(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-14
(54)【発明の名称】セグメント化した内側フォイルアセンブリを含むフォイル軸受アセンブリ及びこれを含むコンプレッサ
(51)【国際特許分類】
F16C 27/02 20060101AFI20240206BHJP
F04D 29/057 20060101ALI20240206BHJP
【FI】
F16C27/02 A
F04D29/057 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2023547274
(86)(22)【出願日】2022-01-26
(85)【翻訳文提出日】2023-09-28
(86)【国際出願番号】 US2022013811
(87)【国際公開番号】W WO2022169645
(87)【国際公開日】2022-08-11
(32)【優先日】2021-02-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】511158339
【氏名又は名称】コープランド エルピー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】リウ,ゼージ
(72)【発明者】
【氏名】ペレヴォースチコフ,マイケル エム.
【テーマコード(参考)】
3H130
3J012
【Fターム(参考)】
3H130AA13
3H130AB27
3H130AB42
3H130AB62
3H130AB65
3H130AB69
3H130AC11
3H130BA13D
3H130BA13E
3H130BA24D
3H130BA24E
3H130DA02Z
3H130DB06X
3H130DB13Z
3H130DB15Z
3H130EA07A
3H130EA07E
3H130EB01A
3H130EC13A
3H130ED02A
3H130ED02D
3H130ED02E
3J012AB07
3J012BB01
3J012CB05
3J012DB05
3J012EB10
3J012GB10
(57)【要約】
軸受システムは、軸受ハウジング及びフォイル軸受アセンブリを含む。軸受ハウジングは、円筒形ボアを規定し、少なくとも1つの軸受アセンブリのロック機能を含むスリーブと、取付構造とを含む。フォイル軸受アセンブリは、外側フォイルアセンブリと、内側フォイルアセンブリと、外側フォイルアセンブリと内側フォイルアセンブリとの間に位置付けされた隆起フォイルアセンブリとを含む。外側フォイルアセンブリは、軸受保持機構を含む第1の端部から第2の端部まで周方向に延びる少なくとも1つの外側フォイルパッドを含む。軸受保持機構は、少なくとも1つの軸受アセンブリのロック機構と協働して係合する。内側フォイルアセンブリは、周方向に間隔を置いて配置された複数の内側フォイルパッドを含む。各内側フォイルパッドは、タブから自由端まで周方向に延びる。少なくとも1つの内側フォイルパッドがタブに沿って外側フォイルアセンブリに溶接される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸受システムであって、当該軸受システムは、
円筒形ボアを規定し、少なくとも1つの軸受アセンブリのロック機構を含むスリーブと、
当該軸受システムをコンプレッサハウジングに接続するための取付構造と、を含む、軸受ハウジングと、
前記円筒形ボア内に位置付けされたフォイル軸受アセンブリと、を含み、
該フォイル軸受アセンブリは、
軸受保持機構を含む第1の端部から第2の端部まで周方向に延びる少なくとも1つの外側フォイルパッドを含む外側フォイルアセンブリと、
内側フォイルアセンブリと、
前記外側フォイルアセンブリと前記内側フォイルアセンブリとの間に位置付けされる隆起フォイルアセンブリと、を含み、
前記軸受保持機構は、前記フォイル軸受アセンブリを前記軸受ハウジング内で固定回転位置に維持するために、前記少なくとも1つの軸受アセンブリのロック機構と協働して係合し、
前記内側フォイルアセンブリは、前記フォイル軸受アセンブリの周りに周方向に間隔を置いて配置された複数の内側フォイルパッドを含み、各内側フォイルパッドはタブから自由端まで周方向に延びており、前記内側フォイルパッドのうちの少なくとも1つは、前記タブに沿って前記外側フォイルアセンブリに溶接される、
軸受システム。
【請求項2】
前記内側フォイルパッドのそれぞれが、前記タブに沿って前記外側フォイルアセンブリに溶接される、請求項1に記載の軸受システム。
【請求項3】
前記内側フォイルパッドのうちの少なくとも1つの内側フォイルパッドの前記タブは、前記少なくとも1つの外側フォイルパッドの前記軸受保持機構に隣接して位置付けされる、請求項1に記載の軸受システム。
【請求項4】
前記少なくとも1つの外側フォイルパッドの前記軸受保持機構に隣接して位置付けされた前記少なくとも1つの内側フォイルパッドの前記タブは、前記少なくとも1つの外側フォイルパッドから取り外される、請求項3に記載の軸受システム。
【請求項5】
前記少なくとも1つの外側フォイルパッドの前記軸受保持機構に隣接して位置付けされた前記少なくとも1つの内側フォイルパッドの前記タブは、前記軸受保持機構に溶接される、請求項3に記載の軸受システム。
【請求項6】
前記少なくとも1つの外側フォイルパッドは、第1の方向に前記第1の端部から前記第2の端部まで周方向に延びており、前記複数の内側フォイルパッドのそれぞれは、前記第1の方向とは反対の第2の方向に前記タブから前記自由端まで周方向に延びる、請求項1に記載の軸受システム。
【請求項7】
前記少なくとも1つの外側フォイルパッドは、第1の方向に前記第1の端部から前記第2の端部まで周方向に延びており、前記複数の内側フォイルパッドのそれぞれは、前記第1の方向に前記タブから前記自由端まで周方向に延びる、請求項1に記載の軸受システム。
【請求項8】
前記隆起フォイルアセンブリは複数の隆起フォイルを含み、各内側フォイルパッドの前記タブは、2つの隣接する隆起フォイルの間に規定された開口部を通って前記内側フォイルパッドから径方向外側に延びて前記外側フォイルアセンブリと係合する、請求項1に記載の軸受システム。
【請求項9】
前記少なくとも1つの軸受アセンブリのロック機構は、前記スリーブ内に規定された軸線方向に延びるスロットを含み、前記軸受保持機構は、前記スロット内に受容されるタブを含む、請求項1に記載の軸受システム。
【請求項10】
前記取付構造は、前記スリーブから径方向外側に延びる環状フランジを含む、請求項1に記載の軸受システム。
【請求項11】
前記スリーブは、前記円筒形ボアを規定する径方向内面を含み、該径方向内面は鋳放し表面である、請求項1に記載の軸受システム。
【請求項12】
コンプレッサであって、当該コンプレッサは、
コンプレッサハウジングと、
該コンプレッサハウジング内に回転可能に支持される駆動シャフトと、
該駆動シャフトに接続され、前記駆動シャフトの回転時に流入する冷媒ガスに運動エネルギーを与えるように動作可能であるインペラと、
前記コンプレッサハウジングに取り付けられ、円筒形ボアを規定するスリーブを含む軸受ハウジングであって、前記スリーブは少なくとも1つの軸受アセンブリのロック機構を含む、軸受ハウジングと、
前記駆動シャフトを回転可能に支持し、前記円筒形ボア内に位置付けされたフォイル軸受アセンブリと、を含み、
該フォイル軸受アセンブリは、
該フォイル軸受アセンブリを前記軸受ハウジング内で固定回転位置に維持するために、前記少なくとも1つの軸受アセンブリのロック機構と協働して係合する少なくとも1つの軸受保持機構を含む外側フォイルアセンブリと、
内側フォイルアセンブリと、
前記外側フォイルアセンブリと前記内側フォイルアセンブリとの間に位置付けされた隆起フォイルアセンブリと、を含み、
前記内側フォイルアセンブリは、前記フォイル軸受アセンブリの周りに周方向に間隔を置いて配置された複数の内側フォイルパッドを含み、各内側フォイルパッドはタブから自由端まで周方向に延びており、前記内側フォイルパッドのうちの少なくとも1つは、前記タブに沿って前記外側フォイルアセンブリに溶接される、
コンプレッサ。
【請求項13】
前記内側フォイルパッドのそれぞれが、前記タブに沿って前記外側フォイルアセンブリに溶接される、請求項12に記載のコンプレッサ。
【請求項14】
前記内側フォイルパッドのうちの少なくとも1つの内側フォイルパッドの前記タブは、前記少なくとも1つの軸受保持機構に隣接して位置付けされる、請求項12に記載のコンプレッサ。
【請求項15】
前記少なくとも1つの軸受保持機構に隣接して位置付けされた前記少なくとも1つの内側フォイルパッドの前記タブは、前記外側フォイルアセンブリから取り外される、請求項14に記載のコンプレッサ。
【請求項16】
前記駆動シャフトは、該駆動シャフトの回転軸線の周りに第1の方向に回転するように構成され、前記複数の内側フォイルパッドのそれぞれは、前記第1の方向とは反対の第2の方向に前記タブから前記自由端まで周方向に延びる、請求項12に記載のコンプレッサ。
【請求項17】
前記駆動シャフトは、前記駆動シャフトの回転軸線の周りに第1の方向に回転するように構成され、前記複数の内側フォイルパッドのそれぞれが、前記第1の方向に前記タブから前記自由端まで周方向に延びる、請求項12に記載のコンプレッサ。
【請求項18】
前記隆起フォイルアセンブリは複数の隆起フォイルを含み、各内側フォイルパッドの前記タブは、2つの隣接する隆起フォイルの間に規定された開口部を通って前記内側フォイルパッドから径方向外側に延びて前記外側フォイルアセンブリと係合する、請求項12に記載のコンプレッサ。
【請求項19】
前記コンプレッサは、第1の圧縮段と、第2の圧縮段と、圧縮冷媒を前記第1の圧縮段から前記第2の圧縮段に移送するための冷媒移送導管とを含む、請求項12に記載のコンプレッサ。
【請求項20】
モータをさらに含み、前記スリーブは前記モータの一部内に軸線方向に延びる、請求項12に記載のコンプレッサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2021年2月4日に出願した米国非仮特許出願第17/167,611号に対する優先権を主張するものであり、この米国出願の開示はその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示の分野は、概して軸受システムに関し、より詳細には、コンプレッサで使用されるガスフォイル(foil)軸受アセンブリに関する。
【背景技術】
【0003】
R134a又は他の低地球温暖化係数(GWP)冷媒等、現代の冷凍及び冷却システムで使用される一部の冷媒は、比較的密度が低く、遠心コンプレッサ等のより大きな流量のコンプレッサを必要とする。
【0004】
遠心コンプレッサは、典型的に、モータからインペラに動力を伝達するために使用される駆動シャフトを支持するコンプレッサ軸受を含み、インペラは入ってくる冷媒に運動エネルギーを与える。コンプレッサ軸受には、典型的に、コンプレッサ軸受と駆動シャフトとの間の摩擦を軽減するための1つ又は複数の特徴が設けられる。軸受のこれらの摩擦低減特徴の設計は、少なくとも部分的には冷媒と、エアコン用コンプレッサ等のガスコンプレッサ内の困難な動作環境とに起因して、継続的な課題を引き起こす。
【0005】
既存の冷媒コンプレッサのいくつかのコンプレッサ軸受は潤滑剤としてオイル又は代替組成物を使用するが、一部の冷媒は少なくとも一部の既存の潤滑剤組成物と相溶しない。他のコンプレッサ軸受は、高強度磁石によって提供される磁場内で駆動シャフトを浮遊させるオイルフリーの磁気軸受であるが、磁気軸受は、典型的に、設計が複雑で、重量が大幅に増加し、複雑な制御が必要であり、駆動シャフトの材料の選択は磁気軸受内の磁場に応答するために強磁性材料に限定される。別のタイプのオイルフリー軸受は、コンプライアント(compliant)なフォイル要素を含むフォイル軸受であり、それらフォイル要素は、駆動シャフトを取り囲み、駆動シャフトの回転速度がリフトオフ速度と呼ばれる閾値速度を超えたときに駆動シャフトとフォイル要素との間に形成される流体層上で駆動シャフトを支持する。フォイル軸受は、遠心コンプレッサに特有の高速動作環境に適しており、あらゆる冷媒組成物と互換性があり、より広範な種類の駆動シャフト材料に使用できるため、軽量材料の使用が可能になり、コンプレッサを作動させるために必要なエネルギー量を削減する。
【0006】
遠心コンプレッサにおいてフォイル軸受アセンブリを使用する際の少なくとも1つの考慮事項は、準同期振動、すなわち、軸受によって支持されるシャフト又は他のロータの回転周波数よりも低い周波数で発生する振動である。フォイル軸受アセンブリを組み込んだ遠心コンプレッサは、準同期振動が発生しやすいため、コンプレッサの動作範囲が狭くなる可能性がある。
【0007】
この背景技術の段落は、以下に説明及び/又は特許請求の範囲に記載される、本開示の様々な態様に関連し得る技術の様々な態様を読者に紹介することを目的としている。この議論は、読者に背景技術の情報を提供して、本開示の様々な態様のよりよい理解を促すのに役立つと考えられる。従って、これらの記述はこの観点で理解すべきであり、従来技術として認めるものではないことを理解されたい。
【発明の概要】
【0008】
一態様では、軸受システムは、軸受ハウジング及びフォイル軸受アセンブリを含む。軸受ハウジングは、円筒形ボアを規定し、少なくとも1つの軸受アセンブリのロック機能を含むスリーブと、軸受システムをコンプレッサハウジングに接続するための取付構造とを含む。フォイル軸受アセンブリは、円筒形ボア内に位置付けされ、外側フォイルアセンブリ、内側フォイルアセンブリ、及び外側フォイルアセンブリと内側フォイルアセンブリとの間に配置された隆起(bump)フォイルアセンブリを含む。外側フォイルアセンブリは、軸受保持機構を含む第1の端部から第2の端部まで周方向に延びる少なくとも1つの外側フォイルパッドを含む。軸受保持機構は、フォイル軸受アセンブリを軸受ハウジング内で固定回転位置に維持するために、少なくとも1つの軸受アセンブリのロック機構と協働して係合する。内側フォイルアセンブリは、フォイル軸受アセンブリの周りに周方向に間隔を置いて配置された複数の内側フォイルパッドを含む。各内側フォイルパッドは、タブから自由端まで周方向に延びる。内側フォイルパッドのうちの少なくとも1つは、タブに沿って外側フォイルアセンブリに溶接される。
【0009】
別の態様では、コンプレッサは、コンプレッサハウジングと、コンプレッサハウジング内に回転可能に支持される駆動シャフトと、駆動シャフトに接続され、駆動シャフトの回転時に流入冷媒ガスに運動エネルギーを与えるように動作可能なインペラと、コンプレッサハウジングに取り付けられた軸受ハウジングと、駆動シャフトを回転可能に支持するフォイル軸受アセンブリとを含む。軸受ハウジングは、円筒形ボアを規定するスリーブを含み、少なくとも1つの軸受アセンブリのロック機構を含む。フォイル軸受アセンブリは、円筒形ボア内に位置付けされ、外側フォイルアセンブリ、内側フォイルアセンブリ、及び外側フォイルアセンブリと内側フォイルアセンブリとの間に位置付けされた隆起フォイルアセンブリとを含む。外側フォイルアセンブリは、フォイル軸受アセンブリを軸受ハウジング内で固定回転位置に維持するために、少なくとも1つの軸受アセンブリのロック機構と協働して係合する少なくとも1つの軸受保持機構を含む。内側フォイルアセンブリは、フォイル軸受アセンブリの周りに周方向に間隔を置いて配置された複数の内側フォイルパッドを含む。各内側フォイルパッドは、タブから自由端まで周方向に延びる。内側フォイルパッドのうちの少なくとも1つは、タブに沿って外側フォイルアセンブリに溶接される。
【0010】
上述の態様に関連して述べた特徴には、様々な改良が存在する。更なる特徴も上述の態様に同様に組み込むことができる。これらの改良点及び追加特徴は、個別に存在することも、任意の組合せで存在することもできる。例えば、図示する実施形態のいずれかに関連して以下で議論する様々な特徴は、単独で又は任意の組合せで、上述の態様のいずれかに組み込むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
以下の図は、本開示の様々な態様を示している。
【
図1】組み立てた状態のコンプレッサの斜視図である。
【
図2】外部導管を取り外した状態の、
図1の線2-2に沿って切り取ったコンプレッサの断面図である。
【
図3】外部コンプレッサハウジングを取り外した状態の、
図2のコンプレッサの断面図である。
【
図4】駆動シャフトの端部に取り付けられたインペラの側面図であり、駆動シャフトが軸受ハウジングによって支持されている。
【
図5】
図4に示される線5-5に沿って切り取られた、軸受ハウジングのスリーブの断面図であり、駆動シャフトが、フォイル軸受アセンブリ内で支持され、一対の保持クリップを使用して軸受ハウジングのスリーブ内に維持されることを示す。
【
図6】
図1のコンプレッサでの使用に適した軸受ハウジングの別の実施形態の断面図であり、駆動シャフトが、フォイル軸受アセンブリ内で支持され、軸受ハウジング内に形成された保持リップの一端と、保持クリップの反対端との間で軸受ハウジング内に維持されることを示す。
【
図7】軸受ハウジング及び駆動シャフトに対するフォイル軸受アセンブリの要素の配置を示す分解図である。
【
図8】
図5及び
図7に示されるフォイル軸受アセンブリの正面図である。
【
図9】
図6及び
図7に示されるフォイル軸受アセンブリの正面図である。
【
図10】
図9に示されるフォイル軸受アセンブリの拡大図である。
【
図11】
図7に示される軸受ハウジングの背面図である。
【
図12】
図7に示される軸受ハウジングの側面図である。
【
図13】
図7に示される軸受ハウジングの斜視図である。
【
図14】
図10に示される軸受ハウジングのスリーブの拡大図であり、軸受アセンブリのロック機構を示す。
【
図15】フォイルキーパー及びフォイル保持クリップを取り外した状態の、
図8に示されるフォイル軸受アセンブリの正面図である。
【
図16】
図15に示されるフォイル軸受アセンブリの拡大図であり、フォイル軸受アセンブリの様々な特徴をより詳細に示す。
【
図17】
図1のコンプレッサでの使用に適した別のフォイル軸受アセンブリの正面図である。
【
図18】フォイル軸受アセンブリをシリンダ内に形成する前の、
図15に示されるフォイル軸受アセンブリの内部図である。
【
図19】
図1のコンプレッサでの使用に適した別のフォイル軸受アセンブリの正面図であり、フォイル軸受アセンブリの内側フォイルパッドのうちの1つの内側フォイルパッドのタブが、外側フォイルアセンブリの軸受保持機構に隣接して位置付けされている。
【
図20】
図15に示されるフォイル軸受アセンブリの正面図であり、フォイル軸受アセンブリの内側フォイルパッドが
図15に示されるものとは異なる向きで取り付けられている。
【
図21】フォイル軸受アセンブリをシリンダ内に形成する前の、
図20に示されるフォイル軸受アセンブリの内部図である。
【
図22】複数の又はセグメント化した外側フォイルパッドを含む、
図1のコンプレッサでの使用に適した別のフォイル軸受アセンブリの正面図である。
【
図23】
図22に示されるフォイル軸受アセンブリの正面図であり、フォイル軸受アセンブリの内側フォイルパッドのタブが、外側フォイルパッドの軸受保持機構に隣接して位置付けされている。
【
図24】
図23に示されるフォイル軸受アセンブリの拡大図であり、フォイル軸受アセンブリの様々な特徴をより詳細に示す。 全図面を通じて、対応する参照符号は対応する部分を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1を参照すると、二段式冷媒コンプレッサの形態で示されるコンプレッサが全体的に100で示される。コンプレッサ100は、一般に、少なくとも1つの密閉キャビティを形成するコンプレッサハウジング102を含み、そのキャビティの中で冷媒圧縮の各段階が実施される。コンプレッサ100は、冷媒蒸気を第1の圧縮段(
図1では符号なし)に導入する第1の冷媒入口110、第1の冷媒出口114、圧縮冷媒を第1の圧縮段から第2の圧縮段に移送する冷媒移送導管112、冷媒蒸気を第2の圧縮段(
図1では符号なし)に導入するための第2の冷媒入口118、及び第2の冷媒出口120を含む。冷媒移送導管112は、両端で第1の冷媒出口114及び第2の冷媒入口118にそれぞれに動作可能に接続される。第2の冷媒出口120は、圧縮冷媒を第2の圧縮段からコンプレッサ100が組み込まれている冷却システムに送る。冷媒移送導管112は、例えば、節約のために冷媒ポート122をさらに含むことができる。
【0013】
図2を参照すると、コンプレッサハウジング102は、コンプレッサ100の両端で第1の圧縮段124及び第2の圧縮段126を囲んでいる。第1の圧縮段124は、第1の冷媒入口110を介して入って来る冷媒に運動エネルギーを加えるように構成された第1のインペラ106を含む。第1のインペラ106によって冷媒に与えられた運動エネルギーは、冷媒の速度がディフューザ136への移送時に遅くなるにつれて、冷媒圧力が増加した状態(すなわち、圧縮)に変換される。同様に、第2の圧縮段126は、第1の圧縮段124から移送され、第2の冷媒入口118を介して入る冷媒に運動エネルギーを加えるように構成された第2のインペラ116を含む。第2のインペラ116によって冷媒に与えられた運動エネルギーは、冷媒速度がディフューザ138への移送時に遅くなるにつれて、冷媒圧力が増加した状態(すなわち、圧縮)に変換される。圧縮冷媒は、第2の冷媒出口120を介して第2の圧縮段126から出る(
図2には図示せず)。
【0014】
図2及び
図3を参照すると、第1段インペラ106及び第2段インペラ116は、駆動シャフト104の両端に接続される。駆動シャフト104は、第1段インペラ106と第2段インペラ116との間に位置付けされたモータ108に動作可能に接続されており、それによって、第1段インペラ106及び第2段インペラ116が、第2冷媒出口120から出る冷媒を予め選択した圧力まで圧縮するように選択された回転速度で回転する。任意の適切なモータを、電気モータを含むが、これに限定されないコンプレッサ100に組み込むことができる。駆動シャフト104は、以下にさらに詳細に説明するように、各軸受ハウジング200/200aのスリーブ202内に位置付けされたガスフォイル軸受アセンブリ300によって支持される。各軸受ハウジング200/200aは、
図2に示されるように、それぞれの軸受ハウジング200/200aをコンプレッサハウジング102に接続するための取付構造210を含む。
【0015】
図4を参照すると、各軸受ハウジング200/200a(
図4には軸受ハウジング200のみを示す)は駆動シャフト104を支持し、駆動シャフト104はスリーブ202の反対側で軸受ハウジング200/200aを通って突出し、インペラ106は駆動シャフト104の突出端部に接続される。
図5及び
図7を参照すると、ガスフォイル軸受アセンブリ300は、軸受ハウジング200内の円筒形ボア206内に位置付けされる。駆動シャフト104は、ガスフォイル軸受アセンブリ300(スリーブ202の内壁に隣接して位置付けされた外側コンプライアントフォイルアセンブリ又はフォイル層302を含む)と、駆動シャフト104に隣接して位置付けされた内側コンプライアントフォイルアセンブリ又はフォイル層306(「トップフォイル」とも呼ばれる)と、内側フォイル層306と外側フォイル層302との間に位置付けされた隆起フォイルアセンブリ又はフォイル層310と密接に嵌合する。ガスフォイル軸受アセンブリ300のフォイルアセンブリ又は層302/306/310は、本質的に、駆動シャフト104を受容するようにサイズ決めされた円筒形のチューブを形成し、既存のフォイル軸受設計方法によって決定されるような、比較的小さなギャップ設計、又はギャップのない設計である。外側フォイル層302、内側フォイル層306、及び隆起フォイル層310等のフォイル軸受アセンブリ300の構成要素は、フォイル軸受アセンブリ300が本明細書で説明するように機能するのを可能にする任意の適切な材料で構成され得る。適切な材料としては、例えば、限定するものではないが、金属合金が挙げられる。いくつかの実施形態では、例えば、外側フォイル層302、内側フォイル層306、及び隆起フォイル層310のそれぞれは、ステンレス鋼(例えば、17-4ステンレス鋼)で構成される。フォイル層は、比較的薄いシート又は「フォイル」材料から形成することができる。例えば、フォイルアセンブリ又は層302/306/310は、0.003インチ(0.076ミリメートル)~0.007インチ(0.1778ミリメートル)の範囲の厚さを有する金属シートで構成することができる。
【0016】
図5を再び参照すると、図示の実施形態におけるフォイル軸受アセンブリ300は、層302/306がスリーブ202の円筒形ボア内で軸線方向に摺動するのを阻止するために、層302/306/310の対向端部に隣接して位置付けされた一対のフォイルキーパー312a/312bをさらに含む。フォイルキーパー312a/312bにそれぞれ隣接して位置付けされた一対のフォイル保持クリップ314a/314bは、層302/306/310を円筒形ボア206内のロックされた軸線方向位置に固定する。フォイル保持クリップ314a/314bは、軸受ハウジング200に取り外し可能に接続され得る。
図8は、フォイル軸受アセンブリ300の一端におけるフォイルキーパー312a及びフォイル保持クリップ314aの配置をさらに示す。
【0017】
他の実施形態では、
図6に示されるように、各軸受ハウジング200/200a(
図6には軸受ハウジング200のみを示す)は、軸受ハウジング200と一体的に形成され(例えば、鋳造により)且つ円筒形ボア206を規定する径方向内面204から径方向内側に突出するフォイル保持リップ214を含む。図示の実施形態では、フォイル保持リップ214は、インペラ116(
図2~
図3に示す)に近い円筒形ボア206のインペラ端部216の近くに位置付けされる。フォイル保持リップ214は、フォイル軸受アセンブリ300の層302/306/310の少なくとも一部分と重なる径方向内面204から径方向距離だけ突出するようにサイズ決め及び寸法決めされる。フォイル保持リップ214は、径方向内面204の周囲の周りに完全に延びており、又はフォイル保持リップは、径方向内面204の周囲の一部に亘って延びており、隣接する径方向内面204と面一の空間によって分離された2つ以上のセグメントを含むことができる。
【0018】
図6に示される実施形態のフォイル軸受アセンブリ300は、層302/306/310がスリーブ202の円筒形ボア内で軸線方向に移動するのを阻止するために、フォイル保持リップ214とは反対側の層302/306/310の端部に隣接して位置付けされた単一のフォイル保持クリップ314をさらに含む。この実施形態では、フォイル保持クリップ314は、円筒形ボア206のモータ端部218の近くで円筒形ボア206の径方向内面204内に形成された周囲溝212にスナップ嵌めされる。
図9及び
図10は、フォイル軸受アセンブリ300の一端におけるフォイル保持クリップ314の配置をさらに示す。フォイル保持クリップ314は、外層302にクリアランスを提供し、以下にさらに説明するように、径方向外側に突出するタブ316を形成する少なくとも1つの軸受保持機構304と重なり合うようにサイズ決め及び寸法決めされる。
【0019】
フォイル保持リップ214は、インペラ端部216に近い円筒形ボア206の任意の領域内に位置付けすることができ、これには、インペラ端部216における円筒形ボア206の開口部にすぐ隣接する位置が含まれるが、これに限定されない。あるいはまた、フォイル保持リップ214は、モータ端部218に近い円筒形ボア206の任意の領域内に位置付けすることができ、これには、モータ端部218における円筒形ボア206の開口部にすぐ隣接する位置が含まれるが、これに限定されない。このような実施形態では、フォイル保持クリップ314は、
図6に示される配置とは本質的に反対の配置で、インペラ端部216近くの円筒形ボア206の径方向内面204内に形成された周方向溝212にスナップ嵌めされる。
【0020】
図6を再び参照すると、フォイル軸受アセンブリ300は、モータ端部218において軸受ハウジング200の円筒形ボア206内にフォイル軸受アセンブリ300を挿入することによって、軸受ハウジング200内に設置される。次に、層302/306/310がフォイル保持リップ214に接触するまで、フォイル軸受アセンブリ300をインペラ端部216に向けて円筒形ボア206内を軸線方向に前進させる。次に、フォイル保持クリップ314を円筒形ボア206のモータ端部218近くの周囲溝212にスナップ嵌めして、フォイル軸受アセンブリ300を所定の位置にロックする。
【0021】
他の実施形態では、フォイル軸受アセンブリ300をスリーブ202内に固定(affix)するための任意の適切な方法が使用され得る。適切な方法の非限定的な例には、キーパー及び保持クリップ、接着剤、止めねじ、及び任意の他の適切な固定方法が含まれる。
【0022】
図11、
図12、及び
図13を参照すると、各軸受ハウジング200/200a(
図11、
図12、及び
図13には軸受ハウジング200のみを示す)の取付構造210によって、それぞれの軸受ハウジング200/200aをコンプレッサハウジング102に接続する(
図1及び
図2に示す)。図示の実施形態では、取付構造210は、一般に、コンプレッサハウジング102の外形寸法と一致する寸法まで径方向外向きに突出する。軸受ハウジング200は、環状フランジを含むがこれに限定されない任意の形態の取付構造210を含むことができる。軸受ハウジング200/200aはさらに、上述のフォイル軸受アセンブリ300等のラジアル軸受、スラスト軸受、並びに近接プローブ、圧力トランスデューサ、熱電対、及びキー位相器等のパッシブ又はアクティブ制御スキームのフィードバックとして使用される感知装置250(
図4に示す)を含むがこれらに限定されない様々な要素の取付構造として機能することができる。軸受ハウジング200は、フォイル軸受アセンブリの能動的な冷却を可能にするために、外部冷却剤導管又はチャネル220(
図11に示す)をさらに含むことができる。冷却剤チャネル220は、例えば、円筒形ボア206から軸受ハウジング200/200aの径方向外縁222に形成された開口部260まで径方向外向きに延びることができ(
図7も参照)、外部供給源及び/又は冷媒システムから軸受ハウジング200/200a及びフォイル軸受アセンブリ300へ冷却剤を供給することができる。コンプレッサシステム100での使用に適した冷媒チャネル及び冷媒送出方法の追加の詳細は、例えば、2020年3月5日に出願した米国特許出願第2006/0120113号に記載されており、この開示内容全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0023】
図13及び
図14を参照すると、軸受ハウジングスリーブ202は、円筒形ボア206を規定する径方向内面204を有する。円筒形ボアの断面プロファイルは、本質的に円形であってもよく、楕円形、正方形、及び八角形等の、限定されない円みを帯びた形状形又は多角形であってもよい。径方向内面204は、フォイル軸受アセンブリ300の外層302が径方向内面204に接触するように、フォイル軸受アセンブリ300を受容するようなサイズ決め及び寸法決めされる。
【0024】
図13を参照すると、径方向内面204には、フォイル軸受アセンブリをスリーブ202内の軸線方向固定位置及び回転位置に保持できるようにする少なくとも1つ又は複数の追加の特徴が設けられる。いくつかの実施形態では、例えば、第1の周囲溝212a及び第2の周囲溝212bが径方向内面204内に形成される。第1及び第2の周囲溝212a/212bは、
図5に示されるように、フォイル保持クリップ314a及び314bをそれぞれ受容するようにサイズ決め及び寸法決めされる。他の実施形態では、第1の周囲溝212aを周囲フォイル保持リップ214に置き換えることができる(
図6を参照)。
【0025】
図14を参照すると、軸受ハウジング200の径方向内面204には、少なくとも1つの軸受アセンブリのロック機構208がさらに設けられる。軸受アセンブリのロック機構208は、以下に説明するように、フォイル軸受アセンブリ300に設けられた1つ又は複数の軸受保持機構とインターロックする。軸受アセンブリのロック機構208は、制限なく、任意の適切な形態の機械的にインターロックする機構であってもよい。適切な機械的にインターロックする機構の非限定的な例には、軸線方向の隆起部、キー、又はタブ等の隆起機構、及び
図14に示されるような軸線方向に延びるスロット、軸線方向に延びるキーホール又はキーパー等の径方向内面204内に形成される軸線方向の凹みが含まれる。
図14に示される軸受ハウジング200は、単一の軸受アセンブリのロック機構208を含むが、軸受ハウジング200が2つ以上の軸受アセンブリのロック機構208を含むことができることを理解されたい。いくつかの実施形態では、例えば、軸受ハウジング200の径方向内面204は、径方向内面に沿って周方向に間隔をあけて配置された複数の軸線方向に延びる溝を規定し、軸線方向に延びる溝のそれぞれは、フォイル軸受アセンブリ300の対応する軸受保持機構を受容するようにサイズ決め及び寸法決めされる。
【0026】
図15及び
図16を参照すると、フォイル軸受アセンブリ300は、軸受アセンブリのロック機構208と協働して係合して、フォイル軸受アセンブリを軸受ハウジング内でスリーブ202の円筒形ボア206内の固定回転位置に維持するための少なくとも1つの軸受保持機構304をさらに含む。すなわち、軸受保持機構304及び軸受アセンブリのロック機構208は、軸受保持機構304が軸受アセンブリのロック機構208と係合したときに、軸受アセンブリのロック機構208が、軸受保持機構304の少なくとも回転運動を阻止又は制限するように、互いに相補的なサイズ及び形状になっている。少なくとも1つの軸受保持機構304は、制限なく、任意の適切な形態の機械的にインターロックする機構を含むことができる。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの軸受保持機構304は、円筒形ボア206内に設けられる軸受アセンブリのロック機構208の選択に基づいて選ばれる。適切な機械的にインターロックする機構の非限定的な例には、軸線方向の隆起部、キー、又はタブ等の隆起機構、並びに軸線方向スロット、軸線方向キーホール、又はキーパー等のフォイル軸受アセンブリ300の少なくとも外側フォイル層302内に形成された軸線方向凹みも含まれる。
【0027】
図示の実施形態のフォイル軸受アセンブリ300は、外層302の縁に沿って形成された単一の軸受保持機構304を含む。軸受保持機構は、
図14に示されるように、軸線方向スロット208の形態で設けられる、軸受アセンブリのロック機構208とインターロックするようにサイズ決め及び寸法決めされた軸線方向タブ316を規定する。他の実施形態では、フォイル軸受アセンブリ300は、例えば内層306の縁部に沿って形成された追加の軸受保持機構304を含んでもよい(例えば、
図23及び24を参照)。このような実施形態では、外層302及び内層306に沿って形成された軸受保持機構304は、互いに隣接して位置付けされ、及び/又は(例えば、溶接によって)一緒に接合されて、軸線方向タブ316を規定することができる。
【0028】
フォイル軸受アセンブリ300は、制限なく、任意の適切な形態で提供され得る。例えば、フォイル軸受アセンブリ300には、制限なく、2層、3層、4層、又は追加の層を設けてもよい。
【0029】
外側フォイルアセンブリ302は、少なくとも1つの外側フォイルパッド318を含む。
図1~
図16に示される例示的な実施形態では、外側フォイルアセンブリ302は、単一の一体フォイルから構成される単一の外側フォイルパッド318を含む。他の実施形態では、外側フォイルアセンブリ302は、複数の外側フォイルパッドから構成してもよい(例えば、
図20~
図22を参照)。外側フォイルアセンブリ302は、コンプレッサ100の動作中に駆動シャフト104によって内側フォイルアセンブリ306に加えられる径方向の力によって生じる過渡的な動きを効率的に伝達するために、隣接する隆起フォイルアセンブリ310を支持するための平滑な内面を提供することができる。外側フォイルアセンブリ302は、軸受ハウジング200の円筒形ボア206の下にある径方向内面204の表面平滑度とは無関係に、この平滑な内面を提供する。こうして、いくつかの実施形態では、外側フォイルアセンブリ302の使用によって、円筒形ボア206の径方向内面204の表面仕様の向上を容易にする、又は換言すれば、径方向内面204の表面平滑性要件を低減するのを容易にする。いくつかの実施形態では、フォイル軸受アセンブリ300は、軸受ハウジング200の円筒形ボア206の径方向内面204を平滑にするための更なる機械加工、研削、又は他の手段を必要としない、「鋳放し」状態の軸受ハウジング200での使用に適している。従って、いくつかの実施形態では、円筒形ボア206の径方向内面204は、鋳放し表面である。すなわち、円筒形ボア206の径方向内面204は、径方向内面204を平滑にするためのポストキャスト(post-cast)機械加工、研削、又は同様の手段を受けていない鋳造軸受ハウジング200の表面である。
【0030】
外側フォイルアセンブリ302は、例えば2020年3月5日に出願した米国特許出願第16/809,836号に記載されているように、フォイル軸受アセンブリ300の熱管理を改善し、フォイル軸受アセンブリ300のスペース要件の削減を促進することもでき、その米国出願の開示内容全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0031】
フォイル軸受アセンブリ300の隆起フォイルアセンブリ310は、コンプレッサ100の動作中に回転する駆動シャフト104に弾性表面を提供するために、径方向弾性構造から形成され得る。隆起フォイルアセンブリ310は、断続的な径方向圧縮負荷の下で変形し反発するように設計された変形可能な隆起部のアレイ又は他の特徴、及び断続的な径方向圧縮負荷の下で圧縮及び反発することができる他の任意の弾力性弾性材料が含まれるがこれらに限定されない、任意の適切な径方向弾性構造から形成され得る。隆起フォイルアセンブリ310は、外側フォイルアセンブリ302及び内側フォイルアセンブリ306のうちの少なくとも1つを含むがこれらに限定されない、少なくとも1つの隣接する層に接続され得る。いくつかの実施形態では、隆起フォイルアセンブリ310は、外側フォイルアセンブリ302と内側フォイルアセンブリ306との両方に接続され得る。他の実施形態では、隆起フォイルアセンブリ310は、自由にフローティングしており、フォイル軸受アセンブリ300のどの層にも接続されなくてもよい。
【0032】
図15に示されるように、例示的な実施形態の隆起フォイルアセンブリ310は、フォイル軸受アセンブリ300の周りに周方向に間隔を置いて配置された複数の隆起フォイル320を含む。各隆起フォイル320は、フォイル軸受アセンブリ300の全長又は実質的に全長に軸線方向に延びており、第1の縁部322から第2の縁部324まで周方向に延びる。各隆起フォイル320は、図示の実施形態では、第1の縁部322から第2の縁部324まで約110°の円弧角で延びる又は範囲を定めているが、他の実施形態では、隆起フォイル320は、フォイル軸受アセンブリ300の周りに110°より大きい角度で、又は小さい角度で延びることができる。さらに、隆起フォイル320は、互いに異なる円弧角を有することができる。他の実施形態では、隆起フォイルアセンブリ310は、フォイル軸受アセンブリ300の全体又は実質的に全体の周りに周方向に延びる単一の隆起フォイルを含んでもよい。
【0033】
各隆起フォイル320は、第1の縁部322と第2の縁部324との間に位置する軸線方向に延びるランド326を含む。隆起フォイル320は、ランド326に沿って外側フォイルアセンブリ302と内側フォイルアセンブリ306の一方又は両方に固定される。いくつかの実施形態では、例えば、隆起フォイル320のそれぞれは、それぞれのランド326に沿って外側フォイルアセンブリ302に溶接される。
【0034】
内側フォイルアセンブリ306は、
図15に示されるように、駆動シャフト104の表面に密接に嵌合する円筒形の内面を形成する。内側フォイルアセンブリ306は、フォイル軸受アセンブリ300の周りに周方向に間隔を置いて配置された複数の別個の又はセグメント化した内側フォイルパッド328を含む。内側フォイルアセンブリ306は、フォイル軸受アセンブリ300が本明細書で説明したように機能するのを可能にする任意の適切な数の内側フォイルパッド328を含むことができる。図示した実施形態は、3つの内側フォイルパッド328を含むが、他の実施形態は、3つより多いか、又は3つより少ない内側フォイルパッド328を含んでもよい。内側フォイルパッド328のそれぞれは、弓形であり、タブ332(
図16に示す)を含む第1の端部330から第2の自由端334に周方向に延びる。
【0035】
図15に示される実施形態では、各内側フォイルパッド328は、フォイル軸受アセンブリ300の周りに約110°の円弧角336で延びるか、又はその範囲内にある。他の実施形態では、各内側フォイルパッド328は、110°より大きい又は小さい円弧角336で延びることができる。さらに、いくつかの実施形態では、内側フォイルパッド328は、互いに異なる円弧角を有することができる。例えば、
図17は、異なる円弧角406、408を有する内側フォイルパッド404を含む、内側フォイルアセンブリ402を含むフォイル軸受アセンブリ400を示す。特に、
図17の内側フォイルアセンブリ402は、他の内側フォイルパッド404の円弧角408より大きな円弧角を有する主要な(major)内側フォイルパッド410を含む。この実施形態では、主要な内側フォイルパッド410は約160°の円弧角406を有しており、他の内側フォイルパッド404は約95°の円弧角408を有する。他の実施形態では、主要な内側フォイルパッド410は、120°~360°の範囲、120°~270°の範囲、120°~240°の範囲、120°~200°の範囲、120°~180°の範囲、120°~150°の範囲、150°~360°の範囲、150°~270°の範囲、150°~240°の範囲、150°~200°の範囲、又は150°~180°の範囲の円弧角406を有することができる。
【0036】
図15を再び参照すると、図示の実施形態では、各内側フォイルパッド328が外側フォイルアセンブリ302に接続される。例示的な実施形態では、各内側フォイルパッド328は外側フォイルアセンブリ302に溶接され、従って、タブ332は、溶接タブと交換可能に呼ばれ得る。タブ332は、抵抗溶接又はスポット溶接、及びレーザ溶接等の適切な溶接技術を使用して外側フォイルアセンブリ302に溶接され得る。他の実施形態では、内側フォイルパッド328は、他の適切な固定手段を使用して外側フォイルアセンブリ302に接続してもよい。さらに他の実施形態では、1つ又は複数の内側フォイルパッド328は、外側フォイルアセンブリ302に接続又は固定しなくてもよい。すなわち、1つ又は複数の内側フォイルパッド328は、外側フォイルアセンブリ302から取り外すことができる。
【0037】
内側フォイルパッド328は、フォイル軸受アセンブリ300が本明細書で説明したように機能できるようにする任意の適切な位置で、外側フォイルアセンブリ302に溶接又はそうでなければ接続することができる。例示的な実施形態では、各内側フォイルパッド328は、内側フォイルパッド328のそれぞれの溶接タブ332に沿って外側フォイルアセンブリ302に溶接される。
図15及び
図16に示されるように、各内側フォイルパッド328の溶接タブ332は、2つの隣接する隆起フォイル320の間に規定された開口部を通って内側フォイルパッド328から径方向外側に延び、外側フォイルアセンブリ302と係合する。
図18は、フォイル軸受アセンブリ300をシリンダ内に形成する前のフォイル軸受アセンブリ300の内部図であり、隣接する隆起フォイル320の間の内側フォイルパッド328(
図18に概略的に示される)の溶接タブ332の溶接位置337を示す。例示的な実施形態では、内側フォイルパッド328の溶接タブ332は、外側フォイルパッド318の径方向内面338(
図15)に溶接される。他の実施形態では、内側フォイルパッド328のうちの少なくとも1つの内側フォイルパッドのタブ332は、外側フォイルアセンブリ302の軸受保持機構304に隣接して溶接又は位置付けすることができる。
【0038】
例えば、
図19は、内側フォイルパッド328のうちの1つの内側フォイルパッドのタブ332が外側フォイルアセンブリ302の軸受保持機構304に隣接して位置付けされたフォイル軸受アセンブリ300を示す。この実施形態では、タブ332は、軸受保持機構304に溶接又はそうでなければ固定されない。他の実施形態では、タブ332は、例えば溶接によって軸受保持機構304に接続してもよい。
図23及び
図24はまた、本明細書でさらに詳細に説明するように、外側フォイルアセンブリ302の軸受保持機構304に隣接して位置付けされた内側フォイルパッド328のタブ332を示す。
【0039】
いくつかの実施形態では、内側フォイルパッド328のそれぞれは、内側フォイルパッド328の自由端334が自由に移動又は曲げることができるように、溶接タブ332に沿ってのみフォイル軸受アセンブリ300に安定化又は固定化される。内側フォイルパッド328の自由端334は、例えば、内側フォイルアセンブリ306のより大きなたわみ又は自由な動きを可能にすることによって、内側フォイルアセンブリ306の減衰特性を改善することができる。さらに、
図15に示されるように、内側フォイルアセンブリ306のセグメント化した内側フォイルパッド328は、隣接する内側フォイルパッド328の間に軸線方向に延びるギャップ340を規定する。これらのギャップ340は、内側フォイルアセンブリ306の径方向内面に沿って不連続部を形成し、これにより、駆動シャフト104の周りの渦巻く(swirling)流体膜が分断又は遮断される。渦巻く流体膜におけるこれらの分断は、フォイル軸受アセンブリ300内の交差結合の減少を促進し、それによって準同期振動の減少を促進する。
【0040】
内側フォイルパッド328は、フォイル軸受アセンブリ300が本明細書で説明したように機能できるようにする任意の適切な向きで外側フォイルアセンブリ302に取り付けることができる。例えば、内側フォイルパッド328は、駆動シャフト104の回転方向と同じ又は反対の向きに取り付けることができる。より具体的には、駆動シャフト104は、駆動シャフト104の回転軸線の周りを第1の方向(
図15の矢印342で示す)に回転するように構成される。
図15に示される実施形態では、内側フォイルパッド328のそれぞれは、タブ332から自由端334まで、第1の方向342とは反対の第2の方向に周方向に延びる。他の実施形態では(例えば、
図20及び
図21を参照)、内側フォイルパッド328のそれぞれは、タブ332から自由端334まで、駆動シャフト104の回転方向と同じ(第1の)方向342に周方向に延びることができる。
【0041】
内側フォイルパッド328は、外側フォイルアセンブリ302と同じ向きで、又は外側フォイルアセンブリ302の向きとは反対の向きで取り付けることもできる。例えば、外側フォイルパッド318は、軸受保持機構304を含む第1の端部から第2の端部へ周方向に延びる。
図15に示される実施形態では、外側フォイルパッド318は、第1の端部344から第2の端部346まで第1の方向に周方向に延びており、内側フォイルパッド328のそれぞれは、タブ332から自由端334まで、第1の方向とは反対の第2の方向に周方向に延びる。他の実施形態(例えば、
図20及び
図21を参照)では、内側フォイルパッド328は、外側フォイルパッド又は複数のパッド318と同じ方向に向き合わせすることができる。すなわち、内側フォイルパッド328のそれぞれは、タブ332から自由端334まで、外側フォイルパッド又は複数のパッド318と同じ(第1の)方向に周方向に延びることができる。
【0042】
図22は、コンプレッサ100での使用に適したフォイル軸受アセンブリ500の別の実施形態を示す。この実施形態では、フォイル軸受アセンブリ500は、フォイル軸受アセンブリ300の周りに周方向に間隔を置いて配置された複数の別個の外側フォイルパッド504を含む外側フォイルアセンブリ502を含む。より具体的には、外側フォイルアセンブリ502は、内側フォイルアセンブリ306の内側フォイルパッド328のそれぞれに対する外側フォイルパッド504を含む。内側フォイルパッド328のそれぞれは、隆起フォイル320のうちの1つが外側フォイルパッド504と内側フォイルパッド328との間に介在又は「挟まれている」状態で、外側フォイルパッド504の対応する1つに隣接して取り付けられるか又は位置付けされる。この配置では、外側フォイルパッド504、内側フォイルパッド328、及び隆起フォイル320は、複数のパッドモジュール506を規定し、各パッドモジュール506は、外側フォイルパッド504の1つ、内側フォイルパッド328の1つ、及び隆起フォイル320の1つを含む。この実施形態の外側フォイルアセンブリ302は、3つの外側フォイルパッド504(内側フォイルアセンブリ306の3つの内側フォイルパッド328に対応する)を含むが、他の実施形態では、外側フォイルアセンブリ302は、3つより多いか又は少ない外側フォイルパッド504を含むことができる。
【0043】
各外側フォイルパッド504は、弓形であり、軸受保持機構510(例えば、軸受保持機構304)を含む第1の端部508から第2の端部512まで周方向に延びる。各外側フォイルパッド504は、外側フォイルパッド504に取り付けられた対応する内側フォイルパッド328の円弧角336に略等しい円弧角514で延びるか、又はその範囲内にある。
図22に示す実施形態では、例えば、各内側フォイルパッド328は、約110°の円弧角336で延びており、各外側フォイルパッド504は、約120°の円弧角514で延びる。この実施形態では、各外側フォイルパッド504の第2の端部512は、隣接する外側フォイルパッド504の第1の端部508と重なる。他の実施形態では、外側フォイルパッド504は互いに重なり合わなくてもよい。いくつかの実施形態では、例えば、各外側フォイルパッド504は、ギャップ(例えば、ギャップ340と同様)によって隣接するフォイルパッドから分離され得る。さらに、外側フォイルパッド504は、
図22では全て同じ円弧角514を有するように示しているが、外側フォイルパッド504は互いに異なる円弧角を有し得ることを理解されたい。
【0044】
図示の実施形態では、内側フォイルパッド328のそれぞれは、外側フォイルパッド504のうちの1つに溶接又はそうでなければ接続される。
図22に示される実施形態では、内側フォイルパッド328のそれぞれは、内側フォイルパッド328の溶接タブ332に沿って外側フォイルパッド504のうちの1つに溶接される。さらに、この実施形態では、溶接タブ332は、対応する外側フォイルパッド504の径方向内面516に沿って溶接される。他の実施形態では、各内側フォイルパッド328のタブ332は、外側フォイルパッド504の異なる位置に溶接する又は異なる位置に隣接して溶接又は位置付けすることができる。例えば、
図23及び
図24に示されるように、各内側フォイルパッド328のタブ332は、対応する外側フォイルパッド504の軸受保持機構510に隣接して位置付けされる。この実施形態では、各内側フォイルパッド328のタブ332は、軸受保持機構510の一部として機能し、軸受保持機構304は、軸受ハウジング200の対応する軸受アセンブリのロック機構208とインターロックするようなサイズ決め及び寸法決めされた軸線方向タブ316の一部を規定する。
図23及び
図24に示される実施形態では、各内側フォイルパッド328のタブ332は、対応する外側フォイルパッド504の軸受保持機構510に溶接されない。すなわち、各内側フォイルパッド328のタブ332は、対応する外側フォイルパッドから取り外される。このような実施形態では、各内側フォイルパッド328のタブ332は、対応する外側フォイルパッド504の軸受保持機構510に隣接して位置付けされ、及び/又は軸受保持機構510と係合して、軸受アセンブリ200の対応する軸受アセンブリのロック機構208に挿入され、軸方向タブ316の一部として機能し得る。他の実施形態では、各内側フォイルパッド328のタブ332は、軸受保持機構510に溶接又はそうでなければ接続される。
【0045】
本開示の軸受ハウジング及びフォイル軸受アセンブリは、コンプレッサを組み立てる方法の一部として使用することができる。この組立方法は、上述したように、軸受ハウジングの取付構造を用いて、軸受ハウジングをコンプレッサハウジングに取り付けるステップを含む。この組立方法はまた、フォイル軸受アセンブリを軸受ハウジング内で円筒形ボアに挿入するステップと、上述したようにフォイル軸受アセンブリを軸受ハウジング内で固定回転位置に維持するために、フォイル軸受アセンブリの軸受保持機構を軸受アセンブリのロック機構と協働して係合させることによりフォイル軸受アセンブリを軸受ハウジングに接続するステップとを含む。いくつかの実施形態では、フォイル軸受アセンブリを軸受ハウジングに接続するステップは、それぞれが別個の軸受保持機構を有する複数の別個のパッドモジュールを軸受ハウジングに接続するステップを含む。この方法はさらに、少なくとも1つのフォイル保持クリップを円筒形ボアの内面内に形成した周囲溝に挿入して、フォイル軸受アセンブリを円筒形ボアに対して軸線方向の固定位置に保持するステップを含む。
【0046】
説明したシステム及び方法の実施形態は、従来のシステム及び方法と比較して優れた結果を達成する。特に、本開示の軸受システムは、セグメント化した又はマルチパッドの内側フォイルアセンブリを組み込むことによって、準同期振動(例えば、遠心コンプレッサシステムにおける)の低減を促進する。本開示のセグメント化した内側フォイルアセンブリは、単一部品又は単一の内側フォイルアセンブリと比較して、減衰が改善され、交差結合剛性が低減され、それにより準同期振動が低減される。例えば、セグメント化した内側フォイルアセンブリの実施形態は、径方向内側フォイル軸受面に沿って軸線方向に延びる不連続部を形成し、これにより、シャフトの周りの渦巻く流体膜が分断又は遮断され、それによってフォイル軸受アセンブリ内の交差結合が低減される。さらに、本開示のマルチパッド設計は、動作を向上させるために内側フォイルアセンブリの特性を調整するのを容易にする。例えば、本開示の内側フォイルパッドは、内側フォイルパッドの周方向位置に基づいて、異なる周囲円弧長さ、剛性、及び/又は他の特性を有してもよい。
【0047】
開示した軸受システムを組み込んだ冷媒コンプレッサ等の軸受システム及び方法の例示的な実施形態、及び開示した軸受アセンブリを含むコンプレッサを組み立てる方法について、上で詳細に説明した。システム及び方法は、本明細書で説明した特定の実施形態に限定されず、むしろ、システム及び方法のコンポーネントは、本明細書で説明した他のコンポーネントとは独立して別々に使用され得る。例えば、本明細書で説明した軸受ハウジング及び軸受アセンブリは、ターボチャージャコンプレッサ等の冷媒コンプレッサ以外のコンプレッサに使用することもできる。
【0048】
本開示又はその実施形態の要素を紹介する場合に、冠詞「1つの(a, an)」、「その(the, said)」は、1つ又は複数の要素が存在することを意味することを意図している。「備える、有する、含む(comprising)」、「含む、有する(including)」、「含有する(containing)」、及び「有する、含む(having)」という用語は包括的であることを意図しており、列挙した要素以外の追加の要素が存在し得ることを意味する。特定の向き(例えば、「上部」、「底部」、「側面」等)を示す用語の使用は、説明の便宜のためであり、説明したアイテムの特定の向きを必要とするものではない。
【0049】
本開示の範囲から逸脱することなく、上記の構成及び方法に様々な変更を加えることができるため、上記の説明に含まれ、添付の図面に示された全ての事項は、限定的な意味ではなく、例示的及び例示的なものとして解釈されることが意図される。
【国際調査報告】