】
いくつかの実施形態では、発泡ポリマー材料は架橋発泡材料であってもよい。これらの実施形態では、ジクミルペルオキシドなどの過酸化物系架橋剤を使用し得る。さらに、発泡ポリマー材料は、顔料、改質又は天然粘土、改質又は非改質合成粘土、タルクガラス繊維、粉末ガラス、改質又は天然シリカ、炭酸カルシウム、マイカ、紙、木チップなどの1つ又は複数の充填剤を含み得る。
【0047】
弾性ポリマー材料は、成形プロセスを使用して形成され得る。一例では、弾性ポリマー材料が成形エラストマーである場合、未硬化エラストマー(例えば、ゴム)をバンバリーミキサー内で任意の充填剤及び硫黄系又は過酸化物系硬化パッケージなどの硬化パッケージと混合し、カレンダー加工し、成形し、金型に配置し、加硫することができる。
【0048】
別の例では、弾性ポリマー材料が発泡材料である場合、その材料は、射出成形プロセスなどの成形プロセス中に発泡させることができる。熱可塑性ポリマー材料は、射出成形システムのバレル内で溶融され、物理又は化学発泡剤及び任意に架橋剤と混合し、次いで発泡剤を活性化する条件下で金型に注入して、成形フォームを形成する。
【0049】
任意選択で、弾性ポリマー材料が発泡材料である場合、発泡材料は圧縮成形されたフォームであってもよい。圧縮成形は、フォームの物理的特性(密度、剛性、デュロメーターなど)を変更するため、フォームの物理的外観を変更する(例えば、2つ以上のフォームを融合する、フォームを成形するなど)ため、又はその両方のために使用され得る。
【0050】
圧縮成形プロセスは、ポリマー材料の射出成形及び発泡など、発泡粒子又はビーズの形成、発泡シートストックの切断などによって、1つ又は複数の発泡プリフォームを形成することから開始することが望ましい。次に、圧縮成形されたフォームは、発泡ポリマー材料(複数可)で形成された1つ又は複数のプリフォームを圧縮金型内に置き、1つ又は複数のプリフォームに十分な圧力を加えて閉じた金型内で1つ又は複数のプリフォームを圧縮することによって作られ得る。金型が閉じられると、圧縮成形されたフォームの外面にスキンを形成することによってプリフォーム(複数可)を変更すること、個々の発泡粒子を互いに融合させること、フォーム(複数可)の密度を永続的に増加させること、又はそれらの組み合わせを行うことに十分な時間、閉じた金型内の1つ又は複数のプリフォームに十分な熱及び/又は圧力が加えられる。加熱及び/又は圧力の適用に続いて、金型が開かれ、成形された発泡製品が金型から取り出される。
【0051】
図3図4を参照し続けると、プレート110は、つま先部分20の第1の端部176からヒール領域24の第2の端部178まで延びる。プレート110は、頂側180と、頂側180とは反対側に形成された底側182とを含む。頂側180から底側182までの距離がプレート110の厚さを画定する。外周は、頂側180と底側182との間に延び、プレート110の周縁輪郭を画定し、それは、上部及び下部ポケット144、152の周縁輪郭に対応する。プレート110は、上部クッション部材130及び/又は下部クッション部材132の間に埋め込まれてもよく、それにより、プレート110の頂側180は上部ポケット144に収容され、プレート110の底側182は下部ポケット152に収容される。ここで、プレート110の第1の端部176は、前セグメント134によって画定される下部ポケット152の一部内に収容され、プレート110の第2の端部178は、後セグメント136によって画定される下部ポケット152の一部内に収容される。したがって、プレート110の底側182は、前セグメント134の開口部164、及び前セグメント134と後セグメント136との間に形成された間隙138を通って地面に露出される(すなわち、目に見える)。
【0052】
プレート110は、ポリマー材料及び/又は複合材料など、比較的高い強度及び剛性を提供する材料を含む。いくつかの例では、プレート110は、予め含浸された(すなわち、「プリプレグ」)繊維シート又は織物を含む、繊維シート又は織物を使用して製造された複合材料である。代替的又は追加的に、プレート110は、主に所定の角度又は所定の位置に配置された繊維ストランドを有するプレートを製造するために、繊維トウを基材に、又は繊維トウ同士を固定することによって、1つ又は複数のタイプの繊維(例えば、繊維トウ)の複数のフィラメントから形成されたストランドによって製造され得る。繊維のストランドを使用する場合、ストランドに含まれる繊維の種類には、溶融及び再固化してストランド内に存在する他の繊維、及び場合により縫い糸又は基材又はその両方などの他のコンポーネントを圧密化することができる合成ポリマー繊維が含まれる。代替的又は追加的に、繊維のストランドを基材及び/又は相互に固定した後、樹脂を適用することによって、ストランドの繊維、及び任意選択で縫い糸又は基材又はその両方などの他のコンポーネントを圧密化することができる。
【0053】
いくつかの実施形態では、プレート110は、実質的に均一な厚さを有する。いくつかの例では、プレート110の厚さは約0.6ミリメートル(mm)から約3.0mmの範囲である。一例では、プレート110の厚さは実質的に1.0mmに等しい。他の実施形態では、プレート110の厚さは不均一であり、プレート110は、ソール構造200の1つの領域20、22、24における厚さを他の領域20、22、24における厚さよりも厚くしてもよい。
【0054】
特に図1図4及び図8を参照すると、1つ又は複数のブラダー108は、上部クッション部材130と下部クッション部材132との間のクッション要素106のレセプタクル126内に収容される内側ブラダー108及び外側ブラダー108を含むように示される。より具体的には、ブラダー108は、ソケット160のそれぞれに収容される。したがって、内側ブラダー108は、ソール構造100の内側16に近接した第1のソケット160内に配置され、一方、外側ブラダー108は、ソール構造100の外側16に近接した第2のソケット160内に配置される。
【0055】
ブラダー108のそれぞれは、ブラダー108内にチャンバー186を画定するために、周縁継ぎ目に沿って形成及び接合される一対のバリア層184a、184bを含み得る。ここで、上部バリア層184aはブラダー108の頂側を画定し、下部バリア層184bはブラダー108の底側を画定する。ソール構造100が組み立てられると、下部バリア層184bは、ブラダー108が前セグメント134の発泡材料上に支持されるように、トレイ158のソケット160のうちの1つの中に収容される。上部バリア層184aの頂側は、クッション要素106の上側150と面一であり、間隙138内でプレート110の底側182に取り付けられる。
【0056】
本明細書で使用される「バリア層」という用語(例えば、バリア層184a、184b)は、単層フィルムと多層フィルムの両方を包含する。いくつかの実施形態では、バリア層184a、184bの一方又は両方は、単層フィルム(単層)からそれぞれ製造される(例えば、熱成形又はブロー成形される)。他の実施形態では、バリア層184a、184bの一方又は両方はそれぞれ、多層フィルム(複数のサブ層)から製造される(例えば、熱成形又はブロー成形される)。いずれの態様においても、各層又はサブ層は、約0.2マイクロメートルから約1ミリメートルの範囲の膜厚を有することができる。さらなる実施形態では、各層又はサブ層の膜厚は、約0.5マイクロメートルから約500マイクロメートルの範囲であり得る。さらに別の実施形態では、各層又はサブ層の膜厚は、約1マイクロメートルから約100マイクロメートルの範囲であり得る。
【0057】
バリア層184a、184bの一方又は両方は、独立して、透明、半透明、及び/又は不透明であり得る。本明細書で使用するバリア層及び/又は流体充填チャンバーの「透明」という用語は、光がバリア層を実質的に直線で通過し、観察者がバリア層を通して見えることを意味する。比較すると、不透明なバリア層の場合、光はバリア層を通過せず、観察者がバリア層を通してはっきりと見ることはできない。半透明バリア層は、透明バリア層と不透明バリア層の間に位置し、光は半透明層を通過するが、光の一部が散乱されるため、観察者は層を通してはっきりと見ることができない。
【0058】
バリア層184a、184bはそれぞれ、1つ以上の熱可塑性ポリマー及び/又は1つ以上の架橋性ポリマーを含むエラストマー材料から製造される。一態様では、エラストマー材料は、1つ以上の熱可塑性ポリウレタン(TPU)コポリマー、1つ以上のエチレン-ビニルアルコール(EVOH)コポリマーなどの1つ以上の熱可塑性エラストマー材料を含むことができる。
【0059】
本明細書で使用される「ポリウレタン」とは、ウレタン基(-N(C=O)O-)を含むコポリマー(オリゴマーを含む)を指す。これらのポリウレタンは、ウレタン基に加えて、エステル、エーテル、尿素、アロファネート、ビウレット、カルボジイミド、オキサゾリジニル、イソシアヌレート、ウレトジオン、カーボネートなどの追加の基を含むことができる。一態様では、1つ以上のポリウレタンは、1つ以上のイソシアネートを1つ以上のポリオールと重合させて、(-N(C=O)O-)結合を有するコポリマー鎖を生成することによって生成される。
【0060】
代替的又は追加的に、ポリウレタンコポリマー鎖を製造するための適切なイソシアネートの例としては、芳香族ジイソシアネート、脂肪族ジイソシアネート、及びそれらの組み合わせなどのジイソシアネートが挙げられる。適切な芳香族ジイソシアネートの例としては、トルエンジイソシアネート(TDI)、トリメチロールプロパンとのTDI付加物(TMP)、メチレンジフェニルジイソシアネート(MDI)、キシレンジイソシアネート(XDI)、テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)、水素化キシレンジイソシアネート(HXDI)、ナフタレン1,5-ジイソシアネート(NDI)、1,5-テトラヒドロナフタレンジイソシアネート、パラ-フェニレンジイソシアネート(PPDI)、3,3’-ジメチルジフェニル1-4,4’-ジイソシアネート(DDDI)、4,4’-ジベンジルジイソシアネート(DBDI)、4-クロロ-1,3-フェニレンジイソシアネート、及びそれらの組み合わせが挙げられる。いくつかの実施形態では、コポリマー鎖は芳香族基を実質的に含まない。
【0061】
特定の態様では、ポリウレタンポリマー鎖は、HMDI、TDI、MDI、H12脂肪族、及びそれらの組み合わせを含むジイソシアネートから生成される。一態様では、熱可塑性TPUは、ポリエステル系TPU、ポリエーテル系TPU、ポリカプロラクトン系TPU、ポリカーボネート系TPU、ポリシロキサン系TPU、又はそれらの組み合わせを含むことができる。
【0062】
別の態様では、ポリマー層は、EVOHコポリマー、ポリ(塩化ビニル)、ポリビニリデンポリマー及びコポリマー(例えば、ポリ塩化ビニリデン)、ポリアミド(例えば、非晶質ポリアミド)、アミド系コポリマー、アクリロニトリルポリマー(例えば、アクリロニトリル-アクリル酸メチルコポリマー)、ポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルイミド、ポリアクリル酸イミド、及び比較的低い気体透過速度を有することが知られている他のポリマー材料のうち1つ又は複数から形成され得る。これらの材料のブレンド、ならびに本明細書に記載のTPUコポリマーとのブレンド、及び場合によりポリイミドと結晶性ポリマーの組み合わせを含むものも適切である。
【0063】
バリア層184a、184bは、Mitchellらの米国特許第5,713,141号及びMitchellらの米国特許第5,952,065号に示されているような2つ以上のサブ層(多層フィルム)を含んでもよく、これらの開示全体は参照により組み込まれる。バリア層184a、184bが2つ以上のサブ層を含む実施形態では、適切な多層フィルムの例には、その全体が参照により組み込まれるBonkらの米国特許第6,582,786号に開示されているようなマイクロ層フィルムが含まれる。さらなる実施形態では、バリア層184a、184bは、それぞれ独立して、1つ以上のTPUコポリマー材料と1つ以上のEVOHコポリマー材料との交互のサブ層を含んでもよく、各バリア層184a、184bのサブ層の総数は、少なくとも4つのサブ層、少なくとも10のサブ層、少なくとも20のサブ層、少なくとも40のサブ層、及び/又は少なくとも60のサブ層を含む。
【0064】
流体充填チャンバー186は、熱成形(例えば、真空熱成形)、ブロー成形、押出成形、射出成形、真空成形、回転成形、トランスファー成形、加圧成形、ヒートシール、鋳造、低圧鋳造、スピンキャスト、反応射出成形、高周波(RF)溶接などの任意の適切な技術を使用してバリア層184a、184bから製造することができる。一態様では、バリア層184a、184bは、共押出成形とその後の真空熱成形によって製造され、膨張可能なチャンバー186を製造することができ、それが、チャンバー186に流体(例えば、気体)を充填することを可能にする1つ又は複数のバルブ(例えば、一方向バルブ)を任意に含むことができる。
【0065】
チャンバー186は、流体が充填された状態で(例えば、履物10に設けられるように)、又は充填されていない状態で設けられる。チャンバー186は、気体又は液体などの任意の適切な流体を含むように充填される。一態様では、気体は、空気、窒素(N)、又は他の任意の適切な気体を含むことができる。他の態様では、チャンバー186は、代わりに、ペレット、ビーズ、粉砕再生材料など(例えば、発泡ビーズ及び/又はゴムビーズ)などの他の媒体を含むことができる。チャンバー186に流体が供給されると、チャンバー186が加圧される可能性がある。あるいは、チャンバー186に供給される流体は、チャンバー186が加圧されず、単に大気圧の一定量の流体を含むように大気圧であってもよい。
【0066】
流体充填チャンバー186は、保持された気体圧力を維持するために低い気体透過速度を有することが望ましい。いくつかの実施形態では、流体充填チャンバー186は、実質的に同じ寸法のブチルゴム層の窒素気体透過速度よりも少なくとも約10倍低い窒素気体の気体透過速度を有する。一態様では、流体充填チャンバー186は、平均膜厚500マイクロメートル(バリア層184a、184bの厚さに基づく)に対して、窒素気体透過速度が15立方センチメートル/平方メートル・大気・日(cm/m・atm・日)以下である。さらなる態様では、透過速度は、10cm/m・atm・日以下、5cm/m・atm・日以下、又は1cm/m・atm・日以下である。
【0067】
各ブラダー108のチャンバー186は、その内部に引張要素188(図8)を収容し得る。各引張要素188は、上部引張シート192と下部引張シート192との間に延びる一連の引張ストランド190を含み得る。上部引張シート192は、第1のバリア層184aに取り付けられ、下部引張シート192は、第2のバリア層184bに取り付けられ得る。このようにして、チャンバー186が加圧流体を収容すると、引張要素188の引張ストランド190は張力状態にある。上部引張シート192が上部バリア層184aに取り付けられ、下部引張シート192が下部バリア層184bに取り付けられるため、加圧流体がチャンバー186内に注入されるとき、引張ストランド190はブラダー108の所望の形状を保持する。
【0068】
アウトソール104は、弾性ポリマー材料で形成され、下部クッション部材132の底側120に取り付けられる。図示の例では、アウトソール104は、前セグメント134の底側120に取り付けられた足前部セグメント194と、葉174のそれぞれの底側120に取り付けられた一対のヒールセグメント196とを含む。任意選択で、アウトソール104の足前部セグメント194は、それを貫通して形成された開口198を含み、開口198は、下部クッション部材132の前セグメント134を貫通して形成された開口部164に対応する。したがって、プレート110の底側182は、アウトソール開口部198及びクッション要素開口部164を通して露出される。
【0069】
アッパー200は、協力して内部空隙202及び足首開口部204を画定する複数のコンポーネントを有する封入部を形成し、内部空隙202及び足首開口部204は協力して、足をソール構造200上に支持するように収容及び固定する。アッパー200は互いに縫い合わされるか又は係合されて内部空隙202を画定する1つ以上の材料から形成されてもよい。アッパー200の適切な材料には、繊維、フォーム、皮革、及び合成皮革が含まれるが、これらに限定されない。例示的なアッパー200は、締め付け状態と弛んだ状態との間での履物10の物品の移動を容易にするために、アッパー200の異なる領域に配置された1つ以上の実質的に非弾性又は非伸縮性の材料と、1つ以上の実質的に弾性又は伸縮性の材料との組み合わせから形成され得る。1つ以上の弾性材料は、1つ以上の弾性織物の任意の組み合わせを含み得、当該弾性織物は、スパンデックス、エラステイン、ゴム又はネオプレンなどであるが、これらに限定されない。1つ以上の非弾性材料は、熱可塑性ポリウレタン、ナイロン、革、ビニル又は弾性特性を付与しない他の材料/織物のいずれか1つ以上の任意の組み合わせを含み得る。
【0070】
以下の条項は、上述の履物製品及びソール構造の例示的な構成を提供する。
【0071】
条項1
履物製品用のソール構造であって、第1の端部から第2の端部まで延びる上部クッションと、前記第1の端部に隣接して前記上部クッションに取り付けられた第1のセグメントを有し、前記上部クッションの前記第2の端部に向かって延びるトレイを含む下部クッションと、前記下部クッションの前記トレイと前記上部クッションとの間に配置される少なくとも1つのブラダーと、を含む、ソール構造。
【0072】
条項2
前記少なくとも1つのブラダーと前記上部クッションとの間に配置されたプレートをさらに含む、条項1に記載のソール構造。
【0073】
条項3
前記少なくとも1つのブラダーの第1の側が前記トレイに取り付けられ、前記少なくとも1つのブラダーの反対側の第2の側が前記プレートに取り付けられる、条項2に記載のソール構造。
【0074】
条項4
前記下部クッションは、前記上部クッションに取り付けられた支持部分を含み、前記トレイは、前記支持部分から片持ち梁状に支持される、先行条項のいずれか1項に記載のソール構造。
【0075】
条項5
前記少なくとも1つのブラダーは、前記ソール構造の内側に配置された第1のブラダーと、前記ソール構造の外側に配置された第2のブラダーとを含む、先行条項のいずれか1項に記載のソール構造。
【0076】
条項6
前記トレイは、前記第1のブラダーを収容する第1のソケットと、前記第2のブラダーを収容する第2のソケットとを含む、条項5に記載のソール構造。
【0077】
条項7
前記上部クッション及び前記下部クッションのうちの少なくとも一方が、複数のディンプルを有する外周側を含む、先行条項のいずれか1項に記載のソール構造。
【0078】
条項8
前記ディンプルは複数の行及び列に配置される、条項7に記載のソール構造。
【0079】
条項9
前記下部クッションの前記少なくとも1つのブラダーとは反対側に配置されるアウトソールをさらに含む、先行条項のいずれか1項に記載のソール構造。
【0080】
条項10
前記下部クッションの前記トレイが発泡材料を含む、先行条項のいずれか1項に記載のソール構造。
【0081】
条項11
履物製品のソール構造であって、(i)頂面と、前記頂面とは反対側に形成された下面とを含む上部クッションと、(ii)底面と、前記底面とは反対側に形成され前記上部クッションの前記下面に対向する上面とを含む下部クッションと、(iii)前記上部クッションの前記下面と前記下部クッションの前記上面との間に形成されたソケットと、を含むクッション配置を含む、ソール構造。少なくとも1つのブラダーが、前記上部クッションと前記下部クッションとの間の前記ソケット内に配置される。
【0082】
条項12
前記少なくとも1つのブラダーと前記上部クッションとの間に配置されたプレートをさらに含む、条項11に記載のソール構造。
【0083】
条項13
前記少なくとも1つのブラダーの第1の側が前記下部クッションに取り付けられ、前記少なくとも1つのブラダーの反対側の第2の側が前記プレートに取り付けられる、条項12に記載のソール構造。
【0084】
条項14
前記下部クッションは、前記上部クッションに取り付けられた支持部分と、前記支持部分から片持ち梁状に支持され前記ソケットの下部を画定するトレイとを含む、先行条項のいずれかに記載のソール構造。
【0085】
条項15
前記少なくとも1つのブラダーは、前記ソール構造の内側に配置された第1のブラダーと、前記ソール構造の外側に配置された第2のブラダーとを含む、先行条項のいずれか1項に記載のソール構造。
【0086】
条項16
前記下部クッションの前記上面は、前記第1のブラダーを収容する第1のソケットと、前記第2のブラダーを収容する第2のソケットとを含む、条項15に記載のソール構造。
【0087】
条項17
前記上部クッション及び前記下部クッションのうちの少なくとも一方が、複数のディンプルを有する外周面を含む、先行条項のいずれか1項に記載のソール構造。
【0088】
条項18
前記複数のディンプルのうちのディンプルは、複数の行及び列に配置される、条項17に記載のソール構造。
【0089】
条項19
前記下部クッションの前記底面に隣接して配置されたアウトソールをさらに含む、先行条項のいずれか1項に記載のソール構造。
【0090】
条項20
前記上部クッション及び前記下部クッションのうちの少なくとも一方が発泡材料を含む、先行条項のいずれか1項に記載のソール構造。
【0091】
上記説明は、例示及び説明の目的のために提供されている。網羅的であること又は開示を制限することは意図されていない。特定の構成の個々の要素又は特徴は一般に該特定の構成に限定されるのではなく、適用可能であれば相互に交換可能であり、特に図示又は説明されていないとしても、選択された構成において用いることができる。同じものが多くの形式で異なっていてもよい。このような変化は、開示からの逸脱と見なされるべきではなく、全てのこのような修正は、本開示の範囲内に含まれることが意図されている。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【国際調査報告】