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特表2024-506472統合的な熱交換を用いる熱分解反応器
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-14
(54)【発明の名称】統合的な熱交換を用いる熱分解反応器
(51)【国際特許分類】
   B01J 10/00 20060101AFI20240206BHJP
   C01B 3/24 20060101ALI20240206BHJP
   B01J 19/00 20060101ALI20240206BHJP
【FI】
B01J10/00 101
C01B3/24
B01J10/00 104
B01J19/00 301A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023542615
(86)(22)【出願日】2022-01-11
(85)【翻訳文提出日】2023-09-12
(86)【国際出願番号】 US2022012001
(87)【国際公開番号】W WO2022155141
(87)【国際公開日】2022-07-21
(31)【優先権主張番号】63/136,316
(32)【優先日】2021-01-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522214886
【氏名又は名称】シーゼロ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シェイナー,サミュエル
(72)【発明者】
【氏名】パーキンソン,ブレット
(72)【発明者】
【氏名】コールドウェル,アンドリュー
(72)【発明者】
【氏名】パトリック,ライアン
【テーマコード(参考)】
4G075
4G140
【Fターム(参考)】
4G075AA03
4G075AA13
4G075AA22
4G075BA10
4G075BB03
4G075BD13
4G075BD17
4G075BD23
4G075CA02
4G075DA02
4G075EA01
4G075EA06
4G075EB04
4G075EC02
4G075FA01
4G075FB02
4G075FB03
4G140DA03
(57)【要約】
溶融媒体反応器のための直接接触熱交換器は、容器内に配置された複数のトレイ又は段と、複数のトレイ又は段を通って溶融媒体を通過させるように構成された溶融媒体流路と、複数のトレイ又は段を通って配置されたガス経路とを含むことができる。ガス経路は、気相流体を複数のトレイ又は段上の溶融媒体と直接接触させるように構成される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶融媒体反応器のための直接接触熱交換器であって、
容器内に配置された複数のトレイ又は段と、
前記複数のトレイ又は段を通って溶融媒体を通過させるように構成された溶融媒体流路と、
前記複数のトレイ又は段を通って配置されたガス経路であって、気相流体を前記複数のトレイ又は段上の前記溶融媒体と直接接触させるように構成されている、ガス経路と、
を備える交換器。
【請求項2】
前記溶融媒体流路上の前記複数のトレイ又は段内に配置された溶融媒体
を更に備える、請求項1に記載の交換器。
【請求項3】
前記複数のトレイ又は段が、複数のカスケードトレイを備える、請求項1又は2に記載の交換器。
【請求項4】
前記複数のトレイ又は段が複数のシーブトレイを備え、前記複数のシーブトレイの各シーブトレイが1以上の孔を有する、請求項1又は2に記載の交換器。
【請求項5】
前記ガス経路が、前記複数のシーブトレイの各シーブトレイの前記1以上の孔を通って画定される、請求項4に記載の交換器。
【請求項6】
前記複数のシーブトレイの隣接するシーブトレイの間に配置されたパッキンを更に備え、
前記ガス流路が前記パッキンを通過するように構成された、請求項4又は5に記載の交換器。
【請求項7】
溶融媒体反応器内で熱を交換する方法であって、
溶融媒体を反応容器内の複数のトレイ又は段に通過させることと、
気相流体を前記複数のトレイ又は段を通るガス経路に通すことと、
前記溶融媒体を前記反応容器内の気相流体と接触させることであって、前記気相流体が前記複数のトレイ又は段上の前記溶融媒体と直接接触する、接触させることと、
を含む方法。
【請求項8】
前記溶融媒体が、溶融金属、溶融塩、又はそれらの任意の組み合わせを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記複数のトレイ又は段が複数のカスケードトレイを備え、ガス入口が前記複数のカスケードトレイの各トレイの上面に沿って配置され、ダウンカマーが各トレイを通って配置される、請求項7又は8に記載の方法。
【請求項10】
前記複数のトレイ又は段が複数のシーブトレイを含み、前記複数のシーブトレイの各シーブトレイが1以上の孔を含み、前記複数のシーブトレイが前記溶融媒体で満たされている、請求項7又は8に記載の方法。
【請求項11】
前記ガス経路が、前記複数のシーブトレイの各シーブトレイの前記1以上の孔を通って配置される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記複数のシーブトレイの隣接するシーブトレイの間に配置されたパッキンを更に備え、
前記方法は、前記気相流体を前記パッキンに通過させることを更に含む、請求項10又は11に記載の方法。
【請求項13】
溶融媒体反応器であって、
反応容器と、
前記反応容器の上部に配置された第1の直接接触熱交換器と、
前記反応容器の下部に配置された第2の直接接触熱交換器と、
前記第1の直接接触熱交換器と前記第2の直接接触熱交換器との間に位置する反応ゾーンと、
を備える反応器。
【請求項14】
前記反応容器の下部にある原料ガス入口と、
前記反応容器の上部にある溶融媒体入口と、
を更に備える、請求項13に記載の反応器。
【請求項15】
前記反応容器の下部に配置された溶融媒体出口と、
前記反応容器の上部に配置された生成物出口と、
を更に備える、請求項13又は14に記載の反応器。
【請求項16】
前記第1の直接接触熱交換器又は前記第2の直接接触熱交換器が、
複数のトレイであって、前記複数のトレイを通って溶融媒体を下向きに通過させるように構成された、複数のトレイと、
前記複数のトレイを通って画定されたガス経路であって、前記溶融媒体と直接接触して前記複数のトレイを通ってガス状流体を通過させるように構成される、ガス経路と、
を備える、請求項13~15のいずれか一項に記載の反応器。
【請求項17】
前記溶融媒体出口及び前記溶融媒体入口に流体的に結合された溶融媒体リサイクルライン
を更に備える、請求項13~16のいずれか一項に記載の反応器。
【請求項18】
前記溶融媒体リサイクルライン内に配置されたポンプであって、前記溶融媒体出口から前記溶融媒体入口に前記溶融媒体をリサイクルさせるように構成された、ポンプ
を更に備える、請求項17に記載の反応器。
【請求項19】
前記第1の直接接触熱交換器が、ガス及び前記溶融媒体の向流のために構成され、前記第2の直接接触熱交換器が、ガス及び前記溶融媒体の向流のために構成され、前記反応ゾーンが、前記ガス及び前記溶融媒体の並流のために構成される、請求項13~18のいずれか一項に記載の反応器。
【請求項20】
前記反応ゾーンに流体結合された外部ヒータであって、前記外部ヒータが、前記反応ゾーンの上部から溶融媒体を受け取り、前記外部ヒータ内で前記溶融媒体を加熱し、前記溶融媒体を前記反応ゾーンの下部に送るように構成される、外部ヒータ
を更に備える、請求項13~19のいずれか一項に記載の反応器。
【請求項21】
前記反応ゾーンに配置されたインサートであって、前記インサートが、中央流れ領域を通して前記溶融媒体を導くように構成され、前記インサートが、前記インサートと前記反応容器の壁との間に環状流路を画定する、インサート
を更に備える、請求項13~19のいずれか一項に記載の反応器。
【請求項22】
溶融媒体を反応容器の上部に通過させることと、
原料ガスを前記反応容器の下部に通過させることと、
前記反応容器の中央部で前記原料ガスを熱分解して反応生成物を形成することと、
前記溶融媒体と前記反応生成物との間の直接接触熱交換を用いて前記反応容器の上部の前記溶融媒体を加熱することと、
前記溶融媒体と前記原料ガスとの間の直接接触熱交換を用いて前記反応容器の下部の前記溶融媒体を冷却することと、
前記反応容器の下部の前記溶融媒体を冷却した後に、前記溶融媒体を前記反応容器の外に送出することと、
を含む方法。
【請求項23】
前記反応容器の上部の前記溶融媒体を加熱することが、
前記溶融媒体を複数のトレイに通過させることと、
前記反応生成物を前記複数のトレイ上に通過させることと、
前記反応生成物を前記複数のトレイ上に通過させることに基づいて、前記溶融媒体を加熱し、前記反応生成物を冷却することと、
を含む、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記反応容器の下部から出て行く前記溶融媒体を前記反応容器の上部にリサイクルすること
を更に含む、請求項22又は23に記載の方法。
【請求項25】
前記溶融媒体をリサイクルすることが、溶融媒体リサイクルラインを通して前記溶融媒体を圧送することを含む、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記反応容器の中央部から前記溶融媒体の一部を除去することと、
前記溶融媒体の一部を加熱して加熱された溶融媒体を生成することと、
前記加熱された溶融媒体を前記反応容器の中央部に戻すことと、
を更に含む、請求項22~25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
前記反応容器の中央部分の中央流れ領域を通して前記原料ガスを導くことと、
前記中央流れ領域内の前記溶融媒体を加熱することと、
前記反応生成物及び前記溶融媒体を前記中央流れ領域から上向きに通過させることと、
前記溶融媒体を前記中央流れ領域に通過させた後に、前記溶融媒体を前記反応容器の中央部の環状流路内で下向きに通過させることと、
を更に含む、請求項22~25のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、2021年1月12日に出願され、「統合的な熱交換を用いる熱分解反応器」と題される米国仮特許出願第63/136,316号に対する優先権を主張する。
【0002】
連邦政府による資金提供に関する声明
研究開発
本発明は、エネルギー省によって授与された助成金番号DE-AR0001194の下で政府の支援を受けてなされた。政府は、本発明に一定の権利を有する。
【発明の概要】
【0003】
いくつかの実施形態では、溶融媒体反応器のための直接接触熱交換器は、容器内に配置された複数のトレイ又は段と、複数のトレイ又は段を通って溶融媒体を通過させるように構成された溶融媒体流路と、複数のトレイ又は段を通って配置されたガス経路とを備える。ガス経路は、気相流体を複数のトレイ又は段上の溶融媒体と直接接触させるように構成される。
【0004】
いくつかの実施形態では、溶融媒体反応器内で熱を交換する方法は、溶融媒体を反応容器内の複数のトレイ又は段に通過させること、気相流体を複数のトレイ又は段を通るガス経路に通過させること、及び、溶融媒体を反応容器内の気相流体と接触させること、を含む。気相流体は、複数のトレイ又は段上の溶融媒体に直接接触する。
【0005】
いくつかの実施形態では、溶融媒体反応器は、反応容器と、反応容器の上部に配置された第1の直接接触熱交換器と、反応容器の下部に配置された第2の直接接触熱交換器と、第1の直接接触熱交換器と第2の直接接触熱交換器との間に位置する反応ゾーンと、を備える。
【0006】
いくつかの実施形態では、方法は、溶融媒体を反応容器の上部に通過させることと、原料ガスを反応容器の下部に通過させることと、反応容器の中央部で原料ガスを熱分解して反応生成物を形成することと、溶融媒体と反応生成物との間の直接接触熱交換を用いて反応容器の上部の溶融媒体を加熱することと、溶融媒体と原料ガスとの間の直接接触熱交換を用いて反応容器の下部の溶融媒体を冷却することと、反応容器の下部の溶融媒体を冷却した後に、溶融媒体を反応容器の外に送出することと、を含む。
【0007】
これらの特徴及び他の特徴は、添付の図面及び特許請求の範囲と併せて以下の詳細な説明からより明確に理解されるであろう。
【背景技術】
【0008】
化学原料の生成物への変換は、内部条件が制御された反応器に依存する。強力な炭素-水素結合を有するメタンを含有する天然ガスなどの炭化水素原料の変換は特に困難であり、典型的には、触媒を含有する、かつ/又は高温を用いる反応器を利用する。化学反応工学における主な限界は、反応器の設計の制約のために、非常に高温の反応を高圧下で効率的に行うことができないことである。可逆的な反応の場合、平衡を制限する上でもまた、非常に高い温度が望ましくなる場合があるが、反応器の材料考察による制約を受ける。これは、腐食環境において特に当てはまる。約1000℃を超えると、安全な圧力容器を構築するにあたって、ほどほどのコストの材料は、ほぼ使用することができない。
【0009】
非常に高温で有利となる重要な反応の一例は、天然ガスの熱分解である。炭化水素反応物の熱分解では、分子は脱水素化され、分解され、より軽質の炭化水素、オレフィン、芳香族、及び/又は固体炭素に分解される。高圧で動作することは一般に費用効果が高く、平衡制限する上で、非常に高い温度を用いることが好ましい。反応速度を促進し、選択性を改善するために、触媒を使用することもできる。反応ゾーンにおける急速加熱によってメタンを熱分解することが研究されている。
【図面の簡単な説明】
【0010】
本開示をより完全に理解するために、ここでは、添付の図面及び詳細な説明に関連して以下の簡単な説明を参照する。
【0011】
図1図1は、溶融媒体反応器の一実施形態の概略図である。
図2図2は、溶融媒体反応器の一実施形態で使用するための直接接触熱交換器の概略図である。
図3図3は、溶融媒体反応器の一実施形態で使用するための別の直接接触熱交換器の概略図である。
図4図4は、溶融媒体反応器の一実施形態で使用するための更に別の直接接触熱交換器の概略図である。
図5図5は、溶融媒体反応器の一実施形態で使用するための更に別の直接接触熱交換器の概略図である。
図6図6は、溶融媒体反応器の一実施形態で使用するための別の直接接触熱交換器の概略図である。
図7図7は、溶融媒体反応器の一実施形態で使用するための更に別の直接接触熱交換器の概略図である。
図8A図8Aは、溶融媒体反応器の一実施形態の概略図である。
図8B図8Bは、溶融媒体反応器の一実施形態の概略図である。
図9図9は、溶融媒体反応器の一実施形態で使用するためのヒータの概略図である。
図10図10は、溶融媒体反応器の一実施形態で使用するための別のヒータの概略図である。
図11図11は、溶融媒体反応器の一実施形態で使用するための更に別のヒータの概略図である。
図12図12は、溶融媒体反応器の一実施形態で使用するための更に別のヒータの概略図である。
図13A図13Aは、溶融媒体反応器の一実施形態で使用するためのリサイクルラインの概略図である。
図13B図13Bは、溶融媒体反応器の一実施形態で使用するためのリサイクルラインの概略図である。
図14A図14Aは、溶融媒体反応器の熱伝達及び反応モデルを示す。
図14B図14Bは、溶融媒体反応器の熱伝達及び反応モデルを示す。
図15A図15Aは、溶融媒体反応器の更に別の熱伝達及び反応モデルを示す。
図15B図15Bは、熱伝達モデルに基づく温度プロファイルを示す。
図16図16は、熱伝達モデルに基づく複数の温度プロファイルを示す。
図17図17は、溶融媒体反応器モデルの感度解析の結果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本開示は、反応器から炭素を除去するために反応器内の溶融媒体を利用する、天然ガスからの化学物質及び固体炭素の製造に関する。より具体的には、本開示は、統合的な熱交換を用いる溶融媒体反応器の設計に関する。
【0013】
現在、工業用水素は主に水蒸気メタン改質(SMR)プロセスを使用して製造され、反応器からの生成物流出物は、所望の水素生成物だけでなく、ガス状炭素酸化物(CO/CO)及び未変換メタンなどの他のガス種も含む。輸送又は貯蔵のための水素の分離及び改質器に戻る再循環のためのメタンの分離は、圧力スイング吸着(PSA)ユニットで行われ、これは費用とエネルギーを大量に消費する分離である。一般に、酸化炭素は環境に放出される。この分離プロセスは、反応後の独立したユニットとして存在する。全体として、このプロセスはかなりの二酸化炭素を生成する。天然ガスはまた、空気中の酸素との燃焼によって電力を生成するために広く使用されており、やはりかなりの量の二酸化炭素を生成する。
【0014】
メタン熱分解は、水素及び固体炭素を生成する手段として使用することができる。CH←→2H+C、という反応は、平衡によって制限され、その結果、工業生産に必要な約5~40バールの圧力及び1,000℃未満の温度では、メタン変換の量が比較的少ない。
【0015】
本明細書に記載のシステム及び方法は、天然ガス若しくは他の分子、又は水素原子及び炭素原子を主に含有する分子の混合物を、容易に取り扱うことができ、大気中における二酸化炭素の形成を防止することができる固体炭素生成物、並びに水素を含む気相共生成物に変換することに基づく。この場合の全体的なプロセスは、C2m→mH+nCという熱分解であるということができる。
【0016】
多くの実施形態による本システム及び方法は、溶融媒体を含む環境を使用することにより、炭素及び水素を含むガスを水素及び固体炭素を含む化学物質に変換する以前の試みを大幅に改善する方法を示しており、それにより、固体炭素は、気相及び/又は溶融媒体によって運ばれる反応器から、以前よりもはるかに低コストかつ実質的に容易な方法で除去され得る。
【0017】
本明細書に開示されるように、反応器は、反応器の動作を改善するために統合的な熱交換を備えることができる。溶融媒体反応器は、約1000℃~約1300℃の温度で動作することができる。反応器内に熱を保持するために、原料ガスを熱交換器内で予熱することができる。炭化水素原料ガスは約600℃で熱分解し始め、従来の間接熱交換器の設計ではこの限界を超える予熱が困難になる可能性がある。例えば、熱交換器表面は、コークスを形成し始めて、反応器の流路を塞ぐ可能性がある。この種のファウリングを制限するために、予熱は熱分解温度未満に制限することができる。この温度で原料ガスを反応器セクションに導入すると、溶融媒体が冷却され、適切な反応温度を維持することが困難になり、高温反応器加熱の熱負荷が増加する可能性がある。
【0018】
本明細書では、原料が反応ゾーンに到達する前に原料を予熱するために原料と溶融媒体との間で熱を交換するのに有用な直接接触熱交換を使用する反応器構成が開示される。熱交換のコンセプトを用いて、反応ゾーンを出る生成物と反応ゾーンに入る溶融媒体との間で熱を交換することもできる。これにより、反応器内の反応ゾーンからの熱を維持することができる。生成物と流入する溶融媒体との間の熱交換を複雑にするのは、生成物流中の固体炭素の存在である。固体炭素は、ガス流中及び/又は溶融媒体内に同伴された固体粒子として存在し得る。これらの粒子は、熱交換表面上で凝集し、ガス流を遮断又は詰まらせる可能性がある。本明細書に開示される構成は、このタイプの可能性のあるファウリングを考慮に入れて、反応器内に炭素が蓄積することなく効果的な熱交換を可能にすることができる。
【0019】
反応ゾーン内の溶融媒体のための加熱方法もまた本明細書に開示される。この熱は、反
応容器の外部に、かつ/又は反応容器内に加えることができる。熱構成はまた、いくつかの態様では、溶融媒体/反応物の流れの並流を可能にすることができる。これは、熱交換器を通る液体の流れを駆動するのに役立ち得る。
【0020】
熱分解反応器の概念フロー図を図1に概略的に示す。図示のように、反応容器101は、反応容器101内にいくつかのゾーン又は領域を有することができる。中央反応ゾーン102は、反応容器101の中央又はその近く(例えば、垂直方向における反応容器101の中央1/2内)に存在することができる。下部原料予熱ゾーン104を反応ゾーン102の下方に配置することができ、上部生成物交換ゾーン106を反応ゾーン102の上方に配置することができる。反応器内では、反応ガスを含む原料が入口108を通って入ることができる。スパージャ又は他の分配器を使用して、原料ガスを反応容器101内に供給することができ、これは、溶融媒体と接触する気泡又はガス流の形態であり得る。原料ガスは、向流の形で原料予熱ゾーン104を通過して溶融媒体に至ることができ、溶融媒体は、溶融媒体出口114を通って反応容器101から出ることができる。原料予熱ゾーン104内で、原料は、反応ゾーン102を出る溶融媒体と熱交換して、原料ガスを予熱することができる。いくつかの態様では、原料は、反応容器101の外側で予熱されてもよく、約200℃~約600℃の温度で反応容器101に入ってもよい。原料予熱ゾーン104内で、原料ガスは、反応ゾーン102に入る前に反応温度まで加熱され得る。
【0021】
反応ゾーン102内で、原料ガスは溶融媒体と接触して、炭化水素を含み得る反応物の少なくとも一部を固体炭素及び気相生成物に変換することができる。いくつかの態様では、気相生成物は水素を含み得る。次いで、生成物及び任意の未反応の原料ガス(例えば、ガス状生成物)は、生成物交換ゾーン106に上向きに進むことができ、そこでガス状生成物は、流入する溶融媒体のリサイクル流との直接接触によって熱交換を受けることができる。ガス状生成物は、出口110を通って反応容器101を出る前に、溶融媒体入口112を通って入る溶融媒体との熱交換に基づいて、反応温度から約800℃未満まで冷却され得る。逆に、溶融媒体は、反応ゾーン102に入る前に、ガス状生成物との交換に基づいて加熱することができる。
【0022】
反応ゾーン内の溶融媒体温度を維持するために、様々な熱交換器の選択肢が利用可能である。図1に示すように、外部熱交換器150を使用して、生成物交換ゾーン106及び/又は反応ゾーン102の上部から溶融媒体の一部を受け取り、溶融媒体を加熱し、溶融媒体を反応ゾーン102の下部及び/又は原料予熱ゾーン104の上部に戻すことができる。この構成は、原料ガス及び溶融媒体が反応ゾーン102内で並流を有することを可能にする一方で、原料予熱ゾーン104及び生成物交換ゾーン106内の気相及び溶融媒体相は向流の流れを有することができる。
【0023】
反応ガスは、メタン、エタン、プロパンなどの炭化水素、及び/又は天然ガスなどの混合物を含む任意のガスを含み得る。いくつかの実施形態では、メタンの一般的な供給源は、関連する炭化水素エタン及び他のアルカン並びに反応容器101に供給され得る不純物ガスをも含有し得る天然ガスである。天然ガスはまた、システムで使用される前にスウィートニング及び/又は脱水されてもよい。炭化水素の他の供給源としては、バイオガス、再生可能な天然ガス、生物源(例えば、消化槽など)からのメタンなどを挙げることができる。本明細書に開示される方法及び装置は、メタンなどの炭化水素を炭素及び水素に変換することができ、関連する高級炭化水素の一部を同時に炭素及び水素に変換するのにも役立ち得る。
【0024】
本明細書のいくつかの態様では天然ガスが記載されているが、原料は他の炭化水素ガスも含み得る。例えば、炭化水素原料の供給源に応じて、芳香族並びに/又はアルケン及びアルキンなどの脂肪族化合物を含む高分子量炭化水素もまた、存在し得る。例示的な追加
の成分としては、エタン、エチレン、アセチレン、プロパン、ブタン、ブタジエン、ベンゼンなどを挙げることができるが、これらに限定されない。他の成分がメタンと共に存在する場合、その成分は、0.1体積%~約20体積%、又は約0.5体積%~約5体積%の範囲の体積百分率で存在し得る。他の炭化水素に加えて、水素及び炭素以外の元素を有する他の成分も存在し得る。例えば、少量の窒素、酸素、硫黄、リン及び他の成分などの元素は少量で存在し得、原料に関して炭化水素という用語を使用することは、必ずしも純粋な炭化水素を必要とせず、他のヘテロ原子を除外しない。
【0025】
本明細書に記載されるように、熱分解反応器は溶融媒体を含むことができる。溶融媒体は、1以上の溶融金属及び/又は1以上の溶融塩を含むことができる。いくつかの態様では、溶融媒体は、反応を助けるために溶融媒体内に1以上の固体を含んでいてもよい。
【0026】
いくつかの態様では、溶融媒体は、溶融金属、溶融金属の組み合わせ、及び/又は溶融金属の合金若しくはエマルジョンを含むことができる。炭化水素の熱分解を実施するための溶融材料の組成としては、限定するものではないが、Ni、Fe、Mn、及び/又はAlの合金といった、炭素に対する高い溶解度を有する金属を挙げることができる。炭化水素の熱分解を実施するための溶融材料の組成としては、限定するものではないが、Cu、Sn、Ag、Ga、Bi、Au、Pbの合金といった、炭素への溶解度が限定的な金属を挙げることができる。
【0027】
いくつかの実施形態では、溶融媒体は、所望の反応に対して比較的低い活性を有する低融点金属と、所望の反応に対してより高い固有の活性を有するが、合金を形成するための反応の所望の動作温度を超える融点を有する金属とを組み合わせて構成され得る。この合金はまた、更に活性を改善し、融点を低下させ、かつ/又は触媒合金若しくは触媒プロセスの性能を改善することができる1以上の追加の金属を含み得る。触媒合金の融点は反応温度以上であってもよく、その液体は過飽和の溶融物、又は1以上の成分が沈殿している溶融物として動作することが理解され、またそれは本開示の範囲内である。1以上の反応物、生成物、又は中間体が溶解するか、そうでなければ溶融物に組み込まれ、その結果、純粋に金属製ではない触媒合金を生成することもまた理解され、またそれは本開示の範囲内である。そのような合金は、本明細書では依然として溶融金属、溶融媒体、又は液相金属と呼ばれる。
【0028】
いくつかの実施形態では、溶融金属を含む溶融媒体は、ニッケル、ビスマス、銅、白金、インジウム、鉛、ガリウム、鉄、パラジウム、スズ、コバルト、テルル、ルテニウム、アンチモン、ガリウム、アルミニウム、それらの酸化物、又はそれらの任意の組み合わせを含み得る。例えば、炭化水素の熱分解に活性を有する金属の組み合わせとしては、ニッケル-ビスマス、銅-ビスマス、白金-ビスマス、ニッケル-インジウム、銅-インジウム、銅-鉛、ニッケル-ガリウム、銅-ガリウム、鉄-ガリウム、パラジウム-ガリウム、白金-スズ、コバルト-スズ、ビスマス-スズ、ニッケル-テルル、及び/又は銅-テルルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0029】
いくつかの実施形態では、溶融金属の成分は、5mol%~95mol%、又は10mol%~90mol%、又は15mol%~85mol%の第1の成分を含み得、その残部は、少なくとも1つの追加の金属である。いくつかの実施形態では、選択された温度範囲内で所望の相特性をもたらすように、少なくとも1つの金属を選択することができる。例えば、混合物が反応温度で液体状態にあることを確実にするように、少なくとも1つの成分を適切なパーセンテージで選択することができる。更に、各金属の量は、均質な溶融金属混合物、エマルジョンなどの所望の相特性をもたらすように構成することができる。
【0030】
いくつかの実施形態では、溶融媒体は溶融塩であり得、又は溶融塩を含み得る。溶融塩
は、溶融相中の炭素及び/又は固体炭素粒子に対して高い溶解度を有するか、又は固体炭素懸濁液を促進して炭化水素脱水素化プロセスの反応分離に適した媒体にする特性を有する任意の塩を含み得る。ほとんどの熱炭化水素プロセスは固体炭素形成を伴うため、溶融塩中の固体炭素又は炭素原子の、気泡内の気相反応からの移動は、反応物の変換を増加させるのに有効であり得る。溶融塩中の固体炭素の親和性は、その塩に対して特異的であり、大きく異なり得る。
【0031】
塩の選択はまた、塩密度に応じて異なり得る。溶融塩の選択は、得られる溶融塩混合物の密度に影響を及ぼし得る。その密度は、固体炭素よりも低密度又は高密度であることによって固体炭素を分離することを可能にするように選択することができ、それによって固体炭素を反応器の底部又は上部でそれぞれ分離することを可能にする。本明細書に記載のいくつかの実施形態では、反応器内で形成された炭素を使用して、溶融塩を含むスラリーを形成することができる。これらの実施形態では、その塩は、固体炭素が溶融塩中で中立浮遊性又はほぼ中立浮遊性であることを可能にするように選択することができる。
【0032】
その塩は、溶融塩又は溶融塩混合物が反応器内で形成されることを可能にするのに適した融点を有する任意の塩であり得る。いくつかの実施形態では、その塩混合物は、1以上の酸化原子(M)+mと、対応する還元原子(X)-1とを含み、式中、Mは、K、Na、Mg、Ca、Mn、Zn、La、又はLiのうちの少なくとも1つであり、Xは、F、Cl、Br、I、OH、SO、又はNOのうちの少なくとも1つである。例示的な塩としては、NaCl、NaBr、KCl、KBr、LiCl、AlCl、LiBr、CaCl、MgCl、CaBr、MgBr、及びそれらの組み合わせを挙げることができるが、これらに限定されない。
【0033】
2以上の塩の組み合わせを使用する場合、個々の組成物は、密度、他の成分との相互作用、炭素の溶解度、炭素を除去又は担持する能力などに基づいて選択することができる。いくつかの実施形態では、共融混合物を溶融塩混合物に使用することができる。溶融塩における塩混合物としては、例えば、KCl(44重量%)とMgCl(56重量%)の共融混合物を用いることができる。他の塩の他の共融混合物も、本明細書に開示されるシステム及び方法での使用に適している。
【0034】
溶融塩混合物中の塩の選択は、得られる炭素の構造に影響を及ぼし得る。例えば、炭素の形態は、反応条件及び溶融塩組成の選択によって制御することができる。生成された炭素は、カーボンブラック、グラフェン、グラファイト、カーボンナノチューブ、炭素繊維などを含み得る。例えば、塩のいくつかの混合物(例えば、MnCl/KCl)を使用することによって、高度に結晶性の炭素を生成することができるが、単一の塩を使用することによって、より低い結晶性を有する炭素を生成することができる。
【0035】
いくつかの実施形態では、塩自体は、触媒(例えば、固体金属又は溶融金属など)を添加せずに触媒活性を有するように設計することができる。他の実施形態では、限定するものではないが、MnCl、ZnCl、AlClなどのアルカリ金属を含まない塩は、KCl、NaCl、KBr、NaBr、CaCl、MgClの混合物を含むホスト塩と共に使用される場合、溶融物内で炭素を生成するアルカンを脱水素化する反応環境をもたらすことができる。いくつかの実施形態では、フッ素系塩(例えば、フッ化物)は、天然ガスなどの本明細書に記載の原料ガス成分のいずれかの熱分解に使用することができる。いくつかの実施形態では、MgCl、MgBr、及び/又はMgFなどのマグネシウム系塩を、メタンの熱分解などの炭化水素の熱分解に使用することができる。マグネシウム系塩は、塩と炭素の比較的単純な分離によって高い変換を可能にし得る。
【0036】
いくつかの実施形態では、溶融媒体は、炭化水素熱分解反応に対して触媒的であり得る
固相を含むことができる。本明細書に記載の任意の溶融媒体組成物(例えば、溶融金属/溶融塩など)内で、溶融媒体の一部が溶融していてもよく、1以上の追加の成分又は要素が固体として存在して多相組成物を生成してもよい。例えば、1つの成分は液相金属及び/又は塩であってもよく、第2の成分は固相であってもよく、2つの成分はスラリーを形成し、又は固体は、その周りに溶融媒体が流れる構造体に固定されていてもよい(又はその構造体を形成してもよい)。固体は、それ自体が塩、金属、非金属、又は塩、金属若しくは非金属を含む複数の固体成分の組み合わせであってもよい。
【0037】
いくつかの実施形態では、溶融媒体内の多相組成物は、水素に対する高い溶解度及び炭化水素に対する低い溶解度を有する1以上の溶融塩、溶融金属、金属合金、及び溶融金属混合物を含むことができ、それらを炭化水素熱分解などの炭化水素脱水素化プロセスの反応分離に適した媒体にする。溶融媒体は、別の溶融塩又は金属相内にエマルジョン又は分散液を形成してもよく、かつ/又は別の固体成分は固体支持体(例えば、Al)上にあってもよい。溶融金属中の固体炭素又は炭素原子の輸送は、ほとんどの熱炭化水素プロセスが固体炭素形成を伴うので、反応物変換の効果的な増加において水素と同様の役割を果たすことができる。溶融金属中の固体炭素の溶解度は、その金属に特有であり、大きく異なり得る。
【0038】
いくつかの実施形態では、固体金属、金属酸化物、金属炭化物など、また、いくつかの実施形態では固体炭素などの固体成分もまた、触媒成分として溶融塩内に存在することができる。例えば、固体成分は、溶融溶液内に存在し得、固体成分としては、金属(例えば、Ni、Fe、Co、Cu、Pt、Ruなど)、金属炭化物(例えば、MoC、WC、SiCなど)、金属酸化物(例えば、MgO、CaO、Al、CeOなど)、金属ハロゲン化物(例えば、MgF、CaFなど)、固体炭素、及びそれらの任意の組み合わせを含む固体を挙げることができるが、これらに限定されない。固体成分は、スラリーとして、又は反応器内の固定成分として存在する粒子として存在することができる。これらの粒子は、様々なサイズを有し得、いくつかの実施形態では、これらの粒子は、ナノ及び/又はマイクロスケールの粒子として存在し得る。好適な粒子としては、マグネシウム、鉄、アルミニウム、ニッケル、コバルト、銅、白金、ルテニウム、セリウムの元素、それらの組み合わせ、及び/又はそれらの酸化物を挙げることができる。
【0039】
いくつかの実施形態では、固体成分をその場で生成することができる。いくつかの実施形態では、遷移金属固体は、溶融塩内でその場で生成することができる。このプロセスでは、遷移金属前駆体は、溶融塩に溶解した遷移金属ハロゲン化物(例えば、CoCl、FeCl、FeCl、NiCl、CoBr、FeBr、FeBr、又はNiBr)のように溶融塩内に均一に分散させることができ、あるいは、溶融塩に懸濁した遷移金属酸化物固体粒子(例えば、CoO、Co3O4、FeO、Fe、Fe、NiO)のように溶融塩内に不均一に分散させることもできる。次いで、水素を混合物に通過させることができ、触媒前駆体を水素によって還元することができる。遷移金属固体を生成し、溶融塩中に分散させて、メタン分解反応のための反応媒体を形成することができる。
【0040】
いくつかの実施形態では、多相組成物は、固体触媒成分を含み得る。触媒固体金属は、ニッケル、鉄、コバルト、銅、白金、ルテニウム、又はそれらの任意の組み合わせを含み得る。固体金属は、アルミナ、ジルコニア、シリカ、又はそれらの任意の組み合わせなどの支持体上にあってもよい。炭化水素熱分解のための固体触媒は、炭化水素を炭素及び水素に変換し、その後、液体溶融金属及び/又は溶融塩と接触して、触媒表面から炭素を除去し、触媒活性を再生する。液体の好ましい実施形態としては、ニッケル-ビスマス、銅-ビスマス、白金-ビスマス、ニッケル-インジウム、銅-インジウム、銅-鉛、ニッケル-ガリウム、銅-ガリウム、鉄-ガリウム、パラジウム-ガリウム、白金-スズ、コバ
ルト-スズ、ビスマス-スズ、ニッケル-テルル、及び/又は銅-テルルの溶融金属が挙げられるが、これらに限定されない。溶融塩としては、NaCl、NaBr、KCl、KBr、LiCl、AlCl、LiBr、CaCl、MgCl、CaBr、MgBr、及びそれらの組み合わせを挙げることができるが、これらに限定されない。
【0041】
反応容器101は、一般に、反応温度で反応の圧力を保持するように構成された任意の容器を含むことができる。反応容器101は、反応容器101のシェルを保護するために耐火材料で裏打ちすることができる。反応ゾーン102を用いた熱分解反応は、熱分解が起こるための任意の適切な条件下で起こり得る。いくつかの実施形態では、温度は、溶融媒体の1以上の成分が混合物の融点を上回る一方で、沸点を下回る形で、溶融媒体を溶融状態に維持するように選択することができる。いくつかの実施形態では、反応器は、約400℃超、約500℃超、約600℃超、又は約700℃超の温度で運転することができる。いくつかの実施形態では、反応器は、約1,500℃未満、約1,400℃未満、約1,300℃未満、約1,200℃未満、約1,100℃未満、又は約1,000℃未満の温度で運転することができる。
【0042】
反応器は、任意の適切な圧力で動作することができる。反応器は、約0.5atm~約25atm、又は約1atm~15atmといった、大気圧又はそれに近い圧力で動作することができる。反応器の構成、動作条件、及び流れ方式を適切に選択することにより、より高い圧力が可能であり、圧力は反応器内の気相を維持するように選択することができる。高圧の実施形態では、原料流は、0.1~100bar、あるいは1~30barの圧力で反応容器101に導入することができる。
【0043】
図1に記載されるように、直接接触熱交換器を使用して、原料予熱ゾーン104を有する反応ゾーン102を出る溶融媒体から熱を伝達し、かつ/又は反応ゾーン102を出るガス状生成物から生成物交換ゾーン106内の溶融媒体に熱を伝達することができる。いくつかの直接接触熱交換の実施形態が可能である。本明細書に開示される直接接触熱交換器内では、気相と液体及び/又はスラリーとの間の二相直接接触が起こり得る。一般に、これらの実施形態における気相の流量は、液体又は溶融相の流量とは無関係に選択することができる。例えば、液相流量は、気相流量とは独立に設定されて動作される。一般に、熱交換器の設計は、気相生成物に同伴される任意の固体炭素によって気相流路が閉塞する可能性を回避するように選択することができる。
【0044】
図2は、複数のカスケードトレイ205を備える直接接触熱交換器200の実施形態を示す。熱交換器200は、図1に関して説明したように、原料予熱ゾーン104及び/又は生成物交換ゾーン106で使用することができる。更に、原料流、ガス状生成物、及び溶融媒体は、図1に関して説明したもののいずれかを含むことができる。図示のように、熱交換器200は、複数のカスケードトレイ205を備えることができる。トレイ205は、溶融媒体206が堰を越えて流れ、次の下部トレイ205に通過することを可能にしながら、溶融媒体206をトレイ205上に保持するための堰又はダムを備えることができる。最下部トレイ205は、加熱された溶融媒体が反応ゾーン102内の加熱された溶融媒体207に入ることを可能にすることができる。トレイの数は、ガス状反応物及び生成物201と溶融媒体206との間の所望の熱交換をもたらすように選択することができる。
【0045】
ガス状生成物流路204は、ガス状生成物があるトレイ内の溶融媒体上を通過した後に、上向きに通過して、順番に次のトレイ205の表面上を通過させられる形で、トレイを通過することができる。これにより、溶融媒体206とガス状生成物201との間で熱を交換するための、ガス状生成物のための延長された接触経路が提供される。トレイ205の間隔及びガス状生成物201の流れのための開口領域は、ガス状生成物内の炭素粒子2
02がガス状生成物201から離脱したり、トレイ205又は他の表面上で凝集したりするのを防ぐのに十分なガス速度をもたらすように選択することができる。これは、炭素粒子202がガス状生成物201と共に反応容器101から出ることを可能にしながら、目詰まりを回避するのに役立ち得る。
【0046】
使用時には、図2に示すような直接接触熱交換器は、溶融媒体206を反応容器101の上部の溶融媒体入口209に進入させることによって動作することができる。反応容器101に入る溶融媒体は、反応容器101内の溶融媒体よりも低温であってもよく、その温度は、反応器内の原料予熱ゾーン内で原料を予熱することを踏まえたものであってもよい。次いで、冷却された溶融媒体は、ポンプ又は他の循環装置と共に外部ラインを使用して反応容器101の上部にリサイクルさせることができる。上部への言及は、反応器の上部又は反応容器101の上部約1/3以内の任意の場所を含み得る。溶融媒体206は、第1のトレイ205(例えば、最上部トレイ)上を通過することができる。溶融媒体の流量は、最終的に反応ゾーンに入る前に、溶融媒体を複数のトレイ205に連続的にカスケードダウンさせることができる。例えば、溶融媒体206は、液滴203又は堰を越えて次のトレイに下る流れを形成することができる。各トレイ205上の堰は、各トレイ205上に存在する溶融媒体206の流体レベルを維持することができる。更に、カスケードトレイを使用することによって、ガス状生成物201からの流体移動によって引き起こされる逆流又は逆混合が各トレイ上の溶融媒体206上を流れるのを防ぐことができ、それによって反応容器101の上部にわたる温度勾配が維持される。
【0047】
反応ゾーン102内の反応によって、気相生成物及び固体炭素を含み得るガス状生成物201が生成され得、これは炭素粒子202の形態であり得る。ガス状生成物201は、溶融媒体206から複数のトレイ205の間に形成された流路へと上向きに通過することができる。炭素粒子202は、ガス状生成物流路204の設計に基づいてガス状生成物201に同伴された状態を維持して、炭素粒子202を同伴させ続けるのに十分なガス速度を維持することができる。次いで、同伴炭素粒子202を有するガス状生成物201は、反応容器101の上部のガス状生成物出口210を通過することができる。ガス状生成物の流量は、溶融媒体206の体積流量よりも高い可能性があることが予想される。いくつかの態様では、溶融媒体206の体積流量とガス状生成物201の体積流量の比は、約0.001:1~約0.1:1であり得る。
【0048】
結果として生じるガス状生成物201と溶融媒体との間の接触は、ガス状生成物201を冷却するように作用することができ、その結果、ガス状生成物は、炭素分離器及び回収ユニットなどの下流ユニットで処理することができる。例示的な熱交換プロファイルを図2に示す。一例として、反応ゾーン102内のガス状生成物201及び溶融媒体は、約1000℃~約1400℃の温度を有し得る。入ってくる溶融媒体は、約400℃~約800℃の温度を有し得、反応容器を出るガス状生成物は、約400℃~約800℃の温度を有し得る。熱交換効果は、図2に一例として示されており、各トレイ上の溶融媒体206のおおよその温度を示している。示されるように、熱交換は、ガス状生成物201が反応容器101を出る前にそれらを冷却しつつ、溶融媒体206が反応ゾーン102に接近する際に溶融媒体206を加熱するように作用する。
【0049】
図2は、反応容器101の上部に(例えば、ガス状生成物交換セクション106に)配置された複数のカスケードトレイを有する直接接触熱交換器を示しているが、いくつかの態様では、同じ熱交換器のコンセプトを原料予熱セクション104で使用することもできる。
【0050】
図3は、反応容器101と螺旋状又は螺旋形の構成を有する複数のカスケードトレイ305を備える直接接触熱交換器300の別の実施形態を示す。熱交換器300は、図2
関して説明した熱交換器200と同様であり、同一又は同様の構成要素は、簡潔にするために繰り返し説明しない。熱交換器300は、図1に関して説明したように、原料予熱ゾーン104及び/又は生成物交換ゾーン106で使用することができる。更に、原料流、ガス状生成物、及び溶融媒体は、図1に関して説明したもののいずれかを含むことができる。図示のように、熱交換器300は、複数のカスケードトレイ305を備えることができる。これらのトレイは、結果として生じるガス流路が反応ゾーン102から上向きに螺旋状経路を流れるように、螺旋状経路に配置されたカスケードの状態で配置することができる。トレイ305は、溶融媒体206が堰を越えて流れ、次の下部トレイ205に通過することを可能にしながら、溶融媒体206をトレイ305上に保持するための堰又はダムを備えることができる。最下部トレイ305は、加熱された溶融媒体が反応ゾーン内の加熱された溶融媒体207に入ることを可能にすることができる。トレイの数は、ガス状生成物201と溶融媒体206との間の所望の熱交換をもたらすように選択することができる。中心軸の周りに延在するものとして示されているが、トレイは、任意の適切な形状を有することができ、中心軸の周りに配置されなくてもよいが、溶融媒体206の螺旋経路及び気相の逆流を確立することができる。
【0051】
ガス状生成物流路204は、ガス状生成物が螺旋状流路に沿って各トレイ内の溶融媒体上を順番に通過するように、螺旋状流路を通過することができる。これにより、溶融媒体206とガス状生成物201との間で熱を交換するための、ガス状生成物のための延長された接触経路が提供される。トレイ305の間隔及びガス状生成物201の流れのための開口領域は、ガス状生成物内の炭素粒子202がトレイ305又は他の表面上で凝集したりするのを防ぐのに十分なガス速度をもたらすように選択することができる。これは、炭素粒子202がガス状生成物201と共に反応容器101から出ることを可能にしながら、目詰まりを回避するのに役立ち得る。
【0052】
使用時には、図3に示すような直接接触熱交換器は、溶融媒体206を反応容器101の上部の溶融媒体入口209に進入させることによって動作することができる。溶融媒体206は、第1のトレイ305(例えば、最上部トレイ)上を通過することができる。溶融媒体の流量は、最終的に反応ゾーン102に入る前に、溶融媒体を複数のトレイ305に連続的にカスケードダウンさせることができる。溶融媒体206は、螺旋経路のあるトレイから次のトレイへと通過して、複数のトレイ305を下ることができ、トレイ305の堰及び構成は、流体を次の下部トレイ305上の所望の位置に導くことができる。例えば、溶融媒体206は、液滴又は堰を越えて次のトレイに下る流れを形成することができる。各トレイ205上の堰は、各トレイ205上に存在する溶融媒体206の流体レベルを維持することができる。更に、カスケードトレイを使用することによって、ガス状生成物201からの流体移動によって引き起こされる逆流又は逆混合が各トレイ上の溶融媒体206上を流れるのを防ぐことができる。これにより、各トレイ上の溶融媒体206は、ほぼ同じ温度ではあるが、あるトレイと隣接するトレイ305で異なる温度を有することになり得る。
【0053】
ガス状生成物201は、溶融媒体206から複数のトレイ305の間に形成された流路へと上向きに通過することができる。炭素粒子202は、螺旋ガス状生成物流路204の設計に基づいてガス状生成物201に同伴された状態を維持して、炭素粒子202を同伴させ続けるのに十分なガス速度を維持することができる。次いで、同伴炭素粒子202を有するガス状生成物201は、反応容器101の上部のガス状生成物出口210を通過することができる。ガス状生成物の流量は、溶融媒体206の体積流量よりも高い可能性があることが予想される。いくつかの態様では、溶融媒体206の体積流量とガス状生成物201の体積流量の比は、約0.001:1~約0.1:1であり得る。比として表したが、本システム及び方法の利点は、複数のトレイ305を使用して気相流量とは無関係に溶融媒体の流量を設定することができることである。
【0054】
結果として生じるガス状生成物201と溶融媒体との間の接触は、ガス状生成物201を冷却するように作用することができ、その結果、ガス状生成物は、炭素分離器及び回収ユニットなどの下流ユニットで処理することができる。例示的な熱交換プロファイルを図3に示す。一例として、反応ゾーン102内のガス状生成物201及び溶融媒体は、約1000℃~約1400℃の温度を有し得る。入ってくる溶融媒体は、約400℃~約700℃の温度を有し得、反応容器101を出るガス状生成物は、約400℃~約700℃の温度を有し得る。熱交換効果は、図3に一例として示されており、各トレイ上の溶融媒体206のおおよその温度を示している。示されるように、熱交換は、ガス状生成物201が反応容器101を出る前にそれらを冷却しつつ、溶融媒体206が反応ゾーン102に接近する際に溶融媒体206を加熱するように作用する。
【0055】
図3は、反応容器101の上部に(例えば、ガス状生成物交換セクション106に)配置された複数のカスケードトレイを有する直接接触熱交換器を示しているが、いくつかの態様では、同じ熱交換器のコンセプトを原料予熱セクション104で使用することもできる。
【0056】
図4は、複数のシーブプレートトレイ405を備える直接接触熱交換器400の実施形態を示す。熱交換器400は、特定の点で図2及び図3に関して説明した熱交換器200及び熱交換器300と同様であり、同一又は同様の構成要素は、簡潔にするために繰り返し説明しない。熱交換器400は、図1に関して説明したように、原料予熱ゾーン104及び/又は生成物交換ゾーン106で使用することができる。更に、原料流、ガス状生成物、及び溶融媒体は、図1に関して説明したもののいずれかを含むことができる。
【0057】
図示のように、熱交換器400は、複数のシーブプレートトレイ405を備えることができる。シーブプレートトレイ405は、トレイに配置された複数の孔を有するプレートを備えることができる。各シーブプレートトレイ405上に所望の液面を保持するために、シーブプレートトレイ405の周りに堰構造を形成することができる。堰は、溶融媒体206が所望の位置で堰を越えて次の下部トレイ上に通過することを可能にすることができ、かつ/又はダウンカマーを使用して流体が次の下部トレイに通過することを可能にすることができる。ダウンカマーは、一般に、溶融媒体206があるシーブプレートトレイ405から次のシーブプレートトレイへと至る流路を提供するのに十分な直径のパイプ又はチューブを備えることができる。ダウンカマーの上部レベルは、トレイ上の溶融媒体液面を規定することができ、ダウンカマーの下部は、次の下部トレイ上の溶融媒体液面の下に配置することができる。これにより、液体をダウンカマー内に残して、ダウンカマーを通るいかなる気相流も防止することができる。複数のシーブプレートトレイ405は、溶融媒体206が最上部トレイから最下部シーブプレートトレイ405に至る流路を確立することができ、最下部シーブプレートトレイ405は、加熱された溶融媒体206を反応ゾーン102内の加熱された溶融媒体207に通過させることができる。シーブプレートトレイの数は、ガス状生成物201と溶融媒体206との間の所望の熱交換をもたらすように選択することができる。
【0058】
気相流路は、各シーブプレートトレイ405の複数の孔を通過することができる。複数の孔を通過する気相は、各シーブプレートトレイ405上の溶融媒体206内に気泡を形成し、溶融媒体を通過し、各シーブプレートトレイ405の上方の気相空間に戻ることができる。この流路は、気相が最上部シーブプレートトレイ405に到達するまで繰り返すことができ、そこで気相は出口210を通って反応容器101から出ることができる。一連のシーブプレートトレイ405を通過する気相は、各シーブプレートトレイ405上の気泡の形成に基づいて、溶融媒体206と気相との間の接触面積を増加させることができる。これにより、溶融媒体206とガス状生成物201との間で熱を交換するための、気
相が溶融媒体206と接触するのに十分な接触時間が提供され得る。トレイ205の間隔、シーブプレートトレイ405の孔サイズ、及び気相流流のためのシーブプレートトレイ405間の開口領域は、ガス状生成物中の炭素粒子202がガス状生成物の流れ210から離脱したり、トレイ205又は他の表面で凝集したりするのを防ぐのに十分なガス速度及び流量をもたらすように選択することができる。これは、炭素粒子202がガス状生成物201と共に反応容器101から出ることを可能にしながら、目詰まりを回避するのに役立ち得る。
【0059】
使用時には、図4に示すような直接接触熱交換器は、溶融媒体206を反応容器101の上部の溶融媒体入口209に進入させることによって動作することができる。溶融媒体206の流量は、溶融媒体206を最上部シーブプレートトレイ405上に通過させることができる。溶融媒体206は、堰を通過するか、又は1以上のダウンカマーを通過して、連続的に複数のシーブプレートレイ405をカスケードダウンし、最終的に反応ゾーン102に入ることができる。例えば、溶融媒体206は、ダウンカマーを通って次のトレイに下る流れを形成することができる。ダウンカマーの下端を下部トレイ上の溶融媒体液面より下にすることにより、ガスがダウンカマーを通って流れることを防止することができる。各シーブプレートトレイ405上のダウンカマーは、各シーブプレートトレイ405上に存在する溶融媒体206の流体レベルを維持することができる。更に、カスケードシーブプレートトレイ405を使用することにより、シーブプレートトレイ405間の溶融媒体206の逆流又は逆混合を防止することができ、それによってシーブプレートトレイ405に沿った一貫した熱交換及び温度プロファイルが可能になる。
【0060】
反応ゾーン102からのガス状生成物201は、溶融媒体206から複数のシーブプレートトレイ405を通って形成された流路に上向きに通過することができる。例えば、ガス状生成物201は、最下部シーブプレートトレイ405の複数の孔を通過し、最下部シーブプレートトレイ405上の溶融媒体206を通して気泡を形成することができる。気泡が溶融媒体を通過すると、ガス状生成物201は、シーブプレートトレイ405の上方のガス空間に集まることができる。次いで、このプロセスは、ガス状生成物201が最上部シーブプレートトレイ405の上方に集まった後、反応容器101から出るまで、各シーブプレートトレイの複数の孔を通して繰り返され得る。炭素粒子202は、ガス状生成物流路204の設計に基づいてガス状生成物201に同伴された状態を維持して、炭素粒子202を同伴させ続けるのに十分なガス速度及び流動様式を維持することができる。ガス状生成物の流量は、溶融媒体206の体積流量よりも高い可能性があることが予想される。いくつかの態様では、溶融媒体206の体積流量とガス状生成物201の体積流量の比は、約0.001:1~約0.1:1であり得る。図4の構成では、ガス流量及び液体流量は一般に別々に設定することができるが、溶融媒体が複数の孔を通過するのを防ぐために最小の気相流量が必要とされる場合がある。孔のサイズ及び数は、最小気相流量に影響を及ぼし得、したがって、孔の適切な設計を使用して、溶融媒体206の流量と気相とが、複数の孔を通る大きな溶融媒体の流れなしに独立していることを可能にすることができる。
【0061】
結果として生じるガス状生成物201と溶融媒体206との間の接触は、ガス状生成物201を冷却するように作用することができ、その結果、ガス状生成物は、炭素分離器及び回収ユニットなどの下流ユニットで処理することができる。例示的な熱交換プロファイルを図4に示す。一例として、反応ゾーン102内のガス状生成物201及び溶融媒体は、約1000℃~約1400℃の温度を有し得る。入ってくる溶融媒体は、約400℃~約700℃の温度を有し得、反応容器を出るガス状生成物は、約400℃~約700℃の温度を有し得る。熱交換効果は、図4に一例として示されており、各シーブプレートトレイ405上の溶融媒体206のおおよその温度を示している。示されるように、熱交換は、ガス状生成物201が反応容器101を出る前にそれらを冷却しつつ、溶融媒体206
が反応ゾーン102に接近する際に溶融媒体206を加熱するように作用する。
【0062】
図4は、反応容器101の上部に(例えば、ガス状生成物交換セクション106に)配置された複数のシーブプレートトレイ405を有する直接接触熱交換器を示しているが、いくつかの態様では、同じ熱交換器のコンセプトを原料予熱セクション104で使用することもできる。
【0063】
図5は、複数のカスケードトレイ505を備える直接接触熱交換器500の実施形態を示す。熱交換器500は、特定の点で図2図4に関して説明した熱交換器と同様であり、同一又は同様の構成要素は、簡潔にするために繰り返し説明しない。熱交換器500は、図1に関して説明したように、原料予熱ゾーン104及び/又は生成物交換ゾーン106で使用することができる。更に、原料流、ガス状生成物、及び溶融媒体は、図1に関して説明したもののいずれかを含むことができる。
【0064】
図示のように、熱交換器500は、複数の水平トレイ505を備えることができる。トレイ505はそれぞれ、各トレイ505上に所望のレベルの溶融媒体206を保持するための堰を有することができる。各堰を通過する溶融媒体206を回収し、次の下部トレイ505への流路を提供するように、ダウンカマーを各トレイに関連付けることができる。ダウンカマーの下端は、次の下部トレイの液面より下に配置することができ、これにより、ダウンカマーを通るガスの流れを防止することができる。複数のトレイ505は、上部トレイから最下部トレイ505に至る溶融媒体206流路を確立することができ、最下部プレートトレイ505は、加熱された溶融媒体206を反応ゾーン102内の加熱された溶融媒体207に通過させることができる。トレイの数は、ガス状生成物201と溶融媒体206との間の所望の熱交換をもたらすように選択することができる。
【0065】
気相流路504は、各プレートトレイ405内のガスマニホールドを通過することができる。ガスマニホールドを通過する気相は、各プレートトレイ405上の溶融媒体206内に気泡を形成し、ガス入口を通過して各トレイの底部に至ることができる。ガス入口は、各トレイ505の下部に気相を導きながら、溶融媒体206がガス入口を通って流れるのを防止するように構成される。ガス入口は、マニホールド、ノズル、スパージャなどとして配置することができる。ガス入口は、気相が所望の気泡サイズで溶融媒体206を通過して所望の気液接触面積を提供することを可能にすることができる。これにより、溶融媒体206とガス状生成物201との間で熱を交換するための、気相が溶融媒体206と接触するのに十分な接触時間が提供され得る。溶融媒体206を通過した後、気相は、各トレイ505上の液体の上方で合体した後に、次のトレイ505上の同様の気相入口を通過することができる。この気相流路は、気相が反応容器101の頂部に到達するまで続くことができ、この場合、気相は、合体した後に、反応容器101から出ることができる。
【0066】
トレイ505の間隔、各トレイ505上のガス入口領域、及び気相流のためのトレイ505間の開口領域は、ガス状生成物内の炭素粒子202がトレイ505又は他の表面上で凝集するのを防ぐのに十分なガス速度及び流量を提供するように選択することができる。これは、炭素粒子202がガス状生成物201と共に反応容器101から出ることを可能にしながら、目詰まりを回避するのに役立ち得る。
【0067】
使用時には、図5に示すような直接接触熱交換器は、溶融媒体206を反応容器101の上部の溶融媒体入口209に進入させることによって動作することができる。溶融媒体206の流量は、溶融媒体206を最上部水平トレイ505上に通過させることができる。溶融媒体206は、堰を通過するか、又は1以上のダウンカマーを通過して、連続的に複数のトレイ505をカスケードダウンし、最終的に反応ゾーン102に入ることができる。例えば、溶融媒体206は、ダウンカマーを通って次のトレイに下る流れを形成する
ことができる。ダウンカマーの下端を下部トレイ505上の溶融媒体液面より下にすることにより、ガスがダウンカマーを通って流れることを防止することができる。各トレイ505上のダウンカマーは、各トレイ505上に存在する溶融媒体206の流体レベルを維持することができる。更に、カスケードトレイ505を使用することにより、トレイ505間の溶融媒体206の逆流又は逆混合を防止することができ、それによって複数のトレイ505に沿った一貫した熱交換及び温度プロファイルが可能になる。
【0068】
反応ゾーン102からのガス状生成物201は、溶融媒体206から複数のトレイ505を通って形成された流路に上向きに通過することができる。例えば、ガス状生成物201は、最下部トレイ505のガス入口を通過してから、溶融媒体206に流入し、最下部トレイ505上の溶融媒体206を通って気泡を形成することができる。気泡が溶融媒体206を通過すると、ガス状生成物201はトレイ505の上方の気体空間に集まることができる。次いで、このプロセスは、ガス状生成物201が最上部トレイ505の上方に集まった後、反応容器101から出るまで、複数のトレイ505を通して繰り返され得る。炭素粒子202は、ガス状生成物流路204の設計に基づいてガス状生成物201に同伴された状態を維持して、炭素粒子202を同伴させ続けるのに十分なガス速度及び流動様式を維持することができる。
【0069】
ガス状生成物の流量は、溶融媒体206の体積流量よりも高い可能性があることが予想される。いくつかの態様では、溶融媒体206の体積流量とガス状生成物201の体積流量の比は、約0.001:1~約0.1:1であり得る。図5の構成では、堰が各トレイ505上の液面を決定するので、ガス流量及び液体流量は一般に別々に設定することができる。ガスマニホールドのサイズは、最小気相流量に影響を及ぼし得、したがって、マニホールドの適切な設計を使用して、溶融媒体206の流量と気相とが、複数の孔を通る大きな溶融媒体の流れなしに独立していることを可能にすることができる。
【0070】
結果として生じるガス状生成物201と溶融媒体206との間の接触は、ガス状生成物201を冷却するように作用することができ、その結果、ガス状生成物は、炭素分離器及び回収ユニットなどの下流ユニットで処理することができる。例示的な熱交換プロファイルを図5に示す。一例として、反応ゾーン102内のガス状生成物201及び溶融媒体は、約1000℃~約1400℃の温度を有し得る。入ってくる溶融媒体は、約400℃~約800℃の温度を有し得、反応容器を出るガス状生成物は、約400℃~約800℃の温度を有し得る。熱交換効果は、図5に一例として示されており、各トレイ505上の溶融媒体206のおおよその温度を示している。示されるように、熱交換は、ガス状生成物201が反応容器101を出る前にそれらを冷却しつつ、溶融媒体206が反応ゾーン102に接近する際に溶融媒体206を加熱するように作用する。
【0071】
図5は、反応容器101の上部に(例えば、ガス状生成物交換セクション106に)配置された複数の水平トレイ505を有する直接接触熱交換器を示しているが、いくつかの態様では、同じ熱交換器のコンセプトを原料予熱セクション104で使用することもできる。
【0072】
図6は、軸方向混合を制限するためにシーブプレート間に含まれる複数の直接接触ゾーン605を備える直接接触熱交換器600の実施形態を示す。熱交換器600のいくつかの構成要素は、特定の点で図2図5に関して説明した熱交換器と同様であり、同一又は同様の構成要素は、簡潔にするために繰り返し説明しない。熱交換器600は、図1に関して説明したように、原料予熱ゾーン104及び/又は生成物交換ゾーン106で使用することができる。更に、原料流、ガス状生成物、及び溶融媒体は、図1に関して説明したもののいずれかを含むことができる。
【0073】
図示のように、熱交換器600は、複数のシーブプレート605を備えることができ、隣接するシーブプレート605の間に含まれる体積が混合及び熱交換ゾーンを画定することができる。シーブプレート605によって画定された領域は、シーブプレート605の間に画定された気相ゾーンが存在しないように、溶融媒体206で満たすことができる。いくつかの実施形態では、シーブプレート605の構成及び溶融媒体の流量は、少なくとも2つのシーブプレート605の間に画定された気相ゾーンを可能にするように構成することができる。この実施形態では、溶融媒体206は、上部シーブトレイ605に、又はその上向きに入ることができ、溶融媒体206は、複数のシーブトレイ605を通って下向きに通過することができる。一般に、溶融媒体206は、シーブトレイ605の間のゾーン内に連続相を形成することができる。最下部シーブプレート605は、反応ゾーン102内の加熱された溶融媒体207との境界を画定することができる。シーブプレート605の数、間隔、並びに孔の数、サイズ、及び配置は、ガス状生成物201と溶融媒体206との間の所望の熱交換をもたらすように選択することができる。
【0074】
気相流路は、各シーブプレート605の複数の孔を通過することができる。複数の孔を通過する気相は、各熱交換ゾーン内の溶融媒体206内に気泡を形成することができる。各ゾーン内で、気相の流れによって、溶融媒体206のいくらかの軸方向混合を引き起こすことができ、その後、気泡が次のシーブプレート605の孔を通って上向きに通過して次の熱交換ゾーンに入る。これらの気泡は、隣接するシーブプレート605間の次の熱交換ゾーンに入る前に各ゾーン内で合体しない場合がある。ガス流量、孔のサイズ、及び孔の数は、各熱交換ゾーンにおける気相と溶融媒体206との間の接触時間に影響を与え得る。接触時間は、溶融媒体206とガス状生成物201との間で熱を交換するのに十分な時間を提供するように選択することができる。溶融媒体206を通過した後、気相は上部シーブプレート605上の液体の上方で合体することができ、そこで気相は合体した後に、反応容器101から出ることができる。
【0075】
シーブプレート605の数、間隔、及び孔の構成は、各熱交換ゾーン内で所望の程度の熱交換及び逆混合をもたらすように選択することができる。シーブプレート605の数が増加するにつれて、熱交換器全体が向流プラグ流設計に近づく。
【0076】
使用時には、図6に示すような直接接触熱交換器は、溶融媒体206を反応容器101の上部の溶融媒体入口209に進入させることによって動作することができる。溶融媒体206の流量は、溶融媒体206を最上部シーブプレート605上に通過させることができる。溶融媒体206は、シーブプレート605の複数の孔を通過して、シーブプレート605と次の下部シーブプレート605との間に画定されたゾーンに入り、複数のシーブプレート605を連続的にカスケードダウンし、最終的に反応ゾーン102に入ることができる。例えば、溶融媒体206は、隣接するプレート間の各ゾーンにおいていくらかの量の(また、ゾーン間においていくらかの少量の)軸方向混合を伴うプラグ流を形成して、シーブプレート605の孔を通って次のゾーンまで通過することができる。
【0077】
反応ゾーン102からのガス状生成物201は、溶融媒体206から複数のシーブプレート605の孔を通して生成された流路に上向きに通過することができる。例えば、ガス状生成物201は、最下部シーブプレート605の孔を通過し、溶融媒体206に流入して、下部の2つのシーブプレート605の間の最下部ゾーンの溶融媒体206を通って気泡を形成することができる。気泡が溶融媒体206を通過すると、ガス状生成物201は、次のシーブプレート605の孔を通過して、最下部シーブプレート605から番号付けされた第2及び第3のシーブプレート605の間の次の高いゾーンに入ることができる。次いで、このプロセスは、ガス状生成物201が最上部シーブプレート605の上方に集まった後、反応容器101から出るまで、複数のシーブプレート605を通して繰り返され得る。炭素粒子202は、ガス状生成物流路の設計に基づいてガス状生成物201に同
伴された状態を維持して、炭素粒子202を気泡に同伴させ続けるのに十分なガス速度及び流動様式を維持することができる。炭素が溶融媒体に入ると、密度差に基づいて分離し、最上部シーブプレート605上の又はその上方の溶融媒体の上部に浮遊し得る。ガス流が溶融媒体206を上向きに通過すると、ガス流は固体炭素を再び同伴して、固体炭素を反応容器101から排出することができる。
【0078】
ガス状生成物の流量は、溶融媒体206の体積流量よりも高い可能性があることが予想される。いくつかの態様では、溶融媒体206の体積流量とガス状生成物201の体積流量の比は、約0.001:1~約0.1:1であり得る。図6の構成では、一般に、ガス流量と液体流量とを別々に設定することができる。
【0079】
結果として生じるガス状生成物201と溶融媒体206との間の接触は、ガス状生成物201を冷却するように作用することができ、その結果、ガス状生成物は、炭素分離器及び回収ユニットなどの下流ユニットで処理することができる。例示的な熱交換プロファイルを図6に示す。一例として、反応ゾーン102内のガス状生成物201及び溶融媒体は、約1000℃~約1400℃の温度を有し得る。入ってくる溶融媒体は、約400℃~約800℃の温度を有し得、反応容器を出るガス状生成物は、約400℃~約800℃の温度を有し得る。熱交換効果は、図6に一例として示されており、各シーブプレート605上の溶融媒体206のおおよその温度を示している。示されるように、熱交換は、ガス状生成物201が反応容器101を出る前にそれらを冷却しつつ、溶融媒体206が反応ゾーン102に接近する際に溶融媒体206を加熱するように作用する。
【0080】
図6は、反応容器101の上部に(例えば、ガス状生成物交換セクション106に)配置された複数のシーブプレート605を有する直接接触熱交換器を示しているが、いくつかの態様では、同じ熱交換器の構成を原料予熱セクション104で使用することもできる。
【0081】
図7は、軸方向混合を制限するためにシーブプレート705の間に含まれる複数の直接接触ゾーンを含む直接接触熱交換器700の実施形態を示す。逆混合を制限するために、シーブプレート705の間にパッキンを存在させることができる。熱交換器700のいくつかの構成要素は、特定の点で図2図6に関して説明した熱交換器と同様であり、同一又は同様の構成要素は、簡潔にするために繰り返し説明しない。熱交換器700は、図1に関して説明したように、原料予熱ゾーン104及び/又は生成物交換ゾーン106で使用することができる。更に、原料流、ガス状生成物、及び溶融媒体は、図1に関して説明したもののいずれかを含むことができる。
【0082】
図示のように、熱交換器700は、複数のシーブプレート605を備えることができ、隣接するシーブプレート705の間に含まれる体積が混合及び熱交換ゾーンを画定することができる。各熱交換ゾーンにパッキンを存在させることができ、そのパッキンを下部シーブプレート705によって支持することができる。パッキンは、サドル、リング、球体、又は任意の他の形状などの任意の適切なパッキンを含むことができる。パッキンは、構造化されていても構造化されていなくてもよく、又はその2つの組み合わせであってもよい。パッキンを使用することによって、局所的な混合及びパッキンを通って流れる気泡サイズの減少をもたらしながら、パッキン内のガスの滞留を増加させることができる。パッキンを有するシーブプレート705によって画定された領域は、シーブプレート705の間に画定された気相ゾーンが存在しないように、溶融媒体206で満たすことができる。この実施形態では、溶融媒体206は、上部シーブトレイ705に、又はその上向きに入ることができ、溶融媒体206は、複数のシーブトレイ705の間のパッキンを通って下向きに通過することができる。一般に、溶融媒体206又はガスは、シーブトレイ705の間のゾーン内に連続相を形成することができる。例えば、溶融媒体206は、一般に、
パッキンを被覆することができ、気相は、パッキンを介して不連続相を形成することができる。あるいは、ガスは一般に連続的であり得、液相はパッキンを介して不連続相を形成し得る。最下部シーブプレート705は、反応ゾーン102内の加熱された溶融媒体207との境界を画定することができる。シーブプレート705の数、孔の間隔、数、サイズ、及び配置、並びにパッキンの選択及びサイズは、ガス状生成物201と溶融媒体206との間の所望の熱交換をもたらすように選択することができる。
【0083】
気相流路は、各シーブプレート605の複数の孔を通過することができる。複数の孔を通過する気相は、各熱交換ゾーン内の溶融媒体206内に気泡を形成することができる。気泡が溶融媒体206及びパッキンを通過すると、パッキンは、パッキンの要素間に画定された拡張された流路を介して局所的な混合を生成することができる。各ゾーン内で、気相の流れによって、溶融媒体206のいくらかの軸方向混合を引き起こすことができ、その後、気泡が次のシーブプレート705の孔を通って上向きに通過して次の熱交換ゾーンに入る。パッキンの存在は、隣接する熱交換ゾーン間の任意の軸方向混合を更に制限するのに役立ち得る。これらの気泡は、隣接するシーブプレート705間の次の熱交換ゾーンに入る前に各ゾーン内で合体しない場合がある。ガス流量、孔のサイズ、孔の数、並びにパッキンの選択及びサイズは、各熱交換ゾーンにおける気相と溶融媒体206との間の接触時間に影響を与え得る。接触時間は、溶融媒体206とガス状生成物201との間で熱を交換するのに十分な時間を提供するように選択することができる。溶融媒体206を通過した後、気相は上部シーブプレート705上の溶融媒体の上方で合体することができ、そこで気相は合体した後に、反応容器101から出ることができる。
【0084】
シーブプレート705の間隔及びパッキンの選択は、各熱交換ゾーン内で所望の程度の熱交換をもたらすように選択することができる。パッキンは熱交換ゾーン内の任意の軸方向混合を制限するのに役立ち得るので、パッキンの存在は、シーブプレート705の数を増やす必要性を制限し得る。
【0085】
使用時には、図7に示すような直接接触熱交換器は、溶融媒体206を反応容器101の上部の溶融媒体入口209に進入させることによって動作することができる。溶融媒体206の流量は、溶融媒体206を最上部シーブプレート705上に通過させることができる。溶融媒体206は、シーブプレート705の複数の孔を通過して、シーブプレート705と次の下部シーブプレート705との間に画定されたゾーンに入り、複数のシーブプレート705を連続的にカスケードダウンし、最終的に反応ゾーン102に入ることができる。各熱交換ゾーン内で、溶融媒体206は、パッキンの床を通過して、拡張された溶融媒体流路を形成することができる。
【0086】
反応ゾーン102からのガス状生成物201は、溶融媒体206から複数のシーブプレート705の孔を通して生成された流路に上向きに通過することができる。例えば、ガス状生成物201は、最下部シーブプレート705の孔を通過し、溶融媒体206に流入して、下部の2つのシーブプレート705の間の最下部ゾーンの溶融媒体206を通って気泡を形成することができる。熱交換ゾーン内では、ガスは、パッキンを通って形成された複数の蛇行流路を通って流れることができる。パッキンは、併せて局所的な混合を生成しながら、気相流路を拡張させることができる。パッキンはまた、パッキンを通して気泡サイズを所望のサイズに維持することができるように、パッキンを通過する気泡サイズを制御することができる。気泡がパッキン及び溶融媒体206を通過すると、ガス状生成物201は、次のシーブプレート705の孔を通過して、最下部シーブプレート705から番号付けされた第2及び第3のシーブプレート705の間の次の高いゾーンに入ることができる。次いで、このプロセスは、ガス状生成物201が最上部シーブプレート705の上方に集まった後、反応容器101から出るまで、複数のシーブプレート705及びパッキンを通して繰り返され得る。炭素粒子202は、ガス状生成物流路204の設計に基づい
てガス状生成物201に同伴された状態を維持して、炭素粒子202を気泡に同伴させ続けるのに十分なガス速度及び流動様式を維持することができる。炭素が溶融媒体に入ると、密度差に基づいて分離し、最上部シーブプレート705上の又はその上方の溶融媒体の上部に浮遊し得る。ガス流が溶融媒体206を上向きに通過すると、ガス流は固体炭素を再び同伴して、固体炭素を反応容器101から排出することができる。
【0087】
ガス状生成物の流量は、溶融媒体206の体積流量よりも高い可能性があることが予想される。いくつかの態様では、溶融媒体206の体積流量とガス状生成物201の体積流量の比は、約0.001:1~約0.1:1であり得る。図7の構成では、一般に、ガス流量と液体流量とを別々に設定することができる。例えば、溶融媒体206の流量は、気相の流量に依存しない。
【0088】
結果として生じるガス状生成物201と溶融媒体206との間の接触は、ガス状生成物201を冷却するように作用することができ、その結果、気相は、炭素分離器及び回収ユニットなどの下流ユニットで処理することができる。例示的な熱交換プロファイルを図7に示す。一例として、反応ゾーン102内のガス状生成物201及び溶融媒体は、約1000℃~約1400℃の温度を有し得る。入ってくる溶融媒体は、約400℃~約800℃の温度を有し得、反応容器を出るガス状生成物は、約400℃~約800℃の温度を有し得る。熱交換効果は、図7に一例として示されており、各シーブプレート705上の溶融媒体206のおおよその温度を示している。示されるように、熱交換は、ガス状生成物201が反応容器101を出る前にそれらを冷却しつつ、溶融媒体206が反応ゾーン102に接近する際に溶融媒体206を加熱するように作用する。
【0089】
図7は、反応容器101の上部に(例えば、ガス状生成物交換セクション106に)配置された複数のシーブプレート705を有する直接接触熱交換器を示しているが、いくつかの態様では、同じ熱交換器の構成を原料予熱セクション104で使用することもできる。
【0090】
図8A及び図8Bは、概略的な反応器の設計を示す。図8A及び図8Bの設計は、図1に示された設計と同様であり、同様の構成要素は、図1に記載されたものと同一又は同様であり得る。図8Aに示すように、中央反応ゾーン102は、反応容器101の中央又はその近くに存在することができる。下部原料予熱ゾーン104を反応ゾーン102の下方に配置することができ、上部生成物熱交換ゾーン106を反応ゾーン102の上方に配置することができる。反応器内では、反応ガスを含む原料が入口108を通って入ることができる。スパージャ又は他の分配器を使用して、原料ガスを反応容器101内に供給することができ、これは、溶融媒体と接触する気泡又はガス流の形態であり得る。原料ガスは、向流の形で原料予熱ゾーン104を通過して溶融媒体に至ることができ、溶融媒体は、溶融媒体出口114を通って反応容器101から出ることができる。原料予熱ゾーン104は、図2図7に関して説明した直接接触熱交換器の設計のいずれかの要素を含むことができる。原料予熱ゾーン104内で、原料は、反応ゾーン102を出る溶融媒体と熱交換して、原料ガスを予熱することができる。いくつかの態様では、原料は、反応容器101の外側で予熱されてもよく、約200℃~約600℃の温度で反応容器101に入ってもよい。原料予熱ゾーン104内で、原料ガスは、反応ゾーン102に入る前に反応温度まで加熱され得る。
【0091】
反応ゾーン102内で、原料ガスは溶融媒体と接触して、炭化水素を含み得る反応物の少なくとも一部を、図1に関して説明したように固体炭素及び気相生成物に変換することができる。反応ゾーン内の溶融媒体温度を維持するために、様々な熱交換器の選択肢が利用可能である。図1に示すように、外部熱交換器150を使用して、生成物交換ゾーン106及び/又は反応ゾーン102の上部から溶融媒体の一部を受け取り、溶融媒体を加熱
し、溶融媒体を反応ゾーン102の下部及び/又は原料予熱ゾーン104の上部に戻すことができる。この構成は、原料ガス及び溶融媒体が反応ゾーン102内で並流を有することを可能にする一方で、原料予熱ゾーン104及び生成物交換ゾーン106内の気相及び溶融媒体相は向流の流れを有することができる。また図1に関して説明したように、生成物交換ゾーン106内で、反応ゾーン102を出るガス状生成物は、反応ゾーン102に入る溶融媒体と熱を交換することができる。図2図7に関して説明したような直接接触熱交換器はいずれも、生成物交換ゾーン106で使用することができる。
【0092】
図8Aに示すように、反応ゾーン102の外部熱交換は、反応ゾーン102内から溶融媒体を受け取り、その溶融媒体を加熱し、その溶融媒体を反応ゾーン102に戻すことができる。溶融媒体は、生成物交換ゾーン106から入る媒体を含み得、反応ゾーン102からの溶融媒体の一部は、原料予熱ゾーン104に下行することができる。この構成では、溶融媒体の少なくとも一部は、原料予熱ゾーン104から生成物交換ゾーン106へと、また、反応ゾーン102を通って循環して戻ることができる。
【0093】
図8Bは、バイパス802を使用して溶融媒体の大部分を生成物交換ゾーン106から反応ゾーン102を迂回して、原料予熱ゾーン104に送る実施形態を示す。反応ゾーン102内の溶融媒体は、ヒータを使用して加熱して、温度を維持してもよい。原料予熱ゾーン104は、原料予熱ゾーン104と反応ゾーン102との間に溶融媒体のいくらかの少量の軸方向混合が起こり得るように、反応ゾーン102から分離されなくてもよい。この構成は、原料及び反応生成物との直接接触熱交換に使用される溶融媒体に熱を供給する必要なく、反応ゾーン102内の溶融媒体を加熱するために使用される熱源が反応ゾーン102内の反応の温度を高く維持できるようにするのに有用であり得る。
【0094】
反応ゾーン102内では、溶融媒体の温度は、様々なヒータ設計及び構成によって維持することができる。図8A及び図8Bは、外部ヒータの設計を示す。この実施形態では、反応ゾーン102から引き出された溶融媒体に可燃性ガスを導入することができる。例えば、可燃性ガスは、炭化水素及び/又は水素を含むことができる。限定するものではないが、空気、Oが濃縮された空気、又はOなどの酸素含有ガスを導入して、可燃性ガスを燃焼させて熱を生成することもできる。酸素の完全な反応を確実にするために、過剰の可燃性ガスを使用することができる。溶融金属系の場合、必要とされる可燃性ガスの過剰量は、熱力学的に不安定な金属酸化物の形成を確実にするように、生成ガスの適切なH/HO及びCO/CO比によって決定される。酸素に対する炭化水素及び/又は水素の比は、溶融媒体に特有であり、大きく異なり得る。ヒータ内で得られる反応生成物は、可燃性ガスとして水素を用いた場合には水のみを含み得、炭化水素を用いた場合には水、一酸化炭素、二酸化炭素を含み得る。その場合、溶融媒体を加熱するために水素生成物の一部を使用することは、プロセス内での二酸化炭素の生成を回避するという利点を有する。燃焼ガスは、ヒータ内の溶融媒体内を上向きに流れることができ、これにより、溶融媒体をヒータの上部に循環させるための気泡リフトを生成することができ、そしてすぐに加熱された溶融媒体は、反応ゾーン102の下部に戻ることができる。次いで、このプロセスは、ヒータと反応ゾーンとの間で媒体を循環させるための気泡リフトを提供もしながら、反応ゾーン102内の溶融媒体を加熱するのに役立ち得る。
【0095】
図9は、反応ゾーン102で使用される溶融媒体を維持及び/又は加熱するのに使用するための外部ヒータ950の別の実施形態を示す。溶融媒体206ヒータ950は、図1に関して説明した外部ヒータ150、及び図8A及び図8Bに関して説明したヒータと同様である。同じ又は類似の構成要素は、簡潔にするために繰り返し説明しない。更に、図9のヒータ950は、図1図8Bに関して説明した構成及び直接接触熱交換器のいずれかで使用することができる。
【0096】
図9に示すように、ヒータ950は、反応容器101内の反応ゾーン102に流体的に結合することができる。この流体接続は、原料中の反応物と反応ゾーン102内の溶融媒体との並流を提供することができる。例えば、上昇するガス反応物及びガス状生成物は、反応ゾーン102内の溶融媒体206と共に流れることができる。ヒータ供給ラインは、溶融媒体を反応ゾーン102の上部又は上部付近から引き出すことができ、ヒータ戻りラインは、加熱された溶融媒体を反応ゾーン102の下部又は底部に戻すことができる。溶融媒体206は、ヒータ950の下部に供給することができる。ヒータ950内で、溶融媒体は加熱され、上昇してヒータ戻りラインを通過することができる。
【0097】
図9に示すように、溶融媒体は、図8A及び図8Bに示す実施形態と同様に、可燃性ガスを使用して加熱することができる。図示のように、可燃性ガス952は、酸素源と共にヒータ950の下部の燃焼室に導入することができる。ガスの燃焼は、ヒータ内で形成された反応生成物、例えば、可燃性ガスとして水素を使用した場合には水のみを、又は炭化水素を使用した場合には水、一酸化炭素及び二酸化炭素をもたらし得る。燃焼生成物中には、いくらかの量の未反応ガスも存在し得る。溶融金属系の場合、必要とされる可燃性ガスの過剰量は、熱力学的に不安定な金属酸化物の形成を確実にするように、生成ガスの適切なH/HO及びCO/CO比によって決定される。酸素に対する炭化水素及び/又は水素の比は、溶融媒体に特有であり、大きく異なり得る。燃焼ガスは、ノズルを通って溶融媒体に流れ、ガスジェットを形成することができる。ジェットは、溶融媒体に熱を供給する燃焼ガスの気泡の形成をもたらすことができる。ノズルの出口は、気泡の自然な上昇とともに、溶融媒体をノズルからヒータ戻りラインに向かって駆動することができる。次いで、このプロセスは、ヒータ内の媒体を反応ゾーンに循環させるための気泡リフトを提供もしながら、反応ゾーン102内の溶融媒体を加熱するのに役立ち得る。溶融媒体の温度は、ヒータ950に供給される可燃性反応物の量に基づいて制御することができる。更に、燃焼ガスは、別個のヒータ950内に存在することに基づいて、ガス状反応生成物とは別個に処理することができる。これにより、各ガス流を処理するために必要とされる分離プロセスをより単純にかつ/又はより小さくすることが可能になる。
【0098】
図10は、反応ゾーン102で使用される溶融媒体206を維持及び/又は加熱するのに使用するための外部ヒータ1050の別の実施形態を示す。溶融媒体206ヒータ1050は、図1に関して説明した外部ヒータ150、図8A及び図8Bに関して説明したヒータ、並びに、図9に関して説明したヒータ950と同様である。同じ又は類似の構成要素は、簡潔にするために繰り返し説明しない。更に、図10のヒータ1050は、図1図8Bに関して説明した構成及び直接接触熱交換器のいずれかで使用することができる。
【0099】
図10に示すように、ヒータ1050は、反応容器101内の反応ゾーン102に流体的に結合することができる。この流体接続は、原料中の反応物と反応ゾーン102内の溶融媒体との並流を提供することができる。ヒータ供給ラインは、溶融媒体を反応ゾーン102の上部又は上部付近から引き出すことができ、ヒータ戻りラインは、加熱された溶融媒体を反応ゾーン102の下部又は底部に戻すことができる。溶融媒体206は、ヒータ1050の下部に供給することができる。ヒータ1050内で、溶融媒体は加熱され、上昇してヒータ戻りラインを通過することができる。
【0100】
図10に示すように、溶融媒体は、ヒータ1050内の溶融媒体206と直接接触して配置された電気ヒータ要素1054を使用することによって加熱することができる。図示のように、ヒータ1050内に1以上の加熱要素を任意の位置に配置することができる。いくつかの実施形態では、複数のヒータ要素1054がヒータ1050の長さに沿って存在することができ、その場合、加熱要素1054との直接接触により温度を上昇させることができる。この実施形態では、別個のヒータ1050内に活性流体ポンプ又はガスリフトは存在しない。むしろ、ヒータ1050は、ガスリフトによって駆動される反応容器1
01の反応ゾーン102内の流体循環と同様に、自然対流に頼って、ヒータ1050を介して溶融媒体206を輸送し、加熱された溶融媒体206を反応容器101に戻すことができる。電気加熱要素の使用は、ヒータ1050内の燃焼生成物の生成を排除することができ、これによりシステムを更に単純化することができる。いくつかの実施形態では、溶融媒体を加熱するために、反応ゾーン102と流体連通する複数の外部ヒータ1050を設けることができる。例えば、電気熱要素を使用する複数のヒータ1050を反応ゾーンに並列に流体結合して、溶融媒体に熱を供給することができる。そのような実施形態は、反応ゾーン102内の溶融媒体に冗長性及び/又はより均一な熱及び温度制御を提供することができる。
【0101】
図11は、反応ゾーン102で使用される溶融媒体206を維持及び/又は加熱するのに使用するための外部ヒータ1150の別の実施形態を示す。溶融媒体206ヒータ1150は、図1に関して説明した外部ヒータ150、図8A及び図8Bに関して説明したヒータ、図9に関して説明したヒータ950、及び図10に関して説明したヒータ1050と同様である。同じ又は類似の構成要素は、簡潔にするために繰り返し説明しない。更に、図11のヒータ1150は、図1図8Bに関して説明した構成及び直接接触熱交換器のいずれかで使用することができる。
【0102】
図11に示すように、ヒータ1150は、反応容器101内の反応ゾーン102に流体的に結合することができる。この流体接続は、原料中の反応物と反応ゾーン102内の溶融媒体との並流を提供することができる。ヒータ供給ラインは、溶融媒体を反応ゾーン102の上部又は上部付近から引き出すことができ、ヒータ戻りラインは、加熱された溶融媒体を反応ゾーン102の下部又は底部に戻すことができる。溶融媒体206は、ヒータ1150の下部に供給することができる。ヒータ1150内で、溶融媒体は加熱され、上昇してヒータ戻りラインを通過することができる。
【0103】
図11に示すように、ヒータ1150内の溶融媒体206と接触する電極1156を使用して、ジュール加熱又は抵抗加熱を用いることで溶融媒体を加熱することができる。図示のように、ヒータ1150の上部及び下部に一対の電極が存在することができる。溶融媒体に電流を流すことができ、それにより、溶融媒体206の加熱をもたらすことができる。いくつかの実施形態では、適切に離間した対となる複数の電極1156が、ヒータ1150の長さに沿って存在することができる。この実施形態では、外部ヒータ内に活性流体ポンプ又はガスリフトは存在しない。むしろ、ヒータ1150は、ガスリフトによって駆動される反応容器101の反応ゾーン102内の流体循環と同様に、自然対流に頼って、ヒータ1150を介して溶融媒体206を輸送し、加熱された溶融媒体206を反応容器101に戻すことができる。抵抗加熱素子の使用は、ヒータ1150内の燃焼生成物の生成を排除することができ、これによりシステムを更に単純化することができる。いくつかの実施形態では、溶融媒体を加熱するために、反応ゾーン102と流体連通する複数のヒータ1150を設けることができる。例えば、抵抗性発熱体を使用する複数のヒータ1150を反応ゾーンに並列に流体結合して、溶融媒体に熱を供給することができる。そのような実施形態は、反応ゾーン102内の溶融媒体に冗長性及び/又はより均一な熱及び温度制御を提供することができる。
【0104】
図12は、反応ゾーン102内で、溶融媒体206を維持及び/又は加熱するのに使用するためのヒータ1250の別の実施形態を示す。溶融媒体206ヒータ1250は、ヒータ1250が反応ゾーン102内に配置されている点を除いて、図1に関して説明した外部ヒータ150、図8A及び図8Bに関して説明したヒータ、図9に関して説明したヒータ950、図10に関して説明したヒータ1050、及び、図11を参照して説明したヒータ1150と同様である。同じ又は類似の構成要素は、簡潔にするために繰り返し説明しない。更に、図12のヒータ1250は、図1図8Bに関して説明した構成及び直
接接触熱交換器のいずれかで使用することができる。
【0105】
図12に示すように、反応ゾーン102内にヒータ1250が配置されている。並流パターンで反応ゾーン102を通る流れを導くために、インサート1258を反応ゾーン102内に設けることができる。例えば、インサート1258は、溶融媒体を反応ガスと共に反応ゾーンの中心に向かって上向きに導くために円錐又は漏斗形状に配置された下部を有することができる。中央反応加熱ゾーンを加熱して、溶融媒体中の反応物の反応を開始することができる。次いで、ガス状生成物、任意の未反応原料、及び溶融媒体は、反応ゾーン102の上部に向かって並流で上向きに通過することができる。インサート1258と反応容器101の内壁との間に環状流路を形成することができる。溶融媒体は、反応容器101の壁に沿って流下して反応ゾーンの下部に戻ることができ、原料ガスは溶融媒体を同伴して、溶融媒体を中央の反応加熱ゾーンを通って再循環させることができる。反応器の残りの部分は、本明細書に記載のものと同じであり得る。
【0106】
内部ヒータを使用して、中央反応加熱ゾーン内の溶融媒体を加熱することができる。中央反応加熱ゾーン内で抵抗加熱された溶融媒体を生成するための電気加熱素子又はジュール電極などの多数の加熱素子を使用することができる。図12は、インサート内で熱分解反応温度以上のホットゾーンを生成するための電極の使用を示す。電極及び抵抗加熱の使用は、加熱が外部ヒータではなく反応ゾーン102内で行われることを除いて、図11に関して説明したジュール加熱と同じ又は同様である。原料ガスがこの加熱ゾーンに導かれるので、熱分解反応は、中央反応加熱ゾーン内で行うことができる。内部ヒータの使用は、任意の外部配管、接続部、及び外部ヒータ容器を回避することによって反応器の設計を更に単純化することができる。
【0107】
本明細書に開示される実施形態では、溶融媒体は、反応容器101の下部から反応容器101の上部の溶融媒体入口まで外部ループを通って再循環することができる。本明細書に記載の直接接触熱交換器を使用することにより、溶融媒体が反応容器を出る前に溶融媒体を効果的に冷却することが可能になり得る。これにより、外部循環ループ内の溶融媒体を反応容器101の上部に循環させて戻すために、様々な構成を使用することができる。いくつかの実施形態では、任意の適切な循環機構を使用して、溶融媒体を反応容器の下部の溶融媒体出口から反応容器101の上部の溶融媒体入口に流すことができる。
【0108】
図13A及び図13Bは、いくつかの実施形態による異なる溶融媒体の循環構成を示す。例えば、図13Aは、溶融媒体出口112と溶融媒体出口114との間で溶融媒体を循環させる溶融媒体循環ライン1302を示す。この構成では、気泡リフト設計を使用して溶融媒体を循環させることができる。いくつかの実施形態では、ガスを溶融媒体に導入して、溶融媒体入口114に至るまでの溶融媒体循環を生成することができる。再循環ライン1302内に上部ガス空間を形成して、ガスを溶融媒体から分離し、さらなる使用のために回収することができる。使用されるガスは、様々な供給源に由来し得る。いくつかの実施形態では、溶融媒体流を生成するために使用されるガスは、原料ガスの少なくとも一部とすることができ、溶融媒体循環ライン1302への導入は、反応容器への原料を加熱するために使用することができる。溶融媒体循環ライン1302内の溶融媒体は、原料ガスの著しい熱分解を回避することができるほど十分に冷却することができる。たとえいくらかの量の反応が起こったとしても、結果として生じる生成物ガスは、残りのガス状生成物で処理するために反応容器101にフィードバックされ得る。いくつかの実施形態では、このガスは、生成物ガスの一部であってもよく、その場合、溶融媒体循環ライン1302内の溶融媒体との接触は、生成物ガスを更に冷却することができる。更に他の実施形態では、システム内からの水素又は別のガスを使用して、溶融媒体循環ライン1302内に気泡リフトを生成することができる。システム内で使用される溶融媒体の比較的低い流量は、気泡リフトの効果を発揮させることができ、その流量は、溶融媒体再循環ライン13
02を通る気相流量の制御によって制御することができる。
【0109】
図13Bは、ポンプ又は他の動力装置を使用する同様の再循環のコンセプトを示す。溶融媒体再循環ライン1302内の溶融媒体は、従来のポンプを使用して溶融媒体の流れを駆動することができるほど十分に冷却することができる。更に、溶融媒体の比較的低い流量は、小型ポンプを使用するか又はそれに頼って、溶融媒体再循環ライン1302を通る溶融媒体の所望の流量を生じさせることができる。
【0110】
本明細書に記載の溶融媒体反応器の構成の一例として、反応器内の様々な温度プロファイルを実証するために一連のモデルを作成した。図14Aは、原料予熱ゾーン104、反応器セクション102、及びガス状生成物交換セクション106を含むモデル化されたシステムを示す。溶融媒体は、反応器の下部から反応器の上部に再循環させることができる。図14Bにそのモデルを示す。このモデルは、N-CSTR(直列のN個の連続撹拌タンク反応器)モデル及び軸方向分散モデルを含む1-D熱及び/又は物質移動の2つの標準モデルを表す。理想化されたN-CSTRモデルを使用して、相対流量、反応器温度、シングルパス変換、及び反応器バイパス(例えば、上側ガス状生成物交換セクションから下部原料予熱セクションへの)の影響などの、様々な動作条件の影響を把握した。
【0111】
N-CSTRモデルについて得られたモデル計算を図15Bに示し、モデル化されたシステムを結果に沿って図15Aに示す。図15Bに示すように、原料予熱セクション104とガス状生成物交換セクション106の両方の直接接触熱交換器で温度を制御及び上昇させて、反応ゾーン102内に反応温度を生じさせることができる。
【0112】
原料ガスに対する液体の様々なモル流量での各理論CSTRに沿った相対温度変化を図16に示す。示されるように、このモデルは、1300℃の反応温度、300℃の原料ガス入口温度、60%の反応ゾーン102における変換、4つの予熱段階の使用、4つの熱回収段階、及び反応器の周りのバイパスなしを想定した。モデル化された溶融媒体は、溶融スズであった。溶融液体と原料ガスのモル流量比は、2:1、3:1、及び4:1の比でモデル化された。示されるように、より低い液体流量は、溶融媒体の出口温度を低下させるのに役立ち、それによって溶融媒体の反応器の上部への再循環を容易にする。より高い液体流量は、より高い溶融媒体出口温度をもたらした。次いで、このモデルは、モル流量が、液体のモル流量とガスのモル流量の比に関して、2:1~4:1又は約3:1の範囲内になるように選択され得ることを実証する。このモデル化の一部として、図17は、反応容器に対する、原料ガスの理論段数、変換、及び温度の変化の影響を示す。
【0113】
様々なシステム及び方法を説明してきたが、特定の態様としては、限定するものではないが、以下を挙げることができる。
【0114】
第1の態様では、溶融媒体反応器のための直接接触熱交換器は、容器内に配置された複数のトレイ又は段と、複数のトレイ又は段を通って溶融媒体を通過させるように構成された溶融媒体流路と、複数のトレイ又は段を通って配置されたガス経路であって、気相流体を複数のトレイ又は段上の溶融媒体と直接接触させるように構成されている、ガス経路と、を備える。
【0115】
第2の態様は、第1の態様の交換器を含むことができ、溶融媒体流路上の複数のトレイ又は段内に配置された溶融媒体を更に備える。
【0116】
第3の態様は、第1又は第2の態様の交換器を含むことができ、そこで、複数のトレイ又は段は複数のカスケードトレイを含み、複数のカスケードトレイの各トレイは、各トレイ上に溶融媒体を保持するように構成された堰を含む。
【0117】
第4の態様は、第3の態様の交換器を含むことができ、そこで、複数のカスケードトレイは、互い違いの構成で配置される。
【0118】
第5の態様は、第3又は第4の態様の交換器を含むことができ、そこで、ガス経路は、複数のカスケードトレイのうちの第1のトレイの表面を通過した後に、複数のカスケードトレイのうちの第2のトレイの表面を通過し、第2のトレイは第1のトレイの上方にある。
【0119】
第6の態様は、第1~第5の態様のいずれか1つの交換器を含むことができ、そこで、複数のトレイ又は段は、螺旋構成に配置された複数のカスケードトレイを含む。
【0120】
第7の態様は、第6の態様の交換器を含むことができ、そこで、ガス経路は、容器を通る螺旋経路で複数のカスケードトレイの各トレイの表面を通過する。
【0121】
第8の態様は、第1又は第2の態様の交換器を含むことができ、そこで、複数のトレイ又は段は複数のシーブトレイを備え、複数のシーブトレイの各シーブトレイは1以上の孔を有する。
【0122】
第9の態様は、第8の態様の交換器を含むことができ、各シーブトレイを通って配置されたダウンカマーを更に備え、そこで、ダウンカマーは、シーブトレイ上の溶融媒体のレベルを保持するように構成されたシーブトレイの表面の上方に上端を有し、ダウンカマーは、シーブトレイの下方の第2のシーブトレイの液面の下方に配置された下端を有する。
【0123】
第10の態様は、第8又は第9の態様の交換器を含むことができ、そこで、ガス経路は、複数のシーブトレイの各シーブトレイの1以上の孔を通って画定される。
【0124】
第11の態様は、第1又は第2の態様の交換器を含むことができ、そこで、複数のトレイ又は段は複数のカスケードトレイを備え、ガス入口は複数のカスケードトレイの各トレイの上面に沿って配置され、ダウンカマーは各トレイを通って配置される。
【0125】
第12の態様は、第11の態様の交換器を含むことができ、そこで、ガス入口は、ノズル、ジェット、スパージャ、マニホールド、又はそれらの組み合わせを備える。
【0126】
第13の態様は、第11又は第12の態様の交換器を含むことができ、そこで、ガス経路は、第1のトレイ上の溶融媒体の表面上を通過し、第2のトレイ上のガス入口を通過し、第2のトレイ上の溶融媒体を通過し、第2のトレイは第1のトレイの上方にある。
【0127】
第14の態様は、第1又は第2の態様の交換器を含むことができ、そこで、複数のトレイ又は段は複数のシーブトレイを備え、複数のシーブトレイの各シーブトレイは1以上の孔を有し、複数のシーブトレイは溶融媒体で満たされるように構成される。
【0128】
第15の態様は、第14の態様の交換器を含むことができ、そこで、ガス経路は、複数のシーブトレイの各シーブトレイの1以上の孔を通って配置される。
【0129】
第16の態様は、第14又は第15の態様の交換器を含むことができ、複数のシーブトレイの隣接するシーブトレイ間に配置されたパッキンを更に備え、ガス経路はパッキンを通過するように構成される。
【0130】
第17の態様では、溶融媒体反応器内で熱を交換する方法は、溶融媒体を反応容器内の
複数のトレイ又は段に通過させること、気相流体を複数のトレイ又は段を通るガス経路に通すこと、及び、溶融媒体を反応容器内の気相流体と接触させることであって、気相流体が複数のトレイ又は段上の溶融媒体と直接接触する、接触させること、を含む。
【0131】
第18の態様は、第17の態様の方法を含むことができ、溶融媒体は、溶融金属、溶融塩、又はそれらの任意の組み合わせを含む。
【0132】
第19の態様は、第17又は第18の態様の方法を含むことができ、そこで、複数のトレイ又は段は複数のカスケードトレイを備え、堰を用いて複数のトレイ又は段の各トレイ上の溶融媒体のレベルを保持すること、溶融媒体を複数のカスケードトレイの第1のトレイから複数のカスケードトレイの第2のトレイに通過させることであって、第1のトレイが第2のトレイの上方にあること、を更に含む。
【0133】
第20の態様は、第19の態様の方法を含むことができ、そこで、複数のカスケードトレイは互い違いの構成で配置される。
【0134】
第21の態様は、第19又は第20の態様の方法を含むことができ、そこで、気相流体をガス経路に通過させることは、気相流体を第1のトレイの表面上に通過させる前に、気相流体を第2のトレイの表面上に通過させることを含む。
【0135】
第22の態様は、第17~第21の態様のいずれか1つの方法を含むことができ、そこで、複数のトレイ又は段は、螺旋構成に配置された複数のカスケードトレイを備える。
【0136】
第23の態様は、第22の態様の方法を含むことができ、そこで、ガス経路は、反応容器を通る螺旋経路で複数のカスケードトレイの各トレイの表面を通過する。
【0137】
第24の態様は、第17又は第18の態様の方法を含むことができ、そこで、複数のトレイ又は段は複数のシーブトレイを備え、複数のシーブトレイの各シーブトレイは1以上の孔を有する。
【0138】
第25の態様は、第24の態様の方法を含むことができ、溶融媒体をダウンカマーを通して複数のシーブトレイの第1のトレイから複数のシーブトレイの第2のトレイに通過させることであって、第1のトレイが第2のトレイの上方にあり、ダウンカマーが第1のトレイの表面の上方に上端を有し、ダウンカマーが第1のトレイの下方の第2のトレイの液面の下方に配置された下端を有する、こと、及び、下端が第2のトレイの液面より下にあることに基づいて、気相流体がダウンカマーを通って流れるのを防止すること、を更に含む。
【0139】
第26の態様は、第24又は第25の態様の方法を含むことができ、そこで、気相流体をガス経路に通過させることが、気相流体を複数のシーブトレイの各シーブトレイの1以上の孔に通過させることを含む。
【0140】
第27の態様は、第17又は第18の態様の方法を含むことができ、そこで、複数のトレイ又は段は複数のカスケードトレイを備え、ガス入口は複数のカスケードトレイの各トレイの上面に沿って配置され、ダウンカマーは各トレイを通って配置される。
【0141】
第28の態様は、第27の態様の方法を含むことができ、そこで、ガス入口は、ノズル、ジェット、スパージャ、マニホールド、又はそれらの組み合わせを備える。
【0142】
第29の態様は、第27又は第28の態様の方法を含むことができ、そこで、ガス経路
は、第1のトレイ上の溶融媒体の表面上を通過し、第2のトレイ上のガス入口を通過し、第2のトレイ上の溶融媒体を通過し、第2のトレイは第1のトレイの上方にある。
【0143】
第30の態様は、第17又は第18の態様の方法を含むことができ、そこで、複数のトレイ又は段は複数のシーブトレイを備え、複数のシーブトレイの各シーブトレイは1以上の孔を有し、複数のシーブトレイは溶融媒体で満たされている。
【0144】
第31の態様は、第30の態様の方法を含むことができ、そこで、ガス経路は、複数のシーブトレイの各シーブトレイの1以上の孔を通って配置される。
【0145】
第32の態様は、第30又は第31の態様の方法を含むことができ、複数のシーブトレイの隣接するシーブトレイの間に配置されたパッキンを更に含み、本方法は、気相流体をパッキンに通過させることを更に含む。
【0146】
第33の態様では、溶融媒体反応器は、反応容器と、反応容器の上部に配置された第1の直接接触熱交換器と、反応容器の下部に配置された第2の直接接触熱交換器と、第1の直接接触熱交換器と第2の直接接触熱交換器との間に位置する反応ゾーンと、を含む。
【0147】
第34の態様は、第33の態様の反応器を含むことができ、反応容器の下部の原料ガス入口と、反応容器の上部の溶融媒体入口とを更に含む。
【0148】
第35の態様は、第33又は第34の態様の反応器を含むことができ、反応容器の下部に配置された溶融媒体出口と、
【0149】
反応容器の上部に配置された生成物出口と、を更に含む。
【0150】
第36の態様は、第33~第35の態様のいずれか1つの反応器を含むことができ、そこで、第1の直接接触熱交換器又は第2の直接接触熱交換器は、複数のトレイを通って溶融媒体を下向きに通過させるように構成された複数のトレイと、複数のトレイを通って画定されたガス経路であって、溶融媒体と直接接触して複数のトレイを通ってガス状流体を通過させるように構成されるガス経路とを備える。
【0151】
第37の態様は、第33~第36の態様のいずれか1つの反応器を含むことができ、溶融媒体出口及び溶融媒体入口に流体結合された溶融媒体リサイクルラインを更に含む。
【0152】
第38の態様は、第37の態様の反応器を含むことができ、溶融媒体リサイクルラインに配置されたポンプを更に備え、そこで、ポンプは、溶融媒体出口から溶融媒体入口に溶融媒体をリサイクルするように構成される。
【0153】
第39の態様は、第37の態様の反応器を含むことができ、溶融媒体リサイクルライン内のガス注入入口と、溶融媒体リサイクルライン内のガス出口とを更に含み、そこで、ガス注入入口は、溶融媒体リサイクルライン内の溶融媒体を通って気相流体を通過させ、溶融媒体を溶融媒体出口から溶融媒体入口に通過させるように構成され、ガス出口は、溶融媒体が溶融媒体入口を通過する前に、溶融媒体リサイクルライン内の溶融媒体から気相流体を除去するように構成される。
【0154】
第40の態様は、第33~第39の態様のいずれか1つの反応器を含むことができ、溶融媒体バイパスラインを更に備え、そこで、溶融媒体バイパスラインは、第1の直接接触熱交換器から第2の直接接触熱交換器に溶融媒体を通過させ、反応ゾーンをバイパスするように構成される。
【0155】
第41の態様は、第33~第40の態様のいずれか1つの反応器を含むことができ、そこで、第1の直接接触熱交換器は、ガス及び溶融媒体の向流のために構成され、第2の直接接触熱交換器は、ガス及び溶融媒体の向流のために構成され、反応ゾーンは、ガス及び溶融媒体の並流のために構成される。
【0156】
第42の態様は、第33~第41の態様のいずれか1つの反応器を含むことができ、反応ゾーンに流体結合された外部ヒータを更に備え、そこで、外部ヒータは、反応ゾーンの上部から溶融媒体を受け取り、外部ヒータ内で溶融媒体を加熱し、溶融媒体を反応ゾーンの下部に送るように構成される。
【0157】
第43の態様は、第42の態様の反応器を含むことができ、そこで、外部ヒータは、可燃性ガスを受け取るように構成されたガス入口と、外部ヒータから燃焼生成物を除去するように構成されたガス出口とを備える。
【0158】
第44の態様は、第43の態様の反応器を含むことができ、そこで、ガス入口は、燃焼生成物を外部ヒータ内の溶融媒体に注入し、外部ヒータ内に溶融媒体の上向きの流れを生成するように構成されたノズルを備える。
【0159】
第45の態様は、第42の態様の反応器を含むことができ、そこで、外部ヒータは、外部ヒータ内で溶融媒体を加熱するように構成された電気加熱要素を備える。
【0160】
第46の態様は、第42の態様の反応器を含むことができ、そこで、外部ヒータは、外部ヒータ内で溶融媒体を抵抗加熱するように構成された複数の電極を備える。
【0161】
第47の態様は、第33~第41の態様のいずれか1つの反応器を含むことができ、反応ゾーンに配置されたインサートを更に備え、そこで、インサートは、中央流れ領域を通して溶融媒体を導くように構成され、インサートは、インサートと反応容器の壁との間に環状流路を画定する。
【0162】
第48の態様は、第47の態様の反応器を含むことができ、中央流れ領域に配置された複数の電極を更に備え、複数の電極は、中央流れ領域内で溶融媒体を抵抗加熱するように構成される。
【0163】
第49の態様では、方法は、溶融媒体を反応容器の上部に通過させること、原料ガスを反応容器の下部に通過させること、反応容器の中央部で原料ガスを熱分解して反応生成物を形成すること、溶融媒体と反応生成物との間の直接接触熱交換を用いて反応容器の上部の溶融媒体を加熱すること、溶融媒体と原料ガスとの間の直接接触熱交換を用いて反応容器の下部の溶融媒体を冷却すること、及び、反応容器の下部の溶融媒体を冷却した後に、溶融媒体を反応容器の外に送出すること、を含む。
【0164】
第50の態様は、第49の態様の方法を含むことができ、反応生成物を反応容器の上部から送出することを更に含む。
【0165】
第51の態様は、第49又は第50の態様の方法を含むことができ、そこで、反応容器の上部の溶融媒体を加熱することは、溶融媒体を複数のトレイに通過させること、反応生成物を複数のトレイ上に通過させること、及び、反応生成物を複数のトレイ上に通過させることに基づいて、溶融媒体を加熱し、反応生成物を冷却すること、を含む。
【0166】
第52の態様は、第49~第51の態様のいずれか1つの方法を含むことができ、反応
容器の下部から出て行く溶融媒体を反応容器の上部にリサイクルすることを更に含む。
【0167】
第53の態様は、第52の態様の方法を含むことができ、そこで、溶融媒体をリサイクルすることは、溶融媒体リサイクルラインを通して溶融媒体を圧送することを含む。
【0168】
第54の態様は、第52の態様の方法を含むことができ、そこで、溶融媒体をリサイクルすることは、溶融媒体リサイクルライン内の溶融媒体にガスを注入すること、ガスの注入に応答して溶融媒体を溶融媒体リサイクルラインに通過させること、及び、溶融媒体を反応容器の上部に通す前に、溶融媒体リサイクルラインからガスを除去すること、を含む。
【0169】
第55の態様は、第33~第54の態様のいずれか1つの方法を含むことができ、更に、溶融媒体の少なくとも一部を反応容器の上部から反応容器の下部に、反応容器の中央部を通過させることなく通過させることを含む。
【0170】
第56の態様は、第33~第55の態様のいずれか1つの方法を含むことができ、そこで、反応生成物及び溶融媒体は、反応容器の上部及び下部に向流を有し、原料ガス、反応生成物及び溶融媒体は、反応容器の中央部に並流を有する。
【0171】
第57の態様は、第33~第56の態様のいずれか1つの方法を含むことができ、反応容器の中央部から溶融媒体の一部を除去すること、溶融媒体の一部を加熱して加熱された溶融媒体を生成すること、及び、加熱された溶融媒体を反応容器の中央部に戻すことを含む。
【0172】
第58の態様は、第57の態様の方法を含むことができ、そこで、溶融媒体の一部が反応容器の中央部の上部から除去され、加熱された溶融媒体が反応容器の中央部の底部に戻される。
【0173】
第59の態様は、第57又は第58の態様の方法を含むことができ、そこで、溶融媒体の一部を加熱することは、燃焼生成物を生成するためにガスを燃焼させること、及び、燃焼生成物を溶融媒体と接触させて、加熱された溶融媒体を生成すること、を含む。
【0174】
第60の態様は、第59の態様の方法を含むことができ、そこで、溶融媒体の一部を加熱することは、ノズルを通して燃焼生成物を注入すること、及び、溶融媒体の上方への流れを生成して、加熱された溶融媒体を反応容器の中央部に戻すこと、を含む。
【0175】
第61の態様は、第57又は第58の態様の方法を含むことができ、そこで、溶融媒体の一部を加熱することは、溶融媒体を電気的に加熱すること、又は溶融媒体を抵抗加熱することのうちの少なくとも1つを含む。
【0176】
第62の態様は、第33~第56の態様のいずれか1つの方法を含むことができ、反応容器の中央部分の中央流れ領域を通して原料ガスを導くこと、中央流れ領域内の溶融媒体を加熱すること、反応生成物及び溶融媒体を中央流れ領域から上向きに通過させること、及び、溶融媒体を中央流れ領域に通過させた後に、溶融媒体を反応容器の中央部の環状流路内で下向きに通過させること、を更に含む。
【0177】
本開示ではいくつかの実施形態が提供されたが、開示されたシステム及び方法は、本開示の趣旨又は範囲から逸脱することなく、多くの他の特定の形態で具現化され得ることを理解されたい。これらの実施形態及び本実施例は、例示的なものであって、限定的なものではないと考えられるべきであり、その意図は本明細書に与えられた詳細に限定されるも
のではない。本明細書に開示されるシステム及び方法の多くの変形及び修正が可能であり、それらは本開示の範囲内である。例えば、様々な要素又は構成要素は、別のシステムに組み合わされ、若しくは統合されてもよく、又は特定の特徴が省略され、若しくは実装されなくてもよい。また、本開示の範囲から逸脱することなく、様々な実施形態において個別の又は別個のものとして説明及び図示された技術、システム、サブシステム、及び方法は、他のシステム、モジュール、技術、又は方法と組み合わせるか、又は統合することができる。互いに直接結合又は通信するものとして図示又は説明された他の項目は、電気的、機械的、又はその他の方法で、何らかのインターフェース、デバイス、又は中間構成要素を介して間接的に結合又は通信することができる。変更、置換、及び交代の他の例は、当業者によって確認可能であり、本明細書に開示された精神及び範囲から逸脱することなく行うことができる。
【0178】
上記の開示が十分に理解されると、多数の他の修正、均等物、及び代替物が当業者に明らかになるであろう。以下の特許請求の範囲は、適用可能な場合、すべてのそのような修正、均等物、及び代替物を包含すると解釈されることが意図されている。したがって、保護の範囲は、上記の説明によって限定されず、添付の特許請求の範囲によってのみ限定され、その範囲は、特許請求の範囲の主題のすべての均等物を含む。あらゆる請求項は、本システム及び方法の一実施形態として本明細書に組み込まれる。したがって、特許請求の範囲は、さらなる説明であり、本発明の詳細な説明への追加である。本明細書に引用されたすべての特許、特許出願、及び刊行物の開示は、参照により本明細書に組み込まれる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図9
図10
図11
図12
図13A
図13B
図14A
図14B
図15A
図15B
図16
図17
【国際調査報告】