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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-13
(54)【発明の名称】マイクロニードルアプリケータ
(51)【国際特許分類】
   A61M 37/00 20060101AFI20240205BHJP
   A61H 23/02 20060101ALI20240205BHJP
【FI】
A61M37/00 510
A61H23/02 330
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2023546215
(86)(22)【出願日】2022-02-07
(85)【翻訳文提出日】2023-08-30
(86)【国際出願番号】 FR2022050225
(87)【国際公開番号】W WO2022171953
(87)【国際公開日】2022-08-18
(31)【優先権主張番号】2101225
(32)【優先日】2021-02-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】502343252
【氏名又は名称】アプター フランス エスアーエス
【氏名又は名称原語表記】APTAR FRANCE SAS
【住所又は居所原語表記】Lieu-dit Le Prieure,27110 Le Neubourg,France
(74)【代理人】
【識別番号】110001900
【氏名又は名称】弁理士法人 ナカジマ知的財産綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】ビゼー, ブルーノ
(72)【発明者】
【氏名】シャマランデ, ヴィンセント
【テーマコード(参考)】
4C074
4C267
【Fターム(参考)】
4C074AA03
4C074AA04
4C074AA05
4C074BB01
4C074BB05
4C074CC01
4C074DD03
4C074EE01
4C074EE04
4C074EE10
4C074FF01
4C074FF10
4C074GG01
4C074HH04
4C267AA71
4C267BB02
4C267BB03
4C267BB04
4C267BB09
4C267BB11
4C267BB12
4C267BB19
4C267BB20
4C267BB23
4C267BB31
4C267BB39
4C267BB40
4C267BB42
4C267CC01
4C267CC05
4C267HH08
(57)【要約】
マイクロニードルアプリケータであって、流体製品出口(C110)と複数のマイクロニードル(C111)が設けられた塗布面(C11)と、前記マイクロニードル(C111)を振動させるためのモーター(M1)と、前記流体製品出口(C110)に接続された容器(C13)と、前記容器(C13)から前記流体製品出口(C110)に流体製品を送る作動部材(I11)と、を備え、さらに、軸方向に相互に接続されたモーターモジュール(M)とカートリッジモジュール(C1)と中間モジュール(I1)とを含み、前記モーターモジュール(M)は、モーター(M1)を収容し、前記カートリッジモジュール(C1)は、前記流体製品容器(C13)を収容し、前記塗布面(C11)を形成しており、前記中間モジュール(I1)は、前記モーターモジュール(M)と前記カートリッジモジュール(C1)に接続されており、前記作動部材(I11)と、前記モーター(M1)によって生成される振動を前記マイクロニードル(C111)に伝達するための伝達手段(I15)と、を備えることを特徴とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体製品を皮膚に塗布して、皮膚に浸透させるためのマイクロニードルアプリケータであって、
少なくとも一つの流体製品出口(C110;C210;C310)と複数のマイクロニードル(C111;C211;C311)が設けられた塗布面(C11;C21;C31)と、
前記マイクロニードル(C111;C211;C311)を振動させるためのモーター(M1)と、
前記流体製品出口(C110;C210;C310)に接続された少なくとも一つの流体製品容器(C13;C24;C34)と、
前記流体製品容器(C13;C24;C34)から前記流体製品出口(C110;C210;C310)に前記流体製品を送る作動部材(I11;I21;I31)と、
を備え、
さらに、当該マイクロニードルアプリケータの長手方向軸Xの軸方向に相互に接続されたモーターモジュール(M)とカートリッジモジュール(C1;C2;C3)と中間モジュール(I1;I2;I3)とを含み、
前記モーターモジュール(M)は、前記モーター(M1)および当該モーター(M1)を作動させるための部品を収容し、
前記カートリッジモジュール(C1;C2;C3)は、少なくとも一つの前記流体製品容器(C13;C24;C34)を収容し、前記塗布面(C11;C21;C31)を形成しており、
前記中間モジュール(I1;I2;I3)は、
前記モーターモジュール(M)に接続されるとともに、前記カートリッジモジュール(C1;C2;C3)に取り外し可能に接続されており、
前記作動部材(I11;I21;I31)と、
前記モーターモジュール(M)の前記モーター(M1)によって生成される振動を前記カートリッジモジュール(C1;C2;C3)の前記マイクロニードル(C111;C211;C311)に伝達するための伝達手段(I15;I25)と、を備える
ことを特徴とするマイクロニードルアプリケータ。
【請求項2】
前記中間モジュール(I1;I2;I3)が前記モーターモジュール(M)に取り外し可能に接続される
ことを特徴とする請求項1に記載のマイクロニードルアプリケータ。
【請求項3】
前記流体製品容器(C13;C24;C34)は可変容積を有し、前記作動部材(I11;I21;I31)の移動により前記流体製品容器(C13;C24;C34)の容積が減少し、前記流体製品容器(C13;C24;C34)の内容物の少なくとも一部が前記流体製品出口(C110;C210;C310)に送られる
ことを特徴とする請求項1または2に記載のマイクロニードルアプリケータ。
【請求項4】
前記流体製品容器(C13;C24;C34)は、可動または変形可能な壁(C14)を備え、前記壁(C14)は、前記作動部材(I11;I21;I31)の作動に応じて、前記長手方向軸Xに沿ってまたは前記長手方向軸Xを横切る方向に動かされる
ことを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載のマイクロニードルアプリケータ。
【請求項5】
親指と中指との間で保持しつつ人差し指によって前記作動部材(I11;I21;I31)を操作するのに適している、一般的なペン形状を有する
ことを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載のマイクロニードルアプリケータ。
【請求項6】
前記カートリッジモジュール(C1;C2;C3)は、ねじ込みまたは差込みなどの軸方向の動きと回転方向の動きを組み合わせた連結によって前記中間モジュール(I1;I2;I3)に取り外し可能に接続される
ことを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載のマイクロニードルアプリケータ。
【請求項7】
前記作動部材(I11)は、作動ロッド(I12)を軸方向に移動させる横方向の押しボタンを備え、当該作動ロッド(I12)が前記流体製品容器(C13)に漸進的に作用して、流体製品用量を連続的に前記流体製品出口(C110)に送る
ことを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載のマイクロニードルアプリケータ。
【請求項8】
前記作動ロッド(I12)は、リターンバネ(I124)に抗して開始位置からいくつかの連続した前進位置まで軸方向に移動することができ、その際、キャッチ装置(I13)によって後方への戻りが防止され、所定の位置でロックされる
ことを特徴とする請求項7に記載のマイクロニードルアプリケータ。
【請求項9】
前記キャッチ装置(I13)には、当該キャッチ装置(I13)が前記作動ロッド(I12)を解放することを可能にする係合解除手段(I14;I14´;I14´´)が設けられており、この解放により、前記作動ロッド(I12)が前記開始位置に弾性的に戻る
ことを特徴とする請求項8に記載のマイクロニードルアプリケータ。
【請求項10】
前記係合解除手段(I14´;I14´´)は、前記中間モジュール(I1)への前記カートリッジモジュール(CI)の接続によって強制的に非解除状態にされ、前記カートリッジモジュール(CI)の分離によって弾性的に係合解除状態にされ、
前記係合解除手段(I14´;I14´´)は、有利には、前記カートリッジモジュール(C1)によって形成されたカム(C151;C152;C16)によって、係合解除状態に対応する自由状態から、非解除状態に対応する拘束状態に移ることができ、前記カム(C151;C152;C16)との係合が解除されるとすぐに、リターンバネによって拘束状態から自由状態に移ることができる係合部材(I143´;I143´´)を備える
ことを特徴とする請求項9に記載のマイクロニードルアプリケータ。
【請求項11】
前記カートリッジモジュール(C2;C3)は、いくつかの流体製品容器(C24;C34)を支持する回転シリンダー(C23;C33)を備え、当該回転シリンダーは、これらの流体製品容器を順番に空にされる位置に持ってくることができ、
前記中間モジュール(I2;I3)は、その空にされる位置にある流体製品容器に作用してその内容物を前記流体製品出口(C210;C310)に送る作動部材(I21;I31)を備える
ことを特徴とする請求項1または2に記載のマイクロニードルアプリケータ。
【請求項12】
前記作動部材(I21)は、作動ロッド(I22)をリターンバネ(I224)に抗して開始位置から前記流体製品容器(C24)が最大空になる位置に対応する伸張位置まで軸方向に移動させる
ことを特徴とする請求項11に記載のマイクロニードルアプリケータ。
【請求項13】
前記作動部材(I31)は、前記回転シリンダー(C33)の横方向窓(C333)を介して前記流体製品容器(C34)に直接作用する。
ことを特徴とする請求項12に記載のマイクロニードルアプリケータ。
【請求項14】
前記中間モジュール(I3)は、前記カートリッジモジュール(C3)の前記回転シリンダー(C33)を回転させるための作動手段(I34)を備える
ことを特徴とする請求項13に記載のマイクロニードルアプリケータ。
【請求項15】
前記カートリッジモジュール(C3)の前記塗布面(C31)は、前記中間モジュール(I3)によって回転がロックされ、各流体製品容器(C34)は、前記塗布面(C31)と一体の開口部材(C301)によって当該容器が前記空にされる位置に到達する前に除去される除去可能な閉鎖部材(C341)を備える
ことを特徴とする請求項13または14に記載のマイクロニードルアプリケータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体製品を皮膚に塗布し、塗布した流体製品を表皮の上層に浸透させるためのマイクロニードルアプリケータに関する。本発明の適用分野は化粧品の分野であり、入れ墨の分野ではない。その目的は、皮膚の美容処置の有効性を強化することであり、皮膚を着色することではない。
【背景技術】
【0002】
従来、このタイプの化粧品アプリケータは、少なくとも1つの流体製品出口と複数のマイクロニードルとが設けられた塗布面を備えている。マイクロニードルを個別にまたは塗布面と一緒に振動させるのに、モーター、多くの場合は電動のモーターが使用されている。流体製品出口には、流体製品容器が接続される。流体製品容器は、アプリケータと一体であっても一体でなくても良い。一体化されると、その充填または交換の問題が生じる。アプリケータは、容器を取り外し可能にしたり、容器にアクセスするための窓を備えたりすることができる。
【0003】
一方、流体製品容器から流体製品出口まで流体製品を搬送するための作動部材も設けられている。この作動部材は、多くの場合、モーターをも制御する構成要素になり、従って、マイクロニードルを振動させることと、流体製品を容器から塗布面に送るという二つの機能を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許出願公開第2018/280675号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、簡単で直観的な使用で流体製品の吐出を行え、設計および使用の両方でちょうど良い、非常にシンプルなアプリケータを提案することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、本発明に係るアプリケータは、流体製品を皮膚に塗布して、皮膚に浸透させるためのマイクロニードルアプリケータであって、少なくとも一つの流体製品出口と複数のマイクロニードルが設けられた塗布面と、前記マイクロニードルを振動させるためのモーターと、前記流体製品出口に接続された少なくとも一つの流体製品容器と、前記流体製品容器から前記流体製品出口に前記流体製品を送る作動部材と、を備え、さらに、当該マイクロニードルアプリケータの長手方向軸の軸方向に相互に接続されたモーターモジュールとカートリッジモジュールと中間モジュールとを含み、前記モーターモジュールは、前記モーターおよび当該モーターを作動させるための部品を収容し、前記カートリッジモジュールは、前記流体製品容器を収容し、前記塗布面を形成しており、前記中間モジュールは、前記モーターモジュールに接続されるとともに、前記カートリッジモジュールに取り外し可能に接続されており、前記作動部材と、前記モーターモジュールの前記モーターによって生成される振動を前記カートリッジモジュールの前記マイクロニードルに伝達するための伝達手段と、を備えることを特徴とする。
【0007】
このように流体製品の吐出は、中間モジュールの作動部材を指で操作するユーザーによって手動で管理される。したがって、カートリッジモジュールは、電気または電子部品を含まず、機械的な部材もほとんど含まないため、技術的に非常にシンプルであることが理解される。カートリッジモジュールは、安価で交換可能なカートリッジまたは再充填品を構成し、中間モジュールに対してユーザーが簡単に分離して接続できる。
【0008】
また、中間モジュールは、主に機械的伝達手段、すなわち振動伝達手段と、作動部材の動きを流体製品容器への推力に変換する推力伝達手段とを一体化しているので、比較的シンプルである。モーターモジュール自体は、そのモーター、その電源およびその制御を統合しており、そのため複雑で高価なモジュールを構成している。
【0009】
このように当該アプリケータを3つの異なるモジュール、すなわち非常にシンプルで安価で交換可能な第1のモジュール、シンプルであるが耐久性がある第2のモジュール、複雑で高価な第3のモジュールに分割し、中間モジュールを標準のモーターモジュールと特定のカートリッジモジュールに適合するように構成することにより、さまざまなモデルのカートリッジモジュールを標準のモーターモジュールに組み合わせることが可能になる。
【0010】
より具体的には、中間モジュールは、モーターモジュールからの振動をカートリッジモジュールのマイクロニードルに伝達し、カートリッジモジュールの1以上の容器内の流体製品を吐出させるように設計されている。適切な作動部材およびその可能な適切な推力伝達装置が中間モジュール内に収容されている。
【0011】
したがって、本発明に係るマイクロニードルアプリケータの構造は、消耗品の上部ステージ、技術的な下部ステージ、振動伝達および作動のための中間ステージとを備えた3段ロケットに例えることができる。
【0012】
これにより、化粧品メーカーは、モーターモジュールを気にすることなく、特定のカートリッジモジュールを選択または設計することができる。なぜなら、振動の伝達と1以上の流体製品容器の作動の管理は、モーターモジュールとその特定のカートリッジモジュールの両方に特に適合した中間モジュールが行うからである。
【0013】
中間モジュールはこのように、モジュール式インターフェースの役割を果たすことで、モーターモジュールとカートリッジモジュールとの無相関化を可能にする。これにより、モーターモジュールを標準のものを使用でき、マイクロニードルアプリケータの幅広い選択肢を低コストで提案できる。
【0014】
有利には、中間モジュールも、例えばねじ込みまたは差込み接続によってモーターモジュールに取り外し可能に接続される。取り外し可能な接続により、外部器具を介さずに取り扱い(接続と切り離し)が可能になる。
【0015】
変形例では、中間モジュールをモーターモジュールに永久的に接続して固定することも、取り外しが困難な方法で接続して固定することもできる。どちらの場合も、2つのモジュールは最初は分離されているが、いずれの場合も互いに分離できないように統合される。
【0016】
有利には、流体製品容器は可変容積を有し、作動部材の移動により流体製品容器の容積が減少し、流体製品容器の内容物の少なくとも一部が作動の度に流体製品出口に送られる。したがって、作動部材は、ポンプやモーターのような能動的な中間部材を使用せずに、流体製品容器に直接的または間接的に作用する。カートリッジモジュールは、作動の度に、完全にまたは好ましくは部分的に空にされる単一の流体製品容器を備えることができる。変形例では、カートリッジモジュールは、作動の度に(部分的にまたは好ましくは完全に)連続的に空にされるいくつか(複数)の流体製品容器を備えることができる。
【0017】
有利には、流体製品容器は、可動または変形可能な壁を備えることができ、前記壁は、作動部材の作動に応じて、長手方向軸Xに沿ってまたは長手方向軸Xを横切る方向に動かされる。
【0018】
好ましい設計によれば、マイクロニードルアプリケータは、親指と中指との間で保持しつつ人差し指によって前記作動部材を操作するのに適している、一般的なペン形状を有することができる。また、手のひらに持って親指で操作することもできる。
【0019】
本発明の別の局面によれば、カートリッジモジュールは、ねじ込みまたは差込みなどの軸方向の動きと回転方向の動きを組み合わせた接続によって中間モジュールに取り外し可能に接続することができる。
【0020】
本発明の実用的な第1の実施形態によれば、作動部材が作動ロッドを軸方向に移動させる横方向の押しボタンを備えることができ、当該作動ロッドが流体製品容器に漸進的に作用して、流体製品用量を連続的に流体製品出口に送る。
【0021】
したがって、作動部材の横方向の動きは、作動ロッドを軸方向に変位させる効果を有し、この作動ロッドは、流体製品容器の可動壁(変形可能な壁またはスクレーパピストン)に押し付けられる。各作動は、作動ロッドの限定された動きを発生させ、1回分以上、例えば4回分の用量を含むことができる流体製品容器から流体製品用量を吐出させる。作動ロッドは推力伝達機能を果たす。つまり、作動部材の横方向の推力が作動ロッドの軸方向の推力に変換される。
【0022】
有利には、作動ロッドは、リターンバネに抗して開始位置からいくつかの連続した前進位置まで軸方向に移動することができ、その際、キャッチ装置によって後方への弾性力による戻りが防止され、所定の位置でロックされる。
【0023】
好ましくは、キャッチ装置には、当該キャッチ装置が作動ロッドを解放することを可能にする係合解除手段が設けられており、この解放により、作動ロッドがその開始位置に弾性的に戻る。
【0024】
有利には、係合解除手段は、中間モジュールへのカートリッジモジュールの接続によって強制的に非解除状態にされ、カートリッジモジュールの分離によって弾性的に係合解除状態にされ、有利には、係合解除手段は、カートリッジモジュールによって形成されたカムによって、係合解除状態に対応する自由状態から、非解除状態に対応する拘束状態に移ることができ、前記カムとの係合が解除されるとすぐに、リターンバネによって拘束状態から自由状態に移ることができる係合部材を備える。
【0025】
したがって、単一の流体製品容器を使用する実施の形態では、カートリッジモジュールの中間モジュールへの接続は、係合解除手段を無力化して、カートリッジモジュールが中間モジュールから取り外されるまで作動しないままに維持する効果を有する。カートリッジモジュールが取り外されると、係合解除手段が作動ロッドのリセット機能を実行し、作動ロッドの前進位置がどの位置であっても、作動ロッドが後退した開始位置に自動的に戻る。ユーザーは、作動ロッドを開始位置に戻すための操作を行う必要がない。
【0026】
カートリッジモジュールのカムと係合解除手段の係合部材との間の係合は、この係合が錠前と鍵との間に存在するものに匹敵するため、カートリッジモジュールの真正性の機能を果たす。より一般的には、カートリッジモジュールと中間モジュールとが一緒になって、カートリッジモジュールの真正性を保証する特定の識別手段を形成しているということができる。これらの特定の識別手段は、カートリッジモジュールのカムと係合解除手段の係合部材との間の係合によって構成することができるが、これら2つのモジュール間の任意の協働的または相補的な係合によって構成することもできる。
【0027】
もちろん、係合部材およびカムがない場合、係合解除手段を作動させて作動ロッドをリセットするのはユーザー次第である。
【0028】
キャッチ装置と関連付けられ、有利には係合解除手段と関連付けられた軸方向に移動する作動ロッドは、2つのモジュール、すなわちモーター、作動部材、作動ロッド、キャッチ装置および有利には係合解除手段を一体化したモータモジュールと、すでに説明したものと同一または類似であり、その組み立てと取り外しに際して係合解除手段を無力化するまたは解放して作動するように機能できるカートリッジモジュールとの2つのみを備えるアプリケータに実装できる特性であることに留意する必要がある。
【0029】
言い換えれば、2つのモジュールのアプリケータ、さらには単一のモジュールのアプリケータでも、交換可能な流体製品容器を備えたものについては、このような特性に対して保護が求められる可能性がある。
【0030】
本発明に係る実用的な第2の実施形態によれば、カートリッジモジュールが、いくつかの流体製品容器を支持する回転シリンダーを備えることができ、当該回転シリンダーが、これらの流体製品容器を順番に空にされる位置に持ってくることができ、中間モジュールが、その空にされる位置にある流体製品容器に作用してその内容物を流体製品出口に送る横方向の押しボタンを備える。
【0031】
第1の変形例によれば、その横方向の押しボタンが、作動ロッドを、リターンバネに抗して開始位置から、流体製品容器が最大空になる位置に対応する伸張位置まで軸方向に移動させることができる。作動ロッドが推力伝達機能を果たし、その押しボタンの横方向の推力が作動ロッドの軸方向の推力に変換される。
【0032】
第2の変形例によれば、横方向の押しボタンは、回転シリンダーの横方向窓を介して流体製品容器に直接作用することができる。
【0033】
有利には、中間モジュールが、カートリッジモジュールの回転シリンダーを回転させるための作動手段を備えることができる。
【0034】
好ましくは、カートリッジモジュールの塗布面が中間モジュールによって回転がロックされることができ、各流体製品容器が塗布面と一体の開口部材によって当該容器が空にされる位置に到達する前に除去される除去可能な閉鎖部材を備えることができる。
【0035】
例えば、流体製品容器は、空にされる位置に至る直前に固定ブレードによって切断される閉鎖ヘッドを備えた、小さくて柔軟なバイアルの形で提供されることができ、その押しボタンがその空にされる位置に至った流体製品容器を圧し潰し、その流体製品容器の内容物を塗布面に送ることができる。
【0036】
横方向または軸方向の作動を伴う複数の流体製品容器を備えた回転シリンダーは、2つのモジュール、すなわち、モーターと横方向の押しボタンを一体化したモーターモジュールと、すでに説明したものと同一または類似のシリンダーを備えたカートリッジモジュールとの2つのみを備えたアプリケータに実装できる特性があることに留意する必要がある。言い換えれば、2つのモジュールのアプリケータ、さらには単一のモジュールを備えたアプリケータでも、交換可能な流体製品容器を備えたものについては、このような特性に対して保護が求められる可能性がある。
【0037】
別の態様によれば、塗布面がプレートを備えることができ、当該プレートが、マイクロニードルを備え、流体製品出口と通じる孔を有するとすることができる。流体製品出口は、塗布面の周縁部に設けることもできる。
【0038】
有利には、アプリケータは、第1のモジュール内のモーターの軸方向の位置に有利に作用して、マイクロニードルの貫入深さを調整するための手段をさらに備えることができる。実際に、化粧品、所望の処置または皮膚の品質および性質に応じて、マイクロニードルの穿刺深さを多めまたは少なめにすることが有用である場合がある。
【0039】
また、そのアプリケータは、モーターを制御するための手段を備え、各モジュールが接続されていないときに、モーターを自動的に作動しない状態にすることができる。これは、安全に使用するためのものである。
【0040】
本発明の範囲は、マイクロニードルアプリケータ装置を、標準モジュールと、特注の使い捨てモジュールと、他の2つのモジュール間の伝達を行うとともに、マイクロニードルを備える使い捨てモジュールの塗布面に向かって1以上の流体製品容器から流体製品を送り出す手段を組み込んだ中間モジュールと、を備えた3つのモジュール、ユニット、またはサブユニットに分けることにある。
【図面の簡単な説明】
【0041】
以下、非限定的な例として、本発明に係る複数の実施形態を示す添付の図面を参照して、本発明を十分に説明する。
図1】本発明に係る第1実施形態におけるマイクロニードルアプリケータの一部を透過した部分を含む概略斜視図である。
図2図1に示すアプリケータの軸方向垂直横断面図である。
図3図2に示すアプリケータが分解された状態を示す軸方向垂直横断面図である。
図4】当該アプリケータが既に作動されている状態を示す軸方向垂直横断面図である。
図5】当該アプリケータにおいて係合が解除された状態を示す軸方向垂直横断面図である。
図6】(a)と(b)は、係合解除手段およびその作動の一実施形態を示すことを目的とした非常に概略的な図である。
図7】(a)と(b)は、係合解除手段およびその作動の別の実施形態を示す図である。
図8】本発明に係る第2実施形態におけるマイクロニードルアプリケータのカートリッジと中間モジュールの垂直横断面図である。
図9】(a)と(b)は、作動位置と復帰位置における図8と同様の図である。
図10】(a)と(b)は、本発明に係る第3実施形態におけるマイクロニードルアプリケータの休止状態と作動状態を示す垂直横断面図である。
図11図10(a)、(b)に示す当該アプリケータが分解された状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
本発明に係るアプリケータは、純粋に化粧用であり、皮膚科用でさえもある。しかし、入れ墨は除かれる。アプリケータは、2つの処置手段、すなわちクリーム、バーム、ローション、血清などであり得る化粧品の吐出と、真皮に触れることなく、マイクロニードルによる角質層を穿孔した表皮の穿刺とを組み合わせたものである。化粧品の性質および求められる結果に応じて、化粧品はマイクロニードルの穿刺の前、同時、または後に塗布される。
【0043】
本発明に係るアプリケータは、アプリケータのユーザーが単独で使用するという点で、どちらかというと家庭用である。しかし、それは専門的に使用することもできる。
【0044】
図示される本発明に係る3つの実施形態において、本発明に係るアプリケータは、3つの別個のモジュール、すなわち、第1のモーターモジュールMと、第2のカートリッジモジュールC1、C2、C3と、第3の中間モジュールI1、I2、I3とを備える。中間モジュールI1、I2、I3は、モーターモジュールMとカートリッジモジュールC1、C2、C3の間に組み込まれるか、またはそれらの間に挿入される。したがって、中間モジュールI1、I2、I3は、モーターモジュールMとカートリッジモジュールC1、C2、C3の間の結合部を形成する。
【0045】
3つのモジュールは、長手方向軸Xに沿って配置されている。
【0046】
中間モジュールI1、I2、I3は、有利には取り外し可能にモーターモジュールMに接続される。これら2つのモジュール間の永続的な接続が可能である。中間モジュールI1、I2、I3は、有利にはカートリッジモジュールC1、C2、C3に取り外し可能に接続される。場合によっては、永続的な接続が可能である。
【0047】
好ましくは、各モジュールは、ユーザー自身で簡単かつ迅速に、例えばユーザーが両手を使用して、2つのモジュール間にトルクおよび/または押したり引いたりする力を加えることによって、接続したり切り離したりすることができる。3つのモジュールが組み立てられると、アプリケータは縦軸Xに沿った一般的なペン型の構成になる。アプリケータは、ペンと同じ方法で把持することもできる。
【0048】
第1のモーターモジュールMは、2つの実施形態で共通とすることができる。このことは本発明にとって重要ではないため、詳細には説明しない。標準的な市販のモジュールを使用できる。
【0049】
図1において、モーターモジュールMは、好ましくは電気モータであるモータM1を含むことが分かる。モーターM1は、そのシャフトM10を回転させる小型の回転モーターとすることができる。電磁モーター、リニアモーターまたは圧電モーターを設ける構成とすることもできる。モーターM1は、バッテリーM2によって電力供給され、電子機器M3によって制御される。電子機器M3は、シャフトM10の回転速度、モーターの起動シーケンスと動作時間などを管理する。外側起動ボタンM21により、ユーザーはアプリケータをオンに切り替えることができる。
【0050】
シャフトM10の自由端は、ケースM5でキャップされており、シャフトM10の回転が軸方向の振動に変換され、変換された軸方向の振動が中間モジュールに接続されている出力シャフトM50によって伝達される。
【0051】
もちろん、これは非限定的な一実施形態にすぎず、モーターモジュールMが本発明にとって重要ではないことを条件に、軸方向の振動を発生するのに適した任意のモーターモジュールMを本発明の範囲内で実装することができる。
【0052】
次に図2を参照して、本発明に係る第1の実施形態におけるアプリケータのカートリッジモジュールC1および中間モジュールI1の構造を詳細に説明する。
【0053】
カートリッジモジュールC1は、カートリッジ本体C10を備え、カートリッジ本体C10の一端には、接続カラーC101が設けられ、その他端には、流体製品出口C110が設けられている。カートリッジモジュールC1は、複数のマイクロニードルC111が設けられた塗布面C11を備える。この塗布面C11は、流体製品出口C110に隣接配置される。塗布面C11は、カートリッジ本体C10を貫通する振動伝達ロッドC12に接続されている。
【0054】
カートリッジモジュールC1は、流体製品容器C13を含む。流体製品容器C13は、カートリッジ本体C10によって形成されたチャンバC103内にスライド可能に配置されている。このチャンバーC103の底部には、カートリッジ本体C10に形成された穿孔針C104が位置しており、穿孔針C104は、導管によって流体製品出口C110に直接連通している。
【0055】
流体製品容器C13は、その有効容積を変化させるように当該容器内でスライド可能に組み付けられたプッシャーピストンC14を備える。従って、流体製品容器C13は、その一方の端部にプッシャーピストンC14を備え、他方の端部に、カートリッジ本体C10の穿孔針C104によって穿刺される穿孔可能な膜C131を備えたシリンダの形態で提供され得る。さらに、流体製品容器C13は、使用後にカートリッジ本体C10から取り外して、新しい交換用の容器と交換可能な構成要素とすることができる。
【0056】
カートリッジモジュールC1は、特に回転(差し込み(bayonet)またはねじ込み)によって中間モジュールI1に取り外し可能に接続され、中間モジュールI1は、回転後にカラーC101を安定して受け入れることができる接続クラウンI101を備える。
【0057】
この接続クラウンI101は、本体I10に形成され、本体I10は、有利にはモーターモジュールMにも取り外し可能に接続される。この接続は、ねじ込み、差し込みまたはスナップフィットによって行うことができる。永続的な接続も可能である。
【0058】
中間モジュールI1は、軸Xに対して垂直の方向に動かされる横方向の押しボタンの形態をした作動部材I11を備える。この作動部材I11は、本体I10の側面窓を介して本体I10から突出する構成をとることができる。作動部材I11は、スラストパッドI111を備える。スラストパッドI111の機能は後述する。これらのパッドI111は、本体I10の内側に傾斜した状態で延在する。
【0059】
中間モジュールI1は、軸Xに平行に延びる作動ロッドI12も備える。この作動ロッドI12は、カートリッジモジュールC1の流体製品容器C13のプッシャーピストンC14と接触するスラストプレートI121を備える。作動ロッドI12は、その長さ方向に沿って並ぶ、いくつかの歯I123およびスラストラグ(図示せず)を備える。
【0060】
スラストプレートI12とは反対側の端には、リターンバネI124を支持するスタブI122が形成されている。このリターンバネI124によって作動ロッドI12は、プッシャーピストンC14から離れる方向に付勢される。
【0061】
作動部材I11のスラストパッドI111が作動ロッドI12上のスラストラグ(図示せず)と係合しており、作動部材I11を押し下げることによって、作動ロッドI12がプッシャーピストンC14の位置する側に移動する。スラストパッドI111の傾斜配向が、作動ロッドI12をプッシャーピストンC14側に移動させる効果を発揮させる。
【0062】
中間モジュール10はまた、作動ロッドI12の歯I123と連続的に係合するノッチI130を含むキャッチ装置I13を備える。換言すると、キャッチ装置I13は、作動部材I11の各作動後に作動ロッドI12がその作動後の位置のまま停止することを可能にする。このキャッチ装置I13がなければ、作動ロッドI12が毎回、リターンバネI124によって付勢されて元の位置に戻ることになる。したがって、キャッチ装置I13は、リターンバネI124による付勢を無力化することを可能にする。
【0063】
中間モジュールI1はまた、キャッチ装置I13を作動ロッドI12との係合を解除させることを可能にする係合解除手段I14を備える。これらの係合解除手段I14は、例えば、本体I10と一体の軸I141を中心に揺動するように取り付けられたプレートI140で構成することができる。
【0064】
このプレートI140は、連結ロッドI134によってキャッチ装置I13に接続されている。プレートI140の端部には、接続クラウンI101と係合する係合部材I143が設けられている。バネI142は、係合部材143をクラウンI101から外す方向にプレートI140を付勢する。これらの係合解除手段の機能については、後述する。
【0065】
中間モジュールI1はまた、モーターモジュールMの出力シャフトM50をカートリッジモジュールC1の振動伝達ロッドC12に接続する振動伝達バーI15を備える。
【0066】
図3では、カートリッジモジュールC1が中間モジュールI1から切り離された状態のアプリケータが示されている。接続カラーC101が接続クラウンI101から外されている。このとき、流体製品容器C13がカートリッジ本体C10のチャンバーC103の内側に完全には嵌合していないことに留意されたい。
【0067】
すなわち、穿孔針104がまだ流体製品容器C13の膜C131を貫通しておらず、そのため、プッシャーピストンC14がカートリッジ本体C10の外側に突き出た状態になっている。カートリッジモジュールは、使用前の初期位置にあり、流体製品容器C13は密閉されている。
【0068】
中間モジュールI1にカートリッジモジュールC1を接続する間、本体I10によって形成されたスラストパッドI104が流体製品容器C13を穿孔針C104の位置する方向に押し、その容器C13の膜C131を穿孔する。こうして流体製品容器C13が使用位置に配置される。
【0069】
その後、ユーザーが行うべきことは、カートリッジモジュールC1を回転させて、その接続カラーC101を中間モジュールI1の接続クラウンI101に係合させることだけである。
【0070】
接続されると、作動ロッドI12のスラストプレートI121は、流体製品容器C13のプッシャーピストンC14に対してわずかに押し付けられるか、または押し付けられずに接触する。中間モジュールI1は、図2にも示されているようにスタート時の構成になっている。
【0071】
したがって、ユーザーは、作動部材I11を中間モジュールI1の本体I10内に押し込むように、作動部材I11に推力を加えることができる。
【0072】
この際、スラストパッドI111が作動ロッドI12のスラストラグ(図示せず)と係合し、作動ロッドI12が軸方向に移動してプッシャーピストンC14を押す。
【0073】
作動の終了時に、作動ロッドI12の歯I123がキャッチ装置I13のノッチI130と係合する。2回連続して作動すると、アプリケータは、図4に示す構成になる。マイクロニードルC111を備えた塗布面C11の近傍に位置する流体製品出口C110を通じて2回分の流体製品用量が吐出されたことになる。図4では、まだ2回分の流体製品用量が残っていることがわかる。各用量が吐出されるたびに、作動ロッドI12の一つの歯I123がキャッチ装置I13のノッチI130と係合する。
【0074】
係合解除手段I14のおかげで、ユーザーはいつでも作動ロッドI12をその初期位置に戻すことができる。このことが図5に示されている。プレートI140がその軸I141の周りで揺動して、その係合部材I143が接続クラウンI101から外れていることが分かる。この係合の解除は、バネI142によっても促進される。この状態にするのにユーザーが行う必要があるのは、プレートI140の、揺動軸I141よりも右側の部分を押すことだけである。
【0075】
このプレートI140を押す操作により連結ロッドI134が動いてキャッチ装置I13が傾くことで、キャッチ装置I13のノッチI130が、それまで係合していた作動ロッドI12の歯I23から外れる。図5では、ノッチI130が第1の歯I123から離れており、作動ロッドI12がリターンバネI124の作用によりその初期位置に戻っていることが分かる。
【0076】
したがって、この実施形態では、中間モジュールI1は、流体製品容器C13に連続的に作用して、連続的な流体製品用量を送達することができる。
【0077】
キャッチ装置I13は、各作動後に作動ロッドI12をその位置で停止させることを可能にし、係合解除手段I14は、作動ロッドI12をその初期位置に戻すことを可能にする。ここでは、係合解除手段の作動は手動であり、ユーザーは、キャッチ装置I13を作動ロッドI12から外すためにプレート140を操作しなければならない。
【0078】
図6(a)と(b)を参照すると、係合解除手段の作動がどのように自動化され得るかが非常に概略的に分かる。ロッドI12は、そのスラストプレートおよびその各歯I123とともに概略的に表されている。キャッチ装置I13も非常に概略的に表されている。
【0079】
係合解除手段I14´はまた、軸I141を中心に揺動するように取り付けられたプレートまたはレールI140を備える。
【0080】
係合解除手段I14´は、その他端において、カートリッジモジュールC1の本体C10によって形成された2つのカムC151とC152の間に係合する係合部材I143´を備える。カムC151とC152は、係合部材I143´を揺動軸I141の周りを移動させることできるように傾斜または偏心している。
【0081】
図6(a)は、非解除状態における係合解除手段I14´を示しており、キャッチ装置I13が作動ロッドI12の歯I123と係合している。カートリッジモジュールC1が中間モジュールI1に接続されると、この動作位置に達する。
【0082】
図6(b)では、カムC151が軸I141を中心に揺動することによってプレートまたはレールI140を下方に駆動していることが分かる。これによりキャッチ装置I13が作動ロッドI12の歯I123から外される。この係合解除の構成は、カートリッジモジュールC1が中間モジュールI1から取り外されるまで中間モジュールI1に対して回転されたときに達成される。プレートまたはレールI140は、これよりも前の各図に示すバネI142に相当するバネによって、図6(b)に示す係合解除位置で保持される構成とすることができる。
【0083】
この非常に概略的な実施形態を通じて、中間モジュールI1に対するカートリッジモジュールC1の回転を利用して、単に中間モジュールI1へのカートリッジモジュールC1の接続/取り外しによって、係合解除手段I14´を自動的に作動させ得ることが理解できる。
【0084】
このようにカートリッジモジュールC1の中間モジュールI1からの分離は、作動ロッドI12を本体I10内に引き込まれた静止位置に戻すことを可能にする係合解除手段の作動を自動的に導くので、ユーザーは、作動ロッドI12をその初期位置に戻すことに気を配る必要さえない。
【0085】
図7(a)と(b)は、中間モジュールI2に対するカートリッジモジュールC1の単なる軸方向の移動によっても、係合解除手段の作動が得られることを理解するための極めて概略的な図である。
【0086】
係合解除手段I14´´は、カートリッジモジュールC1が中間モジュールI1に接続されているときに、カートリッジモジュールC1に形成されているハウジングC16と係合する係合部材I143´´を備える。キャッチ装置I13は、作動ロッドI12の一つの歯I123と係合する。
【0087】
カートリッジモジュールC1が中間モジュールI1から切り離されるとすぐに、係合部材I143´´がハウジングC13から外れるので、係合解除手段が軸I141を中心に揺動することが可能になり、歯I123のキャッチ装置I13との係合を解除することができる。このことが、図7(b)に示されている。
【0088】
この概略的な例により、中間モジュールI1に対するカートリッジモジュールC1の並進運動によっても係合解除手段の作動が達成され得ることがわかる。
【0089】
この中間モジュールI1は、横方向の作動部材I11、軸方向移動を伴う作動ロッドI12、キャッチ装置I13、および手動係合解除手段I14または自動係合解除手段I14´もしくはI14´´を備え、モーターモジュールMとカートリッジモジュールC1の両方に取り外し可能に接続されることが好ましい。しかし、この中間モジュールI1をモーターモジュールMおよび/またはカートリッジモジュールC1に一体化される実施形態を想像することもできる。アクセス窓を通して流体製品容器C13を交換できる一体型アプリケータも想像できる。特に、係合解除手段は、複数回分の容量の容器を含む任意のアプリケータに実施可能な特徴を構成する。
【0090】
以下に説明する次の2つの実施形態は、いくつかの共通の特徴を有する。
【0091】
まず、中間モジュールは、カートリッジモジュールの容器に作用するスラスト部材を備える。スラスト部材は、毎回、その初期開始位置に戻る。それゆえ、本発明に係る第1の実施形態のような連続的な前進を行わない。カートリッジモジュールに関しては、複数の容器が装填された回転シリンダーが組み込まれている。ユーザーは、そのシリンダーを回転させて一つの容器をスラスト部材と一列に並べることができるので、その容器の大部分またはできればその容器を完全に空にすることができる。
【0092】
その後、ユーザーが行う必要があるのは、そのシリンダーを回転させて、次の容器がスラスト部材と一列に並ぶようにすることだけである。回転シリンダーの回転駆動は、カートリッジモジュール上で、または中間モジュール上でさえも直接実行できることが分かるであろう。もちろん、中間モジュールは、モーターモジュールMによって生成された振動をカートリッジモジュールのマイクロニードルが設けられた塗布面に伝達することを可能にする振動伝達手段を含む。
【0093】
また、本発明に係る第1の実施形態と同様に、モーターモジュールMを中間モジュールに取り外し可能に接続することができる。同様に、中間モジュールは、回転運動または単純な軸方向の並進運動によってカートリッジモジュールに取り外し可能に接続することができる。
【0094】
次に、図8と、図9(a)、図9(b)を参照して、本発明に係る第2の実施形態を説明する。モータモジュールMは、非常に概略的にのみ示されているが、第1の実施形態のものと同一または類似のものとすることができる。
【0095】
中間モジュールI2は、実質的にまたは完全に軸方向に延びる振動伝達部材I25が貫通する本体I20を備える。本体I20は、軸方向に移動する作動ロッドI22を含む。この作動ロッドI22は、バネI224によってモーターモジュールMの位置する方向に付勢されている。
【0096】
作動ロッドI22は、以下に示すように、カートリッジモジュールの複数の容器のうちの一つと接触するスラストプレートI221を備える。作動ロッドI22は、連結ロッドI211によって作動部材I21に連結されている。
【0097】
作動部材I21は、第1の実施形態と同様に、アプリケータの軸Xに対して垂直に移動することができる。連結ロッドI211は、作動部材I21の横方向または横切る方向の動きを作動ロッドI22の単純な軸方向の動きに変換するために使用される。
【0098】
作動部材I21の本体I20内への押し込みは、作動ロッドI22および作動部材I21を図8および図9(b)に示す開始位置に戻すためのリターンバネI224の付勢力に抗して行われる。
【0099】
図9(a)は、作動部材I21が完全に押し下げられた位置を示す。したがって、作動部材I21が押し込まれるたびに、作動ロッドI22は、初期開始位置(図8または図9(b))から最大伸張位置(図9(a))に移動し、その後、リターンバネI224の作用で初期開始位置に戻る。それゆえ、第1の実施形態のような中間位置は存在しない。したがって、中間モジュールI2の機構は、第1の実施形態における中間モジュールI1の機構よりも単純である。
【0100】
カートリッジモジュールC2は、カートリッジモジュールC2が中間モジュールI2上の所定の位置に配置されると、中間モジュールI2の本体I20に対して固定される本体C20を備える。このカートリッジモジュールC2は、マイクロニードルC211が設けられた塗布面C21を支持する。
【0101】
塗布面C21は、中間モジュールI2の振動伝達部材I25に結合される振動伝達用のロッドまたはレールC22に接続されている。
【0102】
本体C20はまた、塗布面C21の近くに位置する流体製品出口C210を画定する。この流体製品出口C210は、導管を通じて穿孔針C203に接続されている。
【0103】
カートリッジモジュールC2は、本体C20上または本体C20内に回転式に取り付けられた回転シリンダーC23も備える。ユーザーは、アクセス可能な回転シリンダーC23の外周部を操作することで、そのシリンダーC23を回転させることができる。
【0104】
回転シリンダーC23は、いくつかの流体製品容器C24を含み、その容器は、圧潰可能なパウチまたはピストンリザーバの形態で提供され得る。各リザーバC24は、穿孔針C203によって穿刺可能な前壁241を備える。
【0105】
図8に示されるように初期位置では、膜C241は無傷で、穿孔針C203に隣接している。この初期開始位置では、作動ロッドI22のスラストプレートI221が一つの流体製品容器C24の底部の近くに位置している。
【0106】
作動部材I21にかかる横方向の推力によって作動部材I21が動き、それによって作動ロッドI22が連結ロッドI211を介して軸方向に動く。軸方向に動く作動ロッドI22のスラストプレートI221がまず、シリンダー内のその流体製品容器C24を押し込んで、その容器の膜C241を穿孔針C203で貫通させ、次に流体製品出口210まで流体製品容器C24の内容物が送られるようにその容器C24を押しつぶす。
【0107】
図9(a)は、作動部材I21が完全に押し下げられた位置であり、スラストプレートI221が最大前進位置に達した様子を示している。このときその流体製品容器C24は空またはほとんど空である。
【0108】
ユーザーが作動部材I21への押圧力を解除するとすぐに、作動部材I21はリターンバネI224の付勢力を受けて初期開始位置に戻る。この状態が図9(b)に示されている。次にユーザーが行う必要があるのは、別の流体製品容器C24が作動ロッドI22のスラストプレートI221に対向する位置に来るまで、回転シリンダーC23を回転させる操作だけである。こうして完全なサイクルが達成される。
【0109】
この実施形態では、すべての流体製品容器C24が空になったら、カートリッジモジュールC2全体を交換することができる。
【0110】
変形例では、回転シリンダーC23のみを交換すること、あるいは回転シリンダーC23を残したまま流体製品容器C24のみを交換することも可能である。このようにカートリッジモジュールC2について同じアーキテクチャを維持しながら、いくつかの方式をとり得ることがわかる。
【0111】
モータモジュールMと中間モジュールI2の両方を一体化してなるメインモジュール上に、カートリッジモジュールC2を実装する構成も考えられる。言い換えると、中間モジュールI2の作動手段は、塗布面C21と流体製品容器C24の両方を作動させるためのすべての手段を組み込んだ共通モジュールまたはメインモジュールに統合される。
【0112】
図10(a)、(b)および図11は、本発明に係る第3の実施形態を表しており、そのカートリッジモジュールC3は、いくつかの流体製品容器C34を受け入れる回転シリンダーC33も組み込まれている。
【0113】
第2の実施形態と同様に、カートリッジモジュールC3のすべて、またはそのシリンダC33のみ、またはその流体製品容器C34のみを交換することができる。カートリッジモジュールC3は、流体製品出口C310を形成する固定本体C30と、切断ブレードC301とを備える。切断ブレードC301の機能を以下に示す。
【0114】
マイクロニードルC311を有する塗布面C31は、流体製品出口C310に直に近接して配置されている。この塗布面C31は、中間モジュールI3の振動伝達手段(図示せず)と係合する振動伝達用のロッドまたはレールC32に接続されている。
【0115】
回転シリンダーC33は、本体C30上または本体C30内に回転可能に収容される。回転シリンダーC33は、流体製品容器C34へのアクセスを可能にする横方向窓C333を備え、その容器C34は、流体製品出口C310に繋がっている導管C302内に突出する、除去可能な閉鎖部材C341を備える。
【0116】
シリンダーC33が回転すると、流体製品容器C34の閉鎖部材C341が切断ブレードC301と係合し、切断ブレードC301がその閉鎖部材C341をその容器C34の残りの部分から分離する。
【0117】
図10(a)では、除去可能な閉鎖部材C341が本体C30の底部に落ちているのがわかる。この閉鎖部材C341は、導管C302に対向して配置されている流体製品容器C34の閉鎖部材である。流体製品容器C34の下に位置する別の容器が、本体C30内に向けられた除去可能な閉鎖部材C341を依然として有することもわかる。
【0118】
このことから切断ブレードC301は、回転シリンダーC33の回転に伴って流体製品容器C34の密閉を解いて当該容器を開放させる開口部材として機能するといえる。有利には、流体製品容器C34は、変形可能な材料でできた小型の圧潰可能なバイアルの形態をとることができる。
【0119】
中間モジュールI3は、本体I30を備え、本体I30内に回転作動リングI34が受け入れられている。この回転作動リングI34は、シリンダーC33を回転駆動できるようにシリンダーC33と係合している。図11に示すように回転作動リング134は、本体I30の窓を通して目視することが可能な使用状況の表示を含んでいることが分かる。
【0120】
中間モジュールI3はまた、作動部材I31を備える。作動部材I31は、ユーザーが指で押し込むことができる、非常に簡単な横方向の押しボタンである。この横方向の押しボタンは、パッドの形態を有することができ、本体130に形成されたスタックによって確実に案内される。
【0121】
一つの流体製品容器C34が作動部材I31の下に位置するとき、その容器C34から、その除去可能な閉鎖部材C341が切断ブレードC301によってすでに除去されている。図10(a)は、閉鎖部材C341が除去された状態を示している。
【0122】
ユーザーが行う必要があるのは、作動部材I31を押し下げて、可撓性の流体製品容器C34と係合させ、その容器C34を押し潰す操作だけである。図10(b)は、流体製品容器C34が押し潰された状態を示している。これにより、流体製品容器C34内の流体製品が導管C302を通って流体製品出口C310に送られる。
【0123】
ユーザーが作動部材131への押し込みを解除すると、作動部材131は、不図示のリターンバネにより、または空になった後に初期位置まで戻る流体製品容器C34の弾性復元により、その静止位置に戻る。ユーザーは、塗布面31を使用して皮膚に流体製品を塗布した後、作動リングI34を回転させて、次の流体製品容器C34を作動部材I31の下に持って来る動作を繰り返すことができる。
【0124】
この実施形態では、カートリッジモジュールC3は、ほぼ全体が中間モジュールI3内に収容され、その本体C30の一部のみが前方に突き出ていることに留意すべきである。
【0125】
図示されていないが、中間モジュール13が、流体製品容器C34の取り外しおよび挿入のためにシリンダーC33の側方窓C333へのアクセスを可能にするアクセスハッチを備えることが考えられる。
【0126】
中間モジュールI3は、モーターモジュールMとの係合に適した接続手段I36を備える。
【0127】
上述した3つの実施形態において、本発明に係るマイクロニードルアプリケータは、好ましくは取り外し可能な、相互に接続された3つの別個のモジュールまたはステージを備える。
【0128】
中間モジュールI1、I2、I3は、常に、作動部材I11、I21、I31および振動伝達手段I15、I25を備える。カートリッジモジュールC1、C2、C3は常に、マイクロニードルC111、C211、C311と流体製品出口C110、C210、C310を備えた塗布面C11、C21、C31を含む。また、カートリッジモジュールは、塗布面を中間モジュールの振動伝達手段に接続することを可能にする振動伝達用の部材を備える。
【0129】
特定の特徴がこの3つのステージ/モジュールアーキテクチャに関連して記載されたが、これらの特徴が異なるアーキテクチャで実施され得ることが理解されるべきである。特に、第1の実施形態における作動手段は、マイクロニードルアプリケータが1つ、2つまたは3つのステージまたはモジュールから構成されるかどうかにかかわらず、任意のマイクロニードルアプリケータに適用され得る。
【0130】
同様に、回転シリンダーC23、C33は、この3つのステージまたは3つのモジュールのアーキテクチャに関連して記載されている。しかし、これらのシリンダーもまた、3つのステージ、2つのステージ、またはただ1つのステージから構成されるかどうかにかかわらず、どんなマイクロニードルアプリケータにも実装され得る。
【0131】
本発明に係るモジュールの3段アーキテクチャの主な目的は、中間ステージの適応性およびモジュール性のおかげで、多種多様なカートリッジモジュールを標準モータモジュールに適合させることができることにある。
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【国際調査報告】