(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-14
(54)【発明の名称】高温超電導電気スイッチおよび整流器
(51)【国際特許分類】
H01F 6/00 20060101AFI20240206BHJP
H01F 6/06 20060101ALI20240206BHJP
【FI】
H01F6/00 180
H01F6/06 140
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023545344
(86)(22)【出願日】2022-01-26
(85)【翻訳文提出日】2023-07-26
(86)【国際出願番号】 NZ2022050009
(87)【国際公開番号】W WO2022164330
(87)【国際公開日】2022-08-04
(32)【優先日】2021-01-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
(32)【優先日】2021-10-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519018945
【氏名又は名称】ヴィクトリア リンク リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ロドニー・アラン・バッドコック
(72)【発明者】
【氏名】クリストファー・ウィリアム・バンビー
(72)【発明者】
【氏名】ジアンジャオ・ゲン
(72)【発明者】
【氏名】ジェームズ・ハミルトン・パーマー・ライス
(57)【要約】
前記整流器は、交流スイッチ電流を流すための、臨界電流を有するHTS材料セグメントを含む電気スイッチと、磁場発生器を制御して、前記HTS材料に磁場を印加する磁場発生器と、磁場の大きさが比較的小さいときに低抵抗状態と、磁場の大きさが比較的大きいときに高抵抗状態との間でスイッチを切り替える制御機構であって、比較的大きい磁場の大きさは、交流スイッチ電流サイクルの一部について電流が臨界電流に近い、臨界電流と実質的に等しいか、または臨界電流より大きいように臨界電流を低減させるのに十分である、制御機構と、を含む。バイファイラ配置で配置された2本の超電導材料ストランドを有する電気スイッチも提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気スイッチであって、
それぞれが輸送電流を流すように構成され、臨界電流を有する第1超電導材料ストランドおよび第2超電導材料ストランドと、
前記第1超電導材料ストランドおよび前記第2超電導材料ストランドに磁場を印加するように構成および配置され、高透磁率磁性コアを含む磁場発生器と、を含み、
前記磁場発生器は、磁場の大きさが比較的小さいときに低抵抗状態と、磁場の大きさが比較的大きいときに高抵抗状態との間で電気スイッチを切り換えるように選択的に制御されるように構成され、前記低抵抗状態では、前記輸送電流は前記臨界電流よりも実質的に小さく、前記高抵抗状態では、前記輸送電流は前記臨界電流に近い、前記臨界電流と実質的に等しいか、または前記臨界電流よりも大きく、
前記第1超電導材料ストランドおよび前記第2超電導材料ストランドは、前記磁場の領域内で互いに空間的に実質的に平行に配置され、前記輸送電流が前記磁場の領域内で前記第1超電導材料ストランドおよび前記第2超電導材料ストランドを通って逆方向に流れるように電気的に接続されている、電気スイッチ。
【請求項2】
前記高透磁率磁性コアは、ギャップによって分離された第1端部および第2端部を含み、前記第1超電導材料ストランドおよび前記第2超電導材料ストランドは前記ギャップ内に位置する、請求項1に記載の電気スイッチ。
【請求項3】
前記第1超電導材料ストランドおよび前記第2超電導材料ストランドは、それぞれ2つの対向する面を有するテープの形態である、請求項1~2のいずれか1項に記載の電気スイッチ。
【請求項4】
前記テープは、前記第1超電導材料ストランドの対向する面と前記第2超電導材料ストランドの対向する面とが平行になるように配置されている、請求項3に記載の電気スイッチ。
【請求項5】
前記テープは、前記第1超電導材料ストランドおよび前記第2超電導材料ストランドに印加される磁場が前記2つの対向する面のそれぞれに対して実質的に垂直になるように配向されている、請求項4に記載の電気スイッチ。
【請求項6】
前記電気スイッチは、エンドツーエンドで一体的に接続された第1超電導材料ストランドおよび第2超電導材料ストランドを含む単一の超電導材料セグメントを含む、請求項1~5のいずれか1項に記載の電気スイッチ。
【請求項7】
前記第1超電導材料ストランドおよび前記第2超電導材料ストランドは、前記第1ストランドの一面を前記第2ストランドの一面に接続することにより電気的に接続されている、請求項1~5のいずれか1項に記載の電気スイッチ。
【請求項8】
前記超電導材料は高温超電導(HTS)材料である、請求項1~7のいずれか1項に記載の電気スイッチ。
【請求項9】
交流入力電流を整流するように構成された整流器であって、
交流スイッチ電流を流すように構成され、臨界電流を有する高温超電導(HTS)材料セグメントを含む電気スイッチと、
前記HTS材料に磁場を印加するように構成および配置された磁場発生器と、
前記磁場発生器を制御して、前記磁場の大きさが比較的小さいときに低抵抗状態と、前記磁場の大きさが比較的大きいときに高抵抗状態との間で前記電気スイッチを切り換える制御機構であって、前記比較的大きな大きさは、前記交流スイッチ電流のサイクルの一部について、前記交流スイッチ電流が前記臨界電流に近い、前記臨界電流と実質的に等しいか、または前記臨界電流より大きいように前記HTS材料の前記臨界電流を低減させるのに十分である、制御機構と、を含み、
前記電気スイッチは、交流入力電流を整流して直流出力を生成するように配置される、整流器。
【請求項10】
前記電気スイッチは、前記交流入力電流を半波整流するように配置され、前記直流出力は、前記電気スイッチにわたって並列に接続された負荷に伝達される、請求項9に記載の整流器。
【請求項11】
前記制御機構は、前記磁場の大きさが前記交流入力電流の位相に基づくように前記磁場発生器を制御するように構成される、請求項9~10のいずれか1項に記載の整流器。
【請求項12】
前記制御機構は、前記磁場の大きさが前記交流スイッチ電流の位相と同位相で変化するように、前記磁場発生器に交流発生器電流を供給する、請求項11に記載の整流器。
【請求項13】
前記交流スイッチ電流が第1方向に流れる場合、前記交流スイッチ電流の第1ピーク電流が、前記磁場発生器によって印加される磁場の大きさが比較的大きい場合の前記HTS材料セグメントの前記臨界電流に近い、前記臨界電流と実質的に等しいか、または前記臨界電流よりも大きく、前記交流スイッチ電流が、前記第1方向とは反対の第2方向に流れる場合、第2ピーク電流が、前記磁場発生器によって印加される磁場の大きさが比較的小さい場合の前記HTS材料セグメントの前記臨界電流よりも小さいように、前記交流スイッチ電流を制御する電流制御機構を含む、請求項12に記載の整流器。
【請求項14】
前記磁場発生器は、
ギャップを形成する磁性コアと、
前記磁性コアの一部の周りにコイル状に巻かれて、前記交流発生器電流を流す導体と、を含み、
前記HTS材料セグメントは前記ギャップ内に位置する、請求項11~12のいずれか1項に記載の整流器。
【請求項15】
前記交流入力電流は前記交流発生器電流として前記導体に直接供給され、前記交流スイッチ電流は前記交流入力電流に基づくものである、請求項14に記載の整流器。
【請求項16】
前記整流器は、一次側と二次側とを含む変圧器を含み、前記一次側は前記交流入力電流を受け取り、前記二次側は前記電気スイッチに接続される、請求項14に記載の整流器。
【請求項17】
前記導電体は前記変圧器の一次側に接続されている、請求項16に記載の整流器。
【請求項18】
前記導電体は前記変圧器の二次側に接続されている、請求項16に記載の整流器。
【請求項19】
前記変圧器は、ギャップを形成する磁性コアを含む、請求項16に記載の整流器。
【請求項20】
前記制御機構は、前記磁場発生器を通る交流発生器電流を制御するように構成された電流流れ制御デバイスを含む、請求項14~19のいずれか1項に記載の整流器。
【請求項21】
前記電流流れ制御デバイスは、前記交流発生器電流が第1方向に流れるときに前記磁場発生器が作動し、前記交流発生器電流が第1方向とは反対の第2方向に流れるときに前記磁場発生器が停止するように、前記磁場発生器にわたって並列に接続されたダイオードを含む、請求項20に記載の整流器。
【請求項22】
前記電流流れ制御デバイスは、前記発生器制御スイッチが開いたときに前記磁場発生器が作動し、前記発生器制御スイッチが閉じられたときに前記磁場発生器が停止するように、前記磁場発生器にわたって並列に接続された発生器制御スイッチを含み、前記制御機構は、前記発生器制御スイッチの開閉を制御するように構成されたコントローラを含む、請求項20に記載の整流器。
【請求項23】
前記整流器は、
追加交流スイッチ電流を流すように構成され、臨界電流を有する追加高温超電導(HTS)材料セグメントを含む少なくとも1つの追加電気スイッチと、
前記少なくとも1つの追加電気スイッチの各々についての、前記追加HTS材料セグメントに追加磁場を印加するように構成および配置された追加磁場発生器と、を含み、
前記制御機構は、前記追加磁場発生器を制御して、前記追加磁場の大きさが比較的小さいときに低抵抗状態と、前記追加磁場の大きさが比較的大きいときに高抵抗状態との間で、前記各追加電気スイッチを切り替えるように構成され、前記比較的大きな大きさは、前記交流スイッチ電流のサイクルの一部について、前記交流スイッチ電流が前記臨界電流に近い、前記臨界電流と実質的に等しいか、または前記臨界電流より大きいように追加HTS材料セグメントの前記臨界電流を低減させるのに十分であり、
前記少なくとも1つの追加電気スイッチは、前記電気スイッチと共に動作して、前記交流入力電流を整流して直流出力を生成するように配置される、請求項9~22のいずれか1項に記載の整流器。
【請求項24】
前記制御機構は、前記各磁場発生器を作動および停止させ、前記各磁場発生器が停止しているときに低抵抗状態と、前記各磁場発生器が作動しているときに高抵抗状態との間で、前記各電気スイッチを切り換えるように構成される、請求項23に記載の整流器。
【請求項25】
前記追加磁場発生器は第2磁場発生器を含み、前記制御機構は、前記第2磁場発生器が停止しているときに前記磁場発生器が作動し、前記第2磁場発生器が作動しているときに前記磁場発生器が停止するように構成される、請求項24に記載の整流器。
【請求項26】
前記少なくとも1つの追加電気スイッチは、前記第2電気スイッチを含み、前記電気スイッチと前記第2電気スイッチは直列に接続され、前記直流出力は、前記スイッチのうちの1つにわたって並列に接続された負荷に伝達される、請求項23~25のいずれか1項に記載の整流器。
【請求項27】
前記少なくとも1つの追加電気スイッチは、第2電気スイッチを含み、前記電気スイッチおよび前記第2電気スイッチは、前記交流入力電流を全波整流するように構成される、請求項23~25のいずれか1項に記載の整流器。
【請求項28】
前記電気スイッチと前記第2電気スイッチは直列に接続され、前記直流出力は前記2つの電気スイッチ間に並列に接続された負荷に伝達される、請求項26に記載の整流器。
【請求項29】
前記少なくとも1つの追加電気スイッチは、第2、第3、および第4電気スイッチを含み、第1対の電気スイッチは、前記前記第2電気スイッチに直列に接続された電気スイッチを含み、第2対の電気スイッチは、前記第4電気スイッチに直列に接続された第3電気スイッチを含み、前記第1対の電気スイッチは、前記第2対の電気スイッチに並列に接続され、前記直流出力は、前記第1端子と前記第2端子との間に接続された負荷に伝達され、前記第1端子は、前記電気スイッチと前記第2電気スイッチとの間にあり、前記第2端子は、前記第3電気スイッチと前記第4電気スイッチとの間にある、請求項23~28のいずれか1項に記載の整流器。
【請求項30】
前記磁性コアは、第1コア部と第2コア部とを含み、前記第1コア部と前記第2コア部は前記サーマルブレークによって分離されている、請求項14に記載の整流器。
【請求項31】
前記変圧器は、前記第1コア部と前記第2コア部とを含むコアを含み、前記二次側は前記第1コア部を含み、前記二次側は前記第2コア部を含み、前記第1コア部と前記第2コア部は前記サーマルブレークによって分離されている、請求項16に記載の整流器。
【請求項32】
前記第1コア部はクライオスタットの外側に配置され、前記第2コア部はクライオスタットの内側に配置される、請求項30または31に記載の整流器。
【請求項33】
前記磁場発生器は、前記磁性コアと前記導体との間にサーマルブレークを含む、請求項14に記載の整流器。
【請求項34】
前記変圧器は、前記磁性コアと、前記磁性コアと前記一次側および/または二次側を形成する1つまたは複数の導体との間のサーマルブレークと、を含む、請求項16に記載の整流器。
【請求項35】
前記サーマルブレークは絶縁材料を含む、請求項33または34に記載の整流器。
【請求項36】
前記電気スイッチは、請求項1~8のいずれか1項に記載の電気スイッチである、請求項9~35のいずれか1項に記載の整流器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、超電導電気スイッチおよび整流器に関する。本技術は、特に、超電導材料、特に高温超電導材料で形成された部品を含む電気スイッチおよび整流器に関連するものであり得る。
【背景技術】
【0002】
超電導回路には幅広い用途がある。超電導回路を含むシステムの用途の例としては、超電導磁石、磁束ポンプ、故障電流制限器、磁気エネルギー貯蔵システム、宇宙推進、核融合、核磁気共鳴(NMR)、磁気共鳴イメージング(MRI)、懸濁、水の浄化と誘導加熱が含まれる(これらに限定されない)。
【0003】
超電導回路の多くの用途では、電流を整流すること、つまり交流(AC、方向がサイクル的に反転する電流)を直流(DC、一方向にのみ流れる電流)に変換することが必要であるか、またはこれによる利益が得られる。
【0004】
超電導回路用の整流器は知られているが、損失を低減し、既存の整流器と比較してより高い効率を提供し、および/または他の利点を提供するために、超電導整流器および/または整流器の部品、例えばスイッチを改良する必要がある。
【0005】
高温超電導体(HTS)には、上記のような用途も含めて多くの用途がある。HTS被覆導体(CC)の製造プロセスの進歩により、高磁場下で高電流密度を流すことができるワイヤが開発された。これらのCCを巻いたコイルは、高界磁磁石/インサートとして優れた性能を示している。CCコイルは、モーター/発電機、DC誘導ヒーター、磁気分離器など、他の多くの用途にも有望である。
【0006】
高電流HTSコイルは、理想的で製造が難しくないが、通常、それらに通電するには、大規模で複雑な電子電流供給源と、室温と極低温環境の間を物理的に移行しなければならない太い電流リード線が必要とされる。これには高度な熱設計が必要で、クライオスタットと冷却システムにかなりの熱損失をもたらす。また、常電導回路部品全体で大幅な電圧降下が発生するため、超電導コイルに個別に通電するのに必要な電力よりもはるかに高い電力供給が必要になる。
【0007】
磁石システムから有害な金属電流リードを排除するアプローチの1つは、閉回路HTSコイルにDC電流を無線で注入することである。これは、電流変圧器のHTS二次巻線に誘導されるAC電流を整流することで実現できる。このような「誘導DC電流」は、HTS磁束ポンプとして知られているタイプのデバイスを使用して実現でき、よりコンパクトかつ柔軟な将来のHTS磁石システムを可能にする。
【0008】
既存のHTS磁束ポンプは、高周波電磁スイッチによるサイクル的な作動を利用している。しかし、これらのスイッチには個別の独立電源とフィードスルーが必要であり、複雑さが増している。また、スイッチはクライオスタット内に配置されているので、効率に悪影響を及ぼす低温環境で熱が放散される。
【0009】
低温超電導体(LTS)を用いた磁束ポンプは、整流磁束ポンプを含めて知られている。しかし、HTSとLTSの間には大きな違いがあるため、LTS用に設計されたシステムにはHTSが適していない可能性がある。例えば、LTS材料は、通常、低い臨界磁場(大きさ<1T)を有するが、HTSは数十テスラの大きさの上部臨界磁場を有する。既存の磁束ポンプの中には、温度または磁場を印加することによって超電導状態からの遷移に依存するものもある。ほとんどの用途では、HTSを超電導状態から遷移させるために必要な磁場の強さの印加や十分に速い熱パルスの印加は実際には不可能である。
【0010】
したがって、特に、損失を低減し、既存の整流器と比較してより高い効率を提供し、および/または他の利点を提供するために、HTS(例えば、磁束ポンプ)と共に使用するように適合された整流器、および/または、整流器の部品、例えばスイッチを含む整流器を改良することが特に必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
発明の目的
本技術の目的は、超電導材料で形成された少なくとも1つの部品を含む電気スイッチを提供することによって、および/または超電導材料で形成された少なくとも1つの部品を含む電気スイッチを含む整流器を提供することによって、上記の利点/ニーズのいずれか1つまたは複数を満たすことである。代替的に、本技術の1つの目的は、少なくとも1つの有用な選択肢を公衆に提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の一態様によれば、超電導材料セグメントを含む電気スイッチが提供される。いくつかの形態では、電気スイッチは、超電導材料セグメントに磁場を選択的に印加することによって、高抵抗状態では、超電導材料セグメントを通って流れる電流が超電導材料セグメントの臨界電流に近い、臨界電流と実質的に等しいか、または臨界電流よりも大きいように、低抵抗超電導状態と高抵抗超電導状態との間で制御されるように構成される。いくつかの形態では、超電導材料セグメントは、高温超電導材料セグメントである。
【0013】
本技術の別の態様によれば、交流入力電流を整流するように構成された整流器が提供される。整流器は、交流スイッチ電流を流すように構成された高温超電導(HTS)材料セグメントを含む電気スイッチを含み、このHTS材料セグメントは臨界電流を有する。整流器は、HTS材料に磁場を印加するように構成および配置された磁場発生器をさらに含んでもよい。整流器は、磁場の大きさが比較的小さいときに低抵抗状態と、磁場の大きさが比較的大きいときに高抵抗状態との間で電気スイッチを切り替えるように磁場発生器を制御する制御機構をさらに含んでもよく、比較的大きな大きさは、交流スイッチ電流のサイクルの一部について、交流スイッチ電流が臨界電流に近い、臨界電流と実質的に等しいか、または臨界電流より大きいように、このHTS材料セグメントの臨界電流を低減させるのに十分である。電気スイッチは、交流入力電流を整流して直流出力を生成するように構成されてもよい。
【0014】
諸例では、
a)電気スイッチは、交流入力電流を半波整流するように構成されてもよく、直流出力は、電気スイッチにわたって並列に接続された負荷に伝達される。
b)制御機構は、磁場の大きさが交流入力電流の位相に基づくように磁場発生器を制御するように構成されてもよい。
c)制御機構は、磁場の大きさが交流スイッチ電流の位相と同位相で変化するように、磁場発生器に交流発生器電流を供給してもよい。
d)整流器は、交流スイッチ電流が第1方向に流れる場合、交流スイッチ電流の第1ピーク電流が、磁場発生器によって印加される磁場の大きさが比較的大きい場合のHTS材料セグメントの臨界電流に近い、臨界電流と実質的に等しいか、または臨界電流よりも大きく、交流スイッチ電流が第1方向とは反対の第2方向に流れるとき、第2ピーク電流が、前記磁場発生器によって印加される磁場の大きさが比較的小さい場合のHTS材料セグメントの臨界電流よりも小さいように、交流スイッチ電流を制御する電流制御機構を含んでもよい。
e)磁場発生器は、ギャップを形成する磁性コアを含んでもよく、磁場発生器は、交流発生器電流を流す、コイル内の磁性コアの一部の周りに巻かれた導体を含んでもよく、HTS材料セグメントはギャップ内に位置する。
f)交流入力電流は、交流発生器電流として導体に直接供給してもよく、交流スイッチ電流は交流入力電流に基づく。
g)整流器は、一次側と二次側とを含む変圧器を含んでもよく、一次側は交流入力電流を受け取り、二次側は電気スイッチに接続される。
h)導体は、変圧器の一次側に接続されてもよい。
i)導体は、変圧器の二次側に接続されてもよい。
j)変圧器は、ギャップを形成する磁性コアを含んでもよい。
k)制御機構は、磁場発生器を通る交流発生器電流を制御するように構成された電流流れ制御デバイスを含んでもよい。
l)電流流れ制御デバイスは、交流発生器電流が第1方向に流れるときに磁場発生器が作動し、交流発生器電流が第1方向とは反対の第2方向に流れるときに磁場発生器を停止するように、磁場発生器にわたって並列に接続されたダイオードを含んでもよい。
m)電流流れ制御デバイスは、磁場発生器にわたって並列に接続された発生器制御スイッチを含み、発生器制御スイッチが開いたときに磁場発生器が作動し、発生器制御スイッチが閉じられたときに磁場発生器が停止するようにしてもよく、制御機構は、発生器制御スイッチの開閉を制御するように構成されたコントローラを含む。
n)整流器は、追加交流スイッチ電流を流すように構成され、臨界電流を有する追加高温超電導(HTS)材料セグメントを含む少なくとも1つの追加電気スイッチをさらに含んでもよい。
o)整流器は、少なくとも1つの追加電気スイッチの各々について、追加HTS材料セグメントに追加磁場を印加するように構成および配置された追加磁場発生器をさらに含んでもよい。
p)制御機構は、追加磁場発生器を制御して、追加磁場の大きさが比較的小さいときに低抵抗状態と、追加磁場の大きさが比較的大きい高抵抗状態との間で、各追加電気スイッチを切り替えるように構成され、比較的大きな大きさは、交流スイッチ電流のサイクルの一部について、交流スイッチ電流が臨界電流に近い、臨界電流と実質的に等しいか、または臨界電流より大きいように追加HTS材料セグメントの臨界電流を低減させるのに十分である。
q)少なくとも1つの追加電気スイッチは、交流入力電流を整流して直流出力を生成するように電気スイッチと共に動作するように構成されていてもよい。
r)制御機構は、各磁場発生器を作動および停止させ、各磁場発生器が停止しているときに低抵抗状態と、各磁場発生器が作動しているときに高抵抗状態との間で、各電気スイッチを切り換えるように構成されてもよい。
s)追加磁場発生器は第2磁場発生器を含んでもよく、制御機構は、第2磁場発生器が停止しているときに磁場発生器が作動し、第2磁場発生器が作動しているときに磁場発生器が停止するように構成されてもよい。
t)前記少なくとも1つの追加電気スイッチは、第2電気スイッチを含んでもよく、前記電気スイッチと前記第2電気スイッチは直列に接続されてもよく、前記直流出力は、前記スイッチのうちの1つにわたって並列に接続された負荷に伝達される。
u)前記少なくとも1つの追加電気スイッチは、第2電気スイッチをふうんでもよく、前記電気スイッチおよび前記第2電気スイッチは、前記交流入力電流を全波整流するように構成されてもよい。
v)電気スイッチと第2電気スイッチは直列に接続されてもよく、直流出力は2つの電気スイッチの間に並列に接続された負荷に伝達される。
w)前記少なくとも1つの追加電気スイッチは、第2、第3、および第4電気スイッチを含んでもよく、第1対の電気スイッチは、前記第2電気スイッチに直列に接続された電気スイッチを含んでもよく、第2対の電気スイッチは、前記第4電気スイッチに直列に接続された第3電気スイッチを含んでもよく、前記第1対の電気スイッチは、前記第2対の電気スイッチに並列に接続され、前記直流出力は、前記第1端子と前記第2端子との間に接続された負荷に伝達されてもよく、前記第1端子は、前記第1電気スイッチと前記第2電気スイッチとの間にあり、前記第2端子は、前記第3電気スイッチと前記第4電気スイッチとの間にあってもよい。
x)コアは、第1コア部分と第2コア部分とを含んでもよく、第1コア部分と第2コア部分は、サーマルブレークによって分離されている。
y)変圧器は、第1コア部分と第2コア部分とを含むコアを含んでいてもよく、前記一次側は前記第1コア部を含んでもよく、前記二次側は前記第2コア部を含んでもよく、前記第1コア部と前記第2コア部は前記サーマルブレークによって分離されてもよい。
z)第1コアはクライオスタットの外側に配置されてもよく、第2コアはクライオスタットの内側に配置されてもよい。
【0015】
aa)磁場発生器は、磁性コアと導体との間にサーマルブレークを含んでもよい。
bb)変圧器は、磁性コアと、磁性コアと一次側および/または二次側を形成する1つまたは複数の導体との間のサーマルブレークと、を含んでもよい。
cc)前記サーマルブレークは、絶縁材料を含んでもよい。
【0016】
本発明の別の態様によれば、輸送電流を流すように構成され、臨界電流を有する超電導材料セグメントを含む電気スイッチが提供される。電気スイッチは、超電導材料セグメントに磁場を印加するように構成および配置された磁場発生器をさらに含んでもよい。超電導材料セグメントは、バイファイラ配置であってもよい。磁場発生器は、高透磁率磁性コアを含んでもよい。磁場発生器は、磁場の大きさが比較的小さい場合の低抵抗状態と、磁場の大きさが比較的大きい場合の高抵抗状態との間で、電気スイッチを切り替えるように選択的に制御されるように構成されてもよい。低抵抗状態では、輸送電流は臨界電流よりも大幅に小さくてもよい。高抵抗状態では、輸送電流は、臨界電流に近い、臨界電流と実質的に等しいか、または臨界電流よりも大きくてもよい。
【0017】
本発明の別の態様によれば、それぞれが輸送電流を流すように構成され、臨界電流を有する、第1超電導材料ストランドおよび第2超電導材料ストランドを含む電気スイッチが提供される。電気スイッチは、第1超電導材料ストランドおよび第2超電導材料ストランドに磁場を印加するように構成および配置された磁場発生器をさらに含んでもよい。磁場発生器は、高透磁率磁性コアを含んでもよい。磁場発生器は、磁場の大きさが比較的小さい場合の低抵抗状態と、磁場の大きさが比較的大きい場合の高抵抗状態との間で電気スイッチを切り替えるように選択的に制御されるように構成されてもよい。低抵抗状態では、輸送電流は臨界電流よりも大幅に小さくてもよい。高抵抗状態では、輸送電流は、臨界電流に近い、臨界電流と実質的に等しいか、または臨界電流よりも大きくてもよい。第1超電導材料ストランドおよび第2超電導材料ストランドは、磁場の領域内で互いに空間的に実質的に平行に配置されてもよく、輸送電流が磁場の領域内で第1超電導材料ストランドおよび第2超電導材料ストランドを通って逆方向に流れるように電気的に接続されてもよい。
【0018】
諸例では、
a)高透磁率磁性コアは、ギャップによって分離された第1端部および第2端部を含んでもよく、第1超電導材料ストランドおよび第2超電導材料ストランドはギャップ内に配置される。
b)第1超電導材料ストランドおよび第2超電導材料ストランドは、それぞれ2つの対向する面を有するテープの形態であってもよい。
c)テープは、第1超電導材料ストランドの対向する面と第2超電導材料ストランドの対向する面とが平行になるように配置されてもよい。
d)テープは、第1超電導材料ストランドおよび第2超電導材料ストランドに印加される磁場が前記2つの対向する面のそれぞれに対して実質的に垂直になるように配向されてもよい。
e)電気スイッチは、第1超電導材料ストランドおよび第2超電導材料ストランドを含む超電導材料セグメントを含んでもよく、または、第1超電導材料ストランドおよび第2超電導材料ストランドは、第1ストランドの一面を第2ストランドの一面に接続することにより電気的に接続されてもよい。
f)超電導材料は高温超電導(HTS)材料である。
【0019】
本発明の別の態様によれば、輸送電流を流すように構成され、臨界電流を有する超電導材料セグメントを含む電気スイッチが提供される。電気スイッチは、超電導材料セグメントに磁場を印加するように構成および配置された磁場発生器をさらに含んでもよい。磁場発生器は、高透磁率磁性コアを含んでもよい。磁場発生器は、磁場の大きさが比較的小さい場合の低抵抗状態と、磁場の大きさが比較的大きい場合の高抵抗状態との間で電気スイッチを切り替えるように選択的に制御されるように構成されてもよい。低抵抗状態では、輸送電流は臨界電流よりも大幅に小さくてもよい。高抵抗状態では、輸送電流は、臨界電流に近い、臨界電流と実質的に等しいか、または臨界電流よりも大きくてもよい。超電導材料セグメントは、高透磁率磁性コアに近づくにつれて超電導材料セグメントを通って流れる輸送電流によって発生する自己磁場を実質的に相殺するように配置されてもよい。
【0020】
本技術の別の態様によれば、本技術のいずれか一態様による整流器が提供され、電気スイッチは、本技術のいずれか一態様による電気スイッチである。本発明の別の態様では、本技術のいずれか一態様による整流器における本技術のいずれか一態様による電気スイッチの使用が提供される。
【0021】
全ての新規な態様において考慮されるべき技術の更なる態様は、技術の実際の適用例の少なくとも1つを提供する以下の説明を読めば当業者には明らかになる。
本技術の1つまたは複数の実施形態を、以下の図面を参照しながら、限定することを意図せずに、例としてのみ説明する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】高温超電導体の例示的な電場対電流のグラフを示す。
【
図2】大きさの異なる3つの外部磁場を印加したときの超電導材料の電場対電流のグラフである。
【
図3】本技術の一形態による整流器の概略図である。
【
図4A】
図3および
図4に示された整流器の形状に関するパラメータを示す3つのグラフの図である。
【
図5】本技術の別の形態による整流器の概略図である。
【
図7】
図5および
図6に示す整流器の使用中に経時的に変化するパラメータの大きさを示す図である。
【
図8】本技術の別の形態による整流器の概略図である。
【
図10】本技術の別の形態による整流器の概略図である。
【
図12】本技術の別の形態による整流器の概略図である。
【
図13】本技術の別の形態による整流器の概略図である。
【
図14】本技術の別の形態による整流器の概略図である。
【
図15】
図14に示す整流器の使用中に経時間的に変化するパラメータの大きさを示す図である。
【
図16】本技術の別の形態による整流器の概略図である。
【
図17】本技術の別の形態による整流器の概略図である。
【
図18】
図17に示す整流器の使用中に経時的に変化するパラメータの大きさを示す図である。
【
図19】本技術の別の形態による整流器の概略図である。
【
図20】本技術の別の形態による整流器の概略図である。
【
図21】本技術の別の形態による整流器の概略図である。
【
図22】本技術の別の形態による整流器の概略図である。
【
図23】本技術の別の形態による整流器の概略図である。
【
図25】
図23および
図24に示す整流器の使用中に経時的に変化するパラメータ測定値を示す。
【
図26】本技術の別の形態による整流器の概略図である。
【
図28】
図26および
図27に示す整流器の使用中に経時的に変化するパラメータの大きさを示す図である。
【
図29】本技術の別の形態による整流器の概略図である。
【
図31】
図29および
図30に示す整流器の使用中に経時的に変化するパラメータの大きさを示す図である。
【
図32】本技術の一形態による変圧器の概略図である。
【
図33】本技術の別の形態による変圧器の概略図である。
【
図34】本技術の別の形態による整流器の斜視図である。
【
図35】本技術の別の形態による整流器の斜視図である。
【
図36A】本技術の一形態による電気スイッチの概略図である。
【
図36B】本技術の別の形態による電気スイッチの概略図である。
【
図37】異なる印加場、及び超電導材料セグメントがバイファイラ配置とユニファイラ配置の場合における、本技術の形態による電気スイッチにおける超電導材料セグメントの臨界電流の関係を示す図である。
【
図38A】本技術の形態による電気スイッチの磁場プロファイルを示す。
【
図38B】別の形態の技術による電気スイッチの磁場プロファイルを示す。
【発明を実施するための形態】
【0023】
6.1.超電導体に関する検討
現在の技術の理解を助けるために、読者は超電導体の臨界温度や超電導体の臨界電流などの超電導用語に親しんでおく必要がある。しかし、読者の利益のために、以下でこれらの概念について簡単に説明する。
【0024】
超電導体の臨界温度は、従来、超電導体の抵抗率がゼロまたはほぼゼロまで低下する温度と定義される。言い換えれば、超電導体は、超電導体の温度が臨界温度を下回る場合には超電導状態にあり、温度が臨界温度を上回る場合には非超電導状態にあると言われる。超電導体の多くは絶対零度に近い臨界温度を持っている。例えば、水銀の臨界温度は4.1Kであることが知られている。しかしながら、一部の材料は、30Kから125Kのように、はるかに高い臨界温度を持つことも知られている。例えば、二ホウ化マグネシウムの臨界温度は約39Kであるが、イットリウムバリウム銅酸化物(YBCO)の臨界温度は約92Kである。これらの超電導体は一般に高温超電導体と呼ばれる。
【0025】
高温超電導線またはテープの臨界電流は、従来、ワイヤに沿って100μV/m(=1μV/cm)の電場降下を引き起こす超電導ワイヤ/テープの電流と定義される。臨界電流は、使用される超電導材料および超電導材料の物理的配置の両方の関数であることを理解すべきである。例えば、幅広のテープ/ワイヤは、同じ材料で構成された薄いテープ/ワイヤよりも高い臨界電流を有することがある。しかし、本明細書全体を通じて、超電導体/超電導材料の臨界電流を参照することは、検討を簡略化するためであることを理解すべきである。
【0026】
超電導体/超電導材料では、電流Iが臨界電流I
臨界とほぼ等しくなる場合、超電導体の抵抗はゼロではないが、小さい。しかし、Iが臨界電流I
臨界よりもはるかに大きい場合、超電導体の抵抗が十分に大きくなり、熱放散が発生し、超電導体が臨界温度を超える温度まで加熱される可能性があり、その結果、超電導体は超電導でなくなる。このような状態は「クエンチ」と呼ばれることもあり、超電導体自体に損傷を与える可能性がある。
図1は、高温超電導体の内部電場対電流曲線を示す例示的なプロットを示す。なお、このプロットに示される電場は、以下の方程式で抵抗に関係していることを理解すべきである。
【0027】
【数1】
ここで、
・Eは電場である。
・Iは超電導体を流れる電流である。
・Rはワイヤの抵抗である。
・Lはワイヤの長さである。
【0028】
したがって、
図1のプロットは超電導体の単位長さ当たりの抵抗に関係しており、図示の曲線が非線形であるため、結果として得られる超電導体の抵抗は電流に対して非線形になる。
【0029】
この図から、超電導体の臨界電流I臨界以下では、超電導体内の電場強度が実質的にゼロであることが分かる。超電導体内の電流が臨界電流に近づくと、超電導体中の電場が増加し始める。臨界電流では、超電導体内の電場は100μV/mである。超電導体内の電流が臨界電流を超えてさらに増加すると、導体内の電場強度が急速に増加する。
【0030】
本明細書全体を通じて、超電導材料および超電導材料を含む部品の相対抵抗について言及する。より具体的には、本明細書は、低抵抗状態または高抵抗状態にある超電導材料について言及する。超電導状態にあるとき、超電導材料はゼロまたは実質的にゼロの抵抗を有することができるので、これらの抵抗は、通常、所定の電流に対して超電導材料にわたって存在する電場によって表されることが理解されるべきである。しかし、本明細書全体を通じて、前述の検討を簡略化するために、超電導材料の低抵抗状態や高抵抗状態などの相対抵抗について言及する。
【0031】
「低抵抗状態」という用語は、超電導材料が超電導状態でほぼゼロまたは実質的にゼロの抵抗を有する場合、または材料が部分超電導状態で低抵抗を有する場合を指してもよい。「高抵抗状態」という用語は、超電導材料が低抵抗状態よりも実質的に大きい抵抗を有する状態、例えば、実質的にゼロではない抵抗、またはゼロに近いが低抵抗状態よりも実質的に大きい抵抗を有する状態を指す。誤解を避けるため、文脈上明確に別段の指示がない限り、本明細書で言及する高抵抗状態には、超電導状態が含まれてもよい。
【0032】
同様に、本明細書において、超電導体に流れる電流が臨界電流を超えた結果として超電導体が高抵抗状態にあると記載されている場合、脈で明確に別段の指示がない限り、超電導体に流れる電流が臨界電流に近いか、臨界電流と実質的に等しい場合にも高抵抗状態が達成され得ることを理解すべきである。
【0033】
本明細書に記載されている技術を説明する際には、材料およびその材料を含む部品を「超電導」と呼ぶ。この用語は、当技術分野ではこのような材料について一般的に使用されており、関連する材料が常に超電導状態であることを意味するものとはみなされない。特定の条件下では、材料およびその材料を含む部品は超電導状態でないことがある。つまり、材料は超電導であると表現できても、超電導ではない。
【0034】
6.2.超電導材料
本技術の特定の形態は、様々なタイプの超電導材料を含んでもよい。例えば、本技術の形態は、高温超電導(HTS)材料を含んでもよい。記載された技術の形態での使用に適したHTS材料の例としては、銅酸化物超電導体、例えば、イットリウムバリウム銅酸化物、ガドリニウムバリウム銅酸化物、またはビスマスストロンチウムカルシウム銅酸化物(BSCCO)などの希土類バリウム銅酸化物(ReBCO)超電導体、および鉄系超電導体が挙げられる。BSCCO超電導体は、通常、臨界電流と印加される磁場との間に強い相互依存性を持ち、そのため、現在の技術のいくつかの形態に特に適している可能性がある。他のタイプの超電導体は、他の形態の技術に使用することがある。
【0035】
技術の形態は高温超電導体に関連して説明されるが、技術の他の形態では、代わりに他の種類の超電導体、例えば低温超電導体を使用できることを理解すべきである。
特定の形態では、超電導材料はテープの形態で提供されてもよい。
【0036】
6.3.超電導体への磁場の影響
超電導体における臨界電流は、超電導体に印加される外部磁場に依存する。より具体的には、超電導体により高い外部磁場が印加されると、臨界電流が臨界磁場の値まで低下し、その値を超えて超電導体が超電導(低抵抗)状態でなくなる。この関係は
図2に示されている。
図2は大きさの異なる3つの外部磁場を印加したときの超電導材料の電場対電流のグラフを示す。外部磁場の最大の大きさB
印加1は、は最小臨界電I
臨界1となる。
【0037】
6.4.電気スイッチ
本技術の形態は、超電導材料に大きな外部磁場が印加されると、超電導材料の臨界電流が減少する原理を利用する電気スイッチに関する。
図3および
図4は、例示的な電気スイッチ210を示す。以下では、これらの図に示される技術の形態についてより詳細に説明するが、本発明の目的のために、スイッチ210が説明される。
【0038】
電気スイッチ210は、上記のいずれかのタイプのHTS材料のような高温超電導(HTS)材料セグメントを含む。高温超電導材料は、臨界電流I臨界、および臨界温度T臨界を有する。HTS材料は、HTS材料を臨界温度T臨界よりも低い温度に維持するように構成されたクライオスタット710(図示せず)内に配置される。
【0039】
図2に示すように、外部磁場B
印加がHTS材料セグメントに印加されると、臨界電流が減少する。これにより、磁場B
印加を印加することで、HTS材料セグメントをスイッチとして機能させることができる。磁場B
印加の大きさが特定の値を有する場合、HTS材料が臨界電流よりも小さいスイッチ電流(すなわち、電気スイッチ210を通って流れる電流)を通って流すと、HTS材料は低抵抗状態になる。磁場B
印加の大きさがこの値から、臨界電流がHTS材料によって流れる電流の大きさに近いか、それよりも低い値に低下するのに十分な比較的大きな大きさまで増加すると、HTS材料は高抵抗状態になる。
HTS材料の低抵抗状態はスイッチ210の閉状態と同等であり、高抵抗状態はスイッチ210の開状態と同様であると考えることができる。しかし、高抵抗状態は機械式スイッチによく見られる電気的な開回路ではなく、むしろ高抵抗の導電状態を表すことを理解すべきである。この高抵抗導電状態では、HTS材料は超電導状態のままであるものの、より高いレベルの抵抗を有するか、非超電導状態にする可能性がある。
【0040】
スイッチの低抵抗状態と高抵抗状態との間の磁場B印加の大きさの差は、連続的に変化する大きさを含む、および2つの大きさの間で変化することを含む、複数の大きさに変化してもよい。低抵抗状態では、磁場B印加の大きさは、ゼロまたは非ゼロであってもよい。
【0041】
HTS材料に印加される磁場B印加のいずれの大きさも臨界場の大きさよりも小さくなければならないことが理解されるべきである。ここで、臨界磁場は、HTS材料を高抵抗状態に移行させるためにHTS材料に印加される外部磁場の大きさである。
【0042】
超電導電気スイッチにおけるエネルギー損失は、切り替え中の臨界電流にほぼ比例する。電気スイッチ210は、切り替え中に臨界電流の値を低減することによって動作するので、電気スイッチ210(および電気スイッチ210を含むデバイス)は、従来の超電導電気スイッチよりも低損失であり、したがって効率が高い。
【0043】
6.5.整流器
本技術の特定の形態では、電気スイッチ210を使用し、特定の形態では、切り替えアセンブリ200の形態の複数の電気スイッチ210を使用して、交流入力電流を整流する。本技術の異なる形態は、整流効果を生み出すために、任意の構成で1つまたは複数の電気スイッチ210を利用してもよい。以下の説明では、電気スイッチの適切な構成の例が説明されるが、他の構成が本技術の他の形態で使用されてもよいことが理解されるべきである。
【0044】
本技術の形態による整流器100は、切り替えアセンブリ200と、磁場発生器アセンブリ300と、制御機構400と、電流供給アセンブリ500と、を含む。これらの機能部分については、各機能部分の例示的な形態を説明しながら、以下でより詳細に説明する。また、各機能部分の例示的な形態の組み合わせからなる整流器100のいくつかの具体例についても説明する。各機能部分の例示的な形態の他の組み合わせも、本技術のいくつかの形態において提供され、本技術は、図示および/または説明された特定の例に限定されないことを理解すべきである。
【0045】
特定の形態では、電流供給アセンブリ500は、切り替えアセンブリ200に交流を供給するように構成される。切り替えアセンブリ200は、1つまたは複数の電気スイッチ210の配列を含み、交流を整流して直流出力を生成するように構成される。直流出力は負荷600に伝達されてもよい。磁場発生器アセンブリ300は、1つまたは複数の磁場発生器310を含み、各磁場発生器310は、1つまたは複数の電気スイッチ210に磁場を印加するように構成される。制御機構400は、切り替えアセンブリ200の電気スイッチ210を切り替えるために、磁場発生器アセンブリ300を制御する。
【0046】
超電導材料を含む整流器100の任意の部分は、超電導材料を各超電導材料の臨界温度T臨界よりも低い温度に維持するように構成された1つまたは複数のクライオスタット710内に収容される。
【0047】
6.6.切り替えアセンブリ
本技術の特定の形態では、切り替えアセンブリ200は、1つまたは複数の電気スイッチ210の配置を含み、交流を整流して直流出力を生成するように構成される。以下に例を通して説明するように、切り替えアセンブリ200内の電気スイッチ210の配置は、整流器100によって実行される整流のタイプを決定する。
【0048】
本技術の特定の形態では、整流器100は半波整流器である。半波整流器は、一方向に流れる電流を流すうが、他方向に流れる電流をブロックする。半波整流器のいくつかの形態では、切り替えアセンブリは単一の電気スイッチ210を含む。半波整流器の他の形態では、切り替えアセンブリは2つの電気スイッチ210を含む。
【0049】
図3、
図4、
図5、
図6、
図8、
図9、
図10、
図11、
図12、
図13、および
図19は、単一のスイッチ210を含む半波整流器100用の切り替えアセンブリ200の例示的な形態を示している。これらの形態では、負荷600は電気スイッチ210にわたって並列に接続される。スイッチ210が「閉」構成の場合、負荷600にわたって電圧が印加されず、負荷電流i
負荷が負荷600に伝達される。スイッチ210が「開」構成の場合、負荷600にわたって電圧V
出力が発生し、負荷電流i
負荷が負荷600に伝達される。スイッチ210が開いたときに、負荷電流i
負荷が増加するか減少するかは、スイッチ210を通って流れるスイッチ電流i
スイッチiの方向によって決定され、その方向は、交流入力電流i
1の位相に比べてスイッチ210が開くタイミングによって決定される。いくつかの形態では、制御機構400は、交流入力電流i
1が一方向に流れるときにスイッチ210を開き、交流入力電流i
1が逆方向に流れるときにスイッチ210を閉じるように、スイッチ210の開閉を制御することができ、すなわち、交流入力電流i
1の位相に基づいて各スイッチ210の状態をタイミング的に制御する。このようにして、電圧V
出力は、負荷600にわたって一方向(または極性)にのみ発生させてもよく、それによって半波整流器が提供される。他の形態では、制御機構400は、現在のサイクルの異なる時点でスイッチ210の開閉が行われるように制御されてもよい。制御機構400は、負荷600にわたる電圧V
出力が、負荷電流i
負荷を、さまざま時点での負荷電流i
負荷の増加および減少を含む所望の方法で変化させるように、交流入力電流i
1の位相で選択された時間にスイッチ210を開閉するように動作可能である。このように負荷600の負荷電流i
負荷を段階的に変化させることを「ポンピング」と表現することができる。
【0050】
2つのスイッチ210a、210bを含む半波整流器100用の切り替えアセンブリ200の例示的な形態が
図14、
図20および
図23に示されている。これらの形態では、2つのスイッチ210a、210bが直列に接続され、一方のスイッチ210にわたって負荷600が並列に接続される。交流i
2が切り替えアセンブリ200に供給される。切り替えアセンブリ200は、交流i
2を整流するために各スイッチ210の状態を制御するように構成された制御機構400によって制御される。例えば、制御機構400は、各スイッチ210の状態が交流i
2の流れ方向に基づくように各スイッチ210を制御する。この形態では、交流i
2の流れの方向は電流の位相に依存するので、制御機構400は、交流i
2の位相に基づいて各スイッチ210の状態をタイミング的に制御する。例えば、交流i
2が第1方向に流れる(すなわち、電流の流れが正である)場合には、第1スイッチ210aはその低抵抗状態に置かれ、第2スイッチ210bはその高抵抗状態に置かれる。これにより、スイッチ210aを通って、負荷600にわたってループの外側の周囲に低抵抗経路が形成される。制御機構400は、電流の極性が変化した場合(例えば、正から負に変化した場合)、スイッチ210aを高抵抗状態に、スイッチ210bを低抵抗状態に遷移させてもよい。210aの高抵抗状態は変圧器からの電流を妨げ、負極性の電流流れを遮断する手段を提供する。一方、210bの低抵抗状態は、時定数L/Rで指数関数的に減衰しながらも、負荷内の電流が流れ続ける経路を提供する(負荷が超電導であれば、負荷電流は一定に保たれることを意味する)。これにより、負荷600を通って流れる電流は半波整流されてもよい。同様に、制御機構400は、適切な時間にスイッチ210a、210bを開閉し、負荷600の電流を必要に応じて増減させてもよい。
【0051】
本技術のいくつかの形態では、制御機構400は、交流サイクルのある期間にわたって、同時に低抵抗状態にするように、スイッチ210a、スイッチ210bの両方を制御してもよい。つまり、スイッチ210bは、i2が正である時間の一部だけ高抵抗状態であってもよく、スイッチ210aは、i2が負である時間の一部だけ高抵抗状態であってもよく、残りの時間は、i2が正であるか負であるかにかかわらず、両方とも低抵抗状態であってもよい。これは、スイッチを流れる電流が所望の方向にあるときにスイッチが開いた構成(つまり、高抵抗状態)になるようにするための実際的な制御戦略として使用されてもよい。制御機構400は、明示的に述べられていないとしても、本明細書に記載された技術のいずれかの形態の整流器のスイッチをこのように制御することができる。
【0052】
2つのスイッチ210a、210bを含む全波整流器100用の切り替えアセンブリ200の例示的な形態が
図17、
図22および
図26に示されている。2つのスイッチ210a、210bは直列に接続されており、負荷600は2つのスイッチ210a、210b間に並列に接続されている。切り替えアセンブリ200には交流が供給される。切り替えアセンブリ200は、交流を整流するために各スイッチ210の状態を制御するように構成された制御機構400によって制御される。例えば、制御機構400は、各スイッチ210の状態が交流の流れの方向に基づくように各スイッチ210を制御してもよい。この形態では、交流の流れ方向は電流の位相に依存するため、制御機構400は、交流の位相に基づいて各スイッチ210の状態をタイミング的に制御する。第1方向に電流が流れている場合(例えば、電流が正の場合)、第1スイッチ210aは低抵抗状態になり、第2スイッチ210bは高抵抗状態になる。これにより、スイッチ210aを通る回路の上半分の周囲に低インピーダンス経路が形成され、負荷600に第1方向に電流が通って流れる。第2方向に交流が流れている場合(例えば、電流が負の場合)、第1スイッチ210aは高抵抗状態に置かれ、第2スイッチ210bは低抵抗状態に置かれる。これにより、スイッチ210bを通る回路の下半分の周囲に低インピーダンス経路が形成され、負荷600に第1方向に電流が通って流れる。このようにスイッチの開閉を制御すると、交流の方向にかかわらず、常に正極端子から負極端子へと一方向で負荷に電流が通って流れる。これにより、電圧V
出力は負荷600にわたって一方向(または極性)でのみ発生してもよく、交流は負荷600を介して直流に全波整流される。半波整流器の前述の例と同様に、制御機構400は、負荷にわたる電圧が所望の極性で発生し、それに応じて負荷600を流れる電流が増加または減少するように、スイッチ210の開閉のタイミングを制御してもよい。
【0053】
4つのスイッチ210a、210b、210cおよび210dを含む全波整流器100の切り替えアセンブリ200の例示的な形態が
図16、
図21、
図29および
図30に示されている。2つのスイッチ210a、210bは、第1対のスイッチを形成し、互いに直列に接続されている。他の2つのスイッチ210c、210dは、第2対のスイッチを形成し、互いに直列に接続されている。この2対のスイッチは互いに並列に接続され、各スイッチは交流源に並列に接続されている。負荷600は、第1対のスイッチのスイッチ210a、210b間の端子から第2対のスイッチのスイッチ210c、210d間の端子に接続される。切り替えアセンブリ200は、交流を整流するために各スイッチ210の状態を制御するように構成された制御機構400によって制御される。例えば、制御機構400は、各スイッチ210の状態が交流の流れ方向に基づくように各スイッチ210を制御してもよい。この形態では、交流の流れ方向は電流の位相に依存するため、制御機構400は、交流の位相に基づいて各スイッチ210の状態をタイミング的に制御する。第1方向に電流が流れている場合(例えば、電流が正の場合)、第1および第4のスイッチ210a、210dは低抵抗状態に置かれ、第2および第3スイッチ210b、210cは高抵抗状態に置かれる。これにより、第1および第4のスイッチ210a、210dを通る低インピーダンス経路が生じ、負荷600を通って第1方向に電流が通って流れることになる。第2方向に交流が流れている場合(例えば、電流が負の場合)、第1および第4のスイッチ210a、210dは高抵抗状態に置かれ、第2および第3スイッチ210b、210cは第3低抵抗状態に置かれる。これにより、第2および第3スイッチ210b、210cを通る低インピーダンス経路が生じ、負荷600を通って第1方向に電流が流れることになる。このようにスイッチの開閉を制御すると、交流の方向にかかわらず、常に正極端子から負極端子へと一方向で負荷に電流が通って流れる。これにより、電圧V
出力は負荷600にわたって一方向(または極性)でのみを発生してもよく、交流は負荷600を介して直流に全波整流される。半波整流器の前述の例と同様に、制御機構400は、負荷にわたる電圧が所望の極性で発生し、それに応じて負荷600を流れる電流が増加または減少するように、スイッチ210の開閉のタイミングを制御することができる。
切り替えアセンブリ200におけるスイッチ210の特定の例示的な配置について説明したが、本技術の他の形態の他の切り替えアセンブリ200は、交流を整流するためのスイッチ210の他の配置を有することが理解されるべきである。本技術の他の形態の切り替えアセンブリ200は、他の数のスイッチ210を有してもよい。
【0054】
6.7.磁場発生器アセンブリ
本技術の特定の形態では、磁場発生器アセンブリ300は、1つまたは複数の磁場発生器310を含み、各磁場発生器310は、切り替えアセンブリ200の1つまたは複数の電気スイッチ210に磁場を印加するように構成される。
【0055】
磁場発生器アセンブリ300の例示的な形態が
図3~
図6、
図8~
図14、
図16、
図17、
図19~
図24、
図26、
図27、
図29、
図30、
図34、
図35に示されている。これらの形態では、磁気発生器アセンブリ300は、1つまたは複数の磁場発生器310を含む。各磁場発生器310は、磁性コア320を含んでもよい。コア320は、フェライトコア(例えば、鉄心)または積層鋼/強磁性コアなどの高透磁率磁性コアであってもよい。他の形態では、動作周波数における他のタイプの高い比透磁率を使用することもでき、または非磁性コアまたは空芯を使用することもできる。空芯は、電気スイッチ210のサイズ、重量およびコストを有利に低減してもよく、コアを飽和させることなく、より大きな電流を駆動する能力を提供してもよい。図示の形態において、磁性コア320は、丸い角を有する正方形のリングのような実質的にリング状の中実コアである。
【0056】
例示的な形態では、磁性コア320はギャップ330を形成する。ギャップ330は、固体磁気コア320内の空間、例えば正方形のリンクコアの片側の空間であってもよい。空芯の任意の部分もギャップ330と見なしてもよい。
【0057】
例示的な形態では、導体は、コイル340内の磁性コア320の一部に巻かれる。例えば、導体で形成されたコイル340は、正方形のリングコアの側面、例えば、ギャップ330が形成されている側面とは反対側に巻かれてもよい。空芯では、コイル340は、その内部に空間領域を画定し、この空間領域は、空芯であり、ギャップ330を含むものと考えられる。使用時には、導体は発生器電流を流してもよい。コイル340を通る発生器電流の流れは、コア320内およびギャップ330を横切る磁場を発生させる。本技術の特定の形態では、電気スイッチ210を含むHTS材料セグメントは、ギャップ330を横切る磁場発生器310によって生成される磁場が、スイッチ210に印加される外部磁場B印加となるように、ギャップ330内に配置される。
【0058】
特定の形態では、導体によって流れる発生器電流は、発生器電流が交流発生器電流となるように、電流源、例えば交流源によって供給されてもよい。後でより詳細に説明するように、特定の形態では、導体に電流を供給する交流源は、整流器100の電流供給アセンブリ500によって受け取る交流入力電流と同じか、または交流入力電流および/またはギャップ330に配置されたスイッチ210を通って流れる交流スイッチ電流と同位相で大きさが変化する交流供給源であってもよい。他の形態では、磁場発生器310の導体に発生器電流を供給する電流源は、別個の電流源350であってもよい。これらの形態では、電流源350は直流源であってもよい。
【0059】
磁場発生器310によって発生させる磁場の大きさは、連続的に変化してもよい。代替的に、磁場発生器310によって発生させる磁場の大きさは、2つの一定値の間で変化してもよい。特定の形態では、一定値の1つがゼロであってもよい。
【0060】
特定の形態では、磁場発生器310は、磁場B
印加を複数の電気スイッチ210に印加するように構成されてもよい。例えば、
図16、
図21、
図29および
図30に示す整流器100の形態では、磁場発生器310aは、電気スイッチ210a、210dに磁場を印加するように構成され、磁場発生器310bは、電気スイッチ210b、210cに磁場を印加するように構成されてもよい。各磁場発生器310a、310bは、単一の磁性コア320と、各電気スイッチのHTS材料がその中に配置された1つまたは複数のギャップ330と、を含んでもよい。代替的に、
図30に示す例のように、各磁場発生器310a、310bは、それぞれ磁性コア320を含み、コイル340を形成するためにそれらの周りに巻かれた導体を有する複数の成分磁場発生器を含み、各成分磁場発生器のコイル340は、成分磁場発生器を同時に励磁するために電気的に接続されている。
【0061】
磁場発生器アセンブリ300における磁場発生器300の特定の例示的な配置について説明したが、本技術の他の形態の他の磁場発生器310は、他の形態をとり得ることを理解すべきである。
【0062】
6.8.制御機構
本技術の特定の形態による整流器100は、切り替えアセンブリ200の電気スイッチ210を切り替えるために磁場発生器アセンブリ300を制御するように構成された制御機構400を含む。
【0063】
本技術の特定の形態では、制御機構400は、各磁場発生器310によって発生させる磁場の大きさが、電流供給アセンブリ500によって受け取られる交流入力電流の位相に基づくように、磁場発生器アセンブリ300の磁場発生器310を制御するように構成される。例えば、各磁場発生器310によって発生させる磁場の大きさは、交流入力電流の位相に対して一定の位相差である位相に応じて変化してもよい。一例では、一定の位相差はゼロであってもよく、この場合、各磁場発生器310によって発生させる磁場は、交流入力電流と同位相に変化する。特定の例では、各磁場発生器310によって発生させる磁場の大きさは、交流入力電流の各サイクルの一部については第1値であり、交流入力電流の各サイクルの別の部分について第2値であってもよい。第1値または第2値のいずれかはゼロであってもよい。
【0064】
加えて、特定の態様では、制御機構400は、磁場発生器310を介して磁場が供給される電気スイッチ210を通る交流の位相に基づいた位相(すなわち、交流スイッチ電流)を有する交流(すなわち、交流発生器電流)を磁場発生器310に供給するように構成される。したがって、磁場発生器310によって発生させる磁場の大きさは、交流スイッチ電流の大きさと同位相で変化する。例えば、交流発生器電流の大きさは、交流スイッチ電流の位相から一定の位相差を有する位相で変化してもよい。一例では、一定の位相差はゼロであってもよく、この場合、各磁場発生器310によって発生させる磁場は、交流スイッチ電流と同位相に変化する。特定の例では、各磁場発生器310によって発生させる磁場の大きさは、交流スイッチ電流の各サイクルの一部については第1値であり、交流スイッチ電流の各サイクルの別の部分については第2値であってもよい。第1値または第2値のいずれかはゼロであってもよい。
【0065】
本技術の特定の形態では、交流入力電流は、交流発生器電流として磁場発生器310に直接供給されてもよい。磁場発生器310がコイル340に巻かれた導体を含む例では、交流入力電流は導体/コイル340に直接供給されてもよい。
【0066】
上記した技術の特定の形態では、交流入力電流または交流入力電流に基づく交流(例えば、分流器において交流入力電流から分割された交流、または変圧器の一次側の交流入力電流から変圧器の二次側に発生させた交流を含む)が磁場発生器310に供給され、ここで、1)磁場発生器310は、電気スイッチ210に磁場を印加し、2)電気スイッチ210は、交流入力電流(同様に、例えば、分流器において交流入力電流から分割された交流、または変圧器の一次側の交流入力電流から変圧器の二次側で発生させた交流を含む。)に基づく交流スイッチ電流を流す。本形態のこのような技術では、電気スイッチ210に印加される外部磁場Bpの大きさの変化のタイミングが、電流間の関係によって交流入力電流の位相に自動的に同期されるので、1つまたは複数の「自動同期」電気スイッチ210を含むと考えられ得る。これらの形態では、制御機構400は、交流入力電流と交流発生器および交流スイッチ電流との間の所定の関係を容易にする電気部品および/または接続と考えられ得る。
【0067】
特定の形態では、電気スイッチ210に印加される外部磁場Bpの一部は、記載された手段で交流入力電流の位相と自動的に同期してもよく、磁場発生器310は、外部磁場Bpの他の部分を別の手段で発生させるように構成された発生器部分を含んでもよい。
次に、本技術の形態による整流器100内に提供される自動同期電気スイッチ210の特定例について説明する。
【0068】
図3および
図4に示す整流器100の形態では、磁場発生器310は、交流源900から交流入力電流i
1の供給を受ける。磁場発生器310は、磁場B
pを発生させ、その磁場を電気スイッチ210に印加するように構成されてもよい。
図4に示すように、磁場発生器は、磁性コア320の周りに巻かれたコイル340を含み、コイル340には、交流入力電流i
1が流れる。コイル340は、電気スイッチ210の一部として構成され、磁性コア320のギャップ330内に配置されたあるHTS材料セグメントに電気的に接続されている。したがって、交流入力電流i
1が変化すると、印加磁場B
pが変化し、両者が同期する。
【0069】
図5、
図6、
図12、および
図19に示す整流器100の形態では、交流源900は、交流入力電流i
1を磁場発生器310に供給し、磁場発生器310は、磁場B
pを発生させ、この磁場を電気スイッチ210に印加するように構成される。
図6に示すように、磁場発生器は、磁性コア320の周りに巻かれたコイル340を含み、コイル340には、交流入力電流i
1が流れる。コイル340は、変圧器510の一次側の一次コイル520に電気的に接続されている。変圧器510は、変圧器510の二次側の二次コイル530に交流i
2を発生させる。二次コイル530は、電気スイッチ210の一部として構成され、磁性コア320内のギャップ330内に配置されるHTS材料セグメントに電気的に接続され。二次コイル530の交流i
2は、一次コイル520の交流入力電流i
1と同期しているので、交流入力電流i
1の変化は、印加磁場B
pの変化につながり、両者が同期する。
【0070】
図14、
図16、
図17、
図20、
図21、および
図22に示す整流器100の形態では、磁場発生器アセンブリ300は、
図5、
図6および
図19に示す形態と同様に、変圧器510の一次側にある。
図14、
図16、
図17、
図20、
図21、
図22に示す形態の場合、磁場発生器アセンブリ300は、複数の磁場発生器310、例えば2つの磁場発生器310a、310bを含み、各磁場発生器は、磁場B
印加1およびB
印加2を電気スイッチ210a、210b(または
図16および
図21に示す形態の場合、電気スイッチ210a、210dおよび210b、210c)にそれぞれ印加するように構成される。
【0071】
図8、
図9および
図13に示す整流器100の形態では、交流源900は、変圧器510の一次側の一次コイル520に交流入力電流i
1を供給する。変圧器510は、変圧器510の二次側の二次コイル530に交流i
2を発生させる。二次コイル530は、磁場B
pを発生させ、この磁場を電気スイッチ210に印加するように構成された磁場発生器310に電気的に接続されている。
図9に示すように、磁場発生器は、磁性コア320の周りに巻かれたコイル340を含み、コイル340には、二次コイル530から供給される交流i
2が供給される。コイル340は、電気スイッチ210の一部として構成され、磁性コア320内のギャップ330内に配置されるHTS材料セグメントに電気的に接続されている。二次コイル530における交流i
2は二次コイル520における交流入力電流i
1と同期しており、つまり、同位相であるので、交流入力電流i
1の変化により、印加磁場B
pが変化し、両者が同期する。
【0072】
図10および
図11に示す整流器100の形態では、交流源900は、変圧器510の一次側の一次コイル520に交流入力電流i
1を供給する。変圧器510は、変圧器510の二次側の二次コイル530に交流i
2を発生させる。この形態では、変圧器510と磁場発生器310とが同一の部品で構成されており、すなわち、磁界発生器310の磁性コア320は変圧器510の磁性コア540としても機能する。この磁性コア320/540は、電気スイッチ210の一部として構成されるHTS材料セグメントがその中に配置されるギャップ330を含み、このHTS材料セグメントは変圧器510の二次コイル530に電気的に接続されている。二次コイル530の交流i
2は、一次コイル520の交流入力電流i
1と同期しており、つまり、同位相であるので、交流入力電流i
1の変化により、印加磁場B
pが変化し、両者が同期する。本技術のこのような形態の整流器100は、単一の磁性コア320/540のみを使用するので、
図5、
図6、
図8および
図9に示す整流器よりもコンパクトになり得る。
【0073】
本技術のいくつかの形態では、制御機構400は、任意の1つまたは複数の磁場発生器310を通る交流発生器電流を制御するように構成された1つまたは複数の電流流れ制御デバイスを含む。
【0074】
本技術のいくつかの形態では、各電流流れ制御デバイスは、磁場発生器310のうちの1つにわたって並列に接続されたダイオード410を含む。特定の形態では、ダイオード410は、ある方向の電流がダイオード410を通って流れることを可能にするが、別の反対方向の電流がダイオード410を通って流れることをブロックするように構成されたダイオードタイプであってもよい。このタイプのダイオードを含む整流器100の形態が
図12、
図13、
図14、
図16および
図17に示されている。これらの形態では、ダイオード410が電流を流す方向に電流が流れると、磁場発生器310は短絡し、その結果として停止する。ダイオード410が電流をブロックする方向に電流が流れると、磁場発生器310に電流が通って流れ、磁場発生器310が作動する。これは、磁場発生器310によって印加される磁場B
印加によって制御される電気スイッチ210が、交流サイクルの半分の間のみ作動(すなわち、高抵抗状態になるか、または開く)可能であることを意味する。本明細書に記載の他のタイプの整流器100と比較して、ダイオード410を含む整流器100の形態の1つの利点は、電流がコイル340の巻線を通って流れるとき、磁場発生器310がエネルギーの抵抗損失を引き起こすので、ダイオード410は、ダイオード410が電流を流し、磁場発生器310を通って電流が流れないとき、サイクルの半分の間に、抵抗損失が実質的に生じないことを意味する。
【0075】
図14、
図16、および
図17に示す本技術の形態では、整流器100は、複数の電流流れ制御デバイスを含み、これらの形態では、複数の電流流れ制御デバイスの各々は、電流流れ制御デバイスが複数のダイオード410a、410bを含むように、ダイオードを含む。各ダイオード410a、410bは、磁場発生器310a、310bのそれぞれにわたって並列に接続されている。ダイオード410a、410bは、交流入力電流i
1が一方向に流れる場合、ダイオード410aが電流の流れを許容し、ダイオード410bが電流の流れをブロックし、交流入力電流i
1が他方の逆方向に流れる場合、ダイオード410aが電流の流れをブロックし、ダイオード410bが電流の流れを許容するように、互いに逆方向に配向されている。この配置の結果、交流入力電流i
1が一方向に流れる場合、磁場発生器310bは作動するが、磁場発生器310aは停止し、交流入力電流i
1が逆方向に流れる場合、磁場発生器310aは作動し、磁場発生器310bが停止する。これは、交流入力電流i
1が2方向に流れる場合、電気スイッチ310a、310b(磁場発生器310a、310bはそれぞれ磁場を印加する)を切り換え得ることを意味する。
【0076】
図15は、技術の一形態に従って、
図14の例示的な半波整流器100の使用中に、磁場発生器310aによって発生させる交流入力電流i
1、二次電流i
2、磁場発生器310aによって発生させる磁場B
印加1、磁場発生器310bによって発生させる磁場B
印加2、および負荷600にわたる出力電圧の大きさの例示的な経時変化を示す。交流入力電流i
1の大きさは、二次電流i
2の大きさのプロファイルに反映される図示の波形プロファイルを有するように電流供給アセンブリ500(図示せず)によって制御されてもよい。ダイオード410aは、交流入力電流i
1サイクルの正の部分で磁場発生器310aによって発生させる磁場B
印加1を作動させ、それ以外の部分では停止させる。ダイオード410bは、二次電流i
2サイクルの正の部分で、磁場発生器310bによって発生させる磁場B
印加2を作動させ、それ以外の部分では停止させる。整流器100は、交流入力電流i
1サイクルの正の部分のみの間に負荷600にわたって電圧を発生させ、交流入力電流i
1を半波整流する効果を有する。
【0077】
図18は、本技術の形態にしたがって、
図16および
図17の例示的な全波整流器100の使用中に、交流入力電流i
1、磁場発生器310aによって発生させる磁場B
印加1、磁場発生器310bによって発生させる磁場B
印加2、および負荷600にわたる出力電圧の大きさの例示的な経時変化を示す。交流入力電流i
1の大きさは、電流供給アセンブリ500によって図示された波形プロファイルを有するように制御されてもよい。このプロファイルは、二次コイル530(図示せず)における二次電流の大きさに反映される。ダイオード410aは、交流入力電流i
1サイクルの正の部分では磁場発生器310aによって発生させる磁場B
印加1を作動させ、それ以外の部分では停止させる。ダイオード410bは、二次電流i
2サイクルの正の部分で磁場発生器310bによって発生させる磁場B
印加2を作動させ、それ以外の部分では停止させる。整流器100は、交流入力電流i
1がゼロ(負でも正でも)でない毎に、負荷600にわたって正電圧を発生させ、交流入力電流i
1を全波整流するように機能する効果を有する。
【0078】
図14、
図16および
図17に示す整流器100の形態は、複数のダイオード410および複数の電気スイッチ210を含む。これらの整流器は、1つの電流源900のみで動作してもよく、制御機構400は、交流入力電流i
1によって駆動される、すなわち、外部制御機構を必要としないようにしてもよい。いくつかの形態では、これらは、
図5、
図6、
図8、
図9、
図10、
図11、
図12、および/または
図13に示す整流器100の形態よりも効率的であり、極低温損失が少なくなり得る。さらに、
図14、
図16および
図17に示す整流器100の形態は、対称交流入力電流i
1で動作してもよく(すなわち、
図5、
図6、
図8、
図9、
図10、
図11、
図12および/または
図13に示す整流器100の形態に必要とされる非対称波形プロファイルを有するように入力電流を制御する必要がなくてもよい。)したがって、サイクルのかなりの部分で負荷600にわたって出力電圧を発生してもよく、その結果、出力電圧および電力は、それらの他の形態の整流器と比較して増加する。しかしながら、いくつかの形態では、
図14、
図16および
図17の整流器100は、本明細書で開示されている単一の電気スイッチ210のみを含む整流器100よりも物理的に大きくてもよく、スイッチ210の作動/停止のタイミングを制御する制御機構400が整流器の別個の部分である整流器形態(すなわち、非自動同期形態)と比較して、スイッチ210の作動/停止のタイミングはあまり効果的でない可能性がある。
【0079】
本技術の特定の形態では、制御機構400は、磁場発生器310にわたって並列に接続された発生器制御スイッチ420の形態の1つまたは複数の電流流れ制御デバイスを含む。特定形態では、発生器制御スイッチ420は、MOSFETまたはIGBTのようなトランジスタの形態のスイッチであってもよい。発生器制御スイッチ420を含む整流器100の形態が
図19~
図22に示されている。これらの形態では、制御機構400は、各発生器制御スイッチ420に並列に接続された磁場発生器310にそれぞれ電流を流すかまたは短絡させることによって磁場発生器310を作動/停止するために、発生器制御スイッチ420を選択的に開閉するように構成されたスイッチ制御機構(図示せず)を含む。このようなスイッチ制御機構は、電流流れ制御デバイスが1つまたは複数のダイオードを含む整流器と比較して、整流器100にさらなる複雑さをもたらすが、スイッチ制御機構は、電気スイッチ210の能動的制御を可能にし、これにより、より大きな柔軟性を提供し、本技術のいくつかの形態においてより大きな効率を達成することを可能にする。さらに、単一の電流源900のみが必要であってもよい。
【0080】
図19および
図20に示す整流器100の例は、半波整流器である。
図19の整流器100の形態は、磁場発生器310に並列に接続された単一の発生器制御スイッチ420を含む。制御機構400は、交流入力電流i
1の位相に基づいてスイッチ420を選択的に開閉して、上記と同様に半波整流するように構成される。
図20に示す半波整流器100の形態、および
図21および
図22に示す例示的な全波整流器100の形態では、制御機構400は、一方の磁場発生器310aにわたって並列に接続された第1スイッチ420aと、他方の磁場発生器310bにわたって並列に接続された第2スイッチ420bとを含む。制御機構400は、交流入力電流i
1の位相に基づいてスイッチ420a、420bを選択的に開閉して整流するように構成される。
【0081】
上述した整流器の例示的な形態は、交流入力電流または交流入力電流に基づく電流(例えば、分流器において交流入力電流から分割された交流、または変圧器の一次側の交流入力電流から変圧器の二次側で発生させた交流を含む)によって磁場発生器アセンブリ300が励磁される形態である。本技術の他の形態では、磁場発生器アセンブリ300は、1つまたは複数の別個の電流/電源350を含む。
図23、
図24、
図26、
図27、
図29、および
図30は、本技術の例示的なこのような形態を示している。
【0082】
図23および
図24に示す整流器100の例示的な形態では、電気スイッチ210に印加される磁場B
印加1およびB
印加2は、それぞれ磁場発生器310a、310bによって発生させ、コイル340a、340bは、それぞれ電流源350a、350bによって供給される電流を流す。制御機構400(図示せず)は、電流源350a、350bからコイル340a、340bへの電流供給を制御して、磁場発生器310a、310bを所望の方式で作動および停止させるように構成される。
【0083】
図25は、本技術の一形態にしたがって、
図23および24の例示的な半波整流器100の使用中に、変圧器510の一次コイル520における交流入力電流i
1、変圧器510の二次コイル530における交流入力電流i
2、磁場発生器310bによって発生させる磁場B
印加2、磁場発生器310aによって発生させる磁場B
印加1、負荷600にわたる出力電圧、および負荷600における電流の経時変化の測定値を示す。交流入力電流i
1の大きさは、電流供給アセンブリ500(図示せず)によって制御され、図示された波形プロファイル、すなわち、電流ピークでの一定電圧の延長期間、交流入力電流i
1がゼロであるゼロクロスでのデッドタイムの延長期間、電流レベル間の一定の勾配遷移を有するようにする。制御機構400は、電流i
1が正の場合には一定の非ゼロ磁場を電気スイッチ210bに印加し、電流i
1が負の場合にはゼロ磁場を印加するように、磁場発生器310bを制御するように構成されてもよい。制御機構400は、電流i
1が負の場合には一定の非ゼロ磁場を電気スイッチ210aに印加し、電流i
1が正の場合には、すなわち磁場発生器310bの作動/停止とは逆の場合にはゼロ磁場を電気スイッチ210aに印加するように、磁場発生器310aを制御するように構成されてもよい。これらの入力により、負荷600にわたる出力電圧は、
図25に示す通り、すなわち、二次コイル530における交流i
2が臨界電流を超えるときの負荷600にわたる非ゼロ電圧として示されてもよい。負荷600がその超電導状態(例えば、その臨界温度より低いクライオスタット内)に維持された超電導材料セグメントを含む場合、負荷600の電流は、
図25に示すように、負荷600にわたる出力電圧パルス毎に段階的に増加してもよい(これを「ポンプ」と表現することができる)。
【0084】
制御機構400は、上記技術に関する異なる形態で説明されたのと同様に、スイッチ210aとスイッチ210bの両方を、交流サイクルのある期間、同時に低抵抗状態になるように制御して、スイッチを流れる電流が所望の方向にあるときにスイッチが開構成(すなわち、高抵抗状態)になることを保証してもよい。
【0085】
図28および
図31は、本技術の特定の形態にしたがって、
図26および
図27(
図28の場合)および
図29および
図30(
図31の場合)の例示的な全波整流器100の模擬使用中に、
図25に示されているような同じ変数の例示的な大きさ(変圧器510の二次コイル530における交流i
2を除く)を示す。例示的な全波整流器100の効果は、
図23および
図24に関して上記の半波整流器で説明された効果と同様であり、サイクルの2つの段階、すなわち、二次コイル530における交流i
2が臨界電流を超えるときに、負荷600にわたってゼロでない電圧のみが発生する。これにより、超電導負荷600の電流が1サイクル当たり2回ポンピングされる。この場合も、制御機構400は、交流サイクル中のある期間、2組のスイッチを同時に低抵抗状態にするように制御して、スイッチを流れる電流が所望の方向にあるときにスイッチが開構成(すなわち高抵抗状態)になるようにしてもよい。
【0086】
図23、
図24、
図26、
図27、
図29、および
図30に示す整流器100は、スイッチの切り替えタイミングを制御して効率を向上させてもよいので、前の図に示す整流器と比較して、より効率的に動作してもよい。これにより、超電導材料を冷却し、および/または出力電力を増加させるために、整流器をより低い低温負荷で動作させてもよい。他の目的を達成するために、切り替えのタイミングを制御してもよい。一方、追加の電源が必要であり、制御機構がより複雑であるため、前述の整流器と比較してコストが増加し、物理的な寸法が大きくなる可能性がある。
【0087】
6.9.電流供給アセンブリ
本技術の特定の形態による整流器100は、切り替えアセンブリ200内のHTS材料セグメントに交流を供給するように構成された電流供給アセンブリ500を含む。電流供給アセンブリ500は、交流源900を含んでもよい。代替的にまたは追加的に、電流供給アセンブリ500は、外部電流源から交流の供給を受けてもよい。
【0088】
図3、
図4、
図5、
図6、
図8、
図9、
図10、
図11、
図12、および
図13に示される技術の形態では、整流器100は電流制御機構を含み、電流制御機構は、電流の各サイクルにおいて、一方向(例えば正方向)に電流が流れるときに電流の第1第1ピークを有し、他方の逆方向(例えば負方向)に電流が流れたときに電流の第2ピークを有し、第1第1ピークでの電流の大きさが第2ピークでの電流の大きさよりも大きくなるように、1つまたは複数の電気スイッチ210のHTS材料セグメントを通って流れる交流(すなわち、交流スイッチ電流)を制御するように構成される。言い換えれば、交流スイッチ電流は、そのサイクル全体にわたって非対称になるように制御される。さらに、電流制御機構は、磁場発生器310によって印加される磁場の大きさが比較的大きい場合、第1ピークでの電流の大きさが、電気スイッチ210におけるHTS材料セグメントの臨界電流I
臨界よりも大きく、磁場発生器310によって印加される磁場の大きさが比較的小さい場合、第2ピークでの電流の大きさが、電気スイッチ210におけるHTS材料セグメントの臨界電流I
臨界よりも小さくなるように構成される。
【0089】
本技術の特定の形態では、電流供給アセンブリ500(図では交流源900によって表されるが、上述したように、他の形態では、電流供給アセンブリ500は電流源を含まない)は、電流制御機構を含み、スイッチ210を通って流れる交流が上述したように非対称となるように、交流入力電流i
1を制御するように構成される。本技術の他の形態では、電流供給アセンブリ500は、対称交流入力電流i
1を供給してもよく、電流制御機構は、対称交流入力電流i
1を受け取り、記載された非対称電流をスイッチ210に供給する。
図4Aは、
図3および
図4に示す整流器100の形態に関する以下の3つのグラフを示す。
1)交流入力電流i
1および磁場発生器310によってスイッチ210の高温超電導材料セグメントに印加される磁場B
pの経時変化、
2)電気スイッチ210のHTS材料セグメントの臨界電流I
臨界は、磁場発生器310によってスイッチ210のHTS材料セグメントに印加される磁場B
pによってどのように変化するか、および
3)交流入力電流i
1が供給されたときの負荷600にわたる電圧の経時変化。
電流サイクル中、磁場発生器310を流れる電流(およびスイッチ210を流れる電流)が増加するにつれて、スイッチ210に印加される磁場B
pの大きさも増加する。磁場の増加は、電気スイッチ210のHTS材料セグメントの臨界電流I
臨界を減少させる。スイッチ電流が、電気スイッチ210のHTS材料セグメントの臨界電流I
臨界を超えると、電気スイッチ210は高抵抗状態となる。
図4Aにおいて、電気スイッチにおける臨界電流I
臨界に等しい電流は、i
thと表される。したがって、スイッチの電流がi
thを超えると、負荷600にわたる電圧はゼロではなく、
図4Aの例では、交流入力電流i
1は、正のピーク値が臨界電流i
thを超えるように制御されているので、これはサイクルの正の部分で発生する。
図4Aでは、この電流は交流入力電流i
1として示されている。なぜなら、スイッチが「閉じられる」とき、すなわち低抵抗状態にあるとき、全ての入力電流が電気スイッチ210を通って流れると仮定しているからである。
【0090】
電流がith未満の場合、HTS材料セグメントは低抵抗状態となり、負荷600には電流が通って流れない。さらに、負のピーク値が臨界電流ith(大きさ)を超えないように交流入力電流i1が制御されるので、負荷600を流れる電流が無視できることを意味するサイクルの負の全部分について、HTS材料セグメントは低抵抗状態に維持される。複数のサイクルにわたって繰り返されると、周期的な正の電圧が負荷600にわたって発生させ、それによって交流入力電流i1を半波整流する。
【0091】
図7は、
図5および
図6に示す整流器100の使用中に以下のパラメータの大きさの経時変化を示す4つのグラフを示す。
1)磁場発生器310および変圧器510の一次コイル520に供給される交流入力電流i
1、
2)変圧器510の二次コイル530で発生した交流i
2、
3)負荷600にわたる端電圧、および
4)負荷600における電流(負荷600は、その臨界温度より低いクライオスタット中など、その超電導状態に維持された1つの超電導材料を含む)。
【0092】
この例では、電気スイッチ210のHTS材料セグメントの臨界電流I臨界は、外部ら磁場が印加されていない場合に200Aである。電気スイッチ210によって流れる交流i2は、そのサイクルのどの時点においても200Aを超えないので、スイッチ210を高抵抗状態にするには不十分である。磁場発生器310によって発生させる0.25Tの磁場を印加することにより、電気スイッチ210のHTS材料セグメントの臨界電流I臨界は約50Aに減少する。この場合、電気スイッチ210によって流れる交流i2が50Aを超えると、電気スイッチ210は高抵抗状態に切り替わり、負荷600にわたって電圧が発生する。交流入力電流i1に従って交流i2、は非対称であるため、スイッチ210は電流サイクルの正の部分でのみ高抵抗状態に切り替わり、半波整流される。その結果、負荷600に流れる電流がポンピングされる。
【0093】
図3~
図6に示す技術形態の整流器100の1つの利点は、整流器のスイッチ210を切り替えるのに必要な電流が、スイッチ210に印加される外部磁場がない場合に必要な電流よりも著しく低いことである。これにより、入力電流要求が低減され、整流器100における損失が低減され、負荷600に同じレベルの電流および電圧が発生するときの効率が向上する。たとえば、
図7に示すパラメータの場合、損失は75%減少している。
【0094】
上述したように、本技術の特定の形態では、電流制御機構は、1つまたは複数の電気スイッチ210を通って流れる交流を非対称に制御し、HTS材料セグメントの臨界電流に関して必要なピークの大きさを有するように構成される。電流制御機構は、任意の適切な方法で電流のこのような制御を達成することができる。特定の形態では、電流制御機構は、所望の波形を表すデジタル信号がデジタルアナログ変換器に供給されて、適切な非対称波形を有するアナログ電圧信号を生成するプログラマブル信号発生器を含んでもよい。このアナログ電圧信号は、非対称交流入力電流を発生させるために電力増幅器に供給されてもよい。
【0095】
本技術の特定の形態では、電流供給アセンブリ500は、多くの例について既に説明したように、変圧器510を含んでもよい。変圧器は、電流源900に接続された一次コイル520と、切り替えアセンブリ200に接続された二次コイル530とを含んでもよい。変圧器510は、一次コイル520および二次コイル530が巻かれた磁性コア540を含んでもよい。
図23、
図24、
図26、
図27、
図29、および
図30の整流器100では、交流入力電流i
1が変圧器510の一次コイル520に供給され、二次コイル530が切り替えアセンブリ200に接続される。
図5、
図6、
図12、
図14、
図16、
図17、
図19、
図20、
図21、および
図22の整流器100では、磁場発生器310(特に、導体を形成するコイル340)は、変圧器510の一次コイル520に接続されている。
図8、
図9および
図13の整流器100では、磁場発生器310(特に、導体を形成するコイル340)は、変圧器510の二次コイル530に接続されている。
図10および
図11の整流器100では、変圧器510および磁場発生器310は、上記でより詳細に説明したように、同一の部品で構成される。特定の形態では、一次コイル520は、常電導体材料で形成され、二次コイル530は超電導材料、例えばHTS材料で形成されてもよい。
【0096】
本技術の特定の形態による変圧器510を含む整流器100は、例えば、超電導磁石、超電導モーター/発電機、宇宙推進システム、核融合炉、研究用磁石、NMR、MRI、浮上、水浄化、誘導加熱を含む様々な用途に適用し得る。整流器に変圧器510を使用することにより、整流器の2つの部分を物理的に分離することができ、つまり、この整流器を磁束ポンプとして、または磁束ポンプ内で使用することができる。アプリケーションにおける適切な整流器の形態は、物理的なサイズの制限、極低温熱負荷、出力電力、効率、コスト、制御性など、さまざまな要因に依存する。特定の形態では、
図5、
図6、
図8、
図9、
図10、
図11、
図12、および
図13の整流器100は、効率、極低温熱負荷、および出力電力のような要素に対する要求が、いくつかの超電導モーター/発電機または実験室用超電導電源用途など、特に厳しいものではない、コンパクトで単純な、および/または低コストの用途に適していると考えられ得る。特定の形態では、
図23、
図24、
図26、
図27、
図29、および
図30の整流器100は、高効率、極低温熱負荷、および/または高出力を必要とする用途、例えば、宇宙推進または高速ランプする大型磁石に適していると考えられ得る。例えば、他の図の整流器は、他の用途に適用してもよい。
【0097】
6.10.サーマルブレーク
特定の技術形態では、電気スイッチ210および整流器100は、HTS材料などの超電導材料から作られた部品を含む。超電導材料は、超電導材料が低抵抗(「超電導」)状態になるためには、超電導材料の臨界温度未満の温度を有する環境に維持されなければならない。本技術の形態による整流器100は、整流器100の1つまたは複数の超電導材料の臨界温度よりも低い温度の適切な低温環境に整流器100またはその一部を維持するように構成されたクライオスタット700を含んでもよい。
【0098】
整流器100の動作に必要でない場合、整流器100の特定の部分をクライオスタット700内で低温に維持することは、エネルギーの観点からコストがかかる可能性がある。しかしながら、整流器100の一部の部分を低温に維持し、他の部分をより高い温度に維持することは、クライオスタット700からの熱損失をもたらし、エネルギーコストを増大させる可能性がある。したがって、本技術の特定の形態は、異なる部分を異なる温度に維持する必要がある場合に、熱エネルギーの流れを低減するために、整流器100の1つまたは複数の部分を整流器100の1つまたは複数の他の部分から断熱する1つまたは複数のサーマルブレーク710を含む。
【0099】
本技術の形態は、サーマルブレーク710の形態または構造によって制限されない。特定の形態では、サーマルブレーク710は、絶縁材料で形成された1つまたは複数の要素を含む。追加的にまたは代替的に、サーマルブレーク710は、真空領域を含んでもよい。追加的にまたは代替的に、サーマルブレーク710は、1つまたは複数の放射線シールドを含んでもよい。
【0100】
図32は、本技術の特定の形態による変圧器510の概略図である。変圧器510は、以下の異なるタイプのサーマルブレーク710のうちのいずれか1つまたは複数を含んでもよい。
1)サーマルブレーカ710aは、一次コイル520と磁性コア540との間に位置してもよい。
2)サーマルブレーク710bは、磁性コア540aの第1部分と磁性コア540bの第2部分との間に位置してもよい。特定の形態では、一次コイル520は第1コア部540aの周りに巻かれ、二次コイル530は第2コア部540bの周りに巻かれてもよい。
3)サーマルブレーカ710cは、二次コイル530と磁性コア540との間に位置してもよい。
【0101】
図33は、本技術の特定の形態による変圧器510の概略図であり、変圧器510は、一次コイル520および二次コイル530が共巻きされた同軸幾何形状を有し、一方のコイルは他方のコイルよりも軸に近い方向に巻かれている。このような変圧器510は、一次コイル520と二次コイル530との間にサーマルブレーク710dを含んでもよい。
同様に、整流器100の磁場発生器310の任意の1つまたは複数は、例えば、磁性コア320aの第1部分と磁性コア320bの第2部分との間のサーマルブレーク710、磁性コア320と磁性コア320の周りに巻かれた導体コイル340との間のサーマルブレークなど、1つまたは複数のサーマルブレーク710を含んでもよい。
【0102】
本技術の形態では、整流器100は、超電導挙動を達成するために「冷たい」環境と「暖かい」環境との間の熱絶縁を提供するために、必要に応じて任意の数の位置にサーマルブレーク710を含むように構成され得ることを想定している。
【0103】
図34は、サーマルブレーク710を含む整流器100の一例を示す。
図34において、変圧器510、第1および第2磁場発生器310のそれぞれの磁性コアは、クライオスタット700の内側に位置する一方のコア部分と、クライオスタット700の外側に位置する他方のコア部分とを有する2つのコア部分に分割されている。各磁性コアの2つの部分は磁気的に結合されている。クライオスタット700の内部は、電気スイッチ210を形成する超電導材料セグメントを含むクライオスタット700の内部に位置する超電導材料セグメントが、低抵抗または超電導状態で動作できるように、十分に低い温度に維持される。これにより、クライオスタット700の壁がサーマルブレーク710を形成する。
図34の整流器100のレイアウトは、他の点では、
図26および
図27に示す整流器100のレイアウトと同様である。
【0104】
図35は、サーマルブレーク710を含む整流器100の別の例を示す。この形態は、
図26および
図27に示す整流器100と同様のレイアウトを有する整流器100を再び示している。この形態では、磁場発生器310および変圧器510の磁性コア320、540のすべてがクライオスタット700の内部に配置される。変圧器510、第1および第2磁場発生器310のそれぞれの磁性コアは2つのコア部に分割され、各磁性コアの2つのコア部はサーマルブレーカ710によって分離されている。各磁性コアの2つの部分は磁気的に結合されている。変圧器の一次コイル520と磁場発生器310のコイル340とに接続された導体は、クライオスタット700の壁を貫通する。
【0105】
6.11.バイファイラ配置
超電導材料の臨界電流は、材料により高い外部磁場が印加されると低下するという原理を利用した電気スイッチ210に関する技術形態が説明されてきた。
図24は、電気スイッチ210aの一例を示す。
図24の電気スイッチ210aは、バイファイラ配置で配置された超電導材料セグメントを含む。
図36は、バイファイラ配置で配置された超電導材料セグメントを含む別の電気スイッチ210を示している。次に、本技術のこの態様については、さらに詳細に説明する。
【0106】
図24、
図36Aおよび
図36Bに示す電気スイッチ210の形態に関して超電導材料セグメントのバイファイラ配置が説明されているが、バイファイラ配置は、本技術の他の形態にも適用可能であることを理解すべきである。特に、本明細書に記載された任意の電気スイッチ210のいずれも、本技術の代替形態において、バイファイラ配置で配置された超電導材料セグメントを含んでもよい。さらに、本技術の形態によれば、任意の整流器100に組み込まれた任意の電気スイッチ210は、バイファイラ配置で配置された1つの超電導材料セグメントを含んでもよい。
【0107】
本明細書の文脈では、別段の記載がない限り、「バイファイラ配置」とは、導体の2本のストランドが実質的に平行で電気的に接続され、電流がストランドを通って反対方向に流れるような、導体の2本のストランドの配置を意味すると理解されるべきである。これらのストランドは、互いに密接に隣接していてもよい。これらのストランドは、ある超電導材料セグメントの2つの部分を折り重ねたものであってもよい。代替的に、2本のストランドは、例えばはんだ付け、拡散接合、または他の適切な形態の電気接続によって互いに電気的に接続される、別個の超電導材料セグメントであってもよい。
【0108】
また、本技術の特定形態では、複数のバイファイラストランドが使用され得ることも理解されるべきである。したがって、文脈上明らかに別段の必要がない限り、本技術の他の形態は、バイファイラ配置を記述する場合に、複数のバイファイラストランドを有する同様の配列も含まれてもよい。
【0109】
より具体的には、例えば、
図36Aを参照して示される技術形態において、電気スイッチ210は、バイファイラ配置の一形態において、超電導材料セグメント800を含む。超電導材料セグメント800は、超電導材料の2本のストランド(すなわち、サブセグメント)810a、810bを含む。2本のストランド810a、810bは、互いに直列に接続されている。超電導材料セグメント800は、それ自体が二つ折りになるように配置されており、2本のストランド810a、810bは、空間的にほぼ平行に配置されている。このような配置では、超電導材料セグメント800が輸送電流を流すと、第1ストランド810aの電流は、第2ストランド810bの電流とは逆方向に流れる。超電導材料セグメント800の折り畳み領域820(ループの形態を取ってもよい)は、2本のストランド810a、801bを超電導材料セグメント800の長さに沿って分離してもよい。
図36Bに示す技術の代替形態では、電気スイッチ210は、超電導材料の2つの別個のストランド810a、810bを含む。2本のストランド810a、810bのそれぞれの一端は、電気的接合部820bにおいて電気的に接続されており、2本のストランドはバイファイラ配置で配置されている。同様に、この配置では、超電導材料セグメント800が輸送電流を流すとき、第1ストランド810aの電流は第2ストランド810bの電流と逆方向に流れる。電気的接合部820bは、はんだ接合部、拡散接合部、または任意の適切な電気接合部であってもよい。
【0110】
図36Aおよび
図36Bに示す技術形態では、2本のストランド810a、810bは、互いに近接して配置されてもよい。ストランド810a、810bの一方または両方に絶縁被覆を施してもよく、ストランドの絶縁被覆を互いに接触させてもよい。代替的に、絶縁層は、一方または両方のストランドと接触して、2つのストランド810a、810bの間に配置されてもよい。絶縁層は、KaptonまたはNomexテープなどの絶縁テープで形成されてもよい。
【0111】
本技術の特定の形態では、超電導材料セグメント800は、その幅および深さよりも明らかに長い長さおよび深さよりも明らかに長い幅を有する材料の長さであるテープの形態を取ってもよい。テープは、実質的に平行な2つの対向する面を有していてもよく、2つの面はテープの深さによって分離されている。ストランドは、一方のストランド810aの対向する面と他方のストランド810bの対向する面とが平行となるように配置されていてもよい。
図36Bに示す技術形態では、2本のストランド810a、810bの各々は、バンドの形態を取ってもよい。2つの分離されたストランドは、一端で向かい合って電気的に接続(例えば、はんだ付け)されて、電気的に連続した接合部820bを形成してもよい。このような配置は、電気スイッチ210のインダクタンスを低減することができるが、低抵抗状態における抵抗の小さな増加を犠牲にして、このような利点を達成することができる。代替的に、単一の超電導材料セグメント(例えばテープ)を、その長さの隣接部分として2本のストランド10a、810bがエンドツーエンドで接続されるように配置してもよい。
【0112】
本技術の特定の形態では、超電導材料セグメント800は、前述したように高温超電導(HTS)材料セグメントであってもよい。
【0113】
図24、
図36A、および
図36Bの技術形態で示されるように、本技術の特定の形態の電気スイッチ210は、磁場発生器310を作動させて超電導材料の2本のストランド810a、801bに磁場を印加するように配置されてもよい。磁場発生器310は、本明細書で前に説明した任意の磁場発生器の形態を取ってもよい。磁場発生器310は、先に説明されたように電気スイッチ210を低抵抗状態と高抵抗状態との間で移動させるために、磁場を選択的に発生させるように選択的に制御されてもよい。
【0114】
特定の形態では、磁場発生器310は、磁性コア320を含む。コア320は、フェライトコア(例えば、鉄心)のような強磁性コアや、積層鋼/鉄心のような高透磁率磁性コアであってもよい。
図24に示す例示的な形態では、磁気コア320aは、実質的にリング状の中実コア、例えば円形リングである。他の形態では、コアは異なる形状、例えば丸い角を有する正方形のリングを有してもよい。例示的な形態では、磁性コア320は、ギャップ330によって分離された第1端部および第2端部を含む。ギャップ330は、中実磁性コア320内の空間、例えばリングコアの片側の空間であってもよい。
【0115】
特定の形態では、電気スイッチ210は、磁場発生器310によって発生された磁場がストランド810a、801bの対向する面に対して実質的に垂直になるように配置される。すなわち、磁場の磁束線は、磁束線がストランドと交差する部分でストランド810a、801bの面に対して実質的に垂直である。
【0116】
本技術の特定の形態では、ギャップ330の幅は、2つのストランド810a、810bの深さを合わせたものと同様であり、すなわち、ストランド810a、810bのそれぞれを、ストランドに最も近いコア330のそれぞれの端部から分離する空隙は比較的小さい。
【0117】
超電導材料セグメントのバイファイラ配置を含む電気スイッチ210の1つの利点は、単一の超電導材料セグメントを有する同様のスイッチと比較して、スイッチのインダクタンスが低減されることである。このような利点の1つは、電気スイッチ210に磁場を印加する磁場発生器310のコイル340が、他の場合よりも少ない巻数を有することができることである。
【0118】
超電導材料セグメントのバイファイラ配置を含む電気スイッチ210のもう1つの利点は、そのセグメントに印加される磁場が低い(例えばゼロ)ときに、その超電導材料セグメントの臨界電流の抑制を低減することに寄与することである。これにより、スイッチ210の低抵抗状態の臨界電流がより高くなる。次に、この効果については、さらに詳しく説明する。
【0119】
上記した技術の形態は、超電導材料セグメントにおける臨界電流を抑制するために、超電導材料セグメントに磁場が印加される電気スイッチ210を含む。この効果は、低抵抗状態と高抵抗状態との間で超電導材料セグメントを遷移させる技術の一部の形式で使用されている。磁場を発生させる磁場発生器310は、超電導材料セグメントに磁場を集束させるために使用可能な強磁性コアなどの高透磁率磁性コア320を含んでもよい。
【0120】
輸送電流を流す単一の超電導材料セグメントを強磁性コアの近傍に配置すると、磁場の強度がゼロを含む非常に低い場合でも、臨界電流がさらに抑制されることが観察された。実際には、印加される磁場の強度が低い場合には、この効果による臨界電流の相対的な追加抑制がより大きくなる。これは、電流が流れたときにコア320内の強磁性体が超電導材料に接近することによる自己電場増幅の効果によるものである。より具体的には、実験および有限要素解析を通じて、強磁性コア320を通る低磁気抵抗リターンパスの存在により、単一の超伝導材料セグメントの自己磁場が増幅され、単一の超伝導材料セグメントがテープの形態である場合には、テープに対して垂直に配向され、その幅全体に広がることが確認された。これにより、テープの幅全体にわたる各点の臨界電流密度が抑制され、したがって強磁性コアが存在しない場合と比較して全体の臨界電流が抑制される。
【0121】
さらに、超電導材料セグメントがバイファイラ配置で配置された電気スイッチ210は、このような効果を著しく軽減する、すなわち、記載された臨界電流の抑制を低減することが確認された。換言すれば、強磁性コア320に近づくと、バイファイラ配置は、超電導材料セグメントを通って流れる電流によって発生させる自己磁場を実質的に相殺する。
図37は、超電導材料セグメントがバイファイラ(青色、上線)およびユニファイラ(橙色、下線)配置で配置されている場合、すなわち超電導材料セグメントの単層で配置されている場合の、本技術の形態による電気スイッチ210の1つの超電導材料セグメントの異なる印加場における臨界電流を示す。これらの実験結果は、データベースからの超電導材料の基準値(緑の点線、中央線)と比較される。これは、低い印加磁場における臨界電流の抑制が、ユニファイラ配置と比較してバイファイラ配置では非常に低いことを示している。印加される磁界が自己磁界効果よりも大幅に大きい、より高い印加磁界では、その差はあまり顕著ではない。より高い印加電界における臨界電流の差が比較的小さいのは、単層ユニファイラ構成と比較して、二層バイファイラ構成のシールド能力の増加によるものと考えられる。本技術の特定の形態では、超電導材料セグメントは常に超電導状態に維持され得ることを理解すべきである。
【0122】
高い印加磁場と比較して、低い印加磁場に対する臨界電流の差がより大きいことは、バイファイラ配置の長さの超電導材料を備える電気スイッチ210が、例えばユニファイラ配置のスイッチと比較して改善された切り替え性能を有し得ることを意味する。切り替え性能は、磁場がゼロであるときの臨界電流と、磁場が印加されたときの臨界電流との比として計算できる切り替え係数k、つまり、Ic(0)/Ic,b(Ba)によって与えてもよい。
図37から、kは、ニファイラ配置よりもバイファイラ配置の方が大きいことが分かる。輸送電流がIc(0)より低い限り、切り替え係数kが高いほど、スイッチの効率が高くなるまた、低抵抗状態におけるより高い臨界電流により、電気スイッチ210はより高い最大電流を出力することができる。
【0123】
図38Aおよび
図38Bは、本技術の特定の形態による電気スイッチ210のための強磁性コア320の端部間のギャップ内の磁場プロファイルを示す。電気スイッチ210は、強磁性コア320の両端間に位置するテープの形態の超電導材料セグメント810を含む。磁場プロファイルは、有限要素解析によって生成される。
図38Aでは、テープはコア320の端部間のギャップ330にユニファイラ配置で配置されており、すなわち、このギャップ330に単一のテープセグメントが通過している。
図38Aでは、テープは195Aの電流が流れるようにモデル化され、テープに印加される磁場は250mTの磁場強度を有するようにモデル化されている。
図38Bでは、テープは、コア320の端部の間のギャップ330内にバイファイラ配置で配置される。すなわち、テープの2本のストランドが、互いに平行かつ近接してギャップ330内に配置される。
図38Bでは、テープは375Aの電流が流れるものとしてモデル化され、テープに印加される磁界は70mTの磁界強度を有するものとしてモデル化される。
【0124】
図38Aおよび
図38Bは、超電導材料セグメントがユニファイラ配置で配置される技術の形態(
図38A)の平均磁場の大きさが、超電導材料セグメントがバイファイラ配置で配置される技術の形態(
図38B)の平均磁場の大きさよりも著しく大きいことを示す。実際には、バイファイラ配置は磁気テープの自己インダクタンスをほぼ無くし、磁気テープに残留する磁場は主に磁気テープ表面と平行な方向になる。これは、ゼロ印加磁場下でのバイファイラ配置の臨界電流が、ユニファイラ磁気テープ(
図37参照)よりも明らかに大きい理由を説明している。
【0125】
また、コア320の端部間のギャップ330が大きいほど、印加される磁場の磁場強度が低くなることも確認されている。これは、ギャップ330が増加すると、同じ磁場強度を維持するために、より大きな電流源を磁場発生器に供給する必要があることを意味する。これは、追加の駆動電力を必要とし、追加の熱を放散するため、望ましくない場合がある。したがって、本技術の特定の形態では、ギャップ330の寸法は、可能な限り小さくしてもよく、例えば、ギャップ330の幅は、超電導材料セグメント810の2本のストランドの組み合わせの深さに類似している。
【0126】
6.12.その他の注意事項
文脈上明らかに別途の必要がない限り、説明および特許請求の範囲全体を通じて、「含む(comprise)」、「含む(comprising)」などの用語は、排他的または網羅的な意味ではなく、包括的な意味で、すなわち、「含むが限定されない」という意味で解釈されるべきである。
【0127】
上記および以下で引用されるすべての出願、特許および出版物の全開示は、もしあれば、参照により本明細書に組み込まれる。
【0128】
本明細書における先行技術の引用は、先行技術が世界の何れかの国の努力の分野における公知の一部を構成するという認識又は暗示とはみなされず、また、みなされるべきではない。
【0129】
この技術はまた、本出願の明細書において個別にまたは集合的に参照または示される部分、要素および特徴、および前記部分、要素または特徴の2つ以上の任意またはすべての組み合わせからなる、と広義に言うこともできる。
【0130】
前述の説明において、整数又は既知の等価物を有する構成要素に言及した場合、それらの整数は、あたかも個別に記載されているかのように本明細書に組み込まれる。
【0131】
本明細書に記載の現時点で好ましい実施形態に対する様々な変更および修正が当業者には明らかであることに留意されたい。このような変更および修正は、技術の精神および範囲から逸脱することなく、またそれに付随する利点を損なうことなく行うことができる。したがって、このような変更及び修正を本技術に含めることが意図されている。
【符号の説明】
【0132】
100 整流器
200 切り替えアセンブリ
210 スイッチ
300 磁場発生器アセンブリ
310 磁場発生器
400 制御機構
600 負荷
900 電流源
【国際調査報告】