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特表2024-506240皮膚がんの治療のための組成物および方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-13
(54)【発明の名称】皮膚がんの治療のための組成物および方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/713 20060101AFI20240205BHJP
   A61K 48/00 20060101ALI20240205BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20240205BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20240205BHJP
   A61K 9/51 20060101ALI20240205BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20240205BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20240205BHJP
   C12N 15/113 20100101ALI20240205BHJP
   C07K 16/28 20060101ALI20240205BHJP
【FI】
A61K31/713 ZNA
A61K48/00
A61K45/00
A61K39/395 T
A61K9/51
A61P17/00
A61P35/00
C12N15/113 Z
C07K16/28
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023544088
(86)(22)【出願日】2022-01-21
(85)【翻訳文提出日】2023-09-11
(86)【国際出願番号】 US2022013426
(87)【国際公開番号】W WO2022159778
(87)【国際公開日】2022-07-28
(31)【優先権主張番号】63/140,018
(32)【優先日】2021-01-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】509127310
【氏名又は名称】サーナオミクス インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】モリノー, マイケル
(72)【発明者】
【氏名】エヴァンズ, デーヴィッド エム.
(72)【発明者】
【氏名】ルー, パトリック ワイ.
【テーマコード(参考)】
4C076
4C084
4C085
4C086
4H045
【Fターム(参考)】
4C076AA31
4C076AA65
4C076BB11
4C076BB13
4C076CC27
4C076FF68
4C084AA13
4C084AA22
4C084MA02
4C084MA41
4C084MA66
4C084NA05
4C084NA14
4C084ZB261
4C084ZB262
4C084ZC751
4C084ZC752
4C085AA14
4C085BB11
4C085DD62
4C085GG01
4C085GG02
4C086AA01
4C086AA02
4C086EA16
4C086MA02
4C086MA04
4C086MA41
4C086MA66
4C086NA05
4C086NA14
4C086ZB26
4C086ZC75
4H045AA10
4H045AA30
4H045BA09
4H045CA40
4H045DA76
4H045EA20
4H045FA74
(57)【要約】
TGFβおよびCox-2遺伝子発現を阻害するためのsiRNA配列が提供される。特に扁平上皮癌(isSCC)および/または基底細胞癌(BCC)を治療するための、皮膚がんの治療方法、これらのsiRNA剤および複合体を含有する薬学的組成物がさらに提供される。TGFβおよびCox-2はそれぞれ、がんの進行の駆動に関与している。TGFβは、多くの腫瘍型においてアップレギュレートされ、がん関連線維芽細胞の発達を刺激するのに役割を果たす。Cox-2のアップレギュレーションは、炎症を誘導するのに、また活性なT細胞を不活性なT-reg細胞に変換するのに負の役割を果たす。同時に同じ細胞への2つのsiRNAの共送達は、同時に両方の標的をサイレンスし、それが抗腫瘍活性をもたらす。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上皮内扁平上皮癌(isSCC)または基底細胞癌(BCC)を治療する方法であって、isSCCおよび/またはBCCを患う患者に、有効量の、TGFβ1の活性を阻害する少なくとも1つのsiRNAと、Cox-2を阻害する少なくとも1つのsiRNAとを含むナノ粒子製剤を投与することを含む、方法。
【請求項2】
前記ナノ粒子製剤が、HKPおよび/またはHKP(+H)を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記製剤が、腫瘍内注射により投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記製剤が、静脈内(全身性)投与により腫瘍に投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
製剤製品が、免疫チェックポイント阻害剤と一緒に投与される、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記免疫チェックポイント阻害剤が、PD-1、PDL1、Lag3、Tim3、およびCTLA-4/B7からなる群から選択されるチェックポイントタンパク質を結合もしくは阻害する抗体または他の薬剤である、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記免疫チェックポイント阻害剤が、PD-1阻害剤である、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記PD-1阻害剤が、ペムブロリズマブ(キイトルーダ)、ニボルマブ(オプジーボ)、およびセミプリマブ(リブタヨ)からなる群から選択される、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記免疫チェックポイント阻害剤が、PD-L1阻害剤である、請求項6に記載の方法。
【請求項10】
前記PD-L1阻害剤が、アテゾリズマブ(テセントリク)、アベルマブ(バベンチオ)、およびデュルバルマブ(イミフィンジ)からなる群から選択される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記免疫チェックポイント阻害剤が、CTLA-4阻害剤である、請求項6に記載の方法。
【請求項12】
前記CTLA-4阻害剤が、イピリムマブ(ヤーボイ)である、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記免疫チェックポイント阻害剤が、リンパ球活性化遺伝子-3(LAG-3)阻害剤である、請求項6に記載の方法。
【請求項14】
前記LAG-3阻害剤が、BMS-986016である、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記免疫チェックポイント阻害剤が、T細胞免疫グロブリンおよびムチンドメイン含有-3(TIM-3)、T細胞免疫グロブリンおよびITIMドメイン(TIGIT)、T細胞活性化のVドメインIgサプレッサー(VISTA)、B7ホモログ3タンパク質(B7-H3)またはBおよびT細胞リンパ球アテニュエーター(BTLA))を標的とする、請求項6に記載の方法。
【請求項16】
基底細胞癌(BCC)を治療する方法であって、BCCを患う患者に、有効量の、TGFβ1の活性を阻害する少なくとも1つのsiRNAと、Cox-2を阻害する少なくとも1つのsiRNAとを含む薬学的組成物を投与することを含み、該組成物が、約1週間~12週間、週に少なくとも1回、約5μgと170μgの間の投与量で患者に投与され、患者におけるBCCの腫瘍増殖が減衰または阻害される、方法。
【請求項17】
薬学的組成物が、約1週間~12週間の間、週に少なくとも1回、約10μgと約160μgの間、約10μgと約130μgの間、約10μgと約70μgの間、約10μgと約40μgの間、約20μgと約50μgの間、約20μgと約30μgの間、約30μgと約70μgの間、約40μgと約80μgの間、約60μgと約90μgの間、約50μgと約100μgの間、約70μgと約100μgの間、約80μgと約120μgからなる群から選択される投与量で患者に投与される、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
患者における局所皮膚応答(LSR)が治療後に低減される、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
患者におけるBCCの組織学的クリアランスが用量依存的である、請求項16に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
TGFβおよびCox-2遺伝子発現を阻害するためのRNAi剤が提供される。特に扁平上皮癌(isSCC)および/または基底細胞癌(BCC)を治療するための、皮膚がんの治療方法、これらのRNAi剤および複合体を含有する薬学的組成物がさらに提供される。
【背景技術】
【0002】
TGFβおよびCox-2はそれぞれ、がんの進行の駆動に関与している。TGFβは、多くの腫瘍型においてアップレギュレートされ、がん関連線維芽細胞の発達を刺激するのに役割を果たす。Cox-2のアップレギュレーションは、炎症を誘導するのに、また活性なT細胞を不活性なT-reg細胞に変換するのに負の役割を果たす。これまでに、単一ナノ粒子製剤におけるTGFβ1またはCox-2を標的とする2つのsiRNAの投与は、同時に同じ細胞への2つのsiRNAの共送達を可能にし、同時の両方の標的のサイレンシングが、抗腫瘍活性をもたらすことが示されていた。
【発明の概要】
【0003】
皮膚がんを治療するためのTGFβ1およびCOX-2を標的とするsiRNAを含む薬学的組成物を使用する方法が提供される。一部の実施形態では、isSCCおよび/またはBCCを患う患者に、有効量の、TGFβ1の活性を阻害する少なくとも1つのsiRNAと、Cox-2を阻害する少なくとも1つのsiRNAとを含むナノ粒子製剤を投与することによって扁平上皮癌(isSCC)または基底細胞癌(BCC)を治療するための治療方法が提供される。
【0004】
他の実施形態では、ナノ粒子製剤は、HKPおよび/またはHKP(+H)を含む。さらに他の実施形態では、ナノ粒子製剤は、腫瘍内注射またはIV(全身性)投与により投与される。
【0005】
他の実施形態では、製剤製品は、免疫チェックポイント阻害剤と一緒に投与される。ある特定の実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、PD-1、PDL1、Lag3、Tim3、およびCTLA-4/B7からなる群から選択されるチェックポイントタンパク質を結合もしくは阻害する抗体または他の薬剤である。
【0006】
他の実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤はPD-1阻害剤である。これらの実施形態のいくつかでは、PD-1阻害剤は、ペムブロリズマブ(キイトルーダ)、ニボルマブ(オプジーボ)、およびセミプリマブ(リブタヨ)からなる群から選択される。
【0007】
他の実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤はPD-L1阻害剤である。これらの実施形態のいくつかでは、PD-1阻害剤は、アテゾリズマブ(テセントリク)、アベルマブ(バベンチオ)、およびデュルバルマブ(イミフィンジ)からなる群から選択される。他の実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤はCTLA-4阻害剤であり、これらの実施形態のいくつかでは、CTLA-4阻害剤はイピリムマブ(ヤーボイ)である。
【0008】
他の実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤はリンパ球活性化遺伝子-3(LAG-3)阻害剤である。これらの実施形態の一部では、LAG-3阻害剤はBMS-986016である。
【0009】
他の実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、T細胞免疫グロブリンおよびムチンドメイン含有-3(TIM-3)、T細胞免疫グロブリンおよびITIMドメイン(TIGIT)、T細胞活性化のVドメインIg抑制因子(VISTA)、B7ホモログ3タンパク質(B7-H3)またはBおよびT細胞リンパ球アテニュエーター(BTLA))を標的とする。
【0010】
他の実施形態では、BCCを患う患者に、有効量の、TGFβ1の活性を阻害する少なくとも1つのsiRNAと、Cox-2を阻害する少なくとも1つのsiRNAとを含む薬学的組成物を投与することを含む、基底細胞癌(BCC)を治療するための薬学的組成物が使用され、ここで、組成物は、一実施形態において、約1週間~12週間の間、週に少なくとも1回、約20μgと120μgの間の投与量で患者に投与され、この治療の下で、患者におけるBCCの腫瘍増殖が減衰または阻害される。
【0011】
さらに他の実施形態では、薬学的組成物は、約1週間~12週間の間、週に少なくとも1回、約5μgと約170μgの間、約10μgと約160μgの間、約10μgと約130μgの間、約10μgと約70μgの間、約10μgと約40μgの間、約20μgと約50μgの間、約20μgと約30μgの間、約30μgと約70μgの間、約40μgと約80μgの間、約60μgと約90μgの間、約50μgと約100μgの間、約70μgと約100μgの間、約80μgと約120μgの範囲の投与量で患者に投与される。
【0012】
他の実施形態では、患者における局所皮膚応答は、治療後に低減される。さらに他の実施形態では、患者におけるBCCの組織学的クリアランスは、用量依存的である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】STP705(TGFベータ1およびCox-2のsiRNAを有する)による標的mRNA遺伝子発現ならびにαSMA、Col1A1およびCol3A1を含む選定標的に対する下流効果の非常に有意な低減を示す図である。siRNAは、ヒスチジン-リジンポリマー(HKP-)含有ナノ粒子にパッケージングされている。
図2】STP705がisSCCを有するヒトに投与される場合のTGFβ1平均H-スコア(w SEM)における有意な低減を示す図である。
図3】STP705がisSCCを有するヒトに投与される場合のCOX-2平均H-スコア(w SEM)における低減を示す図である。
図4】isSCCを有する患者における残留腫瘍を有する場合(a)および残留腫瘍を有さない場合(b)の両方のCD4+細胞およびCD8+細胞の治療前ならびに治療後の測定を示す図である。有意な効果は見られなかったが、残留腫瘍を有する対象においてT細胞浸透の増加傾向が見られるようであり、但し残留腫瘍を有さない対象ではその効果は見られないようである。
図5】STP705の、isSCCを有するヒトへの投与(10μg~30μgで)後のKi-67細胞増殖タンパク質発現(平均H-スコア±SEM)の有意な低減を示す図である。Ki67染色は、増殖性の細胞を測定するよう実施された。
図6】siSCCを有するヒトにおけるSTP705投与(10μg~30μgで)後の腫瘍部位内のLC3Bオートファジーマーカーの発現の有意な低減(p<0.031)を示す図である。
図7】siSCCレベルを有するヒトにおけるNFkBタンパク質平均H-スコア(±SEM)に対するSTP705投与(10μg~30μg)の有意な効果(p=0.022)を示す図である。
図8】isSCCを有するヒトにおけるSTP705投与(10μg~30μgで)後の腫瘍内の平均H-スコア(±SEM)ベータ-カテニンレベルに対する有意な効果を示す図である。
図9】治療後のSTP705投与(10μg、20μgおよび30μgで)後のベータカテニンレベル(平均H-スコア(±SEM)として)における有意な用量依存的応答を示す図である。
図10】isSCCを有するヒトにおける第二相臨床治験での(i)高(40μg)用量および(ii)低(20μg)用量のSTP705ならびに(iii)DPPの投与後の経時的な腫瘍の大きさの増大の有意な減衰を示す図である。
図11】(i)高用量(40μg)、(ii)低用量(20μg)のSTP705および(iii)DPPそれぞれの後のisSCC患者における研究の終わりの腫瘍重量の有意な低減を示す図である。
図12】治療後の2週のSTP705で治療した対象における体重の維持、およびその期間の後半中でのDDP投与した対象における体重の減少を示す図である。
図13】それぞれ30μg用量、60μg用量または90μg用量のいずれかを付与された3つのコホート(n=5)におけるBCCを治療するための患者におけるSTP705の効果の臨床研究の予備結果の表を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
上皮内扁平上皮癌(isSCC)および/または基底細胞癌(BCC)を治療するための組成物および方法が提供される。組成物は、TGFβ1の活性を阻害する少なくとも1つのsiRNAと、Cox-2を阻害する少なくとも1つのsiRNAとを含む。好適には、製剤は、ナノ粒子製剤であり、例えば、HKPおよび/またはHKP(+H)を含有し得る。製剤は、腫瘍内注射により、または静脈内(全身性)投与により投与され得る。製剤は、免疫チェックポイント阻害剤と一緒に投与され得る。好適には、免疫チェックポイント阻害剤は、PD-1、PDL1、Lag3、Tim3、およびCTLA-4/B7からなる群から選択されるチェックポイントタンパク質を結合もしくは阻害する抗体または他の薬剤である。チェックポイント阻害剤は、例えば、ペムブロリズマブ(キイトルーダ)、ニボルマブ(オプジーボ)、またはセミプリマブ(リブタヨ)などのPD-1阻害剤;アテゾリズマブ(テセントリク)、アベルマブ(バベンチオ)、およびデュルバルマブ(イミフィンジ)などのPD-L1阻害剤;イピリムマブ(ヤーボイ)などのCTLA-4阻害剤;BMS-986016などのリンパ球活性化遺伝子-3(LAG-3)であってもよく、あるいはT細胞免疫グロブリンおよびムチンドメイン含有-3(TIM-3)、T細胞免疫グロブリンおよびITIMドメイン(TIGIT)、T細胞活性化のVドメインIg抑制因子(VISTA)、B7ホモログ3タンパク質(B7-H3)またはBおよびT細胞リンパ球アテニュエーター(BTLA))を標的とする免疫チェックポイント阻害剤であってもよい。
【0015】
分岐状ヒスチジンリジン共重合体からなるペプチドナノ粒子におけるTGFβ1 siRNAおよびCox-2 siRNAの投与が、創傷を治療することならびに肥厚性瘢痕を消散させることの組合せの有効性を示し得ることを、本発明者らはこれまでに実証した。Zhouら、Oncotarget 8:80651~80665頁(2017年)。TGFβ1およびCox-2を同時にサイレンシングする2つのsiRNAの共送達がヒト線維芽細胞アポトーシスをもたらすことを本発明者らは実証した(同文献)。さらに、HKP(ヒスチジンリジン分岐状ポリマー)は、siRNAを有するナノ粒子を形成し、in vivoで投与された場合に、siRNAを分解から保護する働きをし、また同時に同じ細胞へ2つのsiRNAの取り込みを可能にした。ヒト肥厚性瘢痕へのHKP媒介性siRNA送達および製品が、肥厚性瘢痕のサイズの有意な低減をもたらすことが示された。このことはさらに、マウスへ投与されるヒト皮膚移植片のサイズの低減へと置き換えられた。メカニズムは、皮膚試料に対する抗線維化作用によるものであった。
【0016】
本明細書中に記載する臨床治験では、ナノ粒子製剤は、上皮内扁平上皮癌(isSCC)を有する患者における腫瘍に投与された。製品は、直接的な腫瘍内注射によって、10μg、20μg、30μg、60μgまたは120μgの用量で投与された。週ベースで腫瘍1つにつき6回(6)用量が投与された。この治験の臨床結果は、腫瘍の体積を低減する際の治療の有意な用量依存的効果を実証しており、用量1回当たり30μg、60μg、および120μgの用量で、腫瘍を有する患者15名のうちの13名(87%)の病変の臨床的クリアランスが観察された。
【0017】
化合物の投与後の腫瘍のバイオプシーから回収した試料のIHC染色により、TGFβ1 siRNAおよびCox-2 siRNAの両方の投与による有効性の増加の論理的根拠は、CD4+およびCD8+T細胞の、固形受容への動員の増加によるものであると示唆された。この効果は、周囲の腫瘍で起こり、T細胞の腫瘍への浸透を阻害することが実証されているTGFβ勾配を低減させることによって増強される(Danieleら、Nature 554:538~546頁(2018年);Mariathasanら、Nature 554:544~548頁(2018年))。Cox-2の上昇もまた、腫瘍への活性なT細胞動員を阻害する役割を果たす(Gaoら、Digestion 79:169~76頁(2009年))。腫瘍の微小環境内のCox-2発現の阻害は、活性なT細胞のTregへの変換を阻害すると予測されており(同文献)、動員されたT細胞の活性を増強する。したがって、併用治療は、T細胞を動員して、非自己細胞(腫瘍細胞)に対して闘うそれらの能力を維持するのに驚くべき劇的な効果を有する。
【0018】
TGFβ1 siRNAおよびCox-2 siRNAのセンス鎖の配列を、ヒト、マウス、サルおよびブタにおける同じ遺伝子の配列とともに表1において以下で示す。siRNA配列は、ヒト、マウスおよびサルにおける遺伝子に対して同一性を有する。Cox-2 siRNAもまた、ブタにおける遺伝子と同一性を有する。TGFβ1 siRNAは、単一ヌクレオチド(C-U)を除けばブタにおける配列と同一性を有する。表2および表3は、TGFβ1およびCox-2に対するさらなるsiRNA配列を提供する。
【0019】
siRNA分子は、特定の分子の組成および構造に応じて、細胞において相加効果または相乗効果を生み出し得る。好ましい実施形態では、siRNA分子は、相乗効果を生み出す。二本鎖RNAは、RNA干渉(RNAi)を介して遺伝子発現をサイレンシングすることがわかっている。低分子干渉RNA(siRNA)誘導性のRNAi調節は、がんを含む多種多様なヒト疾患を治療する大きな可能性を示す。
【0020】
RNAiは、理論上任意の遺伝子をノックダウン、またはサイレンシングするための比較的容易で直接的な方法を提供する配列特異的なRNA分解プロセスである。天然に存在するRNA干渉では、二本鎖(ds)RNAは、エンドヌクレアーゼによってsiRNA分子に切断されて、3’末端でオーバーハングする。これらのsiRNAは、RNA誘導サイレンシング複合体(RISC)と呼ばれる多成分リボヌクレアーゼへ取り込まれる。siRNAの一方の鎖は、RISCと結合されたままであり、複合体を、RISCにおけるガイダー(guider)一本鎖siRNA(ss-siRNA)に相補的な配列を有する同族RNAへと導く。このsiRNA指向性エンドヌクレアーゼはRNAを消化して、それによりそれを不活性化させる。研究により、化学的に合成された21~25-ntのsiRNAの使用が、哺乳動物細胞においてRNAi効果を示し、siRNAハイブリダイゼーション(末端で、または中央で)の熱力学的安定性が、分子の機能を決定するのに中心的な役割を果たすことが明らかとなっている。
【0021】
現時点では、疾患遺伝子のmRNA配列を潜在的に標的とする多くの考え得る候補siRNA配列のうちのどれが実際に有効なRNAi活性を示すかを高い信頼度で予測することは不可能である。代わりに、個々に特異的な候補siRNAポリヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチド配列を作成して、哺乳動物細胞培養物中で試験して、標的とされる遺伝子の発現の意図される妨害が起きたかどうかを決定しなくてはならない。siRNAの特有の利点は、siRNA二重鎖全てが同じ起源および同じ製造プロセスで化学的に均質であるため、複数のsiRNA二重鎖と組み合わせて、同じ治療において複数の疾患を引き起こす遺伝子を標的とすることを可能にさせる。
【0022】
本明細書中で使用する場合、「siRNA分子」は、分子が細胞へ導入された後、RNAを産生する細胞において遺伝子の発現を妨害する二重鎖オリゴヌクレオチド、即ち、短い二本鎖ポリヌクレオチドである。例えば、siRNA分子は、一本鎖(ss)標的RNA分子、例えばmRNAまたはマイクロRNA(miRNA)における相補ヌクレオチド配列を標的として、それに結合する。続いて、標的RNAは細胞によって分解される。かかる分子は、当業者に既知の技法によって構築される。かかる技法は、米国特許第5,898,031号、同第6,107,094号、同第6,506,559号、同第7,056,704号に、また欧州特許第1214945号および同第1230375号に記載されている。当該技術分野の慣例により、siRNA分子が特定のヌクレオチド配列によって同定される場合、その配列は、二重鎖分子のセンス鎖を指す。
【0023】
siRNA分子は、天然に存在するリボヌクレオチド、即ち、生細胞中に見出されるものから作製することができ、あるいはそのヌクレオチドの1つまたは複数は、当該技術分野で既知の技法によって化学的に修飾することができる。その個々のヌクレオチドの1つまたは複数のレベルで修飾されるほかに、オリゴヌクレオチドの骨格を修飾することができる。さらなる修飾は、siRNA分子上へのコンジュゲーション用の小分子(例えば、糖分子)、アミノ酸分子、ペプチド、コレステロール、および他の大分子の使用を包含する。
【0024】
一実施形態では、分子は、約19~約35塩基対の長さを有するオリゴヌクレオチドである。この実施形態の一態様では、分子は、約19~約27塩基対の長さを有するオリゴヌクレオチドである。別の態様では、分子は、約21~約25塩基対の長さを有するオリゴヌクレオチドである。全てのこれらの態様では、分子は、両方の末端で平滑末端を、または両方の末端で粘着末端を、または一方の末端に平滑末端および他方の末端に粘着末端を有し得る。
【0025】
開示する実施形態の組成物において、2つの異なる分子および共重合体の相対量は変動し得る。一実施形態では、2つの異なるsiRNA分子の比は、質量で約1:1である。別の実施形態では、これらの分子と共重合体の比は、質量で約1:4、1:4.5、または1:5である。好ましくは、2つの異なるsiRNA分子の比は、質量で約1:1であり、これらの分子と共重合体の比は、質量で約1:4、1:4.5、または1:5である。これらの比で、組成物は、直径が約150nmの平均サイズを有するナノ粒子を形成する。
【0026】
一実施形態では、siRNA分子は、表1~表3のいずれかにおいて同定されるものから選択される。例は、下記の配列:
hmTF-25-2:センス、5’-r(CCCAAGGGCUACCAUGCCAACUUCU)-3’、
アンチセンス、5’-r(AGAAGUUGGCAUGGUAGCCCUUGGG)-3’、および
hmCX-25-1:センス、5’-r(GGUCUGGUGCCUGGUCUGAUGAUGU)-3’、
アンチセンス、5’-r(ACAUCAUCAGACCAGGCACCAGACC)-3’
を有する、表1におけるhmTF-25-2およびhmCX-25-1と称される対である。
【0027】
開示する実施形態は、(a)標的mRNA分子における相補ヌクレオチド配列を標的とするよう設計されたsiRNA分子の一群を創出する工程であって、siRNA分子のターゲティング鎖がヌクレオチドの様々な配列を含む、siRNA分子の一群を創出する工程と、(b)in vitroで標的mRNA分子に対して最も高い所望の効果を示すsiRNA分子を選択する工程と、(c)動物創傷モデルにおいて選択したsiRNA分子を評価する工程と、(d)それらのサイレンシング活性および治療効果に関して、モデルにおいて最大の有効性を示すsiRNA分子を選択する工程とを含む、所望のsiRNA分子を同定する方法を包含する。
【0028】
重要なことに、現段階では、疾患遺伝子のmRNA配列を潜在的に標的とする多くの考え得る候補siRNA配列のうちのどれが実際に有効なRNAi活性を示すかを高い信頼度で予測することは不可能である。代わりに、個々に特異的な候補siRNAポリヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチド配列を作成して、in vitro臓器培養アッセイなどの哺乳動物細胞培養物中で試験して、標的とされる遺伝子の発現の意図される妨害が起きたかどうかを決定しなくてはならない。siRNAの特有の利点は、siRNA二重鎖全てが同じ起源および同じ製造プロセスで化学的に均質であるため、複数のsiRNA二重鎖と組み合わせて、同じ治療において複数の疾患を引き起こす遺伝子を標的とすることを可能にさせる。
【0029】
好ましくは、siRNA分子は、動物モデルの少なくとも2つで評価される。一実施形態では、当該方法は、薬学的に許容される担体を、siRNA分子それぞれに添加して、薬学的組成物を形成する工程と、動物創傷モデル(単数または複数)において薬学的組成物それぞれを評価する工程とをさらに包含する。
【0030】
一実施形態では、siRNA配列は、それぞれが少なくとも、ヒトおよびマウス、またはヒトおよび非ヒト霊長類の両方由来の同じ遺伝子を標的として阻害することができるように調製される。一態様では、siRNA分子は、ヒトmRNAおよび同族のマウスmRNA分子の両方に結合する。即ち、ヒトおよびマウスmRNA分子は、構造または機能が実質的に同じであるタンパク質をコードする。したがって、マウス疾患モデルで観察される有効性および毒性の反応は、ヒトで起こり得る事項に関して良好な理解を提供する。より重要なことに、マウスモデルで試験したsiRNA分子は、ヒト薬学的薬剤に関する良好な候補である。siRNA薬物剤のヒト/マウス相同性設計は、モノクローナル抗体薬物で観察される種特異性の毒性および有害作用を排除することができる。
【0031】
一実施形態では、開示する実施形態は、哺乳動物細胞におけるTGFβ1タンパク質をコードするmRNAに結合する2つまたはそれよりも多い異なるsiRNA分子、および哺乳動物細胞におけるCOX-2タンパク質をコードするmRNAに結合する2つまたはそれよりも多い異なるsiRNA分子を含む組成物を提供する。分子は、標的mRNA内の異なるヌクレオチド配列に結合し得る。siRNA分子は、特定の分子の組成および構造に応じて、細胞において相加効果または相乗効果をもたらし得る。好ましい実施形態では、siRNA分子は相乗効果をもたらす。これらの実施形態のある特定の用途において、siRNA分子は、表1~表3で同定されるものから選択される。
【0032】
siRNA分子は、薬学的に許容される担体と組み合わせて、哺乳動物へ投与するための薬学的組成物を提供する。開示する実施形態では、患者は哺乳動物であってもよく、哺乳動物は、イヌ、ネコ、ブタ、非ヒト霊長類、または齧歯類、例えば、マウス、ラット、もしくはモルモットなどの実験室動物であり得る。好ましくは、哺乳動物はヒトである。
【0033】
ヒスチジン-リジン共重合体。担体は、siRNA分子を含有するナノ粒子を形成するヒスチジン-リジン共重合体であり、ここで、ナノ粒子は、直径が100nm~400nmのサイズを有する。この実施形態の一態様では、担体は、HKP種、H3K4bおよびPT73からなる群から選択され、それらはヒスチジン、リジン、またはアスパラギンの多重反復を含有する4つの分岐を有するリジン骨格を有する。HKP水が質量でN/P比4:1にてsiRNAと混合された場合、ナノ粒子(直径が100nm~200nmの平均サイズ)が自己集合した。この実施形態の別の態様では、HKPは下記の式:
(R)K(R)-K(R)-(R)K(X)[式中、R=KHHHKHHHKHHHKHHHKであるか、またはR=KHHHKHHHNHHHNHHHNであり、X=C(O)NH2であり、K=リジンであり、H=ヒスチジンであり、N=アスパラギンである]
を有する。
【0034】
この実施形態のさらに別の態様では、HKPは下記の式:
(R)K(R)-K(R)-(R)K(X)[式中、R=KHHHKHHHKHHHKHHHKであり、X=C(O)NH2であり、K=リジンであり、H=ヒスチジンである]
を有する。
【0035】
この実施形態のさらに別の態様では、HKPは下記の式:
(HKP(+H))
を有し、ここで第3の反復HHHKモチーフは追加のHを有する(右端から6文字目に位置する)
(R)K(R)-K(R)-(R)K(X)[式中、R=KHHHKHHHKHHHHKHHHKであり、X=C(O)NH2であり、K=リジンであり、H=ヒスチジンである]。
【0036】
開示する実施形態の薬学的組成物は、哺乳動物の組織の細胞において、α-平滑筋アクチン(α-SMA)、ヒドロキシプロリン酸、Smad3、および結合組織増殖因子(CTGF)などの線維化促進因子、ならびにTGFβ1/Smad3/α-SMA/コラーゲンI~IIIなどの線維化経路をダウンレギュレートするのに有用である。治療的有効量の組成物は、哺乳動物の組織に投与される。本発明者らは、TGFβ1などの経路の上流因子をブロックするRNAiの使用が、より強力な阻害剤であると仮定した。この経路に関与する複雑なネットワークを認識して、本発明者らは、種々の経路におけるCox-2などの関連因子の阻害が、線維症経路およびその関連ネットワークのより堅固な制御にとって相乗効果をもたらし得ると仮定した。一実施形態では、組織は、皮膚の瘢痕、肝臓、肺、腎臓、または心臓組織である。この実施形態の一態様では、組織は、皮膚の瘢痕組織である。別の実施形態では、細胞は、線維芽細胞および筋線維芽細胞を含む。この実施形態の一態様では、線維芽細胞および筋線維芽細胞は、皮膚線維芽細胞および筋線維芽細胞である。
【0037】
薬学的組成物を投与することを含む開示する方法の実施形態はまた、哺乳動物の組織において線維芽細胞および筋線維芽細胞のアポトーシスを活性化するのに有用である。これにより、組織の慢性炎症後の瘢痕化によって引き起こされる組織線維症が低減される。かかるアポトーシスは、in vitroおよびin vivoで、FACS解析を用いてアポトーシス細胞集団を測定することと、体数を計数することと、TGFβ1、Cox-2、α-SMA、コラーゲンIおよびコラーゲンIII、ヒドロキシプロリン酸の発現レベルを検出することとによって決定および測定され得る。
【0038】
開示する実施形態の1つの特定の実施形態は、組織に、治療的有効量の、siRNA分子hmTF-25-2:センス、5’-r(CCCAAGGGCUACCAUGCCAACUUCU)-3’、アンチセンス、5’-r(AGAAGUUGGCAUGGUAGCCCUUGGG)-3’、siRNA分子hmCX-25-1:センス、5’-r(GGUCUGGUGCCUGGUCUGAUGAUGU)-3’、アンチセンス、5’-r(ACAUCAUCAGACCAGGCACCAGACC)-3’と、薬学的に許容されるヒスチジン-リジン共重合体を含む薬学的に許容される担体とを含む組成物を注射することを含む、ヒトの組織において線維芽細胞および筋線維芽細胞のアポトーシスを活性化する方法を提供する。この実施形態の一態様では、ヒスチジン-リジン共重合体は、ヒスチジン-リジン共重合体種H3K4bまたはヒスチジン-リジン共重合体種PT73を含む。この実施形態の別の態様では、ヒスチジン-リジン共重合体は、式:
(R)K(R)-K(R)-(R)K(X)[式中、R=KHHHKHHHKHHHKHHHKであり、X=C(O)NH2であり、K=リジンであり、H=ヒスチジンであり、N=アスパラギンである]
を有する。この実施形態のさらに別の態様では、ヒスチジン-リジン共重合体は、式:
(R)K(R)-K(R)-(R)K(X)[式中、R=KHHHKHHHKHHHKHHHKであるか、またはR=KHHHKHHHKHHHHKHHHKであり、X=C(O)NH2であり、K=リジンであり、H=ヒスチジンである]
を有する。
【0039】
別の開示する実施形態は、組織に、治療的有効量の、siRNA分子hmTF-25-2:センス、5’-r(CCCAAGGGCUACCAUGCCAACUUCU)-3’、アンチセンス、5’-r(AGAAGUUGGCAUGGUAGCCCUUGGG)-3’、siRNA分子hmCX-25-1:センス、5’-r(GGUCUGGUGCCUGGUCUGAUGAUGU)-3’、アンチセンス、5’-r(ACAUCAUCAGACCAGGCACCAGACC)-3’と、薬学的に許容されるヒスチジン-リジン共重合体を含む薬学的に許容される担体とを含む組成物を注射することを含む、哺乳動物におけるBCCまたはisSCCの治療方法を提供する。この実施形態の一態様では、ヒスチジン-リジン共重合体は、ヒスチジン-リジン共重合体種H3K4bまたはヒスチジン-リジン共重合体種PT73を含む。この実施形態のさらに別の態様では、ヒスチジン-リジン共重合体は、式:
(R)K(R)-K(R)-(R)K(X)[式中、R=KHHHKHHHKHHHKHHHKであり、X=C(O)NH2であり、K=リジンであり、H=ヒスチジンであり、N=アスパラギンである]
を有する。
【0040】
この実施形態のさらに別の態様では、ヒスチジン-リジン共重合体は、式:
(R)K(R)-K(R)-(R)K(X)[式中、R=KHHHKHHHKHHHKHHHKであるか、またはこの配列の右端から6文字目に位置する追加のHを有する場合は:R=KHHHKHHHKHHHHKHHHKであり、X=C(O)NH2であり、K=リジンであり、H=ヒスチジンである]
を有する。
【0041】
開示する実施形態における使用に適した他のHKP共重合体は、例えば、米国特許第7,070,807号;同第7,163,695号;同第7,465,708号;および同第7,772,201号に提供されている。
【0042】
治療的有効量の薬学的組成物は組織に送達される。かかる組織として、皮膚、肝臓、肺、腎臓、および心臓組織が挙げられるが、これらに限定されない。組成物は、注射によって組織に、皮下注射によって哺乳動物に、または静脈内注射によって哺乳動物に送達されてもよい。他の実施形態では、組成物は、局所投与される。さらに他の実施形態では、組成物は、非経口的にまたは経口的に投与される。
【0043】
TGFβ1およびCox-2発現を阻害するsiRNAは、それらの遺伝子がサイレンシングされて、コラーゲンの発現が低減される領域へのT細胞浸透を誘導することができることはこれまでに実証された。ZhouらOncotarget8(46):80651~80665頁(2017年)。Jonesら(2017年)が実証したように、脂肪細胞は、高脂肪食の20週後および34週後にマウスにおいて、TGFβ1、inhba、itga5およびctgf、コラーゲン(collalおよびcol6a3)、エラスチン(eln)、フィブロネクチン(fn1)、および他のTGFβファミリーの成員を含む、いくつかのECM関連遺伝子をアップレギュレートした(Jonesら、2017年)。TGFβ1は、SMAD、JNK、ERKおよびMRTFA/SRFを含むシグナル伝達または転写因子経路により遺伝子発現を調節する。MRTFAは、脂肪生成よりも線維形成を好むことによって、脂肪組織の食事誘導性代謝崩壊において役割を有するとして関与していた。同文献。
【0044】
開示する実施形態は、目的の遺伝子の発現をサイレンシングするよう作用する二本鎖または一本鎖核酸を提供する。本明細書中に開示する実施形態では、siRNAまたは他の核酸分子は、2つの標的遺伝子であるTGFβ1およびCox-2上の相補配列を標的として、それらに結合して、両方をサイレンシングして、所望の治療効果を誘発する。一部の実施形態では、siRNAまたは他の核酸分子は、少なくとも1つのヒスチジン残基および少なくとも1つのリジン残基を含有するポリペプチドポリマーを有するナノ粒子製剤中で一緒に製剤化される。より好ましくは、一部の実施形態では、ポリペプチドポリマーは、HKPまたはHKP(+H)である。
【0045】
製剤の調製-薬学的組成物
ある特定の実施形態では、開示する実施形態は、開示する実施形態のdsRNA剤を含む薬学的組成物を提供する。dsRNA剤試料は適切に製剤化されて、遺伝子サイレンシングが起こり得る場合に十分な分量の試料が、細胞に進入して遺伝子サイレンシングを誘導するのを可能にする任意の手段によって、細胞の環境に導入され得る。dsRNAに関する多くの製剤が当該技術分野で既知であり、dsRNAが作用できるように標的細胞への進入を達成する限りは使用することができる。例えば、米国特許出願公開第2004/0203145A1号および同第2005/0054598A1号を参照のこと。例えば、開示する実施形態のdsRNA剤は、リン酸緩衝生理食塩水などのバッファー溶液、リポソーム、ミセル構造、およびカプシド中で製剤化され得る。カチオン性脂質を有するdsRNA剤の製剤を使用して、dsRNA剤の、細胞へのトランスフェクションを促進することができる。例えば、リポフェクチン(米国特許第5,705,188号)、カチオン性グリセロール誘導体などのカチオン性脂質、およびポリリジン(PCT国際出願公開第97/30731号)などのポリカチオン分子を使用することができる。適切な脂質として、オリゴフェクトアミン、リポフェクトアミン(Life Technologies社)、NC388(Ribozyme Pharmaceuticals社、ボルダー、コロラド州)、またはFuGene6(Roche社)が挙げられ、それらは全て、製造業者の説明書に従って使用することができる。
【0046】
かかる組成物は通常、核酸分子と、薬学的に許容される担体とを含む。本明細書中で使用する場合、「薬学的に許容される担体」という言語は、薬学的投与と適合性である食塩水、溶媒、分散媒、コーティング、抗菌剤および抗真菌剤、等帳剤および吸収遅延剤などを包含する。補足的な活性化合物も組成物に取り込むことができる。
【0047】
注射用途に適した薬学的組成物は、滅菌水溶液(ここでは水溶性)または分散体および滅菌注射用溶液または分散体の即時調製用の滅菌粉末を含む。静脈内投与に関して、適切な担体として、生理食塩水、静菌性の水、Cremophor EL(商標)(BASF社、パッシパニー、ニュージャージー州)またはリン酸緩衝生理食塩水(PBS)が挙げられる。全ての場合において、組成物は、滅菌状態でなくてはならず、シリンジ操作性(syringability)が容易である程度に流動的であるべきである。組成物は、製造および保管の条件下で安定であるべきであり、細菌および真菌などの微生物の混入作用に対して保存されなくてはならない。担体は、例えば水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、および液体ポリエチレングリコールなど)、およびそれらの適切な混合物を含有する溶媒または分散媒であり得る。適正な流動度は、例えばレシチンなどのコーティングの使用によって、分散体の場合、所要の粒子径の維持によって、および界面活性剤の使用によって維持することができる。微生物の作用の防止は、様々な抗菌剤および抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、アスコルビン酸、チメロサールなどによって達成することができる。多くの場合、組成物中に等張剤、例えば、糖類、ポリアルコール類、例えばマンニトール、ソルビトール、塩化ナトリウムを含むことが好ましい。注射用組成物の持続吸収は、組成物中に吸収を遅延する薬剤、例えばモノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンを含むことによってもたらすことができる。
【0048】
滅菌注射可能溶液は、必要に応じて、上記で列挙した成分の1つまたは組合せとともに、選択した溶媒中に所要量で活性化合物を取り込むこと、続く滅菌濾過によって調製することができる。概して、分散体は、基本的な分散媒および上記で列挙したもの由来の所要の他の成分を含有する滅菌ビヒクルに活性化合物を取り込むことによって調製される。滅菌注射用溶液の調製用の滅菌粉末の場合、好ましい調製方法は、真空乾燥および凍結乾燥であり、これらにより、活性成分と任意の追加の所望の成分の粉末が、それらの予め滅菌濾過した溶液から得られる。
【0049】
経口組成物は概して、上述するHKPなどの不活性希釈剤または食用担体を含む。経口治療的投与の目的で、活性化合物は、添加物とともに取り込まれて、錠剤、トローチ、カプセル、例えばゼラチンカプセルの形態で使用することができる。経口組成物はまた、洗口液として使用するための流動担体を使用して調製することができる。薬学的に適合性の結合剤、および/またはアジュバント材料は、組成物の一部として含まれ得る。錠剤、丸剤、カプセル、トローチなどは、下記の成分、または類似した性質の化合物のいずれかを含有し得る:微結晶性セルロース、トラガカントゴムもしくはゼラチンなどの結合剤;デンプンもしくはラクトースなどの添加物;アルギン酸、Primogel、もしくはコーンスターチなどの崩壊剤;ステアリン酸マグネシウムもしくはSterotesなどの潤滑剤;コロイド状二酸化ケイ素などの流動促進剤;スクロースまたはサッカリンなどの甘味剤;またはペパーミント、メチルサリチレート、もしくはオレンジ香味料などの香味剤。
【0050】
一実施形態では、活性化合物は、埋込錠(implants)およびマイクロカプセル化された送達系を含む徐放製剤のように、身体からの迅速な排除に対して化合物を防御する担体とともに調製される。エチレン酢酸ビニル、ポリ酸無水物、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリオルトエステル、およびポリ乳酸などの生分解性、生体適合性ポリマーを使用することができる。かかる製剤は、標準的な技法を使用して調製することができる。材料はまた、Alza社およびNova Pharmaceuticals社から市販され得る。リポソーム懸濁液(ウイルス抗原に対するモノクローナル抗体を用いて感染細胞を標的とするリポソームを含む)もまた、薬学的に許容される担体として使用することができる。これらは、例えば米国特許第4,522,811号に記載されるように、当業者に既知の方法に従って調製することができる。
【0051】
dsRNA剤を細胞の環境へ導入する方法は、細胞型およびその環境の構成に依存することは理解されよう。例えば、細胞が液体内で見出される場合、1つの好適な製剤は、脂質製剤とともに、例えばリポフェクトアミン中に存在し、dsRNA剤は、細胞の液体環境に直接添加され得る。脂質製剤はまた、例えば静脈内、筋肉内、もしくは腹腔内注射によって、または経口的に、または吸入もしくは当該技術分野で既知であるような他の方法によって動物に投与され得る。製剤が、哺乳動物などの動物、より具体的にはヒトへの投与に適している場合、製剤はまた、薬学的に許容される。オリゴヌクレオチドを投与するための薬学的に許容される製剤は既知であり、使用することができる。場合によっては、卵母細胞を用いた研究と同様に、バッファーまたは食塩水溶液中でdsRNA剤を製剤化して、製剤化されたdsRNA剤を細胞へ直接注射することが好適であり得る。dsRNA剤二重鎖の直接的な注射もまた行われ得る。dsRNAを導入するのに適した方法に関して、米国特許出願公開第2004/0203145A1号を参照のこと。
【0052】
一実施形態では、siRNA分子または他の核酸は、19~27塩基対のヌクレオチド長を有し、別の実施形態では、siRNA分子または他の核酸は、20~30塩基対の長さを有し、さらに別の実施形態では、siRNA分子または他の核酸は、24~28塩基対の長さを有する。分子は両末端に平滑末端、または両方の末端に粘着末端、またはそれぞれ一方ずつを有することができる。siRNA分子は、個々のヌクレオチドレベルでまたはオリゴヌクレオチド骨格レベルで化学修飾を含んでもよく、あるいはsiRNA分子は、修飾を有さなくてもよい。1つの好ましい実施形態では、抗TGFβ1 siRNAまたは抗Cox-2 siRNAは、25個のヌクレオチドの鎖長を保有する。別の実施形態では、抗TGFβ1 siRNAまたは抗Cox-2 siRNAは、19~25個のヌクレオチドの鎖長を保有する。一部の実施形態では、siRNA分子は非対称的であってもよく、ここで、一方の鎖は他方よりも短い(通常、2塩基分、例えば23量体に対して21量体、または21量体に対して19量体、または25量体に対して23量体)。鎖は、選択鎖の3’末端上のdTdTオーバーハング基の包含によって修飾され得る。例えば、上記表2を参照のこと。
【0053】
好適には、薬学的組成物はSTP705である。STP705は、2つのsiRNAオリゴヌクレオチドを含有する:それぞれ、TGF-β1およびCOX-2 mRNAを標的とするTGF-β1-siRNA(STP705-1)およびCOX-2-siRNA(STP705-2)。siRNAはそれぞれ、二本鎖の25ヌクレオチド長であり、平滑末端である。siRNA分子は、ペプチドおよびトレハロースとともに製剤化される。TGF-β1-siRNAは、トランスフォーミング増殖因子β1を標的とする低分子干渉核酸である。
【0054】
TGFβ1を標的とする二重鎖のセンスおよびアンチセンス鎖は、
ST-705-1S(センス鎖):5’CCCAAGGGCUACCAUGCCAACUUCU3’
ST-705-1A(アンチセンス鎖)5’AGAAGUUGGCAUGGUAGCCCUUGGG3
である。
【0055】
COX-2を標的とする二重鎖のセンスおよびアンチセンス鎖は、
ST-705-2S(センス鎖):5’GGUCUGGUGCCUGGUCUGAUGAUGU3’
ST-705-2A(アンチセンス鎖)5’ACAUCAUCAGACCAGGCACCAGACC3’
である。
【0056】
さらなるsiRNA配列を表1~表3に提供する。
【0057】
H3K4bは、3つのL-リジン残基の骨格を有する分岐状ペプチドであり、ここで、N末端および3つのリジン基のε-アミノ基は、構造KHKHKHKHを有するヒスチジン-リジンペプチド鎖に連結されている。ペプチドのC末端はアミド化されている。ヒスチジン-リジン共重合体担体は、上記でさらに記載されている。
【0058】
分子は薬学的に許容される担体と混合されて、対象に投与するための組成物を提供する。好ましくは、対象はヒトである。一実施形態では、組成物は、薬学的に許容される担体と、少なくとも3つのsiRNA分子とを含み、ここでsiRNA分子はそれぞれ、炎症促進性経路の遺伝子、血管新生促進性経路の遺伝子、および細胞増殖促進性経路の遺伝子からなる群から選択される遺伝子をコードするmRNA分子を結合する。さらに別の実施形態では、siRNAはそれぞれ、少なくとも3つの異なる遺伝子配列を標的とする、少なくとも3つのsiRNA二重鎖を含有する。好ましくは、遺伝子はそれぞれ、異なる経路から選択される。開示する実施形態は、疾患組織および細胞へのsiRNA送達を増強するための薬学的に有用な担体を含む。
【0059】
組成物の様々な実施形態では、担体は、食塩水溶液、糖溶液、ポリマー、脂質、クリーム、ゲル、およびミセル材料からなる群から選択される1つまたはそれよりも多い成分を含む。さらなる成分または担体として、ポリカチオン性結合剤、カチオン性脂質、カチオン性ミセル、カチオン性ポリペプチド、親水性ポリマーグラフト化ポリマー、非天然カチオン性ポリマー、カチオン性ポリアセタール、親水性ポリマーグラフト化ポリアセタール、リガンド官能基化カチオン性ポリマー、およびリガンド官能基化親水性ポリマーグラフト化ポリマー、生分解性ポリエステル、例えばポリ(乳酸)(PLA)、ポリ(グリコール酸)(PGA)、およびポリ(乳酸-コ-グリコール酸)(PLGA)、PEG-PEI(ポリエチレングリコールおよびポリエチレンイミン)、ポリスペルミン(スペルミジン)、およびポリアミドアミン(PAMAM)デンドリマーが挙げられる。好ましい実施形態では、担体は、siRNA分子を含有するナノ粒子を形成すると考えられるヒスチジン-リジン共重合体であり、ここでナノ粒子は、直径が約100nm~400nm、または好ましくは直径が80nm~200nm、より好ましくは直径が80nm~150nmのサイズを有する。一部の実施形態では、siRNA分子は、局所投与用にメチルセルロースゲルとともに製剤化され得る。一部の好ましい実施形態では、80nm~150nm、または80nm~200nmの範囲のサイズの、siRNA分子を含有するナノ粒子は、メチルセルロースゲルを用いずに注射または点滴用に製剤化され得る。メチルセルロースゲルを用いてナノ粒子を製剤化する方法は、当該技術分野で既知である。
【0060】
「薬学的に許容される担体」または「担体」という語句は、治療剤投与用の担体を指す。例示的な担体として、食塩水、バーファー食塩水、デキストロース、水、グリセロール、エタノール、およびそれらの組合せを包含する。経口投与される薬物に関して、薬学的に許容される担体として、不活性希釈剤、崩壊剤、結合剤、潤滑剤、甘未剤、香味剤、着色剤および防腐剤などの薬学的に許容される添加物が挙げられるが、これらに限定されない。適切な不活性希釈剤として、炭酸ナトリウムおよびカルシウム、リン酸ナトリウムおよびカルシウム、およびラクトースが挙げられるのに対して、コーンスターチおよびアルギン酸は、適切な崩壊剤である。結合剤として、デンプンおよびゼラチンが挙げられ得るのに対して、潤滑剤は、存在する場合は一般的に、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸またはタルクである。望ましい場合、錠剤は、モノステアリン酸グリセリンまたはジステアリン酸グリセリルなどの材料でコーティングされて、消化管における吸収を遅延させてもよい。開示するdsRNA組成物の薬学的に許容される担体は、リポソームなどのミセル構造、カプシド、カプソイド(capsoids)、高分子ナノカプセル、または高分子マイクロカプセルであってもよい。
【0061】
高分子ナノカプセルまたはマイクロカプセルは、カプセル化されたdsRNAまたは結合されたdsRNAの、細胞への輸送および放出を促進する。高分子ナノカプセルまたはマイクロカプセルは、高分子材料およびモノマー材料を含み、特にポリシアノアクリル酸ブチルを含む。材料および製造方法の概要は公開されている(Kreuter,1991年を参照)。重合/ナノ粒子生成工程でモノマーおよび/またはオリゴマー前駆体から形成される高分子材料は、ナノ粒子を製造する分野の当業者が通常の作業に従って適切に選択し得る高分子材料の分子量および分子量分布であるように、それ自体、先行技術から既知である。
【0062】
修飾および連結。開示する実施形態のdsRNA剤は、別の部分(例えば、ペプチドなどの非核酸部分)、有機化合物(例えば、色素、コレステロールなど)に、コンジュゲートされ得る(例えば、そのセンスもしくはアンチセンス鎖のその5’または3’末端で)か、または非コンジュゲートであり得る。このようにdsRNA剤を修飾することは、相当する非コンジュゲートdsRNA剤と比較して得られたdsRNA剤誘導体の、細胞の取り込みを改善するか、または細胞ターゲティング活性を増強する可能性があり、相当する非コンジュゲートdsRNA剤と比較して細胞においてdsRNA剤誘導体を追跡するのに有用であり、またはdsRNA剤誘導体の安定性を改善する。
【0063】
本明細書中で使用する場合、「核酸」という用語は、一本鎖または二本鎖形態の、デオキシリボヌクレオチド、リボヌクレオチド、または修飾ヌクレオチド、およびそれらのポリマーを指す。この用語は、合成的な、天然に存在する、および天然に存在しない、参照核酸と同様の結合特性を有し、かつ参照ヌクレオチドと同様の様式で代謝される既知のヌクレオチドアナログまたは修飾骨格の残基もしくは連結を含有する核酸を包含する。かかるアナログの例として、ホスホロチオエート類、ホスホロジチオエート類、ホスホルアミダート類、メチルホスホネート類、キラルメチルホスホネート類、2’-O-メチルリボヌクレオチド類、2’-フルオロリボヌクレオチド類、ペプチド核酸(PNA)および非ロック核酸(UNA;例えば、JensenらNucleic Acids Symposium Series 52:133~4頁を参照)、およびそれらの誘導体が挙げられるが、これらに限定されない。
【0064】
本明細書中で使用する場合、「ヌクレオチド」は、当該技術分野で認識されているように使用され、天然塩基(標準)、および当該技術分野で周知されている修飾塩基を有するものを包含する。かかる塩基は概して、ヌクレオチド糖部分の1’位に位置付けられる。ヌクレオチドは概して、塩基、糖およびホスフェート基を含む。ヌクレオチドは、糖、ホスフェートおよび/または塩基部分で非修飾であり得るか、または修飾され得る(言い換え可能で、ヌクレオチドアナログ、修飾ヌクレオチド、非天然ヌクレオチド、非標準ヌクレオチド等とも称される、例えば、Usman and McSwiggen、上述;Ecksteinら、PCT国際出願公開第92/07065号;Usmanら、PCT国際出願公開第93/15187号;Uhlman & Peymanを参照。Limbachら、Nucleic Acids Res.22:2183,1994年に概要されるように、当該技術分野で既知の修飾核酸塩基にはいくつかの例が存在する。核酸分子に導入することができる塩基修飾の非限定的な例のいくつかとして、ヒポキサンチン、プリン、ピリジン-4-オン、ピリジン-2-オン、フェニル、シュードウラシル、2,4,6-トリメトキシベンゼン、3-メチルウラシル、ジヒドロウリジン、ナフチル、アミノフェニル、5-アルキルシチジン類(例えば、5-メチルシチジン)、5-アルキルウリジン類(例えば、リボチミジン)、5-ハロウリジン(例えば、5-ブロモウリジン)または6-アザピリミジン類または6-アルキルピリミジン類(例えば、6-メチルウリジン)、プロピン等が挙げられる(Burginら、Biochemistry 35:14090頁,1996年;Uhlman & Peyman、上述)。この態様における「修飾塩基」とは、1’位にあるアデニン、グアニン、シトシンおよびウラシル以外のヌクレオチド塩基またはそれらの等価体を意味する。
【0065】
本明細書中で使用する場合、「修飾ヌクレオチド」は、ヌクレオシド、核酸塩基、ペントース環、またはホスフェート基に対する1つまたは複数の修飾を有するヌクレオチドを指す。例えば、修飾ヌクレオチドは、アデノシンモノホスフェート、グアノシンモノホスフェート、ウリジンモノホスフェート、およびシチジンモノホスフェートを含有するリボヌクレオチド、ならびにデオキシアデノシンモノホスフェート、デオキシグアノシンモノホスフェート、デオキシチミジンモノホスフェート、およびデオキシシチジンモノホスフェートを含有するデオキシリボヌクレオチドを排除する。
修飾は、メチルトランスフェラーゼなどの、ヌクレオチドを修飾する酵素による修飾から生じる天然に存在するものを包含する。修飾ヌクレオチドはまた、合成ヌクレオチドまたは天然に存在しないヌクレオチドを包含する。ヌクレオチドにおける合成修飾または天然に存在しない修飾として、2’修飾、例えば、2’-メトキシ、2’-メトキシエトキシ、2’-フルオロ、2’-アリル、2’-O-[2-(メチルアミノ)-2-オキソエチル]、4’-チオ、4’-CH--O-2’-架橋、4’-(CH--O-2’-架橋、2’-LNAまたは他の二環式もしくは「架橋された」ヌクレオシドアナログ、および2’-O--(N-メチルカルバメート)または塩基アナログ含むものが挙げられる。
【0066】
本開示に関して記載するような2’-修飾ヌクレオチドに関連して、「アミノ」とは、2’-NHまたは2’-O--NHを意味し、これは、修飾され得るか、または非修飾であり得る。かかる修飾基は、例えば、Ecksteinら、米国特許第5,672,695号およびMatulic-Adamicら、米国特許第第6,248,878号に記載されている。開示する実施形態の「修飾ヌクレオチド」はまた、上述するようにヌクレオチドアナログを包含し得る。
【0067】
本開示の核酸分子に関して、修飾は、dsリボ核酸(dsRNA)の一方または両方の鎖上にパターンでこれらの薬剤に存在し得る。本明細書中で使用する場合、「交互」位置は、規定の長さのdsRNAの鎖にわたって、1つおきのヌクレオチドが修飾ヌクレオチドであるか、またはあらゆる修飾ヌクレオチド間に非修飾のヌクレオチド(例えば、非修飾のリボヌクレオチド)が存在するパターンを指す(例えば、5’-MNMNMN3’;-3’-MNMNMN-5’、式中、Mは修飾ヌクレオチドであり、Nは非修飾ヌクレオチドである)。修飾パターンは、位置ナンバリングの慣習に従って、5’または3’末端のいずれかにある第1のヌクレオチド位置から始まる。交互位置での修飾ヌクレオチドのパターンは、完全長の鎖で行われるが、ある特定の実施形態では、それぞれ、少なくとも2個、3個、4個、5個、6個または7個の修飾ヌクレオチドを含有する少なくとも4個、6個、8個、10個、12個、14個のヌクレオチドを包含する。「位置の交互の対」は、2つの連続した修飾ヌクレオチドが規定長のdsRNAの鎖にわたって2つの連続した非修飾ヌクレオチドによって分離されているパターンを指す(例えば、5’-MMNNMMNNMMNN-3’;3’-MMNNMMNNMMNN-5’、式中、Mは修飾ヌクレオチドであり、Nは非修飾ヌクレオチドである)。修飾パターンは、本明細書中に記載するもののような位置ナンバリングの慣習に従って、5’または3’末端のいずれかにある第1のヌクレオチド位置から始まる。交互位置での修飾ヌクレオチドのパターンは、完全長の鎖で行われるが、好ましくは、それぞれ、少なくとも4個、6個、8個、10個、12個または14個の修飾ヌクレオチドを含有する少なくとも8個、12個、16個、20個、24個、28個のヌクレオチドを包含する。上記修飾パターンは例示的であり、開示する実施形態の範囲の対する限定として意図されないことを強調する。
【0068】
本明細書中で使用する場合、「ループ」は、特定のssヌクレオチド領域に隣接する相補領域が、相補領域間のssヌクレオチド領域が二重鎖形成またはワトソン-クリック塩基ペアリングから排除されるようにハイブリダイズする、核酸の単一鎖によって形成される構造を指す。ループは、任意の長さのssヌクレオチド領域である。ループの例は、ヘアピン、ステムループ、または伸長ループのような構造中に存在するペアリングされていないヌクレオチドを包含する。
【0069】
抗TGFβ1 siRNAまたは抗Cox-2 siRNAは好適には、25個のヌクレオチドの鎖長を保有する。
【0070】
ある特定の実施形態では、siRNAまたは他の核酸の第1および第2のオリゴヌクレオチド配列は、化学的に合成することができ、かつ通常は化学的に合成される別個のオリゴヌクレオチド鎖上に存在する。一部の実施形態では、両方の鎖が、25ヌクレオチド長であり、完全に相補的であり、平滑末端を有する。開示する実施形態のある特定の実施形態では、抗TGFβ1 siRNAまたは抗Cox-2 siRNAは、別個のRNAオリゴヌクレオチド(鎖)上に存在する。ある特定の実施形態では、TGFβ1 siRNAまたは抗Cox-2 siRNA剤は、異なる長さの2つのオリゴヌクレオチド鎖から成り、一方は、第1の鎖(センス鎖)の3’末端に平滑末端を、また第2の鎖(アンチセンス鎖)の3’末端に3’オーバーハングを保有する。siRNAはまた、1つまたは複数のデオキシリボ核酸(DNA)塩基置換を含有し得る。
【0071】
2つの別個のオリゴヌクレオチドを含有する適切なsiRNA組成物は、化学的結合基によってそれらのアニーリング領域の外側で化学的に連結され得る。多くの適切な化学的結合基は当該技術分野で既知であり、使用することができる。適切な基は、siRNAに対するエンドヌクレアーゼ活性をブロックせず、標的遺伝子から転写されたRNAの定方向の破壊に干渉しない。あるいは、2つの別個のオリゴヌクレオチドは、siRNA組成物を構成する2つのオリゴヌクレオチドのアニーリング時にヘアピン構造が産生されるように、第3のオリゴヌクレオチドによって連結され得る。ヘアピン構造は、siRNAに対するエンドヌクレアーゼ活性をブロックせず、標的RNAの定方向の破壊に干渉しない。
【0072】
開示する実施形態のdsRNA分子は、直接添加されるか、あるいは脂質(例えば、カチオン性脂質)と複合体形成され得るか、リポソーム内にパッケージングされ得るか、または他の状況で標的細胞もしくは組織に送達され得る。核酸または核酸複合体は、ex vivo、またはin vivoで、直接的な皮膚塗布、経皮適用、または注射により、生体高分子中にそれらを取り込んで、または取り込まずに、関連組織に局所投与することができる。
【0073】
dsRNA剤は、薬理的有効量のdsRNA剤と、薬学的に許容される担体とを含む薬学的組成物として製剤化され得る。薬理的または治療的有効量は、意図される薬理的、治療的または予防的な結果をもたらすのに有効なdsRNA剤の量を指す。「薬理的有効量」および「治療的有効量」または単に「有効量」という語句は、意図される薬理的、治療的または予防的な結果をもたらすのに有効なRNAの量を指す。所与の臨床的治療が有効であるとみなされる場合、例えば、疾患または障害と関連付けられる測定可能なパラメーターの少なくとも20パーセント低減が見られる場合に、その疾患または障害の治療のための薬物の治療的有効量は、そのパラメーターの少なくとも20パーセント低減をもたらすのに必要な量である。
【0074】
投与量、投与方法、および投与回数は、本明細書中に含有される教示を前提として、当業者によって容易に決定される。
【0075】
投薬
本明細書中で規定するように、核酸分子の治療的有効量(即ち、有効な投与量、または治療的有効な投与量)は、選択する核酸に依存する。例えば、およそ1pg~最大10mgの範囲のdsRNA(または、例えばかかるdsRNAをコードするコンストラクト(複数可))の単回用量が投与され得る。開示する実施形態では、1pg、10pg、30pg、100pg、もしくは1000pg、または10ng、30ng、100ng、もしくは1000ng、または10μg、30μg、100μg、もしくは1000μgが、60kg~120kgの対象の身体の1つまたは複数の領域に投与され得る。
【0076】
より具体的には、BCCまたはisSCCを治療する目的で、開示する実施形態に従って投与される投与量は、1週間~12週間の間、週に少なくとも1回、約5μgと約170μgの間、約10μgと約160μgの間、約10μgと約130μgの間、約10μgと約70μgの間、約10μgと約40μgの間、約20μgと約50μgの間、約20μgと約30μgの間、約30μgと約70μgの間、約40μgと約80μgの間、約60μgと約90μgの間、約50μgと約100μgの間、約70μgと約100μgの間、および約80μgと約120μgである。
【0077】
投与量および治療期間は多様である。一部の実施形態では、60μg~150μgの範囲の用量が投与される。好適には、組成物は、脂肪組織のリモデリングが望ましい多重領域で、例えば頤下または脂肪組織において、皮下にまたは真皮下に投与される。各用量は例えば、60kg~120kgの患者においていくつかの領域に投与される1cm当たり、例えば60μg~150μgであり得る。1cm当たり60μg~150μgより多いかまたは少ない用量、例えば1cm当たり10μg~300μgが投与されてもよいことが当業者に認識されよう。
【0078】
組成物は、1週~最大数ヶ月または1年またはそれ以上の治療の所望の長さの間、1日につき1回または複数回~1週につき1回または複数回投与することができ、投与量は一部の実施形態では、1日おきに1回投与されてもよい。対象の疾患もしくは障害の重症度、これまでの治療、全身健康状態および/または年齢、ならびに存在する他の疾患を含むがこれらに限定されないある特定の要因が、対象を有効に治療するのに必要とされる投与量およびタイミングに影響を与え得ることが当業者に理解されよう。治療的有効量の核酸(例えば、dsRNA)、タンパク質、ポリペプチド、または抗体による対象の治療は、単独治療を含むことができ、または好ましくは、一連の治療を含み得る。好ましい実施形態では、1回または複数回用量は、1週と6週~12週との間の期間、週に1回または週に2回投与される。別の実施形態では、1回または複数回用量が毎日投与される。
【0079】
概して、体重1kg当たりの単位に基づいて、dsRNAの適切な投与量は、1日、1週または1ヶ月につきレシピエントの体重1キログラム当たり1ngと2ミリグラムの間の範囲であり得るが、1日、1週または1ヶ月につき体重1キログラム当たり約0.01と約20マイクログラムの間のより狭い範囲内に、あるいは1日、1週または1ヶ月につき体重1キログラム当たり約0.001と約5マイクログラムの間の範囲に、あるいは1日、1週または1ヶ月につき体重1キログラム当たり約1と約500ナノグラムの間の範囲に、あるいは1日、1週または1ヶ月につき体重1キログラム当たり約0.01と約10マイクログラムの間の範囲に、あるいは1日、1週または1ヶ月につき体重1キログラム当たり約0.10と約5マイクログラムの間の範囲に、あるいは1日、1週または1ヶ月につき体重1キログラム当たり約0.1と約2.5マイクログラムの間の範囲に存在する可能性がより高い。dsRNAを含む薬学的組成物は、1日1回投与され得る。しかしながら、治療剤はまた、1日、1週または1ヶ月全体にわたって適切な間隔で投与される2回、3回、4回、5回、6回またはそれよりも多い部分用量を含有する単位で投薬されてもよい。その場合、各部分用量に含有されるdsRNAは、毎日、毎週または毎月の総投薬単位を達成するように相応により少なくなければならない。投薬単位はまた、例えば、数日間にわたってdsRNAの持続性で一貫した放出を提供する従来の徐放性製剤を使用して、数日にわたる単回用量について配合することができる。徐放性製剤は、当該技術分野で周知されている。この実施形態では、投薬単位は、相当する複数の1日用量を含有する。製剤にかかわらず、薬学的組成物は、治療される動物またはヒトにおける標的遺伝子の発現を阻害するのに十分な量でdsRNAを含有しなくてはならない。組成物は、総合して多重単位のdsRNAの合計が十分な用量を含有するように配合することができる。
【0080】
特定の標的遺伝子配列および送達されるdsRNA剤材料の用量に応じて、このプロセスは、標的遺伝子に関する機能の部分的または完全な損失を提供し得る。標的とされる細胞の少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%または99%またはそれ以上の発現(標的遺伝子発現またはコードされるポリペプチド発現のいずれか)の低減または損失は例示的である。標的遺伝子レベルまたは発現の阻害は、標的遺伝子または標的遺伝子にコードされるタンパク質のレベルの非存在(または観察可能な減少)を指す。特異性は、細胞の他の遺伝子に対して明らかな効果なしで標的遺伝子を阻害する能力を指す。阻害の結果は、細胞もしくは生物体の外向きの特性の検討によって、またはRNA溶液ハイブリダイゼーション、ヌクレアーゼプロテクション、ノーザンハイブリダイゼーション、逆転写、マイクロアレイを用いた遺伝子発現のモニタリング、抗体結合、酵素結合免疫吸着検定法(ELISA)、ウエスタンブロット法、ラジオイムノアッセイ(RIA)、他のイムノアッセイ、および蛍光活性化細胞解析(FACS)などの生化学的技法によって確認することができる。開示する実施形態のdsRNA剤による標的遺伝子配列(複数可)の阻害はまた、in vivoまたはin vitroのいずれかで標的遺伝子関連疾患または障害、例えば肥満、過食または代謝異常、腫瘍形成、成長、転移などに起因した有害な脂肪組織のリモデリングの発症/進行時のかかるdsRNA剤の投与の効果に基づいて測定することができる。腫瘍またはがん細胞レベルの治療および/または低減は、腫瘍もしくはがん細胞レベルの増殖の停止または低減あるいは例えば10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%または99%またはそれ以上の低減を包含することができ、また対数項で測定することができ、例えば、がん細胞レベルにおける10倍、100倍、1000倍、10倍、10倍、10倍の低減は、開示する実施形態のdsRNA剤の、細胞、組織、または対象への投与を介して達成することができる。
【0081】
細胞培養物アッセイおよび動物研究から得られたデータ(毒性、治療有効性)は、ヒトにおける使用のための様々な投与量を製剤化するのに使用することができる。かかる化合物の投与量は、毒性がほとんどないか、または全くないED50を含む様々な循環濃度内に存在することが好ましい。投与量は、用いられる投与形態および利用する投与経路に応じてこの範囲内で変化し得る。開示する実施形態の方法で使用される任意の組成物に関して、治療的有効用量は、まず細胞培養物アッセイから推定することができる。用量は、細胞培養物において決定される場合のIC50(即ち、症状の最大半量の阻害を達成する試験化合物の濃度)を含む循環血漿濃度範囲を達成するように動物モデルにおいて製剤化され得る。かかる情報を使用して、ヒトにおける有用な用量をより正確に決定することができる。血漿中のレベルは、例えば高速液体クロマトグラフィーによって測定され得る。
【0082】
投与
開示する実施形態の適切に製剤化された組成物は、当該技術分野で既知の手段によって、例えば静脈内、筋肉内、腹腔内、皮下、真皮下、経皮、気道(エアロゾル)、直腸、膣および局所(頬側および舌下を含む)投与を含む非経口経路によって投与され得る。一部の実施形態では、薬学的組成物は、静脈内もしくは非経口内の点滴または注射によって投与される。一実施形態では、組成物は、注射によって組織に投与される。別の実施形態では、組成物は、皮下注射によって哺乳動物に投与される。さらに別の実施形態では、組成物は、哺乳動物に局所投与される。
【0083】
製剤は、その意図される投与経路に適合するように調製される。投与経路の例として、非経口、例えば、静脈内、皮内、皮下、真皮下、経口(例えば、吸入)、経皮(局所)、経粘膜、および直腸投与が挙げられる。非経口、皮内、真皮下もしくは皮下用途に使用される溶液または懸濁液は、以下の成分を含み得る:滅菌希釈剤、例えば注射用水、食塩水溶液、不揮発性油、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコールまたは他の合成溶媒;抗菌剤、例えばベンジルアルコールまたはメチルパラベン;抗酸化剤、例えばアルコルビン酸または重亜硫酸ナトリウム;キレート剤、例えばエチレンジアミン四酢酸(EDTA);バッファー、例えばアセテート、シトレートまたはホスフェートおよび張度の調節用の薬剤、例えば塩化ナトリウムまたはデキストロース。pHは、酸または塩基、例えば塩酸または水酸化ナトリウムで調節することができる。非経口調製物は、ガラスもしくはプラスチック製のアンプル、使い捨てシリンジまたは複数回用量バイアル中に封入することができる。
【0084】
経粘膜または経皮投与に関して、浸透されるべき障壁に適した浸透剤が製剤中に使用される。かかる浸透剤は概して、当該技術分野で既知であり、例えば、経粘膜投与に関しては、洗浄剤、胆汁塩、およびフシジン酸誘導体を包含する。経粘膜投与は、鼻腔用スプレーまたは坐剤の使用により遂行され得る。経皮投与に関して、活性化合物は、当該技術分野で一般に知られている軟膏、サルブ、ゲル、またはクリームに製剤化される。
【0085】
siRNA製剤はまた、McCaffreyら(2002年),Nature,418(6893),38~9頁(ハイドロダイナミックトランスフェクション);Xiaら(2002年),Nature Biotechnol.,20(10),1006~10頁(ウイルス媒介性送達);またはPutnam(1996年),Am.J.Health Syst.Pharm.53(2),151~160頁,erratum at Am.J.Health Syst.Pharm.53(3),325頁(1996年)に記載される方法を含むがこれらに限定されない、当該技術分野で既知の方法を使用したトランスフェクションまたは感染によって投与することができる。
【0086】
さらに、siRNA製剤はまた、DNAワクチンなどの核酸剤の投与に適した方法によって投与することができる。これらの方法として、遺伝子銃、バイオインジェクター、および皮膚パッチならびに米国特許第6,194,389号に開示されている微粒子DNAワクチン技術、および米国特許第6,168,587号に開示されるような粉末形態ワクチンによる哺乳動物経皮無針ワクチン接種などの無針法が挙げられる。さらに、特にHamajimaら(1998年),Clin.Immunol.Immunopathol.,88(2),205~10頁に記載されるように、鼻腔内送達が可能である。リポソーム(例えば、米国特許第6,472,375号に記載されるような)およびマイクロカプセル化もまた使用することができる。生分解性の標的可能な微小粒子送達系もまた使用することができる(例えば、米国特許6,471,996号に記載するように)。
【0087】
治療
現在開示する実施形態は、全体的にまたは部分的に、TGFβ1および/またはCox-2遺伝子発現によって引き起こされるか、もしくは悪化される疾患、障害または状態のリスクがある(またはそれらにかかりやすい)対象を治療する予防的方法および治療的方法の両方を提供する。
【0088】
「治療」または「治療すること」は本明細書中で使用する場合、疾患もしくは障害、疾患もしくは障害の症状、または疾患に対する素因を治癒するか、癒すか、緩和するか、軽減するか、変更するか、修正するか、改良するか、改善するか、またはそれらに影響する目的で、治療剤(例えば、dsRNA剤またはベクターまたはそれをコードする導入遺伝子)の、患者への塗布または投与、あるいは治療剤の、疾患もしくは障害、疾患もしくは障害の症状、または疾患もしくは障害に対する素因を有する患者由来の単離組織または細胞株への塗布または投与として定義される。
【0089】
一態様では、開示する実施形態は、対象に治療剤(例えば、dsRNA剤またはベクターまたはそれをコードする導入遺伝子)を投与することによって、対象において、上述するような疾患または障害を防止する方法(例えば、TGFβ1およびCox-2発現の阻害により対象内の形質転換事象の開始の防止を含む)を提供する。疾患のリスクのある対象は、例えば、本明細書中に記載する診断アッセイもしくは予後アッセイの1つまたは組合せによって同定することができる。予防的薬剤の投与は、疾患または障害が防止されるか、あるいはその進行が遅延されるように、対象における例えばがんの検出、または疾患もしくは障害に特徴的な症状の兆候に先立って行うことができる。
【0090】
dsRNA分子(siRNA)は、対象もしくは生物体において有害な脂肪リモデリングを治療、阻害、低減、または防止するための他の治療と組み合わせて使用することができる。
【0091】
開示する実施形態の別の態様は、対象を治療的に治療する、即ち、疾患または障害の症状の発症を変更する方法に関する。これらの方法は、in vitroで(例えば、dsRNA剤とともに細胞を培養することによって)、あるいはin vivoで(例えば、dsRNA剤を対象に投与することによって)実施され得る。
【0092】
治療の予防的方法および治療的方法の両方に関して、かかる治療は、薬理ゲノミクスの分野から得られた知識に基づいて、明確に調整または修正され得る。「薬理ゲノミクス」は本明細書中で使用する場合、臨床開発中の、および販売されている薬物への、遺伝子シーケンシング、統計遺伝学、および遺伝子発現解析などのゲノミクス技術の適用を指す。より具体的には、この用語は、患者の遺伝子が薬物に対する患者の応答(例えば、患者の「薬物応答表現型」、または「薬物応答遺伝子型」)をどのように決定するかの研究を指す。したがって、開示する実施形態の別の態様は、その個体の薬物応答遺伝子型に従って、標的TGFβ1およびCox-2遺伝子またはモジュレーターのいずれかを用いて個体の予防的または治療的治療を調整する方法を提供する。薬理ゲノミクスにより、臨床医または外科医は、治療から最も利益を得る患者に予防的または治療的治療を標的とすること、また毒性薬物関連の副作用を被る患者の治療を回避することが可能になる。
【0093】
治療剤は、選択した動物モデルにおいて試験することができる。例えば、本明細書中に記載するdsRNA剤(または発現ベクターまたはそれをコードする導入遺伝子)は、上記薬剤による治療の有効性、毒性、または副作用を決定するのに動物モデルにおいて使用され得る。あるいは、薬剤(例えば、治療剤)は、かかる薬剤の作用機序を決定するのに動物モデルにおいて使用され得る。
【0094】
記載および特許請求される、開示する実施形態は、これらの実施形態が説明として意図されるものであり、限定として意図されるものではないため、本明細書中で言及する特定の好ましい実施形態によって範囲が限定されるべきではない。任意の等価の実施形態は、本開示の範囲内であると意図され、開示する実施形態は、相互に排他的はない。実際に、本明細書に示され、また記載されるもののほかに、実施形態に対する様々な修正が、先述の説明から当業者に明らかとなる。かかる修正もまた、併記の特許請求の範囲内に収まると意図される。
【0095】
以下の説明および請求の範囲で使用する用語および単語は、従来の定義に限定されるのではなく、開示の明瞭でかつ一貫性のある理解を可能にするために使用される。したがって、様々な実施形態の説明は、説明目的のみで提供されるものであり、併記の特許請求の範囲およびそれらの等価体に関して本開示を限定する目的で提供されるものではないことが当業者には明らかであるはずである。
【0096】
単数形「a」、「an」および「the」は、文脈が明らかに他の状況を指示しない限りは複数形を包含すること、例えば、「皮膚科学的に活性な化合物」の言及は、1つまたは複数のかかる化合物の言及を包含することが理解されよう。
【0097】
本明細書中で他の状況で定義されない限り、使用する用語は全て、当業者により一般に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書中で使用する用語は、関連する技術分野の文脈でそれらの意味と合致する意味を有すると解釈されるべきである。
【0098】
本明細書中で使用する場合、「含んでいる」、「含む」または「含んでいた」という用語は、任意の項目、組成物、製剤、装置、方法、プロセス、システムなどの規定または記載の要素に関連して、包括的であるか、または制約がないと意図され、指定要素またはそれらの等価体を含む。他の要素を含むことができ、依然として規定の項目、組成物などの範囲または定義内に収まる。
【0099】
「約」または「およそ」という用語は、当業者によって考察される特定の値に関して許容される誤差範囲内を意味し、これは、値が測定システムの限界に基づいてどのように測定または決定されているかに幾分依存する。
【0100】
「共投与する」または「共送達する」は、同じか、または異なる投与様式を使用した、個体の血液または他の液体中の2つの薬学的製剤の同時投与を指す。薬学的製剤は、同じ薬学的担体中で、もしくは異なる薬学的担体中で、同時にまたは順次投与され得る。
【0101】
「対象」、「患者」および「個体」という用語は、言い換え可能で使用される。
【0102】
以下の実施例は、開示する実施形態のある特定の態様を示し、それらの範囲を限定するものと解釈されるべきではない。
【実施例
【0103】
実施例1
実験で使用する組織試料は、巨大乳房の治療用の乳房再建術を受けた3名の女性(23歳~26歳)の皮膚切除物由来であった。患者は全てインフォームドコンセントに同意した。皮膚切除物を滅菌状態で獲得し、2cm×1.6cmのサイズに切断し、使用前に20%FBS DMEM培地中で4℃にて維持した。ヒト皮膚肥厚性瘢痕組織を、インフォームドコンセントを受けて外科的切除から得て、皮下脂肪を切り取って、2cm片に切断した。雄ヌードマウス(6週~8週齢)を10%抱水クロラールで麻酔して、切り取った肥厚性瘢痕組織片をマウスの背中の皮膚の下に移植した。瘢痕組織を、4-5縫合糸を用いてマウスの深部筋膜に固定した。同じサイズのヒト皮膚を、皮下筋膜および周囲のマウス皮膚への縫合による切除物を置き換えるように移植した。滅菌コットンを移植片上に置き、きつく巻いて、2週後、縫い糸を除去した。瘢痕移植の4週後、20μg/50μL/cmのHKP(TGFβ1/Cox-2 siRNA)を、マウスの身体上の瘢痕に注射した。一様な薬物分布を保証するために、5つの領域に注射を実施した:4つの四半部および1つの中心。薬物用量はそれぞれ、5つの等しいアリコートで注射した。瘢痕に15日間で3回(5日毎に1回)注射して、治療前および後で、瘢痕サイズを評価した。マウスを安楽死させて、瘢痕組織を即座に収集し、ポリトロン(Brinkmann Homogenizer Polytron PT 10/35)を用いてトリゾール溶液中で均質化した。全RNAを抽出して、TGFβ1、Cox-2、α-SMA、Col1a1、およびCol3a1のRNAレベルをqRTPCRによって解析した。Roche社(サウスフランシスコ、CA、USA)のin situ Cell Death Detection Kitを、供給業者の説明書に従って、STP705で治療した瘢痕組織由来のアポトーシス細胞の検出に使用した。平均値±標準偏差(SD)を細胞培養物の結果に使用し、平均値±標準誤差(SE)をin vivoの結果に使用した。スチューデントt検定を使用して、2つの群間の有意性を決定した。0.05未満のp値を統計学的に有意であるとみなした。IBM SPSS統計学、バージョン20を統計学的解析に使用した。
【0104】
本発明者らは、HKP(本明細書中でSTP705と称される)からなるナノ粒子中のこれらのsiRNAの投与が、標的遺伝子ならびにアルファSMA、Col1A1およびCol3A1を含む選定標的に対する下流効果をサイレンシングすることを実証してきた(Zhouら、上述)。図1は、トランスフェクション(5μg/mL)後のTGFβ1およびCox-2、TGFβ1およびCox-2の組合せ、ならびにヒト肥厚性瘢痕線維芽細胞由来のコラーゲン1(Col1A1)などの線維化促進因子のmRNAレベルの有意な低減を示す。
【0105】
実施例2
相対腫瘍および相対壊死および腫瘍含有量に関するヘマトキシリンおよびエオシン概説に基づいて、治療前および後の標本由来の52個の対象試料(3番および8番の対象からの3つの試料が含まれている)を選定した。ウサギ起源のTGFβ1[1:100(0.59μg/mL)]、Cox-2[1:100(5.01μg/mL)]、NFκB p65[1:200(1.04μg/mL)]、Ki-67[1:100(7.04μg/mL)]、β-カテニン[1:200(0.315μg/mL)]、CD4+[1:100(1.43μg/mL)]、およびCD8+[1:50(9.085μg/mL)]抗体(Abcam社、ケンブリッジ、英国)に関して最適化された免疫組織化学プロトコールを使用して試料を染色した。染色は、AP Red(Bond Polymer Refine Red Detectionキット)(Leica Biosystems社、バッファローグローブ、IL)色素生産性セカンダリを使用して、Leica BOND IIIプラットフォームで行った。バイオマーカー染色を評価し、半定量的H-スコアの結果を提供し、0~3のスケールに基づく染色強度で細胞の割合を、また各染色強度での細胞の相対的な割合を説明する。
【0106】
以下の式を使用して、H-スコアを割り当てた:[1×(細胞1+%)+2×(細胞2+%)+3×(細胞3+%)]。最終的な重み付けスコアは、0~300の範囲である。治療前のスコアリングは、腫瘍および腫瘍微小環境で実施した。治療後のスコアリングは、残留腫瘍/表面上皮および隣接する非腫瘍瘢痕組織上で実施した。
【0107】
isSCCを有するヒト患者へのSTP705の投与は、図2に示されるようにTGFβ1タンパク質発現において有意な低減をもたらした。組織の試料を得た(10μg~30μg用量のSTP705を投与)。適合した患者組織試料におけるタンパク質発現を、免疫組織化学を使用して解析し、病理学者によって半定量的に評価した。
【0108】
isSCCを有するヒト患者へのSTP705の投与は、図3に示されるようにCOX-2タンパク質発現において低減をもたらした。組織の試料を得て(10μg~30μg用量のSTP705を投与)、さらに、適合した患者組織試料におけるタンパク質発現を、免疫組織化学を使用して解析し、病理学者によって半定量的に評価した。
【0109】
STP705の投与は、図4に示されるように腫瘍部位へのT細胞浸透の増加をもたらした。上部パネル(左)は、研究の最後に残留腫瘍を有する患者が治療前の条件と比較して、腫瘍へのCD4+T細胞の取り込みの増加を示したことを示す。さらに(下部パネル左)、STP705を用いた治療後の腫瘍部位へのCD8+T細胞浸透の増加も見られた。
【0110】
STP705はさらに、細胞の増殖を阻害する。isSCCを有するヒト患者へのSTP705の投与は、図5に示されるようにKi-67細胞増殖タンパク質発現において低減をもたらした。組織の試料は、全てのカマーから得た(10μg~30μg用量のSTP705を投与)。適合した患者組織試料におけるタンパク質発現を、免疫組織化学を使用して解析し、病理学者によって半定量的に評価した。Ki67染色は、増殖性の細胞を測定するよう実施された。劇的な低減が、STP705による治療後の全てのカマーにわたって観察された。
【0111】
STP705治療は、腫瘍部位内のオートファジーも阻害する。isSCCを有するヒト患者へのSTP705の投与は、図6に示されるようにLC3Bオートファジーマーカーの発現の低減をもたらした。組織の試料は、全てのカマーから得た(10μg~30μg用量のSTP705を投与)。適合した患者組織試料におけるタンパク質発現を、免疫組織化学を使用して解析し、有資格のMD病理学者によって半定量的に評価した。オートファジーのマーカーとしてLC3Bを測定すると、本発明者らは、治療前のレベルと比較して、全てのカマー(10μg~30μg用量)におけるこのマーカーの劇的な低減を観察する(p<0.031、治療後対治療前)。
【0112】
NFkBレベルに対するSTP705の効果。STP705の、isSCCを有するヒト患者への投与は、図7に示すようにNF-kBタンパク質の発現の低減をもたらした。組織の試料は、全てのカマーから得た(10μg~30μg用量のSTP705を投与)。適合した患者組織試料におけるタンパク質発現を、免疫組織化学を使用して解析し、有資格のMD病理学者によって半定量的に評価した。STP705による治療は、腫瘍部位内に存在するNFkBの量を減少させる。治療試料と未治療試料との間でp=0.022。
【0113】
腫瘍内のβ-カテニンレベルに対するSTP705の効果。STP705の、isSCCを有するヒト患者への投与は、図8に示すようにβ-カテニンの発現の低減をもたらした。組織の試料は、全てのカマーから得た(10μg~30μg用量のSTP705)。適合した患者組織試料におけるタンパク質発現を、免疫組織化学を使用して解析し、病理学者によって半定量的に評価した。STP705による治療後は、全てのカマー(10μg~30μg用量)の腫瘍領域内でβ-カテニンレベルの低減を示した。これは、図9に示すように用量依存的であった。
【0114】
本発明者らはまた、STP705のIT投与が、用量依存的な様式で病変からの腫瘍細胞のクリアランスをもたらし、患者の皮膚上にほとんど/全く瘢痕化を生じないことをisSCC患者で示した。これらの病変の多くが現行の治療レジメン(手術または掻爬および電気乾固)由来の瘢痕化が通常である顔/首のように露出された領域で生じるため、これは特に重要である。これらのデータ(図示していない)により、同時に同じ細胞への両方のsiRNAの共送達を得るための単一ナノ粒子送達系におけるTGFβ1およびCox-2に対するsiRNAの投与が、上皮内扁平上皮癌(isSCC)に対して驚くべき強力な活性を示すことが実証される。同じ製剤および投与方法を使用して、基底細胞癌を治療することができる。
【0115】
実施例3:
異種移植片マウス腫瘍モデルおよびA431ヒト扁平上皮癌細胞株を、概念評価の前臨床証明に使用した。マウスに高(40μg)および低(20μg)用量のSTP750またはシスプラチン(DPP)を、15日にわたって週に2回投薬した。図10は、高用量および低用量のSTP705の投与による経時的な腫瘍の大きさの増大の有意な(p<0.05)減衰を示す。図11は、腫瘍重量の有意な低減を示す。図12は、DPPの投与後の患者の体重の著しい減少に対して、高用量および低用量STP705による体重の維持を示す。
【0116】
実施例4:
基底細胞癌(BCC)を有する患者における局所注射として投与された漸増用量のSTP705の安全性、忍容性および有効性を評価するためのin vivo研究。
方法:臨床プロトコール:第2相、オープンラベル、用量漸増研究は、生検標本において基底細胞癌(BCC)を有し、isSCCまたは他の非BCC腫瘍の兆候のない患者において局所注射として投与された様々な用量のSTP705の安全性、忍容性および有効性を評価するように設計されている。研究設計:15名の成人対象(コホート1つ当たり5名)を、適格であれば、下記の通りの投薬レジメンで治療を受けるよう割り当てた:コホートA:STP705 30μg用量、皮内注射、最大6週間、1週に1回;コホートB:STP705 60μg用量、皮内注射、最大6週間、1週に1回付与;コホートC:STP705 90μg用量、皮内注射、最大6週間、1週に1回付与。
【0117】
主要評価項目:治療の終わり(6週)に、治療した基底細胞癌の病変の組織学的クリアランスを有する参加者の比率。組織学的クリアランス(HC)は、中心的な病理学の概説によって決定されるBCC腫瘍細胞巣の検出可能な兆候の非存在として定義される。副次評価項目:BCCの治療のためのSTP705の安全かつ有効な推奨用量の決定;TGFβ1およびCox-2を含むBCC形成経路に共通するバイオマーカーの解析。2022年の結末に起因するこのBCC臨床試験に関する完全情報は、https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT04669808?term=sirnaomics&draw=2&rank=4で入手可能である。
【0118】
図13は、コホートA(30μg用量)、およびB(60μg用量)に関する治療前および治療後の平均局所応答スコア(LRS)の表を示し、組織学的クリアランスデータは、この時点でコホートA、BおよびC(90μg用量)に関して入手可能である。入手可能なデータは、より低用量でさえ、BCC腫瘍増殖は減衰または阻害されることを示している。これらの早期データは、BCC腫瘍組織の組織学的クリアランスに関する用量応答を示している。この研究は進行中であり、新たなコホート(D)(n=4、用量:120μg)を最近、この研究に追加したが、コホートCのデータのいくつかのみが入手可能であり、コホートDのデータはいまだ入手可能でない。完全寛解(CR=腫瘍細胞の完全な組織学的クリアランス)を達成した対象のランダム試料の結果により、治療前と比較して、治療後のLRSが改善されることが明らかとなった。LRSは、局所用または局所に注射される治療薬の臨床研究中に直面する最も一般的な有害作用である。LSRの改善は、より低い局所有害事象および治療した領域の皮膚の外観の改善を示唆している。
図1
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【配列表】
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【国際調査報告】