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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-14
(54)【発明の名称】蛍光を検出する装置および方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/64 20060101AFI20240206BHJP
   G01N 21/78 20060101ALI20240206BHJP
【FI】
G01N21/64 Z
G01N21/64 F
G01N21/78 C
【審査請求】有
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2023546030
(86)(22)【出願日】2022-01-28
(85)【翻訳文提出日】2023-09-27
(86)【国際出願番号】 FI2022050055
(87)【国際公開番号】W WO2022162277
(87)【国際公開日】2022-08-04
(31)【優先権主張番号】20215096
(32)【優先日】2021-01-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FI
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523285591
【氏名又は名称】マルギヌム オサケユキチュア
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 博子
(74)【代理人】
【識別番号】100123630
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 誠
(72)【発明者】
【氏名】レフトネン サム ユハニ ラファエル
(72)【発明者】
【氏名】エロマー アンッティ-ペッカ
(72)【発明者】
【氏名】レスキネン ユホ ヘルマンニ
(72)【発明者】
【氏名】セメノフ ドミトリー ヴラジーミロヴィッチ
【テーマコード(参考)】
2G043
【Fターム(参考)】
2G043AA03
2G043BA14
2G043BA16
2G043CA05
2G043EA01
2G043EA03
2G043JA01
2G043KA01
2G043KA02
2G043KA03
2G043KA09
2G043LA01
2G043LA03
2G043NA06
(57)【要約】
対象から得られたサンプル(118,119)の蛍光を検出する装置(100)が開示され、サンプル(118,119)は、1種類以上の蛍光色素分子を含むとともに疾患または病態を表し、サンプル(118,119)は、透明な導管(131)内の対象から運び出される。本装置は、1つ以上の光源(110)および1つ以上の受光器(120)を備えたハウジング(10)と、コンピューティングデバイス(180)とを有する。また、対象から得られたサンプル(118,119)の蛍光を検出する方法が開示され、サンプル(118,119)は、1種類以上の蛍光色素分子を含むとともに疾患または病態を表し、サンプル(118,119)は、透明な導管(131)内の対象から運び出される。さらに、装置(100)の使用および装置(100)を含む部品キットが開示される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象から得られたサンプルの蛍光を検出する装置であって、前記サンプルは、1つ以上のフルオロフォアを含んでいて、疾患または病態を表し、前記サンプルは、透明な導管で前記対象から運び出され、前記装置は、
‐前記透明な導管の少なくとも一部を包囲するようになったハウジングを有し、前記ハウジングは、
‐光を前記透明な導管で運ばれている前記サンプルに向けて放出するよう動作できる1つ以上の光源と、
‐前記透明な導管を運ばれている前記サンプル中の1つ以上のフルオロフォアによって生じた蛍光を検出するよう動作できる1つ以上の受光器と、
‐コンピューティングデバイスとを有し、前記コンピューティングデバイスは、
‐前記1つ以上の受光器のうちの少なくとも1つから第1の信号を受け取り、前記第1の信号は、前記1つ以上の受光器のうちの前記少なくとも1つによって検出された前記蛍光に比例し、
‐前記第1の信号を、前記第1の信号に関する既定のしきい値と比較し、そして
‐比較結果を表す第1の情報を出力するコンピューティング手段を有する、装置。
【請求項2】
前記ハウジングは、前記透明な導管の周囲全体を囲むようになっている、請求項1記載の装置。
【請求項3】
前記ハウジングは、取り付け手段により互いに取り付けられる2つの部品で形成されている、請求項1または2記載の装置。
【請求項4】
前記ハウジングは、前記ハウジングの互いに反対側の長手方向端部のところに設けられていて、前記ハウジングを前記透明な導管に密着させるシールを有する、請求項1~3のうちいずれか一に記載の装置。
【請求項5】
前記1つ以上の光源は、互いに別個独立に、前記サンプル中の前記1つ以上のフルオロフォアの1つ以上の蛍光励起曲線波長の光を放出するよう動作できる、請求項1~4のうちいずれか一に記載の装置。
【請求項6】
前記1つ以上の受光器は、互いに別個独立に、前記サンプル中の前記1つ以上のフルオロフォアの1つ以上の蛍光放出曲線の1つ以上の波長の蛍光を検出するよう動作できる、請求項1~5のうちいずれか一に記載の装置。
【請求項7】
前記1つ以上の光源の各々は、1つ以上の放出光用フィルタをさらに有するとともに/あるいは前記受光器の各々は、1つ以上の到来光用フィルタを有する、請求項1~6のうちいずれか一に記載の装置。
【請求項8】
前記サンプル中の前記1つ以上のフルオロフォアは各々、PpIX、インドシアニングリーン、メチレンブルー、フルオレセイン、およびこれらの塩、シアニン、T700、T800、BLZ-100、GB119、IRDye800CW抱合体、IRDye700Dx抱合体、EC17、LUM015、AVB-620、葉酸‐フルオレセインイソチオシアネート(FITC)、OTL38 、gGlu-HMRG 、緑色フルオロフォア抱合体、蛍光色素標識ペプチド、フルオロフォア抱合抗体、蛍光ナノ粒子、活性化可能な蛍光プローブ、内生フルオロフォア、またはこれらの組み合わせから成る群から別個独立に選択される、請求項1~7のうちいずれか一に記載の装置。
【請求項9】
前記1つ以上の光源のうちの少なくとも1つは、前記透明な導管で運ばれている前記サンプルの搬送方向で見て前記1つ以上の受光器の前に配置されている、請求項1~8のうちいずれか一に記載の装置。
【請求項10】
前記ハウジングは、少なくとも第1の光源を含み、前記1つ以上の受光器は、少なくとも第1の受光器および第2の受光器を含み、前記第1の受光器および前記第2の受光器は、前記第1の受光器から前記第1の光源までの距離が、前記第2の受光器から前記第1の光源までの距離よりも短いように位置決めされ、前記コンピューティング手段が、さらに、
‐第1の信号を前記第1の受光器から受け取り、前記第1の信号は、前記第1の受光器によって検出された前記蛍光に比例し、
‐前記第1の信号の前記受け取りに応答して、前記第2の信号に関する検証値を決定し、
‐第2の信号を前記第2の受光器から受け取り、前記第2の信号は、前記第2の受光器によって検出された前記蛍光に比例し、
‐前記第2の信号を前記検証値と比較し、
‐前記第2の信号が前記検証値を上回り、または該検証値に等しいことに応答して、前記第2の信号に関する第1の情報を出力し、そして、
‐前記第2の信号が前記検証値を上回っておらず、または該検証値に等しくないことに応答して、前記第2の信号に関する第2の情報を出力することによって、前記2つ以上の受光器からの蛍光の前記第1の受光器による検出を検証するよう構成されている、請求項1~9のうちいずれか一に記載の装置。
【請求項11】
前記ハウジングは、少なくとも第1の光源を含み、前記1つ以上の受光器は、少なくとも第1の受光器および第2の受光器を含み、前記少なくとも第1の受光器と前記第2の受光器との間の距離は、1つ以上のフルオロフォアを含む前記サンプルの蛍光誘導速度、蛍光減衰、および蛍光強度、またはこれらの組み合わせに基づいて、1つ以上の距離から選択される、請求項1~10のうちいずれか一に記載の装置。
【請求項12】
前記コンピューティングデバイスは、前記ハウジング内に設けられる、請求項1~11のうちいずれか一に記載の装置。
【請求項13】
対象から得られたサンプルの蛍光を検出する方法であって、前記サンプルは、1つ以上のフルオロフォアを含んでいて、疾患または病態を表し、前記サンプルは、透明な導管で前記対象から運び出される方法であって、前記方法は、
i)1つ以上のフルオロフォアを含んでいて、疾患または病態を表すサンプルを透明な導管で前記対象から運び出すステップと、
ii)光を前記導管で運ばれている前記サンプルに向かって放出するステップと、
iii)前記導管で運ばれている前記サンプル中の1つ以上のフルオロフォアによって生じる蛍光を検出するステップとを含む、方法。
【請求項14】
前記方法は、
iv)前記検出された蛍光に比例した第1の信号を発生させるステップと、
v)前記第1の信号を、該第1の信号に関する既定のしきい値と比較するステップと、
vi)比較結果を表す第1の情報を出力するステップとをさらに含む、請求項13記載の方法。
【請求項15】
侵襲的医療方法、1つ以上のフルオロフォアを含んでいて、疾患または病態を表す疾患組織または疾患体液の検出方法、腫瘍の検出方法、およびがんの診断からなる群から選択された方法において、対象から得られたサンプルの蛍光を検出する請求項1~11のうちいずれか一に記載の装置の使用であって、前記サンプルは、1つ以上のフルオロフォアを含んでいて、疾患または病態を表し、前記サンプルは、透明な導管で前記対象から運び出される、使用。
【請求項16】
部品キットであって、1つ以上のフルオロフォアを含んでいて、疾患または病態を表すサンプルの蛍光を検出する請求項1~11のうちいずれか一に記載の装置を透明な導管と組み合わせた部品キット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示(本発明)は、一般に、サンプルの蛍光の検出に関する。特に、本発明は、1つ以上のフルオロフォア(蛍光発生素や蛍光色素分子、また蛍光体ともいう)を含むサンプルの蛍光を検出する装置、および1つ以上のフルオロフォアを含むサンプルの蛍光を検出する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
蛍光誘導光力学的物質、例えば、5‐アミノレブリン酸(5-ALA)は、腫瘍、例えば、グレード(悪性度)3~4の神経膠腫のための外科的処置または手術においてますます用いられている。蛍光マーカおよびフルオロフォアは、ある特定の波長で励起されると、蛍光を発し、例えば、腫瘍細胞と健常な組織との間の浸潤帯を特定する際に外科医を助ける特徴的な蛍光を発する。現行の方法では、検出は、外科医の目で見える蛍光に基づいており、平均腫瘍除去率は、80%である。少なくとも98%腫瘍を除去し、機能的に重要な脳組織が損傷を受けていない患者に最適な利益があることが判明した。腫瘍は、種々の術式を用いて、主として、腫瘍の手動剥離後における超音波吸引器または外科用吸引器具による組織の除去によって機械的に除去される。現在利用できる外科的除去技術を用いると、切除率は十分ではなく、健常組織の境界部の評価は、信頼が置けない。
【0003】
神経外科医は、例えば5-ALA またはその塩、例えば塩酸塩である薬剤5-ALA をある特定の神経膠腫型の脳腫瘍の蛍光誘導手術(FGS)の際に利用する。手術前に、患者には5-ALA薬剤が経口投与される。5-ALAは、ポルフィリン合成経路の化合物であり、これは、人体内において、プロトポルフィリンIX(PpIX)、蛍光物質(フルオロフォア)、さらにフェロケラターゼによってヘムに変換される。したがって、5-ALAは、PpIXのプロドラッグとも考えられる場合がある。がん細胞は、がん細胞のフェロケラターゼ活性がほとんどなくなりまたは減少し、潜在的な理由の内でとりわけこの結果として、がん細胞内のPpIXの蓄積が生じる。FGS中、外科的腔は、青色光を呈するPpIXに曝され、それにより、腫瘍のがん細胞のおよそ635nmのピーク波長(PpIXで生じる)で蛍光を発し、この蛍光は、腫瘍をその除去のために描出するのを助ける。PpIXの蛍光(および635nmのピーク波長)は、白色光では見えないが、青色励起光下では、PpIXを含む腫瘍は、他と比較して目立つ。したがって、FGS では、蛍光を見るために、外科医は、顕微鏡の放出する光を白色から青色に変える。しかしながら、外科的腔がPpIXを励起させる青色光を当てられると、他の組織(腫瘍を含まない)とのコントラストが著しく低下する。かくして、腔に青色光を放出する間、外科医は、除去されるべきではない生きているまたは重要な組織を区別することは困難である。したがって、腫瘍除去が主として白色光を用いて行われるが、その識別は、青色励起光を用いて実施される。
【0004】
かくして、蛍光検出は、外科医の視覚に制約される。現代型FGS 技術は、主として、知覚可能な蛍光性トレースの主観的評価で決まり、この主観的評価は、タイプ1およびタイプ2の両方のエラーを引き起こしやすいと考えられる。光源の所要の手動構成と並行して、現代型FGS は、手術の際のパフォーマンスを遅らせる。さらに、腫瘍除去中、視覚的な働きは、とりわけ、外科用顕微鏡の限定された視野や、目に見えない遺残(取り残し)および角度によって制限される。技術的制約に起因して、除去方式は、観察された蛍光沈着物の記憶、および場合によっては光学的に濾波された映像記録で決まる。また、人間の視覚系は、フルオロフォア、例えばPpIXの臨床的に関連のある濃度を検出するための感度を欠いており、視覚的特異性にも限度がある。フルオロフォアを含むサンプルを励起光に当てることにより、蛍光が励起時間と励起光の強度の両方で決まる光変色に起因して経時的に消えていく。光退色は、例えばフルオロフォアと周囲の分子との反応によって生じ、かくして、フルオロフォアの使用が制限される。
【0005】
幾つかの他の実験的光学イメージング技術、例えば、ラマン分光法、光干渉断層撮影法(OCT )、および拡散反射分光法(DRS )が、脳神経外科的適応を求めて開発された。上述の光学的イメージング法のうちの大部分は、現在の科学技術文献において、脳神経外科的腫瘍の境界画定および機能的測定に適している期待されているが、これらの現代における術中用途は、主として、別個の嵩のあるセンサおよび複雑な可視化方法を必要としており、これらは、外科医の技能を損なう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、上記説明に照らして、1つ以上のフルオロフォアを含んでいて、疾患または病態を表すサンプルの蛍光の検出と関連した上述の欠点を解決することが要望されている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一観点によれば、独立形式の請求項の主題が提供される。実施形態は、従属形式の請求項に記載されている。本発明の種々の実施形態の保護範囲は、独立形式の請求項によって定められる。本明細書に記載されていて、独立形式の請求項に記載された本発明の範囲に属さない、実施形態、実施例、および特徴(もしあれば)は、本発明の種々の実施形態を理解する上で有用な実施例として解されるべきである。
【0008】
本発明は、対象から得られたサンプルの蛍光を検出する装置を提供しようとするものであり、サンプルは、1つ以上のフルオロフォアを含んでいて、疾患または病態を表し、サンプルは、透明な導管で対象から運び出される。本発明はまた、対象から得られたサンプルの蛍光を検出する方法を提供しようとするものであり、サンプルは、1つ以上のフルオロフォアを含んでいて、疾患または病態を表し、サンプルは、透明な導管で対象から運び出される。本発明は、1つ以上のフルオロフォアを含んだサンプルの蛍光を検出する上での既存の問題、特に蛍光誘導手術中、1つ以上のフルオロフォアを含むサンプルの蛍光を検出する上での既存の問題に対する解決策を提供しようとするものである。本発明の目的は、先行技術に見られる問題を少なくとも部分的に解決するとともに技術改良する解決策を提供することにある。
【0009】
一観点では、本発明の一実施形態は、対象から得られたサンプルの蛍光を検出する装置であって、サンプルは、1つ以上のフルオロフォアを含んでいて、疾患または病態を表し、サンプルは、透明な導管で対象から運び出され、本装置は、
‐透明な導管の少なくとも一部を包囲するようになったハウジングを有し、ハウジングは、
‐光を透明な導管で運ばれているサンプルに向けて放出するよう動作できる1つ以上の光源と、
‐透明な導管を運ばれているサンプル中の1つ以上のフルオロフォアによって生じた蛍光を検出するよう動作できる1つ以上の受光器と、
‐コンピューティングデバイスとを有し、コンピューティングデバイスは、
‐1つ以上の受光器のうちの少なくとも1つから第1の信号を受け取り、第1の信号は、1つ以上の受光器のうちの少なくとも1つによって検出された蛍光に比例し、
‐第1の信号を、第1の信号に関する既定のしきい値と比較し、そして
‐比較結果を表す第1の情報を出力するコンピューティング手段を有することを特徴とする装置を提供する。
【0010】
もう1つの観点では、本発明の一実施形態は、対象から得られたサンプルの蛍光を検出する方法であって、サンプルは、1つ以上のフルオロフォアを含んでいて、疾患または病態を表し、サンプルは、透明な導管で対象から運び出される方法であって、本方法は、
i)1つ以上のフルオロフォアを含んでいて、疾患または病態を表すサンプルを透明な導管で対象から運び出すステップと、
ii)光を導管で運ばれているサンプルに向かって放出するステップと、
iii)導管で運ばれているサンプル中の1つ以上のフルオロフォアによって生じる蛍光を検出するステップと、
iv)検出された蛍光に比例した第1の信号を発生させるステップと、
v)第1の信号を、この第1の信号に関する既定のしきい値と比較するステップと、
vi)比較結果を表す第1の情報を出力するステップとを含むことを特徴とする方法を提供する。
【0011】
もう1つの観点では、本発明の一実施形態は、侵襲的医療方法、1つ以上のフルオロフォアを含んでいて、疾患または病態を表す疾患組織または疾患体液の検出方法、腫瘍の検出方法、およびがんの診断から成る群から選択された方法を実施するための本明細書に開示された装置の使用を提供する。好ましくは、がんの診断は、がんの試験管内または生体外診断である。
【0012】
もう1つの観点では、本発明の一実施形態は、部品キットであって、本明細書に開示される装置を透明な導管と組み合わせた部品キットを提供する。
【0013】
もう1つの観点では、本発明の一実施形態は、本明細書において開示する装置を用いた手術方法、疾患または病態の治療方法、または疾患または病態の生体内診断を提供する。
【0014】
もう1つの観点では、本発明の一実施形態は、本明細書において開示する装置を用いて、1つ以上のフルオロフォアを含んでいて、疾患または病態を表すサンプルの蛍光を検出する方法を提供する。
【0015】
もう1つの観点では、本発明の一実施形態は、本明細書において開示す方法を実施するために、本明細書において開示する装置を提供する。
【0016】
本発明の諸実施形態は、従来の蛍光検出装置および方法という先行技術における上述の問題を実質的になくし、または少なくとも部分的に解決し、本発明の諸実施形態は、蛍光の目で見えない(人間の目には見えない)低濃度痕跡の検出を可能にする。
【0017】
本発明の追加的の観点、追加の利点、追加の特徴および追加の目的は、本明細書に添付された特許請求の範囲と関連して解される例示の実施形態の以下の図面および詳細な説明から明らかになろう。
【0018】
理解されるように、本発明の特徴は、特許請求の範囲に記載された本発明の範囲から逸脱することなく、種々の組み合わせにおいて互いに組み合わせ可能である。
【0019】
上記発明の概要ならびに例示の実施形態についての以下の詳細な説明は、添付の図面と関連して読まれると良好に理解される。本発明を説明する目的上、本発明の例示の構成が図面に示されている。しかしながら、本発明は、本明細書において開示する特定の方法および装置には限定されない。さらに、当業者であれば理解されるように、図面は、別段の指定がなければ、縮尺通りには描かれていない。可能な限り、同一の要素は、同一の符号で示されている。
【0020】
次に、以下、添付の図面を参照して本発明の諸実施形態について説明するが、これは例示に過ぎない。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の一実施形態としての装置のブロック図である。
図2】本発明の諸実施形態の装置の例を示す図である。
図3】本発明の諸実施形態の装置の例を示す図である。
図4】本発明の諸実施形態の装置の例を示す図である。
図5】本発明の諸実施形態の装置の例を示す図である。
図6】本発明の一実施形態に従って、コンピューティングデバイスによって受け取られた少なくとも1つの受光器からの光電流I(mA)(黒線で示されている)の一例を時間t(ms)の関数として示す図であり、既定のしきい値が点線で示されている図である。
図7】本発明の一実施形態に従って、サンプルの蛍光を検出する方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
添付の図面において、下線を引いた符号は、下線を引いた符号によって示されているアイテムまたは下線を引いた符号の隣に位置しているアイテムを表すために用いられている。下線を引いていない符号は、下線を引いていない符号をアイテムに結ぶ線によって特定されるアイテムに関する。符号に下線が引かれておらず、そして関連の矢印を伴っている場合、下線を引いていない符号は、矢印が指し示す一般的なアイテムを特定するために用いられている。
【0023】
以下の詳細な説明は、本発明の諸実施形態およびこれら実施形態を実現することができるやり方を示している。本発明を実施する幾つかの実施態様を開示するが、当業者であれば認識するように、本発明を実施しまたは具体化する他の実施形態もまた可能である。
【0024】
一観点では、本発明の一実施形態は、対象から得られたサンプルの蛍光を検出する装置であって、サンプルは、1つ以上のフルオロフォアを含んでいて、疾患または病態を表し、サンプルは、透明な導管で対象から運び出され、本装置は、
‐透明な導管の少なくとも一部を包囲するようになったハウジングを有し、ハウジングは、
‐光を透明な導管で運ばれているサンプルに向けて放出するよう動作できる1つ以上の光源と、
‐透明な導管を運ばれているサンプル中の1つ以上のフルオロフォアによって生じた蛍光を検出するよう動作できる1つ以上の受光器と、
‐コンピューティングデバイスとを有し、コンピューティングデバイスは、
‐1つ以上の受光器のうちの少なくとも1つから第1の信号を受け取り、第1の信号は、1つ以上の受光器のうちの少なくとも1つによって検出された蛍光に比例し、
‐第1の信号を、第1の信号に関する既定のしきい値と比較し、そして
‐比較結果を表す第1の情報を出力するコンピューティング手段を有することを特徴とする装置を提供する。
【0025】
したがって、本発明の装置は、対象から得られるとともに、対象から運び出されているサンプルの蛍光の検出を可能にし、特に、サンプルのほぼリアルタイムの検出を可能にする。ここで用い、かつ以下において用いる「ほぼリアルタイムの検出」という表現は、対象からサンプルを得る時点から、第1の信号(この信号は、1つ以上の受光器のうちの少なくとも1つによって検出された蛍光に比例する)をこの信号に関する既定のしきい値と比較した比較結果を表す第1の情報を出力する時点までとの間の時間を意味している。ほぼリアルタイムは、10s未満、好ましくは5s未満、より好ましくは2s未満、さらにより好ましくは1s未満、より好ましくは0.1s未満、最も好ましくは0.05s未満である。サンプルの蛍光を検出するための本発明の装置の一利点は、対象から得られたサンプル中のフルオロフォアの蛍光のリアルタイムフィードバックをユーザに提供できることにある。本発明の装置のもう1つ利点は、上記のように構成されていなければ、目では検出できないフルオロフォアを検出できることであり、すなわち、視覚的に検出するには低すぎるフルオロフォア濃度(視覚的な検出を検出するには低すぎるフルオロフォアの臨床的に意義のある量)または人間の目によっては検出できない波長であるフルオロフォアの蛍光の波長を検出できることである。特に、本発明の装置は、FGS 中、外科医に対して誘導をもたらすことができ、それにより、対象(ヒトまたは動物)のそれほど命に係わるわけではなくまたはそれほど重要ではない組織を除去することができ、というのは、対象の外科的腔にフルオロフォアを励起させる光(例えば、PpIXを励起させる際の青色光)を放出させて当てた後、発生した蛍光に起因して外科的腔内の除去されるべき部分を視覚的に検出するために、外科医は、光源の波長を白色光に切り替えて、1つ以上のフルオロフォアを含んでいて、疾患または病態を表すサンプルを除去することができるからである。外科医が蛍光の既定のしきい値未満の蛍光を発生させるサンプル(例えば、疾患または病態を表していない組織)を除去する場合、外科医には、出力された情報により装置からフィードバックが与えられる。次に、外科医は、外科的腔からのそれ以上のサンプルを除去するのを止めることができ、かくして、患者の命に係わる組織を保存することができる。したがって、本発明の装置により、外科的腔の非蛍光領域を識別して健常な組織に対するダメージを最小限に抑えることができる。加うるに、本発明の装置により、手術中の蛍光のほぼリアルタイムの検出が可能であり、しかも外科医の術中動作を速めることができる。
【0026】
さらに、本発明の装置は、透明な導管で対象から運び出されるサンプルの1つ以上のフルオロフォアを励起する光を放出するので、外科的腔に向かって放出される励起光を減少させることができ、かくして、フルオロフォアの光漂白を減少させ、その後、手術時間を長くすることができる。
【0027】
本発明による蛍光に基づく検出を使用した場合の利点および技術的効果を他の検出方法と比較して、感度、精度、および検出速度の増大として要約することができる。感度の増大は、蛍光に基づく検出の感度が高く、しかもサンプル中のほんのわずかな蛍光も検出することができるということを意味している。精度の増大は、この場合もまた、検出が特有の蛍光を誘起させるサンプルだけを検出する上で極めて特異的であるということを意味している。フルオロフォアの形態の蛍光を検出前にサンプル、例えばがん組織に誘導させる。したがって、蛍光性であるのが検出可能な組織またはサンプルだけであり、したがって、検出は、関心のあるサンプルまたは組織に極めて特異的である。検出速度は、この場合もまた、これにより検出した蛍光の変化に起因して迅速な反応を可能にするので重要である。
【0028】
具体的に説明すると、本発明の検出の正確度および速度は、エーロゾルまたは蒸気だけでなく、流動中の組織、すなわち、層流の組織と乱流の組織の分析を可能にする。蛍光の感度により、標的としたフルオロフォアを溶液の内部の深いところから検出することができる。検出は、分析(検出)されるべきサンプルの組成による影響を受けず、本装置は、例えば、液体、組織、およびエーロゾルの混合物のようなサンプルを分析するのにも適している。加うるに、透明な導管で運ばれる肉眼で見える大きさや顕微鏡的な大きさを含む全てのサンプルが、幾つかの特定のサンプル、例えば、エーロゾルだけでなく、蛍光があるかどうかについて分析されて検出される。
【0029】
蛍光が光のスペクトル反射ではなく、また、光が波形現象だけでなく粒子であるということを理解することが適切である。スペクトル反射またはスペクトル吸収ではなく蛍光を用いるとともに、波形パターンではなく光子を用いることにより、導管内の組織を分析するとき、本発明の高い感度と高い融通性を得ることができる。高い感度は、蛍光が本質的に導管内の光源であり、これを反射または吸収ではなく、なんら妨害のない方向から検出することができるという上述の洞察によってもたらされる。さらに、蛍光により、二次的効果、例えば熱および振動を生じ、これらは、例えば波形検出器で検出することができる。光子検出器および波形検出器からの情報を組み合わせることにより、特定の条件に関して感度の増大を得ることができ、しかも一方が他方を除外することがないということができる。この技術的思想では、例えば、波形光音響画像化またはラマン分光測定法では、特定の波長において光子に敏感なセンサではないセンサを利用することにより、「蛍光干渉」と呼ばれる二次的効果、特に発熱および振動を検出することによって分析を補完することができるということを理解するのが適切である。また、蛍光は、「蛍光減衰」と呼ばれるその半減期によって特徴づけられ、この蛍光減衰は、蛍光ピーク波長に加えて、混合物の特徴、例えば、温度、pH、およびわずかな組織成分によって変更できる。
【0030】
追加の利点として、混合物の成分を本発明に従って変質させると、検出器の感度を高くすることができ、かかる変質は、例えば組織灌流液を調整することによって実施できる。蛍光性に関連したこれらわずかな特徴により、非蛍光を利用した用途よりも医学的用途に関して融通性が非常に高くなる。
【0031】
本発明では、蛍光寿命相互間の差を組織上に置かれたスタンドアロン型プローブではなく、導管内の層状流れモデルおよびサンプルの流れに起因して検出することができる。1つの角度からのプローブとは対照的に、導管内のサンプルの蛍光特徴を分析することにより、非常に高い感度の実現が可能になり、というのは、光励起および放出量を生きている組織に適用された場合には有害となる場合のあるレベルまで高く達成することができるからである。光源と検出器の両方の配置は360゜自由で、導管周りの任意の角度に配置できるため、標的への励起光と標的からの発光の障害を最小限に抑えることができる。加うるに、切除後設計によって実行可能なブラックボックスデザインにより、他の光源によって汚染された非切除生体組織で用いられるプローブとは対照的に、良好な雑音対信号比が得られる。
【0032】
本発明は、特定のフルオロフォアを誘起させた標的組織に由来する蛍光、すなわち蛍光放出、蛍光干渉、または蛍光減衰の検出に基づいている。これにより、極めて特異的かつ正確な組織特有の検出が可能である。加うるに、「システムを学習する」必要がなく、というのは、蛍光は、既知の蛍光特性を備えた所定のフルオロフォアに基づいているからである。種々の組織に対する信号や出力のデータベースなどが不要である。それにより、検出は、組織自体には依存せず、標的組織に対して誘起される所定のフルオロフォアに依存する。検出は、組織特異的な検出ではなくフルオロフォア特異的な検出なので、環境または標的組織以外の他の組織からの妨害が生じない。検出は、汚染物質、外乱、または他の組織によって妨害されるものではなく、というのは、これらは、モニタされた特性として特定されないからである。しかしながら、検出が「学習」またはデータベースとの比較を必ずしも必要としない場合であっても、フルオロフォアがあらかじめ決められているので、データベースに基づく学習は、性能をさらに向上させることができる。
【0033】
本発明の装置は、従来の使用を妨げることなく、既存の外科用器械、例えば超音波吸引器または外科用吸引器具に一体化することができる。加うるに、本装置を蛍光プローブの流入および流出をモニタする外科用システムに一体化することができる。かかる情報は、疾患または健康状態を表す場合のある蛍光標的分子に関連付けられた有害事象のタイミング、有効性、または検出を最適化するために使用できる。
【0034】
本装置は、検出のための追加の余分の機器、例えば吸引先端部や特定の鉗子、または生体内プローブ、物質または溶液など、を必ずしも必要としない。その代わりに、本装置それ自体、手術のワークフローを補完するスタンドアロン型装置である。
【0035】
本発明の装置のハウジングは、サンプルが対象から運び去られる透明な導管の少なくとも一部を包囲するようになっているので、蛍光を検出するための従来の別個のかさばるまたは手持ち式の装置を用いた場合の欠点が、特にFGS 中に解決され、というのは、本装置を導管に取り付けることができるからである。本発明の装置は、サンプルが得られる場所からみて対象に極めて近接したところに、例えば、対象から1~100cmのところに配置することができ、または対象からさらに遠くの距離のところ、例えば対象から1~10mのところに配置することができる。装置のハウジングと対象との間の距離は、サンプルが透明な導管を運ばれている限り、限定されない。ほぼリアルタイムの検出が必要な場合、ハウジングから対象までの距離は、好ましくは、本装置のユーザに対するほぼリアルタイムのフィードバックを可能にするのに足る程短く、ハウジングは、ユーザの仕事を著しく否定的に妨害することはない。好ましくは、ハウジングは、サンプルを得る元となる対象から0.01~10m、好ましくは対象から0.3~10m、より好ましくは、対象から0.3~3m、さらにより好ましくは、対象から0.3~1mのところで透明な導管を包囲している。したがって、本発明の装置は、対象から短い距離だけに制約されることはない。
【0036】
特に、本発明の装置は、例えば検出した蛍光をしきい値または決められた値と比較することによって、人間の目だけでなく、スペクトル分析の利用に基づく検出方式により、現在FGS に影響を及ぼしている技術的制約を減少させる仕方で、がん組織を識別する外科医の能力を向上させる。研究全体の示す結果によれば、健常な組織と疾患のある組織とのコンピュータによる機械ベースの分類は、人間の目の主観的な性能よりも感度が高く良好である。光スペクトル分析は、本発明の方法を用いることにより、人間の目の生理学的限界を超えて、目で検出できない光の波長(例えば、紫外線、近赤外線、赤外線)もまた認識することができる。
【0037】
したがって、例えば外科用吸引器具内を運ばれているサンプルの蛍光を検出する本発明の装置は、患者のケアを向上させ、腫瘍の再発を遅らせるとともに減少させ、そして患者の安全性を高めるという利点を有する。本発明の装置により、1つ以上のフルオロフォアを含んでいて、人間の目では視覚的に検出できない疾患または病態(例えば腫瘍)を表すサンプルの蛍光検出が可能である。したがって、術後の合併症が減少し、eloquent brain areasのダメージに隣接したところの術後合併症および再手術の減少により、健康管理上のコストが低減される。
【0038】
ここで用い、そして以下で用いる用語「蛍光」は、光または他の電磁線を吸収した原子、分子、ナノ構造、フルオロフォア、物質、またはサンプルによる光の放出を意味している。理解すべきこととして、蛍光は、発光の一形態である。蛍光では、多くの場合、放出される光は、吸収放射線よりも長い波長を有し、したがって、低いエネルギーを有する。蛍光は、分子、原子、ナノ構造、フルオロフォア、物質、またはサンプルが光または他の電磁線を吸収して励起され、そして、1つ以上の光子の放出により、より低エネルギー状態に移行したときに生じる。蛍光性の原子、分子、ナノ構造、物質、およびサンプルは、フルオロフォアである。理解すべきこととして、互いに異なる蛍光分子(フルオロフォア)および原子を異なる波長の光で励起させることができ、蛍光分子(フルオロフォア)および原子は、異なる波長の光を放出することができる。
【0039】
ここで用い、そして以下で用いる用語「サンプル」は、物質から得られた一部または一片を意味している。サンプルの例としては、組織、例えば結合組織、筋組織、神経組織、および上皮組織、腫瘍、例えば脳腫瘍、例えば神経膠腫型腫瘍、およびびまん性がんタイプ、例えばがん腫症や肉腫症、細胞内体液および細胞外流体、例えば脳脊髄液、尿、および血液、血球、および細胞外小胞が挙げられるがこれらには限定されない。
【0040】
ここで用い、そして以下で用いる表現「疾患または病態を表す」は、対象から得られたサンプルおよび対象に疾患または病態が有ることを意味し、この場合、1つ以上のフルオロフォアを含むサンプルは、疾患または病態の指標である。したがって、理解すべきこととして、かかるサンプルが1つ以上のフルオロフォアを含む場合、このサンプルは、疾患または病態を表す場合がある。疾患や病態の例としては、がん、例えば神経膠腫、非機能性下垂体腺腫、がん腫症、肉腫症、良性新生物、非浸潤性新生物、悪性新生物、大腸菌などによって引き起こされる細菌感染、ウイルス感染、脱酸素、脳脊髄液の漏出、有害または毒性化合物による体液の汚染、および薬物の蓄積または全身クリアランスが挙げられるが、これらには限定されない。理解すべきこととして、蛍光は、サンプル中のフルオロフォアまたはフルオロフォアの自家蛍光(例えば、NAP(P)H、FAD、フラビン、コラーゲン、ビタミン類、例えばビタミンA1、ビタミンB2、ビタミンB6、およびB9、インドールアミン)、ミトコンドリア、またはリソソームとして機能することができる薬物(例えば、インドシアニングリーン、グリオラン、すなわち、5-ALA 塩酸塩)、プロドラッグ(例えば、5-ALA のメチルエステル、5-ALA のジペプチド誘導体)、前駆物質または任意他の適当な化合物に由来する1つ以上のフルオロフォアのうちの少なくとも1つに起因して、疾患または病態を表すサンプル中の1つ以上のフルオロフォアにより蛍光が生じる場合がある。
【0041】
ここで用い、そして以下で用いる用語「対象」は、ヒトまたは動物を意味している。したがって、「対象から得られたサンプル」は、例えば手術または侵襲的な医療処置によってヒトまたは動物から得られたサンプルを意味している。
【0042】
ここで用い、そして以下で用いる用語「フルオロフォア」は、光励起時、すなわち蛍光時に、光を再放出することができる蛍光分子、原子、ナノ構造、フルオロフォア、または物質を意味している。フルオロフォアは、サンプルに1つ以上の化学結合で共有結合してもよく、そうでなくてもよい。フルオロフォアの例としては、PpIXならびにその塩および誘導体、インドシアニングリーンおよびその塩、メチレンブルー、フルオレセインおよびその塩(例えば、フルオレセインナトリウムなど)、シアニン(例えば、Cy5.5、Cy7、Cy7.5)、T700、T800、BLZ-100、GB119、IRDye800CW抱合体、IRDye700DX抱合体、EC17、LUM015、AVB-620、葉酸‐フルオレセインイソチオシアネート(FITC)、OTL38、gGlu-HMRG、緑色フルオロフォア抱合体、蛍光色素標識ペプチド、フルオロフォア抱合抗体、蛍光ナノ粒子、活性化可能な蛍光プローブ、内生フルオロフォア、NAP(P)H 、FAD 、フラビン、コラーゲン、ビタミン類、例えばビタミンA1、ビタミンB2、ビタミンB6、およびビタミンB9、インドールアミン、ミトコンドリアおよびリソソーム、ならびにこれらの誘導体、異性体および塩、またはこれらの組み合わせが挙げられるが、これらには限定されない。理解すべきこととして、サンプル中の1つ以上のフルオロフォアは、生合成の際にまたは反応によりフルオロフォアに変換される場合がありまたはそうではない場合のあるフルオロフォアとして機能することができる薬物、プロドラッグ、前駆物質、または任意適当な化合物に由来するのがよい。したがって、フルオロフォアとして機能することができる上述の薬物、プロドラッグ、前駆物質、または任意他の適当な化合物は、フルオロフォアの種々の誘導体に変換される場合がある。フルオロフォアに変換される前駆物質/薬物の例としては、人体内で蛍光PpIXおよびその誘導体に変換される光力学的物質5-ALAおよびその塩、好ましくはその塩酸塩を誘起する蛍光である。蛍光マーカまたはタグもまた、フルオロフォアであるのがよい。
【0043】
ここで用い、そして以下で用いる「透明な導管で対象から運び出され」と組み合わせて用いられる「対象から得られたサンプル」という表現は、例えば手術または侵襲的な医療処置方法によってヒトまたは動物から得られたサンプルを意味し、この表現は、得られると同時に、あるいは透明な導管で対象から運び出されるのと瞬時にまたはその直後であるのがよい。ここで用い、そして以下で用いる「運ばれ」という表現は、例えば吸引装置によって、例えば負圧によって対象からの遠ざかるサンプルの運動を意味しており、かかる吸引装置としては、超音波吸引器または外科用吸引装置が挙げられるが、これらには限定されない。重力もまた、サンプルを対象から運び出すようにすることができる。したがって、理解すべきこととして、ここで開示し、そして以下で開示するサンプルの蛍光を検出する装置は、透明な導管で対象、すなわち、移動中のサンプルから運び出されている状態でサンプルの蛍光を検出することができる。ここで用い、そして以下で用いる「透明な導管」という表現は、光が導管の材料を通過することができる導管を意味している。導管の例としては、パイプ、管、例えば吸引管、外科用吸引チューブ、医療用チューブ、衛生的に感度の高いチューブ、カテーテル、カニューレ、吸引先端部が挙げられるが、これらには限定されない。導管の外径は、導管を手術で用いてサンプルを対象から運び出すことができる限り、限定されることはなく、例えば、導管の外径は、1mm(3Fr)~60mm(180Fr)、好ましくは1mm(3Fr)~20mm(60Fr)、より好ましくは1mm(3Fr)~16mm(48Fr)、さらに好ましくは2mm(6Fr)~16mm(48Fr)、さらにより好ましくは、2.67mm(8Fr)~16mm(48Fr)の外科用吸引チューブまたは医療用チューブの外径とすることができる。かかる外径を備えた導管の内径は、サンプルを導管内で運ぶことができ、そして導管を医療処置に用いることができる内径であってよく、例えば、導管の内径は、0.75mm~15.75mmであるのがよい。対象から得られ、透明な導管で対象から運び出されるサンプルの例は、超音波キャビテーション器具(超音波吸引器)でヒトから取り出され、取り出しと同時にヒトから医療用チューブ中に運ばれ、そしてヒトからさらに遠ざけられる腫瘍の一部である。
【0044】
ここで用い、そして以下で用いる「ハウジング」という用語は、1つ以上の光源および1つ以上の受光器(検出器)を含む構造体を意味し、これら光源および受光器は、このハウジング内に水平、垂直または角度のついた位置に配列され、ハウジングは、透明な導管の少なくとも一部を包囲するようになっており、1つ以上の光源は、透明な導管内を運ばれているサンプルの方へ光を放出するよう配置されるのがよく、そして動作でき、1つ以上の受光器は、透明な導管内を運ばれているサンプル中の1つ以上のフルオロフォアによって生じる蛍光を検出するよう配置されるのがよく、そして動作することができる。オプションとして、ハウジングは、1つ以上の光源および1つ以上の受光器に加えて、透明な導管の少なくとも一部を包囲するようになったハウジングの頂区分、底区分、および互いに反対側の長手方向端部のところに設けられた開口部を有する少なくとも部分的に閉鎖されたコンパートメントを有する。ハウジングは、外部からの光が受光器に達しないように減少させることができ、そして光源および受光器が汚れないようにすることができる。加うるに、透明な導管を包囲するようになったハウジングにより、このハウジングを導管に取り外し可能に固定することができ、かくして、ユーザは、ハウジングを導管に固定するとともに自分の手を他のことに使うことができ、そしてユーザは、装置が使われていないときにハウジングを導管から取り外すことができる。ハウジングは、ハウジングを形成することができる1つ以上の部品を取り付けるとともに/あるいは1つ以上の部品をロックするとともに/あるいは導管に外部から取り付けるための取り付け手段、例えば、釘やクリップ、真空吸引カップ、スクリュー、フック、ボルトとナットの組み合わせ、ブラケット、ロック、テープ、スナップロック、ヒンジ、シール、1つ以上の磁石などをさらに有するのがよい。理解すべきこととして、ここで用い、そして以下で用いる「包囲する」という用語は、ハウジングが導管を少なくとも部分的に包囲しまたは導管を完全に包囲し、ここで用い、そして以下で用いる「透明な導管の少なくとも一部」という表現は、ハウジングが導管の一部または導管全体、すなわち、導管の長手方向軸線に関して包囲していることを意味している。さらに、理解すべきこととして、ハウジングは、透明な導管の少なくとも一部を包囲するよう取り外し可能に構成されるのがよい。さらに、ハウジングは、例えばシールがハウジングの互いに反対側の長手方向端部のところに位置した状態で、またはハウジングが導管を締め付けることによって導管に取り外し可能に固定されるようになっているのがよい。一実施形態では、ハウジングは、頂区分、底区分、開口部、少なくとも1つのボア、スイッチ、その他のうちの少なくとも1つを有する。さらに、スイッチは、ハウジングの1つ以上の光源が作動時またはONモードにあるときに光を放出するよう動作できる。少なくとも1つのボアにより、例えば電力供給源装置、操作、データ転送などによりハウジング中へのアクセスが可能である。一実施例では、ハウジングは、少なくとも1つのボアを介して配置されていて、ハウジングに電力を供給する電力供給装置を含む。電力供給装置は、従来方法を用いて電力を供給することができ、かかる方法としては、太陽エネルギー、電気エネルギー、化学エネルギー、バッテリー、充電式電池、燃料系エネルギー、水力発電、その他が挙げられるが、これらには限定されない。もう1つの実施例では、ハウジングは、少なくとも1つの充電器を介して配置されていて、ハウジングに電力を供給する電力供給装置を含むのがよい。充電器は、電力供給源からの電力によって駆動されるトランスミッタ装置によって生じる電磁場からワイヤレスで電力を引き出すことができ、すなわち、電力は、ワイヤレス電力伝送システムによってハウジングに供給される。理解すべきこととして、コンピューティングデバイスは、ハウジングの内部に設けられてもよく、ハウジングの外部に設けられてもよい。
【0045】
ここで用い、そして以下で用いる「光源」という用語は、光を放出するデバイスを意味している。ハウジングは、1つ以上、例えば1つ、2つ、3つまたは4つ、あるいはそれ以上の光源を有することができる。各光源は、同一または異なる波長の光、または波長範囲の光を放射することができる。具体的には、光源は、光を透明な導管内を運ばれているサンプルに向かって放出するよう動作可能である。光源は、光を所定の波長範囲で放出することができる。光源の例としては、発光ダイオード(LED)、レーザーダイオード、ハロゲンランプ、白熱灯、蛍光灯、および量子ドットと組み合わせたLED、またはこれらの組み合わせが挙げられるが、これらには限定されない。好ましい実施形態では、光源のうちの少なくとも1つはLEDであるが、これは、任意他の適当な光源、すなわち、光を所望の狭い波長範囲および所要の強度で放出することができる光源、例えばレーザーダイオードであってもよい。一実施形態では、ハウジングは、ハウジング内に配置された電力供給装置と電気的に結合された複数の光源、好ましくはLED、例えば少なくとも2つのLEDを含む。
【0046】
ここで用い、そして以下で用いる「受光器」という用語は、光を検出する光検出器を意味している。1つ以上の受光器は、透明な導管内を運ばれているサンプル中の1つ以上のフルオロフォアによって生じた蛍光を検出するよう動作可能である。具体的に説明すると、受光器は、既定の波長または波長範囲の光を検出するよう動作可能であるのがよい。受光器の例としては、イメージセンサ、例えば、電荷結合素子(CCD)センサ(例えば、BT-CCDイメージセンサ、CCDリニアイメージセンサ)、および金属酸化膜半導体(MOS)センサ(例えば、MOSリニアイメージセンサ、相補型MOS(CMOS)センサ)、フォトダイオード、例えば、アバランシェフォトダイオード(APD)、およびフォトトランジスタ、またはこれらの任意の組み合わせが挙げられるが、これらには限定されない。
【0047】
ここで用い、そして以下で用いる「コンピューティングデバイス」という用語は、コンピューティング手段を含むデバイスを意味し、かかるコンピューティング手段としては、モバイルステーション(携帯電話)、スマートフォン、パーソナルデジタルアシスタント(PDA)、ハンドセット、ワイヤレスモデムを用いたデバイス(アラームまたは測定デバイスなど)、ラップトップおよび/またはタッチスクリーンコンピュータ、タブレット、ゲーム機、ノートブック、およびマルチメディアデバイスが挙げられるが、これらには限定されない。理解すべきこととして、コンピューティングデバイスは、ほぼ排他的なアップリンクオンリーデバイスであってもよく、その一例は、データ(1つ以上の受光器のうちの少なくとも1つから受け取った1つ以上の信号に対応している)をネットワークにロードするラップトップである。コンピューティングデバイスは、モノのインターネット(IoT)ネットワークにおいて動作する機能を備えたデバイスであってもよく、これは、システムが人から人または人からコンピュータへの相互作用を必要としないで、データをネットワーク上で転送することができる機能を備えたシナリオである。追加的にまたは代替的に、コンピューティングデバイスは、ここで開示し、そして以下で開示する説明対称の方法のうちの少なくとも幾つかを実施するコンピューティング手段を備えたデバイスであってもよい。プロセスを実施する幾つかの例示のコンピューティング手段としては、以下に挙げる手段のうちの少なくとも1つを含むのがよく、かかる手段としては、データ収集ユニット、プロセッサ(デュアルコアプロセッサおよびマルチコアプロセッサを含む)、デジタル信号プロセッサ、電流‐電圧変換器、アナログ‐デジタル変換器、増幅器、光遮断器、コントローラ、データ受信装置、データ送信装置、エンコーダ、コンパレータ、デコーダ、メモリ、RAM、ROM、ソフトウェア、ファームウェア、ディスプレイ、ユーザインターフェース、音響手段、例えばラウドスピーカー、LED、拡張現実インターフェース、ユーザインターフェース、ディスプレイ回路、ユーザインターフェース回路、ユーザインターフェースソフトウェア、ディスプレイソフトウェア、回路、アンテナ、アンテナ回路、および電気回路が挙げられる。理解すべきこととして、コンピューティングデバイスは、ハウジングに対して外部に位置してもよく、あるいはハウジングに設けられてもよく、好ましくはハウジング内に設けられるのがよい。さらに、理解すべきこととして、コンピューティング手段は、情報をユーザに出力することができるようにするための手段としての出力手段をさらに有してもよく、またはこの出力手段に動作可能に接続されてもよい。出力手段の例としては、ディスプレイ、ユーザインターフェース、音響手段、例えばラウドスピーカー、LED、拡張現実インターフェース、ユーザインターフェース、ディスプレイ回路、ユーザインターフェース回路、ユーザインターフェースソフトウェア、ディスプレイソフトウェア、回路、アンテナ、アンテナ回路、電気回路などが挙げられるが、これらには限定されない。
【0048】
ここで用い、そして以下で用いる「情報」という用語は、コンピューティング手段のための音、テキスト、光、圧力変化、およびデータまたはこれらの組み合わせを意味している。情報は、コンピューティング手段に動作可能に接続された出力手段によって出力される。
【0049】
好ましい一実施形態では、本装置は、対象から得られたサンプルの蛍光をほぼリアルタイムで検出するようになっており、サンプルは、1つ以上のフルオロフォアを含んでいて、疾患または病態を表し、サンプルは、透明な導管内で対象から運び去られている。
【0050】
好ましい一実施形態では、1つ以上の光源および1つ以上の受光器は、ハウジング内に設けられる。これにより、装置が使いやすくなり、というのは、外部光源および受光器の使用を回避することができ、使用中に装置が複雑になるのを避けることができるからである。加うるに、ハウジングは、1つ以上の光源と1つ以上の受光器を汚れることがないよう保護する。
【0051】
一実施形態では、コンピューティングデバイスは、蛍光レベルを測定する手段をさらに含み、出力は、検出された蛍光レベルを表す。
【0052】
好ましい一実施形態では、コンピューティングデバイスは、ハウジングに接続され、好ましくは通信可能に結合される。好ましい一実施形態では、コンピューティングデバイスは、ワイヤ接続手段またはワイヤレス接続手段によって、1つ以上の光源のうちの少なくとも1つおよび/または1つ以上の受光器のうちの少なくとも1つに通信可能に結合される。特定の一実施形態では、コンピューティングデバイスは、ハウジング内に設けられた1つ以上の受光器に通信可能に結合される。
【0053】
一実施形態では、ハウジングは、
‐光を透明な導管で運ばれているサンプルに向けて放出するよう動作できる1つ以上の光源と、
‐透明な導管を運ばれているサンプル中の1つ以上のフルオロフォアによって生じた蛍光を検出するよう動作できる1つ以上の受光器と、
‐コンピューティングデバイスは、1つ以上の光源のうちの少なくとも1つおよび/または1つ以上の受光器のうちの少なくとも1つに通信可能に結合され、コンピューティングデバイスは、
‐1つ以上の受光器のうちの少なくとも1つから第1の信号を受け取り、第1の信号は、1つ以上の受光器のうちの少なくとも1つによって検出された蛍光に比例し、
‐第1の信号を、第1の信号に関する既定のしきい値と比較し、そして
‐比較結果を表す第1の情報を出力するコンピューティング手段を有する。
【0054】
したがって、理解すべきこととして、コンピューティングデバイスは、ハウジング内に設けられる。
【0055】
一実施形態では、1つ以上の光源のうちの少なくとも1つの長手方向中心軸線と、1つ以上の受光器のうちの少なくとも1つの長手方向中心軸線とのなす角度は、0゜~180゜から選択される。一実施形態では、この角度は、15゜~180゜から選択される。一実施形態では、この角度は、90゜~180゜から選択され、好ましくは90゜である。異なる角度により、1つ以上の光源および1つ以上の受光器をハウジング内の互いに異なる場所に位置決めすることができる。
【0056】
一実施形態では、ハウジングの高さは、約10mm~約100mmであり、ハウジングの幅は、約10mm~約150mmである。一実施形態では、ハウジングの高さは、約50mm~約70mmであり、ハウジングの幅は、約80mm~約130mmである。理解すべきこととして、ハウジングの寸法は、ハウジングが透明な導管の少なくとも一部を包囲するようになっている限り、限定されない。
【0057】
好ましい一実施形態では、コンピューティングデバイスは、既定のしきい値を超えるまたはこれに等しい第1の信号に応答して、第1の信号に関する第1の情報を出力し、また、既定のしきい値を超えずまたはこれに等しくない第1の信号に応答して、第1の信号に関する第2の情報を出力する手段を含む。
【0058】
一実施形態では、ハウジングは、透明な導管の周囲全体を囲むようになっている。これにより、1つ以上の受光器に達する外からの光(すなわち、ハウジングの外側の周囲からの光)を最小限にすることができ、かくして蛍光の検出を向上させることができる。
【0059】
一実施形態では、ハウジングは、取り付け手段によって互いに取り付けられる1つ以上の部品で形成される。
【0060】
一実施形態では、ハウジングは、取り付け手段によって互いに取り付けられる2つの部品で形成される。好ましい一実施形態では、取り付け手段は、各々、釘やクリップ、真空吸引カップ、スクリュー、フック、ボルトとナットの組み合わせ、ブラケット、ロック、テープ、スナップロック、ヒンジ、シール、1つ以上の磁石から成る群から別個独立に選択される。理解すべきこととして、取り付け手段は、ハウジングを形成する2つ以上の部品を取り付けるためのものでありかつ/あるいは、透明な導管の周囲を少なくとも部分的に囲むとともに/あるいは導管の外部に取り付けるためのものである。
【0061】
一実施形態では、コンピューティングデバイスは、1つ以上の光源のうちの少なくとも1つおよび/または1つ以上の受光器のうちの少なくとも1つに接続され、好ましくはこれに通信可能に結合される。好ましくは、コンピューティングデバイスは、ワイヤ接続手段またはワイヤレス接続手段によって、1つ以上の光源のうちの少なくとも1つおよび/または1つ以上の受光器のうちの少なくとも1つに通信可能に結合される。好ましい一実施形態では、コンピューティングデバイスは、ハウジング内に設けられた1つ以上の受光器に通信可能に結合される。
【0062】
好ましい一実施形態では、ハウジングは、
‐光を透明な導管で運ばれているサンプルに向けて放出するよう動作できる1つ以上の光源と、
‐透明な導管を運ばれているサンプル中の1つ以上のフルオロフォアによって生じた蛍光を検出するよう動作できる1つ以上の受光器と、
‐コンピューティングデバイスは、1つ以上の光源のうちの少なくとも1つに通信可能に結合され、コンピューティングデバイスは、
‐1つ以上の受光器のうちの少なくとも1つから第1の信号を受け取り、第1の信号は、1つ以上の受光器のうちの少なくとも1つによって検出された蛍光に比例し、
‐第1の信号を、第1の信号に関する既定のしきい値と比較し、そして
‐比較結果を表す第1の情報を出力するコンピューティング手段を有する。
【0063】
したがって、理解すべきこととして、本装置のコンピューティングデバイスは、本装置のハウジング内に設けられる。
【0064】
一実施形態では、ハウジングは、ハウジングを透明な導管に密着させる1つ以上のシールをさらに有する。シールはまた、外部からの光がハウジングに入るのを減少させまたは阻止するのがよい。
【0065】
好ましい一実施形態では、ハウジングは、ハウジングの互いに反対側の長手方向端部に設けられていて、ハウジングを透明な導管に密着させる1つ以上のシールをさらに有する。シールは、導管を包囲する際に、例えば、ハウジングが1mm(3Fr)~20mm(60Fr)の外径を有する導管、好ましくは、2.67mm(8Fr)~16mm(48Fr)の外径を有する外科用吸引チューブまたは医療用チューブを包囲したときに、ハウジングを種々のサイズの透明な導管に密着させるようになった調節可能なシールであるのがよい。ハウジングは、例えば1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、または8個のシールを有するのがよい。
【0066】
一実施形態では、1つ以上の光源は、互いに別個独立に、サンプル中の1つ以上のフルオロフォアの1つ以上の蛍光励起曲線波長の光を放出するよう動作可能である。好ましい一実施形態では、1つ以上の光源は、互いに別個独立に、サンプル中に含まれる1つ以上のフルオロフォアの蛍光励起曲線のピーク波長、または蛍光励起曲線のピーク波長を含む波長範囲の光を放出するよう動作可能である。好ましい一実施形態では、1つ以上の光源は、互いに別個独立に、350nm~430nmの波長、600nm~700nmの波長、および/または750nm~850nmの波長からなる群から別個独立に選択される1つ以上の波長の光を放出するよう動作可能である。好ましい一実施形態では、1つ以上の光源は、互いに別個独立に、PpIX、インドシアニングリーン、メチレンブルー、フルオレセイン、およびこれらの塩、例えば、シアニン、T700、T800、BLZ-100、GB119、IRDye800CW抱合体、IRDye700Dx抱合体、EC17、LUM015、AVB-620、葉酸‐フルオレセインイソチオシアネート(FITC)、OTL38、gGlu-HMRG、緑色フルオロフォア抱合体、蛍光色素標識ペプチド、フルオロフォア抱合抗体、蛍光ナノ粒子、活性化可能な蛍光プローブ、内生フルオロフォア、蛍光細菌、蛍光ウイルス、NAP(P)H 、FAD 、フラビン、コラーゲン、ビタミン類、例えばビタミンA1、ビタミンB2、ビタミンB6、およびビタミンB9、インドールアミン、ミトコンドリアおよびリソソーム、ならびにこれらの誘導体、異性体および塩、またはこれらの組み合わせから成る群から選択され、好ましくは、PpIXおよびこの誘導体、インドシアニングリーン、メチレンブルー、フルオレセイン、およびこれらの塩から選択されたフルオロフォアの蛍光励起曲線の波長の光を放出するよう動作可能である。好ましい一実施形態では、1つ以上の光源は、互いに別個独立に、約405nmおよび/または約633nmの波長の光を放出するよう動作可能である。ハウジングは、互いに別個独立に、サンプル中の1つ以上のフルオロフォアの1つ以上の蛍光励起曲線波長の光を放出するよう動作可能な1個、2個、3個、4個以上の光源を有する。
【0067】
一実施形態では、1つ以上の受光器は、互いに別個独立に、サンプル中の1つ以上のフルオロフォアの1つ以上の蛍光放出曲線の1つ以上の波長の蛍光を検出するよう動作可能である。好ましい実施形態では、1つ以上の受光器は、互いに別個独立に、サンプル中に含まれる1つ以上のフルオロフォアのピーク蛍光放出波長の蛍光を検出するよう動作可能である。好ましい実施形態では、1つ以上の受光器は、互いに別個独立に、600nm~655nmの波長、650nm~695nmの波長、700nm~790nmの波長および/または790nm~840nmの波長からなる群から別個独立に選択される1つ以上の波長の蛍光を検出するよう動作可能である。好ましい一実施形態では、1つ以上の受光器は、互いに別個独立に、PpIX、インドシアニングリーン、メチレンブルー、フルオレセイン、およびこれらの塩、例えば、シアニン、T700、T800、BLZ-100、GB119、IRDye800CW抱合体、IRDye700Dx抱合体、EC17、LUM015、AVB-620、葉酸‐フルオレセインイソチオシアネート(FITC)、OTL38、gGlu-HMRG、緑色フルオロフォア抱合体、蛍光色素標識ペプチド、フルオロフォア抱合抗体、蛍光ナノ粒子、活性化可能な蛍光プローブ、内生フルオロフォア、蛍光細菌、蛍光ウイルス、NAP(P)H、FAD、フラビン、コラーゲン、ビタミン類、例えばビタミンA1、ビタミンB2、ビタミンB6、およびビタミンB9、インドールアミン、ミトコンドリアおよびリソソーム、ならびにこれらの誘導体、異性体および塩、またはこれらの組み合わせから成る群から選択され、好ましくは、PpIXおよびこの誘導体、インドシアニングリーン、メチレンブルー、フルオレセイン、およびこれらの塩から成る群から選択された1つ以上のフルオロフォアから生じる蛍光を検出するよう動作可能である。ハウジングは、互いに別個独立に、サンプル中に含まれる1つ以上のフルオロフォアの1つ以上の蛍光放出曲線の1つ以上の波長の蛍光を検出するように動作可能な1個、2個、3個、4個以上の光源を有する。1つ以上のフルオロフォアによって生じた蛍光が、例えばサンプルのpHおよび温度のような因子に応じて変化する場合がある。
【0068】
好ましい一実施形態では、1つ以上の光源は、PpIXまたはこの誘導体の蛍光励起曲線のピーク波長の光を放出するよう動作可能であり、1つ以上の受光器は、PpIXまたはこの誘導体によって生じた蛍光を検出するよう動作可能である。理解すべきこととして、PpIXを含むサンプルは、がんを表す場合があり、サンプル中のPpIXは、サンプルを得る前に、例えば、サンプルを得る1~24時間前に、対象に経口投与された5-ALA もしくはこのプロドラッグ、または別の薬剤に由来する場合がある。
【0069】
追加的にまたは代替的に、1つ以上の光源の各々は、1つ以上の放出用光フィルタをさらに有するとともに/あるいは受光器の各々は、1つ以上の到来光用フィルタを有する。好ましい実施形態では、1つ以上の放出光用フィルタの各々は、光源および1つ以上のフルオロフォアの蛍光励起曲線の1つ以上のピーク波長に基づいて別個独立に選択され、1つ以上の到来光用フィルタの各々は、受光器および1つ以上のフルオロフォアの1つ以上のピーク蛍光放出波長に基づいて別個独立に選択される。
【0070】
ここで用い、かつ以下において用いる「光用フィルタ」という用語は、異なる所望の波長の光を選択的に透過させるデバイスを意味しており、例えば光路中のガラス面やプラスチックデバイスとして具体化される。光用フィルタの光学的性質は、これらの周波数応答により説明され、かかる周波数応答は、到来光の各周波数成分の振幅および位相をフィルタによってどのように変えるかを特定する。光用フィルタの例としては、吸収フィルタ、ダイクロイックフィルタ、単色フィルタ、赤外透過フィルタ、赤外カットオフフィルタ、バンドストップフィルタ、ロングパスフィルタ、バンドパスフィルタ、ショートパスフィルタ、紫外線フィルタが挙げられるが、これらには限定されない。理解すべきこととして、光用フィルタは、放出光用および到来光用フィルタであるのがよく、すなわち、放出光用フィルタは、光源によって放出される光の波長および/または強度を変えるために用いられ、到来光用フィルタは、受光器によって受け取られる光の波長および/または強度を変えるために用いられる。
【0071】
一実施形態では、サンプル中の1つ以上のフルオロフォアは、各々、PpIX、インドシアニングリーン、メチレンブルー、フルオレセイン、およびこれらの塩、シアニン、T700、T800、BLZ-100、GB119、IRDye800CW抱合体、IRDye700Dx抱合体、EC17、LUM015、AVB-620、葉酸‐フルオレセインイソチオシアネート(FITC)、OTL38、gGlu-HMRG、緑色フルオロフォア抱合体、蛍光色素標識ペプチド、フルオロフォア抱合抗体、蛍光ナノ粒子、活性化可能な蛍光プローブ、内生フルオロフォア、またはこれらの組み合わせからなる群から別個独立に選択される。
【0072】
一実施形態では、1つ以上の光源のうちの少なくとも1つは、透明な導管内で運ばれるサンプルの搬送方向に関して、1つ以上の受光器の前に配置される。1つ以上の光源のうちの少なくとも1つおよび1つ以上の受光器をこのように配置することにより、1つ以上のフルオロフォアのより効果的な励起が可能である。
【0073】
追加的にまたは代替的に、ハウジングは、少なくとも、第1の光源を有し、1つ以上の受光器は、少なくとも、第1の受光器および第2の受光器を有し、これら受光器は、第1の受光器から第1の光源までの距離が、第2の受光器から第1の光源までの距離よりも短いように位置決めされ、コンピューティング手段は、さらに、
‐第1の信号を第1の受光器から受け取り、第1の信号は、第1の受光器によって検出された蛍光に比例し、
‐第1の信号の受け取りに応答して、第2の信号に関する検証値を決定し、
‐第2の信号を第2の受光器から受け取り、第2の信号は、第2の受光器によって検出された蛍光に比例し、
‐第2の信号を検証値と比較し、
‐第2の信号が検証値を上回り、または検証値に等しいことに応答して、第2の信号に関する第1の情報を出力し、そして、
‐第2の信号が検証値を上回っておらず、または検証値に等しくないことに応答して、第2の信号に関する第2の情報を出力することによって、2つ以上の受光器からの蛍光の第1の受光器による検出を検証するよう構成されている。
【0074】
理解すべきこととして、互いに異なるフルオロフォアは、互いに異なる蛍光誘起速度および蛍光減衰を有する場合がある。励起光に起因して、フルオロフォアの蛍光をある特定の時間後に、すなわち、蛍光誘起速度により誘起させることができる。蛍光減衰は、フルオロフォアが励起光の励起後に蛍光を放出する時間を意味している。第1の信号の受信時、コンピューティング手段は、第1の光源と、第1の受光器および第2の受光器との間の距離、ならびにフルオロフォアの蛍光誘起速度および/または蛍光減衰のうちの1つ以上を考慮に入れて、第2の信号の値がどうあるべきか(第2の信号の検証値)を求めることができる。第2の受光器によって受け取られた第2の信号が検証値を上回りまたはこれに等しい場合、第2の信号の出力された第1の情報は、第2の受光器によって受け取られた第2の信号が検証値を上回っておらずまたはこれとは等しくないことによって、出力された第2の情報とは異なっている場合がある。
【0075】
少なくとも2つの受光器を用いることによって、蛍光検出の感度および/または特異性を向上させることができる。
【0076】
追加的にまたは代替的に、ハウジングは、少なくとも第1の光源を含み、1つ以上の受光器は、少なくとも第1の受光器および第2の受光器を含み、少なくとも第1の受光器と第2の受光器との間の距離は、1つ以上のフルオロフォアを含むサンプルの蛍光誘導速度、蛍光減衰、および蛍光強度、またはこれらの組み合わせに基づいて、1つ以上の距離から選択される。
【0077】
理解すべきこととして、1つ以上の光源および1つ以上の受光器の配置場所は、ハウジングの異なる場所にあるのがよい。サンプル中のフルオロフォアの蛍光誘起速度、蛍光減衰および蛍光強度に応じて、第1の受光器と第2の受光器との間の距離を選択するのがよい。例えば、蛍光誘起速度が低く(短く)かつ/あるいは蛍光減衰が長い場合、この距離は、誘起速度が高く(長く)かつ/あるいは蛍光減衰が短い場合よりも長いのがよい。蛍光強度が高い場合、この距離は、長いのがよく、というのは、蛍光は、長時間にわたって検出できるからである。追加的にまたは代替的に、透明な導管内を運ばれるサンプルの流れ速度を計算するコンピューティング手段は、コンピューティングデバイス内に設けられるのがよい。流れ速度を計算するため、第1の受光器から第2の受光器までの距離を、第1の受光器から受け取った第1の信号および第2の受光器から受け取った第2の信号の時間差で除算するのがよい。算出された流れ速度は、装置の較正に使用できる。
【0078】
一実施形態では、ハウジングは、サンプルを得る元となる対象から0.01~10m、好ましくは対象から0.3~10m、より好ましくは、対象から0.3~3m、さらにより好ましくは、対象から0.3~1mのところで透明な導管を包囲している。ハウジングと対象との間の距離は、サンプルが透明な導管を運ばれている限り、限定されない。これにより装置を例えば手術の際に用いることができる。ほぼリアルタイム検出が必要な場合、ハウジングから対象までの距離は、好ましくは、装置のユーザへのほぼリアルタイムのフィードバックを可能にするほど短く、ハウジングは、ユーザの仕事を著しく否定的に妨害することはない。ハウジングは、透明な導管の少なくとも一部を包囲するよう取り外し可能に構成されているのがよい。したがって、本装置の一利点は、本装置を使用しない場合には透明な導管から取り外すことができ、ハウジングから対象までの距離を対象周りにどれほど広い空間があるかに応じて選択することができるということにある。
【0079】
一実施形態では、コンピューティングデバイスは、ハウジング内に設けられる。
【0080】
一実施形態では、少なくとも1つのプロセッサ、メモリ、コンピュータプログラムコード、およびユーザインターフェースは、コンピューティングデバイスのコンピューティング手段を構成する。
【0081】
一実施形態では、ハウジングは、ON/OFFスイッチ、および情報を出力する手段、例えばユーザインターフェース、拡張現実インターフェース、音響手段、ディスプレイ、LEDをさらに有する。加うるに、ハウジングは、装置の状態、較正の成否、確実な検出、および/またはバッテリーレベル、ならびに充電ポートおよび/またはデータポートを表すLEDのうちの少なくとも1つをさらに有するのがよい。
【0082】
一実施形態では、コンピューティングデバイスは、1つ以上の受光器のうちの少なくとも1つに通信可能に結合され、コンピューティングデバイスは、
‐少なくとも1つのプロセッサと、
‐コンピュータプログラムコードを含む少なくとも1つのメモリを有し、少なくとも1つのメモリおよびコンピュータプログラムコードは、少なくとも1つのプロセッサにより、
‐1つ以上の受光器のうちの少なくとも1つから第1の信号を受け取り、第1の信号は、1つ以上の受光器のうちの少なくとも1つによって検出された蛍光に比例し、
‐第1の信号を、第1の信号に関する既定のしきい値と比較し、そして
‐比較結果を表す第1の情報を出力する動作を行わせるよう構成されている。
【0083】
もう1つの観点では、本発明の一実施形態は、対象から得られたサンプルの蛍光を検出する方法であって、サンプルは、1つ以上のフルオロフォアを含んでいて、疾患または病態を表し、サンプルは、透明な導管で対象から運び出される方法であって、本方法は、
i)1つ以上のフルオロフォアを含んでいて、疾患または病態を表すサンプルを透明な導管で対象から運び出すステップと、
ii)光を導管で運ばれているサンプルに向かって放出するステップと、
iii)導管で運ばれているサンプル中の1つ以上のフルオロフォアによって生じる蛍光を検出するステップと、
iv)検出された蛍光に比例した第1の信号を発生させるステップと、
v)第1の信号を、該第1の信号に関する既定のしきい値と比較するステップと、
vi)比較結果を表す第1の情報を出力するステップとを含むことを特徴とする方法を提供する。
【0084】
一実施形態では、この方法は、i)またはii)の前、好ましくはi)の前に、ハウジングをこのハウジングが透明な導管の少なくとも一部を包囲するよう構成するステップをさらに含み、ハウジングは、
‐光を透明な導管で運ばれているサンプルに向けて放出するよう動作できる1つ以上の光源と、
‐透明な導管を運ばれているサンプル中の1つ以上のフルオロフォアによって生じた蛍光を検出するよう動作できる1つ以上の受光器とを有し、さらにオプションとして、
‐ステップv)およびvi)を実施するコンピューティング手段を含むコンピューティングデバイスを有する。
【0085】
追加的にまたは代替的に、本開示において記載する方法は、サンプルの蛍光をほぼリアルタイムで検出する方法である。
【0086】
一実施形態では、サンプルは、負圧によって対象から運び去られる。理解すべきこととして、負圧は、周囲の圧力よりも低い圧力である。負圧は、例えば超音波吸引器または外科用吸引装置により達成できる。
【0087】
一実施形態では、本方法は、サンプルを得て、導管内で対象から遠ざけられる前に、対象に向けて光を放出するステップをさらに含む。好ましくは、光は、サンプル中の1つ以上のフルオロフォアを励起する。
【0088】
一実施形態では、本方法は、較正ステップをさらに含み、サンプルは、既知の蛍光および濃度のフルオロフォアを含む較正組成物である。好ましくは、較正ステップはステップi)の前に実施される。
【0089】
追加的にまたは代替的に、本方法は、蛍光検出を検証するステップをさらに含み、蛍光検出を検証するステップは、
‐導管で運ばれているサンプル中の1つ以上のフルオロフォアによって生じる第2の蛍光を検出するステップと、
‐検出された第2の蛍光に比例した第2の信号を発生させるステップと、
‐発生した第1の信号に応答して、第2の信号に関する検証値を決定するステップ、
‐第2の信号を検証値と比較するステップ、
‐第2の信号が検証値を上回るかまたはこれに等しいことに応答して、第2の信号に関する第2の情報を出力するステップ、および
‐第2の信号が検証値を上回っておらずまたはこれに等しくないことに応答して、第2の信号に関する第3の情報を出力するステップを含む。
【0090】
追加的にまたは代替的に、本方法は、流れ速度の決定ステップをさらに含み、サンプルは、既知の蛍光および濃度のフルオロフォアを含む較正組成物であり、流れ速度を決定するステップは、
‐第1の信号および第2の信号の発生に応答して、第1の信号を発生させるステップと第2の信号を発生させるステップとの時間差に基づいて第1の時間値を計算するステップ、
‐第1の時間値の計算に応答して、既定の距離値を第1の時間値で除算した結果に基づいて流れ速度値を計算するステップ、
‐流れ速度値の計算結果を示す第5の情報を出力するステップとを含む。
【0091】
本発明の一実施形態では、対象から得られたサンプルの蛍光を検出する方法であって、サンプルは、1つ以上のフルオロフォアを含んでいて、疾患または病態を表し、サンプルは、透明な導管で対象から運び出され、この方法は、
i)サンプル、好ましくは腫瘍の一部を対象から、好ましくは人体から取り出すステップと、
ii)1つ以上のフルオロフォアを含んでいて、疾患または病態を表すサンプルを、透明な導管内で対象から運び出すステップと、
iii)光を導管内で運ばれているサンプルに向かって放出するステップと、
iv)導管内で運ばれているサンプル中の1つ以上のフルオロフォアによって生じた蛍光を検出するステップと、
v)検出した蛍光に比例した第1の信号を発生させるステップと、
vi)第1の信号を、第1の信号に関する既定のしきい値と比較するステップと、
vii)比較結果を表す第1の情報を出力するステップとを含む方法が提供される。
【0092】
もう1つの観点では、本発明の一実施形態は、侵襲的医療方法、1つ以上のフルオロフォアを含んでいて、疾患または病態を表す疾患組織または疾患体液の検出方法、腫瘍の検出方法、およびがんの診断からなる群から選択された方法を実施するための本明細書に開示された装置の使用を提供する。好ましくは、がんの診断は、がんの試験管内または生体外診断である。
【0093】
もう1つの観点では、本発明の一実施形態は、本開示において記載した装置を透明な導管と組み合わせた状態で部品キットを提供する。一実施形態では、導管の周囲は、ハウジングが導管の周囲全体を囲むことができるようなものである。一実施形態では、導管の外径は、1mm(3Fr)~60mm(180Fr)、好ましくは1mm(3Fr)~20mm(60Fr)、より好ましくは1mm(3Fr)~16mm(48Fr)、さらに好ましくは2mm(6Fr)~16mm(48Fr)、さらにより好ましくは、2.67mm(8Fr)~16mm(48Fr)の外科用吸引チューブまたは医療用チューブの外径とすることができる。かかる外径を備えた導管の内径は、サンプルを導管内で運ぶことができ、そして導管を医療処置に用いることができる内径であってよく、例えば、導管の内径は、0.75mm~15.75mmであるのがよい。一実施形態では、部品キットは、本装置の使用方法の情報のリーフレットをさらに含む。
【0094】
もう1つの観点では、本発明の一実施形態は、本明細書において開示する装置を用いた手術方法、疾患または病態の治療方法、または疾患または病態の生体内診断を提供する。一実施形態では、疾患はがんである。一実施形態では、手術方法は、がんの手術を含む。
【0095】
もう1つの観点では、本発明の一実施形態は、本明細書において開示する装置を用いて、1つ以上のフルオロフォアを含んでいて、疾患または病態を表すサンプルの蛍光を検出する方法を提供する。
【0096】
もう1つの観点では、本発明の一実施形態は、本明細書において開示す方法を実施するために、本明細書において開示する装置を提供する。
【0097】
実験の項
【0098】
例示の具体化例では、マイクロサージカル(超微細手術)研究・訓練センターで実験を行った。実験は、本開示において説明するサンプルの蛍光の検出方法の特徴を述べている。サンプルは、活動性の神経膠腫を表す濃度のPpIXを含み、サンプルを良好なものとしてまたはPpIXの蛍光によって、当業者と同等またはそれ以上に検出することができる。フルオロフォアを含むサンプル、すなわち、透明な導管内で対象から運び去られているサンプルの蛍光を、吸引チューブを通って流れる手術切除液体から検出した。
【0099】
ホモロジーPpIXサンプルをヨハンソン(Johansson)等(ヨハンソン、アン等(Johansson, Ann, et al.)「5‐アミノレブリニック・アシッド‐インデュースド・プロトポルフィリンIX・レベルズ・イン・ティッシュー・オブ・ヒューマン・マリグナント・ブレイン・トゥーマ(5-Aminolevulinic acid-induced protoporphyrin IX levels in tissue of human malignant brain tumor)」,フォトケミストリー・アンド・フォトバイオロジー(Photochemistry and photobiology),2010年,86.6,p.1373~1378)に記載されているように、切除中に記録されたグレードIV神経膠腫内の生体内PpIX濃度範囲に従って調製した。PpIXサンプルは、疾患または病態を表していた。サンプルを外科用吸引ポンプシステムにより吸引し(すなわち、運び去り)、そして蛍光を本明細書において開示した装置で検出した。胎盤組織デブリおよび血液を模倣した液体をPpIXサンプルと一緒に吸引し、また、PpIXサンプル相互間で別々に吸引して、活動性の神経膠腫細胞および周囲の健常な神経組織の切除中の手術をシミュレートした。
【0100】
蛍光性PpIX溶液を、タニグチ等(Taniguchi, Hiroki, et al. 「インプルービング・コンビニエンス・アンド・リライアビリティ・オブ・5‐ALA‐インデュースド・フルオレセント・イメージング・フォア・ブレイン・トゥーマ・サージェリー(Improving convenience and reliability of 5-ALA-induced fluorescent imaging for brain tumor surgery)」,インターナショナル・コンフェレンス・オン・メディカル・イメージ・コンピューティング・アンド・コンピュータ‐アシステッド・インターベンション(International Conference on Medical Image Computing and Computer-Assisted Intervention),スプリンガー(Springer),チャム(Cham), 2015年)に従って組織化学的実験室で調製した。生理食塩水(ビー・ブラウン・メルズンゲン・アーゲー(B. Braun Melsungen AG),ドイツ)を+100℃まで加熱し、ゼラチン(#G2500 ,シグマ・アルドリッチ・カンパニー(Sigma-Aldrich Company),米国ミズーリ州セントルイス)を添加し、混合物を+37℃まで放冷した。PpIX二ナトリウム塩(#258385,シグマ・アルドリッチ(Sigma-Aldrich),2.02mg)をジメチルスルホキシド(DMSO、#D4540,シグマ・アルドリッチ(Sigma-Aldrich),20mL)に溶解させてPpIX溶液を生成した。所定のPpIX濃度のPpIXサンプルを得るため、1.33mLのPpIX溶液またはDMSO(1.33mL)を、34.7mLのゼラチン‐生理食塩水混合物と混ぜ、その後、4.0mLのイントラリピッド溶液20%(大豆油(20%,w/v)、卵レシチン、グリセロール、水酸化ナトリウムおよび水を含む脂肪乳濁液、フレゼニウス・カービ・AB(Fresenius Kabi AB),スウェーデンウプサラ)と混合した。生成したゲル状のPpIXサンプルを固化し、そして一定温度(+4℃)で貯蔵した。PpIXサンプルを次の方程式(1)に従って調製したが、以下の式において、D=PpIXサンプル中の遊離酸としてのPpIXの濃度(mol/l)、C≒3.0×10-6mol/l、k=0または2.00であった。
D=kC (1)
【0101】
PpIXサンプルを2つの濃度グループに分類したが、第1の濃度グループは、3つの2C PpIXサンプルを含み、第2の濃度グループは、熟練外科医により定められたヒトによる視覚検出(括弧に入れた)に従って、8つの対照サンプル(D=0C)を含んでいた。
1.0C PpIX(対照サンプル、PpIXなし、蛍光なし)
2.2C PpIX+++(真の正のサンプル、約6.0×10-6mol/L PpIX、活動性のグレードIV神経膠腫細胞を表し、しかも専門家の目に見える蛍光)
【0102】
サンプルを光曝露から保護するための六角形の形をしたスロット(直径1cm)および合致する蓋を含む3D印刷試験プラットフォームをZmorph2.0SX-3Dプリンタにより、ポリ乳酸(PLA)を用いて製造した。プラットフォームをAutodesk Fusion 360 (v.2.0.6037)で設計し、そしてサンプルの吸引が神経膠腫手術の場合のように素早く実施することができるように製造した。したがって、スロットは、サンプルを得るもととなる本開示の対象を表している。
【0103】
外科用吸引ポンプ(Medela Dominant Flex)を50L/分の流量と等価な-80kPaの有効一定最大真空度に設定した。ステンレス鋼で作られていて丸形のハブを備えた吸引ハンドル(Mediplast 6066500400BP)(直径4.0mm、長さ80mm)を透明な滅菌PVC吸引チューブ(CH25、直径5.8/8.3mm、長さ3.5m)に取り付けた。チューブの他端を、1リットルの吸引廃棄物容器に連結した。同一の吸引チューブおよび吸引廃棄物容器は、手術室環境内で用いられている。サンプルが取り出した腫瘍組織のサイズおよび組成を真似るようにするため、これらサンプルを金属吸引ハンドル経由で吸引した。蛍光を検出する装置は、吸引ハンドルからPCV吸引チューブの1/3の長さのところ、すなわち、吸引ハンドルから約1.17mのところであって、吸引ハンドルの先端部から約1.25m(すなわち、対象から約1.25m)のところでPVC吸引チューブを包囲していた。
【0104】
赤色色素(Dr. Oet-ker Red着色料)を1:20の比で水に添加することによって(例えば、5mL赤色染料および100mL水)血液模倣液を調製した。ノイズを蛍光検出に加えるとともに、本方法の信頼性を検証するために、生体組織デブリの小片を吸引前のPpIXサンプルに添加した。分析は、手術およびスペクトル実験向きに設計された室内で行ったので、バックグラウンド照明をなくすことができた。
【0105】
狭帯域LED(M405l2 UV(405nm)取り付け型LED、1000mA、410mW(分)、ソーラボ(Thorlabs)社製)を蛍光励起光源として用いて、光を導管内で運ばれているサンプルに向かって放出した。浜松ホトニクスのPMA-11分光計(モデルc7473-36、受光器、コンピュータ(コンピューティングデバイス)に接続されている)を用いて、導管内で運ばれているサンプル中のフルオロフォアによって生じた蛍光を検出した。光源と受光器を導管に垂直に配置し、すなわち、光源の長手方向中心軸線と受光器の長手方向の中心軸線とのなす角度は、約90°であった。励起光源が外科用ドレナージ液中のPpIXサンプルの蛍光を誘起させ、そして蛍光を分光計でほぼリアルタイムで検出した。励起および放出光の狭帯域通過フィルタを用いて実験を行った。励起光源からの青色光をSemrock 414/46-Brightline単一帯域フィルタの使用により濾波して、所望の励起光以外の光をなくした。Semrock 632/22-Brightline単一帯域フィルタ(到来光用フィルタ)を分光計に取り付けて、バックグラウンド照明をなくした。
【0106】
3つの互いに異なるテスト実行バリエーションで、2C PpIXサンプルと0CPpIXサンプルの両方について、同一の吸引速度(50L/分)および分光計の曝露時間(80ms)を用いて検出および分析を実施し、すなわち、i)PpIXサンプル(2Cまたは0C)+水をスロット内に配置し、ii)PpIXサンプル(2Cまたは0C)+血液模倣液をスロット内に配置し、またはiii)PpIXサンプル(2Cまたは0C)+血液模擬液+胎盤組織のデブリをスロット内に配置した。2番目ごとのスロットには、検出部位を洗浄し、そして神経膠腫手術中にも吸引される生理的食塩水を模倣したコントロール液(水)を入れた。分光計を、これが100回の蛍光検出測定を行うよう設定し、かかる測定は、80msの曝露時間で8秒かかった。曝露時間は、検出器を光に曝露させた時間の長さに対応している。
【0107】
2つのPpIXサンプル濃度(2Cおよび0C)を用い、そしてバックグラウンドノイズを表すPpIXサンプルなしで3つ全てのテスト実行バリエーションを実施した。テスト実行バリエーションの前に、2Cおよび0CのPpIXサンプルを長さ2~4mmの立方体状の小片に切断した。同様に、胎盤組織の小片を長さ2~4mmの立方体状小片に切断した。i)第1のテスト実行では、2C PpIXサンプルの3つの小片を1mLの水と一緒に3つのスロットに配置し、0C PpIXサンプルの3つの小片を1mLの水と一緒に3つのスロットに配置し、すなわち、全部で6つのスロットは、各スロット内に2C PpIXサンプルか0C PpIXサンプル化のいずれかの3つの小片を含むことになった。ii)第2のテスト実行では、3つの均等に調製したビットを第1のテスト実行の場合と同様に、1mLの血液模倣液と一緒に3つのスロットに配置した。iii)第3のテスト実行に関し、3つの等しい調製ビットを第1のテスト実行の場合と同様に1mLの血液模倣液およびスロット1つ当たり胎盤組織の3つの小片と一緒に3つの全てに配置して、ランダムに吸引された残りの組織が蛍光検出および分光計による分析に影響を及ぼすかどうかを試験した。この結果、各テスト実行バリエーション分析において、2Cと0Cの両方の全部で9つの小片が得られた。
【0108】
サンプル測定の場合と同様に、同一の吸引速度および曝露時間を用いてバックグラウンドノイズを求め、そして3つのテスト実行バリエーションを、PpIXサンプルを含まない状態で実施した。バックグラウンドノイズを分光計によって記録された光子カウント数として記録した。
【0109】
PpIXサンプルの蛍光検出中、PpIXサンプルは、630nmの蛍光が既定のしきい値を超えた場合、検出したものとみなした。この方法では、既定のしきい値は、平均バックグラウンドノイズレベルにこのバックグラウンドノイズレベルの40%をプラスしたレベルに決定した。平均バックグラウンドノイズレベルは、560光子カウント(80msにつき)に等しく、したがって、既定のしきい値は、784の光子カウントであった。光子カウントは、コンピューティングデバイスのコンピューティング手段によって分光計の受光器から受け取った光電流(信号)に対応している。
【0110】
各テスト実行バリエーションに関し、検出したPpIXサンプルの数に対応する、光子カウント(受光器により検出された蛍光に比例した光電流)が既定のしきい値を超えた蛍光信号ピークの数をカウントした。加うるに、光子カウントが規定のしきい値を超えた各蛍光信号ピーク(630nm波長の光)のところの光子カウントの平均値(すなわち、最大光電流の平均値)を計算した。したがって、検出された蛍光に比例する信号を生じさせて既定のしきい値と比較した。表1は、実施した各テスト実行バリエーションについて蛍光強度の平均値と検出された蛍光強度ピークの数を記載している。

【0111】
表1.測定結果の要約。1テスト実行ランバリエーション1~3は、各々9つの2C PpIXサンプルを含み、テスト実行バリエーション4~6は、各々9つの0C PpIXサンプルで構成される(2C≒6.0μM、0C=PpIXなし)、胎盤=胎盤組織デブリ。2光子カウントが既定のしきい値を超えた蛍光信号ピークの数。3光子カウントが80msの曝露時間で既定のしきい値(630nmにおける)を超えた各蛍光信号ピークのところでの計算した平均光子カウント。正の検出されたピークに関する既定のしきい値を784光子カウント(バックグラウンドノイズ×1.4)に設定した。
【0112】
実験結果の実証するところによれば、2C PpIXサンプルの蛍光、すなわちグレードIVの神経膠腫細胞を模倣したサンプルを観測された光子カウント(蛍光)が対照サンプルの光子カウントを超えたときおよび既定のしきい値を3~4倍上回ること、すなわち比較結果を示す情報が出力されることで高い信頼度で検出されることが実証された。蛍光および2Cサンプルは、血液模倣液(赤色染料+水)および/またはランダムな外科的吸引デブリを表す他の生物学的サンプル(胎盤組織デブリ)が存在する場合にも検出された。27個の2C PpIXサンプルのうちの全部で18個は分離して検出され、9個は検出できず、したがって、2C PpIXサンプルの最大数の少なくとも66%が検出された。サンプルは、種々の大きさ(2~4mm)のものであり、光検出器は、同時に複数のサンプルの蛍光を検出した可能性があるため、検出されたサンプルの中に検出されなかった2CPpIXサンプルがあった可能性がある。0Cの偽陽性が1カウント検出されたが、光子カウントがあらかじめ設定されたしきい値を超えたのは28光子カウントのみであった。検出した2C PpIXサンプルの全ての光子カウントは、0Cサンプルの光子カウントおよびバックグラウンドノイズよりも著しく高いので、偽陽性のカウントは、既定のしきい値を例えば813の光子カウントまで増大させることによって安全に排除することができた。
【0113】
透明な導管内を運ばれているサンプル中のフルオロフォアのほぼリアルタイムの検出を約0.04秒で達成し、そして以下の方程式(2)に従って計算し、以下の式において、Q=流量(m3/s)、V1=吸引ハンドル容積(m3)、V2=シリンダー容積(m3)、A1=吸引ハンドル面積(m2)、A2=シリンダー面積(m2)、d1=吸引ハンドル長さ(m)、d2=シリンダー長さ(m)、r1=吸引ハンドル半径(m)、r2=シリンダー半径(m)である。

【0114】
本開示において記載した方法の有用性を首尾よく実証し、すなわち、サンプル中の1つ以上のフルオロフォアの1つ以上の蛍光放出曲線の1つ以上の波長の蛍光を、本方法に従って検出し、サンプルは、従来記載されていなかった新規な仕方で透明な導管内で運ばれている速く流動している流体内に含まれていた。蛍光検出方法の結果を、例えば、光子カウント(検出した蛍光に比例している光電流)が既定のしきい値と比較して上回ったか、等しかったか、または超えなかったかあるいは等しかったかどうかを示す情報と一緒にほぼリアルタイムで出力した。試験結果の実証するところによれば、本発明の方法は、臨床的実務で利用することができる。PpIXの臨床的に関連のある濃度を検出する感度に関し、本発明はまた、専門家が行うことができない正確な蛍光強度(信号ピークの光子カウント)の情報の出力を実施することができた。
【0115】
図1は、本発明の一実施形態に従って、対象から得られたサンプルの蛍光を検出する装置100のブロック図であり、サンプルは、1つ以上のフルオロフォアを含んでいて、疾患または病態を表し、サンプルは、透明な導管で対象から運び出される。装置100は、ハウジング101、コンピューティングデバイス180、1つ以上の光源110、および1つ以上の受光器120を有する。コンピューティングデバイス180は、ハウジング101内の1つ以上の受光器のうちの少なくとも1つに接続されるのがよい。接続は、ワイヤ接続手段またはワイヤレス接続手段によって実現できる。一実施形態では、コンピューティングデバイス180は、ハウジング101に接続されるのがよい。コンピューティングデバイス180は、ハウジング101の中に設けられてもよく、またはハウジング101の外に設けられてもよい。
【0116】
図2は、本発明の一実施形態に従って、対象から得られたサンプルの蛍光を検出する装置100の一実施形態を示しており、サンプルは、1つ以上のフルオロフォアを含んでいて、疾患または病態を表し、サンプルは、透明な導管で対象から運び出される。装置100は、1つ以上の光源(図示せず)および1つ以上の受光器(図示せず)を備えたハウジング101と、コンピューティングデバイス(コンピューティングデバイスは図示されていない)を有する。ハウジング101は、透明な導管131の少なくとも一部を包囲するようになっていてもよく、あるいは、ハウジング101は、透明な導管131を完全に包囲するようになっていてもよい。ハウジング101は、吸引ユニットのための吸引ユニット取り付け手段141に取り付けられるのがよい透明な導管131の一部または周囲全体を囲むのがよく、透明な導管131は、管コネクタ161に取り付けられるのがよく、管コネクタ161は、吸引先端部151に取り付けられるのがよい。吸引ユニットは、サンプルを対象から取り出すとともに/あるいは運搬するための負圧を生じさせるよう動作可能であるのがよい(吸引ユニットおよび対象は図示されていない)。ハウジング101内に設けられた1つ以上の光源および1つ以上の受光器は、図示されていない。コンピューティングデバイス(図示せず)は、ハウジング101内に設けられた1つ以上の受光器のうちの少なくとも1つに接続されるのがよい。接続は、ワイヤ接続手段190によって実現されてもよく、ワイヤレス接続手段によって実現されてもよい。
【0117】
図3は、本発明の一実施形態に従って、対象から得られたサンプルの蛍光を検出する装置100の一実施形態を示しており、サンプルは、1つ以上のフルオロフォアを含んでいて、疾患または病態を表し、サンプルは、透明な導管で対象から運び出される。装置100は、ハウジング101およびコンピューティングデバイス(コンピューティングデバイスは図示されていない)を有する。ハウジング101は、1つ以上の光源110および1つ以上の受光器120を有するのがよい。コンピューティングデバイス(図示せず)は、ハウジング101に接続されるのがよい。1つ以上の受光器120のうちの少なくとも1つへの接続は、ワイヤ接続手段190によって実現されてもよく、ワイヤレス接続手段によって実現されてもよい。コンピューティングデバイス180は、ハウジング101の中に設けられてもよく、ハウジング101の外に設けられてもよい。この図は、透明な導管131の断面を示している。ハウジング101は、導管131の少なくとも一部を包囲するようになっているのがよい。ハウジング101は、透明な導管131の周囲全体を包囲してもよい。光191は、対象(図示せず)から得られて対象から運び出されるサンプル118,119に向けて光源110によって放出されるのがよい。サンプル118は、1つ以上のフルオロフォアを含むのがよく、そして疾患または病態を表すのがよい。サンプル119は、蛍光性でなくてもよく、あるいは1つ以上のフルオロフォアを含まなくてもよい。放出光用のフィルタ115が放出された光を濾波するために光源110と結合した状態で用いられるのがよい。1つ以上の光源によって放出された光の波長と、放出光用フィルタ115によって濾波された光の波長は、互いに異なっていてもよい。放出光および放出光用フィルタ115によって濾波された光は、図3に破線の矢印191で示されている。1つ以上の光源110は、サンプル118,119が導管131内で運ばれている状態で、光191を導管131および導管131内のサンプル118,119に向かって放出するよう動作可能であるのがよい。サンプル118中の励起されたフルオロフォアは、蛍光192を発することができる。蛍光192は、受光器120によって検出されるのがよい。放出光191と蛍光192の波長は、互いに異なっていてもよい。到来光用のフィルタ125が放出された蛍光192の波長を濾波するために受光器120と結合した状態で用いられるのがよい。サンプル118によって放出された蛍光の波長と、到来光用フィルタ125により濾波された蛍光の波長は、互いに異なるのがよい。蛍光と濾波後の蛍光は、図3に矢印192で示されている。透明な導管131内の対象(図示せず)からのサンプル118,119の運搬方向(すなわち流れ方向)は、太い矢印132によって示されている。図3に示すように、1つ以上の光源110のうちの少なくとも1つは、透明な導管131内で運ばれているサンプルの搬送方向で見て、1つ以上の受光器120の前に配置されるのがよい。
【0118】
図4は、本発明の一実施形態に従って、対象から得られたサンプルの蛍光を検出する装置100の一実施形態を示しており、サンプルは、1つ以上のフルオロフォアを含んでいて、疾患または病態を表し、サンプルは、透明な導管で対象から運び出される。装置100は、ハウジング101およびコンピューティングデバイス180を有し、コンピューティングデバイス180は、ハウジング101の中に設けられてもよく、ハウジング101の外に設けられてもよい。ハウジング101は、このハウジング101内に1つ以上の光源110および1つ以上の受光器120,121をさらに有する。コンピューティングデバイス180は、1つ以上の受光器120,121のうちの少なくとも1つ、および/または、1つ以上の光源110のうちの少なくとも1つに通信可能に結合されるのがよい。結合は、ワイヤ接続手段によって実現されてもよく、ワイヤレス接続手段(図示せず)によって実現されてもよい。1つ以上の光源110は、放出光用のフィルタ115をさらに有するのがよく、1つ以上の受光器120,121の各々は、到来光用のフィルタ125をさらに有するのがよい。ハウジング101は、1つ以上の部品で形成されるのがよい。ハウジング101は、ハウジング101を形成することができる1つ以上の部品を取り付ける(例えば、取り付け手段103としてのヒンジを含む)とともに/あるいは、1つ以上の部品をロックする(例えば、取り付け手段104a,104b,105a,105bとして磁石を含む)とともに/あるいは、外側から導管(図示せず)に取り付けるための取り付け手段103,104a,104b,105a,105bを含んでいてもよい。理解すべきこととして、ハウジング101は、透明な導管の少なくとも一部を包囲するよう取り外し可能に構成されてもよく、透明な導管(図示せず)の周囲全体を囲んでもよい。したがって、ハウジング101は、「開き位置」、「閉じ位置」、または「開放位置」と「閉鎖位置」との間の位置をとるのがよい。「閉じ位置」では、ハウジング101は、透明な導管の周囲全体を囲むのがよく、取り付け手段104a,104b,105a,105bは、1つ以上の部品を「閉じ位置」にロックするよう配置されているのがよい。さらに、ハウジング101は、ハウジングの互いに反対側の長手方向端部のところに開口部106a~106dを有するのがよい。ハウジング101を透明な導管(図示せず)に密着させるための1つ以上のシール107a~107dを有するのがよい。シールは、調整可能なシールであるのがよい。さらに、ハウジング101は、電源装置108を有するのがよい。電源装置は、1つ以上の部品108a~108hを有するのがよく、各部品108a~108hは、同一であってもよく、互いに異なっていてもよく、各部品は、1つ以上の光源110、1つ以上の受光器120,121および/またはコンピューティングデバイス180に接続される(電気的に結合)のがよい(接続手段は図示されていない)。さらに、ハウジング101は、導管周りのハウジング101の取り付け方向を示すための1つ以上の表示マーク109a~109fを有するのがよい。1つ以上の表示マーク109a~109fは、導管内の対象から運び出されているサンプルの運搬方向を示すことができる(サンプル、対象、および導管は図示されていない)。1つ以上の光源110のうちの少なくとも1つは、透明な導管で運び出されているサンプルの運搬方向で見て、1つ以上の受光器120,121の前に配置されるのがよい。
【0119】
図5は、本発明の一実施形態に従って、対象から得られたサンプルの蛍光を検出する装置100の一実施形態を示しており、サンプルは、1つ以上のフルオロフォアを含んでいて、疾患または病態を表し、サンプルは、透明な導管で対象から運び出される。装置100は、コンピューティングデバイス(図示せず)およびハウジング(図示せず)を有し、ハウジングは、透明な導管131の少なくとも一部を包囲するようになっているのがよい。ハウジングは、1つ以上の光源110および1つ以上の受光器120を有する。コンピューティングデバイス(図示せず)は、1つ以上の受光器120のうちの少なくとも1つに通信可能に結合されるのがよい。1つ以上のフルオロフォアを含んでいて、疾患または病態を表すサンプル118および、蛍光性ではなく、あるいは、1つ以上のフルオロフォアを含んでいないサンプル119が図示されている。さらに、この図は、透明な導管131の断面を示しており、ハウジング101は、この透明な導管の少なくとも一部を包囲するようになっている。1つ以上の光源110のうちの少なくとも1つの長手方向中心軸線133と、1つ以上の受光器120のうちの少なくとも1つの長手方向中心軸線135のなす角度134は、0゜から180゜までの範囲にあるのがよい。一実施形態では、角度134は、15゜から180゜までの範囲にあるのがよい。一実施形態では、この角度は、90゜から180゜までの範囲内にあるのがよく、好ましくは90゜である。
【0120】
図6は、1つ以上の受光器120のうちの少なくとも1つからの光電流I(mA)(黒線で示された1つ以上の信号に対応している)をコンピューティングデバイス180によって受け取られた時間t(ms)の関数として表した一例を示している。光電流(信号)の既定のしきい値A1は、点線で示されている。サンプル118中の1つ以上のフルオロフォアによって生じた蛍光192は、1つ以上の受光器120によって検出されるのがよい。少なくとも1つの受光器120に通信可能に結合されているのがよいコンピューティングデバイス180は、受光器120からの信号を受信するのがよい。この信号は、光電流Iに対応しているのがよく、そして少なくとも1つの受光器120によって検出された蛍光に比例しているのがよい。コンピューティングデバイス180は、この信号(光電流)を、当該信号(光電流)に関する既定のしきい値A1と比較するのがよい。また、最大光電流に対応した2つの信号ピークP1(時刻t1における光電流I1)およびP2(時刻t2における光電流I2)が示されている。1つ以上の受光器120のうちの少なくとも1つによって検出された2つのサンプル118a,118b中の1つ以上のフルオロフォアによって生じた最大蛍光に比例するのがよく、サンプル118a,118bは、対象から得られたものであって、透明な導管131で対象から運ばれていた。2つの蛍光性サンプル118a,118bは、2つの異なる時点(t1,t2)で1つ以上の受光器120のうちの少なくとも1つを通過した。P1は、時刻t1で1つ以上の受光器120のうちの少なくとも1つを通過した第1のサンプル118aによって生じた最大蛍光に対応するのがよく、P2は、時刻t2で1つ以上の受光器120のうちの少なくとも1つを通過する第2のサンプル118bによって生じた最大蛍光に対応するのがよい。両方の信号ピーク(光電流)P1,P2は、既定のしきい値A1を上回るのがよい。この図はまた、1つ以上の受光器120のうちの少なくとも1つからコンピューティングデバイス180により受け取られた光電流(信号)B1(時刻t3における光電流I3)を示している。光電流(信号)B1は、第3のサンプル118c中の1つ以上のフルオロフォアにより生じていて、1つ以上の受光器120のうちの少なくとも1つによって検出された蛍光に比例するのがよい。B1は、既定のしきい値A1を上回らないか、またはしきい値に等しくなくてもよい。コンピューティングデバイス180は、例えば信号(光電流)P1,P2および/またはB1の比較結果を表す情報を出力するのがよい。
【0121】
図7は、対象から得られたサンプルの蛍光を検出する方法の一実施形態を示しており、サンプルは、1つ以上のフルオロフォアを含んでいて、疾患または病態を表し、サンプルは、透明な導管で対象から運び出されている。図示の方法は、本発明の一実施形態に従って、透明な導管の少なくとも一部を包囲するようになったハウジング、およびコンピューティングデバイスを有する装置によって実施されるのがよい。1つ以上のフルオロフォアを含んでいて、疾患または病態を表すサンプルを対象から得るのがよい。1つ以上のフルオロフォアを含むサンプルをブロック501において、透明な導管で対象から運び出している。具体的に説明すると、この運搬は、外科用吸引器具、超音波吸引器などを用いて負圧によって達成されるのがよい。同じ吸引器具、超音波吸引器など、またはこれらとは異なる器具を用いてサンプルを対象から取り出してもよい。ブロック510において、1つ以上の光源による光を透明な導管で対象から運び出されているサンプルに向けて放出するのがよい。ブロック520において、導管で運ばれているサンプル中の1つ以上のフルオロフォアによって発生した蛍光を1つ以上の受光器によって検出するのがよい。ブロック530において、光電流I(mA)に対応していて、検出された蛍光に比例する第1の信号を生じさせるのがよい。生じさせた第1の信号をコンピューティングデバイスに含まれているコンピューティング手段によって受け取るのがよく、コンピューティングデバイスは、1つ以上の受光器のうちの少なくとも1つから、蛍光組立体に接続されるのがよい。ブロック530において発生させた第1の信号を、ブロック540において、第1の信号に関する既定のしきい値と比較するのがよい。ブロック550において、比較結果を示す第1の情報を出力するのがよい。第1の情報の出力は、コンピューティングデバイスのユーザインターフェースにより、例えば、音響手段、ディスプレイ、LED、触覚フィードバック、例えば震動、またはこれらの組み合わせにより実施されるのがよい。第1の情報を、異なる音量、音色、および/または持続時間を含む1つ以上の検出音として、または異なる色、輝度、および/または持続時間を含む1つ以上の検出光として、またはこれらの組み合わせとして、あるいは、1つ以上の検出音と1つ以上の検出光との組み合わせとして出力するのがよい。ブロック540における比較結果により、第1の信号が既定のしきい値を上回りまたはこれに等しい場合、ブロック550において出力される第1の情報は、ブロック540における比較結果により、第1の信号が既定のしきい値を上回っておらず、またはこれに等しくない場合に、出力された情報とは異なるのがよい。
【0122】
追加的にまたは代替的に、ブロック540は、第1の信号に関する第1および第2の期待のしきい値を含むのがよい。ブロック540における比較結果により、第1の信号が第1の既定のしきい値を上回るとともに、第2の既定のしきい値を上回りまたはこれに等しい場合、ブロック550において出力された情報は、ブロック540における比較結果により、第1の信号が第1および第2の既定のしきい値のうちの少なくとも一方を上回っておらずまたは等しくない場合、ブロック550において出力された情報とは異なるのがよい。
【0123】
上記において説明した本発明の諸実施形態に対する設計変更が添付の特許請求の範囲に記載された本発明の範囲から逸脱することなく可能である。本発明を説明するとともにクレーム請求するために用いられている原文明細書における表現、例えば、“including”、“comprising”、“incorporating”、“have”、“is”は、非排他的に解されるようになっており、すなわち、明示的に記載しなかったアイテム、コンポーネントまたは要素もまた存在することができる。原文明細書において、単数形はまた、複数形を含むものと解されるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【手続補正書】
【提出日】2023-09-27
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
蛍光誘導手術中に、人間又は動物から手術によって得られたサンプルの蛍光をほぼリアルタイムで検出する装置(100)であって、前記サンプルは、1つ以上のフルオロフォアを含んでいて、疾患または病態を表し、前記サンプルは、透明な導管(131)で前記人間又は動物から運び出され、前記装置は、
‐前記透明な導管(131)の少なくとも一部を包囲するようになったハウジング(101)を有し、前記ハウジング(101)は、
‐光を前記透明な導管(131)で運ばれている前記サンプルに向けて放出するよう動作できる1つ以上の光源(110)と、
‐前記透明な導管(131)を運ばれている前記サンプル中の1つ以上のフルオロフォアによって生じた蛍光を検出するよう動作できる1つ以上の受光器(120)と、
‐コンピューティングデバイス(180)とを有し、前記コンピューティングデバイス(180)は、
‐前記1つ以上の受光器(120)のうちの少なくとも1つから第1の信号を受け取り、前記第1の信号は、前記1つ以上の受光器(120)のうちの前記少なくとも1つによって検出された前記蛍光に比例し、
‐前記第1の信号を、前記第1の信号に関する既定のしきい値と比較し、そして
‐比較結果を表す第1の情報を出力するコンピューティング手段を有する、装置。
【請求項2】
前記ハウジング(101)は、前記透明な導管(131)の周囲全体を囲むようになっている、請求項1記載の装置。
【請求項3】
前記ハウジング(101)は、取り付け手段により互いに取り付けられる2つの部品で形成されている、請求項1または2記載の装置。
【請求項4】
前記ハウジング(101)は、前記ハウジング(101)の互いに反対側の長手方向端部のところに設けられていて、前記ハウジングを前記透明な導管(131)に密着させるシールを有する、請求項1~3のうちいずれか一に記載の装置。
【請求項5】
前記1つ以上の光源(110)は、互いに別個独立に、前記サンプル中の前記1つ以上のフルオロフォアの1つ以上の蛍光励起曲線波長の光を放出するよう動作できる、請求項1~4のうちいずれか一に記載の装置。
【請求項6】
前記1つ以上の受光器(120)は、互いに別個独立に、前記サンプル中の前記1つ以上のフルオロフォアの1つ以上の蛍光放出曲線の1つ以上の波長の蛍光を検出するよう動作できる、請求項1~5のうちいずれか一に記載の装置。
【請求項7】
前記1つ以上の光源(110)の各々は、1つ以上の放出光用フィルタ(115)をさらに有するとともに/あるいは前記受光器(120)の各々は、1つ以上の到来光用フィルタ(125)を有する、請求項1~6のうちいずれか一に記載の装置。
【請求項8】
前記サンプル中の前記1つ以上のフルオロフォアは各々、PpIX、インドシアニングリーン、メチレンブルー、フルオレセイン、およびこれらの塩、シアニン、T700、T800、BLZ-100、GB119、IRDye800CW抱合体、IRDye700Dx抱合体、EC17、LUM015、AVB-620、葉酸‐フルオレセインイソチオシアネート(FITC)、OTL38 、gGlu-HMRG 、緑色フルオロフォア抱合体、蛍光色素標識ペプチド、フルオロフォア抱合抗体、蛍光ナノ粒子、活性化可能な蛍光プローブ、内生フルオロフォア、またはこれらの組み合わせから成る群から別個独立に選択される、請求項1~7のうちいずれか一に記載の装置。
【請求項9】
前記1つ以上の光源のうちの少なくとも1つは、前記透明な導管で運ばれている前記サンプルの搬送方向で見て前記1つ以上の受光器の前に配置されている、請求項1~8のうちいずれか一に記載の装置。
【請求項10】
前記ハウジング(101)は、少なくとも第1の光源(110)を含み、前記1つ以上の受光器(120)は、少なくとも第1の受光器(120)および第2の受光器(120)を含み、前記第1の受光器(120)および前記第2の受光器(120)は、前記第1の受光器(120)から前記第1の光源(110)までの距離が、前記第2の受光器(120)から前記第1の光源(110)までの距離よりも短いように位置決めされ、前記コンピューティング手段が、さらに、
‐第1の信号を前記第1の受光器(120)から受け取り、前記第1の信号は、前記第1の受光器(120)によって検出された前記蛍光に比例し、
‐前記第1の信号の前記受け取りに応答して、前記第2の信号に関する検証値を決定し、
‐第2の信号を前記第2の受光器(120)から受け取り、前記第2の信号は、前記第2の受光器(120)によって検出された前記蛍光に比例し、
‐前記第2の信号を前記検証値と比較し、
‐前記第2の信号が前記検証値を上回り、または該検証値に等しいことに応答して、前記第2の信号に関する第1の情報を出力し、そして、
‐前記第2の信号が前記検証値を上回っておらず、または該検証値に等しくないことに応答して、前記第2の信号に関する第2の情報を出力することによって、前記2つ以上の受光器(120)からの蛍光の前記第1の受光器(120)による検出を検証するよう構成されている、請求項1~9のうちいずれか一に記載の装置。
【請求項11】
前記ハウジング(101)は、少なくとも第1の光源(110)を含み、前記1つ以上の受光器(120)は、少なくとも第1の受光器(120)および第2の受光器(120)を含み、前記少なくとも第1の受光器(120)と前記第2の受光器(120)との間の距離は、1つ以上のフルオロフォアを含む前記サンプルの蛍光誘導速度、蛍光減衰、および蛍光強度、またはこれらの組み合わせに基づいて、1つ以上の距離から選択される、請求項1~10のうちいずれか一に記載の装置。
【請求項12】
前記コンピューティングデバイス(180)は、前記ハウジング(101)内に設けられる、請求項1~11のうちいずれか一に記載の装置。
【請求項13】
蛍光誘導手術中に、人間又は動物から手術によって得られたサンプルの蛍光を検出する方法であって、前記サンプルは、1つ以上のフルオロフォアを含んでいて、疾患または病態を表し、前記サンプルは、透明な導管で前記人間又は動物から運び出される方法であって、前記方法は、
i)1つ以上のフルオロフォアを含んでいて、疾患または病態を表すサンプルを透明な導管(131)で前記人間又は動物から運び出すステップと、
ii)光を前記導管(131)で運ばれている前記サンプルに向かって放出するステップと、
iii)前記導管で運ばれている前記サンプル中の1つ以上のフルオロフォアによって生じる蛍光を検出するステップとを含む、方法。
【請求項14】
前記方法は、
iv)前記検出された蛍光に比例した第1の信号を発生させるステップと、
v)前記第1の信号を、該第1の信号に関する既定のしきい値と比較するステップと、
vi)比較結果を表す第1の情報を出力するステップとをさらに含む、請求項13記載の方法。
【請求項15】
侵襲的医療方法、1つ以上のフルオロフォアを含んでいて、疾患または健康状態を表す疾患組織または疾患体液の検出方法、腫瘍の検出方法、およびがんの診断からなる群から選択された方法における蛍光誘導手術中に、人間又は動物から手術によって得られたサンプルの蛍光を検出する請求項1~11のうちいずれか一に記載の装置(100)の使用であって、前記サンプルは、1つ以上のフルオロフォアを含んでいて、疾患または病態を表し、前記サンプルは、透明な導管(131)で前記人間又は動物から運び出される、使用。
【請求項16】
部品キットであって、1つ以上のフルオロフォアを含んでいて、疾患または病態を表しており、蛍光誘導手術中に、人間又は動物から手術によって得られたサンプルの蛍光を検出する請求項1~11のうちいずれか一に記載の装置を透明な導管(131)と組み合わせた部品キット。
【国際調査報告】