(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-09
(54)【発明の名称】外用医薬組成物を調製する方法
(51)【国際特許分類】
A61K 45/06 20060101AFI20240202BHJP
A61K 31/137 20060101ALI20240202BHJP
A61K 31/167 20060101ALI20240202BHJP
A61K 31/245 20060101ALI20240202BHJP
A61P 7/04 20060101ALI20240202BHJP
A61P 17/02 20060101ALI20240202BHJP
A61P 25/00 20060101ALI20240202BHJP
A61P 23/02 20060101ALI20240202BHJP
A61P 25/04 20060101ALI20240202BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20240202BHJP
A61K 9/08 20060101ALI20240202BHJP
A61K 47/02 20060101ALI20240202BHJP
A61K 9/06 20060101ALI20240202BHJP
A61K 47/36 20060101ALI20240202BHJP
A61K 47/38 20060101ALI20240202BHJP
A61K 47/42 20170101ALI20240202BHJP
A61K 47/10 20170101ALI20240202BHJP
A61K 47/32 20060101ALI20240202BHJP
【FI】
A61K45/06
A61K31/137
A61K31/167
A61K31/245
A61P7/04
A61P17/02
A61P25/00
A61P23/02
A61P25/04
A61P43/00 121
A61K9/08
A61K47/02
A61K9/06
A61K47/36
A61K47/38
A61K47/42
A61K47/10
A61K47/32
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023548777
(86)(22)【出願日】2021-02-09
(85)【翻訳文提出日】2023-10-06
(86)【国際出願番号】 AU2021050106
(87)【国際公開番号】W WO2022170379
(87)【国際公開日】2022-08-18
(81)【指定国・地域】
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 2020年8月10日以降に病院等に販売/提供 NEW PRODUCT Laceraine▲R▼ Gel Topical Wound Anaesthetic Phebra Code SOL053(フェブラ・ピーティーワイ・リミテッド、2020年8月5日) SCHN Awards(2020)556-QIA General Entry 01.General Entryにて公開された「Improving safe medication delivery of topical wound anaesthetic」(2020 SCHN Quality and Innovation Awards、2020年10月23日)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 2020年8月10日以降に病院等に販売/提供 NEW PRODUCT Laceraine▲R▼ Gel Topical Wound Anaesthetic Phebra Code SOL053(フェブラ・ピーティーワイ・リミテッド、2020年8月5日) SCHN Awards(2020)556-QIA General Entry 01.General Entryにて公開された「Improving safe medication delivery of topical wound anaesthetic」(2020 SCHN Quality and Innovation Awards、2020年10月23日)
(71)【出願人】
【識別番号】523304412
【氏名又は名称】フェブラ・ピーティーワイ・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ウィリアム・ジョン・グラヴァー
(72)【発明者】
【氏名】アレクサンダー・マルヴィン・ユーティック
【テーマコード(参考)】
4C076
4C084
4C206
【Fターム(参考)】
4C076AA09
4C076AA12
4C076BB31
4C076CC01
4C076CC18
4C076CC19
4C076DD24
4C076DD37
4C076EE09
4C076EE23
4C076EE30
4C076EE31
4C076EE32
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4C206ZA08
4C206ZA20
4C206ZA53
4C206ZA89
4C206ZC75
(57)【要約】
本発明は、外用医薬組成物を調製する方法、本方法によって調製される医薬組成物、外用医薬組成物、並びに本医薬組成物を含む使用及び方法に関する。本医薬組成物は、少なくとも1種の局所麻酔剤及び血管収縮剤を含む。組成物を調製する方法は、少なくとも1種の局所麻酔剤及び血管収縮剤を含む水性液体を撹拌する工程を含み、当該撹拌する工程は、実質的に渦を形成せずに不活性ガス下で実行される。少なくとも1種の局所麻酔剤は、リグノカイン及びテトラカインとしてもよく、血管収縮剤は、アドレナリンとしてもよい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外用医薬組成物を調製する方法であって、前記方法は、少なくとも1種の局所麻酔剤及び血管収縮剤を含む水性液体を撹拌する工程を含み、前記撹拌する工程は、実質的に渦を形成せずに不活性ガス下で実行される、外用医薬組成物を調製する方法。
【請求項2】
少なくとも1種の局所麻酔剤を含む第1の液体と、血管収縮剤を含む第2の液体とを組み合わせて、それにより、前記少なくとも1種の局所麻酔剤及び血管収縮剤を含む水性液体を用意する工程を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
酸素除去剤を撹拌液体に添加し、次いで前記血管収縮剤を前記撹拌液体に添加することによって第2の液体を調製する工程を更に含み、前記液体が、実質的に渦を形成せずに不活性ガス下で撹拌される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記酸素除去剤はメタ重亜硫酸塩である、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記血管収縮剤は、アドレナリン、メタラミノール、フェニレフリン及びノルエピネフリンからなる群から選択される、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記血管収縮剤はアドレナリンである、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記液体はゲル化剤を更に含み、前記外用医薬組成物はゲルの形態である、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記第1の液体は、ゲル化剤を更に含む、請求項2から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記少なくとも1種の局所麻酔剤とゲル化剤とを乾式ブレンドし、次いで乾式ブレンド物を撹拌液体に添加することにより第1の液体を調製する工程を更に含み、前記液体が、実質的に渦を形成せずに不活性ガス下で撹拌される、請求項2から6及び8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記ゲル化剤は、デンプン、セルロース、セルロースエステル、ポロキサマー、カルボマー、アクリレート、アクリレートコポリマー、セトステアリルアルコール、ゼラチン、アルギネート、ペクチン、アラビアガム、ローカストビーンガム、カラヤガム、トラガントガム、キサンタンガム、グアーガム及びカラゲナンからなる群から選択される、請求項2から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記ゲル化剤はヒドロキシプロピルメチルセルロースである、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記少なくとも1種の局所麻酔剤は、アセトアミドオイゲノール、酢酸アルファドロン、アルファキサロン、アムカイン、アモラノン、アミロカイン、アルチカイン、ベノキシネート、ベンゾカイン、ベトキシカイン、ビフェナミン、ブピバカイン、ブレタミン、ブタカイン、ブタベン、ブタニリカイン、ブタリタール、ブトキシカイン、カルチカイン、2-クロロプロカイン、コカエチレン、コカイン、シクロメチカイン、ジブカイン、ジメチソキン、ジメトカイン、ジペラドン、ジクロニン、エクゴニジン、エクゴニン、アミノ安息香酸エチル、塩化エチル、エチドカイン、エトキサドロール、β-オイカイン、ユープロシン、フェナルコミン、ホモカイン、ヘキソバルビタール、ヘキシルカイン、ヒドロキシジオン、ヒドロキシプロカイン、ヒドロキシテトラカイン、p-アミノ安息香酸イソブチル、ケンタミン、ロイシノカインメシレート、レボキサドロール、リグノカイン、メピバカイン、メプリルカイン、メタブトキシカイン、メトヘキシタール、塩化メチル、ミダゾラム、ミルテカイン、ネパイン、オクタカイン、オルトカイン、オキセサゼイン、パレトキシカイン、フェナカイン、フェンシクリジン、フェノール、ピペロカイン、ピリドカイン、ポリドカノール、プラモキシン、プリロカイン、プロカイン、プロパニジド、プロパノカイン、プロパラカイン、プロピポカイン、プロポフォール、プロポキシカイン、プソイドコカイン、ピロカイン、リソカイン、ロピバカイン、サリチルアルコール、テトラカイン、チアルバルビタール、チアミラール、チオブタバルビタール、チオペンタール、トリカイン、トリメカイン及びゾラミン並びにこれらの組合せからなる群から選択される、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記少なくとも1種の局所麻酔剤は2種の麻酔剤である、請求項1から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記少なくとも1種の局所麻酔剤はリグノカイン及びテトラカインである、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
(i)少なくとも1種の局所麻酔剤とゲル化剤とを乾式ブレンドし、次いで乾式ブレンド物を撹拌水性液体に添加することによって第1の液体を調製する工程であって、前記液体が、実質的に渦を形成せずに不活性ガス下で撹拌される、工程、
(ii)酸素除去剤及び血管収縮剤を撹拌水性液体に添加することによって第2の液体を調製する工程であって、前記液体が、実質的に渦を形成せずに不活性ガス下で撹拌される、工程、及び
(iii)前記第1の液体及び前記第2の液体を一緒に組み合わせ、且つ撹拌する工程であって、前記撹拌が、実質的に渦を形成せずに不活性ガス下で実行される、工程
を含む、外用医薬組成物を調製する方法。
【請求項16】
工程(i)において、前記第1の液体は、85℃超に加熱され、次いで、25~35℃に冷却された後、少なくとも10時間静置される、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
工程(iii)において、前記第1の液体及び前記第2の液体は、組み合わされる前に、約30℃未満に冷却される、請求項15又は請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記少なくとも1種の麻酔剤はリグノカイン及びテトラカインであり、前記少なくとも1種の血管収縮剤はアドレナリンであり、前記ゲル化剤はヒドロキシプロピルメチルセルロースである、請求項15から17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
請求項1から18のいずれか一項に記載の方法によって調製される外用医薬組成物。
【請求項20】
1ppm未満の酸素を含む水性液体中に、少なくとも1種の局所麻酔剤及び血管収縮剤を含む外用医薬組成物。
【請求項21】
前記少なくとも1種の局所麻酔剤はリグノカイン及びテトラカインであり、前記血管収縮剤はアドレナリンであり、前記液体はゲル化剤を更に含み、ゲルの形態である請求項20に記載の外用医薬組成物。
【請求項22】
請求項19から21のいずれか一項に記載の医薬組成物を対象に投与する工程を含む、前記対象の局所領域で失血及び疼痛を減少させる方法。
【請求項23】
前記医薬組成物は、前記対象の損傷皮膚に適用される、請求項22に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外用医薬組成物(topical pharmaceutical composition)を調製する方法に関する。本組成物は、少なくとも1種の局所麻酔剤及び血管収縮剤を含む。本発明は、本方法によって調製される外用医薬組成物、並びに例えば、失血を減少させること、及び対象の局所領域、例えば損傷皮膚を麻酔することにおける本組成物の使用にも関する。
【背景技術】
【0002】
明らかに当然のことながら、従来技術の刊行物が本明細書において参照されている場合、この参照は、その刊行物がオーストラリア又は他のいずれの国における当該技術分野における技術常識の一部を形成するとの認定を構成するものではない。
【0003】
表面局所麻酔(topical local anesthesia)は、小手術手技中に疼痛が管理される必要のある状況において、特に、患者が、例えば発疹、切傷又は裂傷が原因で出血もしている緊急事態において重要である。これは、迅速で適切な縫合及び疼痛管理処置を可能にするために、特に軽症の裂傷が極めてよく見られる小児について重要である。
【0004】
例えば、患者が出血して救急診療部に運ばれてきた場合、処置は、最適な機能的又は美容的結果を、患者の苦痛を最小にしながら(特に患者が小児である場合)可能にする方法で行われるべきである。患者が処置中に苦痛を受けると、処置結果に悪影響を及ぼすおそれがある。例えば、言うことをきかない、又は怯えている小児を最良に処置するのは極めて困難であり得る。患者が抱え得る疼痛の他に、創傷の周囲の失血も、患者を著しく不安にさせるおそれがあり、過剰な失血は、処置をより複雑にする場合もある。
【0005】
したがって、局所鎮痛の提供及び失血の減少の両方が可能な医薬組成物が必要である。更に、医師及び他の医療行為者が、複雑な投与も製剤手順も使用せず、適切な医薬組成物を安全に且つ迅速に投与することができれば、処置結果の成功が増強され得る。この理由のため、そのような創傷を処置するとき、創傷に直接適用することができる局所麻酔剤が、通常は好ましい。
【0006】
場合により、医薬組成物が、創傷又は損傷皮膚に使用するのに適切であるか否かは、活性物質の性質ではなく、医薬組成物又は製剤の性質によって決定され得る。例えば、リグノカインは、局所麻酔剤として50年より長く使用されてきた。リグノカインを含む医薬組成物には、組成物の無菌性、浸潤又は全身毒性可能性、及び防腐剤の存在等の要因のため、損傷皮膚への使用には不適切なものがある。しかしながら、リグノカインは、損傷皮膚への使用のために特に設計された組成物中にも使用される。
【0007】
損傷皮膚に使用される医薬物質の1つの組合せは、LAT(別名はLET又はALA)である。この組合せは、リグノカイン、アドレナリン(エピネフリン)及びテトラカイン(アメトカイン)を含み、ゲル又は溶液の形態のいずれかで販売され得る。しかしながら、この活性物質の組合せを含む組成物は約30年間使用されているにもかかわらず、救急職員にとって困難であったのが、この活性物質を含有し、市販及び承認されている製品が一切ないことである。したがって、活性物質の組合せは、使用直前に薬剤師によって調合されるが、汚染、活性物質の濃度が不明又は変化しやすいこと(特にそれが現存の薬物製剤から調合された場合)、及び溶液の安定性が不明であること(例えば、それ以前の保存温度、及び光への曝露又は存在する何らかの抗酸化剤の希釈を原因とする)のリスクが付随する。更に、組成物が滅菌形態で調製されるべきである場合(例えば損傷皮膚に使用するため)、溶液又はゲルの滅菌を含む方法は、調製プロセス中に活性物質の分解を引き起こすか、又は滅菌を不完全にするおそれがある(組成物が使用不適になるが、これは検出さえされない場合がある)。
【0008】
無菌プロセスによって調合された調製物の無菌性保証水準(SAL)は、医薬品の製造管理及び品質管理の基準(Good Manufacturing Practices: GMPs)の下で製造された最終滅菌医薬製品のSALより、最善でも数桁低いことが認められている(Gudemanら)。製造に関する課題は、組成物が皮膚から「流れ去る」ことを原因とする問題と同様に、どのくらいの量の活性物質が実際に特定の創傷に適用されるかを決定することも困難にし得る。
【0009】
更に、局所麻酔剤の混合物の調合に関連する重大な問題には、一般に規制ガイドラインがなく、通常、米国食品医薬品局(Food and Drug Administration: FDA)に承認された製剤中に見出されるものより高い濃度の麻酔剤を含有すること、及び独立した各調剤薬局で調製された同じ製品が一致していない場合があることが含まれると報告されている(Berkmanら)。事実、2003年以降、Missouri Board of Pharmacyは、地域薬局で即時調製された製品のランダム試験プログラムを行い、ほぼ900の薬剤を試験した中で、22%が、活性成分について±10%の限度内(米国薬局方の製剤について一般に要求される限度である)に入らないことを発見した(Australian National Coordinating Committee on Therapeutic Goods、2008年)。調合された外用麻酔剤に関連して報告された重篤な有害作用には、不整脈、発作、昏睡、メトヘモグロビン血症及び低酸素血症が含まれる。米国FDAは、過剰な量の作用物質の使用、過剰に多い体表面積の被覆、及び炎症皮膚又は損傷皮膚への適用等の要因に警告を発している(Fryら、Kennedyら、Wolfら)。
【0010】
LATは、製品の安定性に関する問題のため、薬局で調合される必要がある。例えば、LATは低温(例えば0~4℃)で保存する必要があり、LATは感光性である。しかしながら、滅菌組成物の提供における困難に加えて、調剤薬局がゲル化剤を適切に溶解することの困難(組成物がゲルとして製剤化されようとする場合)、及び活性物質の適切な濃度の確保における困難があり得る。調合指示が十分に明白でない場合、薬剤師にとっても困難があり得る。本発明者らの知識では、リグノカイン、アドレナリン及びテトラカインを含む、規制機関によって承認されている組成物は存在しない。
【0011】
したがって、様々な態様において、失血及び疼痛の両方について創傷を局所的に処置することができる医薬組成物を調製することができる必要性がある。別の実施形態では、工業的に製造することができ、保存に安定し、滅菌様式で調製することができる医薬組成物を調製することができる必要性がある。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0012】
【非特許文献1】米国薬局方
【非特許文献2】Australian National Coordinating Committee on Therapeutic Goods、2008年
【非特許文献3】英国薬局方
【非特許文献4】Dupont Technical Handbook、2002年
【非特許文献5】Dupont Nutrition and Biosciences 2020年
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
一態様において、本発明は、上記の不利点のうち少なくとも1つを少なくとも部分的に克服することができるか、又は消費者に有用な若しくは商業的な選択肢を提供することができる、外用医薬組成物を調製する方法を対象とする。上記に鑑みて、本発明は、一形態において、少なくとも1種の局所麻酔剤及び血管収縮剤を含む外用医薬組成物を調製する方法に広く属する。
【発明を実施するための形態】
【0014】
第1の態様において、本発明は、外用医薬組成物を調製する方法であって、当該方法は、少なくとも1種の局所麻酔剤及び血管収縮剤を含む水性液体を撹拌する工程を含み、当該撹拌する工程は、実質的に渦を形成せずに不活性ガス下で実行される、外用医薬組成物を調製する方法を提供する。
【0015】
血管収縮剤がアドレナリンであるとき、アドレナリンの安定性は、安定な組成物を提供することにおいて重要な問題となる可能性がある。アドレナリンは、製造中及び製造後、酸化に感受性があり、不十分な滅菌条件が原因で分解するおそれがある。これが主な理由で、LAT組成物は、一度作製されると、通常0~8℃で保存される。少量の酸素でも、LAT組成物の安定性を低下させる能力がある。例えば、英国薬局方及び米国薬局方の両方が、予想される分解をもたらし得る組合せ製剤中のアドレナリンの濃度に広範な制限を設定し、場合により、アドレナリンの量は、±12.5%まで、又は±15%でさえあり得る。これと比較して、最終用量形態中の個々の薬物の出荷について設定された共通の一般的なレベルは、通常±5%である。
【0016】
アドレナリンの安定性に影響を及ぼす重要な要因には、pH、酸素への曝露による酸化(これは溶液中に存在する金属によって増強される場合がある)及び光が含まれる。例えば、テトラカインも同じ要因に影響されるが、リグノカインは影響されない。化学的には、アドレナリンのカテコール部分構造が、アドレナリンの酸化傾向の主な原因であるようである。
【0017】
アドレナリンを含む組合せは、より低い温度で保存されると、幾分安定性を有し得るが、組成物がより高い温度で保存されると、アドレナリンの濃度の著しい低下が認められる場合がある。例えば、アドレナリンは、酸性条件下及び塩基性条件下の両方で、冷凍庫内で保存されたとき、少なくとも28日安定であり得ることが見出されたが、より高い温度(4℃以上)では、100%の濃度の損失が2日後に、又は22℃では90分以内に認められた(Palazzoloら)。
【0018】
アドレナリンに関連する安定性の要因は周知であるにもかかわらず、本発明者らの知るところでは、LATの組合せを室温保存で安定させることができたグループはない。
【0019】
本発明者らは、有利なことに、酸素の侵入を制御する方法が、安定な組成物の形成に重要であることを発見した。本発明者らは、有利なことに、少なくとも1種の局所麻酔剤及び血管収縮剤を含む水性液体を不活性ガス下で撹拌することが、酸素が液体中に侵入する可能性を低減するのに重要であることを発見した。しかしながら、実質的に渦を形成せずに液体を撹拌することも重要である。なぜなら、渦が物質(ガスを含む)を上部空間に形成すると、渦が液体中に引き込まれるからである。したがって、撹拌中に渦が形成されると、酸素が液体に侵入し得る可能性が大いに高い。
【0020】
本明細書で使用する場合、「不活性ガス」という用語は、少なくとも1種の局所麻酔剤及び血管収縮剤と反応しないガスに関する。例示的な不活性ガスには、窒素又は希ガスが含まれ得る。希ガスは、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン及びラドンからなる群から選択することができ、特に、ヘリウム、ネオン又はアルゴン、より特定するとアルゴンである。一実施形態では、不活性ガスは、窒素又はアルゴン、特に窒素である。
【0021】
第1の態様における撹拌は、任意の適切な方法で不活性ガス下に存在し得る。例えば、撹拌する工程は、水性液体の表面上に不活性ガスを流すことを含んでもよい。不活性ガスの適切な流速は、当業者が選択することができる。別の実施形態では、撹拌する工程は、密閉した容器中に液体を配置し、密閉した容器中のガスを不活性ガスに置換することを含んでもよい。疑義を回避するためであるが、密閉した容器において、例えば蓋の中に、不活性ガス及び残留している酸素が流出し得る間隙が存在してもよい。一実施形態では、不活性ガスの流速は、1分当たり容器容積の0.5%~100%、特に、1分当たり容器容積の0.5%~80%、又は0.5%~60%、又は0.5%~40%、又は0.5%~30%、又は1%~20%、又は2%~10%である。
【0022】
第1の態様の方法において、撹拌は、実質的に渦を形成せずに実行される。液体が撹拌されると、液体流は、軸(これは、例えばかき混ぜ器又は攪拌器の回転と同軸であり得る)の周りを回転することができる。軸は垂直とすることができるが、傾斜もしていてもよい。軸位置の液体の表面レベルが周囲の液体の表面レベルより著しく低いとき、渦が形成されると考えられる。一実施形態では、撹拌が実質的に渦を形成せずに実行されるのは、液体の回転の軸位置の表面レベルが、周囲の液体の表面レベルより5cm未満低いとき、特に、周囲の液体の表面レベルより4cm未満、3cm未満、2cm未満、1cm未満、又は0.5cm未満低いときである。別の実施形態では、撹拌が実質的に渦を形成せずに実行されるのは、液体の表面積が、撹拌されていないときの液体より10%未満大きいとき、特に、撹拌されていないときの液体より9%未満、8%未満、7%未満、6%未満、5%未満、4%未満、3%未満、2%未満、又は1%未満大きいときである。
【0023】
本明細書及び特許請求の範囲において、「含んでいる(comprising)」という単語並びに「含む(comprises)」及び「含む(comprise)」を始めとするその派生語は、記載された整数の各々を含むが、1つ又は複数の更なる整数の包含を排除しない。
【0024】
本明細書で使用する場合、「液体」という用語は、易流動性溶液、例えば水性溶液(例えばゲル化剤を含まない溶液)を含む。「液体」という用語は、ゲル等の粘性液も含む。
【0025】
第1の態様の方法によって調製される医薬組成物は、任意の適切な形態とすることができる。一実施形態では、組成物は、溶液の形態である。別の実施形態では、組成物は、ゲル又はクリーム、特にゲルの形態である。組成物は、任意の適切な粘度とすることができる。一実施形態では、組成物は、20℃で0.01cPs~2,500cPs(0.00001Pa・s~2.5Pa・s)、又は20℃で0.1cPs~2,000cPs(0.0001Pa・s~2Pa・s)の粘度を有する。別の実施形態では、組成物は、20℃で2,500cPs~15,000cPs(2.5Pa・s~15Pa・s)、特に、20℃で5,000cPs~13,000cPs(5Pa・s~13Pa・s)、より特定すると、20℃で7,000cPs~11,000cPs(7Pa・s~11Pa・s)の粘度を有する。
【0026】
組成物のゲル形態が好ましい一方で、組成物は溶液の形態にすることもできる。ゲル形態は、溶液形態よりも対象に適用しやすい場合があり、溶液形態よりも対象への付着性が改善されている。したがって、ゲル形態は、麻酔効果が改善されている場合がある。ゲル形態は、溶液形態よりも長時間安定である場合もある。なぜなら、例えば、酸素又は他のガスがより粘性の強いゲルに浸透するのはより困難であり得るからである。しかしながら、以前はゲルを調製するのは困難であった。なぜなら、生体ポリマーゲル化剤(メチルセルロース及びヒドロキシプロピルメチルセルロース等)は、可溶化が相対的に遅く(24時間を要する)、ゲル中に存在する酸素除去剤を希釈する可能性があり、ゲルを製剤化するために要する時間は救急診療部に許容され得ないからである。
【0027】
第1の態様の方法によって調製される医薬組成物は、任意の適切なpHを有することができる。一実施形態では、第1の態様の方法によって調製される医薬組成物は、2.5~4.5、又は3~4.2、又は3.5~4.0、又は約3.7のpHを有する。
【0028】
第1の態様において撹拌される水性液体は、少なくとも50%の水(体積による)、特に少なくとも60%、又は少なくとも70%、又は少なくとも80%、又は少なくとも90%の水(体積による)とすることができる。第1の態様において撹拌される水性液体は、少なくとも95%の水(体積による)としてもよい。一実施形態では、第1の態様において撹拌される水性液体は水である。水性溶液中に存在することができる溶媒は、水、水に混和性の溶媒及び水に非混和性の溶媒からなる群から選択することができる。例示的な水に混和性の溶媒は、アルコール(メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール又はグリセロール等)及びグリコール(プロピレングリコール、ポリエチレングリコール等)を含んでもよい。例示的な水に非混和性の溶媒は、油、及び脂肪酸エステル(ミリスチン酸イソプロピル等)を含んでもよい。任意のそのような溶媒は、対象の体循環内への局所麻酔剤又は血管収縮剤の浸透(これは毒性に影響する可能性がある)が増加しないように選択されるべきである。一実施形態では、第1の態様において撹拌される水性液体は、脱酸素化された水性液体である。水性液体は、酸素除去剤の使用を介すこと、又は液体に不活性ガスを注入することを含む、任意の適切な方法によって脱酸素化することができる。
【0029】
少なくとも1種の局所麻酔剤は、任意の数の麻酔剤とされてよい。外用医薬組成物は、例えば、1種、2種、3種、4種又は5種の局所麻酔剤を含んでもよい。一実施形態では、医薬組成物は、1種の局所麻酔剤を含む。別の実施形態では、医薬組成物は、2種の局所麻酔剤を含む。
【0030】
少なくとも1種の局所麻酔剤は、アセトアミドオイゲノール、酢酸アルファドロン、アルファキサロン、アムカイン(amucaine)、アモラノン、アミロカイン、アルチカイン、ベノキシネート、ベンゾカイン、ベトキシカイン、ビフェナミン、ブピバカイン、ブレタミン(burethamine)、ブタカイン、ブタベン(butaben)、ブタニリカイン、ブタリタール、ブトキシカイン、カルチカイン、2-クロロプロカイン、コカエチレン、コカイン、シクロメチカイン、ジブカイン、ジメチソキン、ジメトカイン、ジペラドン(diperadon)、ジクロニン、エクゴニジン、エクゴニン、アミノ安息香酸エチル、塩化エチル、エチドカイン、エトキサドロール、β-オイカイン、ユープロシン、フェナルコミン、ホモカイン、ヘキソバルビタール、ヘキシルカイン、ヒドロキシジオン、ヒドロキシプロカイン、ヒドロキシテトラカイン、p-アミノ安息香酸イソブチル、ケンタミン(kentamine)、ロイシノカインメシレート、レボキサドロール、リグノカイン、メピバカイン、メプリルカイン、メタブトキシカイン、メトヘキシタール、塩化メチル、ミダゾラム、ミルテカイン、ネパイン(naepaine)、オクタカイン、オルトカイン、オキセサゼイン、パレトキシカイン、フェナカイン、フェンシクリジン、フェノール、ピペロカイン、ピリドカイン、ポリドカノール、プラモキシン、プリロカイン、プロカイン、プロパニジド、プロパノカイン、プロパラカイン、プロピポカイン(propipocaine)、プロポフォール、プロポキシカイン、プソイドコカイン(pseudococaine)、ピロカイン、リソカイン、ロピバカイン、サリチルアルコール、テトラカイン、チアルバルビタール、チアミラール、チオブタバルビタール、チオペンタール、トリカイン、トリメカイン及びゾラミン並びにこれらの組合せからなる群から選択されてもよい。
【0031】
一実施形態では、少なくとも1種の局所麻酔剤は、テトラカイン、リグノカイン、プリロカイン、ベンゾカイン、及びこれらの組合せからなる群から選択される。一実施形態では、少なくとも1種の局所麻酔剤は、リグノカイン及びテトラカインである。
【0032】
少なくとも1種の局所麻酔剤は、アミド官能基を含むことができる。例示的なそのような局所麻酔剤は、リグノカイン(別名キシロカイン及びリドカイン)、ブピバカイン、プリロカイン、アルチカイン、ロピバカイン及びメピバカインからなる群から選択されてもよい。少なくとも1種の局所麻酔剤は、エステル官能基を含んでもよい。例示的なそのような局所麻酔剤は、プロカイン、テトラカイン(別名アメトカイン)、コカイン、及びベンゾカインからなる群から選択されてもよい。一般に、エステルタイプは、その表皮への浸透を可能にするより親油性の性質のため、作用発現がより速い場合がある。
【0033】
本明細書で使用する場合、「局所麻酔剤」という用語は、局所投与されると、局所作用を有する麻酔剤を指す。そのような麻酔剤の一部は、他の経路で投与されると、全身作用も示す場合がある。そのような麻酔剤は、その臨床用途を規定する特定の特性を有する。例えば、ブピバカインと比較すると、リグノカインは、作用発現はより速いが、有効な時間はより短い。
【0034】
任意の適切な量の、少なくとも1種の局所麻酔剤が、医薬組成物中に存在し得る。一実施形態では、第1の態様の方法によって調製される組成物中の少なくとも1種の局所麻酔剤の総量は、医薬組成物の約0.1wt%~約10wt%、特に、医薬組成物の約1wt%~約8wt%、又は約2wt%~約6wt%、又は約3wt%~約5wt%である。一実施形態では、第1の態様の方法によって調製される組成物中の少なくとも1種の局所麻酔剤の各々の量は、医薬組成物の約0.1wt%~約10wt%、特に、医薬組成物の約0.1wt%~約8wt%、又は約0.2wt%~約6wt%、又は約0.2wt%~約5wt%である。
【0035】
アミド官能基を有する局所麻酔剤(特にリグノカイン)が組成物中に存在するとき、それは、組成物の約1wt%~約7wt%で、又は組成物の約2wt%~約6wt%で、若しくは約3wt%~約5wt%で、若しくは組成物の約4wt%で存在してもよい。エステル官能基を有する局所麻酔剤(特にテトラカイン)が組成物中に存在するとき、それは、組成物の約0.01wt%~約2wt%で、若しくは約0.05wt%~約1.5wt%で、又は組成物の約0.1wt%~約1wt%で、又は組成物の約0.5wt%で存在してもよい。一実施形態では、医薬組成物中の少なくとも1種の局所麻酔剤の量は、最大±5%の変動を有する。
【0036】
血管収縮剤は、少なくとも1種の血管収縮剤、例えば、2種、3種又は4種の血管収縮剤とすることができる。しかしながら、一実施形態では、血管収縮剤は1種の血管収縮剤である。血管収縮剤は、アドレナリン、メタラミノール、フェニレフリン及びノルエピネフリン、又はこれらの組合せからなる群から、特に、アドレナリン、メタラミノール、フェニレフリン及びノルエピネフリンからなる群から選択されてもよい。血管収縮剤は、アドレナリンであってもよい。血管収縮剤は、アドレナリン作動性交感神経作動剤であってもよい。例示的なアドレナリン作動性交感神経作動剤は、アドレナリン、メタラミノール、フェニレフリン及びノルエピネフリンである。
【0037】
任意の適切な量の血管収縮剤が医薬組成物中に存在し得る。一実施形態では、第1の態様の方法によって調製される組成物中の血管収縮剤の総量は、組成物の約0.001wt%~約0.50wt%、特に、組成物の約0.005wt%~約0.35wt%、又は約0.01wt%~約0.25wt%、又は約0.05wt%~約0.20wt%である。一実施形態では、医薬組成物中の血管収縮剤の量は、最大±5%の変動を有する。
【0038】
一実施形態では、少なくとも1種の局所麻酔剤はリグノカイン及びテトラカインであり、血管収縮剤はアドレナリンである。有利なことに、リグノカイン、テトラカイン及びアドレナリンの組合せは、20~30分で作用しながら、創傷からの出血を遅らせるか又は止めることができる。アドレナリンが存在すると、血管収縮を誘導することができ、それは出血を遅らせ、それと同時に局所麻酔剤の除去を遅らせ、それらの効果の持続時間を長くする。例えば、アドレナリンを伴わないリグノカインの局所麻酔は、約30~60分間持続し得るが、アドレナリンを伴うリグノカインの局所麻酔は、約120~360分間持続し得る(Huetherら)。更に、アドレナリンを使用して創傷での血液供給を減少させると、テトラカインが体循環内に侵入する可能性(これは毒性作用を示す場合がある)を低減することもできる。更に、アドレナリンを使用すると、創傷の周囲に「蒼白化」をもたらすことがあり、これは、麻酔が奏効したときを示し得る。
【0039】
一実施形態では、医薬組成物は、酸素除去剤(又は抗酸化剤)を更に含んでもよい。第1の態様の方法における水性液体は、酸素除去剤(又は抗酸化剤)を含んでもよい。したがって、第1の態様の方法は、少なくとも1種の局所麻酔剤、血管収縮剤及び酸素除去剤(又は抗酸化剤)を含む水性液体を撹拌する工程を含んでもよい。酸素除去剤の存在は、例えば、医薬組成物中に存在する酸素の濃度又は量の最小化を助けるために有利であり得る。
【0040】
酸素除去剤(又は抗酸化剤)は、アスコルビン酸、アセチルシステイン、チオ尿素、亜硫酸塩又はこれらの組合せからなる群から選択することができる。亜硫酸塩は、メタ重亜硫酸塩(特にメタ重亜硫酸ナトリウム)としてもよい。
【0041】
任意の適切な量の酸素除去剤(又は抗酸化剤)が、医薬組成物中に存在し得る。一実施形態では、第1の態様の方法によって調製される組成物中の酸素除去剤(又は抗酸化剤)の量は、組成物の約0.001wt%~約0.50wt%、特に、組成物の約0.005wt%~約0.35wt%、又は約0.01wt%~約0.25wt%、又は約0.05wt%~約0.20wt%、又は約0.1wt%である。
【0042】
液体は、ゲル化剤を更に含んでもよい。一実施形態では、液体はゲル化剤を更に含み、外用医薬組成物はゲルの形態である。
【0043】
任意の適切なゲル化剤を使用することができる。一実施形態では、ゲル化剤は、親水性ゲル化剤、特に親水性ポリマーゲル化剤である。ゲル化剤は、増粘剤としてもよい。ゲル化剤は、非リポソームのゲル化剤、特に非リポソームのポリマーゲル化剤としてもよい。ゲル化剤は、デンプン、セルロース、セルロースエステル、ポロキサマー、カルボマー、アクリレート、アクリレートコポリマー(アクリルアミド-アクリル酸ナトリウムコポリマー等)、セトステアリルアルコール、ゼラチン、アルギネート、ペクチン、アラビアガム、ローカストビーンガム、カラヤガム、トラガントガム、キサンタンガム、グアーガム及びカラゲナン、又はこれらの組合せからなる群から選択されてもよい。一実施形態では、ゲル化剤は、セルロース系ゲル化剤である。ゲル化剤は、エチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチル(ヒプロメロース)セルロース及びこれらの組合せからなる群から選択されてもよい。ゲル化剤は、ヒドロキシプロピルメチルセルロースであってもよい。
【0044】
一実施形態では、ゲル化剤は、1,750~8,000cPs(2.5Pa・s~8Pa・s)、又は2,500~6,000cPs(2.5Pa・s~6Pa・s)、又は3,000~5,000cPs(3Pa・s~5Pa・s)、又は約3,000~4,000cPs(4Pa・s)の粘度を有し得る。一実施形態では、第1の態様の方法によって調製される組成物中のゲル化剤の量は、組成物の約0.01wt%~約15wt%、特に、組成物の約0.1wt%~約10wt%、又は約0.5wt%~約5wt%である。一実施形態では、第1の態様の方法によって調製される組成物中のゲル化剤の量は、組成物の約0.1wt%~約5wt%、特に、組成物の約0.5wt%~約4wt%、又は約1wt%~約3.5wt%、又は約1.5wt%~約3.0wt%、又は約2wt%~約2.5wt%、又は約2.25wt%である。一実施形態では、医薬組成物中の、少なくとも1種の局所麻酔剤のゲル化剤に対する比は、約0.5:1~約5:1、又は約1:1~3:1、又は約2:1、又は約1.8:1とすることができる。
【0045】
第1の態様の方法における撹拌は、任意の適切な方法で実行することができる。一実施形態では、撹拌は、攪拌器を用いて実行される。攪拌器は、羽根を含むことができる。攪拌器は、羽根に連結された軸を含むことができる。攪拌器の羽根は、複数の開口部を画定することができる。複数の開口部は、均等に配分され得る。開口部の均等な配分により、攪拌器が回転すると、噴流の形成が可能になる。攪拌器の羽根は、実質的に平らとすることができる。攪拌器の羽根は、複数の実質的に矩形の開口部を画定することができる。攪拌器の羽根の表面積の約10%~約40%が開口部を構成することができるか、又は攪拌器の羽根の表面積の約15%~約30%、若しくは約20%~約25%が開口部を構成することができる。攪拌器の羽根の各端部によって画定される面積のうち、約10%~約40%を開口部(又は空隙)とすることができるか、又は約15%~約30%、若しくは約20%~約25%を開口部(又は空隙)とすることができる。攪拌器の羽根は、任意の数の開口部を画定することができる。一実施形態では、攪拌器の羽根は、2つの開口部を画定する。一実施形態では、前記各開口部は、攪拌器の羽根の全表面積の約5%~約20%、又は約10~約15%を占める。攪拌器の羽根が回転する軸は、対称軸とすることができる。本発明者らは、有利なことに、対称に位置する大きい開口部を有する攪拌器の羽根が、「さっと動いて通過する」動きを生成することができる(したがって低剪断であり、実質的に渦を形成せずに撹拌することが可能になる)ことを発見した。攪拌器は、ゲル化剤の分散においても助けになり得る。攪拌器は、10rpm~80rpm、特に20rpm~60rpm、又は35~45rpmの間の速度で、特に少なくとも20分間、又は少なくとも60分間回転させることができる。次いで、攪拌器は、100~300rpm、又は120~250rpm、又は140~200rpm、又は150~180rpmの速度で、特に少なくとも30分間、又は少なくとも60分間回転させることができる。少なくとも1種の局所麻酔剤及び血管収縮剤を含む水性溶液は、使用又はパッケージングの準備ができるまで撹拌することができる。
【0046】
第1の態様の方法の一実施形態では、少なくとも1種の局所麻酔剤及び血管収縮剤を含む水性液体は、50℃未満、又は40℃未満、又は30℃未満で撹拌される。第1の態様の方法の一実施形態では、少なくとも1種の局所麻酔剤及び血管収縮剤を含む水性液体は、常圧で撹拌される。
【0047】
第1の態様の方法の一実施形態では、本方法は、少なくとも1種の局所麻酔剤を含む第1の液体と、血管収縮剤を含む第2の液体とを組み合わせて、それにより、少なくとも1種の局所麻酔剤及び血管収縮剤を含む水性液体を用意する工程を含む。一実施形態では、第1の液体及び第2の液体は、組み合わされる前に、各々、約30℃未満、特に約25℃未満、又は約20℃未満の温度に冷却される。組み合わせる工程は、第2の液体を第1の液体中に添加することを含み得る。第1の液体は、上記のように撹拌することができる。
【0048】
第1の液体は、少なくとも50%の水(体積による)、特に少なくとも60%、又は少なくとも70%、又は少なくとも80%、又は少なくとも90%の水(体積による)を含むことができる。第1の液体は、少なくとも95%の水(体積による)としてもよい。一実施形態では、第1の液体は水である。第1の液体中に存在してもよい溶媒は、水、水に混和性の溶媒及び水に非混和性の溶媒からなる群から選択することができる。例示的な水に混和性の溶媒は、アルコール(メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール又はグリセロール等)及びグリコール(プロピレングリコール、ポリエチレングリコール等)を含んでもよい。例示的な水に非混和性の溶媒は、油、及び脂肪酸エステル(ミリスチン酸イソプロピル等)を含んでもよい。一実施形態では、第1の液体は、脱酸素化された液体である。第1の液体は、酸素除去剤の使用を介すこと、又は液体に不活性ガスを注入することを含む、任意の適切な方法によって脱酸素化することができる。
【0049】
第2の液体は、少なくとも50%の水(体積による)、特に少なくとも60%、又は少なくとも70%、又は少なくとも80%、又は少なくとも90%の水(体積による)を含むことができる。第2の液体は、少なくとも95%の水(体積による)としてもよい。一実施形態では、第2の液体は水である。第2の液体中に存在してもよい溶媒は、水、水に混和性の溶媒及び水に非混和性の溶媒からなる群から選択することができる。例示的な水に混和性の溶媒は、アルコール(メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール又はグリセロール等)及びグリコール(プロピレングリコール、ポリエチレングリコール等)を含んでもよい。例示的な水に非混和性の溶媒は、油、及び脂肪酸エステル(ミリスチン酸イソプロピル等)を含んでもよい。一実施形態では、第2の液体は、脱酸素化された液体である。第2の液体は、酸素除去剤の使用を介すこと、又は液体に不活性ガスを注入することを含む、任意の適切な方法によって脱酸素化することができる。
【0050】
一実施形態では、第1の液体は、ゲル化剤を含むことができる。ゲル化剤は、上記のとおりであり得る。
【0051】
別の実施形態では、第1の態様の方法は、少なくとも1種の局所麻酔剤とゲル化剤とを乾式ブレンドし、次いで乾式ブレンド物を撹拌液体に添加し、当該液体が、実質的に渦を形成せずに不活性ガス下で撹拌されることによって第1の液体を調製する工程を更に含むことができる。一実施形態では、第1の液体中の、少なくとも1種の局所麻酔剤のゲル化剤に対する比は、約0.5:1~約5:1、又は約1:1~3:1、又は約2:1、又は約1.8:1とすることができる。乾式ブレンド物を撹拌液体に添加する工程は、任意の適切な温度で実行することができる。一実施形態では、その温度は、少なくとも50℃、又は少なくとも60℃、又は少なくとも70℃、又は少なくとも80℃、又は少なくとも85℃である。一実施形態では、その温度は、100℃未満、又は95℃未満、又は90℃未満である。乾式ブレンド物を添加する工程は、例えば10分より長く、特に15分より長くかけて、ゆっくりと行ってもよい。撹拌液体は、任意の適切な方法で、特に上記の攪拌器によって、撹拌することができる。攪拌器は、50rpm~500rpm、特に100rpm~350rpmの間、又は150~250rpmの速度で回転させることができる。不活性ガスは、上記のとおりとすることができる。不活性ガスは、窒素であってもよい。乾式ブレンドの工程は、有利なことに、ゲル化剤を分散させ、ゲル化剤を溶解させるのを助けることができる。第1の液体は、9未満、特に、8未満、7未満、6未満、5未満、又は4未満のpHで維持することができる。一実施形態では、第1の液体は、85℃超に加熱され、次いで、25~35℃(特に約30℃)に冷却された後、少なくとも10時間静置される。
【0052】
前段落で述べられた撹拌液体は、任意の適切な方法で不活性ガス下に存在し得る。例えば、撹拌する工程は、水性液体の表面を覆うように不活性ガスを流すことを含んでもよい。不活性ガスの適切な流速は、当業者が選択することができる。別の実施形態では、撹拌する工程は、密閉した容器中に液体を配置し、密閉した容器中のガスを不活性ガスに置換することを含んでもよい。疑義を回避するためであるが、密閉した容器において、例えば蓋の中に、不活性ガス及び残留している酸素が流出し得る間隙が存在してもよい。一実施形態では、不活性ガスの流速は、1分当たり容器容積の0.5%~100%、特に、1分当たり容器容積の0.5%~80%、又は0.5%~60%、又は0.5%~40%、又は0.5%~30%、又は1%~20%、又は2%~10%である。
【0053】
第1の液体が調製された後、第1の液体と第2の液体とが組み合わされる前に、第1の液体は冷却され得る。一実施形態では、第1の液体は、約40℃未満、特に約35℃未満、又は30℃未満の温度に冷却される。一実施形態では、第1の液体は、約20~25℃の温度に冷却される。一実施形態では、第1の液体は、10℃~35℃、特に15℃~35℃、又は20℃~30℃の温度に冷却される。冷却は緩やかに行ってもよい。冷却は、冷却装置を使用しなくてもよい。第1の液体が冷却された後、それを、少なくとも10時間、特に少なくとも15時間、又は少なくとも16時間静置することができる。有利なことに、緩やかに冷却し、その後静置すると、ゲル化剤(ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)等)の完全で均一な水和を可能にすることができる。第1の液体は、冷却及び静置の間、不活性ガス下に存在したままにしてもよい。
【0054】
一実施形態では、第1の態様の方法は、血管収縮剤を撹拌液体に添加することによって第2の液体を調製する工程を更に含む。別の実施形態では、第1の態様の方法は、酸素除去剤を撹拌液体に添加し、次いで血管収縮剤を撹拌液体に添加し、当該液体が、実質的に渦を形成せずに不活性ガス下で撹拌されることによって第2の液体を調製する工程を更に含む。これらの実施形態の特徴は、上記のとおりとすることができる。特に、酸素除去剤及び不活性ガスは、上記のとおりとすることができる。撹拌液体は、任意の適切な方法で、特に上記の攪拌器によって撹拌することができる。攪拌器は、10rpm~80rpm、特に20rpm~60rpmの間、又は35~45rpmの速度で回転させてもよい。不活性ガスは、上記のとおりとすることができる。不活性ガスは窒素であってもよい。
【0055】
前段落で述べられた撹拌液体は、任意の適切な方法で不活性ガス下に存在し得る。例えば、撹拌する工程は、水性液体の表面を覆うように不活性ガスを流すことを含んでもよい。不活性ガスの適切な流速は、当業者が選択することができる。別の実施形態では、撹拌する工程は、密閉した容器中に液体を配置し、密閉した容器中のガスを不活性ガスに置換することを含んでもよい。疑義を回避するためであるが、密閉した容器において、例えば蓋の中に、不活性ガス及び残留している酸素が流出し得る間隙が存在してもよい。一実施形態では、不活性ガスの流速は、1分当たり容器容積の0.5%~100%、特に、1分当たり容器容積の0.5%~80%、又は0.5%~60%、又は0.5%~40%、又は0.5%~30%、又は1%~20%、又は2%~10%である。
【0056】
したがって、一実施形態では、本発明は、
(i)少なくとも1種の局所麻酔剤とゲル化剤とを乾式ブレンドし、次いで乾式ブレンド物を撹拌水性液体に添加することによって第1の液体を調製する工程であって、当該液体が、実質的に渦を形成せずに不活性ガス下で撹拌される、工程、
(ii)酸素除去剤及び血管収縮剤を撹拌水性液体に添加することによって第2の液体を調製する工程であって、当該液体が、実質的に渦を形成せずに不活性ガス下で撹拌される、工程、及び
(iii)第1の液体及び第2の液体を一緒に組み合わせ、且つ撹拌する工程であって、当該撹拌が、実質的に渦を形成せずに不活性ガス下で実行される、工程
を含む、外用医薬組成物を調製する方法を提供する。
この実施形態の特徴は、上記のとおりとすることができる。一実施形態では、少なくとも1種の麻酔剤はリグノカイン及びテトラカインであり、少なくとも1種の血管収縮剤はアドレナリンであり、ゲル化剤はヒドロキシプロピルメチルセルロースである。
【0057】
一実施形態では、本方法において使用される液体(特に、第2の液体、及び少なくとも1種の局所麻酔剤及び血管収縮剤を含む水性液体)は、光、特にUV光から保護される。
【0058】
第1の態様の方法は、少なくとも1種の局所麻酔剤及び血管収縮剤を含む水性液体を容器に充填する工程を更に含んでもよい。一実施形態では、充填する間、水性液体は、約20℃~約45℃、特に約25℃~約40℃、又は約30℃~約40℃の温度、又は約35℃~37℃、又は約35℃~36℃である。本発明者らは、有利なことに、この充填温度が、ゲル化剤を含む医薬組成物に、特にゲル化剤がHPMCである場合に有効であることを発見した。そのような充填温度では、容器が迅速に充填されることが可能であり、それは酸素の侵入の可能性を低減する。一実施形態では、充填する間、充填される容器は不活性ガス下にあり、特に容器のヘッドスペースは不活性ガス下にあり、特に不活性ガスで覆われている。不活性ガスは、上記のとおりとすることができる。不活性ガスは、窒素であってもよい。充填された容器のヘッドスペースは、6%未満の酸素、又は5%未満の酸素、又は4%未満の酸素又は3%未満の酸素(体積による)を含んでもよい。
【0059】
一実施形態では、充填される容器は耐光性であるか、又は光の侵入ができない。一実施形態では、充填される容器は、アンバー色に着色されている。一実施形態では、容器は、アンプル、バイアル又はシリンジである。
【0060】
第1の態様の方法は、容器を密封する工程を含むことができる。
【0061】
充填され、密封された容器は、滅菌することができる。充填され、密封された容器は、オートクレーブ処理することができる。典型的なオートクレーブ手順は、121℃の温度を20分間要する。
【0062】
一実施形態では、第1の態様によって調製される医薬組成物は、滅菌とすることができる。第1の態様によって調製される医薬組成物は、室温で(又は20~30℃、特に約25℃で)少なくとも12カ月間、特に少なくとも18カ月間又は少なくとも24カ月間安定であることが可能である。第1の態様の医薬組成物は、防腐剤を含まなくてもよい。第1の態様の医薬組成物は、浸透剤を含まなくてもよい。
【0063】
外用医薬組成物は、皮膚(損傷皮膚を含む)及び粘膜を含む対象の任意の部分への適用に適切であり得る。「皮膚」という用語は、対象の表皮を含むことができる。外用医薬組成物は、粘膜の炎症、擦過、潰瘍、病変、外傷及び切開等の粘膜損傷への使用に適切であり得る。
【0064】
本明細書で使用する場合、「対象」又は「個体」又は「患者」という用語は、治療が所望される任意の対象、特に脊椎動物の対象、より一層特定すると哺乳動物の対象を指すことができる。適切な脊椎動物には、以下に限定されないが、霊長類、鳥類、家畜動物(例えば、ヒツジ、ウシ、ウマ、ロバ、ブタ)、実験室試験動物(例えば、ウサギ、マウス、ラット、モルモット、ハムスター)、コンパニオンアニマル(例えば、ネコ、イヌ)及び捕獲性野生動物(例えば、キツネ、シカ、ディンゴ)が含まれる。好ましい対象はヒトである。
【0065】
第2の態様によれば、本発明は、第1の態様の方法によって調製される外用医薬組成物を提供する。第2の態様の外用医薬組成物の特徴は、第1の態様について記載されたとおりとすることができる。
【0066】
第3の態様によれば、本発明は、脱酸素化された液体である水性液体中に、少なくとも1種の局所麻酔剤及び血管収縮剤を含む外用医薬組成物を提供する。
【0067】
第4の態様によれば、本発明は、5ppm未満の酸素を含む水性液体中に、少なくとも1種の局所麻酔剤及び血管収縮剤を含む外用医薬組成物を提供する。
【0068】
第4の態様の一実施形態では、液体は、4ppm未満、3ppm未満、2ppm未満、1ppm未満、又は0.5ppm未満の酸素を含む。
【0069】
本発明の第3及び第4の態様の特徴は、本発明の第1及び第2の態様について記載されたとおりとすることができる。
【0070】
第3及び第4の態様の一実施形態では、少なくとも1種の局所麻酔剤は、リグノカイン及びテトラカインであってもよい。第3及び第4の態様の一実施形態では、血管収縮剤はアドレナリンである。第3及び第4の態様の液体は水であってもよい。第3及び第4の態様の医薬組成物は、酸素除去剤(又は抗酸化剤)、特に亜硫酸塩、より特定するとメタ重亜硫酸塩を更に含んでもよい。第3及び第4の態様の医薬組成物は、溶液又はゲル、特にゲルの形態としてもよい。第3及び第4の態様の医薬組成物は、ゲル化剤、特にヒドロキシプロピルメチルセルロースを含んでもよい。
【0071】
第5の態様によれば、本発明は、第1の態様の医薬組成物を対象に(又は第2、第3若しくは第4の態様の医薬組成物を対象に)投与する、又は第1の態様の方法によって調製される外用医薬組成物を投与する工程を含む、対象の局所領域で失血及び疼痛を減少させる方法を提供する。
【0072】
第6の態様によれば、本発明は、失血及び疼痛の処置のための外用医薬組成物の製造における、少なくとも1種の局所麻酔剤及び血管収縮剤の使用であって、当該医薬組成物が、第2、第3又は第4の態様によって定義されているとおりである、使用を提供する。
【0073】
第7の態様によれば、本発明は、失血及び疼痛を処置する方法であって、それを必要とする対象に、第2、第3又は第4の態様の医薬組成物を局所的に投与する工程を含む方法を提供する。
【0074】
第8の態様によれば、本発明は、失血及び疼痛の処置において使用するための、第2、第3又は第4の態様の外用医薬組成物を提供する。
【0075】
第2の態様から第8の態様の特徴は、第1の態様について記載されたとおりとすることができる。本発明の第5の態様から第8の態様の一実施形態では、医薬組成物は、対象の損傷皮膚に適用される。
【0076】
本明細書に記載されている特徴のいずれもが、本発明の範囲内で本明細書に記載されている他の特徴のうち任意の1つ又は複数と、任意の組合せで組み合わされ得る。
【0077】
本明細書におけるいずれの従来技術への参照も、その従来技術が共通一般知識の一部を形成すると承認するものではなく、いずれの形態で示唆するものでもなく、そのようにみなされてはならない。
【0078】
本発明の実施例は、例として、添付の図面を参照しながら以下に記載される。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【
図1】本発明の実施形態の方法において使用される攪拌器(impeller)の側面図を示す。及び
【0080】
本発明の好ましい特徴、実施形態及び変形形態は、当業者が本発明を実行するために十分な情報を提供する以下の実施例から理解され得る。以下の実施例は、前述の本発明の概要の範囲を限定するものと決してみなされてはならない。
【実施例】
【0081】
以下の実施例は、少なくとも1種の局所麻酔剤がリグノカイン及びテトラカインであり、ゲル化剤がHPMCであり、血管収縮剤がアドレナリンである、医薬組成物に関する。しかしながら、他の局所麻酔剤、ゲル化剤、及び血管収縮剤が使用されてもよい。
【0082】
(実施例1)
ゲル化剤及び濃度の選択
多数のゲル化剤のうちいずれを使用してもよいが、最も一般的で最適なゲル化剤は、ヒドロキシプロピルメチルセルロースである。これは、周知であり、広く入手可能な市販のコーティング剤及びゲル化剤並びに賦形剤であり、通常、メチルセルロースよりも溶解しやすい。広範囲の各グレードが入手可能であり、それらは濃度に応じて異なる粘度を付与する。HPMCのグレード(2%濃度を基準に)は、3mPa(ノミナル1~5mPa又はcPs)の低粘度から100,000mPa(ノミナル粘度150,000~280,000mPa又はcPsの間)まで様々であり得る(平均Mwt 1,200,000)。グレード及び粘度の選択は、試験に依存する。平均Mwt 400,000グレードのHPMCの2.25%の粘度が、適用及び4,000mPa(ノミナル2,600~5,000mPa又はcPsの間)の付着性について満足する製品をもたらすものと判定した。
【0083】
実験的に、アンバーガラスバイアルから注入するのに十分で、しかもなお、所定の用量を決定するのを困難にし得る過度の流れ去りがなく、創傷に、及びその中に適用するのに十分な粘性のある、実用的で、注入可能で溶解可能なゲルを提供することを目的に、4,000mPaグレードを0.5%から5%まで試験した。これを選択したのは、綿球又は綿棒を使用する必要性を排除して、適用をより迅速に、より安全にするためであった。
【0084】
実験は、教育病院で医療チームとともに、ブタの脚の相異なる創傷(擦過、裂傷、深い切傷、等)に対して行い、深い創傷の中を含む適用可能性、及びゲルが滲み出して損失することなく創傷を縫合できる能力についても試験した。平均3,000~4,000mPaのHPMCの最終濃度2.25%が、最も適切であることが分かった(Table 1(表1)を参照)。
【0085】
この濃度は、HPMCを溶解し、後に酸素の侵入を減少させながら薬物及びメタ重亜硫酸塩を添加するために最良の方法を開発及び発見するために選択された。
【0086】
【0087】
更に、製造における全ての要因及び工程/手順を試験した。
【0088】
(実施例2)
医薬組成物の調製
Table 2(表2)に記載したパラメーターを有する医薬組成物を、本発明の方法に従って調製した。
【0089】
【0090】
以下に概略を示した全ての工程を、光から保護した。
【0091】
第1の液体の調製
リグノカイン、テトラカイン及びHPMCを、リグノカイン及びテトラカイン2部:HPMC1部の比で激しくブレンドした。
【0092】
注射用水(WFI)を、低ヘッドスペース及び密閉蓋を有する容器に添加して、酸素の侵入を減少させ、「固定ヘッドスペース容積」を作出した。ヘッドスペース上に窒素オーバーレイを設けた。WFIにも不活性ガス(窒素)をスパージした。
【0093】
WFIを85~90℃超に加熱し、次いで、乾式ブレンド物を、15分より長くかけてゆっくりと添加した(加温増粘したHPMCはゲル混合物への酸素の侵入を減少させる)。
【0094】
この添加工程中に、
図1及び
図2に図示されている攪拌器1を使用して、溶液を撹拌した。攪拌器は、ヘッド10、軸20、及び羽根30を含む。
図1に図示されているように、羽根30は、2つの開口部32を含む。各開口部32は、実質的に矩形であり、およそ25mmの幅及びおよそ100mmの高さである。それと比較して、羽根30は、約150mmの高さ及び約150mmの幅であり、実質的に平らである。軸20及びヘッド10は一緒になって850mmの長さを有し、ヘッド10は99.9mmの長さ及び50mmの幅を有する。羽根30の開口部32は、均等に配分され、対称に位置する。攪拌器の羽根は、攪拌器1の回転の軸と同軸である対称軸を有する。本発明者らは、有利なことに、対称に位置する大きい開口部を有する攪拌器の羽根が、「さっと動いて通過する」動きを生成することができる(したがって低剪断であり、実質的に渦を形成せずに撹拌することが可能になる)ことを発見した。
【0095】
第1の液体は、攪拌器1を用いて、150~250rpmの間の速度で、窒素ガス下にて、全ての粒子が湿潤するまで撹拌される。
【0096】
次いで、第1の液体を、HPMCの水和が完了するまで、緩やかに30℃未満の温度に冷却した。この工程は、いずれの冷却装置も使用せずに実行した。これは、混合物中のHPMCの自然な水和を可能にする。
【0097】
次に、第1の液体を16~24時間保持して(又は静置して)、緩慢に完全にゲル化させ、自然な(促進しない)冷却をし、このようにして、HPMCの均一な水和を完了させた。これにより、再現可能な粘度の制御が得られる。最後に第1の液体の温度をおよそ30℃以下にゆっくりと低下させた。この間、バルク容器中の窒素のヘッドスペースを維持した。
【0098】
第2の液体の調製
小体積のWFIを、容器(vessel)又は容器(container)(<10リットル)の中に充填し、30分以上6sLpmの窒素流速で窒素をスパージした。重亜硫酸塩をこの溶液に添加し、混合物を、攪拌器1を使用して35~45rpmで、透明な溶液が得られるまで撹拌した。
【0099】
アドレナリンを溶液に、同じ窒素及び撹拌速度のパラメーターで、溶解するまで添加した。
【0100】
第1の液体及び第2の液体の組合せ
第1の液体及び第2の液体を、<20℃に冷却した。
【0101】
次いで、第2の液体を第1の液体に添加し、追加の水を添加して正確な体積にした。混合物を、窒素で1.5sLpmの流速にて覆いながら、最低20分間35~45rpmで、好ましくは60分間、(攪拌器1を使用して)剪断及び渦を起こさずに撹拌した。その後、撹拌の速度を150~180rpmに(剪断及び渦の形成を回避しながら)60分間上げた。
【0102】
バルク体積が低すぎた場合、追加のWFIを容器に添加した。次いで、この混合物を使用する準備ができ、パッケージングのために容器に充填するまで、混合物を150~180rpmで撹拌した。混合物が、充填操作に直ちに使用されなかった場合、容器にしっかり閉まった蓋を維持し、ヘッドスペースに窒素を充填しながら、バルク溶液を絶えず150~180rpmで撹拌した。酸素の侵入を防止するため、医薬組成物の形成と容器への充填との間に経過してもよい時間は48時間以下とした。
【0103】
(実施例3)
医薬組成物のパッケージング
充填中の、抽出可能な体積及び酸素の侵入/浸潤
充填中の酸素の侵入及びバイアルのヘッドスペース中の酸素レベルは、完成し、パッケージされたLAT製品における酸素の供給源となる可能性があり、それは安定性に影響を及ぼす。
【0104】
実際のバイアル充填の温度が重要であることが分かった。なぜなら、物理的観点から、自動充填において蠕動ポンプが使用され、HPMCは揺変性の物質であるため、バルク溶液中の小さな温度変化にさえ関連する粘度変化が原因で、HPMCは蠕動を極めて困難にし、充填体積を変動させる可能性があるからである。
【0105】
更に、より迅速な又は最低の充填速度の利点は、充填速度が速いほど、その保持時間の故に、バルク溶液中に酸素が侵入する可能性が少ないことである。しかし、これは、キャッピングを覆う不活性ガスの潜在的損失が変化し、酸素を均一に排除しないことに対してバランスが保たれる。
【0106】
粘度は、充填プロセス中に、バルクゲルが保持された温度に著しく依存して変化したことが分かった。速度に最適なように、充填温度を36℃、及び30~45℃の範囲、特に35~36℃に設定した。このわずかに高い温度は、バルク溶液には影響しなかったが、酸素の侵入を減少させるのに実に役立った。
【0107】
バイアルのヘッドスペース中の酸素の制御
バイアルのヘッドスペース中の酸素を測定するために2つの異なる方法を使用して、ヘッドスペース中のレベルを可能な限り低くして開始することが有利であると分かった。そのスペース(5mL)中の酸素は最初の28日にわたって59%ほども低下したことも判定された。これは、液体への吸収/平衡、及び潜在的に酸素がメタ重亜硫酸塩及び活性物質と反応することを原因とするものであった。
【0108】
メタ重亜硫酸塩は、医薬組成物中で固定量であり、酸素との反応によって破壊されるため、充填する間、容器のヘッドスペース中の酸素レベルを測定することの重要性は、長期の安定性を得るための基本である。これは、5%O2未満、好ましくは4%O2未満、又は好ましくは3%O2未満であるべきことが分かった。
【0109】
ゲル化剤(HPMC又はヒプロメロース)の水和
HPMC粉末は、膨潤及びそれに続く水和によって溶解する。このため、極めて現実的な危険は、不溶解の「明らかなビーズ」の存在又は不完全な「塊のある」HPMCの溶液であり、それは、粉末の一部のみしか溶解せず、個々の粉末粒子の不完全な湿潤を残し、残部にゼラチン様の膜を形成させ、残留粉末が完全に水和するのを妨げる場合に起こる。製造元の水和時間は、8未満の異なるpHでかなり長く、表面処理されたHPMCについて、pH7でおよそ100分から、pH3でおよそ400分の範囲である(Dupont Technical Handbook、2002年)。これらの時間は、医薬品製造には実際的でない。水和時間が長いほど、酸素を捕捉する可能性が大きい。
【0110】
一般的に使用される溶解技術には、高速によるかき混ぜ及び剪断混合が含まれ、これは渦を作出する可能性を有し、したがって酸素をゲル溶液中に吸引し、それを捕捉する。また、過剰なかき混ぜはゲル構造を分解し、その強度及び組織を変化させるおそれがある。高濃度の塩との混合を使用することはできるが、本発明による医薬組成物には適切でない。HPMCは温度が高いほど可溶性が低いため、温度のみではこれを解決するのに十分な方法にはならない。
【0111】
このLATの製造プロセスにおいて、HPMCの乾燥粉末をリグノカイン及びテトラカインの乾燥粉末の中に分散させることを利用して、HPMC粉末粒子を最初にばらばらにし、水のHPMC表面積に対する接触比をより大きくさせた。これは製造元によって推奨されているとおりである(Dupont Nutrition and Biosciences 2020年)。しかしながら、製造元は、乾燥粉末成分のHPMC粉末に対する最小の混合比は、7:1~3:1の範囲になければならないと述べている(Dupont Nutrition and Biosciences 2020年)。対照的に、本発明者らは、2:1の比(乾燥粉末はリグノカインプラステトラカインがHPMCに混合されたものである)を利用して、本医薬組成物中にHPMC粒子の分散体を得ることができることを発見した。これは製造元の規格及び推奨から外れている。
【0112】
ゲル剤の混合は、メチルセルロースについてなお一層の問題である。本発明者らは、加熱しない場合、溶解プロセスが極めて緩慢であり、モニターが困難であることを発見した。塩基を添加してpHを9以上に上げると、溶解は速くなるが、高いpHではこの製剤中の薬物の安定性が低いことを考慮すると、これは適切な解決策ではない。
【0113】
本発明者らは、HPMCの混合及び溶解に加熱が必要であり、また、充填する間一定の粘度を維持するためにも、大規模プロセス用に商業レベルで充填速度の維持を可能にするためにも加熱が必要であると判断した。これは重要である。なぜなら、HPMCは、ある温度では粘性が低くなり、他の温度では粘性が高くなり、自動充填装置での一定で再現可能な充填体積の制御を、粘度の変動によって困難にするからである。本発明者らは、本医薬組成物中のバルクのLATの最適な充填温度は、35~37℃であることを発見した。
【0114】
酸素の低浸潤及び製剤の撹拌
多くのかき混ぜ器を試す中で、本発明者らは、それらがあまりにも容易に剪断及び渦を生成して、酸素を混合物中に吸引し得ることを発見した。本発明者らは、高粘性の溶液及びゲルを撹拌するために設計された、特定的で専用の低剪断の攪拌器1を開発した(
図1~
図2)。この攪拌器は、「さっと動いて通過する」動き(したがって低剪断)を生成するパドルの形状を有する。攪拌器の羽根30又はパドルは、均等に配分された大きい空間(開口部32)が空いており、これは、攪拌器を回転させると噴流が形成するのを止める。これはHPMCの分散の助けにもなる。
【0115】
充填プロセス
各バイアルから抽出可能な体積は、酸素の侵入の他に、温度にかなり依存して変化する可能性を有し、ゲルの粘度も同様である。Table 3(表3)に示されているように、温度の軽微な変化は粘度を変化させ、したがって、充填速度及び充填体積を変化させ得る。
【0116】
【0117】
本発明者らは、2.25% HPMCゲルを基準とした合理的な充填速度は、1分当たり10バイアルを超え、1分当たり50バイアル未満であると判断した。上限は、それより速い速度がバイアル中の不活性窒素オーバーレイの有効性を減少させる可能性があること(即ち、機械の速度による不完全なガス補給又は窒素の損失)を理由として設定した。
【0118】
本発明者らは、別の利点として、2.25% HPMCゲルに対して充填温度をわずかに高くすると(30~45℃の範囲)、32バイアル/分の充填速度を基準にして、充填体積を、各バイアル中4mL又は5mLレベル近くに維持することができる(7mLバイアルに4mL又は5mLまで充填された)ことを発見した。これは工業用プロセスにおいて許容可能である。
【0119】
粘度
多くのグレードのHPMCが利用可能であり、オートクレーブ処理の後、粘度変化が起こることが公知である。以下の試験は、充填前にバルク中でゲルを保持するための最良の温度が30~45℃であると判定することに関連するものであった。最終製品の出荷限度(オートクレーブ処理後)を、USP試験法に基づいて、2500~8000cPsに設定した。これにより、創傷又は裂傷にくっつくのに十分な粘性がありながら、注入可能な製品が提供された。
【0120】
更に、人工的に損傷させ、裂傷を負わせたブタの脚を用いる試行研究において、注入可能なゲルであるが、それでも創傷に留まり、付着するのに十分な粘性があり、創傷が縫合されるのを可能にするようなゲルをもたらす、最良のゲルレベル又は濃度を試験した。結果は、2.25%レベルがこれらの基準を満たしたことを示した(Table 4(表4))。
【0121】
最適なゲルのLAT製品の最終の粘度規格は、2.25%、又は2500~8000cPsの間の粘度であった。
【0122】
【0123】
充填プロセス- アンバーバイアルに充填
【0124】
速度について最適には、バルクゲルの充填温度は36℃であり、30~45℃の範囲である。最適には、これは35~36℃である。このわずかに高い温度は、バルク溶液には影響しなかったが、酸素の侵入を減少させるのに実に役立つ。
【0125】
充填は、バルクの酸素の侵入時間を減少させるため、1分当たり20~50バイアルの間、好ましくは1分当たり30バイアルに設定されるべきである。
【0126】
充填する間、アンバーバイアル又はシリンジ中のヘッドスペースは、最適には3~4%の酸素、好ましくは<4%の酸素、又はより好ましくは<3%の酸素を含むように、窒素で覆われるべきである(バイアルのヘッドスペース中の酸素濃度は、液体中のメタ重亜硫酸塩との反応が原因で、最初の28日にわたって低下することが分かったが、メタ重亜硫酸塩は固定量であるため、このことは、長期の安定性を得るために、ヘッドスペースの酸素を可能な限り少なくして開始することの重要性を示している)。
【0127】
バイアルは、通常121℃で20分間の標準サイクルでオートクレーブ処理することができる。
【0128】
(実施例4)
医薬組成物の安定性
実施例1及び2に概略を示した方法によって作製された医薬組成物は、Table 5(表5)及びTable 6(表6)に示された規格を有していた。この製剤及び50リットルを超えるバルクの複数のバッチにおける製造方法を利用すると、この製造方法は出荷基準を満たし(Table 5(表5)及びTable 6(表6)を参照)、重要なことであるが、全ての薬物成分が、滅菌のLAT製品における他のいずれのグループも実現していない+/-5%の変動を満たした。更に、LATは安定性を24カ月間維持することが分かった(Table 6(表6))。これは、25℃で24カ月にわたる安定性を示す。
【0129】
【0130】
【0131】
本明細書の全体を通して、「一実施形態」又は「実施形態」への言及は、その実施形態に関して記載される特定の特徴、構造、又は特性が、本発明の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、本明細書の様々な箇所に「一実施形態では」又は「実施形態では」という表現が出てきても、必ずしも全てがその同じ実施形態を指すわけではない。更に、特定の特徴、構造、又は特性が任意の適切な方法で組み合わされて、1つ又は複数の組合せになってもよい。
【0132】
法令に従い、本発明は、構造的又は方法論的な特徴に幾分特化した言葉で記載されてきた。当然のことながら、本明細書に記載された手段は、本発明を実行する好ましい形態を含むため、本発明は、示された、又は記載された特定の特徴に限定されるものではない。したがって、本発明は、当業者に適切に解釈される添付の特許請求の範囲(あるとすれば)の適切な範囲内の本発明の形態又は変形形態のいずれにおいても、特許請求される。
【0133】
好ましい実施形態の利点
本発明の第1の態様の方法の好ましい実施形態によって調製される外用医薬組成物において、少なくとも1種の局所麻酔剤はリグノカイン及びテトラカインであり、血管収縮剤はアドレナリンであり、当該医薬組成物は、ゲル(特にヒドロキシプロピルメチルセルロース)であり、以下を含む利点を有する。
- 創傷で、適用後2~4時間、体内吸収されずに出血を減少させ、疼痛緩和をもたらすことができる、
- 無菌である、
- 防腐剤も浸透剤も含める必要がない、
- 室温で24カ月まで安定である、
- ゲル形態であり、例えば、救急診療部において、使用準備済み製剤で使用するのに好都合である、
- 活性物質の量の再現可能な制御(±5%の変動)をしながら製造することができる。
【0134】
参考文献
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- J. Gudeman, M. Jozwiakowski, et al 2013. Drugs R.D. “Potential Risks of Pharmacy Compounding”
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- Wolf, G. Scherbel 2011. Krankenhauspharmazie 32 “Adrenalin und nor adrenalininverddunnungen”
【符号の説明】
【0135】
1 攪拌器
10 ヘッド
20 軸
30 羽根
32 開口部
【国際調査報告】