IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシーの特許一覧 ▶ ノースウェスタン ユニバーシティの特許一覧

特表2024-506221エチレン/ビニルアレーンマルチブロックインターポリマーのための単一反応器チェーンシャトリング反応
<>
  • 特表-エチレン/ビニルアレーンマルチブロックインターポリマーのための単一反応器チェーンシャトリング反応 図1
  • 特表-エチレン/ビニルアレーンマルチブロックインターポリマーのための単一反応器チェーンシャトリング反応 図2
  • 特表-エチレン/ビニルアレーンマルチブロックインターポリマーのための単一反応器チェーンシャトリング反応 図3
  • 特表-エチレン/ビニルアレーンマルチブロックインターポリマーのための単一反応器チェーンシャトリング反応 図4
  • 特表-エチレン/ビニルアレーンマルチブロックインターポリマーのための単一反応器チェーンシャトリング反応 図5
  • 特表-エチレン/ビニルアレーンマルチブロックインターポリマーのための単一反応器チェーンシャトリング反応 図6
  • 特表-エチレン/ビニルアレーンマルチブロックインターポリマーのための単一反応器チェーンシャトリング反応 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-09
(54)【発明の名称】エチレン/ビニルアレーンマルチブロックインターポリマーのための単一反応器チェーンシャトリング反応
(51)【国際特許分類】
   C08F 210/02 20060101AFI20240202BHJP
   C08F 212/04 20060101ALI20240202BHJP
   C08F 210/00 20060101ALI20240202BHJP
   C08F 4/76 20060101ALI20240202BHJP
   C08F 4/44 20060101ALI20240202BHJP
【FI】
C08F210/02
C08F212/04
C08F210/00
C08F4/76
C08F4/44
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023554389
(86)(22)【出願日】2021-12-16
(85)【翻訳文提出日】2023-09-06
(86)【国際出願番号】 US2021063913
(87)【国際公開番号】W WO2022133142
(87)【国際公開日】2022-06-23
(31)【優先権主張番号】63/127,343
(32)【優先日】2020-12-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
(71)【出願人】
【識別番号】511124183
【氏名又は名称】ノースウェスタン ユニバーシティ
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100128761
【弁理士】
【氏名又は名称】田村 恭子
(72)【発明者】
【氏名】オーヨン,エブリン
(72)【発明者】
【氏名】ベイリー,レッタ エー.
(72)【発明者】
【氏名】カージャラ,トーマス ウェスリー,ジュニア
(72)【発明者】
【氏名】チョウ,ヂェ
(72)【発明者】
【氏名】マンロ,ジェフリー シー.
(72)【発明者】
【氏名】リ ピ シャン,コリン
(72)【発明者】
【氏名】ヒュースタッド,フィリップ ディー.
(72)【発明者】
【氏名】マークス,トビン ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】ガオ,ヤンサン
【テーマコード(参考)】
4J015
4J100
【Fターム(参考)】
4J015DA03
4J015DA05
4J015DA17
4J015DA26
4J100AA02P
4J100AA19R
4J100AB02Q
4J100CA04
4J100CA05
4J100DA01
4J100DA04
4J100DA24
4J100DA25
4J100FA08
4J100FA11
4J100FA19
(57)【要約】
エチレン/ビニルアレーンマルチブロックインターポリマーを含む組成物を形成する方法であって、少なくとも以下のa)~c):a)本明細書に記載される、式(A)から選択される第1の金属錯体:b)本明細書に記載される、式(B)から選択される第2の金属錯体、およびc)以下:ジアルキル亜鉛、トリアルキルアルミニウム、またはそれらの組合せから選択されるチェーンシャトリング剤の存在下で、エチレン、ビニルアレーン、および任意選択でアルファ-オレフィンを含む混合物を単一反応器内で重合させることを含む、方法。-(AR)-(AP)-(AR)-(AP)-(構造体1)、または(AR)-(AP)-(AR)-(AP)(構造体2)から選択される少なくとも1種のポリマー構造体を含み、各(AR)セグメントは独立して、重合形態で、エチレン、10mol%超のビニルアレーンおよび任意選択でアルファ-オレフィンを含み、各(AP)セグメントは独立して、エチレン、任意選択で10mol%以下のビニルアレーンおよび任意選択でアルファ-オレフィンを含む、エチレン/ビニルアレーンマルチブロックインターポリマーを含む組成物。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エチレン/ビニルアレーンマルチブロックインターポリマーを含む組成物を形成する方法であって、少なくとも以下の成分a)~c):
a)以下の式A:
【化1】
(式中、
およびXはそれぞれ独立して、置換または非置換(C~C30)ヒドロカルビル、置換または非置換(C~C30)ヘテロヒドロカルビルから選択され、
およびXは、任意選択で結合されていてよく、
ArおよびArはそれぞれ独立して、置換もしくは非置換アリールまたは置換もしくは非置換ヘテロアリール基であり、
52は、置換または非置換アリーレン基である)
から選択される第1の金属錯体;
b)以下の式B:
【化2】
(式中、
、R、R、R、およびRはそれぞれ独立して、H、置換もしくは非置換ヒドロカルビル基、または置換もしくは非置換ヘテロヒドロカルビル基であり、
およびQはそれぞれ独立して、置換もしくは非置換ヒドロカルビル基、または置換もしくは非置換ヘテロヒドロカルビル基、またはハロゲンであり、
Lはルイス塩基であり、各nは独立して、0または1であり、
任意選択で少なくとも1つのL基および少なくとも1つのQ基は接続されており、任意選択で少なくとも1つのR基および少なくとも1つのQ基は接続されている)
から選択される第2の金属錯体;
c)以下:ジアルキル亜鉛、トリアルキルアルミニウム、またはそれらの組合せから選択されるチェーンシャトリング剤
の存在下で、エチレン、ビニルアレーン、および任意選択でアルファ-オレフィンを含む混合物を単一反応器内で重合させることを含む、方法。
【請求項2】
式Aが、以下の構造体(a11)または(a12):
【化3】
から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
式Bが、以下の構造体(b11)または(b12):
【化4】
から選択される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記チェーンシャトリング剤(成分c)が、以下:Zn(CHCH、Al(CHCH、またはそれらの組合せから選択される、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記混合物が前記アルファ-オレフィンを含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記エチレン/ビニルアレーンマルチブロックインターポリマーが、2つ以上の(AR)セグメントを含み、各(AR)セグメントが独立して、以下のサブセグメントbb:
【化5】
において示されるように「バックツーバック」配置で20mol%~100mol%の重合ビニルアレーンを含み、前記mol%が、前記(AR)セグメント内の重合ビニルアレーンの全モル数に基づく、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記エチレン/ビニルアレーンマルチブロックインターポリマーが、2つ以上の(AR)セグメントを含み、各(AR)セグメントが独立して、以下のサブセグメントsbb:
【化6】
において示されるようにシンジオタクチック「バックツーバック」配置で20mol%~100mol%の重合ビニルアレーンを含み、前記mol%が、前記(AR)セグメント内の重合ビニルアレーンの全モル数に基づく、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか一項に記載の方法によって形成される、組成物。
【請求項9】
エチレン/ビニルアレーンマルチブロックインターポリマーを含む組成物であって、前記インターポリマーは、それぞれ以下に示されるような構造体1または構造体2
-(AR)-(AP)-(AR)-(AP)-(構造体1)、
(AR)-(AP)-(AR)-(AP)(構造体2)、
から選択される少なくとも1つのポリマー構造体を含み、(AR)は、ビニルアレーンリッチセグメントを指し、(AP)はビニルアレーンが乏しいセグメントを指し、
各(AR)セグメントは独立して、重合形態で、エチレン、前記ビニルアレーンおよび任意選択でアルファ-オレフィンを含み、
各(AP)セグメントは独立して、重合形態で、エチレン、任意選択で前記ビニルアレーンおよび任意選択で前記アルファ-オレフィンを含み、
各(AR)セグメントは独立して、重合形態で、前記(AR)セグメント内の重合モノマーの全モル数に基づいて10mol%超の前記ビニルアレーンを含み、
各(AP)セグメントは独立して、重合形態で、前記(AP)セグメント内の重合モノマーの全モル数に基づいて10mol%以下の前記ビニルアレーンを含む、
組成物。
【請求項10】
前記エチレン/ビニルアレーンマルチブロックインターポリマーについて、各(AR)セグメントが独立して、重合形態で、前記(AR)セグメント内の重合モノマーの全モル数に基づいて15mol%~100mol%未満の前記ビニルアレーンを含む、請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
前記エチレン/ビニルアレーンマルチブロックインターポリマーについて、各(AR)セグメントが独立して、重合形態で、前記(AR)セグメント内の重合モノマーの全モル数に基づいて2mol%~80mol%の前記エチレンを含む、請求項9または10に記載の組成物。
【請求項12】
前記エチレン/ビニルアレーンマルチブロックインターポリマーについて、各(AR)セグメントが独立して、以下のサブセグメントbb:
【化7】
において示されるように「バックツーバック」配置で20mol%~100mol%の重合ビニルアレーンを含み、前記mol%が、前記(AR)セグメント内の重合ビニルアレーンの全モル数に基づく、請求項9から11のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
前記エチレン/ビニルアレーンマルチブロックインターポリマーについて、各(AR)セグメントが独立して、以下のサブセグメントsbb:
【化8】
において示されるようにシンジオタクチック「バックツーバック」配置で20mol%~100mol%の重合ビニルアレーンを含み、前記mol%が、前記(AR)セグメント内の重合ビニルアレーンの全モル数に基づく、請求項9から12のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項14】
ポリエチレンホモポリマー、エチレン/ビニルアレーンコポリマー、エチレン/アルファ-オレフィンコポリマー、またはそれらの組合せをさらに含む、請求項9から13のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項15】
請求項8から14のいずれか一項に記載の組成物から形成される、少なくとも1種の成分を含む物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、2020年12月18日に出願された米国仮特許出願第63/127,343号明細書の優先権の利益を主張する。
【背景技術】
【0002】
チェーンシャトリング技術を介したオレフィンブロックコポリマー(OBC)の触媒的生産は、結果としてINFUSE(商標)オレフィンブロックコポリマーおよびINTUNE(商標)オレフィンブロックコポリマーなどの差別化された材料につながった。単一反応器の連続溶液重合を使用して、立体制御されたエチレン/ビニルアレーンブロックインターポリマーなどの他のタイプのポリマーを生産するチェーンシャトリング技術が必要とされている。
【0003】
A. Valente et al., Angew. Chem., Int. Ed. 2014, 53, 4638-4641, Isoprene-Styrene Chain Shuttling Copolymerization Mediated by a Lanthanide Half-Sandwich Complex and a Lanthanidocene: Straightforward Access to a New Type of Thermoplastic Elastomersには、n-ブチルエチルマグネシウム、ランタニドハーフサンドイッチ錯体およびランタニドセン(lanthanidocene)を使用するイソプレンおよびスチレンチェーンシャトリング重合が開示されている。生じるマルチブロック構造体は、ハード(スチレンリッチ)およびソフト(イソプレンリッチ)セグメントを有する。
【0004】
米国特許出願公開第2014/0088276号明細書(Manufacturing Method for Multidimensional Polymer,and Multidimensional Polymer)には、チェーンシャトリング技術および配位連鎖移動重合による、イソプレンまたはブタジエンなどの共役ジエンとのスチレンタイプモノマーの立体制御された(シンジオタクチック)ブロックコポリマーの重合が開示されている。重合は、第1の触媒および第2の触媒の存在下で起こる。第1の触媒および第2の触媒のそれぞれは独立して、以下:a)3族金属原子またはランタノイド金属原子、例えば、Sc、b)置換または非置換シクロペンタジエニル誘導体を含むCp配位子、c)モノアニオン配位子、ならびにd)中性ルイス塩基を含む。
【0005】
米国特許第8623976号明細書(Polymerization Catalyst Compositions Containing Metallocene Complexes and the Polymers Produced by Using the Same)には、以下:a)以下:
i)3族金属原子またはランタノイド金属原子、例えば、Sc、
ii)置換または非置換シクロペンタジエニル誘導体のCp配位子、
iii)モノアニオン性配位子、
iv)中性ルイス塩基を含むメタロセン錯体;
b)非配位子アニオンおよびカチオンのイオン性化合物、例えば、テトラキス(ペンタフルオロ-フェニル)ボレートを含む触媒組成物が開示されている。触媒組成物は、エチレン/スチレンコポリマーなどの様々なポリマーを重合させるために使用される(実施例11~17参照)。重合スチレンはシンジオタクチック形態であり得る。
【0006】
L. Pan et al., Angew. Chem., Int. Ed. 2011, 50, 12012-12015, Chain-Shuttling Polymerization at Two Different Scandium Sites: Regio- and Stereospecific "One-Pot" Block Copolymerization of Styrene, Isoprene, and Butadieneには、2種の異なるスカンジウム触媒およびチェーンシャトリング剤(TIBA)によるスチレン、イソプレンおよびブタジエンのチェーン-シャトリング重合が開示されている。重合は、結果としてスチレン、イソプレンおよびブタジエンの位置および立体特異性共重合につながる。
【0007】
S. S. Park et al., Macromolecules 2017, 50, 6606-6616, Biaxial Chain Growth of Polyolefin and Polystyrene from 1,6-Hexanediylzinc Species for Triblock Copolymersには、ポリメリルジンケート(polymeryl zincate)種から(アニオン性)スチレン重合を開始することによるトリブロックコポリマーの調製が開示されている。配位連鎖移動重合を使用し、続いてアニオン性開始剤(例えば、MeSiCHLi-(pmdeta))およびスチレンモノマーを添加することにより、双頭亜鉛種(dual-headed zinc species)からポリエチレン/ポリプロピレンコポリマーを成長させる。配位連鎖移動重合は、遷移金属(例えば、ZrまたはHf)錯体の存在下で起こる。アニオン重合は、いかなる立体規則性も示さないポリスチレンエンドブロックを成長させるために使用される。
【0008】
米国特許出願公開第2018/0022852号明細書(Organic Zinc Compound Comprising Polyolefin-Polystyrene Block Copolymer,and Method for Preparing the Same)には、その中に示されるような、式1のものなどの、およびスチレン系ポリマーまたはポリオレフィン-ポリスチレンブロックコポリマーを含む有機亜鉛化合物の調製が開示されている。この調製方法は、遷移金属触媒を使用してオレフィンモノマーを配位重合させることにより中間体を調製し、次いで、部分的に、アニオン重合により中間体にスチレンモノマーを挿入することを含む。遷移金属触媒は、その中にそれぞれ示される、式6Aおよび式6Bにより表されるZr金属化合物を含む(段落[0076]および[0077]]参照)。
【0009】
Y. Luo et al., J. Am. Chem. Soc. 2004, 126, 13910-13911, Scandium Half-Metallocene-Catalyzed Syndiospecific Styrene Polymerization and Styrene-Ethylene Copolymerization: Unprecedented Incorporation of Syndiotactic Styrene-Styrene Sequences in Styrene-Ethylene Copolymersには、スカンジウムハーフサンドイッチ錯体を使用するシンジオ特異的(syndiospecific)スチレン-エチレンコポリマーの重合が開示されている。コポリマーの溶融温度(T)は、エチレン取込みを調整することにより変更することができ、ここで、エチレン取込みは、結果としてTの低下につながる。チェーンシャトリングは、Sc触媒に対して示されなかった。
【0010】
H. Hagihara et al., Polymer Journal 2012, 44, 147-154, Synthesis of Ethylene-Styrene Copolymer Containing Syndiotactic Polystyrene Sequence by Trivalent Titanium Catalystには、三価チタン触媒、トリス(アセチルアセトネート)チタン(Ti(acac))を使用するシンジオタクチックスチレン-エチレンコポリマーの重合が開示されている。異なるポリマーがTi(acac)触媒により生産された。それは、この触媒上の複数の酸化状態の存在に起因し得る。
【0011】
F. Lin et al., Journal of Polymer Science, Part A: Polymer Chemistry 2017, 55, 1243-1249, Synthesis and Characterization of Crystalline Styrene-b-(Ethylene-co-Butylene)-b-Styrene Triblock Copolymersには、結晶性のスチレン-b-(エチレン-co-ブチレン)-b-スチレン(SEBS)の合成および特徴付けが開示されている。カチオン性の希土類金属錯体、[(η-Flu-CH-Py)Ho(CHSiMe)](THF)がブタジエンおよびスチレンのリビング重合のために使用された。スチレン、ブタジエンおよびスチレンモノマーの順次添加はSBSトリブロックを形成した。SBSトリブロックは、1,4規則性を有する弾性ポリブタジエン配列および結晶性シンジオタクチックポリスチレンからなっていた。SBSトリブロックは、SEBSを形成するために水素化された。
【0012】
B. Liu et al., Macromolecules 2016, 49, 6226-6231, Regioselective Chain Shuttling Polymerization of Isoprene: An Approach to Access New Materials from Single Monomerには、[PhC]B(CおよびiBuAlと組み合わせてピリジル-メチレンフルオレニルスカンジウム錯体を使用するイソプレンの連鎖移動重合が開示されている。重合は、イソプレンの高い1,4-選択性を与えた。追加の触媒構造体には、その中に示されるように、「プリリジル(pryridyl)-メチレン官能化フルオレニル連結希土類金属錯体1~9が含まれ、ここで、金属は、Sc、Y、Lu、Tm、Er、Ho、Dy、TbまたはGdである(6227ページ(チャート1)参照)。
【0013】
米国特許第8710143号明細書(Catalyst Composition Comprising Shuttling Agent for Ethylene Multi-Block Copolymer Formation)には、以下:(A)第1の金属錯体オレフィン重合触媒、(B)等価な重合条件下で、触媒(A)により調製されるポリマーから化学的または物理的特性が異なるポリマーを調製することができる第2の金属錯体オレフィン重合触媒、および(C)チェーンシャトリング剤を使用するマルチブロックコポリマーの重合が開示されている。適したモノマーには、エチレンならびに1-オクテンおよびスチレンなどの1種または複数種の付加重合性モノマーが含まれる(16段、3~32行参照)。適した触媒には金属錯体が含まれ、ここで、金属は、3~15族、好ましくは3~10族、より好ましくは4~8族、最も好ましくは4族(Ti、ZrおよびHf)から選択される。例えば、19段、61行~20段、6行を参照されたい。エチレン/スチレンマルチブロックポリマーが、それぞれその中に示されるように、CAT A1(Hf)およびCAT B1(Zr)を使用して調製された(85段、12~30行参照;86段、21~52行;115段、21行~116段、23行ならびに表27および28)。
【0014】
追加のオレフィンブロックコポリマー(OBC)および関連重合が以下の参考文献:米国特許第7915192号明細書;米国特許第8124709号明細書;米国特許第8501885号明細書;米国特許第8716400号明細書;欧州特許第1716190号明細書;欧州特許第1926763号明細書;および欧州特許第2582747号明細書に開示されている。
【0015】
しかし、立体制御されたエチレン/ビニルアレーンマルチブロックインターポリマー、および単一反応器の連続溶液重合を使用するそれらの調製が依然として必要とされている。これらの必要は、以下の発明により満たされた。
【発明の概要】
【0016】
第1の態様において、エチレン/ビニルアレーンマルチブロックインターポリマーを含む組成物を形成する方法であって、少なくとも以下の成分a)~c):
a)以下の式A:
【0017】
【化1】
(式中、
およびXはそれぞれ独立して、置換または非置換(C~C30)ヒドロカルビル、置換または非置換(C~C30)ヘテロヒドロカルビルから選択され、XおよびXは、任意選択で結合されていてよく、
ArおよびArはそれぞれ独立して、置換もしくは非置換アリールまたは置換もしくは非置換ヘテロアリール基であり、
52は、置換または非置換アリーレン基である)
から選択される第1の金属錯体;
b)以下の式B:
【0018】
【化2】
(式中、
、R、R、R、およびRはそれぞれ独立して、H、置換もしくは非置換ヒドロカルビル基、または置換もしくは非置換ヘテロヒドロカルビル基であり、
およびQはそれぞれ独立して、置換もしくは非置換ヒドロカルビル基、置換もしくは非置換ヘテロヒドロカルビル基、またはハロゲンであり、
Lはルイス塩基であり、各nは独立して、0または1であり、
任意選択で少なくとも1つのL基および少なくとも1つのQ基は接続されており、任意選択で少なくとも1つのR基および少なくとも1つのQ基は接続されている)
から選択される第2の金属錯体;
c)以下:ジアルキル亜鉛、トリアルキルアルミニウム、またはそれらの組合せから選択されるチェーンシャトリング剤
の存在下で、エチレン、ビニルアレーン、および任意選択でアルファ-オレフィンを含む混合物を単一反応器内で重合させることを含む、方法。
【0019】
第2の態様において、エチレン/ビニルアレーンマルチブロックインターポリマーを含む組成物であって、前記インターポリマーは、それぞれ以下に示されるような構造体1または構造体2から選択される少なくとも1種のポリマー構造体を含み、ここで、(AR)は、ビニルアレーンリッチセグメントを指し、(AP)はビニルアレーンが乏しいセグメントを指し、
-(AR)-(AP)-(AR)-(AP)-(構造体1)、
(AR)-(AP)-(AR)-(AP)(構造体2)、
各(AR)セグメントは独立して、重合形態で、エチレン、ビニルアレーンおよび任意選択でアルファ-オレフィンを含み、
各(AP)セグメントは独立して、重合形態で、エチレン、任意選択でビニルアレーンおよび任意選択でアルファ-オレフィンを含み、
各(AR)セグメントは独立して、重合形態で、(AR)セグメント内の重合モノマーの全モル数に基づいて10mol%超のビニルアレーンを含み、
各(AP)セグメントは独立して、重合形態で、(AP)セグメント内の重合モノマーの全モル数に基づいて10mol%以下のビニルアレーンを含む、組成物。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】CAT BのH NMRプロファイルを示す図である。
図2】CAT Bの13C NMRプロファイルを示す図である。
図3】チェーンシャトリング重合から調製されるシンジオタクチックポリスチレン(sPS)ポリマーのGPCプロファイルを示すグラフである。左から右へGPCプロファイルのピーク最大:Log M=3.00から始まる:SP-3(100 DEZ)、“SP-5(100 TEA)、SP-2(25 DEZ)、SP-4(25 TEA)、SP-1(CSAなし)。
図4】T(DSCによる)および「バックツーバックスチレン取込み」のモル百分率またはTbb13C NMRにより決定される)を、それぞれ重合された(または取り込まれた)スチレンのモル百分率(13C NMRにより決定される)の関数として示すグラフである。
図5】重量平均分子量(M)(GPCによる)およびT(DSCによる)を、それぞれ記述される重合パラメータの関数として示すグラフである。
図6】DSCによるガラス転移温度(T)を、ポリマー中の重合オクテンのモル百分率(13C NMRから決定される)の関数として示すグラフである。
図7】反応器条件(mol%エチレン、mol%スチレンおよびmol%オクテン)ならびにターポリマー化条件(CAT BおよびCAT A)下で調製された最終ポリマー中のエチレン、スチレンおよびオクテンの対応するモル百分率(13C NMR分光法により決定される)を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
チェーンシャトリング技術は、単一反応器内で二元触媒を介してエチレン/ビニルアレーンマルチブロックインターポリマーを生産することが発見された。一方の触媒がビニルアレーンが乏しいセグメント(AP、ソフトブロック)を生産する一方、他方の触媒は、ビニルアレーンリッチセグメント(AR、ハードブロック)を生産する。Al系またはZn系チェーンシャトリング剤(CSA)の添加は、両方の触媒の存在下、エチレン/ビニルアレーンマルチブロックインターポリマーを含む組成物を生産する。個々のブロック特性は、適合性の触媒対、モノマー、チェーンシャトリング剤、および重合条件の選択を通じて調整することができることが発見された。
【0022】
ビニルアレーンが乏しいセグメントを生産するために使用される触媒が、以下の特性を有していたことも発見された:a)高い本来分子量を有するポリマーを生成した;b)CSAの存在下で、分子量低下および分子量分布の狭小化により決定される高いチェーンシャトリング定数を有していた;c)アルファ-オレフィン取込みが高かった;d)Tが、類似のアルファ-オレフィン取込みを含むがスチレン取込みは含まないエチレン系インターポリマーと類似しているように、ビニルアレーン(例えば、スチレン)取込みが低かった;ならびにe)低結晶化度を有するポリマーを生成した。
【0023】
ビニルアレーンリッチセグメントを生産するために使用される触媒が、以下の特性を有していたことが発見された:a)ビニルアレーン(例えば、スチレン)取込みが高かった;b)シンジオタクチック配置を起こす「バック-ツー-バック」ビニルアレーン挿入が高かった;c)CSAの存在下で、分子量低下および分子量分布の狭小化により決定される高いチェーンシャトリング定数を有していた;d)エチレンの存在下で高活性を有していた;ならびにe)アルファ-オレフィン取込みが低かった。
【0024】
上で論じたように、第1の態様において、本発明は、上で論じたような組成物を形成する方法を提供する。本発明の方法は、本明細書に記載される2つ以上の実施形態の組合せを含んでよい。各成分a、bおよびcはそれぞれ独立して、本明細書に記載される2つ以上の実施形態の組合せを含んでよい。
【0025】
上で論じたように、第2の態様において、本発明は、上で論じたような組成物を提供する。本発明の組成物は、本明細書に記載される2つ以上の実施形態の組合せを含んでよい。構造体1および構造体2はそれぞれ独立して、本明細書に記載される2つ以上の実施形態の組合せを含んでよい。
【0026】
本明細書で使用される場合、金属錯体の構造体に関して、X=X1、X=X2、およびAr1=Ar、Ar2=Ar、Ar3=Arなどであることに留意されたい。また、本明細書で使用される場合、そのような構造体に関して、R1=R、R2=R、R3=Rなどである。「a~n」が連番を表す表記R~Rは、R、Ra+1、Ra+2、...、Rを指す。例えば、R~Rは、R、R、R、R、Rを指す。
【0027】
以下の実施形態は、本発明の方法に当てはまる。
【0028】
1つの実施形態、または本明細書にそれぞれ記載される2つ以上の実施形態の組合せにおいて、式Aは、以下の構造体(a11)または(a12):
【0029】
【化3】
から、さらに構造体(a11)から選択される。
【0030】
1つの実施形態、または本明細書にそれぞれ記載される2つ以上の実施形態の組合せにおいて、式Bは、以下の構造体(b11)または(b12):
【0031】
【化4】
から、さらに構造体(b11)から選択される。
【0032】
1つの実施形態、または本明細書にそれぞれ記載される2つ以上の実施形態の組合せにおいて、チェーンシャトリング剤(成分c)は、以下:Zn(CHCH、Al(CHCH、またはそれらの組合せから選択される。
【0033】
1つの実施形態、または本明細書にそれぞれ記載される2つ以上の実施形態の組合せにおいて、混合物はアルファ-オレフィンを含む。
【0034】
本発明は、本明細書に記載される1つまたは複数の実施形態の本発明の方法によって形成される組成物も提供する。
【0035】
以下の実施形態は、本発明の方法または本発明の組成物に当てはまる。
【0036】
1つの実施形態、または本明細書にそれぞれ記載される2つ以上の実施形態の組合せにおいて、エチレン/ビニルアレーンマルチブロックインターポリマーについて、各(AR)セグメントは独立して、重合形態で、(AR)セグメント内の重合モノマーの全モル数に基づいて15mol%以上、または20mol%以上、または25mol%以上、または30mol%以上、または35mol%以上、または40mol%以上、または45mol%以上、または50mol%以上、または55mol%以上、または60mol%以上のビニルアレーンを含む。1つの実施形態、または本明細書にそれぞれ記載される2つ以上の実施形態の組合せにおいて、各(AR)セグメントは独立して、重合形態で、(AR)セグメント内の重合モノマーの全モル数に基づいて100mol%未満、または98mol%以下、または96mol%以下、または94mol%以下、または92mol%以下、または91mol%以下のビニルアレーンを含む。
【0037】
1つの実施形態、または本明細書にそれぞれ記載される2つ以上の実施形態の組合せにおいて、エチレン/ビニルアレーンマルチブロックインターポリマーについて、各(AR)セグメントは独立して、重合形態で、(AR)セグメント内の重合モノマーの全モル数に基づいて2.0mol%以上、または4.0mol%以上、または6.0mol%以上、または8.0mol%以上、または9.0mol%以上、または10mol%以上、または11mol%以上、または12mol%以上、または13mol%以上、または14mol%以上のエチレンを含む。1つの実施形態、または本明細書にそれぞれ記載される2つ以上の実施形態の組合せにおいて、各(AR)セグメントは独立して、重合形態で、(AR)セグメント内の重合モノマーの全モル数に基づいて80mol%以下、または77mol%以下、または75mol%以下、または73mol%以下、または70mol%以下、または65mol%以下、または60mol%以下、または55mol%以下、または50mol%以下、または45mol%以下、または40mol%以下のエチレンを含む。
【0038】
1つの実施形態、または本明細書にそれぞれ記載される2つ以上の実施形態の組合せにおいて、エチレン/ビニルアレーンマルチブロックインターポリマーについて、各(AR)セグメントは独立して、サブセグメントbb内に以下に示されるように「バックツーバック」配置で20mol%以上または30mol%以上、または40mol%以上、または50mol%以上または60mol%以上、または70mol%以上、または80mol%以上または85mol%以上、または90mol%以上、または92mol%以上、または94mol%以上、または96mol%以上、または98mol%以上、または99mol%以上の重合ビニルアレーンを含み、
【0039】
【化5】
mol%は、(AR)セグメント内の重合ビニルアレーンの全モル数に基づく。1つの実施形態、または本明細書にそれぞれ記載される2つ以上の実施形態の組合せにおいて、各(AR)セグメントは独立して、上のサブセグメントbb内に示されるように「バックツーバック」配置で100mol%以下の重合ビニルアレーンを含む。
【0040】
1つの実施形態、または本明細書にそれぞれ記載される2つ以上の実施形態の組合せにおいて、エチレン/ビニルアレーンマルチブロックインターポリマーについて、各(AR)セグメントは独立して、サブセグメントsbb内に以下に示されるようにシンジオタクチック「バックツーバック」配置で20mol%以上または30mol%以上、または40mol%以上、または50mol%以上または60mol%以上、または70mol%以上、または80mol%以上、または85mol%以上、または90mol%以上、または92mol%以上、または94mol%以上、または96mol%以上、または98mol%以上、または99mol%以上の重合ビニルアレーンを含み、
【0041】
【化6】
mol%は、(AR)セグメント内の重合ビニルアレーンの全モル数に基づく。1つの実施形態、または本明細書にそれぞれ記載される2つ以上の実施形態の組合せにおいて、各(AR)セグメントは独立して、上のサブセグメントsbb内に示されるように「バックツーバック」配置で100mol%以下の重合ビニルアレーンを含む。
【0042】
1つの実施形態、または本明細書にそれぞれ記載される2つ以上の実施形態の組合せにおいて、エチレン/ビニルアレーンマルチブロックインターポリマーについて、ビニルアレーンはスチレンである。
【0043】
1つの実施形態、または本明細書にそれぞれ記載される2つ以上の実施形態の組合せにおいて、エチレン/ビニルアレーンマルチブロックインターポリマーは、エチレン/アルファ-オレフィン/ビニルアレーンマルチブロックインターポリマー、さらにエチレン/アルファ-オレフィン/ビニルアレーンマルチブロックターポリマーである。
【0044】
1つの実施形態、または本明細書にそれぞれ記載される2つ以上の実施形態の組合せにおいて、組成物は、ポリエチレンホモポリマー、エチレン/ビニルアレーンコポリマー、エチレン/アルファ-オレフィンコポリマー、またはそれらの組合せをさらに含む。
【0045】
本明細書に記載される1つまたは複数の実施形態の組成物から形成される、少なくとも1種の成分を含む物品も提供される。
【0046】
ビニルアレーンモノマー
ビニルアレーンモノマーは、芳香族モノマーであり、かつモノ-またはポリ-アルキルスチレン(スチレン、o-メチルスチレン、m-メチルスチレン、p-メチルスチレン、o,p-ジメチルスチレン、o-エチルスチレン、m-エチルスチレンおよびp-エチルスチレンを含む)などの芳香族ビニル化合物、ならびにo-クロロスチレン、m-クロロスチレン、p-クロロスチレン、ジビニルベンゼン、3-フェニルプロペン、4-フェニルプロペンおよびα-メチルスチレンなどの官能基含有誘導体を含むが、これらに限定されない。ただし、モノマーは、使用される条件下で重合性であるものとする。
【0047】
チェーンシャトリング剤(CSA)
用語「チェーンシャトリング剤(CSA)」は、重合の条件に含まれる触媒の少なくとも2つの活性触媒部位間のポリメリル交換を引き起こすことができる化合物または化合物の混合物を指す。すなわち、ポリマーフラグメントの移動は、活性触媒部位のうちの1つまたは複数にも、それらからも起こる。CSAは、例えば、「AP(ソフトブロック)触媒」および「AR(ハードブロック)触媒」の間を連鎖移動することができる。適したチェーンシャトリング剤には、トリアルキルアルミニウムおよびジアルキル亜鉛化合物、特にトリエチルアルミニウム、トリ(イソプロピル)アルミニウム、トリ(イソブチル)アルミニウム、トリ(n-ヘキシル)アルミニウム、トリ(n-オクチル)アルミニウム、およびジエチル亜鉛が含まれるが、これらに限定されない。
【0048】
エチレン/ビニルアレーンマルチブロックインターポリマー
エチレン/ビニルアレーンマルチブロックインターポリマーは、2つ以上の重合モノマー単位の複数(4つ以上)のブロックまたはセグメントにより特徴付けられ、そのブロックは化学的または物理的特性が異なる。好ましくはセグメントは、実質的に分枝状または実質的に星形にではなく、実質的に線状に結合される。他の実施形態において、各ブロックは、ポリマー鎖に沿ってランダムに分布している。論じたように、エチレン/ビニルアレーンマルチブロックインターポリマーは、好ましくは線状に連結された、2種の化学的に異なる領域(「ブロック」と呼ばれる)を含む。ある実施形態において、ブロックは、取り込まれたコモノマーの量もしくはタイプ、密度、結晶化度の量、タクチシティー(アイソタクチックもしくはシンジオタクチック)のタイプもしくは程度、または任意の他の化学的もしくは物理的特性が異なる。順次のモノマー添加、流動性触媒、またはアニオン重合技術により生産されるインターポリマーを含む当技術分野の従来のブロックインターポリマーと比較して、本エチレン/ビニルアレーンマルチブロックインターポリマーは、それらの調製において使用される複数種の触媒と組み合わせた(1種または複数種の)シャトリング剤の効果に起因するポリマー多分散性(PDIまたはM/MまたはMWD)、ブロック長分布、および/またはブロック数分布のいずれの特有の分布によっても特徴付けられる。
【0049】
定義
反対の記載、文脈からの暗黙、または当技術分野における慣例がない限り、すべての部および百分率は重量に基づき、すべての試験方法は、本開示の出願日現在最新である。
【0050】
用語「組成物」は、本明細書で使用される場合、組成物、ならびに組成物の材料から形成される反応副生成物および分解生成物を含む材料の混合物を含む。任意の反応副生成物または分解生成物は、典型的には微量または残留量で存在する。
【0051】
用語「ポリマー」は、本明細書で使用される場合、同じタイプか、異なるタイプかを問わず、モノマーを重合させることにより調製されるポリマー性化合物を指す。したがって、総称ポリマーは、用語ホモポリマー(微量の不純物がポリマー構造体に取り込まれ得るという理解のもと、ただ1つのタイプのモノマーから調製されるポリマーを指すために使用される)、および以下に定義される用語インターポリマーを含む。触媒残渣などの微量の不純物がポリマーに、および/またはポリマー内に取り込まれ得る。典型的には、ポリマーは、非常に少量(「ppm」量)の1種または複数種の安定剤で安定化される。
【0052】
用語「インターポリマー」は、本明細書で使用される場合、少なくとも2種の異なるタイプのモノマーの重合により調製されるポリマーを指す。したがって、用語インターポリマーは、用語コポリマー(2種の異なるタイプのモノマーから調製されるポリマーを指すために使用される)および2種を超える異なるタイプのモノマーから調製されるポリマーを含む。
【0053】
用語「オレフィン系ポリマー」は、本明細書で使用される場合、重合形態で、50wt%または過半重量パーセントのエチレンまたはプロピレンなどのオレフィン(ポリマーの重量に基づく)を含み、任意選択で1種または複数種のコモノマーを含んでよいポリマーを指す。
【0054】
用語「プロピレン系ポリマー」は、本明細書で使用される場合、重合形態で、過半重量パーセントのプロピレン(ポリマーの重量に基づく)を含み、任意選択で1種または複数種のコモノマーを含んでよいポリマーを指す。
【0055】
用語「エチレン系ポリマー」は、本明細書で使用される場合、重合形態で、50wt%または過半重量パーセントのエチレン(ポリマーの重量に基づく)を含み、任意選択で1種または複数種のコモノマーを含んでよいポリマーを指す。
【0056】
用語「ビニルアレーン系ポリマー」は、本明細書で使用される場合、重合形態で、過半重量パーセントのビニルアレーン(ポリマーの重量に基づく)を含み、任意選択で1種または複数種のコモノマーを含んでよいポリマーを指す。
【0057】
用語「スチレン系ポリマー」は、本明細書で使用される場合、重合形態で、過半重量パーセントのスチレン(ポリマーの重量に基づく)を含み、任意選択で1種または複数種のコモノマーを含んでよいポリマーを指す。
【0058】
用語「エチレン/アルファ-オレフィンインターポリマー」は、本明細書で使用される場合、重合形態で、50wt%または過半重量パーセントのエチレン(インターポリマーの重量に基づく)、およびアルファ-オレフィンを含むランダムインターポリマーを指す。
【0059】
用語「エチレン/アルファ-オレフィンコポリマー」は、本明細書で使用される場合、重合形態で、2種のみのモノマータイプとして、50wt%または過半重量パーセントのエチレン(コポリマーの重量に基づく)、およびアルファ-オレフィンを含むランダムコポリマーを指す。
【0060】
用語「エチレン/ビニルアレーンコポリマー」は、本明細書で使用される場合、重合形態で、2種のみのモノマータイプとして、50wt%または過半重量パーセントのエチレン(コポリマーの重量に基づく)、およびビニルアレーンを含むランダムコポリマーを指す。
【0061】
語句「過半重量パーセント」は、本明細書で使用される場合、ポリマー(またはインターポリマー、またはターポリマーまたはコポリマー)に関して、ポリマー中に最大量で存在するモノマーの量を指す。
【0062】
用語「エチレン/ビニルアレーンマルチブロックインターポリマー」は、本明細書で使用される場合、少なくとも2つのビニルアレーンリッチ(AR)セグメントおよび少なくとも2つのビニルアレーンが乏しい(AP)セグメントを含むマルチブロックインターポリマーを指す。各(AR)セグメントは独立して、重合形態で、10mol%超のビニルアレーンを含む。各(AP)セグメントは独立して、重合形態で、10mol%以下のビニルアレーンを含む。各mol%は、それぞれのセグメント内の重合モノマーの全モル数に基づく。マルチブロックインターポリマーは、重合形態で、エチレン、ビニルアレーンを含み、他のモノマータイプを含んでよい。用語「エチレン/ビニルアレーンマルチブロックコポリマー」は、本明細書で使用される場合、上で論じたような、少なくとも2つのビニルアレーンリッチ(AR)セグメント、および上で論じたような、少なくとも2つのビニルアレーンが乏しい(AP)セグメントを含むマルチブロックコポリマーを指す。マルチブロックコポリマーは、重合形態で、2種のみのモノマータイプとして、エチレンおよびビニルアレーンを含む。
【0063】
用語「エチレン/アルファ-オレフィン/ビニルアレーンマルチブロックインターポリマー」は、本明細書で使用される場合、少なくとも2つのビニルアレーンリッチ(AR)セグメントおよび少なくとも2つのビニルアレーンが乏しい(AP)セグメントを含むマルチブロックインターポリマーを指す。各(AR)セグメントは独立して、重合形態で、10mol%超のビニルアレーンを含む。各(AP)セグメントは独立して、重合形態で、10mol%以下のビニルアレーンを含む。各mol%は、それぞれのセグメント内の重合モノマーの全モル数に基づく。マルチブロックインターポリマーは、重合形態で、エチレン、アルファ-オレフィンおよびビニルアレーンを含み、他のモノマータイプを含んでよい。用語「エチレン/アルファ-オレフィン/ビニルアレーンマルチブロックターポリマー」は、本明細書で使用される場合、上で論じたような、少なくとも2つのビニルアレーンリッチ(AR)セグメント、および上で論じたような、少なくとも2つのビニルアレーンが乏しい(AP)セグメントを含むマルチブロックターポリマーを指す。マルチブロックターポリマーは、重合形態で、3種のみのモノマータイプとして、エチレン、アルファ-オレフィン、ビニルアレーンを含む。
【0064】
用語「ビニルアレーン」は、本明細書で使用される場合、単環式、二環式または三環式環構造体などの芳香環構造体に結合された「-CR=CHR’(式中、RおよびR’は、それぞれ独立して、Hまたはアルキルである)」を含む化合物を指す。芳香族環構造体は、1個または複数のヘテロ原子基を含んでも、含まなくてもよく、1個または複数のヘテロ原子基で置換されても、置換されなくてもよい。ビニルアレーンの例には、スチレン、2-ビニルトルエンおよび4-ビニルトルエン、ならびにアルファ-メチルスチレンが含まれるが、これらに限定されない。
【0065】
用語「アルキルシラン基」は、本明細書で使用される場合、少なくとも1つの-Si-R部分(式中、Rはアルキルである)を含む化学基を指す。そのような基のいくつかの例には、以下:-CH-Si(CH、-CH-Si(H)(CH、-CH-Si(H)(CH)、-Si(CH、-Si(H)(CH、-Si(H)(CH)が含まれる。
【0066】
用語「ヘテロ原子」は、水素または炭素以外の原子(例えば、O、NまたはP)を指す。用語「ヘテロ原子基」は、ヘテロ原子または1個もしくは複数のヘテロ原子を含む化学基を指す。
【0067】
用語「炭化水素」、「ヒドロカルビル基」、および類似の用語は、本明細書で使用される場合、炭素および水素原子のみを含むそれぞれの化合物または化学基などを指す。
【0068】
用語「ヘテロ炭化水素」、「ヘテロヒドロカルビル基」、および類似の用語は、本明細書で使用される場合、少なくとも1個の炭素原子がヘテロ原子基(例えば、O、NまたはP)で置換されているそれぞれの炭化水素」、または「ヒドロカルビル基などを指す。一価のヘテロヒドロカルビル基が、炭素原子を介して、またはヘテロ原子を介して目的の残りの化合物に結合されてもよい。
【0069】
用語「置換炭化水素」、「置換ヒドロカルビル基」、および類似の用語は、本明細書で使用される場合、1個または複数の水素原子がヘテロ原子基で独立して置換されているそれぞれの炭化水素またはヒドロカルビル基などを指す。
【0070】
用語「置換ヘテロ炭化水素」、「置換ヘテロヒドロカルビル基」、および類似の用語は、本明細書で使用される場合、1個または複数の水素原子がヘテロ原子基で独立して置換されているそれぞれのヘテロ炭化水素またはヘテロヒドロカルビル基などを指す。
【0071】
本明細書において使用される用語「アリール」、「アリール基」、および類似の用語は、1個または複数の環構造体;例えば、単環式、二環式または三環式環構造体を含む一価の芳香族ヒドロカルビルまたは芳香族ヒドロカルビル基などを指す。
【0072】
本明細書において使用される用語「ヘテロアリール」、「ヘテロアリール基」、および類似の用語は、骨格環構造体の少なくとも1個の炭素原子がヘテロ原子基で置換されている一価のアリールまたはアリール基などを指す。
【0073】
用語「置換アリール」、「置換アリール基」、および類似の用語は、本明細書で使用される場合、1個または複数の水素原子がヘテロ原子基で独立して置換されているアリールまたはアリール基などを指す。
【0074】
用語「置換ヘテロアリール」、「置換ヘテロアリール基」、および類似の用語は、本明細書で使用される場合、1個または複数の水素原子がヘテロ原子基で独立して置換されているヘテロアリールまたはヘテロアリール基などを指す。
【0075】
本明細書において使用される用語「アリーレン」、「アリーレン基」、および類似の用語は、1個または複数の環構造体;例えば、単環式、二環式または三環式環構造体を含む二価の芳香族ヒドロカルビレンまたは芳香族ヒドロカルビレン基などを指す。
【0076】
用語「置換アリーレン」、「置換アリーレン基」、および類似の用語は、本明細書で使用される場合、1個または複数の水素原子がヘテロ原子基で独立して置換されているアリーレンまたはアリーレン基などを指す。
【0077】
用語「置換または非置換(C~C30)ヒドロカルビル」、および他の同様の用語は、本明細書で使用される場合、置換または非置換ヒドロカルビル基が含んでよい全炭素原子の範囲(例えば、1~30個)を表す。記述される炭素範囲を有する他の一価の化学基(例えば、置換または非置換(C~C20)アリール基)が同様に定義されることに留意されたい。
【0078】
用語「置換または非置換(C~C30)ヘテロヒドロカルビル」、および他の同様の用語は、本明細書で使用される場合、「置換または非置換ヘテロヒドロカルビル基が含んでよい全炭素原子の範囲(例えば、1~30個)を表す。記述される炭素範囲を有する他の一価の化学基が同様に定義されることに留意されたい。
【0079】
用語「置換または非置換(C~C20)アリーレン基」、および他の同様の用語は、本明細書で使用される場合、置換または非置換アリーレン基が含んでよい全炭素原子の範囲(例えば2~6個)を表す。記述される炭素範囲を有する他の二価の化学基が同様に定義されることに留意されたい。
【0080】
用語「ルイス塩基」は、本明細書で使用される場合、金属錯体に関して、電子対を供与して、金属または別の化学基との結合を形成することができる化合物または化学基を指す。ルイス塩基の例には、テトラヒドロフラン(THF)、ジエチルエーテル、ジメチルアニリン、またはトリメチルホスフィンが含まれるが、これらに限定されない。
【0081】
用語「シンジオタクチシティー」、「シンジオタクチック」、および類似の用語は、本明細書で使用される場合、重合ビニルアレーン単位に関して、2個以上のペンダントアリール(例えば、フェニル)基の交互の立体化学的配置を指す。例えば、サブセグメントsbbを参照されたい。
【0082】
用語「ポリマー構造体」は、構造体1および2のエチレン/ビニルアレーンマルチブロックインターポリマーに関して、構造体1に示されるようなポリマー鎖の一部、または構造体2に示されるようなポリマー鎖全体のいずれかを指す。
【0083】
表記「AR」は、マルチブロックインターポリマーに関して、重合形態で、10mol%超のビニルアレーンを含むインターポリマーのポリマーセグメントを指す。この表記は「ビニルアレーンリッチ」セグメントを指す。
【0084】
表記「AP」は、マルチブロックインターポリマーに関して、重合形態で、10mol%以下のビニルアレーンを含むインターポリマーのポリマーセグメントを指す。この表記は「ビニルアレーンが乏しい」セグメントを指す。
【0085】
語句「各セグメント」は、(AR)セグメント(またはブロック)または(AP)セグメント(またはブロック)に関して、ポリマー分子の末端またはポリマー分子内に位置する(AR)セグメントまたは(AP)セグメントを指す。
【0086】
用語「溶液重合」は、本明細書で使用される場合、(1種または複数種の)モノマー、(1種または複数種の)触媒および形成されたポリマーが重合溶媒または2種以上の溶媒の溶媒ブレンドにすべて可溶である重合プロセスを指す。
【0087】
用語「連続溶液重合」は、本明細書で使用される場合、(1種または複数種の)モノマーが反応器に連続的にフィードされ、ポリマーが反応器から連続的に除去される溶液重合を指す。
【0088】
用語「金属錯体」は、本明細書で使用される場合、1個または複数の配位子(金属と共有することができる1つまたは複数の電子対を含むイオンまたは分子)に結合および/または配位した金属もしくは金属イオンを含む化学構造体を指す。例えば、式AおよびBの金属錯体を参照されたい。金属錯体は、典型的には、1種または複数種の共触媒の使用により触媒活性が与えられる。
【0089】
用語「スカベンジャー」は、本明細書で使用される場合、不純物または望まれない反応生成物(例えば、酸素)を除去または不活性化するために重合反応に加えられる化合物を指す。いくつかのスカベンジャーの例には、MMAOおよびMMAO-3Aなどのアルミニウムアルキル化合物が含まれる。
【0090】
用語「を含む(comprising)」、「を含む(including)」、「を有する(having)」、およびそれらの派生語は、任意の追加の成分、ステップまたは手順が具体的に開示されているかを問わず、それらの存在を排除することは意図されない。いかなる疑義も避けるために、用語「を含む(comprising)」の使用を通じて特許請求されるすべての組成物は、反対の記載がない限り、ポリマー性かその他かを問わず、任意の追加の添加剤、助剤、または化合物を含んでよい。対照的に、用語「から本質的になる」は、実施可能性に必須ではないものを除き、任意の後続の記載の範囲から任意の他の成分、ステップまたは手順を排除する。用語「からなる」は、具体的に描写または列挙されない任意の成分、ステップまたは手順を排除する。
【0091】
いくつかの方法および組成物のリスト
A]エチレン/ビニルアレーンマルチブロックインターポリマーを含む組成物を形成する方法であって、少なくとも以下の成分a)~c):
a)以下の式A:
【0092】
【化7】
(式中、
およびXはそれぞれ独立して、置換または非置換(C~C30)ヒドロカルビル、置換または非置換(C~C30)ヘテロヒドロカルビル、さらに置換または非置換(C~C30)ヒドロカルビル、さらにアルキルから選択され、XおよびXは、任意選択で結合されていてよく、
ArおよびArはそれぞれ独立して、置換もしくは非置換アリールまたは置換もしくは非置換ヘテロアリール基であり、
52は、置換または非置換アリーレン基である)
から選択される第1の金属錯体;
b)以下の式B:
【0093】
【化8】
(式中、
、R、R、R、およびRはそれぞれ独立して、H、置換もしくは非置換ヒドロカルビル基または置換もしくは非置換ヘテロヒドロ-カルビル基、さらにH、アルキル基またはアルキルシリル基、さらにアルキル基またはアルキルシリル基であり、
およびQはそれぞれ独立して、置換もしくは非置換ヒドロカルビル基、置換もしくは非置換ヘテロヒドロカルビル基、またはハロゲン、さらにアリール基、アルキルシリル基、アルコキシ基、ハロゲン、または-NRR’(式中、RおよびR’はそれぞれ独立して、ヒドロカルビルまたはSiR’’(式中、R’’はヒドロカルビルである)である)、さらにアリール基、アルキルシリル基、またはアルコキシ基であり、
Lはルイス塩基であり、各nは独立して、0または1であり、
任意選択で少なくとも1つのL基および少なくとも1つのQ基は接続されており、任意選択で少なくとも1つのR基および少なくとも1つのQ基は接続されている)
から選択される第2の金属錯体;
c)以下:ジアルキル亜鉛、トリアルキルアルミニウム、またはそれらの組合せから選択されるチェーンシャトリング剤
の存在下で、エチレン、ビニルアレーン、および任意選択でアルファ-オレフィンを含む混合物を単一反応器内で重合させることを含む、方法。
【0094】
B]式Aについて、XおよびXがそれぞれ独立して、置換または非置換(C~C30)ヒドロカルビル、さらにアルキル、さらにX=Xである、上のA]の方法。
【0095】
C]式Aが、以下の構造体(a11)または(a12):
【0096】
【化9】
から、さらに構造体(a11)から選択される、上のA]またはB]の方法。
【0097】
D]式Bについて、R~Rがそれぞれ独立して、H、アルキル、さらにC~Cアルキル、さらにC~Cアルキル、さらにC~Cアルキル、さらにC~Cアルキル、さらにメチルである、上のA]~C]のいずれか1つの方法。
【0098】
E]式Bについて、R=R=R=R=Rである、上のA]~D]のいずれか1つの方法。
【0099】
F]式Bが、以下の構造体(b11)または(b12):
【0100】
【化10】
から、さらに構造体(b11)から選択される、上のA]~E]のいずれか1つの方法。
【0101】
G]式Bについて、Lが、テトラヒドロフラン(THF)、ジエチルエーテル、ジメチルアニリン、またはトリメチルホスフィン、さらにTHFから選択される、上のA]~F]のいずれか1つの方法。
【0102】
H]式Bについて、n=0である、上のA]~F]のいずれか1つの方法。
【0103】
I]チェーンシャトリング剤(成分c)が、以下:Zn(CHCH、Al(CHCH、またはそれらの組合せから選択される、上のA]~H]のいずれか1つの方法。
【0104】
J]重合が、溶液重合、さらに連続溶液重合である、上のA]~I]のいずれか1つの方法。
【0105】
K]溶液が、芳香族溶液、さらにトルエンである、上のJ]の方法。
【0106】
L]重合が、80℃以上、または85℃以上、または90℃以上、または95℃以上、または100℃以上、または105℃以上、または110℃以上の温度で起こる、上のA]~K]のいずれか1つの方法。
【0107】
M]重合が、160℃以下、または155℃以下、または150℃以下、または145℃以下、または140℃以下、または135℃以下、または130℃以下、または125℃以下、または120℃以下の温度で起こる、上のA]~L]のいずれか1つの方法。
【0108】
N]重合が、50psig以上、または60psig以上、または70psig以上、または75psig以上、または80psig以上の圧力で起こる、上のA]~M]のいずれか1つの方法。
【0109】
O]重合が、120psig以下、または110psig以下、または100psig以下、または95psig以下、または90psig以下の圧力で起こる、上のA]~N]のいずれか1つの方法。
【0110】
P]混合物がアルファ-オレフィンを含む、上のA]~O]のいずれか1つの方法。
【0111】
Q]アルファ-オレフィンが、C~C20アルファ-オレフィン、さらにC~C10アルファ-オレフィン、さらにC~Cアルファ-オレフィン、さらにプロピレン、1-ブテン、1-ヘキセンまたは1-オクテン、さらにプロピレン、1-ブテンまたは1-オクテン、さらに1-ブテンまたは1-オクテン、さらに1-オクテンである、上のP]の方法。
【0112】
R]「第2の金属錯体の金属」に対する「第1の金属錯体の金属」のモル比が、0.03以上、または0.1以上、または0.5以上である、上のA]~Q]のいずれか1つの方法。
【0113】
S]「第2の金属錯体の金属」に対する「第1の金属錯体の金属」のモル比が、1000以下、または500以下、または100以下である、上のA]~R]のいずれか1つの方法。
【0114】
T]「第1の金属錯体の金属および第2の金属錯体の金属の合計」に対する「チェーンシャトリング剤の金属」のモル比が、2.0以上、または5.0以上、または10以上、または20以上、または40以上、または100以上である、上のA]~S]のいずれか1つの方法。
【0115】
U]「第1の金属錯体の金属および第2の金属錯体の金属の合計」に対する「チェーンシャトリング剤の金属」のモル比が、1000以下、または800以下、または500以下である、上のA]~T]のいずれか1つの方法。
【0116】
V]第1の金属錯体が、50~1000、さらに100~500の反応性比、r(エチレン)(ビニルアレーン)=k(エチレン)(エチレン)/k(エチレン)(ビニルアレーン)を有する、上のA]~U]のいずれか1つの方法。
【0117】
W]第2の金属錯体が、1~10の反応性比、r(エチレン)(ビニルアレーン)=k(エチレン)(エチレン)/k(エチレン)(ビニルアレーン)を有する、上のA]~V]のいずれか1つの方法。
【0118】
X]組成物が、ポリエチレンホモポリマー、エチレン/ビニルアレーンコポリマー、エチレン/アルファ-オレフィンコポリマー、またはそれらの組合せをさらに含む、上のA]~W]のいずれか1つの方法。
【0119】
Y]A]~X]のいずれか1つの方法によって形成される組成物。
【0120】
A2]エチレン/ビニルアレーンマルチブロックインターポリマーを含む組成物であって、前記インターポリマーは、それぞれ以下に示されるような構造体1または構造体2から選択される少なくとも1つのポリマー構造体を含み、ここで、(AR)は、ビニルアレーンリッチセグメントを指し、(AP)はビニルアレーンが乏しいセグメントを指し、
-(AR)-(AP)-(AR)-(AP)-(構造体1)、
(AR)-(AP)-(AR)-(AP)(構造体2)、
各(AR)セグメントは独立して、重合形態で、エチレン、ビニルアレーンおよび任意選択でアルファ-オレフィンを含み、
各(AP)セグメントは独立して、重合形態で、エチレン、任意選択でビニルアレーンおよび任意選択でアルファ-オレフィンを含み、
各(AR)セグメントは独立して、重合形態で、(AR)セグメント内の重合モノマーの全モル数に基づいて10mol%超のビニルアレーンを含み、
各(AP)セグメントは独立して、重合形態で、(AP)セグメント内の重合モノマーの全モル数に基づいて10mol%以下のビニルアレーンを含む。
【0121】
B2]エチレン/ビニルアレーンマルチブロックインターポリマーについて、各(AR)セグメントが独立して、重合形態で、(AR)セグメント内の重合モノマーの全モル数に基づいて15mol%以上、または20mol%以上、または25mol%以上、または30mol%以上、または35mol%以上、または40mol%以上、または45mol%以上、または50mol%以上、または55mol%以上、または60mol%以上のビニルアレーンを含む、上のA2]の組成物。
【0122】
C2]エチレン/ビニルアレーンマルチブロックインターポリマーについて、各(AR)セグメントが独立して、重合形態で、(AR)セグメント内の重合モノマーの全モル数に基づいて100mol%未満、または98mol%以下、または96mol%以下、または94mol%以下、または92mol%以下、または91mol%以下のビニルアレーンを含む、上のA2]またはB2]の組成物。
【0123】
D2]エチレン/ビニルアレーンマルチブロックインターポリマーについて、各(AP)セグメントが独立して、重合形態で、(AP)セグメント内の重合モノマーの全モル数に基づいて0mol%以上、または0.2mol%以上、または0.4mol%以上、または0.6mol%以上、または0.8mol%以上、または1.0mol%以上のビニルアレーンを含む、上のA2]~C2]のいずれか1つの組成物。
【0124】
E2]エチレン/ビニルアレーンマルチブロックインターポリマーについて、各(AP)セグメントが独立して、重合形態で、(AP)セグメント内の重合モノマーの全モル数に基づいて10mol%以下、または9.0mol%以下、または8.0mol%以下、または7.0mol%以下、または6.0mol%以下、または5.0mol%以下のビニルアレーンを含む、上のA2]~D2]のいずれか1つの組成物。
【0125】
F2]エチレン/ビニルアレーンマルチブロックインターポリマーについて、各(AR)セグメントが独立して、重合形態で、(AR)セグメント内の重合モノマーの全モル数に基づいて2.0mol%以上、または4.0mol%以上、または6.0mol%以上、または8.0mol%以上、または9.0mol%以上、または10mol%以上、または11mol%以上、または12mol%以上、または13mol%以上、または14mol%以上のエチレンを含む、上のA2]~E2]のいずれか1つの組成物。
【0126】
G2]エチレン/ビニルアレーンマルチブロックインターポリマーについて、各(AR)セグメントが独立して、重合形態で、(AR)セグメント内の重合モノマーの全モル数に基づいて80mol%以下、または77mol%以下、または75mol%以下、または73mol%以下、または70mol%以下、または65mol%以下、または60mol%以下、または55mol%以下、または50mol%以下、または45mol%以下、または40mol%以下のエチレンを含む、上のA2]~F2]のいずれか1つの組成物。
【0127】
H2]エチレン/ビニルアレーンマルチブロックインターポリマーについて、各(AP)セグメントが独立して、重合形態で、(AP)セグメント内の重合モノマーの全モル数に基づいて50mol%以上、52mol%以上、または54mol%以上、または56mol%以上、または58mol%以上、または60mol%以上、または62mol%以上、または64mol%以上、または66mol%以上、または68mol%以上、または70mol%以上のエチレンを含む、上のA2]~G2]のいずれか1つの組成物。
【0128】
I2]エチレン/ビニルアレーンマルチブロックインターポリマーについて、各(AP)セグメントが独立して、重合形態で、(AP)セグメント内の重合モノマーの全モル数に基づいて100mol%以下、または98mol%以下、または96mol%以下、または94mol%以下、または92mol%以下、または90mol%以下のエチレンを含む、上のA2]~H2]のいずれか1つの組成物。
【0129】
J2]エチレン/ビニルアレーンマルチブロックインターポリマーについて、各(AR)セグメントが独立して、重合形態で、(AR)セグメント内の重合モノマーの全モル数に基づいて0mol%以上、1.0mol%以上、または2.0mol%以上、または3.0mol%以上、または4.0mol%以上のアルファ-オレフィンを含む、上のA2]~I2]のいずれか1つの組成物。
【0130】
K2]エチレン/ビニルアレーンマルチブロックインターポリマーについて、各(AR)セグメントが独立して、重合形態で、(AR)セグメント内の重合モノマーの全モル数に基づいて10mol%以下、9.0mol%以下、または8.0mol%以下、または7.0mol%以下、または6.0mol%以下のアルファ-オレフィンを含む、上のA2]~J2]のいずれか1つの組成物。
【0131】
L2]アルファ-オレフィンが、C~C20アルファ-オレフィン、さらにC~C10アルファ-オレフィン、さらにC~Cアルファ-オレフィン、さらにプロピレン、1-ブテン、1-ヘキセンまたは1-オクテン、さらにプロピレン、1-ブテンまたは1-オクテン、さらに1-ブテンまたは1-オクテン、さらに1-オクテンである、上のJ2]またはK2]の組成物。
【0132】
M2]エチレン/ビニルアレーンマルチブロックインターポリマーについて、各(AR)セグメントが、重合形態で、アルファ-オレフィンを含まない、上のA2]~L2]のいずれか1つの組成物。
【0133】
N2]エチレン/ビニルアレーンマルチブロックインターポリマーについて、各(AP)セグメントが独立して、重合形態で、(AP)セグメント内の重合モノマーの全モル数に基づいて0mol%以上、1.0mol%以上、または2.0mol%以上、または3.0mol%以上、または4.0mol%以上、または6.0mol%以上、または8.0mol%以上、または10mol%以上のアルファ-オレフィンを含む、上のA2]~M2]のいずれか1つの組成物。
【0134】
O2]エチレン/ビニルアレーンマルチブロックインターポリマーについて、各(AP)セグメントが独立して、重合形態で、(AP)セグメント内の重合モノマーの全モル数に基づいて40mol%以下、または35mol%以下、または30mol%以下、または28mol%以下、または26mol%以下、または24mol%以下、または22mol%以下、または20mol%以下のアルファ-オレフィンを含む、上のA2]~N2]のいずれか1つの組成物。
【0135】
P2]アルファ-オレフィンが、C~C20アルファ-オレフィン、さらにC~C10アルファ-オレフィン、さらにC~Cアルファ-オレフィン、さらにプロピレン、1-ブテン、1-ヘキセンまたは1-オクテン、さらにプロピレン、1-ブテンまたは1-オクテン、さらに1-ブテンまたは1-オクテン、さらに1-オクテンである、上のN2]またはO2]の組成物。
【0136】
Q2]エチレン/ビニルアレーンマルチブロックインターポリマーについて、各(AR)セグメントが独立して、以下のサブセグメントbb:
【0137】
【化11】
に示されるように「バックツーバック」配置で20mol%以上または30mol%以上、または40mol%以上、または50mol%以上または60mol%以上、または70mol%以上、または80mol%以上、または85mol%以上、または90mol%以上、または92mol%以上、または94mol%以上、または96mol%以上、または98mol%以上、または99mol%以上の重合ビニルアレーンを含み、mol%が、(AR)セグメント内の重合ビニルアレーンの全モル数に基づく、上のA]~X]のいずれか1つの方法または上のA2]~P2]のいずれか1つの組成物。
【0138】
R2]エチレン/ビニルアレーンマルチブロックインターポリマーについて、各(AR)セグメントが独立して、上のサブセグメントbb内に示されるように「バックツーバック」配置で100mol%以下の重合ビニルアレーンを含む、上のA]~X]もしくはQ2]のいずれか1つの方法または上のA2]~Q2]のいずれか1つの組成物。
【0139】
S2]エチレン/ビニルアレーンマルチブロックインターポリマーについて、各(AR)セグメントが独立して、サブセグメントsbb内に以下に示されるようにシンジオタクチック「バックツーバック」配置で20mol%以上または30mol%以上、または40mol%以上、または50mol%以上または60mol%以上、または70mol%以上、または80mol%以上、または85mol%以上、または90mol%以上、または92mol%以上、または94mol%以上、または96mol%以上、または98mol%以上、または99mol%以上の重合ビニルアレーンを含み、
【0140】
【化12】
mol%が、(AR)セグメント内の重合ビニルアレーンの全モル数に基づく、上のA]~X]もしくはQ2]もしくはR2]のいずれか1つの方法または上のA2]~R2]のいずれか1つの組成物。
【0141】
T2]エチレン/ビニルアレーンマルチブロックインターポリマーについて、各(AR)セグメントが独立して、上のサブセグメントsbb内に示されるようにシンジオタクチック「バックツーバック」配置で100mol%以下の重合ビニルアレーンを含む、上のA]~X]もしくはQ2]~S2]のいずれか1つの方法または上のA2]~S2]のいずれか1つの組成物。
【0142】
U2]エチレン/ビニルアレーンマルチブロックインターポリマーについて、各(AP)セグメントが独立して、サブセグメントbb内に以下に示されるように「バックツーバック」配置で存在する0以上かつ5.0mol%以下、または2.0mol%以下、または1.0mol%以下、または0.5mol%以下、または0.2mol%以下、または0.1mol%以下の重合ビニルアレーンを含み、
【0143】
【化13】
mol%が、(AP)セグメント内の重合ビニルアレーンの全モル数に基づく、上のA]~X]もしくはQ2]~T2]のいずれか1つの方法または上のA2]~T2]のいずれか1つの組成物。
【0144】
V2]エチレン/ビニルアレーンマルチブロックインターポリマーについて、各(AP)セグメント内の重合ビニルアレーンのいずれも、上のサブセグメントbb内に示されるように「バックツーバック」配置で存在しない、上のA]~X]もしくはQ2]~U2]のいずれか1つの方法または上のA2]~U2]のいずれか1つの組成物。
【0145】
W2]エチレン/ビニルアレーンマルチブロックインターポリマーについて、ビニルアレーンがスチレンである、上のA]~X]もしくはQ2]~V2]のいずれか1つの方法または上のA2]~V2]のいずれか1つの組成物。
【0146】
X2]エチレン/ビニルアレーンマルチブロックインターポリマーが、エチレン/アルファ-オレフィン/ビニルアレーンマルチブロックインターポリマー、さらにエチレン/アルファ-オレフィン/ビニルアレーンマルチブロックターポリマーである、上のA]~X]もしくはQ2]~W2]のいずれか1つの方法または上のA2]~W2]のいずれか1つの組成物。
【0147】
Y2]組成物が、2.5以上、または2.6以上、または2.7以上、または2.8以上、または2.9、または3.0以上、または3.1以上の分子量分布(MWD=M/M)を有する、上のA]~X]もしくはQ2~X2]のいずれか1つの方法または上のA2]~X2]のいずれか1つの組成物。
【0148】
Z2]組成物が、20以下、または10以下、または8.0以下、または6.0以下、または5.5以下、または5.0以下または4.5以下または4.0以下の分子量分布MWDを有する、上のA]~X]もしくはQ2]~Y2]のいずれか1つの方法または上のA2]~Y2]のいずれか1つの組成物。
【0149】
A3]組成物が、10,000g/mol以上、または12,000g/mol以上、または14,000g/mol以上、または16,000g/mol以上、または18,000g/mol以上の数平均分子量(Mn)を有する、上のA]~X]もしくはQ2]~Z2]のいずれか1つの方法または上のA2]~Z2]のいずれか1つの組成物。
【0150】
B3]組成物が、100,000g/mol以下または90,000g/mol以下、または80,000g/mol以下、または70,000g/mol以下、または65,000g/molまたは60,000g/mol以下、または55,000g/mol以下のMnを有する、上のA]~X]もしくはQ2]~A3]のいずれか1つの方法または上のA2]~A3]のいずれか1つの組成物。
【0151】
C3]組成物が、30,000g/mol以上、35,000g/mol以上、40,000g/mol以上、45,000g/mol以上の重量平均分子量(M)を有する、上のA]~X]もしくはQ2]~B3]のいずれか1つの方法または上のA2]~B3]のいずれか1つの組成物。
【0152】
D3]組成物が、400,000g/mol以下、または350,000g/mol以下、または300,000g/mol以下、または250,000g/mol以下、または200,000g/mol以下のMwを有する、上のA]~X]もしくはQ2]~C3]のいずれか1つの方法または上のA2]~C3]のいずれか1つの組成物。
【0153】
E3]組成物が、0.5dg/分以上、または1.0dg/分以上、または2.0dg/分以上、または5.0dg/分以上、または10dg/分以上のメルトインデックス(I)を有する、上のA]~X]もしくはQ2]~D3]のいずれか1つの方法または上のA2]~D3]のいずれか1つの組成物。
【0154】
F3]組成物が、1,000dg/分以下、または500dg/分以下、または250dg/分以下、または100dg/分以下、または50dg/分以下、または20dg/分以下のメルトインデックス(I2)を有する、上のA]~X]もしくはQ2]~E3]のいずれか1つの方法または上のA2]~E3]のいずれか1つの組成物。
【0155】
G3]組成物が、100℃以上、または120℃以上、または150℃以上、または200℃以上、または220℃以上、または230℃以上、または240℃以上、または250℃以上のTを有する、上のA]~X]もしくはQ2]~F3]のいずれか1つの方法または上のA2]~F3]のいずれか1つの組成物。
【0156】
H3]組成物が、300℃以下、または290℃以下、または285℃以下、または280℃以下、または275℃以下、または270℃以下、または265℃以下のTを有する、上のA]~X]もしくはQ2]~G3]のいずれか1つの方法または上のA2]~G3]のいずれか1つの組成物。
【0157】
I3]組成物が、-75℃以上、または-70℃以上、または-65℃以上のTを有する、上のA]~X]もしくはQ2]~H3]のいずれか1つの方法または上のA2]~H3]のいずれか1つの組成物。
【0158】
J3]組成物が、10℃以下、または0℃以下、または-20℃以下、または-30℃以下、または-40℃以下、または-50℃、または-55℃以下のTを有する、上のA]~X]もしくはQ2]~I3]のいずれか1つの方法または上のA2]~I3]のいずれか1つの組成物。
【0159】
K3]組成物が、重合形態で、組成物中の重合モノマーの全モル数に基づいて5.0mol%以上、または10mol%以上、または12mol%以上、または14mol%以上のビニルアレーンを含む、上のA]~X]もしくはQ2]~J3]のいずれか1つの方法または上のA2]~J3]のいずれか1つの組成物。
【0160】
L3]組成物が、重合形態で、組成物中の重合モノマーの全モル数に基づいて60mol%以下、または55mol%以下、または50mol%以下、または45mol%以下のビニルアレーンを含む、上のA]~X]もしくはQ2]~K3]のいずれか1つの方法または上のA2]~K3]のいずれか1つの組成物。
【0161】
M3]組成物が、重合形態で、組成物中の重合モノマーの全モル数に基づいて10mol%以上、または15mol%以上、または20mol%以上、または25mol%以上のエチレンを含む、上のA]~X]もしくはQ2]~L3]のいずれか1つの方法または上のA2]~L3]のいずれか1つの組成物。
【0162】
N3]組成物が、重合形態で、組成物中の重合モノマーの全モル数に基づいて90mol%以下、または85mol%以下、または80mol%以下、または78mol%以下、または76mol%以下、または74mol%以下、または72mol%以下、または70mol%以下のエチレンを含む、上のA]~X]もしくはQ2]~M3]のいずれか1つの方法または上のA2]~M3]のいずれか1つの組成物。
【0163】
O3]組成物が、重合形態で、組成物中の重合モノマーの全モル数に基づいて2.0mol%以上、5.0mol%以上、または10mol%以上、または12mol%以上、または14mol%以上、または16mol%以上のアルファ-オレフィンを含む、上のA]~X]もしくはQ2]~N3]のいずれか1つの方法または上のA2]~N3]のいずれか1つの組成物。
【0164】
P3]組成物が、重合形態で、組成物中の重合モノマーの全モル数に基づいて50mol%以下、または45mol%以下、または40mol%以下、または35mol%以下のアルファ-オレフィンを含む、上のA]~X]もしくはQ2]~O3]のいずれか1つの方法または上のA2]~O3]のいずれか1つの組成物。
【0165】
Q3]アルファ-オレフィンが、C~C20アルファ-オレフィン、さらにC~C10アルファ-オレフィン、さらにC~Cアルファ-オレフィン、さらにプロピレン、1-ブテン、1-ヘキセンまたは1-オクテン、さらにプロピレン、1-ブテンまたは1-オクテン、さらに1-ブテンまたは1-オクテン、さらに1-オクテンである、上のA]~X]もしくはQ2]~P3]のいずれか1つの方法または上のO3]もしくはP3]の組成物。
【0166】
R3]組成物について、単離スチレンに対するブロックスチレン(AR内のb-b)のモル比が、2.0以上、4.0以上、または6.0以上、または8以上、または10以上である、上のA]~X]もしくはQ2]~Q3]のいずれか1つの方法または上のA2]~Q3]のいずれか1つの組成物。
【0167】
S3]組成物について、単離スチレンに対するブロックスチレン(AR内のb-b)のモル比が、30以下、または25以下である、上のA]~X]もしくはQ2]~R3]のいずれか1つの方法または上のA2]~R3]のいずれか1つの組成物。
【0168】
T3]ビニルアレーンがスチレンである、上のA]~X]もしくはQ2]~S3]のいずれか1つの方法または上のA2]~S3]のいずれか1つの組成物。
【0169】
U3]エチレン/ビニルアレーンマルチブロックインターポリマーが、エチレン/ビニル-アレーン/アルファ-オレフィンマルチブロックインターポリマー、さらにエチレン/ビニルアレーン/アルファ-オレフィンマルチブロックターポリマーである、上のA]~X]もしくはQ2]~T3]のいずれか1つの方法または上のA2]~T3]のいずれか1つの組成物。
【0170】
V3]組成物が、ポリエチレンホモポリマー、エチレン/ビニルアレーンコポリマー、エチレン/アルファ-オレフィンコポリマー、またはそれらの組合せをさらに含む、上のA]~X]もしくはQ2]~U3]のいずれか1つの方法または上のA2]~U3]のいずれか1つの組成物。
【0171】
W3](1種もしくは複数種の)モノマータイプおよび/もしくは量、T、T、M、M、MWD、またはそれらの任意の組合せなどの1つまたは複数の特徴において、ならびにさらに、(1種もしくは複数種の)モノマータイプおよび/もしくは量、T、T、またはそれらの任意の組合せなどの1つまたは複数の特徴においてエチレン/ビニルアレーンマルチブロックインターポリマーと異なる熱可塑性ポリマーをさらに含む、上のA2]~V3]のいずれか1つの組成物。
【0172】
X3]上のY]またはA2]~W3]のいずれか1つの組成物から形成される、少なくとも1種の成分を含む物品。
【0173】
Y3]上のA2]~V3]のいずれか1つの組成物を形成する方法であって、少なくとも以下のa)~c):
a)上記のような、以下の式Aから選択される第1の金属錯体;
b)上記のような、以下の式Bから選択される第2の金属錯体;
c)以下:ジアルキル亜鉛、トリアルキルアルミニウム、またはそれらの組合せから選択されるチェーンシャトリング剤
の存在下で、エチレン、ビニルアレーン、および任意選択でアルファ-オレフィンを含む混合物を単一反応器内で重合させることを含む、方法。
【0174】
試験方法
ゲル浸透クロマトグラフィー(従来)
クロマトグラフィーシステムは、内部IR5赤外検出器(IR5)を備えたPolymerChar GPC-IR(バレンシア、スペイン)高温GPCクロマトグラフからなっていた。オートサンプラーオーブン室は160℃に設定され、カラム槽は150℃に設定された。カラムは、4本のAGILENT「Mixed A」30cm、20ミクロン線状混合床カラムであった。クロマトグラフィー溶媒は1,2,4-トリクロロベンゼンであり、それは、「200ppm」のブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)を含んでいた。溶媒源は、スパージされた窒素であった。使用された注入量は200マイクロリットルであり、流量は1.0ミリリットル/分であった。
【0175】
GPCカラムセットの較正が、580~8,400,000の範囲の分子量を有する21種の狭分子量分布ポリスチレン標準を用いて実施され、それらは、個々の分子量間が少なくとも1ディケード(a decade)分離して、6種の「カクテル」混合物中に配置された。標準は、Agilent Technologiesから購入された。ポリスチレン標準は、1,000,000以上の分子量について、「50ミリリットル」の溶媒中「0.025グラム」で、1,000,000未満の分子量について、「50ミリリットル」の溶媒中「0.05グラム」で調製された。ポリスチレン標準は、穏やかにかき混ぜながら80℃で30分間溶解された。ポリスチレン標準ピーク分子量が、式1(Williams and Ward, J. Polym. Sci., Polym. Let, 6, 621 (1968)に記載されている通り)を使用してポリエチレン分子量に変換された:
【0176】
ポリエチレン=A×(Mポリスチレン(式1)(式中、Mは分子量であり、Aは、0.4315の値を有し、Bは、1.0に等しい)。
【0177】
それぞれのポリエチレン等価較正点をあてはめるために5次多項式が使用された。線状ホモポリマーポリエチレン標準が120,000Mで得られるようにカラム分解能およびバンド拡張効果を補正するためにAが少し調整された(およそ0.375~0.445)。GPCカラムセットの全プレートカウントが、デカン(「50ミリリットル」のTCB中「0.04g」で調製され、穏やかにかき混ぜながら20分間溶解された)を用いて実施された。プレートカウント(式2)および対称性(式3)が、「200マイクロリットル注入」に対して、以下の式:
【0178】
【数1】
(式中、RVは、ミリリットル単位の保持体積であり、ピーク幅はミリリットル単位であり、ピーク最大値は、ピークの最大高さであり、1/2高さは、ピーク最大値の1/2高さである);および
【0179】
【数2】
(式中、RVは、ミリリットル単位の保持体積であり、ピーク幅はミリリットル単位であり、ピーク最大値は、ピークの最大位置であり、1/10高さは、ピーク最大値の1/10高さであり、ここで、後部ピークは、ピーク最大値よりも後の保持体積におけるピーク尾部を指し、ここで、前部ピークは、ピーク最大値よりも早い保持体積におけるピーク前部を指す)にしたがって測定された。クロマトグラフィーシステムのプレートカウントは18,000を超えるべきであり、対称性は0.98~1.22の間であるべきである。
【0180】
試料が、PolymerChar「Instrument Control」Softwareを用いて半自動で調製され、ここで、試料(「2mg/ml」を重量目標とした)および溶媒(200ppm BHTを含んでいた)が、PolymerChar高温オートサンプラーを介して、予め窒素スパージされたセプタムキャップ付きバイアルに加えられた。試料は、「低速度」振盪下、160℃で2時間溶解された。
【0181】
Mn(GPC)、Mw(GPC)およびMz(GPC)の計算は、PolymerChar GPCOne(商標)Software、各等間隔のデータ収集点(i)におけるベースラインを差し引いたIRクロマトグラム、および式1からの点(i)における狭い標準較正曲線から得られるポリエチレン等価分子量を使用して、式4~6にしたがって、PolymerChar GPC-IRクロマトグラフの内部IR5検出器(測定チャネル)を使用した、GPC結果に基づいた。式4~6は、以下の通りである:
【0182】
【数3】
【0183】
経時的な偏差を監視するために、PolymerChar GPC-IRシステムで制御されたマイクロポンプを介して、流量マーカー(デカン)が各試料に導入された。この流量マーカー(FM)を使用して、試料(RV(FM試料))内のそれぞれのデカンピークを狭い標準較正(RV(FM較正済み))内のデカンピークのそれとRV整合させることにより、各試料のポンプ流量(流量(見掛け))が線形補正された。次いで、デカンマーカーピークの時間のいかなる変化も、運転全体について流量(流量(有効))の線形シフトに関連すると仮定された。流量マーカーピークのRV測定の最高精度を容易にするために、最小二乗フィッティングルーチンを使用して、流量マーカー濃度クロマトグラムのピークが二次方程式にあてはめられた。次いで、二次方程式の一次導関数を使用して、真のピーク位置が求められた。流量マーカーピークに基づいてシステムを較正した後、有効流量(狭い標準較正に対する)が式7のように計算された:流量(有効)=流量(見掛け)(RV(FM較正済み)/RV(FM試料))(式7)。流量マーカーピークの処理が、PolymerChar GPCOne(商標)Softwareを介して行われた。許容される流量補正は、有効流量が見掛け流量の+/-0.7%以内であるようなものである。
【0184】
メルトインデックス
エチレン系ポリマーのメルトインデックス(I2)は、ASTM D-1238、条件190℃/2.16kgにしたがって測定される。プロピレン系ポリマーのメルトフローレート(MFR)は、ASTM D-1238、条件230℃/2.16kgにしたがって測定される。
【0185】
密度
ASTM D4703を使用して、密度分析用のポリマープラークが作製される。ASTM D792、Method Bを使用して、ポリマーの密度が測定される。
【0186】
示差走査熱量測定法(DSC)
示差走査熱量測定法(DSC)を使用して、エチレン系(PE)ポリマー試料およびスチレン系(PS)ポリマー試料においてT、T、Tおよび結晶化度が測定される。約5~8mgのポリマー試料が秤量され、DSCパン内に置かれる。蓋をパン上に圧着して、閉鎖雰囲気が確保された。特に記載されない限り、試料パンがDSCセル内に置かれ、次いで、PEについては180℃(PSについては300℃)の温度まで10℃/分の速度で加熱された。試料が、この温度で3分間保たれた。次いで、試料が、PEについては-90℃(PSについては-90℃)まで10℃/分の速度で冷却され、その温度で3分間等温的に保たれた。次に、試料が完全に溶融するまで10℃/分の速度で加熱された(第2の加熱)。特に記載されない限り、各ポリマーの融点(T)およびガラス転移温度(T)が第2の加熱曲線から決定され、結晶化温度(T)が第1の冷却曲線から決定された。T(ピーク温度)およびTが記録された。第2の加熱曲線から決定された融解熱(H)をPEについては292J/g(シンジオタクチックPSについては53J/g)の理論融解熱で割り、この量に100を掛けることにより、パーセント結晶化度を計算することができる(例えば、%結晶化度=(Hf/292J/g)×100(PEについて))。
【0187】
13C NMR
10mmNMR管内でおよそ2.7gのストック溶媒を0.2gの試料(ポリマーまたはポリマー組成物または金属錯体)に加えることにより、各試料が調製された。ストック溶媒は、0.025Mクロムアセチルアセトネート(緩和剤)を含むテトラクロロエタン-dであった。試料に蓋がされ、TEFLONテープで密封された。管およびその内容物を130~135℃で加熱することにより、試料が溶解および均質化される。Bruker高温CryoProbeを備えたBruker 600MHz分光計を使用してデータが収集された。120℃の試料温度と共に、パルス繰返し遅延7.3秒(遅延6秒+取得時間1.3秒)、フリップ角90度、および逆ゲートデカップリングを使用して、データが取得された。すべての測定が、非回転試料に対してロックモードで行われた。試料が、加熱(125℃)されたNMR試料チェンジャーに挿入する直前に均質化され、データ取得の前にプローブ内で7分間熱平衡化された。
【0188】
各試料(ポリマーまたはポリマー組成物)分析のために、145.0~147.7ppmのB1炭素(芳香族環上の第四級炭素)シグナルがスチレン寄与として使用され、重合モノマーのモル量が以下のように計算された(S=スチレン、E=エチレン):
Smol=インテグラル(145.0~147.7ppm)
Emol=(インテグラル(20.0~48.0ppm)-2Smol)/2
S mol%=100Smol/(Smol+Emol)
E mol%=100-S mol%
【0189】
【化14】
【0190】
各試料(ポリマーまたはポリマー組成物)分析のために、124.0~148.0ppmのB1~4環炭素シグナルがスチレン寄与として使用され、2B6(22.0~23.5ppm)、および3B6(31.5~32.7ppm)シグナルがオクテン寄与として使用され、重合モノマーのモル量が以下のように計算された(S=スチレン、E=エチレン、O=オクテン):
Smol=インテグラル(124.0~148.0ppm)/6
Omol=(インテグラル(22.0~23.5ppm)+インテグラル(31.5~32.7ppm))/2
Emol=(インテグラル(11.8~48.0ppm)-2Smol-8Omol)/2
Smol%=100Smol/(Smol+Omol+Emol)
Omol%=100Omol/(Smol+Omol+Emol)
Emol%=100-Smol%-Omol%
【0191】
【化15】
平均スチレンブロック長=2(インテグラルTββ+Tβδ)/インテグラルTβδ
単離スチレンに対するブロックスチレンの比=(インテグラルTββ+Tβδ)/インテグラルTδδ
ββシグナルは、およそ41.6ppmを中心とするメチンシグナルであり、Tβδシグナルは、およそ43.9ppmを中心とするメチンシグナルであり、Tδδシグナルは、およそ46.4ppmを中心とするメチンシグナルである。
ββ%=100インテグラルTββ/インテグラルB1
【0192】
H NMR
10mmNMR管内で0.001M Cr(acac)を含む3.25gのテトラクロロエタン-dに130mgの試料(金属錯体)を加えることにより、各試料が調製された。管に挿入されたピペットを介して溶媒中にNをバブリングすることにより、試料をおよそ5分間パージして、酸化が防止された。試料容器に蓋がされ、TEFLONテープで密封された。試料が加熱され、均質性を確保するために115℃でボルテックスされた。H NMRが、Bruker高温CryoProbeを備えたBruker AVANCE 600MHz分光計で、かつ120℃の試料温度で実施された。H NMRが、ZGパルス、4スキャン、SWH 10,000Hz、AQ 1.64秒、d 14秒で運転された。
【0193】
気液平衡(VLE)計算による液相モノマー濃度の決定
オレフィン重合はバッチ反応器内の液相中で起こるため、液相内の反応物濃度を決定することは有用である。これは、液相をサンプリングおよびオンラインガスクロマトグラフを使用することによる実測により、またはフーリエ変換近赤外分光法もしくはラマン分光法などの分光技術を通じて行うことができる。代替方法は、反応器に加えられる各反応物および溶媒の量、ならびに温度および圧力を正確に測定し、次いで、熱力学「状態方程式」モデルを使用して、存在する液体および蒸気相の量、ならびに各相の組成物を計算することである。適した状態方程式には、Redlich-Kwong-Soave[1]、Peng-Robinson[2]、またはさらに最近では、摂動鎖統計的会合流体理論(perturbed chain statistical associating fluid theory)PC-SAFT状態方程式[3]が含まれる。熱力学パラメータは文献から得ることができ、式は、スプレッドシートまたは他のコンピュータ計算において解くことができる。あるいは、商業的なプロセスシミュレーションソフトウェアを使用して、選ばれた状態方程式モデルを解き、バッチ反応器内の条件を決定することができる。例には、ASPEN PLUS[4]、CHEMCAD[5]、またはgPROMS[6]が含まれる。ASPEN PLUSがPC-SAFT状態方程式と共に実験例において使用された-図7参照。
【0194】
[1] Soave, Giorgio. "Equilibrium constants from a modified Redlich-Kwong equation of state". Chemical Engineering Science. 27 (6): 1197-1203.
[2] Peng, D. Y.; Robinson, D. B. "A New Two-Constant Equation of State". Industrial and Engineering Chemistry: Fundamentals. 15: 59-64.
[3] Gross, Joachim; Sadowski, Gabriele. "Perturbed-Chain SAFT: An Equation of State Based on a Perturbation Theory for Chain Molecules". Industrial & Engineering Chemistry Research. 40 (4): 1244-1260.
[4] https://www.aspentech.com/products/engineering/aspen-plus
[5] https://www.chemstations.com/CHEMCAD/
[6] https://www.psenterprise.com/
【0195】
実験
研究1:ビニルアレーンリッチ(ハードブロック)分析
(CMe)Sc(CHNMe-o)、CAT Bの合成
【0196】
【化16】
窒素充填グローブボックス内で、Sc(CHCHNMe-o)(0.300g、0.67mmol)のTHF溶液(1mL)が、20mLバイアル中のCMeH(0.105mL、0.67mmol)のTHF溶液(1mL)に加えられた。溶液が70℃で12時間加熱された。溶媒が減圧下で除去され、残留物がヘキサンで抽出され、次いで、濾過された。濃縮ヘキサン溶液が-30℃で平衡化されて、黄色結晶(0.203g、収率65.5%)を与えた。H NMRおよび13C NMRスペクトルは文献報告(Chem. Commun. 2007, 40, 4137-4139)と一致する。Sc錯体(CAT B)の図1H NMR)および図213C NMR)を参照されたい。
【0197】
Sc触媒(CAT B)のチェーンシャトリング実験
ガラスバイアルにトルエン(最終体積8mL)、スチレン(1mL)、および磁気撹拌子が入れられた。CAT B(5umol)、「アミン、ビス(水素化タローアルキル)メチル、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(1-)(1.2当量)」、およびチェーンシャトリング剤TEAまたはDEZ(25、または100umol)のいずれかが溶液に順次加えられた。チェーンシャトリング剤を含まない対照溶液も調製された。各混合物が100℃で1時間加熱され、次いで、徐冷された後、メタノール中にクエンチされた。ポリマーが濾過により集められ、真空下で乾燥された。ポリマー特性が、以下の表1に列挙される。GPCプロファイルが図3に示される。これらの重合は、チェーンシャトリング剤の存在下のCAT Bのチェーンシャトリング能を示す。これは、表1中のデータにより明らかに示され、それは、DEZまたはTEAの存在下で実施される重合に対する分子量の特徴的な低下およびMWDの狭小化を示す。
【0198】
【表1】
【0199】
バッチ反応器重合セットアップ(ビニルアレーンリッチ)
バッチ反応器セットアップは、プロセス制御システムにより制御される600mL Parr反応器からなっていた。反応器は、電気加熱ジャケット、温度制御のための内部冷却コイル、ならびに反応器および反応器ダンプポットの間の電気ヒートトレースされた移送ラインが備えられた。取外し可能な1リットルシリンダーから溶媒またはモノマー(50mL)を投入するオプションと共に3種のフィードが利用可能であった。このシリンダーが、不活性(N)グローブボックス内に装填され、その内容物が、窒素注入を介して反応器に移送された。触媒成分およびチェーンシャトリング剤が不活性グローブボックス内で調製され、窒素移送を介して50mLシリンダーから反応器に移送された。1-オクテンシリンダーが精製プラントフィードから充填された。エチレンがAirgasから高純度グレードとして供給された。さらなる精製のために、活性アルミナ、13Xモレキュラーシーブ、およびQ5材料のインライン床に1-オクテンおよびエチレンが通された。触媒注入およびパージングのための高圧窒素は超高純度グレードであった。スチレンが、反応器内に加える直前に脱気され、スチレン供給を中性アルミナのプラグに通すことにより阻害剤が除去された。
【0200】
エチレン、1-オクテン、スチレン重合:[CpSc]触媒-CAT Bの反応性
脱気された無水トルエンが、質量流量計を使用しながら、窒素で加圧された溶媒シリンダーから600mL Parr反応器に加えられ、反応器アジテーターが450rpmに設定された。高圧窒素で加圧されたシリンダーを介してスチレンが注入された。使用されたとき、事前に設定された量の1-オクテンが、流量計を使用しながら、窒素で加圧されたシリンダーから反応器に加えられた。反応器が120℃の開始温度設定点に達したら、流量計を使用しながら、事前に設定された量のエチレンが反応器に加えられ、続いて、活性触媒溶液が加えられた。事前に調製されたCAT B(典型的な投入量22μmol Sc)のトルエン溶液、トルエン中の「アミン、ビス(水素化タローアルキル)メチル、テトラキス(ペンタフルオロ-フェニル)ボレート(1-)」活性化剤(1.0~1.2当量)の0.006M溶液、およびトルエン中のMMAO-3A(10当量)の0.05M溶液を加えることにより触媒溶液が調製された。各「当量」は、1当量のCAT Bとの比較である。
【0201】
全体的な反応器圧力が、所望の10分の運転時間全体を通じて、プログラムされた設定点に制御されている間に200mg/分のエチレン流が開始された。混合時間の後、アジテーターが停止され、反応器の内容物がダンプポットに空けられた。ポット内容物がメタノールに注がれ、混合物が撹拌された。ポリマー沈殿物が濾過され、真空オーブン内で130℃で6時間乾燥された。重合条件およびポリマー特性が、以下の表2に示される。表3も参照されたい。表2および3中のインターポリマーAR1~AR12は、例えばモノマー組成物中の、エチレン/オクテン/スチレンマルチブロックインターポリマーのビニルアレーンリッチ(ハードブロック)セグメント、重合ビニルアレーンのタクチシティー、TおよびTをそれぞれ表す。
【0202】
【表2】
【0203】
【表3】
【0204】
追加の研究-CAT B
図4は、T(DSC測定による)および「バックツーバックスチレン取込み」のモル百分率またはTbb13C NMRにより決定される)を、それぞれ重合された(または取り込まれた)スチレンのモル百分率(13C NMRにより決定される)の関数として示す。この図に見られるように、エチレン(C2)取込みの量が増加するにつれて、sPSのTmは、純粋なsPSのT(270℃)未満に低下し、Tbbのモル百分率も低下する。試料は、表2および3のバッチ反応器試料を含む。
【0205】
図5は、重量平均分子量(M)(GPCによる)およびT(DSCによる)を、それぞれ記述される重合パラメータの関数として示す。この図に見られるように、チェーンシャトリング剤の存在は、結果として、反応混合物中のチェーンシャトリングの存在を示す分子量およびTの低下につながる。また、1-オクテンの存在は、分子量またはTに著しく影響しなかった。試料は、上のバッチ重合にしたがって、かつ表4に示される条件を使用して調製された。
【0206】
【表4】
【0207】
研究1からのデータは、所期のチェーンシャトリング重合に望ましい、スカンジウム触媒(CAT B)が有する共重合の特徴を示し、それは、この触媒が、1-オクテンなどのアルファ-オレフィンの存在下、高い溶融温度を有するポリスチレンまたはポリ(スチレン-co-エチレン)を調製することを必要とする。このスキームが成功するために、触媒は、望ましくは、スチレンに対して高い反応性を有するべきであるが、アルファ-オレフィンに対して非常に低い反応性を有するべきである。上の表および図は、スチレンおよびエチレンに対して高い反応性を示すが、1-オクテンに対して非常に低い反応性を示す。加えて、DEZまたはTEAの存在下で実施される重合に対する分子量の低下から分かるように、望ましいチェーンシャトリングの特徴は維持される。
【0208】
研究2:ビニルアレーンが乏しい(ソフトブロック)分析
【0209】
【化17】
【0210】
エチレン、1-オクテン、スチレン重合:CAT Aの反応性
バッチ反応器セットアップに関する上の議論を参照されたい。脱気された無水トルエンが、質量流量計を使用しながら、窒素で加圧された溶媒シリンダーから600mL Parr反応器に加えられ、反応器アジテーターが450rpmに設定された。高圧窒素で加圧されたシリンダーを介してスチレンが注入された。事前に設定された量の1-オクテンが、流量計を使用しながら、窒素で加圧されたシリンダーから反応器に加えられた。反応器が120℃の開始温度設定点に達したら、流量計を使用しながら、事前に設定された量のエチレンが反応器に加えられ、続いて、活性触媒溶液が加えられた。事前に調製されたCAT A触媒のトルエン溶液、トルエン中の「アミン、ビス(水素化タローアルキル)メチル、テトラキス(ペンタフルオロ-フェニル)-ボレート(1-)」活性化剤(1.0~1.2当量)の0.006M溶液、およびトルエン中のMMAO-3A(10当量)の0.05M溶液を加えることにより触媒溶液が調製された。各「当量」は、1当量のCAT Aとの比較である。
【0211】
全体的な反応器圧力が、所望の10分の運転時間全体を通じて、プログラムされた設定点に制御されている間に200mg/分のエチレン流が開始された。混合時間の後、アジテーターが停止され、反応器の内容物がダンプポットに空けられた。ポット内容物がメタノールに注がれ、混合物が撹拌された。ポリマー沈殿物が濾過され、真空オーブン内で130℃で6時間乾燥された。重合条件およびポリマー特性が、以下の表5に示される。表6も参照されたい。表5および6中のインターポリマーAP1~AP11は、例えばモノマー組成物中の、エチレン/オクテン/スチレンマルチブロックインターポリマーのビニルアレーンが乏しい(ソフトブロック)セグメント、重合ビニルアレーンのタクチシティー、TおよびTをそれぞれ表す。
【0212】
【表5】
【0213】
【表6】
【0214】
追加の研究-CAT A
図6は、DSCによるガラス転移温度(T)を、ポリマー中の重合オクテンのモル百分率(13C NMRから決定される)の関数として示す。この図および以下の表7に見られるように、反応器内のスチレンの存在は、最終ポリマーのガラス転移温度および非晶質相に大きい影響を与えない。試料は、上のバッチ重合(表5参照)にしたがって、かつ表7に示される条件を使用して調製された。
【0215】
【表7】
【0216】
研究2からのデータは、ハフニウム触媒(CAT A)について、所期のチェーンシャトリング重合に望ましい共重合の特徴を示す。スカンジウム触媒(CAT B)とは異なり、この触媒種は、スチレンをほとんど取り込まずにポリエチレンまたはポリ(エチレン(ethyene)-co-1-オクテン)を調製することが必要とされる。触媒は、望ましくは、エチレンおよびアルファ-オレフィンとの高い反応性、ならびにスチレンに対する低い反応性を有するべきである。上の表および図は、エチレンおよび1-オクテンに対しては高い反応性、しかし、スチレンに対しては低い反応性を明らかにする。これは、NMRにより決定されるポリマーへの低スチレン取込みによっても明らかである。加えて、スチレンは、ポリマーのTを上昇させ得、それは、弾性用途における性能にとって有害であろうが、ポリマー生成物においてTの上昇はほとんどまたは全く観察されなかった。また、チェーンシャトリングを示す分子量の低下が、TEAおよびCAT Aの存在下で観察された。
【0217】
図7は、反応器条件(mol%エチレン、mol%スチレンおよびmol%オクテン、それぞれVLE計算により決定される、白丸)ならびにターポリマー化条件下で調製された最終ポリマー中のエチレン、スチレンおよびオクテンの対応するモル百分率(それぞれ13C NMR分光法により決定される、正方形および三角形)を示す。この図は、CAT AおよびCAT Bの仮定的な直交重合挙動を示す。試料は、表2および表5の重合例であった。
【0218】
研究3:マルチブロックインターポリマー分析-二元触媒およびチェーンシャトリング
バッチ反応器重合セットアップ
二元触媒重合が600mL Parrバッチ反応器内で実施された。反応器が、電気加熱バンドにより加熱され、内部冷却コイルにより冷却された。反応器および加熱/冷却システムの両方がプロセスコンピュータにより制御および監視された。反応器の底部にダンプ弁が備えられ、それにより反応器内容物をガラスダンプポットに空けた。ダンプポットは、一定のNパージを有しており、ダンプポットに排出された。各重合のために使用されるエチレンは、Q5および3Aモレキュラーシーブからなる精製カラムに通されて、あらゆる酸素および水を除去した。Acros Organics製無水グレードトルエンがフード内で窒素でスパージされ、グローブボックスに移送された。モレキュラーシーブがトルエンに加えられて、溶媒から水が除去された。高圧窒素は、Airgasまたは別の業者により供給された超高純度グレードであった。Sigma Aldrichから入手されたスチレンが、使用する直前に脱気され、中性アルミナに通されて、阻害剤が除去された。
【0219】
トルエン、エチレン、スチレン、および任意選択で、オクテンが反応器に加えられた。トルエンが、グローブボックスの内側で1リットルのステンレス鋼シリンダーに加えられ、次いで、高圧窒素を使用して反応器に加えられた。CSA(例えば、TEAまたはDEZ)の事前注入がトルエンと共に加えられた後、反応器が加熱され、反応器が溶媒で充填された。2種の対照重合は、CSAの事前注入を有さなかった。トルエンが加えられた後、反応器が120℃まで加熱されている間に反応器アジテーターが1000rpmで操作された。反応器がこの温度設定点に達したとき、流量計を使用しながら、所望の量のエチレンが反応器に加えられた。反応圧力設定点を維持するために、エチレンが反応全体を通じて加えられた。
【0220】
不活性(N)グローブボックスの内側でトルエン中でスカベンジャー、活性化剤、およびそれぞれの触媒を混合することにより、2種の触媒カクテルが調製された。スカベンジャー、(1種または複数種の)活性化剤、および触媒が、適量のトルエンと共に混合されて、所望のモル濃度溶液が得られた。各カクテルがシリンジに吸い込まれ、シリンジが、N雰囲気下(グローブボックスから反応器に移送する間、カクテル上の不活性雰囲気を維持するため)、ゴムセプタムキャップ付きの20mLのガラスバイアルに空けられた。バイアルの内容物が、グローブボックスの外側の触媒ショットタンク内に移送された。反応器が、その120℃の目標温度設定点に達し、圧力および温度の両方が定常状態に達した後、反応器は、運転する準備ができた。「触媒カクテル」が、汚染を避けるための一定の低圧窒素パージと共にインジェクターに注入された。運転タイマーが制御システムで開始され、アジテーターが1000rpmで運転している間に「触媒カクテル」が反応器に直ちに注入された。2種の異なる触媒カクテルが同時に注入された。重合が成功して最初の1分以内に、発熱ならびに反応器圧力の低下が観察された。上で論じたように、圧力コントローラを利用して、反応器圧力設定点を維持することにより、エチレンが加えられた。反応器は、指定の時間量の間、典型的には10分間運転した。運転の最後にポリマーをダンプする前に、反応器ダンプポットが300mLメタノールで充填されて(換気フード内)、形成されたあらゆるポリマーが沈殿した(スチレン投入量が多かった場合、メタノールは加えられなかった)。ポットをフードから反応器に移送するとき、ヒュームを避けるためにダンプポット用のポリ蓋が使用された。ポリマーが、ダンプポットの内側でメタノール中にダンプされた。沈殿したポリマーが濾過により集められ、ラベル付きのMYLARトレイに移送された。ポリマー試料は換気フード内に残り、ここで、残留溶媒が一晩蒸発させられた。次いで、反応器がトルエン溶媒で充填され、180~190℃で高温洗浄されて、クリーンな反応器を確保され、その後の重合の相互汚染が避けられた。ポリマー生成物を含むトレイが真空オーブンに移送され、ここで、それらが真空下で最高100℃まで数時間加熱されて、すべての残留溶媒が除去された。トレイが周囲温度まで冷却された後、ポリマー生成物が収率/効率のために秤量され、ポリマー試験のために提出された。重合条件が表8に示される。MB-1~MB-8は、それぞれ、マルチブロックインターポリマーを含む組成物である。組成物特性が表9に示される。
【0221】
【表8】
【0222】
【表9】
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【国際調査報告】