(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-13
(54)【発明の名称】生育トレイ
(51)【国際特許分類】
A01G 31/02 20060101AFI20240205BHJP
A01G 27/00 20060101ALI20240205BHJP
【FI】
A01G31/02
A01G27/00 502S
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023549587
(86)(22)【出願日】2022-02-17
(85)【翻訳文提出日】2023-09-27
(86)【国際出願番号】 EP2022054013
(87)【国際公開番号】W WO2022175416
(87)【国際公開日】2022-08-25
(32)【優先日】2021-02-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522215632
【氏名又は名称】ジョーンズ・フード・カンパニー・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Jones Food Company Limited
【住所又は居所原語表記】Phase 2, Celsius Park, Cupola Way, Scunthorpe, DN15 9YJ, United Kingdom
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】ミルウォード、スティーブン
(72)【発明者】
【氏名】イングラム-テッド、アンドリュー
(72)【発明者】
【氏名】ロイド-ジョーンズ、ジェームズ
(72)【発明者】
【氏名】スティーブンス、グリン
(72)【発明者】
【氏名】グルンドマン、クリストフ
(72)【発明者】
【氏名】カロリンチャック、パウエル
【テーマコード(参考)】
2B314
【Fターム(参考)】
2B314MA33
2B314NA03
2B314NA05
2B314NC07
2B314ND04
2B314ND19
2B314ND27
2B314ND29
2B314ND32
2B314ND43
2B314PB02
2B314PB61
2B314PC05
2B314PC18
2B314PC24
2B314PC25
(57)【要約】
外周壁(302,402)と基部(301,401)とを備える生育トレイ(300,400)である。基部(301,401)は、流体が生育トレイ(300,400)に出入りすることを可能にするための、基部(301,401)を通って延在する灌漑開口部(303,403)を備える。基部(301,401)は、灌漑開口部(303,403)を介した導管と基部(301,401)との間の流体連通を可能にするために導管に結合可能である。
【選択図】
図13
【特許請求の範囲】
【請求項1】
生育トレイであって、
外周壁と、
流体が前記生育トレイに出入りすることを可能にするための、基部を通って延在する灌漑開口部を備える前記基部と
を備え、前記基部は、前記灌漑開口部を介した導管と前記基部との間の流体連通を可能にするために前記導管に結合可能である、生育トレイ。
【請求項2】
前記灌漑開口部は、前記基部の中心に配設される、請求項1に記載の生育トレイ。
【請求項3】
前記基部は、
前記灌漑開口部と前記外周壁との間に延在する1つ以上の1次水路を更に備え、前記1つ以上の1次水路は、前記基部を複数の隣接するセクションに分割し、
各セクションは、複数の2次水路を備え、各2次水路は、前記1つ以上の1次水路を介した前記灌漑開口部と前記複数の2次水路との間の流体連通を可能にするために前記1つ以上の1次水路のうちの少なくとも1つに接続される、請求項1又は2に記載の生育トレイ。
【請求項4】
前記基部は、前記灌漑開口部から前記外周壁に向かって半径方向に延在する複数の1次水路を備え、前記複数の2次水路は、隣接する1次水路間の前記灌漑開口部の周囲に円周方向に延在する、請求項3に記載の生育トレイ。
【請求項5】
前記複数の2次水路は、前記灌漑開口部を中心とする複数の同心円状の輪を形成するように構成される、請求項4に記載の生育トレイ。
【請求項6】
前記基部は、複数の3次水路を介した隣接する2次水路間の流体連通を可能にするために、前記隣接する2次水路間に半径方向に延在する前記複数の3次水路を更に備える、請求項4又は5に記載の生育トレイ。
【請求項7】
前記基部は、前記1次及び2次水路を備える内側部分と、前記内側部分を囲む外周部分とを備え、前記外周部分は、前記内側部分と前記外周壁との間の流体連通を可能にするための、前記外周壁から前記内側部分に垂直に延在する複数の2次外周水路を備える、請求項3~6のいずれか一項に記載の生育トレイ。
【請求項8】
前記1つ以上の1次水路は、前記複数の2次水路よりも深い、請求項3~7のいずれか一項に記載の生育トレイ。
【請求項9】
前記1次及び2次水路は、前記基部の溝によって画定される、請求項3~8のいずれか一項に記載の生育トレイ。
【請求項10】
前記基部は、実質的に水平な向きに生育基材のシートを支持するための実質的に水平な頂面を備える、請求項3~9のいずれか一項に記載の生育トレイ。
【請求項11】
前記基部は、前記実質的に水平な頂面を部分的に画定する、前記灌漑開口部に位置する複数の半径方向に延在するフィンを更に備える、請求項10に記載の生育トレイ。
【請求項12】
前記基部の底部は、前記基部の底部に結合されるように導管上の相補的な環状体凹部又は環状体突出部とそれぞれ協働するための、前記灌漑開口部を取り囲む環状体突出部又は環状体凹部を備える、請求項1~11のいずれか一項に記載の生育トレイ。
【請求項13】
前記基部の底部は、前記導管の端部を受け入れるための前記環状体突出部又は環状体凹部を取り囲む溝を更に備える、請求項12に記載の生育トレイ。
【請求項14】
前記基部は、第1の対の平行な外周縁部を更に備え、
前記生育トレイは、支持構造上の相補的な対の位置決め特徴部と協働するための、前記第1の対の平行な外周縁部に平行に延在する第1の対の正反対の位置決め特徴部を更に備え、
前記第1の対の正反対の位置決め特徴部のうちの位置決め特徴部の中点は、前記灌漑開口部の中心を通って、及び前記第1の対の平行な外周縁部を垂直に通って走る第1の軸に沿って位置合わせされる、
請求項1~13のいずれか一項に記載の生育トレイ。
【請求項15】
前記基部は、第2の対の平行な外周縁部を更に備え、
前記生育トレイは、支持構造上の相補的な対の位置決め特徴部と協働するための、前記第2の対の平行な外周縁部に平行に延在する第2の対の位置決め特徴部を更に備え、
前記第2の対の位置決め特徴部のうちの位置決め特徴部の中点は、前記灌漑開口部の中心を通って、及び前記第2の対の平行な外周縁部を垂直に通って走る第2の軸に沿って位置合わせされる、
請求項14に記載の生育トレイ。
【請求項16】
前記1及び/又は第2の対の位置決め特徴部は、突出部又は凹部である、請求項14又は15に記載の生育トレイ。
【請求項17】
(i)前記基部の底部側、及び(ii)前記外周壁の頂部のうちの一方上に配設された1つ以上の積み重ね突出部と、
(i)前記基部の底部側、及び(ii)前記外周壁の頂部のうちの他方上に配設された1つ以上の相補的な積み重ね凹部と
を更に備え、前記1つ以上の積み重ね突出部の最大高さは、垂直に積み重ねられたときに、隣接する生育トレイ間の垂直間隙を形成するために、前記1つ以上の積み重ね凹部の最大高さよりも高い、請求項1~16のいずれか一項に記載の生育トレイ。
【請求項18】
前記突出部及び凹部は、台形の形状を有する、請求項17に記載の生育トレイ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生育中の作物を収容するための生育トレイに関し、特に、水耕農業システムなどの農業システムで使用するための生育トレイに関する。
【背景技術】
【0002】
歴史的に、作物を生育するためのシステム及び方法は、広い面積の土地を必要とし、作物が効果的に生育するのに適切な気候を有する場所に位置する必要があった。
【0003】
人工光の下での屋内農業は、多数の作物で人気を得ている。水、肥料、及び農薬の必要性の低減、並びに作物の味、食感、及び他の特徴の制御の増加など、屋内農業に関連する多くの利点がある。
【0004】
より最近では、水耕、気耕及び他のそのような栽培システムなどの先進的な農業技術が、照明、水、及び肥料を非常に高度に利用して高品質の作物を屋内で生育する能力をもたらしている。
【0005】
商業的に実現可能な屋内農業ソリューションは、空間並びに照明、流体、及び労働力などの他の資源の効率的な使用の最大化を必要とする。
【0006】
現在、主にハーブや葉物などの短い植物は、人工光の下で屋内で生育されている。
【0007】
屋内農場の例は、WO202030825A1に開示されている。種子が前処理され、発芽中の汚染を低減するために「高ケア」部分で発芽される。苗は、次いで、作物が生育するにつれて、及び作物が収穫の準備ができるまで、フレームに沿って移動する生育トレイを収容する支持車両中で生育室を通って移動される。このシステムは、各生育ステーションの上方の照明と、生育中の作物に栄養素を提供するための再循環灌漑システムとを含む。灌漑システムは、栄養素と混合された水道水を使用し、それは、生育中の作物に圧送される。ラックから排出される水は、廃水を最小限に抑えるために水混合物に再導入される。
【0008】
WO’825は、水耕生育システムで使用するための装置を記載している。装置は、水耕生育システム内の高ケア施設内に位置する。この装置は、生育車両のセットが取り付けられる水平トラック又はガイドウェイを支持する垂直部材103及び水平部材104のフレームを備える。生育車両は各々、植物又は作物が生育中に収容されるいくつかの生育トレイを収容する。
【0009】
WO’825では、施設のサイズは、建物及びその中のフレームのサイズによって制限される。温度、湿度、及び風速は、高ケア施設内で制御される。環境は、各生育トレイにとって実質的に同じである。それ故に、典型的には、同じ作物又は同じタイプの作物が各トラック中で生育される。WO’825に記載された構成では、各トラック又はガイドウェイから順次トレイにアクセスすることしか可能でない。トラックの機械的故障は、修理されるまで、施設の大部分をアクセス不可能にし得る。
【0010】
本発明は、屋内生育、垂直又は制御環境農業システム及び方法を更に開発することを目的とする。特に、本発明は、水のより効率的な使用、配管の低減、及び各作物に送達される水のより正確な制御を可能にする水耕生育システムにおける技術を更に発展させることを目的とする。
【0011】
本発明は、収量を最大化し、作物によって必要とされる資産、資源、及びサービスの使用に関して効率を改善することも目的とすることを認識されたい。これらの効率は、例えば、水の必要性の低減、肥料及び農薬の必要性の低減、味の制御の増加、作物の食感及び他の特徴の制御の増加、人工照明の使用における効率、施設の維持における効率、空間の利用の改善、安全性の改善、自動化の増加及び対応する労働の減少を備え得る。全体として、本発明は、より少ない電力消費、より少ない資本支出、より少ない保守及びより少ない労務費で、より小さい空間におけるより多くの生育を可能にする問題に対処することを目的とする。
【0012】
更に、制御された環境又は垂直農業システムからの利益は、より効率的でより安価な照明、及びより安価な電気などの改善されたインフラストラクチャ構成要素が利用可能になるにつれて、より顕著になる可能性が高い。
【発明の概要】
【0013】
本発明は、添付の特許請求の範囲に規定されている。
【0014】
農業システム
農業システムが提供される。農業システムは、生育トレイを受け入れるためのトレイ受け入れ場所を備える支持構造と、トレイ受け入れ場所に流体を供給し、そこから流体を排出するための灌漑システムとを備える。灌漑システムは、生育トレイの基部を通って延在する灌漑開口部を介してトレイ導管と生育トレイとの間の流体連通を可能にするために、トレイ受け入れ場所中に位置決めされるときに生育トレイの底部に結合可能なトレイ導管を備える。灌漑システムは、トレイ導管を介して生育トレイに流体を供給し、且つそれから流体を排出するように構成される。
【0015】
農業システムは、屋内農業システムであり得る。農業システムは、水耕農業システムであり得る。
【0016】
農業システム中で使用される流体は、液体又は液体溶液、例えば、溶解した栄養素又は作物生育のための他の物質を有する水であり得る。以下では、「水」という用語は、溶解した栄養素又は他の物質を有する水を含む。
【0017】
生育トレイをボトムアップで満たすことによって、生育トレイに送達される水の量及び生育トレイが流体を収容する時間期間を、例えばトップダウン灌漑システムと比較してより正確に制御することができる。結果として、水をより効率的に使用することができ、生育トレイ中に収容された作物の生育をより最適に制御することができる。更に、同じ導管を使用して水を送達し且つ排出することができるので、灌漑システム中の配管の量が最小限に抑えられ得る。
【0018】
灌漑システムは、分岐導管と、実質的に垂直に延在する供給導管と、実質的に垂直に延在する排出導管とを更に備え得る。分岐導管は、トレイ導管、供給導管、及び排出導管に流体結合され得る。供給導管は、分岐導管を介してトレイ導管に流体を供給するように構成され得る。排出導管は、分岐導管を介してトレイ導管から流体を排出するように構成され得る。分岐導管は、供給導管と排出導管との間で横方向に延在し得る。分岐導管は、実質的に水平に延在し得る。
【0019】
排出導管は、流体が排出導管から排出されるのを防止するために選択的に閉鎖可能であり得る。これは、排出導管が閉じられたときに、水が灌漑システム内を満たすことを可能にする。
【0020】
灌漑システムは、流体連通を可能にするための開位置と流体連通を遮断するための閉位置との間で選択的に移動可能な排出弁を更に備え得る。排出弁は、分岐導管と排出導管との間に配置され得る。排出弁を制御することによって、生育トレイからの排出を制御することができる。複数の分岐導管が設けられる場合、排出弁が、各分岐導管と排出導管との間に配置され得る。各排出弁は、個々に制御可能であり得る。これは、同じ分岐導管によってサービスされる生育トレイがバッチとして扱われることを可能にし、異なる分岐導管によってサービスされる生育トレイが別個のバッチとして扱われることを可能にする。
【0021】
灌漑システムは、流体連通を可能にするための開位置と流体連通を遮断するための閉位置との間で選択的に移動可能な供給弁を更に備え得る。供給弁は、分岐導管と供給導管との間に配置され得る。供給弁を制御することによって、生育トレイへの水の供給を制御することができる。複数の分岐導管が設けられる場合、供給弁は、各分岐導管と供給導管との間に配置され得る。供給弁は、分岐導管上、供給導管上、又は分岐導管と供給導管との間の交点に位置し得る。各供給弁は、個々に制御可能であり得る。これは、同じ分岐導管によってサービスされる生育トレイがバッチとして扱われることを可能にし、異なる分岐導管によってサービスされる生育トレイが別個のバッチとして扱われることを可能にする。
【0022】
分岐導管は、排出導管に又はその近くに排出オーバーフローレベルを画定し得る。排出オーバーフローレベルの上方では、流体は、分岐水路から排出導管に流れ得る。排出オーバーフローレベルの下方では、流体は、分岐導管から排出導管に流れない場合がある。排出オーバーフローレベルは、生育トレイから排出された後に流体が排出オーバーフローレベルで分岐導管中に保持されることを可能にするために、分岐導管よりも高く、トレイ受け入れ場所中に位置決めされるときの生育トレイの底部よりも低くあり得る。このようにして、水が供給導管に供給されて水が生育トレイに入るまでの時間を、連続的な供給及び排出動作に対して低減することができる。
【0023】
分岐導管は、供給導管に又はその近くに供給オーバーフローレベルを画定し得る。供給オーバーフローレベルの上方では、流体は、分岐水路から供給導管に流れ得る。供給オーバーフローレベルの下方では、流体は、分岐導管から供給導管に流れない場合がある。供給オーバーフローレベルは、トレイ導管よりも高くあり得る。供給オーバーフローレベルは、トレイ受け入れ場所中に位置決めされるときの生育トレイの少なくとも一部分よりも高くあり得る。供給オーバーフローレベルは、トレイ受け入れ場所中に位置決めされるときの生育トレイの所定のレベルよりも高くあり得る。
【0024】
供給導管及び排出導管は、共通のサービス導管を共有し得る。分岐導管は、トレイ導管及びサービス導管に流体結合され得る。
【0025】
灌漑システムは、サービス導管と分岐導管との間に結合された切替弁組立体を更に備え得る。切替弁組立体は、サービス導管に流体結合された供給水路と、サービス導管に流体結合された排出水路と、供給水路と排出水路との間に流体結合され、分岐導管に更に流体結合された流量切替水路とを備え得る。流量切替水路は、排出水路と流量切替水路との間の流体連通が遮断され、供給水路と流量切替水路との間の流体連通が開いて、供給水路及び流量切替水路を介してサービス導管から分岐水路に流体が流れることを可能にする供給位置と、供給水路と流量切替水路との間の流体連通が遮断され、排出水路と流量切替水路との間の流体連通が開いて、流量切替水路及び排出水路を介して分岐導管からサービス導管に流体が流れることを可能にする排出位置との間で流量切替水路内を移動可能な切替部材を備え得る。このようにして、灌漑システムは、より少ない構成要素でよりコンパクトであり得る。
【0026】
切替部材は、流体がサービス導管から供給水路に流入しているときに切替部材を供給位置に付勢することができ、流体が分岐導管から流量切替水路に流入しているときに切替部材を排出位置に付勢することができるように、流量切替水路内を自由に移動可能であり得る。これは、生育トレイへの水の供給及び生育トレイからの水の排出が、能動的に制御されるのではなく、受動的に制御されることを可能にする。
【0027】
供給水路は、供給水路を通る流れを所定の供給流量に調整するように構成された供給流量調整器を備え得る。排出水路は、排出水路を通る流れを所定の排出流量に調整するように構成された排出流量調整器を備え得る。所定の供給流量は、所定の排出流量と異なり得、例えば、所定の供給流量は、所定の排出流量よりも高くあり得るか、又はその逆である。
【0028】
排出水路は、流体がサービス導管に向かう方向に流れることを可能にし、流体が反対方向に流れることを防止するように構成された逆止弁を更に備え得る。
【0029】
供給水路及び排出水路は、実質的に水平に向けられ得、互いから垂直に離間され得る。流量切替水路は、実質的に垂直に向けられ得る。切替部材は、供給位置と排出位置との間で垂直に移動可能であり得る。
【0030】
供給水路は、排出水路の下方に配置され得る。分岐導管は、流量切替水路の頂部に流体結合され得る。切替部材の供給位置は、排出位置の垂直上方であり得る。
【0031】
供給水路は、流量切替水路の第1の端部に又はその近くに配置され得、排出水路は、流量切替水路の第2の端部に又はその近くに配置され得る。切替部材の排出位置は、流量切替水路の第1の端部に配置され得、切替部材の供給位置は、流量切替水路の第2の端部に配置され得る。
【0032】
トレイ導管は、トレイ受け入れ場所中に位置決めされるときに生育トレイの灌漑開口部をそれぞれ取り囲む相補的な環状体凹部又は環状体突出部に結合するための環状体突出部又は環状体凹部を備え得る。トレイ導管の環状体突出部又は環状体凹部は、トレイ導管の端部において開口部を取り囲み得る。トレイ導管の環状体突出部又は環状体凹部は、エラストマー部材(例えばOリング)を備え得る。環状体結合界面を設けることによって、生育トレイ及びトレイ導管は、トレイ受け入れ場所中に位置決めされるときに、生育トレイがトレイ導管から僅かに水平にずれるか、又は水平に対して傾斜し、任意の回転の向きであっても、漏出なく結合し得る。
【0033】
トレイ受け入れ場所は、トレイ受け入れ場所中に位置決めされるときに生育トレイ上の相補的な位置決め凹部又は位置決め突出部とそれぞれ協働して生育トレイが支持構造に対して水平方向に移動することを防止するための位置決め突出部又は位置決め凹部を備え得る。
【0034】
トレイ受け入れ場所は、トレイ受け入れ場所中に位置決めされる生育トレイを支持するための支持面と、生育トレイを支持面に向かって案内し、生育トレイを支持面上に位置決めするための傾斜した案内面とを備え得る。支持面は、傾斜した案内面の傾斜の底部に配置され得る。支持面は、トレイ受け入れ場所の外周の周りに少なくとも部分的に配置され得る。
【0035】
農業システムは、生育トレイを更に備え得る。生育トレイは、基部と、基部を通って延在する灌漑開口部とを備え得る。基部の底部は、生育トレイがトレイ受け入れ場所中に位置決めされるとき、トレイ導管と生育トレイとの間の流体連通を可能にするようにトレイ導管に結合可能であり得る。
【0036】
生育トレイの底部は、生育トレイがトレイ受け入れ場所中に位置決めされるときにトレイ導管上の環状体突出部又は環状体凹部にそれぞれ結合するための、生育トレイの灌漑開口部を取り囲む環状体凹部又は環状体突出部を備え得る。生育トレイの環状体凹部又は環状体突出部は、エラストマー部材(例えばOリング)を備え得る。
【0037】
生育トレイは、生育トレイがトレイ受け入れ場所中に位置決めされるときに、トレイ受け入れ場所において位置決め突出部又は位置決め凹部とそれぞれ協働するための位置決め凹部又は位置決め突出部を備え得る。生育トレイの位置決め凹部又は突出部は、例えば、生育トレイの底部又は生育トレイの外周壁上に配置され得る。
【0038】
支持構造は、複数の垂直に離間されたレベルを画定し得、各レベルは、1つ以上のトレイ受け入れ場所を備える。灌漑システムは、複数の分岐導管を備え得、各分岐導管は、支持構造の特定のレベルでトレイ導管のうちの1つ以上に流体結合され得る。
【0039】
方法
上記の農業システムを使用する方法が提供され、ここで、農業システムは、トレイ受け入れ場所中に位置決めされ、トレイ導管に結合された生育トレイを更に備える。本方法は、
(i)トレイ導管を介して流体で生育トレイを満たすために灌漑システムに流体を供給することと、
(ii)流体が生育トレイ内の所定の流体レベルに達すると、流体の供給を停止することと、
(iii)流体がトレイ導管を介して生育トレイから排出されることを可能にすることと
を備える。
【0040】
このプロセスは、生育トレイが受け取る流体の量、及び生育トレイが流体で満たされる時間期間に対するより正確な制御を可能にする。
【0041】
生育トレイ中の流体は、流体が生育トレイから排出されることを可能にする前に、所定の期間にわたって所定の流体レベルに保持され得る。
【0042】
灌漑システムからの排出は、流体が灌漑システムに供給されている間は遮断され得、流体が生育トレイから排出されることを可能にすることを可能にされ得る。灌漑システムが排出弁を備える場合、灌漑システムからの排出は、排出弁を閉じる及び開くことによってそれぞれ遮断及び可能にされ得る。
【0043】
農業システムが供給弁及び排出弁を備える場合、本方法のステップ(i)は、供給弁及び排出弁を閉じることと、供給導管に流体を供給することと、次いで、トレイ導管を介して流体で生育トレイを満たすために供給弁を開くこととを更に備え得る。ステップ(ii)は、供給弁を閉じることと、供給導管への流体の供給を停止することとを更に備え得る。ステップ(iii)は、流体がトレイ導管を介して生育トレイから排出されることを可能にするために排出弁を開くことを更に備え得る。
【0044】
支持構造が複数の垂直に離間したレベルを画定し、灌漑システムが複数の分岐導管を備える場合、本方法は、分岐導管のサブセットに対応するレベル上の生育トレイのみが流体で満たされるように、(例えば、供給弁のサブセットを開くことによって)分岐導管のサブセットのみに流体を供給することを備え得る。本方法は、分岐導管のサブセットに対応するレベル上の生育トレイのみが流体を排出されるように、(例えば、排出弁のサブセットを開くことによって)複数の分岐導管のサブセットのみから流体を排出することを備え得る。このようにして、支持構造の異なるレベル上の生育トレイは、別個のバッチとして扱われ得る。
【0045】
切替弁組立体
供給水路と、排出水路と、供給水路と排出水路との間に流体結合された流量切替水路とを備える切替弁が提供される。
【0046】
供給水路は、サービス導管に流体結合可能であり得、排出水路は、サービス導管に流体結合可能であり得、流量切替水路は、分岐導管に流体結合可能であり得る。
【0047】
流量切替水路は、排出水路と流量切替水路との間の流体連通が遮断され、供給水路と流量切替水路との間の流体連通が開く供給位置と、供給水路と流量切替水路との間の流体連通が遮断され、排出水路と流量切替水路との間の流体連通が開く排出位置との間で流量切替水路内を移動可能な切替部材を備え得る。
【0048】
流量切替水路は、流体が供給水路から流量切替水路に流れているときに供給位置に付勢され得る。流量切替水路は、流体が流量切替水路から排出水路に流れているときに排出位置に付勢され得る。
【0049】
供給水路は、供給水路を通る流れを所定の供給流量に調整するように構成された供給流量調整器を備え得る。排出水路は、排出水路を通る流れを所定の排出流量に調整するように構成された排出流量調整器を備え得る。所定の供給流量は、所定の排出流量と異なり得、例えば、所定の供給流量は、所定の排出流量よりも高くあり得るか、又はその逆である。
【0050】
排出水路は、流体が流量切替水路から離れる方向に流れることを可能にし、流体が反対方向に流れることを防止するように構成された逆止弁を更に備え得る。
【0051】
供給水路及び排出水路は、互いに実質的に平行に向けられ得る。流量切替水路は、供給水路及び排出水路に対して実質的に垂直に向けられ得る。
【0052】
供給水路は、流量切替水路の第1の端部に又はその近くに配置され得、排出水路は、流量切替水路の第2の端部に又はその近くに配置され得る。切替部材の排出位置は、流量切替水路の第1の端部に配置され得、切替部材の供給位置は、流量切替水路の第2の端部に配置され得る。
【0053】
生育トレイ
生育トレイが提供される。生育トレイは、上記の農業システムで使用するためのものであり得る。生育トレイは、外周壁と、流体が生育トレイに出入りすることを可能にするための、基部を通って延在する灌漑開口部を備える基部とを備える。基部は、灌漑開口部を介した導管と基部との間の流体連通を可能にするために導管に結合可能であり得る。
【0054】
灌漑開口部は、基部の中心に配設され得る。
【0055】
基部は、
灌漑開口部と外周壁との間に延在する1つ以上の1次水路を更に備え得、1つ以上の1次水路は、基部を複数の隣接するセクションに分割し得、
各セクションは、複数の2次水路を備え、各2次水路は、1つ以上の1次水路を介した灌漑開口部と複数の2次水路との間の流体連通を可能にするために1つ以上の1次水路のうちの少なくとも1つに接続される。
【0056】
基部は、灌漑開口部から外周壁に向かって半径方向に延在する複数の1次水路を備え得る。複数の2次水路は、隣接する1次水路間の灌漑開口部の周囲に円周方向に延在し得る。
【0057】
複数の2次水路は、灌漑開口部を中心とする複数の同心円状の輪を形成するように構成され得る。
【0058】
基部は、複数の3次水路を介した隣接する2次水路間の流体連通を可能にするために、隣接する2次水路間に半径方向に延在する複数の3次水路を更に備え得る。
【0059】
基部は、1次及び2次(及び3次)水路を備える内側部分を備え得る。基部は、内側部分を囲む外周部分を更に備え得る。外周部分は、内側部分と外周壁との間の流体連通を可能にするための、外周壁から内側部分に垂直に延在する複数の2次外周水路を備え得る。
【0060】
1次及び2次水路は、異なる深さを有し得る。1次水路は、2次水路よりも深くあり得る。1次水路は、2次水路の約2倍深くあり得る。
【0061】
1次及び2次(及び3次)水路は、基部中の溝によって画定され得る。
【0062】
基部は、実質的に水平な向きに生育基材のシートを支持するための実質的に水平な頂面を備え得る。
【0063】
基部は、実質的に水平な頂面を部分的に画定する、灌漑開口部中に位置する複数の半径方向に延在するフィンを更に備え得る。
【0064】
基部は、灌漑開口部と外周壁との間に延在する1つ以上の主水路を更に備え得、1つ以上の主水路は、基部を複数の隣接するセクションに分割する。各セクションは、複数の分岐水路を備え得、各分岐水路は、1つ以上の主水路を介した灌漑開口部と複数の分岐水路との間の流体連通を可能にするために1つ以上の主水路のうちの1つに接続される。この構成は、基部にわたって水を均一に分配することを可能にし、水が到達する又は排出されることが困難なデッドゾーンを回避するのに役立つ。
【0065】
各分岐水路は、外周壁まで延在し得る。代替として、各分岐水路は、外周壁に隣接する外周水路を形成するように、外周壁の手前で終端し得る。
【0066】
各セクション内の各分岐水路は、実質的に同じ方向に延在し得る。
【0067】
各分岐水路は、互いに実質的に同じ幅を有し得る。
【0068】
各セクションは、排出を促進するために灌漑開口部に向かって下向きに傾斜し得る。各セクション中の分岐水路は、セクションの傾斜と実質的に同じ方向に延在し得る。
【0069】
1つ以上の主水路及び/又は分岐水路は、実質的に直線的に延在し得る。
【0070】
セクションは、互いに実質的に同じ面積を有し得る。セクションは、灌漑開口部の周囲に対称的に配設され得る。セクションは、実質的に三角形であり得る。主水路によって形成されるセクションの数は、主水路の数よりも1つ多くあり得る。
【0071】
基部は、実質的に平坦であり得る(即ち、全てのセクションが同じ平面内にあり得る)。代替として、各セクションは、灌漑開口部に向かって下向きに傾斜し得る。各セクションの勾配は、約1:50以下であり得る。各セクションの勾配は、少なくとも約1:100であり得る。各セクションの勾配は、約1:100~1:50であり得る。各セクションの勾配は、約1:100、1:90、1:80、1:70、1:60、又は1:50であり得る。
【0072】
基部は、複数の直立リブを更に備え得る。各分岐水路は、2つの隣接するリブ間に画定され得る。
【0073】
各リブは、波状形状(例えば正弦波形状)を有し得る。これは、リブに強度を提供し、リブが基部から折れる危険性を低減する。結果として、リブは、より薄くなり得る。
【0074】
複数のリブの頂部は、実質的に水平な向きに生育基材のシートを支持するための実質的に水平な表面を提供し得る。これは、生育基材が基部から持ち上げられることを可能にし、それは、排出を容易にし、作物の根が空気中に吊り下げられることを可能にし、それは、作物の生育に有益であり得る。
【0075】
代替として、1つ以上の主水路及び分岐水路は、基部中の溝によって画定され得る。
【0076】
基部の底部は、基部の底部に結合されるように導管上の相補的な環状体凹部又は環状体突出部とそれぞれ協働するための、灌漑開口部を取り囲む環状体突出部又は環状体凹部を備え得る。環状体結合界面を設けることによって、生育トレイ及び導管は、生育トレイが導管から僅かに水平にずれるか、又は水平に対して傾斜し、任意の回転の向きであっても、漏出なく結合し得る。
【0077】
基部の底部は、導管の端部を受け入れるための環状体突出部又は環状体凹部を取り囲む溝を更に備え得る。これは、生育トレイと導管との間の結合を安定させるのに役立ち得る。
【0078】
基部は、第1の対の平行な外周縁部を更に備え得る。生育トレイは、支持構造上の相補的な対の位置決め特徴部と協働するための、第1の対の平行な外周縁部に平行に延在する第1の対の正反対の位置決め特徴部を更に備え得る。第1の対の正反対の位置決め特徴部のうちの位置決め特徴部の中点は、灌漑開口部の中心を通って、及び第1の対の平行な外周縁部を垂直に通って走る第1の軸に沿って位置合わせされ得る。
【0079】
この構成は、生育トレイが製造中又は製造後に収縮する場合(例えば、生育トレイがプラスチック成形プロセスを使用して形成される場合)に有利であり得る。上記のように位置決め特徴部と灌漑孔とを位置合わせすることによって、位置決め特徴部の中点と灌漑孔の中心との相対位置は、収縮量にかかわらず同じままであり得る。従って、生育トレイは、対応する位置決め特徴部を有するトレイ受け入れ場所中に位置決めされるときに、上記の農業システム中のトレイ導管と位置合わせされる可能性がより高い。
【0080】
基部は、第2の対の平行な外周縁部を更に備え得る。生育トレイは、支持構造上の相補的な対の位置決め特徴部と協働するための、第2の対の平行な外周縁部に平行に延在する第2の対の位置決め特徴部を更に備え得る。第2の対の位置決め特徴部のうちの位置決め特徴部の中点は、灌漑開口部の中心を通って、及び第2の対の平行な外周縁部を垂直に通って走る第2の軸に沿って位置合わせされ得る。
【0081】
位置決め特徴部は、基部の底部上に、例えば基部の外周縁部に又はその近くに配置され得る。位置決め特徴部は、外周壁上に配置され得る。
【0082】
第1及び/又は第2の対の位置決め特徴部は、突出部又は凹部であり得る。突出部又は凹部は、傾斜した側面を有し得、例えば、それらは、台形の形状であり得る。これは、生育トレイが支持構造上に自己位置決めすることを可能にする。
【0083】
生育トレイは、
(i)基部の底部側、及び(ii)外周壁の頂部のうちの一方上に配設された1つ以上の積み重ね突出部と、
(i)基部の底部側、及び(ii)外周壁の頂部のうちの他方上に配設された1つ以上の相補的な積み重ね凹部と
を更に備え得る。
【0084】
1つ以上の積み重ね突出部の最大高さは、垂直に積み重ねられたときに、隣接する生育トレイ間の垂直間隙を形成するために、1つ以上の積み重ね凹部の最大高さよりも高くあり得る。このようにして、空気は、スタック中の生育トレイ間を流れ得、それは、生育トレイが支持構造上に移動される前の種子発芽に有益であり得る。
【0085】
突出部及び凹部は、傾斜した側面を有し得、例えば、それらは、台形の形状を有し得る。これは、生育トレイが積み重ねられたときに互いの上に自己位置決めすることを可能にする。
【0086】
基部は、長方形(正方形を含む)であり得る。
【0087】
このことから、屋内農業システムを改善するための農業システム及び方法、並びにトレイが提供される。
【0088】
次に、本発明の実施形態を、添付図面を参照して、例としてのみ説明し、それにおいて、同様の参照番号が、同様の特徴に対して使用される。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【
図1】支持構造、灌漑システム、及び生育トレイを示す農業システムの斜視図である。
【
図3】生育トレイが取り外された
図1の農業システムの斜視図である。
【
図5】支持構造、灌漑システム、及び生育トレイを示す代替の農業システムの斜視図である。
【
図7】
図5の農業システム中で使用される切替弁組立体の斜視図である。
【
図8】
図7に示す切替弁組立体の概略断面図である。
【
図10】
図9の第1の生育トレイの底部の部分的な斜視図である。
【
図12】
図9の第1の生育トレイの部分的な側面図である。
【
図15】第2の生育トレイの灌漑開口部の拡大図である。
【
図17】第1又は第2の生育トレイに結合するためのトレイ導管の斜視図である。
【
図18】支持構造上の第2の生育トレイの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0090】
本発明は、生育中の作物を収容するための生育トレイと、生育トレイを支持するための支持構造と、支持構造上の生育トレイに流体を供給及び排出するための灌漑システムとを組み合わせて又は単独で備える、水耕農業システムなどの農業システムに関する。これらの態様の各々は、以下のセクションにおいてより詳細に説明する。
【0091】
農業システム中で使用される流体は、液体又は液体溶液、例えば、溶解した栄養素又は作物生育のための他の物質を有する水であり得る。以下では、「水」という用語は、溶解した栄養素又は他の物質を有する水を含む。
支持構造
【0092】
便宜上、X、Y及びZとラベル付けされた軸のセットを
図1に例示する。以下の説明では、「垂直」という用語は、Z軸に平行な方向を指し、「水平」という用語は、X-Y平面に平行な方向を指す。
【0093】
図1は、支持構造100によって画定された垂直方向に離間されたレベル101中に生育トレイ300を受け入れて支持するための支持構造100を備える農業システムを示す。各レベル101は、少なくとも1つのトレイ受け入れ場所102を備える。各トレイ受け入れ場所102は、1つの生育トレイ300を受け入れるように構成される。
図1の支持構造100は、5つのレベル101を有し、各レベル101は、4つのトレイ受け入れ場所102を備える。しかしながら、支持構造100は、より多くの又はより少ないレベル101(即ち、1つ以上のレベル)を備え得、各レベル101は、必要とされる作物収量及び支持構造100のために利用可能な空間に応じて、より多くの又はより少ないトレイ受け入れ場所102(即ち、1つ以上のトレイ受け入れ場所)を備え得る。
【0094】
生育トレイ300は、灌漑システム200に個々に結合され、従って、各トレイ受け入れ場所は、灌漑システム200に対して生育トレイ300を正しい位置に位置決めするのに役立つ特徴部を備える。
【0095】
図2は、支持構造100の正面図を示す。各トレイ受け入れ場所102は、トレイ受け入れ場所102中に配置されたときに生育トレイ300の底部を支持する支持面106を備える。各トレイ受け入れ場所102は、支持面106に向かって生育トレイ300を案内し、支持面106上に生育トレイ300を位置決めするための傾斜した案内面105を更に備える。特に、支持面106は、案内面105の傾斜の底部に配置され、そのため、トレイ受け入れ場所102中に配置されるときに生育トレイ300が支持面106からずれている場合、生育トレイ300は、傾斜した案内面105に係合して滑り落ち得、生育トレイ300を支持面106に向かって移動させ得る。案内面105は、このことから、生育トレイ300が灌漑システム200に結合することができるように、生育トレイ300を支持構造100上の特定の位置に案内及び位置決めするのに役立つ。
【0096】
トレイ受け入れ場所102は、少なくとも部分的に、支持面106及び案内面105を備える水平部材104によって画定される。水平部材104は、垂直部材103によって支持される。支持構造100は、垂直部材103及び水平部材104の数を増加させることによって、より多くのトレイ受け入れ場所102を提供するように拡張することができるという意味で、モジュール式である。
【0097】
支持構造100は、上方から各生育トレイ300に光を提供するために、各トレイ受け入れ場所102の上方に取り付けられた人工光源107を更に備える。光源107は、ストリップライト(例えば、LEDストリップライト)であり得る。
【0098】
支持構造100は、生育トレイ300を灌漑システム200に対して正しく位置付けること、及び/又は生育トレイ300がトレイ受け入れ場所102中に配置された後に生育トレイ300が水平方向に移動することを防止するのに更に役立つ追加の位置決め特徴部を備え得る。例えば、各トレイ受け入れ場所102は、生育トレイ300上の相補的な位置決め特徴部と協働する位置決め特徴部(図示せず)を備え得る。これらの位置決め特徴部は、例えば、生育トレイ300の底部中の凹部中に受け入れられる、支持構造100上の突出部の形態を取り得るか、又はその逆であり得る。
【0099】
各トレイ受け入れ場所102は、支持構造100上の各トレイ受け入れ場所102を一意に識別するために使用され得る、各トレイ受け入れ場所102に又はそれに隣接して取り付けられる一意の識別子、例えばバーコード又はRFIDタグに関連付けられ得る。これらの一意の識別子は、各生育トレイ300についての一意の識別子と組み合わせて、支持構造100上の各生育トレイ300の場所を記録及び追跡するために使用され得る。
【0100】
灌漑システム
図1~3は、農業システムの灌漑システム200を示す。
図3は、灌漑システム200をより詳細に見ることができるように、生育トレイ300及び人工光源107が取り外された
図1のシステムを示す。
【0101】
灌漑システム200は、支持構造100のトレイ受け入れ場所102中に位置決めされた生育トレイ300に流体を供給し、そこから流体を排出するように構成される。流体は、典型的には、液体又は液体溶液、例えば、溶解した栄養素又は作物生育のための他の物質を有する水であろう。
【0102】
各生育トレイ300は、生育トレイ300の基部301を通って延在する灌漑開口部303を備え、灌漑システム200からの流体は、この開口部を通って生育トレイ300に出入りし得る。
【0103】
灌漑システム200は、生育トレイ300に結合するためのトレイ導管204を備える。各トレイ受け入れ場所102に対して、灌漑システム200は、灌漑開口部303を介してトレイ導管204と生育トレイ300との間の流体連通を可能にするために、トレイ受け入れ場所102中に位置決めされるときに生育トレイ300の底部に結合可能なトレイ導管204を備える。特に、トレイ導管204は、トレイ導管204が生育トレイ300に結合されたときに生育トレイ灌漑開口部303と位置合わせする、生育トレイ300の垂直下方に配置された開口部を備える。
【0104】
灌漑システム200は、トレイ導管204を介して生育トレイ300に流体を供給し、且つそこから流体を排出するように構成される。言い換えれば、灌漑システム200は、各生育トレイ300のための流体供給及び流体排出を取り扱うための別個の導管を必要としない。
【0105】
灌漑システム200は、複数の分岐導管203、供給導管201、及び排出導管202を更に備える。
【0106】
各分岐導管203は、支持構造100の特定のレベル101で1つ以上のトレイ導管204に流体結合される。各分岐導管203は、供給導管201と排出導管202との間に更に流体結合される。供給導管201及び排出導管202は、支持構造100のレベル101間で実質的に垂直に延在し、各分岐導管203は、供給導管201と排出導管202との間で横方向に延在する。このことから、灌漑システム200は、支持構造100の垂直方向に離間されたレベル101に対応する垂直方向に離間された分岐導管203を備える。使用時、流体は、供給導管201から分岐導管203を介してトレイ導管204に向けられ、流体は、トレイ導管204から分岐導管203を介して排出導管202に排出される。
【0107】
灌漑システム200は、供給導管201の頂部中への流体の供給を受け取るように構成される。流体は、水道供給源から直接圧送され得るか、又は供給導管201に圧送される前に流体が処理されることを可能にする中間タンクから圧送され得る。例えば、流体は、滅菌され得、栄養素が投与され得、及び/又はpHが修正され得る。
【0108】
排出導管202は、生育トレイ300から重力下で排出された流体を受け取るように構成される。排出された流体は、灌漑システム200中に再循環され得るか、又は農業施設中の他の場所で使用され得る。
【0109】
供給導管201及び排出導管202は、支持のために支持構造100の垂直部材103に取り付けられ得るか、又は支持構造100とは独立して支持され得る。
【0110】
灌漑システム200は、複数の排出弁207を更に備える。各排出弁207は、排出導管202と分岐導管203との間に結合され、排出導管202と分岐導管203との間の流体連通を可能にするための開位置と、排出導管202と分岐導管203との間の流体連通を遮断するための閉位置との間で選択的に移動可能である。このことから、排出弁207が閉じられると、供給導管201から灌漑システム200に入る流体は、トレイ導管204を介して灌漑システム200から出得る。
【0111】
排出弁207は、電気的に制御される弁、例えば電磁弁であり得る。排出弁207は、個々に制御可能であり得る。このようにして、各分岐導管203からの流体を個々に排出することができ、そのため、異なるレベル101上の生育トレイ300は別個のバッチとみなされ得る。各分岐導管203における個々の制御が必要とされない場合、排出弁207は、グループとして制御され得るか、又は排出弁207は、代わりに、排出導管202の底部(支持構造100の最底レベル101の下方)に提供され得る。
【0112】
一般に、排出導管202は、選択的に閉鎖可能であり、そのため、排出導管202が閉じられると、流体は、排出導管202から排出されることが防止される。
【0113】
灌漑システム200は、複数の供給弁206を更に備える。各供給弁206は、供給導管201と分岐導管203との間に結合され、供給導管201と分岐導管203との間の流体連通を可能にするための開位置と、供給導管201と分岐導管203との間の流体連通を遮断するための閉位置との間で選択的に移動可能である。
【0114】
供給弁206は、例えば、各分岐導管203上、供給導管201上(例えば、各分岐導管203への入口の上方若しくは下方)、又は供給導管201と分岐導管203との間の交点に位置し得る。
【0115】
供給弁206は、電気的に制御される弁、例えば電磁弁であり得る。供給弁206は、個々に制御可能であり得る。このようにして、各分岐導管203への流体は、異なるレベル101上の生育トレイ300が別個のバッチとみなされ得るように、個々に供給することができる。しかしながら、各分岐導管203への流体供給が個々に制御される必要がない場合、供給弁206は、グループとして制御され得る。代替として、供給弁206は完全に取り外され得、供給導管201中への流体の制御は、分岐導管203中への流体の制御としての役割を果たす。
【0116】
次に、支持構造100のトレイ受け入れ場所102中に配置された生育トレイ300に水を供給し、そこから水を排出するために灌漑システム200を使用する方法について説明する。
【0117】
システムの最初の使用の前に、供給導管201、排出導管202、分岐導管203、及びトレイ導管204には、水がない場合がある。
【0118】
例えば、生育媒体のシート及び発芽した種子又は生育中の作物を収容する生育トレイ300は、支持構造100上のトレイ受け入れ場所102中に配置される。各生育トレイ300は、生育トレイ300の基部301を通って延在する灌漑開口部303を備える。トレイ受け入れ場所102中に配置されると、生育トレイ300の基部301の底部は、生育トレイ300の灌漑開口部303とトレイ導管204とが流体連通するように、トレイ導管204に結合する。
【0119】
供給弁206及び排出弁207は閉位置に動かされ、水が供給導管201中に供給される。供給弁206が閉じられているので、供給導管201は水で満たされ始めるであろう。供給導管201が一杯になると、供給弁206が開かれて、水が供給導管201から分岐導管203に流入することを可能にする。
【0120】
この時点で、水は、依然として供給導管201中に供給されている。排出弁207が閉じられているので、水は、排出導管202に入ることができず、従って、水が取る唯一のルートは、トレイ導管204を通って外に出て、各生育トレイ300の基部301中の灌漑開口部303を介して各生育トレイ300中に入る。各生育トレイ300は、従って、ボトムアップで水で満たされ始める。
【0121】
水は、各生育トレイ300中の水が生育トレイ300の基部301の上方の所定のレベル(即ち高さ)まで上昇するまで、供給導管201に連続的に供給される。水が所定のレベルに達すると、供給弁206が閉じられ、供給導管201中への水の供給が停止される。供給導管201中への水の供給を停止することができる時点(即ち、各生育トレイ300中の水が所定のレベルに到達した時点)は、灌漑システム200及び生育トレイ300を所定のレベルまで満たすのに必要とされる水の量を事前に知ることによって決定することができる。その量の水が供給導管201に供給されると(例えば、特定の時間期間にわたって特定の流量で水を供給することによって)、供給導管201への水の供給を停止することができる。
【0122】
この時点で、灌漑システム200中の水は、静止しており、生育トレイ300中の水は、生育トレイ300内に保持されたままである。水は、生育トレイ300中の作物の根が最適な生育のために必要とする水を吸収することを可能にするように、所定の時間期間(例えば、数分又は数時間程度)にわたってこの状態で保持される。
【0123】
その後、生育トレイ300から水を排出するために、排出弁207が開かれ、それは、各生育トレイ300中の水が灌漑開口部303を通って重力下で排出されることを可能にする。排出水は、分岐導管203によって排出導管202中に向けられる。排出導管202は、次いで、水を、再処理されて灌漑システム200中に再導入されるエリアに向け得る。
【0124】
その後の給水及び排水動作を実行するために、上記で説明したステップを繰り返すことができる。
【0125】
作物が収穫される準備が整うと、生育トレイ300は、支持構造100から取り外される。
【0126】
上述したように、各分岐導管203に対する給水及び排水は、他の分岐導管203に対して独立して制御され得る。従って、支持構造100の異なるレベル101上の生育トレイ300は、別個のバッチとして扱われ得、水は、バッチ毎に異なる時間に供給及び排出され得る。例えば、供給導管201が水で満たされると、供給弁206のサブセットのみが、支持構造100の特定のレベル又は複数のレベル101上の生育トレイ300に水を送達するために開かれ得る。同様に、排出弁207のサブセットのみが、支持構造100の特定のレベル又は複数のレベル101上の生育トレイ300から水を排出するために開かれ得る。
【0127】
更に、各供給弁206が、供給導管201を通る流体連通を選択的に遮断し、供給導管201から分岐導管への流体連通を選択的に遮断するように構成及び配置される場合(例えば、供給導管201と分岐導管203との間の交点に位置する三方弁)、分岐導管203のサブセットのみが満たされるとき、供給導管201は、水で完全に満たされる必要はない。例えば、特定の分岐導管203のみが満たされる場合、その供給弁206は、最初に底部から供給導管201を満たす必要なく、供給導管201の頂部に入る水がその分岐導管203を通過して流れることを阻止し、水が分岐導管203に直接流入することができるようにすることができる。
【0128】
各生育トレイ300に流体供給及び排出の両方のためのトレイ導管204を設けることによって、灌漑システム200における配管の量及び灌漑システム200の複雑さを低減することができる。
【0129】
流体を下方から各生育トレイ中に直接供給することによって、各生育トレイ300に供給される水の量がより正確に制御され得る。結果として、本システムは、より最適な作物生育及びより効率的な水の使用を提供し得る。更に、生育トレイ300に出入りする流体の流量を、流動様式が層流であるように制御することができ、それは、より乱流であり得るトップダウン給水システムと比較して、生育トレイ300中の種子、作物、又は生育媒体を乱す可能性がより低い。例えば、供給導管201中への流体の流量、トレイ導管204及び灌漑開口部303の直径、等は、各生育トレイ300に出入りする層流を提供するように選ぶことができる。
【0130】
トップダウン給水システムはまた、生育トレイ300中に十分な量の水を維持するために、給水速度が排水速度よりも高くなるように、生育トレイ300の基部301中の小さい排出孔に依拠する傾向がある。しかしながら、小さい排出孔は、破片によって容易に塞がれる可能性がある。本システムでは、同じトレイ開口部が、流体供給及び流体排出の両方に使用され、両方の動作は同時に起こらない。従って、トレイ中の開口部は、比較的大きくすることができ、それは、閉塞のリスクを低減し、開口部が閉塞された場合であっても、閉塞部は、次の流体供給動作中に取り除かれる可能性が高いであろう。
【0131】
図3に示す灌漑システム200は、支持構造100の両端に位置付けられた単一の供給導管201及び単一の排出導管202を有するが、灌漑システム200は、この構成に限定されず、特に支持構造100が各レベル上に多数のトレイ受け入れ場所102を画定する場合、複数の供給導管及び/又は複数の排出導管を代わりに備え得る。
【0132】
例えば、
図3に示す支持構造100及び灌漑システム200は、反復可能なユニットとみなされ得、即ち、システムは、複数の対の供給導管及び排出導管を有し得る。代替として、複数の排出導管が単一の供給導管に(分岐導管を介して)結合され得るか、又は複数の供給導管が単一の排出導管に(分岐導管を介して)結合され得る。
【0133】
更に、支持構造100の特定のレベル上の生育トレイ300は、ただ1つの分岐導管ではなく、複数の分岐導管によってサービスされ得る。
【0134】
図3に示す灌漑システム200は、別個の供給導管及び排出導管を有するが、共通のサービス導管が、供給導管及び排出導管の両方として機能することができることを認識されたい。この場合、弁の単一のセットが、各分岐導管203をサービス導管に結合することができ、弁の単一のセットは、流体供給動作及び流体排出動作の両方のために開閉されるであろう。流体供給動作中にサービス導管から流体が排出されるのを防止するためにサービス導管が選択的に閉じられ得るように、サービス導管の底部(支持構造100の最底レベル101の下方)に弁が設けられ得る。
【0135】
図4は、排出動作後に各分岐導管203中にいくらかの水が保持されることを可能にする、
図3の灌漑システム200の変形形態の概略図である。排出動作後に分岐導管203中にいくらかの水を保持することによって、生育トレイ300が水で満たされ始め得る前に分岐導管203及びトレイ導管204を水で満たすのに必要とされる時間が低減されるので、次の供給動作がより速くなる。これは、支持構造100の各レベル101が多くのトレイ受け入れ場所102を包含し、各分岐導管203が比較的長いとき、特に有利であり得る。
【0136】
図3の灌漑システムと
図4の灌漑システムとは、分岐導管203の構成が異なる。
【0137】
図4は、支持構造100(図示せず)上に位置決めされた複数の生育トレイ300に流体結合された複数のトレイ導管204に流体結合された分岐導管203を示す。分岐導管203は、供給導管201と排出導管202との間に更に流体結合される。前述のように、供給弁206は、供給導管201と分岐導管203との間に結合され、排出弁207は、排出導管202と分岐導管203との間に結合される。1つの分岐導管203のみを
図4に示すが、灌漑システムは、支持構造100の異なるレベル101にサービスする複数の同様の分岐導管203を備え得る。
【0138】
分岐導管203は、排出導管202に又はその近くに排出オーバーフローレベル211を画定する。排出オーバーフローレベル211の上方では、水は、排出オーバーフローレベル211に達するまで、重力下で分岐導管203から排出導管202に流入することができる。逆に、排出オーバーフローレベル211の下方では、水は、分岐導管203から排出導管202中に流入することができない。
【0139】
排出オーバーフローレベル211は、分岐導管203よりも高く、トレイ受け入れ場所102中に位置決めされるときの生育トレイ300の底部よりも低い(即ち、排出オーバーフローレベル211は、分岐導管203と生育トレイ300の底部との間に垂直方向に位置付けられる)。このようにして、水は、重力下で生育トレイ300から完全に排出され得るが、いくらかの水は、排出オーバーフローレベル211で分岐導管203及びトレイ導管204内に残るであろう。従って、次の給水動作中に、水が生育トレイ300を満たし始める前に必要とされる水の量がより少ないので、供給弁206が開いて水が生育トレイ300を満たすまでのタイムラグを低減することができる。排出オーバーフローレベル211が生育トレイ300の底部のすぐ下方である場合、タイムラグは実質的に無視できるほどであり得る。
【0140】
排出オーバーフローレベル211は、分岐導管203の第1の屈曲部分210によって画定され得る。例えば、排出オーバーフローレベル211は、Uベンド若しくはSベンド、又は水平に対して例えば45度若しくは0度を超え90度までの任意の他の角度で傾斜した部分によって画定され得る。
【0141】
分岐導管203はまた、供給導管201に又はその近くに同様の供給オーバーフローレベル209を画定し得る。供給オーバーフローレベル209は、分岐導管203に結合された生育トレイ300の所定のレベルよりも高くあり得る。供給オーバーフローレベル209は、水が分岐導管203から供給導管201中に排出されるのを防止するのに役立ち、従って、
図4に示すように、供給弁206が各分岐導管203への入口のすぐ下方で供給導管201上に位置する配置を可能にする。この供給弁206の配置は、供給されるべき分岐導管203の上方の供給弁206を開き、供給されるべき分岐導管203のすぐ下方の供給弁206を閉じることによって、各分岐導管203が水を個々に供給されることを可能にする。この供給弁の配置はまた、例えば、分岐導管203と供給導管201との間の交点における三方弁と比較してより安価である、二方弁(例えば、バタフライ弁)が使用されることを可能にする。
【0142】
供給オーバーフローレベル209は、分岐導管203の第2の屈曲部212によって画定され得る。供給オーバーフローレベルは、Uベンド若しくはSベンド、又は水平に対して、例えば45度若しくは0度を超え90度までの任意の他の角度で傾斜した部分によって画定され得る。
【0143】
供給オーバーフローレベル209を設けることは、排出オーバーフローレベル211とは独立している。各分岐導管203は、排出オーバーフローレベル211及び/又は供給オーバーフローレベル209を有し得る。
【0144】
図5は、各分岐導管203中への流体供給及び排出が能動的に制御されることを必要としない代替の農業システムを示す。
【0145】
図5に示す支持構造100は、
図1及び2に示す支持構造100と同じであり、従って、これ以上詳細には説明しない。
【0146】
灌漑システム250は、生育トレイ300に水を供給し、且つそこから水を排出するための共通のサービス導管251を備える(即ち、サービス導管251は、
図3の灌漑システム200の供給導管及び排出導管202の両方として機能する)。
【0147】
サービス導管251は、支持構造100のレベル101間で実質的に垂直に延在し、支持のために支持構造100の垂直部材103のうちの1つに取り付けられ得る。サービス導管251の底部において、支持構造100の最底レベルの下方に、サービス導管251を選択的に閉じて、水がサービス導管251から排出されることを防止するための排出弁(図示せず)が設けられる。
【0148】
図6は、
図5のシステムの正面図であり、それは、支持構造100の各レベル101及び灌漑システム250をより詳細に示す。支持構造100の1つのレベル101で生育トレイ300にサービスするための灌漑の構成要素を、
図7に単独で示す。
【0149】
図3に示す灌漑システム200と同様に、灌漑システム250は、生育トレイ300の底部に結合可能なトレイ導管204と、トレイ導管204とサービス導管251との間に結合された分岐導管203とを備える。
図5~7は、各トレイ導管204について1つの分岐導管203を示しているが、灌漑システム250は、この構成に限定されず、1つの分岐導管203は、1つ以上のトレイ導管204に結合され得る。
【0150】
図4に示す灌漑システムと同様に、灌漑システム250の分岐導管203は、排出後に分岐導管203中に水を保持する目的で、サービス導管251に又はその近くに排出オーバーフローレベルを画定し得る。
【0151】
各分岐導管203は、切替弁組立体260を介してサービス導管251に結合される。支持構造100の各レベル101において、サービス導管251は、サービス導管251の両側上に配置された2つの切替弁組立体に結合される。2つの切替弁組立体は、
図7に示すように、単一のユニットとして形成することができる。しかしながら、灌漑システム250は、この構成に限定されない。例えば、支持構造100の各レベル101において、サービス導管251は、そのレベル101においてサービス導管251に結合される分岐導管203の数に応じて、1つのみの切替弁組立体260又は2つよりも多くの切替弁組立体に結合され得る。
【0152】
図8は、切替弁組立体260の概略図である。切替弁組立体260は、3つの流体水路261、262、263を備える。供給水路261及び排出水路262は両方とも、一端でサービス導管251に結合される。供給水路261及び排出水路262は、互いに実質的に平行に延在し、離間される。流量切替水路263は、供給水路261及び排出水路262に対して実質的に垂直に延在し、それらの間に流体結合される。流量切替水路263は、分岐導管203に更に流体結合される。使用時、供給水路261及び排出水路262は、実質的に水平に向けられ、供給水路261は、排出水路262の垂直下方に配置される。流量切替水路263は、実質的に垂直に向けられ、流量切替水路263の頂部で分岐導管203に結合される。
【0153】
供給水路261は、供給水路261を通って流れる流体の流量を所定の供給流量に調整するための供給流量調整器264を備える。
【0154】
排出水路262は、排出水路262を通る流体の流量を所定の排出流量に調整するように構成された排出流量調整器265を備える。
【0155】
所定の供給流量は、所定の排出流量と異なり得る。例えば、所定の供給流量は、所定の排出流量よりも多く、又は少なくあり得る。
【0156】
排出水路262は、水が排出水路262を通ってサービス導管251に向かって流れることを可能にするが、反対方向の流れを防止するように構成された逆止弁266を更に備える。
【0157】
流量切替水路263は、供給位置268と排出位置269との間で低速切替水路内を垂直に移動可能な切替部材267を備える。供給位置268は、流量切替水路263の頂部にあり、排出位置269は、流量切替水路263の底部にある。
【0158】
供給位置268では、供給水路261と流量切替水路263との間の流体連通が開かれ、排出水路262と流量切替水路263との間の流体連通が遮断される。排出位置269では、排出水路262と流量切替水路263との間の流体連通が開かれ、供給水路261と流量切替水路263との間の流体連通が遮断される。
【0159】
切替部材267は、供給位置268と排出位置269との間で流量切替水路263内を自由に移動可能であり、そのため、切替部材267は、流量切替水路263を通る流体流の方向に応じて、供給位置268及び排出位置269のうちの1つに付勢され得る。
【0160】
切替部材267及び/又は水路261、262、263は、水路間の流体連通を適宜遮断するように、切替部材267が供給位置268若しくは排出位置269にあるときに互いに接触若しくは協働するように成形され得るか、又は接触若しくは協働する幾何学的特徴部を備え得る。供給位置268では、切替部材267は、流量切替水路263と排出水路262との間にシールを提供するために、供給シートに対して付勢され得るか、又は供給シートと協働し得る。同様に、排出位置269では、切替部材267は、流量切替水路263と供給水路261との間にシールを提供するために、排出シートに対して付勢される得か、又は排出シートと協働し得る。供給シート及び/又は排出シートは、エラストマー部材、例えばOリングを備え得る。
【0161】
切替弁組立体260に水がないとき、切替部材267は、重力により排出位置269に静止する傾向があり得る。
【0162】
切替部材267は、流量切替水路263の直径よりも小さい直径を有する円筒形状を有し得、そのため、切替部材267と流量切替水路263を画定する切替弁組立体260の壁との間に円周方向の間隙が存在する。
【0163】
切替弁組立体260は、水がサービス導管251から供給水路261に入り、流量切替水路263に流れるときに、切替部材267に対する水の力が切替部材267を供給位置268に向かって上向きに付勢することが可能であるように構成される。切替部材267が供給位置268にあると、供給水路261に入る水の継続的な力は、切替部材267を供給位置268に保ち、そのため、水は、流量切替水路263から排出水路262に流入することができない。同時に、供給水路261からの水は、ここで、流量切替水路263を介して(例えば、上述した円周方向の間隙を介して)分岐導管203に流入し得る。
【0164】
逆に、水が分岐導管203から流量切替水路263の頂部に入るとき、切替部材267の頂部に対して流れる水の力は、切替部材267を排出位置269に付勢し、そのため、水は、流量切替水路263から排出水路262に流入することができるが、供給水路261には流入することができない。
【0165】
切替部材267は、灌漑システム250中の水が静止しているときに切替部材267が排出位置269に静止するように、水よりも密度が高くあり得る。しかしながら、切替部材267は、サービス導管251から供給水路261に入る水の力によってそれを供給位置268に付勢することができるように、十分に軽量であるべきである。
【0166】
切替部材267の排出位置269から供給位置268への上向きの付勢を容易にするために、水がサービス導管251から供給水路261に入るときに水が切替部材267の底面を押すことができるように、供給水路261は、流量切替水路263の垂直下方で流量切替水路263に結合され得る。切替部材267の底面は、水が切替部材267の底面を押しているときに切替部材267の上向きの付勢を更に容易にするために凹設され得る。
【0167】
流量切替水路263は、流量切替水路263の底部に、切替部材267の直径よりも小さい開口部を有する環状排出シートを備え得る。このことから、水が分岐導管203から流量切替水路263に入り、切替部材267が排出シートに対して下向きに付勢されているとき、流量切替水路263と供給水路261との間にシールを形成することができる。しかしながら、水がサービス導管251から供給水路261に入るとき、水は、依然として、環状排出シート中の中央開口部を介して切替部材267の底面を押すことが可能である。
【0168】
次に、支持構造100のトレイ受け入れ場所102中に配置された生育トレイ300に水を供給し、そこから水を排出するために灌漑システム250を使用する方法について説明する。
【0169】
灌漑システム250の最初の使用の前に、サービス導管251、切替弁組立体260、及び分岐導管203には、水がない場合がある。各切替弁組立体260の切替部材267は、重力により排出位置269に静止している。
【0170】
サービス導管251の底部における排出弁は、水がサービス導管251から排出されるのを防止するために閉じられる。水が頂部からサービス導管251中に供給され、サービス導管251は水で満たされる。
【0171】
サービス導管251中の水位が切替弁組立体260より上に達すると、サービス導管251中の水は、切替弁組立体260に入り得る。所定の供給流量が所定の排出流量よりも高い場合、供給水路261が最小抵抗の経路を提供するので、水は、排出水路262の代わりに供給水路261を介して切替弁組立体260に入る傾向があるであろう。いずれにしても、排出水路262中の逆止弁266は、水が排出水路262を介して切替弁組立体260に入ることを防止することができる。
【0172】
サービス導管251中に供給される水の流量は、切替弁組立体260の所定の供給流量よりもかなり多くあり得、そのため、任意のかなりの量の水が支持構造100の底部レベル101上の弁組立体に入り始める前に、サービス導管251は、完全に水で満たされるであろう。このことから、水は、支持構造100の各レベル101で弁組立体に実質的に同時に入り得る。
【0173】
サービス導管251からの水が切替弁組立体260の供給水路261に入ると、供給水路261から流量切替水路263に向かう水の流れは、切替部材267を供給位置268に上向きに付勢する。これは、水が供給水路261から流量切替水路263に流入することを可能にし、そこで、水は、次いで、流量切替水路263に結合された分岐及びトレイ導管204を介して生育トレイ300に流入することができる。
【0174】
水がサービス導管251に供給され続けると、水は、生育トレイ300の基部301より上の所定の水位に達するまで生育トレイ300を満たし続ける。所定の水位に達すると、サービス導管251への給水が停止される。
【0175】
この時点で、灌漑システム250中の水は、静止しており、生育トレイ300中の水は、生育トレイ300中に保持されたままである。水は、生育トレイ300中の作物の根が最適な生育のために必要とする水を吸収することを可能にするように、所定の時間量(例えば、数分又は数時間程度)にわたってこの状態で保持される。
【0176】
この保持状態では、切替部材267は、排出位置269まで沈み込む。排出水路262中の逆止弁266は、上部生育トレイ300中の水が排出水路262を介して下部生育トレイ300から溢れるのを防止するのに役立つ。
【0177】
その後、生育トレイ300から水を排出するために、サービス導管251の底部における排出弁が開かれる。これは、各生育トレイ300中の水が重力下でトレイ導管204及び分岐導管203を介して切替弁組立体260の流量切替水路263中に排出されることを可能にする。分岐導管203から流量切替水路263の頂部に流入する水の力は、切替部材267を排出位置269へと下向きに付勢し、そのため、水は、流量切替水路263から排出水路262に流れ、次いでサービス導管251に流入し得、そこで、水は、再処理されて灌漑システム250中に再導入されるエリアに向けられ得る。
【0178】
水が生育トレイ300から排出されると、排出弁が閉じられ得、生育トレイ300の同じバッチ又は生育トレイ300の新しいバッチに対してサイクルが再び繰り返され得る。
【0179】
このことから、灌漑システム250は、構成要素が低減されたよりコンパクトな灌漑システムを提供し得、保管構造の各レベルに出入りする水の流れは、切替弁組立体によって受動的に制御され得る。供給流量調整器264及び排出流量調整器265を設けることは、所望の水充填速度及び排出速度がそれぞれ選ばれることを可能にする。例えば、供給及び排出の所定の流量は、生育トレイ300に出入りする水の流れが層流であるように選ばれ得る。サービス導管251中への給水及びサービス導管251の底部における単一の排出弁のみが、給水及び排水のために能動的に制御され得る。
【0180】
生育トレイ
図9は、上記で説明した支持構造100及び灌漑システム200、250と共に使用するための第1の実例的な生育トレイ300の斜視図を示す。生育トレイ300は、プラスチック(例えば、HDPE又はナイロンなどの熱可塑性物質)から作製することができ、既知のプラスチック成形プロセス、例えば射出成形によって形成することができる。使用時に、生育トレイ300は、作物が種子から生育される生育媒体を収容することができる。生育トレイ300は、水耕作物生育のために使用され得る。水耕生育のための典型的な生育媒体は、ミネラルウール(例えば、ROCKWOOL(登録商標))、パーライト、バーミキュライト、コイア、粘土ペレット、等を含む。生育トレイ300は、シート、例えばミネラルウールシートの形態の生育媒体と共に使用するのに特に適している。
【0181】
生育トレイ300は、長方形の基部301と、基部301の周りに延在して開放トレイを形成する外周壁302とを備える。例示する生育トレイ300は、正方形の基部(即ち、規則的な長方形の基部)を有するが、基部301はまた、不規則な長方形の形状、又は別の形状(例えば、又は多角形若しくは円形)を有し得る。
【0182】
基部301の中心は、灌漑システムからの流体が生育トレイ300に出入りすることを可能にする、基部301を通って延在する灌漑開口部303を備える。生育トレイ300が支持構造100上のトレイ受け入れ場所102中に配置されると、基部301の底部は、灌漑システムのトレイ導管に結合し、そのため、灌漑開口部303及びトレイ導管204は、灌漑開口部303を介して生育トレイ300とトレイ導管204との間の流体連通を可能にするように位置合わせされる。灌漑開口部303は、使用時に灌漑システムと流体連通する生育トレイ300中の唯一の開口部であり得る。
【0183】
灌漑開口部303は、必ずしも基部301の中心にある必要はない。灌漑開口部303は、代わりに、基部301の縁部、又は基部301の隅、又は基部301上の他の任意の場所にあり得る。しかしながら、中央灌漑開口部303は、基部301にわたるより均一な充填及び排出を有利に提供し得る。灌漑開口部303は、生育トレイ300に出入りする水の流れが実質的に層流であるような大きさであり得る。灌漑開口部303の直径は、例えば、約50mm~60mmであり得る。
【0184】
図10は、灌漑開口部303を示す生育トレイ300の底面図である。基部301の底部側は、トレイ導管204上の対応する結合特徴部に結合するための、灌漑開口部303を囲む結合特徴部を備える。生育トレイ300上の結合特徴部は、灌漑開口部303を取り囲む環状体突出部304を備え、それ自体が開口部を画定し得る。環状体突出部304は、突出部304が環状ドーム形状を有するように、湾曲した断面、例えば切頭円形断面を有する。
【0185】
トレイ導管204上の対応する結合特徴部(
図17に図示)は、トレイ導管204の端部において開口部を取り囲む相補的な環状体凹部を備える。環状体凹部は、凹部が環状カップ形状を有するように、湾曲した断面、例えば切頭円形断面を有し得る。
【0186】
生育トレイ300の環状体突出部304又はトレイ導管204の環状体凹部は、トレイ導管204と生育トレイ300との間により良好なシールを提供するためのエラストマー部材(例えば、Oリング)を更に備え得る。
【0187】
生育トレイ300とトレイ導管204との間の環状体結合は、生育トレイ300をトレイ受け入れ場所102中に配置するときに生育トレイ300がトレイ導管204と僅かに位置ずれしている場合であっても、良好な結合を可能にする。例えば、環状体突出部304及び環状体凹部は、生育トレイ300及びトレイ導管204が水平方向に僅かにずれており、任意の回転の向きであるか、又は生育トレイ300が水平に対して僅かに傾斜している場合であっても、依然として互いに協働することが可能である。
【0188】
環状体突出部304が生育トレイ300上に設けられ、環状体凹部がトレイ導管204上に設けられる代わりに、環状体凹部を、代わりに、生育トレイ300上に設けることができ、環状体突出部304を、トレイ導管204上に設けることができる。
【0189】
生育トレイ300の基部301の底部側は、環状体突出部304を取り囲む壁305を更に備え得る。壁305は、トレイ導管204が生育トレイ300に結合されたときにトレイ導管204の端部を受け入れることができる円周方向の溝306を形成するように、環状体突出部304から半径方向に離間される。環状体突出部304によって内側半径方向に境界付けられ、壁305によって外側半径方向に境界付けられる溝306は、結合に安定性を追加し得、トレイ導管204が共に結合すると、生育トレイ300に対して移動することを回避するのに役立ち得る。溝306を画定するために壁305を設ける代わりに、溝306は、代わりに、基部301自体の底部側中の凹部として画定され得る。
【0190】
基部301は、基部301の頂部側から直立する複数のリブ313を更に備える。リブ313の頂部は、実質的に水平な向きに生育媒体のシートを支持するための実質的に水平な表面を提供する。リブ313の頂部で生育媒体を支持することによって、生育媒体は、基部301から持ち上げられる。これは、基部301を横断する流体移送を容易にし、作物の根が吊り下げられることを可能にし、それは、作物生育に有益であり得る。
【0191】
図11は、リブ313の配置を示す生育トレイ300の上面図である。
【0192】
基部301は、4つの主水路310を備え、各主水路310は、灌漑開口部303から基部301の隅まで半径方向外向きに延在する。4つの主水路310は、基部301を4つの隣接する三角形セクション311に分割し、各三角形セクション311は、2つの主水路310及び外周壁302の一部分によって境界付けられる。
【0193】
各セクション311は、複数のリブ313からのリブ313のサブセットを包含する。各セクション311内のリブ313は、隣接するリブ313間に分岐水路312を画定するように離間される。各セクション311内の各リブ313は、セクション311と境を接する主水路310のうちの1つとセクションと境を接する外周壁302の一部分との間に延在し、そのため、各分岐水路312は、セクションと境を接する主水路310のうちの1つに接続され、各主水路310は、複数の分岐水路312に接続される。
【0194】
主水路310及び分岐水路312は、基部301を横断する流体経路を提供する。特に、水が灌漑開口部303から生育トレイ300に入ると、水は、主水路310を介して分岐水路312に流入し得る。逆に、水が生育トレイ300から排出されると、水は、各分岐水路312から主水路310を介して灌漑開口部303に流れ得る。
【0195】
主水路310及び分岐水路312の配置は、基部301にわたる水の均一な分配を促進するのに役立ち、デッドゾーンを回避するのに役立つ。この配置はまた、生育媒体の下の空間の比較的均一な分布を提供し、それは、生育トレイ300の特定のエリア中で作物の根が塊になることを回避するのに役立つ。
【0196】
各セクション311内のリブ313は、各セクション311内の分岐水路312が互いに実質的に平行に延在するように、互いに実質的に平行に延在する。各セクション311中の隣接するリブ313間の間隔は、各セクション311内の分岐水路312が互いに実質的に同じ幅であるように実質的に同じであり、それは、基部301にわたる水の均一な分配を更に促進し、生育トレイ300にわたる根の均一な分配を促進するのに役立つ。
【0197】
灌漑開口部303中への水のより多くの及び/又はより速い排出を促進するために、各セクション311は、灌漑開口部303に向かって下向きに傾斜し得る。各セクション311内のリブ313は、各セクション311の傾斜の方向に実質的に平行に延在し得、そのため、分岐水路を通って流れる水は、傾斜を上下する最も直接的な経路を取ることができる。
【0198】
各リブ313は、上方から見たときに波状形状(例えば正弦波形状)を有する。リブ313の波状形状は、リブ313に強度を提供し、そのため、リブ313は、直線リブと比較して、横方向に基部301から折れる可能性がより低い。
【0199】
リブ313は、
図11に示す特定の配置に限定されない。配置は、基部301の形状、主水路310の数及び位置、各セクション内のリブ313の配置、等に応じて異なり得る。
【0200】
一般に、基部301は、灌漑開口部303と外周壁302との間に延在する1つ以上の主水路310を備える(即ち、1つ以上の主水路310は、灌漑開口部303と直接流体連通している)。1つ以上の主水路310は、基部301を複数の隣接するセクション311に分割する。各セクション311は、複数の分岐水路312を備える。各分岐水路312は、主水路310のうちの1つに接続されて、1つ以上の主水路310を介して灌漑開口部303と分岐水路312との間の流体連通を可能にする。
【0201】
各セクション311は、少なくとも1つの主水路310及び外周壁302の一部分によって境界付けられる。各分岐水路312は、主水路310のうちの1つと外周壁302との間に延在し得る。各分岐水路312は、外周壁302まで延在し得るか、又は各分岐水路312は、外周水路が外周壁302に隣接して形成されるように、外周壁302の手前で終端し得る。外周水路は、基部301にわたる水の均一な分配を促進するのに更に役立ち得る。
【0202】
各セクション311内の分岐水路312は、互いに実質的に平行に延在し得る。分岐水路312は、互いに実質的に同じ幅を有して、基部301にわたる水の均一な分配を更に促進し、トレイにわたる根の均一な分配を促進し得る。
【0203】
1つ以上の主水路310及び/又は分岐水路312は、水路の境界が直線的でない場合がある(例えば、波状リブ313が水路を画定するために使用される場合)という事実にもかかわらず、実質的に直線的に延在し得る。水路は、水路の両端間に直線経路を引くことができる場合、実質的に直線的に延在すると考えられ得る。
【0204】
セクション311は、互いに実質的に同じ面積を有し得る。セクション311は、灌漑開口部303の周囲に対称的に配設され得る。セクション311は、実質的に三角形であり得る。主水路310によって形成されるセクション311の数は、主水路310の数よりも1つ多くあり得る。
【0205】
基部301は、実質的に平坦であり得る(即ち、全てのセクション311が同じ平面内にあり得る)。代替として、より多くの及び/又はより速い排出を促進するために、各セクション311は、灌漑開口部303に向かって下向きに傾斜し得る。各セクション311の勾配は、約1:50以下であり得る。各セクション311の勾配は、少なくとも約1:100であり得る。各セクション311の勾配は、約1:100~1:50であり得る。各セクション311の勾配は、約1:100、1:90、1:80、1:70、1:60、又は1:50であり得る。各セクション311内の分岐水路312は、各セクション311の傾斜の方向に実質的に平行に延在し得、そのため、分岐水路312を通って流れる水は、傾斜を上下する最も直接的な経路を取ることができる。
【0206】
主水路310の幅は、約20mm~40mm、例えば30mmであり得る。分岐水路312の幅は、約40mm~60mm、例えば50mmであり得る。
【0207】
1つの主水路310を有する配置の例として、灌漑開口部303は、基部301の隅に配設され得、主水路310は、灌漑開口部303から基部301の対向する隅まで延在し得る。
【0208】
基部301が複数の主水路310を備える場合、各主水路310は、灌漑開口部303から基部301のそれぞれの隅まで延在し得る。代替として、各主水路310は、基部301のそれぞれの縁部まで延在し得る。
【0209】
基部301は、各セクション中に配置された直立リブ313を備え得る。リブ313は、各分岐水路が2つの隣接するリブ313間に画定されるように離間され得る。リブ313の頂部は、実質的に水平な向きに生育基材のシートを支持するための実質的に水平な表面を提供し得る。リブ313の高さは、約15mm~30mmであり得る。
【0210】
各セクション311が灌漑開口部303に向かって傾斜する場合、リブ313の高さは、リブ313の頂部によって提供される実質的に水平な表面を維持するために、灌漑開口部303に向かって増加し得る。
【0211】
各リブ313は、上方から見たときに波状形状(例えば正弦波形状)を有し得る。波状リブ313については、リブ313の方向又は向きへの本説明での言及は、波形状の山と谷との間に直線的に延在する中立線の方向又は向きを指す。リブ313の波状形状は、リブ313に強度を提供し、そのため、リブ313は、直線リブと比較して、横方向に基部301から折れる可能性がより低い。しかしながら、リブ313は、波状形状であることに限定されず、分岐水路312が隣接するリブ313間に画定されるように離間されるならば、直線リブ313又は何らかの他の形状であり得る。
【0212】
分岐水路312が直立リブ313によって画定される代わりに、1つ以上の主水路310及び分岐水路312は、基部301中に形成された溝によって画定され得る。基部301の頂面は、次いで、実質的に水平な向きに生育基材のシートを支持するための実質的に水平な表面を提供する。
【0213】
主水路310及び分岐水路312の上記で説明した配置は、長方形ではない生育トレイ300中で使用され得る。例えば、n角形(ここで、nは3以上の整数である)を有する基部は、n個の主水路310を有し得、各主水路310は、基部301のそれぞれの隅又は縁部まで延在し得る。代替として、トレイは、円形基部301を有し得、1つ以上の主水路310が、基部301を複数の区画に分割し得る。
【0214】
灌漑システム200、250に関連して上述したように、生育トレイ300は、生育トレイ300中の水が所定の水位に達するまで水で満たされ得る。この所定の水位は、リブ313(又は溝)の頂部より上であり得、そのため、生育媒体の少なくとも一部分が水中に沈められる。例えば、所定の水位は、リブ313の頂部の約1mm~5mm上、より具体的にはリブ313の頂部の約2mm~5mm上、又はより具体的にはリブ313の頂部の約3mm~4mm上であり得る。
【0215】
支持構造100に関連して上述したように、各トレイ受け入れ場所102は、生育トレイ300上の対応する位置決め特徴部と協働して、生育トレイ300を灌漑システムのトレイ導管204に対して正しい位置中に位置決めするのに役立ち、トレイ受け入れ場所102中に入ると生育トレイ300の水平移動を防止するのに役立つように構成された位置決め特徴部を備え得る。
【0216】
例えば、
図9に示すように、生育トレイ300は、基部301の底部上に配設された4つの位置決め凹部314を備える。各位置決め凹部314は、基部301の縁部に又はその近くに配設される。
【0217】
各トレイ受け入れ場所102は、トレイ受け入れ場所102中に配置されると、生育トレイ300の底部上の位置決め凹部314によって受け入れられる対応する位置決め突出部(図示せず)を備え得る。位置決め突出部は、例えば、水平部材104上に配置され得る。
【0218】
図9の生育トレイ300は、基部301の全ての4つの縁部上に位置決め凹部314を備えるが、トレイ受け入れ場所102は、生育トレイ300の位置決め凹部314毎に位置決め突出部を備える必要はない。例えば、生育トレイ300の対向する一対の位置決め凹部314と係合するために、各トレイ受け入れ場所102中に対向する一対の位置決め突出部を設ければ十分である。トレイ受け入れ場所102が対向する一対の位置決め突出部のみを備える場合であっても、生育トレイ300の全ての4つの縁部に位置決め凹部314を設ける利点は、生育トレイ300の回転対称性により、トレイ受け入れ場所102中に配置される前に生育トレイ300が特定の向きに回転される必要がないことである。
【0219】
位置決め凹部314及び位置決め突出部は、位置決め突出部が位置決め凹部314中に自己位置決めし得るように、傾斜した側面316を有し得る(例えば、台形の形状を有し得る)。
【0220】
生育トレイ300が位置決め凹部314を備え、トレイ受け入れ場所102が位置決め突出部を備える代わりに、生育トレイ300は、位置決め突出部を備え得、トレイ受け入れ場所102は、相補的な位置決め凹部を備え得る。
【0221】
各トレイ受け入れ場所102において、トレイ導管204に対する位置決め突出部の位置は、生育トレイ300の灌漑開口部303に対する位置決め凹部314の位置と同じであり、そのため、生育トレイ300がトレイ受け入れ場所102中に配置され、位置決め凹部314及び突出部が嵌合すると、灌漑開口部303及びトレイ導管204は位置合わせされるはずである。
【0222】
4つの位置決め凹部314の各々は、基部301のそれぞれの外周縁部に平行に延在する。生育トレイ300の4つの位置決め凹部314は、2つの直径方向に対向する対に配置される。第1の対の位置決め凹部314の中点は、灌漑開口部303の中心を通って、及び基部301の複数の対の対向する平行な縁部のうちの一方を垂直に通って走る第1の軸Aに沿って位置合わせされる。第2の対の位置決め凹部314の中点は、灌漑開口部303の中心を通って、及び基部301の他方の対の対向する平行な縁部を垂直に通って走る第2の軸Bに沿って位置合わせされる。
【0223】
このようにして、位置決め凹部314の中点と灌漑開口部303の中心とが位置合わせされるであろう。従って、位置決め凹部314がトレイ受け入れ場所102において位置決め突出部と嵌合する限り、灌漑開口部303は、トレイ導管204と位置合わせされるであろう。
【0224】
いくつかのプラスチック製造技術、例えば射出成形では、プラスチックは、成形された後に冷却されると、サイズが収縮して歪みを引き起こし得ることが知られている。この収縮効果は、生育トレイ300の位置決め凹部314を、灌漑開口部303に対してそれらの予想される設計位置からずらさせ得、それは、生育トレイ300がトレイ受け入れ場所102中に位置決めされるときに灌漑開口部303がトレイ導管204と位置ずれすることにつながり得る。生育トレイ300の位置決め凹部314は、生育トレイ300がX方向及び/又はY方向に収縮した場合であっても、生じたプラスチック収縮の量にかかわらず、任意の製造欠陥を軽減する。
【0225】
中央灌漑開口部303を有する長方形基部301の場合、各位置決め凹部314は、基部301の対応する縁部の中点の周囲に対称的に配置される。しかしながら、灌漑開口部303が基部301の中心に位置決めされていない場合、位置決め凹部314は、位置決め凹部314の中点と灌漑開口部303の中心とが位置合わせされるように、それに応じて基部301上の他の場所に位置付けられるであろう。トレイ導管204に対するトレイ受け入れ場所102中の位置決め突出部の位置も、それに応じて変化するであろう。
【0226】
上述したように、生育トレイ300は、2対の対向する位置決め特徴部314を有することに限定されない。一対の直径方向に対向する位置決め特徴部314のみが設けられ得、その中点は、灌漑開口部303の中心を通って走り、基部301の一対の対向する平行な外周縁部を垂直に通って走る軸に沿って位置合わせされる。位置決め特徴部はまた、基部301の縁部に配置される必要はなく、代わりに、例えば、基部301上の他の場所、又は外周壁302上に配置され得る。
【0227】
生育トレイ300の底部上の位置決め凹部314はまた、生育トレイ300が垂直に積み重ねられることを可能にする積み重ね特徴部として機能し得る。生育トレイ300を垂直に積み重ねることが可能であることは、生育トレイ300を保管又は移送するときに有用である。加えて、発芽していない種子が生育トレイ300中に播種され得、生育トレイ300は、次いで、積み重ねられ、作物生育の次の段階のためにトレイを本システムの支持構造100上に載置する前に種子が発芽することを可能にする最適な環境中に配置される。
【0228】
図9に示すように、生育トレイ300は、外周壁302の頂部から直立する複数の積み重ね突出部又はキャスタレーション315を更に備える。各位置決め凹部314に対して、相補的な積み重ね突出部315が設けられる。生育トレイ300が垂直に積み重ねられるとき、特定の生育トレイ300の積み重ね突出部315は、すぐ上の生育トレイ300の位置決め凹部314中に受け入れられる。
【0229】
位置決め凹部314と同様に、各積み重ね突出部315は、傾斜した側面(例えば、台形の形状)を有し、生育トレイ300を積み重ねるときに生育トレイが互いの上に自己位置決めすることを可能にする。
【0230】
図12は、生育トレイ300の部分的な側面図を示す。積み重ね突出部315の最大高さ319は、トレイが垂直に積み重ねられたときに、隣接するトレイ間に垂直隙間が形成されるように、位置決め凹部314の最大高さ318よりも大きくあり得る。垂直間隙は、約10mm~50mm、又は約20mm~40mm、又は約20mm~30mmであり得る。垂直間隙は、約10mm、20mm、30mm、40mm、又は50mmであり得る。
【0231】
垂直間隙は、積み重ねられたトレイ300間の空気流を可能にし、それは、種子発芽に有益であり得る。しかしながら、積み重ねられたトレイ間の垂直間隙が必要とされない場合には、積み重ね突出部315及び位置決め凹部314の最大高さは、実質的に同じであり得る。積み重ね突出部315及び位置決め凹部314はまた、積み重ねられると、生育トレイ300が互いに対して水平方向に移動するのを防止するのに役立つ。
【0232】
トレイ300の底部が代わりに位置決め突出部を備える場合、外周壁302の頂部は相補的な積み重ね凹部を備えるであろうことを認識されたい。
【0233】
積み重ねのために、生育トレイ300の頂部及び底部上の突出部及び凹部は、
図9に示す配置に限定されないことも認識されるであろう。例えば、生育トレイ300の各縁部は、1つよりも多くの突出部若しくは凹部を備えことができるか、又は突出部及び凹部を、隅に位置決めすることができる。
【0234】
上記で説明した生育トレイ300の様々な態様(例えば、トレイ導管204に結合するための結合特徴部、水路配置、生育トレイ300を支持構造100上に位置決めするための位置決め特徴部、及び積み重ね特徴部)は、本農業システムでの使用に特に適した生育トレイ300を提供するように共に機能し得るが、態様の各々はまた、互いに独立して存在し得ることを認識されたい。
【0235】
図13は、上記で説明した支持構造100及び灌漑システム200、250と共に使用するための第2の実例的な生育トレイ400の斜視図を示す。第1の生育トレイ300と同様に、第2の生育トレイ400は、プラスチック(例えば、HDPE又はナイロンなどの熱可塑性物質)から作製することができ、既知のプラスチック成形プロセス、例えば射出成形によって形成することができる。使用時に、生育トレイ400は、作物が種子から生育される生育媒体を収容することができる。生育トレイ400は、水耕作物生育のために使用され得る。水耕生育のための典型的な生育媒体は、ミネラルウール(例えば、ROCKWOOL(登録商標))、パーライト、バーミキュライト、コイア、粘土ペレット、等を含む。生育トレイ400は、シート、例えばミネラルウールシートの形態の生育媒体と共に使用するのに特に適している。
【0236】
第1の生育トレイ300と同様に、第2の生育トレイ400は、正方形の基部401と、基部401の周りに延在して開放トレイを形成する外周壁402とを備える。基部401の中心は、灌漑システムからの流体が生育トレイ400に出入りすることを可能にする、基部401を通って延在する円形灌漑開口部403を備える。
【0237】
基部401の最頂面420は、実質的に水平な向きに生育媒体のシートを支持するための実質的に水平な表面を提供する。基部401は、最頂面420中に複数の溝421を備え、それらは、流体を保持し、灌漑開口部403と基部401の残りの部分との間の流体移送を容易にするための複数の水路を画定する。
【0238】
図14は、水路の構成を示す生育トレイ400の上面図である。基部401は、灌漑開口部403から外周壁402に向かって半径方向外向きに延在する複数の1次水路410を備える内側部分426を備える。1次水路410は、円周方向に規則的に離間される。基部401は、隣接する1次水路410を接続する複数の円周方向に延在する2次水路412を更に備える。第1の生育トレイ300と同様に、1次水路410は、基部を複数の隣接するセクションに分割すると考えることができ、各セクションは、2次水路412のサブセットを備える。第2の生育トレイ400の1次水路410及び2次水路412は、第1の生育トレイの主水路310及び分岐水路312とそれぞれ同義である。
【0239】
2次水路412は、半径方向に離間され、灌漑開口部403を中心とする複数の同心円状の輪を形成するように構成される。基部401は、任意選択で、半径方向に互いに隣接する2次水路412を接続するために同心円状の輪のうちの少なくともいくつかの間に延在する複数の半径方向に延在する3次水路425を更に備える。3次水路425は、円周方向に規則的に離間され、1次水路410間に位置決めされる。この例では、3次水路425は、外側の同心円状の輪のうちのいくつかにおいて2次水路412を接続するが、灌漑開口部403に最も近い内側の同心円状の輪において2次水路412を接続しない。これは、外側の同心円状の輪における2次水路412が内側の同心円状の輪におけるのものよりも長く、従って、3次水路425が、より長い2次水路412間に流体を均一に分配するのに役立つためであり、それは、内側の同心円状の輪における2次水路412では、それらの長さがより短いために必要とされない。
【0240】
1次水路410、2次水路412、及び3次水路425のこの構成は、基部401にわたる流体の均一な分配を容易にする蜘蛛の巣のような模様を形成する。特に、1次水路410は、灌漑開口部に及び灌漑開口部から流体を分配し、2次水路412は、1次水路410間で流体を分配し、3次水路425は、2次水路412間で流体を分配する。
【0241】
基部401にわたる流体の均一な分配を更に容易にするために、1次水路410、2次水路412、及び3次水路425は、互いに異なる深さを有することができる。本例では、1次水路410は、2次水路412及び3次水路425よりも深く、即ち、1次水路410を形成する溝は、2次水路412及び3次水路425を形成する溝よりも最頂面420に対して深い。1次水路は、例えば、2次水路の2倍の深さであり得る。3次水路425は、2次水路412と同じ深さを有し得るか、又は2次水路412よりも浅く若しくは深くあり得る。
【0242】
基部401は、内側部分426と外周壁402との間に画定された外周部分427を更に備える。外周部分427は、内側部分426を囲む正方形アニュラスの形状を有する。外周部分427は、外周部分427と内側部分426との間の境界に1次外周水路428を備える。外周部分427は、1次外周水路428と外周壁402との間に垂直に延在する規則的に離間した2次外周水路429を更に備える。外周部分427における水路428、429のこの配置は、外周壁402までの流体の均一な分配を容易にする。しかしながら、外周部分427は任意選択であり、内側部分426における水路の蜘蛛の巣のような模様は、外周壁402まで延在することができる。内側部分426における水路と同様に、1次外周水路428及び2次外周水路429は、流体の均一な分配を更に容易にするために、互いに異なる深さを有することができる。本例では、1次外周水路428は、2次外周水路429よりも深い。特に、1次外周水路428は、内側部分426における1次水路410と同じ深さを有し、2次外周水路429は、内側部分426における2次水路412と同じ深さを有する。
【0243】
第1の生育トレイと同様に、灌漑開口部403の直径は、生育トレイ400に出入りする水の流れが実質的に層流であるような大きさである。これは、比較的大きな直径を有する灌漑開口部403をもたらし得る。灌漑開口部403の真上の領域中で生育媒体のシートへの支持を提供するために、基部401は、基部401の最頂面420とほぼ同じ高さの頂面を有する、灌漑開口部403内及びその周りに半径方向に延在するフィン430を更に備える。フィン430は、
図15により詳細に示す。
【0244】
図16は、第2の生育トレイ400の下側を示す。第1の生育トレイ300と同様に、第2の生育トレイ400の基部401の底部側は、灌漑開口部403を取り囲み、画定する環状体突出部404の形態の結合特徴部を備える。
【0245】
図17は、生育トレイ400の環状体突出部404(又は生育トレイ300の環状体突出部304)に結合するための、トレイ導管204の端部において開口部を取り囲む相補的な環状体凹部205を示す。トレイ導管204及び生育トレイ400が共に結合されると、生育トレイ400の環状体突出部404は、トレイ導管204の環状体凹部205中に位置する。
【0246】
図16に戻って参照すると、第1の生育トレイ300と同様に、第2の生育トレイ400は、生育トレイ400がトレイ導管204に結合することができるように、トレイ受け入れ場所102中の正しい位置に生育トレイ400を位置決めするのに役立つ位置決め特徴部414a、414bを備える。特に、基部401の下側は、灌漑開口部403の中心の周囲で直径方向に対向する第1の対の位置決め突出部414aと、灌漑開口部の中心の周囲で直径方向に対向する第2の対の位置決め突出部414bとを備える。第1の生育トレイ300と同様に、第1の対の位置決め突出部414aの中点と灌漑開口部403の中心とは、第1の軸に沿って位置合わせされ、第2の対の位置決め突出部414bの中点と灌漑開口部403の中心とは、第1の軸に垂直な第2の軸に沿って位置合わせされる。
【0247】
図18は、占有されていないトレイ受け入れ場所102と、生育トレイ400によって占有された隣接するトレイ受け入れ場所102とを備える支持構造100の一部分を示す。各トレイ受け入れ場所102は、Y方向に延在する一対の平行バー108を備える。平行バー108は、生育トレイ400の第1の対の位置決め突出部414aを受け入れるための位置決め凹部(間隙)109を平行バー108間に画定するように、(トレイ導管204がその間に位置する状態で)X方向に離間されている。平行バー108は、従って、生育トレイ400をX方向の正しい位置中に位置決めするのに役立つ。生育トレイ400の第1の対の位置決め突出部414aは、生育トレイ400がトレイ受け入れ場所102中に載置されているときに平行バー108と係合して第1の対の位置決め突出部414aを位置決め凹部109中に位置決めするのに役立つことができる傾斜した側面416を備える。
【0248】
生育トレイ400をY方向におけるトレイ受け入れ場所102中の正しい位置中に位置決めするのに役立つように、トレイ受け入れ場所102は、第2の対の位置決め突出部414bを受け入れるための位置決め凹部(図示せず)を更に備え得る。第2の対の位置決め突出部414bを受け入れるための位置決め凹部は、一対の平行バー108上に形成され得る。代替として、第2の対の位置決め突出部414bは、生育トレイ400から省略され得、トレイ受け入れ場所102は、生育トレイ400がトレイ受け入れ場所102中に水平に押し込まれるときに生育トレイ400の後側に当接するエンドストップ(図示せず)を備え得る。エンドストップは、生育トレイ400の後側がエンドストップに当接しているときに、灌漑開口部403がY方向においてトレイ導管204と位置合わせされるように、トレイ導管204に対して位置付けられ得る。
【0249】
灌漑システム200、250と共に使用する際、第2の生育トレイ400は、第1の生育トレイ300と同様に機能する。流体は、灌漑開口部403を介して下方から生育トレイ400中に送達される。流体は、次いで、所定の時間期間にわたって生育トレイ中に保持され、その後、流体が灌漑開口部403から排出されることを可能にする。
【0250】
第1及び第2の生育トレイ300、400は、持ち上げ車両によってトレイ受け入れ場所102中に配置され得、そこから取り外され得る。例えば、自動又は手動で制御される持ち上げ車両は、生育トレイ300、400をスタックから持ち上げ、支持構造100の隣の位置に移動し、トレイを所望のトレイ受け入れ場所102中に配置し得る。生育トレイ300、400が支持構造100から取り外される準備ができているとき、持ち上げ車両は、トレイ受け入れ場所102に移動し、トレイをトレイ受け入れ場所102から持ち上げ、それを他の場所、例えば収穫ステーションに移送し得る。
【0251】
第1及び第2の生育トレイ300、400は、生育トレイ300、400が持ち上げられている間に持ち上げ車両に対して摺動しないように、持ち上げ車両上の対応する結合特徴部と協働するための移送結合特徴部を備え得る。例えば、生育トレイ300、400は、持ち上げ車両の構成要素上(例えば、持ち上げアーム又はプラットフォーム中)の凹部中に受け入れられる突出部を基部301、401の底部上に備え得るか、又はその逆である。別の例として、トレイの基部301、401の底部は、持ち上げ車両の水平に延在する持ち上げアームを受け入れるための1つ以上の水平に延在する凹部又はスロットを備え得る。
【0252】
支持構造100に関連して上記で説明したように、各生育トレイ300、400はまた、支持構造100中のその位置を記録及び追跡することができるように、各生育トレイ300、400を一意に識別する一意の識別子、例えばRFIDタグを備え得る。各生育トレイ300、400についての一意の識別子はまた、生育トレイ300、400中で生育されている作物の種類、及び特定のトレイ受け入れ場所102で費やされた時間などの他の変数にリンクされ得る。
【0253】
生育トレイ300、400は、生育トレイ300、400が灌漑システムと直接流体連通し得るように、作物を収容し、灌漑システムに直接結合するための単一の構成要素を提供することを意図される。本生育トレイ300、400は、製造がより単純であり、洗浄がより容易であり得、生育トレイ300、400を支持構造100上に配置するために必要とされる取り扱いがより少ない。更に、生育トレイ300、400に入って作物に利用可能にされる水の量を、より正確に制御することができる。
【0254】
本発明の生育トレイのいくつかの特徴を第1の生育トレイ300に関連して説明し、他の特徴を第2の生育トレイ400に関連して説明したが、当業者であれば、第1の生育トレイ300の特徴のうちのいずれも、第2の生育トレイ400の特徴と独立して使用することができ、逆もまた同様であることを認識するであろう。例えば、第1の生育トレイ300の水路構成は、第2の生育トレイ400と共に使用することができ、逆もまた同様であり、第1の生育トレイ300の積み重ね突出部315及び/又は位置決め凹部314は、第2の生育トレイ400と共に使用することができ、逆もまた同様であり、といった具合である。
【0255】
第2の生育トレイ400と同様又は同等である第1の生育トレイ300の特徴(例えば、環状体結合特徴部、位置決め突出部と灌漑開口部との間の位置合わせ、特徴部の形状及び寸法、等)の詳細な説明は、簡潔にするために完全には繰り返されていないが、依然として第2の生育トレイ400に適用可能である。
【0256】
図面を参照して上記で説明したシステム及びデバイスは、制御された屋内農業環境における作物への水の制御された提供を可能にする。それ故に、作物収量、品質及び、生育時間が改善され得、製品の保存可能期間が最適化され得る。
【0257】
農業システム、方法、及びデバイスは、上記で説明したデバイス及び構成の様々な組み合わせを使用して特定の用途のために設計することができることを認識されたい。上記で説明した特徴は全て、単一のシステム中で共に使用され得ることを認識されたい。本発明の他の実施形態では、特徴のうちのいくつかが省略され得る。特徴は、任意の互換性のある構成で使用され得る。添付の特許請求の範囲に定義された本発明の範囲から逸脱することなく、上記で明示的に説明していない多くの変形形態及び修正形態が可能である。
【手続補正書】
【提出日】2023-10-25
【手続補正1】
【補正対象書類名】図面
【補正方法】変更
【補正の内容】
【手続補正2】
【補正対象書類名】図面
【補正方法】変更
【補正の内容】
【国際調査報告】