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特表2024-506345血行動態支援ポンプのための磁気推進及び軸受
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-13
(54)【発明の名称】血行動態支援ポンプのための磁気推進及び軸受
(51)【国際特許分類】
   A61M 60/13 20210101AFI20240205BHJP
   A61M 60/237 20210101ALI20240205BHJP
   A61M 60/419 20210101ALI20240205BHJP
   A61M 60/492 20210101ALI20240205BHJP
   A61M 60/804 20210101ALI20240205BHJP
   A61M 60/816 20210101ALI20240205BHJP
   A61M 60/82 20210101ALI20240205BHJP
【FI】
A61M60/13
A61M60/237
A61M60/419
A61M60/492
A61M60/804
A61M60/816
A61M60/82
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023548234
(86)(22)【出願日】2022-02-10
(85)【翻訳文提出日】2023-09-27
(86)【国際出願番号】 US2022016016
(87)【国際公開番号】W WO2022173977
(87)【国際公開日】2022-08-18
(31)【優先権主張番号】63/147,998
(32)【優先日】2021-02-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】506192652
【氏名又は名称】ボストン サイエンティフィック サイムド,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】BOSTON SCIENTIFIC SCIMED,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】エドワーズ、ネイサン
(72)【発明者】
【氏名】ラーセン、スティーブン
(72)【発明者】
【氏名】シャウアー、トラビス
(72)【発明者】
【氏名】ルーカス、ジェフリー
(72)【発明者】
【氏名】ラッドマン、ロイド
(72)【発明者】
【氏名】マーシー、サム
【テーマコード(参考)】
4C077
【Fターム(参考)】
4C077AA04
4C077BB10
4C077DD10
4C077EE01
4C077KK21
4C077PP07
(57)【要約】
本開示の様々な態様は、血液ポンプを含み得る装置、システム、及び方法を対象とする。血液ポンプは、磁場源及びインペラアセンブリを含んでもよい。インペラアセンブリは、インペラと被駆動磁石とを含む。被駆動磁石は、磁場源に対して長手方向にオフセットされ、かつ遠位に配置され、被駆動磁石は、磁場源によって回転可能であり、長手方向に規制される。被駆動磁石は遠位側部を含み、遠位側部はインペラに面する。血液ポンプは、被駆動磁石の遠位側部付近に軸受アセンブリをさらに含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
血液ポンプであって、
磁場源と、
長手方向の軸線、インペラ及び被駆動磁石を含むインペラアセンブリであって、前記被駆動磁石は、前記磁場源に対して長手方向にオフセットされ、かつ遠位に配置され、前記被駆動磁石は、前記磁場源によって回転可能であり、長手方向に規制され、前記被駆動磁石は前記インペラに面する遠位側部を備える、前記インペラアセンブリと、
前記被駆動磁石の前記遠位側部付近にある軸受アセンブリと
を備える、前記血液ポンプ。
【請求項2】
インペラアセンブリハウジングをさらに備え、前記軸受アセンブリは、前記インペラアセンブリハウジングと接触し、前記インペラアセンブリハウジングは、前記軸受アセンブリを介して前記インペラアセンブリを回転可能に支持する、請求項1に記載の血液ポンプ。
【請求項3】
前記インペラアセンブリハウジングが、前記軸受アセンブリを受容する凹部を含む、請求項2に記載の血液ポンプ。
【請求項4】
前記磁場源と前記被駆動磁石との間の距離が、0.030インチ(0.762mm)未満である、請求項1~3のいずれか1項に記載の血液ポンプ。
【請求項5】
前記インペラアセンブリは質量中心を有し、前記軸受アセンブリは前記インペラアセンブリの前記質量中心とともに長手方向に整列される、請求項1~4のいずれか1項に記載の血液ポンプ。
【請求項6】
前記軸受アセンブリのいずれの部分も前記被駆動磁石と前記磁場源との間に配置されない、請求項1~5のいずれか1項に記載の血液ポンプ。
【請求項7】
前記インペラアセンブリハウジングは、前記インペラの遠位端に配置される軸受アセンブリを含まない、請求項2~6のいずれか1項に記載の血液ポンプ。
【請求項8】
前記インペラアセンブリは、前記長手方向の軸線の周りに回転可能であり、前記軸受アセンブリは、前記長手方向の軸線に対して半径方向外向きに配置される、請求項1~7のいずれか1項に記載の血液ポンプ。
【請求項9】
前記インペラアセンブリは、シャフトをさらに含み、前記軸受アセンブリは、前記シャフト及び前記インペラアセンブリハウジングに接触する、請求項2~8のいずれか1項に記載の血液ポンプ。
【請求項10】
前記軸受アセンブリは、
前記シャフト及び前記インペラアセンブリハウジングに接触する第1の軸受と、
前記第1の軸受及び前記インペラに接触する第2の軸受と
を備える、請求項2~9のいずれか1項に記載の血液ポンプ。
【請求項11】
血液ポンプであって、
磁場源と、
長手方向の軸線、インペラ、及び被駆動磁石を含むインペラアセンブリであって、前記被駆動磁石は、前記磁場源に対して長手方向にオフセットされ、かつ遠位に配置され、前記被駆動磁石は、前記磁場源によって回転可能であり、長手方向に規制される、前記インペラアセンブリと、
前記インペラアセンブリに結合された軸受アセンブリであって、前記軸受アセンブリのいかなる部分も前記被駆動磁石と前記磁場源との間に配置されない、前記軸受アセンブリと
を備える、前記血液ポンプ。
【請求項12】
インペラアセンブリハウジングをさらに備え、前記軸受アセンブリは、前記インペラアセンブリハウジングと接触し、前記インペラアセンブリハウジングは、前記軸受アセンブリを介して前記インペラアセンブリを回転可能に支持する、請求項11に記載の血液ポンプ。
【請求項13】
前記インペラアセンブリハウジングが、前記軸受アセンブリを受容する凹部を含む、請求項12に記載の血液ポンプ。
【請求項14】
前記軸受アセンブリは、
シャフト及び前記インペラアセンブリハウジングに接触する第1の軸受と、
前記第1の軸受及び前記インペラに接触する第2の軸受と
を備える、請求項12~13のいずれか1項に記載の血液ポンプ。
【請求項15】
前記軸受アセンブリは、前記被駆動磁石を包含する磁石軸受を備える、請求項11~14のいずれか1項に記載の血液ポンプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、経皮的循環支援装置に関する。より具体的には、本開示は、経皮的循環支援装置において使用するための軸受アセンブリ及び磁気駆動システムに関する。
【背景技術】
【0002】
血液ポンプなどの経皮的循環支援装置は、心機能又は心拍出量が損なわれている患者において、数時間又は数ヶ月の使用の間、一時的な支援を提供することができる。磁気駆動ポンプは、より容易な治療管理、より容易な患者の移動、及び改善された装置耐久性を提供するため、既存の技術を上回る改善を提供する。軸受面における摩耗は、装置の寿命を制限する可能性があり、軸受面における血液との機械的相互作用は、溶血又は他の健康上の合併症につながる可能性がある。磁気面との血液接触はまた、構成要素の腐食をもたらし得る。加えて、血液ポンプ性能及び血流量は、構成要素の不均衡及び装置構成要素間の不十分な磁気トルク発生及び伝達によって影響を受ける場合がある。
【発明の概要】
【0003】
実施例1では、血液ポンプは、磁場源と、長手方向の軸線、インペラ及び被駆動磁石を含むインペラアセンブリであって、被駆動磁石は、磁場源に対して長手方向にオフセットされ、かつ遠位に配置され、被駆動磁石は、磁場源によって回転可能であり、長手方向に規制され、被駆動磁石はインペラに面する遠位側部を備える、インペラアセンブリと、被駆動磁石の遠位側部付近にある軸受アセンブリとを備える。
【0004】
実施例2では、インペラアセンブリハウジングをさらに備え、軸受アセンブリは、インペラアセンブリハウジングと接触し、インペラアセンブリハウジングは、軸受アセンブリを介してインペラアセンブリを回転可能に支持する、実施例1に記載の血液ポンプ。
【0005】
実施例3では、インペラアセンブリハウジングが、軸受アセンブリを受容する凹部を含む、実施例2に記載の血液ポンプ。
実施例4では、磁場源と被駆動磁石との間の距離が、0.030インチ(0.762mm)未満である、実施例1~3のいずれか1つに記載の血液ポンプ。
【0006】
実施例5では、インペラアセンブリは質量中心を有し、軸受アセンブリはインペラアセンブリの質量中心とともに長手方向に整列される、実施例1~4のいずれか1つに記載の血液ポンプ。
【0007】
実施例6では、軸受アセンブリのいずれの部分も被駆動磁石と磁場源との間に配置されない、実施例1~5のいずれか1つに記載の血液ポンプ。
実施例7では、インペラアセンブリハウジングは、インペラの遠位端に配置される軸受アセンブリを含まない、実施例2~6のいずれか1つに記載の血液ポンプ。
【0008】
実施例8では、インペラアセンブリは、長手方向の軸線の周りに回転可能であり、軸受アセンブリは、長手方向の軸線に対して半径方向外向きに配置される、実施例1~7のいずれか1つに記載の血液ポンプ。
【0009】
実施例9では、インペラアセンブリは、シャフトをさらに含み、軸受アセンブリは、シャフト及びインペラアセンブリハウジングに接触する、実施例2~8のいずれか1つに記載の血液ポンプ。
【0010】
実施例10では、軸受アセンブリは、シャフト及びインペラアセンブリハウジングに接触する第1の軸受と、第1の軸受及びインペラに接触する第2の軸受とを備える、実施例2~9のいずれか1つに記載の血液ポンプ。
【0011】
実施例11では、血液ポンプは、磁場源と、長手方向の軸線、インペラ、被駆動磁石を含むインペラアセンブリであって、被駆動磁石は、磁場源に対して長手方向にオフセットされ、かつ遠位に配置され、被駆動磁石は、磁場源によって回転可能であり、長手方向に規制される、インペラアセンブリと、インペラアセンブリに結合された軸受アセンブリであって、軸受アセンブリのいかなる部分も被駆動磁石と磁場源との間に配置されない、軸受アセンブリとを備える。
【0012】
実施例12では、インペラアセンブリハウジングをさらに備え、軸受アセンブリは、インペラアセンブリハウジングと接触し、インペラアセンブリハウジングは、軸受アセンブリを介してインペラアセンブリを回転可能に支持する、実施例11に記載の血液ポンプ。
【0013】
実施例13では、インペラアセンブリハウジングが、軸受アセンブリを受容する凹部を含む、実施例12に記載の血液ポンプ。
実施例14では、軸受アセンブリは、シャフト及びインペラアセンブリハウジングに接触する第1の軸受と、第1の軸受及びインペラに接触する第2の軸受とを備える、実施例12~13のいずれか1つに記載の血液ポンプ。
【0014】
実施例15では、軸受アセンブリは、被駆動磁石を包含する磁石軸受を備える、実施例11~14のいずれか1つに記載の血液ポンプ。
実施例16では、血液ポンプは、インペラアセンブリハウジングと、インペラアセンブリハウジングに結合される磁場源と、インペラアセンブリハウジング内にあり、長手方向の軸線、インペラ、及び被駆動磁石を含むインペラアセンブリであって、被駆動磁石は、磁場源に対して長手方向にオフセットされ、かつ遠位に配置され、被駆動磁石は、磁場源によって回転可能であり、長手方向に規制され、被駆動磁石は、インペラに面する遠位側部を備える、インペラアセンブリと、インペラアセンブリハウジング内にあり、それと接触し、被駆動磁石の遠位側部付近にある軸受アセンブリとを備える。
【0015】
実施例17では、インペラアセンブリハウジングが、軸受アセンブリを受容する凹部を含む、実施例16に記載の血液ポンプ。
実施例18では、磁場源と被駆動磁石との間の距離が、0.030インチ(0.762mm)未満である、実施例16に記載の血液ポンプ。
【0016】
実施例19では、インペラアセンブリは質量中心を有し、軸受アセンブリはインペラアセンブリの質量中心とともに長手方向に整列される、実施例16に記載の血液ポンプ。
実施例20では、軸受アセンブリのいずれの部分も被駆動磁石と磁場源との間に配置されない、実施例16に記載の血液ポンプ。
【0017】
実施例21では、インペラアセンブリハウジングは、インペラの遠位端に配置される軸受アセンブリを含まない、実施例16に記載の血液ポンプ。
実施例22では、インペラアセンブリは、長手方向の軸線の周りに回転可能であり、軸受アセンブリは、長手方向の軸線に対して半径方向外向きに配置される、実施例16に記載の血液ポンプ。
【0018】
実施例23では、インペラアセンブリは、シャフトをさらに含み、軸受アセンブリは、シャフト及びインペラアセンブリハウジングに接触する、実施例16に記載の血液ポンプ。
【0019】
実施例24では、軸受アセンブリは、シャフト及びインペラアセンブリハウジングに接触する第1の軸受と、第1の軸受及びインペラに接触する第2の軸受とを備える、実施例23に記載の血液ポンプ。
【0020】
実施例25では、シャフトはインペラに結合され、かつ、インペラと共に回転可能である、実施例23に記載の血液ポンプ。
実施例26では、血液ポンプは、インペラアセンブリハウジングと、インペラアセンブリハウジングに結合される磁場源と、インペラアセンブリハウジング内にあり、長手方向の軸線、インペラ、及び被駆動磁石を含むインペラアセンブリであって、被駆動磁石が、磁場源に対して長手方向にオフセットされ、かつ遠位に配置され、磁場源によって回転可能であるインペラアセンブリと、インペラアセンブリハウジング内にあり、それと接触し、インペラアセンブリに結合される軸受アセンブリであって、軸受アセンブリのいかなる部分も被駆動磁石と磁場源との間に配置されない、軸受アセンブリとを備える。
【0021】
実施例27では、インペラアセンブリはシャフトをさらに含む、実施例26に記載の血液ポンプ。
実施例28では、軸受アセンブリは、シャフト及びインペラアセンブリハウジングに接触する、実施例27に記載の血液ポンプ。
【0022】
実施例29では、シャフトはインペラに結合され、かつ、インペラと共に回転可能である、実施例27に記載の血液ポンプ。
実施例30では、インペラアセンブリハウジングが、軸受アセンブリを受容する凹部を含む、実施例26に記載の血液ポンプ。
【0023】
実施例31では、軸受アセンブリは、被駆動磁石を包含する磁石軸受を備える、実施例26に記載の血液ポンプ。
実施例32では、インペラアセンブリハウジングは、インペラの遠位端に配置される軸受アセンブリを含まない、実施例26に記載の血液ポンプ。
【0024】
実施例33では、血液ポンプを組み立てる方法は、軸受アセンブリが被駆動磁石の遠位側部付近にあり、被駆動磁石の遠位側部がインペラアセンブリのインペラに面するように、インペラアセンブリを軸受アセンブリに結合することと、軸受アセンブリがインペラアセンブリハウジングと接触し、被駆動磁石が、磁場源に対して長手方向にオフセットされ、かつ遠位に配置されるように、軸受アセンブリをインペラアセンブリハウジングに結合することとを備える。
【0025】
実施例34では、インペラアセンブリを軸受アセンブリに結合することは、インペラアセンブリのシャフトを軸受アセンブリに接触させることを備える、実施例33に記載の方法。
【0026】
実施例35では、軸受アセンブリをインペラアセンブリハウジングに結合することは、軸受アセンブリをインペラアセンブリハウジングの凹部内に配置することを含む、実施例33に記載の方法。
【0027】
複数の実施形態が開示されているが、さらに他の実施形態は、本発明の例示的な実施形態を示し記載する、以下の詳細な説明から当業者に明らかとなるだろう。従って、図面及び詳細な説明は、本質的に例示的なものであり、限定的なものではないとみなされるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1A】本明細書に開示される主題の実施形態による、例示的な経皮的機械循環支援装置(本明細書では、互換的に、「血液ポンプ」とも称される)の一部分の側断面図を示す。
図1B】本明細書に開示される主題の実施形態による、例示的な経皮的機械循環支援装置の実施形態の断面図を示す。
図1C】本明細書に開示される主題の実施形態による、図1Aの例示的な経皮的機械循環支援装置の一部分の斜視図を示す。
図1D】本明細書に開示される主題の実施形態による、例示的な経皮的機械循環支援装置の実施形態の一部分の側面図を示す。
図2A】本明細書に開示される主題の実施形態による、循環支援装置の側断面図を示す。
図2B】本明細書に開示される主題の実施形態による、図2Aに示される例示的な経皮的機械循環支援装置の一部分の斜視図を示す。
図3A】本明細書に開示される主題の実施形態による、軸受アセンブリの実施形態の斜視図を示す。
図3B】本明細書に開示される主題の実施形態による、図3Aに示される軸受アセンブリの側断面図を示す。
図4】本明細書に開示される主題の実施形態による、例示的な経皮的機械循環支援装置の別の実施形態の断面図を示す。
図5】本明細書に開示される主題の実施形態による、例示的な経皮的機械循環支援装置のさらに別の実施形態の断面図を示す。
【0029】
開示された本主題は、様々な変更及び代替形態を受け入れることができるが、特定の実施形態が図面において例として示されており、以下に詳細に記載される。しかし、その意図は、本明細書に開示された本主題を記載される特定の実施形態に限定することではない。逆に、本開示は、添付の特許請求の範囲によって定義され、本明細書に開示された本主題の範囲内に収まる全ての変更、均等物、及び代替形態を対象とすることを意図する。
【0030】
本明細書において、値(有形物(例えば、製品、インベントリ(inventory)等)及び/又は無形物(例えば、データ、通貨の電子表現、アカウント、情報、物の部分(例えば、パーセンテージ、割合)、計算、データモデル、動的システムモデル、アルゴリズム、パラメータ等)の、例えば、大きさ、測定値、及び/又は他の程度の定性的及び/又は定量的観測の用語であって、本明細書において特性(例えば、寸法、測定値、属性、構成要素等)及び/又はその範囲)に関連して使用される場合、「約」及び「およそ」は、言及された値、構成、配向、及び/又は他の特性に等しい(又は同じである)、又は、言及された値に適度に近い値、構成、配向、及び/又は他の特性に等しい(又は同じである)値、構成、配向、及び/又は他の特性を言及するために互換的に使用されてもよいが、測定誤差、測定及び/又は製造機器較正における差異、測定値の読み取り及び/又は設定におけるヒューマンエラー、他の測定値(他のものに関連する測定値)に関する動作及び/又は構造パラメータを最適化するための調節、特定の実施シナリオ、人、コンピューティング装置及び/又は機械による物の不正確な調節及び/又は操作、設定、及び/又は測定値、システム許容差、制御ループ、機械学習、予測変動(例えば、統計的非有意変動、無秩序な変動、システム及び/又はモデル不安定等)、及び/又は選好等に起因することが当業者によって理解され、容易に確認されるように適度に少量異なり得る。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本明細書に開示される主題の実施形態は、軸受面の数の低減及び経皮的循環支援装置に組み込まれる磁石の数又はサイズの低減を容易にし得る、血液ポンプ及び軸受設計を含む。血液ポンプ内の軸受面の数の低減は、溶血及び他の健康合併症の可能性を低減することを含む、多数の利点を提供し得る。本明細書に開示される主題の実施形態は、血流量を増加させ、磁石腐食のリスクを低減し、血液ポンプの耐久性を改善するために使用することができる、磁気トルク伝達を改善する血液ポンプ及び軸受設計を含む。加えて、本明細書に開示される実施形態は、改善された治療性能のために、血液ポンプ構成要素の改善された安定性及び効率を提供する。
【0032】
図1Aは、本明細書に開示される主題の実施形態による、例示的な経皮的機械循環支援装置100(本明細書では、互換的に、「血液ポンプ」とも称される)の一部分の側断面図を示す。血液ポンプ100は、磁場源101を含む磁気駆動ハウジング104を含む。磁場源101は、インペラ114の回転を駆動して血液ポンプ100を通る血液の流れを提供するために磁場変動を生成するように構成される。図1Aに示す実施形態では、磁場源101は、モータ102上で回転する永久駆動磁石118を含み、これはインペラ114に結合された永久被駆動磁石116の回転を引き起こして、血液ポンプ100を通る血液の流れを提供するように構成される。代替的な実施形態において、駆動磁石118は、任意のタイプの磁気ロータによって置き換えられてもよい。例えば、図1Bに示され、以下に記載されるように、磁場源は、インペラに結合された永久被駆動磁石の回転を引き起こして、血液ポンプ100を通る血液の流れを提供するように構成された一連の電磁コイルを含んでもよい。他の代替の実施形態では、磁場源は、磁場を発生させるためのステータ及びモータを含むことができる。
【0033】
コントローラ(図示無し)は、モータ102に動作可能に結合され、モータ102を規制するように構成される。コントローラは、実施形態では、磁気駆動ハウジング104内に配置されてもよく、又は他の実施形態では、磁気駆動ハウジング104の外側(例えば、カテーテルハンドル、独立ハウジング内等)に配置されてもよい。実施形態では、コントローラは、複数の構成要素を含んでもよく、そのうちの1つ以上は、磁気駆動ハウジング104内に配置されてもよい。実施形態によれば、コントローラは、1つ以上のフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGAs)、1つ以上のプログラマブルロジック装置(PLDs)、1つ以上のコンプレックスPLDs(CPLDs)、1つ以上のカスタムな特定用途向け集積回路(ASICs)、1つ以上の専用プロセッサ(例えば、マイクロプロセッサ)、1つ以上の中央処理装置(CPUs)、ソフトウェア、ハードウェア、ファームウェア、又はこれら及び/又は他の構成要素の任意の組み合わせであってもよく、それらを含んでもよく、又はそれらに含まれてもよい。コントローラは、本明細書では単数形で言及されるが、コントローラは、複数の事例で実行されてもよく、複数のコンピューティング装置にわたって分散されてもよく、複数の仮想マシン内で例示化されてもよく、及び/又は同様のものであってもよい。
【0034】
図1Aに示すように、インペラアセンブリ106は、インペラアセンブリハウジング108内に配置され、インペラアセンブリハウジング108は、その中に規定された入口開口部(図示無し)と、いくつかの出口開口部107とを含む。長手方向の軸線142は、インペラアセンブリ106を通って延在する。実施形態によれば、磁気駆動ハウジング104及びインペラアセンブリハウジング108は、互いに一体化されてもよい。他の実施形態では、磁気駆動ハウジング104及びインペラアセンブリハウジング108は、取り外し可能に又は永久的に共に結合されるように構成された別個の構成要素であってもよい。
【0035】
図1Aにおいて、インペラアセンブリ106は、インペラ114と、インペラ114に結合された被駆動磁石116とを含む。被駆動磁石116は、近位側部120及び遠位側部122を有する。被駆動磁石116は、図1Aに示すように、インペラ114に対して遠位に結合されてもよい。被駆動磁石116及びインペラ114は、接着剤、機械的結合、又は締まり嵌めの使用を含む様々な方法で結合されてもよい。被駆動磁石116は、駆動磁石118によって駆動されることが可能な任意のタイプの磁気ロータであり得る。駆動磁石118によって被駆動磁石116に磁場が印加されると、被駆動磁石116が回転し、インペラアセンブリ106を回転させる。インペラ114の回転は、血液ポンプ100を通る血流を引き起こす。
【0036】
図1Aに示すように、被駆動磁石116及びインペラ114は、インペラ114に結合され、かつ、インペラ114と共に回転するように構成される駆動シャフト112を介して結合されてもよい。被駆動磁石116は、接着剤、機械的結合、又は締まり嵌めの使用を含む様々な方法で駆動シャフト112及びインペラ114に結合されてもよい。駆動シャフト112は、インペラ114内に少なくとも部分的に配置されてもよい。駆動シャフト112はまた、被駆動磁石116によって少なくとも部分的に取り囲まれてもよい。駆動シャフト112は、例えば、鋼、チタン合金、コバルトクロム合金、ニチノール、高強度セラミック、及び/又は同等物等の任意の数の異なる剛性材料から作製されてもよい。
【0037】
図1Bは、電源(図示無し)に電気的に結合されたステータ電磁駆動コイルアセンブリ136を含む磁場源101の代替の実施形態を示す。そのような実施形態では、駆動コイルアセンブリ136は、軸方向に整列されてもよく、又は被駆動磁石116を円周方向に取り囲んでもよく、被駆動磁石116を駆動するように構成される。駆動コイルアセンブリ136は、強磁性コア138及びいくつかのコイル巻線140を含む。電磁場は、銅、グラフェン、又はコイル状構成の他の高導電性材料から生成することができる。駆動コイルアセンブリ136は、磁気駆動ハウジング104内に任意の数の構成で配置された任意の数のコイル巻線140を含むことができる。示すように、駆動コイルアセンブリ136は、磁気駆動ハウジング104内に配置され、軸方向に整列されてもよく、又は被駆動磁石116を円周方向に取り囲んでもよい。磁気駆動ハウジング104及びインペラアセンブリハウジング108は、図示の実施形態では一体化されており、磁場源101と、被駆動磁石116を含むインペラアセンブリ106とを含む。
【0038】
図1Aに示すように、被駆動磁石116を含むインペラアセンブリ106は、軸受アセンブリ124によってインペラアセンブリハウジング108内に保持される。実施形態によれば、軸受アセンブリ124は、被駆動磁石116の遠位側部122付近に配置することができる。図1Cは、本明細書に開示される主題の実施形態による、被駆動磁石116、磁石軸受126、及びインペラ114の斜視図である。
【0039】
血液ポンプで使用するための軸受アセンブリの様々な実施形態が、本明細書に記載される。例えば、図1Aに示すように、軸受アセンブリ124は、磁石軸受126及びハウジング軸受128を含むことができる。実施形態によれば、軸受アセンブリ124は、異なるタイプの軸受を含むことができる。軸受アセンブリ124はまた、潤滑剤を含んでもよいが、他の実施形態では、軸受アセンブリ124は、潤滑剤を含まなくてもよい。図示のように、軸受アセンブリ124は、被駆動磁石116の遠位肩部110に接触する近位側部130を有する。図示のように、ハウジング軸受128は、磁石軸受126に接触する近位内側リップ129を含む。近位内側リップ129は、スラスト荷重を支え、被駆動磁石116がインペラアセンブリハウジング108の近位端134に対して底突きするのを防止する。
【0040】
図1Aに示すように、磁石軸受126及びハウジング軸受128を含む軸受アセンブリ124は、インペラアセンブリ106の質量中心付近において長手方向に配置される。被駆動磁石116の遠位側部122付近に磁石軸受126を取り付けることは、軸受アセンブリ124がインペラアセンブリ106の質量中心付近に配置されることを可能にする。軸受アセンブリ124は、磁石軸受126及びハウジング軸受128がインペラアセンブリ106の質量中心とともに整列するときに最適化される。インペラアセンブリ106の質量中心付近において長手方向に軸受アセンブリ124を配置することにより、インペラアセンブリ106に対して近位及び遠位の両方の軸受アセンブリに依存する軸受アセンブリと比較して、インペラアセンブリ106の半径方向の規制を向上させ、インペラ114の偏心運動から保護される。軸受アセンブリ124の位置は、部品アセンブリの実際的な考慮に基づいてインペラアセンブリ106の質量中心から約0.050インチ(1.27mm)ずれていてもよいが、インペラアセンブリ106の質量中心に可能な限り近接して長手方向に配置されるときに最適化される。軸受アセンブリ124はまた、インペラアセンブリ106の長手方向の軸線に平行な力を使用して、磁気結合軸方向力(magnetic coupling axial force)に対抗し、被駆動磁石116がインペラアセンブリハウジング108の近位端134に対して底突きすることを防止し、それにより、インペラアセンブリ106の軸方向の規制を提供するように構成される。
【0041】
インペラアセンブリ106の質量中心は、被駆動磁石116、インペラ114、駆動シャフト112、及び構成要素を一緒に組み立てるために使用される任意の他の材料の設計及び材料選択の両方に左右される。ネオジム鉄ホウ素及びサマリウムコバルトを含む、被駆動磁石116に使用され得る好適な磁性材料は、インペラ114に使用され得るポリエーテルエーテルケトン(PEEK)等のポリマーよりも5~6倍大きい密度を有する。被駆動磁石116は、従って、インペラアセンブリ106の全質量の50パーセント超を構成する可能性が高い。被駆動磁石116は、磁石軸受126の被駆動磁石116への固定を容易にするために、遠位肩部110などの縮径部分を有してもよい。
【0042】
図1Aに示すように、空洞132は、軸受アセンブリ124の近位側部130、インペラアセンブリハウジング108、及び被駆動磁石116によって形成される。実施形態では、被駆動磁石116のサイズを低減させて、被駆動磁石116とインペラアセンブリハウジング108との間の間隔を増大させることができる。次に、空洞132のサイズが増大し得る。空洞132のサイズを増大させることにより、空洞132内の血液に作用する剪断応力を減少させる。剪断応力の低下は、溶血の低下及び血小板活性化の低下に関連し、これは、血栓形成の速度低下をもたらし得る。いくつかの実施形態では、液体が空洞132内に配置されてもよい。液体は、血液ポンプでの使用に適した任意のタイプの疎水性潤滑剤であってもよい。例えば、実施形態では、本開示を限定することを意図しないが、液体は、例えば、修飾ポリジメチルシロキサン(PDMS)等の生体適合性油又は修飾シリコーン潤滑剤であってもよい。他の実施形態では、液体は、油性潤滑剤、合成油、炭素系潤滑剤などであってもよい。空洞132内で液体を使用する利点は、空気塞栓の可能性を低減すること、被駆動磁石116に関連する溶血を低減するために被駆動磁石116への血液の曝露を制限すること、より少ない血液接触を介して被駆動磁石上の血栓形成及び腐食のリスクを低減すること、及び軸受126、128の潤滑を介して軸受アセンブリ124に関連する溶血を低減することを含む。他の実施形態では、空洞132は空のままであってもよい。他の実施形態では、図1Dに示すように、空洞132は、被駆動磁石116の周囲の一定の血液循環を促進するために血流に暴露されてもよく、これは、血栓症を防止する際に有益であり得る。
【0043】
図1A及び図1Bに示される血液ポンプは、以下のように組み立てられ得る。軸受アセンブリ124は、磁石軸受126及びハウジング軸受128を別々に搭載することによって組み立てられてもよい。ハウジング軸受128は、圧入、接着剤、機械的結合、焼結、溶接、又は当業者に知られている任意の方法によってインペラアセンブリハウジング108に固定されてもよい。インペラアセンブリハウジング108の外側で、被駆動磁石116を含むインペラアセンブリ106は、磁石軸受126に結合されてもよく、磁石軸受126は、圧入、接着剤、機械的結合、焼結、溶接、又は当業者によって知られている任意の方法によって被駆動磁石116に固定される。被駆動磁石116及び結合された磁石軸受126を含むインペラアセンブリ106は、インペラ-磁石軸受アセンブリ144と総称され得る。次に、インペラ-磁石軸受アセンブリ144は、磁石軸受126がハウジング軸受128と嵌合するように、インペラアセンブリハウジング108内に配置されてもよい。一実施形態では、被駆動磁石116の外径は、インペラ-磁石-軸受アセンブリ144が、ハウジング軸受128とインペラアセンブリハウジング108との組み合わせ内に嵌合するように、均一であり、インペラアセンブリハウジング108とハウジング軸受128との組み合わせの内径よりも小さい直径であってもよい。他の実施形態では、図1A及び図1Bに示すように、被駆動磁石116の外径は、磁石軸受126が被駆動磁石116に固定される場所を除いて、被駆動磁石116と磁石軸受126との組み合わせの外径とほぼ同じであってもよい。例えば、そのような実施形態では、被駆動磁石116は、磁石軸受126を収容するために、遠位肩部110等の縮径部分を含んでもよい。遠位肩部110は、軸受アセンブリ124がインペラアセンブリ106に対して改善された半径方向の規制を提供するように、軸受アセンブリ124の固定を容易にすることができる。
【0044】
図1A図1Dに示す例示的な循環支援装置100は、本開示の実施形態の使用又は機能の範囲に関していかなる限定も示唆することを意図していない。例示的な循環支援装置100はまた、本明細書に示される任意の単一の構成要素又は構成要素の組み合わせに関連する任意の依存性又は要件を有するものとして解釈されるべきではない。加えて、図1A~1Dに示される様々な構成要素は、実施形態において、その中に示される他の構成要素(及び/又は図示されない構成要素)のうちの様々なものと一体化されてもよく、それらの全ては、本開示の範囲内であると考えられる。
【0045】
図2Aは、本明細書に開示される主題の実施形態による、例示的な経皮的機械循環支援装置200(本明細書では、互換的に、「血液ポンプ」とも称される)の側断面図を示し、図2Bは、本明細書に開示される主題の実施形態による、図2Aに示される血液ポンプ200の斜視図を示す。実施形態によれば、血液ポンプ200及び/又はその任意の数の様々な構成要素は、図1A及び1Bに示される循環支援装置100の対応する構成要素と同一又は類似であってもよい。
【0046】
図2Aに示すように、血液ポンプ200は、インペラ216の回転を駆動して血液ポンプ200を通る血液の流れを提供するように変動磁場を生成するために構成された磁場源201を含む磁気駆動ハウジング204を含む。図2Aに示す実施形態では、磁場源201は、モータ202上で回転する永久駆動磁石220を含み、インペラ216に結合された永久被駆動磁石218の回転を引き起こして、血液ポンプ200を通る血液の流れを提供するように構成される。示すように、被駆動磁石218は、近位側部222及び遠位側部224を含む。代替的な実施形態では、上述したがここでは図示しないように、磁場源201は、インペラに結合された永久被駆動磁石の回転を引き起こして、血液ポンプを通る血液の流れを提供するための磁場を生成するために一連の電磁コイル又はステータ及びモータを含むことができる。
【0047】
コントローラ(図示無し)は、モータ202に動作可能に結合され、モータ202を規制するように構成される。コントローラは、実施形態では、磁気駆動ハウジング204内に配置されてもよく、又は他の実施形態では、磁気駆動ハウジング204の外側(例えば、カテーテルハンドル、独立ハウジング内等)に配置されてもよい。実施形態において、コントローラは、複数の構成要素を含んでもよく、そのうちの1つ以上は、磁気駆動ハウジング204内に配置されてもよい。実施形態によれば、モータ202に結合されたコントローラは、図1Aで記載したモータ102に結合されたコントローラと同様であってもよい。
【0048】
図2Aに示すように、インペラアセンブリ206は、インペラアセンブリハウジング208内に配置され、インペラアセンブリハウジング208は、その中に規定された入口開口部(図示無し)と、いくつかの出口開口部212とを含む。長手方向の軸線242は、インペラアセンブリ206を通って延在する。実施形態によれば、磁気駆動ハウジング204及びインペラアセンブリハウジング208は、互いに一体化されてもよい。他の実施形態では、磁気駆動ハウジング204及びインペラアセンブリハウジング208は、取り外し可能に又は永久的に共に結合されるように構成された別個の構成要素であってもよい。インペラアセンブリ206は、インペラ216と、インペラ216に結合された被駆動磁石218とを含む。被駆動磁石218及びインペラ216は、接着剤、機械的結合、又は締まり嵌めの使用を含む複数の方法で結合されてもよい。被駆動磁石218は、駆動磁石220によって駆動されることが可能な任意のタイプの磁気ロータであってもよい。駆動磁石220によって被駆動磁石218に磁場が印加されると、被駆動磁石218が回転し、インペラ216を回転させる。インペラ216の回転は、血液ポンプ200を通る血流を引き起こす。
【0049】
図2Bは、本明細書に開示される主題の実施形態による、図2Aに示される血液ポンプ200の斜視図を示す。示すように、インペラ216を含むインペラアセンブリ206は、入口開口部210及びいくつかの出口開口部212を含むインペラアセンブリハウジング208内に配置される。
【0050】
図2Aに示すように、被駆動磁石218及びインペラ216は、インペラ216に結合され、かつ、インペラ216と共に回転するように構成される駆動シャフト214を介して結合されてもよい。被駆動磁石218は、接着剤、機械的結合、又は締まり嵌めの使用を含む様々な方法で駆動シャフト214及びインペラ216に結合されてもよい。駆動シャフト214は、インペラ216内に少なくとも部分的に配置されてもよい。駆動シャフト214はまた、被駆動磁石218によって少なくとも部分的に取り囲まれてもよい。駆動シャフト214は、例えば、鋼、チタン合金、コバルトクロム合金、ニチノール、高強度セラミック、及び/又は同等物等の任意の数の異なる剛性材料から作製されてもよい。
【0051】
図2Aに示すように、被駆動磁石218を含むインペラアセンブリ206は、軸受アセンブリ226によってインペラアセンブリハウジング208内に保持される。実施形態によれば、軸受アセンブリ226は、被駆動磁石218の遠位側部224付近に配置することができる。実施形態によれば、軸受アセンブリ226は、異なるタイプの軸受を含むことができる。軸受アセンブリ226はまた、潤滑剤を含んでもよいが、他の実施形態では、軸受アセンブリ226は、潤滑剤を含まなくてもよい。図2Aに示すように、軸受アセンブリ226は、磁石軸受228及びハウジング軸受230を含む。被駆動磁石218は、磁石軸受228の被駆動磁石218への固定を容易にするために、遠位肩部236などの縮径部分を有してもよい。図示のように、軸受アセンブリ226は、被駆動磁石218の遠位肩部236の遠位面に接触する近位側部232を有する。図示のように、ハウジング軸受230は、磁石軸受228に接触する近位内側リップ231を含む。近位内側リップ231は、スラスト荷重を支え、被駆動磁石218がインペラアセンブリハウジング208の近位端233に対して底突きするのを防止する。
【0052】
図2Aに関して上述したように、磁石軸受228及びハウジング軸受230を含む軸受アセンブリ226は、インペラアセンブリ206の質量中心付近において長手方向に配置される。軸受アセンブリ226は、磁石軸受228及びハウジング軸受230がインペラアセンブリ206の質量中心とともに整列されるときに最適化される。軸受アセンブリ226の位置は、部品アセンブリの実際的な考慮に基づいてインペラアセンブリ206の質量中心から約0.050インチ(1.27mm)ずれていてもよいが、インペラアセンブリ206の質量中心に可能な限り近接して長手方向に配置されるときに最適化される。
【0053】
図2Aに示すように、空洞234は、軸受アセンブリ226の近位側部232、インペラアセンブリハウジング208、及び被駆動磁石218によって形成される。図1Aに示される被駆動磁石116と比較して被駆動磁石218のサイズを増大させることによって、空洞234のサイズは、図1Aに示される空洞132と比較して低減される。いくつかの実施形態では、上述したように、空洞234内に液体が配置されてもよい。他の実施形態では、空洞234は空のままであってもよい。
【0054】
図2Aに示される一実施形態によると、磁石軸受228は、インペラアセンブリハウジング208の外側でハウジング軸受230上に搭載されてもよく、その結果、磁石軸受228及びハウジング軸受230の遠位面は、互いに面一になる。次に、被駆動磁石218の遠位側部224を磁石軸受228の近位側部に結合することができる。磁石軸受228と被駆動磁石218は、圧入、接着剤、機械的結合、焼結、溶接、又は当業者に知られている任意の方法によって結合され得る。示すように、被駆動磁石218は、近位肩部238を含んでもよく、駆動シャフト214は、ヘッド240を含んでもよい。駆動シャフト214は、駆動シャフトヘッド240が被駆動磁石218の近位肩部238に対して底突くまで、被駆動磁石218の近位内径を介して配置され、上述のように定位置に結合されてもよい。次に、インペラ216は、駆動シャフト214上に搭載され、圧入、接着剤、機械的結合、焼結、溶接、又は当業者に知られている任意の方法によって定位置に結合されてもよい。駆動シャフト214とインペラ216との結合順序は、上記と逆であってもよい。他の実施形態では、駆動シャフト214は、取り除かれてもよく、インペラ216は、圧入、接着剤、機械的結合、焼結、溶接、又は当業者に知られている任意の方法によって定位置で被駆動磁石218に結合されてもよい。インペラアセンブリ206及び軸受アセンブリ226は、次に、インペラアセンブリハウジング208の中に搭載され、圧入、接着剤、機械的結合、焼結、溶接、又は当業者に知られている任意の方法によって定位置に結合されてもよい。
【0055】
示すように、被駆動磁石218の外径は、磁石軸受228が被駆動磁石218に固定される場所を除いて、ハウジング軸受230の内径より大きくてもよい。例えば、そのような実施形態では、被駆動磁石218は、磁石軸受228及びハウジング軸受230を収容するために、遠位肩部236等の縮径部分を含んでもよく、その結果、被駆動磁石218、磁石軸受228、及びハウジング軸受230の組み合わせの外径が、被駆動磁石218の残りの部分の外径とほぼ同じであってよい。換言すれば、被駆動磁石218の外径は、被駆動磁石218の遠位肩部236を除いて、インペラアセンブリハウジング208の内径に非常に近くてもよい。遠位肩部236のサイズを増大させ、磁石軸受228及びハウジング軸受230を被駆動磁石218上に搭載することによって、図1Aに示される実施形態と比較して、より大きい被駆動磁石が使用されてもよい。加えて、軸受アセンブリ226のサイズ及び/又は厚さを調節することができる。いくつかの実施形態では、軸受アセンブリ226は、その機械的完全性及び耐久性を維持するために、より厚くてもよい。
【0056】
図2A図2Bに示す例示的な循環支援装置200は、本開示の実施形態の使用又は機能の範囲に関していかなる限定も示唆することを意図していない。例示的な循環支援装置200はまた、本明細書に示される任意の単一の構成要素又は構成要素の組み合わせに関連する任意の依存性又は要件を有するものとして解釈されるべきではない。加えて、図2A~2Bに示す様々な構成要素は、実施形態において、その中に示される他の構成要素(及び/又は図示されない構成要素)のうちの様々なものと一体化されてもよく、それらの全ては、本開示の範囲内であると考えられる。
【0057】
以前の磁気駆動血液ポンプは、少なくとも2つの軸受アセンブリを組み込むことが知られており、1つの軸受アセンブリをインペラアセンブリの近位端付近に配置し、別の軸受アセンブリをインペラアセンブリの遠位端付近に配置して、インペラアセンブリの長手方向及び半径方向の運動を規制する。インペラの長手方向の端部に取り付けられた軸受を有するこのような設計は、インペラが長手方向のいずれかの方向に移動することを防止するために、長手方向の軸線に直交する力を付与する形体を組み込んだ軸受を有することに基づく。半径方向の動きを規制するために、円弧形体又はジャーナル軸受様形体が遠位軸受及び近位軸受に組み込まれる。このような設計は、通常、合計4~6個の血液接触構成要素を介してインペラの回転規制を達成する。そのような設計では、インペラアセンブリの近位端付近の軸受アセンブリは、磁場源と被駆動磁石との間に配置されてもよい。
【0058】
図1A図2Bの実施形態に示すように、インペラアセンブリ106、206の質量中心付近において長手方向に軸受アセンブリ124、226を配置することの1つの利点は、被駆動磁石116、218と磁場源101、201との間に軸受が必ずしも必要とされないことである。その結果、被駆動磁石116、218及び磁場源101、201は、軸受アセンブリがインペラアセンブリの近位端に配置される設計よりも互いに近くに配置され得る。例えば、図1A図2Bに示す実施形態では、駆動磁石118、220と磁場源101、201との間の距離は、わずか0.012インチ(0.305mm)、好ましくは0.030インチ(0.762mm)未満とすることができる。被駆動磁石118、220と磁場源101、201との間の距離を減少させることによって、空間に失われる磁束が少なくなり、磁気トルク伝達が増加する。磁場源101、201から被駆動磁石116、218までの空間距離を低減することによる磁場源101、201からの磁束の改善された捕捉は、より高い流量設計のためのトルクの増加、より耐食性のある磁石の使用、及びより小さい形状因子を可能にする。被駆動磁石116、218と磁場源101、201との間の距離の減少は、被駆動磁石116、218に伝達される磁気トルクを100%以上まで増加させ得る。磁場源と被駆動磁石との間隔を小さくすることにより、長手方向の力、インペラの回転、及び安定性を規制するために、非機械的に接触する磁場を使用することも可能になる。さらに、このような構成は磁石の耐久性を向上させることができる。また、磁場源101、201と被駆動磁石116、218との間の距離の低減は、図3A~3Bに関連して以下に示すように、被駆動磁石116、218上の機械的包囲の使用、又はサマリウムコバルト等のより耐食性のある磁石材料の使用、又はより低い磁気強度を伴いより耐久性のある磁石の使用を可能にし得る。そのような構成はまた、バッテリによって電力供給される血液ポンプの電力効率を改善する機会を提供し得る。
【0059】
加えて、磁場源101、201と被駆動磁石116、218との間の距離の低減は、より小さい駆動磁石、電磁コイルからの改善された効率、及び/又はより小さい被駆動磁石の使用を可能にし、より長い距離によって分離されたより大きい駆動磁石及び被駆動磁石を組み込む設計と同じ血流量を生成し得る。血液ポンプの流量は、他の要因の中でも、トルク伝達、インペラサイズを含む全体的なポンプ設計、動作速度、及び流れプロファイルを決定するインペラ及び流れルーメン(lumen)の設計に依存する。所与のポンプ設計及び目標流量に対して、インペラアセンブリを駆動するのに必要な量のトルクが存在する。磁気カップリングは、この量のトルクを伝達できなければならない。伝達され得るトルクの量は、磁石サイズ及び間隔の関数である。一般に、より大きなトルクは、より大きな磁石及び/又は互いにより近接して離間された磁石によって伝達され得る。いくつかの実施形態では、駆動磁石及び/又は被駆動磁石のサイズは、血液ポンプからの所望の流量のトルク要件に合致するように調節されてもよい。血液ポンプ形状因子、磁石材料、及び溶血に対する磁石(複数)の寄与を含む他の考慮事項が磁石サイズに影響を及ぼし得る。被駆動磁石のサイズの低減はまた、例えば、インペラアセンブリハウジングと被駆動磁石との間のより多くの量の空間を可能にし、従って、空洞132、234等の領域内の血液に作用する剪断応力を低減することによって、血液ポンプの使用によって引き起こされる溶血の量が低減され得る。
【0060】
図1A~2Bに示される実施形態の別の利点は、インペラアセンブリ106、206が、1つの軸受アセンブリのみを用いて長手方向及び半径方向の両方に規制され得ることである。上述のように、以前の血液ポンプは、少なくとも2つの軸受アセンブリを組み込むことが知られており、多くの場合、1つの軸受アセンブリをインペラアセンブリの近位端付近に配置し、別の軸受アセンブリをインペラアセンブリの遠位端付近に配置して、インペラアセンブリの長手方向及び半径方向の運動を規制する。対照的に、1つの軸受アセンブリのみを必要とすることによって、本明細書に開示される実施形態は、血液接触軸受アセンブリの数を減少させ、好ましくは、軸受の数を2つに減少させる。血液に曝される表面の数を減少させることにより、血液が軸受面と相互作用することによって引き起こされる溶血及び血栓症のリスクを減少させる。そのような構成はまた、血液ポンプの組み立てを単純化し、また、血液ポンプの剛性長さを低減することができ、それは、経皮ベースの装置の送達を改善することができる。厳密に規制された様式で相互作用する構成要素の数の簡略化はまた、血液ポンプ及びその構成要素の製造可能性に有益である。
【0061】
本明細書に開示される実施形態の別の関連する利点は、軸受アセンブリ124、226が、インペラアセンブリ106、206の質量中心付近において長手方向に配置又は整列され、そのような配置が、インペラアセンブリ106、206の重心に近い位置でインペラアセンブリ106、206の運動を規制することによって、インペラアセンブリ106、206の全体的な半径方向安定性を改善することである。軸受アセンブリ124、226のそのような配置はまた、血液ポンプ100、200を通って流動する血液に対する剪断速度の増加をもたらし得る偏心インペラ運動を引き起こす、構成要素の不均衡から保護し得る。
【0062】
図3Aは、本明細書に開示される主題の実施形態による、軸受アセンブリ300の実施形態の斜視図を示し、図3Bは、本明細書に開示される主題の実施形態による、図3Aに示される軸受アセンブリ300の側断面図を示す。実施形態によれば、軸受アセンブリ300及び/又はその任意の数の様々な構成要素は、図1A~1Dに示される循環支援装置100の対応する構成要素及び/又は図2A~2Bに示される循環支援装置200の対応する構成要素と同一又は類似であってもよい。
【0063】
図3A及び図3Bに示すように、軸受アセンブリ300は、磁石軸受302及びハウジング軸受304を含む。磁石軸受302は、被駆動磁石306を完全に包含し、被駆動磁石306のための密閉シールとして機能することができる。ハウジング軸受304は、インペラ308付近に配置され、インペラアセンブリハウジング(図示無し)に取り付けられる。被駆動磁石306は、Ne-Fe-B(ネオジウム)など、血液と接触して腐食しやすい材料で作製されていてもよい。磁石軸受302及びハウジング軸受304を含む軸受アセンブリ300は、窒化シリコーン、サファイア、ベスペル(Vespel)、トーロン(torlon)、PTFE、又は当業者によって知られている耐食性の任意の他の材料など、耐食性の材料で作製されていてもよい。従って、いくつかの実施形態では、完全に包含された被駆動磁石306は、腐食の影響を受けにくく、耐久性が向上している。他の実施形態では、被駆動磁石306自体をサマリウムコバルトで作製して、耐食性及び耐久性を改善することができる。
【0064】
図3Bに示すように、磁石軸受302は、くさび形310を介してハウジング軸受304に嵌合することができる。いくつかの実施形態では、形状は、「U」又は「V」であり得る。他の実施形態では、嵌合は、代替的な角度付き接触設計を介して長手方向の規制と半径方向の規制とを組み合わせる代替的な設計のものであり得る。さらに他の実施形態では、磁石軸受302及びハウジング軸受304は、軸受アセンブリ300の動作又は構造的完全性に有害な熱、摩擦、又は他の問題の蓄積を防止するように設計されてもよい。
【0065】
図3A及び図3Bに示す例示的な軸受アセンブリ300は、本開示の実施形態の使用又は機能の範囲に関していかなる限定も示唆することを意図していない。例示的な軸受アセンブリ300はまた、本明細書に示される任意の単一の構成要素又は構成要素の組み合わせに関連する任意の依存性又は要件を有するものとして解釈されるべきではない。加えて、図3A及び図3Bに示される様々な構成要素は、実施形態において、その中に示される他の構成要素(及び/又は図示されない構成要素)のうちの様々なものと一体化されてもよく、それらの全ては、本開示の範囲内にあると考えられる。
【0066】
図4は、本明細書に開示される主題の実施形態による、例示的な経皮的機械循環支援装置400(本明細書では、互換的に、「血液ポンプ」とも称される)の側断面図を示す。実施形態によると、血液ポンプ400及び/又はその任意の数の様々な構成要素は、図1A及び1Bに示される循環支援装置100の対応する構成要素と同一又は類似であってもよく、又は図2A及び2Bに示される循環支援装置200の対応する構成要素と同一又は類似であってもよい。
【0067】
図4に示すように、血液ポンプ400は、インペラ406の回転を駆動して血液ポンプ400を通る血液の流れを提供するように変動磁場を生成するために構成された磁場源404を含む磁気駆動ハウジング402を含む。図4に示される実施形態では、モータ410によって回転させられ、インペラ406に結合された永久被駆動磁石412の回転を引き起こすように構成され、血液ポンプ400を通る血液の流れを提供する永久駆動磁石408を、磁場源404は含む。示すように、被駆動磁石412は、近位側部414及び遠位側部416を含む。代替的な実施形態では、上述したがここでは図示しないように、インペラに結合された永久被駆動磁石の回転を引き起こして、血液ポンプを通る血液の流れを提供するための磁場を生成するために一連の電磁コイル又はステータ及びモータを、磁場源404は含むことができる。
【0068】
コントローラ(図示無し)は、モータ410に動作可能に結合され、モータ410を規制するように構成される。コントローラは、実施形態では、モータ410内に配置されてもよく、又は他の実施形態では、モータ410の外側(例えば、カテーテルハンドル、独立ハウジング等)に配置されてもよい。いくつかの実施形態では、コントローラは、複数の構成要素を含んでもよく、そのうちの1つ以上がモータ410内に配置されてもよい。いくつかの実施形態によれば、モータ410に結合されたコントローラは、図1Aに関連して記載されたモータ102に結合されたコントローラと同様であってもよい。
【0069】
図4に示すように、インペラアセンブリ418は、インペラアセンブリハウジング420内に配置され、インペラアセンブリハウジング420は、その中に規定された入口開口部422及び複数の出口開口部424を含む。長手方向の軸線426は、インペラアセンブリ418を通って延在する。いくつかの実施形態によれば、示すように、磁気駆動ハウジング402及びインペラアセンブリハウジング420は、互いに一体化されてもよい。他の実施形態では、磁気駆動ハウジング402及びインペラアセンブリハウジング420は、取り外し可能に又は永久的に共に結合されるように構成された別個の構成要素であってもよい。インペラアセンブリ418は、インペラ406及び被駆動磁石412を含む。被駆動磁石412及びインペラ406は、接着剤、機械的結合、又は締まり嵌めの使用を含む様々な方法で結合されてもよい。被駆動磁石412は、磁場源404によって駆動されることが可能な任意のタイプの磁気ロータであってもよい。磁場源404によって被駆動磁石412に磁場が印加されると、被駆動磁石412が回転し、インペラ406を回転させる。インペラ406の回転は、血液ポンプ400を通る血流を引き起こす。
【0070】
図4に示すように、被駆動磁石412及びインペラ406は、インペラ406に結合され、かつ、インペラ406と共に回転するように構成された駆動シャフト428を介して結合されてもよい。被駆動磁石412は、接着剤、機械的結合、又は締まり嵌めの使用を含む様々な方法で駆動シャフト428及びインペラ406に結合されてもよい。駆動シャフト428は、インペラ406内に少なくとも部分的に配置されてもよい。駆動シャフト428はまた、被駆動磁石412によって少なくとも部分的に取り囲まれてもよい。駆動シャフト428は、例えば、鋼、チタン合金、コバルトクロム合金、ニチノール、高強度セラミック、及び/又は同等物等の任意の数の異なる剛性材料から作製されてもよい。
【0071】
図4に示すように、インペラアセンブリ418は、軸受アセンブリ430によってインペラアセンブリハウジング420に結合され、その中に保持される。いくつかの実施形態によれば、軸受アセンブリ430は、被駆動磁石412の遠位側部416付近に配置されてもよい。いくつかの実施形態によれば、軸受アセンブリ430は、異なるタイプの軸受を含むことができる。軸受アセンブリ430はまた、潤滑剤を含んでもよいが、他の実施形態では、軸受アセンブリ430は、潤滑剤を含まなくてもよい。図4に示すように、軸受アセンブリ430は、ハウジング軸受とも称され得る第1の軸受432と、スラスト軸受とも称され得る第2の軸受434とを含む。スラスト軸受434は、シャフト428及びインペラアセンブリ418の他の構成要素と共に回転する。スラスト軸受434は、インペラ406の近位側部436及びハウジング軸受432の遠位側部438に接触する。第1の軸受432及び第2の軸受434を含む軸受アセンブリ430は、窒化ケイ素、セラミック、サファイア、ベスペル、トーロン、PTFE、又は当業者に知られている耐食性の任意の他の材料等の耐食性の1つ以上の材料で作製され得る。
【0072】
続いて、図4を参照すると、ハウジング軸受432は、インペラアセンブリハウジング420に接触する。より具体的には、インペラアセンブリハウジング420は、ハウジング軸受432を受け入れる凹部又はポケット440を含む。ハウジング軸受432は、シャフト428を回転可能に支持し、ハウジング軸受432は、装置400を通って流れる血液の溶血を低減又は最小化する丸みを帯びた外角部442を含む。いくつかの実施形態では、ハウジング軸受432の背後に被駆動磁石412を有することによって、ハウジング軸受432は、被駆動磁石412に接触する血液の量を低減又は最小化し、溶血の低減を容易にし得る。いくつかの実施形態では、ハウジング軸受432は、インペラアセンブリ418の質量中心付近において長手方向に配置されてもよい。装置400は、ハウジング軸受432がインペラアセンブリ418の質量中心とともに整列されるときに最適化され得る。ハウジング軸受432の位置は、部品アセンブリの実際的な考慮に基づいてインペラアセンブリ418の質量中心から約0.050インチ(1.27mm)ずれていてもよいが、インペラアセンブリ418の質量中心に可能な限り近接して長手方向に配置されるときに最適化される。他の実施形態では、ハウジング軸受432は、インペラアセンブリ418の質量中心とともに整列されなくてもよく、又は、ハウジング軸受432の位置は、ハウジング軸受432のサイズ及び構成に応じて、インペラアセンブリ418の質量中心からより大きな距離ずれてもよい。
【0073】
軸受アセンブリ430は、インペラアセンブリ418に関連する力を規制するために使用される。部分的に、軸受アセンブリ430は、被駆動磁石412の磁力を利用して、インペラアセンブリ418の軸方向荷重を規制する。具体的には、磁場源404と被駆動磁石412との間の軸方向引力は、インペラアセンブリ418を遠位方向に押すインペラアセンブリ418からの推力よりも大きく、従って、インペラアセンブリ418の遠位方向への軸方向移動を防止する。スラスト軸受434は、磁場源404及び被駆動磁石412からの軸方向磁力引力に対抗することによって、軸方向の規制を提供する。ハウジング軸受432は、インペラアセンブリ418の半径方向の規制を提供する。
【0074】
続いて、図4を参照すると、インペラアセンブリハウジング420は、複数の出口開口部424のうちの少なくとも1つの近位側部に配置されるチャネル444を含む。チャネル444は、インペラハウジング420内から複数の出口開口部424のうちの1つを介してインペラハウジング420の外側へ通過するガイドワイヤ(図示無し)を受容するように構成される。いくつかの実施形態では、チャネル444は、ハウジング軸受432の全長に延在してもよい。チャネル444は、ガイドワイヤがインペラハウジング420内からインペラハウジング420の外側に徐々に移行するための表面を提供し、インペラハウジング420との接触によるガイドワイヤの損傷の可能性を減少させ、インペラハウジング420内からインペラハウジング420の外側への移行中のガイドワイヤの角度を減少させる。ハウジング軸受432の静止面は、出口開口部424の近位端がガイドワイヤを損傷し得る金属縁を有することを防止するために、接着剤フィレット又は軟質ポリマー構成要素等の形態を可能にし得る。
【0075】
図4に示すように軸受アセンブリ430を配置することの1つの利点は、被駆動磁石412と磁場源404との間に軸受が必ずしも必要とされないことである。結果として、被駆動磁石412及び磁場源404は、軸受アセンブリがインペラアセンブリの近位端に配置される設計よりも、互いにより近くに配置され得る。例えば、図示の実施形態では、被駆動磁石412と磁場源404との間の距離は、0.012インチ(0.305mm)ほどの小ささ、好ましくは0.020インチ(0.508mm)未満、より好ましくは0.030インチ(0.762mm)未満とすることができる。被駆動磁石412と磁場源404との間の距離を減少させることによって、空間に失われる磁束が低減され、磁気トルク伝達を増加させる。磁場源404から被駆動磁石412までの空間距離を低減することによる磁場源404からの磁束の改善された捕捉は、より高い流量設計のためのトルクの増加、より耐食性のある磁石の使用、及びより小さい形状因子を可能にする。被駆動磁石412と磁場源404との間の距離の減少は、被駆動磁石412に伝達される磁気トルクを100%増加させ得る。
【0076】
装置400の別の利点は、インペラアセンブリ418が、1つの軸受アセンブリのみで長手方向及び半径方向の両方に規制され得ることである。上述のように、以前の血液ポンプは、少なくとも2つの軸受アセンブリを組み込むことが知られており、多くの場合、1つの軸受アセンブリをインペラアセンブリの近位端付近に配置し、別の軸受アセンブリをインペラアセンブリの遠位端付近に配置して、インペラアセンブリの長手方向及び半径方向の運動を規制する。対照的に、装置400は、インペラ406の遠位端444に軸受アセンブリを欠いており、それによって、血液接触軸受アセンブリの数を低減し、好ましくは、軸受の数を2つに低減する。また、上述したように、血液に曝される表面又は構造の数を減少させることにより、溶血及び血栓症のリスクを減少させ、血液ポンプの全体的な剛性の長さを減少させ得る。
【0077】
いくつかの実施形態では、装置400を組み立てる方法は、以下の動作を含んでもよい。最初に、シャフトがインペラ406内に配置され、スラスト軸受434がシャフト428上に、インペラ406の近位側部436に対して配置される。次に、スラスト軸受434は、(例えば、接着剤、圧入、機械的結合、焼結、溶接、又は当業者に知られている任意の方法によって)シャフト428又はインペラ406に固定される。次に、ハウジング軸受432は、スラスト軸受434よりも近位にシャフト428上に配置され、被駆動磁石412は、ハウジング軸受432よりも近位にシャフト428上に配置される。次に、被駆動磁石412が、(例えば、接着剤、圧入、機械的結合、焼結、溶接、又は当業者に知られている任意の方法によって)シャフト428に固定される。インペラアセンブリ418及び軸受アセンブリ430は、次に、インペラアセンブリハウジング420内に配置され、ハウジング軸受432は、(例えば、接着剤、圧入、機械的結合、焼結、溶接、又は当業者に知られている任意の方法によって)インペラアセンブリハウジング420に固定される。
【0078】
図4に示される例示的な循環支援装置400は、本開示の実施形態の使用又は機能の範囲に関していかなる限定も示唆することを意図していない。例示的な循環支援装置400はまた、本明細書に示される任意の単一の構成要素又は構成要素の組み合わせに関連する任意の依存性又は要件を有するものとして解釈されるべきではない。加えて、図4に示される様々な構成要素は、実施形態において、その中に示される他の構成要素(及び/又は図示されない構成要素)のうちの様々なものと一体化されてもよく、それらの全ては、本開示の範囲内にあると見なされる。
【0079】
図5は、本明細書に開示される主題の実施形態による、例示的な経皮的機械循環支援装置500(本明細書では、互換的に、「血液ポンプ」とも称される)の側断面図を示す。実施形態によれば、血液ポンプ500、及び/又はその任意の数の様々な構成要素は、図1A及び1Bに示される循環支援装置100の対応する構成要素と同一又は類似であってもよく、図2A及び2Bに示される循環支援装置200の対応する構成要素と同一又は類似であってもよく、又は図4に示される循環支援装置400の対応する構成要素と同一又は類似であってもよい。
【0080】
図5に示すように、血液ポンプ500は、インペラ506の回転を駆動して血液ポンプ500を通る血液の流れを提供するように変動磁場を生成するために構成された磁場源504を含む磁気駆動ハウジング502を含む。図5に示される実施形態では、モータ510によって回転させられ、インペラ506に結合された永久被駆動磁石512の回転を引き起こすように構成され、血液ポンプ500を通る血液の流れを提供する永久駆動磁石508を、磁場源504は含む。示すように、被駆動磁石512は、近位側部514及び遠位側部516を含む。代替的な実施形態では、上述したがここでは図示しないように、インペラに結合された永久被駆動磁石の回転を引き起こして、血液ポンプを通る血液の流れを提供するための磁場を生成するために一連の電磁コイル又はステータ及びモータを、磁場源504は含むことができる。
【0081】
コントローラ(図示無し)は、モータ510に動作可能に結合され、モータ510を規制するように構成される。コントローラは、いくつかの実施形態では、モータ510内に配置されてもよく、又は他の実施形態では、モータ510の外側(例えば、カテーテルハンドル、独立ハウジング等)に配置されてもよい。いくつかの実施形態では、コントローラは、複数の構成要素を含んでもよく、そのうちの1つ以上がモータ510内に配置されてもよい。いくつかの実施形態によれば、モータ510に結合されたコントローラは、図1Aに関連して記載されたモータ102に結合されたコントローラと同様であってもよい。
【0082】
図5に示すように、インペラアセンブリ518は、インペラアセンブリハウジング520内に配置され、インペラアセンブリハウジング520は、その中に規定された入口開口部522及び複数の出口開口部524を含む。長手方向の軸線526は、インペラアセンブリ518を通って延在する。いくつかの実施形態によれば、示すように、磁気駆動ハウジング502及びインペラアセンブリハウジング520は、互いに一体化されてもよい。他の実施形態では、磁気駆動ハウジング502及びインペラアセンブリハウジング520は、取り外し可能に又は永久的に共に結合されるように構成された別個の構成要素であってもよい。インペラアセンブリ518は、インペラ506及び被駆動磁石512を含む。被駆動磁石512及びインペラ506は、接着剤、機械的結合、又は締まり嵌めの使用を含む様々な方法で結合されてもよい。被駆動磁石512は、磁場源504によって駆動されることが可能な任意のタイプの磁気ロータであってもよい。磁場源504によって被駆動磁石512に磁場が印加されると、被駆動磁石512が回転し、インペラ506を回転させる。インペラ506の回転は、血液ポンプ500を通る血流を引き起こす。
【0083】
図5に示すように、被駆動磁石512及びインペラ506は、インペラ506に結合され、かつ、インペラ506と共に回転するように構成された駆動シャフト528を介して結合されてもよい。被駆動磁石512は、接着剤、機械的結合、又は締まり嵌めの使用を含む様々な方法で駆動シャフト528及びインペラ506に結合されてもよい。駆動シャフト528は、インペラ506内に少なくとも部分的に配置されてもよい。駆動シャフト528はまた、被駆動磁石512によって少なくとも部分的に取り囲まれてもよい。駆動シャフト528は、例えば、鋼、チタン合金、コバルトクロム合金、ニチノール、高強度セラミック、及び/又は同等物等の任意の数の異なる剛性材料から作製されてもよい。
【0084】
図5に示すように、インペラアセンブリ518は、近位軸受アセンブリ530によってインペラアセンブリハウジング520に結合され、その中に保持される。いくつかの実施形態によれば、近位軸受アセンブリ530は、被駆動磁石512の遠位側部516付近に配置されてもよい。いくつかの実施形態によれば、近位軸受アセンブリ530は、異なるタイプの軸受を含むことができる。近位軸受アセンブリ530はまた、潤滑剤を含んでもよいが、他の実施形態では、近位軸受アセンブリ530は、潤滑剤を含まなくてもよい。図5に示すように、近位軸受アセンブリ530は、ハウジング軸受とも称され得る第1の軸受532と、スラスト軸受とも称され得る第2の軸受534とを含む。遠位軸受とも称され得る第3の軸受536もまた、インペラアセンブリ520に含まれ、インペラアセンブリ518に結合される。スラスト軸受534は、インペラ506の近位側部538及びハウジング軸受532の遠位側部540に接触する。遠位軸受536は、インペラ506に対して遠位に配置され、遠位支持体542に接触し、次に、遠位支持体542は、インペラアセンブリハウジング520に接触する。近位軸受アセンブリ530及び遠位軸受536は、窒化シリコーン、セラミック、サファイア、ベスペル、トーロン、PTFE、又は当業者に知られている耐食性の任意の他の材料等の耐食性の1つ以上の材料で作製され得る。
【0085】
続いて、図5を参照すると、ハウジング軸受532は、インペラアセンブリハウジング520に接触する。より具体的には、インペラアセンブリハウジング520は、ハウジング軸受532を受け入れる凹部又はポケット544を含む。ハウジング軸受532は、シャフト528を回転可能に支持する。いくつかの実施形態では、ハウジング軸受532は、被駆動磁石512に接触する血液の量を低減又は最小化し、溶血の低減を容易にし得る。特に、ハウジング軸受532は、装置500を通って流れる血液の溶血を低減又は最小化する丸みを帯びた外角部546を含み得る。いくつかの実施形態では、ハウジング軸受532の背後に被駆動磁石512を有することによって、ハウジング軸受532は、被駆動磁石512に接触する血液の量を低減又は最小化し、溶血の低減を容易にし得る。いくつかの実施形態では、ハウジング軸受532は、前述したように、インペラアセンブリ518の質量中心付近において長手方向に配置されてもよい。装置500は、ハウジング軸受532がインペラアセンブリ518の質量中心とともに整列されるときに最適化され得る。他の実施形態では、ハウジング軸受532は、ハウジング軸受532のサイズ及び構成に応じて、インペラアセンブリ518の質量中心とともに整列されなくてもよい。
【0086】
いくつかの実施形態では、示すように、被駆動磁石512及び磁場源504は、軸受アセンブリがインペラアセンブリの近位端に配置される設計よりも互いに近接して配置される。例えば、示す実施形態では、被駆動磁石512と磁場源504との間の距離は、0.012インチ(0.305mm)ほどの小ささ、好ましくは0.020インチ(0.508mm)未満、より好ましくは0.030インチ(0.762mm)未満とすることができる。被駆動磁石512と磁場源504との間の距離を減少させることによって、空間に失われる磁束が低減され、磁気トルク伝達を増加させる。磁場源504から被駆動磁石512までの空間距離を低減することによる磁場源504からの磁束の改善された捕捉は、より高い流量設計のためのトルクの増加、より耐食性のある磁石の使用、及びより小さい形状因子を可能にする。被駆動磁石512と磁場源504との間の距離の減少は、被駆動磁石512に伝達される磁気トルクを100%増加させ得る。
【0087】
いくつかの実施形態では、装置500を組み立てる方法は、上述した装置400の組み立て方法と同様であり得る。加えて、遠位軸受536及び遠位支持体542は、ハウジング軸受532及びインペラアセンブリ518をインペラアセンブリハウジング520に固定する前又は後に、(例えば、接着剤、圧入、機械的結合、焼結、溶接、又は当業者に知られている任意の方法によって)互いに及び/又はインペラアセンブリハウジング520に固定されてもよい。
【0088】
図5に示される例示的な循環支援装置500は、本開示の実施形態の使用又は機能の範囲に関していかなる限定も示唆することを意図していない。例示的な循環支援装置500はまた、本明細書に示される任意の単一の構成要素又は構成要素の組み合わせに関連する任意の依存性又は要件を有するものとして解釈されるべきではない。加えて、図5に示される様々な構成要素は、実施形態において、その中に示される他の構成要素(及び/又は図示されない構成要素)のうちの様々なものと一体化されてもよく、それらの全ては、本開示の範囲内にあると見なされる。
【0089】
本開示の範囲から逸脱することなく、議論された例示的な実施形態に対して様々な変更及び追加がされ得る。例えば、上記の実施形態は特定の特徴に言及しているが、本開示の範囲はまた、特徴の異なる組み合わせを有する実施形態、及び記載された特徴の全てを含まない実施形態を含む。従って、本開示の範囲は、特許請求の範囲内に収まる全てのそのような代替形態、変更、及び変形を、その全ての均等物と共に包含することが意図される。
図1A
図1B
図1C
図1D
図2A
図2B
図3A
図3B
図4
図5
【国際調査報告】