(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-14
(54)【発明の名称】エアロゾル発生システム及びコンピュータ実施方法
(51)【国際特許分類】
A24F 40/53 20200101AFI20240206BHJP
A24F 40/20 20200101ALI20240206BHJP
A24F 40/65 20200101ALI20240206BHJP
A24F 40/60 20200101ALI20240206BHJP
【FI】
A24F40/53
A24F40/20
A24F40/65
A24F40/60
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023543433
(86)(22)【出願日】2022-02-18
(85)【翻訳文提出日】2023-07-19
(86)【国際出願番号】 EP2022054070
(87)【国際公開番号】W WO2022175449
(87)【国際公開日】2022-08-25
(32)【優先日】2021-02-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516004949
【氏名又は名称】ジェイティー インターナショナル エスエイ
【住所又は居所原語表記】8,rue Kazem Radjavi,1202 Geneva,SWITZERLAND
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100173565
【氏名又は名称】末松 亮太
(72)【発明者】
【氏名】エダルシェ,ステファヌ
(72)【発明者】
【氏名】デットマール,ブルクハルト
【テーマコード(参考)】
4B162
【Fターム(参考)】
4B162AA03
4B162AA22
4B162AB12
4B162AB22
4B162AD20
4B162AD40
4B162AD41
(57)【要約】
エアロゾル発生システムは、複数のエアロゾル発生基材のそれぞれを受け入れ、ユーザが吸入するそれぞれのエアロゾルを発生させるように構成される、エアロゾル発生デバイスと、発生したエアロゾルを吸入することに反応してユーザのユーザ反応データを受信するためのフィードバックインターフェースと、プリファレンス識別システムであって、複数のエアロゾル発生基材のそれぞれについて、フィードバックインターフェースからユーザ反応データを取得し、ユーザ反応データに基づいてユーザのための推奨エアロゾルを識別するように構成される、プリファレンス識別システムと、を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾル発生システムであって、
複数のエアロゾル発生基材のそれぞれを受け入れ、ユーザが吸入するそれぞれのエアロゾルを発生させるように構成される、エアロゾル発生デバイスと、
発生した前記エアロゾルを吸入することに反応して前記ユーザのユーザ反応データを受信するためのフィードバックインターフェースと、
プリファレンス識別システムであって、
前記複数のエアロゾル発生基材のそれぞれについて、前記フィードバックインターフェースからユーザ反応データを取得し、
前記ユーザ反応データに基づいて前記ユーザのための推奨エアロゾルを識別するように構成される、プリファレンス識別システムと、
を備える、エアロゾル発生システム。
【請求項2】
前記プリファレンス識別システムが、
複数のエアロゾル発生基材サンプルのそれぞれについて前記フィードバックインターフェースから初期ユーザ反応データを取得し、前記複数のエアロゾル発生基材サンプルが、パックで提供され、
前記初期ユーザ反応データに基づいて前記ユーザのための初期推奨エアロゾルを識別するように構成される、請求項1に記載のエアロゾル発生システム。
【請求項3】
前記複数のエアロゾル発生基材サンプルから発生したそれぞれの前記エアロゾルが、異なる組成物の感覚範囲にわたって分散される、請求項2に記載のエアロゾル発生システム。
【請求項4】
前記感覚範囲が、1つ又は複数のエアロゾル成分のそれぞれの強度範囲を含む、請求項3に記載のエアロゾル発生システム。
【請求項5】
前記プリファレンス識別システムが、
1つ又は複数の後続のエアロゾル発生基材について前記フィードバックインターフェースから後続のユーザ反応データを取得し、
前記後続のユーザ反応データ及び前記初期推奨エアロゾルに基づいて前記ユーザのための更新された推奨エアロゾルを識別するようにさらに構成される、請求項2~4のいずれか1項に記載のエアロゾル発生システム。
【請求項6】
前記プリファレンス識別システムが、
前記ユーザ反応データに基づいて前記ユーザのための複数の候補推奨エアロゾルを識別し、
前記複数の候補推奨エアロゾルをユーザインターフェースに提示するように構成される、請求項1~5のいずれか1項に記載のエアロゾル発生システム。
【請求項7】
前記エアロゾル発生デバイスが、前記複数のエアロゾル発生基材の少なくとも2つを同時に受け入れ、前記受け入れられたエアロゾル発生基材のどれがエアロゾルを発生させるために使用されるかを制御するように構成される、請求項1~6のいずれか1項に記載のエアロゾル発生システム。
【請求項8】
前記エアロゾル発生デバイスが、前記推奨エアロゾルの標識を受信し、前記受け入れられたエアロゾル発生基材のどれがエアロゾルを発生させるために使用されるかを前記推奨エアロゾルに基づいて制御するように構成される、請求項7に記載のエアロゾル発生システム。
【請求項9】
前記エアロゾル発生デバイスが、エアロゾル発生チャンバと、前記同時に受け入れられた複数のエアロゾル発生基材を混合し、混合されたエアロゾル発生基材を前記加熱チャンバに供給するように構成される基材混合要素と、を含む、請求項7又は8に記載のエアロゾル発生システム。
【請求項10】
前記プリファレンス識別システムが、前記ユーザ反応データ及びユーザ反応データをエアロゾルプリファレンスに関連付ける所定のモデルに基づいて前記推奨エアロゾルを識別するように構成される、請求項1~9のいずれか1項に記載のエアロゾル発生システム。
【請求項11】
前記プリファレンス識別システムが、
複数の訓練ユーザのそれぞれについてのユーザ反応データを取得し、
前記複数の訓練ユーザについてのユーザ反応データに基づいて推奨エアロゾルを予測するように前記モデルを訓練するように構成される、請求項10に記載のエアロゾル発生システム。
【請求項12】
前記フィードバックインターフェースが、前記ユーザの不随意反応を測定するためのセンサを含み、前記ユーザ反応データが、前記不随意反応の標識を含む、請求項1~11のいずれか1項に記載のエアロゾル発生システム。
【請求項13】
前記センサが、心拍数、血圧、皮膚温度、又は電気皮膚反応を測定するように構成される、請求項12に記載のエアロゾル発生システム。
【請求項14】
前記センサが、前記エアロゾル発生デバイスのハウジングの外表面上に配置される、請求項12又は13に記載のエアロゾル発生システム。
【請求項15】
前記フィードバックインターフェースが、発生した前記エアロゾルを吸入することに反応して前記ユーザから随意反応を受信するための随意反応インターフェースを含み、前記ユーザ反応データが、前記随意反応の標識を含む、請求項1~14のいずれか1項に記載のエアロゾル発生システム。
【請求項16】
前記フィードバックインターフェースが、発生した前記エアロゾルを前記ユーザが吸入しているときに前記エアロゾル発生デバイスにおけるエアロゾル吸入を測定するために配置された気流センサを含み、前記ユーザ反応データが、前記エアロゾル吸入の標識を含む、請求項1~15のいずれか1項に記載のエアロゾル発生システム。
【請求項17】
前記エアロゾル発生デバイスが、受け入れられたエアロゾル発生基材を識別するための基材識別手段を含み、前記ユーザ反応データが、前記受け入れられたエアロゾル発生基材の標識を含む、請求項1~16のいずれか1項に記載のエアロゾル発生システム。
【請求項18】
エアロゾル発生システムにおいて異なるそれぞれのエアロゾルをそれぞれが発生させるための複数のエアロゾル発生基材サンプルを含むパックであって、前記エアロゾルのそれぞれを吸入することに反応して取得されたユーザ反応データに基づいて推奨エアロゾルが識別され得るように、前記異なるそれぞれのエアロゾルが、異なる組成物の感覚範囲にわたって分散される、パック。
【請求項19】
請求項17に記載のパックと、前記複数のエアロゾル発生基材のそれぞれを受け入れ、ユーザが吸入するそれぞれのエアロゾルを発生させるように構成されるエアロゾル発生デバイスと、を含むキットであって、前記キットが、請求項1~16のいずれか1項に記載のエアロゾル発生システムにおいて使用するためのものである、キット。
【請求項20】
エアロゾル発生システムを制御する方法であって、前記エアロゾル発生システムが、
エアロゾル発生基材を受け入れ、ユーザが吸入するそれぞれのエアロゾルを発生させるように構成される、エアロゾル発生デバイスと、
発生した前記エアロゾルを吸入することに反応して前記ユーザのユーザ反応データを受信するためのフィードバックインターフェースと、
を備え、
前記方法が、
複数のエアロゾル発生基材のそれぞれについて、前記エアロゾル発生デバイスを使用してそれぞれのエアロゾルを発生させること、及び前記フィードバックインターフェースからユーザ反応データを取得することと、
前記ユーザ反応データに基づいて前記ユーザのための推奨エアロゾルを識別することと、
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、エアロゾル発生基材がデバイスのユーザによる吸入のためにエアロゾル化される、エアロゾル発生デバイスに関する。本開示は、また、エアロゾル発生デバイスによるエアロゾル発生を制御する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
(気化器としても知られる)リスク低減デバイス又はリスク修正デバイスの人気及び使用は、紙巻きタバコ、葉巻、シガリロ、及び巻きタバコなどの従来のタバコ製品の喫煙を止めることを望む常習的喫煙者を支援するための補助として、ここ数年で急速に成長している。従来のタバコ製品においてタバコを燃焼させるのとは対照的に、エアロゾル化可能物質を加熱又は加温する様々なデバイス及びシステムが利用可能である。
【0003】
そのようなデバイスの様々なユーザが、吸入するエアロゾルの組成物に対して様々なプリファレンスを有する。例えば、様々なユーザが、様々なニコチン濃度又は様々な風味を所望することがある。エアロゾル発生デバイスにおいて選択肢として使用されるある範囲のエアロゾル発生基材を提供することが知られている。このように、単一のエアロゾル発生デバイスに対してある範囲のエアロゾル組成物が提示され得る。
【0004】
しかしながら、既知のシステムでは、ユーザは、吸入するエアロゾルの推奨の組成物を識別する必要がある。ユーザがそれらの推奨エアロゾル組成物を識別することを支援することが可能な、エアロゾル発生システムを提供することが望ましい。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1の態様によれば、エアロゾル発生システムであって、
複数のエアロゾル発生基材のそれぞれを受け入れ、ユーザが吸入するそれぞれのエアロゾルを発生させるように構成される、エアロゾル発生デバイスと、
発生したエアロゾルを吸入することに反応してユーザのユーザ反応データを受信するためのフィードバックインターフェースと、
プリファレンス識別システムであって、複数のエアロゾル発生基材のそれぞれについて、フィードバックインターフェースからユーザ反応データを取得し、ユーザ反応データに基づいてユーザのための推奨エアロゾルを識別するように構成される、プリファレンス識別システムと、を備える、エアロゾル発生システムが提供される。
【0006】
ユーザ反応データは、不随意反応のデータ及び/又は随意反応のデータであってもよい。より具体的には、「不随意反応」は、意識的に選択されない、且つユーザの意識的な関与なしに測定され得るユーザの反応である。これに対して、「随意反応」は、例えばボタンを押すこと又はグラフィカルユーザインターフェースにおいて評価を入力することによる、故意のユーザフィードバックである。
【0007】
任意選択で、プリファレンス識別システムは、複数のエアロゾル発生基材サンプルのそれぞれについてフィードバックインターフェースから初期ユーザ反応データを取得し、複数のエアロゾル発生基材サンプルが、パックで提供され、初期ユーザ反応データに基づいてユーザのための初期推奨エアロゾルを識別するように構成される。このように、ユーザは、推奨エアロゾルを選択するため、及びユーザが将来有利に使用し得る対応するエアロゾル発生基材を識別するために、エアロゾル発生基材の初期セットを試行することを通してガイドされる。
【0008】
さらに、複数のエアロゾル発生基材サンプルから発生したそれぞれのエアロゾルが、任意選択で、異なる組成物の感覚範囲にわたって分散される。例えば、感覚範囲は、1つ又は複数のエアロゾル成分のそれぞれの強度のある範囲を含み得る。ある範囲のエアロゾル発生基材を含むサンプリングパックを提供することによって、ユーザが利用可能な範囲内で最も推奨されるエアロゾルをうまく識別する機会が改善される。
【0009】
任意選択で、プリファレンス識別システムは、1つ又は複数の後続のエアロゾル発生基材についてフィードバックインターフェースから後続のユーザ反応データを取得し、後続のユーザ反応データ及び初期推奨エアロゾルに基づいてユーザのための更新された推奨エアロゾルを識別するようにさらに構成される。このように、エアロゾル発生システムは、ユーザのための推奨エアロゾルの識別を反復して改善し得る。
【0010】
任意選択で、プリファレンス識別システムは、ユーザ反応データに基づいてユーザのための複数の候補推奨エアロゾルを識別し、複数の候補推奨エアロゾルをユーザインターフェースに提示するように構成される。ユーザに候補推奨エアロゾルのセットを提示することによって、システムは、ユーザが最も推奨のエアロゾルをうまく且つ単純に識別する機会をさらに改善する。
【0011】
さらに、プリファレンス識別システムは、任意選択で、候補推奨エアロゾルの中から推奨エアロゾルのユーザ選択を受信するように構成される。候補選択肢の中からのユーザ選択を可能にすることによって、エアロゾルを選択するための簡単なインターフェースがユーザに提供されると同時に、ユーザにとって特に好ましいエアロゾルが利用可能な選択肢(候補エアロゾル)に含まれる機会が増加する。
【0012】
任意選択で、エアロゾル発生デバイスは、複数のエアロゾル発生基材の少なくとも2つを同時に受け入れ、受け入れられたエアロゾル発生基材のどれがエアロゾルを発生させるために使用されるかを制御するように構成される。このように、エアロゾル発生デバイスは、少なくとも2つの異なるエアロゾルの生成を自動的に切り替えることができ、ある範囲のエアロゾルを試行する際のユーザの利便性を改善する。
【0013】
さらに、エアロゾル発生デバイスは、任意選択で、推奨エアロゾルの標識を受信し、受け入れられたエアロゾル発生基材のどれがエアロゾルを発生させるために使用されるかを推奨エアロゾルに基づいて制御するように構成される。このように、エアロゾル発生システムは、識別した推奨エアロゾルの発生を自動的に切り替え得る。
【0014】
追加的に、エアロゾル発生デバイスは、任意選択で、エアロゾル発生チャンバと、同時に受け入れられた複数のエアロゾル発生基材を混合し、混合されたエアロゾル発生基材を加熱チャンバに供給するように構成される基材混合要素と、含む。このように、エアロゾル発生デバイスは、新たなエアロゾル発生基材を作り出し、ユーザは、可能なエアロゾル発生基材の所定のセットに限定されることなく推奨エアロゾルをより大きな精度まで識別し得る。
【0015】
任意選択で、プリファレンス識別システムは、ユーザ反応データ及びユーザ反応データをエアロゾルプリファレンスに関連付ける所定のモデルに基づいて推奨エアロゾルを識別するように構成される。所定のモデルを使用することによって、ユーザの推奨エアロゾルが特定ユーザからのより少ないデータを用いてより正確に識別され得る。
【0016】
任意選択で、プリファレンス識別システムは、複数の訓練ユーザのそれぞれについてのユーザ反応データを取得し、複数の訓練ユーザについてのユーザ反応データに基づいて推奨エアロゾルを予測するようにモデルを訓練するように構成される。訓練されたモデルは、その後、特定ユーザからのより少ないデータを用いてユーザの推奨エアロゾルを識別するために使用され得る。
【0017】
任意選択で、フィードバックインターフェースは、ユーザの不随意反応を測定するためのセンサを含み、ユーザ反応データが、不随意反応の標識を含む。不随意反応を使用することによって、ユーザフィードバックが不随意反応を用いて自動的に収集され、システムがエアロゾルプリファレンスを正確に指示又は定量化するためにユーザに頼らなくてもよいため、システムの正確性及び利便性が改善される。
【0018】
任意選択で、センサは、心拍数、血圧、皮膚温度、又は電気皮膚反応を測定するように構成される。これらのいずれかが、ユーザが直接制御できない反応であり、リラクゼーション若しくはストレスのレベルを推測するため、又はユーザエクスペリエンスの品質を推測するために使用され得る反応である。
【0019】
任意選択で、センサは、エアロゾル発生デバイスのハウジングの外表面上に配置される。この配置では、ユーザがエアロゾル発生デバイスを保持しているときに、センサは、ユーザの近くにあるか又は直接接触していてもよく、不随意反応は、エアロゾル発生デバイスを使用する以外のユーザによるいかなる追加のアクションも必要とすることなく測定され得る。
【0020】
任意選択で、フィードバックインターフェースは、発生したエアロゾルを吸入することに反応してユーザから随意反応を受信するための随意反応インターフェースを含み、ユーザ反応データは、随意反応の標識を含む。随意反応を取得することによって、システムは、不随意反応の解釈を校正することにより、推奨エアロゾルの識別の正確性を改善し得る。代替として、随意反応が受信される場合、システムは、不随意反応を測定しないことによって簡略化が可能である。
【0021】
任意選択で、フィードバックインターフェースは、発生したエアロゾルをユーザが吸入しているときにエアロゾル発生デバイスにおけるエアロゾル吸入を測定するために配置された気流センサを含み、ユーザ反応データは、エアロゾル吸入の標識を含む。エアロゾル吸入を測定することによって、プリファレンス識別システムは、追加的に、エアロゾルのユーザ認識の基準として吸入の期間又はエアロゾルが吸入される回数に基づいて、推奨エアロゾルを識別することができ、それにより、推奨エアロゾルをより正確に識別する。
【0022】
任意選択で、エアロゾル発生デバイスは、受け入れられたエアロゾル発生基材を識別するための基材識別手段を含み、ユーザ反応データは、受け入れられたエアロゾル発生基材の標識を含む。基材識別手段を提供することによって、ユーザが使用したエアロゾル発生基材をユーザがプリファレンス識別システムに手動で伝える必要がなく、正確性及びユーザの利便性が改善される。
【0023】
任意選択で、プリファレンス識別システムは、不随意反応データに基づいてユーザの健康特性を判断するようにさらに構成され、推奨エアロゾルを識別することは、健康特性に基づいてエアロゾル発生基材を許可又は阻止することを含む。判断された健康特性に基づいて利用可能なエアロゾルを制御することによって、ユーザにより適しているとみられるエアロゾルが選択され得る。
【0024】
第2の態様によれば、本開示は、エアロゾル発生システムにおいて異なるそれぞれのエアロゾルをそれぞれが発生させるための複数のエアロゾル発生基材サンプルを含むパックであって、エアロゾルのそれぞれを吸入することに反応して取得されたユーザ反応データに基づいて推奨エアロゾルが識別され得るように、異なるそれぞれのエアロゾルが、異なる組成物の感覚範囲にわたって分散される、パックを提供する。
【0025】
第3の態様によれば、本開示は、第2の態様によるパックと、複数のエアロゾル発生基材のそれぞれを受け入れ、ユーザが吸入するそれぞれのエアロゾルを発生させるように構成されるエアロゾル発生デバイスと、を含むキットであって、キットが、第1の態様によるエアロゾル発生システムにおいて使用するためのものである、キットを提供する。
【0026】
第4の態様によれば、本開示は、第1の態様によるエアロゾル発生システムを動作させるための方法及びコンピュータプログラムを提供する。コンピュータプログラムは、メモリ記憶媒体若しくはデータ信号に命令として記憶されてもよく、又は回路にハードコードされてもよい。特に、プリファレンス識別システムは、エアロゾル発生デバイス及びフィードバックインターフェースに位置するか、又はエアロゾル発生デバイス及びフィードバックインターフェースと通信するコンピューティングシステム上で実行されるソフトウェアとして実施され得る。より具体的には、本開示は、エアロゾル発生システムを制御する方法であって、エアロゾル発生システムが、エアロゾル発生基材を受け入れ、ユーザが吸入するそれぞれのエアロゾルを発生させるように構成される、エアロゾル発生デバイスと、発生したエアロゾルを吸入することに反応してユーザのユーザ反応データを受信するためのフィードバックインターフェースと、を含み、方法が、複数のエアロゾル発生基材のそれぞれについて、エアロゾル発生デバイスを使用してそれぞれのエアロゾルを発生させること、及びフィードバックインターフェースからユーザ反応データを取得することと、ユーザ反応データに基づいてユーザのための推奨エアロゾルを識別することと、を含む、方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】本発明による、エアロゾル発生デバイス及びパックを概略的に示すブロック図である。
【
図2】実施形態による、エアロゾル発生システムを概略的に示すブロック図である。
【
図3】エアロゾル発生システムを制御するコンピュータ実施方法を概略的に示すフローチャートである。
【
図4】エアロゾル発生システムを制御する方法の任意選択の特徴を概略的に示すフローチャートである。
【
図5A】エアロゾル発生システムを制御する方法のさらなる任意選択の特徴を概略的に示すフローチャートである。
【
図5B】推奨エアロゾルを識別するための訓練済みモデルのグラフィック描写である。
【
図5C】モデルを訓練する方法を概略的に示すフローチャートである。
【
図6】本発明による、代替のエアロゾル発生デバイスを概略的に示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図1Aは、本発明によるエアロゾル発生システムにおける使用のためのエアロゾル発生デバイスを概略的に示す。
【0029】
エアロゾル発生デバイス1は、エアロゾル発生チャンバ12及び制御回路13を含む。
【0030】
エアロゾル発生チャンバ12は、エアロゾル発生基材11を受け入れるように構成される。エアロゾル発生チャンバ12は、例えば、エアロゾル発生基材11が挿入及び除去されることを可能にする開口部を一端に有する、ポットの形態をとり得る。
【0031】
エアロゾル発生基材11は、例えば、エアロゾル発生デバイス内に容易に挿入され、且つエアロゾル発生デバイスから除去され得る、固形パッケージの形態をとり得る。代替として、エアロゾル発生基材は、ばらばらの材料又は液体であってもよい。一例として、基材は、タバコを含み得る。タバコは、例えば、タバコ粉末及びエアロゾル形成剤を含むランダムに配向されたタバコストランドを含み得る。
【0032】
エアロゾル発生デバイス1は、エアロゾル発生基材11からエアロゾルを発生させるように構成され、それによりエアロゾルがユーザによって吸入され得る。
図1の実施形態では、エアロゾルは、ヒータ121を用いてエアロゾル発生基材11を加熱することによって発生する。ヒータは、例えば、薄膜ヒータ若しくはセラミックヒータの形態でエアロゾル発生チャンバ12の少なくとも一側上に配置されてもよく、又は例えばブレードヒータの形態で、エアロゾル発生チャンバ12内に位置してもよい。エアロゾルは、代わりにアトマイザ又はネブライザなどの他の手段によって発生されてもよい。
【0033】
エアロゾル発生デバイス1は、ユーザがエアロゾル発生チャンバ12において発生したエアロゾルを取得するためのマウスピースをさらに含み得る。代替として、
図1に示されるように、エアロゾル発生基材11は、使い捨てマウスピースを含むパッケージの一部として提供され得る。より具体的には、
図1の例において、エアロゾル発生基材11は、包材111が基材11及びフィルタ112を封入する、紙巻きタバコ形式のパッケージで提供される。
【0034】
制御回路13は、加熱素子121を制御し、それによりエアロゾルの発生を制御するように構成される。制御回路13は、エアロゾルの発生を制御及び駆動するために電力源から電力を引き出すように構成される。電力源は、好ましくは、例えば電池14の形態をとって、エアロゾル発生デバイスに含まれる。代替として、制御回路13には、外部電源が提供されてもよい。
【0035】
ここで
図1Bを参照すると、エアロゾル発生基材11は、複数のエアロゾル発生基材サンプル11B~11Eを含むパック2の一部として提供され得る。複数のエアロゾル発生基材サンプル11B~11Eのそれぞれが、異なるエアロゾルを発生させる、異なるエアロゾル発生基材であってもよい。
【0036】
複数のエアロゾル発生基材サンプルから発生したそれぞれのエアロゾルは、異なる組成物の感覚範囲にわたって分散され得る。ユーザは、それぞれのエアロゾルに異なる反応をし、したがって、エアロゾル発生基材の範囲は、ある範囲の異なるユーザ反応データを作り出し、ユーザ反応データは、推奨エアロゾルを識別するために使用され得る。
【0037】
より具体的には、エアロゾル発生基材は、1つ又は複数のエアロゾル成分のそれぞれの、ある範囲の強度を有してもよい。例えば、異なる基材が、異なる強度のニコチン、又は異なる強度のミントなどの風味を有してもよい。
【0038】
図1Bに示されるパック2は、エアロゾル発生システムで使用するためのキットとして、
図1Aに示されるエアロゾル発生デバイス1と共に提供され得る。
【0039】
再び
図1Aを参照すると、本実施形態では、エアロゾル発生デバイス1は、また、発生したエアロゾルを吸入することに反応したユーザ反応データとして、ユーザの不随意反応を測定するように構成されるセンサ15を含む。不随意反応は、例えば、覚醒又は肯定的/否定的な感情を示し得る。センサ15によって測定され得る不随意反応は、覚醒の指標として心拍数、血圧、若しくは電気皮膚反応(電気皮膚反応は発汗と相関する)、又は感情について指標としての皮膚温度を含む。不随意反応は、例えば、あるサンプリングレートでサンプリングされ、雑音及びベースラインの影響を低下させるために平均化又は正規化されてもよい。
【0040】
センサ15は、例えば、エアロゾル発生デバイスのハウジングの外表面上に配置されてもよい。この位置では、センサ16は、ユーザがエアロゾル発生デバイスを保持しているときにユーザの手に接触し、指先を通して反応を測定することができる。例えば、ハウジングに位置するセンサは、電気皮膚反応及び皮膚温度を測定することに特に適している場合がある。
【0041】
追加的に、
図1に示される実施形態では、エアロゾル発生デバイス1は、発生したエアロゾルをユーザが吸入しているときに、エアロゾル発生デバイス1におけるエアロゾル吸入を測定するために配置された気流センサ16を含む。この測定された吸入は、ユーザ反応データの一部として使用され得る。気流センサ16は、マウスピース内若しくはマウスピースの側に位置してもよく、又はエアロゾル発生チャンバ12のその他の場所に位置してもよい。気流センサ16は、ユーザによるエアロゾル吸入を測定するように構成される。この測定されたエアロゾル吸入は、連続吸入の長さ若しくは量、吸入の頻度若しくは発生回数、及び/又は吸入の強度若しくは圧力降下を含み得る。測定されたエアロゾル吸入は、推奨エアロゾルを識別する際に使用され得る。例えば、多数の又は割合のパフは、楽しい又は心地よいエアロゾルを示し得るが、少数の又は割合のパフは、より長く続く反応を引き起こすエアロゾルを提案し得る。
【0042】
より一般的には、本発明のエアロゾル発生システム(エアロゾル発生デバイス1を含む)は、発生したエアロゾルを吸入することに反応してユーザのユーザ反応データを受信するためのフィードバックインターフェースを含む。フィードバックインターフェースは、センサ15及び/若しくは気流センサ16、並びに/又は発生したエアロゾルを吸入することに反応してユーザの不随意反応データを収集する1つ若しくは複数のさらなるセンサを含み得る。
【0043】
フィードバックインターフェースは、エアロゾル発生デバイスから分離していてもよく、それぞれがエアロゾル発生デバイスの一部であるか又はエアロゾル発生デバイスから分離している多重インターフェースを含み得る。
【0044】
図2は、実施形態による、エアロゾル発生システムを概略的に示すブロック図である。
【0045】
図2を参照すると、フィードバックインターフェースは、スマートウォッチなどのウェアラブルデバイス3内のセンサを含み得る。ウェアラブルセンサは、特に、皮膚を通して心拍数又は血圧などの不随意反応を測定することに適している場合があり、指先を通して反応を測定することは容易ではない。
【0046】
図2に追加的に示されるように、フィードバックインターフェースは、スマートフォン4などのディスプレイを有するスマートデバイス内のセンサを含み得る。ウェアラブルデバイス3及びスマートフォン4のいずれかが、ワイヤレス通信モジュール17(
図1にも示される)を介して、且つ任意選択ではまた、ワイヤレスローカルエリアネットワーク(WLAN)などのネットワーク5を介して、エアロゾル発生デバイス1と通信し得る。
【0047】
不随意反応データを取得するように構成されたセンサに加えて、フィードバックインターフェースは、随意反応データの形態でユーザ反応データを受信し得る。例えば、スマートフォン4は、ユーザがフィードバックを与えるためのプロンプトを表示してもよい。ユーザフィードバックは、例えば1~5の星のスケールでのエアロゾルの評価などの感情的な好みのスコア、又は任意の他の評価の形態をとり得る。ユーザフィードバックは、また、現在のエアロゾルと以前使用されたエアロゾルとの比較の形態をとってもよい。
【0048】
以下でさらに検討されるように、エアロゾル発生システムは、プリファレンス識別システムをさらに含む。プリファレンス識別は、制御回路13において実施されてもよいが、より好ましくは、リモート処理ユニット6において少なくとも部分的に実施される。リモート処理ユニット6は、例えば、物理サーバ又はクラウドサーバであってもよい。リモート処理ユニット6は、例えば、1つより多くの物理サーバ又はクラウドサーバを含むシステムでもあってもよい。
【0049】
制御回路13を動作させる方法が、フローチャートを用いて
図3に概略的に示されている。この方法は、コンピュータプログラム命令として制御回路13及び/又はスマートフォン4及び/又はリモート処理ユニット6内のメモリに記憶され得る。方法を定義する命令は、ネットワーク接続を介するなど通信信号を用いて、又はコンピュータ可読記憶媒体を用いてインストール又は更新され得る。代替として、制御回路13、スマートフォン4、及び/又はリモート処理ユニット6は、特定用途向け集積チップ(ASIC)又は方法を実行するように構成された他のカスタムハードウェアを含み得る。
【0050】
図3を参照すると、ステップS1において、制御回路13は、エアロゾル発生チャンバ12を制御して、複数の異なるエアロゾル発生基材のそれぞれに従ってエアロゾルを発生させる。
【0051】
それぞれの異なるエアロゾルの発生は、異なるエアロゾル発生基材からエアロゾルを発生させること、及び/又は加熱素子121によってエアロゾル発生の異なる強度でエアロゾルを発生させることを含み得る。
【0052】
例えば、ステップS1は、ユーザがパック2の基材11B~11Eのそれぞれ(
図1B)をエアロゾル発生デバイス1内へ交換することと、エアロゾル発生デバイス1が各基材からそれぞれのエアロゾルを発生させることと、を含んでもよい。
【0053】
異なるエアロゾルは、好ましくは、個別のユーザによって好まれると知られる所定のエアロゾルの範囲を含む。代替的に、エアロゾルプリファレンスは、多数であるが有限個の可能なエアロゾルプリファレンスに制約され得る。
【0054】
ステップS2において、プリファレンス識別システムは、エアロゾル発生デバイスのユーザについてのユーザ反応データを取得する。ステップS2は、ステップS1の異なるエアロゾルのそれぞれについて実行され、したがって、ステップS2は、ステップS1と並行して実行される。
【0055】
ステップS1及びS2が実行されて、複数の異なるエアロゾルが発生し、設定ごとにユーザ反応データが取得されると、ステップS3において、制御回路13は、ユーザ反応データに基づいてユーザのための推奨エアロゾルを識別する。
【0056】
例えば、ステップS3において、制御回路13は、ユーザの最大のリラクゼーションを示す不随意反応に関連するエアロゾルを識別し得る。より具体的な例では、センサ15が心拍数を測定する場合に、最低心拍数を含む不随意反応を促したエアロゾルが、推奨エアロゾルとして識別され得る。制御回路13は、次いで、識別されたエアロゾルをデフォルトエアロゾルとしてメモリに記憶し得る。
【0057】
ステップS1~S3は、ユーザの推奨エアロゾルを向上した精度で識別するために反復して実行され得る。例えば、ステップS1の最初の反復は、パック2内の複数のエアロゾル発生基材11のそれぞれからエアロゾルを発生させることを含み得る。最初の反復は、純粋なエアロゾル発生基材のどれがユーザに最も好ましいエアロゾルを与えるかを、初期推奨エアロゾルとして識別し得る。ステップS1~S3の後続の反復は、次いで、1つ又は複数の後続のエアロゾル発生基材について後続のユーザ反応データをフィードバックインターフェースから取得し、後続のユーザ反応データ及び初期推奨エアロゾルに基づいて、更新された推奨エアロゾルを識別し得る。
【0058】
プリファレンス識別システムは、エアロゾル発生デバイス1内の制御回路13によって直接実施されるソフトウェアであってもよい。代替として、プリファレンス識別システムの機能は、リモート処理ユニット5において少なくとも一部実行され得る。例えば、プリファレンス識別システムは、推奨エアロゾルを識別するために制御回路13により得られた生データを分析することによって、ステップS3の少なくとも一部を実行し得る。プリファレンス識別システムは、実験計画(DoE)手法に従うことなどによって複雑な学習分析を実行してもよく、エアロゾルに対する不随意反応の多次元マップを生成し得る。このようなマップは、Tucker-1主成分分析(PCA)に基づき得る。
【0059】
図4は、
図3に示された方法の任意選択の特徴を示す概略フローチャートである。ステップS1及びS2は、
図3の上述した方法と同一であり、再度説明しない。
【0060】
図4を参照すると、以前収集されたユーザ反応データに基づくエアロゾルの選択がユーザに提示される。
【0061】
ステップS31において、制御回路13又はリモート処理ユニット5は、少なくとも1つの、好ましくは複数の候補推奨エアロゾルを識別する。この方法では、推奨エアロゾルを1つだけ自動的に選択する必要はなく、複数のエアロゾルが候補として識別され得る。
【0062】
ステップS32において、候補推奨エアロゾルが、ユーザインターフェースに提示される。例えば、候補は、エアロゾル発生デバイス1又はスマートデバイス3のユーザインターフェース上に提示されてもよい。
【0063】
例えば、候補推奨エアロゾルは、感覚マップとして提示されてもよく、ユーザは感覚マップから推奨エアロゾルを選択し得る。
【0064】
ステップS33において、ユーザインターフェースは、使用予定の推奨エアロゾルのユーザ選択を受信する。選択されたエアロゾルは、次いで、エアロゾル発生デバイス1の制御回路13に直接的又は間接的に通信される。
【0065】
ステップS4において、制御回路13は、エアロゾル発生チャンバ12を制御して、ステップS3(ステップS31~S33)で識別された推奨エアロゾルを発生させる。ステップS4は、ユーザが望むたびに推奨エアロゾルを用いて繰り返され得る。
【0066】
ステップS3に対する修正及びステップS4の追加が、
図3の方法の独自の可能な修正である。言い換えると、推奨エアロゾルが識別される任意の方法の後に、ステップS4が続き得る。同様に、ステップS31~S33は、その後に続いてステップS34を実行しなくても、実行され得る。場合によっては、ステップS33及びS34が省略されてもよく、ユーザは、ステップS32において提示された候補推奨エアロゾルに基づいて、エアロゾル発生デバイス1を手動で制御してもよい。
【0067】
図5Aは、
図3に示された方法のさらなる任意選択の特徴を示す概略フローチャートである。これは、
図4に示された第1の修正と組み合わされてもよい。ステップS1及びS2は、
図3の上述した方法と同一であり、再度説明しない。
【0068】
図5Aの修正された方法では、
図3のステップS3は、代替ステップS34と置換され、ステップS34において、プリファレンス識別システムは、ステップS2において取得されたユーザ反応データに基づいて、且つユーザ反応データをエアロゾルプリファレンスに関連付ける所定のモデルに基づいて、ユーザのための推奨エアロゾルを識別する。
【0069】
モデルは、また、推奨エアロゾルよりも多くのことを予測するために拡張され得る。例えば、モデルは、ユーザ反応データに基づいてユーザの健康特性を判断するように訓練されてもよく、可能な次のエアロゾルの識別において、ユーザ反応データに応じてエアロゾル発生基材の使用を許可又は阻止する。一例では、前のエアロゾルに対する反応が高濃度の有効成分を有した場合、有効成分の量が閾値未満に制限されるエアロゾル発生設定が、識別され得る。
【0070】
図5Bは、ステップS34で使用され得る所定のモデルの例としての表現を示す。より具体的には、
図5Bは、目盛りが付された「フルーティー」風味特性及び効果特性(ニコチン強度など)に対する随意反応データ、即ち「好み」の2Dヒートマップ及び3Dグラフを示す。2Dヒートマップ及び3Dグラフは、モデルの一部しかを表すことができず、モデルは、心拍数及び電気皮膚反応などの不随意反応データと随意反応データとの関係も説明する。例えば、訓練済みモデルは、一連のグラフ、1つ若しくは複数の表、又はより好ましくはモデルのパラメータ定義を含んでもよい。個別のユーザについてステップS2で得られたユーザ反応データにモデルを適合させることによって、プリファレンス識別システムは、個々のユーザについて予測される「好み」の最高点を識別することができ、最高点に関連付けられたエアロゾルngを推奨エアロゾルとして識別し得る。
【0071】
図5Cは、ユーザのための推奨エアロゾルを予測するためのモデルを訓練する方法を示す概略フローチャートである。この方法は、デバイスの初期訓練ユーザのテストサンプルを用いて複数のエアロゾル発生デバイスと通信するプリファレンス識別システムによって実行され得る。代替として、
図5Cの方法は、デバイスが幅広く展開されるときにデバイスユーザの全て又はそのサブセットからのユーザ反応に基づいて、モデルを改善するために連続的に実行され得る。
【0072】
図5Cを参照すると、ステップS5において、プリファレンス識別システムは、モデルの訓練に関与する複数の訓練ユーザのそれぞれについての反応データを、1つ又は複数のエアロゾル発生デバイスから収集する。ステップS51及びS52は、
図3のステップS1及びS2と同様であってもよい。
【0073】
ステップS6において、ユーザ反応データは、次いでモデルを訓練するために収集される。具体的には、モデルは、ユーザ反応データに基づいてユーザの推奨エアロゾルを予測するように訓練され、訓練は、複数の訓練ユーザについてのユーザ反応データに基づく。訓練されたモデルは、次いで
図5AのステップS34において、特定のエアロゾル発生デバイス1においてユーザ反応データに基づいて推奨エアロゾルを識別するために使用され得る。
【0074】
例えば、訓練済みモデルは、制御回路13又はリモート処理ユニット5に記憶された所定のモデルとして提供されて、ユーザ反応データと推奨エアロゾルとの間のマッピングを行ってもよい。したがって、
図5Cの方法は、
図5Aの方法とは完全に別個に実行されてもよい。
【0075】
ステップS6は、任意の機械学習技術を用いて実行され得る。例えば、訓練は、主成分分析(PCA)、一般化線形回帰モデル(GLM)、又は部分的最小二乗(PLS)分析に基づいてもよい。
【0076】
このような機械学習は、推奨エアロゾル以外のプロパティを予測するためにも使用され得る。例えば、機械学習は、覚醒及び誘意性などの、より一般的な反応特性に生のユーザ反応データをまとめるために使用されてもよい。
【0077】
図6は、本発明によるエアロゾル発生システムにおける使用のための代替エアロゾル発生デバイスを概略的に示す。
【0078】
本実施形態では、エアロゾル発生基材は、揮発油などの液体エアロゾル基材であり、タバコ又はニコチンなどのタバコ抽出物を含み得る。
【0079】
エアロゾル発生デバイス1は、複数の基材貯蔵チャンバ11、エアロゾル発生チャンバ12、及び制御回路13を含む。基材貯蔵チャンバ11はそれぞれ、エアロゾル発生基材を貯蔵し、エアロゾル発生チャンバ12は、エアロゾル発生基材のそれぞれから各エアロゾル成分を発生させ、エアロゾル成分を混合してエアロゾルを形成するように構成される。制御回路13は、エアロゾル発生チャンバ12を制御し、基材貯蔵チャンバ11からエアロゾル発生チャンバ12へのエアロゾル発生基材の供給を制御するように構成される。
【0080】
各チャンバ11に貯蔵されたエアロゾル発生基材は、異なるエアロゾル成分を作り出す異なる基材であり得る。例えば、各エアロゾル発生基材は、異なる風味を有してもよい。代替として、2つ以上の基材貯蔵チャンバ11が、同一のエアロゾル発生基材を含んでもよい。
【0081】
任意選択で、基材貯蔵チャンバ11は、着脱可能カートリッジ111内に一緒に設けられてもよく、着脱可能カートリッジ111は、貯蔵されたエアロゾル発生基材が使用された後で基材貯蔵チャンバ11を交換するために使用されてもよい。着脱可能カートリッジ111は、
図1Bのパック2と比較され得る。代替として、基材貯蔵チャンバ11のそれぞれが個別に交換可能であり得る。
【0082】
3つの基材貯蔵チャンバ11が
図6に示されているが、任意の数の1つ、2つ又はそれ以上の基材貯蔵チャンバ11が使用されてもよい。
【0083】
各エアロゾル発生基材は、その基材貯蔵チャンバ11から管18を介してエアロゾル発生チャンバ12に搬送される。管18は、液体エアロゾル発生基材が駆動圧力を必要とすることなく管18に沿って流れるような毛細管であってもよい。代替として、管18は、各エアロゾル発生基材を管18に沿って駆動するための1つ又は複数のポンプを含んでもよい。
【0084】
管18は、基材貯蔵チャンバ11からエアロゾル発生チャンバ12へのエアロゾル発生基材の流れを制御するためのバルブ181を含む。各バルブ181は、対応するエアロゾル成分を発生させるためのそれぞれのエアロゾル発生基材の必要量に従って、全閉と全開との間のどこかであるように制御され得る。
【0085】
管18は、エアロゾル発生基材を混合し、混合されたエアロゾル発生基材をエアロゾル発生チャンバ12に供給するように構成された基材混合要素として機能する。より具体的には、管18の別個の分岐は、各基材貯蔵チャンバ11に接続し、エアロゾル発生基材がエアロゾル発生チャンバ12に到達する前に混合されるようにバルブ181の後で併合する。
【0086】
エアロゾル発生チャンバは、エアロゾル発生基材のそれぞれを加熱することによって各エアロゾル成分を発生させるように構成された加熱素子121を含む。本実施形態では、加熱素子は、管18の周囲に巻かれた抵抗コイルである。代替として、加熱素子は、例えば平面膜ヒータであってもよい。
【0087】
管18の分岐に起因して、エアロゾル発生基材は、加熱素子121に到達する前に既に混合され、したがってエアロゾル成分が同時に発生し、混合される。
【0088】
エアロゾルを作り出すために一旦エアロゾル成分が混合されると、エアロゾル発生デバイスのユーザは、入口122を通してエアロゾル発生チャンバ12内へ、且つマウスピース123を通してエアロゾル発生チャンバ12から、空気を引き込むように吸入することによって、デバイスからエアロゾルを吸うことができる。
【0089】
図6のエアロゾル発生デバイスは、成分の混合物を含み得るエアロゾルをもたらす。制御回路13は、エアロゾル発生チャンバ12によって発生したこれらのエアロゾル成分の比率を調整するように構成される。より具体的には、制御回路13は、加熱素子121を制御するように構成され、且つバルブ181を制御して、加熱素子121に到達する混合液体内のエアロゾル発生基材の比率を設定するように構成され、それによって組み合わされた液体を加熱することによって作り出されるエアロゾル成分の比率を設定する。
【0090】
制御回路13は、上述した方法のうちの1つを用いて識別される推奨エアロゾルに基づいて、エアロゾル発生基材の比率を制御し得る。そのような実施形態では、推奨エアロゾルは、推奨エアロゾルに含まれる既知の可能なエアロゾル成分のセットの相対量を用いて数値として示され得る。
【0091】
追加的に、制御回路13は、混合されたエアロゾル発生基材の比率を制御することによって、可能なエアロゾルのランダムなサブセットごとにエアロゾルを発生させ得る。エアロゾル発生にランダム性を導入することによって、可能なエアロゾルのより完全な調査が実現され得る。
【0092】
図6の例は、チャンバ11に貯蔵された液体基材について説明されているが、成分を混合する概念は、例えば粉末状の基材成分を混合することによって、固体基材に適用され得る。
【0093】
図1及び
図6に示される実施形態のいずれかにおいて、エアロゾル発生デバイスは、エアロゾル発生デバイスにおいて使用されている基材11を識別するために、基材識別手段19をさらに含み得る。例えば、
図1のエアロゾル発生デバイスは、包材111上のバーコードを読み取るように構成され得る。同様に、
図6のエアロゾル発生デバイスは、着脱可能カートリッジ111から識別子チップを読み取るように構成され得る。識別された基材は、次いで、フィードバックインターフェース、又は推奨エアロゾルの識別に使用するプリファレンス識別システムに提供され得る。基材を自動的に識別することによって、プリファレンス識別システムは、使用されているエアロゾル発生基材を手動で示す必要なしに、ユーザ反応データを特定のエアロゾル発生基材に関連付けることができ、それによりエアロゾル発生システムの正確性及び利便性が改善される。
【0094】
使用例
ここで、上述したエアロゾル発生システムがどのように使用され得るかについての特定の例を提供する。
【0095】
まず、最初の起動後、エアロゾル発生システムは、初期学習段階を実行する。
【0096】
初期学習段階は、異なるエアロゾルをそれぞれ発生させる、15の異なるエアロゾル発生セッションをもたらすことを含む。各セッションの間、エアロゾル発生デバイスは、心拍数、血圧、皮膚温度、及び電気皮膚反応を含む不随意反応データをモニタリングし、エアロゾル吸入もモニタリングする。各セッションの後、ユーザは、スマートフォン4上のアプリケーションにおいてエアロゾルを評価することによって、随意反応データを提供する。エアロゾル発生デバイスは、不随意反応データ、吸入データ、及び随意反応データを含むユーザ反応データを、プリファレンス識別システムとして機能するリモート処理ユニット6に通信する。
【0097】
リモート処理ユニットは、データを受信及び分析して、プリファレンスパターンを判断する。
【0098】
リモート処理ユニット6は、プリファレンスパターンをスマートフォン4上のアプリケーションに送信し、スマートフォン4のアプリケーションは、
・異なるエアロゾル発生基材の感覚マップ上でプリファレンスを示す等高線プロット、
・それぞれの異なるエアロゾル発生基材又は発生したエアロゾルを制御するそれぞれの他の要因にどのくらい良く又は悪くユーザが反応したかを示す棒グラフ、
・ユーザのプリファレンスの自動生成テキストサマリ、及び
・ユーザのリラクゼーション又は覚醒にセッションがどのように影響したかについてのフィードバック
の形態で、ユーザにフィードバックを提供する。
【0099】
上記初期学習段階が完了すると、リモート処理ユニット5は、ユーザが楽しめる可能性が高い新たなエアロゾルについての提案をもたらし得る。提案は、スマートフォン3上のアプリケーションにおいて提供されてもよい。例えば、提案は、さらなる感覚マップ上に表示されてもよい。
【0100】
提案は、上述した機械学習モデルに基づいて生成されてもよい。さらに、エアロゾルを提案するための1つ又は複数のユーザパラメータを識別するために、反応データが分析され得る。例えば、潜在的なエアロゾルを分類し、特定ユーザに魅力的であるとみられる、提案されたエアロゾルを生成するために、狩野(Kano)モデルを使用して、「マストアイテム」、「パフォーマンスの原動力」、又は「魅力的なもの」を識別してもよい。
【0101】
ユーザが、提案されたエアロゾルを選択したいとき、これをエアロゾル発生デバイス1に示す。好適な例では、スマートフォン3上のアプリケーションが、(例えば、感覚マップ上の選択として)選択を受信し、選択をエアロゾル発生デバイス1に通信するように構成される。代替として、ユーザは、エアロゾル発生デバイス1のインターフェースにおいてエアロゾルを制御することによって、又は推薦されたエアロゾル発生基材をエアロゾル発生デバイス1に手動で挿入することによって、選択を示してもよい。
【0102】
エアロゾルが選択されると、エアロゾル発生デバイスは、選択されたエアロゾルを発生させるエアロゾル発生セッションをもたらし、さらなるフィードバック及び提案を提供するために、選択されたエアロゾルに基づいてさらなるユーザ反応が測定される。
【0103】
上述した方法では、推奨エアロゾルが、随意反応データ、吸入データ、及び不随意反応データを含むユーザ反応データに基づいて識別される。ユーザプリファレンスを査定するために、他のデータも使用されてもよい。例えば、日付、時間、曜日、及び場所などの環境パラメータが、ユーザプリファレンス及び習慣のパターンを識別するために使用されてもよい。
【0104】
図1及び
図6の実施形態の両方において、それぞれの異なるエアロゾルは、異なるエアロゾル発生基材からエアロゾルを発生させること、及び/又は加熱素子121によってエアロゾル発生の異なる強度でエアロゾルを発生させることを含み得る。
【0105】
異なるエアロゾルは、好ましくは、個別のユーザによって好まれると知られる所定のエアロゾルの範囲を含む。代替的として、エアロゾルプリファレンスは、多数であるが有限個の可能なエアロゾルプリファレンスに制約され得る。
【0106】
例えば、6個のエアロゾル発生基材(5つの風味及び1つのニコチン成分)が混合され、各基材が3つのレベル(高、中、低)のうちの1つに含まれ、加熱素子121によるエアロゾル発生の強度も高、中、低である場合、3^7=2187の発生可能なエアロゾルが存在する。
【国際調査報告】