(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-13
(54)【発明の名称】塩結晶
(51)【国際特許分類】
C07D 487/14 20060101AFI20240205BHJP
【FI】
C07D487/14 CSP
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023545221
(86)(22)【出願日】2022-01-27
(85)【翻訳文提出日】2023-09-25
(86)【国際出願番号】 US2022070368
(87)【国際公開番号】W WO2022165494
(87)【国際公開日】2022-08-04
(32)【優先日】2021-01-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】507401225
【氏名又は名称】イントラ-セルラー・セラピーズ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】INTRA-CELLULAR THERAPIES, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100156144
【氏名又は名称】落合 康
(72)【発明者】
【氏名】リ,ポン
【テーマコード(参考)】
4C050
【Fターム(参考)】
4C050AA01
4C050BB05
4C050CC05
4C050DD02
4C050EE05
4C050FF02
4C050GG04
4C050HH01
(57)【要約】
本開示は、2-(4-アセチルベンジル)-3-((4-フルオロフェニル)アミノ)-5,7,7-トリメチル-7,8-ジヒドロ-2H-イミダゾ[1,2-a]ピラゾロ[4,3-e]ピリミジン-4(5H)-オンの遊離塩基および塩結晶、それを含む組成物、ならびに該遊離塩基および塩結晶を製造する方法および使用する方法に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊離塩基形態の化合物2-(4-アセチルベンジル)-3-((4-フルオロフェニル)アミノ)-5,7,7-トリメチル-7,8-ジヒドロ-2H-イミダゾ[1,2-a]ピラゾロ[4,3-e]ピリミジン-4(5H)-オンの結晶。
【請求項2】
該結晶が非溶媒和物形態である、請求項1に記載の結晶。
【請求項3】
該遊離塩基結晶が、メタノール、エタノール、プロパノール(例えば、n-プロパノールまたはイソプロパノール)またはブタノール(例えば、n-ブタノール)との溶媒和物形態である、請求項1に記載の結晶。
【請求項4】
該結晶が、9.3°、14.0°、14.7°、17.3°、17.9°、18.7°、21.2°、23.2°、23.3°および23.7°からなる群から選択される2θ角度値を有する少なくとも5つのピークを含む粉末X線回折パターンを示し、該XRPDパターンが、例えば1.5406Åの波長α1および1.5444Åの波長α2で、銅アノードを用いた回折計で測定される、前記請求項のいずれかに記載の結晶。
【請求項5】
該結晶が、9.53Å、6.33Å、6.02Å、5.11Å、4.95Å、4.74Å、4.19Å、3.83Å、3.82Å、3.79Åからなる群から選択されるd間隔値を有する少なくとも5つのピークを含む粉末X線回折パターンを示す、前記請求項のいずれかに記載の結晶。
【請求項6】
該遊離塩基結晶が、約195℃~196℃での吸熱ピークを含む示差走査熱量測定(DSC)パターンを示す、前記請求項のいずれかに記載の結晶。
【請求項7】
例えばクエン酸塩形態、アジピン酸塩形態、酒石酸塩形態(例えば、L-酒石酸塩形態)、リンゴ酸塩形態、コハク酸塩形態、グルコン酸塩形態(例えば、D-グルコン酸塩形態)、マレイン酸塩形態、フマル酸塩形態、アスパラギン酸塩形態(例えば、L-アスパラギン酸塩形態)、馬尿酸塩形態、セバシン酸塩形態、グリコール酸塩形態、ガラクタル酸塩形態、安息香酸塩形態、パモ酸塩形態、シュウ酸塩形態およびマロン酸塩形態から選択される酸付加塩形態の化合物2-(4-アセチルベンジル)-3-((4-フルオロフェニル)アミノ)-5,7,7-トリメチル-7,8-ジヒドロ-2H-イミダゾ[1,2-a]ピラゾロ[4,3-e]ピリミジン-4(5H)-オンの結晶。
【請求項8】
該塩がコハク酸塩である、請求項7に記載の結晶。
【請求項9】
該塩が、遊離塩基対コハク酸モル比が1:1(すなわち、一コハク酸塩)または2:1であるコハク酸塩である、請求項8に記載の結晶。
【請求項10】
該塩が一コハク酸塩である、請求項8または9に記載の結晶。
【請求項11】
該塩結晶が、7.8°、8.2°、11.6°、14.5°、16.5°、18.6°、19.7°、20.4°、20.6°、22.1°、23.3°、24.8°、26.0°および28.5°からなる群から選択される2θ角度値を有する少なくとも5つのピークを含む粉末X線回折パターンを示し、該XRPDパターンが、例えば1.5406Åの波長α1および1.5444Åの波長α2で、銅アノードを用いた回折計で測定される、請求項8~10のいずれかに記載の結晶。
【請求項12】
該塩結晶が、11.37Å、10.77Å、7.62Å、6.09Å、5.38Å、4.77Å、4.50Å、4.36Å、4.31Å、4.02Å、3.81Å、3.59Å、3.43Åおよび3.13Åからなる群から選択されるd間隔値を有する少なくとも5つのピークを含む粉末X線回折パターンを示す、請求項8~12のいずれかに記載の結晶。
【請求項13】
該塩結晶が、約177℃~178℃での吸熱ピークを含む示差走査熱量測定(DSC)パターンを示す、請求項8~12のいずれかに記載の結晶。
【請求項14】
該塩がクエン酸塩である、請求項7に記載の結晶。
【請求項15】
該塩が一クエン酸塩である、請求項14に記載の結晶。
【請求項16】
該塩結晶が、5.9°、7.0°、7.8°、8.8°、11.7°、11.9°、13.2°、13.8°、14.4°、15.7°、16.1°、16.3°、16.8°、18.1°、19.0°、19.9°、20.2°、20.7°、21.0°、21.3°、22.4°、23.6°、24.9°、25.3°および27.2°からなる群から選択される2θ角度値を有する少なくとも5つのピークを含む粉末X線回折パターンを示し、該XRPDパターンが、例えば1.5406Åの波長α1および1.5444Åの波長α2で、銅アノードを用いた回折計で測定される、請求項14または15に記載の結晶。
【請求項17】
該塩結晶が、14.97Å、12.67Å、11.33Å、10.08Å、7.59Å、7.41Å、6.72Å、6.41Å、6.14Å、5.67Å、5.48Å、5.42Å、5.27Å、4.90Å、4.67Å、4.47Å、4.39Å、4.29Å、4.22Å、4.18Å、3.97Å、3.76Å、3.57Å、3.51Åおよび3.27Åからなる群から選択されるd間隔値を有する少なくとも5つのピークを含む粉末X線回折パターンを示す、請求項14~16のいずれかに記載の結晶。
【請求項18】
該塩結晶が、約142℃~144℃での吸熱ピークを含む示差走査熱量測定(DSC)パターンを示す、請求項14~17のいずれかに記載の結晶。
【請求項19】
該塩がアジピン酸塩である、請求項7に記載の結晶。
【請求項20】
該塩結晶が、5.4°、6.4°、7.1°、9.6°、10.9°、14.2°、15.5°、15.7°、16.1°、16.5°、17.9°、20.8°、21.8°、22.4°、23.9°、24.7°、26.3°および27.8°からなる群から選択される2θ角度値を有する少なくとも5つのピークを含む粉末X線回折パターンを示し、該XRPDパターンが、例えば1.5406Åの波長α1および1.5444Åの波長α2で、銅アノードを用いた回折計で測定される、請求項19に記載の結晶。
【請求項21】
該塩結晶が、16.23Å、13.72Å、12.49Å、9.18Å、8.10Å、6.23Å、5.70Å、5.65Å、5.50Å、5.38Å、4.94Å、4.26Å、4.08Å、3.96Å、3.72Å、3.60Å、3.38Åおよび3.21Åからなる群から選択されるd間隔値を有する少なくとも5つのピークを含む粉末X線回折パターンを示す、請求項19または20に記載の結晶。
【請求項22】
該塩結晶が、約170℃~172℃での吸熱ピークを含む示差走査熱量測定(DSC)パターンを示す、請求項19~21のいずれかに記載の結晶。
【請求項23】
該塩がリンゴ酸塩である、請求項7に記載の結晶。
【請求項24】
該塩がL-リンゴ酸塩である、請求項23に記載の結晶。
【請求項25】
該塩結晶が、
図11に対応するかまたは
図11に実質的に示されている粉末X線回折パターンを示す、請求項23または24に記載の結晶。
【請求項26】
該塩結晶が、約214℃~215℃での吸熱ピークを含む示差走査熱量測定(DSC)パターンを示す、請求項23~25のいずれかに記載の結晶。
【請求項27】
該塩結晶が、
図12に対応するかまたは
図12に実質的に示されている熱重量分析(TGA)および示差走査熱量測定(DSC)パターンを示す、請求項23~26のいずれかに記載の結晶。
【請求項28】
該塩が酒石酸塩である、請求項7に記載の結晶。
【請求項29】
該塩がL-酒石酸塩である、請求項28に記載の結晶。
【請求項30】
該塩結晶が、
図13に対応するかまたは
図13に実質的に示されている粉末X線回折パターンを示す、請求項28または29に記載の結晶。
【請求項31】
該塩結晶が、約240℃~242℃での吸熱ピークを含む示差走査熱量測定(DSC)パターンを示す、請求項28~30のいずれかに記載の結晶。
【請求項32】
該塩結晶が、
図14に対応するかまたは
図14に実質的に示されている熱重量分析(TGA)および示差走査熱量測定(DSC)パターンを示す、請求項28~31のいずれかに記載の結晶。
【請求項33】
該塩がグルコン酸塩である、請求項7に記載の結晶。
【請求項34】
該塩がD-グルコン酸塩である、請求項33に記載の結晶。
【請求項35】
該塩結晶が、
図15に対応するかまたは
図15に実質的に示されている粉末X線回折パターンを示す、請求項33または34に記載の結晶。
【請求項36】
該塩結晶が、約195℃~196℃での吸熱ピークを含む示差走査熱量測定(DSC)パターンを示す、請求項33~35のいずれかに記載の結晶。
【請求項37】
該塩結晶が、
図16に対応するかまたは
図16に実質的に示されている熱重量分析(TGA)および示差走査熱量測定(DSC)パターンを示す、請求項33~36のいずれかに記載の結晶。
【請求項38】
2-(4-アセチルベンジル)-3-((4-フルオロフェニル)アミノ)-5,7,7-トリメチル-7,8-ジヒドロ-2H-イミダゾ[1,2-a]ピラゾロ[4,3-e]ピリミジン-4(5H)-オン(「化合物A」)の酸付加塩、例えば特定の酸との結晶性酸付加塩の製造方法であって、溶媒中にて化合物Aを酸と反応させる工程および得られた塩を単離する工程を含む、方法。
【請求項39】
該酸が、クエン酸、アジピン酸、酒石酸(例えば、L-酒石酸)、リンゴ酸、コハク酸、グルコン酸(例えば、D-グルコン酸)、マレイン酸、フマル酸、アスパラギン酸(例えば、L-アスパラギン酸)、馬尿酸、セバシン酸、グリコール酸、ガラクタル酸、安息香酸、パモ酸、シュウ酸およびマロン酸から選択される、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
該溶媒が、アルコール(例えば、メタノールおよび/またはエタノール)、アセトン、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド(DMSO)、酢酸エチルおよび/またはトルエンである、請求項38または39に記載の方法。
【請求項41】
2-(4-アセチルベンジル)-3-((4-フルオロフェニル)アミノ)-5,7,7-トリメチル-7,8-ジヒドロ-2H-イミダゾ[1,2-a]ピラゾロ[4,3-e]ピリミジン-4(5H)-オン(化合物A)が結晶性形態である、請求項38~40のいずれかに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の分野
本開示は、2-(4-アセチルベンジル)-3-((4-フルオロフェニル)アミノ)-5,7,7-トリメチル-7,8-ジヒドロ-2H-イミダゾ[1,2-a]ピラゾロ[4,3-e]ピリミジン-4(5H)-オンの酸付加塩および塩結晶、それを含む組成物、ならびに該塩および塩結晶を製造し使用する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
本開示の背景
化合物2-(4-アセチルベンジル)-3-((4-フルオロフェニル)アミノ)-5,7,7-トリメチル-7,8-ジヒドロ-2H-イミダゾ[1,2-a]ピラゾロ[4,3-e]ピリミジン-4(5H)-オンは、国際公開第2014/151409号に開示されている。この化合物は、PDE1を発現する細胞における低レベルのcAMPおよび/またはcGMPを特徴とする障害、神経変性障害、精神障害、循環器系および心血管系の障害、呼吸器系および炎症性の障害、女性性機能不全のようなプロゲステロンシグナル伝達の増強によって軽減され得る疾患、外傷性脳損傷、またはドパミンD1受容体シグナル伝達活性の低下を特徴とする疾患もしくは状態の治療または予防に有用な強力かつ選択的なホスホジエステラーゼ1(PDE1)阻害剤であることが判明している。この障害リストは、例示的なものであり、網羅的であることを意図したものでない。
【0003】
国際公開第2014/151409号には、2-(4-アセチルベンジル)-3-((4-フルオロフェニル)アミノ)-5,7,7-トリメチル-7,8-ジヒドロ-2H-イミダゾ[1,2-a]ピラゾロ[4,3-e]ピリミジン-4(5H)-オンが開示されているが、具体的な塩が特別な安定性または望ましい特性を持つことは示されなかった。多くの医薬化合物は、薬物の安定性、溶解性、生物学的利用能または薬物動態(吸収、分布、代謝、排泄または同様のもの)および/または生物学的同等性を変化させ得るさまざまな物理的形態(例えば、さまざまな結晶性(crystalline)形態、非晶質形態、多形形態、水和物形態または溶媒和物形態の液体または固体)で存在し得るため、医薬品開発において、最適な物理的形態(例えば、固体形態、液体形態、結晶性形態、水和物形態、溶媒和物形態、非晶質形態または多形形態の遊離塩基または塩)の医薬化合物を同定することは極めて重要である。
【発明の概要】
【0004】
本開示の概要
第1の態様において、本開示は、結晶性形態の化合物2-(4-アセチルベンジル)-3-((4-フルオロフェニル)アミノ)-5,7,7-トリメチル-7,8-ジヒドロ-2H-イミダゾ[1,2-a]ピラゾロ[4,3-e]ピリミジン-4(5H)-オン遊離塩基(「化合物A」)[遊離塩基結晶1]を対象とする。これらの遊離塩基結晶は、安定であり、該化合物Aの塩結晶、例えば、コハク酸塩結晶、アジピン酸塩結晶および/またはクエン酸塩結晶の調製において特に有利である。したがって、第1の態様において、本開示は、以下のものを提供する:
【0005】
1.1 遊離塩基結晶が非溶媒和物形態である、遊離塩基結晶1。
【0006】
1.2 遊離塩基結晶が溶媒和物形態である、前記遊離塩基結晶のいずれか。
【0007】
1.3 遊離塩基結晶がアルコールとの溶媒和物形態である、前記遊離塩基結晶のいずれか。
【0008】
1.4 遊離塩基結晶がメタノール、エタノール、プロパノール(例えば、n-プロパノールまたはイソプロパノール)またはブタノール(例えば、n-ブタノール)との溶媒和物形態である、前記遊離塩基結晶のいずれか。
【0009】
1.5 遊離塩基結晶が非水和物形態または水和物形態である、前記遊離塩基結晶のいずれか。
【0010】
1.6 遊離塩基結晶が、9.3°、14.0°、14.7°、17.3°、17.9°、18.7°、21.2°、23.2°、23.3°および23.7°からなる群から選択される2θ角度値を有する少なくとも5つのピークを含む粉末X線回折パターンを示し、該XRPDパターンが、例えば1.5406Åの波長α1および1.5444Åの波長α2で、銅アノードを用いた回折計で測定される、前記遊離塩基結晶のいずれか。
【0011】
1.7 遊離塩基結晶が、9.3°、14.0°、23.2°、23.3°および23.7°からなる群から選択される2θ角度値を有するピークを含む粉末X線回折パターンを示し、該XRPDパターンが、例えば1.5406Åの波長α1および1.5444Åの波長α2で、銅アノードを用いた回折計で測定される、前記遊離塩基結晶のいずれか。
【0012】
1.8 遊離塩基結晶が、下記の表1:
【表1】
に記載されているものから選択される2θ角度値を有する少なくとも5つのピークを含む粉末X線回折パターンを示し、該XRPDパターンが、1.5406Åの波長α1および1.5444Åの波長α2で銅アノードを用いた回折計で測定される、前記遊離塩基結晶のいずれか。
【0013】
1.9 遊離塩基結晶が、9.53Å、6.33Å、6.02Å、5.11Å、4.95Å、4.74Å、4.19Å、3.83Å、3.82Å、3.79Åからなる群から選択されるd間隔値を有する少なくとも5つのピークを含む粉末X線回折パターンを示す、前記遊離塩基結晶のいずれか。
【0014】
1.10 遊離塩基結晶が、9.53Å、6.33Å、3.83Å、3.82Å、3.79Åからなる群から選択されるd間隔値を有するピークを含む粉末X線回折パターンを示す、前記遊離塩基結晶のいずれか。
【0015】
1.11 遊離塩基結晶が、
図1に対応するかまたは
図1に実質的に示されている粉末X線回折パターンを示す、前記遊離塩基結晶のいずれか。
【0016】
1.12 遊離塩基結晶が、約195℃~196℃での吸熱ピークを含む示差走査熱量測定(DSC)パターンを示す、前記遊離塩基結晶のいずれか。
【0017】
1.13 結晶が、
図2に対応するかまたは
図2に実質的に示されている示差走査熱量測定(DSC)パターンを示す、前記遊離塩基結晶のいずれか。
【0018】
1.14 結晶が、
図3に対応するかまたは
図3に実質的に示されている熱重量分析(TGA)パターンを示す、前記遊離塩基結晶のいずれか。
【0019】
1.15 結晶が、プレートレット形状(platelet shape)を有する、前記遊離塩基結晶のいずれか。
【0020】
さらなる態様において、本開示は、2-(4-アセチルベンジル)-3-((4-フルオロフェニル)アミノ)-5,7,7-トリメチル-7,8-ジヒドロ-2H-イミダゾ[1,2-a]ピラゾロ[4,3-e]ピリミジン-4(5H)-オン(「化合物A」)の安定な酸付加塩の結晶、例えば、特定の酸との結晶性酸付加塩を対象とする。これらの塩結晶は、さまざまな種類のガレノス製剤の調製に特に有利である。したがって、第1の態様において、本開示は、以下のものを提供する:
【0021】
1.1 例えばクエン酸塩、アジピン酸塩、酒石酸塩(例えば、L-酒石酸塩)、リンゴ酸塩、コハク酸塩、グルコン酸塩(例えば、D-グルコン酸塩)、マレイン酸塩、フマル酸塩、アスパラギン酸塩(例えば、L-アスパラギン酸塩)、馬尿酸塩、セバシン酸塩、グリコール酸塩、ガラクタル酸塩、安息香酸塩、パモ酸塩、シュウ酸塩およびマロン酸塩からなる群から選択される、酸付加塩形態の化合物A。
【0022】
1.2 塩がコハク酸塩である、式1.1による塩。
【0023】
1.3 塩が、遊離塩基対コハク酸モル比が1:1(すなわち、一コハク酸塩)または2:1であるコハク酸塩である、式1.1または1.2による塩。
【0024】
1.4 塩がクエン酸塩である、式1.1による塩。
【0025】
1.5 塩がアジピン酸塩である、式1.1による塩。
【0026】
1.6 塩が酒石酸塩(例えば、L-酒石酸塩)である、式1.1による塩。
【0027】
1.7 塩がリンゴ酸塩(例えば、L-リンゴ酸塩)である、式1.1による塩。
【0028】
1.8 塩がグルコン酸塩(例えば、D-グルコン酸塩)である、式1.1による塩。
【0029】
式1.1~1.8のいずれかによる塩を、本明細書では本開示の塩と称する。
【0030】
また、驚くべきことに、特定の本開示の塩は結晶性形態であり、したがって、ガレノス的および/または治療的使用に好ましいことが見出された。したがって、さらなる実施態様において、本開示は、以下のものを提供する:
【0031】
1.9 結晶性形態の、式1.1~1.8のいずれかによる塩(以下、「塩結晶」)。
【0032】
1.10 塩がコハク酸塩である、式1.9による塩結晶。
【0033】
1.11 塩が、遊離塩基対コハク酸モル比が1:1(すなわち、一コハク酸塩)または2:1であるコハク酸塩である、式1.9~1.10による塩結晶。
【0034】
1.12 塩が一コハク酸塩である、式1.9~1.11による塩結晶。
【0035】
1.13 塩結晶が板状形態(plate-like morphology)を有する、式1.9~1.12による塩結晶。
【0036】
1.14 塩結晶が、7.8°、8.2°、11.6°、14.5°、16.5°、18.6°、19.7°、20.4°、20.6°、22.1°、23.3°、24.8°、26.0°および28.5°からなる群から選択される2θ角度値を有する少なくとも5つのピークを含む粉末X線回折パターンを示し、該XRPDパターンが、例えば1.5406Åの波長α1および1.5444Åの波長α2で、銅アノードを用いた回折計で測定される、式1.9~1.13のいずれかによる塩結晶。
【0037】
1.15 塩結晶が、7.8°、8.2°、11.6°、16.5°および20.4°からなる群から選択される2θ角度値を有するピークを含む粉末X線回折パターンを示し、該XRPDパターンが、例えば1.5406Åの波長α1および1.5444Åの波長α2で、銅アノードを用いた回折計で測定される、式1.9~1.14のいずれかによる塩結晶。
【0038】
1.16 塩結晶が、下記の表2:
【表2-1】
【表2-2】
に記載されているものから選択される2θ角度値を有する少なくとも5つのピークを含む粉末X線回折パターンを示し、該XRPDパターンが、1.5406Åの波長α1および1.5444Åの波長α2で銅アノードを用いた回折計で測定される、式1.9~1.15のいずれかによる塩結晶。
【0039】
1.17 塩結晶が、11.37Å、10.77Å、7.62Å、6.09Å、5.38Å、4.77Å、4.50Å、4.36Å、4.31Å、4.02Å、3.81Å、3.59Å、3.43Åおよび3.13Åからなる群から選択されるd間隔値を有する少なくとも5つのピークを含む粉末X線回折パターンを示す、式1.9~1.16のいずれかによる塩結晶。
【0040】
1.18 塩結晶が、11.37Å、10.77Å、7.62Å、5.38Åおよび4.36Åからなる群から選択されるd間隔値を有するピークを含む粉末X線回折パターンを示す、式1.9~1.17のいずれかによる塩結晶。
【0041】
1.19 塩結晶が、式1.16の表2に記載のものから選択されるd間隔値を有する少なくとも5つのピークを含む粉末X線回折パターンを示す、式1.9~1.18のいずれかによる塩結晶。
【0042】
1.20 塩結晶が、式1.16の表2に対応するかまたは式1.16の表2に実質的に示されている粉末X線回折パターンを示す、式1.9~1.19のいずれかによる塩結晶。
【0043】
1.21 塩結晶が、
図4に対応するかまたは
図4に実質的に示されている粉末X線回折パターンを示す、式1.9~1.20のいずれかによる塩結晶。
【0044】
1.22 塩結晶が、約177℃~178℃での吸熱ピークを含む示差走査熱量測定(DSC)パターンを示す、式1.9~1.21のいずれかによる塩結晶。
【0045】
1.23 塩結晶が、
図5に対応するかまたは
図5に実質的に示されている示差走査熱量測定(DSC)パターンを示す、式1.9~1.22のいずれかによる塩結晶。
【0046】
1.24 塩結晶が、
図6に対応するかまたは
図6に実質的に示されている熱重量分析(TGA)パターンを示す、式1.9~1.23のいずれかによる塩結晶。
【0047】
1.25 塩結晶が、エタノール中の2-(4-アセチルベンジル)-3-((4-フルオロフェニル)アミノ)-5,7,7-トリメチル-7,8-ジヒドロ-2H-イミダゾ[1,2-a]ピラゾロ[4,3-e]ピリミジン-4(5H)-オン遊離塩基結晶をコハク酸と反応させることによって製造される、式1.9~1.24のいずれかによる塩結晶。
【0048】
1.26 塩がクエン酸塩である、式1.9による塩結晶。
【0049】
1.27 塩が一クエン酸塩である、式1.26による塩結晶。
【0050】
1.28 塩結晶が、5.9°、7.0°、7.8°、8.8°、11.7°、11.9°、13.2°、13.8°、14.4°、15.7°、16.1°、16.3°、16.8°、18.1°、19.0°、19.9°、20.2°、20.7°、21.0°、21.3°、22.4°、23.6°、24.9°、25.3°および27.2°からなる群から選択される2θ角度値を有する少なくとも5つのピークを含む粉末X線回折パターンを示し、該XRPDパターンが、例えば1.5406Åの波長α1および1.5444Åの波長α2で、銅アノードを用いた回折計で測定される、式1.26~1.27のいずれかによる塩結晶。
【0051】
1.29 塩結晶が、5.9°、7.0°、7.8°、8.8°、11.7°、11.9°、14.4°、15.6°、16.1°、16.8°、18.1°、19.0°、21.0°および24.9°からなる群から選択される2θ角度値を有する少なくとも5つのピークを含む粉末X線回折パターンを示し、該XRPDパターンが、例えば1.5406Åの波長α1および1.5444Åの波長α2で、銅アノードを用いた回折計で測定される、式1.26~1.28のいずれかによる塩結晶。
【0052】
1.30 塩結晶が、5.9°、7.0°、8.8°、16.1°および16.8°からなる群から選択される2θ角度値を有するピークを含む粉末X線回折パターンを示し、該XRPDパターンが、例えば1.5406Åの波長α1および1.5444Åの波長α2で、銅アノードを用いた回折計で測定される、式1.26~1.29のいずれかによる塩結晶。
【0053】
1.31 塩結晶が、下記の表3:
【表3】
に記載されているものから選択される2θ角度値を有する少なくとも5つのピークを含む粉末X線回折パターンを示し、該XRPDパターンが、1.5406Åの波長α1および1.5444Åの波長α2で銅アノードを用いた回折計で測定される、式1.26~1.30のいずれかによる塩結晶。
【0054】
1.32 塩結晶が、14.97Å、12.67Å、11.33Å、10.08Å、7.59Å、7.41Å、6.72Å、6.41Å、6.14Å、5.67Å、5.48Å、5.42Å、5.27Å、4.90Å、4.67Å、4.47Å、4.39Å、4.29Å、4.22Å、4.18Å、3.97Å、3.76Å、3.57Å、3.51Åおよび3.27Åからなる群から選択されるd間隔値を有する少なくとも5つのピークを含む粉末X線回折パターンを示す、式1.26~1.31のいずれかによる塩結晶。
【0055】
1.33 塩結晶が、14.97Å、12.67Å、11.33Å、10.08Å、7.59Å、7.41Å、6.14Å、5.67Å、5.48Å、5.27Å、4.90Å、4.67Å、4.22Åおよび3.57Åからなる群から選択されるd間隔値を有する少なくとも5つのピークを含む粉末X線回折パターンを示す、式1.26~1.31のいずれかによる塩結晶。
【0056】
1.34 塩結晶が、14.97Å、12.67Å、10.08Å、5.48Åおよび5.27Åからなる群から選択されるd間隔値を有するピークを含む粉末X線回折パターンを示す、式1.26~1.31のいずれかによる塩結晶。
【0057】
1.35 塩結晶が、式1.31の表3に記載のものから選択されるd間隔値を有する少なくとも5つのピークを含む粉末X線回折パターンを示す、式1.26~1.34のいずれかによる塩結晶。
【0058】
1.36 塩結晶が、式1.31の表3に対応するかまたは式1.31の表3に実質的に示されている粉末X線回折パターンを示す、式1.26~1.35のいずれかによる塩結晶。
【0059】
1.37 塩結晶が、
図7に対応するかまたは
図7に実質的に示されている粉末X線回折パターンを示す、式1.26~1.36のいずれかによる塩結晶。
【0060】
1.38 塩結晶が、約142℃~144℃での吸熱ピークを含む示差走査熱量測定(DSC)パターンを示す、式1.26~1.37のいずれかによる塩結晶。
【0061】
1.39 塩結晶が、
図8に対応するかまたは
図8に実質的に示されている示差走査熱量測定(DSC)パターンを示す、式1.26~1.37のいずれかによる塩結晶。
【0062】
1.40 塩結晶が、
図9に対応するかまたは
図9に実質的に示されている熱重量分析(TGA)パターンを示す、式1.26~1.39のいずれかによる塩結晶。
【0063】
1.41 塩結晶が、アセトン中の2-(4-アセチルベンジル)-3-((4-フルオロフェニル)アミノ)-5,7,7-トリメチル-7,8-ジヒドロ-2H-イミダゾ[1,2-a]ピラゾロ[4,3-e]ピリミジン-4(5H)-オン遊離塩基結晶をクエン酸と反応させることによって製造される、式1.26~1.40のいずれかによる塩結晶。
【0064】
1.42 塩がアジピン酸塩である、式1.9による塩結晶。
【0065】
1.43 塩結晶が、5.4°、6.4°、7.1°、9.6°、10.9°、14.2°、15.5°、15.7°、16.1°、16.5°、17.9°、20.8°、21.8°、22.4°、23.9°、24.7°、26.3°および27.8°からなる群から選択される2θ角度値を有する少なくとも5つのピークを含む粉末X線回折パターンを示し、該XRPDパターンが、例えば1.5406Åの波長α1および1.5444Åの波長α2で、銅アノードを用いた回折計で測定される、式1.42のいずれかによる塩結晶。
【0066】
1.44 塩結晶が、5.4°、6.4°、7.1°、9.6°、10.9°、16.1°、16.45°、17.9°、23.9°および24.7°からなる群から選択される2θ角度値を有する少なくとも5つのピークを含む粉末X線回折パターンを示し、該XRPDパターンが、例えば1.5406Åの波長α1および1.5444Åの波長α2で、銅アノードを用いた回折計で測定される、式1.42~1.43のいずれかによる塩結晶。
【0067】
1.45 塩結晶が、5.4°、6.4°、9.6°、16.5°および24.7°からなる群から選択される2θ角度値を有するピークを含む粉末X線回折パターンを示し、該XRPDパターンが、例えば1.5406Åの波長α1および1.5444Åの波長α2で、銅アノードを用いた回折計で測定される、式1.42~1.44のいずれかによる塩結晶。
【0068】
1.46 塩結晶が、下記の表4:
【表4】
に記載されているものから選択される2θ角度値を有する少なくとも5つのピークを含む粉末X線回折パターンを示し、該XRPDパターンが、1.5406Åの波長α1および1.5444Åの波長α2で銅アノードを用いた回折計で測定される、式1.42~1.45のいずれかによる塩結晶。
【0069】
1.47 塩結晶が、16.23Å、13.72Å、12.49Å、9.18Å、8.10Å、6.23Å、5.70Å、5.65Å、5.50Å、5.38Å、4.94Å、4.26Å、4.08Å、3.96Å、3.72Å、3.60Å、3.38Åおよび3.21Åからなる群から選択されるd間隔値を有する少なくとも5つのピークを含む粉末X線回折パターンを示す、式1.42~1.46のいずれかによる塩結晶。
【0070】
1.48 塩結晶が、16.23Å、13.72Å、12.49Å、9.18Å、8.10Å、5.50Å、5.38Å、4.94Å、3.72Åおよび3.60Åからなる群から選択されるd間隔値を有する少なくとも5つのピークを含む粉末X線回折パターンを示す、式1.42~1.46のいずれかによる塩結晶。
【0071】
1.49 塩結晶が、16.23Å、13.72Å、9.18Å、5.38Åおよび3.60Åからなる群から選択されるd間隔値を有するピークを含む粉末X線回折パターンを示す、式1.42~1.46のいずれかによる塩結晶。
【0072】
1.50 塩結晶が、式1.46の表4に記載のものから選択されるd間隔値を有する少なくとも5つのピークを含む粉末X線回折パターンを示す、式1.42~1.49のいずれかによる塩結晶。
【0073】
1.51 塩結晶が、式1.46の表4に対応するかまたは式1.46の表4に実質的に示されている粉末X線回折パターンを示す、式1.42~1.50のいずれかによる塩結晶。
【0074】
1.52 塩結晶が、
図10に対応するかまたは
図10に実質的に示されている粉末X線回折パターンを示す、式1.42~1.51のいずれかによる塩結晶。
【0075】
1.53 塩結晶が、約170℃~172℃での吸熱ピークを含む示差走査熱量測定(DSC)パターンを示す、式1.42~1.52のいずれかによる塩結晶。
【0076】
1.54 塩結晶が、
図11に対応するかまたは
図11に実質的に示されている熱重量分析(TGA)および示差走査熱量測定(DSC)パターンを示す、式1.42~1.53のいずれかによる塩結晶。
【0077】
1.55 塩結晶が、溶媒(例えば、エタノール、アセトンまたは酢酸エチル)中の2-(4-アセチルベンジル)-3-((4-フルオロフェニル)アミノ)-5,7,7-トリメチル-7,8-ジヒドロ-2H-イミダゾ[1,2-a]ピラゾロ[4,3-e]ピリミジン-4(5H)-オン遊離塩基結晶をアジピン酸と反応させることによって製造される、式1.42~1.54のいずれかによる塩結晶。
【0078】
1.56 塩がリンゴ酸塩である、式1.9による塩結晶。
【0079】
1.57 塩がL-リンゴ酸塩である、式1.56による塩結晶。
【0080】
1.58 塩結晶が、
図12に対応するかまたは
図12に実質的に示されている粉末X線回折パターンを示す、式1.56~1.57のいずれかによる塩結晶。
【0081】
1.59 塩結晶が、約214℃~215℃での吸熱ピークを含む示差走査熱量測定(DSC)パターンを示す、式1.56~1.58のいずれかによる塩結晶。
【0082】
1.60 塩結晶が、
図13に対応するかまたは
図13に実質的に示されている熱重量分析(TGA)および示差走査熱量測定(DSC)パターンを示す、式1.56~1.59のいずれかによる塩結晶。
【0083】
1.61 塩が酒石酸塩である、式1.9による塩結晶。
【0084】
1.62 塩がL-酒石酸塩である,式1.61による塩結晶。
【0085】
1.63 塩結晶が、
図14に対応するかまたは
図14に実質的に示されている粉末X線回折パターンを示す、式1.61~1.62のいずれかによる塩結晶。
【0086】
1.64 塩結晶が、約240℃~242℃での吸熱ピークを含む示差走査熱量測定(DSC)パターンを示す、式1.61~1.63のいずれかによる塩結晶。
【0087】
1.65 塩結晶が、
図15に対応するかまたは
図15に実質的に示されている熱重量分析(TGA)および示差走査熱量測定(DSC)パターンを示す、式1.61~1.64のいずれかによる塩結晶。
【0088】
1.66 塩がグルコン酸塩である,式1.9による塩結晶。
【0089】
1.67 塩がD-グルコン酸塩である,式1.66による塩結晶。
【0090】
1.68 塩結晶が、
図16に対応するかまたは
図16に実質的に示されている粉末X線回折パターンを示す、式1.66~1.67のいずれかによる塩結晶。
【0091】
1.69 塩結晶が、約195℃~196℃での吸熱ピークを含む示差走査熱量測定(DSC)パターンを示す、式1.66~1.68のいずれかによる塩結晶。
【0092】
1.70 塩結晶が、
図17に対応するかまたは
図17に実質的に示されている熱重量分析(TGA)および示差走査熱量測定(DSC)パターンを示す、式1.66~1.69のいずれかによる塩結晶。
【0093】
1.71 塩結晶が、単結晶形態であり、他の形態を含まないかまたは実質的に含まない、例えば非晶質形態が10重量%未満、好ましくは約5重量%未満、より好ましくは約2重量%未満、さらに好ましくは約1重量%未満、さらに好ましくは約0.1%未満、最も好ましくは約0.01重量%未満である、上記の式のいずれかによる塩結晶。
【0094】
1.72 塩結晶が、単結晶形態であり、他の形態を含まないかまたは実質的に含まない、例えば他の結晶形態が10重量%未満、好ましくは約5重量%未満、より好ましくは約2重量%未満、さらに好ましくは約1重量%未満、さらに好ましくは約0.1%未満、最も好ましくは約0.01重量%未満である、上記の式のいずれかによる塩結晶。
【0095】
1.73 塩結晶が、単結晶形態であり、他の形態を含まないかまたは実質的に含まない、例えば非晶質および他の結晶形態が10重量%未満、好ましくは約5重量%未満、より好ましくは約2重量%未満、さらに好ましくは約1重量%未満、さらに好ましくは約0.1%未満、最も好ましくは約0.01重量%未満である、上記の式のいずれかによる塩結晶。
【0096】
1.74 方法1以降のいずれかまたは実施例1~6のいずれかに記載されているかまたは同様に記載されているプロセスのいずれかによって製造された場合の、上記の式のいずれかによる塩結晶。
【0097】
さらなる態様において、本開示はまた、2-(4-アセチルベンジル)-3-((4-フルオロフェニル)アミノ)-5,7,7-トリメチル-7,8-ジヒドロ-2H-イミダゾ[1,2-a]ピラゾロ[4,3-e]ピリミジン-4(5H)-オン(「化合物A」)の安定な酸付加塩、例えば、特定の酸との結晶性酸付加塩の製造方法であって、遊離塩基形態の化合物Aを溶媒中で酸と反応させる工程、および得られた塩を単離する工程を含む、方法[方法1]を提供する。特定の実施態様において、本開示は、以下のものを提供する:
【0098】
1.1 酸が、クエン酸、アジピン酸、酒石酸(例えば、L-酒石酸)、リンゴ酸、コハク酸、グルコン酸(例えば、D-グルコン酸)、マレイン酸、フマル酸、アスパラギン酸(例えば、L-アスパラギン酸)、馬尿酸、セバシン酸、グリコール酸、ガラクタル酸、安息香酸、パモ酸、シュウ酸およびマロン酸から選択される、方法1。
【0099】
1.2 溶媒が、アルコール(例えば、メタノールおよび/またはエタノール)、アセトン、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド(DMSO)、酢酸エチル、および/またはトルエンである、前記方法のいずれか。
【0100】
1.3 2-(4-アセチルベンジル)-3-((4-フルオロフェニル)アミノ)-5,7,7-トリメチル-7,8-ジヒドロ-2H-イミダゾ[1,2-a]ピラゾロ[4,3-e]ピリミジン-4(5H)-オン(化合物A)が結晶性形態である、前記方法のいずれか。
【0101】
1.4 化合物Aが非溶媒和物形態である、方法1.3。
【0102】
1.5 化合物Aが溶媒和物形態である、方法1.1~1.3のいずれか。
【0103】
1.6 化合物Aがアルコールとの溶媒和物形態(メタノール、エタノール、プロパノール(例えば、n-プロパノールまたはイソプロパノール)またはブタノール(例えば、n-ブタノール)との溶媒和物形態)である、方法1.5。
【0104】
1.7 化合物Aがメタノール、エタノール、プロパノール(例えば、n-プロパノールまたはイソプロパノール)またはブタノール(例えば、n-ブタノール)との溶媒和物形態である、方法1.3~1.6のいずれか。
【0105】
1.8 化合物Aが非水和物形態または水和物形態である、方法1.3~1.7のいずれか。
【0106】
1.9 化合物Aが、
図1に対応するかまたは
図1に実質的に示されている粉末X線回折パターンを示す、方法1.3~1.8のいずれか。
【0107】
1.10 化合物Aが、約195℃~196℃での吸熱ピークを含む示差走査熱量測定(DSC)パターンを示す、方法1.3~1.9のいずれか。
【0108】
1.11 化合物Aが、
図2に対応するかまたは
図2に実質的に示されている示差走査熱量測定(DSC)パターンを示す、方法1.3~1.10のいずれか。
【0109】
1.12 化合物Aが、プレートレット形状(platelet shape)を有する、方法1.3~1.11のいずれか。
【0110】
1.13 酸が化合物Aに対して約2モル当量である、前記方法のいずれか。
【0111】
1.14 酸が、化合物Aに対して約1モル当量である、方法1.1~1.12のいずれか。
【0112】
1.15 酸が化合物Aに対して約0.5モル当量である、方法1.1~1.12のいずれか。
【0113】
1.16 酸が水性形態、水和物形態または結晶性形態である、前記方法のいずれか。
【0114】
1.17 酸がコハク酸である、前記方法のいずれか。
【0115】
1.18 溶媒がアルコールである、方法1.17。
【0116】
1.19 溶媒がエタノールである、方法1.17~1.18のいずれか。
【0117】
1.20 化合物Aがエタノールに溶解される、方法1.17~1.19のいずれか、。
【0118】
1.21 化合物Aのエタノール中溶液がさらに高温に(例えば、約65℃~約70℃の温度に、例えば約67℃の温度に、例えば全ての固体が溶解するまで)加熱される、方法1.17~1.20のいずれか。
【0119】
1.22 コハク酸がエタノールに溶解される、方法1.17~1.21のいずれか。
【0120】
1.23 さらに、化合物Aと酸の溶媒中混合物を約75℃~約80℃(例えば、約78℃)に加熱する工程を含む、方法1.17~1.18のいずれか。
【0121】
1.24 酸がクエン酸である、方法1.1~1.16のいずれか。
【0122】
1.25 溶媒がアセトンである、方法1.24。
【0123】
1.26 さらに、反応混合物を播種する任意の工程を含む、前記方法のいずれか。
【0124】
1.27 反応混合物/溶液が超音波処理されてもよい、前記方法のいずれか。
【0125】
1.28 さらに、こうして得られた結晶を単離する工程を含む、前記方法のいずれか。
【0126】
1.29 さらに、こうして得られた結晶を(例えば、約45℃のオーブン中にて、真空によって、またはその組み合わせで)乾燥させる工程を含む、前記方法のいずれか。
【0127】
1.30 酸がアジピン酸である、方法1.1~1.16のいずれか。
【0128】
1.31 溶媒がエタノール、アセトンまたは酢酸エチルである、方法1.30。
【0129】
1.32 得られた溶液が約50℃に加熱される、方法1.30または1.31。
【0130】
患者、例えば以下の障害から選択される障害に罹患しているヒトの予防または治療のための方法であって本開示の遊離塩基結晶1以降または塩結晶1以降のいずれかによる酸付加塩形態の化合物2-(4-アセチルベンジル)-3-((4-フルオロフェニル)アミノ)-5,7,7-トリメチル-7,8-ジヒドロ-2H-イミダゾ[1,2-a]ピラゾロ[4,3-e]ピリミジン-4(5H)-オンの治療有効量を該予防または治療を必要とする患者に投与することを含む、方法[方法2]:
A. パーキンソン病、下肢静止不能、振戦、ジスキネジア、ハンチントン病、アルツハイマー病、および薬物誘発性運動障害を含む、神経変性疾患;
B. うつ病、注意欠陥障害、注意欠陥多動障害、双極性疾患、不安症、睡眠障害、例えばナルコレプシー、認知機能障害、例えば統合失調症の認知機能障害、認知症、トゥレット症候群、自閉症、脆弱X症候群、精神刺激薬離脱、および薬物依存症を含む、精神障害;
C. 国際出願第PCT/US2014/16741号に記載されている心血管疾患および関連障害(記載内容は出典明示により本明細書の一部とする)を含む、脳血管疾患、脳卒中(stroke)、うっ血性心疾患、高血圧症、肺高血圧症、例えば肺動脈性肺高血圧症、および性機能障害を含む、循環器および心血管障害;
D. 喘息、慢性閉塞性肺疾患、およびアレルギー性鼻炎を含む呼吸器および炎症性障害、ならびに自己免疫および炎症性疾患;
E. 女性性機能不全などのプロゲステロンシグナル伝達の増強によって軽減され得る疾患;
F. 精神病、緑内障、または眼圧亢進などの疾患または障害;
G. 外傷性脳損傷;
H. がんまたは腫瘍、例えば、脳腫瘍、神経膠腫(例えば、上衣腫、星細胞腫、乏突起神経膠腫、脳幹神経膠腫、視神経膠腫、または混合膠腫、例えば、乏突起性細胞腫)、星細胞腫(例えば、多形神経膠芽腫)、骨肉腫、黒色腫、白血病、神経芽腫または白血病;
I. 腎障害、例えば、腎線維症、慢性腎臓病、腎不全、糸球体硬化症および腎炎;
J. PDE1を発現する細胞における低レベルのcAMPおよび/またはcGMP(またはcAMPおよび/またはcGMPシグナル伝達経路の阻害)を特徴とする疾患または状態;および/または
K. ドパミンD1受容体シグナル伝達活性の低下を特徴とする疾患または状態。
【0131】
2.1 遊離塩基結晶1以降または塩結晶1以降のいずれかを含む、医薬として用いるための、例えば方法2に記載されている疾患の治療または予防のための医薬の製造において用いるための、医薬組成物。
【図面の簡単な説明】
【0132】
【
図1】
図1は、2-(4-アセチルベンジル)-3-((4-フルオロフェニル)アミノ)-5,7,7-トリメチル-7,8-ジヒドロ-2H-イミダゾ[1,2-a]ピラゾロ[4,3-e]ピリミジン-4(5H)-オンの遊離塩基結晶の粉末X線回折パターンを示す。
【0133】
【
図2】
図2は、2-(4-アセチルベンジル)-3-((4-フルオロフェニル)アミノ)-5,7,7-トリメチル-7,8-ジヒドロ-2H-イミダゾ[1,2-a]ピラゾロ[4,3-e]ピリミジン-4(5H)-オンの遊離塩基結晶の示差走査熱量測定(DSC)サーモグラフを示す。
【0134】
【
図3】
図3は、2-(4-アセチルベンジル)-3-((4-フルオロフェニル)アミノ)-5,7,7-トリメチル-7,8-ジヒドロ-2H-イミダゾ[1,2-a]ピラゾロ[4,3-e]ピリミジン-4(5H)-オンの遊離塩基結晶の熱重量分析(TGA)サーモグラフを示す。
【0135】
【
図4】
図4は、2-(4-アセチルベンジル)-3-((4-フルオロフェニル)アミノ)-5,7,7-トリメチル-7,8-ジヒドロ-2H-イミダゾ[1,2-a]ピラゾロ[4,3-e]ピリミジン-4(5H)-オンのコハク酸塩結晶の粉末X線回折パターンを示す。
【0136】
【
図5】
図5は、2-(4-アセチルベンジル)-3-((4-フルオロフェニル)アミノ)-5,7,7-トリメチル-7,8-ジヒドロ-2H-イミダゾ[1,2-a]ピラゾロ[4,3-e]ピリミジン-4(5H)-オンのコハク酸塩結晶の示差走査熱量測定(DSC)サーモグラフパターンを示す。
【0137】
【
図6】
図6は、2-(4-アセチルベンジル)-3-((4-フルオロフェニル)アミノ)-5,7,7-トリメチル-7,8-ジヒドロ-2H-イミダゾ[1,2-a]ピラゾロ[4,3-e]ピリミジン-4(5H)-オンのコハク酸塩結晶の熱重量分析(TGA)サーモグラフパターンを示す。
【0138】
【
図7】
図7は、2-(4-アセチルベンジル)-3-((4-フルオロフェニル)アミノ)-5,7,7-トリメチル-7,8-ジヒドロ-2H-イミダゾ[1,2-a]ピラゾロ[4,3-e]ピリミジン-4(5H)-オンのクエン酸塩結晶の粉末X線回折パターンを示す。
【0139】
【
図8】
図8は、2-(4-アセチルベンジル)-3-((4-フルオロフェニル)アミノ)-5,7,7-トリメチル-7,8-ジヒドロ-2H-イミダゾ[1,2-a]ピラゾロ[4,3-e]ピリミジン-4(5H)-オンのクエン酸塩結晶の示差走査熱量測定(DSC)サーモグラフを示す。
【0140】
【
図9】
図9は、2-(4-アセチルベンジル)-3-((4-フルオロフェニル)アミノ)-5,7,7-トリメチル-7,8-ジヒドロ-2H-イミダゾ[1,2-a]ピラゾロ[4,3-e]ピリミジン-4(5H)-オンのクエン酸塩結晶の熱重量分析(TGA)サーモグラフを示す。
【0141】
【
図10】
図10は、2-(4-アセチルベンジル)-3-((4-フルオロフェニル)アミノ)-5,7,7-トリメチル-7,8-ジヒドロ-2H-イミダゾ[1,2-a]ピラゾロ[4,3-e]ピリミジン-4(5H)-オンのアジピン酸塩結晶の粉末X線回折パターンを示す。
【0142】
【
図11】
図11は、2-(4-アセチルベンジル)-3-((4-フルオロフェニル)アミノ)-5,7,7-トリメチル-7,8-ジヒドロ-2H-イミダゾ[1,2-a]ピラゾロ[4,3-e]ピリミジン-4(5H)-オンのアジピン酸塩結晶の熱重量分析(TGA)および示差走査熱量測定(DSC)サーモグラフパターンを示す。
【0143】
【
図12】
図12は、2-(4-アセチルベンジル)-3-((4-フルオロフェニル)アミノ)-5,7,7-トリメチル-7,8-ジヒドロ-2H-イミダゾ[1,2-a]ピラゾロ[4,3-e]ピリミジン-4(5H)-オンのリンゴ酸塩結晶の粉末X線回折パターンを示す。
【0144】
【
図13】
図13は、2-(4-アセチルベンジル)-3-((4-フルオロフェニル)アミノ)-5,7,7-トリメチル-7,8-ジヒドロ-2H-イミダゾ[1,2-a]ピラゾロ[4,3-e]ピリミジン-4(5H)-オンのリンゴ酸塩結晶の熱重量分析(TGA)および示差走査熱量測定(DSC)サーモグラフパターンを示す。
【0145】
【
図14】
図14は、2-(4-アセチルベンジル)-3-((4-フルオロフェニル)アミノ)-5,7,7-トリメチル-7,8-ジヒドロ-2H-イミダゾ[1,2-a]ピラゾロ[4,3-e]ピリミジン-4(5H)-オンの酒石酸塩結晶の粉末X線回折パターンを示す。
【0146】
【
図15】
図15は、2-(4-アセチルベンジル)-3-((4-フルオロフェニル)アミノ)-5,7,7-トリメチル-7,8-ジヒドロ-2H-イミダゾ[1,2-a]ピラゾロ[4,3-e]ピリミジン-4(5H)-オンの酒石酸塩結晶の熱重量分析(TGA)および示差走査熱量測定(DSC)サーモグラフパターンを示す。
【0147】
【
図16】
図16は、2-(4-アセチルベンジル)-3-((4-フルオロフェニル)アミノ)-5,7,7-トリメチル-7,8-ジヒドロ-2H-イミダゾ[1,2-a]ピラゾロ[4,3-e]ピリミジン-4(5H)-オンのグルコン酸塩結晶の粉末X線回折パターンを示す。
【0148】
【
図17】
図17は、2-(4-アセチルベンジル)-3-((4-フルオロフェニル)アミノ)-5,7,7-トリメチル-7,8-ジヒドロ-2H-イミダゾ[1,2-a]ピラゾロ[4,3-e]ピリミジン-4(5H)-オンのグルコン酸塩結晶の熱重量分析(TGA)および示差走査熱量測定(DSC)サーモグラフパターンを示す。
【発明を実施するための形態】
【0149】
詳細な説明
本明細書で用いる場合、「結晶(crystal)」または「結晶(crystals)」または「結晶性(crystalline)」または「結晶性(crystallinic)」という用語は、固定された格子配置で分子、原子またはイオンの短距離秩序または長距離秩序を有する固体を指す。本開示の塩結晶は、単結晶形態であり得る。したがって、本開示の塩結晶は、三斜晶系結晶形態、単斜晶系結晶形態、斜方晶系結晶形態、正方晶系結晶形態、菱面体晶系結晶形態、六方晶系結晶形態もしくは立方晶系結晶形態、またはそれらの混合物であり得る。特に、本開示の塩結晶は乾燥結晶性形態である。別の実施態様において、本開示の塩結晶は、針状形態である。さらに別の実施態様において、本開示の塩結晶は、板状形態(plate-like form)である。特定の実施態様において、本開示の塩結晶は、他の形態を実質的に含まず、例えば非晶質形態または他の結晶形態を実質的に含まない。
【0150】
他の結晶形態を「実質的に含まない」という用語は、他の形態または他の結晶形態、例えば非晶質形態もしくは他の結晶形態が約10重量%未満、好ましくは約5重量%未満、より好ましくは約2重量%未満、さらに好ましくは約1重量%未満、さらに好ましくは約0.1%未満、最も好ましくは約0.01重量%未満であることを指す。
【0151】
「優勢に」または「実質的に全体に単一の形態で」という用語は、他の結晶形態、例えば非晶質形態または他の結晶形態が約10重量%未満、好ましくは約5重量%未満、より好ましくは約2重量%未満、さらに好ましくは約1重量%未満、さらに好ましくは約0.1%未満、最も好ましくは約0.01重量%未満であることを指す。
【0152】
特定の実施態様において、本開示の結晶は、微量の溶媒を含み得る、例えば溶媒和物形態であり得るか、または微量の水を含み得る、例えば水和物形態であり得る。好ましくは、本開示の塩結晶は、非溶媒和物形態である。さらに好ましくは、本開示の結晶は、非溶媒和物形態および非水和物形態である。
【0153】
本開示の塩結晶は、遊離塩基対酸比が1対1、1対0.5または1対>1、例えば1対1.3もしくは1対2などであり得る。例えば、本開示のコハク酸塩結晶は、コハク酸1モル当量に対して遊離塩基1モル当量を含み得る。好ましくは、本開示のコハク酸塩結晶は、コハク酸1モル当量に対して遊離塩基1モル当量を含み、酸がフマル酸または酒石酸などの二酸である場合には、遊離塩基対酸の比率は、二酸0.5当量に対して遊離塩基1モル当量であり得、例えばヘミフマル酸塩またはヘミ酒石酸塩を形成し得る。
【0154】
「溶媒和物」という用語は、結晶構造内に組み込まれた化学量論的量または非化学量論的量の溶媒を含む結晶性固体付加物を指す。したがって、本明細書において「非溶媒和物」形態という用語は、本開示の結晶構造内に溶媒分子を含まないかまたは実質的に含まない塩結晶を指す。同様に、本明細書において「非水和物」形態という用語は、本開示の結晶構造内に水分子を含まないかまたは実質的に含まない塩結晶を指す。
【0155】
「非晶質」形態という用語は、分子が無秩序に配置された固体をいい、識別可能な結晶格子を持たない。
【0156】
本開示の結晶の結晶化度または形態は、単結晶X線回折、粉末X線回折、偏光光学顕微鏡、熱顕微鏡、示差走査熱量測定(DSC)、熱重量分析(TGA)、赤外吸着分光法(infrared adsorption spectroscopy)およびラマン分光法を含むがこれらに限定されない多くの方法によって決定することができる。溶媒和物または水和物またはその欠如の特性は、DSCおよび/またはTGAによって決定することもできる。
【0157】
ある試料の粉末X線回折パターンまたは示差走査熱量測定パターンは、使用した装置、測定時の試料の時間および温度、ならびに標準的な実験誤差に応じて少し変わる場合がある(標準偏差)ことを理解されたい。したがって、本明細書の表または図に記載されている温度または2θ値、d間隔値、ピークの高さおよび相対強度は、許容可能なレベルの偏差を有する。例えば、値は、例えば、約20%、15%、10%、5%、3%、2%または1%の許容可能な偏差を有し得る。特定の実施態様において、本開示の結晶のXRPDパターンの2θ値またはd間隔値は、±0.2°および/または±0.2Åの許容可能な偏差を有し得る。また、本開示の結晶のXRPDパターンは、当業者が認識するような特徴的ピークによって同定され得る。例えば、本開示の結晶は、本明細書に記載のXRPDパターンに記載されている、例えば、少なくとも5つの特徴的ピーク、例えば、少なくとも3つまたは少なくとも5つのピーク、例えば、少なくとも3つまたは少なくとも5つの2θ値および/または少なくとも3つまたは少なくとも5つのd間隔値によって同定され得る。したがって、表のいずれかに記載されるかまたは図のいずれかに描かれる「~に対応するかまたは実質的に対応する」という用語は、表/図に記載された主要ピークまたは特徴的ピークを有するXRPDを有する結晶を指す。
【0158】
数値の前にある「約」という用語は、該数値自体±20%、±15%、±10%、好ましくは±5%、好ましくは±3%、好ましくは±2%、好ましくは±1%を指す。温度に言及する場合、約という用語は、該温度値自体±10℃、好ましくは±5℃、好ましくは±3℃を指す。別の例において、2θ角度値に言及する場合、「約」という用語は、該数値的2θ角度値自体±0.2°を指す。さらに別の例において、d間隔値に言及する場合、「約」という用語は、該数値的2θ角度値自体±0.2Åを指す。
【0159】
本開示の結晶は、選択的PDE1阻害剤である。したがって、本開示の結晶は、例えば、国際公開第2014/151409号、国際公開第2018/049417号、国際公開第2019/227004号、国際公開第2019/152697号、国際公開第2009/075784号、国際公開第2010/132127号、国際公開第2006/133261号および国際公開第2011/153129(各々の記載内容は出典明示によりその全体として本明細書の一部とする)に記載されているようなPDE1関連障害の治療に有用である。
【0160】
「患者」という用語は、ヒトおよび非ヒトを含む。一の実施態様において、患者はヒトである。別の実施態様において、患者は非ヒトである。
【実施例】
【0161】
実施例1 - コハク酸塩結晶の調製。
本開示のコハク酸塩結晶は、本明細書に記載されるようにまたは本明細書に記載されると同様に調製され得る。還流冷却器、オーバーヘッドスターラーおよび温度プローブを備えた20L丸底フラスコにおいて、2-(4-アセチルベンジル)-3-((4-フルオロフェニル)アミノ)-5,7,7-トリメチル-7,8-ジヒドロ-2H-イミダゾ[1,2-a]ピラゾロ[4,3-e]ピリミジン-4(5H)-オン(776.00g、1当量、1.6851mol)を無水エタノール7.5Lに懸濁した。混合物を67℃(内部)に加熱し、該懸濁液にコハク酸(200.00g、1.0051当量、1.6936mol)を添加した。添加すると、懸濁液は溶解し始めた。反応混合物を78℃に加熱し、15分後にオレンジ色/赤色の透明な溶液を得た。反応物をP3濾過器で熱濾過して、未溶解の粒子を除去した。次いで、混合物を播種し、室温まで冷却し、結晶化のために48時間放置した。反応混合物をP2濾過器で濾過し、EtOH 500mLで2回洗浄した。固体を回収し、循環式オーブンにて45℃で一定重量まで乾燥させた。収量: 2-(4-アセチルベンジル)-3-((4-フルオロフェニル)アミノ)-5,7,7-トリメチル-7,8-ジヒドロ-2H-イミダゾ[1,2-a]ピラゾロ[4,3-e]ピリミジン-4(5H)-オンコハク酸塩(804.8g、82.54%)。再結晶により、さらに110gの物質を得た。
【0162】
3L丸底フラスコに最初の結晶化で得られた2-(4-アセチルベンジル)-3-((4-フルオロフェニル)アミノ)-5,7,7-トリメチル-7,8-ジヒドロ-2H-イミダゾ[1,2-a]ピラゾロ[4,3-e]ピリミジン-4(5H)-オンコハク酸塩(745.0g、1当量、1.288mol)および再結晶で得られた2-(4-アセチルベンジル)-3-((4-フルオロフェニル)アミノ)-5,7,7-トリメチル-7,8-ジヒドロ-2H-イミダゾ[1,2-a]ピラゾロ[4,3-e]ピリミジン-4(5H)-オンコハク酸塩(110.0g、0.1477当量、190.1mmol)を入れた。該フラスコにエタノール(1.0L)を添加し、該スラリーをロータリーエバポレーターにて65℃で1時間撹拌して、均一な懸濁液を得た。水浴温度を50℃に調整し、エタノールを減圧下で除去して(蒸留は220mbarから25mbarまでで始まる)乾固させた。残った固体(湿重量: 909.5g)をトレイに移し、循環式オーブンにて45℃で5日間乾燥させた。2-(4-アセチルベンジル)-3-((4-フルオロフェニル)アミノ)-5,7,7-トリメチル-7,8-ジヒドロ-2H-イミダゾ[1,2-a]ピラゾロ[4,3-e]ピリミジン-4(5H)-オンコハク酸塩(845.5g、1.461mol、98.89%)をオフホワイト色の固体として得た。
【0163】
該コハク酸塩結晶のXRPDは、本明細書に記載されるようにまたは本明細書に記載されると同様に得られる。結果は
図4に示される。粉末X線回折実験は、Bruker AXS D8 discover HTSを用いて行われる。40kV、40mAでCuアノードを使用;ゲーベルミラー、ライン光学系。検出器: 受光スリット2.95°検出器開口を備えたLinear detector LYNXEYE XE。測定条件: スキャン範囲2~45°2θ、1秒/ステップ、0.005°/ステップ、およびすべての測定条件は、機器制御ファイルに記録される。
【0164】
該コハク酸塩結晶のXRPDパターンは、
図4に示され、下記のピークを有する:
【表5-1】
【表5-2】
【0165】
該コハク酸塩結晶の示差走査熱量測定(DSC)サーモグラフは、本明細書に記載されるようにまたは本明細書に記載されると同様に得られ、該DSCは
図5に示される。DSC実験は、Mettler Toledo DSC1 STARe Systemを用いて行った。試料は、Alるつぼ(40μl;穴あき)を使用して作成される。試料1~8mgを予め秤量したAlるつぼに入れ、20℃で5分間保持し、その後、10℃/分で20℃から350℃まで加熱し、350℃で1分間保持する。40ml/分の窒素パージが試料上で維持される。データ収集と評価に使用したソフトウェアは、STARe Software v15.00 build 8668である。サーモグラムに補正は加えない。
【0166】
該コハク酸塩結晶の熱重量分析(TGA)および示差走査熱量測定(DSC)は、本明細書に記載されるようにまたは本明細書に記載されると同様に得られ、
図6に示される。TGA/DSC実験は、34ポジションのオートサンプラーを備えたMettler Toledo TGA/DSC-01/03 STARe Systemを用いて行われた。試料は、Alるつぼ(40μl;穴あき)を使用して作成される。試料5~10mgを予め秤量したAlるつぼに入れ、20℃で5分間保持し、その後、10℃/分で20℃から350℃まで加熱した。40ml/分の窒素パージが試料上で維持される。データ収集と評価に使用したソフトウェアは、STARe Software v15.00 build 8668である。
【0167】
該コハク酸塩結晶は、特に安定であり、良好な溶解性、低い吸湿性、単一の融解事象、明確な化学量論(definable stoichiometry)を有しており、板状形態(plate-like morphology)を有しており、非溶媒和物、非水和物であり、これらはすべてガレノス製剤にとって望ましい性質である。
【0168】
化合物2-(4-アセチルベンジル)-3-((4-フルオロフェニル)アミノ)-5,7,7-トリメチル-7,8-ジヒドロ-2H-イミダゾ[1,2-a]ピラゾロ[4,3-e]ピリミジン-4(5H)-オンを製造する方法は、一般的に、国際公開第2014/151409号に記載されている(その記載内容はその全体として出典明示により本明細書の一部とする)。この化合物は、以下の反応スキームに要約されるようにまたは以下の反応スキームに要約されると同様に調製することができる。
【0169】
【0170】
特に、2-(4-アセチルベンジル)-3-((4-フルオロフェニル)アミノ)-5,7,7-トリメチル-7,8-ジヒドロ-2H-イミダゾ[1,2-a]ピラゾロ[4,3-e]ピリミジン-4(5H)-オンは、以下に記載されるようにまたは以下に記載されると同様に調製することができる。
【0171】
2-(4-アセチルベンジル)-3-((4-フルオロフェニル)アミノ)-5,7,7-トリメチル-7,8-ジヒドロ-2H-イミダゾ[1,2-a]ピラゾロ[4,3-e]ピリミジン-4(5H)-オンの調製
【0172】
2-(4-ブロモベンジル)-7-(4-メトキシベンジル)-5-メチル-2,7-ジヒドロ-4H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4,6(5H)-ジオン(3)。
【化2】
【0173】
清浄な70L反応にDMAc(10L)を添加し、撹拌(137rpm)下、7-(4-メトキシベンジル)-5-メチル-2,7-ジヒドロ-4H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4,6(5H)-ジオン(1477g、1当量、5.159mol)、1-ブロモ-4-(ブロモメチル)ベンゼン(1292g、1.002当量、5.169mol)および炭酸カリウム(713.0g、1当量、5.159mol)を窒素下にて添加した。DMAc(2.5L)を反応容器内部の洗浄のために添加した。該混合物(懸濁液)を50℃に加温し、この温度で45分間撹拌した。混合物を80℃に加温し、30分間撹拌した。IPC(LC-MSによる)は、完全な変換を示した。混合物を30℃に冷却し、濃厚な白色懸濁液を得た。該懸濁液を反応容器から後処理容器へ吸引した。反応混合物に水(35L)を高撹拌(320rpm)で加えた。該懸濁液を2つの大型ブフナー漏斗で濾過し、水(各2L×2)で洗浄し、オーブン中にて45℃で20時間乾燥させた。該物質を計量した:3222g(収率>100%)。バッチを分けた:120gを小型のロータリーエバポレーターで乾燥させ、オーブン中にて45℃で一夜乾燥させた。大きなバッチは、大型のロータリーエバポレーターおよびオーブンで一夜乾燥させた。小さいバッチの収量:81.6g(3%)。大きいバッチの収量:2276g(96%)。
【0174】
2-(4-ブロモベンジル)-5-メチル-2,7-ジヒドロ-4H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4,6(5H)-ジオン
【化3】
【0175】
20L反応容器に2-(4-ブロモベンジル)-7-(4-メトキシベンジル)-5-メチル-2,7-ジヒドロ-4H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4,6(5H)-ジオン(2276g、1当量、4.999mol)を入れた。機械撹拌下、2,2,2-トリフルオロ酢酸(10kg、6.7L、18当量、88mol)を添加し、該混合物をすべてが溶解するまで撹拌した。Tend=25℃。トリフルオロメタンスルホン酸(2251g、3.001当量、15.00mol)を滴下した。発熱効果が見られた。Tmax=43.4℃。赤紫色の溶液を得た。反応混合物をさらに16時間撹拌した。混合物を70L反応容器に移し、15℃に冷却した。滴下漏斗を用いてアセトニトリル(20L)を添加し、30分間撹拌し、赤色の懸濁液を10Lタンクに回収した。反応容器に水中28%アンモニア(21L)とアセトニトリル(10L)の混合物を入れ、0℃に冷却した。該10Lタンクからの反応混合物を少しずつ加えた。該混合物(黄色の懸濁液)を30分間撹拌し、8LのP2ガラス濾過器で濾過し、アセトニトリル/水(1:1;10L)で洗浄した。黄色固体を酢酸エチル(10L)中にて1時間撹拌し、濾過し、酢酸エチル(3.5L)で洗浄した。固体を45℃で乾燥させた。収量:2-(4-ブロモベンジル)-5-メチル-2,7-ジヒドロ-4H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4,6(5H)-ジオン(1437g、4.288mol、85.79%)白色/褐色(tan)の固体。
【0176】
2-(4-ブロモベンジル)-5,7,7-トリメチル-7,8-ジヒドロ-2H-イミダゾ[1,2-a]ピラゾロ[4,3-e]ピリミジン-4(5H)-オン
【化4】
【0177】
撹拌器と温度プローブを備えた20Lのフラスコを窒素雰囲気下にセットし、ヒートガンで加温して水分を除去した。DMF(4L)を添加し、撹拌下、2-(4-ブロモベンジル)-5-メチル-2,7-ジヒドロ-4H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4,6(5H)-ジオン(736.0g、1当量、2.196mol)を添加した。懸濁液が形成された。漏斗をDMF(200mL)で洗浄した。((1H-ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール-1-イル)オキシ)トリス(ジメチルアミノ)ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート(V)(1166g、1.201当量、2.636mol)を添加し、漏斗をDMF(200mL)で洗浄した。2,3,4,6,7,8,9,10-オクタヒドロピリミド[1,2-a]アゼピン(401.2g、1.2当量、2.635mol)(100mlビーカーで秤量、DMF(600mL)で洗浄)を添加した。懸濁液は透明な茶色の溶液となり、発熱効果が見られた:T0=19.6℃;Tmax=29.7℃。混合物を16時間撹拌した。温水中、密閉ビンの中で溶融された2-アミノ-2-メチルプロパン-1-オール(822.1g、4.2当量、9.223mol)を添加し、混合物はわずかな吸熱効果を与えた。該容器を60℃に加温し、4日間撹拌した。反応混合物を氷塩で0℃に冷却した。Add drop wise 塩化チオニル(1810g、6.929当量、15.22mol)を滴下した。温度を20℃以下に維持した。薄茶色(light brown)の懸濁液が形成された。添加後1時間撹拌した。
【0178】
この工程は、別法として以下のように行うこともできる。機械的撹拌器を備えた50L抽出容器中にて、氷/水24Lおよび25%アンモニア7Lを添加した。反応混合物を撹拌下(120rpm)で少しずつ添加した。添加の間、氷を少しずつ添加して混合物を低温(<15℃)に保持した。添加後、有機層を酢酸エチル(3L×1:底部抽出容器上の粘着性固体;10Lで1回、5L×1)で抽出した。酢酸エチル層を0.5M NaOH溶液(5L×2:1回目は抽出後に黄色、2回目は無色)で洗浄して出発物質を除去し、5%NaCl溶液(5L×3、2回の抽出の後、水層は淡塩基性(light basic)のまま)、ブライン(5L×1;pHは中性、有機層は透明)で洗浄した。有機層をNa2SO4で乾燥させ、濾過し、ロータリーエバポレーターで濃縮したが完全ではなかった:白色固体が沈殿しているため、最後の1.5Lは濃縮されなかった。容器を氷浴にて冷却し、固体を濾過し、冷EtOAc(50mL×2)で洗浄した。固体を一夜風乾した。収量:白色固体566g(66%)。濾液をさらに蒸発させた後のさらなる収量:19.1g。
【0179】
2-(4-ブロモベンジル)-3-クロロ-5,7,7-トリメチル-7,8-ジヒドロ-2H-イミダゾ[1,2-a]ピラゾロ[4,3-e]ピリミジン-4(5H)-オン
【化5】
【0180】
50L反応容器にDCM(15L)を添加し、次いで、2-(4-ブロモベンジル)-5,7,7-トリメチル-7,8-ジヒドロ-2H-イミダゾ[1,2-a]ピラゾロ[4,3-e]ピリミジン-4(5H)-オン(1790g、1当量、4.610mol)を添加した。パークロロメタン(1.418kg、892mL、2当量、9.22mol)を添加し、反応混合物を-10℃に冷却した。温度を-5℃~-10℃に保持しながら、滴下漏斗を用いてリチウムビス(トリメチルシリル)アミド(1.466kg、8.8L、1.9当量、8.76mol)を添加した。添加は1時間50分後に完了する。HPLC-MS(アセトニトリル中の反応混合物1滴)によって試料をチェックしたところ、完全な変換を示した。
【0181】
塩化アンモニウム飽和水溶液(15L)の添加によって反応をクエンチした。温度は-6℃から5℃に上昇した。混合物を5℃で10分間撹拌し、次いで、18℃に加温した。層が分離した。水層をジクロロメタン(5L)で抽出した。合わせた有機層を水(5L×2)で洗浄した。次いで、有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、蒸発乾固させた。これにより、暗褐色(dark brown)/黒色の粘着性固体(2520g)が得られた。NMRは、目的生成物がトルエンおよびエチルベンゼンと合わさっていることを示す。高真空(オイル)ポンプを使用することによってさらなる溶媒を除去した。これにより粗収量2335g(収率120%)が得られた。一夜かけて、物質は蒸発フラスコ内で固化した。フラスコから該物質を取り出し、粉末にし、開放容器中にて室温で更に乾燥させた。化合物6を 暗褐色(dark brown)固体として得た(2178g、5.15mol、110%)。
【0182】
2-(4-ブロモベンジル)-3-((4-フルオロフェニル)アミノ)-5,7,7-トリメチル-7,8-ジヒドロ-2H-イミダゾ[1,2-a]ピラゾロ[4,3-e]ピリミジン-4(5H)-オン
【化6】
【0183】
50L反応容器に窒素雰囲気下でTHF(11L)および4-フルオロアニリン(1.6kg、1.3L、3.1当量、14mol)を添加した。混合物を-6℃に冷却した。ブチルリチウム(ヘキサン中2.5M、0.72kg、4.5L、2.5当量、11mol)を、温度を-5℃~-2℃に保持しながら70分間かけて添加した。反応混合物を1時間かけて15℃に加温した。出発物質(化合物6)(2126g、1当量、4.5mol)をピリジン(10L)に溶解した。これにより黒色溶液が得られた。該溶液を反応混合物に素早く添加した(10分以内)。29℃への発熱反応が観察された。反応混合物を70℃で2時間加熱した。反応を55℃(還流以下)に冷却し、使用を採取した(アセトニトリル中の反応混合物1滴)。反応混合物を70℃でさらに2時間加熱し、一夜撹拌した。反応混合物に飽和NH4Cl(11L)を添加し、混合物を10分間撹拌した。層が分離した。固体を含有している水層(約22L)を酢酸エチル(3L)で抽出した。さらなる水(3L)を添加し、再度撹拌した。これにより2つの透明な層が得られ、次いで、分離した。水層(約16L)を酢酸エチル(2L)で抽出した。合わせた有機層(黒色)を半飽和ブライン5Lで洗浄した。水層(7L)が分離した。有機層を半飽和ブライン3Lで洗浄した。水層(3L)が取り出された。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、ガラス濾過器で濾過し、大型ロータリーエバポレーターにて50℃で蒸発乾固させた。茶色の油を得た(3346g)。
【0184】
粗物質を4回に分けてシリカゲルで精製した。20kgシリカゲルカラムを、ジクロロメタン中のスラリーとして注入することによって調製した。粗物質(3346g)をジクロロメタン(1.5L)に溶解して60%原液を得た。該原液1500g(生成物約900g)をカラムに適用した。該溶液をまずジクロロメタン(30L)で溶離し、続いて、10個の画分に分割して回収した。次に、ジクロロメタン/アセトン20%(50L)で溶離し、4.5Lの画分に分割して回収した。各画分をTLC(DCM/アセトン20%で溶離、PMAディップで着色)によってチェックした。次いで、カラムをDCM/アセトン30%(40L)で溶離し、各2Lの画分を回収した。画分14~20は非常に茶色であり、TLCによると4-フルオロアニリンを含有している。最後に、DCM/アセトン40%(約110L)で溶離した。化合物7と合わさった出発化合物6 73.7g、微量の化合物6を含む化合物7 95g、および純粋な生成物7 187.9gを得た。
【0185】
この4本のカラムが終了した後、同様の純度のいくつかのバッチを合わせて、合計803.6gの純粋な化合物7を得た。純粋な化合物7を80%超含む画分を合わせて貯蔵した(303g)。
【0186】
2-(4-アセチルベンジル)-3-((4-フルオロフェニル)アミノ)-5,7,7-トリメチル-7,8-ジヒドロ-2H-イミダゾ[1,2-a]ピラゾロ[4,3-e]ピリミジン-4(5H)-オン
【化7】
【0187】
テフロン加工金属製撹拌用プロペラ、還流冷却器および温度プローブを装備した20L反応容器を窒素でフラッシュした。水とDMFの1:15混合物2700mL(脱塩水(demi-water)170mL+DMF2530mL)を調製した。溶媒混合物のほとんどを反応容器に充填した。
【0188】
化合物7(800.0g、1当量、1.608mol)を添加し、次いで、1,3-ビス(ジフェニルホスファニル)プロパン(66.34g、0.1当量、160.8mmol)、炭酸カリウム(448g、2.02当量、3.24mol)および1-(ビニルオキシ)ブタン(4.833kg、6.24L、30当量、48.25mol)を添加した。固体を残りの溶媒混合物で洗浄した。
【0189】
得られた混合物を、撹拌しながら窒素で1時間通気することによって脱気した。酢酸パラジウム(II)(18.06g、0.05当量、80.42mmol)を添加し、1時間かけて70℃に加熱した。内部温度が84℃に上昇した(反応はおそらく発熱反応である!)。加熱マンテルを下げることによって70℃まで冷却した。反応混合物を70℃で一夜撹拌した。
【0190】
HPLC分析は、変換が完了したことを示した。反応混合物を50℃に冷却し、次いで、20L蒸発フラスコに移し(固体を溶解するために水1.5Lを使用)、水が出るまで濃縮した(ブチルビニルエーテル/水共沸混合物5.8Lを回収した)。リン酸(1.1kg、0.66L、6当量、9.651mol)およびアセチルシステイン(131g、0.5当量、804.2mmol)の水(3.2L)中溶液を調製した。濃縮した反応混合物を20L反応容器に注いだ。フラスコを水(1.5L)およびトルエン(1.5L)で洗浄した。両洗液を反応容器に添加した。反応混合物を氷/水浴で20℃に冷却した。反応混合物にリン酸およびアセチルシステインの溶液を滴下漏斗によってゆっくり添加した。25℃までの小さな発熱とガス発生が観察された。温度を25℃以下に保持した。1.5時間後に添加が完了した。茶色の懸濁液が得られ、これを30分間撹拌した。
【0191】
4L P2ガラス濾過器で濾過して固体を回収した。固体をトルエン2Lで3回洗浄した(各洗浄は別々に保持された)。濾過ケーキは橙色だった。酸性水層(暗褐色(dark brown)/黒色)を、濾過ケーキの洗浄後に得られたトルエン洗浄液で連続的に洗浄した。
【0192】
50L分液漏斗に酸性水層および濾過ケーキを添加した。さらなる化合物7(35g)およびトルエン(6L)を添加した。混合物を25%アンモニアの添加(1~1.5Lを使用)によって塩基性(pH 9.5)にし、30分間撹拌した。層は簡単に分離したが、水層は、なおも、固体と多少の黒いタール状物質を含有していた。混合物をセライトのパッド(厚さ5cm)で濾過した。次いで、該パッドをトルエン(2L×2)で洗浄すると、セライトの上に固体が形成された。これらの固体を熱トルエン(60℃で約5L)に溶解し、再度濾過した。合わせた有機層を水(2L×4)で洗浄した。最終的な水層はpH7~8であった。有機層(約26L)をロータリーエバポレーターにて50℃で約15Lまで濃縮した。混合物を、テフロン加工金属製撹拌用プロペラ、還流冷却器および温度プローブを装備した20L反応容器に移した。該混合物に脱塩水(3L)およびアセチルシステイン(131g、0.5当量、804.2mmol)を添加し、45℃で一夜撹拌した。混合物を50L分液漏斗に移し、さらなるトルエン(8L)を添加して残りの固体を溶解した。25%アンモニア水(160mL)を添加し、10分間撹拌した。層が分離した。水層中に存在する固体を熱トルエン(4L×2)と一緒に撹拌することによって溶解し、次いで、抽出した。合わせた有機層を再度水(2L×4)で洗浄した。最終的な洗液はpH7~8であった。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、貯蔵した(総体積約36L)。合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、4L P2ガラス濾過器で濾過した。混合物を大型ロータリーエバポレーターにて減圧下50℃で約3Lまで濃縮した。濃厚な懸濁液を得、15℃に冷却した。4L P2ガラス濾過器での濾過によって固体を回収した。固体を冷トルエン(1~2L)で洗浄した。固体を開放容器中にて室温で乾燥させた。母液を蒸発乾固させた。これにより暗褐色(dark brown)の粘着性固体(114g)が得られた。
【0193】
粗生成物(617g)をNMRによってチェックし、高純度の目的生成物8であることが示された。化合物8(617.5g)を ジクロロメタン(8L)に溶解し、テフロン加工金属製撹拌用プロペラ、還流冷却器および温度プローブを装備した20L反応容器中にて撹拌した。該反応容器に約21重量%のSiliaMET DMT(131g)を添加した。該容器を37℃で一夜加熱した。反応混合物を室温まで冷却させた。次いで、混合物をセライトのパッド(4L P2ガラス濾過器中の厚さ2cm)で濾過した。濾過器上の固体をジクロロメタン(2L)で洗浄した。合わせた濾液を減圧下45℃で蒸発乾固させた。これにより化合物8(602g)がオフホワイト色の固体として得られた。Pd含有量は48.8ppmと測定された。
【0194】
実施例2 - クエン酸塩結晶の調製
実施例1に要約されたように2-(4-アセチルベンジル)-3-((4-フルオロフェニル)アミノ)-5,7,7-トリメチル-7,8-ジヒドロ-2H-イミダゾ[1,2-a]ピラゾロ[4,3-e]ピリミジン-4(5H)-オン(500mg)が調製され、クエン酸(232.1mg)と混合される。該混合物をアセトン16mLに溶解し、一夜撹拌する。翌日、アセトンを真空除去した。生成物を40℃で2日間真空乾燥させた。
【0195】
該クエン酸塩結晶のXRPDは、本明細書に記載されるようにまたは本明細書に記載されると同様に得られる。結果は
図7に示される。粉末X線回折実験は、Bruker AXS D8 discover HTSを用いて行われる。40kV、40mAでCuアノードを使用;ゲーベルミラー、ライン光学系。検出器: 受光スリット2.95°検出器開口を備えたLinear detector LYNXEYE XE。測定条件: スキャン範囲2~45°2θ、1秒/ステップ、0.005°/ステップ、およびすべての測定条件は、機器制御ファイルに記録される。
【0196】
該クエン酸塩結晶のXRPDパターンは、
図7に示され、下記のピークを有する:
【表6】
【0197】
該クエン酸塩結晶の示差走査熱量測定(DSC)サーモグラフは、本明細書に記載されるようにまたは本明細書に記載されると同様に得られ、該DSCは
図8に示される。DSC実験は、Mettler Toledo DSC1 STARe Systemを用いて行った。試料は、Alるつぼ(40μl;穴あき)を使用して作成される。試料1~8mgを予め秤量したAlるつぼに入れ、20℃で5分間保持し、その後、10℃/分で20℃から350℃まで加熱し、350℃で1分間保持する。40ml/分の窒素パージが試料上で維持される。データ収集と評価に使用したソフトウェアは、STARe Software v15.00 build 8668である。サーモグラムに補正は加えない。
【0198】
該クエン酸塩結晶の熱重量分析(TGA)は、本明細書に記載されるようにまたは本明細書に記載されると同様に得られ、
図6に示される。TGA/DSC実験は、34ポジションのオートサンプラーを備えたMettler Toledo TGA/DSC-01/03 STARe Systemを用いて行われた。試料は、Alるつぼ(40μl;穴あき)を使用して作成される。試料5~10mgを予め秤量したAlるつぼに入れ、20℃で5分間保持し、その後、10℃/分で20℃から350℃まで加熱した。40ml/分の窒素パージが試料上で維持される。データ収集と評価に使用したソフトウェアは、STARe Software v15.00 build 8668である。
【0199】
実施例3 - アジピン酸塩結晶の調製
実施例1に要約されたように2-(4-アセチルベンジル)-3-((4-フルオロフェニル)アミノ)-5,7,7-トリメチル-7,8-ジヒドロ-2H-イミダゾ[1,2-a]ピラゾロ[4,3-e]ピリミジン-4(5H)-オンが調製され、アジピン酸と混合される。該混合物を50℃でエタノール、アセトンまたは酢酸エチルに溶解する。次いで、スラリーを20℃の温度に冷却し、固体を取り出した。
【0200】
該アジピン酸塩結晶のXRPDは、本明細書に記載されるようにまたは本明細書に記載されると同様に得られる。結果は
図7に示される。粉末X線回折実験は、Bruker AXS D8 discover HTSを用いて行われる。40kV、40mAでCuアノードを使用;ゲーベルミラー、ライン光学系。検出器: 受光スリット2.95°検出器開口を備えたLinear detector LYNXEYE XE。測定条件: スキャン範囲2~45°2θ、1秒/ステップ、0.005°/ステップ、およびすべての測定条件は、機器制御ファイルに記録される。
【0201】
該アジピン酸塩結晶のXRPDパターンは、
図10に示され、下記のピークを有する:
【表7】
【0202】
該アジピン酸塩結晶の熱重量分析(TGA)および示差走査熱量測定(DSC)は、本明細書に記載されるようにまたは本明細書に記載されると同様に得られ、
図11に示される。TGA/DSC実験は、34ポジションのオートサンプラーを備えたMettler Toledo TGA/DSC-01/03 STARe Systemを用いて行われた。試料は、Alるつぼ(40μl;穴あき)を使用して作成される。試料5~10mgを予め秤量したAlるつぼに入れ、20℃で5分間保持し、その後、10℃/分で20℃から350℃まで加熱した。40ml/分の窒素パージが試料上で維持される。データ収集と評価に使用したソフトウェアは、STARe Software v15.00 build 8668である。
【0203】
実施例4 - リンゴ酸塩結晶の調製
実施例1に要約されたように2-(4-アセチルベンジル)-3-((4-フルオロフェニル)アミノ)-5,7,7-トリメチル-7,8-ジヒドロ-2H-イミダゾ[1,2-a]ピラゾロ[4,3-e]ピリミジン-4(5H)-オンが調製され、リンゴ酸と混合される。該混合物を室温で16時間アセトニトリルに溶解する。アセトニトリルをピペットで取り除き、残った溶媒を真空除去した。生成物を室温で1日間さらに真空乾燥させた。
【0204】
該リンゴ酸塩結晶のXRPDは、本明細書に記載されるようにまたは本明細書に記載されると同様に得られる。結果は
図12に示される。粉末X線回折実験は、Bruker AXS D8 discover HTSを用いて行われる。40kV、40mAでCuアノードを使用;ゲーベルミラー、ライン光学系。検出器: 受光スリット2.95°検出器開口を備えたLinear detector LYNXEYE XE。測定条件: スキャン範囲2~45°2θ、1秒/ステップ、0.005°/ステップ、およびすべての測定条件は、機器制御ファイルに記録される。
【0205】
該リンゴ酸塩結晶の熱重量分析(TGA)および示差走査熱量測定(DSC)は、本明細書に記載されるようにまたは本明細書に記載されると同様に得られ、
図13に示される。TGA/DSC実験は、34ポジションのオートサンプラーを備えたMettler Toledo TGA/DSC-01/03 STARe Systemを用いて行われた。試料は、Alるつぼ(40μl;穴あき)を使用して作成される。試料5~10mgを予め秤量したAlるつぼに入れ、20℃で5分間保持し、その後、10℃/分で20℃から350℃まで加熱した。40ml/分の窒素パージが試料上で維持される。データ収集と評価に使用したソフトウェアは、STARe Software v15.00 build 8668である。
【0206】
実施例5 - 酒石酸塩結晶の調製
実施例1に要約されたように2-(4-アセチルベンジル)-3-((4-フルオロフェニル)アミノ)-5,7,7-トリメチル-7,8-ジヒドロ-2H-イミダゾ[1,2-a]ピラゾロ[4,3-e]ピリミジン-4(5H)-オンが調製され、酒石酸と混合される。該混合物を50℃でアセトンまたはアセトニトリルに溶解する。次いで、スラリーを20℃の温度に冷却し、固体を取り出した。
【0207】
該酒石酸塩結晶のXRPDは、本明細書に記載されるようにまたは本明細書に記載されると同様に得られる。結果は
図14に示される。粉末X線回折実験は、Bruker AXS D8 discover HTSを用いて行われる。40kV、40mAでCuアノードを使用;ゲーベルミラー、ライン光学系。検出器: 受光スリット2.95°検出器開口を備えたLinear detector LYNXEYE XE。測定条件: スキャン範囲2~45°2θ、1秒/ステップ、0.005°/ステップ、およびすべての測定条件は、機器制御ファイルに記録される。
【0208】
該酒石酸塩結晶の熱重量分析(TGA)および示差走査熱量測定(DSC)は、本明細書に記載されるようにまたは本明細書に記載されると同様に得られ、
図15に示される。TGA/DSC実験は、34ポジションのオートサンプラーを備えたMettler Toledo TGA/DSC-01/03 STARe Systemを用いて行われた。試料は、Alるつぼ(40μl;穴あき)を使用して作成される。試料5~10mgを予め秤量したAlるつぼに入れ、20℃で5分間保持し、その後、10℃/分で20℃から350℃まで加熱した。40ml/分の窒素パージが試料上で維持される。データ収集と評価に使用したソフトウェアは、STARe Software v15.00 build 8668である。
【0209】
実施例6 - グルコン酸塩結晶の調製
実施例1に要約されたように2-(4-アセチルベンジル)-3-((4-フルオロフェニル)アミノ)-5,7,7-トリメチル-7,8-ジヒドロ-2H-イミダゾ[1,2-a]ピラゾロ[4,3-e]ピリミジン-4(5H)-オンが調製され、グルコン酸と混合される。該混合物を室温で16時間DMSOに溶解する。過剰のDMSOを除去し、生成物を室温で1日間さらに真空乾燥させた。
【0210】
該グルコン酸塩結晶のXRPDは、本明細書に記載されるようにまたは本明細書に記載されると同様に得られる。結果は
図16に示される。粉末X線回折実験は、Bruker AXS D8 discover HTSを用いて行われる。40kV、40mAでCuアノードを使用;ゲーベルミラー、ライン光学系。検出器: 受光スリット2.95°検出器開口を備えたLinear detector LYNXEYE XE。測定条件: スキャン範囲2~45°2θ、1秒/ステップ、0.005°/ステップ、およびすべての測定条件は、機器制御ファイルに記録される。
【0211】
該グルコン酸塩結晶の熱重量分析(TGA)および示差走査熱量測定(DSC)は、本明細書に記載されるようにまたは本明細書に記載されると同様に得られ、
図17に示される。TGA/DSC実験は、34ポジションのオートサンプラーを備えたMettler Toledo TGA/DSC-01/03 STARe Systemを用いて行われた。試料は、Alるつぼ(40μl;穴あき)を使用して作成される。試料5~10mgを予め秤量したAlるつぼに入れ、20℃で5分間保持し、その後、10℃/分で20℃から350℃まで加熱した。40ml/分の窒素パージが試料上で維持される。データ収集と評価に使用したソフトウェアは、STARe Software v15.00 build 8668である。
【0212】
実施例7 - コハク酸塩結晶の溶解度実験
2-(4-アセチルベンジル)-3-((4-フルオロフェニル)アミノ)-5,7,7-トリメチル-7,8-ジヒドロ-2H-イミダゾ[1,2-a]ピラゾロ[4,3-e]ピリミジン-4(5H)-オンの遊離塩基結晶性形態およびコハク酸塩結晶性形態の溶解度を比較する。試料を水中で滴定するか、または共溶媒条件下で、試料が完全に溶解するpHから最低3回の滴定で滴定する。溶液からの試料沈殿物を、速度論的溶解度に対応するUV-濁度プローブによって検出する。沈殿後、塩基滴定剤と酸滴定剤を交互に添加して、試料を中性種の平衡溶解度(固有溶解度)の前後を行き来させる。この時点で、試料は過飽和状態または亜飽和状態(すなわち、チェイス平衡(chase equilibrium))で存在する。固有溶解度は、固有溶解度に対応する過飽和状態と亜飽和状態の間のpHから決定される。共溶媒条件を使用する場合は、試料は水性媒体への外挿によって決定することができる。
【0213】
コハク酸塩の溶解度は、約7mg/mLであり、遊離塩基(0.285mg/mL)よりも有意に高い。水溶解度のこの度合いにより、インビトロおよびインビボでのより速い溶出速度が予測される。
【0214】
実施例8 - イヌにおけるコハク酸塩結晶の薬物動態実験
2-(4-アセチルベンジル)-3-((4-フルオロフェニル)アミノ)-5,7,7-トリメチル-7,8-ジヒドロ-2H-イミダゾ[1,2-a]ピラゾロ[4,3-e]ピリミジン-4(5H)-オンのコハク酸塩を5mg/kgの投与量でイヌに経口投与する。別のグループのイヌに2-(4-アセチルベンジル)-3-((4-フルオロフェニル)アミノ)-5,7,7-トリメチル-7,8-ジヒドロ-2H-イミダゾ[1,2-a]ピラゾロ[4,3-e]ピリミジン-4(5H)-オン遊離塩基5mg/kgを経口投与する。採取した血漿サンプル中の薬物濃度を分析する。
【0215】
薬物動態(PK)パラメータは、均一な重み付けを用いた非コンパートメント法により、血漿濃度対時間データから決定される。最大観測濃度(Cmax)と最大観測濃度の時間(Tmax)は、バイオ分析の生データから得られる。時間ゼロから最後の測定可能サンプルの時間までの血漿中濃度-時間曲線下面積(AUC)は、台形公式によって計算される。5mg/kg用量での遊離塩基およびコハク酸塩結晶の血漿中薬物動態プロファイルを以下の表5に示す。
【0216】
【国際調査報告】