(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-13
(54)【発明の名称】マルチポートメータを用いたアイランド化制御
(51)【国際特許分類】
H02J 3/38 20060101AFI20240205BHJP
H02J 13/00 20060101ALI20240205BHJP
【FI】
H02J3/38 180
H02J3/38 110
H02J13/00 311R
H02J13/00 301A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023548846
(86)(22)【出願日】2022-02-11
(85)【翻訳文提出日】2023-08-30
(86)【国際出願番号】 US2022016235
(87)【国際公開番号】W WO2022174119
(87)【国際公開日】2022-08-18
(32)【優先日】2021-02-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】317014932
【氏名又は名称】ランディス+ギア テクノロジー インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100135703
【氏名又は名称】岡部 英隆
(72)【発明者】
【氏名】カールガード,マット
(72)【発明者】
【氏名】ラドゴウスキー,ジョン
(72)【発明者】
【氏名】ステンバーグ,デイビッド
【テーマコード(参考)】
5G064
5G066
【Fターム(参考)】
5G064AA01
5G064AA04
5G064AC06
5G064AC10
5G064BA08
5G064BA09
5G064CB07
5G064CB11
5G064CB16
5G064DA03
5G066AA09
5G066AD04
5G066HA06
5G066HA13
5G066HB06
5G066HB09
5G066JB03
5G066LA01
(57)【要約】
マルチポートメータシステムは、構内のアイランド化運転をサポートする。マルチポートメータは、少なくとも負荷ポート、グリッドポート、補助ポート、及びグリッドスイッチと補助スイッチの少なくとも2つのスイッチを含む。グリッドポートは、マルチポートメータをグリッドに接続し、グリッドスイッチは、マルチポートメータがメータのグリッドへの接続を制御することを可能にする。補助ポートはマルチポートメータをインバータに接続し、インバータは分散型エネルギーリソース装置に接続される、補助スイッチは、マルチポートメータをインバータに接続し、インバータは分散型エネルギーリソース装置に接続される。アイランド化モードへの移行は、メータ、インバータ、遠隔装置、又はユーザによる決定に基づいて行われる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アイランド化を制御するシステムであって、
前記システムは、マルチポートメータと、外部インバータとを備え,
前記マルチポートメータは、
メータを電力グリッドに接続するように構成されたグリッドポートと、
前記メータを前記外部インバータに接続するように構成された補助ポートと、
前記メータを構内負荷に接続するように構成された負荷ポートと、
前記グリッドポートに接続されたグリッドスイッチであって、前記グリッドポートを負荷ポート及び補助スイッチに接続するように構成された前記グリッドスイッチと、
処理ユニットとを備え、
前記補助スイッチは補助ポートに接続され、前記補助ポートを前記グリッドスイッチ及び前記負荷ポートに接続するように構成され、
前記処理ユニットは、前記メータによって測定された電力グリッドデータを処理し、前記グリッドスイッチと前記補助スイッチの状態を制御するように構成され、
前記インバータは分散型エネルギーリソース装置に接続され、アイランド化モードで動作するように構成され、
インバータ出力は、前記グリッドスイッチが閉状態から開状態に移行するときに、シンクロナス出力からアイソクロナス出力に移行し、
前記シンクロナス出力は電力グリッドの電圧、周波数、及び位相を追従し、前記アイソクロナス出力は前記インバータが生成した電圧、周波数、及び位相を使用する、
システム。
【請求項2】
前記処理ユニットは、前記メータによって測定された電力グリッドデータが停電を示す場合に、前記グリッドスイッチを開状態に制御するように構成される、
請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記メータは、遠隔システムと通信するための通信モジュールをさらに含み、
前記通信モジュールが前記遠隔システムから前記グリッドスイッチを開くコマンドを受信したことに応答して、前記処理ユニットは、前記グリッドスイッチを前記開状態に制御するように構成され、
請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記メータは、前記インバータと通信するための通信モジュールをさらに含み、
前記処理ユニットが前記グリッドスイッチを閉状態から開状態に移行するように制御するときに、前記通信モジュールは、前記シンクロナス出力の生成から前記アイソクロナス出力の生成への移行を行うためのメッセージを前記インバータに送信する、
請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記インバータは前記電力グリッドを監視し、
前記インバータが停電を検出したときに、前記インバータ出力は、前記シンクロナス出力から前記アイソクロナス出力に移行する、
請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記インバータは、前記補助ポートのインピーダンスを監視し、
前記インバータが、前記グリッドスイッチの開状態に対応する所定のしきい値外のインピーダンスを検出したとき、前記インバータ出力は、前記シンクロナス出力から前記アイソクロナス出力に移行する、
請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記処理ユニットは、停電の終了を検出し、
前記インバータが前記シンクロナス出力を供給しているときを判定し、前記グリッドスイッチを制御して前記開状態から前記アイソクロナス出力に移行させるように構成される、
請求項2に記載のシステム。
【請求項8】
前記インバータは複数の出力を有し、
前記インバータの複数の出力は自動転送スイッチシステムに接続され、
前記自動転送スイッチシステムは前記補助ポートに接続される、
請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
インバータを電力グリッドに再接続する方法であって、
前記方法は、
マルチポートメータが、グリッドスイッチとマルチポートメータの補助スイッチとを制御して、アイランド化モードで動作させるステップであって、前記アイランド化モードにおいて、前記インバータが前記メータに接続された負荷に電力を供給し、前記マルチポートメータが電力グリッドから切り離されるステップと、
前記アイランド化モードで動作している間に、前記マルチポートメータがグリッド接続モードへの移行を決定するステップと、
前記マルチポートメータが、前記電力グリッドの位相、振幅、及び周波数を検出するステップと、
前記マルチポートメータから前記インバータへ、アイランド化モードからグリッド接続モードへ移行するためのコマンドを通信するステップと、
前記マルチポートメータが、インバータ出力の位相、振幅、及び周波数を監視するステップと、
前記マルチポートメータが、前記インバータ出力の位相、振幅、及び周波数が、前記電力グリッドの位相、振幅、及び周波数の所定の許容範囲内にあることを確認するステップと、
前記マルチポートメータが、前記グリッドスイッチ及び前記補助スイッチを制御して、前記インバータを前記電力グリッドに再接続し、グリッド接続モードで動作させるステップとを含む、
方法。
【請求項10】
前記マルチポートメータが、前記グリッドスイッチ及び前記補助スイッチを制御して前記インバータを電力グリッドに再接続するステップは、
前記グリッドスイッチが開いたまま、前記補助スイッチを開くステップと、
前記グリッドスイッチを閉じるステップと、
前記グリッドスイッチを閉じた後、前記補助スイッチを閉じるステップとを含む、
請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記マルチポートメータが、グリッド接続モードに移行することを決定するステップは、
前記マルチポートメータが、遠隔システムからグリッド接続モードに移行するコマンドを受信するステップ、もしくは
前記マルチポートメータが、前記電力グリッドの電力の回復を検出するステップ
を含む、
請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記マルチポートメータが、前記マルチポートメータのグリッドスイッチ及び補助スイッチを制御するステップは、
前記インバータが前記メータに接続された前記負荷に電力を供給しかつ前記マルチポートメータが前記電力グリッドから切り離されるようにし、
前記グリッドスイッチを開状態に保持し、前記補助スイッチを閉状態に保持するステップを含む、
請求項9に記載の方法。
【請求項13】
前記インバータ出力の位相、振幅、及び周波数が、前記電力グリッドの位相、振幅、及び周波数の所定の許容範囲内にあることを確認する前に、前記マルチポートメータから前記インバータに、前記電力グリッドの位相、振幅、及び周波数に関する情報を送信するステップをさらに含む、
請求項9に記載の方法。
【請求項14】
前記マルチポートメータから前記インバータに、前記アイランド化モードから前記グリッド接続モードに移行するコマンドを通信するステップは、前記インバータを再起動するコマンドを含む、
請求項9に記載の方法。
【請求項15】
前記マルチポートメータは、前記電力グリッドの位相、振幅、及び周波数に関する情報を前記インバータに周期的に送信する、
請求項9に記載の方法。
【請求項16】
前記グリッド接続モードで動作しているときに、前記マルチポートメータが、前記インバータが前記メータに接続された負荷によって消費される電力の少なくとも一部を供給しかつ前記マルチポートメータが電力グリッドに接続されるように、前記マルチポートメータのグリッドスイッチ及び補助スイッチを制御するステップと、
前記グリッド接続モードで動作中に、前記マルチポートメータがアイランド化モードへの移行を開始するステップと、
前記マルチポートメータから前記インバータに、グリッド接続モードからアイランド化モードに移行するコマンドを伝送するステップと、
前記マルチポートメータが、前記グリッドスイッチと前記補助スイッチを制御して、前記インバータを電力グリッドから切り離すステップと、をさらに含む、
請求項9に記載の方法。
【請求項17】
電力グリッドからインバータを切り離し、アイランド化モードに入るための方法であって、
前記方法は、
前記インバータ及びマルチポートメータをグリッド接続モードで動作させるステップであって、グリッド接続モードで動作しているときに、前記インバータがシンクロナス出力を提供して、前記マルチポートメータがグリッドスイッチと補助スイッチを制御して、前記インバータのシンクロナス出力と電力グリッドを構内負荷に接続するステップと、
前記グリッド接続モードで動作しているときに、前記インバータがアイランド化モードに移行することを決定するステップと、
前記インバータから前記マルチポートメータに、アイランド化モードへの移行コマンドを伝送するステップと、
シンクロナス出力をアイソクロナス出力に移行させるステップと、
アイランド化モードで前記インバータ及び前記マルチポートメータを動作させるステップであって、アイランド化モードで動作しているときに、前記マルチポートメータが、前記グリッドスイッチ及び前記補助スイッチを制御して、前記インバータのアイソクロナス出力を前記構内負荷に接続し、前記マルチポートメータを前記電力グリッドから切り離すステップと、を含む、
方法。
【請求項18】
前記インバータがアイランド化モードに移行することを決定するステップは、
前記インバータが、リモートシステムから前記アイランド化モードに移行するコマンドを受信するステップと、
前記インバータが、前記電力グリッドの電力損失を検出するステップ、もしくは
前記インバータが、前記グリッドスイッチの開状態に対応する所定のしきい値外のインピーダンスを検出するステップと、を含む、
請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記インバータは、前記電力グリッドの電圧、周波数、及び位相を追従することによってシンクロナス出力を提供する、
請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記インバータから前記アイランド化モードに移行するコマンドを受信することに応答して、前記マルチポートメータは、前記グリッドスイッチを開状態に制御する、
請求項17に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、構内における分散型エネルギーリソースデバイスの制御に関する。本開示は、特に、分散型エネルギーリソース及びマルチポートメータを使用するアイランド化(島のように孤立させる)運転の制御に関する。
【0002】
関連出願
本出願は、2021年2月12日に出願された米国特許出願第63/148,910号の優先権を主張するものであり、その全内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
電力を供給する電力グリッドなどのリソース分配システムにおいて、メータは、顧客構内における消費を測定及び制御するために使用される。メータは、消費量を測定し、電力特性を監視するための計測コンポーネントと、ネットワーク上の他のデバイス、及びヘッドエンドシステムなどの中央システムと通信するための通信コンポーネントとを含むことができる。メータはまた、他のモジュール及びコンポーネントを含むことができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
太陽電池パネルアレイ、風力タービン、水車、バッテリ、電気自動車(EV)充電器、EV、エネルギー貯蔵装置、又は発電機などの分散型エネルギーリソース(DER)装置が顧客構内に設置されている場合、DER装置によって生成又は貯蔵された電力は、顧客構内で使用され、DER装置によって発電又は蓄電された電力は、マルチポートメータによって計量され、構内で使用されるか、電力グリッド(電力送電系統)に出力される。さらに、EV充電器、EV、蓄電デバイスは、蓄電して後で使用するために、電力グリッドから電力を受け取ることもできる。一部のシステムでは、インバータがDER装置に接続され、直流電力を交流グリッド電力に変換する。従来のインバータは、アンチアイランド化モードで動作するように構成されている場合がある。アンチアイランド化モードでは、構内でグリッド停電が検出されると、インバータはDER装置による発電を停止するか、又は電力の出力を停止する。これによって、停電中にDER装置からグリッドに電圧が戻されるのを防ぎ、グリッド電力の復旧作業を行う作業員を保護することができる。アンチアイランド化は、停電中に構内で生成又は貯蔵されたDER電力を構内で使用することを防ぐことができる。例えば、DER装置が構内で使用可能な電力を生成することが可能であっても、アンチアイランド化モードに設定されている場合、インバータが構内への電力供給を許可しないことがある。従って、構内におけるDER装置のアイランド化動作を制御するための改善されたシステムが必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、電気グリッド、1つ又は複数の分散型エネルギーリソース(DER)装置、及び少なくとも1つの負荷に接続され得るマルチポートメータを含む。電気グリッドは、メータのグリッドポートに接続され、DER装置は、メータの補助ポートに接続されるインバータを介してメータに接続される。メータは、グリッドポートに接続されたグリッドスイッチと、補助ポートに接続された補助スイッチを含む。グリッド接続運転又はアイランド化運転をサポートするために、スイッチの状態を制御する。
【0006】
一態様では、マルチポートメータは、グリッド接続モードとアイランド化モードとの間の移行を決定することに基づいてスイッチを制御する。例えば、メータは、電力グリッドの電圧特性を測定し、電気グリッドに停電が発生した場合、マルチポートメータは、アイランド化モードへの移行を決定することができる。グリッドスイッチを開き、マルチポートメータを電気グリッドから切り離し、インバータが負荷に電力を供給できるように、補助スイッチを閉じるか、補助スイッチを閉じたままにする。メータがグリッド上で電力が回復したと判断すると、メータはグリッドスイッチと補助スイッチを制御して、グリッド接続モードへの復帰を開始することができる。
【0007】
本発明の他の態様では、モード間の移行の決定は、メータ以外のシステム又は装置によって行われてもよい。この決定は、インバータによって行われ、メータに伝達(伝送)されることもあれば、ユーザによって行われ、メータに伝達(伝送)されることもある。決定はまた、電力会社のヘッドエンドシステムなどの遠隔システムによって行われることもある。遠隔システムはメータ又はインバータにコマンドを送り、デバイスにモード間の移行を指示することができる。
【0008】
これらの実施形態は、本主題の限界を限定又は定義するために記載されたものではなく、その理解を助けるための例を提供するために記載されたものである。例示的な実施形態は、「詳細な説明」において説明され、さらなる説明はそこで提供される。様々な実施形態によって提供される利点は、本明細書を検討することによって、及び/又は特許請求される主題の1つ以上の実施形態を実施することによって、さらに理解され得る。
【0009】
本開示のこれら及び他の特徴、態様、及び利点は、以下の詳細な説明を添付の図面を参照しながら読むと、よりよく理解される:
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】マルチポートメータ及びインバータシステムの一例を示すブロック図である。
【
図2】例示的なマルチポートメータを示すブロック図である。
【
図3a】グリッド接続モードをサポートするように構成された例示的なマルチポートメータのブロック図である。
【
図3b】アイランド化モードをサポートするように構成された例示的なマルチポートメータのブロック図である。
【
図3c】第1の移行状態に構成された例示的なマルチポートメータのブロック図である。
【
図3d】第2の移行状態に構成された例示的なマルチポートメータのブロック図である。
【
図4a】マルチポートメータの例示的な状態及び状態間の移行を示す状態図である。
【
図4b】マルチポートメータの例示的な状態と状態間の移行を示す状態図である。
【
図5】マルチポートメータ及びインバータシステムをアイランド化モードからグリッド接続モードに移行させる例示的な方法を示すフローチャートである。
【
図6】マルチポートメータ及びインバータシステムをグリッド接続モードからアイランド化モードに移行させる例示的な方法を示すフローチャートである。
【
図7】インバータがグリッドを監視する例示的なマルチポートメータ及びインバータシステムのブロック図である。
【
図8】一体型インバータを備えた例示的なマルチポートメータのブロック図である。
【
図9】自動転送スイッチを含む例示的なマルチポートメータ及びインバータシステムのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
詳細な説明
本開示の態様は、構内における分散型エネルギーリソース(DER)デバイスのアイランド化動作を制御するシステムに関する。アイランド化とは、構内が電力グリッドから切り離されているとき、又は電力グリッドに停電があるときに、DER装置が構内に電力を供給することを指す。一部の実施例(実施形態)では、DER装置、マルチポートメータ、及び構内間の接続は、マイクログリッドと呼ばれる。マイクログリッドは、電力グリッドから電力を受け取ることなく動作する可能性がある。
【0012】
DER装置は、一般的にインバータに動作可能に接続され、インバータは、発電電力の位相、振幅、及び周波数が、マイクログリッド又は電力グリッド内のデバイスに要求される電気定格に適合するように、DER装置によって生成された電力を調整することができる。DER装置は、ソーラーパネルアレイ、風力タービン、水車、バッテリ、電気自動車(EV)充電器、EV、エネルギー貯蔵デバイス、又は発電機を含むが、これらに限定されない。
【0013】
一部のインバータは、シンクロナス(同期)出力とアイソクロナス(等時性)出力を提供することによって、アイランド化をサポートするように構成される場合がある。インバータがシンクロナス出力を提供する場合、その出力電圧の振幅、周波数、及び位相は、グリッド電圧の振幅、周波数、及び位相に追従する。インバータがアイソクロナス出力を提供する場合、インバータはグリッドに追従せずに出力電圧の振幅、周波数、及び位相を決定する。既存のインバータの多くは、シンクロナス出力のみを提供するように構成されており、アンチアイランド化モードで動作する。アンチアイランド化モードでは、インバータは、グリッドで停電が発生すると、通常はシャットダウンして電力供給を停止する。インバータによっては、アイランド化モードとアンチアイランド化モードの両方をサポートするように設定可能なものもある。例えば、インバータのパラメータや設定ビットは、製造時又は設置時に、アイランド化モードをサポートする値に設定され、もしくはアンチアイランド化モードをサポートする別の値に設定される。この種のインバータは一般に、メータとは別のスイッチに接続されているため、インバータの制御は一般に複雑で高価である。本システムの利点の1つは、マルチポートメータに補助スイッチを統合することで、インバータの出力を制御してグリッド接続モードとアイランド化モードの両方をサポートできることである。
【0014】
本解決法では、アイランド化モードへの移行の決定は、現在、メータで行うことができる。本解決法の他の実施形態では、アイランド化モードに移行する決定を、電力会社のヘッドエンドシステムなどの遠隔システム、又はインバータで行うことができる。メータのスイッチを制御してアイランド化モードに移行する決定には、グリッドにおける変化、計画されたグリッドの変更、又は電力の可用性に影響を与える他の条件を含む、さまざまな条件に応答又は予期してアイランド化を可能にするという利点がある。
【0015】
電力会社のヘッドエンドシステム、又は他のリモートシステムは、予定されたメンテナンスによって、インバータをグリッドから切り離す必要があると判断することができる。電力会社がメータを介してアイランド化を制御できるようにすることで、電力会社は、分散型エネルギーリソースデバイスによってグリッドに導入される電力から、グリッドを保持する作業員を保護することができる。また、電力会社のヘッドエンドシステムでアイランド化を決定する制御を行うことで、分散型エネルギーリソースデバイスの発電が、太陽電池パネルの特定の時間帯や風力タービンの風の強い日などピークとなる時間帯に、電力会社のヘッドエンドシステムがマルチポートメータとインバータシステムをアイランド化モードに移行させることができる。
【0016】
あるいは、マルチポートメータは、電力会社のヘッドエンドシステムから情報を受信し、電力会社のヘッドエンドシステムから通信された情報に基づいて、アイランド化モードへの移行又はアイランド化モードからの移行を決定することができる。例えば、予定されたグリッド保守を開始する前に、電力会社のヘッドエンドシステムは、アイランド化モードに入るためのコマンドをマルチポートメータに送信することができる。マルチポートメータが情報を受信すると、マルチポートメータは、システムがアイランド化モードに移行すべきであると判断し、グリッドメンテナンス中にユーザが構内で電力を失うことがないようにすることができる。
【0017】
遠隔システム及びマルチポートメータは、マルチポートメータ及びインバータシステムをアイランド化モードに移行することを決定するための前述の例だけに限定されない。遠隔システム及びマルチポートメータは、他の理由によってもシステムをアイランド化モードに移行させることを決定することができる。
【0018】
図1は、例示的なマルチポートメータ及びインバータシステムを示している。
図1には、グリッド接続とも呼ばれるグリッドポート101を介して電力グリッド104に接続され、DERポートとも呼ばれる補助ポート102を介してインバータ105に接続され、負荷ポートを通じて構内負荷103に接続されたマルチポートメータ100が図示している。インバータ105は、1つ以上のDER装置に接続されている。図では、DER装置106とオプションのバッテリ107がインバータに接続されている。
図2は、例示的なマルチポートメータの追加詳細を示している。マルチポートメータ212は、グリッド200、インバータ202、及び負荷203に接続されている。インバータ202はDER装置201に接続されている。グリッド200はグリッドポート204によってマルチポートメータ212に接続され、インバータ202は補助ポート205によってマルチポートメータ212に接続される。補助ポート205とグリッドポート204は、それぞれ補助スイッチ208とグリッドスイッチ207に接続されている。マルチポートメータ212は、グリッドスイッチ207の状態と補助スイッチ208の状態を制御するように構成されている。マルチポートメータ212はまた、グリッド200とインバータ202の位相、振幅、及び/又は周波数を測定するように構成されている。複数の計測コンポーネント209は、グリッド200及びインバータ出力の位相、振幅、及び/又は周波数を計測する。処理ユニット211は、複数の計測コンポーネント209によって計測された計測情報を受信する。処理ユニットは、グリッドの計測情報を処理して、消費データ及びその他の情報を提供する。処理ユニットは、グリッドの状態の変化を検出することもできる。グリッドの状態の変化は、停電を含む所定のしきい値外の電圧である可能性がある。
【0019】
処理ユニットは、インバータの計測データを使用して、発電データ又は他の情報を提供することもできる。処理ユニットは、インバータをグリッドに接続する前に、インバータ出力の位相、振幅、周波数をグリッドの位相、振幅、周波数と比較することもできる。計測データは、波形ストリーム、又は波形の一部を含むこともある。マルチポートメータの処理ユニット211は、マルチポートメータのグリッドスイッチ207及び補助スイッチ208を制御するために使用される。
【0020】
さらに、マルチポートメータは、処理ユニット内に、又は処理ユニットとは別に、メモリを含むことができる。メモリは、本明細書で説明する機能を実行するために処理ユニットによって実行される記憶された命令を含むことができる。命令は、製造時又は設置時に提供されてもよいし、マルチポートメータが設置された後に通信ネットワークを介して提供されてもよい。インバータはまた、処理ユニットと、本明細書で説明する機能を実行するために処理ユニットによって実行される命令を記憶するためのメモリ(図示せず)とを含むことができる。
【0021】
マルチポートメータのいくつかの例は、メータがヘッドエンドシステムを含む他のメータ又は装置とネットワーク上で通信することを可能にする通信モジュール210を含む。通信モジュールはまた、メータが同じネットワーク又は別個のネットワークのいずれかを使用してインバータと通信することを可能にすることができる。インバータは、メータ又は他の装置と通信するための通信モジュール(図示せず)を含むこともできる。
【0022】
マルチポートメータの通信モジュールのいくつかの例では、通信モジュールは無線、有線、又は電力線通信用に構成されることがある。無線通信技術には、WiFi、無線周波数(RF)、ブルートゥース(登録商標)を含む超高周波、セルラー、衛星、ZigBee、WiMax、及び/又は他の無線通信技術が含まれるが、これらに限定されない。有線通信には、イーサネットやその他の有線通信技術が含まれる。電力線通信は、P2030.5規格又は電力線通信の他の代替規格に従う技術を含むことができる。通信モジュールは、以下の通信プロトコルの1つ以上を使用することもできる:Modbus、CIP、EtherCAT、DNP、IEEE2030.5、又は他の通信プロトコル。先に述べた通信プロトコルの他のプロトコルや派生プロトコルを使用することもできる。
【0023】
さらに、メータとインバータ間の通信は、インバータがメータに情報をポーリングすること、メータがインバータに情報をブロードキャストすること、又はインバータがメータに情報をストリーミングすること、又はそれらの任意の組み合わせを含む様々な技術を使用することができる。マルチポートメータに通信される情報又はデータには、グリッド又はインバータの振幅、位相、周波数、グリッド又はインバータ出力の波形ストリーム、又はグリッド又はインバータ出力の波形の一部が含まれる。さらに、マルチポートメータは、遠隔装置、ユーザ、インバータ、又は他の装置に周期的にデータを送信することができる。
【0024】
マルチポートメータの他の実施例では、
図2に示した以外の追加ポートを含めることができる。追加ポートが第2のDER装置及び/又はインバータに関連する場合、メータは追加ポートに接続された追加補助スイッチも含むことができる。
【0025】
図2は、メータに接続された単一の負荷203を示しているが、他の構成では、複数の負荷をメータに接続することができる。一例では、複数の構内負荷がメータの負荷ポートに接続されてもよい。構内負荷の各々は、それ自身のメータに接続されてもよい。
【0026】
図3a~
図3dは、マルチポートメータにおけるグリッドスイッチと補助スイッチの異なる状態を示している。グリッドスイッチ301a~d及び補助スイッチ302a~dの開閉状態に対応するスイッチの4つの異なる状態がある。
図3aは、グリッド接続モード(グリッド追従モードとも呼ばれる)をサポートする状態のマルチポートメータ300aを示している。この状態では、グリッドスイッチ301a及び補助スイッチ302aはともに閉状態にある。マルチポートメータがこの状態にあるとき、インバータとグリッドは負荷305aに電力を出力することができる。インバータによって提供される出力は、グリッドに追従する可能性がある。これは、電力の安全なコジェネレーションを可能にするために、インバータがグリッド電圧の周波数、位相、及び振幅を許容公差内に追従するようにインバータが提供する出力を調整する可能性があることを意味する。許容公差、すなわち、インバータの出力とグリッドの間の電力の周波数、位相、振幅の許容差は、管轄、規制当局、又は他の種類の要件に基づいて異なる場合があります。
図3aでは、分散型エネルギーリソースを有するインバータ304aとグリッド303aが負荷305aに電力をコジェネレーションしている。
【0027】
図3bは、グリッド形成モードとも呼ばれるアイランド化モードをサポートする状態におけるマルチポートメータ300bを図示している。この状態では、グリッドスイッチ301bは開状態にあり、補助スイッチ302bは閉状態にある。インバータ304bは負荷305bに電力を出力することができる。グリッドスイッチ301bが開状態であるため、グリッドは負荷305bに電力を供給できず、インバータはグリッドに電力を供給しない。インバータは負荷にアイソクロナス(等時性)出力を提供することがあり、これはインバータによって提供される出力が必ずしもグリッドに追従しないことを意味する。インバータがアイソクロナス(等時性)で出力を行う場合、インバータが提供する出力はグリッドの位相、周波数、及び振幅に同期する必要はない。インバータは、その出力の周波数を生成し、制御することができる。例えば、周波数は実施例に依存して60Hzでも50Hzでもよい。アイランド化モードでは、メータはインバータにコマンドを送り、効率を改善するために電圧出力を下げるなど、さまざまな理由で複数のパラメータをそれぞれ特定の値に変更することもできる。
【0028】
図3cは、第1の過渡状態とも呼ばれる状態のマルチポートメータ300cを示す。この状態では、グリッドスイッチ301cは閉状態にあり、補助スイッチ302cは開状態にある。グリッド303cは負荷305cに電力を供給している可能性がある。インバータ304cは切り離され、負荷にもグリッドにも電力を供給しない。この過渡状態は、システムがアイランド化モードとグリッド接続モードの間を移行するときに発生する例もある。
【0029】
図3dは、第2の過渡状態とも呼ばれる状態におけるマルチポートメータ300dを示している。この状態では、補助スイッチ302dとグリッドスイッチ301dはともに開いている。グリッドスイッチ301dと補助スイッチ302dが開いているとき、負荷305dはグリッド303dからもインバータ304dの出力からも電力を受けていない。この状態は、システムがアイランド化モードとグリッド接続モードの間を移行するときに発生する例もある。
【0030】
図4a及び
図4bは、マルチポートメータS1の400a、S2の403a、及びS3の403bの異なる状態と、マルチポートメータ状態間の移行を示している。本発明のいくつかの実施例では、マルチポートメータは、
図4aに示すように2つの状態で動作するが、他の実施例では、メータは、
図4bに示すように1つ以上の移行状態を使用する。これらの状態には、
図3a~
図3dで議論した状態が含まれる。
【0031】
図4aの1と0は、状態間の移行を決定する際に考慮される要素を表す。一例では、メータはグリッドの状態を監視し、グリッドの状態を係数(ファクター)として使用する。メータがグリッドの停電を検出すると、メータはグリッド接続モードからアイランド化モードに移行する。メータがグリッドの電力復旧を検出すると、メータはアイランド化モードからグリッド接続モードに移行する。状態S1は、アイランド化モードをサポートし、
図3bに示すように、グリッドスイッチが開いており、補助スイッチが閉じている状態に対応する。状態S2はグリッド接続モードに対応し、
図3aに示すように、グリッドスイッチと補助スイッチが閉じている状態に対応します。
【0032】
図4aの一例では、グリッドが停電状態にある場合、係数はゼロであり、グリッドが稼動状態にある場合、係数は1である。S1から始まり、グリッドに停電がある限り、メータは状態S1において401aのままである。マルチポートメータがグリッドの復電を検知すると、マルチポートメータは402aをS1の400aからS2の403aに移行させる。S2にある間、グリッドが動作可能である限り、メータはS2の404aのままである。メータが停電を検出すると、マルチポートメータは405aをS2からS1に移行させる。
図4aに示される移行により、システムがアイランド化型モードとグリッド接続モードとの間で移行するときに、構内負荷で電力点滅又は瞬時停電が発生しない場合がある。
【0033】
いくつかの実施例では、マルチポートメータの状態間移行の決定は、マルチポートメータ以外の装置によって行われる場合がある。インバータ、電力会社のヘッドエンドシステム、又は他のデバイスは、グリッドを監視し、マルチポートメータの状態間の移行を開始するためのコマンドをメータに送信することができる。
【0034】
図4bは、
図4aに示したのと同じ第1及び第2の状態S1、S2を示しており、第3の状態S3の403bを追加している。第3の状態S3は過渡的な状態であり、
図3c、
図3d、又は
図3cと
図3dの組み合わせに対応する。
図4bはまた、ヘッドエンドシステムなどの遠隔装置から受信したコマンドに対応する第2の係数(ファクター)Xを追加する。このコマンドは、グリッドの状態に関係なく、メータの状態を移行させる可能性がある。
【0035】
状態S1の400bにある間に、メータがアイランド化モードからグリッド接続モードへ移行するコマンドを受信すると、メータはS1からS3の402bへ移行し、次にS3からS2の406bへ移行する。状態S3にある間、
図3dに示されるように、補助スイッチは開かれるかもしれない。いくつかの実施例では、メータが状態S3にある間、メータは、
図3dに示されるように、グリッドスイッチと補助スイッチの両方が開いている状態から、
図3cに示されるように、グリッドスイッチが閉じられ、補助スイッチが開いている状態に移行する。状態S3は過渡的な状態であるため、メータは比較的早く状態S2に進む可能性がある。S1からS3への移行、又はS3からS2への移行は、安全上の理由から、グリッド上に電力があることをメータが検出することも必要とする場合がある。
【0036】
状態S2にある間に、メータがグリッド接続モードからアイランド化モードに移行するコマンドを受信した場合、メータはS2からS1の409bへ移行する。この移行は、グリッドの状態に関係なく発生する可能性がある。例えば、停電以外の理由により、メータがアイランド化モードで動作するように指示される場合がある。メータによって受信される他のコマンドは、グリッドスイッチ及び補助スイッチ410bを
図3c又は
図3dに示される状態に移行させるコマンド、又は過渡状態S3に404bを保持するコマンドを含む場合がある。
【0037】
コマンドを受信しない場合、メータは、S1とS2の間に過渡状態S3を横断することを追加して、
図4aに関連して上述したのと同様の方法で状態S1とS2の間を移行することができる。S1とS2の間に1つ以上の移行状態を含めると、構内で電源ブリンク(電源の瞬断又は点滅)が発生する可能性があるが、これはスイッチ移行のタイミングを制御することによって最小限に抑えることができる。
【0038】
メータが
図4a及び
図4bに示す状態間の移行を決定する代わりに、いくつかの実施例では、インバータが決定を行う。インバータは、グリッドの状態の変化を検出するためにグリッドを監視してもよいし、判定を行う際にグリッドからの切り離しを検出してもよい。インバータはメータと通信するので、メータはインバータが行った判定に基づいてグリッドと補助スイッチを制御することができる。
【0039】
図5は、メータがモード間の移行を決定し、インバータに情報を伝達するシステムの例において、システムがどのようにアイランド化モードからグリッド接続モードに移行するかを示している。システムは、アイランド化モードで開始する(500)。アイランド化モードでは、メータは
図3bに示すように構成され、インバータはアイソクロナス出力を生成している。その後、メータはグリッドの状態の変化を検出する(501)。グリッドの状態の変化は、電力の回復である場合がある。例えば、メータがグリッドの電力喪失の検出に基づいてアイランド化モードへの移行を開始した、電力喪失後の電力の回復である。メータがグリッドの状態の変化を検出すると、メータは、アイランド化モードから離脱し、グリッド接続モードへの移行を開始する決定を下すことができる(502)。
【0040】
メータはインバータと通信して移行を通知し、グリッドの位相、振幅、周波数に関する情報を提供する(503)。これに応答して、インバータは出力をアイソクロナス(等時性)からシンクロナス(同期性)に移行する。インバータはグリッド情報を使って、インバータの出力を許容範囲内でグリッドと一致するように調整する(504)。マルチポートメータは、実際のグリッドの電圧と周波数の値をインバータに提供してもよいし、グリッドの電圧と周波数と、インバータの電圧と周波数の差を提供してもよい。マルチポートメータは、グリッドとインバータ間の相対位相の表示も提供することができる。メータが、インバータの出力が許容誤差の範囲内でグリッドと一致することを検知すると(505)、メータは、システムをアイランド化モードからグリッド接続モードに移行させるためにグリッドスイッチを閉じる。許容誤差は、規制要件又はユーザ要件に基づく場合がある。グリッド接続モードでは、メータは
図3aに示すように構成され、インバータはシンクロナス出力を生成している。この発明の他の実施例では、アイランド化モードからグリッド接続モードへの移行ステップをより少なく又は多くすることができる。
【0041】
いくつかの代替例では、503のようにメータがこの情報をインバータに伝送する代わりに、インバータがグリッドの電圧、位相、及び周波数を検知する。
図7は、インバータがどのようにグリッドを監視するかを説明する追加の詳細を提供します。この例では、インバータがインバータ出力をグリッドと同期させ始めるために、インバータとマルチポートメータ間の通信を必要としないという利点がある。
【0042】
メータがグリッドに関する情報をインバータに送信する他の選択肢には、メータにグリッド情報を保存させ、インバータが保存された情報を要求すること、又はメータにグリッド情報を周期的にインバータに送信させることが含まれる。
【0043】
メータがインバータに移行を通信する代わりに、いくつかの実施例では、メータがインバータに移行を送信する、一部の実施例では、メータがインバータに再始動のコマンドを送るか、補助スイッチを開いてインバータにシンクロナス出力への移行の信号を伝送する。この種の実施例では、インバータは、補助スイッチが開いていることを検知すると再起動し、起動時にシンクロナス出力を提供するように構成される。
【0044】
マルチポートメータは、インバータ出力がグリッドと一致すること(505)を検知した後、インバータをグリッドに接続する(506)前に、所定の遅延時間を待つこともできる。遅延時間は、インバータの出力がグリッドと再接続する前に設定された期間、グリッドと同期することを保証する。遅延時間の継続時間は、メータ内で設定することができる。遅延時間は、地域の規制要件やユーザの要件に基づいて設定される場合もある。インバータ出力が、設定された期間、許容される許容誤差内でグリッドに追従していることをインバータが実証したとき、マルチポートメータは、通常、グリッドスイッチを閉じることによって、インバータをグリッドに接続することができる。
【0045】
グリッド接続モードへの移行を開始することをメータが決定する代わりに、ヘッドエンドシステム又は他の遠隔装置、ユーザ、又はインバータが決定を行うことが含まれる。ヘッドエンドシステムが判定を行う場合、ヘッドエンドシステムは、グリッド接続モードへの移行を開始するためのコマンドをメータ又はインバータに送信することができる。コマンドは、コマンドの受信時又はコマンドで指定された将来の時間に移行を開始することを示すことができる。ユーザは、ポータル又はローカルユーザインターフェースを使用して、グリッド接続モードへの移行を要求することができる。一部の実施例では、ユーザの要求はヘッドエンドシステムに送信され、ヘッドエンドシステムがメータに指示することができる。他の実施例では、ユーザの要求は、メータに直接提供される場合がある。メータは、ユーザが開始したコマンドを受け入れるか拒否するか、又はコマンドが許可されていることを確認するように構成可能であってもよい。メータが、ユーザが開始したコマンドを検証するように構成され、ユーザがグリッド接続モードへの移行を要求する場合、メータは、グリッド接続モードへの移行を開始する前にコマンドを検証する。
【0046】
図5に図示されたものに追加のステップを含む例では、
図3c及び
図3dに示されたグリッドスイッチ及び補助スイッチの1つ以上の移行状態が使用される。マルチポートメータはまた、506において、グリッドスイッチと補助スイッチの両方が開いている点が存在するように、メータのグリッドスイッチを閉じる前に、又はメータのグリッドスイッチを閉じるのとほぼ同時に、マルチポートメータの補助スイッチを開くことを決定することができる。メータはまずグリッドスイッチを閉じ、グリッドスイッチが閉じた後、補助スイッチを閉じてグリッド接続モードに入る。
【0047】
図6は、システムがグリッド接続モードからアイランド化モードに移行する方法の例を示しています。システムは、
図3aに示すように、補助スイッチとグリッドスイッチが閉じたグリッド接続モードで開始する。メータはグリッドの状態の変化を検出する(601)。例えば、メータはグリッド上の停電やグリッドから供給される電力の悪化を検出することがある。メータは、グリッド接続モードからアイランド化モードへの移行を開始する(602)。メータは、グリッドスイッチを開くことでグリッドから切り離す。メータがグリッドスイッチを開いてグリッドから切り離すと、マルチポートメータは、グリッド接続モード
図3aをサポートする状態から、アイランド化モード
図3bをサポートする状態に移行する。
【0048】
その後、インバータはグリッドからの切り離しを検知する(603)。その後、インバータはDER装置からアイソクロナス(等時性)で電力を出力し、システムをアイランド化モードに移行する(604)。
【0049】
他の例は、インバータが切り離しを検知する(603)代わりに、又はそれに加えて、マルチポートメータがインバータにグリッドの状態の変化を伝達することを含むことができる。
【0050】
603の他の例では、マルチポートメータは、603の代わりに、又は603に加えて、グリッドの状態の変化をインバータに伝送することができる。マルチポートメータはインバータを制御し、アイソクロナス(等時性)出力を生成するためにインバータにコマンドを発行してもよい。
【0051】
マルチポートメータはまた、602において、
図3c又は
図3dの移行状態を使用してマルチポートメータを移行させることを決定してもよい。いくつかの例では、移行状態は、システムがグリッド接続モードをサポートする状態とアイランド化モードをサポートする状態との間で移行するときに発生する。例えば、グリッド接続モードをサポートする
図3aの状態から、グリッドスイッチと補助スイッチの両方が開いている
図3dの状態へ移行し、アイランド化モードをサポートする
図3bの状態へ移行する。グリッド接続モードをサポートする状態とアイランド化モードをサポートする状態との間の移行は、マルチポートメータが短時間の移行状態にあることで、ほぼ瞬時に行われる場合があります。他の例としては、マルチポートメータが、過渡状態をより長い期間保持するように決定すること、又はコマンドを受信することが含まれる。
【0052】
メータがアイランド化モードへの移行を開始することを決定する代替手段には、ヘッドエンドシステム又は他の遠隔装置、ユーザ、又はインバータが決定を行うことが含まれる。ヘッドエンドシステムが判定を行う場合、ヘッドエンドシステムは、
図6に関連して上述したものと同様に、アイランド化モードへの移行を開始するためのコマンドをメータ又はインバータに送信することができる。
【0053】
図7は、インバータがグリッドの状態を監視する代替例を示している。インバータとグリッドの間にはオプションの接続706がある。この接続は、電線やメータソケットを介した接続のような物理的接続であってもよいし、センサーや他のデバイスを介した無線接続であってもよい。この例では、インバータはグリッドへの接続を通じてグリッドの状態を検知することができる。インバータがグリッドの状態の変化を検知すると、インバータはその変化をマルチポートメータと通信し、及び/又は、アイランド化モードへの移行又はグリッド接続モードへの移行のコマンドをマルチポートメータに送信する。
【0054】
他の実施例では、インバータがグリッドの状態の変化を検知するための別個の接続706を必要としない。インバータは、グリッドの状態の変化を検知するために、マルチポートメータの補助ポートにおけるインピーダンスの変化を検知するように構成されてもよい。インバータは、マルチポートメータにコマンドを通信して、マルチポートメータを状態間で移行させることができる。インバータは、マルチポートメータの状態移行に伴ってインバータの出力を調整し、システムをモード間で移行させることができる。
【0055】
代替のマルチポートメータ構成は、インバータをメータに統合する。
図8は、インバータ802を内蔵した例示的なマルチポートメータ812を示している。マルチポートメータ812は、グリッド800、DER装置801、及び負荷803に接続されている。グリッド800はグリッドポート804によってマルチポートメータ812に接続され、DER装置801は補助ポート805によってインバータ802に接続される。グリッドポート804はグリッドスイッチ807に接続され、インバータ802は補助スイッチ808に接続されている。マルチポートメータは、グリッドスイッチの状態と補助スイッチの状態を制御するように構成されている。マルチポートメータ812はまた、グリッド800及びインバータ出力の位相、振幅、及び/又は周波数を測定するように構成されている。計測コンポーネント809は、グリッド及びインバータ出力の位相、振幅、及び/又は周波数を測定する。処理ユニット811は、計測コンポーネント809によって計測された計測情報を受信する。処理ユニットは、消費データ及びその他の情報を提供するために、グリッドの計測情報を処理する。処理ユニットは、グリッドの状態の変化を検出することもできる。グリッドの状態の変化は、停電を含む所定のしきい値外の電圧である可能性がある。マルチポートメータ812及びインバータ802は、
図2に関連して上述したように、処理ユニット及び通信モジュールも含み、本明細書で説明する動作を実行することもできる。
【0056】
DER装置を制御するためのこれまでの解決法には、高価な自動転送スイッチ(ATS)の使用が含まれる。ATSは、マイクログリッドへの追加設置を必要とする。さらに、ATSシステムの中には、電力グリッドが作動していない間やメンテナンス時間中に発電できないものもある。本解決法は、ATSを必要とせずに実装することも可能ですが、ATSを除去することなく、ATSを含む既存のシステムに実装し、設置コストを節約することも可能である。
【0057】
図9は、グリッドスイッチ901及び補助スイッチ902を備えたマルチポートメータ900を示している。マルチポートメータは、グリッド903とATS906に接続され、ATSはインバータ904に接続されている。マルチポートメータは負荷905にも接続されている。インバータは2つの出力を含む。一方の出力はシンクロナス出力907に相当し、他方の出力はアイソクロナス出力908に相当する。インバータ出力は両方ともATSに接続されている。マルチポートメータは、システムがアイランド化モードであるかグリッド接続モードであるかに基づいて、メータの補助ポートへのインバータ出力の一方の接続を制御するために、ATSと通信するように構成することができる。
【0058】
この例では、インバータ出力907はATSのACグリッド接続に接続されている。グリッドスイッチ901が閉じているとき、インバータ904は出力907によってATSに接続され、インバータはグリッドと同期して出力するように構成される。グリッドスイッチ901が開いている場合、インバータ出力908はATSの保護負荷接続に接続され、インバータ出力908は負荷に供給される。
【0059】
マルチポートメータは、マルチポートメータのスイッチ開閉のタイミングと、ATSが907の接続と908の接続を切り替えるタイミングを調整するために、ATSと通信することができる。他の例としては、インバータ又はATSのどちらかからグリッドにセンサーを接続して、ATSの切替え又はインバータ出力のグリッドの位相、周波数、及び/又は振幅との同期を可能にすることがある。
【0060】
本主題は、その特定の態様に関して詳細に説明されてきたが、当業者であれば、前述の内容を理解した上で、そのような態様に対する代替、変形、及び等価物を容易に作り出すことができることが理解されよう。従って、本開示は、限定ではなく例示の目的で提示されたものであり、当業者に容易に明らかである、本主題に対する変更、変形、及び/又は追加を含むことを排除するものではないことを理解されたい。
【国際調査報告】