(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-13
(54)【発明の名称】空気圧装置及び対象物選別システム
(51)【国際特許分類】
B07C 5/36 20060101AFI20240205BHJP
B65G 51/02 20060101ALI20240205BHJP
【FI】
B07C5/36
B65G51/02 H
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023537704
(86)(22)【出願日】2020-12-22
(85)【翻訳文提出日】2023-08-08
(86)【国際出願番号】 EP2020087604
(87)【国際公開番号】W WO2022135691
(87)【国際公開日】2022-06-30
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523229908
【氏名又は名称】ファルマ テクノロジー
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヴァンダンブルーク、フレディ
(72)【発明者】
【氏名】ドリンガー、マルシャル
【テーマコード(参考)】
3F079
【Fターム(参考)】
3F079AD08
3F079CC03
3F079DA01
3F079DA21
3F079EA03
3F079EA08
(57)【要約】
本発明は、モジュール100であって、各モジュールが圧縮空気供給弁12を有し、各モジュール100によって供給される圧縮空気のジェットの強さが、作動する弁12の組合せに従って可変である、モジュール100と、作動するモジュール100の個数による、モジュール100から来る1又は複数の空気ジェットの出口ノズル14であって、整列した出口孔を有する、出口ノズル14とを備える空気圧装置10に関する。本発明はまた、本空気圧装置を備える対象物選別システムに関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モジュール(100)であって、各モジュールが圧縮空気を供給するための弁(12)を有し、各モジュール(100)によって送達される前記圧縮空気のジェットの強さが、作動する弁(12)の組合せに応じて可変である、モジュール(100)と、
作動するモジュール(100)の個数に従って、前記モジュール(100)から来る1又は複数の空気ジェットを排出するための出口ノズル(14)であって、整列した出口孔を有する、出口ノズル(14)と
を備える空気圧装置(10)。
【請求項2】
前記モジュール(100)が前記ノズル(14)に対して扇形状のパターンにある、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記モジュールがそれぞれ、前記圧縮空気を前記弁(12)から前記ノズル(14)に向かって導くための管路(18)を有し、前記弁(12)が、前記管路中の前記圧縮空気の流れる方向付けに対して前記管路の両側にある、請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
前記弁(12)が孔(13)によって前記管路(18)に接続されており、それぞれの前記弁の前記孔の直径は異なる、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記弁(12)が、前記孔(13)の前記直径に従って前記管路(18)に沿って配置されており、前記孔の前記直径が最も小さい前記弁が、前記ノズル(14)に対して前記管路(18)の遠位端にある、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
6つのモジュール(100)を備え、各モジュール(100)が少なくとも4つの弁(12)、好ましくは5つの弁(12)を含む、請求項1から5までのいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記モジュールの入口に、前記弁が連続的に開くことによって生じる圧力損失を測定することができる圧力センサ(15)をさらに備える請求項1から6までのいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
請求項1から7までのいずれか一項に記載の少なくとも1つの空気圧装置(10)を備える、対象物を選別するためのシステム(30)。
【請求項9】
前記対象物を移動の方向に沿って誘導するチャネル(34)をさらに備え、前記ノズル(14)が、選別されるべき前記対象物の特性に従って、1又は複数の空気ジェットを前記チャネル(34)中で選別されるべき前記対象物に向かって導く、請求項8に記載のシステム(30)。
【請求項10】
前記チャネル(34)が、前記対象物の前記特性に応じて、前記対象物の前記移動の方向に対して横向きに調節され得る幅を有する、請求項9に記載のシステム(30)。
【請求項11】
選別されるべき前記対象物の前記特性を分析するためのチャンバ(32)と、
前記分析チャンバ(32)で分析された前記特性に従って、1又は複数の空気ジェットを起動することにより、前記対象物が向きをそらされて向かう少なくとも1つの選別経路(38、40)と
をさらに備える請求項8から10までのいずれか一項に記載のシステム(30)。
【請求項12】
前記分析チャンバ(32)で分析された前記対象物の前記特性に応じて、すべての前記モジュール(100)及び前記弁(12)、又は前記モジュール(100)及び前記弁(12)のうちの一部を作動させる制御ユニットをさらに備える請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記制御ユニットが、前記弁(12)の上流側の利用可能な圧力にさらに応じて、すべての前記モジュール(100)及び前記弁(12)、又は前記モジュール(100)及び前記弁(12)のうちの一部を作動させる、請求項12に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気圧装置及びその空気圧装置を備える対象物選別システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば医薬品業界において、対象物の生産率を上げるには、高いレベルの品質を確実にする労力と資源が必要になる。また、単にサンプルではなく、対象物の母集団全体を検査することがますます望まれている。この目的のために、対象物の物理量及び組成物の各々を精密に測定することができるオンラインの対象物分析装置がある。対象物が分析されると、その対象物を確保しておくか否かの決定が行われ、確保されない対象物は、生産ラインから排除される。生産の速度を鑑みると、対象物の選別を実行する時間がごく僅かしかないことが課題である。
【0003】
文献米国特許出願公開第20160016200号には、食品業界における製品、例えば米又は小麦の種又は粒を選別するための空気圧装置が記載されている。装置は、一連の空気ジェット孔を各々有する電磁弁を備える。電磁弁は各々、区画において空気入口を備える。そしてコイルの通電によって開けられ又は弾性部材によって閉止を保持されるそれぞれの弁を介して、空気が各孔に分配される。しかしながら、この文献における空気圧装置は、種の選別向けに意図されているので、空気のジェットを吐き出す孔が大量にあり、すべての孔が同じ容積でなければならない。このことが、その空気圧装置をかさばり精密ではないものにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許出願公開第20160016200号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、全体的な必要寸法を制限しながら、迅速且つ正確に対象物を選別することができる装置の必要性がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このために、本発明は、
モジュールであって、各モジュールが圧縮空気を供給するための弁を有し、各モジュールによって送達される圧縮空気のジェットの強さが、作動する弁の組合せに従って可変である、モジュールと、
作動するモジュールの個数に従って、モジュールから来る1又は複数の空気ジェットを排出するための出口ノズルであって、整列した出口孔を有する、出口ノズルと
を備える空気圧装置を提案する。
【0007】
1つの変形例では、モジュールがノズルに対して扇形状のパターンにある。
【0008】
1つの変形例では、モジュールがそれぞれ、圧縮空気を弁からノズルに向かって導くための管路を有し、弁が、管路中の圧縮空気の流れる方向付けに対して管路の両側にある。
【0009】
1つの変形例では、弁が孔によって管路に接続されており、それぞれの弁の孔の直径は異なる。
【0010】
1つの変形例では、弁が、孔の直径に従って管路に沿って配置されており、孔の直径が最も小さい弁が、ノズルから管路の遠位端にある。
【0011】
1つの変形例では、装置は6つのモジュールを備え、各モジュールが少なくとも4つの弁、好ましくは5つの弁を含む。
【0012】
1つの変形例では、装置はまた、モジュールの入口に、弁が連続的に開くことによって生じる圧力損失を測定することができる圧力センサを備える。
【0013】
本発明はまた、上記で説明した少なくとも1つの空気圧装置を備える、対象物を選別するためのシステムに関する。
【0014】
1つの変形例によれば、システムはまた、対象物を移動の方向に沿って誘導するチャネルを備え、ノズルが、選別されるべき対象物の特性に従って、1又は複数の空気ジェットをチャネル中で選別されるべき対象物に向かって導く。
【0015】
1つの変形例では、チャネルの幅は、対象物の特性に応じて、対象物が移動している方向に対して横向きに調節され得る。
【0016】
1つの変形例では、システムはまた、
選別されるべき対象物の特性を分析するためのチャンバと、
分析チャンバで分析された特性に従って、1又は複数の空気ジェットを起動することにより、対象物が向きをそらされて向かう少なくとも1つの選別経路と
を備える。
【0017】
1つの変形例では、システムはまた、分析チャンバで分析された対象物の特性に応じて、すべてのモジュール及び弁、又はモジュール及び弁のうちの一部を作動させる制御ユニットを備える。
【0018】
1つの変形例では、制御ユニットは、弁の上流側の利用可能な圧力に応じて、すべてのモジュール及び弁、又はモジュール及び弁のうちの一部を作動させる。
【0019】
この文書における「備える」という動詞及びその変形、並びにその活用の使用は、述べられている要素以外の要素の存在をいずれの方法でも排除し得ない。この文書におけるある要素を紹介するための不定冠詞「ある」、「一」又は定冠詞「その」の使用は、これらの要素が複数存在することを排除しない。
【0020】
「第1」、「第2」、「第3」等の用語は、この文書のこの範囲において、専ら種々の要素間を区別するために使用され、それらの要素間のいずれの順序も暗示しない。
【0021】
本空気圧装置のすべての好ましい実施例及びすべての利点は、本選別システムに準用する。
【0022】
本発明のさらなる特徴及び利点は、以下の詳細な説明から明らかになり、その理解のために、添付の図面が参照される。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明の一実例による空気圧装置の一部の概略図である。
【
図4】本発明の1つの実例による選別システムの斜視図である。
【
図5】本発明の1つの実例による選別システムの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図面の図は縮尺通りではない。概して、同様の要素は、図面において同様の参照符号によって記されている。この文書の範囲において、同じ又は同様の要素は同じ参照符号を有してもよい。さらに、図面における参照番号又は参照文字の存在は、これらの番号又は文字が特許請求の範囲に示されている場合でも、限定的であるとはみなされ得ない。
【0025】
本発明は、空気圧装置に関し、空気圧装置はモジュールを備え、各モジュールは圧縮空気を供給するための弁を有する。各モジュールによって送達される圧縮空気のジェットの強さは、作動する弁の組合せに従って可変である。本装置はまた、作動するモジュールの個数に応じて、モジュールから来る1又は複数の空気ジェットを排出するための出口ノズルを備え、ノズルは整列した出口孔を有する。そのような装置は、出口での空気ジェットの本数の調節を空気ジェットの強さと組み合わせる。これにより、装置の全体的な寸法を制限しながら、非常に迅速に選別される必要がある対象物に、その対象物の特性に適合されている正確さで、向きをそらす力を加えることが可能になる。
【0026】
図1は、空気圧装置10の一部の概略図を示している。装置10はモジュールを備え、そのうちのモジュール100のみが図示されている。
図2及び
図3に、同じ要素を備える他のモジュールが示されている。
図1に示すように、モジュール100は、複数、例えば4又は5個の弁12を備える。弁には十分な容積のタンク(最小5リットル、最大15リットル)から圧縮空気が供給され、圧縮空気の圧力は、精密圧力調整器によって精密に調整される。これにより、弁12への可能な限り最も安定した供給が確実になる。
図1では、弁12は供給管路11を介して供給されている。モジュール100への供給の入口において、供給管路11上の圧力センサ15は、弁が連続的に開くことによって生じる圧力損失を測定することができる。圧力センサ15により、入口に存在する圧力に応じて弁12の開放を修正することが可能になる。弁12は、あるモジュールの中で、又は1つのモジュールと別のモジュールとの間で、同一であっても同一でなくてもよい。弁が同じであると、より容易に弁を制御することが可能になり、異なる弁では、さらに一層細やかな制御が可能になる。弁12は、比例弁などの異なる型であることもできるが、「オン/オフ」型の弁であることが好ましい。「オン/オフ」弁は応答性が高く、このことは、対象物が高速で移動している場合に有利である。また、これらの「オン/オフ」弁はより小型である。全開で大流量を通すことができる1つのより大きな弁よりも、複数のより小さな弁を使用することが好ましい。実際に、大型弁を開けるためには、より多くの克服すべき力(ばねの戻る力、スプール及び動きが設定されるべき他の可動要素の質量の慣性、並びにシール部の摩擦)があり、その結果、開時間又は閉時間が例えば数ミリ秒のオーダーになる。弁12の開時間は、非常に小さな「発射窓」の中に空気ジェットを生成するために、3ms未満、好ましくは2ms未満、より好ましくは1ms未満である。
【0027】
モジュール100はまた、モジュール100から来る空気ジェットを排出するための出口ノズル14を備える。各モジュール100によって送達される単一の圧縮空気のジェットの強さは、作動する弁12の組合せに従って可変である。モジュール100は、選択的に作動することができ、各モジュール100内では、弁12が選択的に作動することができる。したがって、各ジェットは選別されるべき対象物の特性と釣り合う。ノズル14は、各モジュールに特有の空気ジェットを、選別されるべき対象物に対して最適に位置決めすることを可能にする。ノズルはケーシング16に機械加工された管路であり、そしてケーシング16はモジュールに取り付けられている。ノズルの出口孔の幾何形状は、空気ジェットの特性に従って選ばれる。楕円形などの円形ではない幾何形状が有利である場合がある。装置の使用条件及び選別されるべき対象物に適合するために、一組のノズルは、装置10の交換可能なモジュール式の要素であり得る。ノズルの出口孔の直径は、効率的な選別を可能にするモジュールごとの空気のジェットを得るために、1mmから8mmの間、好ましくは2mmから5mmの間、より好ましくは2.5mmから4mmの間、例えば3mmである。
【0028】
モジュール100はまた、圧縮空気を弁からノズル14に向かって導く管路18を備える。矢印20は、空気が管路18を通ってノズル14の出口に流れる方向付けを示している。弁は、モジュール内で管路18に沿って位置決めされ得る。弁12は、モジュール内で、管路18中の圧縮空気の流れる方向付けに対して管路18の両側にあることが好ましく、言い換えれば、弁は互いに反対側にあり(必ずしも互いに向かい合ってはいない)、又は管路18の両側にある。そのような弁の取付けにより、装置での必要な容積(弁によって占有される空間及び管路の容積の両方)を減らすことが可能になる。したがって、管路18は弁12のレベルでよりコンパクトである。
【0029】
管路18は、モジュール内での弁の全体的な寸法を考慮するように配置されているいくつかの伸縮部を備えてもよい。また、これらの伸縮部により、モジュール内の弁及びモジュールを互いに関して配置することができて、異なるモジュール間で同じ圧力損失が確実になる。弁の出口孔とノズルの出口孔との間の距離を最小化するために、管路18の長さは可能な限り短い。
【0030】
管路は、前述のように弁12が接続されている第1の伸縮部181を備える場合がある。管路18は、端部で第1の伸縮部181をノズル14に接続する第2の伸縮部182を備える場合がある。モジュール内での第2の管路182の配置は、装置内でのモジュールの全体的な寸法を減らすように選ばれる。第2の伸縮部182は、第1の伸縮部181に対して斜めであり得るが、発生させる圧力損失がより少ない直線であることが好ましい。管路181の直径は、2から5mmの間、好ましくは2.5から4mmの間、例えば3mmであり、管路182の直径は、3から6mmの間、好ましくは3.5から5mmの間、例えば4mmである。これにより、装置の出口における空気ジェットが確実になって、管路の全体的な寸法を制限しながら、効率的に対象物を選別することが可能になる。管路18は、モジュール100の出口においてその端部183で開口する。そしてノズル14は、モジュール100の端部183に位置決めされており、選別されるべき対象物に向かって各モジュールに特有の圧縮空気のジェットを精密に導く。
【0031】
弁12は、出口孔13によって管路18、特に第1の伸縮部181に接続されている。それぞれの弁の孔の直径13は異なる。これらの管路13の間には、直径又は面積の観点で関係性があってもよい。これにより、空気ジェットの強さを変動させることができる。モジュール100内で、弁12の個数が「x」である場合、2xは、考えられる開弁の組合せの数であり、そのうちの1つは、すべての弁が閉止されていることに対応する。モジュール100内で、孔の直径がより小さな弁12が、ノズル14に対して管路18の遠位端にある。これにより、孔の直径がより大きな弁によって推進される空気流れの乱流が、孔の直径がより小さな弁によって管路18の中に推進される空気流れを乱すことを防止することができる。
【0032】
弁の出口孔は、0.4から3mmの間、好ましくは0.5から2.5mmの間である。これにより、弁の全体的な寸法を制限しながら、圧縮空気を管路18の中に迅速に放出することができる。
【0033】
図2は、空気圧装置10の断面図を示している。装置10は、ケーシング80の中に装着されている。装置10の出口には、空気のジェット20を吐き出すノズル14が示されており、ノズル14は、弁12によって供給される管路18の端部183に接続されている。ノズル14の孔は整列している。ノズル14の孔は同一平面上にある。ノズルの孔は、ノズルがコンパクトであり、空気ジェットによって効果的な選別が可能になることを確実にするために、3から5mmの間、好ましくは3.5から4.5mmの間、さらに一層好ましくは4mmの(中心軸間の)間隔を有する。ノズル14の出口孔は、各孔がいくつかの弁12を備えるモジュール100に対応しており、その結果、ジェットの配置が平坦であるように、又は言い換えれば、空気ジェットが平坦なカーテンを形成するようになる。ジェットが孔から作用してジェットの方向に覆う領域は、5から50mm、好ましくは10から35mm、すなわち25mmの領域である。これにより、いくつかのジェットをもたらすのに十分な間隔を設けながら、向きをそらされるべき対象物の特性に合うように、モジュールの個数に対応する装置をコンパクトにすることが可能になる。
【0034】
モジュール100内で管路18、特に管路182の両側にある弁12の配置は、装置10の全体的な寸法を制限するために特に有利である。
図2は、モジュール100の上部における弁12の一部、及びモジュール100の下部における弁12の一部を示している。
図1及び
図2に示すように、モジュール100の上部には3つの弁12があり、下部には2つの弁12がある。
【0035】
モジュール100は、ノズル14に対して扇形状のパターンで配置され得る。言い換えれば、モジュール100は、ノズル14に対してミカンの房の形で配置されている。このことは、
図2の上部において確認でき、各モジュール100からの3つの弁12がノズルを中心に半径方向に整列している。これにより、ケーシング80の内部で装置10がコンパクトであることを確実にしながら、各ノズル14に対して同一にモジュール100を配置することができる。これにより、長さ、幾何形状、及び容積の観点で、完全に各ノズルについて同じ空気流チャネルを保証することができる。モジュール100は、モジュール式構造であり得る。そして1又は複数のモジュールが、装置10の所望の性能に応じて使用され、それらのモジュールは共に群化され得る。モジュール100は、いくつかのモジュールの群で組み立てられ得る。これにより、装置10の製造がより容易になる。さらに、モジュール上の弁12が、1つのモジュールと他のモジュールとの間で同じようにノズルの出口に接続されているという「空気圧」の観点から、モジュール100は同一である。したがって、各空気ジェットの形成について応答時間が同じになる。また、モジュール式構造とは、より小さな部品をより多くの個数で製造可能であることを意味する。モジュール100のモジュール式構造は、例えば共に群化されている3つのモジュール100など、いくつかのモジュール100の群でもあり得る。
【0036】
図3は、
図2に示されている装置の背面図であり、モジュール100の扇形の配置がより明確に見える。各モジュール100の弁12は、ノズル(見えてはいない)に向かって一点に集まる半径に沿って整列している。
図3の実例に示すように、モジュール100は、上部には3つの弁12を、下部には2つの弁12を有し、各モジュール100の5つの弁12が、ノズル14を中心とする扇形の平面に配置されている。弁12は、バー22上に配置され得る。
【0037】
本発明はまた、空気圧装置10を備える対象物選別システムに関する。選別されるべき対象物は、公称の対象物(試験場に向かって進路を変えられる公称のサンプル)であっても、不適合である対象物(破片、充填物が少ししかない又は全くないカプセル等)であってもよい。選択的に作動させるモジュールの個数、及び各モジュール内の弁の個数を組み合わせることによって、空気ジェットが対象物に適合されて、その結果、対象物を効率的に選別することができる。そのようなシステムは、医薬品業界で使用され、20mgから数グラムまでの医薬品の錠剤又は(ソフトゲルで、空若しくは充填済みの)カプセルなどの対象物の進路を変えることができる。
【0038】
図4及び
図5は、選別システム30の斜視図を示している。システムは、選別されるべき対象物の特性を分析するためのチャンバ32を備える。チャンバ32がすべての対象物を分析し、空気圧装置10は、分析チャンバ32において分析された特性に従って、対象物の向きをそらすことができる。制御ユニットは、分析チャンバ32で分析された対象物の特性に応じて、すべてのモジュール100及び弁12、又はモジュール100及び弁12一部を選択的に作動させる。対象物は、個別にチャンバ32を通過するためにマイクロ波センサの前で加速され得、マイクロ波センサは、対象物の質量及び/又は含水量の予測を可能にし、選別システムよりも前にある。この測定チャンバ32はまた、対象物の速度、及び対象物が選別ジェットに到着する時間を数値化することができる。対象物は、5m/sから25m/sの間の高速でラインを移動する。対象物は、管36を通ってチャンバ32を出る。対象物が装置10を過ぎて移動し、装置10は、チャンバ32で検出される不適合性又は他の基準に従って対象物の向きをそらすことを行う。ノズル14の孔は、対象物が移動している方向に対して横向きの軸に沿って整列している。これにより、効率的に対象物の進行を阻止することが可能になる。次いで空気ジェットは、対象物が移動している方向に対して横向きの平面又はカーテンを形成する。複数の装置10が使用され得る。例えば、対象物が移動する速度によって与えられる選別率に、よりよく適合するために(
図4の)2つ、3つ、又はさらには4つの装置10を使用することができる。装置10のうちの1つは、不適合である対象物の向きをそらす専用であってもよく、別の装置10は、(チャンバ32での系統的な分析に加えられる可能性がある)試験サンプリング専用であってもよい。装置10は、対象物が移動する両側に、対象物が移動する方向を中心として、例えば1つの装置が他の装置の上方に配置され得る。
【0039】
システムは、チャンバ32の出口において対象物を移動の方向に誘導するチャネル34を備え得る。チャネル34により、実質的に直線の軌道に沿った列で対象物を運搬することが可能になる。これにより、対象物を1つずつ装置10に差し出すことができて、対象物の向きをそらすことがより容易になる。チャネルは、対象物を誘導するための2つの平坦な表面341及び342を備える。
【0040】
チャネル34の幅は、選別されるべき対象物の移動の方向に対して横向きに調節され得る。チャネルの幅は、ノズル14の位置合わせの方向で調節可能である。平坦な表面341と342との間の間隔は、選別されるべき対象物の幅に調節される。チャネル34は、選別されるべき製品の形式に応じて、対象物を3mmから25mmの間の幅で導くように調節され得る。ノズル14は、選別されるべき対象物の特性に応じて、1又は複数の空気のジェットをチャネル34の中で選別されるべき対象物に向かって導く。
【0041】
図6は、選別システム30の上面からの概略図を示している。
図6は、各モジュール内で作動する弁の組合せに従って各ジェットの強さが変動するという事実に加え、作動するモジュールの個数を変動させることによって、空気ジェットがどのように対象物の幅に従って対象物に適合され得るのかを示している。チャンバ32の出口では、対象物は、チャネル34の中へ、平坦な表面341と342との間に案内される。細い対象物の場合、単一のノズル14が空気ジェットを装置10からチャネル34の中に導くように、平坦な表面は可能な限り互いに近接させられる。次いで単一のモジュール100が作動する。より大きな対象物の場合、2つのノズル14が空気ジェットを装置10からチャネル34の中に導くように、平坦な表面は互いに間隔を空けられる。より一層幅が広い対象物の場合、3つのノズル14が空気ジェットを装置10からチャネル34の中に導くように、平坦な表面は互いにさらに間隔を空けられる。
図6の実例によれば、6つのモジュール100の作動に対応する最大6つのノズル14が空気ジェットを吐出することができる。チャネル34の幅は、空気ジェットの本数に合うように、例えば5から50mmの間、好ましくは5から30mmの間、より好ましくは5から25mmの間である。装置10及び選別システム30は、幅及び強さが可変のジェットを発生させることができる。この変動により、システム30は、対象物の変動する質量、サイズ、幾何形状、速度等に適合可能で、多目的に使用できるものとなる。
【0042】
図7は、特に1又は複数の選別経路38、40を伴う選別システム30の概略図を示している。チャンバ32の出口において、対象物はチャネル34によって誘導され、次いで1又は複数の装置10のノズルの前を通る。向きをそらされるべき対象物は、カーテンを形成する空気ジェット20を通過する。1又は複数の装置10は、不確定のサンプリング試験又は準拠性試験のため、矢印42、44に従って、選別経路のうちの一方又は他方に対象物の進路を変える。選別されない対象物は、矢印46に沿ってそれらの軌道を継続する。
図7によれば、向きをそらすことは垂直面で行われる。装置10は、下側の経路40に向かって対象物の向きをそらすために対象物の移動の上方に置かれ得、別の装置10は、上側の経路38に向かって対象物の向きをそらすために対象物の移動の下方に置かれ得る。選別は、水平面で行われ得る。
【0043】
チャンバ32の出口とノズル14の位置との間の距離は、必要であれば、対象物時間が向きをそらされる前にチャンバ32を出ることができるように選ばれる。そうでなければ、対象物は、まだ管36によって部分的に案内及び誘導されている間に、すでに横向きの力を受け得、そうして対象物の向きをそらすことが妨げられる恐れがあるだろう。
【0044】
空気ジェットの本数、及びそれぞれのモジュール100によって生成される各空気ジェットの強さは、制御ユニットから来る入力設定点に従って可変である。設定点は、作動するモジュール100の個数、及び各モジュール100内で作動する弁12の組合せを決定する。したがって、各ジェットの動作はこの設定点に釣り合うことになる。この設定点は、チャンバ32で分析されたいくつかの特性に応じて計算される。対象物の質量が考慮され、異なる組合せの弁12が作動して、ジェットの強さを増大させたり低下させたりする。対象物がジェットの高さに達した瞬間に、対象物の速度も考慮される。また対象物の形状及び体積は、作動する空気ジェットの本数及び強さ、並びにチャネル34の幅に影響する。対象物に損傷を与えることを回避するために、対象物に加えられるべき力、及び弁の上流側の圧力も考慮される。これにより、いくつかの開弁が時間的に共に近づいて生じた場合に、タンクがそれらの公称圧力を迅速に回復することができないとしても、選別の品質を維持することが可能になる。装置10と選別されるべき対象物との間の距離は、選別の効率を保証するために考慮されるべき因子である。ジェットの出口(ノズル14の出口孔)と対象物の変位の軸との間の距離は、10から40mmの間、好ましくは15から30mmの間、例えば20mmである。これにより、向きをそらされるべき対象物を、無傷に保ちながら、向きをそらすことが最も効果的になる領域のジェットに差し出すことが可能になる。
【0045】
制御ユニットは、PLC(Programmable Logic Controller:プログラマブル・ロジック・コントローラ)と、高応答性のデジタル出力を伴う(オンボードのFPGA(field-programmable gate array:フィールドプログラマブル・ゲート・アレイ)プロセッサを含む)入出力ボードと、(FPGAコントローラ及びMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor:金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ)を装備した)動力制御ボードとを備える。このアーキテクチャにより、数マイクロ秒の反応時間が可能になり、弁の開時間又は閉時間が数ミリ秒のオーダーである選別プロセスが確実になる。
【0046】
空気ジェットを確立するための一連の手順は以下である。PLCが、弁12の開放を制御する。1又は複数の弁12を作動させるデジタル出力が、オンに切り替えられる。コマンドからの経過する時間は、実装する制御システムのアーキテクチャに依存する(PLCのプログラミング及びサイクルの時間、PLCとデジタル出力カードとの間の通信、デジタル出力カードのタイプ等)。このことは、最大1ミリ秒かかり得る。次いで電流が、弁の可動部を移動させ始めるのに十分な力に達するまで、それぞれの弁の作動コイルに蓄積する(最大数ミリ秒)。そして弁の組合せに応じて制御された弁が開き、空気が流れ始める。管路及びノズルの幾何形状に応じて、空気がノズルの孔から抜け出すのにいくらかの時間がかかる。最後に、ジェットが確立される。まず短期間にわたる過渡現象があった後に、安定したジェットに達する。作動信号とジェットが完全に確立される瞬間との間に過ぎる時間は、5ms未満、好ましくは4ms未満、より好ましくは3ms未満、最も好ましくは2ms未満である。
【0047】
1又は複数の空気ジェットの効果のもとで、対象物は、それらの実質的に直線の進路から、1又は複数の選別経路38、40に向かって向きをそらされる。選別経路38、40、装置10、並びに空気ジェットの本数及び強さの適合のおかげで、向きをそらされた対象物は損傷を受けない。これらの対象物は、装置10がさらに実施され得る新たな準拠性チェックを受け得るが、対象物は損傷を受けていないので、主系統に戻されることができる。
【0048】
本発明は、上記で特定の実施例に関連して説明されてきたが、特定の実施例は例示であり、限定的であるとみなされるべきではない。概して、本発明は上記で図示及び/又は説明された実例に限定されないことが、当業者には明らかであろう。
【国際調査報告】