(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-14
(54)【発明の名称】印刷システム及び印刷方法
(51)【国際特許分類】
G06F 3/12 20060101AFI20240206BHJP
【FI】
G06F3/12 367
G06F3/12 303
G06F3/12 324
G06F3/12 347
G06F3/12 374
G06F3/12 388
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023546153
(86)(22)【出願日】2022-01-28
(85)【翻訳文提出日】2023-09-14
(86)【国際出願番号】 EP2022052049
(87)【国際公開番号】W WO2022162145
(87)【国際公開日】2022-08-04
(32)【優先日】2021-01-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】599041075
【氏名又は名称】キヤノン オイローパ エヌ.ヴェー.
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ティックラー, クリス
(72)【発明者】
【氏名】ジョブズ, スティーブン
(72)【発明者】
【氏名】ラング, ピーター
(57)【要約】
印刷システムは、第1の印刷ジョブキュー(507)を含むクラウドサービス(150)と、第2の印刷ジョブキュー(503)を含むプリントサーバ(120)と、クライアントコンピュータ(100)とを含む。クライアントコンピュータ(100)は、ユーザからの印刷指示に従って、第2のネットワーク(170)を介してクラウドサービス(150)に印刷情報を送信する。クラウドサービス(100)は印刷情報から印刷ジョブを作成し、印刷ジョブを第1の印刷キュー(507)に格納し、第1の印刷キュー(507)に格納された印刷ジョブを第1のネットワーク(160)を介してプリントサーバ(120)に送信する。プリントサーバは、印刷ジョブを第2の印刷キュー(503)に格納する。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷システムであって、
第1のネットワーク及び第2のネットワークに接続され、第1の印刷ジョブキューを含むクラウドサービスと、
前記第1のネットワークに接続され、第2の印刷ジョブキューを含むプリントサーバと、
前記第2のネットワークに接続されたクライアントコンピュータであって、前記クライアントコンピュータを使用するユーザから受信した文書を印刷するための印刷指示に従って、前記第2のネットワークを介して前記クラウドサービスに印刷情報を送信するように構成されたクライアントコンピュータと、
を含み、
前記クラウドサービスは、前記クライアントコンピュータから受信された前記印刷情報から印刷ジョブを作成し、当該印刷ジョブを前記第1の印刷キューに格納し、前記第1の印刷キューに格納された前記印刷ジョブを前記第1のネットワークを介して前記プリントサーバに送信するように構成され、
前記プリントサーバは、前記第1のネットワークを介して前記クラウドサービスから前記印刷ジョブを受信し、前記印刷ジョブを前記第2の印刷キューに格納するように構成される、印刷システム。
【請求項2】
請求項1に記載の印刷システムであって、前記クラウドサービスは、前記印刷ジョブが前記プリントサーバに送信された後に、前記印刷ジョブを前記第1の印刷キューから削除するように構成される、印刷システム。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の印刷システムであって、前記クラウドサービスは、前記クラウドサービスに格納されている転送情報に従って、前記第1の印刷キューに格納された前記印刷ジョブを前記プリントサーバに送信するか否かを判定する、印刷システム。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の印刷システムであって、前記プリントサーバは前記プリントサーバに記憶された転送情報に従って、前記第1の印刷キューに格納された前記印刷ジョブを前記プリントサーバに送信するか否かを判定するように構成され、前記転送情報が前記印刷ジョブを送信することを示す場合、前記プリントサーバは、前記第1の印刷キューに格納された前記印刷ジョブについて、前記第1のネットワークを介して前記クラウドサービスに要求を送信する、印刷システム。
【請求項5】
請求項3又は4に記載の印刷システムであって、前記転送情報は、管理者によって設定される、印刷システム。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項に記載の印刷システムであって、前記クラウドサービスが前記第1の印刷キューに格納された前記印刷ジョブを前記プリントサーバに送信するタイミングは、所定のタイミングである、印刷システム。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1項に記載の印刷システムであって、前記印刷情報は、印刷される前記文書に関する印刷データ及び属性情報を含み、前記クラウドサービスは、前記印刷データ及び属性情報を用いて前記印刷ジョブを作成するように構成される、印刷システム。
【請求項8】
第1のネットワーク及び第2のネットワークに接続され、第1の印刷ジョブキューを含むクラウドサービスと、前記第1のネットワークに接続され、第2の印刷ジョブキューを含むプリントサーバと、前記第2のネットワークに接続されたクライアントコンピュータとを含む印刷システムにおける印刷方法であって、
前記クライアントコンピュータを使用するユーザから受信した文書を印刷するための印刷指示に従って、前記第2のネットワークを介して前記クラウドサービスに印刷情報を送信することと、
前記印刷情報から印刷ジョブを作成することと、
前記印刷ジョブを前記第1の印刷キューに格納することと、
前記第1の印刷キューに格納された前記印刷ジョブを、前記第1のネットワークを介して前記プリントサーバに送信することと、
前記印刷ジョブを前記第2の印刷キューに格納することと、
を含む、印刷方法。
【請求項9】
請求項8に記載の方法であって、前記印刷ジョブが前記プリントサーバに送信された後に、前記印刷ジョブを前記第1の印刷キューから削除することをさらに含む、方法。
【請求項10】
請求項8又は9に記載の方法であって、前記クラウドサービスに格納されている転送情報に従って、前記第1の印刷キューに格納された前記印刷ジョブが前記プリントサーバに送信されるか否かを判定することをさらに含む、方法。
【請求項11】
請求項8又は9に記載の方法であって、
前記第1の印刷キューに格納された前記印刷ジョブが、前記プリントサーバに格納された転送情報に従って前記プリントサーバに送信されるか否かを判定することと、
前記転送情報が、前記印刷ジョブが送信されることを示す場合、前記第1の印刷キューに格納された前記印刷ジョブについて、前記第1のネットワークを介して前記クラウドサービスに要求を送信することと、
をさらに含む、方法。
【請求項12】
請求項10又は11に記載の方法であって、前記転送情報は、管理者によって設定される、方法。
【請求項13】
請求項8~12のいずれか1項に記載の方法であって、前記第1の印刷キューに格納された前記印刷ジョブが前記プリントサーバに送信されるタイミングは、所定のタイミングである、方法。
【請求項14】
請求項8~13のいずれか1項に記載の方法であって、前記印刷情報は、印刷される前記文書に関する印刷データ及び属性情報を含み、前記印刷ジョブを作成するステップは、前記印刷データ及び属性情報を用いて前記印刷ジョブを作成することを含む、方法。
【請求項15】
印刷システムであって、
第1のネットワーク及び第2のネットワークに接続されたクラウドサービスと、
前記第2のネットワークに接続され、第1の印刷ジョブキューを含むクライアントコンピュータであって、前記クライアントコンピュータを使用するユーザから受信した文書を印刷するための印刷指示に従って、印刷属性情報を前記第2のネットワークを介して前記クラウドサービスに送信するように構成されたクライアントコンピュータと、
前記第1のネットワークに接続され、第2の印刷ジョブキューを含むプリントサーバと、
を含み、
前記クライアントコンピュータは、前記印刷命令に従って印刷ジョブを作成し、前記印刷ジョブを前記第1の印刷キューに格納し、前記第1の印刷キューに格納された前記印刷ジョブを、前記第1及び第2のネットワークを介して前記プリントサーバに送信するように構成され、
前記プリントサーバは、前記第1のネットワークを介して前記クライアントコンピュータから前記印刷ジョブを受信し、前記印刷ジョブを前記第2の印刷キューに格納するように構成される、印刷システム。
【請求項16】
第1のネットワーク及び第2のネットワークに接続されたクラウドサービスと、前記第2のネットワークに接続され、第1の印刷ジョブキューを含むクライアントコンピュータと、前記第1のネットワークに接続され、第2の印刷ジョブキューを含むプリントサーバとを含むプリントシステムにおける印刷方法であって、
前記クライアントコンピュータを使用するユーザから受信した文書を印刷するための印刷指示に従って、前記第2のネットワークを介して前記クラウドサービスに印刷属性情報を送信することと、
前記印刷指示に従って印刷ジョブを作成することと、
前記第1の印刷キューに前記印刷ジョブを格納することと、
前記第1の印刷キューに格納された前記印刷ジョブを、前記第1及び第2のネットワークを介して前記プリントサーバに送信することと、
前記第2の印刷キューに前記印刷ジョブを格納することと、
を含む、印刷方法。
【請求項17】
コンピュータ上で実行されると、前記コンピュータに請求項8に記載の方法を実行させるプログラム。
【請求項18】
請求項17に記載のプログラムを記憶したコンピュータ可読可能な記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷システム及び印刷方法に関する。
【背景技術】
【0002】
複数のプリンタ、より典型的には多機能装置や多機能周辺デバイス(multifunctional peripheral deveices:MFP)は、プリントサーバを用いて管理され得ることが知られている。このプリントサーバは、企業や組織の内部ネットワークに設置されることがある。ユーザがコンピュータを操作することにより印刷が命令されると、印刷データは、コンピュータからプリントサーバに送信され、そこにスプールされる。その後、ユーザが所望のMFPを操作することにより印刷が命令されると、スプールされた印刷データはプリントサーバから所望のMFPに送信され、印刷が実行される。
【0003】
より最近の傾向は、ローカルサーバによって提供されていたサービスを「クラウド」へ移行することである。このようなサービスは、典型的にはインターネットを介してアクセスされ、これは、クラウドサービスと呼ばれている。クラウドサービスは、サーバ機能が事実上複数のオンラインサーバのいずれか一つによって提供されることから、仮想サーバであると考えられ得る。このような複数のオンラインサーバは、ネットワークの外部かつリモートに設置されることから、しばしばクラウドと呼ばれる。したがって、この文脈では、MFPがクラウドサービスと情報を交換するように構成されていると呼ぶのが適切である。クラウドサービスは、サーバの(物理又は仮想)レイヤーの上に抽象レイヤーを提供するソフトウェア(アプリケーション)プラットフォームとして考えることもできる。これは、(ホストサーバや仮想サーバではなく)しばしば真のクラウドと呼ばれる。真のクラウドソフトウェアは、プラットフォーム上で実行され、必要に応じてリソースを要求したり解放するように記述される。既存の、又は従来のサーバベースのソフトウェアはホストサーバ又は仮想サーバ上で実行することができるが、各々のサーバのリソースの限界に縛られる結果、しばしば、複数のサーバを管理する必要が生じる。
【0004】
ある配置においては、ローカルサーバとクラウドサーバの組み合わせを使用することは有益なこともある。例えば、企業や組織が本部と支部を有する場合、本部では本部内部ネットワーク内に設置されたプリントサーバ(ローカルプリントサーバ)を使用すること により印刷が実行され 、一方、支部での印刷はクラウドサービスによって印刷が実行されうることが望まれ得る。これは、本部では印刷量が多そうだから、このように自身のプリントサーバを持つ価値があり得るからである。一方、支部では、印刷量が本部ほど多くなさそうだから、自身のプリントサーバを持つ価値がない。ある拠点でローカル(内部)プリントサーバ、他の拠点では、印刷ニーズにサービス提供する印刷サービスにクラウド(外部)サービスを使用することが望まれ得る多くの他の理由があり、例えば印刷されるデータについてのセキュリティ要件であるある。ローカルプリントサーバが使われることが望まれる他の理由は以下の場合が含まれる。印刷ジョブの追加処理が必要な場合、印刷する前にローカルプリントサーバへの接続、及び/又はローカルシステムからの入力の取得が望ましい場合、印刷ジョブを異なる拠点に発行するためにローカルでのトリガを必要とする場合(例えば、印刷ジョブが特定のページ数/部数を超える場合、又は製本などの特別なフィニッシング要件が必要とされる場合)、企業ネットワーク内で印刷ジョブを保持することによるセキュリティの向上が望まれる場合、一部の印刷ジョブが非常に大きく、帯域幅の限られたインターネット接続(例えば、クラウドサービスに接続する場合)を介してダウンロードするのに長時間を要する場合。クラウドサービスは、ローカルサーバよりも、印刷ジョブを受け付ける多くの方法(例えば、ドラグ・アンド・ドロップ)をしばしば含むことや、より多くの種類のクライアントソフトウェアとのやり取りをすることができることから、クラウドサービスが望まれ得る他の理由が存在する。さらに、ユーザが一つの拠点からローカルサーバとクラウドサービスの両方にアクセスすることができることが望まれ得る。
【0005】
しかしながら、予算(コスト)の管理はオンプレミスのローカルサーバで行うのが通常であり、ローカルサーバとクラウドサービスとの組み合わせた構成を使用する場合、ユーザが印刷にクラウドサービスを利用するときに正確な予算管理を行うことが困難である。一方、上述したとおり、クラウドサービスは、ローカルサーバよりも、印刷ジョブを受け付けるための多くの方法、及び/又はソフトウェアをしばしば含んでいるため、クラウドサービスで一つの方法、及び/又はクライアントソフトウェアを利用してジョブを投入することに慣れているユーザは、オンプレミスのローカルサーバを利用して印刷する場合、困難や不便を感じるかもしれない。
【発明の概要】
【0006】
本発明の第1の態様によれば、請求項1~7に記載の印刷システムが提供される。
【0007】
本発明の第2の態様によれば、請求項8~14に記載の印刷方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
次に、本発明の実施形態を、単なる例として、添付の図面を参照して説明する。
【0009】
【0010】
【
図2】
図2は、クライアントコンピュータのハードウェア構成例を示す。
【0011】
【
図3】
図3は、多機能周辺機器のハードウェア構成例を示す。
【0012】
【
図4】
図4は、プリントサーバのハードウェア構成例を示す。
【0013】
【
図5】
図5は、クラウドサービス及びプリントサーバ上で利用可能なサービスの例を示す。
【0014】
【
図6】
図6は、クラウドサービスからプリントサーバへの印刷ジョブの転送を設定する処理フローを示すシーケンス図である。
【0015】
【
図7】
図7は、印刷システムにおける印刷処理フローを示すシーケンス図である。
【0016】
【
図8】
図8は、印刷システムにおける印刷のための代替プロセスフローを示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に記載される本発明の各実施形態は、必要に応じて、又は単一の実施形態における個々の実施形態からの要素もしくは特徴の組合せが有益である場合に、単独で、又は複数の実施形態もしくはその特徴の組合せとして、実施することができる。
第1の実施形態
【0018】
図1は、2つの地理的な拠点、拠点A及び拠点Bを含む印刷システムを示す。拠点Aは組織の本部(HQ)オフィスであってもよく、拠点Bは組織の支部オフィス(BO)であってもよい。しかし、本発明は、これらの拠点に限定されず、異なる印刷方法を使用する任意の2つの拠点(以下でより詳細に説明する)で十分である。例えば、拠点A及びBは、様々な大学又は学校内の拠点であってもよい。
【0019】
拠点Aには、プリントサーバ120とMFP110が設けられており、これらは内部ネットワーク130(以下、内部ネットワークAという)を介して接続されている。また、クライアントコンピュータ100は、内部ネットワークA130に接続され、内部ネットワークA130を介してプリントサーバ120やMFP110と通信することもできる。プリントサーバ120は、外部ネットワーク160を介してクラウドサービス150と通信することができる。
図1に破線によって示されるように、いくつかの配置では、クライアント100及びMFP110がプリントサーバ120と通信する必要なく、クラウドサービス150と通信することができる。
【0020】
拠点Bでは、MFP110が内部ネットワーク140(以下、内部ネットワークBという)に接続されている。クライアントコンピュータ100も、内部ネットワークB140に接続されることができ、内部ネットワークB140を介してMFP110と通信することができる。MFP110及びクライアント100は、いずれも内部ネットワークB140及び外部ネットワーク170を介してクラウドサービス150に接続されている。
【0021】
各拠点において、MFP110は、印刷装置及び/又は複写装置として、又は多機能装置として考えることができる。MFP110は、多機能装置である代わりに、例えば印刷のみを行う単一の機能デバイスであってもよい。MFPはまた、ファクシミリ機能を含んでもよい。
【0022】
クライアントコンピュータ100は、内部ネットワークA130(拠点A内)又は内部ネットワークB140(拠点B内)に接続される必要はなく、代わりに、姉妹内部ネットワーク又は外部ネットワーク(図示せず)に接続することができる。クライアントコンピュータ100は、MFP110と通信可能である必要はなく、いくつかの実施形態ではクライアントコンピュータ100及びMFP110が、サーバ120(拠点A)又はクラウドサービス150(拠点B)に接続され、通信可能であるか、又は、サーバ120(拠点A)又はクラウドサービス150(拠点B)を介して通信可能であることのみが必要である。
【0023】
内部ネットワークA130及び内部ネットワークB140は、有線ネットワーク又は無線ネットワークであってよく、単に「ネットワーク」又はローカルエリアネットワーク(LAN)と呼ばれてもよい。外部ネットワーク160及び170は、典型的にはインターネットである。内部ネットワークA130及び内部ネットワークB140、並びに外部ネットワーク160及び170は、ルータ(図示せず)を介して接続され得る。
【0024】
クライアントコンピュータ100及びMFP110の個数は限定されない。各拠点は、複数のMFP110及びクライアントコンピュータ100を含むことができる。
【0025】
図1の拠点Aと拠点Bとの間の矢印は、クライアントコンピュータ100がこれらの拠点の間で持ち運びされ得ることを示す。
【0026】
クライアントコンピュータ100は、情報処理装置の一例であり、一般的には汎用のパーソナルコンピュータ(PC)である。PCは、デスクトップコンピュータ又はラップトップコンピュータであってもよい。クライアントコンピュータ100は、PCであることには限定されない。クライアントコンピュータ100は、携帯電話、タブレットデバイス、又は、印刷されるデータをユーザが選択することを可能にする任意の電子デバイスであってもよい。
【0027】
図2は、クライアントコンピュータがPCである場合に、クライアントコンピュータ100に存在し得る選択された標準的な構成要素を示す。クライアントコンピュータ100は、例えば、CPU(Central Processing Unit)201、RAM(Random Access Memory)202、ROM(Read Only Memory)203、キーボード204、マウス205、ディスプレイ206、外部記憶装置207、ネットワークインターフェース208を有し、これらは全てバスを介して相互に接続されている。なお、
図2に示す全ての構成要素がクライアントコンピュータ100に存在する必要はない(例えば、ROM203がソフトウェアROMであってもよい)。
【0028】
CPU201は、Intel(RTM)、ARM(RTM)、AMD(RTM)等から入手可能なものなどの標準プロセッサである。RAM202は従来のRAMであり、CPU201が処理する命令の一時記憶領域として使用される。ROM203は、クライアントコンピュータ100が使用する文書作成アプリケーション等の特定のアプリケーションを格納するメモリである。キーボード204及びマウス205は、従来の方法でクライアントコンピュータ100のための入力デバイスを形成する。ディスプレイ206は、ユーザに出力表示を行うためのディスプレイである。外部記憶装置207は、取り外し可能なUSBハードディスクドライブ又はフラッシュメモリであってもよい。ネットワークインターフェース208は、クライアントコンピュータ100が内部ネットワークA130及びB140を介して通信することを可能にする標準的な構成要素のセットである。このようなクライアントコンピュータは、当技術分野において周知であり、追加の構成要素(ビデオカードなど)又は他の構成要素を含み得る。クライアントコンピュータ100が、携帯電話又はタブレットデバイス(又は他のそのようなポータブルデバイス)である場合、キーボード204及びマウス205は、デバイス上のタッチパッド又はタッチスクリーン(又は任意の他の適切な入力デバイス)の形態をとり得る。また、音声認識が入力デバイスとして使用されてもよい。
【0029】
図3は、MFP110に存在する選択された標準構成要素を示す。MFP110は、CPU301と、RAM302と、ROM303と、印刷部304と、ユーザ入力/出力部305と、カードリーダ306と、ネットワークインターフェース307と、スキャン部308と、ディスプレイ309とを有し、これらは全てバスを介して相互に接続されている。
【0030】
CPU301は、Intel(RTM)又はAMD(RTM)から入手可能なものなどの標準プロセッサである。RAM302は従来のRAMであり、CPU301が処理する命令の一時記憶領域として使用される。ROM303は、BIOS等のMFP110が使用する特定のアプリケーションを格納するメモリである。CPU301は、MFP110のディスプレイ309によってその後に表示されるユーザインタフェースを生成するユーザインタフェース生成部を備える。
【0031】
印刷部304は、電子写真方式のプリンタエンジンやインクジェット方式のプリンタエンジンで実現することができ、提供されたデータに基づいて用紙等の印刷媒体に画像を印刷することができる。スキャン部308は、スキャンされるべき文書の画像をキャプチャするように構成されたハードウェアを備える。
【0032】
ユーザ入力/出力部305は、ユーザがMFP110に入力を行うために選択可能な複数のハードウェアボタン及びソフトウェアボタンを含む。ユーザ入力/出力部305は、ディスプレイ309の一部としてタッチスクリーンを含む。ユーザ入力/出力部305は、ユーザID及びパスワード情報などの英数字テキストを入力するために使用することができるキーボードを含む。したがって、キーボードは、物理キーボード又は仮想キーボードである。ディスプレイ309はタッチスクリーン機能を提供するタッチセンサと共に、LCDディスプレイを含む。
【0033】
ユーザは、MFP110から利用可能なサービスにアクセスするために、MFP110に認証情報を提供する。登録ユーザの場合、認証情報は、ユーザをユーザアカウントに関連付ける識別情報に対応する。
【0034】
カードリーダ306は、非接触カードからユーザID情報を読み出す。読み出されたIDは、MFP110を操作しているユーザを識別又は認証するために用いられる。ユーザIDは、カードリーダ306の代わりにキーボードを用いてMFP110に入力することができる。ユーザの認証は、内部ネットワークA130(拠点A)及び内部ネットワークB140(拠点B)のそれぞれに設けられ、別々に設置された認証サーバと協働して行うことができる。
【0035】
ネットワークインターフェース307は、MFP110が内部ネットワークA130(拠点A)及び内部ネットワークB140(拠点B)を介して通信することを可能にする標準的な構成要素のセットである。このように、ネットワークインターフェース307は、MFP110がクライアントコンピュータ100及びサーバ120(拠点A)及びクラウドサービス150(拠点B)と通信するために使用することができる入力部及び出力部を含む。
【0036】
図4は、プリントサーバ120に存在する選択された標準構成要素を示す。プリントサーバ111は、CPU401と、RAM402と、ROM403と、記憶部404と、ネットワークインターフェース405とを備え、これらは全てバスを介して相互に接続されている。プリントサーバ120のこれらの構成要素は、複数の物理的位置に分散されるか、又は単一のハウジング内に統合されることが可能である。
【0037】
CPU401は、Intel(RTM)又はAMD(RTM)から入手可能なものなどの標準プロセッサである。RAM402は従来のRAMであり、CPU401が処理する命令の一時記憶領域として使用される。ROM403は、BIOS等のプリントサーバ120が使用する特定のアプリケーションを格納するメモリである。記憶部404は、ハードディスクドライブである。ネットワークインターフェース405は、プリントサーバ120が内部ネットワークA130又はインターネットを介して通信することを可能にする標準的な構成要素のセットである。
【0038】
図5は、クラウドサービス150及びプリントサーバ120で利用可能な機能の一例を示し、クラウドサービス150とプリントサーバ120との間の通信を示す。クラウドサービス150は、「サーバ」の一種と考えることができる。本願においては、「サーバ」が、物理サーバ、アプリケーションサーバ、ホストサーバ又は仮想サーバ上で提供されるクラウドサービス、又は真のクラウドサービスを含む。クラウドサービス150上の機能は、典型的には1以上のサーバ上で実行されるソフトウェアアプリケーションによって提供される。
【0039】
クラウドサービス150とプリントサーバ120との間には、情報501の交換がある。特に、プリントサーバ120が拠点Aに設定されているとき、プリントサーバ120は、クラウドサービス150への接続を有するように構成される。プリントサーバ120は、クラウドサービス150にユーザアカウント(例えば、XYZ社)で登録される。その後、情報501は、プリントサーバ120とクラウドサービス150との間で定期的に同期される。
【0040】
情報501は、
図1に示される印刷システムの登録ユーザの識別情報を含むことができる。印刷システムにおける登録ユーザの考え方は印刷分野において知られており、印刷システムの認証機能内に登録されたユーザから構成される。登録ユーザは、異なる権限、例えば、印刷システム内で印刷、スキャン、又は他の動作を実行する許可を有することができる。すべてのユーザが同じ許可を持つわけではない。
【0041】
また、ユーザID及び許可は、クラウドサービス150とプリントサーバ120との間で共有/同期される。その結果、登録ユーザは、クラウドサービス150及びプリントサーバ120のそれぞれにログインすることができる。さらに、管理者が許可又は登録ユーザを追加/除去するために行った変更は、この同期によってクラウドサービス150及びプリントサーバ120において最新の状態に保たれる。同期は決定されたスケジュールに従って、クラウドサービス150又はプリントサーバ120のいずれかにおけるデータの変化の検出時に、又は任意の他の方法によって実行され得る。
【0042】
登録ユーザの識別に加えて、ユーザの許可(例えば、片面/両面印刷、又はカラー/白黒印刷の能力などの印刷許可)、ユーザの印刷履歴に関する情報(例えば、ユーザによって印刷された量など)、及びコストセンタ情報(特定の印刷又はスキャンの動作に対してユーザによって割り当てられたコストセンタ情報)が、プリントサーバ120とクラウドサービス150との間で同期され得る。
【0043】
図5は、クラウドサービス150上の中央サービス及びユーザアクセス機能505と、プリントサーバ120上の中央サービス及びユーザアクセス機能506(それぞれ、説明の便宜上、単一の中央サービス/ユーザアクセスブロックで示される)とを示す。クラウドサービス150の中央サービス及びプリントサーバ120の中央サービスは、構成情報をクライアントコンピュータ100(後述)のスマートクライアントに提供するように構成され得る。ユーザアクセス機能は、上述した登録ユーザの識別情報及び印刷許可を記憶するデータベースを含む。クライアントコンピュータ100からクラウドサービス150へアクセスするための要求が受信されると、ユーザアクセス機能505は受信されたユーザ名及びパスワード、又は登録ユーザのデータベースに対するトークンなどの他の認証情報をチェックし、ユーザ名及び認証が登録ユーザと一致する場合にのみ、クラウドサービス150のさらなる機能へのアクセスを可能にする。同様に、プリントサーバ120のユーザアクセス機能506は、受信されたユーザ名及びパスワード、又は登録ユーザのデータベースに対するトークンなどの他の認証情報をチェックし、ユーザ名及び認証が登録ユーザと一致する場合にのみプリントサーバ120のさらなる機能へのアクセスを可能にする。
【0044】
図5は、さらに、プリントサーバ120の2つの追加の特徴を示す。一つ目は、拠点AのMFP110にUI(ユーザインタフェース)表示画面を提供するためにプリントサーバ120上に提供されるUIサーバソフトウェア502である。二つ目は、印刷用の印刷ジョブを格納するための印刷キュー503である。また、クラウドサービス150は、UIサーバ機能504も有し、拠点BのMFP110は、クラウドサービス150からのUIページを提供するように構成されている。クラウドサービス150は、印刷用の印刷ジョブを格納するための印刷キュー507をさらに含む。
【0045】
ユーザは、拠点Aに位置している間、「第1の印刷方法」を使用することができる。クライアントコンピュータ100上で作成又は格納された文書を印刷したい場合、クライアント100は、印刷される文書/データに関する印刷データ及び属性情報をプリントサーバ120に送信する。送信された印刷データ及び属性情報は、プリントサーバ120によって印刷ジョブを作成するために使用され、これが次に、プリントサーバ120上の印刷キュー503にスプールされ、格納される。次に、ユーザは、MFP110に拠点Aでログインする。ユーザがMFP110に正常にログインすると、MFP110の機能を使用することができる。MFP110の機能の一つは「印刷」であり、ユーザが「印刷」を選択すると、MFP110は、ログインユーザに属する印刷キュー503に格納されている印刷ジョブのリストをプリントサーバ120に要求する。要求された印刷ジョブのリストは、プリントサーバ120からMFP110に送信され、印刷ジョブのリストはMFP110のディスプレイ画面309に表示される。そして、ユーザはユーザインタフェース305を用いて印刷ジョブを選択し、MFP110は、選択された印刷ジョブを印刷する要求をプリントサーバ120に送信する。プリントサーバ120は、選択された印刷ジョブの印刷データを印刷ジョブキュー503からMFP110に送信し、その後、プリントサーバ120から受信した印刷ジョブデータに基づいて、MFP110のプリンタ部304で印刷が実行される。
【0046】
ユーザは拠点Bに位置している間、「第2の印刷方法」を使用することができる。これは、プリントサーバ120の「機能」がクラウドサービス150に置き換えられる点を除いて、上述したものと同様の処理である。すなわち、クライアントコンピュータ100は、印刷されるべき文書/データに関する印刷データ及び属性情報をクラウドサービス150に送信し、送信された印刷データ及び属性情報は、クラウドサービス150によって印刷ジョブを作成するために使用され、これが次にクラウドサービス150上の印刷キュー507にスプールされ、格納される。MFP110は、ログインユーザに属する印刷キュー507に格納されている印刷ジョブのリストをクラウドサービス150に要求する。要求された印刷ジョブのリストは、MFP110のディスプレイ画面309に表示するために、クラウドサービス150からMFP110に送信される。MFP110は、選択された印刷ジョブを印刷することの要求をクラウドサービス150に送信し、クラウドサービス150はその後、選択された印刷ジョブの印刷データを印刷ジョブキュー507からMFP110に送信し、印刷が実行される。
【0047】
多くの場合、クラウドサービス150は、プリントサーバ120では利用できない多くの印刷依頼方法を提供する。さらに、多くの場合、クラウドサービス150は、ローカルプリントサーバ120よりも多くのソフトウェアアプリケーションとやり取りすることができる。これらの印刷依頼方法は、ドラグ・アンド・ドロップ、ユニバーサルプリント、Chrome拡張、iOS/Androidを含む。しかしながら、オンプレミス予算管理などの機能を使用することができるように、これらの種類のジョブは、プリントサーバ120上の標準ワークフローを通して投入される必要があることが多い。
【0048】
ここで記述する実施形態は、クラウドサービス150の印刷キュー507に現在格納されている印刷データを、その後の印刷のためにプリントサーバ120の印刷キュー503に転送することができる仕組みを提供する。これは、ユーザがクラウドサービス150に印刷ジョブを投入した場合でも、完全な予算管理が実行されることができることを意味する。
【0049】
当業者であれば、
図6~
図8を参照して以下に説明する印刷ワークフローは例示的なものであり、印刷ワークフローは必要に応じて変更することができることを理解するであろう。
【0050】
図6は、クラウドサービス150からプリントサーバ120へのジョブの転送を設定するために管理者が実行するワークフローを示す。
【0051】
ステップS601において、管理者はジョブの転送要求を作成する。ジョブの転送要求は、プリントサーバ120のワークフローの「入力」がクラウドサービス150となるようにワークフローを設定する要求である。このようなワークフローは、ジョブの転送が設定されると、プリントサーバ120とクラウドサービス150の両方に登録されているユーザに対して、クラウドサービス150の印刷キュー507に格納されている印刷ジョブが、クラウドサービス150からプリントサーバ120にダウンロードされることを意味する。ジョブの転送要求の一部として、まだであれば、プリントサーバ120はクラウドサービス150に接続し、必要であれば、プリントサーバ120は、クラウドサービス150と認証する。ステップS602において、プリントサーバ120は、外部ネットワーク160を介してクラウドサービス150にジョブ転送要求を送信する。ステップS603において、クラウドサービス150は、ジョブの転送要求を受け付け可能か否かをチェックする。クラウドサービス150は、他のプリントサーバから同様の要求を受信した場合、要求を拒否することができる。クラウドサービス150が要求を受け付け可能であるとすると、ステップS604において、クラウドサービス150はプリントサーバ120に確認を送信し、ステップS605において、転送要求を転送情報として情報501に登録する。また、ステップS606において、プリントサーバ120は、ジョブの転送の設定が成功したことを転送情報として情報501に登録する。代替実施形態では、ジョブの転送の要求は、ユーザの識別情報、PCL文書又はPDF文書のいずれかを受け入れるかどうか、及び予算管理に関するオプションなどの様々なパラメータの設定を含むことができる。
【0052】
ステップS605及びS606で記憶された転送情報は、特定のユーザのすべてのジョブがプリントサーバ120に転送されることを示してもよいし、特定のユーザの特定のジョブのみが転送されることを示してもよい。また、転送情報は、クラウドサービス150の印刷キュー507に格納されている全てのユーザの全ての印刷ジョブがプリントサーバ120に転送されることを示してもよい。
【0053】
図7は、ジョブが、クラウドサービス150からプリントサーバ120に転送されるときに実行される印刷方法を示すシーケンス図である。説明された配置では、ユーザが最初に拠点Bに位置し、印刷命令をクラウドサービス150に送信する。次いで、ユーザは拠点Aに移動し、プリントサーバ120を使用して文書を印刷する。この配置は、唯一の可能な配置ではない。拠点Aに位置するユーザは、(
図1の破線で示されるように)プリントサーバ120とクラウドサービス150の両方にアクセスすることができ、クライアントコンピュータ100上で実行されるソフトウェアのために、又は印刷される文書の種類のために、クラウドサービス150にそれらの印刷命令を送る必要があり得る。この後者の場合、ユーザは、拠点Aと拠点Bとの間を移動する必要はない。
【0054】
ステップS701において、クライアントコンピュータ100を操作するユーザであって、文書を印刷することを希望するユーザは、データの印刷を指示する。この指示は、クライアントコンピュータ100にインストールされた編集プログラムによって発行することができる。このようなアプリケーションは、ワードプロセッシングアプリケーション、表計算ソフトウェア、画像編集ソフトウェア、及びウェブブラウザを含むが、これらに限定されない。ユーザが印刷することを希望する文書は、クライアントコンピュータ100に記憶されてもよく、又はクライアントコンピュータ100(又はクラウドサービス150)がアクセスできるクラウドベースの記憶システムに記憶されてもよい。
【0055】
クライアントコンピュータ100は、アクセス要求(図示せず)をクラウドサービス150に送信する。アクセス要求は、クラウドサービス150のユーザアクセス機能505によって処理されるユーザ識別及び認証情報を含む。ユーザアクセス機能505は、受信された識別及び認証情報をチェックする。その情報が登録ユーザの情報に対応する場合、アクセス要求は成功する。クライアント100上のユーザアクセスは、ユーザが文書を印刷することを決定する前に実行されてもよい。
【0056】
ユーザアクセス要求が成功した場合、ステップS702において、印刷される文書/データに関する印刷データ及び属性情報がクライアントコンピュータ100からクラウドサービス150に送信される。送信された印刷データ及び属性情報は、クラウドサービス150によって印刷ジョブを作成するために使用され、これは次に、ステップS703において、クラウドサービス150上の印刷キュー507にスプールされ、格納される。属性情報は、印刷を要求したユーザの識別情報、印刷設定に関する情報、例えば、ページ数、部数、白黒又はカラー印刷、両面印刷、用紙/メディアタイプ、用紙サイズ、ステープルオプション、フィニッシングなどの情報を含むことができる。属性情報は、ユーザ及び/又は印刷データに関連する任意の情報を含むことができる。
【0057】
ステップS703は、 印刷データを、クライアント100によってキュー507に送信された汎用PCLファイルフォーマットから、MFP110によって受け入れられる印刷言語にクラウドサービス150によって変換することを含んでもよい。この変換は、クラウドサービスに格納されているデバイス情報ファイル(DIFファイル)によって行われる。
【0058】
ステップS704では、クラウドサービス150の印刷キュー507にスプールされた印刷ジョブをプリントサーバ120に転送する。ステップS704では、クラウドサービスは、ステップS605で保存した転送情報に基づいて、印刷ジョブをプリントサーバ120に自動的に転送するように設定される。例えば、印刷ジョブが印刷キュー507に格納されると、クラウドサービス150は、ステップS605で保存された転送情報を確認し、その転送情報が印刷ジョブをプリントサーバ120に転送することを示す場合、転送を行う。あるいは、クラウドサービス150が、印刷ジョブを印刷キュー507に格納する前に、ステップS605で保存した転送情報を確認してもよい。クラウドサービス150内の印刷キュー507からプリントサーバ120内の印刷キュー503への印刷ジョブの転送のタイミングは転送可能になるとすぐでもよいし、転送される必要があると判断されるとすぐでもよい。また、印刷ジョブは、あるタイミング、例えば、プリントサーバ120がクラウドサービス150に次に接続するタイミングで転送されてもよいし、ある所定の時間隔で転送されるようにスケジュールされてもよい。
【0059】
代替の実施形態では、プリントサーバ120が、クラウドサービス150からの印刷ジョブの転送を要求する責任を負うことができる。この場合、プリントサーバ120は、印刷ジョブが印刷キュー507に格納されているかどうかを判定するために、クラウドサービス150に定期的に問い合わせを送信するように構成されてもよい。プリントサーバ120は、印刷キュー507に印刷ジョブが格納されていることの通知を受けると、プリントサーバ120は、ステップS606で保存された転送情報に基づいて、ジョブの転送を要求する必要があるか否かを判断する。
【0060】
ステップS705において、転送された印刷ジョブは、プリントサーバ120の印刷キュー503に格納される。
【0061】
ステップS703において、クラウドサービス150が印刷データを汎用PCLファイルフォーマットから変換しなかった場合、これは、ステップS705において、プリントサーバ120によって実行され得る。プリントサーバ120は、印刷データを、クライアント100によって送信された汎用PCLファイルフォーマットから、MFP110が受け付ける印刷言語に変換する。この変換は、プリントサーバ120に格納されているデバイス情報ファイル(DIFファイル)によって行われる。
【0062】
クラウドサービス150の印刷キュー507に格納されている印刷ジョブがプリントサーバ120に転送されると、転送された印刷ジョブはクラウドサービス150の印刷キュー507から削除される。つまり、印刷キュー507からプリントサーバ120に転送された印刷ジョブは、印刷キュー507から削除される。
【0063】
ユーザが所望の文書を印刷することを望むとき、ユーザは、最初に拠点Bにいた場合、MFP110が位置する拠点Aに移動する。ユーザは、ステップ706において、例えば非接触カードを用いてMFP110にログインする。これは、MFP110によるプリントサーバ120のユーザアクセス機能506への要求を含んでいる。要求は、非接触カードから取得される、ユーザのユーザアカウントに関連する証明書、番号、又は識別子を含むことができる。非接触カードを使用する代わりに、ユーザは、MFP110で入力されたユーザ名及びパスワードを使用して、又はMFP110がユーザの指紋又は顔の画像などの生体情報を読み取ることによって、MFP110にログインしてもよい。あるいは、モバイルデバイスを使用してログインすることもできる。これは、モバイルデバイスにおいて、ユーザ名及びパスワードを入力すること、又は生体情報(例えば、指紋リーダ)を読み取ることによって達成され得る。代替として、モバイルデバイスはモバイルアプリケーション及びBluetooth(登録商標)リーダを使用することができ、又はユーザはモバイルデバイスを用いてコード(例えば、バーコード又はQRコード)をスキャンすることによってログインすることができる。モバイルデバイスを使用する場合、モバイルデバイス上で実行されるアプリケーションは、ユーザをクラウドサービス150に対して認証し、次いで、クラウドサービス150は、MFP110を使用することをユーザに許可する。他の適切なログインの方法が使用されてもよい。
【0064】
ユーザはMFP110へのログインに成功すると(すなわち、ユーザの認証に成功すると)、ユーザはMFP110の機能を使用することを許可される。MFP110の機能の一つは「印刷」であり、ユーザが「印刷」を選択すると、MFP110は、S707において、ログインユーザに属する印刷キュー503に格納されている印刷ジョブのリストをプリントサーバ120に要求する。このリストは、プリントサーバ120がログインユーザから(クラウドサービス150を介して)印刷ジョブデータと属性情報を受信したことを示す属性情報を有する印刷ジョブの名称を含む。
【0065】
ステップS708において、要求された印刷ジョブリストが、プリントサーバ120からMFP110に送信される。ステップS709において、プリントサーバ120により提供された印刷ジョブリストがMFP110のディスプレイ画面309に表示される。ディスプレイ画面309には、ユーザが印刷したい印刷ジョブを容易に選択できるように、印刷ジョブの名称が表示される。
【0066】
ステップS709において、ユーザはユーザインタフェース305を用いて印刷ジョブを選択し、ステップS710において、MFP110は、選択された印刷ジョブを印刷する要求をプリントサーバ120に送信する。
【0067】
ステップS711において、プリントサーバ120は、選択された印刷ジョブの印刷データを、プリントサーバ120の印刷ジョブキュー503からMFP110に送信する。
【0068】
ステップS703において、クラウドサービス150が印刷データを汎用PCLファイルフォーマットから変換しなかった場合、及びステップS705において、プリントサーバ120が変換を実行しなかった場合、これは今度は、プリントサーバ120によって、ステップS711において実行され得る。プリントサーバ120は、印刷データを、クライアント100が送信した汎用PCLファイルフォーマットから、MFP110が受け付ける印刷言語に変換する。この変換は、プリントサーバ120に格納されているデバイス情報ファイル(DIFファイル)によって行われる。
【0069】
S712では、プリントサーバ120から受信した印刷ジョブデータに基づいて、MFP110のプリンタ部304で印刷が実行される。
【0070】
以上、単一の印刷ジョブについて説明したが、本実施形態はこれに限定されるものではない。ユーザは、クライアントコンピュータ100からクラウドサービス150への複数の文書の印刷を指示することができ、クラウドサービス150は、ユーザのための複数の印刷ジョブを作成し、印刷キュー507に格納する。ジョブは、ステップS605/S606で保存された転送情報に応じて、印刷ジョブキュー507からプリントサーバ120に転送される。典型的には、転送情報は、クラウドサービス150の印刷キュー507に格納されている全てのユーザの全てのジョブがプリントサーバ120の印刷キュー503に転送されることを示す。ステップS709において、ユーザは、MFP110上に表示された印刷ジョブリストから1以上の印刷ジョブを選択することができる。ユーザが複数の印刷ジョブを選択した場合、ステップS710において、MFP110は選択された印刷ジョブのそれぞれを別々に、又はすべて同時に印刷する要求をプリントサーバ120に送信する。
【0071】
ステップS701において、ユーザは文書の印刷を指示することができ、クライアントコンピュータ100は、様々な方法で、様々なソフトウェアパッケージを使用して、印刷データ及び属性情報をクラウドサービス150に送信することができる。言い換えれば、印刷ジョブのソースは、多くの異なるソースに由来する可能性がある。これは、例えば、「スマートクライアント」(後述)を使用するクライアントコンピュータ、「ドラグ・アンド・ドロップ」、クラウドサービス150電子メールアドレスへの電子メールでの提出、Microsoft Universal Printingで構成されたクライアントコンピュータ100、Chromebook/PC Chromeブラウザで構成されたクライアントコンピュータ、モバイルアプリケーションの電子メールでの提出によるファイル又は画像をアップロードすること、iOSアプリケーションで構成されたクライアントコンピュータ、及びAndroidアプリケーションで構成されたクライアントコンピュータ、Universal printからファイル/画像/データをインポートすること、及びGoogle Cloud Printからファイル/画像/データをインポートすることを含むことができる。
【0072】
図7に関連して、ユーザの印刷ジョブがクラウドサービス150からプリントサーバ120に転送され、その後、ユーザはプリントサーバ120と通信するMFP110からユーザの文書を選択し、印刷することが説明された。この種の動作は、一般に「印刷ワークフロー」と呼ばれる。MFP110における印刷ジョブの選択及び印刷は、一般に、印刷ジョブの「リリース」と呼ばれる。
【0073】
本実施形態は、上述したユーザによるMFP110における印刷ワークフロー及び印刷ジョブのリリースに限定されるものではない。印刷ジョブがプリントサーバ120に転送され、印刷キュー503に格納されると、プリントサーバ120は、1以上の様々なワークフローを実行するように構成され得る。例えば、プリントサーバ120は、以下の印刷ワークフローのうちの1以上を実行するように構成され得る:
* 予算管理が印刷ジョブに適用され得る。
* PDF文書/データがPCLデータに変換され得る。
* 印刷ジョブが大きな印刷ファイルである場合、ユーザは印刷ジョブがダウンロードされ、プリンタ/MFPでリリースする準備ができていることを(例えば、電子メールを介して)通知され得る。
* 印刷ジョブのプロパティは、印刷ポリシーに対して照合されることができ、印刷ジョブが印刷ポリシー外にある場合、承認ワークフローが適用される(例えば、両面ではなく片面印刷をする)。
* 印刷ジョブは、ユーザ、印刷ジョブ、又はプリンタの種類に応じて、特定の拠点(学校/大学内など)の別のプリントサーバにルーティングすることができる。例えば、ユーザは、通常、別のローカルプリントサーバ(プリントサーバ120と同様の機能を有する)が位置する別の拠点(拠点C)に位置してもよい。したがって、そのユーザのためのすべてのジョブを、リリースされる印刷ジョブのためにユーザが位置する可能性が最も高い拠点に転送することは理にかなっている。
* 印刷ジョブは、人又はグループ/部門にルーティング及び/又は委任することができる。例えば、大規模な印刷ジョブは、企業又は学校のCRD(中央印刷部門)にルーティングされ、印刷ジョブの見積もりが電子メールを介して送信され、次いで、印刷ジョブが承認され、支払いが行われると印刷される。
* 顧客固有の請求プロセスを適用することができ、これは、例えば、人ごと、部門ごと、拠点ごとなどさまざまであり得る。
* 文書は、複数のプリンタで並行して印刷され得る。この印刷ワークフローは、消防署/警察署が緊急文書を印刷する(おそらくは一般配布用)、食堂メニュー印刷、異なる部署(例えば、放射線科及び心臓病科)で印刷される病院患者データなどに適用可能である。
* 印刷データの操作。例えば、PJL又はPSヘッダーを追加して、デバイス機能をトリガしたり、バナーページを印刷したりする。
* 印刷ジョブの内容を処理する。例えば、レターヘッドの追加、透かしの追加、テキストオーバーレイの追加、固有の番号又はバーコードの追加、DLPマークの追加などが含まれ得る。
例示的な印刷ワークフローの上記のリストは、網羅的ではなく、使用することができる多くの他の印刷ワークフローが存在する。さらに、代替の実施形態では、プリントサーバ120によって実行されるものとして上述したワークフローの一部又は全部は、クラウドサービス150によって実行されてもよい。
【0074】
また、プリントサーバ120は、印刷とは無関係なワークフローを実行するように構成されてもよい。例えば、プリントサーバ120は、(印刷ジョブに基づいて)受信した文書をアーカイブし、また、(印刷ジョブに基づいて)他のローカルシステムにPDFを送信するように構成され得、これは「ホットフォルダ」に送信することが含まれ得る。
【0075】
上述の実施形態で説明したように、クラウドサービス150に送信された印刷ジョブは、その後のリリースのためにプリントサーバ120に自動的に転送される。これは、印刷ジョブが処理のために最初にクラウドサービス150に送信される場合であっても、プリントサーバ120は常に正確な予算管理を実行することができることを意味する。上述したように、クラウドサービスは、プリントサーバ120が利用できない印刷投入の方法を提供することが多い。さらに、多くの場合、クラウドサービス150は、ローカルプリントサーバ120よりも多くのソフトウェアアプリケーションとやり取することができる。このように、本実施形態によれば、ユーザによるクラウドサービス150の利用の利便性を向上させることができ、プリントサーバ120による正確な予算管理が可能となるという、組み合わせた利点を提供する。さらに、上述のように、プリントサーバ120は、1以上の他のプリントワークフロー、又は、印刷に関連しないワークフローさえも実行するように構成されてもよい。
代替実施形態
【0076】
上記では、印刷データは、印刷キュー507に格納するために、クライアントコンピュータ100からクラウドサービス150に送信されると説明したが、これは必須ではない。代替実施形態では、印刷データは、そのソフトウェアの一部として「スマートクライアント」と呼ばれるプログラムを有するクライアントコンピュータ100に記憶され、スプールされてもよい。スマートクライアントは、印刷ジョブのスプール、印刷ジョブの属性情報の記憶、及び印刷ジョブリストのプリンタへの提供などの典型的なプリントサーバタスクを引き継ぐことができる。スマートクライアントは、クライアントコンピュータ100の印刷動作を制御するように構成される。
図8は、本実施形態に係る印刷方法を示すシーケンス図である。
【0077】
図8において、ステップS801及びS806~S813は、それぞれ
図7に関連して説明したステップS701及びS705~S712と本質的に同じである。したがって、これらのステップの説明の繰り返しは避けられ、
図8の
図7とは異なるステップのみが説明される。
【0078】
ステップS802において、印刷データは、クライアントコンピュータ100にスプールされ、クライアントコンピュータソフトウェア内のクライアント印刷キューに格納される。クライアント印刷キューは、クライアントコンピュータ100にインストールされたプリントドライバソフトウェアの一部であってもよく、クライアントコンピュータ100にインストールされたスマートクライアントソフトウェアの一部であってもよい。ステップS803において、クライアントコンピュータ100は、クラウドサービス150にアクセス要求を送信する。アクセス要求は、クラウドサービス150のユーザアクセス機能505によって処理されるユーザ識別及び認証情報を含む。ユーザアクセス機能505は、受信された識別及び認証情報を、ユーザアクセス機能505の同期されたデータベースに記憶された情報と照合する。その情報が登録ユーザの情報に対応する場合、アクセス要求は成功する。ユーザアクセス要求が成功した場合、クライアントコンピュータ110は、クラウドサービス150に印刷ジョブを登録する要求を送信する。この要求には、属性情報(印刷ジョブに関するメタデータ)のみが含まれる。印刷されるコンテンツに関する情報(印刷データ)は、クラウドサービス150には送信されない。
【0079】
ステップS804において、クラウドサービス150は、ステップS605で記憶された転送情報(
図6に関連して説明した)に基づいて、印刷ジョブをプリンタサーバ120に送信するように予め指示されており、クライアントコンピュータ100に印刷ジョブをプリントサーバ120に転送するように指示する。
【0080】
ステップS805において、クライアントの印刷キューにスプールされた印刷ジョブは、クラウドサービス150に転送され、その後、クラウドサービス150からプリントサーバ120に転送される。ステップS806において、転送された印刷ジョブは、プリントサーバ120の印刷キュー503に格納される。クライアントの印刷キューに含まれる転送された印刷ジョブは削除される。
【0081】
ステップS804における転送指示のタイミングや、ステップS805における印刷ジョブの転送のタイミングは、クラウドサービス150がステップS803において印刷ジョブを登録するとすぐであってもよい。また、ステップS804、S805のタイミングは一定の時間隔で行ってもよいし、クライアントコンピュータ100、クラウドサービス150、プリントサーバ120のそれぞれが接続されたときに実行するように設定されてもよい。
【0082】
ステップS805において、印刷ジョブはプリントサーバ120に送信される前に、最初にクラウドサービス150に送信されることが上述された。この場合、印刷ジョブはクラウドサービス150の印刷キュー507に格納されないが、プリントサーバ120に送信される前に、クラウドサービス150の「作業用メモリ」又はバッファに一時的に格納されてもよい。クライアント100がクラウドサービス150に印刷ジョブを送信する(その後、印刷ジョブをプリントサーバ120に送信する)ことが説明されているが、クライアント100は代わりに、印刷ジョブをプリントサーバ120に直接送信してもよい。
【0083】
上述の代替実施形態では、単一の印刷ジョブが説明されているが、この方法は複数の印刷ジョブにも等しく適用可能である。この場合、ステップS805において、複数の印刷ジョブがプリントサーバ120に送信される。
【0084】
上述の代替実施形態は、上述の追加の印刷ワークフロー及び非印刷ワークフローにも等しく適用可能である。
他の実施形態
【0085】
本発明の実施形態は、本発明の上述された1以上の機能を実行するように、記憶媒体(例えば、非一時的なコンピュータ可読記憶媒体)に記録されたコンピュータ実行可能命令を読み出したシステム又は装置のコンピュータによって、実現されることができ、及び、上述された実施形態の1以上の機能を実行するように、記憶媒体からコンピュータ実行可能命令を読み出して実行することによって、システム又は装置のコンピュータによって実行される方法によって実現される。コンピュータは、中央演算装置(CPU)、マイクロ演算装置(MPU)、又は他の回路のうちの1以上を備えてもよく、別個のコンピュータ又は別個のコンピュータプロセッサのネットワークを含んでもよい。コンピュータ実行可能命令は、例えば、ネットワーク又は記憶媒体からコンピュータに提供されてもよい。記憶媒体は、例えば、ハードディスク、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み出し専用メモリ(ROM)、分散コンピューティングシステムの記憶装置、光ディスク(例えば、コンパクトディスク(CD)、デジタル多用途ディスク(DVD)、又はブルーレイディスク(BD)(商標)など)、フラッシュメモリデバイス、メモリカードなどのうちの1以上を含み得る。
【0086】
以上、実施形態を参照して本発明を説明したが、本発明は開示された実施形態に限定されるものではない。
【国際調査報告】