(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-14
(54)【発明の名称】車両データ抽出サービス
(51)【国際特許分類】
G06F 21/62 20130101AFI20240206BHJP
G08G 1/00 20060101ALI20240206BHJP
G08G 1/13 20060101ALI20240206BHJP
【FI】
G06F21/62
G08G1/00 D
G08G1/13
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023544278
(86)(22)【出願日】2022-01-26
(85)【翻訳文提出日】2023-07-21
(86)【国際出願番号】 US2022013862
(87)【国際公開番号】W WO2022164874
(87)【国際公開日】2022-08-04
(32)【優先日】2021-01-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】507303550
【氏名又は名称】アマゾン・テクノロジーズ・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【氏名又は名称】山川 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】ザマルカス,アシマイキス
(72)【発明者】
【氏名】ムサ,アニス
(72)【発明者】
【氏名】シンガー,ジェフリー・ディーン
【テーマコード(参考)】
5H181
【Fターム(参考)】
5H181AA01
5H181BB04
5H181BB15
5H181CC03
5H181CC04
5H181CC14
5H181FF05
5H181MC12
5H181MC27
(57)【要約】
1つ以上のコンピューティングデバイスを備えるシステムは、車両情報抽出サービスを実施する。車両情報抽出サービスは、車両のバス経由で通信するために、顧客によって使用される独自の符号化プロトコルへのアクセスを、顧客が提供することを可能にし、独自のプロトコルは、車両情報監視を実行するために、車両情報抽出サービスによって使用され、一方でそれと同時に、独自のプロトコルの機密が第三者によってアクセスされることから保護する。また、車両情報抽出サービスは、かなりのネットワークリソースを消費することになる、関連のない車両情報をストリーミングすることを必要とせずに、顧客定義のイベント基準に対応する、関連車両情報のストリーミングを可能にする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両情報抽出サービスを実施するためのシステムであって、前記システムが、
1つ以上のコンピューティングデバイスであって、
車両の供給元から又は車両構成要素の供給元から辞書ファイルを受信することであって、前記辞書ファイルが、前記車両の供給元の符号化フォーマット又は前記車両部品の供給元の符号化フォーマットに従って符号化された通信を復号する際に使用するための定義を含む、受信することと、
前記辞書ファイルの内容が、前記車両の供給元又は前記車両構成要素の供給元以外の者には見えないように、アクセスが制限された物理コンテナ又は論理コンテナに前記辞書ファイルを記憶することと、
前記辞書ファイルに基づいて、前記車両に提供される1つ以上のバイナリファイルを生成することであって、前記1つ以上のバイナリファイルが、前記車両の供給元の前記符号化フォーマット又は前記車両構成要素の供給元の前記符号化フォーマットを使用して符号化された通信を復号するための情報を含み、前記1つ以上のバイナリファイルが、前記辞書ファイルの前記内容を明らかにしない、生成することと、
前記車両のゲートウェイ又は他の構成要素にロードするための、前記1つ以上のバイナリファイルを提供することであって、前記ゲートウェイに実装された、又は前記他の構成要素に実装されたソフトウェアアプリケーションが、前記1つ以上のバイナリファイルを使用して、前記車両の1つ以上の通信バスを介して通信されている車両情報を復号するように構成され、前記1つ以上の通信バスを介して通信されている前記車両情報が、前記車両の供給元の前記符号化フォーマット又は前記車両構成要素の供給元の前記符号化フォーマットに従ってフォーマットされている、提供することと、
前記車両から、1つ以上のネットワークデバイスを介して、前記車両から抽出された、車両情報を含む車両情報パケットを受信することと、を行うように構成されている、コンピューティングデバイスを備える、システム。
【請求項2】
前記1つ以上のコンピューティングデバイスが、
前記車両の供給元によって製造された車両から、又は前記車両部品の供給元によって供給された構成要素を備える車両から抽出される、車両情報の指標を受信することと、
前記指標に基づいて、1つ以上の構成ファイルを生成することと、
前記車両の前記ゲートウェイ又は他の構成要素にロードされるソフトウェアパッケージ内の前記1つ以上のバイナリファイルを、前記1つ以上の構成ファイルに提供することと、を行うように更に構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記車両から抽出される前記車両情報の前記指標が、
抽出される1つ以上の種類の車両情報の指標と、
前記1つ以上の種類の車両情報の抽出をトリガするための、1つ以上のトリガ条件と、を含み、
前記車両の前記ゲートウェイ又は他の構成要素に実装された前記ソフトウェアアプリケーションが、
前記1つ以上の示された種類に対応する車両情報について、前記車両の前記1つ以上の通信バス上のトラフィックを監視することと、
前記1つ以上の示された種類に対応する前記車両情報を記憶バッファに記憶することと、
前記1つ以上のトリガ条件が満たされていることに応答して、
前記記憶バッファに記憶された、前記1つ以上の示された種類に対応する前記車両情報の少なくとも一部分を含む、1つ以上のパケットを生成することと、を行うように更に構成されている、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記1つ以上のトリガ条件が満たされていることに応答して生成された、前記1つ以上のパケットが、
前記1つ以上のトリガ条件が満たされる前に、前記記憶バッファに一定期間記憶された、前記1つ以上の示された種類の車両情報に対応する車両情報と、
前記1つ以上のトリガ条件が満たされた後の別の期間、前記1つ以上の示された種類の車両情報に対応する車両情報と、を含む、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記システムの前記1つ以上のコンピューティングデバイスが、
前記車両の供給元又は前記車両構成要素の供給元から、前記車両から抽出される車両情報の更新された指標を受信することであって、前記更新された指標が、前記車両から抽出される、1つ以上の追加の又は代替の種類の車両情報を示す、受信することと、
抽出される車両情報の前記更新された指標に基づいて、前記車両に提供される1つ以上の追加の構成ファイルを生成することと、
前記車両の前記ゲートウェイ又は他の指標構成要素にロードするための、前記1つ以上の追加の構成ファイルを提供することであって、前記ソフトウェアアプリケーションが、前記1つ以上の追加の構成ファイルを使用して、前記更新されたに対応する前記車両の1つ以上の通信バスを介して通信されている前記車両情報を識別するように構成されている、提供することと、
前記車両から、1つ以上のネットワークデバイスを介して、前記車両の供給元又は前記車両構成要素の供給元から受信された前記更新された指標に従って、前記車両から抽出された車両情報を含む、車両情報パケットを受信することと、を行うように更に構成されている、請求項1~4のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項6】
前記システムの前記1つ以上のコンピューティングデバイスが、
前記車両の供給元又は前記車両構成要素の供給元から、前記車両から抽出される車両情報の更新された指標を受信することであって、前記更新された指標が、前記車両から抽出される、1つ以上の追加の又は代替の種類の車両情報を示す、受信することと、
前記辞書ファイル、及び抽出される車両情報の前記更新された指標に基づいて、前記車両に提供される1つ以上の追加のバイナリファイルを生成することと、
車両の前記ゲートウェイ又は他の構成要素にロードするための、前記1つ以上の追加のバイナリファイルを提供することであって、前記ソフトウェアアプリケーションが、前記1つ以上の追加のバイナリファイルを使用して、前記車両の1つ以上の通信バスを介して通信されている前記車両情報を復号し、前記更新された指標に対応する車両情報を識別するように構成されている、提供することと、
前記車両から、1つ以上のネットワークデバイスを介して、前記車両の供給元又は前記車両構成要素の供給元から受信された前記更新された指標に従って、前記車両から抽出された車両情報を含む、車両情報パケットを受信することと、を行うように更に構成されている、請求項1~5のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項7】
前記車両の供給元によって製造された前記車両から、又は前記車両部品の供給元によって供給された構成要素を備える前記車両から抽出される、車両情報の前記指標が、
前記車両情報が抽出される、個々の車両、又は
前記車両情報が抽出される、1つ以上の特性を有する車両の等級と、を指定する、請求項1~6のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項8】
命令を記憶する、1つ以上の非一時的コンピュータ可読記憶媒体であって、前記命令が、1つ以上のプロセッサ上で、又は1つ以上のプロセッサにわたって実行されたとき、前記1つ以上のプロセッサに、
前記車両の1つ以上の通信バスを介して通信されている車両情報を復号する際に使用するための、1つ以上のバイナリファイルを含むパッケージを受信することと、
前記車両の前記1つ以上の通信バスを介して通信されている前記車両情報の少なくとも一部分を復号することと、
前記車両情報の少なくとも一部分を、記憶バッファに記憶させることと、
前記1つ以上のトリガ条件が満たされていることに応答して、リモート車両データサービスに送出される、1つ以上のパケットを生成することであって、前記1つ以上のパケットが、前記記憶バッファに記憶された前記車両情報を含む、生成することと、を行わせる、1つ以上の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項9】
前記パッケージが、第1の種類の車両情報を抽出するためのトリガ条件と、1つ以上の追加の種類の車両情報を抽出するための1つ以上の追加のトリガ条件と、を示す情報を更に含み、前記それぞれのトリガ条件の少なくとも一部が異なり、
前記命令が、前記1つ以上のプロセッサ上で、又は前記1つ以上のプロセッサにわたって実行されたとき、前記1つ以上のプロセッサに、
前記生成された1つ以上のパケットに、1つ以上の対応するトリガ条件が満たされる、1つ以上の種類の車両情報を含むことを行わせ、
満たされていない他のトリガ条件に対応する、前記記憶バッファに記憶された他の種類の車両情報が、前記1つ以上の生成されたパケットには含まれていない、請求項8に記載の1つ以上の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項10】
前記命令が、前記1つ以上のプロセッサ上で、又は前記1つ以上のプロセッサにわたって実行されたとき、前記1つ以上のプロセッサに、
前記車両の1つ以上のセンサからの音声データ又は視覚データを含む他の車両情報を、前記記憶バッファに記憶させることと、
前記1つ以上のトリガ条件が満たされていることに応答して、前記リモート車両データサービスに送出される前記生成された1つ以上のパケット内の、前記1つ以上のセンサからの音声データ又は視覚データを含む、前記他の車両情報の少なくとも一部を含むことと、を更に行わせる、請求項8又は9に記載の1つ以上の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項11】
前記復号された車両情報が、テキストデータを含み、
前記1つ以上のトリガ条件が、前記テキストデータに基づく条件を含み、
前記1つ以上のトリガ条件が、前記テキストベースのトリガ条件が満たされるときに抽出される音声データ又は視覚データを含む、1つ以上の他の種類の車両情報の指標を更に含む、請求項10に記載の1つ以上の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項12】
前記パッケージが、
前記復号された車両情報を受信するか、又は前記記憶バッファに記憶された前記復号された車両情報にアクセスすることが許可された、前記車両の1つ以上の構成要素の指標を更に含み、
前記命令が、前記1つ以上のプロセッサ上で、又は前記1つ以上のプロセッサにわたって実行されたとき、前記1つ以上のプロセッサに、
前記復号化された情報へのアクセスを、前記復号化された車両情報を受信又はアクセスすることが許可された、前記車両の前記1つ以上の構成要素に提供することを更に行わせる、請求項8~12のいずれか一項に記載の1つ以上の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項13】
前記命令が、前記1つ以上のプロセッサ上で、又は前記1つ以上のプロセッサにわたって実行されたとき、前記1つ以上のプロセッサに、
前記1つ以上のトリガ条件を満たす条件について、前記復号された情報を監視させ、前記車両の前記1つ以上のバスからの前記復号された情報が、
前記車両の1つ以上のコントローラエリアネットワーク(CAN)バスからの復号された情報を含む、請求項8~12のいずれか一項に記載の1つ以上の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項14】
前記車両の前記1つ以上のバスからの前記復号された情報が、
前記車両の追加のCANバス、又は
前記車両のイーサネット又はIPバス、からの復号された情報を更に含む、請求項13に記載の1つ以上の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項15】
前記プログラム命令が、前記車両のゲートウェイ環境のプロセッサ上で実行されるように構成されている、請求項8~14のいずれか一項に記載の1つ以上の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
乗用車、トラック、オートバイなどの現代の車両は、しばしば、電子センサで製造され、そのような電子センサから入力を取り出し、車両、又は車両に実装されたシステムに対して行われる、様々な制御動作を決定する、制御アルゴリズムでプログラムされたコンピュータシステムを含む。いくつかの車両は、70個ものそのような電子制御ユニット(ECU)及び20~30個以上のセンサモダリティを含み得る。これらの構成要素は、車両の1つ以上のバス経由で互いに通信し、独自の符号化フォーマット及びプロトコルを使用して、通信されているデータをフォーマットする。また、そのようなバス上のデータフローにアクセスするために、アクセス認証情報が必要な場合がある。
【0002】
加えて、現代の車両は、以前の車両よりも多くのデータを生成するセンサをますます含む。例えば、自律走行車両、半自律走行車両、又は自動運転車両は、複数のカメラ、レーダ、LIDARセンサ、音声マイクなどを含み得る。そのようなセンサは、例えば、1時間当たり5~10テラバイト以上の大量のデータを生成し得る。
【0003】
典型的には、車両は、全てではないにしてもほとんどの、そのようなセンサによって生成されたデータ、及び/又は車両のバス経由で通信されたデータが、分析又はトラブルシューティングのために、後にデータがアクセス可能であるような方法で記憶されないように、データを記憶する限られた能力のみを有する。また、データが記憶される範囲では、データは、車両の車載診断コネクタに接続する故障コードリーダ/診断ツールなどの、独自の符号化フォーマット及びプロトコルを解釈するために、車両製造元によって提供された専用のツールにアクセスすることなく、識別可能ではない形式でしばしば記憶される。更に、そのような専用のツールは、車両のバス経由で通信された車両情報のサブセットの、限定的な表示のみを可能にし得る。
【図面の簡単な説明】
【0004】
【
図1】いくつかの実施形態による、車両バス経由で通信される車両情報をフォーマットするために、車両の供給元又は構成要素部品の供給元によって使用される独自の符号化フォーマットを有する、アクセス認証情報及び辞書を受信する、車両情報抽出サービスを例解し、車両情報抽出サービスは、ソフトウェアパッケージを車両に展開して、独自の符号化フォーマットを使用して符号化された車両情報を監視し、1つ以上のトリガ条件が満たされた場合に、抽出のために独自のアクセス認証情報を要求する間、独自のアクセス認証情報及び符号化フォーマットの機密性を維持する。
【
図2】いくつかの実施形態による、車両情報抽出サービス用のサービスユーザインタフェースのデザイナキャンバス及び管理コンソールの、より詳細な図を例解する。
【
図3】いくつかの実施形態による、車両のバス経由で車両情報を伝達するために異なるレベルで使用される、プロトコルのネットワークスタックと、そのような車両情報にアクセスするために異なるレベルで必要とされる、アクセス認証情報と、のより詳細な図を例解する。
【
図4】いくつかの実施形態による、車両情報抽出サービスによって展開されたソフトウェアアプリケーションによって、データ抽出について監視され得る、複数の異なるバスを備える、例示的な車両を例解する。
【
図5】いくつかの実施形態による、車両情報抽出サービスによって展開されたアプリケーションによって使用され得る、記憶バッファのより詳細な図を例解し、記憶バッファは、1つ以上のトリガ基準が満たされた場合に抽出の対象となる、1つ以上の前の時点からのデータを記憶する。
【
図6】いくつかの実施形態による、車両情報抽出サービス、及びプロバイダネットワークによって提供された他のクラウドサービスを含む、例示的なプロバイダネットワークを例解する。
【
図7A】いくつかの実施形態による、車両又は車両のフリートからのデータ抽出を定義し、可能にするために使用される、例示的なユーザインタフェースページを例解する。
【
図7B】いくつかの実施形態による、車両又は車両のフリートからのデータ抽出を定義し、可能にするために使用される、例示的なユーザインタフェースページを例解する。
【
図7C】いくつかの実施形態による、車両又は車両のフリートからのデータ抽出を定義し、可能にするために使用される、例示的なユーザインタフェースページを例解する。
【
図7D】いくつかの実施形態による、車両又は車両のフリートからのデータ抽出を定義し、可能にするために使用される、例示的なユーザインタフェースページを例解する。
【
図7E】いくつかの実施形態による、車両又は車両のフリートからのデータ抽出を定義し、可能にするために使用される、例示的なユーザインタフェースページを例解する。
【
図7F】いくつかの実施形態による、車両又は車両のフリートからのデータ抽出を定義し、可能にするために使用される、例示的なユーザインタフェースページを例解する。
【
図8】いくつかの実施形態による、データ監視及び抽出用のソフトウェアパッケージを車両に展開するために、車両情報抽出サービスによって実行される動作のフローチャートを例解し、また、要求された車両情報が車両から抽出されることに応答して、車両情報抽出サービスによって実行される動作を例解する。
【
図9】いくつかの実施形態による、車両情報抽出サービスから車両に展開されたソフトウェアアプリケーションによって実行される動作のフローチャートを例解し、ソフトウェアアプリケーションは、車両バストラフィックを監視し、1つ以上のトリガ基準が満たされた場合に、車両情報抽出サービスに送出される車両情報を抽出する。
【
図10】いくつかの実施形態による、本明細書に記載の技法の一部又は全てを実装する、例示的なコンピュータシステムを例解するブロック図である。
【0005】
実施形態は、いくつかの実施形態及び例解的な図面の例として本明細書に記載されるが、当業者は、説明される実施形態又は図面に実施形態が限定されないことを認識するであろう。図面及びその詳細な説明は、開示される特定の形態に実施形態を限定することを意図しないが、それどころか、その意図は、添付の特許請求の範囲によって定義された、趣旨及び範囲内に含まれる、全ての修正、等価物及び代替物を網羅することであることを理解されたい。本明細書で使用される見出しは、単に構成上の目的のためであり、説明又は特許請求の範囲の範囲を限定するために使用されることを意味するものではない。本出願全体を通して使用されるように、「し得る(may)」という語は、必須の意味(すなわち、しなければならない(must)を意味する)ではなく、許容的な意味(すなわち、可能性を有すること(having the potential to)を意味する)で使用される。同様に、「含む(include)」、「含む(including)」、及び「含む(includes)」という語は、を含むが、これらに限定されないことを意味する。
【発明を実施するための形態】
【0006】
本明細書に記載のシステム及び方法は、車両情報抽出サービスを実装し、車両情報抽出サービスによって生成されたソフトウェアパッケージを使用して、車載データの監視及び抽出を実施するための技法を含む。
【0007】
いくつかの実施形態では、車両情報抽出サービスは、サービスプロバイダネットワークの顧客にクラウドベースのサービスを提供するサービスプロバイダなどの、サービスプロバイダネットワークに実装される。いくつかの実施形態では、車両情報抽出サービスの顧客は、(相手先商標製品製造会社(OEM)などの)車両の供給元、及び/又は(ティア1、ティア2、又はティア3部品供給元などの)車両構成要素の供給元であり得る。また、様々な実施形態では、車両の供給元又は車両構成要素の供給元は、車両から抽出されたデータを使用して、車両所有者又は他の第三者に車両健康監視サービスを提供し得る。
【0008】
いくつかの実施形態では、車両データ抽出サービスを実施するためのシステムは、データ抽出のために監視される1つ以上の車両に展開される、1つ以上のバイナリファイルを生成するように構成された、コンピューティングデバイスを備える。バイナリファイルは、車両の供給元の独自の辞書、又は車両構成要素の供給元の独自の辞書を使用して生成され得、独自の辞書の内容は、車両抽出サービスを提供するサービスプロバイダが、独自の辞書の内容を完全に閲覧することを阻止し、他の第三者が、独自の辞書の内容を閲覧することもまた阻止する、アクセスが制限された論理コンテナ又は物理コンテナに、サービスプロバイダによって記憶される。バイナリファイルはまた、車両で実行されるソフトウェアアプリケーションが、独自の辞書に記載のフォーマットを使用して符号化された車両情報のポート又は他のソースにアクセスするために必要とされる、独自のアクセス認証情報も含み得る。しかしながら、車両の供給元又は車両構成要素の供給元は、1つ以上のバイナリファイルを生成するために、独自の辞書及び独自のアクセス認証情報への少なくとも部分的なアクセスを、車両情報抽出サービスに提供し得る。いくつかの実施形態では、独自のアクセス認証情報は、車両の供給元又は車両構成要素の供給元によって提供された辞書に含まれ得るか、又は別々に提供され得る。また、いくつかの実施形態では、独自の辞書及び独自のアクセス認証情報の両方は、プロバイダネットワークオペレータ及び他の第三者が、アクセスが制限された論理コンテナ又は物理コンテナの内容を閲覧することを阻止する、プロバイダネットワークの、アクセスが制限された論理コンテナ又は物理コンテナに記憶され得る。
【0009】
いくつかの実施形態では、車両に展開するための車両情報抽出サービスによって生成されたソフトウェアパッケージは、車両のゲートウェイ(又は他の展開先)で実行するソフトウェアエージェント用のソースコードと、符号化されたバス通信を解析するためにソフトウェアエージェントによって使用されるバイナリファイルと、を含み得る。加えて、ソフトウェアパッケージは、監視対象となる車両情報の種類と、監視された車両情報の抽出をトリガするために適用対象となるトリガ基準と、を示す、構成ファイルを含み得る。いくつかの実施形態では、車両情報抽出サービスは、監視対象となる車両情報の種類、及びデータ抽出のために適用対象となるトリガ基準などの、車両情報構成パラメータを顧客が変更することを可能にし得る。このことは、車両情報抽出サービスのAPI又はコンソールを使用して、リモートで行われ得る。そのような実施形態では、車両情報抽出サービスは、監視された車両情報の種類及び/又は抽出のためのトリガ条件を変更するために、車両に展開される、更新された(又は新しい)構成ファイルを生成し得る。また、いくつかの実施形態では、車両情報抽出サービスは、追加の辞書及び/又はアクセス認証情報を提供するために車両に展開される、更新された(又は新しい)バイナリファイルを生成し得る。
【0010】
バイナリファイルは、監視される車両に展開されたソフトウェアアプリケーションが、車両のバス上のバストラフィックにアクセスして解釈することを可能にするように構成され得、バストラフィックは、独自の辞書で定義された定義に従ってフォーマットされた、車両の供給元又は車両構成要素の供給元の独自の符号化フォーマット及び/又は構造を使用してフォーマット及び/又は符号化される。例えば、独自の辞書は、そのような符号化構造及びフォーマットを解釈するための定義を含み得る。また、アクセスが制限されたコンテナに記憶された独自の辞書又は関連する独自のファイルは、符号化された車両情報にアクセスするために必要とされ得る独自の辞書に関連付けられた、独自のアクセス認証情報を含み得る。しかしながら、バイナリファイルは、辞書又は独自のアクセス認証情報ファイルの完全な内容が、読みやすい形で含んでおらず、独自の辞書及び独自のアクセス認証情報ファイルを容易にリバースエンジニアリングするために、使用することはできない。いくつかの実施形態では、2つ以上の独自の辞書及び関連付けられた独自のアクセス認証情報ファイルは、車両抽出サービスによる少なくとも部分的なアクセスのために利用可能にされ得、異なる独自の辞書及び関連付けられた独自のアクセス認証情報ファイルは、異なる車両構成要素などからの、異なるバス上のトラフィックに使用される、異なる認証情報及びプロトコル定義を含む。本明細書で使用される場合、独自の辞書及び関連付けられた独自のアクセス認証情報ファイルはまた、「辞書」、「バスデータベースファイル」、「プロトコルデータベースファイル」、「CAN DBCファイル」などとも称され得る。
【0011】
いくつかの実施形態では、独自のアクセス認証情報ファイルは、車両のバス経由で通信する送信機及び送受信機から、通信を受信するための認証情報を含み得る。また、いくつかの実施形態では、独自の辞書ファイルは、車両のバス経由で車両情報を通信するために送信機及び送受信機によって使用される、データ構造及び符号化フォーマットを定義し得る。例えば、独自の辞書は、メッセージの開始を知らせるために使用されるビット署名、及び/又は、メッセージの終了を知らせるために使用されるビット署名などの、バス経由でメッセージを送出するために使用される構造を定義し得る。独自の辞書はまた、メッセージ内の「単語」又は「記号」を符号化するために使用される、ビット署名も含み得る。加えて、独自の辞書は、メッセージ内の値に信号を知らせるために使用される、スケールを含み得る。車両のバスを介して送出された車両情報のフォーマットで抽象化層が使用される範囲では、独自の辞書は、抽象化層を解釈するための情報を含み得る。独自のアクセス認証情報は、次に独自の辞書を使用して復号される、そのようなビット署名及び符号化された車両情報にアクセスするために必要とされ得る。
【0012】
いくつかの実施形態では、車両通信バス経由で交換された情報の一部又は全ては、暗号化され得る。そのような場合、自動車メーカは、暗号化された車両通信メッセージを理解するために、必要な復号化ソフトウェア及びキーを提供し得る。例えば、そのような復号化ソフトウェア及びキーには、独自の辞書が提供され得、そのような復号化ソフトウェア及びキーは、プロバイダネットワークの、アクセスが制限された物理アクセスストレージ又は論理アクセスストレージに記憶され得る。また、そのような復号化ソフトウェア及びキーは、車両情報抽出で使用するために車両に展開される、ソフトウェアパッケージに含まれ得る。
【0013】
例えば、コントローラエリアネットワーク(CAN)バスプロトコルを使用して、車載電子制御ユニット(ECU)を互いに接続し、CANバス経由で最大1Mbpsの速度でリアルタイムで重要な情報を交換し得る。CAN仕様は、高速車載通信のための物理及びデータリンク層を記載する。車両の供給元及び車両構成要素の供給元は、CANバスプロトコルを使用して、タイムクリティカルな低帯域幅動作を可能にする。CANバスプロトコルの背後にある重要な原則のうちの1つは、各車両の供給元/車両構成要素の供給元が、全ての車両ECU(制御ビット)、及び通信対象のデータ(パラメータごとのカスタムオフセット及びスケールを備えた、64ビットのペイロード)を一意に識別する、独自のCANバスの符号化を定義することができることである。これは、車両の供給元/車両構成要素の供給元が、ECU間の通信ハンドシェイクを保護することを可能にする。しかしながら、CANバス通信プロトコルは、意図的に、マルチキャストに基づいており、これは、任意のコンピューティングデバイスが、同じ物理インタフェースに取り付けられている場合、適切な復号データベース(例えば、独自の辞書及び独自のアクセス認証情報)を用いて、全てのトラフィックを監視することができることを意味する。1台の車の中には、いくつかのCANバスがあり、それらの一部は、最大6Mbpsの速度に達し得るCAN-FD(柔軟なデータレートを備えたCAN)などの、高速用に作られている。いくつかの実施形態では、車両情報抽出サービスによって安全に記憶され、バイナリファイルを生成するためにアクセス可能になる、車両の供給元又は車両構成要素の供給元によって提供された辞書ファイルは、CAN DBCファイルを含み得る。また、車両は、イーサネット又はIPバス、ローカル相互接続(LIN)バス、Flex Rayバス、タイムトリガ型プロトコル(TTP)バスなどの、他のバスを含み得る。いくつかの実施形態では、異なるそれぞれの独自の辞書は、異なる種類のバスによって使用されるプロトコルを定義し得、それぞれのバスプロトコルを使用して符号化された車両情報の監視及び抽出用のバイナリファイルを生成するために、車両情報抽出サービスにアクセス可能とされ得る。
【0014】
いくつかの実施形態では、車両の供給元又は車両構成要素の供給元から、サービスプロバイダネットワークの1つ以上のコンピューティングデバイスによって受信された、独自の辞書及び関連付けられた独自のアクセス認証情報ファイルは、車両の供給元又は車両構成要素の供給元以外の者が、独自の辞書及び独自のアクセス認証情報ファイルの内容を閲覧することを阻止する、アクセスが制限された物理コンテナ又は論理コンテナに記憶され得る。例えば、独自の辞書及び独自のアクセス認証情報ファイルは、サービスプロバイダネットワークによって提供される、車両の供給元又は車両構成要素の供給元の、ストレージサービスを有するストレージアカウントに記憶され得る。別の例として、独自の辞書及び独自のアクセス認証情報ファイルは、他の関係者が、独自の辞書及び独自のアクセス認証情報ファイルの内容を閲覧することを制限する、仮想プライベートクラウド、又は他のアクセス制限されたネットワーキング構成を介してのみ、アクセス可能であり得る。
【0015】
いくつかの実施形態では、独自の辞書及び独自のアクセス認証情報ファイルを提供することに加えて、顧客(例えば、車両の供給元又は車両構成要素の供給元)は、車両抽出サービスによって監視される1つ以上の種類の車両情報、及び/又は、監視された車両情報の抽出のための1つ以上のトリガ基準の指標を提供し得る。データ抽出サービスの1つ以上のコンピューティングデバイスは、そのような指標を顧客から受信し得、指標を使用して、監視される車両のソフトウェアアプリケーションに供給される、構成ファイルを生成し得る。例えば、構成ファイル及びバイナリファイルは、監視される車両に展開される、ソフトウェアパッケージに含まれ得る。
【0016】
加えて、抽出対象となる車両情報の種類、及びそのような車両情報を抽出するために使用対象となるトリガ基準の種類のそのような構成は、車両所有者によって車両が使用された後、車両への物理的アクセスを必要とせずに、リモートで「オンザフライ」に設定可能であり得る。例えば、車両は、典型的には、構成を変更するために、車両の供給元の販売代理店又は他の施設に車両を持ち込むことが必要となる、構成要素を物理的に交換するか、又は別様に構成要素を再プログラミングすることなく変更することができないアクセス権でハードプログラミングされた、ECUなどの構成要素を含む。これは、典型的には、車両は、車両に物理的にアクセスすることなく、必要なアクセス認証情報及び独自の符号化定義を、ハードプログラミングされた構成要素に提供する、いかなる機構も含まないためである。対照的に、車両情報抽出サービスは、車両の供給元又は車両構成要素の供給元が、車両で監視される車両情報の種類と、監視された車両情報を車両から抽出するために適用対象となるトリガ基準と、をリモートで再設定することを可能にする。
【0017】
例えば、車両の供給元は、車両情報抽出サービスのコンソール又はデザイナキャンバスにログインし得、車両監視構成を変更し得、新しい構成を展開することを選択し得る。それに応じて、車両情報抽出サービスは、新しい構成を実装するために、更新された構成ファイルを自動的に生成し得、監視される1つ以上の車両に展開し得る。これは、1つ以上の車両が物理的にアクセスされること、又は販売代理店に持ち込まれることを必要とせずに、1つ以上の車両のゲートウェイへの無線接続を使用して、行われ得る。
【0018】
加えて、車両情報抽出サービスは、車両の供給元又は車両構成要素の供給元などの顧客が、車両の供給元若しくは車両構成要素の供給元、又は他の第三者の従業員の、役割及び関連付けられたアクセス特権を定義することを可能にし得る。例えば、顧客サポート技術者は、事前構成された抽出構成に従って抽出された車両情報を閲覧するための、制限されたアクセスを提供され得る。対照的に、顧客サポートエンジニアは、車両から抽出されるようには本来構成されていない、より詳細な車両情報をより多く入手することを可能にする新しい車両抽出構成を、顧客サポートエンジニアが定義することを可能にする権限を提供され得る。更なる例として、車両の特定のシステムは、抽出された車両情報がカスタマーサポート技術者に提供される方法で、ブラックボックスとして現れ得る。しかしながら、問題が顧客サポートエンジニアにエスカレーションされた場合、顧客サポートエンジニアは車両情報抽出サービスを使用して、車両から抽出又は収集されるように本来構成された種類の車両情報ではない、ブラックボックス内の構成要素に関する車両情報を閲覧する能力を顧客サポートエンジニアに提供する、新しい車両情報抽出構成を定義する(及び、対応する更新された構成ファイルを展開する)ことが可能であり得る。これにより、顧客サポートエンジニアは、一例として、車両の問題をトラブルシューティングするために、車両の構成要素内の従属構成要素の車両情報を閲覧することができ、従属構成要素などの従属構成要素を更に丹念に調べることができる。
【0019】
車両が大量のデータを生成するため、全ての生成データ、又は限られた数の車両情報種類に対する全ての生成データをストリーミングすることは、非現実的であり得る。したがって、いくつかの実施形態では、顧客(例えば、車両の供給元又は車両構成要素の供給元)によって指定されたトリガ条件が満たされる場合にのみ、データは抽出され得、無線ネットワークなどの中間ネットワーク経由で車両情報抽出サービスに送出され得る。例えば、トリガ条件は、XGよりも大きい加速度又は減速度であり得る。そのようなトリガ条件が満たされる場合、顧客(例えば、車両の供給元又は車両構成要素の供給元)は、エンジンRPM、ブレーキペダルの位置、ブレーキキャリパーの係合率、ハンドルの回転、フロントタイヤの位置など、抽出対象となる車両情報の種類を指定し得る。したがって、トリガ条件が満たされると、車両情報抽出サービスから車両に展開されたソフトウェアアプリケーションは、指定した車両情報種類のデータを抽出し得る。
【0020】
いくつかの実施形態では、車載記憶デバイスは、一部又は全ての監視された車両情報種類のデータを一時的に記憶するための、記憶バッファとして使用され得る。したがって、トリガ条件が満たされると、ソフトウェアアプリケーションは、トリガ基準に対応する車両情報種類の過去及び現在のデータの両方を、抽出し得る。このようにして、車両抽出サービスは、顧客に生じた関心に関連する、非常に詳細な車両情報へのアクセスを顧客に提供し得るが、それと同時に、顧客にとって関心のない、又は顧客に生じた関心に関連しない、車両情報をストリーミングするために、ネットワーク帯域幅、記憶装置などのリソースを使用することを控え得る。
【0021】
いくつかの実施形態では、車両の記憶バッファは、監視された車両情報を限られた時間記憶し得る。例えば、いくつかの実施形態では、記憶バッファは、5秒、10秒、1分、10分など遡った車両情報を記憶し得る。いくつかの実施形態では、顧客は、異なる種類の車両情報をローカルに記憶するために使用される、時間バッファを指定し得る。例えば、顧客は、速度が10分間バッファリング対象となることを指定し得るが、エンジンRPMは10秒間バッファリング対象となる。また、いくつかの実施形態では、顧客は、サンプリングレート、又は、車両上にローカルに記憶されたバッファデータに対して実行される他の統計分析を指定し得る。例えば、RPMセンサは、毎秒100個のペースで読み取り値を出力し得るが、記憶バッファは、毎秒10個のサンプルなどの低い頻度で、センサをサンプリングし得る。別の例として、記憶バッファは、100Hzで10個のサンプルを平均化した平均値が1/10秒ごとに生成され、平均したサンプルが、毎秒10個の速度で保存されるように、RPM読み取り値を平均化し得る。
【0022】
いくつかの実施形態では、記憶バッファは、タイムスタンプを、記憶バッファに記憶された各車両情報に関連付ける、タイムスタンププロセスを実施し得る。加えて、車両の他の構成要素によって生成されたタイムスタンプ情報は、他の構成要素によって生成された車両情報とともに記憶され得る。いくつかの実施形態では、車両構成要素は、ハードワイヤードシーケンス又は既知のシーケンスに従って、車両情報を発行し得る。そのようなタイミング情報は、独自の辞書に含まれ得、記憶バッファに記憶された車両情報に、構成要素固有のタイムスタンプを適用するために、ソフトウェアアプリケーションによって使用され得る。いくつかの実施形態では、記憶バッファは、車両データが同期され、イベントが発生した順序で記憶されるように、タイムスタンプに基づいて記憶された車両データを、並べ替え得る。いくつかの実施形態では、記憶バッファは、記憶された車両情報に対する一連のイベントが、例えば、車両情報抽出サービスの分析エンジンによって正確に再作成され得るように、記憶された車両情報にとって十分なタイムスタンプ情報を記憶し得る。いくつかの実施形態では、車両情報は、追加的に、又は代替的に、記憶バッファで受信されたときに、車両情報に適用されたタイムスタンプに従って、記憶バッファにおいて同期され得る。
【0023】
記憶バッファは、新しい車両情報のための空間を確保するために、タイムアウトした記憶バッファから、記憶された車両情報を除外し得る。例えば、記憶バッファは、先入れ先出し(FIFO)技法を使用して、データが除外されるように、フォーマットされ得る。しかしながら、異なる種類の車両情報は、異なる扱いを受ける場合がある。例えば、第1の種類の車両情報は、異なる種類の車両情報にわたって、FIFOが適用されない場合があるが、所与の種類の車両情報内では、FIFOが適用されるように、別の種類の車両情報よりも長時間バッファリングされ得る。
【0024】
車両情報抽出サービスの複数のコンピューティングデバイスは、独自の辞書、関連付けられた独自のアクセスファイル、及び顧客指示の種類の監視される車両情報に基づいて、車両に提供されるバイナリファイルを生成するように構成されている。バイナリファイルは、メッセージの開始を知らせるために使用されるビット署名、及び/又は、メッセージの終了を知らせるために使用されるビット署名などの、車両のバス経由で通信されているバイナリビットにアクセスして解釈するための情報を含む。バイナリファイルはまた、監視対象となる車両情報の種類についてのメッセージ内の「単語」又は「記号」を符号化するために使用されるビット署名、及び、メッセージ内の値を知らせるために使用されるスケールも含み得る。
【0025】
車両情報抽出サービスの1つ以上のコンピューティングデバイスはまた、車両のゲートウェイ又は他の構成要素にロードするためのバイナリファイルを、車両に提供するようにも構成され、ゲートウェイに実装された、又は他の構成要素に実装されたソフトウェアアプリケーションは、バイナリファイルを使用して、車両の1つ以上の通信バスを介して通信されている車両情報を復号するように構成され、1つ以上の通信バスを介して通信されている車両情報は、独自の辞書で定義されているように、車両の供給元の符号化フォーマット又は車両構成要素の供給元の符号化フォーマットに従ってフォーマットされている。
【0026】
加えて、車両情報抽出サービスの1つ以上のコンピューティングデバイスは、車両から、1つ以上のネットワークデバイスを介して、車両の供給元又は車両構成要素の供給元から受信されたトリガ基準に従って、車両から抽出された車両情報を含む、車両情報パケットを受信するように構成されている。
【0027】
いくつかの実施形態では、車両情報の監視及び抽出を実行するソフトウェアアプリケーションを実装するための命令を含むソフトウェアパッケージは、車両の1つ以上のバス上のバストラフィックにアクセスする、車両のゲートウェイ又は他の構成要素に提供される。ソフトウェアパッケージの命令は、1つ以上のプロセッサによって実行されたとき、1つ以上のプロセッサに、車両の1つ以上のバス経由で通信されているトラフィック量の少なくとも一部分を復号する。バストラフィックは、ソフトウェアパッケージに含まれたバイナリファイルを使用して復号され、バイナリファイルは、顧客(例えば、車両の供給元又は車両構成要素の供給元)の独自の辞書からの定義及びアクセス認証情報を使用して、車両情報抽出サービスによって生成された。
【0028】
ソフトウェアパッケージの命令は、1つ以上のプロセッサに、符号化又は復号化されたバストラフィックを記憶バッファに記憶させる。上述したように、異なる種類の車両情報は、異なる時間量の間バッファリングされ得る。また、ソフトウェアパッケージの命令は、画像データ及び/又は音声データなどの、他の相補的な種類の車両情報に、バッファリングされるように指示し得ることも注目に値する。いくつかの実施形態では、車両情報の一部分のみが、記憶バッファに記憶される前に復号され得る。例えば、車両のバス経由で通信されたパケットのパケットヘッダが、トリガ条件が満たされたかどうかを判定するために、復号され得る。しかしながら、パケットのペイロードは、符号化されたフォーマットで記憶バッファ内に記憶され得、トリガ基準が満たされたかどうかを判定するために、関連付けられた復号ヘッダが分析される。また、いくつかの実施形態では、又は同じ実施形態における他の種類の車両情報については、ヘッダ及びペイロードの両方が、トリガ基準が満たされたかどうかを判定することの一部として復号され得、復号ヘッダ及び復号ペイロードは、記憶バッファ内に記憶され得る。
【0029】
例えば、バス経由で通信される第1の種類の車両情報は、車両のAIモジュールによって生成された人工知能(AI)推論であり得、対応する種類の車両情報は、車両のカメラからの画像、又は車両のマイクからの音声であり得る。ソフトウェアパッケージのプログラム命令は、ゲートウェイで実行されるソフトウェアアプリケーションに、監視されたバス経由で通信される復号されたAI推論の両方をバッファリングするように指示し得、また、対応する画像及び音声を記憶するように指示し得る。復号されたAI推論は、テキストデータとして記憶され得、画像及び音声は、(例えば、画素ごとにバイナリ値などを含む)デジタルファイルとして記憶され得る。ソフトウェアアプリケーションは、所与の時点の間に記憶された画像ファイル及び音声ファイルが、同じ時点の間に生成されたテキストベースのAI推論に対応するように、テキストデータ、画像及び音声を、同期された方式で記憶し得る。この例を続けると、AI推論データ、及び対応する画像データ及び音声データを抽出するためのトリガは、XGよりも大きい減速を伴うブレーキイベントが発生したことであり得、AI推論は、ブレーキが必要だったことを知らせなかった。そのような状況は、車両のAIシステムによって認識されない障害物を回避する、車両ブレーキの人間オペレータを表し得る。車両抽出ソフトウェアアプリケーションは、復号されたAI推論テキストを、時間が一致する画像及び/又は音声と同期させるため、クラウドベースの車両情報抽出サービスのデータ分析パイプラインは、車両のAIシステムによって見逃された場面に物体があったかどうかを判定するために、画像及び音声を分析し得る。そのようなデータは、今後そのような障害物を識別するために、AIモデルを訓練するために使用され得る。同期は、画像/音声と、車両のAI構成要素がAI推論を発行する時間との間の遅延を考慮することができることに留意されたい。例えば、AI推論は、音声/映像を遅延させ得る。しかしながら、ソフトウェアアプリケーション及び/又は記憶バッファは、全て同じイベント又は出来事に対応する画像、音声、及びAI推論を同期させるときに、この遅延を説明し得る。
【0030】
いくつかの実施形態では、ソフトウェアパッケージは、車両の1つ以上のバス上のバスストラフィックにアクセスする、車両のゲートウェイ又は他の構成要素に提供される、任意の個人データ又は機密データの匿名化を実施するための命令を含み得る。例えば、車載カメラは、様々な地方条例に従って、サーバにアップロードする前に難読化する必要があり得る、他の車両からナンバープレート番号を取り込み得る。
【0031】
上記の例で述べたように、車両情報抽出サービスから車両に提供された、ソフトウェアパッケージに含まれた命令は、1つ以上のプロセッサによって実行されたとき、トリガ条件が満たされたときに、車両情報サービスに送出するための、抽出された車両情報の1つ以上のパケットを生成させる。
【0032】
いくつかの実施形態では、クラウドサービスプロバイダネットワークに実装された車両情報抽出サービスは、抽出された車両情報を処理し、車両健康に関する洞察を得るための、事前構成された分析機能を含み得る。車両情報抽出サービスはまた、車両の潜在的な問題の診断及びトラブルシューティングを支援するための、視覚インタフェースも含み得る。ほぼリアルタイムの洞察により、顧客(例えば、車両の供給元及び/又は車両構成要素の供給元)は、そのような車両情報抽出サービスを使用して、車両の問題の修復及び保証請求の補償を迅速に行うことができ、広範な品質問題を事前対応的に検出して緩和することができる。これにより、車両の供給元及び/又は車両構成要素の供給元は、車両サービスコストを削減し、顧客満足体験を改善することができる。
【0033】
いくつかの実施形態では、車両情報抽出サービスは、車両の供給元及び/又は車両構成要素の供給元などの顧客からのカスタム展開が必要とされない、何百万もの車両からデータをリモートで収集、記憶、整理、及び監視するための、完全に管理されたサービスを提供し得る。
【0034】
いくつかの実施形態では、顧客(例えば、車両の供給元及び/又は車両構成要素の供給元)は、監視される車両情報の種類、及び/又は車両情報を抽出するためのトリガ基準を修正し得る。そのような修正は、車両情報抽出サービスへのアプリケーションプログラマティックインタフェース(API)を使用して行われ得、車両情報抽出サービスは、要求された変更に対応するために更新された構成ファイルを自動的に生成し、要求された変更を実施するために、監視されている車両に、更新された構成ファイルを自動的に展開する。
【0035】
いくつかの実施形態では、顧客(例えば、車両の供給元及び/又は車両構成要素の供給元)は、車両情報抽出サービスへのAPIを介して、アラームを更に定義し得、アラームは、顧客に通知される条件を指定する。アラーム条件と、データ抽出のためのトリガ条件とは、類似又は異なり得ることに留意されたい。例えば、データは、下側閾値に従って抽出され得、一方で、顧客は、上側閾値でアラーム通知を設定し得る。
【0036】
いくつかの実施形態では、異なるトリガ条件が、異なるデータセットに対して設定され得る。また、いくつかの実施形態では、トリガ条件は、1つのトリガ条件が満たされることが、後続のトリガ条件の前提条件であるように、連結され得るか、又は層状にされ得る。例えば、トリガ条件は、トリガ条件定義における「AND」論理演算子、「OR」論理演算子、又は「ANY」論理演算子を使用して、論理的に結合され得る。いくつかの実施形態では、トリガは、第1のトリガ条件が、後続のトリガ条件の前に評価されるように、時間順に並べられ得る。
【0037】
加えて、いくつかの実施形態では、顧客(例えば、車両の供給元及び/又は車両構成要素の供給元)は、車両フリートから抽出された集約データを閲覧し得る。例えば、そのような情報は、欠陥のあるエアバッグセンサなどの広範な品質問題を検出し、次いで、是正措置のために、顧客の製造グループに情報を提供するために使用され得る。
【0038】
いくつかの実施形態では、車両のバス経由で通信される車両情報は、バイナリ形式でフォーマットされ得る。いくつかの実施形態では、バイナリ情報を復号するために使用されるバイナリファイルを使用して、バイナリデータを、下流のアプリケーションとともに使用され得る、JSON/XMLフォーマットなどの標準化フォーマットに変換し得る。
【0039】
いくつかの実施形態では、車両情報の監視及び抽出を実行するソフトウェアアプリケーションは、特定の再送信閾値を有するクラウドサービスプロバイダネットワークにデータをアップロードするために、HTTP/1.1(又はMQTT及びIoT Core又はISO TC204)を使用して生成されたパケットを送出し得る。バイナリ車両ストリーミングデータ(カメラ、レーダ、LIDAR)の場合、ソフトウェアアプリケーションは、顧客のエンジニアが、クラウドストリーミングサービスなどに接続している車載バイナリストリーミングセンサと対話すること(例えば、電源投入時のカメラのライブビュー)を可能にするwebRTCを使用し得る。
【0040】
いくつかの実施形態では、パケットは、セルラーネットワーク、Wi-Fiネットワーク、長距離広域ネットワーク(LoRaWAN)、又は、サービスプロバイダによって提供されるネットワークなどの、無線ネットワーク経由で送出され得る。自動車メーカは、コンソールを使用して、各通信プロトコル経由で車両からクラウドサービスプロバイダにアップロードすることができるパケットの種類と、そのようなパケットが、上書きされる前に、車両及び/又はクラウドサービスプロバイダに記憶される期間と、をリモートで構成し得る。例えば、自動車メーカは、過去1日の車載カメラデータを記憶し、Wi-Fi経由でのみアップロードすることを選択することができる。別の例では、自動車メーカは、LoRaWANネットワーク経由で、車両のトラブルシューティングコードが発生すると、すぐにそれらを受信することを選択することができる。
【0041】
いくつかの実施形態では、車両情報抽出サービスは、Unified Diagnostic Service(UDS)ISO14229規格、Diagnostics over IP(DoIP)ISO13400規格、Open Diagnostics eXchange(ODX)ISO22901規格、Open Test sequence eXchange format(OTX)ISO13209、Modular Vehicle Communication Interface(MVCI)ISO22900などの、様々な車両診断規格をサポートし得る。
【0042】
図1は、車両バス経由で通信される車両情報をフォーマットするために、車両の供給元又は構成要素部品の供給元によって使用される独自の符号化フォーマットを有する辞書を受信する、車両情報抽出サービスであって、いくつかの実施形態によれば、ソフトウェアパッケージを車両に展開して、1つ以上のトリガ条件が満たされた場合に、抽出のために独自の符号化フォーマットを使用して符号化された車両情報を監視する間、独自の符号化フォーマットの機密性を維持する、車両情報抽出サービスを例解する。
【0043】
システム100は、車両情報サービス102と、車両126、142、及び144に接続されているネットワーク124と、を含む。いくつかの実施形態では、ネットワーク124は、任意の数の車両に接続され得る。また、顧客122a~122nは、ネットワーク116を介して、車両情報サービスに接続されている。いくつかの実施形態では、顧客122a~122nは、車両の供給元又は車両構成要素の供給元(例えば、車両の相手先商標製品製造会社(OEM)及び/又はティア1、ティア2、若しくはティア3部品供給元)であり得る。ネットワーク116は、車両情報抽出サービス102を提供するサービスプロバイダネットワークへの直接接続、又はインターネット接続などの、プライベートネットワーク又はパブリックネットワークであり得る。ネットワーク124は、セルラーネットワーク、Wi-Fiネットワーク、又は他の無線ネットワークなどの、無線ネットワークであり得る。
【0044】
車両情報抽出サービス102は、サービスユーザインタフェース104、アクセスが制限された車両辞書及び認証情報ストレージ106、バイナリファイル生成モジュール108、車両通信インタフェース110、抽出された車両情報の収集モジュール112、並びに抽出されたデータの分析及び/又は可視化モジュール114を含む。
【0045】
いくつかの実施形態では、サービスユーザインタフェース104は、
図2で更に議論されるように、デザイナキャンバス及び管理コンソールを含み得る。いくつかの実施形態では、顧客は、顧客(例えば、車両の供給元及び/又は車両構成要素の供給元)によって設計された構成要素、及び/又は関連付けられた独自のアクセス認証情報ファイルから、バス経由で車両情報を通信するために使用される、独自のプロトコル及び符号化フォーマットを記述する辞書ファイルを提供し得る。例えば、顧客122aは、顧客122aの車両の供給元の辞書ファイルを含み、また、車両の供給元の辞書に従ってフォーマットされた、車両情報の抽出基準を示す、提出物118を提供する。加えて、顧客122nは、構成要素の供給元の辞書ファイルを含み、また、構成要素の供給元の辞書に従ってフォーマットされた、車両情報の抽出基準を示す、提出物120を提供する。辞書ファイル及び抽出基準は、
図1では、同じ提出物の一部として示されていることに留意されたい。しかしながら、いくつかの実施形態では、抽出基準及び辞書ファイルは、別々に提出され得る。
【0046】
顧客122a及び122nから受信された、辞書ファイル及び関連付けられたアクセス認証情報ファイルは、アクセスが制限された辞書及び認証情報ストレージ106に記憶され得る。顧客122aの辞書ファイル及び関連付けられたアクセス認証情報ファイル、並びに顧客122nの辞書ファイル及び関連付けられたアクセス認証情報ファイルは、それぞれ、アクセスが制限された別個の物理的コンテナ又は論理的コンテナに記憶され得る。例えば、顧客122nは、顧客122aの辞書ファイルを閲覧すること、及び認証情報ファイルにアクセスすることができず、逆もまた同様である。
【0047】
バイナリファイル生成モジュール108は、提出物118及び120に示された抽出基準に基づいて抽出される、特定の種類の車両情報についての辞書の定義及び関連付けられたアクセス認証情報を識別し得る。更に、バイナリファイル生成モジュールは、提出物118及び120の抽出基準に示された車両情報の種類に対応する、車両バス経由で通信されたバイナリ情報にアクセスして復号する方法を、車両のソフトウェアアプリケーションに指示する、バイナリファイルを生成し得る。更に、バイナリファイル生成モジュール108は、関連する種類の車両情報がいつ抽出されるか、かつ、車両情報サービス102又は顧客122a及び122nに送り返されたパケットに含まれるかを示す抽出基準を、バイナリファイルに含み得る。いくつかの実施形態では、監視される車両情報の種類及び/又はトリガ基準は、ソフトウェアパッケージ146などのソフトウェアパッケージ内のバイナリファイルとともに送出される、構成ファイルに含まれ得る。
【0048】
バイナリファイル、ソースコード、及び/又は構成ファイルは、車載コンピューティングデバイス150に送出されるソフトウェアパッケージ146に含まれ得る。いくつかの実施形態では、車載コンピューティングデバイス150は、車両126用のゲートウェイを実装し得るか、又はそうでなければ、符号化された車両通信バス138などの、車両の1つ以上のバス経由で送信されたデータにアクセスすることができる、車両126の構成要素であり得る。いくつかの実施形態では、符号化された車両通信バス138などの車両のバスは、電子制御ユニット128(ECU#1)及び電子制御ユニット130(ECU#2)などの、車両の複数の構成要素から送出された、マルチキャスト車両情報を送信し得る。加えて、物理センサ136及び音声/視覚センサ132などの他の構成要素は、符号化された車両通信バス138経由で車両情報を通信し得る。
【0049】
ソフトウェアパッケージ146は、車載コンピューティングデバイス150上で実行するソフトウェアアプリケーション152を実装するために使用され得る。いくつかの実施形態では、ソフトウェアアプリケーション152は、符号化された車両通信バス138経由で送信された車両情報にアクセスして復号するために、バイナリファイルストレージ154にアクセスし得る。例えば、バストラフィック復号及びトリガモジュール156は、バイナリファイルストレージ154のバイナリファイル及び/又は構成ファイルを使用して、バストラフィックにアクセスして復号し得る。バストラフィック復号及びトリガ監視モジュール156は、更に、復号されたバストラフィックなどの車両情報、及び/又は視覚データ又は音声データなどの他の車両情報を、記憶バッファ158に記憶させることができる。
図5でより詳しく説明するように、記憶バッファは、過去の複数の前の時点について、符号化及び/又は復号化された車両情報、並びに他の関連付けられた車両データを記憶し得る。更に、バストラフィック復号及びトリガ監視モジュール152は、復号されたバストラフィックを、データ抽出のための1つ以上のトリガ基準と比較して、トリガ基準が満たされているかどうかを判定し得る。トリガ基準が満たされる場合、パケット生成モジュール180は、抽出された車両情報148として車両情報抽出サービス102に送り返される、1つ以上のパケットを生成し得る。
【0050】
いくつかの実施形態では、車両情報抽出サービス102は、ソフトウェアパッケージ146を送出し、抽出された車両情報148を受信するために、車両126などのそれぞれの車両との安全な接続を確立するように構成された、車両通信インタフェース110を含む。
【0051】
いくつかの実施形態では、抽出された車両情報の収集モジュール112は、抽出された車両情報148を、車両情報抽出サービス102も実装するプロバイダネットワークによって提供されたストレージサービスのストレージアカウントなどの、顧客のストレージアカウントに記憶させることができる。
【0052】
いくつかの実施形態では、車両情報抽出サービスは、抽出された車両情報148に対して実行される、分析及び/又は可視化を更に編成し得る。例えば、抽出された車両情報は、顧客に通知されるアラームの、アラームトリガと比較され得る。また、抽出された車両情報は、顧客に提示するためのチャート、グラフ、又は他のユーザインタフェースツールなどの、視覚的なグラフィックスに編成され得る。いくつかの実施形態では、抽出された車両情報は、人工知能(AI)モデルを訓練するために使用され得るか、又は、車両の設定を最適化するために、機械学習ツールに提供され得る。
【0053】
図2は、いくつかの実施形態による、車両情報抽出サービス用のサービスユーザインタフェースのデザイナキャンバス及び管理コンソールの、より詳細な図を例解する。
【0054】
いくつかの実施形態では、サービスユーザインタフェース108などの車両情報抽出サービスのサービスユーザインタフェースは、デザイナキャンバス202などのデザイナキャンバスと、管理コンソール210などの管理コンソールと、を含み得る。いくつかの実施形態では、デザイナキャンバスは、車両の供給元又は車両構成要素の供給元のエンジニアなどのカスタマーエンジニアが、実世界の車両から抽出されたデータを含むデジタルツインを閲覧することを可能にし得る。デザイナキャンバスはまた、エンジニアが、監視/抽出されたデータの種類、及び/又はデータを抽出するためのトリガ基準を修正することも可能にし得る。いくつかの実施形態では、デザイナキャンバスは、各エンジニアが、車両情報抽出サービスに関するアカウント又は認証情報を有することを必要とせずに、それぞれの企業認証情報(例えば、企業顧客からエンジニアに発行された認証情報)を使用して、カスタマーエンジニアがウェブアプリケーションにログインすることを可能にし得る。顧客のエンジニアは、Webアプリケーションを使用して、車両データにアクセスし、可視化し、監視することができ得る。デザイナキャンバスはまた、顧客が、カスタムレポート又は分析を構築したり、車両データを既存のソフトウェア環境に組み込んだりすることも可能にし得る。いくつかの実施形態では、車両情報抽出サービスによって提供されたウェブアプリケーションは、ウェブアプリケーションのコードを顧客が生成することを必要とせずに、事前構成され得るか、又は容易に設定可能であり得る。
【0055】
いくつかの実施形態では、車両情報抽出サービス用の管理コンソールは、追加の機能を提供し得、顧客が、独自の辞書へのアクセスの提供、追加のデジタルツインの作成などの、車両情報抽出サービスで顧客のアカウントを管理することを更に可能にし得る。
【0056】
いくつかの実施形態では、デザイナキャンバス202などのデザイナキャンバスは、デジタルツインユーザインタフェース204、フリートユーザインタフェース206、及び構成ユーザインタフェース208を含む。デジタルツインユーザインタフェース204は、顧客のエンジニアが、所与の実世界の車両のデジタルツインを閲覧することと、デジタルツインと対話することと、を可能にし得、デジタルツインは、実世界の車両から抽出されたほぼリアルタイムの車両情報を含む。フリートユーザインタフェース206は、顧客のエンジニアが、車両の等級(又はフリート)を表すデジタルツインを閲覧することと、デジタルツインとインタフェースをとることと、を可能にし得る。フリートデジタルツインは、フリートについてのフリート定義に一致する、車両の等級のほぼリアルタイムの状態を表す、集約データを含み得る。加えて、デジタルツインユーザインタフェース204及びフリートユーザインタフェース206は、顧客のエンジニアが、実世界の車両又は実世界の車両のフリートから抽出された履歴データを閲覧することと、履歴データと対話することと、を可能にし得る。いくつかの実施形態では、実世界の車両が構築される前に、デザイナキャンバス202を使用して、車両用にデジタルツインが作成され得る。
【0057】
いくつかの実施形態では、デザイナキャンバス202は、構成ユーザインタフェース208などの構成ユーザインタフェースを含み得る。構成ユーザインタフェース208は、顧客のエンジニアが、車両又は車両のフリートから抽出される車両情報の種類、及び、車両情報を抽出するためのトリガ基準を提供/修正することを可能にし得る。例えば、所与のシステムをトラブルシューティングする場合、エンジニアは、トラブルシューティングされているシステムの従属構成要素などから抽出される追加の種類の車両情報を含むように、データ抽出を修正し得る。
【0058】
管理コンソール210は、課金情報、連絡先情報などの、顧客のアカウントを管理するために使用され得る、データ抽出サービスアカウント管理212を含む。加えて、管理コンソール210は、車両インタフェース214及びフリートデジタルツインインタフェース216用のデジタルツインを含む。これらのインタフェースは、個々の車両又は車両のフリートのいずれかに対して、追加のデジタルツインが作成されることを許可するために、顧客によって使用され得る。いくつかの実施形態では、デザイナキャンバス202のプロンプトは、顧客による承認の要求を、待ち行列に入れさせ得、承認は、デジタルツインインタフェース214又はフリートデジタルツインインタフェース216に、追加のデジタルツインを作成させる。
【0059】
管理コンソール210は、顧客が独自の辞書を連結又はアップロードすることを可能にする、構成管理インタフェース218を含む。いくつかの実施形態では、独自の辞書を連結又はアップロードする要求は、デザイナキャンバス202から提出され得、顧客によって承認されたとき、構成管理コンソール218に、独自の辞書のアップロード又はリンク連結を実行させ得る。次いで、管理コンソール210の展開インタフェース220は、生成されたバイナリファイルを、監視対象となる車両に展開させ得る。いくつかの実施形態では、管理コンソール210などの管理コンソールは、抽出された車両情報を受信及び閲覧するための監視インタフェース222を更に含み得る。いくつかの実施形態では、監視インタフェースはまた、抽出された車両情報で特定の閾値が満たされた場合に、アラームなどの監視パラメータの指定をトリガすることも可能にし得る。いくつかの実施形態では、バイナリファイルは、車両情報抽出サービス102によって生成され得、顧客の車両に展開するために、顧客に提供され得る。
【0060】
管理コンソール210はまた、抽出された車両情報に対して実行される分析を定義するための、分析インタフェース224を含み、分析、アラーム、通知パラメータなどを顧客が指定することを可能にする、顧客APIインタフェース226を含む。加えて、管理コンソール210は、抽出された車両情報で特定のアラーム閾値が満たされた場合に、顧客に通知を発行するように構成された、顧客通信インタフェース228を含む。
【0061】
いくつかの実施形態では、サービスユーザインタフェース108は、復号された車両情報が共有される車両の、他の構成要素を選択するために顧客によって使用され得る、車両情報クロスライセンスインタフェース230を更に含む。例えば、車両OEMは、OEMの独自のプロトコルを使用して通信するセンサから復号された車両情報にアクセスすることができるように、ティア1供給元にライセンスを付与し得る。復号された車両情報の共有にライセンスを付与することによって、OEMは、復号された車両情報をティア1供給元構成要素が使用することを可能にし得るが、ティア1供給元と独自の辞書を共有する必要はない場合がある。代わりに、独自の辞書は、車両データ抽出サービス102のアクセスが制限された車両辞書ストレージ106に記憶され、ティア1供給元ではアクセス可能ではない。しかしながら、独自の辞書が、ティア1供給元による閲覧が制限されたままであっても、OEM及びティア1供給元の構成要素の相互運用性を妨げるものではない。
【0062】
いくつかの実施形態では、管理コンソール210は、異なる種類又は等級のユーザ(車両情報抽出サービスの顧客である、車両の供給元又は車両構成要素の供給元の従業員であり得る)のアクセス役割を顧客が定義することを可能にし得る、許可及び役割インタフェース232を更に含む。例えば、一部のユーザには、事前構成された車両情報抽出構成の使用のみを許可する役割が割り当てられ得、他のユーザには、車両の特定の構成要素の動作をより深く掘り下げて調べるなどの、新しい車両情報抽出構成の展開を可能にする役割が提供され得る。
【0063】
図3は、いくつかの実施形態による、車両のバス経由で車両情報を通信するために異なるレベルで使用される、プロトコルのネットワークスタックのより詳細な図を例解する。
【0064】
いくつかの実施形態では、バイナリファイルストレージ154に記憶されたバイナリファイルは、車両の通信バス経由で送信された通信へのアクセス及び復号を可能にする、車両ネットワークスタックの複数層に対する独自のアクセス認証情報及びプロトコル定義を含み得る。例えば、バイナリファイルストレージ154に含まれるバイナリファイルは、車両ハードウェア層310で使用される、アクセス認証情報、プロトコル、及び/又はアドレスを示し得る。加えて、バイナリファイルは、車両ファームウェア層308及び/又は車載ハイパーバイザ層306で使用される、アクセス認証情報、プロトコル、又はポートを示し得る。加えて、バイナリファイルは、バス層304で使用されるバスプロトコルと、層302で使用される、顧客の独自のプロトコル及びアクセス認証情報と、を示し得る。車両情報監視及び抽出ソフトウェアアプリケーション152は、一例として、バイナリファイルに含まれる、これらの定義及びアクセス認証情報を使用して、符号化された車両通信バス138経由で送出されたメッセージにアクセスして復号し得る。
【0065】
図4は、いくつかの実施形態による、車両情報抽出サービスによって展開されたソフトウェアアプリケーションによって、データ抽出について監視され得る、複数の異なるバスを備える、例示的な車両を例解する。
【0066】
いくつかの実施形態では、車両426などの車両は、ゲートウェイに接続された、複数のバスを含み得る。例えば、車両426は、CANバス#1(404)、CANバス#2(406)、イーサネット/IPバス408、ローカル相互接続(LIN)バス410、及びFlexRayバス412に接続されている、ゲートウェイ402を含む。
図4に示すように、異なる種類の車両情報は、異なる種類のバス経由で送信され得る。いくつかの実施形態では、顧客は、車両の一部又は全てのバスについてのみ、独自の辞書へのアクセスを提供し得る。また、顧客は、車両のバスの一部又は全てを監視対象とすることのみを、指定し得る。加えて、顧客は、所与のバスに接続された特定の構成要素のみを監視対象とすることを指定し得る。
【0067】
図5は、いくつかの実施形態による、車両情報抽出サービスによって展開されたアプリケーションによって使用され得る、記憶バッファであって、1つ以上のトリガ基準が満たされた場合に抽出の対象となる、1つ以上の前の時点からのデータを記憶する、記憶バッファのより詳細な図を例解する。
【0068】
図5に示すように、いくつかの実施形態では、記憶バッファ158は、2つ以上の種類のデータを、2つ以上のバッファに記憶し得る。例えば、記憶バッファ158は、時間同期された復号テキストバッファ502、他のデータバッファ1(504)、及び他のデータバッファN(506)を含む。現在のデータは、時間Nで記憶され得る。次の時点のデータは、時間N-1で記憶され、次の時点が到来すると、時間N-1は時間Nとなり、時間Nで先に記憶されたデータは、時間N+1となる。いくつかの実施形態では、記憶バッファ158は、任意の数の時点(例えば、N+X、ここで、Xは、バッファリングされる時点の数である)のデータを記憶し得る。また、いくつかの実施形態では、Xは、いくつかの種類の車両情報が、他の種類の車両情報よりも長い期間バッファリングされるように、車両情報の種類によって異なり得る。
【0069】
いくつかの実施形態では、グローバルタイムスタンプは、記憶バッファ502に記憶されたときに、車両情報に適用され得る。また、いくつかの実施形態では、記憶バッファ502に記憶されたデータのペイロードは、データを含むメッセージが、符号化された車両通信バス138に提出されたときのタイムスタンプ、又は、物理センサ136などによってデータが感知されたときのタイムスタンプなどの、車両の他の構成要素によって生成された、記憶されたデータに関連付けられたタイムスタンプを含み得る。したがって、いくつかの実施形態では、1つのデータは、例えば物理センサ136でデータが感知されたときのペイロードタイムスタンプ、符号化された車両通信バス138にデータが提出されたときの別のペイロードタイムスタンプ、及び、記憶バッファ158でデータが受信されたときの別のタイムスタンプなどの、データに関連付けられた2つ以上のタイムスタンプを有し得る。いくつかの実施形態では、記憶バッファ158に記憶された1つのデータは、より多くの又はより少ないタイムスタンプで記憶され得る。そのようなタイムスタンプは、例えば、ソフトウェアアプリケーション152によって、又は、車両情報抽出サービス102の抽出されたデータの分析及び/又は可視化モジュール114によって、車両内の一連のイベントの正確な表現が、再作成されることを可能にし得る。
【0070】
図6は、いくつかの実施形態による、車両情報抽出サービス、及びプロバイダネットワークによって提供された他のクラウドサービスを含む、例示的なプロバイダネットワークを例解する。
【0071】
いくつかの実施形態では、プロバイダネットワーク602などのプロバイダネットワークは、ネットワークデバイス604と、コンピューティングデバイス606と、クラウドサービス610を実装するデータ記憶デバイス608と、を含む。いくつかの実施形態では、プロバイダネットワークは、車両情報抽出サービスに加えて、複数のクラウドサービスを実装し得る。例えば、プロバイダネットワーク602は、IoTソフトウェア更新サービス612、計算サービス614、データ記憶サービス616、機械学習サービス618、ワークフローサービス620、及び他のサービス622を含む、クラウドサービス610を実装する。クラウドサービス610はまた、車両情報抽出サービス102も含む。
【0072】
いくつかの実施形態では、IoTソフトウェア更新サービス612などのIoTソフトウェア更新サービスは、
図1に例解されるように、車両126、142、及び144などの、IoTソフトウェア更新サービスに接続されたデバイス上の、ソフトウェア更新を容易にし得る。いくつかの実施形態では、IoTソフトウェア更新サービスは、接続されたデバイス上のファームウェアを追加的に更新し得、暗号化された通信を利用して、更新を実行し得る。いくつかの実施形態では、IoTソフトウェア更新サービスはまた、許可されていないエンティティが、車両などの、接続されたデバイス上のソフトウェアを変更することを阻止するための識別認証プロトコルを含み得、ソフトウェア更新への変更を阻止するために、接続されたデバイスへの通信を暗号化し得る。
【0073】
いくつかの実施形態では、計算サービス614などの計算サービスは、収集された車両情報を分析するために使用され得、及び/又は車両情報抽出サービスを実施するために使用され得る仮想計算機を実装する、コンピューティングデバイスを含み得る。
【0074】
いくつかの実施形態では、データ記憶サービス616などのデータ記憶サービスは、(オブジェクトベースのストレージ用の仮想データストレージボリューム又は仮想ストレージコンテナなどの)仮想化されたデータストレージを実装する、データ記憶デバイスを含み得る。いくつかの実施形態では、データ記憶サービス616などのデータ記憶サービスは、顧客のために収集された車両情報を記憶するために使用され得る。また、いくつかの実施形態では、データ記憶サービス616などのデータ記憶サービスは、独自の辞書用のアクセスが制限されたストレージなどの、車両情報抽出サービスの構成要素を実装するために使用され得る。
【0075】
いくつかの実施形態では、機械学習サービスは、1つ以上の機械学習アルゴリズムを実行して、例えば、ワークフローサービスを最適化するために、又は別のサービスを最適化するために、車両情報抽出サービスを介して抽出された車両情報の関係を判定し得る。例えば、いくつかの実施形態では、機械学習サービス618などの機械学習サービスは、車両情報抽出サービスによって収集された車両情報に基づいて、部品の流通管理を最適化するために使用され得る。いくつかの実施形態では、車両情報抽出サービスも提供するプロバイダネットワークの機械学習サービスは、監視される車両情報の種類、及び/又は車両情報の抽出のためのトリガ基準に関する提言を生成するために、所与の車両又は車両の等級に関連する、抽出された車両情報及び/又は他の情報を更に分析し得る。
【0076】
いくつかの実施形態では、ワークフローサービス620などのワークフローサービスは、入力データ、及び記憶又は展開されたワークフローに基づいて、ワークフローを実行し得る。例えば、いくつかの実施形態では、ワークフローサービス620などのワークフローサービスは、収集された車両情報に基づいて行われる動作を決定し得る。一例として、ワークフローサービスは、収集された車両情報を、1つ以上の記憶又は展開されたワークフローに適用することに基づいて、変更又は交換する必要があるフィルタ、ホース、又は流体を判定し得る。いくつかの実施形態では、機械学習サービス618などの機械学習サービスは、ワークフローサービス620によって実行されたワークフローを展開又は改善するために使用され得る。いくつかの実施形態では、ワークフローサービス620は、抽出された車両情報を使用して、抽出された車両情報に基づいて将来的に特定の場所で必要とされる可能性が高い、車両部品の出荷を開始し得る。
【0077】
いくつかの実施形態では、クラウドサービス610は、他のサービス622などの、他の様々なクラウドサービスを含み得る。
【0078】
いくつかの実施形態では、車両情報抽出サービスは、車両又は車両のフリートから抽出されたデータを配信するための、顧客ネットワークへの安全な接続を確立するように構成され得る。例えば、いくつかの実施形態では、顧客(例えば、車両の供給元又は車両構成要素の供給元)は、車両設計を改善する際に使用するために、及び/又は部品在庫を管理する際に使用するために、特定の種類の車両データを受信し得る。いくつかの実施形態では、顧客ネットワーク、そのようなOEMネットワークは、直接接続652などの直接接続を介して、又は論理的に分離されたネットワーク接続654などの論理的に分離されたネットワーク接続を介して、車両情報抽出サービスへの安全な接続を確立し得る。いくつかの実施形態では、直接接続は、顧客ネットワーク650をプロバイダネットワーク610に連結する、専用の物理ネットワークリンク、並びに/又は、顧客ネットワーク650に物理的に接続されたルータから、直接接続652を介して、車両情報抽出サービス102を実装するコンピューティングデバイス及び/若しくは記憶デバイスへトラフィックをルーティングする、プロバイダネットワーク610内の1つ以上の論理的に分離されたネットワーク接続を含み得る。例えば、データレイクは、計算サービス614及びデータ記憶サービス616などのクラウドサービスを使用して実装され得るか、又は、顧客コンピューティングデバイス656、顧客記憶デバイス658、若しくは他の顧客デバイス660などの顧客リソースを使用して、顧客によって直接実装され得る。
【0079】
図7A~
図7Fは、いくつかの実施形態による、車両又は車両のフリートからのデータ抽出を定義し、可能にするために使用される、例示的なユーザインタフェースページを例解する。
【0080】
図7Aでは、顧客は、作成される車両モデルの構成情報(例えば、デジタルツイン)を入力するために、デザイナキャンバス700を利用し得る。ボックス702では、顧客は、特定の製造元の部品のみを監視対象とする場合、モデル名(704)、実世界の車両の車両モデル(706)、実世界の車両のモデル年度(708)、部品製造元(710)を指定し得る。また、712では、顧客は、監視対象となる部品の種類を更に指定し得る。714では、顧客は、車両モデルを作成するために、enterを選択し得る。
【0081】
図7Bでは、顧客は、
図7Aで作成されたデジタルツイン車両モデルと対になる、実世界の車両の識別情報を提供し得る。例えば、ボックス722では、顧客は、固有の車両識別子(724)、VIN番号(726)、ナンバープレート番号(728)、所有者の名前(730)、所有者の電子メール(732)、所有者の国又は言語(734)を指定し得、736では、顧客は、デジタルツイン車両モデルと対になる、実世界の車両の定義を完了するために、enterを選択し得る。いくつかの実施形態では、顧客は、固有の車両識別子を提供することだけが必要となり得、他のフィールドは自動入力され得る。例えば、製造在庫管理システムは、VIN番号(726)を自動的に入力し得る。別の例として、販売業者又は配送管理システムは、ナンバープレート(728)、所有者の名前(730)、所有者の電子メール(732)、国/言語(734)などを、自動的に入力し得る。いくつかの実施形態では、より多くの又はより少ないフィールドが、実世界の車両の識別情報を提供するために使用され得る。
【0082】
図7Cでは、顧客は、車載監視及びデータ抽出ソフトウェアが展開される、実世界の車両のゲートウェイ(又は他の構成要素)を指定し得る。例えば、ボックス742では、顧客は、展開構成要素(744)の名前と、展開構成要素と通信するためのプロキシサーバ(746)と、展開構成要素用のオペレーティングシステム又はランタイム環境構成(748)と、展開構成要素と通信するソフトウェアパッケージ用のネットワークインタフェース(750)と、パッケージ化されたソフトウェアがインストールされる、展開構成要素のインストールディレクトリ(752)と、を指定し得る。754では、顧客は、展開構成要素の定義及び構成を提出するために、enterを選択し得る。
【0083】
図7Dでは、顧客は、監視対象となる、バス、及びバスに接続された構成要素を選択し得る。例えば、ボックス762では、顧客は、764でバス名を指定し得、766~774で、選択されたバスに接続された構成要素を選択し得る。ボタン776を使用して、選択されたバス用の独自の辞書をアップロードするか、又は別様に辞書へのアクセスを提供し得る。いくつかの実施形態では、バスに接続された構成要素は、ボタン776を介してアップロードされた独自の辞書に含まれる情報に基づいた選択のために、事前に入力され得る。いくつかの実施形態では、監視のために、2つ以上のバスが選択され得ることに留意されたい。したがって、
図7Dに示すような同様のページが、追加のバスに使用され得る。778では、顧客は、選択されたバス監視構成を提出し得る。
【0084】
いくつかの実施形態では、車両に含まれるバス、それらのバスに接続されるECU、ECUに接続されるセンサなど、車両の構成要素を顧客が定義することを可能にするために、
図7B及び
図7Cに示されるものの間に、追加のユーザインタフェースページが提供され得る。いくつかの実施形態では、この情報は、アップロードされた独自の辞書の内容、及び/又は車両情報抽出サービスによって記憶されている車両の特定のメーカ及び/又はモデルに関する他の情報に基づいて、事前に入力され得る。また、いくつかの実施形態では、顧客は、事前に入力された、在庫利用可能なバス、ECU、センサなどに追加、又はそれらを変更することが可能であり得る。
【0085】
図7Eでは、顧客は、監視対象となるバスの構成要素に接続された、特定のセンサを更に選択し得る。例えば、ボックス782では、顧客は、フロントカメラECU(784)に接続された構成要素について選択786~790を行い、794では、顧客は、シートコントローラECUを選択している(792)。いくつかの実施形態では、顧客は、監視されるセンサ又はECUのいずれか、又はその両方を選択し得る。例えば、フロントカメラECU(784)は、選択され得る複数の取り付けられたセンサを有し、一方で、シートコントローラECU(792)は、追加のセンサが接続されていないか、又は少数のセンサが接続されている、単純なECUであり得る。したがって、顧客は、所与のECUからの全ての通信を監視することを要求し得、及び/又は、特定のセンサに対する通信を監視することを選択し得る。
【0086】
いくつかの実施形態では、車両のバイナリファイルは、監視のために利用可能なバス、ECU、センサなどの在庫に基づいて生成され得、構成ファイルは、
図7D及び
図7Eに示されるページを介してなど、監視のために選択される、特定のECU及びセンサに基づいて生成され得る。
【0087】
図7Fでは、ボックス701では、顧客は、監視対象となる構成されたバス(703及び705)を、
図7Cで定義された展開構成要素(707)と更に対にし得、ボタン709を選択して、
図7D及び
図7Eで定義された監視構成を使用して、選択されたバス703及び705の監視を可能にするために、707で選択された展開構成要素に展開するために、バイナリファイル及び構成ファイルを生成させ得る。
【0088】
図8は、いくつかの実施形態による、データ監視及び抽出用のソフトウェアパッケージを車両に展開するために、車両情報サービスによって実行される動作のフローチャートを例解し、また、要求された車両情報が車両から抽出されることに応答して、車両情報サービスによって実行される動作を例解する。
【0089】
ブロック802では、車両情報抽出サービスは、車両で使用される、又は車両構成要素によって使用される、独自の符号化プロトコルを含む辞書ファイルを受信する。
【0090】
ブロック804では、車両情報抽出サービスは、辞書ファイルの独自の内容が、辞書ファイルを提供した車両の供給元又は車両構成要素の供給元以外の者には見えないように、アクセスが制限された物理コンテナ又は論理コンテナに辞書ファイルを記憶する。
【0091】
ブロック806では、車両情報抽出サービスは、車両又は車両のフリートからの抽出のために監視対象となる、1つ以上の種類の車両情報の指標を受信する。車両情報抽出サービスはまた、監視された車両情報が車両から抽出され、車両情報抽出サービス又は顧客に送出される条件を示す、トリガ基準も受信する。
【0092】
ブロック808では、車両情報抽出サービスは、辞書ファイルに基づいて、監視される車両に提供される1つ以上のバイナリファイルを生成し、1つ以上のバイナリファイルは、車両のゲートウェイ環境で実行するソフトウェアアプリケーションが、辞書ファイルに定義された独自の構造/プロトコルに従って構造化された通信を、復号することを可能にする。
【0093】
ブロック810では、車両情報抽出サービスは、監視される車両情報の指示された種類、及び監視対象となるこれらの種類の車両情報について指示されたトリガ基準に基づいて、1つ以上の構成ファイルを生成する。
【0094】
ブロック812では、車両情報抽出サービスは、監視対象となる車両のゲートウェイ環境にロードするための、1つ以上のバイナリファイル及び1つ以上の構成ファイルを提供する。
【0095】
ブロック814では、車両情報抽出サービスは、バイナリファイルで定義されたように監視される車両構成要素のために、車両から抽出された車両情報を含むパケットを受信する。
【0096】
ブロック816では、車両情報サービスは、パケットを分析するためにプロバイダネットワークの1つ以上の他のサービスと連携し、抽出された車両情報において1つ以上の閾値条件が満たされる場合に、顧客に連絡する。車両情報抽出サービスはまた、車両から抽出された、復号されたデータ又は分析されたデータに顧客がアクセスするための、APIも提供する。
【0097】
図9は、いくつかの実施形態による、車両情報抽出サービスから車両に展開されたソフトウェアアプリケーションによって実行される動作のフローチャートであって、ソフトウェアアプリケーションが、車両バストラフィックを監視し、1つ以上のトリガ基準が満たされた場合に、車両情報抽出サービスに送出される車両情報を抽出する、フローチャートを例解する。
【0098】
ブロック902では、車両で展開された車両情報監視ソフトウェアアプリケーションは、独自の構造又はフォーマットに従って、車両バス経由で通信されている車両情報を復号/解釈する際に使用するための、バイナリファイル及び/又は構成ファイルを含むパッケージを受信する。
【0099】
ブロック904では、車両で展開された車両情報監視ソフトウェアアプリケーションは、バイナリファイルを使用して、車両バス経由で通信されている車両情報を解読し、独自の構造又はフォーマットに従って構造化されたデータを解釈する。
【0100】
ブロック906では、車両で展開された車両情報監視ソフトウェアアプリケーションは、解読された車両情報及び/又は符号化された車両情報を、複数の過去の時点に対する車両情報を記憶する、記憶バッファに記憶させる。
【0101】
ブロック908では、車両で展開された車両情報監視ソフトウェアアプリケーションは、解読された車両情報を監視して、車両からの、及びクラウドベースのデータ抽出サービス又は顧客への車両情報のデータ抽出をトリガするために、1つ以上のトリガ基準が満たされているかどうかを判定する。
【0102】
ブロック910では、車両で展開された車両情報監視ソフトウェアアプリケーションは、トリガ基準のうちの1つ以上が満たされたとの判定に応答して、満たされたトリガ基準に対応する解読された(又は符号化された)車両情報を含む、1つ以上のパケットを生成する。いくつかの実施形態では、パケットは、トリガ基準が満たされる前に記憶バッファに記憶された、満たされたトリガ基準に対応する解読された(又は符号化された)車両情報を含み得、加えて、トリガ基準が満たされた後に収集されたトリガ基準に対応する解読された車両情報を含み得る。
【0103】
ブロック912では、車両で展開された車両情報監視ソフトウェアアプリケーションは、車両のゲートウェイ(又は他の構成要素)と、データ抽出サービスを提供するサービスプロバイダネットワークとの間に確立されたネットワーク接続を介して、1つ以上のパケットをデータ抽出サービスに送出する。任意選択的に、1つ以上のパケットは、追加的に、又は代替的に、顧客のネットワークに送出され得る。
例示的なコンピュータシステム
【0104】
様々なコンピュータシステムのいずれも、車両情報抽出サービス、車両情報抽出サービスから車両に展開されたソフトウェアアプリケーション/パッケージ、車両抽出サービスを実装するプロバイダネットワーク、車両又はデバイス内のオペレーティングシステム、又は上記の図の任意の他の構成要素に関連付けられたプロセスを実施するように構成され得る。例えば、
図10は、いくつかの実施形態による、本明細書に記載の技法の一部又は全てを実装する、例示的なコンピュータシステムを例解するブロック図である。様々な実施形態では、車両情報抽出サービス、展開されたソフトウェアパッケージ、車両情報抽出サービス及び他のクラウドサービスを実装するプロバイダネットワーク、車両又はデバイス内のオペレーティングシステム、又は上記の
図1~
図9の任意の他の構成要素は、それぞれ、
図10に例解されるものなどの、1つ以上のコンピュータシステム1000を含み得る。
【0105】
例解された実施形態では、コンピュータシステム1000は、入出力(I/O)インタフェース1030を介してシステムメモリ1020に結合された、1つ以上のプロセッサ1010を含む。コンピュータシステム1000は、I/Oインタフェース1030に結合された、ネットワークインタフェース1040を更に含む。いくつかの実施形態では、コンピュータシステム1000は、企業ロジック又はダウンロード可能なアプリケーションを実装するサーバの例解であり得、他の実施形態では、サーバは、コンピュータシステム1000よりも多くの、より少ない、又は異なる要素を含み得る。
【0106】
様々な実施形態では、コンピューティングデバイス1000は、1つのプロセッサを含むユニプロセッサシステム、又は、いくつかの(例えば、2個、4個、8個、又は別の適切な個数の)プロセッサ1010A~1010Nを含むマルチプロセッサシステムであり得る。プロセッサ1010A~1010Nは、命令を実行可能な任意の好適なプロセッサを含み得る。例えば、様々な実施形態では、プロセッサ1010A~1010Nは、x86、PowerPC、SPARC、又はMIPS ISAなどの様々な命令セットアーキテクチャ(ISA)のいずれか、又は任意の他の好適なISAを実装するプロセッサであり得る。いくつかの実施形態では、プロセッサ1010A~1010Nは、グラフィックスプロセッシングユニット(GPU)、特定用途向け集積回路(ASIC)などの専用のプロセッサを含み得る。マルチプロセッサシステムでは、プロセッサ1010A~1010Nの各々は、一般的には、同じISAを実装し得るが、必ずしもそうではない。
【0107】
システムメモリ1020は、プロセッサ1010A~1010Nによってアクセス可能な、プログラム命令及びデータを記憶するように構成され得る。様々な実施形態では、システムメモリ1020は、スタティックランダムアクセスメモリ(SRAM)、同期式ダイナミックRAM(SDRAM)、不揮発性/フラッシュ型メモリ、又は任意の他の種類のメモリなどの、任意の好適なメモリ技術を使用して、実装され得る。例解された実施形態では、上述の方法、技術、及びデータなどの1つ以上の所望の機能を実装するプログラム命令及びデータが、コード(すなわち、プログラム命令)1025及びデータ1035として、システムメモリ1020内に記憶されていることが示されている。
【0108】
一実施形態では、I/Oインタフェース1030は、ネットワークインタフェース1040又は他の周辺インタフェースを含む、プロセッサ1010A~1010Nと、システムメモリ1020と、デバイス内の任意の周辺デバイスと間のI/Oトラフィックを調整するように構成され得る。いくつかの実施形態では、I/Oインタフェース1030は、1つの構成要素(例えば、システムメモリ1020)からのデータ信号を、別の構成要素(例えば、プロセッサ1010)による使用に適したフォーマットに変換するために、任意の必要なプロトコル、タイミング、又は他のデータ変換を実行し得る。いくつかの実施形態では、I/Oインタフェース1030は、例えば、周辺構成要素相互接続(PCI)バス規格又はユニバーサルシリアルバス(USB)規格の変形などの、様々な種類の周辺バスを通して取り付けられたデバイスのサポートを含み得る。いくつかの実施形態では、I/Oインタフェース1030は、自動車CANバスなどを介して取り付けられたデバイスのサポートを含み得る。いくつかの実施形態では、I/Oインタフェース1030の機能は、例えば、ノースブリッジ及びサウスブリッジなどの2つ以上の別個の構成要素に分割され得る。また、いくつかの実施形態では、システムメモリ1020へのインタフェースなどのI/Oインタフェース1030の機能の一部又は全ては、プロセッサ1010A~1010N内に直接組み込まれ得る。
【0109】
ネットワークインタフェース1040は、データが、コンピューティングデバイス1000と、ネットワーク1050に取り付けられた他のデバイス1060との間で交換されることを可能にするように構成され得る。様々な実施形態では、ネットワークインタフェース1040は、例えば、イーサネットネットワーク、セルラーネットワーク、ブルートゥースネットワーク、Wi-Fiネットワーク、超広帯域ネットワークの種類などの、任意の適切な有線又は無線の汎用データネットワークを介した通信をサポートし得る。加えて、ネットワークインタフェース1040は、アナログ音声ネットワーク若しくはデジタルファイバ通信ネットワークなどの電気通信/電話ネットワークを介した、ファイバチャネルSANなどのストレージエリアネットワークを介した、又は任意の他の好適な種類のネットワーク及び/若しくはプロトコルを介した通信をサポートし得る。
【0110】
いくつかの実施形態では、システムメモリ1020は、対応する方法、システム、及び装置の実施形態を実装するための、上述のように、プログラム命令及びデータを記憶するように構成された、コンピュータ可読(すなわち、コンピュータアクセス可能)媒体の一実施形態であり得る。しかしながら、他の実施形態では、プログラム命令及び/又はデータは、異なる種類のコンピュータ可読媒体上で受信、送出、又は記憶され得る。一般的に言えば、コンピュータ可読媒体は、I/Oインタフェース1030を介してコンピューティングデバイス1000に結合された、磁気媒体又は光学媒体(例えば、ディスク又はDVD/CD)などの非一時的な記憶媒体又はメモリ媒体を含み得る。1つ以上の非一時的コンピュータ可読記憶媒体はまた、システムメモリ1020又は別の種類のメモリとして、コンピューティングデバイス1000のいくつかの実施形態に含まれ得る、RAM(例えば、SDRAM、DDR SDRAM、RDRAM、SRAMなど)、ROMなどの、任意の揮発性媒体又は不揮発性媒体も含み得る。更に、コンピュータ可読媒体は、ネットワークインタフェース1040を介して実装され得るような、ネットワーク及び/又は無線リンクなどの通信媒体を介して伝達される、電気信号、電磁信号、又はデジタル信号などの送信媒体又は信号を含み得る。
図10に例解されるものなどの、複数のコンピューティングデバイスの一部分又は全ては、様々な実施形態に記載の機能を実装するために使用され得、例えば、様々な異なるデバイス及びサーバ上で動くソフトウェア構成要素は、機能を提供するために連携し得る。いくつかの実施形態では、記載された機能の一部分は、記憶デバイス、ネットワークデバイス、又は様々な種類のコンピュータシステムを使用して、実装され得る。本明細書で使用される場合、「コンピューティングデバイス」という用語は、少なくともこれら全ての種類のデバイスを指し、これらの種類のデバイスに限定されない。
【0111】
本開示の実施形態は、以下の条項を考慮して説明することができる。
条項1.車両情報抽出サービスを実施するためのシステムであって、システムは、
1つ以上のコンピューティングデバイスであって、
車両の供給元から又は車両構成要素の供給元から辞書ファイルを受信することであって、辞書ファイルは、車両の供給元の符号化フォーマット又は車両部品の供給元の符号化フォーマットに従って符号化された通信を復号する際に使用するための定義を含む、受信することと、
辞書ファイルの内容が、車両の供給元又は車両構成要素の供給元以外の者には見えないように、アクセスが制限された物理コンテナ又は論理コンテナに辞書ファイルを記憶することと、
辞書ファイルに基づいて、車両に提供される1つ以上のバイナリファイルを生成することであって、1つ以上のバイナリファイルは、車両の供給元の符号化フォーマット又は車両構成要素の供給元の符号化フォーマットを使用して符号化された通信を復号するための情報を含み、1つ以上のバイナリファイルは、辞書ファイルの内容を明らかにしない、生成することと、
車両のゲートウェイ又は他の構成要素にロードするための、1つ以上のバイナリファイルを提供することであって、ゲートウェイに実装された、又は他の構成要素に実装されたソフトウェアアプリケーションは、1つ以上のバイナリファイルを使用して、車両の1つ以上の通信バスを介して通信されている車両情報を復号するように構成され、1つ以上の通信バスを介して通信されている車両情報は、車両の供給元の符号化フォーマット又は車両構成要素の供給元の符号化フォーマットに従ってフォーマットされている、提供することと、
車両から、1つ以上のネットワークデバイスを介して、車両から抽出された、車両情報を含む車両情報パケットを受信することと、を行うように構成されている、コンピューティングデバイスを備える、システム。
条項2.1つ以上のコンピューティングデバイスが、
車両の供給元によって製造された車両から、又は車両部品の供給元によって供給された構成要素を備える車両から抽出される、車両情報の指標を受信することと、
指標に基づいて、1つ以上の構成ファイルを生成することと、
車両のゲートウェイ又は他の構成要素にロードされるソフトウェアパッケージ内の1つ以上のバイナリファイルを、1つ以上の構成ファイルに提供することと、を行うように更に構成されている、条項1に記載のシステム。
条項3.車両から抽出される車両情報の指標が、
抽出される1つ以上の種類の車両情報の指標と、
1つ以上の種類の車両情報の抽出をトリガするための、1つ以上のトリガ条件と、を含み、
車両のゲートウェイ又は他の構成要素に実装されたソフトウェアアプリケーションが、
1つ以上の示された種類に対応する車両情報について、車両の1つ以上の通信バス上のトラフィックを監視することと、
1つ以上の示された種類に対応する車両情報を記憶バッファに記憶することと、
1つ以上のトリガ条件が満たされていることに応答して、
記憶バッファに記憶された、1つ以上の示された種類に対応する車両情報の少なくとも一部分を含む、1つ以上のパケットを生成することと、を行うように更に構成されている、条項2に記載のシステム。
条項4.1つ以上のトリガ条件が満たされていることに応答して生成された、1つ以上のパケットが、
1つ以上のトリガ条件が満たされる前に、記憶バッファに一定期間記憶された、1つ以上の示された種類の車両情報に対応する車両情報と、
1つ以上のトリガ条件が満たされた後の別の期間、1つ以上の示された種類の車両情報に対応する車両情報と、を含む、条項3に記載のシステム。
条項5.システムの1つ以上のコンピューティングデバイスが、
車両の供給元又は車両構成要素の供給元から、車両から抽出される車両情報の更新された指標を受信することであって、更新された指標は、車両から抽出される、1つ以上の追加の又は代替の種類の車両情報を示す、受信することと、
抽出される車両情報の更新された指標に基づいて、車両に提供される1つ以上の追加の構成ファイルを生成することと、
車両のゲートウェイ又は他の構成要素にロードするための、1つ以上の追加の構成ファイルを提供することであって、ソフトウェアアプリケーションは、1つ以上の追加の構成ファイルを使用して、更新された指標に対応する車両の1つ以上の通信バスを介して通信されている車両情報を識別するように構成される、提供することと、
車両から、1つ以上のネットワークデバイスを介して、車両の供給元又は車両構成要素の供給元から受信された更新された指標に従って、車両から抽出された車両情報を含む、車両情報パケットを受信することと、を行うように更に構成されている、条項1~4のいずれか一項に記載のシステム。
条項6.システムの1つ以上のコンピューティングデバイスが、
車両の供給元又は車両構成要素の供給元から、車両から抽出される車両情報の更新された指標を受信することであって、更新された指標は、車両から抽出される、1つ以上の追加の又は代替の種類の車両情報を示す、受信することと、
辞書ファイル、及び抽出される車両情報の更新された指標に基づいて、車両に提供される1つ以上の追加のバイナリファイルを生成することと、
車両のゲートウェイ又は他の構成要素にロードするための、1つ以上の追加のバイナリファイルを提供することであって、ソフトウェアアプリケーションは、1つ以上の追加のバイナリファイルを使用して、車両の1つ以上の通信バスを介して通信されている車両情報を復号し、更新された指標に対応する車両情報を識別するように構成されている、提供することと、
車両から、1つ以上のネットワークデバイスを介して、車両の供給元又は車両構成要素の供給元から受信された更新された指標に従って、車両から抽出された車両情報を含む、車両情報パケットを受信することと、を行うように更に構成されている、条項1~5のいずれか一項に記載のシステム。
条項7.車両の供給元によって製造された車両から、又は車両部品の供給元によって供給された構成要素を備える車両から抽出される、車両情報の指標が、
車両情報が抽出される、個々の車両と、
車両情報が抽出される、1つ以上の特性を有する車両の等級と、を指定する、条項1~6のいずれか一項に記載のシステム。
条項8.命令を記憶する、1つ以上の非一時的コンピュータ可読記憶媒体であって、命令は、1つ以上のプロセッサ上で、又は1つ以上のプロセッサにわたって実行されたとき、1つ以上のプロセッサに、
車両の1つ以上の通信バスを介して通信されている車両情報を復号する際に使用するための、1つ以上のバイナリファイルを含むパッケージを受信することと、
車両の1つ以上の通信バスを介して通信されている車両情報の少なくとも一部分を復号することと、
車両情報の少なくとも一部分を、記憶バッファに記憶させることと、
1つ以上のトリガ条件が満たされていることに応答して、リモート車両データサービスに送出される、1つ以上のパケットを生成することであって、1つ以上のパケットが、記憶バッファに記憶された車両情報を含む、生成することと、を行わせる、1つ以上の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
条項9.
パッケージが、第1の種類の車両情報を抽出するためのトリガ条件と、1つ以上の追加の種類の車両情報を抽出するための1つ以上の追加のトリガ条件と、を示す情報を更に含み、それぞれのトリガ条件の少なくとも一部が異なり、
命令が、1つ以上のプロセッサ上で、又は1つ以上のプロセッサにわたって実行されたとき、1つ以上のプロセッサに、
生成された1つ以上のパケットに、1つ以上の対応するトリガ条件が満たされる、1つ以上の種類の車両情報を含むことを行わせ、
満たされていない他のトリガ条件に対応する、記憶バッファに記憶された他の種類の車両情報が、1つ以上の生成されたパケットには含まれていない、条項8に記載の1つ以上の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
条項10.命令が、1つ以上のプロセッサ上で、又は1つ以上のプロセッサにわたって実行されたとき、1つ以上のプロセッサに、
車両の1つ以上のセンサからの音声データ又は視覚データを含む他の車両情報を、記憶バッファに記憶させることと、
1つ以上のトリガ条件が満たされていることに応答して、リモート車両データサービスに送出される生成された1つ以上のパケット内の、1つ以上のセンサからの音声データ又は視覚データを含む、他の車両情報の少なくとも一部を含むことと、を更に行わせる、条項8又は9に記載の1つ以上の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
条項11.復号された車両情報が、テキストデータを含み、
1つ以上のトリガ条件が、テキストデータに基づく条件を含み、
1つ以上のトリガ条件が、テキストベースのトリガ条件が満たされるときに抽出される音声データ又は視覚データを含む、1つ以上の他の種類の車両情報の指標を更に含む、条項10に記載の1つ以上の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
条項12.パッケージが、
復号された車両情報を受信するか、又は記憶バッファに記憶された復号された車両情報にアクセスすることが許可された、車両の1つ以上の構成要素の指標を含み、
命令が、1つ以上のプロセッサ上で、又は1つ以上のプロセッサにわたって実行されたとき、1つ以上のプロセッサに、
復号化された情報へのアクセスを、復号化された車両情報を受信又はアクセスすることが許可された、車両の1つ以上の構成要素に提供することを更に行わせる、条項8~12のいずれか一項に記載の1つ以上の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
条項13.命令が、1つ以上のプロセッサ上で、又は1つ以上のプロセッサにわたって実行されたとき、1つ以上のプロセッサに、
1つ以上のトリガ条件を満たす条件について、復号された情報を監視させ、車両の1つ以上のバスからの復号された情報が、
車両の1つ以上のコントローラエリアネットワーク(CAN)バスからの復号された情報を含む、条項8~12のいずれか一項に記載の1つ以上の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
条項14.車両の1つ以上のバスからの復号された情報が、
車両の追加のCANバスと、
車両のイーサネット又はIPバスと、からの復号された情報を更に含む、条項13に記載の1つ以上の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
条項15.プログラム命令が、車両のゲートウェイ環境のプロセッサ上で実行されるように構成されている、条項8に記載の1つ以上の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
条項16.命令を記憶する、1つ以上の非一時的コンピュータ可読記憶媒体であって、命令は、1つ以上のプロセッサ上で、又は1つ以上のプロセッサにわたって実行されたとき、1つ以上のプロセッサに、
辞書ファイルの内容が、車両の供給元又は車両構成要素の供給元以外の者には見えないように、車両の供給元から、又は車両構成要素の供給元から受信された辞書ファイルを、アクセスが制限されコンテナに記憶させることと、
辞書ファイルに基づいて、車両に提供される1つ以上のバイナリファイルを生成することであって、1つ以上のバイナリファイルは、車両の供給元の符号化フォーマット又は車両構成要素の供給元の符号化フォーマットを使用して符号化された通信を復号するための情報を含む、生成することと、
車両の1つ以上の通信バスを介して通信される車両情報を復号する際に使用するために、1つ以上のバイナリファイルを車両に提供させることであって、車両情報が、車両の供給元の符号化フォーマット又は車両構成要素の供給元の符号化フォーマットに従ってフォーマットされる、提供させることと、を行わせる、1つ以上の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
条項17.命令が、1つ以上のプロセッサ上で、又は1つ以上のプロセッサにわたって実行されたとき、1つ以上のプロセッサに、
ユーザインタフェースを実装させ、ユーザインタフェースは、
車両の供給元又は車両構成要素の供給元から入力を受信するように構成され、入力は、
車両情報を抽出する特定の車両と、
バイナリファイルが展開される車両の場所と、
監視対象となる車両のバスと、
トリガ基準が満たされる場合、車両情報が抽出されるバスに接続された車両構成要素と、を定義する、条項16に記載の1つ以上の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
条項18.ユーザインタフェースが、車両の供給元又は車両構成要素の供給元から入力を受信するように更に構成され、入力が、
車両及び車両構成要素の追加バスであって、監視対象であり、かつ、トリガ基準が満たされる場合に車両情報が抽出される、追加のバスに接続された、車両及び車両構成要素の追加バスを定義する、条項17に記載の1つ以上の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
条項19.プログラム命令が、
抽出された車両情報を機械学習サービスに提供することと、
監視される追加の種類の車両情報及び/又は追加のトリガ基準に対する提言を受信することと、
受信された提言に基づいて、1つ以上の構成ファイルを更新することと、を行うように更に構成されている、条項17又は18に記載の1つ以上の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
条項20.ユーザインタフェースが、車両の供給元又は車両構成要素の供給元から入力を受信するように更に構成され、入力が、
提供された1つ以上のバイナリファイルを使用して復号された復号化された通信を共有するために、ライセンスが付与されている、車両の他の構成要素を定義する、条項17~19のいずれか一項に記載の1つ以上のプロセッサ。
条項21.命令が、1つ以上のプロセッサ上で、又は1つ以上のプロセッサにわたって実行されたとき、1つ以上のプロセッサに、
車両から、車両の供給元又は車両構成要素の供給元から受信された指標に従って、車両から抽出された車両情報を含む、1つ以上の車両情報パケットを受信することと、
車両から抽出された、受信された車両情報のほぼリアルタイムの監視を実行するように構成された、分析パイプラインを実施することと、を更に行わせる、条項16~20のいずれか一項に記載の1つ以上の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
条項22.分析パイプラインが、
1つ以上の車両情報パケットに含まれる、音声又は視覚車両情報を分析することと、
分析された音声又は視覚車両情報に基づいて、車両で生成され、1つ以上の車両情報パケットに含まれる、1つ以上の人工知能(AI)推論を検証することと、を行うように構成されている、条項21に記載の1つ以上の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
条項23.分析パイプラインが、
車両で生成された音声又は視覚車両情報及びAI推論を機械学習アルゴリズムに提供して、車両上に展開されたAI推論生成ソフトウェアの更新を生成するように構成されている、条項21に記載の1つ以上の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【0112】
図に例解され、本明細書に記載されるような様々な方法は、方法の例解的な実施形態を表す。本方法は、手動で、ソフトウェアで、ハードウェアで、又はそれらの組み合わせで実施され得る。任意の方法の順序は変更され得、様々な要素は、追加、並べ替え、組み合わせ、省略、修正などをされ得る。例えば、一実施形態では、本方法は、プロセッサに結合されたコンピュータ可読記憶媒体上に記憶された、プログラム命令を実行するプロセッサを含むコンピュータシステムによって実施され得る。プログラム命令は、本明細書に記載の機能(例えば、データ転送ツール、様々なサービス、データベース、デバイス及び/又は他の通信デバイスなどの機能)を実装するように構成され得る。
【0113】
当業者に明らかであるように、本開示の利点を有する様々な修正及び変更が行われ得る。それは、そのような全ての修正及び変更を包含することを意図しており、したがって、上記の説明は、限定的な意味ではなく例解的な意味で見なされることを意図している。
【0114】
様々な実施形態は、コンピュータアクセス可能媒体上に、前述の説明に従って実装された命令及び/又はデータを受信、送出、又は記憶することを更に含み得る。一般的に言えば、コンピュータアクセス可能媒体は、磁気媒体又は光学媒体(例えば、ディスク又はDVD/CD-ROM)などの記憶媒体又はメモリ媒体、RAM(例えば、SDRAM、DDR、RDRAM、SRAMなど)、ROMなどの揮発性媒体又は不揮発性媒体、並びに、ネットワーク及び/又は無線リンクなどの通信媒体を介して伝達される、電気信号、電磁信号、又はデジタル信号などの送信媒体又は信号を含み得る。
【国際調査報告】