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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-13
(54)【発明の名称】植物成分からの粗挽き粉の生産方法
(51)【国際特許分類】
   A23L 19/00 20160101AFI20240205BHJP
   A01M 1/20 20060101ALI20240205BHJP
   A01M 21/04 20060101ALI20240205BHJP
   A23B 7/02 20060101ALI20240205BHJP
   A23L 25/00 20160101ALI20240205BHJP
【FI】
A23L19/00 A
A01M1/20 A
A01M21/04 C
A23B7/02
A23L25/00
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023547842
(86)(22)【出願日】2021-02-09
(85)【翻訳文提出日】2023-10-06
(86)【国際出願番号】 IT2021000004
(87)【国際公開番号】W WO2022172298
(87)【国際公開日】2022-08-18
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518082585
【氏名又は名称】インダストリー・ロッリ・アリメンタリ・ソシエタ・ペル・アチオニ
【氏名又は名称原語表記】INDUSTRIE ROLLI ALIMENTARI S.P.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チェルレターニ,ロレンツォ
【テーマコード(参考)】
2B121
4B016
4B036
4B169
【Fターム(参考)】
2B121AA11
2B121AA19
2B121CC02
2B121CC05
2B121EA26
2B121FA20
4B016LE02
4B016LG05
4B016LK12
4B016LK13
4B016LP01
4B016LP08
4B036LE01
4B036LH25
4B036LH26
4B036LH27
4B036LH28
4B036LP05
4B036LP09
4B169AA04
4B169BA01
4B169BA04
4B169HA01
4B169HA18
(57)【要約】
野菜細粉の生産方法(1)であって、-関心のある特定の予め定義された栄養特性を有する野菜を特定し(2)、前記野菜のすべての既存の野菜品種の中から、細粉の生産に最も適したものを選択すること(3);-それらの組成、それらの水理学的特性を特定し、病原体、有害生物及び汚染物質の非存在を検証するために、栽培を意図した土壌の予備的な化学的、物理的及び土壌学的分析を実施すること(4);-遺伝子改変されていない天然種子の中から、以前に同定された土壌パラメータに最も適したものを選択すること(5);-生物学的有害性及び/又はその侵入を検出するために、播種(6)後に成長する野菜種に対して反復定期的チェックを実施すること(7);-殺虫剤、除草剤、殺ダニ剤、軟体動物駆除剤及び殺真菌剤から選択される活性成分を使用して少なくとも1つの植物保護処理を実施すること(8);-収穫期の近くで、活性植物保護成分の残留濃度を測定するために野菜の反復定期的スポットチェックを実施すること(9);-サンプリングにおいて、0.01mg/kg未満の活性植物保護成分の残留濃度を評価するために、栽培された野菜の収穫を実施すること(19);-野菜の乾燥を実施すること(11、12)であって、圃場で予備乾燥する少なくとも1つの工程(11)と、それらを収穫する少なくとも1つの工程とを含む、乾燥を実施すること;-細断された野菜の個々の粒子の各々の平均直径が数ミクロン~1.5mmの間に含まれるものとして理解される粒度分布を有する細粉が得られるまで、乾燥させた野菜の少なくとも一部を粉砕すること(17)を含む、野菜細粉の生産方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
野菜細粉の生産方法であって、
-関心のある特定の予め定義された栄養特性を有する野菜を特定し(2)、前記野菜のすべての既存の野菜品種の中から、細粉の生産に最も適したものを選択すること(3);
-それらの組成、それらの水理学的特性を特定し、病原体、有害生物及び汚染物質の非存在を検証するために、栽培を意図した土壌の予備的な化学的、物理的及び土壌学的分析を実施すること(4);
-遺伝子改変されていない天然種子の中から、以前に同定された土壌パラメータに最も適したものを選択すること(5);
-生物学的有害性及び/又はその侵入を検出するために、播種(6)後に成長する野菜種に対して反復定期的チェックを実施すること(7);
-殺虫剤、除草剤、殺ダニ剤、軟体動物駆除剤及び殺真菌剤から選択される活性成分を使用して少なくとも1つの植物保護処理を実施すること(8);
-収穫期の近くで、活性植物保護成分の残留濃度を測定するために前記野菜の反復定期的スポットチェックを実施すること(9);
-サンプリングにおいて、0.01mg/kg未満の活性植物保護成分の残留濃度を評価するために、栽培された野菜の収穫を実施すること(19);
-前記野菜の乾燥を実施すること(11、12)であって、圃場で予備乾燥する少なくとも1つの工程(11)と、それらを収穫する少なくとも1つの工程とを含む、乾燥を実施すること;
-数ミクロン~1.5mmの間に含まれる細断された野菜の個々の粒子の各々の平均直径として理解される粒度分布を有する細粉が得られるまで、前記乾燥させた野菜の少なくとも一部を粉砕すること(17)
を含むことを特徴とする、野菜細粉の生産方法。
【請求項2】
前記野菜粉砕工程(17)の上流に、前記収穫された野菜のスクリーニング(13)、洗浄/清浄化(14)、加湿(15)、剥皮(16)、乾燥(12)から選択されるタイプの少なくとも1つの予防サブ工程があることを特徴とする、請求項1に記載の野菜細粉の生産方法。
【請求項3】
前記粉砕工程(17)の後に得られる前記細粉が、高タンパク質含有量を有する画分の選択及び分離のための工程(20)に供され、前記選択された画分が生タンパク質細粉(21)を構成することを特徴とする、請求項2に記載の野菜細粉の生産方法。
【請求項4】
可溶性タンパク質細粉(23)を得るために、前記生タンパク質細粉(21)から存在する油類を除去する脱脂工程(22)を含むことを特徴とする、請求項3に記載の野菜細粉の生産方法。
【請求項5】
前記可溶性タンパク質細粉(23)が、肉代用物の生産に適した構造化植物性タンパク質細粉(27)を得るために、75℃~150℃に含まれる温度で押出プロセス(24)に供され、さらなる乾燥プロセス(25)に供されることを特徴とする、請求項4に記載の野菜細粉の生産方法。
【請求項6】
前記粉砕工程(17)の下流に、脂質及び炭水化物から選択される物質を前記野菜細粉から抽出して低カロリー細粉を提供する工程を含むことを特徴とする、請求項1に記載の野菜細粉の生産方法。
【請求項7】
前記野菜の前記粉砕工程(17)に先行するサブ工程と前記粉砕(17)に後続するサブ工程との間で選択されるサブ工程の間に、前記収穫された野菜及び/又は前記野菜細粉によって構成される中間生成物が、農薬、マイコトキシン、重金属及び栄養性微量元素から選択される物質の存在を測定することを目的とした分析に供され、前記分析が、ガスクロマトグラフィー、液体クロマトグラフィー、質量分析及びそれらの組み合わせから選択されるタイプのものであることを特徴とする、請求項1に記載の野菜細粉の生産方法。
【請求項8】
低活性植物保護成分の残留濃度を検証することを目的とした調査が、前記栽培された野菜の収穫(19)の前に、0.005mg/kgに等しい最大閾値に関して行われることを特徴とする、請求項1に記載の野菜細粉の生産方法。
【請求項9】
マメ科、アブラナ科、アカザ科、キク科の種子及びナッツから選択される、自然淘汰及び交雑によって得られる、すなわち、遺伝子改変されていないタイプの野菜の粒子を含むことを特徴とする野菜細粉であって、
-0.01mg/kg未満の活性植物処理成分の残留濃度、
-2000μg/kg未満のマイコトキシンの残留濃度、
-0.20mg/kg未満の重金属の残留濃度
を有する、野菜細粉。
【請求項10】
低活性植物保護成分の残留濃度が0.005mg/kg未満であることを特徴とする、請求項9に記載の野菜細粉。
【請求項11】
請求項9に記載の野菜細粉であって、前記細粉の粒子を構成する前記粉砕された野菜が、以下:
-エンドウ豆、ヒヨコ豆、ワイルドピース、空豆、豆類、レンズ豆から選択されるマメ科;
-松の実、ピーナッツ、アーモンド、ピスタチオ、カシューナッツ、クルミ、ヘーゼルナッツから選択されるナッツ;
-麻の実、カボチャ種子、ウイキョウ種子、チアシード、リネン種子、ゴマ、ケシの実、ヒマワリ種子から選択される種子;
-アカザ科、特にキヌア;
-これらの組み合わせ
によって少なくとも60%が構成されており、
前記野菜細粉が、15%よりも高いタンパク質含有量を有することを特徴とする、野菜細粉。
【請求項12】
請求項9に記載の野菜細粉であって、前記細粉の粒子を構成する前記粉砕された野菜が、以下:
-キャベツ、カブ、カリフラワー、ナタネ、芽キャベツ、ブロッコリーから選択されるアブラナ科;
-サトウダイコン及びホウレンソウの全植物学的品種から選択されるアカザ科;
-キク科、レタス、タンポポ、チコリ、エンダイブ、アザミ、アーティチョーク、マリーゴールド;
によって少なくとも60%が構成されており、
前記野菜細粉が、10%よりも高い繊維含有量を有することを特徴とする、野菜細粉。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、野菜細粉の生産方法及び前記方法によって得られた少なくとも1種のそれぞれの野菜細粉に関する。
【背景技術】
【0002】
野菜起源の細粉は、多数のレシピ及び食品の基本的な出発原料の1つを構成するので、食品産業においてますます重要になってきている:これらの中でも、栄養補助食品、ビーガン(又はベジタリアン)用食品、グルテン及び/又は動物性タンパク質に不寛容な消費者用食品などを特に言及しなければならない。
【0003】
現在、野菜細粉は非常に多く、実質的にすべてが高含有量の基本栄養素及び繊維を有する。
【0004】
マメ科植物の細粉又はコーンミールなど、調理の伝統の一部であり、既に現在容易に入手可能な多くの野菜細粉、及び大豆細粉などのより新しく、より工業的な起源を有する他のものがある。
【0005】
これらの細粉は、健康でバランスのとれた食品に対する需要の高まりに関連してますます頻繁に使用されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、多くの場合、既知の種類の野菜細粉は、農薬又はヒトにとって潜在的に有害であり、遺伝子改変野菜(GMO)に由来する他の物質の残留物を含む。これらの問題は、代わりに顧客の期待に合致するものから市販製品を著しく分離する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の目的は、上記の問題を解決し、生産された細粉に遺伝子改変生物の非存在に関する保証を提供する野菜細粉の生産方法を提供することである。
【0008】
この目的の範囲内で、本発明の目標は、農薬の残留物の存在を最小限に抑える野菜細粉の生産方法を提供することである。
【0009】
本発明の別の目標は、ヒト及び動物に有害な物質の存在を最小限に抑える野菜細粉の生産方法を提供することである。
【0010】
本発明の別の目標は、最適な栄養特性を有する野菜細粉を提供することである。
本発明の別の目標は、最適な感覚受容特性を有する野菜細粉を提供することである。
【0011】
本発明のさらなる目標は、野菜細粉の生産方法、及び、低コストであり実際に提供するのが比較的簡単であり適用時に安全である少なくとも1種のそれぞれの野菜細粉を提供することである。
【0012】
この目的及びこれらの目標、並びに以下でより明らかになるであろう他のものは、野菜細粉の生産方法であって、
-関心のある特定の予め定義された栄養特性を有する野菜を特定し、前記野菜のすべての既存の野菜品種の中から、細粉の生産に最も適したものを選択すること;
-それらの組成、それらの水理学的特性を特定し、病原体、有害生物及び汚染物質の非存在を検証するために、栽培を意図した土壌の予備的な化学的、物理的及び土壌学的分析を実施すること;
-遺伝子改変されていない天然種子の中から、以前に同定された土壌パラメータに最も適したものを選択すること;
-生物学的有害性及び/又はその侵入を検出するために、播種後に成長する野菜種に対して反復定期的チェックを実施すること;
-殺虫剤、除草剤、殺ダニ剤、軟体動物駆除剤及び殺真菌剤から選択される活性成分を使用して少なくとも1つの植物保護処理を実施すること;
-収穫期の近くで、活性植物保護成分の残留濃度を測定するために野菜の反復定期的スポットチェックを実施すること;
-サンプリングにおいて、0.01mg/kg未満の活性植物保護成分の残留濃度を評価するために、栽培された野菜の収穫を実施すること;
-野菜の乾燥を実施することであって、圃場で予備乾燥する少なくとも1つの工程と、それらを収穫する少なくとも1つの工程とを含む、乾燥を実施すること;
-数ミクロン~1.5mmの間に含まれる細断された野菜の個々の粒子の各々の平均直径として理解される粒度分布を有する細粉が得られるまで、乾燥させた野菜の少なくとも一部を粉砕すること
を含むことを特徴とする、野菜細粉の生産方法によって達成される。
【0013】
この目的及びこれらの目標はまた、マメ科、アブラナ科、アカザ科、キク科の種子及びナッツの中から選択される、自然淘汰及び交雑によって得られる、すなわち、遺伝子改変されていないタイプの野菜の粒子を含むことを特徴とする野菜細粉であって、
-0.01mg/kg未満の活性植物保護成分の残留濃度、
-2000μg/kg未満のマイコトキシンの残留濃度、
-0.20mg/kg未満の重金属の残留濃度
を有する、野菜細粉によっても達成される。
【0014】
本発明のさらなる特徴及び利点は、添付の図面に非限定的な例として示されている、野菜細粉の生産方法(及びそれぞれの野菜細粉)の好ましいが排他的ではない実施形態の説明からより明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、本発明による野菜細粉の生産方法の可能な実施形態の概略図である。
図2図2は、本発明による野菜細粉の生産方法のさらなる実施形態の概略図である。
図3図3は、本発明による方法の実行において採用される耕地の制御及び管理のための図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図面を参照すると、参照番号1は、一般に、野菜細粉の生産方法を示す。
本発明による野菜細粉の生産方法は、農学的範囲の一連の工程(すなわち、圃場内及び種子上で行われる活動を提供するもの)及び工業的範囲の一連の活動(すなわち、最終製品を得るために野菜及び対応する中間生成物が供されるプロセスを提供するもの)を提供する。
【0017】
第1の工程2の間に、関心のある特定の所定の栄養特性を有する野菜を特定することが必要である。
【0018】
適した野菜が特定されると、その後の工程3の間に、前記野菜の既存の野菜品種のすべての中で、細粉の生産に最も適した品種の選択が提供される。
【0019】
次いで、それらの組成、それらの水理学的特性を特定し、病原体、有害生物、及び汚染物質の非存在を検証するために、栽培を意図した土壌の予備的な化学的、物理的、及び土壌学的分析が工程4で行われる。
【0020】
工程5の間に、以前に特定された土壌のパラメータに最も適したものを特定するために、以前に特定された細粉の生産に最も適した野菜の種子の中から選択し、前記種子の排他的天然変異体、すなわち遺伝子改変されていないものを選択することが必要である。
【0021】
実質的に標準的な方法で播種を進めることが可能である(しかし、土壌の特性の関数として種子の不均一な分布を行うために、土壌自体上の野菜の均一な濃度を得るために、播種工程にも精密農業の典型的な基準を採用することを排除するものではない)。
【0022】
圃場内では、生産が均一ではない可能性が非常に高い、すなわち、より多く生産される領域とあまり生産されない領域がある。生産におけるこの変動性は、多くの要因、並びに肥料の不正確な適用/補正、又は不正確に行われる播種に依存し得る。しかしながら、多くの場合、この変動性は、土壌の異なる組成、水が停滞する窪みの存在、又はより圧縮された、したがって多孔性の低い領域など、いわば客観的な要素によって誘発される。変動性を生じさせるものを理解し、したがって、可能な場合にはそれを改善するための手段を見出すこと、又は廃棄物を減らすように生産プロセスを適合させることができることは、精密農業又は精密農法がそれ自体を設定する課題である。
【0023】
変動は、空間的(同じ圃場の別個の領域は、異なる化学的、物理的、及び土壌学的特性を有し得る)だけでなく、時間的(1年又は数年の経過を通した土壌の周期的及び/又は定期的な変化)にも生じる。変動性を管理することは、情報が収集されると、生産プロセスを多様な方法で適用できることを意味する。例えば、以前に生産が参照レベルよりも低い(又は操作する圃場の他の領域よりも低い)ことが分かった場合、作物の成長を刺激する目的で肥料の使用を増加させることが可能であり、又はその逆も可能であり、その所与の領域が修正不可能な固有の特性(例えば、土壌のテクスチャ)に起因して生産性が低下している場合には減少させる。
【0024】
精密農法を採用するためには、土壌の不均一性を検出するのに適し、いかなる場合でも特定の作物の要件に基づいて行われる土壌処理、施肥及び播種のための工程の不均一な適用のために設計された技巧及び技術を有する必要がある。
【0025】
精密農法は、地理的に参照された方法で操作することができる異なる戦略及び技術を使用することができる。
【0026】
ジオリファレンスは、衛星装置へのリンクによって活動の実行中の正確な位置を知ることを可能にする、現在までに誰にもよく知られている方法である。
【0027】
ここで、運転の支援、変動性の管理、トレーサビリティなど、複雑さが増すレベルで精密農法を採用できることを覚えておくことが有用である。
【0028】
播種が行われると(工程6)、生物学的有害性及び/又はその侵入を検出するために、播種後に成長する野菜種に対して定期的な反復チェック(工程7)を行うことが必要になる。
【0029】
工程7で提供されるチェックの結果を得る際の適時性は、カビ、真菌、又は微生物若しくは他の有害な生命体の侵入の発生を対比するために圃場で効果的に作用できるようにするために重要である。実際、タイムリーで限定されたデータ(精密農法の典型的な方法によって得られる可能性がある)があれば、圃場全体に介入することなく、発生時に侵入を区切るために耕地の局所的な特定領域を処理することが可能であることに留意すべきである(その結果、侵入や汚染と闘うことを目的とした様々な種類の化学的又は生物学的混合物をより多く使用することになる)。
【0030】
目的の野菜の最適な成長を促進するために、工程8の間に、殺虫剤、除草剤、殺ダニ剤、軟体動物駆除剤及び殺真菌剤から選択される活性成分を使用して、少なくとも1つの植物保護処理を行うことが必要であろう。
【0031】
収穫期の近くでは、活性植物保護成分の残留濃度を測定するために、野菜の反復定期的スポットチェック9を実施する必要がある。
【0032】
この工程9において、測定の結果は、圃場からサンプルを採取した数時間後に既に利用可能であり得ることが基本である(一般的に言えば、好ましくは24時間以内であるが、本方法1の目的のために、場合によっては採取後72時間でも結果を得ることが許容され得る)。
【0033】
栽培された野菜を収穫するための工程10は、工程9のチェックに供されたサンプル中の0.01mg/kg未満の活性植物保護成分の残留濃度の検出に依存する。
【0034】
本発明による方法1の特定の適用では、栽培された野菜の収穫は、有利には、(工程9のチェックに供されたサンプル中)0.005mg/kg未満の活性植物保護成分の残留濃度の検出に依存し得、分析方法が調査の対象である特定の農薬分子のこの同定を可能にするすべての場合に起こり得る条件を指摘することが適切である。
【0035】
野菜は、細粉に変換することができるようにするために、少なくとも1つの乾燥工程11、12に供されなければならない。特に、収穫のための工程10に関して事前に圃場内で直接(太陽及び大気条件を利用して)実施される予備乾燥工程11を提供することが可能である。
【0036】
この時点で、野菜を選択することができ、不良品を排除し、異物(土壌又は他の野菜の残渣又は有用ではない関心のある野菜の他の部分)を除去する任意選択のスクリーニング工程13を提供することが可能である。
【0037】
この操作は、ビデオカメラ(可視及び/又は赤外スペクトルで操作することができるものの中から選択されることが好ましいが、特定の適用のための紫外線にも感受性のレンズの採用は排除されない)及び/又はレーザーによる固体製品のスクリーニング及び分離を提供する光学選別(又はデジタル選別)システムによって行うことができる。
【0038】
使用されるセンサの種類及び画像処理システムのソフトウェアによって管理される知能に応じて、光学選択デバイスは、物体の色、寸法、形状、構造特性及び化学組成を認識することができる。選別デバイスは、生産ラインから不良品や異物を特定して除去するために、野菜製品と予め定められた合否基準とを比較する。光学選択デバイスは、世界中の食品産業で広く使用されており、ジャガイモ、果実、野菜及びナッツなどの収穫された食品の処理に最もよく採用されており、ライン検査では完全な生産量で100%の非破壊検査に達する。主観的で一貫性のない手動選別に関して、光学選別は、製品の品質を改善し、人件費を削減することによって生産性の向上を最大化するのに役立つ。
【0039】
この時点で、任意選択の洗浄及び清浄化工程14を進めることができ、その後に、目的の野菜の特定の特性の関数として変化し得る期間を有することができるさらなる任意選択の加湿工程15が続く(特に、非限定的な例として本明細書に示される本発明の適用の可能な例では、加湿工程15は、数秒~数十時間の間で変化し得る時間続き得ることに留意されたい)。
【0040】
マメ科又はナッツに属する野菜に対して操作する場合、種子又はキヌアに対して操作するならば、さらなる剥皮工程が存在する(一部の種類の野菜にのみ提供されるため、これも任意である)。
【0041】
剥皮という用語は、種子(又はその一部)若しくは果実又はいくつかの植物の特定の部分を、それらを取り囲む皮及び/又は殻から分離することを指すと理解される。
【0042】
これらの任意選択の工程13、14、15、16の少なくとも1つが実行された場合、次に工業用乾燥工程12に進む(これは、代わりに圃場で行われる予備乾燥工程11の補足として常に提供される)。
【0043】
工業用乾燥工程12は、数分~24時間で変化し得る時間間隔にわたって、30°~90℃に含まれる温度で野菜を空気乾燥機で通過させる。
【0044】
目標は、粉末形態の生成物のおよそ13~14%の湿度に達することである。
マメ科若しくはナッツ又は種子若しくはキヌアに対して操作する場合、工業用乾燥工程12は非常に短くてもよく(数分程度)、先に引用した間隔の下限閾値に近い温度を提供する。これは、これらの野菜類が、圃場での予備乾燥のための工程11の間に、5%~20%に含まれる残留湿度のレベル(一般に約13/14%)に達するため可能であり、これは、激しい工業用乾燥工程12を導入する必要なしに、その後のプロセスに既に適していると考えられ得るレベルである。
【0045】
葉を含むすべての野菜について(したがって、アカザ科に属する野菜、例えば、サトウダイコン及びホウレンソウの全植物学的品種、並びにキク科、例えば、レタス、タンポポ、チコリ、エンダイブ、アザミ、アーティチョーク、マリーゴールドに属する野菜について)、工業用乾燥工程12は、好ましくは、50℃~65℃に含まれる温度で、5時間~15時間で変化し得る時間間隔にわたって実施される。
【0046】
アブラナ科に属するすべての野菜(例えば、キャベツ、カブ、カリフラワー、ナタネ、芽キャベツ、ブロッコリーなど)について、工業用乾燥工程12は、好ましくは55℃~75℃に含まれる温度で、4時間~10時間で変化し得る時間間隔で行われる。
【0047】
いずれの場合でも、工程12で提供される工業的乾燥の目標は、野菜(粉状化後)が5%~20%に含まれる相対湿度を有することができる条件に達することである(好ましい値は12%~15%に含まれるものである)。
【0048】
関心のある野菜が適切に乾燥されると、次いで、細断された野菜の個々の粒子の各々の平均直径が数ミクロン~1.5mmの間に含まれるとして理解される粒度分布を有する細粉が得られるまで、乾燥した野菜の少なくとも一部を粉砕するための工程17を実行することが可能である。
【0049】
粉砕は、食品用のミルを用いて行うことができるため、乾燥した野菜が実際に粉砕される。
【0050】
次いで、得られた細粉を後続のスクリーニング工程18に供して、より大きな粒度分布を有する粒子をより小さな寸法を有するものから分離することも可能である。
【0051】
このようにしてこの時点で得られた野菜細粉は、分配及び/又は工業的使用の準備が整う(工程19)。
【0052】
前述のように、野菜粉砕工程17の上流には、スクリーニング(工程13)、洗浄/清浄化(工程14)、加湿(工程15)、剥皮(工程16)、収穫された野菜の工業的乾燥(12)から選択される種類の少なくとも1つの予備サブ工程がある。
【0053】
これらの操作(それらのすべての完全な実行及び/又はそれらの少なくとも1つの実行)は、本発明によって提供される特性を有する野菜細粉を得るために必要ではないが、優れた感覚受容的及び栄養的特性並びに健康かつ衛生的な完成品(野菜細粉)を得ることを確実にする。
【0054】
特に、粉砕工程17の後に得られた細粉は、有利には、高タンパク質含有量を有する画分の分離及び選択のためのさらなる工程20に供することができることが規定されている。前記選択された画分は粗タンパク質細粉21を構成する。
【0055】
工程20は、機械的分離によって(振動型、遠心型、圧縮型の応力に対する粉砕された野菜の特定の反応、並びに適切に較正された圧縮空気のジェットによって分離を行うことを可能にするその部分の比重の差を利用する分離プロセスによって)、フローテーション(より高い濃度の有用な画分を「選択」ことを可能にする固体物質の分離のためのプロセス;フローテーションは、操作に使用される液体との表面張力又は接着性又は濡れ性などの物理現象に関して、分離される材料の異なる挙動を利用する。材料は、実際には、使用される様々な液体によって濡れるか又は濡れず、フローテーション剤として知られる適切な試薬を用いて、それらの自然な挙動を改変することが可能である)及び/又はフロキュレーション(フロキュレーションは、凝集の結果である化学的-物理的プロセスであり、それのために、分散液中に存在するコロイド粒子は、加熱によって、又は適切な物質、フロキュレーション剤の添加によって一緒に結合し、より大きなサイズの凝集体、フロック又はフロキュールを生成し、これは容易に堆積/分離する)によって実施することができる。
【0056】
工程20の終わりに得られる粗タンパク質細粉21は、主に植物油(例えば、アルコールエステル、炭化水素、フィトステロール、リン脂質、トコール、テルペンなど)によって構成される特定の脂質含有量を含有する。
【0057】
本発明による方法1は、都合のよいことには、脱脂工程22、すなわち、可溶性タンパク質細粉23を得るために、粗タンパク質細粉21中に存在する油類を除去するための工程を含むことができる。
【0058】
工程22で提供される脱脂操作は、食品業界で標準化されている手順に従って、排他的に機械的な種類のものであってもよく、又は特定の溶媒を使用してもよい。
【0059】
次いで、可溶性タンパク質細粉23は、75℃~150℃に含まれる温度での押出のさらなる工程24(純粋に非限定的な例として、110℃~130℃に含まれる温度を採用することによって、マメ科に由来する細粉で最適な結果が得られたことが特定される)、及び30%~50%程度(好ましくは、排他的ではないが、約40%)の相対湿度を有する野菜細粉を得ることを可能にするさらなる乾燥工程25に供され得る。
【0060】
さらなる乾燥工程25の終わりに得られたこの細粉は、肉代用物の生産に適した構造化植物性タンパク質細粉26である。
【0061】
本発明による方法1の1つの可能な変形によれば、切断及び分離工程27の間に、細粉26を産業用途及び/又はマーケティングに適した部分に分離することが可能である。
【0062】
本発明による方法1のさらなる特定の実施形態を特に参照すると、粉砕工程17の下流で、有利には、低カロリー細粉(食品用途の原料として、又は小売向けに販売することができる)を提供するために、得られた野菜細粉から脂質及び炭水化物から選択される物質を抽出するための工程を提供することができる。
【0063】
処理される野菜中間生成物の化学的-物理的特性に関する詳細な情報を得るために、野菜粉砕工程17に先行するサブ工程と前記粉砕工程17に後続するサブ工程との間で選択されるサブ工程中に、収穫された野菜及び/又は上記の野菜を粉砕することによって得られた野菜細粉によって構成される中間生成物は、農薬、マイコトキシン、重金属及び栄養性微量元素から選択される物質の存在を測定することを目的とした分析に供される。これらの分析は、ガスクロマトグラフィー、液体クロマトグラフィー、質量分析、及びそれらの組み合わせから選択されるタイプのものである。
【0064】
このようにして、野菜の収穫前に行われたものに関して、前記収穫の理想的な時期(ここで、活性植物保護成分の残留濃度は、前述の特定の場合には、0.01mg/kg未満、又はより低い濃度、例えば0.005mg/kgである)を特定するための追加のチェックが得られ、これにより、収穫後に野菜に対して行われたプロセスの結果として起こり得る有害物質の任意の蓄積を評価することが可能になる。
【0065】
本発明による方法1は、対象となる野菜の種子から始まって細粉の提供までの完全かつ継続的な管理を可能にする(農業産業部門で広く普及している定義(From Seed to Table)を使用する)。
【0066】
目的が植物性タンパク質細粉を提供することである場合、提供される第1の工程は、高タンパク質含有量を有する適切な野菜を特定することである(工程2)。
【0067】
これに関連して、野菜は、エンドウ豆(特に、高タンパク質含有量を有するそれぞれの品種)、ヒヨコ豆、ワイルドピース、豆類、レンズ豆などのマメ科、松の実、ピーナッツ、アーモンド、ピスタチオ、カシューナッツ、クルミ、ヘーゼルナッツなどのナッツ、並びに、麻、カボチャ及びヒマワリなどの種子から選択される。例えばキヌアなどの異なる野菜マトリックスの使用は除外されない。
【0068】
目的に適した野菜が特定されると、(指定された工程3において)生産しようとする野菜細粉に提供された仕様に最も適合するその野菜品種を選択する必要がある。
【0069】
高タンパク質含有量を有する野菜細粉を生産しようとする場合、(本発明による方法1の可能な変形を適用することによって可能な野菜細粉を提供することを意図した)野菜の理想的な栄養含有量は、乾燥重量に対して少なくとも24%(理想的には26%~28%)に等しいタンパク質含有量を提供する。
【0070】
代わりに、低カロリーの効果を有する野菜細粉を生産したい場合、アブラナ科(例えば、カリフラワー、ブロッコリーなど)の使用が特権とされ、細粉の生産に最も適しており、栄養種の微量成分の含有量が高いことを特徴とするそれぞれの野菜品種を選択し、達成される目標と一致するカロリー範囲(例えば、新鮮な野菜マトリックスを指す50cal/100g未満、又は乾燥製品を指す400cal/100g未満のカロリー含有量)を確立する。
【0071】
高い繊維含有量を有する野菜細粉を生産しようとする場合、(例えば、アカザ科(ビート及びホウレンソウなど)、及びキク科(レタス、チコリなど)の中から)選択された野菜において、高い繊維含有量を有する細粉の生産に最も適しており、栄養種の微量成分中の高い含有量(例えば、新鮮な野菜マトリックスを参照した際3g/100gに等しい最小繊維含有量)を特徴とする野菜品種を特定する必要がある。
【0072】
工程2、3、4、及び5に関連する活動は、特定の機器及び/又は圃場への直接的な介入を必要としないため、オフィスAで一般的に実行することができる。
【0073】
工程4は、農薬の使用を使用せずに、又はいかなる場合にも最小限に減らして、野菜マトリックスの期待される生産を達成するのに適した土壌の選択を提供する。この結果を達成するためには、歴史的データ、例えばいわゆる農業書、土壌の化学的及び物理的分析の実行、気象傾向の統計的分析、及び他の多くの情報項目の研究を行う必要がある。
【0074】
精密農法の概念は、近年、情報及び通信技術を使用して農業プロセスを改善する手法として出現している。精密農法は、Industry 4.0としても知られている第4次産業革命において重要な役割を果たしている。精密農法は、実際には、投資コストを削減し、得られた野菜マトリックスの生産及び品質の両方を高めるために情報及び通信技術を使用する。この観点からの品質の概念は、期待される目標の関数として表すことができる。特に、システムは、例えば、土壌の利用可能な栄養素(土壌分析)及び作物に直接的又は間接的に影響を及ぼし得る他の特性などの土壌の特性(分布、形状、化学的特性)を分析するために29、作物の対象である領域の多層マッピング28を提供する。
【0075】
土壌の組成特性及び各作物の代謝/吸収に関する情報の相互参照は、圃場Bの様々な領域で施肥30を適応/調整すること;圃場Bの様々な領域におけるバイオ刺激剤の適用(野菜マトリックスの健康/栄養価の増加)を適応/調整する;スポット検出の関数として農薬31の適用を適応/調整することを可能にする。残留性が低いものの中で特定された農薬(残留性が低い農薬のデータベースは、特定の作物に対する統合的制御のための地域コードによって許可されたものの中で歴史的に作成されている)は、昆虫及び/又は寄生生物の存在が検出された地域及び10mの近接地域に限って適用される。
【0076】
このアプローチによって、関心のある特定の野菜品種32に関連する生産性を高めることが可能である。最も適切な野菜品種の選択(工程5)もまた、収量を最大にするように、栽培が行われる土壌の特性(工程4で決定される)に基づいて行われる。
【0077】
「オフィス」A(データを分析し、それらを処理することが可能な任意の環境を意味する)で行われる予備選択の中には、生産される野菜細粉が極めて自然な製品であり、健康な食品レジメンに理想的であることを確実にするために、遺伝子改変されていない種子の品種の選択がある。
【0078】
さらに、適切な外部温度、コミュニティ及び照明条件に置かれた場合に、発芽して新しい植物を生産するための種子の適性を検証するために、購入した種子の特定のバッチに対して種子発芽性試験を行うことが可能である。
【0079】
本発明による方法は、実験室Cで行われる分析(工程7及び9)の使用が提供される、圃場で行われる一連の連続的な活動(工程6、8、及び10によって特定される)(これらは、典型的には農学的活動である)を提供する。
【0080】
次いで、圃場Bで操作する技術者の一部に対して、可能性のある許可された農薬のリストを農場の管理者と共有して、野菜/栽培サイクル中の作物の検証を進めることも可能である。
【0081】
野菜/栽培サイクル(圃場内で農薬の適用を必要とする唯一の地域を特定するための衛星監視又はドローンによる検証)中の作物の検証のための精密農法システムの使用により、非常に具体的で詳細な検証が可能である。精密農法によって提供される制御システムはまた、野菜に通常存在し、二重の栄養的/抗栄養的効果も有し得る(例えば、フィチン酸塩、サポニン又はポリフェノール/タンニンの存在に影響を及ぼす)二次代謝産物(ストレス状況において植物によって生産される)の形成をもたらし得る因子の存在を制限するという目的を有する。
【0082】
企業技術者は、農場管理者と共に、低残留性及び収穫前間隔の関数として、適用する農薬を選択し(低残留性農薬のデータベース及び数学的モデリングシステムを使用)、気候特性の関数として、最大で0.01mg/kgに等しくなければならない農薬の熟成/収穫及び残留性のための時間を推定する。本発明の目的の一つは、農薬の残留含有量をさらに減少させ、0.005mg/kg(分析方法が、調査の主題である特定の農薬分子のこの同定を可能にするすべての場合において提供され得る条件)よりもさらに低いことを確実にすることであり得ることが明記される。
【0083】
さらに、バイオアベイラビリティ及び栄養学的に関心のある分子(例えば、鉄、亜鉛、カルシウム、マグネシウム、セレン及びヨウ素などの鉱物であって、野菜をその発達及び成長中に「向上」させ、その栄養含有量を増加させる可能性がある鉱物)の吸収を確実にするために特定のバイオ刺激薬(すなわち、植物の一次及び二次代謝に作用することができる、天然の成分及び分子に基づく特定の作用を有する物質)を採用する可能性は排除されない。
【0084】
工程6の間、定期的なサンプリングが行われ、農薬の非存在の分析及び検証のために野菜の成長中(工程7、分析実験室Cに頼る)及び収穫前(工程7、分析実験室Cに頼る)に反復される。より正確には、0.01kg/kgの限界閾値よりも低い農薬の残留状態に達するための試みがなされるであろう(分析方法が農薬分子のそのような濃度の特定を可能にする場合には、いずれの場合にも、一層より意欲的な目標に到達しようとすることを指定して、限界閾値を0.005mg/kgの値に設定する)。
【0085】
いずれの場合でも、収穫操作の前に、圃場Bで野菜を自然乾燥させるための工程11が提供される場合、圃場で乾燥されたマトリックスの残留湿度並びにマイコトキシン及び/又は重金属のそれぞれの含有量を推定することを目的としたチェックが行われる。もちろん、農薬及びマイコトキシンの非存在(又は、より具体的には、標準によって無視できると特定された閾値よりも低いそれぞれの存在)が検出された場合、収穫が開始される。
【0086】
マイコトキシン及び/又は重金属の任意の存在のチェックも実験室Cで行われる。この分析は、ガスクロマトグラフィー及び液体クロマトグラフィーによる定性定量分析であり得、両方とも、農薬及び/又はその誘導体並びにマイコトキシンの分子の同定及び定量化のための質量分析とインターフェースされる。いずれの場合も、重金属の同定及び定量化のために、質量分析と誘導結合したプラズマによる定性定量分析に頼ることは排除されない。これに関連して、調査された分子に関連するデータベース及びそれらの分析方法の継続的な(少なくとも四半期ごとの)更新が行われ、それらが同定された場合、このデータベースに新しい目的の分子(農薬及びマイコトキシン)が導入される。
【0087】
これらの手順はすべて、認定された/認定可能な分析方法によって実施することができる。
【0088】
本質的に、優れた品質の最終製品を得ることを目的とした極めて厳密な適用では、3つの異なる方法:新鮮な野菜マトリックスに対する収穫前の分析の実行、新鮮な野菜マトリックスの移送中の分析の繰り返し;最終製品に対する最終検証を採用することによって、有害な/損害を及ぼす目的の分子の非存在をチェックすることが規定されている。
【0089】
野菜の収穫が実行されると、その後、処理施設D内で一連の活動に進む。
野菜のさらなる乾燥12のための任意の操作は、好ましくは、化学物質の使用を避けるように注意しながら、制御された雰囲気(低い値の残留湿度及び制御された温度)の環境における熱風の流れ及び/又は永続性のみを提供する方法によって行われることが規定されている。代わりに、不活性ガス、オゾン、及び食品産業で既に使用されている他のものなどの物理的手段の使用は排除されない。
【0090】
前述のように、乾燥工程12の後、生産しようとする細粉の品質を保護するために、マイコトキシン含有量の特定の追加の監視操作を提供することが可能である。
【0091】
マメ科に属する野菜若しくはナッツ、又は種子若しくはキヌア対して操作する場合、乾燥した野菜マトリックスのための物理的タイプの剥皮工程16を提供することが必要である。
【0092】
粉砕工程17は、物理的タイプのものであり、食品用に意図されたミル、例えば、ミル石、歯車、歯などを有するタイプのものによって実施することができる。異なる種類のミル(ボールミル又はスクリューフィーダーミルなど)の採用(特定の適用に必要な場合)は排除されない。
【0093】
次いで、残りの粉砕された野菜から細粉の高タンパク質含有量を有する部分を物理的に分離するための工程を提供することも可能である。この活動は、分離工程20(機械的分離及び/又はフローテーション及び/又はフロキュレーションによる)によって、並びに押出工程24によって行うことができる。
【0094】
中間生成物/最終製品(細粉)を特徴付ける目標の達成を中心的な要因とする農学的選択は、以下を保証するために行われなければならない。
【0095】
-使用される野菜の中に遺伝子改変生物の非存在(単なる例として、黄色タンパク質エンドウ豆について遺伝子改変されていない野菜品種はナバロ品種及びラポニ品種である);
-マトリックスに許容される限界未満の重金属の存在(重金属の過剰吸収を調整しない土壌の使用のための土壌の予備分析);
-野菜マトリックス中に天然に存在する栄養学的に重要な微量元素の存在及びバイオアベイラビリティ(吸収を促進する品種の選択)。
【0096】
本発明による野菜細粉は、マメ科、アブラナ科、アカザ科、キク科、種子及びナッツの中から選択される、自然淘汰及び交雑によって得られる、すなわち、遺伝子改変されていない(GMOとして分類される種子は植物選択中に除外される)タイプの野菜の粒子を含む。
【0097】
前記野菜細粉は、0.01mg/kg未満の活性植物保護成分の残留濃度を有するが、分析方法がこのような低濃度の特定の農薬分子を検出することを可能にする場合、0.005mg/kg以下の農薬の残留濃度を有する細粉を生産するために好ましい可能性が提供される。
【0098】
さらに、これらの細粉は、2000μg/kg未満のマイコトキシンの残留濃度及び0.20mg/kg未満の重金属の残留濃度を有する。
【0099】
細粉の粒子を構成する粉砕された野菜は、有利には、以下:
-エンドウ豆、ヒヨコ豆、ワイルドピース、空豆、豆類、レンズ豆から選択されるマメ科;
-松の実、ピーナッツ、アーモンド、ピスタチオ、カシューナッツ、クルミ、ヘーゼルナッツから選択されるナッツ;
-麻の実、カボチャ種子、ウイキョウ種子、チアシード、リネン種子、ゴマ、ケシの実、ヒマワリ種子から選択される種子;
-アカザ科、特にキヌア
によって少なくとも60%が構成されている。
【0100】
明らかに、上記の野菜種の任意の組み合わせの結果である野菜細粉を提供する可能性も提供される。これらのすべての場合において、得られた野菜細粉は、タンパク質含有量が15%を超える野菜細粉である。
【0101】
このタイプの細粉は、肉の代用品を生産するために使用することができ、及び/又は特定の食品レシピに使用することができる。
【0102】
1つの可能な代替バージョンによれば、粉砕された野菜は、都合のよいことには、以下:
-キャベツ、カブ、カリフラワー、ナタネ、芽キャベツ、ブロッコリーから選択されるアブラナ科;
-サトウダイコン及びホウレンソウの全植物学的品種から選択されるアカザ科;
-キク科、レタス、タンポポ、チコリ、エンダイブ、アザミ、アーティチョーク、マリーゴールド;
によって少なくとも60%が構成され得ることが規定されている。
【0103】
この場合、野菜細粉は10%を超える繊維含有量を有する。
原材料の適切な選択、並びに炭水化物含有量の一部分を脱脂及び/又は除去するための特定の操作は、さらに、非常に低いカロリー含有量を有する細粉を生産することを可能にする。
【0104】
したがって、本発明によって、主にマメ科(又はナッツ又は種子又はキヌア)から得られる、高タンパク質含有量を特徴とする野菜細粉のクラス、主にアブラナ科(又はアカザ科又はキク科)から得られる低カロリー含有量を特徴とする野菜細粉のクラス、及び主に葉形野菜(例えば、ホウレンソウ、エンダイブ、ビート、ルッコラなど)によって得られる繊維及び微量栄養素(例えば、ベタイン、グルコシノレート、鉱物)の高い含有量を特徴とする野菜細粉のクラスを特定することが可能であることが分かった。
【0105】
これらの細粉は、個別に使用することもできるし、相互に組み合わせることもできる。これらの細粉は、種子から収穫まで、形質転換プロセスの終わりにも(すなわち、生産チェーン全体にわたって)検証及び分析される野菜マトリックスを使用することによって得られる。
【0106】
特定の要素の含有量を増加させる(例えば、セレン若しくはヨウ素又は鉄若しくは亜鉛などの含有量を増加させる)ために土壌又は種子又は植物に特定の処理を行う可能性は、生産された野菜細粉に特定の栄養特性を与える可能性を確実にする。
【0107】
方法1によって得られた細粉を中間生成物として使用して、その後の目的の画分(タンパク質、繊維、デンプン)の抽出を行うことが可能である。
【0108】
黄色エンドウ豆、ヒヨコ豆、ボルロッティ豆などの処理から細粉を得ると、得られた細粉を生タンパク質の抽出に特化した会社に送ることができる。
【0109】
パスタ及びベーカリー製品(ホウレンソウの細粉、カリフラワーの細粉、ブロッコリーの細粉などを原料として使用する)の生産のために、野菜細粉の直接販売は、いずれの場合も排除されない。
【0110】
マメ科植物の粗タンパク質細粉21(黄色タンパク質エンドウ豆、ヒヨコ豆、ボルロッティ豆)もまた、可溶性タンパク質細粉23及び/又はテクスチャ化タンパク質26の生産のための中間生成物として使用され得る。
【0111】
可溶性タンパク質細粉23は、食品配合物中の成分として(例えば、ベジタリアン用の製品)、又はテクスチャ化タンパク質26の生産のための中間生成物として、確実な工業的使用を有する。
【0112】
テクスチャ化タンパク質26は、ベジタリアン用の食品配合物及び肉代替物の生産の原料として使用される。この種の細粉26は、肉代替食品の調製における家庭用の直接販売にも適している。
【0113】
有利には、本発明は前述の問題を解決し、生産された細粉に遺伝子改変生物の非存在に関する保証を提供する野菜細粉の生産方法1を提案する。
【0114】
都合のよいことには、本発明による方法1は、生産された細粉中の農薬残留物の存在を最小限に抑える。
【0115】
好ましくは、本発明による方法1は、生産された細粉中のヒト及び動物に有害な物質の存在を最小限に抑える。
【0116】
有利には、生産される野菜細粉は最適な栄養特性を有する。
確実に、本発明による野菜細粉は最適な感覚受容特性を有する。
【0117】
確かに、野菜細粉を生産するための方法1及び生産された少なくとも1つのそれぞれの野菜細粉は、実際に提供するのが比較的簡単であり、実質的にコストが低く、これらの特徴は、方法1及び本発明による任意の関連する野菜細粉を確実な適用の革新にする。
【0118】
このようにして考案された本発明は、多数の改変及び変形が可能であり、それらはすべて添付の特許請求の範囲内にある。すべての詳細は、他の技術的に等価な要素とさらに置き換えられ得る。
【0119】
示されている実施形態の例では、特定の例に関連して与えられる個々の特性は、実際には、実施形態の他の例の他の異なる特性と交換されてもよい。
【0120】
実際には、使用される材料及び寸法は、要件及び最新技術に応じて任意であり得る。
任意の請求項に記載された技術的特徴の後に参照符号が続く場合、それらの参照符号は、請求項の理解度を高めることのみを目的として含まれており、したがって、そのような参照符号は、そのような参照符号によって例として特定される各要素の解釈にいかなる限定的な効果も有さない。
図1
図2
図3
【国際調査報告】