(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-14
(54)【発明の名称】粒子の分離および濃縮のためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
G01N 1/40 20060101AFI20240206BHJP
C12M 1/00 20060101ALI20240206BHJP
G01N 37/00 20060101ALI20240206BHJP
G01N 35/00 20060101ALI20240206BHJP
【FI】
G01N1/40
C12M1/00 Z
G01N37/00 101
G01N35/00 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023543324
(86)(22)【出願日】2022-01-20
(85)【翻訳文提出日】2023-09-13
(86)【国際出願番号】 US2022013072
(87)【国際公開番号】W WO2022159552
(87)【国際公開日】2022-07-28
(32)【優先日】2021-01-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-01-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-03-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】519149537
【氏名又は名称】ジーピービー・サイエンティフィック・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】GPB Scientific, Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100189555
【氏名又は名称】徳山 英浩
(74)【代理人】
【識別番号】100100479
【氏名又は名称】竹内 三喜夫
(72)【発明者】
【氏名】スケリー,アリソン
(72)【発明者】
【氏名】ガンディ,クシュルー
(72)【発明者】
【氏名】ウォード,アンソニー
(72)【発明者】
【氏名】バーマーディ,ヤスナ
(72)【発明者】
【氏名】カンポス ゴンサレス,ロベルト
(72)【発明者】
【氏名】ウアギア-パルダン,ラウリッサ
(72)【発明者】
【氏名】ヒーリー,ローラ
【テーマコード(参考)】
2G052
2G058
4B029
【Fターム(参考)】
2G052AA31
2G052AD29
2G052CA03
2G052CA12
2G052HC28
2G058GD05
2G058GD07
4B029AA27
4B029BB11
4B029CC01
4B029FA04
(57)【要約】
1つ以上の標的粒子に富化された生成物を生成するためのシステムおよび方法であって、1つ以上のマイクロ流体カートリッジが解放可能に結合され支持されるカセットを備える。該カセットは、(i)それに解放可能にかつ流体的に結合された複数の入力容器であって、複数の入力容器のうちの少なくとも1つが流入するサンプルを含む複数の入力容器と、(ii)それに解放可能にかつ流体的に結合された複数の出力容器を有する複数の出口と、(iii)該サンプルから1つ以上の標的粒子を分離するための1つ以上のマイクロ流体カートリッジと、(iv)複数の入口と、複数の出口と、1つ以上のマイクロ流体カートリッジとの間に延びる複数の流体チャネルと、を備える。複数の入力容器、複数の出力容器、およびカセットは、全体で、外部の手動ハンドリングまたは介入なしで流入するサンプルのインライン連続処理を可能にする閉鎖エンドツーエンド(端部間)滅菌環境を提供し、1つ以上の標的粒子が富化され、汚染のない生成物を生成する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つ以上の標的粒子に富化された生成物を生成するためのシステムであって、
(i)1つ以上のカートリッジポート、(ii)サンプルを受け入れるための少なくとも1つの入口、(iii)生成物を出力するための少なくとも1つの出口、および(iv)少なくとも1つの再循環経路を備えるカセットと、
1つ以上のカートリッジポートに動作可能に結合され、カセットとの流体連通を確立する1つ以上のマイクロ流体カートリッジと、を備え、
1つ以上のマイクロ流体カートリッジは、1つ以上の標的粒子をサンプルから分離するために使用され、
少なくとも1つの再循環経路は、カセットを経由して1つ以上の標的粒子を再循環させて、1つ以上の標的粒子を予め定めた媒体体積または予め定めた濃度に濃縮するために使用され、
1つ以上のマイクロ流体カートリッジおよび少なくとも1つの再循環経路は、並列で動作して、生成物を生成するため実行時間を最適化する、システム。
【請求項2】
1つ以上のマイクロ流体カートリッジおよび少なくとも1つの再循環経路は、互いに独立して動作する、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
1つ以上のマイクロ流体カートリッジは、少なくとも1つの再循環経路による再循環プロセスに影響を与えることなく、1つ以上の標的粒子をサンプルから分離するように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
少なくとも1つの再循環経路は、1つ以上のマイクロ流体カートリッジによる分離プロセスに影響を与えることなく、カセットを経由して1つ以上の標的粒子を再循環させるように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
1つ以上のマイクロ流体カートリッジおよび少なくとも1つの再循環経路は、生成物中の1つ以上の標的粒子の所望の濃度を達成するように、リアルタイムで個別に制御可能である、請求項2に記載のシステム。
【請求項6】
1つ以上の標的粒子に富化された生成物を生成するためのシステムであって、
1つ以上のマイクロ流体カートリッジが解放可能に結合され支持されるカセットであって、該カセットは、長手方向に延びて、カセット上に離隔して配置された複数の流体チャネルを含む、カセットと、
複数の流体チャネルに蠕動的に結合され、サンプルからの1つ以上の標的粒子の分離のために、1つ以上のマイクロ流体カートリッジの下流にある複数の流体チャネルを経由して流体含有物の流れを制御する複数のポンプと、を備え、
ポンプからのいずれの可動部分も、その流れの際に流体含有物に直接接触しいてない、システム。
【請求項7】
複数の流体チャネルは、可撓性チューブを含む、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
複数のポンプの各々は、複数の流体チャネルの各サブセットに蠕動的に結合されたポンプヘッドのセットを含む、請求項6に記載のシステム。
【請求項9】
各ポンプにおけるポンプヘッドのセットは、2つ以上のポンプヘッドを含む、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
2つ以上のポンプヘッドは、2つ以上のローラセットを含む、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
複数の流体チャネルの各サブセットは、2つ以上の流体チャネルを含む、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
流体含有物は、1つ以上の標的粒子がサンプルから分離された後に、1つ以上のマイクロ流体カートリッジによって生成されるサンプル、媒体溶液、希釈液および廃棄物を含む、請求項6に記載のシステム。
【請求項13】
流体含有物はさらに、プライミング溶液を含む、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
流体含有物はさらに、1つ以上の標的粒子の濃縮された量を含む再循環溶液を含む、請求項12に記載のシステム。
【請求項15】
複数のポンプは、サンプルの流れを制御するための第1ポンプと、媒体溶液の流れを制御するための第2ポンプと、希釈液の流れを制御するための第3ポンプと、廃棄物の流れを制御するための第4ポンプとを含む、請求項12に記載のシステム。
【請求項16】
複数のポンプは、サンプル、媒体溶液、希釈液、および廃棄物の間の相対的な流量を調節するために個別に制御可能である、請求項12に記載のシステム。
【請求項17】
各ポンプにおけるポンプヘッドのセットは、互いに逆相で作動するように構成される、請求項8に記載のシステム。
【請求項18】
各ポンプにおけるポンプヘッドのセットは、約180度以下だけ逆相で作動する、請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
各ポンプにおけるポンプヘッドのセットは、互いに固定された動きを有する、請求項8に記載のシステム。
【請求項20】
固定された動きは、各ポンプにおけるポンプヘッドのセットが互いに同じ速度で同じ方向に移動することを含む、請求項19に記載のシステム。
【請求項21】
各ポンプおよび流体チャネルの各サブセットについて、ポンプヘッドのセットによって輸送される流体含有物は、流体チャネルの各サブセットの出口において単一の流体経路に共に合流する、請求項8に記載のシステム。
【請求項22】
各ポンプの拍動性が、ポンプヘッドのセットを逆相で運動させることによって低減される、請求項8に記載のシステム。
【請求項23】
複数のポンプは、(a)サンプル量に対する廃棄物量の比率を制御し、(b)希釈液量に対するサンプルの量の比率を制御し、または(c)希釈倍率を調整するように、個別に制御可能である、請求項16に記載のシステム。
【請求項24】
複数のポンプは、互いに同相または逆相になるように個別に制御可能である、請求項6に記載のシステム。
【請求項25】
複数のポンプは、同じ流量、異なる流量、同じ流れ方向、または異なる流れ方向を達成するように個別に制御可能である、請求項6に記載のシステム。
【請求項26】
複数のポンプは、1つ以上のマイクロ流体カートリッジがサンプルから1つ以上の標的粒子を分離するときに、流体含有物の流れをリアルタイムで調整するように個別に制御可能である、請求項6に記載のシステム。
【請求項27】
複数のポンプは、生成物中の1つ以上の標的粒子の所望の濃度を可能にするように個別に制御可能である、請求項6に記載のシステム。
【請求項28】
複数のポンプは、蠕動ポンプを含む、請求項6に記載のシステム。
【請求項29】
1つ以上の標的粒子に富化された生成物を生成するためのシステムであって、
1つ以上の標的粒子をサンプルから分離するように構成された1つ以上のマイクロ流体カートリッジと、
サンプルまたは他の溶液中の気泡の存在を検出するための1つ以上のセンサと、
1つ以上の制御可能なバルブと、
1つ以上のマイクロ流体カートリッジが解放可能に結合され支持されるカセットであって、該カセットは、1つ以上のセンサによる空気の存在の検出に基づいて、気泡を有するサンプルまたは他の溶液の一部を、1つ以上のマイクロ流体カートリッジから方向転換するための1つ以上の制御可能なバルブの下流にある1つ以上のバイパスチャネルを含む、カセットと、を備えるシステム。
【請求項30】
1つ以上のセンサは、サンプルを1つ以上のマイクロ流体カートリッジの中に循環させる前に、気泡の存在を検出するために使用される、請求項29に記載のシステム。
【請求項31】
システムは、1つ以上のセンサがサンプルまたは他の溶液中の気泡の存在を検出すると、1つ以上のアラートを発生するように構成される、請求項29に記載のシステム。
【請求項32】
1つ以上のセンサおよび1つ以上のバイパスチャネルは、気泡が侵入して、1つ以上のマイクロ流体カートリッジの効率を減少させるのを防止するために協力して作動する、請求項29に記載のシステム。
【請求項33】
1つ以上のセンサおよび1つ以上のバイパスチャネルは、生成物中の汚染を低減または排除するために協力して作動する、請求項29に記載のシステム。
【請求項34】
1つ以上の標的粒子に富化された生成物を生成するためのシステムであって、
1つ以上の標的粒子をサンプルから分離するように構成された1つ以上のマイクロ流体カートリッジと、
1つ以上のマイクロ流体カートリッジが解放可能に結合されて支持されるカセットと、
サンプルが1つ以上のマイクロ流体カートリッジを循環する前に、溶存ガスを除去して、気泡形成を防止するためするための少なくとも1つの脱気ユニットと、を備えるシステム。
【請求項35】
少なくとも1つの脱気ユニットは、カセット上に一体化されている、請求項34に記載のシステム。
【請求項36】
少なくとも1つの脱気ユニットは、カセットの一部として製作される、請求項34に記載のシステム。
【請求項37】
少なくとも1つの脱気ユニットは、1つ以上のマイクロ流体カートリッジに近接してカセット上に設置される、請求項34に記載のシステム。
【請求項38】
少なくとも1つの脱気ユニットは、1つ以上のマイクロ流体カートリッジに導入する複数の経路と流体連通している、請求項34に記載のシステム。
【請求項39】
1つ以上の標的粒子に富化された生成物を生成するためのシステムであって、
1つ以上のマイクロ流体カートリッジが解放可能に結合され支持されるカセットであって、(i)これに解放可能で流体的に結合される複数の入力容器を有する複数の入口であって、複数の入力容器のうちの少なくとも1つは、到来するサンプルを含む、複数の入口と、(ii)これに解放可能で流体的に結合される複数の出力容器を有する複数の出口と、(iii)サンプルから1つ以上の標的粒子を分離するための1つ以上のマイクロ流体カートリッジと、(iv)複数の入口、複数の出口、および1つ以上のマイクロ流体カートリッジの間に延びる複数の流体チャネルと、を含むカセットを備え、
これに結合される複数の入力容器、複数の出力容器、および1つ以上のマイクロ流体カートリッジを有するカセットは、全体で、外部の手動操作または介入なしで、流入するサンプルのインライン連続処理を可能にする、閉鎖エンドツーエンド滅菌環境下を提供し、1つ以上の標的粒子が富化され、汚染のない生成物を生成する、システム。
【請求項40】
複数の入口および複数の入力容器は、複数の滅菌結合機構を用いて、解放可能で流体的に結合されている、請求項39に記載のシステム。
【請求項41】
複数の滅菌結合機構は、少なくとも1つの滅菌スパイクおよび少なくとも1つのスパイクポートを含む、請求項40に記載のシステム。
【請求項42】
生成物は、複数の出力容器の少なくとも1つに収集される、請求項39に記載のシステム。
【請求項43】
生成物は、生成物を外部非滅菌環境に曝すことなく、複数の出力容器のうちの少なくとも1つに収集される、請求項39に記載のシステム。
【請求項44】
生成物は、生成物を外部非滅菌環境に曝すことなく、複数の出力容器のうちの少なくとも1つに収集される、請求項39に記載のシステム。
【請求項45】
サンプルは、サンプルを外部非滅菌環境に曝すことなく、複数の入力容器のうちの少なくとも1つからカセットに入力される、請求項39に記載のシステム。
【請求項46】
システムは、流入するサンプルのインライン連続処理中に、閉鎖エンドツーエンド滅菌環境の外部から外部追加される中間試薬を必要としない、請求項39に記載のシステム。
【請求項47】
システムは、流入するサンプルのインライン連続処理中に、閉鎖エンドツーエンド滅菌環境の外部に除去される副産物を必要としない、請求項39に記載のシステム。
【請求項48】
サンプルは、少なくとも約200mLの体積を有し、
システムは、1つ以上の標的粒子の少なくとも約70%で富化された生成物を1時間未満で生成するようにサンプルを処理するように構成される、請求項39に記載のシステム。
【請求項49】
システムは、約300mL/時間以上のレートでサンプルを処理するように構成される、請求項39に記載のシステム。
【請求項50】
1つ以上の標的粒子に富化された生成物を生成するためのシステムであって、
1つ以上の標的粒子をサンプルから分離するように構成された1つ以上のマイクロ流体カートリッジと、
1つ以上のマイクロ流体カートリッジが解放可能に結合され支持されるカセットであって、サンプルが1つ以上のマイクロ流体カートリッジを通って循環する前に、いずれの可動部分を使用せずに、サンプルを希釈液とカセット上でインライン混合するように構成されたミキサーを含む、カセットと、を備えるシステム。
【請求項51】
ミキサーは、サンプルのための第1流体チャネルと、希釈液のための第2流体チャネルとを含む、請求項50に記載のシステム。
【請求項52】
第1流体チャネルおよび第2流体チャネルは、合流して、サンプルと希釈液の混合を可能にする、請求項51に記載のシステム。
【請求項53】
第1流体チャネルおよび第2流体チャネルは、サンプルと希釈液のインライン混合を促進するための複数の構造エレメントを含む、請求項51に記載のシステム。
【請求項54】
(a)1つ以上のマイクロ流体カートリッジが解放可能に結合され支持されるカセットを含むシステムを用意するステップと、
(b)システムを経由して、プライミング溶液を流すことによってカセットをプライム処理 するステップと、
(c)システムを経由して、サンプルを流して、1つ以上のマイクロ流体カートリッジを用いてシステムから1つ以上の標的粒子を分離することによって、サンプルを処理するステップと、
(d)サンプルから分離された1以上の標的粒子を含む生成物を回収するステップと、を含み、
サンプルは、少なくとも約40mLの体積を有し、
生成物は、1つ以上の標的粒子の少なくとも約70%の回収で富化され、
ステップ(b)~(d)は、約1時間以下の閉鎖滅菌環境で連続的にインラインで完了する、方法。
【請求項55】
ステップ(b)は、約20分以下で完了する、請求項54に記載の方法。
【請求項56】
ステップ(c)および(d)は、約40分以下で完了する、請求項54に記載の方法。
【請求項57】
カセットおよび1つ以上のマイクロ流体カートリッジは、単一の使用のために構成される、請求項54に記載の方法。
【請求項58】
ステップ(b)は、カセットが複数の使用のために再使用可能であることを許容する、請求項54に記載の方法。
【請求項59】
ステップ(b)は、1つ以上のマイクロ流体カートリッジが複数の使用のために再使用可能であることを許容する、請求項54に記載の方法。
【請求項60】
サンプルは、ヒトサンプルである、請求項54~59のいずれかに記載の方法。
【請求項61】
サンプルは、血液関連生成物を含む、請求項54~60のいずれかに記載の方法。
【請求項62】
血液関連生成物は、アフェレーシス生成物を含む、請求項61に記載の方法。
【請求項63】
アフェレーシス生成物は、白血球アフェレーシス生成物である、請求項62に記載の方法。
【請求項64】
サンプルから分離された1つ以上の標的粒子は、細胞を含む、請求項54~63のいずれかに記載の方法。
【請求項65】
細胞は、ヒト細胞である、請求項64に記載の方法。
【請求項66】
細胞は、回収時に約90%より大きい生存可能性を有する、請求項64または65に記載の方法。
【請求項67】
細胞は、末梢血単核細胞を含む、請求項64~66のいずれかに記載の方法。
【請求項68】
細胞は、CD3+T細胞を含む、請求項64~67のいずれかに記載の方法。
【請求項69】
T細胞は、ナイーブまたはセントラルメモリ表現型を示す、請求項68に記載の方法。
【請求項70】
細胞をインビトロで培養または増殖させるステップをさらに含む、請求項64~69のいずれかに記載の方法。
【請求項71】
外因性核酸を用いて、細胞をトランスジェニックにするステップをさらに含む、請求項64~70のいずれかに記載の方法。
【請求項72】
外因性核酸は、キメラ抗原受容体または組換えT細胞受容体をコードする、請求項71に記載の方法。
【請求項73】
サンプルは、少なくとも約300mLの体積を有する、請求項54に記載の方法。
【請求項74】
サンプルは、少なくとも約100mLの体積を有する、請求項54に記載の方法。
【請求項75】
生成物は、1つ以上の標的粒子の少なくとも約80%の回収で富化される、請求項54に記載の方法。
【請求項76】
生成物は、1つ以上の標的粒子の少なくとも約90%の回収で富化される、請求項54に記載の方法。
【請求項77】
生成物は、1つ以上の標的粒子の少なくとも約95%の回収で富化される、請求項54に記載の方法。
【請求項78】
コンピュータ上にグラフィカルユーザインタフェース(GUI)を表示するステップであって、該GUIは、(i)コントロールパネルおよび(ii)システムの視覚的表現を含み、該システムは、(a)1つ以上のマイクロ流体カートリッジが解放可能に結合され支持されるカセットと、(b)流体輸送およびプロセス制御を容易にするための複数のコンポーネントとを備える、ステップと、
コントロールパネルを介して入力された実行プロトコルのためのユーザ入力を受信するステップと、
システム上の実行プロトコルを起動して、1つ以上のマイクロ流体カートリッジを使用して、サンプルから1つ以上の標的粒子を分離することによって、サンプルを処理するステップと、
システムがサンプルを処理している時に、実質的にリアルタイムで進行またはステータスを表示するステップであって、進行またはステータスは、システムの視覚的表現へのグラフィック変化によって描写される、ステップと、を含む方法。
【請求項79】
複数のコンポーネントは、フローチャネル、バルブ、圧力センサ、およびポンプを含む、請求項78に記載の方法。
【請求項80】
複数のコンポーネントは、1つ以上の気泡センサ、および少なくとも1つの脱気ユニットをさらに含む、請求項79に記載の方法。
【請求項81】
グラフィック変化は、複数のコンポーネントのうちの1つ以上のオン/オフ状態を含む、請求項80に記載の方法。
【請求項82】
グラフィック変化は、カセットおよび1つ以上のマイクロ流体カートリッジを通るサンプルまたは他の媒体の流体フローを含む、請求項80に記載の方法。
【請求項83】
システムが実行プロトコルに従ってサンプルを処理していることを示す、1つ以上の通知をGUI上に生成するステップをさらに含む、請求項78に記載の方法。
【請求項84】
サンプルが処理されている時に、システムが実行プロトコルからの1つ以上の偏差を経験していることを示す、1つ以上の通知をGUI上に生成するステップをさらに含む、請求項78に記載の方法。
【請求項85】
ユーザが1つ以上の偏差を是正するための、GUI上に1つ以上のオプションを生成するステップをさらに含む、請求項84に記載の方法。
【請求項86】
実行プロトコルからの1つ以上の偏差の検出時に、サンプルの圧力および流量を自動的に減少させるステップをさらに含む、請求項84に記載の方法。
【請求項87】
システムがサンプルの処理を完了した場合、複数の実行計量を含むレポートを生成するステップをさらに含む、請求項78に記載の方法。
【請求項88】
システムがサンプルを処理する時に、GUIにより、ユーザがステータスを観察して、複数のコンポーネントのうちの1つ以上の動作を実質的にリアルタイムで制御することが可能である、請求項78に記載の方法。
【請求項89】
システムは、1つ以上の質量センサをさらに含み、
カセットを通る1つ以上の標的粒子の再循環は、1つ以上の質量センサから得られる1つ以上の読み取り値に基づいて制御される、請求項1に記載のシステム。
【請求項90】
システムは、カセットに動作可能に結合されたパネルをさらに備え、
少なくとも1つの脱気ユニットは、パネル上に一体化されている、請求項36に記載のシステム。
【請求項91】
サンプルから1つ以上の標的粒子を除去するステップをさらに含む、請求項1~53のいずれかに記載のシステムまたは請求項54~90のいずれかに記載の方法。
【請求項92】
標的粒子は、赤血球または血小板である、請求項91に記載の方法またはシステム。
【請求項93】
赤血球または血小板の少なくとも約95%が、サンプルから除去される、請求項92に記載の方法またはシステム。
【請求項94】
赤血球と白血球との混合物を2.5:1、1.5:1、または0.7:1未満の比率で含む生成物が産生される、請求項1~53のいずれかに記載のシステムまたは請求項54~93のいずれかに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、米国仮出願第63/139737号(2021年1月20日出願)、米国仮出願第63/140196号(2021年1月21日出願)、米国仮出願第63/163593号(2021年3月19日)の利益を請求するものであり、その各々は参照によりここに組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
患者サンプルからの標的細胞の分離は、いくつかの障害物に直面するシステムおよび方法の使用をしばしば必要とする。システムおよび方法は、サンプルの処理中に人間の介入の使用を必要とすることがあり、環境および生成された生成物溶液の滅菌性に影響を及ぼす。現在のシステムおよび方法は、サンプル溶液の高スループットを達成するために苦労することがある。それらはまた、分離プロセス全体に渡って可動部分を含むことがあり、更なる故障および汚染の可能性を導入する。従って、生物材料が精製できるレートを増加させ、分離プロセスを実施する環境の滅菌性を増加させるためのより良い実行デバイスおよびより良い方法の開発が相当に興味深いことである。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
ここでは、改善された無菌性のためのエンドツーエンド(端部間)閉鎖システムにおいて標的粒子の改善された分離時間のためのシステムを提供するための、特定のカセット、マイクロ流体デバイス、粒子分離ユニット、およびこれら3つを接続するコンポーネントを説明する。特定のカセットは、流入するサンプルの連続インライン処理を提供するために、人間の介入の必要なしまたは殆どなしで無菌動作環境を維持している閉鎖エンドツーエンド環境において、複数の入力を複数の出力に接続する複数の入力チャネルおよび出力チャネルを有することができる。カセットはまた、流入するサンプルを案内するための複数の経路と、複数の他の入力溶液および出力溶液とともにサンプル溶液の穏やかな混合および輸送のために、サンプル溶液の無菌性および生存能力を温存するための複数のコンポーネントとを有することができる。
【0004】
ここで説明する方法およびシステムは、治療用免疫細胞集団(T細胞集団を含む)を産生でき、それは、治療用免疫細胞集団を産生する他の方法と比較して有益な特性を示す。その利点は、より大きい増殖能力、外来性核酸を取り込んで導入し、レンチウイルスベクターからタンパク質を発現する増加した能力、例えば、ナイーブ、静止、非活性化またはセントラルメモリT細胞など、好都合な細胞集団の増加した保持を含む。ここで説明するシステムおよび方法によって産生される免疫細胞およびT細胞はまた、培養中の炎症性サイトカインの減少レベルによって示されるように、より低い炎症性表現型を有し、これらは、サイトカイン放出症候群に寄与するのが減少した可能性を有することを示す。生成物T細胞における炎症性サイトカインの低いレベルは重要である。サイトカイン放出症候群が、T細胞治療(例えば、CART細胞および組換えT細胞療法など)に関連する主要な有害イベントであるためであり、分化して活性化されたT細胞サブセット(例えば、IL-IRA、IL-6、およびIL-13を放出するCD45RA(Temra)の発現を回復するエフェクタメモリT細胞(Tem)またはエフェクタT細胞など)の存在に関連するためである。ここで示すように、説明するシステムおよび方法によって産生される細胞はまた、サイトカイン放出症候群に寄与するキー炎症性サイトカインの低い放出も示す。
【0005】
ここでは、一態様において、サンプル中の汚染物質から予め定めたサイズの標的粒子または標的細胞を精製するためのマイクロ流体カートリッジを説明する。カートリッジは、第1平面支持体および第2平面支持体を備え、第1平面支持体および第2平面支持体はそれぞれ、上面および底面を有し、第1平面支持体および/または第2平面支持体の上面は、1つ以上の入口から1つ以上の出口まで延びる少なくとも1つの埋め込みチャネルを備え、少なくとも1つの埋め込みチャネルは、複数の障害物を含む。
【0006】
ここでは、一態様において、カセット、マイクロ流体カートリッジ、ならびに入力溶液および出力溶液を受け入れ、支持し、および/または動作させるための複数のコンポーネントを含む粒子分離ユニットを説明する。
【0007】
一態様において、ここでは、1つ以上の標的粒子に富化された生成物を生成するためのシステムであって、(i)1つ以上のカートリッジポート、(ii)サンプルを受け入れるための少なくとも1つの入口、(iii)生成物を出力するための少なくとも1つの出口、および(iv)少なくとも1つの再循環経路を備えるカセットと、1つ以上のカートリッジポートに動作可能に結合され、カセットとの流体連通を確立する1つ以上のマイクロ流体カートリッジと、を備え、1つ以上のマイクロ流体カートリッジは、1つ以上の標的粒子をサンプルから分離するために使用され、少なくとも1つの再循環経路は、カセットを経由して1つ以上の標的粒子を再循環させて、1つ以上の標的粒子を予め定めた媒体体積または予め定めた濃度に濃縮するために使用され、1つ以上のマイクロ流体カートリッジおよび少なくとも1つの再循環経路は、並列で動作して、生成物を生成するため実行時間を最適化する、システムを説明する。特定の実施形態では、1つ以上のマイクロ流体カートリッジおよび少なくとも1つの再循環経路は、互いに独立して動作する。特定の実施形態では、1つ以上のマイクロ流体カートリッジは、少なくとも1つの再循環経路による再循環プロセスに影響を与えることなく、1つ以上の標的粒子をサンプルから分離するように構成される。特定の実施形態では、少なくとも1つの再循環経路は、1つ以上のマイクロ流体カートリッジによる分離プロセスに影響を与えることなく、カセットを経由して1つ以上の標的粒子を再循環させるように構成される。特定の実施形態では、1つ以上のマイクロ流体カートリッジおよび少なくとも1つの再循環経路は、生成物中の1つ以上の標的粒子の所望の濃度を達成するように、リアルタイムで個別に制御可能である。特定の実施形態では、少なくとも1つの再循環経路は、少なくとも1つの入口と少なくとも1つの出口との間に延びている。特定の実施形態では、少なくとも1つの再循環経路は、1つ以上の標的粒子をカセット上で時計回り方向に再循環させるように構成される。特定の実施形態では、少なくとも1つの再循環経路は、1つ以上の標的粒子をカセット上で反時計回り方向に再循環させるように構成される。特定の実施形態では、カセットはさらに、1つ以上のマイクロ流体カートリッジにサンプルを出し入れするための複数の経路を備える。特定の実施形態では、少なくとも1つの再循環経路は、複数の経路とは別個に設けられる。特定の実施形態では、少なくとも1つの再循環経路は、複数の経路のうちの1つ以上に隣接または接続される。特定の実施形態では、システムはさらに、1つ以上の質量センサを備え、カセットを通る1つ以上の標的粒子の再循環は、1つ以上の質量センサから得られる1つ以上の読み取り値に基づいて制御される。
【0008】
他の態様において、ここでは、1つ以上の標的粒子に富化された生成物を生成するためのシステムであって、1つ以上のマイクロ流体カートリッジが解放可能に結合され支持されるカセットであって、該カセットは、長手方向に延びて、カセット上に離隔して配置された複数の流体チャネルを含む、カセットと、複数の流体チャネルに蠕動的に結合され、サンプルからの1つ以上の標的粒子の分離のために、1つ以上のマイクロ流体カートリッジの下流にある複数の流体チャネルを経由して流体含有物の流れを制御する複数のポンプと、を備え、ポンプからのいずれの可動部分も、その流れの際に流体含有物に直接接触しいてない、システムを説明する。特定の実施形態では、複数の流体チャネルは、可撓性チューブを含む。特定の実施形態では、複数のポンプの各々は、複数の流体チャネルの各サブセットに蠕動的に結合されたポンプヘッドのセットを含む。特定の実施形態では、各ポンプにおけるポンプヘッドのセットは、2つ以上のポンプヘッドを含む。特定の実施形態では、2つ以上のポンプヘッドは、2つ以上のローラセットを含む。特定の実施形態では、複数の流体チャネルの各サブセットは、2つ以上の流体チャネルを含む。特定の実施形態では、流体含有物は、1つ以上の標的粒子がサンプルから分離された後に、1つ以上のマイクロ流体カートリッジによって生成されるサンプル、媒体溶液、希釈液および廃棄物を含む。特定の実施形態では、流体含有物はさらに、プライミング溶液を含む。特定の実施形態では、流体含有物はさらに、1つ以上の標的粒子の濃縮された量を含む再循環溶液を含む。特定の実施形態では、複数のポンプは、サンプルの流れを制御するための第1ポンプと、媒体溶液の流れを制御するための第2ポンプと、希釈液の流れを制御するための第3ポンプと、廃棄物の流れを制御するための第4ポンプとを含む。特定の実施形態では、複数のポンプは、サンプル、媒体溶液、希釈液、および廃棄物の間の相対的な流量を調節するために個別に制御可能である。特定の実施形態では、各ポンプにおけるポンプヘッドのセットは、互いに逆相で作動するように構成される。特定の実施形態では、各ポンプにおけるポンプヘッドのセットは、約180度以下だけ逆相で作動する。特定の実施形態では、各ポンプにおけるポンプヘッドのセットは、互いに固定された動きを有する。特定の実施形態では、固定された動きは、各ポンプにおけるポンプヘッドのセットが互いに同じ速度で同じ方向に移動することを含む。特定の実施形態では、各ポンプおよび流体チャネルの各サブセットについて、ポンプヘッドのセットによって輸送される流体含有物は、流体チャネルの各サブセットの出口において単一の流体経路に共に合流する。特定の実施形態では、各ポンプの拍動性が、ポンプヘッドのセットを逆相で運動させることによって低減される。特定の実施形態では、複数のポンプは、(a)サンプル量に対する廃棄物量の比率を制御し、(b)希釈液量に対するサンプルの量の比率を制御し、または(c)希釈倍率を調整するように、個別に制御可能である。特定の実施形態では、複数のポンプは、互いに同相または逆相になるように個別に制御可能である。特定の実施形態では、複数のポンプは、同じ流量、異なる流量、同じ流れ方向、または異なる流れ方向を達成するように個別に制御可能である。特定の実施形態では、複数のポンプは、1つ以上のマイクロ流体カートリッジがサンプルから1つ以上の標的粒子を分離するときに、流体含有物の流れをリアルタイムで調整するように個別に制御可能である。特定の実施形態では、複数のポンプは、生成物中の1つ以上の標的粒子の所望の濃度を可能にするように個別に制御可能である。特定の実施形態では、複数のポンプは、蠕動ポンプを含む。特定の実施形態では、複数のポンプは、少なくとも2個、3個、4個、5個、6個、7個、または8個のポンプを含む。
【0009】
他の態様において、ここでは、1つ以上の標的粒子に富化された生成物を生成するためのシステムであって、1つ以上の標的粒子をサンプルから分離するように構成された1つ以上のマイクロ流体カートリッジと、サンプルまたは他の溶液中の気泡の存在を検出するための1つ以上のセンサと、1つ以上の制御可能なバルブと、1つ以上のマイクロ流体カートリッジが解放可能に結合され支持されるカセットであって、該カセットは、1つ以上のセンサによる空気の存在の検出に基づいて、気泡を有するサンプルまたは他の溶液の一部を、1つ以上のマイクロ流体カートリッジから方向転換するための1つ以上の制御可能なバルブの下流にある1つ以上のバイパスチャネルを含む、カセットと、を備えるシステムを説明する。特定の実施形態では、1つ以上のセンサは、サンプルを1つ以上のマイクロ流体カートリッジの中に循環させる前に、気泡の存在を検出するために使用される。特定の実施形態では、システムは、1つ以上のセンサがサンプルまたは他の溶液中の気泡の存在を検出すると、1つ以上のアラートを発生するように構成される。特定の実施形態では、1つ以上のセンサおよび1つ以上のバイパスチャネルは、気泡が侵入して、1つ以上のマイクロ流体カートリッジの効率を減少させるのを防止するために協力して作動する。特定の実施形態では、1つ以上のセンサおよび1つ以上のバイパスチャネルは、生成物中の汚染を低減または排除するために協力して作動する。
【0010】
ここでは、1つ以上の標的粒子に富化された生成物を生成するためのシステムであって、1つ以上の標的粒子をサンプルから分離するように構成された1つ以上のマイクロ流体カートリッジと、1つ以上のマイクロ流体カートリッジが解放可能に結合されて支持されるカセットと、サンプルが1つ以上のマイクロ流体カートリッジを循環する前に、溶存ガスを除去して、気泡形成を防止するためするための少なくとも1つの脱気ユニットと、を備えるシステムも説明する。特定の実施形態では、少なくとも1つの脱気ユニットは、カセット上に一体化されている。特定の実施形態では、少なくとも1つの脱気ユニットは、カセットの一部として製作される。特定の実施形態では、少なくとも1つの脱気ユニットは、1つ以上のマイクロ流体カートリッジに近接してカセット上に設置される。特定の実施形態では、少なくとも1つの脱気ユニットは、1つ以上のマイクロ流体カートリッジに導入する複数の経路と流体連通している。特定の実施形態では、システムは、カセットに動作可能に結合されたパネルをさらに備え、少なくとも1つの脱気ユニットは、パネル上に一体化されている。ある実施形態では、脱気ユニットは、真空式の脱気ユニットである。ある実施形態では、一体型真空ポンプが、真空脱気ユニットに接続され、これは、真空脱気ユニットの真空チャンバに真空を印加する。ある実施形態では、脱気ユニットに入る流体が、脱気ユニットの流体経路を脱気ユニットの真空チャンバから分離する多孔質膜から製作されたチューブを通過する。ある実施形態では、脱気ユニットの流体経路に含まれる流体中の溶存ガスが当該膜を通過し、一方、流体は膜を通過せず、これにより溶存ガスを流体から真空チャンバの真空中に除去する。
【0011】
他の態様において、ここでは、1つ以上の標的粒子に富化された生成物を生成するためのシステムであって、1つ以上のマイクロ流体カートリッジが解放可能に結合され支持されるカセットであって、(i)これに解放可能で流体的に結合される複数の入力容器を有する複数の入口であって、複数の入力容器のうちの少なくとも1つは、到来するサンプルを含む、複数の入口と、(ii)これに解放可能で流体的に結合される複数の出力容器を有する複数の出口と、(iii)サンプルから1つ以上の標的粒子を分離するための1つ以上のマイクロ流体カートリッジと、(iv)複数の入口、複数の出口、および1つ以上のマイクロ流体カートリッジの間に延びる複数の流体チャネルと、を含むカセットを備え、複数の入力容器、複数の出力容器、およびこれらに結合される1つ以上のマイクロ流体カートリッジを有するカセットは、全体で、外部の手動操作または介入なしで、流入するサンプルのインライン連続処理を可能にする、閉鎖エンドツーエンド(端部間)滅菌環境下を提供し、1つ以上の標的粒子が富化され、汚染のない生成物を生成する、システムを説明する。特定の実施形態では、複数の入口および複数の入力容器は、複数の滅菌結合機構を用いて、解放可能で流体的に結合されている。特定の実施形態では、複数の滅菌結合機構は、少なくとも1つの滅菌スパイクおよび少なくとも1つのスパイクポートを含む。特定の実施形態では、複数の滅菌結合機構は、少なくとも1つの滅菌ルアー継手を含む。特定の実施形態では、複数の滅菌結合機構は、少なくとも1つの滅菌チューブ溶接部を含む。特定の実施形態では、複数の滅菌結合機構は、少なくとも1つの滅菌クイック(quick)接続継手を含む。特定の実施形態では、生成物は、複数の出力容器の少なくとも1つに収集される。特定の実施形態では、生成物は、生成物を外部非滅菌環境に曝すことなく、複数の出力容器のうちの少なくとも1つに収集される。特定の実施形態では、生成物は、生成物を外部非滅菌環境に曝すことなく、複数の出力容器のうちの少なくとも1つに収集される。特定の実施形態では、サンプルは、サンプルを外部非滅菌環境に曝すことなく、複数の入力容器のうちの少なくとも1つからカセットに入力される。特定の実施形態では、システムは、流入するサンプルのインライン連続処理中に、閉鎖エンドツーエンド滅菌環境の外部から外部追加される中間試薬を必要としない。特定の実施形態では、システムは、流入するサンプルのインライン連続処理中に、閉鎖エンドツーエンド滅菌環境の外部に除去される副産物を必要としない。特定の実施形態では、サンプルは、少なくとも約200mLの体積を有し、システムは、1つ以上の標的粒子の少なくとも約70%の回収で富化された生成物を1時間未満で生成するようにサンプルを処理するように構成される。特定の実施形態では、システムは、約300mL/時間以上のレートでサンプルを処理するように構成される。
【0012】
ここでは、1つ以上の標的粒子に富化された生成物を生成するためのシステムであって、1つ以上の標的粒子をサンプルから分離するように構成された1つ以上のマイクロ流体カートリッジと、1つ以上のマイクロ流体カートリッジが解放可能に結合され支持されるカセットであって、サンプルが1つ以上のマイクロ流体カートリッジを通って循環する前に、いずれの可動部分を使用せずに、サンプルを希釈液とカセット上でインライン混合するように構成されたミキサーを含む、カセットと、を備えるシステムも説明する。特定の実施形態では、ミキサーは、サンプルのための第1流体チャネルと、希釈液のための第2流体チャネルとを含む。特定の実施形態では、第1流体チャネルおよび第2流体チャネルは、合流して、サンプルと希釈液の混合を可能にする。特定の実施形態では、第1流体チャネルおよび第2流体チャネルは、サンプルと希釈液のインライン混合を促進するための複数の構造エレメントを含む。第1の流体チャネルおよび第2の流体チャネルは、サンプルおよび希釈剤のインライン混合を促進するための複数の構造要素を含む。
【0013】
ここでは、(a)1つ以上のマイクロ流体カートリッジが解放可能に結合され支持されるカセットを含むシステムを用意するステップと、(b)システムを経由して、プライミング溶液を流すことによってカセットをプライム処理するステップと、(c)システムを経由して、サンプルを流して、1つ以上のマイクロ流体カートリッジを用いてシステムから1つ以上の標的粒子を分離することによって、サンプルを処理するステップと、(d)サンプルから分離された1以上の標的粒子を含む生成物を回収するステップと、を含み、サンプルは、少なくとも約40mLの体積を有し、生成物は、1つ以上の標的粒子の少なくとも約70%の回収で富化され、ステップ(b)~(d)は、約1時間以下の閉鎖滅菌環境で連続的にインラインで完了する、方法も説明する。特定の実施形態では、ステップ(b)は、約20分以下で完了する。特定の実施形態では、ステップ(c)および(d)は、約40分以下で完了する。特定の実施形態では、カセットおよび1つ以上のマイクロ流体カートリッジは、単一の使用のために構成される。特定の実施形態では、ステップ(b)は、カセットが複数の使用のために再使用可能であることを許容する。特定の実施形態では、ステップ(b)は、1つ以上のマイクロ流体カートリッジが複数の使用のために再使用可能であることを許容する。特定の実施形態では、サンプルは、ヒトサンプルである。特定の実施形態では、サンプルは、血液関連生成物を含む。特定の実施形態では、血液関連生成物は、アフェレーシス生成物を含む。特定の実施形態では、アフェレーシス生成物は、白血球アフェレーシス生成物である。特定の実施形態では、サンプルから分離された1つ以上の標的粒子は、細胞を含む。特定の実施形態では、細胞は、ヒト細胞である。特定の実施形態では、細胞は、回収時に約90%より大きい生存可能性を有する。特定の実施形態では、細胞は、末梢血単核細胞を含む。特定の実施形態では、細胞は、CD3+T細胞を含む。特定の実施形態では、T細胞は、ナイーブまたはセントラルメモリ表現型を示す。特定の実施形態では、方法は、細胞をインビトロで培養または増殖させるステップをさらに含む。特定の実施形態では、方法は、外因性核酸を用いて、細胞をトランスジェニックにするステップをさらに含む。特定の実施形態では、外因性核酸は、キメラ抗原受容体または組換えT細胞受容体をコードする。特定の実施形態では、サンプルは、少なくとも約300mLの体積を有する。特定の実施形態では、サンプルは、少なくとも約100mLの体積を有する。特定の実施形態では、生成物は、1つ以上の標的粒子の少なくとも約80%の回収で富化される。特定の実施形態では、生成物は、1つ以上の標的粒子の少なくとも約90%の回収で富化される。特定の実施形態では、生成物は、1つ以上の標的粒子の少なくとも約95%の回収で富化される。特定の実施形態では、サンプルは、少なくとも約100mLの体積を有する。特定の実施形態では、サンプルは、少なくとも約150mLの体積を有する。特定の実施形態では、サンプルは、少なくとも約200mLの体積を有する。
【0014】
ここでは、コンピュータ上にグラフィカルユーザインタフェース(GUI)を表示するステップであって、該GUIは、(i)コントロールパネルおよび(ii)システムの視覚的表現を含み、該システムは、(a)1つ以上のマイクロ流体カートリッジが解放可能に結合され支持されるカセットと、(b)流体輸送およびプロセス制御を容易にするための複数のコンポーネントとを備える、ステップと、コントロールパネルを介して入力された実行プロトコルのためのユーザ入力を受信するステップと、システム上の実行プロトコルを起動して、1つ以上のマイクロ流体カートリッジを使用して、サンプルから1つ以上の標的粒子を分離することによって、サンプルを処理するステップと システムがサンプルを処理している時に、実質的にリアルタイムで進行またはステータスを表示するステップであって、進行またはステータスは、システムの視覚的表現へのグラフィック変化によって描写される、ステップと、を含む方法も説明する。特定の実施形態では、複数のコンポーネントは、フローチャネル、バルブ、圧力センサ、およびポンプを含む。特定の実施形態では、複数のコンポーネントは、1つ以上の気泡センサ、および少なくとも1つの脱気ユニットをさらに含む。特定の実施形態では、グラフィック変化は、複数のコンポーネントのうちの1つ以上のオン/オフ状態を含む。特定の実施形態では、グラフィック変化は、カセットおよび1つ以上のマイクロ流体カートリッジを通るサンプルまたは他の媒体の流体フローを含む。特定の実施形態では、方法は、システムが実行プロトコルに従ってサンプルを処理していることを示す、1つ以上の通知をGUI上に生成するステップをさらに含む。特定の実施形態では、方法は、サンプルが処理されている時に、システムが実行プロトコルからの1つ以上の偏差を経験していることを示す、1つ以上の通知をGUI上に生成するステップをさらに含む。特定の実施形態では、方法は、ユーザが1つ以上の偏差を是正するための、GUI上に1つ以上のオプションを生成するステップをさらに含む。特定の実施形態では、方法は、実行プロトコルからの1つ以上の偏差の検出時に、サンプルの圧力および流量を自動的に減少させるステップをさらに含む。特定の実施形態では、方法は、システムがサンプルの処理を完了した場合、複数の実行計量を含むレポートを生成するステップをさらに含む。特定の実施形態では、システムがサンプルを処理する時に、GUIにより、ユーザがステータスを観察して、複数のコンポーネントのうちの1つ以上の動作を実質的にリアルタイムで制御することが可能である。
【0015】
ここで特定の実施形態で説明するシステムおよび方法は、細胞療法(例えば、CART細胞療法、細胞ベース免疫療法、および幹細胞療法)のための細胞の富化における使用に関する。富化、単離、または分離のための細胞の供給源は、治療対象患者またはHLA適合ドナーから得られる血液関連生成物である。特定の実施形態では、サンプルは、ヒトサンプルである。特定の実施形態では、サンプルは、血液関連生成物を含む。特定の実施形態では、血液関連生成物は、アフェレーシス生成物を含む。特定の実施形態では、アフェレーシス生成物は、白血球アフェレーシス生成物である。特定の実施形態では、サンプルから分離された1つ以上の標的粒子は、細胞を含む。特定の実施形態では、細胞は、ヒト細胞である。特定の実施形態では、細胞は、回収時に約90%より大きい生存可能性を有する。特定の実施形態では、細胞は、末梢血単核細胞を含む。特定の実施形態では、細胞は、末梢血単核細胞の約80%、85%、90%、または95%よりも大きく、出発サンプルから回収される。特定の実施形態では、細胞は、CD3+T細胞を含む。特定の実施形態では、T細胞は、ナイーブまたはセントラルメモリ表現型を示す。特定の実施形態では、方法は、細胞をインビトロで培養または増殖させるステップをさらに含む。特定の実施形態では、方法は、外因性核酸を用いて、細胞をトランスジェニックにするステップをさらに含む。特定の実施形態では、外因性核酸は、キメラ抗原受容体または組換えT細胞受容体をコードする。特定の実施形態では、サンプルは、少なくとも約300mLの体積を有する。特定の実施形態では、サンプルは、少なくとも約100mLの体積を有する。特定の実施形態では、サンプルは、少なくとも約100mLの体積を有する。特定の実施形態では、サンプルは、少なくとも約150mLの体積を有する。特定の実施形態では、サンプルは、少なくとも約200mLの体積を有する。
【0016】
特定の実施形態では、白血球は、得られる生成物の少なくとも約85%以上に富化される。特定の実施形態では、白血球は、得られる生成物の少なくとも約90%以上に富化される。特定の実施形態では、白血球は、得られる生成物の少なくとも約85%以上に富化される。特定の実施形態では、少なくとも約2×109個の白血球が、少なくとも約200mLのロイコパック(leukopak)から得られる。特定の実施形態では、少なくとも約2×109個の白血球が、少なくとも約300mLのロイコパックから得られる。特定の実施形態では、少なくとも約2×109個の白血球が、100mLのロイコパックから得られる。特定の実施形態では、少なくとも約5×109個の白血球が、少なくとも約200mLのロイコパックから得られる。特定の実施形態では、少なくとも約5×109個の白血球が、少なくとも約300mLのロイコパックから得られる。特定の実施形態では、少なくとも約5×109個の白血球が、少なくとも約100mLのロイコパックから得られる。
【0017】
特定の実施形態では、富化された白血球は、少なくとも約2キロベースのテロメア長を有する。特定の実施形態では、富化された白血球は、少なくとも約3キロベースのテロメア長を有する。特定の実施形態では、富化された白血球は、少なくとも約5キロベースのテロメア長を有する。
【0018】
特定の実施形態では、少なくとも約4×108個のナイーブT細胞が、少なくとも約200mLのロイコパックから得られる。特定の実施形態では、少なくとも約4×108個のナイーブT細胞が、少なくとも約300mLのロイコパックから得られる。特定の実施形態では、少なくとも約4×108個のナイーブT細胞が、少なくとも約100mLのロイコパックから得られる。特定の実施形態では、少なくとも約5×108個のセントラルメモリT細胞が、少なくとも約200mLのロイコパックから得られる。特定の実施形態では、少なくとも約5×108個のセントラルメモリT細胞が、少なくとも約300mLのロイコパックから得られる。特定の実施形態では、少なくとも約5×108個のセントラルメモリT細胞が、少なくとも約100mLのロイコパックから得られる。
【0019】
特定の実施形態では、密度勾配遠心分離法を使用することによって得られる白血球の数と比較して、少なくとも約1.5倍、約2.5倍、または約5倍以上の白血球を含む生成物が得られる。特定の実施形態では、CD3+細胞、CD45+細胞、CD4+細胞、CD4+ナイーブ細胞、CD4+メモリ細胞、CD4+エフェクタ細胞、CD8+細胞、CD8+ナイーブ細胞、CD8+エフェクタ細胞、CD8+メモリ細胞、メモリ細胞、エフェクタ細胞、ナイーブ細胞、Temra細胞、またはこれらの任意組み合せを含む生成物が得られる。特定の実施形態では、密度勾配遠心分離法を使用することによって得られるものと比較して、少なくとも約1.5倍、約2.5倍、または約5倍以上のCD45+細胞を含む生成物が得られる。特定の実施形態では、密度勾配遠心分離法を使用することによって得られるものと比較して、少なくとも約1.5倍、約2.5倍、または約5倍以上のCD3+細胞を含む生成物が得られる。
【0020】
いくつかの実施形態では、システムまたは方法は、サンプルから1つ以上の標的粒子を除去するステップをさらに含む。いくつかの態様では、標的粒子は、細胞である。いくつかの態様では、細胞は、赤血球または血小板である。いくつかの態様では、赤血球の少なくとも約95%がサンプルから除去される。いくつかの態様では、血小板の少なくとも95%がサンプルから除去される。
【0021】
特定の実施形態では、赤血球と白血球との混合物を2.5:1、1.5:1、または0.7:1未満の比率で含む生成物が産生される。特定の実施形態では、血小板と白血球との混合物を9:1、5:1、3:1、1.1:1未満の比率で含む生成物が産生される。特定の実施形態では、密度勾配遠心分離法を使用することによって得られるものと比較して、少なくとも約1.5倍、約2.5倍、または約5倍以上のCD4+細胞を含む生成物が産生される。特定の実施形態では、密度勾配遠心分離法を使用することによって得られるものと比較して、少なくとも約1.5倍、約2.5倍、または約5倍以上のCD8+細胞を含む生成物が産生される。特定の実施形態では、密度勾配遠心分離法を使用することによって得られるものと比較して、少なくとも約1.5倍、約2.5倍、または約5倍以上のナイーブCD4+細胞を含む生成物が産生される。特定の実施形態では、密度勾配遠心分離法を使用することによって得られるものと比較して、少なくとも約1.5倍、約2.5倍、または約5倍以上のメモリCD4+細胞を含む生成物が産生される。特定の実施形態では、密度勾配遠心分離法を使用することによって得られるものと比較して、少なくとも約1.5倍、約2.5倍、または約5倍以上のエフェクタCD4+細胞を含む生成物が産生される。特定の実施形態では、密度勾配遠心分離法を使用することによって得られるものと比較して、少なくとも約1.5倍、約2.5倍、または約5倍以上のナイーブCD8+細胞を含む生成物が産生される。特定の実施形態では、密度勾配遠心分離法を使用することによって得られるものと比較して、少なくとも約1.5倍、約2.5倍、または約5倍以上のメモリCD8+細胞を含む生成物が産生される。特定の実施形態では、密度勾配遠心分離法を使用することによって得られるものと比較して、少なくとも約1.5倍、約2.5倍、または約5倍以上のエフェクタCD8+細胞を含む生成物が産生される。特定の実施形態では、密度勾配遠心分離法を使用することによって得られる白血球の数と比較して、少なくとも約1.5倍、約2.5倍、または約5倍以上の白血球を含む生成物が産生される。特定の実施形態では、密度勾配遠心分離法を使用することによって得られる生成物のものより、少なくとも約1.5倍、約2.5倍、または約3倍少ない赤血球を含む生成物が産生される。特定の実施形態では、密度勾配遠心分離法を使用することによって得られる生成物のものより、少なくとも約3倍、または約10倍少ない血小板を含む生成物が産生される。
【0022】
いくつかの態様では、ここに開示される方法およびシステムは、密度勾配遠心分離法によって産生される細胞の集団と比較した場合、1つ以上の生物学的特性の増加を示す細胞の集団を産生する。1つ以上の生物学的特性は、レンチウイルスベクターを容易に導入する能力、培養時に増殖する能力、細胞培養中にT細胞メモリ組成物を保持する能力、ウイルス形質導入に対する受容性、平均テロメア長の分化、低分化ナイーブおよびセントラルメモリ細胞の相対的集団を保持する能力、機能的殺傷能力、IFNγ発現、GM-CSF発現、TNF-aの発現、生存可能性からなるリストから選択される。いくつかの実施形態では、細胞の集団は、密度勾配遠心分離法によって産生される細胞の集団と比較した場合、レンチウイルスベクターを容易に導入する能力において少なくとも約25%増加を示す。いくつかの実施形態では、細胞の集団は、培養時に増殖する増加した能力を示し、密度勾配遠心分離法によって産生される細胞の集団と比較した場合、細胞は、遺伝子改変される前または後に増殖される。いくつかの実施形態では、細胞の集団は、密度勾配遠心分離法によって産生される細胞の集団と比較した場合、培養時に少なくとも約1.5倍増加した能力を示す。いくつかの実施形態では、細胞の集団は、密度勾配遠心分離法によって産生される細胞の集団と比較した場合、細胞培養中にT細胞メモリ組成物を保持する増加した能力を示し、培養時に少なくとも9日後に同じT細胞メモリ組成物を保持することを含む。いくつかの実施形態では、細胞の集団は、密度勾配遠心分離法によって産生される細胞の集団と比較した場合、ウイルス形質導入に対する受容性において少なくとも30%の増加を示す。いくつかの実施形態では、細胞の集団は、密度勾配遠心分離法によって産生される細胞の集団と比較した場合、テロメア長さにおいて少なくとも30%の増加を示す。
【0023】
いくつかの実施形態では、細胞の集団は、密度勾配遠心分離法によって産生される細胞の集団と比較した場合、細胞培養中に、低分化ナイーブおよびセントラルメモリ細胞の相対的集団を保持する増加した能力を示し、培養中の少なくとも9日後に低分化ナイーブおよびセントラルメモリ細胞のほぼ同じ相対的集団を保持することを含む。いくつかの実施形態では、細胞の集団は、密度勾配遠心分離法によって産生される細胞の集団と比較した場合、機能的殺傷能力において少なくとも30%の増加を示す。いくつかの実施形態では、細胞の集団は、密度勾配遠心分離法によって産生される細胞の集団と比較した場合、培養中の9日後にIFNγ発現において少なくとも2倍の増加を示す。いくつかの実施形態では、細胞の集団は、密度勾配遠心分離法によって産生される細胞の集団と比較した場合、培養中の9日後にGM-CSF発現においてなくとも1.5倍の増加を示す。いくつかの実施形態では、細胞の集団は、密度勾配遠心分離法によって産生される細胞の集団と比較した場合、培養中の9日後にTNF-a発現において少なくとも10%の増加を示す。いくつかの実施形態では、細胞の集団は、密度勾配遠心分離法によって産生される細胞の集団と比較した場合、生存可能性において少なくとも10%の増加を示す。
【0024】
いくつかの態様では、ここに開示される方法およびシステムは、密度勾配遠心分離法によって産生される細胞の集団と比較した場合、1つ以上の生物学的性質の減少を示す細胞の集団を産生する。ここで、1つ以上の生物学的特性は、培養中に増殖して細胞の単一の治療用量相当量を産生するのに必要な時間、ベクターによって配送される遺伝子を発現するのに必要な時間、エフェクタまたはTemra細胞の相対的集団、IL-1Ra発現、IL-6発現、IL-13発現、MCP-1発現、PD1およびTim3共発現、細胞の老化または枯渇、サイトカイン放出症候群を引き起こす傾向、および患者に配送される前に必要とされる培養の時間からなるリストから選択される。いくつかの実施形態では、細胞の集団は、密度勾配遠心分離法によって産生される細胞の集団と比較した場合、培養中に増殖して細胞の単一の治療用量相当量を産生するのに必要な時間の少なくとも3日の減少を示す。いくつかの実施形態では、細胞の集団は、密度勾配遠心分離法によって産生される細胞の集団と比較した場合、ベクターによって配送される遺伝子を発現するのに必要な時間の少なくとも1日の減少を示す。いくつかの実施形態では、細胞の集団は、密度勾配遠心分離法によって産生される細胞の集団と比較した場合、エフェクタまたはTemra細胞の相対的集団において少なくとも10%の減少を示す。いくつかの実施形態では、細胞の集団は、密度勾配遠心分離法によって産生される細胞の集団と比較した場合、培養中の13日後にIL-1Ra発現において少なくとも40%の減少を示す。いくつかの実施形態では、細胞の集団は、密度勾配遠心分離法によって産生される細胞の集団と比較した場合、培養中の13日後にIL-6発現において少なくとも60%の減少を示す。いくつかの実施形態では、細胞の集団は、密度勾配遠心分離法によって産生される細胞の集団と比較した場合、IL-13発現において少なくとも10%の減少を示す。いくつかの実施形態では、細胞の集団は、密度勾配遠心分離法によって産生される細胞の集団と比較した場合、MCP-1発現において少なくとも20%の減少を示す。いくつかの実施形態では、細胞の集団は、密度勾配遠心分離法によって産生される細胞の集団と比較した場合、PD1およびTimp3共発現において少なくとも50%の減少を示す。いくつかの実施形態では、細胞の集団は、密度勾配遠心分離法によって産生される細胞の集団と比較した場合、細胞の老化または枯渇において少なくとも50%の減少を示す。いくつかの実施形態では、細胞の集団は、密度勾配遠心分離法によって産生される細胞の集団と比較した場合、サイトカイン放出症候群を引き起こす傾向の少なくとも20%の減少を示す。いくつかの実施形態では、細胞の集団は、患者に配送される前に必要とされる培養の時間において少なくとも3日の減少を示す。いくつかの実施形態では、密度勾配遠心分離法によって産生される細胞の集団と比較した場合、1つ以上の生物学的特性の示された増加または減少は、産生後の少なくとも約0、3、6、9、13、又は16日後に明らかになる。
【0025】
(参照による組込み)
本明細書で言及している全ての刊行物、特許および特許出願は、それぞれ個々の刊行物、特許または特許出願が参照により組み込まれるように具体的かつ個別に示されるのと同じ程度で参照により組み込まれる。さらに、米国出願第62/954478号、米国出願第62/875942号、PCT/US2020/066812、およびPCT/US2020/042634の各々は、参照により全体としてここに組み込まれる。参照により組み込まれる出版物および特許または特許出願が本明細書に含まれる開示と矛盾する程度まで、本明細書は、いずれのこうした矛盾材料を代替しおよび/または優先することを意図している。
【図面の簡単な説明】
【0026】
本発明の新規の特徴は、特に添付の請求項とともに記載されている。本発明の特徴および利点のより良い理解は、本発明の原理が利用される例示的な実施形態を記載する下記の詳細な説明および添付図面(ここでは「図(figure)」および「図(FIG.)」)の参照により得られるであろう。
【0027】
【
図1】いくつかの実施形態に係る、入口溶液を処理し、1つ以上の標的粒子に富化された出口溶液を生成するためのシステムを概略的に示す。
【
図2A】いくつかの実施形態に係る、粒子分離ユニットの後部の斜視図を示す。
【
図2B】いくつかの実施形態に係る、閉じた位置にあるドアを備えた粒子分離ユニットの前部の斜視図を示す。
【
図2C】いくつかの実施形態に係る、開いた位置にあるドアを備えた粒子分離ユニットの前部の斜視図を示す。
【
図2D】いくつかの実施形態に係る、粒子分離ユニットの上部の斜視図を示す。
【
図2E】いくつかの実施形態に係る、粒子分離ユニットの側部の斜視図を示す。
【
図2F】いくつかの実施形態に係る、一次および二次ディスプレイを備えた粒子分離ユニットの正面図および側面図を示す。
【
図3A】いくつかの実施形態に係る、いくつかのコンポーネントを備えたカセットを示す。
【
図3B】いくつかの実施形態に係る、いくつかのコンポーネントを備えたカセットを示す。
【
図3C】いくつかの実施形態に係る、いくつかのコンポーネントを備えたカセットを示す。
【
図3D】いくつかの実施形態に係る、生成物バッグおよび廃棄バッグを示す。
【
図3E】いくつかの実施形態に係る、カセットの上部の斜視図を示す。
【
図3F】いくつかの実施形態に係る、複数のバルブガスケットおよび2つの圧力センサガスケットを含むカセットの底部の斜視図を示し、これらはカセットを粒子分離ユニットに流体接続する。
【
図3G】いくつかの実施形態に係る、サンプル、希釈液、バッファ-(緩衝液)、プライミング溶液、生成物、および廃棄バッグのカセットへのカラーコード接続の例を示す。
【
図4A】いくつかの実施形態に係る、マイクロ流体カートリッジの斜視図を示す。
【
図4B】いくつかの実施形態に係る、マイクロ流体カートリッジの斜視図を示す。
【
図4C】いくつかの実施形態に係る、マイクロ流体カートリッジの斜視図を示す。
【
図5A】いくつかの実施形態に係る、システムのグラフィカルユーザインタフェースを示す。
【
図5B】いくつかの実施形態に係る、システムのグラフィカルユーザインタフェースを示す。
【
図5C】いくつかの実施形態に係る、システムのグラフィカルユーザインタフェースを示す。
【
図5D】いくつかの実施形態に係る、システムのグラフィカルユーザインタフェースを示す。
【
図5E】いくつかの実施形態に係る、システムのグラフィカルユーザインタフェースを示す。
【
図5F】いくつかの実施形態に係る、システムのグラフィカルユーザインタフェースを示す。
【
図5G】いくつかの実施形態に係る、システムのグラフィカルユーザインタフェースを示す。
【
図5H】いくつかの実施形態に係る、システムのグラフィカルユーザインタフェースを示す。
【
図5I】いくつかの実施形態に係る、システムによって生成された例示的なデータレポートを示す。
【
図5J】いくつかの実施形態に係る、システムによって生成された例示的なデータレポートを示す。
【
図5K】いくつかの実施形態に係る、グラフィカルユーザインタフェースとのユーザの例示的な対話を示す。
【
図5L】いくつかの実施形態に係る、グラフィカルユーザインタフェースとのユーザの例示的な対話を示す。
【
図5M】いくつかの実施形態に係る、グラフィカルユーザインタフェースとのユーザの例示的な対話を示す。
【
図5N】いくつかの実施形態に係る、グラフィカルユーザインタフェースとのユーザの例示的な対話を示す。
【
図5O】いくつかの実施形態に係る、グラフィカルユーザインタフェースとのユーザの例示的な対話を示す。
【
図5P】いくつかの実施形態に係る、グラフィカルユーザインタフェースとのユーザの例示的な対話を示す。
【
図5Q】いくつかの実施形態に係る、グラフィカルユーザインタフェースとのユーザの例示的な対話を示す。
【
図5R】いくつかの実施形態に係る、グラフィカルユーザインタフェースとのユーザの例示的な対話を示す。
【
図5S】いくつかの実施形態に係る、グラフィカルユーザインタフェースとのユーザの例示的な対話を示す。
【
図6】いくつかの実施形態に係る、システムを用いて実行できるサンプル処理を示す。
【
図7】いくつかの実施形態に係る、標的粒子分離の種々の態様を制御するようにプログラムされ、または他の方法で構成される例示的なデジタル処理デバイスを示す。
【
図8】フィコールと比較して、ここでのシステムおよび方法に従って富化されたロイコパックからのCD3+T細胞の改善された回収を示す。
【
図9A】フィコールと比較して、ここでのシステムおよび方法に従って富化されたロイコパックからの特定の有利な細胞サブセットの改善された回収を示す。セントラルメモリおよびナイーブT細胞のより大きな回収を示す。
【
図9B】フィコールと比較して、ここでのシステムおよび方法に従って富化されたロイコパックからの特定の有利な細胞サブセットの改善された回収を示す。CD4+T細胞サブセットのより大きな回収を示す。
【
図10】ここでのシステムおよび方法に従って富化された細胞が、フィコールと比較して、より長いテロメア長を有することを示し、より大きい増殖能力を示す。分析は、絶対テロメア長(aTL)についてqPCR分析を用いて行った。
【
図11】ここでのシステムおよび方法に従って富化された細胞が、より少ない血小板(A)および赤血球を有することを示す。
【
図12】ここでのシステムおよび方法に従って富化された細胞が、フィコールと比較して、培養後により多くの細胞を産生することを示す。処理の後、T細胞を活性化し、磁気CD3/28ビーズを用いて選択した。細胞は、IL-7およびIL-15の両方の5ng/mLを補充したTexMACS培地中で1×10
6/mLの密度で播種した。
【
図13】フィコールと比較して、ここでのシステムおよび方法に従って富化されたロイコパックから全ての白血球(WBC)/CD45+細胞の改善された回収を示す。
【
図14】ここでのシステムおよび方法が、細胞療法の開始時に、ロイコパックから、CD4低分化ナイーブおよびセントラルメモリ細胞サブセットのより多くを回収することを示し、フィコールと比較して日数ゼロで製造する。
【
図15】フィコールと比較して、ここでのシステムおよび方法に従って富化されたより低いWBCカウント患者ロイコパックからの全ての白血球(WBC)/CD45+細胞およびCD3+T細胞の改善された回収を示す。
【
図16】フィコールと比較して、癌患者ロイコパックから、ここでのシステムおよび方法に従って富化された細胞が、より少ない血小板および赤血球を有することを示す。
【
図17】フィコール調製物と比較して、ここでのシステムおよび方法に従って富化された細胞が、レンチウイルスをより容易に導入することを示す。
【
図18】フィコール調製物と比較して、ここでのシステムおよび方法に従って富化された細胞が、レンチウイルスをより容易に導入し、より早期の時点でレポーター遺伝子を発現することを示す。
【
図19】フィコール調製物と比較して、ここでのシステムおよび方法に従って富化された細胞が、ウイルス形質導入に対してより受容性が高いことを示す。
【
図20】フィコール調製物と比較して、ここでのシステムおよび方法に従って富化され、レンチウイルス形質導入され、増殖された細胞が、より早期の時点で治療用白血球のより多い用量等価物を産生することを示す。
【
図21】フィコール調製物と比較して、ここでのシステムおよび方法に従って富化され、高導入レンチウイルスで処理された細胞の集団が、より少ない最終分化細胞を有することを示す。
【
図22】フィコール調製物と比較して、ここでのシステムおよび方法が、通常のドナーロイコパックから低分化ナイーブおよびセントラルメモリのサブセットのより多くを回収し、より少ない最終分化細胞を生じさせることを示す。
【
図23】フィコール調製物と比較して、ここでのシステムおよび方法に従って富化され、高導入レンチウイルスで処理された生存可能なCD3+メモリ細胞集団が、Tメモリ細胞の相対的集団を保持することを示す。
【
図24】フィコール調製物と比較して、ここでのシステムおよび方法に従って富化された細胞集団が、2倍減少した老化および枯渇を示し、培養13日目におけるPD1/Tim3共発現が著しく少なく、TEMRA状態に入る細胞(CD45RAを発現するTエフェクタメモリ細胞)がより少ないことを示す。
【
図25】フィコール調製物と比較して、ここでのシステムおよび方法に従って富化された細胞集団が、通常または増加した殺傷能力を有することを示す。
【
図26】フィコール調製物と比較して、ここでのシステムおよび方法に従って富化された細胞集団が、増殖時により良好なサイトカイン発現を有し、より良好な安全性プロファイルを有することを示す。
【
図27】フィコール調製物と比較して、ここでのシステムおよび方法に従って富化された細胞集団が、増殖時により良好なサイトカイン発現を有し、より良好な安全性プロファイルを有することを示しており、CD19CAR-T構造(+/-機能的CD28シグナル伝達ドメイン)を備えたサイトカイン放出を用いて実証している。
【
図28】フィコール調製物と比較して、ここでのシステムおよび方法に従って富化された細胞集団が、増殖時により良好なサイトカイン発現を有し、より良好な安全性プロファイルを有することを示しており、TCR-T構造およびレンチウイルス-GFPコントロールを備えたサイトカイン放出を用いて実証している。
【
図29】フィコール調製物と比較して、ここでのシステムおよび方法に従って富化された細胞集団の種々の利点を要約する。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明は、主に標的粒子を分離するためのシステムおよび方法に関する。ここでのテキストは、生物材料に関する分離を実行するためのシステムの製造および使用ならびに方法を説明し、これに関係する。
【0029】
本明細書には本発明の様々な実施形態が示され記載されているが、このような実施形態が単なる例によって提供されていることが当業者には明らかである。本発明から逸脱することなく、多くの変形、変更、および置換が当業者には思いつくことができる。本明細書に記載する本発明の実施形態の様々な代替案を採用してよいことを理解されたい。
【0030】
「少なくとも(at least)」、「超える(greater than)」、または「以上(greater than or equal to)」という用語が一連の2つ以上の数値のうちの最初の数値の前に付くときはいつでも、「少なくとも」、「超える」、または「以上」という用語がその一連の数値のうちの各数値に適用される。例えば、1、2、または3以上は、1以上、2以上、または3以上と等価である。
【0031】
「超えない(no more than)」、「未満(less than)」、または「以下(less than or equal to)」という用語が一連の2つ以上の数値のうちの最初の数値の前に付くときはいつでも、「超えない」、「未満」、または「以下」という用語がその一連の数値のうちの各数値に適用される。例えば、3、2、または1以下は、3以下、2以下、または1以下と等価である。
【0032】
(定義)
アフェレーシス(Apheresis):本明細書で用いるように、この用語は、患者またはドナーからの血液がその成分、例えば、白血球、血小板および赤血球に分離される手順を指す。「アフェレーシス試料」は、この手順の最終結果の生成物である。より具体的な用語は、「血小板フェレーシス」(血小板の分離を指す)および「白血球アフェレーシス」(白血球の分離を指す)である。この文脈では、「分離」という用語は、全血または他の出発物質と比べて特定の成分が富化された生成物の取得を指し、絶対的な純度が実現されていることを意味しない。
【0033】
サンプル:「サンプル」という用語は、本明細書で用いるように、概して、核酸分子または核酸細胞を含有するかまたは含有が疑われる任意のサンプルを指す。例えば、サンプルは、1つまたは複数の核酸分子または核酸細胞を含有する生物サンプルとすることができる。生物サンプルは、血液(例えば、全血)、血漿、血清、尿、唾液、粘膜排出物、痰、便および涙から取得する(例えば、抽出するかもしくは単離する)ことができるか、またはそれらを含むことができる。サンプルは、抗凝固薬(例えば、EDTA、EGTA、ヘパリン、クエン酸塩、ACD-A、またはトロンビン阻害剤)も含有する、血液、血液関連製剤(白血球アフェレーシス生成物またはアフェレーシス生成物など)を含有してよい。サンプルは、ヒト由来サンプルでもよい。生物サンプルは、流体サンプルまたは組織サンプル(例えば、皮膚サンプル)とすることができる。いくつかの例では、サンプルは、血漿などの無細胞体液から取得される。いくつかの例では、サンプルは循環腫瘍細胞を含むことができる。いくつかの例では、サンプルは、環境サンプル(例えば、土、廃棄物、外気など)、工業サンプル(例えば、任意の工業的プロセスによるサンプル)、および食品サンプル(例えば、乳製品、野菜製品、および肉製品)である。サンプルは、マイクロ流体デバイスに入れる前に処理されてよい。サンプルは、適切には、アフェレーシス生成物または白血球アフェレーシス生成物[例えば、ロイコパック(leukopak)]でよい。
【0034】
標的細胞:本明細書で用いるように、「標的細胞」とは、本明細書に記載する様々な手順が必要とする細胞、または精製、採取、操作などを行うように設計された細胞である。特定の細胞が何であるかは、その用語が用いられる文脈に応じて変わる。例えば、手順の目的が特定の種類の幹細胞を単離することである場合は、その細胞はその手順の標的細胞である。
【0035】
単離または精製:別段の指定がない限り、これらの用語は、本明細書で用いるように、同義であり、望まれない材料に対する所望の生成物の富化を指す。この用語は、必ずしも生成物が完全に単離されるかまたは完全に純粋であることを意味するとは限らない。例えば、出発試料が、試料中の細胞の2%を構成する標的細胞を有し、手順が実施された結果、存在する細胞の60%が標的細胞であるという組成物を生じた場合は、その手順は、標的細胞を単離するかまたは精製することに成功したことになる。
【0036】
障害物アレイ:本明細書で用いるように、この用語は、細胞または粒子を担持する流体が通過することができるフローチャネル(流路)に配設された、障害物の整列アレイを説明する。障害物アレイは、縦列に(流体フローの流路に沿って)配置された複数の障害物を備える。細胞または他の粒子の通過を可能にする隙間が障害物間に(流体フローの流路に沿って)形成されている。このようなアレイまたは縦列は、1つまたは複数の横列(流体フローの流路に垂直)が繰り返すように配置されている。
【0037】
本明細書で用いるように、「決定論的横置換法(Deterministic Lateral Displacement)」または「DLD」という用語は、アレイを通る流路において粒子が、決定論的にアレイパラメータのいくつかに関連して、そのサイズに基づいて偏向されるプロセスを指す。そのプロセスは、細胞を分離するために使用でき、そのことが、概して、本明細書で論じられる文脈である。しかし、DLDは細胞を濃縮するためにも、またバッファ-交換のためにも使用できると認識することが重要である。プロセスは、全体的に、連続フローDC状態、すなわち、単一方向のみのバルク流体フロー)の観点から本明細書に記載する。しかし、DLDは、振動性フロー(AC状態、すなわち、2つの方向の間で交代するバルク流体フロー)下で機能することもできる。
【0038】
臨界サイズ:障害物アレイを通過する粒子の「臨界サイズ」、「臨界直径」、または「所定のサイズ」は、流体の層流に従うことができる粒子のサイズの限界を表す。臨界サイズよりも大きい粒子は、流体のフロー流路から「押しのけられ」得るが、臨界サイズ(または所定のサイズ)よりも小さいサイズを有する粒子は変位されない。
【0039】
流体フロー:マイクロ流体カートリッジと関連付けて本明細書で用いるように、「流体フロー」および「バルク流体フロー」と言う用語は、障害物アレイを横切る全体的な方向における流体の巨視的な動きを指す。これら用語は、流体が全体的な方向に動き続けるために流体が障害物の周りを移動する、流体ストリーム(stream)の一時的変位を考慮しない。
【0040】
傾斜角ε:障害物アレイデバイスでは、傾斜角は、バルク流体フローの方向と、アレイ中の一続きの障害物の横列のアライメントによって定められる方向との間の角度である。
【0041】
アレイ方向:障害物アレイデバイスにおいて、「アレイ方向」とは、アレイ中の一続きの障害物の横列のアライメントによって定められる方向である。粒子は、隙間を通過し、下流の障害物に遭遇するときに、粒子の全体的な軌道が障害物アレイのアレイ方向に従う場合に、障害物アレイにおいて「偏向される」(すなわち、バルク流体フローに対して傾斜角εで動く)。粒子は、その全体的な軌道がそうした状況下でバルク流体フローの方向に従う場合は、押しのけられない。
【0042】
約:本明細書で用いるように、約という用語は、その数の±10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%の数を指す。
【0043】
リアルタイム:本明細書で用いるように、「リアルタイム」は、一般に、グラフィカル要素がユーザインタフェースを介してユーザに押されたとき、ユーザにとって実質的な遅延には見えない応答時間を指す。いくつかの実施形態では、応答時間は、例えば、コンピュータプロセッサなどによるデータの処理と関連付けでき、5秒、4秒、3秒、2秒、1秒、1/10秒、1/100秒、1ミリ秒またはそれ以下より小さくてもよい。リアルタイムはまた、第2イベントの発生に対する第1イベントの同時または実質的に同時の発生を指すことができる。用語「リアル タイム」または「リアルタイム」は、本明細書で互換的に使用されるように、一般に、最近得られた(例えば、収集されまたは受信された)データを使用して実行される(例えば、動作、プロセス、方法、手法、コンピュータ計算、計算、分析、視覚化、最適化など)イベントを指す。ある場合は、リアルタイムイベントが、ほぼ直ちにまたは充分に短い時間範囲内、例えば、少なくとも0.0001ミリ秒(ms)、0.0005ms、0.001ms、0.005ms、0.01ms、0.05ms、0.1ms、0.5ms、1ms、5ms、0.01秒、0.05秒、0.1秒、0.5秒、1秒またはそれ以上の範囲内で実行されてもよい。ある場合は、リアルタイムイベントが、ほぼ直ちにまたは充分に短い時間範囲内、例えば、約1秒、0.5秒、0.1秒、0.05秒、0.01秒、5ms、1ms、0.5ms、0.1ms、0.05ms、0.01ms、0.005ms、0.001ms、0.0005ms、0.0001msまたはそれ以下の範囲内で実行されてもよい。
【0044】
入力:本明細書で使用されるように、用語「入力」または「入口」は、本明細書では交換可能に使用され、一般に、カセットへの流入溶液を指す。例えば、サンプル溶液。こうした溶液は、細胞を含む流体またはバッファ-、または細胞を含まない流体またはバッファ-を含んでもよい。この細胞は、ヒト細胞であってもよい。
【0045】
出力:本明細書で使用されるように、用語「出力」または「出口」は、本明細書では交換可能に使用され、一般に、カセットからの流入溶液を指す。例えば、単離されまたは富化された細胞、および/または、「非標的」細胞および/または廃棄成分を含む廃液を含む生成物。単離されまたは富化された細胞および非標的細胞は、ヒト細胞でもよい。
【0046】
(サンプル処理システム)
図1は、入力溶液を処理し、1つ以上の標的粒子が富化された出口溶液を生成するためのサンプル処理システム100を概略的に示す。サンプル処理システム100は、粒子分離ユニット110と、入力ユニット120と、出力ユニット130とを有してもよい。
【0047】
入力ユニット120は、サンプルを含有できる入力溶液を保存するための1つ以上の容器またはバッグを備えることができる。サンプルは、核酸分子または細胞を含有するか、または含有する疑いがあるものでもよい。例えば、サンプルは、1つ以上の核酸分子または細胞を含む生物サンプルでもよい。生物サンプルは、血液(例えば、全血)、血漿、血清、尿、唾液、粘膜排泄物、喀痰、便、涙液から取得(例えば、抽出または単離)でき、これらを含むことができる。サンプルは、抗凝固薬(例えば、EDTA、EGTA、ヘパリン、クエン酸塩、ACD-A、またはトロンビン阻害剤)も含有する、血液、血液関連製剤(白血球アフェレーシス生成物またはアフェレーシス生成物など)を含有してよい。サンプルは、ヒト由来サンプルでもよい。生物サンプルは、流体サンプルまたは組織サンプル(例えば、皮膚サンプル)とすることができる。いくつかの例では、サンプルは、血漿などの無細胞体液から取得される。いくつかの例では、サンプルは循環腫瘍細胞を含むことができる。いくつかの例では、サンプルは、環境サンプル(例えば、土、廃棄物、外気など)、工業サンプル(例えば、任意の工業的プロセスによるサンプル)、および食品サンプル(例えば、乳製品、野菜製品、および肉製品)である。サンプルは、マイクロ流体デバイスに入れる前に処理されてよい。サンプルは、適切には、アフェレーシス生成物または白血球アフェレーシス生成物[例えば、ロイコパック(leukopak)]でよい。
【0048】
粒子分離ユニット110は、種々の体積のサンプル溶液を処理するように構成できる。例えば、粒子分離ユニット110は、約50mL、100mL、150mL、200mL、250mL、300mL、350mL、400mL、450mL、または約500mLまたはそれ以上のサンプル溶液を処理するように構成できる。サンプルは、血液製剤、または白血病生成物などのアフェレーシス生成物を含んでもよい。粒子分離ユニット110は、入力サンプル溶液から標的細胞を良好かつ効率的に分離できる。例えば、約120分、110分、100分、90分、80分、70分、60分、50分、40分、30分、20分、または約10分またはそれ以下で、サンプル溶液は処理でき、収集された標的粒子に富化された生成物溶液が生成される。これを達成するために、粒子分離ユニット110は、種々の流量で動作できる。例えば、粒子分離ユニット110は、約200mL/時間、250mL/時間、300mL/時間、350mL/時間、400mL/時間、450mL/時間、または約500mL/時間以上の流量でサンプル溶液を処理できる。
【0049】
入力ユニット120はまた、いくつかの他のタイプの入力溶液を保持するための容器を備えることができる。例えば、入力部120は、プライミング溶液を備えることができる。プライミング溶液は、アルコールなどの低表面張力液体を含んでもよい。例えば、プライミング溶液は、水中の種々の濃度のイソプロピルアルコールを含んでもよい。イソプロピルアルコールは、約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、または約99%、あるいはそれ以上の溶液に構成でき、溶液の残りの百分率は水である。プライミング溶液は、バッファ-に添加された界面活性剤をさらに含むことができる。例えば、プライミング溶液は、生理食塩水中のバッファ-の10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、または1%、あるいはそれ以下である界面活性剤(例えば、ポリエチレングリコールソルビタンモノラウレート(TWEEN))を含むことができる。プライミング溶液はさらに、バッファ-に添加されたポロキサマーを含むことができる。例えば、プライミング溶液は、バッファ-または等張溶液中で、約10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、または1%、あるいはそれ以下であるポロキサマー(例えば、F68、F127、407、L64、P65、P84、P85、F88、P103、P104、P105、F108、またはP123)を含むことができる。プライミング溶液は、分離プロセスが生ずる前に粒子分離ユニット110に入る第1入力溶液とすることができる。プライミング溶液は、サンプルを受け入れるための調製において、粒子分離ユニット110をプライム処理するように構成できる。例えば、プライミング溶液は、粒子分離ユニット110内の流体経路からの全ての空気の除去を確保できる。粒子分離ユニット110は、プライミング溶液を使用して、プライム処理され、約60分、50分、40分、30分、20分、または約10分、あるいはそれ以下の間に、溶液中にサンプルを受け入れる用意が整われる。
【0050】
入力ユニット120はまた、媒体溶液を含むことができる。媒体溶液は、サンプル溶液に並行して、粒子分離ユニット110に入るように構成されたクリーンバッファ-溶液を含んでもよい。媒体溶液は、添加されたタンパク質の含有の有りまたは無しの溶液を含むことができる。例えば、媒体溶液は、ウシ血清アルブミン(BSA)またはヒト血清アルブミン(HSA)などのタンパク質の含有の有りまたは無しの、生理食塩水(例えば、0.9%NaCl、リン酸バッファ-生理食塩水、トリスバッファ-生理食塩水、またはハンクス平衡塩類溶液)を含むことができる。媒体系溶液は、プラズマライト(plasmalyte)、DMEM、TexMACS、OpTmers、RPMI、MEM、Hams F12、EMEM、F-12K、SteXVivo、Stemline、IMDM、または他の市販の細胞培養培地を含んでもよい。溶液は、通常の生理的pH(例えば、約7.4)またはその近傍のpHにおいて適切に緩衝化されてもよい。
【0051】
入力ユニット120は、希釈液を含んでもよい。希釈液はまた、サンプル溶液および媒体溶液と並行して、粒子分離ユニット110に入るように構成できる。希釈液は、サンプル溶液と組み合わせて、サンプル溶液の所望の濃度を達成するように構成できる。希釈液のサンプル溶液への露出時間は短時間にでき、各溶液がカセット112の内部にある時間に制限できる。希釈液は、サンプル溶液と同じでもよい。希釈液は、相違してもよい。例えば、希釈液は、BSAまたはHSAなどのタンパク質の含有の有りまたは無しの生理食塩水を含むことができる。希釈液はまた、サンプル溶液に露出され、そして分離プロセス中に洗浄される試薬を含んでもよい。
【0052】
粒子分離ユニット110は、カセット112と、およびマイクロ流体カートリッジ114サブユニットとをさらに備えることができる。粒子分離ユニット110は、カセット112を保存するためのハウジングを備えてもよい。カセット112は、上述の入力溶液のいずれか1つを受け入れるように構成できる。カセット112は、マイクロ流体カートリッジ114サブユニットを受け入れて保持するように構成できる。カセット112は、1つ以上のマイクロ流体カートリッジ114を受け入れて保持するように構成でき、およびこうしたマイクロ流体カートリッジは、直列または並列で動作でき、または直列のマイクロ流体カートリッジおよび並列のマイクロ流体カートリッジの組合せを有することができる。マイクロ流体カートリッジ114は、サンプル溶液を処理して、サンプル溶液の1つ以上の標的粒子に富化された出口溶液を生成するように構成できる。
【0053】
入力ユニット120、粒子分離ユニット110、および出力ユニット130は全て、互いに流体的に結合するように構成できる。例えば、入力ユニット120は、ここで説明する1つ以上の入力溶液を含む複数の容器を備えることができる。粒子分離ユニット110は、カセットと、標的粒子分離を実行するように構成された1つ以上のマイクロ流体カートリッジとを備えることができる。カセットは、入力、出口、およびマイクロ流体カートリッジの間に延びる複数の流体チャネルを備えることができる。出力ユニット130は、ここで説明する1つ以上の出口溶液を含む複数の容器を備えることができる。サンプル処理システム100は、これらのコンポーネントの各々が互いに解放可能かつ流体的に結合されるように構成できる。入力ユニット120、粒子分離ユニット110、および出力ユニット130のコンポーネントは、互いに流体的に結合でき、そのためサンプル処理システム100全体が閉鎖エンドツーエンド滅菌環境下で動作する。閉鎖環境は、滅菌環境下で動作する利点を提供する。例えば、ユーザ介在なしの手動制御および/またはコンタクトは、サンプル処理システム100が、1つ以上の標的粒子が富化され、汚染のない生成物を生成する分離プロセスを実行するために必要になる。こうして生成物が、外部非滅菌環境に露出されていない出口容器の1つに収集できる。さらに、入力容器からのサンプルが、外部の非滅菌環境に曝されることなくカセットに入ることができる。さらに、閉鎖エンドツーエンド環境は、サンプル溶液が、汚染を防止するために、サンプル処理システム100の任意の再利用不可能コンポーネントと接触する必要がないような環境である。再利用不可能コンポーネントは、ここで説明するように、ポンプ、センサ、およびバルブを含むことができる。さらに、分離プロセス中に、閉鎖エンドツーエンド環境に外部から追加され、または内部から除去されて、流入するサンプルの滅菌インライン連続処理をサポートする必要がなる中間試薬はない。
【0054】
サンプル処理システム100は、サンプル処理システム100の滅菌性を維持するために、複数の滅菌結合機構を使用するように構成できる。例えば、入力容器と、入力容器をカセットに接続するチューブとの間の結合機構が、滅菌スパイク(spike)および滅菌スパイクポートを備えることができる。例えば、入力容器は、滅菌スパイクポートを有するバッグとすることができ、滅菌スパイクを含むチューブは、サンプル処理システム100の滅菌性を維持するようにバッグをカセットに流体的に接続するように構成できる。
【0055】
出力ユニット130は、生成物を含むことができる出力溶液を保存するための1つ以上の容器またはバッグを備えることができる。例えば、出力ユニット130は、生成物溶液と、一次廃液と、二次廃液とを含むことができる。生成物溶液は、入力サンプル溶液から分離されることが望まれる標的粒子を含んでもよい。生成物溶液は、入力媒体溶液からクリーンバッファ-をさらに含んでもよく、または、生成物溶液は単独で標的粒子を含んでもよい。一次廃液および二次廃液は、入力サンプル溶液からの不要な粒子を含むことができる。例えば、標的粒子は、粒子分離ユニット110によって分離可能であり、生成物溶液中で粒子分離ユニット110を去ることができ、不要な粒子は、入力サンプル溶液ストリームの中に残留でき、一次廃液および二次廃液ストリーム中で粒子分離ユニット110から出ることができる。生成物出口ストリームは、入力サンプルストリームと比較して、標的粒子の高い百分率回収率を含むことができる。例えば、生成物溶液中の標的粒子の百分率回収率は、サンプル入力ストリームから標的粒子の約50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、または約95%にできる。回収された標的粒子は、生成物溶液ストリーム中で無傷で生存可能な形態で回収できる。例えば、生成物溶液中に回収された標的細胞の少なくとも50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%、あるいはそれ以上が、分離プロセスが生じた後に生存可能な状態にできる。ある場合は、生成物溶液中に回収された標的細胞の少なくとも50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%あるいはそれ以上が、入力材料またはサンプルまたは入力サンプルに対して分離プロセスが生じた後に生存可能な状態にできる。
【0056】
特定の実施形態では、富化された標的粒子は、血液または血液関連のサンプル入力溶液からの生細胞を含んでもよい。特定の実施形態では、富化された標的細胞は、白血球を含む。特定の実施形態では、富化された標的細胞は、幹細胞を含む。特定の実施形態では、富化された標的細胞は、末梢血単核細胞を含む。特定の実施形態では、末梢血単核細胞は、CD3+細胞を含む。回収された標的粒子は、生成物溶液ストリーム中で無傷で生存可能な形態で回収できる。これを達成するには、粒子分離ユニット110内の流体含有量は、約30psi~約60psi以下の圧力を受けるように構成できる。例えば、流体含有量は、一般に、分離プロセス中に約5psi~約40psiの圧力を受けることがある。
更なる実施形態では、粒子/細胞分離中の平均圧力は、約10~約30psi、約10~約20psi、約10~約15psi、または約15~約20psiである。流体の圧力は、流体がチャネルを通って移動する容積および/または流量に応じて、変化または調整できる。これらの力は、サンプル溶液からの標的粒子の優しい分離を可能にし、それにより生成物ストリーム中の細胞生存率を改善できる。
【0057】
特定の実施形態では、サンプル溶液中の不要な粒子は、血小板を含んでもよい。特定の実施形態では、不要な粒子はまた、赤血球を含んでもよい。特定の実施形態では、サンプル溶液中の標的粒子は、白血球を含むことができる。粒子分離ユニット110は、生成物溶液から高い百分率の不要粒子を分離できる。例えば、粒子分離ユニット110は、生成物溶液から、サンプル溶液中の不要な粒子の約50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、または約95%あるいはそれ以上を分離できる。
【0058】
粒子分離ユニット110はまた、入力溶液がカセット112およびマイクロ流体カートリッジ114を通過した後、入力溶液のいずれかを再循環させるように構成できる。再循環により、カセット112は、標的細胞を一定の体積または一定の濃度に濃縮することが可能になる。例えば、標的細胞は、バッファ-および標的細胞液の約10mL、20mL、30mL、40mL、50mL、60mL、70mL、80mL、90mL、100mL、110mL、120mL、130mL、140mL、または約150mL、あるいはそれ以上で回収されて固定できる。再循環により、標的細胞分離に対して並列、直列、または直列と並列の組合せで生じることができ、これによりクリーンバッファ-中で所定の体積での生成物細胞の回収を可能にする。再循環が並列で生ずる場合、再循環プロセスは、標的細胞分離の全体的な実行時間に影響を及ぼさない。再循環は、分離プロセスにおいて所定の時間で開始するように構成できる。再循環はまた、サンプル処理システム100からのフィードバックに基づいて開始するように構成できる。例えば、入力ユニット120および出力ユニット130は、入力ユニット120および出力ユニット130の1つ以上の容器またはバッグに含まれる溶液の各々を計量するように構成された質量センサを備えることができる。例えば、質量センサは、生成物溶液バッグ内の溶液の重量を測定でき、いったん閾値重量が生成物溶液バッグ内に到達すると、再循環プロセスは開始できる。
【0059】
粒子分離ユニット110は、完全にまたは部分的に自動化できる。例えば、ユーザが所望のプロセス設定を入力でき、ここで説明するように、粒子分離ユニット110は、ユーザの介入なしに分離を実行できる。粒子分離ユニット110が分離プロセスを実行している間に、粒子分離ユニット110は、ユーザが手動でプロセス設定を調整することも可能である。
【0060】
特定の実施形態では、圧力センサ、気泡センサまたは質量センサからのデータは、ある時間間隔に渡って記録され、センサドリフトを追跡して定期的に評価する。いくつかの実施形態では、センサデータは、数日、一週間、数週間、一月、または数ヶ月の期間(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、24、36、48、60、または72ヶ月)からなり得る時間間隔に渡って追跡してもよい。いくつかの実施形態では、センサデータは、実行プロトコルインスタンスを経過して、1、5、10、20、50、100、1000、または2000までの間隔に渡って追跡してもよい。いくつかの実施形態では、センサデータは、1時間につき1回、1日につき1回、実行プロトコルのインスタンスにつき1回、または実行プロトコルのコース中にリアルタイムで、ドリフトを識別するために評価される。いくつかの実施形態では、センサデータは、測定されたセンサ値を予想されるセンサ値と比較することによって、ドリフトが有意であるかどうかを識別するために評価される。いくつかの実施形態では、予想されるセンサ値は、工場センサ較正に少なくとも部分的に基づいて決定される。いくつかの実施形態では、予想されるセンサ値は、数日、一週間、数週間、一月、または数ヶ月(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、24、36、48、60または72ヶ月)の過去の時間間隔から、または、1、5、10、20、50、100、1000、または2000までの過去の実行プロトコルインスタンスから、保存されたセンサデータに少なくとも部分的に基づいて決定される。いくつかの実施形態では、予想されるセンサ値は、現在の実行プロトコルに関する情報に少なくとも部分的に基づいて決定される。いくつかの実施形態では、予想されるセンサ値は、最大誤差許容値(例えば、約1%、約5%、約10%、約15%、または約20%)に少なくとも部分的に基づいて決定される。いくつかの実施形態では、最大誤差許容値は、工場センサ較正および/または現在の実行プロトコルに関する情報を用いて決定された予想値からのセンサデータの最大許容偏差を定義する。いくつかの実施形態では、センサデータは、測定されたセンサ値を予想されるセンサ値と比較することによって、ドリフトが有意であるかどうかを識別するために評価される。いくつかの実施形態では、予想されるセンサ値は、ある範囲を含んでもよく、この範囲は、予想値±最大誤差許容値によって定義される。いくつかの実施形態では、予想値範囲外のドリフトが検出され、ユーザが警告されることがある場合、実行プロトコルは中断してもよく、エラー条件が設定されてもよく、および/またはサービス警告が表示されてもよい。
【0061】
特定の実施形態では、複数のシステムまたは粒子分離ユニットが、共にネットワーク化でき、より大きなスループットを提供してもよい。
【0062】
(粒子分離ユニット)
図2A~
図2Eは、ここで説明する実施形態において使用できる粒子分離ユニット210のいくつかの斜視図を示す。
図2Aは、粒子分離ユニット210の後部の斜視図を示す。粒子分離ユニット210は、粒子分離ユニット210を保持するようにサイズ設定および形状設定できるハウジング215内に収容できる。ハウジング215は、軽量、コンパクト、かつ携帯可能な性質のものにできる。例えば、ハウジングは、粒子分離ユニット210を格納でき、ウェットベンチなどのデスクトップ/テーブルトップの上に配置できる。ハウジング215は、約280mm~約1220mmの範囲の高さ、幅、または奥行き寸法を有することができる。ハウジング215は、約470,400mm
2~約8,930,400mm
2の範囲の表面積を有することができる。ハウジング215は、約21.952,000mm
3~約1,815,848,000mm
3の範囲の内部容積を有することができる。粒子分離ユニット210は、ハウジング215と共に、約20kg~約120kg、約40~約100kg、または約50~約70kgの範囲の総重量を有することができる。いくつかの態様では、粒子分離ユニットは、約100kg未満、80kg未満、または約70kg未満の重量にできる。
【0063】
粒子分離ユニット210の後部は、電源スイッチ220と、電源インレット230と、ネットワーク接続部250とを備えることができる。電源スイッチ220は、粒子分離ユニットをオンオフするためにトグル切替えできる。ネットワーク接続部250は、イーサネット(商標)、USB-C、およびUSBmini-B接続を含むことができる。ネットワーク接続部250は、ここで議論するように、粒子分離ユニット210をコンピュータネットワークに接続でき、コンピュータシステムは、処理設定を制御することができ、ユーザは、分離プロセスを監視し、処理設定をリアルタイムで変更することが可能である。
【0064】
粒子分離ユニット210の後部はまた、通気口240を備えることができる。通気口240は、粒子分離ユニットが分離プロセスを実行しているときに、ハウジング215の内部から熱を分散させるように構成できる。
【0065】
粒子分離ユニット210の後部はまた、ハウジング215の後部から側方に延びる1つ以上のハンガー270を有するように構成できる。ハンガー270は、粒子分離ユニット210のハウジング215に解放可能にまたは恒久的に結合できる。ハンガー270は、種々の入口/出口溶液バッグを受け入れて保持するように構成できる。例えば、ハンガー270は、粒子分離ユニット210に投入するためのサンプル溶液バッグを保持できる。ハンガー270の各々はまた、質量センサを含むように構成できる。質量センサは、システムが溶液バッグ内にどの程度の量の溶液が残留しているかのリアルタイム追跡を維持し、粒子分離ユニット210全体の流体移動をリアルタイムで監視し管理するのを支援できる。
【0066】
図2Bは、閉じた位置にあるドア260を備えた粒子分離ユニット210の前部の斜視図を示す。粒子分離ユニット210の前部は、ドア260を備えることができる。ドア260はさらに、マイクロ流体カートリッジハウジング280と、ハンドル290とを備えることができる。ドア260は、開閉でき、ユーザは、粒子分離ユニット210の内部にアクセスすることが可能になる。
【0067】
図2Cは、開いた位置にあるドア260を備えた粒子分離ユニット210の前部の斜視図を示し、粒子分離ユニット210の内部にあるカセット300を示す。ハウジング215は、凹部、空洞、またはスロットを含む受容部を含むことができる。カセット300は、この受容部において粒子分離ユニット210と解放可能に結合できる。カセット300は、クイックリリース機構を使用して、および/またはツールの使用なしで、粒子分離ユニット210に置換および/または搭載されるように構成できる。ハウジング215の受容部は、様々な異なるタイプのカセットと解放可能に結合するように構成できる。他のカセットは、異なるタイプの細胞/標的粒子処理のために構成してもよい。例えば、例示的なカセットは、血液サンプル処理のために構成でき、一方、他のカセットは、サンプル溶液中のシリカビーズを処理するように構成してもよい。ハウジング215は、これらの種々のカセットと解放可能に結合するように構成でき、粒子分離ユニット210は、所望の標的粒子分離のための様々な分離プロセスを実行することが可能になる。さらに、種々のマイクロ流体カートリッジが、カセットと解放可能に結合でき、種々の臨界サイズを備えた標的粒子の分離を可能にする。
【0068】
図2Dは、粒子分離ユニット210の上部の斜視図を示す。図示のように、ハンガー270の全てが、この斜視図から見えている。粒子分離ユニット210は、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個または10個以上のハンガー270を備えることができる。
図2Dに示すように、粒子分離ユニットは7個のハンガー270を備える。ハンガー270は、プライミングバッグハンガー271と、媒体バッグハンガー272と、希釈液バッグハンガー273と、サンプルバッグハンガー274と、二次廃棄バッグハンガー275と、一次廃棄バッグハンガー276と、生成物バッグハンガー277とを含むことができる。これらのハンガーは、粒子分離ユニット210の中に投入または外へ排出するように構成された溶液を含むバッグを保持するように構成できる。例えば、サンプルバッグハンガー274は、粒子分離ユニット210内で分離されるサンプル溶液を含むサンプルバッグを受け入れて保持するように構成できる。溶液バッグは、ハンガー270と解放可能に結合できる。
【0069】
図2Eは、粒子分離ユニット210の側部の斜視図を示す。粒子分離ユニット210のハウジング215は、粒子分離ユニット210の側部に凹部265を備えてもよい。凹部は、粒子分離ユニット210の左側、右側または両側にあってもよい。凹部265は、ここで説明するように、入口溶液および出口溶液を粒子分離ユニット210に流体的に結合するチューブを保持するように構成できる。
【0070】
図2Fは、いくつかの実施形態に係る例示の粒子分離ユニットの正面図および側面図を示す。粒子分離ユニットは、一次タッチスクリーンディスプレイ275と、二次ステータスディスプレイ285とを備える。
【0071】
(カセット)
例示的な実施形態において、
図3A~
図3Fは、標的粒子を選別(ソート)するためのカセット300を示す。本開示は、例えば、有機粒子および無機粒子、天然粒子および合成粒子ならびにこれらの組合せなど、広範囲の粒子を含む標的粒子を想定する。ここに提示する標的粒子は、標的粒子の例示的な実施形態であり、例示的な実施形態によって限定されない。種々の実施形態では、標的粒子は、少なくとも約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、または15ミクロンの臨界サイズを有する任意の粒子を含んでもよい。いくつかの実施形態では、標的粒子は、蛍光によって識別可能でもよい。いくつかの実施形態では、標的粒子は、例えば、金属ビーズおよびシリカビーズなどの無機粒子を含んでもよい。例えば、金属ビーズは、アルミナ(例えば、ガンマアルミナ)を含有するビーズを含んでもよい。いくつかの実施形態では、標的粒子は、シリカビーズを含んでもよい。標的粒子は、例えば、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリ(ビニルピロリドン)、アクリルアミドプロピル-PEG、およびこれらの誘導体などのポリマーを含んでもよい。例えば、ポリマーは、メリフィールド(Merrifield)樹脂、ヒドロキシメチル樹脂、Wang樹脂、アミノメチル樹脂、SASRIN樹脂、テンタゲル(TentaGel)S AC樹脂、テンタゲルPHB樹脂、または、テンタゲルS NI-I2樹脂でもよい。標的粒子はまた、カーボンナノチューブおよびフラーレンを含んでもよい。こうした標的粒子は、スプリットプール合成で使用される粒子を含んでもよい。さらに、いくつかの実施形態では、標的粒子は、細胞材料を含んでもよい。細胞材料は、細胞全体、溶解細胞、細胞成分、細胞外マトリクス、生体組織、およびその一部を含んでもよい。いくつかの実施形態では、標的粒子はまた、タンパク質、ペプチド、抗体、炭水化物、脂質、核酸、ヌクレオチド、一次代謝産物、二次代謝産物、および天然産物を含む生体分子を含んでもよい。標的粒子はまた、1000ダルトン未満の重さである小分子、合成小分子および天然小分子の両方を含んでもよい。いくつかの実施形態では、標的粒子は、ウイルスを含んでもよい。細胞材料は、細胞懸濁液を含んでもよい。細胞は、ヒト、動物、真菌、微生物、昆虫、およびこれらの改変細胞を含む、生物由来の任意の細胞でもよい。細胞材料混合物は、細胞材料、不透明粒子、および水溶液を含む。溶液の例は、例えば、媒体(media)、バッファ-、および水を含む。本開示のデバイスは、タンパク質、炭水化物、酵素、ペプチド、ホルモン、受容体を特異的に発現または産生する細胞、さらに抗体、遺伝子操作された細胞、および活性化細胞を産生する細胞を単離するために使用してもよい。例示的な実施形態では、
図3A~
図3Fに従って、カセット300は、脱気ユニット310と、気泡センサ320と、圧力センサ330と、バルブ340と、ポンプ350とを備える粒子分離ユニット210のパネルに動作可能に結合されるように構成できる。カセット300は、インラインミキサー360と、圧力センサ膜332と、圧力センサガスケット335と、バルブ膜342と、バルブガスケット345と、1つ以上のマイクロ流体カートリッジを受け入れて保持するためのマイクロ流体カートリッジハウジング370と、チューブ380とを備えてもよい。代替として、カセット300は、脱気ユニット310と、気泡センサ320と、圧力センサ330と、圧力センサ膜332と、バルブ340と、バルブ膜342と、ポンプ350と、インラインミキサー360と、マイクロ流体カートリッジハウジング370と、チューブ380の全てを備えるように構成できる。
【0072】
カセット300が、単一の使用のために構成でき、またはカセット300は、複数の使用のために再使用可能にできる。標的粒子を選別するためのカセット300の一実施形態では、カセット300は、ここで説明するように、標的粒子を選別するように構成された1つ以上のマイクロ流体カートリッジを受け入れて保持するように構成されたマイクロ流体カートリッジハウジング370を備えてもよい。1つ以上のマイクロ流体カートリッジは、カセット300の1つ以上のマイクロ流体カートリッジポート372においてカセット300に解放可能に結合できる。カセットは、分離されるのが要望される標的粒子を含むサンプルを含むことができるサンプルバッグに、カセット300を接続するように構成されたチューブ380を備えてもよい。チューブ380はまた、カセット300を種々の他の供給源に接続するように構成されてもよく、そしてカセットに種々の出口を設けるように構成されてもよい。例えば、チューブ380は、プライミング溶液チューブ381、媒体チューブ382、希釈液液チューブ383、およびサンプルチューブ384を含む入口チューブを備えてもよい。さらに、チューブ380は、生成物再循環チューブ385、生成物回収チューブ386および廃棄チューブ387を含む出口チューブを備えてもよい。チューブ380は、サンプルが、カセット300内の複数の経路を通って自由に流れることを可能にし、分離プロセスが実行可能にするように構成できる。チューブ380は、
図3Bに示すように、カセット300の底部において出入りするように構成してもよい。入口チューブは、カセット300の底部の左側に入るように構成してもよく、出口チューブは、カセット300の底部の右側に出るように構成してもよい。チューブ380は、カセット300を通って延びて、カセットに複数の経路を設けてもよい。
【0073】
生成物回収チューブ386および廃棄チューブ387は、
図3Dに示すように、チューブ接続部392を介して、カセット300を生成物バッグ396および廃棄バッグ398に流体的に結合するように構成できる。生成物回収チューブ386および廃棄チューブ387は、生成物バッグ396および廃棄バッグ398、カセット300およびマイクロ流体デバイスを互いに流体連通させることを可能できる。同様に、プライミング溶液チューブ381、媒体チューブ382、希釈液チューブ383、およびサンプルチューブ384はまた、プライミング溶液バッグ、媒体バッグ、希釈液バッグ、およびサンプルバッグはそれぞれカセット300およびマイクロ流体デバイスと流体連通させることを可能にするように構成してもよい。生成物回収チューブ386および廃棄チューブ387は、生成物回収バッグおよび廃棄バッグをそれぞれカセット300およびマイクロ流体デバイスと流体連通させることを可能にするように構成できる。生成物再循環チューブ385は、マイクロ流体デバイスから出口ストリームを取り出し、更なる処理のために、そのストリームをマイクロ流体デバイスに戻すように再循環させるように構成してもよい。
【0074】
生成物再循環チューブ385は、カセット300内の少なくとも1つの再循環経路に動作可能に接続できる。再循環経路は、カセット300内の任意の他の経路から分離するように構成でき、あるいは、カセット300の他の複数の経路のうちの1つ以上に接合または接続するように構成できる。再循環経路は、カセット300の入口部分から出口部分に延びるように構成でき、カセット300上で時計回り方向または反時計回り方向に標的粒子を操作して再循環させるように構成できる。さらに、複数の再循環経路が、1つ以上のマイクロ流体カートリッジにサンプルを出し入れするように構成できる。マイクロ流体カートリッジは、カセットとの流体連通を確立するために、1つ以上のカートリッジポート372に動作可能に結合してもよく、そのため1つ以上のマイクロ流体カートリッジは、1つ以上の標的粒子をサンプルから分離するように構成され、少なくとも1つの再循環経路は、1つ以上の標的粒子をカセット300を介して再循環させて、1つ以上の標的粒子を所定体積の媒体に濃縮するように構成される。再循環経路は、このように動作して、生成物溶液中において所望の濃度または体積の標的粒子を達成するように構成できる。マイクロ流体カートリッジおよび少なくとも1つの再循環経路は、並列、直列、または直列と並列の組合せで動作するように構成できる。並列動作は、標的粒子分離プロセスを完了するために、粒子分離ユニットにとって最適化され、最小化された実行時間を可能にする。
【0075】
マイクロ流体カートリッジおよび再循環経路は、互いに独立して動作するように構成できる。例えば、マイクロ流体カートリッジは、再循環経路で実行される再循環プロセスに影響を与えることなく、標的粒子をサンプル溶液から分離するように構成できる。さらに、再循環経路で実行される再循環プロセスは、マイクロ流体カートリッジによって実行される分離プロセスに影響を与えることなく実行できる。マイクロ流体カートリッジおよび少なくとも1つの再循環経路はまた、生成物中の1つ以上の標的粒子の所望の濃度を達成するために、個別にリアルタイムで制御可能であってもよい。
【0076】
チューブ380は、入口溶液バッグおよび出口溶液バッグに解放可能に結合してもよい。例えば、溶液バッグのチューブ380およびチューブ接続部392は、溶接対応チューブを含むことができ、チューブ380およびチューブ接続部392は、滅菌チューブ溶接機の使用により一緒に結合されてもよい。
【0077】
サンプルバッグが、分離されるのが要望される、ここで説明する標的粒子のいずれかを含むサンプルを保持するように構成してもよい。プライミングチューブ381は、プライミング溶液を収納できるプライミングバッグをカセット300に接続できる。プライミング溶液は、任意の他のサンプル/溶液の導入前にカセットを通って流れるようにして、カセットを、処理のためのサンプル/溶液を受け入れる準備ができることを確保するように構成してもよい。例えば、プライミング溶液は、カセットを通って流れ、流体経路からの全ての空気の除去を確実にするように構成できる。媒体チューブ382は、媒体溶液を収納することができる媒体バッグをカセット300に接続できる。媒体溶液は、生成物回収バッグ内の標的細胞と一緒に回収されるように構成されたクリーンバッファ-溶液を含んでもよい。希釈液チューブ383は、希釈液を収納できる希釈液バッグをカセットに接続できる。希釈液チューブは、希釈液をカセット300内に導入するように構成でき、これは、標的細胞が生成物回収バッグ内に回収される濃度に影響を与える。
【0078】
生成物回収チューブ386は、生成物回収バッグをカセット300に接続でき、これは、マイクロ流体デバイスから、標的細胞を含む生成物ストリームを回収できる。生成物回収ストリームはまた、媒体バッグからのバッファ-を含んでもよい。廃棄チューブ387は、廃棄バッグをカセット300に接続でき、これは、マイクロ流体デバイスから、オリジナルサンプルからの未分離の標的を含む廃棄ストリームを回収できる。生成物再循環チューブ385は、ここで説明するように、標的細胞をマイクロ流体カートリッジに再循環できる。これによりカセットは、標的細胞を一定の量に濃縮することが可能になる。例えば、標的細胞は、約10mL、20mL、30mL、40mL、50mL、60mL、70mL、80mL、90mL、100mL、110mL、120mL、130mL、140mL、または約150mL以上のバッファ-および標的細胞流体に回収されるように固定できる。所望の固定体積を有するコンパートメントとともに設計された専用バッグの使用により、一定の回収体積が達成できる。例えば、細胞は、コンパートメントを備えた側で生成物バッグに入ってもよく、バッグは、再循環側であるバッグの他方の側への最小量のオーバーフローだけが存在するように構成してもよい。再循環側の流体は、固定体積コンパートメント側に沈殿する細胞が比較的無い状態のままでもよい。例えば、バッグへの流入が300mL/時間で一定である場合、合計流量の固定した割合が生成物である。流出量は、バッファ-流量に等しくなるように変更してもよい。バッファ-流量は、再循環を開始する場合に決定するために、質量トリガーを用いて制御してもよい。例えば、生成物バッグ質量が、高質量設定ポイント(例えば、30g)未満である場合、生成物は、一定のレートで生成物バッグに供給される。生成物バッグが高質量設定ポイント(即ち、本例では30g)に到達すると、生成物は、生成物バッグ質量が低質量設定ポイント(例えば、25g)に達するまで、再循環側から引き出されてもよい。低質量設定ポイントに到達すると、再循環(またはバッグからの生成物の引き出し)が停止し、バッファ-がDLDに戻され、高質量設定ポイントに到達するまでバッグを生成物で充填する。いくつかの例では、バッファ-流量は、600mL/時間でもよく、その場合、バッグへの正味の流量は、300mL/時間または-300ml/時間(300が流入し、600が流出する)でもよい。いくつかの例では、流量は、分離実行が完了するまで、上側質量トリガーと下側質量トリガーとの間で連続的に振動するように調整され、その後、生成物バッグは、最終希釈レベルまで、例えば、40gの最終質量を生成するように充填できる。いくつかの実施形態では、堰(weir)バッグは、25gのより低い質量トリガーで20~25gでオーバーフローするように構成され、堰の他方の側には常に少量の流体が存在し、下側質量トリガーに到達した場合でも、システム内への空気の引き込みリスクを低減している。質量トリガーは、ユーザが選択できる。堰バッグはまた、空気がシステム内に進入するのを防止するために、選択された質量トリガーに基づいてユーザが選択してもよい。いくつかの実施形態では、再循環は、生成物バッグ内の細胞充実度が150M/mL以下のレベルに維持される限り、専用の堰バッグなしで実行できる。再循環は、標的細胞分離に対して、並列に、直列に、または並列と直列の組合せで行うことができ、クリーンバッファ-内で指定された体積で、生成物細胞の回収を可能にする。再循環が並列して行われる場合、再循環プロセスは、標的細胞分離の全体実行時間に影響を及ぼさない。
【0079】
図3Aに示すように、カセット300の可撓性流体チャネル352は、粒子分離ユニット210のパネルの1つ以上のポンプ350に動作可能に結合できる。代替として、ポンプ350は、カセット300自体の一部であるように構成できる。可撓性流体チャネル352は、カセット300上で長手方向に延びるように構成してもよい。可撓性流体チャネル352は、流体チャネルのサブセットを含んでもよい。可撓性流体チャネル352の各サブセットは、2つ以上の流体チャネルを含んでもよい。ポンプ350は、可撓性流体チャネル352の各サブセット内に2つ以上の流体チャネルに動作可能に結合するように構成された2つ以上のポンプヘッドを備えてもよい。1つ以上のポンプ350は、カセット300の1つ以上の入口ストリームおよび出口ストリームのある流量の流体内容物を輸送し制御するように構成できる。例えば、ポンプは、サンプル、媒体、希釈液、廃棄物、生成物、プライミング、および再循環溶液のストリームをカセット300全体に輸送できる。ポンプ350は、流体内容物に接触する可動部分なしで流体内容物を輸送するように構成できる。ポンプ350は、可撓性流体チャネル352に蠕動的に結合され、カセット300内のストリームの流量を制御するように構成された蠕動ポンプを含んでもよい。ポンプ350は、カセット300の可撓性流体チャネル352に動作可能に結合され、可撓性流体チャネル352上で長手方向に延びるように構成できる。ポンプ350はまた、互いに独立して制御可能に構成してもよい。分離プロセスが行われると、ポンプ350は、独立してリアルタイムで制御できる。ポンプ350は、互いに逆相または同相で動作できる。例えば、ポンプ350は、約180度、170度、160度、150度、140度、130度、120度、110度、100度、90度、80度、70度、60度、50度、40度、30度、20度、または約10度、あるいはそれ以下の逆相で動作できる。さらに、ポンプ350は、それぞれ同じ流量、異なる流量、同じ流れ方向、または異なる流れ方向を達成するように構成できる。
【0080】
粒子分離ユニット210のパネルは、カセット300の入口ストリームおよび出口ストリームの各々に動作可能に結合される独立したポンプを備えてもよい。例えば、サンプル溶液、希釈液、媒体溶液、およびプライミング溶液の各々について独立したポンプが含まれてもよい。さらに、独立したポンプを、出口ストリームの各々について使用できる。例えば、廃棄ストリーム、生成物ストリーム、および再循環ストリーム。これらのポンプは、これらのストリームの各々の流量を調節するために個別に制御可能にできる。独立したポンプがサンプル溶液ストリームよび希釈液ストリームのために設けられる例では、ポンプは、カセット300に入る標的粒子の希釈倍率を調整するように独立して制御可能でもよい。サンプル溶液の流量を制御するポンプおよび希釈液の流量を制御するポンプは、標的粒子がカセット300に入ると、独立してリアルタイムに制御して、標的粒子の所望の希釈倍率を調整または達成できる。
【0081】
さらに、独立したポンプが、出口ストリームの流量を制御するために含まれてもよい。例えば、独立したポンプが、廃棄ストリームおよび生成物ストリームの流量を制御するように構成できる。例えば、入口ストリームのいずれかからカセット300に入る量、およびカセット300から出る生成物ストリームに対する、粒子分離ユニットを出る廃棄ストリームの所望の流量比に到達するために、独立したポンプを各ストリームについて設けることができる。例えば、独立したポンプを使用して、カセット300を出る廃棄ストリームの流量を制御して、カセットを出る生成物の量および/またはカセット300に提供されるサンプルの量に対する廃棄物の量の比率に影響を与えることができる。さらに、独立したポンプを使用して、カセット300に入る希釈液の量に対するサンプルの量の比率に影響を与えるために、希釈液ストリームの流量に対するサンプルストリームの流量を制御できる。さらに、再循環ストリームおよびサンプルストリームについて個別に制御可能なポンプを使用して、生成物溶液中の標的粒子の所望の濃度を実現できる。
【0082】
上述したように、ポンプ350は、蠕動ポンプを備えてもよい。蠕動ポンプは、カセット300の経路全体に渡って流体の流れを緩やかに促進する能力が要望されることがある。これにより、分離プロセスの終了時に生存細胞を回収する可能性を増加できる。例えば、生成物溶液中に回収された標的細胞の少なくとも50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%あるいはそれ以上が、分離プロセスが行われた後に生存可能な状態にできる。
【0083】
ポンプ350は、カセット300に沿って長手方向に延びる可撓性流体チャネル352に動作可能に結合され、可撓性流体チャネル352を挟持するように構成できる。こうしてポンプ350は、可撓性流体チャネル352に対して平行な長手方向に作動するように構成できる。ポンプ350はまた、可撓性流体チャネル352に対して垂直に横断方向に作動するようにも構成できる。
【0084】
ポンプ350は、複数の可撓性流体チャネル352の各サブセットに動作可能に結合できるポンプヘッドのセットを備えることができる。各ポンプのポンプヘッドの各セットは、2つ以上のポンプヘッドを備えることができる。2つ以上のポンプヘッドは、2セット以上のローラを備えることができる。2つ以上のポンプヘッドは、互いに同相で作動するように構成できる。2つ以上のポンプヘッドは、流体内容物を、可撓性流体チャネル352を通ってマイクロ流体カートリッジに向けてまたはそれから離れるように輸送するように、互いに逆相で作動するように構成できる。このようにして2つ以上のポンプヘッドを互いに逆相で動作させることにより、ポンプが単一のポンプヘッドを有する場合よりも脈動の少ない流体内容物の流れをもたらすことができる。2つ以上のポンプヘッドは、約180度、170度、160度、150度、140度、130度、120度、110度、100度、90度、80度、70度、60度、50度、40度、30度、20度、または約10度あるいはそれ以下の逆相で作動するように構成できる。
【0085】
各ポンプ350における2つ以上のポンプヘッドはそれぞれ、可撓性流体チャネル352のサブセット内の2つ以上の流体チャネルに動作可能に結合され、流体チャネルを挟持するように構成できる。可撓性流体チャネル352の各サブセット内の2つ以上の流体チャネル内の流体内容物は、2つ以上のポンプヘッドによって輸送でき、各サブセットの出口において単一の流体経路に一緒に合流できる。各ポンプ350における2つ以上のポンプヘッドは、互いに固定された動きを有するように構成できる。例えば、各ポンプ350内の2つ以上のポンプヘッドは、互いに同じ速度で同じ方向に移動できる。代替として、各ポンプ350内の2つ以上のポンプヘッドは、互いに異なる速度で互いに反対方向に移動できる。
【0086】
ポンプ350は、カセット300を通って流れる流体内容物が約30psi~約60psiと同じ程度の圧力を受けるように構成できる。例えば、流体内容物は、一般に、分離プロセス中に約5psi~約40psiの圧力を受けることがある。ポンプは、所望の周波数で動作できる。例えば、ポンプは、約200回転/分(rpm)、190rpm、180rpm、170rpm、160rpm、150rpm、140rpm、130rpm、120rpm、110rpm、100rpm、90rpm、80rpm、70rpm、60rpm、または約50rpmあるいはそれ以下で動作できる。流体内容物の圧力は、流体がチャネルを通って移動する体積および/または速度に応じて変化または調整できる。ポンプ350は、入口溶液が出会って混合する前に、このようにしてカセット300の経路に沿って流体を緩やかに移動できる。このように動作するポンプ350はまた、粒子の凝集の最小量が任意の所定ストリーム内で発生することを確保できる。
【0087】
ポンプ350に加えて、粒子分離ユニット210のパネルはまた、カセット300内のストリームの流量を制御するのを支援するように構成できる1つ以上のバルブ340を含むように構成してもよい。例えば、バルブ340は、カセット300上のバルブ膜342に動作可能に結合できる。圧力センサ330は、流体圧力をロードセル上の線形力に変換する圧力センサ膜332に動作可能に結合できる。パネルおよびカセット300は、互いに動作可能に結合された、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、13個、14個、15個、16個、17個、18個、19個、または20個あるいはそれ以上のバルブ340およびバルブ膜342を含んでもよい。バルブ膜342は、カセット300の全体に渡っていくつかの場所に位置するように構成してもよい。例えば、ストリームは、ポンプ350の前に入口ストリームの直ぐ入口で、圧力センサ膜332に接触した後に、マイクロ流体デバイスと接触する前に、マイクロ流体デバイスと接触した後に、1つ以上のバイパスチャネルの上流で、バルブ膜342に接触してもよい。バルブ膜342は、インラインに位置し、カセット300のいくつかのストリームとの流体連通するように構成できる。各バルブ340は、個別のストリームの各々について所望の流量に到達するのを支援するように個別に制御できる。例えば、各バルブ340は、ある経路のバルブ膜342を完全にまたは部分的に閉止することによって、カセット300の経路を通る流れを完全にまたは部分的に防止できる。バルブ340は、ピン、または他の適切な部品を備えてもよく、カセット300の経路内に閉止されたバルブ膜342を完全にまたは部分的に押して、経路を通る流体の流れを制限できる。例えば、バルブ膜342が、希釈液ストリームのためのラインに存在してもよく、これは、バルブ340によって閉止または完全にまたは部分的に開放でき、カセット300に入る希釈液ストリームの所望の流量を達成するのを支援して、サンプル溶液中のカセット300に入る標的粒子の所望の希釈倍率を達成するのを支援する。希釈液ストリームのためのバルブ膜342が、例えば、バルブ340によって完全にまたは部分的に閉止されるとともに、サンプル溶液ストリームのためのバルブ膜342が、閉止位置からより近い位置またはさらに離れた位置に留まるようにして、所望の希釈倍率を達成するのを支援するように構成できる。バルブ340はまた、バルブ膜342を、完全に閉止しまたは開放した状態と比較して、百分率値で閉止または開放できる。例えば、バルブ膜342は、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、または90%あるいはそれ以上で開放でき、バルブ膜342が位置するストリームの所望の流量を達成できる。
【0088】
ポンプ350およびバルブ340に加えて、粒子分離ユニット210のパネルはまた、カセット300内のストリームの流量を制御するのを支援するように構成できる1つ以上の圧力センサ330を含むように構成してもよい。カセット300は、1つ以上の圧力センサ330に動作可能に結合された1つ以上の可撓性圧力センサ膜332を含むように構成できる。例えば、粒子分離ユニット210およびカセット300のパネルは、一緒に動作可能に結合された1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、または10個あるいはそれ以上の圧力センサ330および圧力センサ膜332を含んでもよい。ストリームは、可撓性ポンプチューブ352と接触した後に、マイクロ流体デバイスと接触する前に、圧力センサ膜332と接触してもよい。圧力センサ330は、流体内容物が通過するときに流体内容物によって圧力センサ膜332に印加される力に基づいて、カセット300内の経路を通過する流体内容物の圧力を測定できる。圧力センサ330は、粒子分離ユニット210のパネルの他のデバイスと通信してもよい。例えば、圧力センサが所望の圧力測定値よりも高い圧力を読み取った場合、圧力センサは、1つ以上のバルブまたは1つ以上のポンプに情報伝達を送信してもよく、これは、1つ以上のバルブまたは1つ以上のポンプに調整させて、高圧測定値を有するストリームの流量を低下させ、圧力を低下させる。
【0089】
粒子分離ユニット210のパネルは、脱気ユニット310を含むように構成してもよい。脱気ユニット310は、カセット300内のガス透過性チューブに動作可能に結合されるように構成してもよい。脱気ユニット310は、カセット300の上部で、および/または、マイクロ流体カートリッジと近接して、ガス透過性チューブに動作可能に結合してもよい。
【0090】
カセット300において、マイクロ流体カートリッジへの任意の入口ストリームが、気泡または溶存ガスが存在しないことが望ましい場合がある。これは、マイクロ流体カートリッジの効率的かつ適切な処理を確保することが望まれることがある。脱気ユニット310は、ガス透過性チューブを介して溶存ガスを除去するように構成でき、サンプルが1つ以上のマイクロ流体カートリッジを通って循環される前に、気泡形成を防止するように構成できる。これにより、カセット300はサンプル溶液を受け入れる準備ができ、カセット300は、分離プロセスを全体に渡って効率的かつ適切に実行することを確保できる。
【0091】
脱気ユニット310に加えて、粒子分離ユニット210のパネルは、複数の気泡センサ320を含んでもよい。例えば、パネルは、カセット300内のいくつかのストリームのいずれかにおいて気泡の存在を検出するように構成された1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、または10個あるいはそれ以上のバブルセンサ320を備えてもよい。カセット300内の経路は、気泡センサが経路内の気泡の有無を検出できるように、パネル上の気泡センサ320に当接するように構成してもよい。経路は、ポンプ350の前で、マイクロ流体デバイスと接触する前および後に、経路がカセット300に入るときに、気泡センサに当接して接触できる。例えば、気泡センサ320は、マイクロ流体カートリッジに入るサンプルストリームの前に、サンプルストリーム中の気泡の存在を検出するように構成してもよい。気泡センサ320が気泡の存在を検出した場合、システムは、ユーザに警告/通知を提供できる。気泡センサの非限定的な例は、光学式、超音波式、およびキャパシタ式の気泡センサを含んでもよい。
【0092】
カセット300は、1つ以上のバイパスチャネルを含むように構成してもよい。カセット300は、バルブ340およびポンプ350を使用して、ストリームをバイパスチャネルに方向付けて、カセット300のセンサおよび/またはマイクロ流体カートリッジの一方から離れるようにストリームを方向付けるように構成できる。
【0093】
気泡センサ320は、カセット300のバイパスチャネルと協力して作動するように構成してもよい。例えば、気泡センサ320がサンプルストリーム中の気泡の存在を検出した場合、バイパスチャネルを使用して、このサンプルストリームをマイクロ流体カートリッジから遠くに方向付けて、ストリームが気泡とともにマイクロ流体カートリッジに入らないことを確保できる。追加の例として、気泡センサ320は、サンプルストリームと接触する前に、そこで検出された気泡を有する他のストリームを方向転換するのを支援でき、それによって気泡を伴うサンプルストリームの汚染を防止できる。
【0094】
カセット300は、インラインミキサー360を含むようにさらに構成してもよい。インラインミキサー360は、カセット300のストリームのいずれかと流体連通するように構成してもよい。インラインミキサー360は、ポンプ350の後で、マイクロ流体デバイスの前に来るように構成してもよい。インラインミキサー360は、カセット内のストリームのいずれかを混合して、均一な混合溶液を送給するように構成してもよい。例えば、インラインミキサー360は、生成物再循環ストリームを媒体ストリームと混合して、生成物回収ストリーム中の生成物とバッファ-との均質な混合物に到達するように構成してもよい。
【0095】
インラインミキサー360は、カセット300を通過する他の複数の経路およびチャネルと並列に延びるチャネルを備えることができる。インラインミキサー360は、複数の様々な溶液ストリームを受けるように構成でき、1つ以上のストリームを一緒に緩やかに混合できる1つ以上のゲート/障害物を備えることができる。インラインミキサー360はまた、複数のチャネルを備えることができ、ゲート/障害物は、混合を促進するように構成できる。インラインミキサーの部品は、流体チャネルの混合を行うために可動部分が必要とされないように構成できる。この混合は緩やかに行うことができ、これにより分離プロセスの終了時に生存細胞を回収する可能性が高くなる。例えば、インラインミキサーは、サンプルがマイクロ流体カートリッジを循環する前に、到来するサンプルをカセット上でインラインで希釈液と混合するように構成してもよい。インラインミキサー360は、第1流体チャネルでサンプル溶液を受け入れ、第2流体チャネルで希釈液を受け入れることができ、第1チャネルおよび第2チャネルは、溶液の混合を可能にするように合流できる。インラインミキサー360は、2つ以上の溶液の混合を提供するために、2つ以上のチャネルを備えることができる。
【0096】
(マイクロ流体カートリッジ)
図4A~
図4Cは、ここで説明する実施形態で使用できるマイクロ流体カートリッジ410を示す。マイクロ流体カートリッジは、単一の使用のために構成でき、またはマイクロ流体カートリッジは、複数の使用のために再使用可能にできる。図示のように、2つのマイクロ流体カートリッジ410は、分離プロセスを実行するために、カセット300内で互いに平行に積み重ねて使用できる。分離プロセスはまた、1つのマイクロ流体カートリッジ、または3つ以上のマイクロ流体カートリッジを用いて実行されるように構成でき、これら全てが、直列、並列、または直列と並列の組合せで動作するように積み重ねできる。図示のように、マイクロ流体カートリッジ410は、2つの入口420および2つの出口430を備えることができる。マイクロ流体カートリッジはまた、1つの入口および出口、または3つ以上の入口および出口を備えることができる。入口420の数は、出口430の数と異なってもよい。例えば、マイクロ流体カートリッジは、出口430よりも多いまたはより少ない入口420を備えることができる。
【0097】
図4Bと
図4Cに示すように、マイクロ流体カートリッジ410は、通気孔440を備えることができる。通気孔440は、気泡がマイクロ流体カートリッジ410を通過するときに、流体内容物をマイクロ流体カートリッジ410のチャネル内に維持しながら気泡がストリームから脱出できるように構成できる。例えば、通気孔440は、デュアルフィルタシステムのものでもよい。2つのフィルタは、親水性膜および疎水性または疎油性の膜を備えてもよい。親水性膜は、マイクロ流体カートリッジ410を通過する流体ストリームに最も近くに存在するように構成でき、疎水性または疎油性の膜は、マイクロ流体カートリッジ410を取り囲む周囲環境に最も近くに存在できる。各膜は、種々の厚さのものにできる。各膜は、同じ厚さでもよく、または1つの膜が、他の膜よりも厚くても薄くてもよい。例えば、親水性膜は、疎水性膜よりも厚く構成してもよい。膜は、約10ミクロン、20ミクロン、30ミクロン、40ミクロン、50ミクロン、60ミクロン、70ミクロン、80ミクロン、90ミクロン、100ミクロン、110ミクロン、120ミクロン、130ミクロン、140ミクロン、150ミクロン、160ミクロン、170ミクロン、180ミクロン、190ミクロン、200ミクロン、210ミクロン、220ミクロン、230ミクロン、240ミクロン、250ミクロン、260ミクロン、270ミクロン、280ミクロン、290ミクロン、300ミクロン、310ミクロン、320ミクロン、330ミクロン 340ミクロンまたは約350ミクロン以上の厚さでもよい。いずれかの膜または両方の膜は、ガスがシステムから脱出できるように選択的に透過可能にでき、一方、細胞および流体はシステム内に維持され、汚染物質(例えば、ウイルス、細菌)は除外される。こうした選択的透過性膜は、システムの滅菌性を維持しながら、システムに有害となり得るガスおよび気泡を逃がすことを可能にする。膜の孔径は、約5.0,4.0,3.0,2.0,1.0,0.95,0.90,0.85,0.80,0.75,0.70,0.65,0.60,0.55,0.50,0.45,0.40,0.35,0.30,0.25,0.20,0.15,0.10,0.09,0.08,0.07,0.06,0.05,0.04,0.03,0.02または約0.01ミクロンあるいはそれ以下でもよい。膜は、異なる孔径を含むことができ、そのため、例えば、親水性膜は疎水性膜より大きい孔径を含んでもよい。通気孔440をこのように構成することにより、マイクロ流体カートリッジ410の経路内の流体を維持しながら、気泡がマイクロ流体カートリッジを通過するときに、気泡がストリームから脱出できる。
【0098】
ここで説明するように、マイクロ流体カートリッジ410は、カセット300に解放可能に結合できる。
図4Cに示すように、マイクロ流体カートリッジ410は、カセットのタブ374を介してカセット300に解放可能に結合できる。タブ374は、ツールを必要とせずに、マイクロ流体カートリッジ410をカセット300にスナップ嵌めおよびスナップ外しすることを可能にできる。
【0099】
マイクロ流体カートリッジ410は、典型的には長方形であり、シリコン、ガラス、ハイブリッド材料、または(好ましくは)ポリマーを含む、分離方法と適合する任意の材料から製作できる平面支持体を有してもよい。支持体は、上面および底面を有し、これらの一方または両方は、1つ以上のサンプル入口および1つ以上の別個の流体入口から1つ以上の生成物出口および1つ以上の別個の廃棄出口に延びる少なくとも1つの埋め込みチャネルを有する。流体入口(サンプル入口に対向する)は、時には「バッファ-」または「洗浄」入口と呼ばれることがあり、分離の目的に応じて、種々の流体をチャネル中に輸送するために使用できる。使用または文脈で別に言及しない限り、「流体」は、バッファ-でもよく、試薬を含有してもよく、細胞のための成長培地を構成してもよく、あるいは、一般に任意の液体でもよく、デバイスの動作およびユーザの目的に適合する任意の成分を含んでもよいことは理解されよう。
【0100】
流体がサンプル入口または流体入口を通してデバイスに印加された場合、それは出口に向かってチャネルを通過し、それによりバルク流体フロー方向を定義する。異なるサイズの細胞または粒子を分離するために、チャネルは、チャネルに沿って長手方向に(入口から出口まで)延びる1つ以上の列(column)およびチャネルを横切って横方向に延びる行(row)に編成された障害物のアレイを含む。障害物の各後続行が、前の行に対して横方向にシフトされ、それにより傾斜角(ε)だけバルク流体フロー方向から逸脱するアレイ方向を定義する。障害物は、臨界サイズを定義するように位置決めされ、そのためサンプルがマイクロ流体カートリッジ410の入口に印加されて出口に流れる場合、臨界サイズより大きいサンプル中の粒子または細胞は、アレイ方向に追従し、臨界サイズより小さい粒子は、バルク流体フロー方向に流れ、それによって分離が得られる。
【0101】
(標的細胞および標的細胞の製造方法)
ここで説明するシステムおよびデバイスは、適切なサンプルから1つ以上の標的細胞または標的細胞の集団を分離し、精製し、または富化するために使用できる。標的細胞は、臨界サイズまたは臨界直径に基づいて分離できる。富化された細胞は、約1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,11,12,13,14,15ミクロンより大きい臨界サイズを有してもよい。
【0102】
適切な臨界サイズを設定することにより、例えば、造血幹細胞、末梢血単核球(PBMC)、白血球(WBCまたはCD45+細胞)または白血球(leukocyte)、または他の免疫細胞などの特定の細胞種類の分離を可能にする。富化された細胞集団は、T細胞(CD3+細胞)、B細胞(CD19+細胞)、NK細胞(CD56+細胞)、またはこれらの組合せから選択される1つ以上の標的細胞を含んでもよい。富化されたT細胞集団は、CD4+T細胞、CD8+T細胞、またはこれらの組合せを含んでもよい。T細胞は、ナイーブ、セントラルメモリ、セントラルメモリエフェクタまたはエフェクタ、またはTemra表現型を示してもよい。富化された細胞集団は、システムから得られる生成物が特定の細胞種類について約80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%純粋になるように富化できる。ある場合は、得られる生成物は、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%白血球である。具体例では、白血球除去輸血(leukapheresis)生成物またはロイコパック(leukopak)が、システムおよび/またはデバイスに適用してもよく、に少なくとも90%、95%、96%、97%、98%、または99%PBMC細胞であるPBMCの集団が得られる。こうした純度は、得られた細胞上のCD45(パン-白血球マーカー)発現を調査することによって決定できる。
【0103】
ここで説明するこうしたシステムおよびデバイスはまた、入力集団と比較して高い収率で粒子または白血球集団を産生できる。例えば、あるサンプルがデバイスに適用でき、入力された粒子または細胞の少なくとも70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%である粒子または細胞の集団が回収時に得られる。例えば、白血球除去輸血生成物がデバイスに適用でき、PBMC入力細胞の少なくとも70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%であるPBMCの集団が回収時に得られる。例えば、白血球除去輸血生成物がデバイスに適用でき、T細胞入力細胞の少なくとも70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%であるT細胞の集団が回収時に得られる。回収された1つ以上の細胞または粒子集団は、富化生成物を含んでもよい。回収された細胞の集団は、回収時に80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%生存してもよい。
【0104】
富化された標的細胞は、培養、増殖、凍結保存、または遺伝子工学を含む、デバイスから1つ以上のステップポスト回収を行うことができる。これらのプロセスは、細胞培養装置、フードまたはインキュベータ内でインビトロ(in vitro)またはエクスビボ(ex vivo)で行ってもよい。例えば、細胞は、インビトロでさらに培養または増殖してもよい。こうしたステップを使用して、キメラ抗原受容体、組換えT細胞受容体、または他の治療用タンパク質を発現する細胞の集団を産生できる。例えば、こうしたステップは、キメラ抗原受容体または組換えT細胞受容体をコードするように構成された外因性核酸を用いて細胞をトランスジェニック(遺伝子組み換え)にできる。こうした細胞は、ウイルス形質導入、エレクトロポレーション、または化学トランスフェクション試薬(例えば、カチオン性脂質、塩化カルシウム沈殿)の使用を含む1つ以上のステップによって遺伝子操作できる。ウイルス形質導入は、レンチウイルスベクター、レトロウイルスベクター、またはアデノウイルスベクターを用いて行うことができる。キメラ抗原受容体は、チサゲンレクルユーセル(Tisagenlecleucel)、アキシカブタゲン シロルユーセル(Axicabtagene ciloleucel)、またはこれらの組合せを含んでもよい。キメラ抗原受容体は、MART-1,CD444v6,CAIX,CEA,CD133,c-Met,EGFR,EGFRvIII,Epcam,EphA2,FR alpha,GD2,GPC3,GUCY2C,HER1,HER2,ICAM-1,IL13R alpha 2,IL11R alpha,Kras,Kras G12D,L1CAM,MAGE,MET,Mesothelin,MUC1,MUC16 ecto,NKG2D,NY-ESO-1,PSCA,またはWT-1など、細胞認識イベントを促進できるシーケンスの1つまたは組合せを含んでもよい。
【0105】
ここで説明するものは、サンプルをシステムまたはデバイスに流通させることによって、細胞を含む粒子を含む生成物を製造する方法である。ある場合は、システムは、マイクロ流体システムである。いくつかの実施形態では、マイクロ流体システムは、システムまたはデバイスから1つ以上の粒子を分離するカセットまたはカートリッジを備える。ある場合は、システムは、1つ以上のマイクロ流体カートリッジが解放可能に結合され、支持されるカセットを備える。ある場合は、カセットは、システムを介してプライミング溶液を流通させることによってプライム処理される。方法は、システムを介してサンプルを流し、1つ以上のマイクロ流体カートリッジを使用して、システムから1つ以上の標的粒子を分離することによって、サンプルを処理することを含んでもよい。システムまたはデバイスから分離された1つ以上の標的粒子を含む生成物が回収できる。ある場合は、サンプルは、少なくとも約40mLの体積を有する。ある場合は、生成物は、1つ以上の標的粒子の少なくとも約70%回収で富化される。ある場合は、この方法は、連続的にインラインである閉鎖滅菌設定で達成される。いくつかの実施形態では、この方法は、1時間以下で実行される。
【0106】
ここで説明するのは、富化された細胞生成物または細胞の集団を取得する方法であり、マイクロ流体デバイスを経由して血液関連サンプルを流動または処理することを含み、サンプルからのWBCの少なくとも90%および、サンプルからの赤血球の5%未満および血小板の5%未満を含む富化された細胞生成物を産生する。いくつかの実施形態では、この方法は、300mL/時間の流量で血液関連サンプルを処理する。いくつかの実施形態では、この方法は、30×109細胞/時間の最大細胞スループットを有する。
【0107】
ここで説明するのは、富化された細胞生成物または細胞の集団を得る方法であり、ここで説明するデバイスまたはシステムを経由して血液関連サンプルを流動または処理することを含む。いくつかの実施形態では、この方法は、白血球を含む標的細胞を含む生成物を生成することを含む。いくつかの方法では、白血球生成物は、少なくとも約95%純粋である。
【0108】
ある場合は、サンプルは、少なくとも約10mL/時間、30mL/時間、100mL/時間、150mL/時間、200mL/時間、300mL/時間、400mL/時間、500mL/時間、600mL/時間、または700mL/時間のレートで処理される。いくつかの実施形態では、サンプルは、少なくとも1×10
8細胞/時間、10×10
8細胞/時間、30×10
8細胞/時間、10×10
9細胞/時間、30×10
9細胞/時間,または100×10
9細胞/時間の細胞スループットで処理される。ある場合は、生成物は、少なくとも約4、5、6、7、8、9、10、11、12、または13ミクロンの直径を有する粒子で富化される。ある場合は、ここで説明する方法の洗浄効率は、少なくとも1ログ(log)、2ログ、3ログ、3.3ログ、4ログ、または5ログより大きい。ある場合は、ここで説明する方法は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、または14日以内に治療リンパ球の用量相当量を産生する。いくつかの実施形態では、ここで説明する方法は、フィコール(ficoll)または他の方法を用いて産生された細胞よりもより多くの用量相当量の治療リンパ球を産生できる単一のロイコパックから細胞集団を産生する。ある場合は、ここで説明する方法は、フィコールまたは他の方法を用いて産生される細胞よりも、少なくとも約2倍、2.5倍、3倍、4倍、5倍、7倍、10倍、または20倍以上の用量相当量の治療リンパ球を産生できる細胞集団を産生する。例えば、DLD法は、フィコールまたは他の方法を用いて産生される細胞よりも2倍以上の用量相当量の治療リンパ球を産生する細胞集団を産生することが示されている。
図20を参照。
【0109】
ここで説明するデバイスを動作させる他の方法は、1つ以上の入口に異種サンプルを印加することと、1つ以上の出口から1つ以上の標的細胞について富化された標的細胞集団を得ることとを含む。具体例では、この方法は、100mL、200mL、300mLおよび400mLあるいはそれ以上の体積を備えた異種細胞集団を含むサンプルを印加することと、1つ以上の標的細胞について富化された集団を回収することとを含む。例えば、少なくとも100mLの白血球除去輸血生成物が、デバイスの1つ以上の入口に印加されてもよく、約90%PBMCよりも大きい細胞集団が、デバイスの1つ以上の出口から得られてもよい。特定の実施形態では、サンプルは、1時間以下で処理できる。
【0110】
いくつかの実施形態では、この方法は、約10分、20分、30分、40分、50分、時間、2時間、3時間またはそれ以下で完了する。ある場合は、この方法は、単一の使用または複数の使用のために構成されたカートリッジまたはカセットを使用する。
【0111】
ある場合は、サンプルはヒトサンプルであり、例えば、造血幹細胞、赤血球、血小板、末梢血単核球(PBMC)、白血球(WBCまたはCD45+細胞)、または白血球(leukocyte)、または他の免疫細胞など、特定の細胞種類のヒト細胞を含む。ある場合は、サンプル体積は、少なくとも約20mL~約500mLである。ある場合は、サンプル体積は、少なくとも約20mL~約40mL、約20mL~約100mL、約20mL~約200mL、約20mL~約300mL、約20mL~約400mL、約20mL~約500mL、約40mL~約100mL、約40mL~約200mL、約40mL~約300mL、約40mL~約400mL、約40mL~約500mL、約100mL~約200mL、約100mL~約300mL、約100mL~約400mL、約100mL~約500mL、約200mL~約300mL、約200mL~約400mL、約200mL~約500mL、約300mL~約400mL、約300mL~約500mL、または約400mL~約500mLの範囲である。ある場合は、サンプル体積は、少なくとも約20mL、約40mL、約100mL、約200mL、約300mL、約400mL、または約500mLである。ある場合は、サンプル体積は、少なくとも約20mL、約40mL、約100mL、約150mL、約200mL、約300mL、または約400mLである。ある場合は、サンプル体積は、少なくとも約40mL、約100mL、約200mL、約300mL、約400mL、または約500mLである。
【0112】
ある場合は、サンプルは、デバイスに印加でき、血液関連生成物を投入して、サンプルから標的粒子を除去することによって、富化された標的細胞生成物が得られる。ある場合は、標的粒子を除去することは、赤血球および血小板を同時に枯渇させることを含む。サンプルは、デバイスに印加してもよく、血液関連生成物を血小板の枯渇に投入して、赤血球を維持することによって、富化された標的細胞生成物が得られる。赤血球は、約0.2:1,0.5:1,0.7:1,1:1,2:1,2.5:1,3:1,5:1,10:1,25:1,50:1,100:1,150:1,200:1,250:1,または500:1あるいはそれ以上より小さい赤血球対標的細胞の比率で維持できる。
図11を参照。血小板細胞は、約0.7:1,1:1,2:1,2.5:1,3:1,5:1,8:1,9:1,25:1,50:1,100:1,150:1,200:1,250:1,または500:1あるいはそれ以下より小さい血小板細胞対標的細胞の比率を達成するようにために枯渇してもよい。
図11を参照。標的細胞は、末梢血単眼細胞、CD3+T細胞、CD4+T細胞、またはCD8+T細胞でもよい。こうした分離は、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、または15ミクロンの臨界サイズを超える細胞の富化を可能にするシステムを構成することによって達成できる。ある場合は、赤血球の少なくとも約50%、60%、70%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%がサンプルから除去される。ある場合は、血小板の少なくとも約50%、60%、70%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%がサンプルから除去される。ある場合は、生成物は、密度勾配遠心分離法を使用することによって得られる細胞の集団と比較して、赤血球対白血球、血小板対白血球またはそれらの組合せのより小さい比率を含む。
【0113】
ここで説明するシステムおよび方法は、標的細胞集団のより大きい回収/より少ない廃棄物を可能にし、例えば、血小板および/または赤血球などの不要な細胞種類による汚染を伴う細胞集団も可能にする。また、細胞が高速沈降下で一緒に集まらないため、システムは、好都合になり得る細胞-細胞相互作用、例えば、リンパ球-RBC相互作用を促進するとともに、有害になり得る相互作用、例えば、血小板-リンパ球相互作用などを低減する。このシステムはまた、血小板と白血球の溶解および、赤血球のロゼット形成(rosetting)を低減し、これは、標的細胞集団、例えば、白血球、B細胞、T細胞、ナイーブT細胞、セントラルメモリT細胞、およびNK細胞などにとって有害となり得る可溶性メディエータ(mediator)を低減する(例えば、活性化または分化を促進することによって)。
【0114】
ここで説明するシステムおよび方法は、白血球(WBC)を、80%、85%、90%、95%またはそれ以上の純度まで回収できる。ここで説明するシステムおよび方法は、血小板を、75%、80%、85%、90%、95%またはそれ以上に枯渇できる。ここで説明するシステムおよび方法は、赤血球を、75%、80%、85%、90%、95%またはそれ以上に枯渇できる。特定の実施形態では、ここで説明するシステムおよび方法は、フィコールまたは他の方法と比較した場合、少なくとも約1.5倍、2倍、2.5倍、3倍、または4倍、5倍、10倍、または20倍あるいはこれより少ない赤血球、血小板、またはこれらの組合せを有する細胞集団を産生する。
図11を参照。同様に、ここで説明する方法は、サンプルが癌患者からのものである場合に、より少ない赤血球または血小板を産生する際に、フィコールまたは他の方法より優れている。
図16を参照。
【0115】
【0116】
ここで説明する方法およびシステムは、富化後にインビトロで増殖のために等しいまたはより大きな容量を有する標的細胞集団を産生できる。ここで説明する方法およびシステムによって分離された細胞は、分離および細胞分離のために、密度勾配媒体および遠心分離(例えば、密度勾配法、密度勾配媒体法、密度勾配遠心分離法、例えば、フィコールまたはフィコール、例えば、フィコール(登録商標)、GEヘルスケア)を使用する現在のシステムおよび方法と比較して、倍化(doubling)時間および/またはより大きい倍化量をもたらすことができる。
【0117】
特定の実施形態では、ここで説明するシステムおよび方法は、密度勾配分離法と比較して、増加した倍化/増殖容量を有する標的細胞集団を産生する。細胞は、密度勾配遠心分離(例えば、フィコール)による分離と比較して、インビトロで1、2、3、4、5、6、7、またはこれより多い倍化を受けることが可能である。特定の実施形態では、倍化能力は、テロメア長によって示される。特定の実施形態では、ここで説明するシステムおよび方法によって富化された細胞は、少なくとも約4または少なくとも約5キロベース(kilobase)以上の平均テロメア長を有する。特定の実施形態では、ここで説明するシステムおよび方法によって富化された細胞は、6キロベース以上の平均テロメア長を有する。特定の実施形態では、ここで説明するシステムおよび方法によって富化された細胞は、7キロベース以上の平均テロメア長を有する。10を参照。
【0118】
より大きな倍化および/または減少した倍化時間は、他の方法と比較して、より早い時点で標的細胞集団を産生でき、下流の治療用途に有用である。特定の実施形態では、標的細胞集団は、約100mL、200mL、300mL、400mL、または500mLの全血サンプル、アフェレーシス生成物、または単一のロイコパックから分離直後に(例えば、日数0)、少なくとも約2×10
9,約3×10
9,約4×10
9,約5×10
9,約9×10
9,約1×10
10,約5×10
7,または約1×10
8である合計細胞数を達成できる。
図13を参照。特定の実施形態では、標的細胞集団は、約3、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14日またはそれ以下以内に、約100mL、200mL、300mL、または400mLの全血サンプル、アフェレーシス産物、または単一のロイコパックから、約1×10
9,約5×10
9,約1×10
10,約2×10
10,約5×10
7,または1×10
8である合計細胞数を達成できる。
図12を参照。特定の実施形態では、標的細胞は、末梢血単核細胞である。特定の実施形態では、標的細胞は、T細胞である。ある場合は、T細胞は、ロイコパックまたは他のアフェレーシス生成物から由来する、ナイーブT細胞、未活性化T細胞(CD25-)、またはセントラルメモリT細胞である。
【0119】
ここで説明する方法およびシステムは、富化後にウイルスによって形質導入されるより大きな能力を有する標的細胞集団を産生できる。ここで説明する方法およびシステムによって分離される細胞は、分離のために密度勾配媒体(例えば、フィコール)を使用する現在のシステムおよび方法と比較して、ウイルス形質導入のより大きな効率をもたらすことができる。
【0120】
特定の実施形態では、ここで説明するシステムおよび方法は、密度勾配分離と比較して、ウイルス形質導入のより大きい効率を有する細胞集団を産生する。細胞は、分離後の形質導入効率が少なくとも60%、70%、80%、または90%あるいはそれ以上になるように導入することが可能である。
【0121】
特定の実施形態では、ここで説明するシステムおよび方法は、フィコールまたは他の方法と比較して、少なくとも約1.5倍、2倍、2.5倍、3倍、または4倍、5倍または6倍以上の白血球を有する細胞集団を産生する。ある場合は、白血球は、CD3+細胞、CD45+細胞、CD4+細胞、CD4+ナイーブ細胞、CD4+メモリ細胞、CD4+エフェクタ細胞、CD8+細胞、CD8+ナイーブ細胞、CD8+エフェクタ細胞、CD8+メモリ細胞、メモリ細胞、エフェクタ細胞、ナイーブ細胞、Temra細胞、またはこれらの任意の組合せを含む。特定の実施形態では、ここで説明するシステムおよび方法は、フィコールまたは他の方法と比較して、少なくとも約1.5倍、2倍、2.5倍、3倍または4倍、5倍、または6倍以上のCD3+T細胞を有する細胞集団を産生する。
図8を参照。特定の実施形態では、ここで説明するシステムおよび方法は、フィコールまたは他の方法と比較して、少なくとも約1.5倍、2倍、2.5倍、3倍または4倍、5倍、または6倍以上のCD45+T細胞を有する細胞集団を産生する。例えば、DLD法の使用は、フィコール方法よりも、約2.5倍以上のCD45+細胞、または白血球を産生することが示されている。
図13を参照。
【0122】
特定の実施形態では、ここで説明するシステムおよび方法は、フィコールまたは他の方法と比較して、少なくとも約2倍、3倍または4倍以上セントラルメモリTリンパ球(CD45RO+CD62L+またはCD45RO+CCR7+)を有する細胞集団を産生する。表2および
図9Aを参照。
【0123】
特定の実施形態では、ここで説明するシステムおよび方法は、フィコールまたは他の方法と比較して、少なくとも約2倍、3倍または4倍以上のナイーブTリンパ球(CD25RA+またはCD25-)を有する細胞集団を産生する。表2を参照。
【0124】
特定の実施形態では、ここで説明するシステムおよび方法は、フィコールまたは他の方法と比較して、少なくとも約1.5倍、2倍、2.5倍、3倍または4倍、または5倍以上のCD4+、CD8+T、またはこれらの組合せのリンパ球を有する細胞集団を産生する。表2および
図9Bを参照。ある場合は、CD4+またはCD8+Tリンパ球は、非活性化、ナイーブ、セントラルメモリまたはメモリ、エフェクタ、またはTemraのサブタイプである。いくつかのさらなる実施形態では、白血球またはリンパ球は、健常患者から採取されたサンプルから導出または取得される。他の例では、これらは癌患者から採取される。ある場合は、癌患者は、乳癌、リンパ腫、白血病、-ホジキンリンパ腫、結腸直腸、皮膚癌、または他の癌を有する。ある場合は、癌患者から採取されたサンプルは、減少した白血球数を有する。いくつかの実施形態では、ここで説明する方法は、フィコールまたは他の方法と比較して、少なくとも約1.5倍、2倍、2.5倍、3倍、または4倍、5倍、または10倍以上のCD3+、CD4+、CD8+、CD45+、またはこれらの組合せのリンパ球または白血球を有する、減少したWBCカウントを備えた癌患者から細胞集団を生成する。例えば、DLD法は、減少したWBCカウントを持つ同じ癌患者から同じ体積を使用した場合、フィコールまたは他の方法よりも、5倍以上のCD45+細胞、および2.5倍以上のCD3+細胞を産生することが可能であることが示されている。
図15を参照。
【0125】
【0126】
特定の実施形態では、ここで説明するシステムおよび方法は、ナイーブ、セントラルメモリ、またはCD4+T細胞の高い百分率を回収する。ナイーブ、セントラルメモリ、またはCD4+T細胞の回収は、例えば、密度勾配分離などの他のシステムと比較して増加している。いくつかの実施形態では、ここで説明する方法は、濃度勾配分離のような他のシステムから産生したより、少なくとも約2倍、2.5倍、3倍、4倍、5倍、または10倍以上多いナイーブ、または少ない分化細胞を産生する。例えば、DLDシステムおよび方法は、フィコール法と比較して、少なくとも約3倍以上のナイーブおよびセントラルメモリT細胞を産生することが示されている。表2を参照。これは、サンプルが健康なドナーから採取され、同日にこの方法が実行される場合を含む。特定の実施形態では、ここで説明するシステムおよび方法は、例えば、約100mL、200mL、300mL、または400mLの全血サンプル、アフェレーシス生成物、またはロイコパックから富化されていないサンプルと比較して、少なくとも約50%、約60%、約70%、約80%、約95%、約97%、約98%または約99%のナイーブT細胞を回収する。いくつかの例では、ここで説明する方法は、フィコールなどの他の方法を使用して産生される細胞よりも、エフェクタおよびTera細胞に対してより多くのナイーブおよびセントラルメモリT細胞を産生する。例えば、DLD法は、フィコールなどの他の方法を用いて産生される細胞よりも、エフェクタおよびTemra細胞に対してわずかにより多くのナイーブおよびセントラルメモリT細胞を産生することが示されている。
図14を参照。これは、健康なドナーから採取されたサンプルを使用する場合でもある。
図22を参照。
【0127】
特定の実施形態では、ここで説明する方法は、密度勾配遠心分離法によって産生される細胞の集団と比較した場合、1つ以上の生物学的特性の増加を示す細胞の集団を産生する。特定の実施形態では、ここで説明する方法は、密度勾配遠心分離法によって産生される細胞の集団と比較した場合、1つ以上の生物学的特性の減少を示す細胞の集団を産生する。生物学的特性は、レンチウイルスベクターを容易に導入する能力、培養時に増殖する能力、細胞培養中にT細胞メモリ組成物を保持する能力、ウイルス形質導入に対する受容性、平均テロメア長の分化、低分化ナイーブおよびセントラルメモリ細胞の相対的集団を保持する能力、細胞傷害性殺傷能力、IFNγ発現/分泌、GM-CSF発現/分泌、TNF-aの発現/分泌、生存可能性、培養中に増殖して単一の治療用量相当量の細胞を産生するのに必要な時間、ベクターによって配送される遺伝子を発現するのに必要な時間、エフェクタまたはTemra細胞の相対集団、IL-IRa発現/分泌、IL-6発現/分泌、IL-13発現/分泌、MCP-1発現/分泌、PD1および/またはTim3発現、細胞の老化または枯渇、サイトカイン放出症候群を引き起こす可能性、患者に配送される前に必要とされる培養の時間を含む。例えば、DLD法は、フィコール法を用いて産生された細胞と比較して、好ましいサイトカイン発現プロファイルを備えた細胞集団を産生し、サイトカイン放出症候群を引き起こす可能性を低減することがここでは示している。
図26~
図28を参照。一般に、DLD法およびここで説明する方法は、治療リンパ球の産生、配送、有効性、安全性についての生物学的特性において多くの好ましい増加または減少を示す。
図29を参照。
【0128】
ある場合は、ここで説明する方法は、培養中に増殖する増加した能力を示す細胞の集団を産生し、細胞は、密度勾配遠心分離法によって産生される細胞の集団と比較した場合、遺伝子操作される前または後に増殖する。ある場合は、細胞の集団は、培養中に増殖する能力において少なくとも約1.1倍、1.5倍、2倍、3倍、4倍、5倍、または10倍の増加を示し、細胞は、密度勾配遠心分離法によって産生される細胞の集団と比較した場合、遺伝子操作される前または後に増殖する。
【0129】
ある場合は、ここで説明する方法は、密度勾配遠心分離法によって産生される細胞の集団と比較して、レンチウイルスベクター容易に導入する(即ち、レンチウイルスの核酸の少なくとも一部は、細胞のゲノムまたはエクソソームに挿入される)能力の増加を示す細胞の集団を産生する。ある場合は、細胞の集団は、密度勾配遠心分離法によって産生される細胞の集団と比較した場合、レンチウイルスベクター容易に導入するために、少なくとも約5%、10%、15%、25%、30%、50%、100%、200%、300%、400%、または500%の増加した能力を示す。いくつかの例では、ここで説明する方法は、レンチウイルスを容易に導入するために、30%の増加した能力を有する細胞の集団を産生することを示している。
図17を参照。
【0130】
ある場合は、ここで説明する方法は、密度勾配遠心分離法によって産生される細胞の集団と比較した場合、細胞培養中にT細胞メモリ組成物を保持する能力の増加を示す細胞の集団を産生する。ある場合は、細胞の集団は、密度勾配遠心分離法によって産生される細胞の集団よりも、少なくとも約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19日または20日以上長く、その相対的T細胞メモリ組成物を保持する。例えば、DLD法は、フィコールを含む他の方法より長く、それらの相対的メモリT細胞集団を保持する細胞集団を産生することを示している。
図23を参照。
【0131】
ある場合は、ここで説明する方法は、密度勾配遠心分離法によって産生される細胞の集団と比較した場合、ウイルス形質導入に対する受容性の増加を示す細胞の集団を産生する。ある場合は、細胞の集団は、密度勾配遠心分離法によって産生される細胞の集団と比較した場合、ウイルス形質導入に対して、少なくとも約5%、10%、15%、25%、30%、50%、100%、200%、300%、400%、または500%の増加した受容性を示す。例えば、DLD法は、フィコールまたは他の方法を用いて産生される細胞よりも、ウイルス形質導入に対して約20~40%多い受容性を示す細胞の集団を産生することを示している。
図19を参照。
【0132】
ある場合は、ここで説明する方法は、密度勾配遠心分離法によって産生される細胞の集団と比較した場合、テロメア長の増加を示す細胞の集団を産生する。ある場合は、細胞の集団は、密度勾配遠心分離法によって産生される細胞の集団と比較した場合、少なくとも約5%、10%、15%、25%、30%、50%、100%、200%、300%、400%、または500%増加したテロメア長を示す。
【0133】
ある場合は、ここで説明する方法は、密度勾配遠心分離法によって産生される細胞の集団と比較した場合、細胞培養中に、低分化ナイーブおよびセントラルメモリ細胞の相対的集団を保持する能力の増加を示す細胞の集団を産生する。ある場合は、細胞の集団は、密度勾配遠心分離法によって産生される細胞の集団よりも、少なくとも約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、または20日長い細胞培養中に、低分化ナイーブおよびセントラルメモリ細胞の相対的集団を保持する。
【0134】
ある場合は、ここで説明する方法は、ここで説明する方法は、密度勾配遠心分離法によって産生される細胞の集団と比較した場合、機能的殺傷能力の増加を示す細胞の集団を産生する。ある場合は、細胞の集団は、密度勾配遠心分離法によって産生される細胞の集団と比較した場合、少なくとも約5%、10%、15%、25%、30%、50%、100%、200%、300%、400%、または500%の増加した機能的殺傷能力を示す。例えば、DLD法は、フィコール法を用いて産生される細胞と比較すると、殺傷のために標的細胞当り2個の細胞に播種された場合、少なくとも30%より大きい殺傷能力を有する細胞を産生することを示している。
図25を参照。
【0135】
ある場合は、ここで説明する方法は、密度勾配遠心分離法によって産生される細胞の集団と比較した場合、IFNγ発現の増加を示す細胞の集団を産生する。ある場合は、細胞の集団は、密度勾配遠心分離法によって産生される細胞の集団と比較した場合、IFNγ発現において少なくとも約1.1倍、1.5倍、2倍、3倍、4倍、5倍、または10倍の増加を示す。ある場合は、IFNγ発現の増加は、ここで説明する方法およびシステムによって産生された後、0、3、6、9、13または16日において明らかになる。
【0136】
ある場合は、ここで説明する方法は、密度勾配遠心分離法によって産生される細胞の集団と比較した場合、GM-CSF発現の増加を示す細胞の集団を産生する。ある場合は、細胞の集団は、密度勾配遠心分離法によって産生される細胞の集団と比較した場合、GM-CSF発現の少なくとも約1.1倍、1.5倍、2倍、3倍、4倍、5倍、または10倍の増加を示す。ある場合は、GM-CSF発現の増加は、ここで説明する方法およびシステムによって産生された後、0、3、6、9、13または16日において明らかになる。
【0137】
ある場合は、ここで説明する方法は、密度勾配遠心分離法によって産生される細胞の集団と比較した場合、TNFa発現の増加を示す細胞の集団を産生する。ある場合は、細胞の集団は、密度勾配遠心分離法によって産生される細胞の集団と比較した場合、TNFa発現において少なくとも約5%、10%、15%、25%、30%、50%、100%、200%、300%、400%、または500%の増加を示す。ある場合は、TNFaの発現の増加は、ここで説明する方法およびシステムによって産生された後、0、3、6、9、13または16日において明らかになる。
【0138】
ある場合は、ここで説明する方法は、密度勾配遠心分離法によって産生される細胞の集団と比較した場合、生存可能性の増加を示す細胞の集団を産生する。ある場合は、細胞の集団は、密度勾配遠心分離法によって産生される細胞の集団と比較した場合、生存可能性において少なくとも約5%、10%、15%、25%、30%、50%、100%、200%、300%、400%、または500%の増加を示す。
【0139】
ある場合は、ここで説明する方法は、密度勾配遠心分離法によって産生される細胞の集団と比較した場合、レンチウイルスベクターを容易に導入する能力の増加を示す細胞の集団を産生する。
【0140】
ある場合は、ここで説明する方法は、密度勾配遠心分離法によって産生される細胞の集団と比較した場合、培養中に増殖して単一の治療用量相当量の細胞を産生するのに必要な時間の減少を示す細胞の集団を産生する。ある場合は、細胞の集団は、密度勾配遠心分離法によって産生される細胞の集団と比較した場合、培養中に増殖して単一の治療用量相当量の細胞を産生するために、約1、2、3、4、5、6、7、または8日より少ない日数を必要とする。
【0141】
ある場合は、ここで説明する方法は、密度勾配遠心分離法によって産生される細胞の集団と比較した場合、ベクターによって配送される遺伝子を発現するのに必要な時間の減少を示す細胞の集団を産生する。ある場合は、細胞の集団は、密度勾配遠心分離法によって産生される細胞の集団と比較した場合、ベクターによって配送される遺伝子を発現するために、約1、2、3、4、5、6、7、または8日より少ない日数を必要とする。例えば、DLD法は、フィコールまたは他の方法よりも、速いベクターによって配送される遺伝子を発現する細胞集団を産生することを示している。
図18を参照。
【0142】
治療用量相当量は、治療の正確なタイプに依存して変化するが、ある場合は、少なくとも約1×107,2×107,3×107,4×107,5×107,1×108,2×108,3×108,4×108,5×108,1×109,2×109,3×109,4×109,または5×109個の合計細胞でもよい。治療用量は、約1×107,2×107,3×107,4×107,5×107,1×108,2×108,3×108,4×108,5×108,1×109,2×109,3×109,4×109,または5×109個のトランスフェクション細胞でもよい。
【0143】
治療用量相当量は、治療の正確なタイプに依存して変化するが、ある場合は、少なくとも約1×107,2×107,3×107,4×107,5×107,1×108,2×108,3×108,4×108,5×108,1×109,2×109,3×109,4×109,または5×109個の合計細胞でもよい。治療用量は、約1×107,2×107,3×107,4×107,5×107,1×108,2×108,3×108,4×108,5×108,1×109,2×109,3×109,4×109,または5×109個のトランスフェクション細胞でもよい。
【0144】
ある場合は、ここで説明する方法は、密度勾配遠心分離法によって産生される細胞の集団と比較した場合、エフェクタまたはTemra細胞の相対集団の減少を示す細胞の集団を産生する。ある場合は、細胞の集団は、密度勾配遠心分離法によって産生される細胞の集団と比較した場合、エフェクタまたはTemra細胞の相対集団において、少なくとも約5%、10%、15%、25%、30%、40%、50%、75%、または90%の減少を示す。例えば、DLD法は、高導入レンチウイルスで処理した後、フィコールまたは他の方法を用いて産生される細胞よりも、約40%少ないTemra細胞を備えた細胞集団を産生することを示している。
図21を参照。
【0145】
ある場合は、ここで説明する方法は、密度勾配遠心分離法によって産生される細胞の集団と比較した場合、IL-1Ra発現の減少を示す細胞の集団を産生する。ある場合は、細胞の集団は、密度勾配遠心分離法によって産生される細胞の集団と比較した場合、IL-1Ra発現において少なくとも約5%、10%、15%、25%、30%、40%、50%、60%、75%、または90%の減少を示す。ある場合は、IL-1Raの発現の減少は、ここで説明する方法およびシステムによって産生された後、0、3、6、9、13または16日において明らかになる。
【0146】
ある場合は、ここで説明する方法は、密度勾配遠心分離法によって産生される細胞の集団と比較した場合、IL-6発現の減少を示す細胞の集団を生成する。ある場合は、細胞の集団は、密度勾配遠心分離法によって産生される細胞の集団と比較した場合、IL-6発現において少なくとも約5%、10%、15%、25%、30%、40%、50%、60%、75%、または90%の減少を示す。ある場合は、IL-6発現の減少は、ここで説明する方法およびシステムによって産生された後、0、3、6、9、13または16日において明らかになる。
【0147】
ある場合は、ここで説明する方法は、密度勾配遠心分離法によって産生される細胞の集団と比較した場合、IL-13発現の減少を示す細胞の集団を生成する。ある場合は、細胞の集団は、密度勾配遠心分離法によって産生される細胞の集団と比較した場合、IL-13発現において少なくとも約5%、10%、15%、25%、30%、40%、50%、60%、75%、または90%の減少を示す。ある場合は、IL-13発現の減少は、ここで説明する方法およびシステムによって産生された後、0、3、6、9、13または16日において明らかになる。
【0148】
ある場合は、ここで説明する方法は、密度勾配遠心分離法によって産生される細胞の集団と比較した場合、MCP-1発現の減少を示す細胞の集団を産生する。ある場合は、細胞の集団は、密度勾配遠心分離法によって産生される細胞の集団と比較した場合、MCP-1発現において少なくとも約5%、10%、15%、20%、25%、30%、40%、50%、60%、75%、または90%の減少を示す。ある場合は、MCP-1発現の減少は、ここで説明する方法およびシステムによって産生された後、0、3、6、9、13または16日において明らかになる。
【0149】
ある場合は、ここで説明する方法は、密度勾配遠心分離法によって産生される細胞の集団と比較した場合、PD1およびTimp3共発現の減少を示す細胞の集団を産生する。ある場合は、細胞の集団は、密度勾配遠心分離法によって産生される細胞の集団と比較した場合、PD1およびTimp3の共発現において少なくとも約5%、10%、15%、20%、25%、30%、40%、50%、60%、75%、または90%の減少を示す。ある場合は、PD1およびTimp3共発現の減少は、ここで説明する方法およびシステムによって産生された後に、0、3、6、9、13または16日において明らかになる。
【0150】
ある場合は、ここで説明する方法は、密度勾配遠心分離法によって産生される細胞の集団と比較した場合、細胞の老化または枯渇の減少を示す細胞の集団を産生する。ある場合は、細胞の集団は、密度勾配遠心分離法によって産生される細胞の集団と比較した場合、細胞の老化または枯渇において少なくとも約5%、10%、15%、20%、25%、30%、40%、50%、60%、75%、または90%の減少を示す。例えば、DLD法は、フィコールから産生される細胞と比較して、約50%未満のPD11およびTimp3の共発現を示す細胞を産生することを示しており、フィコールを用いて産生される細胞よりも低い老化および枯渇を有することを示唆している。
図24を参照。
【0151】
ある場合は、ここで説明する方法は、密度勾配遠心分離法によって産生される細胞の集団と比較した場合、サイトカイン放出症候群を引き起こす傾向の減少を示す細胞の集団を産生する。ある場合は、細胞の集団は、密度勾配遠心分離法によって産生される細胞の集団と比較した場合、サイトカイン放出症候群を引き起こす細胞傾向において少なくとも約5%、10%、15%、20%、25%、30%、40%、50%、60%、75%、または90%の減少を示す。
【0152】
ある場合は、ここで説明する方法は、密度勾配遠心分離法によって産生される細胞の集団と比較した場合、患者に配送される前に必要とされる培養の時間の減少を示す細胞の集団を産生する。ある場合は、細胞の集団は、密度勾配遠心分離法によって産生される細胞の集団と比較した場合、患者に配送される前に必要とされる培養において約1、2、3、4、5、6、7、または8より少ない日数を必要とする。
【0153】
ある場合は、密度勾配遠心分離法によって産生される細胞の集団と比較した場合、1つ以上の生物学的性質の示された増加または減少は、ここで説明する方法およびシステムによって産生された後、0、3、6、9、13または16日において明らかになる。
【0154】
ある場合は、ここで説明する方法は、密度勾配遠心分離法によって産生される細胞の集団と比較した場合、培養中に増殖して細胞の単一の治療用量相当量を産生するのに必要な時間の減少を示す細胞の集団を産生する。
【0155】
ある場合は、ここで説明する方法は、密度勾配遠心分離法によって産生される細胞の集団と比較した場合、培養中に増殖して細胞の単一の治療用量相当量を産生するのに必要な時間の減少を示す細胞の集団を産生する。
【0156】
(ユーザインタフェース)
図5A~
図5Hは、ここで説明する方法およびシステムにおいて使用できるグラフィカルユーザインタフェース(GUI)を示す。GUIは、コントロールパネルと、処理システムの視覚的表現とを含むことができる。処理システムは、粒子分離ユニットと、1つ以上のマイクロ流体カートリッジが解放可能に結合され支持されるカセットと、粒子分離ユニット、カセットおよび/またはマイクロ流体カートリッジの一部となるように構成された複数のコンポーネントとを備えてもよい。GUIは、例えば、分離プロセスが開始する前に予備データを入力するために、ユーザ入力を受信したり、または、分離プロセスが進行している間に複数のコンポーネントのうちの1つ以上を調整するように構成できる。GUIは、所望の標的粒子分離を達成するためにユーザが選択できる種々の実行プロトコルを含んでもよい。GUIは、ユーザが、質量センサの較正を点検または調整することを可能にする較正プロトコルを含んでもよい。較正調整のために、GUIは、各質量センサにおける別個の固定質量値を含む複数の較正重量を順次戴置するようにユーザに促してもよい。重量のシーケンスは、低い質量から高い質量、高い質量から低い質量、またはランダム化してもよい。重量のシーケンスにおいて、少なくとも3、4、5、6、7、8、9、または10個の較正重量値が存在してもよい。各較正重量について、ユーザは、較正対象の質量センサ上に特定の重量値を戴置して、その重量がセンサ上にあることを確認するように促されてもよい。ユーザは、入力デバイスを用いてカスタム較正重量値を入力することが許容され、例えば、使用されるデフォルト較正質量を利用可能な較正重量のものに変更することができる。
【0157】
例えば、ユーザは、較正対象の質量センサ上に100gの較正重量を戴置するように順次促される。そして、ユーザは、その重量が質量センサ上に戴置されていることを確認でき、これは100gの較正値を保存するようにシステムに促し、そして、GUIは、100gの較正重量を200gの較正重量と置換するようにユーザを促すことによって、プロセスを繰り返すことができ、その後、シーケンスの他の較正重量が続く。ユーザが特定の較正重量を有していない場合、GUI上のオプションを選択して、行方不明の重量に類似した質量を備えた異なる較正重量に対応するカスタム較正値を使用して較正ポイントを変更できる。例えば、ユーザが、デフォルトの較正シーケンスによって必要とされる400gの較正重重量を見失っているが、500gの較正重量を有する場合、500gのカスタム較正値をGUIに入力して、較正を進めることができる。処理システムは、ユーザが前回の較正を交換することを許容にする前に、新しい較正が予想されるドリフト範囲内に入ることを確保することによって、新しい較正重量を検証できる。例えば、新しい較正スロープが、工場較正スロープと少なくとも5%、10%、15%、20%、または25%だけ異なる場合、新たな較正が、予想されるドリフト範囲の外側になることがある。処理システムが予測されたドリフト範囲の外側にあるスロープに起因して新しい較正を検証することができない場合、ユーザは、較正手順を繰り返すように促されてもよい。一連の少なくとも2、3、4、または5回の連続した不良較正の後、質量センサへの修理を求めるようにユーザに促すサービス警告を表示できる。
【0158】
図5Aに示すように、コントロールパネルがGUIの左側に含まれ、処理システムの視覚的表現がGUIの右側に含まれてもよい。コントロールパネルは、ユーザが選択するいくつかのオプションを含んでもよく、例えば、所望の標的粒子分離を達成するためにユーザが選択できるスクリプト化実行オプションを含む。システムの視覚的表現は、処理システム内のコンポーネントの各々の視覚的描写を含むことができる。例えば、視覚的表現が、脱気ユニット、気泡センサ、圧力センサ、ポンプ、バルブ、経路、流量センサ、およびカセットに出入りする個々のチューブについて、1つ以上について設けることができる。これらのコンポーネントの各々は、自身の色を付与でき、どの視覚的表現がどのコンポーネントに対応するかを区別するためにユーザを支援できる。ユーザが、各個別表現をクリックして、特定のコンポーネントが何を測定しているかを見たり、または、特定のコンポーネントを手動で調整したりできる。システムは、コンポーネントからの読み取り値をリアルタイムで表示でき、ユーザが分離プロセスの状態を進行しながら見ることができる。ユーザは、分離プロセスが進行中であるとき、リアルタイムで、コンポーネントの状態を見たり、コンポーネントのいずれかの動作を手動で制御したりできる。
【0159】
粒子分離ユニットは、粒子分離ユニットがどのモードにあるかに応じて色を変化できる複数の光を含むように構成してもよい。例えば、光は、分離プロセスが開始する前に白色でもよく、分離プロセスが開始する前にユーザ入力が必要であることを示すために黄色に変化できる。光はまた、例えば、分離プロセスが進行している間は赤色になり、プロセスが完了すると緑色に変化できる。これらの光はまた、繰り返してオンまたはオフしてもよく、または段階的に減光または増強化されて、ユーザにステータスを示すようにしてもよい。例えば、青色光は薄暗い状態から明るい状態までゆっくりとフェードして分離が正常に進行していることを示してもよく、一方、急速に点滅する赤色光は、エラー状態が発生したことを示してもよい。
【0160】
図5B~
図5Fは、GUI上でユーザにポップアップできる種々の通知/コマンドを示す。コマンドは、分離プロセスが開始できる前にシステムが必要とする種々の入力に関する情報の要求を含むことができる。例えば、システムは、ユーザに、サンプルID、実行ID、サンプルの細胞充実度(例えば、細胞数/mLの数)、および入口サンプルバッグ内のサンプル体積を入力することを求めることができる。通知は、分離プロセス中にシステムの状態を通知するためにユーザに示すことができる。例えば、分離プロセスが開始する前に選択された実行プロトコルに従って、システムが実行中であることをユーザに通知するために通知を示すことができる。システムが、ユーザによって選択された実行プロトコルから1つ以上の偏差を経験していることを通知するために通知をユーザに示すこともできる。通知は、ユーザに、1つ以上の偏差がシステム内で発生しており、1つ以上のオプションをユーザに提供して、偏差を補正し、システムを実行プロトコルに一致するように元に戻すことができることを示すことができる。代替として、システムは、必要な変更そのものを自動的に行って、システムを実行プロトコルに一致するように元に戻すことができる。例えば、気泡センサが経路内の流体中の気泡を検出した場合、マイクロ流体デバイスへの進入を回避するために、経路が方向転換できる。さらに、経路内の流体が高い/低い圧力を有することを検出された場合、または、システムを実行プロトコルに一致するように元に戻すためにより高い/より低い流量が望ましい場合に応じて、1つ以上のポンプの速度は、増加または減少できる。また、入口または出口溶液バッグの各々における質量の読み取り値が、各ハンガー内の質量センサが流体含有量の損失または利得を検出すると、変化できる。したがって、システムが、分離プロセス全体に渡って完全に自律的に動作でき、または、ユーザが一致(fit)を見ると、システムはユーザ入力を受信できる。
【0161】
通知に対する追加または代替として、システムの視覚的表現へのグラフィック変化を実装することによって、分離プロセスの状態もユーザにとって可視化できる。例えば、グラフィック変化が、システムのバルブの視覚的表現の色を切り替えて、バルブが、バルブが「オン」から「オフ」の位置へ、または、「オフ」から「オン」の位置に切り替わったことをユーザに示すことを含むことができる。グラフィック変化はまた、バルブが開閉するときに、「オン」から「オフ」または「オフ」から「オン」へ変化するバルブの視覚的表現の次のテキスト領域を変化させることを含むことができる。グラフィック変化はまた、通過する流体の流量を示すために、1つ以上の入口ストリーム、出口ストリーム、またはカセット内の経路の視覚的表現の次のテキスト領域を含むことができる。テキスト領域は、これらの領域を通過する流量が変化すると、変化できる。
【0162】
図5Gと
図5Hに示すように、システムはまた、分離プロセスが完了した時期についての通知を提供できる。実行が完了すると、システムはまた、分離プロセス中にシステムのコンポーネントの計量の概要をユーザに提供するレポートを生成できる。新しいバッファ-媒体への白血球の洗浄を用いた赤血球および血小板からの白血球の分離についてシステム生成実行レポートの一例が
図5Iに示される。例示的なレポートでは、情報は、システム情報、一般情報、結果、および特定の実行に関する結果および推定、実績計量(実行の過程に渡って時間の関数としてセンサデータを追跡する)に分割される。システムおよび一般情報セクションは、実行に関する情報、デバイス(例えば、シリアル番号SN)、使用するプロトコル、サンプル、デバイスを実行する組織、デバイス位置、ユーザ識別情報、タイミング情報、使用するソフトウェアのバージョン、および実行状態(例えば、完了、中止、または他の特定のエラー状態)を含む。
【0163】
結果および推定セクションは、サンプルの入力体積(この場合130mL)、処理サンプルの重量の推定値、最終生成物重量、および実際の実行時間を含む。この場合、実績計量セクションは、圧力センサ1、圧力センサ2、生成物バッグスケール(質量センサ)、およびサンプルバッグスケールからの時間経過データ測定値を含む。例えば、
図5Iの実行レポートの実績計量は、表示された時間経過データについて3つのカラーコードを示す。溶液がシステムに投入されている場合、黄色トレース(グラフ全体の0から20分)はプライミングフェーズを示し、システムは、任意の気泡を除去するためにプライミングされる。赤色トレース(グラフ全体の>20分から約53分)は、サンプルがDLDアレイによって富化生成物に変換されている場合、富化フェーズを示し、両方の圧力センサにおいて対応する圧力増加を引き起こす。赤色トレース中は、実行の経過に渡って生成物バッグの質量の増加が見られ、サンプルが富化生成物に変換されると、サンプル中の質量の枯渇が見られる。これらのグラフの傾きは、生成物バッグへの流量およびサンプルバッグからの流量をそれぞれ示す。青色トレース(グラフ全体の約53分から終了時点まで)は、目標生成物質量に到達した後のシャットダウンフェーズを示す。
【0164】
実績計量に含めることができる他のパラメータは、希釈液バッグスケール、バッファーバッグスケール、第1および/または第2廃棄バッグスケール、および/または、気泡センサ1~6のいずれか、およびこれらの組合せ、からの時間経過データ系列である。これらのパラメータの各々の例示的グラフを
図5Jに示す。
図5Jの実施例は、目標生成物量が得られた後の再循環の一例を示す。質量センサデータは、個々の質量センサに対応する各バッグ内の溶液の量を示し、一方、これらのデータの傾きは、バッグに流入または流出する質量流量を示す。圧力センサデータは、サンプルバッグからDLDを経由して生成物バッグに進行する際に、標的粒子または細胞が受ける圧力を監視するために使用される。圧力データは監視され、圧力が、標的細胞または粒子が損傷なしで許容できる最大圧力閾値を超えないことをリアルタイムで確保している。圧力データはまた、生成物の粘度および/または細胞充実度に対応しており、またはこれらを推定するために使用してもよい。このデータ要約により、ユーザが、分離プロセスを検査し、異なる所望の結果を達成するために変更が可能であるか、または変更を実行すべきかを決定できる。いくつかの実施形態では、システムは、圧力データに応答でき、例えば、流量を調整することによって、分離中にリアルタイムまたはほぼリアルタイムで分離を調整できる。要約は、ネットワーク接続を介してエクスポートしてもよく、またはシステム上のUSBポートに接続されたUSBドライブに保存してもよい。
【0165】
図5K~
図5Sは、ここで説明するいくつかの実施形態に係る、GUIとのユーザ対話の例示的な実施形態を示す。
図5K(i)では、ユーザは、一次タッチスクリーンディスプレイによって、それらのログイン認証情報を入力するように促される。ユーザが認証されると、一次タッチスクリーンディスプレイは、
図5K(ii)に示される例に類似したデフォルトのスプラッシュスクリーンでそれらを提示する。ユーザが
図5L(i)のように実行ボタンを選択すると、
図5L(ii)に示すように選択できる複数の実行モードオプションが提示される。ユーザがあるモードを選択すると、
図5M(i)の例のように、オンスクリーンキーパッド、または別の入力デバイスを用いて、複数の実行パラメータ値を入力するように促すことができる。必要な全ての実行パラメータが入力されると、ユーザは実行とともに進行できる。それらが進行する前に、システムは、必要な試薬量、予測された出力、および推定された実行時間を計算でき、これらは、
図5M(ii)に示されるようにユーザに表示される。ユーザがシステムに実行で進行するように指示すると、GUIは、
図5N(i)に示されるように、質量センサから全てのバッグまたは重量を除去することによって、質量センサの風袋重さを計測するようにユーザに促すことができる。
【0166】
図5N(i)のように、質量センサの全てがゼロである場合、風袋重さは有効化され、ユーザは進行することが許容され、一方、
図5N(ii)のように、センサが非ゼロ質量を検出している場合、エラーメッセージが表示され、ユーザは、質量センサから重みが除去されるまで(ユーザエラーの場合)、またはセンサが修理または再較正されるまで(ハードウェアまたはソフトウェアのエラーの場合)進むことができない。ユーザが進むことが可能になると、GUIは、カセット、サンプル、試薬、廃棄バッグの装填、およびシステムのプライミングについての命令を提供できる。例えば、GUIは、
図5O(i)のように、全てのバッグクリップが閉じられることを確保するようにユーザに促すことができる。そして、GUIは、
図5O(ii)で見えるように、2次ステータスディスプレイを使用して、カートリッジを装填するようにユーザに指示し、続いて、そのバーコードをスキャンして、各カラーコード付きバッグを対応するバッグハンガーに装填するようにユーザに促す。
図5O(ii~iv)では黄色コード付きプライミング溶液について示す。
【0167】
全ての必要なバッグが装填されると、
図5P(i~iii)に示すように、GUIは、2次ステータスディスプレイを使用して、ユーザに、カートリッジのバーコードをスキャンし、カートリッジを所定位置にロックし、機器ドアを閉じるように促すことができる。そして、GUIは、メインスクリーン上でユーザにスキャンしたバーコードの各々によってコード化されたデータ(各装填されたバッグのシリアル番号およびカートリッジのシリアル番号を含んでよい)を表示でき、そして
図5P(iv)の例に示すように、各バッグの装填された質量をさらに表示でき、そして、GUIは、
図5Q(i)に示すように、実行パラメータのプレビューを表示でき、実行手順を開始する前に元に戻って再構成する最後のチャンスをユーザに与える。ユーザが進むと、システムは、センサおよび他のシステムコンポーネントが適切に動作しており、正しい量の必要な試薬が装填されたことを確認できる。この進行の間、
図5Q(ii)に示すように、実行前(prerun)確認のためのプログレスバーがGUIによって表示してもよい。確認が全てのシステム検査を合格した場合、それらが進行して実行を開始する前に、ユーザは、
図5R(i)で示すように、全てのバッグクリップを除去するように指示されてもよい。実行が開始されると、進行は、メインおよび2次ステータスディスプレイのいずれかまたは両方で追跡できる。メインスクリーンステータス読み出しの一例を
図5R(ii)に示す。実行が完了すると、GUIは、ユーザに、バッグクリップを封止し、
図5S(i)に示されるように、生成物バッグを回収することを促すことができる。ユーザがこれを行うと、GUIは、
図5S(ii)のように、ユーザに、実行レポート、例えば、ここで前述したようなレポートを印刷またはエクスポートすることを促すことができる。
【0168】
図6は、分離プロセスの間に続くことができるプロセス600を示す。プロセス600は、ステップ610で開始でき、システムは、GUIをユーザに表示する。GUIは、処理システムのコントロールパネルおよび視覚的表現を含むことができる。処理システムは、粒子分離ユニットと、1つ以上のマイクロ流体カートリッジが解放可能に結合され支持されるカセットと、粒子分離ユニット、カセット、および/またはマイクロ流体カートリッジの一部であるように構成された複数のコンポーネントと、を含むことができる。
【0169】
ステップ620において、システムは、分離プロセスで使用される実行プロトコルのためのユーザ入力を受信できる。ユーザ入力は、GUIを介して受信してもよい。GUIは、所望の標的粒子分離を達成するためにユーザが選択できる種々の実行プロトコルを含んでもよい。GUIはまた、例えば、分離プロセスが開始する前に予備データを入力するために、または、分離プロセスが進行中に複数のコンポーネントのうちの1つ以上を調整するために、ユーザ入力を受信するように構成できる。GUIは、ユーザ入力に基づいて、分離を完了するために必要になる試薬の体積、および実行によって産生される生成物および廃棄物の体積および濃度の1つ以上の予測を計算でき、さらに、少なくとも最小限の予測された必要体積をユーザに装填することをユーザに促すことができる。GUIは、バーコードスキャナを用いて、サンプル、試薬または廃棄バッグのバーコードをスキャンして、バッグを指定されたバッグフック上に置くように、ユーザに順次促すことができる。指定されたフックは、カラーコードによってユーザに示されてもよい。例えば、生成物バッグのためのフック上の赤色マーキングまたは光は、対応する生成物バッグ上の赤色タグに対応できる。赤色タグ付き生成物バッグ上のバーコードがスキャンされると、GUIは、ユーザに、赤色マーク付きバッグフック上に生成物バッグを装填することを促すことができる(例えば、視覚的表現を通じて、バッグフックの上またはその近傍に赤色光、または他の可視指示を照明することによって)。バッグが装填されると、システムは、装填されたバッグフックに対応する質量センサ上の重みとしてその存在を検出できる。ユーザは、同様に、GUIによって、プライミング溶液バッグ(黄色にカラーコード化されてもよい)、バッファ-バッグ(青色にカラーコード化されてもよい)、および/または廃棄バッグ(黒色にカラーコード化されてもよい)を装填することを促される。装填された各バッグについて、システムは、ユーザに次のバッグを装填するように促す前に、正しい重みがフックに装填されたことを確認できる。いくつかの実施形態では、バッグは、
図3Gで説明されるように、カラーコード化され、カセットに接続でき、サンプルバッグは赤色にコード化され、希釈液バッグは紫色にコード化され、バッファ-バッグは青色にコード化され、プライミング溶液バッグは黄色にコード化され、生成物バッグは緑色にコード化され、廃棄バッグは黒色にコード化される。
【0170】
ステップ630において、システムは、実行プロトコル630を起動できる。実行プロトコルは、ステップ620で受信されたユーザ入力をベースとすることができる。
【0171】
ステップ640において、システムは、リアルタイムまたはほぼリアルタイムでサンプルを処理する進行を表示できる。例えば、コントロールパネルがGUIの左側に含まれ、処理システムの視覚的表現はGUIの右側に含まれてもよい。コントロールパネルは、所望の標的粒子分離を達成するためにユーザが選択できるスクリプト実行プロトコルを含む、ユーザが選択するいくつかのオプションを含むことができる。システムの視覚的表現は、処理システム内のコンポーネントの各々の視覚的描写を含むことができる。例えば、脱気ユニット、気泡センサ、圧力センサ、ポンプ、バルブ、経路、流量センサのうちの1つ以上について、およびカセットに出入りする個々のチューブについて視覚的表現が設けられる。これらのコンポーネントの各々は、自身の色が付与でき、どの視覚的表現がどのコンポーネントに対応するかをユーザが区別するのを支援できる。ユーザが、各個々の表現をクリックして、特定のコンポーネントが何を読み取っているかを見たり、または特定のコンポーネントを手動で調整したりできる。システムは、コンポーネントからの読み取り値をリアルタイムで表示でき、進行するにつれて分離プロセスの状態をユーザが見ることができる。ユーザは、分離プロセスの進行中に、構成要素のいずれもをリアルタイムで手動調整できる。
【0172】
ステップ640はまた、GUI上でユーザにポップアップ表示できる種々の通知/コマンドを表示することを含むことができる。コマンドは、分離プロセスが開始できる前に、システムが必要とする種々の入力に関する情報の要求を含むことができる。例えば、システムは、ユーザに、ユーザ認証証明書、サンプルID、実行ID、サンプルの細胞充実度(例えば、細胞/mLの数)、および入口サンプルバッグ内のサンプル体積を入力するように要求できる。情報の要求は、例えば、一連のプロンプトとして実装してもよく、サンプルバッグのバーコードをスキャンして、サンプルIDおよび実行IDを入力するようにユーザが要求される。通知は、分離プロセス中にシステムの状態を通知するためにユーザに示すことができる。例えば、システムは分離プロセスが開始する前に選択された実行プロトコルに従って実行していることを通知するために、通知をユーザに示すことができる。システムは、ユーザによって選択された実行プロトコルから1つ以上の偏差を経験していることを通知するために、通知をユーザに示すこともできる。通知は、1つ以上の偏差がシステム内のとこで発生しているかをユーザに示すことができ、偏差を補正して、システムを実行プロトコルに一致するように回復させる1つ以上のオプションをユーザに提供できる。代替として、システムは、必要な変更自体を自動的に行って、システムを実行プロトコルに一致するように回復できる。例えば、気泡センサが経路内の流体中の気泡を検出した場合、マイクロ流体デバイスへの進入を回避するように、経路が方向転換できる。さらに、1つ以上のポンプの速度は、経路内の流体が高い/低い圧力を有するものと検出されるか、または、より高い/より低い流量が望ましいかに応じて、増加または減少でき、システムを実行プロトコルに一致するように回復できる。こうしてシステムが、分離プロセス全体に渡って完全に自律的に動作可能であり、または、ユーザが一致を見た場合、システムはユーザ入力も受信可能である。
【0173】
通知に対する追加または代替として、ステップ640においてグラフィック変化をシステムの視覚的表現に実装することによって、分離プロセスのステータスは、ユーザに対して視覚化できる。例えば、グラフィック変化は、システムのバルブの視覚的表現の色を切り替えて、バルブがオンからオフ位置、またはオフからオン位置に切り替わったことをユーザに示すことを含むことができる。グラフィック変化はまた、バルブが開閉する際、「オン」から「オフ」、または「オフ」から「オン」に変化する、バルブの視覚的表現の隣りのテキスト領域を変化させることを含むことができる。グラフィック変化が、1つ以上の入口ストリーム、出口ストリーム、またはカセット内の経路の視覚的表現の隣りのテキスト領域を含み、通過する流体の流量を示すことができる。これらの領域を通過する流量が変化すると、テキスト領域は変化できる。
【0174】
システムは、分離プロセスが完了した場合、ステップ640において通知を追加として提供できる。実行が完了すると、システムはまた、分離プロセス中にシステムのコンポーネントの計量の要約をユーザに提供するリポートを生成できる。このデータ要約により、ユーザは、分離プロセスを検査し、異なる所望の結果を達成するために変更が可能であるか、または変更すべきかを決定することを可能になる。
【0175】
(デジタル処理デバイス)
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるプラットフォーム、システム、媒体および方法は、デジタル処理デバイスを利用する。さらなる実施形態では、デジタル処理デバイスは、1つまたは複数のハードウェア中央処理装置(CPU)またはデバイスの機能を実行する汎用目的グラフィック処理装置(GPGPU)またはフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)を含む。なおさらなる実施形態では、デジタル処理デバイスは、実行可能命令を実施するように構成されているオペレーティングシステムをさらに含む。いくつかの実施形態では、デジタル処理デバイスは任意選択でコンピュータネットワークに接続されている。さらなる実施形態では、デジタル処理デバイスは、ワールドワイドウェブにアクセスするように任意選択でインターネットに接続されている。なおさらなる実施形態では、デジタル処理デバイスは、任意選択でクラウドコンピューティング基盤に接続されている。他の実施形態では、デジタル処理デバイスは、任意選択でイントラネットに接続されている。他の実施形態では、デジタル処理デバイスは、任意選択でデータ記憶装置に接続されている。
【0176】
本明細書の記述に従えば、適切なデジタル処理デバイスは、非限定的例として、サーバーコンピュータ、デスクトップコンピュータ、ラップトップコンピュータ、ノートブック型コンピュータ、サブノートブックコンピュータ、ネットブックコンピュータ、ネットパッドコンピュータ、セットトップコンピュータ、メディアストリーミングデバイス、ハンドヘルドコンピュータ、インターネット機器、モバイルスマートフォン、タブレットコンピュータ、携帯情報端末、ビデオゲームコンソール、および車両を含む。当業者は、多くのスマートフォンがここで説明するシステムにおいて使用するのに適していることを認識するであろう。当業者は、任意のコンピュータネットワーク接続性を備えたテレビ、ビデオプレーヤ、デジタル音楽プレーヤが、ここで説明するシステムで使用するのに適していることも認識し選択するであろう。適切なタブレットコンピュータは、当業者に既知であるブックレット、スレート、および互換性のある構成を備えるものを含む。
【0177】
いくつかの実施形態では、デジタル処理デバイスは実行可能命令を実施するように構成されているオペレーティングシステムを含む。オペレーティングシステムは、例えば、デバイスのハードウェアを管理しアプリケーションの実行のためのサービスを提供する、プログラムおよびデータを含むソフトウェアである。当業者であれば、適切なサーバーオペレーティングシステムには、非限定的例として、FreeBSD、OpenBSD、NetBSD(登録商標)、Linux(登録商標)、Apple(登録商標)Mac OS X Server(登録商標)、Oracle(登録商標)Solaris(登録商標)、Windows Server(登録商標)、およびNovell(登録商標)NetWare(登録商標)が含まれることを認識するであろう。当業者あれば、適切なパーソナルコンピュータオペレーティングシステムには、非限定的例として、Microsoft(登録商標)Windows(登録商標)、Apple(登録商標)Mac OS X(登録商標)、UNIX(登録商標)、およびGNU/Linux(登録商標)などのUNIX様オペレーティングシステムが含まれることを認識するであろう。いくつかの実施形態では、オペレーティングシステムはクラウドコンピューティングにより提供される。当業者であれば、適切なモバイルスマートフォンオペレーティングシステムには、非限定的例として、Nokia(登録商標)Symbian(登録商標)OS、Apple(登録商標)iOS(登録商標)、Research In Motion(登録商標)BlackBerry OS(登録商標)、Google(登録商標)Android(登録商標)、Microsoft(登録商標) Windows Phone(登録商標)OS、Microsoft(登録商標)Windows Mobile(登録商標)OS、Linux(登録商標)、およびPalm(登録商標)WebOS(登録商標)が含まれることも認識するであろう。当業者はまた、適切なメディアストリーミングデバイスオペレーティングシステムが、非限定的な例として、Apple TV(登録商標)、Roku(登録商標)、Boxee(登録商標)、Google TV(登録商標)、Google Chromecast(登録商標)、Amazon Fire(登録商標)、およびSamsung(登録商標)HomeSync(登録商標)を含むことを認識するであろう。当業者はまた、好適なビデオゲームコンソールオペレーティングシステムが、非限定的な例として、Sony PS3(登録商標)、Sony(登録商標)PS4(登録商標)、マイクロソフト(登録商標)Xbox 360(登録商標)、Microsoft Xbox One、Nintendo(登録商標)Wii(登録商標)、Nintendo(登録商標)Wii U、およびOuya(登録商標)を含むことを認識するであろう。
【0178】
いくつかの実施形態では、デバイスは記憶および/またはメモリデバイスを含む。記憶および/またはメモリデバイスは、一時的にまたは永久にデータまたはプログラムを保存するのに使用される1つまたは複数の物理的装置である。いくつかの実施形態では、デバイスは揮発性メモリであり、保存された情報を維持するのに電力を必要とする。いくつかの実施形態では、デバイスは非揮発性メモリであり、デジタル処理デバイスに電力が供給されていないときに保存された情報を保持する。さらなる実施形態では、非揮発性メモリはフラッシュメモリを含む。いくつかの実施形態では、非揮発性メモリはダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)を含む。いくつかの実施形態では、非揮発性メモリは強誘電体ランダムアクセスメモリ(FRAM(登録商標))を含む。いくつかの実施形態では、非揮発性メモリは相変化ランダムアクセスメモリ(PRAM)を含む。他の実施形態では、デバイスは、非限定的例として、CD-ROM、DVD、フラッシュメモリデバイス、磁気ディスクドライブ、磁気テープドライブ、光学ディスクドライブ、およびクラウドコンピューティングベースの保存を含む記憶装置である。さらなる実施形態では、記憶および/またはメモリデバイスは、本明細書に開示されるデバイスなどのデバイスの組み合わせである。
【0179】
いくつかの実施形態では、デジタル処理デバイスは、可視情報をユーザに送るディスプレイを含む。いくつかの実施形態では、ディスプレイは陰極線管(CRT)である。いくつかの実施形態では、ディスプレイは液晶ディスプレイ(LCD)である。さらなる実施形態では、ディスプレイは薄膜トランジスター液晶ディスプレイ(TFT-LCD)である。いくつかの実施形態では、ディスプレイは有機発光ダイオード(OLED)ディスプレイである。種々のさらなる実施形態では、OLEDディスプレイは受動マトリックスOLED(PMOLED)または能動マトリックスOLED(AMOLED)ディスプレイである。いくつかの実施形態では、ディスプレイはプラズマディスプレイである。他の実施形態では、ディスプレイはビデオプロジェクターである。さらに他の実施形態では、ディスプレイは、本明細書に開示されるもののようなデバイスの組み合わせである。他の実施形態では、デジタル処理デバイスは、視覚情報をユーザに送信するための複数のディスプレイを含む。いくつかの実施形態では、複数のディスプレイは、視覚状態情報をユーザに送信するステータスディスプレイと、視覚制御情報をユーザに送信する制御ディスプレイとを含む。
【0180】
いくつかの実施形態では、デジタル処理デバイスはユーザからの情報を受け取る入力デバイスを含む。いくつかの実施形態では、入力デバイスはキーボードである。いくつかの実施形態では、入力デバイスは、非限定的例として、マウス、トラックボール、トラックパッド、ジョイスティック、ゲームコントローラー、またはスタイラスを含む、ポインティングデバイスである。いくつかの実施形態では、入力デバイスは、タッチスクリーンまたはマルチタッチスクリーンである。他の実施形態では、入力デバイスは、音声または他のサウンド入力を捕捉するマイクロフォンである。他の実施形態では、入力装置は、動作または視覚入力を捕捉するビデオカメラまたは他のセンサである。例えば、入力デバイスは、バーコードスキャナを備えることができる。いくつかの実施形態では、入力デバイスは、触覚フィードバックデバイスを含むことができる。さらなる実施形態では、入力デバイスは、Kinect、Leap Motionまたは同類のものである。さらなる実施形態では、入力デバイスは、本明細書に開示されるデバイスなどのデバイスの組み合わせである。
【0181】
図7を参照して、特定の実施形態では、例示的デジタル処理デバイス701は、粒子分離システムを動作させるようプログラムされているまたは他の方法で構成されている。デバイス701は、例えば、処理ステップを実行するなど、本開示の標的粒子分離の様々な態様を制御できる。この実施形態では、デジタル処理デバイス701は、中央処理装置(CPU、本明細書では「プロセッサ」および「コンピュータプロセッサ」も)705を含み、これはシングルコアもしくはマルチコアプロセッサ、または並列処理のための複数のプロセッサが可能である。デジタル処理デバイス701は、メモリまたはメモリ位置710(例えば、ランダムアクセスメモリ、読み取り専用メモリ、フラッシュメモリ)、電子記憶装置715(例えば、ハードディスク)、1つまたは複数の他のシステムと通信するための通信インターフェイス720(例えば、ネットワークアダプター)、ならびにキャッシュ、他のメモリ、データ記憶および/もしくは電子ディスプレイアダプターなどの周辺機器725も含む。メモリ710、記憶装置715、インターフェイス720および周辺機器725は、マザーボードなどの通信バス(実ライン)を通じてCPU705と通信している。記憶装置715は、データを保存するためのデータ記憶装置(またはデータレポジトリー)であり得る。デジタル処理デバイス701は、通信インターフェイス720の力を借りてコンピュータネットワーク(「ネットワーク」)730に動作可能に連結することが可能である。ネットワーク730は、インターネット、インターネットおよび/もしくはエクストラネット、またはインターネットと通信しているイントラネットおよび/もしくはエクストラネットであり得る。ネットワーク730は、いくつかの場合、遠距離通信および/またはデータネットワークである。ネットワーク730は、1つまたは複数のコンピュータサーバーを含むことが可能であり、このサーバーはクラウドコンピューティングなどの分散コンピューティングを作動させることが可能である。ネットワーク730は、いくつかの場合、デバイス701の力を借りてピアツーピアネットワークを実行することが可能であり、このネットワークはデバイス701に連結されてクライアントまたはサーバーとして振る舞うデバイスを作動させることができる。
【0182】
図7への言及を続けると、CPU705は一続きの機械読み取り可能命令を実行することが可能であり、この命令はプログラムまたはソフトウェアにおいて具体化することが可能である。命令はメモリ710などのメモリ位置に保存してもよい。命令はCPU 705に向けることが可能であり、これにより続いて本開示の方法を実行するようにCPU705をプログラムするまたは他の方法で構成することが可能になる。CPU705により実施される操作の例は、取得する、解読する、実行する、およびライトバックすることを含むことが可能である。CPU705は集積回路などの回路の一部であり得る。デバイス701の1つまたは複数の他の構成成分を回路に含むことが可能である。いくつかの場合、回路は特定用途向け集積回路(ASIC)またはフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)である。
【0183】
図7への言及を続けると、記憶装置715は、ドライバー、ライブラリーおよび保存プログラムなどのファイルを保存することが可能である。記憶装置715は、ユーザデータ、例えば、ユーザの選好およびユーザのプログラムを保存することが可能である。デジタル処理デバイス701は、いくつかの場合、イントラネットまたはインターネットを通じて通信しているリモートサーバー上に位置しているなどの、外付けである1つまたは複数の追加のデータ記憶装置を含むことが可能である。
【0184】
図7への言及を続けると、デジタル処理デバイス701は、ネットワーク730を通じて1つまたは複数のリモートコンピュータシステムと通信することが可能である。例えば、デバイス701はユーザのリモートコンピュータシステムと通信することが可能である。リモートコンピュータシステムの例は、パーソナルコンピュータ(例えば、携帯型PC)、スレートまたはタブレットPC(例えば、Apple(登録商標)iPad(登録商標)、Samsung(登録商標)Galaxy Tab、電話、スマートフォン(例えば、Apple(登録商標)iPhone(登録商標)またはAndroid対応デバイス、ブラックベリー(登録商標))、または携帯情報端末を含む。
【0185】
本明細書に記載される方法は、例えば、メモリ710または電子記憶装置715上などの、デジタル処理デバイス701の電子格納場所上に保存された機械(例えば、コンピュータプロセッサ)実行可能コードにより実行することが可能である。機械実行可能または機械読み取り可能コードはソフトウェアの形態で提供することが可能である。使用の間、コードはプロセッサ705により実行することが可能である。いくつかの場合、コードは記憶装置715から引き出し、プロセッサ705による容易なアクセスのためにメモリ710上に保存することが可能である。いくつかの状況では、電子記憶装置715は排除することが可能であり、機械実行可能命令はメモリ710上に保存される。
【0186】
(非一時的コンピュータ読み取り可能記憶媒体)
いくつかの実施形態では、本明細書で開示されるプラットフォーム、システム、媒体および方法は、任意選択でネットワークに接続されているデジタル処理デバイスのオペレーティングシステムにより実行可能な命令を含む、プログラムでコード化されている1つまたは複数の非一時的コンピュータ読み取り可能記憶媒体を含む。さらなる実施形態では、コンピュータ読み取り可能記憶媒体はデジタル処理デバイスの有形構成成分である。なおさらなる実施形態では、コンピュータ読み取り可能記憶媒体は任意選択でデジタル処理デバイスから取り外し可能である。いくつかの実施形態では、コンピュータ読み取り可能記憶媒体は、非限定的例として、CD-ROM、DVD、フラッシュメモリ装置、固体状態メモリ、磁気ディスクドライブ、磁気テープドライブ、光学ディスクドライブ、クラウドコンピューティングシステムおよびサービス、ならびに同類のものを含む。いくつかの場合、プログラムおよび命令は永久的に、実質的に永久的に、半永久的に、または非一時的に媒体上にコード化される。
【0187】
(コンピュータプログラム)
いくつかの実施形態では、本明細書で開示されるプラットフォーム、システム、媒体および方法は、少なくとも1つのコンピュータプログラム、またはその使用を含む。例えば、コンピュータプログラムは、デジタル処理デバイスのCPUで実行可能な、特定のタスクを実施するように書かれた、一続きの命令を含む。コンピュータ読み取り可能な命令は、特定のタスクを実施するまたは特定の抽象データタイプを実行する関数、オブジェクト、アプリケーションプログラムインターフェイス(API)、データ構造、および同類のものなどのプログラムモジュールとして実行してもよい。本明細書で提供される開示に照らして、当業者であればコンピュータプログラムは種々の言語の種々のバージョンで書いてもよいことは認識されるであろう。
【0188】
コンピュータ読み取り可能な命令の機能性は、種々の環境において希望通りに組み合わせるまたは分散させてもよい。いくつかの実施形態では、コンピュータプログラムは1つの一続きの命令を含む。いくつかの実施形態では、コンピュータプログラムは複数の一続きの命令を含む。いくつかの実施形態では、コンピュータプログラムは1つの位置から提供される。他の実施形態では、コンピュータプログラムは複数の位置から提供される。種々の実施形態では、コンピュータプログラムは1つまたは複数のソフトウェアモジュールを含む。種々の実施形態では、コンピュータプログラムは、一部においてまたは全体において、1つまたは複数のウェブアプリケーション、1つまたは複数のモバイルアプリケーション、1つまたは複数のスタンドアロンアプリケーション、1つまたは複数のウェブブラウザプラグイン、機能拡張、アドイン、もしくはアドオン、またはその組合せを含む。
【0189】
(ウェブアプリケーション)
いくつかの実施形態では、コンピュータプログラムはウェブアプリケーションを含む。本明細書で提供される開示に照らして、当業者であれば、ウェブアプリケーションは、種々の実施形態で、1つまたは複数のソフトウェアフレームワークおよび1つまたは複数のデータベースシステムを利用することは認識されるであろう。いくつかの実施形態では、ウェブアプリケーションは、Microsoft(登録商標).NETまたはRuby on Rails(RoR)などのソフトウェアフレームワーク上に作成される。いくつかの実施形態では、ウェブアプリケーションは、非限定的例として、リレーショナル、非リレーショナル、オブジェクト指向、アソシエーティブ、およびXMLデータベースシステムを含む、1つまたは複数のデータベースシステムを利用する。さらなる実施形態では、適切なリレーショナルデータベースシステムは、非限定的例として、Microsoft(登録商標)SQL Server、mySQL(商標)、およびOracle(登録商標)を含む。当業者であれば、ウェブアプリケーションは、種々の実施形態では、1つまたは複数の言語の1つまたは複数のバージョンで書かれることも認識するであろう。ウェブアプリケーションは、1つまたは複数のマークアップ言語、プレゼンテーション定義言語、クライアント側スクリプト言語、サーバー側コーディング言語、データベース問い合わせ言語、またはその組合せで書かれていてもよい。いくつかの実施形態では、ウェブアプリケーションは、Hypertext Markup Language(HTML)、Extensible Hypertext Markup Language(XHTML)、またはeXtensible Markup Language(XML)などのマークアップ言語である程度書かれている。いくつかの実施形態では、ウェブアプリケーションは、Cascading Style Sheets(CSS)などのプレゼンテーション定義言語である程度書かれている。いくつかの実施形態では、ウェブアプリケーションは、Asynchronous Java(登録商標)script and XML(AJAX)、Flash(登録商標)Actionscript、Javascript、またはSilverlight(登録商標)などのクライアント側スクリプト言語である程度書かれている。いくつかの実施形態では、ウェブアプリケーションは、Active Server Pages(ASP)、ColdFusion(登録商標)、Perl、Java(商標)、JavaServer Pages(JSP)、Hypertext Preprocessor(PHP)、Python(商標)、Ruby、Tcl、Smalltalk、WebDNA(登録商標)、またはGroovyなどのサーバー側コーディング言語である程度書かれている。いくつかの実施形態では、ウェブアプリケーションは、Structured Query Language(SQL)などのデータベース問い合わせ言語である程度書かれている。いくつかの実施形態では、ウェブアプリケーションは、IBM(登録商標)Lotus Domino(登録商標)などの企業サーバー製品を統合している。いくつかの実施形態では、ウェブアプリケーションは、メディアプレーヤーエレメントを含む。種々のさらなる実施形態では、メディアプレーヤーエレメントは、非限定的例として、Adobe(登録商標)Flash(登録商標)、HTML 5、Apple(登録商標)QuickTime(登録商標)、Microsoft(登録商標)Silverlight(登録商標)、Java(商標)、およびUnity(登録商標)を含む多くの適切なマルチメディア技術の1つまたは複数を利用する。
【0190】
(モバイルアプリケーション)
いくつかの実施形態では、コンピュータプログラムはモバイルデジタル処理デバイスに提供されるモバイルアプリケーションを含む。いくつかの実施形態では、モバイルアプリケーションはその製造時にモバイルデジタル処理デバイスに提供される。他の実施形態では、モバイルアプリケーションは、本明細書に記載されるコンピュータネットワークを経由してモバイルデジタル処理デバイスに提供される。
【0191】
本明細書に提供される開示の点から、モバイルアプリケーションは、当技術分野で公知のハードウェア、言語、および開発環境を使用して当業者に公知の技法により作成される。当業者であれば、モバイルアプリケーションがいくつかの言語で書かれることを認識するであろう。適切なプログラミング言語は、非限定的例として、C、C-Hk、C4、Objective-C、Java(商標)、Javascript、Pascal、Object Pascal、Python(商標)、Ruby、VB.NET、WML、およびCSSありのもしくはなしのXHTML/HTML、またはその組合せを含む。
【0192】
適切なモバイルアプリケーション開発環境はいくつかのソースから入手可能である。市販の開発環境は、非限定的例として、AirplaySDK、alcheMo、Appcelerator(登録商標)、Celsius、Bedrock、Flash Lite、.NET Compact Framework、Rhomobile、およびWorkLight Mobile Platformを含む。非限定的例として、Lazarus、MobiFlex、MoSync、およびPhonegapを含む他の開発環境は無料で利用可能である。その上、モバイルデバイス製造業者は、非限定的例として、iPhoneおよびiPad(iOS)SDK、Android(商標)SDK、BlackBerry(登録商標)SDK、BREW SDK、Palm(登録商標)OS SDK、Symbian SDK、webOS SDK、およびWindows(登録商標)Mobile SDKを含むソフトウェアデベロッパーキットを販売している。
【0193】
当業者であれば、いくつかの商業的フォーラムは、非限定的例として、Apple(登録商標)App Store、Google(登録商標)Play、Chrome WebStore、BlackBerry(登録商標)App World、App Store for Palm devices、App Catalog for webOS、Windows(登録商標)Marketplace for Mobile、Ovi Store for Nokia(登録商標)devices、Samsung(登録商標)Apps、およびNintendo(登録商標)DSi Shopを含むモバイルアプリケーションの流通に利用可能であることは認識するであろう。
【0194】
(スタンドアロンアプリケーション)
いくつかの実施形態では、コンピュータプログラムはスタンドアロンアプリケーションを含み、これは、既存のプロセスへのアドオンではなく、例えば、プラグインではなく、独立したコンピュータプロセスとして実行されるプログラムである。当業者であれば、スタンドアロンアプリケーションが多くの場合コンパイルされることは認識するであろう。コンパイラーは、プログラミング言語で書かれたソースコードをアセンブリ言語または機械コードなどのバイナリオブジェクトコードに変換するコンピュータプログラム(複数可)である。適切なコンパイルプログラミング言語は、非限定的例として、C、C++、Objective-C、COBOL、Delphi、Eiffel、Java(商標)、Lisp、Python(商標)、Visual Basic、およびVB.NET、またはその組合せを含む。コンパイレーションは、少なくとも一部、実行可能なプログラムを作成するために実施されることが多い。いくつかの実施形態では、コンピュータプログラムは1つまたは複数の実行可能なコンパイルアプリケーションを含む。
【0195】
(ウェブブラウザのプラグイン)
いくつかの実施形態では、コンピュータプログラムは、ウェブブラウザのプラグイン(例えば、拡張など)を含む。コンピュータ動作において、プラグインが、より大型のソフトウェアアプリケーションに特定の機能を追加する1つ以上のソフトウェアコンポーネントである。ソフトウェアアプリケーションの製作者は、サードパーティ開発者がアプリケーションを拡張する能力を生成し、新しい機能を容易に追加することをサホートし、アプリケーションのサイズを削減することを可能にするプラグインをサポートする。サポートされた場合、プラグインは、ソフトウェアアプリケーションの機能のカスタマイズを可能にする。例えば、プラグインは、ウェブブラウザにおいて普通に使用され、ビデオを再生し、双方向性を生成し、ウイルスをスキャンし、特定のファイルタイプを表示する。当業者は、Adobe(登録商標)Flash(登録商標)プレーヤ、Microsoft(登録商標)Siverlight(登録商標)、およびApple(登録商標)QuickTime(登録商標)を含むいくつかのウェブブラウザプラグインに慣れているであろう。いくつかの実施形態では、ツールバーは、1つ以上のウェブブラウザ拡張、アドイン、またはアドオンを含む。いくつかの実施形態では、ツールバーは、1つ以上のエクスプローラバー、ツールバンド、またはデスクバンドを含む。
【0196】
ここに提供される開示の観点では、当業者は、非限定的な例として、C++、Delphi、JavaTM PHP、PythonTM、およびVB.NET、またはこれら組合せを含む、種々のプログラミング言語でのプラグインの開発を可能にするいくつかのプラグインフレームワークが利用可能であることを認識するであろう。
【0197】
ウェブブラウザ(インターネットブラウザとも呼ばれる)は、ワールドワイドウェブ上の情報リソースを検索し提示し横断するために、ネットワーク接続されたデジタル処理デバイスと共に使用するように設計されたソフトウェアアプリケーションである。適切なウェブブラウザは、非限定的な例として、Microsoft Internet Explorer(登録商標)、Mozilla(登録商標)Fifox(登録商標)、Google(登録商標)Chrome、Apple(登録商標)Safari(登録商標)、Operaソフトウェア(登録商標)Opera(登録商標)、およびKDE Konkerorを含む。いくつかの実施形態では、ウェブブラウザは、モバイルウェブブラウザである。モバイルウェブブラウザ(マイクロブラウザ、ミニブラウザ、および無線ブラウザとも呼ばれる)は、非限定的な例として、ハンドヘルドコンピュータ、タブレットコンピュータ、ネットブックコンピュータ、サブノートブックコンピュータ、スマートフォン、音楽プレーヤ、携帯情報端末(PDA)、およびハンドヘルドビデオゲームシステムを含む、モバイルデジタル処理デバイス上での使用のために設計されている。適切なモバイルウェブブラウザは、非限定的な例として、Google(登録商標)Android(登録商標)ブラウザ、RIM BlackBerry(登録商標)ブラウザ、Apple(登録商標)Safari(登録商標)、Palm(登録商標)Blazer、Palm WebOSブラウザ、モバイル用のMozilla Fifox、Microsoft(登録商標)Internet Explorerモバイル、Amazon Kindle Basic Web、Nokiaブラウザ、Operaソフトウェア(登録商標)Opera、ソニーPSPTMブラウザを含む。
【0198】
(ソフトウェアモジュール)
いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるプラットフォーム、システム、媒体、および方法は、ソフトウェア、サーバー、および/またはデータベースモジュール、またはこれらの使用を含む。本明細書に提供される開示の点から、ソフトウェアモジュールは、当技術分野で公知の機械、ソフトウェア、および言語を使用して当業者に公知の技法により作成される。本明細書に開示されるソフトウェアモジュールは、多数の方法で実行される。種々の実施形態では、ソフトウェアモジュールは、ファイル、コードの部分、プログラミングオブジェクト、プログラミング構造、またはその組合せを含む。さらなる種々の実施形態では、ソフトウェアモジュールは、複数のファイル、複数のコードの部分、複数のプログラミングオブジェクト、複数のプログラミング構造、またはその組合せを含む。種々の実施形態では、1つまたは複数のソフトウェアモジュールは、非限定的例として、ウェブアプリケーション、モバイルアプリケーション、およびスタンドアロンアプリケーションを含む。いくつかの実施形態では、ソフトウェアモジュールは、1つのコンピュータプログラムまたはアプリケーションにある。他の実施形態では、ソフトウェアモジュールは、1つよりも多いコンピュータプログラムまたはアプリケーションにある。いくつかの実施形態では、ソフトウェアモジュールは1つの機械上で提供される。他の実施形態では、ソフトウェアモジュールは1つよりも多い機械上で提供される。さらなる実施形態では、ソフトウェアモジュールはクラウドコンピューティングプラットホーム上で提供される。いくつかの実施形態では、ソフトウェアモジュールは、1つの位置において1つまたは複数の機械上で提供される。他の実施形態では、ソフトウェアモジュールは、1つよりも多い位置において1つまたは複数の機械上で提供される。
【0199】
(データベース)
いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるプラットフォーム、システム、媒体、および方法は、1つまたは複数のデータベースまたはこれらの使用を含む。本明細書に提供される開示の点から、当業者であれば、多くのデータベースが、情報の保存および検索に適していることは認識するであろう。種々の実施形態では、適切なデータベースは、非限定的例として、リレーショナルデータベース、非リレーショナルデータベース、オブジェクト指向データベース、オブジェクトデータベース、実体関連モデルデータベース、アソシエーティブデータベース、およびXMLデータベースを含む。さらなる非限定的例は、SQL、PostgreSQL、MySQL、Oracle、DB2、およびSybaseを含む。いくつかの実施形態では、データベースはインターネットベースである。さらなる実施形態では、データベースはウェブベースである。なおさらなる実施形態では、データベースはクラウドコンピューティングベースである。他の実施形態では、データベースは1つまたは複数のローカルコンピュータ記憶装置に基づいている。
【0200】
(実施例)
実施例1
密度勾配遠心分離法と比較して、より多い数のCD45+細胞およびCD3+細胞が、DLD分離後0日目に回収される。
【0201】
白血球およびT細胞の合計数を基準として、密度勾配遠心分離法(例えば、フィコール(Ficoll)(登録商標)、GEヘルスケア)と比較して、DLDシステムの性能を調査した。フィコールと比較して、DLDシステムを用いて富化されたロイコパックは、フローサイトメトリーによって決定されるように、生存可能(DARQ7-)CD45+細胞(パン白血球マーカー)の増加した全体量を示した。
図13に示すように、1200mLの入力に正規化した場合、5×10
9個のCD45+細胞の平均がロイコパックから分離され、フィコールを用いて分離された細胞の2×10
9に比べて、2.5倍の増加である。
図15に示すように、より低いWBCカウント患者サンプルを処理する場合、フィコールと比較してDLDシステムを用いて得られる生存可能な合計CD45+およびCD3+細胞(パン-T細胞マーカー)の増加も見られる。この利点は、NHL、リンパ腫、AML、乳癌、結腸直腸癌、または他の癌患者からリンパ球を得るために重要である。同様に、DLDの増加したリンパ球およびT細胞回収実績は、腫瘍減量(debulking)効率の尺度として、入力サンプルから枯渇されることが望ましい細胞に対するWBC比に換算して表現できる。
図16に示すように、DLD生成物は、RBC/WBCおよびPLT/WBCの両方のより低い比率をもたらす。血小板用マーカーとしてCD41を、赤血球についてはCD235aを、白血球についてはCD45を用いたフローサイトメトリーによって判断を行った。DLDプロトコルは、著しく少ないRBC(赤血球)およびPLT(血小板)を備えた白血球の集団をもたらす。
【0202】
実施例2
密度勾配遠心分離法と比較して、より多い数の有益なT細胞サブタイプおよび、より少ない数の望ましくないまたは有害なT細胞サブタイプが、分離後0日目に回収される。
【0203】
T細胞療法の有効性および安全性は、治療の製造に使用されるT細胞サブタイプに依存する。従って、DLDシステムを用いて分離されるT細胞サブタイプは、フィコール精製と比較した。後者は、血液および白血球除去輸血サンプルからT細胞を分離する一般的方法である。フィコールと比較して、DLDシステムを用いて富化されたロイコパックは、Tセントラルメモリ細胞および完全に低分化したTエフェクタ細胞のより高いパーセントの組成を示した。
図14に示すように、CD4+およびCD8+T細胞集団を、DLDおよびフィコール法を用いて分離した。平均で、DLD法で分離した集団は、30%のTナイーブ細胞(CD3+/CD45RA+/CCR7+)と、25%のTセントラルメモリ細胞(CD3+/CD45RA-/CCR7+)と、29%のTエフェクタメモリ細胞(CD3+/CD45RA+/CCR7-)と、17%のTemra細胞(エフェクタメモリ分化)(CD3+/CD45+/CCR7-)とで構成された。平均で、フィコール法で分離した集団は、32%のTナイーブ細胞(CD3+/CD45RA+/CCR7+)と、19%のTセントラルメモリ細胞(CD3+/CD45RA-/CCR7+)と、28%のTエフェクタメモリ細胞(CD3+/CD45RA+/CCR7-)と、21%のTemra細胞(エフェクタメモリ分化)(CD3+/CD45+/CCR7-)とで構成された。
【0204】
実施例3
DLDによって分離されたT細胞集団は、レンチウイルス形質導入に対してより多くの受容性があり、レンチウイルスによってより効率的に形質導入され、レンチウイルス導入された遺伝子をより速く発現させ、密度勾配遠心分離法と比較してより有益なT細胞サブタイプを保持する。
【0205】
T細胞療法の適時の投与、有効性、および安全性は、分離されたT細胞がどの程度従順に遺伝子操作され、その後の増殖にとともに、異種遺伝物質をどの程度迅速かつ効率的に発現できるかに依存する。従って、DLDシステムを用いて分離されたT細胞を用いて、レンチウイルス形質導入に対するT細胞応答を、フィコール精製から得られるものと比較した。3つの異なるドナーからのロイコパックを処理し、CD3/CD28ビーズでT細胞を分離/活性化し、GFP-レンチウイルスで形質導入した。そして、細胞を、9日間に渡ってIL-7/IL-15を用いて細胞培養で増殖させた。
図17に示すように、対応する日数でフローサイトメトリーによって細胞を分析した。GFP-レンチウイルスの取り込みおよび導入を監視し、0、3、6、9、および12日の非形質導入細胞と比較して、DLD調製の細胞集団がレンチウイルスをより容易に導入することを示した。6日目で、フィコール調製の細胞と比較して、導入細胞の数が30%増加したことを示した。
図19は、DLDおよびフィコール調製の細胞集団における形質導入細胞の平均%を示しており、DLD集団はレンチウイルス形質導入に対してより従順であり、ある場合は20~100%であることを示した。
【0206】
9日間の免疫蛍光顕微鏡法を用いてこれらの知見を確認した。DLDおよびフィコール法からのT細胞は、同じドナーから分離/活性化され、GFP-レンチウイルスで形質導入され、細胞培養において増殖した。指示した時点で、細胞は、GFP-レンチウイルスの取り込みおよびGFPの発現を監視する顕微鏡法によって検査し、DLD細胞は、
図18に示すDLD由来の細胞集団でより多いGFP信号によって示されるように、フィコール細胞よりも容易に形質導入されていることを示した。DLDおよびシステムによって調製された細胞は、他のシステム法と比較してより容易に導入できる(
図17~19を参照)。DLD産生の細胞は、一貫してより容易に形質導入され、約87.5%は、フィコールと比較して著しい改善を示した。3日目の平均的改善は約2倍であり、6日目と9日目では、30%の優位が保持された。全ての時間において、DLD産生の細胞は、平均してより高い形質導入レベルであった。
【0207】
これらの知見は、これらの分離プロセスを臨床応用に転換する際に特に顕著である。より大きいレンチウイルス形質導入効率は、投与までの時間短縮を導いて、即ち、治療用細胞の用量または複数用量のための充分な数の細胞を得ることができる。
図20に示すように、DLD法は、培養中の3日後に10用量の治療用細胞に相当する充分なレンチウイルス形質導入細胞を産生でき、ロイコパック材料の200mLの初期入力に正規化して、9日間に渡るフィコールよりも多くの合計投与量を産生できる。ある場合は、DLD調製の細胞集団は、9日間の期間に渡って形質導入された細胞の2倍多くを産生した。
【0208】
分離およびレンチウイルス形質導入後に産生される合計細胞数に加えて、治療用細胞用量は、有効に活性化されたT細胞タイプ、例えば、TセントラルメモリおよびTエフェクタメモリ細胞などを含むことが重要である。活性化後の3日目および6日目のGFP-Lv+細胞のT細胞サブセット組成を、DLD調製とフィコール調製の細胞集団の間で比較した。T細胞サブタイプの決定は、
図21に示すように、GFP-Lv+T細胞内でフローサイトメトリーによって行った。6日目にDLD法は、4%のTナイーブ(CD3+/CD45RA+/CCR7+)と、19%のTセントラルメモリ(CD3+/CD45RA-/CCR7+)と、74%のTエフェクタメモリ(CD3+/CD45RA+/CCR7-)と、3%のTemra(CD3+/CD45+/CCR7-)とを含むT細胞の集団をもたらす。6日目にフィコール法は、28%のTのナイーブ(CD3+/CD45RA+/CCR7+)と、16%のTセントラルメモリ(CD3+/CD45RA-/CCR7+)と、51%のTエフェクタメモリ(CD3+/CD45RA+/CCR7-)と、5%のTemra(CD3+/CD45+/CCR7-)とを含むT細胞の集団をもたらす。こうして、フィコールGFP=Lv+T細胞と比較して、DLD細胞は、Tcmのより大きなプールを有し、Tem細胞へのより頑強な変換をもたらす。
【0209】
これらの知見は、DLDからの細胞集団T細胞組成物およびフィコール調製組成物(健常ドナーから)を、レンチウイルス形質導入前に(
図22)および培養中の形質導入後3、6、9日後に(
図23)比較する追加の実験で確認した。0日目(形質導入前)DLD細胞は、フローサイトメトリーによって決定されるように、フィコール細胞よりも大きい数のCD4+細胞および低分化Tcm細胞を示した。GFP-Lvを伴うT細胞サブタイプの進行を
図23に示す。DLDプロトコルからの生存可能なCD3+細胞は、フィコールプロトコルからの細胞と比較して、時間経過とともにTcmに向かうバイアスを示した。GFP-Lv+およびT細胞サブセットは、フローサイトメトリーによって決定した。例えば、9日目に、DLD法は、5%のTナイーブ(CD3+/CD45RA+/CCR7+)と、29%のTセントラルメモリ(CD3+/CD45RA-/CCR7+)と、59%のTエフェクタメモリ(CD3+/CD45RA+/CCR7-)と、7%のTemra(CD3+/CD45+/CCR7-)とを含むT細胞の集団を生じさせる。9日目に、フィコール方法は、9%のTナイーブ(CD3+/CD45RA+/CCR7+)と、20%のTセントラルメモリ(CD3+/CD45RA-/CCR7+)と、59%のTエフェクタメモリ(CD3+/CD45RA+/CCR7-)と、12%のTemra(CD3+/CD45+/CCR7-)とを含むT細胞の集団を生じさせる。
【0210】
実施例4
DLDによって分離T細胞集団は、フィコール方法を用いて調製されたT細胞集団と比較して、活性化、レンチウイルス形質導入および増殖の後に細胞老化および枯渇マーカーのより低い発現を有する。
【0211】
治療用細胞の有効性および製造は、生存可能で増殖する細胞の集団、即ち、老化または枯渇していないT細胞を有することに部分的に依存する。活性化、形質導入および増殖したT細胞を、13日目に老化(CD57+/KLRG1+)および枯渇(CD57/KLRG1+/PD1+/Tim3+)について検査し、フィコール/DLDの比率として表した。完全なCAR19シグナル伝達ドメインで形質導入されたフィコール細胞は、
図24に示すように、DLD細胞よりも、より顕著な発現老化および枯渇マーカー(PD1およびTimp3共発現を備えたCD57+/KLRG1+およびCD57-/KLRG1+)を有していた。一方、CARなしまたは不活性CAR(CAR19-Sigドメイン)の制御によって形質導入された細胞において差は非常に少なかった。
【0212】
実施例5
DLDによって分離されたT細胞集団は、フィコール方法を用いて調製されたものと比較して、同等または増加した殺傷能力を有する。
【0213】
治療用T細胞製剤の有効性は、標的ペプチド配列を含む、細胞殺傷において有効である細胞に依存する。DLDまたはフィコールからのT細胞を分離し、活性化し、MART-1抗原に特異的なTCRTレンチウイルスを用いて形質導入した。6日目に細胞を採取し、異なる比率でMART-1ペプチドを有するT2標的細胞(Luc+)と共培養した。培養時に、T2細胞死を共培養における化学発光の損失によって検査した。DLDおよびフィコールの細胞の両方とも、それらの標的細胞を用量依存的に殺傷可能であった。
図25に示すように、DLD法を用いて調製した細胞は、フィコールを使用して調製されたものよりも、2:1、1:1、0.5:1というT細胞:標的細胞の比率でより高い殺傷能力を示し、ある場合には、殺傷の30%増加を示した。
【0214】
実施例6
DLDによって分離されたT細胞集団は、フィコールによって分離されたT細胞集団と比較して、より高い望ましいサイトカイン発現およびより低い望ましくないサイトカイン発現を有する。
【0215】
治療用T細胞調製安全性は、患者への悪影響を回避するために、炎症反応とは対照的に、より多くの細胞殺傷活性をもたらす分離細胞に部分的に依存する。そのため種々の分離方法を用いて調製されたT細胞集団は、より多くの細胞殺傷性サイトカインを発現し、低い炎症反応サイトカイン発現を有することが望ましい。そのためDLDを用いて分離されたT細胞集団と、フィコール方法との間でサイトカイン発現を比較した。
【0216】
DLDおよびフィコール細胞からの上清を、T細胞の分離/活性化、増殖(IL7/IL-15)およびレンチウイルス形質導入(CAR-T-CD19またはTCRT-MART-1)の0、6および13日後に採取した。15個の異なるサイトカインを、全ての上清についてルミネックス(Luminex)マルチプレクスアッセイにより分析した。結果は、
図26に示すように、フィコール/DLD(pg/ml)の比率として表される。CAR-T-CD19形質導入細胞におけるIFNg、GM-CSF、IL-1RaおよびIL-6についての経時変化サイトカイン発現を
図27に示す。TCRT-MART-1形質導入細胞におけるIFNg、GM-CSF、IL-1RaおよびIL-6についての経時変化サイトカイン発現を
図28に示す。フィコール細胞は、炎症反応に関与するIL-6、MCP-1およびIL-1Raをさらに分泌し、一方、DLD細胞は、より多くのIFNgおよびGM-CSF、典型的な細胞殺傷活性のマーカーを発現した。こうしてDLD調製T細胞集団は、より望ましいサイトカイン発現プロファイルを示す。
【0217】
本発明の好ましい実施形態を図示し、本明細書に記載してきたが、このような実施形態が単なる例として提供されていることが当業者には明らかである。本発明が本明細書内に提供された特定の例によって限定されることは意図されていない。前述の明細書を参照しながら本発明を説明してきたが、本明細書の実施形態の説明および例示は限定的な意味に解釈されるものではない。ここで、本発明から逸脱することなく、多数の変形、変更、および置換が当業者には思いつく。さらに、本発明の全ての態様は、様々な条件および変数に応じて変わる、本明細書に記載する特定の描写、構成または相対的比率に限定されないことが理解されるものとする。本明細書に記載する本発明の実施形態の様々な代替案を本発明の実施に採用できることを理解されたい。したがって、本発明はこのような代替案、改変、変形または等価物をいずれも包含するものとすることが企図される。以下の請求項が本発明の範囲を定めること、ならびに、これら請求項およびそれらの等価物の範囲内の方法および構造がそれによって包含されることが意図される。
【0218】
本明細書の列挙したどの参照文献も参照により完全に組み込まれる。ここまで本発明を十分に説明してきたが、本発明またはその任意の実施形態の精神または範囲に影響を及ぼすことなく、条件、パラメータなどの幅広いかつ等価の範囲内で本発明を実行できることが当業者には理解される。
【0219】
(例示の実施形態)
1. 1つ以上の標的粒子に富化された生成物を生成するためのシステムであって、
(i)1つ以上のカートリッジポート、(ii)サンプルを受け入れるための少なくとも1つの入口、(iii)生成物を出力するための少なくとも1つの出口、および(iv)少なくとも1つの再循環経路を備えるカセットと、
1つ以上のカートリッジポートに動作可能に結合され、カセットとの流体連通を確立する1つ以上のマイクロ流体カートリッジと、を備え、
1つ以上のマイクロ流体カートリッジは、1つ以上の標的粒子をサンプルから分離するために使用され、
少なくとも1つの再循環経路は、カセットを経由して1つ以上の標的粒子を再循環させて、1つ以上の標的粒子を予め定めた媒体体積または予め定めた濃度に濃縮するために使用され、
1つ以上のマイクロ流体カートリッジおよび少なくとも1つの再循環経路は、並列で動作して、生成物を生成するため実行時間を最適化する、システム。
【0220】
2. 1つ以上のマイクロ流体カートリッジおよび少なくとも1つの再循環経路は、互いに独立して動作する、実施形態1に記載のシステム。
【0221】
3. 1つ以上のマイクロ流体カートリッジは、少なくとも1つの再循環経路による再循環プロセスに影響を与えることなく、1つ以上の標的粒子をサンプルから分離するように構成される、実施形態1に記載のシステム。
【0222】
4. 少なくとも1つの再循環経路は、1つ以上のマイクロ流体カートリッジによる分離プロセスに影響を与えることなく、カセットを経由して1つ以上の標的粒子を再循環させるように構成される、実施形態1に記載のシステム。
【0223】
5. 前記1つ以上のマイクロ流体カートリッジおよび少なくとも1つの再循環経路は、生成物中の1つ以上の標的粒子の所望の濃度を達成するように、リアルタイムで個別に制御可能である、実施形態2に記載のシステム。
【0224】
6. 少なくとも1つの再循環経路は、少なくとも1つの入口と少なくとも1つの出口との間に延びている、実施形態1のシステム。
【0225】
7. 少なくとも1つの再循環経路は、1つ以上の標的粒子をカセット上で時計回り方向に再循環させるように構成される、実施形態1のシステム。
【0226】
8. 少なくとも1つの再循環経路は、1つ以上の標的粒子をカセット上で反時計回り方向に再循環させるように構成される、実施形態1のシステム。
【0227】
9. カセットはさらに、1つ以上のマイクロ流体カートリッジにサンプルを出し入れするための複数の経路を備える、実施形態1のシステム。
【0228】
10. 少なくとも1つの再循環経路は、複数の経路とは別個に設けられる、実施形態9のシステム。
【0229】
11. 少なくとも1つの再循環経路は、複数の経路のうちの1つ以上に隣接または接続される、実施形態9のシステム。
【0230】
12. 1つ以上の標的粒子に富化された生成物を生成するためのシステムであって、
1つ以上のマイクロ流体カートリッジが解放可能に結合され支持されるカセットであって、該カセットは、長手方向に延びて、カセット上に離隔して配置された複数の流体チャネルを含む、カセットと、
複数の流体チャネルに蠕動的に結合され、サンプルからの1つ以上の標的粒子の分離のために、1つ以上のマイクロ流体カートリッジの下流にある複数の流体チャネルを経由して流体含有物の流れを制御する複数のポンプと、を備え、
ポンプからのいずれの可動部分も、その流れの際に流体含有物に直接接触しいてない、システム。
【0231】
13. 複数の流体チャネルは、可撓性チューブを含む、実施形態12に記載のシステム。
【0232】
14. 複数のポンプの各々は、複数の流体チャネルの各サブセットに蠕動的に結合されたポンプヘッドのセットを含む、実施形態12に記載のシステム。
【0233】
15. 各ポンプにおけるポンプヘッドのセットは、2つ以上のポンプヘッドを含む、実施形態14に記載のシステム。
【0234】
16. 2つ以上のポンプヘッドは、2つ以上のローラセットを含む、実施形態15に記載のシステム。
【0235】
17. 複数の流体チャネルの各サブセットは、2つ以上の流体チャネルを含む、実施形態16に記載のシステム。
【0236】
18. 流体含有物は、1つ以上の標的粒子がサンプルから分離された後に、1つ以上のマイクロ流体カートリッジによって生成されるサンプル、媒体溶液、希釈液および廃棄物を含む、実施形態12に記載のシステム。
【0237】
19. 流体含有物は、プライミング溶液をさらに含む、実施形態18に記載のシステム。
【0238】
20. 流体含有物は、1つ以上の標的粒子の濃縮された量を含む再循環溶液をさらに含む、実施形態18に記載のシステム。
【0239】
21. 複数のポンプは、サンプルの流れを制御するための第1ポンプと、媒体溶液の流れを制御するための第2ポンプと、希釈液の流れを制御するための第3ポンプと、廃棄物の流れを制御するための第4ポンプとを含む、実施形態18に記載のシステム。
【0240】
22. 複数のポンプは、サンプル、媒体溶液、希釈液、および廃棄物の間の相対的な流量を調節するために個別に制御可能である、実施形態18に記載のシステム。
【0241】
23. 各ポンプにおけるポンプヘッドのセットは、互いに逆相で作動するように構成される、実施形態14に記載のシステム。
【0242】
24. 各ポンプにおけるポンプヘッドのセットは、約180度以下だけ逆相で作動する、実施形態23に記載のシステム。
【0243】
25. 各ポンプにおけるポンプヘッドのセットは、互いに固定された動きを有する、実施形態14に記載のシステム。
【0244】
26. 固定された動きは、各ポンプにおけるポンプヘッドのセットが互いに同じ速度で同じ方向に移動することを含む、実施形態25に記載のシステム。
【0245】
27.各ポンプおよび流体チャネルの各サブセットについて、ポンプヘッドのセットによって輸送される流体含有物は、流体チャネルの各サブセットの出口において単一の流体経路に共に合流する、実施形態14に記載のシステム。
【0246】
28. 各ポンプの拍動性が、ポンプヘッドのセットを逆相で運動させることによって低減される、実施形態14に記載のシステム。
【0247】
29. 複数のポンプは、(a)サンプル量に対する廃棄物量の比率を制御し、(b)希釈液量に対するサンプルの量の比率を制御し、または(c)希釈倍率を調整するように、個別に制御可能である、実施形態22に記載のシステム。
【0248】
30. 複数のポンプは、互いに同相または逆相になるように個別に制御可能である、実施形態12に記載のシステム。
【0249】
31. 複数のポンプは、同じ流量、異なる流量、同じ流れ方向、または異なる流れ方向を達成するように個別に制御可能である、実施形態12に記載のシステム。
【0250】
32. 複数のポンプは、1つ以上のマイクロ流体カートリッジがサンプルから1つ以上の標的粒子を分離するときに、流体含有物の流れをリアルタイムで調整するように個別に制御可能である、実施形態12に記載のシステム。
【0251】
33. 複数のポンプは、生成物中の1つ以上の標的粒子の所望の濃度を可能にするように個別に制御可能である、実施形態12に記載のシステム。
【0252】
34. 複数のポンプは、蠕動ポンプを含む、実施形態12に記載のシステム。
【0253】
35. 1つ以上の標的粒子に富化された生成物を生成するためのシステムであって、
1つ以上の標的粒子をサンプルから分離するように構成された1つ以上のマイクロ流体カートリッジと、
サンプルまたは他の溶液中の気泡の存在を検出するための1つ以上のセンサと、
1つ以上の制御可能なバルブと、
1つ以上のマイクロ流体カートリッジが解放可能に結合され支持されるカセットであって、該カセットは、1つ以上のセンサによる空気の存在の検出に基づいて、気泡を有するサンプルまたは他の溶液の一部を、1つ以上のマイクロ流体カートリッジから方向転換するための1つ以上の制御可能なバルブの下流にある1つ以上のバイパスチャネルを含む、カセットと、を備えるシステム。
【0254】
36. 1つ以上のセンサは、サンプルを1つ以上のマイクロ流体カートリッジの中に循環させる前に、気泡の存在を検出するために使用される、実施形態35に記載のシステム。
【0255】
37. システムは、1つ以上のセンサがサンプルまたは他の溶液中の気泡の存在を検出すると、1つ以上のアラートを発生するように構成される、実施形態35に記載のシステム。
【0256】
38. 1つ以上のセンサおよび1つ以上のバイパスチャネルは、気泡が侵入して、1つ以上のマイクロ流体カートリッジの効率を減少させるのを防止するために協力して作動する、実施形態35に記載のシステム。
【0257】
39. 1つ以上のセンサおよび1つ以上のバイパスチャネルは、生成物中の汚染を低減または排除するために協力して作動する、実施形態35に記載のシステム。
【0258】
40. 1つ以上の標的粒子に富化された生成物を生成するためのシステムであって、
1つ以上の標的粒子をサンプルから分離するように構成された1つ以上のマイクロ流体カートリッジと、
1つ以上のマイクロ流体カートリッジが解放可能に結合されて支持されるカセットと、
サンプルが1つ以上のマイクロ流体カートリッジを循環する前に、溶存ガスを除去して、気泡形成を防止するためするための少なくとも1つの脱気ユニットと、を備えるシステム。
【0259】
41. 少なくとも1つの脱気ユニットは、カセット上に一体化されている、実施形態40に記載のシステム。
【0260】
42. 少なくとも1つの脱気ユニットは、カセットの一部として製作される、実施形態40に記載のシステム。
【0261】
43. 少なくとも1つの脱気ユニットは、1つ以上のマイクロ流体カートリッジに近接してカセット上に設置される、実施形態40に記載のシステム。
【0262】
44. 少なくとも1つの脱気ユニットは、1つ以上のマイクロ流体カートリッジに導入する複数の経路と流体連通している、実施形態40に記載のシステム。
【0263】
45. 1つ以上の標的粒子に富化された生成物を生成するためのシステムであって、
1つ以上のマイクロ流体カートリッジが解放可能に結合され支持されるカセットであって、(i)これに解放可能で流体的に結合される複数の入力容器を有する複数の入口であって、複数の入力容器のうちの少なくとも1つは、到来するサンプルを含む、複数の入口と、(ii)これに解放可能で流体的に結合される複数の出力容器を有する複数の出口と、(iii)サンプルから1つ以上の標的粒子を分離するための1つ以上のマイクロ流体カートリッジと、(iv)複数の入口、複数の出口、および1つ以上のマイクロ流体カートリッジの間に延びる複数の流体チャネルと、を含むカセットを備え、
複数の入力容器、複数の出力容器、およびこれらに結合される1つ以上のマイクロ流体カートリッジを有するカセットは、全体で、外部の手動操作または介入なしで、流入するサンプルのインライン連続処理を可能にする、閉鎖エンドツーエンド滅菌環境下を提供し、1つ以上の標的粒子が富化され、汚染のない生成物を生成する、システム。
【0264】
46. 複数の入口および複数の入力容器は、複数の滅菌結合機構を用いて、解放可能で流体的に結合されている、実施形態45に記載のシステム。
【0265】
47. 複数の滅菌結合機構は、少なくとも1つの滅菌スパイクおよび少なくとも1つのスパイクポートを含む、実施形態46に記載のシステム。
【0266】
48. 生成物は、複数の出力容器の少なくとも1つに収集される、実施形態45に記載のシステム。
【0267】
49. 生成物は、生成物を外部非滅菌環境に曝すことなく、複数の出力容器のうちの少なくとも1つに収集される、実施形態45に記載のシステム。
【0268】
50. 生成物は、生成物を外部非滅菌環境に曝すことなく、複数の出力容器のうちの少なくとも1つに収集される、実施形態45に記載のシステム。
【0269】
51. サンプルは、サンプルを外部非滅菌環境に曝すことなく、複数の入力容器のうちの少なくとも1つからカセットに入力される、実施形態45に記載のシステム。
【0270】
52. システムは、流入するサンプルのインライン連続処理中に、閉鎖エンドツーエンド滅菌環境の外部から外部追加される中間試薬を必要としない、実施形態45に記載のシステム。
【0271】
53. システムは、流入するサンプルのインライン連続処理中に、閉鎖エンドツーエンド滅菌環境の外部に除去される副産物を必要としない、実施形態45に記載のシステム。
【0272】
54. サンプルは、少なくとも約200mLの体積を有し、
システムは、1つ以上の標的粒子の少なくとも約70%を富化した生成物を1時間未満で生成するようにサンプルを処理するように構成される、実施形態45に記載のシステム。
【0273】
55. システムは、約300mL/時間以上のレートでサンプルを処理するように構成される、実施形態45に記載のシステム。
【0274】
56. 1つ以上の標的粒子に富化された生成物を生成するためのシステムであって、
1つ以上の標的粒子をサンプルから分離するように構成された1つ以上のマイクロ流体カートリッジと、
1つ以上のマイクロ流体カートリッジが解放可能に結合され支持されるカセットであって、サンプルが1つ以上のマイクロ流体カートリッジを通って循環する前に、いずれの可動部分を使用せずに、サンプルを希釈液とカセット上でインライン混合するように構成されたミキサーを含む、カセットと、を備えるシステム。
【0275】
57. ミキサーは、サンプルのための第1流体チャネルと、希釈液のための第2流体チャネルとを含む、実施形態56に記載のシステム。
【0276】
58. 第1流体チャネルおよび第2流体チャネルは、合流して、サンプルと希釈液の混合を可能にする、実施形態57に記載のシステム。
【0277】
59. 第1流体チャネルおよび第2流体チャネルは、サンプルと希釈液のインライン混合を容易にするための複数の構造エレメントを含む、実施形態57に記載のシステム。
【0278】
60. (a)1つ以上のマイクロ流体カートリッジが解放可能に結合され支持されるカセットを含むシステムを用意するステップと、
(b)システムを経由して、プライミング溶液を流すことによってカセットをプライム処理するステップと、
(c)システムを経由して、サンプルを流して、1つ以上のマイクロ流体カートリッジを用いてシステムから1つ以上の標的粒子を分離することによって、サンプルを処理するステップと、
(d)サンプルから分離された1以上の標的粒子を含む生成物を回収するステップと、を含み、
サンプルは、少なくとも約40mLの体積を有し、
生成物は、1つ以上の標的粒子の少なくとも約70%の回収で富化され、
ステップ(b)~(d)は、約1時間以下の閉鎖滅菌環境で連続的にインラインで完了する、方法。
【0279】
61. ステップ(b)は、約20分以下で完了する、実施形態60に記載の方法。
【0280】
62. ステップ(c)および(d)は、約40分以下で完了する、実施形態60に記載の方法。
【0281】
63. カセットおよび1つ以上のマイクロ流体カートリッジは、単一の使用のために構成される、実施形態60に記載の方法。
【0282】
64. ステップ(b)は、カセットが複数の使用のために再使用可能であることを許容する、実施形態60に記載の方法。
【0283】
65. ステップ(b)は、1つ以上のマイクロ流体カートリッジが複数の使用のために再使用可能であることを許容する、実施形態60に記載の方法。
【0284】
66. サンプルは、ヒトサンプルである、実施形態60~65のいずれかに記載の方法。
【0285】
67. サンプルは、血液関連生成物を含む、実施形態60~66のいずれかに記載の方法。
【0286】
68. 血液関連生成物は、アフェレーシス生成物を含む、実施形態67に記載の方法。
【0287】
69. アフェレーシス生成物は、白血球アフェレーシス生成物である、実施形態68に記載の方法。
【0288】
70. サンプルから分離された1つ以上の標的粒子は、細胞を含む、実施形態60~69のいずれかに記載の方法。
【0289】
71. 細胞は、ヒト細胞である、実施形態70に記載の方法。
【0290】
72. 細胞は、回収時に約90%より大きい生存可能性を有する、実施形態70または71に記載の方法。
【0291】
73. 細胞は、末梢血単核細胞を含む、実施形態70~72のいずれかに記載の方法。
【0292】
74. 細胞は、CD3+T細胞を含む、実施形態70~73のいずれかに記載の方法。
【0293】
75. T細胞は、ナイーブまたはセントラルメモリ表現型を示す、実施形態74に記載の方法。
【0294】
76. 細胞をインビトロで培養または増殖させるステップをさらに含む、実施形態70~75のいずれかに記載の方法。
【0295】
77. 外因性核酸を用いて、細胞をトランスジェニックにするステップをさらに含む、実施形態70~76のいずれかに記載の方法。
【0296】
78. 外因性核酸は、キメラ抗原受容体または組換えT細胞受容体をコードする、実施形態77に記載の方法。
【0297】
79. サンプルは、少なくとも約300mLの体積を有する、実施形態60に記載の方法。
【0298】
80. サンプルは、少なくとも約100mLの体積を有する、実施形態60に記載の方法。
【0299】
81. 生成物は、1つ以上の標的粒子の少なくとも約80%の回収で富化される、実施形態60に記載の方法。
【0300】
82. 生成物は、1つ以上の標的粒子の少なくとも約90%の回収で富化される、実施形態60に記載の方法。
【0301】
83. 生成物は、1つ以上の標的粒子の少なくとも約95%の回収で富化される、実施形態60に記載の方法。
【0302】
84. コンピュータ上にグラフィカルユーザインタフェース(GUI)を表示するステップであって、該GUIは、(i)コントロールパネルおよび(ii)システムの視覚的表現を含み、該システムは、(a)1つ以上のマイクロ流体カートリッジが解放可能に結合され支持されるカセットと、(b)流体輸送およびプロセス制御を容易にするための複数のコンポーネントとを備える、ステップと、
コントロールパネルを介して入力された実行プロトコルのためのユーザ入力を受信するステップと、
システム上の実行プロトコルを起動して、1つ以上のマイクロ流体カートリッジを使用して、サンプルから1つ以上の標的粒子を分離することによって、サンプルを処理するステップと、
システムがサンプルを処理している時に、実質的にリアルタイムで進行またはステータスを表示するステップであって、進行またはステータスは、システムの視覚的表現へのグラフィック変化によって描写される、ステップと、を含む方法。
【0303】
85. 複数のコンポーネントは、フローチャネル、バルブ、圧力センサ、およびポンプを含む、実施形態84に記載の方法。
【0304】
86. 複数のコンポーネントは、1つ以上の気泡センサ、および少なくとも1つの脱気ユニットをさらに含む、実施形態85に記載の方法。
【0305】
87. グラフィック変化は、複数のコンポーネントのうちの1つ以上のオン/オフ状態を含む、実施形態86に記載の方法。
【0306】
88. グラフィック変化は、カセットおよび1つ以上のマイクロ流体カートリッジを通るサンプルまたは他の媒体の流体フローを含む、実施形態86に記載の方法。
【0307】
89. システムが実行プロトコルに従ってサンプルを処理していることを示す、1つ以上の通知をGUI上に生成するステップをさらに含む、実施形態84に記載の方法。
【0308】
90. サンプルが処理されている時に、システムが実行プロトコルからの1つ以上の偏差を経験していることを示す、1つ以上の通知をGUI上に生成するステップをさらに含む、実施形態84に記載の方法。
【0309】
91. ユーザが1つ以上の偏差を是正するための、GUI上に1つ以上のオプションを生成するステップをさらに含む、実施形態90に記載の方法。
【0310】
92. 実行プロトコルからの1つ以上の偏差の検出時に、サンプルの圧力および流量を自動的に減少させるステップをさらに含む、実施形態90に記載の方法。
【0311】
93. システムがサンプルの処理を完了した場合、複数の実行計量を含むレポートを生成するステップをさらに含む、実施形態84に記載の方法。
【0312】
94. システムがサンプルを処理する時に、GUIにより、ユーザがステータスを観察して、複数のコンポーネントのうちの1つ以上の動作を実質的にリアルタイムで制御することが可能である、実施形態84に記載の方法。
【0313】
95. システムはさらに、1つ以上の質量センサを備え、
カセットを通る1つ以上の標的粒子の再循環は、1つ以上の質量センサから得られる1つ以上の読み取り値に基づいて制御される、実施形態1に記載のシステム。
【0314】
96. システムは、カセットに動作可能に結合されたパネルをさらに備え、
少なくとも1つの脱気ユニットは、パネル上に一体化されている、実施形態40に記載のシステム。
【0315】
97. サンプルは、少なくとも約100mLの体積を有する、実施形態60に記載の方法。
【0316】
98. サンプルは、少なくとも約150mLの体積を有する、実施形態60に記載の方法。
【0317】
99. サンプルは、少なくとも約200mLの体積を有する、実施形態60に記載の方法。
【0318】
100. 白血球は、得られる生成物の少なくとも約85%以上に富化される、実施形態1~59のいずれかに記載のシステムまたは実施形態60~99のいずれかに記載の方法。
【0319】
101. 白血球は、得られる生成物の少なくとも約90%以上に富化される、実施形態1~59のいずれかに記載のシステムまたは実施形態60~99のいずれかに記載の方法。
【0320】
102. 白血球は、得られる生成物の少なくとも約85%以上に富化される、実施形態1~59のいずれかに記載のシステムまたは実施形態60~99のいずれかに記載の方法。
【0321】
103. 少なくとも約2×109個の白血球が、少なくとも約200mLのロイコパックから得られる、実施形態1~59のいずれかに記載のシステムまたは実施形態60~99のいずれかに記載の方法。
【0322】
104. 少なくとも約2×109個の白血球が、少なくとも約300mLのロイコパックから得られる、実施形態1~59のいずれかに記載のシステムまたは実施形態60~99のいずれかに記載の方法。
【0323】
105. 少なくとも約2×109個の白血球が、100mLのロイコパックから得られる、実施形態1~59のいずれかに記載のシステムまたは実施形態60~99のいずれかに記載の方法。
【0324】
106. 少なくとも約5×109個の白血球が、少なくとも約200mLのロイコパックから得られる、実施形態1~59のいずれかに記載のシステムまたは実施形態60~99のいずれかに記載の方法。
【0325】
107. 少なくとも約5×109個の白血球が、少なくとも約300mLのロイコパックから得られる、実施形態1~59のいずれかに記載のシステムまたは実施形態60~99のいずれかに記載の方法。
【0326】
108. 少なくとも約5×109個の白血球が、少なくとも約100mLのロイコパックから得られる、実施形態1~59のいずれかに記載のシステムまたは実施形態60~99のいずれかに記載の方法。
【0327】
109. 富化された白血球は、少なくとも約2キロベースのテロメア長を有する、実施形態1~59のいずれかに記載のシステムまたは実施形態60~99のいずれかに記載の方法。
【0328】
110. 富化された白血球は、少なくとも約3キロベースのテロメア長を有する、実施形態1~59のいずれかに記載のシステムまたは実施形態60~99のいずれかに記載の方法。
【0329】
111. 富化された白血球は、少なくとも約5キロベースのテロメア長を有する、実施形態1~59のいずれかに記載のシステムまたは実施形態60~99のいずれかに記載の方法。
【0330】
112. 少なくとも約4×108個のナイーブT細胞が、少なくとも約200mLのロイコパックから得られる、実施形態1~59のいずれかに記載のシステムまたは実施形態60~99のいずれかに記載の方法。
【0331】
113. 少なくとも約4×108個のナイーブT細胞が、少なくとも約300mLのロイコパックから得られる、実施形態1~59のいずれかに記載のシステムまたは実施形態60~99のいずれかに記載の方法。
【0332】
114. 少なくとも約4×108個のナイーブT細胞が、少なくとも約100mLのロイコパックから得られる、実施形態1~59のいずれかに記載のシステムまたは実施形態60~99のいずれかに記載の方法。
【0333】
115. 少なくとも約5×108個のセントラルメモリT細胞が、少なくとも約200mLのロイコパックから得られる、実施形態1~59のいずれかに記載のシステムまたは実施形態60~99のいずれかに記載の方法。
【0334】
116. 少なくとも約5×108個のセントラルメモリT細胞が、少なくとも約300mLのロイコパックから得られる、実施形態1~59のいずれかに記載のシステムまたは実施形態60~99のいずれかに記載の方法。
【0335】
117. 少なくとも約5×108個のセントラルメモリT細胞が、少なくとも約100mLのロイコパックから得られる、実施形態1~59のいずれかに記載のシステムまたは実施形態60~99のいずれかに記載の方法。
【0336】
118. 密度勾配遠心分離法を使用することによって得られる白血球の数と比較して、少なくとも約1.5倍、約2.5倍、または約5倍以上の白血球を含む生成物が得られる、実施形態1~59のいずれかに記載のシステムまたは実施形態60~99のいずれかに記載の方法。
【0337】
CD3+細胞、CD45+細胞、CD4+細胞、CD4+ナイーブ細胞、CD4+メモリ細胞、CD4+エフェクタ細胞、CD8+細胞、CD8+ナイーブ細胞、CD8+エフェクタ細胞、CD8+メモリ細胞、メモリ細胞、エフェクタ細胞、ナイーブ細胞、Temra細胞、またはこれらの任意組み合せを含む生成物が得られる、実施形態1~59のいずれかに記載のシステムまたは実施形態60~99のいずれかに記載の方法。
【0338】
120. 密度勾配遠心分離法を使用することによって得られるものと比較して、少なくとも約1.5倍、約2.5倍、または約5倍以上のCD45+細胞を含む生成物が得られる、実施形態1~59のいずれかに記載のシステムまたは実施形態60~99のいずれかに記載の方法。
【0339】
121. 密度勾配遠心分離法を使用することによって得られるものと比較して、少なくとも約1.5倍、約2.5倍、または約5倍以上のCD3+細胞を含む生成物が得られる、実施形態1~59のいずれかに記載のシステムまたは実施形態60~99のいずれかに記載の方法。
【0340】
122. サンプルから1つ以上の標的粒子を除去するステップをさらに含む、実施形態1~59のいずれかに記載のシステムまたは実施形態60~99のいずれかに記載の方法。
【0341】
123. 標的粒子は、細胞である、実施形態122の方法またはシステム。
【0342】
124. 標的粒子は、赤血球または血小板である、実施形態123に記載の方法またはシステム。
【0343】
125. 赤血球または血小板の少なくとも約95%が、サンプルから除去される、実施形態124に記載の方法またはシステム。
【0344】
126. 血小板の少なくとも95%が、サンプルから除去される、実施形態124に記載の方法またはシステム。
【0345】
127. 赤血球と白血球との混合物を2.5:1、1.5:1、または0.7:1未満の比率で含む生成物が産生される、実施形態1~59のいずれかに記載のシステムまたは実施形態60~99のいずれかに記載の方法。
【0346】
128. 血小板と白血球との混合物を9:1、5:1、3:1、1.1:1未満の比率で含む生成物が産生される、実施形態1~59のいずれかに記載のシステムまたは実施形態60~99のいずれかに記載の方法。
【0347】
129. 密度勾配遠心分離法を使用することによって得られるものと比較して、少なくとも約1.5倍、約2.5倍、または約5倍以上のCD4+細胞を含む生成物が産生される、実施形態1~59のいずれかに記載のシステムまたは実施形態60~99のいずれかに記載の方法。
【0348】
130. 密度勾配遠心分離法を使用することによって得られるものと比較して、少なくとも約1.5倍、約2.5倍、または約5倍以上のCD8+細胞を含む生成物が産生される、実施形態1~59のいずれかに記載のシステムまたは実施形態60~99のいずれかに記載の方法。
【0349】
131. 密度勾配遠心分離法を使用することによって得られるものと比較して、少なくとも約1.5倍、約2.5倍、または約5倍以上のナイーブCD4+細胞を含む生成物が産生される、実施形態1~59のいずれかに記載のシステムまたは実施形態60~99のいずれかに記載の方法。
【0350】
132. 密度勾配遠心分離法を使用することによって得られるものと比較して、少なくとも約1.5倍、約2.5倍、または約5倍以上のメモリCD4+細胞を含む生成物が産生される、実施形態1~59のいずれかに記載のシステムまたは実施形態60~99のいずれかに記載の方法。
【0351】
133. 密度勾配遠心分離法を使用することによって得られるものと比較して、少なくとも約1.5倍、約2.5倍、または約5倍以上のエフェクタCD4+細胞を含む生成物が産生される、実施形態1~59のいずれかに記載のシステムまたは実施形態60~99のいずれかに記載の方法。
【0352】
134. 密度勾配遠心分離法を使用することによって得られるものと比較して、少なくとも約1.5倍、約2.5倍、または約5倍以上のナイーブCD8+細胞を含む生成物が産生される、実施形態1~59のいずれかに記載のシステムまたは実施形態60~99のいずれかに記載の方法。
【0353】
135. 密度勾配遠心分離法を使用することによって得られるものと比較して、少なくとも約1.5倍、約2.5倍、または約5倍以上のメモリCD8+細胞を含む生成物が産生される、実施形態1~59のいずれかに記載のシステムまたは実施形態60~99のいずれかに記載の方法。
【0354】
136. 密度勾配遠心分離法を使用することによって得られるものと比較して、少なくとも約1.5倍、約2.5倍、または約5倍以上のエフェクタCD8+細胞を含む生成物が産生される、実施形態1~59のいずれかに記載のシステムまたは実施形態60~99のいずれかに記載の方法。
【0355】
137. 密度勾配遠心分離法を使用することによって得られる白血球の数と比較して、少なくとも約1.5倍、約2.5倍、または約5倍以上の白血球を含む生成物が産生される、実施形態1~59のいずれかに記載のシステムまたは実施形態60~99のいずれかに記載の方法。
【0356】
138. 密度勾配遠心分離法を使用することによって得られる生成物のものより、少なくとも約1.5倍、約2.5倍、または約3倍少ない赤血球を含む生成物が産生される、実施形態1~59のいずれかに記載のシステムまたは実施形態60~99のいずれかに記載の方法。
【0357】
139. 密度勾配遠心分離法を使用することによって得られる生成物のものより、少なくとも約3倍、または約10倍少ない血小板を含む生成物が産生される、実施形態1~59のいずれかに記載のシステムまたは実施形態60~99のいずれかに記載の方法。
【0358】
140. 実施形態1~59のいずれかのシステムまたは実施形態60~99のいずれかの方法によって産生される細胞の集団であって、細胞の集団は、密度勾配遠心分離法によって産生される細胞の集団と比較した場合、1つ以上の生物学的特性の増加を示す。ここで、1つ以上の生物学的特性は、レンチウイルスベクターを容易に導入する能力、培養時に増殖する能力、細胞培養中にT細胞メモリ組成物を保持する能力、ウイルス形質導入に対する受容性、平均テロメア長の分化、低分化ナイーブおよびセントラルメモリ細胞の相対的集団を保持する能力、機能的殺傷能力、IFNγ発現、GM-CSF発現、TNF-aの発現、生存可能性、からなるリストから選択される。
【0359】
141. 実施形態140の細胞の集団であって、細胞の集団は、密度勾配遠心分離法によって産生される細胞の集団と比較した場合、レンチウイルスベクターを容易にする能力において少なくとも約25%増加を示す。
【0360】
142. 実施形態140の細胞の集団であって、細胞の集団は、培養時に増殖する増加した能力を示し、密度勾配遠心分離法によって産生される細胞の集団と比較した場合、細胞は、遺伝子改変される前または後に増殖される。
【0361】
143. 実施形態142の細胞の集団であって、細胞の集団は、密度勾配遠心分離法によって産生される細胞の集団と比較した場合、培養時に少なくとも約1.5倍増加した能力を示す。
【0362】
144. 実施形態140の細胞の集団であって、細胞の集団は、密度勾配遠心分離法によって産生される細胞の集団と比較した場合、細胞培養中にT細胞メモリ組成物を保持する増加した能力を示し、培養時に少なくとも9日後に同じT細胞メモリ組成物を保持することを含む。
【0363】
145. 実施形態140の細胞の集団であって、細胞の集団は、密度勾配遠心分離法によって産生される細胞の集団と比較した場合、ウイルス形質導入に対する受容性において少なくとも30%の増加を示す。
【0364】
146. 実施形態140の細胞の集団であって、細胞の集団は、密度勾配遠心分離法によって産生される細胞の集団と比較した場合、テロメア長さにおいて少なくとも30%の増加を示す。
【0365】
147. 実施形態140の細胞の集団であって、細胞の集団は、密度勾配遠心分離法によって産生される細胞の集団と比較した場合、細胞培養中に、低分化ナイーブおよびセントラルメモリ細胞の相対的集団を保持する増加した能力を示し、培養中の少なくとも9日後に低分化ナイーブおよびセントラルメモリ細胞のほぼ同じ相対的集団を保持することを含む。
【0366】
148. 実施形態140の細胞の集団であって、細胞の集団は、密度勾配遠心分離法によって産生される細胞の集団と比較した場合、機能的殺傷能力において少なくとも30%の増加を示す。
【0367】
149. 実施形態140の細胞の集団であって、細胞の集団は、密度勾配遠心分離法によって産生される細胞の集団と比較した場合、培養中の9日後にIFNγ発現において少なくとも2倍の増加を示す。
【0368】
150. 実施形態140の細胞の集団であって、細胞の集団は、密度勾配遠心分離法によって産生される細胞の集団と比較した場合、培養中の9日後にGM-CSF発現においてなくとも1.5倍の増加を示す。
【0369】
151. 実施形態140の細胞の集団であって、細胞の集団は、密度勾配遠心分離法によって産生される細胞の集団と比較した場合、培養中の9日後にTNF-a発現において少なくとも10%の増加を示す。
【0370】
152. 実施形態140の細胞の集団であって、細胞の集団は、密度勾配遠心分離法によって産生される細胞の集団と比較した場合、生存可能性において少なくとも10%の増加を示す。
【0371】
153. 実施形態1~59のいずれかのシステムまたは実施形態60~99のいずれかの方法によって産生される細胞の集団であって、細胞の集団は、密度勾配遠心分離法によって産生される細胞の集団と比較した場合、1つ以上の生物学的性質の減少を示す。ここで、1つ以上の生物学的特性は、培養中に増殖して細胞の単一の治療用量相当量を産生するのに必要な時間、ベクターによって配送される遺伝子を発現するのに必要な時間、エフェクタまたはTemra細胞の相対的集団、IL-1Ra発現、IL-6発現、IL-13発現、MCP-1発現、PD1およびTim3共発現、細胞の老化または枯渇、サイトカイン放出症候群を引き起こす傾向、および患者に配送される前に必要とされる培養の時間からなるリストから選択される。
【0372】
154. 実施形態153の細胞の集団であって、細胞の集団は、密度勾配遠心分離法によって産生される細胞の集団と比較した場合、培養中に増殖して細胞の単一の治療用量相当量を産生するのに必要な時間の少なくとも3日の減少を示す。
【0373】
155. 実施形態153の細胞の集団であって、細胞の集団は、密度勾配遠心分離法によって産生される細胞の集団と比較した場合、ベクターによって配送される遺伝子を発現するのに必要な時間の少なくとも1日の減少を示す。
【0374】
156. 実施形態153の細胞の集団であって、細胞の集団は、密度勾配遠心分離法によって産生される細胞の集団と比較した場合、エフェクタまたはTemra細胞の相対的集団において少なくとも10%の減少を示す。
【0375】
157. 実施形態153の細胞の集団であって、細胞の集団は、密度勾配遠心分離法によって産生される細胞の集団と比較した場合、培養中の13日後にIL-1Ra発現において少なくとも40%の減少を示す。
【0376】
158. 実施形態153の細胞の集団であって、細胞の集団は、密度勾配遠心分離法によって産生される細胞の集団と比較した場合、培養中の13日後にIL-6発現において少なくとも60%の減少を示す。
【0377】
159. 実施形態153の細胞の集団であって、細胞の集団は、密度勾配遠心分離法によって産生される細胞の集団と比較した場合、IL-13発現において少なくとも10%の減少を示す。
【0378】
160. 実施形態153の細胞の集団であって、細胞の集団は、密度勾配遠心分離法によって産生される細胞の集団と比較した場合、MCP-1発現において少なくとも20%の減少を示す。
【0379】
161. 実施形態153の細胞の集団であって、細胞の集団は、密度勾配遠心分離法によって産生される細胞の集団と比較した場合、PD1およびTimp3共発現において少なくとも50%の減少を示す。
【0380】
162. 実施形態153の細胞の集団であって、細胞の集団は、密度勾配遠心分離法によって産生される細胞の集団と比較した場合、細胞の老化または枯渇において少なくとも50%の減少を示す。
【0381】
163. 実施形態153の細胞の集団であって、細胞の集団は、密度勾配遠心分離法によって産生される細胞の集団と比較した場合、サイトカイン放出症候群を引き起こす傾向の少なくとも20%の減少を示す。
【0382】
164. 実施形態153の細胞の集団であって、細胞の集団は、患者に配送される前に必要とされる培養の時間において少なくとも3日の減少を示す。
【0383】
165. 実施形態140~164のいずれか1つの細胞の集団であって、密度勾配遠心分離法によって産生される細胞の集団と比較した場合、1つ以上の生物学的特性の示された増加または減少は、産生後の少なくとも約0、3、6、9、13、又は16日後に明らかになる。
【国際調査報告】