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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-13
(54)【発明の名称】一酸化窒素を供給する装置及び方法
(51)【国際特許分類】
   A61L 2/20 20060101AFI20240205BHJP
【FI】
A61L2/20
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023545205
(86)(22)【出願日】2022-01-26
(85)【翻訳文提出日】2023-09-22
(86)【国際出願番号】 US2022013887
(87)【国際公開番号】W WO2022164894
(87)【国際公開日】2022-08-04
(31)【優先権主張番号】63/141,676
(32)【優先日】2021-01-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/141,711
(32)【優先日】2021-01-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/156,917
(32)【優先日】2021-03-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523281227
【氏名又は名称】ステラル ステート エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】STERILE STATE LLC
【住所又は居所原語表記】33742 W. 12 Mile Rd. Farmington Hills,Michigan 48331 (US)
(74)【代理人】
【識別番号】100109634
【弁理士】
【氏名又は名称】舛谷 威志
(74)【代理人】
【識別番号】100129263
【弁理士】
【氏名又は名称】中尾 洋之
(72)【発明者】
【氏名】フロスト,メーガン,シシリア
(72)【発明者】
【氏名】ミリン,ジェフリー
【テーマコード(参考)】
4C058
【Fターム(参考)】
4C058AA12
4C058BB07
4C058DD03
4C058DD04
4C058DD05
4C058DD06
4C058DD07
4C058JJ16
4C058JJ26
4C058JJ28
(57)【要約】
物品を消毒又は滅菌するための空間に一酸化窒素を供給する装置が提供される。この装置は、表面を有する支持体を含む。上記支持体は、空間内で且つ物品の近傍に配置されるように適合されているか、又は表面が空間を画定し、その空間が物品を収容するように適合されている。本装置は、上記表面の上にあり、(A)所定の速度で、(B)所定の期間で、(C)所定の用量で、又は(A)、(B)及び(C)のいずれかの組み合わせで一酸化窒素を供給するように適合された一酸化窒素源を更に含む。空間内の物品を消毒又は滅菌する方法を提供する。この方法は、物品を空間内に配置することを含む。この方法は、一酸化窒素源から所定の速度で上記空間に一酸化窒素を供給することを更に含む。この方法は、所定の期間、物品を一酸化窒素に曝露することを更に含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を消毒又は滅菌するための空間に一酸化窒素を供給するための装置であって、
表面を有する支持体であって、空間内で且つ前記物品の近傍に配置されるように適合されている、支持体と、
前記表面の上にあり、
(A)所定の速度で、
(B)所定の期間で、
(C)所定の用量で、又は
(A)、(B)、及び(C)のいずれかの組み合わせ
で一酸化窒素を供給するように適合された一酸化窒素源と、を含む装置。
【請求項2】
請求項1に記載の装置であって:
前記支持体の前記表面は空洞を画定し、前記支持体は前記空洞と前記空間との間に流体連通を提供するように適合され、
前記装置は、前記空洞内に電磁放射線を発生させるように適合された電磁放射線源を更に備え、且つ
前記一酸化窒素源は前記空洞内に配置され、前記電磁放射線の存在下で硝酸を供給するように適合されている、装置。
【請求項3】
前記電磁放射線源が前記空洞内に配置されている、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記一酸化窒素源がポリマーを含み、約10~約200日の期間硝酸を供給するように適合されている、請求項1~3のいずれか1項に記載の装置。
【請求項5】
請求項4に記載の装置であって:
(A)前記一酸化窒素源は、ポリマー層を形成するために前記表面の上に配置されるか、
(B)前記支持体がリグノセルロース系材料を含むか、又は
(A)と(B)の両方である、装置。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項に記載の装置であって:
前記支持体はフィラメントを含み、前記フィラメントは前記表面を有し、前記表面は電磁放射線を透過するように適合されており、
前記装置は、前記フィラメントと光通信し、電磁放射線を発生するように適合された電磁放射線源を更に備え、且つ
前記一酸化窒素源は、前記電磁放射線の存在下で硝酸を供給するように適合されている、装置。
【請求項7】
物品を消毒又は滅菌するための空間に一酸化窒素を供給するための装置であって、
表面を有する支持体であって、前記表面が前記空間を画定し、前記空間は前記物品を収容するように適合されている、支持体と、
前記表面の上にあり、
(A)所定の速度で、
(B)所定の期間で、
(C)所定の用量で、又は
(A)、(B)、及び(C)のいずれかの組み合わせ
で一酸化窒素を供給するように適合された一酸化窒素源と、を含む装置。
【請求項8】
前記一酸化窒素源がポリマーを含み、約10~約200日の期間硝酸を供給するように適合されている、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記支持体が電磁放射線に対して実質的に透明であり、前記一酸化窒素源が電磁放射線の存在下で硝酸を供給するように適合されている、請求項7又は8に記載の装置。
【請求項10】
前記空間内で電磁放射線を発生するように適合された電磁放射線源を更に含み、前記一酸化窒素源は、前記電磁放射線の存在下で硝酸を発生するように適合されている、請求項7~9のいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
空間内の物品を消毒又は滅菌する方法であって、
前記物品を前記空間内に配置することと、
一酸化窒素源から所定の速度で前記空間に一酸化窒素を供給することと、
所定の期間、前記物品を前記一酸化窒素に曝露することと、
を含む方法。
【請求項12】
請求項11に記載の方法であって:
前記所定の速度が、約200ppb~約800ppbの量の速度として定義され、前記所定の期間が、約2時間~約8時間の期間として定義されるか、又は
前記所定の速度は、約20ppb~約80ppbの量の速度として定義され、前記所定の期間は、約12時間~約48時間の期間として定義される、方法。
【請求項13】
前記所定の用量が、約5ppm~約20ppmの定常状態における前記一酸化窒素の量として定義される、請求項11又は12に記載の方法。
【請求項14】
前記一酸化窒素源が、S-ニトロソ-N-アセチル-D-ペニシラミン、亜硝酸塩、S-ニトロソシステイン、S-ニトロソグルタチオン、ジアゼニウムジオレート化合物、アルギニン、有機亜硝酸塩、一酸化窒素を生成するように適合された生物学的供給源、又はそれらの組み合わせを含む、請求項11~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記前記一酸化窒素源がポリマーを更に含む、請求項11~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
ポリマーが、シラン、シロキサン、又はそれらの組み合わせから形成される、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記一酸化窒素源を、熱エネルギー、電磁放射線、pH、水、金属イオン媒介、電気化学的開始、アスコルビン酸による開始、振動、超音波、攪拌、機械的攪拌、若しくは超音波エネルギー、又はそれらの組合せを含む開始条件に曝露するステップを更に含む、請求項11~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記一酸化窒素源を開始エネルギーに曝露するステップが、前記一酸化窒素源を光に曝露することとして更に定義される、請求項11~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記空間は、圧力が約0.5~1.5気圧である、請求項11~18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記空間は、温度が約10℃~約50℃である、請求項11~19のいずれか一項に記載の方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、2021年1月26日に出願された米国仮特許出願第63/141,676号、2021年1月26日に出願された米国仮特許出願第63/141,711号、及び2021年3月4日に出願された米国仮特許出願第63/156,917号の優先権を主張する国際出願であり、これらの内容全体が参照により援用される。
【0002】
[技術分野]
本開示は、概して、物品を消毒又は滅菌するための空間に一酸化窒素を供給するための装置に関する。本開示はまた、空間内の物品を消毒又は滅菌するための方法に関する。
【背景技術】
【0003】
例えば医療用の器具、装置、機器等、様々な製品や物品は、創傷部位、サンプル、生物等の生物汚染を防ぐために、使用前に滅菌しなければならない。製品又は物品を滅菌剤と接触させる多くの滅菌プロセスが使用される。このような滅菌剤の例としては、蒸気、エチレンオキシド、過酸化水素、乾熱等が挙げられる。
【0004】
例えば、エチレンオキシドは、この滅菌装置の使用者に重大なリスクをもたらす発がん性物質を発生させることがよく知られており、これらの装置を曝気するために長時間を要するため、非常に高価で面倒である。
【0005】
したがって、医療機器やその他の物品を効果的に滅菌し、広く普及しているエチレンオキシド滅菌に取って代わるガス滅菌技術を提供することが望まれる。更に、他の望ましい特徴及び特性は、上述の技術分野及び背景と併せて考慮される、下記要約及び詳細な説明、並びに添付の特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【発明の概要】
【0006】
物品を消毒又は滅菌するための空間に一酸化窒素を供給する装置の非限定的な一実施形態が提供される。この装置は、表面を有する支持体を含む。上記支持体は、上記空間内で且つ上記物品の近傍に配置されるように適合されている。この装置は、上記表面の上にあり、(A)所定の速度で、(B)所定の期間で、(C)所定の用量で、又は(A)、(B)及び(C)のいずれかの組み合わせで一酸化窒素を供給するように適合された一酸化窒素源を更に含む。
【0007】
物品を消毒又は滅菌するための空間に一酸化窒素を供給する装置の別の非限定的な実施形態が提供される。この装置は、表面を有する支持体を含む。上記表面は空間を画定し、空間は物品を含むように適応される。この装置は、上記表面の上にあり、(A)所定の速度で、(B)所定の期間で、(C)所定の用量で、又は(A)、(B)及び(C)のいずれかの組み合わせで一酸化窒素を供給するように適合された一酸化窒素源を更に含む。
【0008】
空間内の物品を消毒又は滅菌する方法の非限定的な実施形態が提供される。この方法は、上記物品を上記空間内に配置することを含む。この方法は、一酸化窒素源から所定の速度で上記空間に一酸化窒素を供給することを更に含む。この方法は、所定の期間、上記物品を一酸化窒素に曝露することを更に含む。
【0009】
様々な例示的実施形態において、本開示の装置及び方法は、医療機器、医療器具、内視鏡、携帯電話、マスクカバー、鍵、名札、クレジットカード、マウスガード、赤ちゃんのおしゃぶり及び輪形おしゃぶり、ペン及び鉛筆、スポーツ用手袋、靴等の広範な物品の安全で効率的で環境に優しいガス消毒及びガス滅菌を提供する。本開示の装置及び方法は、気相一酸化窒素を使用して、滅菌又は消毒される物品を適切に囲み、物品を一酸化窒素ガスに曝露することにより、周囲温度、圧力及び湿度下で、物品上の細菌、ウイルス、酵母、及び真菌等の微生物及び感染性のあるものを滅菌又は消毒する。
【0010】
この方法には、酸素や水分を除去するために密閉したり真空にしたりする必要のない密閉容器内に物品を配置するステップが含まれる。重要なことは、この気相滅菌は、酸素の除去、減圧、湿度や温度の厳密な管理等の特別な環境制御を必要としない周囲条件下で実施できることである。密閉容器は、一酸化窒素の局所濃度を、所定の期間、最低限の消毒又は滅菌ができるレベルを上回る所定のレベルまで蓄積する。適切な閉じ込め容器には、個人用電子機器の保管に使用されるようなプラスチック製の箱、オートクレーブバッグやエチレンオキサイド滅菌パウチのような柔らかいプラスチック製の袋、又は内視鏡等の医療機器用の特注保管容器が含まれる。容器は、密閉され、排気され、厳密な湿度管理と温度調節の下に保持されることができるが、この調節は、物品の消毒又は滅菌の有効性には必要ではない。
【0011】
この密閉容器の中に一酸化窒素源が存在する。系の望ましい用途の設計上の制約に応じて、使用可能な一酸化窒素源は多種多様である。一酸化窒素源としては、特に限定されないが、SNAP-PDMSや、異なる一酸化窒素部位と異なるポリマー基材とを使用する他の一酸化窒素供与性ポリマーの使用が挙げられる。一酸化窒素供与体は、ポリマーと共有結合させることもでき、またポリマーに配合することもできる。一酸化窒素供与体は、固体、液体、ゲル状で使用することもできる。この例としては、SNAP、亜硝酸塩、S-ニトロソシステイン、S-ニトロソグルタチオン、ジアゼニウムジオレート化合物、アルギニンからのNOの酵素的生成、又は有機亜硝酸塩、マクロファージ生成等の生物学的供給源等が挙げられる。
【0012】
一酸化窒素源の他の例としては、ポリマー、酸性化された亜硝酸塩又は硝酸塩、ジアゼニウムジオレート、ニトロソチオール、ニトロシル化合物等の一酸化窒素供与性分子からの気相送達、又は一酸化窒素の酵素的生成、アスコルビン酸又は金属触媒からの一酸化窒素の化学的生成、一酸化窒素の電気化学的生成、一酸化窒素を放出するための結合の光分解開裂、一酸化窒素ガスの直接送達等のNO生成の他の方法が挙げられる。
【0013】
一酸化窒素放出を開始するトリガーは、熱、光、pH、水、金属イオンの媒介、電気化学的開始、アスコルビン酸による開始、振動、超音波、攪拌、機械的攪拌又は超音波等であり得る。本開示の装置及び方法は、一酸化窒素への物品の曝露のタイミング及び一酸化窒素の濃度を制御することにより、安全で且つ効率的な一酸化窒素の使用を提供する。
【0014】
例えば、これらの装置及び方法は、紙、ポリマー、及びステンレス鋼上に植菌された表皮ブドウ球菌、黄色ブドウ球菌、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌、大腸菌への一酸化窒素気相滅菌に対して有効である。有効レベルまでの一酸化窒素の生成は、SNAP-PDMSの熱及び光分解開裂、溶液及び粉末の両形態におけるシステインの存在下での亜硝酸からの一酸化窒素生成、溶液及び粉末の両形態におけるグルタチオンの存在下での亜硝酸からの一酸化窒素生成、銅イオン及び亜鉛イオンを用いたSNAP及び亜硝酸塩からの一酸化窒素生成、銅イオン及び亜鉛イオンを用いたSNAP及び亜硝酸塩からの一酸化窒素生成、酸性及び中性溶液中でのSNAPの熱及び光分解開裂、塩基性溶液中でのSNAPからの一酸化窒素生成、圧縮一酸化窒素ガスの直接供給等に基づいてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】空間内の物品を消毒又は滅菌するために一酸化窒素を供給する装置の非限定的な実施形態を示す透視図である。
【0016】
図2】空間内の物品を消毒又は滅菌するために一酸化窒素を供給する装置の別の非限定的な実施形態を示す透視図である。
【0017】
図3】空間内の物品を消毒又は滅菌するために一酸化窒素を供給する装置の別の非限定的な実施形態を示す透視図である。
【0018】
図4】空間内の物品を消毒又は滅菌するために一酸化窒素を供給する装置の別の非限定的な実施形態を示す透視図である。
【0019】
図5A図1~4の装置の非限定的な実施形態を示す写真である。
図5B図1~4の装置の非限定的な実施形態を示す写真である。
【0020】
図6図1~4の装置の非限定的実施形態の有効性を示す写真である。
【0021】
図7A図1~4の装置の別の非限定的な実施形態を示す写真である。
図7B図1~4の装置の別の非限定的な実施形態を示す写真である。
図7C図1~4の装置の別の非限定的な実施形態を示す写真である。
図7D図1~4の装置の別の非限定的な実施形態を示す写真である。
【0022】
図8図1~4の装置の別の非限定的な実施形態を示す写真である。
【0023】
図9A図1~4の装置の別の非限定的な実施形態を示す写真である。
図9B図1~4の装置の別の非限定的な実施形態を示す写真である。
【0024】
図10A図1~4の装置の別の非限定的な実施形態の有効性を示す写真である。
図10B図1~4の装置の別の非限定的な実施形態の有効性を示す写真である。
【0025】
図11図1~4の装置の別の非限定的な実施形態による一酸化窒素の生成を示すチャートである。
【0026】
図12図1~4の装置の別の非限定的な実施形態による一酸化窒素の生成を示すチャートである。
【0027】
図13図1~4の装置の別の非限定的な実施形態による一酸化窒素の生成を示すチャートである。
【0028】
図14図1~4の装置の別の非限定的な実施形態による一酸化窒素の生成を示すチャートである。
【0029】
図15図1~4の装置の別の非限定的な実施形態による一酸化窒素の生成を示すチャートである。
【0030】
図16図1~4の装置の別の非限定的な実施形態による一酸化窒素の生成を示すチャートである。
【0031】
図17図1~4の装置の別の非限定的な実施形態による一酸化窒素の生成を示すチャートである。
【0032】
図18A】空間内の物品(管腔等)を消毒又は滅菌するために一酸化窒素を供給する装置の非限定的な実施形態を示す透視図である。
図18B】空間内の物品(管腔等)を消毒又は滅菌するために一酸化窒素を供給する装置の非限定的な実施形態を示す透視図である。
【0033】
図19】バリア内に配置された物品の非限定的な実施形態を示す透視図である。
【0034】
図20】物品を滅菌又は消毒するための、物品の入ったスリーブの非限定的な実施形態を示す透視図である。
【0035】
図21】物品を滅菌又は消毒するためのキットの非限定的な実施形態を示す画像である。
【0036】
図22】滅菌又は消毒される物品の非限定的な実施形態を示す透視図である。
【0037】
図23図22の物品のためのスリーブの別の非限定的な実施形態を示す透視図である。
【0038】
図24】物品を消毒又は滅菌するために一酸化窒素を供給する装置の非限定的な実施形態を示す断面図である。
【0039】
図25図24の装置を収納するためのケースの非限定的な実施形態を示す断面図である。
【0040】
図26】物品を消毒又は滅菌するために一酸化窒素を供給するための別の装置の非限定的な実施形態を示す透視図である。
【0041】
図27図26の装置の非限定的な実施形態を示す別の透視図である。
【0042】
図28図26の装置の非限定的な実施形態を示す別の透視図である。
【0043】
図29図26の装置の非限定的な実施形態を示す別の透視図である。
【0044】
図30図26の装置の非限定的な実施形態を示す別の透視図である。
【発明の詳細な説明】
【0045】
実施例において、又は別途明示的に示される場合を除き、本明細書において、物質の量又は反応及び/又は使用の条件を示すすべての数的な量は、本開示の最も広い範囲を説明する際に、「約」という語によって修飾されるものと理解される。様々な実施形態において、用語「約」及び「おおよそ」は、指定された測定可能な値(パラメータ、量、時間的持続時間等)に言及する場合、開示された実施形態において実行するのに適切である限りにおいて、指定された値、及び指定された値からの変動、例えば、指定された値の±10%以下、あるいは±5%以下、あるいは±1%以下、あるいは±0.1%以下の変動を包含することを意味する。したがって、修飾語「約」又は「おおよそ」が指す値自体も具体的に開示されている。
【0046】
一般的には、記載された数値の範囲内で実施することが好ましい。また、明示的に反対の記載がない限り、パーセント、「部」、及び比率の値はそれぞれ重量パーセント、重量部、及び重量比である。本発明に関連して、一群又は一クラスの物質が所定の目的に好適である、又は好ましいと記述されている場合、その一群又は一クラスの構成要素のうち任意の2つ以上の混合物も同様に好適である、又は好ましいことを意味する。化学用語による構成成分の記述は、本明細書で指定されている任意の組み合わせに添加される時点での構成成分を意味し、一度混合された混合物の構成成分間の化学的相互作用を必ずしも排除するものではない。頭字語又はその他の略語の最初の定義は、本明細書における同じ略語の後続の使用すべてに適用され、最初に定義された略語の通常の文法上の変形に準用される。また、明示的に反対の記載がない限り、物性の測定は、同一の物性について以前又は以後に参照されたものと同じ技法により決定される。
【0047】
なお、本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用される通り、単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈からそうでないことが明確に指示されない限り、複数の指示対象を含む。例えば、単数形の構成要素への言及は、複数の構成要素を含むことを意図している。
【0048】
本明細書で使用する「実施形態」とは、特定の特徴、構造、又は特性が、本発明の少なくとも1つ以上の明示、実施例、又は実施に含まれることを意味する。さらに、特定の特徴、構造又は特性は、当業者には明らかなように、任意の適切な方法で組み合わせることができる。異なる実施形態の特徴の組み合わせはすべて本発明の範囲内であることを意味し、例によって可能なすべての順列を明示的に説明する必要はない。したがって、権利要求する実施形態はいずれもどのような組み合わせによって用いられてもよい。
【0049】
本明細書で使用される場合、用語「重量%」(さらに関連する略語「wt%」)は、典型的には、乾燥物の重量で表される重量パーセントを指す。このように、wt%は組成物の総重量に基づいて計算することもできるし、混合物の2つ以上の成分/部分間の比率(例えば、乾燥物の総重量)から計算することもできることを理解されたい。
【0050】
本明細書において、「実質的に」という用語は、作用、特性、物性、状態、構造、項目、又は結果の完全な、又はほぼ完全な、程度を指す。任意の例として、「実質的に」囲まれている物体とは、物体が完全に囲まれているか、ほぼ完全に囲まれているかのどちらかであり、全体としては物体が完全に囲まれている場合と同じような結果が得られることを意味する。
【0051】
図面は半図式的であり、縮尺通りではなく、特に寸法の一部はプレゼンテーションを明確にするためのものであり、図面では誇張して示されている。同様に、説明を容易にするために図面における図は概ね同様の向きを示しているが、図面におけるこの描写は任意である。一般に、この装置はどの向きでも操作できる。本明細書において、第1の要素又は層が、第2の要素又は層の「上に」、「上にある」、「下に」、又は「下にある」と称される場合、第1の要素又は層は、第2の要素又は層上に直接存在してもよく、又は、上にある関係において、特徴を通り、特徴間に直線を引くことができる介在要素又は層が存在してもよいことが理解されるであろう。第一の要素又は層が第二の要素又は層の「上」にあると呼ばれる場合、第一の要素又は層は第二の要素又は層の直上にあり、第二の要素又は層と接触している。更に、「上側」、「上」、「下側」、「下」等の空間的に相対的な用語は、本明細書では、説明を容易にするために、図に示されるような、1つの要素又は特徴の別の要素又は特徴に対する関係を説明するために使用される場合がある。空間的に相対的な用語は、図に描かれている向きに加えて、使用中又は操作中の滅菌インジケータの異なる向きを包含することを意図していることが理解されよう。例えば、図中の滅菌インジケータを裏返すと、他の要素や特徴の「下」にあると説明された要素は、他の要素や特徴の「上」を向くことになる。したがって、例示的な用語「下」は、上又は下のいずれかの方向を包含し得る。滅菌インジケータは、他の向き(90度回転した向き又は他の向き)であってもよく、本明細書で使用される空間的に相対的な記述子も同様にそれに応じて解釈され得る。
【0052】
本開示全体を通じて、刊行物が参照される場合、これらの刊行物の開示全体は、本開示が関連する技術の現状をより完全に説明するために、参照により本開示に援用される。
【0053】
以下の詳細な説明は、本質的に単なる例示であり、本発明又は本発明の応用及び用途を限定することを意図するものではない。更に、上記背景や下記の詳細な説明で示された理論に拘束される意図はない。
【0054】
一酸化窒素を供給するための装置
図1~4は、空間24内の物品22を消毒又は滅菌するために一酸化窒素を供給するための装置20の非限定的な実施形態を示す透視図である。消毒又は滅菌されるのに適した物品22としては、特に限定されないが、個人用機器(例えば、携帯電話、タブレット、ラップトップ、時計等)、個人用物品(例えば、顔及び/又は頭を覆うもの、サングラス、クレジットカード、名札、鍵、宝石類、衣類、アクセサリー、おしゃぶり、筆記用具等)、スポーツ用具(例えば、マウスガード、靴等)、及び医療機器(例えば、衛生的又は無菌でなければならない器具、装置、材料、用具、その他の機器)等が挙げられる。物品22を空間24内に収容することができ、一酸化窒素等の窒素酸化物に適合する限り、他のどのような物品も消毒又は滅菌できることを理解されたい。
【0055】
適切な医療機器の具体例としては、特に限定されないが、外科器具、心臓外科用品、心臓インプラント、心臓血管ステント、血管インプラント、外科器具、骨移植片及び骨足場等の整形外科手術用品、整形外科インプラント、歯科手術用品、歯科インプラント、内視鏡、胃腸インプラント、尿路インプラント、創傷治癒用品、組織工学用品等が挙げられる。
【0056】
物品22は、金属、非金属、高分子材料、エラストマー、生物由来材料等のうち1つ以上の材料から形成され得る。好適な金属の非限定的な例としては、ステンレス鋼、アルミニウム、ニチノール、コバルトクロム、チタン等が挙げられる。非金属の非限定的な例としては、ガラス、シリカ、セラミック等が挙げられる。
【0057】
装置20は、物品22に近接するように適合された支持体26を含む。様々な実施形態において、支持体26は、(A)他の物体の重量に耐えることができる任意の物体又は物体の任意の組合せ、(B)それによってある濃度の流体の形成を可能にする流体の動きに少なくとも部分的に影響を与えることができる任意の物体又は物体の任意の組合せ、又は(A)及び(B)の両方であってもよい。本明細書で使用する「流体」という用語は、気体や液体等のように、一定の形状を持たず、外圧に容易に屈する物質を意味する。好適な支持体26の非限定的な例としては、軟質ポリマーバッグ、エチレンオキシドパウチ、硬質貯蔵容器等の容器、繊維ベースライナー、ポリマーライナー、金属含有ライナー、非金属ライナー等のライナー、及び光ファイバーケーブル等の繊維が挙げられる。
【0058】
支持体26は表面28を有する。いくつかの実施形態において、支持体26は容器であり、その内面の1つ以上に表面28を有する。他の実施形態において、支持体26はライナーであり、その面の1つ以上に表面28を有する。表面28は、当該技術分野で知られている任意の構成を有することができる(例えば、表面は平らであっても、平らでなくてもよい)。表面28は、平滑であっても、多孔質であっても、あるいはそれらの組み合わせであってもよい。
【0059】
これらの実施形態及び他の実施形態において、装置20は、表面28の上にあり、一酸化窒素を供給するように適合された一酸化窒素源30を更に含むことができる。一酸化窒素は非常に脂溶性で、微生物の脂質膜を破壊する能力がある。更に一酸化窒素はチオ蛋白質を不活性化し、それにより微生物の機能性蛋白質を破壊し得る。二酸化窒素は一酸化窒素よりも水溶性が高い。最後に、一酸化窒素と二酸化窒素はDNAを極めて効果的に破壊し、鎖の切断やその他の損傷を引き起こし、それにより細胞が機能しなくなる。
【0060】
様々な実施形態において、一酸化窒素と空気の混合物は反応し、多くの異なる窒素酸化物を含む混合物となる。具体的には、一酸化窒素を空気に、あるいは空気を一酸化窒素に加えると、一酸化窒素が空気中の酸素と反応して二酸化窒素が生成される。混合物中に存在する各窒素酸化物種の濃度は、温度、圧力、及び一酸化窒素の初期濃度によって変化し得る。
【0061】
本明細書において、「一酸化窒素」又は「NO」という用語は、NOフリーラジカル又はNOを意味する。本明細書で使用する場合、NOxという用語は窒素酸化物又は窒素の酸化物の略称であり、窒素によって形成される酸化物で、このとき窒素は+1から+5までの各正の酸化数を示す。本明細書で使用する場合、「窒素酸化物」、「窒素の酸化物」及び「NO」という用語は、以下のガスの1つ以上を有するガスを意味し、これらはすべて、窒素及び酸素を様々な量で含む:一酸化窒素(NO)、二酸化窒素(NO)、三酸化窒素(NO)、三酸化二窒素(N)、四酸化二窒素(N)、五酸化二窒素(N)及び亜酸化窒素(NO)。本明細書で使用される場合、「一酸化窒素源」という語句は、NO、NO及びNOを生成又は放出することができる化合物又は組成物を意味する。
【0062】
特定の実施形態において、一酸化窒素源30は、S-ニトロソ-N-アセチル-D-ペニシラミン、亜硝酸塩、S-ニトロソシステイン、S-ニトロソグルタチオン、ジアゼニウムジオレート化合物、アルギニン、有機亜硝酸塩、一酸化窒素を生成するように適合された生物学的供給源、又はそれらの組み合わせを含む。一酸化窒素源30は(A)所定の速度で、(B)所定の期間で、(C)所定の用量で、又は(A)、(B)及び(C)のいずれかの組み合わせで一酸化窒素を供給するように適合されている。一実施形態において、上記所定の速度は、約200ppb~約800ppbの量の速度として定義され、上記所定の期間が、約2時間~約8時間の期間として定義される。別の実施形態において、上記所定の速度は、約20ppb~約80ppbの量の速度として定義され、上記所定の期間は、約12時間~約48時間の期間として定義される。
【0063】
更に別の実施形態において、一酸化窒素源30はポリマーを含み、約10日~約200日、任意に約20日~約150日、又は任意に約30日~約120日の期間、硝酸を供給するように適合されている。ポリマーは、シラン、シロキサン、又はそれらの組み合わせから形成することができる。特定の実施形態において、上記ポリマーはポリジメチルシロキサンである。
【0064】
さらに別の実施形態において、上記所定の用量が、約5ppm~約20ppmの定常状態における一酸化窒素の量として定義される。
【0065】
物品22は、硝酸の存在下で少なくとも5分、任意で少なくとも10分、任意で少なくとも15分間放置された後、消毒又は滅菌されてもよい。しかしながら、消毒又は滅菌時間は、空間24の温度、空間24内の圧力、空間24内の湿度、空間24内の一酸化窒素の濃度、空間24内の他の流体の存在及び濃度、又はそれらの組み合わせによって影響を受け得ることを理解されたい。
【0066】
例示的な実施形態において、一酸化窒素源30は、S-ニトロソ-N-アセチル-D-ペニシラミンを含む。ポリマーに共有結合した好適なS-ニトロソ-N-アセチル-D-ペニシラミン及び他の感光性S-ニトロソチオールの非限定的な例は、米国特許第9,884,943号明細書及び国際公開第2020/018488号明細書に記載されており、これらは参照によりその全体が援用される。
【0067】
図1~3を特に参照すると、いくつかの実施形態において、支持体26は空間24内に配置されるように適合されている。適切な空間24の非限定的な例としては、病室、教室、食堂等の部屋や、コンテナ、車両内部、グローブボックス等の区画が挙げられる。
【0068】
図1を特に参照すると、非限定的な一例において、支持体26の表面28は空洞(キャビティ)32を画定し、支持体26は空洞32と空間24との間に流体連通を提供するように適合されている。この例においては、装置10は、空洞32内に電磁放射線を発生させるように適合された電磁放射線源34を更に含む。このため、一酸化窒素源30は空洞内に配置され、電磁放射線の存在下で硝酸を生成するように適合されている。いくつかの実施形態において、電磁放射線源34は空洞32内に配置されている。しかしながら、電磁放射線源34によって発生された電磁放射線が一酸化窒素源30に到達することができる限り、電磁放射線源34は支持体に対してどこに配置されてもよいことを理解されたい。
【0069】
これらの実施形態及び他の実施形態において、装置20の使用中、装置20はパックとして構成され、容器又は部屋等の空間24内に配置され得る。携帯電話や医療機器等の物品22も、空間24内や装置20の近傍に配置され得る。LED電球等の電磁放射線源34を作動させて、可視光等の電磁放射線を発生させてもよい。S-ニトロソ-N-アセチル-D-ペニシラミン等の一酸化窒素源30は、電磁放射線の存在下で硝酸を供給することができる。物品22は、硝酸の存在下で少なくとも5分間、任意で少なくとも10分間、任意で少なくとも15分間放置された後、消毒又は滅菌されてもよい。
【0070】
図2を特に参照すると、別の非限定的な例においては、一酸化窒素源30がポリマーを含み、約10~約200日の期間硝酸を供給するように適合されている。ポリマーを含む一酸化窒素源30は、ポリマー層36を形成するために表面28の上にあるように配置することができる。支持体26は、紙等のリグノセルロース系材料を含むことができる。
【0071】
これらの実施形態及び他の実施形態において、装置20の使用中、装置20は、その表面28にS-ニトロソ-N-アセチル-D-ペニシラミン等の一酸化窒素源30を塗布したカードストックとして構成することができる。一酸化窒素源30は、ポリマー層36を形成するために、ポリジメチルシロキサン等のポリマーを含んでもよい。コーティングされたカードストックは、容器や区画等の空間24内に配置することができる。携帯電話や医療機器等の物品22も、空間24内や装置20の近傍に配置され得る。ポリマー層36は、約10日~約200日、任意に約20日~約150日、又は任意に約30日~約120日の期間、硝酸を供給することができる。物品22は、硝酸の存在下で少なくとも5分間、任意で少なくとも10分間、任意で少なくとも15分間放置された後、消毒又は滅菌されてもよい。
【0072】
図3を特に参照すると、さらに別の非限定的な例においては、支持体26は、電磁放射線を透過するように適合された表面28を有するフィラメントを含む。この例においては、上記装置20は、上記フィラメントと光通信し、電磁放射線を発生するように適合された電磁放射線源34を更に備える。この目的のために、一酸化窒素源30は、電磁放射線源34によって生成され、フィラメントを通して伝達される電磁放射線の存在下で硝酸を供給するように適合されている。
【0073】
これらの実施形態及び他の実施形態において、装置20の使用中、装置20は、その表面28上にS-ニトロソ-N-アセチル-D-ペニシラミン等の一酸化窒素源30でコートされた光ファイバーフィラメントとして構成され得る。一酸化窒素源30は、ポリマー層36を形成するために、ポリジメチルシロキサン等のポリマーを含んでもよい。コートされた光ファイバーフィラメントは、容器や医療機器等の空間24内に配置することができる。携帯電話や医療機器等の物品22も、空間24内や装置20の近傍に配置され得る。LED電球等の電磁放射線源34を作動させて、可視光等の電磁放射線を発生させてもよい。可視光は、コートされた光ファイバーケーブルを通してポリマー層36に伝達される。ポリマー層36は、電磁放射線の存在下で硝酸を供給することができる。物品22は、硝酸の存在下で少なくとも5分間、任意で少なくとも10分間、任意で少なくとも15分間放置された後、消毒又は滅菌されてもよい。
【0074】
他の実施形態において、図4を参照すると、支持体26の表面28が空間24を画定している。空間24を画定する適切な支持体26の非限定的な例としては、容器、パウチ等が挙げられる。一酸化窒素源30は、表面28をコートする等、表面28の上にあってもよい。
【0075】
いくつかの実施形態において、一酸化窒素源30はポリマーを含み、約10日~約200日、任意に約20日~約150日、又は任意に約30日~約120日の期間、硝酸を供給するように適合されている。他の実施形態において、支持体26は電磁放射線に対して実質的に透明であり、一酸化窒素源30は電磁放射線の存在下で硝酸を供給するように適合されている。装置20は、電磁放射線源34を更に含むことができる。しかしながら、電磁放射線源34によって発生した電磁放射線が一酸化窒素源30に到達することができる限り、電磁放射線源34は支持体26に対してどこに配置されてもよいことを理解されたい。
【0076】
これらの実施形態及び他の実施形態において、装置20の使用中、装置20は、S-ニトロソ-N-アセチル-D-ペニシラミン等の一酸化窒素源30でその内側表面28を被覆したパウチとして構成することができる。一酸化窒素源30は、ポリマー層36を形成するために、ポリジメチルシロキサン等のポリマーを含んでもよい。携帯電話や医療機器のような物品22は、空間24内(すなわちポーチ内)に配置されてもよい。ポリマー層36は、すぐ上で述べたように硝酸を供給することができる。物品22は、硝酸の存在下で少なくとも5分間、任意で少なくとも10分間、任意で少なくとも15分間放置された後、消毒又は滅菌されてもよい。
【0077】
図18A及び図18Bは、空間24内の内視鏡の管腔等の空隙を画定する物品22を消毒又は滅菌するために一酸化窒素を供給する装置20の非限定的な実施形態を示す透視図である。これらの実施形態及び他の実施形態において、装置20の支持体26は、電磁放射線を透過するように適合された表面28を有するフィラメントを含む。フィラメントは、第1の端部38と、第1の端部38から間隔を置いた第2の端部40を有し得る。
【0078】
装置20は、フィラメントと光通信し、電磁放射線を発生するように適合された電磁放射線源34を更に含むことができる。特定の実施形態において、電磁放射線源34は、第1の端部38に結合されるLED電球を含む。
【0079】
一実施形態において、装置20は、第2の端部40に結合された一酸化窒素源30をさらに含み得る(図18A参照)。特定の実施形態において、一酸化窒素源30は、SNAP-PDMS又は他の一酸化窒素源を含む。この目的のために、一酸化窒素源30は、電磁放射線源34によって生成され、第1の端部38から第2の端部40までフィラメントを通して伝達される電磁放射線の存在下で、硝酸を供給するように適合されている。
【0080】
別の実施形態において、装置20は、支持体26の表面28上に配置された一酸化窒素源30を更に含み得る(図18B参照)。特定の実施形態において、一酸化窒素源30は、SNAP-PDMS又は他の一酸化窒素源を含む。この目的のために、一酸化窒素源30は、電磁放射線源34によって生成され、第1の端部38から第2の端部40までフィラメントを通して伝達される電磁放射線の存在下で、硝酸を供給するように適合されている。装置20は、管腔の空隙内に配置されてもよく、任意で、内視鏡の先端までルーメン内に挿入されてもよい。
【0081】
図19はバリア42に配置された物品22の非限定的な実施形態を示す透視図である。いくつかの実施形態において、開口部が存在する物品22又は内視鏡(すなわち、エレベータユニット)の先端は、一酸化窒素源30によって生成された一酸化窒素を捕捉するために、バリア42で覆われるであろう。バリア42は、追加の一酸化窒素源30及び電磁放射線源34を含むことができる。バリア42は、先端部を滅菌又は消毒するために、内視鏡の先端部に近接した空間24を画定することができる。一酸化窒素は内側から内視鏡の先端に送達することができる。
【0082】
図20は物品22を滅菌又は消毒するための、物品22を含むスリーブ44の非限定的な実施形態を示す透視図である。いくつかの実施形態において、物品22は、スリーブ44の中に配置されてもよい。スリーブは、物品22の外側を滅菌又は消毒するための一酸化窒素を放出するための一酸化窒素源30でコートされていてもよい。スリーブ44は使い捨てで、一酸化窒素源30から滅菌剤を放出し、30日を超えて無菌状態を維持することができる。
【0083】
様々な実施形態において、支持体26の表面28は一酸化窒素インジケータを含む。適切なインジケータの非限定的な例は、米国仮特許出願第63/141,711号に記載されており、参照によりその全体が援用される。様々な実施形態において、インジケータはさらに線量計として定義される。線量計は、PDMS、PVC等から形成され、支持体28(例えば、光ファイバ、導波管等)の表面28にコートされてもよい。線量計の色の変化は、UV-VIS分光法を用いて分析することができる。
【0084】
図21は物品22を滅菌又は消毒するためのキット46の非限定的な実施形態を示す画像である。キット46には、装置20、バリア42、スリーブ44が含まれる。特定の実施形態において、キット46は内視鏡と共に使用されるのに適合している。装置20は、内視鏡の管腔内に配置されるように適合されてもよい。バリア42は、内視鏡の先端を受け入れるように適合されていてもよい。スリーブ44は内視鏡を受け入れるように適合されていてもよい。
【0085】
図22~30は、物品22を滅菌するシステムの構成要素を示す様々な図である。図22を参照すると、上記システムは、内視鏡等の物品22を含むことができる。内視鏡は、挿入部48と、接続部50と、挿入部48と接続部50との間に配置された制御部52とを含むことができる。挿入部48は、患者体内へ配置するのに適合している。挿入部48は遠位端54まで延びており、遠位端54は導光孔、生検孔、レンズ、空気/水ノズルを備えている。制御部52は、吸引バルブ56と、空気/水バルブ58と、空気/水ノズル及び生検孔と流体連通する生検チャネル60とを含むことができる。接続部50は、接続部50から制御部52を通って挿入部48の遠位端54まで延びる光ファイバーを含む。支持体XXは、物品XXの内部を滅菌又は消毒するために、物品22の空隙のいずれかを受け入れるように適合させることができる。
【0086】
図23を参照すると、上記システムはスリーブ44を更に含むことができる。スリーブ44は第一アーム開口部64、第二アーム開口部66、及びコントローラー開口部68を含むことができる。開口部64、66、68は、例えば、再シール可能な接着剤で、物品22にアクセスしたいときに密封したり再び開いたりすることができる。スリーブ44は更にスロット70を含むことができる。スロット70は、物品22がスリーブ44内に配置された後、恒久的に封止することができる。物品22の滅菌が望まれる場合、物品22は、スロット70を通してスリーブ44に置かれてもよい。物品22がスリーブ44に置かれた後、スロット70を接着剤で恒久的に封止してもよい。次に、上述したように、物品22をスリーブ44内で滅菌することができる。物品22の使用が望まれる場合、開口部64、66、68の1つ以上を開いて物品22にアクセスすることができる。挿入部48が汚染されるのを防ぐ一方で、物品22へのアクセスを可能にするために、開口部64、66、68は、物品22の置かれ方に応じて、特定の順序で開き得ることを理解されたい。
【0087】
図24及び図25を参照すると、支持体XXは、PMMAコア72、クラッド層74、一酸化窒素源30、及びPDMS保護層76を含む光ファイバーであってもよい。光ファイバーは、光ファイバーを汚染することなく物品22に挿入できるように、発泡体から形成されたケース78内で巻かれていてもよい。ケース78は、光ファイバーにアクセスするためのキャップ80を含み得る。
【0088】
図26~30を参照すると、上記システムは、光ファイバー及び他の構成要素等の支持体XXの物品22への誘導を容易にするために、物品22と協働するように適合されたガイド82を更に含んでもよい。特に、ガイド82は、内視鏡(物品22)の吸引バルブ56及び空気/水バルブ58と協働するように適合されている。更に、ガイド82は、光ファイバー等の支持体XXのそれぞれをガイド82を通して物品22(例えば、内視鏡)の吸引バルブ56及び空気/水バルブ58に誘導するための、互いに横向きであり得る経路84の1つ以上を画定する。ガイド82は、その表面に一酸化窒素源30を含み、これによりスリーブ44又は他の装置によって生成された一酸化窒素に曝露されないガイド82と物品22の間の領域を滅菌又は消毒する。
【0089】
物品の消毒又は滅菌方法
空間24内の物品22を消毒又は滅菌する方法も提供される。この方法は、空間24内に物品22を配置することを含む。空間24の圧力は、約0.5気圧~約1.5気圧であってもよい。空間24の温度は、約10℃~約50℃であってもよい。しかしながら、空間24は上述の範囲外の温度及び圧力を有していてもよいことを理解されたい。
【0090】
この方法は、一酸化窒素源30から所定の速度で上記空間24に一酸化窒素を供給することを更に含む。本方法は更に、所定の期間、物品22を一酸化窒素に曝露することを含む。いくつかの実施形態において、上記所定の速度は、約200ppb~約800ppbの量の速度として定義され、上記所定の期間は、約2時間~約8時間の期間として定義される。他の実施形態において、上記所定の速度は、約20ppb~約80ppbの量の速度として定義され、上記所定の期間は、約12時間~約48時間の期間として定義される。
【0091】
この方法は、一酸化窒素源30を開始条件に曝露するステップを更に含むことができる。開始条件には、熱エネルギー、電磁放射線、pH、水、金属イオン媒介、電気化学的開始、アスコルビン酸による開始、振動、超音波、攪拌、機械的攪拌、若しくは超音波エネルギー、又はそれらの組み合わせが含まれ得る。ある例示的な実施形態において、上記一酸化窒素源30を開始エネルギーに曝露するステップが、上記一酸化窒素源を光に曝露することとして更に定義される。
【0092】
本発明を特定の好ましい実施形態に関連して説明したが、特許請求の範囲に記載される発明は、これらの特定の実施形態に不当に限定されるべきではないことを理解されたい。本開示の上述の詳細な説明では、少なくとも1つの例示的な実施形態を示したが、膨大な数の変形例が存在することを理解されたい。また、上記例示的な実施形態は例に過ぎず、本発明の範囲、適用性、又は構成を何ら限定することを意図するものではないことを理解されたい。むしろ、上述の詳細な説明は、本発明の例示的な実施形態を実施するための便利なロードマップを当業者に提供する。添付の特許請求の範囲に記載された本開示の範囲から逸脱することなく、例示的な実施形態に記載された要素の機能及び配置において様々な変更がなされ得ることが理解される。
【産業上の利用可能性】
【0093】
本発明は、特定の最終的な応用、用途、又は産業に限定されるものではないが、病院、学校、レストラン、航空会社、及び公共交通機関の従業員は、消毒又は滅菌に依存していることが多い。この装置と方法は、一酸化窒素を消毒や滅菌のために使用するのに有用である。
【0094】
以下の実施例は、本開示の装置及び方法を例示することを意図したものであり、本発明を限定するものではない。
【実施例
【0095】
以下の実施例は、本明細書で企図される様々な実施形態を示すために含まれる。以下の実施例に開示された技術は、本発明の実施において良好に機能することが本発明者によって発見された技術であり、したがって、その実施のための望ましい態様を構成するものと考えられることを、当業者は理解すべきである。しかしながら、当業者であれば、本開示に照らして、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、開示されている特定の実施形態において多くの変更を行うことができ、それでもなお同様又は類似の結果を得ることができることを理解すべきである。百分率は全て重量%で、特に断りのない限り、測定はすべて23℃で行う。
【0096】
実施例1:NOガス滅菌システムの抗菌効果
ろ紙に黄色ブドウ球菌を植菌し、一酸化窒素(「NO」)を放出しないコントロール、又はSNAP-PDSM由来の気相NOを光照射して4時間静置した。その後、ろ紙を血液寒天培地に置き、48時間培養して生菌が増殖するのに十分な時間をとった。図5Aに示されるように、黄色に発色するのは生菌が増殖した結果である。図5Bに示すように、黄色がないことは生菌が存在しないことを示す。図5は、NO処理及び培養後の血液寒天平板の写真である。図6は、表皮ブドウ球菌、黄色ブドウ球菌、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌、及び大腸菌に対する、SNAP-PDMSから生成されたNOの抗菌効果を示す。ポリマーのディスクを、ストリーキングしたプレート上に置いた。処理後に生菌が存在しないことを証明するため、ディスクの中心部を取り除き、新しいストリークプレートの接種に使用した。
【0097】
実施例2:NO生成パック
NOの光分解発生を利用したNO生成パックを備えた家電用品用プラスチックボックスを図7に示す。SNAP-PDMSのポリマー環を照射するのに小型LED光源を用いる。このポリマー環に光が当たると、NOが約12ppmの定常状態に達するレベルまで生成される。この装置は、使用者が滅菌(規則による使用)又は消毒(個人での使用)を所望する品目を箱に入れ、パックの上のライトを点灯させ、箱を閉じる。NOがボックス内に蓄積され、微生物や感染因子が不活性化され破壊される。パックから発生するNOの総量は、OSHAのNO暴露限界値を大幅に下回っている(これについては更に詳しい情報があるが、OSHAの限界値よりも2桁近く低い)。箱の大きさや形、パック内のNOの総量、パック内の光の強さ、及び同時に使用するパックの数を調整できる。その他にも、スイッチの配置、バッテリーの寿命、リモコンによるオン/オフ等、滅菌・消毒するものによって細かい指定がある。
【0098】
パネルAは、光を使ってNOを生成するNO生成パックを示している。ライトを点灯すると、NOが活発に発生する。パネルBは、タイマーと調光スイッチを備えたリモコンスイッチを使用する第二のタイプのNO発生パックを示している。このスイッチによりNOの生成を外部から制御しつつ、生成される光を制御できる。パネルCとDは、パックを設置したプラスチックの箱の写真であり、光の電源を入れると箱の中のものが消毒されるようになっている。
【0099】
実施例3:容器内のNO生成コート紙
NO放出性ポリマーコート紙を使用した、フェイスマスク消毒用プラスチックボックスを図8に示す。コート紙(カード用紙)は、SNAPを配合したPVCでコートされている。使用する具体的なポリマーの配合にもよるが、30~120日間紙からNOが発生され続ける。ボックス内に蓄積されたNOのレベルは、少なくとも15分間ボックス内に置かれたフェイスマスクを効果的に消毒する。NOは能動的に放出されるのではなく、受動的に放出され続ける。ペーパーライナーは指定された制限時間後に交換される。
【0100】
実施例4:コンパートメント内のNO生成コート紙
車両電子機器コンパートメント/グローブボックスを図9に示す。実施例3のコート紙は、自動車の電子コンパートメント/グローブボックスに配置され、使用直後の自家用車内のマスク、キー、クレジットカード等を消毒する車内室を作る。紙製ライナーは定期的に交換されることで、コンパートメントに入れられた物を消毒する能力を維持する。
【0101】
パネルAは、切り取られ、折り畳まれてコンパートメント内に配置されたコート紙インサートを示している。パネルBは、消毒される身の回り品を入れたインサートを示している。紙ライナーの製造に使用される特定のポリマー配合にもよるが、紙は30~120日間、受動的且つ継続的にNOを放出する。
【0102】
実施例5:NO生成滅菌パウチ
滅菌パウチを図10に示す。柔らかく、使い捨ての滅菌パウチは、パウチの中に入れた医療器具をFDA規格で滅菌するために製造される。パウチ(ホイル、タイベック、シールされた紙等、様々な素材で作られ得る)は、内面にSNAP-PDMSのストリップ、コーティング、又は断片を含み、密封されると、パウチの内部は中に入れられたものを滅菌するのに十分なNOを発生する。図10は、SNAP-PDMSを含むパウチを使用した滅菌の結果を、NO源を含まない対照パウチと比較したものである。両方のパウチに同じ量の細菌を同時に植菌した。NOは光や受動的な熱分解によって放出が開始される。パウチの完全性が損なわれるまで、物品は無菌状態を保つ。これにより、室温・加圧での受動的滅菌が可能となり、装置が必要となるまでの長期保存が可能となる。
【0103】
パネルAは、密封されたパッケージ内の空間を滅菌する効果を実証するために、密封されたホイルパックに3時間バクテリアチャレンジを行った結果の写真である。この具体的な画像は、37℃で3時間培養した後、SNAP-PDMSを含むパウチ(左)と対照(右)に装填された表皮ブドウ球菌を撮影したものである。パネルBは、医療機器を滅菌するための「容器」を作るために使用可能な様々な滅菌パウチの例を示している。
【0104】
実施例6:NO生成フィラメント
SNAP-PDMSでコートされた光ファイバーフィラメントが形成された。光ファイバーに光源を接続し、光がファイバーを伝搬してSNAP-PDMSと相互作用するように光ファイバーに光を当て、デクラッド光ファイバー素子のコーティング厚さに応じて様々なレベルのNOを生成した。この具体例は、様々な厚みのSNAP-PDMSがコートされたPMMAファイバーに470nmのLEDを照射したものである。このコートされたフィラメントは、内視鏡の管腔内に配置することができ、このときルーメン自体が閉じ込める容器の役割を果たす。照射されると、適切なレベルのNOが発生し、内視鏡の管腔が滅菌される。
【0105】
実施例7:各種NO発生装置の評価
様々なNO発生装置を形成し、NO放出の評価を行った。
図11は、LED光をトリガーとしたSNAP-PDMSフィルムからのNO放出の評価を示したものである。図12は、白熱光をトリガーとしたSNAP-PDMSフィルムからのNO放出の評価を示したものである。図13は、グルタチオンを添加した水中での亜硝酸ナトリウムからのNO放出の評価を示したものである。図14は、金属イオン(Zn、Fe、Mg)の添加をトリガーとした、弱酸中の亜硝酸ナトリウムからのNO放出の評価を示したものである。図15は、異なるハイドロゲル(ゼラチンゲル又はセルロース)中における亜硝酸ナトリウムからのNO放出の評価であり、それぞれにアスコルビン酸が併用されている。図16は、アスコルビン酸をトリガーとしてNO放出プロファイルを調節するために、水とグリセロールの比率を変えた亜硝酸ナトリウムからのNO放出の評価である。図17は、放出開始のために水を加えたフォームドレッシングに埋め込まれた亜硝酸ナトリウムとアスコルビン酸からのNO放出の評価である。
【0106】
添付の特許請求の範囲は、発明の詳細な説明に記載された明示的且つ特定の化合物、組成物、又は方法に限定されるものではなく、添付の特許請求の範囲に属する特定の実施形態間で異なる場合があることを理解されたい。様々な実施形態の特定の特徴又は態様を説明するために本明細書で援用される任意のマーカッシュ群に関し、他の全てのマーカッシュ群から独立したそれぞれのマーカッシュ群の各メンバーから、異なる、特別な、及び/又は予期しない結果が得られる可能性がある。マーカッシュ群の各構成要素は、個々に、又は組み合わせて依拠することができ、添付の特許請求の範囲内の特定の実施形態に十分な裏付けを提供する。
【0107】
更に、本発明の様々な実施形態を説明する際に依拠した範囲及び部分範囲は、独立的かつ集合的に、添付の特許請求の範囲に含まれ、そのような値が本明細書に明示的に記載されていない場合であっても、その中の整数及び/又は小数値を含む全ての範囲を説明し、企図しているものと理解される。当業者であれば、列挙された範囲及び部分範囲は、本発明の様々な実施形態を十分に説明し、可能にするものであり、そのような範囲及び部分範囲は、関連する2分の1、3分の1、4分の1、5分の1等に更に区切ることができることを容易に認識する。ほんの一例として、「0.1から0.9の範囲」は、更に、下位3分の1、即ち、0.1~0.3の範囲、中位3分の1、即ち、0.4~0.6の範囲、及び上位3分の1、即ち、0.7~0.9の範囲に区切ることができ、これらは、個々に且つ集合的に、添付の特許請求の範囲内にあり、個々に且つ/又は集合的に依拠することができ、添付の特許請求の範囲内の特定の実施形態に十分な裏付けを提供する。更に、「以上(少なくとも)」、「より大きい(超)」、「より小さい(未満)」、「以下(多くとも)」等の、範囲を定義又は修飾する文言については、そのような文言には部分範囲及び/又は上限又は下限が含まれることを理解されたい。別の例として、「少なくとも10」の範囲は、本質的に、少なくとも10から35までの部分範囲、少なくとも10から25までの部分範囲、25から35までの部分範囲等を含み、各部分範囲は、個別的及び/又は集合的に依拠することができ、添付の特許請求の範囲内の特定の実施形態に十分な裏付けを提供する。最後に、開示された範囲内の個々の数値は依拠することができ、添付の特許請求の範囲内の特定の実施形態に対する十分な裏付けとなる。例えば、「1から9までの範囲」には、3等の様々な個々の整数、及び4.1等の小数点(又は分数)を含む個々の数値が含まれ、これらは、添付の特許請求の範囲内の特定の実施形態に依拠し、適切な裏付けを提供することができる。
【0108】
本発明は、本明細書において例示的に説明されてきたが、使用されてきた用語は、限定的なものではなく、説明のための文言であることを意図していることを理解されたい。上記の教示に照らして、本発明の多くの修正及び変形が可能である。本発明は、添付の特許請求の範囲内で具体的に説明した以外の方法で実施することができる。独立請求項と従属請求項のすべての組み合わせ(単一従属請求項と多重従属請求項の両方)の主題は、本明細書において明示的に企図されている。
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6
図7A
図7B
図7C
図7D
図8
図9A
図9B
図10A
図10B
図11
図12
図13
図14A
図14B
図14C
図15
図16
図17
図18A
図18B
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
【手続補正書】
【提出日】2023-09-22
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を消毒又は滅菌するための空間に一酸化窒素を供給するための装置であって、
表面を有する支持体であって、空間内で且つ前記物品の近傍に配置されるように適合されている、支持体と、
前記表面の上にあり、
(A)所定の速度で、
(B)所定の期間で、
(C)所定の用量で、又は
(A)、(B)、及び(C)のいずれかの組み合わせ
で一酸化窒素を供給するように適合された一酸化窒素源と、を含む装置。
【請求項2】
請求項1に記載の装置であって:
前記支持体の前記表面は空洞を画定し、前記支持体は前記空洞と前記空間との間に流体連通を提供するように適合され、
前記装置は、前記空洞内に電磁放射線を発生させるように適合された電磁放射線源を更に備え、且つ
前記一酸化窒素源は前記空洞内に配置され、前記電磁放射線の存在下で硝酸を供給するように適合されている、装置。
【請求項3】
前記電磁放射線源が前記空洞内に配置されている、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記一酸化窒素源がポリマーを含み、約10~約200日の期間硝酸を供給するように適合されている、請求項に記載の装置。
【請求項5】
請求項4に記載の装置であって:
(A)前記一酸化窒素源は、ポリマー層を形成するために前記表面の上に配置されるか、
(B)前記支持体がリグノセルロース系材料を含むか、又は
(A)と(B)の両方である、装置。
【請求項6】
請求項に記載の装置であって:
前記支持体はフィラメントを含み、前記フィラメントは前記表面を有し、前記表面は電磁放射線を透過するように適合されており、
前記装置は、前記フィラメントと光通信し、電磁放射線を発生するように適合された電磁放射線源を更に備え、且つ
前記一酸化窒素源は、前記電磁放射線の存在下で硝酸を供給するように適合されている、装置。
【請求項7】
物品を消毒又は滅菌するための空間に一酸化窒素を供給するための装置であって、
表面を有する支持体であって、前記表面が前記空間を画定し、前記空間は前記物品を収容するように適合されている、支持体と、
前記表面の上にあり、
(A)所定の速度で、
(B)所定の期間で、
(C)所定の用量で、又は
(A)、(B)、及び(C)のいずれかの組み合わせ
で一酸化窒素を供給するように適合された一酸化窒素源と、を含む装置。
【請求項8】
前記一酸化窒素源がポリマーを含み、約10~約200日の期間硝酸を供給するように適合されている、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記支持体が電磁放射線に対して実質的に透明であり、前記一酸化窒素源が電磁放射線の存在下で硝酸を供給するように適合されている、請求項に記載の装置。
【請求項10】
前記空間内で電磁放射線を発生するように適合された電磁放射線源を更に含み、前記一酸化窒素源は、前記電磁放射線の存在下で硝酸を発生するように適合されている、請求項に記載の装置。
【請求項11】
空間内の物品を消毒又は滅菌する方法であって、
前記物品を前記空間内に配置することと、
一酸化窒素源から所定の速度で前記空間に一酸化窒素を供給することと、
所定の期間、前記物品を前記一酸化窒素に曝露することと、
を含む方法。
【請求項12】
請求項11に記載の方法であって:
前記所定の速度が、約200ppb~約800ppbの量の速度として定義され、前記所定の期間が、約2時間~約8時間の期間として定義されるか、又は
前記所定の速度は、約20ppb~約80ppbの量の速度として定義され、前記所定の期間は、約12時間~約48時間の期間として定義される、方法。
【請求項13】
前記所定の用量が、約5ppm~約20ppmの定常状態における前記一酸化窒素の量として定義される、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記一酸化窒素源が、S-ニトロソ-N-アセチル-D-ペニシラミン、亜硝酸塩、S-ニトロソシステイン、S-ニトロソグルタチオン、ジアゼニウムジオレート化合物、アルギニン、有機亜硝酸塩、一酸化窒素を生成するように適合された生物学的供給源、又はそれらの組み合わせを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記前記一酸化窒素源がポリマーを更に含む、請求項11に記載の方法。
【請求項16】
ポリマーが、シラン、シロキサン、又はそれらの組み合わせから形成される、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記一酸化窒素源を、熱エネルギー、電磁放射線、pH、水、金属イオン媒介、電気化学的開始、アスコルビン酸による開始、振動、超音波、攪拌、機械的攪拌、若しくは超音波エネルギー、又はそれらの組合せを含む開始条件に曝露するステップを更に含む、請求項11に記載の方法。
【請求項18】
前記一酸化窒素源を開始エネルギーに曝露するステップが、前記一酸化窒素源を光に曝露することとして更に定義される、請求項11に記載の方法。
【請求項19】
前記空間は、圧力が約0.5~1.5気圧である、請求項11に記載の方法。
【請求項20】
前記空間は、温度が約10℃~約50℃である、請求項11に記載の方法。
【手続補正書】
【提出日】2023-10-24
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0083
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0083】
様々な実施形態において、支持体26の表面28は一酸化窒素インジケータを含む。適切なインジケータの非限定的な例は、米国仮特許出願第63/141,711号に記載されており、参照によりその全体が援用される。様々な実施形態において、インジケータはさらに線量計として定義される。線量計は、PDMS、PVC等から形成され、支持体26(例えば、光ファイバ、導波管等)の表面28にコートされてもよい。線量計の色の変化は、UV-VIS分光法を用いて分析することができる。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0085
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0085】
図22~30は、物品22を滅菌するシステムの構成要素を示す様々な図である。図22を参照すると、上記システムは、内視鏡等の物品22を含むことができる。内視鏡は、挿入部48と、接続部50と、挿入部48と接続部50との間に配置された制御部52とを含むことができる。挿入部48は、患者体内へ配置するのに適合している。挿入部48は遠位端54まで延びており、遠位端54は導光孔、生検孔、レンズ、空気/水ノズルを備えている。制御部52は、吸引バルブ56と、空気/水バルブ58と、空気/水ノズル及び生検孔と流体連通する生検チャネル60とを含むことができる。接続部50は、接続部50から制御部52を通って挿入部48の遠位端54まで延びる光ファイバーを含む。支持体26は、物品22の内部を滅菌又は消毒するために、物品22の空隙のいずれかを受け入れるように適合させることができる。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0087
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0087】
図24及び図25を参照すると、支持体26は、PMMAコア72、クラッド層74、一酸化窒素源30、及びPDMS保護層76を含む光ファイバーであってもよい。光ファイバーは、光ファイバーを汚染することなく物品22に挿入できるように、発泡体から形成されたケース78内で巻かれていてもよい。ケース78は、光ファイバーにアクセスするためのキャップ80を含み得る。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0088
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0088】
図26~30を参照すると、上記システムは、光ファイバー及び他の構成要素等の支持体26の物品22への誘導を容易にするために、物品22と協働するように適合されたガイド82を更に含んでもよい。特に、ガイド82は、内視鏡(物品22)の吸引バルブ56及び空気/水バルブ58と協働するように適合されている。更に、ガイド82は、光ファイバー等の支持体26のそれぞれをガイド82を通して物品22(例えば、内視鏡)の吸引バルブ56及び空気/水バルブ58に誘導するための、互いに横向きであり得る経路84の1つ以上を画定する。ガイド82は、その表面に一酸化窒素源30を含み、これによりスリーブ44又は他の装置によって生成された一酸化窒素に曝露されないガイド82と物品22の間の領域を滅菌又は消毒する。

【国際調査報告】