(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-13
(54)【発明の名称】風力タービンブレードの製作のための接合プロセスにおけるペーストビーズを塗布するための半自動化レーザ誘導機構
(51)【国際特許分類】
B05C 17/00 20060101AFI20240205BHJP
【FI】
B05C17/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023547215
(86)(22)【出願日】2022-02-04
(85)【翻訳文提出日】2023-09-28
(86)【国際出願番号】 US2022015239
(87)【国際公開番号】W WO2022170045
(87)【国際公開日】2022-08-11
(32)【優先日】2021-02-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520005303
【氏名又は名称】ティーピーアイ コンポジッツ,インコーポレーティッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】サリミ,アミール
(72)【発明者】
【氏名】ダヤルクマール,ベルニー
【テーマコード(参考)】
4F042
【Fターム(参考)】
4F042AA13
4F042DH09
4F042FA22
4F042FA23
4F042FA31
4F042FA33
(57)【要約】
風力タービンブレードの製造中に、ペースト流を改善するデバイス、システム、及び方法が提供される。複合構造(例えば、風力タービンブレード)に接着剤を塗布するための装置は、接着剤の供給を受け入れるための開口部を有する頂部表面を有するペーストシューと、頂部表面から下方に延在し、複合構造の表面と係合して、ペーストシュー内の内部容積を画定するように構成された2つの脚部と、を備える。搬送機構(例えば、ホイール、トレッド)は、接着剤が内部容積内に分配されている間、複合構造に対してペーストシューを移動させるために各脚部に配設されている。力付与部は、一定の内部容積を維持するために、ペーストシューに力を付与し、したがって、均一なペーストビーズが、複合構造に塗布される。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複合構造に接着剤を塗布するための装置であって、
ペーストシューであって、
頂部表面であって、接着剤の供給を受け入れるように構成された頂部表面と、
前記頂部表面から下方に延在し、前記複合構造の表面と係合するように構成された少なくとも2つの脚部であって、内部容積を画定する、少なくとも2つの脚部と、
各脚部に配設された搬送機構であって、前記複合構造に対して、前記ペーストシューを移動させる、搬送機構と、を含み、
前記接着剤が、前記内部容積内に分配されている、ペーストシューと、
力付与部であって、前記ペーストシューに力を付与するように構成された、力付与部と、を備える、装置。
【請求項2】
前記装置が、風力タービンブレードの先端エッジ及び後端エッジに沿って前進する、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
レーザが、前記ペーストシューの前進のための経路を投影する、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記ペーストシューが、少なくとも1つのホイールを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記ペーストシューが、第1の脚部に配設されたホイールと、第2の脚部に配設されたホイールと、前記ペーストシューの前方エッジに配設されたホイールと、を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記前方エッジ上の前記ホイールが、前記ペーストシューを操縦する、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記シューの前記脚部上の少なくとも1つのホイールが、前記ペーストシューを推進する、請求項5に記載の装置。
【請求項8】
前記ペーストシューが、手動で前進する、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記ペーストシューが、自動で前進する、請求項1に記載の装置。
【請求項10】
前記ペーストシューが、少なくとも1つのセンサを含み、前記センサが、前記ペーストシューに付与される前記力を測定する、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記センサは、所定の力が付与されるときにのみ、接着剤の分配を可能にする、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記力付与部が、前記ペーストシューの前記頂部表面に力を付与する、請求項1に記載の装置。
【請求項13】
前記力付与部が、ハンドルである、請求項1に記載の装置。
【請求項14】
前記力付与部が、バラストである、請求項1に記載の装置。
【請求項15】
前記バラストの量が、調整可能である、請求項14に記載の装置。
【請求項16】
前記搬送機構が、一対のトラックを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項17】
各トラックが、独立して動作することができる、請求項16に記載の装置。
【請求項18】
前記搬送機構が、前記脚部内に少なくとも部分的に収容される、請求項1に記載の装置。
【請求項19】
前記搬送機構が、前記脚部の外部表面に配設されている、請求項1に記載の装置。
【請求項20】
前記搬送機構が、前記ペーストシュー内に配設されたモータによって給電される、請求項1に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年2月4日に提出された米国仮特許出願第63/145,785号の米国特許法第119条(e)に基づく優先権の利益を主張し、その全内容が、参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
本開示の実施形態は、複合製品、例えば、風力タービンブレードの製造中にペースト流を改善するデバイス、システム、及び方法に関する。特に、本開示のデバイス、システム、及び方法は、適切なペースト流を確実にすること、及びブレード閉鎖プロセス中のペースト中の空隙の形成を防止することに関する。
【発明の概要】
【0003】
開示される主題の目的及び利点は、続く説明において記載され、それから明白となり、かつ開示される主題の実施によって習得されるだろう。開示される主題の更なる利点は、本明細書の説明及び特許請求の範囲において、特に指摘される方法及びシステム、並びに添付の図面から特に指摘される方法及びシステムにより、実現及び達成されるだろう。
【0004】
これら及び他の利点を達成するために、かつ開示される主題の目的に従って、具体化され、広く記載されるように、開示される主題は、接着剤を複合構造に塗布するための装置であって、ペーストシューであって、頂部表面であって、接着剤の供給を受け入れるように構成された頂部表面と、頂部表面から下方に延在し、複合構造の表面と係合して、内部容積を画定するように構成された少なくとも2つの脚部と、各脚部に配設された搬送機構であって、複合構造に対して、ペーストシューを移動させる、搬送機構と、を含み、接着剤が、内部容積内に分配されている、ペーストシューと、ペーストシューに力を付与するように構成された、力付与部と、を備える、装置を含む。
【0005】
いくつかの実施形態では、装置は、風力タービンブレードの先端エッジ及び後端エッジに沿って前進する。
【0006】
いくつかの実施形態では、レーザは、ペーストシューの前進のための経路を投影する。
【0007】
いくつかの実施形態では、ペーストシューは、少なくとも1つのホイールを含む。
【0008】
いくつかの実施形態では、ペーストシューは、第1の脚部及び第2の脚部に配設されたホイールと、ペーストシューの前方エッジに配設されたホイールと、を含む。前方エッジのホイールは、ペーストシューを操縦することができ、シューの脚部の少なくとも1つのホイールは、ペーストシューを推進することができる。
【0009】
いくつかの実施形態では、ペーストシューは、手動で前進される。いくつかの実施形態では、ペーストシューは、自動的に前進される。
【0010】
いくつかの実施形態では、ペーストシューは、少なくとも1つのセンサを含み、センサは、ペーストシューに付与される力を測定する。
【0011】
いくつかの実施形態では、センサは、所定の力が適用されるときにのみ、接着剤の分配を可能にする。
【0012】
いくつかの実施形態では、力付与部は、ペーストシューの頂部表面に力を付与する。
【0013】
いくつかの実施形態では、力付与部は、ハンドルである。いくつかの実施形態では、力付与部は、バラストである。
【0014】
いくつかの実施形態では、バラストの量は、自動的に調整可能である。
【0015】
いくつかの実施形態では、搬送機構は、一対のトラックである。
【0016】
いくつかの実施形態では、各トラックは、独立して動作することができる。
【0017】
いくつかの実施形態では、搬送機構は、脚部内に収容される。
【0018】
いくつかの実施形態では、搬送機構は、脚部の外部表面に配設されている。
【0019】
いくつかの実施形態では、搬送機構は、ペーストシュー内に配設されたモータによって給電される。
【0020】
前述の概要及び以下の発明を実施するための形態の両方は、単に例示的であり、特許請求される開示される主題の更なる説明を提供することが意図されていることを理解されたい。
【0021】
本明細書に組み込まれ、この一部を構成する添付の図面は、開示される主題の方法及びシステムを図示し、更に理解を提供するために含まれる。図面は、説明とともに、開示される主題の原理を説明するのに役立つ。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】断面図の切断線を有し、接着ビーズの塗布エラーを識別する、例示的な風力タービンブレードを示す。
【
図2A】本開示の実施形態による、例示的な風力タービンブレードを示す。
【
図2B】本開示の実施形態による、例示的な風力タービンブレードを示す。
【
図2C】本開示の実施形態による、例示的な風力タービンブレードを示す。
【
図3】本開示の実施形態による、半自律ペースト塗布制御を有する、例示的な風力タービンブレード接着剤塗布システムを示す。
【
図4】本開示の実施形態による、自律ペースト塗布制御を有する、例示的な風力タービンブレード接着剤塗布システムを示す。
【
図5】本開示の実施形態による、風力タービンブレード接着剤ペースト塗布システムを誘導するための例示的なローバを示す。
【
図6】本開示の実施形態による、風力タービンブレード接着剤ペースト塗布システムを誘導するための例示的なローバを示す。
【
図7】本明細書に開示されるペーストディスペンサを移動させるための複数のホイールを含む、例示的な搬送機構を示す。
【
図8】本明細書に開示されるペーストディスペンサを移動させるための複数のトレッド/トラックを含む、例示的な搬送機構を示す。
【発明を実施するための形態】
【0023】
繊維強化プラスチックは強度重量比が高いため、現代の風力タービンローターブレードは、繊維強化プラスチックで構築されている。ロータブレードは、典型的には、丸みを帯びた先端エッジ及び鋭い後端エッジを有する翼形を含み、ブレードは、タービンのハブに接続するブレードルートを含む。複数のロータブレードは、それぞれのブレードルートでハブに接続され、風力タービンを作成する。ブレードルートは、ブレードに補強を提供する、繊維強化ポリマー内に設定された複数のルートブッシングを含む。ボルトは、ブレードルートをハブに接続するために、ルートブッシングのねじ山と係合している。
【0024】
典型的なタービンブレードは、一対の金型で、2つの半シェルを成形することによって作られる。スパーキャップ(航空機の翼のスパーに類似)、ウェブ補強材(リブ)及び他の詳細は、任意選択で、ブレード半分の1つに設置されてもよい。接着剤は、例えば、等間隔のビーズで、第1のシェルの接合周囲/エッジに塗布される。また、接着剤は、ブレードの長さに沿って分配されるせん断ウェブ及び/又はスパーキャップに塗布することができる。次いで、第2の半分のシェルは、依然としてその金型ツール内でひっくり返され、最初のシェルの上に降ろされる。金型が一緒にプレスされ、接着剤は、硬化され、ブレードの2つの半分を一緒に接合することが可能である。2つのブレード半分がペーストで一緒に接合されるこのプロセスは、ブレード閉鎖と呼ばれる。
【0025】
2つのブレード半分が接合されるシームは、完全なタービンブレードの構造的完全性にとって重要な接合部である。ブレードの閉鎖中、(通常、ブレード半分の周囲に沿って間隔を置いたビーズの形で塗布された)ペーストは、製造上の欠陥を避けるために、2つのブレードの半分の間の全ての空隙を埋める必要がある。しかしながら、2つのブレード半分が一緒にプレスされ、ペーストが概ね粘性液体であるため、ペーストは、2つのブレード半分の間の空間全体を満たさない場合があり、したがって、構造的完全性を損なう可能性がある接合シーム内における空気間隙を形成する。
【0026】
製造欠陥の頻度及び深刻度は、われわれの製造プロセスの品質を査定するための指標として使用できる。最も一般的な製造欠陥のうちの1つは、最終的に組み立てられたブレードの接合線内に空気間隙が形成されることである。複数のパラメータがこれらの欠陥の生成に寄与する可能性があるが、オペレータエラーによるペーストビーズの不適切な適塗布が主な原因のうちの1つであることが知られている。
図1は、従来の(手動の)ペーストビーズの塗布が、後で接合線での空隙の形成につながる不均一なビーズの塗布にどのようにつながり得るかを示す。
図1の(ペーストの広がりを制限するための障壁として機能する)ペーストシュー2とペーストシュー3との間のスパンのA-Aに沿った断面図に示されるように、キャプション(a)は、ペーストの投影されたエッジ(破線)がペーストの実際のエッジ(実線)と一致する理想的な接合を示している。対照的に、キャプション(b)は、ブレードシェル/半分間に相対的なスパン方向の運動があるときの欠陥のある不均一なペースト分布を示す。ここで、ペーストの投影されたエッジ(水平の破線)は、ペーストの実際のエッジ(起伏のある実線)と一致せず、起伏のあるパターンを有する。同様に、キャプション(c)は、選択された場所での蓄積ペーストにつながる、ペースト塗布中に加えられる不十分な圧力があるときの欠陥のある、不均一なペースト分布を示す。同様に、キャプション(d)は、ペースト塗布中に相対的な弦方向の運動があるときの欠陥のある不均一なペースト分布を示す。
【0027】
超音波試験は、空気間隙が存在しないことを確実にするために品質管理として実施されてもよく、空気間隙が存在すると判定された場合、空隙を埋めるために追加のペーストが空隙空間に注入されてもよい。しかし、接合シーム全体をスクリーニングするこのプロセスは、高価であり(技術者の時間と高価な試験装置の両方を必要とする)、時間がかかる。したがって、ブレード閉鎖中にペースト流を改善し、ペースト中の空気間隙の形成を防止するシステムの必要性が存在する。
【0028】
潜在的なオペレータエラーを排除し、ブレードの最終的な品質を向上させるために、本開示は、完全に手動から完全に自律的までの範囲のビーズ塗布ソリューションを提供する。
【0029】
図2Aは、本開示の実施形態による、例示的な風力タービンブレード12を示す。風力タービンブレード12は、先端エッジ14及び後端エッジ16を有するシェルを含む。任意の好適な数のブレード12(例えば、3つ)は、風がブレード12を通過するときに、ブレード12がハブを回転させ、それによって電力を生成するように、ブレードルートで風力タービンのハブに接続されてもよい。
【0030】
図2Bは、本開示の実施形態による、
図2Aの風力タービンブレード12の断面を示す。風力タービンブレード12の断面は、翼形として概ね形成され、上記のように、先端エッジ14及び後端エッジ16を含む。
【0031】
図2Cは、本開示の実施形態による、ブレード閉鎖中の例示的な風力タービンブレード202の断面図を示す。風力タービンブレード202は、先端エッジ204及び後端エッジ206を有する翼形として概ね形成され、ポリマー強化複合材料から製造される。ブレード202の製造中に、ブレード202は、2つの半分(第1の半分202a及び第2の半分202b)として製造されてもよく、その後、例えば、界面に塗布された接着剤ペーストによって、互いに固定されてもよい。第1のブレード半分202aを第2のブレード半分202bに固着するために、ペーストが1つ又は両方のブレード半分202a、202bの周囲に塗布される。いくつかの実施形態では、接着剤は、ブレードスパンに沿って選択場所に塗布され、いくつかの実施形態では、接着剤は、ブレードスパン全体に沿って連続的に塗布される。各ブレード半分202a、202bは、それぞれの金型半分210a、210bの内側に位置決めされ、金型半分210a、210b及びブレード半分202a、202bは一緒になっている。
【0032】
図2Cに示されるように、本開示は、せん断ウェブ250及び対応するスパーキャップ260を有するものを含む、様々なブレード設計に適用可能である。上部及び下部金型スキンはまた、例えば、ブレードの中点から後端エッジまでの厚さが増加している、コア材料を含むことができる。
【0033】
図3は、本開示の実施形態による、風力タービンブレード製造のための例示的な成形及びペースト塗布アセンブリを示す。アセンブリは、ヒンジ104を介して一緒に回転可能に結合されている、第1のベースフレーム102a及び第2のベースフレーム102bを含む。ベースフレーム102a、102bの各々は、概ねL字形であり(すなわち、より短い垂直脚部及びより長い横脚部を有する)、ヒンジ104は、より短い垂直脚部の端部に配設されている。当業者は、ベースフレーム102a、102bが、当業者に知られているような任意の好適な形状(L字形だけでなく)を含み得ることを認識するであろう。
【0034】
いくつかの実施形態では、
図3に示されるように、ベースフレーム102a、102bは、それぞれ工具フレーム106a、106bと係合するインターロック機構を含むことができる。これらのインターロック機構103は、ベースフレーム102を工具フレーム106に結合して、相対移動を防止することを嵌合的に固定するのに役立つ。示される例示的な実施形態では、ベースフレーム102a、102bの各々は、より長い脚部から垂直に、例えば、上向きに延在する複数の突起103a、103bを含む。突起103a、103bは、当技術分野で知られているように、任意の好適な所定の形状、例えば、円筒形、箱形、又は立方体を含み得る。動作中、特定のブレード設計仕様(すなわち、重量、長さ、キャンバなど)を形成するようにサイズ設定された工具フレーム106a、106bは、下にあるベースフレーム102a、102bに装填することができる。同様に、工具フレーム106は、ベースフレーム102から取り外され、異なるサイズ/形状の別の工具フレームと交換されて、第2のブレード仕様によって決定される寸法に適応することができる。
【0035】
成形アセンブリ100は、第1の工具フレーム106aに配設された第1のシェル金型108aと、第2の工具フレーム106bに配設された第2のシェル金型108bと、を更に含む。第1のシェル金型108aは、風力タービンブレードの一方の半分に対応する金型表面を含み、第2のシェル金型108bは、風力タービンブレードの他方の半分に対応する金型表面を含む。金型表面は、表面から成形された部分が容易に抽出され得るように(例えば、金型に付着しないように)研磨及び/又は処理され得る。シェル金型108a、108bは各々、第2のシェル金型108bが第1のシェル金型108aの頂部で回転されるときに、周囲が互いに接触する周囲を含む。追加的に、又は代替的に、シェル金型108は、ブレード材料とインターフェースするための頂部表面に取り外し可能な層を有してもよく、この取り外し可能な層は、次のブレード形成のためにシェル金型108の表面を保存するために、ブレードの形成後に取り外して廃棄することができる。例えば、金型フランジインサートは、後端エッジに沿った接合を容易にするために、シェル金型108a、108bの後端エッジセクションに取り付けられ得る。
【0036】
モジュラーフレーム102、106、及び108の所望の組み合わせが組み立てられると、風力タービンブレードが製造され、ブレードの1つの半分が各金型半分108a及び108bに形成される。複合ブレードを形成するための例示的な技術は、真空支援樹脂転写成形(VA-RTM)を含む。そのような技術では、樹脂は、低い熱及び圧力を必要とする真空力を介して、金型に引き込まれる。この技術は、深い引き込み及び高繊維容積分画及び低空隙形成を有する大型構成要素製造を可能にする。
【0037】
様々な実施形態では、ベースフレーム、工具フレーム、及び/又はシェル金型は、当技術分野で知られているように、任意の好適な金属から作製され得る。様々な実施形態では、金型及び/又は障壁は、例えば、アルミニウム、スチール、ステンレス鋼、チタン、タンタル、タングステン、又は金属の任意の好適な組み合わせ(例えば、金属合金)などの金属を含み得る。様々な実施形態では、ベースフレーム、工具フレーム、及び/又はシェル金型は、ポリマー、例えば、ポリエチレン、ポリウレタン、ポリエチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニルなどを含み得る。様々な実施形態では、ベースフレーム、工具フレーム、及び/又はシェル金型は、機械加工(例えば、CNC機械加工)、3D印刷(例えば、直接金属レーザ焼結(DMLS)及び熱溶解積層法(FDM)を使用して)、開放成形、閉鎖成形、樹脂注入、圧縮成形、複合材料ハンドレイアップ、射出成形、引き抜き成形、自動繊維配置、チューブローリング、自動化テープ敷設、フィラメント巻き、樹脂転写成形、又は当技術分野で知られているような任意の好適な製造技術によって作製されてもよい。当業者は、任意の好適な3D印刷技術が、本明細書に記載される構成要素を製造するために使用され得ることを認識するであろう。
【0038】
本明細書に開示されるシステムは、レーザ投影システム216を更に含むことができる。レーザ投影システム216は、1つ以上の光パターン216aをシェル金型108a、108bに投影して、ブレードエッジ並びに/又はせん断ウェブ及びスパーキャップに沿ったペーストの配置を誘導することができる。レーザ投影システム216は、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許出願第16/235,325号及び米国特許出願第16/023,891号に記載されているレーザ投影システムを含んでもよい。あるいは、永久的な印/線は、接着剤塗布場所/経路を示すために、インク又はチョークで形成され得る。
【0039】
本開示の一態様によれば、システムは、樹脂又はペースト注入システムを含む。いくつかの実施形態では、注入システムは、複数の導管及びポンプ機構を含み、樹脂/ペーストを送達する力を生成し、これは、金型フレーム106の外部に/隣接して収容することができる。接着剤ペーストは、下部金型半分108aの外周の周りに、連続ビーズとして、又は選択された場所で別個の量として、先端及び後端エッジに沿って分配することができる。いくつかの実施形態では、注入システムは、少なくとも部分的に、金型フレーム106内に収容することができる。
【0040】
接着剤/ペーストは、ブレードスキンの頂部表面の上方に配設されている付与部300にダクトされ得、金型半分に対して移動され得る。(付与部は、
図3の上部金型半分108bに示されているが、付与部はまた、下部金型半分108a内に配設及び動作することができる)。ペーストを収容するタンク又はリザーバ250は、
図3に示されるように、2つの構成要素を流体的に結合する可撓性ホーシングを用いて、付与部300から別個の構成要素として提供され得る。いくつかの実施形態では、タンク250は、ディスペンサ300と並行して移動することができる。また、いくつかの実施形態では、タンク250を上昇させて、ホースを通って、ディスペンサ300(又は「ローバ」)内に配置された出口ノズルにペーストの重力支援供給を提供することができる。
【0041】
図4は、示される例示的な実施形態では、ハンドル310、及び調節可能なシュー320、及びムービーベールベース(又は「ローバ」)330を含む、付与部300の拡大図を示す。この実施形態では、ハンドル310は、調節可能なシューの頂部表面から垂直に上向きに延在することができ、分配時に空気がペーストと混合するのを除去/防止するために、シュー320に下向きの力を与えるために使用され得る(例えば、シューの側壁の底部の下の空気入口を遮断することによって)。ハンドル310は、付与された力の量、及び空気間隙の形成を回避するために必要な力の量(シューのサイズ320及びペースト粘度の関数である)を示すためのセンサ又はゲージを含むことができる。ハンドルに付与された力が必要な力と一致しない場合、アラート(可聴、可視、及び/又はタクトル)が生成される可能性がある。
【0042】
更に、ハンドル310は、ペーストをブレードスキンに分配するノズルがブレードスキンに対して正しい角度で配向されることを確実にするための誘導手段(例えば、ブラケット)を含むことができる。例えば、
図4は、ブレードスキンに約90度配向されたハンドル310(及びその中に配設されたノズル)を示しており、所望に応じて、ブレード輪郭を収容するために、追加的又は代替的な角度を設定することができる。ハンドル310は、ペーストを内部に運ぶホースを収容することができ、それによって、ホーシングへのいかなる損傷又は曲げ/種類も防止する。追加的に、又は代替的に、ホーシングは、ハンドル310の外部に位置することができる。また、ハンドル310は、ユーザがハンドルを容易につかみ、下向きの力を付与することを可能にする距離(例えば、3フィート)を上向きに延在するようにサイズ設定することができる。いくつかの実施形態では、ハンドル310の高さは、入れ子式に調整され得る。追加的に、又は代替的に、ハンドルは、付与される力の角度又はベクトル(及び分配ノズルがハンドル内に位置する実施形態のために、ペーストが分配される角度)を調整するために、ペーストシュー320に対して移動(例えば、回転及び/又は枢動)することができる。
【0043】
複数のディスペンサ300を展開して、ブレードの周りの所望の場所/経路に沿ってペーストを同時に、又は断続的に塗布することができる。シュー320は、下向きに延在する2つの脚部322、324を有し、一体型の単一構造として形成される、概ね平坦な頂部表面321を含むことができる。動作中、ペーストは、ハンドル310を通る流れは、部分が各脚部322、324に向かって迂回され、各脚部322、324からブレード表面上に分配されるように、シューの上部321内で分散される。追加的に、又は代替的に、ペーストは、例えばシュー320の頂部321に位置する別個のポートで、ハンドルから離間した場所から分配することができる。したがって、ペーストは、独立して、又は同時に、シュー内のいくつかの場所から分配することができる。
【0044】
いくつかの実施形態では、センサは、空気ポケット/空隙が存在しないことを確実にするように、ペーストがシュー内の容積を完全に満たしたときを検出するために、シュー320内に組み込まれる(例えば、内壁に配置される)ことができる。追加的に、又は代替的に、流量計は、ペーストの分配速度/量を測定し、所望の量のペーストを達成するように、シューの速度を調整するために挿入され得る。例えば、流量計は、ペーストシューがブレードに沿って移動する速度に従って、分配されるペーストの速度を調整することができる。脚部322、324に隣接して位置決めされたのは、所望のペースト経路に沿ってディスペンサ300を前進させるための搬送機構330(例えば、ホイール)である。本明細書では「ホイール」について言及されるが、任意の好適な搬送手段、例えば、レール、トレッドなどが使用され得ることが当業者には明らかであり、これらの全てが本開示の範囲内であることに留意されたい。
【0045】
図4に示される例示的な実施形態では、ユーザは、手動で分配装置300を動作させて、搬送機構(330)を手動で動作させて、ディスペンサ300をペースト経路に沿って移動させる一方で、ハンドル310を通して所望の量の力を付与して、シュー320が均一に分配されたペーストビーズ(空気間隙なし)を維持することを確実にする。言い換えれば、搬送機構は、ユーザによって付与される力から独立した推進力を生成しない受動システムである。また、ユーザは、ペースト分配中にハンドル310の圧力及び/又は角度を変化させることによって、塗布されたペーストの形状若しくは幾何学形状を調整して、連続した接着剤プロファイルを確実にすることができる。
【0046】
図5は、本開示の別の実施形態を示し、システムは、所定の経路に沿ってディスペンサを誘導し、ブレード上の特定の場所に従って分配されるペーストの量を調整するための自動化作動及びナビゲーションモジュールを含む。ブレードスキンに沿った操縦、及びシュー内のペースト分配による変位に抵抗するための下向きの圧力は、分配装置300の推進が自動的に提供される間、手動で(例えば、ハンドル310を介して)提供され得る。十分な下向きの力が検出されると、ディスペンサ300の推進力を作動させることができる。例えば、ディスペンサは、
図5に示されるように、下向きの力/変位を感知するための1つ又は両方の脚部322、324内に配設されたセンサ340を含むことができる。圧電体、デジタルゲージ(例えば、ストレス/ひずみ)、及び機械的センサ(例えば、ばね)を含む様々なセンサ340を使用することができる。十分な下向きの力が付与され、センサ340によって検出されると、推進システムが作動して、ブレード経路に沿ってディスペンサ300を駆動し、シュー内にペーストを分配する。
【0047】
接着剤の流れは、均一に制御されたペーストビーズが塗布されることを保証するために、並進運動/速度によって制御することができる。例えば、ディスペンサ300が停止している場合、接着剤の分配は、移動が再開されるまで中断されてもよい。ディスペンサ300はまた、所定のブレード経路に沿ってディスペンサ300をナビゲートする埋め込み位置検出(例えば、GPS)モジュールを含むことができる。オンボードナビゲーションシステムは、ブレードに塗布されたペーストビーズの弦方向の均一性を確実にする。追加的に、又は代替的に、ディスペンサ300は、オーバーヘッドレーザ投影216a線を検出し、その線に沿ってディスペンサを誘導するためのカメラを含むことができる。ディスペンサ300が投影された経路216aから逸脱した場合、分配ノズルを閉鎖して、接着剤が所望の経路の外側に塗布されるのを防ぐことができる。
【0048】
ディスペンサ300の推進は、ディスペンサの脚部322、324内に含まれるホイールを作動させるバッテリ駆動モータ及び駆動列を介して提供することができる。ショックアブソーバ及び/又はストラットは、脚部32、324内に含めることができ、ディスペンサのハウジングを下方に移動させてブレードスキンと係合し、接着剤塗布のためにペーストシュー内の閉鎖容積を確実にすることができる。ここで、ディスペンサ300の平行移動運動は、ブレードに沿ったペーストの長時間の均一性を提供するために電動化される。
【0049】
いくつかの実施形態では、ペースト塗布は、完全に自動化することができる。例えば、
図6は、(
図4~5に関連して前述したように)ハンドルが省略される完全自律型分配システム300を示す。そのような実施形態では、バラスト350をペーストシュー320に塗布して、シューの内部を充填するときに、接着剤の油圧圧力(シューを上に押し上げる)に対抗するための下向きの力を提供することができる。バラストの量は、塗布される接着剤の量、及び/又はペーストシュー320の内部容積に応じて、変化する内部油圧圧力に対応するように調整することができる。例えば、バラストは、水、又は取り外し可能な重みの形態で提供され得、シュー320の周り(例えば、頂部)に均等に分配され得る。バラスト350の適切なレベルがシュー320内のセンサによって確認されると、オンボードモータは、オーバーヘッドレーザ216aによって投影されるように、所望の経路に沿ってシューを推進するように作動する。押出される接着剤に従って、均一なペーストビーズが堆積されることを確実にするために、センサを使用して、ディスペンサ300の速度を制御することもできる。したがって、調整可能なシュー320を制御して、所望される任意の断面形状を有するペーストビーズを提供することができる(例えば、先端エッジ/後端エッジの場所よりもスパーキャップ/せん断ウェブの場所が広い)。いくつかの実施形態では、シュー自体の形状は、例えば、側壁が互いに相対的に移動して内部空洞の幾何学形状の容積を変化させ、ペーストビーズの幾何学形状を所望に応じて調整できるように変化させることができる。
【0050】
図7は、シューの両側に配設された一対のホイール332を含み、先端操縦ホイール331がシュー320の前側に配設されたシュー320駆動装置の例示的な実施形態を示す。前方ホイール331は、ファントム線に示される矢印によって示されるように、左/右に回転することができる。パスファインダ(例えば、カメラ)334は、オーバーヘッドレーザプロジェクタによって照らされた経路を検出し、それに応じて前方ホイール331を操縦して、駆動ホイール332が速度を調整して、均一なペーストビーズがブレード表面に堆積されることを確実にする経路上に留まる。いくつかの実施形態では、ハンドル310は、例えば、示されるように後端エッジに含まれてもよく、所望であれば、自動化動作の手動動作又は補完を提供する。(明確にするために、ペースト分配装置はここでは省略されている)。
【0051】
図8は、シューの両側に配設された一対のトレッド/トラック336を含むシュー320駆動装置の例示的な実施形態を示す。上述の
図7の例示的な実施形態と同様に、パスファインダ(例えば、カメラ)334は、オーバーヘッドレーザプロジェクタによって照らされた経路を検出し、各トレッドの相対速度を調整する(すなわち、一方のトレッドを他方のトレッドに対して増減する、及び/又は一方のトレッドの方向を他方のトレッドに対して反転する)ことによって、シューを操縦して、経路上に留まる。また、トレッド336の速度を(並行して)調節して、均一なペーストビーズがブレード表面に堆積されることを確実にすることができる。また、いくつかの実施形態では、ハンドル310は、例えば、示されるように、後端エッジに含まれてもよく、所望であれば、自動化動作の手動動作又は補完を提供する。(明確にするために、ペースト分配装置はここでは省略されている)。
【0052】
更に、センサ350をシューに組み込んで、ブレード表面からのシューの変位(又は高さ)を検出し、内部シューの容積が一貫しているかどうかを計算して、均一なペーストビーズが塗布されることを確実にすることができる。例えば、センサは、ブレード表面とシューの頂部とを同時に係合させ、(完全に自動化された実施形態ではバラストから、又は手動の実施形態ではユーザによって塗布されるかどうかにかかわらず)シューに付与される下向きの力を測定することができる。
【0053】
いくつかの実施形態では、シューは、シューの頂部に沿って配設された複数の通気口を含む。通気口は、オペレータが各通気口を独立して動作させて、所望に応じて圧力を調整することができるように、例えば、接合を容易にするために、ペーストをブレード表面からシュー320の頂部に向かって引き出すことができるように、選択的に開閉するように動作可能であり得る。通気口は、任意の好適な形状(例えば、円形)を有し得る。いくつかの実施形態では、通気口は、ペーストが通気口に移行して満たすことを可能にし、その中(すなわち、内部障壁からその特定の通気口まで)に塗布されたペーストが任意の空気ポケット/空隙を含まないことの視覚的確認を提供する検査特徴(例えば、窓、開口部、壊れやすい膜)を含む。
【0054】
ペーストは、ブレードの先端エッジ及び後端エッジに沿って、かつブレードの内部部分(すなわち、弦方向)内、例えば、スパーキャップ、せん断ウェブ、及び/又はコア材料を設置される場所にも塗布することができる。
【0055】
本発明の様々な実施形態の記載は、例示の目的のために提示されているが、網羅的であることを意図するものでもなく、開示される実施形態に限定されるものでもない。多くの修飾及び変形は、記載された実施形態の範囲及び精神から逸脱することないことが当業者に明らかであろう。本明細書で使用される用語は、実施形態の原理、市場で見出された技術に対する実用的な用途若しくは技術的改善を最もよく表現するために、又は当業者が本明細書で開示されている実施形態を理解することを可能にするために選択された。
【国際調査報告】