(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-09
(54)【発明の名称】フィブリル状炭素-シリコン複合材料及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
C01B 32/05 20170101AFI20240202BHJP
H01M 4/36 20060101ALI20240202BHJP
H01M 4/587 20100101ALI20240202BHJP
H01M 4/38 20060101ALI20240202BHJP
【FI】
C01B32/05
H01M4/36 E
H01M4/36 A
H01M4/587
H01M4/38 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023548669
(86)(22)【出願日】2022-02-14
(85)【翻訳文提出日】2023-09-07
(86)【国際出願番号】 IB2022051302
(87)【国際公開番号】W WO2022172246
(87)【国際公開日】2022-08-18
(32)【優先日】2021-02-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】506229844
【氏名又は名称】アスペン エアロゲルズ,インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100108903
【氏名又は名称】中村 和広
(74)【代理人】
【識別番号】100123593
【氏名又は名称】関根 宣夫
(74)【代理人】
【識別番号】100208225
【氏名又は名称】青木 修二郎
(74)【代理人】
【識別番号】100217179
【氏名又は名称】村上 智史
(72)【発明者】
【氏名】ニコラス ザフォロポーロス
(72)【発明者】
【氏名】ウェンデル ライン
(72)【発明者】
【氏名】チーフェイ リー
【テーマコード(参考)】
4G146
5H050
【Fターム(参考)】
4G146AA01
4G146AA17
4G146AB04
4G146AC02A
4G146AC02B
4G146AC04A
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4G146AD25
4G146BA15
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4G146CB20
4G146CB24
4G146CB34
4G146DA14
5H050AA08
5H050BA17
5H050CA08
5H050CA09
5H050CB01
5H050CB07
5H050HA02
5H050HA04
5H050HA05
(57)【要約】
多孔質相互接続シリコンでコーティングされたナノフィブリル状炭素網目を含む炭素-シリコン組成物及びそれらの製造ならびにそれらの使用が提供される。実施形態は、ナノ多孔質炭素系足場及びシリコン系材料を含む複合材料を含む。ナノ多孔質炭素系足場は、フィブリル状形態を含む細孔構造を含み、シリコン系材料は、細孔構造内に含まれる。本組成物は、電気エネルギー貯蔵電極及び同電極を備えるデバイスを含む、様々な用途において有用性を見出す。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭素-シリコン組成物であって、
ナノ多孔質炭素系足場及びシリコン系材料を含む複合材料であって、前記ナノ多孔質炭素系足場が、細孔構造を含み、前記細孔構造が、フィブリル状形態を含み、前記シリコン系材料が、前記ナノ多孔質炭素系足場の前記細孔構造内に含まれる、前記複合材料を含む、前記炭素-シリコン組成物。
【請求項2】
前記ナノ多孔質炭素系足場が、炭素エアロゲルを含む、請求項1に記載の炭素-シリコン組成物。
【請求項3】
前記ナノ多孔質炭素系足場が、ポリイミド誘導炭素エアロゲルを含む、請求項2に記載の炭素-シリコン組成物。
【請求項4】
前記ナノ多孔質炭素系足場が、粉末形態である、請求項1~3のいずれか一項に記載の炭素-シリコン組成物。
【請求項5】
前記シリコン系材料が、前記細孔構造の表面上に分散されたナノ粒子の形態である、請求項1~4のいずれか一項に記載の炭素-シリコン組成物。
【請求項6】
前記ナノ粒子が、約1μm未満の少なくとも1つの寸法を有する、請求項5に記載の炭素-シリコン組成物。
【請求項7】
前記ナノ粒子が、約5nm~約20nmの範囲内の少なくとも1つの寸法を有する、請求項5に記載の炭素-シリコン組成物。
【請求項8】
前記ナノ粒子が、約10nmの少なくとも1つの寸法を有する、請求項5に記載の炭素-シリコン組成物。
【請求項9】
前記シリコン系材料が、前記細孔構造の表面上の層の形態である、請求項1~4のいずれか一項に記載の炭素-シリコン組成物。
【請求項10】
前記層の厚さが、約1μm未満である、請求項9に記載の炭素-シリコン組成物。
【請求項11】
前記層の厚さが、約5nm~約20nmの範囲内である、請求項9に記載の炭素-シリコン組成物。
【請求項12】
前記層の厚さが、約10nmの範囲内である、請求項5に記載の炭素-シリコン組成物。
【請求項13】
前記細孔構造が、30%未満のミクロ細孔、30%未満のマクロ細孔、50%超のメソ細孔、及び0.1cc/g超の総細孔体積を含む、請求項1に記載の炭素-シリコン組成物。
【請求項14】
前記細孔構造が、20%未満のミクロ細孔、20%未満のマクロ細孔、70%超のメソ細孔、及び0.1cc/g超の総細孔体積を含む、請求項1に記載の炭素-シリコン組成物。
【請求項15】
前記細孔構造が、10%未満のミクロ細孔、10%未満のマクロ細孔、80%超のメソ細孔、及び0.1cc/g超の総細孔体積を含む、請求項1に記載の炭素-シリコン組成物。
【請求項16】
前記複合材料が、多孔質相互接続シリコンコーティングされたフィブリル状炭素網目を含む、請求項1に記載の炭素-シリコン組成物。
【請求項17】
前記複合材料が、多孔質相互接続シリコンでコーティングされたフィブリル状炭素網目を含む、請求項1に記載の炭素-シリコン組成物。
【請求項18】
前記複合材料が、シリコンコーティングされた炭素を含むフィブリル状網目を含む、請求項1に記載の炭素-シリコン組成物。
【請求項19】
炭素-シリコン組成物を調製するための方法であって、プロセスが、
細孔構造を含むナノ多孔質炭素系足場を提供することであって、前記細孔構造が、フィブリル状形態を含む、前記提供することと、
前記ナノ多孔質炭素系足場を、シリコン含有ガスの存在下、高温で加熱して、前記ナノ多孔質炭素系足場の前記細孔構造内にシリコンを含浸させることとを含む、前記方法。
【請求項20】
前記ナノ多孔質炭素系足場の前記細孔構造内に含浸された前記シリコンが、ナノサイズであり、前記フィブリル状形態によって形成された細孔内に存在する、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記炭素-シリコン組成物が、多孔質相互接続シリコンコーティングされたフィブリル状炭素網目を含む、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
前記炭素-シリコン組成物が、多孔質相互接続シリコンでコーティングされたフィブリル状炭素網目を含む、請求項19に記載の方法。
【請求項23】
前記炭素-シリコン組成物が、シリコンコーティングされた炭素を含む、フィブリル状網目を含む、請求項19に記載の方法。
【請求項24】
ナノ多孔質炭素系足場が、微粒子状炭素エアロゲルを含む、請求項19に記載の方法。
【請求項25】
ポリイミド前駆体を提供することと、前記ポリイミド前駆体のイミド化を化学的または熱的に開始することと、前記ポリイミド前駆体を前記ポリイミド前駆体と非混和性である媒体と組み合わせ、それによって、前記イミド化ポリイミドの液滴を形成することと、前記ポリイミドの前記液滴を乾燥させて、微粒子状多孔質ポリイミド材料を生じさせることと、前記微粒子状多孔質ポリイミド材料を炭素化して、前記ナノ多孔質炭素系足場を提供することとをさらに含む、請求項19に記載の方法。
【請求項26】
前記細孔構造が、30%未満のミクロ細孔、30%未満のマクロ細孔、50%超のメソ細孔、及び0.1cc/g超の総細孔体積を含む、請求項19に記載の方法。
【請求項27】
前記細孔構造が、20%未満のミクロ細孔、20%未満のマクロ細孔、70%超のメソ細孔、及び0.1cc/g超の総細孔体積を含む、請求項19に記載の方法。
【請求項28】
前記細孔構造が、10%未満のミクロ細孔、10%未満のマクロ細孔、80%超のメソ細孔、及び0.1cc/g超の総細孔体積を含む、請求項19に記載の方法。
【請求項29】
請求項1に記載の炭素-シリコン組成物を含む、エネルギー貯蔵デバイス。
【請求項30】
前記エネルギー貯蔵デバイスが、リチウムイオン電池である、請求項29に記載のエネルギー貯蔵デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、ナノ多孔質(nanoporous)炭素系材料に関する。より具体的には、例えば、リチウムイオン電池内の電極材料として、電気化学反応を含む環境における使用に好適なフィブリル状複合材料(fibrillar composite materials)に関する。
【背景技術】
【0002】
リチウム系電気貯蔵デバイスは、現在多くの用途において使用されているデバイスに取って代わる可能性を有する。リチウムイオン電池(LIB)は、容量及び他の考慮事項に起因して、現在使用されている鉛系電池システムの実行可能な代替手段である。炭素は、リチウム系電気貯蔵デバイスにおいて使用される主要な材料のうちの1つである。従来、カソードは、リチウム金属(例えば、コバルト、ニッケル、マンガン)酸化物から形成され、アノードは、充電(エネルギー貯蔵)中に、リチウムイオンが黒鉛層内でインターカレートする黒鉛から形成される。しかしながら、かかる黒鉛アノードは、典型的には、低電力性能及び限定された容量に悩まされる。
【0003】
シリコンは、黒鉛(炭素)と比較してリチウムに対してより高い親和性を有し、充電中に黒鉛よりも著しく高い量のリチウムを貯蔵することができ、理論的には、LIBのアノード側により高い容量をもたらすことが既知である。比較として、黒鉛は、リチウムと組み合わせて372mAh/gの理論容量を有するが、一方でシリコンは、4200mAh/gの理論容量を有する。これらの数値を理由に、アノード内にできるだけ多くのシリコンを配設することが願われている。
【0004】
シリコンに加えて、スズ及び他の電気化学的に活性な種もまた、単位重量当たり非常に大量のリチウムを貯蔵する能力に基づき、提案されてきた。しかしながら、シリコンのようなこれらの材料は、リチウムと完全にインターカレートされたときに発生する相当な膨張によって根本的に限定される。リチウムが除去されたときのこの膨張及び収縮は、サイクル寿命が限定され、電力が低い電極をもたらす。それゆえ、これまでの解決策は、主に炭素電極に非常に少量の合金化電気化学改質剤を使用することであったが、このアプローチは、リチウム容量の所望の増加を付与しない。サイクル安定性を維持しながら、アノード組成物中の合金化電気化学改質剤含有量を増加させる方法を見出すことが、容量を増加させるために所望される。ナノ構造化合金化電気化学改質剤、合金化電気化学改質剤との炭素のブレンド、または真空もしくは高温を使用して炭素上への合金化電気化学改質剤の堆積を伴ういくつかのアプローチが利用されている。しかしながら、これらのプロセスのいずれも、所望の特性をもたらす拡張性のあるプロセスの組み合わせを証明していない。
【0005】
最近では、リチウムイオン電池(LIB)などのエネルギー貯蔵デバイスにおける用途のための性能を向上させた電極材料としての炭素エアロゲルの開発及び特性評価に専念する努力がなされている。エアロゲルは、マイクロサイズ及びメソサイズの細孔の高多孔質網目を含む固体材料である。使用される前駆体材料及び実施される処理に応じて、エアロゲルの細孔は、エアロゲルの密度が約0.05g/ccであるときに、高い頻度で体積の90%以上を占めることができる。エアロゲルは、無機材料及び/または有機材料で形成することができる。例えば、フェノール、レゾルシノール-ホルムアルデヒド(RF)、フロログルシノールフルフラルデヒド(PF)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリイミド(PI)、ポリウレタン(PU)、ポリブタジエン、ポリジシクロペンタジエン、及びその前駆体もしくはポリマー誘導体などの有機材料で形成されるとき、エアロゲルは、(例えば、熱分解によって)炭化されて、炭素エアロゲルを形成し得、炭素エアロゲルは、使用される前駆体材料及び方法に応じて、互いに異なるかまたは重複する特性(例えば、細孔体積、細孔径分布、形態など)を有してもよい。しかしながら、全ての場合において、材料及び用途に基づいて、例えば、低細孔体積、広細孔径分布、低機械的強度などの特定の欠陥が存在する。
【0006】
したがって、必要とされるのは、上で考察される問題のうちの少なくとも1つを解決しながら、容量を増加させるために電気化学改質剤のためのホストとして働く機能的形態及び最適な細孔構造を含む、改善されたナノ多孔質炭素材料である。しかしながら、本発明が行われた時点で全体として考慮された技術から判断して、従来技術の欠点をどのように克服することができるかは、本発明の分野における当業者には明らかではなかった。
【0007】
本発明の開示を容易にするために、従来の技術の特定の態様が考察されるものの、出願人は、これらの技術的態様を決して放棄せず、特許請求された本発明は、本明細書において説明される革新的な態様と特に組み合わせて、本明細書において考察される従来の技術的態様のうちの1つ以上を包含し得ることが企図される。
【0008】
本発明は、上で考察された技術の1つ以上の問題及び欠陥に対処し得る。しかしながら、本発明は、いくつかの技術分野における他の問題及び欠陥に対処するのに有用であり得ることが企図される。したがって、特許請求される発明は、必ずしも本明細書で考察される特定の問題または欠陥のいずれかに対処することに限定されると解釈されるべきではない。
【0009】
本明細書において、文書、行為または知識項目が言及されるか、または考察されている場合、この言及または考察は、文書、行為もしくは知識項目またはそれらの任意の組み合わせが、優先日において、公に入手可能であり、一般に既知であり、一般的な知識の一部であり、または別様に適用される法定規定の下で先行技術を構成していることを認めるものではなく、または本明細書が関係する任意の問題を解決する試みに関連することが既知である。
【発明の概要】
【0010】
改善されたナノ多孔質炭素組成物に対する長年にわたって満たされていない必要性は、ここで、新しく、有用であり、進歩性のある発明によって満たされる。
【0011】
概して、この技術は、炭素-シリコン組成物及び炭素-シリコン組成物の形成方法を対象とする。当該方法は、概して、炭素系足場(carbon-based scaffolds)の細孔構造にシリコン含有ガスを浸透させることと、細孔構造内の表面上にシリコン系材料を堆積させて、炭素-シリコン組成物を形成することとを含む。炭素-シリコン組成物は、概して、炭素系足場のフィブリル状構造内に含まれるシリコン系材料を含むナノ多孔質炭素系足場を含む。
【0012】
第1の一般的な態様は、炭素-シリコン組成物に関する。例示的な実施形態では、組成物は、複合材料を含む。複合材料は、ナノ多孔質炭素系足場及びシリコン系材料を含む。例示的な実施形態では、ナノ多孔質炭素系足場は、細孔構造を含み、細孔構造は、フィブリル状形態を含み、シリコン系材料は、ナノ多孔質炭素系足場の細孔構造内に含まれる。例えば、複合材料は、多孔質相互接続シリコンコーティングされたフィブリル状炭素網目を含む。別の例では、複合材料は、多孔質相互接続された、シリコンでコーティングされたフィブリル状炭素網目を含む。さらに別の例では、複合材料は、シリコンコーティングされた炭素を含むフィブリル状網目を含む。
【0013】
ある特定の実施形態では、ナノ多孔質炭素系足場は、炭素エアロゲルを含む。例えば、ナノ多孔質炭素系足場は、ポリイミドから誘導された炭素エアロゲルを含むことができる。ナノ多孔質炭素系足場は、モノリスまたは粉末形態であり得る。いくつかの例示的な実施形態では、シリコン系材料は、細孔構造の表面上に分散されたナノ粒子の形態である。例えば、ナノ粒子は、約1μm未満の少なくとも1つの寸法を有することができる。別の例では、ナノ粒子は、約5nm~約20nmの範囲内の少なくとも1つの寸法を有することができる。ある特定の実施形態では、シリコン系材料は、約10nmの少なくとも1つの寸法を有するナノ粒子の形態であり得る。
【0014】
例示的な実施形態では、シリコン系材料は、細孔構造の表面上の層の形態である。例えば、層の厚さは、約1μm未満であり得る。別の例に関して、層の厚さは、約5nm~約20nmの範囲内であり得る。別の例に関して、層の厚さは、約10nmの範囲内であり得る。
【0015】
例示的な実施形態では、ナノ多孔質炭素系足場の細孔構造は、30%未満のミクロ細孔(micropores)、30%未満のマクロ細孔(macropores)、50%超のメソ細孔(mesopores)、及び0.1cc/g超の総細孔体積を含む。いくつかの実施形態では、ナノ多孔質炭素系足場の細孔構造は、20%未満のミクロ細孔、20%未満のマクロ細孔、70%超のメソ細孔、及び0.1cc/g超の総細孔体積を含む。いくつかの実施形態では、ナノ多孔質炭素系足場の細孔構造は、10%未満のミクロ細孔、10%未満のマクロ細孔、80%超のメソ細孔、及び0.1cc/g超の総細孔体積を含む。
【0016】
第2の一般的な態様は、炭素-シリコン組成物を調製するための方法を提供する。例示的な実施形態では、プロセスは、細孔構造を含むナノ多孔質炭素系足場を提供することを含み、細孔構造は、フィブリル状形態を含み、ナノ多孔質炭素系足場を、シリコン含有ガスの存在下、高温で加熱して、ナノ多孔質炭素系足場の細孔構造内でシリコンを含浸させることを含む。
【0017】
例示的な実施形態では、ナノ多孔質炭素系の足場の細孔構造内に含浸されたシリコンは、ナノサイズであり、フィブリル状形態によって形成された細孔内に存在する。例示的な実施形態では、ナノ多孔質炭素系足場は、微粒子状炭素エアロゲルを含む。例えば、炭素-シリコン組成物は、多孔質相互接続シリコンコーティングされたフィブリル状炭素網目を含む。別の例では、炭素-シリコン組成物は、多孔質相互接続シリコンでコーティングされたフィブリル状炭素網目を含む。さらに別の例では、炭素-シリコン組成物は、シリコンコーティングされた炭素を含むフィブリル状網目を含む。
【0018】
例示的な実施形態では、本方法は、ポリイミド前駆体を提供することと、ポリイミド前駆体のイミド化を化学的または熱的に開始すること、ポリイミド前駆体をポリイミド前駆体と非混和性である媒体と組み合わせること、それによって、イミド化ポリイミドの液滴を形成することと、ポリイミドの液滴を乾燥させて、微粒子状多孔質ポリイミド材料を生じさせることと、微粒子状多孔質ポリイミド材料を炭素化して、ナノ多孔質炭素系足場を提供することとをさらに含む。
【0019】
例示的な実施形態では、ナノ多孔質炭素系足場の細孔構造は、30%未満のミクロ細孔、30%未満のマクロ細孔、50%超のメソ細孔、及び0.1cc/g超の全細孔体積を含む。いくつかの実施形態では、ナノ多孔質炭素系足場の細孔構造は、20%未満のミクロ細孔、20%未満のマクロ細孔、70%超のメソ細孔、及び0.1cc/g超の総細孔体積を含む。いくつかの実施形態では、ナノ多孔質炭素系足場の細孔構造は、10%未満のミクロ細孔、10%未満のマクロ細孔、80%超のメソ細孔、及び0.1cc/g超の総細孔体積を含む。
【0020】
さらなる実施形態は、説明されるような炭素-シリコン組成物を含む電極を提供する。例えば、この電極は、アノードであり得る。別の実施形態は、電池または、より具体的には、リチウムイオン電池などの、説明されたような炭素-シリコン組成物を含むエネルギー貯蔵デバイスを提供する。
【0021】
本発明の別々の態様及び実施形態の文脈において説明される特徴は、ともに使用され得、及び/または交換可能であり得る。同様に、単一の実施形態の文脈において説明される特徴はまた、別々に、または任意の好適なサブコンビネーションで提供され得る。
【0022】
本開示が進むにつれて、本発明のこれら及び他の重要な目的、利点、及び特徴が明らかになるであろう。
【0023】
本発明の完全かつ明確な理解のために、添付の図面に関連して取得される、以下の詳細な説明を参照されたい。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】
図1は、本明細書に開示される実施形態による例示的な方法を例解するフロー図である。
【
図2】
図2は、本明細書に開示される実施形態による別の例示的な方法を例解するフロー図である。
【
図3】
図3は、本明細書に開示される実施形態によるフィブリル状形態を呈するポリイミドエアロゲルのSEM画像である。
【
図4】
図4は、本明細書に開示される実施形態によるフィブリル状形態を呈する炭素エアロゲルのSEM画像である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本技術のいくつかの例示的な実施形態を説明する前に、本技術は、以下の説明に記載される構造またはプロセスステップの詳細に限定されないことを理解されたい。この技術は、他の実施形態が可能であり、様々な方法で実施されるかまたは実行されることが可能である。
【0026】
概して、この技術は、炭素シリコン組成物及び炭素シリコン組成物の形成方法を対象とする。方法は、概して、炭素系足場の細孔構造にシリコン含有ガスを浸透させることと、細孔構造内の表面上にシリコン系材料を堆積させて、炭素-シリコン組成物を形成することとを含む。炭素-シリコン組成物は、概して、炭素系足場のフィブリル状構造内に含まれるシリコン系材料を含むナノ多孔質炭素系足場を含む。
【0027】
本開示で使用される用語に関して、以下の定義が提供される。本出願は、用語が現れる文章の文脈が異なる意味を必要としない限り、以下に定義される次の用語を使用する。
【0028】
冠詞「a」及び「an」は、冠詞の文法的対象の1つまたは2つ以上(すなわち、少なくとも1つ)を指すように本明細書において使用される。本明細書全体を通して使用される「約」という用語は、わずかな変動を説明し、かつ構成するために使用される。例えば、「約」という用語は、±2%以下、または±1%以下、±0.5%以下、±0.2%以下、±0.1%以下、または±0.05%以下などの、±10%以下、または±5%以下を指すことができる。本明細書における全ての数値は、明示的に示されているか否かにかかわらず、「約」という用語によって修飾される。「約」という用語によって修飾される値は、もちろん、特定の値を含む。例えば、「約5.0」は、5.0が含まなくてはならぬ。
【0029】
本開示の文脈内では、「骨格」または「骨格構造」という用語は、ゲルまたはエアロゲルの固体構造を形成する、相互接続されたオリゴマー、ポリマー、またはコロイド粒子の網目を表す。骨格構造を構成するポリマーまたは粒子は、典型的には、約100オングストロームの直径を有する。しかしながら、本開示の骨格構造はまた、ゲルまたはエアロゲル内で固体構造を形成する、相互接続されたオリゴマー、ポリマー、またはコロイド粒子の全ての直径サイズの網目を含むことができる。本明細書で使用される場合、「エアロゲル」または「エアロゲル材料」という用語は、形状またはサイズに関係なく、相互接続された固体構造の骨格を含み、骨格内に統合された相互接続された細孔の対応する網目を有し、分散間質媒体として空気などのガスを含む、固体物体を表す。このように、エアロゲルは、ガスによってその全体積にわたって膨張し、実質的な体積低減または網目圧縮なしに対応する湿式ゲルから全ての膨張剤を除去することによって形成される、開放型の非流体コロイドまたはポリマー網目である。エアロゲルは、概して、エアロゲルに起因する以下の物理的及び構造的特性(窒素ポロシメトリー試験及びヘリウムピクノメトリーによる):(a)約2nm~約100nmの範囲の平均細孔径、(b)少なくとも60%以上の多孔率、及び(c)窒素吸着分析による約100~約600m2/gなどの約100m2/g以上の比表面積によって特徴付けられる。補強材料または電気化学的に活性な種、例えば、シリコンなどの添加剤の含有は、得られるエアロゲル複合体の多孔率及び比表面積を減少させ得ることを理解されたい。高密度化はまた、得られるエアロゲル複合体の多孔率を減少させ得る。本開示のエアロゲル材料(例えば、ポリイミド及び炭素エアロゲル)は、前項に記載の定義要素を満たす任意のエアロゲルを含む。
【0030】
それゆえ、本開示のエアロゲル材料は、前段落に記載の定義要素を満たす、任意のエアロゲルまたは他のオープンセル化合物を含み、別様に、キセロゲル、クリオゲル、アンビゲル、ミクロ多孔質(microporous)材料などとして分類することができる化合物を含む。本開示のエアロゲル材料はまた、例えば、制御された多孔率の勾配のために、同じ組成物中のエアロゲル及びキセロゲルの組み合わせを含む材料を含む。
【0031】
本明細書で使用される場合、「キセロゲル」という用語は、実質的な体積低減を回避するために、もしくは圧縮を遅らせるために、予防措置を講じることなく、または実質的に講じることなく、対応するゲルから全ての膨張剤を除去することによって形成される、開放型の非流体コロイドまたはポリマー網目を含むゲルを表す。エアロゲルとは対照的に、キセロゲルは、概して、コンパクトな構造を含む。キセロゲルは、周囲圧力乾燥中に実質的な体積減少を被り、窒素吸着分析によって測定されるように、約0~約20m2/などの、0~100m2/gの表面積を有する。
【0032】
本明細書で使用される場合、「ゲル化」または「ゲル遷移」という用語は、ポリマー系、例えば、本明細書に説明されるポリイミドまたはポリアミド酸からの湿式ゲルの形成を表す。「ゲル点」として定義される、本明細書に記載される重合または脱水反応のある時点で、ゾルは流動性を失う。特定の理論に拘束されることを意図するものではなく、ゲル点は、ゲル化溶液が流れに対して抵抗を呈する点とみなされ得る。本文脈では、ゲル化は、ゲル点に到達するために十分なポリイミドが形成されるまで、流体コロイド分散状態を通して、溶液が主にポリアミン酸のアミン塩を含む初期ゾル状態から進行する。ゲル化は、その後も続き、粘度が増加するポリイミド湿式ゲル分散体を生成し得る。溶液中のポリマー(すなわち、ポリアミド酸及び/またはポリイミド)がもはや流れない形態のゲルに変換するのに要する時間量は、「現象ゲル化時間」と称される。正式には、ゲル化時間は、レオロジーを使用して測定される。ゲル点において、固体ゲルの弾性特性は、流体ゾルの粘性特性を支配し始める。正式なゲル化時間は、ゲル化ソルの複雑な係数の実成分及び想像成分が交差する時間に近い。2つの弾性率は、レオメータを使用して時間の関数として監視される。ソルの最後の成分が溶液に添加された瞬間から時間がカウントされ始める。例えば、H.H.Winter“Can the Gel Point of a Cross-linking Polymer Be Detected by the G‘-G”Crossover?“Polym.Eng.Sci.,1987,27,1698-1702、S.-Y.Kim,D-.G.Choi及びS.-M.Yang“Rheological analysis of the gelation behavior of tetraethylorthosilane/vinyltriethoxysilane hybrid solutions”Korean J.Chem.Eng.,2002,19,190-196、及びM.Muthukumar“Screening effect on viscoelasticity near the gel point”Macromolecules,1989,22,4656-4658におけるゲル化の考察を参照されたい。
【0033】
本明細書で使用される場合、「湿式ゲル」という用語は、相互接続された細孔の網目内の移動間隙相が、従来の溶媒などの液相、液体二酸化炭素などの液化ガス、またはこれらの組み合わせから主に構成されるゲルを表す。エアロゲルは、典型的に、ゲル内の移動間隙液相を空気または他のガスに置き換えるために、湿式ゲルの初期生成、続いて処理及び抽出を必要とする。湿式ゲルの例としては、限定されるものではないが、アルコゲル、ヒドロゲル、ケトゲル、炭素ゲル、及び当業者に既知の任意の他の湿式ゲルが挙げられる。
【0034】
本開示の文脈内では、「密度」という用語は、エアロゲル材料または組成物の単位体積当たりの質量の測定値を表す。「密度」という用語は、概して、エアロゲル材料の真のまたは骨格密度、ならびにエアロゲル組成物のかさ密度を表す。密度は、典型的には、kg/m3またはg/cm3として記録される。ポリイミドまたは炭素エアロゲルの骨格密度は、限定されるものではないが、ヘリウムピクノメトリーを含む、当該技術分野で既知の方法によって判定され得る。ポリイミドまたは炭素エアロゲルのバルク密度は、限定されるものではないが、Standard Test Method for Dimensions and Density of Preformed Block and Board-Type Thermal Insulation(ASTM C303,ASTM International,West Conshohocken,Pa.)、Standard Test Methods for Thickness and Density of Blanket or Batt Thermal Insulations(ASTM C167,ASTM International,West Conshohocken,Pa.)、またはDetermination of the apparent density of preformed pipe insulation(ISO18098,International Organization for Standardization,Switzerland)を含む、当該技術分野で既知の方法によって判定され得る。本開示の文脈内では、密度測定値は、別様に記載がない限り、ASTM C167規格に従って取得される。いくつかの実施形態では、本開示のエアロゲル材料または組成物は、約1.50g/cc以下、約1.40g/cc以下、約1.30g/cc以下、約1.20g/cc以下、約1.10g/cc以下、約1.00g/cc以下、約0.90g/cc以下、約0.80g/cc以下、約0.70g/cc以下、約0.60g/cc以下、約0.50g/cc以下、約0.40g/cc以下、約0.30g/cc以下、約0.20g/cc以下、約0.10g/cc以下、またはこれらの値のうちのいずれか2つの間の範囲内、例えば、約0.15g/cc~1.5g/cc、またはより具体的には、0.50g/cc~1.30g/ccの密度を有する。
【0035】
本開示の文脈内では、「電気化学的に活性な種」という用語は、エネルギー貯蔵デバイス内でイオンを受け入れ、放出することができる添加剤を表す。一例として、LIBを使用して、アノード内の電気化学的に活性な種は、充電中にリチウムイオンを受け入れ、放電中にリチウムイオンを放出する。電気化学的に活性な種は、ナノ多孔質炭素との直接的/物理的接続を有することによって、アノード内で安定化することができる。ある特定の実施形態では、ナノ多孔質炭素網目は、電気化学的に活性な種の周りに相互接続された構造を形成することができる。電気化学的に活性な種は、複数の点でナノ多孔質炭素に接続される。電気化学的に活性な種の一例は、前述のようにリチウム化で膨張し、ひび割れまたは破断する可能性があるシリコンである。しかしながら、シリコンは、ナノ多孔質炭素(エアロゲル)との複数の接続点を有するため、シリコンが、破断またはひび割れたときでさえも、ナノ多孔質構造内、例えば、細孔内、または構造によって別様に包まれた状態で保持され、活性を維持することができる。
【0036】
ある特定の実施形態では、電気化学的に活性な種は、リチウム金属(例えば、シリコン、スズ、硫黄)に対して3~0Vでリチウム化する能力を有する元素を含む。他の実施形態では、電気化学的に活性な種は、リチウム金属(例えば、酸化鉄、酸化モリブデン、酸化チタン)に対して3~0Vのリチウム化能力を有する金属酸化物を含む。さらに他の実施形態では、電気化学的に活性な種は、リチウム金属(例えば、アルミニウム、マンガン、ニッケル、金属リン酸塩)に対して3~0Vでリチウム化しない元素を含む。さらに別の実施形態では、電気化学的に活性な種は、非金属元素(例えば、フッ素、窒素、水素)を含む。さらに他の実施形態では、電気化学的に活性な種は、前述の電気化学改質剤のうちのいずれか、またはそれらの任意の組み合わせ(例えば、スズ-シリコン、ニッケル-チタン酸化物)を含む。
【0037】
電気化学的に活性な種は、任意の数の形態で提供され得る。例えば、いくつかの実施形態では、電気化学的に活性な種は、塩を含む。他の実施形態では、電気化学的に活性な種は、元素形態における1つ以上の元素、例えば、元素鉄、スズ、シリコン、ニッケル、またはマンガンを含む。他の実施形態では、電気化学的に活性な種は、酸化形態における1つ以上の元素、例えば、酸化鉄、酸化スズ、酸化シリコン、酸化ニッケル、酸化アルミニウム、または酸化マンガンを含む。
【0038】
他の実施形態では、電気化学的に活性な種は、鉄を含む。他の実施形態では、電気化学的に活性な種は、スズを含む。他の実施形態では、電気化学的に活性な種は、シリコンを含む。いくつかの他の実施形態では、電気化学的に活性な種は、ニッケルを含む。さらに別の実施形態では、電気化学的に活性な種は、アルミニウムを含む。さらに別の実施形態では、電気化学的に活性な種は、マンガンを含む。さらに別の実施形態では、電気化学的に活性な種は、Al2O3を含む。さらに別の実施形態では、電気化学的に活性な種は、チタンを含む。さらに別の実施形態では、電気化学的に活性な種は、酸化チタンを含む。さらに別の実施形態では、電気化学的に活性な種は、リチウムを含む。さらに別の実施形態では、電気化学的に活性な種は、硫黄を含む。さらに別の実施形態では、電気化学的に活性な種は、リンを含む。さらに別の実施形態では、電気化学的に活性な種は、モリブデンを含む。さらに別の実施形態では、電気化学的に活性な種は、ゲルマニウムを含む。さらに別の実施形態では、電気化学的に活性な種は、ヒ素を含む。さらに別の実施形態では、電気化学的に活性な種は、ガリウムを含む。さらに別の実施形態では、電気化学的に活性な種は、リンを含む。さらに別の実施形態では、電気化学的に活性な種は、セレンを含む。さらに別の実施形態では、電気化学的に活性な種は、アンチモンを含む。さらに別の実施形態では、電気化学的に活性な種は、ビスマスを含む。さらに別の実施形態では、電気化学的に活性な種は、テルルを含む。さらに別の実施形態では、電気化学的に活性な種は、インジウムを含む。
【0039】
本開示の文脈内では、「圧縮強度」、「曲げ強度」、及び「引張強度」という用語は、それぞれ、圧縮力、屈曲力または曲げ力、及び張力または引っ張り力の下での破壊または破砕に対する材料の抵抗を表す。これらの強度は、負荷/力に抵抗する単位面積当たりの負荷/力の量として具体的に測定される。典型的には、平方インチ(psi)、メガパスカル(MPa)、またはギガパスカル(GPa)当たりのポンドとして記録される。他の因子の中でも、材料の圧縮強度、曲げ強度、及び引張強度は、材料の構造的完全性に集合的に寄与し、これは、例えば、LIBにおけるリチウム化中のシリコン粒子の体積膨張に耐えることに有益である。機械的強度の指標である、ヤング率を具体的に参照すると、ヤング率は、例えば、限定されるものではないが、Standard Test Practice for Instrumented Indentation Testing(ASTM E2546,ASTM International,West Conshocken,PA)、またはStandardized Nanoindentation(ISO14577,International Organization for Standardization,Switzerland)を含む、当該技術分野で既知の方法によって判定され得る。本開示の文脈内では、ヤング率の測定値は、別様に記載がない限り、ASTM E2546及びISO14577に従って取得される。ある特定の実施形態では、本開示のエアロゲル材料または組成物は、約0.2GPa以上、0.4GPa以上、0.6GPa以上、1GPa以上、2GPa以上、4GPa以上、6GPa以上、8GPa以上、またはこれらの値のうちの任意の2つの間の範囲内のヤング率を有する。
【0040】
本開示の文脈内では、「細孔径分布」という用語は、多孔質材料の試料体積内の各細孔径の統計的分布または相対量を表す。より狭い細孔径分布は、狭い範囲の細孔径における相対的に大きい割合の細孔を表し、それゆえ、電気化学的に活性な種を取り囲むことができる細孔の量を最適化し、細孔体積の使用を最大化する。逆に、より広い細孔径分布は、狭い範囲の細孔径における相対的に小さい割合の細孔を表す。このように、細孔径分布は、典型的に、細孔体積の関数として測定され、細孔径分布チャート内の主要なピークの半値全幅の単位サイズとして記録される。多孔質材料の細孔径分布は、例えば、限定されるものではないが、細孔径分布を計算することができる、窒素吸着及び脱着による表面積ならびに多孔率分析器を含む、当該技術分野で既知の方法によって判定され得る。本開示の文脈内では、細孔径分布の測定値は、別様に記載がない限り、この方法に従って取得される。ある特定の実施形態では、本開示のエアロゲル材料または組成物は、約50nm以下、45nm以下、40nm以下、35nm以下、30nm以下、25nm以下、20nm以下、15nm以下、10nm以下、5nm以下、またはこれらの値のうちのいずれか2つの間の範囲内の相対的に狭い細孔径分布(半値全幅)を有する。いくつかの実施形態では、材料は、約2:1の細孔径分布チャートにおける主要なピークの細孔径対半値全幅の比を有する。例えば、約2ナノメートル~約50ナノメートルの範囲内の細孔径分布チャートにおいて主要なピークを有する材料の場合、半値全幅は、約25nm~約1nmの範囲内であり得る。
【0041】
本開示の文脈内では、「メソ細孔」という用語は、概して、約2ナノメートル~約50ナノメートルの直径を有する細孔を表すが、「ミクロ細孔」という用語は、約2ナノメートル未満の直径を有する細孔を表す。メソ多孔質(mesoporous)炭素材料は、それらの総細孔体積の50%超がメソ細孔であり、一方、ミクロ多孔質炭素材料は、それらの総細孔体積の50%超がミクロ細孔である。約50ナノメートルを超える細孔は、「マクロ細孔」と称される。
【0042】
本開示の文脈内では、「細孔体積」という用語は、多孔質材料の試料内の細孔の総体積を表す。細孔体積は、多孔質材料内の空隙の体積として具体的に測定され、この空隙は測定可能であり得、かつ/または別の材料、例えば、シリコン粒子などの電気化学的に活性な種によってアクセス可能であり得る。典型的には、グラム当たりの立方センチメートル(cm3/gまたはcc/g)として記録される。多孔質材料の細孔体積は、例えば、限定されるものではないが、細孔体積を計算することができる、窒素吸着及び脱着による表面積ならびに多孔率分析器を含む、当該技術分野で既知の方法によって判定され得る。本開示の文脈内では、細孔体積の測定値は、別様に記載がない限り、この方法に従って取得される。ある特定の実施形態では、本開示のエアロゲル材料または組成物(電気化学的に活性な種、例えば、シリコンの組み込みを除く)は、1cc/g以上、1.5cc/g以上、2cc/g以上、2.5cc/g以上、3cc/g以上、3.5cc/g以上、4cc/g以上、またはこれらの値のうちの任意の2つの間の範囲内の相対的に大きい細孔体積を有する。他の実施形態では、本開示のエアロゲル材料または組成物(電気化学的に活性な種、例えば、シリコンの組み込みを伴う)は、約0.3cc/g以上、0.6cc/g以上、0.9cc/g以上、1.2cc/g以上、1.5cc/g以上、1.8cc/g以上、2.1cc/g以上、2.4cc/g以上、2.7cc/g以上、3.0cc/g以上、3.3cc/g以上、3.6cc/g以上、またはこれらの値のうちのいずれか2つの間の範囲内の細孔体積を有する。
【0043】
本開示の文脈内では、「多孔率」という用語は、細孔の壁に結合された別の材料(例えば、シリコン粒子などの電気化学的に活性な種)を含有しない細孔の体積比を表す。明確化及び例示目的のために、LIBにおける一次アノード材料としてのシリコンドープ炭素エアロゲルの具体的な実装において、多孔率は、シリコン粒子の包含後の空隙を表すことに留意されたい。このように、例えば、アノードが(イオン輸送及びシリコン膨張に対応するため)事前リチウム化状態にあるとき、約10%~70%であり、及び(イオン輸送に対応するため)アノードがリチウム化後状態にあるとき、多孔率は、約1%~50%であり得る。より一般的には、多孔率は、例えば、限定されるものではないが、エアロゲル材料の細孔体積とそのかさ密度との比を含む、当該技術分野で既知の方法によって判定され得る。本開示の文脈内では、多孔率の測定値は、別様に記載がない限り、この方法に従って取得される。ある特定の実施形態では、本開示のエアロゲル材料または組成物は、約80%以下、70%以下、60%以下、50%以下、40%以下、30%以下、20%以下、10%以下、またはこれらの値のうちの任意の2つの間の範囲内の多孔率を有する。
【0044】
細孔体積及び多孔率は、細孔構造の同一の特性、すなわち、細孔構造内の「隙間」に対する異なる測定値であることに留意されたい。例えば、シリコンがナノ多孔質炭素材料の細孔内に含まれた電気化学的に活性な種として使用されるとき、細孔体積及び多孔率は、「空」である空間、すなわち、シリコンまたは炭素によって利用されない空間を表す。見られるように、例えば、圧縮による、予備炭化ナノ多孔質材料の高密度化はまた、他の特性の中でも、細孔体積及び多孔率に影響を及ぼし得る。
【0045】
本開示の文脈内では、「分布からの最大ピークにおける細孔径」という用語は、細孔径分布を例解するグラフ上の識別可能なピークにおける値を表す。分布からの最大ピークにおける細孔径は、細孔の最大パーセンテージが形成される細孔径として具体的に測定される。典型的には、細孔径の任意の単位長、例えば、マイクロメートルまたはnmとして記録される。分布からの最大ピークにおける細孔径は、例えば、限定されるものではないが、細孔径分布を計算し、最大ピークにおける細孔径を判定することができる窒素吸着及び脱着による表面積及び多孔率分析器を含む、当該技術分野で既知の方法によって判定され得る。本開示の文脈内では、分布からの最大ピークにおける細孔径の測定値は、別様に記載がない限り、この方法に従って取得される。ある特定の実施形態では、本開示のエアロゲル材料または組成物は、約150nm以下、140nm以下、130nm以下、120nm以下、110nm以下、100nm以下、90nm以下、80nm以下、70nm以下、60nm以下、50nm以下、40nm以下、30nm以下、20nm以下、10nm以下、5nm以下、2nm以下、またはこれらの値のうちのいずれか2つの間の範囲内の、分布からの最大ピークにおける細孔径を有する。いくつかの実施形態では、材料は、約2:1の細孔径分布チャートにおける主要なピークの細孔径対半値全幅の比を有する。例えば、約2ナノメートル~約50ナノメートルの範囲内の細孔径分布チャートにおいて主要なピークを有する材料の場合、半値全幅は、約25nm~約1nmの範囲内であり得る。
【0046】
本開示の文脈内では、「ストラット幅」という用語は、フィブリル状形態を有するエアロゲルを形成するナノストラット、ナノロッド、ナノフィブリル状、またはナノフィラメントの平均直径を表す。典型的には、任意の単位長、例えば、マイクロメートルまたはnmとして記録される。ストラット幅は、例えば、限定されるものではないが、走査電子顕微鏡画像分析を含む、当該技術分野で既知の方法によって判定され得る。本開示の文脈内では、ストラット幅の測定値は、別様に記載がない限り、この方法に従って取得される。ある特定の実施形態では、本開示のエアロゲル材料または組成物は、約10nm以下、9nm以下、8nm以下、7nm以下、6nm以下、5nm以下、4nm以下、3nm以下、2nm以下、またはこれらの値のうちのいずれか2つの範囲内のストラット幅を有する。以下の実施例において見出される(特に図中のSEM画像において見出される)ストラット幅の例示的な範囲は、約2~5nmである。これらなどの、より小さいストラット幅は、より多くの量のストラットが網目内に存在することを可能にし、それゆえ、電気化学的に活性な種に接触し、同様にして、より多くの電気化学的に活性な種が複合体内に存在することを可能にする。これにより、導電性及び機械的強度が増加する。
【0047】
本開示の文脈内で、「フィブリル状形態」及び「ナノフィブリル状形態」という用語は、ストラット、ロッド、フィブリル状、またはフィラメントを含むナノ多孔質炭素(例えば、エアロゲル)の構造形態を表す。例えば、一実施形態では、ジメチルアセトアミド(DMAC)などの溶媒の選択は、かかる形態の生成に影響を及ぼし得る。さらに、ある特定の実施形態では、炭素エアロゲルがポリイミドから誘導されるとき、ポリイミドから結晶性ポリイミドが得られ、直鎖ポリマーが形成される。以下の実施例でより明確になるように、ある特定の実施形態は、驚いたことに、ポリイミド前駆体の既知の挙動に基づいて、長い線形構造が予想される、相互接続されたポリマー構造としてのフィブリル状形態を含むことが観察された。対照的に、ナノ多孔質炭素の生成物形態は、代替的に、炭素エアロゲルのフィブリル状形態が持続する、事実上微粒子または粉末であり得る。本明細書が続くにつれてより明確になるように、フィブリル状形態は、特に、ナノ多孔質炭素が具体的な用途、例えば、LIB中のアノード材料として実装されるとき、機械的安定性/強度及び導電性などの微粒子形態における特定の利点を提供することができる。フィブリル状形態は、モノリシック形態及び粉末形態の両方のナノ多孔質炭素中に見出すことができ、換言すると、モノリシック炭素が、フィブリル状形態を有し得、エアロゲル粉末/粒子が、フィブリル状形態を有し得ることに留意されたい。さらに、ある特定の実施形態では、ナノ多孔質炭素材料がシリコンなどの添加剤または他を含むとき、炭素材料に固有のフィブリル状ナノ構造が、保存され、添加剤粒子間のブリッジとして働く。
【0048】
ある特定の実施形態では、現在の技術は、炭素エアロゲルなどの多孔質炭素材料を形成するか、または製造する方法である。多孔質炭素材料は、連続モノリシック材料または微粒子状材料、例えば、ビーズまたは粉末の形態であり得る。例示的なプロセスでは、芳香族基及び/または脂肪族基を各々含み得るジアミン及びジアンヒドリドなどのポリイミド前駆体は、好適な溶媒(例えば、極性、非プロトン性溶媒)中で混合される。次いで、イミド化ゲル化触媒を添加して、ゲル化のための混合を開始する。代替的な実施形態では、イミド化は、任意の好適な温度及び時間範囲が企図される(例えば、約100℃~200℃で約20分~約8時間、続いて約300℃~400℃で約20分~約1時間加熱する)熱イミド化を介して達成され得る。次いで、ゲル化混合物を乾燥させて、多孔質ポリイミド材料を生じさせ、ここで、乾燥は、亜臨界及び/または超臨界二酸化炭素を使用して実行することができる。任意選択的に、ポリイミド材料は、圧縮量に基づいて、最大約1.5g/ccに調節可能な密度を増加させるために、好ましくは一軸(例えば、95%のひずみ)で圧縮することができる。例示的な実施形態では、ポリイミドシリコン複合体は、複合体を熱分解する前に、約80%超のひずみに圧縮することができる。圧縮が行われたかどうかに関係なく、ポリイミド材料を熱分解して、多孔質炭素材料を生じさせ、得られた材料は、約5%~99%の多孔率を含む。ある特定の実施形態では、熱分解は、約750℃~約1600℃の最大温度で、任意選択的に、約1600℃~約3000℃の黒鉛化を伴い実施され得る。
【0049】
ポリイミドゲル/エアロゲル形成に関する追加の詳細は、Zafiropoulosらの米国特許公開第2020/0269207号、Rhineらの米国特許第7,074,880号及び同第7,071,287号、Suzukiらの米国特許第6,399,669号、Leventisらの米国特許第9,745,198号、Leventis et al.,Polyimide Aerogels by Ring-Opening Metathesis Polymerization(ROMP),Chem.Mater.2011,23,8,2250-2261、Leventis et al.,Isocyanate-Derived Organic Aerogels:Polyureas,Polyimides,Polyamides,MRS Proceedings,1306(2011),MrsflO-1306-bb03-01.doi:10.1557/opl.2011.90、Chidambareswarapattar et al.,One-step room-temperature synthesis of fibrous polyimide aerogels from anhydrides and isocyanates and conversion to isomorphic carbons,J.Mater.Chem.,2010,20,9666--9678、Guo et al.,Polyimide Aerogels Cross-Linked through Amine Functionalized Polyoligomeric Silsesquioxane,ACS Appl.Mater.Interfaces 2011,3,546-552、Nguyen et al.,Development of High Temperature,Flexible Polyimide Aerogels,American Chemical Society,proceedings published 2011、Meador et al.,Mechanically Strong,Flexible Polyimide Aerogels Cross-Linked with Aromatic Triamine,ACS Appl.Mater.Interfaces,2012,4(2),pp536-544、Meador et al.,Polyimide Aerogels with Amide Cross-Links:A Low Cost Alternative for Mechanically Strong Polymer Aerogels,ACS Appl.Mater.Interfaces 2015,7,1240--1249、Pei et al.,Preparation and Characterization of Highly Cross-Linked Polyimide Aerogels Based on Polyimide Containing Trimethoxysilane Side Groups,Langmuir 2014,30,13375-13383において見出すことができ、その各々は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。トリアミン、テトラミン、ペンタミン、ヘキサミンなどもまた、ゲル材料の特性を最適化するために、ジアミンの代わりに、またはジアミンもしくはこれらの組み合わせに加えて、使用することもできる。トリアンヒドリド、テトランヒドリド、ペンタンヒドリド、ヘキサンヒドリドはまた、ゲル材料の特性を最適化するために、ジアンヒドリドの代わりに、またはジアンヒドリドもしくはこれらの組み合わせに加えて使用することができる。脱水剤及び触媒は、溶液に組み込まれて、イミド化を開始及び駆動することができる。いくつかの実施形態では、ポリイミド湿式ゲルは、有機溶媒を使用することなく形成することができる。かかる方法の例としては、概して、溶媒中で少なくとも1つの多官能性アミン及びアミンを組み合わせて、溶液を形成することと、多官能性無水物を添加することと、混合物に脱水試薬を添加することとを含む。試薬の添加順序は、変化し得る。いくつかの実施形態では、多官能性アミンは、水などの溶媒中に溶解され、この場合、形成された溶液は、水溶液と称され得、溶液が、任意の有機溶媒を実質的に含まないことを意味する。有機溶媒の文脈において本明細書で使用される場合、「実質的に含まれない」という用語は、意図的に有機溶媒が添加されておらず、有機溶媒が微量を超えて存在しないことを意味する。
【0050】
溶液は、追加の共ゲル化前駆体、ならびに充填剤材料及び他の添加剤を含むことができる。充填剤材料及び他の添加剤は、ゲルの形成前または形成中の任意の時点で溶液中に分注され得る。充填剤材料及び他の添加剤はまた、当該技術分野で既知の様々な技術を通してゲル化後にゲル材料に組み込まれ得る。好ましくは、ゲル化前駆体、溶媒、触媒、水、充填剤材料、及び他の添加剤を含む溶液は、好適な条件下で有効なゲル形成が可能である均質な溶液である。
【0051】
一度溶液が形成され、かつ最適化されると、溶液中のゲル形成成分を、ゲル材料に遷移させることができる。ゲル形成成分をゲル材料に遷移させるプロセスは、ゲルがゲル材料のゲル点まで固化する初期ゲル形成ステップを含む。ゲル材料のゲル点は、ゲル化溶液が、流れに対する抵抗を呈し、及び/またはその体積全体にわたって実質的に連続したポリマー骨格を形成する点とみなされ得る。様々なゲル形成技術が、当業者に既知である。例としては、限定されるものではないが、十分な期間にわたって混合物を静止状態に維持すること、触媒の濃度を調節すること、溶液の温度を調節すること、エネルギーの形態を混合物(紫外、可視、赤外、マイクロ波、超音波、粒子放射、電磁)に方向付けること、またはこれらの組み合わせが挙げられる。
【0052】
ゲル溶液からゲルビーズを形成するプロセスは、溶液を、溶液と非混和性である媒体、例えば、分散媒体と組み合わせることを含むことができる。例えば、シリコーン油または鉱物油は、分散媒体として使用され得る。ゲル溶液は、例えば、注ぐことによって、または別様に非混和性分散媒体と組み合わせて添加することができる。組み合わされた分散媒体とゲル前駆体溶液とを、例えば、混合することによる、撹拌は、ゲル形成成分をゲル材料に遷移させるプロセス前またはプロセス中に、液滴、例えば、ビーズの形成を促進するために使用することができる。例えば、分散媒体とゲル前駆体との組み合わせは、分散相として、ゲル前駆体溶液を有するエマルションを形成することができる。ゲルビーズ生産の例示的な方法は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、Ouらの米国特許出願公開第2006/0084707号において見出すことができる。
【0053】
界面張力により、ゲル前駆体の球状液滴が、分散媒体中に形成される。液滴は、分散媒体、例えば、シリコーン油中で時間の間にゲル化され強化される。混合物の撹拌は、典型的には、液滴が凝集することを防止するために使用される。例えば、ゲル前駆体と分散媒体との混合物を撹拌して、液滴が凝集することを防止することができる。
【0054】
熱または放射線はまた、分散媒体に提供されて、液滴のゲル化を誘導するか、もしくは増強するか、またはゲルビーズを強化して、衝突に抵抗するのに十分な強度にする。所与の空間におけるゲルビーズの生成能力は、液滴のゲル化プロセスの正確な制御に依存する。
【0055】
このプロセスは、ゲルビーズを分散媒体、例えば、シリコーン油から除去することをさらに含む。ゲルビーズは、分散媒体か濾過され、次いで流体、例えば、エタノール、メタノール、イソプロパノール、またはより高いアルコールなどのアルコールで洗浄されるか、またはすすがれる。すすぎ液に関する基本的な要件は、ゲルと化学的に反応しない間に、油(または他の分散媒体)を除去することができることである。過剰な量のシリコーン油を除去した後、ゲルビーズは、以下でより詳細に考察されるように、エージングのために溶媒に入れることができる。例えば、ゲルビーズは、エタノール中でエージングさせることができる。ゲルビーズは、本明細書で考察されるように、超臨界流体乾燥方法を使用する間質溶媒除去に適している。それらはまた、周囲条件において乾燥させて、キセロゲルを作製することもできる。乾燥ゲルビーズ、例えば、エアロゲルまたはキセロゲルビーズは、以下でより詳細に考察されるように、熱処理及び炭化に適している。例示的な実施形態では、ゲルビーズは、実質的に球形である。
【0056】
上で考察されたように、ゲル化の前に、ゾル混合物を、媒体、例えば、シリコーン油または鉱油などの分散媒体と高せん断または低せん断で組み合わせて、ゲルビーズを形成する。分散媒体中のゾル混合物からゲルビーズを提供するための混合の例示的な実施形態は、磁気撹拌(最大約600rpm)、機械的混合(最大約800rpm)及び均質化(最大約9000rpm)を含む。いくつかの実施形態では、追加の溶媒、例えば、エタノールを、ゲル化後のビーズ及び分散媒体の混合物に添加して、より小さいビーズを生成し、大きいクラスターのビーズの凝集を低減させることができる。
【0057】
ゲル形成成分をゲル材料に遷移させるプロセスはまた、液相抽出前のエージングステップ(硬化とも称される)を含むことができる。ゲル点に到達した後にゲル材料をエージングさせることは、網目内の架橋の数を増加させることによって、ゲル骨格をさらに強化することができる。ゲルエージングの持続時間は、得られるエアロゲル材料内の様々な特性を制御するために調節することができる。このエージング手順は、液相抽出中の潜在的な体積損失及び収縮を防止することに有用であり得る。エージングは、ゲルを(抽出前に)長期間静止状態に維持すること、ゲルを高温に維持すること、架橋促進化合物を添加すること、またはこれらの任意の組み合わせを伴うことができる。エージングのための好ましい温度は、多くの場合、約10℃~約200℃である。ゲル材料のエージングは、典型的には、湿式ゲル材料の液相抽出まで続く。
【0058】
ゲル形成材料をゲル材料に遷移させるための期間は、初期ゲル形成の期間(ゲル化の開始からゲル点まで)、ならびに液相抽出前のゲル材料の任意の後続の硬化及びエージングの期間(ゲル点から液相抽出の開始まで)の両方を含む。ゲル形成材料をゲル材料に遷移させるための合計期間は、典型的には、約1分~数日、好ましくは、約30時間以下、約24時間以下、約15時間以下、約10時間以下、約6時間以下、約4時間以下、約2時間以下、約1時間以下、約30分以下、または約15分以下である。
【0059】
得られたゲル材料は、好適な二次溶媒中で洗浄されて、湿潤ゲル中に存在する一次反応溶媒を置き換えることができる。かかる二次溶媒は、1つ以上の脂肪族炭素原子を有する直鎖一価アルコール、2つ以上の炭素原子を有する二価アルコール、分枝アルコール、環状アルコール、脂環式アルコール、芳香族アルコール、多価アルコール、エーテル、ケトン、環状エーテル、またはそれらの誘導体であり得る。
【0060】
分散媒体からゲルビーズを除去した後、ゲルビーズは、エージング及びすすぎのプロセスを受けることができる。例示的な実施形態では、第1のステップは、低真空濾過下で、例えば、エタノール、またはヘキサンもしくはオクタンなどの炭化水素溶媒でビーズゲルをすすぐことを含む。第2のステップは、約50℃~70℃の範囲内の温度において、約24~48時間、ビーズゲルを溶媒、例えば、エタノール中でエージングすることを含むことができる。エージング流体浴は、エージング期間中に変化させて、未反応の化合物を除去し、ゾルゲル溶媒、例えば、DMACをエージング溶媒、例えば、エタノールで置換することができる。
【0061】
一度ゲル材料が形成され、処理されると、ゲルの液相は、次いで、処理及び抽出技術を含む抽出方法を使用して、湿式ゲルから少なくとも部分的に抽出されて、エアロゲル材料を形成することができる。液相抽出は、他の因子の中でも、多孔率及び密度などのエアロゲルの特性、ならびに熱伝導率などの関連特性を設計する上での重要な役割を果たす。概して、エアロゲルは、湿潤ゲルの多孔質網目及び骨格への低収縮を引き起こす様式で、液相がゲルから抽出されたときに得ることができる。
【0062】
エアロゲルは、一般に、液体移動相の臨界点近くまたはそれを上回る温度及び圧力で、液体移動相をゲル材料から除去することによって形成される。一度臨界点に達する(近臨界)または超過する(超臨界)(すなわち、システムの圧力及び温度が、それぞれ臨界圧力及び臨界温度よりも高い)と、液体または蒸気相とは別個の新しい超臨界相が流体中に現れる。次いで、溶媒は、液体-蒸気界面、毛細管圧力、または典型的に液体-蒸気境界と関連する任意の関連質量移動制限を導入することなく除去することができる。追加的に、超臨界相は、概して、有機溶媒とより混和性であり、それゆえ、より良好な抽出のための容量を有する。共溶媒及び溶媒交換もまた、一般的に、超臨界流体乾燥プロセスを最適化するために使用される。
【0063】
蒸発または抽出が超臨界点を下回って発生する場合、液体蒸発によって生成される毛細管力は、ゲル材料内で収縮及び細孔崩壊を引き起こす可能性がある。溶媒抽出プロセス中に移動相を臨界圧力及び温度の近くまたはそれを上回って維持することは、かかる毛細管力の負の影響を低減する。本開示のある特定の実施形態では、溶媒システムの臨界点のすぐ下の近臨界点条件を使用することは、十分に低い収縮を有するエアロゲル材料または組成物の生成を可能にし得、それゆえ商業的に有望な最終生成物を生成する。
【0064】
エージングステップの後、ゲルビーズは、典型的には、湿式ゲル凝集体としてクラスター化される。これらの凝集体は、例示的な実施形態では、エタノールなどの溶媒中で超音波処理によって分散される。例えば、プローブ音波発生器を使用して、凝集したビーズを分散させることができる。ある特定の実施形態では、デカンティングステップを用いて、超音波処理後にビーズ懸濁液の上部から微細で非沈殿性のビーズを除去することができる。次いで、残りのビーズ懸濁液は、より多くのエタノールで希釈され、再び超音波処理され得る。超音波処理、デカンティング、及び希釈のステップは、ゲルビーズのほとんどが分散されるまで繰り返すことができる。次いで、分散ビーズは、濾過されて、ゲルビーズの湿式ケーキを生じさせることができる。次いで、ゲルビーズの湿式ケーキは、本明細書に開示される実施形態に従って乾燥される。
【0065】
本明細書において考察されるように、湿式ゲルは、エアロゲル材料を提供するために様々な技術を使用して乾燥され得る。例示的な実施形態では、ゲルビーズ材料は、周囲圧力、亜臨界条件、または超臨界条件において乾燥され得る。
【0066】
室温及び高温プロセスの両方を使用して、周囲圧力でビーズを乾燥させることができる。いくつかの実施形態では、湿式ゲルビーズが薄層中に広がり、開放容器内の空気に、ビーズから溶媒を除去するのに十分な期間、例えば、24~36時間の範囲内の期間曝露される、緩やかな周囲圧力乾燥プロセスを使用することができる。ビーズ層の厚さは、約5mm~約15mmの範囲内であり得る。ビーズは、任意選択的に、乾燥プロセス中にビーズがともに融合することを防止するために、乾燥プロセス中に手動で撹拌されるか、または綿毛状にすることができる。
【0067】
流動床法はまた、ゲルの周囲温度乾燥に対して使用することができる。例示的な実施形態では、フリットブフナー漏斗を濾過フラスコの上部に固定し、湿式ケーキまたはゲルスラリーをフリット上に設置し、漏斗の上部をKimwipeティッシュペーパで覆い、濾過フラスコの入口につながれた圧縮空気をフリットの細孔を通して収容する。ビーズは、溶媒が除去されるまで流動化床内に維持される。次いで、乾燥粉末材料を漏斗から回収することができる。
【0068】
別の実施形態では、ゲルビーズは、加熱することによって乾燥される。例えば、ゲルビーズは、対流オーブン内で加熱することができる。別の例では、ゲルビーズを層内に広げて、ホットプレート上に配置することができる。ホットプレートは、約100℃の温度であってもよく、ビーズは、約2~約5分の範囲内の期間で加熱されて、エタノールのほとんどを蒸発させることができる。部分的に乾燥させた後、ビーズを周囲温度で放置して、約6時間~約12時間の範囲内の期間で完全に乾燥させることができる。理論に拘束されることなく、揮発性溶媒は、溶媒がゲルビーズ材料を急速に離れる際、流動化剤またはセパレータとして作用することができ、これは、ビーズ凝集の低減をもたらす。
【0069】
周囲条件において乾燥させたポリイミドゲルビーズは、キセロゲルビーズと称され得る。標的密度が約0.05g/ccの例示的なポリイミドキセロゲルは、約0.00m2/g~約1.5m2/gの範囲内、例えば、約0.10m2/g~約1.10m2/g、約0.10m2/g~約1.00m2/g、約0.10m2/g~約0.50m2/g、または約0.10m2/g~約0.20m2/gの範囲内の表面積を有する。
【0070】
超臨界乾燥及び亜臨界乾燥の両方が、ビーズを乾燥するために使用され得る。超臨界乾燥の例示的な実施形態では、ビーズを、乾燥ビーズのサイズよりも小さい細孔、例えば、5ミクロンの細孔を有する多孔質容器内で濾過され、収集され、固定される。次いで、ビーズを有する容器は、超臨界CO2で溶媒を抽出するための高圧器に入れることができる。溶媒、例えば、エタノールの除去後、器は、CO2の臨界点の上に、例えば、約30分間保持することができる。超臨界乾燥後、容器は、大気圧まで減圧される。
【0071】
亜臨界乾燥の例示的な実施形態では、ゲルビーズは、室温で約800psi~約1200psiの範囲内の圧力で液体CO2を使用して乾燥される。この操作は、超臨界乾燥よりも速く、例えば、エタノールは、約15分で抽出することができる。本開示の文脈において、亜臨界乾燥を使用して乾燥されたビーズは、エアロゲル様と称される。
【0072】
いくつかの追加のエアロゲル抽出技術は、乾燥エアロゲル内の超臨界流体の使用における様々な異なるアプローチ、ならびに周囲乾燥技術を含み、当該技術分野で既知である。例えば、Kistler(J.Phys.Chem.(1932)36:52-64)は、ゲル溶媒がその臨界圧力及び温度を上回って維持され、それによって蒸発毛細管力を低減させ、ゲル網目の構造的完全性を維持する、単純な超臨界抽出プロセスを説明する。米国特許第4,610,863号は、ゲル溶媒が、液体二酸化炭素と交換され、その後、二酸化炭素が超臨界状態にある条件で抽出される抽出プロセスを説明する。米国特許第6,670,402号は、(液体ではなく)超臨界二酸化炭素を、実質的に超臨界条件以上に予備加熱及び予備加圧された抽出器に注入することによって、急速な溶媒交換を介してゲルから液相を抽出し、それによってエアロゲルを生成することを教示する。米国特許第5,962,539号は、有機溶媒を、ポリマー分解の温度を下回る臨界温度を有する流体と交換し、流体/ゾルゲルを超臨界抽出することによって、有機溶媒中のゾルゲルの形態であるポリマー材料からエアロゲルを得るためのプロセスを説明する。米国特許第6,315,971号は、ゲル固体及び乾燥剤を含む湿式ゲルを乾燥させて、乾燥中のゲルの収縮を低減させるために十分な乾燥条件下で、乾燥剤を除去することを含む、ゲル組成物を生成するためのプロセスを開示する。米国特許第5,420,168号は、レゾルシノール/ホルムアルデヒドエアロゲルを、単純な空気乾燥手順を使用して製造することができるプロセスを説明する。米国特許第5,565,142号は、ゲル表面が、周囲乾燥または亜臨界抽出中にゲル骨格及び細孔が崩壊に耐えることができるように、より強く、より疎水性であるように改質される乾燥技術を説明する。エアロゲル材料から液相を抽出する他の例は、米国特許第5,275,796号及び同第5,395,805号において見出され得る。
【0073】
湿潤ゲルから液相を抽出する1つの好ましい実施形態は、二酸化炭素の超臨界条件を使用し、例えば、第1にゲルの細孔網目中に存在する一次溶媒を液体二酸化炭素と実質的に交換することと、次いで、湿潤ゲルを二酸化炭素の臨界温度(約31.06℃)を超えて(典型的には、オートクレーブ内で)加熱することと、システムの圧力を二酸化炭素の臨界圧力(約1070psig)よりも大きい圧力に増加させることとを含む。ゲル材料の周りの圧力は、ゲルからの超臨界二酸化炭素流体の除去を容易にするために、わずかに変動させることができる。二酸化炭素は、抽出システムを通して再循環させて、一次溶媒を湿式ゲルから連続的に除去することを容易にすることができる。最後に、温度及び圧力を、ゆっくりと周囲条件に戻して、乾燥エアロゲル材料を生成する。二酸化炭素はまた、抽出チャンバに注入される前に、超臨界状態に前処理され得る。他の実施形態では、抽出は、任意の好適なメカニズム、例えば、上で考察された圧力、タイミング、及び溶媒を変更することを使用して実施され得る。
【0074】
本開示のある特定の実施形態では、乾燥ポリイミドエアロゲル組成物は、3時間以上、10秒~3時間、10秒~2時間、10秒~1時間、10秒~45分、10秒~30分、10秒~15分、10秒~5分、10秒~1分、1分~3時間、1分~1時間、1分~45分、1分~30分、1分~15分、1分~5分、10分~3時間、10分~1時間、10分~45分、10分~30分、10分~15分、30分~3時間、30分~1時間、30分~45分、45分~3時間、45分~90分、45分~60分、1時間~3時間、1時間~2時間、1時間~90分、またはこれらの値のうちのいずれか2つの間の範囲内である持続時間にわたって1つ以上の熱処理を受けることができる。
【0075】
ある特定の実施形態では、本技術は、炭素エアロゲルなどのナノ多孔質炭素系足場または構造を、エネルギー貯蔵デバイス内の電極材料として、例えば、LIB内の一次アノード材料として、形成及び使用することを伴う。ナノ多孔質足場の細孔は、例えば、シリコン(もしくは他の電気化学的に活性な種、メタロイド、または金属)及びLIBにおけるリチウム化時のかかる材料の膨張を収容するように設計、構成、及び構造化される。代替的に、ナノ多孔質足場の細孔は、硫化物、水素化物、任意の好適なポリマー、または他の添加剤で充填され得、この場合、添加剤を導電性材料(すなわち、足場/エアロゲル)と接触させて、より効果的な電極を提供することに利益がある。
【0076】
LIB内の例示的な用途についてさらに詳しく説明するために、ナノ多孔質炭素系足場、例えば、炭素エアロゲル材料が、本発明のある特定の実施形態のように一次アノード材料として利用されるとき、ナノ多孔質構造は、狭い細孔径分布を有し、高い重量パーセンテージのシリコン及びその膨張を収容するための高い導電性、高い機械的強度、ならびに(最終密度における)形態及び十分な細孔体積を提供する。構造的に、現在の技術の炭素系足場のある特定の実施形態は、他の特性の中で、前述の狭い細孔径分布、高細孔体積、及び増強された結合性を生成するストラットサイズを有するフィブリル状形態によって提供されるナノ多孔質構造を有する。
【0077】
追加のまたは代替的な実施形態では、炭素エアロゲル自体は、その導電性及び機械的強度に起因して集電体として機能し、それゆえ好ましい実施形態では、(アノードが炭素エアロゲルから形成されるときに)アノード側の別個の集電体の必要性を排除する。従来のLIBでは、銅箔は、その集電体としてアノードに結合されることに留意されたい。しかしながら、炭素エアロゲルの適用に応じて、これらの構成要素の一方または両方を除去することは、より多くの電極材料のための追加の空間を誘導し、セル/個々の電極のさらに大きい容量、及びパッケージ化された電池システムの全体的により大きいエネルギー密度をもたらす。しかしながら、ある特定の実施形態では、既存の集電体は、銅またはアルミ箔の集電能力または容量を増強するために、様々な他の実施形態のアノード材料と統合され得る。
【0078】
ある特定の実施形態では、ナノ多孔質炭素系足場または構造、及び具体的には、炭素エアロゲルは、エネルギー貯蔵デバイスのアノード側における導電性網目または集電体として使用することができる。完全に相互接続された炭素エアロゲル網目は、電気化学的に活性な種で充填され、電気化学的に活性な種は、炭素網目に直接接触するか、または物理的に接続される。電気化学的に活性な種の投入は、高く安定した容量及び改善されたエネルギー貯蔵デバイスの安全性のために、細孔体積及び多孔率に関して調整される。アノード側において利用されるとき、電気化学的に活性な種は、例えば、シリコン、黒鉛、リチウム、または他の半金属もしくは金属を含み得る。さらに別の実施形態では、アノードは、ナノ多孔質炭素系足場または構造、及び具体的には、炭素エアロゲルを含み得る。
【0079】
本開示の文脈内では、「コレクタレス」という用語は、電極に直接接続された別個の集電体の不在を表す。前述のように、従来のLIBでは、銅箔は、典型的には、その集電体としてアノードに結合される。本発明の実施形態によれば、ナノ多孔質炭素系足場または構造(例えば、炭素エアロゲル)から形成される電極は、足場または構造自体がその高い導電性に起因して集電体として機能するため、独立した構造であるか、または別様にコレクタレスである能力を有することができる。電気化学セル内では、コレクタレス電極は、連続多孔質炭素を作製する溶液ステップ中に固体、メッシュ、織りタブを埋め込むことによって、または多孔質炭素表面の一部分上にリード線をはんだ付け、溶接、または金属堆積させることによって、回路を形成するために接続され得る。炭素をシステムの残りの部分に接触させる他のメカニズムも、同様に本明細書で企図される。代替的な実施形態では、ナノ多孔質炭素系足場または構造、及び具体的には炭素エアロゲルは、専用の集電基板(例えば、銅箔、アルミ箔など)上に配設され得るか、または別様に専用の集電基板と連通し得る。このシナリオでは、炭素エアロゲルは、導電性接着剤を使用して固体集電体に取設され、様々な量の圧力で適用され得る。
【0080】
さらに、本明細書では、ナノ多孔質炭素系足場または構造、具体的には、炭素エアロゲルは、モノリシック構造の形態をとることができることが企図される。本質的にモノリシックなとき、炭素エアロゲルは、任意の結合剤の必要性を排除する、換言すると、アノードは、結合剤レスであり得る。本明細書で使用される際、「モノリシック」という用語は、エアロゲル材料または組成物中に含まれるエアロゲルの大部分(重量)が、単一の、連続的な、相互接続されたエアロゲルナノ構造の形態であるエアロゲル材料を表す。モノリシックなエアロゲル材料は、最初に単一の相互接続されたゲルまたはエアロゲルナノ構造を有するように形成されるが、その後、ひび割れ、破砕、または非単一エアロゲルナノ構造に分割され得るエアロゲル材料を含む。モノリシックエアロゲルは、自立構造または強化(フィブリル状または発泡体)材料の形態をとり得る。対照的に、一例としてシリコンリチウム化を使用すると、モノリシックエアロゲルに組み込まれたシリコンは、従来のプロセスを使用してスラリーに組み込まれた同じ量のシリコンと比較して、理論容量に対してより効果的に利用することができる(
図2を参照)。
【0081】
モノリシックエアロゲル材料は、微粒子状エアロゲル材料とは区別される。「微粒子状エアロゲル材料」という用語は、エアロゲル材料中に含まれるエアロゲルの大部分(重量)が、微粒子、粒子、顆粒、ビーズ、または粉末の形態であり、これらは、ともに(すなわち、ポリマー結合剤などの結合剤を介して)組み合わされ得るか、またはともに圧縮され得るが、個々の粒子間に相互接続されたエアロゲルナノ構造を欠くエアロゲル材料を表す。集合的に、この形態のエアロゲル材料は、(モノリシック形態とは対照的に)粉末状または微粒子形態を有するものと称される。単一構造を有する粉末の個々の粒子にもかかわらず、個々の粒子は、本明細書においてモノリスとみなされないことに留意されたい。エアロゲル粉末の電気化学セルへの統合は、典型的には、粉末からのペーストまたはスラリーの調製、基材上への成型及び乾燥であり、任意選択的に、カレンダ処理を含み得る。
【0082】
微粒子状エアロゲル材料、例えば、エアロゲルビーズは、特定の利点を提供する。例えば、本明細書に開示される実施形態による微粒子状材料は、LIBアノード及びアノード製造プロセスにおける黒鉛などの他の材料の直接的な代替物として使用することができる。本明細書に開示された実施形態による微粒子状材料はまた、微粒子状材料内の拡散経路が短くなることに起因して、改善されたリチウムイオン拡散速度を提供することができる。本明細書に開示される実施形態による微粒子状材料はまた、例えば、粒径及びパッキング配置を調整することによって、パッキング密度が最適化された電極を可能にすることができる。本明細書に開示される実施形態による微粒子状材料はまた、粒子間及び粒子内多孔性に起因するシリコンへの改善されたアクセスを提供することができる。
【0083】
本開示の文脈内では、「結合剤レス」または「結合剤なし」(もしくはその誘導体)という用語は、その材料をともに保持するための結合剤または接着剤を実質的に含まない材料を表す。例えば、モノリシックナノ多孔質炭素材料は、その骨格が単一の連続した相互接続構造として形成されるため、結合剤を含まない。結合剤レスであることの利点は、導電性及び細孔体積などにおける結合剤の任意の影響を回避することを含む。他方で、エアロゲル粒子は、より大きい機能性材料を形成するために結合剤をともに保持する必要があり、かかるより大きい材料は、本明細書においてモノリスであるとは企図されない。加えて、この「結合剤を含まない」という専門用語は、結合剤の全ての使用を排除するものではない。例えば、本発明によるモノリシックエアロゲルは、結合剤または接着剤をエアロゲル材料の主表面上に配設することによって、別のモノリシックエアロゲルまたは非エアロゲル材料に固定され得る。このようにして、結合剤は、積層複合体を創出するために使用されるが、結合剤は、モノリシックエアロゲル骨格自体の安定性を維持する機能を有しない。
【0084】
さらに、本開示のモノリシックポリマーエアロゲル材料または組成物は、エアロゲルを高密度化、かつ多孔率を最小限に低減しながら、エアロゲル骨格の著しい破断または破砕なしに最大95%のひずみを圧縮することができる。ある特定の実施形態では、圧縮高分子エアロゲル材料または組成物は、その後、本明細書に記載される様々な方法を使用して炭化されて、ナノ多孔質炭素材料を形成する。この明細書が継続するにつれて明確になるはずであるが、圧縮量が得られる炭素材料の厚さに影響を及ぼし、厚さが、容量において影響を有することを理解されたい。以下に説明される実施例は、本開示によって形成され、企図される変化する厚さを例解し、厚さは、圧縮に基づいて、調節可能である。このように、複合体(典型的には、圧縮された)の厚さは、最終的な複合体に必要な利点に基づいて、約10~1000マイクロメートル、またはその中の任意のより狭い範囲であり得る。本発明はまた、結合剤が必要とされ、粒径が最適化される炭素エアロゲルの粉末または粒子形態を企図する。粒径の範囲は、約1~50マイクロメートルであり得る。
【0085】
炭素エアロゲルなどのナノ多孔質炭素は、本開示により、任意の好適な有機前駆体材料から形成することができる。かかる材料の例としては、限定されるものではないが、RF、PF、PI、ポリアミド、ポリアクリレート、ポリメチルメタクリレート、アクリレートオリゴマー、ポリオキシアルキレン、ポリウレタン、ポリフェノール、ポリブタジアン、トリアルコキシシリル末端ポリジメチルシロキサン、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、ポリフルフラール、メラミン-ホルムアルデヒド、クレゾールホルムデヒド、フェノール-フルフラール、ポリエーテル、ポリオール、ポリイソシアネート、ポリヒドロキシベンゼ、ポリビニルアルコールジアルデヒド、ポリシアヌレート、ポリアクリルアミド、様々なエポキシ、アガー、アガロース、キトサン、ならびにこれらの組み合わせ及び誘導体が挙げられる。これらの材料の任意の前駆体を使用して、得られた材料を創出及び使用することができる。例えば、炭素エアロゲルなどのナノ多孔質炭素は、合成ポリマーまたはバイオポリマー前駆体材料から形成され得る。炭素エアロゲルを生成することに有用な合成ポリマーとしては、フェノール樹脂、イソシアネートまたはアミンから形成されるポリマー(例えば、本明細書でより詳細に考察されるポリイミド組成物)、ポリオレフィン、及び導電性ポリマーが挙げられる。炭素エアロゲルの生成に好適なフェノール樹脂としては、フェノール-ホルムアルデヒド(PF)、レゾルシノール-ホルムアルデヒド(RF)、ポリ尿素架橋RF、ホロログルシノール-ホルムアルデヒド(FPOL)、クレゾール-ホルムアルデヒド、フェノール-フルフラール、レゾルシノール-フルフラール、フロログルシノール-フルフラール(PF)、フロログルシノール-テレフタルデヒド(TPOL)、ポリベンゾキサジン(PBO)、及びメラミン-ホルムアルデヒド(MF)が挙げられる。炭素エアロゲルの生成に好適なイソシアネート及びアミンは、ポリウレタン(PU)、ポリ尿素(PUA)、ポリイミド(PI)、及びポリアミド(PA)を含むことができる。炭素エアロゲルの生成に好適なポリオレフィンとしては、ポリジシクロペンタジエン(PDCPD)及びポリアクリロニトリル(PAN)が挙げられる。炭素エアロゲルの生成に好適な導電性ポリマーとしては、ポリピロール(PPY)が挙げられる。ベンズイミダゾールは、炭素エアロゲルを生成するために使用することもできる。多糖類及びタンパク質などのバイオポリマーはまた、炭素エアロゲルを生成するために使用することができる。例えば、炭素エアロゲルの生成に有用な好適な多糖類としては、セルロース、キチン、キトサン、デンプン、ペクチン、アルギン酸が挙げられる。炭素エアロゲルはまた、炭素ナノチューブ(CNT)またはグラフェンなどの炭素アロトロープから生成することもできる。
【0086】
例示的な実施形態では、炭素エアロゲルは、熱分解/炭化ポリイミド系のエアロゲル、すなわち、ポリイミドの重合から形成される。さらにより具体的には、ポリイミド系エアロゲルは、例えば、ポリ(アミック)酸のイミド化及び超臨界流体を使用して得られるゲルを乾燥させることによって、Rhineらの米国特許第7,071,287号及び同第7,074,880号に説明される1つ以上の方法論を使用して生成することができる。ポリイミドエアロゲル(及びそこから誘導される炭素エアロゲル)を生成する他の適切な方法は、例えば、Suzukiらの米国特許第6,399,669号、Leventisらの米国特許第9,745,198号、Leventis et al.,Polyimide Aerogels by Ring-Opening Metathesis Polymerization(ROMP),Chem.Mater.2011,23,8,2250-2261、Leventis et al.,Isocyanate-Derived Organic Aerogels:Polyureas,Polyimides,Polyamides,MRS Proceedings,1306(2011),Mrsfl0-1306-bb03-01.doi:10.1557/opl.2011.90、Chidambareswarapattar et al.,One-step room-temperature synthesis of fibrous polyimide aerogels from anhydrides and isocyanates and conversion to isomorphic carbons,J.Mater.Chem.,2010,20,9666-9678、Guo et al.,Polyimide Aerogels Cross-Linked through Amine Functionalized Polyoligomeric Silsesquioxane,ACS Appl.Mater.Interfaces 2011,3,546-552、Nguyen et al.,Development of High Temperature,Flexible Polyimide Aerogels,American Chemical Society,proceedings published 2011、Meador et al.,Mechanically Strong,Flexible Polyimide Aerogels Cross-Linked with Aromatic Triamine,ACS Appl.Mater.Interfaces,2012,4(2),pp536-544、Meador et al.,Polyimide Aerogels with Amide Cross-Links:A Low Cost Alternative for Mechanically Strong Polymer Aerogels,ACS Appl.Mater.Interfaces 2015,7,1240-1249、Pei et al.,Preparation and Characterization of Highly Cross-Linked Polyimide Aerogels Based on Polyimide Containing Trimethoxysilane Side Groups,Langmuir 2014,30,13375-13383に説明されるように、同様に本明細書で企図される。次いで、得られたポリイミドエアロゲルを、熱分解して、ポリイミドから誘導された炭素エアロゲルを形成する。
【0087】
本開示の例示的な実施形態による炭素エアロゲル、例えば、ポリイミドから誘導された炭素エアロゲルは、少なくとも約4重量%の残留窒素含有量を有することができる。例えば、本明細書において開示された実施形態による炭素エアロゲルは、少なくとも約0.1重量%、少なくとも約0.5重量%、少なくとも約1重量%、少なくとも約2重量%、少なくとも約3重量%、少なくとも約4重量%、少なくとも約5重量%、少なくとも約6重量%、少なくとも約7重量%、少なくとも約8重量%、少なくとも約9重量%、少なくとも約10重量%、またはこれらの値のうちのいずれか2つの間の範囲内にある残留窒素含有量を有することができる。
【0088】
本開示のある特定の実施形態では、乾燥したポリマーエアロゲル組成物、例えば、ビーズ組成物は、有機(例えば、ポリイミド)エアロゲルの炭化のために、200℃以上、400℃以上、600℃以上、800℃以上、1000℃以上、1200℃以上、1400℃以上、1600℃以上、1800℃以上、2000℃以上、2200℃以上、2400℃以上、2600℃以上、2800℃以上、またはこれらの値のうちの任意の2つの範囲内の処理温度に供することができる。理論に拘束されることなく、エアロゲル組成物の導電率が炭化温度とともに増加することが本明細書において企図される。
【0089】
本開示のある特定の実施形態では、炭素エアロゲル組成物、例えば、微粒子状炭素ビーズ組成物は、約1マイクロメートル、約2マイクロメートル、約3マイクロメートル、約4マイクロメートル、約5マイクロメートル、約6マイクロメートル、約7マイクロメートル、約8マイクロメートル、約9マイクロメートル、約10マイクロメートル、約15マイクロメートル、約20マイクロメートル、約25マイクロメートル、約30マイクロメートル、約35マイクロメートル、約40マイクロメートル、約45マイクロメートル、約50マイクロメートル、またはこれらの値のうちの任意の2つの範囲内の粒径を有することができる。例示的な実施形態では、炭素エアロゲル組成物、例えば、微粒子状炭素ビーズ組成物は、約5マイクロメートル~約10マイクロメートルの範囲内の粒径を有し得る。
【0090】
本開示の文脈内では、「導電性」という用語は、材料が電流を伝導させる、または内部を通る、または内部の電子の流れを可能にする能力の測定値を表す。導電性は、材料の単位サイズ当たりの材料の電気伝導率/感受率/許容値として具体的に測定される。典型的には、S/m(シーメンス/メートル)またはS/cm(シーメンス/センチメートル)として記録される。材料の導電性または抵抗率は、例えば、限定されるものではないが、In-line Four Point Resistivity(the Dual Configuration test method of ASTM F84-99を使用する)を含む、当該技術分野で既知の方法によって判定され得る。本開示の文脈内では、導電性の測定値は、別様に記載がない限り、電圧(V)を電流(I)で除算して測定することによって得られたASTM F84-抵抗(R)測定に従って取得される。ある特定の実施形態では、本開示のエアロゲル材料または組成物は、約10S/cm以上、20S/cm以上、30S/cm以上、40S/cm以上、50S/cm以上、60S/cm以上、70S/cm以上、80S/cm以上、またはこれらの値のうちの任意の2つの間の範囲内の導電性を有することができる。
【0091】
例示的な実施形態では、シリコン(または他の電気化学的に活性な種)は、本明細書に提供される足場材料の細孔内に創出されるか、浸透されるか、堆積されるか、または別様に形成される。いくつかの実施形態では、電気化学改質剤、例えば、シリコンは、炭素エアロゲルまたはキセロゲルなどの炭素系骨格材料の細孔内に創出することができる。いくつかの実施形態では、電気化学改質剤、例えば、シリコンは、セルロース系、多糖系、樹脂系(例えば、RF)、ポリイミド系、ポリ尿素系、ポリウレタン系、またはポリ(ビニルアルコール)系エアロゲルまたはエアロゲル様材料などの炭素系足場材料に対する前駆体材料の細孔内に創出され得る。エアロゲル及び炭素エアロゲルの様々な例は、参照により全体が本明細書に組み込まれる、Zuo,Lizeng et al.“Polymer/Carbon-Based Hybrid Aerogels:Preparation,Properties and Applications.“Materials(Basel,Switzerland)vol.8,10 6806-6848.9 Oct.2015,において考察される。
【0092】
理論に拘束されることなく、本明細書に提供されるナノ多孔質構造のフィブリル状形態は、機械的安定性/強度、導電性、表面積、及び細孔構造を提供することなど、微粒子形態または従来の多孔質形態よりも特定の利点を提供することができ、それらの各々が、単独でまたは組み合わせて、得られる炭素-シリコン複合体の特性を増強することができると考えられる。例えば、本明細書に提供されるナノ多孔質構造のフィブリル状形態は、シリコンが(または他の電気化学的に活性な種が)本明細書に提供される足場材料の細孔内に創出されるか、浸透されるか、堆積されるか、または別様に形成される方法に関して特に有益である。
【0093】
例示的な実施形態では、シリコン(または他の電気化学的に活性な種)は、化学気相堆積(CVD)または化学気相浸透(CVI)などのプロセスを介してシリコン堆積/浸透を実現するために、材料を高温に供し、シリコン含有ガス、好ましくは、シランの存在下に置くことによって、ナノ多孔質炭素系足場材料(またはナノ多孔質炭素系足場材料への前駆体物質)の細孔内で創出される。いくつかの実施形態では、シリコン及び他の電気化学的に活性な種は、同時に、または代替的に、連続して、共堆積されるか、または共浸透され得る。例えば、シリコン及びスズは、同時に、または代替的に、連続的に、足場材料に堆積されるか、または浸透され得る。別の例では、シリコン及びゲルマニウム、またはシリコン及びゲルマニウム合金は、同時に、または代替的に、連続的に、足場材料に堆積されるか、または浸透され得る。他の例では、他のシリコン金属複合材料は、同時に、または代替的に、連続的に、足場材料に共堆積されるか、または共浸透され得る。
【0094】
シランガスは、他の不活性ガス、例えば、窒素ガスと混合することができる。処理の温度及び時間は変化し得、例えば、温度は、300~400℃、例えば、400~500℃、例えば、500~600℃、例えば、600~700℃、例えば、700~800℃、例えば、800~900℃であり得る。ガスの混合物は、0.1~1%のシラン及び残りの不活性ガスを含むことができる。代替的に、ガスの混合物は、1%~10%のシラン及び残りの不活性ガスを含むことができる。代替的に、ガスの混合物は、10%~20%のシラン及び残りの不活性ガスを含むことができる。代替的に、ガスの混合物は、20%~50%のシラン及び残りの不活性ガスを含むことができる。代替的に、ガスの混合物は、50%を上回るシラン及び残りの不活性ガスを含むことができる。代替的に、ガスは、本質的に100%シランガスであり得る。CVDプロセスが実行される反応器は、例えば、流動床反応器、静的床反応器、エレベータキルン、回転キルン、ボックスキルン、または他の好適な反応器タイプの当技術分野で既知の様々な設計に従う。反応器材料は、当該技術分野で既知のこのタスクに好適である。好ましい実施形態では、ナノ多孔質炭素系足場材料は、気相への均一なアクセスを提供する条件、例えば、ナノ多孔質炭素系足場材料の粒子が流動化されるか、または別様に撹拌されて、当該均一なガスアクセスを提供する反応器の下で処理される。
【0095】
いくつかの実施形態では、CVDプロセスは、プラズマ増強化学気相堆積(PECVD)プロセスである。このプロセスは、基材上でガス状態(蒸気)から固体状態に薄膜を堆積させるための有用性を提供するために当該技術分野で既知である。化学反応は、反応ガスのプラズマの創出後に発生するプロセスに関与する。プラズマは、概して、2つの電極間のRF(AC)周波数またはDC放電によって創出され、その間の空間は、反応ガスで充填される。ある特定の実施形態では、PECVDプロセスは、目的に好適な基材、例えば、銅箔基材上にコーティングされた多孔質炭素のために利用される。PECVDは、様々な温度、例えば、300~800℃、例えば、300~600℃、例えば、300~500℃、例えば、300~400℃、例えば、350℃で実行され得る。電力は、例えば、25WのRFを変化させることができ、処理に必要なシランガスの流れを変化させることができ、処理時間は、当該技術分野で既知のように変化させることができる。
【0096】
プロセスに関係なく、ナノ多孔質炭素系骨格材料(またはナノ多孔質炭素系骨格材料への前駆体材料)に含浸されるシリコン(または他の電気化学的に活性な種)は、エネルギー貯蔵材料としての有用性に最適な特定の特性を有することが想定される。例えば、シリコン(または他の電気化学的に活性な種)のサイズ及び形状は、理論に拘束されないが、ナノ多孔質炭素系足場材料内の細孔体積の範囲及び性質に一致することに応じて変化させることができる。例えば、シリコンは、CVD、CVI、または他の適切なプロセスによって、狭い細孔径分布、すなわち、約50nm以下、45nm以下、40nm以下、35nm以下、30nm以下、25nm以下、20nm以下、15nm以下、10nm以下、5nm以下、またはこれらの値のうちの任意の2つの間の範囲内の細孔径分布(半値全幅)を含む材料を有する、ナノ多孔質炭素系足場材料またはその前駆体内の細孔に含浸、堆積させることができる。いくつかの実施形態では、シリコンは、CVD、CVI、または他の適切なプロセスによって、ナノ多孔質炭素系足場材料またはその前駆体内の細孔、すなわち、約2:1の細孔径分布チャート内の主要なピークの細孔径対半値全幅の比を有する材料に含浸、堆積させることができる。例えば、ナノ多孔質炭素系足場材料またはその前駆体は、約2ナノメートル~約50ナノメートルの範囲内の細孔径分布チャート内における主要なピーク、及び約25nm~約1nmの範囲内における半値全幅を有する。ミクロ細孔、メソ細孔、またはマクロ細孔のいずれであれ、部分的な細孔体積に関する他の範囲の細孔径もまた、本開示内の他の箇所で説明されるように想定される。
【0097】
シリコン中の酸素含有量は、50%未満、例えば、30%未満、例えば、20%未満、例えば、15%未満、例えば、10%未満、例えば、5%未満、例えば、1%未満、例えば、0.1%未満であり得る。ある特定の実施形態では、シリコン中の酸素含有量は、1~30%である。ある特定の実施形態では、シリコン中の酸素含有量は、1~20%である。ある特定の実施形態では、シリコン中の酸素含有量は、1~10%である。ある特定の実施形態では、多孔質シリコン材料中の酸素含有量は、5~10%である。
【0098】
シリコンが酸素を含有する、ある特定の実施形態では、酸素は、シリコンが一般式SiOxのシリコンとシリコン酸化物の混合物として存在するように組み込まれ、式中、Xは、非整数(実数)であり、0.01~2まで連続的に変化することができる。ある特定の実施形態では、ナノ特徴の多孔質シリコンの表面上に存在する酸素の一部は、粒子の内部と比較して高い。
【0099】
ある特定の実施形態では、シリコンは、結晶シリコンを含む。ある特定の実施形態では、シリコンは、多結晶シリコンを含む。ある特定の実施形態では、シリコンは、マイクロ多結晶シリコンを含む。ある特定の実施形態では、シリコンは、ナノ多結晶シリコンを含む。ある特定の他の実施形態では、シリコンは、非晶質シリコンを含む。
【0100】
CVD/CVIは、概して、炭素原子を含有する好適な堆積ガスの存在下で、ナノ多孔質炭素系足場材料またはその前駆体を一定期間、高温に供することによって達成される。この文脈における好適なガスとしては、限定されるものではないが、メタン、プロパン、ブタン、シクロヘキサン、エタン、プロピレン、及びアセチレンが挙げられる。温度は、例えば、350~1050℃、例えば、350~450℃、例えば、450~550℃、例えば、550~650℃、例えば、650~750℃、例えば、750~850℃、例えば、850~950℃、例えば、950~1050℃で変化させることができる。堆積時間は、例えば、0~5分間、例えば、5~15分間、例えば、15~30分間、例えば、30~60分間、例えば、60~120分間、例えば、120~240分間で変化させることができる。いくつかの実施形態では、堆積時間は240分を超える。ある特定の実施形態では、堆積ガスは、メタンであり、堆積温度は、950℃以上である。ある特定の実施形態では、堆積ガスは、プロパンであり、堆積温度は、750℃以下である。ある特定の実施形態では、堆積ガスは、シクロヘキサンであり、堆積温度は、800℃以上である。
【0101】
ある特定の実施形態では、ナノ多孔質炭素系足場材料の粒子を撹拌して、シリコン含浸させるために、反応器自体が撹拌され得る。例えば、含浸プロセスは、静的モードで実行され得、粒子は、撹拌されず、シリコン含有反応物は、コーティングされる粒子にわたり、その周囲に流れるか、または別様に接触する。他の例示的なモードでは、粒子は、流動化され得、例えば、シリコン含有反応物での含浸は、流動床反応器内で実行することができる。当該技術分野で既知であるように、限定されるものではないが、エレベータキルン、ローラハースキルン、回転キルン、ボックスキルン、及び修正された流動化床設計を含む、様々な異なる反応器設計が、この文脈で用いられ得る。本明細書において開示されるプロセスから生成される任意の余分なシリコンまたはスクラップシリコン、すなわち、ナノ多孔質炭素系足場材料内に堆積されないシリコンは、単離され、入力材料として再利用され得る。
【0102】
したがって、本開示は、複合炭素-シリコン材料の製造を提供し、炭素足場材料は、ナノ多孔質炭素系足場材料であり、シリコン含浸は、ナノ多孔質炭素系足場材料をシリコン含有反応物と接触させることによって実現される。
図1は、かかる方法の一例を例解する。例えば、プロセスは、以下、
a)ポリマー前駆体材料の混合物を提供するステップと、
b)混合物のイミド化を化学的または熱的に開始するステップと、
c)イミド化混合物を乾燥させて、多孔質ポリマー材料を生じさせるステップと、
d)多孔質ポリマー材料を炭化させて、ナノ多孔質炭素系足場材料を創出するステップと、
e)静的または撹拌された反応器内のシリコン含有反応物の存在下で、ナノ多孔質炭素系足場材料を高温に供し、シリコン含浸炭素材料をもたらすステップと、を伴い得る。
【0103】
別の実施形態では、本開示は、複合炭素-シリコン材料の製造を提供し、炭素足場材料は、ナノ多孔質炭素系足場材料であり、シリコン含浸は、シリコン含有反応物と接触することによって実現され、末端炭素コーティングは、複合体を炭素含有反応物と接触させることによって実現される。例えば、プロセスは、以下、
a)ポリマー前駆体材料の混合物を提供するステップと、
b)混合物のイミド化を化学的または熱的に開始するステップと、
c)イミド化混合物を乾燥させて、多孔質ポリマー材料を生じさせるステップと、
d)多孔質ポリマー材料を炭化させて、ナノ多孔質炭素系足場材料を創出するステップと、
e)静的または撹拌された反応器内のシリコン含有反応物の存在下で、ナノ多孔質炭素系足場材料を高温に供し、シリコン含浸炭素材料をもたらすステップと、
f)静的または撹拌された反応器内の炭素含有反応物の存在下で、シリコン含浸炭素材料を高温に供し、末端に炭素コーティングされた炭素-シリコン複合材料をもたらすステップと、を伴い得る。
【0104】
別の実施形態では、本開示は、複合炭素-シリコン材料の製造を提供し、炭素足場材料は、ナノ多孔質炭素系足場材料であり、シリコン含浸は、シリコン含有反応物と接触することによって実現され、末端導電性ポリマーコーティングは、複合体を導電性ポリマーと接触させること、及び任意選択的に材料を熱分解することによって実現される。例えば、プロセスは、以下、
a)ポリマー前駆体材料の混合物を提供するステップと、
b)混合物のイミド化を化学的または熱的に開始するステップと、
c)イミド化混合物を乾燥させて、多孔質ポリマー材料を生じさせるステップと、
d)多孔質ポリマー材料を炭化させて、ナノ多孔質炭素系足場材料を創出するステップと、
e)静的または撹拌された反応器内のシリコン含有反応物の存在下で、ナノ多孔質炭素系足場材料を高温に供し、シリコン含浸炭素材料をもたらすステップと、
f)静的または撹拌された反応器内の導電性ポリマーの存在下で、シリコン含浸炭素材料を高温に供し、末端に炭素コーティングされた炭素-シリコン複合材料をもたらすステップと、を伴い得、
g)(f)の材料は、任意選択的に熱分解され得る。
【0105】
シリコン含浸多孔質炭素複合材料はまた、熱水炭化を介して末端に炭素コーティングされ得、粒子は、当該技術分野による様々なモードによって処理される。熱水炭化は、炭素-シリコン複合材料を得るための高温及び高圧の水性環境において達成され得る。熱水炭化を達成するための温度の例は、例えば、150℃~300℃、例えば、170℃~270℃、例えば、180℃~260℃、例えば、200~250℃で変化する。代替的に、熱水炭化は、より高い温度、例えば、200~800℃、例えば、300~700℃、例えば、400~600℃で実行され得る。いくつかの実施形態では、熱水炭化は、黒鉛構造を実現するための温度及び圧力で実行され得る。熱水炭化を行うのに好適な圧力の範囲は、当該技術分野で既知であり、圧力は、例えば、反応の過程にわたって変化、例えば、増加し得る。熱水炭化のための圧力は、0.1MPa~200MPAまで変化させることができる。ある特定の実施形態では、熱水炭化の圧力は、0.5MPa~5MPaである。他の実施形態では、熱水炭化の圧力は、1MPa~10MPa、または5~20MPaである。さらに他の実施形態では、熱水炭化の圧力は、10MPa~50MPaである。さらに他の実施形態では、熱水炭化の圧力は、50MPa~150MPaである。さらに他の実施形態では、熱水炭化の圧力は、100MPa~200MPaである。熱水炭化のための炭素源として好適な原料もまた、当該技術分野で既知である。熱水炭化のためのかかる原料は、典型的には、炭素及び酸素を含み、これらは、限定されるものではないが、本開示の他の箇所に説明される糖、油、生物系廃棄物、ポリマー、及びポリマー前駆体を含む。
【0106】
したがって、本開示は、複合炭素-シリコン材料の製造を提供し、炭素足場材料は、ナノ多孔質炭素系足場材料であり、シリコン含浸は、シリコン含有反応物と接触することによって実現され、末端炭素コーティングは、熱水炭化によって実現される。例えば、プロセスは、以下、
a)ポリマー前駆体材料の混合物を提供するステップと、
b)混合物のイミド化を化学的または熱的に開始するステップと、
c)イミド化混合物を乾燥させて、多孔質ポリマー材料を生じさせるステップと、
d)多孔質ポリマー材料を炭化させて、ナノ多孔質炭素系足場材料を創出するステップと、
e)静的または撹拌された反応器内のシリコン含有反応物の存在下で、ナノ多孔質炭素系足場材料を高温に供し、シリコン含浸炭素材料をもたらすステップと、
f)シリコン含浸炭素材料を熱水炭化に供して、熱水炭化を介して末端に炭素コーティングされたシリコン含浸炭素材料を含む、複合体を生じさせるステップと、を伴い得る。
【0107】
別の実施形態では、本開示は、複合炭素-シリコン材料の製造を提供し、炭素足場材料は、ナノ多孔質炭素系足場材料であり、シリコン含浸は、ナノ多孔質炭素系足場材料の前駆体多孔質ポリマー材料を、前駆体多孔質ポリマー材料の炭化前に、シリコン含有反応物と接触させることによって実現される。
図2は、かかる方法の一例を例解する。例えば、プロセスは、以下、
a)ポリマー前駆体材料の混合物を提供するステップと、
b)混合物のイミド化を化学的または熱的に開始するステップと、
c)イミド化混合物を乾燥させて、多孔質ポリマー材料を生じさせるステップと、
d)静的または撹拌された反応器内のシリコン含有反応物の存在下で、多孔質ポリマー材料を高温に供し、シリコン含浸多孔質ポリマー材料をもたらすステップと、
e)シリコン含浸多孔質ポリマー材料を炭化して、シリコン含浸炭素材料を創出するステップと、を伴い得る。
【0108】
別の実施形態では、本開示は、複合炭素-シリコン材料の製造を提供し、炭素足場材料は、ナノ多孔質炭素系足場材料であり、シリコン含浸及び炭化は、ナノ多孔質炭素系足場材料の前駆体多孔質ポリマー材料を、前駆体多孔質ポリマー材料の炭化中に、シリコン含有反応物と接触させることによって同時に実現される。例えば、プロセスは、以下、
a)ポリマー前駆体材料の混合物を提供するステップと、
b)混合物のイミド化を化学的または熱的に開始するステップと、
c)イミド化混合物を乾燥させて、多孔質ポリマー材料を生じさせるステップと、
d)静的または撹拌された反応器内のシリコン含有反応物の存在下で、多孔質ポリマー材料を、多孔質ポリマー材料を炭化するために十分な高温に供し、シリコン含浸炭素材料をもたらすステップと、を伴い得る。
【0109】
別の実施形態では、本開示は、複合炭素-シリコン材料の製造を提供し、炭素足場材料は、ナノ多孔質炭素系足場材料であり、シリコン含浸は、ナノ多孔質炭素系足場材料の前駆体多孔質ポリマー材料を、前駆体多孔質ポリマー材料の炭化前に、シリコン含有反応物と接触させることによって実現され、末端炭素コーティングは、複合体を炭素含有反応物と接触させることによって実現される。例えば、プロセスは、以下、
a)ポリマー前駆体材料の混合物を提供するステップと、
b)混合物のイミド化を化学的または熱的に開始するステップと、
c)イミド化混合物を乾燥させて、多孔質ポリマー材料を生じさせるステップと、
d)静的または撹拌された反応器内のシリコン含有反応物の存在下で、多孔質ポリマー材料を高温に供し、シリコン含浸多孔質ポリマー材料をもたらすステップと、
e)シリコン含浸多孔質ポリマー材料を炭化して、シリコン含浸炭素材料を創出するステップと、
f)静的または撹拌された反応器内の炭素含有反応物の存在下で、シリコン含浸炭素材料を高温に供し、末端に炭素コーティングされた炭素-シリコン複合材料をもたらすステップと、を伴い得る。
【0110】
別の実施形態では、本開示は、複合炭素-シリコン材料の製造を提供し、炭素足場材料は、ナノ多孔質炭素系足場材料であり、シリコン含浸は、ナノ多孔質炭素系足場材料の前駆体多孔質ポリマー材料を、前駆体多孔質ポリマー材料の炭化前に、シリコン含有反応物と接触させることによって実現され、末端導電ポリマーコーティングは、複合体を導電性ポリマーと接触させること、及び任意選択的に、材料を熱分解することによって実現される。例えば、プロセスは、以下、
a)ポリマー前駆体材料の混合物を提供するステップと、
b)混合物のイミド化を化学的または熱的に開始するステップと、
c)イミド化混合物を乾燥させて、多孔質ポリマー材料を生じさせるステップと、
d)静的または撹拌された反応器内のシリコン含有反応物の存在下で、多孔質ポリマー材料を高温に供し、シリコン含浸多孔質ポリマー材料をもたらすステップと、
e)シリコン含浸多孔質ポリマー材料を炭化して、シリコン含浸炭素材料を創出するステップと、
f)静的または撹拌された反応器内の炭素含有反応物の存在下で、シリコン含浸炭素材料を高温に供し、末端に炭素コーティングされた炭素-シリコン複合材料をもたらすステップと、を伴い得、
g)e)(d)の材料は、任意選択的に、熱分解され得る。
【0111】
理論に拘束されることなく、炭素粒子の表面が、シリコン含有ガスとの所望の反応及び堆積の程度を実現するための所望の温度を実現する必要があるということが重要である。従来の工学原理は、例えば、粒子が対流加熱(または、おそらく、限定されるものではないが、マイクロ波または放射加熱などの他のメカニズム)を介して外側表面から加熱し、次いで、粒子内の温度が、炭素粒子の外側から内側への導電加熱を介して加熱するなど、粒子の内部対外部を加熱することが困難であることを規定する。多孔質粒子の場合、粒子の内側は、粒子表面上の炭素と衝突し、対流を介して熱を付与しているガス分子への等しいアクセスを有する表面積を含むことを条件として、粒子の内側が外側に付随して加熱することは明らかではない。
【0112】
理論に拘束されることなく、反応条件は、シリコン含有ガスの平均自由経路長が、充填が所望される細孔の直径及び/または深度に類似またはそれより低いというようなことであり得る。かかるケースは、クヌーセン拡散によって制御されるように当該技術分野で既知であり、すなわち、システムのスケール長が関係する粒子の平均自由経路に匹敵するか、またはそれよりも小さいときに発生する拡散手段である。非常に小さい毛細管細孔を通るガス分子の拡散を考慮されたい。細孔径が拡散ガス分子の平均自由経路より小さく、ガスの密度が低い場合、ガス分子は、互いによりも、頻繁に細孔壁と衝突する。このプロセスは、クヌーセン流またはクヌーセン拡散として既知である。クヌーセン数は、クヌーセン拡散の相対的重要性の良い尺度である。1よりもはるかに大きいクヌーセン数は、クヌーセン拡散が重要であることを示す。実際には、クヌーセン拡散は、液体状態の分子のための平均自由経路が非常に小さく、典型的には、分子自体の直径に近いため、ガスにのみ適用される。細孔径がガスの平均自由経路長よりもはるかに大きい場合、拡散は、フィスク拡散として特徴付けられる。
【0113】
このプロセスは、堆積プロセスに関して変化させることができ、例えば、周囲、または約101kPaであり得る。ある特定の実施形態では、圧力は、周囲未満、例えば、101kPa未満、例えば、10.1kPa未満、例えば、1.01kPa未満であり得る。ある特定の実施形態では、ガスは、シリコン含有堆積ガスと不活性ガスとの混合物、例えば、シランと窒素との組み合わせを含む。この場合、堆積ガスの分圧は、101kPa未満、例えば、10.1kPa未満、例えば、1.01kPa未満であり得る。ある特定の実施形態では、圧力及び温度は、シリコン含有ガスが超臨界となるものである。
【0114】
したがって、ある特定の実施形態では、シリコン含有反応物は、超臨界シラン、例えば、約270K(-3℃)を上回る温度及び約45barを上回る圧力にあるシランであり得る。さらなる実施形態では、シリコン含有反応物は、超臨界シラン、例えば、0~100℃の温度及び45~100barの圧力にあるシランであり得る。さらなる実施形態では、シリコン含有反応物は、超臨界シラン、例えば、100~600℃の温度及び45~100barの圧力にあるシランであり得る。さらなる実施形態では、シリコン含有反応物は、超臨界シラン、例えば、300~500℃の温度及び50~100barの圧力にあるシランであり得る。さらなる実施形態では、シリコン含有反応物は、超臨界シラン、例えば、400~550℃の温度及び50~80barの圧力にあるシランであり得る。
【0115】
ある特定の実施形態では、圧力及び温度は両方とも、ナノ多孔質炭素系足場のシリコン含浸のプロセス内で時間の経過とともに変化する。例えば、ナノ多孔質炭素系足場は、ある特定の温度及び圧力、例えば、周囲のまたは周囲より高い温度、及び周囲未満の圧力で保持することができる。この場合、低圧及び高温の組み合わせは、ナノ多孔質炭素系足場内の細孔を潜在的に詰まらせるか、または別様に占有し得る揮発性成分の脱着を可能にし、それゆえ、シリコン含有反応物のアクセスを容易にする。温度圧力条件の例としては、例えば、50~900℃、0.1~101kPa、及びこれらの様々な組み合わせが挙げられる。これらの条件は、シリコン含有反応物が存在しない第1のステップとして用いられ得、シリコン含有反応物が存在する温度及び圧力の第2の条件に続く。後者のための温度及び圧力範囲の例は、本開示全体を通して見出される。
【0116】
CVDプロセスは、当該技術分野に従った様々なモードを介して達成することができる。例えば、CVDは、粒子が撹拌されず、CVDガスがコーティングされる粒子にわたり、その周囲に流れるか、または別様に浸透する、静的モードで実行され得る。他の例示的なモードでは、粒子は、流動化することができ、例えば、CVDは、流動化床反応器内で実行することができる。当該技術分野で既知であるように、限定されるものではないが、エレベータキルン、ローラハースキルン、回転キルン、ボックスキルン、及び流動化床設計を含む、様々な異なる反応器設計が、この文脈で用いられ得る。これらの設計は、限定されるものではないが、シラン、ジシラン、トリシラン、テトラシラン、クロロシラン、ジクロロシラン、トリクロロシラン、及びテトラクロロシランを含む、堆積ガスとして用いられる様々なシリコン含有ガスと組み合わせることができる。
【0117】
回転キルンの場合、反応器内の粒子の適切な分散及び回転を容易にするための様々な方法が当技術分野で既知であり、多孔質炭素とシリコン含有反応物との最大限の接触を提供する。これらの方法は、リフタ、ヘリカルフライト、様々なねじ/インペラ設計などの機器の修正を含む。また、ナノ多孔質炭素系足場粒子の分散及び最小限の凝集を容易にするために、追加の非反応性粒子を回転キルンに投入するための戦略もまた当該技術分野で既知である。
【0118】
CVDプロセスはまた、処理される炭素粒子を加熱することを実現するためにマイクロ波を用いることもできる。したがって、上記の反応器構成はまた、当該技術分野で既知の工学設計原理を用いて、処理の一部としてマイクロ波と組み合わせることもできる。理論に拘束されることなく、炭素粒子は、効率的なマイクロ波吸収体であり、反応器は、粒子がマイクロ波に供されて、粒子に堆積されるシリコン含有ガスの導入前にそれらを加熱することが想定され得る。
【0119】
誘電加熱は、高周波の交番電界、または電波もしくはマイクロ波の電磁放射が誘電材料を加熱するプロセスである。分子回転は、電気双極子モーメントを有する極性分子を含有する材料において発生し、その結果、それらは電磁場においてそれら自身を整列させる。電磁波内、または急速に振動する電界内にあるように、場が振動している場合、これらの分子は、それと整列することによって連続的に回転する。これは、双極子回転、または双極子分極と呼ばれる。場が交互になると、分子は、方向を逆にする。回転する分子は、(電気的な力を介して)他の分子を押し、引っ張り、衝突し、材料中の隣接する分子及び原子にエネルギーを分布させる。一度分布されると、このエネルギーは、熱として現れる。
【0120】
温度は、材料中の原子または分子の平均運動エネルギー(運動のエネルギー)に関連しているため、このように分子を撹拌すると、材料の温度が増加する。それゆえ、双極子回転は、電磁放射の形態のエネルギーが物体の温度を上昇させることができるメカニズムである。双極子回転は、通常誘電加熱と称されるメカニズムであり、液体水で最も効果的に動作するマイクロ波オーブン内で最も広く観察され、脂肪及び糖、ならびに他の炭素を含む材料においてそれほど効果的ではない。
【0121】
誘電加熱は、誘電損失による電気絶縁材料の加熱を伴う。材料にわたって変化する電界は、分子が連続的に変化する電界と整列しようとする際、エネルギーの放散を引き起こす。この変化する電界は、(マイクロ波オーブン内のように)自由空間内で伝播する電磁波によって引き起こされ得るか、またはコンデンサ内側の急速な交番電界によって引き起こされ得る。後者の場合、自由に伝播する電磁波は存在せず、変化する電界は、アンテナの近接電界の電気成分に類似しているとして見なされ得る。この場合、加熱は、無線周波数(RF)の周波数で容量性空洞の内側の電界を変化させることによって達成されるが、実際の電波は、生成されず、または吸収されない。この意味で、その効果は、磁気誘導加熱の直接的な電気的アナログであり、これもまた近接場効果である(それゆえ、電波を伴わない)。
【0122】
効率的な誘電加熱を引き起こすには、10~100MHzの範囲内の周波数が必要であるが、より高い周波数は、等しく良好に機能し、いくつかの材料(特に液体)では、より低い周波数もまた、多くの場合、より独自のメカニズムに起因して、著しい加熱効果を有する。低周波数における誘電加熱は、近接場効果として、電磁ラジエータから吸収体までの距離が波長の1/2π≒1/6未満である必要がある。それゆえ、多くの場合、加熱される材料(多くの場合、非金属)を効果的に非常に大きいコンデンサである誘電体である、金属板の間で挟持するため、接触プロセスまたは近接接触プロセスである。しかしながら、電圧に供されるコンデンサの内側で形成される電界が、プレート間の(非導電性の)誘電性材料とのコンデンサプレートの電気接触を必要としないため、コンデンサ内側で誘電体を加熱するために実際の電気接触は必要ではない。低周波数電界は、マイクロ波、水の加熱ポケット、木材のような乾燥した材料の奥深くにある生物よりもはるかに深く非導電性材料を貫通するため、コンデンサプレートの間に収まる限り、多くの非導電性食品及び農産物を迅速に加熱及び調製するために使用することができる。
【0123】
非常に高い周波数では、電磁場の波長は、加熱キャビティの金属壁間の距離、または壁自体の寸法よりも短くなる。これは、マイクロ波オーブンの内側の場合である。このような場合、従来の遠方電界電磁波が形成され(空洞はもはや純粋なコンデンサとしては機能せず、むしろアンテナとして機能する)、加熱を引き起こすために吸収されるが、熱堆積の双極子回転メカニズムは同じままである。しかしながら、マイクロ波は、イオンドラッグによって引き起こされるような遅い分子運動に依存する低周波数電界の加熱効果を引き起こすのには効率的ではない。
【0124】
マイクロ波加熱は、100MHzを上回る周波数での誘電加熱のサブカテゴリであり、電磁波は、小さい寸法のエミッタから発射され、空間を通って標的に案内され得る。現代のマイクロ波オーブンは、RFヒーターよりもはるかに高い周波数及び短い波長の電界を有する電磁波を使用する。典型的な家庭用マイクロ波オーブンは、2.45GHzで動作するが、915MHzのオーブンもまた存在する。これは、マイクロ波加熱において用いられる波長が、12または33cm(4.7または13.0インチ)であることを意味する。これは、非常に効率的であるが、貫入性の低い誘電加熱を提供する。コンデンサ様の一組のプレートは、マイクロ波の周波数で使用することができるが、マイクロ波は、遠場タイプの電磁放射として既に存在し、それらの吸収は、RF加熱を行うように、小さいアンテナへの同じ近接を必要としないため、プレートは必要ではない。したがって、加熱される材料(非金属)は、単に波の経路内に設置することができ、加熱は非接触プロセスで行われる。
【0125】
それゆえ、マイクロ波吸収材料は、それを熱エネルギーに変換することによって電磁波を消散させることができる。理論に拘束されることなく、材料のマイクロ波吸収容量は、主に、その相対誘電率、相対透磁率、電磁インピーダンスマッチ、ならびに材料微細構造、例えば、その多孔率及び/またはナノもしくは微細構造によって判定される。マイクロ波のビームがマイクロ波吸収材料の表面を照射するとき、電磁インピーダンスに関する好適なマッチング条件は、入射マイクロ波の反射率をほぼゼロにすることができ、最終的に吸収材料への熱エネルギーの伝達をもたらす。
【0126】
炭素材料は、マイクロ波を吸収することができ、すなわち、それらは、マイクロ波放射、すなわち、電磁スペクトルの領域内の赤外線放射及び電波によって容易に加熱される。より具体的には、それらは、波長が、0.001~1mであり、300~0.3GHzの周波数に対応する波として定義される。マイクロ波場の存在下で炭素を加熱する能力は、その誘電損失タンジェント:tan δ=ε”/ε’によって定義される。誘電損失タンジェントは、誘電率(または実誘電率)、ε’、及び誘電損失係数(または虚誘電率)、ε”の2つのパラメータで構成され、すなわち、ε=ε’-iε”であり、式中、εは複素誘電率である。誘電率(ε’)は、どれだけの入射エネルギーが反射され、それだけが吸収されるかを判定し、一方で、誘電損失係数(ε”)は、材料内の熱の形において電気エネルギーの放散を測定する。最適なマイクロ波エネルギー結合のためには、マイクロ波エネルギーを熱エネルギーに変換するために、ε’の適度な値を、ε”の高い値(及びtan δの高い値)と組み合わせる必要がある。それゆえ、いくつかの材料は、誘電加熱(マイクロ波に対して透明)を可能にするために十分に高い損失係数を有さないが、他の材料、例えば、いくつかの無機酸化物及びほとんどの炭素材料は、優れたマイクロ波吸収体である。一方で、電気導体材料は、マイクロ波を反射する。例えば、黒鉛及び高度に黒鉛化された炭素は、マイクロ波放射のかなりの割合を反射し得る。炭素の場合、非局在化π電子は、相対的に広い領域で自由に移動し、追加の非常に興味深い現象が起こる可能性がある。いくつかの電子の運動エネルギーは、それらが材料からの飛び出しを可能にすることを増加させ、周囲の大気のイオン化をもたらし得る。巨視的なレベルにおいて、この現象は、火花または電気アークの形成として知覚される。しかし、微視的なレベルでは、これらのホットスポットは、実際にはプラズマである。ほとんどの場合、これらのプラズマは、それらが、空間の小さな領域に限定され、ほんの数秒間だけ継続するため、空間と時間の両方の観点からマイクロプラズマとみなすことができる。かかるマイクロプラズマの集中的な生成は、関与するプロセスに重要な意味を有し得る。
【0127】
理論に拘束されることなく、マイクロ波加熱による炭素材料の加熱は、以下のような従来の加熱に対する多くの利点を提供する:(i)非接触加熱、(ii)熱伝達の代わりにエネルギー伝達、(iii)急速加熱、(iv)選択的材料加熱、(v)容積加熱、(vi)迅速な起動及び停止、(vii)材料本体の内部からの加熱、ならびに(viii)より高いレベルの安全性及び自動化[3]。マイクロ波エネルギーを吸収してそれを熱に変換する炭素材料の高容量は、表1に例解される(参考文献J.A.Menendez,A.Arenillas,B.Fidalgo,Y.Fernandez,L.Zubizarreta,E.G.Calvo,J.M.Bermudez,“Microwave heating processes involving carbon materials”,Fuel Processing Technology,2010,91(1),1-8)、ここで異なる炭素の例の誘電損失タンジェントが列挙されている。見られ得るように、石炭を除くほとんどの炭素の損失タンジェントは、蒸留水の損失タンジェントよりも高い(2.45GHz及び室温において蒸留水のtan δ=0.118)。
【0128】
炭素がマイクロ波を吸収する可能性を考えると、炭素触媒反応、または炭素粒子上または炭素粒子内で発生する反応のマイクロ波増強の可能性もある。理論に拘束されることなく、マイクロ波が炭素粒子上または炭素粒子内でかかる反応を増強する少なくとも2つのシナリオ:(i)高温を必要とする反応、及び(ii)有機化合物と同様に、誘電損失が少なく、マイクロ波照射下で十分に加熱されない化合物を含む反応が存在する。本発明に関して、炭素材料は、反応表面(例えば、触媒)及びマイクロ波受容体の両方として作用する。
【0129】
例示的な実施形態では、シリコン(または他の電気化学的に活性な種)は、ナノ多孔質炭素系足場内の細孔の内側をコーティングする層として存在する。いくつかの実施形態では、シリコン(または他の電気化学的に活性な種)は、ナノ多孔質炭素系足場内で細孔の内側に堆積した粒子として存在する。例えば、本明細書において開示される堆積または浸透プロセスは、層、粒子、コンフォーマル層、部分層、またはこれらの組み合わせをもたらすことができる。このシリコンの層の深度または粒径は、変化し得、例えば、層の深度または粒径は、5nm~10nm、5nm~20nm、5nm~30nm、5nm~33nm、10nm~30nm、10nm~50nm、10nm~100nm、10~150nm、50nm~150nm、100~300nm、300~1000nmであり得る。いくつかの実施形態では、層の深度または粒径は、約5nm、約10nm、約15nm、約20nm、約25nm、約30nm、約35nm、約40nm、約50nm、約75nm、約100nm、約150nm、またはこれらの値のうちの任意の2つの間の範囲内であり得る。
【0130】
好ましい実施形態では、複合体内に埋め込まれたシリコンは、ナノサイズであり、ナノ多孔質炭素系足場の細孔内に存在する。例えば、埋め込まれたシリコンは、5~1000nm、例えば、10~500nm、例えば、10~200nm、例えば、10~100nm、例えば、33~150nm、例えば、20~100nmの細孔径を含む多孔質炭素材料内の細孔に、CVD、CVI、または他の適切なプロセスによって含浸され、堆積され得る。ある特定の実施形態では、多孔質炭素材料は、約50nm以下、45nm以下、40nm以下、35nm以下、30nm以下、25nm以下、20nm以下、15nm以下、10nm以下、5nm以下、またはこれらの値のうちの任意の2つの間の範囲内の細孔径を有することができる。ミクロ細孔、メソ細孔、またはマクロ細孔のいずれかにかかわらず、部分的な細孔体積に関する炭素細孔径の他の範囲もまた想定される。
【0131】
ある特定の実施形態では、複合体内に埋め込まれた多孔質シリコン粒子は、ナノ多孔質炭素系足場材料内の細孔を充填する。上で考察されたように、本明細書において開示されたナノ多孔質炭素系足場材料のエアロゲルまたはエアロゲル様材料(電気化学的に活性な種、例えば、シリコンの組み込みを除く)は、約1cc/g以上、1.5cc/g以上、2cc/g以上、2.5cc/g以上、3cc/g以上、3.5cc/g以上、4cc/g以上、またはこれらの値のうちの任意の2つの間の範囲内の相対的に大きい細孔体積を有する。他の実施形態では、本開示のエアロゲル材料または組成物(電気化学的に活性な種、例えば、シリコンの組み込みを伴う)は、約0.3cc/g以上、0.6cc/g以上、0.9cc/g以上、1.2cc/g以上、1.5cc/g以上、1.8cc/g以上、2.1cc/g以上、2.4cc/g以上、2.7cc/g以上、3.0cc/g以上、3.3cc/g以上、3.6cc/g以上、またはこれらの値のうちのいずれか2つの間の範囲内の細孔体積を有する。ある特定の実施形態では、本明細書において開示されるナノ多孔質炭素系足場材料のエアロゲルまたはエアロゲル様材料は、約50nm以下、45nm以下、40nm以下、35nm以下、30nm以下、25nm以下、20nm以下、15nm以下、10nm以下、5nm以下、またはこれらの値のうちのいずれか2つの間の範囲内の相対的に狭い細孔径分布(半値全幅)を有する。
【0132】
シリコン(または他の電気化学的に活性な種)で充填されたナノ多孔質炭素系足場内の細孔体積のパーセントは、変化し得る。例えば、ナノ多孔質炭素系足場材料内に埋め込まれたシリコン(または他の電気化学的に活性な種)は、ナノ多孔質炭素系足場内の利用可能な総細孔体積の5%~15%を占めることができる。他の実施形態では、ナノ多孔質炭素系足場材料内に埋め込まれたシリコン(または他の電気化学的に活性な種)は、ナノ多孔質炭素系足場内の利用可能な総細孔体積の15%~25%を占めることができる。他の実施形態では、ナノ多孔質炭素系足場材料内に埋め込まれたシリコン(または他の電気化学的に活性な種)は、ナノ多孔質炭素系足場内の利用可能な総細孔体積の25%~35%を占めることができる。他の実施形態では、ナノ多孔質炭素系足場材料内に埋め込まれたシリコン(または他の電気化学的に活性な種)は、ナノ多孔質炭素系足場内の利用可能な総細孔体積の20%~40%を占めることができる。他の実施形態では、ナノ多孔質炭素系足場材料内に埋め込まれたシリコン(または他の電気化学的に活性な種)は、ナノ多孔質炭素系足場内の利用可能な総細孔体積の25%~50%を占めることができる。他の実施形態では、ナノ多孔質炭素系足場材料内に埋め込まれたシリコン(または他の電気化学的に活性な種)は、ナノ多孔質炭素系足場内の利用可能な総細孔体積の30%~70%、例えば、ナノ多孔質炭素系足場内の利用可能な総細孔体積の30%~60%を占めることができる。他の実施形態では、ナノ多孔質炭素系足場材料内に埋め込まれたシリコン(または他の電気化学的に活性な種)は、ナノ多孔質炭素系足場内の利用可能な総細孔体積の60%~80%を占めることができる。他の実施形態では、ナノ多孔質炭素系足場材料内に埋め込まれたシリコン(または他の電気化学的に活性な種)は、ナノ多孔質炭素系足場内の利用可能な総細孔体積の80%~100%を占めることができる。
【0133】
好ましい実施形態では、ナノ多孔質炭素系足場材料内に埋め込まれたシリコン(または他の電気化学的に活性な種)は、ナノ多孔質炭素系足場内の利用可能な総細孔体積の一部を占め、細孔体積の残りは、シリコン(または他の電気化学的に活性な種)がリチウムの取り込み時に膨張するために利用可能である。この文脈では、理論に拘束されることなく、この残りの細孔体積は、窒素にアクセス可能である場合も、アクセスできない場合もあり、したがって、本明細書において開示されるような窒素ガス吸着を用いる際に観察される場合も、観察されない場合もある。
【0134】
したがって、いくつかの実施形態では、ナノ多孔質炭素系足場材料内に埋め込まれたシリコン(または他の電気化学的に活性な種)は、ナノ多孔質炭素系足場内の利用可能な総細孔体積の30%~70%を占めることができ、ナノ多孔質炭素系足場及び埋め込まれたシリコン(または他の電気化学的に活性な種)を含む複合粒子は、約0.3cc/g以上、0.6cc/g以上、0.9cc/g以上、1.2cc/g以上、1.5cc/g以上、1.8cc/g以上、2.1cc/g以上、2.4cc/g以上、2.7cc/g以上、3.0cc/g以上、3.3cc/g以上、3.6cc/g以上、またはこれらの値のうちのいずれか2つの間の範囲内の細孔体積を有する。
【0135】
いくつかの実施形態では、シリコン(または他の電気化学的に活性な種)は、ナノ多孔質炭素系足場の一部内に埋め込まれ、細孔は、複合粒子を取り囲むコーティングで覆われ、例えば、このコーティングは、本開示内の他の場所に説明されるように、炭素または導電性ポリマーを含むことができる。この文脈では、理論に拘束されることなく、この細孔体積は、窒素にアクセスできない可能性があり、したがって、窒素吸着によって検出可能ではない。しかしながら、複合粒子内のこの結果として生じる空隙は、他の手段によって、例えば、ピクノメトリ技術によって、例えば、タップ密度、またはエンベロープ密度を測定することによって確認することができる。
【0136】
したがって、複合材料は、ナノ多孔質炭素系足場内の利用可能な総細孔体積の30%~70%のナノ多孔質炭素系足場材料内に埋め込まれたシリコン(または他の電気化学的に活性な種)を含み得、複合粒子は、1.3g/cc未満、1g/cc未満、0.8g/cc未満、0.7g/cc未満、0.6g/cc未満、0.5g/cc未満、0.4未満、0.3g/cc未満、0.2g/cc未満、0.15g/cc未満、0.1g/cc未満、またはこれらの値のうちのいずれか2つの間の範囲内のタップ密度を含む。
【0137】
いくつかの実施形態では、複合材料は、ナノ多孔質炭素系足場内の利用可能な総細孔体積の30%~70%の間のナノ多孔質炭素系足場材料内に埋め込まれたシリコンを含み得、複合粒子は、2.2g/cc未満、2.1g/cc未満、2.0g/cc未満、1.9g/cc未満、1.8g/cc未満、1.7g/cc未満、1.6g/cc未満、1.4g/cc未満、1.2g/cc未満、1.0g/cc未満のピクノメトリによって判定される骨格密度を含む。ある特定の実施形態では、複合材料は、1.8~2.2g/cc、例えば、1.9~2.2g/cc、例えば、2.0~2.2g/ccの骨格密度を含む。
【0138】
複合材料内のシリコン含有量は、変化させることができる。例えば、複合体内のシリコン含有量は、5重量%~95重量%の範囲であり得る。ある特定の実施形態では、複合体内のシリコンの含有量は、10%~80%、例えば、20%~70%、例えば、30%~60%、例えば、40~50%の範囲であり得る。いくつかの実施形態では、複合体内のシリコンの含有量は、10%~50%、例えば、20%~40%、例えば、30%~40%の範囲であり得る。他の実施形態では、複合体内のシリコンの含有量は、40%~80%、例えば、50%~70%、例えば、60%~70%の範囲であり得る。具体的な実施形態では、複合体内のシリコンの含有量は、10%~20%の範囲であり得る。具体的な実施形態では、複合体内のシリコンの含有量は、15%~25%の範囲であり得る。具体的な実施形態では、複合体内のシリコンの含有量は、25%~35%の範囲であり得る。具体的な実施形態では、複合体内のシリコンの含有量は、35%~45%の範囲であり得る。具体的な実施形態では、複合体内のシリコンの含有量は、45%~55%の範囲であり得る。具体的な実施形態では、複合体内のシリコンの含有量は、55%~65%の範囲であり得る。具体的な実施形態では、複合体内のシリコンの含有量は、65%~75%の範囲であり得る。具体的な実施形態では、複合体内のシリコンの含有量は、75%~85%の範囲であり得る。
【0139】
(窒素ガス吸着によって判定される際)総細孔体積は、リチウムイオンの貯蔵、内部イオン運動、ならびに電荷移動が可能な利用可能な複合/電解質表面に部分的に関係し得るので、これは、所望の電気化学的特性を得るために調節することができる1つのパラメータである。
【0140】
したがって、複合材料の表面積及び細孔体積は、変化させることができる。いくつかの実施形態では、複合体の表面積は、20m2/g超、30m2/g超、40m2/g超、50m2/g超、60m2/g超、70m2/g超、80m2/g超、90m2/g超、100m2/g超、200m2/g超、300m2/g超、500m2/g超、750m2/g超であり、またはこれらの値のうちのいずれか2つの間の範囲内にある。例えば、複合材料の表面積は、20m2/g~700m2/gの範囲であり得る。ある特定の実施形態では、複合体の表面積は、20m2/g~700m2/g、例えば、20m2/g~600m2/g、例えば、20m2/g~500m2/g、例えば、20m2/g~400m2/gの範囲であり得る。いくつかの実施形態では、複合体の表面積は、20m2/g~300m2/g、例えば、20m2/g~200m2/g、例えば、30m2/g~100m2/g、例えば、40m2/g~100m2/gの範囲であり得る。
【0141】
複合材料の細孔体積は、約0.5cc/g以上、1cc/g以上、1.5cc/g以上、2cc/g以上、2.5cc/g以上、3cc/g以上、3.5cc/g以上、4cc/g以上、またはこれらの値のうちの任意の2つの間の範囲内であり得る。他の実施形態では、エアロゲル材料または本開示の組成物(電気化学的に活性な種、例えば、シリコンの組み込みを伴う)は、約0.1cc/g以上、0.3cc/g以上、0.6cc/g以上、0.9cc/g以上、1.2cc/g以上、1.5cc/g以上、1.8cc/g以上、2.1cc/g以上、2.4cc/g以上、2.7cc/g以上、3.0cc/g以上、3.3cc/g以上、3.6cc/g以上、またはこれらの値のうちのいずれか2つの範囲内の細孔体積を有する。ある特定の実施形態では、複合材料は、約50nm以下、45nm以下、40nm以下、35nm以下、30nm以下、25nm以下、20nm以下、15nm以下、10nm以下、5nm以下、またはこれらの値のうちの任意の2つの範囲内の相対的に狭い細孔径分布(半値全幅)を有することができる。
【0142】
複合材料の細孔体積分布は、変化することができ、例えば、%マクロ細孔は、30%未満、例えば、20%未満、例えば、10%未満、例えば、5%未満、例えば、4%未満、例えば、3%未満、例えば、2%未満、例えば、1%未満、例えば、0.5%未満、例えば、0.2%未満、例えば、0.1%未満を含むことができる。ある特定の実施形態では、リチウムの非常に耐久性のあるインターカレーションを呈する複合材料中に検出可能なマクロ細孔体積は存在しない。
【0143】
いくつかの実施形態では、複合体の細孔体積分布は、高いパーセンテージのメソ細孔を含む。例えば、複合体は、50%超のメソ細孔、60%超のメソ細孔、70%超のメソ細孔、80%超のメソ細孔、またはこれらの値のうちのいずれか2つの間の範囲を含むことができる。いくつかの実施形態では、複合材料の細孔体積分布は、30%未満のマクロ細孔、例えば、20%未満のマクロ細孔、例えば、10%未満のマクロ細孔、例えば、5%未満のマクロ細孔、例えば、4%未満のマクロ細孔、例えば、3%未満のマクロ細孔、例えば、2%未満のマクロ細孔、例えば、1%未満のマクロ細孔、例えば、0.5%未満のマクロ細孔、例えば、0.2%未満のマクロ細孔、例えば、0.1%未満のマクロ細孔を含む。いくつかの実施形態では、複合材料中に検出可能なマクロ細孔体積は存在しない。
【0144】
複合材料の細孔体積分布のある特定の実施形態は、上記のいくつかの段落の様々な実施形態を含む。例えば、複合材料は、30%未満のミクロ細孔、30%未満のマクロ細孔、及び50%超のメソ細孔を含むことができる。他の実施形態では、複合材料は、20%未満のミクロ細孔、20%未満のマクロ細孔、及び70%超のメソ細孔を含むことができる。他の実施形態では、複合材料は、10%未満のミクロ細孔、10%未満のマクロ細孔、及び80%超のメソ細孔を含むことができる。他の実施形態では、複合材料は、10%未満のミクロ細孔、10%未満のマクロ細孔、及び90%超のメソ細孔を含むことができる。他の実施形態では、複合材料は、5%未満のミクロ細孔、5%未満のマクロ細孔、及び90%超のメソ細孔を含むことができる。他の実施形態では、複合材料は、5%未満のミクロ細孔、5%未満のマクロ細孔、及び95%超のメソ細孔を含むことができる。
【0145】
ある特定の実施形態では、複合材料の表面層は、リチウムイオンの取り込み及びインターカレーションに関連する体積変形を吸収するために、低いヤング率を呈し、その上破砕しないか、または別様に新しいSEI形成のための追加の機会を提供しない。この文脈では、表面層は、100GPa未満、例えば、10GPa未満、例えば、1GPa未満、例えば、0.1GPa未満のヤング率を含む複合材料を提供するのに十分である。
【0146】
ある実施形態では、複合材料の表面層は、リチウムイオンの取り込み及びインターカレーションに関連する体積変形を吸収するために、低いバルク弾性率を示し、その上破砕しないか、またはそうでなければ、新しいSEI形成のための追加の機会を提供しない。この文脈では、表面層は、100GPa未満、例えば、10GPa未満、例えば、1GPa未満、例えば、0.1GPa未満のバルク弾性率を含む複合材料を提供するのに十分である。
【0147】
ある特定の他の実施形態では、複合材料の表面層は、リチウムイオンの取り込み及びインターカレーションに関連する体積変形を制限するために、高いバルク弾性率を呈し、それゆえ破砕を回避するか、または別様に新しいSEI形成のための追加の機会を与えない。この文脈では、表面層は、10GPa超のバルク弾性率、例えば、50GPa超のバルク弾性率、例えば、100GPa超のバルク弾性率、例えば、1000GPa超のバルク弾性率を含む複合材料を提供するのに十分である。
【0148】
いくつかの実施形態では、複合材料の表面積は、500m2/g超であり得る。他の実施形態では、複合材料の表面積は、700m2/g未満であり得る。いくつかの実施形態では、複合材料の表面積は、500~700m2/gである。いくつかの実施形態では、複合材料の表面積は、200~600m2/gである。いくつかの実施形態では、複合材料の表面積は、100~200m2/gである。いくつかの実施形態では、複合材料の表面積は、50~100m2/gである。いくつかの実施形態では、複合材料の表面積は、10~50m2/gである。いくつかの実施形態では、複合材料の表面積は、10m2/g未満である。いくつかの実施形態では、複合材料の表面積は、5m2/g未満である。いくつかの実施形態では、複合材料の表面積は、2m2/g未満である。いくつかの実施形態では、複合材料の表面積は、1m2/g未満である。いくつかの実施形態では、複合材料の表面積は、0.5m2/g未満である。いくつかの実施形態では、複合材料の表面積は、0.1m2/g未満である。
【0149】
複合材料の表面積は、活性化またはエッチングを通して修正され得る。活性化またはエッチング方法は、蒸気、化学活性化、CO2または他のガスを使用してもよい。炭素材料の活性化及びエッチングのための例示的な方法は、当該技術分野で既知である。
【実施例】
【0150】
以下の実施例は、単に例解目的のために説明され、いかなる方法でも本発明の様々な実施形態の範囲を限定することを意図しない。
【0151】
実施例1:PI複合体
PIゲルを、0.05g/cc(低密度)及び0.125g/cc(高密度)の標的密度で、DMAC溶媒中、1:1モル比においてピロメリット酸二無水物(PMDA)及び1,4-フェニレンジアミン(PDA)から調製した。前駆体を、室温で3時間混合し、次いで無水酢酸(AA)を、PMDAに対して4.3モル比で添加し、溶液と2時間混合した。イミド化を、ピリジン(Py)で触媒化した。
【0152】
PI複合体を調製するために、溶液を、テフロン(登録商標)容器内で約6mmの厚さで成型した。ゲルを、室温で一晩硬化させ、続いて超臨界CO2抽出の前に、68℃でエタノール交換した。PIエアロゲル複合体を、炭化のために不活性雰囲気下で1時間熱分解して、モノリシックPI複合体を形成した。より低い標的密度PI(0.05g/cc標的密度)を、850℃で熱分解した。得られた炭素エアロゲル材料は、629.9m2/gの表面積、4.0cc/gの細孔体積、及び20.8nmの細孔径を有した。より高い標的密度PI(0.125g/cc)を、1050℃で熱分解した。得られた炭素エアロゲル材料は、553.8m2/gの表面積、1.7cc/gの細孔体積、及び10.9nmの細孔径を有した。多孔質構造のパラメータは、Quadrasorbガス吸着分析装置(Quantachrome Instruments,Boynton Beach,USA)を使用して、-196℃において窒素吸着等温物(SBET-表面積、Vt-総細孔体積)から計算した。(nmにおける)細孔幅は、Barrett-Joyner-Halendaモデルを使用して推定した。分析前に、試料を、100mTorr及び60℃で12時間放出した。
【0153】
実施例2:高い細孔体積及び狭い細孔径分布を有する炭化ポリイミドのエアロゲル
PIゲルを、6gのPMDAを3gのPDAと反応させて、2~24時間、室温において、100mLのDMAC中でポリアミド酸を形成することによって調製した。続いて、8.86gのAAを、化学イミド化試薬としてポリアミン酸溶液に添加した(
図20を参照)。酸性化ポリアミン溶液を、少なくとも2時間激しく混合した。得られた混合物を、DMACで、PIエアロゲルの所望の標的密度に希釈した。混合物100mL当たり1~4gのPyを、最終溶液に添加して、ゲル化を促進し、これを4~25分間で行った。ゲル化の前に、混合物を、所望の形態(例えば、フィルム、モノリス、強化フィブリル状など)で成型した。得られたゲルを次いで、65~70℃においてオーブン内でエージングし、超臨界乾燥前に数回エタノールで洗浄/すすいだ。PIエアロゲルを、不活性環境(窒素ガス流)で2時間の間、1050℃で熱分解によって炭素エアロゲルに変換した。理論に拘束されることなく、炭化PIエアロゲルの物理的及び構造的特性は、前駆体の混合時間及びPyの量に依存した。
【0154】
窒素吸着脱着技術により試験した4つのCPIエアロゲルの構造特性は、表1に記録される。4つの試料は、時間混合及びPyの量によって異なる。標的密度を、0.05g/ccに固定した。興味深いことに、全ての試料は、相対的に類似した表面BETを示すが、細孔径分布及び細孔体積は、合成のパラメータによって影響された。
【表1】
【0155】
参照される全ての刊行物は、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。さらに、参照により本明細書に組み込まれる、参照における用語の定義または使用が、本明細書に提供されるその用語の定義と矛盾または反対である場合、本明細書に提供されるその用語の定義が適用され、参照におけるその用語の定義は無視されるべきである。
【0156】
上記の利点、及び前述の説明から明らかとなった利点は、効率的に達成される。本発明の範囲から逸脱することなく、上記の構成において特定の変更がなされ得るため、上記の説明に含まれるか、または添付の図面に示される全ての事項は、例解であり、限定的な意味ではないと解釈されることが意図される。
【0157】
また、以下の特許請求の範囲は、本明細書に記載される本発明の一般的及び特定の特徴の全て、及び言語の問題として、それらの間に該当すると言われ得る本発明の範囲の全ての記述を網羅することが意図されることも理解されたい。
【手続補正書】
【提出日】2023-10-11
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0157
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0157】
また、以下の特許請求の範囲は、本明細書に記載される本発明の一般的及び特定の特徴の全て、及び言語の問題として、それらの間に該当すると言われ得る本発明の範囲の全ての記述を網羅することが意図されることも理解されたい。
本発明に関連する発明の実施態様の一部を以下に示す。
[態様1]
炭素-シリコン組成物であって、
ナノ多孔質炭素系足場及びシリコン系材料を含む複合材料であって、前記ナノ多孔質炭素系足場が、細孔構造を含み、前記細孔構造が、フィブリル状形態を含み、前記シリコン系材料が、前記ナノ多孔質炭素系足場の前記細孔構造内に含まれる、前記複合材料を含む、前記炭素-シリコン組成物。
[態様2]
前記ナノ多孔質炭素系足場が、炭素エアロゲルを含む、態様1に記載の炭素-シリコン組成物。
[態様3]
前記ナノ多孔質炭素系足場が、ポリイミド誘導炭素エアロゲルを含む、態様2に記載の炭素-シリコン組成物。
[態様4]
前記ナノ多孔質炭素系足場が、粉末形態である、態様1~3のいずれか一項に記載の炭素-シリコン組成物。
[態様5]
前記シリコン系材料が、前記細孔構造の表面上に分散されたナノ粒子の形態である、態様1~4のいずれか一項に記載の炭素-シリコン組成物。
[態様6]
前記ナノ粒子が、約1μm未満の少なくとも1つの寸法を有する、態様5に記載の炭素-シリコン組成物。
[態様7]
前記ナノ粒子が、約5nm~約20nmの範囲内の少なくとも1つの寸法を有する、態様5に記載の炭素-シリコン組成物。
[態様8]
前記ナノ粒子が、約10nmの少なくとも1つの寸法を有する、態様5に記載の炭素-シリコン組成物。
[態様9]
前記シリコン系材料が、前記細孔構造の表面上の層の形態である、態様1~4のいずれか一項に記載の炭素-シリコン組成物。
[態様10]
前記層の厚さが、約1μm未満である、態様9に記載の炭素-シリコン組成物。
[態様11]
前記層の厚さが、約5nm~約20nmの範囲内である、態様9に記載の炭素-シリコン組成物。
[態様12]
前記層の厚さが、約10nmの範囲内である、態様5に記載の炭素-シリコン組成物。
[態様13]
前記細孔構造が、30%未満のミクロ細孔、30%未満のマクロ細孔、50%超のメソ細孔、及び0.1cc/g超の総細孔体積を含む、態様1に記載の炭素-シリコン組成物。
[態様14]
前記細孔構造が、20%未満のミクロ細孔、20%未満のマクロ細孔、70%超のメソ細孔、及び0.1cc/g超の総細孔体積を含む、態様1に記載の炭素-シリコン組成物。
[態様15]
前記細孔構造が、10%未満のミクロ細孔、10%未満のマクロ細孔、80%超のメソ細孔、及び0.1cc/g超の総細孔体積を含む、態様1に記載の炭素-シリコン組成物。
[態様16]
前記複合材料が、多孔質相互接続シリコンコーティングされたフィブリル状炭素網目を含む、態様1に記載の炭素-シリコン組成物。
[態様17]
前記複合材料が、多孔質相互接続シリコンでコーティングされたフィブリル状炭素網目を含む、態様1に記載の炭素-シリコン組成物。
[態様18]
前記複合材料が、シリコンコーティングされた炭素を含むフィブリル状網目を含む、態様1に記載の炭素-シリコン組成物。
[態様19]
炭素-シリコン組成物を調製するための方法であって、プロセスが、
細孔構造を含むナノ多孔質炭素系足場を提供することであって、前記細孔構造が、フィブリル状形態を含む、前記提供することと、
前記ナノ多孔質炭素系足場を、シリコン含有ガスの存在下、高温で加熱して、前記ナノ多孔質炭素系足場の前記細孔構造内にシリコンを含浸させることとを含む、前記方法。
[態様20]
前記ナノ多孔質炭素系足場の前記細孔構造内に含浸された前記シリコンが、ナノサイズであり、前記フィブリル状形態によって形成された細孔内に存在する、態様19に記載の方法。
[態様21]
前記炭素-シリコン組成物が、多孔質相互接続シリコンコーティングされたフィブリル状炭素網目を含む、態様19に記載の方法。
[態様22]
前記炭素-シリコン組成物が、多孔質相互接続シリコンでコーティングされたフィブリル状炭素網目を含む、態様19に記載の方法。
[態様23]
前記炭素-シリコン組成物が、シリコンコーティングされた炭素を含む、フィブリル状網目を含む、態様19に記載の方法。
[態様24]
ナノ多孔質炭素系足場が、微粒子状炭素エアロゲルを含む、態様19に記載の方法。
[態様25]
ポリイミド前駆体を提供することと、前記ポリイミド前駆体のイミド化を化学的または熱的に開始することと、前記ポリイミド前駆体を前記ポリイミド前駆体と非混和性である媒体と組み合わせ、それによって、前記イミド化ポリイミドの液滴を形成することと、前記ポリイミドの前記液滴を乾燥させて、微粒子状多孔質ポリイミド材料を生じさせることと、前記微粒子状多孔質ポリイミド材料を炭素化して、前記ナノ多孔質炭素系足場を提供することとをさらに含む、態様19に記載の方法。
[態様26]
前記細孔構造が、30%未満のミクロ細孔、30%未満のマクロ細孔、50%超のメソ細孔、及び0.1cc/g超の総細孔体積を含む、態様19に記載の方法。
[態様27]
前記細孔構造が、20%未満のミクロ細孔、20%未満のマクロ細孔、70%超のメソ細孔、及び0.1cc/g超の総細孔体積を含む、態様19に記載の方法。
[態様28]
前記細孔構造が、10%未満のミクロ細孔、10%未満のマクロ細孔、80%超のメソ細孔、及び0.1cc/g超の総細孔体積を含む、態様19に記載の方法。
[態様29]
態様1に記載の炭素-シリコン組成物を含む、エネルギー貯蔵デバイス。
[態様30]
前記エネルギー貯蔵デバイスが、リチウムイオン電池である、態様29に記載のエネルギー貯蔵デバイス。
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭素-シリコン組成物であって、
ナノ多孔質炭素系足場及びシリコン系材料を含む複合材料であって、前記ナノ多孔質炭素系足場が、細孔構造を含み、前記細孔構造が、フィブリル状形態を含み、前記シリコン系材料が、前記ナノ多孔質炭素系足場の前記細孔構造内に含まれる、前記複合材料を含む、前記炭素-シリコン組成物。
【請求項2】
前記ナノ多孔質炭素系足場が、炭素エアロゲルを含む、請求項1に記載の炭素-シリコン組成物。
【請求項3】
前記シリコン系材料が、前記細孔構造の表面上に分散されたナノ粒子の形態である、請求項1
又は2に記載の炭素-シリコン組成物。
【請求項4】
前記ナノ粒子が、約5nm~約20nmの範囲内の少なくとも1つの寸法を有する、請求項
3に記載の炭素-シリコン組成物。
【請求項5】
前記シリコン系材料が、前記細孔構造の表面上の層の形態である、請求項1に記載の炭素-シリコン組成物。
【請求項6】
前記層の厚さが、約5nm~約20nmの範囲内である、請求項
5に記載の炭素-シリコン組成物。
【請求項7】
前記層の厚さが、約10nmの範囲内である、請求項5に記載の炭素-シリコン組成物。
【請求項8】
前記細孔構造が、30%未満のミクロ細孔、30%未満のマクロ細孔、50%超のメソ細孔、及び0.1cc/g超の総細孔体積を含む、請求項1に記載の炭素-シリコン組成物。
【請求項9】
前記細孔構造が、20%未満のミクロ細孔、20%未満のマクロ細孔、70%超のメソ細孔、及び0.1cc/g超の総細孔体積を含む、請求項1に記載の炭素-シリコン組成物。
【請求項10】
前記細孔構造が、10%未満のミクロ細孔、10%未満のマクロ細孔、80%超のメソ細孔、及び0.1cc/g超の総細孔体積を含む、請求項1に記載の炭素-シリコン組成物。
【請求項11】
前記複合材料が、多孔質相互接続シリコンコーティングされたフィブリル状炭素網目を含む、請求項1に記載の炭素-シリコン組成物。
【請求項12】
炭素-シリコン組成物を調製するための方法であって、プロセスが、
細孔構造を含むナノ多孔質炭素系足場を提供することであって、前記細孔構造が、フィブリル状形態を含む、前記提供することと、
前記ナノ多孔質炭素系足場を、シリコン含有ガスの存在下、高温で加熱して、前記ナノ多孔質炭素系足場の前記細孔構造内にシリコンを含浸させることとを含む、前記方法。
【請求項13】
前記ナノ多孔質炭素系足場の前記細孔構造内に含浸された前記シリコンが、ナノサイズであり、前記フィブリル状形態によって形成された細孔内に存在する、請求項
12に記載の方法。
【請求項14】
前記炭素-シリコン組成物が、多孔質相互接続シリコンコーティングされたフィブリル状炭素網目を含む、請求項
12に記載の方法。
【請求項15】
ポリイミド前駆体を提供することと、前記ポリイミド前駆体のイミド化を化学的または熱的に開始することと、前記ポリイミド前駆体を前記ポリイミド前駆体と非混和性である媒体と組み合わせ、それによって、前記イミド化ポリイミドの液滴を形成することと、前記ポリイミドの前記液滴を乾燥させて、微粒子状多孔質ポリイミド材料を生じさせることと、前記微粒子状多孔質ポリイミド材料を炭素化して、前記ナノ多孔質炭素系足場を提供することとをさらに含む、請求項
12に記載の方法。
【請求項16】
前記細孔構造が、30%未満のミクロ細孔、30%未満のマクロ細孔、50%超のメソ細孔、及び0.1cc/g超の総細孔体積を含む、請求項
12に記載の方法。
【請求項17】
前記細孔構造が、20%未満のミクロ細孔、20%未満のマクロ細孔、70%超のメソ細孔、及び0.1cc/g超の総細孔体積を含む、請求項
12に記載の方法。
【請求項18】
前記細孔構造が、10%未満のミクロ細孔、10%未満のマクロ細孔、80%超のメソ細孔、及び0.1cc/g超の総細孔体積を含む、請求項
12に記載の方法。
【請求項19】
請求項1に記載の炭素-シリコン組成物を含むエネルギー貯蔵デバイス。
【請求項20】
前記エネルギー貯蔵デバイスが、リチウムイオン電池である、請求項
19に記載のエネルギー貯蔵デバイス。
【国際調査報告】