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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-13
(54)【発明の名称】HPVワクチンの製造
(51)【国際特許分類】
   A61K 39/12 20060101AFI20240205BHJP
   A61P 31/20 20060101ALI20240205BHJP
   A61K 47/26 20060101ALI20240205BHJP
   A61K 39/39 20060101ALI20240205BHJP
   C07K 14/025 20060101ALN20240205BHJP
【FI】
A61K39/12
A61P31/20
A61K47/26
A61K39/39
C07K14/025 ZNA
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023548789
(86)(22)【出願日】2022-02-09
(85)【翻訳文提出日】2023-09-08
(86)【国際出願番号】 EP2022053143
(87)【国際公開番号】W WO2022171681
(87)【国際公開日】2022-08-18
(31)【優先権主張番号】21156664.1
(32)【優先日】2021-02-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】305060279
【氏名又は名称】グラクソスミスクライン バイオロジカルズ ソシエテ アノニム
(71)【出願人】
【識別番号】523304906
【氏名又は名称】シアメン イノバックス バイオテック カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】バヤット,ババク
(72)【発明者】
【氏名】ヘンデリックス,ヴェロニク
(72)【発明者】
【氏名】ヴイルステク,ブラム
【テーマコード(参考)】
4C076
4C085
4H045
【Fターム(参考)】
4C076CC06
4C076DD21
4C076DD68
4C085AA03
4C085AA38
4C085CC07
4C085CC08
4C085DD21
4C085EE01
4C085EE05
4C085EE06
4C085FF01
4C085FF14
4H045AA11
4H045CA01
4H045DA86
4H045EA31
(57)【要約】
例えば、(i)1つ以上のHPV抗原を金属塩上に吸着させ、次いで(ii)吸着されていない糖脂質ベースのTLR4リガンドを、(i)で得られた混合物に添加することによる、HPVワクチン組成物の調製方法が記載される。結果として生じるHPVワクチン組成物及びその使用も記載される。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)1つ以上のHPV抗原を金属塩上に吸着させるステップ、及び
(ii)吸着されていない糖脂質ベースのTLR4リガンドを、(i)で得られた混合物に添加するステップ
を含む、HPVワクチン組成物の調製方法。
【請求項2】
1つ以上のHPV抗原が、HPV後期タンパク質L1、L2、キメラL1及びキメラL1/L2タンパク質、好ましくはHPV L1タンパク質から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
1つ以上のHPV抗原が、HPV L1 VLP(ウイルス様粒子)から選択される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
HPV L1 VLPが、大腸菌、酵母細胞で又はバキュロウイルス発現系で産生される、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
HPV L1 VLPが、大腸菌で産生される、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
1つ以上のHPV抗原のそれぞれが、HPV6、11、16、18、26、31、33、35、39、45、51、52、53、56、58、59、67、68、70、73及び82型から、より好ましくはHPV6、11、16、18、31、33、45、52及び58型から選択されるHPV型に由来する、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
1つ以上のHPV抗原が、HPV16及び18型に由来するHPV抗原を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
1つ以上のHPV抗原が、HPV6、11、16、及び18型に由来するHPV抗原を含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
1つ以上のHPV抗原が、HPV6、11、16、18、31、33、45、52及び58型に由来するHPV抗原を含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
1つ以上のHPV抗原が、HPV35、39及び/又は59型に由来するHPV抗原をさらに含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
1つ以上のHPV抗原が、HPV16及び18型に由来するL1 VLPを含む、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
1つ以上のHPV抗原が、HPV6、11、16、及び18型に由来するL1 VLPを含む、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
1つ以上のHPV抗原が、HPV6、11、16、18、31、33、45、52及び58型に由来するL1 VLPを含む又はそれからなる、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
1つ以上のHPV抗原が、HPV35、39及び/又は59型のL1 VLPに由来するL1 VLPをさらに含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
金属塩が、アルミニウムを含む、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
金属塩が、AlOOH、AlPO4、AlHO9PS-3及びAlHO5Pから選択される、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
糖脂質ベースのTLR4アゴニストが、MPL、GLA、SLA、OM-174、CCL-34、RC-529、PET-リピドA、ONO-4007及びdLOS、好ましくはMPLから選択される、請求項1~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
金属塩をHPVワクチン組成物に添加するステップをさらに含む、請求項1~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
- 1つ以上のHPV抗原が、HPV6、11、16、18、31、33、45、52、及び58型に由来するL1 VLPを含み又はそれからなり、
- 金属塩が、アルミニウムを含み、且つ
- 糖脂質ベースのTLR4アゴニストが、MPLである、
請求項1~18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
請求項1~19のいずれか一項に記載の方法によって得られるHPVワクチン組成物。
【請求項21】
金属塩の一部である金属イオンが、Al3+であり、HPVワクチン組成物中のAl3+の量が、100~500μg/用量である、請求項20に記載のHPVワクチン組成物。
【請求項22】
糖脂質ベースのTLR4リガンドが、MPLであり、HPVワクチン組成物中のMPLの量が、10~50μg/用量である、請求項20又は21に記載のHPVワクチン組成物。
【請求項23】
HPVワクチン組成物中の糖脂質ベースのTLR4リガンド:金属塩の比が、1:2~1:20である、請求項20、21又は22に記載のHPVワクチン組成物。
【請求項24】
療法に使用するための、請求項20~23のいずれか一項に記載のHPVワクチン。
【請求項25】
対象におけるHPV感染症又は関連疾患を予防又は治療するための、請求項20~23のいずれか一項に記載のHPVワクチン。
【請求項26】
有効量の、請求項20~23のいずれか一項に記載のHPVワクチンを、HPVによって引き起こされる感染症又は疾患の予防又は治療を必要とする患者に投与するステップを含む、HPVによって引き起こされる感染症又は疾患を予防又は治療する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒトワクチンの分野に関する。より詳細には、本発明は、HPVワクチンの製造プロセス、及び結果として生じるHPVワクチン組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
パピローマウイルスは、小型で、種特異性の高い、DNA腫瘍ウイルスである。ヒトパピローマウイルスは、基底上皮(皮膚又は粘膜)細胞に感染するDNAウイルスである。100を超える個々のヒトパピローマウイルス(HPV)型が記載されている。HPVは、一般に、皮膚の扁平上皮又は粘膜表面のいずれかに特異的であり、通常、数ヶ月又は数年間持続する良性腫瘍(いぼ)を引き起こす。
【0003】
発がん性ヒトパピローマウイルス(HPV)型による持続性感染は、世界中の女性の間で2番目に多いがん死亡原因である子宮頸がんを引き起こす。16、18、26、31、33、35、39、45、51、52、53、56、58、59、66、67、68、70、73及び82型を含む、「高リスク」HPV型は、子宮頸がんを引き起こす可能性があり、他の粘膜性肛門性器がん及び頭頸部がんに関連しているという国際的なコンセンサスがある(IARC monograph 2018 https://monographs.iarc.fr/wp-content/uploads/2018/06/mono100B-11.pdf, Martinez-Portilla et al., 20191; Arbyn M et al., 20142)。
【0004】
6、11型を含む「低リスク」と呼ばれる他の型による感染は、良性又は低悪性度の子宮頸部組織の変化及び性器いぼ(尖圭コンジローマ)を引き起こす可能性があり、これは、女性における子宮頸部、膣、外陰部及び肛門、並びに男性における陰茎、陰嚢若しくは肛門での増殖を含む。それらはまた、小児及び成人の声帯上に上皮増殖(若年性呼吸器乳頭腫症又は再発性呼吸器乳頭腫症)を引き起こし、これは外科的介入を必要とする(Bosch et al., 20133)。
【0005】
これまでにいくつかの予防用HPVワクチンが認可されている。それらはすべて、個々のHPV型の組換えL1キャプシドタンパク質で構成されるウイルス様粒子(VLP)を使用する。
【0006】
CERVARIX HPVワクチンは、バキュロウイルス発現ベクター系を使用してトリコプルシア・ニ(Trichoplusia ni)昆虫細胞基質で産生され、且つ免疫賦活薬3-O-デスアシル-4’-モノホスホリルリピドA(3D MPL、MPLとしても知られる)及び水酸化アルミニウム塩を用いて製剤化された、HPV-16及び-18 VLPを含有する。
【0007】
GARDASIL-9(9価HPVワクチン)は、GARDASIL(4価HPVワクチン)の進化版であり、酵母サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)で産生され、且つ非晶質アルミニウムヒドロキシホスフェート硫酸塩を用いて製剤化された、HPV-6、-11、-16、-18、-31、-33、-45、-52、及び-58のVLPを含有する。GARDASIL-9は、性器いぼの75~90%に関与する非発がん性HPV-6及び-11型、並びに子宮頸がん、外陰がん、膣がん、肛門がん、中咽頭がん及び他の頭頸部がんに関与する発がん性HPV-16、-18、-31、-33、-45、-52及び-58型に由来するVLPを含有する。
【0008】
「Current Status of Toll-Like Receptor 4 Ligand Vaccine Adjuvants」においてFox et al. 20174によって概説されるように、TLR4リガンドは、優れたアジュバント特性を実証し、TLR4ベースのアジュバント製剤は、いくつかの臨床試験に含まれており、特に、アルミニウム上に吸着可能な3D-MPL、GLA、SLA、RC-529、及びその他、例えば、OM-174(大腸菌(E. coli)由来のトリアセチル化二糖ジホスホリル化合物)、PETリピドA(ヘキサ-アシル化単糖モノホスホリル化合物)、ONO-4007(鎖のうちの2つがベンゼン環で終結し、硫酸塩頭部基を有する単糖トリアシル構造)がある。さらに、dLOSは、別のTLR4リガンドである。それは、O抗原を欠くLPSのアルカリ加水分解によって調製され、大腸菌(Escherichia coli)ラフ(rough)株によって発現される。さらに、アルミニウムと組み合わせると、dLOS及びアラムは、HPV L1 VLPに対するそれらのアジュバント効果を相乗的に発揮することが可能である(Eun et. al., 20146)。
【0009】
WO00/23105は、それぞれ金属塩上に予め吸着されたHPV L1 VLP及びTLR4リガンドを混合することからなるアジュバント化HPVワクチンの調製のためのプロセスを開示する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
アジュバント化HPVワクチンを調製する改良された方法に対する必要性がある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
発明の概要
一態様では、本発明は、(i)1つ以上のHPV抗原を金属塩上に吸着させるステップ、及び(ii)吸着されていない糖脂質ベースのTLR4リガンドを、(i)で得られた混合物に添加するステップを含む、HPVワクチン組成物の調製方法を提供する。
【0012】
別の態様では、本発明は、本発明による方法によって得られるHPVワクチン組成物を提供する。
【0013】
一態様では、療法に使用するための、本明細書に記載されるHPVワクチン組成物が提供される。
【0014】
一態様では、対象におけるHPV感染症又は関連疾患を予防又は治療するための、本明細書に記載されるHPVワクチン組成物が提供される。
【0015】
一態様では、対象におけるHPV感染症の予防又は治療のための医薬の製造における、本明細書に記載されるHPVワクチン組成物の使用が提供される。
【0016】
一態様では、有効量の本明細書に記載されるHPVワクチン組成物を、感染症又は疾患の予防又は治療を必要とする患者に投与するステップを含む、感染症又は疾患を予防又は治療する方法が提供される。
【0017】
一態様では、有効量の本明細書に記載されるHPVワクチン組成物を、HPVによって引き起こされる感染症又は疾患の予防又は治療を必要とする患者に投与するステップを含む、HPVによって引き起こされる感染症又は疾患を予防又は治療する方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】1日後(A)及び7日後(B)の9V DPの写真。左から右へ:イン-ライン(in-line)AlOOH(Ix)、イン-ラインAl非添加、イン-ラインAlPO4、イン-ラインAlOOH(Croda)、凝集MPLを有するイン-ラインAlOOH(Ix)、凝集MPLを有するイン-ラインAlPO4、凝集MPLを有するイン-ラインAlOOH(Croda)、AMB MPL AlPO4を有する9V DP、AMB MPL AlOOHを有する9V DP、AMB 凝集MPL AlPO4を有する9V DP。
図2】9V DP(凝集MPLなし)について4つの時点(製剤化後、1週間後、2週間後及び6週間後)にわたってSLSによって測定した、平均粒径中央値の変化を表すグラフ。
図3】製剤化の1日後にSLSによって測定した、様々な9V DP製剤(凝集MPLあり又はなし)の粒径の分布。製剤化後の試料あたり5個の測定値の平均を示す。
図4】SLSによって測定した、CERVARIX、GARDASIL-9及び9V DP(MPLなし)の粒径の分布。試料あたり5個の測定値の平均を示す。
図5】SLSによって測定した、様々な9V DP製剤の粒径の分布。試料あたり5個の測定値の平均を示す。
図6】各試料についてMPL濃度に応じて、MPL ref 10μg/mLを用いて計算した相対効力。
図7】TNF-α応答を定量化することによって測定した、様々な9V DP製剤のMPL活性を測定するバイオアッセイ。MPL濃度によってグループ分けした各試料についてMPL濃度に応じて、MPL ref 10μg/mLを用いて計算した相対効力。
図8】TNF-α応答を定量化することによって測定した、様々な9V DP製剤のMPL活性を測定するバイオアッセイ。結果は、測定に含まれているMPLバルク対照の値に対して正規化されており、その結果、相対効力値が得られた。
【発明を実施するための形態】
【0019】
配列のリスト
配列番号1 - 全長HPV 6 L1アミノ酸配列(GENBANKアクセッション番号:AAC80442.1)
配列番号2 - 末端切断型HPV 6 L1アミノ酸配列
配列番号3 - 全長HPV 11 L1アミノ酸配列(UNIPROTアクセッション番号:P04012.1)
配列番号4 - 末端切断型HPV 11 L1アミノ酸配列
配列番号5 - 全長HPV 16 L1アミノ酸配列(GENBANKアクセッション番号:AGC65525.1)
配列番号6 - 末端切断型HPV 16 L1アミノ酸配列
配列番号7 - 全長HPV 18 L1アミノ酸配列(GENBANKアクセッション番号:AAQ92369.1)
配列番号8 - 末端切断型HPV 18 L1アミノ酸配列
配列番号9 - 全長HPV 31 L1アミノ酸配列(GENBANKアクセッション番号:AAA46956.1)
配列番号10 - 末端切断型HPV 31 L1アミノ酸配列
配列番号11 - 全長HPV 33 L1アミノ酸配列(GENBANKアクセッション番号:ACV84009.1)
配列番号12 - 末端切断型HPV 33 L1アミノ酸配列
配列番号13 - 全長HPV 45 L1アミノ酸配列(GENBANKアクセッション番号:AAY86494.1)
配列番号14 - 末端切断型HPV 45 L1アミノ酸配列
配列番号15 - 全長HPV 52 L1アミノ酸配列(GENBANKアクセッション番号:ACM66882.1)
配列番号16 - 末端切断型HPV 52 L1アミノ酸配列
配列番号17 - 全長HPV 58 L1アミノ酸配列(GENBANKアクセッション番号:ACM66884)
配列番号18 - 末端切断型HPV 58 L1アミノ酸配列
配列番号19 - HPV 6 L1アミノ酸配列
配列番号20 - HPV 11 L1アミノ酸配列
配列番号21 - HPV 16 L1アミノ酸配列
配列番号22 - HPV 18 L1アミノ酸配列
配列番号23 - HPV 31 L1アミノ酸配列
配列番号24 - HPV 33 L1アミノ酸配列
配列番号25 - HPV 45 L1アミノ酸配列
配列番号26 - HPV 52 L1アミノ酸配列
配列番号27 - HPV 58 L1アミノ酸配列
配列番号28 - HPV 16 L1アミノ酸配列
配列番号29 - HPV 18 L1アミノ酸配列
配列番号30 - 全長HPV 26 L1アミノ酸配列(UNIPROT kBアクセッション番号:P36735.1)
配列番号31 - 全長HPV 35 L1アミノ酸配列(GENBANKアクセッション番号:QJD38251.1)
配列番号32 - 全長HPV 39 L1アミノ酸配列(GENBANKアクセッション番号:CAD1814503.1)
配列番号33 - 全長HPV 51 L1アミノ酸配列(GENBANKアクセッション番号:ARQ82736.1)
配列番号34 - 全長HPV 53 L1アミノ酸配列(GENBANKアクセッション番号:ACX32368.1)
配列番号35 - 全長HPV 56 L1アミノ酸配列(GENBANKアクセッション番号:CAD1814189.1)
配列番号36 - 全長HPV 59 L1アミノ酸配列(GENBANKアクセッション番号:AGU90696.1)
配列番号37 - 全長HPV 66 L1アミノ酸配列(GENBANKアクセッション番号:ALT54954.1)
配列番号38 - 全長HPV 67 L1アミノ酸配列(GENBANKアクセッション番号:CAD1814012.1)
配列番号39 - 全長HPV 68 L1アミノ酸配列(GENBANKアクセッション番号:ACX32384.1)
配列番号40 - 全長HPV 70 L1アミノ酸配列(GENBANKアクセッション番号:AGU90878.1)
配列番号41 - 全長HPV 73 L1アミノ酸配列(GENBANKアクセッション番号:CAA63887.1)
配列番号42 - 全長HPV 82 L1アミノ酸配列(GENBANKアクセッション番号:BAA90742.1)
【0020】
発明の詳細な説明
本発明は、金属塩上に予め吸着されたHPV抗原が、金属塩上に予め吸着されていないTLR4リガンド(「遊離したTLR4リガンド」又は「吸着されていないTLR4リガンド」)と組み合わされる、アジュバント化HPVワクチンの調製方法が有利であるという本発明者らによる直観に反する知見に基づいている。実際、本発明者らは、驚くべきことに、この方法が、TLR4リガンドがHPV抗原と組み合わされる前に金属塩上に予め吸着されるWO 00/23105に開示される方法と比較して、増強されたTLR4リガンド生物学的活性をもたらすことを見出した。この改良された製剤化法は、本明細書では「イン-ライン」製剤化/生成と呼ばれる。この「イン-ライン」法は、WO 00/23105の教示に反しており、WO 00/23105によれば、TLR4リガンド及び抗原の適切な吸着を評価するための品質管理(QC)中の困難を回避するために、TLR4リガンドは、予め吸着されたHPV抗原と組み合わされる前に、金属塩上に予め吸着させる必要がある。
【0021】
一態様では、本発明は、(i)1つ以上のHPV抗原を金属塩上に吸着させるステップ、及び(ii)吸着されていない糖脂質ベースのTLR4リガンドを、(i)で得られた混合物に添加するステップを含む、HPVワクチン組成物の調製方法を提供する。
【0022】
本明細書で使用される場合、「イン-ライン」プロセス又は方法は、抗原、特にHPV抗原が、金属塩上に予め吸着されていないTLR4リガンドと組み合わされるプロセス又は方法である。抗原は、金属塩上に予め吸着されていてよい。
【0023】
本明細書で使用される場合、「塩」は、陽イオン及び陰イオンのイオン集合体からなる化合物であり、「金属塩」は、金属イオンを含む塩である。好ましい金属塩は、Al3+を含むアルミニウム塩である。
【0024】
本明細書で使用される場合、「吸着されていない」(又は「遊離した」又は「予め吸着されていない」)糖脂質ベースのTLR4リガンドは、金属塩上に予め吸着されていない糖脂質ベースのTLR4リガンドである。
【0025】
本明細書で使用される場合、「TLR4リガンド」は、TLR4(トール様受容体4)に結合することが可能な分子である。TLR4は、パターン認識受容体(PRR)ファミリーに属する、トール様受容体ファミリーのメンバーである膜貫通型タンパク質である。それは、多くのグラム陰性細菌及び一部のグラム陽性細菌に存在する成分であるリポ多糖(LPS)を認識することで最もよく知られている。活性化されると、TLR4は、成熟IL18の産生を誘発する。次いで、IL18は、ナチュラルキラー細胞(NK)及び好中球、並びにメモリーCD8 T細胞を含む、自然細胞によるINF-γの産生を推進し、これが今度はTH1免疫を促進する。したがって、非毒性TLR4リガンドは、アジュバントとして使用することができる。
【0026】
本明細書で使用される場合、「糖脂質ベースの」TLR4リガンドは、1つ以上の脂質鎖に共有結合したオリゴ糖構造に基づく非毒性TLR4リガンドである。このようなTLR4リガンドは、ワクチン組成物におけるアジュバントとしての使用に好適である。糖脂質ベースのTLR4リガンドは、細菌のLPS、リピド-Aに由来し得るか、又は化学的に合成され得る。好適な糖脂質ベースのTLR4リガンドは、
●二糖の糖脂質、例えば、MPL(又は3D-MPL)、GLA、SLA及びOM-174、
●単糖の糖脂質、例えば、CCL-34、RC-529、PETリピドA及びONO-4007、CRX601、及び
●リポオリゴ糖、例えば、dLOS
を含み、これらの構造は以下に示される:
【0027】
【化1】
【0028】
【化2】
【0029】
【化3】
【0030】
【化4】
【0031】
【化5】
【0032】
【化6】
【0033】
MPL(3-脱アシル化モノホスホリルリピドA)は、GlaxoSmithKline Biologicalsによって商品化されており、本明細書ではMPL又は3D-MPLと呼ばれる。例えば、米国特許第4,436,727号、同第4,877,611号、同第4,866,034号及び同第4,912,094号を参照。3D-MPLは、主に、IFN-γ(Th1)表現型を有するCD4+ T細胞応答を促進する。3D-MPLは、GB2220211 Aに開示される方法に従って生成することができる。化学的には、それは、3、4、5又は6アシル化鎖を有する3-脱アシル化モノホスホリルリピドAの混合物である。本発明の組成物では、小粒子3D-MPLを使用することができる。小粒子3D-MPLは、0.22μmフィルターを通して滅菌濾過することができるような粒径を有する。このような調製物は、WO94/21292に記載される。
【0034】
GLA(グルコピラノシル脂質アジュバント)及びSLA(第2世代脂質アジュバント)は、無毒化MPLの2つの合成類似体である。GLA及びSLAの構造は、GLAではヘキサ-アシル鎖が3位にあるのに対し、MPLは3-脱アシル化されている点を除いて、MPLにおける分子に基づいている。SLAは、一部のアシル鎖の長さが異なるGLAのバージョンである(Reed et al., 20165)。
【0035】
OM-174は、大腸菌由来の精製された水溶性脱リン酸化及びトリアセチル化リピドAである。この化合物は、現在、治療用ワクチン接種のため、主にがん適用のためのアジュバントとして開発されている(D’Agostini et al. 20059)。
【0036】
CCL-34は、TLR4依存的様式でマクロファージの活性化及び樹状細胞の成熟を誘導する合成糖脂質である(Chou et al., 20207)。
【0037】
RC-529は、オキシ水酸化アルミニウムと組み合わせて、アルゼンチンで認可されたB型肝炎ウイルスワクチンのアジュバント成分を形成した、化学的に得られたMPL模倣物である(Fox et al. 20174、Shimoyama and Fukase, 20208);
【0038】
PETリピドAは、合成ヘキサ-アシル化単糖モノリン酸化TLR4リガンドである。この化合物のリポソーム製剤及びがん抗原の組み合わせは、第I相臨床試験で認容された(Fox et al. 20174、Hamdy et al. 200710、Kawther et al.13)。
【0039】
ONO-4007は、単糖トリアシル構造を特徴とする合成リピドA誘導体であり、鎖のうちの2つはベンゼン環で終結し、頭部基のリン酸塩は硫酸塩に置き換えられている。この化合物を用いた第I相免疫療法試験が、2002年に報告された(Kuramitsu et al. 199711)。
【0040】
CRX601は、WO98/50399及び米国特許第6,303,347号に記載されるアルキルグルコサミニドホスフェート(AGP)である(AGPの調製のためのプロセスも記載される)。
【0041】
dLOS(脱アシル化リポオリゴ糖、「CIA05」とも呼ばれる)は、末端グルコース残基を欠くコアオリゴ糖、2つのリン酸基を有するグルコサミン二糖、及び2つのN結合アシル基からなる。dLOSは、用量依存的様式でTh1、Th2、及びTh17型の免疫応答を誘導する(Eun et al. 20146、Seo Ri Wui et al.14)。
【0042】
一実施形態では、糖脂質ベースのTLR4リガンドは、二糖の糖脂質、単糖の糖脂質及びリポオリゴ糖から選択される。好ましい実施形態では、糖脂質ベースのTLR4リガンドは、MPL、GLA、SLA、OM-174、CCL-34、RC-529、PET-リピドA、ONO-4007、CRX601及びdLOSから選択される。好ましい実施形態では、糖脂質ベースのTLR4リガンドは、MPLである。
【0043】
一実施形態では、1つ以上のHPV抗原は、HPV後期タンパク質L1及びL2、キメラL1タンパク質、キメラL1/L2タンパク質、及びそれらの免疫原性断片から選択される。「後期タンパク質」(L)は、ウイルス複製後に形成されるウイルスタンパク質である。それは、通常、キャプシドとしてウイルスの遺伝物質を取り囲む。L1タンパク質は、HPVキャプシドの主要なタンパク質であり、L2タンパク質は、HPVキャプシドの副次的なタンパク質である。キメラL1タンパク質は、第1のHPV型に由来するL1タンパク質の部分、及び第2のHPV型に由来するL1タンパク質の部分を含むタンパク質であり、第1及び第2のHPV型は異なる。キメラL1/L2タンパク質は、L1 HPVタンパク質の部分、及びL2 HPVタンパク質の部分を含むタンパク質、例えば、1つ以上の保存されたL2エピトープを発現するL1 HPVタンパク質である。
【0044】
例示的なHPV L1配列を表1に示す。
【0045】
【表1】
【0046】
好ましい実施形態では、1つ以上のHPV抗原は、HPV L1タンパク質又はその免疫原性断片である。
【0047】
本明細書で使用される場合、「免疫原性断片」は、宿主の免疫系を刺激して、液性及び/又は細胞性の抗原特異的な免疫学的応答(すなわち、天然に存在するポリペプチド、例えばウイルス又は細菌のタンパク質を特異的に認識する免疫応答)を行うことが可能な1つ以上のエピトープ(例えば、直鎖状、立体構造的又は両方)を含有する参照抗原の断片を指す。「エピトープ」は、その免疫学的特異性を決定する抗原の部分である。T及びB細胞エピトープは、経験的に特定することができる(例えば、PEPSCAN又は同様の方法を使用して)。好ましい実施形態では、免疫原性断片は、参照抗原によって誘導される免疫応答と同様の免疫応答、好適には液性応答又はT細胞応答を誘導する。好適には、免疫原性断片は、参照抗原によって誘導される免疫応答に対して、10分の1より低くない、より好適には5分の1より低くない、2分の1より低くない、又は低くない、マウスにおける液性応答又はT細胞応答を誘導する。
【0048】
本明細書で使用される場合、「HPV L1タンパク質の免疫原性断片」は、少なくとも50、60、100、200、300、400、450又はそれを超えるアミノ酸の天然に存在するHPV L1タンパク質の断片、又は天然に存在するHPV L1タンパク質に対して(又は少なくとも約50、60、100、200、300、400、450又はそれを超えるアミノ酸の天然に存在するHPV L1タンパク質の断片に対して)少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、97%、98%、99%、又は99.5%の配列同一性のアミノ酸配列を有するペプチドを指す。したがって、HPV L1タンパク質の免疫原性断片は、少なくとも50アミノ酸の、天然に存在するHPV L1タンパク質の断片であってもよく、1つ以上のアミノ酸置換、欠失又は付加を含んでもよい。HPV L1タンパク質免疫原性断片のいずれも、必要な場合、最初のメチオニン残基をさらに含んでもよい。
【0049】
一実施形態では、1つ以上のHPV抗原は、VLPを形成する。「ウイルス様粒子」(VLP)は、ウイルスを模倣するが、ウイルスの遺伝物質を含まない、構造キャプシドタンパク質の自己集合体である。したがって、VLPは、感染性ではない。好適には、1つ以上のHPV抗原は、HPV L1、L2、キメラL1及び/又はキメラL1/L2タンパク質、又はそれらの免疫原性断片を含むVLPを形成する。好ましい実施形態では、1つ以上のHPV抗原は、HPV L1タンパク質又はその免疫原性断片からなるVLPを形成する。
【0050】
HPV VPL、及びVLPの産生方法は、当技術分野で周知である。VLPは、典型的には、ウイルスのHPV L1タンパク質から組換えによって産生され、L2タンパク質も含むことができる。VLPについて、例えば、WO9420137、US5985610、WO9611272、EP595935を参照。HPV VLP、特にL1 VLPに好適な発現系としては、限定するものではないが、任意の原核生物及び/又は真核生物系、例えば、バキュロウイルス、アデノウイルス、SV40、大腸菌、CHO細胞、ワクシニアウイルス、昆虫ウイルス、酵母、バクテリオファージウイルス又は改変ウイルス、アグロバクテリア、DNAプラスミド、ベクターなどが挙げられる。L1コード配列の発現のための宿主細胞は、使用される発現系に依存する。好適な宿主細胞の例としては、限定するものではないが、細菌(例えば、大腸菌)、微生物、例えば、酵母(例えば、サッカロミセス・セレビシエ)、哺乳動物細胞(真核細胞)及び昆虫細胞が挙げられる。大腸菌でHPV VLPを産生する方法は、中国特許第ZL200610140613.0号及びPan H, et al., 201715、Gu, Y. et al., 201716、Wang D., et al., 201717及びWei M. et al. 201818に開示される。バキュロウイルス発現系を使用する場合、昆虫細胞、例えば、Sf-9又はSf-21が好ましい。HPV VLPはまた、組換えアグロバクテリウム構築物を使用して、タバコ植物などの植物で産生することができる(例えば、Naupu, P. N. et al, 202012を参照)。
【0051】
一実施形態では、HPV L1 VLPは、大腸菌、酵母細胞で又はバキュロウイルス発現系で産生される。好ましい実施形態では、HPV L1 VLPは、大腸菌で産生される。
【0052】
一実施形態では、1つ以上のHPV抗原は、少なくとも2個、例えば少なくとも3個、少なくとも4個、少なくとも5個、少なくとも6個、少なくとも7個、少なくとも8個、少なくとも9個のHPV抗原を含む。
【0053】
好ましい実施形態では、1つ以上のHPV抗原は、少なくとも9個のHPV抗原を含む。
【0054】
一実施形態では、1つ以上のHPV抗原は、HPV6、11、16、18、26、31、33、35、39、45、51、52、53、56、58、59、67、68、70、73及び82型から選択されるHPV型に由来する。
【0055】
一実施形態では、1つ以上のHPV抗原は、HPV6、11、16、18、31、33、35、39、45、52、58及び59型から選択されるHPV型に由来する。
【0056】
好ましい実施形態では、1つ以上のHPV抗原は、HPV6、11、16、18、31、33、45、52及び58型から選択されるHPV型に由来する。
【0057】
一実施形態では、1つ以上のHPV抗原は、HPV16及び18型に由来するHPV抗原を含む。
【0058】
一実施形態では、1つ以上のHPV抗原は、HPV6、11、16、及び18型に由来するHPV抗原を含む。
【0059】
好ましい実施形態では、1つ以上のHPV抗原は、HPV6、11、16、18、31、33、45、52及び58型に由来するHPV抗原を含む又はそれらからなる。
【0060】
一実施形態では、1つ以上のHPV抗原は、HPV6、11、16、18、31、33、45、52及び58型に由来するHPV抗原、及び任意選択でHPV35、39及び/又は59型に由来するHPV抗原を含む。
【0061】
一実施形態では、1つ以上のHPV抗原は、HPV16及び18型に由来するL1 VLPを含む。
【0062】
一実施形態では、1つ以上のHPV抗原は、HPV6、11、16、及び18型に由来するL1 VLPを含む。
【0063】
一実施形態では、1つ以上のHPV抗原は、HPV6、11、16、18、31、33、45、52及び58型のL1 VLPに由来する、及び任意選択でHPV35、39及び/又は59型に由来するL1 VLPを含む。
【0064】
一実施形態では、1つ以上のHPV抗原は、配列番号1と少なくとも80%同一である、好適には配列番号1と少なくとも90%、少なくとも95%、99%又は100%同一であるアミノ酸配列を含む又はそれからなるHPV 6 L1タンパク質を含む。
【0065】
HPV 6 L1タンパク質の配列は、対応する天然に存在するHPV 6 L1タンパク質と比較して、C末端又はN末端で切断されていてもよい。好適には、HPV 6 L1タンパク質は、対応する天然に存在するHPV 6 L1タンパク質と比較して、50アミノ酸以下、例えば40アミノ酸以下、30アミノ酸以下、20アミノ酸以下、15アミノ酸以下、10アミノ酸以下、5アミノ酸以下のC末端切断又はN末端切断を含む。一実施形態では、HPV 6 L1タンパク質は、配列番号1又はそのバリアントと比較して、50アミノ酸以下、例えば40アミノ酸以下、30アミノ酸以下、20アミノ酸以下、15アミノ酸以下、10アミノ酸以下、5アミノ酸以下のC末端切断を含む。一実施形態では、HPV 6 L1タンパク質は、配列番号1又はそのバリアントと比較して、50アミノ酸以下、例えば40アミノ酸以下、30アミノ酸以下、20アミノ酸以下、15アミノ酸以下、10アミノ酸以下、5アミノ酸以下のN末端切断を含む。
【0066】
好ましい実施形態では、1つ以上のHPV抗原は、配列番号2のアミノ酸配列又はそのバリアントを含む又はそれからなるHPV 6 L1タンパク質を含む。
【0067】
一実施形態では、1つ以上のHPV抗原は、配列番号19のアミノ酸配列又はそのバリアントを含む又はそれからなるHPV 6 L1タンパク質を含む。
【0068】
一実施形態では、1つ以上のHPV抗原は、配列番号3と少なくとも80%同一である、好適には配列番号3と少なくとも90%、少なくとも95%、99%又は100%同一であるアミノ酸配列を含む又はそれからなるHPV 11 L1タンパク質を含む。
【0069】
HPV 11 L1タンパク質の配列は、対応する天然に存在するHPV 11 L1タンパク質と比較して、C末端又はN末端で切断されていてもよい。好適には、HPV 11 L1タンパク質は、対応する天然に存在するHPV 11 L1タンパク質と比較して、50アミノ酸以下、例えば40アミノ酸以下、30アミノ酸以下、20アミノ酸以下、15アミノ酸以下、10アミノ酸以下、5アミノ酸以下のC末端切断又はN末端切断を含む。一実施形態では、HPV 11 L1タンパク質は、配列番号3又はそのバリアントと比較して、50アミノ酸以下、例えば40アミノ酸以下、30アミノ酸以下、20アミノ酸以下、15アミノ酸以下、10アミノ酸以下、5アミノ酸以下のC末端切断を含む。一実施形態では、HPV 11 L1タンパク質は、配列番号3又はそのバリアントと比較して、50アミノ酸以下、例えば40アミノ酸以下、30アミノ酸以下、20アミノ酸以下、15アミノ酸以下、10アミノ酸以下、5アミノ酸以下のN末端切断を含む。
【0070】
好ましい実施形態では、1つ以上のHPV抗原は、配列番号4のアミノ酸配列又はそのバリアントを含む又はそれからなるHPV 11 L1タンパク質を含む。
【0071】
一実施形態では、1つ以上のHPV抗原は、配列番号20のアミノ酸配列又はそのバリアントを含む又はそれからなるHPV 11 L1タンパク質を含む。
【0072】
一実施形態では、1つ以上のHPV抗原は、配列番号5と少なくとも80%同一である、好適には配列番号5と少なくとも90%、少なくとも95%、99%又は100%同一であるアミノ酸配列を含む又はそれからなるHPV 16 L1タンパク質を含む。
【0073】
HPV 16 L1タンパク質の配列は、対応する天然に存在するHPV 16 L1タンパク質と比較して、C末端又はN末端で切断されていてもよい。好適には、HPV 16 L1タンパク質は、対応する天然に存在するHPV 16 L1タンパク質と比較して、50アミノ酸以下、例えば40アミノ酸以下、30アミノ酸以下、20アミノ酸以下、15アミノ酸以下、10アミノ酸以下、5アミノ酸以下のC末端切断又はN末端切断を含む。一実施形態では、HPV 16 L1タンパク質は、配列番号5又はそのバリアントと比較して、50アミノ酸以下、例えば40アミノ酸以下、30アミノ酸以下、20アミノ酸以下、15アミノ酸以下、10アミノ酸以下、5アミノ酸以下のC末端切断を含む。一実施形態では、HPV 16 L1タンパク質は、配列番号5又はそのバリアントと比較して、50アミノ酸以下、例えば40アミノ酸以下、30アミノ酸以下、20アミノ酸以下、15アミノ酸以下、10アミノ酸以下、5アミノ酸以下のN末端切断を含む。
【0074】
好ましい実施形態では、1つ以上のHPV抗原は、配列番号6のアミノ酸配列又はそのバリアントを含む又はそれからなるHPV 16 L1タンパク質を含む。
【0075】
一実施形態では、1つ以上のHPV抗原は、配列番号21のアミノ酸配列又はそのバリアントを含む又はそれからなるHPV 16 L1タンパク質を含む。
【0076】
一実施形態では、1つ以上のHPV抗原は、配列番号28のアミノ酸配列又はそのバリアントを含む又はそれからなるHPV 16 L1タンパク質を含む。
【0077】
一実施形態では、1つ以上のHPV抗原は、配列番号7と少なくとも80%同一である、好適には配列番号7と少なくとも90%、少なくとも95%、99%又は100%同一であるアミノ酸配列を含む又はそれからなるHPV 18 L1タンパク質を含む。
【0078】
HPV 18 L1タンパク質の配列は、対応する天然に存在するHPV 18 L1タンパク質と比較して、C末端又はN末端で切断されていてもよい。好適には、HPV 18 L1タンパク質は、対応する天然に存在するHPV 18 L1タンパク質と比較して、50アミノ酸以下、例えば40アミノ酸以下、30アミノ酸以下、20アミノ酸以下、15アミノ酸以下、10アミノ酸以下、5アミノ酸以下のC末端切断又はN末端切断を含む。一実施形態では、HPV 18 L1タンパク質は、配列番号7又はそのバリアントと比較して、50アミノ酸以下、例えば40アミノ酸以下、30アミノ酸以下、20アミノ酸以下、15アミノ酸以下、10アミノ酸以下、5アミノ酸以下のC末端切断を含む。一実施形態では、HPV 18 L1タンパク質は、配列番号7又はそのバリアントと比較して、50アミノ酸以下、例えば40アミノ酸以下、30アミノ酸以下、20アミノ酸以下、15アミノ酸以下、10アミノ酸以下、5アミノ酸以下のN末端切断を含む。
【0079】
好ましい実施形態では、1つ以上のHPV抗原は、配列番号8のアミノ酸配列又はそのバリアントを含む又はそれからなるHPV 18 L1タンパク質を含む。
【0080】
一実施形態では、1つ以上のHPV抗原は、配列番号22のアミノ酸配列又はそのバリアントを含む又はそれからなるHPV 18 L1タンパク質を含む。
【0081】
一実施形態では、1つ以上のHPV抗原は、配列番号29のアミノ酸配列又はそのバリアントを含む又はそれからなるHPV 18 L1タンパク質を含む。
【0082】
一実施形態では、1つ以上のHPV抗原は、配列番号9と少なくとも80%同一である、好適には配列番号9と少なくとも90%、少なくとも95%、99%又は100%同一であるアミノ酸配列を含む又はそれからなるHPV 31 L1タンパク質を含む。
【0083】
HPV 31 L1タンパク質の配列は、対応する天然に存在するHPV 31 L1タンパク質と比較して、C末端又はN末端で切断されていてもよい。好適には、HPV 31 L1タンパク質は、対応する天然に存在するHPV 31 L1タンパク質と比較して、50アミノ酸以下、例えば40アミノ酸以下、30アミノ酸以下、20アミノ酸以下、15アミノ酸以下、10アミノ酸以下、5アミノ酸以下のC末端切断又はN末端切断を含む。一実施形態では、HPV 31 L1タンパク質は、配列番号9又はそのバリアントと比較して、50アミノ酸以下、例えば40アミノ酸以下、30アミノ酸以下、20アミノ酸以下、15アミノ酸以下、10アミノ酸以下、5アミノ酸以下のC末端切断を含む。一実施形態では、HPV 31 L1タンパク質は、配列番号9又はそのバリアントと比較して、50アミノ酸以下、例えば40アミノ酸以下、30アミノ酸以下、20アミノ酸以下、15アミノ酸以下、10アミノ酸以下、5アミノ酸以下のN末端切断を含む。
【0084】
好ましい実施形態では、1つ以上のHPV抗原は、配列番号10のアミノ酸配列又はそのバリアントを含む又はそれからなるHPV 31 L1タンパク質を含む。
【0085】
一実施形態では、1つ以上のHPV抗原は、配列番号23のアミノ酸配列又はそのバリアントを含む又はそれからなるHPV 31 L1タンパク質を含む。
【0086】
一実施形態では、1つ以上のHPV抗原は、配列番号11と少なくとも80%同一である、好適には配列番号11と少なくとも90%、少なくとも95%、99%又は100%同一であるアミノ酸配列を含む又はそれからなるHPV 33 L1タンパク質を含む。
【0087】
HPV 33 L1タンパク質の配列は、対応する天然に存在するHPV 33 L1タンパク質と比較して、C末端又はN末端で切断されていてもよい。好適には、HPV 33 L1タンパク質は、対応する天然に存在するHPV 33 L1タンパク質と比較して、50アミノ酸以下、例えば40アミノ酸以下、30アミノ酸以下、20アミノ酸以下、15アミノ酸以下、10アミノ酸以下、5アミノ酸以下のC末端切断又はN末端切断を含む。一実施形態では、HPV 33 L1タンパク質は、配列番号11又はそのバリアントと比較して、50アミノ酸以下、例えば40アミノ酸以下、30アミノ酸以下、20アミノ酸以下、15アミノ酸以下、10アミノ酸以下、5アミノ酸以下のC末端切断を含む。一実施形態では、HPV 33 L1タンパク質は、配列番号11又はそのバリアントと比較して、50アミノ酸以下、例えば40アミノ酸以下、30アミノ酸以下、20アミノ酸以下、15アミノ酸以下、10アミノ酸以下、5アミノ酸以下のN末端切断を含む。
【0088】
好ましい実施形態では、1つ以上のHPV抗原は、配列番号12のアミノ酸配列又はそのバリアントを含む又はそれからなるHPV 33 L1タンパク質を含む。
【0089】
一実施形態では、1つ以上のHPV抗原は、配列番号24のアミノ酸配列又はそのバリアントを含む又はそれからなるHPV 33 L1タンパク質を含む。
【0090】
一実施形態では、1つ以上のHPV抗原は、配列番号13と少なくとも80%同一である、好適には配列番号13と少なくとも90%、少なくとも95%、99%又は100%同一であるアミノ酸配列を含む又はそれからなるHPV 45 L1タンパク質を含む。
【0091】
HPV 45 L1タンパク質の配列は、対応する天然に存在するHPV 45 L1タンパク質と比較して、C末端又はN末端で切断されていてもよい。好適には、HPV 45 L1タンパク質は、対応する天然に存在するHPV 45 L1タンパク質と比較して、50アミノ酸以下、例えば40アミノ酸以下、30アミノ酸以下、20アミノ酸以下、15アミノ酸以下、10アミノ酸以下、5アミノ酸以下のC末端切断又はN末端切断を含む。一実施形態では、HPV 45 L1タンパク質は、配列番号13又はそのバリアントと比較して、50アミノ酸以下、例えば40アミノ酸以下、30アミノ酸以下、20アミノ酸以下、15アミノ酸以下、10アミノ酸以下、5アミノ酸以下のC末端切断を含む。一実施形態では、HPV 45 L1タンパク質は、配列番号13又はそのバリアントと比較して、50アミノ酸以下、例えば40アミノ酸以下、30アミノ酸以下、20アミノ酸以下、15アミノ酸以下、10アミノ酸以下、5アミノ酸以下のN末端切断を含む。
【0092】
好ましい実施形態では、1つ以上のHPV抗原は、配列番号14のアミノ酸配列又はそのバリアントを含む又はそれからなるHPV 45 L1タンパク質を含む。
【0093】
一実施形態では、1つ以上のHPV抗原は、配列番号25のアミノ酸配列又はそのバリアントを含む又はそれからなるHPV 45 L1タンパク質を含む。
【0094】
一実施形態では、1つ以上のHPV抗原は、配列番号15と少なくとも80%同一である、好適には配列番号15と少なくとも90%、少なくとも95%、99%又は100%同一であるアミノ酸配列を含む又はそれからなるHPV 52 L1タンパク質を含む。
【0095】
HPV 52 L1タンパク質の配列は、対応する天然に存在するHPV 52 L1タンパク質と比較して、C末端又はN末端で切断されていてもよい。好適には、HPV 52 L1タンパク質は、対応する天然に存在するHPV 52 L1タンパク質と比較して、50アミノ酸以下、例えば40アミノ酸以下、30アミノ酸以下、20アミノ酸以下、15アミノ酸以下、10アミノ酸以下、5アミノ酸以下のC末端切断又はN末端切断を含む。一実施形態では、HPV 52 L1タンパク質は、配列番号15又はそのバリアントと比較して、50アミノ酸以下、例えば40アミノ酸以下、30アミノ酸以下、20アミノ酸以下、15アミノ酸以下、10アミノ酸以下、5アミノ酸以下のC末端切断を含む。一実施形態では、HPV 52 L1タンパク質は、配列番号15又はそのバリアントと比較して、50アミノ酸以下、例えば40アミノ酸以下、30アミノ酸以下、20アミノ酸以下、15アミノ酸以下、10アミノ酸以下、5アミノ酸以下のN末端切断を含む。
【0096】
好ましい実施形態では、1つ以上のHPV抗原は、配列番号16のアミノ酸配列又はそのバリアントを含む又はそれからなるHPV 52 L1タンパク質を含む。
【0097】
一実施形態では、1つ以上のHPV抗原は、配列番号26のアミノ酸配列又はそのバリアントを含む又はそれからなるHPV 52 L1タンパク質を含む。
【0098】
一実施形態では、1つ以上のHPV抗原は、配列番号17と少なくとも80%同一である、好適には配列番号17と少なくとも90%、少なくとも95%、99%又は100%同一であるアミノ酸配列を含む又はそれからなるHPV 58 L1タンパク質を含む。
【0099】
HPV 58 L1タンパク質の配列は、対応する天然に存在するHPV 58 L1タンパク質と比較して、C末端又はN末端で切断されていてもよい。好適には、HPV 58 L1タンパク質は、対応する天然に存在するHPV 58 L1タンパク質と比較して、50アミノ酸以下、例えば40アミノ酸以下、30アミノ酸以下、20アミノ酸以下、15アミノ酸以下、10アミノ酸以下、5アミノ酸以下のC末端切断又はN末端切断を含む。一実施形態では、HPV 58 L1タンパク質は、配列番号17又はそのバリアントと比較して、50アミノ酸以下、例えば40アミノ酸以下、30アミノ酸以下、20アミノ酸以下、15アミノ酸以下、10アミノ酸以下、5アミノ酸以下のC末端切断を含む。一実施形態では、HPV 58 L1タンパク質は、配列番号17又はそのバリアントと比較して、50アミノ酸以下、例えば40アミノ酸以下、30アミノ酸以下、20アミノ酸以下、15アミノ酸以下、10アミノ酸以下、5アミノ酸以下のN末端切断を含む。
【0100】
好ましい実施形態では、1つ以上のHPV抗原は、配列番号18のアミノ酸配列又はそのバリアントを含む又はそれからなるHPV 58 L1タンパク質を含む。
【0101】
一実施形態では、1つ以上のHPV抗原は、配列番号27のアミノ酸配列又はそのバリアントを含む又はそれからなるHPV 58 L1タンパク質を含む。
【0102】
一実施形態では、1つ以上のHPV抗原は、配列番号31と少なくとも80%同一である、好適には配列番号31と少なくとも90%、少なくとも95%、99%又は100%同一であるアミノ酸配列を含む又はそれからなるHPV 35 L1タンパク質を含む。
【0103】
HPV 35 L1タンパク質の配列は、対応する天然に存在するHPV 35 L1タンパク質と比較して、C末端又はN末端で切断されていてもよい。好適には、HPV 35 L1タンパク質は、対応する天然に存在するHPV 35 L1タンパク質と比較して、50アミノ酸以下、例えば40アミノ酸以下、30アミノ酸以下、20アミノ酸以下、15アミノ酸以下、10アミノ酸以下、5アミノ酸以下のC末端切断又はN末端切断を含む。一実施形態では、HPV 35 L1タンパク質は、配列番号31又はそのバリアントと比較して、50アミノ酸以下、例えば40アミノ酸以下、30アミノ酸以下、20アミノ酸以下、15アミノ酸以下、10アミノ酸以下、5アミノ酸以下のC末端切断を含む。一実施形態では、HPV 35 L1タンパク質は、配列番号31又はそのバリアントと比較して、50アミノ酸以下、例えば40アミノ酸以下、30アミノ酸以下、20アミノ酸以下、15アミノ酸以下、10アミノ酸以下、5アミノ酸以下のN末端切断を含む。
【0104】
一実施形態では、1つ以上のHPV抗原は、配列番号32と少なくとも80%同一である、好適には配列番号32と少なくとも90%、少なくとも95%、99%又は100%同一であるアミノ酸配列を含む又はそれからなるHPV 39 L1タンパク質を含む。
【0105】
HPV 39 L1タンパク質の配列は、対応する天然に存在するHPV 39 L1タンパク質と比較して、C末端又はN末端で切断されていてもよい。好適には、HPV 39 L1タンパク質は、対応する天然に存在するHPV 39 L1タンパク質と比較して、50アミノ酸以下、例えば40アミノ酸以下、30アミノ酸以下、20アミノ酸以下、15アミノ酸以下、10アミノ酸以下、5アミノ酸以下のC末端切断又はN末端切断を含む。一実施形態では、HPV 39 L1タンパク質は、配列番号32又はそのバリアントと比較して、50アミノ酸以下、例えば40アミノ酸以下、30アミノ酸以下、20アミノ酸以下、15アミノ酸以下、10アミノ酸以下、5アミノ酸以下のC末端切断を含む。一実施形態では、HPV 39 L1タンパク質は、配列番号32又はそのバリアントと比較して、50アミノ酸以下、例えば40アミノ酸以下、30アミノ酸以下、20アミノ酸以下、15アミノ酸以下、10アミノ酸以下、5アミノ酸以下のN末端切断を含む。
【0106】
一実施形態では、1つ以上のHPV抗原は、配列番号36と少なくとも80%同一である、好適には配列番号36と少なくとも90%、少なくとも95%、99%又は100%同一であるアミノ酸配列を含む又はそれからなるHPV 59 L1タンパク質を含む。
【0107】
HPV 59 L1タンパク質の配列は、対応する天然に存在するHPV 59 L1タンパク質と比較して、C末端又はN末端で切断されていてもよい。好適には、HPV 59 L1タンパク質は、対応する天然に存在するHPV 59 L1タンパク質と比較して、50アミノ酸以下、例えば40アミノ酸以下、30アミノ酸以下、20アミノ酸以下、15アミノ酸以下、10アミノ酸以下、5アミノ酸以下のC末端切断又はN末端切断を含む。一実施形態では、HPV 59 L1タンパク質は、配列番号36又はそのバリアントと比較して、50アミノ酸以下、例えば40アミノ酸以下、30アミノ酸以下、20アミノ酸以下、15アミノ酸以下、10アミノ酸以下、5アミノ酸以下のC末端切断を含む。一実施形態では、HPV 59 L1タンパク質は、配列番号36又はそのバリアントと比較して、50アミノ酸以下、例えば40アミノ酸以下、30アミノ酸以下、20アミノ酸以下、15アミノ酸以下、10アミノ酸以下、5アミノ酸以下のN末端切断を含む。
【0108】
一実施形態では、1つ以上のHPV抗原は、配列番号30と少なくとも80%同一である、好適には配列番号30と少なくとも90%、少なくとも95%、99%又は100%同一であるアミノ酸配列を含む又はそれからなるHPV 26 L1タンパク質を含む。
【0109】
HPV 26 L1タンパク質の配列は、対応する天然に存在するHPV 26 L1タンパク質と比較して、C末端又はN末端で切断されていてもよい。好適には、HPV 26 L1タンパク質は、対応する天然に存在するHPV 26 L1タンパク質と比較して、50アミノ酸以下、例えば40アミノ酸以下、30アミノ酸以下、20アミノ酸以下、15アミノ酸以下、10アミノ酸以下、5アミノ酸以下のC末端切断又はN末端切断を含む。一実施形態では、HPV 26 L1タンパク質は、配列番号30又はそのバリアントと比較して、50アミノ酸以下、例えば40アミノ酸以下、30アミノ酸以下、20アミノ酸以下、15アミノ酸以下、10アミノ酸以下、5アミノ酸以下のC末端切断を含む。一実施形態では、HPV 26 L1タンパク質は、配列番号30又はそのバリアントと比較して、50アミノ酸以下、例えば40アミノ酸以下、30アミノ酸以下、20アミノ酸以下、15アミノ酸以下、10アミノ酸以下、5アミノ酸以下のN末端切断を含む。
【0110】
一実施形態では、1つ以上のHPV抗原は、配列番号32と少なくとも80%同一である、好適には配列番号32と少なくとも90%、少なくとも95%、99%又は100%同一であるアミノ酸配列を含む又はそれからなるHPV 39 L1タンパク質を含む。
【0111】
HPV 39 L1タンパク質の配列は、対応する天然に存在するHPV 39 L1タンパク質と比較して、C末端又はN末端で切断されていてもよい。好適には、HPV 39 L1タンパク質は、対応する天然に存在するHPV 39 L1タンパク質と比較して、50アミノ酸以下、例えば40アミノ酸以下、30アミノ酸以下、20アミノ酸以下、15アミノ酸以下、10アミノ酸以下、5アミノ酸以下のC末端切断又はN末端切断を含む。一実施形態では、HPV 39 L1タンパク質は、配列番号32又はそのバリアントと比較して、50アミノ酸以下、例えば40アミノ酸以下、30アミノ酸以下、20アミノ酸以下、15アミノ酸以下、10アミノ酸以下、5アミノ酸以下のC末端切断を含む。一実施形態では、HPV 39 L1タンパク質は、配列番号32又はそのバリアントと比較して、50アミノ酸以下、例えば40アミノ酸以下、30アミノ酸以下、20アミノ酸以下、15アミノ酸以下、10アミノ酸以下、5アミノ酸以下のN末端切断を含む。
【0112】
一実施形態では、1つ以上のHPV抗原は、配列番号33と少なくとも80%同一である、好適には配列番号33と少なくとも90%、少なくとも95%、99%又は100%同一であるアミノ酸配列を含む又はそれからなるHPV 51 L1タンパク質を含む。
【0113】
HPV 51 L1タンパク質の配列は、対応する天然に存在するHPV 51 L1タンパク質と比較して、C末端又はN末端で切断されていてもよい。好適には、HPV 51 L1タンパク質は、対応する天然に存在するHPV 51 L1タンパク質と比較して、50アミノ酸以下、例えば40アミノ酸以下、30アミノ酸以下、20アミノ酸以下、15アミノ酸以下、10アミノ酸以下、5アミノ酸以下のC末端切断又はN末端切断を含む。一実施形態では、HPV 51 L1タンパク質は、配列番号33又はそのバリアントと比較して、50アミノ酸以下、例えば40アミノ酸以下、30アミノ酸以下、20アミノ酸以下、15アミノ酸以下、10アミノ酸以下、5アミノ酸以下のC末端切断を含む。一実施形態では、HPV 51 L1タンパク質は、配列番号33又はそのバリアントと比較して、50アミノ酸以下、例えば40アミノ酸以下、30アミノ酸以下、20アミノ酸以下、15アミノ酸以下、10アミノ酸以下、5アミノ酸以下のN末端切断を含む。
【0114】
一実施形態では、1つ以上のHPV抗原は、配列番号34と少なくとも80%同一である、好適には配列番号34と少なくとも90%、少なくとも95%、99%又は100%同一であるアミノ酸配列を含む又はそれからなるHPV 53 L1タンパク質を含む。
【0115】
HPV 53 L1タンパク質の配列は、対応する天然に存在するHPV 53 L1タンパク質と比較して、C末端又はN末端で切断されていてもよい。好適には、HPV 53 L1タンパク質は、対応する天然に存在するHPV 53 L1タンパク質と比較して、50アミノ酸以下、例えば40アミノ酸以下、30アミノ酸以下、20アミノ酸以下、15アミノ酸以下、10アミノ酸以下、5アミノ酸以下のC末端切断又はN末端切断を含む。一実施形態では、HPV 53 L1タンパク質は、配列番号34又はそのバリアントと比較して、50アミノ酸以下、例えば40アミノ酸以下、30アミノ酸以下、20アミノ酸以下、15アミノ酸以下、10アミノ酸以下、5アミノ酸以下のC末端切断を含む。一実施形態では、HPV 53 L1タンパク質は、配列番号34又はそのバリアントと比較して、50アミノ酸以下、例えば40アミノ酸以下、30アミノ酸以下、20アミノ酸以下、15アミノ酸以下、10アミノ酸以下、5アミノ酸以下のN末端切断を含む。
【0116】
一実施形態では、1つ以上のHPV抗原は、配列番号35と少なくとも80%同一である、好適には配列番号35と少なくとも90%、少なくとも95%、99%又は100%同一であるアミノ酸配列を含む又はそれからなるHPV 56 L1タンパク質を含む。
【0117】
HPV 56 L1タンパク質の配列は、対応する天然に存在するHPV 56 L1タンパク質と比較して、C末端又はN末端で切断されていてもよい。好適には、HPV 56 L1タンパク質は、対応する天然に存在するHPV 56 L1タンパク質と比較して、50アミノ酸以下、例えば40アミノ酸以下、30アミノ酸以下、20アミノ酸以下、15アミノ酸以下、10アミノ酸以下、5アミノ酸以下のC末端切断又はN末端切断を含む。一実施形態では、HPV 56 L1タンパク質は、配列番号35又はそのバリアントと比較して、50アミノ酸以下、例えば40アミノ酸以下、30アミノ酸以下、20アミノ酸以下、15アミノ酸以下、10アミノ酸以下、5アミノ酸以下のC末端切断を含む。一実施形態では、HPV 56 L1タンパク質は、配列番号35又はそのバリアントと比較して、50アミノ酸以下、例えば40アミノ酸以下、30アミノ酸以下、20アミノ酸以下、15アミノ酸以下、10アミノ酸以下、5アミノ酸以下のN末端切断を含む。
【0118】
一実施形態では、1つ以上のHPV抗原は、配列番号37と少なくとも80%同一である、好適には配列番号37と少なくとも90%、少なくとも95%、99%又は100%同一であるアミノ酸配列を含む又はそれからなるHPV 66 L1タンパク質を含む。
【0119】
HPV 66 L1タンパク質の配列は、対応する天然に存在するHPV 66 L1タンパク質と比較して、C末端又はN末端で切断されていてもよい。好適には、HPV 66 L1タンパク質は、対応する天然に存在するHPV 66 L1タンパク質と比較して、50アミノ酸以下、例えば40アミノ酸以下、30アミノ酸以下、20アミノ酸以下、15アミノ酸以下、10アミノ酸以下、5アミノ酸以下のC末端切断又はN末端切断を含む。一実施形態では、HPV 66 L1タンパク質は、配列番号37又はそのバリアントと比較して、50アミノ酸以下、例えば40アミノ酸以下、30アミノ酸以下、20アミノ酸以下、15アミノ酸以下、10アミノ酸以下、5アミノ酸以下のC末端切断を含む。一実施形態では、HPV 66 L1タンパク質は、配列番号37又はそのバリアントと比較して、50アミノ酸以下、例えば40アミノ酸以下、30アミノ酸以下、20アミノ酸以下、15アミノ酸以下、10アミノ酸以下、5アミノ酸以下のN末端切断を含む。
【0120】
一実施形態では、1つ以上のHPV抗原は、配列番号38と少なくとも80%同一である、好適には配列番号38と少なくとも90%、少なくとも95%、99%又は100%同一であるアミノ酸配列を含む又はそれからなるHPV 67 L1タンパク質を含む。
【0121】
HPV 67 L1タンパク質の配列は、対応する天然に存在するHPV 67 L1タンパク質と比較して、C末端又はN末端で切断されていてもよい。好適には、HPV 67 L1タンパク質は、対応する天然に存在するHPV 67 L1タンパク質と比較して、50アミノ酸以下、例えば40アミノ酸以下、30アミノ酸以下、20アミノ酸以下、15アミノ酸以下、10アミノ酸以下、5アミノ酸以下のC末端切断又はN末端切断を含む。一実施形態では、HPV 67 L1タンパク質は、配列番号38又はそのバリアントと比較して、50アミノ酸以下、例えば40アミノ酸以下、30アミノ酸以下、20アミノ酸以下、15アミノ酸以下、10アミノ酸以下、5アミノ酸以下のC末端切断を含む。一実施形態では、HPV 67 L1タンパク質は、配列番号38又はそのバリアントと比較して、50アミノ酸以下、例えば40アミノ酸以下、30アミノ酸以下、20アミノ酸以下、15アミノ酸以下、10アミノ酸以下、5アミノ酸以下のN末端切断を含む。
【0122】
一実施形態では、1つ以上のHPV抗原は、配列番号39と少なくとも80%同一である、好適には配列番号39と少なくとも90%、少なくとも95%、99%又は100%同一であるアミノ酸配列を含む又はそれからなるHPV 68 L1タンパク質を含む。
【0123】
HPV 68 L1タンパク質の配列は、対応する天然に存在するHPV 68 L1タンパク質と比較して、C末端又はN末端で切断されていてもよい。好適には、HPV 68 L1タンパク質は、対応する天然に存在するHPV 68 L1タンパク質と比較して、50アミノ酸以下、例えば40アミノ酸以下、30アミノ酸以下、20アミノ酸以下、15アミノ酸以下、10アミノ酸以下、5アミノ酸以下のC末端切断又はN末端切断を含む。一実施形態では、HPV 68 L1タンパク質は、配列番号39又はそのバリアントと比較して、50アミノ酸以下、例えば40アミノ酸以下、30アミノ酸以下、20アミノ酸以下、15アミノ酸以下、10アミノ酸以下、5アミノ酸以下のC末端切断を含む。一実施形態では、HPV 68 L1タンパク質は、配列番号39又はそのバリアントと比較して、50アミノ酸以下、例えば40アミノ酸以下、30アミノ酸以下、20アミノ酸以下、15アミノ酸以下、10アミノ酸以下、5アミノ酸以下のN末端切断を含む。
【0124】
一実施形態では、1つ以上のHPV抗原は、配列番号40と少なくとも80%同一である、好適には配列番号40と少なくとも90%、少なくとも95%、99%又は100%同一であるアミノ酸配列を含む又はそれからなるHPV 70 L1タンパク質を含む。
【0125】
HPV 70 L1タンパク質の配列は、対応する天然に存在するHPV 70 L1タンパク質と比較して、C末端又はN末端で切断されていてもよい。好適には、HPV 70 L1タンパク質は、対応する天然に存在するHPV 70 L1タンパク質と比較して、50アミノ酸以下、例えば40アミノ酸以下、30アミノ酸以下、20アミノ酸以下、15アミノ酸以下、10アミノ酸以下、5アミノ酸以下のC末端切断又はN末端切断を含む。一実施形態では、HPV 70 L1タンパク質は、配列番号40又はそのバリアントと比較して、50アミノ酸以下、例えば40アミノ酸以下、30アミノ酸以下、20アミノ酸以下、15アミノ酸以下、10アミノ酸以下、5アミノ酸以下のC末端切断を含む。一実施形態では、HPV 70 L1タンパク質は、配列番号40又はそのバリアントと比較して、50アミノ酸以下、例えば40アミノ酸以下、30アミノ酸以下、20アミノ酸以下、15アミノ酸以下、10アミノ酸以下、5アミノ酸以下のN末端切断を含む。
【0126】
一実施形態では、1つ以上のHPV抗原は、配列番号41と少なくとも80%同一である、好適には配列番号41と少なくとも90%、少なくとも95%、99%又は100%同一であるアミノ酸配列を含む又はそれからなるHPV 73 L1タンパク質を含む。
【0127】
HPV 73 L1タンパク質の配列は、対応する天然に存在するHPV 73 L1タンパク質と比較して、C末端又はN末端で切断されていてもよい。好適には、HPV 73 L1タンパク質は、対応する天然に存在するHPV 73 L1タンパク質と比較して、50アミノ酸以下、例えば40アミノ酸以下、30アミノ酸以下、20アミノ酸以下、15アミノ酸以下、10アミノ酸以下、5アミノ酸以下のC末端切断又はN末端切断を含む。一実施形態では、HPV 73 L1タンパク質は、配列番号41又はそのバリアントと比較して、50アミノ酸以下、例えば40アミノ酸以下、30アミノ酸以下、20アミノ酸以下、15アミノ酸以下、10アミノ酸以下、5アミノ酸以下のC末端切断を含む。一実施形態では、HPV 73 L1タンパク質は、配列番号41又はそのバリアントと比較して、50アミノ酸以下、例えば40アミノ酸以下、30アミノ酸以下、20アミノ酸以下、15アミノ酸以下、10アミノ酸以下、5アミノ酸以下のN末端切断を含む。
【0128】
一実施形態では、1つ以上のHPV抗原は、配列番号42と少なくとも80%同一である、好適には配列番号42と少なくとも90%、少なくとも95%、99%又は100%同一であるアミノ酸配列を含む又はそれからなるHPV 82 L1タンパク質を含む。
【0129】
HPV 82 L1タンパク質の配列は、対応する天然に存在するHPV 82 L1タンパク質と比較して、C末端又はN末端で切断されていてもよい。好適には、HPV 82 L1タンパク質は、対応する天然に存在するHPV 82 L1タンパク質と比較して、50アミノ酸以下、例えば40アミノ酸以下、30アミノ酸以下、20アミノ酸以下、15アミノ酸以下、10アミノ酸以下、5アミノ酸以下のC末端切断又はN末端切断を含む。一実施形態では、HPV 82 L1タンパク質は、配列番号42又はそのバリアントと比較して、50アミノ酸以下、例えば40アミノ酸以下、30アミノ酸以下、20アミノ酸以下、15アミノ酸以下、10アミノ酸以下、5アミノ酸以下のC末端切断を含む。一実施形態では、HPV 82 L1タンパク質は、配列番号42又はそのバリアントと比較して、50アミノ酸以下、例えば40アミノ酸以下、30アミノ酸以下、20アミノ酸以下、15アミノ酸以下、10アミノ酸以下、5アミノ酸以下のN末端切断を含む。
【0130】
本明細書で使用される場合、「バリアント」は、参照抗原配列とは配列において異なるが、参照抗原の少なくとも1つの本質的な特性を保持するタンパク質である。タンパク質バリアントの配列における変化は、限定的又は保存的であってよく、そのため、参照タンパク質及びバリアントの配列は、全体的に極めて類似しており、多くの領域で同一である。バリアント及び参照抗原は、任意の組み合わせにおける1つ以上の置換、付加又は欠失によってアミノ酸配列において異なり得る。抗原のバリアントは、アレルバリアントなど、天然に存在してもよく、又は天然に存在することが知られていないバリアントであってもよい。核酸及びポリペプチドの天然に存在しないバリアントは、突然変異生成技術又は直接合成によって作製されてもよい。好ましい実施形態では、バリアントによって保持される本質的な特性は、参照抗原によって誘導される免疫応答と同様の免疫応答、好適には液性応答又はT細胞応答を誘導する能力である。好適には、バリアントは、参照抗原によって誘導される免疫応答に対して、10分の1より低くない、より好適には5分の1より低くない、2分の1より低くない、又は低くない、マウスにおける液性応答又はT細胞応答を誘導する。好適には、HPV抗原バリアントは、参照抗原配列と少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%又は99.5%同一であるアミノ酸配列を有する。好適なHPV抗原バリアントは、末端切断、欠失、置換、又は挿入変異体を含む。好適なHPV L1バリアントは、末端切断型又は変異型L1タンパク質、例えば、核局在化シグナル及び/又はDNA結合パターンを除去する末端切断体、又は核局在化シグナル及び/又はDNA結合パターンを不活性化する変異体を含む。
【0131】
一実施形態では、1つ以上のHPV抗原は、好ましくは酸化水酸化アルミニウム(AlOOH)、リン酸アルミニウム(AlPO4)、アルミニウムヒドロキシホスフェート硫酸塩(AlHO9PS-3)、及びアルミニウムヒドロキシホスフェート(AlHO5P)から選択される、アルミニウム金属塩上に予め吸着されている。好ましい実施形態では、HPV抗原は、好ましくはAlOOH、AlPO4及びAlHO9PS-3から選択される、アルミニウム金属塩上に予め吸着されたHPV L1 VLPを含む。より好ましい実施形態では、HPV抗原は、HPV6、11、16、18、31、33、45、51及び58型に由来するL1 VLPを含み、それぞれは、独立して、好ましくはAlOOH、AlPO4及びAlHO9PS-3から選択される、アルミニウム金属塩上に予め吸着されている。より好ましい実施形態では、HPV6、11、16、18、31、33、45、51及び58型に由来するHPV L1 VLPは、独立して、AlOOH上に予め吸着されている。1つ以上のHPV抗原が予め吸着されている金属塩は、糖脂質ベースのTLR4リガンド上に吸着されない。
【0132】
一実施形態では、方法は、金属塩をHPVワクチン組成物に添加するステップをさらに含む。一実施形態では、金属塩は、ステップ(ii)における吸着されていない糖脂質ベースのTLR4リガンドの添加と同時に添加される。別の実施形態では、金属塩は、ステップ(ii)における吸着されていない糖脂質ベースのTLR4リガンドの添加前に添加される。別の実施形態では、金属塩は、ステップ(ii)における吸着されていない糖脂質ベースのTLR4リガンドの添加後に添加される。好ましい実施形態では、金属塩は、ステップ(ii)における吸着されていない糖脂質ベースのTLR4リガンドの添加前に添加される。好適には、添加される金属塩は、AlOOH、AlPO4及びAlHO9PS-3から選択される。好ましい実施形態では、添加される金属塩は、AlOOHである。
【0133】
一態様では、本発明は、本発明による方法によって得られるHPVワクチン組成物を提供する。
【0134】
一実施形態では、HPVワクチン組成物は、少なくとも2個、例えば少なくとも3個、少なくとも4個、少なくとも5個、少なくとも6個、少なくとも7個、少なくとも8個、少なくとも9個のHPV抗原を含む。好ましい実施形態では、HPVワクチン組成物は、少なくとも9個のHPV抗原を含む。
【0135】
一実施形態では、HPVワクチン組成物は、HPV6、11、16、18、26、31、33、35、39、45、51、52、53、56、58、59、67、68、70、73及び82型から選択されるHPV型に由来するHPV抗原を含む。
【0136】
一実施形態では、HPVワクチン組成物は、HPV6、11、16、18、31、33、35、39、45、52、58及び59型から選択されるHPV型に由来するHPV抗原を含む。
【0137】
好ましい実施形態では、HPVワクチン組成物は、HPV6、11、16、18、31、33、45、52及び58型から選択されるHPV型に由来するHPV抗原を含む。
【0138】
一実施形態では、HPVワクチン組成物は、HPV16及び18型に由来するHPV抗原を含む。
【0139】
一実施形態では、HPVワクチン組成物は、HPV6、11、16、及び18型に由来するHPV抗原を含む。
【0140】
一実施形態では、HPVワクチン組成物は、HPV6、11、16、18、31、33、45、52及び58型に由来するHPV抗原を含む。
【0141】
一実施形態では、HPVワクチン組成物は、HPV6、11、16、18、31、33、45、52及び58型に由来するHPV抗原、及び任意選択でHPV35、39及び/又は59型に由来するHPV抗原を含む。
【0142】
一実施形態では、HPVワクチン組成物は、HPV16及び18型に由来するHPV L1 VLPを含む。
【0143】
一実施形態では、HPVワクチン組成物は、HPV6、11、16、及び18型に由来するHPV L1 VLPを含む。
【0144】
一実施形態では、HPVワクチン組成物は、HPV6、11、16、18、31、33、45、52及び58型のL1 VLPに由来する、及び任意選択でHPV35、39及び/又は59型に由来するHPV L1 VLP L1 VLPを含む。
【0145】
一実施形態では、HPVワクチン組成物中の金属塩の一部である金属イオンの量は、100~500μg/用量、好適には200~500μg/用量、300~500μg/用量、400~500μg/用量又は約500μg/用量である。好ましい実施形態では、HPVワクチン組成物中の金属塩の一部である金属イオンの量は、500μg/用量である。
【0146】
一実施形態では、HPVワクチン組成物中の金属塩の一部である金属イオンの濃度は、200μg/ml~1mg/ml、好適には400μg/ml~1mg/ml、600μg/ml~1mg/ml、800μg/ml~1mg/ml又は約1mg/mlである。好ましい実施形態では、HPVワクチン組成物中の金属塩の一部である金属イオンの濃度は、1mg/mlである。
【0147】
好ましい実施形態では、金属塩の一部である金属イオンは、Al3+であり、HPVワクチン組成物中のAl3+の量は、100~500μg/用量、好適には200~500μg/用量、300~500μg/用量、400~500μg/用量又は約500μg/用量である。好ましい実施形態では、HPVワクチン組成物中のAl3+の量は、500μg/用量である。
【0148】
好ましい実施形態では、金属塩の一部である金属イオンは、Al3+であり、HPVワクチン組成物中のAl3+の濃度は、200μg/ml~1mg/ml、好適には400μg/ml~1mg/ml、600μg/ml~1mg/ml、800μg/ml~1mg/ml又は約1mg/mlである。好ましい実施形態では、HPVワクチン組成物中のAl3+の濃度は、1mg/mlである。
【0149】
一実施形態では、HPVワクチン組成物中の糖脂質ベースのTLR4リガンドの量は、1~200μg/用量、好ましくは2~100μg/用量、5~75μg/用量、10~50μg/用量又は約50μg/用量である。好ましい実施形態では、HPVワクチン組成物中の糖脂質ベースのTLR4リガンドの量は、50μg/用量である。
【0150】
一実施形態では、HPVワクチン組成物中の糖脂質ベースのTLR4リガンドの量は、2~400μg/ml、好ましくは4~200μg/ml、10~150μg/ml、20~100μg/ml又は約100μg/mlである。好ましい実施形態では、HPVワクチン組成物中の糖脂質ベースのTLR4リガンドの量は、100μg/mlである。
【0151】
好ましい実施形態では、糖脂質ベースのTLR4リガンドは、MPLであり、HPVワクチン組成物中のMPLの量は、10~50μg/用量、好ましくは20~50μg/用量、30~50μg/用量、40~50μg/用量又は約50μg/用量である。好ましい実施形態では、HPVワクチン組成物中のMPLの量は、50μg/用量である。
【0152】
好ましい実施形態では、糖脂質ベースのTLR4リガンドは、MPLであり、HPVワクチン組成物中のMPLの濃度は、20~100μg/ml、好ましくは40~100μg/ml、60~100μg/ml、80~100μg/ml又は約100μg/mlである。好ましい実施形態では、HPVワクチン組成物中のMPLの濃度は、100μg/mlである。
【0153】
一実施形態では、HPVワクチン組成物中の糖脂質ベースのTLR4リガンド:金属イオンの比は、1:2~1:20、好ましくは1:3~1:15、より好ましくは1:5~1:10、例えば1:5、1:6、1:7、1:8、1:9又は1:10である。
【0154】
好ましい実施形態では、金属イオンは、Al3+であり、糖脂質ベースのTLR4リガンドは、MPLであり、HPVワクチン組成物中のMPL:Al3+の比は、1:2~1:20、好ましくは1:3~1:15、より好ましくは1:5~1:10、例えば1:5、1:6、1:7、1:8、1:9又は1:10である。
【0155】
好ましくは、本発明のHPVワクチン組成物におけるTLR4リガンドの生物学的活性(又は生物活性)は、TLR4リガンドがHPV抗原と組み合わされる前に金属塩上に予め吸着される方法によって得られるHPVワクチン組成物と比較して、増強される。TLR4リガンドの生物学的活性は、TNF-αなどの炎症誘発性サイトカインの産生を誘導するその能力に一致し、例えば実施例1(「MPLバイオアッセイ」と題するセクション)に記載されるアッセイを使用することによって測定することができる。
【0156】
好ましくは、HPVワクチン組成物のpHは、6.0~7.5の間、好ましくは6.5~7.2の間、例えば約6.5、約6.6、約6.7、約6.8、約6.9、約7.0、約7.2又は約7.2である。
【0157】
HPVワクチン組成物中の1つ以上のHPV抗原の量は、個体の状態、性別、年齢及び体重、ワクチンの投与経路によって変わり得る。この量は、HPV抗原の型の数によっても変更され得る。好適には、送達は、免疫学的防御応答を生成するのに好適な量のHPV抗原のものである。好適には、各ワクチン用量は、5~100μgの間の各HPV抗原を含む。
【0158】
好適には、HPVワクチン組成物は、薬学的に許容される担体を含むことができる。好適には、HPVワクチン組成物は、薬学的に許容される担体に懸濁又は溶解されることによって、投与のために調製されてもよい。「薬学的に許容される担体」は、組成物を受ける個体に有害な抗体の産生をそれ自体は誘導しない、あらゆる担体を含む。好適な担体は、典型的には、大きく、ゆっくりと代謝される高分子、例えば、タンパク質、多糖、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリマーアミノ酸、アミノ酸コポリマー、スクロース、トレハロース、ラクトース、及び脂質凝集体(例えば、油滴又はリポソーム)である。このような担体は、当業者に周知である。HPVワクチン組成物はまた、薬学的に許容される希釈剤、例えば、水、食塩水、グリセロールなどを含有してもよい。さらに、補助物質、例えば、湿潤剤又は乳化剤、pH緩衝物質、界面活性剤、抗酸化剤などが存在してもよい。滅菌したパイロジェンフリーのリン酸塩緩衝生理食塩水が典型的な担体である。適切な担体は、主に投与経路に依存し得る。
【0159】
一実施形態では、HPVワクチン組成物は、界面活性剤、好適にはポリソルベート(PS)、例えば、PS20、PS60、PS80、又はポロキサマー、例えばポロキサマー188を含む。好ましい実施形態では、界面活性剤は、PS80を含む又はPS80からなる。好適には、HPVワクチン組成物中の界面活性剤の量は、5~200μg/用量、好ましくは10~100μg/用量、より好ましくは20~50μg/用量である。好ましい実施形態では、界面活性剤は、PS80であり、HPVワクチン組成物中のPS80の量は、5~200μg/用量、好ましくは10~100μg/用量、より好ましくは20~50μg/用量である。好適には、HPVワクチン組成物中の界面活性剤の濃度は、10~400μg/mL、好ましくは20~200μg/mL、より好ましくは40~100μg/mLである。好ましい実施形態では、界面活性剤は、PS80であり、HPVワクチン組成物中のPS80の濃度は、10~400μg/mL、好ましくは20~200μg/mL、より好ましくは40~100μg/mLである。
【0160】
一実施形態では、HPVワクチン組成物は、緩衝剤を含む。好適には、HPVワクチン組成物中の緩衝剤の濃度は、5~20mM、好ましくは7.5~15mM、例えば10mMである。好ましい実施形態では、緩衝剤は、Na2HPO4/NaH2PO4を含む又はNa2HPO4/NaH2PO4からなる。好適には、HPVワクチン組成物中のNa2HPO4/NaH2PO4の濃度は、5~20mM、好ましくは7.5~15mM、例えば10mMである。
【0161】
好適には、HPVワクチン組成物は、液体形態、又は投与前に液体形態に再構成される凍結乾燥形態である。
【0162】
好適には、HPVワクチン組成物は、当技術分野で公知の任意の経路によって、例えば筋肉内投与によって、対象に投与されることになる。好適には、対象は、脊椎動物、例えば、哺乳動物、例えば、ヒト、非ヒト霊長類、又は獣医学哺乳動物(家畜又はコンパニオンアニマル)である。好ましい実施形態では、対象はヒトである。
【0163】
本発明によるHPVワクチン組成物は、ヒト肛門性器上皮、例えば子宮頸部上皮の持続性HPV感染症若しくは不顕性HPV感染症、又はHPV関連状態、例えばCIN1若しくはLSIL、CIN2及びCIN3病変を予防又は治療するのに有用である。
【0164】
一態様では、療法に使用するための、本明細書に記載されるHPVワクチン組成物が提供される。
【0165】
一態様では、対象におけるHPV感染症又は関連疾患を予防又は治療するための、本明細書に記載されるHPVワクチン組成物が提供される。
【0166】
一態様では、対象におけるHPV感染症の予防又は治療のための医薬の製造における、本明細書に記載されるHPVワクチン組成物の使用が提供される。
【0167】
一態様では、有効量の本明細書に記載されるHPVワクチン組成物を、感染症又は疾患の予防又は治療を必要とする患者に投与するステップを含む、感染症又は疾患を予防又は治療する方法が提供される。
【0168】
一態様では、有効量の本明細書に記載されるHPVワクチン組成物を、HPVによって引き起こされる感染症又は疾患の予防又は治療を必要とする患者に投与するステップを含む、HPVによって引き起こされる感染症又は疾患を予防又は治療する方法が提供される。
【0169】
本発明の免疫原性組成物が、治療目的で時間をかけて繰り返し送達されることを含むレジメンでの使用に好適であることは容易に理解される。
【0170】
配列の比較
2つの密接に関連したポリヌクレオチド又はポリペプチド配列を比較する目的で、第1の配列と第2の配列との間の「配列同一性」又は「同一性%」は、アライメントプログラム、例えばベーシック・ローカル・アライメント・サーチ・ツール(BLAST)を使用して、標準設定を使用して、計算されてもよい。同一性パーセンテージは、同一残基の数をアライメントの長さで割って、100を掛けたものである。同一性の代替の定義は、同一残基の数をアライメントされた残基の数で割って、100を掛けたものである。代替の方法は、アライメントにおけるギャップ、例えば、一方の配列における他方の配列に対する欠失が考慮されるギャップ法(gapped method)を使用することを含む。ポリペプチド又はポリヌクレオチド配列は、それらの全長にわたって100%の配列同一性を共有する場合、他のポリペプチド又はポリヌクレオチド配列と同一であると言われる。
【0171】
2つの配列間の「差異」は、例えば、他方の配列と比較した、一方の配列の位置における単一アミノ酸残基の挿入、欠失、又は置換を指す。
【0172】
第1の参照ポリペプチド配列を第2の比較ポリペプチド配列と比較する目的で、第2の配列を生成するために第1の配列に対して行われる付加、置換及び/又は欠失の数が確認され得る。付加は、第1のポリペプチドの配列への1つのアミノ酸残基の付加である(第1のポリペプチドのいずれかの末端での付加を含む)。置換は、第1のポリペプチドの配列中の1つのアミノ酸残基の、1つの異なるアミノ酸残基による置換である。欠失は、第1のポリペプチドの配列からの1つのアミノ酸残基の欠失である(第1のポリペプチドのいずれかの末端における欠失を含む)。
【0173】
本発明の配列における好適な置換は、保存的置換であり得る。保存的置換は、置換されるアミノ酸と類似した物理化学的特性を有する別のアミノ酸によるアミノ酸の置換を含む(例えば、Stryer et al, Biochemistry, 5th Edition 2002, pages 44-49を参照)。好ましくは、保存的置換は、以下からなる群から選択される置換である:(i)塩基性アミノ酸の、別の異なる塩基性アミノ酸による置換、(ii)酸性アミノ酸の、別の異なる酸性アミノ酸による置換、(iii)芳香族アミノ酸の、別の異なる芳香族アミノ酸による置換、(iv)非極性脂肪族アミノ酸の、別の異なる非極性脂肪族アミノ酸による置換、及び(v)極性非荷電アミノ酸の、別の異なる極性非荷電アミノ酸による置換。塩基性アミノ酸は、好ましくは、アルギニン、ヒスチジン、及びリジンからなる群から選択される。酸性アミノ酸は、好ましくは、アスパラギン酸又はグルタミン酸である。芳香族アミノ酸は、好ましくは、フェニルアラニン、チロシン及びトリプトファンからなる群から選択される。非極性脂肪族アミノ酸は、好ましくは、アラニン、バリン、ロイシン、メチオニン及びイソロイシンからなる群から選択される。極性非荷電アミノ酸は、好ましくは、セリン、スレオニン、システイン、プロリン、アスパラギン及びグルタミンからなる群から選択される。保存的アミノ酸置換とは対照的に、非保存的アミノ酸置換は、1つのアミノ酸の、上に概説した保存的置換(i)~(v)に該当しない任意のアミノ酸との交換である。
【0174】
用語
本開示の文脈において別段の説明がない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語及び科学用語は、本開示が属する技術分野の当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。分子生物学における一般的な用語の定義は、Benjamin Lewin, Genes V, published by Oxford University Press, 1994 (ISBN 0-19-854287-9); Kendrew et al. (eds.), The Encyclopedia of Molecular Biology, published by Blackwell Science Ltd., 1994 (ISBN 0-632-02182-9);及びRobert A. Meyers (ed.), Molecular Biology and Biotechnology: a Comprehensive Desk Reference, published by VCH Publishers, Inc., 1995 (ISBN 1-56081-569-8)に見出すことができる。
【0175】
単数形の用語「1つの(a)」、「1つの(an)」、及び「その(the)」は、文脈上明らかに別の意味を示さない限り、複数の指示対象を含む。同様に、単語「又は」は、文脈上明らかに別の意味を示さない限り、「及び」を含むことが意図される。用語「複数」は、2つ以上を指す。さらに、核酸又はポリペプチドについて与えられるすべての塩基サイズ若しくはアミノ酸サイズ、並びにすべての分子量若しくは分子質量値はおよそのものであり、説明のために提供されることが理解されるべきである。さらに、抗原などの物質の濃度又はレベルに関して与えられる数値限定は、およそのものであることが意図される。したがって、濃度が少なくとも(例えば)200pgであると示される場合、その濃度は少なくともおよそ(又は「約(about)」若しくは「約(~)」)200pgであると理解されることが意図される。
【0176】
用語「含む(comprises)」は、「含む(includes)」を意味する。したがって、文脈上別の解釈が必要とされない限り、単語「含む(comprises)」、並びに「含む(comprise)」及び「含むこと(comprising)」などの変形は、指定される化合物若しくは組成物(例えば、核酸、ポリペプチド、抗原)若しくはステップ、又は化合物若しくはステップの群を含むが、任意の他の化合物、組成物、ステップ、又はそれらの群を排除しないことを意味すると理解される。
【0177】
本明細書で提供されるアミノ酸配列は、当技術分野で知られているように、一文字又は三文字命名法のいずれかによって指定される(例えば、Eur. J. Biochem. 138:9-37(1984)を参照)。
【0178】
本明細書に記載される方法及び材料と類似又は同等の方法及び材料を、本開示の実施又は試験に使用することができるが、好適な方法及び材料を以下に説明する。
【0179】
以下の非限定的な実施例によって、本発明をここでさらに説明する。
【実施例
【0180】
実施例1:材料及び方法
材料
●HPV6、11、16、18、31、33、45、52及び58型のL1 VLPを、中国特許第ZL200610140613.0号及びPan H, et al., 201715、Gu, Y. et al., 201716、Wang D., et al., 201717及びWei M. et al. 201818に開示されるように得た。HPV6、11、16、18、31、33、45、52及び58型のL1タンパク質のアミノ酸配列を、それぞれ、配列番号2、4、6、8、10、12、14、16及び18に示す。
【0181】
●アルミニウム塩:
○AlOOH(Croda)、約10mg/mLの濃度で提供;
○AlOOH(Ix)を以下のように調製した:68±2℃で撹拌しながら、1mol/L NaOH溶液を、0.33mol/L AlCl3溶液にゆっくりと添加した。NaOHの量は、AlCl3溶液の重量の89.2%であり、pHが5.6±0.5まで達した時にNaOH溶液の添加を停止した。次いで、混合物を68±2℃で2時間を超えて撹拌した。次いで、溶液を10±5μmフィルターで濾過し、5Lの青色瓶に分配した。最後に、水酸化アルミニウムを、121℃で30分間オートクレーブし、2~8℃で保存した。
【0182】
●MPLを、GB2220211 Aに記載されるように、粉末として社内(GSK)で生成した。次いで、粉末を水中で微小流動化して、懸濁液、いわゆるMPL液体バルクを形成した。
【0183】
●HPV VLP抗原AMB(吸着されたモノバルク):9個のAMBのそれぞれは、Ag作業溶液(V2/3)を、アラムを含有するアジュバント作業溶液(V1/3)と混合することによって作製し、ただし、Ag作業溶液(V2/5)をアジュバント作業溶液(V1/5)と混合することによって得て、水(V2/5)で完成させた、HPV-16を除く。
【0184】
Ag作業溶液は、単一血清型Agバルクから調製し、NaCl、ポリソルベート80(PS-80)、及びNa2HPO4/NaH2PO4緩衝液(pH6)で、1350μg/mLのAgの濃度に希釈した。リン酸塩濃度は25mMであった。Ag作業溶液は、PES(ポリエーテルスルホン)膜を連続して有する2つの0.22μm PALL Supor EKVフィルターで滅菌濾過した。
【0185】
アジュバント作業溶液は、AlOOHアジュバントバルクから調製した。Al3+濃度をNaCl及びWFI(注射用水)で希釈し、4200μg/mL(すなわち、155.66mM Al3+)の標的Al3+濃度のアジュバント作業溶液を調製した。アジュバント作業溶液中のAlOOH粒子のサイズは、21~34nmであり、これは、PES膜を連続して有する2つの0.22μm PALL Supor EKVフィルターでの滅菌濾過を可能とした。Ag及びアジュバント作業溶液の混合は、最終的なAMB中の16.67mM PO4の、51.89mM Al3+に対するモル比(又は1/3.11)をもたらした。
【0186】
AMBは、血清型6/11/18/31/33/45/52/58について900μg/mL、及びHPV16について540μg/mLの標的Ag濃度を有した。AMBについての標的Al3+濃度は、1400μg/mLであり、ただし、これが840μg/mLであるHPV16を除く。
【0187】
●リン酸塩添加なしのMPL AMB:水を添加し、撹拌しながら、アルミニウムを514.3μg/mL Al3+になるまで添加した。最終体積1mLあたり321.4μgのMPL(液体バルク中、又は凝集体を添加)。撹拌を30分間続けた。次いで、試料を4℃で保存した。MPLを、MPL液体バルクへのNaCl 1500mMの添加によって凝集させて、428mMのNaCl中の0.7mg/mL MPLの最終濃度を得た。
【0188】
●リン酸塩添加ありのMPL AMB:水中に、MPL液体バルクを、最終体積1mLあたり321.4μgになるまで添加した。次いで、撹拌しながら、Al3+を515.3μg/mLになるまで添加し、続いて、pH5.67のNa2HPO4/NaH2PO4の100mM溶液を6.12mM濃度になるまで添加した。撹拌を30分間続けた。次いで、試料を4℃で保存した。
【0189】
●MPL AMBを使用した9V製剤:注射用水(WFI)を添加し、さらに、前もって形成されたホモジナイズされたMPL AMBを100μg/mLまで添加した。9個の抗原AMBをホモジナイズし、連続的に撹拌しながら混合物に添加した。撹拌を15分間続けた。9V医薬品を、さらに使用するまで4℃で保存した。
【0190】
●添加したアラムありの9V医薬品のイン-ライン製剤:9個の抗原AMBを、別々のフラスコ中でホモジナイズした。アラムをWFI中500μg/用量まで添加し、9個の抗原AMBを、連続的に撹拌しながら添加し、続いてMPL(液体バルク又は凝集体)を50μg/用量まで添加した。撹拌を30分間続けた。得られた9V医薬品を、さらに使用するまで4℃で保存した。
【0191】
●添加したアラムなしの9V医薬品のイン-ライン製剤:9個の抗原AMBをホモジナイズし、連続的に撹拌しながらWFIに添加した。次いで、MPL液体バルクを50μg/用量まで添加し、撹拌を30分間続けた。得られた9V医薬品を、さらに使用するまで4℃で保存した。
【0192】
9V製剤中のHPV6/11/16/18/31/33/45/52/58型のそれぞれについての抗原(Ag)濃度は、それぞれ、60/80/120/40/40/40/40/40/40μg/mLであった。
【0193】
方法
●目視観察
各時点(製剤化の1日後、7日後及び14日後)で、試料を視覚的に検査した。
【0194】
●pH測定
pHに対する時間の影響を評価するために、各試料のpHを、製剤化直後(t=0、時点1)、MPL AMBについて7日後及びDP(医薬品)について6日後(時点2)、並びにMPL AMBについて14日後及びDPについて13日後(時点3)に測定した。
【0195】
●サイズ測定
9V医薬品の粒径を、9V製剤化の翌日及びMPL AMBについて製剤化の2日後から6週間後まで、経時的に静的光散乱(SLS)によって測定した。
【0196】
動的光散乱(DLS)も、凝集MPL溶液、AlOOH(Ix)を有するイン-ライン9V DP、及び凝集MPLを有するAlOOH(Ix)を有するイン-ライン9V DPで試験した。
【0197】
製剤化後に試料を採取し、エッペンドルフ中で一晩保存した。それらを30rpmで1分間回転させることにより再懸濁した。
【0198】
●HPV抗原の吸着の完全性
この分析の目的は、VLPの形態で存在するHPV抗原(Ag)が、アルミニウム上に適切に吸着されているかどうかを評価することであった。
【0199】
アラム及び吸着された抗原を沈殿物としてもたらすために、試料の遠心分離(16,000g、15分)を実施した。その後、上清(SN)中のタンパク質含有量を、μBCAによって測定した。μBCAでは、タンパク質の存在下で還元されたCu+イオンによるBCA(ビシンコニン酸)のキレート化によって誘導される比色変化を測定することによって間接的な方法で、タンパク質含有量を定量化した。
【0200】
●MPLバイオアッセイ
MPLの生物学的活性を、ヒト単球細胞株U937による炎症誘発性サイトカイン産生(すなわち、TNF-α)を誘導するその能力を評価することによって試験した。このアッセイでは、細胞株をPMAの存在下でマクロファージに分化させ、刺激して、MPLに結合するTLR4受容体を発現させ、TLR-4経路を介してサイトカインを分泌させた。MPLの存在下で、この受容体は、TNF-αの産生をもたらす細胞内カスケードを開始する。TNF-αは、TNF-α特異的Abでコーティングされたビーズに結合する。フルオロフォアでコーティングされた二次Abは、結合したTNF-αを認識する。FACSシステムを使用して、TNF-αを含有するビーズを計数し、特徴付ける。このシグナルは、TNF-α濃度に戻って関連付けることができる。
【0201】
TNF-αの産生は、サイトカイン産生の絶対値(pg/ml)をもたらす、CBA(サイトメトリック・ビーズ・アレイ)Flexキット(Becton Dickinson)を用いて上清中で測定した。3つの濃度(1、3及び10μg/mL)のMPLに基づく製剤による刺激後のTNFαサイトカイン分泌の各測定値(反復)と、参照MPLロットの四重反復の算術平均値との間の比を実施することによって、生成されたデータを相対効力(RP)として表した。
【0202】
●MPL吸着の評価
この分析の目的は、1日後の製剤の上清中のMPL含有量を定量化することであった。すべてのアルミニウムがペレット化されることを確実にするために、試料を最初に16000gで15分間遠心分離した。次いで、上清を回収し、RP-HPLC fluoによって分析した。検出されたMPLにより、MPL吸着の完全性の決定が可能となった。
【0203】
実施例2:試験した製剤のリスト
以下の製剤を2セットの実験で試験した。
【0204】
【0205】
【0206】
実施例3:目視観察
実験A - 2つの時点で様々な製剤間に大きな変化は観察されなかった(図1)。7日後、アルミニウム層はより薄くなり、凝集は観察されなかった。
【0207】
実験B - すべての試料を視覚的に検査し、すべてが乳白色であることが見出された。
【0208】
実施例4:pH測定
実験A - 測定したpHを表2にまとめる。試料のpHは、経時的に変化しなかった。0.5pH単位の範囲において、各医薬品製剤についてpHは同様であった。
【0209】
【表2】
【0210】
実験B - 9V DPの製剤化の3時間後にpHを測定し、結果として生じたデータを表3に示す。HPV AMBの長期保存pHは、約6.7であった(データ示さず)。VLPの安定性は、このpHで確実になることに注意すべきである。
【0211】
【表3】
【0212】
実施例5:サイズ測定
実験A - 5個の連続測定値の平均粒径中央値を、表4及び図2に示す。サイズ分布を、すべての9V DP(凝集MPLあり又はなし)について図2及び図3に示す。図4は、CERVARIX、GARDASIL-9、及びMPLの添加なしのマトリックス中の9個の血清型によって構成される9V DPのサイズ分布を示す。DLS分析も、AlOOH(Ix)を有するイン-ライン9V DP、及び凝集MPLを有するAlOOH(Ix)を有するイン-ライン9V DPで実施した。凝集MPLと非凝集MPLとの間に差は観察されなかった。
【0213】
図2は、4つの時点(製剤化の1日後、1週間後、2週間後及び6週間後)にわたる粒子のサイズの減少を強調し、図3は、すべての9V DP製剤が、製剤に応じて29~32μmの間に中央値を有するほぼ同一の単峰性ピークを有することを示す。図4は、3つの参照DPが、試験した9V DP製剤と比較して小さい、同様のサイズを有することを示す。2つの市販のDPが、主に1つの集団によって構成された場合、MPLなしの9V DPはまた、2つの異なる集団を有することが見出された。
【0214】
【表4】
【0215】
実験B - 9V DPの様々な製剤のSLS測定は、表5及び図5に示すように、粒子のサイズ及び分布においてすべての製剤について同様の結果をもたらした。MPLの添加は、表5の最後の2つの列における値が示すように、粒子の全体的なサイズをわずかに増加させた。他方、AlPO4上に吸着されたMPLを有する9V DPは、より小さい粒径に向かってわずかなテールを示した。
【0216】
【表5】
【0217】
実施例6:HPV抗原の吸着の完全性
実験A - アルミニウム上に吸着されなかった総Agの量を表6に開示し、これはすべての製剤がほぼすべてのHPV抗原を吸着したことを明らかにする。
【0218】
【表6】
【0219】
実験B - 結果を表7に示す。9V医薬品1mLあたり540μgのHPVタンパク質が存在したため、タンパク質の約1%のみが吸着されず、製剤の上清中に見出された。MPLなしの製剤では、吸着が最も低く、>2%のHPV抗原が吸着されなかったことは注目すべきであった。
【0220】
【表7】
【0221】
実施例7:MPL活性の評価
実験A - 結果を表8にまとめる。これらの値を図6及び図7におけるグラフに示す。
【0222】
【表8】
【0223】
図6及び7は、調製した様々な試料の相対効力(RP)を示す。凝集MPLを用いて作製した製剤は、非凝集MPL(液体バルク)を用いた製剤よりも低いRPを有した。Al(Ix)を有するイン-ライン製剤は、最も高いRPを有し、その後に、アルミニウム非添加のイン-ラインが続き、これはより高いインビトロ生物活性を示唆する。非凝集MPLを有するその他のイン-ライン製剤は、同等の相対効力を示した。
【0224】
MPL AMBに基づく製剤は、イン-ライン製剤と比較して最も低い応答を示した。
【0225】
実験B - 9V DP製剤についての相対効力の統計的分析を図8に示す。イン-ライン製剤化による9V DPは、MPL AMBを用いて得られた9V DPと比較して、3つの濃度で最高の相対効力をもたらした。応答は、いかなる製剤化でも、使用したMPLの濃度(10μg/mL対3μg/mL対1μg/mL)に依存した。
【0226】
実施例8:MPLの吸着の完全性
実験A - 表9に強調するように、すべてのイン-ライン製剤は、MPLの完全な吸着を示した。MPL AMB AlPO4吸着は不完全であった。
【0227】
【表9】
【0228】
実験B - 表10に示すように、イン-ライン製剤化で得られたものであれ、又はMPL AMBを用いて得られたものであれ、RP-HPLC-FLR法を使用して9V DPの上清中に遊離MPLは検出されなかった。
【0229】
【表10】
【0230】
参考文献
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【配列表】
2024506364000001.app
【国際調査報告】