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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-13
(54)【発明の名称】柔軟な基材上の積層造形
(51)【国際特許分類】
   B29C 64/245 20170101AFI20240205BHJP
   B29C 64/129 20170101ALI20240205BHJP
   B33Y 10/00 20150101ALI20240205BHJP
   B33Y 30/00 20150101ALI20240205BHJP
   B33Y 40/20 20200101ALI20240205BHJP
   B29C 64/393 20170101ALI20240205BHJP
【FI】
B29C64/245
B29C64/129
B33Y10/00
B33Y30/00
B33Y40/20
B29C64/393
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023548219
(86)(22)【出願日】2022-02-10
(85)【翻訳文提出日】2023-09-22
(86)【国際出願番号】 US2022015906
(87)【国際公開番号】W WO2022173896
(87)【国際公開日】2022-08-18
(31)【優先権主張番号】63/147,960
(32)【優先日】2021-02-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522371237
【氏名又は名称】オーピーティー インダストリーズ,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】バレシュ,カルロ
(72)【発明者】
【氏名】レイブ,オーガスト
(72)【発明者】
【氏名】ストーン,ウィリアム,カーティス
(72)【発明者】
【氏名】オウ,ジフェイ
【テーマコード(参考)】
4F213
【Fターム(参考)】
4F213AA29
4F213AA44
4F213AR04
4F213AR07
4F213AR12
4F213WA25
4F213WB01
4F213WL03
4F213WL12
4F213WL35
4F213WL56
4F213WL73
4F213WL76
4F213WL85
(57)【要約】
本明細書に提供されるのは、柔軟な基材上に3D物体を印刷するためのシステム及び方法である。いくつかの態様では、柔軟な基材は、ポリマー前駆体の槽を通して移動され、その間、機構(例えば、対向するベルトを有する)は、基材の周縁との接触を維持する。本明細書に記載されるシステム及び方法は、3D物品の正確な印刷を可能にする、柔軟な基材に対する正確な制御などの特定の利点を有し得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
3D物体を印刷する方法であって、
a.柔軟な基材に隣接するポリマー前駆体の体積の第1の位置に放射線を向け、それにより前記基材上又は前記基材に隣接して第1のポリマー層を形成することと、
b.前記基材の周縁との接触を維持しながら、前記ポリマー前駆体の体積を通して柔軟な基材を移動させることと、
c.前記第1の位置に隣接する前記ポリマー前駆体の体積の第2の位置に放射線を向け、それにより前記第1のポリマー層上に第2のポリマー層を形成することと
を含む方法。
【請求項2】
前記周縁は、前記基材が移動される方向に対して実質的に平行である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記柔軟な基材は、その周縁で挟まれる、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記第1のポリマー層が形成される前記基材の表面は、前記基材の幅にわたるローラによって接触されない、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記柔軟な基材は、前記ポリマー前駆体の体積内に移動し、屈曲し、及び前記ポリマー前駆体の体積から出る、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
第1の直線状挟みゾーンは、前記柔軟な基材の屈曲前に生じ、及び第2の直線状挟みゾーンは、前記柔軟な基材の前記屈曲後に生じる、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
一連のローラは、前記屈曲を通して前記柔軟な基材を案内する、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記第1のポリマー層が印刷される前記柔軟な基材の表面の反対側の前記柔軟な基材の裏面を支持することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記ポリマー前駆体の体積と接触する前記柔軟な基材の実質的に全部分に沿って前記周縁との接触が維持される、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記第2のポリマー層が硬化されるまで、前記基材の前記周縁との接触が維持される、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記柔軟な基材は、前記基材が前記ポリマー前駆体の体積内にある間、実質的に一定の張力下にある、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記基材の前記周縁との接触を維持する前に前記柔軟な基材を案内又は位置決めすることをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記柔軟な基材を平滑化することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記柔軟な基材は、前記基材の前記周縁との接触を維持する前に平滑化される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
3Dポリマー物体を製造するために(c)を繰り返すことをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記基材から前記3Dポリマー物体を除去することをさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記基材を切断することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記周縁との接触を維持する機構は、前記第1のポリマー層が形成される前記柔軟な基材の部分と接触しない、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
前記基材が前記ポリマー前駆体を通して移動される方向を変更することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
前記基材は、約100マイクロメートル(um)未満、約50um未満、約30um未満、約20um未満又は約10um未満の機械的精度で前記ポリマー前駆体を通して移動される、請求項1に記載の方法。
【請求項21】
前記第2のポリマー層は、約100マイクロメートル(um)未満、約50um未満、約30um未満、約20um未満又は約10um未満のピクセル単位の精度で前記第1のポリマー層上に形成される、請求項1に記載の方法。
【請求項22】
ポリマーの前記第1及び第2の層は、約100マイクロメートル(um)未満、約50um未満、約30um未満、約20um未満又は約10um未満の厚さ精度を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項23】
(b)及び(c)は、ポリマーの前記第1の層及び第2の層が実質的に連続するように実質的に同時に行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項24】
(b)及び(c)は、ポリマーの前記第1の層及び第2の層が別個の層ではないように実質的に同時に行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項25】
前記柔軟な基材は、弾性である、請求項1に記載の方法。
【請求項26】
前記柔軟な基材は、ナイロンメッシュである、請求項1に記載の方法。
【請求項27】
前記放射線は、UV光である、請求項1に記載の方法。
【請求項28】
前記放射線は、デジタルライトプロセッサ(DLP)を使用して向けられる、請求項1に記載の方法。
【請求項29】
3D物体を印刷するためのシステムであって、
a.ポリマー前駆体の溶液を実質的に一定の液位に維持するように構成された槽と、
b.柔軟な基材を、前記基材の周縁との接触を維持しながら、前記槽を通して移動させるように構成された機構と、
c.前記ポリマー前駆体の溶液の選択された部分に放射線を向けるように構成されたデジタルライトプロセッサ(DLP)と
を含むシステム。
【請求項30】
前記機構及び前記デジタルライトプロセッサは、3D物体を印刷するように構成される、請求項29に記載のシステム。
【請求項31】
(i)前記DLPは、前記柔軟な基材上又は前記柔軟な基材に隣接して第1のポリマー層を作成し、(ii)前記機構は、前記槽を通して前記柔軟な基材を移動させ、及び(iii)前記DLPは、前記第1のポリマー層上に第2のポリマー層を作成する、請求項30に記載のシステム。
【請求項32】
(ii~iii)は、実質的に同時に行われる、請求項31に記載のシステム。
【請求項33】
ポリマーの前記第1の層及び第2の層は、別個の層ではない、請求項32に記載のシステム。
【請求項34】
前記周縁は、前記基材が移動される方向に対して実質的に平行である、請求項29に記載のシステム。
【請求項35】
前記機構は、前記柔軟な基材をその周縁で挟むように構成される、請求項29に記載のシステム。
【請求項36】
前記機構は、第1のポリマー層が形成される前記基材の表面上において前記基材の幅にわたるローラを含まない、請求項29に記載のシステム。
【請求項37】
前記機構は、前記柔軟な基材を前記ポリマー前駆体の体積内に移動させ、前記柔軟な基材を屈曲させ、及び前記ポリマー前駆体の体積を除去するように構成される、請求項29に記載のシステム。
【請求項38】
第1の直線状挟みゾーンは、前記柔軟な基材の屈曲前に生じ、及び第2の直線状挟みゾーンは、前記柔軟な基材の前記屈曲後に生じる、請求項37に記載のシステム。
【請求項39】
前記機構は、前記屈曲を通して前記柔軟な基材を案内するための一連のローラを含む、請求項37に記載のシステム。
【請求項40】
前記機構は、第1のポリマー層が印刷される前記柔軟な基材の表面の反対側において、前記柔軟な基材の裏面を支持するローラをさらに含む、請求項29に記載のシステム。
【請求項41】
前記機構は、前記ポリマー前駆体の体積と接触する前記柔軟な基材の実質的に全部分に沿って前記周縁との接触を維持する、請求項29に記載のシステム。
【請求項42】
前記機構は、第2のポリマー層が硬化されるまで、前記基材の前記周縁との接触を維持する、請求項29に記載のシステム。
【請求項43】
前記機構は、前記基材が前記ポリマー前駆体の体積内にある間、前記柔軟な基材を実質的に一定の張力下に置く、請求項29に記載のシステム。
【請求項44】
前記基材の前記周縁との接触のために前記柔軟な基材を位置決めするように構成されたガイドをさらに含む、請求項29に記載のシステム。
【請求項45】
前記柔軟な基材を平滑化するためのクランプばねをさらに含む、請求項29に記載のシステム。
【請求項46】
3Dポリマー物体を製造するために(c)を繰り返すことができる、請求項29に記載のシステム。
【請求項47】
前記基材から前記3Dポリマー物体を除去することができる、請求項46に記載のシステム。
【請求項48】
前記基材が前記槽から出た後に前記基材を切断するように構成されたモジュールをさらに含む、請求項29に記載のシステム。
【請求項49】
前記機構は、第1のポリマー層が形成される前記柔軟な基材の部分と接触しない、請求項29に記載のシステム。
【請求項50】
前記機構は、前記基材が前記ポリマー前駆体を通して移動される方向を変更することができる、請求項29に記載のシステム。
【請求項51】
前記機構は、約100マイクロメートル(um)未満、約50um未満、約30um未満、約20um未満又は約10um未満の機械的精度で前記ポリマー前駆体を通して前記基材を移動させることができる、請求項29に記載のシステム。
【請求項52】
第2のポリマー層は、約100マイクロメートル(um)未満、約50um未満、約30um未満、約20um未満又は約10um未満のピクセル単位の精度で第1のポリマー層上に形成される、請求項29に記載のシステム。
【請求項53】
ポリマーの第1及び第2の層は、約100マイクロメートル(um)未満、約50um未満、約30um未満、約20um未満又は約10um未満の厚さ精度を有する、請求項29に記載のシステム。
【請求項54】
前記柔軟な基材は、弾性である、請求項29に記載の方法。
【請求項55】
前記柔軟な基材は、ナイロンメッシュである、請求項29に記載の方法。
【請求項56】
前記放射線は、UV光である、請求項29に記載の方法。
【請求項57】
3D物体を印刷する方法であって、
a.ポリマー前駆体の体積を収容する槽の透明な窓を通して放射線を向けることであって、前記放射線は、柔軟な基材に隣接する第1の位置に向けられ、それにより前記基材上又は前記基材に隣接して第1のポリマー層を形成する、向けることと、
b.前記ポリマー前駆体の体積を通して前記柔軟な基材を移動させることと、
c.前記第1の位置に隣接する第2の位置に前記透明な窓を通して放射線を向け、それにより前記第1のポリマー層上に第2のポリマー層を形成することと
を含む方法。
【請求項58】
前記柔軟な基材は、ナイロンメッシュである、請求項57に記載の方法。
【請求項59】
前記柔軟な基材は、印刷経路の実質的に全てに沿ってその裏面で支持される、請求項57に記載の方法。
【請求項60】
前記印刷経路は、前記第1の位置に隣接して開始し、及び前記基材が前記槽から出るときに終了する、請求項59に記載の方法。
【請求項61】
前記柔軟な基材は、ベルトで支持される、請求項59に記載の方法。
【請求項62】
前記基材の裏面は、前記透明な窓に対して遠位である、請求項57に記載の方法。
【請求項63】
前記柔軟な基材は、前記基材の周縁との接触を維持する機構を使用して、前記ポリマー前駆体の体積を通して移動される、請求項57に記載の方法。
【請求項64】
前記第1のポリマー層は、前記透明な窓よりも前記柔軟な基材に対して高い親和性を有する、請求項57に記載の方法。
【請求項65】
前記透明な窓は、振動される、請求項57に記載の方法。
【請求項66】
前記透明な窓は、非重合ポリマー前駆体が前記透明な窓と前記第1のポリマー層との間を流れることを可能にする溝を有する、請求項57に記載の方法。
【請求項67】
前記透明な窓の温度は、前記ポリマー前駆体の槽の温度よりも高いか又は低い、請求項57に記載の方法。
【請求項68】
ポリマー前駆体のある量は、前記透明な窓の方に力を加えて向けられる、請求項57に記載の方法。
【請求項69】
3D物体を印刷するためのシステムであって、方法は、
a.透明な窓を有する槽であって、ポリマー前駆体の溶液を実質的に一定の液位に維持するように構成される槽と、
b.柔軟な基材を、前記槽を通して前記透明な窓に近接して移動させるように構成された機構と、
c.放射線を、前記透明な窓を通して前記ポリマー前駆体の溶液の選択された部分に向けるように構成されたデジタルライトプロセッサ(DLP)と
を含む、システム。
【請求項70】
前記柔軟な基材は、ナイロンメッシュである、請求項69に記載のシステム。
【請求項71】
前記機構は、印刷経路の実質的に全てに沿って前記柔軟な基材をその裏面で支持する、請求項69に記載のシステム。
【請求項72】
前記印刷経路は、第1の位置に隣接して開始し、及び前記基材が前記槽から出るときに終了する、請求項71に記載のシステム。
【請求項73】
前記柔軟な基材は、ベルトで支持される、請求項71に記載のシステム。
【請求項74】
前記基材の前記裏面は、前記透明な窓に対して遠位である、請求項71に記載のシステム。
【請求項75】
第1のポリマー層は、前記透明な窓よりも前記柔軟な基材に対して高い親和性を有する、請求項69に記載のシステム。
【請求項76】
前記透明な窓は、振動され得る、請求項69に記載のシステム。
【請求項77】
前記透明な窓は、非重合ポリマー前駆体が前記透明な窓と第1のポリマー層との間を流れることを可能にする溝を有する、請求項69に記載のシステム。
【請求項78】
前記透明な窓の温度は、前記ポリマー前駆体の槽の温度よりも高いか又は低い、請求項69に記載のシステム。
【請求項79】
ポリマー前駆体のある量を前記透明な窓の方に向けることができるノズルをさらに含む、請求項69に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2021年2月10日に提出された「SYSTEMS AND METHODS FOR 3D PRINTING ON PLIABLE SUBSTRATES」という名称の米国仮特許出願第63/147,960号(米国特許法第119条(e))の非仮出願である。これらの出願の内容全体は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
著作権保護の対象となる資料に関する通知
本特許文献内の資料の一部は、米国及び他の国々の著作権法に基づく著作権保護の対象となる。本著作権者は、米国特許商標庁の一般に入手可能なファイル又は記録に見られる場合、本特許文献及び特許開示の何人によるファクシミリ複製に対しても異議を唱えないが、そうでない場合、全ての著作権を留保する。本著作権者は、これにより、非限定的に特許規則第1.14条に従う権利を含め、本特許文献が秘密に保持されるいかなる権利も放棄しない。
【背景技術】
【0003】
3D印刷としても知られる積層造形技術は、他の技術で作るのが困難又は不可能な複雑な形状を有する完成品の製造を可能にする。高解像度のステレオリソグラフィ3D印刷、特にデジタルライトプロセッシング(DLP)印刷技術は、100マイクロメートル(um)未満の印刷解像度を可能にする。高解像度3D印刷により、物体の軽量化、メタマテリアルの構築、バイオミミクリーデザインの実現又は単に美的な表面テクスチャの達成を可能にする複雑な構造物を製造することが可能になる。
【発明の概要】
【0004】
最近の3Dプリンタの解像度は、向上しているが、3D印刷される物品の経済的な生産は、3Dプリンタの処理量によって制限されることがある。例えば、プリンタが連続生産向けに構成されていない場合、処理量が制限されることがある。個々の物品の連続印刷又はバッチ印刷は、例えば、プリンタを初期状態に戻すことに関連する非生産的な停止時間を有する可能性がある。
【0005】
本明細書に記載のシステム及び方法は、例えば、ロールから分配され、ポリマー前駆体の体積を通して移動される柔軟な基材上に物品を印刷することにより、3D印刷の生産性を向上させることができる。このようなシステムは、初期状態に戻す必要なく連続的に印刷することができる。生産性は、柔軟な基材のロール幅を広げることでさらに向上され得る。しかしながら、基材の幅が広くなるほど、3D印刷中にたるみ、曲がり、反り、しわ又は一貫して平坦でない状態になりやすい。一態様において、3D印刷のために平坦で良好に制御された柔軟な基材を維持するためのシステム及び方法が本明細書で提供される。
【0006】
一態様によれば、3D物体を印刷する方法が提供される。本方法は、柔軟な基材に隣接するポリマー前駆体の体積の第1の位置に放射線を向け、それにより基材上又は基材に隣接して第1のポリマー層を形成することと、基材の周縁との接触を維持しながら、ポリマー前駆体の体積を通して柔軟な基材を移動させることと、第1の位置に隣接するポリマー前駆体の体積の第2の位置に放射線を向け、それにより第1のポリマー層上に第2のポリマー層を形成することとを含む。一実施形態によれば、周縁は、基材が移動される方向に対して実質的に平行である。一実施形態によれば、柔軟な基材は、その周縁で挟まれる。一実施形態によれば、第1のポリマー層が形成される基材の表面は、基材の幅にわたるローラによって接触されない。
【0007】
一実施形態によれば、柔軟な基材は、ポリマー前駆体の体積内に移動し、屈曲し、及びポリマー前駆体の体積から出る。一実施形態によれば、第1の直線状挟みゾーンは、柔軟な基材の屈曲前に生じ、及び第2の直線状挟みゾーンは、柔軟な基材の屈曲後に生じる。一実施形態によれば、一連のローラは、屈曲を通して柔軟な基材を案内する。一実施形態によれば、方法は、第1のポリマー層が印刷される柔軟な基材の表面の反対側の柔軟な基材の裏面を支持することをさらに含む。一実施形態によれば、ポリマー前駆体の体積と接触する柔軟な基材の実質的に全部分に沿って周縁との接触が維持される。一実施形態によれば、第2のポリマー層が硬化されるまで、基材の周縁との接触が維持される。一実施形態によれば、柔軟な基材は、基材がポリマー前駆体の体積内にある間、実質的に一定の張力下にある。
【0008】
一実施形態によれば、方法は、基材の周縁との接触を維持する前に柔軟な基材を案内又は位置決めすることをさらに含む。一実施形態によれば、方法は、柔軟な基材を平滑化することをさらに含む。一実施形態によれば、柔軟な基材は、基材の周縁との接触を維持する前に平滑化される。一実施形態によれば、方法は、3Dポリマー物体を製造するために(c)を繰り返すことをさらに含む。一実施形態によれば、方法は、基材から3Dポリマー物体を除去することをさらに含む。一実施形態によれば、方法は、基材を切断することをさらに含む。一実施形態によれば、周縁との接触を維持する機構は、第1のポリマー層が形成される柔軟な基材の部分と接触しない。一実施形態によれば、方法は、基材がポリマー前駆体を通して移動される方向を変更することをさらに含む。
【0009】
一実施形態によれば、基材は、約100マイクロメートル(um)未満、約50um未満、約30um未満、約20um未満又は約10um未満の機械的精度でポリマー前駆体を通して移動される。一実施形態によれば、第2のポリマー層は、約100マイクロメートル(um)未満、約50um未満、約30um未満、約20um未満又は約10um未満のピクセル単位の精度で第1のポリマー層上に形成される。一実施形態によれば、ポリマーの第1及び第2の層は、約100マイクロメートル(um)未満、約50um未満、約30um未満、約20um未満又は約10um未満の厚さ精度を有する。一実施形態によれば、(b)及び(c)は、ポリマーの第1の層及び第2の層が実質的に連続するように実質的に同時に行われる。一実施形態によれば、(b)及び(c)は、ポリマーの第1の層及び第2の層が別個の層ではないように実質的に同時に行われる。一実施形態によれば、柔軟な基材は、弾性である。一実施形態によれば、柔軟な基材は、ナイロンメッシュである。一実施形態によれば、放射線は、UV光である。一実施形態によれば、放射線は、デジタルライトプロセッサ(DLP)を使用して向けられる。
【0010】
一態様によれば、3D物体を印刷するためのシステムが提供される。システムは、ポリマー前駆体の溶液を実質的に一定の液位に維持するように構成された槽と、柔軟な基材を、基材の周縁との接触を維持しながら、槽を通して移動させるように構成された機構と、ポリマー前駆体の溶液の選択された部分に放射線を向けるように構成されたデジタルライトプロセッサ(DLP)とを含む。一実施形態によれば、機構及びデジタルライトプロセッサは、3D物体を印刷するように構成される。一実施形態によれば、(i)DLPは、柔軟な基材上又は柔軟な基材に隣接して第1のポリマー層を作成し、(ii)機構は、槽を通して柔軟な基材を移動させ、及び(iii)DLPは、第1のポリマー層上に第2のポリマー層を作成する。一実施形態によれば、(ii~iii)は、実質的に同時に行われる。一実施形態によれば、ポリマーの第1の層及び第2の層は、別個の層ではない。
【0011】
一実施形態によれば、周縁は、基材が移動される方向に対して実質的に平行である。一実施形態によれば、機構は、柔軟な基材をその周縁で挟むように構成される。一実施形態によれば、機構は、第1のポリマー層が形成される基材の表面上において基材の幅にわたるローラを含まない。一実施形態によれば、機構は、柔軟な基材をポリマー前駆体の体積内に移動させ、柔軟な基材を屈曲させ、及びポリマー前駆体の体積を除去するように構成される。一実施形態によれば、第1の直線状挟みゾーンは、柔軟な基材の屈曲前に生じ、及び第2の直線状挟みゾーンは、柔軟な基材の屈曲後に生じる。一実施形態によれば、機構は、屈曲を通して柔軟な基材を案内するための一連のローラを含む。
【0012】
一実施形態によれば、機構は、第1のポリマー層が印刷される柔軟な基材の表面の反対側において、柔軟な基材の裏面を支持するローラをさらに含む。一実施形態によれば、機構は、ポリマー前駆体の体積と接触する柔軟な基材の実質的に全部分に沿って周縁との接触を維持する。一実施形態によれば、機構は、第2のポリマー層が硬化されるまで、基材の周縁との接触を維持する。一実施形態によれば、機構は、基材がポリマー前駆体の体積内にある間、柔軟な基材を実質的に一定の張力下に置く。一実施形態によれば、システムは、基材の周縁との接触のために柔軟な基材を位置決めするように構成されたガイドをさらに含む。一実施形態によれば、システムは、柔軟な基材を平滑化するためのクランプばねをさらに含む。一実施形態によれば、システムは、3Dポリマー物体を製造するために(c)を繰り返すことができる。一実施形態によれば、システムは、基材から3Dポリマー物体を除去することができる。一実施形態によれば、システムは、基材が槽から出た後に基材を切断するように構成されたモジュールをさらに含む。
【0013】
一実施形態によれば、機構は、第1のポリマー層が形成される柔軟な基材の部分と接触しない。一実施形態によれば、機構は、基材がポリマー前駆体を通して移動される方向を変更することができる。一実施形態によれば、機構は、約100マイクロメートル(um)未満、約50um未満、約30um未満、約20um未満又は約10um未満の機械的精度でポリマー前駆体を通して基材を移動させることができる。一実施形態によれば、第2のポリマー層は、約100マイクロメートル(um)未満、約50um未満、約30um未満、約20um未満又は約10um未満のピクセル単位の精度で第1のポリマー層上に形成される。一実施形態によれば、ポリマーの第1及び第2の層は、約100マイクロメートル(um)未満、約50um未満、約30um未満、約20um未満又は約10um未満の厚さ精度を有する。一実施形態によれば、柔軟な基材は、弾性である。一実施形態によれば、柔軟な基材は、ナイロンメッシュである。一実施形態によれば、放射線は、UV光である。
【0014】
一態様によれば、3D物体を印刷する方法が提供される。方法は、ポリマー前駆体の体積を収容する槽の透明な窓を通して放射線を向けることであって、放射線は、柔軟な基材に隣接する第1の位置に向けられ、それにより基材上又は基材に隣接して第1のポリマー層を形成する、向けることと、ポリマー前駆体の体積を通して柔軟な基材を移動させることと、第1の位置に隣接する第2の位置に透明な窓を通して放射線を向け、それにより第1のポリマー層上に第2のポリマー層を形成することとを含む。一実施形態によれば、柔軟な基材は、ナイロンメッシュである。一実施形態によれば、柔軟な基材は、印刷経路の実質的に全てに沿ってその裏面で支持される。一実施形態によれば、印刷経路は、第1の位置に隣接して開始し、及び基材が槽から出るときに終了する。一実施形態によれば、柔軟な基材は、ベルトで支持される。一実施形態によれば、基材の裏面は、透明な窓に対して遠位である。一実施形態によれば、柔軟な基材は、基材の周縁との接触を維持する機構を使用して、ポリマー前駆体の体積を通して移動される。一実施形態によれば、第1のポリマー層は、透明な窓よりも柔軟な基材に対して高い親和性を有する。一実施形態によれば、透明な窓は、振動される。一実施形態によれば、透明な窓は、非重合ポリマー前駆体が透明な窓と第1のポリマー層との間を流れることを可能にする溝を有する。一実施形態によれば、透明な窓の温度は、ポリマー前駆体の槽の温度よりも高いか又は低い。一実施形態によれば、ポリマー前駆体のある量は、透明な窓の方に力を加えて向けられる。
【0015】
一態様によれば、3D物体を印刷するためのシステムが提供される。システムは、透明な窓を有する槽であって、ポリマー前駆体の溶液を実質的に一定の液位に維持するように構成される槽と、柔軟な基材を、槽を通して透明な窓に近接して移動させるように構成された機構と、放射線を、透明な窓を通してポリマー前駆体の溶液の選択された部分に向けるように構成されたデジタルライトプロセッサ(DLP)とを含む。一実施形態によれば、柔軟な基材は、ナイロンメッシュである。一実施形態によれば、機構は、印刷経路の実質的に全てに沿って柔軟な基材をその裏面で支持する。一実施形態によれば、印刷経路は、第1の位置に隣接して開始し、及び基材が槽から出るときに終了する。一実施形態によれば、柔軟な基材は、ベルトで支持される。一実施形態によれば、基材の裏面は、透明な窓に対して遠位である。一実施形態によれば、第1のポリマー層は、透明な窓よりも柔軟な基材に対して高い親和性を有する。一実施形態によれば、透明な窓は、振動され得る。一実施形態によれば、透明な窓は、非重合ポリマー前駆体が透明な窓と第1のポリマー層との間を流れることを可能にする溝を有する。一実施形態によれば、透明な窓の温度は、ポリマー前駆体の槽の温度よりも高いか又は低い。一実施形態によれば、システムは、ポリマー前駆体のある量を透明な窓の方に向けることができるノズルをさらに含む。
【0016】
前述の概念及び以下でより詳細に考察される追加の概念の全ての組み合わせ(そのような概念が相互に矛盾しないことを条件とする)は、本明細書に開示される発明的主題の一部であることを企図されることが理解されるべきである。特に、本開示内の主題の全ての組み合わせは、本明細書に開示される発明的主題の一部であることを企図される。
【0017】
これらの例示的な態様及び例のさらに他の態様、例及び利点が以下で詳細に考察される。さらに、前述の情報及び以下の詳細な記載の両方は、様々な態様及び例の単なる例示であり、特許請求される態様及び例の性質及び特徴を理解するための概要又は枠組みを提供することを意図していることを理解されたい。本明細書で開示されるいずれかの例は、本明細書で開示される目的、目標及び必要性の少なくとも1つと一致するいずれかの方法でいずれかの他の実施例と組み合わせることができ、「例」、「いくつかの例」、「代替例」、「様々な例」、「1つの例」、「少なくとも1つの例」、「本例及び他の例」又はそれらに類するものへの言及は、必ずしも相互に排他的ではなく、例に関連して記載される特定の特徴、構造又は特性が少なくとも1つの例に含まれ得ることを示すことを意図している。本明細書におけるこのような用語の出現は、必ずしも全てが同一の例を指すものではない。
【図面の簡単な説明】
【0018】
本特許又は出願ファイルには、少なくとも1つのカラー図面が含まれている。カラー図面を含む本特許又は特許出願公開の写しは、請求及び必要な手数料の支払に基づいて特許庁によって提供される。
【0019】
図1】柔軟な基材上に3D物体を印刷する例を示す。
図2】柔軟な基材上に3D物体を印刷するためのいくつかの制御点の例を示す。
図3】柔軟な基材の周縁を挟む例を示す。
図4】本明細書に記載のシステム及び方法が、一連の処理モジュールを通して柔軟な基材を移動させるために使用される例を示す。
図5】本明細書に記載のシステム及び方法の一実施形態の側面図の一例を示す。
図6】本明細書に記載のシステム及び方法の一実施形態の上面図の一例を示す。
図7】支持ベルトを有する、本明細書に記載のシステム及び方法の一実施形態の上面図の一例を示す。
図8】本明細書に記載のシステム及び方法の一実施形態の縮尺図の一例を示す。
図9】ロールから分配されるときに柔軟な基材において比較的一定の張力を維持するためのシステムの一例を示す。
図10】柔軟な基材上に3D印刷する準備として柔軟な基材を平滑化し、案内し、及び/又はそれに張力をかけるための機構の一例を示す。
図11】柔軟な基材を平滑化し、案内し、及び/又はそれに張力をかけるための機構の縮尺図の一例を示す。
図12】ポリマー前駆体の体積を保持するように構成された槽内における、本明細書に記載のシステムの筐体の一例を示す。
図13】透明な窓を通して印刷するための本開示のシステムの一例を示す。
図14】透明な窓を通して印刷するための本開示のシステムの一例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
3D印刷としても知られる積層造形技術は、成形(射出成形及びトランスファー成形等)並びに除去的製造(レーザ切断及びフライス加工等)などの他の従来の製造方法で作るのが困難又は不可能であり得る複雑な形状の「積層」完成品を製造する機器を利用する製造方法である。積層造形法は、従来の方法に比べて幅広い利点を有し得る。第1に、非常に複雑な形状及び内部格子構造を有する部品を製造することができる。第2に、特にフライス加工などの除去的製造と比較して、廃棄物の発生が少なく、出発材料の利用率が高い。第3に、リードタイムが短く、工具製作コストが低い迅速な生産を可能にする。これは、金型を用いて所望の部品を製造する前に金型を作る必要がある成形法に比べて特に当てはまる。第4に、高価な金型を事前に準備することなく、少量の部品をオンデマンドで製造することができる。それは、作製した部品の評価に基づく簡単な修正も可能にし、試作品を作るのに非常に有用である。全体として、積層造形法は、多くの面で従来の製造方法に比べて広範な利点を有し得る。
【0021】
積層造形法は、使用する材料及び技術によって分類することができる。印刷のための材料選択には、熱可塑性ポリマー、熱硬化性ポリマー、フォトポリマー(正確にはフォトモノマー/オリゴマー)、金属、セラミック、(ハイドロ)ゲル、ペースト、砂、複合材料等が含まれるが、これらに限定されない。一般的な3D印刷法には、熱溶解積層方式(FDM、別名FFF、溶解フィラメント製造法)、デジタルライトプロセッシング法(DLP)、ステレオリソグラフィ法(SLA)、選択的レーザ焼結法(SLS)、指向性エネルギー堆積法(DED)、ダイレクトインクライティング法(DIW)、バインダージェッティング法(BJ)などがある。FDM/FFF、SLS及びSLA/DLPは、圧倒的に人気が高く、世界中で常に研究開発が行われている3大印刷技術である。
【0022】
積層造形のための材料は、最終用途に望ましい材料性能特性を有する3D物品を作成するために、複数の重合技術を利用することができる。これらの重合反応は、通常、ポリマー前駆体の溶液の一部に向けられるUV放射線によって開始される。ここで、放射線は、ポリマーの層が基材上に堆積されるように、柔軟な基材に近接した溶液の体積の表面上に向けることができる(すなわち像として)。その後、基材を溶液中にさらに移動させることができ、ポリマー前駆体の薄層は、第1のポリマー層を覆って流れることができ、第2の重合を開始して第1のポリマー層上に第2のポリマー層を印刷することができる。このプロセスを繰り返して、3D造形物を印刷することができる。
【0023】
DLP及びSLAは、本明細書に記載のシステム及び方法を実行するのに適した3D印刷技術である。SLA及びDLP 3Dプリンタは、光がUV硬化性ポリマー樹脂に投影される方法に関して異なり得る。以前のプリンタは、一般に、ピクセルごとに対象領域を硬化させるために動き回るレーザシステムに基づくSLAを使用していた。しかしながら、DLPは、一度に層全体を硬化させることができる。DLP 3Dプリンタは、デジタルプロジェクタスクリーンを使用して、プラットフォーム全体にわたって層の画像をフラッシュさせ、同じ層の全ての地点を同時に硬化させることができる。この光は、デジタルマイクロミラーデバイス(DMD)で反射させることができる。DMDは、半導体チップ上にマトリックス状に配置された微細サイズのミラーを含むダイナミックマスクである。光を樹脂に向けるレンズ間でこの小さいミラーを迅速に切り替えることで、所与の層内で液体樹脂が硬化する座標を決定することができる。プロジェクタは、デジタルスクリーンであるため、各層の画像は、正方形のピクセルで構成され、ボクセルと呼ばれる小さい直方体から形成される3次元の層となる。これにより、DLPは、最速の3D印刷技術の1つとなることができる。他の利点としては、比較的低コストであること、汎用印刷ポリマーを選択できること、印刷解像度が高いこと、操作が簡単であることなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0024】
DLPでは、アクリレート及びメタクリレート官能性ポリマーを含むポリマー及び複合材料を選択して印刷することができる。DLP積層造形産業で使用されるUV硬化性配合物は、エチレン及び/又はビニル官能性(すなわち二重結合)オリゴマー及びモノマー(例えば、アクリレート、メタクリレート、ビニルエーテル、ビニルカーボネート)、希釈剤、鎖延長剤、光開始剤及び添加剤を含み得る。オリゴマー及びモノマーは、重合時に最終製品に機械的特性を与えることができる。希釈剤は、配合物全体の粘度を下げ、加工及び取り扱いを容易にするために使用される。希釈剤は、反応性があり、最終製品のポリマーマトリックスに組み込むことができる。光開始剤は、(例えば、光開始剤分子の光分解により)活性放射線に曝されるとフリーラジカルを形成することができる。このフリーラジカルは、オリゴマー及びモノマーのビニル部分と相互作用して、ビニルをベースとする架橋ポリマーを形成する。添加剤としては、顔料、染料、UV吸収剤、ヒンダードアミン系光安定剤、充填剤などが挙げられるが、これらに限定されない。添加剤は、色、保存安定性、寿命性能の向上、UV安定性の向上等など、有用な特性を付与するために使用することができる。
【0025】
柔軟な基材への印刷
一態様において、本明細書で提供されるのは、3D物体を印刷する方法である。図1を参照すると、この方法は、ポリマー前駆体102の体積の第1の位置に放射線100を向けることを含み得る。その位置は、ポリマー前駆体の槽を通して移動される柔軟な基材104に隣接し得る。放射線は、放射線が接触する場所(場合によりそれに隣接する場所)でポリマー前駆体を重合させ、基材上又は基材に隣接して第1のポリマー層106を形成することができる。図1は、原寸に比例しない概略図であることに留意されたい(例えば、放射線が向けられる位置は、すなわち微細な特徴を有する物体を作製するために細かく制御され得、ポリマー前駆体の槽の比較的小さい領域に向けられ得る)。
【0026】
引き続き図1を参照すると、この方法は、基材の周縁110との接触を維持しながら、ポリマー前駆体の体積を通して柔軟な基材を移動させること108を含み得る。放射線は、第1の位置に隣接するポリマー前駆体の体積の第2の位置に向けられ、それにより第1のポリマー層上に第2のポリマー層を形成し得る。このようにして、3D物体を積層造形することができる(すなわち放射線照射の領域によって決定される形状でポリマーの連続層を互いに重なるように重合させる)。
【0027】
一態様において、本明細書で提供されるのは、(例えば、3D物品を正確に印刷するために)柔軟な基材の移動を正確に制御するためのシステム及び方法である。図2に示すように、基材が溶液に入る角度200を制御することができる。その後、基材は、回転方向に屈曲して溶液から出ることができる。正確な厚さのポリマー層を印刷するために、基材の動きを正確に制御することができる。さらに、基材の位置及び張力は、例えば、ポリマー前駆体の槽から柔軟な基材が出る前、その間及びその全体にわたって制御すること202ができる。本明細書に記載の機構は、例えば、戻り半径204を制御し、基材の完全な制御及び位置決めを維持するために、柔軟な基材の周縁との接触を維持する(例えば、挟む)ことができる。
【0028】
図3は、柔軟な基材がその周縁で挟まれる様子を示す側面図である。周縁は、基材が槽を通して移動される方向に対して実質的に平行であり得る。ここで、柔軟な基材300は、柔軟な基材と共に移動し、柔軟な基材との接触を維持することができる第1及び第2の対向する挟みポイント302、304間に挟まれる。
【0029】
柔軟な基材は、ポリマー前駆体の体積内に移動し、屈曲し、及びポリマー前駆体の体積から出ることができる。基材の方向転換は、印刷された物品が表面にあるため、印刷された物品を有する基材の側でローラが基材の幅に及び得ないことから、特に困難である。本明細書に記載されるように、この課題は、ここに示されるように、基材を保持し、次に解放する機構において、基材の縁に沿って基材を挟むことによって対処することができる。いくつかの例では、第1のポリマー層が形成される基材の表面は、基材の幅にわたるローラに接触しない。3D印刷された部分は、基材の上面に取り付けられているため、基材を案内するためにローラを使用すると、3D印刷された物体が平らになるか又は傷つく可能性がある。したがって、3D印刷された物体に害を与えることなく、柔軟な基材をその縁で挟むことができる。周縁との接触を維持する機構は、場合により第1のポリマー層が形成される柔軟な基材の部分と接触しない。
【0030】
このようなシステムは、柔軟な基材のエンドレスループを含む、任意の長さの柔軟な媒体に使用することができる。このシステムは、媒体の自由度を制限することができる。挟み及び解放機構は、柔軟な基材を任意の角度、例えば0度~180度で屈曲させることができる。
【0031】
基材が直線的に移動する領域(例えば、3D物体が変形されないような領域)で印刷し、樹脂の初期硬化を行うことが有利であり得る。場合により、印刷中、基材は、樹脂の表面に対して45度の角度で移動している。他の利点の中でも、一定の角度は、印刷された物体を一連の平面スライスとして表現するのに役立ち得る(例えば、3Dプリンタを制御するためのデジタルレンダリング中)。場合により、第1の直線状挟みゾーンは、柔軟な基材の屈曲前に生じる。第2の直線状挟みゾーンは、(3D物体が樹脂から出るときに)柔軟な基材の屈曲後に生じ得る。一連のローラは、柔軟な基材を、直線状挟みゾーン間の屈曲を通して案内することができる。柔軟な基材の裏面を支持することができる(例えば、それは、ポリマー層が印刷される柔軟な基材の表面の反対側にある)。ポリマー前駆体の体積と接触する柔軟な基材の実質的に全部分に沿って周縁との接触が維持され得る。場合により、第2のポリマー層が硬化されるまで、基材の周縁との接触が維持される。
【0032】
図4に示すように、複数の屈曲を連鎖させて、より複雑な流路を形成することができる。柔軟な基材400は、様々な機能を果たすことができる一連のモジュールを通して移動させることができる。限定するものではないが、それらの機能は、物品を形成するための最初の3D印刷402、物品の洗浄404、物品の二次硬化406又は物品の表面コーティングを含み得る。
【0033】
本明細書に記載されるシステム及び方法は、任意の数の利点を有することができる。例えば、挟み及び駆動機構の位置が既知であり、基材に強く結合され得るため、基材の位置を感知又は監視することは、それほど重要でなくなるか又は不要にさえなり得る。基材の移動方向は、逆にすることができる。印刷ゾーンへの及び印刷ゾーンを通る基材の入口角度を制御し、潜在的に調整することができる。基材の張力は、戻り半径と同様に制御することができ、これは、印刷中の印刷される物品の歪みを低減するように機能し得る。
【0034】
図には、本明細書に記載されるシステム及び方法の様々な例示的な実践がより詳細に示されている。例えば、図5は、一実施形態の側面図であるが、これは、原寸に比例していない。基材500は、クランプベルト502とタイミング制御ベルト504との間に供給することができる。一連のローラ506がベルトの移動を制御する(すなわち柔軟な基材の印刷される側に接触しない)。印刷層508は、基材がモノマー前駆体の溶液に入るところで示されている。一連のバックベンドローラ510は、基材がポリマー前駆体から出る方向を変更することができる。印刷された物品は、柔軟な基材の上面にあるため、バックベンドローラは、基材の幅にわたっていないことに留意されたい。
【0035】
図6は、本明細書に記載のシステム及び方法の一実施形態の上面図を示す。ここで、柔軟な基材600は、クランプベルト602とタイミング制御ベルト604との間でその周縁に沿って挟むことができる。バックベンドローラ606は、印刷面の幅にわたることなく柔軟な基材の方向を変更するために使用することができる。
【0036】
図7に示すように、柔軟な基材の背面を支持ベルト700で支持することができる。支持ベルトは、クランプベルト、タイミング制御ベルト及び/又はバックベンドローラ機構と協調して角度を変更することができる。
【0037】
図8は、本明細書に記載のシステムの一実施形態の縮尺図である。コンベヤシステムは、幅広のコンベヤベルト800、細いクランプベルト又はローラ802、張力調整システム804及び支持ガイドプレートを含み得る。コンベヤシステムは、柔軟な基材を取り扱う際に高いレベルの精度及び正確さを提供することができる。精度及び正確さを提供することができる設計のいくつかの特徴には、柔軟な基材806を支持する幅広のコンベヤベルトが含まれる。コンベヤプレートの走行形状を制御することで、柔軟な基材を追従させることができる。場合により、ベルトの整列は、印刷プロセス中に左右にずれない。幅広のコンベヤベルトは、ベルト及びローラに組み込まれたガイド形状を有することができ、これによりベルトの整列が保たれる。コンベヤベルトは、適切な張力が加えられたとき804、印刷領域にわたる平坦な平面を作る2つのアイドラーの周りで走行することができる。走行板は、平坦な平面を作ることをさらに促進し得る。コンベヤベルトの位置は、例えば、フィードバック制御を備えたモータ808によって制御することができる。コンベヤベルトは、駆動ローラに対する滑りを防止するために適切な張力を有することができる。ベルトは、システムの精度及び正確さに関する信頼性をさらに高めるために、歯及び/又はセンサを有することができる。コンベヤシステムは、薄いクランプベルト又はローラ802によって柔軟な基材806を縁で捕捉することができる。薄いクランプベルト又はローラは、コンベヤベルトと共に移動することができる。この動作により、ベルトをクランプして滑りを防止することができる。柔軟な基材は、最初から印刷領域にわたってコンベヤ上で制御することができる。クランプベルト又はローラは、クランプ力を最大にするが、印刷領域を歪ませないように位置決めされ得る。
【0038】
場合により、柔軟な基材は、ロールからシステムに供給される。図9に示すように、システムは、例えば、基材のロール902の半径が小さくなるにつれて、基材を一定の張力に維持するための機構900を含み得る。このようなシステムにより、弾性基材を3D印刷に使用することができる。
【0039】
基材の周縁に沿ってクランプし、3D印刷するために、基材に張力を付与し、基材を案内し、及び/又は平滑化するための追加の機構を使用することもできる。図10に示すように、柔軟な基材1000は、クランプばね1004によって適用される調整可能な張力を有し得る基材ガイド1002を通して向けることができる。次いで、基材は、クランプベルト1006と支持ベルト1008との間にクランプされ、3D物品1012の印刷のために印刷領域1010を通して移動することができる。3次元図面が図11に示されており、ここで、図10と比較して同様の番号は、同様の要素を示す。この特徴は、柔軟な基材のしわ及び/又は横方向の移動を防止するのに役立ち得る。
【0040】
本明細書に記載のシステムは、ポリマー前駆体の体積を保持するように構成された槽内及び槽に隣接して使用することができる。図12は、クランプベルト及び支持ベルトのためのローラ1202を取り付けることができる槽1200の側面を示す。底部(図示せず)は、ポリマー前駆体の体積を保持することができる。
【0041】
柔軟な基材は、ナイロン、ポリプロピレン又はポリエチレンなどの任意の適切な材料であり得る。柔軟な基材は、連続シート又はメッシュであり得、典型的には薄い。柔軟な基材は、硬質又は弾性であり得る。柔軟な基材に近接してポリマー前駆体に向けられる放射線は、典型的には、UV光(例えば、デジタルライトプロセッサ(DLP)を用いて放射される)である。
【0042】
3D物品は、一連の層として印刷することができる。すなわち、ポリマー前駆体の後続の層は、以前の層の上に重合させることができる。3D物体の形状は、層のサイズ、形状、位置を変更することで作られ得る。基材は、層の印刷中に不連続な方法で前進させることができる(例えば、層の印刷中に実質的に静止している場合)。しかしながら、いくつかの実施形態では、基材は、放射線が樹脂に向けられるのと実質的に同時に及び/又は樹脂が硬化されるのと同時に前進する。例えば、3D物体は、一連の層として印刷されない場合がある。
【0043】
3D物品及び/又は柔軟な基材は、印刷前又は後に任意の適切な処理段階を経ることができる。例えば、基材及び/又は3D物品は、洗浄することができる(例えば、未硬化樹脂を除去するため)。3D物品は、印刷後に(例えば、熱にさらすことによって)さらに硬化させることができる。本方法は、基材から3Dポリマー物体を除去することをさらに含み得る。場合により、基材は、切断される。
【0044】
本明細書に記載のシステム及び方法は、柔軟な基材の移動を高い精度で制御するために使用することができる。このような精度は、制御された厚さを有する3D物体の層を印刷するのに有利であり得、印刷された物体全体の解像度を向上させ得る。例えば、基材は、約100マイクロメートル(um)未満(すなわちそれよりも精密)、約50um未満、約30um未満、約20um未満又は約10um未満の機械的精度でポリマー前駆体を通して移動させることができる。第2のポリマー層は、約100マイクロメートル(um)未満(すなわちそれよりも精密)、約50um未満、約30um未満、約20um未満又は約10um未満のピクセル単位の精度で第1のポリマー層上に形成することができる。ポリマーの第1及び第2の層は、約100マイクロメートル(um)未満(すなわちそれよりも精密)、約50um未満、約30um未満、約20um未満又は約10um未満の厚さ精度を有することができる。
【0045】
印刷システム
別の態様において、本明細書で提供されるのは、3D物体を印刷するためのシステムである。このシステムは、ポリマー前駆体の溶液を実質的に一定の液位に維持するように構成された槽と、柔軟な基材を、基材の周縁との接触を維持しながら、槽を通して移動させるように構成された機構と、ポリマー前駆体の溶液の選択された部分に放射線を向けるように構成されたデジタルライトプロセッサ(DLP)とを含み得る。
【0046】
機構及びデジタルライトプロセッサは、3D物体を印刷するように構成することができる。例えば、DLPは、柔軟な基材上又は柔軟な基材に隣接して第1のポリマー層を作成し、機構は、柔軟な基材を、槽を通して移動させ、及びDLPは、第1のポリマー層上に第2のポリマー層を作成する。ポリマー層の作成及び柔軟な基材の移動は、実質的に同時に行われ得る。場合により、ポリマーの第1の層及び第2の層は、別個の層ではない。
【0047】
周縁は、基材が移動される方向に対して実質的に平行であり得る。機構は、柔軟な基材をその周縁で挟むように構成することができる。いくつかの例において、機構は、第1のポリマー層が形成される基材の表面上において基材の幅にわたるローラを含まない。機構は、柔軟な基材をポリマー前駆体の体積内に移動させ、柔軟な基材を屈曲させ、及びポリマー前駆体の体積を除去するように構成することができる。
【0048】
機構は、屈曲を通して柔軟な基材を案内するための一連のローラを含み得る。機構は、第1のポリマー層が印刷される柔軟な基材の表面の反対側において、柔軟な基材の裏面を支持するローラをさらに含み得る。機構は、ポリマー前駆体の体積と接触する柔軟な基材の実質的に全部分に沿って周縁との接触を維持することができる。機構は、第2のポリマー層が硬化されるまで、基材の周縁との接触を維持することができる。
【0049】
場合により、機構は、基材がポリマー前駆体の体積内にある間、柔軟な基材を実質的に一定の張力下に置く。システムは、基材の周縁との接触のために柔軟な基材を位置決めするように構成されたガイドをさらに含み得る。システムは、柔軟な基材を平滑化するためのクランプばねをさらに含み得る。機構は、いくつかの例において、第1のポリマー層が形成される柔軟な基材の部分と接触しない。機構は、基材がポリマー前駆体を通して移動される方向を変更することが可能であり得る。
【0050】
本明細書に記載のシステム及び方法は、様々な印刷アーキテクチャで実施することができる。場合により、DLPは、ポリマー前駆体の体積の開放面に光を向ける(例えば、図1に示すように)。この手法にはいくつかの利点があるが、いくつかの例において、この手法は、粘性のあるポリマー前駆体溶液が、先に印刷された層上を流れるのにかかり得る時間(すなわちそれが第2の層に印刷され得る前の時間)によって制限される。いくつかの例において、DLPがポリマー前駆体溶液に接触するように透明な窓を通して光を向けると、溶液のリフローが速くなる。
【0051】
図13及び図14は、透明な窓を通して印刷するための本開示の実施形態を示す。同様の番号が同様の要素を示す場合、デジタルライトプロセッサ1300は、透明な窓1302を通して、柔軟な基材1306の近傍にあるポリマー前駆体1304上に放射線を向けることができる。柔軟な基材は、ポリマー前駆体を通して移動されている間、その周縁で挟まれ、ベルトによってその裏面1308で支持され得る。印刷された物品1310は、放射線がポリマー前駆体に当たる点で最初に形成され、柔軟な基材に載った状態で槽から出ることができる。
【0052】
透明な窓を通して3D印刷することの1つの潜在的な欠点は、印刷された物品と透明な窓との間の吸引力であり得る。これらの力は、印刷された物品を傷つけるか又は壊す可能性がある。場合により、印刷された物品は、透明な窓よりも柔軟な基材に対して大きい親和性を有する。
【0053】
印刷された物品と透明な窓との間のポリマー前駆体のリフローを容易にするために、様々な戦略を採用することができる。例えば、透明な窓を振動させるか、又は溶液の噴射を透明な窓に向けることができる。透明な窓は、溶液が流れることができる溝を有し得る。さらに、透明な窓の温度は、溶液の温度より高くても又は低くてもよい(例えば、窓で溶液の粘度が低くなり、及び/又は窓で重合度が低くなるように)。
【0054】
透明な窓は、ポリマー前駆体の槽の底にあり得る。透明な窓を有する実施形態は、柔軟な基材の移動を制御するために、本明細書に記載の機構を利用することができる。柔軟な基材は、その縁で挟んで、物品が印刷される側とは反対側の基材の側でベルトによって支持することができる。
【0055】
別の態様において、本明細書で提供されるのは、透明な窓を通して3D物体を柔軟な基材上に印刷する方法である。この方法は、ポリマー前駆体の体積を収容する槽の透明な窓を通して放射線を向けることであって、放射線は、柔軟な基材に隣接する第1の位置に向けられ、それにより基材上又は基材に隣接して第1のポリマー層を形成する、向けることと、ポリマー前駆体の体積を通して柔軟な基材を移動させることと、第1の位置に隣接する第2の位置に透明な窓を通して放射線を向け、それにより第1のポリマー層上に第2のポリマー層を形成することとを含み得る。
【0056】
別の態様において、本明細書で提供されるのは、3D物体を印刷するためのシステムである。このシステムは、透明な窓を有する槽であって、ポリマー前駆体の溶液を実質的に一定の液位に維持するように構成される槽と、柔軟な基材を、槽を通して透明な窓に近接して移動させるように構成された機構と、ポリマー前駆体の溶液の選択された部分に透明な窓を通して放射線を向けるように構成されたデジタルライトプロセッサ(DLP)とを含み得る。
【0057】
柔軟な基材は、印刷経路の実質的に全てに沿ってその裏面で支持することができる。印刷経路は、第1の場所に隣接して開始し、及び基材が槽から出るときに終了し得る。基材の裏面は、透明な窓に対して遠位であり得る。
【0058】
第1のポリマー層は、透明な窓よりも柔軟な基材に対して高い親和性を有することができる。場合により、透明な窓を振動させる。透明な窓は、非重合ポリマー前駆体が透明な窓と第1のポリマー層との間を流れることを可能にする溝を有し得る。透明な窓の温度は、ポリマー前駆体の槽の温度より高くても又は低くてもよい。ポリマー前駆体は、透明な窓の方に力を加えて向けることができる。
【0059】
本明細書に記載の方法を実施するために、1つ又は複数の3D印刷システムが使用され得ることも理解されたい。例えば、いくつかの実施形態は、その全体が本明細書に組み込まれる、2019年8月27日に提出された米国特許出願公開第16/552,382号に記載された1つ又は複数のシステムと共に使用され得る。しかしながら、他の印刷方法及びシステムが、本明細書に記載されるような実施形態と共に使用され得ることが理解されるべきである。
【0060】
印刷される物品の形状は、(例えば、3Dプリンタを制御する際に使用するための)任意の適切なファイル構造でデジタル的に表現することができる。そのようなシステムは、例えば、その全体が本明細書に組み込まれる、2021年3月24日に提出された米国特許出願公開第17/211,603号に記載されるような、形状を複数の層にスライスすることを含み得る。このようなシステム、方法及びファイル形式は、微細構造の印刷に適し得る。
【0061】
上述の実施形態は、多数の方法のいずれかで実施することができる。例えば、実施形態は、ハードウェア、ソフトウェア又はそれらの組み合わせを用いて実施することができる。ソフトウェアで実施する場合、ソフトウェアコードは、単一のコンピュータにおいて提供されるか又は複数のコンピュータに分散されるかにかかわらず、任意の適切なプロセッサ又はプロセッサの集合体上で実行することができる。上述した機能を実行する任意の構成要素又は構成要素の集合は、上述した機能を制御する1つ又は複数のコントローラとして一般的に考えられることが理解されるべきである。1つ又は複数のコントローラは、専用ハードウェア又は上述の機能を実行するようにマイクロコード若しくはソフトウェアを使用してプログラムされた1つ若しくは複数のプロセッサなど、多数の方法で実装することができる。
【0062】
この点に関して、本発明の実施形態の1つの実装形態は、コンピュータプログラム(すなわち複数の命令)でコード化された少なくとも1つの非一時的コンピュータ可読記憶媒体(例えば、コンピュータメモリ、ポータブルメモリ、コンパクトディスク等)を含み、この記憶媒体は、プロセッサ上で実行されると、本発明の実施形態の上述の機能を実行することを理解されたい。コンピュータ可読記憶媒体は、その上に記憶されたプログラムを任意のコンピュータリソース上にロードして、本明細書で考察した本発明の態様を実施することができるようにトランスポート可能であり得る。さらに、実行されると上述の機能を実行するコンピュータプログラムへの言及は、ホストコンピュータ上で実行されるアプリケーションプログラムに限定されないことが理解されるべきである。むしろ、コンピュータプログラムという用語は、本発明の上述の態様を実施するようにプロセッサをプログラムするために採用され得る任意のタイプのコンピュータコード(例えば、ソフトウェア又はマイクロコード)に言及するために、本明細書では一般的な意味で使用される。
【0063】
本発明の様々な態様は、単独で、組み合わせて又は先に記載した実施形態で具体的に考察されていない様々な配置で使用することができ、したがって、それらの適用において、先の記載に記載された又は図面に示された構成要素の詳細及び配置に限定されない。例えば、一実施形態に記載された態様は、他の実施形態に記載された態様と任意の方法で組み合わせることができる。
【0064】
本発明の実施形態は、1つ又は複数の方法としても実施され得、その例が提供される。方法の一部として実行される行為は、任意の適切な方法で順序付けることができる。したがって、例示的な実施形態で連続的な行為として示されていても、いくつかの行為を同時に行うことを含み得る、図示と異なる順序で行為が行われる実施形態が構築され得る。
【0065】
特許請求の範囲における請求項要素を修飾する「第1」、「第2」、「第3」などの序列用語の使用は、それ自体、ある請求項要素の他の請求項要素に対する優先順位、優先度、順序及び方法の行為が実行される時間的順序を意味するものではない。このような用語は、単に、ある名称を有する請求項要素を、同じ名称を有する別の要素から区別するためのラベルとして使用される(ただし、序列の用語を使用する場合を除く)。
【0066】
本明細書で使用される表現及び用語は、記載のためのものであり、限定的なものとみなされるべきではない。「包含する」、「含む」、「有する」、「含有する」、「伴う」及びそれらの変形例の使用は、その後に列挙される項目及び追加の項目を包含することを意味する。
【0067】
本発明のいくつかの実施形態を詳細に記載してきたが、様々な修正形態及び改良形態が当業者に容易に想到されるであろう。そのような修正形態及び改良形態は、本発明の趣旨及び範囲内にあることが意図される。したがって、前述の記載は、例に過ぎず、限定を意図するものではない。本発明は、専ら以下の特許請求の範囲及びその均等物によって定義されるように限定される。
図1
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【国際調査報告】