(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-13
(54)【発明の名称】膜プランジャ流体圧力スイッチ
(51)【国際特許分類】
A61M 5/142 20060101AFI20240205BHJP
【FI】
A61M5/142 520
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023545194
(86)(22)【出願日】2022-01-27
(85)【翻訳文提出日】2023-09-26
(86)【国際出願番号】 US2022013996
(87)【国際公開番号】W WO2022164964
(87)【国際公開日】2022-08-04
(32)【優先日】2021-01-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】595117091
【氏名又は名称】ベクトン・ディキンソン・アンド・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】BECTON, DICKINSON AND COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アンドリュー ジェイ.ボープレ
(72)【発明者】
【氏名】スコット スチュワート
【テーマコード(参考)】
4C066
【Fターム(参考)】
4C066AA10
4C066BB01
4C066CC01
4C066DD11
4C066EE01
4C066FF01
4C066FF04
4C066GG04
4C066HH08
4C066QQ82
(57)【要約】
圧力スイッチが提供され、流体経路内の流体からの圧力が弾性膜をプランジャに向かって変形させ、それによってプランジャを移動させるように配置された弾性膜を含む。プランジャは、膜と上部プレートとの間に配置され、膜と上部プレートとの間に延在する軸に沿って移動可能である。流体経路内の流体からの膜上の閾値圧力は、膜を変形させ、それによってプランジャを上部プレートに向かって移動させる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧力スイッチであって、
上部プレートと、
前記上部プレートの反対側にあり、その中に流体経路と連通する開口部を有するベースプレートと、
ベースプレートの前記開口部を密封する弾性膜であって、前記流体経路内の流体からの圧力によって変形可能である、前記弾性膜と、
前記上部プレートと前記膜との間に配置され、前記上部プレートと前記膜との間に延在する軸に沿って移動可能なプランジャと、
前記プランジャを前記膜に向かって付勢するばねと、を備え、
前記流体経路内の前記流体からの前記弾性膜上の閾値圧力は、前記プランジャを前記上部プレートに向かって移動させる、圧力スイッチ。
【請求項2】
前記上部プレートは、プリント回路基板を含み、
前記圧力スイッチは、さらに、
前記プランジャの上面に配置される少なくとも1つの第1の導電素子と、
前記プリント回路基板の下面に配置される少なくとも1つの第2の導電素子であって、前記弾性膜上の前記閾値圧力が前記プランジャを前記上部プレートに向かって移動させ、電気回路を閉じるように、前記少なくとも1つの第1の導電素子が接触する、少なくとも1つの第2の導電素子と、
を備える、請求項1に記載の圧力スイッチ。
【請求項3】
前記上部プレートと前記ベースプレートとの間に配置され、前記上部プレートと前記ベースプレートとの間の所定の間隔を維持するように構成される圧縮スタンドオフをさらに含む、請求項1に記載の圧力スイッチ。
【請求項4】
前記圧縮スタンドオフが、前記流体経路と前記プランジャとの間にシールを形成する、請求項3に記載の圧力スイッチ。
【請求項5】
前記圧縮スタンドオフは、前記圧縮スタンドオフ内に画成された空間内に前記プランジャを維持する、請求項3に記載の圧力スイッチ。
【請求項6】
前記少なくとも1つの第1の導電素子は、前記プランジャの前記上面に配置される導電層を含み、前記少なくとも1つの第2の導電素子は、前記プリント回路基板の前記下面に配置される接触パッドを含む、請求項2に記載の圧力スイッチ。
【請求項7】
前記ばねは、金属およびプラスチックのうちの1つを含む、請求項1に記載の圧力スイッチ。
【請求項8】
前記弾性膜は、エラストマーを含む、請求項1に記載の圧力スイッチ。
【請求項9】
インスリン送達デバイスであって、
電力及び制御システムと、
前記電力及び制御システムによって制御されるポンピングシステムであって、前記ポンピングシステムは、
外部供給源から流体薬剤を受け入れるように構成される充填ポートと、
前記流体薬剤を前記充填ポートから受け入れ、前記流体薬剤をその中に格納するように構成されるリザーバと、
前記流体薬剤を患者に送達するように構成されるカニューレと、
前記流体薬剤を前記リザーバから前記カニューレに移動させるように構成されるポンプと、
前記充填ポートと前記カニューレとの間の流体経路上に配置される、圧力スイッチと、を備え、前記圧力スイッチは、
上部プレートと、
前記上部プレートの反対側にあり、その中に前記流体経路と連通する開口部を有するベースプレートと、
ベースプレートの前記開口部を密封する弾性膜であって、前記流体経路内の前記流体薬剤からの圧力によって変形可能である、弾性膜と、
前記上部プレートと前記膜との間に配置され、前記上部プレートと前記膜との間に延在する軸に沿って移動可能なプランジャと、
前記プランジャを前記膜に向かって付勢するばねと、を備え、
前記流体経路内の前記流体薬剤からの前記弾性膜上の閾値圧力は、前記プランジャを前記上部プレートに向かって移動する、インスリン送達デバイス。
【請求項10】
前記上部プレートは、プリント回路基板を含み、
前記圧力スイッチは、さらに、
前記プランジャの上面に配置される少なくとも1つの第1の導電素子と、
前記プリント回路基板の下面に配置される少なくとも1つの第2の導電素子であって、前記弾性膜上の前記閾値圧力が前記プランジャを前記上部プレートに向かって移動させ、電気回路を閉じるように、前記少なくとも1つの第1の導電素子が接触する、少なくとも1つの第2の導電素子と、
を備える、請求項9に記載のインスリン送達デバイス。
【請求項11】
前記圧力スイッチは、さらに、
前記上部プレートと前記ベースプレートとの間に配置され、前記上部プレートと前記ベースプレートとの間の所定の間隔を維持するように構成される圧縮スタンドオフをさらに含む、請求項9に記載のインスリン送達デバイス。
【請求項12】
前記圧縮スタンドオフが、前記流体経路と前記プランジャとの間にシールを形成する、請求項11に記載のインスリン送達デバイス。
【請求項13】
前記圧縮スタンドオフが、前記圧縮スタンドオフ内に画成された空間内に前記プランジャを維持する、請求項11に記載のインスリン送達デバイス。
【請求項14】
前記少なくとも1つの第1の導電素子は、前記プランジャの前記上面に配置される導電層を含み、前記少なくとも1つの第2の導電素子は、前記プリント回路基板の前記下面に配置される接触パッドを含む、請求項10に記載のインスリン送達デバイス。
【請求項15】
前記ばねは、金属およびプラスチックのうちの1つを含む、請求項9に記載のインスリン送達デバイス。
【請求項16】
前記弾性膜は、エラストマーを含む、請求項9に記載のインスリン送達デバイス。
【請求項17】
前記圧力スイッチは、前記充填ポートと前記リザーバとの間の前記流体経路上に配置される、請求項9に記載のインスリン送達デバイス。
【請求項18】
前記圧力スイッチが、前記リザーバの前記流体経路上に配置される、請求項9に記載のインスリン送達デバイス。
【請求項19】
前記圧力スイッチは、前記ポンプと前記カニューレとの間の前記流体経路上に配置される、請求項9に記載のインスリン送達デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
例示的な実施形態と一致する装置及び方法は、流体圧力スイッチに関し、より具体的には、ウェアラブル注入ポンプなどのオンボディ(on-body)医療デバイスで使用するための流体圧力スイッチに関する。
【背景技術】
【0002】
本出願は、2021年2月3日に出願された米国仮出願第63/142,405号からの優先権を主張する。
【0003】
糖尿病は、糖尿病患者が必要なときに適切なレベルのインスリン産生を維持できないことに起因した高い血糖値によって特徴付けられる疾患群である。糖尿病は、治療されない場合、罹患した患者にとって危険なものとなり得、深刻な合併症や早死につながる可能性がある。但し、そのような合併症は、糖尿病の制御と合併症のリスクの軽減に役立つ1つ以上の治療選択肢を用いることで最小限に抑えることができる。
【0004】
糖尿病患者のための治療選択肢には、特別な食物療法、経口薬、および/またはインスリン療法が含まれる。インスリン療法と糖尿病管理に効果的な方法は、注入療法または注入ポンプが用いられる注入ポンプン療法である。インスリン送達デバイス(IDD)には、糖尿病患者に対して、必要なインスリンを産生する非糖尿病患者の適切に作動している膵臓の機能および挙動により密接に合致する様々な速度でインスリンの持続注入を提供可能であるインスリンポンプを含むことができ、インスリンポンプは、糖尿病患者が血糖値を糖尿病患者の個々のニーズに基づいて目標範囲内に維持するのに役立ち得る。注入ポンプ療法には、糖尿病患者の皮膚を貫通し、それによってインスリンの注入が行われる、通常は注入針または柔軟なカテーテルの形態の注入カニューレが必要である。注入ポンプ療法は、インスリンの連続した注入、正確な投薬、およびプログラム可能な送達スケジュールの提供するものである。
【0005】
流体経路内の漏れ、閉塞、または気泡の存在などの異常または機能不全は、注入ポンプで発生する可能性があり、ユーザが必ずしも気づくわけではない。注入ポンプ内の流体経路に沿った部分的または完全な閉塞などの機能不全の検出は、正確に制御された薬剤送達を維持し、故障した注入デバイスの使用を中止するようユーザにアドバイスするために望ましい場合がある。閉塞検出のための典型的な解決策は、注入ポンピングシステムに圧力センサを配置し、圧力が特定の閾値を超えたときに閉塞を報告することである。
【0006】
圧力センサ、およびその中の流体または流体経路に接触するIDD/インスリンポンプの他のすべての部分は、滅菌されなければならない。しかしながら、滅菌とエイジング(ageing)は、膜のエラストマー特性を劇的に変えることができる。ほとんどの流体圧力スイッチは、圧力変化を測定するために膜のたわみ、または膜の切り替えに依存しており、特に材料の厚さに関して、材料特性と厳密な寸法公差に厳格な要件がある。しかしながら、膜の老化および滅菌への曝露と併せて、膜のたわみに依存することは、スイッチの厳格な要件および精度の遵守に問題を引き起こす。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
例示的な実施形態は、少なくとも上記の問題及び/又は欠点、並びに上記には記載されていない他の欠点に対処することができる。また、例示的な実施形態は、上述した欠点を克服する必要はなく、上述した問題のいずれも克服し得ない。
【0008】
例示的な実施形態の一態様によれば、圧力スイッチが提供され、圧力スイッチは、上部プレートと、上部プレートの反対側にあり、その中に流体経路と連通する開口部を有するベースプレートと、ベースプレート内の開口部を密封する弾性膜であって、流体経路内の流体からの圧力によって変形可能である弾性膜と、上部プレートと膜との間に配置され、上部プレートと膜との間に延びる軸に沿って移動可能なプランジャと、上部プレートとプランジャとの間に配置され、プランジャに対して圧力を及ぼすばねと、を備える。流体経路内の流体からの弾性膜上の閾値圧力(threshold pressure)は、プランジャを上部プレートに向かって移動させる。
【0009】
上部プレートは、プリント回路基板を含み得、圧力スイッチは、プランジャの上面に配置される少なくとも1つの第1の導電素子と、弾性膜上の閾値圧力がプランジャを上部プレートに向かって移動させ、少なくとも1つの第1の導電素子が少なくとも1つの第2の導電素子に接触し、電気回路を閉じるように、プリント回路基板の下面に配置される少なくとも1つの第2の導電素子とをさらに含み得る。
【0010】
圧力スイッチは、上部プレートとベースプレートとの間に配置され、上部プレートとベースプレートとの間の所定の間隔を維持するように構成される圧縮スタンドオフをさらに含み得る。
【0011】
少なくとも1つの第1の導電素子は、プランジャの上面に配置される導電層を含み得、少なくとも1つの第2の導電素子は、プリント回路基板の下面に配置される接触パッドを含み得る。
【0012】
ばねは、金属またはプラスチックであってもよい。
【0013】
弾性膜は、エラストマーを含んでもよい。
【0014】
別の例示的な実施形態の一態様によれば、インスリン送達デバイスが提供される。インスリン送達デバイスは、電力および制御システム、ならびに電力および制御システムによって制御されるポンピングシステムを備える。ポンピングシステムは、外部ソースから流体薬剤を受け入れるように構成された充填ポートと、充填ポートから流体薬剤を受け入れ、その中に流体薬剤を格納するように構成されたリザーバと、流体薬剤を患者に送達するように構成されたカニューレと、流体薬剤をリザーバからカニューレに移動させるように構成されたポンプと、充填ポートとカニューレとの間の流体経路上に配置された圧力スイッチと、を備える。圧力スイッチは、上部プレートと、上部プレートの反対側にあり、その中に流体経路と連通する開口部を有するベースプレートと、ベースプレート内の開口部を密封する弾性膜であって、流体経路内の流体薬剤からの圧力によって変形可能である弾性膜と、上部プレートと膜との間に配置され、上部プレートと膜との間に延びる軸に沿って移動可能なプランジャと、上部プレートとプランジャとの間に配置され、プランジャに対して圧力を及ぼすばねと、を備える。流体経路内の流体薬剤からの弾性膜上の閾値圧力は、プランジャを上部プレートに向かって移動させる。
【0015】
圧力スイッチは、充填ポートとリザーバとの間の流体経路上に配置されてもよい。
【0016】
圧力スイッチは、リザーバの流体経路上に配置されてもよく、またはリザーバに直接組み込まれてもよい。
【0017】
圧力スイッチは、ポンプとカニューレとの間の流体経路上に配置されてもよい。
【0018】
上記及び/又は他の例示的な態様及び利点は、添付の図面と併せて参照される例示的な実施形態の以下の説明から明らかになり、より容易に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】例示的な実施形態による、第1の位置にあるスイッチの断面図である。
【
図2】例示的な実施形態による、第2の位置にある
図1のスイッチの断面図である。
【
図3】例示的な実施形態による、IDDのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
添付の図面に示される例示的な実施形態を詳細に参照し、同様の参照数字は、全体を通して同様の要素を指している。この点に関して、例示的な実施形態は、異なる形態を有してもよく、本明細書に記載された説明に限定されると解釈されることはない。
【0021】
用語「含む(include)」、「含む(including)」、「備える(comprise)」、及び/又は「備える(comprising)」は、本明細書で使用されるとき、述べられる特徴、整数、ステップ、動作、要素、及び/又は構成要素の存在を指定するが、1つ以上の他の特徴、整数、ステップ、動作、要素、構成要素、及び/又はそれらのグループの存在又は追加を排除しないことが理解されよう。
【0022】
本明細書では、「第1」、「第2」、「第3」等の用語が、様々な要素、構成要素、領域、層、及び/又は、セクションを説明するために使用され得るが、これらの要素、構成要素、領域、層、及び/又は、セクションは、これらの用語によって限定され得ないことがさらに理解されるであろう。これらの用語は、ある要素、構成要素、領域、層又はセクションを、別の要素、構成要素、領域、層又はセクションと区別するためにのみ使用される。
【0023】
本明細書で使用される場合、用語「及び/又は」には、関連する列挙された項目の1つ又は複数のあらゆる組み合わせが含まれる。「少なくとも1つ」などの表現が、要素のリストの前にある場合、要素のリスト全体を変更し、リストの個々の要素は変更しない。さらに、本明細書に記載されている「ユニット」、「-er(-or)」及び「モジュール」などの用語は、少なくとも1つの機能又は動作を実行するための要素を意味し、ハードウェア、ソフトウェア、又はハードウェアとソフトウェアの組み合わせで実装することができる。
【0024】
特定のシステムコンポーネントを指すために、さまざまな用語が使用される。会社によって、構成要素の名称が異なる場合があるが、本明細書は、名称は異なるが機能は異なる構成要素を区別する意図はない。
【0025】
これらの例示的な実施形態のうち、これらの例示的な実施形態が関係する技術分野における通常の技術者にとって自明である事項については、ここでは詳細に説明しない場合がある。
【0026】
1つまたは複数の例示的な実施形態は、流路に含まれる流体が所望の圧力点を超えて増加するときに、測定してアラームを発するために使用される圧力スイッチを説明する。
図1は、例示的な実施形態による、第1の位置にある流体圧力スイッチの断面図である。スイッチ100は、ベースプレート101、遊動プランジャ102、ハイパー弾性膜103、ガスケット104、圧縮スタンドオフ105、ばね素子106、導電層107、プリント回路基板(PCB)108、及び電気接触パッド109を含む。スイッチ100は、流路110内の流体の圧力を測定する。ベースプレート101は、より大きなマニホールドの一部であってもよい。
【0027】
導電層107は、プランジャ102の上部の平坦な表面に配置され、プランジャ102のこの表面に接着または融着され得る。
【0028】
ばね要素106は、金属およびプラスチックを含むが、これらに限定されないいくつかの材料のいずれかで構成されてもよい。圧縮ばね、波形ばね、およびフィンガーワッシャを含むがこれらに限定されず、所望の性能仕様を達成するために、様々なタイプのばねのいずれかを使用してもよい。
【0029】
スイッチのアセンブリの2つ以上の部分は、複雑さ及びアセンブリ時間を低減するために組み合わされてもよい。例えば、膜103、ガスケット104、および圧縮スタンドオフ105のうちの2つ以上は、単一のショット射出成形部品であってもよい。
【0030】
スイッチ100は、2つ以上の接触パッド109を含むと説明されるが、接触パッドの代わりに、他の例では、電気ハードウェアを使用してもよく、プランジャ102がトリガポイントに達したときを感知するために、小さな押しボタンまたは光変位センサを使用してもよい。あるいは、プランジャ102がトリガポイントに達したとき、単一の電気接触は、単一の接触パッドで作られてもよく、第2の電気接触は、ばね自体で作られてもよい。
【0031】
同様に、当業者によって理解されるように、別のタイプのセンサは、プランジャ102がトリガポイントに達するのを感知するために使用され得る。
【0032】
導電層107は、単一の要素としてプランジャ102と組み合わされてもよく、または導電性インクなどの導電層107の代わりに電気回路を完成させる別の手段が使用されてもよい。
【0033】
図1および
図2に示されるような例示的な設計は、ベースプレート101上に直接構築されてもよく、または構成要素は、スイッチがベースプレート101に取り付けられる前に事前に組み立てられることができるように設計されてもよい。あるいは、説明されているように、プランジャが代替構造にロードされ、ベースプレートに向かって押し下げられるように、構成を反転させてもよい。
【0034】
あるいは、プランジャ102および導電層107は、導電膜で置き換えられてもよく、または導電層107は、膜103上に直接配置されてもよく、プランジャ102を効果的に排除する。
【0035】
スイッチ100は、膜103を使用して、流体経路110の入口とフローティングプランジャ102との間で流体圧力を伝達する。プランジャ102のレッジ102aとPCB108の表面との間で圧縮状態で保持されるばね要素106によって、フローティングプランジャ102の半径方向外側のレッジ102aに反力が加えられる。PCB108は、ベースプレート101に対してヒートステークされてもよい。PCB108のスルーホール108aは、軸方向アライメントを提供し、プランジャ102から延在するステム102bとインターフェースで接続する。
【0036】
ばね106に加えて、PCB108はまた、膜103およびガスケット104の両方をベースプレート101に対して圧縮する圧縮スタンドオフ105を保持する。この圧縮は、流体経路110とプランジャとの間にシールを形成し、それによって、任意の流体が膜103を通って流体経路110から漏れるのを防止する。このシールは、流体経路110からプランジャ102に伝達される圧力の量を最大化する。圧縮スタンドオフ105はまた、圧縮スタンドオフ105内に設けられた空間の範囲内にプランジャ102を維持することによって、プランジャ102の任意の非軸方向の動きを制約するように機能し、空間は、
図1及び
図2に示されるように、円筒形であってもよいが、代替的に、当業者によって理解されるように、別の形状であってもよい。
【0037】
図2は、流体経路110内の圧力がプランジャに向かって膜上の圧力を増加させ、プランジャをばね106の圧力に対してPCB108に向かって移動させる第2の位置にあるスイッチ100の断面を示す。増加する流体圧力が膜103を介してプランジャ102に伝達されると、ばね要素106が圧縮され、プランジャ102がPCB108に向かって前進する。トリガー圧力に達すると、プランジャ102に取り付けられた導電層107は、PCB108の膜に面する側に取り付けられた電気接触パッド109に接触し、それによって回路を完成する。スイッチトリガ力は、膜103上の流体圧力からのプランジャ102上の力が、弾性膜103の伸長およびばね要素106の圧縮によって加えられる反力を超えるときに達成される。
【0038】
圧力変化を測定するために膜のたわみ(または膜伸長)を使用する多くの関連する用途は、特に材料厚さに関して、材料特性および厳密な寸法公差に対する厳格な要件を有する。この例示的な実施形態によれば、スイッチ100は、加圧流体上の反力への膜の寄与を最小化し、ばね要素の寄与を最大化する適合を有するハイパー弾性膜103を使用することによって、厳格な要件を回避する。流体上の反力の大部分をばね要素にシフトさせることによって、スイッチ100のトリガー力は、ばね106の形状、サイズ、圧縮量、または材料特性を変更することによって容易に調整することができる。膜103および流体に対するプランジャ102の圧力を支配するこのばね106は、それ自体が流体と接触しない。また、ばね106は、金属要素または弾性要素であってもよい。
【0039】
この例示的な実施形態によれば、流体は流体経路110に移動することができ、流体経路110内の流体は、膜103およびプランジャ102に対して圧力を加えるので、プランジャ102は、PCB108および電気接触109に向かって移動する。この例示的な実施形態の利点は、一度導電層107と接触パッド109との接触によって作動されたスイッチ100をリセットできることである。スイッチ100は、流体からの圧力が減少するときに係合解除し得、プランジャ102および同様に導電層107は、それらの静止位置に戻る。
【0040】
図3は、例示的な実施形態による、IDDのブロック図である。例示的なスイッチは、
図3に示されるような例示的なIDDと併せて説明されるが、これは単なる例であり、1つまたは複数の例示的な実施形態によるスイッチは、当業者によって理解されるように、流体経路を含む任意の薬物送達システムまたは医療デバイスと併せて使用され得ることを理解されたい。
【0041】
IDD200は、インスリン療法を必要とする2型糖尿病患者の管理のための、設定された可変基底(24時間期間)速度及びボーラス(オンデマンド)用量でのインスリンの連続的な皮下送達のために構成された医療デバイスの一例である。IDD200は、電力及び制御システム210、ならびにポンピングシステム250を含む。電力及び制御システム210は、当業者によって理解されるように、IDD200に電力を提供するための1つまたは複数の電池、マイクロコントローラ、メモリ、及びポンピングシステム250の制御及び調整のための追加の電子機器を含んでもよい。
【0042】
ポンピングシステム250は、カニューレ223を介してIDD200を着用している患者に送達される流体薬剤(例えば、インスリン)を格納するためのリザーバ221を含む。ポンプ222は、カニューレ223を介してリザーバ221から指定量の薬剤を制御可能に送達する。リザーバ221は、シリンジを使用して隔壁または充填ポート220を介して充填されてもよい。IDDはまた、カニューレ223を患者に挿入するための手動挿入機構(図示せず)を含んでもよい。
【0043】
本明細書に記載の例示的な実施形態による圧力スイッチは、充填ポート220とカニューレ223との間の任意の1つまたは複数の位置で流体経路内の圧力を検出するために、ポンピングシステム250内に含まれてもよい。例えば、スイッチ100は、リザーバ221における流体圧力を検出する位置A、リザーバ221とポンプ222との間の流体経路上の流体圧力を検出する位置B、およびポンプ222とカニューレ223との間の流体経路上の流体圧力を検出する位置C、のうちのいずれか1つまたは複数に配置されてもよい。
【0044】
位置A、B、及びCのうちの1つ以上に配置された圧力スイッチ100は、流体経路内の閉塞の検出を補助することができる。同様に、圧力スイッチ100は、IDDが満杯であるという警告を提供する、リザーバ221及び流体経路の過剰充填を検出することができる。IDDなどの医療デバイスでは、薬剤が患者に流入しているかどうかを検出する必要がある。よって、閉塞がある場合、ユーザに警告する必要がある。したがって、ブロックを上流で検出することができないため、可能な限り流体経路の上流に圧力スイッチを配置することには利点がある。
【0045】
多くの摩擦源は、トリガー圧力の変動につながる可能性がある。これは、圧縮スタンドオフ105とばね要素106との間、ばね要素106とプランジャ102との間、およびプランジャ102と圧縮スタンドオフ105との間の摩擦を含む。これらの摩擦の発生は、プランジャ102が静止しているとき、圧縮スタンドオフ105に既に部分的に挿入されていることを確実にするために、構成要素の公差の決定によって緩和されてもよい。
【0046】
本明細書に記載された例示的な実施形態は、説明的な意味においてのみ考慮され、限定を目的とするものではないことを理解されたい。各例示的実施形態内の特徴又は態様の説明は、他の例示的実施形態における他の同様の特徴又は態様についても利用可能であると見なし得る。
【0047】
例示的な実施形態が図を参照して説明されてきたが、以下の特許請求の範囲によって定義される精神および範囲から逸脱することなく、形態および詳細の様々な変更がその中で行われ得ることが当業者によって理解されるであろう。
【国際調査報告】