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特表2024-506328流体濾過エレメントの活性層と適合性のあるスペーサ
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  • 特表-流体濾過エレメントの活性層と適合性のあるスペーサ 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-13
(54)【発明の名称】流体濾過エレメントの活性層と適合性のあるスペーサ
(51)【国際特許分類】
   B01D 63/00 20060101AFI20240205BHJP
   B01D 63/10 20060101ALI20240205BHJP
   B01D 69/10 20060101ALI20240205BHJP
   B01D 69/12 20060101ALI20240205BHJP
   B01D 71/56 20060101ALI20240205BHJP
【FI】
B01D63/00 510
B01D63/10
B01D69/10
B01D69/12
B01D71/56
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023547847
(86)(22)【出願日】2022-02-08
(85)【翻訳文提出日】2023-09-20
(86)【国際出願番号】 US2022015688
(87)【国際公開番号】W WO2022173761
(87)【国際公開日】2022-08-18
(31)【優先権主張番号】63/148,002
(32)【優先日】2021-02-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519350775
【氏名又は名称】アクア メンブレインズ,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】マテウス,ハイメ
(72)【発明者】
【氏名】ヘリントン,ロドニー
(72)【発明者】
【氏名】ロデリック,ケヴィン
【テーマコード(参考)】
4D006
【Fターム(参考)】
4D006GA02
4D006HA61
4D006JA05A
4D006JA05C
4D006JA05Z
4D006JA06A
4D006JA19A
4D006MA03
4D006MA09
4D006MC56
4D006MC62
(57)【要約】
膜シートの活性ポリアミド表面に適用されるフィードスペーサエレメントを含む渦巻形膜エレメントであって、フィードスペーサエレメントが活性ポリアミド層と同様の材料を含む、渦巻形膜エレメント。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体濾過システムで使用するためのエレメントであって、
(a)支持層と、
(b)前記支持層の第1の表面に配置された活性層と、
(c)前記支持層とは反対側の前記活性層の表面に配置された1つ又は複数の間隔保持特徴部とを備え、
前記1つ又は複数の間隔保持特徴部はポリマーを含む、
エレメント。
【請求項2】
前記ポリマーがポリアミドを含む、請求項1に記載のエレメント。
【請求項3】
前記活性層がポリアミドを含む、請求項1に記載のエレメント。
【請求項4】
前記間隔保持特徴部を製造する方法であって、
(a)活性層を含む膜を提供することと、
(b)前記活性層の表面に、ポリマーを含む1つ又は複数の間隔保持特徴部を配置することと
を含む方法。
【請求項5】
活性層の表面にポリマーを配置するために界面重合が使用される、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記ポリマーがポリアミドを含む、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記活性層がポリアミドを含む、請求項4に記載の方法。
【請求項8】
1つ又は複数の間隔保持特徴部を配置することが、前記活性層にスプレー、エレクトロスプレー、又は印刷することを含む、請求項4に記載の方法。
【請求項9】
1つ又は複数の間隔保持特徴部を配置することが、前記間隔保持特徴部又は前記活性層に熱も他のエネルギーも加えることなく前記間隔保持特徴部を配置することを含む、請求項4に記載の方法。
【請求項10】
実質的に本明細書に記載の方法及び装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
技術分野
本発明は、流体成分の分離に利用される膜システムに関し、特にクロスフロー及び渦巻形膜エレメントに関する。
【背景技術】
【0002】
背景技術
クロスフロー濾過では、フィード流体はフィルタを通って流れ、他端で放出されるが、流体の一部は、流体の流れ方向と平行な膜表面を通る濾過によって除去される。クロスフロー濾過には、プレート・アンド・フレーム方式、カセット方式、中空糸方式、渦巻方式など、様々な方式がある。プレート・アンド・フレーム方式、カセット方式、渦巻方式の濾過モジュールは、隣接する濾過膜層間に間隔を設ける積層された膜層に依存することが多い。本発明はこのようなシステムに適用できる。本発明の理解を容易にするために、いくつかの参考文献を本明細書に挙げる;これらの参考文献のそれぞれは、参照により本明細書に組み込まれる。
【0003】
当該技術分野で知られている渦巻形膜濾過エレメントは、多孔性透過液担体に又はその周囲にシールされた膜シートを有する積層構造体からなり、この多孔性透過液担体は、膜を通過して中央管へ至る流体の除去のための経路を、中央管の軸に対して長手方向に形成する一方、この積層構造体は、中央管の周囲に渦巻状に巻き付けられ、多孔性フィードスペーサ(feed spacer)でそれ自身から間隔をあけて、エレメントのフィード端から拒絶端へ至るエレメントを通る流体の軸方向の流れを可能にする。従来、フィードスペーサは、フィード水(その一部は膜を通過する)の流れが渦巻状に巻かれたエレメントに入るのを可能にし、拒絶水が中央管に平行な方向であってエレメント構造の軸方向の方向にエレメントから出るのを可能にするために使用される。
【0004】
渦巻形エレメントの設計に対する改良は、Bargerらに付与された米国特許6,632,357号、Bradfordらに付与された米国特許7,311,831号、及びHerringtonらに付与された“Improved Spiral Wound Element Construction”と題するオーストラリア(2014223490号)及び日本(6499089号)の特許に開示されており、この特許は、従来のフィードスペーサを、膜の内側又は外側の表面に直接印刷、堆積、又はエンボス加工された島又は突起で置き換えている。Roderickらに付与された“Graded spacers for filtration wound elements”と題する米国特許出願のPCT/WO2018190937A1号は、渦巻形エレメントにおけるフィードフロー特性を変更するために使用される高さ傾斜型スペーサ特徴部の使用を記載している。Roderickらに付与された“Interference Patterns for Spiral Wound Elements”と題する米国特許出願のPCT/US17/62424号は、膜フィード空間を開放状態に保つが、巻き付ける間に膜エンベロープ接着領域の支持を提供する渦巻形エレメントのパターンを記載している。Roderickらに付与された“Bridge Support and Reduced Feed Spacers for Spiral-Wound Elements”と題する米国特許出願のPCT/US18/55671号は、渦巻形エレメントの接着及び巻き付け中に支持を提供するために膜エンベロープの遠位端(中央管から最も遠い端)に適用される支持特徴部を記載している。Herringtonらに付与された“Variable Velocity Patterns in Cross Flow Filtration”と題する米国仮特許出願第63,051,738号は、フィード溶液の濃度が渦巻形エレメントのフィード端から拒絶端まで増加するにつれてフィード溶液の速度を制御するために、中央管に平行なフィード流路の膜フィードスペースのフィード端から拒絶端までサイズが変化する支持パターンを記載している。前述のそれぞれは、参照により本明細書に組み込まれる。
【0005】
界面重合を利用した膜表面のパターンは、Sajjad H.Marufらによって記載されており、“Fabrication and characterization of a surface-patterned thin film composite membrane”と題され、Journal of Membrane Science,452(2014)pages 11-19に掲載されている。これらのパターンは、バイオフィルム制御を目的として細胞応答を制御するために作製された。200ナノメートルの典型的な溝の深さが記載されている。この溝の深さは、1000分の1インチよりもはるかに小さい。
【0006】
ポリスルホン基材へのポリアミドコーティングの印刷は、Chris Arnush(Zukerberg Institute of Water Technology of Ben Gurion University)によって、“2-D and 3-D Printing Assisted Fabrication and Modification of UF/NF/RO Membranes for Water Treatment”と題する論文に記載されている。またエレクトロスプレーによるポリアミドコーティングについては、Jeffery McCutcheon(University of Connecticut)によって記載されている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
発明の概要
膜の最上層の選択層は活性層と呼ばれる。いくつかの実施形態において、活性層はポリアミドを含むことができる。典型的な薄膜複合(TFC)逆浸透(RO)膜は、微多孔性基材の表面上でのポリアミドの界面重合によって作られる。一般的な記載として、ポリアミドの界面重合は、アミン溶液が塩化物溶液と接触することで起こる。利用できる特定のアミン溶液及び塩化物溶液には、多くの可能な配合がある。いくつかの実施形態において、アミン溶液はアミン水溶液を含み、塩化物溶液は有機塩化物溶液を含む。従来の膜製造において、基材は、典型的にはRO膜用のm-フェニルジアミン及びナノ濾過膜用のピペラジンを含むアミン溶液と接触させられ、続いて、典型的にはトリメシン酸クロリド(TMC)を含む塩化物溶液と接触させられる。
【0008】
本発明の一実施形態は、膜の活性層上にポリアミドを含むフィードスペーサを作製するために界面重合を使用する方法を提供する。例えば、フィードスペーサの界面重合は、アミン水溶液を印刷し、塩化物溶液を膜表面又は活性層に印刷することによって促進することができる。
【0009】
本発明の具体的な例示的実施形態において、1,6-ヘキサンジアミンを含むアミン水溶液を膜活性層に印刷し、次いでセバコイルクロリドを含む別の溶液を印刷することができる。他の具体的な例示的実施形態は、TMC、セバコイルクロリド、又はそれらの任意の混合物を含む溶液を含む、異なる塩化物溶液を利用することができる。塩化物溶液はまた、1種又は複数種の有機溶媒を含むことができる。例えば、塩化物溶液は、ヘキサン、トルエン、又はそれらの任意の混合物などの溶媒を含むことができる。界面重合反応を生じさせる現在知られている又は後に発見される他の材料及び溶液を利用することもできる。
【0010】
これらのスペーサは、渦巻形エレメント又は平坦シート膜システムにおいて、2枚の膜シートの間に流体流れ空間を形成するのに十分な高さのものである。流体流れスペーサの高さは、0.001インチから0.050インチ又はそれを上回る範囲とすることができる。いくつかの用途における渦巻形エレメントの膜シートの表面積を最大にするための薄いスペーサの場合、スペーサの高さは0.003インチから0.017インチの範囲とすることができる。エレメントのフィード端から拒絶端までの圧力損失によるいくつかの用途におけるエネルギー損失を最小化するためのスペーサ高さについては、スペーサ高さは、高さ0.015インチから0.035インチ又はそれを上回る範囲とすることができる。
【0011】
本発明の実施形態は、透過性支持層と、その上に適用された選択的に透過性の活性層と、活性層上に適用された1つ又は複数の間隔保持特徴部とを備える流体濾過に使用するためのエレメントを提供する。一例として、間隔保持特徴部は、膜活性層上に印刷されたポリアミドのフィードスペーサを含むことができる。例として、間隔保持特徴部は、本明細書の他の箇所に記載される厚さ及び他の特性を有することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図面の簡単な説明
図1】渦巻形膜エレメントの分解図である。
図2】部分的に組み立てられた渦巻形膜エレメントの分解図である。
図3】従来のメッシュタイプのフィードスペーサを有する膜シートの断面図である。
図4】ポリアミドのスペーサ特徴部が薄膜層の表面に適用されたポリアミドの薄膜層を有する膜シートの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
発明を実施するための形態及び産業上の利用可能性
渦巻形濾過エレメントにおけるフィードスペーサは流体が流れるためのチャネルを維持することを要求されるが、スペーサの設計は、局所的な流速、乱流、淀みゾーン、及び他の流体流れ状態にも影響を与える。押し出しメッシュのフィードスペーサは、製造プロセスにおいて組み込みが容易なため、膜製造において伝統的に使用されてきたが、それらの性質により、流体力学的特性の多くはスペーサの厚さに依存する。プリントされたフィードスペーサは、従来の押し出し又は織りメッシュスペーサでは得られなかったユニークな設計特性を可能にするが、その理由は、特定の用途や渦巻形膜エレメント構造で見られる特定の課題に合わせることができる幅広い構成を得るために、それらの厚みと形状を独立して変えることができるからである。
【0014】
クロスフロー濾過は、フィード流体の一部がフィルタを通過して濾液の一部となることに依存するため、フィード流体がフィルタを通過する際にフィード流体の量が常に減少する状況を作り出す。生成される濾液の部分が多ければ多いほど、フィルタを通って流れ続けるフィード/濃縮流体の部分は少なくなる。流体がエレメントを通過する際、流体の一部は膜を通過する。単純にモデル化すると、膜を通過する流束が一定であれば、エレメントを通過するフィード溶液の流れは徐々に減少する。実際には、通過する流体の量は、局所的な流れの状態、溶質又は懸濁物質の局所的な濃度、及び局所的な圧力に依存し、これはまた局所的にエレメントの透過側からの背圧に依存する。
【0015】
渦巻形エレメント及びスタックフィルタなどの多くのクロスフロー濾過システムは、フィード流体が流れる膜材料の平行な平坦シートに依存している。フィードチャネルが一定の体積を占めるこのようなシステムでは、濾液ストリームへのフィード流体の損失により、フィード入口から濃縮液出口へ流れる流体ストリームが、フィルタの長さに沿ってクロスフロー速度が低下するが、流体ストリームの拒絶端部に向かってイオン濃度が上昇するという状況が生じる。クロスフロー速度、フィルタ形状、及びフィードスペーサを含むフィルタ内の流体力学的条件は、流体せん断、境界層厚さ、濃度分極などの流体流れのいくつかの重要な特性に影響を及ぼし、これらは次に、膜流束、摩擦圧力損失、生物学的汚損、及びスケーリングを含むフィルタ性能特性に影響を及ぼす。したがって、固定されたフィルタ形状及びフィードスペーサを有するシステムの場合、変化するクロスフロー速度は、システム全体にわたってこれらの特性の変化を誘発し、これはあまり望ましくないパフォーマンスにつながる可能性がある。
【0016】
本発明の実施形態は、スペーサ材料がポリアミドを含み、膜シートの活性層上に配置されるフィードスペーサを製造するプロセスを提供する。本発明の例示的な実施形態において、膜表面上にポリアミドのフィードスペーサを作製するために印刷プロセスが使用される。1つの例示的な実施形態において、ポリアミドスペーサ材料は、薄膜複合膜シートの活性層と同じか同様である。他の実施形態は、ポリアミドと他の添加剤を含むスペーサ材料を含み、このような添加剤は、以下のような様々な目的で添加することができる:汚損の低減;膜透過又は拒絶性能の改善;表面化学、高さ、剛性、透過性、多孔性、及び粗さを含む物理的及び化学的なスペーサ特性の修正。他の例示的な実施形態は、ポリアミド及び1種又は複数種の材料を含むスペーサ材料の様々な層を含む。非限定的な例として、スペーサの大部分をポリアミドで構成し、頂部に異なる材料の「キャッピング」層を設けることができる。このような実施形態は、スペーサの頂部と隣接する材料との間の望ましくない相互作用を回避しながら、渦巻形膜の様々な層を巻くことを可能にする適切な表面特性を得るために望ましい可能性がある。
【0017】
ポリアミド材料で構成されたスペーサは、従来知られているものに比べていくつかの利点を提供する。第1に、このスペーサ材料は、インクジェットタイプの印刷、スクリーン印刷、又はスペーサ材料を硬化させるために紫外線(UV)又は可視スペクトルの光を利用する他の技術による適用を必要としない。フォトポリマー硬化の使用は、膜シートに熱又は他の形態のエネルギーを加える可能性があり、これは薄膜複合材料(TFC)の構造を損傷し、膜シートのフラックス又はイオン拒絶特性に悪影響を及ぼす可能性がある。フォトポリマーインクジェットで適用される材料は同様に、膜表面に有機物を添加し、これにより帯電した膜表面と反応し、フラックスや拒絶特性に悪影響を及ぼす可能性がある。本発明の例示的な実施形態で使用される界面重合は、迅速な化学反応によって室温で達成することができ、それによってTFCの温度上昇を大幅に低減することができる。さらに、ポリアミドのフィードスペーサは、物理的なスペーサを通るフィード溶液の流れを可能にする。これは、フォトポリマープロセスを使用する従来のインクジェットプリンターで使用される材料では不可能である。そのため、従来のインクジェットスペーサ材料では、ポリアミド材料で適用されるスペーサに比べて活性膜表面積の損失が大きくなる。この特徴部により、膜システムの透過速度を向上させ、任意の所与のサイズの膜エレメント又は平坦シート膜システムの全体的な透過液生成と効率を向上させることができる。さらに、フィードスペーサと膜活性層の両方がポリアミドを含む実施形態では、フィードスペーサと膜表面との間の有害な相互作用又は材料不適合のリスクが少ない。
【0018】
採用されるフィード間隔保持特徴部は、丸い点、楕円、端が丸い棒、レンズ形状、引き伸ばされた多角形、線又は他の幾何学的形状を含む多数の形状のいずれかを含むことができる。特徴部の形状と、多くの場合流体が特徴部の外側の周囲を移動しなければならないという事実により、流体の流速はフィード間隔保持特徴部間の領域で局所的に変化するが、特徴部のサイズとパターンが均一である場合、バルク流体速度は、膜を通って流れる濾液によって引き起こされる流体体積の減少によってのみ影響を受ける。その結果は、流体体積、したがってエレメントの入口から拒絶ストリームまでの流体速度の正味の減少である。
【0019】
図1は巻き付け前の従来の渦巻形膜エレメントの概略図であり、従来の渦巻形膜エレメント100の重要な要素を示している。透過液収集管12は、透過液担体22から透過液が収集される収集管12内の穴14を有する。製造において、膜シート36は、中心線30で折り曲げられる単一の連続シートであり、一方の面28上の非活性多孔性支持層、例えばポリスルホンと、支持層に接着又は流延された他方の面24上の活性ポリマー膜層とから構成される。組み立てられたエレメントにおいて、活性ポリマー膜表面24はフィードスペーサメッシュ26に隣接し、非活性支持層28は透過液担体22に隣接している。フィード溶液16は活性ポリマー膜表面24の間に入り、フィードスペーサメッシュ26の開いたスペースを通って流れる。フィード溶液16がフィードスペーサメッシュ26を通って流れるとき、膜によって排除される粒子、イオン、又は化学種は活性ポリマー膜表面24で拒絶され、透過液の分子、例えば水分子は活性ポリマー膜表面24を通過して多孔性透過液担体22に入る。フィード溶液16が活性ポリマー膜表面24に沿って移動するにつれて、バルクフィード溶液16中の透過液の損失により膜により排除される物質の濃度が上昇し、この濃縮された液は拒絶液18として活性ポリマー膜シート24の拒絶端部から出る。透過液担体22内の透過液は、透過液担体22の遠位端34から中央管12の方向に流れ、透過液は中央管入口穴14から中央管12に入り、透過液20として中央管12から出る。透過液がフィード溶液16で汚染されるのを避けるため、非活性ポリマー膜層28は、透過液担体22を貫いて接着線32に沿って接着剤でシールされ、これにより透過液20の唯一の出口経路が中央管12を通るシールされた膜エンベロープが形成される。通常、接着線32の幅は、巻き付けプロセスの間に接着剤が圧縮された後、1~3インチである。
【0020】
部分的に組み立てられた渦巻形膜エレメント200が図2に示されている。膜エンベロープ40は、図1に関連して記載したように、一端で折り曲げられた膜シート36を備え、透過液担体22が膜シートの間に配置され、適切な接着剤で縁に沿ってシールされる。一旦巻かれた膜エレメントの従来設計では、フィードスペーサメッシュ26がエンベロープ40に隣接して配置され、フィード溶液16の流れが層膜エンベロープ40の間を流れ、膜シートの活性ポリマー表面24のすべてがフィード溶液に曝されるようにする。透過液、又は生成流体は、膜エンベロープ40内の透過液担体22に収集され、渦巻状に中央管12まで進み、そこで生成流体、又は透過液が収集される一方、拒絶流18はエレメントから出る。単一の渦巻形エレメントは、単一の膜エンベロープ及びフィードスペーサ層を備えてもよく、又はエレメントを形成するために一緒に積み重ねられて巻かれた複数の膜エンベロープ及びフィードスペーサ層を備えてもよい。
【0021】
図3に示す既存の逆浸透渦巻形膜エレメントの代表的な実施形態において、渦巻形エレメント複合層110は、例えば多孔性ポリスルホン層114に接着され、現場流延ポリマー膜層112で被覆された、例えば多孔性ポリエチレン層116を備える膜シートアセンブリ118を備える。フィード水がポリマー膜層112に均一に分配されるように、例えばフィードスペーサメッシュ122がポリマー膜層112の表面に対して配置される。フィード溶液124がポリマー膜層112を通って移送され、不純物がポリマー膜層112で拒絶されると、濾液126が別の透過液担体120に移送される。実際には、この膜アセンブリは、清浄液の損失を避けるために、接着剤によって透過液担体120の周りでシールされ、その後、平坦なエンベロープは、清浄な生成水が入り、膜エレメントハウジングに収集される中央管の周りに巻かれる。
【0022】
図4に示す本発明の例示的な実施形態において、複合膜シート130は、ポリマー層138が構築されたのと同じ又は同様の化学プロセスにおいて界面重合を介してポリマー層138に適用されたスペーサ特徴部136を備える。ポリアミドスペーサ136は、例として、膜ポリアミド層138上に直接スプレー、エレクトロスプレー、又は印刷によって適用することができる。ポリアミドスペーサ136は、Arnushら、又はMarufらによって教示されているものなどの特徴部で印刷されることができる。ポリアミドスペーサ136はまた、Bradfordらによって教示されたような防汚殺生剤を備えることができる。例示的な実施形態において、ポリアミド層138は、ポリスルホン層132上に適用することができる。ポリスルホン層132は、典型的には、ポリエチレン支持層134に適用される。
【0023】
本発明を様々な例示的実施形態に関連して記載してきた。上記の記載は、本発明の原理の適用を単に例示するものであり、その範囲は、本明細書に照らして見た特許請求の範囲によって決定されることが理解されよう。本発明の他の変形及び修正は、当業者には明らかであろう。
図1
図2
図3
図4
【国際調査報告】