(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-14
(54)【発明の名称】生体組織を治療するためのデバイス
(51)【国際特許分類】
A61N 5/067 20060101AFI20240206BHJP
A61F 9/008 20060101ALI20240206BHJP
A61F 11/00 20220101ALI20240206BHJP
【FI】
A61N5/067
A61F9/008 120
A61F9/008 120B
A61F11/00 320
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023544072
(86)(22)【出願日】2022-02-15
(85)【翻訳文提出日】2023-09-13
(86)【国際出願番号】 EP2022053660
(87)【国際公開番号】W WO2022179888
(87)【国際公開日】2022-09-01
(32)【優先日】2021-02-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】511063457
【氏名又は名称】メディズィニシェス レーザーゼントラン リューベック ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】ブリンクマン, ラルフ
【テーマコード(参考)】
4C082
【Fターム(参考)】
4C082RA08
4C082RJ06
4C082RL02
4C082RL15
4C082RL24
(57)【要約】
本発明は、組織(19)を振動させるために、治療期間(31)内に複数の光パルス(15)を組織(19)に送るための光源(14)を備える、生体組織(19)を治療するためのデバイスに関する。デバイスは、光源(14)によってもたらされた組織(19)の振動(22)の振幅を検知する振動センサ(21)を備える。制御ユニット(16)は、振幅の現在の測定値(27)を振幅の初期測定値(26)との比にして相対値(30)を計算する。制御ユニット(16)は、光源(14)に対する制御信号を生成するために相対値(30)を処理する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体組織(19)を治療するための装置であって、治療期間(31)内に前記組織(19)上に多数の光パルス(15)を送り、それによって前記組織(19)を振動させるために、光源(14)を有し、前記光源(14)によって引き起こされた前記組織(19)の振動(22)の振幅を測定する振動センサ(21)を有し、前記振幅の現在の測定値(27)が前記振幅の初期測定値(26)に関連付けられることよって相対値(30)を形成し、かつ前記光源(14)に対する制御信号を生成するために前記相対値(30)を処理する、制御ユニット(16)を有する、装置。
【請求項2】
前記振幅の前記初期測定値(26)および前記振幅の前記現在の測定値(27)が、前記相対値(30)が正規化された相対値であるようにパルスエネルギーに正規化されることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記相対値(30)の目標値が、事前定義されており、かつ前記制御ユニット(16)が、前記相対値(30)が前記目標値に達するように前記光源(14)を制御することを特徴とする、請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
前記目標値が、1.05~1.5、好ましくは1.1~1.3、より好ましくは1.15~1.25であることを特徴とする、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
経時的な特性曲線が、前記相対値(30)に対して事前定義されており、かつ前記制御ユニット(16)が、前記相対値(30)が前記特性曲線に従うように前記光源(14)を制御することを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
前記制御信号が、前記相対値が事前定義された目標値または事前定義された時間プロファイルに設定された閉制御ループに統合されることを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
2つの連続する光パルス間の休止の持続時間が、前記組織の緩和時間よりも短いことを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
前記光パルス(15)が、前記組織上のスポットに導かれ、前記スポットが、0.1mm~10mm、好ましくは0.2mm~3mmの直径を有することを特徴とする、請求項1~7のいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
異なるスペクトル領域の療法パルスが、前記組織に導かれることを特徴とする、請求項1~8のいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
前記治療期間(31)内に、測定パルス(18)の形態の光パルス(15)および療法パルス(13)の形態の光パルス(15)が、前記組織(19)上に送られ、前記振動センサ(21)が、前記測定パルス(18)によって引き起こされた組織振動の振幅を測定し、これらの測定値が、前記制御ユニット(16)で処理されることを特徴とする、請求項1~9のいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
前記療法パルス(13)が、前記測定パルス(18)よりも前記組織(19)上のより大きなエリアをカバーすることを特徴とする、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記療法パルス(13)が、前記測定パルス(18)とは異なるスペクトル領域で出力されることを特徴とする、請求項10または11に記載の装置。
【請求項13】
治療中の光パルス(15)の数が、100~100000であることを特徴とする、請求項1~12のいずれか一項に記載の装置。
【請求項14】
前記振動センサ(21)が、前記組織(19)の前記振動によって引き起こされた圧力波(22)を使用することによって振幅測定値(27)を決定するように設計されていることを特徴とする、請求項1~13のいずれか一項に記載の装置。
【請求項15】
前記振動センサ(21)が、干渉計によって組織膨張および収縮の振幅を光学的に判定するように設計されていることを特徴とする、請求項1~13のいずれか一項に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体組織を治療するための装置に関する。
【0002】
超音波領域の振動数で組織を振動させると治療効果が得られることが知られている。このことおよび他の多くのことは、神経細胞についてはTeudtら、IEEE T Bio-med Eng 58(6)2011、および聴覚神経についてはWenzelら、JBO 14(4)2009に記載されている。
【0003】
組織は、繰り返し光パルスを組織に作用させることによって振動させられ得、繰り返し光パルスは、組織によって吸収される。光パルスは、熱可塑性膨張およびその後の収縮を引き起こし、したがって、振動を励起するために使用することができる。これまでに、光パルスが組織を損傷することなく生体組織に所望の効果が生じるように光源を調整することは、それほど簡単ではないことが分かった。組織が光パルスにどの程度強く反応するかは、組織の種類および状態ならびに振動の振幅および周波数に依存する。光パルスに強く反応する組織の場合、光パルスが強すぎると、振幅が大きすぎる結果として組織が永続的に損傷を受けるリスクがある。組織の感度が低い場合、光パルスが弱すぎるか、または振幅が小さすぎると、所望の効果が得られない場合がある。
【0004】
本発明は、パルス光を使用して組織を治療することができる、生体組織を治療するための装置を開発する目的に基づき、それによって、組織の所望の振動状態が確実に生成される。前述の先行技術を踏まえて、この目的は、独立請求項の特徴によって達成される。好適な実施形態は、従属請求項に明記されている。
【0005】
本発明による装置は、治療期間内に組織上に多数の光パルスを送り、それによって組織を振動させるために、光源を備える。装置はまた、光源によって引き起こされた組織の振動の振幅を測定する振動センサを備える。相対値は、制御ユニットにおいて、振幅の現在の測定値が振幅の初期測定値に関連付けられることによって形成される。相対値は、光源に対する制御信号を生成するために制御ユニットにおいて処理される。
【0006】
本発明は、光パルスによって引き起こされた組織の実際の振動に基づいて決定された制御信号に基づいて光源を制御する概念に基づく。したがって、光源は、もはや組織に対する光パルスの効果について事前に立てられた仮定に基づいて調整されず、代わりに、組織の実際の振動に依存する制御信号が光源に対して生成される。これにより、特定の振動状態が組織内に生成されるように目標を絞った方式で光源を調整する選択肢が提供される。
【0007】
測定された振幅の絶対値自体は、必ずしも光源を制御するための適切な基準を表すとは限らないことが認識された。したがって、本発明は、振幅の現在の測定値を振幅の初期測定値に関連付ける提案を含む。治療期間の開始時に記録された初期測定値は、治療の開始時に組織が光パルスに対してどのように反応するかを指定する。振幅の現在の測定値と初期測定値との間の比は、組織が振動させられる程度に関連する尺度を形成する。この情報は、光パルスによる治療のさらなる経過を制御するために、制御ユニットにおいて相対値の形態で処理される。
【0008】
組織振動の振幅は、パルスエネルギーに依存し、パルスエネルギーが高いほど、振幅は大きくなる。パルスエネルギーが同じままであるにもかかわらず組織振動の振幅が増加する場合、これはより強い振動を示す。
【0009】
振幅の初期測定値および振幅の現在の測定値は、相対値が正規化された相対値であるようにパルスエネルギーに正規化され得る。組織振動の振幅が同じパルスエネルギーに対して変化したか否かは、正規化された相対値から読み取ることができる。相対値は、同一のパルスエネルギーを有する光パルスが組織上に送られる場合、この意味の範囲内の自動的に正規化された相対値である。
【0010】
本発明による装置による治療は、組織に永続的な構造変化をもたらす働きは行わない。代わりに、組織は、前記組織が組織の構造に関して損傷を受けることなく、振動によって励起または刺激されるべきである。振幅の増加が大きすぎる場合、構造の引き裂きによる組織への機械的損傷または発生する熱の放散が目下不十分なことによる熱損傷のリスクがある。したがって、相対値の限界値を事前定義ことが可能であり、相対値が限界値を超えないように光源を制御することができる。例えば、相対値の限界値は、1.1~2、好ましくは1.3~1.6の値を有し得る。
【0011】
また、相対値の目標値を事前定義し、相対値が目標値に達するように光源を制御することが可能である。治療は、目標値に達したときに終了され得、すなわち、光源を、もはや光源がいかなる光パルスも放射しないように制御することができる。また、相対値が事前定義された時間間隔の間、目標値に留まるように光源を制御することが可能である。他の変形形態も可能であり、例えば、目標値に達した後に治療がより低い相対値で継続される。例として、これは、光源のパルスエネルギーまたはパルス持続時間を減少させること、および/または2つの連続するパルス間の時間間隔を増加させることによって達成することができる。例えば、相対値の目標値は、1.05~1.5、好ましくは1.1~1.3、より好ましくは1.15~1.25であり得る。
【0012】
一実施形態では、経時的な特性曲線が、相対値に対して事前定義されており、相対値が特性曲線に従うように光源が制御される。
【0013】
光源は、光パルスが一定のエネルギーで放射されるように制御され得る。光パルス間の時間間隔は、治療中、同じままであり得る。しかしながら、組織振動の進行に影響を与えるために、治療内で時間間隔を修正することも可能である。
【0014】
異なる実施形態では、治療の開始時に低エネルギー光パルスが組織上に送られ、エネルギーは、組織に対する損傷が確実に防止されるように大きさが決められている。パルスエネルギーは、組織の所望の振動状態が生成されるまで、治療の過程にわたって増加させられ得る。正規化された相対値を使用して、組織が損傷を受ける程度まで振幅が増加しないことを保証することが可能である。
【0015】
装置は、組織の振動が事前定義された振幅に設定されるように光パルスの放射を制御する閉制御ループを有し得る。例として、振幅を、治療の開始時に増加させた後、一定の設定値に保つことが望ましい場合がある。光源に対する制御信号は、一定の設定値が生成されるように設計され得る。
【0016】
組織振動の振幅に対する特性曲線が事前定義され、振幅が事前定義された特性曲線に従って設定されるように閉制御ループによって光源が制御されることも可能である。例として、経時的な振幅測定値の事前定義された増加または減少の特性曲線は、治療の開始時または治療の時間間隔中に事前定義され得る。治療の過程の結果として生じる制御は、相対値に対する制御に加えて、または相対値に対する制御の代替として実施することができる。
【0017】
光源は、多数の同様の光パルスが治療の持続時間中に組織に導かれるように構成され得る。光パルスは、同じパルス持続時間を有し得る。光パルスは、同じパルスエネルギーを有し得、その結果、各光パルスにより同じ量のエネルギーが組織に伝達される。組織の振動に対する調整を目的とした異なる光パルスによる治療も可能であり、特に、パルス持続時間および/またはパルスエネルギーおよび/またはパルス繰り返し周波数を、治療の持続時間にわたって制御ユニットによって調整可能に制御することができる。例として、個々の光パルスの持続時間は、0.1ns~100μs、好ましくは10ns~2μsであり得る。
【0018】
光の波長は、組織を励起して異なる部分内を異なる程度まで振動させるために、組織によって異なる程度まで吸収される1つ、2つ、または3つ以上のスペクトル領域を含み得る。光源は、厳密に区切られたスペクトル領域の光を放射するレーザ光源であり得る。この場合、様々なスペクトル領域は、UVから遠IRスペクトルまでの全スペクトルを含み得、例えば、300nm~3000nmの範囲であり得る。特定の実施形態は、例えば、基本周波数および基本周波数の周波数2倍成分、例えば、1064nmおよび532nmでの放射によるレーザを包有し得る。異なる波長のパルスは、任意の所望のシーケンスで同期的または非同期的に混合され得る。振動を励起するための好ましい変形形態は、光パルスが異なるスペクトル領域内にある、光パルスの交互放射である。時間的パルス間隔は、同じであり得る。
【0019】
光パルスは、光パルスの持続時間が第1の光パルスの終了と第1の光パルスの直後の第2の光パルスの開始との間の時間間隔よりも短くなるように放射され得る。好ましくは、2つの連続する光パルス間の休止の持続時間は、パルス持続時間よりも少なくとも10倍、好ましくは100倍、より好ましくは1000倍長い。
【0020】
2つの光パルス間の休止は、この時間中に組織振動が減衰して初期状態に戻るほど長くすべきではない。むしろ、導入された光パルスの合計によって組織が連続的な振動をするように励起されることが求められている。したがって、パルス間の間隔は、好ましくは、励起された組織の熱緩和時間よりも短くすべきである。
【0021】
治療は、全体として組織の連続的な振動治療をもたらす一連の光パルスを指す。そうしているうちに組織が組織の初期状態に戻った後、別の光パルスが組織に導かれる場合、これは新しい治療の開始である。治療にかかる時間は、治療期間と呼ばれる。
【0022】
本発明はまた、療法パルスの形態の光パルスおよび測定パルスの形態の光パルスが治療期間内に組織に導かれるように構成された装置を含む。療法パルスは、測定パルスに対して異なる空間的範囲を有し得る。異なる空間的範囲は、治療される組織上のカバーされるエリアがより大きいかまたはより小さいことを意味する。特に、療法パルスによってカバーされるエリアは、測定パルスによってカバーされるエリアよりも大きくあり得る。例として、組織振動の最大振幅を記録するために、測定パルスは治療エリアの中心に置かれ得る。異なる空間的範囲に加えて、またはその代わりとして、測定パルスおよび療法パルスはまた、異なるパルス持続時間および/またはパルス繰り返し周波数を有し得る。
【0023】
制御ユニットは、光源を制御する目的で、測定パルスによって引き起こされた組織の振動の振幅測定値のみを処理するように構成され得る。パルス持続時間およびパルスエネルギーが治療の必要条件に適応された1つ以上の療法パルスは、各場合において2つの測定パルスの間に挟まれ得る。
【0024】
装置は、組織治療のために使用される光源とは別個の、測定パルスを生成するための測定光源を備え得る。測定パルスは、療法パルスとは異なるスペクトル領域内にあり得る。測定パルスおよび療法パルスを同型の光源によって生成することも可能である。
【0025】
光源は、レーザ光源であり得る。光源のビーム経路は、組織上のスポットが照射されるように成形され得る。スポットサイズ、すなわちスポットの直径は、治療される組織に基づいて選択され得る。眼の網膜を治療する場合、スポットサイズは、50μm~500μm、好ましくは100μm~200μmであり得る。耳の鼓膜の場合、スポットは、例えば5mmのサイズを有し得る。例えば、皮下神経組織などの他の組織の場合、治療エリアのサイズに依存する他のスポットサイズ、例えば、2mm~20mm、好ましくは3mm~8mmのスポットサイズで動作することが可能である。
【0026】
個々の光パルスの放射曝露は、例えば、0.1~100mJ/cm2であり得、より好ましくは、欧州規格DIN-EN 60825-1に従って指定された組織の最大放射曝露未満であり得る。単一の治療の持続時間は、0.02s~100s、好ましくは0.05s~10s、より好ましくは0.1s~1sであり得る。しかしながら、例えば、鼓膜、中耳、または内耳の変調励起のための永続的な振動励起も考えられる。治療中の光パルスの数は、100~100000であり得る。治療は、全体として組織の連続的な振動治療をもたらす一連の光パルスを指す。そうしているうちに組織が組織の初期状態に戻った後、別の光パルスが組織に導かれる場合、これは新しい治療の開始である。治療中の全ての光パルスは、組織の同じ領域に導かれ得る。
【0027】
光パルスによって引き起こされた組織の振動は、熱可塑性膨張および収縮であり得る。振動センサは、組織膨張の直接測定用に設計され得る。例として、これは、振動センサが光学干渉計または音響干渉計である場合に可能である。
【0028】
振動センサを使用して、振動中に放射された音波、音波の振幅、および/または音波のスペクトルを測定し、このようにして組織の振動状態に関する結論を引き出すことも可能である。振動センサは、圧力波に反応するマイクロフォン、ハイドロフォン、またはピエゾ素子を含み得る。
【0029】
本発明は、添付の図面を参照して、以下の好適な実施形態に基づいて例示的な様式で説明される。後半では下記を示す。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図2】治療の開始時に光パルスによって引き起こされた振動の曲線を示す。
【
図4】本発明による装置の代替的な実施形態を示す。
【
図5】本発明による装置の別の代替的な実施形態を示す。
【
図6】本発明による装置のさらに別の代替的な実施形態を示す。
【0031】
図1に示す本発明による装置は、制御ユニット16の制御下で少なくとも1つの波長の光パルス15を放射するレーザ光源14を備える。光パルス15は、適切な光学素子17によって患者の神経組織19に誘導される。各光パルス15は、網膜組織内に熱可塑性膨張の形態で振動を誘発する。振動は、神経組織19から始まって伝播する圧力波22を引き起こす。
図2および
図3は、経時的な圧力波の例示的な曲線を示している。
【0032】
装置は、ハイドロフォンの形態の振動センサ21を備える。振動センサ21は、圧力波22に反応し、圧力波22の振幅および周波数を表す電気信号を発する。圧力波22の振幅は、神経組織19の振動の振幅に相当する。
【0033】
振動センサ21で生成された電気信号は、ライン23を介して振幅測定値として制御ユニット16に送られ、制御ユニット16で処理される。第1の光パルス15は、治療の開始時に神経組織19上に送られ、第1の圧力波22の発生をもたらし、その振幅が
図2に示されている。圧力波22のプロファイルは、振動センサ21を用いて登録される。関連する振幅測定値は、振幅の初期測定値26としてメモリ24に記憶される。
【0034】
さらに同様の光パルス15は、治療の過程にわたって一定の間隔で神経組織19に誘導される。各光パルス15は、神経組織19の振動の新たな励起をもたらす。神経組織19の振動は、完全に減衰することなく、2つの光パルス15間の休止中に減衰する。全体として、光パルス15は、神経組織19の連続的な振動励起をもたらす。
図7は、例示的な様式での治療の時間プロファイルを示しており、横軸線は時間tを示し、縦軸線は組織振動の振幅を示す。本発明による相対値30は、振幅の現在の測定値が振幅の初期測定値26に関連付けられることよって決定される。光パルス間の間隔は、組織振動が治療期間31中に完全に減衰しないような間隔である。
【0035】
圧力波22の振幅は、同様の光パルス15による永続的な励起の結果として増加する。
図3は、
図5に示す治療の終了時の圧力波22を描写している。振幅測定値27は、振幅の初期測定値26よりも50%大きい。
【0036】
治療中に得られた全ての振幅測定値27は、制御ユニット16に誘導され、そこで、相対値が、各振幅測定値27がメモリ24に記憶された振幅の初期測定値26に関連付けられることによって形成される。相対値は、制御ユニット16の比較器25において限界値と比較される。制御ユニット16は、相対値が限界値に達するとすぐに光源14に停止信号を送り、その結果、光源14はもはや光パルス15を放射しない。振幅測定値と振幅の初期測定値26との比(相対値)の限界値は、例示的な実施形態では1.5であり、したがって、振幅測定値27が振幅の初期測定値26よりも50%高くなると、限界値に達する。
図7では、限界値に達すると治療が終了されている。その後、神経組織は、振動がない神経組織の初期状態を再び呈する。
【0037】
図4による例示的な実施形態では、光源14は、好ましくは、同様の光パルス15を放射せず、代わりに、パルスエネルギーおよび/または間隔は、治療の持続時間にわたって変化する。装置は、光源14によって放射された療法パルス13間の休止中に測定パルス18を神経組織19に誘導する追加の測定光源28を備える。神経組織19上において、療法パルス13は、測定パルス18よりも広いエリアをカバーする。測定パルス18によって引き起こされた圧力波のみが制御ユニット16で評価され、これらのみが、同様に測定パルス18を使用して得られた振幅の初期測定値26に関連付けられる。このようにして、療法パルス13の進行は、測定パルス18による測定が損なわれることなく、治療の必要性と調和させられ得る。振幅の目標値に達した後、療法パルス13のパルスエネルギーは、神経組織19の振動の振幅が治療の残りの持続時間にわたって一定のままであるように減少する。
【0038】
図5による実施形態では、光パルス15は、同様に治療の持続時間にわたって変動させられる。制御ユニット16のメモリ24は、振幅の初期測定値26だけでなく、関連する圧力波22を引き起こした第1の光パルス15のパルスエネルギーも記憶するために使用される。後続の圧力波は、異なるパルスエネルギー、パルス持続時間、および/またはパルス繰り返し率を有する光パルス15によって引き起こされる。振幅の初期測定値26との比較を目的として振幅値27が比較器25に供給される前に、振幅値27は、コンポーネント38においてパルスエネルギーに正規化される。正規化された相対値が生成され、初期測定値26に対する、振幅値27の正規化されたパルスエネルギーの比を再現し、神経組織19の状態の変化を表す。
【0039】
図6は、組織振動の振幅が光学センサの形態の振動センサ21を使用して測定される代替的な実施形態を示している。
【国際調査報告】