(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-14
(54)【発明の名称】トリメチルアルミニウムの製造方法
(51)【国際特許分類】
C07F 5/06 20060101AFI20240206BHJP
【FI】
C07F5/06 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023544458
(86)(22)【出願日】2021-04-02
(85)【翻訳文提出日】2023-08-05
(86)【国際出願番号】 CN2021085466
(87)【国際公開番号】W WO2022174503
(87)【国際公開日】2022-08-25
(31)【優先権主張番号】202110190944.X
(32)【優先日】2021-02-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523278135
【氏名又は名称】江蘇南大光電材料股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】JIANGSU NATA OPTO-ELECTRONIC MATERIAL CO., LTD
【住所又は居所原語表記】67 Pingsheng Road, Shengpu, Suzhou Industrial Park, Suzhou, Jiangsu 215000 CHINA
(74)【代理人】
【識別番号】100178434
【氏名又は名称】李 じゅん
(72)【発明者】
【氏名】楊 敏
(72)【発明者】
【氏名】楊 雪
(72)【発明者】
【氏名】孫 祥禎
【テーマコード(参考)】
4H048
【Fターム(参考)】
4H048AA02
4H048AC90
4H048BA05
4H048BA82
4H048BB11
4H048BB12
4H048BC11
4H048BC18
4H048VB10
(57)【要約】
本出願はトリメチルアルミニウムの製造方法を提供し、以下のステップを含む:触媒及び溶媒の存在下において、メチルアルミニウムジクロリドまたはメチルアルミニウムセスキクロライドまたはジメチルアルミニウムクロリドと、金属Mと、クロロメタンの系を反応させ、トリメチルアルミニウムと金属Mの塩化物を生成するステップを含み、そのうち、前記触媒は電気化学列において金属アルミニウムより後にある金属またはそのイオンから選択され、前記金属Mはアルカリ金属、アルカリ土類金属またはその組み合わせから選択される。触媒は反応速度を顕著に増加させ、これにより非常にシンプルな実験条件、例えば常圧付近で操作でき、反応収率と生成物純度はより高く、且つ生成物中に副生成物の金属アルミニウム及び未反応のアルカリ金属またはアルカリ土属金属がなく、生成物に対する処理がより便利である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トリメチルアルミニウムの製造方法であって、
触媒及び溶媒の存在下において、メチルアルミニウムジクロリドまたはメチルアルミニウムセスキクロライドまたはジメチルアルミニウムクロリドと、金属Mと、クロロメタンの系を反応させ、トリメチルアルミニウムと金属Mの塩化物を生成するステップを含み、
そのうち、前記触媒は電気化学列において金属アルミニウムより後にある金属またはそのイオンから選択され、
前記金属Mはアルカリ金属、アルカリ土類金属またはその組み合わせから選択されることを特徴とする、前記製造方法。
【請求項2】
前記触媒と前記溶媒の存在下において、前記メチルアルミニウムジクロリドまたはメチルアルミニウムセスキクロライドまたはジメチルアルミニウムクロリドは前記金属Mと反応して、イン-サイチュにて新たに生成されるアルミニウムが得られ、前記新たに生成されるアルミニウムと前記クロロメタンを反応させてメチルアルミニウムセスキクロライドを生成することを特徴とする、請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
メチルアルミニウムジクロリドまたはメチルアルミニウムセスキクロライドまたはジメチルアルミニウムクロリドと一部の金属Mを混合してから、前記クロロメタンを通気することを特徴とする、請求項1に記載の製造方法。
【請求項4】
前記一部の金属Mの、前記反応に必要とされる全部の金属Mに対する重量比は(0.001~0.5):1の範囲内にあることを特徴とする、請求項3に記載の製造方法。
【請求項5】
前記メチルアルミニウムセスキクロライドを得るプロセスは、前記触媒及び開始剤の存在下において、金属アルミニウムとクロロメタンを反応させて生成させることを特徴とする、請求項1に記載の製造方法。
【請求項6】
前記開始剤は、ヨウ素単体、1,2-ジブロモエタン、ヨードメタン及びメチルアルミニウムセスキクロライドから選択される少なくとも一種類であることを特徴とする、請求項5に記載の製造方法。
【請求項7】
前記触媒は、電気化学列において金属アルミニウムより後にある、第IB族金属またはそのイオン、及び第VIII族金属またはそのイオンから選択される少なくとも一種類であることを特徴とする、請求項1に記載の製造方法。
【請求項8】
前記触媒は、銀、金、ニッケル、パラジウム、白金、銅、鉄及びロジウムから選択される少なくとも一種類の金属単体またはそのイオン、または銀、金、ニッケル、パラジウム、白金、銅、鉄及びロジウムから選択される少なくとも二種類からなる合金であることを特徴とする、請求項7に記載の製造方法。
【請求項9】
前記触媒の、前記メチルアルミニウムジクロリドまたはメチルアルミニウムセスキクロライドまたはジメチルアルミニウムクロリドにおけるアルミニウム元素に対する重量比は、(0.0001~0.1):1の範囲内にあることを特徴とする、請求項1に記載の製造方法。
【請求項10】
前記金属Mはナトリウム、カリウム及びマグネシウムから選択される少なくとも一種類の金属単体、またはナトリウム、カリウム及びマグネシウムから選択される少なくとも二種類からなる合金であることを特徴とする、請求項1に記載の製造方法。
【請求項11】
前記溶媒はn-ヘキサデカン、n-デカン、o-ジクロロベンゼン、1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン、スクワラン及びトルエンから選択される少なくとも一種類であることを特徴とする、請求項1に記載の製造方法。
【請求項12】
前記反応の温度は80℃~130℃の間であることを特徴とする、請求項1に記載の製造方法。
【請求項13】
前記反応は1気圧から130kPaの範囲内の気圧下で行われることを特徴とする、請求項1に記載の製造方法。
【請求項14】
前記クロロメタンの通気速度は、前記反応の温度変化及び実験装置の尾部に設置しているガス流量計に示されている数値に応じて調整されることを特徴とする、請求項1に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は金属有機化学分野に係り、具体的には、トリメチルアルミニウムの製造方法に係る。
【背景技術】
【0002】
トリメチルアルミニウムは非常に重要な化学工業原料であり、トリメチルアルミニウムの用途は以下を含む:(1)有機触媒分野において、トリメチルアルミニウムは水と反応して高活性のメチルアルミノキサンを形成し、メチルアルミノキサンはメタロセン触媒系における最も重要な助触媒の1つである。(2)有機合成分野において、トリメチルアルミニウムはエチレンとオリゴマー化反応して高炭素アルキルアルミニウムが得られ、高炭素アルキルアルミニウムは酸化及び加水分解により直鎖型高級一級アルコールを形成する。トリメチルアルミニウムは、他の金属有機化合物を製造するために使用することもできる。例えば、トリメチルアルミニウムは塩化スズと反応させてメチルスズ(Methyl tin)を製造できる。(3)高分子化学工業分野において、トリメチルアルミニウムと遷移金属塩類によって形成される触媒系は、オレフィンの指向重合反応(orientated polymerization)を引き起こすことができる; (4)その他の分野において、トリメチルアルミニウムは、ロケット用の液体燃料、精密有機合成におけるアルキル化試薬などとして使用できる。
【0003】
従来技術において、トリメチルアルミニウムの製造方法は、マグネシウムーアルミニウム合金とハロゲン化アルカンと反応させることを含む。例えば、中国特許文献(出願公開番号:CN105175440A、出願公開日:2015年12月23日)において、モノハロゲン化メチルとマグネシウムーアルミニウム合金は、エーテル系溶媒中において、トリメチルアルミニウムのエーテル類配位子の錯体を得て、さらに高沸点の有機三級アミンまたは有機ホスフィンにより置換されてから、該錯体を高温分解させてトリメチルアルミニウムを得る方法を開示している。該方法において、エーテル類配位子とトリメチルアルミニウムは堅固に結合し、これを完全に除去することが困難であるため、トリメチルアルミニウム生成物の純度は低くなる。
【0004】
従来技術において、トリメチルアルミニウムの製造方法は、さらに以下を含む:ハロゲン化メチルと高炭素鎖アルキルアルミニウムを反応させる。米国特許文献(出願公開番号:US4948906A、出願公開日:1990年8月14日)には、トリエチルアルミニウムとハロゲン化メチルとを原料として、例えば塩化ビスマスのようなルイス酸触媒の存在下において、配位子交換によりトリメチルアルミニウムを得る方法について開示している。該方法において、トリエチルアルミニウムの量は過量である必要があり、このため原材料コストが高く、且つ配位子交換が不完全で、比較的多くの副生成物を生成し、反応収率が低下する。
【0005】
従来技術において、トリメチルアルミニウムを製造する方法は、さらに以下を含む:アルカリ金属またはアルカリ土類金属と、メチルアルミニウムジクロリドまたはメチルアルミニウムセスキクロライドまたはジメチルアルミニウムクロリドとを反応させる。例えば日本特許文献(出願公開番号:JP2009263326A、出願公開日:2009年11月12日)は、メチルアルミニウムセスキクロライドとアルカリ金属を反応させてトリメチルアルミニウムを製造する方法について開示している。例えば米国特許文献(出願公開番号:US5359116A、出願公開日:1994年10月25日)は、ジメチルアルミニウムクロライドと金属ナトリウムとを反応させてトリメチルアルミニウムを製造する方法などについて開示している。上記方法において、アルカリ金属またはアルカリ土類金属と、メチルアルミニウムジクロリドまたはメチルアルミニウムセスキクロライドまたはジメチルアルミニウムクロリドと反応する際、副生成物の金属アルミニウムは、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の表面を覆って硬い殻(hard shell)を形成しやすく、これにより反応が引き続き行われることを阻止し、これにより反応が不完全で、反応収率が低下し、副生成物の金属アルミニウム及び未反応のアルカリ金属またはアルカリ土類金属は活性が非常に高く、廃棄物処理のリスクを増大させている。
【0006】
アルカリ金属またはアルカリ土類金属が、金属アルミニウムによって被包されることによってもたらされる問題を解決するために、中国特許文献(出願公開番号CN111072700A、出願公開日2020年4月28日;出願公開番号CN111116625A、出願公開日2020年5月8日)はいずれも、触媒を使用しない状況下で、クロロメタン、ナトリウム、及びメチルアルミニウムジクロリドまたはメチルアルミニウムセスキクロライドまたはジメチルアルミニウムクロリドを反応させてトリメチルアルミニウムを製造する方法を開示している。しかしこの方法は実際の操作において実現できない。金属ナトリウムを投入した後は速やかに塊(かたまり)を形成し、触媒が存在しない場合、生成されたアルミニウムはクロロメタンとさらに反応することが困難で、これにより反応収率が非常に低く、生成された生成物は、一部の金属ナトリウムを還元させて得られるトリメチルアルミニウムに過ぎず、依然、アルカリ金属またはアルカリ土類金属が金属アルミニウムによって被包されることによってもたらされる問題を効果的に解決していない。
【0007】
そのため、従来技術において、トリメチルアルミニウムの製造方法には、依然として多くの欠陥があり、トリメチルアルミニウムの製造方法を開発することが特に重要である。
【発明の概要】
【0008】
本出願は、トリメチルアルミニウムの製造方法を提供し、これにより従来技術におけるトリメチルアルミニウムの反応速度が遅く、反応収率が低く、実験条件がシビアで、副生成物が比較的多く、処理が困難との問題を解決する。
【0009】
本出願は一方で、トリメチルアルミニウムの製造方法を提供し、該方法は、触媒及び溶媒の存在下において、メチルアルミニウムジクロリドまたはメチルアルミニウムセスキクロライドまたはジメチルアルミニウムクロリドと、金属Mと、クロロメタンの系を反応させ、トリメチルアルミニウムと金属Mの塩化物を生成するステップを含み、そのうち、前記触媒は電気化学列(electrochemical series、またはイオン化列)において金属アルミニウム以後にある金属またはそのイオンから選択され、前記金属Mはアルカリ金属、アルカリ土類金属またはその組み合わせから選択される。
【0010】
一つの実施形態において、前記触媒と前記溶媒の存在下において、前記メチルアルミニウムジクロリドまたはメチルアルミニウムセスキクロライドまたはジメチルアルミニウムクロリドは前記金属Mと反応して、イン-サイチュ(in situ,原位置)にて新たに生成されるアルミニウムが得られ、前記新たに生成されるアルミニウムと前記クロロメタンを反応させてメチルアルミニウムセスキクロライドを生成する。
【0011】
一つの実施形態において、メチルアルミニウムジクロリドまたはメチルアルミニウムセスキクロライドまたはジメチルアルミニウムクロリドと、一部の金属Mを混合してから、前記クロロメタンを通気する。
【0012】
一つの実施形態において、前記一部の金属Mと、前記反応に必要とされる全部の金属Mの重量比は(0.001~0.5):1の範囲内にある。
【0013】
一つの実施形態において、前記メチルアルミニウムセスキクロライドを得るプロセスは以下である:前記触媒及び開始剤(initiator)の存在下において、金属アルミニウムとクロロメタンを反応させて生成させる。
【0014】
一つの実施形態において、前記開始剤は、ヨウ素単体、1,2-ジブロモエタン、ヨードメタン及びメチルアルミニウムセスキクロライドから選択される少なくとも一種類である。
【0015】
一つの実施形態において、前記触媒は、電気化学列において金属アルミニウムより後にある(即ち、アルミニウムよりもイオン化傾向が小さい)、第IB族金属またはそのイオン、第IIB族金属またはそのイオン、第IIIB族金属またはそのイオン、第IVB族金属またはそのイオン、第VB族金属またはそのイオン、第VIB族金属またはそのイオン、第VIIB族金属またはそのイオン、第VIII族金属またはそのイオン、第IIIA族金属またはそのイオン以及第IVA族金属またはそのイオンから選択される少なくとも一種類である。
【0016】
一つの実施形態において、前記触媒は、電気化学列において金属アルミニウムより後にある、第IB族金属またはそのイオン、及び第VIII族金属またはそのイオンから選択される少なくとも一種類である。
【0017】
一つの実施形態において、前記触媒は、銀、金、ニッケル、パラジウム、白金、銅、鉄及びロジウムから選択される少なくとも一種類の金属単体またはそのイオン、または銀、金、ニッケル、パラジウム、白金、銅、鉄及びロジウムから選択される少なくとも二種類からなる合金である。
【0018】
一つの実施形態において、前記触媒と、前記メチルアルミニウムジクロリドまたはメチルアルミニウムセスキクロライドまたはジメチルアルミニウムクロリドにおけるアルミニウム元素の重量比は、(0.0001~0.1):1の範囲内にある。
【0019】
一つの実施形態において、前記金属Mはナトリウム、カリウム及びマグネシウムから選択される少なくとも一種類の金属単体、またはナトリウム、カリウム及びマグネシウムから選択される少なくとも二種類からなる合金である。
【0020】
一つの実施形態において、前記溶媒はn-ヘキサデカン、n-デカン、o-ジクロロベンゼン、1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン、スクワラン及びトルエンから選択される少なくとも一種類である。
【0021】
一つの実施形態において、前記反応の温度は80℃~130℃の間である。
【0022】
一つの実施形態において、前記反応は1気圧から130kPaの範囲内の気圧下で行われる。
【0023】
一つの実施形態において、前記クロロメタンの通気速度(flow rate)は、前記反応の温度変化及び実験装置の尾部に設置しているガス流量計に示されている数値に応じて調整される。
【0024】
有益な効果:触媒及び溶媒の存在下において、メチルアルミニウムジクロリドまたはメチルアルミニウムセスキクロライドまたはジメチルアルミニウムクロリドと、金属Mと、クロロメタンの系を反応させてトリメチルアルミニウムを製造し、触媒は反応速度を顕著に増加させ、これにより非常にシンプルな実験条件、例えば常圧付近で操作でき、反応収率と生成物純度はより高く、且つ生成物中に副生成物の金属アルミニウム及び未反応のアルカリ金属またはアルカリ土属金属がなく、生成物に対する処理がより便利である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本出願の上記目的、特徴及長所をより明確で分かりやすくするために、以下の記載において具体的な情報を説明し、この出願を充分に理解できるようにし、しかし本出願はここにある記載と異なる多くの形態によっても実施でき、当業者は本出願の趣旨と異なる状況下において似たような改善をすることができ、そのため本出願は以下の具体的実施形態の制限を受けない。
【0026】
本出願の実施例はトリメチルアルミニウムの製造方法を提供し、該製造方法は以下のステップを含む:触媒及び溶媒の存在下において、メチルアルミニウムジクロリドまたはメチルアルミニウムセスキクロライドまたはジメチルアルミニウムクロリドと、金属Mと、クロロメタンの系を反応させてトリメチルアルミニウムと金属Mの塩化物を生成する。そのうち、触媒は電気化学列が金属アルミニウムの以後にある金属またはそのイオンから選択され、金属Mはアルカリ金属、アルカリ土類金属またはその組み合わせから選択される。
【0027】
触媒及び溶媒の存在下において、メチルアルミニウムジクロリドと金属M、及びクロロメタンは以下の化学反応式1のように反応する:
【0028】
CH3AlCl2+M+CH3Cl→(CH3)3Al+MClx (1);
【0029】
そのうち、金属Mがアルカリ金属である場合、x値は1であり、金属Mがアルカリ土類金属である場合、x値は2である。
【0030】
触媒及び溶媒の存在下において、メチルアルミニウムセスキクロライドと金属M、及びクロロメタンは以下の化学反応式2のように反応する:
【0031】
(CH3)3Al2Cl3+M+CH3Cl→(CH3)3Al+MClx (2);
【0032】
そのうち、金属Mがアルカリ金属である場合、x値は1であり、金属Mがアルカリ土類金属である場合、x値は2である。
【0033】
触媒及び溶媒の存在下において、ジメチルアルミニウムクロリドと金属M、及びクロロメタンは以下の化学反応式3のように反応する:
【0034】
(CH3)2AlCl+M+CH3Cl→(CH3)3Al+MClx (3);
【0035】
そのうち、金属Mがアルカリ金属である場合、x値は1であり、金属Mがアルカリ土類金属である場合、x値は2である。
【0036】
上記化学反応式1、化学反応式2及び化学反応式3に応じてそれぞれ反応する際、触媒及び溶媒の存在下において、メチルアルミニウムジクロリドまたはメチルアルミニウムセスキクロライドまたはジメチルアルミニウムクロリドと金属Mは反応してインサイチュ(in situ)反応で新たに生成されるアルミニウムが得られ、新たに生成されるアルミニウムは、クロロメタンと反応させてメチルアルミニウムセスキクロライドを生成し、しかしメチルアルミニウムセスキクロライドと金属M、及びクロロメタンは化学反応式2に応じて反応し、これによりメチルアルミニウムジクロリドまたはメチルアルミニウムセスキクロライドまたはジメチルアルミニウムクロリド中におけるアルミニウム元素をいずれも、トリメチルアルミニウムの形式の存在に変換される。
【0037】
触媒及び溶媒の存在下において、メチルアルミニウムジクロリドと金属Mは反応してイン-サイチュ(原位置)において新たに生成されるアルミニウムが得られ、以下の化学反応式4のように反応する:
【0038】
CH3AlCl2+M→(CH3)3Al+Al+MClx (4);
【0039】
そのうち、金属Mがアルカリ金属である場合、x値は1であり、金属Mがアルカリ土類金属である場合、x値は2である。
【0040】
触媒及び溶媒の存在下において、メチルアルミニウムセスキクロライドと金属Mがイン-サイチュ反応して新たに生成されるアルミニウムが得られ、以下の化学反応式5のように反応する:
【0041】
(CH3)3Al2Cl3+M→(CH3)3Al+Al+MClx (5);
【0042】
そのうち、金属Mがアルカリ金属である場合、x値は1であり、金属Mがアルカリ土類金属である場合、x値は2である。
【0043】
触媒及び溶媒の存在下において、ジメチルアルミニウムクロリドと金属Mはイン-サイチュ反応して、新たに生成されるアルミニウムが得られ、以下の化学反応式6のように反応する:
【0044】
(CH3)2AlCl+M→(CH3)3Al+Al+MClx (6);
【0045】
そのうち、金属Mがアルカリ金属である場合、x値は1であり、金属Mがアルカリ土類金属である場合、x値は2である。
【0046】
触媒及び溶媒の存在下において、新たに生成されるアルミニウムは、クロロメタンと反応させてメチルアルミニウムセスキクロライドを生成し、以下の化学反応式7のように反応する:
【0047】
Al+CH3Cl→(CH3)3Al2Cl3 (7)。
【0048】
反応系中において、電気化学列においてアルミニウム以後にある金属またはそのイオンを添加することにより、反応速度を顕著に増加させ、反応生成率と生成物の純度はより高く、これにより非常にシンプルな実験条件、例えば常圧付近で操作でき、即ちクロロメタンの気圧を常圧付近に維持した場合、有効な反応を維持できる。反応過程において、電気化学列においてアルミニウム以後にある金属またはそのイオンは消耗されない。該触媒を添加しない場合、基本的に同じ実験条件下において、反応速度、反応生成率及び生成物純度はいずれも明らかに低下する。触媒の存在により、メチルアルミニウムジクロリドまたはメチルアルミニウムセスキクロライドまたはジメチルアルミニウムクロリドと金属M、及びクロロメタンの反応は非常に充分で、生成物中に副生成物の金属アルミニウム、及び未反応のアルカリ金属またはアルカリ土類金属が存在しなく、生成物に対する処理はより便利である。
【0049】
一つの好ましい実施形態において、メチルアルミニウムジクロリドまたはメチルアルミニウムセスキクロライドまたはジメチルアルミニウムクロリドと一部の金属Mを混合してから、クロロメタンを通気する。即ち、メチルアルミニウムジクロリドまたはメチルアルミニウムセスキクロライドまたはジメチルアルミニウムクロリドを実験装置中に入れてから、まず一部の金属Mを入れてそれと混合する。混合する過程において、メチルアルミニウムジクロリドまたはメチルアルミニウムセスキクロライドまたはジメチルアルミニウムクロリドはこの一部の金属Mと先に反応し、それからクロロメタンを通気する。そのうち、一部の金属Mと、該反応が必要とする全部の金属Mの重量比は好ましくは(0.001~0.5):1の間であり、より好ましくは(0.01~0.5):1、さらに好ましくは(0.1~0.5):1の間であり、具体的には0.1:1、0.2:1、0.3:1、0.4:1または0.5:1とすることができる。メチルアルミニウムジクロリドまたはメチルアルミニウムセスキクロライドまたはジメチルアルミニウムクロリド中に、一部の金属Mを添加し、それからクロロメタンを通気することで、クロロメタンが活性のより強い金属Mと先に反応することで消耗されることを回避できる。常温下において、金属Mは一般的には固体であり、金属Mを加熱することにより液体に変化させ、これを実験装置中に滴下することができる。
【0050】
本出願において、原料のメチルアルミニウムジクロリドまたはメチルアルミニウムセスキクロライドまたはジメチルアルミニウムクロリドは購入できる(商業的方法により購入)。一つの好ましい実施形態において、メチルアルミニウムセスキクロライドは金属アルミニウム、クロロメタンと直接反応させてから生成する方式でイン-サイチュ(in situ)において製造できる。即ち、トリメチルアルミニウムを製造する以前に、触媒及び開始剤の存在下において、まず金属アルミニウムとクロロメタンを反応させてメチルアルミニウムセスキクロライドを生成し、それから直接該メチルアルミニウムセスキクロライドを使用してトリメチルアルミニウムを製造する原料とする。メチルアルミニウムセスキクロライドを得る過程において、すでに触媒を反応系に導入しているため、引き続きトリメチルアルミニウムを製造する際、余分に触媒を添加する必要はない。原料を購入するのに比べて、触媒の存在下においてメチルアルミニウムセスキクロライドを製造する際、トリメチルアルミニウムの反応収率、生成物純度はいずれもさらに向上される。開始剤はヨウ素単体、1,2-ジブロモエタン、ヨードメタン及びメチルアルミニウムセスキクロライドから選択される少なくとも一種類である。
【0051】
本出願の実施例に適用される触媒は電気化学列においてアルミニウム以後にある金属またはそのイオンである。「電気化学列」は「イオン化列」ともいい、よく見られる金属(及び水素)がその標準電極電位に応じて「低」から「高」まで並べた際に得られる配列であり、即ち本出願中の触媒の金属の標準電極電位はアルミニウムより大きい。
【0052】
一つの好ましい実施形態において、触媒は電気化学列において金属アルミニウムより後にある第IB族金属またはそのイオン、第IIB族金属またはそのイオン、第IIIB族金属またはそのイオン、第IVB族金属またはそのイオン、第VB族金属またはそのイオン、第VIB族金属またはそのイオン、第VIIB族金属またはそのイオン、第VIII族金属またはそのイオン、第IIIA族金属またはそのイオン、及び第IVA族金属またはそのイオンから選択される、少なくとも一種類である。より好ましくは第IB族金属またはそのイオン、及び第VIII族金属またはそのイオンから選択される、少なくとも一種類である。より好ましくは、銀、金、ニッケル、パラジウム、白金、銅、鉄及びロジウムから選択される少なくとも一種類の金属単体またはそのイオンであり、または銀、金、ニッケル、パラジウム、白金、銅、鉄及びロジウムから選択される少なくとも二種類からなる合金である。より好ましくは粉末状の金、銀または銅の金属単体またはそのイオン、またはそれらの任意の合金である。また、同業者は本出願のこのような示唆に基づいて、具体的な触媒を選択することは非常に容易である。
【0053】
これらの金属単体またはそのイオン、合金は単独で反応系中に添加することができ、また、該反応系の容器の内壁の任意の箇所に上記触媒がコーティングされ、または上記触媒がドーピングされ、または該反応系の容器の攪拌設備の表面にコーティングされ、またはドーピングされ、または巻かれ、またはその他の形式にて反応系中にて上記触媒が存在し、これらは本発明が限定する触媒作用をもたらすことができ、これらの構成はいずれも本発明の保護範囲内である。
【0054】
触媒と、メチルアルミニウムジクロリドまたはメチルアルミニウムセスキクロライドまたはジメチルアルミニウムクロリド中のアルミニウム元素の重量比は好ましくは(0.0001~0.1):1であり、より好ましくは(0.001~0.1):1であり、さらに好ましくは(0.002~0.1):1である。触媒が該反応系の容器の内壁または攪拌設備表面上にある場合、触媒の使用量は好ましくは上記数値範囲である。本出願において、「メチルアルミニウムジクロリドまたはメチルアルミニウムセスキクロライドまたはジメチルアルミニウムクロリド中のアルミニウム元素の重量」とは、原料メチルアルミニウムジクロリドまたはメチルアルミニウムセスキクロライドまたはジメチルアルミニウムクロリドが商業的に購入された場合、アルミニウム元素の重量はメチルアルミニウムジクロリドまたはメチルアルミニウムセスキクロライドまたはジメチルアルミニウムクロリド中のアルミニウム元素の重量である。金属アルミニウムとクロロメタンを反応させて当該原料のメチルアルミニウムセスキクロライドを生成する際、アルミニウム元素の重量は原料、即ち金属アルミニウムの重量である。
【0055】
金属Mはアルカリ金属、アルカリ土類金属またはその組み合わせから選択できる。一つの好ましい実施形態において、金属Mはナトリウム、カリウム及びマグネシウムから選択される少なくとも一種類の金属単体とすることができ、またはナトリウム、カリウム及びマグネシウムから選択される少なくとも二種類からなる合金とすることができ、これらの金属単体または合金はいずれも有効的な反応効果を得ることができ、いずれも基本的に大体同じ還元作用を発揮できる。好ましい金属Mはナトリウムである。
【0056】
本出願の実施例に適した溶媒は本分野においてよく知られる溶媒であり、例えばn-ヘキサデカン、n-デカン、o-ジクロロベンゼン、1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン、スクワラン、トルエンなどの少なくとも一種類であり、好ましくはn-デカンまたは1,2,3,4-テトラヒドロナフタレンを主な溶媒を使用することができ、その他の溶媒は次溶媒とすることができる。反応系中に溶媒を添加することにより、反応系全体における受熱と攪拌をより均一にし、具体的に、溶媒を使用する際、原料は溶媒中において均一に分散し、且つもう一つの原料であるクロロメタンガスに対して溶解作用を有し、これにより反応物の間接触がより充分となり、反応速度がより速い。
【0057】
反応温度は好ましくは80~130℃の間であり、より好ましくは90~100℃の間である。
【0058】
反応は好ましくは1気圧から130kPaの間という気圧下において行われる。即ち、反応が微陽圧で行われるように維持し、好ましくは105~115kPaの間であり、具体的には105kPa、110kPa、115kPaなどとすることができ、実際の反応において、気圧は一つの確定数値に維持されにくく、一つの小さな範囲内に維持され、例えば105~110kPaの範囲内に維持し、または110~115kPaの間などに維持する。該反応過程はクロロメタンを消耗して、さらに固体物質及び液体物質に変化し、このため上記反応を微陽圧条件下において正方向に進行しやすい。本出願のこのような微陽圧操作は、明らかに実験効率を多いに向上させ、実験装置の低圧密封ニーズを低下させ、このような特徴は、実際の工程の最適化に有利で、コストを低減させる。
【0059】
本出願の実施形態において、メチルアルミニウムジクロリドまたはメチルアルミニウムセスキクロライドまたはジメチルアルミニウムクロリドが商業的に購入された場合、トリメチルアルミニウムの製造方法は以下のステップを含むことができる。
【0060】
1)不活性ガスの保護下において、反応装置中にメチルアルミニウムジクロリドまたはメチルアルミニウムセスキクロライドまたはジメチルアルミニウムクロリド、触媒及び溶媒を添加し、さらに攪拌して均一に混合するようにし、反応温度に加熱する。
【0061】
2)反応装置中に一部の金属Mを入れ、引き続き一定時間攪拌混合させる。
【0062】
3)反応装置中にクロロメタンガスを通気する。そのうち、クロロメタンガスの純度は98%より低くなく、通気速度は0.001~2g/minとすることができる。
【0063】
4)クロロメタンガスを持続的に通気しながら、剰余量の金属Mを引き続き添加し、反応が終わるまで、反応装置内を微陽圧に維持する。
【0064】
5)反応装置内の圧力を12~14kPaに調整し、減圧蒸留により60~68℃の留分を収集し、生成物のトリメチルアルミニウムを得る。
【0065】
メチルアルミニウムセスキクロライドが金属アルミニウムとクロロメタンの反応により生成される際(触媒及び開始剤の存在下において)、トリメチルアルミニウムの製造方法は以下のステップを含むことができる:
【0066】
1)不活性ガスの保護下において、反応装置中に金属アルミニウムと触媒を添加する。
【0067】
2)攪拌を開始し、加熱しながら反応装置中にクロロメタンガスを通気する。そのうち、クロロメタンガスの純度は98%より低くなく、通気速度は0.01~2g/minとすることができる。
【0068】
3)反応装置中に開始剤を滴下する。
【0069】
4)反応温度を維持して且つ反応が終了するまで該反応温度を一定時間維持し、メチルアルミニウムセスキクロライドを得る。そのうち、該反応温度を80~130℃に制御し、好ましくは90~100℃に制御し、さらに反応が終了するまで、該反応温度を3~6時間維持する。
【0070】
5)加熱と攪拌を再開し、溶媒を添加する。
【0071】
6)反応温度下において、一部の金属Mを入れてからクロロメタンガスを通気する。そのうち、クロロメタンガスの純度は98%より低くなく、通気速度は0.001~2g/minとすることができる。
【0072】
7)引き続きクロロメタンガスを通気し、剰余量の金属Mを引き続き添加し、反応が終了するまで、反応装置内を微陽圧に維持する。
【0073】
8)反応装置内の圧力を12~14kPaに調整し、減圧蒸留により、60~68℃の留分を収集し、生成物のトリメチルアルミニウムを得る。
【0074】
クロロメタンの通気速度は、反応の温度変化及び実験装置の尾部に設置しているガス流量計に示されている数値に応じて調整できる。具体的に、反応温度が上昇する際、クロロメタンガスの流量を増やし、尾部の流量計に示されている数値に応じて流量の大きさを判断し、尾部からガスの排出がないように保証する。逆に、反応の温度が降下する際、ガスの流量を減らし、尾部の流量計に示されている数値に応じて流量の大きさを判断し、尾部からガスの排出がないように保証する。このような反応過程の進行によりクロロメタンの流量(即ち通気速度)を制御することは、クロロメタンが充分に利用されるようにし、これにより原料を節約でき且つ排気ガスの放出を減少させることができる。
【0075】
不活性ガスは、窒素ガス、アルゴンガスなどを選択できる。
【0076】
開始剤は、連続的に滴下し、または断続的に滴下することができ、好ましくは連続的に滴下する。開始剤の滴下速度を制御し、これにより効果的に反応を誘発することができ、その滴下する速度は0.01~5g/min、好ましくは0.1~5g/minとすることができる。
【0077】
金属Mについて、その純度は95%より低くなく、数回に分けて(回分式で)で滴下することができる。金属Mは好ましくはナトリウムであり、その純度は95%より低くなく、滴下する際に、金属Mの溶融温度は100~150℃とすることができ、反応装置内の温度は80~130℃とすることができる。
【0078】
反応装置について、ガラスリアクター(ガラス反応釜)とすることができ、ガラスリアクターの内部には攪拌装置がある。
【0079】
以下において具体的な実施例を参照しながら本出願について説明する。
【実施例1】
【0080】
窒素ガス雰囲気下において、11.3gの商業的に購入された(市販の)メチルアルミニウムジクロリド、40mlのn-ヘキサデカン及び0.01gの金粉をガラスリアクター中に入れ、金粉と、メチルアルミニウムジクロリド中のアルミニウム元素の重量比は0.0037である。攪拌をスタート、ガラスリアクター内の温度を100℃に維持し、ガラスリアクター内に、数回に分けて(回分式,in batch)で熔融金属ナトリウム(金属ナトリウムを熔融させる加熱温度は130℃である)を滴下し、1g滴下した後、クロロメタンを通気し、溶融された金属ナトリウムを引き続き滴下すると同時に通気を維持し、実験装置の尾部に配置されたガス流量計により、クロロメタンの流速を調整して、尾部からガス排出がないように保証し、ガラスリアクター内の圧力を110~115kPaに維持し、9.2gの金属ナトリウムの全部の滴下を完了させてから、クロロメタンが吸収されないようになるまで、引き続き約2.2h攪拌して、それから通気を停止し、反応系を室温まで降温させる。
【0081】
ガラスリアクター上に蒸留装置を取り付け、圧力を12~14kPaの間に調整し、60~68℃の間の留分を収集し、約6.3gのトリメチルアルミニウムを得て、反応収率は約87%、生成物純度は約97%である。
【実施例2】
【0082】
窒素ガス雰囲気下において、20.5gの商業的に購入された(市販の)メチルアルミニウムセスキクロライド、40mlのn-ヘキサデカン及び0.1gの銀粉をガラスリアクター中に入れ、銀粉と、メチルアルミニウムセスキクロライド中のアルミニウム元素の重量比は0.019である。攪拌をスタートし、ガラスリアクター内の温度を100℃に維持し、ガラスリアクター内に数回に分けて(回分式で)で熔融された金属ナトリウムを滴下し(金属ナトリウムを溶融させる加熱温度は130℃である)、4g滴下してからクロロメタンを通気し、引き続き熔融された金属ナトリウムを滴下すると同時に通気を維持し、実験装置尾部に装着されているガス流量計により、クロロメタンの通気速度を調整し、尾部からガス排出がないようにし、ガラスリアクター内の圧力を110~115kPaに維持しながら、13.8gの金属ナトリウムを全部滴下し、滴下が完了してから、クロロメタンが吸収されなくなるまで引き続き約3.1h攪拌し、それから通気を停止し、反応系を室温まで降温させる。
【0083】
ガラスリアクター上に蒸留装置を取り付け、圧力を12~14kPaの間に調整し、60~68℃の間の留分を収集し、約12.5gのトリメチルアルミニウムを得て、反応収率は約87%、生成物の純度は約98%である。
【実施例3】
【0084】
窒素ガス雰囲気下において、9.2gの商業的に購入された(市販の)ジメチルアルミニウムクロリド、40mlのn-ヘキサデカンと0.27gの銅粉をガラスリアクター中に入れ、銅粉とジメチルアルミニウムクロリド中アルミニウム元素の重量比は0.1である。攪拌をスタートし、ガラスリアクター内の温度を100℃に維持し、ガラスリアクター内に数回に分けて(回分式で)熔融された金属ナトリウムを滴下し(金属ナトリウムを溶融させる加熱温度は130℃である)、1.1g滴下してからクロロメタンを通気し、引き続き熔融された金属ナトリウムを滴下すると同時に通気を維持し、実験装置尾部に装着されているガス流量計により、クロロメタンの通気速度を調整し、尾部からガス排出がないようにし、ガラスリアクター内の圧力を110~115kPaに維持しながら、4.6gの金属ナトリウムを全部滴下し、滴下が完了してから、クロロメタンが吸収されなくなるまで引き続き約2.2h攪拌し、それから通気を停止し、反応系を室温まで降温させる。
【0085】
ガラスリアクター上に蒸留装置を取り付け、圧力を12~14kPaの間に調整し、60~68℃の間の留分を収集し、約6.2gのトリメチルアルミニウムを得て、反応収率は約86%、生成物の純度は約97%である。
【実施例4】
【0086】
窒素ガス雰囲気下において、5.4gのアルミニウム屑と0.01gの銀粉をガラスリアクター中に添加し、銀粉と、アルミニウム屑の重量比は0.0019である。攪拌をスタートして、90℃に加熱し、15min攪拌してからクロロメタンガスを通気し、通気速度を0.05~0.1g/minに制御する。引き続き10min攪拌し、シリンジ(注射器)を使用して約0.5gのヨードメタンを滴下し、クロロメタンの流速を0.3~0.5g/minに調整し、反応圧力を115~120kPaに制御する。実験装置尾部に装着されているガス流量計により、クロロメタンの通気速度を調整し、尾部からガス排出がないようにし、クロロメタンが吸収されなくなるまで引き続き反応させ、総時間は約2.4hであり、メチルアルミニウムセスキクロライドを得る。
【0087】
ガラスリアクター内に、40mlのn-ヘキサデカンを添加し、ガラスリアクターの温度を100℃に維持し、ガラスリアクター内に数回に分けて(回分式で)熔融された金属ナトリウムを滴下する(金属ナトリウムを溶融させる加熱温度は130℃である)。5g滴下してからクロロメタンを通気し、引き続き熔融された金属ナトリウムを滴下すると同時に通気を維持し、実験装置尾部に装着されているガス流量計により、クロロメタンの通気速度を調整し、尾部からガス排出がないようにし、ガラスリアクター内の圧力を110~115kPaに維持しながら、13.8gの金属ナトリウムを全部滴下する。金属ナトリウムの滴下が完了してから、クロロメタンが吸収されなくなるまで引き続き約3h攪拌し、それから通気を停止し、反応系を室温まで降温させる。
【0088】
ガラスリアクター上に蒸留装置を取り付け、圧力を12~14kPaの間に調整し、60~68℃の間の留分を収集する。分析により、約13.3gのトリメチルアルミニウムを得て、反応収率は約92%、生成物の純度は約98%である。
【実施例5】
【0089】
窒素ガス雰囲気下において、5.4gのアルミニウム屑と0.54gの銅粉をガラスリアクター中に添加し、銅粉と、アルミニウム屑の重量比は0.1である。攪拌をスタートし、さらに90℃に加熱し、15min攪拌してからクロロメタンガスを通気し、通気速度を0.05~0.1g/minに制御する。引き続き10min攪拌し、シリンジ(注射器)で約0.5gのヨウ素単体を滴下し、クロロメタンの速度を0.3~0.5g/minに調整し、反応圧力を115~120kPaに制御する。実験装置尾部に装着されているガス流量計により、クロロメタンの通気速度を調整し、尾部からガス排出がないようにし、クロロメタンが吸収されなくなるまで反応を維持し、総時間は約2.4hで、メチルアルミニウムセスキクロライドを得る。
【0090】
ガラスリアクター内に、40mlのn-ヘキサデカンを添加し、ガラスリアクターの温度を100℃に維持し、ガラスリアクター内に数回に分けて(回分式で)熔融された金属ナトリウムを滴下する(金属ナトリウムを溶融させる加熱温度は130℃である)。3g滴下してからクロロメタンを通気し、速度は約0.2g/minであり、引き続き熔融された金属ナトリウムを滴下すると同時に通気を維持し、実験装置尾部に装着されているガス流量計により、クロロメタンの通気速度を調整し、尾部からガス排出がないようにし、ガラスリアクター内の圧力を110~115kPaに維持しながら、13.8gの金属ナトリウムを全部滴下する。金属ナトリウムの滴下が完了してから、クロロメタンが吸収されなくなるまで引き続き約3h攪拌し、それから通気を停止し、反応系を室温まで降温させる。
【0091】
ガラスリアクター上に蒸留装置を取り付け、圧力を12~14kPaの間に調整し、60~68℃の間の留分を収集する。分析により、約13.9gのトリメチルアルミニウムを得て、反応収率は約96%、生成物の純度は約97%である。
【実施例6】
【0092】
窒素ガス雰囲気下において、5.4gのアルミニウム屑と0.1gの金粉をガラスリアクター中に添加し、金粉:アルミニウム屑の重量比は0.019である。攪拌をスタートし、さらに90℃に加熱し、15min攪拌してからクロロメタンガスを通気し、通気速度を0.05~0.1g/minに制御する。引き続き10min攪拌し、シリンジ(注射器)で約0.5gのヨードメタンを滴下し、クロロメタンの速度を0.3~0.8g/minに調整し、反応圧力を115~120kPaに制御する。実験装置尾部に装着されているガス流量計により、クロロメタンの通気速度を調整し、尾部からガス排出がないようにし、クロロメタンが吸収されなくなるまで反応を維持し、総時間は約4hであり、メチルアルミニウムセスキクロライドを得る。
【0093】
ガラスリアクター内に、40mlの1,2,3,4-テトラヒドロナフタレンを添加し、ガラスリアクターの温度を100℃に維持し、ガラスリアクター内に数回に分けて(回分式で)熔融された金属ナトリウムを滴下する(金属ナトリウムを溶融させる加熱温度は130℃である)。2.3g滴下してからクロロメタンを通気し、引き続き熔融された金属ナトリウムを滴下すると同時に通気を維持し、実験装置尾部に装着されているガス流量計により、クロロメタンの通気速度を調整し、尾部からガス排出がないようにし、ガラスリアクター内の圧力を110~115kPaに維持しながら、13.8gの金属ナトリウムを全部滴下する。金属ナトリウムの滴下が完了してから、クロロメタンが吸収されなくなるまで引き続き約3h攪拌し、それから通気を停止し、反応系を室温まで降温させる。
【0094】
ガラスリアクター上に蒸留装置を取り付け、圧力を12~14kPaの間に調整し、60~68℃の間の留分を収集する。分析により、約14gのトリメチルアルミニウムを得て、反応収率は約97%、生成物の純度は約97%である。
【実施例7】
【0095】
窒素ガス雰囲気下において、5.4gのアルミニウム屑と0.01gの銀/銅合金(銀:銅の重量比は3:14)をガラスリアクター中に添加し、銀/銅合金とアルミニウム屑の重量比は0.0019である。攪拌をスタートし、さらに90℃に加熱し、15min攪拌した後にクロロメタンガスを通気し、通気速度を0.05~0.1g/minに制御する。引き続き10min攪拌し、シリンジ(注射器)を使用して約0.5gのメチルアルミニウムセスキクロライドを滴下し、クロロメタンの流速を0.3~0.8g/minに調整し、反応圧力を115~120kPaに制御する。実験装置尾部に装着されているガス流量計により、クロロメタンの通気速度を調整し、尾部からガス排出がないようにし、クロロメタンが吸収されなくなるまで引き続き反応させ、総時間は約3.3hであり、メチルアルミニウムセスキクロライドを得る。
【0096】
ガラスリアクター内に、40mlの1,2,3,4-テトラヒドロナフタレンを添加し、ガラスリアクターの温度を100℃に維持し、ガラスリアクター内に数回に分けて(回分式で)熔融された金属ナトリウムを滴下する(金属ナトリウムを溶融させる加熱温度は130℃である)。4.5g滴下してからクロロメタンを通気し、引き続き熔融された金属ナトリウムを滴下すると同時に通気を維持し、実験装置尾部に装着されているガス流量計により、クロロメタンの通気速度を調整し、尾部からガス排出がないようにし、ガラスリアクター内の圧力を110~115kPaに維持しながら、13.8gの金属ナトリウムを全部滴下する。金属ナトリウムの滴下が完了してから、クロロメタンが吸収されなくなるまで引き続き約4h攪拌し、それから通気を停止し、反応系を室温まで降温させる。
【0097】
ガラスリアクター上に蒸留装置を取り付け、圧力を12~14kPaの間に調整し、60~68℃の間の留分を収集する。分析により、約14.1gのトリメチルアルミニウムを得て、反応収率は約98%、生成物の純度は約98%である。
【実施例8】
【0098】
窒素ガス雰囲気下において、5.4gのアルミニウム屑と0.02gのニッケルをガラスリアクター中に添加し、ニッケル:アルミニウム屑の重量比は0.0037である。攪拌をスタートし、さらに90℃に加熱し、15min攪拌した後にクロロメタンガスを通気し、通気速度を0.05~0.1g/minに制御する。引き続き10min攪拌し、シリンジ(注射器)を使用して約0.5gのヨードメタンを滴下し、クロロメタンの流速を0.3~0.8g/minに調整し、反応圧力を115~120kPaに制御する。実験装置尾部に装着されているガス流量計により、クロロメタンの通気速度を調整し、尾部からガス排出がないようにし、クロロメタンが吸収されなくなるまで引き続き反応させ、総時間は約3.3hであり、メチルアルミニウムセスキクロライドを得る。
【0099】
ガラスリアクター内に、40mlの1,2,3,4-テトラヒドロナフタレンを添加し、ガラスリアクターの温度を100℃に維持し、ガラスリアクター内に数回に分けて(回分式で)熔融された金属ナトリウムを滴下する(金属ナトリウムを溶融させる加熱温度は130℃である)。5g滴下してからクロロメタンを通気し、引き続き熔融された金属ナトリウムを滴下すると同時に通気を維持し、実験装置尾部に装着されているガス流量計により、クロロメタンの通気速度を調整し、尾部からガス排出がないようにし、ガラスリアクター内の圧力を110~115kPaに維持しながら、13.8gの金属ナトリウムを全部滴下する。金属ナトリウムの滴下が完了してから、クロロメタンが吸収されなくなるまで引き続き約4h攪拌し、それから通気を停止し、反応系を室温まで降温させる。
【0100】
ガラスリアクター上に蒸留装置を取り付け、圧力を12~14kPaの間に調整し、60~68℃の間の留分を収集する。分析により、約13.8gのトリメチルアルミニウムを得て、反応収率は約96%、生成物の純度は約97%である。
【実施例9】
【0101】
窒素ガス雰囲気下において、5.4gのアルミニウム屑と0.02gのコバルトをガラスリアクター中に添加し、コバルト:アルミニウム屑の重量比は0.0037である。攪拌をスタートし、さらに90℃に加熱し、15min攪拌した後にクロロメタンガスを通気し、通気速度を0.05~0.1g/minに制御する。引き続き10min攪拌し、シリンジ(注射器)を使用して約0.5gのヨードメタンを滴下し、クロロメタンの流速を0.3~0.8g/minに調整し、反応圧力を115~120kPaに制御する。実験装置尾部に装着されているガス流量計により、クロロメタンの通気速度を調整し、尾部からガス排出がないようにし、クロロメタンが吸収されなくなるまで引き続き反応させ、総時間は約3.3hであり、メチルアルミニウムセスキクロライドを得る。
【0102】
ガラスリアクター内に、40mlの1,2,3,4-テトラヒドロナフタレンを添加し、ガラスリアクターの温度を100℃に維持し、ガラスリアクター内に数回に分けて(回分式で)熔融された金属ナトリウムを滴下する(金属ナトリウムを溶融させる加熱温度は130℃である)。4.4g滴下してからクロロメタンを通気し、引き続き熔融された金属ナトリウムを滴下すると同時に通気を維持し、実験装置尾部に装着されているガス流量計により、クロロメタンの通気速度を調整し、尾部からガス排出がないようにし、ガラスリアクター内の圧力を110~115kPaに維持しながら、13.8gの金属ナトリウムを全部滴下する。金属ナトリウムの滴下が完了してから、クロロメタンが吸収されなくなるまで引き続き約4h攪拌し、それから通気を停止し、反応系を室温まで降温させる。
【0103】
ガラスリアクター上に蒸留装置を取り付け、圧力を12~14kPaの間に調整し、60~68℃の間の留分を収集する。分析により、約13.9gのトリメチルアルミニウムを得て、反応収率は約96%、生成物の純度は約97%である。
【実施例10】
【0104】
窒素ガス雰囲気下において、81gのアルミニウム屑をガラスリアクター中に添加し、攪拌装置は、ポリテトラフルオロエチレンの攪拌翼(polytetrafluoroethylene impeller)上に銀糸を巻くことによって構成され、銀糸は約0.73gであり、銀糸:アルミニウム屑の重量比は0.009である。攪拌をスタートし、さらに90℃に加熱し、15min攪拌した後にクロロメタンガスを通気し、通気速度を0.05~0.1g/minに制御する。引き続き10min攪拌し、シリンジ(注射器)を使用して約6gのヨードメタンを滴下し、クロロメタンの流速を0.3~0.8g/minに調整し、反応圧力を115~120kPaに制御する。実験装置尾部に装着されているガス流量計により、クロロメタンの通気速度を調整し、尾部からガス排出がないようにし、クロロメタンが吸収されなくなるまで引き続き反応させ、総時間は約5.4hであり、メチルアルミニウムセスキクロライドを得る。
【0105】
ガラスリアクター内に、600mlのo-ジクロロベンゼンとn-デカン(o-ジクロロベンゼンとn-デカンの体積比は1:4である)を添加し、ガラスリアクターの温度を100℃に維持し、ガラスリアクター内に数回に分けて(回分式で)熔融された金属ナトリウムを滴下する(金属ナトリウムを溶融させる加熱温度は130℃である)。5g滴下してからクロロメタンを通気し、引き続き熔融された金属ナトリウムを滴下すると同時に通気を維持し、実験装置尾部に装着されているガス流量計により、クロロメタンの通気速度を調整し、尾部からガス排出がないようにし、ガラスリアクター内の圧力を105~110kPaに維持しながら、207gの金属ナトリウムを全部滴下する。金属ナトリウムの滴下が完了してから、クロロメタンが吸収されなくなるまで引き続き約5.5h攪拌し、それから通気を停止し、反応系を室温まで降温させる。
【0106】
ガラスリアクター上に蒸留装置を取り付け、圧力を12~14kPaの間に調整し、60~68℃の間の留分を収集する。分析により、約211gのトリメチルアルミニウムを得て、反応収率は約98%、生成物の純度は約97%である。
【実施例11】
【0107】
窒素ガス雰囲気下において、5.4gのアルミニウム屑と0.01gの塩化ビスマスをガラスリアクター中に添加し、塩化ビスマス中におけるビスマスイオンとアルミニウム屑の重量比は0.0012である。攪拌をスタートし、さらに90℃に加熱し、15min攪拌した後にクロロメタンガスを通気し、通気速度を0.05~0.1g/minに制御する。引き続き10min攪拌し、シリンジ(注射器)を使用して約0.5gのヨードメタンを滴下し、クロロメタンの流速を0.3~0.8g/minに調整し、反応圧力を115~120kPaに制御する。実験装置尾部に装着されているガス流量計により、クロロメタンの通気速度を調整し、尾部からガス排出がないようにし、クロロメタンが吸収されなくなるまで引き続き反応させ、総時間は約2.6hであり、メチルアルミニウムセスキクロライドを得る。
【0108】
ガラスリアクター内に、40mlのn-ヘキサデカンを添加し、ガラスリアクターの温度を100℃に維持し、ガラスリアクター内に数回に分けて(回分式で)熔融された金属ナトリウムを滴下する(金属ナトリウムを溶融させる加熱温度は130℃である)。6g滴下してからクロロメタンを通気し、引き続き熔融された金属ナトリウムを滴下すると同時に通気を維持し、実験装置尾部に装着されているガス流量計により、クロロメタンの通気速度を調整し、尾部からガス排出がないようにし、ガラスリアクター内の圧力を110~115kPaに維持しながら、13.8gの金属ナトリウムを全部滴下する。金属ナトリウムの滴下が完了してから、クロロメタンが吸収されなくなるまで引き続き約3.1h攪拌し、それから通気を停止し、反応系を室温まで降温させる。
【0109】
ガラスリアクター上に蒸留装置を取り付け、圧力を12~14kPaの間に調整し、60~68℃の間の留分を収集する。分析により、約13.5gのトリメチルアルミニウムを得て、反応収率は約94%、生成物の純度は約96%である。
【実施例12】
【0110】
窒素ガス雰囲気下において、5.4gのアルミニウム屑と0.017gの塩化コバルトをガラスリアクター中に添加し、塩化コバルト中におけるコバルトイオンと、アルミニウム屑中におけるアルミニウム元素の重量比は0.0014である。攪拌をスタートし、さらに90℃に加熱し、15min攪拌した後にクロロメタンガスを通気し、通気速度を0.05~0.1g/minに制御する。引き続き10min攪拌し、シリンジ(注射器)を使用して約0.5gのヨードメタンを滴下し、クロロメタンの流速を0.3~0.8g/minに調整し、反応圧力を115~120kPaに制御する。実験装置尾部に装着されているガス流量計により、クロロメタンの通気速度を調整し、尾部からガス排出がないようにし、クロロメタンが吸収されなくなるまで引き続き反応させ、総時間は約2.3hであり、メチルアルミニウムセスキクロライドを得る。
【0111】
ガラスリアクター内に、40mlのn-ヘキサデカンを添加し、ガラスリアクターの温度を100℃に維持し、ガラスリアクター内に数回に分けて(回分式で)熔融された金属ナトリウムを滴下する(金属ナトリウムを溶融させる加熱温度は130℃である)。4g滴下してからクロロメタンを通気し、引き続き熔融された金属ナトリウムを滴下すると同時に通気を維持し、実験装置尾部に装着されているガス流量計により、クロロメタンの通気速度を調整し、尾部からガス排出がないようにし、ガラスリアクター内の圧力を105~110kPaに維持しながら、13.8gの金属ナトリウムを全部滴下する。金属ナトリウムの滴下が完了してから、クロロメタンが吸収されなくなるまで引き続き約3.1h攪拌し、それから通気を停止し、反応系を室温まで降温させる。
【0112】
ガラスリアクター上に蒸留装置を取り付け、圧力を12~14kPaの間に調整し、60~68℃の間の留分を収集する。分析により、約13.6gのトリメチルアルミニウムを得て、反応収率は約94%、生成物の純度は約97%である。
【0113】
[比較例1]
窒素ガス雰囲気下において、11.3gの商業的に購入されたメチルアルミニウムジクロリドと40mlのn-ヘキサデカンをガラスリアクター中に添加する。攪拌をスタートし、ガラスリアクター内の温度を100℃に維持し、ガラスリアクター内に数回に分けて(回分式で)で熔融された金属ナトリウムを滴下し(金属ナトリウムを溶融させる加熱温度は130℃である)、1g滴下してから、金属ナトリウムの表面に次第に灰黒色の物質が出現することが見られる。クロロメタンを通気し、引き続き熔融された金属ナトリウムを滴下すると同時に通気を維持し、実験装置尾部に装着されているガス流量計により、クロロメタンの通気速度を調整し、尾部からガス排出がないようにし、前期のガス吸入は比較的速く、後期ではガラスリアクター内部に黒色固体が出現することが見られ、気体は明らかな吸収が見られない。依然、ガラスリアクター内の圧力を110~115kPaに維持しながら、9.2gの金属ナトリウムを全部滴下してから、引き続き約2.2h攪拌し、それから通気を停止し、この時クロロメタンが吸収されなくなり、反応系を室温まで降温させる。
【0114】
ガラスリアクター上に蒸留装置を取り付け、圧力を12~14kPaの間に調整し、60~68℃の間の留分を収集する。約1.3gのトリメチルアルミニウムを得て、反応収率は約18%、生成物の純度は約81%である。
【0115】
[比較例2]
窒素ガス雰囲気下において、20.5gの商業的に購入されたメチルアルミニウムセスキクロライドと40mlのn-ヘキサデカンをガラスリアクター中に添加する。攪拌をスタートし、ガラスリアクター内の温度を100℃に維持し、ガラスリアクター内に数回に分けて(回分式で)で熔融された金属ナトリウムを滴下し(金属ナトリウムを溶融させる加熱温度は130℃である)、4g滴下してから、金属ナトリウムの表面に次第に灰黒色の物質が出現することが見られる。クロロメタンを通気し、引き続き熔融された金属ナトリウムを滴下すると同時に通気を維持し、実験装置尾部に装着されているガス流量計により、クロロメタンの通気速度を調整し、尾部からガス排出がないようにし、前期のガス吸入は比較的速く、後期ではガラスリアクター内部に黒色固体が出現することが見られ、気体は明らかな吸収が見られない。依然、ガラスリアクター内の圧力を110~115kPaに維持しながら、13.8gの金属ナトリウムを全部滴下し、滴下が完了してから、引き続き約3.1h攪拌し、それから通気を停止し、この時クロロメタンが吸収されなくなり、反応系を室温まで降温させる。
【0116】
ガラスリアクター上に蒸留装置を取り付け、圧力を12~14kPaの間に調整し、60~68℃の間の留分を収集する。約2.1gのトリメチルアルミニウムを得て、反応収率は約15%、生成物の純度は約83%である。
【0117】
[比較例3]
窒素ガス雰囲気下において、9.2gの商業的に購入されたジメチルアルミニウムクロリドと40mlのn-ヘキサデカンをガラスリアクター中に添加する。攪拌をスタートし、ガラスリアクター内の温度を100℃に維持し、ガラスリアクター内に数回に分けて(回分式で)で熔融された金属ナトリウムを滴下し(金属ナトリウムを溶融させる加熱温度は130℃である)、1.1g滴下してから、金属ナトリウムの表面に次第に灰黒色の物質が出現することが見られる。クロロメタンを通気し、引き続き熔融された金属ナトリウムを滴下すると同時に維持し、実験装置尾部に装着されているガス流量計により、クロロメタンの通気速度を調整し、尾部からガス排出がないようにし、前期のガス吸入は比較的速く、後期ではガラスリアクター内部に黒色固体が出現することが見られ、気体は明らかな吸収が見られない。依然、ガラスリアクター内の圧力を110~115kPaに維持しながら、4.6gの金属ナトリウムを全部滴下し、滴下が完了してから、引き続き約2.2h攪拌し、それから通気を停止し、この時クロロメタンが吸収されなくなり、反応系を室温まで降温させる。
【0118】
ガラスリアクター上に蒸留装置を取り付け、圧力を12~14kPaの間に調整し、60~68℃の間の留分を収集する。約1.2gのトリメチルアルミニウムを得て、反応収率は約17%、生成物の純度は約80%である。
【0119】
[比較例4]
窒素ガス雰囲気下において、5.4gのアルミニウム屑をガラスリアクター中に添加する。攪拌をスタートし、ガラスリアクター内の温度を90℃に維持し、15min攪拌してからクロロメタンを通気し、通気速度を0.05~0.1g/minに制御する。引き続き10min攪拌し、シリンジ(注射器)を使用して約0.5gのヨードメタンを滴下し、クロロメタンの流速を0.3~0.5g/minに調整し、反応圧力を115~120kPaに制御し、総時間は約2.4hである。上記ステップにおいて、クロロメタンは基本的に吸収されていなく、アルミニウム屑とクロロメタンは基本的に反応しておらず、有効的にメチルアルミニウムセスキクロライドを得ることが困難であることが分かる。
【0120】
[比較例5]
比較例5と比較例4は大体同じで、違いは、反応の総時間を7日間に延長することであり、具体的な実験プロセスは以下である。
【0121】
窒素ガス雰囲気下において、5.4gのアルミニウム屑をガラスリアクター中に添加する。攪拌をスタートし、ガラスリアクター内の温度を90℃に維持し、15min攪拌してからクロロメタンを通気し、通気速度を0.05~0.1g/minに制御する。引き続き10min攪拌し、シリンジ(注射器)を使用して約0.5gのヨードメタンを滴下し、クロロメタンの流速を0.3~0.5g/minに調整し、反応圧力を115~120kPaに制御し、アルミニウム屑が完全に反応されてメチルアルミニウムセスキクロライドを生成するまで反応を継続し、反応の総時間の長さは7日間である。
【0122】
[比較例6]
窒素ガス雰囲気下において、20.5gの商業的に購入されたメチルアルミニウムセスキクロライドと40mlのn-ヘキサデカンと0.1gの銀粉をガラスリアクター中に添加する。銀粉と、メチルアルミニウムセスキクロライド中のアルミニウム元素の重量比は0.019である。攪拌をスタートし、ガラスリアクター内の温度を100℃に維持し、クロロメタンを通気し、熔融された金属ナトリウムを滴下すると同時に通気を維持し、実験装置尾部に装着されているガス流量計により、クロロメタンの通気速度を調整し、尾部からガス排出がないようにし、ガラスリアクター内の圧力を110~115kPaに維持しながら、13.8gの金属ナトリウムを全部滴下し、滴下が完了してから、引き続き約3.1h攪拌し、それから通気を停止し、反応系を室温まで降温させる。
【0123】
ガラスリアクター上に蒸留装置を取り付け、圧力を12~14kPaの間に調整し、60~68℃の間の留分を収集する。約12.5gのトリメチルアルミニウムを得て、反応収率は約80%、生成物の純度は約97%である。
【0124】
以上のように、実施例1と比較例1、実施例2と比較例2、実施例3と比較例3から分かるように、メチルアルミニウムジクロリドまたはメチルアルミニウムセスキクロライドまたはジメチルアルミニウムクロリドが商業的に購入された場合、反応中において触媒を使用した後、反応収率と生成物純度はいずれも明らかに向上されている。
【0125】
実施例2、及び実施例4~実施例12から分かるように、メチルアルミニウムセスキクロライドが金属アルミニウムとクロロメタンを反応させて生成された場合、商業的に購入されたメチルアルミニウムセスキクロライドに比べ、反応収率と生成物純度はいずれも明らかに向上されている。
【0126】
実施例4と比較例4から分かるように、触媒を含まない場合、同じ実験条件下において、金属アルミニウムとクロロメタンは基本的に、反応してメチルアルミニウムセスキクロライドを生成するのが難しく、これにより基本的にトリメチルアルミニウムを製造することはできない。実施例4と比較例5から分かるように、触媒を含む場合、金属アルミニウムとクロロメタンの反応速度は大幅に増加し、反応の総時間は7日間から2.4hに短縮される。
【0127】
実施例2と比較例6から分かるように、気圧の範囲、原料の添加比などの実験条件が大体同じである場合、一部の金属ナトリウムとメチルアルミニウムセスキクロライドを混合してからクロロメタンを通気した場合、反応収率は明らかに向上する。
【0128】
ここまでで、当業者は以下のように認識すべきである。本明細書は、本出願の多くの例示的な実施例を開示及び記載しているが、しかし、本出願の趣旨及び範囲を逸脱しない場合において、本出願が開示する内容から直接的に確定でき、または推論により得られる本出願の原理に合う多くの他のバリエーションまたは修正は、本出願の範囲に属するものである。そのため、本出願の範囲は、これらの他のバリエーションまたは修正を網羅していると理解すべきである。
【0129】
本出願はトリメチルアルミニウムの製造方法を提供し、該方法は以下のステップを含む:触媒及び溶媒の存在下において、メチルアルミニウムジクロリドまたはメチルアルミニウムセスキクロライドまたはジメチルアルミニウムクロリドと、金属Mと、クロロメタンの系を反応させ、トリメチルアルミニウムと金属Mの塩化物を生成するステップを含み、そのうち、前記触媒は電気化学列において金属アルミニウムより後にある金属またはそのイオンから選択され、前記金属Mはアルカリ金属、アルカリ土類金属またはその組み合わせから選択される。触媒は反応速度を顕著に増加させ、これにより非常にシンプルな実験条件、例えば常圧付近で操作でき、反応収率と生成物純度はより高く、且つ生成物中に副生成物の金属アルミニウム及び未反応のアルカリ金属またはアルカリ土属金属がなく、生成物に対する処理がより便利である。
【手続補正書】
【提出日】2023-09-28
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トリメチルアルミニウムの製造方法であって、
触媒及び
クロロメタンの存在下において、メチルアルミニウムジクロリドまたはメチルアルミニウムセスキクロライドまたはジメチルアルミニウムクロリドと、金属Mと
を反応させ、トリメチルアルミニウムと金属Mの塩化物を生成する
ことを含み、
そのうち、前記触媒は電気化学列において金属アルミニウムより後にある金属、
金属イオンまたはその組み合わせから選択され、
前記金属Mはアルカリ金属、アルカリ土類金属またはその組み合わせから選択されることを特徴とする、前記製造方法。
【請求項2】
前記クロロメタンは、メチルアルミニウムジクロリドまたはメチルアルミニウムセスキクロライドまたはジメチルアルミニウムクロリドと
一定量の金属M
を反応させてから、
前記クロロメタンを通気すること
により導入され、
前記一定量の金属Mの、前記反応に必要とされる金属Mに対する重量比は、(0.001~0.5):1の範囲内にあることを特徴とする、請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記反応物となるメチルアルミニウムセスキクロライドは、前記触媒の存在下において、金属アルミニウムとクロロメタンを反応させてイン-サイチュにて生成されることを特徴とする、請求項1
または2に記載の製造方法。
【請求項4】
金属アルミニウムとクロロメタンを反応させて、前記触媒の存在下において、イン-サイチュにて前記反応物となるメチルアルミニウムセスキクロライドを生成させる反応は、
開始剤の存在下において行われ、
前記開始剤は、ヨウ素単体、1,2-ジブロモエタン、ヨードメタン及びメチルアルミニウムセスキクロライドから選択される少なくとも一種類であることを特徴とする、請求項
3に記載の製造方法。
【請求項5】
金属アルミニウムとクロロメタンを反応させて、前記触媒の存在下において、イン-サイチュにて前記反応物となるメチルアルミニウムセスキクロライドを生成させる反応は、
1気圧から130kPaの範囲内の微陽圧下で行われることを特徴とする、請求項
3または4に記載の製造方法。
【請求項6】
前記触媒は、電気化学列において金属アルミニウムより後にある、第IB族金属またはそのイオン、第VIII族金属またはそのイオン、
第VA族金属またはそのイオンから選択される少なくとも一種類であることを特徴とする、請求項
1~5のいずれかに記載の製造方法。
【請求項7】
前記触媒は、銀、金、ニッケル、パラジウム、白金、銅、鉄、
コバルト、ビスマス、及びロジウムから選択される少なくとも一種類の金属単体またはそのイオン、また
は少なくとも二種類からなる合金であることを特徴とする、請求項
6に記載の製造方法。
【請求項8】
前記触媒の、メチルアルミニウムジクロリドまたはメチルアルミニウムセスキクロライドまたはジメチルアルミニウムクロリドにおけるアルミニウム元素に対する重量比は、(0.0001~0.1):1の範囲内にあることを特徴とする、請求項1
~7のいずれかに記載の製造方法。
【請求項9】
前記金属Mはナトリウム、カリウム及びマグネシウムから選択される少なくとも一種類の金属単体
、または少なくとも二種類からなる合金であることを特徴とする、請求項1
~8のいずれかに記載の製造方法。
【請求項10】
前記メチルアルミニウムジクロリドまたはメチルアルミニウムセスキクロライドまたはジメチルアルミニウムクロリドと、金属Mの反応は、有機溶媒の存在下において行われ、
前記有機溶媒はn-ヘキサデカン、n-デカン、o-ジクロロベンゼン、1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン、スクワラン及びトルエンから選択される少なくとも一種類であることを特徴とする、請求項1
~9のいずれかに記載の製造方法。
【請求項11】
メチルアルミニウムジクロリドまたはメチルアルミニウムセスキクロライドまたはジメチルアルミニウムクロリドと、金属Mとの反応は、
1気圧から130kPaの範囲内の微陽圧下で行われることを特徴とする、請求項1
~10のいずれかに記載の製造方法。
【請求項12】
前記クロロメタンの通気速度は
、反応の温度変化及び実験装置の尾部に設置しているガス流量計に示されている数値に応じて調整されることを特徴とする、請求項1
~11のいずれかに記載の製造方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0015
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0015】
一つの実施形態において、前記触媒は、電気化学列において金属アルミニウムより後にある(即ち、アルミニウムよりもイオン化傾向が小さい)、第IB族金属またはそのイオン、第IIB族金属またはそのイオン、第IIIB族金属またはそのイオン、第IVB族金属またはそのイオン、第VB族金属またはそのイオン、第VIB族金属またはそのイオン、第VIIB族金属またはそのイオン、第VIII族金属またはそのイオン、第IIIA族金属またはそのイオン、第IVA族金属、及び第VA族(第15族)金属またはそのイオンから選択される少なくとも一種類である。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0016
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0016】
一つの実施形態において、前記触媒は、電気化学列において金属アルミニウムより後にある、第IB族金属またはそのイオン、第VIII族金属、及び第VA族金属またはそのイオンから選択される少なくとも一種類である。
【国際調査報告】