(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-09
(54)【発明の名称】ポリフルオロアルキルアルコールからのポリフルオロアルキルアミンの調製方法
(51)【国際特許分類】
C07C 209/62 20060101AFI20240202BHJP
C07C 211/15 20060101ALI20240202BHJP
【FI】
C07C209/62
C07C211/15
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023549075
(86)(22)【出願日】2022-02-08
(85)【翻訳文提出日】2023-10-03
(86)【国際出願番号】 EP2022052968
(87)【国際公開番号】W WO2022175132
(87)【国際公開日】2022-08-25
(32)【優先日】2021-02-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】313006625
【氏名又は名称】バイエル・アクチエンゲゼルシヤフト
(71)【出願人】
【識別番号】595040744
【氏名又は名称】サントル・ナショナル・ドゥ・ラ・ルシェルシュ・シャンティフィク
【氏名又は名称原語表記】CENTRE NATIONAL DE LA RECHERCHE SCIENTIFIQUE
(71)【出願人】
【識別番号】509103082
【氏名又は名称】ユニベルシテ・ドウ・ストラスブール
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100124855
【氏名又は名称】坪倉 道明
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100137213
【氏名又は名称】安藤 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100143823
【氏名又は名称】市川 英彦
(74)【代理人】
【識別番号】100183519
【氏名又は名称】櫻田 芳恵
(74)【代理人】
【識別番号】100196483
【氏名又は名称】川嵜 洋祐
(74)【代理人】
【識別番号】100160749
【氏名又は名称】飯野 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100160255
【氏名又は名称】市川 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(74)【代理人】
【識別番号】100127812
【氏名又は名称】城山 康文
(72)【発明者】
【氏名】パゼノク,セルギイ
(72)【発明者】
【氏名】ベルニエ,デビッド
(72)【発明者】
【氏名】ルルー,フレデリック
(72)【発明者】
【氏名】サントス,ローラ
(72)【発明者】
【氏名】パノシアン,アルメン
(72)【発明者】
【氏名】ドナード,モーガン
【テーマコード(参考)】
4H006
【Fターム(参考)】
4H006AA02
4H006AC52
4H006BC31
4H006BD70
4H006BE27
(57)【要約】
ポリフルオロアルキルアミンの調製方法であって、第1のステップにおいて、ポリフルオロアルキルアルコールを、SO2F2および酸捕捉剤の存在下で、イミドと反応させ、次いで、第2のステップにおいて、得られた化合物を、酸、塩基またはヒドラジンと反応させる、前記方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(IV)
【化1】
〔式中、R
Fは、以下のステップ(i)のように定義される〕
のポリフルオロアルキルアミンの調製方法であって、以下のステップ:
ステップ(i):式(I)
【化2】
〔式中、R
F=CHF
2、CF
3、C
2F
5またはHCF
2CF
2〕
のポリフルオロアルキルアルコールの、
式(II)
【化3】
のイミドとの、SO
2F
2および酸捕捉剤の存在下での、式(III)
【化4】
〔式中、式(II)および(III)の化合物において、R
1およびR
2は、それぞれ互いに独立して、水素またはC
1-C
6-アルキルであるか、またはR
1およびR
2は、それらが結合している炭素原子と一緒になって、ハロゲンまたはC
1-C
12-アルキルで置換されていてもよい6員の芳香族環を形成する〕
の化合物を得るための反応;
ステップ(ii):式(III)の化合物の、酸、塩基またはヒドラジンとの反応
を含む、前記方法。
【請求項2】
式(IV)のポリフルオロアルキルアミンが、2,2-ジフルオロエチル-1-アミンである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
式(II)の化合物が、スクシンイミドまたはフタルイミドである、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
式(II)の化合物が、フタルイミドである、請求項1または2に記載の方法。
【請求項5】
ステップ(i)における酸捕捉剤が、第三級アミン類、置換もしくは非置換ピリジン類および置換もしくは非置換キノリン類、トリエチルアミン、トリメチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、トリ-n-プロピルアミン、トリ-n-ブチルアミン、トリ-n-ヘキシルアミン、トリシクロヘキシルアミン、N-メチルシクロヘキシルアミン、N-メチルピロリジン、N-メチルピペリジン、N-エチルピペリジン、N,N-ジメチルアニリン、N-メチルモルホリン、ピリジン、2-、3-もしくは4-ピコリン、2-メチル-5-エチルピリジン、2,6-ルチジン、2,4,6-コリジン、4-ジメチルアミノピリジン、キノリン、キナルジン、N,N,N,N-テトラメチルエチレンジアミン、N,N-ジメチル-1,4-ジアザシクロヘキサン、N,N-ジエチル-1,4-ジアザシクロヘキサン、1,8-ビス(ジメチルアミノ)ナフタレン、ジアザビシクロオクタン(DABCO)、ジアザビシクロノナン(DBN)、ジアザビシクロウンデカン(DBU)、ブチルイミダゾール、メチルイミダゾール、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化カルシウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、酢酸ナトリウム、KFおよびCsFから選択される塩基である、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
ステップ(i)における酸捕捉剤が、ジアザビシクロウンデカン、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、KFまたはCsFである塩基である、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
使用される塩基の、式(II)のイミドに対するモル比が、1:1~5:1の範囲内にある、請求項5または6に記載の方法。
【請求項8】
無機酸が、ステップ(ii)において使用される、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
無機酸が、塩酸、臭化水素酸、硫酸またはリン酸である、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
ヒドラジン水和物が、ステップ(ii)において使用される、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
酸またはヒドラジン水和物の、式(III)の化合物に対するモル比が、0.8:1~10:1の範囲内にある、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガブリエル合成を用いてポリフルオロアルキルアルコールから出発するポリフルオロアルキルアミンの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリフルオロアルキルアミンは、活性物質の調製における重要な中間体である。例えば、2,2-ジフルオロエチルアミンは、フルピラジフロンの調製における中間体として使用することができる。
【0003】
フルオロアルキルアミンを調製する様々な方法が知られている、例えば、(a)対応するポリフルオロアルキルハライドをアンモニアと反応させる方法(例えば、Dickeyら、Industrial and Engineering Chemistry、1956、No.2、209-213、US2002/0183557)、または対応するアルコールをアンモニアと反応させる方法(JP2005002031A)(b)対応するニトリルまたはアジド化合物を水素化する方法(US3532755、Mecinovicら、Green Chem、2018、20、4418-4442)(c)対応するポリフルオロアルキルアミドを還元する方法(Douglasら、Chem.Commun.、2016、52、12195-12198(CF3CH2NH2について)、Husted&Ahlbrecht、J.Am.Chem.Soc.1953、75、7、1605-1608(CHF2CH2NH2について)、Soloshonokら、Tetrahedron Letters、2002、43、5449-5452(RFCH2NH2ついて、RF=-CF3、-C2F5、-C3F9)、Papanastassiou&Bruni、J.Org.Chem.1964、29、10、2870-2872(FCH2CH2NH2について))である。
【0004】
さらに、WO-A-2012/101044は、2,2-ジフルオロエチルアミンの調製方法を開示しており、ここで、2,2-ジフルオロ-1-クロロエタンを、塩基のような酸スカベンジャーの存在下でイミドと反応させて、2,2-ジフルオロエチルアミンを得る。
【0005】
WO-A-2011/012243およびWO-A-2012/095403は、2,2-ジフルオロエチルアミンを調製するための方法を開示しており、ここで、2,2-ジフルオロ-1-クロロエタンをアンモニアと反応させて、2,2-ジフルオロエチルアミンを得る。
【0006】
WO-A-2011/042376は、2,2-ジフルオロエチルアミンを調製する方法を開示しており、ここで、2,2-ジフルオロ-1-ニトロエタンを触媒の存在下で水素化して、2,2-ジフルオロエチルアミンを得る。
【0007】
WO-A2011/069994は、2,2-ジフルオロエチルアミンの調製方法を開示しており、ここで、ジフルオロアセトニトリルを接触水素化し、それによって得られたジフルオロエチルアミドを、その後、ジフルオロエチルアミドの開裂に適した酸を添加することによって2,2-ジフルオロエチルアミンに変換する。
【0008】
WO-A2012/062702は、2,2-ジフルオロエチルアミンの調製方法を開示しており、ここで、2,2-ジフルオロ-1-クロロエタンをベンジルアミン化合物と反応させ、それによって得られるN-ベンジル-2,2-ジフルオロエタンアミン化合物を接触水素化して2,2-ジフルオロエチルアミンを得る。
【0009】
WO-A-2012/062703は、2,2-ジフルオロエチルアミンの調製方法を開示しており、ここで、2,2-ジフルオロ-1-クロロエタンをプロプ-2-エン-1-アミンと反応させ、それによって得られるN-(2,2-ジフルオロエチル)プロプ-2-エン-1-アミンからアリル基を除去する(脱アリル化)。
【0010】
公知の方法は、高温高圧での非常に長い反応時間がかかり、収率が低いか、高価な試薬または装置を有するか、または反応混合物が非常に腐食性であるため、不利であり、そのため、公知の方法は商業規模での使用には不適当である。
【0011】
US2012/0190867(WO-A-2012/101044)は、ガブリエル合成を用いたHCF2CH2Cl(フロン142)の利用を記載している。HCF2CH2Clは、環境に優しくなく、オゾン層破壊物質(ODS)のクラスに属し、その利用は厳しく制限されている。記載の方法における反応時間は短いが、高温(90~140℃)が必要である。さらに、この方法は、触媒の使用を必要とする場合がある。
【0012】
M.Epifanovらは、JACS 2018、140、16464-16468において、ポリフルオロアルコールによる第一級および第二級アミンのSO2F2媒介されたアルキル化のプロセスを記載している。この文献に記載されている例では、1つまたは2つのアルキル鎖アルキル-NH2またはR2NH、例えばシクロヘキシルアミン、モルホリン、フェニルアラニン、N-メチルベンジルアミンなどに結合したアミンのみが示されている。これらのアミンは高い求核性および塩基性(pKb 3.5~4.5)を示し、これまでに低反応性ポリフルオロアルコールによるアルキル化に成功している。
【0013】
しかしながら、著者ら(JACS、p.16466)はまた、シクロヘキシルアミンのようなアミンに対して立体バルクアルファを有する基質だけでなく、アニリンも、この反応には不十分な基質であり、ポリフルオロアルコールを用いて高い反応速度でアルキル化することができないことも見出した。他のアミンと同様に、アニリンは、塩基(pKb=9.42)で求核性であるが、構造的に類似した脂肪族アミンよりも弱塩基であり、求核性が劣る。
【0014】
本発明では、環系中にアミン基に対してα位に2個のカルボニル基を有するフタルイミドが使用され、したがって、嵩高い基質であると考えることもできる。2つのカルボニル基の電子求引(-M)効果により、フタルイミドは顕著なNH酸性を有し、塩基性を全く有さないことも知られている。イミド-NHの高い酸性度は、隣接する一対の求電子性カルボニル基の結果である。さらに、アミド(本発明による方法で使用されるフタルイミドまたはスクシンイミドのよう)は一般に、求電子剤に対してアミン(Epifanovらの方法で使用されたものと同様)よりも反応性が低いことが一般に知られている。
【0015】
したがって、本発明による方法におけるフタルイミド(酸性であり、塩基性ではない)のポリフルオロアルキル化は、同時にシクロヘキシルアミンまたはアニリンがこの反応のための不十分な基質にすぎない穏やかな条件下で、高収率で実施することができることは驚くべきことである。フタルイミドの代わりにスクシンイミドを使用する場合も同様である。
【0016】
N-ポリフルオロアルキルフタルイミドからのポリフルオロアルキルアミンの合成は、Kuwabaraらによって「The journal of chemical society of Japan、1985v.1985、N4、796-798頁(RFCH2NH2、RF=-CF3、-CF2CHF2、(CF2CF2)2H、-(CF2CF2)3H)」に記載されている。ポリフルオロアルキルo-ニトロベンゼンスルホネートおよびフタルイミドのK-塩からの所望のN-ポリフルオロアルキルフタルイミドの調製は、150℃での長時間加熱で非常に過酷な反応条件下で達成された。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【特許文献1】米国特許出願公開第2002/0183557号明細書
【特許文献2】米国特許第3532755号明細書
【特許文献3】国際公開第2012/101044号
【特許文献4】国際公開第2011/012243号
【特許文献5】国際公開第2012/095403号
【特許文献6】国際公開第2011/042376号
【特許文献7】国際公開第2011/069994号
【特許文献8】国際公開第2012/062702号
【特許文献9】国際公開第2012/062703号
【特許文献10】米国特許出願公開第2012/0190867号明細書
【特許文献11】国際公開第2012/101044号
【非特許文献】
【0018】
【非特許文献1】Dickeyら、Industrial and Engineering Chemistry、1956、No.2、209-213
【非特許文献2】Mecinovicら、Green Chem、2018、20、4418-4442
【非特許文献3】Douglasら、Chem.Commun.、2016、52、12195-12198
【非特許文献4】Husted&Ahlbrecht、J.Am.Chem.Soc.1953、75、7、1605-1608
【非特許文献5】Soloshonokら、Tetrahedron Letters、2002、43、5449-5452
【非特許文献6】Papanastassiou&Bruni、J.Org.Chem.1964、29、10、2870-2872
【非特許文献7】M.Epifanovら、JACS 2018、140、16464-16468
【非特許文献8】Kuwabaraら、The journal of chemical society of Japan、1985v.1985、N4、796-798頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
ポリフルオロアルキルアミン(2,2-ジフルオロエチルアミンを含む)の既知の調製方法から出発して、2,2-ジフルオロエチルアミンを含むポリフルオロアルキルアミンを、市販されており、環境に優しい出発物質、例えばポリフルオロアルキルアルコールおよび安価なSO2F2ガスから、簡単かつ安価な方法でどのように調製できるかという問題が生じる。本発明者らは、イミド中間体が最初に調製され、次いで開裂される場合、ポリフッ素化アルキルアルコールからポリフルオロアルキルアミンを特に有利に調製することができることを見出した。
【課題を解決するための手段】
【0020】
したがって、本発明の主題は、式(IV)
【化1】
〔式中、R
Fは、以下のステップ(i)に定義されている〕
のポリフルオロアルキルアミンの調製方法であって、以下のステップ:
ステップ(i):式(I)
【化2】
〔式中、R
F=CHF
2、CF
3、C
2F
5またはHCF
2CF
2〕
のポリフルオロアルキルアルコールの、
式(II)
【化3】
のイミドとの、SO
2F
2および酸捕捉剤の存在下での、式(III)
【化4】
〔式中、式(II)および(III)の化合物において、R
1およびR
2は、それぞれ互いに独立して、水素またはC
1-C
6-アルキルであるか、またはR
1およびR
2は、それらが結合している炭素原子と一緒になって、ハロゲンまたはC
1-C
12-アルキルで置換されていてもよい6員の芳香族環を形成する〕
の化合物を得るための反応;
ステップ(ii):式(III)の化合物の、酸、塩基またはヒドラジンとの反応(すなわち、酸、塩基またはヒドラジンを添加することによって式(III)の化合物を開裂する)
を含む、前記方法である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の好ましい実施形態において、式(I)のポリフルオロアルキルアルコールは、CHF2CH2OHであり、式(IV)のポリフルオロアルキルアミンは、CHF2CH2NH2(2,2-ジフルオロエチル-1-アミン)である。
【0022】
ステップ(i)で使用される式(II)のイミドは、塩として存在することもできる。このような塩は、場合によっては市販されている(例えば、フタルイミドのカリウム塩)。本発明による方法において塩を使用する前に、式(II)のイミドを、好適な塩基との反応によって塩に変換することもできる。好適な塩基は、当業者に公知であるか、または酸捕捉剤として本件で言及される塩基を含む。
【0023】
本発明による方法において、R
1およびR
2がそれぞれ水素(すなわち、スクシンイミド)であるか、またはR
1およびR
2が、それらが結合している炭素原子と一緒になって、6員の芳香族環(すなわち、フタルイミド)を形成する、式(II)の化合物を使用することが好ましい。スクシンイミドが、式(II)の化合物として使用される場合、式(III-a)の化合物が、ステップ(i)において得られる。フタルイミドが、式(II)の化合物として使用される場合、式(III-b)の化合物が、ステップ(i)において得られる:
【化5】
本発明による方法は、以下のスキームによって説明することができる:
【化6】
アミンのN-アルキル化のためのSO
2F
2の利用は、公知である。第二級または第三級ポリフルオロアルキルアミンは、Epifanovらの「JACS、2018、140、16464-16468」に従い、ポリフルオロアルキルアルコールR
FCH
2OH(R
F=CF
3、CHF
2、CF
2CF
3、CF
2CF
2CF
3である)から調製することができる。環式第三級アミンは、67%の最大収率(例えばモルホリン)で単離することができる。フタルイミドは、Sammisらの「Chem.Eur.J.、2020、4958-4962」中で、様々な非フッ素化脂肪族アルコールと容易に反応することができる。直観的には、本発明者らは、フタルイミドの合成による第一級ポリフルオロアルキルアミンの調製のためのSO
2F
2の利用を記載した。
【0024】
同様に驚くべきことに、ステップ(i)で使用されるポリフッ素化アルコールは、非常によく、約85~90%の高い収率で、式(III)のイミドに変換することができる。
【0025】
式(I)および(II)の化合物は公知であり、市販されているか、または通常の方法に従って調製することができる。SO2F2は、殺虫剤として市販されている。
【0026】
特に明示のない限り、「アルキル」という表現は、単独でまたは他の用語との組合せで、12個までの炭素原子を有する直鎖または分岐の飽和炭化水素鎖、すなわちC1-C12-アルキル、好ましくは6個までの炭素原子を有するもの、すなわちC1-C6-アルキル、非常に好ましくは4個までの炭素原子を有するもの、すなわちC1-C4-アルキルを指す。そのようなアルキルの例は、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、s-ブチル、t-ブチル、n-ペンチル、n-ヘキシル、n-ヘプチル、n-オクチル、n-ノニル、n-デシル、n-ウンデシルおよびn-ドデシルである。アルキルは、好適な置換基、例えばハロゲンで置換することができる。
【0027】
特に明示のない限り、「アリール」または「6員の芳香環」という表現は、フェニル環を指す。
【0028】
特に明示のない限り、「ハロゲン」または「ハロ」は、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素である。
【0029】
ステップ(i)における式(I)のアルコールの式(II)のイミドとの反応は、通常、溶媒の存在下で行われる。
【0030】
ステップ(i)において溶媒が反応混合物に添加される場合、それは、好ましくは反応混合物が全プロセス中に十分に攪拌可能なままであるような量で使用される。使用されるアルコールの体積に基づいて、1~50倍の量、好ましくは2~40倍の量、特に好ましくは2~20倍の量の溶媒を使用することが有利である。用語「溶媒」はまた、本発明によれば、純粋な溶媒の混合物を意味すると理解される。
【0031】
反応条件下で不活性である全ての有機溶媒は、本発明による好適な溶媒は、特にエーテル類(例えば、エチルプロピルエーテル、メチルtert-ブチルエーテル、n-ブチルエーテル、アニソール、フェネトール、シクロヘキシルメチルエーテル、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジメチルグリコール、ジフェニルエーテル、ジプロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジ-n-ブチルエーテル、ジイソブチルエーテル、ジイソアミルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、イソプロピルエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフラン、ジオキサン、およびエチレンオキシドおよび/またはプロピレンオキシドポリエーテル);テトラヒドロチオフェンジオキシドおよびジメチルスルホキシド、テトラメチレンスルホキシド、ジプロピルスルホキシド、ベンジルメチルスルホキシド、ジイソブチルスルホキシド、ジブチルスルホキシドまたはジイソアミルスルホキシドなどの化合物;スルホン類、例えば、ジメチル、ジエチル、ジプロピル、ジブチル、ジフェニル、ジヘキシル、メチルエチル、エチルプロピル、エチルイソブチルおよびテトラメチレンスルホン;脂肪族、脂環式または芳香族炭化水素類(例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、例えば、範囲内(例えば、40℃~250℃)の沸点を有する成分を有するホワイトスピリット、シメン、沸点範囲70℃~190℃内のベンジン留分、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、石油エーテル、リグロイン、オクタン、ベンゼン、トルエンまたはキシレン);ハロゲン化芳香族化合物(例えば、クロロベンゼンまたはジクロロベンゼン);アミド類(例えば、ヘキサメチルホスホルアミド、ホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチルホルムアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジプロピルホルムアミド、N,N-ジブチルホルムアミド、N-メチルピロリジン、N-メチルカプロラクタム、1,3-ジメチル-3,4,5,6-テトラヒドロ-2(1H)-ピリミジン、オクチルピロリドン、オクチルカプロラクタム、1,3-ジメチル-2-イミダゾリンジオン、N-ホルミルピペリジンまたはN,N’-1,4-ジホルミルピペラジン);ニトリル類(例えば、アセトニトリル、プロピオニトリル、n-ブチロニトリル、イソブチロニトリルまたはベンゾニトリル);ケトン類(例えば、アセトン)またはそれらの混合物である。
【0032】
ステップ(i)において、アセトニトリル、ジクロロメタン、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、テトラメチレンスルホン、N-メチルピロリドンが好ましい溶媒である。
【0033】
ステップ(i)の反応は、反応中に放出されるフッ化水素を結合することができる1つ以上の酸捕捉剤の存在下で実施される。本発明の好ましい実施形態において、ステップ(i)で使用される酸捕捉剤は、塩基である。
【0034】
放出されたフッ化水素を結合できる有機塩基および無機塩基は、好適な酸捕捉剤である。有機塩基の例は、第三級窒素塩基であり、例えば第三級アミン類、置換または非置換ピリジン類および置換または非置換キノリン類、トリエチルアミン、トリメチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、トリ-n-プロピルアミン、トリ-n-ブチルアミン、トリ-n-ヘキシルアミン、トリシクロヘキシルアミン、N-メチルシクロヘキシルアミン、N-メチルピロリジン、N-メチルピペリジン、N-エチルピペリジン、N,N-ジメチルアニリン、N-メチルモルホリン、ピリジン、2-、3-もしくは4-ピコリン、2-メチル-5-エチルピリジン、2,6-ルチジン、2,4,6-コリジン、4-ジメチルアミノピリジン、キノリン、キナルジン、N,N,N,N-テトラメチルエチレンジアミン、N,N-ジメチル-1,4-ジアザシクロヘキサン、N,N-ジエチル-1,4-ジアザシクロヘキサン、1,8-ビス(ジメチルアミノ)ナフタレン、ジアザビシクロオクタン(DABCO)、ジアザビシクロノナン(DBN)、ジアザビシクロウンデカン(DBU)、ブチルイミダゾールおよびメチルイミダゾール。
【0035】
無機塩基の例は、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の水酸化物類、炭酸水素塩または炭酸塩および他の無機水性塩基であり;好ましくは、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化カルシウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウムおよび酢酸ナトリウム、KF、CsFであり。炭酸カリウムまたは炭酸ナトリウム、KFおよびCsFが非常に特に好ましい。
【0036】
使用される酸捕捉剤、特に上述の塩基の、式(II)のイミドに対するモル比は、通常、1:1~5:1の範囲、好ましくは1:1~4:1の範囲、特に好ましくは1:1~3:1の範囲にある。より多量の塩基の使用は、技術的に可能であるが、経済的には有用ではない。
【0037】
使用される式(I)のポリフルオロアルキルアルコールの、式(II)のイミドに対するモル比は、通常、1:1~5:1の範囲、好ましくは1:1~3:1の範囲、特に好ましくは1:1~2,5:1の範囲にある。
【0038】
使用されるSO2F2の、式(II)のイミドに対するモル比は、通常、1:1~5:1の範囲、好ましくは1:1~3:1の範囲、特に好ましくは1:1~2:1の範囲にある。
【0039】
ステップ(i)の反応は、原則として、開放系で、または圧力容器(オートクレーブ)内の固有圧力下で実施される。ステップ(i)において溶媒が存在する場合、反応中の圧力(すなわち、固有圧力)は、使用される反応温度、SO2F2の量、および使用される溶媒に依存する。圧力の増加が望まれる場合、窒素またはアルゴンなどの不活性ガスを添加することによって、さらなる圧力の増加を達成することができる。
【0040】
最も好ましい操作方法は、フタルイミド、塩基および式(I)のポリフルオロアルキルアルコールを含む反応混合物中へのSO2F2のバブリングである。
【0041】
本発明による方法は、連続的にまたはバッチ式で実施することができる。同様に、本発明による方法のいくつかのステップを連続的に実施し、残りのステップをバッチ式で実施することも考えられる。本発明の意味における連続ステップは、反応器への化合物(出発物質)の流入および反応器からの化合物(生成物)の流出が同時に、しかし空間的に別々に起こるステップであり、一方、バッチステップでは、連続した化合物(出発物質)の流入、場合により化学反応、および化合物(生成物)の流出が時系列に次々に起こるステップである。
【0042】
反応ステップ(i)の実施において、内部温度が-5℃~50℃の範囲あること事が好ましく、10℃~40℃の範囲にあることが特に好ましい。
【0043】
ステップ(i)におけるの反応時間は短く、0.5~5時間の範囲にある。より長い反応時間は可能であるが、経済的に有用ではない。
【0044】
ステップ(i)からの反応混合物は、生成物の物理的特性に応じて後処理される。フタルイミドまたは置換フタルイミドが式(II)の化合物として使用される場合、最初に溶媒を真空下で除去する。スクシンイミドが式(II)の化合物として使用される場合、最初に固体を濾別する。その後、反応混合物の「希釈」、すなわち、塩が溶解され得る水の添加が、通常、実施される。次いで、生成物を濾過によって単離することができ、または有機溶媒を用いて水相から抽出することができる。
【0045】
ステップ(ii)において、ポリフルオロアルキルアミンまたはその塩を得るための式(III)の化合物の開裂は、酸、塩基またはヒドラジン(ヒドラジン水和物を含む)の添加によって実施される。好ましくは、酸またはヒドラジンがステップ(ii)において使用される。ヒドラジン水和物の使用が特に好ましい。このステップの典型的な手順は、US 2012/0190867または「The journal of the chemical society of Japan、1985、第1985巻、第4号、796-798頁」に示されている。
【0046】
ステップ(ii)において使用することができる塩基は、当業者に公知であるか、または酸捕捉剤として本件で言及される塩基を含む。ステップ(ii)で使用される酸は、有機酸または無機酸であり、好ましくは無機酸が使用される。本発明によるこのような好ましい無機酸の例は、塩酸、臭化水素酸、硫酸およびリン酸である。
【0047】
ステップ(ii)における式(III)の化合物の開裂は、好適な溶媒中で実施される。ここでも、溶媒は、好ましくは反応混合物がプロセスの全体の間、撹拌可能なままであるような量で使用される。使用される式(III)の化合物に基づいて、約1~50倍(v/v)の量、好ましくは約2~40倍、特に好ましくは2~10倍の量の溶媒の使用が有利である。
【0048】
反応条件下で不活性である全ての有機溶媒が溶媒として可能である。用語「溶媒」はまた、本発明によれば、純粋な溶媒の混合物を意味すると理解される。
【0049】
ステップ(ii)における本発明の好適な溶媒は特に、水、エーテル類(例えば、エチルプロピルエーテル、メチルtert-ブチルエーテル、n-ブチルエーテル、アニソール、フェネトール、シクロヘキシルメチルエーテル、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジメチルグリコール、ジフェニルエーテル、ジプロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジ-n-ブチルエーテル、ジイソブチルエーテル、ジイソアミルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、イソプロピルエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフラン、ジオキサン、およびエチレンオキシドおよび/またはプロピレンオキシドポリエーテル);脂肪族、脂環式または芳香族炭化水素類(例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、例えば、範囲内(例えば、40℃~250℃)の沸点を有する成分を有するホワイトスピリット、シメン、沸点範囲70℃~190℃内のベンゼン留分、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、石油エーテル、リグロイン、オクタン、ベンゼン、トルエンまたはキシレン);直鎖または分岐カルボン酸類(例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸およびイソ酪酸)およびそれらのエステル(例えば、酢酸エチルおよび酢酸ブチル);アルコール類(例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n-ブタノールおよびイソブタノール)またはそれらの混合物である。ステップ(ii)における本発明による好ましい溶媒は、メタノール、エタノールおよび水またはそれらの混合物である。
【0050】
使用される酸またはヒドラジン(またはヒドラジン水和物)の、式(III)の化合物に対するモル比は、0.8:1~10:1の範囲、好ましくは1:1~5:1の範囲、特に好ましくは1:1~3:1の範囲にある。原則として、より多量の酸またはヒドラジンの添加が可能である。好適な取り扱い性により、酸を溶媒として使用することもできる。ヒドラジンは、その水和物の形態で使用される。
【0051】
ステップ(ii)における開裂は、0℃~150℃の範囲の温度で行うことができる。内部温度は、好ましくは20℃~100℃の範囲にあり、特に好ましくは40℃~70℃の範囲にある。ヒドラジンによる開裂のために、温度は、好ましくは50~70℃の範囲にある。
【0052】
開裂の反応時間は短く、0.1~12時間の範囲である。より長い反応時間が可能であるが、経済的に有用ではない。
【0053】
反応終了後、得られた式(IV)のポリフルオロアルキルアミンを蒸留により精製することができる。あるいは、2,2-ジフルオロエチルアミンは、塩、例えば塩酸塩として単離および精製することもできる。2,2-ジフルオロエチルアミン塩は、その後、塩基、好ましくはNaOHの添加によって放出することができる。
【0054】
最も好ましい実施形態において、式(I)のポリフルオロアルキルアルコールは、CHF2CH2OHであり、式(IV)のポリフルオロアルキルアミンは、2,2-ジフルオロエチル-1-アミンである。
【0055】
さらに、本発明の最も好ましい実施形態において、式(II)の化合物は、フタルイミドであり、式(III)の化合物は、式(III-b)の化合物である。
【0056】
さらに、本発明の最も好ましい実施形態において、ステップ(i)において、ジアザビシクロウンデカンを塩基(酸捕捉剤)として使用する。
【0057】
さらに、本発明の最も好ましい実施形態において、ステップ(ii)において、塩酸が使用される。
【0058】
さらに、本発明の最も好ましい実施形態において、ステップ(ii)において、ヒドラジン水和物が使用される。
【実施例】
【0059】
調製実施例:
実施例1 - 2-(2,2-ジフルオロエチル)-1H-イソインドール-1,3(2H)-ジオンの調製(ステップ(i))
【化7】
実施例1.1
1,47g(0,01mmol)のフタルイミド、1,45mL(0,02mol)の2,2-ジフルオロエタノールおよび6g(0,04mol)のジアザビシクロウンデカンを25mLのN,N-ジメチルアセトアミドに入れた。2,2g(0,02mol)のSO
2F
2を20℃で40分間ゆっくりとバブリングした。溶媒を1mbarの真空下で除去した。濃縮溶液をメチルtert-ブチルエーテルで希釈し、水で洗浄した。有機層を回収し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過した。減圧下でエーテルを除去して、1,97gの白色固体を純度98%、収率91%で得た。M.p.114-116℃。
【0060】
1H NMR (DMSO): 7.95-7-87 (m, 4H), 6.25 (tt, 1H), 4.0 (td, 2H) ppm.
13C NMR (DMSO): 167.37, 134.93, 131.51, 123.54, 113.54 (t), 39.70 (t) ppm.
19F NMR (DMSO): 121.40 (dt) ppm.
実施例1.2
【化8】
1,47g(0,01mmol)のフタルイミド、1,45mL(0,02mol)の2,2-ジフルオロエタノールおよび3,88g(0,03mol)のN-エチルジイソプロピルアミンを25mLのN,N-ジメチルアセトアミドに入れた。3,06g(0,03mol)のSO
2F
2を40℃で3時間反応混合物にゆっくりバブリングし、反応混合物をSO2F2雰囲気下に40℃で5時間撹拌した。溶媒を真空下で除去し、反応混合物を水で希釈した。沈殿物を濾別し、乾燥させた。1,81gの白色固体を純度100%、収率86%で得た。M.p.114-116℃。
【0061】
1H NMR (DMSO): 7.95-7-87 (m, 4H), 6.25 (tt, 1H), 4.0 (td, 2H) ppm.
13C NMR (DMSO): 167.37, 134.93, 131.51, 123.54, 113.54 (t), 39.70 (t) ppm.
19F NMR (DMSO): 121.40 (dt) ppm.
実施例1.3
【化9】
1,47g(0,01mmol)のフタルイミド、1,45mL(0,02mol)の2,2-ジフルオロエタノールおよび3,1g(0,03mol)のトリエチルアミンを25mLのN,N-ジメチルアセトアミドに入れた。3,06g(0,03mol)のSO
2F
2を40℃で3時間反応混合物にゆっくりとバブリングし、反応混合物をSO2F2雰囲気下に40℃で12時間撹拌した。溶媒を真空下で除去し、反応混合物を水で希釈した。沈殿物を濾別し、乾燥させた。1,9gの白色固体を純度100%、収率84%で得た。M.p.114-116℃。
【0062】
1H NMR (DMSO): 7.95-7-87 (m, 4H), 6.25 (tt, 1H), 4.0 (td, 2H) ppm.
13C NMR (DMSO): 167.37, 134.93, 131.51, 123.54, 113.54 (t), 39.70 (t) ppm.
19F NMR (DMSO): 121.40 (dt) ppm.
実施例2 - 2-(2,2,2-トリフルオロエチル)-1H-イソインドール-1,3(2H)-ジオンの調製(ステップ(i))
実施例2.1.
【化10】
1,47g(0,01mol)のフタルイミド、1,8mL(0,02mol)の2,2,2-トリフルオロエタノールおよび4,5g(0,03mol)のジアザビシクロウンデカンを25mLのN,N-ジメチルアセトアミドに入れた。2,2g(0,02mol)のSO
2F
2を20℃で60分間バブリングした。溶媒を真空下で除去し、反応混合物を水で希釈した。沈殿物を濾別し、乾燥させた。2,1gの白色固体を純度100%、収率92%で得た。M.p.122-127℃。
【0063】
1H NMR (DMSO): 7.99-7-90 (m, 4H), 4.43 (q, 2H) ppm.
13C NMR (DMSO): 166.86, 135.20, 131.30, 123.86 (q), 123.82, 38.89 (q) ppm.
19F NMR (DMSO): -68.85 (t, 3F) ppm.
実施例2.2
【化11】
1,47g(0,01mol)のフタルイミド、1,8mL(0,02mol)の2,2,2-トリフルオロエタノールおよび2.3g(0,04mol)のスプレードライKFを25mLのN,N-ジメチルアセトアミドに入れた。2,2g(0,02mol)SO
2F
2を反応混合物に30℃で40分間バブリングし、反応混合物をSO2F2雰囲気下で12時間撹拌した。溶媒を真空下で除去し、反応混合物を水で希釈した。沈殿物を濾別し、乾燥させた。1,98gの白色固体を純度100%、収率86%で得た。M.p.122-127℃。
【0064】
1H NMR (DMSO): 7.99-7-90 (m, 4H), 4.43 (q, 2H) ppm.
13C NMR (DMSO): 166.86, 135.20, 131.30, 123.86 (q), 123.82, 38.89 (q) ppm.
19F NMR (DMSO): -68.85 (t, 3F) ppm.
実施例3 - 2-(2,2,3,3,3-ペンタフルオロプロピル)-1H-イソインドール-1,3(2H)-ジオンの調製(ステップ(i))
【化12】
1,47g(0,01mol)のフタルイミド、3g(0,02mol)の2,2,3,3,3-ペンタフルオロプロパノールおよび4,5g(0,03mol)のジアザビシクロウンデカンを25mLのN,N-ジメチルアセトアミドに入れた。2,55 g(0,025mol)のSO
2F
2を反応混合物に20℃で60分間バブリングし、反応混合物をSO2F2雰囲気下で5時間撹拌した。溶媒を真空下で除去し、反応混合物を水で希釈した。沈殿物を濾別し、乾燥させた。2,53gの白色固体を純度100%、収率91%で得た。M.p.134-135℃
1H NMR (DMSO): 8.00-7-90 (m, 4H), 4.42 (t, 2H) ppm.
13C NMR (DMSO): 166.92, 135.30, 131.25, 123.89, 118.40 (tq), 112.60 (m), 37.00 (t) ppm.
19F NMR (DMSO): -83.70 (s, 3F), -118.86 (t, 2F) ppm.
実施例4 - 2-(2,2,3,3-テトラフルオロプロピル)-1H-イソインドール-1,3(2H)-ジオンの調製(ステップ(i))
【化13】
1,47g(0,01mol)のフタルイミド、3,3g(0,02mol)の2,2,3,3-テトラフルオロプロパノールおよび4,5g(0,03mol)のジアザビシクロウンデカンを25mLのN,N-ジメチルアセトアミドに入れた。2,55g(0,025mol)のSO
2F
2を反応混合物に20℃で60分間バブリングし、反応混合物をSO2F2雰囲気下で5時間撹拌した。溶媒を真空下で除去し、反応混合物を水で希釈した。沈殿物を濾別し、乾燥させた。2,3gの白色固体を純度100%、収率88%で得た。M.p.129-130℃
1H NMR (DMSO): 7.97-7-90 (m, 4H), 6.64 (tt, 1H), 4.23 (t, 2H) ppm.
13C NMR (DMSO): 167.22, 135.08, 131.50, 123.75, 114.98 (tt), 109.54 (tt), 37.43 (t) ppm.
19F NMR (DMSO): -120.95 (m, 2F), -138.64 (dt, 2F) ppm.
実施例5 - 2,2-ジフルオロエチルアミンの調製(ステップ(ii))
【化14】
4,22g(0.02mol)の2-(2,2-ジフルオロエチル)-1H-イソインドール-1,3(2H)-ジオンを50mLのエタノールに入れ、1.8g(0.036mol)のヒドラジン水和物で処理した。反応混合物を還流下で2時間撹拌した。その後、反応混合物を20℃に冷却し、固体を濾別した。濾液を10mLの塩酸(2N)でpH2に調整し、濃縮乾固して2g(85%)の2,2-ジフルオロエチルアミンの塩酸塩を得た。
【0065】
19F NMR (DMSO): -122.10 (dt, 2F) ppm.
13C NMR (DMSO): 132.77, 125.32, 113.51 (t) ppm.
1H NMR (DMSO): 6.39 (tt, 1H), 3.31 (m, 2H) ppm.
実施例6 - 2,2,3,3-テトラフルオロプロパン-1-アミンの調製(ステップ(ii))
【化15】
5,22g(0.02mol)の2-(2,2,3,3-テトラフルオロプロピル)-1H-イソインドール-1,3(2H)-ジオンを50mLのエタノールに入れ、1.4g(0.028mol)のヒドラジン水和物で処理した。反応混合物を還流下で2時間撹拌した。その後、反応混合物を20℃に冷却し、固体を濾別した。濾液を10mLの塩酸(2N)でpH2に調整し、濃縮乾固して、3.1gの2,2,3,3-テトラフルオロプロパン-1-アミンの塩酸塩を得た(収率92%)。
【0066】
19F NMR (DMSO): -121.08 (m, 2F), -137.84 (dt, 2F) ppm.
13C NMR (DMSO): 114.93 (tt), 109.24 (tt), 38.23 ppm.
1H NMR (DMSO): 6.73 (tt, 1H), 3.62 (t, 2H) ppm.
実施例7 - 2,2,3,3,3-ペンタフルオロプロパン-1-アミンの調製(ステップ(ii))
【化16】
5,58g(0.02mol)の2-(2,2,3,3,3-ペンタフルオロプロピル)-1H-イソインドール-1,3(2H)-ジオンを50mLのエタノールに入れ、1.4g(0.028mol)のヒドラジン水和物で処理した。反応混合物を還流下で2時間撹拌した。その後、反応混合物を20℃に冷却し、固体を濾別した。濾液を10mLの塩酸(2N)でpH2に調整し、濃縮乾固して、3,37g(91%)の2,2,3,3,3-ペンタフルオロプロパン-1-アミンの塩酸塩を得た。
【0067】
19F NMR (DMSO): -83.37 (3F), -119.01 (t, 2F) ppm.
1H NMR (DMSO): 3.91 (t, 2H) ppm.
実施例8 - 2,2,2-トリフルオロエチルアミンの調製(ステップ(ii))
【化17】
4,58g(0.02mmol)の2-(2,2,2-トリフルオロエチル)-1H-イソインドール-1,3(2H)-ジオンを50mLのエタノールに入れ、1.6g(0.032mol)のヒドラジン水和物で処理した。反応混合物を還流下で2時間撹拌した。その後、反応混合物を20℃に冷却し、固体を濾別した。濾液を10mLの塩酸(2N)でpH2に調整し、濃縮乾固して、2.45g(90%)の2,2-ジフルオロエチルアミンの塩酸塩を得た。
【0068】
19F NMR (DMSO): -67.89 (t, 3F)
1H NMR (DMSO): 3.87 (q, 2H)
【国際調査報告】