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  • 特表-電磁鋼板積層体およびその製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-14
(54)【発明の名称】電磁鋼板積層体およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   B32B 15/08 20060101AFI20240206BHJP
   C21D 9/46 20060101ALI20240206BHJP
   C23C 26/00 20060101ALI20240206BHJP
   B05D 7/00 20060101ALI20240206BHJP
   B05D 7/14 20060101ALI20240206BHJP
   B05D 7/24 20060101ALI20240206BHJP
   B05D 3/12 20060101ALI20240206BHJP
   B32B 15/18 20060101ALI20240206BHJP
   H01F 27/245 20060101ALN20240206BHJP
【FI】
B32B15/08 K
C21D9/46 501Z
C23C26/00 A
B05D7/00 K
B05D7/14 H
B05D7/24 303A
B05D7/24 303E
B05D3/12 C
B32B15/18
H01F27/245
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023537562
(86)(22)【出願日】2021-12-17
(85)【翻訳文提出日】2023-08-18
(86)【国際出願番号】 KR2021019337
(87)【国際公開番号】W WO2022139358
(87)【国際公開日】2022-06-30
(31)【優先権主張番号】10-2020-0180113
(32)【優先日】2020-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522492576
【氏名又は名称】ポスコ カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000051
【氏名又は名称】弁理士法人共生国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】キム, ジョンウ
(72)【発明者】
【氏名】ハ, ボンウ
(72)【発明者】
【氏名】イ, ドンギュ
(72)【発明者】
【氏名】ノ, テヨン
(72)【発明者】
【氏名】パク, ギョンリョル
【テーマコード(参考)】
4D075
4F100
4K033
4K044
【Fターム(参考)】
4D075AA01
4D075BB05Z
4D075BB21Z
4D075BB91Z
4D075BB93Z
4D075CA13
4D075CA47
4D075CA48
4D075DA06
4D075DB03
4D075DC16
4D075EA05
4D075EA35
4D075EB32
4D075EB38
4D075EB39
4D075EB45
4D075EB56
4D075EC07
4D075EC30
4D075EC45
4D075EC51
4D075EC54
4F100AB03A
4F100AH03C
4F100AK51C
4F100AK53B
4F100BA03
4F100BA07
4F100CB00B
4F100DE01B
4F100EH46B
4F100EH46C
4F100EH61C
4F100EJ17
4F100EJ42C
4F100EJ67C
4F100EJ86C
4F100GB51
4K033RA02
4K033RA03
4K044AA02
4K044AB02
4K044BA21
4K044BB01
4K044BC14
4K044CA53
(57)【要約】
【課題】接着コーティング層が形成された電磁鋼板を用いて製造された電磁鋼板積層体の接着特性が向上する製造方法を提供し、ボンディング製品を金型によって打抜く前に、鋼板表面に融着促進剤を塗布して金型内または金型外で加圧および加熱を最小化してボンディングコアの製造生産性を向上させる。
【解決手段】本発明は、接着層を含む電磁鋼板ストリップを用意する段階、前記ストリップにシランカップリング剤と硬化剤および溶媒を含む融着促進剤を塗布する段階、前記ストリップから金属部品を製造する段階、および前記金属部品を積層して加圧接着する段階を含むことを特徴とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
接着層を含む電磁鋼板ストリップを用意する段階、
前記ストリップにシランカップリング剤と硬化剤および溶媒を含む融着促進剤を塗布する段階、
前記ストリップから金属部品を製造する段階、および
前記金属部品を積層して加圧接着する段階を含むものである、ことを特徴とする電磁鋼板積層体の製造方法。
【請求項2】
前記融着促進剤中の溶媒は、非極性溶媒であって、
前記非極性溶媒の溶解度ポラリティインデックスが3以上10以下であるアルコール系溶媒、エーテル系溶媒およびケトン系溶媒からなる群より選択された1種以上である、ことを特徴とする請求項1に記載の電磁鋼板積層体の製造方法。
【請求項3】
前記融着促進剤中の溶媒は、沸点(boiling point)が50~200℃である、ことを特徴とする請求項1に記載の電磁鋼板積層体の製造方法。
【請求項4】
前記融着促進剤中の溶媒は、iso-ブタノール、N-ブタノール、tert-ブタノール、ブチルエトキシエタノール、2-(2-メトキシエトキシ)エタノール、2-(2-エトキシエトキシ)エタノール、2-(2-プロポキシエトキシ)エタノール、2-(2-ブトキシエトキシ)エタノール、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、イソホロン、シクロヘキサノン、およびアセトンからなる群より選択された1種以上である、ことを特徴とする請求項1に記載の電磁鋼板積層体の製造方法。
【請求項5】
前記融着促進剤中のシランカップリング剤は、エポキシ系シラン、ビニル系シラン、およびアミノ系シランからなる群より選択された1種以上である、ことを特徴とする請求項1に記載の電磁鋼板積層体の製造方法。
【請求項6】
前記融着促進剤中の硬化剤は、ポリカルボジイミド(Polycarbodiimide)、アジリジン(Aziridine)、シクロ脂肪族アミン(Cycloaliphatic amine)、ポリイソシアネート(Polyisocyanate)、メラミン(Melamine)、および芳香族アミン(Aromatic amine)からなる群より選択された1種以上である、ことを特徴とする請求項1に記載の電磁鋼板積層体の製造方法。
【請求項7】
前記融着促進剤は、融着促進剤の全体重量に対して、溶媒79~99重量%、シランカップリング剤0.01~10重量%、硬化剤0.1~20重量%を含むものである、ことを特徴とする請求項1に記載の電磁鋼板積層体の製造方法。
【請求項8】
前記ストリップにシランカップリング剤と硬化剤および溶媒を含む融着促進剤を塗布する段階は、
前記ストリップに前記融着促進剤を噴射する段階、および
前記融着促進剤の噴射後に乾燥する段階を含むものである、ことを特徴とする請求項1に記載の電磁鋼板積層体の製造方法。
【請求項9】
前記融着促進剤の噴射後に乾燥する段階は、
乾燥温度が50℃以下である、ことを特徴とする請求項8に記載の電磁鋼板積層体の製造方法。
【請求項10】
前記金属部品を積層して加圧接着する段階は、
前記金属部品を金型内に積層する段階、
前記積層された金属部品を加圧して加熱して接着する段階を含む、ことを特徴とする請求項1に記載の電磁鋼板積層体の製造方法。
【請求項11】
前記積層された金属部品を加圧して加熱して接着する段階で、
加熱温度が120℃以下である、ことを特徴とする請求項10に記載の電磁鋼板積層体の製造方法。
【請求項12】
電磁鋼板ストリップが積層されており、
積層面に融着促進剤を含み、
前記融着促進剤は、シランカップリング剤および硬化剤を含む、ことを特徴とする電磁鋼板積層体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電磁鋼板積層体の製造方法に関する。より具体的には、ボンディング層が形成された電磁鋼板を用いた電磁鋼板積層体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
無方向性電磁鋼板は、圧延板上のすべての方向に磁気的特性が均一な鋼板であり、モータ、発電機の鉄心、電動機、小型変圧器などに幅広く用いられている。
電磁鋼板は、打抜加工後、磁気的特性の向上のために応力除去焼鈍(SRA)を実施しなければならないことと、応力除去焼鈍による磁気的特性効果より熱処理による経費損失が大きい場合、応力除去焼鈍を省略することと、の2つの形態に区分される。
【0003】
絶縁被膜は、モータ、発電機の鉄心、電動機、小型変圧器など積層体の仕上げ製造工程でコーティングされる被膜であって、通常、渦電流の発生を抑制させる電気的特性が要求される。その他にも、連続打抜加工性、耐粘着性および表面密着性などが要求される。連続打抜加工性とは、所定の形状に打抜加工後、多数を積層して鉄心にする時、金型の摩耗を抑制する能力を意味する。耐粘着性とは、鋼板の加工応力を除去して磁気的特性を回復させる応力除去焼鈍過程後、鉄心鋼板間の密着しない能力を意味する。
【0004】
このような基本的な特性以外に、コーティング溶液の優れた塗布作業性と配合後に長時間使用可能な溶液安定性なども要求される。このような絶縁被膜は、溶接、クランピング、インターロッキングなど別途の締結方法を使用してこそ、電磁鋼板積層体に製造可能である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、電磁鋼板を用いて電磁鋼板積層体を製造する方法を提供しようとする。具体的には、本発明は、接着コーティング層が形成された電磁鋼板を用いて製造された電磁鋼板積層体の接着特性が向上する製造方法を提供しようとする。
本発明は、ボンディング製品を金型によって打抜く前に、鋼板表面に融着促進剤を塗布して金型内または金型外で加圧および加熱を最小化してボンディングコアの製造生産性を向上させようとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施形態による電磁鋼板積層体の製造方法は、接着層を含む電磁鋼板ストリップを用意する段階、前記ストリップにシランカップリング剤と硬化剤および溶媒を含む融着促進剤を塗布する段階、前記ストリップから金属部品を製造する段階、および前記金属部品を積層して加圧接着する段階を含む。
【0007】
前記融着促進剤中の溶媒は、非極性溶媒であって、前記非極性溶媒の溶解度ポラリティインデックスが3以上10以下であるアルコール系溶媒、エーテル系溶媒およびケトン系溶媒からなる群より選択された1種以上である。
【0008】
前記融着促進剤中の溶媒は、沸点(boiling point)が50~200℃である。
【0009】
前記融着促進剤中の溶媒は、iso-ブタノール、N-ブタノール、tert-ブタノール、ブチルエトキシエタノール、2-(2-メトキシエトキシ)エタノール、2-(2-エトキシエトキシ)エタノール、2-(2-プロポキシエトキシ)エタノール、2-(2-ブトキシエトキシ)エタノール、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、イソホロン、シクロヘキサノン、およびアセトンからなる群より選択された1種以上である。
【0010】
前記融着促進剤中のシランカップリング剤は、エポキシ系シラン、ビニル系シラン、およびアミノ系シランからなる群より選択された1種以上である。
前記融着促進剤中の硬化剤は、ポリカルボジイミド(Polycarbodiimide)、アジリジン(Aziridine)、シクロ脂肪族アミン(Cycloaliphatic amine)、ポリイソシアネート(Polyisocyanate)、メラミン(Melamine)、および芳香族アミン(Aromatic amine)からなる群より選択された1種以上である。
【0011】
前記融着促進剤は、融着促進剤の全体重量に対して、溶媒79~99重量%、シランカップリング剤0.01~10重量%、硬化剤0.1~20重量%を含むものである。
【0012】
前記ストリップにシランカップリング剤と硬化剤および溶媒を含む融着促進剤を塗布する段階は、前記ストリップに融着促進剤を噴射する段階、および融着促進剤の噴射後に乾燥する段階を含むものである。
【0013】
前記融着促進剤の噴射後に乾燥する段階は、乾燥温度が50℃以下である。
前記金属部品を積層して加圧接着する段階は、前記金属部品を金型内に積層する段階、前記積層された金属部品を加圧して加熱して接着する段階を含む。
前記積層された金属部品を加圧して加熱して接着する段階で、加熱温度が120℃以下である。
【0014】
本発明の一実施形態による電磁鋼板積層体は、電磁鋼板ストリップが積層されており、積層面に融着促進剤を含み、前記融着促進剤は、シランカップリング剤および硬化剤を含む。
【発明の効果】
【0015】
本発明の一実施形態の製造方法によれば、接着特性が向上した電磁鋼板積層体を得ることができる。
また、本発明の一実施形態の製造方法によれば、低温で融着しても優れた接着特性を示す電磁鋼板積層体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の一実施形態の融着促進剤を塗布する電磁鋼板積層体の製造方法の模式図である。
図2】本発明の一実施形態で使用される非極性溶媒のポラリティインデックスの基準となる表を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
第1、第2および第3などの用語は、多様な部分、成分、領域、層および/またはセクションを説明するために使われるが、これらに限定されない。これらの用語は、ある部分、成分、領域、層またはセクションを他の部分、成分、領域、層またはセクションと区別するためにのみ使われる。したがって、以下に述べる第1部分、成分、領域、層またはセクションは、本発明の範囲を逸脱しない範囲内で第2部分、成分、領域、層またはセクションと言及されてもよい。
【0018】
ここで使われる専門用語は単に特定の実施例を言及するためのものであり、本発明を限定することを意図しない。ここで使われる単数形態は、文言がこれと明確に反対の意味を示さない限り、複数形態も含む。明細書で使われる「含む」の意味は、特定の特性、領域、整数、段階、動作、要素および/または成分を具体化し、他の特性、領域、整数、段階、動作、要素および/または成分の存在や付加を除外させるわけではない。
【0019】
ある部分が他の部分の「上に」あると言及した場合、これは直に他の部分の上にあったり、その間に他の部分が伴う。対照的に、ある部分が他の部分の「真上に」あると言及した場合、その間に他の部分が介在しない。
【0020】
他に定義しないが、ここで使われる技術用語および科学用語を含むすべての用語は、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者が一般に理解する意味と同じ意味を有する。通常使用される辞書に定義された用語は、関連技術文献と現在開示された内容に符合する意味を有すると追加解釈され、定義されない限り、理想的または非常に公式的な意味で解釈されない。
【0021】
以下、添付した図面を参照して、本発明の実施例について、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に実施できるように詳細に説明する。しかし、本発明は種々の異なる形態で実現可能であり、ここで説明する実施例に限定されない。
【0022】
以下、本発明のボンディング鋼板は、2つ以上の電磁鋼板を積層してその面を接着させることができる鋼板で、その用途に対して特に制限しないが、例えば、セルフボンディング用ボンディング鋼板であってもよい。
【0023】
本発明の一実施形態の電磁鋼板積層体の製造方法は、接着層を含む電磁鋼板ストリップを用意する段階、前記ストリップにシランカップリング剤と硬化剤および溶媒を含む融着促進剤を塗布する段階、前記ストリップから金属部品を製造する段階、および前記金属部品を積層して加圧接着する段階を含むことができる。
【0024】
前記融着促進剤中の溶媒は、非極性溶媒であって、前記非極性溶媒は、アルコール系溶媒、エーテル系溶媒およびケトン系溶媒からなる群より選択された1種以上であってもよい。
前記融着促進剤中の溶媒は、ポラリティインデックス(polarity index)は、3以上10以下であってもよい。
【0025】
本発明のポラリティインデックスは、スナイダーの論文に基づく(Snyder’s paper was published in Journal of Chromatography A,Volume92,Issue2,22May1974,Pages223-230)。
【0026】
前記融着促進剤中の溶媒は、沸点(boiling point)が50~250℃であってもよい。
前記融着促進剤中の溶媒は、iso-ブタノール、N-ブタノール、tert-ブタノール、ブチルエトキシエタノール、2-(2-メトキシエトキシ)エタノール、2-(2-エトキシエトキシ)エタノール、2-(2-プロポキシエトキシ)エタノール、2-(2-ブトキシエトキシ)エタノール、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、イソホロン、シクロヘキサノン、およびアセトンからなる群より選択された1種以上であってもよい。
【0027】
前記融着促進剤中のシランカップリング剤は、エポキシ系シランカップリング剤、ビニル系シランカップリング剤、およびアミノ系シランカップリング剤からなる群より選択された1種以上であってもよい。
【0028】
前記エポキシ系シランカップリング剤は、3-Glycidoxypropyl trimethoxysilane、2-(3,4epoxycyclohexyl)ethyltrimethoxysilane、3-Glycidoxypropyl methyldimethoxysilane、3-Glycidoxypropyl methyldiethoxysilane、3-Glycidoxypropyl triethoxysilane、ビニル系シランカップリング剤は、Vinyltrimethoxysilane、Vinyltriethoxysilane、アミノ系シランカップリング剤は、3-Aminopropyltriethoxysilane、3-Aminopropyltriethoxysilane、3-Triethoxysilyl-N-(1,3dimethyl-butylidene)propylamine、N-2-(Aminoethyl)-3-aminopropyl methyldimethoxysilane、N-2-(Aminoethyl)-3-aminopropyl trimethoxysilaneであってもよい。
【0029】
前記融着促進剤中の硬化剤は、ポリカルボジイミド(Polycarbodiimide)、アジリジン(Aziridine)、シクロ脂肪族アミン(Cycloaliphatic amine)、ポリイソシアネート(Polyisocyanate)、メラミン(Melamine)、および芳香族アミン(Aromatic amine)からなる群より選択された1種以上であってもよい。
【0030】
前記融着促進剤は、融着促進剤の全体重量に対して、溶媒79~99重量%、シランカップリング剤0.01~10重量%、硬化剤0.1~20重量%を含むものであってもよい。
【0031】
前記ストリップにシランカップリング剤と硬化剤および溶媒を含む融着促進剤を塗布する段階、は、前記ストリップに融着促進剤を噴射する段階、および融着促進剤の噴射後に乾燥する段階を含むことができる。
前記融着促進剤の噴射後に乾燥する段階は、乾燥温度が50℃以下であってもよい。
【0032】
前記金属部品を積層して加圧接着する段階は、前記金属部品を金型内に積層する段階、前記積層された金属部品を加圧して加熱して接着する段階を含むことができる。
前記積層された金属部品を加圧して加熱して接着する段階で、加熱温度が120℃以下であってもよい。
【0033】
既存のボンディング鋼板を用いてボンディングコア製品を製造する方法は、金型を用いて枚葉でコアを打抜いて積層し、高温高圧条件で熱融着する段階を含んでいた。この時、打抜く前に、ボンディング鋼板表面に前述した本発明の一実施形態の融着促進剤を塗布すると、既存の方法に比べて低い温度および低い圧力でボンディングコアを生産可能で、ボンディングコア製造の生産性および経済性が画期的に向上できる。
【0034】
本発明の一実施形態による方法によれば、電磁鋼板ストリップが積層されており、積層面に融着促進剤を含み、前記融着促進剤は、シランカップリング剤および硬化剤を含むことで、剪断接着強度(Shear Strength)および高温接着強度に優れた電磁鋼板積層体を提供することができる。
【0035】
前記積層体に適用される融着促進剤の詳細な説明は、前記製造方法の説明に代える。
以下、本発明の好ましい実施例および比較例を記載する。しかし、下記の実施例は本発明の好ましい一実施例に過ぎず、本発明が下記の実施例に限定されるものではない。
【0036】
実施例
本発明による融着促進剤の添加の有無による効果を比較するために実験を進行させた。
【0037】
接着コーティング層が備えられた電磁鋼板試験片
無方向性電磁鋼板(100×25mm、0.35mmt)を用意した。エポキシ樹脂と無機物ナノ粒子とから構成された接着コーティング溶液を、Bar CoaterおよびRoll Coaterを用いて各用意された電磁鋼板試験片の一面または両面に約3.0μm塗布して、板温基準200~250℃で20秒間硬化した後、空気中でゆっくり冷却させて、接着コーティング層が形成された試験片を用意した。
【0038】
製造例
本発明による融着促進剤として、下記表1のような組成を有する融着促進剤を用意した。前記電磁鋼板の接着コーティング層上に融着促進剤をSprayまたは布切れによって全体表面に微小量塗布した。以後、融着促進剤が塗布された接着コーティング層が備えられた電磁鋼板試験片をボンディング層の塗布された面同士で互いに重ねて積層した後、50~1000Kgfの力で加圧して、温度50~150℃で、0.1~10分間熱融着した。
【0039】
【表1】
【0040】
**Butyl cellosolve:ブチルエトキシエタノール(Butyl ethoxy ethanol)の熱融着後、熱融着温度別の剪断力(shear strength)、高温引張強度を測定して、下記表3に作成した。
【0041】
**shear strength測定法:万能材料試験機(Universal Testing Systems)を用いて測定した値とした。試験片2枚を用意して、試験片の両端部12.5mmを重ねた後、一定の条件下で融着した後、ISO4587規格により測定した値である。
【0042】
**高温接着強度測定法:高温接着強度は万能材料試験機(Universal Testing Systems)を用いて測定した値とした。試験片2枚を用意して、試験片の両端部12.5mmを重ねて熱融着して剪断接着強度測定用Sampleを用意した後、用意されたSampleを150℃以上で1分間維持後、ISO4587規格により測定した値である。
【0043】
比較例1
比較例1は、促進剤を適用しない場合で、接着コーティング層が備えられた試験片をボンディング層の塗布された面同士で互いに重ねて積層した後、50Kgfの力で加圧して温度別に1分間熱融着した。
【0044】
比較例2
比較例2は、polarity indexが低いSolventのToluene、Xyleneをそれぞれ50:50で製造した促進剤を製造して、用意された試験片表面に少量塗布後、実施例と同様の方法で熱融着した。比較例は、溶媒をToluene、Xyleneとして用いたことを除けば、実施例と同じ組成でシランカップリング剤と硬化剤とを混合して使用した。
【0045】
【表2】
【0046】
【表3】
【0047】
上記の結果、製造例の融着体が、剪断接着力(Shear strength)および高温接着強度が比較例よりはるかに優れていることを確認することができた。比較例1、2の測定されていない値は、剪断接着力または高温接着力が過度に低くて、機械的測定方式で測定できないことを意味する。
【0048】
結局、促進剤を使用しなかったり、促進剤を使用しても溶媒が適切でない促進剤を使用する場合には、接着力に優れた積層体を提供できない。
【0049】
本発明は、上記の実施例に限定されるものではなく、互いに異なる多様な形態で製造可能であり、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者は、本発明の技術的思想や必須の特徴を変更することなく他の具体的な形態で実施できることを理解するであろう。そのため、以上に述べた実施例はすべての面で例示的であり、限定的ではないと理解しなければならない。
図1
図2
【国際調査報告】