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特表2024-506407ニアアイディスプレイのための中心窩光学レンズ
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-13
(54)【発明の名称】ニアアイディスプレイのための中心窩光学レンズ
(51)【国際特許分類】
   G02B 27/02 20060101AFI20240205BHJP
   G02C 11/00 20060101ALN20240205BHJP
【FI】
G02B27/02 Z
G02C11/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023549543
(86)(22)【出願日】2022-02-15
(85)【翻訳文提出日】2023-08-16
(86)【国際出願番号】 IB2022051334
(87)【国際公開番号】W WO2022175813
(87)【国際公開日】2022-08-25
(31)【優先権主張番号】63/200,142
(32)【優先日】2021-02-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505005049
【氏名又は名称】スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100130339
【弁理士】
【氏名又は名称】藤井 憲
(74)【代理人】
【識別番号】100135909
【弁理士】
【氏名又は名称】野村 和歌子
(74)【代理人】
【識別番号】100133042
【弁理士】
【氏名又は名称】佃 誠玄
(74)【代理人】
【識別番号】100171701
【弁理士】
【氏名又は名称】浅村 敬一
(72)【発明者】
【氏名】ウォン,ティモシー エル.
(72)【発明者】
【氏名】ル,ジョン ディー.
(72)【発明者】
【氏名】アスチューン,ディヴィット ジェイ.ダブリュ.
【テーマコード(参考)】
2H006
2H199
【Fターム(参考)】
2H006CA00
2H199CA42
2H199CA47
2H199CA64
2H199CA65
2H199CA92
(57)【要約】
光学システムは、光学システム軸と、ディスプレイと、少なくとも1つのレンズとを備え、眼で観るための、ディスプレイによって放出された画像の仮想画像を形成し、眼は、光学眼軸を有し、第1の仮想画像位置及び約5度~約30度の間である関連する第1の視野角における仮想画像の第1の網膜像は、眼軸がシステム軸と実質的に一致するとき、第1の画像解像度を有し、眼軸が第1の視野角において眼と仮想画像との間に延びる第1の視野軸と実質的に一致するように眼が回転されたとき、第2の画像解像度を有し、第2の画像解像度は、第1の画像解像度よりも大きい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学システム軸と、ディスプレイと、少なくとも1つのレンズとを備える光学システムであって、眼で観るための、前記ディスプレイによって放出された画像の仮想画像を形成し、前記眼は、光学眼軸を有し、第1の仮想画像位置及び約5度~約30度の間である関連する第1の視野角における前記仮想画像の第1の網膜像は、前記眼軸が前記システム軸と実質的に一致するとき、第1の画像解像度を有し、前記眼軸が前記第1の視野角において前記眼と前記仮想画像との間に延びる第1の視野軸と実質的に一致するように前記眼が回転されたとき、第2の画像解像度を有し、前記第2の画像解像度は、前記第1の画像解像度よりも大きい、光学システム。
【請求項2】
前記少なくとも1つのレンズが、反対向きの第1及び第2の主面を含む第1の光学レンズであって、反対向きの第3及び第4の主面を含む第2の光学レンズに面する、第1の光学レンズを備え、前記第2及び第3の主面は、互いに面し、前記第1~第4の主面は、サグS1~S4をそれぞれ有し、前記サグの各々は、以下によって定義され、
【数1】
式中、cは、1/前記主面の曲率半径、kは、前記面の円錐定数、rは、前記光学システム軸からの距離、及びαは、非球面変形定数であり、
前記第1の主面は、環状の凹状の外側部分によって囲まれた凸状の中央部分を含み、前記第2の主面は、凸状であり、前記第3の主面は、実質的に平坦であり、前記第4の主面は、凸状であり、
約1mmから少なくとも約25mmに及ぶrについて、
-0.7≦S1/S2≦1、
-0.2≦S1/S4≦0.4であり、
前記S1/S2及びS1/S4の各々に対する最良の4次多項式フィッティングは、約0.95よりも大きいr二乗値を有する、
請求項1に記載の光学システム。
【請求項3】
前記第2の画像解像度が、約5度から約30度の間の全ての第1の視野角に対して前記第1の画像解像度より大きい、請求項1に記載の光学システム。
【請求項4】
部分反射体、反射偏光子、及び光学リターダのうちの1つ以上を更に備える、請求項1に記載の光学システム。
【請求項5】
前記光学システム軸が折り曲げられている、請求項1に記載の光学システム。
【請求項6】
前記光学システム軸が、前記システム軸の第1のセグメントが前記システム軸の異なる第2のセグメントと実質的に一致するように、折り曲げられている、請求項1に記載の光学システム。
【請求項7】
光学システム軸と、少なくとも1つのレンズを含むレンズアセンブリと、観察者の眼に近接して配置されるように構成された眼側と、ディスプレイに近接して配置されるように構成されたディスプレイ側とを含む光学システムであって、前記ディスプレイによって放出された画像の仮想画像を前記観察者の前記眼に表示するように構成されており、
前記光学システム軸に対して約5度~約30度の第1の角度をなす第1の方向に沿って伝搬する実質的にコリメートされた光が、前記光学システムの前記眼側から前記光学システムを照明し、前記光学システムの前記眼側に近接して配置された視野絞りを通って、かつ前記視野絞りを実質的に満たして、前記光学システムに入射し、前記レンズアセンブリを通過して前記光学システムを前記光学システムの前記ディスプレイ側から出射した後に焦点スポットに集束するとき、前記焦点スポットは、前記視野絞りが前記光学システム軸の実質的に中心にあるときに、第1の最小サイズを有し、前記視野絞りが前記第1の方向に実質的に垂直であるように前記視野絞りが前記観察者の前記眼の中心に近接する第1の中心を中心として回転したときに、第2の最小サイズを有し、前記第2の最小サイズは、前記第1の最小サイズよりも小さい、
光学システム。
【請求項8】
部分反射体、反射偏光子、及び光学リターダのうちの1つ以上を更に備える、請求項7に記載の光学システム。
【請求項9】
前記光学システム軸が折り曲げられている、請求項7に記載の光学システム。
【請求項10】
前記光学システム軸が、前記光学システム軸の第1のセグメントが前記光学システム軸の異なる第2のセグメントと実質的に一致するように、折り曲げられている、請求項7に記載の光学システム。
【請求項11】
前記視野絞りが、約2mm~約8mmのサイズを有する、請求項7に記載の光学システム。
【請求項12】
前記視野絞りが、約3mm~約7mmのサイズを有する、請求項7に記載の光学システム。
【請求項13】
光学システム軸と、ディスプレイと、少なくとも1つのレンズとを備える光学システムであって、眼が前記光学システムの眼側の眼位置に近接して配置されると、前記眼で観るための、前記ディスプレイによって放出された画像の仮想画像を形成し、
前記システム軸に対して約5度~約30度の第1の視野角における各第1の仮想画像位置について、撮像システム軸を中心とする撮像システムが前記眼位置に近接して配置され、前記第1の仮想画像位置に対応する前記仮想画像の形成画像を形成するとき、前記撮像システム軸が前記第1の視野角に近づくように前記撮像システムが少なくとも回転されるにつれて、前記形成画像の解像度が増加する、
光学システム。
【請求項14】
前記撮像システムが、前記仮想画像に焦点を合わせることができる対物レンズを有するカメラである、請求項13に記載の光学システム。
【請求項15】
部分反射体、反射偏光子、及び光学リターダのうちの1つ以上を更に備える、請求項13に記載の光学システム。
【請求項16】
前記少なくとも1つのレンズにおける少なくとも第1のレンズが、構造化された主面を含むフレネルレンズである、請求項13に記載の光学システム。
【請求項17】
光学システム軸と、ディスプレイと、少なくとも1つのレンズと、部分反射体と、反射偏光子とを備える光学システムであって、眼で観るための、前記ディスプレイによって放出された画像の仮想画像を形成し、前記眼は、前記眼の中心窩の中心から前記眼の瞳孔の中心に延びる光学眼軸を有し、
第1の仮想画像位置及び約5度~約30度の間である関連する第1の視野角における前記仮想画像の第1の網膜像は、前記眼軸が前記システム軸と実質的に一致するとき、第1の画像解像度を有し、
前記眼軸が前記第1の視野角において前記眼と前記仮想画像との間に延びる第1の視野軸と実質的に一致するように前記眼が回転されたとき、第2の画像解像度を有し、前記第2の画像解像度は、前記第1の画像解像度よりも大きい、
光学システム。
【請求項18】
光学リターダを更に備える、請求項17に記載の光学システム。
【請求項19】
前記光学システム軸が折り曲げられている、請求項17に記載の光学システム。
【請求項20】
前記光学システム軸が、前記システム軸の第1のセグメントが前記システム軸の異なる第2のセグメントと実質的に一致するように、折り曲げられている、請求項17に記載の光学システム。
【発明の詳細な説明】
【発明の概要】
【0001】
本明細書のいくつかの態様では、光学システム軸と、ディスプレイと、少なくとも1つのレンズとを含む光学システムが提供される。光学システムは、眼で観るための、ディスプレイによって放出された画像の仮想画像を形成する。眼は、光学眼軸を有し、第1の仮想画像位置及び約5度~約30度の間である関連する第1の視野角における仮想画像の第1の網膜像は、眼軸がシステム軸と実質的に一致するとき、第1の画像解像度を有し、眼軸が第1の視野角において眼と仮想画像との間に延びる第1の視野軸と実質的に一致するように眼が回転されたとき、第2の画像解像度を有する。第2の画像解像度は、第1の画像解像度よりも大きい。
【0002】
本明細書のいくつかの態様では、光学システム軸と、少なくとも1つのレンズを有するレンズアセンブリと、観察者の眼に近接して配置されるように構成された眼側と、ディスプレイに近接して配置されるように構成されたディスプレイ側とを含む光学システムを提供する。光学システムは、ディスプレイによって放出された画像の仮想画像を観察者の眼に表示するように構成されている。システム軸に対して約5度~約30度の第1の角度をなす第1の方向に沿って伝搬する実質的にコリメートされた光が、光学システムの眼側から光学システムを照明し、光学システムの眼側に近接して配置された視野絞りを通って、かつ視野絞りを実質的に満たして、光学システムに入射し、レンズアセンブリを通過して光学システムを光学システムのディスプレイ側から出射した後に焦点スポットに集束するとき、焦点スポットは、視野絞りがシステム軸の実質的に中心にあるときに、第1の最小サイズを有し、視野絞りが第1の方向に実質的に垂直であるように視野絞りが観察者の眼の中心に近接する第1の中心を中心として回転したときに、第2の最小サイズを有し、第2の最小サイズは、第1の最小サイズよりも小さい。
【0003】
本明細書のいくつかの態様では、光学システム軸と、ディスプレイと、少なくとも1つのレンズとを含む光学システムが提供される。光学システムは、眼が光学システムの眼側の眼位置に近接して配置されると、眼で観るための、ディスプレイによって放出された画像の仮想画像を形成する。システム軸に対して約5度~約30度の第1の視野角における各第1の仮想画像位置について、撮像システム軸を中心とする撮像システム(例えば、対物レンズを有するカメラ)が眼位置に近接して配置され、第1の仮想画像位置に対応する仮想画像の画像を形成するとき、撮像システム軸が第1の視野角に近づくように撮像システムが少なくとも回転されるにつれて、形成画像の解像度が増加する。
【0004】
本明細書のいくつかの態様では、光学システム軸と、ディスプレイと、少なくとも1つのレンズと、部分反射体と、反射偏光子とを含む光学システムが提供される。光学システムは、眼で観るための、ディスプレイによって放出された画像の仮想画像を形成する。眼は、眼の中心窩の中心から眼の瞳孔の中心に延びる光学眼軸を有する。第1の仮想画像位置及び約5度~約30度の間である関連する第1の視野角における仮想画像の第1の網膜像は、眼軸がシステム軸と実質的に一致するとき、第1の画像解像度を有し、眼軸が第1の視野軸と実質的に一致するように眼が回転されたとき、第2の画像解像度を有する。第1の視野軸は、第1の視野角で眼と仮想画像との間に延びる。第2の画像解像度は、第1の画像解像度よりも大きい。
【図面の簡単な説明】
【0005】
図1】本明細書の一実施形態による、中心窩光学レンズを含む光学システムの側面図である。
図2A】本明細書の一実施形態による、光学システムの光軸の視覚的描写を提供する。
図2B】本明細書の一実施形態による、光学システムの光軸の視覚的描写を提供する。
図3】本明細書の一実施形態による、中心窩光学レンズの側面図を提供する。
図4】本明細書の一実施形態による、図3の中心窩光学レンズの代替図を提供する。
図5A】本明細書の一実施形態による、撮像システムを含む光学システムの側面図を提供する。
図5B】本明細書の一実施形態による、撮像システムを含む光学システムの側面図を提供する。
図6A】本明細書の一実施形態による、画定された表面曲線を伴うレンズを含む光学システムに関する詳細を提供する。
図6B】本明細書の一実施形態による、画定された表面曲線を伴うレンズを含む光学システムに関する詳細を提供する。
図7A】本明細書の一実施形態による、図6A及び図6Bのレンズ面の追加の定義を提供する。
図7B】本明細書の一実施形態による、図6A及び図6Bのレンズ面の追加の定義を提供する。
図8A】本明細書の一実施形態による、図6A及び図6Bのレンズ面の追加の定義を提供する。
図8B】本明細書の一実施形態による、図6A及び図6Bのレンズ面の追加の定義を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0006】
以下の説明では、本明細書の一部を構成し、様々な実施形態が実例として示される、添付図面が参照される。図面は、必ずしも正確な比率の縮尺ではない。本開示の範囲又は趣旨から逸脱することなく、他の実施形態が想到され、実施可能である点を理解されたい。したがって、以下の発明を実施するための形態は、限定的な意味では解釈されない。
【0007】
ニアアイディスプレイ(例えば、ヘッドマウントディスプレイ、ウェアラブルディスプレイ、仮想現実ヘッドセット)は、一方又は両方の眼の視野内に仮想画像を生成するために使用される。ニアアイディスプレイは、画像がある距離に現れ(例えば、ユーザの前に表示される)、仮想画像を生成する対応する小型ディスプレイによって生成される実際の画像よりも大きく見えるように、仮想画像を生成する。ニアアイディスプレイで使用される光学レンズの主要な性能測定基準は、視解像度、瞳孔スイム(pupil swim)(眼がレンズの周りを動くときの画像歪み)、画像コントラスト、及びゴースト(レンズの表面からの反射によって引き起こされる望ましくない画像)を含む。眼鏡内のレンズは、選択された視野角及び距離に対して最良の光学特性を提供するように設計することができるが(例えば、腕の長さでコンピュータディスプレイに焦点を合わせる)、同じ方法は、ヘッドマウント仮想現実(VR)ヘッドセットに対して同様に機能しない場合がある。これは、VRシステムが広い視野(例えば、85度を超える視野)を必要とし、その広い視野にわたる眼の回転が画像問題を引き起こす可能性があるためである。例えば、眼の瞳孔がより広い視野にわたって動くにつれて、視線が主光軸から外れる(例えば、上及び左を注視する)とき、画像は、鮮明度又は解像度を失う場合がある。
【0008】
本明細書のいくつかの態様によれば、光学システムは、広い視野にわたって最適な視覚特性を提供するように構成されている。これは、例えば、光学システム内のレンズ又はレンズアセンブリを設計することによって行われてもよく、レンズ構成要素及び表面は、眼が光学システム軸と実質的に整列しているときの網膜像解像度と比較して、ユーザの眼が光学システム軸とある角度で(例えば、光学システム軸と約5度~約30度の上向き角度で)回転されたとき、等しい又は増加する網膜像解像度を提供するように構成されている。いくつかの実施形態では、光学システムは、光学システム軸と、ディスプレイと、少なくとも1つのレンズとを含む。いくつかの実施形態では、光学システムは、眼で観るための、ディスプレイによって放出された画像の仮想画像を形成してもよい。いくつかの実施形態では、眼は、光学眼軸を有してもよく、第1の仮想画像位置及び約5度~約30度の間である関連する第1の視野角における仮想画像の第1の網膜像は、眼軸がシステム軸と実質的に一致するとき、第1の画像解像度を有してもよく、眼軸が第1の視野角において眼と仮想画像との間に延びる第1の視野軸と実質的に一致するように眼が回転されたとき、第2の画像解像度を有してもよい。いくつかの実施形態では、第2の画像解像度は、第1の画像解像度よりも大きい。いくつかの実施形態では、第2の画像解像度は、約5度から約30度の間の全ての第1の視野角に対して第1の画像解像度よりも大きくてもよい。
【0009】
いくつかの実施形態では、光学システムは、部分反射体(例えば、50/50ビームスプリッタ層又はコーティング)、反射偏光子、及び光学リターダ(例えば、1/4波長板)のうちの1つ以上を更に含んでもよい。いくつかの実施形態では、光学システム軸は、折り曲げられた光軸であってもよい。いくつかの実施形態では、光学システム軸は、光学システム軸の第1のセグメントが光学システム軸の異なる第2のセグメントと実質的に一致するように、折り曲げられてもよい。例えば、いくつかの実施形態では、少なくとも1つのレンズは、少なくとも第1のディスプレイ側レンズ構成要素及び第2の眼側レンズ構成要素を伴うレンズアセンブリであってもよい。部分反射体は、ディスプレイ側レンズ構成要素のディスプレイに最も近い側に配置されてもよい。光学リターダは、ディスプレイ側レンズ構成要素と眼側レンズ構成要素との間に配置されてもよい。反射偏光子は、眼側レンズ構成要素の観察者の眼に近い側に配置されてもよい。そのような実施形態では、光軸は、ディスプレイから、部分反射体及び光学リターダを通過してもよく、反射偏光子に反射され、光学リターダを通して戻り、次いで、部分反射体に反射され、光学リターダ及び反射偏光子を通して戻り(偏光状態はここで、光学リターダを3回通過した後に変化しているため)、最終的に、観察者の眼に向かって、反射偏光子を通して眼側レンズ構成要素を離れる。
【0010】
本明細書の目的のために、用語「光学システム軸」、「システム軸」、及び「光軸」は同義であり、これらの用語は、光が光学システムを通って伝搬する経路を規定する仮想線を意味するように定義されるものとし、光路はその周りである程度の回転対称性を示す。いくつかの実施形態では、光学システム軸は、折り曲げられてもよい(すなわち、光は、光の経路が厳密に線形ではなく折り曲げられるように、1つ以上の光学構成要素(例えば、レンズ、光学フィルム、光学リターダなど)を通過し、それによって反射され、それによって屈折され、又は別様にそれによって影響を受けてもよい)。しかしながら、折り曲げられた光軸を有するシステムにおいても、本明細書で使用される場合、これらの用語は、光学システムにおいてそれに沿って回転対称性が存在する仮想線であると定義されるものとする。
【0011】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つのレンズは、反対向きの第1及び第2の主面を伴う第1の光学レンズと、反対向きの第3及び第4の主面を伴う第2の光学レンズとを含んでもよい。いくつかの実施形態では、第2及び第3の主面は、互いに面してもよい。いくつかの実施形態では、第1~第4の主面は、サグS1~S4をそれぞれ有してもよく、サグの各々は、以下の式によって定義される。
【数1】
式中、cは、1/主面の曲率半径、kは、面の円錐定数、rは、光軸からの距離、及びαは、非球面変形定数である。いくつかの実施形態では、第1の主面は、環状の凹状の外側部分によって囲まれた凸状の中央部分を有してもよく、第2の主面は、凸状であってもよい。いくつかの実施形態では、第3の主面は、実質的に平坦であってもよく、第4の主面は、凸状であってもよい。いくつかの実施形態では、約1mmから少なくとも約25mmに及ぶrの値について、以下の条件が真であり得る。
-0.7は、S1/S2以下、かつS1/S2は、1以下、
-0.2は、S1/S4以下、かつS1/S4は、0.4以下、
S1/S2及びS1/S4の各々に対する最良の4次多項式フィッティングは、約0.95よりも大きいr二乗値を有する。
【0012】
本明細書のいくつかの態様によれば、光学システムは、光学システム軸と、少なくとも1つのレンズを有するレンズアセンブリと、観察者の眼に近接して配置されるように構成された眼側と、ディスプレイ(例えば、発光ダイオードディスプレイ、液晶ディスプレイ、有機LEDディスプレイなど)に近接して配置されるように構成されたディスプレイ側とを含んでもよい。いくつかの実施形態では、光学システムは、観察者によって観られるように、ディスプレイによって放出された画像の仮想画像を形成するように構成されてもよい(例えば、仮想画像は、ユーザがVRヘッドセットを装着しているときに観られる)。いくつかの実施形態では、システム軸に対して約5度~約30度の第1の角度をなす第1の方向に沿って伝搬する実質的にコリメートされた光が、光学システムの眼側から光学システムを照明し、光学システムの眼側に近接して配置された視野絞りを通って、かつ視野絞りを実質的に満たして、光学システムに入射し、レンズアセンブリを通過して光学システムを光学システムのディスプレイ側から出射した後に焦点スポットに集束するとき、焦点スポットは、視野絞りがシステム軸の実質的に中心にあるときに、第1の最小サイズを有してもよい。視野絞りが第1の方向に実質的に垂直であるように視野絞りが観察者の眼の中心に近接する第1の中心を中心として回転したときに、焦点スポットは、第2の最小サイズを有してもよい。いくつかの実施形態では、第2の最小サイズは、第1の最小サイズよりも小さい。いくつかの実施形態では、視野絞りは、約1ミリメートル(mm)~約10mm、約2mm~約9mm、約2mm~約8mm、約2mm~約7mm、又は約3mm~約7mmのサイズを有してもよい。いくつかの実施形態では、光学システムは、部分反射体、反射偏光子、及び光学リターダのうちの1つ以上を更に含んでもよい。
【0013】
本明細書のいくつかの態様によれば、光学システムは、光学システム軸と、ディスプレイと、少なくとも1つのレンズとを含んでもよい。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのレンズは、構造化された主面を有するフレネルレンズである第1のレンズを含んでもよい。いくつかの実施形態では、光学システムは、部分反射体、反射偏光子、及び光学リターダを更に含んでもよい。いくつかの実施形態では、光学システムは、眼が光学システムの眼側の眼位置に近接して配置される(例えば、VRヘッドセット内のニアアイディスプレイの近傍に配置される)と、眼で観るための、ディスプレイによって放出された画像の仮想画像を形成してもよい。いくつかの実施形態では、システム軸に対して約5度~約30度の第1の視野角における各第1の仮想画像位置について、撮像システム軸を中心とする撮像システムが眼位置に近接して配置され、第1の仮想画像位置に対応する仮想画像の画像を形成するとき、撮像システム軸が第1の視野角に近づくように撮像システムが少なくとも回転されるにつれて、形成画像の解像度が増加し得る。
【0014】
本明細書のいくつかの態様によれば、光学システムは、光学システム軸と、ディスプレイと、少なくとも1つのレンズと、部分反射体と、反射偏光子とを含んでもよい。いくつかの実施形態では、光学システムは、観察者によって観られるように、ディスプレイによって放出された画像の仮想画像を形成するように構成されてもよい(例えば、仮想画像は、ユーザが仮想現実ヘッドセットを装着しているときに観られる)。いくつかの実施形態では、眼は、眼の中心窩の中心から眼の瞳孔の中心に延びる光学眼軸を有してもよい。中心窩(fovea)又は中心窩(fovea centralis)は、密接に密集した錐体から構成された眼の後面における小さなくぼみであり、鋭い中心視(すなわち、中心窩視)を担う。中心窩視は、眼において最高の解像度を提供する(例えば、高い視覚的詳細を知覚するために重要である)。いくつかの実施形態では、第1の仮想画像位置及び約5度~約30度の間である関連する第1の視野角における仮想画像の第1の網膜像は、眼軸がシステム軸と実質的に一致するとき、第1の画像解像度を有してもよく、眼軸が第1の視野軸と実質的に一致するように眼が回転されたとき、第2の画像解像度を有する。いくつかの実施形態では、第1の視野軸は、第1の視野角において眼と仮想画像との間に延びてもよい。いくつかの実施形態では、第2の画像解像度は、第1の画像解像度よりも大きくてもよい。
【0015】
いくつかの実施形態では、光学システムは、部分反射体、反射偏光子、及び光学リターダのうちの1つ以上を更に含んでもよい。いくつかの実施形態では、光学システム軸は、折り曲げられてもよい。例えば、いくつかの実施形態では、光学システム軸は、システム軸の第1のセグメントがシステム軸の異なる第2のセグメントと実質的に一致するように、折り曲げられてもよい。いくつかの実施形態では、1つ以上の光学層(例えば、部分反射体、反射偏光子、光学リターダなど)の存在は、折り曲げられた光学システム軸を生成することを補助し得る。
【0016】
図面を参照すると、図1は、本明細書による、中心窩光学レンズを含む光学システムの側面図である。いくつかの実施形態では、光学システム300は、ディスプレイ20と、光学システム軸10と、少なくとも1つのレンズ(例えば、レンズ30/40など)とを含む。いくつかの実施形態では、レンズ30及び40は、レンズアセンブリ内の別個のレンズ構成要素であってもよい。いくつかの実施形態では、光学システムは、部分反射体50(例えば、50/50ビームスプリッタコーティング又はフィルム)、反射偏光子60、及び光学リターダ90(例えば、1/4波長板)のうちの1つ以上を更に含んでもよい。
【0017】
いくつかの実施形態では、光学システム300は、ディスプレイ20によって放出された画像41の仮想画像70を形成する。仮想画像70は、眼80の網膜上の第1の網膜像82として観察者の眼80で観ることができる。眼80は、光軸81を有してもよい。眼80は、眼80の光軸81が光学システム軸10と実質的に一致するように回転され得、眼80は、光軸81が光学システム軸10と整列しないように回転され得る(例えば、眼80は、図1に示されるように、角度α1だけ上方に回転され得、その結果、観察者は、仮想画像70上のより高い位置を見ている)。
【0018】
光学システム300は、実質的に眼80に面する眼側301と、眼80から離れる方に面し、かつディスプレイ20に面するディスプレイ側302とを有してもよい。光学システム300は、眼80が眼位置84に近接して配置されたとき、仮想画像70を眼80に最適に提供するように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、光軸81が角度α1だけ回転されたときの眼80の網膜上に形成される網膜像82の解像度は、光軸81が光学システム軸10と実質的に整列したときの網膜像82の解像度より大きくてもよい。いくつかの実施形態では、角度α1は、約5度~約30度の間であってもよい。
【0019】
図2A及び図2Bは、図1の光学システムの光軸の視覚的描写を提供し、更なる詳細を提供する。簡略化のために、図1に示される少なくとも1つのレンズ及びディスプレイは、図2A及び図2Bでは省略されており、したがって、示されている部分的な光学システムは、300aと再ラベル付けされる。図2A及び図2Bに示される構成要素は、別段の定めがない限り、本明細書の他の図における同様の番号が付された構成要素と共通の機能及び/又は目的を有する。図2Aは、眼位置84(すなわち、光学システムが視野全体に対して光学解像度を提供するように構成された位置)に近接して位置する観察者の眼80を示し、光学眼軸81は、眼80の中心窩87の中心から眼80の中心83を通って瞳孔88まで延びる。動作中、仮想画像70の網膜像82が網膜86上に形成される。図2Aでは、光学眼軸81は、光学システム軸10と実質的に整列するように配置される(すなわち、眼80を、光学システム軸10に沿って直接、又は実質的に平行に見るように回転させる)。
【0020】
図2Bでは、眼80を、光学眼軸81が眼80と第1の仮想画像位置71との間に延びる第1の視野軸72と実質的に整列するように、上方に回転させる。いくつかの実施形態では、第1の視野軸72は、光学システム軸10と第1の視野角α1をなす。いくつかの実施形態では、第1の視野角α1は、約5度~約30度の間であってもよい。
【0021】
いくつかの実施形態では、第1の網膜像82は、光学眼軸81が光学システム軸10と実質的に一致するとき、第1の仮想画像位置71の第1の画像解像度を有し、第1の網膜像82は、光学眼軸が第1の視野軸72と実質的に一致するとき、第1の仮想画像位置71の第2の画像解像度を有する。いくつかの実施形態では、第2の画像解像度は、第1の画像解像度よりも大きくてもよい。別の言い方をすれば、第1の網膜像82は、眼80が光学システム軸10と整列したときよりも、眼80が第1の視野軸72と整列するように回転されたときに、より高い画像解像度を有してもよい。
【0022】
図3及び図4は、本明細書による、光学システムの一部としての中心窩光学レンズの側面図を提供する。図3及び図4は、本質的に同じ光学システムを示すが、眼80は、2つの異なる回転角にある。以下の考察に関して、図3及び図4を一緒に参照すべきである。図3及び図4の両方に共通の同様の番号が付された構成要素は、本明細書において別段の定めがない限り、同じ機能及び説明を有するものとする。
【0023】
光学システム300は、光学システム軸10と、レンズアセンブリ130と、ディスプレイ20とを含む。いくつかの実施形態では、レンズアセンブリ130は、観察者の眼80に近接して配置されるように構成された眼側301と、ディスプレイ20に近接して配置されるように構成されたディスプレイ側302とを有する。いくつかの実施形態では、レンズアセンブリ130は、ディスプレイ20のより近くに配置された第1のレンズ構成要素30と、反対側(すなわち、ディスプレイ20から離れる方に面する側)で第1のレンズ構成要素30に近接して配置された第2のレンズ構成要素40とを含む。いくつかの実施形態では、レンズアセンブリ130は、第1のレンズ構成要素30の、ディスプレイ20に最も近い側(例えば、ディスプレイ側302)に配置された部分反射体50と、第1のレンズ構成要素30と第2のレンズ構成要素40との間に配置された光学リターダと、第2のレンズ構成要素40の、眼80に最も近い側(例えば、眼側301)に配置された反射偏光子60とを更に含んでもよい。いくつかの実施形態では、光学システム300は、ディスプレイ20によって放出された画像41の仮想画像70を観察者の眼80に表示するように構成されている。
【0024】
いくつかの実施形態では、実質的にコリメートされた光110は、第1の方向111に沿って伝搬する。第1の方向111は、光学システム軸10と第1の角度θ1をなす。いくつかの実施形態では、第1の角度θ1は、約5度~約30度の間であってもよい。実質的にコリメートされた光110が眼側301から光学システム300を照明し、光学システム300に入り、眼側301に近接して配置された視野絞り120/121を実質的に満たすとき、光110は、レンズアセンブリ130を通過し、ディスプレイ側302から光学システム300を出た後、焦点スポット112に集束する。
【0025】
いくつかの実施形態では、眼80が眼位置84に近接して配置されるとき、焦点スポット112は、視野絞り120/121が光学システム軸10の実質的に中心にあるとき(位置120において、眼80を図3に示されるように回転させる)、第1の最小サイズを有してもよく、焦点スポット112は、視野絞り120/121が第1の方向111に実質的に垂直であるように、視野絞り120/121が観察者の眼80の中心に近接する第1の中心83を中心として回転されたとき(位置121において、眼80を図4に示されるように回転させる)、第2の最小サイズを有してもよい。いくつかの実施形態では、第2の最小サイズは、第1の最小サイズよりも小さくてもよい。いくつかの実施形態では、視野絞り120/121の最大寸法は、成人の人間の瞳孔の公称サイズに基づいてもよい。いくつかの実施形態では、視野絞り120/121の最大寸法は、約2ミリメートル(mm)~約8mmであってもよい。
【0026】
図5A及び図5Bは、図1の光学システム300などの光学システムの光軸の視覚的描写を提供し、観察者の眼80は、撮像システム軸141を中心とする撮像システム40(例えば、仮想画像に焦点を合わせることができる対物レンズを有するカメラ)に置き換えられている。簡略化のために、本明細書の他の場所で説明され、図2A及び図2Bで行われたように、図1に示されるレンズ(少なくとも1つのレンズ)及びディスプレイは省略されており、したがって、示される部分的光学システムは、300bと再ラベル付けされている。図5A及び図5Bに示される構成要素は、別段の定めがない限り、本明細書の他の図における同様の番号が付された構成要素と共通の機能及び/又は目的を有する。
【0027】
光学システム300bは、光学システム軸10と、ディスプレイ(図1に示されるようなディスプレイ20など)と、少なくとも1つのレンズ(図1に示されるようなレンズ構成要素30及び40など)とを含む。いくつかの実施形態では、光学システム300bは、眼が眼位置84に近接して配置されると、眼(図1に示される眼80など)で観るための仮想画像70を形成してもよい。いくつかの実施形態では、第1の視野角α1における各第1の仮想画像位置71に対して、撮像システム140が撮像システム軸141を中心として眼位置84に近接して配置され、第1の仮想画像位置71に対応する仮想画像70の画像を形成するとき、形成された仮想画像70の解像度は、撮像システム軸141が光学システム軸10と一致する状態から離れて第1の視野角α1に近づくように撮像システム140が回転されるにつれて(すなわち、撮像システム140と第1の視野軸α1における第1の仮想画像位置71との間に延びる第1の視野軸72と実質的に一致するように上方に回転して近づくにつれて)増加し得る。
【0028】
図6A及び図6Bは、具体的に規定された表面曲線を有するレンズを含む光学システムの一実施形態の詳細を提供する。光学システム400は、図1及び図4の光学システム300、図2A及び図2Bの光学システム300a、並びに図5A及び図5Bの光学システム300bを含む、本明細書で論じられた光学システムのうちのいずれかであってもよい。
【0029】
いくつかの実施形態では、光学システム400は、第1の光学レンズ40と、第2の光学レンズ30とを含んでもよい。いくつかの実施形態では、第1の光学レンズ40は、第1の主面41と、反対向きの第2の主面42とを含む。いくつかの実施形態では、第2の光学レンズ30は、第3の主面31と、反対向きの第4の主面32とを含む。いくつかの実施形態では、第1の光学レンズ40の第2の主面42と第3の主面31とは互いに面している。いくつかの実施形態では、第1の主面41は、環状の凹状外側部分44によって囲まれた凸状の中央部分43を有してもよい。図6Bは、一実施形態について、凸状の中央部分43及び環状の凹状外側部分44を識別する第1の主面41の正面図を提供する。いくつかの実施形態では、第2の主面42は、凸状であってもよく、第3の主面は、実質的に平坦であってもよく、第4の主面は、凸状であってもよい。
【0030】
いくつかの実施形態では、光学システム400は、部分反射体50(例えば、50/50ビームスプリッタコーティング又はフィルム)、反射偏光子60、及び光学リターダ90(例えば、1/4波長板)のうちの1つ以上を更に含んでもよい。このような実施形態では、部分反射体50は、第2の光学レンズ30の第4の主面32上に配置されてもよく、反射偏光子は、第1の光学レンズ40の第2の主面42上に配置されてもよく、光学リターダ90は、第1の光学レンズ40の第2の主面42と第2の光学レンズ30の第3の主面31との間に配置されてもよい。部分反射体50、反射偏光子60、及び光学リターダ90のうちの1つ以上が存在するこのような実施形態では、光学システム軸10は、図6Aの光路85によって示されるように、折り曲げられてもよい(例えば、レンズ及び反射フィルムの1つ以上の表面から1回以上反射される)。すなわち、ディスプレイ20の画像41によって放出された光85は、光学感知システム145(例えば、図5の140などの撮像システム、又は図1に示されるような観察者80の眼)に到達する前に、光学システム400を通過して複数回方向転換されてもよい。
【0031】
いくつかの実施形態では、第1の主面(41)、第2の主面(42)、第3の主面(31)、第4の主面(32)は、サグS1~S4をそれぞれ有してもよく、サグの各々は、以下によって定義され、
【数2】
式中、cは、1/主面の曲率半径、kは、面の円錐定数、rは、光軸からの距離、及びαは、非球面変形定数である。図7Aは、光学システム400の一実施形態のサグ定義例を示す。S1は、第1の主面41の定義されたサグに対応し、S2は、第2の主面42の定義されたサグに対応し、S3は、第3の主面31の定義されたサグに対応し、S4は、第4の主面32の定義されたサグに対応する。
【0032】
図7Bは、図7Aで使用されたサグsの定義を提供する。本明細書で使用される場合、サグsは、レンズの凸曲率又は凹曲率のいずれかに適用され、曲線に沿った頂点(曲線の最高点又は最低点)と曲線に垂直に引かれた線99の中心点との間の物理的距離rを表す。サグsは、曲線上の所与の点についてのサジタルデプスと呼ばれることもある。
【0033】
最後に、図8A及び図8Bは、図6Aの第1の光学レンズ40及び第2の光学レンズ30の主曲線のサグ値のいくつかの間の関係を定義する。図8Aは、光学システムの一実施形態に関するS1/S2(すなわち、第1の主面41のS1サグを第2の主面42のS2サグで除算したもの)のプロットを示す。図8Aは、S1/S4(すなわち、第1の主面41のS1サグを第4の主面32のS4サグで除算したもの)のプロットを示す。いくつかの実施形態では、約1mmから少なくとも約25mmに及ぶrの値について、
-0.7≦S1/S2≦1及び-0.2≦S1/S4≦0.4である。
【0034】
いくつかの実施形態では、S1/S2及びS1/S4の各々に対する最良の4次多項式フィッティングは、約0.95よりも大きいr二乗値を有する。例えば、図8Bに示される最良の4次多項式フィッティングのプロット(S1/S4のプロットと実質的に同一)を参照されたい。
【0035】
「約(about)」などの用語は、これらが本明細書に使用及び記載されている文脈において、当業者によって理解されよう。特徴部のサイズ、量、及び物理的特性を表す量に適用される「約」の使用が、本明細書に使用及び記載されている文脈において、当業者にとって別途明らかではない場合、「約」とは、特定の値の10パーセント以内を意味すると理解されよう。特定の値の約、ほぼとして与えられる量は、正確に特定の値であり得る。例えば、それが本明細書で使用及び記載されている文脈において当業者にとって別途明らかではない場合には、約1の値を有する量とは、その量が0.9~1.1の値を有すること、及び、その値が1である場合もあることを意味する。
【0036】
「実質的に(substantially)」などの用語は、これらが本明細書に使用及び記載されている文脈において、当業者によって理解されよう。「実質的に等しい(substantially equal)」の使用が、本明細書に使用及び記載されている文脈において、当業者にとって明らかではない場合、「実質的に等しい」は、ほぼ等しいことを意味し、ほぼ(about)は上記のとおりである。「実質的に平行(substantially parallel)」の使用が、本明細書に使用及び記載されている文脈において、当業者にとって明らかではない場合、「実質的に平行」は、平行の30度以内を意味する。互いに実質的に平行として記載されている方向又は表面は、いくつかの実施形態では、平行の20度以内、若しくは10度以内であり得る、又は平行若しくは名目上平行であり得る。「実質的に整列している(substantially aligned)」の使用が、本明細書に使用及び記載されている文脈において、当業者にとって明らかではない場合、「実質的に整列している」は、整列している対象の幅の20%以内で整列していることを意味する。実質的に整列していると記載されている対象は、いくつかの実施形態では、整列している対象の幅の10%以内又は5%以内で位整列してもよい。
【0037】
上記において参照された参照文献、特許、又は特許出願の全ては、それらの全体が参照により本明細書に一貫して組み込まれている。組み込まれた参照文献の一部と本出願との間に不一致又は矛盾がある場合、前述の記載における情報が優先するものとする。
【0038】
図面中の要素の説明は、別段の指示がない限り、他の図面中の対応する要素に等しく適用されるものと理解されたい。特定の実施形態が本明細書において図示及び説明されているが、図示及び記載されている特定の実施形態は、本開示の範囲を逸脱することなく、様々な代替的実施態様及び/又は等価の実施態様によって置き換えられ得ることが、当業者には理解されよう。本出願は、本明細書で論じられた特定の実施形態のいずれの適応例又は変形例も包含することが意図されている。したがって、本開示は、特許請求の範囲及びその均等物によってのみ限定されることが意図されている。
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5A
図5B
図6A
図6B
図7A
図7B
図8A
図8B
【国際調査報告】