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  • 特表-洗濯可能な活性化綿 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-13
(54)【発明の名称】洗濯可能な活性化綿
(51)【国際特許分類】
   D06L 1/22 20060101AFI20240205BHJP
   D06M 11/76 20060101ALI20240205BHJP
   D06M 11/00 20060101ALI20240205BHJP
   D06L 4/13 20170101ALI20240205BHJP
   D06M 15/643 20060101ALI20240205BHJP
   D06M 15/263 20060101ALI20240205BHJP
   D06M 13/02 20060101ALI20240205BHJP
   D06M 15/227 20060101ALI20240205BHJP
【FI】
D06L1/22
D06M11/76
D06M11/00 130
D06L4/13
D06M15/643
D06M15/263
D06M13/02
D06M15/227
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023545235
(86)(22)【出願日】2022-01-25
(85)【翻訳文提出日】2023-09-11
(86)【国際出願番号】 US2022013623
(87)【国際公開番号】W WO2022159858
(87)【国際公開日】2022-07-28
(31)【優先権主張番号】63/141,219
(32)【優先日】2021-01-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523281906
【氏名又は名称】エナジー オウガー エルエルシー
(71)【出願人】
【識別番号】523281917
【氏名又は名称】ゼロシェルズ、エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】スチュワート、グラハム、ラルフ
【テーマコード(参考)】
4L031
4L033
【Fターム(参考)】
4L031AA02
4L031BA14
4L031CA01
4L031CA02
4L031DA00
4L033AA02
4L033AC15
4L033BA01
4L033CA12
4L033CA18
4L033CA59
(57)【要約】
活性化綿材料及び活性化綿材料を形成するために綿を処理するための方法が提供される。活性化綿材料は、ワックスロックによって綿繊維の表面にロックされた天然ワックスの層を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
綿を処理するための方法であって、
約150°F(約66℃)未満の温度及び約9.5のpHで前記綿をソーダ灰で処理することと、
約150°F(約66℃)未満の温度で、前記綿を過酸化水素で漂白することと、
前記過酸化水素を中和することと、
有機酸でpHを約6~約7に低下させることと、
約150°F(約66℃)未満の温度で前記綿を染色することと、
前記綿をワックスロックで処理することと
を含む、綿を処理するための方法。
【請求項2】
綿布を処理することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
綿糸を処理することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記ソーダ灰と共に漂白活性剤を添加することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記ソーダ灰と共に金属イオン封鎖剤を添加することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記過酸化水素と共にアリールエステラーゼ触媒を添加することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
中和することが、前記過酸化水素を分解するために酵素を添加することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記有機酸がクエン酸を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記染色することが、
前記綿を硫酸ナトリウムで処理することと、
前記綿をソーダ灰で処理して、pHを約9.5に上昇させることと、
前記綿を染料溶液で処理することと、
前記綿をリンスすることと、
前記染料溶液を約6.5のpHに中和することと、
前記綿をリンスすることと
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記綿を前記ワックスロックで処理することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
約300°F(約149℃)~約390°F(約199℃)で前記綿を乾燥させることを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記ワックスロックがシリコーン化合物を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記ワックスロックがアクリル化合物を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
ワックスロックによって綿繊維の表面にロックされた天然ワックスの層を含む、活性化綿材料。
【請求項15】
染料を含む、請求項14に記載の活性化綿材料。
【請求項16】
前記ワックスロックがシリコーン化合物を含む、請求項14に記載の活性化綿材料。
【請求項17】
前記ワックスロックがアクリルオリゴマーを含む、請求項14に記載の活性化綿材料。
【請求項18】
前記ワックスロックが天然植物材料を含む、請求項14に記載の活性化綿材料。
【請求項19】
綿布を含む、請求項14に記載の活性化綿材料。
【請求項20】
綿糸を含む、請求項14に記載の活性化綿材料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、35 USC§119(e)の下、2021年1月25日に出願された「Activated Cotton Fabric and Related Methods」(代理人整理番号53265-0003P01)と題する米国仮特許出願第63/141,219号に対する優先権を主張し、その内容全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、綿材料の強度を高め、濡れ性を低下させるためのプロセスに関する。
【背景技術】
【0003】
綿は、加工時に環境に負の影響を及ぼす天然繊維である。現在、繊維は漂白され、染色プロセスの準備のために強アルカリで仕上げられ、染色される。強アルカリは、特に、さもなければ世界の水性生態系に放出されるであろう有害な流出物を軽減するために、製造の各段階で中和されなければならない。
【0004】
湿式加工に伴ってアルカリの洗い流しを繰り返すことにより、多量の廃水が発生する。例えば、Planet Trackerの報告「Will Fashion Dye Another Day」(2020年12月)では、「織物製造は、1kgの織物布を製造するために推定430リットル又は114USガロンを必要とする」と述べられている。報告は続けて、世界中で使用されている推定8,000種の毒性化学物質が、原材料を織物に変えるために使用されていると述べている。これらの化学物質の多くは、廃水流として淡水源に放出される。例えば、「織物の染色及び処理は、世界の工業用水汚染の20%を引き起こすと推定されている」。
【0005】
綿はこの推定値の最上位にあり、ポリエステル、ビスコースレーヨン、及びウールよりも加工に多くの水を必要とする。したがって、綿布の製造及び染色が重要な原因である可能性が高い。
【0006】
さらに、綿に使用される現在の加工技術はエネルギー集約的であり、複数の乾燥サイクルを必要とする。染色に使用される熱を低減し、染色サイクルを短縮することは、エネルギー需要を低下させる。
【発明の概要】
【0007】
本明細書の実施例に記載の実施形態は、綿を処理するための方法を提供する。この方法は、約150°F(約66℃)未満の温度及び約9.5のpHで綿をソーダ灰で処理することと、約150°F(約66℃)未満の温度で、綿を過酸化水素で漂白することと、過酸化水素を中和することとを含む。有機酸を用いてpHを約6~約7に下げ、綿を約150°F(約66℃)未満の温度で染色する。綿をワックスロック(wax lock)化合物で処理する。
【0008】
本明細書に記載の別の実施形態は、ワックスロックによって綿繊維の表面にロックされた天然ワックスの層を含む活性化綿材料を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、綿布を処理及び染色するための方法のプロセスフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
染色のために綿を処理するための業界標準技術は、キアリング(Kiering)と呼ばれる。キアリングは、一般に、綿布又は糸を染色する準備のために、綿布又は糸に対して行われる。これは、熱アルカリ(NaOH)溶液を使用して綿繊維上の天然ワックスコーティングをけん化し、ワックスを除去する精練プロセスを使用する。これにより、綿布の吸水性(親水性)が高まり、染色しやすくなる。しかしながら、アルカリ溶液を除去するために複数回水でリンスすることが必要である。さらに、アルカリは、繊維を部分的に破壊することによって布を軟化させ、製品強度を低下させる。
【0011】
精練後、綿を漂白して着色体を除去し、白色材料を形成する。漂白は、過酸化水素又は他の漂白剤、とりわけ次亜塩素酸塩漂白剤などの使用によって行うことができる。
【0012】
次いで、処理された綿は、製品に応じて、例えば糸又は布として染色することができる。染色プロセスにおいて、綿は、例えば、綿の表面にヒドロキシル基を形成することによって染料が綿に付着するのを助ける化学物質を含む浴に通過されるか、又は浴に浸漬され得る。次いで、綿は、染料を含有する浴に通過されるか、又は浸漬される。これに続いて、多くの場合、布地に付着しない余分な染料を除去するために複数回リンスされる。
【0013】
処理及び染色プロセスが綿糸に対して行われる場合、糸は、その後、例えば編み又は織りによって布に形成される。綿を処理するために現在使用されている技術は、使用されている技術によって選択された色を有する吸水性布を形成する。しかしながら、アルカリ処理は、綿繊維の強度を、例えば原綿から50%以上も低減した。
【0014】
活性化綿と呼ばれる綿製品を製造するためのプロセスが本明細書で提供され、活性化綿は、綿繊維上の所定の位置に天然ワックスを残し、水使用量を低下させ、綿の特性を改善する。綿繊維上の天然ワックスコーティングは、糸及び布に高性能特性を付与し、例えば、水蒸気が布に吸着せずに通過することを可能にすることによって布の冷却特性を高める。これを実施するために、前記プロセスは、ワックスロックと呼ばれる化合物の添加を含む。
【0015】
記載されるように、天然綿上のワックスコーティングは、一般に、キアリングの間に除去される。さらに、より穏やかなプロセスによって残っていたとしても、家庭での洗濯により、非常に少ないサイクルで天然ワックスは除去される。これを克服するために、活性化綿は、ワックスロックで処理されて、ワックスを布の所定の位置に固定する。いくつかの実施形態では、ワックスロックは、天然ワックスと相互作用して界面活性剤がワックスを除去するのを防ぐシリコーン化合物を含む。
【0016】
他の実施形態では、ワックスロックは、最終乾燥プロセスの前に付与され、乾燥中に活性化される合成アクリルオリゴマーなどの架橋剤である。架橋剤は、天然ワックスを繊維上の所定の位置に保持する架橋を形成する。これは、綿布を疎水性にし、多数回の家庭での洗濯サイクルの間、例えば20サイクル超、25サイクル超、30サイクル超、又はそれ以上の間、疎水性を維持することを可能にする。
【0017】
このプロセスでは、過酸化水素を使用して漂白を行う。過酸化物活性剤であるトリアセチンは、綿繊維及び天然ワックスを保護するために金属イオン封鎖剤(sequestering agent)と共に使用される。トリアセチンはpHを徐々に低下させ、過酸化物が非常に効果的な漂白剤となる条件を作り出して、染色のために綿を調製する。これにより、従来の漂白及び染料調製方法で使用される強い苛性アルカリの排除が可能になる。これはまた、酵素漂白触媒が効果的となる条件を作り出す。
【0018】
本明細書に記載のプロセスの変更及び組み合わせは、プロセスをさらに短縮し、水の節約を向上させる。これは、より安定した、反復可能な、及び生態学的に好ましいプロセスを提供する。さらに、綿上の天然ワックスコーティングは、洗濯洗剤などの界面活性剤を用いた30回以上の家庭での洗濯サイクルに耐える。
【0019】
図1は、綿を活性化するための方法100のプロセスフロー図である。本明細書に記載されるように、前記プロセスは、綿製品の製造において任意の数の点で綿に使用することができ、例えば、とりわけ綿スライバ、糸、又は布に使用することができる。前記プロセスの例は、以下の実施例のセクションで説明される。個々の工程は、再配置、排除、又は修正されてもよいことに留意されたい。例えば、いくつかの実施形態では、ソーダ灰前処理を排除してもよい。天然ワックスコーティングの除去を避けるために、前記プロセスでは界面活性剤を使用しないことにも留意されたい。
【0020】
方法100は、3つの基本的なプロセス、すなわち綿を洗浄し、漂白して着色体を除去し、染色のために綿を調製するために使用される前処理プロセス102を含む。染色プロセス104は、綿に色を付けるために使用される。次いで、仕上げプロセス106を使用してワックスロックを付与して綿繊維上の天然ワックスコーティングをロックし、ワックスコーティングを除去することなく複数回の家庭での洗濯を可能にする。前処理プロセス102は、ソーダ灰前処理を用いるブロック108で開始する。ソーダ灰NaCOの使用は、標準的なキアリングプロセスで使用される苛性ソーダ(NaOH)の代わりである。NaOHの使用はpHを12.5に設定し、これは、綿繊維を損傷し、けん化によって天然ワックスを除去する。ソーダ灰は、処理のpHを、例えば、約10、又は約9.5に設定する。より低いpHにより、ワックスコーティングのけん化の可能性が防止されるか又は減少する。さらに、これは、以前の前処理手順よりも低い温度、例えば約150°F(66℃)で行われる。
【0021】
ブロック108におけるソーダ灰前処理中に、漂白活性剤、例えばグリセリルトリアセテート(トリアセチン)が、後続の漂白手順における過酸化水素の活性化のために添加される。トリアセチンは、商品名CEKASSIST BIOで、アメリカ合衆国ノースカロライナ州マウント・ホーリーのCekal Specialtiesから入手可能である。さらに、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)などの金属イオン封鎖剤を使用して、マグネシウム(II)及びカルシウム(II)などの二価の金属イオンの濃度を低下させる。一実施形態では、金属イオン封鎖剤は、Cekal Specialties製のCEKAQUEST PBであり、これは、過酸化水素漂白剤の安定化にも役立つ。二価の金属イオンの濃度が低下することにより、漂白手順中に過酸化水素がさらに安定化される。
【0022】
ブロック110において、過酸化水素の50%溶液を使用して漂白手順が行われる。漂白手順中に、過酸化物と着色体との間の反応を促進するために、アリールエステラーゼ触媒が添加される。一般に、アリールエステラーゼ触媒は、例えば商業的製造プロセスにおいて微生物によって生成される。任意の数のアリールエステラーゼ触媒を現在の手順に使用することができる。一実施形態では、アリールエステラーゼ触媒は、商品名CEKAZYME BBでCekal Specialtiesから得られる。
【0023】
ブロック112において、過酸化物漂白剤は、カタラーゼ酵素の添加によって中和される。任意の数のカタラーゼ酵素を現在の手順に使用してもよい。一実施形態では、カタラーゼは、Cekal Specialties製のCEKAZYME EPK200である。いくつかの実施形態では、試験片を使用して過酸化物が排除されたことを確認する。そうでない場合、いくつかの実施形態では、水洗浄を使用して、綿から残っている過酸化物をリンスする。
【0024】
ブロック114において、pHを、約8未満、約7未満、又は6.5~7のpHに低下させる。いくつかの実施形態では、これは、クエン酸、酢酸などの有機酸の添加によって行われる。いくつかの実施形態では、pHをチェックして、pHが6.5~7であることを確認する。そうでない場合、さらに酸を添加してもよく、pHを再試験する。
【0025】
表面張力試験を使用して、前処理プロセス102が天然ワックスコーティングを損傷又は除去しなかったことを確認することができる。いくつかの実施形態では、表面張力試験は、布表面などの綿上に水滴を置き、水が玉になるか、又は吸収されるかに注目することによって行われる。他の実施形態では、ゴニオメータを使用して表面の表面張力を決定し、これを使用して処理の有効性を決定してもよい。
【0026】
染色プロセス104は、硫酸ナトリウムによる綿の処理を用いるブロック116で開始する。ブロック118において、pHを約9.5又は約10に上昇させるために、Na2CO3が添加される。pHをチェックし、必要に応じてさらにNa2CO3を添加して、pHを9.5に調整してもよい。弱アルカリの使用は、綿ワックス及び綿セルロースの保持及び保護に役立つ。これは、pHを12.5に設定し、綿を損傷し、けん化によって天然ワックスを除去する、標準的なキアリング手順で使用される苛性ソーダ(NaOH)の代わりに使用される。
【0027】
ブロック120において、染色化合物が溶液に添加される。いくつかの実施形態では、染料は反応性染料であるが、とりわけ、直接染料、硫黄染料、アゾイック染料又はバット染料を含む任意の数の他の種類の染料を使用してもよい。染液を約2°F/分(約1.1℃/分)の速度で約140°F(約60℃)の最高温度まで加熱する。染料は、例えば、30分、45分、60分又はそれ以上にわたって、吸収に十分な時間、綿と接触したままにする。
【0028】
ブロック122において、染料及び塩を溶液からリンスする。ブロック124において、pHを、8未満、又は7未満、又は約6.5に低下させる。これは、クエン酸、酢酸などの有機酸の添加によって行われる。ブロック126において、酸及び任意の残りの染料又は塩を除去するために、水リンスを行う。いくつかの実施形態では、pHをチェックして、pHが6.5~7であることを確認する。そうでない場合、さらに酸を添加してもよく、pHを再試験する。
【0029】
仕上げプロセス106は、ワックスロックの付与を用いるブロック128で開始する。本明細書に記載されるように、ワックスロックは、天然ワックスを綿繊維にロックし、洗濯によるその除去を遅らせる。ワックスロックは、シリコーン化合物、アクリルオリゴマー、又は組み合わせを含んでもよい。他の種類のオリゴマー又はモノマーなど、他の材料を使用してもよい。いくつかの実施形態で使用されるシリコーンワックスロック化合物は、Apexosil 2137として、アメリカ合衆国サウスカロライナ州スパータンバーグのApexical Specialty Chemicalsから入手可能である。いくつかの実施形態では、約1重量%、約2重量%、約5重量%、約10重量%、約20重量%又はそれ以上などの、少量のアクリルモノマー又はオリゴマーが含まれてもよい。
【0030】
いくつかの実施形態では、ワックスロックは、CEKAPEL NFWRとしてCekal Specialtiesから入手可能なものなど、アクリルオリゴマーを含むブレンドである。この例では、アクリルポリマーブレンドは、20~30重量%の液体架橋アクリルポリマーを含む。前記ブレンドは、5~10重量%のジプロピレングリコールも含む。ジプロピレングリコールは、ポリマーブレンドの粘度を低下させ、綿への取り込みを改善する。
【0031】
同様の材料が他の供給者から入手可能である。これらには、アメリカ合衆国オハイオ州ウィクリフのLubrizol,Corp.からのHycarラインのブレンドが含まれる。他の材料は、Apexical Specialty Chemicals、アメリカ合衆国ノースカロライナ州シャーロットのHuntsman Chemicals、及びアメリカ合衆国デラウェア州ウィルミントンのChemoursから入手可能である。
【0032】
いくつかの実施形態では、ワックスロック化合物は、植物廃棄物、例えば食品産業における穀粒の加工中に蓄積する副産物から単離された天然植物材料を含むブレンドである。天然ワックス及び天然植物材料を綿の繊維にロックするのを助けるために、架橋剤をブレンドに含めてもよい。天然植物材料は、ドイツ、ゲーレッツリートのRudolf GmbHからRUCO(登録商標)-DRY BIO CGRとして入手可能である。架橋剤は、RudolfからRUCO(登録商標)-LINK XHCとして入手可能である。
【0033】
ブロック130において、綿を乾燥させてワックスロック化合物を固定する。種々の実施形態において、これは、例えばフレーム上又は移動ライン上で、約25~約30ヤード/分(又は約23~約27メートル/分)の速度で、約400°F(約204℃)未満、又は約390°F(約199℃)未満、又は約350°F(約177℃)未満、又は約310°F(約154℃)未満、又は約300°F(約149°)~約390°F(約199℃)の温度で行われる。
【0034】
本明細書に記載される酵素のすべては、他の供給者から入手可能であることに留意されたい。例えば、ドイツ、ダルムシュタットのAB Enzymesは、本明細書に記載のプロセスで使用され得る類似のアリールエステラーゼ触媒及びカタラーゼ酵素を製造している。
【実施例
【0035】
例えば、図1に関して本明細書に記載の処理プロセスを、表1に記載のパラメータを使用して綿布で試験した。
【0036】
ワックスロック化合物としてシリコーン柔軟剤を用いてこの技術を使用して調製した綿布は、低温洗浄サイクル、1g/Lタイド洗濯洗剤、及び低温乾燥サイクルを使用して25回を超える洗濯サイクルを通して天然ワックスを保持した。これは、水滴を付与し、それが綿布上で玉になっていると判定することによって、各洗濯サイクルの後に表面張力試験を行うことによって試験した。
【0037】
【表1】
【0038】
綿布の破裂強度を、通常の苛性洗浄によって処理した綿布のサンプルと比較した。強度を決定するために行った試験は、ASTM D3787に従ったミューレンダイヤフラム破裂試験であった。綿繊維によって保持される強度は、綿繊維の初期長さ、例えば綿の品質に依存した。高品質綿を使用して作られ、図1に関して記載した手順を使用して処理された布のサンプルは、約210psi(約1448kPa)の平均破裂強度を提供したが、これに対して標準的なキアリング手順で処理された同じ布のサンプルは、約110psi(約758kPa)の平均破裂強度を有していた。
【0039】
例えば、より短い繊維長さを有する低品質の綿から調製された布のサンプルは、通常のキアリング手順と比較して、図1の手順で処理された場合、依然として有意な強度の利点を維持した。標準的なキアリング手順で処理された低品質綿から調製された布は、約93.9psi(647kPa)の平均破裂強度を有していた。図1の手順で処理された同じ布のサンプルは、約109.8psi(757kPa)の平均破裂強度を有していた。
【0040】
実施形態
【0041】
本明細書の実施例に記載の実施形態は、綿を処理するための方法を提供する。この方法は、約150°F(約66℃)未満の温度及び約9.5のpHで、綿をソーダ灰で処理することと、約150°F(約66℃)未満の温度で、綿を過酸化水素で漂白することと、過酸化水素を中和することとを含む。有機酸を用いてpHを約6~約7に下げ、綿を約150°F(約66℃)未満の温度で染色する。綿をワックスロック(wax lock)化合物で処理する。
【0042】
一態様では、前記方法は、綿布を処理することを含む。一態様では、前記方法は、綿糸を処理することを含む。
【0043】
一態様では、前記方法は、ソーダ灰と共に漂白活性剤を添加することを含む。一態様では、前記方法は、ソーダ灰と共に金属イオン封鎖剤を添加することを含む。
【0044】
一態様では、前記方法は、過酸化水素と共にアリールエステラーゼ触媒を添加することを含む。
【0045】
一態様では、中和することは、過酸化水素を分解するために酵素を添加することを含む。
【0046】
一態様では、有機酸はクエン酸を含む。
【0047】
一態様では、染色することは、綿を硫酸ナトリウムで処理することと、綿をソーダ灰で処理してpHを約9.5に上昇させることと、綿を染料溶液で処理することと、綿をリンスすることとを含む。染料溶液を約6.5のpHに中和し、綿をリンスする。
【0048】
一態様では、前記方法は、綿をワックスロックで処理することを含む。一態様では、前記方法は、約300°F(約149℃)~390°F(約199℃)で綿を乾燥させることを含む。一態様では、ワックスロックは、シリコーン化合物を含む。一態様では、前記方法は、アクリル化合物を含むワックスロックを含む。
【0049】
本明細書に記載の別の実施形態は、ワックスロックによって綿繊維の表面にロックされた天然ワックスの層を含む活性化綿材料を提供する。
【0050】
一態様では、活性化綿材料は、染料を含む。
【0051】
一態様では、ワックスロックは、シリコーン化合物を含む。一態様では、ワックスロックは、アクリルオリゴマーを含む。一態様では、ワックスロックは、天然植物材料を含む。
【0052】
一態様では、活性化綿材料は、綿布を含む。一態様では、活性化綿材料は、綿糸を含む。
【0053】
他の実施態様も、以下の特許請求の範囲内にある。
図1
【国際調査報告】