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特表2024-506586コンパクトセルソーターにおける液滴チャンバーの統合型空気濾過及び空調
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-14
(54)【発明の名称】コンパクトセルソーターにおける液滴チャンバーの統合型空気濾過及び空調
(51)【国際特許分類】
   G01N 15/149 20240101AFI20240206BHJP
   G01N 15/14 20240101ALI20240206BHJP
   C12M 1/00 20060101ALI20240206BHJP
【FI】
G01N15/149
G01N15/14 C
C12M1/00 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023547359
(86)(22)【出願日】2022-02-05
(85)【翻訳文提出日】2023-10-02
(86)【国際出願番号】 US2022070543
(87)【国際公開番号】W WO2022170354
(87)【国際公開日】2022-08-11
(31)【優先権主張番号】63/146,562
(32)【優先日】2021-02-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/172,072
(32)【優先日】2021-04-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/258,065
(32)【優先日】2021-04-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/172,330
(32)【優先日】2021-04-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517203796
【氏名又は名称】サイテック バイオサイエンスィズ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002354
【氏名又は名称】弁理士法人平和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】クルーガー,グレン
(72)【発明者】
【氏名】ヴァレーン,デヴィッド
(72)【発明者】
【氏名】ワン,クンチェン
(72)【発明者】
【氏名】グウ,キータ
【テーマコード(参考)】
4B029
【Fターム(参考)】
4B029AA07
4B029BB01
4B029CC01
4B029FA02
4B029GB10
(57)【要約】
コンパクトソーティングフローサイトメーターシステムが開示される。本システムは、1つ以上の生体細胞又は粒子を伴うサンプル生体流体の流れにおける液滴を受け取り、1つ以上の生体細胞又は粒子を伴うサンプル生体流体の流れにおける液滴を選択的に偏向するために、フローセル及びフローセルと連通する偏向チャンバーを有するフルイディクスシステムと、1つ以上の生体細胞又は粒子を伴うサンプル生体流体の流れにおける選択的に偏向された液滴を1つ以上の容器内に受け取るために、偏向チャンバーと連通する液滴堆積ユニット(DDU)システムとを備える。DDUシステムは、ケース又はハウジングであって、ケースの縁部によって包囲される開放面を有し、ケースは、収容チャンバーの一部を形成し、ケースは、サンプル生体流体の流れにおける選択的に偏向された液滴を、収容チャンバー内の1つ以上の容器内に受け取るために、偏向チャンバーと位置合わせされた頂面開口を有する、ケース又はハウジングと、ケースの縁部の周りに取り付けられるシールと、ケースの底部に結合される1つ以上のヒンジと、1つ以上のヒンジに結合されるドアであって、ドアは、1つ以上のヒンジの周りに旋回され、ドアは、閉鎖されると、シールに押し付けられ、収容チャンバーを外部環境から封鎖する、ドアとを備える。フローサイトメーターの収容チャンバー内の空気を排出する方法が開示される。本方法は、空調チャンバーと収容チャンバーとの間の第1のトンネルにおける戻りファンをオフにすることと、空調チャンバーと収容チャンバーとの間の第2のトンネルにおける排出ファンをオンにすることであって、排出ファンは、空気を収容チャンバーから空調チャンバーに引き込むことと、排出ベントにおける弁を開放することであって、排出ファンは、空気を空調チャンバーから排出ベントを通して環境へと押し出すことと、収容チャンバーから空気を排出するために、排出ファンを所定の期間にわたって連続的に稼働させることとを含む。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つ以上の生体細胞又は粒子を伴うサンプル生体流体の流れにおける液滴を受け取り、前記1つ以上の生体細胞又は粒子を伴う前記サンプル生体流体の前記流れにおける前記液滴を選択的に偏向するために、フローセル及び前記フローセルと連通する偏向チャンバーを有するフルイディクスシステムと、
前記1つ以上の生体細胞又は粒子を伴う前記サンプル生体流体の前記流れにおける前記選択的に偏向された液滴を1つ以上の容器内に受け取るために、前記偏向チャンバーと連通する液滴堆積ユニット(DDU)システムと、
を備え、
前記DDUシステムは、
ケース又はハウジングであって、前記ケースの縁部によって包囲される開放面を有し、前記ケースは、収容チャンバーの一部を形成し、前記ケースは、前記サンプル生体流体の前記流れにおける前記選択的に偏向された液滴を、前記収容チャンバー内の1つ以上の容器内に受け取るために、前記偏向チャンバーと位置合わせされた頂面開口を有する、ケース又はハウジングと、
前記ケースの縁部の周りに取り付けられるシールと、
前記ケースの底部に結合される1つ以上のヒンジと、
前記1つ以上のヒンジに結合されるドアであって、前記ドアは、前記1つ以上のヒンジの周りに旋回され、前記ドアは、閉鎖されると、前記シールに押し付けられ、前記収容チャンバーを外部環境から封鎖する、ドアと、
を備える、
コンパクトソーティングフローサイトメーターシステム。
【請求項2】
前記DDUシステムは、前記ケースに取り付けられる少なくとも1つの電磁石と、前記ドアの内面に結合される金属製ラッチとを備える電磁ロックを更に備え、前記金属製ラッチは、前記ドアが閉鎖され、前記少なくとも1つの電磁石が通電されると、前記少なくとも1つの電磁石に引き付けられる、請求項1に記載のコンパクトソーティングフローサイトメーターシステム。
【請求項3】
前記DDUシステムは、前記ケースに取り付けられる少なくとも1つの磁石と、前記ドアの内面に結合される金属製ラッチとを備える磁気ロックを更に備え、前記金属製ラッチは、前記ドアが閉鎖されると、前記少なくとも1つの磁石に引き付けられる、請求項2に記載のコンパクトソーティングフローサイトメーターシステム。
【請求項4】
前記DDUシステムの前記ケースは、第1の側壁付近にある、第1のトンネルへの第1のトンネル開口と、第2の側壁付近にある、空調チャンバーに通じる第2のトンネルへの第2のトンネル開口とを有する中央壁を有し、前記DDUシステムは、
前記収容チャンバーから前記空調チャンバー内に流れる空気中の粒子を除去する、前記第1のトンネル内の第1の空気フィルターと、
前記第1のトンネル内の前記第1の空気フィルターを通して前記空調チャンバー内に空気を引き込む、前記第1のトンネルと位置合わせされる第1のファンと、
前記空調チャンバーから出て前記収容チャンバー内に流れる空気中の粒子を除去する、前記第2のトンネル内の第2の空気フィルターと、
前記第2のトンネル内の前記第2の空気フィルターを通して前記収容チャンバー内に空気を押し込む、前記第2のトンネルと位置合わせされる第2のファンと、
を更に備える、請求項1に記載のコンパクトソーティングフローサイトメーターシステム。
【請求項5】
前記第2のトンネル内の前記第2の空気フィルターを通して前記収容チャンバー内に空気を押し込む前記第2のファンは、前記ケースの前記頂面開口に対して前記偏向チャンバーの反対側にあり、液滴の流れ内に空気が直接吹き込まれること及び容器内に粒子又は細胞を不適当に捕捉することを回避する、請求項4に記載のコンパクトソーティングフローサイトメーターシステム。
【請求項6】
前記DDUシステムの前記ケースは、前記空調チャンバーから周囲への排出開口を更に有し、前記DDUシステムは、前記空調チャンバーから周囲に空気を通気するように選択的に開放する、前記排出開口内の排出ベントを更に備える、請求項4に記載のコンパクトソーティングフローサイトメーターシステム。
【請求項7】
前記ケースの前記空調チャンバーは、後壁における開口を備え、前記DDUシステムは、
前記空調チャンバーと周囲空気を受け取る開放空間との間にある前記ケースの前記後壁における前記開口内の熱電冷却(TEC)アレイであって、前記TECアレイは、前記空調チャンバー及び前記収容チャンバー内の空気温度を制御するように列になった複数のTEC装置を有する、TECアレイと、
前記TECアレイの正面に結合される前記空調チャンバー内の正面ヒートシンクと、
前記TECアレイの背面に結合される前記開放空間内の背面ヒートシンクと、
を更に備える、請求項4に記載のコンパクトソーティングフローサイトメーターシステム。
【請求項8】
前記TECアレイの前記正面は低温側であり、前記TECアレイの前記背面は高温側である、請求項7に記載のコンパクトソーティングフローサイトメーターシステム。
【請求項9】
前記DDUシステムは、
前記収容チャンバー内に取り付けられ、前記収容チャンバー内の空気温度をサンプリングする温度センサーと、
前記温度センサー及び前記TECアレイと通信して結合される制御回路であって、前記制御回路は、所望の空気温度設定点を受信し、前記第2のファンによって前記収容チャンバー内に吹き込まれる前記空調チャンバー内の空気を加熱及び/又は冷却するように、前記TECアレイを制御する、制御回路と、
を更に備える、請求項7に記載のコンパクトソーティングフローサイトメーターシステム。
【請求項10】
前記温度センサーは、前記収容チャンバーにおいて前記ケースの前記頂面に取り付けられる、請求項9に記載のコンパクトソーティングフローサイトメーターシステム。
【請求項11】
前記制御回路は、第1の方向における電流によって空気を加熱するように前記TECアレイを制御するとともに、前記第1の方向とは反対の第2の方向における電流によって空気を冷却するように前記TECアレイを制御する、請求項9に記載のコンパクトソーティングフローサイトメーターシステム。
【請求項12】
前記DDUシステムは、前記ケース内に挿入され、前記収容チャンバーの基部を形成する非金属製分離プレートを更に備える、請求項7に記載のコンパクトソーティングフローサイトメーターシステム。
【請求項13】
前記DDUシステムは、
前記頂面開口の周りで前記ケースの頂面に結合される一対のレールと、
前記分離プレートにわたって磁気的に摺動可能な磁気パックと、
サンプル流体の選別済み液滴を受け取る複数のウェルを有する前記磁気パックの頂部における収集プレートと、
前記磁気パックによって移動する際に、前記サンプル収集プレートの前記複数のウェルのうちの各選択されたウェル内に液滴をガイドする、単一の選別開口を有する前記一対のレール内に摺動するプレートガイドと、
を更に備える、請求項12に記載のコンパクトソーティングフローサイトメーターシステム。
【請求項14】
前記DDUシステムは、
前記頂面開口の周りで前記ケースの頂面に結合される一対のレールと、
液滴を各試験管内に受け取るために複数の試験管を受ける複数の管開口を有する、前記一対のレール内に摺動する管収集ホルダーと、
を更に備える、請求項12に記載のコンパクトソーティングフローサイトメーターシステム。
【請求項15】
前記第1の空気フィルター及び前記第2の空気フィルターは、高効率粒子空気(HEPA)フィルターである、請求項4に記載のコンパクトソーティングフローサイトメーターシステム。
【請求項16】
前記第1の空気フィルター及び前記第2の空気フィルターは、超低粒子空気(ULPA)フィルターである、請求項4に記載のコンパクトソーティングフローサイトメーターシステム。
【請求項17】
空調チャンバーと収容チャンバーとの間の第1のトンネルにおける戻りファンをオフにすることと、
前記空調チャンバーと前記収容チャンバーとの間の第2のトンネルにおける排出ファンをオンにすることであって、前記排出ファンは、空気を前記収容チャンバーから前記空調チャンバーに引き込むことと、
排出ベントにおける弁を開放することであって、前記排出ファンは、空気を前記空調チャンバーから前記排出ベントを通して環境へと押し出すことと、
前記収容チャンバーから空気を排出するために、前記排出ファンを所定の期間にわたって連続的に稼働させることと、
を含む、フローサイトメーターの収容チャンバー内の空気を排出する方法。
【請求項18】
前記所定の期間の後に、前記排出ファンをオフにすることを更に含む、請求項17に記載の空気を排出する方法。
【請求項19】
前記所定の期間の後に、前記電磁ロックを解除することを更に含む、請求項18に記載の空気を排出する方法。
【請求項20】
前記排出ファンを前記所定の期間にわたって連続的に稼働させることにより、選別チャンバー及び偏向チャンバーから前記収容チャンバーを通して空気を更に排出する、請求項17に記載の空気を排出する方法。
【請求項21】
1つ以上の生体細胞又は粒子を伴うサンプル生体流体の複数の液滴の流れを形成するフローセルであって、前記フローセルは、導電性ホース継手を受け取るポートを有するフローセル本体を有し、ソートコントローラーから信号を受信し、シース流体及び前記サンプル生体流体の少なくとも1つの液滴に電荷を選択的に印加して、少なくとも1つの帯電された液滴を形成するか、そうでない場合、複数の帯電していない液滴を残す、フローセルと、
前記サンプル生体流体の前記流れにおける前記少なくとも1つの帯電された液滴及び前記複数の帯電していない液滴を受け取るために前記フローセルと連通する偏向ユニットと、
を備え、前記偏向ユニットは、
前記流れにおける前記少なくとも1つの帯電された液滴及び前記複数の帯電していない液滴を受け取るために、前記フローセルと連通する偏向円錐及び偏向チャンバーを有するケースであって、前記ケースは、液滴を廃棄物出口に吸引するために前記偏向チャンバーにおける排液口を有する槽を更に有し、前記ケースは、基部にスロットを更に有する、ケースと、
前記偏向円錐に取り付けられる、第1の静電荷プレート及び前記第1の静電荷プレートとは反対側の第2の静電荷プレートであって、それぞれの間の隙間は徐々に大きくなり、前記第1の電荷プレートは、正の高電圧を受け取り、前記第2の電荷プレートは、負の高電圧を受け取り、前記流れにおける前記少なくとも1つの帯電された液滴及び前記複数の帯電していない液滴が通過する静電界を形成し、前記複数の帯電していない液滴は、前記サンプル生体流体の液滴の中央流経路内の前記静電界を通過し、前記少なくとも1つの帯電された液滴は、前記中央流経路から離れるように偏向される、第1の静電荷プレート及び第2の静電荷プレートと、
前記ケースの前記槽内のシャフトに沿って配置される、第1の旋回スカッパー、第2の旋回スカッパー、及び前記第1の旋回スカッパーと前記第2の旋回スカッパーとの間の非旋回中央収集部であって、前記第1の旋回スカッパー及び前記第2の旋回スカッパーは、前記第1のシャフトとともに、液滴を前記排液口に吸引するために前記槽内に導く第1の位置と、前記少なくとも1つの帯電された液滴が前記中央流経路から離れるように偏向され、前記スロットを通過して収集される第2の位置との間で旋回し、前記中央非旋回吸引器は、前記中央流経路内の前記複数の帯電していない液滴を前記排液口に吸引するために前記槽内に導くように、旋回しない、第1の旋回スカッパー、第2の旋回スカッパー、及び非旋回中央収集部と、
を備える、コンパクトソーティングフローサイトメーターシステム。
【請求項22】
前記第1の旋回スカッパー、前記第2の旋回スカッパー、及び前記中央非旋回吸引器は、前記中央非旋回吸引器を、前記フローセルからの前記複数の帯電していない液滴の前記中央流経路と位置合わせするために、前記第1のシャフトによって水平方向(左右)に調整可能である、請求項21に記載のコンパクトソーティングフローサイトメーターシステム。
【請求項23】
前記第1のシャフト内の中空開口を通して挿入される第2のシャフトと、
前記第1の旋回スカッパー、前記第2の旋回スカッパー、及び前記中央非旋回吸引器の水平位置を調整するために、一方向に回すと前記第2のシャフトを引っ張り、反対方向に回すと前記第2のシャフトを押し出すように、前記第2のシャフトのねじ山と係合されるねじ付き調整つまみと、
を更に備える、請求項21に記載のコンパクトソーティングフローサイトメーターシステム。
【請求項24】
前記偏向ユニットは、少なくとも1つのレールに摺動式に取り付けられ、前記中央流経路の位置を調整するために、前記少なくとも1つのレールに沿って水平方向に調整可能である、請求項21に記載のコンパクトソーティングフローサイトメーターシステム。
【請求項25】
前記偏向ユニットは、前記中央流経路の前記位置を、前記偏向円錐において前記第1の静電荷プレートと前記第2の静電荷プレートとの間で等距離になるように調整するために、水平方向に調整される、請求項24に記載のコンパクトソーティングフローサイトメーターシステム。
【請求項26】
前記偏向ユニットは、少なくとも1つのレールに摺動式に取り付けられ、前記中央流経路の位置を調整するために、前記少なくとも1つのレールに沿って水平方向に調整可能である、請求項2に記載のコンパクトソーティングフローサイトメーターシステム。
【請求項27】
前記偏向ユニットは、前記偏向円錐において前記第1の静電荷プレートと前記第2の静電荷プレートとの間で等距離になるように前記中央流経路の前記位置を調整するために、水平方向に調整される、請求項26に記載のコンパクトソーティングフローサイトメーターシステム。
【請求項28】
前記第1のシャフトに結合される第1のプーリーと、
第3のシャフトに結合される第2のプーリーを備えるリバーシブル電気モーターであって、前記第3のシャフトは、前記リバーシブル電気モーターによって時計回り及び反時計回りに回転される、リバーシブル電気モーターと、
前記第1のプーリー及び前記第2のプーリーの上に取り付けられる円形ベルトと、
を更に備え、
前記円形ベルトは、前記リバーシブル電気モーターに応じて前記第1のプーリーを駆動し、前記第1の旋回スカッパー及び前記第2の旋回スカッパーを前記第1の位置と前記第2の位置との間で旋回させる、請求項23に記載のコンパクトソーティングフローサイトメーターシステム。
【請求項29】
前記信号は、
前記シース流体に接地を印加し、前記複数の帯電していない液滴を帯電しないままにする接地信号と、
前記シース流体に正電荷を印加して、それを液滴に伝達し、正に帯電した液滴を形成する正電荷信号と、
前記シース流体に負電荷を印加して、それを液滴に伝達し、負に帯電した液滴を形成する負電荷信号と、
のうちの1つである、請求項21に記載のコンパクトソーティングフローサイトメーターシステム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
この特許出願は、発明者らGlen Krueger他によって2021年4月8日に出願された「INTEGRATED AIR FILTERING AND CONDITIONING OF DROPLET CHAMBER IN A COMPACT CELL SORTER」と題する米国仮特許出願第63/172,330号の利益を主張し、この米国仮特許出願は、全ての意図及び目的のために参照により本明細書に援用される。この特許出願は、発明者らGlen Krueger他によって2021年4月7日に出願された「INTEGRATED AIR FILTERING AND CONDITIONING OF DROPLET CHAMBER IN A COMPACT CELL SORTER」と題する米国仮特許出願第63/258,065号の利益を主張し、この米国仮特許出願は、全ての意図及び目的のために参照により本明細書に援用される。この特許出願は、発明者らGlen Krueger他によって2021年4月7日に出願された「INTEGRATED COMPACT CELL SORTER」と題する米国仮特許出願第63/172,072号の利益を主張し、この米国仮特許出願は、全ての意図及び目的のために参照により本明細書に援用される。この特許出願は、発明者らBabak Honaryar他によって2021年2月5日に出願された「LOADING SYSTEM WITH MAGNETICALLY COUPLED SAMPLE MOVER FOR FLOW CYTOMETRY AND CELL SORTER SYSTEMS」と題する米国仮特許出願第63/146,562号の利益を主張し、この米国仮特許出願は、全ての意図及び目的のために参照により本明細書に援用される。
【0002】
本発明の実施形態は、包括的には、セルソーターシステムに関する。
【背景技術】
【0003】
フローサイトメトリー及びセルソーティングは、流体流内で運ばれる試験サンプルの細胞又は粒子の光学測定を伴う。セルソーティングはさらに、対象の細胞を更なる使用(例えば、試験)又は計数のために異なる試験容器(例えば、試験管)に選別して入れる。これらのタスクを達成する実験器具は、フローサイトメーター及びセルソーターとして知られ、ソーティングフローサイトメーターとも呼ばれる。
【0004】
多くの場合、外部のサポート機器が、フローサイトメーター又はセルソーターを安全に動作させるように接続され、危険な分子又は生体細胞が実験室に放出されないことを確実にする。他の場合では、試験を受ける分子又は生体細胞の温度を或る範囲内に維持する必要がある。多くの場合、外部のサポート機器がフローサイトメーター又はセルソーターに接続されて、分子又は細胞にダメージを与えない許容可能な温度範囲を維持する。しかしながら、外部のサポート機器は、金銭を含む余分なコストがかかり、他の実験機器又は追加のフローサイトメーター若しくはセルソーターに使用し得る実験室内の空間を占有する。
【0005】
実験室及び机上により多く配置することができるように、フローサイトメーター/セルソーターのフットプリントを低減することが望ましい。したがって、従来のシステムを改善するために、よりコンパクトな統合型フローサイトメーター及びセルソーターが望ましい。
【発明の概要】
【0006】
実施形態は、特許請求の範囲によって要約される。
【0007】
様々な実施形態は、添付図面の図において、限定することなく、例によって示される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1A図1Aは、セルソーターシステム(ソーティングフローサイトメーターシステム)及びフローサイトメーターシステムの基本概念図である。
図1B図1Bは、様々なドアが閉鎖状態にあるコンパクトセルソーターシステムの正面図である。
図1C図1Cは、様々なドアが開放状態にあるコンパクトセルソーターシステムの正面図である。
図2A図2Aは、コンパクトセルソーターシステムの液滴堆積ユニット(DDU:droplet deposition unit)の、DDUドア及びサンプル投入ドアが開放した状態の図である。
図2B図2Bは、コンパクトセルソーターシステムの液滴堆積ユニット(DDU)の、DDUドア及びサンプル投入ドアが開放した状態の図である。
図3A図3Aは、コンパクトセルソーターシステムのフルイディクスシステム内のフルイディクスバケツの図である。
図3B図3Bは、コンパクトセルソーターシステムのフルイディクスシステム内のフルイディクスバケツの図である。
図4A図4Aは、コンパクトセルソーターシステムのフルイディクスシステム内のフローセルの図である。
図4B図4Bは、コンパクトセルソーターシステムのフルイディクスシステム内のフローセルの図である。
図5A図5Aは、コンパクトセルソーターシステムのソーティングシステムの、カバーが取り外された状態の偏向チャンバーの正面図である。
図5B図5Bは、コンパクトセルソーターシステムのソーティングシステムの偏向チャンバーの側面図である。
図5C図5Cは、4管収集ホルダーを備えるコンパクトセルソーターシステムのソーティングシステムの偏向チャンバーの断面図である。
図5D図5Dは、液滴をウェルプレートの複数のウェルのうちの1つにガイドするプレートガイドを備えるコンパクトセルソーターシステムのソーティングシステムの偏向チャンバーの断面図である。
図5E図5Eは、コンパクトセルソーターシステムのソーティングシステムの、カバーが取り外された状態の偏向ユニットの右側面図である。
図5F図5Fは、コンパクトセルソーターシステムのソーティングシステムの、カバーが取り外された状態の偏向ユニットの正面図である。
図5G図5Gは、コンパクトセルソーターシステムのソーティングシステムの、カバーが取り外された状態の偏向ユニットの左側面図である。
図5H図5Hは、中央吸引器を液滴の中央流と位置合わせするための偏向チャンバーにおけるスカッパーの左右移動を示す、カバーが取り外された状態の偏向ユニットの斜視図である。
図5I図5Iは、偏向ユニットへの液滴の中央流と位置合わせするための偏向チャンバーの横(左右)移動を示す、レールシステムから分離された、カバーが取り外された状態の偏向ユニットの右側から見た正面斜視図である。
図5J図5Jは、偏向チャンバーへの液滴の中央流と位置合わせするための偏向チャンバーの横(左右)移動を示す、レールシステムから分離された偏向ユニットの背面斜視図である。
図5K図5Kは、偏向ユニットから取り外されたスカッパー、吸引器、及び伝動シャフトの斜視図である。
図5L図5Lは、偏向ユニットから取り外されたスカッパー、吸引器、及び伝動シャフトの分解図である。
図5M図5Mは、スカッパー、吸引器、及び伝動シャフトのアセンブリをよりよく示す、偏向ユニットの断面図である。
図6A図6Aは、コンパクトセルソーターシステムのサンプル投入ステーション(SIS:sample input station)の図である。
図6B図6Bは、コンパクトセルソーターシステムのサンプル投入ステーション(SIS)の図である。
図6C図6Cは、コンパクトセルソーターシステムのサンプル投入ステーション(SIS)の図である。
図7A図7Aは、液滴偏向ユニット(DDU:droplet deflection unit)システムの一般的な場所を示す、コンパクトセルソーターシステムの正面図である。
図7B図7Bは、エレクトロニクスサブシステム及びフルイディクスサブシステムと比較される、液滴偏向ユニット(DDU)サブシステムの一般的な場所を示す、コンパクトセルソーターシステムの断面図である。
図8図8は、コンパクトセルソーターシステムにおける液滴偏向ユニット(DDU)サブシステムの拡大断面図である。
図9A図9Aは、統合型加熱及び空調サブシステムによる通常冷却動作を示す、通常モードにおけるコンパクトセルソーターシステムにおける液滴偏向ユニット(DDU)サブシステムの拡大断面図である。
図9B図9Bは、統合型加熱及び空調サブシステムによる通常加熱動作を示す、通常モードにおけるコンパクトセルソーターシステムにおける液滴偏向ユニット(DDU)サブシステムの拡大断面図である。
図10A図10Aは、排出モードにおけるコンパクトセルソーターシステムによって実行される排出動作を示す、液滴偏向ユニット(DDU)サブシステムの拡大断面図である。
図10B図10Bは、排出モードにおけるコンパクトセルソーターシステムによって実行される排出動作中の空気流を示す、ドアが開放された状態の偏向ユニットの正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図の一部又は全てが、例証のためのものであり、示す要素の実際の相対的なサイズ又は位置を必ずしも示さないことが認識されるであろう。図は、特許請求項の範囲又は意味を制限するために使用されないという明示的な理解の上で、1つ以上の実施形態を示すために設けられる。
【0010】
実施形態の以下の詳細な説明において、多数の特定の詳細が述べられる。しかし、実施形態がこれらの特定の詳細なしで実施される場合があることが当業者に明らかになるであろう。他の事例において、よく知られている方法、プロシージャ、コンポーネント、及び回路は、実施形態の態様を不必要に曖昧にしないために詳細に述べられていない。本明細書の様々な節は、体系化のために設けられる。ただし、多くの詳細及び利点は、複数の節にわたって当てはまる。
【0011】
ソーターシステムの概説
図1Aは、セルソーターシステム(ソーティングフローサイトメーター)10の基本概念図である。システム10の5つの主なサブシステムは、励起オプティクスシステム12、フルイディクスシステム14、放出オプティクスシステム16、取得システム18、及び分析システム20を含む。フルイディクスシステム14は、サンプル装填システム(図1Cに示されているサンプル投入ステーション130を参照)、調査システム28、セルソーティングシステム33、及び液滴堆積(液滴受取り)システム29を含むことができる。概して、「システム」及び「サブシステム」は、(電気的、機械的、及び電気機械的な)ハードウェアデバイス、ソフトウェアデバイス、又はその組合せを含む。
【0012】
励起オプティクスシステム12は、例えば、異なるレーザーデバイス23A~23Nと、異なるレーザー光をフローセル28の流れチャネル27内のラインに沿って離隔した光学調査領域30A~30Nに導く1つ以上の光学要素24~26とをそれぞれ有する、複数(例えば、2つ~5つ)の励起チャネル22A~22Nを含む。1つ以上の光学要素24~26の例示の光学要素は、光学プリズム及び光学レンズを含む。励起オプティクスシステム12は、フローセル28内の光学調査領域30を照明する。フルイディクスシステム14は、シース流体によって包囲された流体サンプル32を、フローセル/流れチャネル内の複数の光学調査領域30A~30Nのそれぞれを通して運ぶ。
【0013】
放出オプティクスシステム16は、複数の検出器アレイ42A~42Nを含み、そのそれぞれは、例えば、1つ以上の光学要素40、例えば、蛍光及び/又は(前方、側方、後方)散乱光を様々な電気光学検出器(トランスデューサー)に導く光ファイバー及び1つ以上のレンズを含み、電気光学検出器は、各アレイにおける側方散乱チャネル(SSC:side scatter channel)検出器及び複数(例えば、16個、32個、48個、64個)の蛍光波長範囲光学検出器、例えば、第1の波長範囲の蛍光を受け取る第1の蛍光光学検出器(FL1)、第2の波長範囲の蛍光を受け取る第2の蛍光光学検出器(FL2)、第3の波長範囲の蛍光を受け取る第3の蛍光光学検出器(FL3)、第4の波長範囲の蛍光を受け取る第4の蛍光光学検出器(FL4)、第5の波長範囲の蛍光を受け取る第5の蛍光光学検出器(FL5)、及び以下同様に第Nの波長範囲の蛍光を受け取る第Nの蛍光光学検出器(FLN)までを含む。検出器アレイ42A~42Nのそれぞれは、対応する複数のレーザー23A~23Nのそれぞれによって、フローセル28の流れチャネル27に沿った調査領域/点30A~30Nにおいて異なるレーザー光が当たり、それによって励起された細胞/粒子及び/又はそれに付着した1つ以上の蛍光色素に対応する光を受け取る。放出オプティクスシステム16は、通過する細胞/粒子及び/又は細胞/粒子に付着した蛍光色素から放出又は散乱された光子を集める。放出オプティクスシステム16は、これらの収集された光子を、光ファイバー(光学繊維)ケーブル39、1つ以上のレンズ40、及び1つ以上のミラー/フィルター41等によって、各検出器アレイにおける電気光学検出器SSC、FL1、FL2、FL3、FL4、及びFL5に導く及び集中させる。電気光学検出器SSCは、細胞/粒子から散乱する光を検出する側方散乱チャネル検出器である。電気光学検出器FL1、FL2、FL3、FL4、及びFL5は、異なるレーザーによって励起される異なる蛍光色素からの特定の異なる蛍光波長範囲を検出するために、バンドパス又はロングパスフィルターを含むことができる蛍光検出器である。各電気光学検出器は、光子を電気パルスに変換し、電気パルスを取得(エレクトロニクス)システム18に送信する。
【0014】
各検出器アレイ42A~42Nについて、取得(エレクトロニクス)システム18は、スペクトルデータ信号の複数の検出器チャネル(例えば、16個、32個、48個、又は64個のチャネル)を提供することができる1つ以上のアナログデジタル変換器47A~47N及び1つ以上のデジタル記憶装置48A~48Nを含む。スペクトルデータ信号は、信号処理(例えば、A/Dによってデジタル化)され、タイムスタンプを付与することができ、パケタイザー52によって、サンプル中の各細胞/粒子に対応するデータパケットに一緒にパケット化することができる。各細胞/粒子に対するこれらのデータパケットは、取得(エレクトロニクス)システム18によって、更なる信号処理(例えば、時間ドメインから波長ドメインへの変換/変形)及び全体的な分析のために分析システム20に送信することができる。代替的に又は併せて、検出された各チャネルからのタイムスタンプを付与されたデジタルスペクトルデータ信号は、信号処理のために分析システム20に直接送信することができる。
【0015】
分析システム20は、プロセッサ、メモリ、及びサンプル中の検出された細胞/粒子に関連するタイムスタンプを付与されたデジタルスペクトルデータのデータパケットを記憶するデータストレージを含む。分析システム20は、時間ドメインからのデータを波長/周波数ドメインにおけるデータに変換/変形し、データをともにつなぎ合わせ/統合して、異なるレーザーによって励起され、検出器アレイによって検知される細胞/粒子/色素に対する全体的なスペクトルを提供するために、プロセッサによって実行される命令を有するソフトウェアを更に含む。細胞/粒子に付着した1つ以上の蛍光色素を通した細胞/粒子のタイプの検出により、フローサイトメーター及び/又はセルソーターによって処理されるサンプルにおいて、細胞/粒子の計数を行うことができる。
【0016】
いくつかの場合、セルソーター(ソーティングフローサイトメーター)による更なる分析のために、サンプル中の細胞を選別することが望ましい。したがって、スペクトルデータ信号は、取得(エレクトロニクス)システム18におけるリアルタイムソートコントローラー50によって処理し、スペクトルデータ信号を使用してソーティングシステム33を制御し、細胞又は粒子を選別して1つ以上の試験管34に入れることもできる。この場合、ソーティングシステム33は、取得(エレクトロニクス)システム18のリアルタイムソートコントローラー50と通信し、制御信号を受信する。試験管34の代わりに、スペクトルデータ信号は、取得(エレクトロニクス)システム18のリアルタイムソートコントローラー50によって処理し、スペクトルデータ信号を使用して、ソーティングシステム33及び液滴堆積システム29の双方を制御し、細胞又は粒子を選別して移動する捕捉トレイ/プレートのウェル35に入れることもできる。この場合、液滴堆積システム29及びソーティングシステム33の双方は、取得(エレクトロニクス)システム18と通信し、制御信号を受信する。代替的な実施形態において、分析システム20は、異なる細胞/分子を選別し、ソーティングシステム33及び液滴堆積システム29を制御し、細胞/粒子を伴うサンプルの液滴を捕捉して捕捉トレイ/プレート内の複数のウェルのうちの1つ以上のウェル35に入れるために、スペクトルデータ信号の分析からこれらの制御信号を生成することができる。
【0017】
David Vraneによって2017年11月19日に出願された「FLOW CYTOMETERY SYSTEM WITH STEPPER FLOW CONTROL VALVE」と題する、現在は米国特許第10871438号として発行されている米国特許出願第15/817,277号、Ming Yan他によって2017年7月25日に出願された「COMPACT DETECTION MODULE FOR FLOW CYTOMETERS」と題する米国特許出願第15/659,610号、及びMing Yan他によって2018年3月30日に出願された米国特許出願第15/942,430号「COMPACT MULTI-COLOR FLOW CYTOMETER HAVING COMPACT DETECTION MODULE」のそれぞれは、例示的なフローサイトメーターシステム及びサブシステムを開示しており、これらの全ては、全ての意図及び目的のために参照により本明細書に援用する。Wenbin Jiangに対して2016年6月19日に発行された「Rapid Single Cell Based Parallel Biological Cell Sorter」と題する米国特許第9,934,511号は、セルソーターシステムを開示しており、これは、全ての意図及び目的のために参照により本明細書に援用する。
【0018】
コンパクトセルソーター
図1Bは、統合型コンパクトセルソーターシステム100の正面図を示している。統合型コンパクトセルソーターシステム100は、セルソーターの様々なシステム及びサブシステムを支持するシャーシ/フレーム101(図1Cを参照)を備える。フルイディクスパネル/ドア102、フローセルドア111、液滴堆積ユニット(DDU)ドア112、及びサンプル投入ドア113は、セルソーターシステムの様々なチャンバーを覆う及びシールするために、シャーシ/フレーム101に旋回式に結合される。1つ以上のサイドパネル114を使用して、シャーシ/フレームの他の部分及び内部のサブシステムをより固定的に覆う。フルイディクス入力/出力パネル104により、セルソーターシステム100を外部流体タンク及び加圧空気供給部等の外部ガス供給部に接続する。
【0019】
ここで図1Cを参照すると、統合型複合セルソーターシステム100の正面図が、ドアが開放し、パネルが取り外された状態で示されている。統合型コンパクトセルソーターシステム100のフルイディクスパネル/ドア102、フローセルドア111、DDUドア112、及びサンプル投入ドア113は、セルソーターシステムの様々なシステム及びサブシステムが見えるように、ヒンジの周りで開放位置に旋回されている。統合型コンパクトセルソーターシステム100は、フルイディクスバケツ120と、偏向チャンバー(ユニット)122と、フローセル124と、サンプル圧力チャンバー126と、液滴堆積ユニット(DDU)チャンバー又は収集チャンバー128と、サンプル投入ステーション(SIS)130と、選別収集カメラ132とを備える。サンプル投入ドア113は、SIS130に取り付けられる場合、サンプル管を見ることができる窓134を有する。DDUドア112は、選別収集カメラ132を有し、選別収集カメラ132は、偏向チャンバー122におけるスロットから左右に偏向する液滴がDDUチャンバー128内に落下し、試験管又はウェルプレート内のウェルに収集されるのを見ることができる。
【0020】
フルイディクスバケツ120(図18のフルイディクスシステム1800の一部)は、シース流体内の気泡を排除する気泡除去器を備える。フルイディクスバケツ120については、図3A及び図3Bを参照して更に論じる。フルイディクスシステムには、シース流体及びサンプル生体流体が流れるように圧力がかけられる。
【0021】
フローセル124は、シース流体を受け取るために、フルイディクスバケツ120と連通して結合される。サンプル生体流体は、細胞又は粒子とともにフローセル124を通り、シース流体に包囲される。フローセル124については、図4A及び図4Bを参照して更に論じる。
【0022】
偏向チャンバー122は、フローセル124の下にあり、フローセル124から出たサンプル生体流体及びシース流体の液滴を受け取る。偏向チャンバー122は、1つ以上の帯電された液滴を、中央流経路1699Cから離れるように1つ以上の偏向経路(例えば、1699L、1699R)に沿って偏向させる。偏向チャンバー122については、図5A図5L及び図10Bを参照して更に論じる。
【0023】
液滴堆積ユニット(DDU)チャンバー/システム128は、1つ以上の生体細胞又は粒子を伴うサンプル生体流体の流れにおける選択的に偏向された液滴を受け取り、1つ以上の容器に入れるために、偏向チャンバー122と連通する。DDUチャンバー128については、図1C図2A及び図2B、並びに図7A図10Bを参照して更に論じる。
【0024】
1つの実施形態において、フローセル124は、シース流体を受け取るために、フルイディクスシステムと連通して結合するフローセル本体であって、フローセル本体は、液滴を荷電する荷電ポートを有し、フローセル本体は、円筒形部分及び漏斗状部分を有するチャンバーを有し、漏斗状部分は、底面開口から出る、シース流体によって包囲されたサンプル流体の流体流を形成する、フローセル本体と、フローセル本体に結合される液滴駆動アセンブリであって、液滴駆動アセンブリは、フローセル本体のチャンバーに挿入され、チャンバーの漏斗状部分に位置する第1の端部を有するガラス製サンプル注入管(SIT)を備え、ガラス製サンプル注入管は、サンプル流体を受け取り、サンプル流体をチャンバーの漏斗状部分に注入するために、フルイディクスシステムと連通して結合される第2の端部を有する、液滴駆動アセンブリと、フローセル本体の基部に結合されるキュベットであって、キュベットは、フローセル本体の底面開口に隣接する流れチャネルを有し、キュベットは、底面開口から出る、シース流体によって包囲されたサンプル流体の流体流を受け取り、キュベットは、光に対して透明であり、サンプル流体中の複数の異なるタイプの細胞又は粒子を判断するために、サンプル流体に、複数の異なるレーザーによって流れチャネル内での調査を行うことを可能にする、キュベットとを備える。
【0025】
1つの実施形態において、フローセル124は、サンプル注入管からサンプル流体を受け取るために液滴駆動アセンブリの周りに結合されるフローセル本体であって、フローセル本体は、シース流体を受け取るためにフルイディクスシステムと連通して結合され、フローセル本体は、液滴を荷電する荷電ポートを有し、フローセル本体は、開口から出る、シース流体によって包囲されたサンプル流体の流体流を形成する漏斗状部分を有する、フローセル本体と、フローセル本体の基部に結合されるキュベットであって、キュベットは、開口から出る、シース流体によって包囲されたサンプル流体の流体流を受け取るチャネルを有し、キュベットは、光に対して透明であり、内部にある複数の異なるタイプの細胞又は粒子を判断するために、サンプル流体に、複数の異なるレーザーによってチャネル内での調査を行うことを可能にする、キュベットとを備える。
【0026】
1つの実施形態において、フローセル124は、キュベットに選択的に係合するノズルアセンブリであって、ノズルアセンブリは、ノズルと、チャネルの周りのキュベットの面に選択的に押し付けられる、ノズルの周りのOリングとを有し、ノズルは、キュベットからのサンプル流を受け取り、ノズルアセンブリから出るサンプル液滴を形成する、ノズルアセンブリと、フローセル本体に摺動式に結合され、ノズルアセンブリを摺動式に受けるキャリッジアセンブリと、キャリッジアセンブリ及びフローセル本体に旋回式に結合されるリンク機構であって、リンク機構は、流体流を受け取るためにノズルをキュベットに選択的に係合し、ノズルを修理又は交換するためにノズルをキュベットから選択的に係合解除するためのレバーアームを備える、リンク機構を更に備える。
【0027】
1つの実施形態において、フローセル124は、フローセル本体に静的に結合されるように形成されるレバーヒンジと、レバーヒンジに回転可能に結合されるキャリッジ解放レバーと、キャリッジ解放レバー及びキャリッジアセンブリのキャリッジプレートに回転可能に結合される2つのレバーアームとを更に備え、2つのレバーアーム、キャリッジプレート、キャリッジ解放レバー、及びレバーヒンジは、キャリッジアセンブリが中心軸に沿った鉛直移動を維持することを可能にする動的リンク機構を有する。
【0028】
1つの実施形態において、フローセル124は、把持端部及びノズル端部を備える本体を有するノズルハンドルを有するノズルアセンブリであって、本体は、ノズル端部付近の頂面と底面との間に貫通孔を有し、頂面における部分グランドが貫通孔の周りに延在し、部分グランドは、貫通孔からノズルハンドルのノズル端部に延出するスロットを有する、ノズルアセンブリと、ノズルハンドルの本体の貫通孔の一部内に位置決めされるノズルインサートであって、ノズルインサートは、サンプル流体の液滴を流すために、貫通孔と同心の中央ノズルオリフィスを有する円形本体と、頂面において円形本体から延出するベベル付きリングとを有する、ノズルインサートと、ノズルインサートのベベル付きリングに接して部分グランド内に位置決めされ、一部がノズルインサートの頂面及びノズルハンドルの頂面の上に延在するガスケットであって、ガスケットは、中央ノズルオリフィスの周りにシールを提供する、ガスケットとを更に備え、部分グランドからノズル端部に延出するスロットは、ガスケットの取外しを容易にする。
【0029】
1つの実施形態において、DDUシステム128は、ケース又はハウジングであって、ケースの縁部によって包囲される開放面を有し、ケースは、収容チャンバーの一部を形成し、ケースは、サンプル生体流体の流れにおける選択的に偏向された液滴を受け取って収容チャンバー内の1つ以上の容器に入れるために、偏向チャンバーと位置合わせされた頂面開口を有する、ケース又はハウジングと、ケースの縁部の周りに取り付けられるシールと、ケースの底部に結合される1つ以上のヒンジと、1つ以上のヒンジに結合されるドアであって、ドアは、1つ以上のヒンジの周りに旋回され、ドアは、閉鎖されると、シールに押し付けられ、収容チャンバーを外部環境から封鎖する、ドアとを備える。
【0030】
1つの実施形態において、DDUシステム128は、ケースに取り付けられる少なくとも1つの電磁石と、ドアの内面に結合される金属製ラッチとを備える電磁ロックを備え、金属製ラッチは、ドアが閉鎖され、少なくとも1つの電磁石が通電されると、少なくとも1つの電磁石に引き付けられる。
【0031】
1つの実施形態において、DDUシステム128は、ケースに取り付けられた少なくとも1つの磁石と、ドアの内面に結合される金属製ラッチとを備える磁気ロックを備え、金属製ラッチは、ドアが閉鎖されると、少なくとも1つの磁石に引き付けられる。
【0032】
DDUチャンバー
図2Aは、ドア222が開放した状態の偏向チャンバー122の一部を示している。セルソーター100のDDUチャンバー128は、双方のドア112及び113が開放位置に旋回された状態で見ることができる。DDUチャンバー128の壁208にある開口は、空調チャンバーに通じるトンネル内に取り付けられる入力空気フィルター204I及び出力空気フィルター204Oを示している。壁208の後ろには、空気フィルターを通して空気を圧送し、SIS130内のサンプル及びチャンバー128内の選別済みの細胞/分子の望ましい温度範囲を維持するために、1つ以上のファンと、少なくとも1つの加熱/空調要素とがある。
【0033】
DDUチャンバー128の基部には分離プレート206があり、分離プレートの下の駆動側機構をDDUチャンバー128から分離する。分離プレート206の下には、図2Bに示されている磁気結合パック210の動きを制御する磁気制御機構がある。DDUチャンバー及び磁気結合パック210の磁気装填システムは、Babak Honaryar他によって2021年2月5日に出願された「LOADING SYSTEM WITH MAGNETICALLY COUPLED SAMPLE MOVER FOR FLOW CYTOMETRY AND CELL SORTER SYSTEMS」と題する米国仮特許出願第63/146,562号によって開示され、これは、全ての意図及び目的のために参照により本明細書に援用する。磁気結合パック210の動きは、分離プレート206の下で磁気装填システムによって制御される。
【0034】
図2Bは、DDUチャンバー128及びサンプル投入ステーション130の縁部に沿って取り付けられ、DDUドア112及びサンプルドア113が閉鎖されると空気抵抗シールを提供するシール212を示している。DDUドア112は、閉鎖されると頂部シール部分212Tを押し下げる棚部133(図1Cに示されている)を有する。底部212B及び側部212S、212L等のシール212の他の部分は、ドア112及び113によって押し付けられ、DDUチャンバー128の縁部に対して締め付けられる。ドアが閉鎖されると、DDUチャンバー128は、セルソーター100が配置される環境(例えば、実験室)の周囲空気からシールされる。さらに、DDUチャンバー128及びSIS130は、細胞/分子/ガスがセルソーターから実験室等の環境の周囲空気へと漏出することを防止する更なる一助となるように、真空により負圧がかけられる。
【0035】
DDUドア112及びサンプル投入ドア113は、DDUチャンバー128をフローサイトメーター/セルソーター100の他の部分及び周囲環境から隔離する良好なシールを提供する。選別され、DDUチャンバー128内に捕捉されたサンプル液滴は、温度制御環境に維持することが望ましい場合がある。さらに、捕捉された細胞は、エアロゾルとなって環境へと漏出することが望ましくない病原体である場合がある。したがって、磁気装填システム及びシールされたドアにより、セルソーターは、統合型濾過システム及び温度制御環境をDDUチャンバー128に提供することができる。
【0036】
フルイディクスバケツ
図3A及び図3Bは、セルソーターシステム100のフルイディクスシステムの一部であるフルイディクスバケツ120の様々な図を示している。図18は、流体バケツ120内の要素の概略図を示している。
【0037】
図3Bにおいて、流体バケツ120は、サンプル流体及びシース流体の流体圧力をそれぞれ制御するサンプル調整器301及びシース調整器302を備える。フルイディクスバケツ120は、脱ガス器306がシース流体から気泡を除去することができるように空気圧力を提供するために、脱ガス器スイッチ304及び脱ガス器ポンプ305を更に備える。フルイディクスバケツは、セルソーターシステムから廃棄物出力ポート334を通して廃棄物を外部に吸引する吸引器ポンプ310を更に備える。弁マニホールド312は、流体システムを制御する複数の弁と、サンプルトランスデューサー315及びシーストランスデューサー316とを備える。フルイディクス入力出力パネル104は、供給空気入力部331と、シース空気出力部332と、シース流体入力部333と、廃棄物出力部334とを備える。シース流体333は、フローサイトメーターシステムのフルイディクスバケツ120に入る前にシースフィルター320を通って流れる。フルイディクスバケツ120は、サンプル圧力チャンバーの開放圧力を制御する圧力スイッチを備える。吸引器ポンプ310は、弁マニホールド312の下のタンク内の真空を維持する。
【0038】
フローセルアセンブリ
図4A及び図4Bは、フローセルアセンブリ124の図及び構成要素を示している。図4Aにおいて、フローセル124は、金属表面に対する接地接続部400を有する。これは、サンプル流体を偏向ユニットによって発生する電荷から保護し、既に存在する場合がある電荷を除去するためのものである。
【0039】
ここで図4Bを参照すると、フローセル124は、液滴駆動アセンブリ402と、ノズルアセンブリ450と、ノズルキャリッジアセンブリ442と、フローセルリンク機構440のキャリッジ解放レバー441とを備える。フローセル124は、液滴カメラ412、液滴ストロボアセンブリ411、前方散乱アセンブリ413、及び最終焦点レンズ414を含む複数の光学構成要素を有する。最終焦点レンズ414は、最終焦点調整部415によって焦点合わせすることができる。液滴駆動アセンブリ402は、サンプル流体を運ぶホース又はパイプを受けるサンプル投入ポート408を有する。
【0040】
フローセル124は、サンプル入口ポート408を通してサンプル流体を受け取る。フローセル124は、シース投入ポート418を通してシース流体を受け取る。フローセル124は、サンプル流体の流れをシース流体によって包囲する。フローセル124は、流体をフローセル内のチャンバーから排出するとともに、細胞/粒子を伴うサンプル流体の液滴に電荷を与えるために、フローセル本体404の排液ポートに螺合される導電性排液ポート継手419を備える。電気ワイヤ及びホースがいずれも導電性排液ポート継手419に結合される。電気ワイヤは、液滴と同期した信号を受信するために、ソートコントローラーと通信する。時間とともに、信号は、それぞれ、液滴を帯電させずに保つ、正に帯電させる、又は負に帯電させるように、接地、1つ以上のレベルの正電荷電圧(例えば、+150、+300)、又は1つ以上のレベルの負電荷電圧(例えば、-150、-300)とすることができる。
【0041】
フローセル124は、フローセル本体404と、液滴駆動アセンブリ402と、キュベット406と、リンク機構アセンブリ440と、キャリッジアセンブリ442と、ノズル704を備えるノズルアセンブリ450とを備える。リンク機構アセンブリ440は、ノズルアセンブリをキュベット406に対して上下に動かすように旋回するキャリッジ解放レバー441を備える。液滴駆動アセンブリ402は、サンプル注入管422を備える。フローセル124は、光ファイバーケーブルに注入される光を捕捉するために、1つ以上の対物レンズ460A及び460B空間を更に備える。
【0042】
1つ以上のレーザーからのレーザー光は、キュベットの流れチャネル内の1つ以上の調査領域に送られ、通過して流れる細胞/粒子及び/又はそれに付着した1つ以上の蛍光色素マーカーを励起する。フローセル124は、片側において、細胞/粒子及び/又は細胞/粒子に付着した1つ以上の蛍光色素からの光(例えば、反射光、散乱光、蛍光)を捕捉するために、1つ以上の対物レンズ460A及び460Bを更に備える。反対側において、1つ以上の対物レンズ460A及び460Bは、捕捉された光を光ファイバーケーブル内に発射することができる。
【0043】
フローセル124は、液滴駆動アセンブリ402を受けるフローセル本体404を備える。フローセル本体404は、液滴駆動アセンブリ402をそのチャンバー内に受ける。ノズルアセンブリ450は、キャリッジアセンブリに結合されるマウント452内に摺動する。サンプル注入管422は、漏れを引き起こし得る、液滴荷電及び液滴駆動振動の存在下での表面エッチングを回避するために、ガラスから形成されることが好ましい。液滴駆動アセンブリ402は、サンプル流体を受け取るサンプル投入ポート408を備える。
【0044】
サンプル注入管422は、漏れを引き起こし得る、液滴を荷電するシース流体内の電流及び液滴を分離する液滴駆動部の振動の存在下での表面エッチングを回避するために、ガラスから形成されることが好ましい。液滴駆動アセンブリ402は、サンプル流体を受け取るサンプル入口408を備える。
【0045】
フローセル124は、導電性ホース継手419を備える排液ポート/荷電ポートと、ホース継手418を備えるシース入口ポートとを備える。サンプル注入管422は、フローセル本体404内のチャンバーにおいて中心に置かれる。フローセル124は、1つ以上の対物レンズの後方焦点調整部463を備える。対物レンズ460A及び460Bの中心光軸は、キュベットのみから光を受け取るように整列して示されている。対物レンズマウント461は、対物レンズ460A及び460Bが位置合わせされたままであることを保証する。フローセル本体404は、周囲等の他の供給源からの光が対物レンズ460A及び460Bによって捕捉されないように不透明である。
【0046】
ノズルアセンブリ450は、ノズルアセンブリの構成要素を点検又は修理するか、又は異なる直径のノズルの開口と交換するために、マウント452の内外に摺動する。ノズルアセンブリのノズルは、キュベットからの流体のサンプル流を受け取り、好ましくはそれぞれ選別される単一の細胞/粒子を伴う液滴を形成する。
【0047】
偏向チャンバー
フローセルのノズルアセンブリ450におけるノズルは、サンプル流体を液滴に分裂させる。中央流1699C内の対象の細胞を伴う液滴は、液滴を中央流から離れるように偏向させることによって選別する。液滴は、偏向チャンバー(ユニット)122内の帯電偏向プレートによって、中央流1699Cから離れるように偏向させることができるように荷電される。対象の細胞を伴う液滴は、DDUによって、実験室における更なる試験のために、別個のベッセル(試験管、ウェル)内に収集することができる。
【0048】
図5A及び図5Bは、フローセル124のノズルアセンブリ450の下の偏向(偏向用)ユニット122を示している。したがって、偏向ユニットは、中央流1699C内にあるサンプル生体流体の複数の液滴を受け取るために、フローセル124と連通する。偏向ユニット122の後ろには、レールが取り付けられ、レールは、投入開口を通して液滴の中央流1699Cを適切に受け取るために、或る範囲にわたって水平に調整することができるようになっている。
【0049】
偏向ユニット122は、ケース1600を備え、ドア1601が、片側(例えば、左側)にある複数のヒンジ1602A及び1602Bによってこのケースに旋回式に結合される。ドア1601は、ヒンジの反対側(例えば、右側)に、ドアを確実に閉鎖状態に保つためにケースに取り付けられるトグルラッチ1614に係合することができる締結具(キャッチ)1613を備える。ケース1600は、偏向チャンバー1611に向かって開放した偏向円錐切欠き部1610を有する。シール1604が、偏向円錐切欠き部1610及び偏向チャンバー1611の周りのチャネル内にあり、ドア1610がそのシールに押し付けられる。これにより、切欠き部及びチャンバー内のサンプル液滴がシールされ、周囲空気に放出されないようになっている。
【0050】
左側静電荷(偏向)プレート1615L及び右側静電荷(偏向)プレート1615Rが、偏向円錐切欠き部1610に取り付けられ、円錐の上から下に互いに徐々に分離される。左側高電圧電荷が左側静電荷プレート1615Lに印加され、反対極性の右側高電圧電荷が右側静電荷プレート1615Rに印加されて、液滴が通流する静電界が課される。液滴が、液滴の中央流から離れるように移動することによって選別される場合、排液/荷電ポートにおける導電性ホース継手、及びソートコントローラーからの電荷信号によって、正電荷又は負電荷が液滴に同期して印加される。液滴が帯電しない(接地される)場合、液滴は中央流に留まる。電荷信号(正又は負)をフローセルの荷電ポートに印加することによって液滴が帯電された場合のみ、液滴は、静電荷プレートによって形成される静電界を通過する際に偏向される。偏向の度合いは、左右の静電荷プレートによって与えられる静電界の大きさ、並びに荷電ポートによって液滴に与えられる電荷の極性及び大きさの双方に左右される。
【0051】
例えば、左側静電荷プレートは、負の2000ボルトで荷電することができ、右側静電荷プレートは、正の2000ボルトで荷電することができ、左右の静電荷プレートの間に4000ボルトの静電界がもたらされる。静電荷プレートにおける電圧は、サンプル中の液滴の選別の間、一定に保たれる。次いで、液滴は、中央から離れる所望の偏向を達成するために、(フローセルの荷電/排液ポートにおける導電性ホース継手に電荷を印加することによって)瞬間的な電荷を選択的に与えることができる。したがって、各流れ経路に関連付けられる細胞に印加される電圧の精密な大きさ及び極性は、液滴を受取りレセプタクルに入れるのに必要な偏向の所望の方向及び大きさに左右される。したがって、サンプル生体流体の液滴の複数(例えば、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ)の左側偏向流れ経路及び複数(例えば、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ)の右側偏向流れ経路を、中央流経路1699Cの周りに形成することができる。本明細書における説明を簡潔にするために、本明細書では、これらをまとめて左側流れ経路(左側流)1699L及び右側流れ経路(右側流)1699Rと呼ぶ。
【0052】
ケース1600の背面は、側部レーザー窓及び流れカメラ窓1606を有する。レーザー1608によって発生する側部レーザー光は、側部レーザー窓を通して偏向チャンバー1611に導かれる。側部レーザー窓の後ろのレーザー1608の位置は、レーザー位置調整器1618によって調整することができる。側部レーザー光は、液滴の経路位置を検知するために、生体流体の液滴に当たるように前後に調整される。流れカメラ1607は、ケースの外側に、流れカメラ窓1606と整列し、かつ流れカメラ窓1606の後ろに取り付けられ、液滴を視認し、液滴が中央流経路1699C、左側偏向流れ経路1699L、又は右側偏向流れ経路1699Rにあるか否かを判断する。流れカメラ1607は、電荷プレートにおける電荷が、左側偏向流れ経路1699L及び右側偏向流れ経路1699Rへの液滴の偏向に適切であるとともに、偏向ユニット122内の中央流経路1699Cにおける滴下のために等しく帯電する(又は帯電しない)ことを確実にするように、ソートコントローラーに対するフィードバック機構を提供する。
【0053】
偏向チャンバー1611の基部には、液滴をセルソーターから廃棄物ラインに吸引する排液口を有する吸引器ウェル(槽)1650がある。偏向チャンバーの基部の槽の正面及び下には、水平液滴スロット1625がある。チャンバー1611の内部には、左側旋回側流スカッパー1620L、非旋回中央収集部1620C、及び右側旋回側流スカッパー1620Rが、偏向チャンバーの槽内の駆動シャフト1622に沿って取り付けられる。非旋回中央収集部1620Cは、左右の旋回側流スカッパー間の駆動シャフトの周りにあるが、駆動シャフトによって駆動されない。左側旋回側流スカッパー及び右側旋回側流スカッパーは、駆動シャフトに伴って上昇位置と下降位置との間で旋回する。非旋回中央収集部1620Cは、旋回せず、固定の回転位置に留まるが、スカッパーに伴って左右に自由に動く。偏向され、側流スカッパー1620L及び1620R又は中央収集部1620Cによって捕捉されない液滴は、液滴スロット1625を通って偏向ユニット122から落下し得る。
【0054】
静電荷(偏向)プレートによって偏向しない場合、ノズルアセンブリからの液滴の中央流が、偏向円錐1610を通して偏向チャンバー1611内に滴下し、中央収集部1620Cによって捕捉される。中央収集部1620C及び側流スカッパー1620L及び1620Rは、下降位置にあるとき、サンプル流体の液滴の流れを導く雨樋のようにいくらか作用する。中央収集部1620Cは、捕捉した液滴を槽1650内に導き、排液口1652に廃棄物として吸引する。下降位置において、左右の旋回側流スカッパー1620L及び1620Rは、中央流1699Cから離れるように偏向された液滴を捕捉し、捕捉した液滴をトンネルによって槽1650内に導き、排液口1652に廃棄物として吸引する。図5Bに見ることができるように、槽1650内の液滴は、真空によって、排液口1652に吸引し、廃棄物ポート1654を通して出すことができる。
【0055】
上昇位置において、左右の旋回側流スカッパー1620L及び1620Rは、液滴を捕捉しない。左右の旋回側流スカッパーが上昇位置にあり、選択された液滴が、偏向された液滴として中央流から離れるように偏向される場合、サンプル流体のこれらの偏向された液滴は、側流スカッパーを通過して、ケース1600の基部における液滴スロット1625を通って滴下する。偏向された液滴は、液滴スロット1625を通過し、偏向ユニット122の下のDDUチャンバー128内に収集される。
【0056】
ソーターが緊急停止した場合、ソーター100は、シャフト及び側流スカッパーを下降位置に旋回させて、中央非旋回吸引器1620Cとともに、ノズルアセンブリ450によって形成されるサンプル流体の全ての液滴を、偏向の有無にかかわらず捕捉し、液滴を槽1652内に導き、排液口に吸引し、廃棄物ポートから出すようになっている。
【0057】
図5C及び図5Dに示されているように、駆動シャフト1622の端部は、チャンバー1611の外側に延在する。スカッパープーリー1623は、一方の端部(例えば、右側端部)付近でシャフト1622に取り付けられる。リバーシブル電気モーターは、適切なサイズの駆動プーリーを伴うシャフトを有する。ベルト1624は、リバーシブル電気モーターによる回転に応じてシャフトを旋回させ、側流スカッパーを昇降させるために、駆動プーリーとスカッパープーリーとの間に取り付けられる。
【0058】
偏向ユニット(チャンバー)122は、水平方向に調整可能である。偏向ユニット122は、図5C及び図5Dに示されているように、レール1626に摺動式に取り付けることができ、頂部開口1603に入る液滴の中央流経路1699Cに対する位置を調整するために、左右に水平方向に調整可能である。偏向ユニット122は、液滴が偏向円錐切欠き部1610に入る際に、液滴の中央流1699Cが、左側電荷プレート1615Lと右側電荷プレート1615Rとの間に選択的に(等距離又は別の望ましい方法で)位置決めされるように、水平方向に調整することができる。
【0059】
液滴は最初から帯電している場合があり、電荷プレートが、進入する液滴に不均等な影響を与える場合があるため、左側旋回側流スカッパー1620L、中央非旋回吸引器1620C、及び右側旋回側流スカッパー1620Rは、図5Hに示されているように、駆動シャフト1622に沿って左右に一緒に水平方向に調整可能である。図5C及び図5D図5G及び図5Hに示されている調整つまみ1627は、スカッパー1620L及び1620R並びに中央吸引器1620Cの位置をシャフト1622に沿って一緒に水平方向に調整するために設けられる。したがって、液滴の流れを偏向させる電荷がない場合、中央非旋回吸引器1620Cは、液滴を槽内及び排液口に導き、廃棄物出口を通してセルソーターから吸引するために、調整によって、サンプル流体の液滴の中央流1699Cの下に中心決めすることができる。
【0060】
図5Kは、偏向サブシステム122から一緒に組み立てられた側流スカッパー、中央吸引器、シャフト、プーリー、及びつまみの分離図を示している。図5Lは、左右の側流スカッパー1620L及び1620R、中央吸引器1620C、シャフト1622、プーリー1623、及び調整つまみ1627の分解図を示している。中央吸引器1620Cが左右の側流スカッパー1620L及び1620Rの間に挟まれた状態で、調整つまみ1627を使用して、これらをシャフト1622に沿って水平方向に移動させることができる。
【0061】
図5Lの分解図に最もよく示されているように、シャフト1622は、内側シャフト1622Iと、その上を摺動することができる外側シャフト16220とを含むことができる。しかしながら、内側シャフト1622I及び外側シャフト1622Oは一緒に回転することができる。プーリー1623は、内側シャフト1622Iの端部付近に取り付けられ、ベルトによって駆動される。左右の側流スカッパー1620L及び1620Rが、側流スカッパー1620L及び1620Rのそれぞれにおいて開口1667を通して挿入され、ねじ付き開口1672L及び1672Rにそれぞれ螺合される左右のねじ1661L及び1661Rによって、外側シャフト1622Oに取り付けられる。ねじ1661L及び1661Rの端部は、左右の卵形スロット1660L及び1660Rにそれぞれ投入され、内側シャフトに沿ったスカッパー及び外側シャフト1622Oの水平方向の移動を可能にする。しかしながら、内側シャフト1622Iにおける回転トルクは、ねじ1661L及び1661Rによって外側シャフト1622O及びスカッパーに伝達される。中央吸引器1620Cは、外側シャフト1622Oの周りに摺動式に取り付けられ、干渉することなく自由に回ることができるようになっている。すなわち、内側シャフト及び外側シャフトがプーリー1623によって回転する場合、中央吸引器1620Cは、回転しない。
【0062】
ねじ付き金属製スリーブ1669は、調整つまみ1627に押し込まれて一体部片を形成する。ねじ付き金属製スリーブ1669は、外側シャフトを(側流スカッパー及び中央吸引器とともに)偏向ユニット122のケース1600に対して水平方向に調整するために、内側シャフト1622Iの端部におけるねじ山に係合する。サークリップ1668Aは、ねじ付きつまみ1627の(内側シャフト1622Iのねじ付き部分に沿った)水平運動を外側シャフト1622Oに伝達する。外側シャフト1622Oは、カラー1670を通過する。サークリップ1668Aは、外側シャフト1622Oのリング溝付き端部の上に設置される。調整つまみ1727は、カラー1670に螺合され、それにより、サークリップ1668を調整つまみとカラーとの間に制限する。
【0063】
複数のワッシャー(例えば、ワッシャー1666A及び1666B)を外側シャフト1622Oに沿って使用して、非回転中央吸引器及びケースの内面との摩擦を低減することができる。内側シャフトと外側シャフトとの間の液体の侵入を最小限にするために、リングスロット1671B内にOリング1619が取り付けられる。内側シャフトをケース1600に対して水平方向に固定して維持するために、複数のサークリップ(例えば、サークリップ1668B及び1668C)を内側シャフト1622Iの複数のリングスロット(例えば、リングスロット1671C及び1671D)内に結合し、それにより、内側シャフト端部の右側をケースの右側開口に対して位置付ける。内側シャフトの端部は、槽を通り、ケースの左側開口及び右側開口を通って外部に延在する。外側シャフトの一端部は、槽を通り、左側開口を通ってケースの外側に延在する。調整つまみ1727、ねじ付きスリーブ1669、及びカラー1670は、ケース1600の外側で内側シャフト及び外側シャフトの左側端部の上に取り付けられる。プーリー1623は、内側シャフトの右側端部の上に取り付けられる。プーリーは、プーリー及び内側シャフトを一緒に回転するように結合する止めねじ1673を備える。
【0064】
図5Hは、調整つまみ1627の回転、及び外側シャフト1622Oにおける内側シャフト1622Iに沿った水平方向の調整を示している。槽内において、側流スカッパー1620L及び1620R並びに中央吸引器1620Cは、外側シャフトと一緒に水平方向に調整される。調整つまみ1727をケース1600に対して一方向(例えば、反時計回り)に回転させると、外側シャフト1622Oが内側シャフト1622Iに沿って一方向(例えば、左側)に引っ張られる。調整つまみ1727をケース1600に対して反対方向(例えば、時計回り)に回転させることにより、外側シャフト1622Oが内側シャフト1622Iに沿って反対(例えば、右側)の方向に水平方向に押される。つまみの回転を同じ水平方向で反対にすることができるように、ねじ山を変更することができることが明白である。
【0065】
図5Eに示されているように、シャフト1622Iに結合されたプーリー1623は、プーリー1683に取り付けられるベルト1624によって回転駆動される。プーリー1683は、リバーシブル電気モーター1680によって駆動されるシャフト1681に結合される。ドアヒンジ1620A、1620Bのケース1600に取り付けられる部分は、ドアが取り外された状態で見ることができる。ケース/ハウジング1600に取り付けられるトグルラッチ1614は、ドアのキャッチに係合する準備ができた状態で示されている。レーザー光の位置は、ねじ付きつまみ1609を回して、レーザー1608をケース1600に対して前後に動かすことによって調整することができる。
【0066】
本明細書で言及したように、偏向ユニット122の全体は、フローセル124からの液滴の中央流経路1699Cが頂部開口1603を通って偏向ユニット122に入る方法を位置決めするために、水平方向に調整可能である。図5I及び図5Jは、偏向ユニット122を電気モーター1633によって左右に水平方向に調整することができる方法を示している。図5I及び図5Jの部分分解図によりよく見られるように、偏向ユニット122は、バックプレーン1690を更に備え、背面マウント1691は、バックプレーン1690に摺動式に係合する。バックプレーン1690の正面は、ケース1600の背面に結合される。背面マウント1691の背面は、複数の締結具(例えば、ボルト又はねじ)によってセルソーターシステム100のシャーシ又はフレームに結合することができる。
【0067】
バックプレーン1690は、背面マウント1691に摺動式に係合し、シャフトに取り付けられるリードスクリュー1634を備えるリバーシブル電気モーター1633によって水平方向に調整することができる。図5Jに最もよく示されているように、バックプレーン1690は、頂部付近及び左右の側部付近に取り付けられる一対の頂部ガイドレール1626を有する背面を有するフレーム1692を備える。バックプレーン1690は、片側(例えば、左側)においてフレーム1692の背面の底部付近に取り付けられる少なくとも1つの下側ガイドレール1628を更に備える。ねじ付きリードスクリューナット1635も、フレーム1692の背面に取り付けられ、ねじ付きリードスクリュー1634に係合するように構成される。
【0068】
背面マウント1691は、リバーシブル電気モーター1633が取り付けられる正面を有するフレーム1693を備える。背面マウント1691は、フレーム1693の頂部及び左右の側部付近の正面に取り付けられる一対の頂部ガイド1696を更に備える。背面マウント1691は、フレーム1693の少なくとも1つの側(例えば、左側)の底部付近で正面に取り付けられる少なくとも1つの下側ガイド1698を更に備える。背面マウント1691の一対の頂部ガイド1696及び少なくとも1つの下側ガイド1698は、バックプレーンにおいて、一対の頂部ガイドレール1626及び少なくとも1つの下側ガイドレール1628のそれぞれに摺動式に係合する。
【0069】
ねじ付きリードスクリューナット1635に係合するねじ付きリードスクリュー1634によって、背面マウントに対する偏向ユニット122の水平調整がリバーシブルモーター1633によって制御される。リバーシブルモーター1633は、シャフト及びリードスクリュー1634を一方向に回して、バックプレーン1690及び偏向ユニットを一方向(例えば、左)に押す。リバーシブルモーター1633は、シャフト及びリードスクリュー1634を反対方向に回して、バックプレーン1690及び偏向ユニットを反対方向(例えば、右)に引く。ユーザーは、頂部開口1603及び偏向プレートに対する液滴の中央流1699Cの位置を監視し、手動ソフトウェア制御によって偏向ユニット122の水平位置を調整することができる。正面又は背面カメラが中央流1699Cを見るのに利用可能な場合、正面又は背面カメラを使用して、中央流経路1699Cの位置を監視し、制御システムにフィードバックを提供し、偏向ユニット122を中央流に対して自動的に位置決めすることができる。
【0070】
本明細書で言及したように、偏向された液滴は、ケース1600における液滴スロット1625を通過し、偏向ユニット122の下の液滴収集(制限)チャンバー128内に収集される。偏向ユニット122は、ケース1600と連通して結合する液滴収集(制限)チャンバー128内の収集リテーナー1632を備える。収集リテーナー1632は、DDUケース200の開口の周りに一対のレールを備える。管又は選別収集ホルダー1630は、液滴収集/装填チャンバー128内の収集リテーナーの一対のレール内に摺動することができる。選別収集ホルダー1630は、図1Aに示されているような複数の試験管34を受ける複数の管スロット1631を備える。複数の試験管34は、セルソーターによって選別された液滴を受け取るために、選別収集ホルダー1630のスロット/開口1631内に挿入することができる。図5Bに示されているように、開口1631は、内部に取り付けられた試験管がサンプル流体の液滴を捕捉することができるように、液滴スロット1625と(深さ方向に前後に)位置合わせされる。
【0071】
1つ以上の左に偏向された流れ経路における液滴は、中央の左側の試験管内に受け取ることができる。1つ以上の右に偏向した流れ経路における液滴は、中央の右側の試験管内に受け取ることができる。図5Cは、4つの試験管、すなわち、2つの左に偏向された流れ経路における液滴を受け取る2つの試験管、及び2つの右に偏向された流れ経路における液滴を受け取る2つの試験管を保持する4つの開口1653を有する、ケース200に結合される4管選別収集ホルダー1652を示している。
【0072】
図5Dは、管又は選別収集ホルダーの代わりにプレートガイド1642を示している。プレートガイド1642は、選択された液滴がプレートガイドを通って外に落下する流れ経路開口1643を有する。図1Aに示されているような、複数のウェルを有する収集プレート35は、装填システムによってプレートガイドの下を移動し、液滴を1つ以上のウェル内に捕捉する。収集プレートは、異なるタイプの細胞/粒子を伴う液滴を捕捉する複数のウェル(例えば、32個又は64個)を有することができる。プレートは、磁気パックの頂部に結合される。磁気パックは、磁気結合駆動部によって分離プレートに沿って摺動する。収集プレートは、所望の細胞/粒子を伴うサンプル流体の液滴を受け取るために、選択されたウェルを流れ経路開口1643の下に位置合わせするように移動させる。
【0073】
サンプル投入ステーション
図6A図6Cは、サンプル投入ステーション130の図を示している。サンプル投入ステーション(SIS)130は、一対のガイドロッド1750によってガイドされるねじ付き駆動機構1750によって上下に移動するチャンバー本体1712を備える可動圧力チャンバー(圧力シリンダー)126を備える。SIS130は、限定はしないが、吸引器1720と、管ホルダー1722と、撹拌ステージ1724とを更に備える。
【0074】
図6A及び図6Bは、サンプル投入ステーション(SIS)130の圧力チャンバー(圧力シリンダー)126の開放位置を示している。対照的に、図17Cは、圧力チャンバー(圧力シリンダー)126の閉鎖位置を示している。チャンバー1712は、図6Bに示されている撹拌ステージ1724の上の閉鎖位置へと下方に駆動される。頂部スイッチ及び底部スイッチを使用して、ねじ付き駆動機構1750が走行することができるチャンバー本体1712の2つの位置(開放及び閉鎖)と、ねじ付き駆動機構1750が停止すべき点とを検知する。
【0075】
サンプル試験管(例えば、蛍光活性化セルソーティング(FACS:Fluorescence Activated Cell Sorting)管)は、管ホルダー1722内に取り付けることができる。セルストレーナーを使用して、或る特定のタイプの細胞を濾別することができる。可動圧力チャンバー(圧力シリンダー)126は、閉鎖位置に下降すると試験管内に挿入可能なサンプル投入管1912を備える。サンプル投入管1912は、このサンプル投入管を次の試験管に再使用する前に、水又はシース流体等の流体によって洗い流すことができる。可動圧力チャンバー(圧力シリンダー)126が下降位置にあるとき、可動圧力チャンバー(圧力シリンダー)126内の空気は、サンプル流体をサンプル投入管1912内に圧送するように加圧することができる。
【0076】
図6Cに示されているように、駆動機構1750は、プラットフォーム1753内の雌ねじ付きナットに係合する雄ねじ付きリードスクリュー1754を備える。プラットフォーム1753は、単一のガイドロッド及びベースプレートによって底部がチャンバー本体1712に結合され、駆動機構が起動されると、圧力チャンバー(圧力シリンダー)126を昇降させる。プラットフォーム1753は、プラットフォームの向きを維持し、上下にガイドするために、一対の上側ガイドロッド1755の上に一対の開口を有する。図6Aに示されているように、従動プーリー1751は、ねじ付き駆動機構1750のねじ付きリードスクリューの端部付近に取り付けられる。連続(円形)ベルト1752は、従動プーリー1751に取り付けられる。システム100の後ろのベルト1752の反対端部において、駆動プーリーがリバーシブル電気モーターのシャフトに結合され、ベルト及びプーリー1751を回転させ、頂部スイッチ及び底部スイッチに達するまでねじ付きリードスクリュー1754を回す。チャンバー本体1712の基底部は、単一のガイドロッドによって、ねじ付きナットプラットフォーム1753に結合される。ねじ付きリードスクリュー1754は、ねじ付きナットプラットフォームに結合される。チャンバー本体1712の底部開放端部は、撹拌ステージ及びそのOリングの周りでチャンバーをシールするのを補助するように、シールリング1713に結合される。
【0077】
SIS130は、エアロゾル及び流体を試験管から廃棄物として排出する吸引器1720を更に備える。SIS130は、管ホルダー1722と、撹拌ステージ1724と、基部1721に取り付けられた一対のガイドロッド1726とを更に備える。撹拌ステージ1724は、チャンバー本体(圧力シリンダー)1712の円筒壁の内面に対してシールするOリングシール1726を有する。その名のとおり、撹拌ステージ1724を回転させると、試験管ホルダー1722内の試験管、及び試験管内の細胞/粒子を伴うサンプル流体を撹拌することができる。
【0078】
DDUチャンバー128及びSIS130は、システム100のケース200及びドア112、113によって形成される同じキャビティ収容チャンバー内にある。キャビティ内の空気は、所望の温度に調整し、汚染を低減するために濾過することができる。1つ以上のファンが、空気フィルターを通して空気を圧送することができ、少なくとも1つの電気加熱/空調要素を使用して、SIS130内のサンプル及びDDUチャンバー128内の選別済みの細胞/分子の望ましい温度範囲を維持することができる。液滴の収集を妨害することを回避するように、入力空気流は、SIS130により近い共有キャビティ内に入る。DDUチャンバー128及びSIS130は、細胞/分子/ガスがセルソーターから環境の周囲空気に漏出することを防止する更なる一助となるように、真空によって負圧がかけられる。
【0079】
統合型空調サブシステム
図7Aは、ソーティングフローサイトメーター(セルソーター)100を、ドア111が閉鎖され、1つ以上のパネル702A及び702Bがフルイディクスバケツ120の上に取り付けられた状態で示している。ドア112及び113は、DDUチャンバー128及び偏向ユニット122の基部が見えるように旋回して開放されている。偏向ユニットは、1つ以上の生体細胞又は粒子を伴うサンプル生体流体の液滴を、中央流経路1699Cから、中央流経路1699Cの周りの1つ以上の左に偏向された流れ経路及び1つ以上の右に偏向された流れ経路に選択的に偏向する。偏向ユニット122から出た液滴は、DDUチャンバー128内に収集される。DDUチャンバー128は、収集が望まれる1つ以上の生体細胞又は粒子を伴う選択された液滴を受け取るために、偏向ユニット122と連通する。
【0080】
図2A及び図2Bは、ケース200、偏向ユニット122の一部、液滴堆積ユニット(DDU)(収容)チャンバー128、及びサンプル投入ステーション(SIS)130が見えるようにドア112及び113が開放された状態の、セルソーター100の一部の正面図を示している。図7Bは、様々なサブシステムを示すセルソーター100の断面図を示している。ケース200は、基部に分離プレート206を備えるケースの縁部によって包囲される開放面を有する。分離プレート206は、DDUチャンバー128の基部を形成し、2021年2月5日に出願された「LOADING SYSTEM WITH MAGNETICALLY COUPLED SAMPLE MOVER FOR FLOW CYTOMETRY AND CELL SORTER SYSTEMS」と題する米国特許出願第63146562号に開示されている磁気装填システムを支持するために、非金属製である。1つ以上のヒンジ202A及び202B、202C及び202Dは、ケース200の底部(基部)とドア112及び113のそれぞれとに対してかつそれらの間に結合される。ドアは、1つ以上のヒンジ202A及び202B、202C及び202Dの周りに旋回する。
【0081】
ドアが閉鎖されると、ケース200は、収容チャンバー128の一部を形成する。ケースの頂部は、サンプル生体流体の中央流1699Cから選択的に偏向された液滴を受け取るために、偏向チャンバー122の基部と位置合わせされた頂面開口を有する。選択された偏向された液滴は、収容チャンバー内の1つ以上の容器(例えば、試験管又はプレートのウェル)内に導かれ、装填される。
【0082】
図2Bは、DDUチャンバー128のケース200及びサンプル投入ステーション130の縁部に沿って取り付けられるシール(頂部シール部分212T、基部シール212B、側部シール212S、左側部シール212L、右側部シール、及び底部シール212B、まとめてシール212)を示している。シール212は、DDUドア112及びサンプルドア113が閉鎖されると空気抵抗シールを提供する。DDUドア112は、閉鎖されると頂部シール部分212Tを押し下げる棚部133(図1Cに示されている)を有する。底部212B及び側部212S、212L等のシール212の他の部分は、ドア112及び113によって押し付けられ、DDUチャンバー128の縁部に対して締め付けられる。ドアが閉鎖されると、DDUチャンバー128及びSIS130は、セルソーター100が配置される環境(例えば、実験室)の外部の周囲空気からシールされる。さらに、DDUチャンバー128及びSIS130は、細胞/分子/ガスがセルソーターから実験室等の環境の周囲空気に漏出することを防止する更なる一助となるように、真空によって負圧がかけられる。
【0083】
ドア112及び113を閉鎖状態に保つために、セルソーター/フローサイトメーターシステム100は、1つ以上の電磁ロックを備える。電磁ロックは、ケース200に取り付けられる電磁石203A及び203B、205Aと、ドア112、113の内面に結合される金属製キャッチ206A~206Cとを備える。ドア112、113を閉鎖するとき、電磁石に給電し、金属製キャッチを引き付けて、有害なエアロゾル又は粒子が周囲空気に放出されないように閉鎖状態に保つことができる。電磁石は電力を必要とし、常に給電されるわけではないため、ドアを閉鎖状態に保つために少なくとも1つの受動磁気ロックも使用することができる。受動磁気ロックは、ケース200に取り付けられる少なくとも1つの磁石205A~205Cと、ドアに結合される金属製キャッチとを備える。ドアは、金属製とすることができ、この場合、ドアの一部が金属製キャッチを提供することができる。いずれの場合も、受動磁石205A~205Cは、金属製キャッチを引き付け、電力が提供されなくなってもドア112、113を閉鎖状態に保つことができる。
【0084】
図2Aにおいて、セルソーター100のDDUチャンバー128は、双方のドア112及び113が開放位置に旋回された状態で見ることができる。DDUチャンバー128の壁208における開口は、空調チャンバーの内外に通じるトンネル内に取り付けられた入力空気フィルター204I及び出力空気フィルター204Oを示している。壁208の後ろには、空気フィルターを通して空気を圧送し、SIS130内のサンプル及びチャンバー128内の選別済みの細胞/分子の望ましい温度範囲を維持するために、1つ以上のファン及び少なくとも1つの加熱/空調要素がある。
【0085】
DDUドア112及びサンプル投入ドア113は、シール212とともに、DDUチャンバー128をフローサイトメーター/セルソーター100の他の部分及び周囲環境から隔離する良好なシールを提供する。選別され、DDUチャンバー128内に捕捉されたサンプル液滴は、温度制御環境に維持することが望ましい場合がある。さらに、捕捉された細胞は、エアロゾルとなって環境に漏出することが望ましくない病原体である場合がある。したがって、磁気装填システム及びシールされたドアにより、セルソーターは、統合型濾過システム及び温度制御環境をDDUチャンバー128に提供することができる。DDUチャンバーは、選別を行う間、エアロゾルを収容することから、本明細書において収容チャンバー128と呼ぶ場合もある。
【0086】
ここで図7Aを参照すると、コンパクトセルソーターシステム100の正面図が、概して、液滴偏向ユニット(DDU)サブシステム58及びその収容チャンバー128を示している。図7Bは、コンパクトセルソーターシステム100の断面図を示し、エレクトロニクスサブシステム18及びフルイディクスサブシステム14と比較される、図1Aに示されているソーティングサブシステム33及び装填サブシステム29を含む、液滴偏向ユニット(DDU)サブシステム58の一般的な場所を示している。液滴偏向ユニット(DDU)サブシステム58は、収容チャンバーの温度を維持するとともに、エアロゾルを濾過する空調サブシステム700を備えることができる。
【0087】
図8は、コンパクトセルソーターシステム内の液滴偏向ユニット(DDU)サブシステム58の拡大断面図である。液滴偏向ユニット(DDU)サブシステム58は、ソーティングサブシステム33及び堆積サブシステム29、並びに空調サブシステム700を含む。DDUチャンバー128は、図6B及び図8に示されているサンプル投入ホルダー1722内に位置するサンプル管内に、選別済みのサンプル液滴及び投入サンプルを維持することを補助する、堆積サブシステム29及びサンプル投入ステーション(SIS)サブシステム130を備える。
【0088】
収容チャンバー128の周りのケース200は、図2A及び図2B並びに図8に示されているような、左側壁207と、右側壁209と、左側壁と右側壁との間の中央壁208とを有する。ケース200の頂面211は、左側壁207、中央壁208、及び右側壁209の頂縁部に結合する。収容チャンバー128内のケース200の底面又は基部は、分離プレート206である。分離プレート206は、磁気堆積システムを支持する。空調チャンバー828内のケース200の基部は、壁と同じ材料から形成することができる。
【0089】
図8に示されているように、中央壁208は、ケースの左側壁付近に左側トンネル802Lへの左側トンネル開口801Lを有する。中央壁208は、ケースの右側壁付近に右側トンネル802Rへの右側トンネル開口801Rを更に有する。左側トンネル802L及び右側トンネル802Rは、収容チャンバー128と空調チャンバー828との間にある。空調チャンバー828は、温度を設定温度に制御するために、必要に応じて空気を冷却又は加熱する空調サブシステム700の一部である。設定温度は、ソフトウェアユーザーインターフェースを通じてユーザーが入力し、メモリ内に記憶され、パーソナルコンピューター(PC)又はコンピューターワークステーションのプロセッサによって実行されるソフトウェアによって制御することができる。
【0090】
空調サブシステム700は、左側トンネル802L内に取り付けられる左側空気フィルター804Lと、右側トンネル802R内に取り付けられる右側空気フィルター804Rとを更に備えることができる。空調サブシステム700は、収容チャンバーと空調チャンバーとの間でフィルターを通して空気を移動させるために、左側空気フィルター804L及び左側トンネル802Lと位置合わせされる左側ファン806Lと、右側空気フィルター804R及び右側トンネル802Rと位置合わせされる右側ファン806Rとを更に備える。いくつかの実施形態において、左側空気フィルター804L及び右側空気フィルター804Rは、高効率粒子空気(HEPA)フィルターである。いくつかの実施形態において、左側空気フィルター及び右側空気フィルターは、超低粒子空気(ULPA)フィルターである。
【0091】
セルソーターシステム100において、左側トンネル802L及び左側空気フィルター804Lは、右側トンネル802R及び右側空気フィルター804Rよりも、偏向ユニットから滴下する液滴の近くにある。収容チャンバーと空調チャンバーとの間の空気流の方向は、偏向ユニットからウェル又は試験管内に滴下する際に液滴を妨害することを回避するように設定される。図9A及び図9Bにおいて矢印902A及び902Bによって示されているように、空気は、収容チャンバー128から出て、左側トンネル802L及び左側フィルター804Lを通り、空調チャンバー828内に流れる。図9A及び図9Bにおいて矢印904A及び904Bによって示されているように、空気は、空調チャンバー828から右側トンネル802R及び右側フィルター804Rを通って、収容チャンバー128内に流れる。したがって、左側ファン806Lは、空気を、収容チャンバー128から左側トンネル802L及び左側フィルター804Lを通して空調チャンバー828内に引き込む。右側ファン806Rは、空気を、空調チャンバー828から右側トンネル及び右側空気フィルター804Rを通して収容チャンバー128内に押し込む。このようにして、左側フィルター及び左側ファンは、排出フィルター及び排出ファンと呼ぶことができ、右側フィルター及び右側ファンは、戻りフィルター及び戻りファンと呼ぶことができる。当然ながら、収容チャンバーの側を反転(右側に偏向ユニット及び試験管/ウェルがあり、左側にサンプル投入部がある)することができ、空気流の側を反転することができる。
【0092】
左側空気フィルター804Lは、収容チャンバー128から左側トンネル802Lを通って空調チャンバー828内に流れる空気中の細胞/粒子を除去する。右側トンネル802R内の右側空気フィルター804Rは、空調チャンバー828から出て収容チャンバー128内に流れる空気中の粒子を除去する。左側ファン806Lは、空気を収容チャンバー128から左側空気フィルター804Lを通して空調チャンバー128内に引き込むために、左側トンネル802Lと位置合わせされる。右側ファン806Rは、空気を空調チャンバー828から右側空気フィルター804Rを通して収容チャンバー128内に押し込むために、右側トンネル802Rと位置合わせされる。
【0093】
図2Aに示されているように、選択されたサンプル液滴が、ケース200における頂面開口250を通して偏向チャンバー122から受け取られる。右側ファン806Rは、空気を、右側空気フィルター804R、右側トンネル802Rを通して、頂面開口250が位置するケースの反対側の収容チャンバー128内に押し込まれる。したがって、右側ファン806Rは、選別されて容器(例えば、試験管、プレートのウェル)に入る液滴の流れに空気が直接吹き込まれることを回避するために、位置決めされ、空気を収容チャンバー128に押し込む方向が選択される。これは、意図したものとは異なるプレートの隣接するウェル等の誤った容器内に粒子又は細胞を不適当に捕捉することを回避するためである。
【0094】
図8に示されているように、収容ケース200は、空調チャンバー828からシステム100の後ろの開放空間838に通じる開口811を有する後壁808を有する。空調サブシステム700は、ケース200の後壁開口811内に取り付けられた熱電冷却(TEC)アレイ850を更に備える。熱電冷却(TEC)アレイ850は、空調チャンバー828と開放後部空間838との間に取り付けられる。TECアレイは、後壁808における開口811をシールする。空調サブシステム700は、TECアレイ850の正面に結合される正面ヒートシンク851と、TECアレイ850の背面に結合される背面ヒートシンク852とを更に備える。
【0095】
正面ヒートシンク851は、空調チャンバー828内の空気を加熱又は冷却するために、TECアレイ850から空調チャンバー828に延出する。背面ヒートシンク852は、周囲空気内に熱を吸収するか、又は周囲空気から熱を吸収するために、TECアレイ850から開放空間838に延出する。このようにして、熱電冷却(TEC)アレイ850及び背面ヒートシンクは、TECアレイの背面を冷却するためにヒートシンクとして周囲空気を受け取る、又はTECアレイの背面を加熱するためにコールドシンクとして周囲空気を受け取ることができる。TECアレイ850は、空調チャンバー828及び収容チャンバー128内の空気の空気温度を制御するために、列になった複数のTEC装置850A~850Dを有する。
【0096】
TECアレイ850は、図1A図7Bに示されているエレクトロニクスサブシステム18の温度制御回路55と通信して電気的に結合される。温度センサー280が、サンプル投入物及びセルソーターによって出力された選別済み液滴の所望の温度を維持するために、内部の空気温度を制御するように、収容チャンバー128内に取り付けられる。いくつかの実施形態において、温度センサーは、収容チャンバー内においてケース200の頂面211に取り付けられる。温度センサー280は、フィードバックを提供するために、温度制御回路55と通信して電気的に結合される。温度センサー280は、サンプル投入物が引き込まれ、選択された液滴が選別される収容チャンバー128内の空気温度をサンプリングする。
【0097】
制御回路55は、ソフトウェアユーザーインターフェースから所望の空気温度設定点を受信し、検知された温度に基づいて、空調チャンバー828内の空気を加熱及び/又は冷却し、右側ファン806Rによって収容チャンバー128内に吹き込むように、TECアレイ850を制御する。TECアレイは、現在の制御の方向及びレベルに基づいて、空調チャンバー内の空気を加熱するか又は空調チャンバー内の空気を冷却することができる。温度制御回路55は、或る範囲のアンペアにわたる第1の方向の電流の流れによって空調チャンバー828内の空気を加熱するように、TECアレイ850を制御する。チャンバー828を加温するために、TECアレイの正面は高温側であり、TECアレイの背面は低温側である。温度制御回路55は、或る範囲のアンペアにわたる第1の方向とは反対の第2の方向における電流の流れによって空調チャンバー828内の空気を冷却するように、TECアレイ850を制御する。チャンバー828を冷却するために、TECアレイの正面は低温側であり、TECアレイの背面は高温側である。いずれの場合も、空調チャンバー828内の冷却又は加温された空気は、右側ファン806Rによって収容チャンバー128内に押し込まれ、左側ファン806Lによって空調チャンバー828内に再び引き込まれる。
【0098】
ここで図9Aを参照すると、温度制御回路55は、一方向における電流の流れによって空調チャンバー828内の空気を冷却するように、TECアレイ850を制御する。TECアレイ850の正面は低温側であり、TECアレイの背面は高温側である。温度制御回路55は、空調チャンバー828内の空気を冷却するように、TECアレイ850を制御する。空調チャンバーからの空気における熱は、TECアレイの前面に結合される正面ヒートシンク851によって引き出され、空調チャンバー内の空気をより低温にする。空調チャンバー828からの低温空気は、矢印904Aによって示されているように、右側(戻り)ファン806Rによって収容チャンバー128内に押し込まれる。収容チャンバー128内の低温空気は、サンプル及び任意の選別済み液滴を含む内部の物体によって温まる。高温空気は、矢印902Aによって示されているように、左側ファンによって収容チャンバー128から引き出される。
【0099】
正面ヒートシンク851は、TECアレイの正面から低温を引き出し、空調チャンバー828内の空気に伝達する。背面ヒートシンク852は、矢印903Aによって示されているように、TECアレイの背面から熱を引き出し、周囲空気に伝達する。ここで、背面ヒートシンクにわたる空気流の方向に関して、Cは低温側のことであり、Hは高温側のことである。開放空間838内のファンを使用して、背面ヒートシンク852による熱交換プロセスを促進することができる。
【0100】
ここで図9Bを参照すると、温度制御回路55は、別方向における電流の流れによって空調チャンバー828内の空気を加熱するように、TECアレイ850を制御する。TECアレイ850の正面は高温側であり、TECアレイの背面は低温側である。TECアレイの正面からの熱は、正面ヒートシンク851及び空調チャンバー内の空気に伝達される。空調チャンバー828からの高温空気は、文字Hを有する矢印904Bによって示されているように、右側(戻り)ファン806Rによって収容チャンバー128内に押し込まれる。収容チャンバー128内の高温空気は、サンプル及び任意の選別済み液滴を含む内部の物体に熱を伝達し、冷却する。冷却空気は、文字Cを有する矢印902Bによって示されているように、左側ファンによって収容チャンバー128から引き出される。
【0101】
正面ヒートシンク851は、TECアレイの正面から熱を引き出し、空調チャンバー828内の空気に伝達する。背面ヒートシンク852は、周囲空気から熱を引き出し、TECアレイの背面に伝達する。矢印903Bによって示されているように、背面ヒートシンク852を通過した後、周囲空気はより低温になる。ここで、背面ヒートシンクにわたる空気流の方向に関して、Cは低温側であり、Hは高温側である。ファンを使用して、周囲空気と背面ヒートシンク852との間の熱交換プロセスを促進することができる。
【0102】
ここで図8並びに図10A及び図10Bを参照すると、サンプルに対する選別が終了するか又は緊急事態が発生して、ドア112、113を開放することが望ましい場合、チャンバー128、828内の空気及びエアロゾルを、排出ベント832を通して排出することができる。偏向ユニット122のチャンバー内の空気も排出することができる。サンプルへのアクセスを可能にする前、磁気ロックは、図9A及び図9Bに示されているように、チャンバー内の空気が、所定の期間にわたってチャンバー128、828間の空気フィルターを通して循環されるまで、ドア112、113の閉鎖を維持することができる。所定の期間の開始は、サンプル投入及びセルソーターによる選別の最後に、又はサンプル投入及びフローサイトメーターを通るサンプルの実行の最後に、機械ボタン(中止/中断ボタン)又はソフトウェアユーザーインターフェースにおけるソフトウェアボタン(中止/中断ボタン)を通じたユーザーによる手動選択に基づくことができる。
【0103】
セルソーターシステムからの空気排出を補助するために、ケース200は、空調チャンバー828の側壁における排出開口830を更に有する。排出ベント832は、排出開口830内に取り付けられる。排出ベント832は、空調チャンバー828からの空気をセルソーター/フローサイトメーターの外に通気するように選択的に開放される弁である。排出ベント832は、空気圧力によって開閉されるフラップ弁によって受動的に動作することができる。代替的に、排出ベントは、ソフトウェア/ハードウェア制御下で開閉するように、リバーシブルモーターによって駆動されるフラップ弁によって起動してもよい。
【0104】
図10Aに示されているように、排出ベントを通して空気を排出するために、左側ファン806Lはオンのままであり、右側ファン806Rは停止される。左側ファン806Lは、収容チャンバー128から(矢印1002~1002)及び偏向ユニット122から(図10Bの矢印1003、1004を参照)空気を引き出し、空調チャンバー828内に入れる。空調チャンバー828内の空気は、左側ファン806Lによって、空調チャンバーから(図10Aの矢印1010を参照)、排出ベント832の開放弁を通して押し出される。
【0105】
チャンバー内の空気は、ベント832を通して、実験室又は特定の実験室制限空間内の周囲空気等のセルソーター/フローサイトメーターのすぐ外側の周囲空気内に通気することができる。代替的に、チャンバーから排出される空気を更なる処理のために実験室から遠隔空間へと移動させることができるように、排気ホースを、排出ベントの周りでシステムの外側に固定してもよい。
【0106】
セルソーター/フローサイトメーターシステム100の収容チャンバー128内の空気は、空調チャンバー828内に、及び図10Aに示されている排出ベント832を通して外に排出することができる。そのために、空調チャンバーからの空気を収容チャンバー内に通常押し込む、右側トンネルと位置合わせされた戻りファン(右側ファン)がオフにされる。オフにされた場合、左側トンネルと位置合わせされた排出ファン(左側ファン)はオンになり、空気が収容チャンバーから出て左側トンネルを通して空調チャンバー内に引き込まれる。閉鎖されると、排出ベント832内の弁は開放される。したがって、弁が開放されると、排出ファン(左側ファン)は、空調チャンバー内の空気を、排出ベントを通して環境へと押し出すことができる。排出ファンは、収容チャンバー及び空調チャンバーから空気を排出するために、所定の期間にわたって連続的に稼働する。
【0107】
図10Bは、ドア1061が開放し、背面本体/ケース1060から離れるように旋回され、ラッチ1070がキャッチ1071から解放された状態の偏向ユニット122を示している。図10Bに示されているように、左側(排出)ファン806Lの所定の期間にわたる連続的な稼働により、空気を選別チャンバー1063及び偏向チャンバー1064から液滴スロット1062を通して収容チャンバー128、空調チャンバー828内に及び排出ベント832の外に更に排出することができる。矢印1003、1004によって示されているように、更なる空気を引き込み、偏向ユニット122の頂部における流れ開口1065を通してセルソーター内から排出ベントを通して外に排出することができる。ドア1061におけるチャネル1066は、セルソーターから空気を排出することを補助することができる。所定の期間が経過した後、排出ファン806Lをオフにし、磁気ロックを解除することができ、それにより、ドア112、113を手動で開放することができる。
【0108】
利点
セルソーター100、そのアセンブリ及びサブアセンブリには複数の利点がある。サンプルの周りの空気の空調は、コンパクトなユニットに統合されるため、外部空気ホース又は外部ヒーター又は外部空調器を取り付ける必要なく、容易に利用可能である。水平方向の調整は、つまみによって手動で及びモーター制御によって遠隔でという双方によって提供され、それにより、液滴の中央流経路1699Cの位置は、適切に位置決めされる。収容チャンバー内及びシステム内の他の場所における空気は、必要な場合、自動的に濾過、加熱/冷却、及び排出することができる。
【0109】
本開示は他の実施形態又は目的を企図する。本発明の実施形態が、制限のためでなく例証のために本明細書において提示される、述べる実施形態の手段と別の手段によって実施され得ることが認識されるであろう。明細書及び図面は、本特許文書の排他的な範囲を制限することを意図されない。本明細書で論じる特定の実施形態についての様々な等価物を、特許請求される本発明によって同様に実施することができることが留意される。すなわち、本発明の特定の実施形態が述べられたが、上記説明を考慮して、多くの代替、修正、置換え、及び変形が明らかになることが明白である。したがって、特許請求される本発明が、添付特許請求項の範囲内に入る、全てのこうした代替、修正、及び変形を包含することが意図される。生成物、プロセス、又は方法が、述べた例示的な実施形態のうちの1つ以上からの差を示すことは、生成物又はプロセスが添付特許請求項の範囲(逐語範囲及び/又は他の法的に認められる範囲)外にあることを意味しない。

図1A
図1B
図1C
図2A
図2B
図3A
図3B
図4A
図4B
図5A
図5B
図5C
図5D
図5E
図5F
図5G
図5H
図5I
図5J
図5K
図5L
図5M
図6A
図6B
図6C
図7A
図7B
図8
図9A
図9B
図10A
図10B
【国際調査報告】