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特表2024-506198罹患または他の理由により損傷を被った三尖弁を治療するためのシステム、方法、およびデバイス
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-09
(54)【発明の名称】罹患または他の理由により損傷を被った三尖弁を治療するためのシステム、方法、およびデバイス
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/24 20060101AFI20240202BHJP
   A61F 2/07 20130101ALN20240202BHJP
【FI】
A61F2/24
A61F2/07
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023548951
(86)(22)【出願日】2022-02-15
(85)【翻訳文提出日】2023-10-13
(86)【国際出願番号】 IB2022051347
(87)【国際公開番号】W WO2022172258
(87)【国際公開日】2022-08-18
(31)【優先権主張番号】63/149,555
(32)【優先日】2021-02-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518281133
【氏名又は名称】イノベントリック・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】アミル・ダニノ
(72)【発明者】
【氏名】ヤイール・ピチャスキー
(72)【発明者】
【氏名】エイアル・キスレブ
【テーマコード(参考)】
4C097
【Fターム(参考)】
4C097AA27
4C097BB01
4C097BB04
4C097CC01
4C097CC05
4C097MM10
4C097SB10
(57)【要約】
本開示の実施形態は、三尖弁治療デバイスと、例えば本開示のデバイスおよびシステムなどを利用して罹患または他の理由により損傷を被った三尖弁を治療および/または置換するための案練する方法と、に関する。いくつかの実施形態では、このデバイスは、右心房または右心房および右心室の中への植込み後に配置されるように構成された、ならびに外科弁または経カテーテル弁を固定するために構成された、側方流出ポートを備え、かかる弁は、三尖弁治療デバイスの植込み後にこの側方流出ポートに配置され得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の罹患または他の理由により損傷を被った三尖弁を治療するために患者の下大静脈および上大静脈内への植込み用に構成されたステントグラフトデバイスであって、
長手方向軸を有する、ならびに上大静脈(SVC)および下大静脈(IVC)内への植込み用に構成された管状本体であって、植込み時には、前記管状本体の第1の端部および関連する第1の端部部分が、IVC内に配置され、前記管状本体の第2の端部および関連する第2の端部部分が、SVC内に配置される、管状本体と、
右心房および右心室内への植込み後に配置されるように構成された、ならびに外科弁または経カテーテル弁を固定するために構成された第1の流出ポートであって、前記第1の流出ポートは、
長手方向軸に対して横軸方向に配置され、
任意には送達カテーテルを出ると自動的に展開する、
第1の流出ポートと、
を備える、ステントグラフトデバイス。
【請求項2】
前記第1の流出ポートは、前記長手方向軸に対して横軸方向に、および前記長手方向軸に対して傾斜角度を成して配置される、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記第1の流出ポートは、前記長手方向軸に対して横軸方向に、および前記長手方向軸に対して傾斜角度を成して配置され、前記第1の流出ポートの遠位端部が、心臓の底部に向かう方向を向く、請求項1または2に記載のデバイス。
【請求項4】
前記第1の流出ポートは、前記長手方向軸に対して横軸方向に、および前記長手方向軸に対して傾斜角度を成して配置され、前記第1の流出ポートの遠位端部が、心臓の心尖に向かう方向を向く、請求項1または2に記載のデバイス。
【請求項5】
前記管状本体を少なくとも部分的に覆うように構成された材料部をさらに備える、請求項1から4のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項6】
前記材料部は、血流が前記管状本体の少なくとも側部部分を通過するのを防止するように、前記管状本体上に配置される、請求項5に記載のデバイス。
【請求項7】
前記管状本体上に前記材料部を配置することは、奇静脈/腕頭静脈および/または肝静脈からの血液の流入を可能にするように構成される、請求項5または6に記載のデバイス。
【請求項8】
ペースメーカー/ICDリード線の通過を受けるように構成されたペースメーカー/ICDリードポートおよび/または弁(PLP)をさらに備える、請求項1から7のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項9】
前記PLPは、前記管状本体の側部上に配置される、請求項8に記載のデバイス。
【請求項10】
前記第1の流出ポートは、第1の絞り部および第2の絞り部の少なくとも一方を備え、前記絞り部はそれぞれ、前記第1の流出ポート内に配置された弁の移動を防止するように構成される、請求項1から9のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項11】
前記第1の流出ポートは、ボトルネック構造部として構成された少なくとも1つの絞り部を備え、前記ボトルネック構造部は、前記第1の流出ポート内に位置するか、または前記ボトルネック構造部が砂時計構造部内に位置するように砂時計形状部を有して構成され、前記ボトルネック構造部は、前記第1の流出ポート内に配置された弁の移動を防止するように構成される、請求項1から9のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項12】
前記第1の流出ポートは、前記第1の流出ポートの遠位端部上に配置された第1のストッパ部分を備え、前記第1のストッパ部分は、前記第1の流出ポート内に配置された弁の前記管状本体から離れる移動を防止するように構成される、請求項1から9のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項13】
前記第1の流出ポートは、前記第1の流出ポートの近位端部上に配置された第1のストッパ部分を備え、前記第1のストッパ部分は、前記第1の流出ポート内に配置された弁の前記管状本体に向かう移動を防止するように構成される、請求項1から9のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項14】
前記第1の流出ポートは、前記第1の流出ポートの遠位端部上に配置された第1のストッパ部分であって、前記第1の流出ポート内に配置された弁の前記管状本体から離れる移動を防止するように構成された第1のストッパ部分と、前記第1の流出ポートの近位端部上に配置された第2のストッパ部分であって、前記第1の流出ポート内に配置された弁の前記管状本体に向かう移動を防止するように構成された第2のストッパ部分と、を備える、請求項1から9のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項15】
前記第1の流出ポートは、前記第1の流出ポートの遠位端部上に配置された制限構造部を備え、前記制限構造部は、前記第1の流出ポート内に配置された弁の前記管状本体から離れる移動を防止するように構成される、請求項1から9のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項16】
前記第1の流出ポートの近位端部および遠位端部の少なくとも一方が、前記第1の流出ポートの中央部分の直径未満の直径を有し、前記中央部分の直径未満の前記直径は、前記第1の流出ポート内に配置された弁の移動を防止するように構成される、請求項1から9のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項17】
前記第1の流出ポートは、ばねとして構成された、および前記第1の流出ポートに対して径方向内方力を印加するように構成されたステント構造体を備える、請求項1から9のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項18】
封止材料部からなり、前記管状本体の中および周囲の少なくとも一方に配置された、スカートをさらに備える、請求項1から17のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項19】
前記スカートは、右心房から下大静脈への血液逆流を防止するように構成される、請求項18に記載のデバイス。
【請求項20】
前記スカートは、前記第1の端部の近位において前記管状本体に対して装着される内径部と、下大静脈と境界を接するための外径部と、を有する、フランジ形状部を備え、前記外径部は、前記第2の端部に向かう方向において前記内径部から長手方向に離間され、前記外径部は、直線状エッジを備える、請求項18または19に記載のデバイス。
【請求項21】
前記スカートは、下大静脈と境界を接するための外径部と、前記第2の端部に向かう方向において前記外径部から長手方向に離間された内径部と、を備え、前記外径部は、湾曲状エッジを備える、請求項18または19に記載のデバイス。
【請求項22】
前記スカートは、下大静脈と境界を接するように構成された外径部と、前記外径部から径方向に離間されたおよび前記管状本体に対して装着するように構成された内径部と、を備える、ドーナツ形状部を備える、請求項18または19に記載のデバイス。
【請求項23】
前記スカートは、フランジ形状部を備え、前記フランジ形状部は、前記第1の端部の近位に配置されたおよび下大静脈と境界を接するための外径部と、前記管状本体に対して装着されるおよび前記第2の端部に向かう方向において前記内径部から長手方向に離間された内径部と、を備え、前記外径部は、直線状エッジを備える、18または19に記載のデバイス。
【請求項24】
前記第1のポートは、自己拡張性を有する、および/または所定の形状を備える、請求項1から23のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項25】
シース送達デバイスを経由してIVC/SVCへ送達されるように構成され、任意には位置変更、再展開、および除去のうちの少なくとも1つのために前記シース送達デバイスにより再被覆されるように構成される、請求項1から24のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項26】
少なくとも前記第1の流出ポートは、シースデバイス内に再被覆されるように構成される、請求項1から25のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項27】
前記第1の流出ポートは、前記第1の流出ポートの中、上、または付近に配置された弁デバイスを支持するように構成されたステント構造体を備える、請求項1から26のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項28】
前記第1の流出ポートは、植込み時に前記第1のポートが右心房に到達するような長さおよび/または形状を有して構成される、請求項1から27のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項29】
前記第1の流出ポートは、第1の輪郭部(RA輪郭部)に沿って少なくとも1つの窓を備える、または前記第1のポートの中、上、もしくは付近に位置する弁の側部からの流れを可能にする形状を有する、請求項1から28のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項30】
前記第1の流出ポートは、前記第1の流出ポートの中、上、または付近に配置された弁/前記弁に逆方向ジェット流が到達するのを防止するように設計される、請求項1から29のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項31】
前記デバイスの植込み時に、前記第1のポートの少なくとも一部分が、前記RA内に配置され、任意には、前記第1の流出ポートの少なくとも一部分が、三尖弁を経由して右心室内に突出する、請求項1から30のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項32】
前記管状本体は、足場構造部を備えるステントを備え、前記足場構造部は、前記デバイスが送達カテーテル内に嵌入するような第1の圧縮モードと、植込み部位に前記デバイスを配置した時に前記デバイスが前記植込み部位内において自己拡張するまたはバルーンにより拡張されるように構成されるような第2の拡張モードと、において動作するように構成される、請求項1から31のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項33】
前記管状本体は、部分ごとに変わる剛性を有する、請求項1から32のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項34】
経カテーテル送達デバイスおよび経心尖送達デバイスの少なくとも一方により請求項1から33のいずれか一項に記載の前記デバイスを送達する方法。
【請求項35】
管状ステント内の弁を植え込む方法であって、
請求項1から33のいずれか一項に記載のステントグラフトデバイスを患者の心臓に送達するステップであって、植込み時には、前記管状本体の第1の端部および関連する第1の端部部分が、IVC内に配置され、前記管状本体の第2の端部および関連する第2の端部部分が、SVC内に配置され、前記第1の流出ポートは、少なくとも右心房内に配置される、ステップと、
IVCおよびSVCのいずれか一方を通りステント装着された弁を送達して、前記第1の流出ポートの少なくとも一部分内に配置するステップと、
前記第1の流出ポート内で前記ステント装着された弁をバルーン拡張するステップと、
を含む、方法。
【請求項36】
前記第1の流出ポート内の前記ステント装着された弁をバルーン拡張するステップは、前記ステント装着された弁の他の部分よりも前記ステント装着された弁の少なくとも1つの第1の部分をさらに拡張させることを含む、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記第1の部分は、前記ステント装着された弁の近位部分、中央部分、および遠位部分のうちの少なくとも1つまたは任意には2つからなる、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
本開示の実施形態のいずれかによるシステム、デバイス、装置、または方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2021年2月15日に出願された米国仮特許出願第63/149,555号に基づく利益を主張するものである。この仮特許出願の内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
さらに、本開示は、2017年2月1日に出願されたPCT出願PCT/IB2017/050534と、2019年6月7日に出願されたPCT出願PCT/IL2019/050658とに関する。これらの開示はいずれも、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0003】
本開示は、一般的には医用システム、医用装置、医用デバイス、および医用デバイスを心臓内に植え込むための方法に関し、限定するものではないが詳細には三尖弁疾患および/または三尖弁機能障害を治療するためのステントベースデバイスに関する。
【背景技術】
【0004】
三尖弁は、心室収縮期に閉じると、右心室から右心房への血液逆流を防止し、心室拡張期に開くと、右心房から右心室への血流を可能にする。
【0005】
三尖弁逆流を引き起こす三尖弁機能不全は、三尖弁輪拡張および右心室拡大に起因して生じる場合がある。三尖弁逆流は、しばしば心筋または心臓弁に起因する心不全、右心室の容量過負荷または圧力過負荷、および心腔拡張に対する二次的なものである。三尖弁逆流により、右心房過負荷が生じ、これが上大静脈および下大静脈ならびにそれらの支脈に伝播する。最終的に、この過負荷は、肝鬱血、腹水、全身浮腫、末梢浮腫、および他の鬱血性心不全の臨床症状をもたらす。治療を施されないと、重大な三尖弁逆流は、心不全および死をしばしば引き起こす。
【0006】
三尖弁逆流の臨床的に利用可能な治療法としては、開心手術および/または投薬治療が含まれる。しかし、三尖弁置換および/または三尖弁修復のための開心手術は、主にその高い死亡率および罹患率を理由としてめったに実施されない。一方で、投薬治療は、問題の解決とはならず、疾患を進行させてしまう場合があり、QOLおよび心機能の低下を患者にもたらしてしまう。
【0007】
三尖弁置換および/または三尖弁修復の外科的リスクの高さにより、現行では、ほとんどの三尖弁逆流を患う患者は手術不能とみなされている。これにより、結果として重大な三尖弁逆流を患う未治療患者の数が極めて多数となっている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
一実施形態によれば、本開示は、患者の罹患または他の理由により損傷を被った三尖弁を治療するために患者の下大静脈および上大静脈内への植込み用に構成されたステントグラフトデバイスに関する。このデバイスは、長手方向軸を有する、ならびに上大静脈(SVC)および下大静脈(IVC)内への植込み用に構成された管状本体であって、植込み時には、この管状本体の第1の端部および関連する第1の端部部分が、下大静脈内に配置され、この管状本体の第2の端部および関連する第2の端部部分が、上大静脈内に配置される、管状本体と、右心房および右心室内への植込み後に配置されるように構成された、ならびに外科弁または経カテーテル弁を固定するために構成された第1の流出ポートであって、長手方向軸に対して横軸方向に配置され、任意には送達カテーテルを出ると自動的に展開する、第1の流出ポートとを備える。
【0009】
一実施形態では、第1の流出ポートは、長手方向軸に対して横軸方向に、および長手方向軸に対して傾斜角度を成して配置される。第1の流出ポートは、長手方向軸に対して横軸方向に、および長手方向軸に対して傾斜角度を成して配置され、第1の流出ポートの遠位端部が、心臓の底部に向かう方向を向く、および/または第1の流出ポートの遠位端部が、心臓の心尖に向かう方向を向く。
【0010】
一実施形態では、このデバイスは、管状本体を少なくとも部分的に覆うように構成された材料部をさらに備える。この材料部は、血流が管状本体の少なくとも側部部分を通過するのを防止するように、管状本体上に配置される。管状本体上にこの材料部を配置することは、奇静脈/腕頭静脈および/または肝静脈からの血液の流入を可能にするように構成される。
【0011】
一実施形態では、このデバイスは、ペースメーカー/ICDリード線の通過を受けるように構成されたペースメーカー/ICDリードポートおよび/または弁(PLP)をさらに備える。PLPは、管状本体の側部上に配置される。第1の流出ポートは、第1の絞り部および第2の絞り部の少なくとも一方を備え、これらの絞り部はそれぞれ、第1の流出ポート内に配置された弁の移動を防止するように構成される。第1の流出ポートは、ボトルネック構造部として構成された少なくとも1つの絞り部を備え、このボトルネック構造部は、第1の流出ポート内に位置するか、またはボトルネック構造部が砂時計構造部内に位置するように砂時計形状部を有して構成され、ボトルネック構造部は、第1の流出ポート内に配置された弁の移動を防止するように構成される。第1の流出ポートは、第1の流出ポートの遠位端部上に配置された第1のストッパ部分を備え、この第1のストッパ部分は、第1の流出ポート内に配置された弁の管状本体から離れる移動を防止するように構成される。第1の流出ポートは、第1の流出ポートの近位端部上に配置された第1のストッパ部分を備え、第1のストッパ部分は、第1の流出ポート内に配置された弁の管状本体に向かう移動を防止するように構成される。第1の流出ポートは、第1の流出ポートの遠位端部上に配置された第1のストッパ部分であって、第1の流出ポート内に配置された弁の管状本体から離れる移動を防止するように構成された第1のストッパ部分と、第1の流出ポートの近位端部上に配置された第2のストッパ部分であって、第1の流出ポート内に配置された弁の管状本体に向かう移動を防止するように構成された第2のストッパ部分とを備える。第1の流出ポートは、第1の流出ポートの遠位端部上に配置された制限構造部を備え、この制限構造部は、第1の流出ポート内に配置された弁の管状本体から離れる移動を防止するように構成される。第1の流出ポートの近位端部および遠位端部の少なくとも一方が、第1の流出ポートの中央部分の直径未満の直径を有し、第1の流出ポートの中央部分の直径未満のこの直径は、第1の流出ポート内に配置された弁の移動を防止するように構成される、および/または第1の流出ポートは、ばねとして構成された、および第1の流出ポートに対して径方向内方力を印加するように構成されたステント構造体を備える。
【0012】
一実施形態では、このデバイスは、封止材料部からなり、管状本体の中および周囲の少なくとも一方に配置された、スカートをさらに備える。このスカートは、右心房から下大静脈への血液逆流を防止するように構成される。スカートは、第1の端部の近位において管状本体に対して装着される内径部と、下大静脈と境界を接するための外径部とを有する、フランジ形状部を備え、この外径部は、第2の端部に向かう方向において内径部から長手方向に離間され、外径部は、直線状エッジを備える。スカートは、下大静脈と境界を接するための外径部と、第2の端部に向かう方向において外径部から長手方向に離間された内径部とを備え、外径部は、湾曲状エッジを備える。スカートは、下大静脈と境界を接するように構成された外径部と、外径部から径方向に離間されたおよび管状本体に対して装着するように構成された内径部とを備える、ドーナツ形状部を備える。スカートは、フランジ形状部を備え、このフランジ形状部は、第1の端部の近位に配置されたおよび下大静脈と境界を接するための外径部と、管状本体に対して装着されるおよび第2の端部に向かう方向において内径部から長手方向に離間された内径部とを備え、外径部は、直線状エッジを備える。第1のポートは、自己拡張性を有する、および/または所定の形状を備える。このデバイスは、シース送達デバイスを経由して下大静脈/上大静脈へ送達されるように構成され、任意には位置変更、再展開、および除去のうちの少なくとも1つのためにシース送達デバイスにより再被覆されるように構成される。少なくとも第1の流出ポートは、シースデバイス内に再被覆されるように構成される。第1の流出ポートは、第1の流出ポートの中、上、または付近に配置された弁デバイスを支持するように構成されたステント構造体を備える。第1の流出ポートは、植込み時に第1のポートが右心房に到達するような長さおよび/または形状を有して構成される。第1の流出ポートは、第1の輪郭部(右心房輪郭部)に沿って少なくとも1つの窓を備える、または第1のポートの中、上、もしくは付近に位置する弁の側部からの流れを可能にする形状を有する。第1の流出ポートは、第1の流出ポートの中、上、または付近に配置された弁に逆方向ジェット流が到達するのを防止するように設計される。デバイスの植込み時に、第1のポートの少なくとも一部分が、RA内に配置され、任意には、第1の流出ポートの少なくとも一部分が、三尖弁を経由して右心室内に突出する。管状本体は、足場構造部を備えるステントを備え、この足場構造部は、デバイスが送達カテーテル内に嵌入するような第1の圧縮モードと、植込み部位にデバイスを配置した時にデバイスが植込み部位内において自己拡張するまたはバルーンにより拡張されるように構成されるような第2の拡張モードとにおいて動作するように構成される、および/または管状本体は、部分ごとに変わる剛性を有する。
【0013】
一実施形態によれば、本開示は、経カテーテル送達デバイスおよび経心尖送達デバイスの少なくとも一方により本明細書で開示されるデバイスを送達する方法に関する。
【0014】
一実施形態によれば、本開示は、管状ステント内の弁を植え込む方法に関する。この方法は、ステントグラフトデバイスを患者の心臓に送達するステップであって、植込み時には、管状本体の第1の端部および関連する第1の端部部分が、IVC内に配置され、管状本体の第2の端部および関連する第2の端部部分が、SVC内に配置され、第1の流出ポートが、少なくとも右心房内に配置される、ステップと、IVCおよびSVCのいずれか一方を通りステント装着された弁を送達して、第1の流出ポートの少なくとも一部分内に配置するステップと、第1の流出ポート内でステント装着された弁をバルーン拡張するステップとを含む。一実施形態では、第1の流出ポート内のステント装着された弁をバルーン拡張するステップは、ステント装着された弁の他の部分よりもステント装着された弁の少なくとも1つの第1の部分をさらに拡張させることを含む。第1の部分は、ステント装着された弁の近位部分、中央部分、および遠位部分のうちの少なくとも1つまたは任意には2つからなる。
【0015】
一実施形態によれば、本開示は、本明細書において開示される実施形態のいずれかによるシステム、デバイス、装置、または方法に関する。
【0016】
図面は、主として例示を目的とするものであり、本明細書において説明される本発明の対象の範囲を限定するようには意図されない点が、当業者には理解されよう。図面は、必ずしも縮尺どおりではなく、いくつかの例では、本明細書において開示される本発明の対象の様々な態様が、各特徴の理解を促すために図において誇張または拡大されて示される場合がある。図面では、類似の参照符号は、類似の特徴を一般的に示す(例えば機能的に同様のおよびまたは構造的に同様の要素など)。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1A】いくつかの実施形態による下大静脈、上大静脈、および右心房の中に植え込まれた三尖弁治療デバイスの側面図である。
図1B】いくつかの実施形態による三尖弁治療デバイスの側面図である。
図2】いくつかの実施形態による三尖弁治療デバイスの側面図/斜視図である。
図3】いくつかの実施形態による、下大静脈および上大静脈ならびに右心房の中に植え込まれた三尖弁治療デバイスの側面図であり、また封止構造体を示す図である。
図4A】いくつかの実施形態によるスカート封止構造体の一構成を示す図である。
図4B】いくつかの実施形態によるスカート封止構造体の一構成を示す図である。
図5A】いくつかの実施形態によるスカート封止構造体の一構成を示す図である。
図5B】いくつかの実施形態によるスカート封止構造体の一構成を示す図である。
図6A】いくつかの実施形態による、三尖弁治療デバイスの壁部を貫通する、他のデバイスを配置するために構成されたポートまたは弁の側面図である。
図6B】いくつかの実施形態による、三尖弁治療デバイスの壁部を貫通する、他のデバイスを配置するために構成されたポートまたは弁の側面図である。
図6C】いくつかの実施形態による、三尖弁治療デバイスの壁部を貫通する、他のデバイスを配置するために構成されたポートまたは弁の側面図である。
図6D】いくつかの実施形態による、三尖弁治療デバイスの壁部を貫通する、他のデバイスを配置するために構成されたポートまたは弁の側面図である。
図7A】いくつかの実施形態による、流出ポートに開口を備える三尖弁治療デバイスの側面図である。
図7B】いくつかの実施形態による、流出ポートに開口を備える三尖弁治療デバイスの側面図である。
図8】いくつかの実施形態による、三尖弁治療デバイスと、流出ポートに隣接して配置されたストッパデバイスとの側方断面図である。
図9】いくつかの実施形態による、下大静脈、上大静脈、右心房、および右心室の中に植え込まれた三尖弁治療デバイスの側面図である。
図10A】いくつかの実施形態による、流出ポートおよびその構成要素の一構成を示す、三尖弁治療デバイスの側面図である。
図10B】いくつかの実施形態による、流出ポートおよびその構成要素の一構成を示す、三尖弁治療デバイスの側面図である。
図11A】いくつかの実施形態による、流出ポートおよびその構成要素の一構成を示す、三尖弁治療デバイスの側面図である。
図11B】いくつかの実施形態による、流出ポートおよびその構成要素の一構成を示す、三尖弁治療デバイスの側面図である。
図11C】いくつかの実施形態による、流出ポートおよびその構成要素の一構成を示す、三尖弁治療デバイスの側面図である。
図11D】いくつかの実施形態による、流出ポートおよびその構成要素の一構成を示す、三尖弁治療デバイスの側面図である。
図11E】いくつかの実施形態による、植込み可能三尖弁治療デバイスの植込みの最中の画像を示す図である。
図11F】いくつかの実施形態による、植込み可能三尖弁治療デバイスの植込みの最中の画像を示す図である。
図11G】いくつかの実施形態による、植込み可能三尖弁治療デバイスの植込みの最中の画像を示す図である。
図12】いくつかの実施形態による、流出ポートに含まれる一構成要素を示す、三尖弁治療デバイスの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
「1つの(a,an)」という語は、その実体の1つまたは複数を示すものであり、すなわち複数の指示物を示し得る。そのため、「1つの」、「1つまたは複数の」、および「少なくとも1つの」という語は、本明細書においては互換的に用いられる。さらに、不定冠詞「1つの(a,an)」を伴った「1つの要素」という言及は、1つかつ1つのみのその要素が存在することがコンテクストにより明確に必要とされない限り、2つ以上のその要素が存在する可能性を排除するものではない。
【0019】
図1Aは、下大静脈102、上大静脈104、および心臓1000の右心房106を含む、心臓の側面図である。上大静脈104は、身体の上半身から血液を還流し、下前方に向けられた無弁オリフィスを経由して右心房106の上後方領域内へと開口する。一般的に上大静脈104よりも大きな下大静脈102は、身体の下半身から血液を還流し、心房中隔付近において右心房106の下方領域内へと開口する。下大静脈102のオリフィスは、上後方に向けられ、下大静脈102の弁(オイスタヒイ弁と呼ばれる)により保護される。
【0020】
三尖弁128は、右心房106と右心室122との間に位置する。冠状静脈洞は、下大静脈102のオリフィスと房室開口との間で右心房106内へと開口する。冠状静脈洞は、心臓1000の実質的部分から血液を還流し、半円弁すなわち冠状静脈洞の弁(テベジウス弁とも呼ばれる)により保護される。
【0021】
心室収縮期に、心室内部の圧力が上昇する。例えば心臓の右側などにおいて正常な状態にある場合に、右心室122内の圧力は、右心房106の圧力を超えるレベルへ上昇し、したがって三尖弁128が閉じる。しかし、心疾患を患う患者の場合など、三尖弁128が心室収縮期に完全には閉じることができない場合には、三尖弁逆流が生じ、右心室122からの血流は、上大静脈104および/または下大静脈102を経由して静脈循環へと脱酸素化された血液を還流することが可能な状態において、右心房106へと還流する。
【0022】
心臓の他の弁(例えば僧帽弁、大動脈弁など)は、開心手術の最中に容易に置換および/または修復できるが、三尖弁128は、外科修復が困難である。三尖弁128を囲む組織は、可動性が高く、したがって修復または置換を技術的に困難なものにし、一般的にこの手技の死亡率および罹患率は、他のアプローチを考慮させる十分な理由となる。
【0023】
いくつかの実施形態によれば、本開示は、右心房106、下大静脈102、および上大静脈104の中に位置する植込み可能三尖弁治療デバイスを説明しており、これにより、手術関連リスクを伴わずに三尖弁128の修復および/または置換の利益がもたらされる。さらに、植込み可能三尖弁治療デバイスは、カテーテル経由で送達され得るものであり、したがって心臓介入の合併症をさらに最小限に抑制する。
【0024】
次に図面を参照すると、および上記の説明に鑑みると、図1Aは、いくつかの実施形態による、下大静脈102、上大静脈104、および心臓1000の右心房106の中に位置決めされた植え込まれた三尖弁治療デバイス(TTD)100の側面図である。
【0025】
いくつかの実施形態では、TTD100は、管状本体108を備え、管状本体108は、ある材料(図面におけるグレー陰影部分、例えば図4A図4B図5A図5B図6A図6D図7A図7B図8図10A図10B図11A図11D図12を参照)により覆われ、長手方向軸110を有する。植え込むと、管状本体108の第1の端部112および関連する第1の端部部分114は、下大静脈102内に配置され、管状本体108の第2の端部116および関連する第2の端部部分118は、上大静脈104内に配置される。また、TTD100は、少なくとも1つの流出ポート120を備え(第1の流出ポートとも呼ばれ得る)、この流出ポート120は、右心房106内または右心房106および右心室122の中への植込み後に配置するように構成される。TTD100の第1の流出ポート120は、外科弁または経カテーテル弁の固定のために構成され得る(例えば中に配置された弁121を断面において示す図11A図11Bを参照)。
【0026】
いくつかの実施形態では、第1の流出ポート120は、図1Bに示すように、TTD100の管状本体108に沿って配置された複数の流出ポートのうちの1つである。いくつかの実施形態では、複数の流出ポートのうちの1つまたは複数が、管状本体108に沿って配置され、右心房106内に位置決めされ得る。いくつかの実施形態では、流出ポートの個数は、各流出ポートの寸法に基づき、三尖弁逆流の規模と心臓1000内の圧力勾配とを考慮したものであることが可能である。例えば、右心房106内の基礎圧力が、右心室122からの三尖弁逆流により著しく上昇すると、流出ポートの個数および/または各流出ポートのサイズは、この昇圧環境に対応しこの昇圧環境内で機能するように調節されることが必要となり得る。
【0027】
いくつかの実施形態では、第1の流出ポート120は、長手方向軸110に対して横軸方向に配置され(しかしさらには傾斜角度を成してもよい、例えば図10A図10Bを参照)、任意には送達カテーテル(図示せず)を出ると自動的に展開する。図1Aは、肝静脈124、肺動脈126、および奇静脈127をさらに示す。TTD100は、TTD100の一方の側に配置された、心臓の複数部分へのアクセスを与えるための(例)弁またはポート138をさらに備えてもよく、この弁またはポート138は、いくつかの実施形態では、閉位置に付勢され得るフラップまたはカバーを備え得る。かかるアクセスは、例えばペースメーカーデバイスのペーシングリードなどのために構成され得る。図3は、例えば下大静脈102、上大静脈104、および右心房106の中に位置決めされた、植え込まれたTTD100を示す図1Aなどの、植え込まれたTTD100の別の側面図である。また、図3は、スカート要素136に対応する封止構造体をさらに示す。いくつかの実施形態では、TTD100の上方端部および下方端部のそれぞれ、ならびにとりわけステント構造体が、内方に湾曲されて(例えば長手方向軸110に向かって)、上大静脈104および下大静脈102のそれぞれに対する損傷を回避してもよい(すべての図にわたり各端部の湾曲部分を参照)。
【0028】
いくつかの実施形態では、TTD100は、外科医が植込みを行うためのアンカリングデバイス/機構として構成され、さらに横軸方向流出ポート120(デバイス/管状本体108の)内において新規の人工弁(例えば罹患もしくは欠損を有する三尖弁の機能を置換するための)のためのハウジングおよび/またはアンカーとして使用され、この人工弁が、TTD100の植込み後に植え込まれることは、意味を有さない。さらに他の実施形態では、TTD100は、人工弁が第1の流出ポート120内で予め定位置に位置した/固定された状態で、送達され得る。実際に、予め定位置に置かれた人工弁を備える実施形態では、TTD100は、定位置弁が、後に除去可能/交換可能になるよう構成されるように、構成されることが可能である。このために、新規の人工弁を、予め定位置に位置する弁と置換することが可能である。他の実施形態では、新規の人工弁が、予め定位置に位置する人工弁を除去することなく、以前に用意された予め定位置に位置する人工弁の中に配置され得る。いくつかの実施形態では、上述の機能性は、TTD100が後に弁を受容するためのアンカリングデバイスであるか、またはTTD100が予め定位置に位置する弁を備えるかのいずれかにより実現され得る。
【0029】
当業者には理解されるように、TTD100のステント構造体は、一連の開口を形成する一連の連結された(一体であるまたは他の方法で相互に固定された)ストラットを備え得る。かかる構造体は、ニチノール材料から作製され得る。いくつかの実施形態では、ニチノール材料は、ステント構造体が拡張時直径のごく数分の1まで少なくとも径方向に圧縮されることを可能にし、それによって送達デバイスのシース内に嵌入され、シースからの除去後に自己拡張する。いくつかの実施形態では、かかる拡張は、バルーン拡張により支援され得る(または自己拡張に置き換わることができる)。
【0030】
図2は、いくつかの実施形態によるTTD100の側面/斜視図である。この図は、ステント構造体130と、下大静脈からの流入部132と、上大静脈からの流入部134と、植込み位置に対応するデバイスの部分(例えば上大静脈(SVC)、右心房(RA)、下大静脈(IVC))とを示す。また、スカート136が図示される(これは、対応する補強構造部125を備えることが可能であり、この補強構造部125は、ステント構造体であってもよく、デバイスのステント構造体または管状本体自体と相互連結され得るか、または一体であることが可能である。スカート136は、右心房と下大静脈との間の連結点に配置することが可能であり、右心房内に発生する圧力がスカート136のフランジを心臓壁に対して押し当て、したがってTTD100を封止し、さらに静脈系における逆流血液の逆流を最小限に抑制するように形状設定され得る。
【0031】
いくつかの実施形態では、および先述のように、流出ポートは、下大静脈および上大静脈から右心房および/または右心室内への血流を制御するための弁を受領するように構成される(例えばいくつかの実施形態では、天然三尖弁、それと同様に)。流出ポート内のこの弁は、人工弁または同種移植片もしくは異種移植片であることが可能である(例えばヒト、ウシ、ブタ)。いくつかの実施形態では、流出ポートは、ポート内に植え込まれた弁が交換可能になるように構成され得る(いくつかの実施形態では以前に配置された弁を除去することにより、およびいくつかの実施形態では以前に配置された弁内に新規の弁を固定するまたは他の方法で配置することにより)。
【0032】
いくつかの実施形態では、TTDは、経カテーテル送達システム内に取り付けられ、そこから外へと展開され得る。
【0033】
図4A図4Bおよび図5A図5Bは、いくつかの実施形態によるスカート封止構造体140a~140dの様々な構成を示す。図4Aは、第1の端部401の近位において管状本体に対して装着される内径部141aと、外径部141bと、内径部141aと外径部141bとの間で連結されて右心房の壁部と境界を接する材料部とを有する、第1のフランジ形状部を有するスカート140aを示す。いくつかの実施形態では、外径部141bは、第2の端部402に向かう方向において内径部141aから離れるように長手方向に(長手方向軸110に対して)離間されてもよく、外径部141bは、直線状エッジを備える。いくつかの実施形態では、スカート構造体は、右心房から下大静脈内への逆流を防止するように構成される。
【0034】
いくつかの実施形態では、スカート構造体は、右心房から下大静脈内へと第1の端部401に向かう逆流を防止するように設計される一方で、肝静脈から下大静脈内への障害のない流れを可能にして、肝静脈が下大静脈に近いことの真価を発揮させる。図1Aに示すように、構造体が右心房の遠位かつ下大静脈に沿った位置にて展開されたスカート構造体と同一機能を実現する場合には、肝静脈が閉塞する可能性がある。これを回避するために、本開示は、図4A図5Bのスカート構造体を示す。いくつかの実施形態では、スカート材料は、任意の生体適合性織布、生体適合性シート繊維もしくは生体適合性ポリマー、および/または生物組織から作製することが可能である。
【0035】
図4Bは、スカート140bを示す。スカート140bは、第1の端部401にて下大静脈と境界を接するための外径部142bと、第2の端部402に向かう方向において外径部142bから離れる方向へと長手方向に離間された(長手方向軸110に対して)内径部142aとを備え、外径部142bは、湾曲状エッジ142cを備える。
【0036】
図5Aは、ドーナツ形状部144を備えるスカート140cを示す。このドーナツ形状部144は、下大静脈と境界を接するように構成された外径部144bと、外径部144bから離れるように径方向に離間された(長手方向軸110に対して)およびTTD100の管状本体に対して装着するように構成された内径部144aとを有する。
【0037】
図5Bは、フランジ形状部146を備えるスカート140dを示す。このフランジ形状部146は、第1の端部501の近位に配置されたおよび下大静脈と境界を接するための外径部146bと、管状本体に対して装着されたおよび第2の端部502に向かう方向において内径部146aから離れるように長手方向に離間された(長手方向軸110に対して)内径部146aとを備え、外径部146bは、直線状エッジを備える。
【0038】
図6A図6Dは、いくつかの実施形態による、TTD100の壁部を貫通する、他のデバイスを配置するために構成されたポートまたは弁138の側面図である。いくつかの実施形態では、このポートまたは弁138は、ペースメーカー、心臓再同期療法(CRT)デバイス、または除細動デバイスからのリード線148を受けるように構成され得る。例えば、かかるリード線148は、かかるリード線を作用弁に通過させる必要性(不効率性および損傷を与える可能性をもたらす)を伴わずに、かかるポート138に挿入され得る。
【0039】
いくつかの実施形態によれば、ポート/弁138は、逆行性流を防止しつつ、右心房および右心室への順行性リード線挿入が可能になるように構成されることが可能である。
【0040】
このポート/弁138は、PMポートと呼ばれ得る。いくつかの実施形態では、ポート/弁138は、開口、フラップ付き開口(これは単なるTTD100の側壁部の重畳部分にすぎない場合があり、これは湾曲状であってもよい(図6D))、直線状(図6C)、TTD100の側部中のスロット、流出ポート120の側部中のスロット(図6B)、および/または覆われた開口(図6A)、であることが可能である。
【0041】
図7Aおよび図7Bは、TTD100の、および具体的には流出ポート120の側面図である。いくつかの実施形態では、図示するように、流出ポート120の側壁部123のすべてまたは一部分が、開口/窓150を備えることが可能であり、これらの開口/窓150は、逆流血流を流出ポート内に配置された弁121に到達させ得るように構成され得る(すなわち、かかる弁は、血流、単なる「正面から」/直接接触するのではなく、側部を経由して接触する)。換言すれば、開口/窓150は、弁121の心房側に位置し得る。かかる位置により、弁121は、心臓内の圧力変化によりおよび三尖弁逆流の影響に鑑みて開閉することが可能となる。
【0042】
図8は、いくつかの実施形態による、TTD100と、TTD100の流出ポート120に隣接して配置された阻止特徴部152との側方断面図である。いくつかの実施形態では、阻止特徴部152は、天然三尖弁128からの血流(いくつかの実施形態では血液噴流)の阻止を支援するものとして構成される。例えば、阻止特徴部152は、他の場合であれば流出ポート120内へと直接的に流入し、弁121が流出ポート120内に位置する場合に弁121の適切な機能を妨げる可能性のある血液逆流を、再配向する。かかる阻止特徴部、すなわちストッパデバイスは、例えば流出ポート120の遠位端部に配置された可撓性材料または剛性材料のフラップなどであることが可能である。
【0043】
図9は、下大静脈102、上大静脈104、右心房106、および右心室122内に植え込まれたTTD100の側面図である。図示するように、いくつかの実施形態では、流出ポート120の遠位端部は、天然三尖弁128を越えて右心室122内に突出する。
【0044】
図10A図10Bは、流出ポート120およびその構成要素の種々の構成を示すTTD100の側面図を示し、とりわけ流出ポート120は、いくつかの実施形態では、遠位端部が心臓の心尖に向かって突出しているような(すなわち上方突出部)角度を成し、いくつかの実施形態では、流出ポート120は、この遠位端部が心臓の底部に向かって突出しているような(すなわち下方突出)角度を成す。
【0045】
図11A図11Dは、流出ポート120への弁121の送達および/または植込みを行った後の、流出ポート120およびその構成要素の種々の構成を示す、TTD100の側面図を示す。TTD100の流出ポート120への弁121の送達および/または植込みの例は、図11E図11Gに図示され、以降において説明する。
【0046】
TTD100は、カテーテルを経由した心臓への送達直後に、上大静脈、下大静脈、および右心房内に配置される。図11Eに示すように、送達されると、TTD100は、展開または拡張されて、上大静脈および下大静脈の内腔スペースを満たし、流出ポート(OP)を経由して右心房内に射出される。TTD100が拡張されると、弁(V)が、図11Fに示すようにTTD100へ送達され得る。ここで、Vは、OPに向けられる。定位置に配置されると、Vは、図11Gに示すようにOPの内腔スペースを占めるように展開され得る。Vの展開は、Vの自己拡張およびVのバルーン拡張等を含み得る。図11Gでは、Vは、バルーン(B)の膨張によるバルーン拡張によって拡張される。
【0047】
上記に鑑みて、本開示の実施形態は、管状ステント内に弁を植え込む方法を含み、この方法は、患者の心臓へTTD100を送達するステップであって、植込み時に、管状本体の第1の端部および関連する第1の端部部分が下大静脈内に配置され、管状本体の第2の端部および関連する第2の端部部分が上大静脈内に配置され、第1の流出ポートOPが少なくとも右心房内に配置されるように、送達するステップと、TTD100内におよび下大静脈および上大静脈のいずれか一方を通りステント装着された弁を送達して、第1の流出ポートOPの少なくとも一部分内に配置するステップと、第1の流出ポートOP内でステント装着された弁Vをバルーン拡張するステップとを含む。一実施形態では、第1の流出ポートOP内でステント装着された弁Vを拡張するステップは、ステント装着された弁Vの他の部分よりもステント装着された弁Vの少なくとも1つの第1の部分をさらに拡張させることを含む。いくつかの実施形態では、第1の部分は、ステント装着された弁Vの近位部分、中央部分、および遠位部分のうちの少なくとも1つおよび任意には2つを含む。
【0048】
弁が、TTD100との一体構成要素として用意されるか、またはTTD100の展開時に植え込まれるかのいずれかが可能である一方で、TTD100は、弁を伴わずに展開されることも可能であり、所望に応じて後に修正を施され得る点を理解されたい。いくつかの実施形態では、TTD100を展開する手術の最中または後において、弁が流出ポート内に必要とされないと判断を下されてもよい。このために、TTD100を展開する手術の最中または後において、任意のタイプの弁が、流出ポートに送達され、このポート内に植え込まれてもよい。図11E図11Gの弁は、心臓用途向けに使用される(例えばSAPIEN 3経カテーテル心臓弁)およびTTD100内でどのように弁が送達され得るかを示すためのみに使用される、任意の汎用弁の一例である。
【0049】
上記に鑑みて、および次に図11Aを参照すると、流出ポート120は、いくつかの実施形態によればボトルネック構造部156として構成された、少なくとも1つの絞り部を有して構成され得る。このボトルネック構造部156は、流出ポート120の近位端部と遠位端部との間に位置することが可能であり、いくつかの実施形態では、ボトルネック構造部156が砂時計構造部内に位置する状態において、砂時計形状部(すなわち流出ポートの壁部)として構成され得る。そのため、ボトルネック構造部156は、流出ポート120内に配置された弁121の移動を防止するように構成され得る。これを目的として、図11Gにおけるような弁121の展開の最中に、弁121の中間領域が、ボトルネック構造部156により締め付けられて、流出ポート120内における弁121の並進移動を防止し得る。
【0050】
いくつかの実施形態では、および次に図11Bを参照すると、流出ポート120は、第1の近位絞り部(流出ポート120のベースに位置する、および図示しない)および第2の遠位絞り部155の少なくとも一方を備えることが可能であり、これらの絞り部はそれぞれ、流出ポート120内に配置された弁121の移動を防止するように構成される(いくつかの実施形態では、流出ポートは、単一の近位絞り部または遠位絞り部を備え得る)。
【0051】
一実施形態では、図11Bに関連して説明されるような各絞り部が、図11Dに示すように流出ポート120の側壁部の終端部として構成され得る。このために、図11DのTTD100は、流出ポート120が、バルーン状中央158c部分を備え、この部分が、その近位端部158aおよび遠位端部158bの直径の少なくとも一方よりも大きい直径を有するように、構成される。近位端部158aおよび遠位端部158bの直径は、弁121の並進移動を防止するように弁121の直径に対して相対的に構成される。
【0052】
図11Cは、いくつかの実施形態による阻止構造部を示し(これは、制限構造部とも呼ばれ得る)、この阻止構造部は、流出ポート120の遠位端部の直径(またはその一部分)にわたり広がるクロス部材160として構成され得る(いくつかの実施形態では、かかるクロス部材は、遠位端部上に配置されたクロス部材の代わりにまたはそれに追加して、流出ポート120の近位端部上にも構成されてもよい)。クロス部材は、ワイヤ構造体(管状本体108のステント構造体におよび/または流出ポート120のステント構造体に連結され得る)、または流出ポート120(その遠位端部および/または近位端部)に対して固定される他の材料部であってもよい。図8の阻止構造部と同様に、この特徴部は、流出ポート120内の弁121に対して直接的に適用される血流および圧力勾配を修正することを意図しており、弁121の機能に影響を与え得る。
【0053】
図12は、TTD100の側面図であり、TTD100の流出ポート120の中に含まれる1つの構成要素を示す。具体的には、いくつかの実施形態では、流出ポートの壁部は、ばね構造部162を備えてもよい(このばね構造部162は、ステント状構造部として構成され得る、および/または管状本体および/または流出ポートのステント構造体の一部として構成され得る)。いくつかの実施形態によれば、かかるばね構造部162は、流出ポート120に対して径方向内方力を印加するように構成され、この力は、例えば流出ポート120内に弁を保持するのを支援するために利用され得る。
【0054】
本明細書では様々な本発明の実施形態を説明し図示したが、本明細書において説明される機能を実施するおよび/または本明細書において説明される成果を実現するおよび/または本明細書において説明される利点のうちの1つまたは複数を実現するための、様々な他の手段および/または構造体が、当業者には容易に想起されよう。かかる変形および/または修正はいずれも、本明細書において説明される本発明の実施形態の範囲内に含まれるものとみなされる。より一般的には、本明細書において説明されるあらゆる構造、パラメータ、寸法、材料、機能、および構成は、一例として意図されたものであり、実際の構造、パラメータ、寸法、材料、機能、および構成は、本発明の教示が用いられる具体的な用途に応じて決定されることが、当業者には容易に理解されよう。本明細書において説明される具体的な本発明の実施形態と均等である多数のものが、当業者には慣例的な実験を利用するだけでも理解されよう、または認識可能であろう。したがって、前述の実施形態は、もっぱら例として示されたものであり、本開示により支持される特許請求の範囲およびその均等物の範囲内において、本発明の実施形態は、具体的に説明され特許請求されるようなもの以外の方法で実施されてもよい点を理解されたい。また、本開示の本発明の実施形態は、本明細書において説明される書く個別の特徴、システム、物品、構造、材料、キット、機能、ステップ、および方法に関するものである。さらに、かかる特徴、システム、物品、構造、材料、キット、機能、ステップ、および方法のうちの2つ以上のものの任意の組合せは、もしそれらが相互に矛盾しない場合には、本開示の本発明の範囲内に含まれる。いくつかの実施形態は、1つまたは複数の特徴/要素/機能を具体的に欠く点を理由として先行技術とは識別可能なものである場合がある(すなわちかかる実施形態に関するクレームが、消極的限定を含む場合がある)。
【0055】
また、既述のように、様々な本発明のコンセプトが、1つまたは複数の方法として具現化され、その一例が示される。方法の一部として実施される行為は、任意の適切な様式で順序設定されてもよい。したがって、行為が例示されるものとは異なる順序で実施される実施形態が考えられ、これは、例示の実施形態では逐次的な行為として示される場合でも、例えばいくつかの行為を同時に実施することを含み得る。
【0056】
本願のどこかに記載される特許、特許出願、記事、ウェブページ、書籍当を含むがそれらに限定されない、刊行物または他の文献に関するあらゆる参照は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。さらに、本明細書において定義および使用されるようなあらゆる定義は、辞書による定義、参照により組み込まれる文献における定義、および/または定義される後の一般的な意味を上回り支配的なものとなる点を理解されたい。
【0057】
本願の明細書および特許請求の範囲において使用されるような不定冠詞「1つの(a、an)」は、逆のことが明確に示唆されない限り、「少なくとも1つの」を意味するものとして理解されたい。「可能である(can)」および「してもよい(may)」という語は、本開示では互換的に用いられ、要素、構成要素、構造、機能、機能性、物体、利点、動作、ステップ、プロセス、装置、システム、デバイス、成果、または明瞭化に関して言及された、が、使用される、含まれる、もしくは生成される能力を有することを示唆し、またはその用語がある特定の実施形態について使用される(または参照される)陳述において示唆される提案を別の表現で表す。
【0058】
本願の明細書および特許請求の範囲において使用されるような「および/または」という表現は、かように組み合わされた要素の「いずれか一方または両方」を意味するものとして理解されるべきであり、すなわちある場合には結合的に存在し他の場合では分離的に存在する要素を意味するものとして理解されるべきである。「および/または」と共に列挙される複数の要素は、同様に解釈されるべきであり、すなわちかように組み合わされた要素のうちの「1つまたは複数」として解釈されるべきである。
【0059】
具体的に示唆された要素に関連するかしないかに関わらず、「および/または」節により具体的に示唆される要素以外の他の要素が、任意に存在してもよい。したがって、非限定的な例として、例えば「備える」などのオープンエンドな表現との組合せにおいて使用される場合の「Aおよび/またはB」という言及は、ある実施形態ではAのみ(任意にはB以外の要素を含む)を指示し、他の実施形態ではBのみ(任意にはA以外の他の要素を含む)を指示し、さらに他の実施形態ではAおよびBの両方(任意には他の要素を含む)を指示し、等となり得る。
【0060】
本願の明細書および特許請求の範囲において使用される場合に、「または」は、上記で定義したような「および/または」と同一の意味を有するものとして理解されるべきである。例えば、リスト内のアイテムを分ける場合に、「または」または「および/または」は、非排他的なものとして解釈されるべきであり、すなわち、複数の要素または要素リストのうちの少なくとも1つを含むがさらに2つ以上を含む、および任意にはリストにない追加アイテムも含むものとして解釈されるべきである。逆に、例えば「のうちの1つのみ」または「のうちの厳密に1つ」、または特許請求の範囲において使用される場合の「からなる(consisting of)」などの、明確に指示される限定表現は、複数の要素または要素リストのうちの厳密に1つを包含することを示す。一般的に、本明細書において使用されるような「または」という語は、例えば「いずれか」、「のうちの1つ」、「のうちの1つのみ」、または「のうちの厳密に1つ」などの排他的表現と共に使用される場合には、相互排他的選択肢(すなわち「一方または他方であり両方ではない」)を示唆するものとしてのみ解釈されるべきである。
【0061】
特許請求の範囲において使用される場合に、「から主になる(consisting essentially of)」は、特許法の分野において用いられる通常の意味を有するべきである。
【0062】
本願の明細書および特許請求の範囲において使用される場合に、1つまたは複数の要素のリストを参照とする「少なくとも1つ」という表現は、要素リスト内の要素のうちの任意の1つまたは複数から選択された少なくとも1つの要素を意味するものとして理解されるべきであるが、要素リスト内に具体的に列挙されたすべての要素のうちの少なくとも1つを必ずしも含まず、この要素リスト内の要素の任意の組合せを排除するものではない。また、この定義により、具体的に示される要素に関係があるまたはないにかかわらず、「少なくとも1つ」という表現の参照先となる要素リスト内に具体的に示される要素以外の要素が任意に存在してもよいということが可能となる。したがって、非限定的な例として、「AおよびBの少なくとも一方」(または均等なものとして「AまたはBの少なくとも一方、または均等なものとして「Aおよび/またはBの少なくとも一方」)は、一実施形態では少なくとも1つを指示し、任意には2つ以上を含み、Bは存在せず(および任意にはB以外の要素を含み)、他の実施形態では少なくとも1つを指示し、任意には2つ以上のBを含み、Aは存在せず(および任意にはA以外の要素を含み)、さらに他の実施形態では少なくとも1つの任意には2つ以上のAと少なくとも1つの任意には2つ以上のBとを含む(および任意には他の要素を含む)、等となる。
【0063】
特許請求の範囲において、上記の明細書において、例えば「備える」、「含む」、「帯びる」、「有する」、「収容する」、「伴う」、「保持する」、および「からなる」等のあらゆる移行句は、オープンエンドなものとして理解されるべきであり、すなわち含むが限定されないという意味を有するものとして理解されたい。「からなる」および「から主になる」は、米国特許庁MPEP(Manual of Patent Examining Procedures)、Section 2111.03に記載されるように、それぞれクローズドなまたは準クローズドな移行句である。
【0064】
参照による組込み
本明細書において挙げられる参考文献、記事、刊行物、特許、特許出願公開、および特許出願はいずれも、事実上において参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。しかし、本明細書において挙げられる参考文献、記事、刊行物、特許、特許出願公開、および特許出願の記述はいずれも、それらが、有効な先行技術を構成するまたは世界の任意国における共通一般知識の一部を構成することを容認するまたは何らかの形で示唆するものではなく、そのようなものとして解釈されるべきではない。
【0065】
本発明の実施形態の番号の割り振り
添付の特許請求の範囲とは別に、本開示は番号を割り振られた以下の実施形態を提示する。
【0066】
(1)患者の罹患または他の理由により損傷を被った三尖弁を治療するために患者の下大静脈および上大静脈内への植込み用に構成されたステントグラフトデバイスであって、長手方向軸を有する、ならびに上大静脈(SVC)および下大静脈(IVC)内への植込み用に構成された管状本体であって、植込み時には、この管状本体の第1の端部および関連する第1の端部部分が、IVC内に配置され、この管状本体の第2の端部および関連する第2の端部部分が、SVC内に配置される、管状本体と、右心房および右心室内への植込み後に配置されるように構成された、ならびに外科弁または三尖弁を固定するために構成された第1の流出ポートであって、長手方向軸に対して横軸方向に配置され、任意には送達カテーテルを出ると自動的に展開する、第1の流出ポートとを備える、ステントグラフトデバイス。
【0067】
(2)第1の流出ポートは、長手方向軸に対して横軸方向に、および長手方向軸に対して傾斜角度を成して配置される、(1)に記載のデバイス。
【0068】
(3)第1の流出ポートは、長手方向軸に対して横軸方向に、および長手方向軸に対して傾斜角度を成して配置され、第1の流出ポートの遠位端部が、心臓の底部に向かう方向を向く、(1)または(2)に記載のデバイス。
【0069】
(4)第1の流出ポートは、長手方向軸に対して横軸方向に、および長手方向軸に対して傾斜角度を成して配置され、第1の流出ポートの遠位端部が、心臓の心尖に向かう方向を向く、(1)から(3)のいずれかに記載のデバイス。
【0070】
(5)管状本体を少なくとも部分的に覆うように構成された材料部をさらに備える、(1)から(4)のいずれかに記載のデバイス。
【0071】
(6)この材料部は、血流が管状本体の少なくとも側部部分を通過するのを防止するように、管状本体上に配置される、(1)から(5)のいずれかに記載のデバイス。
【0072】
(7)管状本体上にこの材料部を配置することは、奇静脈/腕頭静脈および/または肝静脈からの血液の流入を可能にするように構成される、(1)から(6)のいずれかに記載のデバイス。
【0073】
(8)ペースメーカー/ICDリード線の通過を受けるための構成されたペースメーカー/ICDリードポートおよび/または弁(PLP)をさらに備える、(1)から(7)のいずれかに記載のデバイス。
【0074】
(9)PLPは、管状本体の側部上に配置される、(1)から(8)のいずれかに記載のデバイス。
【0075】
(10)第1の流出ポートは、第1の絞り部および第2の絞り部の少なくとも一方を備え、これらの絞り部はそれぞれ、第1の流出ポート内に配置された弁の移動を防止するように構成される、(1)から(9)のいずれかに記載のデバイス。
【0076】
(11)第1の流出ポートは、ボトルネック構造部として構成された少なくとも1つの絞り部を備え、ボトルネック構造部は、第1の流出ポート内に位置するか、またはボトルネック構造部が砂時計構造部内に位置するように砂時計形状部を有して構成され、ボトルネック構造部は、第1の流出ポート内に配置された弁の移動を防止するように構成される、(1)から(10)のいずれかに記載のデバイス。
【0077】
(12)第1の流出ポートは、第1の流出ポートの遠位端部上に配置された第1のストッパ部分を備え、この第1のストッパ部分は、第1の流出ポート内に配置された弁の管状本体から離れる移動を防止するように構成される、(1)から(11)のいずれかに記載のデバイス。
【0078】
(13)第1の流出ポートは、第1の流出ポートの近位端部上に配置された第1のストッパ部分を備え、第1のストッパ部分は、第1の流出ポート内に配置された弁の管状本体に向かう移動を防止するように構成される、(1)から(12)のいずれかに記載のデバイス。
【0079】
(14)第1の流出ポートは、第1の流出ポートの遠位端部上に配置された第1のストッパ部分であって、第1の流出ポート内に配置された弁の管状本体から離れる移動を防止するように構成された第1のストッパ部分と、第1の流出ポートの近位端部上に配置された第2のストッパ部分であって、第1の流出ポート内に配置された弁の管状本体に向かう移動を防止するように構成された第2のストッパ部分とを備える、(1)から(13)のいずれかに記載のデバイス。
【0080】
(15)第1の流出ポートは、第1の流出ポートの遠位端部上に配置された制限構造部を備え、この制限構造部は、第1の流出ポート内に配置された弁の管状本体から離れる移動を防止するように構成される、(1)から(14)のいずれかに記載のデバイス。
【0081】
(16)第1の流出ポートの近位端部および遠位端部の少なくとも一方が、第1の流出ポートの中央部分の直径未満の直径を有し、これは、第1の流出ポート内に配置された弁の移動を防止するように構成される、(1)から(15)のいずれかに記載のデバイス。
【0082】
(17)第1の流出ポートは、ばねとして構成された、および第1の流出ポートに対して径方向内方力を印加するように構成されたステント構造体を備える、(1)から(16)のいずれかに記載のデバイス。
【0083】
(18)封止材料部からなり、管状本体の中および周囲の少なくとも一方に配置された、スカートをさらに備える、(17)に記載のデバイス。
【0084】
(19)スカートは、右心房から下大静脈への血液逆流を防止するように構成される、(1)から(18)のいずれかに記載のデバイス。
【0085】
(20)スカートは、第1の端部の近位において管状本体に対して装着される内径部と、下大静脈と境界を接する為の外径部とを有する、フランジ形状部を備え、この外径部は、第2の端部に向かう方向において内径部から長手方向に離間され、外径部は、直線状エッジを備える、(1)から(19)のいずれかに記載のデバイス。
【0086】
(21)スカートは、下大静脈と境界を接するための外径部と、第2の端部に向かう方向において外径部から長手方向に離間された内径部とを備え、外径部は、湾曲状エッジを備える、(1)から(20)のいずれかに記載のデバイス。
【0087】
(22)スカートは、下大静脈と境界を接するように構成された外径部と、外径部から径方向に離間されたおよび管状本体に対して装着するように構成された内径部とを備える、ドーナツ形状部を備える、(1)から(21)のいずれかに記載のデバイス。
【0088】
(23)スカートは、フランジ形状部を備え、このフランジ形状部は、第1の端部の近位に配置されたおよび下大静脈と境界を接するための外径部と、管状本体に対して装着されるおよび第2の端部に向かう方向において内径部から長手方向に離間された内径部とを備え、外径部は、直線状エッジを備える、(1)から(22)のいずれかに記載のデバイス。
【0089】
(24)第1のポートは、自己拡張性を有する、および/または所定の形状を備える、(1)から(23)のいずれかに記載のデバイス。
【0090】
(25)シース送達デバイスを経由してIVC/SVCへ送達されるように構成され、任意には位置変更、再展開、および除去のうちの少なくとも1つのためにシース送達デバイスにより再被覆されるように構成される、(1)から(24)のいずれかに記載のデバイス。
【0091】
(26)少なくとも第1の流出ポートは、シースデバイス内に再被覆されるように構成される、(1)から(25)のいずれかに記載のデバイス。
【0092】
(27)第1の流出ポートは、第1の流出ポートの中、上、または付近に配置された弁デバイスを支持するように構成されたステント構造体を備える、(1)から(26)のいずれかに記載のデバイス。
【0093】
(28)第1の流出ポートは、植込み時に第1のポートが右心房に到達するような長さおよび/または形状を有して構成される、(1)から(27)のいずれかに記載のデバイス。
【0094】
(29)第1の流出ポートは、第1の輪郭部(RA輪郭部)に沿って少なくとも1つの窓を備える、または第1のポートの中、上、もしくは付近に位置する弁の側部からの流れを可能にする形状を有する、(1)から(28)のいずれかに記載のデバイス。
【0095】
(30)第1の流出ポートは、第1の流出ポートの中、上、または付近に配置された弁に逆方向ジェット流が到達するのを防止するように設計される、(1)から(29)のいずれかに記載のデバイス。
【0096】
(31)デバイスの植込み時に、第1のポートの少なくとも一部分が、RA内に配置され、任意には、第1の流出ポートの少なくとも一部分が、三尖弁を経由して右心室内に突出する、(1)から(30)のいずれかに記載のデバイス。
【0097】
(32)管状本体は、足場構造部を備えるステントを備え、この足場構造部は、デバイスが送達カテーテル内に嵌入するような第1の圧縮モードと、植込み部位にデバイスを配置した時にデバイスが植込み部位内において自己拡張するまたはバルーンにより拡張されるように構成されるような第2の拡張モードとにおいて動作するように構成される、(1)から(31)のいずれかに記載のデバイス。
【0098】
(33)管状本体は、部分ごとに変わる剛性を有する、(1)から(32)のいずれかに記載のデバイス。
【0099】
(34)経カテーテル送達デバイスおよび経心尖送達デバイスの少なくとも一方により(1)から(33)のいずれかに記載のデバイスを送達する方法。
【0100】
(35)管状ステント内の弁を植え込む方法であって、(1)から(33)のいずれかに記載のステントグラフトデバイスを患者の心臓に送達するステップであって、植込み時には、管状本体の第1の端部および関連する第1の端部部分が、IVC内に配置され、管状本体の第2の端部および関連する第2の端部部分が、SVC内に配置され、第1の流出ポートは、少なくとも右心房内に配置される、ステップと、IVCおよびSVCのいずれか一方を通りステント装着された弁を送達して、第1の流出ポートの少なくとも一部分内に配置するステップと、第1の流出ポート内でステント装着された弁をバルーン拡張するステップとを含む、方法。
【0101】
(36)第1の流出ポート内のステント装着された弁をバルーン拡張するステップは、ステント装着された弁の他の部分よりもステント装着された弁の少なくとも1つの第1の部分をさらに拡張させることを含む、(35)に記載の方法。
【0102】
(37)第1の部分は、ステント装着された弁の近位部分、中央部分、および遠位部分のうちの少なくとも1つまたは任意には2つからなる、(35)または(36)に記載の方法。
【0103】
(38)本開示の実施形態のいずれかによるシステム、デバイス、装置、または方法。
【符号の説明】
【0104】
100 三尖弁治療デバイス、TTD
102 下大静脈
104 上大静脈
106 右心房
108 管状本体
110 長手方向軸
112 第1の端部
114 第1の端部部分
116 第2の端部
118 第2の端部部分
120 流出ポート、第1の流出ポート、横軸方向流出ポート
121 弁
122 右心室
123 側壁部
124 肝静脈
125 補強構造部
126 肺動脈
127 奇静脈
128 三尖弁、天然三尖弁
130 ステント構造体
132 流入部
134 流入部
136 スカート要素、スカート
138 ポート/弁
140a スカート封止構造体、スカート
140b スカート封止構造体、スカート
140c スカート封止構造体、スカート
140d スカート封止構造体、スカート
141a 内径部
141b 外径部
142a 内径部
142b 外径部
142c 湾曲状エッジ
144 ドーナツ形状部
144a 内径部
144b 外径部
146 フランジ形状部
146a 内径部
146b 外径部
148 リード線
150 開口/窓
152 阻止特徴部
155 第2の遠位絞り部
156 ボトルネック構造部
158a 近位端部
158b 遠位端部
158c バルーン状中央部
160 クロス部材
162 ばね構造部
401 第1の端部
402 第2の端部
501 第1の端部
502 第2の端部
1000 心臓
図1A
図1B
図2
図3
図4A
図4B
図5A
図5B
図6A
図6B
図6C
図6D
図7A
図7B
図8
図9
図10A
図10B
図11A
図11B
図11C
図11D
図11E
図11F
図11G
図12
【国際調査報告】