IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ジェイティー インターナショナル エス.エイ.の特許一覧

特表2024-506272静電容量センサを備えたエアロゾル発生デバイス及びその製造方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-13
(54)【発明の名称】静電容量センサを備えたエアロゾル発生デバイス及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   A24F 40/51 20200101AFI20240205BHJP
   A24F 40/40 20200101ALI20240205BHJP
【FI】
A24F40/51
A24F40/40
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023545875
(86)(22)【出願日】2021-11-08
(85)【翻訳文提出日】2023-09-13
(86)【国際出願番号】 EP2021080875
(87)【国際公開番号】W WO2022171320
(87)【国際公開日】2022-08-18
(31)【優先権主張番号】21157091.6
(32)【優先日】2021-02-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516004949
【氏名又は名称】ジェイティー インターナショナル エスエイ
【住所又は居所原語表記】8,rue Kazem Radjavi,1202 Geneva,SWITZERLAND
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アデール, カイル
(72)【発明者】
【氏名】ポポーラ, オレイウォラ オラミポシ
(72)【発明者】
【氏名】ラヴデイ, ピーター
【テーマコード(参考)】
4B162
【Fターム(参考)】
4B162AA03
4B162AA22
4B162AB12
4B162AC12
4B162AC34
4B162AD23
(57)【要約】
本発明は、エアロゾル発生基材を消費するためのエアロゾル発生デバイスに関し、エアロゾル発生デバイスが、ハウジングと制御ユニットとを備え、ハウジングが、弾性変形可能な領域を含む外層を有し、制御ユニットが、その上にあるコンポーネントを電気的に接続するための複数の電気伝送線を有するプリント回路基板と、プリント回路基板上に配置された静電容量センサコンポーネントとを備える。
【選択図】図2C
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾル発生基材(120)を消費するためのエアロゾル発生デバイス(100)であって、前記エアロゾル発生デバイス(100)が、ハウジング(200)と制御ユニット(300)とを備え、前記ハウジング(200)が、弾性変形可能な領域(250)を含む外層(210)を有し、前記制御ユニット(300)が、
プリント回路基板(310)であって、その上にあるコンポーネントを電気的に接続するための複数の電気伝送線を有するプリント回路基板(310)と、
前記プリント回路基板(310)上に配置された静電容量センサコンポーネント(320)と
を備え、
前記プリント回路基板(310)が、前記外層(210)の前記弾性変形可能な領域(250)の下方に、前記弾性変形可能な領域(250)における層の片側が前記静電容量センサコンポーネント(320)に面する状態で、固定して配置され、
前記外層(210)が、ユーザが前記弾性変形可能な領域(250)の前記外層(210)を押し下げたときに、前記静電容量センサコンポーネント(320)が前記外層(210)と前記静電容量センサコンポーネント(320)との間の静電容量の変化を感知し得るように、前記静電容量センサコンポーネント(320)から間隔を空けて配置される、エアロゾル発生デバイス(100)。
【請求項2】
前記外層(210)が、導電性材料、好ましくは金属、より好ましくはアルミニウム、最も好ましくはアルミニウムAl 1017を含む、又は好ましくは導電性材料、好ましくは金属、より好ましくはアルミニウム、最も好ましくはアルミニウムAl 1017で作られる、請求項1に記載のエアロゾル発生デバイス(100)。
【請求項3】
前記プリント回路基板(310)及び前記静電容量センサコンポーネント(320)を前記外層(210)の下に固定して、その中に囲まれた感知空間(230)を画定するように構成された支持構造体(220)を備える、請求項1又は2に記載のエアロゾル発生デバイス(100)。
【請求項4】
金属及び/若しくはポリカーボネートを含む、又は好ましくは金属及び/若しくはポリカーボネートで作られる内側シャーシ(240)であって、前記感知空間が前記内側シャーシ(240)及び前記外層(210)によって画定され、前記プリント回路基板(310)及び前記静電容量センサコンポーネント(320)が前記囲まれた空間内に固定される、内側シャーシ(240)を備える、請求項3に記載のエアロゾル発生デバイス(100)。
【請求項5】
前記内側シャーシ(240)が前記ハウジング(200)と一体化される、請求項4に記載のエアロゾル発生デバイス(100)。
【請求項6】
前記エアロゾル発生デバイス(100)が、次式にしたがって構成され、
ここでLは、mmの単位の前記感知空間(230)の平均幅であり、Tは、mmの単位の前記外層(210)の厚さであり、Iは、mmの単位の前記弾性変形可能な領域(250)における前記外層(210)の断面二次モーメントであり、Wは、Nの単位の前記弾性変形可能な領域(250)に加えられる力であり、Kは、前記弾性変形可能な領域(250)における前記外層(210)のエッチングファクタであり、Eは、前記外層(210)のヤング率であり、Dは、μmの単位の加えられる力に起因する前記外層(210)の撓みである、請求項1~5のいずれか一項に記載のエアロゾル発生デバイス(100)。
【請求項7】
前記外層(210)と前記静電容量センサコンポーネント(320)との間の前記感知空間(230)の平均高さHが、少なくとも16μm、好ましくは少なくとも17μm、より好ましくは少なくとも18μm、更により好ましくは少なくとも19μm、最も好ましくは少なくとも20μm、且つ/若しくは多くとも25μm、好ましくは多くとも24μm、より好ましくは多くとも23μm、更により好ましくは多くとも22μm、最も好ましくは多くとも21μmであり、
前記弾性変形可能な領域(250)の前記外層(210)の、好ましくは中央での前記撓みDが、少なくとも4μm、好ましくは少なくとも5μm、最も好ましくは少なくとも6μm、且つ/若しくは多くとも11μm、好ましくは多くとも10μm、より好ましくは多くとも8μm、最も好ましくは多くとも7μmであり、
前記外層(210)が、少なくとも0.3mm、好ましくは少なくとも0.4mm、最も好ましくは少なくとも0.5mm、且つ/若しくは多くとも0.7mm、好ましくは多くとも0.6mmの平均厚さTを有し、
前記感知空間(260)が、少なくとも11mm、好ましくは少なくとも12mm、最も好ましくは少なくとも13mm、且つ/若しくは多くとも16mm、好ましくは多くとも15mm、より好ましくは多くとも14mmの平均幅若しくは直径Lを有し、及び/又は
前記静電容量センサコンポーネント(320)によって感知されるために、前記弾性変形可能な領域(250)に加えられる前記力Wが、少なくとも1N、好ましくは少なくとも1.5N、より好ましくは2N、最も好ましくは少なくとも2.5N、且つ/若しくは多くとも5N、好ましくは多くとも4.5N、より好ましくは多くとも4N、更により好ましくは多くとも3.5N、最も好ましくは多くとも3Nである、請求項1~6のいずれか一項に記載のエアロゾル発生デバイス(100)。
【請求項8】
前記外層(210)が、複数の弾性変形可能な領域(250)を備え、前記制御ユニット(300)が、前記複数の弾性変形可能な領域(250)の下に対応して配置された複数の静電容量センサコンポーネント(320)を備え、前記弾性変形可能な領域(250)のうちの1つの中央とその隣の前記弾性変形可能な領域の中央との間のピッチ寸法Pが、少なくとも29mm、好ましくは少なくとも30mm、より好ましくは少なくとも31mm、最も好ましくは少なくとも32mm、且つ/又は多くとも37mm、好ましくは多くとも36mm、より好ましくは多くとも35mm、更により好ましくは多くとも34mm、最も好ましくは多くとも33mmである、請求項1~7のいずれか一項に記載のエアロゾル発生デバイス(100)。
【請求項9】
前記静電容量センサコンポーネント(320)が静電容量近接センサを含む、請求項1~8のいずれか一項に記載のエアロゾル発生デバイス(100)。
【請求項10】
前記制御ユニット(300)が、前記プリント回路基板(310)上にいずれも配置されたスイッチングモジュールと操作モジュールとを備え、前記スイッチングモジュールが、前記静電容量センサコンポーネント(320)及び前記操作モジュールと電子的に結合され、前記操作モジュールが、少なくとも、前記静電容量センサコンポーネント(320)による前記外層(210)と前記静電容量センサコンポーネント(320)との間の静電容量の変化の感知に応じて前記スイッチングモジュールを操作するように構成され、好ましくは、前記弾性変形可能な領域(250)の前記外層(210)の、好ましくは前記中央の前記撓みが所定の範囲内にあることを前記静電容量センサコンポーネント(320)が感知したときに、前記スイッチングモジュールのスイッチをオンにするように、前記静電容量センサコンポーネント(320)が構成される、請求項1~9のいずれか一項に記載のエアロゾル発生デバイス(100)。
【請求項11】
前記外層(210)が、前記弾性変形可能な領域及びその周囲を包囲するシームレスな表面(250)を有する、請求項1~10のいずれか一項に記載のエアロゾル発生デバイス(100)。
【請求項12】
前記シームレスな表面(250)が、前記外層の表面の少なくとも50%、好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも80%、更により好ましくは少なくとも90%、また更により好ましくは少なくとも95%、最も好ましくは100%に対応する、請求項11に記載のエアロゾル発生デバイス(100)。
【請求項13】
前記ハウジング(200)がユニボディハウジングであり、好ましくは、前記ユニボディハウジング(200)が細長い形状を有し、前記ユニボディハウジング(200)がその長手方向軸線を中心とした周面全体にわたってシームレスであり、且つ/又は前記ユニボディハウジング(200)の長手方向の一端に開口部がある状態で完全にシームレスである、請求項1~11のいずれか一項に記載のエアロゾル発生デバイス(100)。
【請求項14】
深絞り加工プロセス又は押し出しプロセスによる外層(210)を有するハウジングを形成するステップと、
前記外層(210)と前記制御ユニット(300)が備える静電容量センサコンポーネント(320)との間に空間がある状態で、前記外層(210)の下に制御ユニットを固定するステップと
を含む、請求項1~13のいずれか一項に記載のエアロゾル発生デバイス(100)の製造方法。
【請求項15】
前記制御ユニット(300)が備えるプリント回路基板(310)を前記エアロゾル発生デバイス(100)が備える内側シャーシ(240)のスロットに固定することによって、又は前記プリント回路基板(310)と前記外層(210)とをスペーシング要素によって結合することによって、前記外層(210)の下に前記制御ユニット(300)を固定するステップ
を含む、請求項14に記載のエアロゾル発生デバイス(100)の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアロゾル発生デバイス、特に静電容量センサを備えたエアロゾル発生デバイスと、そのようなエアロゾル発生デバイスの製造方法とに関する。
【背景技術】
【0002】
エアロゾル発生デバイス(加熱非燃焼式(heat-not-burn)製品又は電子たばことしても知られる)の人気及び使用は、ここ数年で急速に拡大している。従来のたばこ製品においてたばこを燃焼させるのとは対照的に、エアロゾル化可能物質を加熱又は加温する様々なデバイス及びシステムが利用可能である。
【0003】
一般的に入手可能なリスク低減デバイス又はリスク修正デバイスは、基材加熱式エアロゾル発生デバイス又は加熱非燃焼式デバイスである。このタイプのデバイスは、典型的には、湿った葉たばこ又は他の好適な固体エアロゾル化可能材料を含むエアロゾル基材を、典型的には150℃~350℃の範囲の温度に加熱することによってエアロゾル又は蒸気を発生させる。そのようなエアロゾル基材を、燃焼させる又は燃やすのではなく加熱することにより、ユーザが求める成分を含むが、燃焼及び燃やすことによる毒性及び発癌性のある副生成物を含まないエアロゾルが放出される。また、別のタイプの電子たばこも存在し、その動作方法は、液体を蒸発させて煙を発生させるというものである。どちらのタイプのエアロゾル発生デバイスにとっても、コンパクトで持ち運びができ、使いやすく堅牢な設計が重要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
現在のエアロゾル発生デバイスは、通常、ハウジングとの間に切断溝及び間隙を有するボタンなど、様々な部分によって組み立てられているハウジングを有する。ハウジング及びボタンの一般的な構成は、例えば、濡れた空気、塵埃、日常生活における液体、及び消耗品の破片に対してデバイスを脆弱にする。また、従来のエアロゾル発生デバイスで使われているハウジング及びハウジング上のボタンの強度、欠点を抑制する性能、並びに耐クラック性能の改善も望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的のいくつか又はすべては、独立請求項の特徴によって定義される本発明によって達成される。本発明の好ましい実施形態は、従属請求項の特徴によって定義される。
【0006】
本発明の第1の態様は、エアロゾル発生基材を消費するためのエアロゾル発生デバイスであって、エアロゾル発生デバイスが、ハウジングと制御ユニットとを備え、ハウジングが、弾性変形可能な領域を含む外層を有し、制御ユニットが、
プリント回路基板であって、その上にあるコンポーネントを電気的に接続するための複数の電気伝送線を有するプリント回路基板と、
プリント回路基板上に配置された静電容量センサコンポーネントと
を備え、
プリント回路基板が、外層の弾性変形可能な領域の下方に、弾性変形可能な領域にある層の片側が静電容量センサコンポーネントに面する状態で、固定して配置され、
外層が、ユーザが弾性変形可能な領域の外層を押し下げたときに、静電容量センサコンポーネントが外層と静電容量センサコンポーネントとの間の静電容量の変化を感知し得るように、静電容量センサコンポーネントから間隔を空けて配置される、エアロゾル発生デバイスである。
【0007】
制御ユニット及びそのようなシームレスなデザインにより、エアロゾル発生デバイスは、デバイスハウジングを、製造が安価であり、持ちやすく、堅牢であり、防塵、防水で、耐引っ掻き性に優れるものにし得る。これにより、制御ユニットは、ユーザがボタンを押すことを意図しているのか、単にデバイスを保持しているだけである(このことは意図せず制御ユニットの上方の表面に触れることがある)のかをより正確に感知するために、ソフトタッチかハードタッチかを感知及び区別することができるようになる。また、これにより、ユーザは、冬に手袋を外す必要なしにポータブルエアロゾル発生デバイスを簡単に動作させることができるようになる。
【0008】
第2の態様によれば、第1の態様において、外層が、導電性材料、好ましくは金属、より好ましくはアルミニウム、最も好ましくはアルミニウムAl 1017を含む、又は好ましくは導電性材料、好ましくは金属、より好ましくはアルミニウム、最も好ましくはアルミニウムAl 1017で作られる。
【0009】
本発明で使用される金属材料は、硬質で堅牢であるが、そのヤング率のおかげでユーザの押圧によって変形するのに十分に柔らかく、その降伏強度のおかげで押圧後に元の形状に復元するのに十分に可撓性である。
【0010】
第3の態様によれば、第1の態様及び第2の態様において、エアロゾル発生デバイスが、プリント回路基板及び静電容量センサコンポーネントを外層の下に固定して、その中に囲まれた感知空間を画定するように構成された支持構造体を備える。
【0011】
第4の態様によれば、第1~3の態様のいずれか1つの態様において、エアロゾル発生デバイスが、金属及び/若しくはポリカーボネートを含む、又は好ましくは金属及び/若しくはポリカーボネートで作られる内側シャーシを備え、感知空間が内側シャーシ及び外層によって画定され、プリント回路基板及び静電容量センサコンポーネントが囲まれた空間内に固定される。
【0012】
ポリカーボネートシャーシは、様々な形状に形成しやすく、様々な制御ユニットのためにカスタマイズしやすい。ポリカーボネートシャーシはまた、センサの望ましくない機能不全を避けるために、圧縮を防止し、プリント回路基板及びハウジングを絶縁することを可能にするのに十分に硬質である。
【0013】
第5の態様によれば、第4の態様において、内側シャーシがハウジングと一体化される。
【0014】
第5の態様の内側シャーシ及びハウジングの一体化により、有限支持構造体で通常使用されるクリップ、ねじ、ボルト、又は接着剤を間に施す必要性がなくなる。したがって、一体化により、シームレスな外面及びより小さいサイズを有する利益がもたらされる。
【0015】
第6の態様によれば、第1~5の態様のいずれか1つの態様において、エアロゾル発生デバイス(100)が、次式にしたがって構成される。
ここで、Lは、mmの単位の感知空間の平均幅(寸法)であり、好ましくは、円形又は正方形などの形状を有するセンサの電極が、感知空間と実質的に同じ寸法を有し、Tは、mmの単位の外層の厚さであり、Iは、mmの単位の弾性変形可能な領域における外層の断面二次モーメントであり、Wは、Nの単位の弾性変形可能な領域に加えられる力であり、Kは、弾性変形可能な領域における外層のエッチングファクタであり、Eは、外層のヤング率であり、Dは、μmの単位の加えられる力に起因する外層の撓みである。
【0016】
第7の態様によれば、第6の態様において、外層と静電容量センサコンポーネントとの間の感知空間の平均高さHは、少なくとも16μm、好ましくは少なくとも17μm、より好ましくは少なくとも18μm、更により好ましくは少なくとも19μm、最も好ましくは少なくとも20μm、且つ/若しくは多くとも25μm、好ましくは多くとも24μm、より好ましくは多くとも23μm、更により好ましくは多くとも22μm、最も好ましくは多くとも21μmであり、
弾性変形可能な領域の外層の、好ましくは中央での撓みDは、少なくとも4μm、好ましくは少なくとも5μm、最も好ましくは少なくとも6μm、且つ/若しくは多くとも11μm、好ましくは多くとも10μm、より好ましくは多くとも8μm、最も好ましくは多くとも7μmであり、
外層が、少なくとも0.3mm、好ましくは少なくとも0.4mm、最も好ましくは少なくとも0.5mm、且つ/若しくは多くとも0.7mm、好ましくは多くとも0.6mmの平均厚さTを有し、
感知空間が、少なくとも11mm、好ましくは少なくとも12mm、最も好ましくは少なくとも13mm、且つ/若しくは多くとも16mm、好ましくは多くとも15mm、より好ましくは多くとも14mmの平均幅若しくは直径Lを有し、及び/又は
静電容量センサコンポーネントによって感知されるために、弾性変形可能な領域に加えられる力Wは、少なくとも1N、好ましくは少なくとも1.5N、より好ましくは2N、最も好ましくは少なくとも2.5N、且つ/若しくは多くとも5N、好ましくは多くとも4.5N、より好ましくは多くとも4N、更により好ましくは多くとも3.5N、最も好ましくは多くとも3Nである。
【0017】
第8の態様によれば、第1~7の態様のいずれか1つの態様において、外層が、複数の弾性変形可能な領域を備え、制御ユニットが、複数の弾性変形可能な領域の下に対応して配置された複数の静電容量センサコンポーネントを備え、弾性変形可能な領域のうちの1つの中央とその隣の弾性変形可能な領域の中央との間のピッチ寸法Pが、少なくとも29mm、好ましくは少なくとも30mm、より好ましくは少なくとも31mm、最も好ましくは少なくとも32mm、且つ/又は多くとも37mm、好ましくは多くとも36mm、より好ましくは多くとも35mm、更により好ましくは多くとも34mm、最も好ましくは多くとも33mmである。
【0018】
第8の態様は、弾性変形可能な領域のうちの1つに対する操作が、その隣の弾性変形可能な領域及び静電容量センサに影響しないことを確実にする。
【0019】
第9の態様によれば、第1~8の態様のいずれか1つの態様において、静電容量センサコンポーネントが静電容量近接センサを含む。
【0020】
第10の態様によれば、第1~9の態様のいずれか1つの態様において、制御ユニットが、プリント回路基板上にいずれも配置されたスイッチングモジュールと操作モジュールとを備え、スイッチングモジュールが、静電容量センサコンポーネント及び操作モジュールと電子的に結合され、操作モジュールが、少なくとも、静電容量センサコンポーネントによる外層と静電容量センサコンポーネントとの間の静電容量の変化の感知に応じてスイッチングモジュールを操作するように構成される。
【0021】
第11の態様によれば、第1~10の態様のいずれか1つの態様において、弾性変形可能な領域の外層の、好ましくは中央の撓みが所定の範囲内にあることを静電容量センサコンポーネントが感知したときに、スイッチングモジュールのスイッチをオンにするように、静電容量センサコンポーネントが構成される。
【0022】
第12の態様によれば、第1~11の態様のいずれか1つの態様において、外層が、弾性変形可能な領域及びその周囲を包囲するシームレスな表面を有する。
【0023】
第13の態様によれば、第1~12の態様のいずれか1つの態様において、シームレスな表面が、外層の表面の少なくとも50%、好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも80%、更により好ましくは少なくとも90%、また更により好ましくは少なくとも95%、最も好ましくは100%に対応する。
【0024】
第14の態様によれば、第1~12の態様のいずれか1つの態様において、ハウジングがユニボディハウジングである。
【0025】
第15の態様によれば、第14の態様において、ユニボディハウジングが細長い形状を有し、ユニボディハウジングがその長手方向軸線を中心とした周面全体にわたってシームレスであり、且つ/又はユニボディハウジングの長手方向の一端に開口部がある状態で完全にシームレスである。
【0026】
第15の態様における構成は、デバイスハウジングの一体性及びシームレス性を改善する。
【0027】
本発明の第16の態様は、第1~15の実施形態のいずれか1つに記載のエアロゾル発生デバイス(100)の製造方法であって、
深絞り加工プロセス又は押し出しプロセスによる外層を有するハウジングを形成するステップと、
外層と制御ユニットが備える静電容量センサコンポーネントとの間に空間がある状態で、外層の下に制御ユニットを固定するステップと
を含む、製造方法である。
【0028】
第16の態様による製造方法が、エアロゾル発生デバイスが高度に一体化されたシームレスな外面を有することを可能にする。
【0029】
第17の態様によれば、第16の態様の製造方法が、
制御ユニットが備えるプリント回路基板をエアロゾル発生デバイスが備える内側シャーシのスロットに固定すること(keying)によって、又はプリント回路基板と外層とをスペーシング要素によって結合することによって、外層の下に制御ユニットを固定するステップ
を含む。
【0030】
ここで、添付の図面を参照しながら、あくまで例として好ましい実施形態を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1A-1C】本発明の実施形態によるエアロゾル発生デバイスの概略的な側面図、分解図、及び横断面図をそれぞれ示す。
図2A-2C】本発明の実施形態によるエアロゾル発生デバイスの制御ユニット及び外層の一部分の概略的な回路図、分解図、及び断面図をそれぞれ示す。
図3A-3C】本発明の実施形態によるエアロゾル発生デバイスの制御ユニット及び外層の一部分の概略的な断面の概略図をそれぞれ示す。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本発明の説明において、向き又は位置関係を指示する、「一端」、「他端」、「外側」、「上」、「上方」、「内側」、「下」、「下方」、「水平」、「同軸」、「中央」、「端」、「部分」、「長さ」、「外端」などの用語は、図面に示す向き又は位置関係に基づいていることを理解されたい。空間内の相対位置を示すために本発明で使用される「上」、「上方」、「下方」、「下」などの用語は、別のユニット又は特徴の関係と比較して図面に示したユニット又は特徴を説明するために、解説を容易にする目的で使用される。空間内の相対位置の用語は、図面に示したもの以外の使用中又は操作中のデバイスの様々な向きを含むことを意図している場合がある。例えば、図中のデバイスが裏返されている場合、他のユニット又は特徴の「下方」又は「下」にあると説明されたユニットは、他のユニット又は特徴の「上方」にあることになる。したがって、例示的な用語「下方」は、上方及び下方の両方の向きを含むことができる。デバイスは、(90度回転される又は他の向きで)他の仕方で方向づけることができ、本明細書で使用される空間関連の記述語は、それに応じて解説される。より具体的には、「上方」という語は、1つのユニット、層、又は要素が、他のユニット、層、又は要素に向かって、デバイスの外部方向(位置)に相対的に配置又は構成されることを意味し、「下方」という語は、1つのユニット、層、又は要素が、他のユニット、層、又は要素に向かってデバイスの内部方向(位置)に相対的に配置又は構成されることを意味する。
【0033】
図1Aに示すように、エアロゾル発生デバイス100は、デバイスハウジング200を備えるポータブルデバイスである。デバイスハウジング200は、ユーザが消費するためのエアロゾルを発生させるためのエアロゾル発生ユニットを収容するように構成される。デバイスハウジング200は、一体で作られ、ユニボディ又はモノブロックの本体を有し、成形の方法、好ましくは深絞り加工プロセス又は押し出しプロセスによって製造される。また、当業者に既知のユニボディ又はモノブロックのハウジングを製造する他の仕方が用いられてもよい。ユニボディは、導電性材料、好ましくは軟鋼若しくはステンレス鋼などの金属、より好ましくはアルミニウム、最も好ましくはアルミニウムAl 1017を含む、又は好ましくは導電性材料、好ましくは軟鋼若しくはステンレス鋼などの金属、より好ましくはアルミニウム、最も好ましくはアルミニウムAl 1017で作られる。金属オーバーレイは、制御ユニットに高い耐ノイズ性能をもたらす。本実施形態では、デバイスハウジング200、具体的にはデバイスハウジング200の外側金属オーバーレイ210は、デバイスの目に見える外側ハウジング全体を形成し、換言すれば、デバイスハウジング200は、デバイス100の外側ハウジングの100%に対応する。完全にシームレスな外面を有する外層210は、ハウジング200の長手方向軸方向の上端にのみ、エアロゾル発生ユニット120を受け入れるための開口部を有し、下端に半球面を有する。開口部の仮想面は長手方向軸295に垂直である。下端が半球面であることが好ましく、それは、下端の半球面が、深絞り加工プロセス又は押し出しプロセスによって容易に作られ、ユーザがデバイスをテーブルなどの平らな表面に直立させて置く(このことは、デバイス100の望ましくない落下を引き起こし得る)ことを防ぐためである。或いは、下端は一体化された平坦面(図示せず)を有してもよい。
【0034】
図1Bは、本発明の別の実施形態によるエアロゾル発生デバイス100の部分分解図を示している。ユニボディハウジングは、基材120の挿入方向I(細長い形状の長手方向)に平行であり、且つその実質的に中心位置にある、エアロゾル発生デバイス100の長手方向軸295(破線で示す)を中心とした周面全体にわたってシームレスであり、2つの開口部を有するシームレス金属スリーブを形成する。別個の底部キャップ290が、好ましくは底部キャップにある接着剤又はねじなどの締結手段を用いて、ハウジング200に取り付けられる。デバイス100の内部部分は、製造の際にユニボディハウジング200に挿入又は固定される。
【0035】
図示していない他の実施形態では、シームレスデバイスハウジング200は、エアロゾル発生デバイス100の外側ケーシングの実質的に大部分に対応し得る。例えば、上部カバー又はキャップが、エアロゾル発生デバイス200の外側ケーシング全体を形成するシームレスデバイスハウジング200にヒンジで固定されてもよい。具体的には、シームレスデバイスハウジング200は、エアロゾル発生デバイス100の外側から見た場合に外側ケーシング全体の少なくとも50%、好ましくは少なくとも60%、より好ましくは少なくとも70%、更により好ましくは少なくとも80%、また更により好ましくは少なくとも90%、最も好ましくは少なくとも95%に対応し得る。更に別の実施形態では、デバイスハウジング200は複数の部分で組み立てられてもよく、これらの部分のうちの1つが、制御ユニット300の上方に配置されたシームレスな表面を有する。
【0036】
エアロゾル発生ユニットは、エアロゾル発生基材を含む消耗品120を加熱するように構成された加熱ユニット110を備える。加熱ユニット110は、エアロゾル発生デバイス100の上端に配置され、エアロゾル発生デバイス100と接続される。エアロゾル発生デバイス100はまた、交換可能及び/又は再充電可能な電源であり得る電源を含み、追加的に、再充電可能な電源を充電するための充電ポート又はデータ伝送線として機能するUSBポートと、オペレータ/CPU 130とを備え得る。電源は、バッテリ通気孔とバッテリ通気孔カバーとを備え得るバッテリであってもよい。電源は、加熱ユニット110及びエアロゾル発生デバイス100の他の電気要素に電力を供給し、且つ電気的に接続するように構成される。
【0037】
エアロゾル発生デバイス100は、エアロゾル発生デバイス100を保持するときのユーザの快適さを改善するために細長い形状を有し得る。エアロゾル発生デバイス100の長手方向は、エアロゾル発生デバイス100が細長く延びる方向であり、且つ消耗品120が挿入される挿入方向Iである。エアロゾル発生デバイス100の長手方向の広がりは、エアロゾル発生デバイス100の長さDLに対応し、エアロゾル発生デバイス100の長手方向は、エアロゾル発生デバイス100の長さ方向に対応する。エアロゾル発生デバイス100は、エアロゾル発生デバイス100の長手方向に対して直角をなす横断平面内に存在する横断面を有する。エアロゾル発生デバイス100の横断断面は、一般に、任意の適切な形状の断面であり得るが、好ましくは矩形、正方形、円形、又は楕円形の形状の断面である。断面の長手方向は、エアロゾル発生デバイス100の第1の横断又は半径方向であり、断面が延び得る方向に対応する。断面の第1の横断方向又は半径方向の広がりは、エアロゾル発生デバイス100の幅DWに対応し、エアロゾル発生デバイス100の第1の横断方向又は半径方向は、エアロゾル発生デバイス100の幅方向に対応する。エアロゾル発生デバイス100の長さ方向及び幅方向に垂直な方向は、エアロゾル発生デバイス100の第2の横断方向又は半径方向である。断面の第2の横断方向又は半径方向の広がりは、エアロゾル発生デバイス100の高さDHに対応し、第2の横断方向又は半径方向は、エアロゾル発生デバイス100の高さ方向に対応する。円形の断面の場合、幅方向及び高さ方向は、互いに垂直である限り、任意に選択され得る。正方形の断面の場合、幅方向は、正方形の対向する2辺間の直線距離方向に対応し、高さ方向は、断面の面内で幅方向に垂直な方向に対応する。本実施形態では、エアロゾル発生デバイス100の長さDLは約100mmであり、エアロゾル発生デバイス100の幅DWは約20mmであり、エアロゾル発生デバイス100の高さDHは約15mmである。
【0038】
エアロゾル発生デバイス100は、電子たばこであってもよく、Eベイパー(e-vapor)又はたばこベイパー(t-vapor)エアロゾル発生基材からエアロゾルを発生させるように構成されてもよい。例えば、図1A及び図1Bに示すように、加熱ユニット110のレセプタクル150は、液体などのエアロゾル発生基材を収容しているカートリッジ120を受け入れるために構成されてもよく、加熱ユニット110は、芯材要素及び芯材要素を加熱するために構成された加熱要素を含んでもよい。エアロゾル発生基材に応じて、加熱ユニット110は、エアロゾルを発生させるために、エアロゾル発生基材を最高350℃までの温度に加熱するように加熱する又は電力を供給することができる。エアロゾル発生デバイスは、空気入口からエアロゾル発生ユニットを経由して空気出口まで延びる空気流路を備える。ユーザが、発生したエアロゾルを吸入することによって消耗品を消費するとき、空気は、空気入口に入り、エアロゾル発生基材を加熱することによって加熱ユニットによってエアロゾルが発生するエアロゾル発生ユニットに流れ、発生したエアロゾルをマウスピースなどの空気出口に輸送する。或いは、加熱ユニット110のレセプタクル150は、ニコチンなどの基材を有するたばこスティック又は類似の消耗品120を受け入れるように構成されてもよい。加熱要素は、レセプタクル150及びレセプタクル内に受け入れられたたばこスティックを加熱するように構成され得る。
【0039】
図1A及び図1Bに示すように、デバイスハウジング200の外層のうち、エアロゾル発生デバイス100を使用する際にユーザが指で容易に到達し得る部分に操作インターフェース部分250(破線円)が設けられてもよい。操作インターフェース部分250は、ボタンの場所及び/又は機能を示すように、パターン、グラフィック、又はシンボルを印刷、シルクスクリーン、又はエッチングされ得る。
【0040】
図1Cは、図1Bのエアロゾル発生デバイス100の線A-A横断面図を示しており、制御ユニット300が、操作インターフェース部分250の下(図1Cのエアロゾル発生デバイス100の背面)に構成される。操作インターフェース部分250は、制御ユニット300と共に、エアロゾル発生デバイス100に操作入力を提供するためにユーザによって作動され得る。制御ユニット300は、プリント回路基板310、好ましくはフレキシブルプリント回路基板と、少なくとも1つの静電容量センサ320、好ましくは静電容量近接センサとを備える。静電容量センサコンポーネント320は、他の電子コンポーネント、例えばオペレータ又はCPU 130と共にプリント回路基板310上に配置される。プリント回路基板310は、プリント回路基板310のための支持構造体220を形成する内側シャーシ240に、プリント回路基板310がハウジング200の外層210から間隔を空けて配置されるように固定して配置される。したがって、感知空間230が、内側シャーシ240及びプリント回路基板310によって画定される。感知空間230は、デバイスハウジング200からエッチングされ、回路基板310上に配置されたセンサ320と実質的に同じサイズ及び形状を有する中空によって部分的に画定され得る。センサ320にしっかりと取り付けられて同一平面上にされるプラスチック又はガラスのような非導電性の表面を通常有する従来の静電容量センサ構成とは異なり、本発明では、空間又は空隙、すなわち感知空間230が、外層210と静電容量センサ320との間に構成される。
【0041】
図2Aに示す回路概略図は、本発明の制御ユニット300の動作理論を示している。導電性の外層210及び静電容量センサ320は、2つの平行蓄電板を形成する。静電容量センサ320は、静電容量センサ320の上方に吊り下げられた2つの平行蓄電板間の変化を測定する。ユーザは、自らの指を用いて金属外層210に力を加えることができ、これにより金属外層210がわずかに局所的に機械的に変形する。2つの平行蓄電板間の距離、すなわち導電性の外層210と静電容量センサ320との間の距離が変化する。静電容量センサ320は、距離の変化による静電容量の変化を感知する。このような構成を機能的にし、伝わってくるノイズに影響されないようにするために、金属外層210は図のように接地されるべきである。次いで、変化した静電容量の感知された値は、変化する値が制御ユニット300に備わるストレージユニットに記憶された所定の範囲内にあるか否かをチェックするために、静電容量センサ320に電子的に接続されているオペレータ130に転送される。「範囲内にある」場合、制御ユニット300に備わるスイッチをオンにして、エアロゾル発生デバイス100のヒータ110を作動させたり、エアロゾル発生デバイス100の設定を変更したり、デバイス100に様々なコマンドを入力したりすることができる。
【0042】
従来の静電容量センサの構成では、ユーザの指が平行蓄電板のうちの一方に対応する。したがって、通常、プラスチック又はガラスなどの非導電性の外層が使用される。しかしながら、これらの非導電性材料は、通常、環境に優しくなく、良好な耐引っ掻き性能も持たない。静電容量センシングの高感度を維持したままで、金属の外層及び表面が、デバイスの外側ハウジング200の耐引っ掻き性能を改善する。金属はまた、頑丈な外観で形状を形成するのが容易である。その上、ユーザは、冬にボタンを操作するのに手袋を外さなくてもよく、不用意に表面に触れて誤操作する心配もない。
【0043】
図2Bは、デバイスハウジング200及び制御ユニット300の部分分解図を示している。制御ユニット300、具体的には静電容量センサ320は、デバイスハウジング200、具体的には外層210からスペーサ240を用いて間隔を空けて配置される。スペーサ240は、エアロゾル発生デバイス200の内側シャーシの一部であってもよい。内側シャーシは、図1Cに示す外側ハウジング200と一体化されてもよいし、又は製造の際にハウジング200に挿入される別個の部分であってもよい。スペーサ240はまた、開口部を有する板であってもよく、好ましくは、静電容量センサ320と整列する開口部又は切り欠きを有する絶縁板であってもよい。プリント回路基板310とハウジング200とは、例えば非弾性接着剤でスペーサ240と接着され、したがってスペーサ240を挟み込む。スペーサ240の開口部は、外側ハウジング200と静電容量センサ320との間に感知空間を部分的に形成し、画定する。静電容量センサ320の上方、且つ外側ハウジング200には、弾性変形可能な領域250が配置される。弾性変形可能な領域250の弾性特性は、外側ハウジング200の材料の特性であってもよいし、外層210上のパターン又はグラフィック250を有するエッチング210によって強化されてもよい。好ましくは、弾性変形可能な領域250は、ユーザのタッチをより正確に感知するために、静電容量センサ320の真上に配置される。弾性変形可能な領域250からのユーザ入力を検出するように構成された静電容量タッチセンサ320は、PCBAに電子的に接続される。PCBAは、外側ハウジング200の下方で外側ハウジング200に平行に延びるフレキシブルプリント回路310と、電気ラインと、他の電気コンポーネント(図示せず)とを備える。本実施形態では、静電容量センサ及びそれに対応する弾性変形可能な領域250は、弾性変形可能な領域250と略同じサイズ又はわずかに大きいサイズの円形の形状、及び感知空間の幅寸法を有する。
【0044】
図2Cは、エアロゾル発生デバイス1の部分拡大断面図を、外層210、スペーサ240、プリント回路基板310を有する制御ユニット300、及び静電容量センサ320の詳細と共に示している。ユーザは、外層210に指で触れて、静電容量センサ320の静電容量感知領域の上方にある弾性変形可能な領域250に約2.5Nの力Wを加え、弾性変形可能な領域250の略中央(破線)で約9.6μmの弾性変形Dを引き起こすことができる。約2.5Nの力Wが弾性変形可能な領域250に加えられると、垂直構造におけるわずかな変形V(弾性変形可能な領域250の中央に向かって、換言すれば、垂直構造におけるわずかな変形Vは、弾性変形可能な領域250がPCB上の感知領域L1に向かって撓むことを意味する)がもたらされ、センサ上の9.6μmの変形が確実に維持される。この長さの変化は、静電容量の変化を検出するのに十分であり、また、力を取り除いたときに元の形状に戻ることを確保するために、外側ハウジング200の弾性変形可能な領域250の範囲内である。一時的な形状変化は、力が取り除かれると自ら反転し、外層210は元の形状に戻る。弾性変形は、低応力時の材料の形状の変化であり、形状が、上述の金属材料の高い降伏強度のおかげで、応力が取り除かれた後に回復可能である。
【0045】
本発明の機械設計を実現するためには、次式を満たす必要がある。
Lは、mmの単位の感知空間230の平均幅及び/若しくは直径又は弾性変形可能な領域250の寸法(幅/直径)であり、好ましくは、円形又は正方形などの形状を有するセンサの電極が、感知空間と実質的に同じ寸法を有し、本実施形態では、弾性変形可能な領域の寸法(幅/直径)と感知空間のL1とは極めて密に一致し、つまり、実質的に同一であり、Tは、mmの単位の外層210の厚さであり、Iは、mmの単位の弾性変形可能な領域250における外層210の断面二次モーメントであり、Wは、N(ニュートン)の単位の弾性変形可能な領域250に加えられる力であり、K1は、弾性変形可能な領域250における外層210のエッチングファクタであり、Eは、外層210のヤング率であり、Dは、μmの単位の加えられる力に起因する外層210の撓みである。具体的には、外層210と静電容量センサコンポーネント320との間の感知空間230の平均高さHが、少なくとも16μm、好ましくは少なくとも17μm、より好ましくは少なくとも18μm、更により好ましくは少なくとも19μm、最も好ましくは少なくとも20μm、且つ/若しくは多くとも25μm、好ましくは多くとも24μm、より好ましくは多くとも23μm、更により好ましくは多くとも22μm、最も好ましくは多くとも21μmである。弾性変形可能な領域250の外層210の、好ましくは中央での撓みDが、少なくとも4μm、好ましくは少なくとも5μm、最も好ましくは少なくとも6μm、且つ/若しくは多くとも11μm、好ましくは多くとも10μm、より好ましくは多くとも8μm、最も好ましくは多くとも7μmである。外層210は、少なくとも0.3mm、好ましくは少なくとも0.4mm、最も好ましくは少なくとも0.5mm、且つ/又は多くとも0.7mm、好ましくは多くとも0.6mmの平均厚さTを有する。感知空間230は、少なくとも11mm、好ましくは少なくとも12mm、最も好ましくは少なくとも13mm、且つ/又は多くとも16mm、好ましくは多くとも15mm、より好ましくは多くとも14mmの平均幅又は直径Lを有する。静電容量センサコンポーネント320によって感知されるために、弾性変形可能な領域250に加えられる力Wは、少なくとも1N、好ましくは少なくとも1.5N、より好ましくは少なくとも2N、最も好ましくは少なくとも2.5N、且つ/又は、多くとも5N、好ましくは多くとも4.5N、より好ましくは多くとも4N、更に好ましくは多くとも3.5N、最も好ましくは多くとも3Nである。ヤング率Eについては、外側ハウジング200がステンレス鋼で作られる場合、ヤング率Eは約2.0×1011、外側ハウジング200がアルミニウムで作られる場合、ヤング率Eは約7.0×1010、外側ハウジング200が軟鋼製で作られる場合、ヤング率Eは約2.1×1011である。エッチングファクタK1について、皮膜厚さが約33%であり、且つ弾性変形可能な領域250にスパイラルエッチングがある場合、エッチングファクタK1は3.370であり、弾性変形可能な領域250にシャワーヘッドエッチングがある場合、エッチングファクタK1は22.000であり、弾性変形可能な領域250にパターンエッチングがある場合、エッチングファクタK1は3.550であり、弾性変形可能な領域250にエッチングがない場合、エッチングファクタのK1は1.225である。
【0046】
上記の数学的モデルにおいて、弾性変形可能な領域の撓みの特性又は弾性変形可能な領域に加えられるモーメントによって生じる応力(断面二次モーメント(second area moment)又は断面二次モーメント(area moment of inertia))は、感知空間の幅寸法Lと外層210の厚さTの3乗との積に関係する。外層の撓みと、弾性変形可能な領域の断面二次モーメントと、外層の材料のヤング率との積は、感知空間の幅寸法Lの3乗と、外層に加わる力Wと、エッチングファクタK1との積に関係する。
【0047】
図3Aは本発明の別の実施形態を示している。静電容量センサコンポーネント320の感知領域L1は、金属シャーシ240の弾性変形可能な領域250から約20μmに配置され、プリント回路基板310は、筐体の垂直部分のスロット242に固定される。弾性変形可能な領域250に2.5Nの力が加わると、垂直構造に約0.13ピコメートルの変形が生じ、センサの9.6μmの変形が維持される。
【0048】
本実施形態のエアロゾル発生デバイスを製造するためには、ハウジング200を成形する必要があり、ハウジング200の一体的でシームレスな外観のために、好ましくは深絞り加工プロセス又は押し出しプロセスによって製造される。好ましい実施形態では、センサ320を備えたプリント回路基板310のためのスロット242を有する内側シャーシ240は、深絞り加工プロセス又は押し出しプロセスによってハウジング200と共に一体化されて形成され得る。他の実施形態では、内側シャーシはハウジング200から分離され、製造の際にモノブロックハウジング200に挿入され締結される。センサ320を備えたプリント回路基板310は、内側シャーシをハウジング200に固定する前又は後に、外層210の下に配置され、外層210から間隔を空けて配置されるように、スロット242に固定又は挿入される。
【0049】
図3Bは本発明の更に別の実施形態を示している。プリント回路基板310の感知領域L1は、金属筐体の弾性変形可能な領域250から約20μmに配置され、プリント回路基板310は、筐体内でプリント回路基板310の支持構造体を形成するポリカーボネートシャーシの間に挟み込まれる。ポリカーボネートシャーシは、整形しやすいため、様々な制御ユニットのためにカスタマイズしやすい。ポリカーボネートシャーシはまた、圧縮を防止するのに十分に硬質であり、これにより、センサの望ましくない機能不全を避けるために、PCB 310及びハウジング200を絶縁することが可能になる。本実施形態では、弾性変形可能な領域250に2.5Nの力が加わると、垂直構造、主にポリカーボネートシャーシに約875ピコメートルの変形が生じ、センサの9.6μmの変形が確実に維持される。
【0050】
本発明のいくつかの実施形態によれば、複数の制御ユニット300がエアロゾル発生デバイス100に構成される。図3Cに示すように、外層210が、複数の弾性変形可能な領域250を備え、制御ユニット300が、複数の弾性変形可能な領域250の下に対応して配置された複数の静電容量センサコンポーネント320を備え、弾性変形可能な領域250のうちの1つの中央とその隣の弾性変形可能な領域250の中央との間のピッチ寸法Pが、少なくとも29mm、好ましくは少なくとも30mm、より好ましくは31mm、最も好ましくは少なくとも32mm、且つ/又は多くとも37mm、好ましくは多くとも36mm、より好ましくは多くとも35mm、更により好ましくは多くとも34mm、最も好ましくは多くとも33mmである。
図1A
図1B
図1C
図2A
図2B
図2C
図3A
図3B
図3C
【国際調査報告】