(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-13
(54)【発明の名称】硝子体網膜手術用直接駆動ロボット
(51)【国際特許分類】
A61B 34/37 20160101AFI20240205BHJP
A61F 9/007 20060101ALI20240205BHJP
【FI】
A61B34/37
A61F9/007 130H
A61F9/007 130D
A61F9/007 130Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023546490
(86)(22)【出願日】2022-02-01
(85)【翻訳文提出日】2023-08-01
(86)【国際出願番号】 IB2022050867
(87)【国際公開番号】W WO2022167935
(87)【国際公開日】2022-08-11
(32)【優先日】2021-02-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】319008904
【氏名又は名称】アルコン インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100160705
【氏名又は名称】伊藤 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】スティーブン ティー.チャールズ
【テーマコード(参考)】
4C130
【Fターム(参考)】
4C130AA02
4C130AA17
4C130AA32
4C130AB02
4C130AD01
4C130AD11
4C130CA11
(57)【要約】
本開示は、敏捷性に優れた眼科顕微手術処置用ロボット操作システムに関する。ある特定の実施形態では、ロボット手術システムは、スレーブ装置に制御可能に結合されたマスター装置を含む。スレーブ装置は患者の頭部に装着され、手術ツールをピボット状に支持する複数の直線アクチュエータリンクを2個有する二重三脚構造を含む。アクチュエータリンクの動きは、手術道具に少なくとも6自由度を提供するように、直接駆動アクチュエータによって制御される。スカラ機構及び4節平行四辺形機構を有する受動的多関節アームがスレーブ装置に取り付けられ、患者に装着されたときに、その重量の釣り合いを保つ。手術システムは、スレーブ装置及びマスター装置に通信可能に結合されて力のフィードバック及び力の制御を可能にするセンサもまた含む。このため、ロボット手術システムは、オペレータの敏捷性を強化し、手動で実行するよりも医療的処置が容易に実行できるようにする。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
手術ツールを操作するための手術システムであって、
マスター装置と、
前記マスター装置に制御可能に結合され、且つ患者の頭部に装着されるように構成されたスレーブ装置と、を含むとともに、
前記スレーブ装置が、
支持フレームと、
前記支持フレームに放射状に結合された、直線的に作動する3つ以上のリンクからなる第1のセットであって、前記第1のセットのそれぞれのリンクが、隣接するリンクから半径方向に約120度以下の角度だけ間隔をあけて配置された第1のセットと、
前記支持フレームに放射状に結合された、直線的に作動する3つ以上のリンクからなる第2のセットであって、前記第2のセットのそれぞれのリンクが、隣接するリンクから半径方向に約120度以下の角度だけ間隔をあけて配置された第2のセットと、
前記リンクからなる第1のセット及び前記リンクからなる第2のセットに結合された手術ツールであって、前記リンクからなる第1のセット及び前記リンクからなる第2のセットが前記手術ツールに並進運動及び回転運動を提供する手術ツールと、
前記リンクからなる第1のセット及び前記リンクからなる第2のセットの各リンクに結合された1つ又は複数の直接駆動アクチュエータであって、各リンクに直線運動を提供するように構成された直接駆動アクチュエータと、
を含む手術システム。
【請求項2】
請求項1に記載の手術システムであって、
少なくとも前記リンクからなる第1のセット及び前記手術ツールに結合された直接駆動回転アクチュエータであって、前記手術ツールにツール軸横転を提供するように構成された回転アクチュエータと、をさらに含む手術システム。
【請求項3】
請求項1に記載の手術システムであって、前記スレーブ装置が、
u字型額パッドと、
前記額パッドに取り付けられた調節可能な頭部ストラップと、
前記額パッドから伸び、且つ患者の片目の上方に前記スレーブ装置を支持するように構成された少なくとも1つの調節可能なアームと、を含むスレーブ装置支持システムにさらに結合されている手術システム。
【請求項4】
請求項3に記載の手術システムであって、前記スレーブ装置支持システムが、前記額パッドに取り付けられた釣り合わせ多関節アームをさらに含むとともに、前記釣り合わせ多関節アームが、
受動的スカラ(選択的コンプライアンス構造を有する多関節ロボットアーム)機構と、
ばねによって釣り合いが保たれた受動的4節平行四辺形機構と、を含む手術システム。
【請求項5】
請求項4に記載の手術システムであって、前記ばねが定荷重ばね又は空気ばねである手術システム。
【請求項6】
請求項1に記載の手術システムであって、中立位置にあるときに、前記第1のセットの各リンクが、前記スレーブ装置の長軸に垂直な第1の平面に沿って前記第2のセットのリンクと位置合わせされる手術システム。
【請求項7】
請求項1に記載の手術システムであって、前記第1のセットの前記リンクが、中立位置にあるときに、前記スレーブ装置の長軸に垂直な第1の平面に沿って前記第2のセットの前記リンクからずれている手術システム。
【請求項8】
請求項1に記載の手術システムであって、前記手術ツールが、手術デバイスを固定するように構成されたツールインタフェースである手術システム。
【請求項9】
請求項1に記載の手術システムであって、前記1つ又は複数の直接駆動アクチュエータが、スロットレスブラシレス可動磁石リニアモータを含む手術システム。
【請求項10】
請求項9に記載の手術システムであって、前記1つ又は複数の直接駆動アクチュエータが、スロットレス、ブラシレスのリニア直流(DC)モータを含む手術システム。
【請求項11】
請求項1に記載の手術システムであって、前記スレーブ装置及び前記マスター装置がそれぞれ、少なくとも6つの力覚センサを含む手術システム。
【請求項12】
請求項11に記載の手術システムであって、前記スレーブ装置及び前記マスター装置が、前記力覚センサによって検出され、前記スレーブ装置と前記マスター装置との間で変換される力信号値のための閉じた制御ループを形成する手術システム。
【請求項13】
請求項12に記載の手術システムであって、前記マスター装置と前記スレーブ装置との間で変換される前記力信号値を制限し、スケーリングするように構成されたコンピュータをさらに含む手術システム。
【請求項14】
請求項1に記載の手術システムであって、前記スレーブ装置又は前記マスター装置が、6つのサイン・コサインエンコーダを含む手術システム。
【請求項15】
請求項14に記載の手術システムであって、前記6つのサイン・コサインエンコーダによって収集され、前記マスター装置と前記スレーブ装置との間で変換される位置信号値をスケーリングするように構成されたコンピュータをさらに含む手術システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、発明者がSteven T.Charlesである、2021年2月5日に出願された“DIRECT DRIVE ROBOT FOR VITREORETINAL SURGERY”と題する、米国仮特許出願第63/146,137号明細書の優先権の利益を主張するものであり、あたかも本明細書に十分且つ完全に記載されているかのように、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示の実施形態は、概して、手術処置用ロボット操作システムに関し、より詳細には、眼科顕微手術処置用直接駆動ロボット操作システムに関する。
【背景技術】
【0003】
網膜顕微手術、そして特に、硝子体網膜手術は、最も難易度の高い眼科手術処置の1つである。その名前が暗に示すように、硝子体網膜眼球手術は、ゲル状の硝子体の中、及び比較的小さな眼腔内の光に敏感な網膜表面上で行われる。遺伝子治療のための顕微注射処置、及び細胞療法のための足場配置などの様々な治療に加えて、硝子体網膜手術を必要とする一般的な状態には、黄斑上膜、硝子体黄斑分離、硝子体黄斑牽引症候群、糖尿病牽引性網膜剥離、増殖性硝子体網膜症(PVR)、網膜剥離、及び黄斑円孔が含まれる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
硝子体網膜手術中、手術医は、自然な人間の知覚レベルを超えて網膜組織にごくわずかな力を加えながら、精密なミクロンスケールの手技を行わねばならない。したがって、硝子体網膜手術の実行は、本来、人間の知覚及び運動の制限、手術医の疲労及び手の震え、不正確な計測、微細な特徴物のサイズ、限られた眼腔内のスペースでの操作、並びに、場合によっては眼球内部の視覚化が不十分であることによる制約を受ける。上記の制限に加えて、不随意の患者の眼球及び/又は頭部の動きによって、深刻な合併症もまた引き起こされる可能性がある。前述の要因は、網膜裂孔、網膜剥離、出血、網膜血管への損傷、及び白内障につながる水晶体への損傷を含む様々な手術の合併症の一因となる場合があり、これらの多くは、場合によっては、取り返しのつかない損傷及び視力障害に発展する可能性がある。
【0005】
近年、硝子体網膜手術を含む低侵襲性眼科手術を実行する際に手術医を支援するために、ロボット支援手術デバイスが開発されている。だが、これらのロボットデバイスは依然として、手術中の患者の眼球の動きによる合併症の危険性が高いことを含むいくつかの欠点がある。この危険性を最小限に抑えるために、これらのロボットデバイスが使用するためのデジタル視標追跡が提案されている。しかしながら、現在の視標追跡技術は、睡眠時無呼吸又は鎮静状態から覚醒したときの驚愕反応によって生じ得る突然の頭部や眼球の動きを検出し、補正するほど十分には進歩していない。
【0006】
さらに、最新のロボット眼科手術システムは、高い動き自由度を維持しながら力を制御(例えば、スケーリング、制限、フィルタリング)するものでも、力をフィードバック(例えば、触覚フィードバック)するものでもなく、通常は何らかの形式のスケーリングを提供するだけであるため、手術医の知覚制限及び運動制限に効果的に対処するものではない。現在のロボット支援手術デバイス及びシステムに関連した追加の制限には、柔軟性の制限及びシリアルキネマティックの制限が含まれる。現在のロボットシステムは、4自由度(4-DOF)によって特徴付けされるが、これは、眼科処置中に患者の頭部及び/又は眼球の動きに対処したり、眼球を回転させて角膜又は水晶体の混濁の周囲を視覚化したり、また、周辺の網膜を視覚化したりするには、不十分である。さらに、多関節ロボットアームのようなシリアルロボットは、累積関節誤差、キネマティックの特異性、精度の低下、速度の低下という不利な点がある。したがって、現在のロボット支援手術デバイス及びシステムには、硝子体網膜手術中に定期的に行われるミクロンスケールの手技を精密且つ効果的に遂行し、患者の突然の頭部及び眼球の動きに反応する敏捷性が欠けている。
【0007】
このため、敏捷性及び正確性が向上した眼科顕微手術処置用のロボット手術システムが、当技術分野では必要である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示は、手術処置用ロボット操作システムに関し、より詳細には、眼科顕微手術処置用の敏捷性に優れた直接駆動ロボットシステムに関する。
【0009】
ある特定の実施形態では、マスター装置と、マスター装置に制御可能に結合されたスレーブ装置と、を含むとともに、患者の頭部に装着されるようにさらに構成された手術システムが提供されている。スレーブ装置は、3つの直線的に作動するリンクからなる第1のセット及び第2のセットに結合された支持フレームを含み、1つのセットの各リンクは、約120度以下の角度だけ、隣接するリンクから間隔をあけて配置されている。スレーブ装置は、リンクのそれぞれによってピボット状に支持された手術ツールをさらに含むが、それらは、手術ツールに並進運動及び回転運動を提供するように構成されている。手術システムは、リンクに直線運動を提供するために、第1のセット及び第2のセットの各リンクに結合された1つ又は複数の直接駆動アクチュエータもまた含む。
【0010】
上記で記載した本開示の特徴を詳細に理解できるように、上記で簡潔に概要を示した本開示のより具体的な説明は、実施形態を参照することによって得ることができ、そのいくつかを添付図面に図示する。しかしながら、添付図面は、例示的な実施形態を図示するにすぎないため、その範囲の限定であるとみなすべきではなく、他の同等に効果的な実施形態が認められ得ることに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本開示のある特定の実施形態による、例示的なロボット手術システムの概略図を図示する。
【
図2A】本開示のある特定の実施形態による、
図1のロボット手術システムのスレーブ装置の透視図の一例を図示する。
【
図2B】本開示のある特定の実施形態による、
図2Aのスレーブ装置の概略上面図の一例を図示する。
【
図2C】本開示のある特定の実施形態による、
図2Aのスレーブ装置の概略上面図の一例を図示する。
【
図3】本開示のある特定の実施形態による、
図1のロボット手術システムとともに利用されるように構成された別のスレーブ装置の例の透視図を図示する。
【
図4】本開示のある特定の実施形態による、
図1のロボット手術システムとともに利用されるように構成された別のスレーブ装置の例の透視図を図示する。
【
図5A】本開示のある特定の実施形態による、患者の頭部に装着されたスレーブ装置の一例の透視図を図示する。
【
図5B】本開示のある特定の実施形態による、患者の頭部に装着されたスレーブ装置の一例の透視図を図示する。
【
図6】本開示のある特定の実施形態による、
図1のロボット手術システムのブロック図を図示する。
【発明を実施するための形態】
【0012】
理解し易くするために、可能な場合、複数の図面に共通の同一の要素を示すために同一の参照符号が使用されている。1つの実施形態の要素及び特徴は、さらに記述することなく他の実施形態に有益に組み込まれ得ることが想定される。
【0013】
以下の説明では、開示する主題を理解し易くするために、詳細が例として述べられる。しかしながら、開示する実装形態が例示であり、すべての可能な実装形態を網羅するものではないことは、当業者に明らかであるはずである。したがって、説明される例への言及は、本開示の範囲を限定することを意図するものではないことを理解されたい。説明されるデバイス、器具、方法に対する任意の代替形態及びさらなる修正形態並びに本開示の原理の任意のさらなる応用形態は、本開示が関連する技術分野の当業者が通常想到するであろうことが十分に想定される。特に、1つの実装形態に関して説明される特徴、構成要素及び/又はステップは、本開示の他の実装形態に関して説明される特徴、構成要素及び/又はステップと組み合わされ得ることが十分に想定される。
【0014】
本明細書に記載されるように、構成要素の遠位端又は遠位部分は、その構成要素の使用中に患者の身体により近い端部又は部分を指すことに留意されたい。一方、構成要素の近位端又は近位部分は、患者の身体からより遠く離れた端部又は部分を指す。
【0015】
本明細書で使用する際、「約」という用語は、公称値からの+/-10%の変動を指すことができる。このような変動は、本明細書で提供されるいずれの値にも含まれる可能性があることを理解されたい。
【0016】
本開示の実施形態は、概して、手術処置用ロボット手術システムに関し、より詳細には、眼科顕微手術処置用の敏捷性に優れた直接駆動ロボットシステムに関する。ある特定の実施形態では、ロボット手術システムは、スレーブ装置に制御可能に結合されたマスター装置を含む。スレーブ装置は患者の頭部に装着され、手術ツールをピボット状に支持する複数のリニアアクチュエータリンクを2個有する二重三脚構造を含む。アクチュエータリンクの動きは、手術道具に少なくとも6自由度を提供するように、直接駆動アクチュエータによって制御される。スカラ(SCARA:Selectively Compliant Articulated Robot Arm-選択的コンプライアンス構造を有する多関節ロボットアーム)機構及び4節平行四辺形機構を有する受動的多関節アームがスレーブ装置に取り付けられ、患者に装着されたときに、その重量の釣り合いを保つ。手術システムは、スレーブ装置及びマスター装置に通信可能に結合されて力のフィードバック及び力の制御を可能にするセンサもまた含む。このため、ロボット手術システムは、オペレータの敏捷性を強化し、手動で実行するよりも医療的処置が容易に実行できるようにする。
【0017】
図1は、本明細書に記載のある特定の実施形態による、例示的なロボット手術システム100の概略図を図示する。ロボット手術システム100は、マスター装置110及びスレーブ装置120を含むマスター・スレーブ型ロボットシステムを用いる。マスター装置110は、6自由度(6-DOF)又は7自由度(7-DOF)によって特徴付けされるオペレータインタフェースを有する任意の適切な型のマスターデバイスとすることができる。ある特定の実施形態では、マスター装置110は、慣性及び摩擦の少ない6自由度又は7自由度のハプティック(haptic)インタフェースを含む。このようなハプティックインタフェースを有する適切なマスターデバイスの一例には、MPB Technologies,Incから入手可能なFreedom6Sハプティックデバイスがある。
【0018】
ある特定の実施形態では、マスター装置110は、スレーブ装置120と合う(例えば、類似している)ようにモデル化されたハプティックインタフェースを含む。例えば、マスター装置110は、以下でより詳細に説明するスレーブ装置120の構造と実質的に同様の構造を有していてもよい。オペレータ106がマスター装置110を動作させると、マスター装置110は、本明細書では総称して「制御信号」と呼ばれる、マスター装置110、プログラミングされたコンピュータ130、及びスレーブ装置120との間で送信される複数の信号を発生させる。制御信号を受信すると、スレーブ装置120は、このスレーブ装置に直接又は間接的に結合された手術ツール140の操作及び/又は動作を制御して、眼科手術処置を実行する。
【0019】
スレーブ装置120、したがって、手術ツール140もまた、患者102の片目108の上方に配置され、この患者は手術位置で手術台104上に横たわっているように
図1に示されている。スレーブ装置120は、患者の片目108の上方に、患者の頭部に装着する(例えば、上に載せる)ように構成された額支持部150を含むスレーブ装置支持システム180によって少なくとも部分的に支持されている。患者の頭部にスレーブ装置120を装着することによって、手術処置中の制御されない患者の頭部の動きに関連する危険を、大幅に低減又は排除することができる。額支持部150は、スレーブ装置120及び額支持部150の重量によって生じる患者の頭部への圧迫を緩和するために空気ばね又は定荷重ばねによって釣り合いが保たれた、受動的4節平行四辺形機構を用いる多関節アーム160にさらに結合されている。多関節アーム160は、支柱などのベース170によって支持されている場合もあれば、又は別の手術デバイス若しくは手術室の天井から伸びている場合もある。スレーブ装置120、額支持部150、及び多関節アーム160に関するさらなる詳細について、
図2A~
図5Bを参照しながら以下で説明する。
【0020】
手術ツール140は、硝子体網膜手術処置などの眼科手術処置に任意の適切な手術デバイス又は装置を含む。例えば、手術ツール140は、ピンセット、シェーバ、剪断刀、カッター、又は他の駆動源のないデバイスとすることができる。ある特定の実施形態では、手術ツール140は、網膜の剥皮、分割、網膜上膜の離層、網膜の切り込み、網膜下注射などといったような、手術手技を実行するように構成されている。ある特定の実施形態では、手術ツール140は、1つ又は複数のアクチュエータを有するエンドエフェクタを含む。このアクチュエータは、自身に固定されたエンドエフェクタを直接操作できるようにするためのものである。
【0021】
ある特定の実施形態では、手術ツール140は、ロボット手術システム100による力のフィードバック及び力の制御を容易にするために6自由度力覚/トルクセンサ(すなわち、トランスデューサ)が組み込まれた、エンドエフェクタを含む。やはりさらなる実施形態では、手術ツール140は、スレーブ装置120に別のデバイス又はツールを固定するように構成されたデバイス保持具又はスリーブであり、ツール重量(無重量ツールを容易にする)、モーメントアーム(空間内での手術ツール140の向きが変化する際の重心補正を容易にする)、並びにツール長さ及びオフセット(一貫したマスターとスレーブとの姿勢関係を容易にする)をコンピュータ130に通信するために、手術ツールと通信する無線周波数識別(RFID)又は即答(QR)バーコードセンサを含む。概して、ツール作動空気圧接続又は油圧接続、光ファイバ接続、吸引接続及び/又は注入接続、並びに無停電電源接続を手術ツール140に組み込む場合もあれば、又はサービスループを介して手術ツール140をバイパスする場合もある。
【0022】
図2Aは、ある特定の実施形態による、ロボット手術システム100のスレーブ装置120の透視図を図示する。スレーブ装置120は、患者の片目108の上方に装着されるように構成されているとともに、スレーブ装置に直接又は間接的に取り付けられた手術ツール140を操作するように、及び/又は動作させるように構成されている。
図2Aの実施形態では、手術ツール140はツールシャフト218の遠位端に結合されているが、このツールシャフトは、ある特定の実施形態では、デバイス保持具又はスリーブである。
【0023】
描かれているように、ツールシャフト218は、半径方向に伸び、直線的に作動する3つのアクチュエータリンク203からなる2つのセット202a、202bに移動可能に結合されているが、このアクチュエータリンクは、スレーブ装置120の動力伝達経路として作用する。アクチュエータリンクの203の作動は、ツールシャフト218、ひいては、手術ツール140の操作につながり、マスター装置から受信した制御信号によって決定される。アクチュエータリンク203からなる2つのセットは、パラレルキネマティックを有する第1の近位のセット202a及び第2の遠位のセット202bを含み、これにより、マスター装置110からの制御信号に応答して、2つのセット202a、202bが協働して(すなわち、同期して)直線的に移動して、ツールシャフト218、ひいては、手術ツール140を操作できるようにしている。アクチュエータリンク203からなる2つのセット202a、202bに並列閉ループのキネマティックチェーンを利用することにより、シリアルキネマティックを装備した単一の多関節アームと比較して、構造重量の軽量化、並びに精度、安定性、リンクの剛性、及び加速性の向上が可能になる。スレーブ装置120のパラレルキネマティック設計により、アクチュエータリンク203からなる2つのセット202a、202bの差動的な駆動がさらに可能になることで、ツールシャフト218及び手術ツール140の高い操縦性を提供しつつ、一方で、パラレルリンク構造における関節誤差の平均化が容易になる。
【0024】
アクチュエータリンク203からなる各セット202a、202bは、結合リング204によってアクチュエータリンク203の遠位端212でツールシャフト218に結合させることができ、これにより各セット202a、202bのアクチュエータリンク203が、単一の平面X1又はX2上でツールシャフト218に取り付けられるようになっている。平面X1及びX2は、ツールシャフト218の近位端224及び遠位端226にそれぞれ位置する。このため、
図2Aの実施形態は、2つの異なる水平面でツールシャフト218から外側に向かって半径方向に伸びる3つのアクチュエータリンク203からなる2つのセット202a、202b(例えば、「3プラス3」)を有することで、アクチュエータリンク203からなる2つの三脚を形成している、二重パラレル三脚スレーブ装置120として記述することができる。アクチュエータリンク203は、同じセット202の隣接するアクチュエータリンク203から、ツールシャフト218に対して角度約120°だけ半径方向に間隔をあけて配置することができる。
【0025】
図2Aでは各セット202a、202bに3つのアクチュエータリンク203が描かれているが、1つのセットが、他の数量のアクチュエータリンク203を含み得ることがさらに想定されていることに留意されたい。例えば、1つのセット、又はセット202a、202bのそれぞれは、4つ以上のアクチュエータリンク203を含み得る。1つのセットが3つを超えるアクチュエータリンク203を含む例では、各アクチュエータリンク203間の半径方向の間隔は、約120°未満とすることができる。さらに、アクチュエータリンク203は、上記では結合リング204に結合されているように記載されているが、アクチュエータリンク203は、結合リングを利用せずに球ジョイントを介してツールシャフト218又は手術ツール140に直接結合することができる。
【0026】
ある特定の実施形態では、アクチュエータリンク203の近位端214は、ツールシャフト218及び/又は手術ツール140の外側に向かって半径方向に設けられた支持フレーム206に取り付けられている。近位端214は、結合リング204、又は、ツールシャフト218及び/若しくは手術ツール140を有する遠位端212の取り付け点とは異なる水平面上に位置する取り付け点で支持フレームに結合されている。このため、アクチュエータリンク203は、垂直方向に角度をなしている(例えば、水平面X1及びX2、又はスレーブ装置120の垂直軸Yと非平行である)として記述することができる。支持フレーム206は、スレーブ装置120用に利用されるアクチュエータリンク203の数を支持するために任意の適切な構造を含むことができる。
図2Aの実施形態では、支持フレーム206は、2つのリング状のベース208と、これらのベース間に伸びる3つの支持柱209と、を含むが、この支持柱はスレーブ装置120の垂直軸Yと平行とすることができる。2つのベース208及び3つの支持柱209について説明されているが、スレーブ装置120は、これよりも多い数、又は少ない数の、任意の所望の形態構造を有するベース及び支持柱を含み得ることに留意されたい。支持柱209及び/又はベース208は、アクチュエータリンク203の係留点として作用するが、これは、少なくとも3自由度の回転運動を可能にする任意の適切な型の球ジョイント215によって支持柱209及び/又はベース208に結合されてもよい。例えば、球ジョイント215は、人間の股関節の構造に類似したボールソケット設計を有することができ、2つの平面でのアクチュエータリンク203の自由な回転を可能にする一方で、どの方向にも並進しないようにもしている。別の例では、球ジョイント215はジンバル型の球ジョイントである。
【0027】
同様に、アクチュエータリンク203の遠位端212もまた、球ジョイント216によって結合リング204、ツールシャフト218、又は手術ツール140に結合させることができる。アクチュエータリンク203の対向する端部で2つの球ジョイント215、216を利用することにより、3つの平面すべてにおいて手術ツール140の移動が可能になる。したがって、アクチュエータリンク203は、手術ツール140に対して、x、y、及びz移行運動だけでなく、ピッチ及びヨー回転運動も提供することができ、手術ツール140に対して最大6自由度(及び、後述する手術ツール140に結合された回転アクチュエータとともに利用するときには、最大7自由度)の可動性が可能になっている。
【0028】
いくつかの実施形態では、スレーブ装置120は、ツールシャフト218及び/又は手術ツール140の360°の回転運動を提供するために回転アクチュエータをさらに含み、これにより、手術ツール140の冗長7自由度のツール横転が可能になっている。ある特定の実施形態では、回転アクチュエータは、1つ又は複数の結合リング204又はツールシャフト218のうちの1つに結合されているか、又はその内部に設けられていることで、手術ツール140を直接回転させることができる。他の実施形態では、回転アクチュエータは、リング状のベース208に結合されており、支持柱209の回転、及び最終的には、手術ツール140の回転が可能になっている。回転アクチュエータは、ゼロバックラッシュのピストン駆動ラック及びピニオン、単回転翼又は双回転翼アクチュエータなどを含む任意の適切な型の回転機構を含むことができる。いくつかの実施形態では、スレーブ装置120は、結合リング204及び/又はツールシャフト218に結合されているか、又はその内部に設けられたトルクフィードバック用のトルクトランスデューサ又はトルクセンサもまた任意に含む。
【0029】
スレーブ装置120のアクチュエータリンク203は、手術ツール140を操作するために電磁ブレーキを有する整流子リニアモータ222を有する直接駆動システムを利用する。従来のモータよりも整流子リニアモータを利用することにより、バックラッシュ又はコンプライアンスを生じ、位置決めの正確性及び反復性を低下させる可能性のある機械部品を除去することができる一方で、負荷慣性もまた低減され、オバーシュート及び振動を減少させながら、より大きく動かすことが可能になる。さらに、整流子スロットレスリニアモータによって、受動的なバックドライブが可能になることにより、円滑な力の制御、及び忠実度の高い力のフィードバックが容易になる。
【0030】
ある特定の実施形態では、モータ222は、デジタル正弦波整流と、任意にエアベアリングと、を有する、3相スロットレスブラシレス可動磁石リニアモータを含む。例えば、ある特定の実施形態では、モータ222は、スロットレスブラシレスの直流(DC)(BLDC)リニアモータを含む。このような実施形態では、モータ222は、ネオジム鉄ホウ素(NdFeB)磁石を永久磁石として利用することができる。各モータ222は、整流及び制御の両方を行うための相対リニアエンコーダ(例えば、光リニアエンコーダ又はホログラフィックリニアエンコーダ)、及び/又はアブソリュートリニアエンコーダと組み合わせて使用して、ホーミングの必要をなくすことができる。スロットレスブラシレス可動磁石リニアモータを利用することにより、コギングトルク(例えば、トルクリップル)が非常に小さいことなど、他の型のモータ(例えば、スロットモータ)に優る利点がいくつかもたらされる。したがって、スロットレスブラシレス可動磁石リニアモータにより、それらの使用中の振動及び雑音を低減しながら、より正確な駆動が可能になる。さらに、エアベアリングを利用することにより、摩擦がなく、高精度の位置決めが、円滑で制御された速度、及び正確性の高いガイディングで容易になる。ギア式及び油圧式駆動システムは、静摩擦及び動摩擦、並びに/又はバックラッシュの影響を受けるという欠点があり得るため、モータ222は、アクチュエータリンク203とともに、ロボット手術システム100が力の制御をより良好に実行できるようにする直接駆動システムを形成する。
【0031】
ある特定の実施形態では、スレーブ装置120のものと実質的に同様のスロットレスブラシレス可動磁石リニアモータは、マスター装置110にもまた利用し得ることに留意されたい。さらに、スレーブ装置120の回転アクチュエータは、手術ツール140のツール横転軸を駆動するためにスロットレスBLDC型可動磁石(NdFeB)モータを含むことができる。
【0032】
上述したように、スレーブ装置120は、患者102の頭部に間接的に装着するように構成されている。したがって、スレーブ装置120の重量、及び特に、駆動モータ222によって生じる患者の頭部への圧迫を緩和するために、スレーブ装置120の1つ又は複数の部品は、軽量の高弾性/密度比の材料で形成することができる。例えば、ある特定の実施形態では、ロボット手術システム100によって患者の頭部に加えられる重量を低減するために、ベース208、支持柱209、結合リング204、及び/又はツールシャフト218は、強化繊維エンジニアリングプラスチック、アルミニウム、ケブラー(Kevlar)(登録商標)、炭素繊維、などで形成されている。スレーブ装置120に軽量材料を利用することに加えて、以下でより詳細に説明するように、多関節アーム160などの、釣り合わせ支持アームを利用して、スレーブ装置120を支持することができる。
【0033】
図2Bは、
図2Aの二重三脚スレーブ装置120の概略上面図を図示する。スレーブ装置120は、3つのアクチュエータリンク203からなる2つのセット202a、202bを含み、各アクチュエータリンク203は、同じセットの隣接するアクチュエータリンク203から、角度約120°だけ半径方向に間隔をあけて配置されている。さらに、各アクチュエータリンク203は、自身に対して上方又は下方に設けられた隣接するセット202のアクチュエータリンク203と水平方向又は半径方向に位置合わせされている(例えば、中立位置にあるときに軸Yに沿って真上又は真下に設けられている)。したがって、
図2Bの手前側ではアクチュエータリンク203からなる一方のセット202aのみが目で見え、3つの支持柱209のみが、アクチュエータリンク203を支持フレーム206に係留するために利用される。このため、
図2A及び
図2Bに描かれているアクチュエータリンク203の配置は、「位置合わせされている」と記述することができる。
【0034】
図2Cは、アクチュエータリンク203が、隣接するセット202間で水平方向又は半径方向にずれている(例えば、軸Yに沿って位置合わせされていない)二重三脚スレーブ装置120の概略上面図を図示する。示されているように、スレーブ装置120は、角度約120°で半径方向に間隔をあけて配置された3つのアクチュエータリンク203からなる2つのセット202a、202bを有する二重三脚構造を保ったままである。しかしながら、
図2A及び
図2Bの実施形態とは異なり、各アクチュエータリンク203は、自身に対して上方又は下方に設けられた隣接するセット202のアクチュエータリンク203と位置合わせされていない。したがって、
図2Cでは、アクチュエータリンク203からなるセット202a、202bの両方が目で見えており(一方のセット202bは想像線で描かれている)、6つの支持柱209を利用して、アクチュエータリンク203からなるセット202の両方を支持している。このアクチュエータリンク203の水平方向又は半径方向にずれている配置を利用することにより、上述した位置合わせされた構造と比較して、程度の異なる手術ツール140の可動性(例えば、関節の範囲)を可能にすることができ、したがって、場合によっては好適となり得る。
【0035】
図3は、ある特定の実施形態による、ロボット手術システム100の代替的なスレーブ装置320の透視図を図示する。
図3に描かれているように、各セット202a、202b間のアクチュエータリンク203の遠位端212及び近位端214の垂直方向の位置関係(例えば、アクチュエータリンク203の垂直方向の向き又は角度)は、反転されている。すなわち、一方のセット202aでは、アクチュエータリンク203aの遠位端212aは、結合リング204aにおいてツールシャフト218又は手術ツール140に結合されており、この結合リンクは、垂直軸Yに対して、近位端214aの支持柱209との結合点の上方にあるツールシャフト218又は手術ツール140の長さに沿った位置に設けられている。反対に、セット202bのアクチュエータリンク203bの遠位端212bは、垂直軸Yに対して、近位端214bの支持柱209との結合点の下方にある位置に設けられた結合リング204bにおいて、ツールシャフト218又は手術ツール140に結合されている。この代替的な実施形態は、
図2A~
図2Cを参照しながら説明した実施形態とは異なり、アクチュエータリンクからなるセット202a、202bの両方が、実質的に同様の垂直方向の向き及び/又は角度を有する。
【0036】
図4は、ある特定の実施形態による、ロボット手術システム100のさらに別の代替的なスレーブ装置420の透視図を図示する。スレーブ装置120及び320と同様、スレーブ装置420は、3つのアクチュエータリンク203からなる2つのセット202a、202bを含み、セットはそれぞれ、自身の遠位端212付近でツールシャフト218又は手術ツール140に間接的に結合されている。しかしながら、上述した実施形態とは異なり、アクチュエータリンク203からなる2つのセット202a、202bは、自身の近位端214において単一の作動プラットフォーム412にさらに直接的又は間接的に結合されて、近位端214が単一の垂直面Y1に沿って位置合わせされるようになっている。作動プラットフォーム412は、支持柱209と同じようなやり方で作用し、アクチュエータリンク203に取り付け用の支えを提供する。ある特定の実施形態では、作動プラットフォーム412は、
図5A及び
図5Bを参照しながらより詳細に説明するように、額支持部150の延長部と回転可能に結合するための回転ジョイント414(例えば、水平方向及び/又は垂直方向の回転を可能にするヒンジ)をその裏側に含む。
【0037】
ある特定の実施形態では、各セット202a、202bにおけるアクチュエータリンク203の遠位端212は、各セット202a、202bの遠位端がそこで一点に集まる中間プラットフォーム405を介して、結合リング204及び/又はツールシャフト218、及び/又は手術ツール140に接続されている。中間プラットフォーム405により、アクチュエータリンク203からの直線運動を、対応する手術ツール140の移行操作及び回転操作に変換することが可能になる。このため、アクチュエータリンク203からなるセット202a、202bの両方が協働して作用して、x、y、及びz移行運動だけでなく、ピッチ及びヨー回転運動も提供することができる。結合リング204及び/又はツールシャフト218に結合され得る回転アクチュエータの利用と組み合わせて、アクチュエータリンク203は、ツールシャフト218及び/又はツール140の最大7自由度を可能にする。中間プラットフォーム405は、円錐形状を有するように描かれているが、中間プラットフォーム405は、アクチュエータリンク403の直線運動を、最大6自由度の手術ツール140の動きに変換することを可能にする任意の適切な形態構造を有し得ることに留意されたい。
【0038】
図2A~
図2C、
図3及び
図4に描かれている構造は、スレーブ装置120に関して説明しているが、同じ、又は実質的に同じ構造及び配置をマスター装置110に利用することができる。例えば、二重三脚スレーブ装置120を利用するとき、マスター装置110は、スレーブ装置120を模倣し、同じ二重三脚構造だが、オペレータ106による操作がより容易になるように拡大された二重三脚構造を共有することができる。このため、マスター装置110は、手術ツール140を複製したマスター手術ツールハンドルを含むことができ、3つの半径方向に伸びるマスターアクチュエータリンクからなる2つのセットに結合させることができ、このマスターアクチュエータリンクのセットがそれぞれ、単一の水平面に沿ってマスター手術ツールハンドルに結合されて、二重三脚構造を形成している。さらに、マスター装置110は、スロットレスBLDC型のマスターモータを含むことができ、これにより、トルクセンサと組み合わせて使用したときに、トルクフィードバックが容易になる。
【0039】
マスター装置110用にスレーブ装置120の機械的構造を模倣することによって、スレーブ装置120の、ひいては手術ツール140の完全な大局空間運動が可能になる。さらに、マスター装置110用にスレーブ装置120の機械的構造を模倣することによって、オペレータ106にとって使用がより容易になる場合がある。スレーブ装置120及びマスター装置110の位置を、構造のスケーリングを除いて同一にすることができるからである。マスター装置110用の二重三脚構造によって、オペレータ106が、片方の手だけを利用しながらロボット手術システム100を用いて手術処置を実行できるようにすることもまた可能であり、これによりオペレータ106は、自身のもう片方の手を、内部照明器又は第2のツールの位置決めなどの他の行為に同時に使用することができる。いくつかの実施形態では、1対のロボット手術システム100は、組み合わせて利用して、オペレータ106による両手使いの手術を実行することができ、オペレータ106のそれぞれの手が、個々のロボット手術システム100、ひいては個々のスレーブ装置120を制御する。
【0040】
図5A及び
図5Bは、ある特定の実施形態による、患者102の頭部に装着したときのスレーブ装置120の透視図を図示する。このため、
図5A及び
図5Bは、本明細書では、わかり易くするために一緒に説明される。示されているように、スレーブ装置120は、スレーブ装置支持システム180に結合されている。ある特定の態様では、スレーブ装置支持システム180は、患者の頭部とスレーブ装置120との間の相対運動を防ぐために、スペキュラ109によって開いたままに保たれた患者の片目108の上方の垂直な、安定した(例えば、固定された)位置でスレーブ装置120を支持するのを補助している。例えば、スレーブ装置120がスレーブ装置支持システム180に取り付けられ、患者の頭部の上に装着されると、スレーブ装置120は、患者の頭部とともに移動することになり、これにより、全身麻酔及び神経筋遮断の必要性がなくなるか、又は少なくとも必要性が低減される。麻酔及び神経筋遮断は通常、手術処置中の患者の動きを防ぐために使用されるが、患者の動きは手術ツール140の利用を中断させ、且つ/又は手術用器具が原因で患者の目を損傷してしまう可能性がある。したがって、患者の不随意運動に関連した危険は、スレーブ装置120及びスレーブ装置支持システム180を利用することにより大幅に低減又は排除することができる。ある特定の態様では、スレーブ装置支持システム180はさらに、釣り合わせ機構を用いることにより、スレーブ装置120の重量によって生じる患者の頭部への圧迫を低減又は排除する。このため、患者102はスレーブ装置120の重量を感じなくなるが、依然として慣性を感じることができ、これにより患者の動きが減速され、抑止されることになる。
【0041】
スレーブ装置支持システム180は、概して額支持部150と、多関節アーム160と、ベース170と、を含む。額支持部150は、患者の額及びこめかみの上に接触して置かれるように構成された滅菌式、又は使い捨て式のU字型支持体である。患者102の快適さを向上させるために、額支持部150の下側又は患者に面する側は、例えば、高密度メモリ発泡材などの粘弾性材料が詰められた表面を含む。ある特定の実施形態では、額支持部150は、幅が広く調節可能な頭部ストラップ552を利用して患者の頭部に固定されるが、このストラップは任意の適切な締結機構を介して締結することができる。ある特定の実施形態では、頭部ストラップ552は、患者に対してカスタマイズされたフィット性を可能にするために、例えば、Velcro(登録商標)などの面ファスナを介して調節可能に締結されている。額支持部150を介して患者の頭部にスレーブ装置120を取り付けることによって、スレーブ装置120に対する患者の頭部の回転が事実上排除される。
【0042】
スレーブ装置120は、異なる患者の解剖学的特性(例えば、頭部の幾何学的形状)に対応し、所望の患者の片目108の上方にスレーブ装置120を横方向に位置決めできるようにするために、調節可能な取り付け具560を介して額支持部150に取り付けられている。ある特定の実施形態では、取り付け具560は、患者のいずれかの目の上方にスレーブ装置120を位置決めし易くするために、額支持部150の内側に取り付けられた単一のシリアル多関節アーム又は2つのパラレル多関節アームなどの多関節アームを含む。
図5A及び
図5Bの実施形態では、取り付け具560は、それぞれが2つの連結部を有する2つのパラレル多関節アーム554と、連結部が横方向に回転する5つの回転ジョイント556と、を有するように示されている。ある特定の実施形態では、取り付け具560は、スレーブ装置120が水平軸を中心に回転できるようにするために、その遠位端に遠位の回転ジョイント558をさらに含む。
【0043】
スレーブ装置120の重量を支持するために、額支持部150は、ベース170によって支持された、釣り合わせ受動的多関節アーム160にさらに結合されている。ある特定の実施形態では、多関節アーム160は、額支持部150及び額支持部に取り付けられたスレーブ装置120の受動的でロック可能な水平方向の動きを可能にするために、スカラ機構562を含むだけでなく、その受動的でロック可能な垂直方向の動きを可能にするために、4節平行四辺形機構570もまた含む。例えば、
図5A及び
図5Bに示されているように、スカラ機構562は、垂直軸を有する少なくとも2つのリンク564及び少なくとも3つの回転ジョイント566によって形成されて、手術室の床平面に平行な受動的な運動を生み出している。4節平行四辺形機構570は、床平面に垂直な受動的な垂直運動を生み出すために、水平軸を有する4つのバー572及び4つの回転ジョイント574によって形成されている。4節平行四辺形機構570は、空気ばね、定荷重ばねなどといったような、ばね576によってさらに釣り合いが保たれ、これにより、4節平行四辺形機構570のロックが可能になっている。協働して、スカラ機構562及び4節平行四辺形機構570は、スレーブ装置120の重量を考慮した調節可能な釣り合わせ機構を提供するが、これは、患者の頭部の動きに関連して患者の安全性を高めるために、手術処置中、患者の頭部に装着され、患者の頭部とともに移動する。受動的多関節アーム160は、その遠位端にスカラ機構562、及びその近位端に4節平行四辺形機構570を有するように示されているが、受動的多関節アーム160は、所望の通りに、任意の順番又は配置で2つの機構を含み得ることに留意されたい。
【0044】
図6は、ロボット手術システム100の信号の流れのブロック図を図示する。上述したように、ロボット手術システム100は、マスター装置110及びスレーブ装置120を含むマスター・スレーブ型システムを用いており、このシステムは、互いに実質的に同様のアーキテクチャ又は配置を有することができる。オペレータ106がマスター装置110を動作させると、マスター装置110は、マスター装置110、コンピュータ130と、スレーブ装置120との間で送信される制御信号を発生させる。制御信号を受信すると、スレーブ装置120は、手術ツール140の動作を制御する。
【0045】
マスター装置110は、マスター装置と通信可能に結合され、且つ使用中にオペレータ106に6自由度の力及び触覚フィードバックを提供するように構成された複数のマスターエンコーダ626及びマスター力覚センサ624を含む。ある特定の実施形態では、マスターエンコーダ626は、角度位置を感知するために、マスター手術ツールハンドル、及び/又はマスターエンコーダに加えられた静的トルク及び/又は動的トルクを感知するために、トルクセンサに通信可能に結合された回転エンコーダを含む。マスター装置110がスレーブ装置120に類似した二重三脚アーキテクチャを含む実施形態では、各マスターアクチュエータリンクは、1つ又は複数のマスターエンコーダ626、及び/又は1つ又は複数のマスター力覚センサ624と通信状態にあってもよい。例えば、各マスターアクチュエータリンクは、1つのマスターエンコーダ626及び1つのマスター力覚センサ624に対応することができる。しかしながら、マスター装置110の構造に応じて、任意の適切な数のマスターエンコーダ626及びマスター力覚センサ624を利用することができる。ある特定の実施形態では、マスターアクチュエータリンク、マスターエンコーダ626、及びマスター力覚センサ624の数は、スレーブ装置120のアクチュエータリンク203の数によって決まる。例えば、マスター装置110は、スレーブ装置120のアクチュエータリンク203ごとに、少なくとも1つのマスターアクチュエータリンク、マスターエンコーダ626、及びマスター力覚センサ624を含むことができる。例えば、スレーブ装置120が6つのアクチュエータリンク203を含むときには、6つのマスターアクチュエータリンク、6つのマスターエンコーダ626、及び6つのマスター力覚センサ624といった具合である。別の例では、マスター装置110は、マスター手術ツールハンドルと通信状態にある追加の第7のマスターエンコーダ626及び第7のマスター力覚センサ624を含む。
【0046】
ある特定の実施形態では、マスターエンコーダ626は、マスターの位置の値及び方向の値をアナログ正弦波として提供する光ファイバ結合サイン・コサイン(すなわち、正弦波)エンコーダを含む。ある特定の実施形態では、マスターエンコーダ626は、リニア光学アブソリュートエンコーダ及びリニア光学インクリメントエンコーダなどのリニア光学エンコーダを含む。ある特定の実施形態では、マスター力覚センサ624は、ストレインゲージを含む。
【0047】
オペレータ106がマスター装置110を操作するときに、その動きが複数のマスターモータ672(例えば、スロットレスBLDC型モータ)を駆動し、マスターエンコーダ626のうちの1つ又は複数に、1つ又は複数のマスターアクチュエータリンクの異なる位置(KP1)を読み取らせる。同時に、1つ又は複数のマスター力覚センサ624は、マスター装置110の構造に力(KF1)を与えるときに、マスターアクチュエータリンクの動きを感知する。マスター力覚センサ624及びマスターエンコーダ626は、KP1に対応する複数の値(例えば、信号)622、及びKF1に対応する複数の値620を、コンピュータ130に送るように作用し、コンピュータは、次に、値620、622を読み取り、様々なフィルタリング616及びスケーリング618(例えば、ゲイン、減少、補償、調節)をそれらの値に適用する。その後、コンピュータ130は、フィルタリング及びスケーリング後の値630’、632’を含む更新済み制御信号を、スレーブ動力伝達経路コントローラ650を介してスレーブ装置120に送る。信号は、モータ222に指示して、アクチュエータリンク203を直線的に作動させるように、且つ/又は、手術ツール140及び/又はツールシャフト218に直接又は間接的に結合された回転アクチュエータを回転させるようにする。このため、スレーブ装置120は、患者102の上で手術ツール140を用いて手術手技を実行するために、所望の動きで、又は所望の位置へと操作される。
【0048】
スレーブ装置120は、任意に、スレーブエンコーダ636と、スレーブ力覚センサ634と、からなるセットを有する。例えば、スレーブ装置120は、6個又は7個のスレーブエンコーダ636と、6個又は7個のスレーブ力覚センサ634と、からなるセットを含み、各スレーブエンコーダ636及び/又はスレーブ力覚センサ634は、単一のアクチュエータリンク203及び/又は手術ツール140に対応している。ある特定の実施形態では、スレーブエンコーダ636は、マスターエンコーダ626に実質的に同様であり、光ファイバ結合サイン・コサイン(すなわち、正弦波)エンコーダ及び/又は、リニア光学エンコーダを含んでもよい。同様に、スレーブ力覚センサ634は、マスター力覚センサ624に実質的に同様であってもよく、またストレインゲージを含んでもよい。ある特定の例では、スレーブ装置120は、手術ツール140及び/又はアクチュエータリンク203に結合されたストレインゲージ634を含み、このストレインゲージは、忠実度チャネルの別名で知られる30~320Hz(ヘルツ)領域で接触力を感知するように構成されている。ある特定の実施形態では、スレーブ装置120は、手術ツール140に加えられる静的トルク及び/又は動的トルクを感知するように構成されたトルクトランスデューサ又はトルクセンサを任意に含む。さらなる実施形態では、スレーブ装置120は、スレーブ装置120全体の6自由度の力のフィードバックを提供するように構成された単一の力覚デバイスを含む。
【0049】
スレーブ装置120は手術ツール140を操作するように命じられるときに、スレーブエンコーダ636がアクチュエータリンク203の異なる位置(KP2)を読み取り、スレーブ力覚センサ634が、手術ツール140に対する接触力及びトルク力(KF2)を同時に感知する。KP2に対応する複数の値632、及びKF2に対応する複数の値630は、次に、コンピュータ130に送り返され、コンピュータは、フィルタリング616及びスケーリング618を適用し、フィルタリング及びスケーリング後の値620’、622’を含む更新済み制御信号を、マスター動力伝達経路コントローラ640を介してマスター装置110に対して変換する。概して、値632、630は、マスター装置110に対する変換用にコンピュータ130によって一定比率で拡大され、一方、値622、620は、スレーブ装置120に対する変換用に一定比率で縮小される。ある特定の実施形態では、値622、620及び値632、630は、固定倍率に従ってスケーリングされる。他の実施形態では、値622、620及び値632、630は、動的な倍率に従ってスケーリングされる。
【0050】
マスター装置110のマスターモータは、次に、スケーリング後の信号によって駆動され、オペレータ106は、硝子体網膜手術などの眼科手術中に、異なるタイプの表面及び/又は組織との接触を感知することができる。マスター装置110とスレーブ装置120との間で信号を変換することに加えて、コンピュータ130は、マスター装置110及びスレーブ装置120のそれぞれのアクチュエータリンクを連携させる。キネマティックモデル及びダイナミックモデルがコンピュータ130にロードされて、システムを安定させ、手術ツール140に結合されたスレーブ装置120に6自由度又は7自由度の連携された動きを提供する。ある特定の実施形態では、ロボット手術システム100は、各ロボット軸用に1つ又は複数の電磁ブレーキを含む。例えば、ロボット手術システム100のブレーキは、監視タイマ、停電センサ、及び/又は、コンピュータ130によって判定された制御信号(すなわち、フィルタリング616及びスケーリング618直後に命じられた位置及び姿勢)と、エンコーダが感知した実際の位置及び姿勢との間の差によって、部分的に制御することができる。
【0051】
スレーブ装置120とマスター装置110との間で値を送信する間に、コンピュータ130による値のフィルタリング616及びスケーリング618を実行することによって、ロボット手術システム100の動作中に数多くの恩恵がもたらされる。このため、手操作による手術に関連し得るだけでなく、従来のロボット手術システムにも関連し得る短所の多くを回避することもまたできる。例えば、未熟な手術医又は経験の乏しい手術医だけでなく、場合によっては年長の手術医でもごく普通のことだが、不随意のオペレータの動き又はオペレータの震え(すなわち、生理的な震え)は、コンピュータ130の震動フィルタによってフィルタリングすることができる。生理的な震えにより、約10μm(マイクロメータ)以下の位置決めの正確性が求められる手術処置が、許容を超える不正確なものになってしまう。典型的には、生理的な手の震えは、50μmの振幅で8~15Hzの帯域にあり、正弦波の動きによって近似できるのに対して、顕微手術(例えば、硝子体網膜手術)中の手術医の制御された手の動きは、通常1Hz未満である。震えを効果的にフィルタリングするために、ロボット手術システム100は、コンピュータ130にロードされた1つ又は複数の適応型アルゴリズムを利用して、フィルタリングプロセスでの位相遅れをゼロにしてマスター出力から震えをリアルタイムでフィルタリングすることができる。ある特定の実施形態では、フィルタリング616は、5Hzのカットオフ周波数でゼロ位相遅れの低域通過フィルタ(LPF)によって実行される。例えば、フィルタは一次バターワース(Butterworth)LPFとすることができる。
【0052】
上述したように、コンピュータ130は、スケーリング動作618中に、マスター装置110と手術ツール140との間で力のダウンスケーリング、力の制限、位置のスケーリング、及び速度のスケーリングを実行するようにさらに構成されている。力のダウンスケーリング、力の制限、並びに、位置及び速度のスケーリングはまとめて、ロボット手術システム100内に埋め込まれたユーザインタフェース制御法則と記述することができる。
図6に図示されているように、ロボット手術システム100は、閉じた制御ループを利用して、スレーブ装置120の力及び位置決めを制御することができる。閉じた制御ループをさらに利用して、制御ループの使用中に、オペレータ106にハプティックフィードバックを提供することができる。例えば、マスター力覚センサ624は、マスター装置110上のオペレータの力を感知することができ、次に、これをダウンスケーリング後の制御信号に変換して、スレーブ装置120に供給することができる。感知された力の値は、コンピュータ130にロードされたソフトウェア及びユーザインタフェースが制御可能な倍率、又は、固定倍率若しくは所定の倍率を利用することによってスケーリングすることができる。いくつかの例では、コンピュータ130は、協調制御アルゴリズムを実行して、ツール-組織とオペレータの力との間のスケーリング後の差に基づいて、スレーブ装置120の動きを生成するように構成することができる。
【0053】
力の制御に加えて、ロボット手術システム100は、手術ツール140とマスター装置110との間で、力又は触覚(例えば、ハプティック)フィードバックを提供する。ある特定の実施形態では、ロボット手術システム100は、上述した閉じた制御ループとは別のハプティックフィードバックシステム(例えば、フィードバックループ)を含む。他の実施形態では、ハプティックフィードバックループは、力及び位置合わせ制御ループに統合されている。概して、手術中にオペレータ106が組織の生体力学的特性を区別できるようにするために、ハプティックフィードバックループは、約30Hzから約320Hzまでの領域で手術ツール140とマスター装置110との間で触覚情報を収集し、送信する。
【0054】
要約すると、本開示の実施形態は、患者に対する外傷を最小限に抑えつつ、眼科手術の正確性及び敏捷性を高めるためのデバイス及びシステムを含む。手術処置中、及び特に、硝子体網膜手術のような繊細且つ精密な処置中の随意及び不随意の患者の動きは、通常、手術ツールと視覚組織との間で望ましくない偶発的な接触を引き起こす可能性がある。このような接触は、患者の眼球の深刻な合併症につながる可能性があり、場合によっては、取り返しのつかない損傷及び視力障害へと発展する可能性がある。本明細書に記載のデバイス及びシステムは、その使用中に、スレーブ装置が患者の頭部と一緒に動くように、手術医が手術スレーブ装置を患者の頭部に装着及び固定することができる実施形態を含む。本明細書に記載のデバイス及びシステムを利用することによって、眼科手術処置中の患者の動きに関連した危険の多くは、低減又は排除することができる。このため、記載されている実施形態は、患者の動きを防ぐために部分的に利用される神経筋遮断を伴う全身麻酔を施す必要性もまた排除、又は少なくとも低減する。
【0055】
まださらに、本明細書に記載のデバイス及びシステムは、硝子体網膜手術につきものの、人間の知覚及び運動の制限に関係する制約のいくつかを軽減することができる。例えば、手術医の疲労、手の震え、及び眼腔内の組織間のごくわずかな触覚の違いを知覚できないことは、硝子体網膜処置の正確性及び有効性に対する一般的な制限である。7自由度の動きを維持しながら、力の制御(例えば、スケーリング及びフィルタリング)及びフィードバック(例えば、触覚フィードバック)のための機構を提供することによって、手術医と手術部位との物理的接続が向上した本明細書に記載のデバイス及びシステムは、手術医に敏捷性及び精度の向上を提供する。このように、本明細書に記載のデバイス及びシステムは、手術ミスの危険性を減らし、手術時間を短縮することで、硝子体網膜処置の全体的な有効性を高めることができる。
【0056】
硝子体手術が、記載された実施形態からの恩恵を受け得る手術処置の一例として論じられているが、本明細書に記載される手術デバイス及びシステムの利点は、他の手術処置にも同様に恩恵をもたらし得る。
【0057】
上記は、本開示の実施形態に関するが、その基本的な適用範囲から逸脱することなく、本開示の他の及びさらなる実施形態が考案されてもよく、その適用範囲は、以下の特許請求の範囲によって決定される。
【国際調査報告】