(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-13
(54)【発明の名称】部位特異的ゲノム修飾技術
(51)【国際特許分類】
C12N 15/09 20060101AFI20240205BHJP
C12N 15/11 20060101ALI20240205BHJP
【FI】
C12N15/09 100
C12N15/11 Z ZNA
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023548848
(86)(22)【出願日】2022-02-14
(85)【翻訳文提出日】2023-10-13
(86)【国際出願番号】 US2022016313
(87)【国際公開番号】W WO2022174144
(87)【国際公開日】2022-08-18
(32)【優先日】2021-02-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514264569
【氏名又は名称】ノース・カロライナ・ステイト・ユニバーシティ
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ベイゼル,チェイス・ローレンス
(72)【発明者】
【氏名】コリンズ,スコット・パトリック
(57)【要約】
本開示は、鋳型媒介性ゲノム編集及び修飾に関する組成物、方法及びシステムを提供する。特に、本開示は、複製遮断傷害を導入するためのヌクレオチドの部位特異的化学修飾が関与する新規ゲノム修飾技術を提供する。本明細書に記載されている組成物、方法及びシステムは、現在のゲノム編集アプローチに伴う意図されない編集及び細胞毒性を最小化しつつ、DNA標的の効率的な部位特異的ゲノム修飾を容易にする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
標的化されたゲノム修飾のための組成物であって、DNA認識ドメイン及びDNA修飾ドメインを含むギャップ編集因子複合体を含み、DNA認識ドメインが、ゲノムにおけるDNA標的配列に結合し、DNA修飾ドメインが、ゲノムにおける少なくとも1個のヌクレオチドに複製遮断部分の形成を誘導する、組成物。
【請求項2】
ドナー核酸鋳型をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
ドナー核酸鋳型が、DNA標的配列に対応する内因性相同配列由来のポリヌクレオチドを含む、請求項1又は請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
ドナー核酸鋳型が、外因性一本鎖DNA(ssDNA)分子、二本鎖DNA(dsDNA)分子又はRNA分子を含む、請求項2に記載の組成物。
【請求項5】
ドナー核酸鋳型の存在が、相同配列指向性ギャップ修復及び/又は組換えを容易にし、ドナー核酸鋳型又はその断片が、DNA標的配列のゲノム中に組み換えられる、請求項2~4のいずれかに記載の組成物。
【請求項6】
少なくとも1つのガイドRNA分子を含む、請求項1~5のいずれかに記載の組成物。
【請求項7】
DNA認識ドメインが、デオキシリボヌクレアーゼ活性を欠如する少なくとも1個のCasタンパク質又はその断片を含む、請求項1~6のいずれかに記載の組成物。
【請求項8】
DNA認識ドメインが、デオキシリボヌクレアーゼ活性を欠如するCasタンパク質の複合体を含む、請求項1~6のいずれかに記載の組成物。
【請求項9】
DNA認識ドメインが、ニッカーゼ活性を有するCasタンパク質又はその断片を含む、請求項1~6のいずれかに記載の組成物。
【請求項10】
Casタンパク質又はCasタンパク質複合体が、I型カスケード、II型Cas9、IV型エフェクターモジュール、V型Cas12、Cas9関連IscB、Cas9関連TnpB及びこれらの組合せを含む、請求項1~9のいずれかに記載の組成物。
【請求項11】
DNA認識ドメイン及びDNA修飾ドメインが、機能的にカップリングされている、請求項1~10のいずれかに記載の組成物。
【請求項12】
機能的にカップリングされたものが、ポリペプチド融合、ペプチドタグ、ペプチドリンカー、RNAタグ及びこれらのいずれかの組合せを含む、請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
DNA修飾ドメインが、
(i)DNA標的配列に相補的なDNA鎖における少なくとも1個のヌクレオチド;
(ii)DNA標的配列を含有するDNA鎖における少なくとも1個のヌクレオチド;又は
(iii)DNA標的配列に相補的なDNA鎖における少なくとも1個のヌクレオチド及びDNA標的配列を含有するDNA鎖における少なくとも1個のヌクレオチドの両方
に複製遮断部分を付加することにより、DNA複製を遮断する、請求項1~12のいずれかに記載の組成物。
【請求項14】
DNA認識ドメインが、DNA標的鎖における一本鎖切断を誘導し、DNA修飾ドメインが、複製遮断部分を、DNA標的配列に相補的なDNA鎖における少なくとも1個のヌクレオチドに付加する、請求項1~13のいずれかに記載の組成物。
【請求項15】
DNA修飾ドメインが、低減されたDNA結合性、一本鎖DNAに対する増加した特異性及び/又は減少した酵素活性を有するように操作されている、請求項1~14のいずれかに記載の組成物。
【請求項16】
DNA修飾ドメインが、チミン又はグアニンヌクレオチドへのADPリボースの付加を触媒する、請求項1~15のいずれかに記載の組成物。
【請求項17】
DNA修飾ドメインが、DarT酵素又はその機能的断片、誘導体若しくはバリアントを含む、請求項1~16のいずれかに記載の組成物。
【請求項18】
DNA修飾ドメインが、配列番号18~21のいずれかと少なくとも70%アミノ酸配列同一性を有する触媒ドメインを含む、請求項16又は請求項17に記載の組成物。
【請求項19】
DarT酵素が、次のアミノ酸置換:G49D、K56A、M86L、R92A及び/又はR193Aのうち1つ以上を含む、請求項17又は請求項18に記載の組成物。
【請求項20】
DNA修飾ドメインが、Scabin酵素又はその機能的断片、誘導体若しくはバリアントを含む、請求項1~16のいずれかに記載の組成物。
【請求項21】
DNA修飾ドメインが、配列番号22~24のいずれかと少なくとも70%アミノ酸配列同一性を有する触媒ドメインを含む、請求項16又は20に記載の組成物。
【請求項22】
Scabin酵素が、K130Aであるアミノ酸置換を含む、請求項20又は請求項21に記載の組成物。
【請求項23】
DNA修飾ドメインが、アデニンヌクレオチドのメチルカルバモイル化を触媒する、請求項1~15のいずれかに記載の組成物。
【請求項24】
DNA修飾ドメインが、Mom酵素又はその機能的断片、誘導体若しくはバリアントを含む、請求項23に記載の組成物。
【請求項25】
DNA修飾ドメインが、配列番号25~27と少なくとも70%アミノ酸配列同一性を有する触媒ドメインを含む、請求項23又は請求項24に記載の組成物。
【請求項26】
Mom酵素が、D149Aであるアミノ酸置換を含む、請求項24又は請求項25に記載の組成物。
【請求項27】
DNA修飾ドメインが、グルコース、スレオニルカルバモイルアデノシン、アセテート、グリセリル、L-アスコルビン酸、ウリジン、アデノシン一リン酸、脂質、アミノ酸、アグマチン、L-スレオニルカルバモイルアデニル酸、L-スレオニルカルバモイル、メチルチオレート、硫黄、メチル基、S-アデノシル-L-メチオニン又はS-アデノシル-L-メチオニンのサブグループ、及びジメチルアリル二リン酸又はそのサブグループからなる群から選択される複製遮断部分の付加を触媒する、請求項1~14のいずれかに記載の組成物。
【請求項28】
DNA修飾酵素ドメインが、ピエリシン、Scabin、細胞周期及びアポトーシス調節因子1(CARP-1)、SCO5461タンパク質(ScARP)、アデニン修飾酵素、アセチルトランスフェラーゼ、アミノ酸トランスフェラーゼ、ヌクレオチジルトランスフェラーゼ、ウリジルトランスフェラーゼ、アシルトランスフェラーゼ、ADP-リボシルトランスフェラーゼ、メチルチオトランスフェラーゼ、N-アセチルトランスフェラーゼ10、tRNA(Met)シチジンアセチルトランスフェラーゼ(TmcA)、tRNAシチジンアセチルトランスフェラーゼ、GCN5関連N-アセチルトランスフェラーゼ、ライシジンシンターゼ、m
7Gメチルトランスフェラーゼ、N6カルバモイルメチルトランスフェラーゼ(Mom)、N6-アデノシンスレオニルカルバモイルトランスフェラーゼ、スレオニルカルバモイル(carbomyl)トランスフェラーゼ又はスレオニルカルバモイル(carbomyl)トランスフェラーゼ複合体、TsaB-TsaE-TsaD(TsaBDE)複合体、tRNA N6-アデノシンスレオニルカルバモイルトランスフェラーゼ(Qri7、Tcs4)、メチルトランスフェラーゼ、ATrm5a、tRNA:m
1G/imG2メチルトランスフェラーゼ、tRNA(アデノシン(37)-N6)-ジメチルアリルトランスフェラーゼ、tRNAジメチルアリルトランスフェラーゼ(MiaA)、並びにイソペンテニルトランスフェラーゼからなる群から選択される酵素又はその機能的断片、誘導体若しくはバリアントを含む、請求項1~14のいずれかに記載の組成物。
【請求項29】
少なくとも1つのガイドRNAが、gRNA、sgRNA、crRNA又はこれらのいずれかの組合せを含む、請求項6~28のいずれかに記載の組成物。
【請求項30】
少なくとも1つのガイドRNAが、ハンドル配列及び標的化配列を含む、請求項6~29のいずれかに記載の組成物。
【請求項31】
少なくとも1つのガイドRNAにおける標的化配列が、DNA標的配列に相補的である、請求項30に記載の組成物。
【請求項32】
少なくとも1つのギャップ編集因子アクセサリー因子をさらに含む、請求項1~31のいずれかに記載の組成物。
【請求項33】
少なくとも1つのギャップ編集因子アクセサリー因子が、ゲノム修飾過程における少なくとも1つのステップを増強するタンパク質を含む、請求項32に記載の組成物。
【請求項34】
少なくとも1つのギャップ編集因子アクセサリー因子が、DNA修飾ドメイン、DNA認識ドメイン及び/又は少なくとも1つのガイドRNAとの相互作用を介してギャップ編集因子複合体にリクルートされる、請求項32に記載の組成物。
【請求項35】
ギャップ編集因子複合体への少なくとも1つのギャップ編集因子アクセサリー因子のリクルートメントが、ペプチドタグ、ペプチドリンカー、RNAタグ及びこれらのいずれかの組合せを含む、請求項34に記載の組成物。
【請求項36】
少なくとも1つのギャップ編集因子アクセサリー因子が、Rap、DarG、Orf、ExoI、エキソヌクレアーゼIII、PrimPol、RecJ、RecQ1、Rad51、Rad52、CtIP、Rad18及びこれらのいずれかの組合せを含む、請求項32に記載の組成物。
【請求項37】
標的化されたゲノム修飾のためのキットであって、
DNA認識ドメイン及びDNA修飾ドメインを含むギャップ編集因子複合体を含み、DNA認識ドメインが、ゲノムにおけるDNA標的配列に結合し、DNA修飾ドメインが、ゲノムにおける少なくとも1個のヌクレオチドに複製遮断部分の形成を誘導する、キット。
【請求項38】
ドナー核酸鋳型をさらに含む、請求項37に記載のキット。
【請求項39】
ドナー核酸鋳型の存在が、相同配列指向性ギャップ修復及び/又は組換えを容易にする、請求項38に記載のキット。
【請求項40】
ガイドRNA分子をさらに含む、請求項37に記載のキット。
【請求項41】
DNA認識ドメインが、デオキシリボヌクレアーゼ活性を欠如する少なくとも1個のCasタンパク質又はその断片を含む、請求項37~40のいずれかに記載のキット。
【請求項42】
DNA認識ドメインが、ニッカーゼ活性を有する少なくとも1個のCasタンパク質又はその断片を含む、請求項37~41のいずれかに記載のキット。
【請求項43】
Casタンパク質又はCasタンパク質複合体が、I型カスケード、II型Cas9、IV型エフェクターモジュール、V型Cas12、Cas9関連IscB、Cas9関連TnpB及びこれらの組合せを含む、請求項37~42のいずれかに記載のキット。
【請求項44】
DNA認識ドメイン及びDNA修飾ドメインが、機能的にカップリングされている、請求項37~43のいずれかに記載のキット。
【請求項45】
DNA認識ドメインが、DNA標的鎖における一本鎖切断を誘導し、DNA修飾ドメインが、複製遮断部分を、DNA標的配列に相補的なDNA鎖における少なくとも1個のヌクレオチドに付加する、請求項37~44のいずれかに記載のキット。
【請求項46】
DNA修飾ドメインが、チミン又はグアニンヌクレオチドへのADPリボースの付加を触媒する、請求項37~45のいずれかに記載のキット。
【請求項47】
DNA修飾ドメインが、DarT酵素、Scabin酵素又はそれらの機能的断片、誘導体若しくはバリアントを含む、請求項46に記載のキット。
【請求項48】
DarT酵素が、低減されたDNA結合性、一本鎖DNAに対する増加した特異性及び/又は減少した酵素活性を有するように操作されている、請求項47に記載のキット。
【請求項49】
DNA修飾ドメインが、グルコース、スレオニルカルバモイルアデノシン、アセテート、グリセリル、L-アスコルビン酸、ウリジン、アデノシン一リン酸、脂質、アミノ酸、アグマチン、L-スレオニルカルバモイルアデニル酸、L-スレオニルカルバモイル、メチルチオレート、硫黄、メチル基、S-アデノシル-L-メチオニン又はS-アデノシル-L-メチオニンのサブグループ、及びジメチルアリル二リン酸又はそのサブグループからなる群から選択される複製遮断部分の付加を触媒する、請求項37~48のいずれかに記載のキット。
【請求項50】
DNA修飾酵素ドメインが、ピエリシン、Scabin、細胞周期及びアポトーシス調節因子1(CARP-1)、SCO5461タンパク質(ScARP)、アデニン修飾酵素、アセチルトランスフェラーゼ、アミノ酸トランスフェラーゼ、ヌクレオチジルトランスフェラーゼ、ウリジルトランスフェラーゼ、アシルトランスフェラーゼ、ADP-リボシルトランスフェラーゼ、メチルチオトランスフェラーゼ、N-アセチルトランスフェラーゼ10、tRNA(Met)シチジンアセチルトランスフェラーゼ(TmcA)、tRNAシチジンアセチルトランスフェラーゼ、GCN5関連N-アセチルトランスフェラーゼ、ライシジンシンターゼ、m
7Gメチルトランスフェラーゼ、N6カルバモイルメチルトランスフェラーゼ(Mom)、N6-アデノシンスレオニルカルバモイルトランスフェラーゼ、スレオニルカルバモイル(carbomyl)トランスフェラーゼ又はスレオニルカルバモイル(carbomyl)トランスフェラーゼ複合体、TsaB-TsaE-TsaD(TsaBDE)複合体、tRNA N6-アデノシンスレオニルカルバモイルトランスフェラーゼ(Qri7、Tcs4)、メチルトランスフェラーゼ、ATrm5a、tRNA:m
1G/imG2メチルトランスフェラーゼ、tRNA(アデノシン(37)-N6)-ジメチルアリルトランスフェラーゼ、tRNAジメチルアリルトランスフェラーゼ(MiaA)、並びにイソペンテニルトランスフェラーゼからなる群から選択される酵素又はその機能的断片、誘導体若しくはバリアントを含む、請求項37~49のいずれかに記載のキット。
【請求項51】
少なくとも1つのガイドRNAが、gRNA、sgRNA、crRNA又はこれらのいずれかの組合せを含む、請求項40~50のいずれかに記載のキット。
【請求項52】
少なくとも1つのガイドRNAが、ハンドル配列及び標的化配列を含む、請求項40~51のいずれかに記載のキット。
【請求項53】
少なくとも1つのガイドRNAにおける標的化配列が、DNA標的配列に相補的である、請求項52に記載のキット。
【請求項54】
少なくとも1つのギャップ編集因子アクセサリー因子をさらに含む、請求項37~53のいずれかに記載のキット。
【請求項55】
標的化されたゲノム修飾のための方法であって、
請求項1~36に記載の組成物のいずれかを細胞に導入するステップ;及び
所望のゲノム変更の存在について細胞を評価するステップ
を含む方法。
【請求項56】
ギャップ編集因子複合体及び/又は少なくとも1つのガイドRNA分子が、ポリペプチド、mRNA及び/又はDNA発現構築物として細胞に導入される、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
ギャップ編集因子複合体及び/又はガイドRNAが、遺伝子駆動システムの一部として細胞に導入される、請求項55又は56に記載の方法。
【請求項58】
前記細胞が、原核細胞又は真核細胞である、請求項55に記載の方法。
【請求項59】
前記細胞が、哺乳類細胞である、請求項55に記載の方法。
【請求項60】
前記細胞が、植物細胞である、請求項55に記載の方法。
【請求項61】
程度の低減されたインデル形成、染色体再編成及び/又はDNA重複をもたらす、請求項47~60のいずれかに記載の方法。
【請求項62】
細胞生存能が増強される、及び/又は細胞毒性が低減される、請求項47~61のいずれかに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、その全体があらゆる目的のために参照により本明細書に組み込まれる、2021年2月15日に出願された米国仮特許出願第63/149,419号に基づく優先権及びその利益を主張する。
【0002】
配列表
144,908バイトのファイルサイズを有する、2022年2月14日に作成された「39212-601_SEQUENCE_LISTING_ST25」という表題の、本明細書と共に出願されたコンピュータ可読配列表のテキストは、これによりその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0003】
政府による資金提供
本発明は、国立衛生研究所(National Institues of Health)が与えた助成金番号GM119561による政府支援の下に為された。政府は、本発明に一定の権利を有する。
【0004】
分野
本開示は、鋳型媒介性ゲノム修飾に関する組成物、方法及びシステムを提供する。特に、本開示は、複製遮断傷害を導入するためのヌクレオチドの部位特異的化学修飾が関与する新規ゲノム修飾技術を提供する。本明細書に記載されている組成物、方法及びシステムは、現在のゲノム編集アプローチに伴う意図されない編集及び細胞毒性を最小化しつつ、DNA標的の効率的な部位特異的ゲノム修飾を容易にする。
【背景技術】
【0005】
CRISPRに基づくゲノム編集ツールは、その容易にプログラム可能な標的化及びロバストな活性に頼る広範な用途を見出した。このようなCRISPRに基づくツールの初期の使用は、DNAを切断するCasヌクレアーゼの能力に焦点を合わせた。切断されたDNAを修復する過程において、ゲノム編集は、供給されたDNA修復鋳型との相同組換えを介して導入される。しかし、DNA切断は、最も毒性が高い細胞事象の1つである;DNA切断は、突然変異、DNA再編成又は細胞生存能喪失をもたらす細胞の警報システムを作動させる。その後のCRISPR-Casゲノム編集ツールは、個々の塩基の標的修飾又はガイドRNA内にコードされた短い鋳型の組込みによる代替アプローチを探究した。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
それでもなお、これらの方法は、生成され得る編集の範囲が制限され、望まれない編集を生じ得る。したがって、現在のシステムの限界を克服する、効率的なゲノム編集及び修飾プラットフォームの必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(発明の要旨)
本開示の実施形態は、標的化されたゲノム修飾のための組成物を含む。このような実施形態に従って、組成物は、DNA認識ドメイン及びDNA修飾ドメインを含むギャップ編集因子複合体を含み、DNA認識ドメインは、ゲノムにおけるDNA標的配列に結合し、DNA修飾ドメインは、ゲノムにおける少なくとも1個のヌクレオチドに複製遮断部分の形成を誘導する。
【0008】
一部の実施形態では、組成物は、ドナー核酸鋳型をさらに含む。一部の実施形態では、ドナー核酸鋳型は、DNA標的配列に対応する内因性相同配列由来のポリヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、ドナー核酸鋳型は、外因性一本鎖DNA(ssDNA)分子又は二本鎖DNA(dsDNA)分子を含む。一部の実施形態では、ドナー核酸鋳型は、RNA分子である。一部の実施形態では、ドナー核酸鋳型の存在は、相同配列指向性(homology-directed)ギャップ修復及び/又は組換えを容易にし、ドナー核酸鋳型又はその断片は、DNA標的配列のゲノム中に組み換えられる。
【0009】
一部の実施形態では、DNA認識ドメインは、デオキシリボヌクレアーゼ活性を欠如する少なくとも1個のCasタンパク質又はその断片を含む。一部の実施形態では、DNA認識ドメインは、デオキシリボヌクレアーゼ活性を欠如するCasタンパク質の複合体を含む。一部の実施形態では、DNA認識ドメインは、ニッカーゼ活性を有するCasタンパク質又はその断片を含む。一部の実施形態では、Casタンパク質又はCasタンパク質複合体は、I型カスケード、II型Cas9、IV型エフェクターモジュール、V型Cas12、Cas9関連IscB、Cas9関連TnpB及びこれらの組合せを含む。
【0010】
一部の実施形態では、DNA認識ドメイン及びDNA修飾ドメインは、機能的にカップリングされている。一部の実施形態では、機能的にカップリングされたものは、ポリペプチド融合、ペプチドタグ、ペプチドリンカー、RNAタグ及びこれらのいずれかの組合せを含む。
【0011】
一部の実施形態では、DNA修飾ドメインは、(i)DNA標的配列に相補的なDNA鎖における少なくとも1個のヌクレオチド;(ii)DNA標的配列を含有するDNA鎖における少なくとも1個のヌクレオチド;又は(iii)DNA標的配列に相補的なDNA鎖における少なくとも1個のヌクレオチド及びDNA標的配列を含有するDNA鎖における少なくとも1個のヌクレオチドの両方に複製遮断部分を付加することにより、DNA複製を遮断する。
【0012】
一部の実施形態では、DNA認識ドメインは、DNA標的鎖における一本鎖切断を誘導し、DNA修飾ドメインは、複製遮断部分を、DNA標的配列に相補的なDNA鎖における少なくとも1個のヌクレオチドに付加する。
【0013】
一部の実施形態では、DNA修飾ドメインは、低減されたDNA結合性、一本鎖DNAに対する増加した特異性及び/又は減少した酵素活性を有するように操作されている。
【0014】
一部の実施形態では、DNA修飾ドメインは、チミン又はグアニンヌクレオチドへのADPリボースの付加を触媒する。一部の実施形態では、DNA修飾ドメインは、DarT酵素又はその機能的断片、誘導体若しくはバリアントを含む。一部の実施形態では、DNA修飾ドメインは、配列番号18~21のいずれかと少なくとも70%アミノ酸配列同一性を有する触媒ドメインを含む。一部の実施形態では、DarT酵素は、次のアミノ酸置換:G49D、K56A、M86L、R92A及び/又はR193Aのうち1つ以上を含む。
【0015】
一部の実施形態では、DNA修飾ドメインは、Scabin酵素又はその機能的断片、誘導体若しくはバリアントを含む。一部の実施形態では、DNA修飾ドメインは、配列番号22~24のいずれかと少なくとも70%アミノ酸配列同一性を有する触媒ドメインを含む。一部の実施形態では、Scabin酵素は、K130Aであるアミノ酸置換を含む。
【0016】
一部の実施形態では、DNA修飾ドメインは、アデニンヌクレオチドのメチルカルバモイル化(methylcarbamoylation)を触媒する。一部の実施形態では、DNA修飾ドメインは、Mom酵素又はその機能的断片、誘導体若しくはバリアントを含む。一部の実施形態では、DNA修飾ドメインは、配列番号25~27と少なくとも70%アミノ酸配列同一性を有する触媒ドメインを含む。一部の実施形態では、Mom酵素は、D149Aであるアミノ酸置換を含む。
【0017】
一部の実施形態では、DNA修飾ドメインは、グルコース、スレオニルカルバモイルアデノシン、アセテート、グリセリル、L-アスコルビン酸、ウリジン、アデノシン一リン酸、脂質、アミノ酸、アグマチン、L-スレオニルカルバモイルアデニル酸、L-スレオニルカルバモイル、メチルチオレート、硫黄、メチル基、S-アデノシル-L-メチオニン(methione)又はS-アデノシル-L-メチオニンのサブグループ、及びジメチルアリル二リン酸又はそのサブグループからなる群から選択される複製遮断部分の付加を触媒する。
【0018】
一部の実施形態では、DNA修飾酵素ドメインは、ピエリシン(Pierisin)、Scabin、細胞周期及びアポトーシス調節因子1(CARP-1)、SCO5461タンパク質(ScARP)、アデニン修飾酵素、アセチルトランスフェラーゼ、アミノ酸トランスフェラーゼ、ヌクレオチジルトランスフェラーゼ、ウリジルトランスフェラーゼ、アシルトランスフェラーゼ、ADP-リボシルトランスフェラーゼ(ribsoyltransferase)、メチルチオトランスフェラーゼ、N-アセチルトランスフェラーゼ10、tRNA(Met)シチジンアセチルトランスフェラーゼ(TmcA)、tRNAシチジンアセチルトランスフェラーゼ、GCN5関連N-アセチルトランスフェラーゼ、ライシジンシンターゼ、m7Gメチルトランスフェラーゼ、N6カルバモイルメチルトランスフェラーゼ(Mom)、N6-アデノシンスレオニルカルバモイルトランスフェラーゼ、スレオニルカルバモイル(carbomyl)トランスフェラーゼ又はスレオニルカルバモイル(carbomyl)トランスフェラーゼ複合体、TsaB-TsaE-TsaD(TsaBDE)複合体、tRNA N6-アデノシンスレオニルカルバモイルトランスフェラーゼ(Qri7、Tcs4)、メチルトランスフェラーゼ、ATrm5a、tRNA:m1G/imG2メチルトランスフェラーゼ、tRNA(アデノシン(37)-N6)-ジメチルアリルトランスフェラーゼ、tRNAジメチルアリルトランスフェラーゼ(MiaA)、並びにイソペンテニルトランスフェラーゼからなる群から選択される酵素又はその機能的断片、誘導体若しくはバリアントを含む。
【0019】
一部の実施形態では、組成物は、少なくとも1つのガイドRNA分子を含む。一部の実施形態では、少なくとも1つのガイドRNAは、gRNA、sgRNA、crRNA又はこれらのいずれかの組合せを含む。一部の実施形態では、少なくとも1つのガイドRNAは、ハンドル配列及び標的化配列を含む。一部の実施形態では、少なくとも1つのガイドRNAは、DNA標的配列に相補的である。
【0020】
一部の実施形態では、組成物は、少なくとも1つのギャップ編集因子アクセサリー因子をさらに含む。一部の実施形態では、少なくとも1つのギャップ編集因子アクセサリー因子は、ゲノム修飾過程における少なくとも1つのステップを増強するタンパク質を含む。一部の実施形態では、少なくとも1つのギャップ編集因子アクセサリー因子は、DNA修飾ドメイン、DNA認識ドメイン及び/又は少なくとも1つのガイドRNAとの相互作用を介してギャップ編集因子複合体にリクルートされる。一部の実施形態では、ギャップ編集因子複合体への少なくとも1つのギャップ編集因子アクセサリー因子のリクルートメントは、ペプチドタグ、ペプチドリンカー、RNAタグ及びこれらのいずれかの組合せを含む。一部の実施形態では、少なくとも1つのギャップ編集因子アクセサリー因子は、Rap、DarG、Orf、ExoI、エキソヌクレアーゼIII、PrimPol、RecJ、RecQ1、Rad51、Rad52、CtIP、Rad18及びこれらのいずれかの組合せを含む。
【0021】
本開示の実施形態はまた、標的化されたゲノム修飾のためのキットを含む。このような実施形態に従って、キットは、DNA認識ドメイン及びDNA修飾ドメインを含むギャップ編集因子複合体を含み、DNA認識ドメインは、ゲノムにおけるDNA標的配列に結合し、DNA修飾ドメインは、ゲノムにおける少なくとも1個のヌクレオチドに複製遮断部分の形成を誘導する。
【0022】
一部の実施形態では、キットは、ドナー核酸鋳型をさらに含む。一部の実施形態では、ドナー核酸鋳型の存在は、相同配列指向性ギャップ修復及び/又は組換えを容易にする。
【0023】
一部の実施形態では、キットは、ガイドRNA分子をさらに含む。
【0024】
キットの一部の実施形態では、DNA認識ドメインは、デオキシリボヌクレアーゼ活性を欠如する少なくとも1個のCasタンパク質又はその断片を含む。一部の実施形態では、DNA認識ドメインは、ニッカーゼ活性を有する少なくとも1個のCasタンパク質又はその断片を含む。一部の実施形態では、Casタンパク質又はCasタンパク質複合体は、I型カスケード、II型Cas9、IV型エフェクターモジュール、V型Cas12、Cas9関連IscB、Cas9関連TnpB及びこれらの組合せを含む。
【0025】
キットの一部の実施形態では、DNA認識ドメイン及びDNA修飾ドメインは、機能的にカップリングされている。一部の実施形態では、DNA認識ドメインは、DNA標的鎖における一本鎖切断を誘導し、DNA修飾ドメインは、複製遮断部分を、DNA標的配列に相補的なDNA鎖における少なくとも1個のヌクレオチドに付加する。
【0026】
キットの一部の実施形態では、DNA修飾ドメインは、チミン又はグアニンヌクレオチドへのADPリボースの付加を触媒する。一部の実施形態では、DNA修飾ドメインは、DarT酵素又はその機能的断片、誘導体若しくはバリアントを含む。一部の実施形態では、DNA修飾ドメインは、Scabin酵素又はその機能的断片、誘導体若しくはバリアントを含む。一部の実施形態では、DarT酵素は、低減されたDNA結合性、一本鎖DNAに対する増加した特異性及び/又は減少した酵素活性を有するように操作されている。
【0027】
キットの一部の実施形態では、DNA修飾ドメインは、アデニンヌクレオチドのメチルカルバモイル化を触媒する。一部の実施形態では、DNA修飾ドメインは、Mom酵素又はその機能的断片、誘導体若しくはバリアントを含む。一部の実施形態では、Mom酵素は、低減されたDNA結合性、一本鎖DNAに対する増加した特異性及び/又は減少した酵素活性を有するように操作されている。
【0028】
キットの一部の実施形態では、DNA修飾ドメインは、グルコース、スレオニルカルバモイルアデノシン、アセテート、グリセリル、L-アスコルビン酸、ウリジン、アデノシン一リン酸、脂質、アミノ酸、アグマチン、L-スレオニルカルバモイルアデニル酸、L-スレオニルカルバモイル、メチルチオレート、硫黄、メチル基、S-アデノシル-L-メチオニン又はS-アデノシル-L-メチオニンのサブグループ、及びジメチルアリル二リン酸又はそのサブグループからなる群から選択される複製遮断部分の付加を触媒する。
【0029】
キットの一部の実施形態では、DNA修飾酵素ドメインは、ピエリシン、Scabin、細胞周期及びアポトーシス調節因子1(CARP-1)、SCO5461タンパク質(ScARP)、アデニン修飾酵素、アセチルトランスフェラーゼ、アミノ酸トランスフェラーゼ、ヌクレオチジルトランスフェラーゼ、ウリジルトランスフェラーゼ、アシルトランスフェラーゼ、ADP-リボシルトランスフェラーゼ、メチルチオトランスフェラーゼ、N-アセチルトランスフェラーゼ10、tRNA(Met)シチジンアセチルトランスフェラーゼ(TmcA)、tRNAシチジンアセチルトランスフェラーゼ、GCN5関連N-アセチルトランスフェラーゼ、ライシジンシンターゼ、m7Gメチルトランスフェラーゼ、N6カルバモイルメチルトランスフェラーゼ(Mom)、N6-アデノシンスレオニルカルバモイルトランスフェラーゼ、スレオニルカルバモイル(carbomyl)トランスフェラーゼ又はスレオニルカルバモイル(carbomyl)トランスフェラーゼ複合体、TsaB-TsaE-TsaD(TsaBDE)複合体、tRNA N6-アデノシンスレオニルカルバモイルトランスフェラーゼ(Qri7、Tcs4)、メチルトランスフェラーゼ、ATrm5a、tRNA:m1G/imG2メチルトランスフェラーゼ、tRNA(アデノシン(37)-N6)-ジメチルアリルトランスフェラーゼ、tRNAジメチルアリルトランスフェラーゼ(MiaA)、並びにイソペンテニルトランスフェラーゼからなる群から選択される酵素又はその機能的断片、誘導体若しくはバリアントを含む。
【0030】
キットの一部の実施形態では、少なくとも1つのガイドRNAは、gRNA、sgRNA、crRNA又はこれらのいずれかの組合せを含む。一部の実施形態では、少なくとも1つのガイドRNAは、ハンドル配列及び標的化配列を含む。一部の実施形態では、少なくとも1つのガイドRNAにおける標的化配列は、DNA標的配列に相補的である。
【0031】
一部の実施形態では、キットは、少なくとも1つのギャップ編集因子アクセサリー因子をさらに含む。
【0032】
本開示の実施形態はまた、標的化されたゲノム修飾のための方法を含む。このような実施形態に従って、方法は、本開示の組成物のいずれかを細胞に導入するステップ、及び所望のゲノム変更の存在について細胞を評価するステップを含む。
【0033】
一部の実施形態では、ギャップ編集因子複合体及び/又は少なくとも1つのガイドRNA分子は、ポリペプチド(複数可)、mRNA(複数可)及び/又はDNA発現構築物(複数可)として細胞に導入される。一部の実施形態では、ギャップ編集因子複合体及び/又はガイドRNAは、遺伝子駆動システムの一部として細胞に導入される。
【0034】
一部の実施形態では、細胞は、原核細胞又は真核細胞である。一部の実施形態では、細胞は、哺乳類細胞である。一部の実施形態では、細胞は、植物細胞である。
【0035】
一部の実施形態では、本方法は、程度の低減されたインデル形成、染色体再編成及び/又はDNA重複をもたらす。
【0036】
一部の実施形態では、細胞生存能が増強されるか、及び/又は細胞毒性が低減される。
【0037】
本開示の他の態様及び実施形態は、次の詳細な説明を踏まえて明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【
図1A】
図1Aは、ギャップ編集の一般機構の代表的な図解を提示する。ギャップ編集因子によってDNAの一方の鎖に付属された、かさ高い化学基は、DNA複製を遮断し、一本鎖DNAギャップをもたらす。次いで、当該のギャップは、相同修復鋳型を組み込むことができる相同組換えにより修復される。反対側の鎖もまた、ニッキング又は化学修飾して、姉妹染色分体との組換えを遮断し、編集を増強することができる。
【
図1B】
図1Bは、低減されたDNA結合性を有するように操作されているDNA修飾酵素(DarT)を含むギャップ編集因子複合体を使用した、有意に低減された細胞傷害性効果により効率的なlacZ遺伝子修復を実証する実験の代表的な結果を含む。
【
図2】
図2は、ニッカーゼ活性を有するように操作されているDNA認識ドメインを含むギャップ編集因子複合体(DarT_G49D_K56A-ScnCas9又はGE2n)を使用した、有意に低減された細胞傷害性効果により効率的なlacZ遺伝子修復を実証する実験の代表的な結果を含む。
【
図3】
図3は、ギャップ編集因子複合体のDNA修飾ドメイン(DarT)の機能を相殺するためにギャップ編集因子アクセサリー因子が使用された(DarG)場合の、ギャップ編集因子複合体によるlacZ遺伝子修復の減弱を実証する実験の代表的な結果を含む。
【
図4】
図4は、Cas9 DNA認識ドメインと組み合わせたDNA修飾ドメイン(Scabin)を含むギャップ編集因子複合体(Scabin-K130A-ScdCas9)を使用した、カナマイシン遺伝子修復の頻度増加によるゲノム修飾の成功を実証する実験の代表的な結果を含む。
【
図5】
図5は、Cas9 DNA認識ドメインと組み合わせたDNA修飾ドメイン(Mom)を含むギャップ編集因子複合体(Mom-D149A-ScdCas9)を使用した、カナマイシン遺伝子修復の頻度増加によるゲノム修飾の成功を実証する実験の代表的な結果を含む。
【
図6】
図6は、ギャップ編集因子複合体を使用したゲノム修飾の成功(例えば、カナマイシン遺伝子修復の頻度増加による(though))が、Cas9 DNA認識ドメインと組み合わせたDNA修飾ドメイン(DarT)(DarT-G49D-ScdCas9)及び活性RNAにより方向付けられた標的化に頼ることを実証する実験の代表的な結果を含む。(ScdCas9単独は、カナマイシン遺伝子修復をもたらさなかった。)
【
図7】
図7は、毒性を有意に低減させる特異的な突然変異(R193A)を含むDarT DNA修飾ドメインを有するギャップ編集因子複合体(DarT-G49D-R193A-ScdCas9)を使用した実験の代表的な結果を含む。
【
図8】
図8は、それぞれカナマイシン遺伝子修復の頻度低減及び維持により実証される通り、オンターゲット編集を維持しつつバックグラウンド編集を有意に低減させる突然変異(G49D、R193A、M86L及びR92A)を含むDarT DNA修飾ドメインを有するギャップ編集因子複合体を使用した実験の代表的な結果を含む。
【
図9】
図9は、ニッカーゼ活性を有するCas9 DNA認識ドメイン(ScdCas9)と組み合わせた、毒性を有意に低減させる突然変異(G49D及び/又はR193A)を有するDNA修飾ドメイン(DarT)を含むギャップ編集因子複合体を使用した、カナマイシン遺伝子修復の頻度増加によるゲノム修飾の成功を実証する実験の代表的な結果を含む。R193A突然変異をG49D突然変異に加えることにより、修飾を損なうことなく、毒性がさらに低減された。部位特異的ゲノム修飾は、ほとんど100%有効であった。
【
図10】
図10は、fcy1の遺伝子ノックアウトが、5-フルオロシトシン(5-FC)に対する抵抗性を付与することを実証する実験の代表的な結果を含む。Cas9ニッカーゼ(ScnCas9)又は操作されているDarT遺伝子とCas9ニッカーゼとの融合体によるサッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces Cerevisiae)におけるfcy1遺伝子の標的化、及び修復鋳型の提供は、fcy1におけるゲノム修飾をもたらした。全ての突然変異について、DarTの融合体は、ゲノム編集の率の>10倍増加をもたらし、真核細胞における複製遮断部分の導入の有用性を実証する。
【
図11】
図11は、fcy1の遺伝子ノックアウトが、5-フルオロシトシン(5-FC)に対する抵抗性を付与することを実証する実験の代表的な結果を含む。Cas9ニッカーゼ(ScnCas9)又は操作されているDarT遺伝子とCas9ニッカーゼとの融合体によるサッカロマイセス・セレビシエにおけるfcy1遺伝子の標的化、及び修復鋳型の提供は、fcy1におけるゲノム修飾をもたらした。修復鋳型は、ゲノム修飾後のfcy1機能の喪失及び5-FCに対する抵抗性をもたらす、fcy1に2又は3個の終止コドンを導入する6個の突然変異をコードする。G49D、R193A、M86L及びR92A突然変異を含む操作されているDarTバリアントの使用は、G49D及びR193A突然変異単独を有するDarTの最大でおよそ50倍まで細胞生存能を改善する。このギャップ編集因子複合体は、酵母におけるfcy1を標的化する2種の別々のシングルガイドRNA及び修復鋳型を使用して、効率的かつ低毒性のゲノム修飾を実現する。
【
図12】
図12は、サンガー配列決定による、fcy1ゲノム修飾及び遺伝子ノックアウトの確認を提供する代表的なクロマトグラム(chromatograph)を含む。ギャップ編集因子複合体をfcy1遺伝子に標的化し、DNA修復鋳型を提供することにより、2又は3個の終止コドンが導入された。編集されたヌクレオチドは、赤色で強調されている。fcy1内の2種の別々の標的に対するゲノム編集が示されている。
【
図13】
図13は、lacZの遺伝子ノックアウトが、ラクトースアナログIPTG及び比色指標X-galの存在下で、白いコロニー色をもたらすことを実証する実験の代表的な結果を含む。操作されているDarT遺伝子に融合されたヌクレアーゼ不活性Cas12aタンパク質(dLbCas12a)によるE.コリ(E.coli)におけるlacZ遺伝子の標的化、及び修復鋳型の提供は、lacZにおけるゲノム修飾をもたらした。ギャップ編集因子複合体のlacZ遺伝子への標的化を用いなければ、ゲノム修飾は観察されなかった。
【
図14】
図14は、lacZ遺伝子への1個以上の終止コドンの導入の成功を実証し、ベータ-ガラクトシダーゼ発現を排除し、これにより、異なるcrRNAと会合したDarT(G49D/R193A)-dLbCas12aを使用して、誘導因子IPTG及び比色指標X-galの存在下でプレーティングされたときに白い色のコロニーをもたらす、代表的なクロマトグラム(chromatograph)を含む。
【
図15】
図15は、rpoB遺伝子へのD516G突然変異の導入が、抗生物質リファンピシンに対する抵抗性を付与し、よって、ゲノム修飾の読み出し情報として機能することを実証する実験の代表的な結果を含む。Cas9ニッカーゼ(ScnCas9)に融合された操作されているDarTバリアントによるE.コリにおけるrpoB遺伝子の標的化、並びにRNA修復鋳型及び逆転写酵素の同時発現は、部位特異的RNA鋳型ゲノム修飾をもたらした。
【
図16】
図16は、rpoB遺伝子へのD516G突然変異の導入が、抗生物質リファンピシンに対する抵抗性を付与し、よって、ゲノム修飾の読み出し情報として機能することを実証する実験の代表的な結果を含む。Cas9ニッカーゼ(ScnCas9)に融合された操作されているDarTバリアントによるE.コリにおけるrpoB遺伝子の標的化、及び直鎖状一本鎖DNA修復鋳型の提供は、rpoBにおけるゲノム修飾をもたらした。rpoBへのギャップ編集因子複合体の標的化は、ゲノム修飾率の100~6,000倍増加をもたらし、ギャップ編集因子の効果を実証する。
【
図17】
図17は、rpoB遺伝子へのギャップ編集因子複合体の標的化、RNA修復鋳型の発現及び逆転写酵素Ec86の発現によって導入されたrpoB遺伝子におけるRNA鋳型突然変異の代表的なクロマトグラムを含む。突然変異は、D516G媒介性リファンピシン抵抗性に要求されるAC>GT突然変異を含む。
【
図18】
図18は、本開示のギャップ編集因子複合体のDNA修飾ドメインのDarT触媒ドメイン(配列番号18)に関するコンセンサス配列のイメージを含む。
【
図19】
図19は、本開示のギャップ編集因子複合体のDNA修飾ドメインのDarT触媒ドメイン(配列番号19)に関するコンセンサス配列のイメージを含む。
【
図20】
図20は、本開示のギャップ編集因子複合体のDNA修飾ドメインのDarT触媒ドメイン(配列番号20)に関するコンセンサス配列のイメージを含む。
【
図21】
図21は、本開示のギャップ編集因子複合体のDNA修飾ドメインのDarT触媒ドメイン(配列番号21)に関するコンセンサス配列のイメージを含む。
【
図22】
図22は、本開示のギャップ編集因子複合体のDNA修飾ドメインのScabin触媒ドメイン(配列番号22)に関するコンセンサス配列のイメージを含む。
【
図23】
図23は、本開示のギャップ編集因子複合体のDNA修飾ドメインのScabin触媒ドメイン(配列番号23)に関するコンセンサス配列のイメージを含む。
【
図24】
図24は、本開示のギャップ編集因子複合体のDNA修飾ドメインのScabin触媒ドメイン(配列番号24)に関するコンセンサス配列のイメージを含む。
【
図25】
図25は、本開示のギャップ編集因子複合体のDNA修飾ドメインのMom触媒ドメイン(配列番号25)に関するコンセンサス配列のイメージを含む。
【
図26】
図26は、本開示のギャップ編集因子複合体のDNA修飾ドメインのMom触媒ドメイン(配列番号26)に関するコンセンサス配列のイメージを含む。
【
図27】
図27は、本開示のギャップ編集因子複合体のDNA修飾ドメインのMom触媒ドメイン(配列番号27)に関するコンセンサス配列のイメージを含む。
【発明を実施するための形態】
【0039】
ヌクレオチド修飾は、ある特定の位置におけるDNAメチル化などの機能性(functional)修飾、又は架橋、酸化及びニトロシル化などの損傷修飾(DNA傷害)の形態を取ることができる。これらのDNA傷害は、情報忠実性及びDNA機能性を維持するために修復される必要がある。一般的に発生する傷害は、塩基除去、ミスマッチ及びヌクレオチド除去修復過程により直接的に修復される。しかし、これらの傷害が、DNA複製前に修復されない場合、突然変異したDNAとしてゲノム内にロックされるようになる、又は完全に細胞分裂を抑えることができる。これを回避するために、複製依存性修復過程が進化した。そのような過程の1つである、損傷乗り越え合成は、一部のDNA傷害を直接的に迂回することができる;しかし、これは、一部のDNA傷害にわたってDNA突然変異を導入し得る。あるいは、傷害付近のDNAの複製は、傷害の下流で合成を再プライミングすることにより、完全にスキップされ得る。この再プライミングは、ラギング鎖プライマーゼにより、又は高等真核生物では、リーディング鎖プライマーゼ-ポリメラーゼ、PRIMPOLによって発生し得る。この再プライミング作用は、複製を続けることを可能にするが、DNA傷害及び周囲のDNAに相補的な複製されていない領域を残す。細胞は依然として、DNA傷害に相補的な適切な配列を決定することを必要とし、これを行うために、細胞は、相同配列依存性(homology-dependent)ギャップ修復(相同組換えのサブセット)と呼ばれる機構を用いる。
【0040】
相同配列依存性ギャップ修復(HDGR)は、姉妹染色分体が、傷害含有鎖に相補的なDNAをコピーするための鋳型として使用される、高度に正確な修復過程である。相同組換えのサブセットとして、本明細書でさらに記載されている通りに実験を行って、この経路を利用して、姉妹染色分体の代わりに(又はこれに加えて)異所性修復鋳型を使用し、合成ゲノム編集を生成することができるか否か調査した。以前の結果は、脱塩基DNAの部位特異的導入が、HDGRを誘発し、修復のためにプラスミド由来DNA鋳型を使用して完了し、正確に編集されたゲノムDNAを生成することができることを実証した。しかし、場合によって、このアプローチは、脱塩基部位の安定性に若干依存し得る。例えば、脱塩基部位は、細胞のAPエンドヌクレアーゼ活性の阻害により安定化され得るが、APエンドヌクレアーゼ阻害は、細胞生存能及びゲノム安定性にマイナスに影響する可能性があり、一部の適用では実行可能とならない場合がある。したがって、本明細書でさらに記載されている通り、DNA傷害ほど塩基除去又は同様の修復過程に対して感受性ではない、DNA傷害の代替クラスが同定された。本開示の実施形態は、DNA複製を遮断し(複製遮断部分)HDGRを容易にする、化学基のDNAへの付加が関与する傷害のクラスを含む。
【0041】
例えば、アデノシン二リン酸リボース(ADPr)の付加が、有望なDNA傷害候補となり、複製遮断部分として作用することができるか否か調査するための実験を行った。ヌクレオチドへのADPr付加を触媒するADPrトランスフェラーゼは、細胞傷害性である。したがって、細胞生存能の喪失を伴わずにHDGRを誘発する試みにおいて、ゲノムへのCRISPR-Cas結合後に露出されるR-ループにADPr活性を限定するための方法を開発した。抽出されたdsDNA結合性ADPr-トランスフェラーゼは、真核細胞中に電気穿孔されたときに致死的であることが示された。これとは別に、dsDNA結合性DNA修飾酵素は、その活性を局在化をさせるために、DNA結合タンパク質に融合されたが、オフターゲット修飾の高い率を保持し、このことは、活性を制御するために追加の軽減ステップを必要とする。一本鎖DNA結合酵素は、DNAへのCasエフェクターによる標的結合後に露出されたDNA R-ループに局在化されたその活性を有することができる。
【0042】
以前の研究は、細菌毒素として作用する、DarT及びDarT突然変異体DarT_G49Dを含む、一本鎖結合ADPr-トランスフェラーゼ酵素のクラスについて記載した。DarT発現は、E.コリにおいて致死的であり、組換えにより、また、より弱いが、ヌクレオチド除去修復により主に修復されると思われる。したがって、ゲノムではなく組換えDNA配列を鋳型にした部位特異的HDGRの誘発にDarTを使用することができるか否か調査するための実験を行った。実験は、Cas標的部位にADPr修飾を局在化するためにDarTを十分に制御し、細胞傷害性を回避し、効率的なゲノム修飾を可能にすることができるか否か理解しようと努めた。
【0043】
本セクション及び本明細書の開示全体において使用されているセクション見出しは、単に組織化を目的としており、限定を意図するものではない。
【0044】
1.定義
他に定義がない限り、本明細書で使用されるあらゆる技術及び科学用語は、当業者によって一般的に理解されるものと同じ意義を有する。矛盾が生じる場合、定義を含む本文書が優先される。好まれる方法及び材料が下に記載されるが、本明細書に記載されているものと同様の又は等価の方法及び材料を、本開示の実施又は検査において使用することができる。語句「一実施形態では」は、本明細書で使用される場合、同じ実施形態を必ずしも指すとは限らないが、それを指す場合もある。さらに、語句「別の実施形態では」は、本明細書で使用される場合、異なる実施形態を必ずしも指すとは限らないが、それを指す場合もある。よって、下に記載される通り、本発明の様々な実施形態は、本発明の範囲又は精神から逸脱することなく、容易に組み合わせることができる。本明細書に言及されているあらゆる刊行物、特許出願、特許及び他の参考文献は、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。本明細書に開示されている材料、方法及び例は、単なる説明目的であり、限定を意図するものではない。
【0045】
用語「を含む(comprise(s))」、「を含む(include(s))」、「を有している」、「を有する」、「できる」、「を含有する」及びこれらのバリアントは、本明細書で使用される場合、追加の行為又は構造の可能性を妨げない、オープンエンドの移行句、用語又は言葉であることを意図する。単数形「1つの(a)」、「1つの(and)」及び「その(the)」は、文脈がそれ以外のことを明らかに指示しない限り、複数の参照を含む。本開示はまた、明示的に示されているか否かにかかわらず、本明細書に提示される実施形態又は要素「を含む」、「からなる」及び「から本質的になる」他の実施形態を企図する。
【0046】
本明細書における数的範囲の列挙について、同じ程度の精度で、その間に介在する数のそれぞれが、明示的に企図される。例えば、6~9の範囲について、6及び9に加えて数7及び8が企図され、範囲6.0~7.0について、数6.0、6.1、6.2、6.3、6.4、6.5、6.6、6.7、6.8、6.9及び7.0が明示的に企図される。
【0047】
「に相関される」は、本明細書で使用される場合、「と比較される」を指す。
【0048】
本明細書で使用される場合、用語「核酸分子」は、DNA又はRNAを含むがこれらに限定されない、いずれかの核酸含有分子を指す。この用語は、4-アセチルシトシン、8-ヒドロキシ-N6-メチルアデノシン、アジリジニルシトシン、シュードイソシトシン、5-(カルボキシヒドロキシルメチル)ウラシル、5-フルオロウラシル、5-ブロモウラシル、5-カルボキシメチルアミノメチル-2-チオウラシル、5-カルボキシメチルアミノメチルウラシル、ジヒドロウラシル、イノシン、N6-イソペンテニルアデニン、1-メチルアデニン、1-メチルシュードウラシル、1-メチルグアニン、1-メチルイノシン、2,2-ジメチルグアニン、2-メチルアデニン、2-メチルグアニン、3-メチルシトシン、5-メチルシトシン、N6-メチルアデニン、7-メチルグアニン、5-メチルアミノメチルウラシル、5-メトキシアミノメチル-2-チオウラシル、ベータ-D-マンノシルキューオシン(queosine)、5’-メトキシカルボニルメチルウラシル、5-メトキシウラシル、2-メチルチオ-N6-イソペンテニルアデニン、ウラシル-5-オキシ酢酸メチルエステル、ウラシル-5-オキシ酢酸、オキシブトキソシン(oxybutoxosine)、シュードウラシル、キューオシン(queosine)、2-チオシトシン、5-メチル-2-チオウラシル、2-チオウラシル、4-チオウラシル、5-メチルウラシル、N-ウラシル-5-オキシ酢酸メチルエステル、ウラシル-5-オキシ酢酸、シュードウラシル、キューオシン(queosine)、2-チオシトシン及び2,6-ジアミノプリンを含むがこれらに限定されない、DNA及びRNAの公知塩基アナログのいずれかを含む配列を包含する。
【0049】
用語「遺伝子」は、ポリペプチド、前駆体又はRNA(例えば、rRNA、tRNA、sRNA、マイクロRNA、lincRNA)の産生のためのコード配列を含む核酸(例えば、DNA)配列を指す。全長又は断片の所望の活性又は機能特性(例えば、酵素活性、リガンド結合性、シグナル伝達、免疫原性など)が保持される限りにおいて、ポリペプチドは、全長コード配列又はコード配列のいずれかの部分によってコードされ得る。この用語は、構造遺伝子のコード領域、並びに遺伝子が全長mRNAの長さに対応するように、どちらかの端において約1kb以上の距離にわたり5’及び3’端の両方でコード領域に隣接して位置する配列も包含する。コード領域の5’に位置し、mRNAに存在する配列は、5’非翻訳配列と称される。コード領域の3’又は下流に位置し、mRNAに存在する配列は、3’非翻訳配列と称される。用語「遺伝子」は、遺伝子のcDNA及びゲノム形態の両方を包含する。遺伝子のゲノム形態又はクローンは、「イントロン」又は「介在領域」又は「介在配列」と命名される非コード配列に中断されたコード領域を含有する。イントロンは、核RNA(hnRNA)へと転写される遺伝子のセグメントである;イントロンは、エンハンサーなどの調節エレメントを含有することができる。イントロンは、核又は一次転写物から除去される又は「切り出される」;したがって、イントロンは、メッセンジャーRNA(mRNA)転写物に存在しない。mRNAは、新生ポリペプチドにおけるアミノ酸の配列又は順序を指定するように翻訳の際に機能する。
【0050】
本明細書で使用される場合、用語「異種遺伝子」は、その天然の環境にない遺伝子を指す。例えば、異種遺伝子は、別の種に導入された、ある1つの種由来の遺伝子を含む。異種遺伝子は、何らかの仕方で変更された(例えば、突然変異された、複数コピーで付加された、非ネイティブ調節配列に連結された、など)、生物にとってネイティブな遺伝子も含む。異種遺伝子配列が、染色体中の遺伝子配列に天然に付随した状態で見出されないDNA配列に典型的に連結されている、又は自然界で見出されない染色体の部分に付随している(例えば、遺伝子が正常に発現されない遺伝子座において発現される遺伝子)という点において、異種遺伝子は、内因性遺伝子から区別される。
【0051】
本明細書で使用される場合、用語「オリゴヌクレオチド」は、短い長さの一本鎖ポリヌクレオチド鎖を指す。オリゴヌクレオチドは典型的に、約300個未満の残基長(例えば、15~100個の間)であるが、しかし、本明細書で使用される場合、この用語は、より長いポリヌクレオチド鎖を包含することも意図する。オリゴヌクレオチドは、その長さによって参照されることが多い。例えば、24残基オリゴヌクレオチドは、「24-mer」と称される。オリゴヌクレオチドは、自己ハイブリダイズすることによって又は他のポリヌクレオチドにハイブリダイズすることによって二次及び三次構造を形成することができる。そのような構造は、二重鎖、ヘアピン、十字型、屈曲及び三重鎖を含むことができるがこれらに限定されない。
【0052】
用語「相同性」及び「相同」は、同一性の程度を指す。部分相同性又は完全相同性が存在することができる。部分的に相同な配列は、別の配列と100%未満同一である配列である。
【0053】
本明細書で使用される場合、用語「相補的」又は「相補性」は、塩基対合の法則によって関係付けられたポリヌクレオチド(例えば、オリゴヌクレオチド又は標的核酸などのヌクレオチドの配列)を参照して使用される。例えば、配列「5’-A-G-T-3’」は、配列「3’-T-C-A-5’」と相補的である。相補性は、核酸の塩基の一部のみが塩基対合の法則に従ってマッチする、「部分的」なものであり得る。あるいは、核酸の間に「完全」又は「全」相補性が存在することができる。核酸鎖の間の相補性の程度は、核酸鎖の間のハイブリダイゼーションの効率及び強度に有意な効果を有する。これは、核酸の間の結合に依存する増幅反応や検出方法において特に重要である。特に、ポリヌクレオチドの文脈内で、個々のヌクレオチドを参照して、いずれかの用語を使用することもできる。例えば、オリゴヌクレオチド内の特定のヌクレオチドは、別の核酸鎖内のヌクレオチドに対するその相補性又はその欠如について、オリゴヌクレオチド及び核酸鎖の残りの間の相補性と対比又は比較して記述され得る。
【0054】
一部の文脈において、用語「相補性」及び関連用語(例えば、「相補的」、「相補体」)は、水素結合により別の核酸配列に結合することができる核酸配列のヌクレオチド、例えば、ワトソン・クリック塩基対合又は他の塩基対合により、例えば、塩基対合することができるヌクレオチドを指す。塩基対を形成することができる、例えば、互いに相補的であるヌクレオチド:シトシンとグアニン、チミンとアデニン、アデニンとウラシル、及びグアニンとウラシルは、対である。パーセンテージ相補性は、核酸配列の長さ全体にわたって計算される必要はない。相補性のパーセンテージは、例えば、最初の塩基対合したヌクレオチドから始まり、最後の塩基対合したヌクレオチドで終わる、塩基対合される核酸配列の特異的領域に限定され得る。核酸配列の相補体は、本明細書で使用される場合、一方の配列の5’端が他方の3’端と対合されるように核酸配列と整列された場合に、「逆平行会合」する、オリゴヌクレオチドを指す。天然の核酸において一般的に見出されないある特定の塩基が、本発明の核酸に含まれてよく、例えば、イノシン及び7-デアザグアニンを含む。相補性は、完璧である必要はない;安定した二重鎖は、ミスマッチ塩基対又は非対応塩基を含有することができる。核酸技術の当業者は、例えば、オリゴヌクレオチドの長さ、オリゴヌクレオチドの塩基組成及び配列、イオン強度並びにミスマッチ塩基対の発生率を含む多数の変数を考慮して、経験的に二重鎖安定性を決定することができる。
【0055】
よって、一部の実施形態では、「相補的」は、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100個以上のヌクレオベースの領域にわたり、第2のヌクレオベース配列の相補体と少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、97%、98%若しくは99%同一である第1のヌクレオベース配列を指す、又は2種の配列が、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下でハイブリダイズすることを指す。「完全に相補的」は、第1の核酸の各ヌクレオベースが、第2の核酸の対応する位置における各ヌクレオベースと対合することができることを意味する。例えば、ある特定の実施形態では、各ヌクレオベースが核酸と相補性を有するオリゴヌクレオチドは、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100個以上のヌクレオベースの領域にわたり核酸の相補体と同一であるヌクレオベース配列を有する。
【0056】
本明細書で使用される場合、「二本鎖核酸」は、核酸の部分、より長い核酸の領域又は核酸全体であり得る。「二本鎖核酸」は、例えば、限定することなく、二本鎖DNA、二本鎖RNA、二本鎖DNA/RNAハイブリッドなどであり得る。二次構造(例えば、塩基対合した二次構造)及び/又はより高次の構造を有する一本鎖核酸は、「二本鎖核酸」を含む。例えば、三重鎖構造は、「二本鎖」であると考慮される。一部の実施形態では、いかなる塩基対合した核酸も、「二本鎖核酸」である。
【0057】
用語「単離された」は、「単離されたオリゴヌクレオチド」又は「単離されたポリヌクレオチド」におけるように、核酸に関連して使用される場合、その天然の供給源においてそれが通常会合している少なくとも1つの構成成分又は夾雑物から同定及び分離された核酸配列を指す。単離された核酸は、それが自然界で見出される形態又は状況とは異なる形態又は状況で存在する。対照的に、単離されていない核酸は、それが自然界で存在する状態で見出されるDNA及びRNAなどの核酸である。例えば、所与のDNA配列(例えば、遺伝子)は、宿主細胞染色体上で、隣接する遺伝子の近くに見出される;特異的タンパク質をコードする特異的mRNA配列などのRNA配列は、細胞内で、数多くのタンパク質をコードする多数の他のmRNAとの混合物として見出される。しかし、所与のタンパク質をコードする単離された核酸は、例として、所与のタンパク質を通常発現する細胞内にあるそのような核酸を含み、この細胞において、核酸は、天然の細胞の位置とは異なる染色体位置にある、又はそうでなければ自然界で見出されるものとは異なる核酸配列によってフランキングされている。単離された核酸、オリゴヌクレオチド又はポリヌクレオチドは、一本鎖又は二本鎖形態で存在することができる。単離された核酸、オリゴヌクレオチド又はポリヌクレオチドが、タンパク質を発現させるために利用されることになる場合、オリゴヌクレオチド又はポリヌクレオチドは、最低でもセンス又はコード鎖を含有する(すなわち、オリゴヌクレオチド又はポリヌクレオチドは、一本鎖であり得る。)が、センス及びアンチセンス鎖の両方を含有することができる(すなわち、オリゴヌクレオチド又はポリヌクレオチドは、二本鎖であり得る。)。
【0058】
本明細書で使用される場合、用語「精製された」又は「を精製すること」は、試料からの構成成分(例えば、夾雑物)の除去を指す。例えば、抗体は、混入した非免疫グロブリンタンパク質の除去によって精製される;抗体はまた、標的分子に結合しない免疫グロブリンの除去によって精製される。非免疫グロブリンタンパク質の除去及び/又は標的分子に結合しない免疫グロブリンの除去は、試料中の標的反応性免疫グロブリンのパーセントの増加をもたらす。別の例では、組換えポリペプチドが、細菌宿主細胞内で発現され、ポリペプチドは、宿主細胞タンパク質の除去によって精製される;これにより、組換えポリペプチドのパーセントは、試料中で増加する。
【0059】
好まれる方法及び材料が下に記載されるが、本明細書に記載されているものと同様の又は等価の方法及び材料を、本開示の実施又は検査において使用することができる。本明細書に言及されているあらゆる刊行物、特許出願、特許及び他の参考文献は、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。本明細書に開示されている材料、方法及び例は、単なる説明目的であり、限定を意図するものではない。
【0060】
2.ギャップ編集因子
CRISPRに基づくゲノム編集ツールは、その容易にプログラム可能な標的化及びロバストな活性に頼る広範な用途を見出した。このようなCRISPRに基づくツールの初期の使用は、DNAを切断するCasヌクレアーゼの能力に焦点を合わせた。切断されたDNAを修復する過程において、ゲノム編集が導入される。しかし、DNA切断は、細胞が耐え得る最も毒性が高い事象の1つである。DNA切断は、突然変異、DNA再編成又は細胞生存能喪失をもたらす細胞の警報システムを作動させる。その後のCRISPR-Casゲノム編集ツールは、一本鎖ニックを代わりに導入すること又は酵素によりDNAを直接的に修飾することにより、これらの毒性効果を最小化することを探究した。にもかかわらず、これらのより新しい方法は、導入され得る編集の限られた範囲を示し、望まれない挿入、欠失及び突然変異を被り得る。
【0061】
本開示の実施形態は、効率的な無毒性ゲノム修飾を、一本鎖DNAギャップの導入及び修復により行うことができることを実証する。以前の研究は、DNAへの脱塩基部位の部位特異的導入が、相同配列依存性ギャップ組換えを駆動することを実証した。異所性DNA修復鋳型を導入することにより、ゲノム修飾は、導入された脱塩基部位に隣接するDNA配列において達成され得る。しかし、場合によって、このアプローチは、脱塩基部位の安定化に依存し得る。したがって、本開示の実施形態は、DNAへの安定した化学基の付加を用いて相同配列依存性ギャップ修復を誘導するためのシステムの開発を含む。この修飾されたDNAは、細胞グリコシラーゼによって認識も修復もされず、これは、傷害安定性を増加させ、相同配列依存性ギャップ修復を駆動する。部位特異的DNA標的化を、Casエフェクターへの修飾酵素の融合によって達成し、場合によって、ゲノム修飾の率を、標的DNA鎖をニッキングするためにCasエフェクターを使用して増加させ得る。本明細書でさらに記載されている通り、ニッキング及びDNA修飾の組合せは、姉妹染色分体修復を相互に抑止するため、ゲノム修飾において相乗効果を有することができる。
【0062】
当業者によって認識される通り、本来の及び最も広く使用されているCRISPR-Casゲノム編集技術は、二本鎖切断を導入するCasヌクレアーゼに頼り、二本鎖切断は次いで、ギャップ編集因子と同様に、編集鋳型を介した相同組換えにより修復される。広範に適用されているが、二本鎖切断の毒性及び突然変異又は染色体再編成を駆動するその傾向は、治療適用のための一貫した課題である。このようなDNA切断は、高度に毒性であり(特に、細菌において)、多くの場合、非相同末端結合経路によるエラープローンな修復をもたらす。切断及び修復は潜在的に、DNAの大型のセグメントを挿入する最もよく知られた仕方であり、これは、多くの科学適用及び産業適用に重要である。
【0063】
その上、塩基編集因子は、ヌクレオチドをあるものから別のものに酵素変換することにより、毒性を回避する試みにおいて使用され得る。例えば、シトシンは、チミンに変換され得、アデニンは、グアニンに変換され得る。しかし、このような塩基編集因子は、一度に1個又は数個のヌクレオチドを変化させることしかできず、望まれない編集を回避するために慎重に標的化される必要がある。さらに、塩基編集因子は、変異原性であり、これは、標的化されていないヌクレオチドが、塩基編集因子が使用されている際に不正確に複製される可能性がより高いことを意味する。塩基編集因子はまた、標的配列の利用能によって制約される。他の技法と比較して、塩基編集因子は、相対的に効率的であり、両方の鎖のカットとは反対に、DNAの一本鎖のニッキングのみに頼る。
【0064】
プライム(Prime)編集因子は、ごく最近記載された。最近の刊行物に基づき、プライム編集因子は、相対的に効率的であり、Cas9シングルガイドRNAの骨格にコードされた非常に小型の修復鋳型を使用するという点において大きな利点を有すると思われる。二本鎖切断を用いない技法として売り込まれたが、効率的なプライム編集は依然として、相対的に近(<200bp)接近したDNAの両方の鎖のニッキングが関与する。このデュアルニッキングは、切断及び修復アプローチよりもごく僅かに毒性が低い。エラープローン挿入及び欠失が、依然として、デュアルニッキングの結果として哺乳類細胞において発生する。いかなる程度まで、プライム編集因子が原核生物において機能するか不明である。そのCRISPR依存性オフターゲット活性が弱められるが、いかなる変異原性副作用が、その適用において発生し得るか否かも不明である。
【0065】
他の技法と比較して、ギャップ編集因子は、その使用に関係する最小量のデータを有する。にもかかわらず、ギャップ編集因子は、本明細書でさらに記載されている通り、最小の毒性効果を有すると思われ;一部の実験は、検出可能な毒性を示さない。低毒性は典型的に、低い率の望まれない突然変異、DNA挿入又はDNA再編成を示すため、毒性の欠如は、治療適用に特に有利となり得る。また、マルチプレックス操作は一般的に、毒性によって妨害される(特に、細菌において)。インビボ治療法のため、ギャップ編集因子は、他のCRISPR-Cas方法の全てと同じDNA及びタンパク質送達問題を被る可能性があるが、RNPと修復鋳型との同時送達を可能にするより新しい送達プラットフォームが存在する。
【0066】
本開示の実施形態は、ゲノムにおける核酸の標的化修飾のための組成物、システム、キット及び方法を含む。このような実施形態に従って、本開示は、DNA認識ドメイン及びDNA修飾ドメインを一般に含むギャップ編集因子及びギャップ編集因子複合体を提供する。本明細書に提供される実施例においてさらに記載される通り、ギャップ編集因子及びギャップ編集因子複合体は、相同配列指向性ギャップ修復によるゲノム修飾を駆動するための、DNA修飾ドメインに機能的にカップリングされたDNA認識ドメインによる、プログラム可能なDNA標的化を容易にする。一部の実施形態では、DNA認識ドメインは、ゲノムにおけるDNA標的配列に結合し、DNA修飾ドメインは、ゲノムにおける少なくとも1個のヌクレオチドに複製遮断部分の形成を誘導する。特異的方向性でのギャップ編集因子の標的化は、持続性DNAギャップを生成し、これにより、ギャップ編集因子効率を改善する。
【0067】
一部の実施形態では、DNA認識ドメイン及びDNA修飾ドメインは、機能的にカップリングされている。機能的にカップリングされているとは、ゲノム編集因子として機能させる目的のために、特異的標的部位にDNA認識ドメイン及びDNA修飾ドメインを組み込むためのいずれかの手段を含む。一部の実施形態では、「機能的にカップリングされている」は、ポリペプチド融合、ペプチドタグ、ペプチドリンカー、RNAタグ及びこれらのいずれかの組合せを含むがこれらに限定されない。例えば、ギャップ編集因子又はギャップ編集因子複合体は、DNA修飾ドメインに融合されたDNA認識ドメイン(例えば、融合ポリペプチド)を含むことができる。ギャップ編集因子融合タンパク質のDNA認識ドメインは、標的核酸における特異的部位(例えば、ゲノムにおける核酸配列)を認識し、次いで、DNA修飾ドメインは、標的部位内の又はその周囲の1個以上の核酸を修飾して、ゲノム修飾を容易にすることができる。
【0068】
本開示に基づき当業者によって認識される通り、本明細書に記載されているギャップ編集因子複合体は、生物又は細胞のゲノムのいずれかの一部の修飾に使用され得る。例えば、本開示のギャップ編集因子複合体は、所望の部位特異的修飾を生成するために、ゲノムにおける特異的部位の標的化に使用され得る、並びに/又は本開示のギャップ編集因子複合体は、ゲノムの部分の付加、交換及び/若しくは除去をもたらす修飾を生成するために、ゲノムにおける1個以上の特異的部位の標的化に使用され得る。その上、本開示のギャップ編集因子複合体は、オープンリーディングフレーム、イントロン、エクソン、イントロン-エクソン境界、機能的非コード領域並びにいずれかの上流及び/又は下流DNA/遺伝子調節配列を含むがこれらに限定されない、遺伝子のいずれかの領域の標的化に使用され得る。本明細書で互換的に使用される用語「DNA/遺伝子調節配列」、「制御エレメント」及び「調節エレメント」は、非コード配列若しくはコード配列の転写を提供する及び/又は調節する、及び/又はコードされたポリペプチドの翻訳を調節する、プロモーター、エンハンサー、ポリアデニル化シグナル、ターミネーター、タンパク質分解シグナルその他などの転写及び翻訳制御配列を指す。よって、本開示のギャップ編集因子複合体は、変更された遺伝子発現パターン及び/又は活性(例えば、上方調節又は下方調節)をもたらす、ゲノムにおける修飾の生成に使用され得る。
【0069】
一部の実施形態では、DNA認識ドメイン及びDNA修飾ドメインは、融合ポリペプチドを含まない(例えば、融合ポリペプチド又はタンパク質を1つも形成しない)。一部の実施形態では、DNA修飾ドメインは、DNA認識ドメインによってギャップ編集因子又はギャップ編集因子複合体にリクルートされる。例えば、ギャップ編集因子のDNA認識ドメインは、タンパク質-タンパク質相互作用によりDNA修飾ドメインをリクルートすることができる。一部の実施形態では、このリクルートメントは、標的核酸の特異的部位においてDNA修飾ドメインをDNA認識ドメインにリクルートし、機能的にカップリングするのに役立つタグ又はリンカーによって容易となる。抗原-抗体相互作用(例えば、抗原結合性ドメインに融合されたDNA修飾ドメイン、及び対応する抗原に融合されたDNA認識ドメイン)、タンパク質タグ(例えば、ストレプトアビジン-ビオチン相互作用)、ペプチド及び単鎖可変抗体断片、スプリットタンパク質システム、又はいずれかのリガンド-受容体相互作用を含むがこれらに限定されないタンパク質-タンパク質相互作用に基づきDNA修飾ドメインをDNA認識ドメインにリクルートし、機能的にカップリングするための他の手段が使用されてもよい。他の実施形態では、DNA修飾ドメインは、例えば、Cas9のHNHドメインをDNA修飾ドメインに置き換えること又はPAM相互作用ドメインにDNA修飾ドメインを挿入することなどにより、DNA認識ドメインに組み込まれ得る。
【0070】
他の実施形態では、DNA修飾ドメインは、核酸との相互作用によって、ギャップ編集因子又はギャップ編集因子複合体にリクルートされる。例えば、標的核酸における部位に結合するためにDNA認識ドメインと相互作用するガイドRNA分子は、DNA修飾ドメインに結合する配列及び/又は構造(例えば、足場ドメイン)を含むことができる。一部の実施形態では、ガイドRNAにおける配列及び/又は構造は、RNA結合タンパク質によって認識されるドメインを含む。一部の実施形態では、DNA修飾ドメインは、ガイドRNAにおけるドメインへの結合によりギャップ編集因子又はギャップ編集因子複合体にリクルートされるRNA結合タンパク質に融合される。RNA結合相互作用に基づきDNA修飾ドメインをDNA認識ドメインにリクルートし、機能的にカップリングするための他の手段が使用されてもよい。一部の実施形態では、ガイドRNAは、MS2コートタンパク質、Tat又はRevなどの異なるタンパク質又はタンパク質ドメインを認識するRNAアプタマーをコードするために拡張される。次に、認識されたタンパク質又はタンパク質ドメインは、DNA修飾ドメインに融合される。ガイドRNAは、複数コピーの同じタンパク質結合ドメイン又は異なるタンパク質結合ドメインをコードすることができる。これらのタンパク質結合ドメインは、gRNA若しくはsgRNAのループを介して又はsgRNAの3’端においてなど、gRNAの異なる一部に取り込まれ得る。
【0071】
本明細書でさらに記載されている通り、本開示のギャップ編集因子複合体は、相同配列指向性修復の機構などにより、生物又は細胞のゲノムにおける様々な修飾の生成に使用され得る。一部の実施形態では、本開示のギャップ編集因子を使用したゲノム修飾は、単一のヌクレオチド変化から大型の挿入又は欠失に及ぶ特異的ヌクレオチド修飾を生成することができる。一部の実施形態では、本開示のギャップ編集因子複合体は、ゲノムにおける別個の部位を標的化するための2種以上のガイドRNA配列の使用により、DNAの大型の配列の付加又は除去に使用され得る(例えば、2個のgRNA標的部位の間の配列を除去する及び/又は外因性DNA配列を挿入することにより、大型のゲノム欠失を生成する)。一部の実施形態では、複数のgRNAが、ゲノムにおけるいずれかの数の所望の修飾を生成するために、ゲノムにおける複数の部位の標的化に使用され得る(例えば、マルチプレックス化)。本開示に基づき当業者によって認識される通り、いずれかの型の遺伝学的修飾が、インビトロ、エクスビボ又はインビボ送達方法を含む、ギャップ編集因子複合体が細胞に送達される仕方(例えば、形質転換)に関係なく、いずれかの細胞型及び/又は生物において本開示のギャップ編集因子複合体を使用して達成され得る。これらの方法の一般的な考察は、Ausubelら、Short Protocols in Molecular Biology、第3版、Wiley&Sons、1995年に見出すことができる。
【0072】
DNA認識ドメイン。このような実施形態に従って、本開示のギャップ編集因子又はギャップ編集因子複合体のDNA認識ドメインは、特異的核酸標的部位を標的化するための、配列特異的核酸結合構成成分(例えば、分子、生体分子、又は1個以上の分子及び/若しくは生体分子の複合体)の使用を含む)。一部の実施形態では、DNA認識ドメインは、ヌクレアーゼ又はデオキシリボヌクレアーゼ活性を欠如する少なくとも1個のCasタンパク質又はその断片を含む。一部の実施形態では、DNA認識ドメインは、ヌクレアーゼ又はデオキシリボヌクレアーゼ活性を欠如するCasタンパク質の複合体を含む。一部の実施形態では、DNA認識ドメインは、ニッカーゼ活性を有するCas9又はCas12aを含むがこれらに限定されない、ニッカーゼ活性を示す少なくとも1個のCasタンパク質又はCasタンパク質の複合体を含む。
【0073】
一部の実施形態では、Casタンパク質又はCasタンパク質複合体は、I型カスケード、II型Cas9、IV型エフェクターモジュール、V型Cas12、Cas9関連IscB、Cas9関連TnpB及びこれらの組合せを含む。カスケードは、ガイドRNAと異なる比率で安定した複合体を形成するCasタンパク質のセットである。gRNAは通常、CRISPRアレイ内にコードされ、そこで、複合体のCas6タンパク質は、転写された反復配列においてヘアピンを切断する。次に、他のタンパク質は、遊離されたRNAの周囲に形成される。完全に形成された複合体は、非標的鎖の5’端においてコードされたプロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)によってフランキングされた標的DNAに結合する。標的認識後に、複合体は次いで、I型エンドヌクレアーゼCas3をリクルートして、3’から5’の方向で非標的鎖をニッキングし、進行的に分解するが、複合体は、Cas3の非存在下で標的DNAに安定的に結合する。カスケードにおけるタンパク質の具体的な数及び化学量論は、I-Cサブタイプに関するCas8c(1):Cas5c(1):Cas7(7)、及びI-Eサブタイプに関するCse1(1):Cse2(2):Cas5e(1):Cas7(6):Cas6e(1)など、CRISPR-Casサブタイプの間で変動する。さらに、これらのタンパク質は、より少ない発現されたポリペプチドとの複合体を再現するために融合されてよく、ガイドRNAが、プロセシングされたCRISPR RNAとして発現される場合、Cas6タンパク質は不要である。gRNA内のガイド配列の長さを変動させることは、カスケードのタンパク質化学量論をさらに変更させることができ、R-ループ及び置換されたDNA鎖の長さを変化させることができる。Cas9は、非標的鎖の3’端においてコードされたPAMを有する標的DNAに結合する単一エフェクターヌクレアーゼである。次に、結合したDNAは、HNH及びCas9のRuvCドメインにより反対側の鎖でニッキングされ、二本鎖切断をもたらす。Cas9によって利用されるgRNAは通常、CRISPRアレイによりコードされ、そこで、トランス活性化型crRNA(tracrRNA)は、転写された反復配列と対合し、RNA二重鎖は、エンドリボヌクレアーゼRNase IIIによって切断される。その結果得られるプロセシングされたcrRNA:tracrRNA二重鎖は、Cas9の結合を受け、DNA標的化を方向付ける。crRNA:tracrRNA二重鎖は融合されて、シングルガイドRNA(sgRNA)を形成することができる。Cas12は、そのサブタイプによって命名されたCasヌクレアーゼの多様なファミリーを表し(例えば、Cas12a、Cas12e)、Cpf1、C2c1、CasX又はCas14aなどの代替名を与えられた。Cas12ヌクレアーゼは、非標的鎖の5’端においてコードされたPAMを有するDNAを標的化し、ヌクレアーゼのRuvCドメインは、標的及び非標的鎖の両方をニッキングして、5’オーバーハングを有するスタガード(staggered)二本鎖切断を創出する。gRNAは、CRISPRアレイ内でコードされ、ヌクレアーゼに応じて2種の機構のうち1種により、転写されたCRISPRアレイからプロセシングされ得る:Cas12ヌクレアーゼ(例えば、Cas12a)を有するリボエンド核酸分解(riboendonucleolytic)ドメインによる反復配列内のヘアピンの切断、又はRNase IIIによってその後切断されるtracrRNAと転写された反復配列との対合。結果として、ヌクレアーゼ単独がcrRNAプロセシングの原因である場合、gRNAは、そのプロセシングされた形態で容易に発現され得、tracrRNAがcrRNAプロセシングに関与する場合、gRNAは、sgRNAとして発現され得る。
【0074】
一部の実施形態では、DNA認識ドメインは、タンパク質のHNHドメイン及びRuvCドメイン内に非活性化突然変異を導入することにより生成され得るデオキシリボヌクレアーゼ不活性化Cas9(「dCas9」)を含む。一部の実施形態では、DNA認識ドメインは、RuvC-IなどのRuvCドメインのうち少なくとも1個の内に非活性化突然変異を導入することにより生成され得るデオキシリボヌクレアーゼ不活性化Cas12a(「dCas12a」)を含む。あるいは、PAM遠位端においてトランケートされた、又は標的とのミスマッチを含有するガイドRNAは、DNA結合を可能にすることができるが、他の面では触媒活性があるCasヌクレアーゼによるDNAニッキング又は切断ができない。
【0075】
一部の実施形態では、様々な他のDNA認識ドメインが、本開示のギャップ編集因子複合体において使用されてもよい。例えば、本明細書に記載されている組成物及び方法のある特定の実施形態は、効率的なゲノム編集及び修飾を実現するためにガイドRNAを要求しない。上に記載される通り、このようなギャップ編集因子複合体は、メガヌクレアーゼ、ジンクフィンガー(ZF)及び転写活性化因子様エフェクター(TALE)を含むがこれらに限定されない。一部の実施形態では、本開示のDNA認識ドメインは、メガヌクレアーゼを含むことができる。メガヌクレアーゼは、標的化された様式で配列を置き換える、排除する又は修飾するために使用され得、その認識標的配列は、タンパク質操作により変更され得る。メガヌクレアーゼは、細菌であれ植物であれ動物であれ、あらゆるゲノム型を修飾するために使用され得、その相対的に小型のサイズにより、インビボ送達に修正可能である。メガヌクレアーゼの高い程度の標的特異性は、随伴的に高い程度の精度及びはるかにより低い細胞毒性を可能にする。しかし、新規配列の標的化は、利用できるメガヌクレアーゼの数が限定されていることが原因で困難である。
【0076】
一部の実施形態では、本開示のDNA認識ドメインは、ジンクフィンガー(ZF)を含むことができる。ZFは、制限エンドヌクレアーゼ由来の非特異的DNA切断ドメインとジンクフィンガータンパク質との融合体である。ZFNは、特異的DNA配列を標的化することができ、これは、ZFNが、標的生物の内側にある特有の配列に向かい、正確に変化させることを可能にする。単一ジンクフィンガーは、保存されたββα形における30個前後のアミノ酸で構成される。α-ヘリックスの表面におけるいくつかのアミノ酸は通常、DNAの滑らかな(smooth)溝の内の3塩基対を選択する。9~18bpの長さのDNA配列を認識する合成ジンクフィンガータンパク質を可能にする高度に保存されたリンカー配列の開発と共に、3個を超えるドメインを有する非天然アレイの開発が利用できるようになったため、ジンクフィンガータンパク質は、カスタムDNA結合タンパク質の設計のための重要な枠組みになった。
【0077】
一部の実施形態では、本開示のDNA認識ドメインは、転写活性化因子様エフェクター(TALE)を含むことができる。TALEは、非常に多用途であり、ヌクレアーゼ、転写活性化因子及び抑制因子、リコンビナーゼ、トランスポザーゼ、DNA及びヒストンメチルトランスフェラーゼ並びにヒストンアセチルトランスフェラーゼを含む、多数のエフェクタードメインと組み合わせて、ゲノム構造及び機能に影響を与えることができる。TALENは、Fokl切断ドメイン及びDNA結合ドメインの融合体である転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼである。TALEは、ザントモナス(Xanthomonas)属の細菌由来の天然起源のタンパク質であり、それぞれが単一塩基対を認識する一連の33~35アミノ酸反復配列ドメインで構成されたDNA結合ドメインを含有する。TALE特異性は、反復配列可変性2(di)残基(RVD)として知られる2個の高頻度可変性アミノ酸によって決定される。ヌクレアーゼ、転写活性化因子及び部位特異的リコンビナーゼを含む、多数のエフェクタードメインが、標的化された遺伝学的修飾のためにTALE反復配列への融合に利用可能となった。TALE-DNA結合反復配列の単一塩基認識は、トリプレット限局ジンクフィンガーよりも優れた設計柔軟性を提供するが、反復配列TALEアレイのクローニングは、広範な同一反復配列による技術的課題の高まりを提示する。
【0078】
DNA修飾ドメイン。一部の実施形態では、DNA修飾ドメインは、DNA標的配列における少なくとも1個のヌクレオチドへの少なくとも1個の複製遮断部分の形成又は付加を触媒する。一部の実施形態では、DNA修飾ドメインは、DNA標的配列に相補的なDNA鎖における少なくとも1個のヌクレオチドに複製遮断部分を付加することにより、DNA複製を遮断する。一部の実施形態では、DNA修飾ドメインは、DNA標的配列を含有するDNA鎖における少なくとも1個のヌクレオチドに複製遮断部分を付加することにより、DNA複製を遮断する。一部の実施形態では、DNA修飾ドメインは、DNA標的配列に相補的なDNA鎖におけるヌクレオチド及びDNA標的配列を含有するDNA鎖におけるヌクレオチドの両方に複製遮断部分を付加することにより、DNA複製を遮断する。
【0079】
一部の実施形態では、DNA認識ドメインは、DNA標的鎖における一本鎖切断を誘導し(ニッカーゼ活性により)、DNA修飾ドメインは、複製遮断部分を、DNA標的配列に相補的なDNA鎖における少なくとも1個のヌクレオチドに付加する。一部の実施形態では、DNA修飾ドメインは、チミン又はグアニンヌクレオチドへのADPリボースの付加を触媒する。一部の実施形態では、DNA修飾ドメインは、DarT酵素又はその機能的断片、誘導体若しくはバリアントを含む。一部の実施形態では、DarT酵素は、低減されたDNA結合性、一本鎖DNAに対する増加した特異性及び/又は減少した酵素活性を有するように操作されている。本明細書に開示されている様々な実施形態において使用され得るDarTホモログ(及びそのいずれかの断片、誘導体又はバリアント)は、下の表1に提示されているものを含むがこれらに限定されない。一部の実施形態では、DNA修飾ドメインは、Scabin酵素又はその機能的断片、誘導体若しくはバリアントを含む。一部の実施形態では、Scabin酵素は、低減されたDNA結合性、一本鎖DNAに対する増加した特異性及び/又は減少した酵素活性を有するように操作されている。本明細書に開示されている様々な実施形態において使用され得るScabinホモログ(及びそのいずれかの断片、誘導体又はバリアント)は、下の表1に提示されているものを含むがこれらに限定されない。一部の実施形態では、Mom酵素は、低減されたDNA結合性、一本鎖DNAに対する増加した特異性及び/又は減少した酵素活性を有するように操作されている。本明細書に開示されている様々な実施形態において使用され得るMomホモログ(及びそのいずれかの断片、誘導体又はバリアント)は、下の表1に提示されているものを含むがこれらに限定されない。
【0080】
【0081】
本開示に基づき当業者によって認識される通り、他のDNA修飾ドメイン/酵素が、所与の標的部位における複製遮断部分の形成を誘導するために、本開示のギャップ編集因子及びギャップ編集因子複合体において使用され得る。例えば、一部の実施形態では、DNA修飾ドメイン/酵素は、次の酵素(又はその機能的断片、誘導体若しくはバリアント)のいずれかを含むことができるがこれらに限定されない:ピエリシン、Scabin、細胞周期及びアポトーシス調節因子1(CARP-1)、SCO5461タンパク質(ScARP)、アデニン修飾酵素、アセチルトランスフェラーゼ、アミノ酸トランスフェラーゼ、ヌクレオチジルトランスフェラーゼ、ウリジルトランスフェラーゼ、アシルトランスフェラーゼ、ADP-リボシルトランスフェラーゼ、メチルチオトランスフェラーゼ、N-アセチルトランスフェラーゼ10、tRNA(Met)シチジンアセチルトランスフェラーゼ(TmcA)、tRNAシチジンアセチルトランスフェラーゼ、GCN5関連N-アセチルトランスフェラーゼ、ライシジンシンターゼ、m7Gメチルトランスフェラーゼ、N6Cカルバモイルメチルトランスフェラーゼ(Mom)、N6-アデノシンスレオニルカルバモイルトランスフェラーゼ、スレオニルカルバモイル(carbomyl)トランスフェラーゼ又はスレオニルカルバモイル(carbomyl)トランスフェラーゼ複合体、TsaB-TsaE-TsaD(TsaBDE)複合体、tRNA N6-アデノシンスレオニルカルバモイルトランスフェラーゼ(Qri7、Tcs4)、メチルトランスフェラーゼ、ATrm5a、tRNA:m1G/imG2メチルトランスフェラーゼ、tRNA(アデノシン(37)-N6)-ジメチルアリルトランスフェラーゼ、tRNAジメチルアリルトランスフェラーゼ(MiaA)、並びにイソペンテニルトランスフェラーゼ。
【0082】
一部の実施形態では、本開示のギャップ編集因子複合体において使用されるDNA修飾ドメインは、ゲノムにおける少なくとも1個のヌクレオチドにおける複製遮断部分の形成を誘導する触媒ドメイン(又はその機能的断片、誘導体若しくはバリアント)を含む。一部の実施形態では、触媒ドメインは、本明細書でさらに記載されている通り、標的核酸のADP-リボシル化を実行するのに十分であるDarT酵素の部分を含む。一部の実施形態では、触媒ドメインは、本明細書でさらに記載されている通り、標的核酸のADP-リボシル化を実行するのに十分であるScabin酵素の部分を含む。
【0083】
例えば、本開示のギャップ編集因子複合体において使用され得るDNA修飾ドメインの触媒ドメインは、配列番号18~21のいずれかと少なくとも70%アミノ酸同一性を有するいずれかの配列を含むがこれらに限定されない。一部の実施形態では、DNA修飾ドメインは、配列番号18と少なくとも75%アミノ酸配列同一性を有する触媒ドメインを含む。一部の実施形態では、DNA修飾ドメインは、配列番号18と少なくとも80%アミノ酸配列同一性を有する触媒ドメインを含む。一部の実施形態では、DNA修飾ドメインは、配列番号18と少なくとも85%アミノ酸配列同一性を有する触媒ドメインを含む。一部の実施形態では、DNA修飾ドメインは、配列番号18と少なくとも90%アミノ酸配列同一性を有する触媒ドメインを含む。一部の実施形態では、DNA修飾ドメインは、配列番号18と少なくとも91%アミノ酸配列同一性を有する触媒ドメインを含む。一部の実施形態では、DNA修飾ドメインは、配列番号18と少なくとも92%アミノ酸配列同一性を有する触媒ドメインを含む。一部の実施形態では、DNA修飾ドメインは、配列番号18と少なくとも93%アミノ酸配列同一性を有する触媒ドメインを含む。一部の実施形態では、DNA修飾ドメインは、配列番号18と少なくとも94%アミノ酸配列同一性を有する触媒ドメインを含む。一部の実施形態では、DNA修飾ドメインは、配列番号18と少なくとも95%アミノ酸配列同一性を有する触媒ドメインを含む。一部の実施形態では、DNA修飾ドメインは、配列番号18と少なくとも96%アミノ酸配列同一性を有する触媒ドメインを含む。一部の実施形態では、DNA修飾ドメインは、配列番号18と少なくとも97%アミノ酸配列同一性を有する触媒ドメインを含む。一部の実施形態では、DNA修飾ドメインは、配列番号18と少なくとも98%アミノ酸配列同一性を有する触媒ドメインを含む。一部の実施形態では、DNA修飾ドメインは、配列番号18と少なくとも99%アミノ酸配列同一性を有する触媒ドメインを含む。
【0084】
一部の実施形態では、DNA修飾ドメインは、配列番号19と少なくとも75%アミノ酸配列同一性を有する触媒ドメインを含む。一部の実施形態では、DNA修飾ドメインは、配列番号19と少なくとも80%アミノ酸配列同一性を有する触媒ドメインを含む。一部の実施形態では、DNA修飾ドメインは、配列番号19と少なくとも85%アミノ酸配列同一性を有する触媒ドメインを含む。一部の実施形態では、DNA修飾ドメインは、配列番号19と少なくとも90%アミノ酸配列同一性を有する触媒ドメインを含む。一部の実施形態では、DNA修飾ドメインは、配列番号19と少なくとも91%アミノ酸配列同一性を有する触媒ドメインを含む。一部の実施形態では、DNA修飾ドメインは、配列番号19と少なくとも92%アミノ酸配列同一性を有する触媒ドメインを含む。一部の実施形態では、DNA修飾ドメインは、配列番号19と少なくとも93%アミノ酸配列同一性を有する触媒ドメインを含む。一部の実施形態では、DNA修飾ドメインは、配列番号19と少なくとも94%アミノ酸配列同一性を有する触媒ドメインを含む。一部の実施形態では、DNA修飾ドメインは、配列番号19と少なくとも95%アミノ酸配列同一性を有する触媒ドメインを含む。一部の実施形態では、DNA修飾ドメインは、配列番号19と少なくとも96%アミノ酸配列同一性を有する触媒ドメインを含む。一部の実施形態では、DNA修飾ドメインは、配列番号19と少なくとも97%アミノ酸配列同一性を有する触媒ドメインを含む。一部の実施形態では、DNA修飾ドメインは、配列番号19と少なくとも98%アミノ酸配列同一性を有する触媒ドメインを含む。一部の実施形態では、DNA修飾ドメインは、配列番号19と少なくとも99%アミノ酸配列同一性を有する触媒ドメインを含む。
【0085】
一部の実施形態では、DNA修飾ドメインは、配列番号20と少なくとも75%アミノ酸配列同一性を有する触媒ドメインを含む。一部の実施形態では、DNA修飾ドメインは、配列番号20と少なくとも80%アミノ酸配列同一性を有する触媒ドメインを含む。一部の実施形態では、DNA修飾ドメインは、配列番号20と少なくとも85%アミノ酸配列同一性を有する触媒ドメインを含む。一部の実施形態では、DNA修飾ドメインは、配列番号20と少なくとも90%アミノ酸配列同一性を有する触媒ドメインを含む。一部の実施形態では、DNA修飾ドメインは、配列番号20と少なくとも91%アミノ酸配列同一性を有する触媒ドメインを含む。一部の実施形態では、DNA修飾ドメインは、配列番号20と少なくとも92%アミノ酸配列同一性を有する触媒ドメインを含む。一部の実施形態では、DNA修飾ドメインは、配列番号20と少なくとも93%アミノ酸配列同一性を有する触媒ドメインを含む。一部の実施形態では、DNA修飾ドメインは、配列番号20と少なくとも94%アミノ酸配列同一性を有する触媒ドメインを含む。一部の実施形態では、DNA修飾ドメインは、配列番号20と少なくとも95%アミノ酸配列同一性を有する触媒ドメインを含む。一部の実施形態では、DNA修飾ドメインは、配列番号20と少なくとも96%アミノ酸配列同一性を有する触媒ドメインを含む。一部の実施形態では、DNA修飾ドメインは、配列番号20と少なくとも97%アミノ酸配列同一性を有する触媒ドメインを含む。一部の実施形態では、DNA修飾ドメインは、配列番号20と少なくとも98%アミノ酸配列同一性を有する触媒ドメインを含む。一部の実施形態では、DNA修飾ドメインは、配列番号20と少なくとも99%アミノ酸配列同一性を有する触媒ドメインを含む。
【0086】
一部の実施形態では、DNA修飾ドメインは、配列番号21と少なくとも75%アミノ酸配列同一性を有する触媒ドメインを含む。一部の実施形態では、DNA修飾ドメインは、配列番号21と少なくとも80%アミノ酸配列同一性を有する触媒ドメインを含む。一部の実施形態では、DNA修飾ドメインは、配列番号21と少なくとも85%アミノ酸配列同一性を有する触媒ドメインを含む。一部の実施形態では、DNA修飾ドメインは、配列番号21と少なくとも90%アミノ酸配列同一性を有する触媒ドメインを含む。一部の実施形態では、DNA修飾ドメインは、配列番号21と少なくとも91%アミノ酸配列同一性を有する触媒ドメインを含む。一部の実施形態では、DNA修飾ドメインは、配列番号21と少なくとも92%アミノ酸配列同一性を有する触媒ドメインを含む。一部の実施形態では、DNA修飾ドメインは、配列番号21と少なくとも93%アミノ酸配列同一性を有する触媒ドメインを含む。一部の実施形態では、DNA修飾ドメインは、配列番号21と少なくとも94%アミノ酸配列同一性を有する触媒ドメインを含む。一部の実施形態では、DNA修飾ドメインは、配列番号21と少なくとも95%アミノ酸配列同一性を有する触媒ドメインを含む。一部の実施形態では、DNA修飾ドメインは、配列番号21と少なくとも96%アミノ酸配列同一性を有する触媒ドメインを含む。一部の実施形態では、DNA修飾ドメインは、配列番号21と少なくとも97%アミノ酸配列同一性を有する触媒ドメインを含む。一部の実施形態では、DNA修飾ドメインは、配列番号21と少なくとも98%アミノ酸配列同一性を有する触媒ドメインを含む。一部の実施形態では、DNA修飾ドメインは、配列番号21と少なくとも99%アミノ酸配列同一性を有する触媒ドメインを含む。
【0087】
一部の実施形態では、本開示のギャップ編集因子複合体において使用され得るDNA修飾ドメインの触媒ドメインは、配列番号22~24のいずれかと少なくとも70%アミノ酸同一性を有するいずれかの配列を含むがこれらに限定されない。一部の実施形態では、DNA修飾ドメインは、配列番号22と少なくとも75%アミノ酸配列同一性を有する触媒ドメインを含む。一部の実施形態では、DNA修飾ドメインは、配列番号22と少なくとも80%アミノ酸配列同一性を有する触媒ドメインを含む。一部の実施形態では、DNA修飾ドメインは、配列番号22と少なくとも85%アミノ酸配列同一性を有する触媒ドメインを含む。一部の実施形態では、DNA修飾ドメインは、配列番号22と少なくとも90%アミノ酸配列同一性を有する触媒ドメインを含む。一部の実施形態では、DNA修飾ドメインは、配列番号22と少なくとも91%アミノ酸配列同一性を有する触媒ドメインを含む。一部の実施形態では、DNA修飾ドメインは、配列番号22と少なくとも92%アミノ酸配列同一性を有する触媒ドメインを含む。一部の実施形態では、DNA修飾ドメインは、配列番号22と少なくとも93%アミノ酸配列同一性を有する触媒ドメインを含む。一部の実施形態では、DNA修飾ドメインは、配列番号22と少なくとも94%アミノ酸配列同一性を有する触媒ドメインを含む。一部の実施形態では、DNA修飾ドメインは、配列番号22と少なくとも95%アミノ酸配列同一性を有する触媒ドメインを含む。一部の実施形態では、DNA修飾ドメインは、配列番号22と少なくとも96%アミノ酸配列同一性を有する触媒ドメインを含む。一部の実施形態では、DNA修飾ドメインは、配列番号22と少なくとも97%アミノ酸配列同一性を有する触媒ドメインを含む。一部の実施形態では、DNA修飾ドメインは、配列番号22と少なくとも98%アミノ酸配列同一性を有する触媒ドメインを含む。一部の実施形態では、DNA修飾ドメインは、配列番号22と少なくとも99%アミノ酸配列同一性を有する触媒ドメインを含む。
【0088】
一部の実施形態では、DNA修飾ドメインは、配列番号23と少なくとも75%アミノ酸配列同一性を有する触媒ドメインを含む。一部の実施形態では、DNA修飾ドメインは、配列番号23と少なくとも80%アミノ酸配列同一性を有する触媒ドメインを含む。一部の実施形態では、DNA修飾ドメインは、配列番号23と少なくとも85%アミノ酸配列同一性を有する触媒ドメインを含む。一部の実施形態では、DNA修飾ドメインは、配列番号23と少なくとも90%アミノ酸配列同一性を有する触媒ドメインを含む。一部の実施形態では、DNA修飾ドメインは、配列番号23と少なくとも91%アミノ酸配列同一性を有する触媒ドメインを含む。一部の実施形態では、DNA修飾ドメインは、配列番号23と少なくとも92%アミノ酸配列同一性を有する触媒ドメインを含む。一部の実施形態では、DNA修飾ドメインは、配列番号23と少なくとも93%アミノ酸配列同一性を有する触媒ドメインを含む。一部の実施形態では、DNA修飾ドメインは、配列番号23と少なくとも94%アミノ酸配列同一性を有する触媒ドメインを含む。一部の実施形態では、DNA修飾ドメインは、配列番号23と少なくとも95%アミノ酸配列同一性を有する触媒ドメインを含む。一部の実施形態では、DNA修飾ドメインは、配列番号23と少なくとも96%アミノ酸配列同一性を有する触媒ドメインを含む。一部の実施形態では、DNA修飾ドメインは、配列番号23と少なくとも97%アミノ酸配列同一性を有する触媒ドメインを含む。一部の実施形態では、DNA修飾ドメインは、配列番号23と少なくとも98%アミノ酸配列同一性を有する触媒ドメインを含む。一部の実施形態では、DNA修飾ドメインは、配列番号23と少なくとも99%アミノ酸配列同一性を有する触媒ドメインを含む。
【0089】
一部の実施形態では、DNA修飾ドメインは、配列番号24と少なくとも75%アミノ酸配列同一性を有する触媒ドメインを含む。一部の実施形態では、DNA修飾ドメインは、配列番号24と少なくとも80%アミノ酸配列同一性を有する触媒ドメインを含む。一部の実施形態では、DNA修飾ドメインは、配列番号24と少なくとも85%アミノ酸配列同一性を有する触媒ドメインを含む。一部の実施形態では、DNA修飾ドメインは、配列番号24と少なくとも90%アミノ酸配列同一性を有する触媒ドメインを含む。一部の実施形態では、DNA修飾ドメインは、配列番号24と少なくとも91%アミノ酸配列同一性を有する触媒ドメインを含む。一部の実施形態では、DNA修飾ドメインは、配列番号24と少なくとも92%アミノ酸配列同一性を有する触媒ドメインを含む。一部の実施形態では、DNA修飾ドメインは、配列番号24と少なくとも93%アミノ酸配列同一性を有する触媒ドメインを含む。一部の実施形態では、DNA修飾ドメインは、配列番号24と少なくとも94%アミノ酸配列同一性を有する触媒ドメインを含む。一部の実施形態では、DNA修飾ドメインは、配列番号24と少なくとも95%アミノ酸配列同一性を有する触媒ドメインを含む。一部の実施形態では、DNA修飾ドメインは、配列番号24と少なくとも96%アミノ酸配列同一性を有する触媒ドメインを含む。一部の実施形態では、DNA修飾ドメインは、配列番号24と少なくとも97%アミノ酸配列同一性を有する触媒ドメインを含む。一部の実施形態では、DNA修飾ドメインは、配列番号24と少なくとも98%アミノ酸配列同一性を有する触媒ドメインを含む。一部の実施形態では、DNA修飾ドメインは、配列番号24と少なくとも99%アミノ酸配列同一性を有する触媒ドメインを含む。
【0090】
一部の実施形態では、本開示のギャップ編集因子複合体において使用されるDNA修飾ドメインは、Mom(メチルカルバモイルトランスフェラーゼ、メチルカルバモイラーゼ(methylcarbamoylase)又はアセチルトランスフェラーゼとも称される)の触媒ドメイン(又はその機能的断片、誘導体若しくはバリアント)を含む。触媒ドメインは、本明細書でさらに記載されている通り、標的核酸に転移されるドナー基質としてアセチルCoAを使用してアデニンのメチルカルバモイル化を実行するのに十分であるメチルカルバモイラーゼ酵素の部分を含むことができる。例えば、本開示のギャップ編集因子複合体におけるDNA修飾ドメインとして使用され得るMomの触媒ドメインは、配列番号25~27のいずれかと少なくとも70%アミノ酸同一性を有するいずれかの配列を含むがこれらに限定されない。一部の実施形態では、DNA修飾ドメインは、配列番号25と少なくとも75%アミノ酸配列同一性を有する触媒ドメインを含む。一部の実施形態では、DNA修飾ドメインは、配列番号25と少なくとも80%アミノ酸配列同一性を有する触媒ドメインを含む。一部の実施形態では、DNA修飾ドメインは、配列番号25と少なくとも85%アミノ酸配列同一性を有する触媒ドメインを含む。一部の実施形態では、DNA修飾ドメインは、配列番号25と少なくとも90%アミノ酸配列同一性を有する触媒ドメインを含む。一部の実施形態では、DNA修飾ドメインは、配列番号25と少なくとも91%アミノ酸配列同一性を有する触媒ドメインを含む。一部の実施形態では、DNA修飾ドメインは、配列番号25と少なくとも92%アミノ酸配列同一性を有する触媒ドメインを含む。一部の実施形態では、DNA修飾ドメインは、配列番号25と少なくとも93%アミノ酸配列同一性を有する触媒ドメインを含む。一部の実施形態では、DNA修飾ドメインは、配列番号25と少なくとも94%アミノ酸配列同一性を有する触媒ドメインを含む。一部の実施形態では、DNA修飾ドメインは、配列番号25と少なくとも95%アミノ酸配列同一性を有する触媒ドメインを含む。一部の実施形態では、DNA修飾ドメインは、配列番号25と少なくとも96%アミノ酸配列同一性を有する触媒ドメインを含む。一部の実施形態では、DNA修飾ドメインは、配列番号25と少なくとも97%アミノ酸配列同一性を有する触媒ドメインを含む。一部の実施形態では、DNA修飾ドメインは、配列番号25と少なくとも98%アミノ酸配列同一性を有する触媒ドメインを含む。一部の実施形態では、DNA修飾ドメインは、配列番号25と少なくとも99%アミノ酸配列同一性を有する触媒ドメインを含む。
【0091】
一部の実施形態では、DNA修飾ドメインは、配列番号26と少なくとも75%アミノ酸配列同一性を有する触媒ドメインを含む。一部の実施形態では、DNA修飾ドメインは、配列番号26と少なくとも80%アミノ酸配列同一性を有する触媒ドメインを含む。一部の実施形態では、DNA修飾ドメインは、配列番号26と少なくとも85%アミノ酸配列同一性を有する触媒ドメインを含む。一部の実施形態では、DNA修飾ドメインは、配列番号26と少なくとも90%アミノ酸配列同一性を有する触媒ドメインを含む。一部の実施形態では、DNA修飾ドメインは、配列番号26と少なくとも91%アミノ酸配列同一性を有する触媒ドメインを含む。一部の実施形態では、DNA修飾ドメインは、配列番号26と少なくとも92%アミノ酸配列同一性を有する触媒ドメインを含む。一部の実施形態では、DNA修飾ドメインは、配列番号26と少なくとも93%アミノ酸配列同一性を有する触媒ドメインを含む。一部の実施形態では、DNA修飾ドメインは、配列番号26と少なくとも94%アミノ酸配列同一性を有する触媒ドメインを含む。一部の実施形態では、DNA修飾ドメインは、配列番号26と少なくとも95%アミノ酸配列同一性を有する触媒ドメインを含む。一部の実施形態では、DNA修飾ドメインは、配列番号26と少なくとも96%アミノ酸配列同一性を有する触媒ドメインを含む。一部の実施形態では、DNA修飾ドメインは、配列番号26と少なくとも97%アミノ酸配列同一性を有する触媒ドメインを含む。一部の実施形態では、DNA修飾ドメインは、配列番号26と少なくとも98%アミノ酸配列同一性を有する触媒ドメインを含む。一部の実施形態では、DNA修飾ドメインは、配列番号26と少なくとも99%アミノ酸配列同一性を有する触媒ドメインを含む。
【0092】
一部の実施形態では、DNA修飾ドメインは、配列番号27と少なくとも75%アミノ酸配列同一性を有する触媒ドメインを含む。一部の実施形態では、DNA修飾ドメインは、配列番号27と少なくとも80%アミノ酸配列同一性を有する触媒ドメインを含む。一部の実施形態では、DNA修飾ドメインは、配列番号27と少なくとも85%アミノ酸配列同一性を有する触媒ドメインを含む。一部の実施形態では、DNA修飾ドメインは、配列番号27と少なくとも90%アミノ酸配列同一性を有する触媒ドメインを含む。一部の実施形態では、DNA修飾ドメインは、配列番号27と少なくとも91%アミノ酸配列同一性を有する触媒ドメインを含む。一部の実施形態では、DNA修飾ドメインは、配列番号27と少なくとも92%アミノ酸配列同一性を有する触媒ドメインを含む。一部の実施形態では、DNA修飾ドメインは、配列番号27と少なくとも93%アミノ酸配列同一性を有する触媒ドメインを含む。一部の実施形態では、DNA修飾ドメインは、配列番号27と少なくとも94%アミノ酸配列同一性を有する触媒ドメインを含む。一部の実施形態では、DNA修飾ドメインは、配列番号27と少なくとも95%アミノ酸配列同一性を有する触媒ドメインを含む。一部の実施形態では、DNA修飾ドメインは、配列番号27と少なくとも96%アミノ酸配列同一性を有する触媒ドメインを含む。一部の実施形態では、DNA修飾ドメインは、配列番号27と少なくとも97%アミノ酸配列同一性を有する触媒ドメインを含む。一部の実施形態では、DNA修飾ドメインは、配列番号27と少なくとも98%アミノ酸配列同一性を有する触媒ドメインを含む。一部の実施形態では、DNA修飾ドメインは、配列番号27と少なくとも99%アミノ酸配列同一性を有する触媒ドメインを含む。
【0093】
複製遮断部分。当業者は、本開示に基づき、複製遮断部分が、グルコース、スレオニルカルバモイルアデノシン、アセテート、グリセリル、L-アスコルビン酸、ウリジン、アデノシン一リン酸、アデノシン二リン酸リボース、メチルカルバモイル、脂質、アミノ酸、アグマチン、L-スレオニルカルバモイルアデニル酸、L-スレオニルカルバモイル、メチルチオレート、硫黄、メチル基、S-アデノシル-L-メチオニン又はS-アデノシル-L-メチオニンのサブグループ、及びジメチルアリル二リン酸又はそのサブグループを含むことができるがこれらに限定されないことを認識する。上述及び他の複製遮断部分は、DNA複製が遮断され、相同配列指向性ギャップ修復が誘導されるように、標的配列におけるヌクレオチドに官能性付与することが可能であるという一般特色を有する。これは、酵素手段又は酵素非依存的手段によって発生し得る。
【0094】
ガイドRNA。本開示の実施形態はまた、少なくとも1つのガイドRNA分子を含むことができるギャップ編集因子及びギャップ編集因子複合体を含む。このような実施形態に従って、ガイドRNA分子は、ハンドル配列及び標的化配列を含む。標的化配列は、標的核酸における配列と相互作用し、ハンドル配列は、ギャップ編集因子又はギャップ編集因子複合体の結合を容易にする。本開示に基づき当業者によって認識される通り、シングルキメラガイドRNA(sgRNA)は、アニーリングされたcrRNA/tracrRNAの構造を模倣することができる;gRNAアプローチは、2つの構成成分(例えば、Cas9及びsgRNA)のみを有する単純化されたシステムを提供するため、この型のガイドRNAは、crRNA/tracrRNAよりも広く使用されるようになった。よって、核酸標的への配列特異的結合は、天然デュアルRNA複合体(例えば、crRNA、tracrRNA及びCas9を含む)又はキメラシングルガイドRNA(例えば、sgRNA及びCas9)によってガイドされ得る(例えば、Jinekら(2012)「A Programmable Dual-RNA-Guided DNA Endonuclease in Adaptive Bacterial Immunity」Science 337:816~821を参照)。複数のgRNAは、ヌクレアーゼによって利用されるcrRNAを天然にコードするCRISPRアレイを使用してさらに発現され得る。gRNAはまた、プロモーター及びターミネーターに作動可能に連結されることにより、別々に発現され得る。gRNAはまた、リボザイムなどの介在するRNA切断部位、又はRNase P、RNase Z、RNase III若しくはCsy4などのRNA切断酵素によって認識される部位を含むことにより、単一の転写物において融合され得る。gRNA又はsgRNAは、cDNA修復鋳型への逆転写のためのRNA鋳型を含むことができる。sgRNAは、ギャップ編集因子複合体又はギャップ編集因子標的部位にアクセサリーゲノム編集因子をリクルートできるように、アプタマー配列、例えば、RNA結合タンパク質認識部位を含むことができる。
【0095】
本明細書でさらに記載されている通り、本開示のギャップ編集因子を使用したゲノム修飾は、単一のヌクレオチド変化から大型の挿入又は欠失に及ぶ特異的ヌクレオチド修飾を生成することができる。一部の実施形態では、本開示のギャップ編集因子複合体は、ゲノムにおける別個の部位を標的化するための2種以上のガイドRNA配列の使用による、DNAの大型の配列の付加、交換及び/又は除去に使用され得る。例えば、大型のゲノム欠失は、2個のgRNA標的部位の間の配列を除去する及び/又は外因性DNA配列を挿入することにより生成され得る(例えば、細胞又は生物における内因性修復/組換え機構に基づいて)。一部の実施形態では、複数のgRNAが、ゲノムにおけるいずれかの数の所望の修飾を生成するために、ゲノムにおける複数の部位の標的化に使用され得る(例えば、マルチプレックス化)。
【0096】
一部の実施形態では、ガイドRNA分子は、本開示のギャップ編集因子複合体において要求されない。例えば、本明細書に記載されている組成物及び方法のある特定の実施形態は、効率的なゲノム編集及び修飾を実現するためにガイドRNAを要求しない。上に記載される通り、このようなギャップ編集因子複合体は、メガヌクレアーゼ、ジンクフィンガー(ZF)及び転写活性化因子様エフェクター(TALE)を含むがこれらに限定されない。
【0097】
ドナー鋳型。一部の実施形態では、ドナー核酸鋳型の存在は、二本鎖標的DNA分子中に組み換えられるドナー核酸鋳型又はその断片を含む、相同配列指向性ギャップ組換え及び/又は修復を容易にする。一部の実施形態では、ドナーDNA鋳型は、ゲノム中にコピーされる外因性DNA又はRNAによってコードされる配列をもたらす複製鋳型として機能することができるが、外因性DNA又はRNAポリヌクレオチド分子それ自体は、ゲノム中に直接的に転移されない。ドナー核酸鋳型は、一本鎖又は二本鎖であり得る。一部の実施形態では、ドナー鋳型は、内因性の、発現された、合成の又は送達されたRNAから逆(reversed)転写されたcDNAである。ドナー核酸は、プラスミド又は直鎖状DNAとして細胞内に送達され得る。ドナー核酸はまた、逆転写酵素によって鋳型リボ核酸からインビボで生成され得る。他の実施形態では、ドナー核酸それ自体が、リボ核酸であり得る。ドナー核酸は、化学修飾を含有することもできる。ドナー核酸は、ギャップ編集因子複合体又はギャップ編集因子標的部位に特異的にリクルートされる化学修飾又は配列を含むことができる。
【0098】
一部の実施形態では、ドナー核酸鋳型は、DNA標的配列に対応する内因性相同配列由来のポリヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、ドナー核酸鋳型は、内因性アレル由来のポリヌクレオチドを含む(例えば、ヘテロ接合性の喪失を容易にするために)。一部の実施形態では、ドナー核酸鋳型は、外因性一本鎖DNA(ssDNA)分子又は二本鎖DNA(dsDNA)分子を含む。一部の実施形態では、ドナー核酸鋳型の存在は、相同配列指向性ギャップ修復及び/又は組換えを容易にし、ドナー核酸鋳型又はその断片は、DNA標的配列のゲノム中に組み換えられる。このような実施形態に従って、本開示のギャップ編集因子は、大型のドナーDNA配列の挿入、DNAの大型のセグメントの置換え、及び/又はゲノムにおける大型のDNA配列の除去に特に有利であり得る。一部の実施形態では、本開示のギャップ編集因子複合体は、ゲノムにおける別個の部位を標的化するための2種以上のガイドRNA配列の使用による、DNAの大型の配列の付加、交換及び/又は除去に使用され得る。例えば、大型のゲノム欠失は、2個のgRNA標的部位の間の配列を除去する及び/又は外因性DNA配列を挿入することにより生成され得る(例えば、細胞又は生物における内因性修復/組換え機構に基づいて)。一部の実施形態では、複数のgRNAが、ゲノムにおけるいずれかの数の所望の修飾を生成するために、ゲノムにおける複数の部位の標的化に使用され得る(例えば、マルチプレックス化)。
【0099】
アクセサリー因子。一部の実施形態では、本開示の組成物及びシステムは、1種のギャップ編集因子アクセサリー因子をさらに含む。一部の実施形態では、組成物は、少なくとも1つのギャップ編集因子アクセサリー因子をさらに含む。一部の実施形態では、少なくとも1つのギャップ編集因子アクセサリー因子は、ゲノム修飾過程における少なくとも1つのステップを増強するタンパク質を含む。一部の実施形態では、少なくとも1つのギャップ編集因子アクセサリー因子は、DNA修飾ドメイン、DNA認識ドメイン及び/又は少なくとも1つのガイドRNAとの相互作用を介してギャップ編集因子複合体にリクルートされる。一部の実施形態では、ギャップ編集因子複合体への少なくとも1つのギャップ編集因子アクセサリー因子のリクルートメントは、ペプチドタグ、ペプチドリンカー、RNAタグ及びこれらのいずれかの組合せを含む。一部の実施形態では、少なくとも1つのギャップ編集因子アクセサリー因子は、Rap、DarG、Orf、ExoI、エキソヌクレアーゼIII、PrimPol、RecJ、RecQ1、Rad51、Rad52、CtIP、Rad18及びこれらのいずれかの組合せを含む。一部の実施形態では、また、本明細書でさらに記載されている通り、本開示は、DNA修飾ドメインがDarTを含む、ギャップ編集因子複合体を含むことができる。このような実施形態に従って、DarG、TARG1又は別のグリコヒドラーゼ(glycohydolase)ドメインは、オフターゲット編集をモジュレートする(例えば、DarT活性を減弱する)又はHDGRが発生した後に、付加されたADPrを除去することにより、ギャップ編集因子アクセサリー因子として含まれ得る。
【0100】
本開示に基づき当業者によって認識される通り、細胞内にギャップ編集因子及びギャップ編集因子複合体を送達するための方法は、ポリヌクレオチド及び/又はポリペプチド/タンパク質を送達するためのいずれかの現在公知の方法及びシステムを含む。例えば、ギャップ編集因子及びギャップ編集因子複合体は、プラスミドDNA、ssDNA、RNA、又は、脂質に基づく送達システム(例えば、カチオン性脂質を使用した)、ドナー細胞からのコンジュゲーション、ウイルス/バクテリオファージに基づく送達システム及び化学物質に基づくシステム(例えば、リン酸カルシウム沈殿、DEAE-デキストラン、ポリブレン)を含むがこれらに限定されない、ポリヌクレオチド分子を送達するための他の手段を使用して送達され得る。一部の実施形態では、送達システムは、ポリヌクレオチド及び/又はポリペプチド/タンパク質(又はこれらのいずれかの組合せ)として本開示のギャップ編集因子及びギャップ編集因子複合体を送達するための機械的及び/又は電気的なデバイス及び方法を含むことができる。一部の実施形態では、ギャップ編集因子及びギャップ編集因子複合体は、遺伝子銃(例えば、微粒子銃(bombardment)及び植物細胞に対して使用されるアグロバクテリウム(Agrobacterium)形質転換)及び電気穿孔に基づく方法、並びにポリヌクレオチド及びポリペプチド/タンパク質を送達するための手段として膜破壊を使用する他のいずれかの物理的方法(例えば、機械的、電気的、熱的、光学的、化学的刺激、その他)を使用して送達される(例えば、Sunら、Recent advances in micro/nanoscale intracellular delivery、Nanotechnology and Precision Engineering 3、18(2020)を参照)。
【0101】
3.キット、システム及び方法
本開示の実施形態はまた、核酸の標的化修飾のためのキット及びシステムを含む。このような実施形態に従って、キットは、DNA認識ドメイン及びDNA修飾ドメインを含むギャップ編集因子複合体を含む。一部の実施形態では、キットは、少なくとも1つのガイドRNA分子も含む。一部の実施形態では、DNA認識ドメインは、ゲノムにおけるDNA標的配列に結合し、DNA修飾ドメインは、ゲノムにおける少なくとも1個のヌクレオチドに複製遮断部分の形成を誘導する。本開示に基づき当業者によって認識される通り、キット及びシステムは、本明細書に記載されている遺伝子修飾組成物の他の構成成分(例えば、ギャップ編集因子アクセサリー因子)のうち1つ以上を含むこともできる。キットの一部の実施形態では、組成物は、ドナー核酸鋳型をさらに含む。キットの一部の実施形態では、ドナー核酸鋳型の存在は、相同配列指向性ギャップ修復及び/又は組換えを容易にする。
【0102】
キットの一部の実施形態では、DNA認識ドメインは、デオキシリボヌクレアーゼ活性を欠如する少なくとも1個のCasタンパク質又はその断片を含む。キットの一部の実施形態では、DNA認識ドメインは、ニッカーゼ活性を有する少なくとも1個のCasタンパク質又はその断片を含む。一部の実施形態では、Casタンパク質又はCasタンパク質複合体は、I型カスケード、II型Cas9、IV型エフェクターモジュール、V型Cas12、Cas9関連IscB、Cas9関連TnpB及びこれらの組合せを含む。
【0103】
キットの一部の実施形態では、DNA認識ドメイン及びDNA修飾ドメインは、機能的にカップリングされている。キットの一部の実施形態では、DNA認識ドメインは、DNA標的鎖における一本鎖切断を誘導し、DNA修飾ドメインは、複製遮断部分を、DNA標的配列に相補的なDNA鎖における少なくとも1個のヌクレオチドに付加する。キットの一部の実施形態では、DNA修飾ドメインは、チミン又はグアニンヌクレオチドへのADPリボースの付加を触媒する。一部の実施形態では、DNA修飾ドメインは、DarT酵素又はその機能的断片、誘導体若しくはバリアントを含む。キットの一部の実施形態では、DarT酵素は、低減されたDNA結合性、一本鎖DNAに対する増加した特異性及び/又は減少した酵素活性を有するように操作されている。
【0104】
キットの一部の実施形態では、DNA修飾ドメインは、グルコース、スレオニルカルバモイルアデノシン、アセテート、グリセリル、L-アスコルビン酸、ウリジン、アデノシン一リン酸、脂質、アミノ酸、アグマチン、L-スレオニルカルバモイルアデニル酸、L-スレオニルカルバモイル、メチルチオレート、硫黄、メチル基、S-アデノシル-L-メチオニン又はS-アデノシル-L-メチオニンのサブグループ、及びジメチルアリル二リン酸又はそのサブグループからなる群から選択される複製遮断部分の付加を触媒する。キットの一部の実施形態では、DNA修飾酵素ドメインは、ピエリシン、Scabin、細胞周期及びアポトーシス調節因子1(CARP-1)、SCO5461タンパク質(ScARP)、アデニン修飾酵素、アセチルトランスフェラーゼ、アミノ酸トランスフェラーゼ、ヌクレオチジルトランスフェラーゼ、ウリジルトランスフェラーゼ、アシルトランスフェラーゼ、ADP-リボシルトランスフェラーゼ、メチルチオトランスフェラーゼ、N-アセチルトランスフェラーゼ10、tRNA(Met)シチジンアセチルトランスフェラーゼ(TmcA)、tRNAシチジンアセチルトランスフェラーゼ、GCN5関連N-アセチルトランスフェラーゼ、ライシジンシンターゼ、m7Gメチルトランスフェラーゼ、N6カルバモイルメチルトランスフェラーゼ(Mom)、N6-アデノシンスレオニルカルバモイルトランスフェラーゼ、スレオニルカルバモイル(carbomyl)トランスフェラーゼ又はスレオニルカルバモイル(carbomyl)トランスフェラーゼ複合体、TsaB-TsaE-TsaD(TsaBDE)複合体、tRNA N6-アデノシンスレオニルカルバモイルトランスフェラーゼ(Qri7、Tcs4)、メチルトランスフェラーゼ、ATrm5a、tRNA:m1G/imG2メチルトランスフェラーゼ、tRNA(アデノシン(37)-N6)-ジメチルアリルトランスフェラーゼ、tRNAジメチルアリルトランスフェラーゼ(MiaA)、並びにイソペンテニルトランスフェラーゼからなる群から選択される酵素又はその機能的断片、誘導体若しくはバリアントを含む。
【0105】
キットの一部の実施形態では、少なくとも1つのガイドRNAは、gRNA、sgRNA、crRNA又はこれらのいずれかの組合せを含む。キットの一部の実施形態では、少なくとも1つのガイドRNAは、ハンドル配列及び標的化配列を含む。キットの一部の実施形態では、少なくとも1つのガイドRNAにおける標的化配列は、DNA標的配列に相補的である。一部の実施形態では、本開示のギャップ編集因子複合体は、ゲノムにおける別個の部位を標的化するための2種以上のガイドRNA配列の使用による、DNAの大型の配列の付加、交換及び/又は除去に使用され得る。例えば、大型のゲノム欠失は、2個のgRNA標的部位の間の配列を除去する及び/又は外因性DNA配列を挿入することにより生成され得る(例えば、細胞又は生物における内因性修復/組換え機構に基づいて)。一部の実施形態では、複数のgRNAが、ゲノムにおけるいずれかの数の所望の修飾を生成するために、ゲノムにおける複数の部位の標的化に使用され得る(例えば、マルチプレックス化)。
【0106】
本開示の実施形態はまた、核酸の標的化修飾のための方法を含む。このような実施形態に従って、方法は、本明細書に記載されているゲノム修飾組成物の構成成分のいずれかを導入するステップ、及び当技術分野で公知の技法を使用して所望の遺伝学的変更の存在について細胞を評価するステップを含む。方法の一部の実施形態では、構成成分は、DNA認識ドメイン及びDNA修飾ドメインを含むギャップ編集因子及びギャップ編集因子複合体、少なくとも1つのガイドRNA分子、並びにドナー核酸鋳型を含む。一部の実施形態では、1つ以上のギャップ編集因子アクセサリー因子も含まれてよい。このような因子の1つ以上は、当技術分野で公知の手段によって、ポリペプチド(複数可)、mRNA(複数可)及び/若しくはDNA発現構築物(複数可)又はこれらのいずれかの組合せとして細胞又は生物に導入され得る。本開示に基づき当業者によって認識される通り、ギャップ編集因子組成物、システム及び方法は、ヒト、植物、家畜その他を含むがこれらに限定されない、生物全体の修飾を容易にするために使用され得る。
【0107】
方法の一部の実施形態では、これらの構成成分のうち少なくとも1種は、遺伝子駆動システムの一部として細胞に導入される。遺伝子駆動システムにおいて、DNA認識ドメイン、DNA修飾ドメイン、gRNA及びアクセサリー因子などのゲノム修飾構成成分の全て又は一部は、染色体の1コピーに存在するドナー核酸配列内にコードされる。gRNAは、ドナー核酸配列が存在する領域において、姉妹染色体にDNA修飾ドメインを方向付ける。ギャップ編集因子タンパク質又は複合体による標的化の後に、ドナー核酸(ギャップ編集因子システムもコードする)は、新しい染色体にコピーされる。よって、ギャップ編集因子システムは、自己繁殖し、ホモ接合性に編集された生物を効率的に形成するようになる。遺伝子駆動が実行され得る生物の例は、真菌、扁形動物、蚊及びマウスを含む。
【0108】
一部の実施形態では、本開示の組成物、システム及び方法は、遺伝子修飾の1つ以上の側面を増強又は改善する1つ以上の構成成分を含む。一部の実施形態では、ゲノム修飾の1つ以上の側面の改善又は増強は、上に記載される通り、ギャップ編集因子アクセサリー因子(複数可)の使用を含む。一部の実施形態では、ゲノム修飾の1つ以上の側面を増強又は改善する方法は、ゲノム修飾が望まれる細胞におけるヌクレアーゼ活性を低減又は減弱するステップを含む。細胞におけるヌクレアーゼ活性を低減するステップは、増強又は改善された修飾頻度及び/又は効率をもたらすことができる。一部の実施形態では、細胞におけるヌクレアーゼ活性を低減するステップは、当技術分野で公知のいずれかの手段によって、内因性APエンドヌクレアーゼ(例えば、xthAによってコードされる)の活性を低減するステップを含む。一部の実施形態では、細胞におけるヌクレアーゼ活性は、遺伝学的手段により及び/又は薬理学的手段によって低減され得る(例えば、AJAY-4、CRT0044876、アウリントリカルボン酸、6-ヒドロキシ-DL-DOPA、Reactive Blue 2、ミリセチン、ミトキサントロン、メチル-3,4-デホスタチン(dephostatin)、チオラクトマイシン及び(2E)-3-[5-(2,3-ジメトキシ-6-メチル-1,4-ベンゾキノイル(benzoquinoyl))]-2-ノニル-2-プロペン酸(E3330)を含むがこれらに限定されないエンドヌクレアーゼ阻害剤による処置)。
【0109】
本明細書に提供される組成物、システム及び方法の実施形態は、細胞のゲノムを編集するために使用され得る。細胞は、原核細胞、真核細胞又は植物細胞であり得る。一部の実施形態では、細胞は、哺乳類細胞である。本開示はまた、本明細書に記載されている構成成分又はシステムのいずれかを含む単離された細胞を提供する。例示的な細胞は、容易にかつ確実に育成され得、合理的に速い成長速度を有し、十分に特徴付けされた発現系を有し、容易にかつ効率的に形質転換又はトランスフェクトされ得る細胞を含むことができるものを含む。適した原核細胞の例は、バチルス属(Bacillus)(バチルス・スブチリス(Bacillus subtilis)及びバチルス・ブレビ(Bacillus brevis)など)、クロストリジウム属(Clostridia)(クロストリジウム・ディフィシル(Clostridium difficile)又はクロストリジウム・オートエタノゲナム(Clostridium autoethanogenum)など)、エシェリキア属(Escherichia)(E.コリなど)、ラクトバチルス属(Lactobacilli)、クレブシエラ属(Klebsiella)、粘液細菌(Myxobacteria)、シュードモナス属(Pseudomonas)、ストレプトマイセス属(Streptomyces)、サルモネラ属(Salmonella)、ビブリオ属(Vibrio)(ビブリオ・コレラエ(Vibrio cholerae)又はビブリオ・ヌトリファシエンス(Vibrio nutrifaciens)など)及びエンビニア属(Envinia)由来の細胞を含むがこれらに限定されない。適した真核細胞は、当技術分野で公知であり、例えば、酵母細胞、昆虫細胞及び哺乳類細胞を含む。適した酵母細胞の例は、クリベロマイセス属(Kluyveromyces)、ピキア属(Pichia)、リノスポリジウム属(Rhino-sporidium)、サッカロマイセス属(Saccharomyces)及びシゾサッカロマイセス属(Schizosaccharomyces)由来の酵母細胞を含む。例示的な昆虫細胞は、Sf-9及びHIS(Invitrogen、Carlsbad、Calif.)を含み、例えば、Kittsら、Biotechniques、14:810~817(1993);Lucklow、Curr.Opin.Biotechnol.、4:564~572(1993);及びLucklowら、J.Virol.、67:4566~4579(1993)に記載されている。
【0110】
一部の実施形態では、本開示の組成物及び方法は、インビボ及び/又はエクスビボ及び/又はインビトロで、有糸分裂又は有糸分裂後細胞においてDNA修飾及び/又は転写モジュレーションを誘導するために用いることができる(例えば、個体に再導入され得る遺伝学的に修飾された細胞を産生するために)。本開示のギャップ編集因子は、部位特異的DNA標的化を含むため、有糸分裂及び/又は有糸分裂後の目的の細胞は、いかなる生物由来の細胞(例えば、細菌細胞、古細菌細胞、単一細胞真核生物の細胞、植物細胞、藻類細胞、例えば、ボツリオコッカス・ブラウニー(Botryococcus braunii)、クラミドモナス・レインハルドチー(Chlamydomonas reinhardtii)、ナンノクロロプシス・ガディタナ(Nannochloropsis gaditana)、クロレラ・ピレノイドサ(Chlorella pyrenoidosa)、サルガッスム・パテンス、C.アガード(Sargassum patens C.Agardh)、その他、真菌細胞(例えば、酵母細胞)、動物細胞、無脊椎動物(例えば、ショウジョウバエ、刺胞動物、棘皮動物、線形動物など)由来の細胞、脊椎動物(例えば、魚類、両生類、爬虫類、鳥類、哺乳類)由来の細胞、哺乳類由来の細胞、齧歯類由来の細胞、ヒト由来の細胞など)を含むこともできる。いかなる型の細胞が、目的のものであってもよい(例えば、幹細胞、例えば、胚性幹(ES)細胞、人工多能性幹(iPS)細胞、生殖細胞;体細胞、例えば、線維芽細胞、造血細胞、ニューロン、筋肉細胞、骨細胞、肝細胞、膵細胞;いずれかのステージの胚のインビトロ又はインビボ胚性細胞、例えば、1細胞、2細胞、4細胞、8細胞などのステージのゼブラフィッシュ胚;など)。細胞は、樹立細胞株に由来し得る、又は初代細胞であり得、ここで、「初代細胞」、「初代細胞株」及び「初代培養」は、対象に由来し、限られた培養継代数にわたりインビトロで育成された、細胞及び細胞培養物を指すように本明細書で互換的に使用されている。標的細胞は、いかなる単細胞生物、多細胞生物、又は培養で育成されたいかなる細胞を含むこともできる。
【0111】
一部の実施形態では、細胞は、治療目的で使用される細胞であってもよい。細胞は、哺乳類細胞であり得、一部の実施形態では、細胞は、ヒト細胞である。多数の適した哺乳類及びヒト細胞は、当技術分野で公知であり、その多くは、アメリカ合衆国培養細胞系統保存機関(American Type Culture Collection)(ATCC、Manassas、Va.)から入手できる。適した哺乳類細胞の例は、チャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO)(ATCC No.CCL61)、CHO DHFR-細胞(Urlaubら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、97:4216~4220(1980))、ヒト胎児由来腎臓(HEK)293又は293T細胞(ATCC No.CRL1573)及び3T3細胞(ATCC No.CCL92)を含むがこれらに限定されない。他の適した哺乳類細胞株は、サルCOS-1(ATCC No.CRL1650)及びCOS-7細胞株(ATCC No.CRL1651)並びにCV-1細胞株(ATCC No.CCL70)である。さらに例示的な哺乳類細胞は、形質転換された細胞株を含む、霊長類、齧歯類及びヒト細胞株を含む。正常二倍体細胞、初代組織や初代外植片のインビトロ培養に由来する細胞系統も適している。他の適した哺乳類細胞株は、マウス神経芽細胞腫N2A細胞、HeLa、HEK、A549、HepG2、マウスL-929細胞及びBHK又はHaKハムスター細胞株を含むがこれらに限定されない。適した細胞を選択するための方法、並びに細胞の形質転換、培養、増幅、スクリーニング及び精製のための方法は、当技術分野で公知である。適した植物細胞株の例は、アラビドプシス(Arabidopsis)(ランズバーグエレクタ(Landsberg erecta)細胞株など)、サトウキビ、トマト、エンドウマメ、イネ、コムギ、タバコ(BY-2細胞株など)などの植物に由来する。
【0112】
上述の実施形態に記載されている方法に従って、本開示の組成物及びシステムは、インデル形成、染色体再編成又はDNA重複の程度を低減させる様式で細胞のゲノムを編集するために使用され得る。一部の実施形態では、本明細書に記載されている組成物、システム及び方法は、少なくとも一部には、標的核酸における二本鎖切断の欠如により、現在利用できる方法と比較して細胞毒性を低減させる。
【0113】
4.材料と方法
電気穿孔によってE.コリの中にCas9などのDNA結合ドメインに融合されたDNA修飾ドメイン(例えば、DarT-ScdCas9)及びsgRNA及び核酸ドナーを同時形質転換し、LB寒天プラス適切な抗生物質(複数可)上にプレーティングすることにより、比色アッセイによるE.コリにおけるギャップ編集の測定を行った。その結果生じたコロニーを採取し、ディープウェルプレートにおける750mLの液体LB培地に播種し、37℃で12~16時間にわたり一晩、900rpmで振盪した。一晩培養物を抗生物質、1mM IPTG及び33mMアラビノースを有する750mLの液体LB培地へと1:500希釈し、8時間にわたり900rpmで振盪することにより、ギャップ編集因子発現を誘導した。8時間後に、抗生物質、IPTG及びX-galを有するLB寒天上のスポットプレーティングのために試料を除去した。翌日、白い及び青いコロニーを計数して、lacZ組換え及び修復の頻度を決定した。サンガー配列決定によって修復を確認した。
【0114】
電気穿孔によってCas9又はCas12aなどのDNA結合ドメインに融合されたDNA修飾ドメイン、及びsgRNAと核酸ドナーを同時形質転換することにより、抗生物質抵抗性アッセイによるE.コリにおけるギャップ編集の測定を行った。形質転換混合物をLB寒天プラス適切な抗生物質上にプレーティングした。その結果生じたコロニーを採取し、ディープウェルプレートにおける750mLの液体LB培地に播種し、30℃で12~16時間にわたり一晩、900rpmで振盪した。ギャップ編集因子培養物を先ず、抗生物質を有する液体LBへと1:100で戻し希釈(back-dilute)し、37℃で1時間振盪した。次に、この培養物を抗生物質及び33mMアラビノースを有する750mLの液体LB培地へと1:100でさらに希釈し、5時間にわたり900rpmで振盪することにより、ギャップ編集因子発現を誘導した。5時間の誘導後に、2枚の別々のLB寒天プレート上のスポットプレーティングのために試料を除去した。一方のプレートは、ギャップ編集因子、sgRNA及び修復鋳型のみについて選択するために抗生物質(典型的に、クロラムフェニコール及びアンピシリン)を含有し、他方のプレートもまた、編集された細胞を選択するためにリファンピシン又はカナマイシンのいずれかを含んだ。翌日、コロニーを計数した。ゲノム編集効率は、リファンピシン又はカナマイシンを含有しないプレート上のコロニーの数で割った、リファンピシン又はカナマイシンを含有するプレート上のコロニーの数として作表した。
【0115】
相同組換えにおける重要な因子であるrecAを欠如するE.コリ系統の中にDarT-ScdCas9ギャップ編集因子を同時形質転換することにより、
図7におけるギャップ編集因子毒性の測定を行った。このような細菌は、相同組換えによる傷害迂回のための能力を欠如し、よって、DNAにおける複製遮断傷害に対して高度に感受性である。よって、DNA修飾ドメインは、その潜在的DNA結合活性が含有されない限りにおいて、このような系統において特に毒性があることが予想される。この様式で、本出願人らは、望ましくないオフターゲットDNA修飾についてギャップ編集因子複合体をより容易に評価することができる。形質転換及びプレーティングの後に、単一のコロニーを選択し、ディープウェルプレートにおける750mLのLBクロラムフェニコールに播種し、37℃で一晩振盪した。翌日、培養物を、グルコースを有するLBクロラムフェニコールへと1:500で戻し希釈して、ギャップ編集因子抑制を維持した、又はアラビノースを有するLBクロラムフェニコールへと1:500で戻し希釈して、ギャップ編集因子の発現を誘導した。培養物を、37℃で5時間、ディープウェルプレートにおいて900rpmで振盪しつつインキュベートした。次に、培養物をLBクロラムフェニコール上にスポットプレーティングした。翌日、コロニーを計数して、最終細胞密度、したがって、オフターゲットDNA修飾の率を評価した。
【0116】
鎖アニーリングベータリコンビナーゼプラスミド及びCas9などのDNA結合ドメインに融合されたDNA修飾ドメインを先ず同時形質転換することにより、リファンピシン抵抗性によるE.コリにおけるssDNA鋳型ギャップ編集の測定を行った。その結果生じたクローンを、ベータリコンビナーゼ発現の誘導のためにLB、抗生物質及びアンヒドロテトラサイクリンに播種した。このような培養物を電気穿孔に備え、sgRNAプラスミドで形質転換し、37℃で、250RPMで振盪しつつ富栄養培地において3時間培養し、その後、2枚の別々のLB寒天プレート上のスポットプレーティングを行った。一方のプレートは、ギャップ編集因子、sgRNA及びリコンビナーゼのみについて選択するために抗生物質を含有した。他方のプレートはその上、編集された細胞を選択するためにリファンピシンを含んだ。翌日、コロニーを計数した。ゲノム編集効率は、リファンピシンを含有しないプレート上のコロニーの数で割った、リファンピシンを含有するプレート上のコロニーの数として作表した。
【0117】
【実施例】
【0118】
5.実施例
当業者にとって、本明細書に記載されている本開示の方法の他の適した修飾及び適応を容易に適用及び認識でき、本開示又は本明細書に開示されている態様及び実施形態の範囲から逸脱することなく、適した均等物を使用して為すことができることが容易に明らかとなる。本開示について詳細に記載してきたが、これは、次の実施例を参照することによってより明らかに理解され、次の実施例は、単に、本開示の一部の態様及び実施形態を説明することのみを意図されるものであり、本開示の範囲の限定として考慮されるべきではない。本明細書に参照されているあらゆる雑誌参考文献、米国特許及び刊行物の開示は、これによりそれらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0119】
本開示は、次の非限定的な実施例によって説明される複数の態様を有する。
【0120】
[実施例1]
本開示のギャップ編集因子複合体の効率及び毒性を評価するための実験を行った。1セットの実験において、減弱性突然変異G49Dを有するE.コリEPEC由来のDarT酵素を、長い可動性リンカーにより、完全に又は部分的に触媒失活バージョンのScCas9(ScnCas9としても知られるScdCas9又はScCas9 D10A)のN末端に融合した。化学修飾は、発生する場合、そのDNA標的へのScdCas9結合によって露出された非標的鎖に作製されることが仮定された。以前の研究は、DarTが、おそらくTYTNほどの広さの配列モチーフ内のチミンを修飾することを指し示した。したがって、このようなギャップ編集因子複合体を使用して、E.コリにおけるゲノム編集を評価した。
【0121】
DarT-ScdCas9融合タンパク質(ギャップ編集因子複合体)を、非標的鎖にNGG又はNAG PAM及びTTTCモチーフを含有する4個の部位へと標的化した。この4個の部位は、ゲノム修飾の所望の部位であるlacZ遺伝子における中途終止コドンを囲んだ。複製遮断傷害が導入された場合、中途終止コドンに重複したDNAギャップが形成されるように、標的を選んだ。この4個の部位は、2個のラギング鎖標的及び2個のリーディング鎖標的を含んだ。アラビノース誘導性DarT-ScdCas9をコードするプラスミドを、突然変異をコードする1.5kb修復鋳型を含有するプラスミドと共に同時形質転換して、lacZ終止コドンを修復しつつScdCas9再標的化を遮断した。これらのコロニーを一晩培養した後に、細胞を誘導培地へと戻し希釈し、8時間培養し、次いで、β-ガラクトシダーゼ(lacZ遺伝子産物)指標色素X-galと誘導因子IPTGを有する選択培地上にプレーティングした。
【0122】
1個の部位のみを標的化する場合、lacZ遺伝子は、
図1の結果によって実証される通り効率的に修復された。しかし、この部位の標的化は、非標的化条件と比較した、CFUの、10分の1への降下、及びScdCas9対照と比較した、CFUの、50分の1への降下を含んだ。この観察された細胞傷害性は、広範なDNA複製遮断を導入した、ssDNAへのDarTのScdCas9非依存的結合によるものである可能性がある。DarT内のDNA結合を減弱させることにより、DarTが、DNA結合に関してScdCas9にさらに依存し得ることが仮定された。コンピュータ処理による予測ツールを使用して、潜在的DNA結合部位を同定した。予測精度を改善するために、ある程度の配列相違を有するDarTホモログのセットを同定し、これらのホモログの全てについて、DNA結合部位が予測された。タンパク質及びDNA予測を整列することにより、いくつかのDNA結合部位予測は、これらのDarTホモログにわたって保存されていることが見出された。これに基づき、アラニン突然変異をこれらの予測される部位に導入した。一例では、K56A突然変異は、効率的なゲノム修飾活性を維持しつつ、DarT-ScdCas9の細胞傷害性効果を実質的に低減させた(
図1)。この新しいDarT-ScdCas9融合タンパク質は、ギャップ編集因子2(GE2)と称された。
【0123】
[実施例2]
単一の複製遮断がDNAに導入されていたため、優占修復鋳型が姉妹染色分体であり、異所性修復鋳型ではないことが予想された。以前の研究は、目的のDNA配列のどちらかの端にある2個の部位の標的化が、おそらく、重複するDNAギャップを創出し、姉妹染色分体修復に干渉することにより、ゲノム修飾をブーストすることができることを実証した。したがって、DNAニッキング及びDNA修飾/ギャップ形成の組合せが、姉妹染色分体修復を同様に防止し、修復に好まれる鋳型としてプラスミド修復鋳型を残すことができることが仮定された。
【0124】
Cas9ニッキングは、原核生物及び真核生物において低い率のゲノム編集を駆動することができる。このようなニックは、レプリソームに遭遇したときに、シングルエンド二本鎖切断(seDSB)を形成する。これは典型的に、レプリソーム解離が関与する。このようなシングルエンド切断は、最も高頻度に、姉妹染色分体との相同組換えによって修復される。重要なことに、真核細胞において、Cas9ニッキングは、おそらく非相同末端結合(NHEJ)機構によって引き起こされたインデルを最小化しつつ正確な編集を生成することができる。seDSBにおいて天然の末端連結パートナーは存在しないため、NHEJは、この切断において阻害される。
【0125】
本開示の実施形態に従って、重複するDNAギャップ及びseDSBが、姉妹染色分体修復を相互に排除することができる(例えば、相乗効果を発揮する)ことが仮定された。seDSB末端が典型的に、姉妹染色分体における相同性を探す箇所に、代わりに、ssDNAギャップが存在する。同様に、DNAギャップが典型的に、相同DNA鋳型を見出す箇所に、おそらくssDNAに切除されるseDSBが存在する。したがって、ScdCas9におけるH848A突然変異が再活性化され、標的鎖ニッカーゼScnCas9を創出した。
【0126】
最も効率的な標的を使用した上に記載されているlacZ修復アッセイにおいて、このニッキングDarT-ScnCas9融合体を検査した。
図2に示す通り、ニッカーゼ単独は、標的化sgRNAと共に発現された場合、低レベルの遺伝子修復及びCFUの実質的な降下を生じた。DarT-ScdCas9及び操作されているDarT_K56A-ScdCas9(GE2)は、中程度レベルの遺伝子修復を生じた。ニッキング能力を再活性化させた後に、DarT-ScnCas9は、細胞傷害性であることが明らかになったが、DarT_K56A-ScnCas9は、細胞傷害性を示さず、8時間の誘導の後に細胞のほとんど80%の編集に成功した。このニッキングバージョンのGE2は、GE2nと称された。
【0127】
DarTの抗毒素パートナー、DarGの使用を調査するための実験も行って、これがGE2のゲノム修飾能力を排除するか否か決定した。DarGのN末端ドメインは、ADPr修飾チミンを直接的に修復することができるグリコヒドロラーゼを含有する。DarGのC末端ドメインは、DarT阻害剤を含有する。GE2及びGE2nはそれぞれ、lacZ遺伝子修復アッセイにおいて、オペロンにおける全長DarG、DarGのC末端ドメイン又はDarGのN末端ドメインと共に同時発現された(
図3)。
図3に示す通り、GE2及びGE2nゲノム修飾能力は、DarGのN末端及びC末端ドメインの両方が発現されたときに減弱された。これは、オンターゲット修飾を損なうことなく、潜在的なオフターゲット修飾効果及び毒性を軽減する手段を提供する。
【0128】
その上、本開示に基づき当業者によって認識される通り、DarGのN末端又はC末端ドメインのいずれかを使用して、DarT活性を相殺することができる。N末端ドメインは、ADPリボースを除去し、ヌクレオチドをその本来の状態に復帰させることができる。C末端ドメインは、DarT活性を直接的に阻害することができる。よって、DarGの単一のドメインは、低レベルで発現され、場合によって、細胞全体にランダムに分布されて、DarT-Casタンパク質のオフターゲット効果の相殺を助けることができる。一部の実施形態では、単一のDarTドメインを使用して、オンターゲットゲノム修飾活性に影響することなく、オフターゲット効果を低減させることができる。
【0129】
[実施例3]
E.コリにおけるカナマイシン遺伝子修復の頻度に基づき測定されるゲノム修飾の成功を誘導する、Cas9 DNA認識ドメインと組み合わせたScabin DNA修飾ドメインを含むギャップ編集複合体(Scabin-K130A-ScdCas9)の能力を検査するための実験を行った。この例示的な実験セットにおいて、Scabin-dCas9融合タンパク質の発現は、ScabinのDNA修飾触媒活性に依存するカナマイシン遺伝子修復の頻度を増加させた。Scabinは、アデノシン二リン酸リボース基により一本鎖及び二本鎖DNA内のグアニンを修飾することが知られているが、これは、単一の共有される触媒モチーフの外側のDarTから構造的に及び進化的に分岐している。プラスミド修復鋳型及びE.コリゲノムにおける標的化された欠損カナマイシン遺伝子の間の組換えは、標的化された遺伝子の修復及び結果的にカナマイシン抵抗性をもたらす。したがって、カナマイシン抵抗性の割合は、ゲノム修飾の率についての読み出し情報として機能する。ScabinにおけるK130A突然変異は、Scabinの活性を減弱させ、この活性は、減弱させなければ細胞にとって毒性がある。E160A突然変異は、Scabinを触媒的に不活性化し、全てのDNA修飾活性を除去する(陰性対照)。
図4に示す通り、Scabin-K130A-ScdCas9ギャップ編集因子複合体は、カナマイシン遺伝子修復の頻度増加によるゲノム修飾の成功をもたらした。
【0130】
例示的な実験の別のセットにおいて、E.コリにおけるカナマイシン遺伝子修復の頻度に基づき測定されるゲノム修飾の成功を誘導する、Cas9 DNA認識ドメインと組み合わせたMom DNA修飾ドメインを含むギャップ編集複合体(Mom-D149A-ScdCas9)の能力も検査した。dCas9へのMomの融合、及び欠損カナマイシン遺伝子の標的化は、組換え、ゲノム修飾及びこれにより、カナマイシン抵抗性細胞をもたらした。Momタンパク質は、DNA複製を遮断し、ギャップ修復組換えを誘発することが知られているメチルカルバモイル基によりアデニンを修飾することが知られている。MomにおけるD149A突然変異は、触媒活性を減弱させ、この活性は、減弱させなければ細胞にとって致死的である。
図5に示す通り、MOM-D149A-ScdCas9ギャップ編集因子複合体は、カナマイシン遺伝子修復の頻度増加によるゲノム修飾の成功をもたらした。
【0131】
[実施例4]
本開示のギャップ編集複合体におけるDNA修飾ドメインを評価するための実験も行った。第一に、
図6は、ギャップ編集因子複合体を使用したゲノム修飾の成功(例えば、カナマイシン遺伝子修復の頻度増加による(though))が、Cas9 DNA認識ドメインと組み合わせたDNA修飾ドメイン(DarT)(DarT-G49D-ScdCas9)に依存していることを実証する実験の代表的な結果を含む(ScdCas9単独は、カナマイシン遺伝子修復をもたらさなかった。)。これらの実験において例示的なDNA修飾ドメインとしてDarTを使用した。
【0132】
その上、細胞におけるその毒性効果を低減させることによりDarTが改善され得るか否かについて調査するための実験を行った。
図7に示す通り、DarTへのR193A突然変異の導入(DarT-G49D-R193A-ScdCas9)は、培養培地へのアラビノースの添加によって発現が誘導された場合、DarTの毒性を有意に低減させた。
図8に示す通り、M86L及びR92A突然変異は、R193A突然変異を超えて及びそれを上回って、DarTの毒性をさらに低減させ、また、CRISPR非依存的オフターゲット修飾を低減させた(
図7)。さらに、
図9は、ニッカーゼ活性を有するCas9 DNA認識ドメイン(ScnCas9)と組み合わせた、毒性を有意に低減させた突然変異(G49D及び/又はR193A)を有するDarT DNA修飾ドメインを含むギャップ編集因子複合体を使用したゲノム修飾の成功を示す。部位特異的ゲノム修飾は、ほとんど100%有効であった。
【0133】
よって、これらの結果は、現在のゲノム編集アプローチに伴う意図されない修飾及び細胞毒性を最小化しつつ効率的な部位特異的ゲノム修飾を容易にする、本開示の新規CRISPRに基づくゲノム修飾技術を実証する。
【0134】
[実施例5]
図10に示す通り、fcy1の遺伝子ノックアウトが、5-フルオロシトシン(5-FC)に対する抵抗性を付与することができるか否か評価することにより、本開示のギャップ編集因子複合体を使用した真核細胞におけるゲノム修飾の有効性を評価するための実験を行った。fcy1遺伝子は、Cas9ニッカーゼ(ScnCas9)又は操作されているDarT遺伝子とCas9ニッカーゼとの融合体によりサッカロマイセス・セレビシエにおいて標的化され、修復鋳型が提供された。図示される通り、これは、fcy1におけるゲノム修飾の成功をもたらした。修復鋳型は、fcy1に2又は3個の終止コドンを導入する6個の突然変異をコードし、これは、ゲノム修飾後のfcy1機能の喪失及び5-FCに対する抵抗性をもたらした。その上、図示される通り、1種のシングルガイドRNAは、5種の異なる修復鋳型と組み合わされる。全ての突然変異について、DarTの融合体は、ゲノム修飾の率の>10倍増加をもたらし、真核細胞における複製遮断部分の導入の有用性を実証する。
【0135】
図11に示す通り、fcy1の遺伝子ノックアウトが、5-フルオロシトシン(5-FC)に対する抵抗性を付与することができるか否か評価することにより、本開示のギャップ編集因子複合体を使用したゲノム修飾の有効性を評価するための実験を行った。fcy1遺伝子は、Cas9ニッカーゼ(ScnCas9)又は操作されているDarT遺伝子とCas9ニッカーゼとの融合体によりサッカロマイセス・セレビシエにおいて標的化され、修復鋳型が提供された。図示される通り、これは、fcy1におけるゲノム修飾の成功をもたらした。修復鋳型は、fcy1に2又は3個の終止コドンを導入する6個の突然変異をコードし、これは、ゲノム修飾後のfcy1機能の喪失及び5-FCに対する抵抗性をもたらした。G49D、R193A、M86L及びR92A突然変異を含む操作されているDarTバリアントの使用は、G49D及びR193A突然変異単独を有するDarTよりも、最大およそ50倍まで細胞生存能を改善した。このギャップ編集因子複合体は、酵母におけるfcy1を標的化する2種の別々のシングルガイドRNA及び修復鋳型を使用して、効率的かつ低毒性のゲノム修飾を実現する。
【0136】
図12は、サンガー配列決定による、fcy1ゲノム修飾及び遺伝子ノックアウトの確認を提供する代表的なクロマトグラム(chromatograph)を含む。ギャップ編集因子複合体をfcy1遺伝子に標的化し、DNA修復鋳型を提供することにより、2又は3個の終止コドンが導入された。編集されたヌクレオチドは、赤色で強調されている。fcy1内の2種の別々の標的に対するゲノム編集が示されている。
【0137】
[実施例6]
図13に示す通り、lacZの遺伝子ノックアウトを評価することにより、本開示のギャップ編集因子複合体を使用したゲノム修飾の有効性を評価するための実験を行った。lacZの遺伝子ノックアウトは、ラクトースアナログIPTG及び比色指標X-galの存在下で、白いコロニー色をもたらす。lacZ遺伝子は、操作されているDarT遺伝子に融合されたヌクレアーゼ不活性Cas12aタンパク質(dLbCas12a)によりE.コリにおいて標的化され、修復鋳型が提供された。図示される通り、これは、lacZにおけるゲノム修飾をもたらした。修復鋳型は、終止コドンを有するlacZ DNAをコードし、これは、ゲノム修飾後のlacZ機能の喪失及び白いコロニー色をもたらした。ギャップ編集因子複合体のlacZ遺伝子への標的化を用いずに、ゲノム修飾は観察されなかった。
【0138】
図14は、異なるcrRNAと会合したDarT(G49D/R193A)-dLbCas12aを使用したlacZ遺伝子への1個以上の終止コドンの導入の成功を実証する代表的なクロマトグラム(chromatograph)を含む。白い色のコロニー由来のlacZ遺伝子を増幅し、サンガー配列決定のために送った。lacZ遺伝子に1個以上の終止コドンを導入し、ベータ-ガラクトシダーゼ発現を排除し、これにより、誘導因子IPTG及び比色指標X-galの存在下でプレーティングされたときに白い色のコロニーをもたらす、突然変異が赤色で強調されている。
【0139】
[実施例7]
図15に示す通り、rpoB遺伝子へのD516G突然変異の導入が、抗生物質リファンピシンに対する抵抗性を付与することができるか否か評価することにより、本開示のギャップ編集因子複合体を使用したゲノム修飾の有効性を評価するための実験を行った。rpoB遺伝子は、Cas9ニッカーゼ(ScnCas9)に融合された操作されているDarTバリアントによりE.コリにおいて標的化され、RNA修復鋳型及び逆転写酵素は同時発現された。これは、部位特異的RNA鋳型ゲノム修飾の成功をもたらした。recT型リコンビナーゼを同時発現させて、鎖アニーリングを加速した。RNA修復鋳型は、D516G突然変異をコードし、ギャップ編集因子複合体による標的化の後にゲノムに組み込まれることに成功した。
【0140】
図16に示す通り、rpoB遺伝子へのD516G突然変異の導入が、抗生物質リファンピシンに対する抵抗性を付与することができるか否か評価することにより、本開示のギャップ編集因子複合体を使用したゲノム修飾の有効性を評価するための実験を行った。rpoB遺伝子は、Cas9ニッカーゼ(ScnCas9)に融合された操作されているDarTバリアントによりE.コリにおいて標的化され、直鎖状一本鎖DNA修復鋳型が提供された。図示される通り、これは、rpoBにおけるゲノム修飾の成功をもたらした。recT型リコンビナーゼを同時発現させて、一本鎖DNA修復鋳型のアニーリングを加速した。修復鋳型は、リファンピシン抵抗性を付与するD516G突然変異をコードした。rpoB D516ゲノム座位における反対側のDNA鎖を標的化する、2種のガイド及び修復鋳型を検査した。rpoBへのギャップ編集因子複合体の標的化は、ゲノム修飾率の100~6,000倍増加をもたらし、ギャップ編集因子の効果を実証する。
【0141】
図17は、rpoB遺伝子へのギャップ編集因子複合体の標的化、RNA修復鋳型の発現及び逆転写酵素Ec86の発現によって導入されたrpoB遺伝子におけるRNA鋳型突然変異の代表的なクロマトグラムを含む。突然変異は、D516G媒介性リファンピシン抵抗性に要求されるAC>GT突然変異を含む。
【0142】
配列。本明細書に記載されている例示的なギャップ編集因子の配列を下に提示する。
SPC1879 darT G49D-ScdCas9 pBAD araC CmR p15a:
【0143】
【0144】
SPC1881 GE2 darT G49D-K56A-ScdCas9 pBAD araC CmR p15a:
【0145】
【0146】
SPC1883 darT G49D-ScnCas9 pBAD araC CmR p15a:
【0147】
【0148】
SPC1884 GE2n darT G49D-K56A-ScnCas9 pBAD araC CmR p15a:
【0149】
【0150】
DarG:
【0151】
【0152】
DarG_C末端:
【0153】
【0154】
DarG N末端:
【0155】
【0156】
Mom:
【0157】
【0158】
Mom_D149A:
【0159】
【0160】
Mom_D149A-ScdCas9:
【0161】
【0162】
Scabin:
【0163】
【0164】
Scabin_K130A:
【0165】
【0166】
Scabin_K130A-ScdCas9:
【0167】
【0168】
DarT_G49D_R193A:
【0169】
【0170】
DarT_G49D_R193A-ScdCas9:
【0171】
【0172】
DarT_G49D_R193A_M86L_R92A:
【0173】
【0174】
DarT_G49D_R193A_M86L_R92A-ScdCas9
【0175】
【0176】
DarT触媒ドメインモチーフ:X
1X
2X
3X
3R(配列番号18)(式中、X
1は、L、I、V又はAであり;X
2は、I、Q、K、T又はNであり;X
3は、いずれかのアミノ酸である)(
図18)。
【0177】
DarT触媒ドメインモチーフ:X
1X
1X
1X
1X
2X
3X
4X
5X
6PFYFX
7X
1X
1X
8X
9MX
10X
1(配列番号19)(式中、X
1は、いずれかのアミノ酸であり;X
2は、L、V又はIであり;X
3は、H、G、N、S又はAであり;X
4は、D又はEであり;X
5は、Y又はFであり;X
6は、V、I又はAであり;X
7は、T、A、G、K、N又はWであり;X
8は、S、T、N、M又はKであり;X
9は、P、V、M、I、Aであり;X
10は、L、M又はFである)(
図19)。
【0178】
DarT触媒ドメインモチーフ:X
1X
2X
3X
4X
5X
6X
7X
8(配列番号20)(式中、X
1は、F、Y、W、V又はCであり;X
2は、V、L、I、A、C又はFであり;X
3は、F、Y又はAであり;X
4は、T、S、Y又はFであり;X
5は、D、N又はSであり;X
6は、G、R、S、A、M又はQであり;X
7は、H、N、S又はQであり;X
8は、A、G、C、H又はKである)(
図20)。
【0179】
DarT触媒ドメインモチーフ:X
1X
2X
3X
4X
5X
6X
7X
8X
9(配列番号21)(式中、X
1は、いずれかのアミノ酸であり;X
2は、R、K、H、E、F、L、T又はMであり;X
3は、Y、R、K、D、E又はHであり;X
4は、Q、M、E、Y、A、R又はHであり;X
5は、A、Q、S又はYであり;X
6は、E、A又はQであり;X
7は、F、A、L、E、V又はCであり;X
8は、L、A、E又はMであり;X
9は、V、I、L又はAである)(
図21)。
【0180】
Scabin触媒ドメインモチーフ:X
1X
1X
1X
1X
2X
1EX
3X
4X
5X
6GGX
7(配列番号22)(式中、X
1は、いずれかのアミノ酸であり;X
2は、Q、E又はRであり;X
3は、V又はIであり;X
4は、A、L、V、S又はTであり;X
5は、F、I、V又はLであり;X
6は、P、A又はIであり;X
7は、I、V又はLである)(
図22)。配列番号21のDarT触媒モチーフ及び配列番号22のScabin触媒モチーフは、構造及び機能アナログであり、保存されたグルタミン酸(E)は、触媒残基である。
【0181】
Scabin触媒ドメインモチーフ:X
1X
2X
3X
4X
5X
6X
7(配列番号23)(式中、X
1は、S、T又はGであり;X
2は、いずれかのアミノ酸であり;X
3は、F、Y又はLであり;X
4は、V、I、A又はLであり;X
5は、S、G又はAであり;X
6は、T又はAであり;X
7は、T、S又はAである)(
図23)。
【0182】
Scabin触媒ドメインモチーフ:X
1X
2X
3X
2X
4X
2X
5(配列番号24)(式中、X
1は、L又はVであり;X
2は、いずれかのアミノ酸であり;X
3は、R、H又はKであり;X
4は、D、S又はAであり;X
5は、R又はDである)(
図24)。
【0183】
Mom触媒ドメインモチーフ:X
1HYX
2X
3(配列番号25)(式中、X
1は、いずれかのアミノ酸であり;X
2は、S又はLであり;X
3は、H、G、K、R、N、D又はAである)(
図25)。
【0184】
Mom触媒ドメインモチーフ:EX
1X
2X
3X
4X
5X
6X
7X
8X
7X
9X
10X
11X
12X
13EX
14(配列番号26)(式中、X
1は、L、I又はFであり;X
2は、N、G、S又はTであり;X
3は、R又はKであり;X
4は、M、L又はAであり;X
5は、W、A、C、V、F又はYであり;X
6は、L、I、F、M、V、C又はTであり;X
7は、いずれかのアミノ酸であり;X
8は、D又はEであり;X
9は、L、A、M、C、V、Q又はTであり;X
10は、P、G、A又はLであり;X
11は、R、K、H、T又はMであり;X
12は、N又はFであり;X
13は、S、A、T又はGであり;X
14は、S又はTである)(
図26)。
【0185】
Mom触媒ドメインモチーフ:X
1X
2DX
3X
4X
4X
5X
4X
4GX
6X
7YX
8AX
9X
10X
11(配列番号27)(式中、X
1は、F、W、Y又はMであり;X
2は、A又はSであり;X
3は、E、G、P、A又はTであり;X
4は、いずれかのアミノ酸であり;X
5は、G、C又はQであり;X
6は、T、V、Y又はIであり;X
7は、V又はIであり;X
8は、Q、K又はRであり;X
9は、A、S、C、T又はNであり;X
10は、N、G又はAであり;X
11は、F、W又はYである)(
図27)。
【0186】
前述の詳細な説明及び添付の実施例が、単なる説明目的であり、添付の特許請求の範囲及びその均等物のみによって定義される本開示の範囲に対する限定として解釈されるべきではないことが理解される。
【0187】
上述の明細書において言及されているあらゆる刊行物及び特許は、あたかも本明細書に明確に記述されているかのように、参照により本明細書に組み込まれる。開示されている実施形態に対する様々な変化及び修飾は、当業者にとって明らかであり、その精神及び範囲から逸脱することなく為すことができる。
【配列表】
【国際調査報告】