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特表2024-506558過敏性腸症候群およびその他の末梢神経系の疾病の治療のための、末梢制限GABAアロステリック正調節因子
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-14
(54)【発明の名称】過敏性腸症候群およびその他の末梢神経系の疾病の治療のための、末梢制限GABAアロステリック正調節因子
(51)【国際特許分類】
   C07D 487/04 20060101AFI20240206BHJP
   A61P 25/02 20060101ALI20240206BHJP
   A61P 1/00 20060101ALI20240206BHJP
   A61K 31/5517 20060101ALI20240206BHJP
   C07F 7/12 20060101ALI20240206BHJP
【FI】
C07D487/04 153
A61P25/02
A61P1/00
A61K31/5517
C07F7/12 U
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023546485
(86)(22)【出願日】2022-02-01
(85)【翻訳文提出日】2023-08-31
(86)【国際出願番号】 US2022014730
(87)【国際公開番号】W WO2022169758
(87)【国際公開日】2022-08-11
(31)【優先権主張番号】63/144,707
(32)【優先日】2021-02-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.プルロニック
(71)【出願人】
【識別番号】501335771
【氏名又は名称】ザ・ジョンズ・ホプキンス・ユニバーシティ
(71)【出願人】
【識別番号】516386801
【氏名又は名称】リーバー インスティチュート インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】LIEBER INSTITUTE, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100230891
【弁理士】
【氏名又は名称】里見 紗弥子
(72)【発明者】
【氏名】イファン フアン
(72)【発明者】
【氏名】パンカジ ジャイ パリシャ
(72)【発明者】
【氏名】ジェイムズ シー バロウ
(72)【発明者】
【氏名】イングリッド ブシュラー
(72)【発明者】
【氏名】マイケル ポスラスニー
【テーマコード(参考)】
4C050
4C086
4H049
【Fターム(参考)】
4C050AA01
4C050AA07
4C050BB05
4C050CC11
4C050DD10
4C050EE03
4C050FF02
4C050FF03
4C050FF05
4C050GG01
4C050GG02
4C050GG03
4C050GG06
4C050HH01
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086CB11
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA14
4C086ZA20
4C086ZA66
4H049VN01
4H049VP01
4H049VQ02
4H049VQ10
4H049VQ25
4H049VQ60
4H049VR24
4H049VU06
4H049VW01
4H049VW02
(57)【要約】
本開示は、化学物質(例えば、化合物もしくはその薬学的に許容される塩、またはそのN-オキシド)であって、1つまたは複数のGABA-A受容体の陽性アロステリックモジュレーターであって、例えば、1つまたは複数のGABA-A受容体の、末梢制限された陽性アロステリックモジュレーターであって、末梢神経系および身体の器官を選択的に標的化し、ほぼ血液脳関門を通過しないものを特徴とする。化合物は、例えば、身体の全身性疾患、例えば、1つまたは複数の末梢制限GABA-A受容体の調節が有益である疾患(例えば、GABA-A神経細胞活動によって媒介される疾患または障害)の治療に有用である。本開示はまた、本明細書に記載される化学物質を含有する医薬組成物、および身体の全身性疾患の治療のためのその使用方法を特徴とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の化合物:
[化1]式(I)
またはその薬学的に許容される塩であって、ここで
R1a 、R1b 、R1c 、およびR1d は、それぞれ独立して、以下からなる群より選択される、H、ハロ、C1-6アルキル、C1-6 ハロアルキル、C2-6アルケニル、C2-6 アルキニル、ニトロ、シアノ、C1-6アルコキシ、C1-6 ハロアルコキシ、C1-6チオアルコキシ、C1-6 ハロチオアルコキシ、S(O)2(C1-6 アルキル)、S(=O)(=NH)C1-6アルキル、Si(C1-6 アルキル)3 、C3-6 シクロアルキル、C6-10 アリール、NR R67 、C(O)R6 、およびC(O)NR R 、
ここで、C3-6 シクロアルキルおよびC6-10アリールは、それぞれ独立して、ハロ、シアノ、C1-6 アルキル、およびC1-6 ハロアルキルからなる群から選択される1~4個の置換基で任意選択的に置換されている
R2 の各出現は、以下からなる群から独立して選択される:7ハロ、C1-6 アルキル、C1-6 ハロアルキル、C2-6アルケニル、C2-6 アルキニル、NO2、シアノ、C1-6 アルコキシ、C1-6ハロアルコキシ、SO2 (C1-6 アルキル)、S(=O)(=NH)C1-6アルキル、C3-6 シクロアルキル、NR R67 、C(O)R6 、およびC(O)NR6R
mは0、1、2、3、4、または5である
R3a と R3b の一方は X であり、R3a と R3b の他方は R である;Xは、以下からなる群より選択される:CO2 H、-CH(RX )CO2 H、-C(O)Y、-CH(RX )C(O)Y、-S(O)2 Y、-CH(RX )S(O)2 Y、-(C1-3 アルキレン)-N+ (C1-3 アルキル)3 、-P(=O)(OH)2 、-SO3 H、
[化2]
およびC(O)グルクロン酸
XA およびXB は、独立して、O、S、N(H)、またはN(C1-3 アルキル)である
RX からなる群から選択される:H、C1-6 アルキル、-OH、および-NR R67
Yは、以下からなる群から選択される
(i)-NR R67
(ii)-NR -CH8 2 CH2 O-(-CH2 CH2 O-)n -Y4 、ここでnは0~20の整数である,および
(iii)-NR8 -Y2 -Y3
Y2 はC2-6 アルキレンである
Y3 は、以下からなる群から選択される
NR R67; -NR9 S(O)2 NR R910 ; -S(O) R2 6 ; -S(=O)R6(=NR8 );および-P(=O)(C1-3 アルキル) からなる群から選択される;
Y4 、HまたはC1-6 アルキルである;
R3 からなる群から選択される:
H;ハロ;シアノ;C1-6アルキル;C1-6 ハロアルキル;C2-6アルケニル;C2-6 アルキニル;C1-6アルコキシ;C1-6 ハロアルコキシ;-NR ・R67 ;-C(O)NR ・R67 ;-CH2 ・NR ・R67 ;C3-6 シクロアルキル;C6-10 アリール;および5~6個の環原子を含むヘテロアリールであって、ここで1~4個の環原子は、それぞれ独立して、以下からなる群より選択されるヘテロ原子である:N、N(R8 )、O、およびSからなる群よりそれぞれ独立に選択される
R4 および R5 は、以下からなる群から独立して選択される:H、C1-6 アルキル、-OH、および-NR R67または
R4 およびR5 は、それぞれが結合している炭素原子と一緒になって、C3-6 シクロアルキルを形成する
R6 および R7の各出現は、独立して、以下からなる群より選択される:H、C1-6 アルキル、C1-6 ハロアルキル、C3-6シクロアルキル、フェニル、-(C1-4 アルキレン)-フェニル、C(=O)R9 、C(=O)OR9 、およびC(=O)NR R910または
同じ窒素原子上のR6 およびR7の対が、それらを接続する前記窒素原子と一緒になって、4~8個の環原子を含む飽和、部分不飽和、または芳香族環を形成し、ここで、0~2個の環原子(R6 およびR7 を接続する窒素原子に加えて)は、それぞれ独立して、以下からなる群から選択される環ヘテロ原子であるN、N(R8 )、O、およびSからなる群よりそれぞれ独立に選択される
R8の各出現は、以下からなる群から独立して選択される:H、C1-6 アルキル、-C(=O)R9、-C(=O)OR9、および-C(=O)NR R
R9 およびR10 の各出現は、HまたはC1-6アルキルでありそして、
Z は N または[化3]である。
【請求項2】
R3a がXであり;そしてR3b がR3 である、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
3a およびR3 ;およびR3b がXである、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
R1a 、R1b 、R1c 、およびR1d のうちの1~2個が、H以外の独立して選択される置換基である、請求項1~3のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項5】
R1a 、R1b 、R1c 、およびR1d のうちの1つが、以下からなる群より選択される、請求項1~4のいずれか1項に記載の化合物:ハロ、C1-6 アルキル、C1-6 ハロアルキル、C2-6アルケニル、C2-6 アルキニル、ニトロ、シアノ、C1-6アルコキシ、C1-6 ハロアルコキシ、C1-6チオアルコキシ、C1-6 ハロチオアルコキシ、S(O)2 (C1-6 アルキル)、S(=O)(=NH)C1-6 アルキル、Si(C1-6 アルキル)3 、C3-6 シクロアルキル、C6-10 アリール、NR R67 、C(O)R6 、およびC(O)NR R67、ここで、C3-6 シクロアルキルおよびC6-10アリールは、それぞれ独立して、以下からなる群より選択される1~4個の置換基で任意に置換されている:ハロ、シアノ、C1-6 アルキル、およびC1-6 ハロアルキルならびに
R1a、R1b 、R1c 、R1d の他の3つはHである。
【請求項6】
R1a 、R1b 、R1c 、およびR1d のうちの1つが、以下からなる群より選択される、請求項1~5のいずれか1項に記載の化合物:ハロ、C1-6 アルキル、C1-6 ハロアルキル、C2-6アルケニル、C2-6 アルキニル、C1-6アルコキシ、C1-6 ハロアルコキシ、C1-6チオアルコキシ、C1-6 ハロチオアルコキシ、S(O)2 (C1-6 アルキル)、S(=O)(=NH)C1-6 アルキル、Si(C1-6 アルキル)3 、C3-6 シクロアルキル、およびC6-10 アリールであり、ここで、C3-6 シクロアルキルおよびC6-10アリールは、それぞれ独立して、以下からなる群から選択される1~4個の置換基で任意選択的に置換されている、ハロ、シアノ、C1-6 アルキル、およびC1-6ハロアルキル;ならびに
R1a、R1b 、R1c 、R1d の他の3つはHである。
【請求項7】
R1a 、R1b 、R1c 、およびR1d のうちの1つがハロ、例えば-ClでありそしてR1a 、R1b 、R1c 、およびR1d のうちの他の3つがHである、請求項1~6のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項8】
R1c が、以下からなる群より選択される、請求項1~5のいずれか1項に記載の化合物:ハロ、C1-6アルキル、C1-6 ハロアルキル、C2-6アルケニル、C2-6 アルキニル、ニトロ、シアノ、C1-6アルコキシ、C1-6 ハロアルコキシ、C1-6チオアルコキシ、C1-6 ハロチオアルコキシ、S(O)2 (C1-6 アルキル)、S(=O)(=NH)C1-6 アルキル、Si(C1-6 アルキル)3 、C3-6 シクロアルキル、C6-10 アリール、NR R67 、C(O)R6 、およびC(O)NR R67、ここで、C3-6 シクロアルキルおよびC6-10アリールは、それぞれ独立して、以下からなる群より選択される1~4個の置換基で任意に置換されているハロ、シアノ、C1-6 アルキル、およびC1-6 ハロアルキルならびにR1a 、R1b 、およびR1d はHである。
【請求項9】
R1c が、以下からなる群より選択される、請求項1~6または8のいずれか1項に記載の化合物:ハロ、C1-6アルキル、C1-6 ハロアルキル、C2-6アルケニル、C2-6 アルキニル、C1-6アルコキシ、C1-6 ハロアルコキシ、C1-6チオアルコキシ、C1-6 ハロチオアルコキシ、S(O)2 (C1-6 アルキル)、S(=O)(=NH)C1-6 アルキル、Si(C1-6 アルキル)3 、C3-6 シクロアルキル、C6-10 アリールであり、ここでC3-6 シクロアルキルおよびC6-10アリールは、それぞれ独立して、以下からなる群より選択される1~4個の置換基で任意に置換されているハロ、シアノ、C1-6 アルキル、およびC1-6 ハロアルキルならびにR1a 、R1b 、およびR1d はHである。
【請求項10】
R1c がハロ、例えば-Clであり、そしてR1a 、R1b 、およびR1d がHである、請求項1~9のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項11】
mが1または2である、請求項1~10のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項12】
mが1である、請求項1~11のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項13】
であり、m1が0または1である、請求項1~11のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項14】
m1が0である、請求項13に記載の化合物。
【請求項15】
m1が1である、請求項13に記載の化合物。
【請求項16】
[化4]がまたは[化5]である、請求項1~11、13または15のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項17】
各R2 、ハロ、C1-6 アルキル、C1-6ハロアルキル、C2-6 アルケニル、C2-6アルキニル、NO2 、シアノ、C1-6アルコキシ、C1-6 ハロアルコキシ、SO2(C1-6 アルキル)、およびC3-6シクロアルキルからなる群より独立して選択される、請求項1~16のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項18】
各R2 、ハロ、C1-6 アルキル、C1-6ハロアルキル、シアノ、C1-6 アルコキシ、およびC1-6ハロアルコキシからなる群より独立して選択される、請求項1~17のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項19】
各R2独立して選択されるハロ、例えば-F、-Cl、または-Brである、請求項1~18のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項20】
R4 およびR5 の各々がHである、請求項1~19のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項21】
R4 およびR5 の一方がC1-6 アルキルであり、そしてR4 およびR5 の他方がHである、請求項1~19のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項22】
R4 およびR5 の一方が-OHであり、R4 およびR5 の他方がHである、請求項1~19のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項23】
Xが、-CO2 Hまたは-CH(RX )CO2 Hである、請求項1~22のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項24】
Xが-CO2 Hである、請求項1~23のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項25】
Xが-C(O)Yまたは-CH(RX )C(O)Yである、請求項1~22のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項26】
Xが-C(O)Yである、請求項1~22または25のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項27】
Yが-NR R67 例えばYがNH2 、NH(C1-3アルキル)、またはN(C1-3アルキル)2 である、請求項1~22または25~26のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項28】
Yが-NR8-Y2 -Y3 である、請求項1~22または25~26のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項29】
Yが-N(H)-Y2 -Y3 である、請求項1~22、25~26または28のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項30】
Y2 が、-CH2 CH2 -または-CH2CH2 CH2 -などの直鎖C2-4アルキレンである、請求項1~22、25~26、または28~29のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項31】
Y3 がNR R67 例えばNHC(=O)NR R910 、例えばNHC(=O)NH2 である請求項1~22、25~26、または28~30のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項32】
Y3 が-NR9 S(O)2 NR R910 例えば-NHS(O)2 NH2 である、請求項1~22、25~26、または28~30のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項33】
R3 、Hである、請求項1~32のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項34】
R3 、-Clまたは-Brなどのハロである、請求項1~32のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項35】
R3 、C1-6 アルキルまたはC1-6 ハロアルキルであり、例えば、R3 、メチルなどのC1-3 アルキルである、請求項1~32のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項36】
請求項1に記載の化合物であって、ここで
R1a、R1b 、R1c 、およびR1d のうちの1つは、以下からなる群より選択される、ハロ、C1-6アルキル、C1-6 ハロアルキル、C2-6アルケニル、C2-6 アルキニル、ニトロ、シアノ、C1-6アルコキシ、C1-6 ハロアルコキシ、C1-6チオアルコキシ、C1-6 ハロチオアルコキシ、S(O)2(C1-6 アルキル)、S(=O)(=NH)C1-6アルキル、Si(C1-6 アルキル)3 、C3-6 シクロアルキル、C6-10 アリール、NR R67 、C(O)R6 、およびC(O)NR R67、ここで、C3-6 シクロアルキルおよびC6-10アリールは、それぞれ独立して、以下からなる群より選択される1~4個の置換基で任意に置換されている:ハロ、シアノ、C1-6 アルキル、およびC1-6 ハロアルキル
●R1a、R1b 、R1c 、R1d の他の3つはHである
●mは1か2である
●各R2 は、ハロ、C1-6 アルキル、C1-6 ハロアルキル、C2-6アルケニル、C2-6 アルキニル、NO2、シアノ、C1-6 アルコキシ、C1-6ハロアルコキシ、SO2 (C1-6 アルキル)、およびC3-6シクロアルキルからなる群より独立して選択される;
●R3a はXであり、そして
●R3b は R 3
【請求項37】
請求項1に記載の化合物であって、ここで
R1a、R1b 、R1c 、およびR1d のうちの1つは、以下からなる群より選択される、ハロ、C1-6アルキル、C1-6 ハロアルキル、C2-6アルケニル、C2-6 アルキニル、C1-6アルコキシ、C1-6 ハロアルコキシ、C1-6チオアルコキシ、C1-6 ハロチオアルコキシ、S(O)2 (C1-6 アルキル)、S(=O)(=NH)C1-6 アルキル、Si(C1-6 アルキル)3 、C3-6 シクロアルキル、およびC6-10 アリールであり、ここで、C3-6 シクロアルキルおよびC6-10アリールは、それぞれ独立して、以下からなる群から選択される1~4個の置換基で任意選択的に置換されている:ハロ、シアノ、C1-6 アルキル、およびC1-6 ハロアルキル
●R1a、R1b 、R1c 、R1d の他の3つはHである
●mは1か2である
●各R2 は、独立して、ハロ、C1-6 アルキル、C1-6 ハロアルキル、シアノ、C1-6アルコキシ、およびC1-6 ハロアルコキシからなる群から選択される
●R3a はXであり;そして
●R3b は R3
【請求項38】
請求項1に記載の化合物であって、ここで
●R1a、R1b 、R1c 、およびR1d のうちの1つは、-Clなどのハロである
●R1a、R1b 、R1c 、R1d の他の3つはHである
●mは1か2である
●各R2 、独立して選択されたハロ、例えば-F、-Cl、-Brである
●R3a はXであり、そして
●R3b は R3
【請求項39】
R1c が、以下からなる群より選択される、請求項36に記載の化合物、ハロ、C1-6 アルキル、C1-6 ハロアルキル、C2-6アルケニル、C2-6 アルキニル、ニトロ、シアノ、C1-6アルコキシ、C1-6 ハロアルコキシ、C1-6チオアルコキシ、C1-6 ハロチオアルコキシ、S(O)2 (C1-6 アルキル)、S(=O)(=NH)C1-6 アルキル、Si(C1-6 アルキル)3 、C3-6 シクロアルキル、C6-10 アリール、NR R67 、C(O)R6 、およびC(O)NR R67、ここで、C3-6 シクロアルキルおよびC6-10アリールは、それぞれ独立して、以下からなる群より選択される1~4個の置換基で任意に置換されているハロ、シアノ、C1-6 アルキル、およびC1-6 ハロアルキル。
【請求項40】
R1c が、以下からなる群より選択される、請求項37に記載の化合物:ハロ、C1-6 アルキル、C1-6 ハロアルキル、C2-6アルケニル、C2-6 アルキニル、C1-6アルコキシ、C1-6 ハロアルコキシ、C1-6チオアルコキシ、C1-6 ハロチオアルコキシ、S(O)2 (C1-6 アルキル)、S(=O)(=NH)C1-6 アルキル、Si(C1-6 アルキル)3 、C3-6 シクロアルキル、およびC6-10 アリールであり、ここで、C3-6 シクロアルキルおよびC6-10アリールは、それぞれ独立して、以下からなる群から選択される1~4個の置換基で任意選択的に置換されている、ハロ、シアノ、C1-6 アルキル、およびC1-6 ハロアルキル。
【請求項41】
R1c 、-Clなどのハロである、請求項38に記載の化合物。
【請求項42】
[化6] が 、[化7]または[化8]である、請求項36~41のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項43】
R3 がHである、請求項36~42のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項44】
R3 、ハロまたはC1-3 アルキルである、請求項36~42のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項45】
R4 およびR5 がそれぞれHである、請求項36~44のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項46】
Xが-CO2 Hである、請求項36~45のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項47】
Xが、-C(O)N(H)-Y2 -Y3 、例えば-C(O)N(H)CH2 CH2 -Y3 である、請求項36~45のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項48】
ZがNである、請求項1~47のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項49】
化合物が式(Ia)の化合物である、請求項1に記載の化合物。
[化9]式(Ia)、
またはその薬学的に許容される塩であって、ここで
R1c は、以下からなる群から選択されるハロ、C1-6アルキル、C1-6 ハロアルキル、C2-6アルケニル、C2-6 アルキニル、C1-6アルコキシ、C1-6 ハロアルコキシ、C1-6チオアルコキシ、C1-6 ハロチオアルコキシ、S(O)2 (C1-6 アルキル)、S(=O)(=NH)C1-6 アルキル、Si(C1-6 アルキル)3 、C3-6 シクロアルキル、およびC6-10 アリールであり、ここで、C3-6 シクロアルキルおよびC6-10アリールは、それぞれ独立して、以下からなる群から選択される1~4個の置換基で任意選択的に置換されているハロ、シアノ、C1-6 アルキル、およびC1-6 ハロアルキル、
m1は0または1である
各R2 は、独立して、ハロ、C1-6 アルキル、C1-6 ハロアルキル、C2-6アルケニル、C2-6 アルキニル、NO2、シアノ、C1-6 アルコキシ、C1-6ハロアルコキシ、SO2 (C1-6アルキル)、およびC3-6 シクロアルキルからなる群より選択される。
ならびにR3 は、H、ハロ、またはC1-3 アルキルである。
【請求項50】
R1c がハロである、請求項49に記載の化合物。
【請求項51】
R3 がHである、請求項49または50に記載の化合物。
【請求項52】
R3がハロである、請求項49または50に記載の化合物。
【請求項53】
m1が0である、請求項49~52のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項54】
m1が1である、請求項49~53のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項55】
各R2 、独立して選択されるハロである、請求項49~54のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項56】
化合物が、表C1の化合物またはその薬学的に許容される塩からなる群から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項57】
請求項1~56のいずれか1項に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩、および薬学的に許容される担体を含む医薬組成物。
【請求項58】
それを必要とする対象において、脳および中枢神経系以外の組織および器官におけるGABA-A受容体を正に調節する方法であって、治療有効量の請求項1~56のいずれか1項に記載の化合物または請求項57に記載の医薬組成物を対象に投与することを含む方法。
【請求項59】
内臓痛を治療または予防する方法であって、治療有効量の請求項1~56のいずれか1項に記載の化合物または請求項57に記載の医薬組成物を被験体に投与することを含む、内臓痛を治療または予防する方法。
【請求項60】
治療有効量の請求項1~56のいずれか1項に記載の化合物または請求項57に記載の医薬組成物を被験体に投与することを含む、それを必要とする被験体において腸の運動性を調節する方法。
【請求項61】
過敏性腸症候群を治療する方法であって、治療有効量の請求項1~56のいずれか1項に記載の化合物または請求項57に記載の医薬組成物を対象に投与することを含む、過敏性腸症候群を治療する方法。
【請求項62】
機能性腹痛、機能性特発性下痢、炎症性腸疾患、薬物誘発性疼痛、胆汁酸塩吸収不良、またはラクターゼもしくは他の炭水化物不耐性を、それを必要とする対象において治療する方法であって、治療有効量の請求項1~56のいずれか1項に記載の化合物または請求項57に記載の医薬組成物を対象に投与することを含む方法。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本出願は、2021年2月2日に出願された米国仮出願第63/144,707号の利益を主張するものであり、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【技術分野】
【0002】
本開示は、1つ以上のGABA-A受容体の陽性アロステリックモジュレーターであり、例えば、末梢に制限された、1つ以上のGABA-A受容体の陽性アロステリックモジュレーターである、化学的実体(例えば、化合物もしくはその薬学的に許容される塩、またはそのN-オキシド)を特徴とする。例えば、1つまたは複数のGABA-A受容体の陽性アロステリックモジュレーターであり、末梢神経系および身体の器官を選択的に標的とし、実質的に血液脳関門を通過しないもの。前記化合物は、例えば、身体の全身性疾患、例えば、1つ以上の末梢に制限されたGABA-A受容体の調節が有益である疾患(例えば、GABA-A神経細胞活性によって媒介される疾患または障害、例えば、内臓痛、腸運動、過敏性腸症候群、機能性腹痛、機能性特発性下痢、炎症性腸疾患(例えば、クローン病)、薬物誘発性疼痛、胆汁酸塩吸収不全、ラクターゼまたは他の炭水化物不耐症、間質性膀胱炎、慢性膵炎、機能性ディスペプシア、月経困難症、触覚過敏、触覚機能障害、体性痛、喘息、糖尿病、不安、社会障害、自閉症スペクトラム障害、レット症候群、フェラン・マクダーミド症候群、または脆弱X症候群)。いくつかの実施形態において、本明細書に記載される化学的実体は、例えば、過敏性腸症候群などの疾患の治療に有用である。本開示はまた、本明細書に記載される化学的実体を含む医薬組成物、ならびに本明細書に記載される化学的実体の有効量を投与することを含む、身体の全身性疾患(例えば、過敏性腸症候群)の処置のための方法を特徴とする。
【背景技術】
【0003】
過敏性腸症候群(IBS)は、他の構造的または炎症性の原因がなく、便通の変化に伴う断続的な腹痛によって臨床的に定義される疾患である。支配的な腸のパターンに基づいて、IBS患者は臨床的に3つのカテゴリーに表現型分類される。IBS-D(下痢優位)、IBS-C(便秘優位)、IBS-M(下痢と便秘の混合型または交互型)である。IBSは、ほとんどの先進国で有病率が6~20%と推定される非常に一般的な疾患であり、QOLの著しい低下と毎年数十億ドルと推定される社会経済的コストを伴う。残念ながら、患者にとって利用可能な治療選択肢は少なく、分泌促進薬でありIBS-Cの対症療法にのみ適応がある2つの薬剤(ルビプロストンとリナクロチド)が承認されているのみである。現在承認されているエルキサドリンなどのIBS-D治療用の処方薬も、腹痛に対する効果が実証されていない対症療法に過ぎず、重篤な膵炎を引き起こす危険性がある。
【0004】
IBS-Dの病態は(他のIBSと同様に)まだよくわかっていないが、ニューロンの興奮性亢進と関連していると考えられており、外在神経(脊髄神経)と内在神経(腸神経)の両方に影響を及ぼし、それぞれ慢性的な内臓知覚過敏と運動性の変化につながる。対照群と比較して、IBS患者はベースラインでも食後でも大腸筋電気活動の亢進を示す。したがって、このような興奮性の抑制は論理的な治療目標である。IBSの治療に対する薬理学的アプローチのほとんどは、粘膜に存在する化学的・機械的感受性の腸クロム親和細胞から放出されるセロトニン(5-HT)の役割に焦点を当てており、このセロトニンは、腸神経系(ENS)の固有一次求心性ニューロン(IPAN)と同様に侵害受容性神経を活性化し、運動と分泌の反射を開始させる。残念ながら、5-HT受容体モジュレーター(テガセロドやアロセトロンなど)の効果はわずかであり、重大な副作用を伴うため、一般市場からは撤退している。そのため、別のアプローチが非常に必要とされている。
【0005】
γアミノ酪酸(GABA)は中枢神経系(CNS)において最も重要な抑制性神経伝達物質の一つである。神経細胞のGABA受容体が活性化されると、神経細胞の興奮性が過分極され、安定化する。GABA作動性ニューロンは腸神経系にも多く存在し、GABA-A(強心性)受容体とGABA-B(代謝性)受容体の両方が腸に存在し、それぞれ異なる機能的作用を媒介する。GABA-B受容体作動薬はIBSの治療薬として研究されている。
【0006】
IBSにおけるジアゼパムなどの脳内GABA-A調節ベンゾジアゼピンの治療効果は、主にIBSにしばしば伴う不安の緩和からもたらされると考えられている。しかし、脳内浸透性ベンゾジアゼピン(またはその他の脳内浸透性化合物)の使用は、鎮静作用と、慢性的な使用による中毒や身体依存の可能性の両方から、臨床的に問題がある。トフィソパムとその異性体であるデキストフィソパムについては、IBSの治療薬として現在研究中である。これらの分子は非定型ベンゾジアゼピンに分類され、中枢神経系に入り、その作用を媒介すると思われる中枢神経系内の新規結合部位に結合する。
【0007】
BA-A受容体陽性アロステリックモジュレーターは、これまでIBSではなく、不安、不眠、てんかんのような中枢神経系疾患に用いられてきた。WO 2015/200766は、1つ以上のGABA-A受容体の陽性アロステリックモジュレーターを開示しており、末梢神経系および身体の器官を選択的に標的とし、血液脳関門を実質的に通過しない。
【0008】
WO 2020/198275は、血液脳関門透過性を低下させた末梢制限ベンゾジアゼピンを開示している。
【0009】
本開示は、1つ以上のGABA-A受容体の陽性アロステリックモジュレーターであり、例えば、末梢に制限された、1つ以上のGABA-A受容体の陽性アロステリックモジュレーターである、化学的実体(例えば、化合物もしくはその薬学的に許容される塩、またはそのN-オキシド)を特徴とする。例えば、1つまたは複数のGABA-A受容体の陽性アロステリックモジュレーターであり、末梢神経系および身体の器官を選択的に標的とし、実質的に血液脳関門を通過しないもの。 前記化合物は、例えば、身体の全身性疾患、例えば、1つ以上の末梢に制限されたGABA-A受容体の調節が有益である疾患(例えば、GABA-A神経細胞活性によって媒介される疾患または障害、例えば、内臓痛、腸運動、過敏性腸症候群(例えば、クローン病)、機能性腹痛、機能性特発性下痢、炎症性腸疾患、薬物誘発性疼痛、胆汁酸塩吸収不良、ラクターゼまたは他の炭水化物不耐症、間質性膀胱炎、慢性膵炎、機能性ディスペプシア、月経困難症、触覚過敏、触覚機能障害、体性痛、喘息、糖尿病、不安、社会障害、自閉症スペクトラム障害、レット症候群、フェラン・マクダーミド症候群、または脆弱X症候群)。いくつかの実施形態において、本明細書に記載される化学的実体は、例えば、過敏性腸症候群などの疾患の治療に有用である。本開示はまた、本明細書に記載される化学的実体を含む医薬組成物、ならびに本明細書に記載される化学的実体の有効量を投与することを含む、身体の全身性疾患(例えば、過敏性腸症候群)の処置のための方法を特徴とする。
【0010】
ある態様において、本開示は、脳および中枢神経系以外に存在する生体のGABA作動性ニューロンに末梢的に制限されるGABA-A受容体陽性アロステリックモジュレーターである化合物を提供する。
【0011】
したがって、本明細書で提供されるのは、式(I)の化合物である。
【0012】
[化1]
【0013】
ここで、R1a、R1b 、R1c、R1d 、m、R2 、R3a 、R3b 、R4 、R5 、およびZは、本明細書の任意の場所で定義することができる。
【0014】
別の態様において、本開示は、本明細書のどこにでも記載される式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩、および薬学的に許容される担体を含む医薬組成物を提供する。
【0015】
別の態様において、本開示は、脳以外の組織および器官におけるGABA-A受容体の正の調節のための、本明細書に記載の化合物の方法および使用を提供する。いくつかの実施形態において、前記方法はインビトロで実施することができる。いくつかの実施形態において、前記方法はインビボで実施することができる。従って、いくつかの実施形態において、本明細書で提供されるのは、それを必要とする対象において、脳および中枢神経系以外の組織および器官におけるGABA-A受容体を正に調節する方法であって、治療有効量の式(I)の化合物、もしくはその薬学的に許容される塩、または本明細書のどこかに記載されるような医薬組成物を対象に投与することを含む方法である。
【0016】
別の態様において、本開示は、記載される治療有効量の末梢制限GABA-A受容体陽性アロステリックモジュレーターを投与することを含む、対象において、内臓痛を治療または予防(例えば、治療)し、過敏性腸症候群(例えば、クローン病)などの腸の運動性を調節する方法を提供する。したがって、いくつかの実施形態において、本明細書で提供されるのは、それを必要とする対象において内臓痛を処置または予防(例えば、処置)する方法であって、治療有効量の式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、または本明細書のどこかに記載されるような医薬組成物を対象に投与することを含む方法である。いくつかの実施形態において、本明細書において提供されるのは、それを必要とする被験体において腸の運動性を調節する方法であって、治療有効量の式(I)の化合物、もしくはその薬学的に許容される塩、または本明細書の任意の場所に記載される薬学的組成物を被験体に投与することを含む、方法である。
【0017】
別の態様において、本開示は、それを必要とする対象において過敏性腸症候群を処置する方法であって、治療有効量の式(I)の化合物、もしくはその薬学的に許容される塩、または本明細書のどこかに記載されるような医薬組成物を対象に投与することを含む方法を提供する。
【0018】
別の態様において、本開示は、機能性腹痛、機能性特発性下痢、炎症性腸疾患、薬物誘発性疼痛、胆汁酸塩吸収不良、ラクターゼまたは他の炭水化物不耐症、間質性膀胱炎、慢性膵炎、機能性ディスペプシア、月経困難症、触覚過敏、触覚機能障害、体性疼痛を治療する方法を提供する、喘息、糖尿病、不安、社会性障害、自閉症スペクトラム障害、レット症候群、フェラン・マクダーミド症候群、または脆弱X症候群を必要とする被験体において、治療有効量の式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、または本明細書の任意の箇所に記載される医薬組成物を被験体に投与することを含む。
【0019】
別の態様において、本開示は、脳および中枢神経系以外の組織および器官における神経細胞の興奮性を抑制するための方法を提供し、この方法は、そのような抑制を必要とする対象に、本明細書のどこかに開示される化学的実体(例えば、式(I)の化合物もしくはその薬学的に許容される塩、またはそのN-オキシド)の治療有効量を投与することを含む。
【0020】
別の態様において、本開示は、本明細書に開示されるような、脳以外の組織および器官におけるGABA-A受容体の正の調節のための化合物と、少なくとも1つの追加の治療薬とを含む組成物を提供する。
【0021】
別の態様において、本開示は、脳以外の組織および器官におけるGABA-A受容体の正の調節のための、本明細書に開示される化合物、および少なくとも1つの追加の治療剤を含む組成物の方法および使用を提供する。
【0022】
本開示は、1つ以上のGABA-A受容体の陽性アロステリックモジュレーターであり、例えば、末梢に制限された、1つ以上のGABA-A受容体の陽性アロステリックモジュレーターである、化学的実体(例えば、化合物もしくはその薬学的に許容される塩、またはそのN-オキシド)を特徴とする。例えば、1つまたは複数のGABA-A受容体の陽性アロステリックモジュレーターであり、末梢神経系および身体の器官を選択的に標的とし、実質的に血液脳関門を通過しないもの。前記化合物は、例えば、身体の全身性疾患、例えば、1つ以上の末梢に制限されたGABA-A受容体の調節が有益である疾患(例えば、GABA-A神経細胞活性によって媒介される疾患または障害、例えば、内臓痛、腸運動、過敏性腸症候群、機能性腹痛、機能性特発性下痢、炎症性腸疾患(例えば、クローン病)、薬物誘発性疼痛、胆汁酸塩吸収不全、ラクターゼまたは他の炭水化物不耐症、間質性膀胱炎、慢性膵炎、機能性ディスペプシア、月経困難症、触覚過敏、触覚機能障害、体性痛、喘息、糖尿病、不安、社会障害、自閉症スペクトラム障害、レット症候群、フェラン・マクダーミド症候群、または脆弱X症候群)。いくつかの実施形態において、本明細書に記載される化学的実体は、例えば、過敏性腸症候群などの疾患の治療に有用である。本開示はまた、本明細書に記載される化学的実体を含む医薬組成物、ならびに本明細書に記載される化学的実体の有効量を投与することを含む、身体の全身性疾患(例えば、過敏性腸症候群)の処置のための方法を特徴とする。
【0023】
以上に要約された本開示は、以下の説明を参照することにより、より良く理解され得る。本開示の一実施態様を実施できるように以下に示す1つまたは複数の実施態様のこの説明は、好ましい実施態様を限定することを意図するものではなく、その特定の例として役立つものである。当業者は、本開示の同じ目的を実施するための他の方法およびシステムを修正または設計するための基礎として、開示された着想および特定の実施形態を容易に使用することができることを理解すべきである。当業者はまた、そのような等価なアセンブリが、最も広い形態の本開示の精神および範囲から逸脱しないことを理解すべきである。
【0024】
概要
一態様において、本開示は、GABA調節の通常のCNS副作用を伴わずに、腸神経系におけるGABA-A受容体を正に調節することによる、内臓痛の治療およびIBSによって引き起こされるような被験体における腸運動調節のための方法を提供する。本明細書に記載の方法は、IBSに限らず、他の疾患によって引き起こされる内臓痛の治療に有効であることが企図される。本発明方法によって治療できる非IBS関連疾患の例としては、機能性腹痛、機能性特発性下痢、クローン病などの炎症性腸疾患、薬剤誘発性疼痛、胆汁酸塩吸収不良、ラクターゼまたは他の炭水化物不耐症、間質性膀胱炎、慢性膵炎、機能性ディスペプシア、月経困難症、触覚過敏、体性痛、喘息、糖尿病などが挙げられる。
【0025】
別の態様において、本開示は、それを必要とする対象における触覚機能障害、不安、または社会的障害の処置のための方法を提供し、この方法は、本明細書のどこかに開示される化学的実体(例えば、式(I)の化合物もしくはその薬学的に許容される塩、またはそのN-オキシド)を対象に投与することを含む。いくつかの実施形態において、対象は、自閉症スペクトラム障害、レット症候群、フェラン・マクダーミド症候群、または脆弱X症候群と診断される。
【0026】
別の態様において、本開示は、脳および中枢神経系以外の組織および器官における神経細胞の興奮性を抑制するための方法を提供し、この方法は、そのような抑制を必要とする被験体に、治療有効量の末梢性制限GABA-A受容体陽性アロステリックモジュレーターを投与することを含み、ここで、末梢性制限GABA-A受容体陽性アロステリックモジュレーターは、本明細書のどこかに開示される化学的実体(例えば、式(I)の化合物もしくはその薬学的に許容される塩、またはそのN-オキシド)である。いくつかの実施形態において、神経細胞の興奮性は、脳および中枢神経系以外の組織および器官におけるGABA作動性神経細胞の興奮性である。いくつかの実施形態において、脳および中枢神経系以外の組織および器官における神経細胞の興奮性を抑制することは、脳および中枢神経系以外の組織および器官におけるGABA-A受容体を正に調節することからなる。いくつかの実施形態において、末梢に制限されたGABA-A受容体陽性アロステリックモジュレーターは、被験体の無傷の血液脳関門を実質的に通過しない。いくつかの実施形態において、末梢制限GABA-A受容体陽性アロステリックモジュレーターの50%未満(例えば、40%未満、30%未満、20%未満、10%未満、5%未満、1%未満、0.5%未満、または0.1%未満)が、被験体の無傷の血液脳関門を通過する。特定の実施形態において、末梢制限GABA-A受容体陽性アロステリックモジュレーターの5%未満が、被験体の無傷の血液脳関門を通過する。特定の実施形態において、末梢に制限されたGABA-A受容体陽性アロステリックモジュレーターの1%未満(例えば、0.5%未満または0.1%未満)が、被験体の無傷の血液脳関門を通過する。いくつかの実施形態において、脳内の末梢制限GABA-A受容体陽性アロステリックモジュレーターの濃度と、循環血漿中の末梢制限GABA-A受容体陽性アロステリックモジュレーターの濃度との比は、約1:5である。いくつかの実施形態において、脳内の末梢制限GABA-A受容体陽性アロステリックモジュレーターの濃度と循環血漿中の末梢制限GABA-A受容体陽性アロステリックモジュレーターの濃度との比は、約1:10である。いくつかの実施形態において、脳内の末梢性制限GABA-A受容体陽性アロステリックモジュレーターの平均濃度は、62.5nM未満である。いくつかの実施形態において、末梢制限GABA-A受容体陽性アロステリックモジュレーターは、500nM未満のKiでGABA-A受容体に結合する。いくつかの実施形態において、末梢制限GABA-A受容体陽性アロステリックモジュレーターの投与により、対象は、望ましくない鎮静の副作用を経験しない。いくつかの実施形態において、末梢制限GABA-A受容体陽性アロステリックモジュレーターは、式(I)の化合物の薬学的に許容される塩(例えば、表C1に画定される化合物の薬学的に許容される塩)である。いくつかの実施形態において、末梢制限GABA-A受容体陽性アロステリックモジュレーターは、式(I)の化合物である。例えば、末梢制限GABA-A受容体陽性アロステリックモジュレーターは、表C1に画定される化合物であり得る。いくつかの実施形態において、本方法は、末梢性制限GABA-A受容体陽性アロステリックモジュレーターを、末梢性制限GABA-A受容体陽性アロステリックモジュレーターおよび薬学的に許容される担体を含む薬学的組成物として投与することをさらに含む。いくつかの実施形態において、本方法は、少なくとも1つの追加の治療剤を投与することをさらに含む。いくつかの実施形態において、本方法は、脳以外の組織および器官におけるGABA-A受容体の陽性調節のために、少なくとも1つの追加の治療剤を投与することをさらに含む。
【0027】
膜透過性のような物理的特性の調節や、血液脳関門トランスポーターによる認識を増強することが知られている官能基の組込みにより、本開示で使用するGABA-A受容体陽性アロステリックモジュレーターは、CNSから制限されるため、鎮静のような望ましくない副作用は生じないが、腸神経系に対して有益な薬理学的効果を発揮する。
【0028】
血液脳関門(BBB)は、血管内皮細胞間のタイトジャンクションと膜輸送体を含むシステムであり、循環する多くの生体分子、ペプチド、薬物の脳への曝露を最小限に抑えるように働いている。治療上有用な薬剤の中には、この制限を利用して、中枢神経系を合併することなく末梢で効果を発揮するものがいくつかある。例えば、よく知られた非鎮静性抗ヒスタミン薬であるロラタジンやセチリジンなどである。ジアゼパムやミダゾラムのような既知のGABA-A陽性アロステリックモジュレーターはすべてCNS障害を治療するために設計されたものであるため、非脳透過性アナログは一般に記載されていないか、より有用な化合物への中間体として記載されているにすぎない。
【0029】
本開示は、特に、式(I)による化合物、およびその薬学的に許容される塩、溶媒和物、立体異性体、またはそのプロドラッグ等価物(エステルなど)を提供し、ここで、R3a 、R3b 基の一方は、以下に示すように、血液脳関門透過性を低下させる官能基を含む。
【0030】
したがって、1つの側面において、本開示は式(I)の化合物を特徴とする。
[化2]
式(I)
またはその薬学的に許容される塩であって、ここで
R1a 、R1b 、R1c 、およびR1d は、それぞれ独立して、以下からなる群より選択される。H、ハロ、C1-6 アルキル、C1-6 ハロアルキル、C2-6 アルケニル、C2-6 アルキニル、ニトロ、シアノ、C1-6 アルコキシ、C1-6 ハロアルコキシ、C1-6 チオアルコキシ、C1-6 ハロチオアルコキシ、S(O)2 (C1-6 アルキル)、S(=O)(=NH)C1-6 アルキル、Si(C1-6アルキル)3 、C3-6シクロアルキル、C6-10 アリール、NR R67 、C(O)R6、およびC(O)NR R 、
ここで、C3-6シクロアルキルおよびC6-10 アリールは、それぞれ独立して、ハロ、シアノ、C1-6 アルキル、およびC1-6 ハロアルキルからなる群から選択される1~4個の置換基で任意選択的に置換されている。
R2 の各出現は、以下からなる群から独立して選択される:7ハロ、C1-6アルキル、C1-6 ハロアルキル、C2-6アルケニル、C2-6 アルキニル、NO2、シアノ、C1-6 アルコキシ、C1-6ハロアルコキシ、SO2 (C1-6 アルキル)、S(=O)(=NH)C1-6 アルキル、C3-6 シクロアルキル、NR R67 、C(O)R6 、およびC(O)NR6 R 。
mは0、1、2、3、4、または5である;
R3a と R3b の一方は X であり、R3a と R3b の他方は R である。
Xは、以下からなる群より選択される:CO2 H、-CH(RX )CO2 H、-C(O)Y、-CH(RX )C(O)Y、-S(O)2 Y、-CH(RX )S(O)2 Y、-(C1-3 アルキレン)-N+ (C1-3 アルキル)3 、-P(=O)(OH)2 、-SO3 H、
[化3]
およびC(O)グルクロン酸;
XA およびXB は、独立して、O、S、N(H)、またはN(C1-3 アルキル)である
RX からなる群から選択される:H、C1-6アルキル、-OH、および-NR R67
Yは、以下からなる群から選択される。
(i)-NR R67
(ii)-NR -CH8 2 CH2 O-(-CH2 CH2 O-)n -Y4 、ここでnは0~20の整数である、および
(iii) -NR8 -Y2 -Y3
Y2 はC2-6アルキレンである。
Y3 は、以下からなる群から選択される:NR R67 ; -NR9 S(O)2 NR R910 ; -S(O) R2 6 ; -S(=O)R6 (=NR8 );および-P(=O)(C1-3アルキル) からなる群から選択される。
Y4 、HまたはC1-6アルキルである。
R3 からなる群から選択される
●H、ハロ、シアノ;
●C1-6 アルキル、C1-6ハロアルキル、C2-6 アルケニル、またはC2-6 アルキニル;
●C1-6 アルコキシまたはC1-6ハロアルコキシ;
●NR R67 、-C(O)NR R67 、または-CH2 NR R67
●C3-6 シクロアルキル;
●C6-10 アリール;および
●5~6個の環原子を含むヘテロアリールであって、1~4個の環原子が、それぞれ独立して、以下からなる群より選択されるヘテロ原子である、ヘテロアリール:N、N(R8 )、O、およびSからなる群よりそれぞれ独立して選択される。
R4 および R5 は、以下からなる群から独立して選択される:H、C1-6 アルキル、-OH、および-NR R67 または
R4 およびR5 は、それぞれが結合している炭素原子と一緒になって、C3-6 シクロアルキルを形成する。
【0031】
R6 および R7の各出現は、独立して、以下からなる群より選択される:H、C1-6 アルキル、C1-6 ハロアルキル、C3-6 シクロアルキル、フェニル、-(C1-4 アルキレン)-フェニル、C(=O)R9 、C(=O)OR9 、およびC(=O)NR R910 または
同じ窒素原子上のR6 およびR7 の対が、それらを接続する前記窒素原子と一緒になって、4~8個の環原子を含む飽和、部分不飽和、または芳香族環を形成し、ここで、0~2個の環原子(R6 およびR7 を接続する窒素原子に加えて)は、それぞれ独立して、以下からなる群から選択される環ヘテロ原子である:N、N(R8 )、O、およびSからなる群よりそれぞれ独立に選択される。
R8 の各出現は、以下からなる群から独立して選択される:H、C1-6 アルキル、-C(=O)R9 、-C(=O)OR9 、および-C(=O)NR R
R9 およびR10 の各出現は、HまたはC1-6アルキルであり、そして
[化4]
Z は N またはである。
【0032】
いくつかの実施形態において、R3a はXであり、そしてR3b はR である。
【0033】
いくつかの実施形態において、R3a はR3 であり、そしてR3b はXである。
【0034】
いくつかの実施形態において、R1a、R1b 、R1c 、およびR1d の1~2は、H以外の独立して選択される置換基である。
【0035】
これらの実施形態のうちの特定のものにおいて、R1a 、R1b 、R1c 、およびR1d のうちの1つ(例えば、R1c またはR1d (例えば、R1c ))からなる群より選択される:ハロ、C1-6 アルキル、C1-6 ハロアルキル、C2-6 アルケニル、C2-6 アルキニル、ニトロ、シアノ、C1-6アルコキシ、C1-6 ハロアルコキシ、C1-6チオアルコキシ、C1-6 ハロチオアルコキシ、S(O)2 (C1-6 アルキル)、S(=O)(=NH)C1-6 アルキル、Si(C1-6 アルキル)3 、C3-6 シクロアルキル、C6-10 アリール、NR R67 、C(O)R6 、およびC(O)NR R67 、ここで、C3-6 シクロアルキルおよびC6-10 アリールは、それぞれ独立して、以下からなる群より選択される1~4個の置換基で任意に置換されている:ハロ、シアノ、C1-6 アルキル、およびC1-6 ハロアルキル;ならびにR1a 、R1b 、R1c 、およびR1d のうちの他の3つはHである。
【0036】
特定の実施形態において、R1a、R1b 、R1c 、およびR1d (例えば、R1c またはR1d (例えば、R1c ))からなる群より選択される:ハロ、C1-6 アルキル、C1-6 ハロアルキル、C2-6 アルケニル、C2-6 アルキニル、C1-6 アルコキシ、C1-6 ハロアルコキシ、C1-6 チオアルコキシ、C1-6 ハロチオアルコキシ、S(O)2 (C1-6 アルキル)、S(=O)(=NH)C1-6 アルキル、Si(C1-6 アルキル)3 、C3-6 シクロアルキル、およびC6-10 アリールであり、ここで、C3-6シクロアルキルおよびC6-10 アリールは、それぞれ独立して、以下からなる群から選択される1~4個の置換基で任意選択的に置換されている:ハロ、シアノ、C1-6 アルキル、およびC1-6 ハロアルキル;ならびにR1a 、R1b 、R1c 、およびR1d のうちの他の3つはHである。
【0037】
特定の実施形態において、R1a、R1b 、R1c 、およびR1d (例えば、R1c またはR1d (例えば、R1c ))のうちの1つはハロ(例えば、-Clまたは-Br(例えば、-Cl))であり;そしてR1a 、R1b 、R1c 、およびR1d のうちの他の3つはHである。
【0038】
特定の実施形態において、R1a、R1b 、R1c 、およびR1d (例えば、R1c またはR1d (例えば、R1c ))のうちの1つは、C1-6 アルキル(例えば、-C1-3 アルキル(例えば、メチル))であり;そしてR1a 、R1b 、R1c 、およびR1d のうちの他の3つは、Hである。
【0039】
特定の実施形態において、R1a、R1b 、R1c 、およびR1d (例えば、R1c またはR1d (例えば、R1c ))のうちの1つは、C1-6 ハロアルキル(例えば、-C1-3 ハロアルキル(例えば、-CF3 ))であり;そしてR1a 、R1b 、R1c 、およびR1d のうちの他の3つは、Hである。
【0040】
特定の実施形態において、R1a、R1b 、R1c 、およびR1d (例えば、R1c またはR1d (例えば、R1c ))のうちの1つは、C2-6 アルキニル(例えば、[化5])であり;そしてR1a 、R1b、R1c 、およびR1d のうちの他の3つは、Hである。
【0041】
特定の実施形態において、R1a、R1b 、R1c 、およびR1d (例えば、R1c またはR1d (例えば、R1c ))のうちの1つは、C1-6 アルコキシ(例えば、メトキシなどのC1-3 アルコキシ)、C1-6 ハロアルコキシ(例えば、C1-3 ハロアルコキシ、例えば、-OCF3)、C1-6 チオアルコキシ(例えば、C1-3チオアルコキシ、例えば、-SCH3 )、またはC1-6 ハロチオアルコキシ(例えば、C1-3ハロチオアルコキシ、例えば、-SCF3 )であり、そしてR1a 、R1b 、R1c 、およびR1d のうちの他の3つはHである。
【0042】
特定の実施形態において、R1a、R1b 、R1c 、およびR1d (例えば、R1c またはR1d (例えば、R1c ))のうちの1つは、Si(C1-6アルキル)3 (例えば、SiMe3)であり、そしてR1b、R1c 、およびR1d のうちの他の3つは、Hである。
【0043】
特定の実施形態において、R1a、R1b 、R1c 、およびR1d (例えば、R1c またはR1d (例えば、R1c ))のうちの1つは、S(O)2 (C1-6アルキル)(例えば、S(O)2 CH3 )またはS(=O)(=NH)C1-6 アルキルであり、そしてR1a 、R1b、R1c 、およびR1d のうちの他の3つは、Hである。
【0044】
特定の実施形態において、R1a、R1b 、R1c 、およびR1d (例えば、R1c またはR1d (例えば、R1c ))のうちの1つは、C3-6 シクロアルキル(例えば、シクロプロピル)またはC6-10 アリール(例えば、フェニル)であり、ここで、C3-6シクロアルキルおよびC6-10 アリールは、各々独立して、ハロ、シアノ、C1-6 アルキル、およびC1-6 ハロアルキルからなる群より選択される1~4個の置換基で任意選択的に置換されており、そしてR1a 、R1b 、R1c 、およびR1d のうちの他の3個はHである。
【0045】
特定の実施形態において、R1c は、以下からなる群より選択されるハロ、C1-6 アルキル、C1-6 ハロアルキル、C2-6 アルケニル、C2-6 アルキニル、ニトロ、シアノ、C1-6アルコキシ、C1-6 ハロアルコキシ、C1-6チオアルコキシ、C1-6 ハロチオアルコキシ、S(O)2 (C1-6 アルキル)、S(=O)(=NH)C1-6 アルキル、Si(C1-6 アルキル)3 、C3-6 シクロアルキル、C6-10 アリール、NR R67 、C(O)R6 、およびC(O)NR R67 、ここで、C3-6 シクロアルキルおよびC6-10 アリールは、それぞれ独立して、以下からなる群より選択される1~4個の置換基で任意に置換されているハロ、シアノ、C1-6 アルキル、およびC1-6 ハロアルキルならびにR1a 、R1b 、およびR1d はHである。
【0046】
これらの実施形態の特定のものでは、R1c は、以下からなる群から選択される。ハロ、C1-6 アルキル、C1-6 ハロアルキル、C2-6 アルケニル、C2-6 アルキニル、C1-6 アルコキシ、C1-6 ハロアルコキシ、C1-6 チオアルコキシ、C1-6 ハロチオアルコキシ、S(O)2 (C1-6 アルキル)、S(=O)(=NH)C1-6アルキル、Si(C1-6 アルキル)3 、C3-6シクロアルキル、C6-10 アリールであり、ここでC3-6 シクロアルキルおよびC6-10 アリールは、それぞれ独立して、以下からなる群より選択される1~4個の置換基で任意に置換されている。ハロ、シアノ、C1-6 アルキル、およびC1-6 ハロアルキルならびにR1a 、R1b 、およびR1d はHである。
【0047】
前述の特定の実施形態において、R1c はハロ(例えば、-Clまたは-Br(例えば、-Cl))であり、そしてR1a 、R1b 、およびR1d はHである。
【0048】
特定の実施形態において、R1c は、C1-6 アルキル(例えば、-C1-3 アルキル(例えば、メチル))であり、そしてR1a 、R1b 、およびR1d は、Hである。
【0049】
特定の実施形態において、R1c は、C1-6 ハロアルキル(例えば、-C1-3 ハロアルキル(例えば、-CF3 ))であり、そしてR1a 、R1b 、およびR1d は、Hである。
【0050】
特定の実施形態において、R1c はC2-6 アルキニル(例えば、[化6])であり、そしてR1a 、R1b 、およびR1d はHである。
【0051】
特定の実施形態において、R1c は、C1-6 アルコキシ(例えば、C1-3 アルコキシ、例えばメトキシ)、C1-6ハロアルコキシ(例えば、C1-3 ハロアルコキシ、例えば-OCF3 )、C1-6 チオアルコキシ(例えば、C1-3 チオアルコキシ、例えば、-SCH3)、またはC1-6 ハロチオアルコキシ(例えば、C1-3 ハロチオアルコキシ(例えば、-SCF3)およびR1a、R1b 、およびR1d はHである。
【0052】
特定の実施形態において、R1c 、Si(C1-6アルキル)3 (例えば、SiMe3)であり、そしてR1a、R1b 、およびR1d 、Hである。
【0053】
特定の実施形態において、R1c は、S(O)2 (C1-6アルキル)(例えば、S(O)2 CH3 )またはS(=O)(=NH)C1-6 アルキルであり、そしてR1a 、R1b 、およびR1d はHである。
【0054】
特定の実施形態において、R1c は、C3-6 シクロアルキル(例えば、シクロプロピル)またはC6-10 アリール(例えば、フェニル)であり、ここで、C3-6シクロアルキルおよびC6-10 アリールは、各々独立して、ハロ、シアノ、C1-6 アルキル、およびC1-6 ハロアルキルからなる群より選択される1~4個の置換基で任意選択的に置換されており、そしてR1a 、R1b 、およびR1d は、Hである。
【0055】
いくつかの実施形態において、R1a、R1b 、R1c 、およびR1d の各々はHである。
【0056】
いくつかの実施形態では、mは1または2である。これらの特定の実施形態では、mは1である。
【0057】
ある種の実施形態では、
[化7]は、m1は0または1である。これらの実施形態の一部では、m1は0であり、他の実施形態では、m1は1である。
【0058】
特定の実施形態では、[化8]または[化9]である。
【0059】
いくつかの実施形態において、各R2 は、ハロ、C1-6 アルキル、C1-6 ハロアルキル、C2-6 アルケニル、C2-6 アルキニル、NO2 、シアノ、C1-6 アルコキシ、C1-6 ハロアルコキシ、SO2 (C1-6 アルキル)、およびC3-6 シクロアルキルからなる群より独立して選択される。
【0060】
これらの特定の実施形態において、各R2 は、ハロ、C1-6 アルキル、C1-6 ハロアルキル、シアノ、C1-6 アルコキシ、およびC1-6 ハロアルコキシからなる群から独立して選択される。
【0061】
前述の実施形態の非限定的な例として、各R2 、独立して選択されるハロ、例えば-F、-Cl、または-Brであり得る。
【0062】
いくつかの実施形態において、R4 およびR5 の各々はHである。
【0063】
いくつかの実施形態では、R4 、R5 の一方はC1-6 アルキルであり、R4 、R5 の他方はHである。
【0064】
一部の実施形態では、R4 、R5 の一方は-OHであり、R4 、R5 の他方はHである。
【0065】
いくつかの実施形態において、Xは、-CO2Hまたは-CH(RX)CO2 Hである。これらの特定の実施形態において、Xは、-CO‐Hである。
【0066】
いくつかの実施形態において、Xは、-C(O)Yまたは-CH(RX )C(O)Yである。これらの実施形態のうちの特定のものにおいて、Xは、-C(O)Yである。
【0067】
特定の実施形態(Xが-C(O)Yまたは-CH(RX )C(O)Y(例えば、-C(O)Y)である場合)において、Yは、-NR R67 である。例えば、Yは、NH2 、NH(C1-3 アルキル)、またはN(C1-3 アルキル)2 であり得る。
【0068】
特定の実施形態(Xが-C(O)Yまたは-CH(RX )C(O)Y(例えば、-C(O)Y)である場合)において、Yは、-NR8 -Y2-Y3 である。これらの実施形態のうちの特定のものにおいて、Yは、-N(H)-Y2-Y である。
【0069】
前述の特定の実施形態において、Y2 は、直鎖C2-4 アルキレンである。例えば、Y2 は、-CH2 CH2 -または-CH2 CH2 CH2 -であり得る。
【0070】
特定の実施形態において、Y3 は、NR R67 (例えば、NHC(=O)NR R910 )である。例えば、Y3 は、NHC(=O)NH2 であり得る。
【0071】
特定の実施形態において、Y3 は、-NR9S(O)2 NR R910 である。例えば、Y3 は、-NHS(O)2 NH2であり得る。
【0072】
いくつかの実施形態において、R3 はHである。
【0073】
いくつかの実施形態において、R3 はハロである。例えば、R3 は、-Clまたは-Brであり得る。
【0074】
いくつかの実施形態において、R3 は、C1-6 アルキルまたはC1-6 ハロアルキルである。例えば、R3 は、C1-3 アルキル(例えば、メチル)であり得る。
【0075】
いくつかの実施形態では、ZはNである。
【0076】
いくつかの実施形態において、Zは、[化10]である。
【0077】
非限定的組み合わせ[AA]
【0078】
特定の実施形態では、
R1a 、R1b 、R1c 、およびR1d のうちの1つは、以下からなる群より選択される。ハロ、C1-6 アルキル、C1-6 ハロアルキル、C2-6 アルケニル、C2-6 アルキニル、ニトロ、シアノ、C1-6アルコキシ、C1-6 ハロアルコキシ、C1-6チオアルコキシ、C1-6 ハロチオアルコキシ、S(O)2 (C1-6 アルキル)、S(=O)(=NH)C1-6 アルキル、Si(C1-6アルキル)3 、C3-6シクロアルキル、C6-10 アリール、NR R67 、C(O)R6、およびC(O)NR R67、ここで、C3-6 シクロアルキルおよびC6-10アリールは、それぞれ独立して、以下からなる群より選択される1~4個の置換基で任意に置換されている。ハロ、シアノ、C1-6 アルキル、およびC1-6 ハロアルキル
●R1a 、R1b 、R1c 、R1d の他の3つはHである
●mは1か2である
●各R2 は、ハロ、C1-6 アルキル、C1-6 ハロアルキル、C2-6 アルケニル、C2-6 アルキニル、NO2 、シアノ、C1-6 アルコキシ、C1-6 ハロアルコキシ、SO2 (C1-6アルキル)、およびC3-6 シクロアルキルからなる群より独立して選択される
●R3a はXであり、そして
●R3b は R
【0079】
AAの特定の実施形態において、R1c は、以下からなる群より選択される。ハロ、C1-6 アルキル、C1-6 ハロアルキル、C2-6 アルケニル、C2-6 アルキニル、ニトロ、シアノ、C1-6アルコキシ、C1-6 ハロアルコキシ、C1-6チオアルコキシ、C1-6 ハロチオアルコキシ、S(O)2 (C1-6 アルキル)、S(=O)(=NH)C1-6 アルキル、Si(C1-6 アルキル)3 、C3-6 シクロアルキル、C6-10 アリール、NR R67 、C(O)R6 、およびC(O)NR R67 、ここで、C3-6 シクロアルキルおよびC6-10 アリールは、それぞれ独立して、以下からなる群より選択の置換基で任意に置換されている。ハロ、シアノ、C1-6 アルキル、およびC1-6 ハロアルキル。
【0080】
非限定的組み合わせ[BB]
●R1a 、R1b 、R1c 、およびR1d のうちの1つは、以下からなる群より選択される。ハロ、C1-6 アルキル、C1-6 ハロアルキル、C2-6 アルケニル、C2-6 アルキニル、C1-6 アルコキシ、C1-6 ハロアルコキシ、C1-6 チオアルコキシ、C1-6 ハロチオアルコキシ、S(O)2 (C1-6 アルキル)、S(=O)(=NH)C1-6アルキル、Si(C1-6 アルキル)3 、C3-6シクロアルキル、およびC6-10 アリールであり、ここで、C3-6 シクロアルキルおよびC6-10 アリールは、それぞれ独立して、以下からなる群から選択される1~4個の置換基で任意選択的に置換されている。ハロ、シアノ、C1-6 アルキル、およびC1-6 ハロアルキル;
●R1a 、R1b 、R1c 、R1d の他の3つはHである。
●mは1か2である。
●各R2 は、独立して、ハロ、C1-6 アルキル、C1-6 ハロアルキル、シアノ、C1-6 アルコキシ、およびC1-6 ハロアルコキシからなる群から選択される
●R3a はXであり、そして
●R3b は R3
【0081】
特定の実施形態において、[BB]の、R1c は、以下からなる群より選択される。ハロ、C1-6 アルキル、C1-6 ハロアルキル、C2-6 アルケニル、C2-6 アルキニル、C1-6 アルコキシ、C1-6 ハロアルコキシ、C1-6 チオアルコキシ、C1-6 ハロチオアルコキシ、S(O)2 (C1-6 アルキル)、S(=O)(=NH)C1-6アルキル、Si(C1-6 アルキル)3 、C3-6シクロアルキル、およびC6-10 アリールであり、ここで、C3-6 シクロアルキルおよびC6-10 アリールは、それぞれ独立して、以下からなる群から選択される1~4個の置換基で任意選択的に置換されているハロ、シアノ、C1-6 アルキル、およびC1-6 ハロアルキル。
【0082】
非限定的組み合わせ[CC]
●R1a 、R1b 、R1c 、およびR1d のうちの1つはハロ(例えば、-Cl)である。
●R1a 、R1b 、R1c 、R1d の他の3つはHである。
●mは1か2である。
●各R2 、独立して選択されたハロ、例えば-F、-Cl、-Brである。
●R3a はXであり、そして
●R3b は R 3
【0083】
CCの特定の実施形態において、R1c はハロ(例えば、-Cl)である。
【0084】
[AA],[BB]、または[CC]の特定の実施形態において、
[化11]である。
【0085】
[AA]、[BB]、または[CC]の特定の実施形態において、R3 はHである。[AA]、[BB]、または[CC]の特定の実施形態において、R3 はハロまたはC1-3 アルキルである。
【0086】
[AA]、[BB]、または[CC]の特定の実施形態において、R4 およびR5 は、それぞれHである。
【0087】
[AA]、[BB]、または[CC]の特定の実施形態において、Xは、-CO2 Hである。
【0088】
[AA]、[BB]、または[CC]の特定の実施形態において、Xは、-C(O)N(H)-Y2-Y3 (例えば、-C(O)N(H)CH2 CH2-Y3 )である。これらの実施形態のうちの特定のものにおいて、Y3 は、NR R67 (例えば、NHC(=O)NR R910 )である。例えば、Y3 は、NHC(=O)NH2であり得る。特定の実施形態において、Y3 は、-NR9 S(O)2 NR R910 である。例えば、Y3 は、-NHS(O)2 NH であり得る。
【0089】
[AA]、[BB]、または[CC]の特定の実施形態において、Zは、Nである。
【0090】
特定の実施形態において、式(I)の化合物は、式(Ia)の化合物である:
[化12] 式(Ia)
またはその薬学的に許容される塩であって、ここで
R1c は、以下からなる群から選択される。ハロ、C1-6 アルキル、C1-6 ハロアルキル、C2-6 アルケニル、C2-6 アルキニル、C1-6 アルコキシ、C1-6 ハロアルコキシ、C1-6 チオアルコキシ、C1-6 ハロチオアルコキシ、S(O)2 (C1-6 アルキル)、S(=O)(=NH)C1-6 アルキル、Si(C1-6 アルキル)3 、C3-6 シクロアルキル、およびC6-10 アリールであり、ここで、C3-6シクロアルキルおよびC6-10 アリールは、それぞれ独立して、以下からなる群から選択される1~4個の置換基で任意選択的に置換されている。ハロ、シアノ、C1-6 アルキル、およびC1-6 ハロアルキル
m1は0または1である。
各R2 は、独立して、ハロ、C1-6 アルキル、C1-6 ハロアルキル、C2-6 アルケニル、C2-6 アルキニル、NO2 、シアノ、C1-6 アルコキシ、C1-6 ハロアルコキシ、SO2 (C1-6 アルキル)、およびC3-6 シクロアルキルからなる群より選択される。ならびに
R3 は、H、ハロ、またはC1-3 アルキルである。
【0091】
式(Ia)の特定の実施形態において、R1c はハロ(例えば、-Clまたは-Br)である。
【0092】
式(Ia)の特定の実施形態では、R3 はHである。
【0093】
式(Ia)の特定の実施形態では、R3 はハロである。
【0094】
式(Ia)の特定の実施形態では、m1は0である。
【0095】
式(Ia)の特定の実施形態では、m1は1である。
【0096】
式(Ia)の特定の実施形態において、各R2 は、独立して選択されるハロ(例えば、-Fまたは-Cl(例えば、-F))である。
【0097】
特定の実施形態において、化合物は、表C1の化合物、またはその薬学的に許容される塩からなる群から選択される。
【0098】
[表C1]
別の態様において、本開示は、本明細書に記載の式(I)の化合物および薬学的に許容される担体を含む医薬組成物を提供する。
【0099】
さらなる態様において、本開示は、本明細書に記載の式(I)化合物の塩(例えば、薬学的に許容される塩)を提供する。
【0100】
定義
【0101】
本明細書で使用される場合、上記で使用される化学用語は標準的な化学用語である。このような化学置換基の定義例は、米国特許第8,530,438号に記載されている。
【0102】
本明細書において、「末梢制限された」または「中枢神経系へのアクセスが制限された」とは、一般に、被験体の無傷の血液脳関門を実質的に通過しない化学的実体(例えば、化合物またはその薬学的に許容されるもの)を指す。この用語はまた、無傷の血液脳関門を通過する可能性はあるが、投与すると被験者の無傷の血液脳関門を実質的に通過しない形態に速やかに代謝される化合物も包含する。被験体への投与時に、化合物の50%未満、45%未満、40%未満、35%未満、30%未満、25%未満、20%未満、15%未満、10%未満、9%未満、8%未満、7%未満、6%未満、5%未満、4%未満、3%未満、2%未満、1%未満、0.5%未満、0.1%未満が被験体の無傷の血液脳関門を通過する場合、化合物は「末梢制限型」とみなされ得る。いくつかの実施形態において、「末梢に制限される」という用語は、循環血漿中の濃度と比較した脳内の化合物の濃度(脳:血漿)比が約1:5以上(例えば、約1:10以上)であることを意味し得る。例示的な一実施形態において、脳:血漿比は、マウスまたはラットにおける化合物の比を測定することによって決定される。
【0103】
本明細書で使用する場合、「有効量」または「治療上有効な量」という用語は、以下に定義する疾患治療を含むがこれに限定されない、意図する適用に影響を及ぼすのに十分な化合物の量を指す。治療上有効な量は、意図される治療適用(in vivo)、または治療される対象および病状、例えば、対象の体重および年齢、病状の重篤度、投与方法などに応じて変化し得るが、これらは当業者によって容易に決定され得る。この用語はまた、標的細胞に特定の応答を誘導する用量にも適用される。具体的な投与量は、選択された特定の化合物、従うべき投与レジメン、他の化合物との併用投与の有無、投与のタイミング、投与される組織、運搬される物理的送達系によって異なる。
【0104】
本明細書で使用される場合、「正の調節」または「正のアロステリック調節」という用語およびそれに由来するすべての語は、受容体複合体上のアロステリック部位に結合し、正の様式でそれに影響を及ぼす化合物を指す。受容体にポジティブな影響を与えるとは、一般的に、主要な受容体部位の効率上昇を引き起こすことを意味する。受容体効 率の増大とは、受容体がコンフォメーション変化を起こす可能性があること、または、アゴニストが受容体に結合 したときにチャネルがより頻繁にまたはより長時間開口する可能性があることを意味する。
【0105】
本明細書で用いる「内臓痛」とは、胸部、骨盤、腹部臓器の侵害受容器の活性化から生じる痛みを指す。例えば、胃、腎臓、胆嚢、泌尿器、膵臓、腸などであるが、これらに限定されない臓器の問題は、内臓痛につながる。このような問題には、膨張、穿孔、炎症、インパクション、便秘などがある。内臓痛は、びまん性、漠然性、鈍痛、深部痛、圧迫痛、圧痛様であり、局在を特定するのが困難である。内臓痛は、吐き気、嘔吐、発汗、血圧、心拍数、体温の変化などの症状を伴うことがある。内臓痛は、多くの場合、身体の異なる部位に経験される、または「参照」されることがある。いくつかの実施形態において、内臓痛は、機能性ディスペプシア、間質性膀胱炎、慢性膵炎、または月経困難症に関連し得る。
【0106】
本明細書において「腸管運動」とは、消化管の筋肉の伸縮を指す。蠕動運動とは、円形の平滑筋が周期的に弛緩し、続いて縦方向に収縮することである。腸管運動が障害されると、痙攣や麻痺などの異常収縮を引き起こすことがある。
【0107】
本明細書で使用する「過敏性腸症候群」または「IBS」は、一般に、被験者が再発性または慢性の胃腸症状を経験する症候群を指す。IBSの症状には、例えば、腹痛、腹部不快感、便秘、下痢、便粘液、腹部膨満感、または上記のいずれかの組み合わせが含まれ得る。IBSと診断されるのは、過去3ヵ月間、月に3回以上の腹痛または腹部不快感があり、その痛みを説明できるような他の病気やけががない場合である。IBSの痛みや不快感は、便の回数や硬さの変化とともに起こることもあれば、排便によって緩和されることもある。IBSは、被験者の普段の便の硬さに基づいて4つのサブタイプに分類することができる。IBSの4つのサブタイプは以下の通りである:便秘を伴うIBS(IBS-C)、下痢を伴うIBS(IBS-D)、混合型IBS(IBS-M)、未分類IBS(IBS-U)である。IBS-Cでは、便が硬いか塊状であることが25%以上、便がゆるいか水様であることが25%未満、またはこの2つの組み合わせである。IBS-Dでは、緩い便または水様便が25%以上、硬い便または塊状の便が25%未満、または両者が組み合わさっている。IBS-Mでは、硬い便または塊状の便が25%以上、緩い便または水様便が25%以上みられる。IBS-Uの被験体では、硬い便または塊状の便が25%未満、緩い便または水様便が25%未満、または両者の組み合わせの場合がある。IBSに伴う便秘は、胃の運動が遅いか遅れていることに起因する場合がある。一部の実施形態では、IBSの被験者は便秘を経験している。IBSは、当該技術分野で公知の任意の方法または本明細書に記載される他の方法によって被験体において診断することができる。例えば、IBSは医療提供者によって診断することができる。医療提供者は、身体検査を行い、被験者の病歴を聴取することができる。IBSは、被験者が少なくとも3、4、5、または6ヶ月間、1つ以上のIBSの症状を示し、1つ以上の症状が過去3ヶ月間、少なくとも月に3回発生した場合に診断することができる。IBSの診断に有用な追加検査としては、便検査、下部消化管シリーズ、軟性S状結腸鏡検査、大腸内視鏡検査があるが、これらに限定されない。
【0108】
機能性腹痛(functional abdominal pain)または機能性腹痛症候群(functional abdominal pain syndrome:FAPS)とは、一般に、排便パターンの変化や腸の運動性の変化とは関連しない、慢性的で頻繁に繰り返す痛みを指す。通常の腹部活動が痛みを伴い、機能性腹痛の原因となることがある。機能性腹痛は、脳が消化管からの痛みシグナルを調節できない中枢性過敏症に関連している可能性がある。FAPSの症状は、明らかな原因なしに現れることもあるが、感染症や腸を刺激するような出来事の後や、愛する人の死、離婚、性的・身体的虐待の経験のようなトラウマ的な人生の出来事の後にも現れることがある。ストレスが加わると、症状が悪化することもある。
【0109】
腹部の傷害が繰り返されると、神経受容体が過敏になることがある。例えば、何度も腹部の手術を受けたり、感染症にかかったりした場合、後から痛みを感じると、以前よりも痛みが強く感じられることがある。通常の腹部の活動でさえ、痛みを感じることがある。まるでステレオ受信機のボリュームを上げたような感覚である。このような状態を内臓過敏症(腸の過敏性亢進)という。さらに、FAPSでは脳が消化管からの痛みシグナルを「弱める」能力があるが、この能力が低下しているため、少量の腸の障害でも増幅され、激しい痛みを生じることがある(中枢性過敏症)。つまり、このような患者は、脳が正常な腸の神経活動さえも調節できない「脳神経軸」が変化しているため、痛みが増大するのである。
【0110】
本開示の目的上、本明細書で使用する「下痢」という用語は、被験体の頻繁で、形が悪く、緩く、水のような便を意味する。下痢を有する対象とは、対象が1日に少なくとも3回、緩い便を排出していることを意味する。「急性下痢」という用語は、通常7日未満続くが、21日未満は長引くかまたは遷延した形で続くことがある一般的な問題である。2日以上続く下痢は、しばしば腸管病原性感染の徴候である。「慢性下痢」という用語は、少なくとも4週間続く下痢を意味する。慢性下痢の症状は、継続的または断続的である。「旅行者下痢」とは、旅行に関連した感染に伴う下痢症状を意味する。大腸菌、サルモネラ菌、赤痢菌、カンピロバクター、アエロモナス、プレシオモナス、ビブリオなどの細菌、ジアルジア、エンタモエバ・ヒストリチカ、クリプトスポリジウム、シクロスポラなどの寄生虫、ウイルスなど、さまざまな生物によって引き起こされる可能性がある。下痢に加えて、吐き気、嘔吐、腹痛、発熱、発汗、悪寒、頭痛、倦怠感などの症状が現れることもある。下痢は食物媒介性腸内病原体による場合もある。代表的な食中毒菌は、大腸菌、サルモネラ菌、赤痢菌、エルシニア菌、カンピロバクターなどである。
【0111】
下痢が続くと脱水症状を起こすことがある。これは、体内の水分と電解質(ナトリウム、カリウム、塩化物などの塩類に含まれる化学物質)が不足し、正常に機能しなくなることを意味する。緩い便には水分と電解質が多く含まれ、固い便よりも重くなることがよくある。
【0112】
機能性特発性下痢」とは、一般に原因不明の下痢を指す。特発性下痢は一般に5日以内で、2~3日で治ることが多い。下痢は一般に、排便の回数が増えたり、一貫性が低下したりすることを意味する。下痢はまた、便の重量の増加を意味することもある。
【0113】
炎症性腸疾患」とは、一般的に消化管の全部または一部に慢性的な炎症が起こることを指す。炎症性腸疾患の症状には、激しい下痢、痛み、腹痛およびけいれん、血便、疲労、食欲低下および体重減少、または上記のいずれかの組み合わせが含まれる。炎症性疾患のその他の症状としては、腸閉塞、潰瘍、結腸穿孔、瘻孔、裂肛、栄養不良、重度の脱水、結腸癌のリスク増加などが挙げられる。炎症性腸疾患の非限定的な例としては、クローン病や潰瘍性大腸炎があり、それ自体、潰瘍性直腸炎、直腸S状結腸炎、左側大腸炎、膵炎、急性重症潰瘍性大腸炎など、いくつかの異なるサブタイプがある。 炎症性腸疾患は、当該技術分野で公知の方法、または本明細書に記載される方法によって被験体において診断することができる。例えば、炎症性腸疾患は、医療提供者によって診断され得る。医師または医療提供者は、炎症性腸疾患の存在を確認するために、貧血または感染症の血液検査、便潜血検査、大腸内視鏡検査、軟性S状結腸鏡検査、上部内視鏡検査、カプセル内視鏡検査、ダブルバルーン内視鏡検査、X線検査、コンピュータ断層撮影検査、磁気共鳴画像検査、または小腸画像検査を含むがこれらに限定されない検査の組み合わせを実施または指示することができる。
【0114】
薬物誘発性疼痛」とは、薬物の意図しない作用により、患者が医師の診察を求めたり、入院を必要としたりするほどの症状が生じることをいう。疼痛を誘発することが知られている薬剤の例としては、末梢神経障害という形で神経損傷を引き起こすことが知られている化学療法薬がある。実際、末梢神経障害の発症が、化学療法の量と期間を制限する主な要因になることがある。コレステロール値を下げるために服用するコレステロール低下薬は、筋肉痛を引き起こすことが知られており、脱力感はコレステロール低下薬の副作用としてよく知られている。また、オピオイド(ヒドロコドン、ヒドロモルフォン、オキシコドン、モルヒネ)を長年使用して痛みが悪化すると、オピオイド誘発性痛覚過敏の結果として、悪循環的な痛みのサイクルが生じることがある。
【0115】
タンパク質、炭水化物、脂肪、そしてほとんどの水分は小腸(小腸)で吸収されます。吸収不良症候群は、腸が重要な栄養素や水分を吸収するのを妨げる何かがある場合に起こる。この問題は、炎症、病気、怪我などによって引き起こされることがある。食物の消化に必要な酵素が体内で作られないために起こることもある。吸収不良症候群を引き起こす要因としては、抗生物質の使用、セリアック病、慢性膵炎、嚢胞性線維症、乳製品タンパク質アレルギーなどの疾患、胆嚢、肝臓、膵臓の先天性(生まれつきの)欠損や疾患、腸の損傷(感染、炎症、損傷、手術など)、放射線療法(腸の粘膜を傷つける可能性がある)などがある。症状としては、腹部膨満感、鼓腸、爆発性下痢などがある。
【0116】
胆汁酸塩の吸収不良」とは、一般的に消化管内の胆汁酸塩の増加を指し、このために体液が大腸に送り込まれ、下痢を引き起こすことがある。胆汁酸塩吸収不良の他の症状としては、腹部のけいれん、臭い風、体重減少、胆石、腎臓結石などがある。現在、胆汁酸塩吸収不良には、(1)回腸切除や回腸炎に続発する胆汁酸塩吸収不良、(2)特発性/原発性胆汁酸塩吸収不良、(3)さまざまな消化器疾患に続発する胆汁酸塩吸収不良の3つのタイプがあると考えられている。胆汁酸塩吸収不良は、当該技術分野で知られている方法または本明細書に記載されている方法によって被験体において診断することができる。例えば、胆汁酸塩吸収不良は、医療提供者によって診断され得る。医師または医療提供者は、胆汁酸塩吸収不良の存在を確認するために、SeHCATスキャン、7α-ヒドロキシ-4-コレステン-3-オンの測定、および空腹時血中FGF19値を含むがこれらに限定されない検査を実施または組み合わせて命令することができる。
【0117】
本明細書で使用される用語「治療」および「予防」ならびにそれに由来する語は、治療的利益および/または予防的利益を含むがこれらに限定されない、有益または所望の結果を得るためのアプローチを指す。治療的利益は、治療される基礎障害の根絶または改善を意味し得る。また、治療的利益は、被験体が依然として基礎疾患に罹患している可能性があるにもかかわらず、被験体において改善が観察されるような、基礎疾患に関連する生理学的症状の1つまたは複数の根絶または改善によって達成され得る。予防的効果には、疾患もしくは状態の出現を遅延もしくは排除すること、疾患もしくは状態の症状の発現を遅延もしくは排除すること、疾患もしくは状態の進行を遅延、停止もしくは逆転させること、またはそれらの組み合わせが含まれる。予防的利益のために、組成物は、特定の疾患を発症する危険性のある被験体、またはこの疾患の診断がなされていなくても、疾患の生理学的症状の1つ以上を報告する被験体に投与され得る。したがって、当業者が潜在的な利益または治療効果を有すると認識する治療または予防の程度は様々である。この点で、本発明方法は、哺乳動物におけるGABA-A媒介疾患の任意のレベルの治療または予防を任意の量提供することができる。さらに、本発明方法によって提供される治療または予防は、治療または予防される疾患、例えばIBSの1つ以上の状態または症状の治療または予防を含み得る。
【0118】
本明細書で使用される場合、用語「対象」は、マウスおよびハムスターなどの齧歯目の哺乳動物、ならびにウサギなどのLogomorpha目の哺乳動物を含むが、これらに限定されない任意の哺乳動物を指す。いくつかの実施形態において、哺乳動物は、ネコ目(Felines)およびイヌ目(Carnivora)のものである。いくつかの実施形態では、哺乳動物は、ウシ(Bovines)およびブタ(Swines)を含む偶蹄目(Artiodactyla)、またはウマ(Equines)を含む偶蹄目(Perssodactyla)のものである。いくつかの実施形態では、哺乳類は、霊長目、ネコ目、シモ目(サル目)、または人類目(ヒトおよび類人猿目)である。非限定的な例として、哺乳動物はヒトであり得る。場合によっては、対象は成人ではない。 たがって、いくつかの実施形態では、対象はヒトである。
【0119】
用語「アルキル」は、本明細書で使用される場合、示された数の炭素原子を含む、直鎖または分枝鎖である飽和炭化水素鎖を指す。例えば、C ~C14 アルキル基は、その基が1~4個(包括的)の炭素原子を有することを示す。同様に、C -C110 アルキル基は、その基が1~10個の炭素原子を有することを示す。本明細書において特に断りのない限り、アルキル基は任意に置換されている。用語「ハロアルキル」は、本明細書で使用される場合、1つ以上の水素原子が独立して選択されるハロで置換されている/置換されているアルキルを指す。
【0120】
アルキレン」という用語は、二価のアルキル(例えば、-CH2 -)を指す。
【0121】
用語「アルケニル」は、本明細書で使用される場合、1つ以上の炭素-炭素二重結合を有する、示された数の炭素原子を含む、直鎖または分枝鎖である炭化水素鎖を指す。例えば、C ~C24 アルケニル基は、その基が2~4個(包括的)の炭素原子を有することを示す。同様に、C -C210アルケニル基は、その基が2~10個の炭素原子を有することを示す。本明細書において特に断りのない限り、アルケニル基は任意に置換されている。
【0122】
用語「アルキニル」は、本明細書で使用される場合、1つ以上の炭素-炭素三重結合を有する、示された数の炭素原子を含む、直鎖または分枝鎖である炭化水素鎖を指す。例えば、C ~C24 アルキニル基は、その基が2~4個(包括的)の炭素原子を有することを示す。同様に、C -C210アルキニル基は、その基が2~10個の炭素原子を有することを示す。本明細書において特に断りのない限り、アルキニル基は任意に置換されている。
【0123】
用語「ハロ」または「ハロゲン」は、本明細書で使用される場合、フルオロ、クロロ、ブロモ、またはヨードを指す。
【0124】
用語「シクロアルキル」または「炭素環式環」は、本明細書で使用される場合、炭素原子および水素原子のみからなる安定な非芳香族―単環式または多環式炭化水素ラジカルを指し、縮合環系または架橋環系を含み得、3~15個の炭素原子を有し、飽和または不飽和であり、単結合によって分子の残りの部分に結合している。単環式ラジカルとしては、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチルなどが挙げられる。多環式ラジカルとしては、例えば、アダマンチル、ノルボルニル、デカリニル、7,7-ジメチルビシクロ‐[2.2.1]ヘプタニル等が挙げられる。シクロアルケニル」は、環内に1つ以上の炭素-炭素二重結合を含むシクロアルキルである。本明細書において特に断らない限り、シクロアルキル(またはシクロアルケニル)基は任意に置換されている。
【0125】
用語「ヘテロシクリル」、「ヘテロシクロアルキル」または「ヘテロ環」は、酸素、窒素および硫黄から独立して選択される1個、2個または3個のヘテロ原子(例えば、S、S(O)またはS(O)2 )を含む置換または非置換の3員、4員、5員、6員または7員の飽和または部分不飽和環を指す。ヘテロシクリルは、非置換であっても、1個または複数の置換基で置換されていてもよい。ヘテロシクリルは、任意に、他のシクロアルキル、ヘテロシクリル、またはアリールに縮合していてもよい。例えば、ベンゾ基などである。
【0126】
用語「アリール」は、本明細書で使用される場合、例えば、6~18個の炭素原子および少なくとも1個の芳香環からなる炭化水素環系ラジカルを指す。アリールラジカルは、単環式、二環式、三環式、または四環式環系であり得、縮合環系または橋かけ環系を含み得る。アリールラジカルとしては、アセアントリレン、アセナフチレン、アセフェナントリレン、アントラセン、アズレン、ベンゼン、クリセン、フルオランテン、フルオレン、as-インダセン、シンダセン、インデン、ナフタレン、フェナレン、フェナントレン、プレアデン、ピレン、およびトリフェニレンから誘導されるアリールラジカルを挙げることができるが、これらに限定されない。本明細書において特に断らない限り、用語「アリール」または接頭辞「ar」(「アラルキル」など)は、任意に置換されたアリールラジカルを含むことを意味する。
【0127】
用語「ヘテロアリール」は、本明細書で使用される場合、窒素、酸素、および硫黄からなる群より選択される1つ以上のヘテロ原子(例えば、S、S(O)、またはS(O)2 )を含む5員~14員環系ラジカルを指す。ヘテロアリールラジカルは、単環式、二環式、三環式、または四環式環系であってよく、縮合環系または橋かけ環系を含んでよく;ヘテロアリールラジカル中の窒素原子、炭素原子、または硫黄原子は、任意選択で酸化されてよく;窒素原子は、任意選択で四級化されてよい。例示的なヘテロアリール基としては、アゼピニル、アクリジニル、ベンズイミダゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンズインドリル、ベンゾジオキソリル、ベンゾフラニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾチアジアゾリル、ベンゾ[b][1,4]ジオキセピニル、1,4ベンゾジオキサニル、ベンゾナフトフラニル、ベンゾオキサゾリルベンゾジオキソリル、ベンゾジオキシニル、ベンゾピラニル、ベンゾピラノニル、ベンゾフラニル、ベンゾフラノニル、ベンゾチエニル(ベンゾチオフェニル)、ベンゾトリアゾリル、ベンゾ[4、6]イミダゾ[1,2a]ピリジニル、カルバゾリル、シノリニル、ジベンゾフラニル、ジベンゾチオフェニル、フラニル、フラノニル、イソチアゾリル、イミダゾリル、インダゾリル、インドリル、インダゾリル、イソインドリル、インドリニル、イソインドリニル、イソキノリル、インドリジニル、イソオキサゾリル、ナフチリジニル、オキサジアゾリル、2-オキソアゼピニル、オキサゾリル、オキシラニル、1-オキシドピリジニル、1-オキシドピリミジニル、1-オキシドピラジニル、1-オキシドピリダジニル、1-フェニル1H‐ピロリル、フェナジニル、フェノチアジニルフェノキサジニル、フタラジニル、プテリジニル、プリンニル、ピロリル、ピラゾリル、ピリジニル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、キナゾリニル、キノキサリニル、キノリニル、キヌクリジニル、イソキノリニル、テトラヒドロキノリニル、チアゾリル、チアジアゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、トリアジニル、およびチオフェニル(すなわち。e.,チエニル)である。本明細書で特に断らない限り、ヘテロアリール基は任意に置換されている。
【0128】
用語「アルコキシ」は、本明細書で使用される場合、-O-アルキルラジカル(例えば、-OCH3 )を指す。用語「ハロアルコキシ」は、本明細書で使用される場合、-O-ハロアルキルラジカル(例えば、-OCF )を指す。
【0129】
用語「チオアルコキシ」は、本明細書で使用される場合、-S-アルキルラジカル(例えば、-SCH3 )を指す。用語「ハロチオアルコキシ」は、本明細書で使用される場合、-S-ハロアルキルラジカル(例えば、-SCF )を指す。
【0130】
用語「C(O)グルクロン酸」は、本明細書で使用される場合、式を有するラジカルを指す。
[化]
非限定的な例として、ラジカルは、以下であることができる。
【0131】
本実施形態の化合物を構成する原子は、そのような原子のすべての同位体形態を含むことを意図している。本明細書で使用される同位体には、同じ原子番号を有するが質量数が異なる原子が含まれる。一般的な例として、限定するものではないが、水素の同位体としては、トリチウムおよび重水素が挙げられ、炭素の同位体としては、13 Cおよび14 Cが挙げられる。
【0132】
例示的な医薬組成物
したがって、本開示の化合物には、開示された化合物の互変異性体、エナンチオマー、立体異性体、ジアステレオ異性体を含む異性体、およびそれらの薬学的に許容される塩が含まれる。
【0133】
本明細書に記載の治療方法において使用される式(I)の化合物の塩は、薬学的に許容される塩であろう。当業者であれば、式(I)の化合物またはその誘導体およびそれらの薬学的に許容される塩の調製において、非薬学的に許容される塩が中間体として使用され得ることを認識するであろう。本開示の化合物が酸性である場合、好適な「薬学的に許容される塩」とは、無機塩基および有機塩基を含む薬学的に許容される非毒性塩基から調製される塩を指す。無機塩基由来の塩としては、アルミニウム、アンモニウム、カルシウム、銅、第二鉄、第一鉄、リチウム、マグネシウム、マンガン塩、マンガン、カリウム、ナトリウム、亜鉛などが挙げられる。非限定的な例としては、アンモニウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、カリウム塩、ナトリウム塩などが挙げられる。薬学的に許容される有機非毒性塩基から誘導される塩としては、第一級、第二級および第三級アミン、天然に存在する置換アミンを含む置換アミン、環状アミンおよび塩基性イオン交換樹脂の塩が挙げられ、例えば、アルギニン、ベタインカフェイン、コリン、N,N'1-ジベンジルエチレンジアミン、ジエチルアミン、2-ジエチルアミノエタノールなどが挙げられる、2-ジメチルアミノエタノール、エタノールアミン、エチレンジアミン、N-エチルモルホリン、N-エチルピペリジン、グルカミン、グルコサミン、ヒスチジン、ヒドラバミン、イソプロピルアミン、リジン、メチルグルカミン、モルホリン、ピペラジン、ピペリジン、ポリアミン樹脂、プロカイン、プリン、テオブロミン、トリエチルアミン、トリメチルアミン・トリプロピルアミン、トロメタミンなど。
【0134】
本開示の化合物が塩基性である場合、塩は、無機酸および有機酸を含む、薬学的に許容される非毒性の酸から調製することができる。このような酸には、酢酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、カンファースルホン酸、クエン酸、エタンスルホン酸、フマル酸、グルコン酸、グルタミン酸、臭化水素酸、塩酸、イセチオン酸乳酸、マレイン酸、リンゴ酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、粘液酸、硝酸、パモ酸、パントテン酸、リン酸、コハク酸、硫酸、酒石酸、p-トルエンスルホン酸などが挙げられる。非限定的な例としては、クエン酸、臭化水素酸、塩酸、マレイン酸、リン酸、硫酸および酒石酸が挙げられる。本開示のさらなる実施形態において、式(I)の化合物、またはその塩、溶媒和物、もしくは立体異性体、および適切な薬学的に許容される担体を含む製剤が、当業者によって理解されるように提供される。
【0135】
本開示のさらなる態様において、IBSの患者を処置する方法が提供される。本方法は、1つ以上の式(I)の化合物、またはその塩、溶媒和物、もしくは立体異性体、またはその誘導体を被験体に投与する工程を包含する。化合物は、必要に応じて、薬学的に許容される担体とともに提供することができる。
【0136】
担体と賦形剤
【0137】
本明細書に記載の医薬組成物に関して、薬学的に許容される担体は、従来使用されているもののいずれでもよく、溶解性および活性化合物(単数または複数)との反応性の欠如のような物理化学的考察、および投与経路によってのみ制限される。本明細書に記載される薬学的に許容される担体、例えば、ビヒクル、アジュバント、賦形剤、および希釈剤は、当業者に周知であり、一般に容易に入手可能である。薬学的に許容される担体の例としては、生理学的に許容され得る公知の緩衝液(例えば、リン酸緩衝液)のような可溶性担体、ならびに固体担体またはラテックスビーズのような固体組成物が挙げられる。 薬学的に許容される担体は、活性剤(単数または複数)に対して化学的に不活性であり、使用条件下で有害な副作用または毒性をほとんどまたは全く有さないものであることが好ましい。
【0138】
本明細書で使用される担体または希釈剤は、固体製剤用の固体担体または希釈剤、液体製剤用の液体担体または希釈剤、またはそれらの混合物であってもよい。
【0139】
固体担体または希釈剤としては、ガム、デンプン(例えば、トウモロコシデンプン、前ゼラチン化デンプン)、糖(例えば、ラクトース、マンニトール、スクロース、デキストロース)、セルロース系材料(例えば、微結晶セルロース)、アクリレート(例えば、ポリメチルアクリレート)、炭酸カルシウム、酸化マグネシウム、タルク、またはこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0140】
液体製剤の場合、薬学的に許容される担体は、例えば、水性または非水性の溶液、懸濁液、乳濁液または油である。非水性溶媒の例としては、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、およびオレイン酸エチルのような注射可能な有機エステルが挙げられる。水性担体としては、例えば、水、アルコール/水溶液、シクロデキストリン、生理食塩水および緩衝化媒体を含む乳濁液または懸濁液が挙げられる。
【0141】
油の例としては、石油由来、動物由来、植物由来、または合成由来のものが挙げられ、例えば、ピーナッツ油、大豆油、鉱油、オリーブ油、ヒマワリ油、魚肝油、ゴマ油、綿実油、トウモロコシ油、オリーブ、ペトロラタム、およびミネラルが挙げられる。 非経口製剤に使用するのに適した脂肪酸としては、例えばオレイン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸が挙げられる。 オレイン酸エチルおよびミリスチン酸イソプロピルは、適切な脂肪酸エステルの例である。
【0142】
加えて、いくつかの実施形態において、本開示の化合物は、例えば、結合剤(例えば、アカシア、コーンスターチ、ゼラチン、カルボマー、エチルセルロース、グアーガム、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポビドン)、崩壊剤(例えば、コーンスターチ、ポテトスターチ、アルギン酸、二酸化ケイ素、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、グアーガム、デンプングリコール酸ナトリウム)、緩衝剤(例.様々なpHおよびイオン強度の緩衝剤(例えば、Tris-HCl、酢酸塩、リン酸塩)、表面への吸収を防ぐためのアルブミンやゼラチンなどの添加剤、洗浄剤(例えば、Tween20、Tween80、Pluronic F68、胆汁酸塩)、プロテアーゼ阻害剤、界面活性剤(例えば、ラウリル硫酸ナトリウム)、浸透促進剤、可溶化剤(例えば、クレモホール、グリセロール、ポリエチレングリセロール、塩化ベンズルコニウム、安息香酸ベンジル、シクロデキストリン、ソルビタンエステル、ステアリン酸)、抗酸化剤(例えば、アスコルビン酸、メタ重亜硫酸ナトリウム、ブチル化ヒドロキシアニソール)、安定剤(例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース)、粘度増加剤(例えばカルボマー、コロイド状二酸化ケイ素、エチルセルロース、グアーガムなど)、甘味剤(アスパルテーム、クエン酸など)、防腐剤(チメロサール、ベンジルアルコール、パラベンなど)、滑沢剤(ステアリン酸、マグネシウムなど)、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウムなど)、流動助剤(コロイド状二酸化ケイ素など)、可塑剤(フタル酸ジエチル、クエン酸トリエチルなど)、乳化剤(カルボマー、ヒドロキシプロピル、クエン酸トリエチルなどカルボマー、ヒドロキシプロピルセルロース、ラウリル硫酸ナトリウム)、ポリマーコーティング(例えば、ポロキサマーまたはポロキサミン)、コーティングおよびフィルム形成剤(例えば、エチルセルロース、アクリレート、ポリメタクリレート)、および/またはアジュバント。
【0143】
いくつかの実施形態では、薬学的に許容される担体は、90%以上、80%以上、70%以上、60%以上、50%以上、40%以上、30%以上、20%以上、10%以上、9%以上、8%以上、6%以上、5%以上、4%以上、3%以上、2%以上、1%以上、0.5%以上、0.4%以上、0.3%以上、0.2%以上、0.1%以上、0.09%以上、0.08%以上、0.07%以上、0.06%以上、0.05%以上、0.04%以上、0.03%以上、0.02%以上、0.01%以上、0.009%以上、0.008%以上、0.007%以上、0.006%以上、0.005%以上、0.004%以上、0.003%以上、0.002%以上、0.001%以上、0.0009%以上、0.0008%以上、0.0007%以上、0.0006%以上、0.0005%以上、0.0004%以上、0.0003%以上、0.0002%以上、または0.0001%以上である。
【0144】
いくつかの実施形態では、組成物中の化合物の濃度は、100%未満、90%未満、80%未満、70%未満、60%未満、50%未満、40%未満、30%未満、20%未満、10%未満、9%未満、8%未満、6%未満、5%未満、4%未満、3%未満、2%未満、1%未満、0.5%未満、0.4%未満、0.3%未満、0.2%未満、0.1%未満、0.09%未満、0.08%未満、0.07%未満、0.06%未満、0.05%未満、0.04%未満、0.03%未満、0.02%未満、0.01%未満、0.009%未満、0.008%未満、0.007%未満、0.006%未満、0.005%未満、0.004%未満、0.003%未満、0.002%未満、0.001%、0.0009%未満、0.0008%未満、0.0007%未満、0.0006%未満、0.0005%未満、0.0004%未満、0.0003%未満、0.0002%未満、または0.0001%未満である。
【0145】
いくつかの実施形態では、化合物の濃度は、約0.0001%~約50%、約0.001%~約40%、約0.01%~約20%、約0.02%~約29%、約0.03%~約28%、約0.04%~約27%、約0.05%~約26%、約0.06%~約25%、約0.07%~約24%、約0.約0.08%~約23%、約0.09%~約22%、約0.1%~約21%、約0.2%~約20%、約0.3%~約19%、約0.4%~約18%、約0.5%~約17%、約0.6%~約16%、約0.7%~約15%、約0.8%~約14%、約0.9%~約12%、約1%~約10%を医薬組成物のw/w、w/vまたはv/vで含有する。
【0146】
いくつかの実施形態において、化合物の濃度は、医薬組成物のw/w、w/vまたはv/vで、約0.0001%~約5%、約0.001%~約4%、約0.01%~約2%、約0.02%~約1%、または約0.05%~約0.5%の範囲である。
【0147】
いくつかの実施形態において、医薬組成物中の化合物の量は、約0.00001mg、0.0001mg、0.001mg、0.005mg、0.01mg、0.05mg、0.1mg、0.25mg、0.5 mg, 1 mg, 2 mg, 4 mg, 8 mg, 10 mg, 12 mg, 14 mg, 16 mg, 18 mg, 20 mg, 25 mg, 30 mg, 35 mg, 40 mg, 45 mg, 50 mg, 55 mg, 60 mg, 65 mg, 70 mg, 75 mg, 80 mg, 85 mg、90 mg, 95 mg, 100 mg, 150 mg, 200 mg, 250 mg, 300 mg, 350 mg, 400 mg, 450 mg, 500 mg, 550 mg, 600 mg, 650 mg, 700 mg, 750 mg, 800 mg, 850 mg, 900 mg, 950 mg, 1 g, 1.1 g、1.2 g、1.3 g、1.4 g、1.5 g、1.6 g、1.7 g、1.8 g、1.9 g、2 g、2.5 g、3 g、3.5 g、4 g、4.5 g、5 g、6 g、7 g、8 g、9 g、または10 g。
【0148】
模範的な運営方法
【0149】
本明細書に記載の医薬組成物の投与は、作用部位への化合物の送達を可能にする任意の方法によって行うことができる。組成物は、経口的、非経口的、経腸的、腹腔内、局所的、経皮的、眼科的、経鼻的、局所的、非経口的、スプレーを介して、皮下的、静脈内、膀胱内、筋肉内、頬側、舌下、直腸内、膣内(例えば、Capra et al、膣ペッサリーを介して、例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれるCapraら、Journal of Pharmaceutics 2013、386546に記載される方法を用いて)、動脈内、注入により、または経皮的に投与される。いくつかの実施形態において、組成物は経口投与される。いくつかの態様において、経口投与は、本明細書に記載される経口剤形のいずれかの投与を含み得る。いくつかの態様において、本明細書に記載の組成物は、舌下投与される。いくつかの態様において、本明細書に記載の組成物は、経皮的に、例えば経皮パッチを介して投与される。投与される化合物の有効量は、治療される対象、障害または状態の重症度、投与速度、化合物の体内動態、および処方医の裁量に依存する。
【0150】
経口投与用医薬組成物
【0151】
有効量の化合物を含む医薬組成物は、経口投与用に製剤化することができる。いくつかの実施形態において、経口投与のための有効量の化合物を含む医薬組成物は、固体医薬組成物である。いくつかの実施形態において、固体医薬組成物は、離散(例えば、単位)経口剤形として提示され得る。離散経口剤形の非限定的な例としては、錠剤、カプセル剤、カプレット、ゼラチンカプセル剤、徐放性製剤、トローチ剤、薄膜、ロリポップ、チューインガムなどが挙げられる。いくつかの実施形態において、離散経口剤形は、口腔内崩壊錠などの口腔内崩壊経口剤形である。
【0152】
いくつかの実施形態において、経口投与のための有効量の化合物を含む医薬組成物は、液体医薬組成物である。経口投与のための液体組成物の非限定的な例としては、親水性懸濁液、乳剤、液剤、ゲル剤、シロップ剤、スラリー剤、溶液剤、エリキシル剤、ソフトゲル剤、チンキ剤、およびヒドロゲル剤が挙げられる。いくつかの実施形態において、経口投与に有効な量の化合物を含む固体組成物または液体組成物は、種々の甘味剤または香味剤、または着色剤を含む。着色剤の例としては、F.D.&C.色素として知られているような食品に適した色素、およびブドウ果皮抽出物、ビート赤色粉末、ベータカロチン、アナトー、カルミン、ウコン、パプリカなどの天然着色剤が挙げられる。上記の着色化合物の誘導体、類似体、異性体も使用できる。
【0153】
担体の選択は、部分的には、特定の化合物、および化合物を投与するために使用される特定の方法によって決定される。従って、本開示の医薬組成物には様々な適切な製剤が存在する。 非経口投与、皮下投与、静脈内投与、筋肉内投与、動脈内投与、髄腔内投与および腹膜間投与のための以下の製剤は例示的なものであり、決して限定するものではない。化合物を投与するために1つ以上の経路を使用することができ、ある場合には、特定の経路は他の経路よりも即効的でより効果的な反応を提供することができる。
【0154】
注射用または非経口投与用医薬組成物
【0155】
非経口ビヒクル(皮下、静脈内、動脈内または筋肉内注射用)には、例えば、塩化ナトリウム溶液、リンゲルブドウ糖、ブドウ糖と塩化ナトリウム、乳酸リンゲルおよび固定油が含まれる。非経口投与に適した製剤としては、例えば、水性および非水性の等張無菌注射液が挙げられ、これらは、抗酸化剤、緩衝剤、静菌剤、および製剤を意図されるレシピエントの血液と等張にする溶質を含むことができ、水性および非水性の無菌懸濁液は、懸濁化剤、可溶化剤、増粘剤、安定化剤、および保存剤を含むことができる。
【0156】
静注用ビヒクルとしては、例えば、体液および栄養補給剤、リンゲルブドウ糖をベースとするような電解質補給剤などが挙げられる。 例としては、界面活性剤および他の薬学的に許容されるアジュバントの添加の有無にかかわらず、水および油のような滅菌液体が挙げられる。 液体担体(例えば、注射液に適した液体担体)の非限定的な例としては、水、生理食塩水、デキストロース水溶液および関連する糖溶液、ならびにプロピレングリコールまたはポリエチレングリコールのようなグリコールが挙げられる。 非経口製剤に使用するのに適した石鹸としては、例えば、脂肪アルカリ金属塩、アンモニウム塩、トリエタノールアミン塩が挙げられ、適した洗浄剤としては、例えば、(a)例えば、ジメチルジアルキルアンモニウムハライド、アルキルピリジニウムハライドなどのカチオン性洗浄剤、(b)例えば、アルキル、アリール、オレフィンスルホン酸塩などのアニオン性洗浄剤が挙げられる、アルキル、オレフィン、エーテル、モノグリセリド硫酸塩、およびスルホコハク酸塩、(c)例えば脂肪アミンオキシド、脂肪酸アルカノールアミド、およびポリオキシエチレンポリプロピレンコポリマーなどの非イオン性洗浄剤、(d)例えばアルキル-アミノプロピオン酸塩、および2-アルキルイミダゾリン第四級アンモニウム塩などの両性洗浄剤、および(e)これらの混合物。
【0157】
非経口製剤は通常、溶液中の化合物を約0.5重量%から約25重量%含有する。保存剤および緩衝剤を使用してもよい。注射部位における刺激を最小化または除去するために、このような組成物は、例えば、約12から約17の親水性-親油性バランス(HLB)を有する1つ以上の非イオン性界面活性剤を含有し得る。このような製剤中の界面活性剤の量は、典型的には、約5重量%~約15重量%の範囲であろう。適切な界面活性剤としては、例えば、ソルビタンモノオレエートのようなポリエチレングリコールソルビタン脂肪酸エステル、およびプロピレンオキシドとプロピレングリコールの縮合によって形成される、エチレンオキシドと疎水性塩基との高分子量付加物が挙げられる。
【0158】
非経口製剤は、アンプルやバイアルなどの単位用量または複数用量の密封容器で提供することができ、使用直前に注射用の無菌液体賦形剤、例えば水を加えることのみを必要とする凍結乾燥(凍結乾燥)状態で保存することができる。注射液や懸濁液は、無菌の粉末、顆粒、錠剤から調製することができる。
【0159】
注射可能な製剤は、本開示に従う。注射用組成物のための有効な薬学的担体の要件は、当業者に周知である(例えば、Pharmaceutics and Pharmacy Practice, J.B. Lippincott Company, Philadelphia, PA, Banker and Chalmers編、238250頁(1982年)、およびASHP Handbook on Injectable Drugs, Trissel, 15th ed., 622630頁(2009年)を参照のこと)。
【0160】
その他の医薬組成物
あるいは、本開示の化合物は、化合物が投与される体内に放出される態様が、時間および体内の位置に関して制御されるように、デポー形態に改変することができる(例えば、米国特許第4,450,150号参照)。化合物のデポー形態としては、例えば、化合物とポリマーなどの多孔性または非多孔性材料とを含む移植可能な組成物を挙げることができ、化合物は、材料によってカプセル化されるか、または材料全体に拡散されるか、および/または非多孔性材料の分解によってカプセル化される。その後、デポは体内の所望の場所に移植され、化合物は所定の速度でインプラントから放出される。
【0161】
いくつかの実施形態において、本明細書で提供される本開示の化合物は、制御放出組成物、すなわち、1つ以上の化合物が投与後一定期間にわたって放出される組成物であり得る。制御放出組成物または徐放組成物には、親油性デポ(例えば、脂肪酸、ワックス、油)における製剤化が含まれる。別の実施形態では、組成物は即時放出組成物、すなわち、化合物の全部または実質的に全部が投与直後に放出される組成物である。
【0162】
さらに別の実施形態において、本開示の化合物は、制御放出系で送達され得る。例えば薬剤は、静脈内注入、移植可能な浸透圧ポンプ、経皮パッチ、または他の投与様式を用いて投与され得る。いくつかの実施形態では、ポンプが使用され得る。いくつかの実施形態において、ポリマー材料が使用され得る。さらに別の実施形態では、制御放出システムは、治療標的、すなわち脳に近接して配置することができ、したがって、全身投与量のほんの一部しか必要としない(例えば、Design of Controlled Release Drug Delivery Systems, Xiaoling Li and Bhaskara R. Jasti eds. (McGraw-Hill, 2006)を参照のこと)。
【0163】
いくつかの実施形態において、本開示の医薬組成物は、本開示の化合物、例えば、本明細書に開示される化合物、および/またはそれらの塩、溶媒和物もしくは立体異性体、ならびに任意選択で、薬学的に許容される担体とともに、1つ以上の追加の治療剤、例えば、5-HT受容体阻害剤、抗生物質、抗炎症剤、免疫調節剤を含む。
【0164】
前述の化合物と1種以上の抗生物質を含む医薬組成物に好適な抗生物質の例としては、例えば、レボフロキサシン、シプロフロキサシン、イバフロキサシン、プラドフロキサシン、ロソキサシン、サラフロキサシンなどのキノロン系抗生物質が挙げられる。その他の適切な抗生物質は、Bactrim(R)などのトリメトプリム-スルファメトキサゾール混合薬である。代替薬としては、リファキシミンやアジスロマイシンがある。投与量は治療対象の体重や年齢によって異なる。通常、キノロン系抗生物質とトリメトプリム-スルファメトキサゾール混合薬を1日250~500mg投与する。トリメトプリム-スルファメトキサゾールの場合、投与量は一般に約5mg/kgから25mg/kgの間である。リファキシミンの場合、投与量は100mgから約500mg(例えば200mg)である。アジスロマイシンは一般的に250~500mg/日投与される。必要な投与量は当業者の知識の範囲内である。
【0165】
一般的な考慮事項
本開示の目的上、投与される式(I)の化合物、塩、溶媒和物、または立体異性体のいずれか1つの量または用量は、合理的な時間枠にわたって、対象において、例えば、治療的または予防的応答をもたらすのに十分であるべきである。投与量は、特定の化合物の有効性およびヒトの状態、ならびに治療されるヒトの体重によって決定される。
【0166】
本開示の化合物、塩、溶媒和物、または上記の化合物の立体異性体の投与量もまた、特定の化合物の投与に伴う可能性のある副作用の存在、性質、および程度によって決定される。
【0167】
通常、主治医は、年齢、体重、一般的な健康状態、食事、性別、投与する化合物、投与経路、および治療する状態の重症度などの様々な要因を考慮して、個々の患者を治療する化合物の投与量を決定する。一例として、本開示を限定する意図はないが、化合物の投与量は、治療される対象の体重/kgあたり約0.001~1000mg/kg/日、約0.01~約100mg/kg/日、約0.1mg~約10mg/kg/日である。上述した本開示のいくつかの態様を、以下の実施例に示す。
【0168】
使用例
【0169】
実施例1:8-クロロ-6-(2-フルオロフェニル)-4H-ピラゾロ[1,5-a][1,4]ベンゾジアゼピン-2-カルボン酸(化合物101)
[化]
【0170】
方法A
【0171】
ステップ1:1-(4-クロロフェニル)-5-メチル-1H-ピラゾール-3-カルボン酸エチル
【0172】
丸底フラスコに4-クロロフェニルヒドラジン塩酸塩(31.47 g, 0.176 mol)、MeOH(500 mL)、2,4-ジオキソペンタン酸エチル(24.69 mL, 1 eq.)およびDIPEA(30.62 mL, 1 eq.)を装入した。混合物を還流まで1.5時間加熱した。完了後、反応混合物を室温まで冷却し、シリカゲル(~70 g)を加えた。溶媒を蒸発させ、シリカ沈殿物をシリカ上のフラッシュクロマトグラフィーにかけ、90%ヘキサン:10%酢酸エチルで溶出した。26.4gを得た(収率56%)。LC-MS ESI+:265.10 (M+1)。
【0173】
ステップ2:1-(4-クロロ-2-(2-フルオロベンゾイル)フェニル)-5-メチル-1H-ピラゾール-3-カルボン酸エチル
【0174】
1-(4-クロロフェニル)-5-メチル-1H-ピラゾール-3-カルボン酸エチル(5.27 g, 0.02 mol) および2-フルオロ-ベンズアルデヒド (4.19 mL, 2 eq.) を1,2-ジクロロエタン (73 mL) に溶解し、ネジ付きバイアル瓶に入れた。得られた溶液にPd(TFA)2 (662 mg, 0.1 eq.)を加え、混合物を室温で45分間撹拌した。TBHP (5.5 M in nonane, 9.05 mL, 2.5 eq.) を1回に分けて加えた。反応混合物を100℃に24時間加熱した後、室温まで冷却し、0.5 M NaOH (30 mL)で洗浄し、無水MgSO4 上で乾燥し、減圧下で蒸発させた。生成物を100%ヘキサンから80%ヘキサン:20%酢酸エチルの勾配で溶出するシリカゲルフラッシュクロマトグラフィーを用いて精製した。2.2gを得た(28%)。LC-MS ESI+: 387.00 (M+1)。
【0175】
ステップ3:5-(ブロモメチル)-1-(4-クロロ-2-(2-フルオロベンゾイル)フェニル)-1H-ピラゾール-3-カルボン酸エチル
【0176】
エチル1-(4-クロロ-2-(2-フルオロベンゾイル)フェニル)-5-メチル-1H-ピラゾール-3-カルボキシレート(6.61 g, 0.017 mol)をDCE(375 mL)に溶解した。次にNBS (3.65 g, 1.2 eq.)を加え、混合物を90℃(オイルバス温度)に加熱した。5分後、Luperox A75 (0.55 g, 0.1 eq.) を加え、加熱を続けた。2時間後、反応の進行をLC-MSで確認したところ、約40%の出発物質が反応混合物中にまだ存在していた。NBS(1.82g、0.6eq.)および過酸化ベンゾイル(0.27g、0.05eq.)を追加添加した。加熱を1時間続けた。その時間後、TLC分析は出発物質のほぼ完全な変換を示した。反応混合物を室温まで冷却し、シリカゲル(~60g)を加えた。溶媒を減圧下で蒸発させた。生成物をシリカ上のフラッシュクロマトグラフィーで精製し、100%ヘキサンから80%ヘキサン:20%酢酸エチルへの勾配で溶出した。4.93gを得た(収率62%)。LC-MS 464.95, 466.95 (M+1)。
【0177】
ステップ4:8-クロロ-6-(2-フルオロフェニル)-4H-ベンゾ[f]ピラゾロ[1,5-a][1,4]ジアゼピン-2-カルボン酸エチル
【0178】
エチル 5-(ブロモメチル)-1-(4-クロロ-2-(2-フルオロベンゾイル)フェニル)-1H-ピラゾール-3-カルボキシレート(4.93 g, 0.106 mol) を酢酸アンモニウム(3.59 g, 3 eq.)およびウロトロピン(4.45 g, 3 eq.)とともにIPA(100 mL)に溶解した。RMを還流まで1.5時間加熱した。その後、RMを室温まで冷却し、シリカゲル(~50g)を加えた。溶媒を減圧下で蒸発させた。 生成物をシリカ上のフラッシュクロマトグラフィーで精製し、80%ヘキサン:20%酢酸エチルから50%ヘキサン:50%酢酸エチルへの勾配で溶出した。 3.25gを得た(80%)。LC-MS 384.05 (M+1)。
【0179】
ステップ5:8-クロロ-6-(2-フルオロフェニル)-4H-ベンゾ[f]ピラゾロ[1,5-a][1,4]ジアゼピン-2-カルボン酸
【0180】
エチル8-クロロ-6-(2-フルオロフェニル)-4H-ベンゾ[f]ピラゾロ[1,5-a][1,4]ジアゼピン-2-カルボキシレート(3.25 g, 0.0085 mol)をTHF:水混合溶媒(v:v, 1:1, 84 mL)に溶解し、LiOH-H2O(1.93 g, 1.06 g, 3 eq.)を1回に分けて加え、反応混合物を60℃の温度で約1~2時間(TLC分析、溶離液として100%酢酸エチル、SM Rf=0.6、所望の生成物DP Rf=0.0)で完了するまで撹拌した。完了後、THFを減圧下で蒸発させた。 水溶液をギ酸でpH~5に酸性化した。得られた沈殿物を集め、蒸留水(100 mL)で洗浄した。注:前の工程で非常に純粋な生成物が得られた場合、鹸化および酸性化後の精製は必要ない。生成物をC18逆相クロマトグラフィーで精製し、90%水:10%MeOHから100%MeOHへの勾配で溶出した。 2.2gを得た(73%)。 LC-MS 355.90 (M+1)。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 13.35 -12.91 (s, 1H), 8.00 (d, J= 8.8 Hz, 1H), 7.84 (dd, J= 8.8, 2.4 Hz, 1H), 7.65 -7.52 (m, 2H), 7.37 -7.17 (m, 3H), 6.93 (s, 1H), 4.76 (s, 2H).
実施例2-16は方法Aに従って調製した。
[化]
[表1]
[化]
[表2]
[化]
[表3]
【0181】
実施例17:12-クロロ-9-(2-フルオロフェニル)-2,3,8-トリアザトリシクロ[8.4.0.02,6]テトラデカ-1(10),3,5,8,11,13-ヘキサエン-5-カルボン酸(化合物117)
[化]
【0182】
B法
【0183】
ステップ1:1-(4-クロロフェニル)-5-メチル-1H-ピラゾール-4-カルボン酸エチル
【0184】
アセト酢酸エチル(8.06 mL, 1 eq.)をN,N-ジメチルホルムアミドジメチルアセタール(10.19 mL, 1 eq.)とともに1時間還流した。室温まで冷却した後、過剰のDMFDMAを減圧下で蒸留除去した。得られた残渣を、MeOH(100 mL)中の4-クロロフェニルヒドラジン塩酸塩(8 g, 1 eq.)およびDIPEA(8.56 mL, 1.1 eq.)の溶液に加えた。得られた溶液を3時間還流した。室温に冷却後、溶媒を減圧下で蒸発させた。得られた残渣をDCM(100mL)に溶解し、水(50mL)で洗浄し、無水硫酸マグネシウム上で乾燥し、真空中で蒸発させた。生成物をシリカ上のフラッシュクロマトグラフィーで精製し、酢酸エチルで溶出した。7.38gを濃いオイルとして得た(62%)。ESI(+): 265.05 (+H+ ).
【0185】
ステップ2:1-[4-クロロ-2-(2-フルオロベンゾイル)フェニル]-5-メチル-1H-ピラゾール-4-カルボン酸エチル
【0186】
1-(4-クロロフェニル)-5-メチル-1H-ピラゾール-4-カルボン酸エチル(4 g, 1 eq.)を1,2-ジクロロエタン(20 mL)に溶解した。トリフルオロ酢酸パラジウム(0.5 g, 0.1 eq.)を加え、混合物を溶液が透明になるまで40分間撹拌した。次に、tert-ブチルヒドロペルオキシド溶液(デカン中5-6M、7.56mL、2.5eq.)および2-フルオロベンズアルデヒド(3.18mL、2eq.)を加え、混合物を90℃で20時間加熱した。室温まで冷却後、反応混合物を水(20 mL)、ブライン(2 mL)で洗浄し、無水硫酸マグネシウム上で乾燥し、真空中で蒸発させた。粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィーで精製し、80%ヘキサン:20%酢酸エチルで溶出した。3.4gの黄色固体が得られた(58%)。ESI(+): 386.95 (+H+ ).
【0187】
ステップ3:5-(ブロモメチル)-1-[4-クロロ-2-(2-フルオロベンゾイル)フェニル]-1H-ピラゾール-4-カルボン酸エチル
【0188】
エチル 1-[4-クロロ-2-(2-フルオロベンゾイル)フェニル]-5-メチル-1H-ピラゾール-4-カルボキシレート (1 g, 1 eq.) およびN-ブロモスクシンイミド (506 mg, 1.1 eq.) を1,2-ジクロロエタン (15 mL) に溶解し、30分間還流した。次に、ジベンゾイルペルオキシド (125 mg, 0.15 eq.) を1回に分けて加え、反応混合物を6時間還流した。室温に冷却後、溶液をシリカゲル(10 g)で濃縮し、これをシリカ上のフラッシュクロマトグラフィーに供し、ヘキサン:酢酸エチル0%-20%の勾配で溶出した。483mgの白色固体を得た(40%)。ESI(+): 464.85 (+H+ ).
【0189】
ステップ4:12-クロロ-9-(2-フルオロフェニル)-2,3,8-トリアザトリシクロ[8.4.0.02,6]テトラデカ-1(10),3,5,8,11,13-ヘキサエン-5-カルボン酸エチル
【0190】
エチル 5-(ブロモメチル)-1-[4-クロロ-2-(2-フルオロベンゾイル)フェニル]-1H-ピラゾール-4-カルボキシレート(480 mg, 1 eq.)、酢酸アンモニウム(350 mg, 3 eq.)およびウロトロピン(430 mg, 3 eq.)をイソプロパノール(10 mL)に溶解し、還流まで2時間加熱した。室温まで冷却後、溶媒を蒸発させ、残渣を水(50 mL)に懸濁した。懸濁液を酢酸エチル(3x 30 mL)で抽出した。合わせた有機抽出物をブライン(5 mL)で洗浄し、無水MgSO4 、減圧下で蒸発乾固した。生成物は精製せずに次のステップで使用した。391 mgの固体が得られた(98%)。ESI(+): 383.95 (+H+ ).
【0191】
ステップ5:12-クロロ-9-(2-フルオロフェニル)-2,3,8-トリアザトリシクロ[8.4.0.02,6]テトラデカ-1(10),3,5,8,11,13-ヘキサエン-5-カルボン酸
【0192】
エチル_12-クロロ-9-(2-フルオロフェニル)-2,3,8-トリアザトリシクロ[8.4.0.02,6]テトラデカ-1(10),3,5,8,11,13-ヘキサエン-5-カルボキシレート(240 mg, 1 eq.)をTHFと水の1:1混合溶媒(6 mL)に溶解した。水酸化リチウム一水和物(77mg、3eq)を1回に分けて加え、混合物を50℃で一晩撹拌した。その後、THFを蒸発させ、得られた溶液を希塩酸で酸性化した。得られた沈殿物を集め、水(20 mL)で洗浄し、減圧下で乾燥させた。固体を酢酸エチルでトリチュレートした。130mgの白色固体が得られた(59%)。esi(+): 356.00 (+h+ ).1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 12.94 (s, 1H), 8.20 (s, 1H), 8.00 (d, J = 8.8 Hz, 1H), 7.85 (dd, J = 8.8, 2.4 Hz, 1H), 7.67 - 7.50 (m, 2H), 7.39 - 7.27 (m, 2H), 7.27 - 7.17 (m, 1H), 5.01 (s, 2H).
【0193】
実施例18は方法Bに従って調製した。
[化]
[表4]
【0194】
施例19:12-クロロ-9-(2-フルオロフェニル)-5-メチル-2,3,8-トリアザトリシクロ[8.4.0.02,6]テトラデカ-1(10),3,5,8,11,13-ヘキサエン-4-カルボン酸(化合物119)
[化]
【0195】
ステップ1:1-(4-クロロフェニル)-5-メチル-1H-ピラゾール-3-カルボン酸エチル
【0196】
2,4-ジオキソペンタン酸エチル(25 g, 1 eq.)および4-クロロフェニルヒドラジン(22.54 g, 1 eq.)をMeOH(600 mL)に溶解した。得られた溶液を1時間還流した。室温まで冷却後、溶媒を減圧下で蒸発させた。生成物をシリカ上のフラッシュクロマトグラフィーで精製し、90%ヘキサン:10%酢酸エチルで溶出した。19gを暗色油として得た(45%)。ESI(+): 265.05 (+H+ ).
【0197】
ステップ2:1-[4-クロロ-2-(2-フルオロベンゾイル)フェニル]-5-メチル-1H-ピラゾール-3-カルボン酸エチル
【0198】
1-(4-クロロフェニル)-5-メチル-1H-ピラゾール-3-カルボン酸エチル(10.9 g, 1 eq.)を1,2-ジクロロエタン(150 mL)に溶解した。トリフルオロ酢酸パラジウム(1.78 g, 0.1 eq.)を加え、混合物を溶液が透明になるまで40分間撹拌した。次に、tert-ブチルヒドロペルオキシド溶液(デカン中5-6M、18.72mL、2.5eq.)および2-フルオロベンズアルデヒド(8.67mL、2eq.)を加え、混合物を90℃で20時間加熱した。室温まで冷却後、反応混合物を水(20 mL)、ブライン(2 mL)で洗浄し、無水硫酸マグネシウム上で乾燥し、真空中で蒸発させた。粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィーで精製し、80%ヘキサン:20%酢酸エチルで溶出した。4.8gの黄色固体が得られた(30%)。ESI(+): found 386.95 (+H+ ).
【0199】
ステップ3:4-ブロモ-5-(ブロモメチル)-1-[4-クロロ-2-(2-フルオロベンゾイル)フェニル]-1H-ピラゾール-3-カルボン酸エチル
【0200】
エチル 1-[4-クロロ-2-(2-フルオロベンゾイル)フェニル]-5-メチル-1H-ピラゾール-3-カルボキシレート (2.72 g, 1 eq.) およびN-ブロモスクシンイミド (2.75 mg, 2.2 eq.) を1,2-ジクロロエタン (150 mL) に溶解し、30分間還流した。次に、ジベンゾイルペルオキシド(681 mg, 0.3 eq.)を1回に分けて加え、反応混合物を6時間還流した。室温に冷却後、溶液をシリカゲル(50 g)で濃縮し、これをシリカ上のフラッシュクロマトグラフィーに供し、ヘキサン:酢酸エチル0%-20%のグラジエントで溶出した。2.2 gの淡黄色固体を得た(57%)。ESI(+): 542.85 (+H+ ).
【0201】
ステップ4:エチル 5-ブロモ-12-クロロ-9-(2-フルオロフェニル)-2,3,8-トリアザトリシクロ[8.4.0.02,6]テトラデカ-1(10),3,5,8,11,13-ヘキサエン-4-カルボキシレート
【0202】
エチル 4-ブロモ-5-(ブロモメチル)-1-[4-クロロ-2-(2-フルオロベンゾイル)フェニル]-1H-ピラゾール-3-カルボキシレート(2.2 g, 1 eq.)、酢酸アンモニウム(1.37 g, 3 eq.)およびウロトロピン(1.70 g, 3 eq.)をイソプロパノール(40 mL)に溶解し、2時間還流加熱した。室温まで冷却後、溶媒を蒸発させ、残渣を水(50 mL)に懸濁した。懸濁液を酢酸エチル(3x 30 mL)で抽出した。合わせた有機抽出物をブライン(5 mL)で洗浄し、無水MgSO4 、減圧下で蒸発乾固した。粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィーで精製し、80%ヘキサン:20%酢酸エチルで溶出した。1.5gの固体が得られた(96%)。ESI(+): 461.90 (+H+ ).
【0203】
ステップ5:12-クロロ-9-(2-フルオロフェニル)-5-メチル-2,3,8-トリアザトリシクロ[8.4.0.02,6]テトラデカ-1(10),3,5,8,11,13-ヘキサエン-4-カルボン酸エチル
【0204】
エチル 5-ブロモ-12-クロロ-9-(2-フルオロフェニル)-2,3,8-トリアザトリシクロ[8.4.0.02,6]テトラデカ-1(10),3,5,8,11,13-ヘキサエン-4-カルボキシレート(1.14 g, 1 eq.)、メチルトリフルオロホウ酸カリウム(901 mg, 1.5 eq.)、塩化パラジウム(70 mg, 0.16 eq.)、トリフェニルホスフィン(310 mg, 0.48 eq.)および炭酸セシウム(2.41 g, 3 eq.)をねじ付きバイアルに入れた。THF(25mL)と水(2.5mL)を加え、反応混合物をアルゴンでフラッシュし、120℃に4日間加熱した。室温まで冷却後、混合物を酢酸エチル(100 mL)で希釈し、水(30 mL)、ブライン(3 mL)で洗浄し、無水硫酸マグネシウム上で乾燥し、真空中で蒸発させた。生成物をヘキサン:酢酸エチル0%-25%の勾配で溶出するシリカ上のフラッシュクロマトグラフィーで精製した。134mgの固体が得られた(13%)。ESI(+): 397.90 (+H+ ).
【0205】
ステップ6:12-クロロ-9-(2-フルオロフェニル)-5-メチル-2,3,8-トリアザトリシクロ[8.4.0.02,6]テトラデカ-1(10),3,5,8,11,13-ヘキサエン-4-カルボン酸
【0206】
12-クロロ-9-(2-フルオロフェニル)-5-メチル-2,3,8-トリアザトリシクロ[8.4.0.02,6]テトラデカ-1(10),3,5,8,11,13-ヘキサエン-4-カルボン酸エチル(180 mg, 1 eq.)をTHFと水1:1の混合溶媒(4 mL)に溶解した。水酸化リチウム一水和物(58 mg, 3 eq.)を1回に分けて加え、混合物を50℃で一晩撹拌した。その後、THFを蒸発させ、得られた溶液を希塩酸で酸性化した。得られた沈殿物を集め、水(20mL)で洗浄し、減圧下で乾燥させた。固体を酢酸エチルでトリチュレートした。88mgの白色固体が得られた(53%)。ESI(+): 369.95 (+H+ ).1H NMR (400 MHz, DMSO-d6 ) δ 13.01 (s, 1H), 7.97 (d, J = 8.8 Hz, 1H), 7.83 (dd, J = 8.8, 2.4 Hz, 1H), 7.67 - 7.50 (m, 2H), 7.33 (td, J = 7.5, 1.1 Hz, 1H), 7.28 (d, J = 2.4 Hz, 1H), 7.22 (ddd, J = 10.9, 8.3, 1.1 Hz, 1H), 4.70 (s, 2H), 2.30 (s, 3H).
【0207】
実施例20:12-クロロ-9-(2-フルオロフェニル)-7-メチル-2,3,8-トリアザトリシクロ[8.4.0.02,6]テトラデカ-1(10),3,5,8,11,13-ヘキサエン-4-カルボン酸(化合物120)
[化]
【0208】
エチル12-クロロ-9-(2-フルオロフェニル)-2,3,8-トリアザトリシクロ[8.4.0.02,6]テトラデカ-1(10),3,5,8,11,13-ヘキサエン-4-カルボキシレート(300 mg,1 eq.)をヒートガン乾燥三口丸底フラスコに入れ、無水THF(8 mL)に溶解した。雰囲気を排気し、アルゴンで3回再充填した。溶液をドライアイス/アセトンバスで-60℃まで冷却した。KHMDS溶液(THF中1M、1mL、1.3eq)を滴下して加えた後、反応混合物は濃い赤色になった。20分間の撹拌後、ヨードメタン(63μL、1.3 eq)を加えた。反応物を室温まで温め、30分間撹拌した。次に、溶媒を減圧下で蒸発させ、残渣を水(10 mL)に溶解し、希塩酸で酸性化した。得られた沈殿物を集め、水(20 mL)で洗浄した。生成物を分取HPLC(C18カラム、移動相ACN+0.1%FA、H2O+0.1%FA)で精製した。生成物60 mgを固体として得た(収率20%)。ESI(+): 370.05 (+H+)。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 7.99 (d, J= 8.8 Hz, 1H), 7.84 (dd, J= 8.8, 2.4 Hz, 1H), 7.65 -7.52 (m, 2H), 7.38 -7.28 (m, 2H), 7.21 (ddd, J= 10.9, 8.3, 1.1 Hz, 1H), 6.85 (s, 1H), 4.38 (q, J= 6.9 Hz, 1H), 1.82 (d, J= 6.7 Hz, 3H).
【0209】
実施例21:3-ブロモ-8-クロロ-6-(2-フルオロフェニル)-4H-ピラゾロ[1,5-a][1,4]ベンゾジアゼピン-2-カルボン酸(化合物121)
[化]
【0210】
メソッドC
【0211】
エチル 4-ブロモ-5-(ブロモメチル)-1-[4-クロロ-2-(2-フルオロベンゾイル)フェニル]-1H-ピラゾール-3-カルボキシレート(500 mg, 1.1 mmol)をTHFと水1:1(15 mL)の混合溶媒に溶解した。水酸化リチウム一水和物(136 mg, 3 eq.)を1回に分けて加え、混合物を50℃で一晩撹拌した。その後、THFを蒸発させ、得られた溶液を希塩酸で酸性化した。得られた沈殿物を集め、水(35mL)で洗浄し、減圧下で乾燥させた。固体を酢酸エチルでトリチュレートした。305 mg の白色固体を得た(65%)。ESI(+): 435.8, 437.9。1H NMR (400 MHz, DMSO) δ 12.49 (s, 1H), 7.99 (d, J = 8.8 Hz, 1H), 7.85 (dd, J = 8.8, 2.4 Hz, 1H), 7.58 (dtd, J = 21.0, 7.5, 1.7 Hz, 2H), 7.38 - 7.28 (m, 2H), 7.22 (dd, J = 10.5, 8.4 Hz, 1H), 4.74 (s, 2H).
【0212】
実施例22は方法Cに従って調製した。
[化]
[表6]
【0213】
実施例23:8-クロロ-6-(2-フルオロフェニル)-5-オキシド-4H-ピラゾロ[1,5-a][1,4]ベンゾジアゼピン-5-イウム-2-カルボン酸(化合物123)
[化]
【0214】
ステップ1:8-クロロ-2-(エトキシカルボニル)-6-(2-フルオロフェニル)-4H-ベンゾ[f]ピラゾロ[1,5-a][1,4]ジアゼピン5-オキシド
【0215】
DCM(10mL)中の8-クロロ-6-(2-フルオロフェニル)-4H-ベンゾ[f]ピラゾロ[1,5-a][1,4]ジアゼピン-2-カルボン酸エチル(250mg、0.54mmol)の撹拌溶液に、m-CPBA(140mg、0.81mmol)を添加した。溶液を室温で一晩撹拌した。亜硫酸ナトリウム溶液(10%、5mL)を加えた。溶液を室温で30分間撹拌した。DCM(60ml)を加えた。溶液を水酸化ナトリウム水溶液(1N、2×30ml)、ブライン(30ml)で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥した。溶液を濾過し、濃縮した。残渣をメタノール中で結晶化させた。母液を分取HPLCで精製し、目的物(171 mg、収率73%)を白色固体として得た。ESI(+): 400 (+H+).
【0216】
Step 2: 8-chloro-6-(2-fluorophenyl)-5-oxido-4H-pyrazolo[1,5-a][1,4]benzodiazepin-5-ium-2-carboxylic acid
【0217】
スクリューキャップバイアルに8-クロロ-2-(エトキシカルボニル)-6-(2-フルオロフェニル)-4H-ベンゾ[f]ピラゾロ[1,5-a][1,4]ジアゼピン5-オキシド(100 mg, 0.25 mmol)を加え、続いて6N塩酸(1 mL, 6 mmol)を加えた。得られた混合物を100℃に2時間加熱した。室温まで冷却した後、得られた沈殿物を濾過して集め、乾燥まで吸引し、所望の生成物を無色固体として得た(12 mg、収率13%)。ESI(+): 369.69 (+H+ ).1H NMR (400 MHz, DMSO) δ 13.28 (s, 1H), 8.03 (d, J = 8.8 Hz, 1H), 7.74 (dd, J = 8.8, 2.4 Hz, 1H), 7.54 (dddd, J = 8.5, 7.3, 5.4 Hz, 1H).5, 7.3, 5.4, 1.8 Hz, 1H), 7.48 - 7.24 (m, 3H), 7.12 (s, 1H), 7.03 (d, J = 2.3 Hz, 1H), 5.41 (s, 2H).
【0218】
実施例24:8-クロロ-6-(2-フルオロフェニル)-4-ヒドロキシ-4H-ベンゾ[f]ピラゾロ[1,5-a][1,4]ジアゼピン-2-カルボン酸(化合物124)
[化]
【0219】
ステップ1:4-アセトキシ-8-クロロ-6-(2-フルオロフェニル)-4H-ベンゾ[f]ピラゾロ[1,5-a][1,4]ジアゼピン-2-カルボン酸エチル
【0220】
8-クロロ-2-(エトキシカルボニル)-6-(2-フルオロフェニル)-4H-ベンゾ[f]ピラゾロ[1,5-a][1,4]ジアゼピン 5-オキシド(70 mg, 0.18 mmol)をスクリューキャップバイアルに加え、無水酢酸(1.5 mL)に溶解した。得られた混合物を70℃に約18時間加熱した。揮発性物質を減圧下で蒸発させ、得られた残渣を約5mLの水でトリチュレートした。得られた白色沈殿物を濾過して集め、水で洗浄し、風乾すると、所望の生成物(59 mg、収率76%)が固体として得られた。ESI(+): 442 (+H+ ).
【0221】
ステップ2:8-クロロ-6-(2-フルオロフェニル)-4-ヒドロキシ-4H-ベンゾ[f]ピラゾロ[1,5-a][1,4]ジアゼピン-2-カルボン酸
【0222】
エチル4-アセトキシ-8-クロロ-6-(2-フルオロフェニル)-4H-ベンゾ[f]ピラゾロ[1,5-a][1,4]ジアゼピン-2-カルボキシレート(59 mg, 0.13 mmol)をスクリューキャップバイアルに加え、6N塩酸(1 mL, 6 mmol)に溶解した。得られた混合物を100℃に3時間加熱した。揮発性物質を減圧下で蒸発させ、得られた残渣を、水/アセトニトリルの5~95%勾配を用いた分取HPLCで精製し、所望の生成物を固体として得た(32 mg、収率64%)。ESI(+): 371.92 (+H+ ).1H NMR (400 MHz, DMSO) δ 9.65 (d, J = 7.1 Hz, 1H), 7.89 (d, J = 8.8 Hz, 1H), 7.72 (dd, J = 8.7, 2.3 Hz, 1H), 7.29 (d, J = 6.9 Hz, 1H), 7.18 (dd, J = 11.2, 8.1 Hz, 1H), 7.07 (s, 1H), 6.99 (t, J = 7.9 Hz, 1H), 6.79 (s, 1H), 5.98 (d, J = 7.1 Hz, 1H).
【0223】
実施例25:8-クロロ-6-(2-フルオロフェニル)-N-(2-ウレイドエチル)-4H-ベンゾ[f]ピラゾロ[1,5-a][1,4]ジアゼピン-2-カルボキサミド(化合物125)
[化]
【0224】
D法
【0225】
の攪拌溶液に、8-クロロ-6-(2-フルオロフェニル)-4H-ピラゾロ[1,5-a][1,4]ベンゾジアゼピン-2-カルボン酸(150mg,0.4 mmol)、1-(2-アミノエチル)尿素塩酸塩(70.62 mg, 0.5 mmol)、DMF(2 mL)中のN,N-ジイソプロピルエチルアミン(164 mg, 1.3 mmol)、HBTU(192 mg, 0.5 mmol)を加えた。溶液を室温で一晩撹拌した。溶液を分取HPLCで精製し、8-クロロ-6-(2-フルオロフェニル)-N-(2-ウレイドエチル)-4H-ピラゾロ[1,5-a][1,4]ベンゾジアゼピン-2-カルボキサミド(140 mg, 収率75 %)を白色固体として得た。ESI(+): 441.1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) d ppm 3.00 - 3.36 (m, 4 H) 6.13 (br. s., 1 H) 6.86 (s, 1 H) 7.09 - 7.39 (m, 3 H) 7.47 - 7.67 (m, 2 H) 7.76 - 7.93 (m, 1 H) 8.06 (d, J=8.84 Hz, 1 H) 8.44 - 8.59 (m, 1 H).
【0226】
実施例26.8-クロロ-6-(2-フルオロフェニル)-N-(2-ウレイドエチル)-4H-ピラゾロ[1,5-a][1,4]ベンゾジアゼピン-3-カルボキサミド(化合物126)
[化]
【0227】
メソッドE
【0228】
の撹拌溶液に、8-クロロ-6-(2-フルオロフェニル)-4H-ピラゾロ[1,5-a][1,4]ベンゾジアゼピン-3-カルボン酸(150mg,0.4mmol)、1-(2-アミノエチル)尿素塩酸塩(70.62mg、0.5100mmol)、DMF(2mL)中のN,N-ジイソプロピルエチルアミン(163mg、1.3mmol)、HBTU(192mg、0.5mmol)を加えた。溶液を室温で一晩撹拌した。混合物を分取HPLCで精製し、8-クロロ-6-(2-フルオロフェニル)-N-(2-ウレイドエチル)-4H-ピラゾロ[1,5-a][1,4]ベンゾジアゼピン-3-カルボキサミド (81 mg,0.2 mmol, 収率41%)を白色固体として得た。ESI(+): 441.1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) d ppm 3.15 (t, J=5.94 Hz, 2 H) 3.21 - 3.33 (m, 2 H) 7.15 - 7.26 (m, 1 H) 7.26 - 7.38 (m, 2 H) 7.50 - 7.67 (m, 2 H) 7.79 - 7.91 (m, 1 H) 7.93 - 8.03 (m, 1 H) 8.32 (s, 1 H) 8.37 - 8.50 (m, 1 H)
【0229】
実施例27.8-クロロ-6-(2-フルオロフェニル)-N-[2-(スルファモイルアミノ)エチル]-4H-ピラゾロ[1,5-a][1,4]ベンゾジアゼピン-2-カルボキサミド(化合物127)
[化13]
【0230】
ステップ1:tert-ブチル N-[2-[[8-クロロ-6-(2-フルオロフェニル)-4H-ピラゾロ[1,5-a][1,4]ベンゾジアゼピン-2-カルボニル]アミノ]エチル]カルバメート
【0231】
N-(2-アミノエチル)カルバミン酸tert-ブチルエステル(0.6 g, 3.8 mmol)、8-クロロ-6-(2-フルオロフェニル)-4H-ピラゾロ[1,5-a][1,4]ベンゾジアゼピン-2-カルボン酸(1.1 g, 3.2 mmol)、DMF(20 mL)中のN,N-ジイソプロピルエチルアミン(1.1 mL, 6.3 mmol)、HBTU(1.4 g, 3.8 mmol)を加えた。溶液を室温で一晩撹拌した。酢酸エチル(60mL)を加えた。溶液を塩酸水溶液(1N、2×40ml)、水(40ml)およびブライン(40ml)で抽出し、硫酸ナトリウム上で乾燥した。溶液を濾過し、濃縮した。残渣をメタノール/ジクロロメタン(0-5%)で溶出するシリカゲルクロマトグラフィーで精製し、tert-ブチル N-[2-[[8-クロロ-6-(2-フルオロフェニル)-4H-ピラゾロ[1,5-a][1,4]ベンゾジアゼピン-2-カルボニル]アミノ]エチル]カルバメート(1.5 g, 92%収率)を無色オイルとして得た。ESI(+):498。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) d ppm 1.30 - 1.40 (m, 9 H) 2.69 (s, 1 H) 2.85 - 2.93 (m, 1 H) 3.11 (q, J=6.06 Hz, 2 H) 3.30 (q, J=6.06 Hz, 2 H) 5.77 (s, 2 H) 6.86 (s, 1 H) 6.94 (t, J=5.68 Hz, 1 H) 7.18 - 7.26 (m, 1 H) 7.29 (d, J=2.53 Hz, 1 H) 7.32 - 7.38 (m, 1 H) 7.52 - 7.66 (m, 2 H) 7.87 (dd, J=8.72, 2.40 Hz, 1 H) 8.04 (d, J=8.84 Hz, 1 H) 8.45 (t, J=5.68 Hz, 1 H).
【0232】
ステップ2:N-(2-アミノエチル)-8-クロロ-6-(2-フルオロフェニル)-4H-ピラゾロ[1,5-a][1,4]ベンゾジアゼピン-2-カルボキサミド
【0233】
室温でDCM(5mL)中のtert-ブチルN-[2-[[8-クロロ-6-(2-フルオロフェニル)-4H-ピラゾロ[1,5-a][1,4]ベンゾジアゼピン-2-カルボニル]アミノ]エチル]カルバメート(1.5g、2.9mmol)の撹拌溶液に、TFA(5mL、2.9mmol)を添加した。溶液を室温で3時間撹拌した。溶液を濃縮した。残渣をジクロロメタン(50 ml)に溶解した。溶液を水酸化ナトリウム水溶液(1N、2×20ml)、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(20ml)およびブライン(20ml)で抽出し、硫酸ナトリウム上で乾燥した。溶液を濾過し、濃縮して、N-(2-アミノエチル)-8-クロロ-6-(2-フルオロフェニル)-4H-ピラゾロ[1,5-a][1,4]ベンゾジアゼピン-2-カルボキサミド(1.3 g, 2.9 mmol, 収率99%)を無色オイルとして得た。ESI(+): 398。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) d ppm 2.63 - 2.71 (m, 3 H) 3.25 (q, J=6.32 Hz, 2 H) 6.82 - 6.88 (m, 1 H) 7.22 (ddd, J=10.86, 8.34, 0.76 Hz, 1 H) 7.28 (d, J=2.27 Hz, 1 H) 7.32 - 7.39 (m, 1 H) 7.51 - 7.67 (m, 2 H) 7.86 (dd, J=8.84, 2.27 Hz, 1 H) 8.01 - 8.09 (m, 1 H) 8.33 (s, 1 H) 8.38 (t, J=5.81 Hz, 1 H)
【0234】
ステップ3:8-クロロ-6-(2-フルオロフェニル)-N-[2-(スルファモイルアミノ)エチル]-4H-ピラゾロ[1,5-a][1,4]ベンゾジアゼピン-2-カルボキサミド
【0235】
ジオキサン(2mL)中のN-(2-アミノエチル)-8-クロロ-6-(2-フルオロフェニル)-4H-ピラゾロ[1,5-a][1,4]ベンゾジアゼピン-2-カルボキサミド(170mg、0.4mmol)の撹拌溶液に、スルファミド(111mg、1.2mmol)を加えた。溶液を100o Cで一晩加熱した。室温まで冷却後、溶液を分取HPLCで精製し、8-クロロ-6-(2-フルオロフェニル)-N-[2-(スルファモイルアミノ)エチル]-4H-ピラゾロ[1,5-a][1,4]ベンゾジアゼピン-2-カルボキサミド(82 mg, 収率45%)を白色固体として得た。ESI(+): 477.1H NMR(400 MHz, DMSO-d6) d ppm 3.06(t, J=6.57 Hz, 2 H) 3.34 - 3.48(m, 2 H) 6.84 - 6.93(m, 1 H)7.17 - 7.26(m, 1 H) 7.29(d, J=2.27 Hz, 1H) 7.34 (td, J=7.52, 0.88 Hz, 1 H) 7.51 - 7.68 (m, 2 H) 7.82 - 7.92 (m, 1 H) 8.01 - 8.10 (m, 1 H) 8.50 (t, J=5.94 Hz, 1 H)
【0236】
実施例28:8-クロロ-6-(2-フルオロフェニル)-N-[2-(スルファモイルアミノ)エチル]-4H-ピラゾロ[1,5-a][1,4]ベンゾジアゼピン-3-カルボキサミド(化合物128)
[化]
【0237】
ステップ1:tert-ブチル N-[2-[[8-クロロ-6-(2-フルオロフェニル)-4H-ピラゾロ[1,5-a][1,4]ベンゾジアゼピン-3-カルボニル]アミノ]エチル]カルバメート
【0238】
N-(2-アミノエチル)カルバミン酸tert-ブチルエステル(0.8g、4.9mmol)、8-クロロ-6-(2-フルオロフェニル)-4H-ピラゾロ[1,5-a][1,4]ベンゾジアゼピン-3-カルボン酸(1.5 g, 4.1 mmol)、DMF(20 mL)中のN,N-ジイソプロピルエチルアミン(1.5 mL, 8.2 mmol)、HBTU(1.9 g, 4.9 mmol)を加えた。溶液を室温で一晩撹拌した。酢酸エチル(60mL)を加えた。溶液を塩酸水溶液(1N、2 X 40 ml)、水(40 ml)およびブライン(40 ml)で抽出し、硫酸ナトリウム上で乾燥した。溶液を濾過し、濃縮した。残渣をメタノール/ジクロロメタン(0~5%)で溶出するシリカゲルクロマトグラフィーで精製し、tert-ブチル N-[2-[[8-クロロ-6-(2-フルオロフェニル)-4H-ピラゾロ[1,5-a][1,4]ベンゾジアゼピン-3-カルボニル]アミノ]エチル]カルバメート(2.3 g、収率99%)を無色オイルとして得た。ESI(+):498。 1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) d ppm 1.26 - 1.42 (m, 9 H) 2.99 - 3.14 (m, 2 H) 3.26 (d, J=5.56 Hz, 2 H) 3.36 (s, 2 H) 5.72 - 5.81 (m, 1 H) 7.22 (dd, J=10.86, 8.34 Hz, 1 H) 7.27 - 7.38 (m, 2 H) 7.51 - 7.67 (m, 2 H) 7.83 (dd, J=8.84, 2.53 Hz, 1 H) 7.90 - 8.03 (m, 2 H) 8.23 - 8.41 (m, 2 H).
【0239】
ステップ2:N-(2-アミノエチル)-8-クロロ-6-(2-フルオロフェニル)-4H-ピラゾロ[1,5-a][1,4]ベンゾジアゼピン-3-カルボキサミド
【0240】
室温でDCM(25mL)中のtert-ブチルN-[2-[[8-クロロ-6-(2-フルオロフェニル)-4H-ピラゾロ[1,5-a][1,4]ベンゾジアゼピン-3-カルボニル]アミノ]エチル]カルバメート(2.3g、4.1mmol)の撹拌溶液に、TFA(25mL、4.1mmol)を添加した。溶液を室温で一晩撹拌した。溶液を濃縮した。残渣をDCM(200mL)に溶解した。溶液を水酸化ナトリウム水溶液(1.0 N, 2X50 ml)、水(2X50 ml)およびブライン(50 ml)で抽出し、硫酸ナトリウム上で乾燥した。溶液を濾過し、濃縮して、N-(2-アミノエチル)-8-クロロ-6-(2-フルオロフェニル)-4H-ピラゾロ[1,5-a][1,4]ベンゾジアゼピン-3-カルボキサミド(1.4 g, 収率87%)を無色油として得、これを精製せずに次の工程に使用した。ESI(+): 398。 1H NMR(400 MHz, DMSO-d6)d ppm 2.67(br、2 H) 3.24 (q, J=6.23 Hz, 2 H) 7.16 - 7.26 (m, 1 H) 7.29 (d, J=2.27 Hz, 1 H) 7.34 (td, J=7.58, 1.01 Hz, 1 H) 7.52 - 7.66 (m, 2 H) 7.78 - 7.86 (m, 1 H) 7.92 - 8.01 (m, 1 H) 8.29 (t, J=5.56 Hz, 1 H) 8.33 (s, 1 H) 8.36 (s, 1 H)
【0241】
ステップ3:8-クロロ-6-(2-フルオロフェニル)-N-[2-(スルファモイルアミノ)エチル]-4H-ピラゾロ[1,5-a][1,4]ベンゾジアゼピン-3-カルボキサミド
【0242】
ジオキサン(2mL)中のN-(2-アミノエチル)-8-クロロ-6-(2-フルオロフェニル)-4H-ピラゾロ[1,5-a][1,4]ベンゾジアゼピン-3-カルボキサミド(150 mg, 0.4 mmol)の撹拌溶液に、スルファミド(109 mg, 1.1 mmol)を加えた。溶液を110o Cで24時間加熱した。室温まで冷却後、溶液を分取HPLCで精製し、8-クロロ-6-(2-フルオロフェニル)-N-[2-(スルファモイルアミノ)エチル]-4H-ピラゾロ[1,5-a][1,4]ベンゾジアゼピン-3-カルボキサミド(83 mg、収率44%)を淡色固体として得た。ESI(+): 477。 1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) d ppm 3.05 (t, J=6.69 Hz, 2 H) 3.32 - 3.47 (m, 2 H) 7.14 - 7.25 (m, 1 H) 7.26 - 7.38 (m, 2 H) 7.49 - 7.66 (m, 2 H) 7.78 - 7.90 (m, 1 H) 7.91 - 8.03 (m, 1 H) 8.26 - 8.35 (m, 1 H) 8.35 - 8.48 (m, 1 H)
【0243】
例B1
【0244】
GABAA(α3s2γ2)サブタイプのGABA活性化チャネルを安定的にトランスフェクションした細胞を用いて、本開示の化合物の調節効果を、亜濃度のGABAとともに調べた。GABA受容体の発現は、実験の24~48時間前にデキサメタゾンを細胞に添加することで誘導した。 一般に、細胞は約80~90%のコンフルエントで継代した。電気生理学的測定のために、完全培地を入れた滅菌培養フラスコから、コンフルエント約80~90%で細胞を採取した。細胞はPBS中の懸濁液としてQPatch 16XまたはQPatch HTXシステムに移し、直接遠心/洗浄器にかけた。細胞は、5% CO2(相対湿度約95%)の加湿雰囲気下、37℃で培養された。細胞は、ダルベッコ改変イーグル培地と栄養混合D-MEM/F-12(1x、液体、L-グルタミン入り)の1:1混合液、10%ウシ胎児血清、1.0%ペニシリン/ストレプトマイシン溶液およびネオマイシンを添加した滅菌培養フラスコ中で連続的に維持され、継代された。1x浴液は、本研究の実験開始前に調製され、1℃~9℃で保存されていた滅菌10x浴液から、少なくとも5日ごとに作られた。最終的な浴液には、塩化ナトリウム137 mM、塩化カリウム4 mM、塩化カルシウム1.8 mM、塩化マグネシウム1 mM、HEPES 10 mM、D-グルコース10 mM、pH(NaOH)7.4が含まれていた。1x細胞内溶液は毎日解凍し、塩化カリウム 130 mM、塩化マグネシウム 1 mM、Mg-ATP 5 mM、HEPES 10 mM、EGTA 5 Mm、pH (KOH) 7.2を含む。自動パッチクランプ:細胞は無血清培地中の懸濁液としてQPatch HTXシステムに移され、実験中は細胞保存タンクに保管された。細胞内溶液を含め、細胞に適用される溶液はすべて室温(19℃~30℃)に保たれた。パッチ電極とトランスフェクトされた個々のLtk細胞との間にギガオームのシールが形成された後、細胞内部への電気的アクセスを確保するために細胞を破裂させた(全細胞パッチ構成)。パッチクランプした細胞に2.0μMのGABAを4秒間作用させ、内向きの電流を測定した。全実験中、細胞は-80mVの保持電位で電圧クランプされた。試験項目の分析のために、GABAA受容体を2.0μM GABAと以下に述べる試験項目の組み合わせで刺激した。2回のアゴニスト作用の間に、試験項目による30秒間の予備洗浄を行った。用量反応曲線は、current=Emax/1+10^((LogEC50-X)*H)というシグモイド3パラメータ式で当てはめた。ここで、Xは化合物濃度、Emaxは上側漸近線、EC50は最大効果の半分におけるテスト項目の濃度、Hはヒル係数である。曲線の作成にはSigmaPlot 11.0を用いた。例示的な化合物のデータを表B1に示す。
【0245】
[表B1]
キー+ emax <50%; ++ emax 51-100%; +++ emax>100
【0246】
実施例B2:全腸通過時間に対する本開示の化合物および方法の効果
【0247】
全腸通過時間(WGTT)に対する式(I)化合物の効果の用量反応を調べた。50%プロピレングリコール中の式(I)の化合物(0、1、3および10mg/kg)を経口投与し(5ml/kg)、次いで0.2mlのカルミンレッド溶液(0.5%メチルセルロース中の6%カルミンレッド)をC57B/6マウスに経口投与する。その後、マウスを白いダンボール箱に入れ、時間を0時間として記録する。便に赤い色素が現れるまで10分ごとに便の色を観察する。最初に赤い便が出た時刻を終了時刻として記録する。終了時刻と時刻0との差をWGTT(分)とする。
【0248】
例B3:遠位結腸通過時間への影響
【0249】
C57B/6マウスにおいて、式(I)の化合物の遠位結腸通過時間(DCTT)に対する時間経過を調べ、結腸運動性を評価する。DCTTは、2mmのガラスビーズを直腸2cmに静かに押し込み、マウスを白い箱に入れることで行う(時間0)。ガラスビーズが直腸から離脱するまでの時間をDCTT(min)として表示する。マウスに式(I)の化合物0または3mg/kgを経口投与し、式(I)の化合物投与後30分、60分、90分、120分にDTCCを実施する。
【0250】
例B4 便組成への影響
【0251】
式(I)の化合物(3および10mg/kg)を経口投与した後、排出直後の便を3時間採取する。湿った便の重量を総便重量として測定し、続いて65℃で24時間乾燥させ、乾燥便重量として測定する。便中の水分含有率は、(総便重量-乾燥便重量)/総便重量×100で計算される。
【0252】
例B5 IBSマウスモデルにおける疼痛感受性
新生児直腸刺激によるIBS内臓痛モデルを用いる。段階的な大腸バルーン拡張(CRD, 15, 30, 50, 70mmHg)に対する大腸痛感受性は、外腹斜筋の筋電図で測定される粘性運動反応(VMR)によって決定される。IBSマウスは対照マウスに比べて疼痛感受性が有意に亢進している。IBSマウスを式(I)の化合物(10mg/kg)で処置する。その後、IBSマウスにおける痛覚過敏を調べる。
【0253】
例B6:脳内および血漿中濃度の測定
【0254】
式(I)の化合物を、50%プロピレングリコール中の溶液として10mg/kgの用量で5匹のマウスに経口投与する(5ml/kg)。30分後、マウスを犠牲にし、血漿および脳を採取する。血漿および脳中の式(I)化合物の濃度をLC/MSで測定する。血漿中平均濃度と脳内濃度を調べる。
【0255】
実施例B7 GABA-A結合の測定
【0256】
GABA-A受容体における効力は、Speth, R.C., Wastek, G.J., Johnson, P.C., Yamamura, H.I. "Benzodiazepine binding in human brain. "に記載されているように、ラット大脳皮質組織ホモジネートへの[3H]フルニトラゼパムの結合により測定する:Characterization using [3 H] flunitrazepam" Life Sciences 1978, 22, 859-866 (incorporated by herein by reference in its entirety)に記載され、CEREPで実施された(カタログ番号0028)。
【0257】
上記で引用した以下の文献は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0258】
1.Everhart JE.米国における消化器疾患の負担。米国政府印刷局(NIH発行番号09-6443)、2008年。
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【0259】
本明細書で引用される刊行物、特許出願、および特許を含むすべての参考文献は、各参考文献が参照により組み込まれるよう個別に具体的に示され、その全体が本明細書に記載されている場合と同じ程度まで、参照により本明細書に組み込まれるものとする。
【0260】
本開示を説明する文脈における(特に以下の特許請求の範囲の文脈における)用語「a」および「an」および「the」ならびに類似の参照語の使用は、本明細書において別段の指示がない限り、または文脈によって明らかに矛盾しない限り、単数形および複数形の両方をカバーするものと解釈される。用語「からなる(comprising)」、「有する(having)」、「含む(including)」、および「含む(containing)」は、特に断りのない限り、オープンエンドな用語(すなわち、「含むが、これらに限定されない」という意味)として解釈される。本明細書における値の範囲の暗記は、本明細書において別段の指示がない限り、単に、範囲内に入る各別個の値を個別に参照する略記法としての役割を果たすことを意図しており、各別個の値は、本明細書において個別に暗記されているかのように本明細書に組み込まれる。本明細書に記載されるすべての方法は、本明細書において別段の指示がない限り、または文脈によって明らかに矛盾する場合を除き、任意の適切な順序で実行することができる。本明細書において提供されるあらゆる例、または例示的な言語(例えば、「~のような」)の使用は、単に本開示をより良く照明することを意図しており、別段の主張がない限り、本開示の範囲を限定するものではない。本明細書中のいかなる文言も、本開示の実施に必須であるとして請求されていない要素を示すものとして解釈されるべきではない。
【0261】
本開示の好ましい実施形態を、本開示を実施するための本発明者らに公知の最良の態様を含めて、本明細書に記載する。それらの好ましい実施形態の変形は、前述の説明を読めば当業者には明らかになるであろう。本発明者らは、当業者がそのような変形を適宜採用することを期待しており、本発明者らは、本開示が本明細書に具体的に記載された以外の方法で実施されることを意図している。従って、本開示は、適用法によって許容される、本明細書に添付の特許請求の範囲に記載された主題の全ての変更および均等物を含む。さらに、本明細書において特に示されない限り、または文脈によって明らかに矛盾する場合を除き、そのすべての可能な変形における上述の要素の任意の組み合わせは、本開示に包含される。
【誤訳訂正書】
【提出日】2023-11-15
【誤訳訂正1】
【訂正対象書類名】明細書
【訂正対象項目名】全文
【訂正方法】変更
【訂正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願への相互参照]
本出願は、2021年2月2日に出願された米国仮出願第63/144,707号の利益を主張するものであり、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、化学物質(例えば、化合物もしくはその薬学的に容認可能な塩、またはそのN-オキシド)を考慮するものであり、この化学物質は、1つまたは複数のGABA-A受容体のアロステリック正調節因子、例えば、1つまたは複数のGABA-A受容体の、末梢制限されたアロステリック正調節因子であって、末梢神経系および身体の器官を選択的に標的化し、またほぼ血液脳関門を通過しないものである。前記化合物は、例えば、身体の全身性疾患、例えば、1つまたは複数の末梢制限GABA-A受容体の調節が有益である疾患(例えば、内臓痛、腸運動、過敏性腸症候群、機能性腹痛、機能性特発性下痢、炎症性腸疾患(例えば、クローン病)、薬剤誘発性疼痛、胆汁酸塩吸収不全、ラクターゼもしくは他の炭水化物不耐症、間質性膀胱炎、慢性膵炎、機能性消化不良、月経困難症、触覚過敏、触覚機能障害、体性痛、喘息、糖尿病、不安、社会障害、自閉症スペクトラム障害、レット症候群、フェラン・マクダーミド症候群、または脆弱X症候群などの、GABA-Aニューロン活動によって媒介される疾患または障害)の治療に有用である。いくつかの実施形態において、本明細書に記載される化学物質は、例えば、過敏性腸症候群などの疾患の治療に有用である。本開示はまた、本明細書に記載される化学物質を含有する医薬組成物、および本明細書に記載される化学物質の有効量を投与することを含む、身体の全身性疾患(例えば、過敏性腸症候群)の治療のための方法を考慮する。
【背景技術】
【0003】
過敏性腸症候群(IBS)は、他の構造的または炎症性の原因が存在しない便通の変化に伴う断続的な腹痛によって臨床的に定義される障害である。支配的な腸のパターンに基づいて、IBS患者は臨床的にIBS-D(下痢優位)、IBS-C(便秘優位)、ならびにIBS-M(下痢および便秘の混合型または交互型)の3つのカテゴリーに表現型分類される。IBSは、ほとんどの先進国で有病率が6~20%の間であると推定される極めて一般的な医学的障害であり、生活の質の重大な障害と関連付けられ、社会経済的コストは毎年数十億ドルに上ると推定されている(非特許文献1)。残念ながら患者にとって利用可能な治療選択肢はほとんどなく、承認されている薬剤は2剤(ルビプロストンおよびリナクロチド)のみであり、その両方が分泌促進剤でありIBS-Cの症状緩和にのみ適応する。現在承認されているエルクサドリンなどのIBS-D治療用の処方薬も、症状緩和を提供するだけであり、腹痛に対する効果は実証されておらず、重篤な膵炎の危険性がある。
【0004】
IBS-Dの発病機序は(他のIBSの形態と同様に)まだよく理解されていないが、ニューロンの興奮性亢進と関連していると考えられており、外因性(脊髄)神経および内因性(腸)神経の両方に影響を及ぼし、それぞれ慢性的な内臓過敏と運動性の変化につながる。対照と比較すると、IBS患者はベースラインおよび食後の両方で大腸筋電気活動の増加を示す(非特許文献2)。したがって、このような興奮性の抑制は合理的な治療標的となる。IBSの治療に対する薬理学的アプローチのほとんどは、粘膜に存在する化学的および機械的感受性の腸クロム親和性細胞から放出され、腸神経系(ENS)の固有一次求心性ニューロン(IPAN)だけでなく、侵害受容性神経の活性化につながり、運動および分泌の反射を開始させるセロトニン(5-HT)の役割に焦点を当てている(非特許文献3)。
残念ながら、5-HT受容体調節因子(例えば、テガセロドまたはアロセトロン)はあまり効果的ではなく、重大な副作用を伴うため、一般市場からは撤退している。そのため、代替アプローチが強く求められている(非特許文献4)。
【0005】
ガンマアミノ酪酸(GABA)は、中枢神経系(CNS)において最も重要な阻害性神経伝達物質の一つである。ニューロンのGABA受容体の活性化は、ニューロン興奮性の過分極および安定化をもたらす。GABA作動性ニューロンは腸神経系にも多く存在し、GABA-A(イオノトロピック)受容体およびGABA-B(メタボトロピック)受容体の両方が腸に存在し、異なる機能的作用を媒介する(非特許文献5-13)。GABA-B受容体アゴニストはIBSの治療のために調査されてきた(非特許文献14)。
【0006】
ジアゼパムなどの脳浸透性GABA-A調節ベンゾジアゼピンのIBSにおける治療効果は、主にIBSにしばしば伴う不安の緩和からもたらされると考えられている(非特許文献17)。しかし、脳浸透性ベンゾジアゼピン(または他の脳浸透性化合物)の使用は、鎮静作用、ならびに慢性的な使用による中毒および身体的依存の可能性の両方から、臨床的に問題がある。トフィソパムおよびその異性体であるデキストフィソパムについては、代替アプローチが記載されており、IBSのために現在研究中である。これらの分子は非定型ベンゾジアゼピンに分類され、CNSに入り、その作用を媒介し得る中枢神経系内の新規結合部位に結合する(非特許文献18、19)。
【0007】
GABA-A受容体アロステリック正調節因子は、これまで、IBSではなく、不安、不眠およびてんかんのようなCNS疾患に関係していた。
【0008】
特許文献1(WO 2015/200766)は、末梢神経系および身体の器官を選択的に標的化し、ほぼ血液脳関門を通過しない、1つまたは複数のGABA-A受容体のアロステリック正調節因子を開示している。
【0009】
特許文献2(WO 2020/198275)は、血液脳関門透過性を低減させた末梢制限ベンゾジアゼピンを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】国際公開第2015/200766号パンフレット
【特許文献2】国際公開第2020/198275号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本開示は、化学物質(例えば、化合物もしくはその薬学的に容認可能な塩、またはそのN-オキシド)を考慮するものであり、この化学物質は、1つまたは複数のGABA-A受容体のアロステリック正調節因子、例えば、1つまたは複数のGABA-A受容体の、末梢制限されたアロステリック正調節因子であって、末梢神経系および身体の器官を選択的に標的化し、またほぼ血液脳関門を通過しないものである。前記化合物は、例えば、身体の全身性疾患、例えば、1つまたは複数の末梢制限GABA-A受容体の調節が有益である疾患(例えば、内臓痛、腸運動、過敏性腸症候群(例えば、クローン病)、機能性腹痛、機能性特発性下痢、炎症性腸疾患、薬剤誘発性疼痛、胆汁酸塩吸収不全、ラクターゼもしくは他の炭水化物不耐症、間質性膀胱炎、慢性膵炎、機能性消化不良、月経困難症、触覚過敏、触覚機能障害、体性痛、喘息、糖尿病、不安、社会障害、自閉症スペクトラム障害、レット症候群、フェラン・マクダーミド症候群、または脆弱X症候群などの、GABA-Aニューロン活動によって媒介される疾患または障害)の治療に有用である。いくつかの実施形態において、本明細書に記載される化学物質は、例えば、過敏性腸症候群などの疾患の治療に有用である。本開示はまた、本明細書に記載される化学物質を含有する医薬組成物、および本明細書に記載される化学物質の有効量を投与することを含む、身体の全身性疾患(例えば、過敏性腸症候群)の治療のための方法を考慮する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
一態様において、本開示は、脳および中枢神経系以外に存在する身体のGABA作動性ニューロンに末梢制限されるGABA-A受容体アロステリック正調節因子である化合物を提供する。
【0013】
従って、本明細書において提供されるのは、式(I)の化合物である。
【化1】
【0014】
該化合物において、R1a、R1b、R1c、R1d、m、R、R3a、R3b、R、R、およびZは、本明細書の任意の箇所で定義され得る。
【0015】
別の態様において、本開示は、本明細書の任意の箇所に記載される式(I)の化合物またはその薬学的に容認可能な塩、および薬学的に容認可能な担体を含む医薬組成物を提供する。
【0016】
別の態様において、本開示は、本明細書に記載の化合物の、脳以外の組織および器官におけるGABA-A受容体の正調節のための、方法ならびに使用を提供する。いくつかの実施形態において、前記方法はインビトロ(体外)で行うことができる。いくつかの実施形態において、前記方法はインビボ(生体内)で行うことができる。したがって、いくつかの実施形態において、本明細書で提供されるのは、それを必要とする被験体(者)において、脳および中枢神経系以外の組織および器官におけるGABA-A受容体を正調節する方法であって、治療上有効量の式(I)の化合物、もしくはその薬学的に容認可能な塩、または本明細書の任意の箇所に記載されるような医薬組成物を被験体(者)に投与することを含む方法である。
【0017】
別の態様において、本開示は、記載される末梢制限GABA-A受容体アロステリック正調節因子の治療上有効量の投与を含む、被験体における内臓痛の治療または予防(例えば、治療)、および過敏性腸症候群(例えば、クローン病)などにおける腸の運動性の調節のための方法を提供する。したがって、いくつかの実施形態において、本明細書で提供されるのは、それを必要とする被験体において内臓痛を治療または予防(例えば、治療)する方法であって、治療上有効量の式(I)の化合物、もしくはその薬学的に容認可能な塩、または本明細書の任意の箇所に記載されるような医薬組成物を被験体に投与することを含む方法である。いくつかの実施形態において、本明細書で提供されるのは、それを必要とする被験体において腸の運動性を調節する方法であって、治療上有効量の式(I)の化合物、もしくはその薬学的に容認可能な塩、または本明細書の任意の箇所に記載されるような医薬組成物を被験体に投与することを含む方法である。
【0018】
別の態様において、本開示は、それを必要とする被験体において過敏性腸症候群を治療する方法であって、治療上有効量の式(I)の化合物、もしくはその薬学的に容認可能な塩、または本明細書の任意の箇所に記載されるような医薬組成物を被験体に投与することを含む方法を提供する。
【0019】
別の態様において、本開示は、それを必要とする被験体において、機能性腹痛、機能性特発性下痢、炎症性腸疾患、薬剤誘発性疼痛、胆汁酸塩吸収不全、ラクターゼもしくは他の炭水化物不耐症、間質性膀胱炎、慢性膵炎、機能性消化不良、月経困難症、触覚過敏、触覚機能障害、体性痛、喘息、糖尿病、不安、社会障害、自閉症スペクトラム障害、レット症候群、フェラン・マクダーミド症候群、または脆弱X症候群を治療する方法であって、治療上有効量の式(I)の化合物、もしくはその薬学的に容認可能な塩、または本明細書の任意の箇所に記載されるような医薬組成物を被験体に投与することを含む方法を提供する。
【0020】
別の態様において、本開示は、脳および中枢神経系以外の組織および器官におけるニューロン興奮性を抑制するための方法であって、本明細書の任意の箇所に開示される化学物質(例えば、式(I)の化合物、もしくはその薬学的に容認可能な塩、またはそのN-オキシド)の治療上有効量を、そのような抑制を必要とする被験体に投与することを含む方法を提供する。
【0021】
別の態様において、本開示は、本明細書に開示されるような脳以外の組織および器官におけるGABA-A受容体の正調節のための化合物、および少なくとも1つの追加の治療剤を含む組成物を提供する。
【0022】
別の態様において、本開示は、本明細書に開示されるような化合物、および少なくとも1つの追加の治療剤を含む組成物の、脳以外の組織および器官におけるGABA-A受容体の正調節のための、方法ならびに使用を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本開示は、化学物質(例えば、化合物もしくはその薬学的に容認可能な塩、またはそのN-オキシド)を考慮するものであり、この化学物質は、1つまたは複数のGABA-A受容体のアロステリック正調節因子、例えば、1つまたは複数のGABA-A受容体の、末梢制限されたアロステリック正調節因子であって、末梢神経系および身体の器官を選択的に標的化し、またほぼ血液脳関門を通過しないものである。前記化合物は、例えば、身体の全身性疾患、例えば、1つまたは複数の末梢制限GABA-A受容体の調節が有益である疾患(例えば、内臓痛、腸運動、過敏性腸症候群、機能性腹痛、機能性特発性下痢、炎症性腸疾患(例えば、クローン病)、薬剤誘発性疼痛、胆汁酸塩吸収不全、ラクターゼもしくは他の炭水化物不耐症、間質性膀胱炎、慢性膵炎、機能性消化不良、月経困難症、触覚過敏、触覚機能障害、体性痛、喘息、糖尿病、不安、社会障害、自閉症スペクトラム障害、レット症候群、フェラン・マクダーミド症候群、または脆弱X症候群などの、GABA-Aニューロン活動によって媒介される疾患または障害)の治療に有用である。いくつかの実施形態において、本明細書に記載される化学物質は、例えば、過敏性腸症候群などの疾患の治療に有用である。本開示はまた、本明細書に記載される化学物質を含有する医薬組成物、および本明細書に記載される化学物質の有効量を投与することを含む、身体の全身性疾患(例えば、過敏性腸症候群)の治療のための方法を考慮する。
【0024】
上記で要約した本開示は、以下の記載を参照することによってより良く理解され得る。本開示の一実施態様を実施できるように以下に述べる1つまたは複数の実施形態の記載は、好ましい実施形態を限定することを意図するものではなく、その特定の例となるものである。当業者には、本開示の同じ目的を行うための他の方法およびシステムを改変または設計するための基礎として、開示された着想および特定の実施形態を容易に使用し得ることが理解されよう。当業者にはまた、そのような等価な集合体が、最も広い形態の本開示の精神および範囲から逸脱しないことが理解されよう。
【0025】
[概要]
一態様において、本開示は、GABA調節の通常のCNS副作用を伴わずに、腸神経系におけるGABA-A受容体を正調節することによって、内臓痛を治療し、被験体における、IBSによって引き起こされるような腸の運動性を調節するための方法を提供する。本明細書に記載の方法は、IBSに限らず、他の疾病によって引き起こされる内臓痛の治療に有効であることが企図される。本発明の方法によって治療できる非IBS関連疾病の例としては、機能性腹痛、機能性特発性下痢、クローン病などの炎症性腸疾患、薬剤誘発性疼痛、胆汁酸塩吸収不全、ラクターゼまたは他の炭水化物不耐症、間質性膀胱炎、慢性膵炎、機能性消化不良、月経困難症、触覚過敏、体性痛、喘息、および糖尿病などが挙げられる。
【0026】
別の態様において、本開示は、それを必要とする被験体における触覚機能障害、不安、または社会障害の治療のための方法であって、本明細書の任意の箇所に開示される化学物質(例えば、式(I)の化合物、もしくはその薬学的に容認可能な塩、またはそのN-オキシド)を被験体に投与することを含む方法を提供する。いくつかの実施形態において、被験体は、自閉症スペクトラム障害、レット症候群、フェラン・マクダーミド症候群、または脆弱X症候群と診断される。
【0027】
別の態様において、本開示は、脳および中枢神経系以外の組織および器官におけるニューロン興奮性を抑制するための方法であって、そのような抑制を必要とする被験体に、治療上有効量の末梢制限GABA-A受容体アロステリック正調節因子を投与することを含む方法であって、末梢制限GABA-A受容体アロステリック正調節因子は、本明細書の任意の箇所に開示される化学物質(例えば、式(I)の化合物、もしくはその薬学的に容認可能な塩、またはそのN-オキシド)である方法を提供する。いくつかの実施形態において、ニューロン興奮性は、脳および中枢神経系以外の組織および器官におけるGABA作動性ニューロン興奮性である。いくつかの実施形態において、脳および中枢神経系以外の組織および器官におけるニューロン興奮性の抑制は、脳および中枢神経系以外の組織および器官におけるGABA-A受容体を正調節することを含む。いくつかの実施形態において、末梢制限GABA-A受容体アロステリック正調節因子は、被験体の無傷の血液脳関門をほとんど通過しない。いくつかの実施形態において、被験体の無傷の血液脳関門を通過するのは、末梢制限GABA-A受容体アロステリック正調節因子の50%未満(例えば、40%未満、30%未満、20%未満、10%未満、5%未満、1%未満、0.5%未満、または0.1%未満)である。若干の実施形態において、被験体の無傷の血液脳関門を通過するのは、末梢制限GABA-A受容体アロステリック正調節因子の5%未満である。若干の実施形態において、被験体の無傷の血液脳関門を通過するのは、末梢制限GABA-A受容体アロステリック正調節因子の1%未満(例えば、0.5%未満または0.1%未満)である。いくつかの実施形態において、脳内の末梢制限GABA-A受容体アロステリック正調節因子の濃度と、循環血漿中の末梢制限GABA-A受容体アロステリック正調節因子の濃度との比は、約1:5である。いくつかの実施形態において、脳内の末梢制限GABA-A受容体アロステリック正調節因子の濃度と、循環血漿中の末梢制限GABA-A受容体アロステリック正調節因子の濃度との比は、約1:10である。いくつかの実施形態において、脳内の末梢制限GABA-A受容体アロステリック正調節因子の平均濃度は、62.5nM未満である。いくつかの実施形態において、末梢制限GABA-A受容体アロステリック正調節因子は、500nM未満のKiでGABA-A受容体に結合する。いくつかの実施形態において、末梢制限GABA-A受容体アロステリック正調節因子の投与時に、被験体は、望ましくない鎮静副作用を経験しない。いくつかの実施形態において、末梢制限GABA-A受容体アロステリック正調節因子は、式(I)の化合物の薬学的に容認可能な塩(例えば、表C1に記述される化合物の薬学的に容認可能な塩)である。いくつかの実施形態において、末梢制限GABA-A受容体アロステリック正調節因子は、式(I)の化合物である。例えば、末梢制限GABA-A受容体アロステリック正調節因子は、表C1に記述される化合物であり得る。いくつかの実施形態において、本方法はさらに、末梢制限GABA-A受容体アロステリック正調節因子を、末梢制限GABA-A受容体アロステリック正調節因子および薬学的に容認可能な担体を含む医薬組成物として投与することを含む。いくつかの実施形態において、本方法はさらに、少なくとも1つの追加の治療剤を投与することを含む。いくつかの実施形態において、本方法はさらに、脳以外の組織および器官におけるGABA-A受容体の正調節のために、少なくとも1つの追加の治療剤を投与することを含む。
【0028】
膜透過性などの物理的特性の調節および血液脳関門トランスポーターによる認識を増強することが知られている官能基の組み込みを通じて、本開示で使用されるGABA-A受容体アロステリック正調節因子はCNSから制限されるため、鎮静のような望ましくない副作用を生じないが、それでもなお腸神経系に有益な薬理学的効果を発揮する。
【0029】
CNSへの薬理学的アクセスは、血管内皮細胞間の密着結合と、多くの循環生体分子、ペプチド、および薬剤の脳への曝露を最小化するように働く膜トランスポーターとを含むシステムである、血液脳関門(BBB)によって制限されている。周知の非鎮静性抗ヒスタミン剤であるロラタジンおよびセチリジンなどのいくつかの治療上有用な薬剤は、この制限を利用して、CNSの合併症を伴わずに末梢の利益を提供するものである(非特許文献20)。ジアゼパムおよびミダゾラムなどの公知のGABA-Aアロステリック正調節因子は、すべてCNS障害を治療するように設計されたものであるため、非脳浸透性の類似体は一般的に記載されていないか、またはより有用な化合物への中間体として記載されているにすぎない。
【0030】
本開示は、とりわけ、式(I)による化学化合物、ならびにその薬学的に容認可能な塩、溶媒和物、および立体異性体、またはその任意のプロドラッグ等価物(エステルなど)を提供し、ここで、R3a基およびR3b基の一方は、以下に示すように、血液脳関門透過性を低減させる官能基を含む。
【0031】
従って、一態様において、本開示は、式(I)の化合物またはその薬学的に容認可能な塩であって、
【化2】
1a、R1b、R1c、およびR1dはそれぞれ、H、ハロ、C1-6アルキル、C1-6ハロアルキル、C2-6アルケニル、C2-6アルキニル、ニトロ、シアノ、C1-6アルコキシ、C1-6ハロアルコキシ、C1-6チオアルコキシ、C1-6ハロチオアルコキシ、S(O)(C1-6アルキル)、S(=O)(=NH)C1-6アルキル、Si(C1-6アルキル)、C3-6シクロアルキル、C6-10アリール、NR、C(O)R、およびC(O)NRからなる群より選択され、
ここで、C3-6シクロアルキルおよびC6-10アリールは、ハロ、シアノ、C1-6アルキル、およびC1-6ハロアルキルからなる群よりそれぞれ独立して選択される1~4個の置換基で、それぞれ随意的に置換され、
の各出現は、ハロ、C1-6アルキル、C1-6ハロアルキル、C2-6アルケニル、C2-6アルキニル、NO、シアノ、C1-6アルコキシ、C1-6ハロアルコキシ、SO(C1-6アルキル)、S(=O)(=NH)C1-6アルキル、C3-6シクロアルキル、NR、C(O)R、およびC(O)NRからなる群より独立して選択され、
mは、0、1、2、3、4、または5であり、
3aおよびR3bの一方はXであり、R3aおよびR3bのもう一方はRであり、
Xは、-COH、-CH(R)COH、-C(O)Y、-CH(R)C(O)Y、-S(O)Y、-CH(R)S(O)Y、-(C1-3アルキレン)-N(C1-3アルキル)、-P(=O)(OH)、-SOH、
【化3】
およびC(O)グルクロン酸からなる群より選択され、
およびXは、独立して、O、S、N(H)、またはN(C1-3アルキル)であり、
は、H、C1-6アルキル、-OH、および-NRからなる群より選択され、
Yは、
(i)-NR
(ii)-NR-CHCHO-(-CHCHO-)-Y(ここで、nは0~20の間の整数である)および
(iii)-NR-Y-Y
からなる群より選択され、
は、C2-6アルキレンであり、
は、-NR、-NRS(O)NR10、-S(O)、-S(=O)R(=NR)、および-P(=O)(C1-3アルキル)からなる群より選択され、
は、HまたはC1-6アルキルであり、
は、
・ H、ハロ、またはシアノ、
・ C1-6アルキル、C1-6ハロアルキル、C2-6アルケニル、またはC2-6アルキニル、
・ C1-6アルコキシまたはC1-6ハロアルコキシ、
・ -NR、-C(O)NR、または-CHNR
・ C3-6シクロアルキル、
・ C6-10アリール、および
・ 5~6個の環原子を含むヘテロアリール(ここで、1~4個の環原子は、N、N(R)、O、およびSからなる群よりそれぞれ独立して選択されるヘテロ原子である)
からなる群より選択され、
およびRは、H、C1-6アルキル、-OH、および-NRからなる群より独立して選択され、または
およびRは、それぞれが結合している炭素原子とともに、C3-6シクロアルキルを形成し、
およびRの各出現は、H、C1-6アルキル、C1-6ハロアルキル、C3-6シクロアルキル、フェニル、-(C1-4アルキレン)-フェニル、C(=O)R、C(=O)OR、およびC(=O)NR10からなる群より独立して選択され、または
同じ窒素原子上のRおよびRの対が、それらを連結する前記窒素原子とともに、飽和、部分不飽和、または4~8個の環原子を含む芳香環を形成し、ここで、0~2個の環原子(RおよびRを連結する窒素原子に加えて)は、N、N(R)、O、およびSからなる群よりそれぞれ独立して選択される環ヘテロ原子であり、
の各出現は、H、C1-6アルキル、-C(=O)R、-C(=O)OR、および-C(=O)NR10からなる群より独立して選択され
およびR10の各出現は、HまたはC1-6アルキルであり、
Zは、Nまたは
【化4】
である化合物を特徴とする。
【0032】
いくつかの実施形態において、R3aはXであり、R3bはRである。
【0033】
いくつかの実施形態において、R3aはRであり、R3bはXである。
【0034】
いくつかの実施形態において、R1a、R1b、R1c、およびR1dのうちの1~2つは、独立して選択されるH以外の置換基である。
【0035】
これらの実施形態のうちの若干のものにおいて、R1a、R1b、R1c、およびR1dのうちの1つ(例えば、R1cまたはR1d(例えば、R1c))は、ハロ、C1-6アルキル、C1-6ハロアルキル、C2-6アルケニル、C2-6アルキニル、ニトロ、シアノ、C1-6アルコキシ、C1-6ハロアルコキシ、C1-6チオアルコキシ、C1-6ハロチオアルコキシ、S(O)(C1-6アルキル)、S(=O)(=NH)C1-6アルキル、Si(C1-6アルキル)、C3-6シクロアルキル、C6-10アリール、NR、C(O)R、およびC(O)NRからなる群より選択され、ここで、C3-6シクロアルキルおよびC6-10アリールは、ハロ、シアノ、C1-6アルキル、およびC1-6ハロアルキルからなる群よりそれぞれ独立して選択される1~4個の置換基で、それぞれ随意的に置換され、R1a、R1b、R1c、およびR1dのうちの他の3つはHである。
【0036】
若干の実施形態において、R1a、R1b、R1c、およびR1dのうちの1つ(例えば、R1cまたはR1d(例えば、R1c))は、ハロ、C1-6アルキル、C1-6ハロアルキル、C2-6アルケニル、C2-6アルキニル、C1-6アルコキシ、C1-6ハロアルコキシ、C1-6チオアルコキシ、C1-6ハロチオアルコキシ、S(O)(C1-6アルキル)、S(=O)(=NH)C1-6アルキル、Si(C1-6アルキル)、C3-6シクロアルキル、およびC6-10アリールからなる群より選択され、ここで、C3-6シクロアルキルおよびC6-10アリールは、ハロ、シアノ、C1-6アルキル、およびC1-6ハロアルキルからなる群よりそれぞれ独立して選択される1~4個の置換基で、それぞれ随意的に置換され、そしてR1a、R1b、R1c、およびR1dのうちの他の3つはHである。
【0037】
若干の実施形態において、R1a、R1b、R1c、およびR1dのうちの1つ(例えば、R1cまたはR1d(例えば、R1c))は、ハロ(例えば、-Clまたは-Br(例えば、-Cl))であり、R1a、R1b、R1c、およびR1dのうちの他の3つはHである。
【0038】
若干の実施形態において、R1a、R1b、R1c、およびR1dのうちの1つ(例えば、R1cまたはR1d(例えば、R1c))は、C1-6アルキル(例えば、-C1-3アルキル(例えば、メチル))であり、R1a、R1b、R1c、およびR1dのうちの他の3つはHである。
【0039】
若干の実施形態において、R1a、R1b、R1c、およびR1dのうちの1つ(例えば、R1cまたはR1d(例えば、R1c))は、C1-6ハロアルキル(例えば、-C1-3ハロアルキル(例えば、-CF))であり、R1a、R1b、R1c、およびR1dのうちの他の3つはHである。
【0040】
若干の実施形態において、R1a、R1b、R1c、およびR1dのうちの1つ(例えば、R1cまたはR1d(例えば、R1c))は、C2-6アルキニル(例えば、
【化5】

であり、R1a、R1b、R1c、およびR1dのうちの他の3つはHである。
【0041】
若干の実施形態において、R1a、R1b、R1c、およびR1dのうちの1つ(例えば、R1cまたはR1d(例えば、R1c))は、C1-6アルコキシ(例えば、メトキシなどのC1-3アルコキシ)、C1-6ハロアルコキシ(例えば、-OCFのようなC1-3ハロアルコキシ)、C1-6チオアルコキシ(例えば、-SCHのようなC1-3チオアルコキシ)、またはC1-6ハロチオアルコキシ(例えば、-SCFのようなC1-3ハロチオアルコキシ)であり、R1a、R1b、R1c、およびR1dのうちの他の3つはHである。
【0042】
若干の実施形態において、R1a、R1b、R1c、およびR1dのうちの1つ(例えば、R1cまたはR1d(例えば、R1c))は、Si(C1-6アルキル)(例えば、SiMe)であり、R1a、R1b、R1c、およびR1dのうちの他の3つはHである。
【0043】
若干の実施形態において、R1a、R1b、R1c、およびR1dのうちの1つ(例えば、R1cまたはR1d(例えば、R1c))は、S(O)(C1-6アルキル)(例えば、S(O)CH)またはS(=O)(=NH)C1-6アルキルであり、R1a、R1b、R1c、およびR1dのうちの他の3つはHである。
【0044】
若干の実施形態において、R1a、R1b、R1c、およびR1dのうちの1つ(例えば、R1cまたはR1d(例えば、R1c))は、C3-6シクロアルキル(例えば、シクロプロピル)またはC6-10アリール(例えば、フェニル)であり、ここで、C3-6シクロアルキルおよびC6-10アリールは、ハロ、シアノ、C1-6アルキル、およびC1-6ハロアルキルからなる群よりそれぞれ独立して選択される1~4個の置換基で、それぞれ随意的に置換され、R1a、R1b、R1c、およびR1dのうちの他の3つはHである。
【0045】
若干の実施形態において、R1cは、ハロ、C1-6アルキル、C1-6ハロアルキル、C2-6アルケニル、C2-6アルキニル、ニトロ、シアノ、C1-6アルコキシ、C1-6ハロアルコキシ、C1-6チオアルコキシ、C1-6ハロチオアルコキシ、S(O)(C1-6アルキル)、S(=O)(=NH)C1-6アルキル、Si(C1-6アルキル)、C3-6シクロアルキル、C6-10アリール、NR、C(O)R、およびC(O)NRからなる群より選択され、ここで、C3-6シクロアルキルおよびC6-10アリールは、ハロ、シアノ、C1-6アルキル、およびC1-6ハロアルキルからなる群よりそれぞれ独立して選択される1~4個の置換基で、それぞれ随意的に置換され、R1a、R1b、およびR1dはHである。
【0046】
これらの実施形態のうちの若干のものにおいて、R1cは、ハロ、C1-6アルキル、C1-6ハロアルキル、C2-6アルケニル、C2-6アルキニル、C1-6アルコキシ、C1-6ハロアルコキシ、C1-6チオアルコキシ、C1-6ハロチオアルコキシ、S(O)(C1-6アルキル)、S(=O)(=NH)C1-6アルキル、Si(C1-6アルキル)、C3-6シクロアルキル、およびC6-10アリールからなる群より選択され、ここで、C3-6シクロアルキルおよびC6-10アリールは、ハロ、シアノ、C1-6アルキル、およびC1-6ハロアルキルからなる群よりそれぞれ独立して選択される1~4個の置換基で、それぞれ随意的に置換され、R1a、R1b、およびR1dはHである。
【0047】
前述の実施形態のうちの若干のものにおいて、R1cは、ハロ(例えば、-Clまたは-Br(例えば、-Cl))であり、R1a、R1b、およびR1dはHである。
【0048】
若干の実施形態において、R1cは、C1-6アルキル(例えば、-C1-3アルキル(例えば、メチル))であり、R1a、R1b、およびR1dはHである。
【0049】
若干の実施形態において、R1cは、C1-6ハロアルキル(例えば、-C1-3ハロアルキル(例えば、-CF))であり、R1a、R1b、およびR1dはHである。
【0050】
若干の実施形態において、R1cは、C2-6アルキニル(例えば、
【化6】
であり、R1a、R1b、およびR1dはHである。
【0051】
若干の実施形態において、R1cは、C1-6アルコキシ(例えば、メトキシなどのC1-3アルコキシ)、C1-6ハロアルコキシ(例えば、-OCFなどのC1-3ハロアルコキシ)、C1-6チオアルコキシ(例えば、-SCHなどのC1-3チオアルコキシ)、またはC1-6ハロチオアルコキシ(例えば、C1-3ハロチオアルコキシ(例えば、-SCF))であり、R1a、R1b、およびR1dはHである。
【0052】
若干の実施形態において、R1cは、Si(C1-6アルキル)(例えば、SiMe)であり、R1a、R1b、およびR1dはHである。
【0053】
若干の実施形態において、R1cは、S(O)(C1-6アルキル)(例えば、S(O)CH)またはS(=O)(=NH)C1-6アルキルであり、R1a、R1b、およびR1dはHである。
【0054】
若干の実施形態において、R1cは、C3-6シクロアルキル(例えば、シクロプロピル)またはC6-10アリール(例えば、フェニル)であり、ここで、C3-6シクロアルキルおよびC6-10アリールは、ハロ、シアノ、C1-6アルキル、およびC1-6ハロアルキルからなる群よりそれぞれ独立して選択される1~4個の置換基で、それぞれ随意的に置換され、R1a、R1b、およびR1dはHである。
【0055】
いくつかの実施形態において、R1a、R1b、R1c、およびR1dのそれぞれは、Hである。
【0056】
いくつかの実施形態において、mは1または2である。これらの実施形態のうちの若干のものにおいて、mは1である。
【0057】
特定の実施形態において、
【化7】
であり、ここで、m1は0または1である。これらの実施形態のうちの若干のものにおいて、m1は0である。他の実施形態においては、m1は1である。
【0058】
若干の実施形態において、
【化8】
である。
【0059】
いくつかの実施形態において、各Rは、ハロ、C1-6アルキル、C1-6ハロアルキル、C2-6アルケニル、C2-6アルキニル、NO、シアノ、C1-6アルコキシ、C1-6ハロアルコキシ、SO(C1-6アルキル)、およびC3-6シクロアルキルからなる群より独立して選択される。
【0060】
これらの実施形態のうちの若干のものにおいて、各Rは、ハロ、C1-6アルキル、C1-6ハロアルキル、シアノ、C1-6アルコキシ、およびC1-6ハロアルコキシからなる群より独立して選択される。
【0061】
前述の実施形態の非限定的な例において、各Rは、-F、-Cl、または-Brなどの、独立して選択されたハロであり得る。
【0062】
いくつかの実施形態において、RおよびRのそれぞれは、Hである。
【0063】
いくつかの実施形態において、RおよびRの一方はC1-6アルキルであり、RおよびRのもう一方はHである。
【0064】
いくつかの実施形態において、RおよびRの一方は-OHであり、RおよびRのもう一方はHである。
【0065】
いくつかの実施形態において、Xは、-COHまたは-CH(R)COHである。これらの実施形態のうちの若干のものにおいて、Xは-COHである。
【0066】
いくつかの実施形態において、Xは、-C(O)Yまたは-CH(R)C(O)Yである。これらの実施形態のうちの若干のものにおいて、Xは-C(O)Yである。
【0067】
若干の実施形態において(Xが-C(O)Yまたは-CH(R)C(O)Y(例えば、-C(O)Y)である場合)、Yは、-NRである。例えば、Yは、NH、NH(C1-3アルキル)、またはN(C1-3アルキル)であり得る。
【0068】
若干の実施形態において(Xが-C(O)Yまたは-CH(R)C(O)Y(例えば、-C(O)Y)である場合)、Yは、-NR-Y-Yである。これらの実施形態のうちの若干のものにおいて、Yは、-N(H)-Y-Yである。
【0069】
前述の実施形態のうちの若干のものにおいて、Yは、直鎖C2-4アルキレンである。例えば、Yは、-CHCH-または-CHCHCH-であり得る。
【0070】
若干の実施形態において、Yは、NR(例えば、NHC(=O)NR10)である。例えば、Yは、NHC(=O)NHであり得る。
【0071】
若干の実施形態において、Yは、-NRS(O)NR10である。例えば、Yは、-NHS(O)NHであり得る。
【0072】
いくつかの実施形態において、RはHである。
【0073】
いくつかの実施形態において、Rはハロである。例えば、Rは、-Clまたは-Brであり得る。
【0074】
いくつかの実施形態において、Rは、C1-6アルキルまたはC1-6ハロアルキルである。例えば、Rは、C1-3アルキル(例えば、メチル)であり得る。
【0075】
いくつかの実施形態において、ZはNである。
【0076】
いくつかの実施形態において、Zは
【化9】
である。
【0077】
(非限定的組み合わせ[AA])
【0078】
若干の実施形態において、
・ R1a、R1b、R1c、およびR1dのうちの1つは、ハロ、C1-6アルキル、C1-6ハロアルキル、C2-6アルケニル、C2-6アルキニル、ニトロ、シアノ、C1-6アルコキシ、C1-6ハロアルコキシ、C1-6チオアルコキシ、C1-6ハロチオアルコキシ、S(O)(C1-6アルキル)、S(=O)(=NH)C1-6アルキル、Si(C1-6アルキル)、C3-6シクロアルキル、C6-10アリール、NR、C(O)R、およびC(O)NRからなる群より選択され、ここで、C3-6シクロアルキルおよびC6-10アリールは、ハロ、シアノ、C1-6アルキル、およびC1-6ハロアルキルからなる群よりそれぞれ独立して選択される1~4個の置換基で、それぞれ随意的に置換され、
・ R1a、R1b、R1c、およびR1dのうちの他の3つはHであり、
・ mは1または2であり、
・ 各Rは、ハロ、C1-6アルキル、C1-6ハロアルキル、C2-6アルケニル、C2-6アルキニル、NO、シアノ、C1-6アルコキシ、C1-6ハロアルコキシ、SO(C1-6アルキル)、およびC3-6シクロアルキルからなる群より独立して選択され、
・ R3aはXであり、および
・ R3bは、Rである。
【0079】
[AA]の若干の実施形態において、R1cは、ハロ、C1-6アルキル、C1-6ハロアルキル、C2-6アルケニル、C2-6アルキニル、ニトロ、シアノ、C1-6アルコキシ、C1-6ハロアルコキシ、C1-6チオアルコキシ、C1-6ハロチオアルコキシ、S(O)(C1-6アルキル)、S(=O)(=NH)C1-6アルキル、Si(C1-6アルキル)、C3-6シクロアルキル、C6-10アリール、NR、C(O)R、およびC(O)NRからなる群より選択され、ここで、C3-6シクロアルキルおよびC6-10アリールは、ハロ、シアノ、C1-6アルキル、およびC1-6ハロアルキルからなる群よりそれぞれ独立して選択される1~4個の置換基で、それぞれ随意的に置換される。
【0080】
(非限定的組み合わせ[BB])
・ R1a、R1b、R1c、およびR1dのうちの1つは、ハロ、C1-6アルキル、C1-6ハロアルキル、C2-6アルケニル、C2-6アルキニル、C1-6アルコキシ、C1-6ハロアルコキシ、C1-6チオアルコキシ、C1-6ハロチオアルコキシ、S(O)(C1-6アルキル)、S(=O)(=NH)C1-6アルキル、Si(C1-6アルキル)、C3-6シクロアルキル、およびC6-10アリールからなる群より選択され、ここで、C3-6シクロアルキルおよびC6-10アリールは、ハロ、シアノ、C1-6アルキル、およびC1-6ハロアルキルからなる群よりそれぞれ独立して選択される1~4個の置換基で、それぞれ随意的に置換され、
・ R1a、R1b、R1c、およびR1dのうちの他の3つはHであり、
・ mは1または2であり、
・ 各Rは、ハロ、C1-6アルキル、C1-6ハロアルキル、シアノ、C1-6アルコキシ、およびC1-6ハロアルコキシからなる群より独立して選択され、
・ R3aはXであり、および
・ R3bは、Rである。
【0081】
[BB]の若干の実施形態において、R1cは、ハロ、C1-6アルキル、C1-6ハロアルキル、C2-6アルケニル、C2-6アルキニル、C1-6アルコキシ、C1-6ハロアルコキシ、C1-6チオアルコキシ、C1-6ハロチオアルコキシ、S(O)(C1-6アルキル)、S(=O)(=NH)C1-6アルキル、Si(C1-6アルキル)、C3-6シクロアルキル、およびC6-10アリールからなる群より選択され、ここで、C3-6シクロアルキルおよびC6-10アリールは、ハロ、シアノ、C1-6アルキル、およびC1-6ハロアルキルからなる群よりそれぞれ独立して選択される1~4個の置換基で、それぞれ随意的に置換される。
【0082】
(非限定的組み合わせ[CC])
・ R1a、R1b、R1c、およびR1dのうちの1つはハロ(例えば、-Cl)であり、
・ R1a、R1b、R1c、およびR1dのうちの他の3つはHであり、
・ mは1または2であり、
・ 各Rは、-F、-Cl、または-Brなどの、独立して選択されるハロであり、
・ R3aはXであり、および
・ R3bはRである。
【0083】
[CC]の若干の実施形態において、R1cはハロ(例えば、-Cl)である。
【0084】
[AA]、[BB]、または[CC]の若干の実施形態において、
【化10】
である。
【0085】
[AA]、[BB]、または[CC]の若干の実施形態において、RはHである。[AA]、[BB]、または[CC]の若干の実施形態において、RはハロまたはC1-3アルキルである。
【0086】
[AA]、[BB]または[CC]の若干の実施形態において、RおよびRは、それぞれHである。
【0087】
[AA]、[BB]または[CC]の若干の実施形態において、Xは-COHである。
【0088】
[AA]、[BB]または[CC]の若干の実施形態において、Xは、-C(O)N(H)-Y-Y(例えば、-C(O)N(H)CHCH-Y)である。これらの実施形態のうちの若干のものにおいて、Yは、NR(例えば、NHC(=O)NR10)である。例えば、Yは、NHC(=O)NHであり得る。若干の実施形態において、Yは、-NRS(O)NR10である。例えば、Yは、-NHS(O)NHであり得る。
【0089】
[AA]、[BB]または[CC]の若干の実施形態において、ZはNである。
【0090】
若干の実施形態において、式(I)の化合物は式(Ia)の化合物
【化11】
またはその薬学的に容認可能な塩であって、ここで、
1cは、ハロ、C1-6アルキル、C1-6ハロアルキル、C2-6アルケニル、C2-6アルキニル、C1-6アルコキシ、C1-6ハロアルコキシ、C1-6チオアルコキシ、C1-6ハロチオアルコキシ、S(O)(C1-6アルキル)、S(=O)(=NH)C1-6アルキル、Si(C1-6アルキル)、C3-6シクロアルキル、およびC6-10アリールからなる群より選択され、ここで、C3-6シクロアルキルおよびC6-10アリールは、ハロ、シアノ、C1-6アルキル、およびC1-6ハロアルキルからなる群よりそれぞれ独立して選択される1~4個の置換基で、それぞれ随意的に置換され、
m1は0または1であり、
各Rは、ハロ、C1-6アルキル、C1-6ハロアルキル、C2-6アルケニル、C2-6アルキニル、NO、シアノ、C1-6アルコキシ、C1-6ハロアルコキシ、SO(C1-6アルキル)、およびC3-6シクロアルキルからなる群より独立して選択され、
は、H、ハロ、またはC1-3アルキルである。
【0091】
式(Ia)の若干の実施形態において、R1cはハロ(例えば、-Clまたは-Br)である。
【0092】
式(Ia)の若干の実施形態において、RはHである。
【0093】
式(Ia)の若干の実施形態において、Rはハロである。
【0094】
式(Ia)の若干の実施形態において、m1は0である。
【0095】
式(Ia)の若干の実施形態において、m1は1である。
【0096】
式(Ia)の若干の実施形態において、各Rは、独立して選択されるハロ(例えば、-Fまたは-Cl(例えば、-F))である。
【0097】
若干の実施形態において、化合物は、表C1の化合物、またはその薬学的に容認可能な塩からなる群より選択される。
【0098】
【表C1-1】
【表C1-2】
【表C1-3】
【表C1-4】
【表C1-5】
【表C1-6】
【表C1-7】
【0099】
別の態様において、本開示は、本明細書に記載の式(I)の化合物、および薬学的に容認可能な担体を含む医薬組成物を提供する。
【0100】
さらなる態様において、本開示は、本明細書に記載の式(I)の化合物の塩(例えば、薬学的に容認可能な塩)を提供する。
【0101】
[定義]
本明細書において使用される場合、上記で使用される化学用語は、標準的な化学専門用語である。このような化学置換基の定義例は、米国特許第8,530,438号に見いだすことができ、該特許は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0102】
本明細書において使用される場合「末梢制限された(peripherally restricted)」または「中枢神経系へのアクセスが制限された(restricted access to the central nervous system)」とは、一般に、被験体の無傷の血液脳関門をほぼ通過しない化学物質(例えば、化合物またはその薬学的に容認可能なもの)を指す。本用語はまた、無傷の血液脳関門を通過し得るが、投与時に被験体の無傷の血液脳関門をほぼ通過しない形態で迅速に代謝される化合物も包含する。被験体への投与時に、被験体の無傷の血液脳関門を通過するのが化合物の50%未満、45%未満、40%未満、35%未満、30%未満、25%未満、20%未満、15%未満、10%未満、9%未満、8%未満、7%未満、6%未満、5%未満、4%未満、3%未満、2%未満、1%未満、0.5%未満、0.1%未満である場合、化合物は「末梢制限された(peripherally restricted)」ものとみなされ得る。いくつかの実施形態において、「末梢制限された(peripherally restricted)」という用語は、脳内の化合物の濃度を循環血漿中の濃度と比較した(脳:血漿)比が約1:5以上(例えば、約1:10以上)であることを意味し得る。例示的な一実施形態において、脳:血漿比は、マウスまたはラットにおける化合物の比を測定することによって決定される。
【0103】
本明細書において使用される場合、「有効量(an effective amount)」または「治療上有効量(a therapeutically effective amount)」という用語は、以下に定義されるように、疾患の治療を含むがこれに限定されない、意図される適用に影響を及ぼすのに十分な化合物の量を指す。治療上有効量は、意図される治療適用(インビボ)、または治療される被験体および疾患状態、例えば、被験体の体重および年齢、疾患状態の重篤度、投与方法などに応じて変動し得、これらは当業者によって容易に決定され得る。本用語はまた、標的細胞において特定の応答を誘導する用量にも適用される。特定の用量は、選択された特定の化合物、従う投与計画、他の化合物と組み合わせて投与されるかどうか、投与のタイミング、投与される組織、および運ばれる物理的送達系に応じて変動する。
【0104】
本明細書において使用される場合、用語「正調節(positive modulation)」または「アロステリック正調節(positive allosteric modulation)」およびそれに由来するすべての語は、受容体複合体上のアロステリック部位に結合し、それに正の方向で影響を及ぼす化合物を指す。受容体に正の方向で影響を及ぼすとは、典型的に、主要な受容体部位の効率上昇を引き起こすことを意味する。受容体効率の増加とは、受容体が立体構造変化を起こすように潜在的に誘導すること、またはアゴニストが受容体に結合したときにチャネルがより頻繁にまたはより長い時間開くことを意味し得る。
【0105】
本明細書において使用される場合、「内臓痛(visceral pain)」とは、胸部、骨盤、または腹部器官の侵害受容器の活性化によってもたらされる痛みを指す。例えば、これらに限定されないが、胃、腎臓、胆嚢、膀胱、膵臓、および腸などの器官の問題が、内臓痛につながり得る。このような問題は、膨満、穿孔、炎症、埋伏、および便秘などを含み得る。内臓痛は、びまん性、漠然性、鈍痛、深部痛、圧搾痛、圧迫様の痛みであり得、場所を特定するのが困難である。内臓痛は、吐き気、嘔吐、発汗、ならびに血圧、心拍数、および体温の変化などの症状を伴うものであり得る。内臓痛はしばしば、身体の異なる部位に経験または「言及」され得る。いくつかの実施形態において、内臓痛は、機能性消化不良、間質性膀胱炎、慢性膵炎、または月経困難症に関連付けることができる。
【0106】
本明細書において使用される場合、「腸の運動性(gut motility)」とは、消化管の筋肉の伸長および収縮を指す。蠕動運動とは、輪状平滑筋の周期的な弛緩に続く縦方向の収縮である。腸の運動性は障害され得、痙攣および麻痺を含む異常収縮につながり得る。
【0107】
本明細書において使用される場合、「過敏性腸症候群(irritable bowel syndrome)」または「IBS」は、一般に、被験体が再発性または慢性の胃腸症状を経験する症候群を指す。IBSの症状には、例えば、腹痛、腹部不快感、便秘、下痢、便粘液、腹部膨満感、または上記の任意の組み合わせが含まれ得る。IBSと診断されるのは、過去3ヵ月間、少なくとも月に3回の腹痛または腹部不快感があり、その痛みを説明できるような他の疾患または負傷がない場合である。IBSの痛みまたは不快感は、便の回数または固さの変化とともに起こり得、あるいは便通によって緩和され得る。IBSは、被験体の普段の便の固さに基づいて4つのサブタイプに分類することができる。IBSの4つのサブタイプは、便秘を伴うIBS(IBS-C)、下痢を伴うIBS(IBS-D)、混合型IBS(IBS-M)、および未分類IBS(IBS-U)である。IBS-Cの被験体では、便が固いもしくは塊状である場合が少なくとも25%であり得、便が緩いもしくは水様である場合が25%未満であり得、または両者の組み合わせである。IBS-Dの被験体では、便が緩いもしくは水様である場合が少なくとも25%であり得、便が固いもしくは塊状である場合が25%未満であり得、または両者の組み合わせである。IBS-Mの被験体では、便が固いまたは塊状である場合が少なくとも25%であり得、便が緩いまたは水様である場合が少なくとも25%であり得る。IBS-Uの被験体では、便が固いもしくは塊状である場合が25%未満であり得、便が緩いもしくは水様である場合が25%未満であり得、または両者の組み合わせである。IBSに伴う便秘は、胃の運動が遅いまたは遅れていることに起因し得る。いくつかの実施形態においては、IBSの被験体は便秘を経験している。IBSは、当該技術分野で公知の任意の方法または本明細書に記載される他の方法によって被験体において診断することができる。例えば、IBSは医療提供者によって診断され得る。医療提供者は、身体検査を行い、被験体の病歴を聴取することができる。IBSは、被験体が少なくとも3、4、5、または6ヶ月間、1つまたは複数のIBSの症状を示し、1つまたは複数の症状が過去3ヶ月間、少なくとも月に3回示した場合に診断され得る。IBSの診断に有用であり得る追加の検査としては、便検査、下部消化管造影、軟性S状結腸鏡検査、または大腸内視鏡検査を含むが、これらに限定されない。
【0108】
「機能性腹痛(functional abdominal pain)」または「機能性腹痛症候群(functional abdominal pain syndrome)」(FAPS)という用語は、一般に、便通パターンの変化または腸の運動性の変化を伴わない、慢性的な、および/または頻繁に再発する痛みを指す。通常の腹部活動が痛みを伴うものとして経験され、機能性腹痛に寄与し得る。機能性腹痛は、脳が消化管からの痛みシグナルを調整できない中枢性過敏症に関連したものであり得る。FAPSの症状は、明らかな原因なしに現れ得るが、感染症または腸を刺激する出来事の後および、愛する人の死、離婚、性的または身体的虐待の経験のようなトラウマ的な人生の出来事の後にも起こり得る。ストレスが加わると、症状が悪化し得る。
【0109】
腹部の度重なる負傷により、神経受容体が過剰に敏感になり得る。例えば、腹部の手術を複数回受けると、または感染症にかかると、その後の痛みを伴う出来事について、以前よりも痛みを感じるようになることがある。通常の腹部活動でさえ、痛みを伴うものとして経験され得る。まるでステレオ受信機のボリュームを上げたようである。このような状態を内臓過敏症(すなわち、腸の過敏性の増加)という。さらに、脳には消化管からの痛みシグナルを「弱める」能力があるが、FAPSではこの能力が低減しているため、少量の腸の障害でも増幅され、激しい痛みを生じ得る(中枢性過敏症)。つまり、これらの人では、「脳腸軸(braingut axis)」が変化して、脳が通常の腸の神経活動さえも調整できないため、痛みの増加につながるのである。
【0110】
本開示の目的のために、本明細書において使用される用語「下痢(diarrhea)」とは、被験体の頻繁な、形成不良の、緩い、水様便を意味する。下痢を有する被験体は、被験体が1日に少なくとも3回、緩い便を排出していることを意味する。用語「急性下痢(acute diarrhea)」は、普通7日未満にわたって続くが、21日未満にわたって遅延した、または長引いた形で続き得る一般的な問題である。2日を超えて続く下痢は、しばしば腸管病原性感染症の徴候である。用語「慢性下痢(chronic diarrhea)」は、少なくとも4週間続く下痢を意味する。慢性下痢の症状は、継続的または断続的である。用語「旅行者下痢(traveler’s diarrhea)」とは、旅行に関連した感染症に伴う下痢症状を意味する。大腸菌、サルモネラ菌、赤痢菌、カンピロバクター、アエロモナス、プレシオモナス、およびビブリオなどの細菌、ジアルジア、赤痢アメーバ、クリプトスポリジウム、およびシクロスポラなどの寄生虫、ならびにウイルスを含む、多くの異なる生物によって引き起こされ得る。下痢に加えて、症状には吐き気、嘔吐、腹痛、発熱、発汗、悪寒、頭痛、および倦怠感なども含まれ得る。下痢はまた、食品媒介性腸管病原体による結果でもあり得る。典型的な食品媒介性病原体は、大腸菌、サルモネラ菌、赤痢菌、エルシニア菌、およびカンピロバクターである。
【0111】
下痢はその期間を問わず、脱水を引き起こし得るが、これは、体が適切に機能するための水分および電解質(ナトリウム、カリウム、および塩化物を含む、塩類中の化学物質)が不足することを意味する。緩い便には、水分および電解質が多く含まれ、しばしば固い便よりも重くなる。
【0112】
用語「機能性特発性下痢(functional idiopathic diarrhea)」は、一般に、原因不明の下痢を指す。特発性下痢は一般に5日未満にわたって続き、しばしば2日または3日以内に解消する。下痢は一般に、便通の頻度の増加または固さの低下を意味する。下痢はまた、便重量の増加を意味し得る。
【0113】
用語「炎症性腸疾患(inflammatory bowel diseases)」は、一般に、消化管の全部または一部の慢性炎症を指す。炎症性腸疾患の症状は、激しい下痢、疼痛、腹痛および筋けいれん、被験体の便に血が混じる、疲労、食欲低減および体重減少、または上記の任意の組み合わせを含み得る。炎症性疾患の他の症状としては、腸閉塞、潰瘍、大腸穿孔、瘻孔、裂肛、栄養不良、激しい脱水、大腸がんのリスク増加などがある。炎症性腸疾患の非限定的な例としては、クローン病および潰瘍性大腸炎が挙げられ、それ自体、潰瘍性直腸炎、直腸S状結腸炎、左側大腸炎、全結腸炎、急性重症潰瘍性大腸炎など、いくつかの異なるサブタイプを有し得る。炎症性腸疾患は、当該技術分野で公知の任意の方法、または本明細書に記載される他の方法によって、被験体において診断され得る。例えば、炎症性腸疾患は、医療提供者によって診断され得る。医師または医療提供者は、貧血または感染症の血液検査、便潜血検査、大腸内視鏡検査、軟性S状結腸鏡検査、上部内視鏡検査、カプセル内視鏡検査、ダブルバルーン内視鏡検査、X線検査、コンピュータ断層撮影検査、磁気共鳴画像検査、または小腸画像検査を含むがこれらに限定されない検査の組み合わせを実施または指示し、炎症性腸疾患の存在を確認することができる。
【0114】
用語「薬剤誘発性疼痛(drug induced pain)」は、患者が医師の診察を受ける、および/または入院を必要とするのに十分な症状をもたらす、薬剤の意図しない作用である。疼痛を誘発することが知られている医薬品の例としては、末梢神経障害の形で神経損傷を引き起こすことが知られている化学療法薬が挙げられる。実際、末梢神経障害の発症が、化学療法の量および期間を制限する主な要因になり得る。コレステロール値を下げるために服用するコレステロール低下薬は、筋肉痛を引き起こすことが知られており、脱力感はコレステロール低下薬の副作用としてよく知られている。また、オピオイド(ヒドロコドン、ヒドロモルフォン、オキシコドン、モルヒネ)を長年使用して痛みが悪化した場合、この痛みの悪循環は、オピオイド誘発性の痛覚過敏の結果であり得る。
【0115】
タンパク質、炭水化物、脂肪、およびほとんどの水分は、小腸(small intestine)(小腸(small bowel))で吸収される。吸収不良症候群は、腸が重要な栄養素および水分を吸収するのを妨げるものがある場合に起こる。この問題は、炎症、疾患、または負傷などによって引き起こされ得る。時として、この状態は、いくつかの食品の消化に必要な酵素が体内で生産されない結果であり得る。吸収不良症候群を引き起こし得る要因には、抗生物質の使用、セリアック病、慢性膵炎、嚢胞性線維症、および乳タンパク質アレルギーなどの状態、胆嚢、肝臓、または膵臓の先天性(生まれつきの)欠損または疾患、腸の損傷(感染症、炎症、負傷、または手術などから)、放射線療法(腸の粘膜内層を傷つけ得る)が含まれる。症状には、膨満感、鼓腸、または爆発性下痢が含まれる。
【0116】
用語「胆汁酸塩吸収不良(bile salt malabsorption)」は、一般に、消化管内における胆汁酸塩の増加を指し、これにより大腸に水分が送り込まれ、下痢を引き起こし得る。胆汁酸塩吸収不良の他の症状にはまた、腹部の筋けいれん、臭いガス、体重減少、胆石、および腎臓結石が含まれ得る。現在、胆汁酸塩吸収不良には、(1)回腸切除または回腸炎に続発する胆汁酸塩吸収不良、(2)特発性/原発性胆汁酸塩吸収不良、および(3)様々な胃腸疾患に続発する胆汁酸塩吸収不良の3つのタイプがあると認識されている。胆汁酸塩吸収不良は、当該技術分野で公知の任意の方法、または本明細書に記載される他の方法によって、被験体において診断され得る。例えば、胆汁酸塩吸収不良は、医療提供者によって診断され得る。医師または医療提供者は、SeHCATスキャン、7α-ヒドロキシ-4-コレステン-3-オンの測定、および空腹時血中FGF19値の測定を含むがこれらに限定されない検査の組み合わせを実施または指示し、胆汁酸塩吸収不良の存在を確認することができる。
【0117】
本明細書において使用される場合、用語「治療する(treat)」および「予防する(prevent)」ならびにそれらに由来する語は、治療効果および/または予防効果を含むが、これらに限定されない有益なまたは所望の結果を得るためのアプローチを指す。治療効果は、治療される基礎疾患の根絶または改善を意味し得る。また、被験体が依然として基礎疾患に罹患し得るにもかかわらず、被験体において改善が観察されるような、基礎疾患に関連する1つまたは複数の生理学的症状の根絶または改善によって、治療効果を達成することができる。予防的効果には、疾患もしくは状態の出現を遅らせるもしくは排除すること、疾患もしくは状態の症状の発症を遅らせるもしくは排除すること、疾患もしくは状態の進行を減速、停止もしくは逆転させること、またはそれらの任意の組み合わせが含まれる。予防効果のために、組成物は、特定の疾患を発症するリスクのある被験体、または疾患の診断がなされていなくても、疾患の生理学的症状のうち1つまたは複数を報告する被験体に投与され得る。したがって、当業者が潜在的な利益または治療効果を有するものとして認識する治療または予防の程度は様々である。この点において、本発明の方法は、哺乳動物におけるGABA-A媒介性疾患の、任意のレベルの任意の量の治療または予防を提供することができる。さらに、本発明の方法によって提供される治療または予防は、治療または予防される疾患、例えばIBSの、1つまたは複数の状態または症状の治療または予防を含むことができる。
【0118】
本明細書において使用される場合、用語「被験体(subject)」は、マウスおよびハムスターなどのネズミ目の哺乳動物、ならびにウサギなどのウサギ目の哺乳動物を含むが、これらに限定されない任意の哺乳動物を指す。いくつかの実施形態において、哺乳動物は、ネコ科(ネコ)およびイヌ科(イヌ)を含む食肉目のものである。いくつかの実施形態では、哺乳動物は、ウシ属(ウシ)、およびイノシシ属(ブタ)を含む偶蹄目、またはウマ科(ウマ)を含む奇蹄目のものである。いくつかの実施形態において、哺乳類は、霊長目、セボイド目、もしくはシモイド目(サル)または真猿亜目(ヒトおよび類人猿)のものである。非限定的な例として、哺乳動物はヒトであり得る。いくつかの場合においては、被験体は成人ではない。従って、いくつかの実施形態において、被験体はヒトである。
【0119】
本明細書において使用される場合、用語「アルキル(alkyl)」は、直鎖または分枝鎖であり、示された数の炭素原子を含む、飽和炭化水素鎖を指す。例えば、C~Cアルキル基は、その基が1~4個(両端を含む)の炭素原子をその中に有することを示す。同様に、C~C10アルキル基は、その基が1~10個(両端を含む)の炭素原子をその中に有することを示す。本明細書において特に明記しない限り、アルキル基は随意的に置換される。本明細書において使用される場合、用語「ハロアルキル(haloalkyl)」は、1つまたは複数の水素原子が、独立して選択されるハロで置換されているアルキルを指す。
【0120】
用語「アルキレン(alkylene)」は、二価のアルキル(例えば、-CH-)を指す。
【0121】
本明細書において使用される場合、用語「アルケニル(alkenyl)」は、1つまたは複数の炭素-炭素二重結合を有する示された数の炭素原子を含む、直鎖または分枝鎖である炭化水素鎖を指す。例えば、C-Cアルケニル基は、該基が2~4個(両端を含む)の炭素原子を有することを示す。同様に、C-C10アルケニル基は、該基が2~10個(両端を含む)の炭素原子を有することを示す。本明細書中で特に明記しない限り、アルケニル基は随意的に置換される。
【0122】
本明細書において使用される場合、用語「アルキニル(alkynyl)」は、1つ以上の炭素-炭素三重結合を有する、示された数の炭素原子を含む、直鎖または分枝鎖である炭化水素鎖を指す。例えば、C-Cアルキニル基は、その基が2~4個(包括的)の炭素原子を有することを示す。同様に、C-C10アルキニル基は、その基が2~10個の炭素原子を有することを示す。本明細書中で特に断らない限り、アルキニル基は随意的に置換される。
【0123】
本明細書において使用される場合、用語「ハロ(halo)」または「ハロゲン(halogen)」は、フルオロ、クロロ、ブロモまたはヨードを意味する。
【0124】
本明細書において使用される場合、用語「シクロアルキル(cycloalkyl)」または「炭素環(carbocyclic ring)」は、炭素原子および水素原子のみからなる安定な非芳香族単環式または多環式炭化水素基を指し、縮合または架橋環系を含み得、3~15個の炭素原子を有し、飽和または不飽和であり、単結合によって分子の残りの部分に結合している。単環式基としては、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、およびシクロオクチルなどが挙げられる。多環式基としては、例えば、アダマンチル、ノルボルニル、デカリニル、7,7ジメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタニルなどが挙げられる。「シクロアルケニル(cycloalkenyl)」は、環内に1つまたは複数の炭素-炭素二重結合を含むシクロアルキルである。本明細書中で特に明記しない限り、シクロアルキル(またはシクロアルケニル)基は随意的に置換される。
【0125】
用語「ヘテロシクリル(heterocyclyl)」、「ヘテロシクロアルキル(heterocycloalkyl)」または「複素環(heterocyclic ring)」は、酸素、窒素および硫黄(例えば、S、S(O)またはS(O))から独立して選択される、1個、2個または3個のヘテロ原子を含む、置換または非置換の3員、4員、5員、6員または7員の飽和または部分不飽和環を指す。ヘテロシクリルは、非置換、または1つもしくは複数の置換基で置換されてもよい。ヘテロシクリルは、随意的に、別のシクロアルキル、ヘテロシクリル、またはアリールに、例えばベンゾ基に、縮合していてもよい。
【0126】
本明細書において使用される場合、用語「アリール」は、例えば、6~18個の炭素原子および少なくとも1つの芳香族環を含む炭化水素環系基を指す。アリール基は、縮合または架橋環系を含み得る、単環式、二環式、三環式、または四環式の環系であり得る。アリール基には、アセアントリレン、アセナフチレン、アセフェナントリレン、アントラセン、アズレン、ベンゼン、クリセン、フルオランテン、フルオレン、as-インダセン、s-インダセン、インダン、インデン、ナフタレン、フェナレン、フェナントレン、プレイアデン、ピレン、およびトリフェニレンから誘導されるアリール基が含まれ得るが、これらに限定されない。本明細書において特に明記しない限り、用語「アリール(aryl)」または接頭辞「ar-」(「アラルキル(aralkyl)」などにおけるような)は、随意的に置換されたアリール基を含むことを意味する。
【0127】
本明細書において使用される場合、用語「ヘテロアリール(heteroaryl)」は、窒素、酸素、および硫黄(例えば、S、S(O)、またはS(O))からなる群より選択される1つまたは複数のヘテロ原子を含む、5員~14員環系基を指す。ヘテロアリール基は、縮合または架橋環系を含み得る、単環式、二環式、三環式、または四環式の環系であり得る。ヘテロアリール基中の窒素、炭素、または硫黄原子は、随意的に酸化されてよく、窒素原子は、随意的に四級化されてよい。例示的なヘテロアリール基には、アゼピニル、アクリジニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンズインドリル、ベンゾジオキソリル、ベンゾフラニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾチアジアゾリル、ベンゾ[b][1,4]ジオキセピニル、1,4-ベンゾジオキサニル、ベンゾナフトフラニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾジオキソリル、ベンゾジオキシニル、ベンゾピラニル、ベンゾピラノニル、ベンゾフラニル、ベンゾフラノニル、ベンゾチエニル(ベンゾチオフェニル)、ベンゾトリアゾリル、ベンゾ[4,6]イミダゾ[1,2-a]ピリジニル、カルバゾリル、シンノリニル、ジベンゾフラニル、ジベンゾチオフェニル、フラニル、フラノニル、イソチアゾリル、イミダゾリル、インダゾリル、インドリル、インダゾリル、イソインドリル、インドリニル、イソインドリニル、イソキノリル、インドリジニル、イソオキサゾリル、ナフチリジニル、オキサジアゾリル、2-オキソアゼピニル、オキサゾリル、オキシラニル、1-オキシドピリジニル、1-オキシドピリミジニル、1-オキシドピラジニル、1-オキシドピリダジニル、1-フェニル-1H-ピロリル、フェナジニル、フェノチアジニル、フェノキサジニル、フタラジニル、プテリジニル、プリニル、ピロリル、ピラゾリル、ピリジニル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、キナゾリニル、キノキサリニル、キノリニル、キヌクリジニル、イソキノリニル、テトラヒドロキノリニル、チアゾリル、チアジアゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、トリアジニル、およびチオフェニル(すなわち、チエニル)が含まれ得る。本明細書中で特に明記しない限り、ヘテロアリール基は随意的に置換される。
【0128】
本明細書において使用される場合、用語「アルコキシ(alkoxy)」は、-O-アルキル基(例えば、-OCH)を指す。本明細書において使用される場合、用語「ハロアルコキシ(haloalkoxy)」は、-O-ハロアルキル基(例えば、-OCF)を指す。
【0129】
本明細書において使用される場合、用語「チオアルコキシ(thioalkoxy)」は、-S-アルキル基(例えば、-SCH)を指す。本明細書において使用される場合、用語「ハロチオアルコキシ(halothioalkoxy)」は、-S-ハロアルキル基(例えば、-SCF)を指す。
【0130】
本明細書において使用される場合、用語「C(O)グルクロン酸(C(O)glucuronic acid)」は、式
【化12】
を有する基を指す。非限定的な例として、該基は、
【化13】
であり得る。
【0131】
本実施形態の化合物を構成する原子は、そのような原子のすべての同位体形態を含むことが意図される。本明細書において使用される場合、同位体は、同じ原子番号を有するが、異なる質量数を有する原子を含む。一般的な例として、限定することなく、水素の同位体は三重水素および重水素を含み、炭素の同位体は、13Cおよび14Cを含む。
【0132】
{例示的な医薬組成物}
従って、本開示の化合物には、開示された化合物の互変異性体形態、鏡像異性体、立体異性体、およびジアステレオ異性体を含む異性体、ならびにそれらの薬学的に容認可能な塩が含まれる。
【0133】
本明細書に記載の治療方法において使用される式(I)の化合物の塩は、薬学的に容認可能な塩であろう。当業者は、式(I)の化合物またはその誘導体およびそれらの薬学的に容認可能な塩の調製において、薬学的に容認されない塩が中間体として使用され得ることを認識するであろう。本開示の化合物が酸性である場合、適切な「薬学的に容認可能な塩」とは、無機塩基および有機塩基を含む薬学的に容認可能な非毒性塩基から調製される塩を指す。無機塩基から誘導される塩には、アルミニウム、アンモニウム、カルシウム、銅、第二鉄、第一鉄、リチウム、マグネシウム、マンガン塩、マンガン、カリウム、ナトリウム、亜鉛などが含まれる。非限定的な例としては、アンモニウム、カルシウム、マグネシウム、カリウム、およびナトリウム塩が挙げられる。薬学的に容認可能な有機非毒性塩基から誘導される塩には、一級、二級および三級アミン、天然に存在する置換アミンを含む置換アミン、環状アミン、ならびに、アルギニン、ベタイン、カフェイン、コリン、N,N′1-ジベンジルエチレンジアミン、ジエチルアミン、2-ジエチルアミノエタノール、2-ジメチルアミノエタノール、エタノールアミン、エチレンジアミン、N-エチルモルホリン、N-エチルピペリジン、グルカミン、グルコサミン、ヒスチジン、ヒドラバミン、イソプロピルアミン、リジン、メチルグルカミン、モルホリン、ピペラジン、ピペリジン、ポリアミン樹脂、プロカイン、プリン、テオブロミン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリプロピルアミン、トロメタミンなどの塩基性イオン交換樹脂の塩が含まれる。
【0134】
本開示の化合物が塩基性である場合、塩は、無機酸および有機酸を含む薬学的に容認可能な非毒性の酸から調製され得る。このような酸には、酢酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、カンファースルホン酸、クエン酸、エタンスルホン酸、フマル酸、グルコン酸、グルタミン酸、臭化水素酸、塩酸、イセチオン酸、乳酸、マレイン酸、リンゴ酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、ムチン酸、硝酸、パモン酸、パントテン酸、リン酸、コハク酸、硫酸、酒石酸、p-トルエンスルホン酸などが含まれる。非限定的な例としては、クエン酸、臭化水素酸、塩酸、マレイン酸、リン酸、硫酸および酒石酸が挙げられる。本開示のさらなる実施態様において、式(I)の化合物、またはその塩、溶媒和物、もしくは立体異性体、および適切な薬学的に容認可能な担体を含む製剤が、当業者によって理解されるように提供される。
【0135】
本開示のまたさらなる態様において、IBSの患者を治療するための方法が提供される。該方法は、1つまたは複数の式(I)の化合物、またはその塩、溶媒和物、もしくは立体異性体、またはその誘導体を被験体に投与するステップを備える。化合物は、必要なときに、薬学的に容認可能な担体とともに提供され得る。
【0136】
{担体および賦形剤}
本明細書に記載の医薬組成物に関して、薬学的に容認可能な担体は、従来使用されている任意のものであってよく、溶解性および活性化合物との反応性の欠如などの物理化学的考慮事項、ならびに投与経路によってのみ限定される。本明細書に記載の薬学的に容認可能な担体、例えば、媒体、補助剤、賦形剤、および希釈剤は、当業者に周知であり、一般に容易に利用可能である。薬学的に容認可能な担体の例としては、生理学的に容認可能であり得る公知の緩衝液(例えば、リン酸緩衝液)のような可溶性担体、ならびに固体担体またはラテックスビーズなどの固体組成物が挙げられる。薬学的に容認可能な担体は、活性剤に対して化学的に不活性であり、使用条件下で有害な副作用または毒性をほとんどまたは全く有さないものであることが好ましい。
【0137】
本明細書で使用される担体または希釈剤は、固体製剤用の固体担体もしくは希釈剤、液体製剤用の液体担体もしくは希釈剤、またはそれらの混合物であり得る。
【0138】
固体担体または希釈剤には、ガム、デンプン(例えば、コーンスターチ、アルファ化デンプン)、糖(例えば、ラクトース、マンニトール、スクロース、ブドウ糖)、セルロース材料(例えば、微結晶性セルロース)、アクリレート(例えば、ポリメチルアクリレート)、炭酸カルシウム、酸化マグネシウム、タルク、またはそれらの混合物が含まれるが、これらに限定されない。
【0139】
液体製剤の場合、薬学的に容認可能な担体は、例えば、水性または非水性の溶液、懸濁液、乳剤または油であり得る。非水性溶媒の例としては、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、およびオレイン酸エチルなどの注射可能な有機エステルが挙げられる。水性担体としては、例えば、水、アルコール/水溶液、シクロデキストリン、乳剤または生理食塩水および緩衝化媒体を含む懸濁液が挙げられる。
【0140】
油の例は、石油、動物、植物、または合成起源のものであり、例えば、ピーナッツ油、大豆油、鉱油、オリーブ油、ヒマワリ油、魚肝油、ゴマ油、綿実油、トウモロコシ油、オリーブ、ワセリン、および鉱物である。非経口製剤に使用するのに適切な脂肪酸としては、例えばオレイン酸、ステアリン酸、およびイソステアリン酸が挙げられる。オレイン酸エチルおよびミリスチン酸イソプロピルは、適切な脂肪酸エステルの例である。
【0141】
加えて、いくつかの実施形態において、本開示の化合物は、例えば、結合剤(例えば、アカシア、コーンスターチ、ゼラチン、カルボマー、エチルセルロース、グアーガム、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポビドン)、崩壊剤(例えば、コーンスターチ、ポテトスターチ、アルギン酸、二酸化ケイ素、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、グアーガム、デンプングリコール酸ナトリウム)、様々なpHおよびイオン強度の緩衝剤(例えば、(例えば、Tris-HCl、酢酸塩、リン酸塩)、表面への吸収を防止するためのアルブミンまたはゼラチンなどの添加剤、洗浄剤(例えば、Tween20、Tween80、プルロニックF68、胆汁酸塩)、プロテアーゼ阻害剤、界面活性剤(例えば、ラウリル硫酸ナトリウム)、透過促進剤、可溶化剤(例えば、クレモホール、グリセロール、ポリエチレングリセロール、塩化ベンズルコニウム、安息香酸ベンジル、シクロデキストリン、ソルビタンエステル、ステアリン酸)、酸化防止剤(例えば、アスコルビン酸、メタ重亜硫酸ナトリウム、ブチル化ヒドロキシアニソール)、安定化剤(例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース)、粘度増加剤(例えば、カルボマー、コロイド状二酸化ケイ素、エチルセルロース、グアーガム)、甘味料(例えば、アスパルテーム、クエン酸)、保存料(例えば、チメロサール、ベンジルアルコール、パラベン)、滑沢剤(例えば、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム)、流動助剤(例えば、コロイド状二酸化ケイ素)、可塑剤(例えば、フタル酸ジエチル、クエン酸トリエチル)、乳化剤(例えば、カルボマー、ヒドロキシプロピルセルロース、ラウリル硫酸ナトリウム)、ポリマーコーティング(例えば、ポロクサマーまたはポロクサミン)、コーティングおよびフィルム形成剤(例えば、エチルセルロース、アクリレート、ポリメタクリレート)、ならびに/または補助剤をさらに含み得る。
【0142】
いくつかの実施形態において、薬学的に容認可能な担体は、w/w、w/vまたはv/vで、医薬組成物の90%超、80%超、70%超、60%超、50%超、40%超、30%超、20%超、10%超、9%超、8%超、6%超、5%超、4%超、3%超、2%超、1%超、0.5%超、0.4%超、0.3%超、0.2%超、0.1%超、0.09%超、0.08%超、0.07%超、0.06%超、0.05%超、0.04%超、0.03%超、0.02%超、0.01%超、0.009%超、0.008%超、0.007%超、0.006%超、0.005%超、0.004%超、0.003%超、0.002%超、0.001%超、0.0009%超、0.0008%超、0.0007%超、0.0006%超、0.0005%超、0.0004%超、0.0003%超、0.0002%超、または0.0001%超を構成する。
【0143】
いくつかの実施形態において、組成物中の化合物の濃度は、w/w、w/vまたはv/vで、医薬組成物の100%未満、90%未満、80%未満、70%未満、60%未満、50%未満、40%未満、30%未満、20%未満、10%未満、9%未満、8%未満、6%未満、5%未満、4%未満、3%未満、2%未満、1%未満、0.5%未満、0.4%未満、0.3%未満、0.2%未満、0.1%未満、0.09%未満、0.08%未満、0.07%未満、0.06%未満、0.05%未満、0.04%未満、0.03%未満、0.02%未満、0.01%未満、0.009%未満、0.008%未満、0.007%未満、0.006%未満、0.005%未満、0.004%未満、0.003%未満、0.002%未満、0.001%未満、0.0009%未満、0.0008%未満、0.0007%未満、0.0006%未満、0.0005%未満、0.0004%未満、0.0003%未満、0.0002%未満、または0.0001%未満を構成する。
【0144】
いくつかの実施形態において、化合物の濃度は、w/w、w/vまたはv/vで、医薬組成物の約0.0001%~約50%、約0.001%~約40%、約0.01%~約20%、約0.02%~約29%、約0.03%~約28%、約0.04%~約27%、約0.05%~約26%、約0.06%~約25%、約0.07%~約24%、約0.08%~約23%、約0.09%~約22%、約0.1%~約21%、約0.2%~約20%、約0.3%~約19%、約0.4%~約18%、約0.5%~約17%、約0.6%~約16%、約0.7%~約15%、約0.8%~約14%、約0.9%~約12%、約1%~約10%の範囲である。
【0145】
いくつかの実施形態において、化合物の濃度は、w/w、w/vまたはv/vで、医薬組成物の約0.0001%~約5%、約0.001%~約4%、約0.01%~約2%、約0.02%~約1%、または約0.05%~約0.5%の範囲である。
【0146】
いくつかの実施形態において、医薬組成物中の化合物の量は、約0.00001mg、0.0001mg、0.001mg、0.005mg、0.01mg、0.05mg、0.1mg、0.25mg、0.5mg、1mg、2mg、4mg、8mg、10mg、12mg、14mg、16mg、18mg、20mg、25mg、30mg、35mg、40mg、45mg、50mg、55mg、60mg、65mg、70mg、75mg、80mg、85mg、90mg、95mg、100mg、150mg、200mg、250mg、300mg、350mg、400mg、450mg、500mg、550mg、600mg、650mg、700mg、750mg、800mg、850mg、900mg、950mg、1g、1.1g、1.2g、1.3g、1.4g、1.5g、1.6g、1.7g、1.8g、1.9g、2g、2.5g、3g、3.5g、4g、4.5g、5g、6g、7g、8g、9g、または10gである。
【0147】
{投与の例示的な様式}
本明細書に記載の医薬組成物の投与は、作用部位への化合物の送達を可能にする任意の方法によって実行することができる。組成物は、経口的、非経口的、経腸的、腹腔内、局所的、経皮的、眼科的、経鼻的、局部的、非経口的、スプレーを介して、皮下的、静脈内、扁桃内、筋肉内、頬側、舌下、直腸内、膣内(例えば、膣ペッサリーを介して、例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれるCapra et al. Journal of Pharmaceutics 2013, 386546に記載の方法を使用)、動脈内、点滴により、または髄腔内に投与され得る。いくつかの実施形態において、組成物は経口投与される。いくつかの場合において、経口投与は、本明細書に記載される任意の経口剤形の投与を含み得る。いくつかの場合において、本明細書に記載の組成物は、舌下投与される。いくつかの場合において、本明細書に記載の組成物は、経皮的に、例えば経皮パッチを介して投与される。投与される化合物の有効量は、治療される被験体、障害または状態の重篤度、投与速度、化合物の体内動態、および処方する医師の裁量に依存する。
【0148】
{経口投与用医薬組成物}
有効量の化合物を含む医薬組成物は、経口投与用に製剤化することができる。いくつかの実施形態において、経口投与用の有効量の化合物を含む医薬組成物は、固体医薬組成物である。いくつかの実施形態において、固体医薬組成物は、離散(例えば、単位)経口剤形として提示され得る。離散経口剤形の非限定的な例としては、錠剤、カプセル、カプレット、ゼラチンカプセル、徐放性製剤、トローチ、薄膜、ロリポップ、チューインガムなどが挙げられる。いくつかの実施形態において、離散経口剤形は、口腔内崩壊錠などの口腔内崩壊経口剤形である。
【0149】
いくつかの実施形態において、経口投与用の有効量の化合物を含む医薬組成物は、液体医薬組成物である。経口投与用の液体組成物の非限定的な例としては、親水性懸濁液、乳剤、液体、ゲル、シロップ、スラリー、溶液、エリキシル、ソフトゲル、チンキ、およびヒドロゲルが挙げられる。いくつかの実施形態において、経口投与用の有効量の化合物を含む固体または液体組成物は、様々な甘味剤もしくは香味剤、または着色剤を含む。着色剤の例としては、FD&C染料として知られているような食品に適切な染料、およびブドウ果皮抽出物、ビート赤色粉末、ベータカロチン、アナトー、カルミン、ターメリック、パプリカなどの天然着色剤が挙げられる。また、上記の任意の着色化合物の誘導体、類似体、および異性体が使用されても良い。
【0150】
担体の選択は、部分的には、特定の化合物、および化合物を投与するために使用される特定の方法によって決定される。従って、本開示の医薬組成物の様々な適切な製剤が存在する。非経口、皮下、静脈内、筋肉内、動脈内、髄腔内および腹腔内投与用の以下の製剤は例示的なものであり、決して限定的なものではない。複数の経路を使用して化合物を投与することができ、若干の例において、特定の経路は、別の経路より即時かつ効果的な応答を提供することができる。
【0151】
{注射または非経口投与用の医薬組成物}
非経口媒体(皮下、静脈内、動脈内または筋肉内注射用)には、例えば、塩化ナトリウム溶液、リンゲルブドウ糖、ブドウ糖および塩化ナトリウム、乳酸リンゲルならびに固定油が含まれる。非経口投与に適切な製剤としては、例えば、酸化防止剤、緩衝剤、静菌剤、および製剤を意図する受容者の血液と等張にする溶質を含むことができる水性および非水性の等張無菌注射溶液、ならびに、懸濁化剤、可溶化剤、増粘剤、安定化剤、および保存剤を含むことができる水性および非水性の無菌懸濁液が挙げられる。
【0152】
静脈内媒体としては、例えば、体液および栄養補給剤、リンゲルブドウ糖をベースとするような電解質補給剤などが挙げられる。例としては、界面活性剤および他の薬学的に容認可能な補助剤の添加の有無にかかわらず、水および油などの無菌液体がある。液体担体(例えば、注射可能な溶液に適切な液体担体)の非限定的な例には、水、生理食塩水、ブドウ糖水溶液および関連する糖溶液、ならびにプロピレングリコールまたはポリエチレングリコールのようなグリコールが含まれる。非経口製剤に使用するのに適した石鹸としては、例えば、脂肪アルカリ金属、アンモニウム、およびトリエタノールアミン塩が挙げられ、適した洗浄剤としては、例えば、(a)例えば、ハロゲン化ジメチルジアルキルアンモニウムおよびハロゲン化アルキルピリジニウムなどのカチオン性洗浄剤、(b)例えば、アルキル、アリール、およびオレフィンスルホン酸塩、アルキル、オレフィン、エーテル、およびモノグリセリド硫酸塩、およびスルホコハク酸塩などのアニオン性洗浄剤(c)、例えば、脂肪アミンオキシド、脂肪酸アルカノールアミド、およびポリオキシエチレンポリプロピレン共重合体などの非イオン性洗浄剤、(d)例えば、アルキル-β-アミノプロピオン酸塩、および2-アルキルイミダゾリン第四級アンモニウム塩などの両性洗浄剤、ならびに(e)それらの混合物が挙げられる。
【0153】
非経口製剤は、典型的には、溶液中に約0.5重量%~約25重量%の化合物を含有する。保存剤および緩衝剤を使用してもよい。注射部位における刺激を最小化または排除するために、このような組成物は、例えば、約12~約17の親水性-親油性バランス(HLB)を有する、1つまたは複数の非イオン性界面活性剤を含有し得る。このような製剤中の界面活性剤の量は、典型的には、約5重量%~約15重量%の範囲である。適切な界面活性剤としては、例えば、ソルビタンオレイン酸モノエステルなどのポリエチレングリコールソルビタン脂肪酸エステル、およびプロピレンオキシドとプロピレングリコールとの縮合によって形成される、エチレンオキシドと疎水性塩基との高分子量付加物が挙げられる。
【0154】
非経口製剤は、アンプルおよびバイアルなどの単位用量または複数用量の密封容器で提供することができ、使用直前に注射用の無菌液体賦形剤、例えば水を添加することのみを必要とするフリーズドライ(凍結乾燥)状態で保存することができる。即席の注射溶液および懸濁液は、無菌粉末、顆粒、および錠剤から調製することができる。
【0155】
注射可能な製剤は、本開示に従う。注射可能な組成物用の有効な医薬担体の要件は、当業者に周知である(例えば、Pharmaceutics and Pharmacy Practice, J.B. Lippincott Company, Philadelphia, PA, Banker and Chalmers, eds., pages 238-250 (1982)、およびASHP H and book on Injectable Drugs, Trissel, 15th ed., pages 622-630 (2009)を参照)。
【0156】
{他の医薬組成物}
あるいは、本開示の化合物は、化合物が投与される体内に放出される態様が、時間および体内の位置に関して制御されるように、デポー形態に改変することができる(例えば、米国特許第4,450,150号明細書を参照)。化合物のデポー形態としては、例えば、化合物およびポリマーなどの多孔質または非多孔質材料を含む移植可能な組成物を挙げることができ、ここで、化合物は、材料および/または非多孔質材料の分解によってカプセル化されるか、または全体に拡散される。次いで、デポーを体内の所望の位置に移植し、化合物を所定の速度で移植物から放出させる。
【0157】
いくつかの実施形態において、本明細書で提供される本開示の化合物は、制御放出組成物、すなわち、1つまたは複数の化合物が投与後一定期間にわたって放出される組成物とすることができる。制御放出組成物または徐放組成物には、親油性デポー(例えば、脂肪酸、ワックス、油)の製剤が含まれる。別の実施形態においては、組成物は即時放出組成物、すなわち、化合物の全部またはほとんど全部が投与直後に放出される組成物である。
【0158】
さらに別の実施形態においては、本開示の化合物は、制御放出系で送達され得る。例えば、薬剤は、静脈内点滴、移植可能な浸透圧ポンプ、経皮パッチ、または他の投与様式を使用して投与され得る。いくつかの実施形態においては、ポンプが使用され得る。いくつかの実施形態においては、ポリマー材料が使用され得る。さらに別の実施形態においては、制御放出系は、治療標的、すなわち脳に近接して配置することができ、したがって、全身用量の一部しか必要としない(例えば、Design of Controlled Release Drug Delivery Systems, Xiaoling Li and Bhaskara R. Jasti eds. (McGraw-Hill, 2006)を参照)。
【0159】
いくつかの実施形態において、本開示の医薬組成物は、本開示の化合物、例えば、本明細書に開示される化合物、および/またはそれらの塩、溶媒和物もしくは立体異性体、ならびに随意的に、1つまたは複数の追加の治療剤、例えば、5-HT受容体阻害剤、抗生物質、抗炎症剤、免疫調節因子を、薬学的に容認可能な担体とともに含む。
【0160】
上述の化合物と1つまたは複数の抗生剤とを含む医薬組成物における使用に適切な抗生剤の例としては、例えば、レボフロキサシン、シプロフロキサシン、イバフロキサシン、プラドフロキサシン、ロソキサシン、およびサラフロキサシンなどのキノロン系抗生物質が挙げられる。他の適切な抗生物質は、バクトリム(登録商標)などのトリメトプリム-スルファメトキサゾール混合薬である。代替物には、リファキシミンおよびアジスロマイシンが含まれる。用量は治療される被験体の体重および年齢によって変動する。典型的には、キノロン系抗生物質およびトリメトプリム-スルファメトキサゾール混合薬を1日あたり250mg~500mgの間の用量で与える。トリメトプリム-スルファメトキサゾールの場合、用量は一般に約5mg/kg~25mg/kgの間である。リファキシミンの場合、用量は100mgから約500mg(例えば200mg)の範囲である。アジスロマイシンは典型的には250~500mg/日投与される。必要な用量は、当業者の知識の範囲内である。
【0161】
[一般的考察]
【0162】
本開示の目的のため、上述の式(I)のいずれか1つの化合物、塩、溶媒和物、または立体異性体の投与される量または用量は、妥当な時間枠にわたって、被験体において、例えば、治療的または予防的応答を生じさせるのに十分であるべきである。用量は、特定の化合物の有効性およびヒトの状態、ならびに治療されるヒトの体重によって決定される。
【0163】
上述の本開示の化合物のいずれか1つの化合物、塩、溶媒和物、または立体異性体の用量もまた、特定の化合物の投与に伴う可能性のある任意の副作用の存在、性質および程度によって決定される。
【0164】
典型的には、主治医は、年齢、体重、一般的な健康状態、食事、性別、投与する化合物、投与経路、および治療される状態の重篤度などの様々な要因を考慮して、個々の患者を治療する化合物の用量を決定する。例として、本開示を限定する意図はないが、化合物の用量は、約0.001~約1000mg/治療される被験体の体重kg/日、約0.01~約100mg/体重kg/日、約0.1mg~約10mg/体重kg/日であり得る。上述の本開示のいくつかの態様を、以下の実施例に示す。
【実施例
【0165】
(実施例1)
8-クロロ-6-(2-フルオロフェニル)-4H-ピラゾロ[1,5-a][1,4]ベンゾジアゼピン-2-カルボン酸(化合物101)。
【化14】
【0166】
{方法A}
【0167】
ステップ1:1-(4-クロロフェニル)-5-メチル-1H-ピラゾール-3-カルボン酸エチル
【0168】
丸底フラスコに、4-クロロフェニルヒドラジン塩酸塩(31.47g、0.176mol)、MeOH(500mL)、2,4-ジオキソペンタン酸エチル(24.69mL、1eq.)およびDIPEA(30.62mL、1eq.)を装入した。混合物を1.5時間加熱還流した。完了後、反応混合物を室温まで冷却し、シリカゲル(~70g)を加えた。溶媒を蒸発させ、シリカ沈殿物をシリカ上でフラッシュクロマトグラフィーにかけ、90%ヘキサン:10%酢酸エチルで溶出した。26.4gを得た(収率56%)。LC-MS ESI+:265.10 (M+1).
【0169】
ステップ2:1-(4-クロロ-2-(2-フルオロベンゾイル)フェニル)-5-メチル-1H-ピラゾール-3-カルボン酸エチル
【0170】
1-(4-クロロフェニル)-5-メチル-1H-ピラゾール-3-カルボン酸エチル(5.27g、0.02mol)および2-フルオロ-ベンズアルデヒド(4.19mL、2eq.)を1,2-ジクロロエタン(73mL)に溶解し、ねじ付きバイアルに入れた。得られた溶液にPd(TFA)2(662mg、0.1eq.)を加え、混合物を室温で45分間撹拌した。TBHP(ノナン中5.5M、9.05mL、2.5eq.)を1回で加えた。反応混合物を24時間100℃に加熱した。その後、室温まで冷却し、0.5M NaOH(30mL)で洗浄し、無水MgSO上で乾燥し、減圧下で蒸発させた。100%ヘキサンから80%ヘキサン:20%酢酸エチルの勾配で溶出するシリカゲルフラッシュクロマトグラフィーを使用して、生成物を精製した。2.2gを得た(28%)。LC-MS ESI+: 387.00 (M+1).
【0171】
ステップ3:5-(ブロモメチル)-1-(4-クロロ-2-(2-フルオロベンゾイル)フェニル)-1H-ピラゾール-3-カルボン酸エチル
【0172】
1-(4-クロロ-2-(2-フルオロベンゾイル)フェニル)-5-メチル-1H-ピラゾール-3-カルボン酸エチル(6.61g、0.017mol)をDCE(375mL)に溶解した。次にNBS(3.65g、1.2eq.)を加え、混合物を90℃(油浴温度)に加熱した。5分後、Luperox A75(0.55g、0.1eq.)を加え、加熱を続けた。2時間後、反応の進行をLC-MSで確認したところ、約40%の出発物質が反応混合物中にまだ存在していた。NBS(1.82g、0.6eq.)および過酸化ベンゾイル(0.27g、0.05eq.)を追加で加えた。加熱を1時間続けた。その後、TLC分析は出発物質のほぼ完全な変換を示した。反応混合物を室温まで冷却し、シリカゲル(~60g)を加えた。溶媒を減圧下で蒸発させた。生成物をシリカ上でフラッシュクロマトグラフィーを使用して精製し、100%ヘキサンから80%ヘキサン:20%酢酸エチルへの勾配で溶出した。4.93gを得た(収率62%)。LC-MS 464.95, 466.95 (M+1).
【0173】
ステップ4:8-クロロ-6-(2-フルオロフェニル)-4H-ベンゾ[f]ピラゾロ[1,5-a][1,4]ジアゼピン-2-カルボン酸エチル
【0174】
5-(ブロモメチル)-1-(4-クロロ-2-(2-フルオロベンゾイル)フェニル)-1H-ピラゾール-3-カルボン酸エチル(4.93g、0.106mol)を酢酸アンモニウム(3.59g、3eq.)およびウロトロピン(4.45g、3eq.)とともにIPA(100mL)に溶解した。RMを1.5時間加熱還流した。次に、RMを室温まで冷却し、シリカゲル(~50g)を加えた。溶媒を減圧下で蒸発させた。生成物をシリカ上でフラッシュクロマトグラフィーを使用して精製し、80%ヘキサン:20%酢酸エチルから50%ヘキサン:50%酢酸エチルへの勾配で溶出した。3.25gを得た(80%)。LC-MS 384.05 (M+1).
【0175】
ステップ5:8-クロロ-6-(2-フルオロフェニル)-4H-ベンゾ[f]ピラゾロ[1,5-a][1,4]ジアゼピン-2-カルボン酸
【0176】
8-クロロ-6-(2-フルオロフェニル)-4H-ベンゾ[f]ピラゾロ[1,5-a][1,4]ジアゼピン-2-カルボン酸エチル(3.25g、0.0085mol)をTHF:水混合物(v:v、1:1、84mL)に溶解し、LiOH・H2O(1.93g、1.06g、3eq.)を1回で加え、反応混合物を60℃の温度で約1~2時間(TLC分析の示唆では、溶離剤として100%酢酸エチル、SM Rf=0.6、所望の生成物DP Rf=0.0)で完了するまで撹拌した。完了後、THFを減圧下で蒸発させた。水溶液をギ酸でpH~5に酸性化した。得られた沈殿物を収集し、蒸留水(100mL)で洗浄した。注:前のステップで非常に純粋な生成物が得られた場合、鹸化および酸性化後の精製は必要ない。C18逆相クロマトグラフィーを使用して生成物を精製し、90%水:10%MeOHから100%MeOHへの勾配で溶出した。2.2gを得た(73%)。 LC-MS 355.90 (M+1). 1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 13.35-12.91 (s, 1H), 8.00 (d, J= 8.8 Hz, 1H), 7.84 (dd, J= 8.8, 2.4 Hz, 1H), 7.65-7.52 (m, 2H), 7.37-7.17 (m, 3H), 6.93 (s, 1H), 4.76 (s, 2H).
【0177】
(実施例2-16)
実施例2-16を方法Aに従って調製した。
【化15】
【0178】
【表1-1】
【表1-2】
【表1-3】
【表1-4】
【0179】
【化16】
【0180】
【表2】
【0181】
【化17】
【0182】
【表3-1】
【表3-2】
【0183】
(実施例17)
12-クロロ-9-(2-フルオロフェニル)-2,3,8-トリアザトリシクロ[8.4.0.0]テトラデカ-1(10),3,5,8,11,13-ヘキサエン-5-カルボン酸(化合物117)
【化18】
【0184】
{方法B}
【0185】
ステップ1:1-(4-クロロフェニル)-5-メチル-1H-ピラゾール-4-カルボン酸エチル
【0186】
アセト酢酸エチル(8.06mL、1eq.)をN,N-ジメチルホルムアミドジメチルアセタール(10.19mL、1eq.)とともに1時間還流した。室温まで冷却後、過剰なDMFDMAを減圧下で蒸留除去した。得られた残渣を、MeOH(100mL)中の4-クロロフェニルヒドラジン塩酸塩(8g、1eq.)およびDIPEA(8.56mL、1.1eq.)の溶液に加えた。得られた溶液を3時間還流した。室温まで冷却後、溶媒を減圧下で蒸発させた。得られた残渣をDCM(100mL)に溶解し、水(50mL)で洗浄し、無水硫酸マグネシウム上で乾燥し、真空中で蒸発させた。生成物をシリカ上でフラッシュクロマトグラフィーを使用して精製し、酢酸エチルで溶出した。7.38gを暗色油として得た(62%)。ESI(+): 265.05 (+H+).
【0187】
ステップ2:1-[4-クロロ-2-(2-フルオロベンゾイル)フェニル]-5-メチル-1H-ピラゾール-4-カルボン酸エチル
【0188】
1-(4-クロロフェニル)-5-メチル-1H-ピラゾール-4-カルボン酸エチル(4g、1eq.)を1,2-ジクロロエタン(20mL)に溶解した。トリフルオロ酢酸パラジウム(0.5g、0.1eq.)を加え、混合物を溶液が透明になるまで40分間撹拌した。次に、tert-ブチルヒドロペルオキシド溶液(デカン中5~6M、7.56mL、2.5eq.)および2-フルオロベンズアルデヒド(3.18mL、2eq.)を加え、混合物を90℃で20時間加熱した。室温まで冷却後、反応混合物を水(20mL)、鹹水(2mL)で洗浄し、無水硫酸マグネシウム上で乾燥し、真空中で蒸発させた。粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィーで精製し、80%ヘキサン:20%酢酸エチルで溶出した。3.4gの黄色固体を得た(58%)。ESI(+): 386.95 (+H+).
【0189】
ステップ3:5-(ブロモメチル)-1-[4-クロロ-2-(2-フルオロベンゾイル)フェニル]-1H-ピラゾール-4-カルボン酸エチル
【0190】
1-[4-クロロ-2-(2-フルオロベンゾイル)フェニル]-5-メチル-1H-ピラゾール-4-カルボン酸エチル(1g、1eq.)およびN-ブロモコハク酸イミド(506mg、1.1eq.)を1,2-ジクロロエタン(15mL)に溶解し、30分間還流した。次に、ジベンゾイルペルオキシド(125mg、0.15eq.)を1回で加え、反応混合物を6時間還流した。室温まで冷却後、溶液をシリカゲル(10g)で濃縮し、これをシリカ上でフラッシュクロマトグラフィーにかけ、ヘキサン:酢酸エチル0%~20%の勾配で溶出した。483mgの白色固体を得た(40%)。ESI(+): 464.85 (+H+).
【0191】
ステップ4:12-クロロ-9-(2-フルオロフェニル)-2,3,8-トリアザトリシクロ[8.4.0.0]テトラデカ-1(10),3,5,8,11,13-ヘキサエン-5-カルボン酸エチル
【0192】
5-(ブロモメチル)-1-[4-クロロ-2-(2-フルオロベンゾイル)フェニル]-1H-ピラゾール-4-カルボン酸エチル(480mg、1eq.)、酢酸アンモニウム(350mg、3eq.)およびウロトロピン(430mg、3eq.)をイソプロパノール(10mL)に溶解し、2時間加熱還流した。室温まで冷却後、溶媒を蒸発させ、残渣を水(50mL)に懸濁した。懸濁液を酢酸エチル(3×30mL)で抽出した。混ぜ合わせた有機抽出物を鹹水(5mL)で洗浄し、無水MgSO上で乾燥させ、減圧下で蒸発乾固させた。生成物は精製せずに次のステップで使用した。391mgの固体を得た(98%)。ESI(+): 383.95 (+H+).
【0193】
ステップ5:12-クロロ-9-(2-フルオロフェニル)-2,3,8-トリアザトリシクロ[8.4.0.0]テトラデカ-1(10),3,5,8,11,13-ヘキサエン-5-カルボン酸
【0194】
12-クロロ-9-(2-フルオロフェニル)-2,3,8-トリアザトリシクロ[8.4.0.0]テトラデカ-1(10),3,5,8,11,13-ヘキサエン-5-カルボン酸エチル(240mg、1eq.)をTHFおよび水の1:1の混合物(6mL)に溶解した。水酸化リチウム一水和物(77mg、3eq.)を1回で加え、混合物を50℃で一晩撹拌した。その後、THFを蒸発させ、得られた溶液を希塩酸で酸性化した。得られた沈殿物を回収し、水(20mL)で洗浄し、減圧下で乾燥させた。固体を酢酸エチルで粉末化した。130mgの白色固体を得た(59%)。ESI(+): 356.00 (+H+). 1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 12.94 (s, 1H), 8.20 (s, 1H), 8.00 (d, J = 8.8 Hz, 1H), 7.85 (dd, J= 8.8, 2.4 Hz, 1H), 7.67-7.50 (m, 2H), 7.39-7.27 (m, 2H), 7.27-7.17 (m, 1H), 5.01 (s, 2H).
【0195】
(実施例18)
実施例18を方法Bに従って調製した。
【化19】
【0196】
【表4】
【0197】
(実施例19)
12-クロロ-9-(2-フルオロフェニル)-5-メチル-2,3,8-トリアザトリシクロ[8.4.0.0]テトラデカ-1(10),3,5,8,11,13-ヘキサエン-4-カルボン酸(化合物119)
【化20】
【0198】
ステップ1:1-(4-クロロフェニル)-5-メチル-1H-ピラゾール-3-カルボン酸エチル
【0199】
2,4-ジオキソペンタン酸エチル(25g、1eq.)および4-クロロフェニルヒドラジン(22.54g、1eq.)をMeOH(600mL)に溶解した。得られた溶液を1時間還流した。室温まで冷却後、溶媒を減圧下で蒸発させた。生成物をシリカ上でフラッシュクロマトグラフィーを使用して精製し、90%ヘキサン:10%酢酸エチルで溶出した。19gを暗色油として得た(45%)。ESI(+): 265.05 (+H+).
【0200】
ステップ2:1-[4-クロロ-2-(2-フルオロベンゾイル)フェニル]-5-メチル-1H-ピラゾール-3-カルボン酸エチル
【0201】
1-(4-クロロフェニル)-5-メチル-1H-ピラゾール-3-カルボン酸エチル(10.9g、1eq.)を1,2-ジクロロエタン(150mL)に溶解した。トリフルオロ酢酸パラジウム(1.78g、0.1eq.)を加え、混合物を溶液が透明になるまで40分間撹拌した。次に、tert-ブチルヒドロペルオキシド溶液(デカン中5~6M、18.72mL、2.5eq.)および2-フルオロベンズアルデヒド(8.67mL、2eq.)を加え、混合物を90℃で20時間加熱した。室温まで冷却後、反応混合物を水(20mL)、鹹水(2mL)で洗浄し、無水硫酸マグネシウム上で乾燥させ、真空中で蒸発させた。粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィーで精製し、80%ヘキサン:20%酢酸エチルで溶出した。4.8gの黄色固体を得た(30%)。ESI(+): found 386.95 (+H+).
【0202】
ステップ3:4-ブロモ-5-(ブロモメチル)-1-[4-クロロ-2-(2-フルオロベンゾイル)フェニル]-1H-ピラゾール-3-カルボン酸エチル
【0203】
1-[4-クロロ-2-(2-フルオロベンゾイル)フェニル]-5-メチル-1H-ピラゾール-3-カルボン酸エチル(2.72g、1eq.)およびN-ブロモコハク酸イミド(2.75mg、2.2eq.)を1,2-ジクロロエタン(150mL)に溶解し、30分間還流した。次に、ジベンゾイルペルオキシド(681mg、0.3eq.)を1回で加え、反応混合物を6時間還流した。室温まで冷却後、溶液をシリカゲル(50g)で濃縮し、これをシリカ上でフラッシュクロマトグラフィーにかけ、ヘキサン:酢酸エチル0%~20%の勾配で溶出した。2.2gの淡黄色固体を得た(57%)。ESI(+): 542.85 (+H+).
【0204】
ステップ4:5-ブロモ-12-クロロ-9-(2-フルオロフェニル)-2,3,8-トリアザトリシクロ[8.4.0.0]テトラデカ-1(10),3,5,8,11,13-ヘキサエン-4-カルボン酸エチル
【0205】
4-ブロモ-5-(ブロモメチル)-1-[4-クロロ-2-(2-フルオロベンゾイル)フェニル]-1H-ピラゾール-3-カルボン酸エチル(2.2g、1eq.)、酢酸アンモニウム(1.37g、3eq.)およびウロトロピン(1.70g、3eq.)をイソプロパノール(40mL)に溶解し、2時間加熱還流した。室温まで冷却後、溶媒を蒸発させ、残渣を水(50mL)に懸濁した。懸濁液を酢酸エチル(3×30mL)で抽出した。混ぜ合わせた有機抽出物を鹹水(5mL)で洗浄し、無水MgSO上で乾燥し、減圧下で蒸発乾固させた。粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィーで精製し、80%ヘキサン:20%酢酸エチルで溶出した。1.5gの固体を得た(96%)。ESI(+): 461.90 (+H+).
【0206】
ステップ5:12-クロロ-9-(2-フルオロフェニル)-5-メチル-2,3,8-トリアザトリシクロ[8.4.0.0]テトラデカ-1(10),3,5,8,11,13-ヘキサエン-4-カルボン酸エチル
【0207】
5-ブロモ-12-クロロ-9-(2-フルオロフェニル)-2,3,8-トリアザトリシクロ[8.4.0.0]テトラデカ-1(10),3,5,8,11,13-ヘキサエン-4-カルボン酸エチル(1.14g、1eq.)、メチルトリフルオロホウ酸カリウム(901mg、1.5eq.)、塩化パラジウム(70mg、0.16eq.)、トリフェニルホスフィン(310mg、0.48eq.)および炭酸セシウム(2.41g、3eq.)をねじ付きバイアルに入れた。THF(25mL)および水(2.5mL)を加え、反応混合物をアルゴンでフラッシュし、4日間120℃に加熱した。室温まで冷却後、混合物を酢酸エチル(100mL)で希釈し、水(30mL)、鹹水(3mL)で洗浄し、無水硫酸マグネシウム上で乾燥し、真空中で蒸発させた。生成物をシリカ上でフラッシュクロマトグラフィーによって精製し、ヘキサン:酢酸エチル0%~25%の勾配で溶出した。134mgの固体を得た(13%)。ESI(+): 397.90 (+H+).
【0208】
ステップ6:12-クロロ-9-(2-フルオロフェニル)-5-メチル-2,3,8-トリアザトリシクロ[8.4.0.0]テトラデカ-1(10),3,5,8,11,13-ヘキサエン-4-カルボン酸
【0209】
12-クロロ-9-(2-フルオロフェニル)-5-メチル-2,3,8-トリアザトリシクロ[8.4.0.0]テトラデカ-1(10),3,5,8,11,13-ヘキサエン-4-カルボン酸エチル(180mg、1eq.)をTHFと水との1:1混合物(4mL)に溶解した。水酸化リチウム一水和物(58mg、3eq.)を1回で加え、混合物を50℃で一晩撹拌した。その後、THFを蒸発させ、得られた溶液を希塩酸で酸性化した。得られた沈殿物を収集し、水(20mL)で洗浄し、減圧下で乾燥させた。固体を酢酸エチルで粉末化した。88mgの白色固体を得た(53%)。ESI(+): 369.95 (+H+). 1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 13.01 (s, 1H), 7.97 (d, J = 8.8 Hz, 1H), 7.83 (dd, J = 8.8, 2.4 Hz, 1H), 7.67-7.50 (m, 2H), 7.33 (td, J = 7.5, 1.1 Hz, 1H), 7.28 (d, J= 2.4 Hz, 1H), 7.22 (ddd, J = 10.9, 8.3, 1.1 Hz, 1H), 4.70 (s, 2H), 2.30 (s, 3H).
【0210】
(実施例20)
12-クロロ-9-(2-フルオロフェニル)-7-メチル-2,3,8-トリアザトリシクロ[8.4.0.0]テトラデカ-1(10),3,5,8,11,13-ヘキサエン-4-カルボン酸(化合物120)
【化21】
【0211】
12-クロロ-9-(2-フルオロフェニル)-2,3,8-トリアザトリシクロ[8.4.0.0]テトラデカ-1(10),3,5,8,11,13-ヘキサエン-4-カルボン酸エチル(300mg、1eq.)をヒートガンで乾燥した三口丸底フラスコに入れ、無水THF(8mL)に溶解した。空気を排気し、アルゴンで3回再充填した。溶液をドライアイス/アセトン浴で-60℃まで冷却した。KHMDS溶液(THF中1M、1mL、1.3eq)を滴下して加えた後、反応混合物は濃い赤色になった。20分間撹拌した後、ヨードメタン(63μL、1.3eq)を加えた。反応物を室温まで温め、30分間撹拌した。次に、溶媒を減圧下で蒸発させ、残渣を水(10mL)に溶解し、希塩酸で酸性化した。得られた沈殿物を収集し、水(20mL)で洗浄した。生成物を分取HPLC(C18カラム、移動相ACN+0.1%FA、H2O+0.1%FA)を介して精製した。生成物60mgを固体として得た(収率20%)。ESI(+): 370.05 (+H+). 1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 7.99 (d, J= 8.8 Hz, 1H), 7.84 (dd, J= 8.8, 2.4 Hz, 1H), 7.65-7.52 (m, 2H), 7.38-7.28 (m, 2H), 7.21 (ddd, J= 10.9, 8.3, 1.1 Hz, 1H), 6.85 (s, 1H), 4.38 (q, J= 6.9 Hz, 1H), 1.82 (d, J= 6.7 Hz, 3H).
【0212】
(実施例21)
3-ブロモ-8-クロロ-6-(2-フルオロフェニル)-4H-ピラゾロ[1,5-a][1,4]ベンゾジアゼピン-2-カルボン酸(化合物121)
【化22】
【0213】
{方法C}
【0214】
4-ブロモ-5-(ブロモメチル)-1-[4-クロロ-2-(2-フルオロベンゾイル)フェニル]-1H-ピラゾール-3-カルボン酸エチル(500mg、1.1mmol)をTHFと水との1:1混合物(15mL)に溶解した。水酸化リチウム一水和物(136mg、3eq.)を1回で加え、混合物を50℃で一晩撹拌した。その後、THFを蒸発させ、得られた溶液を希塩酸で酸性化した。得られた沈殿物を収集し、水(35mL)で洗浄し、減圧下で乾燥させた。固体を酢酸エチルで粉末化した。305mgの白色固体を得た(65%)。ESI(+): 435.8, 437.9. 1H NMR (400 MHz, DMSO) δ 12.49 (s, 1H), 7.99 (d, J= 8.8 Hz, 1H), 7.85 (dd, J = 8.8, 2.4 Hz, 1H), 7.58 (dtd, J = 21.0, 7.5, 1.7 Hz, 2H), 7.38-7.28 (m, 2H), 7.22 (dd, J = 10.5, 8.4 Hz, 1H), 4.74 (s, 2H).
【0215】
(実施例22)
実施例22を方法Cに従って調製した。
【化23】
【0216】
【表5】
【0217】
(実施例23)
8-クロロ-6-(2-フルオロフェニル)-5-オキシド-4H-ピラゾロ[1,5-a][1,4]ベンゾジアゼピン-5-イウム-2-カルボン酸(化合物123)
【化24】
【0218】
ステップ1:8-クロロ-2-(エトキシカルボニル)-6-(2-フルオロフェニル)-4H-ベンゾ[f]ピラゾロ[1,5-a][1,4]ジアゼピン5-オキシド
【0219】
DCM(10mL)中の8-クロロ-6-(2-フルオロフェニル)-4H-ベンゾ[f]ピラゾロ[1,5-a][1,4]ジアゼピン-2-カルボン酸エチル(250mg、0.54mmol)の撹拌溶液に、m-CPBA(140mg、0.81mmol)を加えた。溶液を室温で一晩撹拌した。硫酸ナトリウム溶液(10%、5mL)を加えた。溶液を室温で30分間撹拌した。DCM(60mL)を加えた。溶液を水酸化ナトリウム水溶液(1N、2×30mL)、鹹水(30mL)で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥した。溶液を濾過し、濃縮した。残渣をメタノール中で結晶化させた。母液を分取HPLCで精製し、所望の生成物(171mg、収率73%)を白色固体として得た。ESI(+): 400 (+H+).
【0220】
ステップ2:8-クロロ-6-(2-フルオロフェニル)-5-オキシド-4H-ピラゾロ[1,5-a][1,4]ベンゾジアゼピン-5-イウム-2-カルボン酸
【0221】
ねじ蓋バイアルに、8-クロロ-2-(エトキシカルボニル)-6-(2-フルオロフェニル)-4H-ベンゾ[f]ピラゾロ[1,5-a][1,4]ジアゼピン5-オキシド(100mg、0.25mmol)を加え、続いて6N塩酸(1mL、6mmol)を加えた。得られた混合物を100℃まで2時間加熱した。室温まで冷却後、得られた沈殿物を濾過によって収集し、吸引乾固させ、所望の生成物を無色固体として得た(12mg、収率13%)。ESI(+): 369.69 (+H+). 1H NMR (400 MHz, DMSO) δ 13.28 (s, 1H), 8.03 (d, J = 8.8 Hz, 1H), 7.74 (dd, J = 8.8, 2.4 Hz, 1H), 7.54 (dddd, J = 8.5, 7.3, 5.4, 1.8 Hz, 1H), 7.48-7.24 (m, 3H), 7.12 (s, 1H), 7.03 (d, J = 2.3 Hz, 1H), 5.41 (s, 2H).
【0222】
(実施例24)
8-クロロ-6-(2-フルオロフェニル)-4-ヒドロキシ-4H-ベンゾ[f]ピラゾロ[1,5-a][1,4]ジアゼピン-2-カルボン酸(化合物124)
【化25】
【0223】
ステップ1:4-アセトキシ-8-クロロ-6-(2-フルオロフェニル)-4H-ベンゾ[f]ピラゾロ[1,5-a][1,4]ジアゼピン-2-カルボン酸エチル
【0224】
8-クロロ-2-(エトキシカルボニル)-6-(2-フルオロフェニル)-4H-ベンゾ[f]ピラゾロ[1,5-a][1,4]ジアゼピン5-オキシド(70mg、0.18mmol)をねじ蓋バイアルに加え、無水酢酸(1.5mL)に溶解した。得られた混合物を70℃に約18時間加熱した。揮発性物質を減圧下で蒸発させ、得られた残渣を約5mLの水で粉末化した。得られた白色沈殿物を濾過によって収集し、水ですすぎ、風乾して、所望の生成物(59mg、収率76%)を固体として得た。ESI(+): 442 (+H+).
【0225】
ステップ2:8-クロロ-6-(2-フルオロフェニル)-4-ヒドロキシ-4H-ベンゾ[f]ピラゾロ[1,5-a][1,4]ジアゼピン-2-カルボン酸
【0226】
4-アセトキシ-8-クロロ-6-(2-フルオロフェニル)-4H-ベンゾ[f]ピラゾロ[1,5-a][1,4]ジアゼピン-2-カルボン酸エチル(59mg、0.13mmol)をねじ蓋バイアルに加え、6N HCl(1mL、6mmol)に溶解した。得られた混合物を100℃に3時間加熱した。揮発性物質を減圧下で蒸発させ、得られた残渣を、水/アセトニトリルの5~95%勾配を用いた分取HPLCによって精製し、所望の生成物を固体として得た(32mg、収率64%)。. ESI(+): 371.92 (+H+). 1H NMR (400 MHz, DMSO) δ 9.65 (d, J = 7.1 Hz, 1H), 7.89 (d, J = 8.8 Hz, 1H), 7.72 (dd, J= 8.7, 2.3 Hz, 1H), 7.29 (d, J = 6.9 Hz, 1H), 7.18 (dd, J = 11.2, 8.1 Hz, 1H), 7.07 (s, 1H), 6.99 (t, J = 7.9 Hz, 1H), 6.79 (s, 1H), 5.98 (d, J = 7.1 Hz, 1H).
【0227】
(実施例25)
8-クロロ-6-(2-フルオロフェニル)-N-(2-ウレイドエチル)-4H-ベンゾ[f]ピラゾロ[1,5-a][1,4]ジアゼピン-2-カルボキサミド(化合物125)
【化26】
【0228】
{方法D}
【0229】
DMF(2mL)中の8-クロロ-6-(2-フルオロフェニル)-4H-ピラゾロ[1,5-a][1,4]ベンゾジアゼピン-2-カルボン酸(150mg、0.4mmol)、1-(2-アミノエチル)尿素塩酸塩(70.62mg、0.5mmol)、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(164mg、1.3mmol)の攪拌溶液に、HBTU(192mg、0.5mmol)を加えた。溶液を室温で一晩撹拌した。溶液を分取HPLCで精製し、8-クロロ-6-(2-フルオロフェニル)-N-(2-ウレイドエチル)-4H-ピラゾロ[1,5-a][1,4]ベンゾジアゼピン-2-カルボキサミド(140mg、収率75%)を白色固体として得た。ESI(+): 441. 1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) d ppm 3.00 - 3.36 (m, 4 H) 6.13 (br. s., 1 H) 6.86 (s, 1 H) 7.09 - 7.39 (m, 3 H) 7.47 - 7.67 (m, 2 H) 7.76 - 7.93 (m, 1H) 8.06 (d, J=8.84 Hz, 1 H) 8.44 - 8.59 (m, 1 H).
【0230】
(実施例26)
8-クロロ-6-(2-フルオロフェニル)-N-(2-ウレイドエチル)-4H-ピラゾロ[1,5-a][1,4]ベンゾジアゼピン-3-カルボキサミド(化合物126)
【化27】
【0231】
{方法E}
【0232】
DMF(2mL)中の8-クロロ-6-(2-フルオロフェニル)-4H-ピラゾロ[1,5-a][1,4]ベンゾジアゼピン-3-カルボン酸(150mg、0.4mmol)、1-(2-アミノエチル)尿素塩酸塩(70.62mg、0.5100mmol)、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(163mg、1.3mmol)の攪拌溶液に、HBTU(192mg、0.5mmol)を加えた。溶液を室温で一晩撹拌した。混合物を分取HPLCで精製し、8-クロロ-6-(2-フルオロフェニル)-N-(2-ウレイドエチル)-4H-ピラゾロ[1,5-a][1,4]ベンゾジアゼピン-3-カルボキサミド(81mg、0.2mmol、収率41%)を白色固体として得た。ESI(+): 441. 1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) d ppm 3.15 (t, J=5.94 Hz, 2 H) 3.21 - 3.33 (m, 2 H) 7.15 - 7.26 (m, 1 H) 7.26 - 7.38 (m, 2 H) 7.50 - 7.67 (m, 2 H) 7.79 - 7.91 (m, 1 H) 7.93 - 8.03 (m, 1 H) 8.32 (s, 1 H) 8.37 - 8.50 (m, 1 H)
【0233】
(実施例27)
8-クロロ-6-(2-フルオロフェニル)-N-[2-(スルファモイルアミノ)エチル]-4H-ピラゾロ[1,5-a][1,4]ベンゾジアゼピン-2-カルボキサミド(化合物127)
【化28】
【0234】
ステップ1:tert-ブチルN-[2-[[8-クロロ-6-(2-フルオロフェニル)-4H-ピラゾロ[1,5-a][1,4]ベンゾジアゼピン-2-カルボニル]アミノ]エチル]カルバミン酸
【0235】
DMF(20mL)中のN-(2-アミノエチル)カルバミン酸tert-ブチルエステル(0.6g、3.8mmol)、8-クロロ-6-(2-フルオロフェニル)-4H-ピラゾロ[1,5-a][1,4]ベンゾジアゼピン-2-カルボン酸(1.1g、3.2mmol)、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(1.1mL、6.3mmol)の撹拌溶液に、HBTU(1.4g、3.8mmol)を加えた。溶液を室温で一晩撹拌した。酢酸エチル(60mL)を加えた。溶液を塩酸水溶液(1N、2×40mL)、水(40mL)および鹹水(40mL)で抽出し、硫酸ナトリウム上で乾燥した。溶液を濾過し、濃縮した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィーで精製し、メタノール/ジクロロメタン(0~5%)で溶出し、tert-ブチルN-[2-[[8-クロロ-6-(2-フルオロフェニル)-4H-ピラゾロ[1,5-a][1,4]ベンゾジアゼピン-2-カルボニル]アミノ]エチル]カルバミン酸(1.5g、92%収率)を無色の油として得た。ESI(+): 498. 1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) d ppm 1.30 - 1.40 (m, 9 H) 2.69 (s, 1 H) 2.85 - 2.93 (m, 1 H) 3.11 (q, J=6.06 Hz, 2 H) 3.30 (q, J=6.06 Hz, 2 H) 5.77 (s, 2 H) 6.86 (s, 1 H) 6.94 (t, J=5.68 Hz, 1 H) 7.18 - 7.26 (m, 1 H) 7.29 (d, J=2.53 Hz, 1 H) 7.32 - 7.38 (m, 1 H) 7.52 - 7.66 (m, 2 H) 7.87 (dd, J=8.72, 2.40 Hz, 1 H) 8.04 (d, J=8.84 Hz, 1 H) 8.45 (t, J=5.68 Hz, 1 H).
【0236】
ステップ2:N-(2-アミノエチル)-8-クロロ-6-(2-フルオロフェニル)-4H-ピラゾロ[1,5-a][1,4]ベンゾジアゼピン-2-カルボキサミド
【0237】
DCM(5mL)中のtert-ブチルN-[2-[[8-クロロ-6-(2-フルオロフェニル)-4H-ピラゾロ[1,5-a][1,4]ベンゾジアゼピン-2-カルボニル]アミノ]エチル]カルバミン酸(1.5g、2.9mmol)の室温の撹拌溶液に、TFA(5mL、2.9mmol)を加えた。溶液を室温で3時間撹拌した。溶液を濃縮した。残渣をジクロロメタン(50mL)に溶解した。溶液を水酸化ナトリウム水溶液(1N、2×20mL)、飽和重炭酸ナトリウム水溶液(20mL)および鹹水(20mL)で抽出し、硫酸ナトリウム上で乾燥した。溶液を濾過し、濃縮して、N-(2-アミノエチル)-8-クロロ-6-(2-フルオロフェニル)-4H-ピラゾロ[1,5-a][1,4]ベンゾジアゼピン-2-カルボキサミド(1.3g、2.9mmol、収率99%)を無色の油として得た。ESI(+): 398. 1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) d ppm 2.63 - 2.71 (m, 3 H) 3.25 (q, J=6.32 Hz, 2 H) 6.82 - 6.88 (m, 1 H) 7.22 (ddd, J=10.86, 8.34, 0.76 Hz, 1 H) 7.28 (d, J=2.27 Hz, 1 H) 7.32 - 7.39 (m, 1 H) 7.51- 7.67 (m, 2 H) 7.86 (dd, J=8.84, 2.27 Hz, 1 H) 8.01 - 8.09 (m, 1 H) 8.33 (s, 1 H) 8.38 (t, J=5.81 Hz, 1 H)
【0238】
ステップ3:8-クロロ-6-(2-フルオロフェニル)-N-[2-(スルファモイルアミノ)エチル]-4H-ピラゾロ[1,5-a][1,4]ベンゾジアゼピン-2-カルボキサミド
【0239】
ジオキサン(2mL)中のN-(2-アミノエチル)-8-クロロ-6-(2-フルオロフェニル)-4H-ピラゾロ[1,5-a][1,4]ベンゾジアゼピン-2-カルボキサミド(170mg、0.4mmol)の撹拌溶液に、スルファミド(111mg、1.2mmol)を加えた。溶液を100℃で一晩加熱した。室温まで冷却後、溶液を分取HPLCによって精製し、8-クロロ-6-(2-フルオロフェニル)-N-[2-(スルファモイルアミノ)エチル]-4H-ピラゾロ[1,5-a][1,4]ベンゾジアゼピン-2-カルボキサミド(82mg、収率45%)を白色固体として得た。ESI(+): 477.1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) d ppm 3.06 (t, J=6.57 Hz, 2 H) 3.34 - 3.48 (m, 2 H) 6.84 - 6.93 (m, 1 H) 7.17 - 7.26 (m, 1 H) 7.29 (d, J=2.27 Hz, 1H) 7.34 (td, J=7.52, 0.88 Hz, 1 H) 7.51 - 7.68 (m, 2 H) 7.82 - 7.92 (m, 1 H) 8.01 - 8.10 (m, 1 H) 8.50 (t, J=5.94 Hz, 1 H)
【0240】
(実施例28)
8-クロロ-6-(2-フルオロフェニル)-N-[2-(スルファモイルアミノ)エチル]-4H-ピラゾロ[1,5-a][1,4]ベンゾジアゼピン-3-カルボキサミド(化合物128)
【化29】
【0241】
ステップ1:tert-ブチルN-[2-[[8-クロロ-6-(2-フルオロフェニル)-4H-ピラゾロ[1,5-a][1,4]ベンゾジアゼピン-3-カルボニル]アミノ]エチル]カルバミン酸
【0242】
DMF(20mL)中のN-(2-アミノエチル)カルバミン酸tert-ブチルエステル(0.8g、4.9mmol)、8-クロロ-6-(2-フルオロフェニル)-4H-ピラゾロ[1,5-a][1,4]ベンゾジアゼピン-3-カルボン酸(1.5g、4.1mmol)、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(1.5mL、8.2mmol)の撹拌溶液に、HBTU(1.9g、4.9mmol)を加えた。溶液を室温で一晩撹拌した。酢酸エチル(60mL)を加えた。溶液を塩酸水溶液(1N、2×40mL)、水(40mL)および鹹水(40mL)で抽出し、硫酸ナトリウム上で乾燥した。溶液を濾過し、濃縮した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィーによって精製し、メタノール/ジクロロメタン(0~5%)で溶出し、tert-ブチルN-[2-[[8-クロロ-6-(2-フルオロフェニル)-4H-ピラゾロ[1,5-a][1,4]ベンゾジアゼピン-3-カルボニル]アミノ]エチル]カルバメート(2.3g、収率99%)を無色の油として得た。ESI(+): 498. 1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) d ppm 1.26 - 1.42 (m, 9 H) 2.99 - 3.14 (m, 2 H) 3.26 (d, J=5.56 Hz, 2 H) 3.36 (s, 2 H) 5.72 - 5.81 (m, 1 H) 7.22 (dd,J=10.86, 8.34 Hz, 1 H) 7.27 - 7.38 (m, 2 H) 7.51 - 7.67 (m, 2 H) 7.83 (dd, J=8.84, 2.53 Hz, 1 H) 7.90 - 8.03 (m, 2 H) 8.23 - 8.41 (m, 2 H).
【0243】
ステップ2:N-(2-アミノエチル)-8-クロロ-6-(2-フルオロフェニル)-4H-ピラゾロ[1,5-a][1,4]ベンゾジアゼピン-3-カルボキサミド
【0244】
室温でDCM(25mL)中のtert-ブチルN-[2-[[8-クロロ-6-(2-フルオロフェニル)-4H-ピラゾロ[1,5-a][1,4]ベンゾジアゼピン-3-カルボニル]アミノ]エチル]カルバミン酸(2.3g、4.1mmol)の撹拌溶液に、TFA(25mL、4.1mmol)を加えた。溶液を室温で一晩撹拌した。溶液を濃縮した。残渣をDCM(200mL)に溶解した。溶液を水酸化ナトリウム水溶液(1.0N、2×50mL)、水(2×50mL)および鹹水(50mL)で抽出し、硫酸ナトリウム上で乾燥した。溶液を濾過し、濃縮して、N-(2-アミノエチル)-8-クロロ-6-(2-フルオロフェニル)-4H-ピラゾロ[1,5-a][1,4]ベンゾジアゼピン-3-カルボキサミド(1.4g、収率87%)を無色の油として得、これを精製せずに次のステップに使用した。ESI(+): 398. 1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) d ppm 2.67 (br. s., 2 H) 3.24 (q, J=6.23 Hz, 2 H) 7.16 - 7.26 (m, 1 H) 7.29 (d, J=2.27 Hz, 1 H) 7.34 (td, J=7.58, 1.01 Hz, 1 H) 7.52 - 7.66 (m, 2 H) 7.78 - 7.86 (m, 1 H) 7.92 - 8.01 (m, 1 H) 8.29 (t, J=5.56 Hz, 1 H) 8.33 (s, 1 H) 8.36 (s, 1 H).
【0245】
ステップ3:8-クロロ-6-(2-フルオロフェニル)-N-[2-(スルファモイルアミノ)エチル]-4H-ピラゾロ[1,5-a][1,4]ベンゾジアゼピン-3-カルボキサミド
【0246】
ジオキサン(2mL)中のN-(2-アミノエチル)-8-クロロ-6-(2-フルオロフェニル)-4H-ピラゾロ[1,5-a][1,4]ベンゾジアゼピン-3-カルボキサミド(150mg、0.4mmol)の撹拌溶液に、スルファミド(109mg、1.1mmol)を加えた。溶液を110℃で24時間加熱した。室温まで冷却後、溶液を分取HPLCによって精製し、8-クロロ-6-(2-フルオロフェニル)-N-[2-(スルファモイルアミノ)エチル]-4H-ピラゾロ[1,5-a][1,4]ベンゾジアゼピン-3-カルボキサミド(83mg、収率44%)を淡色固体として得た。ESI(+): 477. 1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) d ppm 3.05 (t, J=6.69 Hz, 2 H) 3.32 - 3.47 (m, 2 H) 7.14 - 7.25 (m, 1 H) 7.26 - 7.38 (m, 2 H) 7.49 - 7.66 (m, 2 H) 7.78 - 7.90 (m, 1 H) 7.91 - 8.03 (m, 1 H) 8.26 - 8.35 (m, 1 H) 8.35 - 8.48 (m, 1 H).
【0247】
(実施例B1)
【0248】
GABA(α3β2γ2)サブタイプのGABA活性化チャネルを安定的にトランスフェクトした細胞をGABA準最大濃度とともに使用して、本開示の化合物の調節効果を調べた。GABA受容体の発現は、実験の24~48時間前にデキサメタゾンを細胞に加えることによって誘導した。一般に、細胞は約80~90%のコンフルエンスで継代した。電気生理学的測定のために、培養完全培地を含む滅菌培養フラスコから、約80~90%のコンフルエンスで細胞を採取した。細胞はPBS中の懸濁液としてQPatch 16XまたはQPatch HTXシステムに移し、直接遠心/洗浄器に移した。細胞は、5%CO(相対湿度約95%)の加湿雰囲気下、37℃でインキュベートした。細胞は、ダルベッコ改変イーグル培地および栄養混合D-MEM/F-12(1×、液体、L-グルタミン)の1:1混合物を含み、10%ウシ胎児血清ならびに1.0%ペニシリン/ストレプトマイシン溶液およびネオマイシンを添加した滅菌培養フラスコ中に継続的に維持し、継代した。1×浴液は、本研究の実験開始に先立って調製し1℃~9℃で保存した滅菌10×浴液から、少なくとも5日ごとに作製した。最終的な浴液は、塩化ナトリウム137mM、塩化カリウム4mM、塩化カルシウム1.8mM、塩化マグネシウム1mM、HEPES10mM、D-グルコース10mM、pH(NaOH)7.4を含んでいた。1×細胞内液は毎日解凍し、塩化カリウム130mM、塩化マグネシウム1mM、Mg-ATP5mM、HEPES10mM、EGTA5Mm、pH(KOH)7.2を含む。自動パッチクランプ:細胞を無血清培地中の懸濁液としてQPatch HTXシステムに移し、実験中は細胞保存タンクに保管した。細胞内液を含め、細胞に適用する溶液はすべて室温(19℃~30℃)に維持した。パッチ電極とトランスフェクトした個々のLtk細胞との間にギガオームのシールを形成した後、細胞を破裂させて細胞内部への電気的アクセスを確保した(全細胞パッチ配置)。パッチクランプした細胞に2.0μMのGABAを4秒間適用し、内向きの電流を測定した。全実験中、細胞を-80mVの保持電位で電圧クランプした。試験項目の分析のために、GABA受容体を2.0μM GABAおよび以下に記載した試験項目の組み合わせで刺激した。2回のアゴニスト適用の間で、試験項目を用いた30秒間の予洗ステップを実行した。用量応答曲線は、電流=Emax/1+10^((LogEC50-X)*H)というシグモイド3パラメータ式でフィッティングした。ここで、Xは化合物濃度、Emaxは上側漸近線、EC50は最大効果の半分における試験項目の濃度、およびHはヒル係数である。曲線の作成にはSigmaPlot11.0を使用した。例示的な化合物のデータを以下の表B1に示す。
【0249】
【表B1】
【0250】
キー:+Emax<50%;++Emax51~100%;+++Emax>100%
【0251】
(実施例B2)
全腸通過時間に対する本開示の化合物および方法の効果
【0252】
全腸通過時間(WGTT)に対する式(I)化合物の効果の用量応答を調べる。50%プロピレングリコール中の式(I)の化合物(0、1、3および10mg/kg)を、経口補給によって投与(5mL/kg)し、続いて0.2mLのカルミンレッド溶液(0.5%メチルセルロース中の6%カルミンレッド)をC57B/6マウスに経口補給する。その後、マウスを白いダンボール箱に入れ、時刻を時刻0として記録する。便に赤い色素が現れるまで10分ごとに便の色を観察する。最初に赤い便が出た時刻を終了時刻として記録する。終了時刻と時刻0との差をWGTT(分)とする。
【0253】
(実施例B3)
遠位結腸通過時間に対する効果。
【0254】
C57B/6マウスにおける遠位結腸通過時間(DCTT)に対する式(I)の化合物の経時変化を調べて、結腸運動性を評価する。DCTTは、直腸2cmに2mmのガラスビーズを静かに押し込み、マウスを白い箱に入れることによって実行する(時刻0)。ガラスビーズが直腸から離脱するまでの時間をDCTT(分)とする。マウスに式(I)の化合物0または3mg/kgを経口補給し、式(I)の化合物投与後30、60、90および120分にDTCCを行う。
【0255】
(実施例B4)
便組成に対する効果。
【0256】
式(I)の化合物(3および10mg/kg)の経口補給後、排出直後の便を3時間収集する。湿った便を総便重量として重量を測り、その後65℃で24時間乾燥し、乾燥便重量として重量を測る。便中の水分含有率は、(総便重量-乾燥便重量)/総便重量×100で算出する。
【0257】
(実施例B5)
IBSマウスモデルにおける疼痛感受性。
【0258】
新生児直腸炎により誘発されるIBS内臓痛モデルを使用する。段階的な大腸バルーン拡張(CRD、15、30、50および70mmHg)に対する大腸痛感受性は、外腹斜筋の筋電図によって測定される内臓運動応答(VMR)によって決定する。IBSマウスは対照マウスに比べて疼痛感受性が有意に増加している。IBSマウスを式(I)の化合物(10mg/kg)で処置する。その後、IBSマウスにおける痛覚過敏を調べる。
【0259】
(実施例B6)
脳および血漿レベルの測定。
【0260】
式(I)の化合物を、50%プロピレングリコール中の溶液として10mg/kgの用量で、経口補給によって5匹のマウスに投与する(5mL/kg)。30分後、マウスを犠牲にし、血漿および脳を採取する。血漿および脳中の式(I)化合物の濃度をLC/MSで測定する。平均血漿濃度および脳濃度を調べる。
【0261】
(実施例B7)
GABA-A結合の測定。
【0262】
GABA-A受容体における効力は、Speth, R.C., Wastek, G.J., Johnson, P.C., Yamamura, H.I. "Benzodiazepine binding in human brain.:Characterization using [3H] flunitrazepam" Life Sciences 1978, 22, 859-866(参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)に記載されているように、ラット大脳皮質組織ホモジネートへの[H]フルニトラゼパム結合によって測定し、CEREP(カタログ番号0028)で実行する。
【0263】
上記で引用した以下の文献は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0264】
[非特許文献1]
Everhart JE. The burden of digestive diseases in the United States. US Government Printing Office (NIH Publication No. 09-6443), 2008.
【非特許文献2】Sullivan MA, Cohen S, Snape WJ, Jr. Colonic myoelectrical activity in irritable-bowel syndrome. Effect of eating and anticholinergics. N Engl J Med 1978;298:878-83.
【非特許文献3】Gershon MD. Serotonin and its implication for the management of irritable bowel syndrome. Rev Gastroenterol Disord 2003;3 Suppl 2:S25-34.
【非特許文献4】Pasricha PJ. Desperately seeking serotonin. A commentary on the withdrawal of tegaserod and the state of drug development for functional and motility disorders. Gastroenterology 2007;132:2287-90.
【非特許文献5】Fargeas MJ, Fioramonti J, Bueno L. Central and peripheral action of GABAA and GABAB agonists on small intestine motility in rats. European Journal of Pharmacology 1988;150:163-169.
【非特許文献6】Grider JR. Interplay of somatostatin, opioid, and GABA neurons in the regulation of the peristaltic reflex. American Journal of Physiology - Gastrointestinal and Liver Physiology 1994;267:G696-G701.
【非特許文献7】Kerr DIB, Ong J. GABA and GABA-receptors in the enteric nervous system. Neuropharmacology 1984;23:835-836.
【非特許文献8】Krantis A. GABA in the mammalian enteric nervous system. News in Physiological Sciences 2000;15:284-290.
【非特許文献9】Krantis A, Costa M, Furness JB, Orbach J. γ-Aminobutyric acid stimulates intrinsic inhibitory and excitatory nerves in the guinea-pig intestine. European Journal of Pharmacology 1980;67:461-466.
【非特許文献10】Ong J, Kerr DIB. Evidence for a physiological role of GABA in the control of guinea-pig intestinal motility. Neuroscience Letters 1984;50:339-343.
【非特許文献11】Reis HJ, Berghe PV, Romano-Silva MA, Smith TK. GABA-induced calcium signaling in cultured enteric neurons is reinforced by activation of cholinergic pathways. Neuroscience 2006;139:485-494.
【非特許文献12】Williamson S, Faulkner-Jones BE, Cram DS, Furness JB, Harrison LC. Transcription and translation of two glutamate decarboxylase genes in the ileum of rat, mouse and guinea pig. Journal of the Autonomic Nervous System 1995;55:18-28.
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【非特許文献14】Salari P, Abdollahi M. Systematic review of modulators of benzodiazepine receptors in irritable bowel syndrome: is there hope? World J Gastroenterol 2011;17:4251-7.
【非特許文献15】Ritchie JA, Truelove SC. Treatment of irritable bowel syndrome with lorazepam, hyoscine butylbromide, and ispaghula husk. Br Med J 1979;1:376-8.
【非特許文献16】Pace F, Maurano A, Ciacci C, Savarino V, Attili A, Iaquinto G, Magni E, Porro GB. Octatropine methyl bromide and diazepam combination (Valpinax) in patients with irritable bowel syndrome: a multicentre, randomized, placebo-controlled trial. Eur Rev Med Pharmacol Sci 2010;14:155-62.
【非特許文献17】Talley NJ. Evaluation of drug treatment in irritable bowel syndrome. British Journal of Clinical Pharmacology 2003;56:362-369.
【非特許文献18】Horvath K, and rasi F, Berzsenyi P, Patfalusi M, Patthy M, Szabo G, Sebestyen L, Bagdy E, Korosi J, Botka P, Hamori T, Lang T. A New Psychoactive 5h-2,3-Benzodiazepine with a Unique Spectrum of Activity. Arzneimittel-Forschung/Drug Research 1989;39-2:894-899.
【非特許文献19】Mennini T, Abbiati A, Caccia S, Cotecchia S, Gomez A, Garattini S. Brain Levels of Tofizopam in the Rat and Relationship with Benzodiazepine Receptors. Naunyn-Schmiedebergs Archives of Pharmacology 1982;321:112-115.
【非特許文献20】Bagal SK, Bungay PJ. Minimizing Drug Exposure in the CNS while Maintaining Good Oral Absorption. Acs Medicinal Chemistry Letters 2012;3:948-950.
【0265】
本明細書で引用した刊行物、特許出願、及び特許を含むすべての参考文献は各参考文献が参照によって組み入れられるべく個別的にまた特定的に示され、また全体が本明細書で記載されるかのように同一範囲に対する参照によって本明細書に組み入れられる。
【0266】
本開示を記載する文脈(とくに、特許請求の範囲の文脈)における「a」及び「an」及び「the」及び同様の指示対象詞の使用は、本明細書でそうではない又は文脈で明らかに矛盾するものでない限り、単数形及び複数形の双方をカバーすると解すべきである。用語「備える/含む(comprising)」「有する/持つ/がある(having)」「含む(including)」「含有する(containing)」は、それ以外を明示しない限り、制約がない用語(すなわち、「~を含むが、それらに限定されない(including, but not limited to,)」)と解すべきである。本明細書における値範囲の記述は、本明細書でそうでないと明示しない限り、単にその範囲内に納まる各別個の値に個別に言及する簡便方法に供することを意図し、また各別個の値は本明細書で個別に記述されるかのように本明細書に組み入れられる。本明細書に記載されるすべての方法は、そうでないことを示されない、又は文脈で明らかに矛盾するものでない限り、任意の適当な順序で実施することができる。本明細書で提示される任意な及びすべての例、又は例示文言(例えば、「~のような(such as))は、単に本開示をより明らかにすることを意図し、そうでないことを特許請求しない限り、本開示の範囲に限定を課すものではない。本明細書における文言は、本開示の遂行に必須のものとしてすべての非特許請求要素を示していると解すべきではない。
【0267】
本開示を実施する本発明者らに最良のモードを含めて本開示の好適な実施形態が本明細書で記載される。それら好適な実施形態の変更例は、当業者にとって上述した記載を読む際に明らかなものとなり得る。本発明者らは、熟練した技師がこのような変更例を適切なものとして採用することを期待し、また本発明者らは、本開示が本明細書に特別に記載したのとは別のやり方で実践されることを意図する。したがって、本開示は、適用法によって許されているように、特許請求の範囲に記述される要旨のすべての変更及び均等物を含む。さらに、それらのあり得るすべての改変としての上述した要素のいかなる組み合わせも、本明細書でそうでないと示される又は文脈で明らかに矛盾するものでない限り、本開示に包含される。
【誤訳訂正2】
【訂正対象書類名】特許請求の範囲
【訂正対象項目名】全文
【訂正方法】変更
【訂正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の化合物またはその薬学的に容認可能な塩であって、
【化1】

1a、R1b、R1c、およびR1dはそれぞれ、H、ハロ、C1-6アルキル、C1-6ハロアルキル、C2-6アルケニル、C2-6アルキニル、ニトロ、シアノ、C1-6アルコキシ、C1-6ハロアルコキシ、C1-6チオアルコキシ、C1-6ハロチオアルコキシ、S(O)(C1-6アルキル)、S(=O)(=NH)C1-6アルキル、Si(C1-6アルキル)、C3-6シクロアルキル、C6-10アリール、NR、C(O)R、およびC(O)NRからなる群より選択され、
前記C3-6シクロアルキルおよびC6-10アリールは、ハロ、シアノ、C1-6アルキル、およびC1-6ハロアルキルからなる群よりそれぞれ独立して選択される1~4個の置換基で、それぞれ随意的に置換され、
の各出現は、ハロ、C1-6アルキル、C1-6ハロアルキル、C2-6アルケニル、C2-6アルキニル、NO、シアノ、C1-6アルコキシ、C1-6ハロアルコキシ、SO(C1-6アルキル)、S(=O)(=NH)C1-6アルキル、C3-6シクロアルキル、NR、C(O)R、およびC(O)NRからなる群より独立して選択され、
mは、0、1、2、3、4、または5であり、
3aおよびR3bの一方はXであり、R3aおよびR3bのもう一方はRであり、
Xは、-COH、-CH(R)COH、-C(O)Y、-CH(R)C(O)Y、-S(O)Y、-CH(R)S(O)Y、-(C1-3アルキレン)-N(C1-3アルキル)、-P(=O)(OH)、-SOH、
【化2】
およびC(O)グルクロン酸からなる群より選択され、
およびXは、独立して、O、S、N(H)、またはN(C1-3アルキル)であり、
は、H、C1-6アルキル、-OH、および-NRからなる群より選択され、
Yは、
(i)-NR
(ii)-NR-CHCHO-(-CHCHO-)-Y(ここで、nは0~20の間の整数である)および
(iii)-NR-Y-Y
からなる群より選択され、
は、C2-6アルキレンであり、
は、-NR、-NRS(O)NR10、-S(O)、-S(=O)R(=NR)、および-P(=O)(C1-3アルキル)からなる群より選択され、
は、HまたはC1-6アルキルであり、
は、
H、ハロ、シアノ、C1-6アルキル、C1-6ハロアルキル、C2-6アルケニル、C2-6アルキニル、C1-6アルコキシ、C1-6ハロアルコキシ、-NR、-C(O)NR、-CHNR、C3-6シクロアルキル、C6-10アリール、および5~6個の環原子を含むヘテロアリール(ここで、1~4個の環原子は、N、N(R)、O、およびSからなる群よりそれぞれ独立して選択されるヘテロ原子である)からなる群より選択され、
およびRは、H、C1-6アルキル、-OH、および-NRからなる群より独立して選択され、または
およびRは、それぞれが結合している炭素原子とともに、C3-6シクロアルキルを形成し、
およびRの各出現は、H、C1-6アルキル、C1-6ハロアルキル、C3-6シクロアルキル、フェニル、-(C1-4アルキレン)-フェニル、C(=O)R、C(=O)OR、およびC(=O)NR10からなる群より独立して選択され、または
同じ窒素原子上のRおよびRの対が、それらを連結する前記窒素原子とともに、飽和、部分不飽和、または4~8個の環原子を含む芳香環を形成し、ここで、0~2個の環原子(RおよびRを連結する前記窒素原子に加えて)は、N、N(R)、O、およびSからなる群よりそれぞれ独立して選択される環ヘテロ原子であり、
の各出現は、H、C1-6アルキル、-C(=O)R、-C(=O)OR、および-C(=O)NR10からなる群より独立して選択され
およびR10の各出現は、HまたはC1-6アルキルであり、
Zは、Nまたは
【化3】
である、化合物。
【請求項2】
請求項1に記載の化合物において、R3aはXであり、R3bはRである、化合物。
【請求項3】
請求項1に記載の化合物において、R3aはRであり、R3bはXである、化合物。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか一項に記載の化合物において、R1a、R1b、R1c、およびR1dのうちの1~2つは、独立して選択されるH以外の置換基である、化合物。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか一項に記載の化合物において、R1a、R1b、R1c、およびR1dのうちの1つは、ハロ、C1-6アルキル、C1-6ハロアルキル、C2-6アルケニル、C2-6アルキニル、ニトロ、シアノ、C1-6アルコキシ、C1-6ハロアルコキシ、C1-6チオアルコキシ、C1-6ハロチオアルコキシ、S(O)(C1-6アルキル)、S(=O)(=NH)C1-6アルキル、Si(C1-6アルキル)、C3-6シクロアルキル、C6-10アリール、NR、C(O)R、およびC(O)NRからなる群より選択され、ここで、前記C3-6シクロアルキルおよびC6-10アリールは、ハロ、シアノ、C1-6アルキル、およびC1-6ハロアルキルからなる群よりそれぞれ独立して選択される1~4個の置換基で、それぞれ随意的に置換され、R1a、R1b、R1c、およびR1dのうちの他の3つはHである、化合物。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか一項に記載の化合物において、R1a、R1b、R1c、およびR1dのうちの1つは、ハロ、C1-6アルキル、C1-6ハロアルキル、C2-6アルケニル、C2-6アルキニル、C1-6アルコキシ、C1-6ハロアルコキシ、C1-6チオアルコキシ、C1-6ハロチオアルコキシ、S(O)(C1-6アルキル)、S(=O)(=NH)C1-6アルキル、Si(C1-6アルキル)、C3-6シクロアルキル、およびC6-10アリールからなる群より選択され、ここで、前記C3-6シクロアルキルおよびC6-10アリールは、ハロ、シアノ、C1-6アルキル、およびC1-6ハロアルキルからなる群よりそれぞれ独立して選択される1~4個の置換基で、それぞれ随意的に置換され、そしてR1a、R1b、R1c、およびR1dのうちの他の3つはHである、化合物。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか一項に記載の化合物において、R1a、R1b、R1c、およびR1dのうちの1つは、ハロ、例えば-Clであり、R1a、R1b、R1c、およびR1dのうちの他の3つはHである、化合物。
【請求項8】
請求項1~5のいずれか一項に記載の化合物において、R1cは、ハロ、C1-6アルキル、C1-6ハロアルキル、C2-6アルケニル、C2-6アルキニル、ニトロ、シアノ、C1-6アルコキシ、C1-6ハロアルコキシ、C1-6チオアルコキシ、C1-6ハロチオアルコキシ、S(O)(C1-6アルキル)、S(=O)(=NH)C1-6アルキル、Si(C1-6アルキル)、C3-6シクロアルキル、C6-10アリール、NR、C(O)R、およびC(O)NRからなる群より選択され、ここで、前記C3-6シクロアルキルおよびC6-10アリールは、ハロ、シアノ、C1-6アルキル、およびC1-6ハロアルキルからなる群よりそれぞれ独立して選択される1~4個の置換基で、それぞれ随意的に置換され、R1a、R1b、およびR1dはHである、化合物。
【請求項9】
請求項1~6または8のいずれか一項に記載の化合物において、R1cは、ハロ、C1-6アルキル、C1-6ハロアルキル、C2-6アルケニル、C2-6アルキニル、C1-6アルコキシ、C1-6ハロアルコキシ、C1-6チオアルコキシ、C1-6ハロチオアルコキシ、S(O)(C1-6アルキル)、S(=O)(=NH)C1-6アルキル、Si(C1-6アルキル)、C3-6シクロアルキルおよびC6-10アリールからなる群より選択され、ここで、前記C3-6シクロアルキルおよびC6-10アリールは、ハロ、シアノ、C1-6アルキル、およびC1-6ハロアルキルからなる群よりそれぞれ独立して選択される1~4個の置換基で、それぞれ随意的に置換され、R1a、R1b、およびR1dはHである、化合物。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか一項に記載の化合物において、R1cは、ハロ、例えば-Clであり、R1a、R1b、およびR1dはHである、化合物。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか一項に記載の化合物において、mは1または2である、化合物。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか一項に記載の化合物において、mは1である、化合物。
【請求項13】
請求項1~11のいずれか一項に記載の化合物において、
【化4】

であり、m1は0または1である、化合物。
【請求項14】
請求項13に記載の化合物において、m1は0である、化合物。
【請求項15】
請求項13に記載の化合物において、m1は1である、化合物。
【請求項16】
請求項1~11、13、または15のいずれか一項に記載の化合物において、
【化5】

である、化合物。
【請求項17】
請求項1~16のいずれか一項に記載の化合物において、各Rは、ハロ、C1-6アルキル、C1-6ハロアルキル、C2-6アルケニル、C2-6アルキニル、NO、シアノ、C1-6アルコキシ、C1-6ハロアルコキシ、SO(C1-6アルキル)、およびC3-6シクロアルキルからなる群より独立して選択される、化合物。
【請求項18】
請求項1~17のいずれか一項に記載の化合物において、各Rは、ハロ、C1-6アルキル、C1-6ハロアルキル、シアノ、C1-6アルコキシ、およびC1-6ハロアルコキシからなる群より独立して選択される、化合物。
【請求項19】
請求項1~18のいずれか一項に記載の化合物において、各Rは、独立して選択されたハロ、例えば-F、-Cl、または-Brである、化合物。
【請求項20】
請求項1~19のいずれか一項に記載の化合物において、RおよびRのそれぞれは、Hである、化合物。
【請求項21】
請求項1~19のいずれか一項に記載の化合物において、RおよびRの一方はC1-6アルキルであり、RおよびRのもう一方はHである、化合物。
【請求項22】
請求項1~19のいずれか一項に記載の化合物において、RおよびRの一方は-OHであり、RおよびRのもう一方はHである、化合物。
【請求項23】
請求項1~22のいずれか一項に記載の化合物において、Xは、-COHまたは-CH(R)COHである、化合物。
【請求項24】
請求項1~23のいずれか一項に記載の化合物において、Xは、-COHである、化合物。
【請求項25】
請求項1~22のいずれか一項に記載の化合物において、Xは、-C(O)Yまたは-CH(R)C(O)Yである、化合物。
【請求項26】
請求項1~22または25のいずれか一項に記載の化合物において、Xは-C(O)Yである、化合物。
【請求項27】
請求項1~22または25~26のいずれか一項に記載の化合物において、Yは、-NRである、例えば、Yは、NH、NH(C1-3アルキル)、またはN(C1-3アルキル)である、化合物。
【請求項28】
請求項1~22または25~26のいずれか一項に記載の化合物において、Yは、-NR-Y-Yである、化合物。
【請求項29】
請求項1~22、25~26または28のいずれか一項に記載の化合物において、Yは、-N(H)-Y-Yである、化合物。
【請求項30】
請求項1~22、25~26または28~29のいずれか一項に記載の化合物において、Yは、直鎖C2-4アルキレン、例えば-CHCH-または-CHCHCH-である、化合物。
【請求項31】
請求項1~22、25~26または28~30のいずれか一項に記載の化合物において、Yは、NR、例えばNHC(=O)NR10、例えばNHC(=O)NHである、化合物。
【請求項32】
請求項1~22、25~26または28~30のいずれか一項に記載の化合物において、Yは、-NRS(O)NR10、例えば-NHS(O)NHである、化合物。
【請求項33】
請求項1~32のいずれか一項に記載の化合物において、RはHである、化合物。
【請求項34】
請求項1~32のいずれか一項に記載の化合物において、Rはハロ、例えば-Clまたは-Brである、化合物。
【請求項35】
請求項1~32のいずれか一項に記載の化合物において、Rは、C1-6アルキルまたはC1-6ハロアルキルである、例えばRは、C1-3アルキル、例えばメチルである、化合物。
【請求項36】
請求項1に記載の化合物において、
・R1a、R1b、R1c、およびR1dのうちの1つは、ハロ、C1-6アルキル、C1-6ハロアルキル、C2-6アルケニル、C2-6アルキニル、ニトロ、シアノ、C1-6アルコキシ、C1-6ハロアルコキシ、C1-6チオアルコキシ、C1-6ハロチオアルコキシ、S(O)(C1-6アルキル)、S(=O)(=NH)C1-6アルキル、Si(C1-6アルキル)、C3-6シクロアルキル、C6-10アリール、NR、C(O)R、およびC(O)NRからなる群より選択され、ここで、前記C3-6シクロアルキルおよびC6-10アリールは、ハロ、シアノ、C1-6アルキル、およびC1-6ハロアルキルからなる群よりそれぞれ独立して選択される1~4個の置換基で、それぞれ随意的に置換され、
・R1a、R1b、R1c、およびR1dのうちの他の3つはHであり、
・mは1または2であり、
・各Rは、ハロ、C1-6アルキル、C1-6ハロアルキル、C2-6アルケニル、C2-6アルキニル、NO、シアノ、C1-6アルコキシ、C1-6ハロアルコキシ、SO(C1-6アルキル)、およびC3-6シクロアルキルからなる群より独立して選択され、
・R3aはXであり、
・R3bは、Rである、
化合物。
【請求項37】
請求項1に記載の化合物において、
・R1a、R1b、R1c、およびR1dのうちの1つは、ハロ、C1-6アルキル、C1-6ハロアルキル、C2-6アルケニル、C2-6アルキニル、C1-6アルコキシ、C1-6ハロアルコキシ、C1-6チオアルコキシ、C1-6ハロチオアルコキシ、S(O)(C1-6アルキル)、S(=O)(=NH)C1-6アルキル、Si(C1-6アルキル)、C3-6シクロアルキル、およびC6-10アリールからなる群より選択され、ここで、前記C3-6シクロアルキルおよびC6-10アリールは、ハロ、シアノ、C1-6アルキル、およびC1-6ハロアルキルからなる群よりそれぞれ独立して選択される1~4個の置換基で、それぞれ随意的に置換され、
・R1a、R1b、R1c、およびR1dのうちの他の3つはHであり、
・mは1または2であり、
・各Rは、ハロ、C1-6アルキル、C1-6ハロアルキル、シアノ、C1-6アルコキシ、およびC1-6ハロアルコキシからなる群より独立して選択され、
・R3aはXであり、
・R3bは、Rである、
化合物。
【請求項38】
請求項1に記載の化合物において、
・R1a、R1b、R1c、およびR1dのうちの1つはハロ、例えば-Clであり、
・R1a、R1b、R1c、およびR1dのうちの他の3つはHであり、
・mは1または2であり、
・各Rは、独立して選択されるハロ、例えば-F、-Cl、または-Brであり、
・R3aはXであり、
・R3bはRである、
化合物。
【請求項39】
請求項36に記載の化合物において、R1cは、ハロ、C1-6アルキル、C1-6ハロアルキル、C2-6アルケニル、C2-6アルキニル、ニトロ、シアノ、C1-6アルコキシ、C1-6ハロアルコキシ、C1-6チオアルコキシ、C1-6ハロチオアルコキシ、S(O)(C1-6アルキル)、S(=O)(=NH)C1-6アルキル、Si(C1-6アルキル)、C3-6シクロアルキル、C6-10アリール、NR、C(O)R、およびC(O)NRからなる群より選択され、ここで、前記C3-6シクロアルキルおよびC6-10アリールは、ハロ、シアノ、C1-6アルキル、およびC1-6ハロアルキルからなる群よりそれぞれ独立して選択される1~4個の置換基で、それぞれ随意的に置換される、化合物。
【請求項40】
請求項37に記載の化合物において、R1cは、ハロ、C1-6アルキル、C1-6ハロアルキル、C2-6アルケニル、C2-6アルキニル、C1-6アルコキシ、C1-6ハロアルコキシ、C1-6チオアルコキシ、C1-6ハロチオアルコキシ、S(O)(C1-6アルキル)、S(=O)(=NH)C1-6アルキル、Si(C1-6アルキル)、C3-6シクロアルキル、およびC6-10アリールからなる群より選択され、ここで、前記C3-6シクロアルキルおよびC6-10アリールは、ハロ、シアノ、C1-6アルキル、およびC1-6ハロアルキルからなる群よりそれぞれ独立して選択される1~4個の置換基で、それぞれ随意的に置換される、化合物。
【請求項41】
請求項38に記載の化合物において、R1cは、ハロ、例えば-Clである、化合物。
【請求項42】
請求項36~41のいずれか一項に記載の化合物において、
【化6】

である、化合物。
【請求項43】
請求項36~42のいずれか一項に記載の化合物において、RはHである、化合物。
【請求項44】
請求項36~42のいずれか一項に記載の化合物において、RはハロまたはC1-3アルキルである、化合物。
【請求項45】
請求項36~44のいずれか一項に記載の化合物において、RおよびRは、それぞれHである、化合物。
【請求項46】
請求項36~45のいずれか一項に記載の化合物において、Xは-COHである、化合物。
【請求項47】
請求項36~45のいずれか一項に記載の化合物において、Xは、-C(O)N(H)-Y-Y3、例えば-C(O)N(H)CHCH-Yである、化合物。
【請求項48】
請求項1~47のいずれか一項に記載の化合物において、ZはNである、化合物。
【請求項49】
請求項1に記載の化合物において、
前記化合物は、式(Ia)の化合物またはその薬学的に容認可能な塩であり、
【化7】

1cは、ハロ、C1-6アルキル、C1-6ハロアルキル、C2-6アルケニル、C2-6アルキニル、C1-6アルコキシ、C1-6ハロアルコキシ、C1-6チオアルコキシ、C1-6ハロチオアルコキシ、S(O)(C1-6アルキル)、S(=O)(=NH)C1-6アルキル、Si(C1-6アルキル)、C3-6シクロアルキル、およびC6-10アリールからなる群より選択され、ここで、前記C3-6シクロアルキルおよびC6-10アリールは、ハロ、シアノ、C1-6アルキル、およびC1-6ハロアルキルからなる群よりそれぞれ独立して選択される1~4個の置換基で、それぞれ随意的に置換され、
m1は0または1であり、
各Rは、ハロ、C1-6アルキル、C1-6ハロアルキル、C2-6アルケニル、C2-6アルキニル、NO、シアノ、C1-6アルコキシ、C1-6ハロアルコキシ、SO(C1-6アルキル)、およびC3-6シクロアルキルからなる群より独立して選択され、
は、H、ハロ、またはC1-3アルキルである、化合物。
【請求項50】
請求項49に記載の化合物において、R1cはハロである、化合物。
【請求項51】
請求項49または50に記載の化合物において、RはHである、化合物。
【請求項52】
請求項49または50に記載の化合物において、Rはハロである、化合物。
【請求項53】
請求項49~52のいずれか一項に記載の化合物において、m1は0である、化合物。
【請求項54】
請求項49~53のいずれか一項に記載の化合物において、m1は1である、化合物。
【請求項55】
請求項49~54のいずれか一項に記載の化合物において、各Rは、独立して選択されるハロである、化合物。
【請求項56】
請求項1に記載の化合物において、前記化合物は、表C1の化合物、またはその薬学的に容認可能な塩からなる群より選択される、化合物。
【請求項57】
請求項1~56のいずれか一項に記載の化合物またはその薬学的に容認可能な塩、および薬学的に容認可能な担体を含む医薬組成物。
【請求項58】
それを必要とする被験体において、脳および中枢神経系以外の組織および器官におけるGABA-A受容体を正調節する方法であって、治療上有効量の請求項1~56のいずれか一項に記載の化合物、または請求項57に記載の医薬組成物を前記被験体に投与することを含む方法。
【請求項59】
それを必要とする被験体において内臓痛を治療または予防する方法であって、治療上有効量の請求項1~56のいずれか一項に記載の化合物、または請求項57に記載の医薬組成物を前記被験体に投与することを含む方法。
【請求項60】
それを必要とする被験体において腸の運動性を調節する方法であって、治療上有効量の請求項1~56のいずれか一項に記載の化合物、または請求項57に記載の医薬組成物を前記被験体に投与することを含む方法。
【請求項61】
それを必要とする被験体において過敏性腸症候群を治療する方法であって、治療上有効量の請求項1~56のいずれか一項に記載の化合物、または請求項57に記載の医薬組成物を前記被験体に投与することを含む方法。
【請求項62】
それを必要とする被験体において、機能性腹痛、機能性特発性下痢、炎症性腸疾患、薬剤誘発性疼痛、胆汁酸塩吸収不全、またはラクターゼもしくは他の炭水化物不耐症を治療する方法であって、治療上有効量の請求項1~56のいずれか一項に記載の化合物、または請求項57に記載の医薬組成物を前記被験体に投与することを含む方法。
【国際調査報告】