IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ モレックス インコーポレイテドの特許一覧

特表2024-506317端子位置保証部材、それを備えた電気コネクタ、およびそれを備えた電気コネクタアセンブリ
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-13
(54)【発明の名称】端子位置保証部材、それを備えた電気コネクタ、およびそれを備えた電気コネクタアセンブリ
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/42 20060101AFI20240205BHJP
【FI】
H01R13/42 F
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023547772
(86)(22)【出願日】2022-01-27
(85)【翻訳文提出日】2023-08-08
(86)【国際出願番号】 IB2022050698
(87)【国際公開番号】W WO2022172112
(87)【国際公開日】2022-08-18
(31)【優先権主張番号】10-2021-0018480
(32)【優先日】2021-02-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591043064
【氏名又は名称】モレックス エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100116207
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100096426
【弁理士】
【氏名又は名称】川合 誠
(72)【発明者】
【氏名】ジャン ボム ジン
(72)【発明者】
【氏名】ジョン ドク パク
(72)【発明者】
【氏名】サ チョル ホン
【テーマコード(参考)】
5E087
【Fターム(参考)】
5E087EE02
5E087EE11
5E087FF08
5E087FF13
5E087GG14
5E087GG16
5E087GG25
5E087GG32
5E087HH03
5E087JJ01
5E087RR25
5E087RR47
(57)【要約】
【解決手段】開示された実施形態に係る電気コネクタは、端子受容開口を有するハウジングと、端子受容開口の外側に装着されて端子の位置を固定するTPA部材と、を備える。TPA部材は、TPA部材の両端からそれぞれ延在し、ハウジングの側壁の外側に位置する第1側部カンチレバーアームと第2側部カンチレバーアームとを備え、ハウジングは、予備装着位置においてTPA部材と接触せず、ハウジングは、最終装着位置において第1側部カンチレバーアームおよび第2側部カンチレバーアームとラッチ結合される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
端子受容開口を有するハウジングと、前記端子受容開口の外側に装着されて端子の位置を固定するTPA部材と、を備える電気コネクタであって、
前記TPA部材は、該TPA部材の両端からそれぞれ延在し、前記ハウジングの側壁の外側に位置する第1側部カンチレバーアームと第2側部カンチレバーアームとを備え、
前記ハウジングは、予備装着位置において前記TPA部材と接触せず、
前記ハウジングは、最終装着位置において前記第1側部カンチレバーアームおよび第2側部カンチレバーアームとラッチ結合されることを特徴とする、電気コネクタ。
【請求項2】
前記ハウジングは、前記予備装着位置にあるTPA部材が、前記ハウジングに向かう装着方向の反対方向に分離することを防止する係止突起をさらに備えることを特徴とする、請求項1に記載の電気コネクタ。
【請求項3】
前記TPA部材は、該TPA部材の下部から延在して前記ハウジングの底部の外側に位置し、前記最終装着位置において前記ハウジングとラッチ結合される少なくとも1つの底部カンチレバーアームを備え、
前記ハウジングは、前記TPA部材が前記ハウジングから分離されることを防止するために、該ハウジングの側壁に形成された少なくとも1つの回転防止突起をさらに備えることを特徴とする、請求項1に記載の電気コネクタ。
【請求項4】
前記ハウジングおよびTPA部材は、1つの射出成形金型で1回の射出成形によって形成され、そのまま前記予備装着位置に配置されることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の電気コネクタ。
【請求項5】
前記ハウジングは、前記TPA部材が前記予備装着位置から最終装着位置に移動するときに前記TPA部材の移動を案内するガイドリブをさらに備えることを特徴とする、請求項1に記載の電気コネクタ。
【請求項6】
前記TPA部材は、前記予備装着位置において前記ハウジングの複数の端子受容開口の外側に配置される複数の歯部をさらに備える、請求項1に記載の電気コネクタ。
【請求項7】
前記ハウジングの複数の端子受容開口の各々は、前記端子が端子受容開口に装着された後に、前記端子の受容方向に対して垂直な方向に端子が分離または揺動することを防止するように前記端子受容開口内に配置されたフィンガ部を備える、請求項6に記載の電気コネクタ。
【請求項8】
前記最終装着位置において、前記複数の歯部の各々は、対応する前記端子受容開口のフィンガ部と連携して、前記端子が分離または端子の受容方向において前後に揺動することを防止することを特徴とする、請求項7に記載の電気コネクタ。
【請求項9】
前記ハウジングは、他の別個の電気コネクタと結合されるように複数の端子受容開口に面する側に配置された接続部をさらに備え、
前記電気コネクタは、前記接続部と同一形状の接続部を有する他の電気コネクタと回転対称状態で結合可能であることを特徴とする、請求項1に記載の電気コネクタ。
【請求項10】
前記複数の端子受容開口は、上下2列に配置された第1群の端子受容開口と第2群の端子受容開口とを有することを特徴とする、請求項9に記載の電気コネクタ。
【請求項11】
前記ハウジングは、一方の側に雌ラッチ部を有し、前記一方の側に対向する他方の側に雄ラッチ部を有し、
該雄ラッチ部は、カスケード状の屈曲部を有することを特徴とする、請求項9に記載の電気コネクタ。
【請求項12】
電気コネクタのハウジングの外側に装着されて複数の端子の位置を固定するTPA部材であって、
該TPA部材は、該TPA部材の両端からそれぞれ延在し、前記ハウジングの側壁の外側に位置する第1側部カンチレバーアームと第2側部カンチレバーアームとを備え、
前記TPA部材は、予備装着位置において前記ハウジングと接触せず、
前記第1側部カンチレバーアームと第2側部カンチレバーアームは、最終装着位置において前記ハウジングにラッチ結合されることを特徴とする、TPA部材。
【請求項13】
前記TPA部材は、該TPA部材の下部から延在して前記ハウジングの底部の外側に位置し、前記最終装着位置において前記ハウジングとラッチ結合される少なくとも1つの底部カンチレバーアームを備え、
前記TPA部材は、前記予備装着位置において前記ハウジングの複数の端子受容開口の外側に配置される複数の歯部をさらに備え、
前記最終装着位置にある複数の歯部の各々は、対応する端子受容開口に挿入されて、前記端子の分離または受容方向における前後の揺動を防止する、請求項12に記載のTPA部材。
【請求項14】
電気コネクタアセンブリであって、
請求項7に記載の電気コネクタと、
前記電気コネクタに挿入されて固定され、該電気コネクタに挿入された後に該電気コネクタのフィンガ部に結合される端子ホルダを有する導電端子と、を備えることを特徴とする、電気コネクタアセンブリ。
【請求項15】
前記電気コネクタは、該電気コネクタと同一形状の他の電気コネクタと回転対称状態で結合可能である、請求項14に記載の電気コネクタアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本出願は、2021年2月9日に出願された、韓国特許出願第10-2021-0018480号に対する優先権を主張し、参照によってその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
(発明の分野)
本開示は、電線対電線電気コネクタまたは電線対基板電気コネクタに関し、より詳細には、端子が電気コネクタのハウジングに完全に挿入されることを可能にし、好ましい挿入位置を維持し、端子の分離を防止する端子位置保証(TPA)部材を備える電気コネクタに関する。
【背景技術】
【0003】
一般に、電気コネクタは、雌コネクタと雄コネクタとを電気的に接続するハウジングと、ハウジングの一方の側に形成された複数の開口部にそれぞれ挿入される複数の導電端子とを備える場合がある。端子の不完全挿入または不完全結合を防止するために、端子の不完全挿入または不完全結合を検出し、好ましい端子結合状態を維持および固定するために、TPA部材(または端子位置保証部材、端子保持部、補助係止部)が使用されることが知られている。
【0004】
TPA部材は、TPA部材の不完全な結合状態を識別することによって1つ以上の端子が完全に装着されていないことを検出し、不完全に挿入された端子を適切な位置に配置するために、不完全に挿入された端子を好ましい挿入位置に単独で移動させるために使用される場合がある。
【0005】
TPA部材の使用は、端子の好ましい位置を保証し、端子間の結合を保証するために必要とされる場合があるが、TPA部材の使用により、部品点数が増加し、組立工程が増加するため、コストが上昇し、作業効率が低下するという問題が生じることがある。
【0006】
韓国公開特許公報第10-2009-0022370号(2009年3月4日公開)は、1つのTPA部材が2つのコネクタハウジングの両方に結合される電気コネクタを開示している。このようなTPA部材は、コネクタハウジングと別途の部材として製造された後、追加的な工程を経てコネクタハウジングに組み立てられるので、追加的な組立工程によって時間および費用の面で作業効率が低下するという問題が依然として存在する。
【0007】
本開示は、コネクタハウジングとTPA部材との単純かつ効果的な組み合わせによって上述の問題の解決策を提供する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】韓国公開特許公報第10-2009-0022370号(2009年3月4日公開)
【発明の概要】
【0009】
本開示の目的は、部品点数が少なく、簡単な製造および組立工程によって製造されるTPA部材を備える電気コネクタを提供することである。
【0010】
本開示の一実施形態によれば、電気コネクタは、端子受容開口を有するハウジングと、端子受容開口の外側に装着されて端子の位置を固定するTPA部材とを備える。TPA部材は、TPA部材の両端からそれぞれ延在し、ハウジングの側壁の外側に位置する第1側部カンチレバーアームと第2側部カンチレバーアームとを備える。ハウジングは、予備装着位置においてTPA部材と接触しない。ハウジングは、最終装着位置において第1側部カンチレバーアームおよび第2側部カンチレバーアームとラッチ結合される。
【0011】
一実施形態では、ハウジングは、予備装着位置にあるTPA部材が、ハウジングに向かう装着方向の反対方向に分離されることを防止する係止突起をさらに備えてもよい。
【0012】
一実施形態では、TPA部材は、TPA部材の下部から延在し、ハウジングの底部の外側に位置する少なくとも1つの底部カンチレバーアームを備えてもよい。少なくとも1つの底部カンチレバーアームは、最終装着位置においてハウジングとラッチ結合されてもよい。ハウジングは、TPA部材がハウジングから分離することを防止するために、ハウジングの側壁に形成された少なくとも1つの回転防止突起をさらに備えてもよい。
【0013】
一実施形態では、ハウジングおよびTPA部材は、1つの射出成形金型で1回の射出成形によって形成されてもよく、そのまま予備装着位置に配置されてもよい。
【0014】
一実施形態では、ハウジングは、TPA部材が予備装着位置から最終装着位置に移動するときにTPA部材の移動を案内するガイドリブをさらに備えてもよい。
【0015】
一実施形態では、TPA部材は、予備装着位置においてハウジングの複数の端子受容開口の外側に配置される複数の歯部をさらに備えてもよい。
【0016】
一実施形態では、ハウジングの複数の端子受容開口の各々は、端子が端子受容開口に装着された後に、端子の受容方向に対して垂直な方向に端子が分離または揺動することを防止するように、その中に配置されたフィンガ部分を備えてもよい。
【0017】
一実施形態では、最終装着位置において、複数の歯部の各々は、対応する端子受容開口のフィンガ部分と連携して、端子が分離または端子の受容方向において前後に揺動することを防止してもよい。
【0018】
一実施形態では、ハウジングは、他の別個の電気コネクタと結合されるように複数の端子受容開口に面する側に配置された接続部をさらに備えてもよい。電気コネクタは、接続部と同一形状の接続部を有する他の電気コネクタと回転対称状態で結合されてもよい。
【0019】
一実施形態では、複数の端子受容開口は、上下2列に配置された第1群の端子受容開口と第2群の端子受容開口とを有してもよい。
【0020】
一実施形態では、ハウジングは、一方の側に雌ラッチ部を有してもよく、一方の側に対向する他方の側に雄ラッチ部を有してもよい。雄ラッチ部は、カスケード状の屈曲部を有してもよい。
【0021】
本開示の一実施形態によれば、TPA部材は、電気コネクタのハウジングの外側に装着されて複数の端子の位置を固定する。TPA部材は、TPA部材の両端からそれぞれ延在し、ハウジングの側壁の外側に位置する第1側部カンチレバーアームと第2側部カンチレバーアームとを備える。TPA部材は、予備装着位置においてハウジングと接触しない。第1側部カンチレバーアームと第2側部カンチレバーアームは、最終装着位置においてハウジングにラッチ結合されてもよい。
【0022】
一実施形態では、TPA部材は、TPA部材の下部から延在してハウジングの底部の外側に位置し、最終装着位置においてハウジングとラッチ結合される少なくとも1つの底部カンチレバーアームと、予備装着位置においてハウジングの複数の端子受容開口の外側に配置される複数の歯部と、をさらに備えてもよい。最終装着位置にある複数の歯部の各々は、対応する端子受容開口内に挿入されて、端子の分離または受容方向における前後の揺動を防止してもよい。
【0023】
本開示の一実施形態に係る電気コネクタアセンブリは、電気コネクタと、電気コネクタに固定された導電端子と、を備える。
【0024】
一実施形態では、電気コネクタは、電気コネクタと同一形状の他の電気コネクタと回転対称状態で結合されてもよい。
【0025】
本開示の一実施形態によれば、ハウジングおよびTPAは、予備装着位置で単一工程を通じて同時に射出成形されてもよく、TPAを最終装着位置に容易に装着することができるので、製造工程が単純化され、時間および費用が節減される。
【0026】
本開示の一実施形態によれば、ハウジングおよびTPAが予備装着位置にあるとき、ハウジングおよびTAPが予備装着位置から分離することが防止されるので、組み立てが容易であり、TPAがハウジングから分離して紛失することが防止される。
【0027】
本開示の他の目的、特徴および利点は、添付の図面と関連して後述する本開示を実施するための形態に基づいて明確に理解されるであろう。図面において、同じ参照符号は同じ構成要素を示す。図面の説明は以下の通りである。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本開示の第1実施形態に係る電気コネクタ10の斜視図であり、ハウジングとTPA部材とが互いに完全に分離されている。
図2図1の電気コネクタ10を別の方向から見た斜視図である。
図3】本開示の第1実施形態に係る電気コネクタ10の斜視図であり、ハウジングおよびTPA部材が予備装着位置にある状態を示している。
図4図3の電気コネクタ10を別の方向から見た斜視図である。
図5図3の電気コネクタ10をTPA部材から見た斜視図である。
図6】本開示の第1実施形態に係る電気コネクタ10を端子90とともに示す側面図であり、ハウジングおよびTPA部材が予備装着位置にある状態を示している。
図7図6の電気コネクタ10の側面図である。
図8図6の電気コネクタ10の斜視図であり、予備装着位置にあるTPA部材がハウジングから分離されていない状態を示している。
図9図6の電気コネクタ10において、端子がハウジングに挿入されて予備装着位置から最終装着位置に移動する工程を、端子固定用のフィンガ部113とともに示す部分断面斜視図である。
図10図6の電気コネクタ10が予備装着位置にあるときに端子がハウジングに挿入された状態を示す側面図および部分断面図であり、他の実施形態に係る電気コネクタ50の対応部分の断面図である。
図11図6の電気コネクタ10の側面図および部分断面図であり、端子がハウジングに挿入され、次いでハウジングおよびTPA部材が最終装着位置にある状態を示し、別の実施形態に係る電気コネクタ50の対応する部分の断面図である。
図12】本開示の第1実施形態に係る複数の端子が装着された電気コネクタ10と、同一形状の他の電気コネクタC10とが、結合前に回転対称に配置された状態を示す斜視図である。
図13図12の一対の電気コネクタが結合された状態を示す斜視図である。
図14図13の一対の電気コネクタのSl-SF線に沿った断面図である。
図15図13の一対の電気コネクタのS2-S2’線に沿った断面図である。
図16】本開示の第2実施形態に係る電気コネクタ30の斜視図であり、ハウジングとTPA部材とが互いに完全に分離されている。
図17】本開示の第2実施形態に係る電気コネクタ30の斜視図であり、ハウジングおよびTPA部材が予備装着位置にある状態を示している。
図18図17の電気コネクタ30を別の方向から見た斜視図である。
図19図16のS3-S3’線に沿った電気コネクタ30の断面図であり、予備装着位置にある状態を示している。
図20図16のS3-S3’線に沿った電気コネクタ30の断面図であり、最終装着位置にある状態を示している。
図21】本開示の第3実施形態に係る電気コネクタ50の斜視図であり、ハウジングとTPA部材とが互いに完全に分離されている。
図22】本開示の第3実施形態に係る電気コネクタ50の斜視図であり、ハウジングおよびTPA部材が予備装着位置にある状態を示している。
図23図22の電気コネクタ50の断面図である。
図24】本開示の第3実施形態に係る複数の端子が装着された電気コネクタ50と、同一形状の他の電気コネクタとが、回転対称に配置されて結合された状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本開示の実施形態は、本開示の技術的思想を説明するために例示されたものである。本開示の権利範囲は、以下で提案される実施形態またはこれらの実施形態の詳細な説明に限定されない。
【0030】
本開示で使用される全ての技術用語および科学用語は、別途に定義しない限り、本開示が属する技術分野で通常の知識を有する者が通常理解する意味を有する。本開示で使用される全ての用語は、本開示をより明確に説明するために選択されたものであり、本開示の権利範囲を限定するために選択されたものではない。
【0031】
本開示で使用される用語「備える(comprises )」、「備える(includes)」、「有する(has )」は、当該表現を含む文言または文章が別途の意味を示さない限り、他の実施形態を含む可能性がある非制限的な用語であると理解されなければならない。
【0032】
本開示で使用される単数形は、文脈上明白に異なる意味を示さない限り、複数形も含み、これは、特許請求の範囲に記載された単数形にも同様に適用される。
【0033】
本開示で使用される「第1」、「第2」などの用語は、複数の構成要素を互いに区別するために使用されたものであって、構成要素の順序や重要度などを限定するものではない。
【0034】
図面を参照して、互いに直交するX軸、Y軸およびZ軸による空間直交座標を参照して本開示を説明する。すなわち、XYZ直交座標上における実施形態の各構成要素について説明する。各軸方向(X軸方向、Y軸方向、Z軸方向)とは、各軸が延びる両方向を意味する。「+」の符号が付された各軸方向(+X軸方向、+Y軸方向、+Z軸方向)は、各軸が延びる両方向のうちのいずれか一方の方向である正方向を示す。符号が付された各軸方向(-X軸方向、-Y軸方向、-Z軸方向)は、各軸が延びる両方向のうちの他方である負方向を意味する。これらの用語は、本開示の理解を容易にするための基準に過ぎず、基準点によって各方向が異なるように定義されてもよい。
【0035】
以下、添付図面を参照して、本開示の実施形態について説明する。添付図面において、同一または対応する構成要素には同一の参照符号を付している。なお、以下の実施形態の説明において、同一または相当する構成要素については、重複する説明を省略する場合がある。ただし、構成要素の記載が省略されていても、その構成要素がある実施形態に含まれないことを意図するものではない。
【0036】
図1および図2は、本開示の第1実施形態に係る電気コネクタ10の斜視図であり、ハウジング100とTPA部材200とが互いに完全に分離されている。図3および図5は、ハウジング100およびTPA部材200が予備装着位置にある電気コネクタ10の斜視図である。電気コネクタアセンブリ1は、電気コネクタ10と、電気コネクタ10に固定された導電端子90(図8)と、端子90から延在する導線96とを備えている。電気コネクタ10は、ハウジング100と、ハウジング100に結合されたTPA部材200とを備える。ハウジング100およびTPA部材200は、単一の射出成形金型内で一度に射出成形することによって形成されてもよい。射出成形工程が実行されるとき、ハウジング100およびTPA部材200は、射出成形が完了すると同時に予備装着位置に位置決めされるように形成される。ハウジング100およびTPA部材200は、同じ材料で形成されてもよい。図1および図2は、各構成要素の説明の便宜上、ハウジング100とTPA部材200とが完全に分離された仮想状態を示している。
【0037】
図1および図2において、電気コネクタ10は、複数の端子受容開口110を有するハウジング100と、複数の端子(図示せず)の位置を固定するために複数の端子受容開口110の外側に装着されるTPA部材200とを備える。TPA部材200は、TPA本体220と、TPA本体220の両端からそれぞれ延在し、ハウジング100の側壁(Y軸方向に垂直な側壁)の外側に位置する第1側部カンチレバーアーム250および第2側部カンチレバーアーム260とを備える。TPA部材200とハウジング100は、射出成形工程および予備装着位置において互いに接触しないように、それらの間に隙間を有するように構成される。TPA部材200は、複数の歯部210を有してもよい。
【0038】
図1図3において、TPA部材200は、TPA部材200の下部から延在し、ハウジング100の底部(-Z軸方向に垂直な側壁)の外側に位置する少なくとも1つの底部カンチレバーアーム230をさらに備えてもよい。ハウジング100は、TPA部材200との予備装着位置でTPA部材200のX軸方向への移動をガイドする少なくとも1つのガイドリブ150を備えてもよい。ガイドリブ150は、底部からZ軸方向の外側に突出し、底部に沿ってX軸方向に延在し、Y軸方向に互いに離隔する複数のガイドリブ150を備えてもよい。TPA部材200の底部カンチレバーアーム230は、ガイドリブ150に沿って摺動可能であるように構成されてもよい。一対のガイドリブ150に対応する一対の底部カンチレバーアーム230が備えられ、TPA部材200がZ軸を中心に一定以上回転することを防止する。
【0039】
図3および図4において、予備装着位置では、TPA部材200のTPA本体220、第1側部カンチレバーアーム250と第2側部カンチレバーアーム260、および底部カンチレバーアーム230は、ハウジング100から隙間を有してハウジング100の外側に配置される。この構成により、ハウジング100およびTPA部材200は、単一の射出成形金型内で一度に射出成形することによって形成されてもよい。
【0040】
図5および図6において、複数の歯部210は、TPA部材200の予備装着位置において、ハウジング100の複数の端子受容開口110の外側にそれぞれ配置される。複数の歯部210は、ハウジング100に対するTPA部材200の予備装着位置(図5)から最終装着位置(図11)への相対移動に従って、ハウジング100の複数の端子受容開口110にそれぞれ挿入されるように構成される。端子受容開口110は、それぞれ端子着座部111を有してもよい。端子90がハウジング100の端子受容開口110の通路に挿入されると、端子90は端子着座部111上に位置決めされる。端子90が端子着座部111上に位置決めされると、TPA部材200は、予備装着位置から最終装着位置までハウジング100に向かって相対的に移動し、ハウジング100に固定され、その結果、TPA部材200は、端子90を端子着座部111上に着座した状態に維持するように機能する。
【0041】
図6および図7は、本開示の第1実施形態に係る電気コネクタ10を端子90とともに示す側面図であり、ハウジング100およびTPA部材200が予備装着位置にある状態を示している。図1および図5に示すように、ハウジング100は、端子受容開口110によって形成される通路の2列の配列110a、110bを有してもよい。端子受容開口の配列は、1列または2列以上の配列で形成されてもよい。
【0042】
端子90は、他の別個の電気コネクタの端子と接触するように構成された接触部91と、接触部91から長手方向に延在する延在部92と、端子90を導線96に固定する導線固定部93と、を備えてもよい。各端子90には、導電線部を有する導線96が接続されている。端子90は、後述するハウジング100のフィンガ部113(図9)に結合される端子ホルダ94を備えてもよい。端子ホルダ94は、金属材料を折り曲げることによって形成されてもよい。
【0043】
図6および図8において、TPA部材200が予備装着位置にあるとき、端子配列90はハウジング100内に挿入される。ハウジング100は、TPA部材200が予備装着位置にあるとき、または端子配列90がハウジング100に挿入されている間に、TPA部材200がハウジング100から分離されるのを防止するための係止突起160aを備える。具体的に、ハウジング100の係止突起160aは、TPA部材200がハウジング100に装着される方向と反対方向に分離するか、または図面を見た方向からY軸を中心に時計方向に一定以上回転することを防止することによって、TPA部材200がハウジング100から分離することを防止する。係止突起160aは、ハウジング100の左右側壁(Y軸方向に垂直な両側壁)にそれぞれ形成されてもよい。
【0044】
図6において、TPA部材200が予備装着位置(図6)から最終装着位置(図11)までハウジング100に向かって相対的に移動すると、TPA部材200の第1側部カンチレバーアーム250と第2側部カンチレバーアーム260および底部カンチレバーアーム230は、それぞれ対応する位置でハウジングの側壁(Y軸方向の側壁、-Z軸方向の側壁)にラッチ結合される。ハウジングの側壁にはラッチ結合のためのラッチ手段が備えられ、カンチレバーアームには凹部、穴、またはスリーブが備えられてもよい。別の実施形態では、ラッチ結合のためのラッチ手段は、ハウジングに形成された凹部、穴、またはスリーブを有してもよく、フック形状のラッチがカンチレバーアームに設けられてもよい。ラッチ結合は、様々な他の方法の可撓性および非可撓性結合を備えてもよい。
【0045】
図1図4を参照すると、本開示の第1実施形態において、ラッチ170a、170b、170c、170dは、ハウジングの側壁に設けられてもよく、カンチレバーアーム250、260、230は、ラッチと結合するための穴を備えてもよい。ラッチ170a、170b、170c、170dは、予備装着位置で係止突起160aと同様に、図面を見た方向からTPA部材200がY軸を中心に時計回り方向に一定以上回転することを防止して、TPA部材200がハウジング100から分離することを防止する係止突起の役割を果たすように構成されてもよい。これを達成するために、TPA部材200の第1側部カンチレバーアーム250と第2側部カンチレバーアーム260は、回転中にラッチ170a、170bよりも良好に制限されるように、その端部を突出させるノーズ271、272部分を備えてもよい。TPA部材200の底部カンチレバーアーム230は、ラッチ結合によって対応する位置でハウジング100の底部(-Z軸方向に垂直な面)に固定されてもよい。本実施形態では、底部カンチレバーアーム230上に形成された穴が、ハウジング100上に形成されたラッチ170c、170dに固定される。
【0046】
図1および図2を参照すると、ラッチ170a、170b、170c、170dは、+X軸方向を向く固定面171a、171b、171c、171dを備えてもよく、TPA部材200は、固定面に対応して-X軸方向を向く固定対応面251a、251b、251c、251dを備えてもよい。ハウジング100およびTPA部材200が予備装着位置にあるとき、固定対応面251a、251b、251c、251dは、固定面171a、171b、171c、171dに対して-X軸方向に位置してもよく、ハウジング100およびTPA部材200が最終装着位置にあるとき、TPA部材220の固定対応面251a、251b、251c、251dは、ラッチの固定面171a、171b、171c、171dに接触して係止される。
【0047】
第1実施形態では、固定面171a、171b、171c、171dは、ラッチ170a、170b、170d、170dに形成されているが、固定面は、ハウジングの凹部や段部などの種々の構造によって形成されていてもよい。また、第1実施形態では、TPA部材200の固定対応面251a、251b、251c、251dは、カンチレバーアーム250、260、230の穴の+X軸方向の境界を形成する部分であったが、後述する第2実施形態(図16図19)では、TPA部材の固定対応面は、カンチレバーアームのフックなどの種々の構造によって形成されてもよい。
【0048】
TPA部材200が予備装着位置から最終装着位置に移動する際に、TPA部材200の固定対応面251a、251b、251c、251dを固定面171a、171b、171c、171dに案内するために、第1実施形態(図1および図2)のように、ラッチ170a、170b、170c、170dの-X軸方向を向く面に固定ガイド傾斜面173a、173b、173c、173dが形成されてもよく、後述する第2実施形態(図18および図19)のように、カンチレバーアームの+X軸方向を向く面に固定ガイド傾斜面453a、453bが形成されてもよい。例えば、図1および図2を参照すると、固定ガイド傾斜面173a、173b、173c、173dは、TPA部材200の固定対応面251a、251b、251c、251dがラッチ170a、170b、170c、170dを+X軸方向に乗り越えるようにガイドするように、ラッチ170a、170b、170c、170dが+X軸方向に突出する方向に次第に高くなるように形成される。
【0049】
図1図4を参照すると、係止突起160aは、+X軸方向を向く規制面161を有し、TPA部材200は、規制面161に対応して-X軸方向を向く規制対応面255を有する。ハウジング100およびTPA部材200が予備装着位置にあるとき、規制対応面255は、規制面161に対して+X軸方向に位置する。TPA部材200が予備装着位置からハウジング100から完全に分離する方向(-X軸方向)に移動すると、規制面161が規制対応面255に当接することで、TPA部材200がハウジング100から分離することが防止される。
【0050】
上述したようなラッチ結合のための構造を有する本実施形態では、ラッチの固定面171a、171b、171c、171dとTPA部材の固定対応面251a、251b、251c、251dとの間のX軸上の位置関係を変更するために、固定ガイド傾斜面173a、173b、173c、173dが設けられる。一方、ハウジング100の係止突起160aとこれに対応するTPA部材200の分離防止構造とを有する実施形態では、係止突起の規制面161とTPA部材の規制対応面255との位置関係がX軸上で変化することを防止するために、上述したガイド傾斜面に対応する構造は設けられていない。例えば、仮想分離状態を示す図1および図2を参照すると、係止突起の規制面161およびTPA部材の規制対応面255は、X軸に垂直な面として形成されており、係止突起160aの-X軸方向の面163および仮想分離状態において面163に対向するTPA部材の対応面257も、X軸に垂直な面として形成されている。したがって、以下に説明するように、ハウジング100およびTPA部材200は、塑性変形または損傷なしには、予備装着位置(図3)から完全分離状態(図1および図2)に移動されないように構成されてもよい。加えて、ハウジング100およびTPA部材200は、塑性変形または損傷なしに完全分離状態(図1および図2)から予備装着位置(図3)に移動されないように構成されてもよい。
【0051】
図7において、ハウジング100は、図面を見た方向からTPA部材200がY軸を中心に反時計方向に一定以上回転することを防止する回転防止突起160bを備える。回転防止突起160bは、TPA部材200の底部カンチレバーアーム230がハウジング100の底部から離れる方向に回転することを防止し、TPA部材200がハウジング100から分離されることを防止する。回転防止突起160bは、ハウジング100の左右側壁(Y軸方向に垂直な両側壁)にそれぞれ形成されてもよい。
【0052】
図9図11は、図6の電気コネクタ10において、端子90がハウジング100に挿入され(図10)、TPA部材200がハウジング100に固定されて(図11)、ハウジングおよびTPA部材が予備装着位置から最終装着位置に達するまでの工程を示す。図9において、ハウジング100の端子受容開口110の各々は、端子受容開口110の通路に挿入された端子90を固定するために端子ホルダ94と結合されるフィンガ部分113を備える。図9(b)に示すように、端子90がハウジング100に完全に挿入されると、フィンガ部113が端子ホルダ94に圧入されてもよい。図9(c)において、フィンガ部113が端子ホルダ94に結合された後、TPA部材200が最終装着位置に移動してハウジング100に結合されると、TPA部材200の歯部210は、ハウジング100のフィンガ部113と連携して、端子90が分離または受容方向において前後に揺動することを防止する。具体的には、一実施形態では、図10(b)および図11(b)に示すように、歯部は、ハウジング100のフィンガ部分113と接触または近接して構成されてもよい。別の実施形態では、図10(c)および図11(c)に示すように、歯部210は、ハウジング100のフィンガ部分113に直接接触せずに構成されてもよく、端子ホルダ94のみに接触または近接して構成されてもよい。
【0053】
図10(b)および図11(b)において、ハウジング100は、TPA部材200が予備装着位置から最終装着位置へ移動する際に、TPA部材200の歯部210の移動を案内する傾斜面190を有している。傾斜面190は、TPA部材200が予備装着位置から最終装着位置に移動する際に、TPA部材200が傾斜面190に沿って摺動して上昇するように案内し、TPA部材200のアーム250、260、230がハウジングのラッチ170a、170b、170c、170dを乗り越えるように案内してもよい。別の実施形態では、図10(c)および図11(c)に示すように、TPA部材200は、TPA部材200が予備装着位置から最終装着位置に移動するときに、TPA部材200のハウジング100に対する移動をそれ自体で案内する傾斜部290を有してもよい。TPA部材200が予備装着位置から最終装着位置に移動するとき、TPA部材200の傾斜部290は、ハウジング100上を摺動してもよく、TPA部材200を上昇させるように案内してもよく、TPA部材200の底部カンチレバーアーム230をハウジングのラッチ170c、170dを乗り越えて固定するように案内してもよい。例えば、後述する第3実施形態に係るTPA部材600(図21)が傾斜部を有していてもよい。
【0054】
図12は、本開示の第1実施形態に係る複数の端子が装着された電気コネクタ10と、同一形状の他の電気コネクタC10とが、結合前に回転対称に配置された状態を示す。図13図15は、一対の電気コネクタアセンブリ1、Clが互いに結合された状態を示している。本実施形態では、電気コネクタ10は、同一形状の2つの電気コネクタ10が互いに結合可能に構成される。互いに結合可能な同一形状の電気コネクタ10は、「ジェンダーレスコネクタ」と呼ばれる場合がある。ジェンダーレスコネクタは、雌コネクタと雄コネクタとを個別に製造する必要がなく、1種類の製品のみを製造することができるので、製造コストおよび利便性を向上させることができ、ユーザが雌コネクタと雄コネクタとを区別せずに電気コネクタを使用することができるので、使用利便性を向上させることができる。以下、ジェンダーレスコネクタの実施形態を参照して説明するが、本開示はこれに限定されるものではない。
【0055】
一方の電気コネクタ10と他方の電気コネクタC10とを対向して配置し、X軸を中心に180°回転させると、一対の電気コネクタ10、C10が互いに結合可能に構成されてもよい。具体的には、電気コネクタ10のハウジング100は、他の別個の電気コネクタC10と結合されるように複数の端子受容開口110に面する側に配置された接続部130を備える。図13に示すように、電気コネクタ10は、接続部130と同一形状の接続部130を有する他の電気コネクタC10と回転対称状態で結合される。
【0056】
図12において、ハウジング100は、複数の端子90に対応する複数の接続部130を有してもよい。複数の接続部130は、上下に配置された2列の配列130a、130bを有していてもよい。複数の接続部130の配列は、1列または2列以上の配列で形成されてもよい。図12および図14において、第1列の接続部130aと第2列の接続部130bとの間には、隙間137および/または層膜136が形成されていてもよい。図15において、ハウジング100は、複数の接続部130a、130bのうちの隣接する2つの接続部の間に配置された隔壁135を備えてもよい。複数の接続部130aは、それぞれ隔壁135によって区分される端子受容開口110の通路を形成してもよい。他の電気コネクタC10のハウジング100の層膜136は、一実施形態における電気コネクタ10のハウジング100の隙間137に挿入されてもよい。隔壁135、隙間137、および/または層膜136を形成することにより、隣接する端子間の絶縁効果をさらに高めることができる。
【0057】
図12に示すように、一実施形態では、第1列の接続部130aの全てが雌接続部として形成されてもよく、第2列の接続部130bの全てが雄接続部として形成されてもよい。これらは逆に配置されてもよい。
【0058】
図12において、ハウジング100は、一方の側に雌ラッチ部145を有し、一方の側に対向する他方の側に雄ラッチ部141を有し、雄ラッチ部は、カスケード状の屈曲部141aを有してもよい。
【0059】
図16図20を参照して、第2実施形態に係る電気コネクタ50について、上述した第1実施形態に係る電気コネクタ10との相違点を中心に説明する。第2実施形態において、TPA部材400とハウジング300との間の結合方法は、TPA部材400のカンチレバーアームにフックが設けられ、それに対応してハウジング300に凹部または段部が形成される構造によって達成されてもよい。図16は、各構成要素の説明の便宜上、ハウジング300とTPA部材400とが完全に分離された仮想的な状態を示している。図17および図18は、TPA部材400の底部カンチレバーアーム430がフック形状を備え、フック結合方法でハウジング300と結合される一実施形態を示す。図19および図20は、TPA部材400の第1側部カンチレバーアーム450と第2側部カンチレバーアーム460がフック形状を備え、フック結合方法でハウジング300と結合される一実施形態を示す。
【0060】
以下、図21図24を参照して、第3実施形態に係る電気コネクタ50について、上述した第1実施形態に係る電気コネクタ10との相違点を中心に説明する。図21は、本開示の第3実施形態に係る電気コネクタ50を示しており、ハウジング500とTPA部材600とが互いに完全に分離されている。図21は、各構成要素の説明の便宜上、ハウジング500とTPA部材600とが完全に分離された仮想的な状態を示している。図22および図23は、ハウジングおよびTPA部材600が予備装着位置にある状態の電気コネクタ50を示す。TPA部材600の第1側部カンチレバーアーム650と第2側部カンチレバーアーム660は、それぞれ対応する位置でハウジングの側壁(Y軸方向の側壁)にラッチ結合されてもよい。
【0061】
電気コネクタ50のハウジング500は、第1列の配列の端子のみを受容するように構成されてもよく、第1列の配列の端子受容開口510を有してもよい。第1列の配列の接続部530は、他の別個の電気コネクタC50と結合されるように端子受容開口510に面する側に設けられる。ハウジング500は、TPA部材600が予備装着位置にあるとき、または端子配列がハウジング500内に挿入されている間に、TPA部材600がハウジング500から分離されるのを防止するため係止突起560aを備える。ハウジング500は、図面を見た方向からTPA部材600がY軸を中心に反時計方向に一定以上回転することを防止する回転防止突起560bを備える。回転防止突起560bは、ハウジング500の左右側壁(Y軸方向に垂直な両側壁)にそれぞれ形成されてもよい。
【0062】
電気コネクタ50は、同一形状の他の別個の電気コネクタC50と結合可能に構成されたジェンダーレスコネクタであってもよい。図24を参照すると、電気コネクタ50は、同一形状の他の電気コネクタC50と回転対称状態で結合されてもよい。このため、電気コネクタ50は、隔壁135および層膜136を備えていなくてもよい。
【0063】
別の実施形態では、電気コネクタ50のハウジング500の接続部530の各々は、側壁の高さの半分以下であるように構成されてもよい。この場合、接続部530の側壁は、別の電気コネクタの接続部530の側壁と結合されてもよく、それによって、端子受容開口510の通路を形成してもよい。
【0064】
本開示に係る電気コネクタ10、30、50を製造するとき、ハウジング100、300、500とTPA部材200、400、600とを同時に射出成形するために、ハウジング100、300、500とTPA部材200、400、600との間の隙間に外部射出成形部品を挿入してもよく、この場合、ハウジング100、300、500とTPA部材200、400、600とを射出成形した後、射出成形部品を除去すると、ハウジング100、300、500とTPA部材200、400、600とは、別途の組立工程を経ずに予備結合状態で別途の部材として成形されてもよい。
【0065】
ハウジング100、300、500およびTPA部材200、400、600は、TPA部材200、400、600が相対位置に配置された状態で、ハウジング100、300、500とTPA部材200、400、600との間の隙間が、複数の外部射出成形部品のうちの1つ(「隔壁射出成形部品」と称する)が外部から直線方向に挿入可能な空間で形成されるように構成されてもよい。これにより、電気コネクタ10の製造工程において、ハウジング100、300、500とTPA部材200、400、600との間の空間に隔壁射出成形部品が挿入された状態でハウジング100、300、500およびTPA部材200、400、600を射出成形して硬化させた後、隔壁射出成形部品を直線方向に外側に引き出すことによって、予備装着位置にあるハウジング100、300、500およびTPA部材200、400、600を製造することができる。ハウジング100、300、500とTPA部材200、400、600との間の隙間を形成する全ての空間は、それぞれ直線方向に挿入可能な隔壁射出成形部品(図示せず)によって形成されてもよい。例えば、隙間を形成する空間のうち、空間g1(図19参照)は、外部から+Z軸方向に挿入可能な隔壁射出成形部品によって形成されてもよく、隙間を形成する空間のうち、空間g2(図19参照)は、外部から+X軸方向に挿入可能な隔壁射出成形部品によって形成されてもよい。
【0066】
一実施形態では、TPA部材200、400、600は、TPA部材200、400、600が予備装着位置から-X軸方向に移動するとき、係止突起によって係止され、ハウジング100、300、500から分離されることを防止するように構成されてもよい。この場合、TPA部材200、400、600とハウジング100、300、500は、弾性限界範囲内の変形によって互いに完全に分離されないように構成されてもよい。また、TPA部材200、400、600とハウジング100、300、500とが予備装着位置ではない完全分離状態で別途に成形される場合、係止突起によってTPA部材200、400、600とハウジング100、300、500との結合が不可能になることがある。これらの実施形態によれば、TPA部材200、400、600をハウジング100、300、500との予備結合状態(すなわち、予備装着位置にある状態)にしてもよく、ハウジング100、300、500から完全に分離して取り外されることを防止してもよいので、ハウジング内に端子を配置する作業が容易であり、TPA部材がハウジングから分離して紛失することを防止することができる。
【0067】
本開示の技術的思想は、上述したいくつかの実施形態および添付図面に示された例を通じて説明されたが、本開示の技術的思想および範囲を逸脱しない範囲内で、本開示が属する技術分野における通常の知識を有する者が理解可能な多様な置換、変形および変更が可能であることに留意すべきである。加えて、置換、変形、および変更は、本明細書に添付された特許請求の範囲に属すると見なされるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9A-9C】
図10A-10C】
図11A-11C】
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
【国際調査報告】