(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-13
(54)【発明の名称】無線/光通信のための分散システム
(51)【国際特許分類】
H04W 88/10 20090101AFI20240205BHJP
H04W 16/28 20090101ALI20240205BHJP
H04W 84/12 20090101ALI20240205BHJP
H04W 72/0453 20230101ALI20240205BHJP
H04W 24/10 20090101ALI20240205BHJP
【FI】
H04W88/10
H04W16/28 130
H04W84/12
H04W72/0453
H04W24/10
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023537624
(86)(22)【出願日】2020-12-16
(85)【翻訳文提出日】2023-08-14
(86)【国際出願番号】 IB2020001060
(87)【国際公開番号】W WO2022129968
(87)【国際公開日】2022-06-23
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523228635
【氏名又は名称】サフラン パッセンジャー イノベーションズ
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【氏名又は名称】森本 有一
(72)【発明者】
【氏名】レオナルド ゴラッティ
(72)【発明者】
【氏名】エリーゼンダ テンプラード ガルリガ
(72)【発明者】
【氏名】ティンク ラシェード
【テーマコード(参考)】
5K067
【Fターム(参考)】
5K067AA03
5K067EE02
5K067EE10
5K067EE37
5K067KK02
5K067LL11
(57)【要約】
ユーザ機器と通信するための無線アクセスポイントWAPであって、WAPは、複数の無線通信ユニットと、複数の無線通信ユニットに通信可能に結合され、複数の無線通信ユニットを管理するように構成されているアクセス層制御ユニットALCUを備え、複数の無線通信ユニットの第1無線通信ユニットは、無線周波数RFスペクトルを通して通信し、複数の無線通信ユニットの第2無線通信ユニットは、可視または赤外線光スペクトルを通して通信する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザ機器と通信するための無線アクセスポイントWAPであって、
複数の無線通信ユニットと、
前記複数の無線通信ユニットに通信可能に結合され、前記複数の無線通信ユニットを管理するように構成されているアクセス層制御ユニットALCUを備え、
前記複数の無線通信ユニットの第1無線通信ユニットは、無線周波数RFスペクトルを通して通信し、
前記複数の無線通信ユニットの第2無線通信ユニットは、可視または赤外線光スペクトルを通して通信することを特徴とするWAP。
【請求項2】
前記ALCUは、前記WAPに通信可能に結合されている前記ユーザ機器と関連付けられ、前記複数の無線通信ユニットを通して収集された第1ネットワーク測定値に少なくとも部分的には基づいて、前記複数の無線通信ユニットを管理するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載のWAP。
【請求項3】
前記複数の無線通信ユニットを管理することは、前記WAPと前記ユーザ機器との間の通信リンクの符号誤り率BER、前記WAPと前記ユーザ機器との間の前記通信リンクのスペクトル効率、前記WAPと前記ユーザ機器との間の前記通信リンクの信号帯域幅、前記WAPと前記ユーザ機器との間の前記通信リンクの信号対雑音比SNR、前記WAPと前記ユーザ機器との間の前記通信リンクの信号対干渉プラス雑音比SINRを改良すること、前記第1および第2無線通信ユニットの通信負荷のバランスを取ること、前記WAPの送受信可能領域を拡大すること、シングルユーザおよび/またはマルチユーザMIMO機能を前記ユーザ機器に渡すこと、またはそれらの組み合わせを備えていることを特徴とする請求項2に記載のWAP。
【請求項4】
前記第1無線通信ユニットは、1つ以上のRFエンドポイントに通信可能に結合され、各RFエンドポイントは、RF通信のための少なくとも1つのアンテナを備え、
前記第2無線通信ユニットは、1つ以上の光に基づくエンドポイントに通信可能に結合され、各光に基づくエンドポイントは、前記可視または赤外線光スペクトルを通しての通信のために少なくとも1つの可視または赤外線光出射体を備えていることを特徴とする先行する請求項1から3のいずれか一項に記載のWAP。
【請求項5】
前記1つ以上のRFエンドポイントおよび/または前記1つ以上の光に基づくエンドポイントは、前記WAPの外部であることを特徴とする請求項4に記載のWAP。
【請求項6】
ネットワーク化システムであって、
先行する請求項1から5のいずれか一項に記載の、複数の無線アクセスポイントWAPと、
各WAPのALCUに通信可能に結合され、前記複数のWAPを管理するように構成されている認識制御ユニットCCUを備えていることを特徴とするネットワーク化システム。
【請求項7】
前記CCUは、各WAPと関連付けられ、各WAPの前記ALCUにより前記CCUに送信された第2ネットワーク測定値に少なくとも部分的には基づいて前記複数のWAPを管理するように構成されていることを特徴とする請求項6に記載のネットワーク化システム。
【請求項8】
前記複数のWAPを管理することは、
前記複数のWAPにおける前記WAPの間でネットワーク負荷のバランスを取ることと、
リンク不良の可能性が高いときに冗長通信リンクを提供するようにWAPを構成することと、
サービス品質保証に対する必要条件を遵守するようにWAPを構成することと、
WAP間の帯域幅割り当てを最適化することと、
RFおよび可視/赤外線光通信リンクを構成することと、
RFまたは可視/赤外線光スペクトルに対する予め定義されたチャネルを割り当てることと、
アクティブRFおよび光送信/受信要素の数を決定することと、
特定のユーザ機器とRFまたは可視光スペクトルのみを通して通信するようにWAPにさせることと、または、
それらの組み合わせを備えていることを特徴とする請求項7に記載のネットワーク化システム。
【請求項9】
前記CCUは、前記システムを形成している前記複数のWAPの1つにおいて統合されていることを特徴とする請求項6から8のいずれか一項に記載のネットワーク化システム。
【請求項10】
前記CCUは、各WAPの前記ALCUからの前記収集されたネットワーク測定値に基づいて、ニューラルネットワークを訓練することにより前記複数のWAPを管理することを特徴とする請求項6から9のいずれか一項に記載のネットワーク化システム。
【請求項11】
前記複数のWAPは、スター型トポロジーにおいて通信可能に結合され、前記CCUを備えている中央ノードにより中央集中的に連係されていることを特徴とする請求項6から10のいずれか一項に記載のネットワーク化システム。
【請求項12】
各WAPの前記第2無線通信ユニットは、IEEE 802.15.7またはIEEE 802.11bbプロトコルを通して通信するように構成されていることを特徴とする請求項6から11のいずれか一項に記載のネットワーク化システム。
【請求項13】
請求項6から12のいずれか一項に記載のネットワーク化システムを備えていることを特徴とする、飛行機に対する機内エンターテインメントおよび接続性IFECシステム。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
ネットワーク化された個人装置の人気が高まったことにより、そのようなネットワークの機能を改良する必要性という結果になった。これらの必要性を満たすために、Wi-Fi、5世代LTE、ブルートゥース(登録商標)などのような無線通信プロトコルが発展してきた。しかしこれらの無線技術は、隣接する、または重なりあう無線帯域を使用するので、より高い干渉という結果になり得る。
【0002】
干渉は、同じRF帯域を通して通信する装置の空間密度と共に同様に増大する傾向があり、ボトルネックまたは性能の低下という結果になる。そのため、列車または飛行機などのような、多数のユーザが閉じ込められ、同時にネットワークにアクセスしようと試みる室内環境に位置しているネットワークは、それらのネットワークの性能を著しく低下させ得る増大した干渉の影響を受ける。これは、機能を高め、装置が通信するためのより多くのチャネルを提供するために基地局の数を増大させることにより部分的には対処される。
【0003】
しかし、そのようなアプローチは、必要とされる装置の数が増加するので、展開および管理するのが困難なことがよくあり得る。更に、RFスペクトルにおける送信により生成される干渉は、例えば、飛行機を操縦するために使用される他の電子装置の性能に影響を与え得る。
【0004】
従って、ネットワーク管理と展開を容易にしながら、削減された干渉および改良された性能を提供できるネットワーク化システムに対する必要性がある。
【発明の概要】
【0005】
発明の第1態様によれば、ユーザ機器と通信するための、複数の無線通信ユニット、複数の無線通信ユニットに通信可能に結合され、複数の無線通信ユニットを管理するように構成されているアクセス層制御ユニットALCUを備えている無線アクセスポイントWAPが提供され、複数の無線通信ユニットの第1無線通信ユニットは、無線周波数RFスペクトルを通して通信し、複数の無線通信ユニットの第2無線通信ユニットは、可視または赤外線光スペクトルを通して通信する。
【0006】
有利なことに、発明の第1態様に係わる無線アクセスポイントは、可視光とRFスペクトル電磁波の両者またはその一方を使用することにより通信するための必要な機器を単一の無線アクセスポイントに統合することにより、異種ネットワークの展開を容易にする。そのため、RFスペクトルを使用する別個のアクセスポイント、および可視光通信のための別個の専用アクセスポイントに対する必要性が削減される。同じ装置においてRFスペクトルと可視光スペクトルを採用する無線通信ユニットの両者を有することは、例えば、ユーザ機器の移動のためにWAPとのLOS(Line of Sight)がない場合(つまり、WAPと無線波の送受信ができない場合であり、以降LOSを「直線視界」と記述する)は、ネットワークトラフィックを1つの無線リンクから他のリンクに肩代わりさせることを容易にする。
【0007】
WAPのALCUは、それぞれのユーザ機器と関連付けられ、複数の無線通信ユニットのそれぞれを通して収集された第1ネットワーク測定値に少なくとも部分的には基づいて、WAPの複数の無線通信ユニットを管理するように構成できる。ALCUは、それぞれのユーザ機器とのWAPの通信リンクを改良するために、第1ネットワーク測定値を使用する。
【0008】
WAPの複数の無線通信ユニットを管理することは、WAPとユーザ機器との間の通信リンクの符号誤り率BER、WAPとユーザ機器との間の通信リンクのスペクトル効率、WAPとユーザ機器との間の通信リンクの信号帯域幅、WAPとユーザ機器との間の通信リンクの信号対雑音比SNR、およびWAPとユーザ機器との間の通信リンクの信号対干渉プラス雑音比SINRを改良すること、第1および第2無線通信ユニットに対する通信負荷のバランスを取ること、WAPの送受信可能領域を拡張すること、シングルユーザおよび/またはマルチユーザMIMO機能をユーザ機器に提供すること、またはそれらの組み合わせを含むことができる。
【0009】
第1無線通信ユニットは、1つ以上のRFエンドポイントに通信可能に結合でき、各RFエンドポイントはRF通信のための少なくとも1つのアンテナを備えることができる。
【0010】
第2無線通信ユニットは、1つ以上の光に基づくエンドポイントに通信可能に結合でき、各光に基づくエンドポイントは、可視または赤外線光スペクトルを通しての通信のために少なくとも1つの可視または赤外線光出射体を備えることができる。
【0011】
1つ以上のRFエンドポイントおよび/または1つ以上の光に基づくエンドポイントはWAPの外部であってよい。
【0012】
発明の第2態様によれば、ネットワーク化システムが提供され、ネットワーク化システムは、複数の無線アクセスポイントWAP、および、ネットワークにおける各WAPのALCUに通信可能に結合され、複数のWAPを管理するように構成されている認識制御ユニットCCUを含んでいるネットワークを備えている。
【0013】
有利なことに、RFスペクトルリンクのみ、または可視光スペクトルリンクのみを採用している既知のネットワークと比較すると、可視光EMスペクトルとRFスペクトルの異なる伝播特性に基づいて、サービス品質(QoS)が維持され、または改良さえもされるように、CCUはWAPを適合できる。更に、CCUは、例えば、RF周波数の影響を受けやすい機器の近くのユーザ機器は、可視光スペクトルを使用して通信するだけであるということを確実にすることにより、適用シナリオの干渉特性に基づいて採用されるスペクトルを選択できる。
【0014】
CCUは、複数のWAPのネットワークの性能を改良するために、各WAPと関連付けられ、各WAPのALCUによりCCUに送信される第2ネットワーク測定値に少なくとも部分的には基づいて複数のWAPを管理するように構成できる。
【0015】
複数のWAPを管理することは、複数のWAPにおけるWAPの間でネットワーク負荷のバランスを取ること、例えば、リンク不良の可能性が高いときに冗長通信リンクを提供するようにWAPを構成すること、サービス品質保証に対する必要条件を遵守するようにWAPを構成すること、WAPとアプリケーション構成との間の帯域幅割り当てを最適化すること、RFおよび光通信リンクを構成すること、RFまたは可視または赤外線光スペクトルに対する予め定義されたチャネルを割り当てること、アクティブRFおよび光送信/受信要素の数を決定すること、特定のユーザ機器とRFまたは可視光スペクトルのみを通して通信するようにWAPにさせること、または、それらの組み合わせを含むことができる。
【0016】
CCUは、システムを形成している複数のWAPの1つにおいて統合できる。
【0017】
CCUは、各WAPのALCUからの収集されたネットワーク測定値に基づいてニューラルネットワークを訓練することにより複数のWAPを管理できる。
【0018】
複数のWAPは、スター型トポロジーにおいて通信可能に結合でき、CCUを備えている中央ノードにより中央集中的に連係させることができる。
【0019】
各WAPの少なくとも1つの第2無線通信ユニットは、IEEE 802.15.7またはIEEE 802.11bbプロトコルを通して通信するように構成できる。
【0020】
発明の第3態様によれば、発明の第1態様に係わるネットワーク化システムを備えている、飛行機に対する機内エンターテインメントおよび接続性IFECシステムが提供される。
【0021】
ここで、下記の付随する図面を参照して、非制限的な例のみにより、発明の実施形態を記述する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】
図1は、既知の機内エンターテインメントおよび接続性プラットフォームのシステムアーキテクチャの模式図である。
【
図2】
図2は、発明の第1態様に係わる、ネットワーク化システムに基づく機内エンターテインメントおよび接続性プラットフォームの模式図である。
【
図3】
図3は、発明の第1態様に係わる、無線アクションポイントの模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明は、潜在的に接続される装置の密度が高いときに、既知のネットワークが遭遇する問題を軽減するために、RFと可視光スペクトルの両者を通しての通信リンクを採用するネットワーク化システムに関する。
【0024】
展開の事例として、飛行機に対する機内エンターテインメントおよび接続性(IFEC)システムを考えるが、これは発明に対する制限と解釈されるべきではない。本発明は、他の屋内または屋外環境において使用できる。
【0025】
図1は、既知の機内エンターテインメントおよび接続性プラットフォーム10の典型的なシステムアーキテクチャを模式的に例示している。
図1において、破線はRFスペクトルを採用している無線リンクを示し、実線二重線は、有線リンク、例えば、1ギガビットイーサネットリンクを示している。乗務員パネル12は、有線接続を通して、主要およびバックアップメディアサーバ14a、14bに接続されている。飛行機接続性ループ(16a、...、16n)は異なるキャビンシステム、例えば、メディア消費のための客席の集積画面などのようなシステム内クライアント装置を接続できる。複数の接続性ループは、故障に対する復元力を提供するが、展開と修理をより困難にする可能性がある。有線手段を通してデージーチェーン接続で結合されているアクセスポイント18a~18cは、例えば、ブルートゥース(登録商標)または異なるWiFi規格などの異なるRF通信プロトコルの1つを使用して個人装置19a~19cに無線で接続されている。主要およびバックアップメディアサーバ14a、14bは、有線接続を通して、他の飛行機システム(示されていない)に結合されている。
【0026】
図1のシステムは、人口密度が高い空間において複数の個人装置がアクセスポイント18a~18cに接続することを試みると、増大した干渉の影響を受け得る。更に、より多くの個人装置を収容するためにネットワーク容量を増加するためには、アクセスポイント数を増加しなければならず、その結果、要求される多数の有線接続のために管理と設置を妨げると共に、全体の干渉を増大させることになる。
【0027】
図2は、改良されたIFECプラットフォームに対する、本発明の実施形態に係わる新しいネットワーク化システム28を模式的に例示している。ネットワーク化システム28においては、無線アクセスポイントWAP20a~20cは、ネットワークを作成するために互いに結合されている。各WAPは認識制御ユニットCCU24に接続されている。CCU24は、コンピュータシステムに対する任意の適切なバックボーンネットワークおよび通信規格を通して情報をWAP20a~20cから受信する集中型認識エンジンを含んでいる。
図2の実施形態においては、WAP20a~20cは、無線通信リンクを通してCCUに通信可能に結合されている。しかし、他の実施形態においては、WAPの幾つかまたはすべては、有線結合を通してCCUに通信可能に結合できる。
【0028】
幾つかの実施形態においては、WAPは、CCUを備えている中央ノードでスター型トポロジーにおいて接続できる。有利なことに、WAPがスター型トポロジーで接続されると、CCUは、WAPの機能不全を検出することに応答して、機能不全のWAPの代わりをする他のWAPを提供でき、サービスの継続性を確実にできる。
【0029】
WAP20a~20cのそれぞれは、RFまたは可視光スペクトルの何れかを使用する電磁波を通してユーザ機器と無線で通信できる。多様なユーザ機器21a、22a、21c、22cをネットワークのそれぞれのWAPに接続できる。例示されている実施形態においては、ユーザ機器21aは、RFスペクトルで通信することによりWAP20aに無線で接続されている、例えば、ラップトップまたはタブレットなどの個人装置であってよい。ユーザ機器22aは、可視光スペクトルを使用してWAP20aに無線で接続されている、助手席において統合されている、例えば、画面であってよい。ユーザ機器21cと22cは、可視光スペクトルまたはRFスペクトルの何れかを使用してWAP20cに結合されている類似の装置であってよい。幾つかの実施形態においては、ユーザ機器は、RFおよび可視光スペクトルを通して同時に通信することによりWAPに接続できる。例示されている実施形態においては、すべてのユーザ機器は、そのそれぞれのWAPに無線で接続されているが、他の実施形態においては、有線接続を通してWAPに接続されているユーザ機器があってよい。
【0030】
WAP20a~20cのそれぞれは、アクセス層制御ユニットALCU(
図2においては示されていない)を備えている。ALCUは、イーサネットまたは光ファイバなどのような異なる有線媒体を介してCCU24に通信可能に結合できる。代替的に、ALCUは、CCU24に無線で通信可能に結合できる。ALCUは、WAP20a~20cのそれぞれと、各WAPに通信可能に結合されている各ユーザ機器との間の通信リンクに関連する情報を含んでいるネットワーク測定値をCCU24に送信できる。
図2の例示されている実施形態においては、WAP20aのALCUは、WAP20aとユーザ機器21aとの間の通信リンクに関する、通信リンクの符号誤り率BER、通信リンクのスペクトル効率、通信リンクの信号帯域幅、通信リンクの信号対雑音比SNR、通信リンクの信号対干渉プラス雑音比SINR、または通信リンクの受信信号強度などの情報を収集する。WAP20aのALCUはまた、WAP20aとユーザ機器22aとの間の通信リンクに関連する情報を収集する。ALCUはこの情報を、通信リンクがRFまたは可視光スペクトルにおいて確立されているかに無関係に収集できる。同様に、WAP20cのALCUは、ユーザ機器21c、22cとの通信リンクに対する情報を収集する。
【0031】
CCU24は、ネットワークに対するモデルを構築するために各WAPのALCUからネットワーク測定値を収集する。モデルは、各個々の通信リンクと、履歴的にネットワーク化システム28の性能を定量化するために使用できる上記に詳述した情報の何れをも備えることができる。情報は、人工知能(AI)ネットワークまたはエンティティを訓練するために使用される。他の実施形態においては、情報は、機械学習(ML)ネットワークを訓練するために使用できる。AI/MLネットワークは、ネットワークの性能を改良するためにWAPに送信される構成情報を生成できる。CCUは複数のALCUからネットワーク情報を受信し、そのため、ネットワークインフラストラクチャ全体の定期的な監視を実行する。ネットワーク情報は、ミリ秒のオーダーの周期で定期的に受信される。他の実施形態においては、情報は、より長い周期、例えば、数秒、または数時間も継続する周期で受信できる。ALCUからCCUへのネットワーク情報の後続の送信との間の時間を増大させると、監視プロセスにおいて消費されるリソースの量を削減でき、WAPのバッテリ寿命を増加させることができる。CCUは、ネットワーク構成に対する全体的な最適環境を決定するために、利用可能な測定値に種々の制御ループまたはフィードバックアルゴリズムを適用し、ここにおいて最適環境は、ネットワークスループット最大化、リソース割り当てにおける公平さ、トラフィック優先順位化、アクティブRF/光送信と受信要素の数などの何れをも備えることができる。ネットワーク測定値の例としては、1つのWAPおよび技術(RF/光)当たりのクライアントの数、クライアントの能力、使用されているアプリケーション、全体のスループット、物理的WAP故障率などが含まれる。
【0032】
複数のWAPのネットワークの性能を改良することは、複数のWAPの間でネットワーク負荷のバランスを取ることを備えることができる。WAPに対するネットワーク負荷を測定することは、1つのインタフェース当たりのスループット(クライアントごとの1秒当たりの受信および送信されたパケットとバイト、および/または、それぞれのトラフィッククラス情報を含む)、インタフェースに接続されているクライアント数(RFまたは可視/赤外線光)、受信した信号強度(RFおよび/または可視/赤外線光スペクトルにおける)、エネルギー消費、故障通信リンクの数などのような種々の測定基準に依存することができる。幾つかの実施形態においては、ネットワークの性能を改良することは、リンク不良の可能性が高いとき、例えば、通信リンクのSNRに基づいて直線視界がまもなく失われるという兆候があるとき、そしてそのため通信はRFスペクトルに依存すべきであるときに冗長通信リンクを提供するようにWAPを構成することを備えることができる。幾つかの実施形態においては、性能を改良することは、WAPにおけるアクティブ無線および可視/赤外線光送信/受信要素の数を調整すること、予め定義された個々の許容閾値を超える、RFおよび可視/赤外線光送受信可能領域の両者における過度の干渉無しに起動できるアクティブデータストリームの数を決定すること(つまり、MIMOアーキテクチャの利点を最大限にすること)、無線および可視/赤外線光スペクトルの両者におけるアクティブローカルネットワークの数を決定することなどを備えることができる。幾つかの実施形態においては、性能を改良することは、RFスペクトルに対する干渉を削減するために、WAPに特定のユーザ機器と可視光スペクトルを通してのみ通信するようにさせることを備えることができる。幾つかの実施形態は、上記の改良の組み合わせを備えることができる。
【0033】
図2において例示されている実施形態においては、CCU24はWAP構成情報を生成するためにニューラルネットワークを採用しているが、他の実施形態は、ニューラルネットワークを備えなくてもよい。その代わりに、またはそれに追加して、幾つかの実施形態においては、CCU24は、改良されることが所望されるネットワーク性能の態様によって、異常検出アルゴリズム、強化学習アルゴリズム、干渉削減アルゴリズム、または、ゲーム理論アルゴリズムに基づいてWAP構成情報を生成できる。
【0034】
WAP20a~20cはCCU24から構成情報を受信し、ネットワークの性能を所望するように改良するために、それ相応にそれらの機能を調整する。
【0035】
図2の実施形態においては、CCU24はまた、端末26に結合されている。端末26は、
図1における乗務員パネル12と類似の乗務員パネルであってよく、乗務員パネルはユーザがIFECプラットフォームと相互作用することを可能にする。幾つかの実施形態においては、端末26は、CCU24と無線で通信する個人装置であってよい。更に他の実施形態においては、例えば、飛行機の環境においては、端末26は飛行機に固定されたパネルであってよい。
【0036】
図2の実施形態においては、CCU24はサーバユニットの一部であり、WAP20a~20cに結合されている。しかし、他の実施形態においては、CCU24は、ソフトウェアまたはハードウェアの何れかにおいてWAPの1つにおいて統合できる。
【0037】
図3は、ネットワーク化システム28の一部を形成しているWAP20a~20cなどのようなWAP30を模式的に示している。1つ以上のWAPは、無線接続機能を有しているクライアントの装置のデータ通信を可能にし、ネットワーク化システム28にアクセスするために、飛行機の内部などのような室内環境において展開できる。WAP30は、ユーザ機器31a、31b、および31cに無線通信可能に結合されている。
【0038】
WAP30はALCU32を備えている。ALCU32は、機械読み取り可能命令とコンピュータプログラムを実行するためのマイクロコントローラ32a、データと実行可能コンピュータプログラムを格納するためのメモリ32b、WAP30に接続されている周辺機器を制御するためのI/O構成要素であるI/Oサブシステム32c、および随意的に、可視光スペクトルを通しての通信を担当するハードウェアを制御するための光コントローラ32dを備えている。
【0039】
WAP30はまた、ALCU32のCCU24への結合を可能にする、認識制御ユニットインタフェースCCUI34を備えている。CCUI34は、適切な管理インタフェース(グラフィカルユーザインタフェースまたはコマンドラインインタフェースであってより)により、システム管理者および/または訓練された人員への情報報告を可能にするRESTFullなどのような標準化オープンインタフェースとの相互作用を可能するためのソフトウェア変換層を提供する。
図3の実施形態においては、CCUIは、ALCUとは別個の構成要素として例示されているが、幾つかの実施形態においては、CCUIはALCUの一部であってよく、例えば、マイクロコントローラ32a上で作動するソフトウェアにおいて実現できる。
【0040】
WAP30はまた、RFスペクトルを通してユーザ機器31a~31bと通信するように構成されている無線通信ユニット36aを備えている。無線通信ユニット36aは、例えば、変調器、電力増幅器、インピーダンス整合回路などの、RFトランシーバの一部を形成する、必要なモジュールの幾つか、またはそのすべてを備えることができる。無線通信ユニット36aは、ALCU32とRFエンドポイント38aに結合されている。
図3において例示されている実施形態においては、無線通信ユニット36aは1つのRFエンドポイントのみに接続されているが、他の実施形態においては、RFスペクトルを通して通信するように配置されている無線通信ユニットは、複数のRFエンドポイントに結合できる。
【0041】
RFエンドポイント38aは、無線通信のための複数のアンテナを備えている。RFエンドポイント38aはまた、ユーザ機器31aおよび/またはユーザ機器31bとのシングルユーザまたはマルチユーザMIMO通信リンクを可能にするため、複数のアンテナに信号を提供するように配置されているコントローラ(示されていない)を備えることができる。幾つかの実施形態においては、RFエンドポイント38aは、物理層信号処理のための、および/または、無線チャネルにアクセスするための低MACプロトコルを実現するための回路を備えることができる。
【0042】
図3において例示されている実施形態においては、RFエンドポイント38aはWAP30の外部であり、有線手段、例えば、イーサネットまたは光ファイバを通してWAP30に結合されている。しかし、他の実施形態においては、RFエンドポイント38aはWAP30において統合できる。
【0043】
WAP30はまた、可視光スペクトルを通してユーザ機器31cと通信するように構成されている無線通信ユニット36bを備えている。無線通信ユニット36bは、例えば、ADCまたはDAC、ベースバンドデジタル信号変調器/復調器、およびそれぞれの光ドライバを有している光出射体(LEDおよび/または赤外線ダイオード)などの、可視光スペクトルを使用するトランシーバの一部を形成する、必要なモジュールの幾つか、またはすべてを備えることができる。無線通信ユニット36bは、ALCU32と光に基づくエンドポイント38bに結合されている。
図3において例示されている実施形態においては、無線通信ユニット36aは、1つの光に基づくエンドポイントのみに接続されているが、他の実施形態においては、可視光スペクトルを通して通信するように配置されている無線通信ユニットは、複数の光に基づくエンドポイントに結合できる。
【0044】
光に基づくエンドポイント38bは、無線通信のための複数の光出射体を備えている。光出射体は、可視光、つまり、約370から800nmの範囲の波長の光を出射するように配置されているランプまたはLEDであってよい。光に基づくエンドポイント38bはまた、ユーザ機器31cとのシングルユーザまたはマルチユーザMIMO通信リンクを可能にするために複数の光出射体に信号を提供するように配置されているコントローラ(示されていない)を備えることができる。光に基づくエンドポイント38bは、可視光スペクトルを通して双方向送信を可能にするために光センサ(示されていない)を備えている。しかし、他の実施形態においては、光に基づくエンドポイント38bは、光に基づくエンドポイントのサイズと複雑さを削減するためにセンサを備えていなくてもよく、そのため、可視光スペクトルを通しての通信はダウンリンクのみであってよく、つまり、WAP30からユーザ機器31cへの通信のみであってよい。幾つかの実施形態においては、光に基づくエンドポイント38bは、物理層信号処理のための、および/または、光に基づくチャネルにアクセスするための低MACプロトコルを実現するための回路を備えることができる。幾つかの実施形態においては、光に基づくエンドポイント38bは、光出射体が、可視光または赤外線スペクトルに何れかにおいて放射することを可能にする任意の他の要求されるハードウェアと共に、光出射体のためのドライバを備えている。
【0045】
図3において例示されている実施形態においては、光に基づくエンドポイント38bはWAP30に対して外部であり、有線手段、例えば、イーサネットまたは光ファイバを通してWAP30に結合されている。有利なことに、光に基づくエンドポイントをWAPの外部に有していることは、光出射体をWAP30の筐体に格納する必要性をなくす。その結果、これは、WAPのサイズを削減し、よりコンパクトなWAPという結果にすることを可能にする。そのようなコンパクトなWAPは、ネットワーク化システムの展開と設置を容易にする。
【0046】
図3においては、RFエンドポイント38aと光に基づくエンドポイント38bはWAPの外部として例示されているが、他の実施形態においては、それらはWAPにおいて統合でき、モノリシック装置という結果にすることができる。そのような場合においては、すべてのWAPは、CCUI34、ALCU32、無線通信ユニット36a~36b、RFエンドポイント38a、および光に基づくエンドポイント38bを含む単一の筐体を備えている。有利なことに、RFスペクトルと可視光の両者において通信できる単一のWAP30を有することは、ネットワーク化システムの展開と管理を単純化する。更に、RFスペクトルと可視光の両者において通信できる単一のWAP30を有することは、CCU24が、より効率的および最適化された方法で、複数の同じWAPを備えているネットワークを管理することを可能にする。
【0047】
図3においては、WAP30は無線通信ユニット36aと36bのみを備えているとして例示されているが、発明の他の実施形態においては、WAP30は、複数の無線通信ユニット36c、...、36nを備えることができる。
【0048】
ALCU32は、局所構成と、WAP30によりサポートされる無線通信技術の最適化を担当している。ALCU32は、ユーザ機器31a~31cと関連付けられているネットワーク測定値に少なくとも部分的には基づいて、無線通信ユニット36aと36bを管理するように構成されている。ネットワーク測定値は、無線通信ユニット36aと36bを通して収集される。ALCUは、WAP30と、ユーザ機器31a~31cの何れかとの間の通信リンクを改良するように無線通信ユニット36a、36bを構成する。幾つかの実施形態においては、ALCUは、ユーザ機器31cは光に基づくエンドポイント38bとの直線視界を失ったと決定でき、ユーザ機器31cとのRFスペクトルを通しての通信リンクを確立するように無線通信ユニット38aを構成できる。
【0049】
幾つかの実施形態においては、WAP30と、ユーザ機器31a~31cの何れかとの間の通信リンクを改良することは、通信リンクの符号誤り率BERを改良することを備えることができる。幾つかの実施形態においては、WAP30と、ユーザ機器31a~31cの何れかとの間の通信リンクを改良することは、通信リンクのスペクトル効率を改良することを備えることができる。幾つかの実施形態においては、WAP30と、ユーザ機器31a~31cの何れかとの間の通信リンクを改良することは、通信リンクの信号帯域幅を改良することを備えることができる。幾つかの実施形態においては、WAP30と、ユーザ機器31a~31cの何れかとの間の通信リンクを改良することは、通信リンクの信号対雑音比SNRを改良することを備えることができる。幾つかの実施形態においては、WAP30と、ユーザ機器31a~31cの何れかとの間の通信リンクを改良することは、通信リンクの信号対干渉プラス雑音比SINRを改良することを備えることができる。幾つかの実施形態においては、WAP30と、ユーザ機器31a~31cの何れかとの間の通信リンクを改良することは、第1および第2無線通信ユニットにかかる通信負荷のバランスを取ることを備えることができる。第1および第2無線通信ユニットにかかる通信負荷のバランスを取ることは、1つのインタフェース(RFまたは可視/赤外線光)当たりの接続されているクライアントの数、クライアントにより要求されるトラフィッククラス(つまり、アプリケーションのサービス品質(QoS)パラメータ)、集積バイト/秒で測定できる1つのインタフェース(RFまたは可視/赤外線光)当たりの集積ダウンストリームトラフィック、インタフェース(RFまたは可視/赤外線光)に接続されているクライアントに対する信号品質マップ、RFおよび可視/赤外線光スペクトルの両者における干渉マップ、トラフィックスケジューリングポリシー、故障送信/受信要素および/またはWAPの検出などについての情報にもとづいて第1および第2無線通信ユニットにかかる通信負荷を決定することを備えることができる。幾つかの実施形態においては、WAP30と、ユーザ機器31a~31cの何れかとの間の通信リンクを改良することは、より広い範囲を有する無線通信ユニットを使用することによりWAP30の送受信可能領域を拡大することを備えることができる。幾つかの実施形態においては、WAP30と、ユーザ機器31a~31cの何れかとの間の通信リンクを改良することは、シングルユーザおよび/またはマルチユーザMIMO機能をそれぞれのユーザ機器に渡すように無線通信ユニット36a、36bを管理することを備えることができる。幾つかの実施形態においては、WAP30と、ユーザ機器31a~31cの何れかとの間の通信リンクを改良することは、上記の任意の組み合わせを備えることができる。
【0050】
上記の発明の実施形態は、可視光スペクトルにおける電磁波を送信する通信ユニットを記述しているが、技量を有する者は、発明の他の実施形態は、その代わりに赤外線光スペクトルにおいて送信できるということを認識するであろう。
【国際調査報告】