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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-14
(54)【発明の名称】侵食からのバルブ部品の保護
(51)【国際特許分類】
   C23C 24/08 20060101AFI20240206BHJP
   C01B 32/949 20170101ALI20240206BHJP
   F16K 25/04 20060101ALI20240206BHJP
   F16K 27/00 20060101ALN20240206BHJP
   C23C 26/00 20060101ALN20240206BHJP
【FI】
C23C24/08 A
C01B32/949
F16K25/04
F16K27/00 A
C23C26/00 E
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023533873
(86)(22)【出願日】2021-12-14
(85)【翻訳文提出日】2023-06-02
(86)【国際出願番号】 US2021063260
(87)【国際公開番号】W WO2022132733
(87)【国際公開日】2022-06-23
(31)【優先権主張番号】2013376
(32)【優先日】2020-12-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(31)【優先権主張番号】17/549,228
(32)【優先日】2021-12-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】502122473
【氏名又は名称】ドレッサ エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】Dresser,LLC
(74)【代理人】
【識別番号】110002871
【氏名又は名称】弁理士法人坂本国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヴラソフ、シリル、ニコラス
(72)【発明者】
【氏名】イェイツ、チャド、エリック
(72)【発明者】
【氏名】ドダン、ジョージ
(72)【発明者】
【氏名】アニシモフ、ミカイル
(72)【発明者】
【氏名】チェン、ウェイ
(72)【発明者】
【氏名】カチンハスキー、アレキサンドル、セーラ
【テーマコード(参考)】
3H051
4G146
4K044
【Fターム(参考)】
3H051AA01
3H051BB06
3H051CC11
3H051DD03
3H051EE08
3H051FF15
4G146MA07
4G146MB03
4K044BA06
4K044BA18
4K044BB03
4K044BB04
4K044BC02
4K044CA24
(57)【要約】
制御バルブの部品上で使用するように構成されているコーティング。本構成は、好ましくは、基部又は基材(例えば、インコネル本体)上に層状構造を形成する、様々な材料層を組み込み得る。一実現態様では、層状構造は、例として炭化タングステン及びニッケル合金を含む材料の異なる濃度又は比を呈する「積層された」個々の層として配置することができる。炭化タングステンの濃度は、最も内側の層から最も外側の層に向かって増加し得る。この特徴は、特に、水素化分解又は精製操作において一般的に見られる粒子混入流体のような高侵食性プロセス流体と共に使用するとき、部品の耐用年数を延ばすことができる。部品における層状構造の製造は、本明細書で企図される固有の溝付き構成上に様々な組成物及び厚さの材料の層を堆積させるために、付加製造技術の使用を必要とし得る。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流量制御装置のための部品であって、
本体と、
前記本体上に配設されたコーティングであって、前記本体に近接する最も内側の場所から前記コーティングの露出表面に向かって変化する濃度を有する材料を有する組成物を有する、コーティングと、を備える、部品。
【請求項2】
前記濃度が、前記最も内側の場所から前記露出表面に向かって増加する、請求項1に記載の部品。
【請求項3】
前記濃度が、前記最も内側の場所から前記露出表面に向かって減少する、請求項1に記載の部品。
【請求項4】
前記コーティングが、最も内側の層から最も外側の層に向かって前記濃度が減少する連続層を含む、請求項1に記載の部品。
【請求項5】
前記コーティングが、最も内側の層から最も外側の層に向かって前記濃度が増加する連続層を含む、請求項1に記載の部品。
【請求項6】
前記組成物が、炭化タングステン及びニッケル合金を含む、請求項1に記載の部品。
【請求項7】
前記材料が、炭化タングステンを含む、請求項1に記載の部品。
【請求項8】
前記本体が、溝付き構成を形成する長手方向溝を有する、請求項1に記載の部品。
【請求項9】
前記本体が、中心開口部を有する、請求項1に記載の部品。
【請求項10】
前記本体は、中心開口部が内部を通って配設された円筒を形成する、請求項1に記載の部品。
【請求項11】
バルブであって、
バルブ本体と、
コーティングが上部に配設された部品を備えるバルブトリムアセンブリであって、前記コーティングが、第1の層及び第2の層を含む、複数の層を有し、
前記第1の層及び前記第2の層が、それぞれ、第1の濃度及び第2の濃度の材料を有し、前記第1の濃度が、前記第2の濃度とは異なる、バルブトリムアセンブリと、を備える、バルブ。
【請求項12】
前記材料が、炭化タングステンである、請求項11に記載のバルブ。
【請求項13】
前記材料が、セラミックである、請求項11に記載のバルブ。
【請求項14】
前記部品が、バルブプラグである、請求項11に記載のバルブ。
【請求項15】
前記部品が、バルブケージである、請求項11に記載のバルブ。
【請求項16】
前記部品が、シートである、請求項11に記載のバルブ。
【請求項17】
キットであって、
コーティングが存在する表面を含む第1のバルブ部品を備え、前記コーティングが、複数の層を含み、各層が、炭化タングステンの組成物を有し、
前記炭化タングステンが、前記表面に近接する第1の場所から前記複数の層の上部の露出表面に向かって変化する濃度を有する、キット。
【請求項18】
前記炭化タングステンの濃度が、前記第1の場所と前記露出表面との間で増加する、請求項17に記載のキット。
【請求項19】
前記濃度が、前記第1の場所において、0%又は約0%から増加する、請求項17に記載のキット。
【請求項20】
前記第1のバルブ部品の前記表面と前記コーティングとの間に配設された緩衝層を更に含む、
請求項17に記載のキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2021年12月13日に出願された、米国特許出願第17/549,228号、表題「PROTECTING VALVE PARTS FROM EROSION」に関連し、2020年12月16日に出願された、フランス特許仮出願第2013376号、表題「LASER MELTING DEPOSITION FOR USE WITH VALVE PLUG」の利益を主張する。これらの出願の内容は、その全体が本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
流量制御装置は、多くの産業施設において大きな役割を果たす。例えば、発電プラント及び産業処理施設は、パイプ、タンク、発電機、及び他の機器の広大なネットワーク全体にわたって材料、典型的には流体の流量を管理するために、異なるタイプの流量制御装置を使用する。制御バルブは、プロセスパラメータを満たすように流量を正確に調整するのに有用である。これらのデバイスは、材料の流量、圧力、及び温度の制御を提供することができる。石油ガス業界において、オペレータは、水素化分解又は関連プロセスにおけるデブリ混入流体の流量を制御するために制御バルブを効果的に使う場合がある。
【0003】
これらのプロセスにおける流体は、高侵食性であることが知られている。材料は、流量中に直接見られるバルブの部品を急速に劣化させる場合がある。プロセス流体内でのコークス、石炭微粉、又は触媒などの混入固体の使用は、バルブ絞りを阻害し、総流量能力を低減させ、バルブを詰まらせる可能性があり得る。この複合流体の大きい圧力低減は、三相流(例えば、固体、液体、及び蒸気)が同時に共存する場合、気体放出を生成し得る。圧力低減及び結果として生じる流体膨張相変化は、流体内の固体粒子速度を増加させ得る。これらの粒子は、流路内の任意の表面を侵食する高強度「サンドブラスト」として作用し得る。プロセスパラメータは、典型的には、400℃の範囲内にある温度が、材料を更に侵食されやすくする傾向があるので、これらの粒子からの損傷を増大させ得る。
【0004】
他の要求されるプロセス条件も、同様に有効である。これらの条件は、振動、機械的循環(連続的な絞り)、及びバルブリフト位置を含む。熱サイクルは、交互の膨張及び収縮負荷をもたらし得る。異なる膨張率を有する基部材料及び硬化コーティング材料を有する部品に関して、熱サイクルは、コーティング又は「オーバーレイ」を破砕するか、剥がすか、又は基部から全体的に分離させ、基部を高侵食性の流れに曝露させる場合がある。
【発明の概要】
【0005】
本開示の主題は、腐食性又は侵食性の高い環境にさらされる部品の耐用年数を延ばすことができる改善に関する。特に、下にある部品又は構成要素を保護することができるコーティングが対象である。実施形態は、高侵食性作動流体の流量中に存在する表面上の1つ以上の層の材料を効果的に使い得る。一実現態様では、この「層状構造」を構成する材料は、例えば、部品の表面に近接する界面層と層状構造の最も外側の層又は表面との間で、濃度又は比が変化し得る。これらの変化は、コーティングと部品との間の結合を改善し得る。この特徴は、作動流体からの侵食、及び熱勾配又は熱膨張若しくは収縮の異なる係数に起因する亀裂(又は同様の異常の形成)のリスクを減少させることができる。
【0006】
コーティングされた部品は、制御バルブの部品として使用することができる。オペレータは、これらのコーティングされた部品が、それらの設備を横断する作動流体中の任意の混合粒子の硬度を上回る硬度レベルを呈することを要求し得る。これらの要件は、特定の材料の使用を妨げる場合がある。例えば、硬化マルテンサイトステンレス鋼は、水素化分解用途における作動流体に耐えるための耐食性を欠く。基部レベルのオーステナイト系ステンレス鋼は、必要な耐食性を有する、しかし、これらの材料は、水素化分解プロセスライン内に見られる流量制御装置中に見られる機械的負荷に対して本質的に柔らかすぎる。一方、インコネル又は固体炭化タングステンのような高性能合金又はセラミックは、腐食、硬度、又は強度の要件を満たすようである。しかし、これらのタイプの材料の多くは、水素化分解用途における作動流体の過酷さの下で耐えるには、脆すぎるか、又は他の鋼と同様に硬度が増加するにつれて脆くなりすぎる。この弱さは、非対称な機械的負荷の下での破損につながる場合があり、これは、作動流体中に混入した粒子又はデブリが可動部品の間に挟まれたときに発生し得る。更に、脆性材料は、多くの場合、振動に応答して故障する。これらの条件は、システムに沿った圧力降下と作動流体の高速流の方向における変化との組み合わせから高圧システムにおいて生じ得る。
【0007】
本明細書の実施形態はまた、所望の硬度を達成するために使用される従来のオーバーレイ技術よりも優れていることを証明し得る。これらのプロセスは、組成が均質であるコーティング又は「オーバーレイ」をバルブトリム上に適用し得る。このコーティングは、多くの場合、かなり薄く、例えば、約0.002インチ~約0.004インチの範囲内にある。この特徴は、カバーの小さいマージンを提供する。また、プロセスは、コーティング及び下にある基材の熱膨張を考慮することができない場合がある。この見落としは、流量制御装置又は同様のバルブデバイスの開始及び停止動作と一致する熱サイクルに応答して、オーバーレイコーティング内に亀裂をもたらし得る。相対的に浅いオーバーレイ内の表面亀裂は、コーティングの局所的損失を急速にもたらし、最終的には、使用中に基材を急速に劣化させる場合がある。残念ながら、部品が破局的な故障を受けるまで、オペレータは、典型的には、これらの問題のいずれの指標も有しない。
【図面の簡単な説明】
【0008】
ここで、添付図面を簡単に参照する。
図1】コーティングされた部品の例示的な実施形態の概略図を描写する。
図2】流量制御装置の一部としての図1のコーティングされた部品の一実施例の概略図を描写する。
図3図2のコーディングされた部品の一例の断面の立面図を描写する。
図4】付加製造プロセスにおける製造中の図1のコーティングされた部品の一例の斜視図を描写する。
【0009】
適用可能な場合、同様の参照文字は、他の指示がない限り、縮尺どおりではない、いくつかの図全体を通して同一又は対応する構成要素及びユニットを指定する。本明細書に開示される実施形態は、いくつかの図のうちの1つ以上に、又は複数の図の組み合わせで現れる要素を含み得る。その上、方法は単なる例示であり、例えば、個々の段階を順序換え、追加、除去、及び/又は変更することによって修正され得る。
【0010】
本明細書における図面及び任意の説明は、本発明を開示するために実施例を使用する。これらの実施例は、最良の形態を含み、当業者が、任意のデバイス又はシステムを作製及び使用することと、任意の組み込まれた方法を実行することと、を含む、本発明を実施することを可能にする。単数形で記載され、「a」又は「an」という語で進められた要素又は機能は、そのような排除が明示的に記載されていない限り、複数の当該要素又は機能を除外しないものとして理解されるべきである。「一実施形態」又は「一実現態様」への言及は、列挙された特徴も組み込む追加の実施形態又は実現態様の存在を除外するものとして解釈されるべきではない。
【発明を実施するための形態】
【0011】
ここで、上記図面に示される実施形態の特徴について考察する。これらの特徴は、炭化水素処理産業を含む、様々な産業に広がる材料の組み合わせ及び部品構成を含み、解決策を改善する。この産業は、炭化水素供給原料の商業的に価値のある生成物への変換を増加させるために、より高い圧力及び温度下で独自の触媒と共に水素を添加する、より新しいプロセスを有する。オペレータは、これらの操作特性を活用して、タンク底部からの残留物などの高粘性炭化水素及びより強靭な供給原料を精製して、低硫黄中間蒸留物などのより高収率の精製最終生成物にすることができる。最終生成物は、高品質生成物の製造に使用するために相対的に高い市場価値を有するため、この有利な生産量は、コスト比を改善する。しかしながら、これらの新しいプロセスは、生成物を改善しながら、部品及び他の構成要素が、適切な耐用年数を享受することに対して非常に困難な環境を作り出す。本明細書の実施形態は、新規のコーティング及び製造手法によって、この問題に対処する。他の実施形態は、本考察の範囲内である。
【0012】
図1は、とりわけ、炭化水素産業において使用するためのコーティングされた部品100の一例の断面の概略図を描写する。本例は、露出表面104を有する基部102(また「基材」)を含む。コーティング106は、露出表面104上に存在し得る。コーティング106は、ここで第1の層110、第2の層112、及び最終又は「上部」層114として示される、1つ以上の材料層を有する層状構造108を有し得る。バッファ層Bは、第1の層110と露出表面104との間に介在し得る。
【0013】
概して、コーティングされた部品100は、侵食及び腐食に耐えるように構成され得る。これらの構成は、制御バルブのような流量制御装置内で用いられる部品を具体化することができる。これらの部品の従来の構成は、デブリ混入作動流体を使用する用途において急速に摩耗する場合がある。一方、コーティングされた部品100の使用は、部品が、プロセスライン上での壊滅的な故障及び計画されていない(かつ費用のかかる)停止につながり得る損傷を防止するので、摩耗を遅くするか、又は更には停止させて、耐用年数を延ばすことができる。その結果、オペレータは、これらの環境にさらされる部品を交換するためにほぼ一定の保守を受けるための実質的な労働コスト及び材料コストを別様に課し得る、侵食性の流量と一致する流量制御装置の動作寿命の短縮を回避することができる。
【0014】
基部102は、制御バルブの一部として構成され得る。これらの構成は、集合的に、又は個々に「バルブトリム」、「バルブトリムアセンブリ」、又は「トリムキット」と称される、閉鎖部材、シート、ケージなどを具体化し得る。これらの部品は、例えば、材料の単一の構成要素から機械加工されるか、又は製作され得る。この構成は、全体にわたって均質又はほぼ均質である材料組成をもたらす。露出表面104は、任意の特定の幾何学的形状をとることができる。シート又はケージは、例えば、作動流体が通過するため保護の恩恵を受ける内側表面を備えた中央開口部を有し得る。他方、閉鎖部材は、ケージの開口部内に存在するプラグ状のシリンダ又はディスクを具体化し得る。このデバイスは、例えば、シートに接触して、作動流体の流れを停止させるために、シートに対して移動し得る。インコネルは、絞りを支持する傾向があり、熱膨張が(ケージを含む)バルブトリムの他の部品を構成することが多い材料と一致するので、多くの用途においてバルブトリムに関する一般的な選択肢である。しかしながら、これらの部品のための他の材料が、本開示内で企図される。
【0015】
コーティング106は、バルブトリムの下層材料と結合するように構成され得る。これらの構成は、耐侵食性を向上させるための構造を有し得る。この構造は、金属及びセラミックを含み得、一実現態様では、構造は、炭化タングステン、ニッケル合金、ステンレス鋼、若しくは他の材料、又はこれらの組み合わせを含み得る。これらの材料の多くは、粉末又は同様の供給原料として開始し得、これらは、生成金属生成(generative metal producing)技術又は「付加」製造プロセスに使用される。これらのプロセスは、複雑な幾何学形状(例えば、表面104の特徴を規定し得る)上に材料を構築するか又は層形成するために有用である。一実現態様では、付加プロセスは、例えば、コーティング106の構造の各層が異なる特性を呈すること、異なる材料組成を有すること、又は共に混合された材料の異なる比を有することを行わせる、コーティング構造の「段階的」層化をもたらし得る。
【0016】
層状構造108は、この段階的層化手法を用いて構成され得る。これらの構成は、層110、112、114の間で変化する組成を有し得る。一実現態様では、濃度は、底部層110から上部層114まで、いくつかの場合では、それらの間に見られる各連続層を通して、(増加するか、又は減少し得る)勾配を呈し得る。この勾配は、炭化タングステン又は他の材料の濃度における増加を定義し得る。例えば、底部層110は、第1の濃度の炭化タングステンを有し得、好ましくは、基材102又は適用可能な場合、バッファ層Bとの初期冶金接合を確実にする濃度である。バッファ層Bは、基材102における鉄の包含を防止する高ニッケル合金のような材料を含み得る。中間層112は、底部層110の第1の濃度よりも高い第2の濃度の炭化タングステンを有し得る。上部層114は、全ての以前の層(例えば、層110、112)の濃度を超える第3の濃度を有し得る。この手法は、本明細書において企図されるように、露出した上部層114において十分に高い密度の炭化タングステン(又は他の材料)をもたらして、基材102の侵食を防止し得る。一実現態様では、手法は、例えば、10倍著しく深く、0.040インチの、高侵食性材料と接触する用途に関連して発生する侵食に耐えるのに必要な耐摩耗性の外部層を有する高濃度炭化タングステンコーティングを作り出し得る。
【0017】
図2は、図1のコーティングされた部品100の一実施例の斜視図を描写する。この実施例は、典型的には、導管120のネットワーク全体に材料118を搬送するように設計された分配ネットワーク116で見られる。これらの設計は、気体、液体、固体(又はそれらの混合物)であろうとなかろうと、プロセス又は作動流体を移動させるために、ポンプ、ボイラなどに接続し得るパイプ又はパイプラインの広大なインフラストラクチャを具体化することができる。コーティングされた部品100は、これらの複雑なネットワークを通る作動流体の流量を調整することができる流量制御装置122の一部であり得る。このデバイスは、鋳造又は機械加工された金属で作製されることが多いバルブ本体124を有し得る。この構造は、開口部I、Oにフランジを形成し得る。隣接するパイプ120は、材料118がバルブ本体124を通って流れることを可能にするように、これらのフランジに接続し得る。アクチュエータ126は、バルブ本体124に接続し得る。アクチュエータ126は、空気圧又は油圧を使用して、デバイスの部品の動きを制御し得る。示されるように、これらの部品は、材料118の流量を調整するバルブトリム128を具体化し得る。一実現形態では、バルブトリム128は、ケージ130及びシート132を含み得る。プラグ134はまた、アクチュエータ126と関連して示される。
【0018】
プラグ134は、アクチュエータ126への頑丈な従来のステム接続を受け入れることができる単一の構成要素又は単体構造を有し得る。この一体構造は、高い強度、高い信頼性、及び単純さを共にもたらす。それはまた、高侵食性環境において、インコネル又は高強度鋼のような脆性材料の使用を補償するように意図された他の構成よりも良好に機能し得る。これらの他の構成は、それらの間に機械的接続を有する複数の構成要素からプラグを形成し得る。構成要素は、互いに異なる材料を使用し得る。この特徴は、特定の材料を、作動流体に耐えるのに最も適した領域内に「設置する」か、又は位置付けることを可能にする。しかしながら、集合体状で複数の構成要素を使用することは、プラグの製造を複雑にし、特定の公差内でプラグの同心性を管理することを困難にする場合がある。更に、これらの複数の構成要素は、荷重下で偏向する場合があり、これにより、特定の「案内表面」が中心から逸脱するので、プラグが詰まり、急速に破損する場合がある。複数の構成要素又は部品を有するプラグ構成はまた、現場で維持することが困難であり、長い耐用年数を提供することはめったにない。機械的接続は、複数の構成要素が多くの用途と一致する重い振動負荷の下で緩む場合があるので、プラグが流量又は圧力制御を管理することを不可能にし得る。
【0019】
図3は、図2の流量制御装置122のための構造の一部として、図2のプラグ134の一例を有する斜視図を描写し、部分断面図で示される。プラグ134は、その周囲に溝138が配設された本体136を含み得る。溝138は、本体136の長さの全部又は一部に沿って延在し得る。一実現態様では、溝138は、好ましくは、テーパ領域140において低減して、変化し得る深さを有し、ここで溝138の深さは、勾配表面又は傾斜表面142を形成するように徐々に分散するか又は減少する。この「溝付き」構成は、溝138が流入する作動流体の高速流量を個々の流れに分離するため有用である。この特徴は、流入する流量の総流体エネルギーを複数の流量の流れにわたって等しく分散させる。追加の利点として溝付き構成は、流量制御装置122におけるトリム安定性を維持するのに役立つ加圧負荷をもたらす。
【0020】
溝付き構成は、侵食力を低減させる手段として、流入する作動流体の流量のエネルギーを分散させる。しかしながら、これらの構成は、プラグの長さに沿って圧力を低減することを意味する単一又は複数の「段」を有する構成よりも有用であることを証明し得る。多段構成は、高速プロセス流体「ジェット」が、任意の露出表面に対して衝突する際に、実際に損傷を増加させる場合がある流量の方向を急激に変化させるための構造を使用する。段はまた、プロセス流体が高温で高い圧力降下を受ける際、キャビテーションを誘発し、更なる損傷につながる場合がある。一方、単段構成は、多くの場合、バルブ入口からトリム開口部に流入するプロセス流体を均衡させるのに十分な流量幾何学形状を有していない。結果として生じる不均衡な流体供給は、プラグ134を振動させ得、これはまた、損傷につながる場合があり、下にあるプロセスに悪影響を及ぼす場合がある。
【0021】
図4は、図3のプラグ134上に層状構造108(図1)を堆積させるための例示的な装置の図を描写する。この装置は、付加製造プロセスを容易にし得る。本技術は、異なる比の第2の材料と組み合わせた炭化タングステンニッケルマトリックスの層ごとの段階的な構築を可能にする、DED DMG Mori Hybrid機械のようなデジタル駆動CNC機械を利用し得る。ホウ素又はケイ素をニッケル合金に添加することはまた、融点を低下させて、炭化タングステン材料の熱効果なしで堆積プロセスを容易にするように作用し得る。機械は、レーザ集束エネルギーを提供して、粉末金属を本体136の特有の幾何学形状に融合させ得る。それはまた、重要な基材及び硬化したトップコート材料の両方を層状にする固有の材料マトリックス又は構造をもたらし、熱サイクル下で分離しない冶金結合を作り出すことができる。層構造108は、重要な、インコネル基材及び硬化トップコート材料の両方を含み得る。プロセスはまた、熱サイクル下で分離しない層間の冶金結合を形成する。一実現態様では、プロセスは、冶金形状又は複雑な溝付き幾何学形状のいずれかを犠牲にすることなく、プラグ134の外部表面上に炭化タングステン硬質コーティング(又は「表面仕上げ」)を適用する。
【0022】
炭化タングステンは、その硬度のために広く所望される。しかしながら、その脆性性質は、それをいくつかの用途、特に優れたコア強度及び延性を必要とする用途に使用不可又は不適切なものにする。提案された方法は、材料を、(本体136における)インコネルから、作動流体と相互作用する層構造108(図1)の最も外側の層又は表面における特定の濃度の炭化タングステンに遷移させることができる。一実現態様では、プロセスは、炭化タングステンをニッケルマトリックス中に埋め込んで、炭化タングステンを本体136上に溶融する負の特性を緩和することができる。付加プロセスは、プラグ134の複雑な溝付き幾何形状の上に一貫して所定の厚さを正確にオーバーレイするために、二元合金(例えば、炭化タングステン及びニッケル合金)を堆積させることができる。この多層段階付けプロセスは、2つの材料の異なる特性を管理するのに役立つ。
【0023】
上記を考慮すると、本明細書における改善は、過酷で侵食性のプロセス流体にさらされるバルブ及び流量制御装置を有するオペレータに利益をもたらすことができる。これらの改善は、例えば、約0.040インチ層の深さを有する、段階的及び溶融炭化タングステン/インコネル合金の層を含み得る。この層は、特に、用途の材料及び深さの損失を考慮するとき、高速酸素燃料コーティング(high velocity oxygen fuel、「HVOF」)、高速空気燃料コーティング(high velocity air fuel、「HVAF」)、及びスプレー及び溶融金属被覆を含む、他の広く使用されている炭化タングステン表面コーティングと同等以上に機能することが証明された。この層は、(工業規格ASTM G76侵食試験方法を使用して試験された際)他の従来のコーティングプロセスよりも優れている。HVOF及びHVAFからの質の劣るコーティングはまた、剥がれるか、又は破砕し、特に、これらの用途において日常的に遭遇する400℃の動作温度で、保護されていない基材の最終的な曝露につながる。これらの実施形態はまた、(従来のオーバーレイプロセスによって形成された層と比較して)伝播しなかった熱サイクル下の表面亀裂を示す。同様に、表面亀裂試料は、亀裂のない試験片(ASTM G76侵食試験方法にさらされる際)と比較するとき、材料の更なる損失がない、良好な衝撃を有することが見出された。
【0024】
特定の要素又は項目(それらのうちの1つ以上を他の要素及び項目と組み合わせ得る)実施例が以下に現れ、本開示の範囲及び趣旨内で想到される実施形態を説明する。この範囲は、当業者に着想される他の実施例を含み、かつ想到し得る。このような他の実施例は、それらが特許請求の範囲の文字どおりの文言と異ならない構造的要素を有する場合、又は、特許請求の範囲の文字どおりの文言とほとんど相違がない同等の構造的要素を有する場合、特許請求の範囲の範囲内にあると意図される。
図1
図2
図3
図4
【手続補正書】
【提出日】2023-06-22
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流量制御装置のための部品であって、
本体と、
前記本体上に配設されたコーティングであって、前記本体に近接する最も内側の場所から前記コーティングの露出表面に向かって変化する濃度を有する材料を有する組成物を有する、コーティングと、を備え
前記組成物が、付加製造プロセスを用いて前記本体上に堆積したニッケル合金を含む、部品。
【請求項2】
前記濃度が、前記最も内側の場所から前記露出表面に向かって増加する、請求項1に記載の部品。
【請求項3】
前記濃度が、前記最も内側の場所から前記露出表面に向かって減少する、請求項1に記載の部品。
【請求項4】
前記コーティングが、最も内側の層から最も外側の層に向かって前記濃度が減少する連続層を含む、請求項1に記載の部品。
【請求項5】
前記コーティングが、最も内側の層から最も外側の層に向かって前記濃度が増加する連続層を含む、請求項1に記載の部品。
【請求項6】
前記材料が、前記ニッケル合金に埋め込まれた炭化タングステンを含む、請求項1に記載の部品。
【請求項7】
前記本体が、溝付き構成を形成する長手方向溝を有する、請求項1に記載の部品。
【請求項8】
前記本体が、中心開口部を有する、請求項1に記載の部品。
【請求項9】
前記本体は、中心開口部が内部を通って配設された円筒を形成する、請求項1に記載の部品。
【請求項10】
バルブであって、
バルブ本体と、
コーティングが上部に配設された部品を備えるバルブトリムアセンブリであって、前記コーティングが、付加製造プロセスを用いて前記部品上に堆積したニッケル合金を備える第1の層及び第2の層を含む、複数の層を有する、バルブトリムアセンブリと、を備え、
前記第1の層及び前記第2の層が、それぞれ、第1の濃度及び第2の濃度で前記ニッケル合金に埋め込まれた第1の材料を有し、
前記第1の濃度が、前記第2の濃度とは異なるバルブ。
【請求項11】
前記第1の材料が、炭化タングステンである、請求項11に記載のバルブ。
【請求項12】
前記第1の材料が、セラミックである、請求項11に記載のバルブ。
【請求項13】
前記部品が、バルブプラグである、請求項11に記載のバルブ。
【請求項14】
前記部品が、バルブケージである、請求項11に記載のバルブ。
【請求項15】
前記部品が、シートである、請求項11に記載のバルブ。
【請求項16】
前記前記第1の層及び前記第2の層が、前記ニッケル合金に埋め込まれ、ホウ素又はケイ素から選択される第2の材料を有する、請求項11に記載のバルブ。
【請求項17】
キットであって、
コーティングが存在する表面を含む第1のバルブ部品を備え、前記コーティングが、複数の層を含み、少なくとも1つの層が、付加製造プロセスを用いて堆積したニッケル合金に埋め込まれた炭化タングステンの組成物を有し、
前記炭化タングステンが、前記表面に近接する第1の場所から前記複数の層の上部の露出表面に向かって変化する濃度を有する、キット。
【請求項18】
前記炭化タングステンの濃度が、前記第1の場所と前記露出表面との間で増加する、請求項17に記載のキット。
【請求項19】
前記濃度が、前記第1の場所において、0%又は約0%から増加する、請求項17に記載のキット。
【請求項20】
前記第1のバルブ部品の前記表面と前記コーティングとの間に配設された緩衝層を更に含む、
請求項17に記載のキット。
【国際調査報告】